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中央環境審議会野生生物部会
第1回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成17年10月17日(月)14:03~16:03

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石井 信夫 磯部 力 市田 則孝
大塚 直 亀若 誠 佐々木洋平
速水 亨 三浦 愼悟
(環境省) 南川自然環境局長
黒田審議官
泉総務課長
名執野生生物課長
瀬戸鳥獣保護業務室長

4.議事

【司会】 予定の時刻となりましたので、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますが、中央環境審議会議事運営規則により定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 小委員会を構成する委員の名簿は、資料中にございますが、これは先日27日に行われました野生生物部会において決定されております。
本日は、第1回目の小委員会でございますので、改めてご出席の委員の皆様をご紹介申し上げます。
 部会長の岩槻先生です。部会長には、本小委員会の委員長もお務めいただきます。
 続きまして、石井委員でございます。
 続きまして、石原委員におかれましては、本日ご欠席と伺っております。
 磯部委員でございます。
 市田委員でございます。
 続きまして、大塚委員でございます。
 続きまして、岡島委員におかれましては、本日急遽ご欠席というふうにお伺いしております。
 続きまして、亀若委員でございます。
 佐々木委員でございます。
 速水委員でございます。
 三浦委員でございます。
 続きまして、お手元にお配りいたしました資料の確認をさせていただきます。配付資料をご覧下さい。
 資料1、鳥獣保護管理小委員会の検討スケジュール(案)でございます。資料2、鳥獣保護及び狩猟の適正化に係る現状と課題ということで、中に本文と別添1から7というふうに、続き番号でございます。
 参考資料です。鳥獣による農林水産業被害対策に関する検討会報告書でございます。
 なお、配付資料と別に、ご参照いただく資料としまして、3点、お手元にあると思います。1つ目は、亀若委員からのご厚意で、『共生を目指した鳥獣害対策』――本でございますが――をお手元にお配りさせていただいてございます。2つ目は、鳥獣保護行政関係資料集。
 3つ目に、野生鳥獣保護管理検討会報告書。平成16年12月ということで、3点お配りしております。
 この2点目、3点目、資料集、報告書につきましては、委員の皆様方には既にお配りしてありますので、大変申し訳ありませんが委員会終了後回収させていただきます。次回以降、また委員会当日にご用意させていただくという形にさせていただきたいと思います。
 もし、資料に不備等がありましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、岩槻委員長、よろしくお願いいたします。

【岩槻委員長】 それでは、ただいまから中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会の第1回目の委員会を開催させていただきます。
 既にご案内のように、少し詰めた議論をしていただくことになりますので、よろしくご協力のほどをお願いいたします。
 今日は、第1回目の委員会ということでもありますし、南川自然環境局長もお見えになっていますので、最初にごあいさつをお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

【南川自然環境局長】 皆さん、足元の悪い中、どうもありがとうございます。自然環境局長の南川でございます。
 今日は、9月27日に私どもが諮問いたしました「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」ということでございます。それを受けて野生生物部会で小委員会の設置が決まりまして、第1回の会合でございます。今日、スケジュールをご相談いたしますけれども、複数回にわたる現地視察も含めて、ぜひ濃密なご議論を賜りたいというふうに考えているところでございます。
 私どもの問題意識でございますけれども、1つには、最近、広域を移動するカワウなどの分布が拡大いたしまして、それによる被害が増大をしていると。他方、クマのように地域的に個体数の減少、あるいは孤立した個体群が存在するということで、健全な地域個体群の維持に支障が生じている場合もあるということでございまして、こうした多様な鳥獣の現状を踏まえた、よりきめ細かい対応を行いたいということでございます。これが1点でございます。
 また、2点目は、その鳥獣の管理に関連しますけれども、狩猟の問題でございます。現在、銃と網・わなについて免許が必要になっておるわけでございますけれども、これについて、より適当な現状を踏まえた適正な免許のあり方というのをぜひ考えていくべきだろうと思います。実際に、特に農山村地域の人口も高齢化しております。そういった中で、この免許制度をどうすることが現状で適当かということも、ぜひご議論を賜りたいと思います。
 また、3点目としましては、輸入する鳥の扱いについても、いろいろと問題がございます。これについてもぜひご議論を賜れば、幸いでございます。
 前回、法改正いたしまして、それが15年の4月に施行されたわけでございます。その附則におきまして、政府は施行後3年以内に施行状況を見直して、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということでございます。
 また、私ども、平成14年から16年にかけまして、野生鳥獣保護管理検討会というものを行いました。その中でも、さまざまな検討を行ったわけでございます。そういったことを踏まえてご議論をいただきまして、私ども、できれば来年の通常国会に鳥獣保護法の改正を出したいということで、考えておるところでございます。
 ぜひ、皆様の熱心なご議論をお願いしたいところでございます。どうぞよろしくお願いします。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 今のごあいさつにもありますように、法の改正に向けていろいろご議論をいただくということですけれども、いずれにしても、第1回目のきょうは、問題が何であるかということをお互いに共有し合うような委員会になればと思っております。
 議題に合わせまして、まず最初の議題はこの委員会のスケジュールということですけれども、事務局の方からスケジュールの案について、ご提案をお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、資料1に従って説明させていただきます。鳥獣保護業務室の中澤と申します。どうぞよろしくお願いします。座って説明させていただきます。
 お手元に、資料1、鳥獣保護管理小委員会の検討スケジュール(案)というものがございます。
 平成17年9月27日火曜日に諮問をいたしました。小委員会を設置して、本日、10月17日月曜日が第1回の小委員会でございます。本日は、現状と課題の整理という形で、先ほど委員長からもお話がございましたように現状認識の共有という形でお願いできればと思っております。
 続きまして、10月25日火曜日、現地調査を予定しております。これは、栃木県方面でカワウ等の保護管理についてを中心に考えております。また11月2日・3日、これは現地調査2回目といたしまして、島根県方面で鳥獣被害などについての現地調査ができればと思っております。
 その後、11月上旬に関係団体ヒアリング、また、第2回小委員会を開催いたしまして、講ずべき方策の検討。
 続きまして、11月下旬、第3回小委員会におきましても、講ずべき方策の検討についてご議論いただければと思っております。
 続きまして12月中旬でございますが、第4回小委員会といたしまして、報告書骨子案の検討という形でご検討いただければと思っています。
 その後、パブリックコメント等の手続がございます。これを終了いたしまして、翌年、平成18年1月下旬には、第5回の小委員会で報告書の取りまとめをお願いしたい。それで、野生生物部会の報告答申という形をお願いいたしたいというふうに考えております。
 以上が、検討スケジュールの案のご説明でございます。

