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中央環境審議会野生生物部会
第9回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成18年12月6日(水)13:04~14:07

2.場所

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

3.出席者

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石井 信夫 石原  收 市田 則孝
岡島 成行 亀若  誠 佐々木洋平
速水  亨 三浦 愼悟
(環境省) 冨岡自然環境局長
黒田審議官
泉総務課長
星野野生生物課長
猪島鳥獣保護業務室長
鳥居外来生物対策室長

4.議事

【事務局(山崎)】 それでは、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催していただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますが、中央環境審議会議事運営規則により定員数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 なお、大塚委員、磯部委員からはご欠席との連絡をいただいております。
 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 資料1-1、パブリックコメントの実施結果について。資料1-2、鳥獣保護事業計画の基本指針案に対する意見の要旨と対応の考え方。資料2、パブリックコメントを踏まえた修正についてでございます。もし資料に不備がございましたら事務局にお申し出ください。資料の方はよろしいでしょうか。

(はい)

 それでは、岩槻委員長、よろしくお願い申し上げます。

【岩槻委員長】 それでは、ただいまから鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきます。
 何度か集まっていただきましたけれども、うまくいけばきょうで一段落ということになるかと思います。前回まとめていただきましたものをパブリックコメントに出していただいていましたけれども、パブリックコメントを踏まえた修正案をきょうご審議いただきたいと思っています。
 それでは、パブリックコメントの結果と、それを踏まえた基本指針の修正案について、事務局の方からご報告をお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、資料1-1、1-2、それから資料2まで含めてあわせてご説明させていただきたいと思います。
 座ったままで失礼いたします。鳥獣保護業務室の中澤でございます。
 まず資料1-1でございます。パブリックコメントの実施結果についてということでご報告させていただきます。
 今回のパブリックコメントでございます。平成18年の10月21日から平成18年11月19日まで1カ月間パブリックコメントを実施いたしました。
 意見の提出のあった個人、団体の数は284でございます。寄せられた意見を項目別に整理したところ、のべの意見数では633件でございました。この内訳でございますが、メール、FAX、郵送等でいただいておりまして、それぞれ1の表のような形になっております。
 それから、2番目といたしまして、項目別の主な意見とのべ意見数についてご説明させていただきます。今ほど申しましたとおり、のべの意見数は633でございます。代表的な意見について、それから、それについての対応の考え方を簡単にご紹介させていただきたいと思います。
 まず、全般的なものとして、全体を見て表現が合っておらず読みにくいということをご指摘いただいています。委員の方々ごらんになっていただいて、現行の基本の指針に比べても非常に量がふえているというような状況がございまして、私どもの方でもいろいろと修正をしているのですけれども、まだちょっと誤字とかが見つかっているというような状況でございまして、それはなるべく、また読みやすいような修正もこちらの方でもさせていただきました。あと、例えば今回の基本指針を考えるに当たって、人と鳥獣との共存というのは人と鳥獣の適切な関係というような話に直しておったところ、まだそういったところが直ってないようなところもございまして、そういったところも含めて直したということでございます。
 それからIのところで、鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項の第一、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する基本的な考え方。現在、基本的な考え方について31件いただいています。例えば、現在の狩猟は、主にスポーツや趣味・娯楽で行われていることということを記述すべきではないかといったこと。それから最も重要な対策は被害防除対策ではないかといったようなご意見であります。
 それから、2番目といたしまして、鳥獣保護事業をめぐる現状と課題でございますが、これについては4件いただいています。特定計画の対象にクマ、カモシカも追加して、「絶滅の恐れのあるクマ」といった記述を入れるべきではないかとか、記述について目標設定がイコール個体数調整を行っているようなことは好ましくないのではないかといったようなことでございます。これにつきましては、事例として、例えばイノシシとかサルとかということを入れておったのですけれども、それに対応するような形で、希少なものについても本文中で対応しているようなことで対応しております。それからあと、様々な立場の人と連携し対策をとることというのも特定計画で、まさにおっしゃるとおりでございまして、そういったことを連携みたいなこともこちらの今回の基本指針の中で充実して書かせていただいているようなところでございます。
 それから狩猟のところについてでございます。(4)で狩猟者は鳥獣保護の理念と精神を学ぶべきといったご意見をいただいています。今回、見直しの中で、狩猟免許試験の項目についても、いろいろと見直すようなことで考えていますといったことで対応できるのではないかというふうに思っております。
 それから、国際的な取組状況でございますが、ジュゴンの具体的な方針、取組ということでございます。ここの項目につきましては、課題ということで、個別のものについては海棲哺乳類について記述しているところがございますので、そういったところで記述しているといったようなことでございます。
 それから次の2ページでございます。
 (6)鳥獣の流通及びその他の課題。ここで件数125件いただいています。「愛がん飼養」の記述を削除するということでございます。課題として、やはり愛がん飼養というところの課題というのをきちんと位置づけるということが必要ではないかなというふうに考えられております。
