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中央環境審議会 野生生物部会
外来生物対策小委員会(平成24年度第3回)会議録


   
  1. 日時 平成24年8月27日(月)13:30~16:40

  2. 場所 三田共用会議所 3階 大会議室

  3. 出席者
    (小委員長)石井 信夫
    (委員・臨時委員) 石井 実  磯部 力  
      五箇 公一  山岸  哲  
    (専門委員) 今泉 光幸  太田 英利  
      大矢 秀臣  岡  敏弘  
      岡  三徳  北田 修一  
      小林 達明  細谷 和海  
    (環境省) 伊藤自然環境局長
    星野審議官
    上河原総務課長
    岡本調査官
    中島野生生物課長
    関根外来生物対策室長
    東岡外来生物対策室長補佐
    水﨑移入生物対策係長
    谷垣外来生物対策係長
    (農林水産省) 大友地球環境対策室長
    堀川花き産業・施設園芸振興室課長補佐
    (水  産  庁) 長谷漁場資源課長

              
  4. 議事

    【水﨑移入生物対策係長】 それでは、予定の時刻となりましたので、中央環境審議会野生生物部会平成24年度第3回外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     本日の出席者数でございますが、委員及び臨時委員7名中5名の出席であり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項において準用する中央環境審議会令第7条により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、岡島委員、中井委員、鷲谷委員につきましては、本日、都合により欠席されています。
     また、平成16年6月8日、野生生物部会決定「外来生物対策小委員会の運営方針について」に基づき、本会議は一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。
     議事録につきましても、委員の皆様にご確認いただいた上で、公開となりますのでご承知おきください。
     本日の審議に先立ち、8月10日付けで自然環境局長に就任しました伊藤局長よりごあいさつ申し上げます。

    【伊藤自然環境局長】 8月10日付で自然環境局長を拝命いたしました伊藤でございます。
     委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、外来生物対策小委員会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
     あいさつに入る前に、若干、自己紹介させていただければと思います。私は、昭和54年に、当時の環境庁に入省いたしました。もともと事務屋で、経済職で入ったわけでございますけれども、その後、自然環境局では、平成16年7月から1年間、自然環境部の総務課長ということで務めさせていただきました。当時は、ちょうど平成16年6月に外来生物法が公布されまして、1年間かけてその施行の準備に当たるという時期でございました。特定外来生物にブラックバスを指定するのかどうかとか、いろいろな議論でその当時も関わらせていただいたわけでございます。
     その後、2年前から環境省の廃棄物・リサイクル対策部長を務めさせていただきまして、その間、ちょうど3・11の東日本大震災が発災いたしまして、専ら、がれきの処理、それから放射性物質に汚染された廃棄物の処理といった問題、がれきの処理につきましては、相当3年間で処理するということで、何とかできそうなところまで来たかなというふうに思っておりますけれども、放射性物質の問題につきましては、なかなか先が見えないと、こういうふうな状況で、いろいろ悪戦苦闘していたわけでございます。
     この度、8月10日付で自然環境局長を拝命いたしました。この日本の自然環境、これは本当にすばらしいものがあります。日本の宝、そして世界の宝だと思っております。これを本当に健全な形で将来世代に残していくということは、非常に大きな役割、重要な仕事だと思っています。我々の子や孫の世代に、健全な環境を残していくために、微力ながら全力を尽くしてまいりたいと、こう考えております。よろしくお願いいたします。
     さて、今回の小委員会におきましては、これまでの2回の小委員会及び本日の小委員会での審議に基づき、外来生物法の施行状況等を踏まえた必要な措置について、中間的な取りまとめをお願いしたいと考えております。
     この中間取りまとめは、来月にパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、再度、小委員会で必要な修正をご議論いただき、最終的な取りまとめをお願いできればと考えております。
     外来生物法につきましては、施行から7年が経過し、特定外来生物を野外に放つこと、輸入すること等の規制、各地での防除の活発化など、法律施行後、取組が進展し、一定の成果は得られていると考えております。
     しかしながら、本年6月に実施されました環境省の行政事業レビューでは、特定外来生物の防除事業につきまして、防除手法の改善や目標の明確化が指摘されるなど、見直すべき点は見直す必要があると考えております。
     その一方で、防除で得られた成果につきましての情報発信、外来種問題の普及啓発など、多くの方にご理解いただく努力も不十分ではなかったかと思っているところでございます。委員の皆様方からも、引き続きご指導いただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
     小委員会での検討結果として取りまとめていただく今後必要な措置につきましては、関係各省と連携しながら、制度面、運用面の見直しなどに取り組みたいと考えております。限られた時間でご検討いただくことになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

    【水﨑移入生物対策係長】 また、事務局につきましては、伊藤自然環境局長のほか、自然環境局担当の官房審議官の星野審議官、野生生物課の中島課長が8月10日付で就任しております。星野審議官は、到着が遅れておりますが、あわせてご紹介させていただきます。
     続けて、事務局よりお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
     すべてクリップどめになって一まとめにしておりますが、1枚目に議事次第、裏面に配付資料一覧が書かれたものがございます。
     2枚目に座席表、3枚目にこの小委員会の委員の名簿と、続きまして資料1番、資料2番、資料3番、資料4番、資料5番、こちらまでが資料本体となります。続きまして、参考資料のほうが1番から5番まで5つございます。
     もし資料に不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
     それでは、議事進行は石井委員長にお願いいたします。

    【石井(信)小委員長】 では、前回に引き続きよろしくお願いします。
     早速、議事に入りたいと思いますが、最初の議題は「外来生物法の施行状況を踏まえた今後講ずべき措置」ということなんですが、前回の7月27日の小委員会で、各委員から質問がありました。その事項について、事務局が資料を用意していますので、それを報告していただく。
     それから、前回、欠席された委員、それから終了後にあった意見についても、事務局で取りまとめていますので、その報告をお願いしたいと思います。
     まず、小委員会後に提示されました意見のまとめた参考資料の1を説明していただいて、続いて資料の1から4までの説明をお願いしたいと思います。