【岩槻委員長】 今のこのスケジュール案について、何かご質問とかコメントとかございますでしょうか。
 大まかな日程については、既に、たしか、もうご連絡いただいているんですよね、ということだと思いますけれども。特に今ご発言がなければ、この案のとおりに進めさせていただきますので、よろしくご協力のほどをお願いいたします。
 それでは、早速ですけれども、きょうの本題は、議事の2番の鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する現状と課題ということで、まず事務局の方から問題点の整理をしていただきまして、それについてあとフリーディスカッションをしていただくという形で進めさせていただきたいと思います。
 最初、事務局の方から、中澤補佐、引き続きお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、引き続き、座ったままでご説明させていただきます。
 資料2に基づきまして、パワーポイントを用いながら説明させていただきたいと思っております。鳥獣保護及び狩猟の適正化に係る現状と課題でございます。
 まず初めに、鳥獣の生息状況と被害の現況についてご説明させていただきます。まず、野生鳥獣の分布状況でございます。
 中大型哺乳類の生息分布につきましては、20年前との比較、これは基礎調査によるものでございますけれども、ニホンジカ、ニホンザル等の中大型哺乳類の生息分布が拡大しており、クマ等では、孤立した個体群、絶滅のおそれのある地域個体群も見られるという状況でございます。
 これは、ニホンジカとカモシカのデータでございます。お手元にある資料2にもございますが、ニホンジカにつきましては1.7倍、カモシカについても約1.7倍分布が拡大しています。赤の印が20年前から、今回に比べて減ってしまったところ。オレンジが増加しているところ。グリーンは、前回20年前と、今回生息しているというところです。したがって、このオレンジ色のところが拡大している部分です。
 続きまして、ニホンザル、ヒグマです。ニホンザルにつきましては、約1.5倍の拡大の状況がございます。クマ類につきましても、ツキノワグマで1.2倍、ヒグマで約1.1倍という拡大の分布がございますが、場所によって、例えば中国地方、紀伊半島、四国で地域個体群が孤立しています。サルについても、場所によっては地域個体群として、孤立しているような事例も見られるという状況です。
 それから、イノシシです。イノシシにつきましては約1.3倍拡大している。徐々に徐々に北の方に広がっているような状況があるように見られます。
 続きまして、キツネ、タヌキですが、キツネで約1.2倍。タヌキで約1.1倍といった分布の拡大が見られます。
 続きまして、鳥類の繁殖分布です。これも基礎調査の情報をもとにしています。調査した248種のうち79%に当たる196種については、約20年前と比較して繁殖分布に大きな変化が見られなかったという状況です。しかし、カワウですとかアオサギ等で分布拡大が見られ、また、アカモズ、チゴモズ、ウズラ等で分布の縮小が見られるような状況にございます。
 カワウにつきましては、20年前との比較で、各地に広がっておりまして、20年前との比較では約12.4倍といったような拡大の傾向が見られます。それから、アオサギにつきましても、約6倍の拡大というところです。見にくい図で申しわけございませんが、大分黒っぽくなっているような状況が見受けられるのが、ご理解いただけるのではないかと思います。
 それから、鳥類について特に減っているものです。チゴモズとアカモズにつきましては、20年前との比較で約0.2倍になっている。それからウズラにつきましても、20年前との比較で約0.1倍、10%程度まで縮小しているような傾向が見られるという状況です。
 続きまして、中大型哺乳類の分布拡大と植生自然度との関係を見てまいります。分布の拡大しております中大型哺乳類につきましては、特に農耕地ですとか植林地・二次林において分布が拡大している傾向が見られます。
 これにつきましては別添の資料1でもつけてございますが、パワーポイントで比較して見てみますと、これはニホンジカです。植生自然度2-3、例えば耕作地ですとか緑の多い住宅地及び樹園地での拡大が見られるという状況です。15%から約20%に拡大しているような状況が見てとれます。
 それから、カモシカにつきましても、植生自然度2-3の耕作地それから緑の多い住宅地及び樹園地それから植林地での拡大の状況が見られるという状況です。6%から13%になっていると。それから植林地ですが、33%から37%に拡大しているというような状況でございます。
 続きまして、ニホンザルです。これにつきましても、植生自然度2-3の耕作地・緑の多い住宅地及び樹園地が増加しております。これは4%から16%に拡大しているというような状況が見てとれます。
 さらに、ツキノワグマです。ツキノワグマにつきましては、植生自然度1の市街地、それから2-3の先ほどからご説明しています耕作地、それから緑の多い住宅地及び樹園地で増加している傾向が見てとれます。
 ヒグマにつきましても、植生自然度2-3の耕作地、緑の多い住宅地及び樹園地で増加しているといます。
 イノシシにつきましても同じような傾向でございます。植生自然度2-3で拡大の傾向が見られるという状況です。
 タヌキにつきましては、市街地での増加が結構ございますが、いずれにいたしましても植生自然度2-3で、いわゆる中山間地域に属するような場所での拡大が見られるという状況が、この調査からもわかると思います。
 続きまして、主な鳥獣の捕獲状況についてのご説明をさせていただきたいと思います。
 全般的な傾向としましては、シカですとかイノシシ等の大型哺乳類の捕獲数は増加している。一方で、キツネやタヌキ等の中型哺乳類の捕獲数が減少している状況がございます。また、鳥類につきましては、カラスですとかカワウ等の捕獲数が増加する一方で、スズメやウズラの捕獲数は減少しているというような状況がございます。
 これは、シカの捕獲数の推移でございます。下の赤色のものが有害鳥獣捕獲で捕獲しているもの。それから、水色のものが狩猟で捕獲しているものでございます。それから黄色のものが、特定計画に基づく個体数調整で捕獲しているものでございます。
 カモシカはもともと有害捕獲ではなく、個体数調整で捕獲しております。それからサル、これは狩猟鳥獣ではございませんので、有害捕獲で捕獲しております。
 ツキノワグマ。これは傾向というよりも、やはり、年によってかなりのばらつきがあるような状況がある種でございます。
 イノシシにつきましても捕獲数の増加傾向が見られる。逆に、キツネですとかタヌキといった毛皮獣につきましては、捕獲数が減少する傾向が見てとれる状況でございます。
 それから、カワウでございます。これにつきましては、狩猟鳥獣ではございませんので、有害捕獲による捕獲になっておりますが、近年、捕獲数の増加が顕著に見られる種です。
 次はウズラです。これは狩猟で捕獲しているものでございますけれども、先ほどまでのものとちょっとタイムスパンを長くして見ておるのですけれども、昭和20年ごろから比べるとやはり捕獲数はかなり減っているような状況が見てとれます。
 それから、スズメです。スズメにつきましても捕獲数が減少している傾向が見てとれます。
 カラスにつきましては、捕獲数が増加しています。大変申しわけございませんが、54年以降、有害捕獲のものも入っておるのですけれども、ちょっとうまく色が出なくて申しわけございませんが、54年以前も有害捕獲のものが含まれております。傾向としては、過去から比べますと大分捕獲数がふえている状況がございます。
 こういった捕獲の状況がございますが、実際の被害の状況でございます。鳥獣による被害の動向を次にご説明させていただきたいと思います。
 野生鳥獣による農作物の被害額は、近年、約200億円レベルで推移しております。農家当たりの被害金額は増加しているという状況にございます。また、被害額の6割が獣類によるもので、4割が鳥類によるものとなっています。
 これは、被害金額の推移でございます。約200億円レベルで推移しているという状況がございます。
 被害金額のトータルは、この推移の状況でございますが、続きまして、これも農水省の資料からいただいたものですけれども、1戸当たりの被害量・被害額は増加している傾向が見られるという状況にございます。
 それから、野生鳥獣の種類別の被害金額の割合でございます。これはおおむね獣類と鳥類に分けて考えますと、6割が獣類によるもの、それから4割が鳥類によるものという状況です。
 また、特に中山間地域では、こういったイノシシですとかサルとかシカ、こういったものの被害が深刻であるといったような状況があります。
 続きまして、鳥獣保護管理の実施体制に関する現況をご説明させていただきます。
 まず、鳥獣関係行政経費でございますが、都道府県の鳥獣関係経費は近年減少傾向にあったわけですが、平成14年の歳出は若干増加して、合計で約49億円となっております。グラフで見ますと、申しわけございません、14年のところが入り切らなかったのですが、若干増加しているという状況です。ただ、変動の幅がこういう形でございますので、これがそのまま増加するのかどうかという、その評価はなかなか難しいところだと思っております。
 鳥獣関係の行政経費は、おおむね50億円前後で推移しているような状況です。
 続きまして、鳥獣保護区及び休猟区等の指定状況でございます。
 都道府県指定鳥獣保護区につきましては、箇所数及び面積ともに、過去から増加傾向でございました。ただし、近年では横ばい傾向が見られるということがございます。一方で、国指定鳥獣保護区につきましては、箇所数、面積ともに増加しております。また、休猟区につきましては、近年、箇所数、面積ともに減少傾向にあるという状況でございます。
 グラフで見ますと、これが都道府県指定鳥獣保護区の面積でございます。50年代、割と増加傾向がございましたが、近年になりまして、それが鈍ってきているというような状況があると思います。
 それから、国指定保護区の新規指定の状況でございます。新規指定につきましては、こういうような伸びを示しております。
 続きまして、銃猟禁止区域の面積でございます。銃禁につきましても、徐々に増加する傾向がございます。一方で、猟区でございますが、減少しているような状況があると傾向が見てとれると思います。
 続きまして、鳥獣保護区の指定傾向について、説明させていただきたいと思います。
 国指定鳥獣保護区につきましては、ラムサール条約登録湿地促進の背景もございまして、湿地関係の保護区の新規指定が増加する傾向がございます。
 一覧表にするとこのような形になるわけでございますが、傾向を見ると、水面ですとか干潟、海浜といった新規指定の箇所数が増加している傾向が見てとれます。水面とか干潟、海浜と、こういった傾向が出ていることがわかります。
 それから、鳥獣保護員の推移でございます。
 鳥獣保護員につきましては、人数それから予算ともに増加傾向にございます。現在は、各市町村に1名の配置を基本的な考え方としてございますが、今後、市町村合併の状況も踏まえながら、専門性を持った人材を柔軟に配置することが求められていると考えております。
 鳥獣保護員の人数でございます。50年ごろから比べますと、増加した時期、それから平行の時期、また若干増加しているような、こういったような傾向が見てとれるという状況でございます。予算についても、似たような傾向が見られると思います。
 続きまして、これが鳥獣法の違反件数の状況でございます。
 鳥獣法の違反件数は、増加傾向にございます。ただし、このことは、必ずしも違反の実態を示したものではないと。警察の方の捜査努力量のような関係もございまして、違反の実態を必ずしも示しているものではないと考えられますが、しかし増加傾向にあるといったことに応じた対応が求められると考えております。
 これが鳥獣法違反件数の全体でございます。警察庁の調べによりますと、左側が件数で、右側が人員になってございますが、12年から比べると、増加傾向が見てとれる状況にございます。
 それから、その次が、違法捕獲等の8条違反の件数と人員でございます。これにつきましても、増加する傾向が見られます。
 次に狩猟登録、19条の違反でございます。これにつきましては、ちょっと傾向が難しいのですけれども、増加して1度減っているのですけれども、やはり16年にかなりふえているという状況があります。
 それから、続きまして、鳥獣保護管理及び被害対策の取組についてご説明をさせていただきたいと思います。
 環境省では、特定鳥獣保護管理計画策定のためのマニュアルの作成ですとか、人材育成のための研修等を実施しております。また、カワウやクマなどでは、広域的な鳥獣の保護管理等にも取り組んでおるという状況でございます。お手元にございます資料の別添2。それから別添3につきましては、農林水産省で取り組んでいる例でございます。農林水産業に対する被害防止対策として各地域ブロック単位で連絡体制を構築するとともに、研究開発と合わせて各地域における農林水産業被害防止のための取組に対する支援等を行っているということでございます。
 別添2がお手元にございます。10ページ以降でございますが、これにつきましては、鳥獣保護管理の取組ということで、主に環境省が中心になって取り組んでいるものを説明しております。
 まず、特定鳥獣保護管理計画技術マニュアルの策定として、これまでニホンジカ、クマ、ニホンザル、イノシシ、カモシカ、カワウといった鳥獣についてのマニュアルを策定しており、研修でございますが、野生鳥獣保護管理技術者養成研修というものも実施しております。
 これにつきましては、シカ、クマ、ニホンザル、イノシシ、ニホンカモシカ、カワウにつきまして、毎年3種ほどを対象にしまして、各都道府県の行政担当者等の方々に対する研修を行っているということでございます。
 それから、広域的・地域的な保護地域の取組でございますが、カワウにつきましては、関東地方、それから中部・近畿地方で、それぞれ広域的な保護管理の枠組みを設置し指針を策定して取り組んでおります。
 さらにツキノワグマでございますが、白山・奥美濃地域につきましては、広域保護管理地域の指針につきまして、関係する県等と今検討している最中でございます。
 また、剣山、これは四国でございますが、ここではツキノワグマに対する情報交換等を行っている連絡会がございます。
 さらに、日光国立公園の尾瀬では、クマによる被害対策の協議会がございます。
 また、県中心の取組でございますが、西中国山地におきましては、ツキノワグマの保護管理の協議会を設置して対応に当たっている。そのほか、岡山ですとか長野のツキノワグマの特定計画では、それぞれ鳥取県及び兵庫県並びに群馬県との協力について記述しているというような状況がございます。
 別添3の農林水産省の取組みでございますけれども、連絡協議会の整備ということで、中央レベルでは、環境省と農林水産省を中心にして、関係省庁連絡会議を設置しております。また、地域ブロックにおきましても、地方農政局を中心にいたしまして、環境省の自然保護事務所ですとか、都道府県研究機関等からなる野生鳥獣対策連絡会議を設置しているという状況がございます。
 それから、人材育成ということで、農林水産省本省におきまして技術研修会の開催、地方レベルでは、現場における技術指導に一層の充実・強化を図るための普及・指導に普及職員を対象とした研究会を開催している。また、地域ブロックにおきましても、農政局の方で、都道府県ですとか市町村の担当者等を対象にした研修に取り組まれているという状況がございます。
 続きまして、14ページの地域における取組みに対する支援でございますが、これにおきましては、交付金等で被害防止対策研修会の開催ですとか、捕獲・自衛のための体制整備等のソフト面、及び電気柵ですとかネット柵の整備等のハード面での支援を行っているという状況でございます。
 さらに研究開発の取組みでございますけれども、イノシシですとかサルにおいて被害対策の研究開発を行っているという状況がございます。
 また、資料の方に戻っていただきまして、以上が鳥獣管理及び被害対策の取組の部分のご説明でございました。
 続きまして、生態系保護のための鳥獣保護法管理についてご説明させていただきたいと思います。
 鳥獣による被害につきましては、農林水産業だけではございませんで、自然植生等の生態系に対しても及んでいるという状況がございます。環境省では、シカによる自然植生被害への対応等に取り組んでいる状況がございます。また、鳥獣保護区等での生息環境の改善の取組が求められているというような状況がございます。これにつきましては、別添4をもとにご説明をさせていただきたいと思います。資料の16ページでございます。