 それから3番目、鳥獣保護事業の実施の方向性でございます。(2)といたしまして、人と鳥獣の適切な関係の構築でございます。ここで7件いただいています。ツキノワグマについてもっときちんと位置づけるというようなご意見。これについては本文の方で対応するような形にしております。それから「適正な個体数」というのは漠然とし過ぎているのではないかといったようなご意見。例えば、サルのように群れとか、そういった単位で管理する必要なものもあるのではないかといったようなご意見をいただいています。それはそれぞれそういったことも含めて考えていると。また認知的なマニュアルとかでそういった考え方もきちんと整理していきたいと考えております。
 それから(3)地域住民の理解と協力でございます。鳥獣保護事業の普及啓発で、「安易な餌付け」についてはちょっと漠然とし過ぎているのではないかと。何か基準みたいなものがないかということでございますが、やはり安易な餌付けにつきましては、地域においていろいろな背景とかございます。そういったところで、直ちに全国一律の記述というのはなかなかつくりづらいというふうに考えておりまして、そのあたり地域ごとのそういった基準みたいなものが必要になるのではないかというようなことで考えております。
 それから第二でございます。鳥獣保護事業のきめ細かな実施でございますが、制度上の区分に応じた保護管理で、4区分に海棲哺乳類を追加すべきといった指摘がございましたが、海棲哺乳類はこの4区分とは別のカテゴリーで記述しているところでございます。
 それから希少鳥獣のところで「生息状況や生息環境の把握に努める」というのが曖昧過ぎるというようなことでございました。もう少し個体性みたいなものというようなことでございますので、これはちょっと対応しております。
 さらに(2)の狩猟鳥獣のカテゴリー、選定の考え方について見直した方がいいのではないかということでございますが、これはちょっと今後の課題というふうにさせていただきたいと思っております。
 (3)外来鳥獣ですが、外来種について、国内移動の外来種は対象にならないのではないかというようなことで書いてございますけれども、これは考え方の中で、国内移動のものも含めて対応するということで記述してございますので、そういった対応でできると思っております。
 その下の鳥獣の特性に応じた保護管理の考え方で、広域的な保護管理が必要な鳥獣でございますが、広域保護管理が必要な種としてカワウとツキノワグマの2種を明記するということでございますが、これはあくまでも広域的な保護管理というものの考え方を整理しているところでございまして、個別の種というものについては、ここのところで記述する必要があるところではないのではないかというようなことでございます。それから広域保護管理指針と特定計画の位置付けが曖昧というところでございますが、これにつきましては、広域保護管理指針と整合を図られた特定計画に基づくというようなことで、今の基本指針、また今後作成するマニュアルの中にも整理して書きたいと思っております。
 それから(3)の渡り鳥及び海棲哺乳類でございますけれども、法の対象となる海棲哺乳類について、具体的対処を記述するということでございます。これは別のところで、ここは保護管理の方向性というか、考え方を記述してあるというところで考えております。
 それから第三の特定計画制度の推進でございます。広域的な鳥獣保護管理で、広域的な鳥獣保護管理の考え方ということでございます。ここは科学委員会の構成メンバーにも自然保護団体を加えるということでいただいていますが、ここは科学委員会というのは純粋に専門的な知見に基づいて選ばれるべきものではないかというふうに考えております。さらに、「数の調整」の意味が不明であるというところで、これは特定鳥獣の数の調整ということでございますので、何のというところの目的を対象に入れるような形で対応したいと思っております。それから、その次が実施内容、簡単な結果を毎年とりまとめて、フィードバックすべきということでございますが、ここのところは制度の見直しのところで書いているところでございますので、そこのところは5年というような期間が適当ではないかというふうに考えているところでございます。
 それから技術マニュアルをインターネットで公開することについては、今後の検討課題としております。
 さらに地域における取組の充実のところでございますが、関係市町村が捕獲許可を実施計画に基づき実施する場合に、速やかに情報を都道府県に報告するべきというふうな意見をいただいています。そういった許可の執行状況については、調整につきましては、また別の項目、IIの第四の許可のところに書いてございます。というところでございます。
 それから入猟承認制度でございますけれども、これは「特定計画の実施とあわせて活用を図るものとする」ということで、特定計画の対象外は除外するのであれば、これは反対するという意見ですが、これはそういうことは決してございません。ただ特定計画と一緒に活用することでより効果を生むのではないかなというふうに考えております。
 それから続いて3ページ、第四でございます。人材育成のところでございますが、資格制度の検討を記述すべきではないかといったご意見をいただいています。これにつきましては、鳥獣保護管理に関する専門的な人材確保の仕組みというこの中で、そういったこれは人材ワーキングの中で議論していた中身でございますけれども、そういったところである程度の資質を評価して、そういった人材を登録するといったようなところで対応するということを考えているところでございます。
 それから(2)といたしまして、求められている人材を特定計画に限定するべきではないといったご意見。これは特定計画だけではなくて、もっと幅広いものを対象にしたいというふうに考えております。
 それからその下、2の(1)でございます。タイトルが非常に長くて本文と見間違えるのではないかといったご意見。これについてはその辺を修正するような形にしております。
 それから第五のところでございますが、鳥獣保護区の指定及び管理で、環境教育等の推進。子供に説明できる施策をとってほしいということで、ここのところは要するに、出てきたものを捕獲して殺してしまっているようなことで書いているのではないかというようなことですけれども、決してそんなことではないというふうなことで今、私どもでは考えているところでございます。
 それから第六、狩猟の適正化のところでございます。基本的な考え方ということで、件数は22件いただきました。ここは、鳥獣の科学的・計画的な保護管理のためには、適正に狩猟が行われることが必要であって、狩猟による鳥獣の捕獲等が鳥獣の個体数管理に果たす効果等を客観的に検証していく必要があるといったご意見。これにつきましては、適切な狩猟だというような形で本文の方には反映させていただきたいと思っております。それからその下で、ハンターの数を増やすことは動物の数を減らす手段として不適切だということでございますけれども、やはりこれは担い手の確保として、これは必要なことではないかなというふうに考えているところでございます。
