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中央環境審議会 野生生物部会
外来生物対策小委員会(平成24年度第4回)会議録


   
  1. 日時 平成24年11月14日(水)15:00~17:30

  2. 場所 三田共用会議所 3階 大会議室

  3. 出席者
    (小委員長)石井 信夫
    (委員・臨時委員) 石井   実  磯部   力  
      五箇 公一  山岸   哲  
    (専門委員) 今泉 光幸  太田 英利  
      大矢 秀臣  岡   敏弘  
      北田 修一  中井 克樹  
      細谷 和海    
    (環境省) 伊藤自然環境局長
    星野審議官
    上河原総務課長
    中島野生生物課長
    堀内鳥獣保護管理企画官
    関根外来生物対策室長
    東岡外来生物対策室長補佐
    水﨑移入生物対策係長
    谷垣外来生物対策係長
    (農林水産省) 大友地球環境対策室長
    堀川園芸作物課長補佐

              
  4. 議事

    【水崎移入生物対策係長】 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会平成24年度第4回外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     本日の出席者数でございますが、委員及び臨時委員7名中6名の出席であり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項において準用する中央環境審議会令第7条により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、小林委員、岡三徳委員、岡島委員につきましては、本日、都合により欠席との連絡を受けております。
     また、平成16年6月8日、野生生物部会決定「外来生物対策小委員会の運営方針について」に基づき、本会議は一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。
     議事録につきましても、委員の皆様にご確認いただいた上で、公開となりますのでご承知おきください。
     続けて、事務局よりお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
     議事次第、裏面に資料一覧がございます。続きまして、座席表、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、以上になります。
     もし資料に不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
     なお、報道の方の撮影はここまでとさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
     それでは、議事進行を石井小委員長にお願いいたします。

    【石井(信)小委員長】 今日で最後になりますけれども、引き続きよろしくお願いします。
     それでは、早速本日の議事に入りたいと思います。前回までの小委員会で取りまとめた「外来生物法の施行状況を踏まえた今後講ずべき措置」について、パブリックコメントの結果が出ましたので、その内容を踏まえて本日小委員会として最終的な報告書の取りまとめを行いたいと考えております。
     なお、本日はいただいたご意見を踏まえ、できるだけご意見を集約させていただきたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いいたします。
     それでは、まず今回取りまとめる報告書の今後の取り扱いについて、資料1について事務局から説明をお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 それでは、資料1をご覧いただければと思います。
     2の検討のスケジュールのところでございます。6月以降、3回にわたる小委員会でご検討いただきまして、委員長からもございましたようにパブリックコメントを実施いたしまして、今回、4回目の小委員会ということでございます。本日、取りまとめをお願いしたいと考えております。取りまとめについてご了承いただくということが前提でございますが、小委員会のご検討の後は、この一番下にございますように、12月13日に野生生物部会が予定されておりまして、ここでこれまでの小委員会での検討結果を報告させていただいて、ご議論いただいた上で野生生物部会として最終的な取りまとめをお願いしたいと考えております。
     今回の外来生物法の施行5年後の検討は、この野生生物部会での取りまとめをもちまして完了ということになるわけでございますけれども、事務局といたしましては、小委員会及び野生生物部会で取りまとめていただきました事項につきまして、関係省庁とも連携して着実に実施するよう取り組んでまいりたいと考えております。
     説明は以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今のご説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。
     特によろしいでしょうか。
     それでは、次に移りたいと思います。パブリックコメントで寄せられた意見の要旨、それに対する考え方、それから、これらを踏まえた報告書案の修正等について事務局が整理をしてくれていますので、その説明を資料2-1、2―2、それから資料3を使って説明していただきます。よろしくお願いします。

    【谷垣外来生物対策係長】 それでは、座って失礼させていただきます。
     資料2-1についてはパブリックコメントの実施結果の概要をお示ししております。資料2-2にはいただいたご意見、その意見の理由、それから、その左にページ、行数を振ってありますけれども、これはパブリックコメント版にご意見でご指定いただいた箇所をお示ししております。表の右側の「対応案」というところで、ご意見に対する小委員会からのご回答という形で記述を整理させていただいております。右の修文の有無ということについては、資料3の本文のほうに修正をしたものについては丸印をつけております。その右にさらに意見数とありますものについては、意見、その理由も全く同じご意見を複数の個別の方からいただいているケースがありますので、そうした意見についてはここに意見数、何件あったかということでお示しさせていただいております。
     資料3については、パブリックコメント版に対しての修正ということで、赤字で修正箇所、変更点をお示ししております。
     まず、資料2-1についてご説明差し上げます。
     パブリックコメントについては、9月18日から10月18日までの1カ月間実施いたしました。個人が83名、団体は2団体、延べ85の主体からご意見をいただきました。延べのご意見の件数は207件でございました。このうち、重複箇所またはほとんど内容が同じようなご意見もありましたけれども、延べ44件のご意見について修正の対応をさせていただいております。
     テーマ別の意見件数ということで、(1)として、報告書の個別の箇所をご指定いただいてお寄せいただいた意見について、報告書の該当箇所別にまとめております。特に多かったところですけれども、「2.外来種対策をめぐる現状と課題」の中では、(1)特定外来生物の指定に関する現状と課題、例えば資料2-2の4番のご意見のような、オオクチバスの指定解除、オオクチバスがもう日本に輸入されてから80年以上が経過されており、我が国に自然分布域の中に取り込まれていると考えているのが適切であるとか、10番のような、経済効果も高いため適切な管理のもとで利用するべきである、というようなご意見をいただいております。こういったものについては、「外来種の影響により地域固有の生態系が改変されることが我が国の生物多様性を保全する上で重大な問題であると考えております。」ということで、引き続き対策を実施していくことの必要性をご回答させていただいているという状況でございます。
     それから、「(7)各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題」についても多くご意見をいただきましたけれども、例えば資料2-2の64番のご意見のような、水族館、動物園、植物園等において連携して外来種対策を図っていくべきである、もしくは外来種を殺さずに生かすという選択をすることも必要ではないかというご意見をいただいています。回答としては、「外来種の防除については、侵略性をかんがみ、生態系に係る被害を防止するためにも必要と考えています。そのすべての防除個体を生かして飼養とすることはなかなか難しいことではありますが、人間活動によって外来種問題が起こっていることも含めて、ご指摘のように動物園、水族館等とも連携し、普及啓発を実施していくことが必要と考えております」というふうにしているところでございます。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置」の部分で特にご指摘いただいた部分について、「(2)飼養等許可の適切な執行管理の推進」というところで、例えば85番のようなご意見―これはまた後で修文箇所の中でご説明も差し上げたいと思いますが―現在、特定外来生物を野外に放出することは規制されていますけれども、防除を目的とした野外への放出について許可制度というようなものを検討するということに対して、被害が新しく出てくる可能性があるので、こういった放出許可というのは認めるべきではないのではないか、慎重に考えるべきではないかというご意見をいただいておりますので、説明を追加した上で修文をするというようなことを考えております。詳細については、また後ほど資料3と一緒にご説明差し上げたいと思っております。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき措置」の中でまたご意見の多かった部分については、「(4)国による防除の推進及び地方公共団体等の防除に係る確認・認定の推進」という中で、例えばヤギ等の家畜、イヌ、ネコの管理といったものも保全上重要な地域では一体となって進めていくべきであるということについて、例えば102番のような、管理の中に殺処分というものが入る可能性をゼロにしていただきたいというようなご意見がございましたので、「駆除・殺処分がまずありきということではなくて、飼養等において適切な管理を行うことが前提として必要と考えております。あわせて野外に定着し、生態系等に被害を及ぼしている場合には適切な対策が必要と考えております」という回答をさせていただいております。
     一方でまた、こういったイヌ、ネコ等だけではなくて、さまざまな観賞魚等の管理も必要ではないかという105番のようなご意見もいただいておりまして、こうしたものも含めて考えていきたいと対応案を書かせていただいているところでございます。
     資料2-1の2の(2)のところで、個別に箇所をご指定いただかないでご意見いただいたものについては、概ねご意見の内容によって分類をさせていただいております。特に件数が多かったものについては、外来生物の輸入・販売等の規制強化に関するご意見ということで、例えば155番のご意見のような、在来種以外の生物の輸出入をすべて規制するべきであるというようなご意見もいただいております。これに対しては、「外来種にも侵害性が低く有用性の高いものや生活に密着しているものも多いことから、我が国の生態系等に係る被害を及ぼすまたはそのおそれがあるものを外来生物法に基づき、特定外来生物として規制をしていくということが必要と考えております。さらに、その法規制の対象とならないものでも侵略的な外来種については、導入・定着を未然に防ぎ、適切な管理を行うよう呼びかけており、引き続きこれに努めていくべき」というような回答をさせていただきたいと考えております。
     件数も多いですので、あとは修文箇所に絞って、資料3とあわせてご説明したいと思います。
     資料3については、表記ですとか語順、事実関係の修正、それからパブリックコメントでも用語がちょっとわかりづらいというようなご指摘もいただきましたので、そういったわかりやすくするという趣旨も踏まえて、細かい修正もございますが、大きく内容に係る変更をしている部分を中心にご説明を差し上げます。
     まず3ページで、12行目、13行目について、防除の効果が不十分であったりする防除事業もあると、目標が明確でないといったような記述をさせていただいていましたけれども、どういった点が明確でないのかという具体例がわかりづらいということもいただきましたので、防除に当たり、地域的に根絶を目指すのか、あるいはどの程度まで影響の低減を目指すのかなどの具体的な目標や計画が明確でないというような例示をさせていただいております。
     それから16行目、今後解決すべき多くの課題として、これまで効果的な普及啓発といったような記述がなかったんですけれども、例えばご意見の6番、基本認識が正しく共有されないことが外来種問題が解決しない要因であるというようなご意見であるとか、14番のご意見、基本認識にこうした普及啓発が課題としてあるというようなことを記載すべきであるというようなご意見がありましたので、ここに効果的な普及啓発というものを入れさせていただいております。
     続きまして4ページ、3行目から7行目について、これは15番のご意見になりますけれども、生物多様性基本法について、個別法も束ねる基本法としての位置づけをきちんと書くべきだというご意見をいただきましたので、そういった記述、説明を追加しているとともに、同法では我が国の生物多様性の保全と持続可能な利用についての基本原則が定められたほか、生物多様性国家戦略の策定が国に義務づけられたというような内容を補足させていただいております。
     次のページにいきまして、5ページ、33行目以下。ご意見としては32番のご意見になります。ご意見の中で、京都などでこうしたチュウゴクオオサンショウウオと在来のオオサンショウウオの交雑の事例があるというご指摘をいただきましたので、交雑の一つの事例として、ここに人為的に持ち込まれ放棄されたチュウゴクオオサンショウウオが河川に定着し、交雑個体が多数確認されている事例があるといった記載をさせていただいております。
     次、6ページ、飼養等許可の現状と課題の中で、23行目、24行目で「外来生物法の違反による検挙件数は減少傾向にあり、法規制について一定の理解が進んだ可能性がある」と記述をさせていただいておりましたが、ご意見の中でも検挙件数が減ったことが理解の進んだことを示すのではないのではないかというご意見もありましたので、検挙件数が減ったという事実のみの記載とさせていただいております。
     それから、7ページの15行目から17行目、この中では輸入時に非意図的に特定外来生物が輸入品に付着、混入していることが確認された場合の消毒等の具体的ガイドラインが整備されていないという問題、消毒や廃棄を実施させる法的な権限が不明確であるということを書いていたんですけれども、より適切な表現としては、確実に取り除くための手段が法的に位置づけられていないということが問題であるという認識をここで明確にした修正をさせていただいております。
     続きまして、8ページ、防除の現状と課題の中で、27行目から29行目に早期防除により防除コストが削減されることの周知や地方公共団体が連携して広域防除を行うための体制構築の促進に対する国の取組が不足していることなどから、地方公共団体が侵入初期の早期防除に取り組む場合は少なくということで文章を追加させていただいております。これについては、48番のご意見、具体的防除主体である国という観点がこの中では薄いため、国として地方公共団体等に働きかけることや周知をするという取組が不足しているという現状をきちんと記載しておくべきではないかという趣旨のご意見をいただきましたので、こうした修正をさせていただいております。
     続きまして、9ページ、国内由来の外来種に関する記述ですけれども、生物の移動について、これまで科学的な知見が十分に得られていない場合が多く、そのため、生きた生物の移動に関する考え方の整理や普及啓発がなされておらず、対策も進展していないと修正をさせていただきました。これについては、51番のご意見、個人の観賞用の生物を含む生物の移動、放出が効果的に規制をされていないというご指摘もありましたので、そうした考え方の整理や普及啓発がされていないことが問題であるというふうな記載をさせていただいているところです。
     10ページにいきまして、各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題の中で、27行目から29行目、特に命を大切にする道徳教育や環境教育が行われている中で、外来種問題に係る正しい理解が十分に得られていない状況があることから、地域固有の生物多様性を保全するために、外来種対策が重要であることについて、理解の促進を図ることが必要となっている、と記載しました。もともとの文章ですと、命を大切にする中でこうした理解の促進を図ることが必要となっている、と意味がわかりづらいというご指摘がございましたので、きちんと問題として正しい理解が得られていないということを記載させていただいております。
     それから、下にいきまして33行目から36行目、動植物園の取組について、これまで外来種対策への協力が限定的であるという記載をさせていただいておりましたが、55番のご意見で、動物園、水族館等でも展示や外来種の普及啓発や生物の取り扱いに対する一般の方からの問い合わせへの対応などもあり、取り組んでいるところは少なくないため、こうした記載は不適切ではないかというご指摘をいただきましたので、外来種問題に係る展示や一般利用者に向けた勉強会等の普及啓発に係る活動が行われているが、今後種の同定や防除手法への助言等について、より一層の協力が期待されるということで、今後のより一層の協力を求めるというような記載にさせていただいております。
     それから、少しページが後ろにいきまして、今後講ずべき必要な措置の中の12ページ、「特定外来生物の効果的な選定」の中になりますけれども、11行目から13行目に交雑個体について、適切な飼養等の規制と防除が実施されるよう、法的な位置づけを整理するとともに、実効的な規制の仕組みや監視体制を検討する必要があるとしています。これについては、前までの案ですと、中期的に講ずべき措置のほうにこの交雑個体に関する法的な位置づけの整理を記載させていただいていたんですが、早急に対応すべき課題ということもありますので、短期的に講ずべき措置のほうに内容を移させていただくとともに、82番のご意見で、この措置の目的を明記すべきというご意見もいただいておりますので、適切な飼養等の規制と防除が実施されるようというところを追加させていただいております。
     それから、21行目から24行目ですけれども、これは何件か、例えばミシシッピアカミミガメですとか大量に飼育されている生物について、被害が軽視できないものになっていますので、きちんと規制をするとか防除するといったことも必要ではないかというご意見をいただいておりますので、我が国の生態系等に大きな影響を思しているにもかかわらず、飼養等を規制することによって大量に遺棄される等の弊害が想定される外来生物については、弊害が生じないよう段階的な規制の導入などの経過措置を講じた上で、特定外来生物に指定することを検討すべきであるとしています。例えば、まずは輸入、販売を止めた上で、時間を置いて飼養等の規制をするというような仕組みが一つ考えられるのではないかというような内容をここに追加させていただいております。
     続きまして、13ページ、7行目から10行目に学術研究や防除を目的とした特定外来生物の野外への放出について、これも中期的な講ずべき措置から短期的措置に移すとともに、先ほど概要の中でもご説明しましたけれども、複数のご意見の中で、野外に放出することを認めることで、新たな生態系への被害が出て駆除対象になるということがわかっているのに放出を認めるべきではないとか、どういった規制の内容になるのかイメージが湧かないといったようなご意見もいただきましたので、言葉を補って、防除の推進に資することを目的とし、新たに被害を発生しない範囲内で許可できる制度にすること等を検討すべきであるというように説明をつけさせていただいております。
     それから、13ページの24行目から28行目につきましても、これも輸入品に特定外来生物が付着しているケースについて対応できないということがあるのは問題ですので、早急に対応すべきということで、中期的措置から短期的措置のほうに移させていただいております。
     それから、32行目から34行目について、特定外来生物等が輸入できる港及び飛行場について、現在、法律で指定がされていますけれども、利用者に著しい不利益を与えている場合には追加指定を検討すべきであるという書き方をさせていただいておりました。パブリックコメントのご意見の中でどういったケースなのか、その不利益を与えているというのがどういうケースなのかわかりづらいというご意見もいただきましたので、物品の輸入が大量に滞る場合など必要に応じて指定の見直しをするという記載にさせていただいております。
     続きまして、14ページ、防除に係る今後の講ずべき措置ですけれども、29行目から31行目、これについては19番のご意見、防除が進んで個体数が減少してきた際に、費用対効果が上がらないということで、予算が削減されることがあるため、必要な予算を確保して根絶を完了するということが必要であるということを記載すべきというご意見をいただきましたので、特に根絶の実現性、生態系の保全効果、低密度管理とのコスト比較等も踏まえ、根絶が望ましいと判断される場合は、根絶間近で捕獲数当たりのコストが増加しても、根絶に至るまでの防除の予算を継続的に確保する必要があるというふうに記載させていただいております。
     それから、34行目、35行目については、少し飛びますが、98番のご意見の中で地方環境事務所が―環境省の出先機関ですけれども―地域の地方公共団体等をリードして防除等の取組を進めていく必要があるということを書き込むべきというご意見をいただきましたので、国がその地方公共団体における外来種対策を促進する際に、この各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要であるというふうに記載をさせていただいております。
     それから、15ページ、21行目ですけれども、これまで防除に当たっては生態系管理の一環として、国立公園等の管理等と連動させてというふうに記載させていただいておりましたが、駆除先行でなく、固有種の住みやすい環境を整備すべきであるとか、希少種の保全と連動している場合もあるのではないかというようなご意見もいただいておりますので、希少種の保全等とも連動させてという記述にさせていただいております。
     続きまして、16ページ、「各主体の協力と参画、普及啓発の促進」の中で、15行目以下。いくつかのご意見を踏まえてこういった修正をさせていただいておりますが、例えば59番のご意見、生物多様性、地域戦略やその地域の生態系保全の計画を基本として駆除の必要性を示すべきであるというご意見や、60番のご意見、外来種によって失われる在来種があることや新たな外来種をつくり出さないということが普及啓発では必要ではないかというご意見、それから113番のご意見、防除にいかに経費、労力が必要かの情報共有や新たな外来種を生み出さない予防的な観点を広げる必要があるのではないかといったご意見を受けて、「外来種問題については国民の理解が十分に進んでいない側面もあることから、地域固有の生態系の状況や生物多様性を保全する地域の計画も踏まえ、生物多様性の意義やその保全の重要性、生物多様性に悪影響を及ぼす要因としての外来種問題の位置づけ及び防除を行うことの必要性などに関する普及啓発を促進する。さらに外来種対策について最新の取組や知見の積極的な公開を行うとともに、外来種問題と社会・文化の関わり、定着した外来種の防除等の対策に係るコストの大きさ、また、新たに問題となる外来種を生み出さないことの必要性などについて、わかりやすく説明を行い、普及啓発を推進する必要がある」というふうに記載をさせていただきました。
     その下の丸ですが、外来種問題に関する普及啓発については、対照となる主体と目的を明確にし、さまざまな機会・媒体を通じて戦略的に実施していくことが必要であるとさせていただいています。これについては111番のご意見ですけれども、外来種問題の普及啓発については、教育を徹底して行うということを明記すべきである、それから、あらゆる媒体を通じてこうした取組を推進していくべきであるというご意見をいただきました。教育については、その後段のほうで書いてあるんですけれども、さまざまな機会・媒体を通じてということをこの中で記載させていただきました。
     16ページの31行目以下については、例えば少し戻りますが、66番のご意見などで生物多様性地域戦略について、その中で外来種対策を盛り込んでいくべきではないかということを書くべきであるというご意見をいただきましたので、外来種対策に関する各主体の行動指針を明らかにした外来種被害防止行動計画の策定も通じて、民間団体や市民による活動参加を促進する必要があるとした中で、こうした取組により都道府県や市町村が生物多様性地域戦略を定める場合に、必要に応じて外来種対策の取組が明記され、各地域の生物多様性の保全を目的とした防除等が推進されることが期待されるという一文を追加させていただいております。
     それから、17ページの中でいくつかこれまで動物園、水族館、植物園等とのパートナーシップをつくるべきである、連携を深めるべきであるといったご意見も複数ありましたので、外来種問題の理解を深めるよう、水族館、動物園、植物園等も含め、多様な主体と連携して推進していくべきであるというふうにこの中で記載をさせていただいております。
     主な内容については以上になりますが、以下、参考の中で少し用語の説明が不足しているというようなご指摘もいただいておりました侵略的外来種であるとか特定外来生物に関する用語のご説明ですとか、そういったことをつけ加えさせていただいているという状況でございます。
     こちらからは以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今説明していただいた内容について議論、ご質問、ご意見をお伺いしたいのですが、主要には資料3のこの委員会の報告書案について議論したいと思います。
     それで、その前に資料2-1と2-2について何かご質問等あればお願いしたいと思います。その後で資料3を項目順に議論していきたいと思います。
     特によろしいですか。

    【中井委員】 資料2-2は今日、初めて見せていただくものということでよろしいですね。あまりに量が膨大なので、質問が何かあるかと問われてもすぐには確認がしきれないのですが、例えば対応案でこうしたほうがいいのではないかというのが後から出てきた場合は、またお知らせすればよろしいのでしょうか。あるいはもうこれで、この会議で通り過ぎたら了承したということになるのか、その辺りはどう判断すればよろしいでしょうか。

    【関根外来生物対策係長】 ちょっと量が膨大でございますし、この場ですべてご議論ということも無理かと思いますので、この委員会の後、1週間ぐらいのうちにもしお気づきの点があればお寄せいただければというふうに、また別途ご連絡も差し上げたいと思います。

    【中井委員】 ありがとうございます。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
     そしたら、資料3についてご質問、ご意見、それから議論をしていただきたいと思います。
     まず、資料3の1の「はじめに」と、それから2の(1)特定外来生物の選定に関する現状と課題及びそれを踏まえた3の(1)の特定外来生物の効果的な選定という部分についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。現状と課題の分析があって、必要な措置というのが後ろにまとまっているのでちょっと見にくいのですけれども、両方あわせてご質問、ご意見、お願いしたいと思います。

    【中井委員】 まず、用語のことでお伺いしたいことがあります。2ページ目の9行目で「野生化する」という言葉が出ていますね。これは後のほうでも一、二カ所多分出てくると思いますが、これと、「定着する」という言葉と両方出てきていますが、それらはきちんと使い分けておられるのかどうか、ということが1点。
     もう一点が、3ページ目の27行目に自然公園法あるいは自然環境保全法で動植物放出等というところで、「放出」という言葉は、これは外来生物法のところでも放出という言葉が今回使われているのですが、今までにも普通に使われていた言葉でしょうか。以前は、たしか放逐という言葉が使われていたような気がしますが、要は法律の文面では「放つこと」とされている行為ですよね。これを「放出」という言葉で表現していいのかどうかという点のご確認をまずしたいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 すみません、野生化と定着につきましては、こちらでもきちんと使い分けができていなかったと思います。基本的には同意義で使っておりましたので、どちらかに統一したいと思います。

    【中井委員】 その場合は、定着のほうがおそらくいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい、わかりました。自然公園法の放出なんですけれども、法律的には放つことという形で書いていて、以前、畜産を放つことの届け出制があったときに放牧という言葉を使っていたと思うんですが、現在、放つことに統一されていますので、そういった観点で放出という言葉を今回使わせていただいております。

    【中井委員】 意味がわからなくはないのでいいのですが、普通、日常で使う「放出」の意味とはちょっと違ったような語感があります。法律では普通に使われるということであれば、別に構わないんですけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それであれば、動植物を放つことなどという形で修正させていただければと思います。

    【中井委員】 お任せしますけれども、ちょっと違和感があったもので確認しました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【岡(敏)委員】 今後講ずべき措置についてもいいですか。

    【石井(信)小委員長】 はい。

    【岡(敏)委員】 12ページの4行目に代替種の開発状況などという例示がされているんですが、同じページの(2)のほうになりますけれども、35行目から代替種の開発が必ずしも有効でない場合があるという問題を書いてあるので、特に社会経済影響を考慮することの例示として代替種の開発状況というのを特に挙げるのは、あまりよくないんじゃないかと思います。
     それで、もし何か例示を挙げるとしたら、代替物の利用可能性などというふうにしておいたらどうかなと思います。というのは、被害防止の基本方針の中にそういう言葉があったので、特にこれを今回代替種の開発というふうに変える必要はないんじゃないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で修文をしたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【五箇委員】 戻りまして2ページですね。先ほど中井さんから指摘がありましたけれども、野生化を定着に置きかえるということですが、定着だけじゃなくて、問題となるのはその後、分布・拡大するということも含めてとありますので、定着及び分布・拡大というふうに置きかえたほうがよろしいのではないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい。ご意見のとおり直したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。特定外来生物の選定に関する部分ですね。

    【中井委員】 私、ちょっと3回目を休んでいたもので、いろいろと指摘が続いて申し訳ないのですが、5ページの15行目から19行目の文章のつながりです。修文されたためだと思うのですが、それより前から読んでくると、つながりが悪いような気がします。恐らくは、まず植物全体として(特定外来生物として)指定(された)種がかなり少ないということも言っておかなきゃいけないし、さらに未判定(外来生物)についてはほとんど指定されていないという、二重の意味で植物は指定が進んでいないことがわかるような書きぶりにしたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
     これだと特定(外来生物)の指定はそこそこやっているけれども、未判定(外来生物)の指定が少ないと読めますよね。実際は、植物そのものの特定外来の指定が少ないことも指摘されていたと思いますので、多分修文前だとそのニュアンスが残っていると思うのですが、修文された後、その辺が消えてしまっていると思うので、表現をご検討いただけたらと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この修文は前回、小林先生から指定種が少ないことが問題ではないんだというようなご指摘がございましたので、12種植物については指定されているんですが、未判定については指定が進んでいない、それは同属で危険性がある可能性があるにもかかわらず2種しか指定されていないという意味合いで修文させていただきました。

    【中井委員】 といいますと、12種そのものも少ないということですよね。それはいいのですか。その指摘はなかったのですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 小林先生のご指摘というのは、12種が少ないという評価は科学的に評価すべきであって、多い、少ないは問題ではないのではないかと。ここの趣旨としては、12種指定されている中で同属のものは生態系影響の可能性があるにもかかわらず、未判定が指定されていないということについての問題を記述させていただいています。

    【中井委員】 あと、5ページの36行目からの段落ですが、「特定外来生物に指定されていないが」とありますが、それ以前に、まず要注意外来生物にも選ばれていないものがこうやって新たに出てきている、という形で加えていただいたほうがいいと思います。あとは、例えばスパルティナ・アルテルニフロラ、ヒガタアシですね。これについては和名のヒガタアシがどこまで通用するのか知りませんが、すでに報道でも使われていますので、括弧づけで補っていただくことと、特定外来生物でスパルティナ属(スパルティナ・アングリカ)がありましたよね。同属種は既に特定外来生物に入っているのに、こっちは入っていなかったという状況であることを示してほしいと思います。まさにさっき指摘したように植物では未判定外来生物が指定されていないということなのかもしれませんが、その例としてわかるような表現をして、だからこそ未判定外来生物を整備すべきである、あるいはだからこそ特定外来生物の指定は属レベルであるべきだという意味でのいい例だと思いますので、その辺りの工夫はあったほうがいいと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で文章を検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 今のところで、5ページの15から19行目ですか。そこのところはどんなふうに整理しましょうか。今の議論だと、ここはこのままでもいいのかなという感じもあったんですが。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 前回の小林先生の趣旨とすれば、原案でいかせていただければと思っております。

    【関根外来生物対策室長】 植物の特定外来生物の指定が少ないんじゃないかというご意見もあるということは承知をしておるんですけれども、その問題につきましては、この報告書の中にも出てまいります仮称でありますけれども、ブラックリストの作成とかそういった作業を通じて、追加すべきものがあるかどうかというふうな検討もしていきたいと思っておりますので、現時点で12種が少ないのであるという断定的な書き方は避けたいなという気持ちを持っております。

    【石井(信)小委員長】 ということで。

    【中井委員】 今のところで補足よろしいですか。違和感があるのはなぜかというと、16行目に「一次生産者であり、生態系の土台となる植物は」なんていう形容をしているところに違和感がある気がするのですね。恐らくこれは、例えば16行目の「未判定外来生物に指定されているが」の部分を、「特定外来生物に12種が指定されている植物では、未判定に指定されているものはわずか2種である」というような形で持ってきたほうがすっきりする気がします。多分違和感はその辺りにあるような気がします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 わかりました。ご指摘を踏まえて直したいと思います。

    【細谷委員】 ちょうど交雑の問題が入っていましたので、気がついたところ、5ページですが、交雑の問題は前回、前々回でしょうか、私どもサンシャインバスを取り上げてこういうふうに明記していただいたのは非常に評価できるんですが、実はこの文章の流れ、27行目からずっと35行目まで見ていますと、交雑種というくくりの中ではサンシャインバスからチュウゴクサンショウウオとサンショウウオの交雑、今回入れられたものですけれども、よくよく考えてみますと、31行目でこれ、現状を分けたほうがいいんじゃないのかなというふうに思っております。つまりサンシャインバスは確かにオリジンとしては交雑種ですが、実はこの影響というのは食害が危惧されるものであって、それはオリジンが交雑種であって法的に漏れていると、そういう整理で、2点目は、実際には日本の在来生態系の中で外来種が入り込んで、日本の生態系の中で交雑が起こっているという現象で、明らかに異なるものですから、少なくとも31行目のほかのところで区切っていただいて、あるいは状況に応じて段落を変えてもいいくらいだと思うんですね。まだまだその事例が足りないように思います。
     今回、パブリックコメントでチュウゴクサンショウウオとオオサンショウウオが出てきましたけれども、アカゲザルとニホンザルの交雑だけではなくて、ちなみに例えばニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴの問題であるとか、もっともっとここら辺を強調しておいたほうがいい。整理についてのお願いと、事例をもう少し増やしていただく、ご検討いただければと思います。

