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中央環境審議会 野生生物部会
外来生物対策小委員会(平成24年度第1回)会議録


   
  1. 日時 平成24年6月27日(水)13:30~17:10

  2. 場所 航空会館B101会議室

  3. 出席者
    (小委員長)石井 信夫
    (委員・臨時委員) 石井 実  磯部 力  
      山岸 哲  鷲谷いづみ  
     (専門委員) 太田 英利  大矢 秀臣  
      岡 敏弘  岡 三徳  
      北田 修一   中井 克樹  
    (環境省) 渡邉自然環境局長
    上河原総務課長
    亀澤野生生物課長
    関根外来生物対策室長
    東岡外来生物対策室長補佐
    水﨑移入生物対策係長
    谷垣外来生物対策係長
    (農林水産省) 大友地球環境対策室長
    堀川花き産業・施設園芸振興室課長補佐
    大形植物防疫課長補佐
    山木動物衛生課国際食料調査官

              
  4. 議事

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それでは、予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会第1回外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     本日の出席者数でございますが、委員及び臨時委員7名中5名。鷲谷委員がちょっと遅れておりますが、ご出席の予定と聞いております。5名の出席であり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項において準用する中央環境審議会令第7条により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     また、平成16年6月8日野生生物部会決定「外来生物対策小委員会の運営方針について」に基づき、本会議は一般傍聴の方も含む公開の開議となっております。
     議事録についても、委員の皆様にご確認いただいた上で公開となりますので、ご承知おきください。
     本日の審議に先立ち、渡邉自然環境局長よりごあいさつ申し上げます。

    【渡邉自然環境局長】 自然環境局長の渡邉でございます。平成24年度第1回目になります外来生物対策小委員会に大変お忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございました。また、外来生物の問題を初め、野生生物、そして自然環境の保全、さまざまな場面で皆様にご尽力、ご協力いただいておりますことにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
     外来生物の関係は、平成14年に生物多様性条約に基づきます新しい国家戦略ができましたけれども、その中で第3の危機ということで重要な課題という位置づけをいたしました。同じ年に生物多様性条約の第6回目の締約国会議で、外来生物に関する指針・原則が決議された。そういった動きを受けて、日本として外来生物に関する法律をつくる必要があるということで、平成16年に法律が成立し、平成17年6月に施行されたということが、外来生物法の始まりでありました。それ以来、特定外来生物の指定という作業をしてきて、今105種が指定され、指定された種について、野外に放つこと、輸入すること、飼うことなどか規制されるということに加えて、被害をもたらしている特定外来生物について各地で防除を進めるという動きも始まってきているということで、法律制定を受けていろいろな場面で成果は出てきたと考えています。
     この法律は、環境省だけではなくて、農林水産業に関する被害につきましては農林水産省と共管ということになっていますし、河川とか河川敷での外来種の防除については、国土交通省河川局のほうで取組を進めていただいているといった形で、各省とも協力しながら法の運用を進めてきたという状況であります。
     昨年、ちょうど1年前ぐらいになりますけれども、小笠原諸島が世界自然遺産として登録されました。小笠原の一番の大きな課題が外来生物対策ということでありました。まだ取組は道半ばでありますけれども、IUCNが世界遺産の審査をする中で、小笠原の取組に対して、いろいろな国と自治体と研究者の皆さんと、そして地域のコミュニティが協働して、かなり困難な外来種対策に向けて取組を進めているというところが、IUCNからも評価されたということがありました。この外来生物法の附則に、5年後を目処に施行状況についてレビュー・検討して必要な措置を講じるという規定が盛り込まれています。今7年ほどがたったわけですけれども、一昨年COP10も開催されるということで、COP10の成果も受けて施行状況の見直しをしていこうということで、7年がたったところでの施行状況の見直しということになりました。
     先月の5月10日の野生生物部会で、この外来生物法の施行状況の見直しを始めるということと、その検討作業を本外来生物対策小委員会において進めていくということで、野生生物部会からそういう方向で進めるべきというご意見をいただいたところであります。この小委員会の中で、いろいろな課題、特定外来生物の選定のあり方、飼養などの許可の現状と課題、輸入とか水際の対策、非意図的な導入対策、各地で進んできた防除事業、国内由来の外来種対策、こういったさまざまな課題について、これまでの運用状況についてレビューをして、そのレビューも踏まえて、どんな改善、どんな強化が必要なのかということについて、皆さんからよくご意見をいただいていけたらと思っています。この小委員会でご議論いただいた結果を受けて、関係府省と連携しながら制度面・運用面の見直しを進めていくということにつなげていければと思っています。
     限られた時間の中でのご検討ということでありますけれども、さまざまな観点から、さまざまな分野からご意見をいただき、ご議論を進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それでは、まず初めに事務局より本日ご出席の先生方をご紹介させていただきます。私のほうからお名前を読み上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
     まず、あちら側中央にいらっしゃいますが、石井信夫小委員会委員長でございます。
    続きまして、あとは座席順にご紹介させていただきます。石井実委員でございます。
    磯部力委員でございます。
    太田委員でございます。
    大矢委員でございます。
    岡敏弘委員でございます。
    岡三徳委員でございます。
    北田委員でございます。
    野生生物部会長で、本委員会の委員でございます山岸委員でございます。
    鷲谷委員でございます。
    皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
     なお、岡島委員、五箇委員、今泉委員、小林委員、細谷委員につきましては、本日はご都合によりご欠席でございます。中井委員は、若干遅れているようでございます。
     続けて、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。1枚目に議事次第がございまして、1枚めくっていただくと、配付資料一覧がございます。その次に座席表がございまして、小委員会名簿がございます。あと、資料がたくさんあるものですから、資料1から資料12まで、クリップどめでとまったものがございます。その下にクリップでとまったものが参考資料でございまして、参考資料は1から21までございます。もし資料に不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
     それでは、議事進行を石井小委員長にお願いいたします。

    【石井(信)小委員長】 座ったままで失礼します。平成24年5月10日に開催されました野生生物部会において、この外来生物対策小委員会の委員長を仰せつかりました石井でございます。私自身は、現在、環境省の外来生物事業で奄美大島と沖縄でマングースの防除が行われていますけれども、それの両方の事業に関わってきました。そんな関係でこの委員会のメンバーに招かれたというか、入ったということだと思います。
     このマングース防除事業については、先日の環境省の行政事業レビューで抜本的改善という判定を受けて、とても衝撃を受けていて、環境省としては異例の予算措置をしていただいて、意義も大きいし、それから成果も随分上がっているのに、どうしてそういう判定なのかなと。一つには、この事業の目的とか、これまで達成されたことというのがあまり伝わっていなくて、それは一つには、私自身もこの事業についていろいろなところで発信するのが不足していたからかなと思って反省もしています。
     それはそれとして、この小委員会は、外来生物法の点検ということで、本来の目的に照らして、これまで行われてきたことについて、どれだけ成果が上がっているかとか、問題点はどういうことかということを議論して、今後の方向性をはっきりさせていくという場だと思います。それで、いろいろな議論をしなければいけないと思いますし、今日も資料がたくさんあって、これを全部こなしていくのは大変なのですが、必要な議論の時間は十分確保するとして、スムーズな議事進行にご協力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
     それでは、本日の議事に入りたいと思います。
     まず議題1、外来生物法の施行状況の検討の進め方について、ご説明をお願いします。

    【関根外来生物対策室長】 環境省の外来生物対策室長の関根でございます。着席して説明させていただきます。
     資料1をご覧いただければと思います。既に説明がございましたけれども、この外来生物法の附則の第4条に、この施行から5年を経過した場合に、法律の施行状況を検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるという規定がございまして、この小委員会ではこの附則に規定されております検討についてお願いするものでございます。
     検討のスケジュールとして示させていただいております。5月の野生生物部会でこの小委員会での検討を了承いただきまして、今回から小委員会を開催させていただきます。既に第3回の日程まで委員の皆様にはご連絡させていただいているところでございまして、本日の第1回で法律の施行状況について幅広くご意見をいただき、第2回ではできるだけ論点を絞ったご議論をいただければと考えておりまして、それらを踏まえて第3回で今後講ずべき措置としてどういったものがあるかというあたりを取りまとめていきたいと考えております。その後、パブリックコメントを行いまして、10月ぐらいにはこの小委員会としての報告書を取りまとめていただければと考えております。
     これは、現時点での想定しているスケジュールでございますので、審議の状況によって は変更ということもありますので、そういったものとしてご理解いただければと考えております。
     そして、取りまとめていただきました報告につきましては、野生生物部会に報告させていただくとともに、必要な法令の改正など、措置を講じていきたいと考えております。
     2ページ目以降は、この小委員会の位置づけなどに関する資料でございます。3ページの中央環境審議会議事運営規則第8条に小委員会の規定がございまして、今回の場合は野生生物部会でございますけれども、「部会は、必要に応じ、その定めるところにより、小委員会を置くことができる」という規定がございます。
     それから、小委員会に属すべき委員、臨時委員、専門委員については、部会長が指名する。それから、委員長につきましても、部会長の指名により定めるとされておりまして、野生生物部会の山岸部会長よりご指名をいただいたところでございます。
     それから、4ページでございます。外来生物対策小委員会自体につきましては、平成16年の法律が成立いたしました直後に設置されております。この際には、4ページの2番のところにございますけれども、法律に基づく基本方針の案の作成についての検討を行うということのみが規定されております。このため、5ページにございますように、新たにこの法律の施行5年後の検討ということについても小委員会で検討していただくということについて、5月の野生生物部会で決定をいただいたところでございます。
     6ページにつきましては、会議の公開とか、会議録の作成及び公開といったものについての運営方針でございます。これも平成16年の際に決定されておりまして、今回の小委員会もこれに従って運営していくこととしてございます。
     説明は以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。
     それでは、今のご説明の内容について何かご質問などあれば、お願いします。よろしいですか。
     それでは、議題の2に移りたいと思います。議題の2、外来生物法の施行状況を踏まえた現状と課題について、事務局からご説明をお願いしたいのですが、これから議論していただく資料12の論点に各テーマで関連している話というのがありますので、まず全体像を把握していただいてご審議をお願いしたほうがより適切な議論ができると考えていますので、少し長くなるようですけれども、事務局から、資料12の論点の項目を踏まえて、資料2から11まで通しで説明を受けたいと思います。それで、その後に、個別に論点に沿って議論を行いたいと思います。
     それでは、説明をお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それでは、事務局よりご説明させていただきます。先ほど委員長からございましたように、資料2から11までのご説明をする前に、どのような論点で資料2から11の説明を聞いていただくかということを事前に確認していただくために、資料集の一番最後に資料12がございます。それを見ていただきたいのですが、先に資料12の論点案の項目をざっとご紹介させていただきたいと思います。
     資料12の(1)でございますが、現在105種類の特定外来生物が選定されていますが、その選定が適切であったのかどうかというのが第1点です。
     (2)は、飼養等許可の許可件数というのは、数としてはあまり変わっていないような現状でございますが、飼養等許可は適切に実施または管理されているかどうかということでございます。
     (3)でございますが、外来生物法による輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策について、効果的に実施されているか、適正に実施されているかということでございます。
     次のページへ移りまして、(4)国による防除の実施、防除に係る確認・認定は、効果的もしくは適切に実施されているかというのが4点目。
     (5)が、国内由来の(国内の他の地域から導入された)外来種対策は適切に行われていたかということです。
     (6)が、外来種対策の調査研究、普及啓発、各主体の協力と参画は、適切に実施されていたかということです。
     本題の説明をする前に、説明資料の中に外来種被害防止行動計画、ブラックリストといった言葉が出てきますので、3ページ目の真ん中当たりの※印がついたものがございます。その点だけ先にご説明をさせていただきます。
     まず、外来種被害防止行動計画(仮称)でございますが、愛知目標を踏まえまして、2020年までの特定外来生物も含めた外来種全般に関する中期的な総合戦略として、国・地方公共団体・民間団体の役割とか、防除における優先度の考え方、それから非意図的に導入された外来種や国内由来の外来種の対策の考え方を整理しまして、外来種対策の実施方針を明らかにすることを想定したものでございます。平成25年度までに環境省において策定したいと考えております。
     次に、外来種ブラックリスト(仮称)でございますが、これも、愛知目標を踏まえて、特定外来生物の指定種のみならず、現時点で法規制のない種類も含めて、特に侵略性が高く、我が国の生態系等への被害を及ぼす又は及ぼすおそれのある外来種をリストアップしまして、最新の定着状況や我が国における具体的な対策の方向性等についての情報をわかりやすく示すことを想定しております。これも、平成25年度を目処に環境省において策定予定でございます。
     以上が資料12の論点でございます。
     それでは、資料2に戻りたいと思います。パワーポイントと配付資料は一緒でございますが、またパワーポイントなどを見てご確認いただければと思います。資料2でございますが、これは外来生物法の概要と、法施行後の外来生物対策に関する国際的な動きについてまとめたものでございます。
     まず外来生物法の目的でございますが、必要な規制・防除を行うことによって、特定外来生物による生態系、それから人の生命・身体又は農林漁業に係る被害を防止するものでございます。
     第2条は定義でございますが、海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物ということで、下に※印がございますが、我が国には生息・生育しない外来生物が対象であって、国内のほかの地域から導入されたいわゆる国内由来の外来種はこの法律では対象としていない。また、我が国に概ね明治元年後に導入された外来生物を対象としております。
     次に外来生物の被害防止基本方針でございますが、これは中央環境審議会の意見を聞いて閣議決定するものでございまして、現在のものは平成16年10月に閣議決定されたものでございます。
     基本方針の中に何があるかといいますと、(1)、生態系等に係る被害の防止に関する基本構想ということで、問題の背景、被害の概要、被害防止の基本方針等が書いてあります。(2)は、被害の判定とか優先度の考慮。(3)が、飼養等の目的 飼養等施設基準の基本的な考え方。(4)が、防除に係る公示の内容、それから緊急的・計画的な防除の基本的な考え方。(5)、その他としまして、未判定外来生物や種類名証明書について基本的なことを記載しております。
     次に外来生物法の体系でございますが、こちらの左側にある外来生物法で指定された特定外来生物に指定されると、飼うこと、保管すること、運搬することの規制や、輸入規制、譲渡規制がかかります。
     この真ん中にある未判定外来生物ですけれども、これは現在日本に輸入されていない特定外来生物と似たような生態系的特性を有するもの、多くは同じ属のもの、そういったものを、被害事例の報告や被害を及ぼすおそれの指摘はなされていないが、そういった被害のおそれがあるということで、未判定外来生物に指定しています。これに指定されると、輸入する場合は届出が必要になりまして、届出がされると、生態系影響の判定が終わるまで一定の期間輸入を制限することになります。判定の結果、生態系影響があれば、この左側の特定外来生物、被害のおそれがなければ、指定されない生物ということになります。
     指定されない生物の中にも、要注意外来生物というものがございまして、これは特に法で規制するわけではございませんが、リストにより注意喚起を行うものでございます。
     特定外来生物に指定されるとどういったことが規制されるかということですが、まず飼養・栽培・保管・運搬につきましては、主務大臣の許可が必要になりまして、申請が出された場合、省令で定める目的、それから施設の基準を満たさないと許可ができないというものになります。その下、輸入でございますが、許可者以外は輸入できないということになります。あと譲渡でございますが、飼養等の許可を得ている者以外、譲渡は禁止されています。
     下の野外へ放つ行為、植える行為については、例外なく一切厳禁という形になります。なお、たまたま捕獲した個体をその場で放す、いわゆるキャッチ・アンド・リリースについては対象外となっております。
     次に政省令でございますが、政令で定めているものが特定外来生物になります。次に省令で定めているものが、未判定外来生物。あと種類名証明書不要生物の指定とあります。これは逆に種類名証明書の必要な生物を指定しているのですが、これは特定外来生物や未判定外来生物に該当しないことを外見で容易に判別できないもの、例えば同じ科とか属のものを指定しまして、輸入する際にはこの証明書がないと輸入てきないというものでございます。あと、飼養と防除に関する手続や基準などを省令で定めております。
     あと、特定外来生物の防除でございますが、主務大臣により防除の公示をすることになっておりまして、その中で防除の目標、防除の方法、あと必要な事項を定めることとなっております。国におきましては、この防除の公示に従いまして、緊急防除のほか、計画的な防除、それから地方公共団体は、主務大臣の確認を受けて計画的な防除を行う。民間団体・個人につきましても、主務大臣の認定を受けて計画的な防除を行うとなっております。
     防除の確認・認定を受けた場合、防除において、飼養等、特に保管・運搬を行う場合、すなわち特定外来生物を動かす場合がございますけれども、その禁止を当該防除について適用除外、また特定外来生物が鳥獣である場合、鳥獣保護法を適用除外、また、これは国や地方公共団体の場合ですが、私有地に立ち入って防除を行う権限、それから防除費用を原因者に請求する権限がございます。
     次に、施行状況を踏まえた現状と課題ということで、外来生物をめぐる状況、施行後の動きを簡単にご説明いたします。平成17年と平成21年に、自然公園法と自然環境保全法の改正を行っております。これは、自然公園区域内の動植物の放出などの規制の強化をやっております。平成19年に、鳥獣保護法の基本的な指針の変更をやっておりまして、外来鳥獣につきましては、狩猟や有害鳥獣捕獲を積極的に行うといった指針の変更をやっております。その他、生物多様性基本法ができ、平成22年にはCOP10で愛知目標が定められました。
     外来生物法ができたときに附帯決議がなされております。外来生物法ができて、そのときに問題であったと考えられたことでございます。
     1番目、諸外国の知見や学識経験者の意見を参考にして、適切に外来生物の指定を行う。
     2番目が、防除の実施に際しては、在来生物の混獲とか、危険なわなの使用を避けて、在来生物の生態系に影響を及ぼさないように努力する。
     3番目が、水際対策の強化。それから、意図的に導入される外来生物について、導入経路及び生育状況の調査並びに監視に努めなさい。
     4番目が、人員・予算の確保。
     5番目が、緑化等の対策において、外来生物の使用は避けるよう努め、地域個体群の遺伝的攪乱にも十分配慮しなさい。
     6番目が、国民や関係者に普及啓発周知を徹底しなさい。
     7番目が、国内由来の外来生物の問題について、既存法令を活用した規制の強化を行いなさいというのが、内容になります。
     先ほど愛知目標について簡単にご紹介しましたが、この中で、20の個別目標の中に侵略的外来種に関する目標がございます。こちらがこの四角に囲まれたところでございまして、「2020年までに、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付けられ、優先度の高い種が制御され又は根絶される」といった目標が定められています。
     そのほか、COP10では、侵略的外来種に決議が出されていまして、ペット、水族館及び動植物園での展示生物並びに生き餌・生食料として導入された侵略的外来種について、国際的なレベルで使用可能な基準を作成する可能性について、科学技術者会合を設立・開催することになっています。
     そのほか、国際的な規制枠組みの隙間―これは何を言っているかと言いますと、下に背景を書いておりまして、侵略的外来種は必ずしも家畜の伝染性疾病の病原体や植物に有害な病害虫ではないため、既存のOIE、それからIPPCの規制に位置づけはございませんので、いずれの規制枠組みにも含められていないというものがございます。そういったものについて、既存の枠組みと連携してやるべきだといった決議がなされております。
     それから、日本生態学会から国家戦略に対する提言を今年4月に受けております。基本的には国家戦略に対する提言でございますが、外来生物法の点検にも参考にできる項目がございますので、簡単にご紹介させていただきます。例えば5番でございますが、防除を優先すべき侵略的外来種のリスト化の必要性を述べること、また、今後、系統的・戦略的な取組の推進が必須であることということが書かれております。
     また、この導入の阻止のところでは、水際対策として外来種の国際検疫措置の強化、国内検疫のシステムについても早急に検討すること。
     防除につきましては、例えば4番目、国・地方公共団体・民間団体の役割分担や連携・協働ができていない。また、防除の対象種や保全すべき場所の優先度、防除に係る費用と効果の検証を調査し、目標設定を行う必要がある。
     普及啓発については、一般市民に趣旨があまり理解されていない。具体例に則してわかりやすく普及啓発を行う必要がある。
     あと、これは現在の国家戦略において、今、中央環境審議会の生物多様性国家戦略小委員会で議論が行われている最中でございますが、現在の記載状況を簡単に紹介させていただきます。
     外来種問題というのは、第3の危機と第2次国家戦略から位置づけられており、現在でも位置づけられております。野生生物の現状としましては、侵略的外来種による被害が近年深刻化していると、ますます被害が拡大しているということが、今回の国家戦略でさらに記述した内容でございます。
     あと、基本方針・基本戦略におきましては、侵略的な外来種を特定し、リスト化し、必要に応じて特定外来生物の追加指定を行い、その導入経路の把握に努めるといったことが記載されています。
     あと、愛知目標の達成に向けたロードマップでございますが、主要行動目標として、2014年までに侵略的外来種リスト(ブラックリスト)を作成し、リストの種について定着経路に係る情報を整備する。
     2番目、防除の優先度の考え方を整理し、計画的な防除等を推進するとともに、各主体における外来種対策に関する行動や地域レベルでの自主的な取組を促すために、外来種被害防止行動計画を策定する。
     3番目が、優先度の高い侵略的外来種について、制御もしくは根絶するといったことが記載されています。
     あと、こちらが行動計画の具体的な計画になりますが、この基本的考え方を踏まえた具体的施策というのが次のページになっていまして、外来生物法施行後5年が経過して、必要に応じて必要な措置を講じる。奄美大島のマングースについては、早期の根絶を目指す。アライグマなど広域に分布している種については、地方自治体などが実施する防除の手法の検討を行って、その防除への活用を図る。非意図的な導入を含めて、外来種の導入・定着を防ぐより効果的な水際対策について調査・検討する。外来種被害防止行動計画(仮称)を策定し、防除の優先度を踏まえた計画的な防除等を推進する。あと、法規制の対象とならないものも含めて、外来種ブラックリストを作成するといったことが、現在の国家戦略案で記載されております。
     次に、海外における外来生物対策における法体系でございます。海外においても、日本と同様に、複数の法令で総合的に対応しているというのが現状でございます。
     まず1番目、生態系保全を目的としている法律としては、オーストラリア、それからニュージーランドというものがあり、オーストラリアではホワイトリストとして、ニュージーランドについてはちょっとここには書いておりませんが、ブラックリスト、それからホワイトリスト、グレーリスト、輸入に従って審査が必要なものも含めて、ニュージーランドでは位置づけている。韓国では日本と同様なブラックリスト方式といった状況です。
     2つ目が、植物防疫を主たる目的としている法令で規制しているもので、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカなどでそういった法令があり、日本でも植物防疫法で対応しているところでございます。
     特定の種を対象とした法令としては、アメリカではミナミオオガシラ、それからヌートリアなどで法令がございます。
     そうしたことを踏まえまして、日本の外来生物法の特徴をご説明いたします。外来生物法では、輸入、流通、飼育に関する規制、野外の防除に関する規定まで含めた体系的に整備された法律は諸外国には見られず、外来生物対策の独立した法令としては先駆的でございます。また、本法律は、生物多様性保全を主目的としていますが、農林水産業被害や人の健康被害を含む包括的な外来生物対策の役割を担っております。
     外来生物法では特定外来生物を定め、これにリストアップされた種が規制の対象となることから、いわゆるブラックリスト方式ではございますが、これに加え輸入の可否について個別の判断が必要な未判定外来生物、いわゆるグレーリストと言われるものかもしれませんが、そういったものを指定して、侵略性が高いと想定されている外来生物を階層的に、幅広く規制の対象としているという特徴がございます。
     ちょっと参考までに次の資料3で現状をお話ししますと、特定外来生物がブラックリスト、未判定というものが今3,000種ぐらいありまして、輸入される際には審査が行われる。それ以外のものは、種類名証明書添付生物という形で、いわばホワイトリストということになるかもしれませんが、そういったものが4万種ある。そういった形で階層的に、幅広い種を対象としているのが特徴でございます。
     ホワイトリスト方式を採用しているオーストラリアの人口とか輸入規模を見ましても、我が国とはかなりの差がある。また、我が国は農作物の輸入大国であることも留意して、経済規模とか社会コストも踏まえ、法体系を考えていく必要があると考えております。
     資料2は以上でございます。

