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中央環境審議会野生生物部会
第6回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成1 8 年5月 31 日( 水 ) 13 : 00 ~ 14:09

2.場所

中央合同庁舎5号館5階  共用第7会議室

3.出席委員

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石井 信夫  石原  收  市田 則孝
亀若  誠  佐々木洋平  速水  亨
(環 境 省) 南川自然環境局長
黒田審議官
泉総務課長
名執野生生物課長
瀬戸鳥獣保護業務室長

4.議事

【事務局(山崎)】 それでは、予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催していただきたいと存じます。
  本日の出席者数でございますが、中央環境審議会議事運営規則により定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
  なお、磯部委員、大塚委員、岡島委員、三浦委員は、ご欠席とのご連絡をいただいております。また、石原委員はおくれてご出席とのご連絡をいただいております。
  まず、開会に先立ちまして、自然環境局長からごあいさつ申し上げます。

【南川自然環境局長】 また、多くの先生方、午前に引き続き、午後もよろしくお願いいたします。
  寒いときに、鳥獣保護、狩猟の適正化について講ずべき措置ということでご答申をいただいていたわけでございます。私どもこれに従いまして、法改正が必要な部分について法改正の案を出しました。
  正確に申しますと、これは参議院先議ということで、参議院から先に審議をいただきまして、それについては既に通過をしております。衆議院につきましても、昨日、最初の審議が行われまして、来週の火曜日に参考人質疑――参考人に対する質問とそれから質疑ということで、予定どおりいけば、来週の火曜日に委員会を通過し、あとは本会議となる見通しでございます。何とか早く通していただいて、私どもは必要な準備をしたいと思っているところでございます。
  きょうからのご審議をお願いいたしますのは、とりあえずは法改正の受けることは後で追加することといたしまして、それ以外のことで必要な部分を検討いただきたいということでございます。
  それから、中身はまた、後で担当から申し上げますけれども、法律に関しましてこれまで全部で8時間ほど、実は議論がございました。その中で、大きな話題になりましたことだけ幾つか申し上げますと、1つは、特定計画というものがどういうふうに働いているのかということについて、大変いろんな観点から質問が出ました。これはイノシシやシカといった、どちらかというと農業被害対策・林業被害対策を必要とするというものについての計画の有効性、また、逆に、ツキノワグマについて言うと、保護の観点からどうやって対処しているかということで、例えば、西中国山地の例を随分出されまして、質疑がございました。
  それから、広域の問題、これはカワウが多かったのですが、広域の協議会というのは本当にうまく働いているかどうかということが随分話題になりました。その場合、これから、広域の問題について協議会をつくっているけれども、よりそれをフォーマルな形で広域協議が行われるということにしなければ、後の必要な捕獲とかいうこともうまくできないのではないかとの指摘もございます。
  それから、もう一つ多いのはわなの問題でございまして、わなにつきましてもいろいろなご指摘を受けております。くくりわなそれからとらばさみについてはその危険性ということから、極端な方になりますと、すべてくくりわなとかとらばさみは禁止すべきだと、そういうご意見もございます。そして、多くの方が、構造基準を含めた見直しが必要だということでご指摘がございまして、参議院の方でもそういった趣旨の国会の附帯決議というものをいただいているところでございます。
  もちろん、わなにつきましては、農林被害対策等々で、その必要性はあるということで私どもご説明しましたし、構造の見直し等をするにしても、その必要な場面があるということについては、ある程度理解をいただいたつもりでございますけれども、片や、今回の法改正でお願いしております、都道府県知事によりますわなの設置区域の制限といったことについては、よりきちんと行うことによって、まず、人と人ないし人とともにあるような生物が間違ってかからないような、そういった場所の問題というのは、厳密に考えるべきだというようなことで、さまざまな、わなについての議題が出ております。
  それから、もう一つ大きかったのは、人材の問題でございまして、やはり地域におけるしっかりした人材をいかに確保していくかということが話題になっております。
  参考人として、参議院のときに島根県中山間地域研究センターの金森さんに来ていただいたのですけれども、ああいう方の話を聞くと、多くの議員の先生方も納得をされるんですけど、では、そういう方が本当にどれだけ日本にいるのかと。金森さんがどうというわけじゃなくて、要するに、そういった地域におけるリーダーがいれば、保護もできるし管理もできると。ただ、そういった人がいないと、きちんとした管理ができないのではないかということもございまして、地域における人材をどうやって確保していくのかということについて、随分議論が行われております。まだ終わっておりませんので、また次回、報告させていただきますけれども、国会の審議は進んでおりますので、次回以降、国会で国会審議の様子も含めながら、法改正事項を含めて、さらに深い検討をお願いしたいと思っております。
  本日はまだ検討の再開ということでございますものですから、ぜひ、また来年度以降の鳥獣保護事業計画等につきまして、忌憚のないご意見をお聞かせいただければと考えております。

【事務局(山崎)】 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
  配布資料の資料1でございますが、鳥獣保護管理小委員会の設置についてでございます。資料2といたしまして、鳥獣保護管理小委員会の運営方針についてでございます。資料3といたしまして、第10次鳥獣保護事業計画の基本指針に係る検討課題でございます。資料4といたしまして、第10次鳥獣保護事業計画の基本指針の項目(新現対照案)でございます。資料5といたしまして、検討体制及びスケジュールについて(案)でございます。加えまして、参考資料といたしまして、第9次鳥獣保護事業計画の基本指針でございます。
  もし、資料の不備がございましたら、事務局にお申し出ください。資料の方は、よろしいでしょうか。
  それでは、岩槻委員長、よろしくお願いいたします。

【岩槻委員長】 それでは、ただいまから野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催いたします。
  私、実は、今年の1月にこの委員会で答申をまとめたときに、この委員会はもう終わっているのかと思っていたら、終わったのではなくて休んでいただけなのだそうで、これからまた、大変な仕事を委員の先生方にはお願いすることになりますけれども、よろしくお願いします。
  きょうの午前中に野生生物部会が開かれまして、そこで第10次鳥獣保護事業計画の基本方針を引き続きこの小委員会で検討するようにということになりました。半年ぐらいの間にまとめるということで、後でまた、スケジュールをご相談させていただくことになりますが、ちょっと厳しいスケジュールになりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  それで、資料1が管理小委員会の設置についてということで、これは前に、17年9月27日に決まっていたものなのですけれども、2つ目の項目、要するにやる仕事の内容がちょっと修正されております。それから、資料2の方は運営方針ですけれども、これはこの前のとおりですので、もう一回これで再確認をしていただくということですけれども、そういう形で小委員会での審議を始めさせていただきます。
  それでは、本日の議事に入らせていただきますけれども、最初の議題は、第10次鳥獣保護事業計画の基本指針の項目等についてということで、事務局の方からご説明をお願いします。