    【関根外来生物対策室長】 段落を変えるというご指摘につきましては、そういう方向で書き直してみたいと思います。事例につきましては、どこまで分量を増やせるかという問題もございますので、どれがふさわしいかというのは個別にご相談させていただくかもわかりませんけれども、検討させていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、それはよろしくお願いします。ほかには、ここのところはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 次に6ページの(3)です。まず、アサリの話が出てきていまして、アサリは交雑の問題もありますが、もう一つ水産上非常に重要な問題としてサキグロタマツメタという捕食性の巻貝が混入してきて入った経路ではないかとかなり強く疑われていることについても、ぜひ併記していただいたほうがいいと思います。といいますのは、その後に「水産動植物の増殖用として輸入されている種苗等にカワヒバリガイ等の外来種が混入している」と同じようなことが触れられていますから。そして、実はカワヒバリガイが混入しているのは、増殖用に輸入されている種苗等よりは、むしろ生食用に生きたまま輸入されているシジミであることがほぼ当たりがついているので、具体的に「輸入されているシジミ」という形で入れていただいたほうがいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点、水産庁さんと調整させていただいて、それで検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 あと、7ページの21から22行目ですね。「国内全域における土砂や植木の運搬などの移動の実態把握や規制はなされていない」という表現は、文章の構成上おかしいと思いますので、修文をお願いいたします。おかしいですよね、これ。例えば「運搬など外来種の移動に関わる行為の実態把握」ということですよね。その辺は上手な表現にしていただけたらと思います。そういうことが言いたいわけです。

    【関根外来生物対策室長】 はい、わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【中井委員】 あと、8ページの今度は定着という言葉ですが、17行目にまず赤で直っている「定着している外来種」とありますね。そこから下、21行目と26行目は「広域に定着する外来種」とあります。この「定着する」という動詞の使い方は、「定着している外来種」が正しいと思うので、21行目と26行目の「定着する」は「定着している」のほうが表現としてはいいと思いますので、ご検討ください。

    【関根外来生物対策室長】 そのとおり修正いたします。

    【中井委員】 31行目もそうです。すみません。
     あと、同じく8ページの27行目から29行目の修文の部分ですが、ぱっと読んで意味が取りにくいですね。この文は、「早期防除により…の周知」と、その後の「地方公共団体が…、促進」とが並列なんですよね。周知と促進に対する国の取組が不足している、という構造がすごくわかりにくいので、これもわかりやすく書き下していただいたほうがよろしいかと思いました。

    【石井(信)小委員長】 よろしいでしょうか。

    【中井委員】 9ページの2行目から5行目ですが、「科学的知見が得られていない場合が多くて、そのために啓発がなされていなくて対策が進展しない」というのは本当ですか。それぞれ一つ一つは事実としてそうなんだろうけれども、「そのため」という言葉で結べるのかどうかという部分ですが、違うと思います。科学的知見が不十分であるというのはそのとおりですが、それが普及啓発のなされていない事情とは多分違いますよね。一因かもしれませんけれども、これは並列にしたほうがいいのではないかと思います。
     あと、最後にもう一つですが、13行目ですが、「国内由来の外来種について」とありますが、これは確かに国内由来の外来種対策の項目ではありますが、当然国外由来のものも含まれていますので、「ついても」と、「も」を入れたほうがよろしいかと思います。

    【石井(信)小委員長】 あとはよろしいですか。多分細かい修正で何とかなるところは少し後でまとめていただいてもいいかと思います。内容に関わるところですね。それを中心にお願いできればと思います。はい、どうぞ。

    【磯部委員】 今どの場所でもよろしいんですか。

    【石井(信)小委員長】 いえ、特定外来生物の選定に係る部分です。何か大分動いてしまいましたね、確かに。今、2の(1)と後ろのほうの3の(1)についてご意見をお願いします。
     では、後でよろしいですか。すみません、私ちょっといろいろぼんやり聞いていたもので失礼しました。そしたら、次の項目に移ってよろしいでしょうか。(2)のほうですね。そしたら、2の(2)飼養等許可の現状と課題と、2の(3)輸入規制、水際対策及び非意図的な導入対策の現状と課題で、それが現状と課題で、今度は3の(2)と(3)ですね。飼養等許可の適切な執行管理の推進、それから(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の推進、ここのところでご質問、ご意見、お願いします。

    【磯部委員】 ちょっと制度的なことだけ確認しておきたいという趣旨なのですけれども、7ページの15行目にあります非意図的な導入対策の箇所です。現行制度では特定外来生物を確実に取り除くための手段についての記述が、以前は「不明確である」といなっていたものが、今後ははっきり「法的に権限がない」というふうに修文されているわけですよね。この修正は、何かパブリックコメントで指摘があって、それに対応した修正ということなのでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 特にパブリックコメントでご意見をいただいたものではないんですけれども、現在の法律の中でこういった規定というものはございませんので、現状では行政指導の中で取り除いていただいているということが現状です。

    【磯部委員】 わかりました。それで、いま申し上げた箇所現状と課題のところで、それに対応するのが13ページの二十四、五行目辺りからの記述で、今度は輸入品の廃棄や消毒等法的に徹底できる措置について検討する必要があるということが対応しているという理解でよろしゅうございますね。
     たしかにこの点は、法制度的な観点からいっても大事なところだと思うのですけれども、2つの点で危惧を感じます。1つは、本当に現行法制度で全く権限はないんだとここまで言い切ってしまうのがいいのかということです。既存の法律を何とか解釈して、かなり強引な解釈と言えるかもしれないけれども、明らかにけしからんものをそこでとにかく廃棄せよと命ずることならやれるかもしれないという可能性も全く封じてしまっても大丈夫だろうかという危惧です。もう1つは、だからこそ新しい法律なり、個別の条文をつくって新しく制度を整備するのであるということが短期的な課題のほうに挙げてあるということであるのならば、いや、それこそそれに期待するということでよろしいのかもしれないのですけれども、実際問題としてはこれは、罰則の問題ではなくて、本格的な強制権限を作るというわけですよね。廃棄命令によって科された義務違反行為に対して直接強制の権限を創設するのか、単なる即時強制の権限なのかわかりませんが、現行法精度の下では一般に、仮に必要性があってもなかなか制度化が難しいとされている課題なので、そう簡単に制度化は期待できないのかなとも思われます。だからこそ、さっき申し上げましたように、現行法で全くそれができないのだと言い切ってしまうと、何か制度上に一種の穴があいていることを公認してしまうような気がしないでもなくて、ちょっと気になったものですから、何かお考えがおありなのかなというご質問でございます。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状においても特定外来生物が付着したまま輸入はできませんので、そういった権限を示した形で消毒なり取り除きをやっていただいているんですけれども、その取り除き方について具体的に例えば植物防疫法ですと、どういった薬剤で何時間薫蒸しなきゃいけないというような規定がございますので、それと同等の強い規制が現状ではかけられないということでこういった記載にさせていただきました。全く権限がないというのは少し語弊があるようであれば、少し修文も考えたいと思っております。今後の改善点としては、法制度で植物防疫法のような命令規定、廃棄ですとか消毒とか、それに伴う基準もしっかりつくった上でそういったことを目指したいというふうに考えております。

    【五箇委員】 今、磯部先生のほうからご指摘ありました規制云々、特に検疫の部分で実際問題そこまで実は考えずに法律ができてしまっているので、法律の中で検疫云々という部分がシステムとしても抜けちゃっているというのは事実なんですけれども、先ほど環境省のほうからも説明がありましたけれども、実際には植物検疫段階でアルゼンチンアリが見つかるとかそういったケースが結構頻繁に出ておりまして、そういったケースについては、環境省のほうから発見があり次第、植防のほうにお願いして薫蒸処理をしてもらうという個別対応でずっと続けてきたんですけれども、昨年度ぐらいから、まずアルゼンチンアリを皮切りに見つかった段階で植防のやっている方法と同じ方法で検疫薫蒸ができればいいのではないかという話し合いが農水省との間で進められるようになっております。だから、肝心なのはいっぺんに法律のシステムとして装備するということは非常に難しいところ、環境省の規模からいっても難しいところがありますので、ここはそういった手足のある農水省、こちらとしっかり協調をとるという方向で進めていくというのがこれからの対策としては、むしろそっちのほうが大事なんじゃないかなと。実態としては、今現実にはそういうふうに動き始めていて、我々環境研究所もそれちょっと一応対応させていただいたので、補足としてここでそういったことを説明させてもらいます。

    【山岸委員】 この色つきの概念図についてなんですが、これは初めてでしたか。前から出ていましたか。出ていましたか。ちょっとわからないところがあるんですけれども、赤い部分はいいんですけれども、その左下の緑色の部分なんですけれども、「国外」から矢印が「在来種Bの別集団の生息地域」のところへ向かっていますよね。これが直接「在来種B」のところへ向かったら問題が起こらないんですか。何でこれ2つあるんですか、その「在来種B」というのが国内の。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これは国内で同じ生息地の中に移動しても、遺伝的形質が異なる場合は遺伝的攪乱の問題が起こるということが国内であっても海外であっても起こり得るということを示しております。

    【山岸委員】 それはわかるんですけれども、左側の「在来種B」というところへ直接「国外」から矢印が来たときには問題が起こらないのかと。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 同じ遺伝的形質を持っていれば、遺伝的攪乱という問題は起こらないというふうには考えております。

    【五箇委員】 この図をつくらせてもらったのは実は私自身でして、すみません。環境省のつくった図がちょっと見にくかったので、もう僕のほうでつくりますと言ってつくらせてもらったんですが、先生のご指摘は、この外国から来る「在来種B」というのが緑色の九州辺りにある「在来種B」のほうに矢印が来た場合はどうなのかというお話ですよね。ちょっと非常にこの部分が一々用語を説明するようにつくっちゃっているのでややこしいんですけれども、この外国にいる「在来種B」というのは、根本的には、要は遺伝的に隔離されている集団とみなすと、どこに入っても基本的には外来種ということになります。ここではあえて遺伝的な攪乱を説明するために、国の外から来るケースにしても国内から移動されるケースについても同じ種「B」なんだけれども、遺伝子組成が違う場合は、これは遺伝子の攪乱という問題を引き起こすということを説明するためにわざわざここを国外の部分と国内の部分とで2つで矢印をつけているという状態になっていますね。あくまでも遺伝的攪乱を説明するためのフロー図、概念図としてここの部分があるんですね。
     だから、本当は遺伝的攪乱云々も何もかもひっくるめて、生態リスクそのものを及ぼすものという概念からすれば、この外国産種というのは日本にはいない種で、緑色の外国産種「B」というのは日本にも同じ種類がいるもので、どっちも国内に入る段階では外来種……

    【山岸委員】 どこへ行ってもだめですよね。

    【五箇委員】 だめだということになる、本来はだめなんです。あくまでも遺伝的攪乱という用語の説明のためにこういうふうな形になっていると。

    【山岸委員】 上に対応しているんですか。その上の赤い部分もこれに似たようなものになっていますよね。

    【五箇委員】 赤いほうは、これは国内の青色の境界線に入った段階でこれは外来種という扱いになるということなんですね。すごく本質的に外来種問題というのは、問題は同じで、本来の生息地から違うところに持ってくるものは、種としては同じだろうが何だろうがだめなものはだめだと。

    【山岸委員】 ついでだけれども、これが絶滅してしまったらどうなるんですか。

    【五箇委員】 どれがですか。

    【山岸委員】 この下の「在来種B」というのが絶滅しますと問題にならないんですか。

    【五箇委員】 トキのようなケースですか。

    【山岸委員】 遺伝的攪乱は起きないんだよね。

    【五箇委員】 そうですね。そのケースについてどうするかというのは、前回の会議でもすごい議論をさせていただいたところで、ちょっとこの図そのものについては、もうちょっといろいろと相談させていただいて、練り直したいと思います。ちょっとまだ突貫でつくったところもありますので、もう少し整理していきたいと思います。

    【中井委員】 この図ですが、斜めの点線の右上側だけが「外来種問題」で、タイトルは「外来種問題の概念図」ですね。ちょっと意地悪な言い方かもしれませんが、左下の側の要は種内の遺伝的、地域個体群間の交雑の問題について、「外来種問題」とここでは扱わないで、どういう問題として扱うのかを示す呼び名があったほうが、2つの概念が存在することがわかりやすいですよね。

    【五箇委員】 この線を引くことに関しては僕もちょっと異議があって、全部に関する問題なので、結局何か難しい箇所が法律的に……

    【中井委員】 規制の対象をきちんと明文化して表現しなければいけない段階において、その対象に対して名前がつけられない状況というのは左下になってくるんですよね、結局は。これが例えば外国から来た集団であっても、亜種のレベルで違えばもう右上になってきますが、亜種までの区別ができていなくて、要は名前がつけられない状況にあると同一のものとみなして、違うんだけれども一緒ということになって左下になるという位置づけですよね。やはりこの機会に適切な言葉を与えておいたほうが普及・啓発とか、あるいは行政の担当者にとっても非常に楽になると思いますが、宿題かもしれません。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状ではそれぞれの項目の題名において名称をつけているんですが、この遺伝的攪乱の問題は「生物の導入による遺伝的攪乱」と、現状と課題、対応策に書いておりまして、現状においてはこのような仮の題名でつけさせていただければと。もしいい題名があればご指導いただければと思います。

    【細谷委員】 議論がもとに戻ったようですが、しかしながら、これ非常に重要だと思うんですね。根幹に関わることですので。この概念図はそうたやすく扱うものではないと思います。非常に重要なものだと思います。この問題を再度整理しますと、実はここで皆さんおっしゃりたいことというのは遺伝的攪乱でしょうか、あるいは外来種問題そのものなんでしょうか。ゴールがようやく理解できましたけれども、国外外来種の問題と国内外来種の問題、これと、それからたくさんの問題、つまり別種か別亜種か、これは右上ですし、それから、全く同種、同亜種の場合、これが混在していて極めてわかりにくい模式図になっていますね。ですから、何が問題なのか、外来種問題は確かに遺伝的攪乱が非常に重要な問題ではありますが、それそのものが外来種問題を代表するものとは到底思えないわけですね。ですから、ここの整理をもう一度した上でこれを安易にこのままにしておくには問題があろうかと思います。根幹に関わる課題だとは思いますが、再度ご検討いただきたいと思います。

    【太田委員】 ちょっと話がややこしくなると思うので黙っていたんですけれども、ずっと。そもそも在来の生物多様性を守るのに、守るべきものは何かというと、保全生物学の分野では既に誰もがそういう記号のついたタクソンではなくて、遺伝的な、進化的なユニット、evolutional significant unitという言葉は皆さんご存じだと思うんですけれども、ここにいらっしゃる方は。そっちなんですよね。ただ、それが非常に条文として使いにくいので、とりあえず便宜的に種とか亜種とかという言葉を使っているので、これは実はかなり深刻な問題をはらんでいまして、どこかでそれに置きかえていく努力が次は必要だと思います。今回それを並立して議論し始めると、多分この1年、2年の議論では済まないと思うので、今回のところはそれでいいのかもしれませんけれども、それは少なくとも対応部署の方は次の課題ということでぜひ認識していただければと思います。
     それから、国内外来の問題については、これは結局手続上どうするかという話は本当に生物多様性の保全をやろうと思うのであれば、これは明らかに説明責任がどっちにあるのかというところの問題になってくるわけで、つまり持ち込むほうにあるのか、それとも許可するほうにあるのかということになるわけで、止めようとするほうにあるのかですね。実際に集団遺伝学的にいろいろなものを扱っていると、海外から持ち込もうとするのはたとえ記号としても種名なり亜種名が一緒についていてもかなり遺伝的に違うものが多いんですね。それをだけれども、同じ名前がついているから今のところはいいやということで、その遺伝分類学者のある種ちょっと不十分なところかもしれないですけれども、それに基づいてやっていたら、結局手遅れになるものがほとんどだということはどこかでやっぱり反映させていかないと、これも努力目標だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 今のことに関して、ここの外来種問題の概念図に関して、特に遺伝的攪乱の問題という部分だけが特出しされていて、あといろいろと国外外来、国内外来の問題もあったりして整理が非常につきにくいところはあるんですが、今回、特にこの遺伝的攪乱の問題をわざわざ引っ張り出しているところは、国内の在来種の移動ですね。いわゆる国内外来種そのものの問題は何が問題かというのを少しでもわかりやすくというか、何が問題かをとりあえず特出ししないと国内外来の問題がタッチできないと。だから、しかも法律上はちょっと今のところどうしようもないので、対策をこれから考えるというスタートをここで切るという意味で、ここは多分線引きされちゃっているところでもあるんですね。この点線で引いちゃっていて、赤いところは法律で何とかしよう、ここにでも、国内由来の外来種の問題がここにも書いてあって非常にややこしいんですが、結局同じ在来種なのになぜ移動しちゃいけないかという部分からまずわかってもらおうというところから、この遺伝的攪乱の問題が特出しになっているということなんですね。だから、ちょっと整理がもっともっと必要なところはあるんですが、なかなかこれがまた法律用語とかも関わってきたりするものですから、この図をつくる段階でも随分東岡さんとはすったもんだして意見交換してつくっていまして、まだちょっと完成はしていないところもあるかと思いますけれども、いろいろ意見をいただいて、この図自体はもうちょっと完成度の高いものにはしていきたいと思います。
     ただ、ここで遺伝的攪乱の問題だけが妙に特出しされているようなイメージになるのは、逆に言えばとにかく国内外来ですね。ちょっと非常に言葉がややこしいんですが、在来種を移動させるということにも問題があるということをまず理解してもらうためには、こういった問題を特出しするというのが効果的であろうという位置づけになっているものと判断しています。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 今のことに関して。

    【北田委員】 今のこの図ですけれども、赤い方は在来種がいない地域に持ってくるわけで、エコロジカルな影響を言っていて、緑の方は遺伝的な、ジェネティックな影響を表していると思います。緑は交雑するあるいは交配するという部分で、上の赤はそれがないということで、これはこれできちっと整理されているのではないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 五箇先生からご指摘がありましたように、用語の整理の関係なんかもありまして、前々回になりますか、小委員会でもいろいろご意見があって、それを整理しようという意図でこういう概念図を作成いたしまして、まだ少し修正について検討しないといけない部分があろうかと思いますので、その点は今日のご意見を踏まえてもう一度考えてみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ただ、今の法制度があって、それではカバーし切れない国内外来種の問題とか遺伝的な攪乱の問題というのをこの報告書の中でなるべくあぶり出して見えるようにするというところが今回の作業の目的だと思いますので、保全生物学的に見て理想的な枠組みとか問題の整理の仕方というのをやろうとすると、やっぱり皆さんおっしゃっているように少し時間のかかる作業になると思いますので、これに関してはなるべく微修正、大事なところは直すとしてという方向で整理していただけないかなと思います。
     それで、すみません、大矢さん、お待たせしました。

    【大矢委員】 13ページなんですけれども、20行目から23行目に指定港及び指定港以外の空港云々と、これが短期的に講ずべきの措置のほうである。そして、32行目、中期のほうで同じような輸入のことの問題が出ているんですね。輸入港の問題、これはなぜ短期と中期とに分けているのか。このところを一括で、短期で持っていけないのかどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘の20行目からの部分につきましては、これはこれまでもマニュアルなどの整備もやってきておりますので、それを一層充実させていこうということでございまして、当然そういう意味でもできることかなと考えております。
     それで、32行目からの部分につきましては、我々の承知している範囲ですと、現在の指定港以外からそんなに問題が多発しているという状況でもない、一部羽田とかこれから考えないといけない部分もあろうかと思いますけれども、まずそういう現状を把握するとともに、そういう空港の国際便の運用等がどういったことでこれから変更されていくのかという辺りも調べた上で検討させていただきたいなということで、中期的なところに、少し時間もいただいた上で検討させていただきたいというような趣旨でございます。

    【大矢委員】 確かにおっしゃるように、一番問題なのは羽田だと思うんですね。成田と羽田は非常に至近な距離にあるからということなんですけれども、羽田がかなり国際化してきて、また、問題が多いところからの航空便が多いということなので、できるだけ速やかに羽田は指定のほうに移して、そしてコントロールしていったほうがいいのではないかなというふうに考えています。

    【関根外来生物対策室長】 そういうような現状把握ですとか、そういった作業につきましては、遅らせることなくやっていきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 これは、では位置づけについては原案でよろしいでしょうか。
     ほかに、そろそろ次にいこうと思っているんですけれども、はい、お願いします。

    【中井委員】 7ページの18行目から20行目のバラスト水対策がありますね。海洋の外来種の問題では、条約としてはバラスト水管理条約ですが、バラスト水と並んで船底付着も非常に大きい割合を占めていることがよく知られていますので、そのことについても書き添えていただいたほうがいいと思います。船の底に付いて、(内側のバラスト水ではなく)外側に付いてくるというものです。これも非常に重要ですので、よろしくお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 それでは、(3)のところはそろそろよろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 一ついいですか。今日は昆虫のところを集中的に読ませていただいているんですけれども、13ページのここにセイヨウオオマルハナバチのことが書いてあって、その代替利用としてクロマルハナバチについてどうしたらいいかというようなことが書いてあるんですね。それで、よく読まないと多分おわかりにならないと思いますけれども、4行目のところですね。これらの利用方針というふうに書いてあるんですけれども、この「これら」というのが変なんですね。恐らくクロマルハナバチしか上に登場していないので、この「これら」というのはその利用方針だけでいいのかなと思うので、なぜ「これら」にしたかというのをもしもあったら教えていただきたいなと。例えばクロマルハナバチ以外の何か代替利用というのも想定されてのことなのかどうかということなんですけれども、いかがですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 本州の在来種はクロマルハナバチで、北海道の在来種も今後想定され得るということで「これら」と書かせていただきました。クロマルハナバチ「など」という形で「など」を追記して整合をとるようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 ちょっとその辺が気になったのと、ちょっとこの文は長いんですよね。何かそういうのがもう一カ所あって、ちょっと今日はついでだから言っちゃいますと、その文を一回「留意した上で」というところで切ってはどうですかね。「留意すべきである」とかにしておいて、それでまたもう一回、「その上で」とかして、これらの利用とかいうふうにつなげたらどうかなと。
     それで、ついでに、むちゃくちゃ長いのがある。6ページにバックしていただいて。6ページの10行目から16行目の一段落は、全部一文なんですよ、これを読んでいるとわけがわからなくなってしまうので、12行目の「限定的である」で一回切ってしまって、「一方で」で始めて構わないんじゃないかなということと、ついでに言うと、20行目から22行目にかけて修文が入っているわけですけれども、「セイヨウオオマルハナバチの定着が確認されているのは北海道のみであるが、飼養している農家のない大雪山や知床の一部地域でも確認されている」というこの文が何か全然パンチがなく浮いてしまっているんですよね。例えば、よろしければこんなふうに直したらどうかと思うんですけれども、「知床の一部地域等にも分布を拡大している」というので、ちょっと深刻さを出してみたらどうかなと私は思うんですけれども、日本語の問題で恐縮です。

    【石井(信)小委員長】 それでは、よろしいでしょうか。
     そしたら、次に移りたいと思います。次は(4)のところなんですが、7ページの(4)の国による防除の実施、防除に係る確認・認定の現状と課題と、そして、それに対応したところですね。3の(4)、14ページですね。ここのところについてご質問、ご意見をお願いします。

    【今泉委員】 14ページの33行目辺り、「地方公共団体における外来種対策を促進する必要がある、この際、各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要である」ということで、その後に「あわせて」ということでいろいろ書いてあるんですけれども、出先機関の役割は、我々としては本当に国にリーダーシップをとっていただきたいという意味で、非常に重要だと思うんですけれども、そこの出先機関の役割をできればもう少し詳しく書いていただければありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 具体的にどういう役割を念頭に置いているかという部分にすみません、ちょうどその上のところに情報交換ですとか成果の共有とか、そういったものをブロック単位や何かでよく取りまとめるようなことを出先機関の役割ということで書いておりますけれども、これよりもっと具体的にということでしょうか。

    【今泉委員】 少し期待してしまったのは、その後に「あわせて、侵入初期の早期防除」ということでつながっていきますが、そことは切り離してということになってしまうのでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 広域に分布しているものにつきましては、この県からこの県に分布が拡大しつつあるとか、そういう情報なども共有するということですので、侵入初期の早期防除とかそういったことに関しての情報の共有というものも当然入っていると考えております。

    【今泉委員】 わかりました。

    【石井(信)小委員長】 そのほか、いかがでしょうか。

    【中井委員】 8ページのさっきフライングしてしまった部分の上なんですが、26行目から27行目にかけて、「侵入初期の地域等の分布の拡大に関する情報の整備は進んでいない」という表現がちょっとわかりにくいように思いました。「要侵入初期の地域」と「分布の拡大」とのちょっとつながりがおかしいので、ご検討ください。
     そしてもう一つが今度は15ページなんですが、4行目から6行目、7行目にかけての「国は」の部分です。「個人やボランティア等による外来生物法の確認・認定を受ける必要のないような小規模の防除が円滑に推進するよう」とありますが、確認・認定を受ける必要があるかないかというのは、規模の問題というより行為の問題です。すなわちその後にある「外来生物法による運搬や一時保管等の規制」は小規模であっても必要なわけですよね。それを小規模の場合に和らげようというと取れるのですが、そういう意味合いでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 こちらの趣旨というのは、庭とか自宅の庭で防除したものをごみに出すのにちょっとした運搬が伴うものについても規制がかかるのかというものではないと。

    【中井委員】 そういうのを想定されているんですね。なるほど。ただ、ボランティアというとみんなでやる駆除活動という感じで、どこか地域を決めてもう少し規模の大きい活動をイメージしていましたが、ご説明の活動は極めて個人的な地域的領域内の話なのですね。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 あと、想定していたのが植物を防除した後に廃棄するまでの運搬作業で、防除従事者であれば運搬できるんですが、そういったものについて、防除従事者でないボランティアの方がイベントとして従事された場合に実施できないということがあります。例えば、ブラックバスであれば水のないクーラーであれば運搬とみなさないというような通知を出しておりますけれども、植物についても防除目的で明らかにそれから生態系影響が出るようなことがないような運び方であれば、そういったものも含めて運用上で規定できることがあれば、そういったことも考えていきたいと思っています。

    【中井委員】 とても大事なことなので、ぱっと読んで違和感があったもので気になりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかはいかがでしょうか。
     では、よろしいでしょうか、ここのところについては。
     それでは、次の(5)の部分ですね。2の(5)国内由来の外来種対策の現状と課題、それからあと、(6)ですね。生物の導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の現状と課題、それで、それに対応した必要な措置の3の(5)国内由来の外来種対策の推進と(6)生物を導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の対応とこの2つについてご意見をお願いします。

    【北田委員】 10ページの10行目に野生復帰という言葉が今回初めて出てきているかと思いますが、これはパブコメでこういう用語を使うべきだという意見があったんでしょうか。

    【谷垣外来生物対策係長】 特にパブコメでのご意見ということではなくて、ここで個別に野生復帰というくくりではなく、再導入や国内移植というふうに書かせていただいたんですが、野生復帰の際に気をつけるべき項目として環境省でもガイドラインをつくっておりますし、それでまとめるべきではないかという認識でここは野生復帰としてまとめさせていただきました。

    【北田委員】 野生復帰はどういう内容でしょうか。これまでは、どこかから持ってきたものを別の場所に導入するという流れで書いてあると思っていますが、これは人工繁殖を使った保護増殖を行うという意味ですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 環境省でまとめている野生復帰に関する基本的な考え方というガイドライン、前回の検討会で出させていただいて、前回の資料の参考資料4の2ページ目に野生復帰の定義というものが書いてありまして、その中では生息域外に置かれた個体を自然の生息地(過去の生息地を含む)に戻し、定着させることが野生復帰の定義になっておりまして、生息域外で保全した個体についても生息域内に戻す場合を野生復帰というような記載を書いております。

    【北田委員】 野生復帰についてはガイドラインがあるんですけれども、今回の修正案で初めて出てきた用語で唐突な感じがしたんですね。1ページにもあるように、これまで導入という言葉で一貫して整理してあったはずですので、ここで野生復帰という用語を使われる場合はちょっと説明が要るのかなと思います。また、5行目から7行目のヒメダカというのは、さらに人為選択の程度が強い育種をやっているわけですよね。育種したものを野外に放すという、野生復帰よりもさらにきついことをやっているわけです。野生復帰と同じように人工繁殖を使う種苗放流は水産の世界で一般に行われているんですが、これを言うと保護増殖まで含めた議論になるので、混乱するから黙っていたんですけれども、ここに野生復帰が出てくると、再導入とか国内移植、つまり、こっちにあるものを他方に移すという範囲で議論していた内容が変わってくるわけです。野生復帰を入れると、人工繁殖が表に出てくるので、これを外来種問題で扱うか少し整理が要るかなと思います。また、書き方としては、野生復帰が先ずあって次にヒメダカ、そして、最後に科学的知見は十分蓄積されていないとつなげるのですかね。