    【谷垣外来生物対策係長】 続きまして、特定外来生物の指定状況について、資料3に従ってご説明差し上げます。
     まず最初に、ちょっと今も説明がありましたけれども、特定外来生物と未判定外来生物、種類名証明書添付が必要な生物ということで、外来生物法では指定しています。特定外来生物については、現在105種類が指定されています。未判定外来生物は、輸入のときに事前に審査が必要なもので、審査によっては特定外来生物に指定される可能性があるものということで、特定外来生物に近縁の属とかのレベルで指定されているものが、約3,000種類。それに加えて、輸入する際に特定外来生物あるいは未判定外来生物ではないことが容易に判別できないものについて、種類名証明書を添付して輸入せよということにしているのが4万種ということで、外来生物法でおよそ4万種の種類を対象にしてチェックを行っているという状況です。
     特定外来生物の指定につきましては、特定外来生物被害防止基本方針に選定の考え方をまとめています。まず選定の前提としては、記載がありますように、概ね明治元年以降に我が国に導入された生物を対象にするということ。それから、目で見える、特別な機器を使用しなくても種類が判別できる生物分類群を対象にするということ。したがって、菌類とか細菌類、ウイルス等は当分の間対象としないとしていること。また、他法令、例えば植物防疫法等で外来生物法と同程度の輸入の規制、飼養等の規制がなされているものは対象としないということを定めています。また、特定外来生物の生態系もしくは人の生命・身体、農林水産業に係る被害の考え方についても、具体的にどういう被害を対象とするのかということを記載しています。それから、被害の知見に係る考え方として、日本の国内の被害については、まだ被害が確認されていなくても、その可能性が非常に高いと推測される場合については、選定の対象とするということ。また、国外で被害の知見がある場合には、日本にそれが入ってきて、自然環境や社会状況に照らして、国内でも定着して被害を生じるおそれがあると認められる場合には、知見を活用することとしています。
     指定においては、例えば科学的知見があるかどうか、適正な執行体制を確保できるかどうか、もしくは有用な外来生物である場合については、代替物が入手可能かどうかなど、社会的・経済的影響も考慮して指定するということにしております。
     資料3-3に特定外来生物の一覧を表にしております。一番新しいもので、昨年平成23年7月に判定外来生物の輸入届出を受けて特定外来生物に指定された爬虫類のアノリス類を3種含めた、105種類が最新の数になっています。鳥類が約4種類、植物が約12種類ということで、指定の数は分類群の中では少な目になっているということになるかと思います。
     これまで特定外来生物がどのように指定されてきたかの経緯でございますが、平成17年、18年に第1次指定、第2次指定ということで、42種類、43種類ということで、まとまって指定がされています。その後にはセイヨウオオマルハナバチの指定がございましたが、残りについては未判定外来生物の輸入申請に基づく指定ということで、5件19種類の申請に基づいて、すべてが特定外来生物に指定されてきているという状況にございます。
     法律に基づかない要注意外来生物というものがあるということで先ほど資料2の中で説明がありましたけれども、要注意外来生物の指定状況についてもご紹介いたします。
     現在148種類が選定されていて、資料3-5に掲げている①から④、すなわち、被害に係る一定の知見があるけれども、法的な規制が適切かどうかということで、引き続き指定の適否について検討する外来生物が16種類、被害に係る知見が少し不足しているので、引き続き情報の収集に努めるべき外来生物が116種類、他法令などで同等の規制があることから、選定の対象にはならないけれども、注意喚起が必要だということで選定されている外来生物が4種類、また緑化植物など、別途代替手法などの検討が必要だということで総合的な取組を進める外来生物ということで、12種類が指定されております。参考資料のほうに要注意外来生物の一覧については添付しておりますので、必要に応じてご覧いただければと思います。
     最近の要注意外来生物の動向といたしましては、シジュウカラガンの大型亜種については、神奈川県の丹沢湖などで捕獲の取組が進められているということがあります。また、アカボシゴマダラについては、山梨県、静岡県などでも記録が確認されるなど、分布拡大が続いているといった状況でございます。
     今までご紹介した特定外来生物とか要注意外来生物に指定されている以外の近年定着が確認された侵略的な外来種ということで、少しご紹介を差し上げます。ここに掲げてご紹介しているのが、スパルティナ・アルテルニフロラというイネ科の植物で、2011年、昨年初めて国内で侵入されていることが確認されました。愛知県と熊本県で確認されています。この種に極めて近縁なスパルティナ・アングリカというものが特定外来生物に指定されていて、そちらについてはまだ国内では確認されておりません。スパルティナ・アルテルニフロラについては、干潟の環境を変質させてしまうという可能性がありまして、愛知県、熊本県で刈り取りとか抜き取りといった取組が実施されているところでございます。
     あと、スインホーキノボリトカゲが静岡県で確認されているとか、フェモラータオオモモブトハムシという虫が三重県で確認されているなど、近年こういった新しい外来種の定着も確認されているという状況でございます。
     続きまして、資料4に沿って、特定外来生物の飼養等許可がどういった現状にあるかについてご説明いたします。まず、資料4-1にグラフを示してありますが、これについては、指定からの手続数、新しい飼養等許可の申請や更新も含めた件数の推移を表示しています。一番ピークになっているのが1万件程度ということで、後ほどちょっとご紹介しますけれども、この大部分がセイヨウオオマルハナバチの飼養等許可に係るもので、その更新時期にかかる度にこの手続のピークきています。全体の傾向としては、一定の飼養等許可数が継続して更新等の手続をしているという状況にあると考えています。
     生物種別の飼養等許可件数については、資料4の一番後ろに詳細な表をつけておりますので、必要に応じてご覧いただければと思うのですが、平成24年3月31日時点で有効な許可件数は1万5,910件。最も多いのが「生業の維持」が目的のもので、そのほとんどがセイヨウオオマルハナバチ、次いでモクズガニ属の156件ということになっております。
     「生業の維持」目的以外では、「展示」「学術研究」「指定の際に現に飼養」、特にこれは愛玩、ペットのものがほとんどになっております。あとは「教育」「その他(公益)」ということで、「防除した個体の飼養」といった順で、目的別としては飼養等許可件数が多くなっています。
     「展示」目的、これは動物園等での展示になりますが、これについてはアライグマが最も多くなっています。「学術研究」についてはカニクイザル、「教育」目的ではウシガエル、「指定の際に現に飼養」しているペットのようなものでは、カミツキガメが最も多く、目的別の中ではカミツキガメが種類別では約半数を占めていたという状況です。「その他」これは「防除した個体の引取飼養」が主な目的になりますが、アライグマが最も多くなっております。
     セイヨウオオマルハナバチ以外では、ウシガエル、カミツキガメ、オオクチバス、アライグマ、モクズガニ属の順で多く、これらが飼養等許可の対象となっている主な種ということになっています。
     指定の際に現に飼養等していた、主に愛玩とか観賞の目的での飼養については、指定の際に飼養していた個体以外については新規には認めないということにしてありますので、一定の時間の経過により許可件数は減少するという想定です。資料4-3に示していますのは、現に飼養等していたということで許可しているものが多かったアライグマ、カミツキガメ、オオクチバスの推移でございます。これについては、指定してから数年の間は、法律の認識がないとかで手続に遅れがあったものも含めて若干増加傾向にあるのですが、特にオオクチバスについては、最初の更新のタイミングで半減するなど、概ね減少にある。今後の更新時期には、飼養状況を確認しながら許可を行っていく必要があると考えています。
     次に、資料4-4に先ほど最も件数が多かったと申し上げたセイヨウオオマルハナバチの生業の維持の許可件数の推移ということで表を示しています。これは、環境省の出先機関の地方環境事務所ごとの手続数の推移ということになるのですが、指定してからの件数としては概ね1万3,000~4,000件程度ということで推移してきているということになります。平成23年度以降ごろからやや減少傾向にはあるのですが、概ね一定の許可件数で推移してきているということになります。
     セイヨウオオマルハナバチの飼養等の現状についてということで、資料4-5はマルハナバチの出荷量の推移を1992年から2011年までの数で表しています。外来生物法の施行が2005年、セイヨウオオマルハナバチを特定外来生物に指定したのが2006年ですけれども、そのタイミングでセイヨウオオマルハナバチについては減少の傾向が見られた。一方で、代替種ということになっているクロマルハナバチについては、数が増えてきていて、切りかえが若干進んだといった傾向が見られたのですが、その後については、若干セイヨウオオマルハナバチが増えて、クロマルハナバチは横ばいという状況です。1992年から2003年までのグラフについては、セイヨウオオマルハナバチとクロマルハナバチの合計数ということで表示していますけれども、概ねセイヨウオオマルハナバチだったと考えられますので、セイヨウオオマルハナバチの飼養量としては、指定前後では少し減っている。マルハナバチ全体で見ると、指定前と指定後では大体同じような横ばいの出荷量になっているという状況だと考えられます。
     セイヨウオオマルハナバチにつきましては、農家等で一部、管理が適切になされていないのではないかという指摘もありまして、環境省で現地の農家の調査などをしております。平成21年以降3年連続で調査を実施してきているのですけれども、例えばハウスの開口部にネットを適切に設置していないという不備が、平成23年には調査対象の29%で、戸を二重にしていないという不備が、平成23年度には26%で見つかっています。どの調査項目についても平成23年度が毎年の中では一番多い不適合率ということになっておりますので、規制から一定期間が経過したことで、外来種に対する意識の低下が起こっていると考えられます。また、逸出に直接つながる不備が多く見られたということで、より一層の飼養等に関する指導を強化していく必要があると考えております。
     こうしたことも受けまして、環境省と農林水産省との共同で、飼養等許可者に対する文書での注意喚起や、生産・流通業者、農協等への文書での注意喚起。先ほどの現地著差とあわせてこういった注意喚起をするとともに、逸出防止の徹底とか、在来マルハナバチの使用も検討するような文書による通知、普及啓発ということを展開してきております。マルハナバチの生産・流通業者においても、独自に資料を作成して、農家などに対して手続等に関する普及啓発を実施してきていただいております。
     外来生物法に関する違反状況について、ご説明を差し上げます。外来生物法違反による検挙数の推移については、指定以降増加傾向にあったのですが、近年ではやや減少傾向にあるということでございます。その他の外来生物法以外の自然関連の特別法違反に関する送致件数に対しては、外来生物法は若干少な目の数ということで、概ね自然公園法と同程度の送致件数と考えられます。違反としては、送致件数、立件される件数としては、鳥獣等保護法の違反とか、種の保存法の違反というものが多くなっているという現状でございます。
     続きまして、資料5に基づいて、輸入規定についてご説明差し上げます。資料5-1で示していますのは、食料品及び動物の日本への輸入金額ということで、毎年日本は4兆円~5兆円程度の食料品・動物というものを輸入しています。これがすべて外来種として侵略的かどうかということではないのですけれども、日本は毎年多くの動植物を大量に輸入しているということで、意図的、非意図的にかかわらず、外来生物が導入されるリスクが高いと考えられるのでないかと思います。
     資料5-2は、分類群ごとに、生きている動物をどの程度輸入しているかの推移を表したものです。哺乳類とか鳥類につきましては、平成17年に外来生物法が施行され、感染症法が改正、動物の輸入の届出が義務づけられたということがあって、若干そのタイミングで減少している。爬虫類については、動物愛護管理法が改正されて、動物取扱業が登録制になったり、またインターネット販売についてもそうした登録の対象になったというタイミングもあって、平成18年ごろから輸入量が減少しているということでございます。魚類については、若干減少傾向にはありますが、社会的なブームというものが去ったということもちょっと背景としてはあるのかなと思いますので、その他のところについては少し傾向が見えづらいところではございますが、昆虫類などは、かなり多くの個体数を毎年輸入してきているという状況でございます。
     特定外来生物など外来生物法の対象となる外来生物の輸入については、指定港が日本では4つ指定されていますけれども、限られた空港でしか輸入できないということで、そこでのチェック体制について資料5-3でご説明いたします。輸入されました外来生物については、例えば厚生労働省の検疫所とか動物検疫所、植物防疫所の対象となるものについては、まずそこで検査されることになります。その検査を受けた上で、税関で種類名証明書とか、特定外来生物については飼養等許可の証明書の写しが添付されているかどうか、種類名が間違っていないかどうかなどについて確認されることになります。植防などの対象とならないものについては、直接税関でそういったチェックがなされるということになります。ここで、書類の不備があるとか、あとは輸入してはならないものがあるという場合には、不許可、通関ができないということになって、任意放棄される、あるいは不備のある書類を再取得していただく、もしくは違法、密輸入の可能性が高い場合には摘発されるという流れになっています。もし問題がなければ、そこで通関するということになっています。
     外来生物法の対象となる輸入の動向なのですけれども、資料5-4は、種類名証明書が税関で提出されますので、それを回収して、その傾向を分析したものでございます。2007年については1月以降の数になりますので、ほかの年度と比べて数が若干少なくなっているのですけれども、概ね8,000件~1万件程度で外来生物法に係る輸入が毎年なされていると考えられます。その半分以上が植物の輸入となっております。同じく種類名証明書による集計ですけれども、すべての輸入件数のうち95.4%、ほとんどが種類名証明書の添付が必要な生物で、約5%が特定外来生物、未判定外来生物はその時点では輸入できませんので、それについてはそこで任意放棄などがされるということになりますけれども、約0.1%でした。種類別では、最も件数が多かったのがチュウゴクモクズガニで、特定外来生物についてはほとんどがチュウゴクモスグガニでした。種類名証明書添付生物で最も目立って多かったのは、インドネシアの昆虫類もしくはシンガポールからの植物の輸入ということでございました。
     続きまして、資料5-5で、法規制の対象ではないですけれども、要注意外来生物の輸入量の動向ということで、アカミミガメの推移を表しています。アカミミガメの輸入量については、それ独自の統計がございませんので、アメリカから輸入されるカメ目についてはほとんどがミシシッピアカミミガメであるという文献調査の結果を受けて、アメリカからのカメ目の輸入量の推移ということで表しています。これについても2006年以降減少になっていますけれども、ここには動物愛護管理法の改正ということが大きく影響してきているのではないかと考えられます。
     続きまして、カブトムシ、クワガタムシの輸入量の推移でございます。これについては、先ほどと同じく種類名証明書の件数から把握しております。増加傾向にあったのですけれども、2009年をピークに、近年では減少傾向にあるということで、社会的なブームなどの背景もあるかと考えられます。
     先ほど、特定外来生物等については、空港で通関が認められなかった場合には任意放棄等されるとご説明差し上げましたけれども、資料5-6では任意放棄の件数について示しています。成田、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港が輸入指定港となっておりますので、法施行以来の推移といたしましては、大分減少傾向にある。法の規制の周知が図られてきていると考えられるのではないかと思います。分類群ごとの任意放棄件数ですけれども、約8割が甲殻類ということで、ほとんどチュウゴクモスグガニということになります。一部植物などは、種類名証明書添付が適切になされていないということで、任意放棄されているという現状でございます。
     続きまして、資料6に沿って、非意図的な導入に対してはどのような対策がなされているかということについてご説明を差し上げます。資料6-1では、非意図的な導入を防ぐためにどういった対策がなされているかを示していますけれども、まずは、先ほどご説明しましたように、輸入される際に植物防疫所とか動物検疫所で生物についての検査がなされています。そこで見つかった特定外来生物と疑われるものについては、環境省などを通してその種類の同定がなされるようになっております。また、空港とか港湾のような特定外来生物を含めた外来生物が侵入・定着する可能性が高いと思われる周辺部については、モニタリングを実施して、随時、定着していないかということについて確認しております。そこで例えば輸入物資に特定外来生物のようなものが付着していることが確認された場合には、燻蒸とか処分とかということを輸入業者さんに対してお願いしてきているといった状態にあります。
     ざっと輸入品に対してどういった検査が行われてきているかということなのですけれども、貨物のみの輸入申告件数になりますが、概ね年間約2,000万件の輸入申告がされている中で、食品衛生法など何らかの法令手続が必要なものについては、そのうちの約11%となっております。そのうち、生物の検査については、植物検疫や動物検疫で約2%。そのすべてにされているということはなくて、その中の一部がサンプル調査されて、そこに外来生物などが付着していないかということで、検査されているということになります。全輸入件数に対して生物に関する詳細な検査が行われるのはわずかということになっておりまして、特にアリ等、あらゆる輸入品に付着して導入される可能性があるものもございますので、検査の適切な実施と、侵入した場合には、早期の発見、モニタリングなどを実施して対応していく必要があるかと考えております。
     続きまして、植物防疫関係の説明について、農林水産省さんからお願いします。