 これは、主にシカでございますけれども、知床世界自然遺産科学委員会のエゾシカワーキンググループというところで、知床の世界自然遺産登録地域の健全な生態系の維持ですとか、エゾシカによる生態系への影響の軽減と人の生活とのあつれきの軽減を目的に、ワーキンググループを設置しているという状況がございます。
 さらに、その次が日光国立公園戦場ケ原シカ防止柵モニタリング検討会。これは戦場ケ原の植生保護のために、また、これを取り巻く森林植生等の保全のために設置されているものでございます。
 さらに、日光国立公園尾瀬シカ対策協議会につきましては、尾瀬地区におけるシカ管理指針に基づきまして、関係機関が連携して対策を実施する際の連絡調整を行っている状況もございます。
 さらに大台ケ原のニホンジカ保護管理検討会におきましては、シカによる自然植生への影響軽減ですとか、森林生態系の回復といったことを取り組んでいます。
続いて、今お見せしているパワーポイントの絵が生息環境等の改善の取組が求められている一例と続きまして、26ページいうことで、幾つか説明をさせていただきます。
 代表的なものとして、大台ケ原それから沖縄の漫湖鳥獣保護区と、この2つでございます。
 左から、これは80年代、90年代、それから現在の正木峠というところの状況でございます。個体数が著しくふえた鳥獣に対して、生態系保護のため、防除ですとか個体数調整を実施するような必要があるといったような状況が見られる場所でございます。
 それから、これは沖縄の漫湖鳥獣保護区でございます。ここにつきましては、例えばマングローブの繁茂によるシギ・チドリ類の採餌場のえさ場が減少しているような状況にあると、そういったことを踏まえまして、周辺の繁茂し過ぎた植生の除伐みたいな作業が必要になってくるといった、生息環境等の改善の取り組みが求められているような事例がございます。
 資料の18ページでございますが、別添4-2でございます。
 これは特にシカに限ってでございますけれども、各国立公園の事務所の方にアンケート調査をしたものでございます。それぞれの国立公園の中で、シカによる被害があるかどうか調べたものでございます。各国立公園、シカによる被害が生じているような状況が見てとれると思います。
 続きまして、総合的・計画的な取組の推進ということで、また資料に戻って説明させていただきたいと思います。
 これは特定鳥獣保護管理計画制度の現状で、特定計画についてを中心にご説明させていただきたいと思っております。
 まず、特定計画でございますが、平成17年10月現在で、41都道府県で合計67の計画が策定されております。
 別添5に表がございますが、現在、ニホンジカでは30、ツキノワグマでは10、それからニホンザルでは11、イノシシでは10、それからカモシカでは6と、それぞれ計画が策定されております。
 これを生息分布と重ね合わせて計画の策定状況を見ますと、シカにつきましては、分布がかなり広がっている県では、おおむね計画が策定されるような状況が見てとれると思います。この色の違いは策定年度の違いでございます。
 続きまして、クマ類でございます。クマ類につきましては、分布の多いところ、それから少ない西中国山地・中国地方、こういったところでの策定されているような状況が見てとれると思います。
 続きまして、ニホンザルでございます。これにつきましては、中部地方を中心に、東北地方の幾つかの県でも策定されているような状況が見てとれると思います。
 イノシシでございます。イノシシは、主に中・四国を中心に策定されている状況がございます。また、つい最近、茨城県で策定されました。
 それから、ニホンカモシカでございますが、ニホンカモシカにつきましては中部地方。これはもともと、文化財行政の方で個体数調整をやったようなところが中心になって、特定計画を策定されているような状況がございます。それから、東北地方で策定されているといったような状況が見てとれます。
 それから、続きまして、特定鳥獣保護管理計画制度の評価につきましてですが、これは野生鳥獣保護管理検討会報告書で議論があったもの、報告書にまとめられたものを抜粋しているものです。
 まず、その全体の評価としては、おおむね計画の目標に向かって進んでおり、一定の効果が見られるが、以下のような課題も存在している状況で、地域別等、年次計画の策定の推進ですとか、モニタリング手法の確立、それから専門的知見を有する職員の確保、調査等のための予算、市町村の位置づけの明確化。2番目といたしまして、地域住民の参加を促すとともに、特定計画の実施に当たっては、その知識・技術を有した管理者を配置する必要性。それから、広域的な観点から保護管理が必要な鳥獣について、地域の自主性の配慮しつつ必要に応じて広域保護管理指針等を示し、都道府県の連携を支援していくということ。総合的な評価のためには今後も状況の把握が必要であるといったようなことでございます。
 これにつきましては、抜粋部分につきまして、別添6につけてございます。
 これは野生鳥獣保護管理検討会の検討をしている中で、各策定都道府県に対して、アンケート調査を行った結果を集約した成果でございます。
 続きまして、これは、先月、私どもの方で各都道府県にその実施状況の調査について、評価を各都道府県の評価をしてもらったものを取りまとめたものでございます。
 これにつきましては、21ページです。特定鳥獣保護管理計画の実施状況評価ということで、別添7をもとにご説明させていただきたいと思っております。
 まず、アンケートの概要ですが、今年度の9月、現在、策定されておりました65計画に対して、アンケート調査を行ったものでございます。
 内容といたしまして、各特定計画でモニタリング項目としているものをこちらで抽出いたしまして、それを大きく4項目に整理いたしました。これは、全体評価といたしまして、特定計画の全体的な目標達成に関する効果ということでございます。それから、2番目といたしまして個体群動態ということで、生息状況や捕獲等の個体群動態に関する目標達成度の評価。それから、3番目といたしまして被害対策ということで、鳥獣による農林業被害等への対策に対する目標達成の評価。それから、4番目といたしまして、生息環境といたしまして、鳥獣の生息環境に関する目標達成の評価。この4分類に整理いたしまして、それぞれアンケートを行っているところでございます。
 その4分類の中身なのですけれども、もう少し詳しく見てまいりますと、例えばその下に表がございますが、ニホンジカでは、生息状況ということで、分布ですとか生息数ですとか密度といったもの。捕獲状況については捕獲数。それから、個体情報については、計測、妊娠、性別、年齢といったもの。被害状況については、被害量、金額、面積といったもの。そういったものを調査内容としているということでございます。ツキノワグマにつきましては、生息状況につきましては、分布ですとか個体情報、それから生息環境については堅果類の豊凶情報、そういったものを調査しているということでございます。ニホンザルにつきましては、生息状況では、群れの分布・動態。捕獲状況については、捕獲数、捕獲情報。それから、被害状況は、被害情報図ですとか被害量。それから、生息環境については、植生、誘引要因。イノシシにつきましては、捕獲状況で捕獲数・捕獲場所。被害状況は、被害金額・被害量。ニホンカモシカにつきましては、生息状況として、分布それから生息数・密度。捕獲状況として、捕獲数。被害状況として、被害金額ですとか被害量。こういったものを主な調査内容としているものでございました。
 集計でございますけれども、この4分類につきまして、達成、策定以上に目標に近づいている、変化無し、策定時より悪化している、評価不能の基準で、各都道府県の担当者から回答を得ております。ただし、その集計に当たっては、鳥獣種ごと及び時系列に集計してございますが、以下のような回答については除いて、取りまとめております。
 まず、具体的な数値目標を設置していないため、目標の達成度が不明であるもの、それから計画策定から間もないため評価ができないといったもの、それから、調査が未着手または調査中であるものといったものについては、除いて集計しているという状況でございます。
 まず、その全体的な評価でございますが、ここに書いてございますが、評価の対象になった47計画のうち、22の計画で目標に近づいているとの回答がございました。18の計画では、変化無しとの回答でございました。それから、変化無しの回答につきましては、計画策定から年数を経ておらず、モニタリング指標の変化が、例えば策定前の個体変動傾向を転換するに至っていないことが主な理由として考えられるということでございます。
 さらに策定時より悪化しているとの回答につきましては、これはニホンジカとツキノワグマの計画でございましたが、これらの回答は、被害が減少しないといったこと、それから捕獲数が多かったこと等を理由としているということでございます。
 また、種によって傾向は異なりますが、年数を経ている計画では、よい評価となるような傾向がございます。さらに、評価不能等の回答があった計画も含めて、今後とも継続した実施状況のモニタリングが必要であると考えております。
 これが全体的な評価でございますが、個別に見てまいりますと、別添7の24ページでございますが、個体群動態につきましては、評価対象となった42計画のうち4計画では目標を達成している、それから17計画が目標に近づいているとの回答であるということから、おおむね半数の計画でプラスの評価となっている。また、変化無しにつきましては、14計画でございました。ニホンジカでは、約6割がプラスの評価でございましたが、ニホンザルでは、評価対象の全5計画が変化無しとの回答でございました。それから、策定時より悪化しているとの回答は、ニホンジカとツキノワグマの6計画であったと。これは先ほどのとも重複するのでございますけれども、分布の拡大ですとか捕獲数が多かったといったことを理由にしております。それから、種によって傾向が異なるものの、年数を経ている計画では、よい評価となるような傾向があるという状況が見てとれるということでございます。
 続きまして、26ページには被害対策でございます。
 これにつきましては、評価対象となった42計画のうち、16計画が目標に近づいているとの回答でございました。また、21計画で変化無しとの回答でございました。ニホンジカでは、約6割がプラスの評価でございました。変化無しとの回答は、被害が減少していないことを理由としているということが中心になっております。
 続きまして、策定時より悪化しているとの回答は、ニホンジカ、ツキノワグマ、イノシシで、6計画ございました。また、ニホンジカでは、特に、年数を経ている計画ではよい評価となる傾向がございます。
 なお、ニホンジカにつきましては、次に申します自然植生の被害を、被害対策と生息環境の両方の視点からモニタリングしている事例がございます。
 それから、続きまして28ページでございますが、生息環境の部分でございます。
 これにつきましては、評価対象になったもの9計画でございましたが、全て変化無しとなっております。これは、生息環境については、モニタリングで変化を把握することが困難であるといったようなことが推察されるということでございます。また、ニホンジカにつきましては、自然植生への被害対策と生息環境の両方の視点からモニタリングしている事例がございます。
 これが、私どもの方で、昨月、各都道府県にアンケートをした特定計画の実施状況の評価を取りまとめたものでございます。
 以上が、特定計画を中心にした計画的な取組の推進のところについてのご説明でございました。
 続きまして、狩猟に関する現状についてのご説明をさせていただきます。
まず、狩猟鳥獣の変遷でございますが、狩猟鳥獣を指定する制度は大正7年から開始されておりますが、指定種につきましては、生息及び社会的な状況等を踏まえて、見直しですとか追加が行われております。現在は、鳥類28種、獣類20種の合計48種が指定されているという状況です。
 それから、狩猟者数の推移でございますが、狩猟者数は昭和45年にピークがございました。その後、高齢化とあわせて減少化傾向が続いていることが見てとれます。
 狩猟が、科学的な鳥獣の保護管理にも一定の役割を果たしていることが期待されている状況から、これに対応した体制整備が求められている状況でございます。
 また、近年、網・わな免許の登録者が増加する傾向にございまして、網・わな猟増加に対応した体制整備が求められている状況がございます。
 これをグラフで見ますと、これが狩猟登録者数の推移でございますが、昭和45年にピークがございました。その後、減少傾向が続いている状況が見てとれると思います。ただし、一番下にございます紫色が網・わな免許でございますが、網・わな免許者については増加の傾向が見てとれるというような状況がございます。
 次が、年齢別狩猟者数の推移でございます。40代以下の狩猟者がかなり減少していく中で、50代以上、50代、60代の狩猟者の割合が高まっているような状況がこのグラフからもわかると思います。
 続きまして、狩猟事故の件数でございます。
 狩猟事故につきましては、昭和60年を境に増加傾向にございますが、重大事故につながるような銃器による事故につきましては、おおむね横ばいでございます。また、銃器以外による事故、転倒によるけが等について、増加傾向にあるといったような状況がございます。これが狩猟事故の件数でございます。
 これにつきましては、資料の71ページにも説明がございますけれども、やはり高齢化とか、そういったことが転倒事故の増加につながっているようなことも推察されるのではないかと考えられます。
 それから、続きまして、個別課題の状況でございます。
 鳥獣の輸入に関する状況でございますが、鳥獣の輸入につきましては、鳥インフルエンザ等の感染症対策としての検疫強化の状況もございます。そういった状況もございまして、近年、減少傾向にあることが見てとれます。
 これは貿易統計から抜粋してきたものでございますが、鳥類につきましては、2002年から統計項目となっている状況でございます。区分といたしましては、猛禽類ですとか、オウム、ハト、鳥類(その他のもの)の4分類でございます。それから、小額20万円以下のものは計上されていないと。ここでまとめておりますのは、鳥類(その他のもの)を取りまとめたものでございます。
 ここに書いてあります。規制対象国というのは、鳥獣法に基づきまして輸入証明書等を必要としている国。それから赤のものは対象外国、それから青色のものは規制対象国。鳥獣法で輸入の際の証明書等が必要とされているといったような、種についての状況でございます。
 それから、愛がん飼養の状況でございますが、愛がん飼養目的の捕獲対象となる鳥類につきましては、昭和24年当初は7種であったものが、昭和53年の審議会答申の、「鳥獣類は本来自然のままに保護すべきである」といった理念等を踏まえまして、現在は、メジロ及びホオジロの2種となっている状況でございます。また、飼養数も減少している状況にございます。
 これは、グラフでお示しいたしますと、25年に7種ございましたのが、54年にヒバリやヤマガラを除外している。それから、55年にウグイスを除外し、また11年に、ヒワ、ウソを除外して、現在は、ホオジロとメジロの2種が捕獲対象となっているというような状況がございます。
 以上、鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する現状と課題について、ご説明をさせていただきました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 最近の鳥獣行政全般にわたって、広い範囲にご説明をいただいたわけですが、ちょっと問題点が頭の中でいっぱいになり過ぎているかもしれませんが、どこからでも結構ですし、ご質問なりコメントなり、どなたからでも発言していただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
 余り本質的なことじゃないのですけれども、ちょっと最初に1つ質問をさせていただきたいのですが、最初のところで中大型哺乳類の分布拡大と植生自然度の説明をいただいたときに、樹園地や農耕地でふえてきたということはご指摘になったのですけど、逆に減っているところが草原なんですけれども、これは何か理由があるのですか。
 この何枚かの図表でいきますと、最後のタヌキ、キツネはそうではないですけれども、それ以外のものでは、白抜きのところが減少をほとんど引き受けているような図になっているんですが。