【事務局(中澤)】 それでは、座ったままで説明をさせていただきます。鳥獣保護業務室の中澤でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
  お手元に配布してございます資料3と4にも続きましてご説明をさせていただきたいと思います。
  まず、資料3でございます。午前中、野生生物部会の方にもご出席いただいた方にはごらんになっていただいていると思いますが、第10次鳥獣保護事業計画の基本指針に係る検討課題でございます。これは、本年2月にいただきました中環審答申、また、その前に検討を続けていました野生鳥獣保護管理検討会の報告書、そういったものを踏まえまして、新しい基本指針を策定する上での検討課題として主なものを整理したものでございます。
  先ほど局長の方からもお話ございましたが、この資料の中で、斜字体、アンダーラインの部分は、現在、国会の方に提出しております、ご審議をしていただいている中身でございます。これはまた、そういったことでご留意いただければと思います。
  まず、資料3の検討課題でございますが、大きく3つの章で構成しているということで、まず、鳥獣保護事業の充実と強化、それから、3ページにございますが特定鳥獣保護管理の計画の推進、最後に、鳥獣保護管理に関する専門的な人材の確保と。これも、先ほど局長からのあいさつの中でもございましたが、特定計画のより一層の効果的な推進ということが指摘されております。それから、人材の育成、さらに現場に出られて、適切な鳥獣保護管理に関する知見を持つ方々に協力いただけるような形にするか、そういった構成で課題を整理させていただいているところでございます。
  この資料3の中身につきましては次の資料4の中に織り込んでございますので、小委員会の方では資料4に基づきましてご説明をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  資料4の第10次鳥獣保護事業計画の基本指針の項目でございます。新現対照案として整理したものでございます。
  左側の方に、今度新しい基本指針の構成として、私どもで考えているもの、それから、右の方にございますのが現行の基本指針のものでございます。こういった対比をしながらご検討をいただければと思います。
  この新の方の現行の、今、私どもで今考えております指針に沿いましてご説明をさせていただきたいと思います。
  まず、Iといたしまして、鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項でございます。
  これにつきましては、まず、第一といたしまして、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する基本的な考え方といたしまして、基本的な考え方ですとか現状を踏まえた現基本指針の記述を修正しながら、今後、平成19年4月以降に鳥獣保護事業計画を立てるに際しての基本的な考え方として整理をしたものを記述していきたいと考えております。
  それから、第二、鳥獣を巡る現状と課題でございます。大きく1、2、3と分かれておりまして、鳥獣の生息状況等に関する現状。ここでは、例えば、全国的に生息分布が拡大している中・大型哺乳類の状況、一方では、孤立した地域個体群が存在しているような状況、また、鳥類ですとか中・大型哺乳類の分布の拡大に関する、これまでの小委員会の中でご説明していただいた現状の中身について整理して、ここに記述したいと考えております。それから、2番目でございますが、これは鳥獣による被害の動向。これは、鳥獣を原因とする農林水産業ですとか自然生態系、そういったものへの被害の動向について、ここに記述をする。3番目といたしましては、狩猟者に関する現状ということで、現状減少傾向が続いている中で、免許の種別で見ると網わな免許の取得者が増加している現状についてご説明するような形になると考えております。いずれにいたしましても、こういった現状については、また整理をいたしましてご提示させていただきたいと思います。
  それから、第三でございます。きめ細かな鳥獣保護事業の実施でございますが、1といたしまして、鳥獣の区分ごとの取扱いでございます。鳥獣をその希少性ですとか由来、広域的な移動性等に応じまして適切な保護管理を進める。このために、区分に関する考え方ですとか区分ごとの保護管理の方向性について示す。都道府県において生息状況等に応じた区分及び保護管理を行うといった方向を考えております。
  また、鳥獣の生息状況等に応じた狩猟鳥獣の定期的な見直しとその考え方を整理するということでございます。
  鳥獣区分の例として、ここに書いてございます。一般鳥獣、希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、広域移動鳥獣、要保護管理鳥獣につきましては、野生鳥獣保護管理検討会の中で提言されたものを踏まえて、記述しているものでございます。
  さらに、2番目でございます。地形ですとか気候等が異なる特定の地域についての取扱いということでございます。これは、島嶼部等、地形ですとか気候等の自然環境及びその鳥獣の生息状況等が他の地域と著しく異なる地域について、地域の区分の考え方ですとか区分ごとの保護管理の方向性を示すということで考えております。
  さらに、3番目、調査関係でございますが、鳥獣の科学的・計画的保護管理を推進するために必要な調査・情報収集について考え方を整理するということで考えております。
  それから、第4でございますが、関係主体の役割の明確化と連携です。ここにつきましては、主に調査に関する記述の充実ですとか職員の専門性の確保といったものが主な課題になるのではないかと思っております。
  1枚めくっていただきまして、2ページ目でございますが、国ですとか地方公共団体の役割、それから、特に地域の実情に精通しておって鳥獣の捕獲許可の権限を都道府県から委譲されており、市町村の鳥獣保護管理における役割が増大しているという状況にある中で、鳥獣保護管理における市町村の役割それから職員の専門性の確保について示していく。また、事業者、市民・民間団体等の役割についても可能な範囲で示していく。都道府県内の鳥獣担当部局ですとか農林水産業に係る部局等の連携、さらに、隣接都道府県との連携も図るなど、様々な主体の参画ですとか連携の推進についてここで示していくということで考えております。
  それから、第五でございますが、国の役割と方向性ということでございます。
  国際的、全国的観点から国全体としての鳥獣の保護管理の方向性について示す。今後5年間、この第10次の鳥獣保護事業計画の期間中の国指定鳥獣保護区の管理ですとか鳥獣保護管理に関する全国的な調査、国際的な取組の推進、さらに、広域的な観点から保護管理が必要な特定の鳥獣について、地域の自主性に配慮しつつ、必要に応じて広域保護管理指針を示すことを通じまして、保護管理に係る都道府県間の連携を支援していくことの考え方について整理をしていきたいと考えております。