    【大形植物防疫課長補佐】 農林水産省植物防疫課の大形といいます。植物防疫法の中で行っております植物防疫について説明させていただきます。
     まず輸入検疫なのですけれども、これは新たな病害虫の侵入を防止するための対策ということになっております。それから国内検疫、これは侵入してしまった病害虫の定着を防止したり、一部の地域に定着している病害虫の他の地域への蔓延を防止するための対策でございます。それから、国内防疫なのですけれども、これは国内に発生している病害虫の防除に関する対策でございます。
     輸入検疫の詳細でございます。輸入検疫は、蔓延した場合に有用な植物に被害を与えるおそれがある検疫病害虫。これは、検疫の対象にできるのは、日本に発生していない病害虫や日本の一部に発生している病害虫となりますが、それについて、植物について検査を実施しております。
     まず、輸入禁止品です。輸入禁止品に当たるものは、未発生で被害が大きく、かつ検査で発見されにくい病害虫。これは、病害虫がつく植物自体を輸入禁止しております。それから病害虫自身そのものも輸入禁止。それから土。土につきましては、そういう病害虫の潜むおそれがあるということで、そういった禁止品は廃棄または返送となります。
     実際に植物検疫で検査している植物というのは、この検査対象というところになりまして、輸入禁止対象以外の植物(果物、野菜、穀物、切花、球根など)で、それに病害虫があるかどうかを調べまして、あった場合は廃棄または返送、消毒ということになります。これは輸入者の方の選択になります。病害虫がなかった場合は、輸入可能ということになります。
     それで、検査対象外というのがありますけれども、これは木工品やお茶などのように、高度加工されたもの。これは、植物検疫の対象になりませんで、そのまま輸入が可能ということになります。
     次に国内検疫です。国内検疫は、侵入警戒調査。これは、外国から新たな病害虫が侵入してくる可能性があるかどうかということを全国の港、それから、これは都道府県にやっていただいておりますけれども、畑や果樹園のほうで、こういったミバエ類のトラップ。これは、この容器の中にミバエの雌が出すフェロモンを入れて雄を呼び寄せるといったトラップを仕掛けて、侵入の早期警戒に当たっているということです。
     それから、移動規制。カンキツグリーニング病という病気がありますけれども、これは沖縄県や奄美諸島の一部に発生しております。そういった地域からほかの地域に蔓延しないように、空港等で移動の取り締まりを行っております。ですから、こういう地域からは外に出せないということです。
     それから、緊急防除。現在プラムポックスウイルスについて東京都の青梅市等で行われておりますけれども、これはウメの病気でありまして、こういった青梅市の地域の中から梅の苗木を持ち出すことを禁止し、それでウイルスに冒された木を伐採作業して、その中で封じ込めて根絶してしまうという緊急防除というのがございます。
     これは、発生予察事業ということについて説明させていただきます。発生予察事業は、国内における分布が局地的でなく、これは広い地域に発生している病害虫についてなのですけれども、そういった病害虫が急激に蔓延して農作物に重大な損害を与えるおそれがある場合に、この発生予察事業というものを利用するのですけれども、病害虫の天気予報のようなもので、病害虫が発生しやすい状態になったときに農家の方々に知らせて防除していただくということで、この対象になっている病害虫というのは、日本に広く発生しておりますので、通常輸入検疫の対象にはならないということで、こういった病害虫は、農作物の被害を抑える程度の通常の防除が実施されているといった現状でございます。
     以上で植物防疫の説明を終わります。

    【山木動物衛生課国際食料調査官】 引き続きまして、動物検疫の説明をさせていただきます。農林水産省動物衛生課の山木といいます。
     動物検疫について、動物検疫所でを行っている今の検査は大きく3つに分かれております。一つは、家畜伝染病の侵入防止。家畜伝染病予防法という法律に基づいて、国内で飼養されている牛・豚等の家畜類、家きん類に重大な伝染病が海外から侵入しないように、検査を行っているというものです。2つ目は、動物由来感染症の侵入防止の観点から、狂犬病予防法もしくは感染症法に基づく犬やサルの検疫などを行っております。もう一つ、数年前から行われていますのが、水産動物の伝染病侵入防止を目的として、水産資源保護法に基づく魚類の衛生チェックでございます。
     家畜の家畜伝染病予防法に基づく検疫の概要になります。海外から輸入される牛・豚等の偶蹄類、これにはシカ、ヤギなどが含まれますが、それらの動物と馬、あとはニワトリ、ウズラ、ダチョウ、カモ目の鳥類などが含まれる家きん、兎、蜜蜂などを対象としまして、動物・家きんそのものもしくはそれらに由来する畜産物類を対象に検査を行っております。
     対象となる疾病は、口蹄疫、牛疫、アフリカ豚コレラなどの家畜の伝染病になっております。
     基本的な輸入検査の流れですけれども、海外から輸入できる地域、できない地域というのを指定しておりまして、輸入ができない地域からのものは禁止されております。これらの重大な伝染病の発生国がこの禁止地域に該当します。輸入ができる地域からは、輸入国政府が、この動物、畜産物について、家畜の伝染病を広げるおそれがないものであるということの一定の検査、証明をしたものを添付して、輸入されてまいります。輸入されたものは、動物検疫所で書類検査、現物検査、その他必要に応じて検査を行って、その検査に合格すれば輸入、不合格であれば処分または返送という取扱いになっております。
     流れはほとんど同じですが、感染症法に基づく霊長類の輸入検査で、サルの輸入検査になります。現在輸入されるサルは、実験用に用いられるものに限るということになっております。同じく、輸入ができる国、できない国が指定されておりまして、輸入可能国からは、一定の検査を受けた、一定の証明を持ったサルが輸入され、国内に到着した後に検査を受けて、検査で合格したものは輸入、不合格ものは返送または処分ということになっております。
     次は、狂犬病予防法に基づく犬等の輸入検疫です。対象は、犬、猫、アライグマ、キツネ、スカンクで、狂犬病の我が国への侵入防止という観点で検疫を行っております。概要は省略させていただきます。
     その他ですが、家畜や家きんとサル、犬以外の哺乳類や鳥類に関しましては、厚生労働省所管の感染症法に基づく動物の輸入届出ということになっておりまして、一応哺乳類、鳥類に関しては、病気の侵入防止という点では、動物検疫所での検疫を受ける、もしくは厚生労働省検疫所への輸入届出が行われることになっております。
     水産動物に関しましてですが、対象は、コイ、キンギョその他フナ属の魚類など、数種類のものに対して、やはりこれらの魚類の病気の侵入防止ということで、輸出国政府から衛生証明書がついたものが輸入され、その内容チェック、現物チェックをした上で、国内に入るという流れになっております。
     少しごちゃごちゃしておりますが、これらの家畜の病気の侵入防止という観点での検査を行っておりますので、海外からの輸入対策とあわせまして、国内では、もしも病気が侵入してしまった場合には、国内で通常発生がない病気に関しては、早期に撲滅を図るということで、家畜伝染病予防法に基づくまん延防止措置、家畜の移動制限とか、殺処分命令とか、各種消毒などの措置がとられて、病原体の根絶を図ることになっております。簡単ではございますが、以上で終わります。

    【谷垣外来生物対策係長】 ありがとうございました。引き続きこちらから説明させていただきます。
     先ほど、国内に定着する可能性が高い港湾等についてモニタリングを行っているということでご説明しましたが、資料6-5に実施している港湾と、これまで見つかっているものについての一覧をお示ししています。主にはアルゼンチンアリが見つかっているということで、平成22年の東京港では初めてアルゼンチンアリが見つかったということで、今までどおりの取組を平成22年度から実施してきているところでございます。
     また、今、貨物等に付着している特定外来生物のようなものが見つかった場合の種の同定ということで、24時間体制で対応できる体制を構築しております。資料6-6の表で、下線を引いてありますものが、非意図的導入によるもの、例えば輸入貨物等に付着・混入して見つかったものということで示しています。主にアカカミアリやアルゼンチンアリのアリ類がこれまで貨物に付着して見つかって、同定を行っているということでございます。
     非意図的な侵入の経路といたしまして、バラスト水ということが一つありますが、バラスト水については、資料6-5にお示ししているような生物の影響が懸念されているということで、バラスト水管理条約が採択されております。発効要件というものが定められておりまして、現在の批准状況をお示ししますが、批准国数の推移ということでは発効要件を満たしていますが、船腹量についてはまだ発効要件を満たしていないということで、バラスト水管理条約については発効していないという状況でございます。日本においては、バラスト水処理装置の承認等を進めるとともに、国際的な機関での議論に積極的に参画して、課題の解決に貢献していくということを現在行っているところでございます。資料6については以上です。