    【五箇委員】 この野生復帰のガイドラインを見る限りでは、あくまでも基本的には生息域内ですよね。域外に持っていったとしても最終的に戻す域は生息域なんですよね。だから、すべては生息域内での増殖事業というものが野生復帰ということになるわけですよね。そこの説明がまずきちんとないと、基本的にはちょっと再導入というのはいろんな意味が入りますし、国内移植もそうですね。もろにこれは移植と書いてある以上、ほかから持ってきちゃうということになりますので、それとは区別する意味で野生復帰という言葉をわざわざここに出しているんだとすると、その概念はしっかりまず出しておいて別物であるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。目的がもう全然違いますので、野生復帰の場合は。目的が違うのとプロセスが全然違いますよね。あくまでも域内での増殖ですね。増殖、繁殖、定着を目的としているということで、域外に持っていったものを最終的には域内に持ってくるということになりますので、そこのところをはっきり区別して、全く目的と概念が違うんだと、外来法とは違うものであるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘を踏まえて、この基本的な考え方の域内に戻すということ、先ほど五箇先生がおっしゃった野生生物の保全のためにということも含め、このガイドラインの趣旨を後ろの語句説明で記載したいと思います。

    【太田委員】 16ページのこれは4行目ですか。今ちょっと確認があったように、野生復帰ということは厳密にその域内でのプロジェクトであるということが最初に明記されているんだったら、特にここまでこだわる必要はないのかもしれませんけれども、いろんなそういう復帰とか再導入とかするときに遺伝的な問題としては、すぐに多様性の減少にならないかということに注意を払われるんですけれども、もう一つやっぱり注意を払うべきは多様性の減少だけじゃないいろんな変質ですね、遺伝的な性質の。それはやっぱり注意を払うべきで、そうすると、細かいことを言うようなんですけれども、4行目の一番最後のところに「地域個体群の遺伝的多様性を減少させることがないように留意し」と書いてあるんですが、減少並びに変質とかそういうところをちょっと併記するべきだというふうに感じております。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘を踏まえて修文をしたいと思います。

    【中井委員】 10ページですけれども、3行目、4行目にかけてなんですが、「種としては同じであっても、例えばゲンジボタル等のように、地理的に遺伝的形質が異なることもあり」とありますが、そうなると、地理的、遺伝的形質が異なるのが普通じゃないけれど、そういうこともありますよというニュアンスですよね。ところが、国内、日本全国というレベルで見ると、実は遺伝的に地理的な変異があるほうが当たり前なので、「ゲンジボタルなどで典型的に見られるように多くの種では遺伝的形質は異なっている点に十分配慮すべき」だとかいうニュアンスでここの部分は持ってきていただいたほうがいいのではないかと思います。すぐ下にヒメダカで出ていますが、このメダカは最近2種に分かれましたが、かなりクラシカルに地理的な変異が非常に大きいものでもありますし。すでに知られているものは、ほかにもいろいろありますので、ご配慮いただきたいと思います。
     もう一つですが、これはよく知らないことなので、よければそれでいいのですが、15ページです。大変細かいことですが、30行目から31行目「生物多様性保全の中核的制度である自然公園法等」とありますが、自然公園法が生物多様性保全の中核的制度として例示するのに一番いい法律なのかどうかというのがよくわからなくて、この文脈の中でいいのかなと思いました。
     以上です。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 自然公園法につきましては、国土の14%をこの自然公園法で見ているということですので、環境省としては我が国の生物多様性の保全の中核的制度と認識しております。

    【細谷委員】 どの場で入れるべきか少々悩むところですが、先ほど北田先生のほうから触れたくないとおっしゃっていましたけれども、私は触れるべきだと思うんですが、いわゆる水産業における種苗放流の位置づけについて、実は第1回目の小委員会のところで私は意見を申し上げて、これは議事録にも書いてあるところですが、全般を見てどこに入れたらいいのか、あるいは場合によっては16ページの7の中で各主体として水産業あるいは水産庁の方々の調整が必要なのか苦慮するところですが、全体を通覧した段階でわずかに6ページの(3)の下のところにアサリとスジエビとミナミヌマエビの話しか出てこないということになるわけですが、例えばどこに入れるのか、15ページなのかあるいは16ページなのかわかりませんが、この辺かなとは思いますが、なかなか産業基盤があるわけですから、さきの種苗をやめろと私は申し上げませんが、例えば種苗放流そのものが環境放出だという認識、これは第1回目とも重なりますけれども、とりわけ野放図になっている外国産の海産種苗の瀬戸内海だとか大陸続きのお話についてはもう小委員会、第1回目でご報告させてもらいました。
     それから、このような法律の方向性が出ているにもかかわらず、一方で、海産業については今指摘申し上げたんですが、内水面漁業の第5種漁業権、ほとんどが国内外来種の放流そのものであるという現状に対して、これをどうクリアしていくのか。もちろん一朝一夕には解決できないでしょうが、少なくとも方向性を環境省と水産庁の中で検討していただいて、あるいはもう既に第1回目で私は指摘させていただきましたが、それがクリアされてこういう形になっているのかどうか、その辺、ご意見を聞かせていただきたいと思っております。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点は14ページの11行目の「特に水産動植物の種苗の輸入・養殖・放流の状況については、これに伴う非意図的な混入等も含めてその実態把握に努め、必要に応じて対策を検討するべきである」という形で、まずは実態把握に努めるという形で対応できればと思っております。

    【細谷委員】 つまりこの段階で、この3行で事足りるというご判断ということですね。今の時点では、今日は確認だけで結構ですので、そういうご判断なんですね。

    【北田委員】 ちょっとよろしいですか。私は触れたくないと申し上げているんではなくて、これまでは人工繁殖の部分は入っていなかったわけなんですよね。一貫して、そういう整理をしてあるなというふうに見ていたわけですけれども、ここで野生復帰が入ってくるということは、先ほども申しあげたように外来種問題の中で人工繁殖も議論の対象にするいうことになります。ここでは、対象を希少生物あるいは絶滅危惧種に絞ってあるわけですけれども、産業対象種についてもここで議論するということになれば、10ページのところに書き込んでいくということになるとは思うんですね。ただ、これまではそこまでの議論はなかったと思っております。ここに載せるべきではないとは思わないし、隠しておくべきだとも全く思わないが、その辺は議論が必要と思います。

    【関根外来生物対策室長】 本日ご指摘いただいたことも踏まえまして、もう一度水産庁のほうとも現状以上にどこまで書けるのか、書けないのかという辺りを相談してみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 そしたら、この項目についてはとりあえずよろしいでしょうか。
     それでは、最後のところになりますけれども、(6)と(7)の部分ですね。普及啓発、各主体の協力と参画の現状と課題、それから、調査研究の現状と課題、そして、今後の必要な措置としては、(6)普及啓発、各主体の協力と参画の推進、それから(7)の調査研究の推進というところです。それから、(8)のそのためについても含めて、残りの部分をまとめて議論したいと思いますので、ご意見、それからご質問をお願いします。

    【太田委員】 今、幾つかの地方公共団体に依頼されて生物多様性戦略を自治体レベルで策定するお手伝いを幾つかしていて、関係する会議にも先々週も出てきたところなんですけれども、そういうところでやっぱり本当に外来種の問題について議論を始めると、必ず意見が合わなくなって、いろんな生き物がいたほうが楽しいじゃないかとか、そういうものを排除するのはだめだとかそういう話になってくるんですね。その議論の相手になる人が非常にしばしばやっぱり学校の先生なんですよ。それで、今これを拝見していると、特に3のほうなんですけれども、教育現場、普及啓発の場合に非常にこういうことが重要であるということはいろいろと書いてあるんですけれども、学校とは教育機関という言葉が一言も出てこないんですね。一番最後のところで16ページの25行目で一言、「特にさまざまな教育の現場で」というふうなものが書いてあるんですけれども、それ以外教育機関、学校ということは一切出てこないんですけれども、実はここが一番教育において、普及啓発において有効なところで、わざわざそこだけを残して、いろいろそれ以外はいいことが書いてあるんですけれども、もっとストレートに教育現場において新たなカリキュラムの導入を求める等とか、そういう種類をもっと踏み込んだ表現が絶対必要だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 太田先生のご意見は本当にごもっともで、そういった意見は必ず生態学会なんかでも出てくるんですが、環境省としては多分一番書きにくいところは、これは文科省が相手になるからだということだと思うんですね。それ以外にもいろんな省庁との力関係もあって大変なことだと思うんですが、今、太田先生がおっしゃられたみたいに少なくともそういうところが大事ですよと。やるか、やらないかはとりあえずこれからの政治力と言ってはあれですけれども、環境省の発展次第というところもあるとは思いますので、とりあえずそれでも必要ですよということは何かしらで触れられたほうがいいのかなという気はちょっとしますね。難しいことは重々承知ですが、先ほどのそれこそ検疫の問題もそうこう言いながらも何とかかんとか動き出せば、否が応でも省庁間で向き合うことのチャンスも出てくるわけで、文科省はなかなか敷居が高そうなので大変かなとは思いますが、その辺は何か書かないと始まらないのかなという気もしますので、少し前向きにご検討いただければいいかなと思います。

    【山岸委員】 今のお二人の意見と全く同感です。この全く同じ議論は、生物多様性の国家戦略をつくるときも文科省の協力を仰ぐということで既にやっていることで、できないことではないです。敷居なんか高くないし、書き込めばいいことだと僕は思います。よろしくお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 書きぶりについては検討させていただきますけれども、情報として、事実関係として申し上げておきますのは、学習指導要領の中にも外来種について学習するという話が徐々にではありますけれども、入ってきておりまして、中学校でも平成24年度から学習するということになっております。それから、総合的な学習の時間なんかでも取り上げているような学校もあるということで、十分な認識のもとに先生がそういう学習をしていただいているかどうかというのはまだ始まったばかりで行き渡っていないところはあるかと思いますけれども、こういった取組も並行して進めているということでご説明させていただきました。

    【中井委員】 10ページですけれども、27行目ですが、外来種問題に係る正しい理解の「正しい」という言い方はあまりよくない、正しくない用い方のように思います。正しいか正しくないかではなくて、適切であるかどうかとか、あるいは科学的であるかどうかとか、そのような表現でお願いします。(外来種問題をめくって)ぶち当たるいろいろな価値観は、それぞれ正しいつもりなのですから、正しいか正しくないかという言い方は、あまりよろしくないように思います。
     そしてあと、ちょっと手前味噌的で申し訳ないんですが、32行目辺りの普及啓発の役割を担っている施設として、できたら博物館も入れていただけたらうれしいと一個人として、博物館職員としては思います。
     それから、もう一つが16ページの29行目から30行目に外来種被害防止行動計画(仮称)とありますね。これ、ここの報告書の中では、16ページの1行目から2行目でも出ていますが、これについては何か説明がなくてもいいでしょうか。どこかにあったのであれば、ごめんなさい。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 巻末に行動計画の説明をつけておりまして、19ページの参考4で行動計画について説明を入れております。

    【中井委員】 そうですか。わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【中井委員】 9のその他で東日本大震災の被災地のことに言及されていますが、これも中期的な措置ということでよろしいでしょうか。短期ということもないとは思うのですが、いかがでしょう。現在、かなり急速にいろいろな対策が行われている状況にあるなかで、中期的と表見するのでいいのかどうか。特に、被災地の復興に環境省さんがいろいろ関わっておられることから、少し様子を見ながらというようにも取れるのですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 こういう生物の関係ですと、我々がおります野生生物課のほうでも鳥獣被害の関係でも被災地域のモニタリング調査も計画をしておりますので、そういった中で外来種についても確認できることがあろうかと思いますので、そういう状況を踏まえて何をやるべきかを考えていくということかなと思っておりますので、今のところは中期的なことで置かせていただければと考えております。

    【細谷委員】 レベルからいって中期的というと相当大きいですし、この問題は東日本大震災がございますし、そのバランスにおいては、どういう経緯でアライグマが入ったかどうかわかりませんが、あまりにも細かい項目が事例として上げ過ぎている。ここはどうでしょう、もう少しぼやかした感じで、アライグマに言及することなく生物多様性の保全と外来種、もう少しごまかした、ぼんやりした形のほうがアピール度あるいは感情も含めて説得力があるんじゃないかなという気はいたしますが、いかがでしょうか。

    【太田委員】 アライグマは、あの辺りでは生態系の一番上に来ているもので、飯館村から南相馬まで非常に増えつつある状況というのを私も見てきたんですけれども、そういうふうにぼやかすより、逆にアライグマに関しては、ここでこのようにぴしっと上げたほうがいいと思います。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 この小委員会でもアライグマのことについて具体的な事例も提供していただいておりますので、それについて言及しながら生物多様性全般的な話についても視野に入れて書くようなことで表現ぶりを考えたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ここは具体的なのがアライグマだけなので、ちょっと何かもう一つ、二つ問題になっているものが上げられるといいのかと思いますけれども。

    【五箇委員】 結局アライグマの件に関しても、一応太田先生が見てこられてきた上での経験値ということになるかと思いますが、実は環境研のほうでもむしろ植生とか昆虫相とかの遷移を調べていると、むしろ在来のものが恐ろしい勢いで復帰しているという動向もあるんですね。だから、生物層によってはやっぱり復帰のプロセスというのが全然違ってくると思いますし、これはまさに1,000年に一度の自然攪乱という形で起こったことなので、今後の生物の遷移ですね。外来種も含め、在来種も含めてどうなっていくのかということは、むしろそれをどうモニタリングして、それに即してどう復興させていくかということのほうが重要な課題になってくると思うんですね。
     自然にほうっておけば、多分自然生態系の復元のほうが優先するであろうと概念的には予測できるんですが、そこに当然のことながら防潮堤も建てたりさまざまな護岸工事をしたりという人の手が加わることで、結局のところ、また新しいそういう生態系の攪乱というものも進むということになりますので、そういった意味では、ただ、この件に関しては人の生活、安全と安心ですね。そういった部分との兼ね合いもあるので、そういう意味ではまさに中長期的にそのプロセスというものを確実に把握して今後に生かすという方向性をむしろ大事にしたほうがいいのではないかと思いますね。単純に生態系保全だけでは語れない現場であるということも事実としてはあると思いますので、その部分は十分に配慮しないと、人の生活が二の次になるような形で保全が語られることは決してあってはならないだろうし、その上でどういう対策を保全生物学としてとれるのかということが突きつけられていることだと思いますので、そういう大所高所的な見方での記述というものも何か考えたほうがいいのかなという気はします。
     いずれにしても、こういう現象が我々自身も経験したことのないことで、どういう自然遷移をするのかというのは、まさに新しい実験場となっている状況がありますので、そういう意味では、この機会にそういった情報を最大限収集していくということ自体が大事なことなんじゃないかなというふうに考えます。
     以上です。

    【中井委員】 実際の文章表現はお任せするのがいいのでしょうが、今のお話で16行目、「必要に応じて」というのは要らないと思います、絶対やらなければいけないと思いますので。ですから、例えば「震災復興においては、外来種の侵入拡大状況等を含めた生態系の遷移について把握」して各種事業をやっていくとすれば、今のような内容が盛り込めるのではないかと思いますので、ご検討いただけますでしょうか。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。
     全体を通じて何かぜひという、言い落としたこととかあればそれも含めてお願いします。
     14ページのところなんですが、29行目から31行目のところに書き加えていただいて、これは多分マングースなんかを想定して書いていただいたということでいいと思うんですけれども、ちょっとわかりにくいので、最初に「特に」と出てきますね。これが「特に」というのはどこにかかるのかわかりにくいので、読んだ感じでは30行目の「特に根絶が望ましいと判断される場合は」というふうになったほうがいいと思います。
     それから、その後の「根絶間近で」云々というところの捕獲数当たりのコストというのがどういう数値を想定しているのかがわかりにくいので、多分1頭当たりとかと書くことなんでしょうけれども、1頭というとマングースはそれでいいですけれども、ほかの生き物の場合は使いにくいので、一定捕獲数当たりのコストで、そこのところを「通常根絶間近で一定捕獲数当たりのコストは増大するが」、「増加しても」じゃなくて「増大するが、根絶に至るまでの」云々と変えていただいたほうがいいなと思いました。増加してもというと、何かちょっと趣旨が伝わらないかなと思いましたので。あるいは、根絶間近で云々というところはなくてもいいかなと思いました。ご検討ください。
     それと、ほかにはいかがでしょうか。
     それでは、一応大体この場での議論は終わりにそろそろしたいと思うんですが、いろいろご指摘いただいた点があって、まだ文章を確定するところになっていない部分が幾つかあると思います。それで、最終的には私が責任を持って確認して、報告書として取りまとめるということではあるんですが、少しその前に委員の先生方とのやり取りがあるべきだと思いますので、ちょっとスケジュールとかやり方を事務局のほうで今の予定を説明していただけますか。1週間程度というような話が最初にありましたけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この資料のほかにも資料2-1、2-2も含めて気づいた点がございましたら、この1週間のうちにまた事務局にご連絡いただければと思います。今回、資料3についていろいろご指摘いただいた点については、また個別にご相談させていただくこともあろうかと思いますので、それは引き続き事務局から先生方に個別なり全体に相談させていただいて、12月の野生生物部会までに調整を終えたいというふうに考えております。

    【石井(信)小委員長】 1週間というのは来週の水曜。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 そうですね。来週の水曜までにお気づきの点があれば事務局までお知らせいただければと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、その過程でいろいろ個別にご相談するようなことについては事務局にお願いするということで、それ以外のところについては、私のほうで、これで大丈夫だろうというふうに考えられる分については責任を持って確認したいと思いますので、委員長預かりと、そういう点についてはそういうふうにさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
     それでは、今日いろいろご指摘がありましたけれども、大分問題点もはっきりして、報告書としても改善されたと思います。この報告書に基づいていろいろなこれから外来種対策というのが進展することを期待したいと思います。環境省には頑張っていただきたいと思います。
     それで、この今日取りまとめてまだ完成ではありませんが、この報告書は冒頭に説明ありましたけれども、12月の何日でしたか、そこで中央環境審議会の……

    【関根外来生物対策室長】 13日。

    【石井(信)小委員長】 13日、野生生物部会に報告されて、審議されて取りまとめられるということになると思います。ということで山岸先生、よろしくお願いします。
     それで、以上で本日の議題は終了ということにしたいと思います。全部で今日も含めて4回小委員会を開催しましたけれども、短い間にかなり中身の詰まった検討ができたと思います。まだまだ本当は根本から考えなきゃいけないという問題もいろいろあって、それについてはまた別の機会に整理されるべきだと思いますが、議事の進行に大変ご協力をいただいたということで感謝申し上げたいと思います。
     最後ですけれども、特に何かご発言というか、これだけはということがあればお願いしたいと思いますけれども、特によろしいでしょうか。
     では、これで委員会の議事は終わりたいと思います。あとは事務局のほうから何か連絡があればお願いします。

    【水崎移入生物対策係長】 本日は熱心にご議論いただき、ありがとうございました。毎回のことではございますけれども、本日の資料の郵送を希望される委員につきましては、テーブルに封筒がございますので、封筒に委員のお名前を書いて資料をそのままにしていただければ、事務局より別途郵送させていただきます。
     最後に、自然環境局の伊藤局長よりごあいさつ申し上げます。

    【伊藤自然環境局長】 自然環境局長の伊藤でございます。
     本年の6月から短い期間の間に、4回にわたる小委員会で熱心な、本当に密度の濃いご議論をいただきまして本当にありがとうございました。委員長のほうからもございましたけれども、本日ご議論いただいた報告書につきましては、さらに先生方ともご相談申し上げた上で、最終的に委員長にご確認をいただくという手順をとりたいというふうに考えております。
     本当に外来生物の問題は遺伝的攪乱のことも含めまして、非常に奥が深いということを再度我々も認識を新たにしたわけでございます。この報告書の中でまだこれから議論を始めなければいけないといった課題もありますし、直ちにとらなければいけない課題といったことも相当明確にしていただいたというふうに考えております。私ども環境省といたしましては、12月13日に最終的に野生部会で中央環境審議会のご意見として取りまとめていただいて、環境省のほうに提出していただくと、こういう段取りになろうかと思いますが、この中央環境審議会の提言を踏まえまして、しっかりと確実にやるべきことをやっていきたいというふうに考えております。それは制度面のこともそうですし、運用面のこともそうでございますし、また、新しくこういうことをやれといったこともご指摘賜っています。私ども環境省としましては、きちっと動いていくということを対外的に見せていくこともまた重要なことだろうと思っています。その点はしっかりやりたいというふうに思っております。
     委員の皆様方からも引き続きご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。本当に本日はどうもありがとうございました。

    【石井(信)小委員長】 それでは、以上をもちまして、本日のというか最後になりますけれども、外来生物対策小委員会は閉会とします。
     ありがとうございました。

    【水崎移入生物対策係長】 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会平成24年度第4回外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     本日の出席者数でございますが、委員及び臨時委員7名中6名の出席であり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項において準用する中央環境審議会令第7条により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、小林委員、岡三徳委員、岡島委員につきましては、本日、都合により欠席との連絡を受けております。
     また、平成16年6月8日、野生生物部会決定「外来生物対策小委員会の運営方針について」に基づき、本会議は一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。
     議事録につきましても、委員の皆様にご確認いただいた上で、公開となりますのでご承知おきください。
     続けて、事務局よりお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
     議事次第、裏面に資料一覧がございます。続きまして、座席表、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、以上になります。
     もし資料に不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
     なお、報道の方の撮影はここまでとさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
     それでは、議事進行を石井小委員長にお願いいたします。

    【石井(信)小委員長】 今日で最後になりますけれども、引き続きよろしくお願いします。
     それでは、早速本日の議事に入りたいと思います。前回までの小委員会で取りまとめた「外来生物法の施行状況を踏まえた今後講ずべき措置」について、パブリックコメントの結果が出ましたので、その内容を踏まえて本日小委員会として最終的な報告書の取りまとめを行いたいと考えております。
     なお、本日はいただいたご意見を踏まえ、できるだけご意見を集約させていただきたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いいたします。
     それでは、まず今回取りまとめる報告書の今後の取り扱いについて、資料1について事務局から説明をお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 それでは、資料1をご覧いただければと思います。
     2の検討のスケジュールのところでございます。6月以降、3回にわたる小委員会でご検討いただきまして、委員長からもございましたようにパブリックコメントを実施いたしまして、今回、4回目の小委員会ということでございます。本日、取りまとめをお願いしたいと考えております。取りまとめについてご了承いただくということが前提でございますが、小委員会のご検討の後は、この一番下にございますように、12月13日に野生生物部会が予定されておりまして、ここでこれまでの小委員会での検討結果を報告させていただいて、ご議論いただいた上で野生生物部会として最終的な取りまとめをお願いしたいと考えております。
     今回の外来生物法の施行5年後の検討は、この野生生物部会での取りまとめをもちまして完了ということになるわけでございますけれども、事務局といたしましては、小委員会及び野生生物部会で取りまとめていただきました事項につきまして、関係省庁とも連携して着実に実施するよう取り組んでまいりたいと考えております。
     説明は以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今のご説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。
     特によろしいでしょうか。
     それでは、次に移りたいと思います。パブリックコメントで寄せられた意見の要旨、それに対する考え方、それから、これらを踏まえた報告書案の修正等について事務局が整理をしてくれていますので、その説明を資料2-1、2―2、それから資料3を使って説明していただきます。よろしくお願いします。