    【谷垣外来生物対策係長】 それでは、参考資料の1からご説明させていただきます。
     参考資料1といたしまして、「第2回外来生物対策小委員会開催後の委員からのご指摘事項」をまとめさせていただいております。
     まず、影響の大きい外来種への対応として、在来生態系の存続を意図する場合、大型の消費者が、同じ生態的地位を持つ消費者のいない島嶼に侵入した場合、在来生態系に食物網の構造的変化を伴う破壊的なインパクトをもたらされること、それから影響の程度が特に高い動物のほとんどは、猫、イタチなどといった意図的に導入されて、管理者によって不適切に使われる動物であることについて重視し、法を構築する場合には、その侵入予防、野外で繁殖を開始した場合には、迅速な対応をとることを可能にするべき、というご意見をいただいております。
     それから、普及啓発に関して幾つかご紹介いたします。外来種対策には、一般の人の協力が必要ですが、大変わかりづらい。既に「日本のもの」に近くなっているようなもの(有用な外来種)や、侵略性が高い危険なものなどとパターンを整理して、外来種とのつき合い方、つまり有用なもの、あるいは駆除しないといけないものなどを易しく説明するとよいのではないかというご意見。それから生物は移動するものであり、国境は人間が設定しているがそれを超えて移動するものや温暖化の影響として入ってくる生物をどう防ぐのか、防ぐ必要があるのか等についても、概念を整理して、整合性を持って伝える必要があるというご意見。それから外来種が侵入してはびこってしまった場合、一部は退治できても、すべては退治できないため、それを正面から受け止めて、どういった対策が有効なのかを現実的に考える必要があるというご意見。それから普及啓発のアプローチについて、オオクチバス、ブラックバスを指定する際には大変論争になったが、こうした論争はチャンスであり、こういうわかりやすい議論を利用して、環境省職員がテレビに出るというようなことも考えながら、外来種問題の認識を国民全体に浸透させることができるのではないかというご意見。また日本の一般国民の生物に対する興味を上げる必要がある、海外と比べても、子どもから大人まで、関心が非常に低いため、大人も含めて、科学的にしっかりした自然のおもしろさを教えるようにすることが必要であるというご意見。それから生物の専門家と一般国民の常識の差がどんどん広がっており、これを埋める必要があるというご意見。命の問題や文学・哲学・思想などの方面からアプローチが有効ではないかというご意見をいただいています。
     それから、外来種についても、わかりやすいストーリー、例えば「いい外来種」と「問題のある外来種」というようなものをつくって、発信するのも一案であるというご意見をいただいています。
     また、普及啓発における伝え手ということで、「Our stolen future」という書物については研究者と新聞記者の共著となっているように、一般の人に伝える努力というのが生物学の世界にも必要ではないかというご意見。それから環境省職員にも、普及啓発の専門家がいないことも問題ではないか、例えばレイチェル・カーソンのような科学を一般の方に伝える科学ジャーナリストというような人材を育てていくということが必要ではないかというご意見。また生物多様性というものを普及させることが必要だということで、この国家戦略の普及啓発部会をつくって、国民にいかに伝えるか、近づくかを検討できる場があるとよいというご意見をいただいています。
     小委員会のこの資料については、小委員会の報告書の中において、とるべき今後の措置として普及啓発を重視し、より一層の工夫を求めるという趣旨を記載してほしいということでご意見をいただいております。
     それでは、資料1のほうから、前回、ご指摘いただいたことに対して資料をご紹介したいと思いますので、まずは資料1をご覧いただけますでしょうか。
     資料1といたしまして、「ペット、展示生物、生き餌等として導入される外来種に関する国際的議論の動向について」をまとめさせていただいております。
     前回、国際的な議論の現状がどうなっているかというご質問がありましたので、それに対応するものでございます。平成22年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議において、ペット・水族館及び動植物園等での展示生物・生き餌・生食料として導入される外来種について、国際的に基準を作成する可能性について、科学的及び技術的な情報・助言・ガイダンスを提供することを含む手段と、方法を提案する科学技術者会合を開催することということが決議されております。
     これを受けて、平成23年2月、スイスにおいて、生物多様性条約事務局の主催によるアドホック外来種専門家会合が開催されています。この会合では、外来種の導入に伴うリスクへ対応するための方法論ですとか、こういった拡散防止のための国際基準を開発するための方法、それから早期発見・早期警戒システムに資するデータべースやネットワーク等の連携を促進するための方法について、検討されています。
     会合では、ペットもしくは観賞目的で導入される外来種、また生き餌・生食料として導入される外来種の規制について、現在、国際的な枠組みがない状況にあると、既存の枠組み、例えば国際植物防疫条約(IPPC)ですとか国際獣疫事務局(OIE)、国際食品規格(Codex)等を拡張して対応することが、有効ではないかということが議論されています。
     また、生物多様性条約の科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)に対する勧告として、WTO-SPS協定の基準機関に対して連携を求めていくべきことであるとか、あと既存データベース等の連携や早期発見・早期対応システムの構築について考慮していくべきということがまとめられています。
     これを踏まえまして、平成23年11月にカナダのモントリオールで、生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA15)が開催されています。その中では、第11回の締約国会議の中で議論される勧告案というものが採択されています。このCOP11については、この10月にインドのハイデラバードで開催される予定です。
     侵略的外来種については、先ほど申し上げたような既存の国際基準設定機関、IPPCですとかOIEといったものとの連携、それからそういったところへの取組の推進、それから外来種の国境を越えた流通に関するモニタリングや管理手法等についての情報収集、それらの普及、それからインターネット取引に対応した貿易業者に対するガイダンスの必要性などが言及されています。
     例えば、具体的には、IPPCに対しては、海域の植物ですとかコケや藻類、菌類の検討、OIEに対しては、侵略的外来種によるリスクアセスメントのガイドラインの作成等を求めていくべきといったことが盛り込まれています。
     こういった議論の動向を受けて、例えばOIEでは、平成24年、今年に、「非在来生物が侵略的となる可能性を評価するガイドライン」が、作成、公表されています。ただし、これについては、拘束力を持った規定にはなっていない状況です。このガイドラインについては、第1回の参考資料20として配付させていただいております。お手元のハードカバーのファイルにもファイリングしておりますので、必要に応じてご覧いただければと思います。
     また、WTOにおいても、外来種問題に関する国際貿易の規定の役割についての勉強会等が開催されているという状況でございます。
     続きまして、資料2についてご説明させていただきます。
     前回、「コガネムシ上科の輸入量について」ということで、ほぼ同じような体裁でご説明させていただきましたが、特にオオクワガタ属の輸入量がどうなっているかといったご質問を受けましたので、この資料2の1ページの下のほうに、クワガタムシ科オオクワガタ属の輸入量ということで、新たに情報をつけ加えさせていただいております。
     前回もご説明しましたとおり、平成19年2月から、コガネムシ上科の種については、種類名証明書の添付が義務づけられるということが、外来種生物法に基づいてなっております。
     特に、ヒラタクワガタについては、異なる亜種間でも交雑を起こして、亜種間雑種が形成されることがこれまでの研究からわかっています。それから、野外において、外国産のヒラタクワガタの遺伝子を持つ個体が発見されているということから、遺伝的な攪乱が懸念されています。
     特に、このオオクワタガタ属については、輸入量が非常に多くなっているということで、平成19年2月以降、平成23年8月まで提出された種類名証明書に記載のある輸入量については、オオクワガタ属がクワガタムシ科の輸入量の53.9%、オオクワガタ属のうちヒラタクワガタについては、クワガタムシ科の輸入量の28.5%ということで、多数を占めていることがわかりました。
     2ページの表2について、平成19年から23年までの各年度ごとの個体数と、それが、全クワガタ・カブトムシ中の占める割合もしくは全クワガタムシ科に占める割合ということをお示ししております。
     資料2については以上でございます。
     続きまして、資料3のご説明です。前回、希少種の野生復帰において、外来種問題ですとか遺伝的攪乱の問題があるんではないかといったような話題が出されました。その中で、環境省においても、野生復帰に関するガイドラインを作成していますということで、今回、抜粋してご紹介させていただきます。
     全文については、今回の参考資料4に載せておりますので、ご参考にしていただければと思います。
     「絶滅のおそれのある野生動植物の野生復帰に関する基本的な考え方」ということで、野生復帰個体の遺伝的地域特性への配慮の欠如あるいは自然の生息地以外の個体導入の不適切な取組により、同種の個体群ですとか対象地域の生態系に与える悪影響が懸念されているといったことを受けて、平成23年に、環境省によりこの基本的な考え方というものが取りまとめられています。
     その中に、野生復帰により懸念される外来種問題等に関する影響についての記述というものを幾つか抜粋してご紹介いたします。
     懸念される悪影響として、1ページの囲みの中にあるような問題点が記述されています。1つ目は、生態系・生息域内の個体群の攪乱ということで、野生復帰個体群の定着や増加によって、生物間相互作用の攪乱ですとか生息域内個体との競合といった野生復帰候補地における生態系に対する悪影響が想定されます。それから、2つ目としては、生息域内の個体群の遺伝的多様性・個体群特性の攪乱ということで、野生復帰個体群の集団内の遺伝的多様性が生息域内個体群に比べて低い場合、遺伝的多様性の低下等の遺伝的特性の攪乱や近交弱勢による絶滅リスクの増加が想定される。また、野生復帰予定地の個体群と、野生復帰個体群の遺伝的地域特性や個体群特性が異なる場合、それぞれの攪乱が想定されるということが示されています。ほかに、3つ目として、病原体及び寄生生物の伝播・外来生物の非意図的導入ということが挙げられています。
     2ページにいきまして、この基本的な考え方の中では、野生復帰の検討の進め方として、必要性を評価して、その上で実施可能性を評価して、野生復帰を進めていくということになっているんですが、その検討の中で、どういった視点が必要かということが取りまとめられています。その中で、外来種問題に関する記述としては、必要性の評価における評価の視点として、野生復帰のうち、補強については、実施地域あるいはその周辺に現存する同種個体群に対して、生息域内個体群の攪乱、遺伝的多様性の攪乱、病原体及び寄生物の伝播等の悪影響を与える可能性が懸念されるため、より慎重な検討を要する。また、種の置かれた状況及び種内の遺伝的地域特性や集団内の遺伝的多様性の現状を踏まえ、対象とする保全単位を明確化して評価することが求められるというふうに記載されています。
     それから、同じく評価の手順の中で、将来予測・影響把握するということで、想定される野生復帰候補地が特異な生物相を持つ地域である場合には、現地の生態系の攪乱が生じないように配慮することということが記載されています。
     また、実施可能性の評価に係る条件として、野生復帰に適した生息域外個体群の確保ということがまとめられていますが、その中で野生復帰個体は、先ほど挙げたような悪影響、遺伝的多様性の攪乱ですとか病原体及び寄生生物の伝播等の悪影響について考慮し、それにつながる要素が野生復帰個体から十分排除されているということが重要ということになっています。
     資料3については以上です。
     続きまして、資料4「「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」における主な外来種に関する記述について」です。前回、教育において、命の大切さということが取り上げられる一方で、外来種対策が進めづらくなるといったような教え方のバランスについて、環境教育の基本方針の中でも記載していますとご紹介させていただきましたので、一部、抜粋してご説明させていただきます。
     昨年6月に、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律が成立しております。この法律に基づく基本的な方針ということが本年6月26日に閣議決定されています。この基本方針の中では、こういった環境教育や協働取組の推進に係る基本的な事項ですとか、政府が実施すべき施策に関する基本的な方針についてまとめられておりまして、この基本方針を地方公共団体が行動計画を作成する場合にも勘案することとされています。
     外来種に関する主な知識といたしましては、資料中、3に、抜粋している項目が書いてありますが、その中で、「学校における環境教育は、各教科や総合的な学習の時間等で扱われています。職場や地域社会では、事業活動や地域の自然や社会に応じた環境教育が実施されています。このように、環境教育はさまざまな場でさまざまな内容で実施されていますが、共通の基礎的要素として、以下のことを重視していきます」とされていて、その中に、「いのちの大切さを学ぶこと」という項目がございます。環境教育により、命あるものに触れ、命の感動を得て、命を尊ぶ心を育むことが期待されています。
     一方で、「この際、外来種や増え過ぎた野生生物が本来あるべき生態系を乱し、さまざまな被害の原因となっているとき、これらの生物を駆除する活動が、他の動物や植物のいのちを守り育むために必要な場合もあることを、バランスよく学ぶことも重要です」というように、外来種問題の必要性についても記載している内容となっております。
     資料の説明については以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。
     それでは、今、説明していただいた参考資料と、それから資料の1から4について、何かご意見、ご質問があればお願いします。
     いかがでしょうか。特によろしいですか、今の時点では。もし何かあれば、後でまた戻るということにして、次の議題に進みたいと思いますが、よろしいですね。
     そうしたら、続いて今日の本題になりますけれども、資料5の「外来生物法の施行状況を踏まえた今後講ずべき必要な措置について」ということで、事務局からご説明をお願いします。
     それで、この資料5は、本日の議論を踏まえて、中間取りまとめということで、パブコメにかける案としてまとめていきたいと思います。
     ということで、できるだけ意見を集約させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
     まず、全体を一通り説明していただいて、それぞれの項目ごとに、ご意見、ご質問いただくということにしたいと思います。
     まず、資料5の説明をお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それでは、資料5の「今後講ずべき必要な措置について」ご説明させていただきます。
     まず、「はじめに」の「検討の背景」でございますが、これは、外来生物法の成立、公布、施行日について書いておりまして、その後、基本方針の閣議決定日も記載しております。
     11行目から、外来生物法の平成17年6月の施行から5年以上が経過し、同法附則第4条に基づく施行状況の検討、所要の措置の検討が必要となっていることから、平成24年5月の中央環境審議会野生生物部会において、外来生物対策小委員会で検討を行うことが合意されております。
     その下、17行目、「用語等の整理と検討対象の範囲」でございますが、これは、前回の小委員会でのご指摘を踏まえ、言葉の使い分け、外来生物と外来種の使い分け、それと外来種対策として、どこまでの議論を対象とするのかということで整理したものになります。
     まず、外来生物法においては、我が国に自然分布域がなく、海外から我が国に人為的に導入―ここで導入の定義を書いておりますが、直接・間接問わず、人為的に過去あるいは現在の自然分布域外へ移動させること―される生物を外来生物と規定しています。
     しかし、本報告においては、生物の導入というのは国境に関わらず発生しておりますので、国境に関わらず、人為的導入によりその自然分布域外に生育または生息する生物種について「外来種」の用語を用いた。また、外来種のうち、我が国に自然分布域を有しているが、その自然分布域を越えた国内の他地域に導入される生物種について、つまり在来種ですけれども、分布域外に導入されるものでございますが、「国内由来の外来種」の用語を用いた。本報告では、国内由来の外来種を含め、外来種による生態系等への被害を防止するための対策について、幅広く検討の対象とした。
     さらに、自然分布域内であっても、導入される個体がその地域に生息・生育するものと遺伝的に異なる場合は、遺伝子攪乱が生じる可能性があることから、外来種対策とあわせて、「生物の人為的な導入による遺伝的攪乱」についても検討の対象としたということで、種レベルの分布域外の導入は外来種、それから遺伝子レベルで異なる分布域外に導入することは「遺伝的攪乱」という言葉の整理をしております。
     その下、外来種問題の基本の認識、我が国は、国土が南北に長く、亜熱帯から亜寒帯の気候帯に位置していること、多くの島嶼から成ること、大陸との分断・接続という地史的過程を有することなどを要因として、豊かな生物相を有しており、固有種の比率も高い。また、野生生物の分布は、複雑な地形的条件等により制限され、それゆえに地域固有の多様な生態系が形成されている。
     近年、人間活動の発展に伴い、人と物資の移動が活発化し、国外または国内の他地域から、本来有する移動能力を超えて、人為によって意図的・非意図的に自然分布域外に導入され、野生化する生物が増加している。こうした外来種により、在来種の捕食、在来種との競合、交雑による遺伝的攪乱、農林水産業への影響、人の生命や身体への影響など、さまざまな影響が及ぶ事例が見られる。それらの影響により、長い進化の過程で形成された地域固有の遺伝的性質や生物相の変化、生態系の改変など、不可逆的に深刻化している問題もある。
     一方で、外来種の中には、古くから、家畜、栽培植物などとして利用され、我々の社会や生活の中で重要な役割を果たしているものもある。
     今後、我が国に既に導入されたか、または導入されようとしている生物について、生態系等に係る影響などを評価し、それを踏まえた対応を行うなど、我々の社会と個々の生物との適切な関わり方、いわゆるリスク管理ということだと思いますが、そういった関わり方を考えていく必要がある。
     外来生物法の施行により、特定外来生物については、輸入規制により我が国への導入が規制されているほか、国、地方公共団体、民間団体による特定外来生物の防除が各地で活発化するなど、一定の効果は見られる。しかし、目標が明確でなかったり、効果が不十分であったりする防除事業もある。また、さまざまな外来種の分布や被害状況、その定着経路は網羅的には把握されておらず、また輸入品に混入または付着する等の非意図的な導入を防ぐ対策、地域ごとのきめ細やかな対策など、外来種問題については、今後解決すべき多くの課題が存在する。
     その下が、「外来種対策をめぐる主な動向」として、施行以降の主な動向を記載しております。
     自然公園法と自然環境保全法の2回の改正により、国立・国定公園、自然環境保全地域での動植物の放出の規制が強化されました。また、生態系維持回復事業に基づく対策が行われるようになりました。
     鳥獣保護法においては、基本方針を変更し、農林水産業または生態系等に係る被害を及ぼす外来鳥獣については、積極的な狩猟及び有害鳥獣捕獲を推進し、被害の防止を図るものというふうに位置づけております。
     また、生物多様性全体に係る政策としては、基本法が制定されたことを受けて、国家戦略2010が策定されております。また、平成22年10月に開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)において、個別目標が定められ、外来種に関するものとして、2020年までに、侵略的外来種とその定着経路は特定され、優先順位づけられ、優先度の高い種が、制御され、または根絶される。また、侵略的外来種の導入または定着を防止するために、定着経路を管理するための対策が講じられる、そうした目標が設定されました。
     また、COP10では、ペット、水族館、動植物園での展示生物、生き餌として導入された侵略的外来種についても、国際的な基準を作成することについても議論された。その内容については、資料1で説明したとおりでございます。
     また、COP10を受けて、改定中の国家戦略案につきましては、愛知目標の達成に向けた我が国の国別目標を設定するなど、具体的には外来種の被害防止行動計画ですとか、ブラックリストを2014年までに策定するですとか、2020年度までに優先度の高い種の外来種の根絶または制御すると、そういった個別目標を設定しております。そういった外来種による影響が近年深刻化していることを踏まえて、対策強化を進めることとしております。
     また、生物多様性の活動促進法ですとか第四次環境基本計画の策定などがあり、さらなる外来種対策に係る制度の充実が求められております。
     こうした状況を踏まえ、小委員会では、外来種対策に係る必要な措置について、当面必要となる制度面、運用面での対応を基本とし、中期的な課題を含めて、検討を進めてきた。その結果、外来種対策について、現状と課題を整理し、今後、短期的に講ずべき事項、中期的に講ずべき事項について一定の結論に達したので、次のとおり報告する。
     なお、「短期的に講ずべき事項」は、概ね一、二年程度のうちに進めていくべき事項、「中期的に講ずべき事項」とは、愛知目標、2020年に成果報告することを視野に、概ね5年程度のうちに進めていくべき事項として想定しております。
     次のページ、次が現状と課題でございます。次はテーマごとに区切っております。まず、(1)特定外来生物の選定に関する現状と課題としまして、特定外来生物は、105種類、指定されていて、第一次指定では、マングース、オオクチバス、グリーンアノールなど42種類が指定され、第二次指定では、ウシガエル、ニューギニアヤリガタリクウズムシなど43種類が指定されました。
     その後、セイヨウマルハナバチの追加指定と同時に、未判定外来生物の輸入届け出に伴う2種類の追加指定、さらに未判定外来生物の輸入届け出に伴って、4度にわたり17種類の追加指定がなされました。
     12行目、特定外来生物の指定に当たっては、属レベルと種レベルのものが選定されており、例えば種レベルで特定外来生物に指定されたグリーンアノールについては、同属が含まれるアノリス属全種が未判定外来生物でございますが、3度にわたって未判定外来生物の輸入届け出が行われた結果、種レベルで3度の特定外来生物の追加指定がなされております。また、特定外来生物は、同属など、近縁の生物が未判定外来生物に指定されておりますが、一次生産者で生態系の土台となる植物は、特定外来生物では、12種、指定されておりますけれども、未判定に指定されているのは2種のみということで、分類群によって未判定外来生物の指定条件に差がございます。
     また、外来生物法に基づく飼養等の規制が課せられていないものの、生態系に悪影響を及ぼすまたは及ぼすおそれがあり、注意を要するものが要注意外来生物として、148種、公表されております。
     その中には、インドクジャクなど、地域的な影響がある一方で、広く飼養されているなど、社会的影響が懸念されるものですとか、植物防疫法に基づく規制の対象となっているアカボシゴマダラなど、他法令による規制がなされているとして、特定外来生物の指定対象となっていないものなどが含まれております。
     28行目、タイワンザルとニホンザルの交雑個体など、特定外来生物との交雑個体については、法的な取り扱いが整理されていないため、外来生物法に基づく飼養等許可や防除の取り扱いが不明確でございます。さらに、特定外来生物に指定されていないが、侵略性が高いことが危惧されるスパルティナ・アルテルニクロラ、イネ科の植物でございますが、そういったものが2地域で確認されるほか、スインホーキノボリトカゲ、フェモラータオオモモブトハムシなどの定着が新たに確認されているなどの事例がございます。
    (2)飼養等許可の現状と課題ですが、平成23年度末時点で有効な特定外来生物の飼養等許可の件数は約1万6,000件で、その大部分の1万3,000件が生業の維持を目的としたセイヨウオオマルハナバチについてのものでして、全体の傾向としては一定数が継続して更新されているため、飼養等許可の有効件数については大きく変動しておりません。
     特定外来生物の指定に伴う代替種の利用、例えばセイヨウオオマルハナバチの特定外来生物の指定に伴って、本州の在来種であるクロマルハナバチの利用は現状では限定的であり、生業の利用の4分の1程度がクロマルハナバチです。