    【水﨑移入生物対策策係長】 続きまして資料7、こちらはパワーポイントではなくて、配付している資料に沿ってご説明させていただきます。資料7は、外来生物の防除についての資料になります。
     まず初めに、環境省と農林水産省、国交省、それぞれがどういうことで直接防除を実施しているということをご説明いたします。7-1が環境省についての取組でございます。
     (1)について、まず環境省が直轄でやっている、生物多様性保全の観点から最優先でやるべき地域、世界遺産地域や国立公園といった場所において、奄美ややんばるのマングース、小笠原のグリーンアノールの防除などを実施しております。
     (2)につきましては、広域に分布している種ということで、防除モデル事業と地域の支援を実施しております。モデル事業につきましては、防除手法や実施体制などの検討をしまして、マニュアルにまとめる、そして地域における防除に活用していただくというもので、アライグマ、オオクチバス、アルゼンチンアリ、カミツキガメといったものについて実施しております。2番目の地域における防除事業の支援については、支援事業というものがございまして、交付金で国費2分の1で支援するものと、委託費で国費100%で支援するものと、2つございます。
     続きまして(3)で、先ほど資料6でも説明がありましたけれども、主要港において外来アリなどが入ってくるのをモニタリングして、初期防除を関係機関と協力して実施しております。また、スパルティナ・アルテルニフロラについても、防除や実態把握の調査といったところを実施しております。
     普及啓発についても、ホームページ等において、防除に係る情報提供も実施しているところです。
     (5)で、環境省のほうで研究開発費というものもございまして、これらも実施しております。詳しくは資料11のほうでご説明したいと思います。
     1枚めくっていただきまして、3ページ目、7-2は、農林水産省による取組でございます。
     (1)としまして、農業被害の防止や軽減を図る目的での防除に対する支援ということで、鳥獣被害防止特措法に基づく被害防止対策への支援というものを全国的に行っております。また、農作物への被害防止マニュアル作成といったことも行っております。
     (2)としまして、水産庁では、外来魚の駆除手法の開発や、駆除マニュアルの作成といったことをしております。
     (3)は、林野庁本庁による取組でございますけれども、小笠原諸島を対象としまして、侵略的外来種と在来種の種間相互作用に着目した森林生態系保護管理の技術開発といったことを実施しております。
     続きまして(4)は、林野庁の森林管理局による取組でございますけれども、各地で、関東であれば、小笠原の外来植物の駆除や調査、中部地域であれば、中部山岳国立公園内で外来植物の除去、九州であれば、西表とか屋久島において防除手法の検討とか実態調査といったことをやっております。
     (5)としまして、森林総研におきましては、次ページにかけて記載されておりますように、さまざまな研究を各地でしていただいているところです。
     続きまして、次のページ、7-3の国土交通省による取組についてご説明します。
     (1)としましては、外来牧草を使用しない緑化工法の技術開発ということで、工法の選定とか施工段階でどういったことに留意するかというところを整理しております。
     (2)としましては、オオキンケイギクについてですけれども、効果的な防除手法の確立とか、都市公園を対象とした管理マニュアルの作成といったことを実施しております。
     また、(3)についてですけれども、河川とかダムにおきまして、ブラックバスの防除とか、ボタンウキクサの防除、また、市民の地域団体と連携した形で外来種駆除を行うことで普及啓発を行うといった取組もなされております。
     めくっていただきまして、7-4ですけれども、こちらは、防除を行う際に、地方公共団体、市町村や県でしたら確認の手続、それ以外の民間団体は認定の手続をした上で、外来種の防除を行うということが法律に位置づけられおりますけれども、その防除確認・認定の件数の推移になります。こちらは、それぞれの年度時点で有効である件数の集計になります。
     先に次の7ページを見ていただきまして、分類群が上から哺乳類から植物までございまして、例えば一番右の平成23年度を見ていただきますと、大まかに哺乳類や植物の件数がかなり多くなっておりまして、続いて魚類や甲殻類というものが次に多いような形になっております。
     6ページのグラフに戻っていただいて、哺乳類について見ますと、赤い線の市町村が非常に多くて、魚類については、緑色の線の民間団体による認定件数が多い。植物については、民間も都道府県も市町村も、各主体で確認・認定がとられているといった傾向が見られます。
     ページをめくっていただきまして、8ページ目です。7-5になりますけれども、こちらは、上の棒グラフが地方公共団体、市町村と県、下の棒グラフが民間団体における種別の認定件数になっております。まず上の地方公共団体ですけれども、こちらは、黄色が哺乳類、緑色が植物の分類群ですが、大まかに見て、やはり市町村は哺乳類が多くて、次に植物が多いような傾向が見てとれます。次に、下のほうの民間による認定件数ですが、青色の水生生物や緑色の植物がかなり上位に多くありまして、これらは民間で取り組みやすい活動であることが原因ではないかと考えております。また、哺乳類についても一定数存在するということが見てとれます。
     次の9ページ目にいっていただきまして、7-6でございますけれども、こちらは外来哺乳類の種類別・年度別の捕獲頭数になります。鳥獣保護法に基づくもの、外来生物法に基づくもの、両方を合わせた数値になりますけれども、こちらも表の右側の平成21年度のところを見ていただきますと、一番上のアライグマ、その下のヌートリア、真ん中のあたりにありますタイワンリス、この3つの哺乳類が特に非常に多い。この種はいずれも農作物被害が大きな種ということもありますので、そうしたことが件数が多い原因かと考えております。
     続きまして、その下のものは、この表をグラフにしたものですけれども、平成17年の外来生物法施行後、外来生物法による捕獲数は、全体で見ると、かなり増加してきているかなと考えております。
     めくっていただきまして、10ページは飛ばしまして、11ページから、折れ線グラフを説明していきたいと思います。こちらは、種ごとに、有害鳥獣捕獲とか、狩猟による捕獲、外来生物法の防除による捕獲、この3種類の捕獲がどのようになされているかというところですけれども、左上のアライグマからいきますと、外来生物法の捕獲が近年急増しているということが見てとれます。
     続いて右側のヌートリアですけれども、有害捕獲と外来生物法の捕獲が近年増加傾向。こちらは岡山や鳥取でかなり捕られております。
     左下へいきまして、マングースですけれども、こちらは外来生物法ができるまでは有害鳥獣ということで捕っておりましたが、外来生物法ができてからは、外来生物法で捕っている。防除事業の結果、密度が低下して、駆除数もだんだん減少してきているということになります。
     右にいきまして、キョンですけれども、外来生物法による捕獲が近年急増しております。これは、伊豆大島でかなりたくさん捕られているということが原因です。
     左下のタイワンリスですけれども、こちらは有害による捕獲と外来生物法による捕獲が併存しているような形になっております。
     タイワンザルについては、有害による捕獲がなされている。こちらも伊豆大島がほとんどになります。
     めくっていただきまして、アカゲザルですけれども、こちらは有害捕獲と外来生物法捕獲と両方で捕られております。
     ミンクにつきましては、有害捕獲が多かったのですけれども、平成21年度に外来生物法による捕獲と有害による捕獲が逆転しているような状況になります。
     続いてめくっていただきまして、14ページになります。7-7、確認・認定を受けずに防除を実施している外来種の状況です。こちらは、市町村や民間団体にアンケートをとって集計したものでして、確認・認定を受けないで外来生物の防除をしている件数を取りまとめたものになります。
     アライグマ、ブラックバス、オオハンゴンソウについては、このアンケートでは対象外としておりまして、わずか数件載っておりますけれども、それは誤って回答されたものになります。
     赤字が特定外来生物になりまして、黒字がそれ以外の種になります。全体の傾向を見ますと、確認・認定を受けずに防除している外来種というのは、植物や水生生物といったものが多いということがわかりました。特に水生生物については、民間団体によって実施されている防除が多いという傾向が見てとれます。
     続きまして、7-8、アライグマにおける防除の取組状況ということで、これまで全般的に確認・認定をご説明してきましたけれども、特にアライグマとブラックバスとオオハンゴンソウについてもう少し詳しく見ていきたいと考えております。
     こちらは、上のグラフが年度別の防除の実施件数でして、下のグラフが防除の確認・認定を受けた件数の推移になりますけれども、どちらもアライグマについては年々増えているという状況になります。
     下の表については、防除を実施したもののうち、法律に基づく確認・認定をどのぐらいの割合でとっているかということですが、アライグマに関しては7~8割と、比較的法の手続をとって防除を実施している割合が高いということがわかります。
     めくっていただきまして16ページですけれども、こちらの円グラフは、確認・認定を受けずに防除を実施している理由を聞いたものです。一番理由として多かったのは、アライグマについては、「鳥獣保護法の有害鳥獣として許可を受けている。そのために新たに外来生物法でとる必要がない」という理由が目立ちました。
     次のページの17ページですけれども、これは、上の日本地図が、都道府県ごとにアライグマがいるかどうか、防除しているかどうかということを聞いたものでして、下のグラフが市町村ごとに聞いたものになります。色としましては、青いものは、生息情報があって防除を実施しているもの、緑色のものは、生息情報があって防除を実施していないもの、黄色のものは、生息情報がないもの、白のものは未回答ということになります。東北などは若干生息情報がなかったりというものはありますけれども、アライグマはもうほぼ日本全域に分布しているということがわかります。
     めくっていただきまして、今度は生息数が増えているかどうかということを各都道府県に聞いた結果でございます。下の日本地図のほうを見ていただきますと、赤が「大幅に増加した」、オレンジが「やや増加した」、黄色は「変わらない」、緑はありませんけれども、「やや減少した」、紫が「大幅に減少した」、青が「情報がない」というものになります。生息数については、「大幅に増加した」あるいは「やや増加した」とした回答が約4割となっておりまして、全体としてアライグマは全国的に増加しているような傾向が見てとれました。
     続きまして、次のページの19ページになりますけれども、こちらは防除を実施するに際して専門家の協力が得られているかとうかというものと、防除している場合に、モニタリングを実施しているかどうかということをアンケートした結果になります。まず専門家の有無については、左上の都道府県の結果と、右上の市町村の結果、左下の民間団体の結果とありますけれども、市町村では7割で、専門家の協力が得られないまま防除を実施している。モニタリングを行う防除はほとんど実施されていないということがわかりました。
     続きまして7-9ですけれども、こちらは基本的に先ほどのアライグマと同じような集計をしておりますが、一番下のほうの表を見ていただきますと、防除を実施したうち、確認・認定を受けてやっているのが何割ぐらいかということは、オオクチバスについては10~30%と、かなり低い割合になっております。また、防除はやはり民間団体、漁業組合とかがやっている場合が多いということがわかりました。
     次のページですけれども、確認を受けずに実施しているのはなぜかというところでは、「生きたままブラックバスを運搬する必要がない」という理由が一番多くございました。
     めくっていただきまして、全国の分布状況ですけれども、黄色が分布していないというものですが、北海道以外はもう全国的に分布しているといった状況になります。
     続いて、アンケートで生息状況が増えているかどうかというのが、23ページの結果ですが、青色が「不明」「情報がない」というものですが、「情報がない」というのがブラックバスでは非常に多かった。生息数がわかりにくい種だということが言えるかと思います。
     続きまして24ページになりますが、専門家の協力がどれだけ得られているかということですが、先ほどのアライグマに比べまして、市町村では5割程度と低いのですが、都道府県・民間団体は8割のもので「専門家の協力が得られている」ということで、かなり高い数字になっております。モニタリングについては、3割ほどで「実施している」という回答が得られています。
     続きまして7-10、次のページですけれども、今度はオオハンゴンソウについてです。まず、防除を実施した件数に対してどのぐらいの割合で確認・認定を受けているかといものですが、こちらは都道府県では10%程度なのですが、市町村では30%、民間団体では6割と、団体によってかなりばらつきがございました。
     めくっていただいて、確認・認定を受けていない理由についてですけれども、「生きたままの運搬がないから」というものと、「自然公園法の許可を必要とする特別保護地区での捕獲を行っていないから」というものがございました。
     次のページは飛ばしまして、28ページのほうですけれども、専門家の協力を得られているかどうかというものです。各都道府県、市町村、民間団体は、概ね5割以上のもので「専門家の協力は得られている」。モニタリングも5割程度のもので「実施されている」といった状況でございます。
     続きまして7-11、29ページでございますけれども、国や地方による防除の支援策の実施状況です。国や都道府県、市町村、民間団体に、どういった防除の支援策をしているかというアンケートをとりましたところ、いずれの主体でも、防除の実施とか普及啓発に取り組んでいるというものが多くありました。また、都道府県では防除マニュアルの作成というものは高かったのですが、市町村で防除マニュアルをつくっているというものは少ない状況にありました。
     1枚めくっていただきまして、31ページの表は、国とか都道府県、市町村が作成したマニュアルの一覧になります。かなり多くの種についてつくられているような状況になります。
     また1枚めくっていただきまして、最後は7-12ですが、こちらは、昨年度、外来種防除戦略検討会というものを行いまして、そちらの検討会の結果として、防除に対してどのような課題があって、それに対する方向性を取りまとめておりますので、概略をご説明させていただきます。
     まずは課題についてですけれども、防除の一定の効果が得られた事例もあるのですが、国レベルで根絶に成功した事例はなく、広域に分布する外来種についても、分布の拡大阻止に成功しているとは言いがたい状況にある。また、行政機関で防除を行うに際して、財政的に非常に厳しく、予算や体制を確保するのが難しいということが指摘されております。防除に当たっては、限られた予算・人員の中で、どの種からやっていくのかという優先順位や、誰がやるのかという役割分担、また基礎的な研究や、防除手法のマニュアル整備といったことをきちんと実施していく必要があるということが指摘されております。この後に少し詳しく書いてありますが、時間の関係で割愛させていただきます。
     36ページに、課題を踏まえた今後の方向性というものがございます。冒頭ご説明のありました外来種被害防止行動計画というものを策定することで、防除における優先度とか、連携、役割分担といったものを整理したいと考えております。根絶するのか、拡大防止するのか、低密度で維持するのか、そういう目標をきちんと設定し、戦略的な防除計画を策定して防除する。モニタリングをきちんと行って、順応的な防除を推進する。また、各主体の防除の支援策の推進、連携といった面では、特に初期防除の重要性をきちんと周知徹底して、どこが分布拡大しているのかという情報提供を推進する必要がある。また、技術的な助言を行うための専門家の派遣・育成とか、研究開発の推進といったことが必要である。また、各地での事例を共有できるような場をつくるということと、各地域で生物多様性地域戦略を策定し、独自の外来種リストの整備等を促進するといったところ、また普及啓発を強化していくといった方向性が整理されております。
     最後に、参考としまして、6月7日に行われました行政レビュー公開プロセスでの指摘について、簡単にご説明させていただきます。外来生物の防除に係る予算が対象となっておりまして、こうしたコメントをいただいているということです。
     非常に意味のある事業ということで、事業自体の必要性は認識していただいたのですけれども、費用対効果も勘案して、捕獲方法や、本当にやっている人にインセンティブが働くような制度設計になっているのかという指摘があり、報奨金制度なども含めて検討するようにということでした。
     また、全般的に、どの外来種についてどこまでやるのかという基準を明確化するようにといった指摘がございまして、抜本的改善といった結果になってございます。
     防除に関しては以上になります。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 続きまして、資料8、国内由来の外来種対策についてご説明いたします。
     国内由来の外来種対策につきましては、附帯決議において、自然公園法などの既存法令を活用した規制の強化などを行うこととされておりますので、既存法令の対策を中心にご説明いたします。
     まず、自然公園法及び自然環境保全法は2度にわたって改正されておりまして、国立・国定公園の特別保護地区、原生自然環境保全地域については、すべての動植物の放出等が規制されています。あと、自然公園の特別地域、それから自然環境保全地域の特別地区につきましては、指定地域の指定した動植物種の放出が規制されています。
     また、自然公園法の生態系維持回復事業という、自然公園内で主にシカの食害などの生態的被害を防止するための生態系を維持回復させるための事業が創設されまして、現在6カ所の国立公園でやっておりますが、白山におきましては、外来種対策を念頭に置いた生態系維持回復事業がやられております。この中では、外来植物の除去とか、登山口に外来植物種子除去マットの設置といったことがやられております。
     また、各国立公園では、例えば支笏洞爺ではコマクサ、小笠原ではガジュマル、リュウキュウマツ、アカギ、富士箱根伊豆ではニホンイタチ、アズマヒキガエルなどの国内由来の外来種の対策をやっているものもございます。
     このほか、すべての国立公園で国内由来の外来植物が生育していると考えられますが、こうしたものはパークボランティアなどによって、ほかの外来種とあわせて駆除されている場合もございます。
     地方の国内由来の外来種対策ですが、これは地方公共団体で条例をつくって、国内由来の外来種を規制しているものがございます。この青色が、外来種の放逐・植栽などの禁止項目があるところでございまして、斜線があるものにつきましては、国内由来の外来種を含む条例でございます。青色の外来種の放逐・植栽の禁止項目のあるものは11自治体。あと禁止項目なしというのは、外来種の影響調査や情報提供を行う規定があるものが9自治体ということでございます。
     地方の中で独自に外来種リストをつくっている自治体がございまして、独自リストをつくっているのが青色の14自治体。そのうち、国内由来を含むものが13自治体ございまして、それが斜線をつけたものでございます。
     以上が国内由来の外来種対策でございます。
     続きまして、各主体における外来種対策の現状と課題ということで、ページ1と2は、条例と外来種リストを独自でつくられているという、先ほどと同じ資料でございますので、割愛いたします。
     あと、動物園・水族館における外来種対策の協力の可能性ということで、平成22年度にアンケートをとっておりまして、その中で協力できることとして、「外来生物問題などを展示している」というのは、動物園で16、水族館で20。なお、動物園は69、水族館は44の母数の中で、こういった機関で実施されています。あと、職員向けの研修・勉強会、一般向けの研修・勉強会も、幾つかの動物園・水族館でやられております。こういったことから、将来的には種の同定とか、駆除方法のアドバイスとか、そういった専門機関としての役割への期待があると考えております。
     外来種問題に対する企業の取組事例としましては、技術開発として、バラスト水浄化システム、オオクチバス人工産卵床の開発。ペットの引き取りとしては、観賞魚の引き取りシステム、あとカメの引き取りをしている研究施設。代替在来種への切りかえ、種苗による緑化事業とか、生業もしくはボランティアによる防除を行っている例でございます。こういった企業の取組を進展させるためには、CSR、社会的責任の浸透とか、外来種問題の重要性の理解、それから外来種というのは生き物を殺さなければいけないということもございますので、そういった企業イメージへの影響というものが懸念されるというところがございます。
     こちらは、昨年度、外来種防除戦略検討会において、各主体の役割、国、地方公共団体、企業、研究者、NGO等にどういった役割があるかというものをまとめたものです。
     国では、例えば外来種に関する情報の収集、整理、提供とか、中期的な行動計画をつくったりとか、優先度の高いものは自ら防除する、また技術的・資金的な支援をしましょうといったこと。
     地方公共団体につきましては、地域の生物多様性の保全、農林漁業の振興、住民の安全確保といったことから、外来種の防除に対しても重要な役割を担っている。地域において多様な主体の参加・協力を求めていくということが必要になります。
     企業につきましては、外来種被害予防三原則である「入れない、捨てない、広げない」ということを企業活動にも広げていただく。また、所有地の管理をする立場から、積極的な防除。あと企業の社会的責任から、防除の協力。
     NGO・NPO等につきましては、さまざまな主体と連携した活動や支援。
     研究者につきましては、科学的知見を蓄積し、さらに社会に還元することによって、防除への専門的な指導など、必要不可欠な役割を担っていく。
     市民につきましては、「入れない、捨てない、広げない」の三原則の遵守。あと、周辺の生態系に影響を及ぼす、または及ぼすおそれがあるものについては、必要に応じて駆除、封じ込めなどの努力というものが期待されると取りまとめております。