【事務局(中澤)】 白抜きのところは草原ではなくて、自然林の部分かなと思いますけれども。

【事務局(鳥居)】 結果だけから申し上げますと、これはあくまで生息が確認されたメッシュの数でございますので、分布のその確認がされたところが自然度2-3の方へ移行してきているという傾向がうかがえるのではないのかなというふうに思います。

【岩槻部会長】 はい。
 いかがでしょう。三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 幾つか質問したいと思うんですが、この機会にお聞きしたいなと思っているので。
 最初に鳥獣保護管理の実施体制に関する現況で鳥獣関係行政経費とあるんですが、現在、約49億円使っているんですが、これの内訳というのはどういうものでしょうか。

【事務局(中澤)】 内訳でございますけれども、お手元に配付しております資料集の102ページをごらんになっていただけますでしょうか。こちらに収入の状況と支出の状況につきまして、内訳が掲載されております。ご参照ください。

【三浦委員】 ありがとうございました。全体に指摘していただきたいんですが、職員費というのはこれは一体何でしょうか。

【事務局(中澤)】 これは人件費と考えています。

【三浦委員】 それはわかっているのですが、つまり、一体、鳥獣行政担当者の人件費ではないですよね。

【事務局(中澤)】 鳥獣保護関連の職員の人件費です。

【三浦委員】 そうですか。これ、鳥獣保護員関係費を除くと、多いのが放鳥事業ですよね。つまり、こういうことが言えるのでしょうか。つまり、都道府県での49億円のうちの多くのものは、全部とは言わないまでも放鳥事業にかなりのお金が使われ、なおかつ、それの経費にかかわるスタッフの人件費が計上され、その率がかなり高いというふうに判断していいですか。

【事務局(中澤)】 放鳥事業費がそのまま人件費と関係しているというふうにはちょっと考えられないのですが。この部分については、こちらの方で整理させていただきたいと思います。

【三浦委員】 これ、非常に重要なことなのですが、つまり、49億程度の予算しかないわけで、その中で各都道府県は特定鳥獣の計画を今進めているんですが、それの主要な経費がどういう部門に流れていて、それが鳥獣の経費としてどこから出るのかというところを、まずはっきりと見たいなというふうに思います。それが1つ。
 それから、猟区面積が現在減少しておりますが、この原因は何かということと、残っている猟区の主要な設定場所って、どこですか。