  また、鳥獣の保護管理等を行う専門的知識・技術を有する人材であることを証明できる仕組み、人材の育成・確保、それから行政機関における配置の考え方について、その考え方を整理するということで考えております。
  第六でございますが、特定計画の推進でございます。
  特定計画の方向性でございますけれども、まず、その1番目といたしまして、広域的な鳥獣保護管理の考え方でございます。隣接都道府県の範囲を越えるような広域に移動する鳥獣の適切な保護管理のためには、関係主体が広域的に連携して特定計画の推進を図るといった、広域的な鳥獣保護管理の推進に係る基本的な考え方について示していく必要があると。
  2番目といたしまして、広域鳥獣保護管理指針でございます。これは都道府県等における効果的な鳥獣の保護管理を支援するため、国において広域的に保護管理すべき個体群について、保護管理の方向性を「広域鳥獣保護管理指針」として示すこと、また、指針の構成や内容についての考え方を整理していくといったことを考えております。
  3番目につきましては、地域における取組の充実でございますが、市町村等でのその地域ごとの保護管理の目標の具体化・明確化、それから特定計画の地域やその年次に応じた下位計画の策定に関する考え方を整理する。
  それから、地域的な共通認識のもと、生ゴミや未収穫作物の除去、それから、耕作放棄地の適切な管理、安易な餌付けを行わないといったことによりまして、鳥獣の誘引要因を除く等、人と鳥獣のあつれきを未然に防止して、鳥獣の被害を受けにくい地域づくりに取り組むことについて考え方を整理していくということでございます。
  4番目、5番目は、現在、国会の方でご審議いただいています私どもで提出してございます鳥獣法の改正案を踏まえて、入猟者の承認制度ですとか休猟区における特定鳥獣の狩猟、こういったものを活用して特定計画をさらにより効果的なものにしていくということについて、考え方を示していくことが考えられるのではないかと思っております。
  第七でございますが、鳥獣保護管理の充実でございます。
  これにつきましては、まず鳥獣保護区の適切な管理ということで、国指定鳥獣保護区については、国際的・全国的な観点から、計画的な指定ですとか、鳥獣保護管理のモデルとなるような、保護に関する指針の充実、それから鳥獣保護区や保護対象鳥獣の特性に応じた管理計画の策定等、適切な管理の推進について示すということ。
  さらに、環境教育等の推進ということで、自然とのふれあいを通じた環境教育の場としての活用について示していこうと。
  3番目、これにつきましても、先ほどのとおり、今提出している法案を踏まえた鳥獣保護区における保全事業の推進について書いていくことが考えられるのではないかと思っているところでございます。
  第八でございますが、傷病鳥獣の取扱ということで、野生復帰のための考え方など基本的な考え方の整理ですとか、採取データ項目の基準とその活用に関する考え方の整理について示す。
  第九として、鳥獣への安易な餌付けの防止。鳥獣への安易な餌付けの防止についての普及啓発等に関する積極的な取組について示すということ。
  それから、第十でございますが、狩猟の適正化ということで、狩猟免許とわな免許の創設。これも今提出している法案を踏まえての将来的な課題として考えているところでございます。2番目が狩猟者の資質向上のための免許試験及び講習の充実で、狩猟免許更新時の講習ですとか狩猟免許試験の内容について、鳥獣保護管理に関する知識・技術を充実し、狩猟者の資質を高めることについての考え方を整理するということでございます。
  第十でございますが、ここでは人獣共通感染症への対応ということで、鳥獣に関する専門的な知見に基づく適切な理解の促進等を図ることについて示しているということで考えているところでございます。
  それから、2番目、大項目のIIでございますが、これは、鳥獣保護事業計画の作成に関する事項でございます。実際の都道府県が鳥獣保護事業計画を策定する際にこういう中身で書いていただきたいということで、こちらの方で示す中身でございます。
  第一のところでございますが、鳥獣保護事業計画の計画期間でございますけども、この第10次の鳥獣保護事業計画は、この平成19年4月1日から平成24年3月31日までの5年間。ただし、これは、これまで都道府県とのいろいろと調整の中で検討期間が短い中で、特定計画の検討もある中で、鳥獣保護事業計画を検討していくのは、期間的にも内容的にも非常に厳しいものがあるのではないかと、そういったようなご指摘がございました。都道府県ともいろいろとお話をさせていただいた中で、平成19年4月1日から20年3月31日までの間に限り、第9次鳥獣保護事業計画を延長することができると。その間に、十分いろいろな方とも連絡調整、また協議を重ねてよりよい鳥獣保護事業計画をつくっていただくことも考えられるのではないかというふうに思っております。
  それから第二の項目ですが、鳥獣保護区、特別保護地区及び休猟区に関する事項ということでございます。ここから下につきましては、基本的には現行の基本指針に加えて、新たに記述していく必要があるのではないかといったことにつきまして中心に書いてございます。
  まず、鳥獣保護区指定の目的と意義につきましては、環境教育の推進ということが考えられるのではないか。それから、鳥獣保護区の指定方針、これにつきましては、鳥獣による農作物被害等を踏まえた指定に関する考え方。それから、[3]として鳥獣保護の指定区分及び指定基準につきましては、特別保護指定区域の規制のあり方。それから、[4][5][6]特別保護地区の指定、休猟区の指定、鳥獣保護区の整備等、それから、そこには野鳥の森の整備といったものも考えられるのではないか。
  さらに、第三でございますが、鳥獣の人工増殖及び放鳥獣に関する事項ということで、鳥獣の人工増殖ですとか放鳥獣等。これにつきましては、放鳥獣のところでは、対象鳥獣ですとか体制、さらに、現在、いろいろと問題になっております感染症への対応ということも考えていく必要があるのではないかということで書いてございます。
  第四でございますが、鳥獣の捕獲等及び鳥獣の卵の採取等の許可に関する事項でございます。
  ここでは、鳥獣の捕獲等又は鳥獣の卵の採取等に係る許可基準の設定ということで、目的を偽った捕獲が行われないような捕獲許可申請の適格な審査、それから、捕獲個体の処置の適正化等の基本的な考え方を示す。さらに、許可権限の市町村への委譲の際の注意事項ですとか猟具に関する条件等についても書いていくことがあると。
