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中央環境審議会野生生物部会
第3回鳥獣保護管理小委員会(議事要旨)


1.日時

平成17年11月21日(月) 14:00~16:00

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

(委員長)
岩槻邦男
(委員)
石井信夫、石原收、亀若誠、佐々木洋平、三浦愼悟
(環境省)
自然環境局長、大臣官房審議官、自然環境局総務課長、野生生物課長、鳥獣保護業務室長ほか

(1)第1回小委員会での指摘事項について

[1]
事務局より、参考資料1について説明。
石井委員より補足説明。
 鳥獣の生息分布について、全国的には拡大しているといえるが、地域的には消滅している事例もある。そのため、全国的な増加傾向をもとに一律の対応とすると危険であり、地域ごとの傾向に応じたきめ細かな対策が必要。
[2]
事務局より参考資料2について説明。
[3]
質疑

○職員費について、専任職員とはどういうことか。
(事務局)
鳥獣保護法関係業務の専任職員を指している。

○狩猟税の収入は、鳥獣保護関係業務に充てられるべきではないか。
(事務局)
鳥獣行政経費の全てを狩猟税で賄っているわけではなく、他の財源からも出されている。
目的税化の意義は、狩猟税による収入を鳥獣行政に使用できるようにしたこと。
狩猟税の使途については総務省が各都道府県に調査しており、地方税法で定めた狩猟税の使途に合致しているかどうかのチェックが行われている。
参考資料2にもあるように、鳥獣行政事業費の総額は、狩猟税、手数料の総額を上回っており、全国的にみれば、狩猟税等は目的に沿った使われ方がなされていると言える。

○事業費の40%が職員費で占められているが、狩猟者の減少により鳥獣保護業務に使える予算が今後さらに減少することが予想される。鳥獣の保護により国民が自然からの恵沢を享受できるとうい意味もあることから、職員費は基本的には一般税から支出するのが適当ではないか。
(事務局)地方税法に基づいて各都道府県が目的税の趣旨の範囲内で使途を決めているものであり、環境省が狩猟税を職員費に支出することをやめてくれとは言えないが、狩猟税の有効な使用については、可能な範囲で都道府県に技術的助言を行っていきたい。

○納税者である狩猟者の立場からすれば、狩猟税が職員費に使われることは理解されない。

○職員費を計上していない県があるがこれはなぜか。
(事務局)専任職員ではなく、他の業務と兼任していると考えられる。

○被害対策は農林水産部局が担うべきであり、環境部局が有害鳥獣捕獲費を支出することは適切ではない。
(事務局)環境部局は主に個体群管理及び生息環境の整備について、農林部局は主に農林業被害防除について、それぞれの各都道府県の実情に応じ分担されていると認識している。

○鳥獣保護員に対する研修が必要であるが、研修の費用はどこから捻出するつもりなのか。
(事務局)都道府県の判断となる。

○鳥獣保護員の職務について、鳥獣保護法だけでなく、動物愛護等の他法令も含め、野生生物の広範にわたる総合的な業務を行うようにできないか。
(事務局)鳥獣保護員は法に位置づけられた都道府県の非常勤職員であり、鳥獣保護法の範囲を逸脱した業務を行わせることは法律上不可能である。ただし、それぞれの法律にある指導員などの制度について、これらを同一人物が兼任することにより、総合的な視点で職務を遂行することは運用上は可能である。

○鳥獣保護員は一度就くとなかなか辞められないため、定年制度が必要である。
(事務局)鳥獣保護員の役割を見直す中で検討したい。

(2)講ずべき方策の検討

[1]
事務局より、資料2について説明。
[2]
質疑

○特定計画に関連して課題が3点あると考える。1つ目はモニタリングに関する技術的な問題であるが、これについては2(3)[1]の視点が重要であると考える。2つ目は人材育成について、2(2)[3]で専門的知見による助言とあるが、実施者の中でも専門的な知見を有する者の確保は必要である。3つ目は、鳥獣保護行政経費の財源を、狩猟税に依存する考え方を改める必要がある。
(事務局)ご意見を踏まえて、書きぶりを検討する。

○基本指針の考え方について、被害防止の視点が弱い。捕獲だけではなく、防除の体制整備、共生を含めて整理した方がよいのではないか。
(事務局)基本指針を充実する中で検討したい。

○広域対策については、特定鳥獣保護管理計画だけではなく基本指針に国としての方針を明記すべきではないか。
(事務局)基本指針は全国的な対応について記述するものであり、広域指針は地域個体群に応じた地域的なものであるため、これについての整理が必要、その上で検討したい。

○人材育成の事項の内容について、育成にかかる記述が抜けているので、具体的な方法について明記すべき。
(事務局)育成も重要な視点であり、検討したい。

○野生鳥獣について、資源としての視点が欠けているため、これを明記すべき。
この場合、違法捕獲個体の流通の問題も生じるため、この対策も併せて必要である。
(事務局)資源としての有効利用は否定しないので、書きぶりを検討したい。

○狩猟者の人材確保について、自然との伝統的な関わりを維持する者、として意味づけることが考えられないか。

○サルの動物実験への利用についてどのように考えているのか。
(事務局)目的を偽った捕獲許可申請に対し許可されることがないよう、厳正な審査が必要と考えている。

○狩猟は個体数管理への貢献だけではなく、自然とのかかわりについて重要な役割を果たしているとの位置づけも必要である。

○入猟者の数を制限できる制度とは具体的にどのような制度か。
(事務局)ヒアリングの際に千葉県から意見のあった、銃猟制限区域の承認制度が参考になると考えている。

○狩猟の場の転換については、現状の制度下において既に危険な場所、鳥獣の保護の観点から必要な場所は狩猟が禁止されているが、環境省として、この狩猟の場の転換についてどのように考えているか。
(事務局)鳥獣保護管理に狩猟が貢献することが必要との視点から、安全性の確保、科学的・計画的な鳥獣保護管理に繋げていく制度が必要と考えている。

○感染症の対応については、鳥獣保護法の範疇を超えているのではないか。
(事務局)
野生鳥獣部局の持つ野生鳥獣に関する専門的な知見から感染症問題に関わるとの趣旨。
この問題は全国的な問題であり、逆に、鳥獣保護法でどのような役割を担えるのかを議論していただきたたいが、当然のことながら、鳥獣保護法の範疇に限った対応となる。

○被害に強い地域づくりについて、具体的にどのように進めていくのか。

○被害対策について、既に他部局との連携については基本指針で記載されているが、このほかに何を想定しているのか。
(事務局)基本的に環境部局は個体群管理、生息環境整備、農林部局は被害防除との役割分担がなされているが、休耕田の管理、農作物残渣の管理などは生息環境の管理という点で共通する事柄であり、今後さらなる緊密な連携が必要との意味である。

○モニタリングとその結果のフィードバック、人材育成といった科学的・計画的な管理の基本的な方向をしっかりと打ち出してもらいたい。

○基本指針は、国の姿勢を示すために重要である。今すぐにできない対策であっても、将来的に実現すべき方針は示すべきである。

○都道府県の農林部局においても鳥獣に関する専門の研究機関が存在する県もあり、環境部局以外の部局との連携も重要である。
(事務局)都道府県も部局が違うと連携が困難な事例がある。都道府県における部局を越えた連携の推進に努力はするが、国で踏み込めない部分があることは御理解願いたい。
(委員長)欠席者の意見はどうするのか。
(事務局)次回は、欠席者に事前に意見をいただくことで対応したい。