【事務局(中澤)】 猟区が減ってございますのは、やはり設定が難しいというような状況があるというところでございます。

【三浦委員】 設定はなぜ難しいんですか。

【事務局(中澤)】 鳥獣被害の状況ですとか、地権者の同意を得るとか、そういったような状況が複合的に関係していると考えております。

【三浦委員】 主要な場所はどこですか。これだけ、18万ヘクタールぐらいのところの主要な場所はどこでしょう。

【事務局(鳥居)】 猟区ですね。資料集の68ページに猟区設定状況の一覧表がございますので、ご参照いただければと思います。それによりますと、北海道、岩手とか、それから神奈川、岐阜、滋賀、山口。そういったところが多いとなっています。

【三浦委員】 続いて、鳥獣保護員の関係なんですが、これは市町村合併後はどのように推移すると考えられますか。

【事務局(中澤)】 現行のその基本指針の中では、おおむねその市町村に各1名ずつといったような目安を書いているところでございます。各都道府県におきましては、鳥獣保護員は市町村数によらずに設定しているようなところもございます。今後は専門性ですとか、柔軟な採用といった対応をしていくことが1つの方向として考えられます。
 ただ、全体の方向性につきまして、

【三浦委員】 多分変わらないだろうという見通しですかね。現状維持。

【事務局(中澤)】 人数でしょうか。

【三浦委員】 ええ。

【事務局(中澤)】 それぞれの都道府県のご判断にもよると思うのですけれども、現況でも徐々に変わりつつあるような状況がございますので、今後専門性を生かしてどういった方向になるのか。直ちに変わるとは判断はできないと思うのですけれども。

【三浦委員】 それから、もう一点。きょうは佐々木先生もお見えですけれども、狩猟者数の推移ですが、非常に減少していて、鳥獣検討会でも一定の役割を果たしていくことが期待されているというんですが、また、そういうふうに我々も位置づけてきたわけですけれども、次のページのこれがかなり後ろの方ですが、次のページに狩猟者数の年齢構成が書いてありますが、これは明らかに急速に減少していくわけでして、こういう点で言うと、重要な役割を果たしていることは間違いないんですが、それだけを期待するという位置づけでいいかどうかというところは、注視されるべきポイントの1つなんだろうなというふうに思います。
 それと、もう一点なんですが、先ほどの特定鳥獣のアンケート調査の結果なんですが、今、こう見せていただいている中でちょっと気になるんですが、これ、各県の答えですから、例えば、個体群管理で、ツキノワグマで達成というのが2件と、イノシシで2件、ありますよね。この達成という意味は、個体群動態でどういう意味なんでしょうね。

【事務局(中澤)】 ツキノワグマに関して言うと、捕獲数を設定した範囲内でおさめたということで、達成したというような評価をされているようです。

【三浦委員】 要するに、モニタリング指標が捕獲数だから、その捕獲数がとれたから達成というわけですね。そうですか。

【事務局(中澤)】 はい。

【三浦委員】 それで、総合がゼロになって、総合評価は達成しているところはないという格好なのですね。
 それで、被害対策が、達成の部分がないんですね。被害対策が達成の部分。これも、そうすると、被害対策の目標の、例えば柵の総延長とかなんとかといったようなものをモニタリング指標にしたら、それについては達成しているところはないと、こういうことですか。

【事務局(中澤)】 被害につきましては、被害量の減少といったものを指標にしているところが多いようでございますけれども、完全に達成するには至っていないというような状況と考えております。

【三浦委員】 そうすると、もうちょっと、僕は、具体的にこれを聞きたかったのですが、総合指標として、目標がありますよね。目標の立て方が各都道府県でかなりまちまちですよね。これが個体数であったり、密度であったり、一方では、被害軽減であったり、あるいは、場合によっては資源的な利用なんていうのを書いているところもあるわけですね。そういう、総合評価として達成できているところは、今のところないわけですけども。
 だから、もう少し、この総合の目標の立て方が、もう少し整合性がないとよくわからないなという感じがしていたんですが。
 すみません。ありがとうございました。

【岩槻委員長】 はい。ひとまず、それでは、そういうことで。
 ほかの委員の方、いかがでしょうか。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 三浦委員に関連するんですが、この鳥獣行政の収支ですけれども、先ほどるる説明があった職員費。これ、後で、平成14年ではなくて、もっと新しい指標ができたら、各都道府県別に出していただきたいと思います。といいますのは、非常にばらつきがあります。例えば、大体、予算の半分以上を職員費に費やしている県もありますし、ゼロの県もあります。
 そういうことで、やはりこういう狩猟行政、収支ということになりますと、各都道府県の裁量に任せているかもしれませんが、ある程度やっぱり、こういう方向でいくんだということを環境省などがやっぱり指導すべきではないのかなと。ばらつきがあると私は思っております。後でその指標を出していただきたい。
 本当は、半分以上を職員の費用にするなんていうのは、とんでもない話だと思いますよ。それ以外にやることがいっぱいあるので、これから。そういうことをやっては非常に問題だと思いますので、確認させていただきます。
 それから、もう一点、二点あるんですが。例えば、それでは、先ほども話のあった鳥獣保護員の問題。保護員も各都道府県、この狩猟、県費も費やしていますが、狩猟者が出す税金から支払われておるということになります。果たして、それが妥当なのかどうか。やはり鳥獣保護員という大変大きな使命を持って、実態は少し問題があると思いますけれども、これから特に、保護員については、国もそうなので、県も都道府県も自治体も非常にいろいろな意味で重要な役職であると思いますので、この辺を狩猟税から、それはいかがなものかなと、こう思います。この辺もちょっとご見解を。
 もう一点ですが、都道府県で非常に悩んでいることは、この有害鳥獣捕獲、有害駆除ですね。大体、要するに被害が出た、例えば農林――まあ、漁業は少ないんですが、農林業ですね。例えば、虫とか病気類は、全部農林水産部が予算措置をして出しておると。それで、この鳥獣だけは、自然、何ていうの、それぞれみんな名前があると思いますが、自然保護課といいますか、そういうところへ予算を措置をしていると。それもまた、狩猟者の税金で納められていると。この辺も非常に各都道府県の、そういう役所の皆さん方は、どうしてなんだろうかなと、こういう意見があります。これからその辺も整理をして、やっぱり、きちっとした姿にした方がいいんではないのかなと思います。
 以上です。

【岩槻委員長】 ありがとうございました。
 ほかの委員の方は、いかがでしょうか。市田委員、どうぞ。

【市田委員】 2点、お尋ねしたいと思うんですけれども、先ほどのご説明でサルが1.5倍になったとか、こういうご説明がありましたけど、これは認められたメッシュの数が1.5倍になったということですね。
 これは前のときにもいろいろ話題になったと思いますけれども、これから基本的に、鳥を守るか、獣を守るか、管理するかといったときの基本になるのが、モニタリングで数をどうとらえるのかというのが随分議論になったと思うんですけれども、それらは今後いろんなところで議論していくんだというところで、大体、話が終わるわけです。
 きょうのご説明を聞いていても、その辺のお話が余りなかったというように思うんですけれども、全体的に、モニタリングをどのようにきちんとこれからしていくのかと。この特定鳥獣になったものはそれなりにしていると思いますけれども、鳥獣はそれ以外にもたくさん、いろいろ、もちろんいるわけで、それらについての概要をまずご説明していただければ、ありがたいと思います。それが第1点です。
 それから、第2点は、ここにも書いてありますように、その鳥獣保護事業は、環境省でおつくりになったものを各県が、それを具体的に県別につくるという仕組みで動いているわけですけれども、それはそれで結構だと思いますけれども、そうすると、具体的には県の中でどうするかということがほぼ全部になるわけで、国として全体的にどうするかといったところが、いつも抜けるわけですね。
 ですから、これの鳥獣保護行政の関係資料集は非常におもしろいと思うんですけれども、ここの中に国際関係のことがほとんど出てきていない。これは、毎回、環境省のご説明を聞いていても、いつも国際関係というのは、私が国際関係をやっているから申し上げるわけじゃないというか、申し上げるわけなんですけれども、いつも抜けちゃうんですね。渡り鳥の保護のために、あるいは国際協力が重要だとみんな言っているのに、実際の中では、いつもどこかでみそっかすになって、忘れられちゃうという現実があります。
 やはり、そろそろそういったことについても話さなければならない時期であると思いますし、今回、野生生物課の方のご努力でラムサール条約の指定登録地が大幅にふえました。それはそれですばらしいことだと私は思いますけれども、じゃあ、それは環境省全体の中で、何でそれをふやしてどうするんだということが本当はあってほしいと思うんですね。条約事務局として、前回増やせと言ったからそれに呼応したということも1つの重要な理由だと思いますけれども、やっぱり国際協力全体の中でどうするかということを、それが考えられてほしいと思うんですけれども、その辺の2点について、もし何かあればお答えいただければと思います。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。

【事務局(鳥居)】 では、1点目の方につきまして、まずご説明をしたいと思います。
 幅広に鳥獣のモニタリングをどのようにやっていくかというご指摘かと思うんですけれども、まず第一は、自然環境保全基礎調査というものが主体になっていくのかな。これは先ほどパワーポイントでご説明したように、やってきておるわけです。これを引き続きやっていくと。特にその中でも、ガン・カモ類の一斉調査あるいは鳥類の標識調査というものがあります。
 それからあと、今、モニタリングサイト1000ということで、全国に約1,000カ所のモニタリングサイトを設けて、そこで、これはもちろん鳥獣に限りませんけれども、鳥獣なども重点的にやっていく箇所もあろうかと思います。
 それからあと、個別の、例えば種の保存法に基づく絶滅のおそれのあるものにつきましては、そちらの方のスキームでの調査というのがございますし、猛禽類あるいはアザラシ、そういった個別の分類群といいますか、そういったものについても個別の予算を獲得をしながら、かつてやってきたものもございます。
 そういう、何分、予算が限られている中で、いろんな個別の調査あるいは総合的な調査を統合していきながら、我が国における鳥獣の状況というものをマクロな観点から明らかにしていきたいなというふうに思っております。
 それから、2点目につきましては、今、鳥獣保護事業に関する基本指針というのが法に基づいて定められておりますけども、それはどちらかといいますと、今は都道府県がつくります鳥獣保護事業計画の、当初、「基準」というふうに法律改正前には言っておりましたけれども、鳥獣保護事業をこういうふうにやってください、というのを都道府県に示すという色彩が強かったと思いますけれども、やはり、国としてどういうふうに考えるのかということについては、今後私どもの方でもやっぱり整理をしていかなきゃいけない。そこが法に基づいて何かきちっと出ているというのでは今はないんですけれども、ここについて、その部分を国としてどう考えるのかというのは、何らかの方法といいますか形で整理はしていく必要があるのかなというふうに、認識はしております。