  それから、[2]として、有害鳥獣捕獲を目的とする場合の基本的な考え方、特定計画が策定する地域での個体数管理目標数との整合ですとか捕獲許可基準といったもの。それから、学術研究を目的とする場合、特定鳥獣保護管理計画に基づく数の調整を目的とする――個体数調整のことでございますが、そういったこと。その他特別の事由の場合と。それぞれの捕獲許可の基準に関することについて、記述していくことが考えられます。
  第五でございますが、これはもともと、銃猟禁止区域・銃猟制限区域について記述しているところでございますけども、ここに書いてございますとおり、提案させていただいている法案の中では、特定猟具使用禁止区域ですとか特定猟具制限区域といったもので提案させていただいておりますので、その中身で記述しているところでございます。それぞれについてのその指定に関する考え方等については、ここでは触れていくことになるのではないかと考えております。
  その次が、第六でございますけれども、特定鳥獣保護管理計画の作成に関する事項でございまして、ここでは計画策定の目的、対象鳥獣、期間、それから地域、保護管理の目標、ここでは錯誤捕獲の取扱に関する考え方といったこと。さらに、保護管理事業ですとか広域計画の記載項目それから様式、広域的及び地域的な鳥獣保護管理。さらに、関係する都道府県との連携の話。それから、ここでは広域的な鳥獣保護管理に関する指針との整合ですとか、特定計画を効果的に実施するための地域別・年次別の下位計画の策定について書いていく必要がある。また、計画策定手続き及び実行手続きですとか計画の見直し改訂、それから計画の実行体制の整備といったことを書いていくことが考えられると思っております。
  第七でございますが、ここでは鳥獣の生息の状況の調査に関する事項でございます。
  まず、鳥獣保護対策調査ということで、傷病鳥獣から得るデータの活用、それから鳥獣保護区等の指定・管理等の調査。狩猟関係調査として捕獲報告の取扱。狩猟者の報告のうち、保護管理に役立つものをどういったものをどういった形で活用していくかといったことが考えられるのではないかと思っています。
  4番目としては、生活環境、農林水産業または生態系に係る被害を及ぼす鳥獣に係る調査ということで掲げてございます。
  第八が普及啓発に関する事項でございます。ここでは、鳥獣保護についての普及等、それから、ここでの中で環境教育の推進ですとか法令の理解の推進といった中身。それから、安易な餌付けの防止ですとか愛鳥モデル校の指定といったものが入るのではないかと思っております。
  それから、第九、鳥獣保護事業の実施体制に関する事項でございます。
  ここは、いろいろと新しく書いている事項が多いのでございますけれども、鳥獣行政担当職員の専門性の確保、これは市町村職員に関する記述を含むといったこと。それから、2番目としては必要な財源の確保ということで、鳥獣保護事業についての国民の理解の醸成、狩猟での適切な使用について記述する。3番目が、関係機関等の連携ということで、隣接する都道府県との連携、関係部局等の連携、地域社会との連携。ここでは、これは審議会または保護検討会の中でいろいろと指摘されておりましたが、地域との理解を促進していただくということで放獣場所を確保していくような、これは学習放獣の場合ですけども、そういったことについても書いていく必要がある。それから、4番目としては、鳥獣保護員のことでございますが、鳥獣保護管理に必要な専門的知識を持つ人材の確保及び研修による育成、さらに、市町村合併による市町村数の減少に対応した配置の考え方。現行、1市町村当たり1人ということを総数としておるわけですけれども、それはまた状況が変わってきているということを踏まえてもいると。また、さらに、より専門的な、また、より積極的に関与していただくような方を募集する・採用するということから、公募制の活用等、採用の考え方についても記述していく必要があるのではないかということ。[5]保護管理の担い手の育成でございますが、ここはその専門的知見を持つ者の活用についてどうやって図っていくかといったことについて書くということでございます。それから、6番目が鳥獣保護センター等の設置。それから、[7]でございますが、取締りということで、違法なわなの撤去の推進といったことについて書いていく必要があるというふうに思っております。
  それから、第十でございますが、その他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項でございます。
  ここでは、鳥獣の区分と区分ごとの取扱の方向性。それから、地形や気候等が異なる特定の地域についての取扱い。さらに、狩猟の適正管理ということで、わなの取扱の適正化ですとか、狩猟禁止区域につきましては、水辺域における鉛製散弾の全面的な規制に向けたその規制地域の設定を一層進めることについて。
  それから、傷病鳥獣への対応、これは野生復帰のための考え方などその基本的な考え方を整理していくといったこと。
  さらに、人獣共通感染症への対応ということで、発生時の対応の考え方ですとか、狩猟者それから国民への情報提供について記述していくことが考えられると思っております。
  大きな項目のIII、その他鳥獣保護事業を実施するための必要な事項でございますが、ここにおきましては、第一として、鳥獣保護管理に専門的な知見を有する人材の育成等についてということで、専門的な知見を有する人材を育成する仕組み等の考え方について記述すると。これは、先般いただきました答申の中では、人材登録制度といったものが指摘されています。これを踏まえたことが考えられるのではないかと思っております。
  第二が、輸入鳥の適正化。これは国会に提出させていただいておる輸入鳥獣の識別措置についてが考えられるのではないかと思っております。
  第三が、鳥獣捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可基準ということで、これは都道府県に示すものとはまた別途、国の許可に関する基準を位置づけていくと。これは基本的には都道府県での取扱との整合を図るような形。これは現行の基本指針でも記述しているところでございますけれども、そういったことについて三の項目で書いていくということを考えております。
  以上、資料4についてご説明させていただきました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
  今のご説明にもありますように、これから検討していきます内容というのは非常に多岐にわたっておりますし、それを比較的短期間の間に検討しないといけないのですけれども、それを検討するやり方として、動きやすいように小委員会をつくっていただいているのですけども、小委員会でというよりは、もう少しきめ細かい議論ができるようにというので、進め方についての提案を準備させていただいているのですが、資料5に基づいて、中澤さんからまた、よろしくお願いします。