 それから3番目でございます。狩猟とわな猟の適切な実施のところでございます。簡単に取得できる網・わな猟免許の分離につきましては、保護よりも狩猟支援になるのではないかといったようなこと。それから、「網・わな猟免許」を「網猟免許」と「わな猟免許」に分けることは反対といったようなことでございました。これは、よりその技術に応じた、免許の需要度に応じた技術によって適切な狩猟を行うようにしたいというような考えで実施しているものでございます。それからくくりわな、トラバサミの禁止でございますけれども、これにつきましては、的確な申請のもとで行われる鳥獣の捕獲においては、狩猟の必要性があるのではないかなというふうに考えておるところでございます。
 それから狩猟者の確保でございます。狩猟者の確保及び狩猟者のモラルを向上させる方向に働きかけるべきということでございます。これは量と質の話というふうに私どもでは理解するわけでございますけれども、当然、免許試験ですとか、特に更新時講習の中でそういったものというのは何か位置づけることができないのかといったようなことを今考えたいと思っております。さらに講習につきましては、更新時講習のことをこれは挙げてございますので、これは都道府県が主語になるのではないかと思っております。
 それから鳥類の鉛中毒の防止を図るために、すみやかに無毒性の代替弾への切り替えを実施して、鉛弾使用、流通、所持を禁止するといったご意見。これは今この検討の中でも佐々木委員の方からも強いご指摘がございまして、その方向で今進めさせていただいていると。それから申しわけございません、これは13件とあったのですけれども、ここは11件の間違いでございます。さらにその下、無毒性の代替弾については、環境省が主導となって関連業界と協力するといったようなご意見。これは関係機関とも連携しながらというようなことを今考えて本文の方に位置づけるようなことで考えたいと思っております。
 それから第七でございます。傷病鳥獣の取扱でございますが、タイトルが「鳥獣救護」で傷病鳥獣ではないのではないかといったご意見です。これにつきましては、傷病鳥獣というような名前がもう既に定着しているというようなこともあり、今回の指針においてはこのとおりに進めさせていただきたいと思っているところでございます。
 それから第八でございます。鳥獣への安易な餌付けの防止でございます。ここのところ生ゴミとか、未収穫作物の突然の撤去といったものは、鳥獣に襲われる危険性もあって、人や鳥獣の安全への配慮が求められると。撤去方法については時期などを十分に検討して指導すべきではないかと、こういったご意見をいただいています。これはご意見の趣旨も踏まえまして、鳥獣の生息状況を踏まえながらといったような対応が必要ではないかと思って、本文の方にも対応したいと思っております。それから、観光地でのマナーを守っての行為まで禁止の対象とする必要はないといったご意見。これはやはりその場所において、そういった鳥獣への安易な餌付けというのはやめる方向で考えた方がいいのではないかと思っています。
 それから第十で人獣共通感染症のところでございます。ここにつきましては調査を強化するということで、常にこういった調査をやっているところでございます。
 4ページでございます。第十一、関係主体の役割の明確化と連携でございます。関係主体ごとの役割でございますけれども、国の役割として、環境省の出先である地方環境事務所の役割も記述するべきではないかといったご意見で、これは、当然国の中には地方環境事務所も入ってございます。そういったところで対応していきたいと思っております。
 次からが第II部の鳥獣保護事業計画の作成に関する事項でございます。
 第一、第二については意見がございませんで、第三の鳥獣の人工増殖及び放鳥獣に関する事項でございます。まず1として、鳥獣の人工増殖でございますが、希少鳥獣等ということで、人工増殖は必要に応じて行うことができることにすべきではないかということでございます。ただ希少鳥獣につきましては、やはり特に個体数が少なく保護を図る必要のあるものについては、努める必要があるのではないかということで現状どおりがいいのではないかと思っております。
 それから(2)の狩猟鳥獣でございますが、人工増殖の技術は、行政より業者の方が遥かに優れていると、そういったご指摘のような状況もあろうと思いますので、行政機関と事業者の連携、協力が必要ではないかというふうに思っておるところでございます。
 それから2番目といたしまして、狩猟鳥獣でヤマドリ、キジ等の放鳥獣は禁止すべきではないかといったことでございます。これにいたしましても、鳥獣保護事業のワーキンググループでいろいろとご議論いただきまして、定着率の低い場合の事業の見直しとか、効果を高めるための取り組みを行うといったことを今実施しているというところでございます。
 それからその次(2)の希少鳥獣でございますが、希少鳥獣の再導入について、野生動物医学会が公表している日本産野生動物における再導入ガイドライン(案)を基に記述すべきではないかと。これは今のいろいろと世界的な動向も踏まえて、最新の情報を得ているので、そういったものを入れるべきだということで、これはこちらの方でも対応することにいたしまして、例えば、これは再導入に伴う生活環境、農林水産業及び生態系への影響ですとか、地域個体群への遺伝的かく乱、生息環境の保全、再導入個体の感染症対策、地域社会の参加、順応的管理のための体制づくりと。そういったものについて整理した上で資するといったようなことを新しく記述したいと思っております。
 それからその次、外来鳥獣のところでございますが、7件意見をいただいておりまして、外来鳥獣の輸入禁止を徹底、また、いたずらに根絶しないといったような意見をいただいております。これにつきましては、外来鳥獣の輸入規制につきましては、外来生物法において適切に行われているということでございます。野外における個体につきましても、被害の程度等を踏まえまして、適切に判断されるべきではないかというふうに考えているところでございます。
 それから第四、これが許可基準のところでございます。1といたしまして、鳥獣の捕獲又は鳥獣の卵の採取等に係る許可基準の設定ということでございまして、許可しない場合の基本的考え方ということで、捕獲ないし捕獲後の鳥獣の取り扱いが虐待に当たる場合に、捕獲に替わる方法が十分に試みられていない場合、捕獲された鳥獣が商業利用される場合には捕獲許可をすべきではないといったようなご意見で、これは捕獲後の処置につきましては、先般捕獲許可申請をきちんと記述するといったようなことで対応していくということでございます。
 それから(2)の許可する場合の基本的考え方でございますけれども、鳥獣の愛がん飼養につきましては、鳥獣の乱獲を助長する恐れもあるので、飼養のための捕獲又は採取の規制の強化に努めるべきではないかといったご意見。これはこれまでの答申等も踏まえまして、今般の法改定の中で輸入鳥についての標識をつけていただくし、より適正化に努めているというところでございます。それからその次は調査での犠牲を最小限にする努力をすべきであるといったことで、捕獲については目的に応じた最小限の捕獲をしているということでもっともなんですが、前より一層そういった審査の見方というのをきちんとする必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