【名執野生生物課長】 国際関係の部分、いつも市田委員に指摘されてしまうのですけれども、今回も資料集から確かに落ちていたなと思いますけれども。
 ご指摘のあった渡り鳥の保護の関係では、市田委員もご存じのとおり、オーストラリアと日本とでアジア太平洋渡り性水鳥保全戦略というのをやっておりまして、これは今2期目で、今年度、2005年で2期が終わるんですけれども、その後についてもWSSPに出したタイプ2のパートナーシップ、この枠組みを利活用して、さらに拡大していくべく、また、日本とオーストラリアとで引っ張っていきたいというふうに思っていますし、ラムサールの関係も、市田委員ご指摘のとおり、今回、世界ラムサール条約の決議に従って倍増に取り組んで、20カ所を増やしたということでございます。
 これをどうしていくかということなんですが、来年度予算で、今まで13カ所だったんですが、その湿地が33ヵ所になるということで、この日本湿地の保全という意味合いを発信、このラムサールの登録湿地を使って日本国内に発信していくのに非常によい拠点になるのではないかということで、CEPAといいますか、そのような計画をしっかりつくって、日本でつくった上で、また、アジア地域にも模範として示していきたいというようなことを考えておるところでございます。

【岩槻部会長】 よろしいでしょうか。
 速水委員、どうぞ。

【速水委員】 ちょっと途中で中座しますので。
 私、林業の立場から参加させていただいているんですが、きょうも田舎から出てきまして、2日ばかり前にシカに遭ったばかりのところなんですけれども。今、特にこれに対する質問というんではなくて、やはり林業の現状というのをこの動物とのかかわりというので、日ごろちょっと感じているのを少しお話ししたいと思っています。
 最近、森林は、もともと獣害というのは常に存在しまして、私も記憶にあるんですけど、1ヘクタール何千本か苗木を植えて、完全に食べられて、3年ぐらい同じ本数を植え続けて、あそこの山は何万本植えたという山があって、何かの拍子にそれが活着して伸び始めるという、そんなことをずっと経験していたんですけど、近年、急速に林業の経営環境が厳しくなって、ますます獣害に対する反応がみんな激しくなってきたわけですね。特に、それだけではなくて、実際にも獣害はふえているわけですが、昔は奥地の山に主に網を張ったという記憶が私はあります。近年は、もう本当に、網を張らないと全く山にならないという状況がございまして、その網の管理がなかなか、網というのは張った限り、一周ぐるぐる、それこそ2カ月に1回ぐらいは、最低でも見て回らないと、穴が開いてすぐ入ってくるというふうなことで、1周回るというのはかなり厳しいんですね。どこかまで行くというのではなくて、道なき道を歩くわけで。そういうことがあって、なかなか管理が行き届かないということで、それだけが原因ではないんですけど、かなり大きな原因として、切ったらもう植えないという方が増えてきてしまっているという現状が、いろいろな地域で見られます。
 基本的には、森林に対する獣害の被害で一番大きいのは、苗木の食害として、カモシカ、シカというのが一番大きいのだろうというふうに思いますし、しばらくすると、さっきの正木峠ですか、大台ケ原じゃないのですけれど、成木に対するシカの剥離というのが被害として大きくて、もう一つクマの剥離というのがあって、まあ、そのぐらいが被害の現状なんですけど。
 やはり、最低、苗木の活着に関しての補償というものを、どうにか制度としてやっていかないと、いろいろな意味で日本の森林の循環が途切れてしまう状況が今まさに起きているという感じがいたしております。
 山に住む者にとっては、実は、こういうシカだとかカモシカ、クマにしてもそうなんですけど、決して敵対的に感じるものではなくて、都会の人が一生かかっても遭えないほどの動物に一月で遭って、それが案外、田舎に住む豊かさというか幸せ感を味わえる。私なんぞは、その典型的な人間なんですが。
 そういう意味では、どうにか森林管理と野生動物の保護との両立をどこかで成立させたいなというのを日ごろ考えて、網でも張るかということで、一生懸命、網の張り方を、安くて張れる方法を考えたり、効果がある方法をいろいろ検討したりしているんですけれども、その辺がより一層しっかり議論されないと大変なんだなというふうに思っております。
 それで、もう一つは、多分、サルにしましてもクマにしましても、林業の労働力というのが、ここさっきは、発生の数字が何か、何年から何年でしたっけね、幾つか、97年と2003年でそれぞれのいろんな数字をとっていたんですけど、例えば林業から見ますと1980年で、19万人ぐらい、山で人が働いていたんですね。10年たって90年に11万人で、2000年になると7万人なんですね。それだけで、もう林業労働というのは、約3分の1近く減っているわけです。
 そうすると、山に入るのは、それだけ減ってしまうということで、多分、本来、人間の住んでいるところと、野生生物の間に存在した人工林の、人間が活動しているという時間的なバッファゾーンも含めての、バッファという部分がなくなってきて野生動物が近寄ってきたんだなという感じが、山にいると、するわけです。それは我々毎日山に入って、枝打ち・下刈りしていれば、動物はやっぱり、そこを1つの境としておりてこないですからね。サルなんかも実際そうなんですけど。そういうふうなことを見ますと、やっぱり林業の活動が停滞したのが1つの原因だなというのは感じている次第でございます。
 あと、個人的には、私、紀伊半島に住んでいまして、ずっと若いときから山へ行っていて感じるのは、やはりクマは減ってしまったなというふうに思っています。それで、先ほど見ると紀伊半島のクマは個体群として非常に減少しているので、できれば大台山系を含めて、クマの保護というのは、早めに紀伊半島をやっていただく必要があるんだなというのは随分以前から感じておりまして、案外、簡単に、国有林を含めて、大きなかごでトラップをかけて撃ってしまうということがありますので。あの辺、もう、ぎりぎりまで減っているところは、ああいう捕獲の仕方というのはどうかなというのが、正直な。撃ちに行く猟師の方も嫌ですしね、おりに入ったクマを撃つというのは。そういう意味で、何か今後、場所によって、もう少しいろいろ検討をしなきゃいけないなというふうには思っています。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 一番現場をよくご存じの方からの生々しいご発言ですけれども。特に、どなたからもコメントはありませんか、今の発言に対しては。
 ほかは、いかがでしょうか。石井委員、どうぞ。

【石井委員】 私は、ちょっと細かいところでコメントをしたいんですが。
 先ほどの説明の中で、中大型哺乳類は全般に分布を拡大していると。それから、拡大しているところは、農耕地とかそれから林業地であるというような全般的な傾向があるというご説明だったんですが、これはもう少し細かく見ると、例えばニホンザルの分布なんかは、全体としては拡大しているけれども、分布図を見ると、特に中部から西の方では78年から比べていなくなっているところもある。それはシカなんかでも、ほかの動物でも、実態をどのくらい反映しているかわからないけれども、昔はいたけれどもいなくなっているところがあるというのがありますので、一くくりにして拡大しているということは、全体的な傾向としては事実でしょうけれども、もう少し地方ごととか地域ごとに何が起こっているかというのを細かく見る必要があると思います。それで、今後どうしていくかということを議論していった方がいいと思います。
 それから、棒グラフのところで、昔は自然度2-3のところが少なかったけれども多くなっているとか、例えば、幾つか傾向のご説明があったわけですけれども、これは全体を100としたときの割合の違いなので、本当に何が起こっているかと。つまり、昔はいなかったところに中大型哺乳類が進出してきているというようなことを結論づけるのは、もうちょっと別の数字の整理の仕方をして確認をした方がいいような気がします。
 そのような分析というのはどこかでやっているのかもしれないんですけれども、きょう見せていただいたこのデータだけでそういう結論をすぐに出してしまうのはちょっと危ないかなというか、もうちょっと検討の余地があるかなというふうに思いましたので、データをもう少し精査して、本当に何が現場で起こっているのかというようなことも、どこかでやっているのかもしれませんけれども、その整理をしていただきたいなと思いました。
 それで、今後、このデータをもとにしてこういう解析をやってみようと思っているとか、あるいは、やったものがあるというようなことがあったら、教えていただければなというふうに思います。

【岩槻委員長】 今、何かすぐに返答されることがありますか。あれば。

【事務局(中澤)】 すみません。今直ちに、ちょっと出てくるものはないんですけれども、この基礎調査の分布図と植生自然度との比較につきましては、哺乳類分布調査を発表した際の私どもの基礎資料として、多様性センターの方でまとめたものです。
 おっしゃるとおり、これがすべてを示しているということではなくて、ご指摘のような地域ごとに見ていくといったようなことも必要ではないかというふうに考えています。