     一方で、生産性が高いなどの特定の遺伝的性質を持った在来種の代替利用が進み、野外への無秩序な放出が行われた場合は、遺伝的攪乱のおそれがあることも指摘されており、セイヨウオオマルハナバチの飼養等許可と在来種の代替利用の方向性が明確に示されていない。このセイヨウオオマルハナバチの飼養状況については、平成21年度以降、毎年、抽出調査が実施され、調査対象の二、三割で不適切な状況が確認されております。
     しかし、管理状況を改善するための体制や取組が不十分でございます。現在、セイヨウオオマルハナバチの定着が確認されているのは北海道のみで、飼養している農家は見られない大雪山や知床の一部地域でも、優占している状況が見られております。
     なお、外来生物法の違反による検挙件数は減少傾向にあり、法規制については一定の理解が進んだ可能性がございます。
     (3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の現状と課題ということで、我が国では、多くの国から食料品等の動植物を生きたまま大量に輸入していることから、外来種が導入され、定着するリスクが常に存在します。例えば、我が国に輸入され、潮干狩り等に放流されている中国産のアサリは、日本のアサリとは少なくとも亜種レベルの遺伝的分化を有し、両者の交雑集団の存在が近年確認されております。また、水産増殖用として輸入されている種苗等にカワヒバリガイなどの外来種が混入している場合がございます。
     加えて、釣り用の生き餌などが大量に輸入され、野外に放出されている可能性がございます。
     しかし、それらの我が国への輸入や導入等の実態は把握されておりません。また、ミシシッピアカミミガミやクワガタムシ科などの要注意外来生物の輸入は、近年、減少傾向にあるものの、依然として少なくない量が輸入されております。
     第1回目の資料で説明しておりますが、アカミミガメでは約20万匹程度、クワガタムシでも約30万匹程度が現在も輸入されております。
     意図的に導入される外来種については、税関、植物検疫、動物検疫等の協力により、外来生物法による輸入規制の一定の効果が上がっております。特定外来生物を含む種類名証明書の添付が必要な生物を輸入することができるのは、外来法で指定される指定港のみでして、現在、成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港の4港が指定されております。
     非意図的な導入対策としては、主要港とその周辺で、モニタリングにより早期発見に努めております。また、非意図的に導入される外来種は、輸入品に混入しているもの、付着しているものなど、さまざまございますが、特定外来生物についても、侵入や分布拡大の経路はほとんど特定されておらず、例えばアルゼンチンアリなどの侵入分布拡大が起きております。
     また、通関時の検査において、特定外来生物が非意図的に確認された場合の消毒方法などの具体的ガイドラインも整備されておらず、消毒や廃棄を実施させる法的権限も不明確でございます。
     バラスト水対策については、バラスト水管理条約の発効に備え、バラスト水処理装置の承認や処理技術などに関する基礎情報の収集等の準備が進められております。
     12行目、これは、前回の小委員会でも、国内の防止対策などについて、しっかり記載すべきだということで追加しております。
     外来種の国内他地域への導入を防止するための対策については、国内全域における土砂や植木の運搬などの移動の実態把握や規制はなされていないのが現状であるが、貴重な生態系を保全する観点から、国立公園等の一部において対策を実施している例があります。例えば、尾瀬や白山など、登山口にマットを敷設している例ですとか、また世界自然遺産登録地域である小笠原においては、生物の持ち込みを予防するための消毒マットを港の下船口に敷設しているほか、新たな外来種の侵入や島間での拡散の防止策の実際について、これは世界遺産地の管理の一環として検討を進めております。
     (4)国による防除の実施、防除に係る確認認定の現状と課題、既に国内に定着している特定外来生物の防除に当たっては、国、地方、公共団体などが中心となって対策を実施してきております。しかし、そのための体制や資金は十分とは言えない現状でございます。環境省では、国立公園やラムサール条約湿地などの保護地域における防除を優先的に進めていまして、一部の島嶼など、限定された地域では根絶や封じ込めに向けた取組が進展しております。例えば沖縄や奄美大島では、マングースの防除により、捕食の影響を受けているヤンバルクイナなどの希少種が回復しており、小笠原では、父島・母島以外の属島へのグリーンアノールの分布拡大の防止など、防除の効果が確認されております。
     しかし、マングースなどの国レベルでの根絶ですとか、広域に分布しているアライグマやオオクチバスの外来種の封じ込めなどの達成には至っておりません。また、農林水産省では、農林水産業被害のための防除の取組支援ですとか防除手法の研究開発、国交省さんでは、河川管理行為の一環としての外来種の防除、在来種を活用した緑化技術の開発などを実施されております。
     また、環境省、農水省などでは、広域に定着する外来種について、防除マニュアルを作成して公開するとともに、防除手法について、協議会、研修会を通じて普及啓発することによって、地方公共団体、民間団体などによる外来法に基づく防除の確認認定件数は増加傾向にあり、防除の取組は活発化しております。
     一方で、分布に関する情報は網羅的に把握されておらず、特に広域に定着する外来種について、侵入初期の地域などの分布の拡大に関する情報の整備は進んでおりません。
     また、地方公共団体が侵入初期の早期防除に取り組む場合は少なく、農作物被害などが顕在化してから、対策を実施する場合が多い。そうしたことが、アライグマなど、広域に分布する特定外来生物について分布拡大の防止などの封じ込めが実現できていない大きな理由の一つと考えております。
     (5)国内由来の外来種対策の現状と課題ということで、国外由来の外来種は、小笠原のアカギ、三宅島のニホンイタチ、九州のオキナワキノボリトカゲなど、在来生態系に大きな影響を与えているものがございます。しかし、対策の推進に必要な分布情報や生態系影響などの科学的知見は十分でない場合が多く、そのため対策も進展していないというところが現状だと思います。
     保護地域については、自然公園法、自然環境保全法の2度の改正により、保護地域での動植物の放出等の規制が強化され、国土の約0.9%(国立・国定公園特別保護地区と原生自然環境保全地域)においては、すべての動植物の放出が規制されているほか、国土の約6.4%の国立・国定公園の特別地域、自然環境保全地域の特別地区については、指定した地域の指定した動植物の放出を規制することが制度上可能となっております。
     国立公園では、島嶼や高山帯などの希少な生態系に影響を及ぼしている国内由来の外来種について、防除やその影響を調べるための調査が一部で実施されております。
     また、地方公共団体においては、国内由来の外来種も含む外来種の規制等に係る条例が11都県で制定され、国内由来の外来種を含む地方公共団体の独自の外来種リスト、北海道ではブルーリストなどがございますが、13都道府県において作成されるなど、一定の進展が見られますが、まだ未整備の地方公共団体も多い現状でございます。
     次の(6)ですが、これも、前回の小委員会で、国内由来の外来種と分けて遺伝子レベルの攪乱の問題を考えるべきだということで、新たに設けた章でございます。
     生物の人為的な導入による遺伝的攪乱の現状と課題と、在来種の自然分布域内へ別の遺伝的性質を有する同種交代を人為的に導入することによる遺伝的攪乱の問題については、外来種問題と同様に生物を導入することによる問題の一つであり、種レベルではなく遺伝子レベルの管理の問題であること、あらゆる生物種に想定されること、科学的知見が十分明らかになっていないものが多いと、そういったことなどから、種レベルで取り扱う外来種の問題とは異なる側面を持っております。
     具体的には、在来種の自然分布内への別の遺伝的性質を有する同種の人為的な導入、これは海外に自然分布域を有する在来種を含みます。また、在来種の形質を人為的に改良した系統などの人為的な導入などを行う際に影響が懸念されます。例えば、緑化植物については、ススキ、ヨモギ、ヤマハギ、コマツナギ、これは、小林先生が後からご意見いただいて、ススキ、ヨモギ、ヤマハギについては、遺伝的に我が国産と外国産で、違いがあるかとどうかとの文献が明示されていないということで、明示されているのはコマツナギだけというご意見をいただいていましたが、反映できておりませんでした。コマツナギなどの我が国の在来種と同種であるが、遺伝的性質の異なる外国産種苗を輸入・利用している。また、水産物においても種苗として外国産の在来種が輸入・放流されているが、日本産と遺伝的性質が異なるものがあることが指摘されております。
     さらに、国内において、在来種と同様のものがあっても、例えばホタルのような地理的要因等による遺伝的性質が異なる生物が、他地域に導入される場合が懸念される。また、ヒメダカなどの観賞用などの目的で人為的に在来種の形質の改良が行われた生物が、野外に遺棄される場合の遺伝的攪乱が懸念されている。
     これらの問題は、科学的知見に基づいて影響を評価して、対策を検討する必要がございますが、現状においては、科学的知見は十分に蓄積されておりません。
     なお、希少種の保全を目的とした再導入や、国内移植を行う場合にも、遺伝的攪乱に留意する必要がございます。
     (7)各主体の協力と参画、普及啓発の現状と課題ということで、前回の小委員会では、この記述が非常に貧弱であるということで、追加で書き足しております。
     外来種対策を進める上で、国、地方公共団体、企業、民間団体、研究者、国民等の役割は明確になっていない。そのため、特定外来生物の防除は、国で一律に進めるべきとの意見はございますが、外来種問題はさまざまな社会経済活動に伴って生物が導入されたものであり、その影響も社会経済活動にも深刻な影響を与えることから、国だけでなく、地方公共団体、企業、民間団体、国民など、多くの主体と連携して社会全体で取り組んで解決していくことが必要となっております。
     また、外来種対策の普及啓発についても、環境省が調べた調査では、「外来種・外来生物の意味を知っている」と回答したのは6割から7割と国民の大半に認知されつつある一方で、野生化している外来種について、一部の住民による餌づけ行為ですとか、捕獲や防除の理解が得られないと、そういったことがあるなど、外来種問題については国民の理解や協力は十分に得られている状況には至っておりません。また、特に「いのちを大切にする」道徳教育や環境教育が行われている中で、地域固有の生物相や生態系を汚染することの重要性についての理解の促進を図ることが重要となっております。
     また、企業や団体等においては、一部で外来種対策を実施する例はあるももの、企業イメージへの影響を懸念することなどにより、社会全体への浸透には至っていない。さらに、動植物の学習や普及啓発の役割を行っている水族館、動植物園においても、外来種対策への協力は限定的な現状でございます。
     (8)調査研究、外来種に関する調査研究は進展しているものの、外来種全般の生息の現状と動向、その影響に関する情報をはじめ、以下のような分野について取組が不十分だ。
     特に、外来種の侵入初期の動向に関する分布情報の収集と分析、低密度段階における根絶のための捕獲・除去などの技術、またモニタリング手法の開発、また効果的かつ効率的な防除技術の開発、外来種の分布拡大、防除の効果、必要な費用に関する予測評価手法の開発、非意図的な外来種の導入を防止するための効果的な水際対策の検討と構築、生態系等に被害を及ぼさない代替種の開発、生物の導入に伴い、遺伝的攪乱の影響の把握と評価、そういったものが不十分というふうに認識しております。
     「3.外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置」ということで、2の課題を踏まえた必要な措置ということで整理しております。
     (1)特定外来生物の効果的な選定ということで、短期的に講ずべき措置としては、我が国の生物態系等に被害を及ぼす、または及ぼすおそれのある外来種を掲載した外来種ブラックリスト(仮称)の策定を通じて、外来種ブラックリストにつきましては、最後の16ページに説明がついておりまして、参考4ですが、愛知目標を踏まえて、特定外来種の指定種に加え、我が国の生態系等に係る被害を及ぼす、または及ぼすおそれのあるものであるが、一定の科学的知見はあるものの、特定外来生物の指定について、科学的知見の集積に努めることが必要なもの、また既に全国に蔓延しており、今後、保全上、重要な生態域に侵入したような場合の影響が懸念されるもの、これは例えばアメリカザリガニを想定しております。
     また、法指定によって大量に飼育されている個体が大量に遺棄されるなどの弊害が想定されるもの、これは外国産のクワガタなどを想定しております。
     代替性がなく、既に大量に利用されているが、利用に当たっては注意を要するもの、これは緑化植物などを想定しております。在来種であるが、我が国における自然分布区域外での人為的な導入により生態系への影響が懸念される、これは国内由来の外来種でございます。そういったものをリスト化して、最新の定着状況や地域的な影響の差異も含めた生態系等に係る影響・被害、我が国における具体的な対策の方向性、利用上の注意点についてもわかりやすく示すことを想定しております。これを平成25年度までに作成できればというふうに思っております。
     なお、ブラックリストという名称については、さまざまなご意見をいただいておりますので、今後、別の名称も含めて検討したいと考えております。
     また、本文の9ページに戻っていただきまして、こういったブラックリストの策定を通じて、被害の状況やその危険性の科学的評価を踏まえて、追加的に外来生物を指定していく必要がある。
     ブラックリストの作成に当たっては、外来種の社会・文化的な位置づけも踏まえて、掲載種について防除等対策や利用の方向性も含めて示すことが必要である。
     次の28行目、特定外来生物、未判定外来生物の指定に当たって留意することですが、社会経済活動の中で利用されている種については、代替種の開発状況など、社会経済的な影響を考慮すること、また予防的観点から、種レベルではなく、属レベルの特定外来種の指定を積極的に検討すること、特定外来施設の近縁種については、科学的知見が十分ではない場合であっても、予防的観点に立ち、未判定外来生物の積極的な指定を検討すること、次、侵略性の高い外来種の初期侵入が確認されるなど、緊急的に輸入規制や飼養規制を行う必要がある場合については、緊急に指定できる体制を確保すること、植物防疫法など、他法で規制されている種についても、外来生物法と同等の規制がなされていないと認められる場合は、特定外来生物の指定を検討すること、次の5行目、地域的に影響を及ぼしている外来種については、ブラックリストにそうした外来種を選定し、地域的な生態系に係る被害の情報を整理して提供する。また、外来被害種防止行動計画(仮称)に、そうした外来種の対策の考え方を整理する必要がある。
     この行動計画については、15ページ目にまた説明をつけておりまして、参考3でございます。
     行動計画については、愛知目標を踏まえ、2020年までの特定外来生物も含めた外来種全般に関する中期的な総合戦略として、国・地方公共団体・民間団体などの役割、防除における優先度の考え方、非意図的に導入された外来種、国内由来の外来種の対策の考え方を整理するということで想定しております。これも平成25年度を目処に作成予定でございます。
     また、本文の10ページに戻っていただきまして、「中期的に講ずべき措置」でございますけれども、特定外来生物との交雑個体については、法的な位置づけを整理するとともに、実効的な規制の仕組み、現状の外来生物法では、外見上、判断できるものを対象としていますが、交雑個体を対象にした場合、遺伝子レベルまで調べることが必要になってくる場合があると、そういったものについて、実効的な規制の仕組みや監視体制を検討する必要がございます。
     次ですが、地域的に影響を及ぼしている外来種については、短期的に講ずべき措置などを通じて、広く普及啓発を図るとともに、条例や自然公園法などの枠組みにより、効果的な規制やきめ細やかな必要な対策を推進していく必要がございます。
     (2)飼養等許可の適切な執行管理の推進ということで、短期的に講ずべき措置でございますが、外来生物法の飼養等許可については、最も件数の多いセイヨウオオマルハナバチにおいて不適切な管理が散見されており、特に野外で繁殖する女王バチの逸出の防止を図るとともに、施設の適切な管理を徹底させるため、環境省及び農林水産省が連携して、指導監督を強化する必要がある。これは、農家の指導を行う農協ですとか、ハチの販売業者を通じた指導などで考えております。
     次、野外に逸出しているセイヨウオオマルハナバチについては、さまざまな自治体と連携して、大雪山や知床などの生物多様性の保全上、重要な地域でのモニタリングや防除を進めるべきである。
     次、特定外来生物の指定に伴い、代替種の開発を進めるとともに、在来種などの代替利用において生態系等に係る被害が発生しないよう、留意すべきことを整理する必要がある。
     特に、農業利用のニーズが高いセイヨウオオマルハナバチに関して、本州の在来種であるクロマルハナバチの代替利用に伴う野外への逸出について、遺伝的攪乱の影響に留意した上で、代替種の利用を進めていくのか、これらの利用方針を整理して、それとあわせてセイヨウオオマルハナバチの飼養等許可の運用方針について再検討すべきである。
     中期的に講ずべき措置でございますが、学術研究や防除等を目的にした特定外来生物の野外の放出については、一切、規制しておりますけれども、規制の見直しによる影響を勘案した上で、適切な規制となるよう、許可制度ですとか適用除外にすることを検討するべきである。
     次のページ、(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策でございますけれども、短期的に講ずべき措置としては、早期発見、早期防除のために、引き続きモニタリングの強化、それから同定支援の実施ですとか、マニュアルの充実・最新情報への迅速な更新などの支援策の充実について検討するべきである。
     中期的に講ずべき措置としては、外来生物法の施行により意図的な導入対策は、一定の効果は認められますが、非意図的な導入対策、国内の移動の防止対策は、さらなる充実が求められております。輸入できる港及び飛行場について、輸入量とか地理的条件なども考慮し、多くの利用者に著しい不利益を与えている場合は、必要に応じた追加指定を検討すべきである。
     輸入品または容器梱包に混入・付着して我が国に非意図的に導入される特定外来生物が確認された場合は、これは植物防疫法と同様の措置でございますが、確認された特定外来生物法の種類に応じて、くん蒸処理する際の薬剤の種類や濃度、暴露の時間等に関するガイドラインを整備した上で、廃棄や消毒などを命令できるような法的に徹底できる措置について検討する必要がございます。
     また、非意図的に繰り返し導入されていると見られる特定外来生物について、混入するもの、付着するものなどの特徴も考慮して、侵入経路を特定して、海外における分布状況、混入または付着する物品の生産・流通などの現状を把握した上で、輸入業者等の協力を得ることも含めて、効果的な対策を検討する必要がある。
     例えば、アルゼンチンアリについては、どこどこ産の何々に付着しているという情報があれば、輸入業者を通じた注意喚起、もしくは薫蒸をお願いしたりとか、そういったことを想定しております。
     特に、水産物の種苗の輸入・養殖・放流の状況については、これに伴う非意図的な混入等も含めてその実態把握に努め、効果的な対策を検討するべきである。
     その下、国内の他地域への導入を防止するための対策については、国内全域における物流の状況も踏まえ、特にオオヒキガエルなど、影響が大きく、また拡散されるおそれの高い外来種については、注意すべき行為や経路の把握に努め、実行可能な対策を検討するべきである。
     また、貴重な生態系を保全する観点から、国立公園等においては、現在、小笠原などで行われている対策や検討も踏まえ、必要に応じて対策の強化を検討するべきである。
     次のページ、(4)国による防除の推進及び地方公共団体の防除に係る確認・認定の促進で、短期的に講ずべき措置については、行政レビューを踏まえた措置でございますが、国として実施すべき優先度の考え方を整理し、それを踏まえた短期、中期、長期的な防除対象種と、その地域の実情に応じた防除目標を明確にし、防除に当たっては、より効果的・効率的な手法となるよう、得られた効果を科学的、客観的に把握し、評価することにより、防除法を順応的に見直しながら実施する必要がある。
     国は、関係省庁や地方公共団体などが連携して取組ができるような情報交換や成果の共有などの枠組みを構築する必要がある。
     あわせて、地方公共団体、民間団体が外来生物法に基づく防除の確認・認定を受けるよう、引き続き推奨するとともに、確認・認定の手続において、防除の取組が円滑に進むように、従事者の範囲、例えばボランティアの扱いなど、そういったものを円滑に防除が進むように、運用の明確化を検討する必要がございます。
     国は、個人やボランティアなどによる外来生物法の確認・認定を受ける必要のないような小規模な防除が円滑に進展するよう、外来生物法における運搬や一時保管などの規制の運用について、わかりやすく適切なものとなるよう検討するべきである。
     現在、オオクチバスについては、水のないクーラーに運んで運搬する場合は、外来法の運搬に当たらないというような解釈しておりますが、外来植物についても、同様なわかりやすい運用を検討したいということでございます。
     次、特に生物多様性の保全上、重要な地域の外来種の防除に当たっては、外来種の一種でございますが、野外に逸出したヤギ等の家畜、犬、猫などの管理も含めた生態系管理の一環として、対策を講じる必要がございます。
     中期的に講ずべき措置ですが、国は、地方公共団体と協力して防除に必要となる分布情報など、基礎情報の収集・公表に努め、予防原則による初期防除の重要性の周知徹底、分布拡大予測の情報提供を推進する必要がございます。
     広域に定着している外来種の新たな分布拡大については、関係する地方公共団体と取組状況を踏まえ、侵入を警戒する地域の特定なども含めた分布情報の提供、専門家の派遣など、侵入初期に特化した支援の強化を検討するべきである。
     国は、防除を実施する際には、生態系回復が目的であることを踏まえ、防除による在来種への影響、生物間の相互作用を考慮し、当該地域の生態系管理の一環として、国立公園等の管理等と連動させて外来種対策を進めていく必要がございます。
     (5)国内由来の外来種対策の推進でございますが、短期的に講ずべき措置としては、科学的知見の蓄積に努めるとともに、外来種被害防止行動計画やブラックリストの作成を通じて、国内由来の外来種に係る多様な考え方をまず整理するべきだ。中期的には、そうした考え方を踏まえ、条例や自然公園法などの既存制度を活用した対策、利用者への注意喚起などを推進する必要がある。
     (6)生物の人為的な導入による遺伝的攪乱への対応でございますが、短期的には、科学的知見の蓄積に努めて、行動計画の作成を通じて、考え方を整理し、広く普及啓発を行う。希少種の保全を目的とした再導入や、国内移植を行う場合には、「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」を踏まえて実施されるよう、普及啓発を促進するべきだ。
     (7)各主体の協力と参画、普及啓発の推進ですが、短期的には、外来種対策は社会全体で取り組んでいく必要があり、国、地方公共団体、国民などの役割を明確にして、多くの主体と連携して推進していくべきである。
     外来種問題については、国民の理解が進んでいない側面もあることから、最新の取組や知見を積極的に公開するとともに、外来種問題と社会・文化との関わりを身近な話題も含めてわかりやすく説明し、普及啓発を推進する必要がございます。
     特に、さまざまな教育の現場で、外来種から影響を受ける「在来種のいのち」や「地史や気候によって形成された地域固有の生物相及び生態系の重要性」に目を向けて、行動する必要があることをわかりやすく説明していくべきである。
     外来種対策に係る各主体の行動指針を明らかにした、行動計画の策定を通じて、国と地方公共団体の情報共有、研究者との連携の強化、民間団体や市民による活動参加などを促進する必要がある。
     中期的には、普及啓発に当たって、国民の関心の向上を図って、理解を深めるよう、多種多様な主体との連携により進めていくべきである。
     (8)の調査研究については、課題としていた分野についてのさらなる調査研究の推進をし、得られた成果を社会的に還元して、効果的な外来種対策につなげていくことが必要だ。
     (9)その他、東日本大震災によって生態系が攪乱された地域は、外来種の侵入しやすい状況にあるという指摘もございますので、被災地域においては、アライグマなど、人間活動や捕獲圧が低下したことにより、個体数増加や分布拡大が懸念されている種もございます。必要に応じて、外来種の侵入状況を把握して、震災復興においても、生物多様性に配慮して進められるように、外来種に係る情報提供等を行うことを検討するべきであるということで、すみません、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございました。それでは、順番に、ご意見、ご質問をお願いしたいと思うのですが、まず最初に1の「はじめに」のところです。3ページまでありますが、ここの部分について、ご質問、ご意見等があればお願いします。