    【谷垣外来生物対策係長】 それでは、座って失礼させていただきます。
     資料2-1についてはパブリックコメントの実施結果の概要をお示ししております。資料2-2にはいただいたご意見、その意見の理由、それから、その左にページ、行数を振ってありますけれども、これはパブリックコメント版にご意見でご指定いただいた箇所をお示ししております。表の右側の「対応案」というところで、ご意見に対する小委員会からのご回答という形で記述を整理させていただいております。右の修文の有無ということについては、資料3の本文のほうに修正をしたものについては丸印をつけております。その右にさらに意見数とありますものについては、意見、その理由も全く同じご意見を複数の個別の方からいただいているケースがありますので、そうした意見についてはここに意見数、何件あったかということでお示しさせていただいております。
     資料3については、パブリックコメント版に対しての修正ということで、赤字で修正箇所、変更点をお示ししております。
     まず、資料2-1についてご説明差し上げます。
     パブリックコメントについては、9月18日から10月18日までの1カ月間実施いたしました。個人が83名、団体は2団体、延べ85の主体からご意見をいただきました。延べのご意見の件数は207件でございました。このうち、重複箇所またはほとんど内容が同じようなご意見もありましたけれども、延べ44件のご意見について修正の対応をさせていただいております。
     テーマ別の意見件数ということで、(1)として、報告書の個別の箇所をご指定いただいてお寄せいただいた意見について、報告書の該当箇所別にまとめております。特に多かったところですけれども、「2.外来種対策をめぐる現状と課題」の中では、(1)特定外来生物の指定に関する現状と課題、例えば資料2-2の4番のご意見のような、オオクチバスの指定解除、オオクチバスがもう日本に輸入されてから80年以上が経過されており、我が国に自然分布域の中に取り込まれていると考えているのが適切であるとか、10番のような、経済効果も高いため適切な管理のもとで利用するべきである、というようなご意見をいただいております。こういったものについては、「外来種の影響により地域固有の生態系が改変されることが我が国の生物多様性を保全する上で重大な問題であると考えております。」ということで、引き続き対策を実施していくことの必要性をご回答させていただいているという状況でございます。
     それから、「(7)各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題」についても多くご意見をいただきましたけれども、例えば資料2-2の64番のご意見のような、水族館、動物園、植物園等において連携して外来種対策を図っていくべきである、もしくは外来種を殺さずに生かすという選択をすることも必要ではないかというご意見をいただいています。回答としては、「外来種の防除については、侵略性をかんがみ、生態系に係る被害を防止するためにも必要と考えています。そのすべての防除個体を生かして飼養とすることはなかなか難しいことではありますが、人間活動によって外来種問題が起こっていることも含めて、ご指摘のように動物園、水族館等とも連携し、普及啓発を実施していくことが必要と考えております」というふうにしているところでございます。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置」の部分で特にご指摘いただいた部分について、「(2)飼養等許可の適切な執行管理の推進」というところで、例えば85番のようなご意見―これはまた後で修文箇所の中でご説明も差し上げたいと思いますが―現在、特定外来生物を野外に放出することは規制されていますけれども、防除を目的とした野外への放出について許可制度というようなものを検討するということに対して、被害が新しく出てくる可能性があるので、こういった放出許可というのは認めるべきではないのではないか、慎重に考えるべきではないかというご意見をいただいておりますので、説明を追加した上で修文をするというようなことを考えております。詳細については、また後ほど資料3と一緒にご説明差し上げたいと思っております。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき措置」の中でまたご意見の多かった部分については、「(4)国による防除の推進及び地方公共団体等の防除に係る確認・認定の推進」という中で、例えばヤギ等の家畜、イヌ、ネコの管理といったものも保全上重要な地域では一体となって進めていくべきであるということについて、例えば102番のような、管理の中に殺処分というものが入る可能性をゼロにしていただきたいというようなご意見がございましたので、「駆除・殺処分がまずありきということではなくて、飼養等において適切な管理を行うことが前提として必要と考えております。あわせて野外に定着し、生態系等に被害を及ぼしている場合には適切な対策が必要と考えております」という回答をさせていただいております。
     一方でまた、こういったイヌ、ネコ等だけではなくて、さまざまな観賞魚等の管理も必要ではないかという105番のようなご意見もいただいておりまして、こうしたものも含めて考えていきたいと対応案を書かせていただいているところでございます。
     資料2-1の2の(2)のところで、個別に箇所をご指定いただかないでご意見いただいたものについては、概ねご意見の内容によって分類をさせていただいております。特に件数が多かったものについては、外来生物の輸入・販売等の規制強化に関するご意見ということで、例えば155番のご意見のような、在来種以外の生物の輸出入をすべて規制するべきであるというようなご意見もいただいております。これに対しては、「外来種にも侵害性が低く有用性の高いものや生活に密着しているものも多いことから、我が国の生態系等に係る被害を及ぼすまたはそのおそれがあるものを外来生物法に基づき、特定外来生物として規制をしていくということが必要と考えております。さらに、その法規制の対象とならないものでも侵略的な外来種については、導入・定着を未然に防ぎ、適切な管理を行うよう呼びかけており、引き続きこれに努めていくべき」というような回答をさせていただきたいと考えております。
     件数も多いですので、あとは修文箇所に絞って、資料3とあわせてご説明したいと思います。
     資料3については、表記ですとか語順、事実関係の修正、それからパブリックコメントでも用語がちょっとわかりづらいというようなご指摘もいただきましたので、そういったわかりやすくするという趣旨も踏まえて、細かい修正もございますが、大きく内容に係る変更をしている部分を中心にご説明を差し上げます。
     まず3ページで、12行目、13行目について、防除の効果が不十分であったりする防除事業もあると、目標が明確でないといったような記述をさせていただいていましたけれども、どういった点が明確でないのかという具体例がわかりづらいということもいただきましたので、防除に当たり、地域的に根絶を目指すのか、あるいはどの程度まで影響の低減を目指すのかなどの具体的な目標や計画が明確でないというような例示をさせていただいております。
     それから16行目、今後解決すべき多くの課題として、これまで効果的な普及啓発といったような記述がなかったんですけれども、例えばご意見の6番、基本認識が正しく共有されないことが外来種問題が解決しない要因であるというようなご意見であるとか、14番のご意見、基本認識にこうした普及啓発が課題としてあるというようなことを記載すべきであるというようなご意見がありましたので、ここに効果的な普及啓発というものを入れさせていただいております。
     続きまして4ページ、3行目から7行目について、これは15番のご意見になりますけれども、生物多様性基本法について、個別法も束ねる基本法としての位置づけをきちんと書くべきだというご意見をいただきましたので、そういった記述、説明を追加しているとともに、同法では我が国の生物多様性の保全と持続可能な利用についての基本原則が定められたほか、生物多様性国家戦略の策定が国に義務づけられたというような内容を補足させていただいております。
     次のページにいきまして、5ページ、33行目以下。ご意見としては32番のご意見になります。ご意見の中で、京都などでこうしたチュウゴクオオサンショウウオと在来のオオサンショウウオの交雑の事例があるというご指摘をいただきましたので、交雑の一つの事例として、ここに人為的に持ち込まれ放棄されたチュウゴクオオサンショウウオが河川に定着し、交雑個体が多数確認されている事例があるといった記載をさせていただいております。
     次、6ページ、飼養等許可の現状と課題の中で、23行目、24行目で「外来生物法の違反による検挙件数は減少傾向にあり、法規制について一定の理解が進んだ可能性がある」と記述をさせていただいておりましたが、ご意見の中でも検挙件数が減ったことが理解の進んだことを示すのではないのではないかというご意見もありましたので、検挙件数が減ったという事実のみの記載とさせていただいております。
     それから、7ページの15行目から17行目、この中では輸入時に非意図的に特定外来生物が輸入品に付着、混入していることが確認された場合の消毒等の具体的ガイドラインが整備されていないという問題、消毒や廃棄を実施させる法的な権限が不明確であるということを書いていたんですけれども、より適切な表現としては、確実に取り除くための手段が法的に位置づけられていないということが問題であるという認識をここで明確にした修正をさせていただいております。
     続きまして、8ページ、防除の現状と課題の中で、27行目から29行目に早期防除により防除コストが削減されることの周知や地方公共団体が連携して広域防除を行うための体制構築の促進に対する国の取組が不足していることなどから、地方公共団体が侵入初期の早期防除に取り組む場合は少なくということで文章を追加させていただいております。これについては、48番のご意見、具体的防除主体である国という観点がこの中では薄いため、国として地方公共団体等に働きかけることや周知をするという取組が不足しているという現状をきちんと記載しておくべきではないかという趣旨のご意見をいただきましたので、こうした修正をさせていただいております。
     続きまして、9ページ、国内由来の外来種に関する記述ですけれども、生物の移動について、これまで科学的な知見が十分に得られていない場合が多く、そのため、生きた生物の移動に関する考え方の整理や普及啓発がなされておらず、対策も進展していないと修正をさせていただきました。これについては、51番のご意見、個人の観賞用の生物を含む生物の移動、放出が効果的に規制をされていないというご指摘もありましたので、そうした考え方の整理や普及啓発がされていないことが問題であるというふうな記載をさせていただいているところです。
     10ページにいきまして、各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題の中で、27行目から29行目、特に命を大切にする道徳教育や環境教育が行われている中で、外来種問題に係る正しい理解が十分に得られていない状況があることから、地域固有の生物多様性を保全するために、外来種対策が重要であることについて、理解の促進を図ることが必要となっている、と記載しました。もともとの文章ですと、命を大切にする中でこうした理解の促進を図ることが必要となっている、と意味がわかりづらいというご指摘がございましたので、きちんと問題として正しい理解が得られていないということを記載させていただいております。
     それから、下にいきまして33行目から36行目、動植物園の取組について、これまで外来種対策への協力が限定的であるという記載をさせていただいておりましたが、55番のご意見で、動物園、水族館等でも展示や外来種の普及啓発や生物の取り扱いに対する一般の方からの問い合わせへの対応などもあり、取り組んでいるところは少なくないため、こうした記載は不適切ではないかというご指摘をいただきましたので、外来種問題に係る展示や一般利用者に向けた勉強会等の普及啓発に係る活動が行われているが、今後種の同定や防除手法への助言等について、より一層の協力が期待されるということで、今後のより一層の協力を求めるというような記載にさせていただいております。
     それから、少しページが後ろにいきまして、今後講ずべき必要な措置の中の12ページ、「特定外来生物の効果的な選定」の中になりますけれども、11行目から13行目に交雑個体について、適切な飼養等の規制と防除が実施されるよう、法的な位置づけを整理するとともに、実効的な規制の仕組みや監視体制を検討する必要があるとしています。これについては、前までの案ですと、中期的に講ずべき措置のほうにこの交雑個体に関する法的な位置づけの整理を記載させていただいていたんですが、早急に対応すべき課題ということもありますので、短期的に講ずべき措置のほうに内容を移させていただくとともに、82番のご意見で、この措置の目的を明記すべきというご意見もいただいておりますので、適切な飼養等の規制と防除が実施されるようというところを追加させていただいております。
     それから、21行目から24行目ですけれども、これは何件か、例えばミシシッピアカミミガメですとか大量に飼育されている生物について、被害が軽視できないものになっていますので、きちんと規制をするとか防除するといったことも必要ではないかというご意見をいただいておりますので、我が国の生態系等に大きな影響を思しているにもかかわらず、飼養等を規制することによって大量に遺棄される等の弊害が想定される外来生物については、弊害が生じないよう段階的な規制の導入などの経過措置を講じた上で、特定外来生物に指定することを検討すべきであるとしています。例えば、まずは輸入、販売を止めた上で、時間を置いて飼養等の規制をするというような仕組みが一つ考えられるのではないかというような内容をここに追加させていただいております。
     続きまして、13ページ、7行目から10行目に学術研究や防除を目的とした特定外来生物の野外への放出について、これも中期的な講ずべき措置から短期的措置に移すとともに、先ほど概要の中でもご説明しましたけれども、複数のご意見の中で、野外に放出することを認めることで、新たな生態系への被害が出て駆除対象になるということがわかっているのに放出を認めるべきではないとか、どういった規制の内容になるのかイメージが湧かないといったようなご意見もいただきましたので、言葉を補って、防除の推進に資することを目的とし、新たに被害を発生しない範囲内で許可できる制度にすること等を検討すべきであるというように説明をつけさせていただいております。
     それから、13ページの24行目から28行目につきましても、これも輸入品に特定外来生物が付着しているケースについて対応できないということがあるのは問題ですので、早急に対応すべきということで、中期的措置から短期的措置のほうに移させていただいております。
     それから、32行目から34行目について、特定外来生物等が輸入できる港及び飛行場について、現在、法律で指定がされていますけれども、利用者に著しい不利益を与えている場合には追加指定を検討すべきであるという書き方をさせていただいておりました。パブリックコメントのご意見の中でどういったケースなのか、その不利益を与えているというのがどういうケースなのかわかりづらいというご意見もいただきましたので、物品の輸入が大量に滞る場合など必要に応じて指定の見直しをするという記載にさせていただいております。
     続きまして、14ページ、防除に係る今後の講ずべき措置ですけれども、29行目から31行目、これについては19番のご意見、防除が進んで個体数が減少してきた際に、費用対効果が上がらないということで、予算が削減されることがあるため、必要な予算を確保して根絶を完了するということが必要であるということを記載すべきというご意見をいただきましたので、特に根絶の実現性、生態系の保全効果、低密度管理とのコスト比較等も踏まえ、根絶が望ましいと判断される場合は、根絶間近で捕獲数当たりのコストが増加しても、根絶に至るまでの防除の予算を継続的に確保する必要があるというふうに記載させていただいております。
     それから、34行目、35行目については、少し飛びますが、98番のご意見の中で地方環境事務所が―環境省の出先機関ですけれども―地域の地方公共団体等をリードして防除等の取組を進めていく必要があるということを書き込むべきというご意見をいただきましたので、国がその地方公共団体における外来種対策を促進する際に、この各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要であるというふうに記載をさせていただいております。
     それから、15ページ、21行目ですけれども、これまで防除に当たっては生態系管理の一環として、国立公園等の管理等と連動させてというふうに記載させていただいておりましたが、駆除先行でなく、固有種の住みやすい環境を整備すべきであるとか、希少種の保全と連動している場合もあるのではないかというようなご意見もいただいておりますので、希少種の保全等とも連動させてという記述にさせていただいております。
     続きまして、16ページ、「各主体の協力と参画、普及啓発の促進」の中で、15行目以下。いくつかのご意見を踏まえてこういった修正をさせていただいておりますが、例えば59番のご意見、生物多様性、地域戦略やその地域の生態系保全の計画を基本として駆除の必要性を示すべきであるというご意見や、60番のご意見、外来種によって失われる在来種があることや新たな外来種をつくり出さないということが普及啓発では必要ではないかというご意見、それから113番のご意見、防除にいかに経費、労力が必要かの情報共有や新たな外来種を生み出さない予防的な観点を広げる必要があるのではないかといったご意見を受けて、「外来種問題については国民の理解が十分に進んでいない側面もあることから、地域固有の生態系の状況や生物多様性を保全する地域の計画も踏まえ、生物多様性の意義やその保全の重要性、生物多様性に悪影響を及ぼす要因としての外来種問題の位置づけ及び防除を行うことの必要性などに関する普及啓発を促進する。さらに外来種対策について最新の取組や知見の積極的な公開を行うとともに、外来種問題と社会・文化の関わり、定着した外来種の防除等の対策に係るコストの大きさ、また、新たに問題となる外来種を生み出さないことの必要性などについて、わかりやすく説明を行い、普及啓発を推進する必要がある」というふうに記載をさせていただきました。
     その下の丸ですが、外来種問題に関する普及啓発については、対照となる主体と目的を明確にし、さまざまな機会・媒体を通じて戦略的に実施していくことが必要であるとさせていただいています。これについては111番のご意見ですけれども、外来種問題の普及啓発については、教育を徹底して行うということを明記すべきである、それから、あらゆる媒体を通じてこうした取組を推進していくべきであるというご意見をいただきました。教育については、その後段のほうで書いてあるんですけれども、さまざまな機会・媒体を通じてということをこの中で記載させていただきました。
     16ページの31行目以下については、例えば少し戻りますが、66番のご意見などで生物多様性地域戦略について、その中で外来種対策を盛り込んでいくべきではないかということを書くべきであるというご意見をいただきましたので、外来種対策に関する各主体の行動指針を明らかにした外来種被害防止行動計画の策定も通じて、民間団体や市民による活動参加を促進する必要があるとした中で、こうした取組により都道府県や市町村が生物多様性地域戦略を定める場合に、必要に応じて外来種対策の取組が明記され、各地域の生物多様性の保全を目的とした防除等が推進されることが期待されるという一文を追加させていただいております。
     それから、17ページの中でいくつかこれまで動物園、水族館、植物園等とのパートナーシップをつくるべきである、連携を深めるべきであるといったご意見も複数ありましたので、外来種問題の理解を深めるよう、水族館、動物園、植物園等も含め、多様な主体と連携して推進していくべきであるというふうにこの中で記載をさせていただいております。
     主な内容については以上になりますが、以下、参考の中で少し用語の説明が不足しているというようなご指摘もいただいておりました侵略的外来種であるとか特定外来生物に関する用語のご説明ですとか、そういったことをつけ加えさせていただいているという状況でございます。
     こちらからは以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今説明していただいた内容について議論、ご質問、ご意見をお伺いしたいのですが、主要には資料3のこの委員会の報告書案について議論したいと思います。
     それで、その前に資料2-1と2-2について何かご質問等あればお願いしたいと思います。その後で資料3を項目順に議論していきたいと思います。
     特によろしいですか。

    【中井委員】 資料2-2は今日、初めて見せていただくものということでよろしいですね。あまりに量が膨大なので、質問が何かあるかと問われてもすぐには確認がしきれないのですが、例えば対応案でこうしたほうがいいのではないかというのが後から出てきた場合は、またお知らせすればよろしいのでしょうか。あるいはもうこれで、この会議で通り過ぎたら了承したということになるのか、その辺りはどう判断すればよろしいでしょうか。

    【関根外来生物対策係長】 ちょっと量が膨大でございますし、この場ですべてご議論ということも無理かと思いますので、この委員会の後、1週間ぐらいのうちにもしお気づきの点があればお寄せいただければというふうに、また別途ご連絡も差し上げたいと思います。

    【中井委員】 ありがとうございます。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
     そしたら、資料3についてご質問、ご意見、それから議論をしていただきたいと思います。
     まず、資料3の1の「はじめに」と、それから2の(1)特定外来生物の選定に関する現状と課題及びそれを踏まえた3の(1)の特定外来生物の効果的な選定という部分についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。現状と課題の分析があって、必要な措置というのが後ろにまとまっているのでちょっと見にくいのですけれども、両方あわせてご質問、ご意見、お願いしたいと思います。

    【中井委員】 まず、用語のことでお伺いしたいことがあります。2ページ目の9行目で「野生化する」という言葉が出ていますね。これは後のほうでも一、二カ所多分出てくると思いますが、これと、「定着する」という言葉と両方出てきていますが、それらはきちんと使い分けておられるのかどうか、ということが1点。
     もう一点が、3ページ目の27行目に自然公園法あるいは自然環境保全法で動植物放出等というところで、「放出」という言葉は、これは外来生物法のところでも放出という言葉が今回使われているのですが、今までにも普通に使われていた言葉でしょうか。以前は、たしか放逐という言葉が使われていたような気がしますが、要は法律の文面では「放つこと」とされている行為ですよね。これを「放出」という言葉で表現していいのかどうかという点のご確認をまずしたいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 すみません、野生化と定着につきましては、こちらでもきちんと使い分けができていなかったと思います。基本的には同意義で使っておりましたので、どちらかに統一したいと思います。

    【中井委員】 その場合は、定着のほうがおそらくいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい、わかりました。自然公園法の放出なんですけれども、法律的には放つことという形で書いていて、以前、畜産を放つことの届け出制があったときに放牧という言葉を使っていたと思うんですが、現在、放つことに統一されていますので、そういった観点で放出という言葉を今回使わせていただいております。

    【中井委員】 意味がわからなくはないのでいいのですが、普通、日常で使う「放出」の意味とはちょっと違ったような語感があります。法律では普通に使われるということであれば、別に構わないんですけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それであれば、動植物を放つことなどという形で修正させていただければと思います。

    【中井委員】 お任せしますけれども、ちょっと違和感があったもので確認しました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【岡(敏)委員】 今後講ずべき措置についてもいいですか。

    【石井(信)小委員長】 はい。

    【岡(敏)委員】 12ページの4行目に代替種の開発状況などという例示がされているんですが、同じページの(2)のほうになりますけれども、35行目から代替種の開発が必ずしも有効でない場合があるという問題を書いてあるので、特に社会経済影響を考慮することの例示として代替種の開発状況というのを特に挙げるのは、あまりよくないんじゃないかと思います。
     それで、もし何か例示を挙げるとしたら、代替物の利用可能性などというふうにしておいたらどうかなと思います。というのは、被害防止の基本方針の中にそういう言葉があったので、特にこれを今回代替種の開発というふうに変える必要はないんじゃないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で修文をしたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【五箇委員】 戻りまして2ページですね。先ほど中井さんから指摘がありましたけれども、野生化を定着に置きかえるということですが、定着だけじゃなくて、問題となるのはその後、分布・拡大するということも含めてとありますので、定着及び分布・拡大というふうに置きかえたほうがよろしいのではないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい。ご意見のとおり直したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。特定外来生物の選定に関する部分ですね。

    【中井委員】 私、ちょっと3回目を休んでいたもので、いろいろと指摘が続いて申し訳ないのですが、5ページの15行目から19行目の文章のつながりです。修文されたためだと思うのですが、それより前から読んでくると、つながりが悪いような気がします。恐らくは、まず植物全体として(特定外来生物として)指定(された)種がかなり少ないということも言っておかなきゃいけないし、さらに未判定(外来生物)についてはほとんど指定されていないという、二重の意味で植物は指定が進んでいないことがわかるような書きぶりにしたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
     これだと特定(外来生物)の指定はそこそこやっているけれども、未判定(外来生物)の指定が少ないと読めますよね。実際は、植物そのものの特定外来の指定が少ないことも指摘されていたと思いますので、多分修文前だとそのニュアンスが残っていると思うのですが、修文された後、その辺が消えてしまっていると思うので、表現をご検討いただけたらと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この修文は前回、小林先生から指定種が少ないことが問題ではないんだというようなご指摘がございましたので、12種植物については指定されているんですが、未判定については指定が進んでいない、それは同属で危険性がある可能性があるにもかかわらず2種しか指定されていないという意味合いで修文させていただきました。

    【中井委員】 といいますと、12種そのものも少ないということですよね。それはいいのですか。その指摘はなかったのですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 小林先生のご指摘というのは、12種が少ないという評価は科学的に評価すべきであって、多い、少ないは問題ではないのではないかと。ここの趣旨としては、12種指定されている中で同属のものは生態系影響の可能性があるにもかかわらず、未判定が指定されていないということについての問題を記述させていただいています。

    【中井委員】 あと、5ページの36行目からの段落ですが、「特定外来生物に指定されていないが」とありますが、それ以前に、まず要注意外来生物にも選ばれていないものがこうやって新たに出てきている、という形で加えていただいたほうがいいと思います。あとは、例えばスパルティナ・アルテルニフロラ、ヒガタアシですね。これについては和名のヒガタアシがどこまで通用するのか知りませんが、すでに報道でも使われていますので、括弧づけで補っていただくことと、特定外来生物でスパルティナ属(スパルティナ・アングリカ)がありましたよね。同属種は既に特定外来生物に入っているのに、こっちは入っていなかったという状況であることを示してほしいと思います。まさにさっき指摘したように植物では未判定外来生物が指定されていないということなのかもしれませんが、その例としてわかるような表現をして、だからこそ未判定外来生物を整備すべきである、あるいはだからこそ特定外来生物の指定は属レベルであるべきだという意味でのいい例だと思いますので、その辺りの工夫はあったほうがいいと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で文章を検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 今のところで、5ページの15から19行目ですか。そこのところはどんなふうに整理しましょうか。今の議論だと、ここはこのままでもいいのかなという感じもあったんですが。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 前回の小林先生の趣旨とすれば、原案でいかせていただければと思っております。

    【関根外来生物対策室長】 植物の特定外来生物の指定が少ないんじゃないかというご意見もあるということは承知をしておるんですけれども、その問題につきましては、この報告書の中にも出てまいります仮称でありますけれども、ブラックリストの作成とかそういった作業を通じて、追加すべきものがあるかどうかというふうな検討もしていきたいと思っておりますので、現時点で12種が少ないのであるという断定的な書き方は避けたいなという気持ちを持っております。

    【石井(信)小委員長】 ということで。

    【中井委員】 今のところで補足よろしいですか。違和感があるのはなぜかというと、16行目に「一次生産者であり、生態系の土台となる植物は」なんていう形容をしているところに違和感がある気がするのですね。恐らくこれは、例えば16行目の「未判定外来生物に指定されているが」の部分を、「特定外来生物に12種が指定されている植物では、未判定に指定されているものはわずか2種である」というような形で持ってきたほうがすっきりする気がします。多分違和感はその辺りにあるような気がします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 わかりました。ご指摘を踏まえて直したいと思います。

    【細谷委員】 ちょうど交雑の問題が入っていましたので、気がついたところ、5ページですが、交雑の問題は前回、前々回でしょうか、私どもサンシャインバスを取り上げてこういうふうに明記していただいたのは非常に評価できるんですが、実はこの文章の流れ、27行目からずっと35行目まで見ていますと、交雑種というくくりの中ではサンシャインバスからチュウゴクサンショウウオとサンショウウオの交雑、今回入れられたものですけれども、よくよく考えてみますと、31行目でこれ、現状を分けたほうがいいんじゃないのかなというふうに思っております。つまりサンシャインバスは確かにオリジンとしては交雑種ですが、実はこの影響というのは食害が危惧されるものであって、それはオリジンが交雑種であって法的に漏れていると、そういう整理で、2点目は、実際には日本の在来生態系の中で外来種が入り込んで、日本の生態系の中で交雑が起こっているという現象で、明らかに異なるものですから、少なくとも31行目のほかのところで区切っていただいて、あるいは状況に応じて段落を変えてもいいくらいだと思うんですね。まだまだその事例が足りないように思います。
     今回、パブリックコメントでチュウゴクサンショウウオとオオサンショウウオが出てきましたけれども、アカゲザルとニホンザルの交雑だけではなくて、ちなみに例えばニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴの問題であるとか、もっともっとここら辺を強調しておいたほうがいい。整理についてのお願いと、事例をもう少し増やしていただく、ご検討いただければと思います。

    【関根外来生物対策室長】 段落を変えるというご指摘につきましては、そういう方向で書き直してみたいと思います。事例につきましては、どこまで分量を増やせるかという問題もございますので、どれがふさわしいかというのは個別にご相談させていただくかもわかりませんけれども、検討させていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、それはよろしくお願いします。ほかには、ここのところはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 次に6ページの(3)です。まず、アサリの話が出てきていまして、アサリは交雑の問題もありますが、もう一つ水産上非常に重要な問題としてサキグロタマツメタという捕食性の巻貝が混入してきて入った経路ではないかとかなり強く疑われていることについても、ぜひ併記していただいたほうがいいと思います。といいますのは、その後に「水産動植物の増殖用として輸入されている種苗等にカワヒバリガイ等の外来種が混入している」と同じようなことが触れられていますから。そして、実はカワヒバリガイが混入しているのは、増殖用に輸入されている種苗等よりは、むしろ生食用に生きたまま輸入されているシジミであることがほぼ当たりがついているので、具体的に「輸入されているシジミ」という形で入れていただいたほうがいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点、水産庁さんと調整させていただいて、それで検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 あと、7ページの21から22行目ですね。「国内全域における土砂や植木の運搬などの移動の実態把握や規制はなされていない」という表現は、文章の構成上おかしいと思いますので、修文をお願いいたします。おかしいですよね、これ。例えば「運搬など外来種の移動に関わる行為の実態把握」ということですよね。その辺は上手な表現にしていただけたらと思います。そういうことが言いたいわけです。

    【関根外来生物対策室長】 はい、わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【中井委員】 あと、8ページの今度は定着という言葉ですが、17行目にまず赤で直っている「定着している外来種」とありますね。そこから下、21行目と26行目は「広域に定着する外来種」とあります。この「定着する」という動詞の使い方は、「定着している外来種」が正しいと思うので、21行目と26行目の「定着する」は「定着している」のほうが表現としてはいいと思いますので、ご検討ください。

    【関根外来生物対策室長】 そのとおり修正いたします。

    【中井委員】 31行目もそうです。すみません。
     あと、同じく8ページの27行目から29行目の修文の部分ですが、ぱっと読んで意味が取りにくいですね。この文は、「早期防除により…の周知」と、その後の「地方公共団体が…、促進」とが並列なんですよね。周知と促進に対する国の取組が不足している、という構造がすごくわかりにくいので、これもわかりやすく書き下していただいたほうがよろしいかと思いました。

    【石井(信)小委員長】 よろしいでしょうか。

    【中井委員】 9ページの2行目から5行目ですが、「科学的知見が得られていない場合が多くて、そのために啓発がなされていなくて対策が進展しない」というのは本当ですか。それぞれ一つ一つは事実としてそうなんだろうけれども、「そのため」という言葉で結べるのかどうかという部分ですが、違うと思います。科学的知見が不十分であるというのはそのとおりですが、それが普及啓発のなされていない事情とは多分違いますよね。一因かもしれませんけれども、これは並列にしたほうがいいのではないかと思います。
     あと、最後にもう一つですが、13行目ですが、「国内由来の外来種について」とありますが、これは確かに国内由来の外来種対策の項目ではありますが、当然国外由来のものも含まれていますので、「ついても」と、「も」を入れたほうがよろしいかと思います。

    【石井(信)小委員長】 あとはよろしいですか。多分細かい修正で何とかなるところは少し後でまとめていただいてもいいかと思います。内容に関わるところですね。それを中心にお願いできればと思います。はい、どうぞ。

    【磯部委員】 今どの場所でもよろしいんですか。

    【石井(信)小委員長】 いえ、特定外来生物の選定に係る部分です。何か大分動いてしまいましたね、確かに。今、2の(1)と後ろのほうの3の(1)についてご意見をお願いします。
     では、後でよろしいですか。すみません、私ちょっといろいろぼんやり聞いていたもので失礼しました。そしたら、次の項目に移ってよろしいでしょうか。(2)のほうですね。そしたら、2の(2)飼養等許可の現状と課題と、2の(3)輸入規制、水際対策及び非意図的な導入対策の現状と課題で、それが現状と課題で、今度は3の(2)と(3)ですね。飼養等許可の適切な執行管理の推進、それから(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の推進、ここのところでご質問、ご意見、お願いします。

    【磯部委員】 ちょっと制度的なことだけ確認しておきたいという趣旨なのですけれども、7ページの15行目にあります非意図的な導入対策の箇所です。現行制度では特定外来生物を確実に取り除くための手段についての記述が、以前は「不明確である」といなっていたものが、今後ははっきり「法的に権限がない」というふうに修文されているわけですよね。この修正は、何かパブリックコメントで指摘があって、それに対応した修正ということなのでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 特にパブリックコメントでご意見をいただいたものではないんですけれども、現在の法律の中でこういった規定というものはございませんので、現状では行政指導の中で取り除いていただいているということが現状です。

    【磯部委員】 わかりました。それで、いま申し上げた箇所現状と課題のところで、それに対応するのが13ページの二十四、五行目辺りからの記述で、今度は輸入品の廃棄や消毒等法的に徹底できる措置について検討する必要があるということが対応しているという理解でよろしゅうございますね。
     たしかにこの点は、法制度的な観点からいっても大事なところだと思うのですけれども、2つの点で危惧を感じます。1つは、本当に現行法制度で全く権限はないんだとここまで言い切ってしまうのがいいのかということです。既存の法律を何とか解釈して、かなり強引な解釈と言えるかもしれないけれども、明らかにけしからんものをそこでとにかく廃棄せよと命ずることならやれるかもしれないという可能性も全く封じてしまっても大丈夫だろうかという危惧です。もう1つは、だからこそ新しい法律なり、個別の条文をつくって新しく制度を整備するのであるということが短期的な課題のほうに挙げてあるということであるのならば、いや、それこそそれに期待するということでよろしいのかもしれないのですけれども、実際問題としてはこれは、罰則の問題ではなくて、本格的な強制権限を作るというわけですよね。廃棄命令によって科された義務違反行為に対して直接強制の権限を創設するのか、単なる即時強制の権限なのかわかりませんが、現行法精度の下では一般に、仮に必要性があってもなかなか制度化が難しいとされている課題なので、そう簡単に制度化は期待できないのかなとも思われます。だからこそ、さっき申し上げましたように、現行法で全くそれができないのだと言い切ってしまうと、何か制度上に一種の穴があいていることを公認してしまうような気がしないでもなくて、ちょっと気になったものですから、何かお考えがおありなのかなというご質問でございます。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状においても特定外来生物が付着したまま輸入はできませんので、そういった権限を示した形で消毒なり取り除きをやっていただいているんですけれども、その取り除き方について具体的に例えば植物防疫法ですと、どういった薬剤で何時間薫蒸しなきゃいけないというような規定がございますので、それと同等の強い規制が現状ではかけられないということでこういった記載にさせていただきました。全く権限がないというのは少し語弊があるようであれば、少し修文も考えたいと思っております。今後の改善点としては、法制度で植物防疫法のような命令規定、廃棄ですとか消毒とか、それに伴う基準もしっかりつくった上でそういったことを目指したいというふうに考えております。

    【五箇委員】 今、磯部先生のほうからご指摘ありました規制云々、特に検疫の部分で実際問題そこまで実は考えずに法律ができてしまっているので、法律の中で検疫云々という部分がシステムとしても抜けちゃっているというのは事実なんですけれども、先ほど環境省のほうからも説明がありましたけれども、実際には植物検疫段階でアルゼンチンアリが見つかるとかそういったケースが結構頻繁に出ておりまして、そういったケースについては、環境省のほうから発見があり次第、植防のほうにお願いして薫蒸処理をしてもらうという個別対応でずっと続けてきたんですけれども、昨年度ぐらいから、まずアルゼンチンアリを皮切りに見つかった段階で植防のやっている方法と同じ方法で検疫薫蒸ができればいいのではないかという話し合いが農水省との間で進められるようになっております。だから、肝心なのはいっぺんに法律のシステムとして装備するということは非常に難しいところ、環境省の規模からいっても難しいところがありますので、ここはそういった手足のある農水省、こちらとしっかり協調をとるという方向で進めていくというのがこれからの対策としては、むしろそっちのほうが大事なんじゃないかなと。実態としては、今現実にはそういうふうに動き始めていて、我々環境研究所もそれちょっと一応対応させていただいたので、補足としてここでそういったことを説明させてもらいます。

    【山岸委員】 この色つきの概念図についてなんですが、これは初めてでしたか。前から出ていましたか。出ていましたか。ちょっとわからないところがあるんですけれども、赤い部分はいいんですけれども、その左下の緑色の部分なんですけれども、「国外」から矢印が「在来種Bの別集団の生息地域」のところへ向かっていますよね。これが直接「在来種B」のところへ向かったら問題が起こらないんですか。何でこれ2つあるんですか、その「在来種B」というのが国内の。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これは国内で同じ生息地の中に移動しても、遺伝的形質が異なる場合は遺伝的攪乱の問題が起こるということが国内であっても海外であっても起こり得るということを示しております。

    【山岸委員】 それはわかるんですけれども、左側の「在来種B」というところへ直接「国外」から矢印が来たときには問題が起こらないのかと。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 同じ遺伝的形質を持っていれば、遺伝的攪乱という問題は起こらないというふうには考えております。

    【五箇委員】 この図をつくらせてもらったのは実は私自身でして、すみません。環境省のつくった図がちょっと見にくかったので、もう僕のほうでつくりますと言ってつくらせてもらったんですが、先生のご指摘は、この外国から来る「在来種B」というのが緑色の九州辺りにある「在来種B」のほうに矢印が来た場合はどうなのかというお話ですよね。ちょっと非常にこの部分が一々用語を説明するようにつくっちゃっているのでややこしいんですけれども、この外国にいる「在来種B」というのは、根本的には、要は遺伝的に隔離されている集団とみなすと、どこに入っても基本的には外来種ということになります。ここではあえて遺伝的な攪乱を説明するために、国の外から来るケースにしても国内から移動されるケースについても同じ種「B」なんだけれども、遺伝子組成が違う場合は、これは遺伝子の攪乱という問題を引き起こすということを説明するためにわざわざここを国外の部分と国内の部分とで2つで矢印をつけているという状態になっていますね。あくまでも遺伝的攪乱を説明するためのフロー図、概念図としてここの部分があるんですね。
     だから、本当は遺伝的攪乱云々も何もかもひっくるめて、生態リスクそのものを及ぼすものという概念からすれば、この外国産種というのは日本にはいない種で、緑色の外国産種「B」というのは日本にも同じ種類がいるもので、どっちも国内に入る段階では外来種……