 それからその次は(3)のわなの使用に当たっての許可基準でございます。ここでは96件いただいています。まず、日本国内でのとらばさみの製造・販売・所持・使用を全面禁止にすべきではないかと。それから、くくりわな、とらばさみ、エッグトラップの使用禁止もすべきではないかといったようなご意見。それから、許可捕獲も狩猟の規制と同様の取り扱いとすべきではないかといったようなご意見。とらばさみとかに対する非常にいろいろなご意見をいただいているところでございますが、これにつきましては、的確な使用申請のもとで行われる鳥獣の捕獲については、そういった使用の必要性はまだあるのではないかというふうに考えているところでございます。それから、これはツキノワグマの捕獲でございますけれども、筒型、はこわなに限った方がいいのではないかといったご意見。確かに希少鳥獣等の場合にはそういうような事例もあるというふうに聞いております。これについてはちょっと今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。それからインターネット通販でのわなの販売についても、許可証等の確認の徹底化をすると。販売店につきましては、これまでも通知等で出しているところなんですけれども、インターネット等でのことについては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。一方で、イノシシ成獣への12cmの規制は不適当ではないかというようなご意見がございました。これにつきましては、ツキノワグマの生息状況なんかも踏まえながら対応するといったことで、そういったことで対応したいと思っているところでございます。
 それから(4)許可に当たっての条件の考え方でございます。まず、有効期間内に目的とする捕獲数に達した場合は、速やかにわなを撤去するということですとか、期間延長をする場合には、その都度わなの標識を付け替える。さらにはわなの設置個数は1日必ず見回りをするといったようなご意見をいただいています。これにつきましても、許可された捕獲数以上のことはその時点で補うということ、さらに期間延長というのはございません。期間が来た段階でさらにもう一度申請をし直すといったことがあるところでございます。またわなの設置個数ですけれども、原文にある数量ですとか、見回りについての条件の中で対応すべき話ではないかというふうに考えております。それからその下にございますわなの設置個数の上限についても同様だと思っております。
 5ページでございます。(5)許可権限の市町村への委譲につきまして、鳥獣の捕獲許可に係る事務を市町村に委譲した場合は、市町村における捕獲情報を少なくも月ごとに都道府県に報告するよう求め、そのデータを整備して常に全域における最新の捕獲情報を入手するように努めるということでございます。これにつきましては、本文の方で特定計画の整合を図るような記述を新たにつけ加えるというところでございます。
 (6)でございますが、捕獲実施に当たっての留意事項でございます。都道府県は、捕獲情報を市町村から速やかに報告させるべきであるというようなご意見をいただいています。これにつきましても、今と同じような対応で考えているところでございます。
 それから(7)で捕獲物又は採取物の処理等のところでございますが、特にニホンザルの場合につきまして、違法捕獲ですとか、違法売買を防止する観点から、1頭ごとに個体の顔の写真を撮って頭数を確認して、速やかに現地で処分すると。錯誤捕獲個体は可能な限り放鳥獣するといったことでございます。前段のご指摘につきましては、申請書類で担保するというのを先ほど申しましたが、捕獲の処理についてはきちっと書いていただくというようなことにしていると。これらにつきましては、放鳥獣につきましては、錯誤捕獲個体の鳥獣の検討というのを新しく原文につけ加えるということで考えております。それからその下のやむを得ず致死した捕獲個体については、やむを得ず致死させた場合には、その死がいは捕獲焼却か埋設、廃棄処理ということでございます。これにつきましては、原則としてそういったものを捕獲した現場に放置することは禁止するということは法律でやっているところでございますが、ただし、捕獲個体の適切な有効利用を図ることは必要な場合もあるというふうに考えているというところでございます。
 それから(8)でございますが、捕獲等又は採取等の情報の収集につきまして、捕獲者が専門家あるいは大学の研究機関等に委託して事業報告書を作成するべきではないかといったご意見をいただいていますが、これにつきましては、すべてに対してということでございますと、捕獲者に対して過剰な負担になるのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから(9)でございますが、保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕獲許可の考え方というところで、保護の必要性が最も高い地域個体群は「四国のツキノワグマ個体群」ではないかということでございますが、四国も含めて西日本というふうに考えているというところでございます。
 次に学術研究の捕獲許可目的のところでございますが、まず食虫類とかねずみ類、そういった学術捕獲等の捕獲において、非合理的なわなの数の制限を設ける場合があるということでご指摘いただいていますが、そういったものも錯誤捕獲の防止には必要になるのではないかというようなことが考えられると。
 それから(2)の標識調査でございますが、標識調査を行う理由について記述すべきということでございますが、これは別の当該箇所できちんと記述しているところでございます。
 次は3の鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止を防止する場合のところでございます。ここにつきましては、有害鳥獣捕獲についての許可基準の設定のところで、捕獲した有害鳥獣の売却を禁止すべきであるということ。これにつきましては、捕獲個体の有効利用というのは、そういった適切な有効利用を図る必要がある場合もあるということが一つ。それからもう一つは、ホウジロにつきましては、地域の状況に応じて判断されることが必要ではないかというふうに考えているところでございます。その次、特定計画が策定されている場合の予察捕獲は行うべきではないといったご意見でございますけれども、これは今の基本指針においても、原則として特定鳥獣の捕獲調整等をして扱うことを考えているところでございます。
 それから4番目でございます。特定計画に基づく数の調整を目的とする場合のところで、これはすみません、単純なこちらの表記の誤りがございました。
 その下、その他特別の事由の、愛がんのための飼養の目的の捕獲許可でございますが、これをすべて削除すべきではないかと。しかし、愛がん捕獲許可をきちんと適正にやるためにはこういった基準が必要になるというふうに考えているところでございます。