    【北田委員】 1ページ目の28行目なんですけれども、事前にいただいた資料で、これは、どうしようかとちょっと迷っていたんですけれども、先ほどの参考資料の4に、「野生復帰に関する基本的な考え方」というのがあって、要旨をご説明いただいたんですけれども、これを伺っていて、やはりここも統一したほうがいいかなというのが、1ページ目の28行目の「自然分布域内であっても、導入される個体が」という部分、「個体」とあるんですけれども、「個体がその地域に生息・生育するものと遺伝的に異なる場合は」とあるんですね。これは、「個体」、こういうのは間違いではないと思うんですけれども、「個体群、集団あるいは個体群」としたほうがいいかと思うんですよね。先ほどの参考資料4では、全部「個体群」となっているようですけれども、いかがでしょう。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 修正したいと思います。

    【五箇委員】 用語の整理の部分ですけれども、21行目から23行目、どういう整理でこういう用語になっているかという部分、前回の検討会でも、多分、中井さんからも質問があったと思うんですが、ここで見ますと、「海外から我が国に人為的に導入される生物を「外来生物」と規定している。しかし、本報告においては、国境にかかわらず、人為的導入によりその自然分布域外に生育または生息する生物種について「外来種」の用語を用いた」と書いてあるんですけれども、一つ生物学的に何ともあまり論理的になっていない、科学的でない用語の使い方になっていまして、これだけ読むとかえって混乱するかな。
     端的に言えば、海外から入ってきたものは外来生物にして、国内のものも含めたものは外来種にしますという言い方になっているんですけれども、生物学的なカテゴリーとしては、外来生物という生物、オーガニズムのほうがカテゴリーとしては広い。その中に、種として規定される外来種というのは、その部分でも一部のパーシャルな部分を示すということになります。
     ところが、ここでは逆転しているわけですね。外来種のほうがどちらかというと広い範囲を示しており、外来生物のほうが、国外から入ってくる生物のみを規定するというような形で、カテゴリーの大きさとしては逆転、生物学的な用語としては逆転しているというところが、ちょっと生物学者としては、何ともそしゃくしにくいというか、これは、以前も、外来生物法をつくったときに、外来生物という言葉をどう使うかというので、随分もめた覚えもあって、外来生物法で、特定外来生物という形で使ってしまっているから、できればそれと違うという形で、「外来種」という言葉を使いたいというのが、お役所的なお話なのかとは思いますが、ここは、用語は整理したほうがよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 直ちにどういう形でというのもわからない部分がございますので、いろいろ教えていただきながら、よりわかりやすい用語にしたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 私も気にはなったんだけれども、「外来生物」は先に法律で使ってしまっているんですよね。それと違った言葉を一体何にするかというので、難しいところなんだと思うんですけれども、五箇さんは、何かアイデアはありますか。

    【五箇委員】 法律用語なので、いろいろ何か我々の知らないそういう決まりとか縛りがあるのかもしれないですけれども、外来生物で一本化してしまっていいんではないかと本当は思うんですよね、本質としては。
     むしろ、我々生態学者は、「外来種」というよりは「外来生物」のほうが、遺伝子や組織も含められるので、要は種では規定できない、分類し切れないものも、たくさんその生物の多様性には含まれているので、まさに今回、新しくこの整理の中では、国内の外来生物というものについても検討するということを考えて、要するに遺伝子レベルでの違いそのもの、あるいは生物境界線というものも考慮してということになってくると、種という概念ではなくて、あくまでもそれぞれの生物個体群という形で、ユニット、管理ユニットというもの、マネジメントユニットは考えるという方針を出しているんだとすると、外来種という種概念よりは、外来生物というオーガニズムとしての概念で説明したほうがわかりやすいんじゃないか。ただ、法律上、それが難しいというのであれば、どうしたらいいのかは考えます、今すぐここでアイデアと言われると厳しいかなと思うんですが。
     いずれにしろ、生物学的には、若干、多分、ここにいらっしゃる委員の皆さんとも同じ感想を持っていらっしゃるのではないかと思いますので、少し検討が必要かと思います。
     その辺は、別途、環境省と相談しながら、先生の皆さん方もご意見は集めたほうがよろしいのかと思います。

    【北田委員】 最初、これは、わかりにくいなと思って、自分がわかりにくかっただけなんですけれども、それでいろいろ調べてみますと、今の日本で出版されている図書、日本の外来生物」とか、そういうものにはこの整理になっているんですね。それで、私は、納得して、生態学会等で、―わかりません、どこで議論されたか知らないんですけれども―そういう議論が多分あって、こういう整理になっているのかなと思って、私はそこで納得したんですけれども、その辺の経緯というのですか、これはどういうふうに決まってきているんでしょうか。
     多分、何かいろいろやっていると思うんです。

    【関根外来生物対策室長】 詳しく承知していないだけなのかもしれないんですけれども、環境省としては、外来生物法に書かれている以上の整理というのはしていないと思いますので、その出版物については、その出版物独自の整理ということで決められたものじゃないかと思います。

    【岡(敏)委員】 私も経緯を知っているわけじゃないですけれども、今回、外来生物法が5年経過で、それ自体を検討しようという報告書ですので、そこで行われている定義自体も検討してもいいということですよね。そうすると、この報告書内では、外来生物法の定義とは若干違う意味で、外来生物という言葉を使うというのもやっていいんじゃないかと思います。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。
     ほかには、この件に関して、私も、議論を聞いていて、とりあえず外来種を外来生物と変えてみたときに、何か難しいことが起きるかどうかというのを見ていただいて、外来生物法では外来生物をこういうふうに定義しているけれどもというような書き方で、うまく整理ができれば、例えばアスタリスクをつけるとか。

    【五箇委員】 用語の議論をし出すと、もうそこで足踏みしてしまうから、この辺で次の課題に移っていただいてよろしいかと思うんですけれども、基本的に「外来生物」で一本化するとすれば、要は、「国外からの外来生物」と「国内由来の外来生物」というふうなカテゴライズはできるんじゃないかと思うんです。これまでの外来生物は、とりあえず国外由来の外来生物しか見ていなかったけれども、これからは国内の外来生物についても議論しますという整理になっていると思いますので、もう少しここは、うまく整理が本来はつくんであろうというふうに思います。

    【石井(信)小委員長】 それじゃ、言葉については少し整理していただいてと思いますけれども、ほかに今のところで。

    【石井(実)委員】 私も、何かここのところ、生物をやっている人間は、この部分、理解できないというのが真相なんです。
     一つ提案として、23行目の生物種についてのこの「生物種」のところに、説明書きを入れたらどうかなというのが私の妥協案といいますか、例えば生物種の後ろに括弧をつけて、亜種あるいは遺伝的に異なる集団等を含むみたいな形で閉じたらどうかなと思うんです。
     これは、後ろのほうを見てみると、外来種と在来種の関係とか、外来種にしておいたほうが便利なくだりも随分あるんですよね。だから、ここのところで生物種と言っているけれども、種だけじゃないんだというのを規定して、この報告書の中についてはおさめたらどうかなというふうに思うんですが、いかがでしょう。

    【大矢委員】 我々、貿易をやっている人間からいきますと、特定外来生物法というのは、海外から入ってくるものについてという考え方で今まで来ているわけですね。今度、国内由来のものも含めて同じ用語を使われますと非常に混乱する、その辺のことも含めてご検討いただければと思います。

    【磯部委員】 生物学は全く素人ですけれども、法律学の専門家としては、法律上の条文上の用語と理論上の概念とが違うということは、ごくごく普通にあることでございますので、それをぴったり合わせなければならないと言っていると、本当に身動きはとれなくなると思います。
     本当に、外来生物法の法律用語としての「外来生物」そのものを変えるということが、今、実際問題として可能性があるならば、難しそうですよね、それは。だとしたら、いわゆる実態法上の外来生物概念と理論上の、あるいはこの報告書上の定義とはしっかり分けて、本当に必要な概念としては、外国から来る外来生物と国内からの外来生物、その2つの概念があればよろしいんでしょうか。あるいは、もう少し分けておいたほうがいいのかもしれませんけれども、必要な概念をきっちり分けて、理論上、分けて、実務上の概念と区別しているんだということを明記すればよろしいんじゃないのかなと思うんです。

    【細谷委員】 すみません、五箇委員がおっしゃるように、用語に係ると先に進みませんが、しかしながら用語そのものを皆さんが違ったイメージでいきますと、また違う考えという展開で、ここは非常に重要だと、私は考えております。
     といいますのは、第1回目の外来種問題というのは、要は国境を越えた上での国外生物、外来種そのものであったわけですが、今般は、もう一歩踏み込んで、いわゆる国内の問題にも踏み込んだということは非常に評価できるわけですから、その辺の方向性をあいまいにしてはならないというのは、私の一つの一番大きなゴールなんですが、ここのところはそんなに難しいことでしょうか。
     基本的には、五箇委員がおっしゃるように、種の問題ではなくて、これはもう明らかに外来生物であって、今までの国外という言い方は、これは、ほかの環境省のいろいろなプロジェクト、例えば域外保全の問題、それから域内保全の問題、つまり外来種と今考えているのは、これは、国境のいわゆる外来ではなくて、まさにin-situ、いわゆる現生息地の外か内側かということと、それから国境の問題というふうに整理すれば、そんなに私は難しくないんじゃないかなというふうに考えるところです。

    【北田委員】 このハードカバーの資料にもありますけれども、生態学会からのいろいろな提言があって、私は生態学会に所属していませんけれども、これは、学会からの文章としては、国内外来種問題とか、あるいは第5次生物多様性国家戦略における外来種対策の主な記載案とか、この国家戦略にはどう書いてあるかということも関係すると思うんです。私は、これで、外来種というのでいいかなとは思ったんですけれども、この辺のことも見たり、あるいは出ている図書とか、相当、議論が尽くされてこうなったんだというふうに私は、理解して、これでいいじゃないかと思っています。
     ここが、また「生物」でやると、難しくないのかな、そういうのは。でも、こういうところも全部変わってくると思われますので、そこの整合をとる必要が出てくるんですよね。恐らくは、このままいったほうが楽となるとは思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これまでの整理というのが、一応、15ページの参考2に書いておりまして、これまで、この前身の移入生物対策の小委員会で議論されたときの答申でも、ある地域に人為的に導入されることにより、本来の自然分布域を越えて生育または生息することになる生物種は、答申の中でも「外来種」という言葉を使って、そういったことを踏まえて、これまでの国家戦略の中では、国境にこだわらない外来から導入される生物種については、「外来種」という言葉をずっと使っておりました。「外来生物」について、これは法律用語ですので、これは、この言葉は使わざるを得ないので、これまでこういった整理をしてきた。
     先ほど細谷先生のご意見もございましたけれども、我々としては、外来種対策を考えるときに、遺伝的ユニットというのも踏まえた対策は考えなければいけないとは思っているんですけれども、基本的に外来種といった場合は、種レベルで考えないと、種レベルのほかのことも含めて考えると、外来種とは何ぞやというところがぶれてくるので、外来種については、種レベルで基本的には考えさせていただいて、遺伝的ユニットについては、それに伴う遺伝的攪乱という形で整理させていただいたほうが、今まで、これまで使っている閣議決定文書である国家戦略とか、それ以外の文書とも整合性がとれるので、事務局としては、こういった整理をさせていただければというふうには思っております。

    【五箇委員】 とりあえず、法律上、最初に「外来生物」を使ってしまっているから、どうしようもないというのは大体わかるんですが、残念というか、最初にとりあえず「外来生物」をなぜ使ってしまったかなというところだと思うんです。基本的には、外来種にしろ外来生物にしろ、概念は、本当は同じであって、域外に持ち出された生物個体もしくは集団のことをすべて外来種もしくは外来生物として指しているわけで、法律なので、いろいろと仕分けが必要になってくると思うのですけれども、今回、要は国内であっても、域外であるものは外来種とみなすということで、その部分は外来種という言葉を使う。これまでの国外からのものは、外来生物とタグ付けすると言わざるを得ないということなんだろうというのは、変えようのないところだと思うんですが、現実は、実際は、ただ教科書的に照らし合わせると、混乱はするのは事実ですね。
     生物をやっていない人にはそうでもない話かもしれませんけれども、もともとこの生態学の世界では、特に種概念では物すごい論争があって、種なんて、もうないなんていう概念まで持ち出されるほど非常にややこしくて、種でむしろ規定すると、かえってややこしい問題が出てくることもたくさんあるんですね。その部分で、遺伝子レベルで一応その種の中にもユニットをつくるという形で、今回、整理するということであるならば、先ほど石井先生からもあったように、何らかの説明がないと、種という概念でやってしまうんならば、同じ種ならば別にいいのではないかとか、そういういちゃもんは当然出てくるわけですね。
     だから、この言葉を使うなら使うで、整理と説明がもうちょっと必要になってくるだろうというふうには思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。確かに、この外来種という言葉を使うのであれば、この外来種の中には、さっきの遺伝的、同じ種だけれども、部分的に異なるものも含まれるみたいな説明がないと、種レベルでやっていくと、いろいろ問題が起きてくると思います。