【岩槻委員長】 はい。
 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 資料2を最初に見せていただいて、えっ、こんなにいろんなものが今ふえているのかなというのが、率直な実感なんですけどね。
 それで、これに対応しての県の、各動物別のこの特定計画なんかの策定について、環境省のお立場からごらんになってこういう動向に各県がかなりうまく対応しているというふうにごらんになっておられるのか。それとも、相当尻をたたかないと、なかなかこれは進まないというふうに見るのか。これは予算的な面から見ますと、若干増加しているけれども、こういう動向に必ずしも予算的な措置も対応されていないんじゃないかなという気もするんですけれども。その辺、こういった面での行政をやっておられるお立場から、県なり、あるいは、市町村なりのこういうものに対する、これは定性的なものでいいんですけれども、感じとしては一体どうなっているのかなというのをお伺いしたい。 
 それからもう一つは、これは細かいことなんですが、先ほどのパワーポイントの中で、国の指定鳥獣保護区の新規指定状況です。これが平成14年から急に上がっておりますけど、何か政策的なものなのか。それからまた、今後、これは国として相当指定をしていくとお考えなのか。県の方は面積で表示されていますけれども、ほとんど動いておりませんけれども、そこら辺、政策上どういうお考えに今なっているのか、お伺いできればと思います。

【事務局(中澤)】 1点目の県・市町村のこの分布拡大傾向と整合、どのような感じで動いているのかということでございますが、特定計画の策定状況の分布と、分布メッシュの重ね合わせの、今お手元にもございますけれども、パワーポイントのと重ね合わせてみますと、やはりニホンジカなどでは、多く分布している県ではかなり特定計画が策定されているような傾向が見られると。
 一方で、クマに関して言うと、逆に減っているようなところでの策定の状況が、先ほど速水委員のおっしゃられた紀伊半島についてはまだですけれども、中国地方ではかなり策定されているような状況が見られると。
 また、サルについては、中部地方を中心にして策定されておって、ただしイノシシにつきましては、なかなかその策定が追いついていないような状況があるような、そういった印象を受けております。
 それから、国指定鳥獣保護区の拡大は、ラムサール条約の登録湿地を今、積極的に増加させている状況がございまして、それに対応したようなことで増えているという状況でございます。

【岩槻委員長】 はい。
 法律のお二人だけ、発言がないと思っていたんですけれども。

【磯部委員】 どうしても発言内容が、抽象度が高くなりそうなんですけど、全体にわたってお話を伺って、いろんな問題があることを認識できました。
 最初に局長のお話があって、次の国会で法改正をお考えなわけですけど、今回どのレベルでどの程度の制度改正をお考えなのかも、ちょっと、もう少し具体的に伺えたらと思うんですけれど。
 一般的な話になりますと、きょうはお金の話も出ていましたし、すべての制度がうまくいっているかいっていないか判断する場合に、お金の話と人の話と、法的な権限といいましょうか、司法として仕組みがどうなっているかという、その3側面あろうかと思うんですけれど。
 それで、平成11年の改正のときにそれら全部について、既存の仕組みをかなり、日本全体ですけれども、行政の仕組みが地方分権の方向に変わって、そのとき鳥獣保護法に関してもいろいろな議論があったのを今思い出すのですが、それで本当に地方自治体に権限を渡して大丈夫なのかとか、国のやるべき役割はそれでどうなるのか、その辺の兼ね合いをどうするのかと、当時は――まあ、当時も今もですけれども、地方分権というのは一般論としてはそのとおりであり、進めるべき方角はそちらだろうと思うんですけれど、すべての行政領域について常に分権したら、それは改善であって、必ずいいことがあるとは言い切れないことも確かであって、それは個別領域ごとに最も適正な地域の自主性を侵してはなりませんでしょうけれど、必要な国の役割とか役割分担というものは、個別の行政領域の特性に応じた形で、さらに具体的にアレンジしていくべきものであろうと思います。
 それを考えると、あのときは一気に、まさに地方分権一括法でありまして、わあっと行ったわけですけれど、数年やってみて、鳥獣保護行政、狩猟行政に関して、かなり基本的な、そういう国と都道府県、市町村、それぞれの役割分担のあり方等に関して見直しが必要なんではないか、それはこういう方角、方向ではないかというようなことがもしおありならば、あるような気もするんですが、もうちょっと具体的に議論してみる必要があるだろうと思います。あるいは、基本的な仕組みはまだ、そういじる必要はないのであって、若干の微修正を行えば足りるのかもしれません。ちょっとその辺の感じが、いま一つ、どうせならはっきり伺っておきたいなということで。
 例えば、資料集の別添6というところに、これは特定計画に関しての検討会の報告書の抜粋だと、資料集というんですかね、これ。ホチキスでとめてあるものだと20ページにありますが、都道府県の役割は大事だと。それから、市町村が参画するように市町村の位置づけは大事だ、地域住民の意見の反映が大事だ、住民が参加できるように工夫していく必要があり、かつ、国としてきちんと方針を出しておく必要がある、と。全部そのとおりなんですけれど、これを同時的に、最大限調和的に実現することが難しいわけなので、もうちょっと、次回以降になるのかもしれませんけれど、どの辺をどうしたいのかという話を伺いたいなというふうに思います。そんな話が、印象として1点です。
 もう一点は、ちょっと質問的なんですけれど、法制度をつくっても本当に実効性が確保されるのか。つまり、ちゃんと末端まで執行されているのかという問題が常に残ります。一方で、お金の問題もありますし、人の問題もありますけれど、それも大事なんですけど、やはり違反行為に対してきちんと取り締まるという方の最終段階の実効性の担保といいましょうか、サンクションのところがかなり大事だと思いますが、先ほどパワーポイントのご説明の中で、鳥獣法違反件数がふえたと。それは必ずしも違反の実態を示したものではないとかいうご説明もあり、わかったような、ちょっとわからないような、たまたま、警察庁が張り切ってというか、頑張ったらこうなったというだけのことなのか。もうちょっと鳥獣保護行政と、いわゆる警察との連携協力体制というようなものが、非常に制度的に確保されて、今後は非常に、ある意味では厳しい違反摘発体制というものができていくと考えていいんだろうか。そう簡単じゃないんだろうと思うんですけれども、ちょっとその辺は、もう少し説明していただけたらなと思います。
 それから、これは専ら、学者的好奇心なのですけど、鳥獣保護員じゃなくて、司法警察員という制度があるんですよね、鳥獣保護制度の中には。これはこの行政関係資料集ですと、93ページに解説が載っております。
 これは、ある意味じゃ大変な制度でありまして、鳥獣保護行政の担当者の中から、これは、検察庁、地方検事正との協議が必要なんですけれど、行政の職員のままで、普通の司法警察員、お巡りさんと同じように犯罪を摘発して、刑事手続をやれるという制度なんですけど、この93ページの一番下のところに書いてありますとおり、私、ゼロかと思ったんですが、ゼロじゃないんですね。やはり、送致した件数はあるんです。よっぽどのことだったのかなと思いましたけど、正直言いまして、制度としましては空振りというんでしょうか、機能していないんだろうと思います。
 理論的には非常に、専門性を持った行政職員がそのまま刑事的な摘発ができるわけですから、これほど便利な仕組みはない。警察の力を借りなくてもやれるという大変な制度なんですけど、やっぱりそう簡単なことではないということなんだろうと思います。
 だから、こういう制度をもうちょっとこう、名を実に近づけるのか、どっちにするとか、ちょっとその辺も1つポイントとしてあるのか、この辺どんなふうにお考えなのか、もし伺わせていただければと思います。
 長くなりまして、恐縮です。