 それから第五、特定猟具使用禁止区域、特定猟具使用制限区域及び猟区に関する事項でございます。猟区につきまして、猟区はむしろ管理徹底できる範囲に縮小すべきではないかといったご意見がございました。これにつきましては、猟区というのをこの趣旨で狩猟鳥獣の生息数を確保しながら安全な狩猟の実施を図るといった、特に必要であるというふうに考えております。もしその場所で捕獲規制等、保護を図る必要がある場合には、そういった規制措置は可能であるということでございます。
 それから第六の特定鳥獣保護管理計画の作成に関する事項でございますが、計画作成の目的のところで、外来生物対策の必要性を世論にもっと強く訴えるべきではないかという、これは今後の私どもの事業の参考にさせていただきたいと思っているところでございます。
 最後6ページのところでございます。保護管理のところで、幾つか単純なミスのご指摘をいただきました。
 さらにその下の第八でございますが、鳥獣保護事業に関する普及啓発に関する事項のところでございまして、鳥獣の保護思想についての普及啓発というところで、在来種による食餌植物の植栽等の積極的な実施については削除するか表現を変更するべきではないかといったご意見がございます。これにつきましても、生態系への影響に配慮しつつ、在来種による食餌植物の植栽等を行うといったような表現で本文に反映させていただきたいと思っています。
 それから安易な餌付けの防止で、山に実のなる木を植林して、山と里の間に柿の林などを設置するといったご意見もございます。これは食餌植物の植栽というのは、鳥獣の生息状況の判断によりまして、必ずしも適切な場合があるということでもないということでございますので、その状況に応じて適切に判断されるべきではないかということでございます。
 それから第九のところでございますが、鳥獣保護事業の実施体制に関する事項で、鳥獣保護員の任命でございます。鳥獣保護員の活動の確保について、常勤の専門性をもった人材の確保を目指すべきということでございますが、都道府県の財政状況が厳しいというふうに指摘されている中で、より効率的な配置を図れるように記述しているというところでございます。
 それから鳥獣保護センターの設置のところでございます。「傷病鳥獣の保護」がなぜ必要なのかという記述でございますが、これにつきましては、鳥獣保護センターというのは傷病鳥獣の保護だけではなくて、鳥獣の科学的・計画的な保護管理のために活用を図っていくと。そういうことを新たに書き加えているところでございます。
 それから5番目でございますけれども、取締りのところで「愛がん飼養」等の削除ということでございますが、これはやはり愛がん飼養に関する取締りについてもきちんと記述する必要があるのではないかといったこと。それからその下に猟犬として飼養をしていた犬を猟期の終了と同時期に遺棄するなどの、そんな動物愛護管理法違反者に対しても重点的に監視、取締りを行うべきということでございます。これにつきまして、動愛法できちんと対処されるべきというふうに考えておるのですけれども、猟犬の適正な管理につきましては、関係団体とも協力しながら、普及啓発に努める必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。
 その次、第十でございます。その他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項で、クマを狩猟鳥獣からはずして、予察駆除は禁止とすると。また海棲哺乳類も鳥獣保護法の適用とするというようなご意見をいただいています。ここにつきましては、狩猟鳥獣につきましては考え方は基本指針に整理していると。ただ個別の種の指定につきましては、省令化をすると。また、適切に行われている予察捕獲につきましては、農林水産業への被害防止の観点から必要ではないかというふうに考えているところでございます。また、鳥獣保護の対象としては、海棲哺乳類も含まれているというところでございます。
 それからその下が2の鳥獣の区分と保護管理の考え方で、第I部のところに一般鳥獣があったのに、第II部に一般鳥獣がないといったご意見で、これにつきましては第II部にもつけ加えているところでございます。
 それから6番目、鳥類の飼養の適正化でございますが、野生生物の愛がん飼養は全面的に禁止して欲しいと。文化ということでメジロの捕獲飼養を認めているようであるけれども、密猟を促すことになっており、止めるべきだということでございます。これは、今回愛がん飼養目的の捕獲許可対象からホウジロを削除して消しておると。そういった考え方のもとで、このご意見を今後のまた施策の参考とさせていただきたいというふうに考えております。
 それから8番、傷病鳥獣救護の基本的な対応でございますが、まず、救護個体、「終生飼養」を行うことが当たり前というわけではないので、「終生飼養」を行う際の考え方の整理が必要なのではないかといったご意見がございます。これは既に第II部の別の場所で記述してございます。
 それからその下の、その他の傷病鳥獣につきましても、治療をせずに放鳥獣することを基本とすべきであるといったようなこと。ただこれにつきましては、野生復帰が困難であるといったものに該当するというふうに考えておりまして、野生復帰が困難な場合についての放鳥獣の考え方はこの中に記述しているということでございます。
 それから野生復帰でございますが、治療をした個体についての野生復帰とすべきということでございますけれども、これにつきましても、野生復帰の対象個体であることから、原文どおりの案が適当ではないかというふうに考えているということでございます。
 以上、非常にすみません、駆け足になりましたが、こういったご意見を踏まえて、資料2にございますパブリックコメント案に対してパブコメ後の修正案ということで、アンダーラインを引いた箇所が新たにつけ加えいただいているところでございます。アンダーラインの箇所は今回パブリックコメントでご指摘いただいたもの以外にも、先ほど申しましたとおり、全体的な表現、誤字とか、表現が合ってないようなところも含めて、また最新の情報等にするようなことで対応していきたいと思っております。
 以上、ご説明を終わらせていただきたいと思います。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 多様なパブリックコメントのコメントをいただいて、短い時間で説明いただいたので、すぐにフォローできないかもしれませんけれども、資料2にあります修正に結びつく形で、今のご説明に対するご質問、コメント等がありましたら、どなたからでもどうぞご発言をお願いします。三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 15ページのちょっと文章が私はよくわからないのですが、資料の2ですね。コメントで修正していただいたところなんですが、15ページの実施計画の作成の推進というところで、従来のやつは、また特定計画等に示された捕獲上限数を超過しないように必要な狩猟を行うというのが、また捕獲上限数が超過しないように必要な指示を行うものとするとなっているのですが、この場合は超過といったら何から超過することになるのでしょうかなと思って、前の文章の方がわかるのかなと。修正案か。すみません、わかりました。そうですよね。

