「今後の国際環境協力の在り方について(答申)」の概要

 

1. 理念

地球環境の保全と持続可能な開発は、先進国、開発途上国を問わず共通に担わなければならない課題である。すべての国が、まず自らその課題に積極的に取り組むとともに、国際的協調の下で「地球環境の保全と持続可能な開発のためのパートナーシップの構築」に向けて国際環境協力を推進する必要がある。

2. 目標及び2つの重点的目標

今後10年程度を見通して達成すべき目標として、「地球環境の保全と持続可能な開発を考えた環境管理の仕組みの改善」を設定。さらに、この目標の下、次の2つの重点的目標を設定

(1) 国際的取組への戦略的かつ積極的な関与
  • 我が国は、経済の発展を成し遂げると同時に、世界に冠たる省エネルギー社会、循環型社会の構築に取り組んできた。
  • このような経験を生かし、地球温暖化対策や3Rの推進などの分野を中心とし、世界、地域レベルでの環境管理の仕組みの構築、強化に積極的に関与していく。
(2) 東アジアにおける環境管理の仕組みの改善
  • 著しい経済成長・環境負荷、地域内各国の相互依存の深化を踏まえ、地域レベルで環境管理の底上げを図ることが必要
  • 将来的には、東アジアにおける環境管理の枠組みの構築を目指す。
  • 相手国の発展段階に応じて、ODA等公的支援と民間セクターによる技術の普及・移転等多様な協力活動の役割分担・組み合わせが重要
  • 東アジア地域での取組を突破口に、アジア太平洋地域、全世界へと取組を進めていく。

3. 4つの取組の方向

国際環境協力の現状と課題を踏まえた上で、次の4つの取組の方向を示す。

(1) 世界的な枠組みづくりへの戦略的な関与
  • 持続可能な開発に係る国際的な計画等における重点分野を踏まえ、淡水資源、土地管理、都市環境などに関する、世界的な枠組みづくりに積極的に関与持続可能な開発に係る国際的な計画等における重点分野を踏まえ、淡水資源、土地管理、都市環境などに関する、世界的な枠組みづくりに積極的に関与
  • 地球温暖化対策を推進するため、気候変動枠組み条約の目的達成を目指した対策の枠組みづくり。JIやCDMなどの活用のルール化に積極的に関与
  • 我が国の経済連携協定の締結の際には、環境面での協力の可能性を追求するなど、貿易と環境に関する世界的な枠組みづくりを推進
(2) 地域における環境協力の枠組みづくりに向けた我が国のイニシアティブ
  • 政策対話、情報収集を通じ、相手国のニーズを把握し、戦略的な環境協力の取組を推進。また、3R、大気環境管理など分野ごとの政策対話も推進
  • 企業、地域の環境管理能力の向上に向け、環境教育プログラムの開発、共同の行動計画の作成
  • 政策立案、地域の環境管理の改善、環境配慮の徹底に資する環境ODA事業の戦略的な実施。対象国のニーズや実情に応じた環境技術の導入・開発につながる環境ODA事業の実施。準地域レベルの環境ODA事業の枠組みの整備
  • 紛争復興、自然災害、防災に対する環境協力の推進
  • 包括的な環境管理推進のため、地域・準地域における共通計画の作成。公平な市場の確保等に資する、環境に関する共通ルールの策定
(3) 我が国の多様な主体による国際環境協力
  • 東アジア地域各国での地方分権の動きを踏まえた我が国の地方公共団体の経験・ノウハウの活用
  • 同地域各国のNGO/NPOと協力し、地域社会の環境意識の向上に取り組む我が国のNGO/NPOの活動支援、政策提言型NGO/NPOの育成
  • 主体間の情報交換、協議の場の設置
  • 企業が有する環境技術を活用した国際環境協力の促進(環境技術・製品の普及を通じた環境管理の基盤づくり、京都メカニズム活用の促進、環境技術導入を促す政策づくり)
(4) 国際環境協力の実施体制の強化
  • 国内基盤(情報、人材、資金)の整備
  • 体制の強化(重要国際機関への戦略的な人材派遣、我が国政府機関等の連携・調整、積極的な取組を行っている自治体、企業、NGO/NPO等の主体間の情報共有・協議の場の提供等)
  • 相手国の発展段階に応じて、ODA等公的支援と民間セクターによる技術の普及・移転等多様な協力活動の役割分担・組み合わせが重要
  • 東アジア地域での取組を突破口に、アジア太平洋地域、全世界へと取組を進めていく。

● 今後の国際環境協力の在り方について(答申)

● 図 「今後の国際環境協力の在り方について」の構成