    【山岸委員】 どこへ行ってもだめですよね。

    【五箇委員】 だめだということになる、本来はだめなんです。あくまでも遺伝的攪乱という用語の説明のためにこういうふうな形になっていると。

    【山岸委員】 上に対応しているんですか。その上の赤い部分もこれに似たようなものになっていますよね。

    【五箇委員】 赤いほうは、これは国内の青色の境界線に入った段階でこれは外来種という扱いになるということなんですね。すごく本質的に外来種問題というのは、問題は同じで、本来の生息地から違うところに持ってくるものは、種としては同じだろうが何だろうがだめなものはだめだと。

    【山岸委員】 ついでだけれども、これが絶滅してしまったらどうなるんですか。

    【五箇委員】 どれがですか。

    【山岸委員】 この下の「在来種B」というのが絶滅しますと問題にならないんですか。

    【五箇委員】 トキのようなケースですか。

    【山岸委員】 遺伝的攪乱は起きないんだよね。

    【五箇委員】 そうですね。そのケースについてどうするかというのは、前回の会議でもすごい議論をさせていただいたところで、ちょっとこの図そのものについては、もうちょっといろいろと相談させていただいて、練り直したいと思います。ちょっとまだ突貫でつくったところもありますので、もう少し整理していきたいと思います。

    【中井委員】 この図ですが、斜めの点線の右上側だけが「外来種問題」で、タイトルは「外来種問題の概念図」ですね。ちょっと意地悪な言い方かもしれませんが、左下の側の要は種内の遺伝的、地域個体群間の交雑の問題について、「外来種問題」とここでは扱わないで、どういう問題として扱うのかを示す呼び名があったほうが、2つの概念が存在することがわかりやすいですよね。

    【五箇委員】 この線を引くことに関しては僕もちょっと異議があって、全部に関する問題なので、結局何か難しい箇所が法律的に……

    【中井委員】 規制の対象をきちんと明文化して表現しなければいけない段階において、その対象に対して名前がつけられない状況というのは左下になってくるんですよね、結局は。これが例えば外国から来た集団であっても、亜種のレベルで違えばもう右上になってきますが、亜種までの区別ができていなくて、要は名前がつけられない状況にあると同一のものとみなして、違うんだけれども一緒ということになって左下になるという位置づけですよね。やはりこの機会に適切な言葉を与えておいたほうが普及・啓発とか、あるいは行政の担当者にとっても非常に楽になると思いますが、宿題かもしれません。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状ではそれぞれの項目の題名において名称をつけているんですが、この遺伝的攪乱の問題は「生物の導入による遺伝的攪乱」と、現状と課題、対応策に書いておりまして、現状においてはこのような仮の題名でつけさせていただければと。もしいい題名があればご指導いただければと思います。

    【細谷委員】 議論がもとに戻ったようですが、しかしながら、これ非常に重要だと思うんですね。根幹に関わることですので。この概念図はそうたやすく扱うものではないと思います。非常に重要なものだと思います。この問題を再度整理しますと、実はここで皆さんおっしゃりたいことというのは遺伝的攪乱でしょうか、あるいは外来種問題そのものなんでしょうか。ゴールがようやく理解できましたけれども、国外外来種の問題と国内外来種の問題、これと、それからたくさんの問題、つまり別種か別亜種か、これは右上ですし、それから、全く同種、同亜種の場合、これが混在していて極めてわかりにくい模式図になっていますね。ですから、何が問題なのか、外来種問題は確かに遺伝的攪乱が非常に重要な問題ではありますが、それそのものが外来種問題を代表するものとは到底思えないわけですね。ですから、ここの整理をもう一度した上でこれを安易にこのままにしておくには問題があろうかと思います。根幹に関わる課題だとは思いますが、再度ご検討いただきたいと思います。

    【太田委員】 ちょっと話がややこしくなると思うので黙っていたんですけれども、ずっと。そもそも在来の生物多様性を守るのに、守るべきものは何かというと、保全生物学の分野では既に誰もがそういう記号のついたタクソンではなくて、遺伝的な、進化的なユニット、evolutional significant unitという言葉は皆さんご存じだと思うんですけれども、ここにいらっしゃる方は。そっちなんですよね。ただ、それが非常に条文として使いにくいので、とりあえず便宜的に種とか亜種とかという言葉を使っているので、これは実はかなり深刻な問題をはらんでいまして、どこかでそれに置きかえていく努力が次は必要だと思います。今回それを並立して議論し始めると、多分この1年、2年の議論では済まないと思うので、今回のところはそれでいいのかもしれませんけれども、それは少なくとも対応部署の方は次の課題ということでぜひ認識していただければと思います。
     それから、国内外来の問題については、これは結局手続上どうするかという話は本当に生物多様性の保全をやろうと思うのであれば、これは明らかに説明責任がどっちにあるのかというところの問題になってくるわけで、つまり持ち込むほうにあるのか、それとも許可するほうにあるのかということになるわけで、止めようとするほうにあるのかですね。実際に集団遺伝学的にいろいろなものを扱っていると、海外から持ち込もうとするのはたとえ記号としても種名なり亜種名が一緒についていてもかなり遺伝的に違うものが多いんですね。それをだけれども、同じ名前がついているから今のところはいいやということで、その遺伝分類学者のある種ちょっと不十分なところかもしれないですけれども、それに基づいてやっていたら、結局手遅れになるものがほとんどだということはどこかでやっぱり反映させていかないと、これも努力目標だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 今のことに関して、ここの外来種問題の概念図に関して、特に遺伝的攪乱の問題という部分だけが特出しされていて、あといろいろと国外外来、国内外来の問題もあったりして整理が非常につきにくいところはあるんですが、今回、特にこの遺伝的攪乱の問題をわざわざ引っ張り出しているところは、国内の在来種の移動ですね。いわゆる国内外来種そのものの問題は何が問題かというのを少しでもわかりやすくというか、何が問題かをとりあえず特出ししないと国内外来の問題がタッチできないと。だから、しかも法律上はちょっと今のところどうしようもないので、対策をこれから考えるというスタートをここで切るという意味で、ここは多分線引きされちゃっているところでもあるんですね。この点線で引いちゃっていて、赤いところは法律で何とかしよう、ここにでも、国内由来の外来種の問題がここにも書いてあって非常にややこしいんですが、結局同じ在来種なのになぜ移動しちゃいけないかという部分からまずわかってもらおうというところから、この遺伝的攪乱の問題が特出しになっているということなんですね。だから、ちょっと整理がもっともっと必要なところはあるんですが、なかなかこれがまた法律用語とかも関わってきたりするものですから、この図をつくる段階でも随分東岡さんとはすったもんだして意見交換してつくっていまして、まだちょっと完成はしていないところもあるかと思いますけれども、いろいろ意見をいただいて、この図自体はもうちょっと完成度の高いものにはしていきたいと思います。
     ただ、ここで遺伝的攪乱の問題だけが妙に特出しされているようなイメージになるのは、逆に言えばとにかく国内外来ですね。ちょっと非常に言葉がややこしいんですが、在来種を移動させるということにも問題があるということをまず理解してもらうためには、こういった問題を特出しするというのが効果的であろうという位置づけになっているものと判断しています。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 今のことに関して。

    【北田委員】 今のこの図ですけれども、赤い方は在来種がいない地域に持ってくるわけで、エコロジカルな影響を言っていて、緑の方は遺伝的な、ジェネティックな影響を表していると思います。緑は交雑するあるいは交配するという部分で、上の赤はそれがないということで、これはこれできちっと整理されているのではないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 五箇先生からご指摘がありましたように、用語の整理の関係なんかもありまして、前々回になりますか、小委員会でもいろいろご意見があって、それを整理しようという意図でこういう概念図を作成いたしまして、まだ少し修正について検討しないといけない部分があろうかと思いますので、その点は今日のご意見を踏まえてもう一度考えてみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ただ、今の法制度があって、それではカバーし切れない国内外来種の問題とか遺伝的な攪乱の問題というのをこの報告書の中でなるべくあぶり出して見えるようにするというところが今回の作業の目的だと思いますので、保全生物学的に見て理想的な枠組みとか問題の整理の仕方というのをやろうとすると、やっぱり皆さんおっしゃっているように少し時間のかかる作業になると思いますので、これに関してはなるべく微修正、大事なところは直すとしてという方向で整理していただけないかなと思います。
     それで、すみません、大矢さん、お待たせしました。

    【大矢委員】 13ページなんですけれども、20行目から23行目に指定港及び指定港以外の空港云々と、これが短期的に講ずべきの措置のほうである。そして、32行目、中期のほうで同じような輸入のことの問題が出ているんですね。輸入港の問題、これはなぜ短期と中期とに分けているのか。このところを一括で、短期で持っていけないのかどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘の20行目からの部分につきましては、これはこれまでもマニュアルなどの整備もやってきておりますので、それを一層充実させていこうということでございまして、当然そういう意味でもできることかなと考えております。
     それで、32行目からの部分につきましては、我々の承知している範囲ですと、現在の指定港以外からそんなに問題が多発しているという状況でもない、一部羽田とかこれから考えないといけない部分もあろうかと思いますけれども、まずそういう現状を把握するとともに、そういう空港の国際便の運用等がどういったことでこれから変更されていくのかという辺りも調べた上で検討させていただきたいなということで、中期的なところに、少し時間もいただいた上で検討させていただきたいというような趣旨でございます。

    【大矢委員】 確かにおっしゃるように、一番問題なのは羽田だと思うんですね。成田と羽田は非常に至近な距離にあるからということなんですけれども、羽田がかなり国際化してきて、また、問題が多いところからの航空便が多いということなので、できるだけ速やかに羽田は指定のほうに移して、そしてコントロールしていったほうがいいのではないかなというふうに考えています。

    【関根外来生物対策室長】 そういうような現状把握ですとか、そういった作業につきましては、遅らせることなくやっていきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 これは、では位置づけについては原案でよろしいでしょうか。
     ほかに、そろそろ次にいこうと思っているんですけれども、はい、お願いします。

    【中井委員】 7ページの18行目から20行目のバラスト水対策がありますね。海洋の外来種の問題では、条約としてはバラスト水管理条約ですが、バラスト水と並んで船底付着も非常に大きい割合を占めていることがよく知られていますので、そのことについても書き添えていただいたほうがいいと思います。船の底に付いて、(内側のバラスト水ではなく)外側に付いてくるというものです。これも非常に重要ですので、よろしくお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 それでは、(3)のところはそろそろよろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 一ついいですか。今日は昆虫のところを集中的に読ませていただいているんですけれども、13ページのここにセイヨウオオマルハナバチのことが書いてあって、その代替利用としてクロマルハナバチについてどうしたらいいかというようなことが書いてあるんですね。それで、よく読まないと多分おわかりにならないと思いますけれども、4行目のところですね。これらの利用方針というふうに書いてあるんですけれども、この「これら」というのが変なんですね。恐らくクロマルハナバチしか上に登場していないので、この「これら」というのはその利用方針だけでいいのかなと思うので、なぜ「これら」にしたかというのをもしもあったら教えていただきたいなと。例えばクロマルハナバチ以外の何か代替利用というのも想定されてのことなのかどうかということなんですけれども、いかがですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 本州の在来種はクロマルハナバチで、北海道の在来種も今後想定され得るということで「これら」と書かせていただきました。クロマルハナバチ「など」という形で「など」を追記して整合をとるようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 ちょっとその辺が気になったのと、ちょっとこの文は長いんですよね。何かそういうのがもう一カ所あって、ちょっと今日はついでだから言っちゃいますと、その文を一回「留意した上で」というところで切ってはどうですかね。「留意すべきである」とかにしておいて、それでまたもう一回、「その上で」とかして、これらの利用とかいうふうにつなげたらどうかなと。
     それで、ついでに、むちゃくちゃ長いのがある。6ページにバックしていただいて。6ページの10行目から16行目の一段落は、全部一文なんですよ、これを読んでいるとわけがわからなくなってしまうので、12行目の「限定的である」で一回切ってしまって、「一方で」で始めて構わないんじゃないかなということと、ついでに言うと、20行目から22行目にかけて修文が入っているわけですけれども、「セイヨウオオマルハナバチの定着が確認されているのは北海道のみであるが、飼養している農家のない大雪山や知床の一部地域でも確認されている」というこの文が何か全然パンチがなく浮いてしまっているんですよね。例えば、よろしければこんなふうに直したらどうかと思うんですけれども、「知床の一部地域等にも分布を拡大している」というので、ちょっと深刻さを出してみたらどうかなと私は思うんですけれども、日本語の問題で恐縮です。

    【石井(信)小委員長】 それでは、よろしいでしょうか。
     そしたら、次に移りたいと思います。次は(4)のところなんですが、7ページの(4)の国による防除の実施、防除に係る確認・認定の現状と課題と、そして、それに対応したところですね。3の(4)、14ページですね。ここのところについてご質問、ご意見をお願いします。

    【今泉委員】 14ページの33行目辺り、「地方公共団体における外来種対策を促進する必要がある、この際、各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要である」ということで、その後に「あわせて」ということでいろいろ書いてあるんですけれども、出先機関の役割は、我々としては本当に国にリーダーシップをとっていただきたいという意味で、非常に重要だと思うんですけれども、そこの出先機関の役割をできればもう少し詳しく書いていただければありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 具体的にどういう役割を念頭に置いているかという部分にすみません、ちょうどその上のところに情報交換ですとか成果の共有とか、そういったものをブロック単位や何かでよく取りまとめるようなことを出先機関の役割ということで書いておりますけれども、これよりもっと具体的にということでしょうか。

    【今泉委員】 少し期待してしまったのは、その後に「あわせて、侵入初期の早期防除」ということでつながっていきますが、そことは切り離してということになってしまうのでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 広域に分布しているものにつきましては、この県からこの県に分布が拡大しつつあるとか、そういう情報なども共有するということですので、侵入初期の早期防除とかそういったことに関しての情報の共有というものも当然入っていると考えております。

    【今泉委員】 わかりました。

    【石井(信)小委員長】 そのほか、いかがでしょうか。

    【中井委員】 8ページのさっきフライングしてしまった部分の上なんですが、26行目から27行目にかけて、「侵入初期の地域等の分布の拡大に関する情報の整備は進んでいない」という表現がちょっとわかりにくいように思いました。「要侵入初期の地域」と「分布の拡大」とのちょっとつながりがおかしいので、ご検討ください。
     そしてもう一つが今度は15ページなんですが、4行目から6行目、7行目にかけての「国は」の部分です。「個人やボランティア等による外来生物法の確認・認定を受ける必要のないような小規模の防除が円滑に推進するよう」とありますが、確認・認定を受ける必要があるかないかというのは、規模の問題というより行為の問題です。すなわちその後にある「外来生物法による運搬や一時保管等の規制」は小規模であっても必要なわけですよね。それを小規模の場合に和らげようというと取れるのですが、そういう意味合いでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 こちらの趣旨というのは、庭とか自宅の庭で防除したものをごみに出すのにちょっとした運搬が伴うものについても規制がかかるのかというものではないと。

    【中井委員】 そういうのを想定されているんですね。なるほど。ただ、ボランティアというとみんなでやる駆除活動という感じで、どこか地域を決めてもう少し規模の大きい活動をイメージしていましたが、ご説明の活動は極めて個人的な地域的領域内の話なのですね。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 あと、想定していたのが植物を防除した後に廃棄するまでの運搬作業で、防除従事者であれば運搬できるんですが、そういったものについて、防除従事者でないボランティアの方がイベントとして従事された場合に実施できないということがあります。例えば、ブラックバスであれば水のないクーラーであれば運搬とみなさないというような通知を出しておりますけれども、植物についても防除目的で明らかにそれから生態系影響が出るようなことがないような運び方であれば、そういったものも含めて運用上で規定できることがあれば、そういったことも考えていきたいと思っています。

    【中井委員】 とても大事なことなので、ぱっと読んで違和感があったもので気になりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかはいかがでしょうか。
     では、よろしいでしょうか、ここのところについては。
     それでは、次の(5)の部分ですね。2の(5)国内由来の外来種対策の現状と課題、それからあと、(6)ですね。生物の導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の現状と課題、それで、それに対応した必要な措置の3の(5)国内由来の外来種対策の推進と(6)生物を導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の対応とこの2つについてご意見をお願いします。

    【北田委員】 10ページの10行目に野生復帰という言葉が今回初めて出てきているかと思いますが、これはパブコメでこういう用語を使うべきだという意見があったんでしょうか。

    【谷垣外来生物対策係長】 特にパブコメでのご意見ということではなくて、ここで個別に野生復帰というくくりではなく、再導入や国内移植というふうに書かせていただいたんですが、野生復帰の際に気をつけるべき項目として環境省でもガイドラインをつくっておりますし、それでまとめるべきではないかという認識でここは野生復帰としてまとめさせていただきました。

    【北田委員】 野生復帰はどういう内容でしょうか。これまでは、どこかから持ってきたものを別の場所に導入するという流れで書いてあると思っていますが、これは人工繁殖を使った保護増殖を行うという意味ですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 環境省でまとめている野生復帰に関する基本的な考え方というガイドライン、前回の検討会で出させていただいて、前回の資料の参考資料4の2ページ目に野生復帰の定義というものが書いてありまして、その中では生息域外に置かれた個体を自然の生息地(過去の生息地を含む)に戻し、定着させることが野生復帰の定義になっておりまして、生息域外で保全した個体についても生息域内に戻す場合を野生復帰というような記載を書いております。

    【北田委員】 野生復帰についてはガイドラインがあるんですけれども、今回の修正案で初めて出てきた用語で唐突な感じがしたんですね。1ページにもあるように、これまで導入という言葉で一貫して整理してあったはずですので、ここで野生復帰という用語を使われる場合はちょっと説明が要るのかなと思います。また、5行目から7行目のヒメダカというのは、さらに人為選択の程度が強い育種をやっているわけですよね。育種したものを野外に放すという、野生復帰よりもさらにきついことをやっているわけです。野生復帰と同じように人工繁殖を使う種苗放流は水産の世界で一般に行われているんですが、これを言うと保護増殖まで含めた議論になるので、混乱するから黙っていたんですけれども、ここに野生復帰が出てくると、再導入とか国内移植、つまり、こっちにあるものを他方に移すという範囲で議論していた内容が変わってくるわけです。野生復帰を入れると、人工繁殖が表に出てくるので、これを外来種問題で扱うか少し整理が要るかなと思います。また、書き方としては、野生復帰が先ずあって次にヒメダカ、そして、最後に科学的知見は十分蓄積されていないとつなげるのですかね。

    【五箇委員】 この野生復帰のガイドラインを見る限りでは、あくまでも基本的には生息域内ですよね。域外に持っていったとしても最終的に戻す域は生息域なんですよね。だから、すべては生息域内での増殖事業というものが野生復帰ということになるわけですよね。そこの説明がまずきちんとないと、基本的にはちょっと再導入というのはいろんな意味が入りますし、国内移植もそうですね。もろにこれは移植と書いてある以上、ほかから持ってきちゃうということになりますので、それとは区別する意味で野生復帰という言葉をわざわざここに出しているんだとすると、その概念はしっかりまず出しておいて別物であるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。目的がもう全然違いますので、野生復帰の場合は。目的が違うのとプロセスが全然違いますよね。あくまでも域内での増殖ですね。増殖、繁殖、定着を目的としているということで、域外に持っていったものを最終的には域内に持ってくるということになりますので、そこのところをはっきり区別して、全く目的と概念が違うんだと、外来法とは違うものであるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘を踏まえて、この基本的な考え方の域内に戻すということ、先ほど五箇先生がおっしゃった野生生物の保全のためにということも含め、このガイドラインの趣旨を後ろの語句説明で記載したいと思います。

    【太田委員】 16ページのこれは4行目ですか。今ちょっと確認があったように、野生復帰ということは厳密にその域内でのプロジェクトであるということが最初に明記されているんだったら、特にここまでこだわる必要はないのかもしれませんけれども、いろんなそういう復帰とか再導入とかするときに遺伝的な問題としては、すぐに多様性の減少にならないかということに注意を払われるんですけれども、もう一つやっぱり注意を払うべきは多様性の減少だけじゃないいろんな変質ですね、遺伝的な性質の。それはやっぱり注意を払うべきで、そうすると、細かいことを言うようなんですけれども、4行目の一番最後のところに「地域個体群の遺伝的多様性を減少させることがないように留意し」と書いてあるんですが、減少並びに変質とかそういうところをちょっと併記するべきだというふうに感じております。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘を踏まえて修文をしたいと思います。

    【中井委員】 10ページですけれども、3行目、4行目にかけてなんですが、「種としては同じであっても、例えばゲンジボタル等のように、地理的に遺伝的形質が異なることもあり」とありますが、そうなると、地理的、遺伝的形質が異なるのが普通じゃないけれど、そういうこともありますよというニュアンスですよね。ところが、国内、日本全国というレベルで見ると、実は遺伝的に地理的な変異があるほうが当たり前なので、「ゲンジボタルなどで典型的に見られるように多くの種では遺伝的形質は異なっている点に十分配慮すべき」だとかいうニュアンスでここの部分は持ってきていただいたほうがいいのではないかと思います。すぐ下にヒメダカで出ていますが、このメダカは最近2種に分かれましたが、かなりクラシカルに地理的な変異が非常に大きいものでもありますし。すでに知られているものは、ほかにもいろいろありますので、ご配慮いただきたいと思います。
     もう一つですが、これはよく知らないことなので、よければそれでいいのですが、15ページです。大変細かいことですが、30行目から31行目「生物多様性保全の中核的制度である自然公園法等」とありますが、自然公園法が生物多様性保全の中核的制度として例示するのに一番いい法律なのかどうかというのがよくわからなくて、この文脈の中でいいのかなと思いました。
     以上です。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 自然公園法につきましては、国土の14%をこの自然公園法で見ているということですので、環境省としては我が国の生物多様性の保全の中核的制度と認識しております。

    【細谷委員】 どの場で入れるべきか少々悩むところですが、先ほど北田先生のほうから触れたくないとおっしゃっていましたけれども、私は触れるべきだと思うんですが、いわゆる水産業における種苗放流の位置づけについて、実は第1回目の小委員会のところで私は意見を申し上げて、これは議事録にも書いてあるところですが、全般を見てどこに入れたらいいのか、あるいは場合によっては16ページの7の中で各主体として水産業あるいは水産庁の方々の調整が必要なのか苦慮するところですが、全体を通覧した段階でわずかに6ページの(3)の下のところにアサリとスジエビとミナミヌマエビの話しか出てこないということになるわけですが、例えばどこに入れるのか、15ページなのかあるいは16ページなのかわかりませんが、この辺かなとは思いますが、なかなか産業基盤があるわけですから、さきの種苗をやめろと私は申し上げませんが、例えば種苗放流そのものが環境放出だという認識、これは第1回目とも重なりますけれども、とりわけ野放図になっている外国産の海産種苗の瀬戸内海だとか大陸続きのお話についてはもう小委員会、第1回目でご報告させてもらいました。
     それから、このような法律の方向性が出ているにもかかわらず、一方で、海産業については今指摘申し上げたんですが、内水面漁業の第5種漁業権、ほとんどが国内外来種の放流そのものであるという現状に対して、これをどうクリアしていくのか。もちろん一朝一夕には解決できないでしょうが、少なくとも方向性を環境省と水産庁の中で検討していただいて、あるいはもう既に第1回目で私は指摘させていただきましたが、それがクリアされてこういう形になっているのかどうか、その辺、ご意見を聞かせていただきたいと思っております。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点は14ページの11行目の「特に水産動植物の種苗の輸入・養殖・放流の状況については、これに伴う非意図的な混入等も含めてその実態把握に努め、必要に応じて対策を検討するべきである」という形で、まずは実態把握に努めるという形で対応できればと思っております。

    【細谷委員】 つまりこの段階で、この3行で事足りるというご判断ということですね。今の時点では、今日は確認だけで結構ですので、そういうご判断なんですね。

    【北田委員】 ちょっとよろしいですか。私は触れたくないと申し上げているんではなくて、これまでは人工繁殖の部分は入っていなかったわけなんですよね。一貫して、そういう整理をしてあるなというふうに見ていたわけですけれども、ここで野生復帰が入ってくるということは、先ほども申しあげたように外来種問題の中で人工繁殖も議論の対象にするいうことになります。ここでは、対象を希少生物あるいは絶滅危惧種に絞ってあるわけですけれども、産業対象種についてもここで議論するということになれば、10ページのところに書き込んでいくということになるとは思うんですね。ただ、これまではそこまでの議論はなかったと思っております。ここに載せるべきではないとは思わないし、隠しておくべきだとも全く思わないが、その辺は議論が必要と思います。

    【関根外来生物対策室長】 本日ご指摘いただいたことも踏まえまして、もう一度水産庁のほうとも現状以上にどこまで書けるのか、書けないのかという辺りを相談してみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 そしたら、この項目についてはとりあえずよろしいでしょうか。
     それでは、最後のところになりますけれども、(6)と(7)の部分ですね。普及啓発、各主体の協力と参画の現状と課題、それから、調査研究の現状と課題、そして、今後の必要な措置としては、(6)普及啓発、各主体の協力と参画の推進、それから(7)の調査研究の推進というところです。それから、(8)のそのためについても含めて、残りの部分をまとめて議論したいと思いますので、ご意見、それからご質問をお願いします。

    【太田委員】 今、幾つかの地方公共団体に依頼されて生物多様性戦略を自治体レベルで策定するお手伝いを幾つかしていて、関係する会議にも先々週も出てきたところなんですけれども、そういうところでやっぱり本当に外来種の問題について議論を始めると、必ず意見が合わなくなって、いろんな生き物がいたほうが楽しいじゃないかとか、そういうものを排除するのはだめだとかそういう話になってくるんですね。その議論の相手になる人が非常にしばしばやっぱり学校の先生なんですよ。それで、今これを拝見していると、特に3のほうなんですけれども、教育現場、普及啓発の場合に非常にこういうことが重要であるということはいろいろと書いてあるんですけれども、学校とは教育機関という言葉が一言も出てこないんですね。一番最後のところで16ページの25行目で一言、「特にさまざまな教育の現場で」というふうなものが書いてあるんですけれども、それ以外教育機関、学校ということは一切出てこないんですけれども、実はここが一番教育において、普及啓発において有効なところで、わざわざそこだけを残して、いろいろそれ以外はいいことが書いてあるんですけれども、もっとストレートに教育現場において新たなカリキュラムの導入を求める等とか、そういう種類をもっと踏み込んだ表現が絶対必要だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 太田先生のご意見は本当にごもっともで、そういった意見は必ず生態学会なんかでも出てくるんですが、環境省としては多分一番書きにくいところは、これは文科省が相手になるからだということだと思うんですね。それ以外にもいろんな省庁との力関係もあって大変なことだと思うんですが、今、太田先生がおっしゃられたみたいに少なくともそういうところが大事ですよと。やるか、やらないかはとりあえずこれからの政治力と言ってはあれですけれども、環境省の発展次第というところもあるとは思いますので、とりあえずそれでも必要ですよということは何かしらで触れられたほうがいいのかなという気はちょっとしますね。難しいことは重々承知ですが、先ほどのそれこそ検疫の問題もそうこう言いながらも何とかかんとか動き出せば、否が応でも省庁間で向き合うことのチャンスも出てくるわけで、文科省はなかなか敷居が高そうなので大変かなとは思いますが、その辺は何か書かないと始まらないのかなという気もしますので、少し前向きにご検討いただければいいかなと思います。

    【山岸委員】 今のお二人の意見と全く同感です。この全く同じ議論は、生物多様性の国家戦略をつくるときも文科省の協力を仰ぐということで既にやっていることで、できないことではないです。敷居なんか高くないし、書き込めばいいことだと僕は思います。よろしくお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 書きぶりについては検討させていただきますけれども、情報として、事実関係として申し上げておきますのは、学習指導要領の中にも外来種について学習するという話が徐々にではありますけれども、入ってきておりまして、中学校でも平成24年度から学習するということになっております。それから、総合的な学習の時間なんかでも取り上げているような学校もあるということで、十分な認識のもとに先生がそういう学習をしていただいているかどうかというのはまだ始まったばかりで行き渡っていないところはあるかと思いますけれども、こういった取組も並行して進めているということでご説明させていただきました。

    【中井委員】 10ページですけれども、27行目ですが、外来種問題に係る正しい理解の「正しい」という言い方はあまりよくない、正しくない用い方のように思います。正しいか正しくないかではなくて、適切であるかどうかとか、あるいは科学的であるかどうかとか、そのような表現でお願いします。(外来種問題をめくって)ぶち当たるいろいろな価値観は、それぞれ正しいつもりなのですから、正しいか正しくないかという言い方は、あまりよろしくないように思います。
     そしてあと、ちょっと手前味噌的で申し訳ないんですが、32行目辺りの普及啓発の役割を担っている施設として、できたら博物館も入れていただけたらうれしいと一個人として、博物館職員としては思います。
     それから、もう一つが16ページの29行目から30行目に外来種被害防止行動計画(仮称)とありますね。これ、ここの報告書の中では、16ページの1行目から2行目でも出ていますが、これについては何か説明がなくてもいいでしょうか。どこかにあったのであれば、ごめんなさい。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 巻末に行動計画の説明をつけておりまして、19ページの参考4で行動計画について説明を入れております。