    【太田委員】 それを最終的には、一般の人にもある程度わかるよう、ここで指しているのは、例えばゲンジボタルはゲンジボタルで同じ種だからいいじゃないかと、そういう理屈ではない、外で、域外のものはすべて別のユニットと考える考え方に相当する語尾というか、そういうものであるということをはっきりさっき石井先生がおっしゃった「亜種特化した遺伝集団なども含む」というようなことで定義しておかないと、実際にここで、ある程度、共通認識が生まれたら、この委員会の委員の間では、ああ、そういうことなんだということで、ある程度、理解が深まると思うんですけれども、一般の人は、絶対勘違いして、あらぬ方向に解釈を広げますので、そこをちゃんとやらないと、非常に、こういう言い方したがために、かえって何か災いを招くということは十分にあると思います。
     「種」というのは、もうどこまでいっても生物学者にとってはスピーシーズであって、だけれども一般の人にとっては、「種」というのは、しばしば「種類」と同義語で、カインドであって、生物学的に厳密に外来種というと、そのスピーシーズの段階で、同じものであれば、全部同じと考えるものであるというふうに誤解を受けるわけですけれども、実効上は、そのスピーシーズではなくて、この場合の外来種の種はカインドに限りなく近い。域外に一たび出てしまえば、それは、全部、別の種類なんだという考え方にむしろ近い意味を持つということをはっきりさせるべきだと思います。
     以上です。
     さっきあれがありましたけれども、前回の会議のときにもちらっと自虐的に言いましたけれども、種そのものの定義なんて、もうころころ変わって、この10年ほどの間にも、ものすごいディベートがあって、学派ができて、いろいろな考え方の人がいろいろな形で種分類を再構築していますので、全然、安定していません。そういうものが安定しているという大前提で、具体的な法律規制をつくると、もうえらいことになりますので、そのあたりは気をつけられたほうがいいと思います。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 それでは、いろいろご指摘いただいたことを踏まえまして、事務局としてもう一度再整理させていただいて、パブコメの関係もございますけれども、いずれにしても各先生にもう一度ご覧いただきたいというふうに思います。

    【石井(信)小委員長】 パブコメの予定はいつごろでしたか。

    【関根外来生物対策室長】 一応、まだ日程まで詳しくは決めてはいないんですけれども、9月中には開始したいと思っています。

    【石井(信)小委員長】 約一月弱ということですね。

    【関根外来生物対策室長】 できるだけ早くという感じでは考えております。

    【石井(信)小委員長】 では、事務局でまた案をつくっていただいて、なかなか難しいと思いますけれども、各委員の先生に見ていただいて、何とか確定していきたいと思います。
     この問題について、あるいはこの「はじめに」について、ほかにはいかがでしょうか。

    【五箇委員】 結局、新しくこの法律の中身の中で、国内の外来生物もとにかく扱うということは、要するに保全ユニットが地域集団になったんです、これは、要は。
     要は、ユニットが何かということを整理する、ユニットというレベルで考えると、保全ユニットが地域集団になったのにも関わらず、ユニット名が種になっているから混乱するよというふうに指摘しているということなんです。
     しかも、先ほど太田先生からも言ったように、種という概念というのは生物学的にも極めて不安定だから、この概念で外来種というものを管理すると、いろいろまたややこしいことが起こるかもしれないということは、ある程度、予測はしておかなければいけないですよ。
     生物学的に、そこのところが、なぜ「種」というものを使わなければいけないのかというのは、理解に苦しみますというのが意見だということです。法律的に言葉さえ変えればいいというものと違って、結果的に教科書と整合性が合わないというのも、また困ったことになるだろうということだけが懸念材料としてあるということだということです。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 じゃ、この問題についてはよろしいでしょうか。ほかに、この「はじめに」に関して、ご意見、ご質問はいかがでしょうか。
     この1ページの29行目の「遺伝子攪乱」はここだけ遺伝子攪乱と出てくるんだけれども、「遺伝的攪乱」のほうがいいと思います。

    【五箇委員】 英語で、ジェネティックディスターバンス(genetic disturbance)なので、「遺伝的攪乱」。

    【石井(信)小委員長】 では、ほかにはよろしいでしょうか。
     それでは、4ページのところからに移りたいと思いますが、ここからは、現状と課題を整理したところと、後ろのほうで、必要な措置、今後講ずべき必要な措置というのが出てくるのですが、それを2つ見ながらやっていきたいと思います。続けて書いておけば、見るのに便利なんですけれども、何かこういう報告は、このスタイルが標準だそうでして、離れていますけれども、2の(1)特定外来生物の選定に関する状況と課題、それからそれを踏まえた3の(1)の効果的な選定についてというところ、両方、見ていただきながら、ご意見あるいはご質問をお願いしたいと思います。

    【五箇委員】 では、専門分野のほうからということで、5ページ(2)飼養等許可の現状と課題という部分で、文章……

    【石井(信)小委員長】 それは次ですね、(1)からです。

    【五箇委員】 ではすみません、次です。

    【石井(信)小委員長】 4ページの13から16行目のところで、グリーンアノールの話が出てくるんですが、グリーンアノールを指定して、それからアノリス属を結局、全種指定することになったということで、これは最初から属レベルでやっておけばよかったという話として出ているんでしょうか。もしそうだったら、後で属レベルの指定を積極的に検討するということが出てきますので、それがわかるように、書いたほうがいいと思いました。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 補足ですけれども、特定外来生物には、今すべての全属が指定されているわけではございませんで、現状においても、種レベルでグリーンアノールが追加された後、輸入届け出があった種のみを現状も特定外来生物にしているというような状況でございます。

    【石井(信)小委員長】 アノリス属はもっとたくさんありましたね。

    【太田委員】 もう大体200種余りいますね。それこそ、分類学者の見解と違うんですけれども、全部一属だというところは500種ぐらい認めていますし、2つに分ける考え、3つに分ける考え、幾つもあります。ただ、その中の全種が今でも指定されているわけではないと思います。
     たしか、本当の熱帯、真の熱帯域にしかいないやつは、日本のたとえ沖縄でも定着しないだろうとか、逆に高山や赤道直下でも、高地や、あるいは高緯度地方のほうに比較的いるやつというのは、入ってきたときに冬も越せそうだし、危ないとか、幾つか判断があったと思います。

    【石井(信)小委員長】 それは未判定外来生物にも全種は指定していないということですか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 未判定は、全属、アノリス属が指定されております。

    【石井(信)小委員長】 ほかに、この(1)の現状と課題と、それから講ずべき措置、ここについていかがでしょうか。
     9ページのところですけれども、お願いします。

    【五箇委員】 10ページで、5行目、丸、「地域的に影響を及ぼしている外来種については」で、先ほどの議論とかぶってくる、ここで言う外来種というのは、要は国内の外来生物を指しているというふうに理解したらよろしいのかということですね。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これも、2つの場合があると思っていまして、特定外来生物でも、亜熱帯にしか影響を及ぼさないものと、あと日本に分布がある在来種であっても、国内由来の外来種のように、特定の自らの生息域外のところに、地域的に影響を及ぼすものという2つの場合があるかと思っております。

    【五箇委員】 その地域的に影響を及ぼしているという概念、それがなぜここで特出しするか。ローカルにしか影響しないという意味なのか、ある重要な地域において深刻な影響を及ぼしている要は、グリーンアノールであったりマングースというようなものを想定してという話なのかで、逆に何かここだけぼつっと「地域的に影響」としか書いていないと、ローカルにしか影響を及ぼしていないのであれば、全国的に影響を及ぼしているもののほうが、優先的にブラックリストに載せて管理しなくてはならないのではないかというふうに思われがちになるんではないかという気がするので、ここの概念をもう少しクリティカルに説明していただいたほうがよろしいのかなと思います。

    【関根外来生物対策室長】 ちょっと記載が不足していたかと思いますけれども、全国的に被害を及ぼしているようなものについては、当然、優先的にブラックリストに選定することになります。それに加えて、こういう地域的に影響を及ぼしている外来種についても、十分考慮して掲載していくというような趣旨でございます。

    【細谷委員】 少し流れが変わるかもしれませんが、このセクションに関連して、5ページから10ページまでの印象を申し上げますが、例えば具体例を挙げますと、4ページ目の28行目と30行目、これは、私、淡水魚が専門ですので専門外ですが、全体を見て、交雑に関する姿勢が、非常に甘いなという感じがいたします。もちろん、後ろのほうで、10ページの10、12行の中で、特定外来生物との交雑個体については、法的な位置づけを整理する、監視体制を検討する必要、先送りされているというのがよくわかるんですけれども、これはもっともな話で、野外の状況がないわけですから、わからないから、一応、様子を見ようと、これはよくわかります。
     その一方で、特に8ページ目の14から16と関係するんでしょうか、この8ページの場合には在来種の品種改良に関わることですが、実は、これは、国内の在来種同士の品種改良に限らず、国外外来種同士の交雑の問題が非常にぼろっと抜けているんじゃないか。
     具体的に申しますと、魚類の中でストライプトバスとホワイトバスがともに特定外来種に設定されております。しかしながら、日本に実際にこの個別種の単位で入ってくることはまずまれで、実際にはストライプトバスとホワイトバスをかけ合わせて人為的につくり出したサンシャインバスというものが入ってきて、これが、実際に各地の管理釣り場で全く規制がないままに今なっている。むしろ、その親種であるストライプトバスやホワイトバス以上に、サンシャインバスのほうがはるかに危険な状況で、全く何ら逸出防止措置がとられていないというこの辺が、ある意味でざるになって、ほとんど効力がない。
     つまり、人為的につくり出された交雑種を対象にする必要が今後あろうかと思いますし、特に前段に出したのは自然交雑の話であって、今、私が具体的に提案するのは、交雑育種によってつくり出された品種に対してどう対処するのか。
     この会議だけでは、もちろん種のレベルで進んでいるわけですから、今後、無理でしょうけれども、今後、方向性について現実的に、こういった状況、具体的に、今、日本に入っているのは、水産庁さんが来られているからよくご存じだと思いますが、サンシャインバスは、もう実際には台湾で地中養殖して、多くは日本に入ってきている。こういったものに対して、どう対応するのか、あるいはその動きがあるのか、あるいはこの親部会でどういう検討がされているのか、その3点についてお伺いしたいんです。

    【関根外来生物対策室長】 具体的には、これからの検討ということかと考えております。情報として、そのサンシャインバスのことについても、当初ストライプトバスなどを指定する段階でも議論になったという経緯を承知しておりますけれども、具体的にそれをどう取り扱うかというのは、これから考えていかないといけないという状況でございます。

    【石井(信)小委員長】 この資料5の中には、特定外来生物同士の交雑個体をどう扱うかという話は出てきませんね。
     そうであれば、それは、結局、法律でそれは管理できないわけですから、何らかの措置を考えるということが書かれているべきだと思います。

    【関根外来生物対策室長】 その点については、これから検討していくということについては記載したいと思います。

    【五箇委員】 今ご指摘があったように、「交雑種」と言うこと自体には抵抗があるんですけれども、交雑したのが、種でも何でもなくて、まさに雑種としているものですからあれですけれども、先ほど言ったように、外来種という種概念を前提としてとなると、それは、一切、扱えなくなるというのはこれまでの外来生物法でも一つのネックになっていたと思うんです。だから、実際、新しいその検討課題というか盲点として、今ご指摘があったように、もう既に交雑させたものをわざと増やして放流されたりとか、実際、観賞植物の世界でもそういうのが普通にあるし、昆虫の世界でも実際そういうのがあるし、中国なんかでは、平気でそういう交雑個体が販売されていたりするわけですね。そういったときに、先ほど言ったように、下手に種と、通常の自然界における生物種という概念で最初とらえてしまうと、こういった生き物の管理というものがざるになってしまうというのは、現実あるということは少し今後の検討としてもいいから入れておかなくてはならない。
     それともう一つ、それと関連する法律としてはカルタヘナ法というのがあると思うんです。あれは遺伝子組み換え生物を規定しているもので、そのカルタヘナ法における遺伝子組み換え生物の概念というのは、恐らく、多分、インジェクションだとかベクターを使って、特殊に組み込んだものというふうに規定されていると思うんですが、現実はオーバーラップするんですよね。どうあれ、育種であれ何であれ、遺伝子組み換え生物であることには変わりがないんです、こういった交雑種というのは。うまくもう少しその辺のほかの法律とのかみ合わせとかで考えれば、ここで取り扱えないものも、ほかの法律とかで取り扱えるようにできるようになれば、その特殊な生物は特殊な生物で、結局はちょうどこの会合の直前にもそういった議論させていただいたんですが、第一種使用とか第二種使用とか、要するに隔離しなければいけないとか開放利用していいかというようなことは、カルタヘナ法ではちゃんと議論できるようになっているので、その辺も込みで、少し将来的に考えられるようにできたらいいのではないかというふうに思います。
     短期的には難しいかもしれないですけれども、これは、中長期的な検討課題としては入れておくべき問題ではないかというふうに考えます。

    【石井(信)小委員長】 時間もありますので、そろそろ次に移りたいとは思っていますけれども、この(1)の特定外来生物の選定等に関する問題で、ほかにいかがでしょうか。

    【岡(三)委員】 先ほど、どなたかがご意見をおっしゃっていましたけれども、4ページのこのタイワンザルとニホンザルの交雑個体というのが、私もせんだってこれに関する本を読んでみたときに、確かに問題になっているんだけれども、交雑は交雑種として、問題はないんだという論調の方もいらっしゃる。ここに、28から3行書いてあるということは、これをどうとらえるんだ、どう対策を講じるんだということが後ろにないと、ただ不明確であるという形で終わってしまっていると、非常に、これをパブコメに出したり一般の報告書で出すときに、これを一般の方が、非常に誤解を招くのではないかなという気が、私はするんですけれども、もし不用意にこういうことが、不明確であれば出さないとか、出すんであればきちっとこれに対してこれぐらいの見解をつけておくとかということが大事かというふうに思うんです。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それにつきましては、10ページの10行目に、中期的に講ずべき措置として、交雑個体についての位置づけを整理した上で、実効的な規制の仕組みですとか監視体制を検討する必要があるということで、事務局としてはそれで対応しているというふうに考えております。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはよろしいでしょうか。
     それでは、次に移りたいと思いますが、(2)飼養等許可の現状と課題と、それから3の(2)の飼養等許可の適切な執行管理の推進という部分について、ご質問、ご意見をお願いします。

    【五箇委員】 特に、セイヨウオオマルハナバチについて特出しで書かれているので、具体的に文言修正でお願いしたいのは、8行目、「一方で、生産性が高い等の特定の遺伝的性質を持った在来種の代替利用が進み」という部分ですが、これだけ見ると、生産性が高いという形質は、とてもいい形質なので、悪いことじゃないじゃないかと思われてしまうまた誤解を生みますので、これは、あくまでも増殖過程で、増殖環境の中で生産性が高いにすぎなくて、野外環境で別に生産性が高いかどうかはまた別問題ですから、生物学的に正しい言い方に変えていただくということで、「一方で、在来種といえども、人工増殖過程で遺伝的形質が偏った商品コロニーの代替利用が進み」というふうに書きかえていただければと思います。
     それが、野外への無秩序な放出が行われた場合は、ここは遺伝的攪乱しか書いていないんですが、そうではなくて、在来種といえども生息域が限られているわけですから、一番肝心なのは「非生息域への侵入及び在来個体群の遺伝的攪乱のおそれ」というのが正しいリスクになってくる。
     もう一度整理すると、「一方で、人工増殖過程で遺伝的形質が偏った商品コロニーの代替利用が進み、野外への無秩序な放出が行われた場合には、非生息域への侵入及び在来個体群の遺伝的攪乱のおそれがあることが指摘されており」、次の文章が、「セイヨウオオマルハナバチの飼養等許可と在来種の代替利用の方向性が明確に示されていない」というのも、文章としてつながりが、全然、脈絡がないので、こちらの部分は、「在来種利用のリスク管理も含めた農業用マルハナバチの利用に関する基本方針の整備が求められる」というふうに書きかえていただければよろしいかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 それでは、そのように変更したいと思います。

    【五箇委員】 それで、それにあわせて10ページ(2)と25行目の丸、ここも同じで、29行目に、「逸出について、遺伝的攪乱の影響に留意した上で」と遺伝的攪乱の影響のみが記されていますが、この前の部分に、「非生息域への侵入及び遺伝的攪乱の影響に留意した上で」というふうに文言を変えていただければと思います。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。ほかに、この(2)の部分に関していかがでしょうか。よろしいでしょうか。
     それでは、続いて2の(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の現状と課題、それから対策の推進というのが3の(3)のところにありますけれども、ここについて、ご質問、ご意見をお願いします。

    【太田委員】 細かいことですけれども、いいですか。3の上から本文の(3)の25行目ですか、「遺伝的分化を有し」というのはいかにも日本語としておかしいので、「遺伝的に差異を有し」か、もしくは「遺伝的分化を示し」か、日本語としてもう少し正しくしたほうがいいと思います。