【事務局(中澤)】 引き続きまして、資料5、検討体制及びスケジュールについてご説明させていただきたいと思います。
  今、岩槻委員長の方からご指摘がございましたとおり、鳥獣保護事業計画というのは非常に多岐にわたる内容、また、内容によっては専門的に中身を深めた検討が必要になってくるものもございます。そういったことを踏まえまして、この小委員会の方々、また外部の有識者等を含めてワーキンググループといった形で議論をさらに深めていただくことが考えられるのではないかということでございます。
  まず、ワーキンググループの構成と検討内容でございますけども、大きく、このワーキンググループは、鳥獣保護事業、特定計画、人材育成と、この3つに分かれて構成にしていくのはいかがかということで書いてございます。これは、先ほどの基本指針の検討課題が大きく3つに分けて考えているということで、これまで検討会の報告書ですとか、先般までの小委員会で答申いただいた中身、こういったものを考えると、やはりこの3つについて非常にそれぞれの分野に関するご専門の方々のご意見をいただくということが必要ではないかということで、この3つの構成ということを考えさせていただきました。
  まず、鳥獣保護事業ワーキンググループでございますけれども、座長は三浦先生、それから、構成として石原委員、市田委員、佐々木委員にお願いすることが考えられるのではないかということでございます。
  検討内容でございますが、鳥獣保護事業における国の役割など、関係主体の役割の明確化と連携の方向性ですとか鳥獣の区分及び区分ごとの取扱の方向性、それから、捕獲個体の取扱及び鳥獣の流通の適正化、さらに、わな等の猟具の取扱の適正化等といったことが考えられるのではないか。
  それから、特定計画のワーキンググループでございますが、座長は石井委員、それから構成といたしましては、亀若委員、速水委員、三浦委員ということでございます。検討内容といたしましては、広域的な鳥獣保護管理の推進、それから、鳥獣保護管理における地域的な取組の充実強化、さらに、順応的な鳥獣保護管理の推進、また、適切な捕獲の推進といったものについて検討をいただくということが考えられるのではないかと思っております。
  それから、3番目の人材育成のワーキンググループでございますが、座長には岡島委員、それから亀若委員、佐々木委員、三浦慎悟委員にご参加いただければというふうに考えております。
  検討内容でございますけれども、まず、特定計画の策定ですとか実施、鳥獣保護管理に資する人材の確保。それから、鳥獣保護員の機能の充実・強化、さらには、狩猟・捕獲従事者の確保と育成等といったことで考えております。
  先ほども申しましたが、各ワーキンググループにおきましては、外部の有識者それから地方自治体、これは都道府県または及び市町村でございます。それから、自然保護団体の方々からも参画を得ることが考えられるのではないかというふうに思っております。
  そのワーキンググループの運営方針でございますが、裏にございます。
  会議の公開。これは会議の公開・非公開でございますけども、これは、まず、ワーキンググループ会議は原則として公開する。ただし、次に掲げるいずれかの場合につきましては、座長は会議を非公開とすることができる、公開することで公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるとき、特定な者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある、特定の野生動植物の保護に著しい支障を及ぼすおそれがある。こういった場合については非公開とすることができると。
  それから、イといたしまして、公開する場合の必要な制限ということで、座長は、会議の公開に当たり、会議の円滑かつ静穏な進行を確保する観点から、入室人数の制限その他必要な制限を課すことができると。
  さらに、2番目ですが、出席者として、代理出席は認めない。欠席した委員については、事務局からの資料送付等により会議の状況を伝える。また、その専門的な知見からの意見を求めるため、座長の指示により必要に応じて学識経験者等を会議に招聘することができるといったことを考えております。
  さらに、(3)で資料及び議事要旨の公開でございますが、事務局は会議の議事要旨を作成して、資料とともに公開するということ。さらに、資料及び議事要旨の公開につきましては、環境省ホームページへの掲載及び環境省閲覧窓口への備えつけにより行うということ。3番目といたしまして、議事要旨はワーキンググループに所属する委員に配付する。非公開とした会議であっても、座長が必要と認めたときにつきましては、資料及び議事要旨を公開するということで掲げております。
  最後のところにございますのが、基本指針の検討スケジュール(案)というところでございます。
  まず、小委員会と各ワーキンググループを記述してございますけども、本日5月31日に第1回の小委員会を開催させていただいている。ここでは検討の進め方ですとか基本指針における課題の整理といったことについてご議論をいただく。その後、各ワーキンググループに分かれて、それぞれの論点について、ご審議いただくということで考えております。
  そういったことを踏まえまして、8月中になると思うのですけども、第2回小委員会を開催する。ここでは、各ワーキンググループの検討状況の報告を受け、それから、それを踏まえて基本指針の構成の検討を行うことが考えられると。それから、9月の中旬頃でございますが、ここで第3回小委員会です。その前に、またそのワーキンググループでいろいろとご検討をいただいて、それを第3回の小委員会にまたフィードバックしていただく。ここで基本指針の素案の検討を行うということでございます。
  それから、10月の上旬に、さらに、第3回の小委員会で受けた検討をさらに深めて第4回の小委員会を開催いたしまして、ここで基本指針案の検討を行う。ここで、パブリックコメントの実施を行います。これは恐らく一月、もしくは、パブリックコメントの募集はその一月がございますので、その前後ということで考えますと、一月半以上の期間を置きまして12月上旬に第5回の小委員会を開催して、報告書をとりまとめて、野生生物部会への報告、それから答申、基本指針の告示の作業を進めるといったことが全体的なスケジュールになるのではないかと考えております。
  以上、資料5について説明させていただきました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
  以上のようなことで、本日はこれから基本指針の項目についてご意見を承ることと、それから、検討体制スケジュールについてこのような案を考えておりますので、このことについてのご意見を伺うということで、どちらからでもよろしいです、ご意見承れればというふうに考えております。
  どなたからでも、ご発言ございませんでしょうか。
  先ほどのご説明で、こういうことが抜けているとかいうようなことを、もしお気づきのことがありましたら、そういうことからでも結構ですし。どうぞ、亀若委員。