    【谷垣外来生物対策係長】 続きまして、資料10、お手元の紙のものに従って、普及啓発の状況についてご説明いたします。
     10-1と振ってありますのは、外来生物問題認知度調査としまして、平成22年度、23年度、環境省においてインターネットのアンケートで認知度を調査したものを取りまとめております。2カ年とも共通した質問としては、外来種・外来生物という言葉の認知度、それから外来生物法の認知度、またどこで外来生物法を知ったか。平成22年度については、深刻だと思う日本の外来生物問題とか、外来生物問題の対策についての考え方、それから11枚写真を見せて、どれが外来生物かについて回答していただくといったことを実施しました。23年度については、外来種問題の主な原因とはどういうものがあるか。それから、今後どういう取組が外来種対策として重要か。それから、外来種問題に対して自ら実施・参加できそうな取組は何かということについて聞いております。
     7ページの4、考察としていますけれども、結果としましては、「外来種・外来生物の意味を知っている」と回答した人は比較的多かったのですけれども、「法の内容を知っている」と回答した人は非常に少なかったということを受けまして、法の適正かつ効果的な執行のためには、法についてより一層の普及啓発を図る必要がある。
     それから、報道機関による影響が大きいということが回答からわかりましたので、機会をとらえて、より積極的に情報発信をしていくことが必要であろうと考えております。
     特に世代別に見ますと、男性は20代、女性は10代・30代の認知度が低いということがございましたので、学生も含めた若年層に対して普及啓発を実施していくことが必要であると考えております。
     また、具体的にどの生き物が外来生物かを知っている方が意外と少ないということもわかりましたので、外来種問題の要因も含めて、より身近な問題とか具体的な事例を提示しながら情報発信していくことが効果的と考えられました。
     対策の呼びかけについては、「駆除活動へのボランティア参加」ということを挙げた割合は低かったのですけれども、ペットの適正飼養とかということについては、回答の割合が高かったので、身近なことを中心に協力を呼びかけていくということが重要だと考えております。
     資料10の8ページ、10-2といたしまして、教育の場では外来種がどのように取り扱われているかについて書かれております。学習指導要領については、平成21年度に高等学校と、平成20年度に中学校の学習指導要領を改訂して、外来種については高校からの学習ではなくて中学生から学んでもらう内容として記載しているところでございます。以下については、学習指導要領の内容を抜粋しております。
     11ページからは、環境省による普及啓発の取組として、どういった取組をしてきたかということで、11ページに一覧表を掲げています。
     12ページ以降は、ポスターパンフレット類はどういったものを作成しているかについて掲載しています。輸入関係、一般の方向け、子ども向け等、いろいろな媒体をつくって、機会をとらえて啓発をしてきております。
     地方においても、地方環境事務所ごとに、地方の実態に応じた情報発信をしてきているということで、14ページ以降に地方事務所の取組ということについても掲載しております。
     以下、細かいことですけれども、具体的に、平成22年度以降ぐらいでどういったシンポジウムとか、機会をとらえて実施してきているかということについて具体例を挙げてご紹介しております。
     最後、10-4としているところについて、地方公共団体においてどのように外来植物への取組が浸透しているかについてご紹介しております。地方公共団体においても、公共事業で緑化植物に外来種を極力使用しないようにするといった計画を各自治体でつくられて、取組を進めていただいております。19ページ、20ページにその取組の一覧表を掲載しております。
     資料10については以上です。

    【水﨑移入生物対策策係長】 続きまして、資料11につきまして、調査研究に関連して現状をお伝えいたします。
     まず1ページ目の11-1についてですけれども、学会において外来生物を対象とする発表や論文がどの程度あるかということですが、幾つか検索等をして集計しております。
     まず、日本生態学会の全国大会において口頭発表やボスター発表でどの程度発表されているかというのが、1ページ目の下のグラフになります。法施行後一度上がったのですけれども、その後は比較的横ばいといった状況になっております。
     めくっていただきまして、2ページの下にありますグラフが、J-GLOBALの文献データベースで「外来種」などでキーワード検索をしたものでして、次の3ページの右下は、CiNii Articlesのデータベースで同じように検索したものですが、どちらも最初は、法施行後は急激に上がってはいるのですが、その後は論文の件数の伸びが鈍化してきているといったのが全体的な傾向かと考えております。
     めくっていただきまして、5ページ目、11-2ですけれども、環境省が管理している研究資金のものをまとめました。これまで、平成17年以降3つ研究費があったのですけれども、まず1つ目がa)の環境研究総合推進費でございます。こちらは、政策に結びつくような研究をやる。広く研究者向けに公募して、競争して研究資金を獲得していただくというものでして、この3つの研究費の中で一番外来種関連の件数も多いものとなっております。
     2つ目が、地球環境保全等試験研究費というものでございまして、こちらは関係府省の試験研究機関が対象で、国立環境研究所などの、国の研究機関が実施するものが対象になっております。こちらにつきましては、平成25年度までで終了する予定ということになっております。
     3番目に、生物多様性関連技術開発等推進事業というもので、生物多様性の保全に必要な技術開発、特にすぐに2年、3年で施策に応用できるような、応用性の高いような研究を推進することを目的としたものになっております。こちらについても、アライグマ、マングースについて、研究の採択がございますが、こちらの研究費も平成21~23年度までの3カ年で終了しているという状況でございます。
     次のページからは、これら3つの研究費でどのような研究がなされたのかということの概略がずっと記載されております。10ページ、11ページにまとめを記載しておりますけれども、動物、植物、藻類だけではなく、寄生生物、小型甲殻類、病原菌、微細藻類など、かなり幅広い分類群の研究が実施されております。対象につきましても、農業生態系から小笠原諸島の自然生態系に至るまで、幅広い環境が対象とされている。また、問題解決への切り口というものも、生態系への影響の解明、分散経路の解明、生態リスク評価法の開発、寄生生物等の付随的な移入、駆除対策、自然再生と、さまざまなものがあるということで、非常に幅広い分野の研究に活用されているということが言えるかと思います。
     今後の課題としましては、11ページになりますけれども、現状把握にとどまって、問題解決のための具体的な提言まで至っていない研究もございますので、研究成果が着実に政策に還元されるように、今後仕組みを考えていく必要があるという点と、環境省が管理したこうした研究資金制度が存在することをご存じない研究者の方もかなりいらっしゃると思われますので、研究資金制度について普及啓発していく必要があるかと考えております。
     続いて、最後の12ページですけれども、「放つこと」の規制、外来生物法で最初にご説明がありましたように、捕獲した動植物を放つ行為は基本的に禁止されております。例外的にキャッチ・アンド・リリースというものは認められている状況ですけれども、こうしたことから、今の法制度では、捕獲したその場で麻酔とか、発信器を装着してすぐにその場で放つということは認められるのですが、それ以外の場合で、捕獲した特定外来生物を再度野外に放つということは例外なく禁止されているという状況ですので、今後、学術研究目的で捕獲して、その場で処理できないようなケースがどのぐらいあるか、必要性を把握することが必要と認識しております。また、防除におきましても、ウリミバエで実施されております不妊化個体を放つことによる駆除といったものが、もし特定外来生物においても技術的に可能となった場合でも、今の法制度ではそれが実施できないという状況にあります。こうした状況を踏まえまして、法制度の改正の必要性も含めて、今後検討していく必要があると認識しております。
     調査研究につきましては以上になります。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。
     それでは、資料11まで一通り説明していただいたということで、資料12の論点についてこれから議論していきたいのですが、まず、先ほどもちょっと紹介していただきましたけれども、資料の12について、もう一度紹介をお願いします。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 それでは、資料12の論点の整理案について、事務局の整理案をご説明させていただきます。
     (1)特定外来生物の選定でございますが、現在105種類指定されていて、第二次指定で86種類まで指定しました。その後、未判定外来生物の輸入届出の審査に伴うもので5回にわたって指定されています。未指定であるが侵略性が高いことが危惧されるスパルティナ属などの定着が2地域で確認されています。課題と検討の方向性としましては、外来種ブラックリストなどを策定することを通じて、特定外来生物の追加指定を含め、対策が必要な外来種について整理する必要がある。
     (2)飼養等許可の現状と課題でございますが、生業の維持のために許可されている飼養等については、微減傾向にございますが、大きな変動はない。種指定に伴い代替種の利用が進展している状況も見られますが、在来種であっても無秩序な利用には遺伝的撹乱のおそれが指摘されております。セイヨウオオマルハナバチなどの飼養においては一部不適切な管理が確認されております。特定外来生物の違反行為は近年減少傾向にあるというのが現状です。課題と検討の方向性としましては、セイヨウオオマルハナバチなどの飼養管理については、引き続き指導監督を強化する必要がございます。特定外来生物の指定に伴う代替の在来種などの利用について、留意すべき事項を整理する必要がございます。
     (3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の現状でございますが、意図的な導入については、税関、植物検疫、動物検疫などのご協力により、輸入規制の効果が上がっている。非意図的な導入対策については、モニタリングなどにより早期発見に努めているものの、アルゼンチンアリなどの侵入や分布拡大が見られます。課題と検討の方向性としましては、モニタリングの強化などにより侵入初期の外来種の早期発見に今後とも努める必要があります。非意図的な導入対策に関して、水際で確認された外来種の迅速な対処を含む効果的な制度のあり方について検討する必要がございます。
     (4)国による防除の実施、防除に係る確認・認定でございますが、現状としては、環境省では、保護地域などにおける防除を優先的に推進し、希少種の回復など、一定の効果は見られるものの、根絶などの目標達成には至っておりません。広域に定着する外来種については、モデル事業により防除マニュアルを作成し、公開しているが、多くの外来種において分布の拡大を阻止するなどの封じ込めは実現できていないのが現状でございます。課題と検討の方向性としましては、環境省で実施する防除の優先度の考え方を整理し、それを踏まえた短期、中長期的な防除対象種とその防除目標を明確にする必要がございます。また、防除に当たっては、費用対効果も含めて、最適な防除手法に見直していく必要がございます。広域に定着している外来種については、地方公共団体などへの効果的な支援、連携のあり方を検討する必要がございます。
     (5)国内由来の外来種対策の現状でございますが、自然公園法、自然環境保全法の一部改正により、動植物の放出等の規制を強化しております。地方公共団体による国内由来の外来種も含む条例等の規制、独自リストの策定にも一定の進展が見られます。課題と検討の方向性としましては、対策が求められる国内由来の外来種について整理し、既存制度などを活用した対策の促進方策を検討する必要がございます。なお、外来種ブラックリストでは、国内由来の外来種も対象に含め、こういった対策の促進ができればと思っております。
     (6)調査研究、普及啓発、各主体の協力と参画ということで、現状としては、調査研究は進展しているものの、防除手法、分布拡大などの予測評価手法等の研究開発についてはさらなる進展が期待されます。外来種対策に関する普及啓発は進展しているものの、外来種の防除に対する地域住民などの理解や協力が得られない場合もございます。企業や団体においては、一部で外来種対策を実施する例はございますが、社会全体への浸透には至っておりません。課題と検討の方向性としましては、各主体における外来種対策に関する行動の指針を明らかにした外来種被害防止行動計画の策定を検討し、さらに効果的な普及啓発の方法について検討する必要がございます。
     以上が事務局の論点の整理案でございます。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。
     それで、これから議論に入るのですが、大分予定の時間をオーバーしてしまいましたので、一旦ここで、時間も大分過ぎましたので、休憩を入れたいと思います。40分に議論を再開したいと思います。

    (休憩)

    【石井(信)小委員長】 それでは、会議を再開したいと思います。
     まず、資料12に沿って、議論というか、ご意見をいただきたいのですが、今日は事務局のほうでは幾つか現状の課題とか方向性というのを提案されていますけれども、ここに見落とされているものとか、そういうものを含めてご指摘いただくということが中心になるかと思います。なるべく課題、問題点をご指摘いただいて、それに対してどういう対応ができそうかというのは次回の会議で議論するということだと思います。ということで、まず資料12の(1)特定外来生物の選定、これは資料3に基づいてご質問、ご意見ということをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。はい、お願いします。

    【鷲谷委員】 資料のどこということではなくて、もうちょっと一般的なことになるんですけれども、絶滅危惧種を保全する場合にも、いろいろな目的の自然再生をするに当たっても、目的を実現するにはどうして外来種対策をしなければならないような国土の現状というのがあると思うんです。それで、外来種対策を外来種対策として独立させて実施するというよりは、もっと広い取組の中に外来種対策を組み込んで、外来種をある空間から排除することによって自然再生の目的に近づけるとか、あるいは何種類かの絶滅危惧種が保全できるとか、そのような活動というのが最も効果的。根絶という言葉も幾つか出てきているんですけれども、私が何年か前から関わっているようなものなどですと、この間蔓延という言葉を使いたくなるぐらいな状況があって、根絶というのはあまりにも遠い目標のように思うんです。それよりも、生物多様性の保全と持続可能な利用という幅広い目的を遂げていくに当たって、どうしても排除しなければならない場とか、それからシステムとかがあって、そういうところの活動を重視すれば、一石二鳥とか三鳥にできて、効果も説明しやすいと思うんです。こういう成果があったというときに、外来種を何個体退治しましたといっても、ただそこだけに目を向けていたら、退治してもまたすぐにそれを倍するぐらい増えてしまう可能性もあるわけです。それを排除したことによってどういう自然がよみがえったかという説明ができて、効果を国民にも説明しやすいのではないかと思いますし、そういう目標像があって初めて市民のボランティアの方とか地域の住民の方が一緒に力を合わせてくれるのではないかと思います。以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。基本的な、そもそもなぜこういう法律をつくって外来生物対策をするのかという根本に関わるところのご意見だと思います。全体的なことについては、最後のほうでも一度ご意見を伺うつもりもあったのですけれども、時間の最後になるとなかなかご意見が述べられないということもありますので、そういう全体に関わる意見も含めて意見をいただければと思いますけれども、ただ、とりあえずは(1)の特定外来生物の選定ということに関しても、何かご意見があればお願いしたいと思います。

    【鷲谷委員】 生物多様性の保全ということに関心を持って世の中を見ていると、影響力の大きい外来種というのはたくさんあるのですけれども、生態系をその土台から変えてしまうような侵略性の高い一次生産者というのはとても重要なのではないかと思います。その多くが緑化植物なんです。そのように変化してしまったところを再生するようにかなり地域等で頑張っているんですけれども、使われ続けているとなれば幾らでもまた侵入してくるということもあって、前からずっと議論が続いていて、検討とか研究が随分進んでいるのではないかと思いますので、そういうことも踏まえて、今全国的にどういう植物が影響を与えているかという影響も考えて指定していくということも重要ではないかと思います。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。特定外来生物は、植物の種が非常に少ないですけれども、一次生産者というか、生産者という生態系での役割から考えると、もっと重要視して、植物について着目した選定も含めて必要といったご意見かと思います。
     ほかにはいかがでしょうか。では、太田さんからお願いします。

    【太田委員】 これは一番最初の特定外来生物選定の議論のところでもかなり出て、でも結局何かそのままになってしまっていて、ここにもあまり出てこないので、ちょっとどうなのかなと思うんですけれども、例えば特定外来生物の選定そのものが、これは日本の国としての法律だから、日本全体を一律で考えざるを得ないのかもしれないですけれども、私が思うのは、こんなに沖縄ではめちゃくちゃになっているのに、日本本土ではそれがいることがそれほど大した問題にならないといったものが結構あるんです。決めるとなると、それを全部一律で決めないといけないというのが今までの考え方だったので、それを決めると、例えば本土でその辺の幼稚園やらで飼っているものにすごい負荷がかかる。だけれども、それを放置すると、今度は沖縄ではそれが逃げ出してとんでもないことになるというもののいい例がクジャクなんです。そうすると、クジャクも特定外来生物で何とかするべきだという考え方をすると、いや、だけれどもそんなものは本土の幼稚園ではあちこちで飼っているし、それを全部規制してあれこれ細則をつけるとすると、その辺のものがもう飼えなくなるデメリットもあるとか、そういう話になりますし、では今、例えば琉球の八重山とか宮古とかに行ってみると、もうクジャク天国になっていて、小動物はほとんどいないということで、もう手遅れではないかというぐらいで、でもまだほかの島へ広がるのをとにかく何とか防がなければいけないという状況があるんです。
     ですから、もちろん個々のものを挙げて、それから今、鷲谷先生がおっしゃったように、生態系の中のある部分のものを挙げて議論するのも、全般的な議論ももちろん大事だと思うんですけれども、現実的に効果を求めた法律を云々するというのであれば、その地理的な、少なくとも生物地理区として違うところを日本という国で一つになっているわけですから、そのあたりの細かいところにも少し対応したものでないと、何か現実的でないような気がいたします。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。では、石井先生。

    【石井(実)委員】 要注意外来生物の問題なんですけれども、特定外来生物にするか、要注意外来生物にするかというケースの中で、特に私が関わっている昆虫の場合には、植物防疫法との関係というのがかなり大きいわけです。それで、今回は資料3になっているものの3ページの上に「要注意外来生物の選定について」というのがございますけれども、これの③にホソオチョウとかアカボシゴマダラとかというのがありますけれども、このあたりは特定外来生物として選ばなかったんですね。選べなかったと言ったらいいのかもしれませんけれども。それで資料12の(3)を見ると、「現状」のところの一番初めに、「意図的な導入については、税関、植物検疫、動物検疫等の協力により、輸入規制の効果は上がっている」と言っているのですが、ちょっと言葉が適切かどうかわからないんですけれども、何となく「ポテンヒット」的になっていて、外来生物法では、植物防疫法があるから、避けて要注意外来生物ぐらいにしているんだけれども、実際にアカボシゴマダラのように本当に有用植物を害するものでないものは、一応資料3の先ほど言った③のところには、「現在植物防疫法の規制対象となっている」と書いてあるんですけれども、何も植物防疫は―これは言い過ぎかもしれませんが、やっていないような気がするんです。アカボシゴマダラというチョウは、誰かが中国から密輸して、それで神奈川に放して、それがかなりの勢いで広がっているにもかかわらず、緊急防除といったことをやったという形跡はないですし、持ち込んだ密輸者を捜査して、それを規制するとかという動きをしたこともないですし、要するに何もしていない状態で、今この資料には山梨や静岡でも見つかっているとされていますが、大阪でももう見つかり始めたりもしていて、誰かが勝手に持ち運んで、国内各所に持ち込まれてしまったら、何の規制もないということになってしまっているんです。これは一つの例なんですけれども、こういう具合に、要注意外来生物を選ぶといいますか、特定外来生物にしなかったというものの中に他法令との関連があるのですが、この辺はかなり問題なのではないかということを指摘しておきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 では、続けてお願いします。