    【中井委員】 そうですか。わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【中井委員】 9のその他で東日本大震災の被災地のことに言及されていますが、これも中期的な措置ということでよろしいでしょうか。短期ということもないとは思うのですが、いかがでしょう。現在、かなり急速にいろいろな対策が行われている状況にあるなかで、中期的と表見するのでいいのかどうか。特に、被災地の復興に環境省さんがいろいろ関わっておられることから、少し様子を見ながらというようにも取れるのですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 こういう生物の関係ですと、我々がおります野生生物課のほうでも鳥獣被害の関係でも被災地域のモニタリング調査も計画をしておりますので、そういった中で外来種についても確認できることがあろうかと思いますので、そういう状況を踏まえて何をやるべきかを考えていくということかなと思っておりますので、今のところは中期的なことで置かせていただければと考えております。

    【細谷委員】 レベルからいって中期的というと相当大きいですし、この問題は東日本大震災がございますし、そのバランスにおいては、どういう経緯でアライグマが入ったかどうかわかりませんが、あまりにも細かい項目が事例として上げ過ぎている。ここはどうでしょう、もう少しぼやかした感じで、アライグマに言及することなく生物多様性の保全と外来種、もう少しごまかした、ぼんやりした形のほうがアピール度あるいは感情も含めて説得力があるんじゃないかなという気はいたしますが、いかがでしょうか。

    【太田委員】 アライグマは、あの辺りでは生態系の一番上に来ているもので、飯館村から南相馬まで非常に増えつつある状況というのを私も見てきたんですけれども、そういうふうにぼやかすより、逆にアライグマに関しては、ここでこのようにぴしっと上げたほうがいいと思います。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 この小委員会でもアライグマのことについて具体的な事例も提供していただいておりますので、それについて言及しながら生物多様性全般的な話についても視野に入れて書くようなことで表現ぶりを考えたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ここは具体的なのがアライグマだけなので、ちょっと何かもう一つ、二つ問題になっているものが上げられるといいのかと思いますけれども。

    【五箇委員】 結局アライグマの件に関しても、一応太田先生が見てこられてきた上での経験値ということになるかと思いますが、実は環境研のほうでもむしろ植生とか昆虫相とかの遷移を調べていると、むしろ在来のものが恐ろしい勢いで復帰しているという動向もあるんですね。だから、生物層によってはやっぱり復帰のプロセスというのが全然違ってくると思いますし、これはまさに1,000年に一度の自然攪乱という形で起こったことなので、今後の生物の遷移ですね。外来種も含め、在来種も含めてどうなっていくのかということは、むしろそれをどうモニタリングして、それに即してどう復興させていくかということのほうが重要な課題になってくると思うんですね。
     自然にほうっておけば、多分自然生態系の復元のほうが優先するであろうと概念的には予測できるんですが、そこに当然のことながら防潮堤も建てたりさまざまな護岸工事をしたりという人の手が加わることで、結局のところ、また新しいそういう生態系の攪乱というものも進むということになりますので、そういった意味では、ただ、この件に関しては人の生活、安全と安心ですね。そういった部分との兼ね合いもあるので、そういう意味ではまさに中長期的にそのプロセスというものを確実に把握して今後に生かすという方向性をむしろ大事にしたほうがいいのではないかと思いますね。単純に生態系保全だけでは語れない現場であるということも事実としてはあると思いますので、その部分は十分に配慮しないと、人の生活が二の次になるような形で保全が語られることは決してあってはならないだろうし、その上でどういう対策を保全生物学としてとれるのかということが突きつけられていることだと思いますので、そういう大所高所的な見方での記述というものも何か考えたほうがいいのかなという気はします。
     いずれにしても、こういう現象が我々自身も経験したことのないことで、どういう自然遷移をするのかというのは、まさに新しい実験場となっている状況がありますので、そういう意味では、この機会にそういった情報を最大限収集していくということ自体が大事なことなんじゃないかなというふうに考えます。
     以上です。

    【中井委員】 実際の文章表現はお任せするのがいいのでしょうが、今のお話で16行目、「必要に応じて」というのは要らないと思います、絶対やらなければいけないと思いますので。ですから、例えば「震災復興においては、外来種の侵入拡大状況等を含めた生態系の遷移について把握」して各種事業をやっていくとすれば、今のような内容が盛り込めるのではないかと思いますので、ご検討いただけますでしょうか。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。
     全体を通じて何かぜひという、言い落としたこととかあればそれも含めてお願いします。
     14ページのところなんですが、29行目から31行目のところに書き加えていただいて、これは多分マングースなんかを想定して書いていただいたということでいいと思うんですけれども、ちょっとわかりにくいので、最初に「特に」と出てきますね。これが「特に」というのはどこにかかるのかわかりにくいので、読んだ感じでは30行目の「特に根絶が望ましいと判断される場合は」というふうになったほうがいいと思います。
     それから、その後の「根絶間近で」云々というところの捕獲数当たりのコストというのがどういう数値を想定しているのかがわかりにくいので、多分1頭当たりとかと書くことなんでしょうけれども、1頭というとマングースはそれでいいですけれども、ほかの生き物の場合は使いにくいので、一定捕獲数当たりのコストで、そこのところを「通常根絶間近で一定捕獲数当たりのコストは増大するが」、「増加しても」じゃなくて「増大するが、根絶に至るまでの」云々と変えていただいたほうがいいなと思いました。増加してもというと、何かちょっと趣旨が伝わらないかなと思いましたので。あるいは、根絶間近で云々というところはなくてもいいかなと思いました。ご検討ください。
     それと、ほかにはいかがでしょうか。
     それでは、一応大体この場での議論は終わりにそろそろしたいと思うんですが、いろいろご指摘いただいた点があって、まだ文章を確定するところになっていない部分が幾つかあると思います。それで、最終的には私が責任を持って確認して、報告書として取りまとめるということではあるんですが、少しその前に委員の先生方とのやり取りがあるべきだと思いますので、ちょっとスケジュールとかやり方を事務局のほうで今の予定を説明していただけますか。1週間程度というような話が最初にありましたけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この資料のほかにも資料2-1、2-2も含めて気づいた点がございましたら、この1週間のうちにまた事務局にご連絡いただければと思います。今回、資料3についていろいろご指摘いただいた点については、また個別にご相談させていただくこともあろうかと思いますので、それは引き続き事務局から先生方に個別なり全体に相談させていただいて、12月の野生生物部会までに調整を終えたいというふうに考えております。

    【石井(信)小委員長】 1週間というのは来週の水曜。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 そうですね。来週の水曜までにお気づきの点があれば事務局までお知らせいただければと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、その過程でいろいろ個別にご相談するようなことについては事務局にお願いするということで、それ以外のところについては、私のほうで、これで大丈夫だろうというふうに考えられる分については責任を持って確認したいと思いますので、委員長預かりと、そういう点についてはそういうふうにさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
     それでは、今日いろいろご指摘がありましたけれども、大分問題点もはっきりして、報告書としても改善されたと思います。この報告書に基づいていろいろなこれから外来種対策というのが進展することを期待したいと思います。環境省には頑張っていただきたいと思います。
     それで、この今日取りまとめてまだ完成ではありませんが、この報告書は冒頭に説明ありましたけれども、12月の何日でしたか、そこで中央環境審議会の……

    【関根外来生物対策室長】 13日。

    【石井(信)小委員長】 13日、野生生物部会に報告されて、審議されて取りまとめられるということになると思います。ということで山岸先生、よろしくお願いします。
     それで、以上で本日の議題は終了ということにしたいと思います。全部で今日も含めて4回小委員会を開催しましたけれども、短い間にかなり中身の詰まった検討ができたと思います。まだまだ本当は根本から考えなきゃいけないという問題もいろいろあって、それについてはまた別の機会に整理されるべきだと思いますが、議事の進行に大変ご協力をいただいたということで感謝申し上げたいと思います。
     最後ですけれども、特に何かご発言というか、これだけはということがあればお願いしたいと思いますけれども、特によろしいでしょうか。
     では、これで委員会の議事は終わりたいと思います。あとは事務局のほうから何か連絡があればお願いします。

    【水崎移入生物対策係長】 本日は熱心にご議論いただき、ありがとうございました。毎回のことではございますけれども、本日の資料の郵送を希望される委員につきましては、テーブルに封筒がございますので、封筒に委員のお名前を書いて資料をそのままにしていただければ、事務局より別途郵送させていただきます。
     最後に、自然環境局の伊藤局長よりごあいさつ申し上げます。

    【伊藤自然環境局長】 自然環境局長の伊藤でございます。
     本年の6月から短い期間の間に、4回にわたる小委員会で熱心な、本当に密度の濃いご議論をいただきまして本当にありがとうございました。委員長のほうからもございましたけれども、本日ご議論いただいた報告書につきましては、さらに先生方ともご相談申し上げた上で、最終的に委員長にご確認をいただくという手順をとりたいというふうに考えております。
     本当に外来生物の問題は遺伝的攪乱のことも含めまして、非常に奥が深いということを再度我々も認識を新たにしたわけでございます。この報告書の中でまだこれから議論を始めなければいけないといった課題もありますし、直ちにとらなければいけない課題といったことも相当明確にしていただいたというふうに考えております。私ども環境省といたしましては、12月13日に最終的に野生部会で中央環境審議会のご意見として取りまとめていただいて、環境省のほうに提出していただくと、こういう段取りになろうかと思いますが、この中央環境審議会の提言を踏まえまして、しっかりと確実にやるべきことをやっていきたいというふうに考えております。それは制度面のこともそうですし、運用面のこともそうでございますし、また、新しくこういうことをやれといったこともご指摘賜っています。私ども環境省としましては、きちっと動いていくということを対外的に見せていくこともまた重要なことだろうと思っています。その点はしっかりやりたいというふうに思っております。
     委員の皆様方からも引き続きご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。本当に本日はどうもありがとうございました。

    【石井(信)小委員長】 それでは、以上をもちまして、本日のというか最後になりますけれども、外来生物対策小委員会は閉会とします。
     ありがとうございました。

    【水崎移入生物対策係長】 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会平成24年度第4回外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     本日の出席者数でございますが、委員及び臨時委員7名中6名の出席であり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項において準用する中央環境審議会令第7条により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、小林委員、岡三徳委員、岡島委員につきましては、本日、都合により欠席との連絡を受けております。
     また、平成16年6月8日、野生生物部会決定「外来生物対策小委員会の運営方針について」に基づき、本会議は一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。
     議事録につきましても、委員の皆様にご確認いただいた上で、公開となりますのでご承知おきください。
     続けて、事務局よりお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
     議事次第、裏面に資料一覧がございます。続きまして、座席表、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、以上になります。
     もし資料に不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
     なお、報道の方の撮影はここまでとさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
     それでは、議事進行を石井小委員長にお願いいたします。

    【石井(信)小委員長】 今日で最後になりますけれども、引き続きよろしくお願いします。
     それでは、早速本日の議事に入りたいと思います。前回までの小委員会で取りまとめた「外来生物法の施行状況を踏まえた今後講ずべき措置」について、パブリックコメントの結果が出ましたので、その内容を踏まえて本日小委員会として最終的な報告書の取りまとめを行いたいと考えております。
     なお、本日はいただいたご意見を踏まえ、できるだけご意見を集約させていただきたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いいたします。
     それでは、まず今回取りまとめる報告書の今後の取り扱いについて、資料1について事務局から説明をお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 それでは、資料1をご覧いただければと思います。
     2の検討のスケジュールのところでございます。6月以降、3回にわたる小委員会でご検討いただきまして、委員長からもございましたようにパブリックコメントを実施いたしまして、今回、4回目の小委員会ということでございます。本日、取りまとめをお願いしたいと考えております。取りまとめについてご了承いただくということが前提でございますが、小委員会のご検討の後は、この一番下にございますように、12月13日に野生生物部会が予定されておりまして、ここでこれまでの小委員会での検討結果を報告させていただいて、ご議論いただいた上で野生生物部会として最終的な取りまとめをお願いしたいと考えております。
     今回の外来生物法の施行5年後の検討は、この野生生物部会での取りまとめをもちまして完了ということになるわけでございますけれども、事務局といたしましては、小委員会及び野生生物部会で取りまとめていただきました事項につきまして、関係省庁とも連携して着実に実施するよう取り組んでまいりたいと考えております。
     説明は以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今のご説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。
     特によろしいでしょうか。
     それでは、次に移りたいと思います。パブリックコメントで寄せられた意見の要旨、それに対する考え方、それから、これらを踏まえた報告書案の修正等について事務局が整理をしてくれていますので、その説明を資料2-1、2―2、それから資料3を使って説明していただきます。よろしくお願いします。

    【谷垣外来生物対策係長】 それでは、座って失礼させていただきます。
     資料2-1についてはパブリックコメントの実施結果の概要をお示ししております。資料2-2にはいただいたご意見、その意見の理由、それから、その左にページ、行数を振ってありますけれども、これはパブリックコメント版にご意見でご指定いただいた箇所をお示ししております。表の右側の「対応案」というところで、ご意見に対する小委員会からのご回答という形で記述を整理させていただいております。右の修文の有無ということについては、資料3の本文のほうに修正をしたものについては丸印をつけております。その右にさらに意見数とありますものについては、意見、その理由も全く同じご意見を複数の個別の方からいただいているケースがありますので、そうした意見についてはここに意見数、何件あったかということでお示しさせていただいております。
     資料3については、パブリックコメント版に対しての修正ということで、赤字で修正箇所、変更点をお示ししております。
     まず、資料2-1についてご説明差し上げます。
     パブリックコメントについては、9月18日から10月18日までの1カ月間実施いたしました。個人が83名、団体は2団体、延べ85の主体からご意見をいただきました。延べのご意見の件数は207件でございました。このうち、重複箇所またはほとんど内容が同じようなご意見もありましたけれども、延べ44件のご意見について修正の対応をさせていただいております。
     テーマ別の意見件数ということで、(1)として、報告書の個別の箇所をご指定いただいてお寄せいただいた意見について、報告書の該当箇所別にまとめております。特に多かったところですけれども、「2.外来種対策をめぐる現状と課題」の中では、(1)特定外来生物の指定に関する現状と課題、例えば資料2-2の4番のご意見のような、オオクチバスの指定解除、オオクチバスがもう日本に輸入されてから80年以上が経過されており、我が国に自然分布域の中に取り込まれていると考えているのが適切であるとか、10番のような、経済効果も高いため適切な管理のもとで利用するべきである、というようなご意見をいただいております。こういったものについては、「外来種の影響により地域固有の生態系が改変されることが我が国の生物多様性を保全する上で重大な問題であると考えております。」ということで、引き続き対策を実施していくことの必要性をご回答させていただいているという状況でございます。
     それから、「(7)各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題」についても多くご意見をいただきましたけれども、例えば資料2-2の64番のご意見のような、水族館、動物園、植物園等において連携して外来種対策を図っていくべきである、もしくは外来種を殺さずに生かすという選択をすることも必要ではないかというご意見をいただいています。回答としては、「外来種の防除については、侵略性をかんがみ、生態系に係る被害を防止するためにも必要と考えています。そのすべての防除個体を生かして飼養とすることはなかなか難しいことではありますが、人間活動によって外来種問題が起こっていることも含めて、ご指摘のように動物園、水族館等とも連携し、普及啓発を実施していくことが必要と考えております」というふうにしているところでございます。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置」の部分で特にご指摘いただいた部分について、「(2)飼養等許可の適切な執行管理の推進」というところで、例えば85番のようなご意見―これはまた後で修文箇所の中でご説明も差し上げたいと思いますが―現在、特定外来生物を野外に放出することは規制されていますけれども、防除を目的とした野外への放出について許可制度というようなものを検討するということに対して、被害が新しく出てくる可能性があるので、こういった放出許可というのは認めるべきではないのではないか、慎重に考えるべきではないかというご意見をいただいておりますので、説明を追加した上で修文をするというようなことを考えております。詳細については、また後ほど資料3と一緒にご説明差し上げたいと思っております。
     それから、「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき措置」の中でまたご意見の多かった部分については、「(4)国による防除の推進及び地方公共団体等の防除に係る確認・認定の推進」という中で、例えばヤギ等の家畜、イヌ、ネコの管理といったものも保全上重要な地域では一体となって進めていくべきであるということについて、例えば102番のような、管理の中に殺処分というものが入る可能性をゼロにしていただきたいというようなご意見がございましたので、「駆除・殺処分がまずありきということではなくて、飼養等において適切な管理を行うことが前提として必要と考えております。あわせて野外に定着し、生態系等に被害を及ぼしている場合には適切な対策が必要と考えております」という回答をさせていただいております。
     一方でまた、こういったイヌ、ネコ等だけではなくて、さまざまな観賞魚等の管理も必要ではないかという105番のようなご意見もいただいておりまして、こうしたものも含めて考えていきたいと対応案を書かせていただいているところでございます。
     資料2-1の2の(2)のところで、個別に箇所をご指定いただかないでご意見いただいたものについては、概ねご意見の内容によって分類をさせていただいております。特に件数が多かったものについては、外来生物の輸入・販売等の規制強化に関するご意見ということで、例えば155番のご意見のような、在来種以外の生物の輸出入をすべて規制するべきであるというようなご意見もいただいております。これに対しては、「外来種にも侵害性が低く有用性の高いものや生活に密着しているものも多いことから、我が国の生態系等に係る被害を及ぼすまたはそのおそれがあるものを外来生物法に基づき、特定外来生物として規制をしていくということが必要と考えております。さらに、その法規制の対象とならないものでも侵略的な外来種については、導入・定着を未然に防ぎ、適切な管理を行うよう呼びかけており、引き続きこれに努めていくべき」というような回答をさせていただきたいと考えております。
     件数も多いですので、あとは修文箇所に絞って、資料3とあわせてご説明したいと思います。
     資料3については、表記ですとか語順、事実関係の修正、それからパブリックコメントでも用語がちょっとわかりづらいというようなご指摘もいただきましたので、そういったわかりやすくするという趣旨も踏まえて、細かい修正もございますが、大きく内容に係る変更をしている部分を中心にご説明を差し上げます。
     まず3ページで、12行目、13行目について、防除の効果が不十分であったりする防除事業もあると、目標が明確でないといったような記述をさせていただいていましたけれども、どういった点が明確でないのかという具体例がわかりづらいということもいただきましたので、防除に当たり、地域的に根絶を目指すのか、あるいはどの程度まで影響の低減を目指すのかなどの具体的な目標や計画が明確でないというような例示をさせていただいております。
     それから16行目、今後解決すべき多くの課題として、これまで効果的な普及啓発といったような記述がなかったんですけれども、例えばご意見の6番、基本認識が正しく共有されないことが外来種問題が解決しない要因であるというようなご意見であるとか、14番のご意見、基本認識にこうした普及啓発が課題としてあるというようなことを記載すべきであるというようなご意見がありましたので、ここに効果的な普及啓発というものを入れさせていただいております。
     続きまして4ページ、3行目から7行目について、これは15番のご意見になりますけれども、生物多様性基本法について、個別法も束ねる基本法としての位置づけをきちんと書くべきだというご意見をいただきましたので、そういった記述、説明を追加しているとともに、同法では我が国の生物多様性の保全と持続可能な利用についての基本原則が定められたほか、生物多様性国家戦略の策定が国に義務づけられたというような内容を補足させていただいております。
     次のページにいきまして、5ページ、33行目以下。ご意見としては32番のご意見になります。ご意見の中で、京都などでこうしたチュウゴクオオサンショウウオと在来のオオサンショウウオの交雑の事例があるというご指摘をいただきましたので、交雑の一つの事例として、ここに人為的に持ち込まれ放棄されたチュウゴクオオサンショウウオが河川に定着し、交雑個体が多数確認されている事例があるといった記載をさせていただいております。
     次、6ページ、飼養等許可の現状と課題の中で、23行目、24行目で「外来生物法の違反による検挙件数は減少傾向にあり、法規制について一定の理解が進んだ可能性がある」と記述をさせていただいておりましたが、ご意見の中でも検挙件数が減ったことが理解の進んだことを示すのではないのではないかというご意見もありましたので、検挙件数が減ったという事実のみの記載とさせていただいております。
     それから、7ページの15行目から17行目、この中では輸入時に非意図的に特定外来生物が輸入品に付着、混入していることが確認された場合の消毒等の具体的ガイドラインが整備されていないという問題、消毒や廃棄を実施させる法的な権限が不明確であるということを書いていたんですけれども、より適切な表現としては、確実に取り除くための手段が法的に位置づけられていないということが問題であるという認識をここで明確にした修正をさせていただいております。
     続きまして、8ページ、防除の現状と課題の中で、27行目から29行目に早期防除により防除コストが削減されることの周知や地方公共団体が連携して広域防除を行うための体制構築の促進に対する国の取組が不足していることなどから、地方公共団体が侵入初期の早期防除に取り組む場合は少なくということで文章を追加させていただいております。これについては、48番のご意見、具体的防除主体である国という観点がこの中では薄いため、国として地方公共団体等に働きかけることや周知をするという取組が不足しているという現状をきちんと記載しておくべきではないかという趣旨のご意見をいただきましたので、こうした修正をさせていただいております。
     続きまして、9ページ、国内由来の外来種に関する記述ですけれども、生物の移動について、これまで科学的な知見が十分に得られていない場合が多く、そのため、生きた生物の移動に関する考え方の整理や普及啓発がなされておらず、対策も進展していないと修正をさせていただきました。これについては、51番のご意見、個人の観賞用の生物を含む生物の移動、放出が効果的に規制をされていないというご指摘もありましたので、そうした考え方の整理や普及啓発がされていないことが問題であるというふうな記載をさせていただいているところです。
     10ページにいきまして、各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題の中で、27行目から29行目、特に命を大切にする道徳教育や環境教育が行われている中で、外来種問題に係る正しい理解が十分に得られていない状況があることから、地域固有の生物多様性を保全するために、外来種対策が重要であることについて、理解の促進を図ることが必要となっている、と記載しました。もともとの文章ですと、命を大切にする中でこうした理解の促進を図ることが必要となっている、と意味がわかりづらいというご指摘がございましたので、きちんと問題として正しい理解が得られていないということを記載させていただいております。
     それから、下にいきまして33行目から36行目、動植物園の取組について、これまで外来種対策への協力が限定的であるという記載をさせていただいておりましたが、55番のご意見で、動物園、水族館等でも展示や外来種の普及啓発や生物の取り扱いに対する一般の方からの問い合わせへの対応などもあり、取り組んでいるところは少なくないため、こうした記載は不適切ではないかというご指摘をいただきましたので、外来種問題に係る展示や一般利用者に向けた勉強会等の普及啓発に係る活動が行われているが、今後種の同定や防除手法への助言等について、より一層の協力が期待されるということで、今後のより一層の協力を求めるというような記載にさせていただいております。
     それから、少しページが後ろにいきまして、今後講ずべき必要な措置の中の12ページ、「特定外来生物の効果的な選定」の中になりますけれども、11行目から13行目に交雑個体について、適切な飼養等の規制と防除が実施されるよう、法的な位置づけを整理するとともに、実効的な規制の仕組みや監視体制を検討する必要があるとしています。これについては、前までの案ですと、中期的に講ずべき措置のほうにこの交雑個体に関する法的な位置づけの整理を記載させていただいていたんですが、早急に対応すべき課題ということもありますので、短期的に講ずべき措置のほうに内容を移させていただくとともに、82番のご意見で、この措置の目的を明記すべきというご意見もいただいておりますので、適切な飼養等の規制と防除が実施されるようというところを追加させていただいております。
     それから、21行目から24行目ですけれども、これは何件か、例えばミシシッピアカミミガメですとか大量に飼育されている生物について、被害が軽視できないものになっていますので、きちんと規制をするとか防除するといったことも必要ではないかというご意見をいただいておりますので、我が国の生態系等に大きな影響を思しているにもかかわらず、飼養等を規制することによって大量に遺棄される等の弊害が想定される外来生物については、弊害が生じないよう段階的な規制の導入などの経過措置を講じた上で、特定外来生物に指定することを検討すべきであるとしています。例えば、まずは輸入、販売を止めた上で、時間を置いて飼養等の規制をするというような仕組みが一つ考えられるのではないかというような内容をここに追加させていただいております。
     続きまして、13ページ、7行目から10行目に学術研究や防除を目的とした特定外来生物の野外への放出について、これも中期的な講ずべき措置から短期的措置に移すとともに、先ほど概要の中でもご説明しましたけれども、複数のご意見の中で、野外に放出することを認めることで、新たな生態系への被害が出て駆除対象になるということがわかっているのに放出を認めるべきではないとか、どういった規制の内容になるのかイメージが湧かないといったようなご意見もいただきましたので、言葉を補って、防除の推進に資することを目的とし、新たに被害を発生しない範囲内で許可できる制度にすること等を検討すべきであるというように説明をつけさせていただいております。
     それから、13ページの24行目から28行目につきましても、これも輸入品に特定外来生物が付着しているケースについて対応できないということがあるのは問題ですので、早急に対応すべきということで、中期的措置から短期的措置のほうに移させていただいております。
     それから、32行目から34行目について、特定外来生物等が輸入できる港及び飛行場について、現在、法律で指定がされていますけれども、利用者に著しい不利益を与えている場合には追加指定を検討すべきであるという書き方をさせていただいておりました。パブリックコメントのご意見の中でどういったケースなのか、その不利益を与えているというのがどういうケースなのかわかりづらいというご意見もいただきましたので、物品の輸入が大量に滞る場合など必要に応じて指定の見直しをするという記載にさせていただいております。
     続きまして、14ページ、防除に係る今後の講ずべき措置ですけれども、29行目から31行目、これについては19番のご意見、防除が進んで個体数が減少してきた際に、費用対効果が上がらないということで、予算が削減されることがあるため、必要な予算を確保して根絶を完了するということが必要であるということを記載すべきというご意見をいただきましたので、特に根絶の実現性、生態系の保全効果、低密度管理とのコスト比較等も踏まえ、根絶が望ましいと判断される場合は、根絶間近で捕獲数当たりのコストが増加しても、根絶に至るまでの防除の予算を継続的に確保する必要があるというふうに記載させていただいております。
     それから、34行目、35行目については、少し飛びますが、98番のご意見の中で地方環境事務所が―環境省の出先機関ですけれども―地域の地方公共団体等をリードして防除等の取組を進めていく必要があるということを書き込むべきというご意見をいただきましたので、国がその地方公共団体における外来種対策を促進する際に、この各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要であるというふうに記載をさせていただいております。
     それから、15ページ、21行目ですけれども、これまで防除に当たっては生態系管理の一環として、国立公園等の管理等と連動させてというふうに記載させていただいておりましたが、駆除先行でなく、固有種の住みやすい環境を整備すべきであるとか、希少種の保全と連動している場合もあるのではないかというようなご意見もいただいておりますので、希少種の保全等とも連動させてという記述にさせていただいております。
     続きまして、16ページ、「各主体の協力と参画、普及啓発の促進」の中で、15行目以下。いくつかのご意見を踏まえてこういった修正をさせていただいておりますが、例えば59番のご意見、生物多様性、地域戦略やその地域の生態系保全の計画を基本として駆除の必要性を示すべきであるというご意見や、60番のご意見、外来種によって失われる在来種があることや新たな外来種をつくり出さないということが普及啓発では必要ではないかというご意見、それから113番のご意見、防除にいかに経費、労力が必要かの情報共有や新たな外来種を生み出さない予防的な観点を広げる必要があるのではないかといったご意見を受けて、「外来種問題については国民の理解が十分に進んでいない側面もあることから、地域固有の生態系の状況や生物多様性を保全する地域の計画も踏まえ、生物多様性の意義やその保全の重要性、生物多様性に悪影響を及ぼす要因としての外来種問題の位置づけ及び防除を行うことの必要性などに関する普及啓発を促進する。さらに外来種対策について最新の取組や知見の積極的な公開を行うとともに、外来種問題と社会・文化の関わり、定着した外来種の防除等の対策に係るコストの大きさ、また、新たに問題となる外来種を生み出さないことの必要性などについて、わかりやすく説明を行い、普及啓発を推進する必要がある」というふうに記載をさせていただきました。
     その下の丸ですが、外来種問題に関する普及啓発については、対照となる主体と目的を明確にし、さまざまな機会・媒体を通じて戦略的に実施していくことが必要であるとさせていただいています。これについては111番のご意見ですけれども、外来種問題の普及啓発については、教育を徹底して行うということを明記すべきである、それから、あらゆる媒体を通じてこうした取組を推進していくべきであるというご意見をいただきました。教育については、その後段のほうで書いてあるんですけれども、さまざまな機会・媒体を通じてということをこの中で記載させていただきました。
     16ページの31行目以下については、例えば少し戻りますが、66番のご意見などで生物多様性地域戦略について、その中で外来種対策を盛り込んでいくべきではないかということを書くべきであるというご意見をいただきましたので、外来種対策に関する各主体の行動指針を明らかにした外来種被害防止行動計画の策定も通じて、民間団体や市民による活動参加を促進する必要があるとした中で、こうした取組により都道府県や市町村が生物多様性地域戦略を定める場合に、必要に応じて外来種対策の取組が明記され、各地域の生物多様性の保全を目的とした防除等が推進されることが期待されるという一文を追加させていただいております。
     それから、17ページの中でいくつかこれまで動物園、水族館、植物園等とのパートナーシップをつくるべきである、連携を深めるべきであるといったご意見も複数ありましたので、外来種問題の理解を深めるよう、水族館、動物園、植物園等も含め、多様な主体と連携して推進していくべきであるというふうにこの中で記載をさせていただいております。
     主な内容については以上になりますが、以下、参考の中で少し用語の説明が不足しているというようなご指摘もいただいておりました侵略的外来種であるとか特定外来生物に関する用語のご説明ですとか、そういったことをつけ加えさせていただいているという状況でございます。
     こちらからは以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それでは、今説明していただいた内容について議論、ご質問、ご意見をお伺いしたいのですが、主要には資料3のこの委員会の報告書案について議論したいと思います。
     それで、その前に資料2-1と2-2について何かご質問等あればお願いしたいと思います。その後で資料3を項目順に議論していきたいと思います。
     特によろしいですか。