【亀若委員】 資料3が、結局このワーキンググループの3つのワーキンググループに大体分かれるというふうに、これ、理解をさせてもらっていいのですよね。
  そこで、ちょっと奇異に感じたのは、この資料3の3ページの特定鳥獣保護管理計画の推進の中の(3)、「順応的な鳥獣保護管理の推進」という言葉が使われていまして、私、前の小委員会の報告をちょっと眺めているんですが、そこは科学的・計画的な保護管理の推進という項目になっていまして、それで、そのときの報告の中は、たしか適切な技術開発・調査、それから人材の育成・活用、それからモニタリング及びフィードバックという項目が入っておったのですが、これで順応的なという、非常にこう、いわゆる役所的には弾力的なというふうにおっしゃるのかなと思ったらそうでもないし、それから、前の報告書とも違うタイトルがついている。それから、もうちょっと少し中身について言えば、技術開発のところがどこにあるのかなという、そういう感じをちょっと受けたので、ご説明をいただければと思いますが。

【岩槻委員長】 はい。
  中澤さん、よろしく。

【事務局(中澤)】 ご指摘いただきました資料3の2番、特定鳥獣保護管理計画の推進の(3)順応的な鳥獣保護管理の推進というところでございます。これは順応的な鳥獣保護管理というのは、モニタリングとそれに基づくフィードバック、特定計画のフィードバックをきちんとやっていくということを、順応的管理と言っております。これは、片仮名では、アダプティブマネジメントという言い方をするのですけども、やはり鳥獣、自然界を相手にするもので、なかなか厳密なデータというのが考えられない中で計画を進めていく必要がある。自然界の中の不確実性の中で、モニタリングをしながら、フィードバックをしていく。そういったことを順応的な管理というふうに言っているので、それを踏まえて、ここで順応的な鳥獣保護管理というふうに出されております。
  それから、技術開発のところでございますけども、これにつきましても、モニタリング等の技術での開発が入ってございます。適切なモニタリングの実施の中に入れ込んで検討していくということが、また記述してこの指針の方に位置づけることが考えられると思っています。

【岩槻委員長】 どうぞ。

【亀若委員】 モニタリングのところはわかるのですけども、前の報告の中にもそのモニタリングの手法だとかいろんなこととともに、被害対策なんかについての技術開発というのが入っておったのですよ。そういう目で見ると、ちょっとそこら辺の割り振りといいますかね。この3つを項目に割っている中で、今度はどこに、その研究開発的なところがどこに入っているのかなという。
  というのは、この特定計画なんかをやっていって、特に都道府県なんかが関与してまいりますと、やはり研究開発の部分である程度そちらの方への出口を考えながら、そしてまた、専門的な指導者育成のときにも研究開発の出口のところといいますか、そこでの技術が普及になりあるいはそういう専門の人に伝授されて云々という、そういう流れになってくると思いますので、むしろそういう面で、県なんかもこういったところにお金をつけるという立場に立てば、そういう領域といいますか、場所をむしろ置いておいた方がいいのかなという、そういう感じをちょっと受けるものですから、それで、先ほどの小委員会報告と大分そこのタイトルも違っているし、中身もそういう面では、実はあの中にはモニタリング及びフィードバックという、ア、イ、ウとなっていて、それはまさに順応的なという、今ご説明いただいたことに対応するのですけどね。適切な技術開発、調査というのはどこかに行っちゃったかなという感じを受けたものですから。

【事務局(中澤)】 
  適切な技術開発それから調査につきましては、調査ですと、これは資料4の方になるのですけども、資料4の1ページ目の第三、きめ細かな鳥獣保護事業の実施のところで、3のところで調査関係について書いてございます。ただ、これについては、私どもで実施している鳥獣関係のさまざまな調査の項目の5年間の方向性みたいなものを記述していくことが考えられるのではないかと思っておるのですが、新たな技術開発の方向性みたいなものについては、特定計画を推進するという立場でこの第2グループ、特定計画のワーキンググループの中でも検討していただくことが考えられるのではないかと思います。
  亀若委員からご指摘いただいた中身については、第2ワーキンググループの中で議論を深めていただくことが考えられるのではないかと思います。

【亀若委員】 今の段階では明示はされていないということですか。わかりました。

【岩槻委員長】 ほかはいかがでしょうか。
  市田委員、どうぞ。

【市田委員】 質問ですけども、資料4に、第1、第2、第3とあって、第3にそのきめ細かな実施というのがあって、いろいろ考え方が示されて、そして、その3ページの大きなIIから具体的な項目となるわけですけれども、これはそのIのところは基本的な考え方みたいな説明で、2番目からは具体的な計画の立て方ということですか。もし、そうだとしますと、ここに書いてあるように、例えば、私、前のときも申し上げたと思うのですけれども、国を越えて渡る鳥たちの保全とか保護とかと考えたときには、国としてどうするかということが非常に重要だと思うのですけれども、そこの部分がこのIIの中には、これは県がやることですから入ってこないわけですね。そうすると、それはその、国の部分というのは、どこに具体化のものが出てくるのですか。

【事務局(中澤)】 これは第五のところにございます。国の役割と方向性の中で、そこに書いてある、横の括弧のところに、鳥獣保護区の指定、それから調査、国際的取組、人材育成と書いてございまして、国際的なこの取組みについては、国の役割としてこの中に入っていくということで考えてございます。

【市田委員】 ですから、Iは考え方ですよね。Iが考え方とか基本方針、方向性を書いて、IIは具体的なスケジュールとかの中身になりますでしょう。そうすると、国のそのIIというのは都道府県を対象につくるのでしょうから、この中には国の活動みたいなものは入ってこないわけですよね。

【事務局(中澤)】 はい。

【市田委員】 そうすると、Iで示した国の役割とか方向性を具体化する部分というのはどこで担保されるんですか。それはもう、国の判断で自由にやるという考え方ですか。

【事務局(中澤)】 この検討会の中でも、また、この審議会の中でも、国の鳥獣保護事業計画が必要ではなかろうかというご意見がございました。国として何をやっていくかということにつきまして、この第五の国の役割と方向性の中に記述していくということになるのではないかと考えてございます。

【市田委員】 言っている意味よくがわかりません。

【岩槻委員長】 いや、ですから、基本的な考え方自体について議論を深めていただくことによって、多分指針が出てくるという、そういうことなんじゃないでしょうか。ですから、具体的にどういうふうに連携しようとか、どういうふうに参画しようということは、ここには提示されていないけども、Iの第五のところで議論をしていくことによって必然的に見えてくるものが出てくるんじゃないかと。それは私の解釈ですけど。
  鳥居さんから。