    【中井委員】 どうも、遅れて来て申し訳ございません。琵琶湖博物館の中井でございます。
     今、太田先生、石井先生、どちらもおっしゃったことをまとめてということになるのでしょうか、恐らくは外来種問題の多くは、そもそも外来種問題の対策の基本は早期対応ということにあるのですけれども、そのためには緊急対応ができる仕組みがどうしても必要であろうと。そのためには地域限定の緊急指定という対応ができるような仕組みを持ち込むことができたら、かなりこのあたりは見直せるのではないかと思います。
     あと、特定外来生物の選ばれ方なんですけれども、資料3-3について、特定外来生物の特徴として、種よりも上のグループで選ばれる場合があり得ますよね、属単位とか、科を単位として。これは非常に便利な仕組みだと思うんですけれども、それが使われているところと、使われずに、特定の種を指定して、あとは全部要注意に入れているようなものもあったりするんですが、そのあたりはもう少し分類群間の整合性をとったほうがいいのではないかと個人的には思っております。
     例えば、アノール、アノリス属です。これは、最初はグリーンとブラウンだけしか指定されていなくて、恐らくその後、未判定のものとして輸入申請があって、次々にそれが追加されるような状況なんですが、なぜアノリス属という形で指定ができなかったのかということでもあると思うんですけれども、もしそのような形でやっておくと、未判定にたくさん入れて、それを次々と、これはまだ指定されていないから申請しようかなという動きもある程度予防できるのかなというのが1点。
     そしてもう1点ですが、今度は植物については、未判定があまりに少ないですね。2種しかないわけです。そもそも指定種が少ないという以上に未判定が少なくて、今回3-6にありますように、スパルティナ属の中でまた別の種が指定されているということがありますし、後の別の資料ではたしかチドメグサ属が、要は指定されているブラジルチドメグサ以外は、どんどん輸入が許可されているという状況があると思います。恐らくは同属であれば生態的リスクはかなり近いと思うんですけれども、それが未判定にもなっていないから、どんどん指定種以外のものの輸入を助長しているところがあります。このあたりももう少し未判定をしっかりと、今の仕組みであれば、未判定の整備をもっとしっかりとするべきだろうというのが、現状の反省として非常に重要だと思います。
     同じように、今度は要注意のほうでいきますと、要注意は、多分これは法律施行のときに慌てて選定してつくってそれっきり、特定外来は追加指定がありましたけれども、恐らく未判定はほったらかしだったと思うんです。実はここの3-6に挙げられる以外に、既にかなり問題化しているもの、要は未判定を選ぶときに漏れていたものが一杯あると思います。特に水生無脊椎動物はかなりひどい状況があって、もう全国に蔓延状況がどんどん進んでいるものがあります。このあたりについて、少なくとも環境省側としては全く情報発信ができない状況にある。これも大きな問題だと思いますので、今回ブラックリスト化していくということであれば、もう未判定はあまりいじくる必要はないのかもしれませんけれども、それまでの移行的措置として、せめて今、法律施行後ずっとほったらかしにされている未判定の追加選定、これぐらいの作業はすぐにでもしておくべきではないかと思います。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 今日は意見をお聞きするということだと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。はい、お願いします。

    【磯部委員】 総括的なことになってしまうかと思うのですけれども、私は、専門が法制度とここではなっております。今回は法制度の仕組みを大きく変えるというような話にはならないものと思いつつお話を聞いていたのですけれども、今何人かの先生のご発言を聞いていると、やはり現行法の規制の仕組みという観点からして、法的な道具といいますか、規制の手法が果たして十分足りているのかという問題が一つありますし、また規制の道具はあるのだとしても、それらが実際にうまく使われているのかという問題があると思われます。そういう点で関係者にはいろいろご不満もおありなのではないかなという気もしてきたのですけれども、こういう点に関して、データとして、例えば、罰則規定が現行法にはありますが、果たして実際に立件された件数はどのぐらいあるのかとか、あるいは規制の手法として、もっとこういう工夫があったら、はるかに規制の実効性をあげることができたのに、そういう手法がないから非常に残念だといった話があるのかどうかということです。そういうことをしっかりデータ化することは容易ではないし、あるいはデータとしてつくりにくいということがあるのかもしれないんですけれども、先ほどご説明いただいたように、棒グラフなどで、効果は大いに上がっているということはそれなりにわかったのですけれども、たとえば悪質な業者や不注意な者がいるという場合に、十分に対処できているのだろうか。そういう意味での法の執行状況について、次回などにできたらば少し説明していただければというお願いがあります。
     それはともかくとして、法的な仕組みとして、今のような罰則規定だけで足りるのか、もう少し緊急対応が必要となった場合などにおける強制手法など、実効性確保の研究が必要なのではなかろうかと思います。あるいはまた、先ほどご指摘があったことですが、未だに全国規模のな問題にはなっていないのだけれども、一定の地域においてはかなり深刻な問題があるというときに、確かに法制度というのは原則的には全国画一的なものでなければならないという面が強いために条例でローカルルールとして一定の規制手法をつくろうとした場合にこれはまったく不可能ということではないのですけれども、法理論上も実務上も、やはり大きな限界がある。そういう問題もあるので、これはいまのところ研究課題ということにとどまりますが、さまざまの法的な手法を道具としては法律の中に用意しておきながら、個別の認定や運用に関しては、地域性を加味した、あるいは緊急性を加味した、より機動的な認定なり運用ができるといったしくみを考える必要があると思われます。何もないところから出発しながら、今日では環境省所管の諸法制が一定の整備水準に達してきただけに、もう一段の実効性確保のための検討をする段階に来ているような印象を非常に強く持ちます。このことをどこで申し上げようかと思ったのですけれども、早目に申し上げておいたほうがいいかということで申し上げた次第です。どうもありがとうございました。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。この小委員会は、法制度を変えようということはまだはっきりしていませんけれども、もちろん議論の中で、法令改正が必要なことがはっきりしてきたら、それは当然考慮するという仕組みになっておりますので、そういうご指摘はしていただきたいと思います。
     それと、違反件数という話は先ほどちらっとご紹介いただきましたけれども、こういう制度になっていればこういう問題は防げたといった分析というのですか、それはさらに必要ではないかというご指摘だと思います。
     それでは、あまり急ぐのもどうかと思いますけれども、論点がまだたくさんありますので、今日お気づきにならなかったこととか、時間がなかったということで意見が述べられなかった、そういう点がありましたら、後で事務局に連絡していただくということになっておりますので、できれば先に進みたいと思うんですけれども、この種の選定に関して、ほかにご意見はいかがでしょうか。はい、どうぞ。

    【大矢委員】 もう1点だけ。外来生物法の種の選定のときに、現在日本で被害が大きいものではなくて、外国でも被害が大きいから、いずれ日本も危ないだろうということで入れてしまったものもあるということがございました。それから、今、太田先生がおっしゃいましたように、地域的な被害状況が大きいもの、そういうものをここで一回整理する必要があるのではないかなと思うんです。ワシントン条約の場合は、ご案内のように、Appendix I、II、IIIと分かれております。それを外来生物法に持ってくるというのは非常に難しいかもしれませんけれども、ある部分でそういった分け方も参考にすべきではないかなと考えるんです。
     例えば、フクロギツネなどは、一体、現在日本のどこで、外来生物法で考えなければいけないような部分が起きているのか、そういう事例が実際にどの程度あるのか。外来生物法の解説本を見ても、日本ではそういう事例はないとはっきりとうたわれている。そういうものを全部みんな一緒くたにしてしまっているものだから、余計外来生物法というのはわかりにくくなっているのではないか。もう少し一般の国民にわかりやすいようなものにしていくためにも、少し整理する必要があるかなと思います。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 指定の見直しという仕組みは当然あるのだと思いますけれども、そういうことが必要ではないかというご意見だと思います。はい。

    【太田委員】 実はこれをまた言うのにちょっと勇気が要るのですけれども、前の会議のときにもちょっと類似した発言をした途端にすごい電話がかかってきたりしたのでちょっとびびったのですけれども、ここで全く議論に上がっていないもので、実は外来生物としてやはり考えないといけないと本当に現場を見ていると思うのはネコです。ネコというのは、愛玩動物で、しかも放して飼うのが定式化しているので、それに文句をつけることすら何かタブーみたいな流れがあって、小笠原とか沖縄の一部ではもう自治体が自主的に規制して、それが非常にすばらしいことだということで宣伝されているのですけれども、問題は、そういうことがきちんとやられている自治体というのはごく一部で、実際にはネコというのは、半分家畜、半分野生動物で、外へ出れば立派な捕食者で、ものすごい影響を与えているということで、これは絶対に議論にのせないといけないと思います。
     以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。それは、国内外来種の問題も、それから家畜の問題も、本当はどう扱っていくべきかということにつながるご指摘だと思います。
     では次に移ってよろしいでしょうか。引き続いて(2)のポイントです。飼養等許可の現状と課題についてということで、資料4に基づいたご意見あるいはご質問をお願いしたいと思います。

    【石井(実)委員】 資料4の3ページの下のほうにあることなんですけれども、資料12でも取り上げていただいているセイヨウオオマルハナバチの管理の問題です。セイヨウオオマルハナバチに関しては、逃げ出さないような措置をとる、ネットを張るといったことで許可されるわけですけれども、資料4の3ページの下のところに出ている調査結果によると、かなり不備が見つかったと。昆虫のことですから、ほんの少し小さな穴があいているだけでも外に出てしまうということがあって、これはかなり深刻な問題ではないかと思うんです。それで私がお聞きしたいと思うのは、外来生物法を見ると、6条のところで、主務大臣は、このような管理について必要な措置命令をすることができる、その上で問題があったら取り消しができるという程度なんです。これについては罰則というものはないのかということです。
     それから、立ち入りの規制というか、指導ができることになっていて、この脚注のところにもそのようなことが書いてありますけれども、これの責任者は一体誰なのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 それはご質問なので、今お答えできますか、事務局のほうで。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 第6条の第1項の規定による命令に違反した者の場合は、法律の第32条の罰則に該当しまして、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」となっております。

    【石井(信)小委員長】 その場合、どこが責任を持ってそういうことを……(規制や指導をするのか、の意)。

    【東岡外来生物対策室長補佐】 基本的には、申請者、飼養等をしている者になります。セイヨウオオマルハナバチの場合は、農協などがまとめてやっているケースが多いということですので、農家で単独でやっている場合と、農協などがまとめて申請を出している場合と、両方がありますが。

    【谷垣外来生物対策係長】 いずれの場合も、飼養の許可をとっている方というのは、農家の方がとっていらっしゃる場合が多いのですが、許可の取り消しの措置命令の相手とか、あるいはそれに従わなかった場合の罰則適用というのは、その許可をとっている方になります。

    【石井(実)委員】 前に別の会議でこのような議論になったときに、農協等が一括してやっているケースが結構多いんだということで、ちょっとあえてまたお聞きしているんですけれども。では今おっしゃっているのは、あくまで施設を持っていらっしゃる方が責任をとらなければならないということなんですね。

    【谷垣外来生物対策係長】 はい。

    【石井(実)委員】 それで、例えばここに書いてあるのが事実としたら、その不備というのはかなり多く見つかっているようなんですが、実際にそのような罰則が適用されたことはあるのでしょうか。

    【谷垣外来生物対策係長】 基本的に、この調査で見つかっているものについては、現地で指導して、その場で改善させるようにしていて、措置命令とか法に基づいた適用というのは、この調査に関しては、しておりません。

    【岡(敏)委員】 改善はされたと思っていいんですか。

    【谷垣外来生物対策係長】 そうです。これを改善しているのは確認して……。

    【岡(敏)委員】 確認していますか。

    【谷垣外来生物対策係長】 はい。

    【岡(敏)委員】 すぐ改善できるような内容なんですか。

    【谷垣外来生物対策係長】 すぐ改善される軽微なものもあれば、ちょっと数日必要なものもあるので、その場合には、後日、例えば写真とかで報告してもらうといった手法をとっています。

    【石井(実)委員】 そうですか。何が言いたいかというと、昆虫研究者として、昆虫の気持ちはよくわかるので、ランダムな形で、抜き取りの形で指導・立入検査等をされてもちょっとまずいのではないか、これはかなり強化して管理していかないとだめな問題ではないかと思うんです。これは多分法的には、ご質問に答えた内容によれば、よくできていると思うんですけれども、実際にそれを実施・運用するような体制とか、その辺が課題かなという気がしました。以上です。

    【磯部委員】 ちょっとよろしいですか。今話題になっているようなことがまさに現行法の制度そのものの問題なのか、それとも運用の問題なのかというところに関わるわけです。これはこの法律に限りませんで、環境省所管の行政のあらゆるところにあるし、さらに環境省に限らず、日本の行政のほとんどすべてがそうなのです。たとえば最初に罰則のことを言われましたけれども、罰則規定はあっても、適用される例となったら、実際には極めて少ないんです。よほど悪質で、ちょっと見せしめの必要があるようなときに起訴されることはありますが、そもそも摘発したり基礎したりするのは環境省の判断ではありませんし、警察あるいは検察は、ほかの普通の犯罪なども一杯あるわけなので、なかなかぱっと動いてくれるわけではないという状況は一般的にあります。それならば刑罰でなく、むしろ、措置命令とか改善命令とかという行政的な手段が制度上あるのですから、それをビシビシとかけたらいいではないかというと、それも非常に難しくて、今お答えがあったように、実際上は精一杯の強い行政指導をして、大体の場合は相手方ももそれに対応しますから、実際には公式の法制度の適用以前のところでおさめていくわけです。違法行為を行う業者に対して、刑事処罰よりも、業者としての登録や免許を取り消すというような行政的な監督手段をきちんと整備していけば、単なる罰金よりもそのほうがものすごく深刻な不利益になるわけですから、そういう手段がきちんとあれば、これは実効性としてものすごく確保できるわけです。しかし戦後の日本の行政法制の中では、どうも行政は強過ぎてはいけない、人権侵害があってはいけないという配慮のほうが非常に強くて、行政が行政上の義務を履行しない者に対してきちんとその義務を履行させる行政的な強制手段、刑罰とは別に、そういう強制手段が非常に不備なのが現行法の一般的な状況であるわけです。何もこの外来生物の問題だけではないのですけれども、ここにも典型的に一つ現れているということです。

    【石井(信)小委員長】 私もつい言いたくなったんですけれども、これはサンプリング調査ですよね。サンプリング調査の20何%とかで問題があるということは、全体のそのぐらいに問題があると考えて、では何件ぐらい問題があるところがありそうだという推計ができます。それで、それは多分すごく大きな数になって、このままだとほとんど役に立っていないということになりますので、少し事態を改善するような対策をとらないといけないと思います。

    【関根外来生物対策室長】 我々も、そのあたりは、この結果を見て、大きな問題と思っております。実態としては、それぞれ現場の職員の数が許可している件数に比べて圧倒的に少なくて、なかなか指導が行き届かないという面もあります。先ほど申しましたように、農協を通じて推薦いただいているとか、そういうこともありますので、そういった方々にも認識を持っていただいて、組織的に対応していけるようなことを考えていきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 中井さん、お願いします。

    【中井委員】 ただ、このセイヨウの話で私は前から気になっていることが1点ありまして、今そうやってこのハチの利用が盛んな地域で既にかなり野生化して広まっているのかどうかという部分です。これはいろいろな規制をかける場合に、規制をかけられる側の心情としては、もう周りに一杯飛んでいるのに、何で一匹たりとも出してはいけないのか、そのコストもいろいろかけてやらなければいけないのかとなったときに、なかなか理解が得にくい状況が出てくると思うんです。そうならないように、あるいはなりにくいように何をすべきかというと、もう外にいるとすれば、それについてもかなり一生懸命駆除に努めていますとか、そういう姿勢をしっかり示さないと、もう周りにいるのに何で出したらいけないのだろうなと規制される側が思った途端に、これは守ってもらいにくくなります。そのあたりのインセンティブを高めるような工夫というのが、まさに普及啓発に関わる部分だと思うんですけれども、かなり重要のような気がします。以上です。

    【鷲谷委員】 事実についてのちょっと情報を。

    【中井委員】 お願いします。事実でなかったらいいんですけれども、将来的には……。

    【鷲谷委員】 セイヨウオオマルハナバチについては、花と昆虫の関係などを研究している研 究者が導入のころから関心を持っていて、私の研究室で野生化の初めての巣を見つけたということもあって、モニタリングのプログラムをつくっているんです。市民参加のモニタリングで、多い年だと年間300名ぐらいの方が参加してくださってモニタリングをしてくださっています。それで現状はある程度わかっていて、その量的なデータを空間生態学的な解析をして、どういう要因が一番効いているか、もちろんソースになるようなトマトハウスがたくさんあるところとか、環境の要因も入れて、あと予測モデルもつくって、どう拡散していくかといったことも予測すると同時にその後の年のデータで確認するということもしているんですけれども、特に多いところは、トマトハウスが多いところというよりは、むしろほかのところで蔓延してしまっていて、今はもう大雪山とか知床とか、そういう花と昆虫の関係、固有の生態系ということでは重要なところにも見られるようになっているという問題があります。
     それで、個体群動態の観点から言うと、フレッシュな個体が常に供給されるような状態ですと、個体群は存続しやすいので、モニタリングしている人たちはとってくださっているので、対策として効果があります。熱心にとってくださる方がいらっしゃるところでは、セイヨウオオマルハナバチが減って、在来種がまた少し回復してきたようにデータ上は見えるところもあるんです。そういうこともしてくださっているので、今おっしゃったようなことは、もちろん国が対策を主にやっているというよりは、市民の方たちが一生懸命対策もしてくださって、モニタリングもしてくださっているということなんですけれども、新たにまたどんどん出てくるようなことがあれば、そういう頑張ってやっていることも意味があまりなくなってしまうので、もとは断っていただいて、なかなか難しい問題ではあるのですけれども、そういう善意の方たちの努力で影響をなるべく抑えていく。もう根絶までは難しい状況に残念ながらなってしまっていると思うんですけれども、大事なところに入れないというのも、それもなかなか難しいことはあるのですが、関心を持ってくださった方たちが守ってくれる場所はつくれるという、そのためにもハウスから出てこないようにするということは重要です。個体群のモデルをつくれば、すぐに答えが出てくると思います。新たな個体の供給がどのぐらい制御を難しくするかということですね。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
     それでは、次の論点に移りたいと思いますけれども、後から何かお気づきの点があれば、事務局に連絡していただくということで、次は(3)輸入規制、水際対策、非意図的な導入対策の現状と課題についてということで、これは資料の5と6でご議論いただきたいと思います。はい、お願いします。