    【中井委員】 資料2-2は今日、初めて見せていただくものということでよろしいですね。あまりに量が膨大なので、質問が何かあるかと問われてもすぐには確認がしきれないのですが、例えば対応案でこうしたほうがいいのではないかというのが後から出てきた場合は、またお知らせすればよろしいのでしょうか。あるいはもうこれで、この会議で通り過ぎたら了承したということになるのか、その辺りはどう判断すればよろしいでしょうか。

    【関根外来生物対策係長】 ちょっと量が膨大でございますし、この場ですべてご議論ということも無理かと思いますので、この委員会の後、1週間ぐらいのうちにもしお気づきの点があればお寄せいただければというふうに、また別途ご連絡も差し上げたいと思います。

    【中井委員】 ありがとうございます。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
     そしたら、資料3についてご質問、ご意見、それから議論をしていただきたいと思います。
     まず、資料3の1の「はじめに」と、それから2の(1)特定外来生物の選定に関する現状と課題及びそれを踏まえた3の(1)の特定外来生物の効果的な選定という部分についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。現状と課題の分析があって、必要な措置というのが後ろにまとまっているのでちょっと見にくいのですけれども、両方あわせてご質問、ご意見、お願いしたいと思います。

    【中井委員】 まず、用語のことでお伺いしたいことがあります。2ページ目の9行目で「野生化する」という言葉が出ていますね。これは後のほうでも一、二カ所多分出てくると思いますが、これと、「定着する」という言葉と両方出てきていますが、それらはきちんと使い分けておられるのかどうか、ということが1点。
     もう一点が、3ページ目の27行目に自然公園法あるいは自然環境保全法で動植物放出等というところで、「放出」という言葉は、これは外来生物法のところでも放出という言葉が今回使われているのですが、今までにも普通に使われていた言葉でしょうか。以前は、たしか放逐という言葉が使われていたような気がしますが、要は法律の文面では「放つこと」とされている行為ですよね。これを「放出」という言葉で表現していいのかどうかという点のご確認をまずしたいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 すみません、野生化と定着につきましては、こちらでもきちんと使い分けができていなかったと思います。基本的には同意義で使っておりましたので、どちらかに統一したいと思います。

    【中井委員】 その場合は、定着のほうがおそらくいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい、わかりました。自然公園法の放出なんですけれども、法律的には放つことという形で書いていて、以前、畜産を放つことの届け出制があったときに放牧という言葉を使っていたと思うんですが、現在、放つことに統一されていますので、そういった観点で放出という言葉を今回使わせていただいております。

    【中井委員】 意味がわからなくはないのでいいのですが、普通、日常で使う「放出」の意味とはちょっと違ったような語感があります。法律では普通に使われるということであれば、別に構わないんですけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それであれば、動植物を放つことなどという形で修正させていただければと思います。

    【中井委員】 お任せしますけれども、ちょっと違和感があったもので確認しました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【岡(敏)委員】 今後講ずべき措置についてもいいですか。

    【石井(信)小委員長】 はい。

    【岡(敏)委員】 12ページの4行目に代替種の開発状況などという例示がされているんですが、同じページの(2)のほうになりますけれども、35行目から代替種の開発が必ずしも有効でない場合があるという問題を書いてあるので、特に社会経済影響を考慮することの例示として代替種の開発状況というのを特に挙げるのは、あまりよくないんじゃないかと思います。
     それで、もし何か例示を挙げるとしたら、代替物の利用可能性などというふうにしておいたらどうかなと思います。というのは、被害防止の基本方針の中にそういう言葉があったので、特にこれを今回代替種の開発というふうに変える必要はないんじゃないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で修文をしたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【五箇委員】 戻りまして2ページですね。先ほど中井さんから指摘がありましたけれども、野生化を定着に置きかえるということですが、定着だけじゃなくて、問題となるのはその後、分布・拡大するということも含めてとありますので、定着及び分布・拡大というふうに置きかえたほうがよろしいのではないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 はい。ご意見のとおり直したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。特定外来生物の選定に関する部分ですね。

    【中井委員】 私、ちょっと3回目を休んでいたもので、いろいろと指摘が続いて申し訳ないのですが、5ページの15行目から19行目の文章のつながりです。修文されたためだと思うのですが、それより前から読んでくると、つながりが悪いような気がします。恐らくは、まず植物全体として(特定外来生物として)指定(された)種がかなり少ないということも言っておかなきゃいけないし、さらに未判定(外来生物)についてはほとんど指定されていないという、二重の意味で植物は指定が進んでいないことがわかるような書きぶりにしたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
     これだと特定(外来生物)の指定はそこそこやっているけれども、未判定(外来生物)の指定が少ないと読めますよね。実際は、植物そのものの特定外来の指定が少ないことも指摘されていたと思いますので、多分修文前だとそのニュアンスが残っていると思うのですが、修文された後、その辺が消えてしまっていると思うので、表現をご検討いただけたらと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この修文は前回、小林先生から指定種が少ないことが問題ではないんだというようなご指摘がございましたので、12種植物については指定されているんですが、未判定については指定が進んでいない、それは同属で危険性がある可能性があるにもかかわらず2種しか指定されていないという意味合いで修文させていただきました。

    【中井委員】 といいますと、12種そのものも少ないということですよね。それはいいのですか。その指摘はなかったのですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 小林先生のご指摘というのは、12種が少ないという評価は科学的に評価すべきであって、多い、少ないは問題ではないのではないかと。ここの趣旨としては、12種指定されている中で同属のものは生態系影響の可能性があるにもかかわらず、未判定が指定されていないということについての問題を記述させていただいています。

    【中井委員】 あと、5ページの36行目からの段落ですが、「特定外来生物に指定されていないが」とありますが、それ以前に、まず要注意外来生物にも選ばれていないものがこうやって新たに出てきている、という形で加えていただいたほうがいいと思います。あとは、例えばスパルティナ・アルテルニフロラ、ヒガタアシですね。これについては和名のヒガタアシがどこまで通用するのか知りませんが、すでに報道でも使われていますので、括弧づけで補っていただくことと、特定外来生物でスパルティナ属(スパルティナ・アングリカ)がありましたよね。同属種は既に特定外来生物に入っているのに、こっちは入っていなかったという状況であることを示してほしいと思います。まさにさっき指摘したように植物では未判定外来生物が指定されていないということなのかもしれませんが、その例としてわかるような表現をして、だからこそ未判定外来生物を整備すべきである、あるいはだからこそ特定外来生物の指定は属レベルであるべきだという意味でのいい例だと思いますので、その辺りの工夫はあったほうがいいと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それはご指摘の方向で文章を検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 今のところで、5ページの15から19行目ですか。そこのところはどんなふうに整理しましょうか。今の議論だと、ここはこのままでもいいのかなという感じもあったんですが。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 前回の小林先生の趣旨とすれば、原案でいかせていただければと思っております。

    【関根外来生物対策室長】 植物の特定外来生物の指定が少ないんじゃないかというご意見もあるということは承知をしておるんですけれども、その問題につきましては、この報告書の中にも出てまいります仮称でありますけれども、ブラックリストの作成とかそういった作業を通じて、追加すべきものがあるかどうかというふうな検討もしていきたいと思っておりますので、現時点で12種が少ないのであるという断定的な書き方は避けたいなという気持ちを持っております。

    【石井(信)小委員長】 ということで。

    【中井委員】 今のところで補足よろしいですか。違和感があるのはなぜかというと、16行目に「一次生産者であり、生態系の土台となる植物は」なんていう形容をしているところに違和感がある気がするのですね。恐らくこれは、例えば16行目の「未判定外来生物に指定されているが」の部分を、「特定外来生物に12種が指定されている植物では、未判定に指定されているものはわずか2種である」というような形で持ってきたほうがすっきりする気がします。多分違和感はその辺りにあるような気がします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 わかりました。ご指摘を踏まえて直したいと思います。

    【細谷委員】 ちょうど交雑の問題が入っていましたので、気がついたところ、5ページですが、交雑の問題は前回、前々回でしょうか、私どもサンシャインバスを取り上げてこういうふうに明記していただいたのは非常に評価できるんですが、実はこの文章の流れ、27行目からずっと35行目まで見ていますと、交雑種というくくりの中ではサンシャインバスからチュウゴクサンショウウオとサンショウウオの交雑、今回入れられたものですけれども、よくよく考えてみますと、31行目でこれ、現状を分けたほうがいいんじゃないのかなというふうに思っております。つまりサンシャインバスは確かにオリジンとしては交雑種ですが、実はこの影響というのは食害が危惧されるものであって、それはオリジンが交雑種であって法的に漏れていると、そういう整理で、2点目は、実際には日本の在来生態系の中で外来種が入り込んで、日本の生態系の中で交雑が起こっているという現象で、明らかに異なるものですから、少なくとも31行目のほかのところで区切っていただいて、あるいは状況に応じて段落を変えてもいいくらいだと思うんですね。まだまだその事例が足りないように思います。
     今回、パブリックコメントでチュウゴクサンショウウオとオオサンショウウオが出てきましたけれども、アカゲザルとニホンザルの交雑だけではなくて、ちなみに例えばニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴの問題であるとか、もっともっとここら辺を強調しておいたほうがいい。整理についてのお願いと、事例をもう少し増やしていただく、ご検討いただければと思います。

    【関根外来生物対策室長】 段落を変えるというご指摘につきましては、そういう方向で書き直してみたいと思います。事例につきましては、どこまで分量を増やせるかという問題もございますので、どれがふさわしいかというのは個別にご相談させていただくかもわかりませんけれども、検討させていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、それはよろしくお願いします。ほかには、ここのところはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 次に6ページの(3)です。まず、アサリの話が出てきていまして、アサリは交雑の問題もありますが、もう一つ水産上非常に重要な問題としてサキグロタマツメタという捕食性の巻貝が混入してきて入った経路ではないかとかなり強く疑われていることについても、ぜひ併記していただいたほうがいいと思います。といいますのは、その後に「水産動植物の増殖用として輸入されている種苗等にカワヒバリガイ等の外来種が混入している」と同じようなことが触れられていますから。そして、実はカワヒバリガイが混入しているのは、増殖用に輸入されている種苗等よりは、むしろ生食用に生きたまま輸入されているシジミであることがほぼ当たりがついているので、具体的に「輸入されているシジミ」という形で入れていただいたほうがいいと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点、水産庁さんと調整させていただいて、それで検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかはよろしいでしょうか。

    【中井委員】 あと、7ページの21から22行目ですね。「国内全域における土砂や植木の運搬などの移動の実態把握や規制はなされていない」という表現は、文章の構成上おかしいと思いますので、修文をお願いいたします。おかしいですよね、これ。例えば「運搬など外来種の移動に関わる行為の実態把握」ということですよね。その辺は上手な表現にしていただけたらと思います。そういうことが言いたいわけです。

    【関根外来生物対策室長】 はい、わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。

    【中井委員】 あと、8ページの今度は定着という言葉ですが、17行目にまず赤で直っている「定着している外来種」とありますね。そこから下、21行目と26行目は「広域に定着する外来種」とあります。この「定着する」という動詞の使い方は、「定着している外来種」が正しいと思うので、21行目と26行目の「定着する」は「定着している」のほうが表現としてはいいと思いますので、ご検討ください。

    【関根外来生物対策室長】 そのとおり修正いたします。

    【中井委員】 31行目もそうです。すみません。
     あと、同じく8ページの27行目から29行目の修文の部分ですが、ぱっと読んで意味が取りにくいですね。この文は、「早期防除により…の周知」と、その後の「地方公共団体が…、促進」とが並列なんですよね。周知と促進に対する国の取組が不足している、という構造がすごくわかりにくいので、これもわかりやすく書き下していただいたほうがよろしいかと思いました。

    【石井(信)小委員長】 よろしいでしょうか。

    【中井委員】 9ページの2行目から5行目ですが、「科学的知見が得られていない場合が多くて、そのために啓発がなされていなくて対策が進展しない」というのは本当ですか。それぞれ一つ一つは事実としてそうなんだろうけれども、「そのため」という言葉で結べるのかどうかという部分ですが、違うと思います。科学的知見が不十分であるというのはそのとおりですが、それが普及啓発のなされていない事情とは多分違いますよね。一因かもしれませんけれども、これは並列にしたほうがいいのではないかと思います。
     あと、最後にもう一つですが、13行目ですが、「国内由来の外来種について」とありますが、これは確かに国内由来の外来種対策の項目ではありますが、当然国外由来のものも含まれていますので、「ついても」と、「も」を入れたほうがよろしいかと思います。

    【石井(信)小委員長】 あとはよろしいですか。多分細かい修正で何とかなるところは少し後でまとめていただいてもいいかと思います。内容に関わるところですね。それを中心にお願いできればと思います。はい、どうぞ。

    【磯部委員】 今どの場所でもよろしいんですか。

    【石井(信)小委員長】 いえ、特定外来生物の選定に係る部分です。何か大分動いてしまいましたね、確かに。今、2の(1)と後ろのほうの3の(1)についてご意見をお願いします。
     では、後でよろしいですか。すみません、私ちょっといろいろぼんやり聞いていたもので失礼しました。そしたら、次の項目に移ってよろしいでしょうか。(2)のほうですね。そしたら、2の(2)飼養等許可の現状と課題と、2の(3)輸入規制、水際対策及び非意図的な導入対策の現状と課題で、それが現状と課題で、今度は3の(2)と(3)ですね。飼養等許可の適切な執行管理の推進、それから(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の推進、ここのところでご質問、ご意見、お願いします。

    【磯部委員】 ちょっと制度的なことだけ確認しておきたいという趣旨なのですけれども、7ページの15行目にあります非意図的な導入対策の箇所です。現行制度では特定外来生物を確実に取り除くための手段についての記述が、以前は「不明確である」といなっていたものが、今後ははっきり「法的に権限がない」というふうに修文されているわけですよね。この修正は、何かパブリックコメントで指摘があって、それに対応した修正ということなのでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 特にパブリックコメントでご意見をいただいたものではないんですけれども、現在の法律の中でこういった規定というものはございませんので、現状では行政指導の中で取り除いていただいているということが現状です。

    【磯部委員】 わかりました。それで、いま申し上げた箇所現状と課題のところで、それに対応するのが13ページの二十四、五行目辺りからの記述で、今度は輸入品の廃棄や消毒等法的に徹底できる措置について検討する必要があるということが対応しているという理解でよろしゅうございますね。
     たしかにこの点は、法制度的な観点からいっても大事なところだと思うのですけれども、2つの点で危惧を感じます。1つは、本当に現行法制度で全く権限はないんだとここまで言い切ってしまうのがいいのかということです。既存の法律を何とか解釈して、かなり強引な解釈と言えるかもしれないけれども、明らかにけしからんものをそこでとにかく廃棄せよと命ずることならやれるかもしれないという可能性も全く封じてしまっても大丈夫だろうかという危惧です。もう1つは、だからこそ新しい法律なり、個別の条文をつくって新しく制度を整備するのであるということが短期的な課題のほうに挙げてあるということであるのならば、いや、それこそそれに期待するということでよろしいのかもしれないのですけれども、実際問題としてはこれは、罰則の問題ではなくて、本格的な強制権限を作るというわけですよね。廃棄命令によって科された義務違反行為に対して直接強制の権限を創設するのか、単なる即時強制の権限なのかわかりませんが、現行法精度の下では一般に、仮に必要性があってもなかなか制度化が難しいとされている課題なので、そう簡単に制度化は期待できないのかなとも思われます。だからこそ、さっき申し上げましたように、現行法で全くそれができないのだと言い切ってしまうと、何か制度上に一種の穴があいていることを公認してしまうような気がしないでもなくて、ちょっと気になったものですから、何かお考えがおありなのかなというご質問でございます。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状においても特定外来生物が付着したまま輸入はできませんので、そういった権限を示した形で消毒なり取り除きをやっていただいているんですけれども、その取り除き方について具体的に例えば植物防疫法ですと、どういった薬剤で何時間薫蒸しなきゃいけないというような規定がございますので、それと同等の強い規制が現状ではかけられないということでこういった記載にさせていただきました。全く権限がないというのは少し語弊があるようであれば、少し修文も考えたいと思っております。今後の改善点としては、法制度で植物防疫法のような命令規定、廃棄ですとか消毒とか、それに伴う基準もしっかりつくった上でそういったことを目指したいというふうに考えております。

    【五箇委員】 今、磯部先生のほうからご指摘ありました規制云々、特に検疫の部分で実際問題そこまで実は考えずに法律ができてしまっているので、法律の中で検疫云々という部分がシステムとしても抜けちゃっているというのは事実なんですけれども、先ほど環境省のほうからも説明がありましたけれども、実際には植物検疫段階でアルゼンチンアリが見つかるとかそういったケースが結構頻繁に出ておりまして、そういったケースについては、環境省のほうから発見があり次第、植防のほうにお願いして薫蒸処理をしてもらうという個別対応でずっと続けてきたんですけれども、昨年度ぐらいから、まずアルゼンチンアリを皮切りに見つかった段階で植防のやっている方法と同じ方法で検疫薫蒸ができればいいのではないかという話し合いが農水省との間で進められるようになっております。だから、肝心なのはいっぺんに法律のシステムとして装備するということは非常に難しいところ、環境省の規模からいっても難しいところがありますので、ここはそういった手足のある農水省、こちらとしっかり協調をとるという方向で進めていくというのがこれからの対策としては、むしろそっちのほうが大事なんじゃないかなと。実態としては、今現実にはそういうふうに動き始めていて、我々環境研究所もそれちょっと一応対応させていただいたので、補足としてここでそういったことを説明させてもらいます。

    【山岸委員】 この色つきの概念図についてなんですが、これは初めてでしたか。前から出ていましたか。出ていましたか。ちょっとわからないところがあるんですけれども、赤い部分はいいんですけれども、その左下の緑色の部分なんですけれども、「国外」から矢印が「在来種Bの別集団の生息地域」のところへ向かっていますよね。これが直接「在来種B」のところへ向かったら問題が起こらないんですか。何でこれ2つあるんですか、その「在来種B」というのが国内の。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これは国内で同じ生息地の中に移動しても、遺伝的形質が異なる場合は遺伝的攪乱の問題が起こるということが国内であっても海外であっても起こり得るということを示しております。

    【山岸委員】 それはわかるんですけれども、左側の「在来種B」というところへ直接「国外」から矢印が来たときには問題が起こらないのかと。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 同じ遺伝的形質を持っていれば、遺伝的攪乱という問題は起こらないというふうには考えております。

    【五箇委員】 この図をつくらせてもらったのは実は私自身でして、すみません。環境省のつくった図がちょっと見にくかったので、もう僕のほうでつくりますと言ってつくらせてもらったんですが、先生のご指摘は、この外国から来る「在来種B」というのが緑色の九州辺りにある「在来種B」のほうに矢印が来た場合はどうなのかというお話ですよね。ちょっと非常にこの部分が一々用語を説明するようにつくっちゃっているのでややこしいんですけれども、この外国にいる「在来種B」というのは、根本的には、要は遺伝的に隔離されている集団とみなすと、どこに入っても基本的には外来種ということになります。ここではあえて遺伝的な攪乱を説明するために、国の外から来るケースにしても国内から移動されるケースについても同じ種「B」なんだけれども、遺伝子組成が違う場合は、これは遺伝子の攪乱という問題を引き起こすということを説明するためにわざわざここを国外の部分と国内の部分とで2つで矢印をつけているという状態になっていますね。あくまでも遺伝的攪乱を説明するためのフロー図、概念図としてここの部分があるんですね。
     だから、本当は遺伝的攪乱云々も何もかもひっくるめて、生態リスクそのものを及ぼすものという概念からすれば、この外国産種というのは日本にはいない種で、緑色の外国産種「B」というのは日本にも同じ種類がいるもので、どっちも国内に入る段階では外来種……

    【山岸委員】 どこへ行ってもだめですよね。

    【五箇委員】 だめだということになる、本来はだめなんです。あくまでも遺伝的攪乱という用語の説明のためにこういうふうな形になっていると。

    【山岸委員】 上に対応しているんですか。その上の赤い部分もこれに似たようなものになっていますよね。

    【五箇委員】 赤いほうは、これは国内の青色の境界線に入った段階でこれは外来種という扱いになるということなんですね。すごく本質的に外来種問題というのは、問題は同じで、本来の生息地から違うところに持ってくるものは、種としては同じだろうが何だろうがだめなものはだめだと。

    【山岸委員】 ついでだけれども、これが絶滅してしまったらどうなるんですか。

    【五箇委員】 どれがですか。

    【山岸委員】 この下の「在来種B」というのが絶滅しますと問題にならないんですか。

    【五箇委員】 トキのようなケースですか。

    【山岸委員】 遺伝的攪乱は起きないんだよね。

    【五箇委員】 そうですね。そのケースについてどうするかというのは、前回の会議でもすごい議論をさせていただいたところで、ちょっとこの図そのものについては、もうちょっといろいろと相談させていただいて、練り直したいと思います。ちょっとまだ突貫でつくったところもありますので、もう少し整理していきたいと思います。

    【中井委員】 この図ですが、斜めの点線の右上側だけが「外来種問題」で、タイトルは「外来種問題の概念図」ですね。ちょっと意地悪な言い方かもしれませんが、左下の側の要は種内の遺伝的、地域個体群間の交雑の問題について、「外来種問題」とここでは扱わないで、どういう問題として扱うのかを示す呼び名があったほうが、2つの概念が存在することがわかりやすいですよね。

    【五箇委員】 この線を引くことに関しては僕もちょっと異議があって、全部に関する問題なので、結局何か難しい箇所が法律的に……

    【中井委員】 規制の対象をきちんと明文化して表現しなければいけない段階において、その対象に対して名前がつけられない状況というのは左下になってくるんですよね、結局は。これが例えば外国から来た集団であっても、亜種のレベルで違えばもう右上になってきますが、亜種までの区別ができていなくて、要は名前がつけられない状況にあると同一のものとみなして、違うんだけれども一緒ということになって左下になるという位置づけですよね。やはりこの機会に適切な言葉を与えておいたほうが普及・啓発とか、あるいは行政の担当者にとっても非常に楽になると思いますが、宿題かもしれません。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 現状ではそれぞれの項目の題名において名称をつけているんですが、この遺伝的攪乱の問題は「生物の導入による遺伝的攪乱」と、現状と課題、対応策に書いておりまして、現状においてはこのような仮の題名でつけさせていただければと。もしいい題名があればご指導いただければと思います。

    【細谷委員】 議論がもとに戻ったようですが、しかしながら、これ非常に重要だと思うんですね。根幹に関わることですので。この概念図はそうたやすく扱うものではないと思います。非常に重要なものだと思います。この問題を再度整理しますと、実はここで皆さんおっしゃりたいことというのは遺伝的攪乱でしょうか、あるいは外来種問題そのものなんでしょうか。ゴールがようやく理解できましたけれども、国外外来種の問題と国内外来種の問題、これと、それからたくさんの問題、つまり別種か別亜種か、これは右上ですし、それから、全く同種、同亜種の場合、これが混在していて極めてわかりにくい模式図になっていますね。ですから、何が問題なのか、外来種問題は確かに遺伝的攪乱が非常に重要な問題ではありますが、それそのものが外来種問題を代表するものとは到底思えないわけですね。ですから、ここの整理をもう一度した上でこれを安易にこのままにしておくには問題があろうかと思います。根幹に関わる課題だとは思いますが、再度ご検討いただきたいと思います。

    【太田委員】 ちょっと話がややこしくなると思うので黙っていたんですけれども、ずっと。そもそも在来の生物多様性を守るのに、守るべきものは何かというと、保全生物学の分野では既に誰もがそういう記号のついたタクソンではなくて、遺伝的な、進化的なユニット、evolutional significant unitという言葉は皆さんご存じだと思うんですけれども、ここにいらっしゃる方は。そっちなんですよね。ただ、それが非常に条文として使いにくいので、とりあえず便宜的に種とか亜種とかという言葉を使っているので、これは実はかなり深刻な問題をはらんでいまして、どこかでそれに置きかえていく努力が次は必要だと思います。今回それを並立して議論し始めると、多分この1年、2年の議論では済まないと思うので、今回のところはそれでいいのかもしれませんけれども、それは少なくとも対応部署の方は次の課題ということでぜひ認識していただければと思います。
     それから、国内外来の問題については、これは結局手続上どうするかという話は本当に生物多様性の保全をやろうと思うのであれば、これは明らかに説明責任がどっちにあるのかというところの問題になってくるわけで、つまり持ち込むほうにあるのか、それとも許可するほうにあるのかということになるわけで、止めようとするほうにあるのかですね。実際に集団遺伝学的にいろいろなものを扱っていると、海外から持ち込もうとするのはたとえ記号としても種名なり亜種名が一緒についていてもかなり遺伝的に違うものが多いんですね。それをだけれども、同じ名前がついているから今のところはいいやということで、その遺伝分類学者のある種ちょっと不十分なところかもしれないですけれども、それに基づいてやっていたら、結局手遅れになるものがほとんどだということはどこかでやっぱり反映させていかないと、これも努力目標だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 今のことに関して、ここの外来種問題の概念図に関して、特に遺伝的攪乱の問題という部分だけが特出しされていて、あといろいろと国外外来、国内外来の問題もあったりして整理が非常につきにくいところはあるんですが、今回、特にこの遺伝的攪乱の問題をわざわざ引っ張り出しているところは、国内の在来種の移動ですね。いわゆる国内外来種そのものの問題は何が問題かというのを少しでもわかりやすくというか、何が問題かをとりあえず特出ししないと国内外来の問題がタッチできないと。だから、しかも法律上はちょっと今のところどうしようもないので、対策をこれから考えるというスタートをここで切るという意味で、ここは多分線引きされちゃっているところでもあるんですね。この点線で引いちゃっていて、赤いところは法律で何とかしよう、ここにでも、国内由来の外来種の問題がここにも書いてあって非常にややこしいんですが、結局同じ在来種なのになぜ移動しちゃいけないかという部分からまずわかってもらおうというところから、この遺伝的攪乱の問題が特出しになっているということなんですね。だから、ちょっと整理がもっともっと必要なところはあるんですが、なかなかこれがまた法律用語とかも関わってきたりするものですから、この図をつくる段階でも随分東岡さんとはすったもんだして意見交換してつくっていまして、まだちょっと完成はしていないところもあるかと思いますけれども、いろいろ意見をいただいて、この図自体はもうちょっと完成度の高いものにはしていきたいと思います。
     ただ、ここで遺伝的攪乱の問題だけが妙に特出しされているようなイメージになるのは、逆に言えばとにかく国内外来ですね。ちょっと非常に言葉がややこしいんですが、在来種を移動させるということにも問題があるということをまず理解してもらうためには、こういった問題を特出しするというのが効果的であろうという位置づけになっているものと判断しています。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 今のことに関して。

    【北田委員】 今のこの図ですけれども、赤い方は在来種がいない地域に持ってくるわけで、エコロジカルな影響を言っていて、緑の方は遺伝的な、ジェネティックな影響を表していると思います。緑は交雑するあるいは交配するという部分で、上の赤はそれがないということで、これはこれできちっと整理されているのではないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 五箇先生からご指摘がありましたように、用語の整理の関係なんかもありまして、前々回になりますか、小委員会でもいろいろご意見があって、それを整理しようという意図でこういう概念図を作成いたしまして、まだ少し修正について検討しないといけない部分があろうかと思いますので、その点は今日のご意見を踏まえてもう一度考えてみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ただ、今の法制度があって、それではカバーし切れない国内外来種の問題とか遺伝的な攪乱の問題というのをこの報告書の中でなるべくあぶり出して見えるようにするというところが今回の作業の目的だと思いますので、保全生物学的に見て理想的な枠組みとか問題の整理の仕方というのをやろうとすると、やっぱり皆さんおっしゃっているように少し時間のかかる作業になると思いますので、これに関してはなるべく微修正、大事なところは直すとしてという方向で整理していただけないかなと思います。
     それで、すみません、大矢さん、お待たせしました。

    【大矢委員】 13ページなんですけれども、20行目から23行目に指定港及び指定港以外の空港云々と、これが短期的に講ずべきの措置のほうである。そして、32行目、中期のほうで同じような輸入のことの問題が出ているんですね。輸入港の問題、これはなぜ短期と中期とに分けているのか。このところを一括で、短期で持っていけないのかどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘の20行目からの部分につきましては、これはこれまでもマニュアルなどの整備もやってきておりますので、それを一層充実させていこうということでございまして、当然そういう意味でもできることかなと考えております。
     それで、32行目からの部分につきましては、我々の承知している範囲ですと、現在の指定港以外からそんなに問題が多発しているという状況でもない、一部羽田とかこれから考えないといけない部分もあろうかと思いますけれども、まずそういう現状を把握するとともに、そういう空港の国際便の運用等がどういったことでこれから変更されていくのかという辺りも調べた上で検討させていただきたいなということで、中期的なところに、少し時間もいただいた上で検討させていただきたいというような趣旨でございます。

    【大矢委員】 確かにおっしゃるように、一番問題なのは羽田だと思うんですね。成田と羽田は非常に至近な距離にあるからということなんですけれども、羽田がかなり国際化してきて、また、問題が多いところからの航空便が多いということなので、できるだけ速やかに羽田は指定のほうに移して、そしてコントロールしていったほうがいいのではないかなというふうに考えています。