    【五箇委員】 同じく5ページ26行目で、「水産増殖用として輸入されている種苗等にカワヒバリガイ等の外来種が混入している場合がある」とありますが、これは、外来種がよろしいのか、外来生物がよろしいのか、どちらがよろしいのでしょうか。
     これは、カワヒバリガイ自体は特定外来生物ということになります。「等」になっているので、それ以外、逆に具体的にどういったものが示されているのかということですね。カワヒバリガイそのものは、そうであろうというのは前から言われているんですが、それ以外は何になるのかというところですね。それが、結局、国内外来種が入るならば外来種とすると、そうでなくて国外のものしか今のところ確認されていないなら、外来生物とするということになると思いますが、この辺もまた用語の使い方になってくると思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 これまでの整理ですと、外来種は、国外、国内、両方の整理を含んでいますので、カワヒバリガイなどの外来生物もございますし、国内由来の外来種も想定されるんではないかということで、一応、外来種という使い方をしておりました。

    【北田委員】 カワヒバリガイ以外の何かありますかということだったんですけれども、クロツメタガイというのがあって、それは、アサリの種苗の中にまざって入ってくるものが、かなり増えているというのがあります。これは全くの外来種ですよね。それで、「等」と書いてあるのかなと私は理解していたんですけれども、国外から来ているクロツメタガイというんですね。

    【関根外来生物対策室長】 すみません、国内の外来種ということで具体的に何かあるのかというと、特に想定しているものというのは、我々のほうではありませんで、そこは、もし国外のものだけしか具体例がないということであれば、それに応じた用語にしたいと思います。

    【五箇委員】 パブコメに出しますので、何かそういうある意味突っ込みが来るであろうというのは、想定せざるを得ないのかなと思っているんですね。だからこそ、用語の使い方には、最初、うるさく議論せざるを得なかった。ここで、カワヒバリガイ等と外来種と来ると、細かいことを言えば、これは特定外来生物だから、これは外来生物の間違いじゃないのかという話も当然出てくるだろうと、そういうところで、実はこういうものも入っていますから、外来種なんですという説明ができないと、困るでしょうということを言っているんです。逆に言えば、それ以外にも想定されていて、まだ確認はされていないけれども、想定されているならば、文言としては、「混入している場合」や、あるいは「混入するおそれがある」とか、もうちょっと細かく文言の整理をされたほうがいいのかなと思います。

    【関根外来生物対策室長】 全体的にそのあたり、チェックはもう一度したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 お願いします。

    【大矢委員】 その後のところですけれども、27行目、「加えて、釣り用の生き餌などが大量に輸入され、野外に放出されている可能性がある」、これも、釣り餌というのは野外に放出するために使っているものであって、可能性があるというのはおかしいんじゃないか。
     それから、その後の、「輸入や導入等の実態は把握されていない」、これは輸入のことを言っているわけですよね。外国から入ってきているものについて、導入等というと、輸入と導入と何か語源的に違うものがあるのかどうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 導入というのは、生息域外からの導入ですので、海外から持っていくもの以外で、国内由来の外来種も想定されるということで、「輸入や導入等」というような書きぶりにしておりました。

    【大矢委員】 そうすると、この(3)は、輸入規制と水際対策ですから、国内での動きについてここに持ってくると、問題があるんじゃないでしょうか。

    【五箇委員】 (3)のタイトルが、21行目、輸入規制、水際対策、「及び」が入ればいいのかと思うんですが、非意図的な導入対策の現状と課題というふうにありますので、「導入」という言葉の使い方がいいのかどうなのか。要するに、これも英語に直せばイントロダクションで、要は、インポートもあれば、国内でのトランスポートも、全部、入ってしまう言葉だからあれなんでしょうけれども、ここでは、今ご指摘があったように、水際対策というところだと、国外からの検疫の部分だけかというと、実は読んでみると、結構、国内での移送についても、一応、今後は注意を払う。例えば特定外来生物のアルゼンチンアリについても、これまでは、国外からの輸入という部分に関しては、一応、検疫をかけてきたけれども、それだけでなく、もう既に入ってしまっているものなので、そういったものが国内で移動するという部分にも、目を光らせたいという意図が含まれていますので、この場合は、国外からのみならず、国内における移送という部分についても、議論すべきところなんだろうというふうに理解したらよろしいかと思います。
     今おっしゃられたように、「導入」という言葉を使ってしまうのであれば、むしろ輸入もインクルードしてしまって、我が国への導入等の実態を把握されていないというふうに一言でまとめてしまったほうが楽ちんなんじゃないかというふうに考えます。

    【石井(信)小委員長】 よろしいでしょうか。ほかに、この(3)の項目についていかがでしょうか。
     6ページの12行目のところは、国内移動のことがはっきり書いてありますね、国内の中で外来種を動かすということについて。

    【太田委員】 もう一つ、その前に34行目なんですけれども、左から、前の行から、「特定外来生物を含む種類名証明書」、これは種名ですよね。

    【谷垣外来生物対策係長】 これは、法律の中の言葉でして、種類名証明書の添付が必要な生物ということで、要は、種名が記載されているんですけれども、法律の中で使っている言葉に準じてこのまま記載させていただいています。

    【太田委員】 法律の中で種類と言っているんですか。

    【谷垣外来生物対策係長】 はい。

    【太田委員】 全然、意味合いが、生物屋から見ると違うと思うんですけれども、わかりました。

    【石井(信)小委員長】 ほかによろしいですか。

    【北田委員】 水産のほうからいくと、輸入というのは大事でして、水際規制に努力されているわけなんですけれども。輸入という言葉は残していただきたいなと思うんですけれども、導入というのは、最初に1ページで、注で、括弧で書いてありますよね。導入というのは、直接・間接を問わず人為的に、過去あるいは現在の自然分布域外へ移動させることと、ちゃんと最初に定義されているので、これでわかるんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり輸入は、水産のほうは、どういうのが入っているかは非常に大事ですので、残しておいていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 タイトルはどうしますか。

    【北田委員】 タイトルも中身も、どういうものが輸入されているか。多くの国から食料品等の動植物を生きたまま大量に輸入している。これは、水産物はしているんですけれども、ほかの動植物も結構ありますか。

    【石井(信)小委員長】 タイトルは残しておいてもよろしいですか。

    【五箇委員】 今の議論でいくと、先ほど僕が言ったのは、釣り用の生き餌などが、ごめんなさい、どこか導入とかぶってしまっているんじゃないかという29行目、それらの我が国への輸入や導入等の実態を把握されるんです。

    【北田委員】 これは全体を受けています。

    【細谷委員】 残しておいたほうが、いいような感じがしますね。

    【五箇委員】 「これらの」というのがこれに限らずということですね。はい、じゃそれでしたらよろしゅうございます。

    【石井(信)小委員長】 じゃ、原案のとおりにします。
     それでは、次に移りたいと思います。(4)国による防除の実施、防除に係る確認・認定の現状と課題、それから3の(4)の確認・認定の促進ですか、あと必要な措置ということ、これについて、ご意見、ご質問をお願いします。

    【五箇委員】 (4)、6ページの31行目、30行目の最後から、「しかし、マングース等の国レベルでの根絶や」のところで、上のほうでマングースの防除はうまくいってきているというところをアピールしつつ、結局また下で、根絶は至っていないと落としているというところが、出し方として、もうちょっとうまい出し方はないのかな。マングース等になっていますから、それ以外の特定外来生物のことも受けての話だと思うんですが、マングースの場合は、国レベルというより、これは、まさに、やっているのは国かもしれませんが、空間としては地域スケールの話なので、どっちかといったら国レベルでの根絶というところを何か議論したいなら、それ以外の特定外来生物を出して書いたほうが、何となく流れ的に美しいのではないかな。
     どっちかというとマングースに関しては、今もうちょっとでうまくいきそうだというところをアピールしておいて、根絶には至っていないというのは、そこで落とす必要もないのかな。
     むしろ、もっとアライグマや、まさにアライグマやオオクチバスなんていうのは、もう本当に手がつけようがなくて、一生懸命やっているけれども、まだまだという部分は、ここはアピールしたほうがいいと思うんですね。
     もうちょっとでうまくいきそうだというのは、もうちょっとでうまくいくというふうに前面に出しつつ、そうでないものをこっちのほうで、後半のほうで、でもこういうのはまだまだ手がつけられなくて、困っているというような書きぶりにしたほうがいいんじゃないか。
     要は、単純にここでマングースは入れないほうが、31行でマングースでないほうがいいんじゃないかという意見です。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ご指摘のとおりに直したいと思います。ただ、国レベルでの根絶で、適当な事例が思い浮かばなかったということもありましたので、また検討したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 その国レベルでの根絶とここで言っているイメージは、アライグマやオオクチバスについては、国レベルの根絶ということは先の課題だということで、そうじゃなくて、ここで言っている国レベルでの根絶というのは、どういうイメージのものかというのをもうちょっと説明していただいたほうがいいと思うんです。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 一応、国レベルでの根絶というのは、我が国として根絶を達成したという意味で、我が国でのすべての地域個体群を根絶させるというイメージでの記載で想定しておりました。

    【五箇委員】 僕は、最初、これは国家事業のほうかと思った、環境省事業の。

    【小林委員】 よろしいですか、そこら辺の言葉の使い方なんですけれども、要するに防除対策として、3つ、一応、「防除」という言葉と「封じ込め」という言葉と「根絶」という言葉が出てきていると思うんですけれども、多分これは、ここにおられる先生方は理解されると思うんですけれども、これだけだとすると、それがわからないと思うんです。ですから、特に後半、後半というのは、3章というのですか、そちらのほうでは少しその区別を書いたほうがいいと思います。
     その際、基本的には、やはり根絶というのは、集団が、個体群がまだあまり蔓延していない状態、要するに根絶可能な状態でやるということですので、その際に「国レベルでの根絶」というような書き方はわかりにくいんじゃないかな。ある島嶼のある個体群を根絶するというほうが、イメージとしても非常にわかりやすいんじゃないかなというふうに思います。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 ありがとうございます。防除については、法律用語ですので、根絶とか封じ込めとか、生物多様性条約の指針原則で、一応そういった定義がされていると思いますので、そういったものを踏まえながら、そういった定義を別途記載したいと思います。

    【今泉委員】 地方行政という立場で発言させていただきます。
     12ページで、短期的に講ずべき措置というところがございます。その中で、8行目以降のところになりますけれども、「国は、関係省庁、地方公共団体等が連携して取組ができるような情報交換や成果の共有等の枠組みを構築する必要がある」と、今後に当たっては、やっぱりこういうことが大事になってくるのだと思います。
     ただ、今後、実際の防除を行っていく中で、やはりそれぞれの地方で、民間も含めてですけれども、かなり問題意識というか、温度差があるのではないかと思います。
     要するに、自主的にすべて、問題意識を持って、これをそれぞれの主体が進めていくということは、なかなか難しいということを言いたいわけですけれども、同じ地方公共団体の中でも大分違うと思いますので、やはりそこは、環境省さんにリーダーシップをとっていただいて、少なくとも地方公共団体が取り組んでいくような方向にどんどん持っていっていただけるような、できればそういう記述にしていただければありがたいと思います。
     ここでは、地方公共団体や民間が確認・認定を受けるよう、引き続き推奨ということなので、どうも自主性に任せてやってくださいという感じのように受け取れるので、もう少し強く表現してもいいのかなというふうには思っております。
     それから、あともう一点なんですけれども、中期的に講ずべき措置というところで、1つ目の丸の一番下、26行目、27行目で、「専門家の派遣など、侵入初期に特化した支援強化を検討するべきである」ということで、これは前回の意見を踏まえて書いていただいたのだと思うんですけれども、その辺は非常に感謝しております。
     ただ、これは本当に難しい問題ではあると思うんですけれども、やはり財政的な問題、これも地方にとっては非常に大きな問題でありまして、ただこれは同じく国にとってもまた難しい問題でもあるということは認識しております。ですから、ここの表現については、これでよろしいかと思うんですけれども、「侵入初期に特化した支援の強化」という中に含まれると勝手に理解しますけれども、実際に今後、長い間、防除をやっていく中では、やはり毎年の予算の確保等で環境省さんの方でも努力していただければ非常にありがたいと思っております。
     以上です。

    【関根外来生物対策室長】 ありがとうございます。短期的なところで講ずべき措置につきましては、これから、一、二年の期間のうちにということで記載しておりますので、慎重な記載になっておりますけれども、どこまで記載をもう少し前向きにできるか、検討させていただきたいと思います。
     それから、支援につきましても、現在も、一部、生物多様性保全のための支援事業とか、そういう自治体の取組を支援する仕組みもございますけれども、それらについての充実というのはこれからも努力していきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかに、お願いします。

    【岡(敏)委員】 初めに、2ページで、19行目に、「目標が明確でなかったり、効果が不十分であったりする防除事業もある」と書かれているので、現状と課題の中に、具体的にどんななのかなというのが書かれるのかなと思ったら、その記述は全然なくて、今後講ずべき措置の中には、また12ページの4行目に、「防除目標を明確にし、防除にあたっては、より効果的・効率的な手法となるよう」云々と、今後やっていきますよというのが「はじめに」の中に抽象的に書かれていて、これから「今後講ずべき措置」の中にも抽象的に書かれているということは、本当は、何も具体的なものがなくて、やる気はないんじゃないかなという印象を与えるんですけれども、現状と課題でもうちょっと具体的に何か書けるべきものがあるんでしょうか。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 モデル事業につきましては、全国各地でやっているんですけれども、そういった成果の共有化とか、そういったものが十分できていないものもございますので、具体的な課題について記載させていただければと思います。

    【五箇委員】 今ご指摘があった部分については、むしろ6ページの31行目で、まさに、「アライグマやオオクチバス等の外来種の封じ込め等の達成には至っていない」というのが、それが原因で、なっているというところがはっきりしているわけですから、ここに絡めて、「その原因として」とかいって、結局、目標設定が定かではなくとか、防除手法が明確でないとか、そういうことをここに記しておけば、ちょうど今、先生からご指摘があったような点については、一応、現状の認識を踏まえてという部分の説明にはなるんじゃないかなと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにいかがでしょうか。
     12ページのところなんですが、18から20行目のところに家畜が出てきますね。ここの文章が、19行目のところがわかりにくいので、「イヌ、ネコ等の管理も含めた生態系管理の一環として」ということなので、1行目の「防除にあたっては」の後に、「生態系管理の一環として」という言葉を入れて、「一環として野外に逸出したヤギ等の家畜の管理も含めた対策を講じる必要がある」と書いたほうが、「ヤギとかイヌ・ネコも外来生物に準ずる」という言い方のほうがいいかもしれませんが、そういうふうに認識しているんだというのがはっきりわかるので、そのように変更できないかと思います。

    【関根外来生物対策室長】 そのご指摘のとおり修正したいと思います。

    【大矢委員】 これは、「イヌ、ネコ」というのは、野犬の犬・猫じゃなくて、犬、猫ですか。

    【関根外来生物対策室長】 野生化している「イヌ、ネコ」という。

    【大矢委員】 ということは野良犬だよね。

    【関根外来生物対策室長】 そのとおりでございます。

    【石井(信)小委員長】 どうですか、本当は、野良犬、野良猫あるいは管理不十分な犬・猫というのも、外来種としての影響は及ぼしていますよね。野犬の猫と限定してしまわないほうがいいと思うんですけれども、いかがですか。

    【大矢委員】 動愛法で、ノイヌ、ノネコと、犬・ねこがはっきり規定されているんですよね。だから、その辺をどうするか。これは、「イヌ、ネコ」とすると、普通に家庭で飼われている家畜、動愛法のほうの範疇に入ってしまう。

    【石井(信)小委員長】 ただ、それも管理が必要なものとして認識しておくということじゃないですかね。

    【細谷委員】 前段に「野外に逸出した」という言葉があるわけですから、冗長になりませんか、また。ですから、犬、猫だけでいいんじゃないかなと思ったんです。

    【五箇委員】 この「野外に逸出した」のかけ方が……

    【細谷委員】 だから、ヤギだけではなくて……

    【五箇委員】 そう、そこまでわかるような書きぶりがいいのかな。「家畜」で一旦切れますよ、これはきちっと。

    【大矢委員】 というのは、その前のところに「防除」という言葉があるものですから、特に猫の愛護団体あたりは、かなり厳しいことを言う可能性があるものですから、あえて申し上げておきます。

    【太田委員】 それは、すさまじい反応を私は経験済みなんですけれども、あえて言うべきだと思います。はっきり言って、愛猫家団体は甘えています。猫は別格で、外で飼うのが当たり前ということを公言して、それがいろいろな形で多様性に及ぼす影響については、全く知らん顔がほとんどですので、最近そうでないところも、自治体レベルでぼちぼち出てきていますけれども、むしろそういうところを考えないといけないんだということを強調するために、あえてこういうふうに書いて、ちゃんとパブコメで対応するべきだと思います。