    【中井委員】 水際対策というのは、これはまさに外から入ってくるのを水際で防ぐという形で今回資料5と6というのがあると思いますけれども、それに加えて、先ほどから話が少し出ておりますように、入ってきてしまって、水際で防ぎ切れなかったけれども、侵入初期の問題というのをほぼ同等に扱う必要があろうかと思うんです。その中には、繰り返しになりますけれども、特定であるとか、未判定であるとか、あるいは要注意にも入っていなかったけれども、非常にリスクが高いのではないかというものが、まさに今増えんとする場合も気づかれることがあるわけです。スパルティナ属の別種などはそうだと思うんですけれども、琵琶湖などでも水生外来植物が同じような状況にあるとか、そういう話も実はもう出ていると思いますけれども、行政としてはなかなか動けない。理由はなぜかというと、特に行政の現場というのは生き物については素人ですので、後ろ盾が必要だということです。それができることであれば、国がちゃんと認定してもらえる。これが危ないんだということを評価して、規制対象であると、緊急にでもいいから指定するというのが、とても大事だと思いますので、この水際対策あるいはこれにできたら早期対応というのも含めてもらって、そういう仕組みをつくる中でこの問題も一緒に考えてもらったらありがたいと思います。以上です。

    【石井(信)小委員長】 はい、お願いします。

    【北田委員】 水産分野では、養殖のための種苗の輸入あるいは輸入種苗の放流が外来種が入ってくる大きな要因になっていると整理されています。この要注意のリストでは、シナハマグリは「知見の集積は進んでいない」とあるのですが、今年になって、香川県ではハイブリッドが見つかったという論文が出ていますし、東京湾では輸入されたシナハマグリが個体群を形成しているという論文もでています。アサリなども、国内生産は今大体4万トンぐらいですが、それに対して、今減ってきていますけれども、ほぼ同じぐらいの量が中国などから輸入されています。それが潮干狩りなどでたくさん放流されていまして、これはまだ論文が出ていないのですが、どうも日本のアサリとは違っているということがわかってきました。防疫などは非常にきちんとやられていますけれども、養殖などの目的で輸入される貝類や魚類の種苗の検査といいますか、その辺は非常に難しいことだとは思いますが、これは現状ではどのようにされているのでしょうか。チュウゴクモクズガニなどはきちんとチェックされているようですが、シナハマグリ、アサリや、他の養殖用種苗の検査はどのようになっているのでしょうか。

    【関根外来生物対策室長】 環境省のほうは特定外来生物だけですので、それらのものはやっていないということなんですけれども、農水省さんのほうで何かないですかね。

    【石井(信)小委員長】 次回とかということでも結構ですけれども、今お答えできることがあれば。

    【大友地球環境対策室長】 農水省としては、何もやっていないと思いますけれども、帰って聞いてみます。シナハマグリとかアサリの北朝鮮とか、あっちからの輸入、中国からの輸入。

    【北田委員】 そうですね。今、北朝鮮からは入っていないと思います。

    【大友地球環境対策室長】 中国からの輸入について何らかの措置をしているかということ。

    【北田委員】 ほかの種類もあると思いますが、養殖とか放流用の種苗についてのチェック体制は、非常に大事だと思います。

    【大友地球環境対策室長】 はい。ちょっと調べてみます。

    【中井委員】 今の補足で、あと内水面のシジミもぜひお願いしたいと思います。同様の問題がございます。
     それとあと、資料2のCOP10「愛知目標」における外来種対策のところで具体的に書かれている部分で、生き餌というのがあります。これも多分、どこに入るかというと、ここに入ってくると思うんですけれども、釣り餌の生き餌が中国あるいは朝鮮半島から大量に入っています。これは、生かして現場に持っていかなければいけなくて、絶対に使用量よりも余分に持っていくものですし、使い終わったら必ず生きたまま放出するものです。ということは、確実に外来起源に生き物をばらまく行為に直結する営みですよね。それが全くフリーパスな状態で放置されているというのは、やはり非常に問題ではないかと思いますので、何らかの対応ができるのだろうか、ぜひ考えていただきたいと思います。

    【石井(信)小委員長】 はい。

    【大矢委員】 私は動物輸入業界ということでこの席に座らせていただいていますけれども、現在、哺乳類と、それから鳥類、爬虫類については、ここに書かれていますように、動検ですとか、それから他法令でチェックはされているのですが、両生類については、現在はチェック機関がないんです。今後この両生類とか、先ほどから出ております昆虫類、昆虫は植物防疫のほうで、植検のほうでチェックされていると思うんですけれども、少なくとも魚類、それから両生類については、今のところ他法令ではかかっていませんので、この辺は要検討事項かなと思います。

    【石井(信)小委員長】 ほかに水際……。はい、お願いします。

    【太田委員】 水に関することですか。

    【石井(信)小委員長】 水際。

    【太田委員】 水際。ちょっと特殊なあれかもしれないので、個別のことかもしれないのですけれども、ちょっとさっきぼんやり聞いていて説明を聞き損なったんですけれども、これに空港の統計が出ていますけれども、これは4空港、成田と中部と関空と福岡だけ出ているんですけれども、これは海外から航空便が何か荷物を運んでくるところは全部チェックはあるんですよね。ちょっと質問です。

    【谷垣外来生物対策係長】 今おっしゃっているのは、この4指定港以外の空港での積載ということですか。

    【太田委員】 はい。この指定港というのはどういうことですか。

    【谷垣外来生物対策係長】 指定港というのは、外来生物法で、特定外来生物ですとか、あと要するに種類名証明書の添付が必要な生物を輸入できる港というのが、この4つに限られるということで指定されているんです。当然、それ以外の空港においても、税関において、外来生物法で規制されているものは通関できないことになっていますので、そこではじかれるとお考えいただければと。

    【太田委員】 那覇の空港は実は、国内線は立派な建物が建っているんですけれども、その横に非常に小さい国際線というのがありまして、小さいんですけれども、1日に2つ、台湾から飛行機がレギュラーで着きます。それから、今は1便、韓国からも着くし、今は週に2便、フィリピンから往復しています。結構そのあたりのものというのは、沖縄に持ち込まれるとあっという間に定着してしまいそうなものがいて、危ないなと思うんですけれども、非常に外来種云々という視点からの検査がほとんどないというのが実際で、私は台湾としょっちゅう行き来するんですけれども、台湾から帰ってくると、荷物の中にいろいろ生き物を仕事柄抱えていることが多いんですけれども、実際にはほとんどフリーパスなんです。こんなことをここで言うと、またそれでしつこく調べるようになると自分の不利益になるのであまり言いたくなかったんですけれども、ちょっと怖い状況があります。ですから、これはちょっと私の誤解みたいですけれども、指定港というのから外れると、逆にそちらはそういうことに対する認識が弱くなってしまうようなことがあるとすると、那覇空港は非常に怖いような気がします。しかも島に即散らばりますので、非常に危ない気がしますね。
     それともう一つ関係あるんですけれども、木は、街路樹の樹木などがよく入れられているんですけれども、それをちょっと伺いたいんです。検疫のところを遠くから変な顔をされながら眺めていると、根っこについてくる土とか、葉っぱの表についている部分については、非常に詳しく調べられていて、非常にプロフェッショナルな仕事だなと思ってなかなか感心しながら見学させていただいたことがあるんですけれども、何か荷主に文句を言われることもあるからとかということなんですけれども、木の形状を変えるような、あるいはちょっと動かすような種類の検査の仕方というのは非常に弱いんです。ところが実際には、ちょっと係の人の前でやってみせたんですけれども、ちょっと葉鞘の部分、幹にぴったりひっついて、すき間だけれども、本当はちょっと動いているぐらいのすき間があるような部分をよけてやると、実はそこにクモがいたり、ゴキブリがいたり、ヤモリまで出てきて、ヤモリは捕まえて標本にしたんですけれども、そういうことがあるんです。割と土と葉っぱの表面は非常に熱心に調べられるんですけれども、ちょっとそういうところが怖いなという気がして、出たものがすぐに広がって外来個体群化するということの怖さを考えていただければと思います。
     実例としては、キノボリヤモリというのがいるんです。これは、1990年に西表から記録して、もう今は沖縄の南半分にはどこにでもいるようなヤモリになってしまったわけです、ここ20年ちょっとで。それが西表に最初に出てきたのは街路樹を植え直したところからですので、実際にそういうことがあると思います。以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。はい。

    【石井(実)委員】 ちょうどその話になったので、ほとんどあまり議論にならないんですけれども、参考までにお聞きしたいんですが、参考資料4の2ページ目の裏あたりに、種類名証明書の添付が必要な種というので、昆虫のところではコガネムシの仲間はほとんど入っています。このような事例というんですか、証明書が添付されてコガネムシの仲間が入った事例はあるのかということ。それからもう一つ聞きたいのは、多分コガネムシの仲間を幼虫の段階で種まで落とすのは極めて困難だと思っているんですが、たしか法によれば、その先方の政府が証明書を発行してつけたものということになっているようですけれども、そのケースではうのみするのかということなんです、中身を見ずに。その辺をお聞きしたいと思います。

    【谷垣外来生物対策係長】 コガネムシに限った話ではないんですけれども、クワガタムシとかカブトムシの事例については、種類名証明書の添付ということで事例をお示ししています。種類名証明書の添付が必要な生物は、ちょっと詳しい事例はないんですけれども、種類名証明書添付で入ってきているものはあると考えます。
     種類名証明書なんですけれども、一応その要件というものを施行規則のほうで定めておりまして、それに適合するものかどうかというのは、例えば向こうの国の公印が押してあるとか、そういったチェックも含めて、やっています。疑義があった場合には、税関さんのほうから環境省のほうに相談があって、これは通していいものかどうかということで確認するという、中には、これは不適格だとか、これはどうも怪しいのではないかという疑義がついて、向こうの大使館などに確認して、これは不適格な種類名証明書だということで、はねた事例もあります。

    【石井(実)委員】 もし詳しくわかったら、次回でも結構ですので、教えてください。お願いします。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはよろしいでしょうか。
    それでは、次のポイントに移りたいと思います。資料7の部分ですね。国による防除の実施、防除にかかる確認・認定の現状と課題ということなんですが、これについてご意見をお願いします。

    【山岸委員】 私は、委員長の冒頭のあいさつが非常に気になっています。マングースの駆除というのはうまくいったほうだと思うし、そのお陰でヤンバルクイナだって助かっているんです。それがこういうことを言われる。それではどうするかというのがこの(4)の課題の検討の方向性というところに書いてあると理解しました。要するに、1行目の終わりから、「それを踏まえた短期、中長期的な防除対象種とその防除目標を明確にする必要がある」と書いてあるんですが、目標を明確にするだけではなくて、その効果を科学的にしっかりはかる、測定する必要があるというのをここへ入れてほしい。そうしないと、その次の「費用対効果」が計算できないわけで、ここがうまくわかっていれば、こんなことを言われても、もう少し強い言葉で、そんなことはないではないかと言えるんだけれども、その効果がはかれないと、ぐにゃぐにゃっとこのようになってしまうので、ぜひそれを1行入れてほしいというのが意見です。
     これは言われっ放しなんですかね、これ。

    【亀澤野生生物課長】 おっしゃるとおり、効果をなかなか数値で客観的に示せないたぐいのものですから、その辺はちょっと弱かったところはあると思いますし、税金でやっている以上は費用対効果を考えて効率的にと言われるとまさにそのとおりなので、それがちゃんと目に見えるような形で……。

    【山岸委員】 プレゼンも悪かったんですね。

    【亀澤野生生物課長】 そうですね。それもありますし、ちゃんと効果をうまく見せられるようにすることは大事だと思います。

    【岡(敏)委員】 ちょっと質問をいいですか、二、三。

    【石井(信)小委員長】 はい。

    【岡(敏)委員】 行政レビューの意見の中で、「今のコスト構造は国民に理解を得られない」という発言がありますけれども、これはどんなことを指して言っているのか、教えていただけないでしょうか。コスト構造とは何なんですか。

    【関根外来生物対策室長】 これは、当日の話の中でも、計算の結果を示せと説明させられたんですけれども、要はマングースの防除にかけている予算で捕獲できたマングースの数ですが、1頭当たり、単純に予算を割ったとしたときに、どれぐらいの額になるのかという話です。それは、マングースというのはかなり防除が進んで、個体数自体が減ってきていますので、そういう計算の仕方をすると、どうしてもかなり大きい額になってしまうんですけれども、それについて、もっと効率化すべきではないかといった指摘でした。

    【岡(敏)委員】 それがだんだん上がっているという指摘ですね。

    【関根外来生物対策室長】 そうです。

    【岡(敏)委員】 それはある意味当たり前ですよね、防除が進んできたら。ある意味当たり前なので、その当たり前のことを当たり前だと表現できるような、それこそ効果の指標、それが必要だと思います。

    【中井委員】 ちょっと質問しようとしていたこととまた違うんですけれども、今のお話で、数が少なくなると、とれにくくなるんですけれども、残った集団に対する1匹の割合が大きくなりますよね。最終的には、ほうっておけば飽和的に増えるとすれば、要は相対的な貢献度ということになれば、数が少なくなるほど1匹当たりの貢献度が高くなるという形でうまくモデル化ができると思いますので、ちょっとそのあたりは専門家といろいろ議論すれば、要は少なくなったときに、少ないじゃないかと言われても、逆に1匹当たりがものすごく大事になってくるということですね。そういう形へ持っていくといいのではないかと思います。
     あと、もう一つの話なんですけれども、今まで国による事業がいろいろなされていますけれども、これは環境省さんだけではなくて、農水省さんとかのものも幾つかお手伝いしているんですけれども、事業でやられるときにいつも思うのは、役所ベースの仕事になってくるのは、これは当たり前として仕方がないと思うんですが、そのやり方が、委員会を開いて専門家の意見を求めてからは、みんな向こう側に行ってしまって、気がついたら、何でそんなことをやっているのかといったことが非常に多いです。これは申し訳ないけれども、役所の各担当の方々というのは専門家ではないのが当たり前だからいろいろ話を聞くわけですけれども、その結果こうしたということと、それがまた次年度にどういう計画で考えていてというあたりでもう一度フィードバックしてもらって確認をとってもらうような仕組みがないと、気がつけば、一生懸命あれも言って、これも言っているのに、全然そうではないことをやられているということが実は多々あります。それで、あまり言うと現場のやる気をそぐようなことがあるので、あまり強くは言わないこともあるのですけれども、そういう形で、実は少し方向性が十分定められないような形で動いている事項というのは、私はほかにもたくさんあると思うんです。ですから、専門家の意見を聞くということであれば、それももちろん複数の意見をいろいろ聞く中で、何をどうすべきかをきちんと定めていただくというやり方をもう少し意識されたほうがいいと思います。以上です。

    【石井(信)小委員長】 ほかにはいかがでしょうか。
    マングースの事業について一言。繰り返しですけれども、費用対効果のときに、1匹のマングースを捕るのに幾らかかるかというので効果をはかるというのは、全くナンセンスだと思います。あの事業は、奄美でいったらクロウサギとかトゲネズミの絶滅を防いでいるわけです。防いでいるとは、手を離したらいなくなると思っています。実際にそういうことがほかの国で起こっていますので。沖縄だったらヤンバルクイナです。そのことを無理やり、幾らに換算するのかと、1種をこの国から失うということを一体幾らに換算しているのかと、お金にかえられないと思うんですけれども、そういう観点が全くこの議論にはないので、それは問題だなと思っています。
     といったことをきちんといろいろなところで説明していただいて、この事業の意義をもっと強調してもらいたいと思います。さっき最初に、環境省としては異例の予算措置と申し上げましたけれども、ほかの国で同じことをやっている額に比べたら、圧倒的に少ないと思います。億単位のお金なので注目されますけれども、その目標から考えると、もう少し費用をかけてもいい事業だと思います。ほかにも一杯課題があるので、これだけにお金をかけてくれというのは言いにくいところもちょっとありますけれども、そういう事業だと思います。
     ほかにはいかがでしょうか。たくさんあると思うのですけれども、あと15分という予定で、なるべく延びないように進めたいと思います。今日は問題点をいろいろ上げていただくということでいきたいと思います。
     それでは、すみませんが、5番目の議題です。国内由来の外来種対策の現状と課題について、資料8を中心にご意見をいただきたいと思います。