【岩槻委員長】 ほかにいかがでしょうか。きょうは法律関係の方がお二人ともお休みですけれども、何か事前にコメントとかは。

【事務局(山崎)】 いや、特にいただいているようなことはありません。

【岩槻委員長】 そうですか。パブリックコメントに対する対応もこういうことで、皆さんよろしいでしょうか。

【事務局(中澤)】 お許しをいただけるのであれば、こちらの新規の方で、資料2の方でどこの部分を修正したかというのをパブリックコメントでちょっと簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
 パブリックコメントで修正した箇所でございますけれども、まず4ページでございます。ここでアンダーラインの上からちょっと下のところに、狩猟は、趣味や資源利用としての捕獲という側面ではなくと。趣味というところを入れさせていただいております。これはパブリックコメントで、現在の狩猟というのは、スポーツとか狩猟とか、趣味・娯楽で行われているといったことも背景にあるといったことがあるのではないかといったことを踏まえているものでございます。
 それから同じく4ページの下の方でございますが、2の(1)で、アンダーラインでツキノワグマというのを記述させていただきました。これはイノシシ、ニホンジカ、ニホンザルと、そういった被害を発生させているものの例示がある一方で、そういった絶滅の恐れのあるものについても例示をしているというものでございます。
 それからその下なんですけれども、ここは申しわけございませんが、これは特定計画の数が12月1日でまたふえたようなので、それはちょっとまたこちらの方で事務的な修正をさせていただきたいと思っております。
 それから、パブリックコメントで修正したところでございますが、7ページでございます。人と鳥獣の適切な関係の構築のところでございますが、ここのところが、これも先ほどと同じように、増加しているものだけではなくて、一方減ってしまっているものということで、イリオモテヤマネコ、それからツキノワグマといったものをまた例示として書き込みさせていただいているというところでございます。
 さらに、8ページでございます。真ん中あたりのアンダーラインでございますが、地域における個体数の推計等のというのを入れさせていただきました。これは先ほど生息情報の整備だけではちょっと漠然としているので、もう少し具体的な表現が必要ではないかといったようなことでご意見を踏まえまして、ここのところを新たにつけ加えさせていただいているというところでございます。
 それから11ページのところでございます。広域的な保護管理が必要な鳥獣というところで、もともと隣接する都道府県の区域を越えて広域的に分布又はというところでございましたが、これは表現したい中身というのをより適切に理解していただくために、隣接しない都道府県にまたがりというような書き方で書いてございます。同じような修正箇所がこの後も3カ所ほどございます。これは広域保護管理指針と特定計画の位置づけが曖昧であるといったようなところのご指摘も踏まえて修正しているところでございます。
 それから次はしばらく飛びまして、14ページでございますが、広域指針のところ、記載項目で、もともと数の調整というふうに書いてあったところでございます。広域指針の記載項目のところの6番のところでございますが、ここを特定鳥獣の数というふうにさせていただいております。
 それから17ページでございます。人材育成・確保、第四のところの17ページで、研修等による人材育成のところでございますが、先ほど本文とタイトルがちょっとよくわからなかったので、きちんとタイトルらしくわかるようにといったようなご意見で、このタイトルを2の研修等による人材育成のところを(1)(2)それから(3)と、ここのところを修正しているところでございます。
 それからしばらくまた飛んでいただきまして、20ページでございます。第六で狩猟の適正化のところでございます。ここが狩猟の適正化のすぐ下のあたりにございます適切な狩猟が鳥獣保護管理に果たすというのを新たに入れさせていただいています。これは単なる狩猟というふうに言うよりも、鳥獣の科学的・計画的な保護管理ということを踏まえて、適正な狩猟を行うということで考えるならば、そういった表現にすべきといったご意見を踏まえているものでございます。
 それから21ページでございます。鳥獣の鉛中毒の防止ということでございまして、ここのところ、関係行政機関及び団体が連携してということで入れさせていただきました。やはり、ここのところは主語がないといったようなご意見も踏まえまして、ここのところに関係行政機関と団体が連携するといったところで記述させていただいております。
 それから22ページでございます。鳥獣への安易な餌付けの防止につながるところで、第八の一番下のところで、鳥獣の生息状況を踏まえながらといったような一文を追加させていただいています。やはり、もともと例えば餌付けを行っているようなところで、急にやめてしまうとさらに被害がまた広がるといったような指摘を過去に聞いたこともございまして、そんなような背景を踏まえて、鳥獣の生息状況を踏まえながらといったような一文を入れさせていただきました。