    【細谷委員】 全く太田先生と同感です。少し議論が先に行って、皆さんにしかられるかもしれませんが、あえて今のと関連して、13ページ目の短期的に講ずべき措置の21行目の外来種問題ですが、ごめんなさい、先へ進んで、今の問題と深く関わってくるわけですけれども、今後、啓発しなければならない1点に、「在来種のいのち」を強調されていますが、言いかえると「外来種のいのち」はどうでもいいということで、これは、当然、家畜やペットも含まれるわけですけれども、この辺の人間の価値観をどこまで入れて、関係者の皆さんがこれから第二弾を進められるのかということ、動物愛護の問題、人間の価値観をどこまで生物多様性に入れられるのかというのは、これは避けて通れない次のステップだというふうに感じているわけです。
     先に行って申し訳ないんですが、私個人は、このまま、「イヌ・ネコ」としておくべき、そうしなければいけないというふうに感じますし、それから先に行ってすみません、今の(7)の13番ですが、「在来種のいのち」を強調するのではなくて、啓発目標として、生物多様性こそ強調すべき、つまり個体の命はもちろん重要だけれども、それよりも優先すべき事項がある。
     つまり、個体群の歴史性や風土性や自然史そのものであって、それがひいては国有財産であるという視点を常に堅持しなければ、これは揺らいでくるんじゃないかな。
     だから、この問題は、あえて言っておいたほうがいいんじゃないかなというふうに個人的には思います。

    【関根外来生物対策室長】 すみません、先ほどの「イヌ、ネコ」の関係につきましては、防除の対象として、まずは野猫、野犬というのが対象になるだろうということで、先ほどお話をいたしましたけれども、当然、人間の管理下にあるペットについての適正な管理というのと、実際、沖縄などでは、そういう取組と連携して外来種問題に取り組んでいるケースもございますし、そういったものも読み込めるような記載ということで、よろしければ、この「イヌ、ネコ」というような形でいかせていただければと考えております。

    【石井(信)小委員長】 それでは、さっきの私の修正はそのようにしていただいていいですか。
     それで、ここは、「イヌ、ネコ」という、防除といっても、別に殺すとも限りませんので、この書き方でいいのではないかということで結論にしたいと思います。
     それでは、あとは、(5)、(6)、2つあわせて議論したいと思います。
     分量的に短いので、「国内由来の外来種対策について」と、それから(6)の「生物の人為的な導入による遺伝的攪乱」というこの2つについて、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。

    【太田委員】 文案として、いい文が思いつかないので、少し無責任な言い方になるんですけれども、(5)ですけれども、これは、国内外来種の問題で、こういう形で盛り込むのは非常に画期的なことだと思うんですけれども、ただいわゆる国立公園、国定公園の中の規制にもう終わってしまっていて、もちろん今は、それしかやりようがなくて、公園法で何とか対応しようとしている意図もよく理解しているつもりなんですが、課題というところに、少しやっぱりこれだけでは不十分だということで、ここの課題を見ると、課題では、何か分布の把握が必要であるとか、そっちのほうに行ってしまっているんですけれども、それだけではなくて、例えば琉球列島を見てやると、もちろん環境省さんの努力で、国立公園やらが広がっているというのはわかるんですけれども、固有種がある程度固まっているけれども、国立公園に、全然、網がかぶっていないところはまだいっぱい残っていて、例えば宮古なんかは、このやり方では絶対救われないですよね、固有種がいっぱいいるのに、どんどんイタチが増えて、クジャクが増えて。だから、そういう種類のところが課題として残っているということをやっぱり文の中に盛り込んでいただきたいです。
     それで、どういうふうにしたらいいかというのはさっきからずっと考えていて、あまりちゃんとまとまらないので申し訳ないんですけれども、この(5)は、現状の問題があまりにもはしょられているという印象を受けますので、どうかそのあたりを盛り込んでください。

    【関根外来生物対策室長】 その旨、わかるように記載したいと思います。

    【石井(信)小委員長】 既に設定されている保護地域の外側についても、きちっと把握して、対策を考えるということとが読めるように加えていただくということだと思います。

    【五箇委員】 (6)の遺伝的攪乱の現状と課題についてということで、7ページの34行目、「種レベルではなく遺伝子レベルの管理の問題であること」の部分に関して、ここで単純に管理と言ってしまうと、非常にその意義が薄れるので、これは、間違いなく遺伝子レベルの多様性保全の問題であることということで、「管理」の部分を「多様性保全」と置きかえていただければと思います。

    【磯部委員】 法律論で恐縮なんですけれども、13ページの3行目で、中期的に講ずべき措置、「条例や自然公園法等の既存制度等を活用した」となっていますよね。
     ここで言う条例のイメージですが、実は、この書き方は(1)でも、10ページの13行目に同じような言い方であるわけですけれど、どうも外来生物法の直接の対象になっていないところの、しかし今後、重要な対象になる外来種等に関して、法律による規制よりも条例による規制でいくんだというスタンスなんでしたか、ここは。
     この場合の条例というのは、法律に根拠のある条例というようなものではなくて、いわゆる地方自治体の独自条例に期待するよというスタンスであるんでしょうか。
     確認的な質問で、そうだとすると、先ほど今泉委員は、もうちょっと本当にリズム的な意味での国の援助とか体制づくりということを言われたんだろうと思うんですけれども、もう少し法理論的に言っても、この条例でどんどん権利規制的な内容を含むものまで、やれよという宣言を環境省としてしているのか、姿勢があまり明確でないなという気がしたものですから、ご質問、今、発言しているわけなんです。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 条例につきましては、外来生物法をつくるときに、特定の地域に影響があるものについては、その条例でやるべきだというような法律論の議論として、そういう意見もあったということもございますので、行動計画の中で、どういった場所にどういった影響があるのかというのは、きちんと国で情報収集して、そういったところは、ぜひ地域で生物多様性を保全する施策の一環として検討いただきたいという趣旨でございます。

    【磯部委員】 そうなんでしょうけれども、例えば地域的な影響しかないものに関しては、例のたしかインドクジャクが典型例として出されていて、他方、さっきのマングースのように、全国に問題があるわけではない。ですから、国としての仕事として位置づけられ、国がやっているんだということがありますよね。クジャクはそうじゃないんだと、それに関しては、国が、結局、法制度の整備はしないから、条例でどんどんやってくださいということになるんですかとぎりぎり聞かれた場合に、イエスと言っていいんだろうかということなんですかね、例えば。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 インドクジャクにつきましては、全国の学校などで飼育されていて、規制することによる社会経済的な効果もあるということで、一律的な規制というのが難しい現状において、マングースについては、そういった生物多様性、生態系への影響が甚大で、特に地域的に、亜熱帯に限定されるかもしれませんが、そういった社会経済的な影響も加味した上での判断というふうに考えています。

    【磯部委員】 わかりました。具体的な例があったほうがわかりやすいかと思って伺ったんですけれども、私の聞きたい真意は、法律と条例の関係の一般論でありまして、今後もいろいろなケースがあり得るだろうし、自治体としても、積極的なところも消極的なところもある。権利規制的な内容を含まない行政指導的な条例でやっていこうというところも多いかもしれませんけれども、かなり張り切ってどんどん前へ出て、条例はつくるというところもあるかもしれない。そうすると、法律との抵触問題とか、当然、生じ得る、あるいは訴訟案になるかもしれないなんていうことを考えますと、何かいま一つ国としてのスタンスがぴりっと明確には示されていないような危惧があったものですから、書きにくいからぼやかしたのかもしれないんですけれども、小委員会のメンバーの一人として確かめたかったわけです。お答えになりにくかったら、それでもう結構です。

    【関根外来生物対策室長】 今、ご発言の中にもございましたように、まだ考え方として整理し切れていないという部分があるのかなと思っておりまして、12ページの一番下に、短期的に講ずべき措置ということで、国内由来の外来種についての対応の考え方を整理したいとしています。
     どういったものが、今後、対策、取組が必要なものであるのかというのも網羅的に見た上で、これに対してどう対応していくのかというのを考えていきたいと思っておりまして、ですからそれについて国としての法制度を設けるかどうかということについては、現時点でまだ判断できていないというのが現状でございまして、既存制度について現実な記載をしているというふうなことでございます。

    【太田委員】 今のお話は、おやっと思ったんですけれども、国内外来種の問題ではなくて、根っこは、例えばインドクジャクはたくさんあちこちで飼っていて、影響が大きいから問題なのではなくて、本土では、別に逃げ出して、その辺にいても、大体、繁殖して冬を越さないので大丈夫だけれども、琉球列島の特に限られた島嶼では、大発生して、高密度になって、島のものを根絶やし食べてしまうから問題なのであって、それをその種として指定して、国が取り組み出すと、あまり影響のないところまで手は出さざるを得なくなるような何かがあるので、局地的な、例えばさっき本の話があった琉球、そういうところで取り締まるとしたら、条例のほうがむしろ現実的というか、そういうふうに考えられてのことかなと思って、今、聞いていたんですけれども、そうではないんですか。
     だとすると、例えば本土部では大丈夫だけれども、小笠原や琉球ではひどいことになるようなものについて、やっぱり何らかの特定地域を指定するような形での防除対策というのは絶対必要になってくると思うんですけれども、そこのところのうまい打開策というふうに見ていたんですけれども、そういうことじゃないんですかね、質問です。

    【関根外来生物対策室長】 基本的には、今の国内外来種の話と似たような部分があるのかなと思っておりまして、そういうこれまで要注意外来生物で、なかなか特定外来にするのは難しいというような形にしてきたものについても、もう一回、今後はブラックリストというふうなものもつくって、もう一度、整理してみたいと考えております。
     それについて、ではどう取り組むのかということについては、先ほど申し上げた国内外来種も同じなんですけれども、新たな法制度も設けるかどうかというところまでは、まだ我々も判断しておりませんし、これまで条例でやっていただくのがいいんじゃないかというふうなことも言っておりましたから、当面、この時点で、ここで記載しているのはそこまでにとどめているということです。ですから、それらについてどう対応するのがいいのかというのは、ブラックリストなり行動計画というものもつくっていく中で、検討はしていきたいと思っております。
     その結果、その法制度の必要性というものも検討してみたいと思いますけれども、それはなかなか難しくて、やはり条例なりにお願いせざるを得ないという結果になるかもしれませんけれども、そういったものについて国としても考えていかないといけないということについては認識しているということでございます。

    【太田委員】 少なくとも日本の陸生動物のスピーシーズ・リッチネスの4割強が、面積が1%に達しない小笠原と琉球列島にあることを考えると、これは前の会議のときから問題提起しているはずですが、ぜひとももう一つ突っ込んだあれを出していただきたいと思います。
     以上です、考えられてください。

    【磯部委員】 一言だけですけれども、私が申し上げるのは、あくまで一般論で、だから法律制度で指定した、規制の対象となる。「法律で規制していないものは条例で規制できる」という考え方と、「法律で規制していないんだから、条例で規制したらいかん」という理論と、両方あり得るわけなので、それが現場で混乱するようなことになると、立場によっては、法律で規制されていないんだから、条例で規制するのは、やり過ぎだと、違法だというのが、それによって不利益を受ける人から出てきかねない、くる可能性はあるわけなので、そういうことも考えると、将来的には、中期的、長期的な話かもしれないけれど、しっかりそこは整理する必要があるだろうなというふうに思っているということだけです。

    【北田委員】 要望、簡単なことですけれども、8ページの7行目から8行目に、「また、水産物において種苗として外国産の在来種が輸入・放流されているが」とあるんですけれども、ここは養殖のほうが多いと思うんですね、実態は。だから、「輸入・養殖・放流」ですか、養殖は入れていただきたいなと思います。
     それで、もう一つ、ここの全体に、ここだけじゃないかもしれないですけれども、「遺伝的性質」という用語が出てくるんですけれども、この性質というのは、これは性質まで調べているかというと、調べていないと思うんですけれども、これは、恐らくは具体的に言うと、対立遺伝子頻度が違っているという、そういうことですよね。性質まで調べたのかと言われると、調べていないですね。この最初の2ページの9行目にも「遺伝的性質」というのは出てくるんですね、「長い進化の過程で形成された地域固有の遺伝的性質」。だから、適応しているということなんでしょうけれども、「地域固有の遺伝的多様性」ぐらいにしておくんですかね、2ページの9行目。
     この今の7ページから8ページにかけては、この「遺伝的性質」というのは気にはなります。

    【五箇委員】 今、北田先生からご指摘のあった「遺伝的性質」というのは、科学的用語としてはないんですね、「遺伝的形質」になります。この「形質」には、表現型と遺伝子型と、それから塩基配列情報、すべてが含まれますから、そういう意味では形質にしておくほうがすべてインクルードできると思います。
     要は、今、先生がおっしゃったみたいに、適応的な部分での形質に関してまで情報がないにしても、遺伝子が違うということで、現実、遺伝的攪乱そのもののリスクが何かと問われれば、固有性が失われること、イコール多様性が喪失することなんですが、結果的にそれがどういう生態影響を及ぼすかについては、確かに知見が不足しているんですね。それというのも、今、ご指摘があったみたいに、形質そのもの、適応的な形質そのものがどう改変されているかとか、そういう情報はまだ全然足りていないというところもありますので、そういう意味ではブラックボックスの状態になっているというところが大きいと思います。
     ただ、とりあえず用語の使い方としては、「性質」という言葉遣いは、科学的にはよろしくないと思います。使うんであれば、「遺伝的形質」にしていただいたほうがよろしいかと思います。

    【石井(信)小委員長】 それでよろしいですか。

    【小林委員】 関連したことで、事務局の説明でもあったんですけれども、8ページの5行目、6行目に緑化植物の話が出てくるんですけれども、コマツナギを私は入れていただいたんですが、ススキ・ヨモギ・ヤマハギというのは、今、議論があったように、遺伝子型とするのか、それともいわゆる形態、形質あるいは性情特性というふうな性質も入れるのかということで、それが両方ある例としてはコマツナギに限られるので、「コマツナギ等」にしたほうがいいんじゃないかと申し上げたんですけれども、ほかのものも、今のようなお話で入れてもよいということであれば、そういうふうにしていただいても結構だと思います。
     それからもう一つ、「在来種と同種であるが」と書いてありますけれども、これも、私はコメントを入れたつもりなんですけれども、「同種とされるが」ということでお願いしたいんですけれども、これも、先ほどのお話で、例えばコマツナギに関しては、かなり種を細かく分けるという考え方も出てきておりますので、「されるが」というふうにしておいていただきたいと思います。

    【石井(実)委員】 同じところの9行目から11行目にかけて、ホタルの例示があるんですけれども、何かよくわからない日本語になっているような気がするんです。「在来種と同様のものであっても」という言い方とか、11行目の「生物が他地域に導入される」と、この「生物」という言い方、例えばもうちょっと明確に、こんなふうにしたらどうかなという提案なんですけれども、「国内においても」はこのままにして、「種としては同じであっても」と明確に書いてしまって、「例えばホタルのように、地理的に、遺伝的」―これは五箇さんの言い方だったら形質ですかね―「遺伝的形質が異なることもあり、他地域の個体や個体群が、別の地域に導入される場合が懸念される」という具合に、明確にしていただいたほうがいいかなと思います。

    【石井(信)小委員長】 もう一度、言っていただかなくて大丈夫ですか。

    【太田委員】 あと、今のヒメダカのところで、大した問題ではないのかもしれないですけれども、「人為的に在来種の形質の改良」と書いてありますけれども、これは別に「良」じゃないですよね、この脈絡からいうと。だから、「改変」ぐらいにしたほうがいいと思います。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか、時間もありますので、そろそろ次に、最後のところに移りたいと思うんですが。

    【岡(三)委員】 この緑化植物の5行目、6行目なんですけれども、主に7行目にいきますと、「外国産種苗の導入」というふうになっていますけれども、たしか私の認識では、国内からの移動の問題も緑化植物としてあったんではないかと思うんですけれども、ぜひ確認して、そのことがあれば記入していただきたいと思うんです。

    【石井(信)小委員長】 よろしいでしょうか。それでは、残りの部分をまとめて議論したいと思います。
     (7)普及啓発に関するものと、それから(8)の調査研究、あとその他というのがありますけれども、それについて、ご質問、ご意見をお願いします。