    【関根外来生物対策室長】 そういうような現状把握ですとか、そういった作業につきましては、遅らせることなくやっていきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 これは、では位置づけについては原案でよろしいでしょうか。
     ほかに、そろそろ次にいこうと思っているんですけれども、はい、お願いします。

    【中井委員】 7ページの18行目から20行目のバラスト水対策がありますね。海洋の外来種の問題では、条約としてはバラスト水管理条約ですが、バラスト水と並んで船底付着も非常に大きい割合を占めていることがよく知られていますので、そのことについても書き添えていただいたほうがいいと思います。船の底に付いて、(内側のバラスト水ではなく)外側に付いてくるというものです。これも非常に重要ですので、よろしくお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 それでは、(3)のところはそろそろよろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 一ついいですか。今日は昆虫のところを集中的に読ませていただいているんですけれども、13ページのここにセイヨウオオマルハナバチのことが書いてあって、その代替利用としてクロマルハナバチについてどうしたらいいかというようなことが書いてあるんですね。それで、よく読まないと多分おわかりにならないと思いますけれども、4行目のところですね。これらの利用方針というふうに書いてあるんですけれども、この「これら」というのが変なんですね。恐らくクロマルハナバチしか上に登場していないので、この「これら」というのはその利用方針だけでいいのかなと思うので、なぜ「これら」にしたかというのをもしもあったら教えていただきたいなと。例えばクロマルハナバチ以外の何か代替利用というのも想定されてのことなのかどうかということなんですけれども、いかがですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 本州の在来種はクロマルハナバチで、北海道の在来種も今後想定され得るということで「これら」と書かせていただきました。クロマルハナバチ「など」という形で「など」を追記して整合をとるようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

    【石井(実)委員】 ちょっとその辺が気になったのと、ちょっとこの文は長いんですよね。何かそういうのがもう一カ所あって、ちょっと今日はついでだから言っちゃいますと、その文を一回「留意した上で」というところで切ってはどうですかね。「留意すべきである」とかにしておいて、それでまたもう一回、「その上で」とかして、これらの利用とかいうふうにつなげたらどうかなと。
     それで、ついでに、むちゃくちゃ長いのがある。6ページにバックしていただいて。6ページの10行目から16行目の一段落は、全部一文なんですよ、これを読んでいるとわけがわからなくなってしまうので、12行目の「限定的である」で一回切ってしまって、「一方で」で始めて構わないんじゃないかなということと、ついでに言うと、20行目から22行目にかけて修文が入っているわけですけれども、「セイヨウオオマルハナバチの定着が確認されているのは北海道のみであるが、飼養している農家のない大雪山や知床の一部地域でも確認されている」というこの文が何か全然パンチがなく浮いてしまっているんですよね。例えば、よろしければこんなふうに直したらどうかと思うんですけれども、「知床の一部地域等にも分布を拡大している」というので、ちょっと深刻さを出してみたらどうかなと私は思うんですけれども、日本語の問題で恐縮です。

    【石井(信)小委員長】 それでは、よろしいでしょうか。
     そしたら、次に移りたいと思います。次は(4)のところなんですが、7ページの(4)の国による防除の実施、防除に係る確認・認定の現状と課題と、そして、それに対応したところですね。3の(4)、14ページですね。ここのところについてご質問、ご意見をお願いします。

    【今泉委員】 14ページの33行目辺り、「地方公共団体における外来種対策を促進する必要がある、この際、各ブロックを管轄する国の出先機関の役割が重要である」ということで、その後に「あわせて」ということでいろいろ書いてあるんですけれども、出先機関の役割は、我々としては本当に国にリーダーシップをとっていただきたいという意味で、非常に重要だと思うんですけれども、そこの出先機関の役割をできればもう少し詳しく書いていただければありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 具体的にどういう役割を念頭に置いているかという部分にすみません、ちょうどその上のところに情報交換ですとか成果の共有とか、そういったものをブロック単位や何かでよく取りまとめるようなことを出先機関の役割ということで書いておりますけれども、これよりもっと具体的にということでしょうか。

    【今泉委員】 少し期待してしまったのは、その後に「あわせて、侵入初期の早期防除」ということでつながっていきますが、そことは切り離してということになってしまうのでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 広域に分布しているものにつきましては、この県からこの県に分布が拡大しつつあるとか、そういう情報なども共有するということですので、侵入初期の早期防除とかそういったことに関しての情報の共有というものも当然入っていると考えております。

    【今泉委員】 わかりました。

    【石井(信)小委員長】 そのほか、いかがでしょうか。

    【中井委員】 8ページのさっきフライングしてしまった部分の上なんですが、26行目から27行目にかけて、「侵入初期の地域等の分布の拡大に関する情報の整備は進んでいない」という表現がちょっとわかりにくいように思いました。「要侵入初期の地域」と「分布の拡大」とのちょっとつながりがおかしいので、ご検討ください。
     そしてもう一つが今度は15ページなんですが、4行目から6行目、7行目にかけての「国は」の部分です。「個人やボランティア等による外来生物法の確認・認定を受ける必要のないような小規模の防除が円滑に推進するよう」とありますが、確認・認定を受ける必要があるかないかというのは、規模の問題というより行為の問題です。すなわちその後にある「外来生物法による運搬や一時保管等の規制」は小規模であっても必要なわけですよね。それを小規模の場合に和らげようというと取れるのですが、そういう意味合いでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 こちらの趣旨というのは、庭とか自宅の庭で防除したものをごみに出すのにちょっとした運搬が伴うものについても規制がかかるのかというものではないと。

    【中井委員】 そういうのを想定されているんですね。なるほど。ただ、ボランティアというとみんなでやる駆除活動という感じで、どこか地域を決めてもう少し規模の大きい活動をイメージしていましたが、ご説明の活動は極めて個人的な地域的領域内の話なのですね。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 あと、想定していたのが植物を防除した後に廃棄するまでの運搬作業で、防除従事者であれば運搬できるんですが、そういったものについて、防除従事者でないボランティアの方がイベントとして従事された場合に実施できないということがあります。例えば、ブラックバスであれば水のないクーラーであれば運搬とみなさないというような通知を出しておりますけれども、植物についても防除目的で明らかにそれから生態系影響が出るようなことがないような運び方であれば、そういったものも含めて運用上で規定できることがあれば、そういったことも考えていきたいと思っています。

    【中井委員】 とても大事なことなので、ぱっと読んで違和感があったもので気になりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかはいかがでしょうか。
     では、よろしいでしょうか、ここのところについては。
     それでは、次の(5)の部分ですね。2の(5)国内由来の外来種対策の現状と課題、それからあと、(6)ですね。生物の導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の現状と課題、それで、それに対応した必要な措置の3の(5)国内由来の外来種対策の推進と(6)生物を導入することによる遺伝的多様性を減少させる問題の対応とこの2つについてご意見をお願いします。

    【北田委員】 10ページの10行目に野生復帰という言葉が今回初めて出てきているかと思いますが、これはパブコメでこういう用語を使うべきだという意見があったんでしょうか。

    【谷垣外来生物対策係長】 特にパブコメでのご意見ということではなくて、ここで個別に野生復帰というくくりではなく、再導入や国内移植というふうに書かせていただいたんですが、野生復帰の際に気をつけるべき項目として環境省でもガイドラインをつくっておりますし、それでまとめるべきではないかという認識でここは野生復帰としてまとめさせていただきました。

    【北田委員】 野生復帰はどういう内容でしょうか。これまでは、どこかから持ってきたものを別の場所に導入するという流れで書いてあると思っていますが、これは人工繁殖を使った保護増殖を行うという意味ですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 環境省でまとめている野生復帰に関する基本的な考え方というガイドライン、前回の検討会で出させていただいて、前回の資料の参考資料4の2ページ目に野生復帰の定義というものが書いてありまして、その中では生息域外に置かれた個体を自然の生息地(過去の生息地を含む)に戻し、定着させることが野生復帰の定義になっておりまして、生息域外で保全した個体についても生息域内に戻す場合を野生復帰というような記載を書いております。

    【北田委員】 野生復帰についてはガイドラインがあるんですけれども、今回の修正案で初めて出てきた用語で唐突な感じがしたんですね。1ページにもあるように、これまで導入という言葉で一貫して整理してあったはずですので、ここで野生復帰という用語を使われる場合はちょっと説明が要るのかなと思います。また、5行目から7行目のヒメダカというのは、さらに人為選択の程度が強い育種をやっているわけですよね。育種したものを野外に放すという、野生復帰よりもさらにきついことをやっているわけです。野生復帰と同じように人工繁殖を使う種苗放流は水産の世界で一般に行われているんですが、これを言うと保護増殖まで含めた議論になるので、混乱するから黙っていたんですけれども、ここに野生復帰が出てくると、再導入とか国内移植、つまり、こっちにあるものを他方に移すという範囲で議論していた内容が変わってくるわけです。野生復帰を入れると、人工繁殖が表に出てくるので、これを外来種問題で扱うか少し整理が要るかなと思います。また、書き方としては、野生復帰が先ずあって次にヒメダカ、そして、最後に科学的知見は十分蓄積されていないとつなげるのですかね。

    【五箇委員】 この野生復帰のガイドラインを見る限りでは、あくまでも基本的には生息域内ですよね。域外に持っていったとしても最終的に戻す域は生息域なんですよね。だから、すべては生息域内での増殖事業というものが野生復帰ということになるわけですよね。そこの説明がまずきちんとないと、基本的にはちょっと再導入というのはいろんな意味が入りますし、国内移植もそうですね。もろにこれは移植と書いてある以上、ほかから持ってきちゃうということになりますので、それとは区別する意味で野生復帰という言葉をわざわざここに出しているんだとすると、その概念はしっかりまず出しておいて別物であるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。目的がもう全然違いますので、野生復帰の場合は。目的が違うのとプロセスが全然違いますよね。あくまでも域内での増殖ですね。増殖、繁殖、定着を目的としているということで、域外に持っていったものを最終的には域内に持ってくるということになりますので、そこのところをはっきり区別して、全く目的と概念が違うんだと、外来法とは違うものであるということははっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘を踏まえて、この基本的な考え方の域内に戻すということ、先ほど五箇先生がおっしゃった野生生物の保全のためにということも含め、このガイドラインの趣旨を後ろの語句説明で記載したいと思います。

    【太田委員】 16ページのこれは4行目ですか。今ちょっと確認があったように、野生復帰ということは厳密にその域内でのプロジェクトであるということが最初に明記されているんだったら、特にここまでこだわる必要はないのかもしれませんけれども、いろんなそういう復帰とか再導入とかするときに遺伝的な問題としては、すぐに多様性の減少にならないかということに注意を払われるんですけれども、もう一つやっぱり注意を払うべきは多様性の減少だけじゃないいろんな変質ですね、遺伝的な性質の。それはやっぱり注意を払うべきで、そうすると、細かいことを言うようなんですけれども、4行目の一番最後のところに「地域個体群の遺伝的多様性を減少させることがないように留意し」と書いてあるんですが、減少並びに変質とかそういうところをちょっと併記するべきだというふうに感じております。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 ご指摘を踏まえて修文をしたいと思います。

    【中井委員】 10ページですけれども、3行目、4行目にかけてなんですが、「種としては同じであっても、例えばゲンジボタル等のように、地理的に遺伝的形質が異なることもあり」とありますが、そうなると、地理的、遺伝的形質が異なるのが普通じゃないけれど、そういうこともありますよというニュアンスですよね。ところが、国内、日本全国というレベルで見ると、実は遺伝的に地理的な変異があるほうが当たり前なので、「ゲンジボタルなどで典型的に見られるように多くの種では遺伝的形質は異なっている点に十分配慮すべき」だとかいうニュアンスでここの部分は持ってきていただいたほうがいいのではないかと思います。すぐ下にヒメダカで出ていますが、このメダカは最近2種に分かれましたが、かなりクラシカルに地理的な変異が非常に大きいものでもありますし。すでに知られているものは、ほかにもいろいろありますので、ご配慮いただきたいと思います。
     もう一つですが、これはよく知らないことなので、よければそれでいいのですが、15ページです。大変細かいことですが、30行目から31行目「生物多様性保全の中核的制度である自然公園法等」とありますが、自然公園法が生物多様性保全の中核的制度として例示するのに一番いい法律なのかどうかというのがよくわからなくて、この文脈の中でいいのかなと思いました。
     以上です。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 自然公園法につきましては、国土の14%をこの自然公園法で見ているということですので、環境省としては我が国の生物多様性の保全の中核的制度と認識しております。

    【細谷委員】 どの場で入れるべきか少々悩むところですが、先ほど北田先生のほうから触れたくないとおっしゃっていましたけれども、私は触れるべきだと思うんですが、いわゆる水産業における種苗放流の位置づけについて、実は第1回目の小委員会のところで私は意見を申し上げて、これは議事録にも書いてあるところですが、全般を見てどこに入れたらいいのか、あるいは場合によっては16ページの7の中で各主体として水産業あるいは水産庁の方々の調整が必要なのか苦慮するところですが、全体を通覧した段階でわずかに6ページの(3)の下のところにアサリとスジエビとミナミヌマエビの話しか出てこないということになるわけですが、例えばどこに入れるのか、15ページなのかあるいは16ページなのかわかりませんが、この辺かなとは思いますが、なかなか産業基盤があるわけですから、さきの種苗をやめろと私は申し上げませんが、例えば種苗放流そのものが環境放出だという認識、これは第1回目とも重なりますけれども、とりわけ野放図になっている外国産の海産種苗の瀬戸内海だとか大陸続きのお話についてはもう小委員会、第1回目でご報告させてもらいました。
     それから、このような法律の方向性が出ているにもかかわらず、一方で、海産業については今指摘申し上げたんですが、内水面漁業の第5種漁業権、ほとんどが国内外来種の放流そのものであるという現状に対して、これをどうクリアしていくのか。もちろん一朝一夕には解決できないでしょうが、少なくとも方向性を環境省と水産庁の中で検討していただいて、あるいはもう既に第1回目で私は指摘させていただきましたが、それがクリアされてこういう形になっているのかどうか、その辺、ご意見を聞かせていただきたいと思っております。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘の点は14ページの11行目の「特に水産動植物の種苗の輸入・養殖・放流の状況については、これに伴う非意図的な混入等も含めてその実態把握に努め、必要に応じて対策を検討するべきである」という形で、まずは実態把握に努めるという形で対応できればと思っております。

    【細谷委員】 つまりこの段階で、この3行で事足りるというご判断ということですね。今の時点では、今日は確認だけで結構ですので、そういうご判断なんですね。

    【北田委員】 ちょっとよろしいですか。私は触れたくないと申し上げているんではなくて、これまでは人工繁殖の部分は入っていなかったわけなんですよね。一貫して、そういう整理をしてあるなというふうに見ていたわけですけれども、ここで野生復帰が入ってくるということは、先ほども申しあげたように外来種問題の中で人工繁殖も議論の対象にするいうことになります。ここでは、対象を希少生物あるいは絶滅危惧種に絞ってあるわけですけれども、産業対象種についてもここで議論するということになれば、10ページのところに書き込んでいくということになるとは思うんですね。ただ、これまではそこまでの議論はなかったと思っております。ここに載せるべきではないとは思わないし、隠しておくべきだとも全く思わないが、その辺は議論が必要と思います。

    【関根外来生物対策室長】 本日ご指摘いただいたことも踏まえまして、もう一度水産庁のほうとも現状以上にどこまで書けるのか、書けないのかという辺りを相談してみたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 そしたら、この項目についてはとりあえずよろしいでしょうか。
     それでは、最後のところになりますけれども、(6)と(7)の部分ですね。普及啓発、各主体の協力と参画の現状と課題、それから、調査研究の現状と課題、そして、今後の必要な措置としては、(6)普及啓発、各主体の協力と参画の推進、それから(7)の調査研究の推進というところです。それから、(8)のそのためについても含めて、残りの部分をまとめて議論したいと思いますので、ご意見、それからご質問をお願いします。

    【太田委員】 今、幾つかの地方公共団体に依頼されて生物多様性戦略を自治体レベルで策定するお手伝いを幾つかしていて、関係する会議にも先々週も出てきたところなんですけれども、そういうところでやっぱり本当に外来種の問題について議論を始めると、必ず意見が合わなくなって、いろんな生き物がいたほうが楽しいじゃないかとか、そういうものを排除するのはだめだとかそういう話になってくるんですね。その議論の相手になる人が非常にしばしばやっぱり学校の先生なんですよ。それで、今これを拝見していると、特に3のほうなんですけれども、教育現場、普及啓発の場合に非常にこういうことが重要であるということはいろいろと書いてあるんですけれども、学校とは教育機関という言葉が一言も出てこないんですね。一番最後のところで16ページの25行目で一言、「特にさまざまな教育の現場で」というふうなものが書いてあるんですけれども、それ以外教育機関、学校ということは一切出てこないんですけれども、実はここが一番教育において、普及啓発において有効なところで、わざわざそこだけを残して、いろいろそれ以外はいいことが書いてあるんですけれども、もっとストレートに教育現場において新たなカリキュラムの導入を求める等とか、そういう種類をもっと踏み込んだ表現が絶対必要だと思います。
     以上です。

    【五箇委員】 太田先生のご意見は本当にごもっともで、そういった意見は必ず生態学会なんかでも出てくるんですが、環境省としては多分一番書きにくいところは、これは文科省が相手になるからだということだと思うんですね。それ以外にもいろんな省庁との力関係もあって大変なことだと思うんですが、今、太田先生がおっしゃられたみたいに少なくともそういうところが大事ですよと。やるか、やらないかはとりあえずこれからの政治力と言ってはあれですけれども、環境省の発展次第というところもあるとは思いますので、とりあえずそれでも必要ですよということは何かしらで触れられたほうがいいのかなという気はちょっとしますね。難しいことは重々承知ですが、先ほどのそれこそ検疫の問題もそうこう言いながらも何とかかんとか動き出せば、否が応でも省庁間で向き合うことのチャンスも出てくるわけで、文科省はなかなか敷居が高そうなので大変かなとは思いますが、その辺は何か書かないと始まらないのかなという気もしますので、少し前向きにご検討いただければいいかなと思います。

    【山岸委員】 今のお二人の意見と全く同感です。この全く同じ議論は、生物多様性の国家戦略をつくるときも文科省の協力を仰ぐということで既にやっていることで、できないことではないです。敷居なんか高くないし、書き込めばいいことだと僕は思います。よろしくお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 書きぶりについては検討させていただきますけれども、情報として、事実関係として申し上げておきますのは、学習指導要領の中にも外来種について学習するという話が徐々にではありますけれども、入ってきておりまして、中学校でも平成24年度から学習するということになっております。それから、総合的な学習の時間なんかでも取り上げているような学校もあるということで、十分な認識のもとに先生がそういう学習をしていただいているかどうかというのはまだ始まったばかりで行き渡っていないところはあるかと思いますけれども、こういった取組も並行して進めているということでご説明させていただきました。

    【中井委員】 10ページですけれども、27行目ですが、外来種問題に係る正しい理解の「正しい」という言い方はあまりよくない、正しくない用い方のように思います。正しいか正しくないかではなくて、適切であるかどうかとか、あるいは科学的であるかどうかとか、そのような表現でお願いします。(外来種問題をめくって)ぶち当たるいろいろな価値観は、それぞれ正しいつもりなのですから、正しいか正しくないかという言い方は、あまりよろしくないように思います。
     そしてあと、ちょっと手前味噌的で申し訳ないんですが、32行目辺りの普及啓発の役割を担っている施設として、できたら博物館も入れていただけたらうれしいと一個人として、博物館職員としては思います。
     それから、もう一つが16ページの29行目から30行目に外来種被害防止行動計画(仮称)とありますね。これ、ここの報告書の中では、16ページの1行目から2行目でも出ていますが、これについては何か説明がなくてもいいでしょうか。どこかにあったのであれば、ごめんなさい。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 巻末に行動計画の説明をつけておりまして、19ページの参考4で行動計画について説明を入れております。

    【中井委員】 そうですか。わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

    【中井委員】 9のその他で東日本大震災の被災地のことに言及されていますが、これも中期的な措置ということでよろしいでしょうか。短期ということもないとは思うのですが、いかがでしょう。現在、かなり急速にいろいろな対策が行われている状況にあるなかで、中期的と表見するのでいいのかどうか。特に、被災地の復興に環境省さんがいろいろ関わっておられることから、少し様子を見ながらというようにも取れるのですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 こういう生物の関係ですと、我々がおります野生生物課のほうでも鳥獣被害の関係でも被災地域のモニタリング調査も計画をしておりますので、そういった中で外来種についても確認できることがあろうかと思いますので、そういう状況を踏まえて何をやるべきかを考えていくということかなと思っておりますので、今のところは中期的なことで置かせていただければと考えております。

    【細谷委員】 レベルからいって中期的というと相当大きいですし、この問題は東日本大震災がございますし、そのバランスにおいては、どういう経緯でアライグマが入ったかどうかわかりませんが、あまりにも細かい項目が事例として上げ過ぎている。ここはどうでしょう、もう少しぼやかした感じで、アライグマに言及することなく生物多様性の保全と外来種、もう少しごまかした、ぼんやりした形のほうがアピール度あるいは感情も含めて説得力があるんじゃないかなという気はいたしますが、いかがでしょうか。

    【太田委員】 アライグマは、あの辺りでは生態系の一番上に来ているもので、飯館村から南相馬まで非常に増えつつある状況というのを私も見てきたんですけれども、そういうふうにぼやかすより、逆にアライグマに関しては、ここでこのようにぴしっと上げたほうがいいと思います。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 この小委員会でもアライグマのことについて具体的な事例も提供していただいておりますので、それについて言及しながら生物多様性全般的な話についても視野に入れて書くようなことで表現ぶりを考えたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ここは具体的なのがアライグマだけなので、ちょっと何かもう一つ、二つ問題になっているものが上げられるといいのかと思いますけれども。

    【五箇委員】 結局アライグマの件に関しても、一応太田先生が見てこられてきた上での経験値ということになるかと思いますが、実は環境研のほうでもむしろ植生とか昆虫相とかの遷移を調べていると、むしろ在来のものが恐ろしい勢いで復帰しているという動向もあるんですね。だから、生物層によってはやっぱり復帰のプロセスというのが全然違ってくると思いますし、これはまさに1,000年に一度の自然攪乱という形で起こったことなので、今後の生物の遷移ですね。外来種も含め、在来種も含めてどうなっていくのかということは、むしろそれをどうモニタリングして、それに即してどう復興させていくかということのほうが重要な課題になってくると思うんですね。
     自然にほうっておけば、多分自然生態系の復元のほうが優先するであろうと概念的には予測できるんですが、そこに当然のことながら防潮堤も建てたりさまざまな護岸工事をしたりという人の手が加わることで、結局のところ、また新しいそういう生態系の攪乱というものも進むということになりますので、そういった意味では、ただ、この件に関しては人の生活、安全と安心ですね。そういった部分との兼ね合いもあるので、そういう意味ではまさに中長期的にそのプロセスというものを確実に把握して今後に生かすという方向性をむしろ大事にしたほうがいいのではないかと思いますね。単純に生態系保全だけでは語れない現場であるということも事実としてはあると思いますので、その部分は十分に配慮しないと、人の生活が二の次になるような形で保全が語られることは決してあってはならないだろうし、その上でどういう対策を保全生物学としてとれるのかということが突きつけられていることだと思いますので、そういう大所高所的な見方での記述というものも何か考えたほうがいいのかなという気はします。
     いずれにしても、こういう現象が我々自身も経験したことのないことで、どういう自然遷移をするのかというのは、まさに新しい実験場となっている状況がありますので、そういう意味では、この機会にそういった情報を最大限収集していくということ自体が大事なことなんじゃないかなというふうに考えます。
     以上です。

    【中井委員】 実際の文章表現はお任せするのがいいのでしょうが、今のお話で16行目、「必要に応じて」というのは要らないと思います、絶対やらなければいけないと思いますので。ですから、例えば「震災復興においては、外来種の侵入拡大状況等を含めた生態系の遷移について把握」して各種事業をやっていくとすれば、今のような内容が盛り込めるのではないかと思いますので、ご検討いただけますでしょうか。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。
     全体を通じて何かぜひという、言い落としたこととかあればそれも含めてお願いします。
     14ページのところなんですが、29行目から31行目のところに書き加えていただいて、これは多分マングースなんかを想定して書いていただいたということでいいと思うんですけれども、ちょっとわかりにくいので、最初に「特に」と出てきますね。これが「特に」というのはどこにかかるのかわかりにくいので、読んだ感じでは30行目の「特に根絶が望ましいと判断される場合は」というふうになったほうがいいと思います。
     それから、その後の「根絶間近で」云々というところの捕獲数当たりのコストというのがどういう数値を想定しているのかがわかりにくいので、多分1頭当たりとかと書くことなんでしょうけれども、1頭というとマングースはそれでいいですけれども、ほかの生き物の場合は使いにくいので、一定捕獲数当たりのコストで、そこのところを「通常根絶間近で一定捕獲数当たりのコストは増大するが」、「増加しても」じゃなくて「増大するが、根絶に至るまでの」云々と変えていただいたほうがいいなと思いました。増加してもというと、何かちょっと趣旨が伝わらないかなと思いましたので。あるいは、根絶間近で云々というところはなくてもいいかなと思いました。ご検討ください。
     それと、ほかにはいかがでしょうか。
     それでは、一応大体この場での議論は終わりにそろそろしたいと思うんですが、いろいろご指摘いただいた点があって、まだ文章を確定するところになっていない部分が幾つかあると思います。それで、最終的には私が責任を持って確認して、報告書として取りまとめるということではあるんですが、少しその前に委員の先生方とのやり取りがあるべきだと思いますので、ちょっとスケジュールとかやり方を事務局のほうで今の予定を説明していただけますか。1週間程度というような話が最初にありましたけれども。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 この資料のほかにも資料2-1、2-2も含めて気づいた点がございましたら、この1週間のうちにまた事務局にご連絡いただければと思います。今回、資料3についていろいろご指摘いただいた点については、また個別にご相談させていただくこともあろうかと思いますので、それは引き続き事務局から先生方に個別なり全体に相談させていただいて、12月の野生生物部会までに調整を終えたいというふうに考えております。

    【石井(信)小委員長】 1週間というのは来週の水曜。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 そうですね。来週の水曜までにお気づきの点があれば事務局までお知らせいただければと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、その過程でいろいろ個別にご相談するようなことについては事務局にお願いするということで、それ以外のところについては、私のほうで、これで大丈夫だろうというふうに考えられる分については責任を持って確認したいと思いますので、委員長預かりと、そういう点についてはそういうふうにさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
     それでは、今日いろいろご指摘がありましたけれども、大分問題点もはっきりして、報告書としても改善されたと思います。この報告書に基づいていろいろなこれから外来種対策というのが進展することを期待したいと思います。環境省には頑張っていただきたいと思います。
     それで、この今日取りまとめてまだ完成ではありませんが、この報告書は冒頭に説明ありましたけれども、12月の何日でしたか、そこで中央環境審議会の……

    【関根外来生物対策室長】 13日。

    【石井(信)小委員長】 13日、野生生物部会に報告されて、審議されて取りまとめられるということになると思います。ということで山岸先生、よろしくお願いします。
     それで、以上で本日の議題は終了ということにしたいと思います。全部で今日も含めて4回小委員会を開催しましたけれども、短い間にかなり中身の詰まった検討ができたと思います。まだまだ本当は根本から考えなきゃいけないという問題もいろいろあって、それについてはまた別の機会に整理されるべきだと思いますが、議事の進行に大変ご協力をいただいたということで感謝申し上げたいと思います。
     最後ですけれども、特に何かご発言というか、これだけはということがあればお願いしたいと思いますけれども、特によろしいでしょうか。
     では、これで委員会の議事は終わりたいと思います。あとは事務局のほうから何か連絡があればお願いします。

    【水崎移入生物対策係長】 本日は熱心にご議論いただき、ありがとうございました。毎回のことではございますけれども、本日の資料の郵送を希望される委員につきましては、テーブルに封筒がございますので、封筒に委員のお名前を書いて資料をそのままにしていただければ、事務局より別途郵送させていただきます。
     最後に、自然環境局の伊藤局長よりごあいさつ申し上げます。

    【伊藤自然環境局長】 自然環境局長の伊藤でございます。
     本年の6月から短い期間の間に、4回にわたる小委員会で熱心な、本当に密度の濃いご議論をいただきまして本当にありがとうございました。委員長のほうからもございましたけれども、本日ご議論いただいた報告書につきましては、さらに先生方ともご相談申し上げた上で、最終的に委員長にご確認をいただくという手順をとりたいというふうに考えております。
     本当に外来生物の問題は遺伝的攪乱のことも含めまして、非常に奥が深いということを再度我々も認識を新たにしたわけでございます。この報告書の中でまだこれから議論を始めなければいけないといった課題もありますし、直ちにとらなければいけない課題といったことも相当明確にしていただいたというふうに考えております。私ども環境省といたしましては、12月13日に最終的に野生部会で中央環境審議会のご意見として取りまとめていただいて、環境省のほうに提出していただくと、こういう段取りになろうかと思いますが、この中央環境審議会の提言を踏まえまして、しっかりと確実にやるべきことをやっていきたいというふうに考えております。それは制度面のこともそうですし、運用面のこともそうでございますし、また、新しくこういうことをやれといったこともご指摘賜っています。私ども環境省としましては、きちっと動いていくということを対外的に見せていくこともまた重要なことだろうと思っています。その点はしっかりやりたいというふうに思っております。
     委員の皆様方からも引き続きご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。本当に本日はどうもありがとうございました。

    【石井(信)小委員長】 それでは、以上をもちまして、本日のというか最後になりますけれども、外来生物対策小委員会は閉会とします。
     ありがとうございました。