 それからまたしばらく先に行っていただきまして、今度は第II部に入らせていただきます。第II部の34ページでございます。放鳥獣の希少鳥獣の扱いのところでございます。先ほどちょっと箇条書きで申しましたが、野生動物医学会の方で新たにそういった希少鳥獣の再導入についての考え方を整理したと。もともとの原案でも、安全性の確保ですとか、農林水産業、それから生態系への影響、地域個体群への影響といったことが書いてございましたけれども、野生動物医学会の方でこういったきちんと整理をしていただいたということなので、右の原案を踏まえて、また整理をし直して箇条書きにさせていただいているというところをつけ加えさせていただいたところでございます。
 それから36ページです。次は捕獲許可基準のところでございます。(3)のわなの使用に当たっての許可基準のところでございますが、ここでくくりわなの輪の直径でございますけれども、例えば今回の規制につきましては、ツキノワグマの錯誤捕獲といったことが問題であるというところからスタートしているものでございまして、そういったものの生息がないような場所までというところで、こういった記述をさせていただきまして、その捕獲場所ですとか、捕獲時期及びクマ類の生息状況を勘案して、錯誤捕獲の恐れが少ないと判断される場合には以下によらないことができるということでございます。
 それからその下の(3)の[2]のところでイノシシ、それからニホンジカの捕獲を目的とする許可申請の場合につきましては、[1](1)の規制に加えて、先ほどの12センチといった直径の規制でございますが、これに加えまして直径が4ミリ以上であり、よりもどしを装着したものであるといったことを表現させていただいたということでございます。
 それからその次は37ページの(5)のところでございます。市町村の捕獲情報がきちんと都道府県に回ってないところでいろいろと問題が起きているのではないかといったようなご意見をいただきました。これを踏まえまして37ページの(5)のところに特定計画との整合性ですとか、制度の円滑な運営が図られるように努めるといったようなことで、新たにここのところを記述させていただいているところでございます。
 それからさらに38ページでございます。ここは捕獲物又は採取物の処理のところでございまして、錯誤捕獲個体の取り扱いについて記述したところでございます。これにつきましては、原案では錯誤捕獲個体の処理について放鳥獣の考え方を入れてなかったのですけれども、放鳥獣の検討を行うことということで記述をさせていただいたところでございます。
 さらに先にまいりまして、65ページでございます。第十のその他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項のところで、(4)に一般鳥獣を入れさせていただきました。これは先ほど鳥獣の区分のところで、希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、それから一般鳥獣というような書き方で4区分をしていたのに、都道府県の鳥獣保護事業計画として3区分しか入ってないのはおかしいのではないかというご指摘で、ここはおっしゃるとおりでございますので、新たに一般鳥獣のカテゴリーをここに追加したというところでございます。
 以上がパブリックコメントを踏まえまして修正したところでございまして、それ以外は私どもの方で最新の記述にするですとか、あとより表現をわかりやすく、または誤字等について修正したという箇所でございます。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 ありがとうございました。改めて修正点をご説明いただいたのですが、それをお聞きいただいた上で、何かご質問とかご意見とかございますでしょうか。
 今まで検討していただいてきたことと矛盾するようなことは何もないというふうに考えるということでよろしいでしょうか。三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 先ほどの話の続きなんですが、これは実施計画についても、それからあと37ページの許可権限の市町村への委譲については、これ国は県以下についてどうのこうのという話ではないですよね。したがって、37ページの許可権限の市町村への委譲ということについては、国としては推進する方向かどうかは別問題ですよね。それで、記述が全く同じなんですが、適切に市町村長に委譲されという格好で特定計画との整合等、制度の円滑な運営、これが実施計画としてはこれを念頭において実施計画をつくるべしというのですが、その前の適切に市町村長に委譲されという文章が、これ捕獲権限の委譲を推進していることにはなってないのですか。その辺のスタンスはどう思いますか。例えば、ツキノワグマでも、新潟県でもかなりの頭数がとられて報告してないところもあるし、それは許可権限を持っているわけですね。それで報告がないといったようなことがことしも見られているといったようなことで、この前の対象とする市町村や種を限定した上でという意味と、それから全体として国のスタンスがこれを推進する方向なのかどうなのかというところ。