    【大矢委員】 普及啓発の問題なんですけれども、前回の委員会のときにも山岸委員から出ましたけれども、この外来生物法が一般の人から見るとわかりにくい法律なので、普及啓発するについて、もっとわかりやすい言葉を使う。
     それから、具体的にどこをターゲットとして普及啓発していくのか。例えば、中学校の社会科の授業に組み込んでもらうとか、どこかもう少し具体的に書かれたほうがいいのではないか。
     動愛法をやったときには、学校・地域・家庭というキーワードをつくったんですね。そこをターゲットとして普及啓発していく。動愛法の場合は、専門学校や何かがあって、そういうところで法律の勉強をされていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんで割と浸透しやすいんですけれども、この外来生物法というのはそういうものの対象がないんです。
     ここのところで、8ページの26から27行目、環境省で実施した認知度調査では、「外来種・外来生物の意味を知っている」と回答した人が6割から7割いる、この数字を見てびっくりしたんですけれども、本当にこんなに認識されていらっしゃるのかどうか疑問だな、もう少しレベルは下がっているんじゃないかなというふうな気がいたします。
     今日、参考資料1のところで、各委員からのご指摘の中に、環境省の職員がもっと積極的にテレビに出てPRしなさい、そういうご意見がありました。私は、これは大変重要なことだろうなと思います。やっぱり今、テレビというのは非常に有効な媒体ですので、そういうところへ出ていかれて、外来生物法から、もっと大きく言えば生物多様性というものもきちっと説明して、わかりやすく説明することも必要ではないか、そういう具体的なことをもう少し盛り込んでいただいたらいいんじゃないかなというふうに思います。

    【関根外来生物対策室長】 ご意見を踏まえて検討したいと思います。6割、7割の国民に認知されるというのは、たしか1回目の会合でも資料としてつけておりましたので、これはこれで、間違いではないということです。

    【五箇委員】 普及啓発の問題ですが、前回の会合でも言ったんですけれども、この外来種をなぜ管理しなくてはならないかという根本的な目標というか意義というのは生物多様性の保全なんですね。要は、地域固有の生き物を保全し、それを脅かす要因としての外来種を排除するということが目的であって、ここで非常に難しいのが、先ほどもちらっと出てきました「いのちを大切にする」という道徳概念が入ると、非常に厄介、ある意味、本当は厄介なんですね。外来種も、生き物である以上、命を持っていて、本当は、命の重さはみんな同等になってきますので、必ずこれは、命の重さというものが出てきて、在来種の命のほうが重いから守りましょうと言ってしまうと、当然それは反発を買ってしまうんですね。外来種の命も大事なんだけれども、人間にとって必須の生物多様性を守らなくてはならないんです。これは、あくまでも人間の生活の保全のためであるという実は前提があるんです。
     とにかく、生き物のためというよりも、人間のためにこの生物多様性を守らなくてはならないというのが本質的な生物多様性の保全の概念であって、それゆえにその生物多様性を脅かす要因としての外来種管理が必要になってくると、その辺の普及啓発というものがうまくいかないと、いつまでたっても、やっぱり命の重さでいってしまうと、逆に、言い方は悪いですが、やぶ蛇になるんですね。
     やっぱり幾ら何でも、目の前でアライグマが殺されるのを見て、かわいそうと思わないほうがおかしいのであって、でもそれをあえて、涙をのんでやらなくてはならないというその意義がどこにあるかということは、もう少し環境省としては前面に打ち出さないと、まさに木の枝を見て、森を見ずという状態で議論してしまうということになるんではないか。
     その辺、とにかく生物多様性というものがなぜ大事なのかということからまず始まらないと、外来種管理というものだけ、要するに外来種を悪者にしてしまうという枝葉末節で、話を進めてしまうと、いつまでたっても、多分、必ずそのアンチというか、反対される方の意見というのはいつまでも強く出てきてしまうだろうというふうに思います。
     この部分は、相当、だから力を入れて、議論して考えないといけない部分じゃないかというふうに思います。

    【大矢委員】 今の五箇委員の意見と少しリンクするんですけれども、この問題で一般の方に一番説明しなければいけないのは防除の部分だと思うんですね。一般の人に、防除と言ってもなかなかわかりにくい。なぜそれが必要なのか。今、命の問題が出ていましたけれども、残念ながら殺処分しなければいけない。なぜ殺処分しなければいけないかということの理解もきちっとしていかなければいけないと思うんです。動愛法も、殺処分条項が、今度、入っていますよね。そういうふうにして、きちっと説明して、だからこうなんですよということが理解されるような、そういう普及啓発をしていく必要があるんじゃないかと思います。

    【太田委員】 それでもって、一番、多分、説明が、難しいのが生物多様性とは何ぞやで、もうこれは、環境省の先生、ここの先生方も、皆さんも嫌というほど味わわれていると思うし、私の今いる博物館は、生物多様性、岩槻館長の号令のもと、何とか生物多様性を伝えようとして悪戦苦闘しているんですが、いまだになかなかいい感触がないというのは正直なところなんですけれども、でもそこに取り組まないと、ターゲットとしているところが何なのかということは、明確に示すことができないので、もうとにかく努力目標として、関係のある全員がやっぱり取り組むべきことだと思います。
     それで、もう一つ、今日の資料でないので、あれだと思っているんですけれども、もう一つ、どこかに盛り込んでいただきたいんですけれども、表現としてにしても、過度の擬人化を絶対に避けるようなことが重要だと思います。もう一つの問題として、これは、命の問題ほど、ダイレクトではない、本当はダイレクトじゃなくて無関係なんですけれども、過度の擬人化をすると、必ず差別の問題が出てきます。これは、哺乳類というか擬人化されて、しかも外来種対策は差別だという話になると、余計、話がこんがらがって、とんでもないことになりますので、これも経験済みです。気をつけられてください。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 特によろしいですか。今の議論を聞いていて、13ページの24行目ですか、「在来種のいのち」と出てきますね。これは、ないほうがいいと思います。
     それから、全体に「生物多様性」という言葉があまり出てこないので、五箇委員が指摘されたように、なぜ外来種対策が必要かというところに、生物多様性保全というのがありますので、その生物多様性を守るということはもう少しいろいろなところに記述したほうがいいかなと思いました、具体的にどことどこというのは今すぐに出てきませんけれど。
     ほかに、調査研究も含めてお願いします。

    【石井(実)委員】 今の生物多様性の件なんですけれども、8ページのところ、修文の話ばかりで恐縮なんですけれども、28行目から33行目までのところ、28行目からのところは住民に対する理解のことなんですけれども、これは簡単な修文ですが、30行目のところの「外来種問題について国民の理解や協力が」云々というところですが、外来種問題への「対応とか対策」とここは入れたほうがいいかなと、その理解というところにつながらないのかなと思うんですね。
     それで、次の文では、「地域固有の生物相や生態系を保全する」というのがありますので、ここの例えば「生物相」をいっそのこと「生物多様性」にしたらどうかなというふうに考えるんですが、いかがでしょう。
     マイクを持ったついでになんですけれども、9ページ、調査研究のところの13行目にある「生態系等に被害を及ぼさない代替種の開発」というのが、あっさりし過ぎていて、何のことかわからない感じがするんですね。多分、これは、セイヨウオオマルハナバチなんかの絡みで、花粉媒介の種のかわりを探すという意味だと思うんですけれども、「代替種の開発」という言葉が乱暴過ぎるので、例えばここのところを「被害を及ぼさない代替種の探索と利用法の確立」とか、このあたりにしたらどうかなと思うんですけれども、いかがでしょう。

    【五箇委員】 石井先生のご指摘のとおり、ここだけぼこっと「代替種の開発」というと、何の代替種だ、何のための代替種だということになると思うんで、ここは、あくまでも外来種の中でも、特に要するに産業利用、要は、「生産性に必要な外来種の場合については」というふうな要は頭づけが必要になってくるんじゃないかなと思います。

    【山岸委員】 普及啓発のことで、外来種問題は生物多様性の保全の問題であるという先ほどからの意見、もっとも私も賛成なんですが、生物多様性の保全というと、外来種が来れば、生物が多様になって、いいじゃないかとかいう馬鹿なことを言うやつがいるんで、これはもうこの中に書いたほうがいいんじゃないですかね、普及のところへそうではないということで。

    【五箇委員】 そのときに、すごくさらに突っ込みがあると、トキの問題はどうするのとか、環境省、その辺、どう説明するのか、気になっているんですけれども、トキ、一応、絶滅しましたよね。環境省のスタンスは、野生絶滅という受け止め方でいらっしゃると聞いたこともあるような気もするんですけれども、その辺がアキレス腱にもなるところだな。あれは、明らかに、今おっしゃったのと同じで、絶滅した種をもう一回導入して、多様性を復活させたという事業になってしまって、結構突っ込みどころの材料としても使われているところが多いので、もしそういうのが出てきたらどう答えるのか、気になるなと思った。

    【中島野生生物課長】 トキについては、野生絶滅という扱いになっておりまして、遺伝子レベルまで見た上で、中国に残っていたトキと日本のもともといたトキは、ほぼ同じものであるというふうな評価がなされていますので、日本にいたものは絶滅しましたけれども、同じものが海外にいたので、それを再導入したという位置づけになっております。

    【五箇委員】 そのほぼ同じのほぼが、じゃどこまで同じで、どこまで違えばだめなのという説明にならないので、本当は、あれは、もうちょっと開き直って、トキは、本当は外来種ですけれども、シンボルなんですというふうな要は、トキが住める環境をつくること自体が環境保全なんですとか、もうちょっとうまい説明をしないと、あそこがいつも科学的な言い訳をするんですね。
     ミトコンドリアDNAの何百塩基だけ見て、何塩基しか違わないから一緒ですというのは、生物学的にははっきり言ってめちゃくちゃなんですよ。それを言ってしまったら、どんな外来種でも、実は塩基配列が一緒だから同じでいいですと言っているのと同じような話で、本当は、その説明はいいかげんにやめたほうがいいと思うんです。だって、核ゲノムはまだ見ていないんですよね、現実。あえて見ていないですよね、あれは、逆に言えば。マイクロサテライトとかを使えば、あっという間に差は出ると思うんです、その辺、マイグレーションレート(移住率)も含めて。でも、多分、それは誰もあえてやろうとはしないですけれども、もはや国家事業として動いていますし、あれでご飯を食べている研究者もいっぱいいますから、しようがないと思うんですけれども、そこのところの何か弱さが見え隠れするのは、個人的にはいらいらするなというところです。
     まさに、今、先生がおっしゃったみたいに、多様性が増えるからいいじゃないかという議論も、そういう突っ込みどころがやっぱり出てくると思うんです。それに、きちんと、そうじゃないですと答えるという部分と、逆にトキみたいな問題とか、あるいは最近、見つかった魚、オイカワでしたか。

    【石井(信)小委員長】 クニマス。

    【五箇委員】 クニマス、ああいう結構、ジレンマは抱えますよね。あれは、あくまでもやっぱり人間の恣意性というか好みの問題にすぎないんです、本質は。だから、それはそれで、やっぱり多様性の保全という大きな問題は大きな問題として、きちんと議論できるようにしておかないと本当はいけないんじゃないかなと思うんです。
     だから、間違っても、今、言ったみたいに、ミトコンドリアがほぼ同じだからですという言い訳は、本当はやめたほうが、僕はいいかなと思います、ほぼ同じなら何でもいいのかという話になるので。

    【石井(信)小委員長】 何かありますか。

    【山岸委員】 今のご意見は、非常に関係者としては耳の痛い話で、私もそう思わないではないんですが、核ゲノムの解析が、今、始まっていますので、それだけは申し上げておきます。

    【北田委員】 あれは自由に行き来するんじゃないんですか。

    【五箇委員】 いや、そういう意見なんです。だから、それを調べないといけないですね。自由に行き来するならば、もっと飛来してくれてもいいのかなという気もするし、ただ向こうも少なくなってしまっていますから、既にその過去の情報がないというのも現実でしょう。
     だから、今、先生がおっしゃったように、解析していって、過去のサンプルと照らし合わせ、どれぐらい交流していたかという情報があれば、正当性ははっきりするだろうと思うんですね。

    【星野審議官】 私も、以前、野生生物課長をしておりまして、今日は途中から参加で失礼いたしました。山岸先生に、トキの関係、座長をお引き受けいただいて、野生復帰に本格的に取り組むに当たって、山岸先生からは、もちろん中国から連れてきたトキなんで、それが本当に日本のものと同じなのかどうか、そういうことについてしっかり検討が必要なんじゃないかということで、現在は、今、山岸さんから言われたようなことまで、研究者に検討していただいておりますけれども、当時も、過去の日本にある標本を調べて、遺伝的にやはり幾つかのタイプが日本にあるということまではわかってきて、ただ当時、最後にキンですけれども、キンの系統以外の系統も、過去の標本を見るとある。それらは、昔、中国でも標本がありますから、そういうのを調べてみると、中国と共通するタイプもいて、それが最終的に一つの系統に収斂してしまって、最後のキンが死亡してしまったというような状況だったです。
     我々も、その当時、中国から来たトキですので、種としては同じですけれども、もう少し詳しく調べた上で、取りかかろうということで、そういった経過を経て、会議を始める、取組を始めるに当たって、鳥学会の代表の方もお呼びして、シンポジウムを開いて、いろいろ議論していただいた上で、進めてきたという経緯があるということだけご説明させていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。
     外来生物の対策は、さっき五箇委員がいみじくも言われたみたいに、人間のためにやることだと思います。この中にも書いてありますけれども、それをすることの社会経済的な意味というのも考えて、外来種でも、使い続けるとか存在を認めるとか、そういうことがあるので、どうしても恣意的な側面というのは完全には排除できなくて、トキの問題は難しいと思いますけれども、人間のためにやっていることなんだという考え方で、問題が整理できるんではないかなと、私は思います。ほかには、最後の「その他」も含めていかがでしょうか。
     予定の時間は回ってしまったので、そろそろまとめというか終わりにしたいと思うのですけれども、特にご発言があればお願いしたいと思うんですけれども、よろしいですか。
     それじゃ、今までの議論を通じて、ご指摘いただいた点とか、特に用語の問題とか、まだ結論が出ていないところもありますけれども、まず事務局で、今日の議論を整理していただいて、改定案をつくっていただいて、委員の方に回覧して、最終的には私が責任を持って確認するということになっていますが、必要なことについては、皆さんに確認して、中間取りまとめ案としてパブコメにかけるということで進めたいと思います。
     それでよろしいでしょうか。
     それで、パブコメが終わった後は、もう一回この委員会があるわけですね。そこで、最終案をつくるということにしたいと思います。
     ということで、あとは事務局のほうでお願いします。

    【谷垣外来生物対策係長】 本日は、熱心にご議論いただき、ありがとうございました。資料の郵送をご希望される委員がいらっしゃいましたら、テーブルの上の封筒がございますので、お名前を書いていただいて、資料をそのままにしていただければ、後ほど別途、郵送させていただきます。
     次回の小委員会の日程につきましては、パブリックコメント終了後、10月ぐらいを目処に、日程を再度、照会させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
     事務局からは以上です。

    【石井(信)小委員長】 最後に、どうしてもということがあればですけれども、よろしいですか。
     それじゃ、審議官の星野さんに、最後にごあいさつをお願いします。

    【星野審議官】 8月10日付で自然科学部を担当する大臣官房審議官になりました星野でございます。ただいまの議論、途中で発言させていただきましたけれども、3年前まで、3年間、野生生物課長をさせていただきました。山岸先生には、トキの関係で大変お世話になって、厚くお礼申し上げます。
     今回、中間取りまとめまで、この外来生物対策小委員会、さまざまなご議論いただきまして、ありがとうございました。また、本日のご意見、小委員長がおまとめいただいたように、いただいたご意見をもとに、小委員長とご相談させていただいて、必要に応じて個別に委員の先生方に照会させていただいて、パブコメする案を取りまとめて、パブコメにかけさせていただきたいと思います。
     また、パブコメの結果については、再度、小委員会を開催する予定でございますけれども、これまで、この中間取りまとめ作成に当たって、長い間ご議論いただきましたことを厚くお礼申し上げたいと思います。さまざまな事項についてご指摘いただきました。これらにつきましては、関係する省庁と連携して対応を検討して、外来生物法がよりよく機能していくと、そういう方向で我々も努力していきたいと思いますので、引き続きご指導いただきたいと思います。
     本日はどうもありがとうございました。

    【石井(信)小委員長】 それでは、今日の小委員会はこれで閉会いたします。ありがとうございました。