【事務局(鳥居)】 どこまで何が書けるかというのは、これから議論になるかと思うのですけれども、そのIのところは、先ほど申しましたように、国のパターン、国の方針も含めた大きな方針ということで、この中で幾つか、従前から言っている渡り鳥につきましても、もちろん盛り込ませていただきたいと思っておりますけれども、そこでどこまで具体的なことまで書けるかどうかというのは、やはりどうしてもここは総論的なことになってくるかと思うのですよね。その場合、じゃあ、今個々のいろんな具体的な対策についての枠組みといいますか、検討しているのがありますね。例えば、渡り鳥のネットワークについての検討とか、そういうことについてはそこでさらに議論を深めていくということになります。また、まだ全然受け皿がない部分というところもあるかと思うのですけども、そういうものについては、今回ここで総論的なものが整備されれば、必要があれば、また、さらに、それを細かく議論するような枠組みというものも研究していかなきゃいけないのかなということで、あくまでここは大まかな、国についてはこういうふうな考え方と、それから、取組の方向性というものについて記述をしていきたいなと思っています。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ。

【市田委員】 おっしゃっていることは、委員長のご説明を含めてよくわかったのですけれども、ただ、やっぱり、そろそろ、国のおやりになっていることも、具体的な目標とかターゲットを定めてやっていい時期じゃないかと思うのですね。
  だから、今の、例えば生物多様性保全の国家戦略なんかについても、日本のものはそれはそれなりによくできていると思いますけれども、やっぱり書いてあることは非常に抽象的ですね。例えば、イギリスの国家戦略なんかを見ると、何をいつまでにどうするというのは全部出てくるわけです。そこまで書くのは、日本の場合はなかなか難しいかもしれないのですけれども、ただ、方向性としてはだんだんそっちに行ってほしいなと思いますし、この下の方のIIで、県の方はもう実にそういう目標をはっきり定めて動こうとしているわけですから、そういう中で、国は議論の中でだんだんいろいろやっていくということだけだと、それでいいのかなという気もするのですけど。
  以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【石井委員】 これからワーキンググループに分かれていろいろ具体的な議論をしていくのですけども、資料3にいろいろ検討課題が書いてありますよね。それで、これから制度も変わっていくということになっているわけですけども、この課題が出てきた背景というのですかね、課題だけ見ると割と抽象的に書いてあって、そもそも具体的に現状でどういう問題があるから検討しなきゃいけないということと、あとは制度が変わったから、それに伴って必然的に考えなきゃいけない課題と2つあると思うのですけど、その現状のレビューというところから浮かび上がってくる問題点を、もう少し何か細かく整理したような資料をつくっていただけないかなと。それはお願いです。それがないと、課題と書いてあるけど、一体具体的にどこを詰めていったらいいのかというところがいま一つわかりにくいので、そういう作業を。報告書なんかを見るといろいろ書いてあると思うのですが、そういうところをピックアップして何か見やすくしたものを、余り今問題がこんなにあるというのは書きにくいこともあるかもしれない。まあ、そうでもないと思うのですが、そういう作業をお願いしたいというふうに思います。それはこれから作業する者の1人としての希望ですけども。

【岩槻委員長】 どうぞ、鳥居さん。

【事務局(鳥居)】 これから、きょうご承認いただいているこのワーキンググループの準備に入ることになるのですけども、今までの小委員会、これまで5回やってまいりました中で資料として提出させていただいたり、現場も見に行ったりというのもありますけども、ワーキング、限られた時間の中で問題点をさらに深めて検討するということもあって、もう一つポイントを絞った課題で、さらにちょっと深めた分析といいますか、そういうことに関する資料をできるだけ用意するようにさせていただければと思います。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。
  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、市田委員。

【市田委員】 細かい質問で申しわけないですけど、「安易な餌付け」というのがありました。餌付けがいろいろ問題なのはわかるんですけど、安易な餌付けというのはどのぐらいのことを考えているのですか。どの辺が安易なのかなと。

【事務局(鳥居)】 これは非常に難しい問題だと思います。例えば、希少な動物ですね、タンチョウとかシマフクロウとか。ということで給餌というのをやっていまして、保護動植事業の一環として、これはもうやっているというふうに思います。そういうものから、ちょっと公園等でハトとかにえさをあげる、あるいは観光地に行って、ちょっと、たまたま出てきたキツネにえさをあげたりとか。そういうような、いろんなえさを与えるという形態1つとってみても、いろんな動機とかその対象となる動物とかというので状況も違いますし、もちろんそれが及ぼすその対象となる動物あるいは生態系に及ぼす影響も、これは異なっています。それを一言で安易な餌付けというのを、じゃあ、どこでラインを引くのかというのは、これだけでもすごく議論になる話だと思うんですけれども。ただ、今この動物にえさをやるということについて、どういう弊害があるのかというのをまず明らかにした上で、じゃあ、少なくともここまではやめてくださいという部分については、それをここまでやるというのがどこなのかというのを議論した上で、さらに、それをやめてくださいというふうにはどういうふうに呼びかけていったらいいのか、どういうふうにしたら一般の人の理解を得られやすいのかということも含めて、ワーキングの中で議論をしていく上で、基本指針にどこまでそういうのを書けるのかということ、あるいは基本指針の中に書けなくても普及啓発をどういうふうにしてやっていくのかとか、そういうことを吟味していければと思っておりますけれども。

【岩槻委員長】 きょうは、具体的な話ではなくて、全体のスケジュールとか全体の考え方みたいなところですから、データがなければあんまり議論にもならないのかもしれませんけれども。ほかに、何かきょうの時点で考えておいた方がいいというようなことでお気づきのことはないでしょうか。
  もし、特にそういうご発言がないようでしたら、資料もにらめっこしていてもしょうがないと思いますし、具体的にワーキンググループで活発に意見を闘わせていただくということで、きょうは終わりにしてもよろしいのではないかと思いますけれども。

【石井委員】 細かいことなのですけれども。

【岩槻委員長】 はい。ご異議があれば、どうぞ。

【石井委員】 いえ、異議ではなくて、ワーキンググループの開催回数が一、二回と書いてありますけども、これはグループによって回数が違うという意味なのか、それとも、平均して3回だけどもこの期間に1回、2回やるかと、そういう意味なのか。もう少し具体的なプランがあれば教えてください。