    【中井委員】 資料の8-4と8-5で、要は空白な県があまりに多いというあたりが問題のような気もするんですけれども、外来生物法で、そういう地域の問題は、特に国内外来種の場合ですけれども、地域的な問題は都道府県の条例で対応するようにといった基本的な方針だったと聞いていますもので、そういうことかと思うんですけれども、なかなか進んでいない状況があるんです。これは、実は種の保存法を受けた希少種条例についてはかなり進んでいますよね。要は、守りたい自然をしっかり守ろうというほうは、結構都道府県が後を追っかけてくれるんです、国が法律を定めた後。ところが、外来種対策をやるぞというと、もう国が決めているからいいじゃないか、何で自分たちでやらなければいけないのかというので、外来種対策ということ自体が持っている、ちょっと後ろめたさというか、ネガティブな雰囲気になかなか都道府県がついてきてくれないということを表しているように思います。駆除しなければいけない、命を奪わなければいけないという話ですから、これは鳥獣保護法みたいな形で、有害鳥獣という形で、被害が顕在化して、地元の県民が悲鳴を上げているところだったら、これはまだすぐに管理計画ができるんです、条例で。ところが、外来生物法の対象のものというのは意外とそういうことになりにくい状況がこれまであった。そのために、国が都道府県に対してどういう形で方向づけてくれるかというところがまさに腕の見せどころだと思うんです。そのあたりについては、今アンケートをとられて、こういう形で結果が出ていますけれども、これは何か国から積極的な働きかけをされた結果なのか、あるいは都道府県レベルでそれぞれがやらなければいけないと思って自発的にやられたことなのか、そのあたりをよく分析されて、今後どうされたらいいかということで、もっと何か働きかけができるのではないかということがあると思うので、ご検討いただけたらと思います。
     これは実は後からの各主体の協力と参画のところで似たような話をもう一回させていただきます。以上です。

    【岡(三)委員】 私は農業の分野から参加しておりまして、外来種の課題の前に農耕地の雑草のことを少しお話しします。1990年年代にはイチビ、2000年代になりますとワルナスビやアサガオ類、最近ではホオズキや飼料作物のイタリアンライグラスなど輸入元畑作での外来種雑草問題が大きくなっている。この外、南のほうに行きますと、トールフェスクという暖地型の牧草がありますが、これが河川敷、河原に随分広がっている。佐賀県では、とうとう条例で規制して播種をやめさせる事態になっています。条例での規制に、畜産農家はこの重要な牧草であるトールフェスクの播種ができない事態を招いている。そう言いながら、トールフェスクの播種制限に対して法的規制がないわけで、先ほど法学の先生たちが指摘されたように、規制の効果が上がっているかという問題にもなっているのではと思います。
     さて、国内由来の外来種対策の現状と課題ですが、冒頭に鷲谷先生が緑化の問題をお話しになりました。今、緑化植物として国内の植物で、ススキ、ヨモギ、それからヤマハギといったものを使う。環境省の公害防止検討の試験研究委託事業の中で、私どもは通称緑化プロを実施しています。いま申し上げた3種の緑化植物の国内の北から南までの遺伝的な変異を見てみますと、違いがあります。ところが、視覚的に外観が非常によく似ている。そうすると、これらを国内移動させて導入しますと、知らない内に交雑による遺伝的変異が起こってしまうわけです。一般に外国産の緑化植物を使うことは問題が多いのですが、こうした外観がよく似た国内産の外来種の導入の場合には、むしろ外国産の外来種を使って適正に管理した方が、生態系保全上好ましい場合があることが明らかになりつつあります。まだプロジェクトが継続中で結論が出ていませんが、緑化植物の国内移動、導入にも、場合によっては問題があることを申し上げたいと思います。以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。ほかには。はい。

    【太田委員】 ちょっと最近取り組んできたことで、九州の本土に侵入した沖縄・奄美原産のキノボリトカゲのことなんですけれども、これはカテゴリーとしては国内外来種に入るものです。沖縄・奄美では、どちらかというと密度が下がって、非常に数をたくさん見るがあって、どこへ行っても非常に密度は低いというので、一方ではレッドリストのときにもキノボリトカゲまで絶滅危惧Ⅱ類に入るのかというカテゴライゼーションをしたのですけれども、その一方で、宮崎の一部と鹿児島の一部では、特に宮崎の一部では、もう絶対こういう光景は沖縄・奄美では見られないというぐらい、ちょっと一巡しただけでわんさか木にとまっているような状態なんです。これは非常に危険で、何が危険かというと、そのエリアには少なくともトカゲでは、樹上性で、しかも昼間に目を使って待ち伏せ型で餌を食べるものはいないんです。そういう在来のものではそのタイプの捕食者がいない場所に外から捕食者が入ると非常にカタストロフィックな影響を及ぼすというのは、グアムのミナミオオガシラがまさにそうなんですけれども、これを何とかしないとまずいですよという話で、私はあまりそれで行政にコンタクトをとってというのは好きではないんですけれども、地元の日南市にコンタクトして、とにかくこれは、これ以上広がらないように、幸い非常に固まった場所にいたので、早いところ対策をとらないという話をしたのですけれども、結局、国内外来種で、しかも国立公園でもないというところで、行政がかなり、市のほうが、これで予算を使ったら逆に大変なことになりますよみたいな話になったんです。それで、当時の外来生物対策室長にこちらから電話して、いろいろ個人的なコメントとして聞いてほしいということで、何がしかのオフィシャルなオーソライゼーションがあれば動きやすいのではないですかということで、こちらも苦肉の策で、地元の大学先生を代表にして科研費に申請して、何とか科研費が取れたので、その対策ということで国の文科省までお金をくれるぐらい、これは大変な問題なんですよというところから始まって、地元も、日南市は最初から好意的だったんですけれども、予算と、それから地元への呼びかけというのに賛同してくれて、その後はもうむしろ、では雇用対策のお金をそちらに回しましょうかといった形で、今も対策を続けてくださっているんです。
     国内外来種の問題は、手をつけ出したら切りがない問題でもあって、大変だということはあるし、それに予算をかけるべきとか、環境省さんそのものが労力を割くべきということではないんですけれども、外から明らかに何か変なものが、例えば沖縄から入ってきた、北海道から入ってきたということで、地元がそれを問題視して、ある程度研究者も、それは非常にまずい状況になりつつあることだといったことというのは、多分全国であり得ると思うんです。逆に沖縄においても。そういうときに、例えばホームページか何かを見たら、対策をしようという機運があるときに、何か追い風になるような、コストはかけなくてもと言ったらあれなんですけれども、何がしかそういうことがあるのは、別に国立公園外でもまずいことだし、予防措置としてやるべきであるといったことが伝わるような情報ないしステートメントをホームページにでも出しておいていただけると、それだけで随分、そういうことに取り組む気のある地方公共団体とかNPOとかにとっては追い風になる。もちろん、そういうものが乱発されて魔女狩りになってはいけないと思うんですけれども、何か一定のそういう方法みたいなことをしていただけると非常にやりやすいなと感じました。当時の外来生物対策室長には個人的に非常に感謝しています。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
     そろそろ終わりを考えないといけないんですが、あと一つ残っておりまして、この問題についてはとりあえずここで終わりにして、6番目の調査研究、普及啓発、各主体の協力と参画という問題ですが、これについてお願いします。

    【山岸委員】 非常に素朴な話をします。私は、佐渡島でトキの野生復帰に関わっているんですが、今年はひながかえって、みんなから「おめでとう、おめでとう」と言われて、ありがとうございます。
     ところが、その佐渡島は、見渡す限り黄色い、何というのですか、あれは。セイタカアワダチソウじゃなくて。

    【中井委員】 キンケイギク。

    【山岸委員】 キンケイギクか。それが花盛りで、アメリカザリガニがガラガラ、ウシガエルはモーモー鳴いているという。それでトキはアメリカザリガニを食っているわけですけれども、ここに各主体の協力と参画とあるけれども、各主体という前に、野生生物課の中の連携が非常にとれていないと思うんです。環境省の保護官はトキの野生復帰に一生懸命になっているけれども、キンケイギクなどは全然考えてくれない。だから、野生生物課の中でいろいろな役の方が縦割りになってしまわないで、一度、これは結局は最初に鷲谷さんの言ったことに返るのですが、トキの放鳥というのは、何もトキを放鳥するのではなくて、自然再生をしているわけです。それにもかかわらずそういう状況が出ているというのは、僕は素朴に考えて、非常におかしいと思うわけで、課長、その辺はよく……。

    【亀澤野生生物課長】 わかりました。外来種対策も含めて、はい。

    【山岸委員】 ええ。外来種対策も含めて、この問題だけではないと思うんですけれども、話し合ってほしいと。課内で連携してほしいと。

    【亀澤野生生物課長】 わかりました。はい。

    【太田委員】 非常に今の話とも関係あると思うんですけれども、ちょっとこれは非常に根源的な問題で、それを研究でどうしようというのは難しいことは百も承知なんですけれども、外来種があるところに定着して蔓延してしまった結果、完全に在来種に置きかわってしまったとします。その在来種に置きかわったところで擬似的に従来のような生態系がもう一度再構築されているところで、もう一回そこで頑張って外来種を取り除いたら、クラッシュします。多分、クラッシュというか、生態系そのものがなくなることは絶対あり得ないんですけれども、またすごい動きがあって、変質があって、そのときにまた在来種も大きな影響をかぶりますよね。
     何でこんな話をするかというと、例えばウシガエルは、あれはたしか私が指定の会議のあれをやったときに指定したうちの一つなので、今になっていろいろ考えることが多いんですけれども、場所によっては、もうほかのカエルはみんな食べてしまって、あるいは競争して排除してしまって、田園地帯でもウシガエルしかいないところというのが日本海側などには結構多い。そうすると、そこでもう一度、これは特定外来だから、これを全部頑張って除去しようとして、ウシガエルは、オタマジャクシが大きくて深い水場でないと絶対繁殖できなくて、しかもその時期が1年以上かかるので、実は本気で駆除をやり出したらいなくできるかもしれないものだと私は思っているんです。でも、そうしてしまったときに、そこはもう田園風景の中にカエルがいなくて、そうすると、ある時期カエルに依存する日本の在来のいろいろな生き物は、そこでもう一度危機に見舞われることになると思うんです。そういう外来種が組み込まれた形で既に安定した系ができているように考えられるようなときに、どういう対策をとるべきかということも、実は学術研究に基づいてある程度考えていかないといけない課題だと思うんです。まだこれはなかなか先の先の話のような気もするんですけれども、今トキの話が出たんですけれども、トキは例えばアメリカザリガニやウシガエルを食べていて、それ以外のものもそういうものに依存していて、しかもその場所に従来いたはずのそれに代替するようなものが既にもう回復できないぐらいになってしまったときに、果たしてどういう対策をとるべきかということをちょっと考える必要があるように思います。以上です。

    【鷲谷委員】 今、それよりもずっと問題になっているのは、今だったら回復可能なところにウシガエルなどの対策が実施されていないことのほうがずっと大きな問題だと思います。私が関わっている自然再生で、まだウシガエルが入っていない池も若干あるようなということで、回復可能性のある地域なんですけれども、何百カ所もため池があるところで、戦略的にウシガエルの駆除を始めているのですが、ウシガエルが取り除かれた池は水生昆虫などがよみがえってきて、それはもう1年、2年のうちに見違えるような状態になるんです。なので、もちろん、もう水生昆虫の在来のものがすべて絶滅してしまって、アメリカザリガニとウシガエルぐらいしかいないという地域もあるかもしれません。そこではなかなか容易ではないと思うんですが、今、外来種対策として頑張らなければいけないのは、今たたけばそういう在来のものからなる生物多様性が回復できるところだと思います。そのようなところで地域の方たちの理解を得ながらというか、地域の方たちが主体となるような外来種対策を自然再生として進めていくということはとても重要なことだと思います。
     佐渡島については、私はあまりよくは知らないんですけれども、恐らく外来種対策をしたほうがいい場所ではないかと思います。

    【山岸委員】 ザリガニは外来種と一緒にいるんです。ですから、それは取ってしまったっていいんです。それから、カエルは、あそこにはものすごくいろいろなカエルがいますので、取ってしまっても困りませんので。

    【鷲谷委員】 そうだと思います。

    【中井委員】 今のお話は、本当に私も、今日の話をやっていると切実に感じる部分があって、場所による状況の違いというのは当たり前のようにあって、結局最初の話に戻るんですけれども、国の中で影響の大きい地域と影響のほとんどない地域がある外来種はなかなか指定しにくいという状況があるような形で出てきましたけれども、既に指定されているものでも、その影響の出方は地域によって全然違うわけで、私はよく話をするときに、外来生物対策は是々非々でやらなければしようがないと、それぞれの場所ごとにです。当たり前の話だと思います。そういう意味では、実はちょっと抜けていたんですが、4番のところで「防除対象種とその防除目標を明確にする」という書き方がそもそも乱暴であって、対象種を選定した後、それは地域も考えた上で目標を立てないといけない。当たり前のことなんですけれども、どうしても、種を指定して目標を立てるというのは、種を指定することだけに主眼が置かれてしまって、実は地域の事情があるということがどうしても抜け落ちがちだということ、これはぜひ入れてほしいですし、これは実は生物多様性の国家戦略の中でも地域性の重要性というのが抜けているというのを私は指摘させていただきましたけれども、そのあたりを含めてご理解いただけたらと思います。
     もう一つが各主体の協力というところで、まず私は、これも前の検討会で申し上げたことですが、模範演技を示していただきたいのは、今、山岸先生がおっしゃったように、環境省内の問題はもちろんあります。もう一つは、今度は縦の話です。国があって、都道府県があって、市町村がある。その間は何もと言っていいぐらい、ほとんどうまく連携はとれていませんよね。でも、それは国からやらなければ仕方がないことだと思うんです。絶対、市町村からはやってくれません。ボトムアップは絶対やってくれませんし、一番動いてほしいのは市町村のはずです。一番現場に近い。ただ、市町村だと、うちのまちはまだ問題が起こっていないからいいと、隣のまちで問題が起こってもなかなか動きが鈍いとなれば、地域としての都道府県の出番ですし、そのあたりをどうすればいいかというのをうまく指示していくのが国の役割です。そういう縦の連携。要は、縦は司令塔と、どこかに書いてありましたね。実際、ちゃんと司令塔として働いて、一番の末端である市町村までどうやりくりしていくのかという、そのシステムをどうつくっていったらいいのかというのは、これは外来生物問題だけではなくて、あらゆる自然環境問題に通じるところだと思いますので、このあたりをまたいろいろみんなで考えていかないといけないと思いますし、この場でも申し上げておきたいと思います。

    【太田委員】 今、鷲谷先生がおっしゃったことは、そういう状態が起こっているところではごもっともなことで、私はそれをまずいとかと言っているのではなくて、一方で、ただ島で、例えばカエルはもうウシガエル以外は皆無で、明らかにそのカエルに依存している在来の何種かの捕食者の集団がいるところがあるわけです、実際に。そこで、外来種だから、これは取ったほうがよさそうだといった話題が出て、ではちょっと頑張るかみたいな話が出たときに、逆に私は、特定外来種に指定されているものを取るなとあまり大っぴらに言うのはあれなんですけれども、これは外に持ち出したらいけないものだけれども、ここではこれを取って多分いいことは何もないという話はせざるを得ない状況があったんです、過去に。それは、だけれども、実はかなり一般化できる話ではないかなと。私は生態学というのは専門ではありませんが、そういう気が最近することが結構場面としてはあります。ですから、先ほど中井先生が今日最後に私が言いたかったことを言ってくださったんですけれども、地域性を考えた、その地域その地域の生き物の事情を考えたかじ取りが本当に、コストパフォーマンスの視点から見ても、瑣末な問題ではなくて、実は根幹に関わる問題になるようなことというのは結構あると思うので、そのあたりはこの一番最後の研究云々のところの研究者の意見を特に重視して動いていただければなという気がします。手続上、大変なのかもしれませんけれども。以上です。

    【石井(信)小委員長】 ありがとうございます。今の太田さんのご意見と、それから中井さんのご意見は、調査研究上の課題ということもあるし、それから特に国から地方自治体までの連携ということをとてもよくまとめていただいたので、大体今日の議論は終わりにできるかなと思っているのですが、あとぜひということがなければ、終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
     よろしいですか。何か無理やり終わりにしますが。それでは、今日いろいろご意見をいただいて、ご指摘いただいた点を事務局で整理していただく。それから、次回はそれをもとにして、さらに、では今後どういう措置をしていったらいいかといったことを議論したいと思います。
     ということで、ほかには事務局から何かありますか。

    【谷垣外来生物対策係長】 本日は熱心なご議論をいただき、ありがとうございました。
     小委員長からもご発言があったのですけれども、今日の会議でご指摘いただけなかった点で追加でもしお気づきの点がございましたら、1週間後の7月4日の水曜日ぐらいを目処に事務局までメール等でお送りいただければと思います。ご意見については、次回の小委員会の資料に反映していきたいと考えております。
     次回の日程につきましては、先ほど冒頭でもご案内しましたけれども、7月27日金曜日の午前中、ちょっと朝早くなってしまうんですけれども、9時から経済産業省別館の10階会議室で開催させていただく予定です。正式にはまた追って文書でご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
     また、本日、委員の先生方で資料をお持ち帰りにならずに郵送を希望される方がいらっしゃいましたら、机の上に封筒がございますので、ここにご記入いただいて、資料と一緒に置いておいていただければ、こちらから郵送いたしますので、そのようにお願いいたします。事務局からは以上でございます。

    【石井(信)小委員長】 では、以上で本日の外来生物対策小委員会は閉会したいと思います。ありがとうございました。