【岩槻委員長】 どうぞ。

【鳥居外来生物対策室長】 たしか前回の小委員会でもその議論が磯部先生からもお話があったと思うんですけれども、私どもの方としては、国の行政の流れとして地方分権の大きな流れがあり、その中で鳥獣法に基づく都道府県知事の一部の権限が市町村長に委譲されている。これは事実としてあるわけです。それは地方自治法にのっとってやられているということなんですけれども、それを委譲する際には適切にやっていただく。これはどういう観点から適切にというのは、37ページの(5)に書いてございますように、必要性についての十分な吟味、あるいは市町村における鳥獣の保護管理の実施体制の整備状況、そういったものを勘案して、県の方でこれなら市町村に任せられるという判断をしていただいた上でやってくださいということをお願いしているところでございます。それからそのもう少し下の方に、37ページの下から11行目ですけれども、先ほどの捕獲頭数、市町村における捕獲頭数の報告みたいなことですが、都道府県知事は、捕獲許可に係る権限を市町村長に委譲する場合は、法、規則、本基本指針及び鳥獣保護事業計画に従った適切な業務の施行及び都道府県知事に対する許可事務の執行状況報告、これは許可件数の報告というふうに私ども考えておりますけれども、そういったことが行われるようしっかり助言をしてくださいということをここで申し上げているところでございます。

【岩槻委員長】 まだ何かありますか。どうぞ、三浦委員。

【三浦委員】 歯止めをかけているというふうに理解していていいわけですね。

【岩槻委員長】 それではほかのコメントはいかがでしょうか。
 ほかにご発言がないようでしたら、こういう修正を踏まえて基本計画案をこれでまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。

(了承)

【岩槻委員長】 それでは、特にご異議がないようですので、統制的にまとめていただいたということで、これで基本指針としてまとめさせていただくということで、そういうふうにさせていただきたいと思います。
 それでは、それできょうの宿題はこれだけですから、これのまとめができたらいいのですけれども、今後の予定とかについて事務局の方から何か。

【事務局(中澤)】 それでは、今後のスケジュールでございます。都道府県の方はきょうの日をまさに今か今かと待ち構えていて、それですぐにも鳥獣保護事業計画の作成の作業に入るというような段取りをしてございます。今回ご決議いただきました小委員会の決議につきましては、部会長の同意を得まして、野生生物部会の決議とするということでございます。それはすなわち中環審の方に報告されて、中環審の答申とさせていただくというような作業を進めさせていただきたいと思います。
 それから、このあと事務的な手続、これを官報報告にするというような手続がございまして、まさに事務的な手続でございますけれども、そうした上で公表と。ただし、この中身については、速やかに公表するとともに、各都道府県にもお知らせいたしまして、次期の鳥獣保護事業計画の作業にすぐに取りかかっていただきたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 それでは、きょうが何回目になるのでしたっけ。5月31日からこの基本指針の検討を始めていただきまして、何回かの委員会とワーキンググループを活発にご議論をいただいて、きょうは余り活発なご意見がなかったのですけれども、無事に基本指針をまとめていただいたということで、この委員会は終わりにさせていただきたいと思います。先ほど説明がありましたように、部会、中環審にそのまま上げさせていただいて、これをそのまま中環審の結論にしていただけるというふうに思っています。
 それではどうもありがとうございました。これで進行を事務局にお返しいたします。

【冨岡自然環境局長】 本日は国会関係の用務のため遅れて申しわけございませんでした。この小委員会は昨年の9月に設置されまして、本年の2月に答申をいただきました。それから今委員長のお話にございましたように、5月以降も基本指針のご検討をお願いし、本日取りまとめをいただきました。通算しますと、1年2カ月の長き日に渡るわけでございまして、大変長い間ありがとうございました。心からお礼申し上げます。
 先ほど説明しましたように、この基本指針を各都道府県にお示ししまして、第10次の鳥獣保護事業計画を各県がこれから策定するということになるわけでございますけれども、皆様ご案内のように、鳥獣をめぐりましては、最近クマの大量出没、イノシシ、シカによる農業被害等がクローズアップされておりまして、とりわけ今年はツキノワグマの大量出没がございまして、10月末現在で捕獲された数だけでも4,000頭を超えまして、5名が亡くなられ、130名ぐらいがけがをされるという大変深刻な事態が続いておりました。こういう事態を受けて、国会等でもかなり頻繁に議論が行われております。そういうことで、私どもも緊急対応マニュアルを作成するといった緊急対応もさせていただいておりますけれども、この背景には、今年がドングリの実りが悪い年であったといったようなほかに、人口減少や高齢化に伴います里地里山の管理が手薄になってきて、人とクマとの境界線がクマの側でだんだんわからなくなってきたのではないかというふうなことも言われておりますので、私どももいろいろな状況を見極めまして、農水省等関係省庁と連携を密にしまして、こういった問題にも取り組んでまいりたいと考えております。
 引き続き、この分野におきましてご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

【事務局(山崎)】 それでは、これにて閉会いたします。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。