【事務局(鳥居)】 資料5の方に、それぞれのワーキンググループでどういうことを検討するかについては記させていただいております。大まか、目安として、各ワーキンググループ、3回ぐらいは必要だろうというふうに思っておりますけれども、検討を進める中で、さらにこの点についてはもっと深めるべきだというようなことであれば回を重ねる必要もあると思いますし、ワーキングですので、できるだけフレキシブルにといいますかやっていけばいいと思います。場合によっては、半日ではなくて、1日1回だけでも時間を長くとってやるというようなやり方もあるでしょうし、そこはもうフレキシブルに検討をやっていっていただくというものがいいのかなというふうに思っております。

【岩槻委員長】 ほかにも、そういうご質問があれば。

【佐々木委員】 1つだけ。ワーキンググループ、小委員会でもいいんですが、できるだけ資料を、その場でなくて、前もって資料を提出して、その時間があれば我々も勉強しますので、ひとつお願いしたいと。要望です。

【事務局(鳥居)】 はい、承知いたしました。

【岩槻委員長】 はい。
  市田委員、どうぞ。

【市田委員】 一言だけ。そうしたら、資料4の1ページ目ですけど、第2に鳥獣を巡る現状と課題と先ほど石井委員からお話があった部分ですけれども、これは鳥や獣がある部分でふえたりして、被害が深刻化してどうしようとか、それを撃つ人も少なくなって困ったという現状をものすごくはっきり出したような気がするのですね。だけど、鳥獣を巡る現状と課題というのはもう少し違うものが多分たくさんあって、例えば、けさの議論にもありましたけれども、もう鳥獣のデータをとってちゃんとやらなきゃいけないというのは、ここ30年も40年も言ってきて、今も同じような議論をしている。けさも、じゃあ、安定というのはどのぐらいを考えているのかというと、とりあえず安定だということしか言えない。でも、本当にそうだろうかという気もするのですね。
  先ほどの特定保護のやつになったやつもそうですけども、何匹ぐらいいるのですかといっても、わからないということですけども、でもわからないということであきらめちゃうとずっとわからないので、やっぱりわかろうとする努力をしていかないと、した方がいいと思うのですね。それで、不確定であるかもしれないけど、おおよそやっぱり約1,000匹ぐらいいるのだとか、大体の予測はできると思うんですよ。正確かどうかはともかくとしても。
  やっぱりそういうのを積み重ねていかないと、また30年後ぐらいに、そのときはもう僕なんかはいないから問題ないのですけども、全く同じように、わからないけど何とかだという話をずっとしているわけで、モニタリングというか科学性の導入というか考え方の導入というか、やっぱりそういったものをこの中に、鳥獣行政の中に入れていかないと、お互いに守れたら守れしか言わないし、守らない方は守らないとしか言わないしとか、一度、今よくあちこちで言っているんですけど、例えばアメリカでハヤブサが絶滅危惧種になって、あれは73年だったと思いますけど、そして、みんなでいろんな保護対策がされたと。その結果、全国でハヤブサがあんなにふえたわけですよね。だから、マンハッタンでもいっぱい繁殖しているような状態が今あるわけですけども、そしたら、今度は保護団体も含めてみんなが立ち上がって、絶滅危惧種から外したのですよね。今は普通の鳥になっているわけで、僕はその態度というかプロセスも重要だし、そのときにきちんと何羽から何羽になったからこうだというふうに言っているって。やっぱり、なかなか立派だなと、こう思うのですね。
  日本のそういった鳥たちを見ても、当然保護にならなきゃいけない鳥がなっていなかったり、本当に絶滅危惧種かなと思うようなのがあったり、いろいろあるじゃないですか。それらも、こういう中でやっぱり議論じゃなくて、客観的な事実の中で決めていくということが、恐らくそれは行政をやる上では一番やりやすくなるんじゃないかと思うんですけれども、そんな時期じゃないかなと思うので、この2番の課題といったことが、今大変だということの課題を考えればこのとおりだと思いますけれども、もうちょっと下がってみたときの課題というのは、もう少しあるのかなという気もいたします。

【名執野生生物課長】 市田委員ご指摘のとおり、生息状況ですか、それはわからないけどということでは済まないと認識しておりまして、特に国内希少種で保護増殖事業計画ができているものなどについては、分科会の段階で、いろいろ生息数の把握の努力をしておりますし、それから猛禽類の3種、イヌワシ、オオタカ、クマタカにつきましては、平成9年からずっと調査を続けておりまして、おととし、去年というふうに、大体、結構幅がありますけれども、それぞれの生息数の状況を公表したりしておりまして、そういった努力というのは続けていきたいと思っております。

【岩槻委員長】 はい。この問題は、研究者サイドでもいろいろ問題があって、研究者サイドははっきり実証されていないことは言わないということになりますし、逆に仲間うちではっきり実証されないことを言っていると、あいつはほらを吹いていると言われたりするようなことがありますので、発言に慎重になったりするのですけれども。しかし、どこまで実証されていて、どこから先は推定だということをはっきりさせながら、そういうことはきっちり定義していかないといけないと思うんですけど、まだそれが、やっぱり確かに世の中でも定着していないということも問題だと思うんですけど、お互いに、だからそういうことを理解しながら、確かに、けさからも、今もおっしゃったように具体的な数値を挙げた計画というのがやっぱり、普通の一般の人にも知っていただくという上でどうしても大切なことだと思いますので、協力しながらどういうものがつくり上げていけたらというふうに思いますけど。今度の計画もできるだけそういうことができるような方向でつくっていただければ、非常にいいサンプルになるんじゃないかと思います。
  それでは、よろしいでしょうか。ワーキンググループ以後で、また、積極的な議論を詰めていただくことにして、きょうは予定よりは大分早いですけれども、この辺で終わりにさせていただきたいと思います。
  何か、事務局の方からご連絡いただくことがありますでしょうか。

【事務局(鳥居)】 ワーキングをまず開催していきますので、次回の日程につきましては、また調整を事務局の方からさせていただきます。
  以上です。

【岩槻委員長】 はい。それでは、これできょうは終わりにさせていただきます。
  どうも、ご協力ありがとうございました。(了)