【岩槻委員長】 どうぞ、局長。

【南川自然環境局長】 いろいろご指摘ありがとうございます。
 まず全体的に、地方分権の整理の中で、それまで機関委任事務であったものが、原則的に全部、自治事務だということになったわけでございます。
 そういう動きの中で、根本的にそれを今修正するということではないと思います。私もつい最近まで廃棄物行政をやっていましたけども、廃棄物の世界ではかなり様子も違いますし、基本的には地方に自主的にやっていただくということでいいと思っています。ただ、そうはいいましても、実際問題、今議論がありましたように、国指定の鳥獣保護区が増えているということは、これは国際的な要請があるような場合とか、あるいは全国的に見て非常に大事な保護だという場合には、当然、国指定鳥獣保護区が増えていくということが今後予想されるところであります。
 それからもう一つは、やはり地方で、県あるいは市町村でやっていただくにしても、特に広域で動くようなカワウを始めいろいろな問題があるわけですけれども、そういったことについて国の役目は何かと。やはり地域地域に任せるだけじゃなくて、最後は信頼ベースでやっていただくにしても、全体的にどのような形で保護と管理をしていくかという、その広域的観点というのはなくしてはいけないというふうに思います。そういう意味での国の役割はどうするかということは、1つ、今回の議論の大きな要素だというふうに思っております。
 それからもう一つは、やはり非常に狩猟者が減っているという中で、免許制度というのもぜひ議論をいただきたいと思っています。特に実際に必要なのは、今、イノシシとかシカとか考えた場合にわなをどうするかという問題があるわけです。要するに、比較的安全でなおかつお年寄りも扱えるような、わなを中心とした狩猟制度というものをぜひご議論いただきたいというふうに思っております。
 それから、国の役割に少し話をちょっと戻しますけれども、輸出入関係のいろいろな課題もございます。こういったことは、事実上、国が背負うということが必要になってまいりますので、そのあたりについての国の役目というものも、これから私どもも問題点を示しながらお話をさせていただきたいし、議論をいただきたいと思っています。
 あとは、全体的には、警察も、全体的に最近、環境問題について非常に熱心だと思います。たまたま廃棄物をやったものですから、警察庁の局長さんとも頻繁にお会いをしまして、その環境問題と警察の対応ということを議論してまいりました。その中でも、非常に環境問題というのが、時には暴力団との絡みもあるということもあって、例えば環境部局という中に、今、主に廃棄物の観点ですけれども、警察から出向している方も多うございます。そういう中で、当然ながら同じ部局にある場合が多いものですから、鳥に絡む暴力団の問題なんかもいろいろご指摘をいただいているというように聞いていまして、私は別に、廃棄物にとどまらず、やはり法律がある以上、制度をつくる以上は守っていただくということは前提ですから、ぜひ警察との連携は深めていきたいと思います。
 ただ、残念ながら、その司法警察員の話についてはなかなか難しくて、廃棄物のときにもいろいろ考えたんですけれども、考えただけに終わってしまいました。こういうものは、時々はやりがあるものですから、制度の並びでできるときにわっと広がって、制度ができたけれども、あと動くかどうかは物によりけりで、よくわからないというところがあります。そういう意味では、磯部先生がおっしゃったように、制度はつくったけれども、事実上、今、空振りになっているというのが現状かと思います。どうするのか、これからよく我々も検討はしたいと思っております。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。
 きょうはフリーディスカッションなので、私もまとめという形ではなくて、個人の立場で、一委員の立場で幾つかコメントさせていただきたいことがあるんですけれども。
 今、最後のところで話題になっていたことがまさにそれなんですが、最近の鳥獣行政の中でやはりポイントは、地方分権でどう変化してきて、何が問題になっているかということ、今度の改正にもそのことがかかわってくるかと思うんですけれども、地方分権ということに対して、鳥獣行政とか自然保護行政に関しては非常に危惧の発言が前の審議会でもあったように記憶しているんですけれども。
 具体的にそういうふうに動き始めたときに、そうしたらそれで一体何が生じて何ができなくなってきたのか、それから、よりスムーズに進むようになってきたのはどういうことかというようなことを、やっぱり整理していただければいいと思うんですよ。きょうは、恐らく1回目ということで、ジェネラルなことで、ほとんど解析なしで、データだけ、生のデータをそのままお示しいただいたということで、この次以後に期待したいと思うんですけれども。
 特に議論がありましたように、佐々木委員からもおっしゃった、地方での経費の問題。これ、多分、環境部門だけの経費をお集めになっているのだと思うんですけれども、鳥獣行政でいいますと、私も近ごろ、地方にもちょっとコミットするようになって実感するんですけれども、やはり農林部門の方が大きい部門を占めている。そういうところの情勢を把握していないと、国としてどう対応できるかということは、やっぱり十分理解できないと思いますので、環境省だから環境部局だけとおっしゃらずに、やはり全貌というのを把握された上で、その問題点を整理していっていただけたらというふうに思います。
 特に、地方とのかかわりの上で、これも今、磯部委員からもご指摘があったことですけれども、特定鳥獣保護管理計画のこれの集計ですけれども、アンケートをまとめたというだけではなくて、その他三浦委員からも幾つかご指摘がありましたけれども、そこのその実情というのをもう少し詰めていただいて、各地域での連携を図ろうとして何ができないのかとか、そういう問題点を整理した上でそれにどう対応するかという議論を呼びかけていただけたら、ここの委員会の議論もより活発になるんじゃないかと思いますし、一番最初のデータにしましても、まとめられたデータの生の報告ではなくて、これも石井委員からもご指摘があったことなんですけれども、ぜひ評価をある程度やっていただいて、その評価には、それはいろいろと問題が出てくると思うんですけれども、そういう問題をこういうところで多少議論を詰めていただければ、実りのある議論になるんじゃないかというふうに思います。
 それから、きょう、佐々木委員がそのことについては触れられなかった、三浦委員だけがおっしゃったんですけど、狩猟者がどんどん減っている問題ですよね。狩猟に対する期待をするということをおっしゃりながら、減っているという現実だけを挙げられているんですけれども、やっぱりそれなら、減っているのはなぜかという問題を解析して、それに本当に対応できるのかどうか。対応できないのならもうあきらめるよりしょうがないということでしょうし、対応することが何かあるとすれば、それはどう対応していくかということを考えないと、期待しているというだけでは、余り行政的にはプラスにならないのではないかと思いますので、そういうことを含めて次回以後にご提起いただければというふうに思います。

【佐々木委員】 ちょっといいですか。

【岩槻委員長】 はい。
 佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 部会長からご指摘をいただきました日本の狩猟文化というのは、もともとは、ヨーロッパと違って農村文化と一緒に狩猟文化が発展したと、こういうように思うんですね。やはり、農林文化と言ったらいいでしょうか。
 そういう中で、やはり農林業が衰退をしつつ、並行をして、やはり狩猟も減ってきたということなんですね。そういうことがありますけれども、我々猟友会、組織として、やっぱりなぜ減っていくのかと、若い人たちに目を向けてもらえないのかということで、いろんな若い人の意見も聞いたり。
 確かに、銃に対する興味とかって、若い世代は特にあるんですね。ただ、それが変な方向にいって、モデルガンをああいうふうな格好をしたりする部分がありまして大変恐縮なんですが、銃を持ちたい、銃で撃ってみたいという要望というのは、全国で2,000万人ぐらいいると言われております。
 それをどういうふうに今度は、そっちの方じゃなくて、本当にどうやったらいいのかと。例えば、我々若い世代を連れて外国に行って、狩猟を体験する。そうしますと、大体8割ぐらいの人はやります。例えば済州島に行って、これやってみてくれと。そうすると、あそこはすぐやらせますから、素人でやれます。ちゃんとそこで撃って、そうすると大変な興味を持つんです。そうやって、その人が大体8割ぐらい試験を受けて狩猟者になる。クレー射撃もやるんです。
 それと、やっぱり今一番問題なのは、事故の問題、今指摘がありました。事故が多いということで、やはり若い世代が鉄砲をやろうと思っても、ご両親が反対したり、兄弟が反対したり、職場が反対したり、やはり鉄砲は危ないんだというようなことがございます。そういったことで、我々はもう、本当に事故防止というのは命題でございますので、射撃砲訓練を全員にやらせておりますし、15万人全員にやらせるというようなことも含めて、事故防止に最善を尽くすことが、また、会員の増加にもなるのかなと思います。
 それと、もう一つ、これは我々組織として国の方にお願いをして、税制の改正を行いました。今の登録税等々、それを1つにして目的税、今までは一般税だったんですが、目的税として狩猟税ということにしたわけです。そして、極力、後継者育成のために使っていただけるような、例えば試験のいろんな、日曜日にやっていただくとか、あるいは、いろんなことを、今、県の方に要望、環境省からも通達をしていただいているんですが、なかなか県の方で、今まで一般会計に一部入っていますので、それを直そうとする気が、全然ありません。ですから、その辺も、我々は何としても指導をしていただいて、国が地方自治体の方が、都道府県が、やはりこういう税金に変わったんだと、こういうふうに使わなければならないんだというような、そういう環境をつくることも我々の使命かなと思いますし、また環境省にもお願いしたいものだというふうに思っております。
 今試験を受けるだけでも20万ぐらいかかりますから、そのほかに鉄砲ですからね。やっぱり若い世代は、なかなかそれだけのお金を出すというのは大変なことなんですね。ですから、少しでも安く、我々も補助金を出してやっていますけれども、その辺も含めて、まだまだいっぱい問題点があります。釣りと狩猟とのセットのアウトドアの組織にすることもいいのかなと思ったり、いろんなことを考えております。また、皆さんからのご意見をいただければ、ぜひそれを参考にして、会員の獲得のために努力をしたいと思います。
 ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 大体時間が近づいてきたんですけれども、きょうはジェネラルなということで、問題意識をどういう広がりがあるかということが共有できたら、きょうの委員会はそれなりに実りがあったということかと思うんですけれども、具体的な問題については、第2回以後でまた突き詰めた議論をやっていただけるということかと思います。
 大塚委員だけ発言がなかったので、最後にどうぞ。

【大塚委員】 先ほど磯部委員に非常に大きなパースペクティブからの鋭い指摘をしていただきましたが、1点気になっているのは、モニタリングの話はこのパワーポイントの中でもあちこちに出てきていると思いますし、それから、この野生鳥獣保護管理検討会の報告書の中でも出てきていたと思いますが、いわゆる公害の分野については、例のガイドラインを今年策定されたと思いますが、自然関係とかこの鳥獣保護関係では、自治体が三位一体改革等を踏まえて、必ずしもモニタリングが十分にできなくなっていく可能性がありますけれども、その点については何か対処することはお考えになっておられるのでしょうか。ちょっとお伺いしておきたいんですが。

【岩槻委員長】 今。お答えいただけますか。

【事務局(鳥居)】 予算的な支援というのは三位一体改革でなかなか厳しい部分があるかと思うんですけれども、できるだけ技術的なところでの助言といいますか、支援といいますか、ということについて引き続き、都道府県の担当者の方々を交えた研修会というのを開いております。先ほどちょっと説明があったと思いますけれども、これまで延べ約500人以上を超える都道府県の方々が研修会にも参加されているということがありますので、私どもの方としては、そういうところの研修会の機会を通じて技術的な支援ということでやっていきたいというふうに思っています。

【大塚委員】 ガイドラインのようなものを何かおつくりになるということはないのですか。

【事務局(中澤)】 マニュアルを作成しておりまして、その中にモニタリング指標などについても書いてあります。

【大塚委員】 わかりました。

【岩槻委員長】 この種の問題も今日で終わりにしないで、次回以降にまた議論をする機会もあると思いますので、そういう問題点のご指摘というふうにお伺いしたいと思います。
 それでは、2つ目の議題を終わりにさせていただきまして、3つ目にその他とあるんですけれども、その他は事務局から何かございますでしょうか。

【司会】 はい。ご説明させていただきます。
 資料1に、検討スケジュールの中にございますが、来週10月25日に現地調査を予定しております。参加予定の方には、後日、行程等をご案内させていただきますので、よろしくお願します。
 以上です。

【岩槻委員長】 それでは、そういうことで、ちょうど時間になりましたので、今日の1回目の委員会をこれで終わりにさせていただきたいと思います。

 どうも、各委員からご発言いただきまして、ありがとうございました。