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中央環境審議会野生生物部会
外来生物対策小委員会(第2回)会議録


     
  1. 日時  平成16年7月5日(水)14:00~15:46

  2. 場所  経済産業省別館10階 1028号会議室

  3. 出席者
    (小委員長)岩槻 邦男
    (委員) 阿部  永  大塚  直  加藤 順子
      山岸  哲  鷲谷いづみ  
    (専門委員) 青木  満  太田 英利  大矢 秀臣
      岡  敏弘  北田 修一  小林 達明
      糠谷  明  細谷 和海  
    (環境省)    伊藤総務課長
     名執野生生物課長
     上杉生物多様性企画官
     鍛冶国立公園課長
     東海林動物愛護管理室長
       渡邉鳥獣保護業務室長
    (農林水産省)  菊地大臣官房参事官
     福田植物防疫課長
     安田農産振興課課長補佐
     岡田野菜課課長補佐
    (水産庁)  長畠生態系保全室長

                       
  4. 議事

    【事務局】 お待たせいたしました。それでは予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会外来生物対策小委員会を開催していただきたいと存じます。
     本日の出席者数でございますけれども、中央環境審議会運営規則により定則数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立をしております。
    なお、岡島委員につきましては、急用のため本日ご欠席というご連絡をいただいておりますのでお知らせ申し上げます。
     それと本日7月1日付で事務局の方に人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。
     ちょっとまだ少し遅れていますが、後ほどご紹介させていただきますけれども、環境省自然環境局の総務課長が今回からでございます。
     それと鍛冶国立公園課長でございます。

    【国立公園課長】 鍛冶でございます。

    【事務局】 それと農林水産省の方でございますけれども、大臣官房参事官、菊地参事官でございます。菊地参事官につきましては、前回環境政策課長としてご出席をしていただいておりました。
     それと福田植物防疫課長でございます。

    【植物防疫課長】 福田でございます。よろしくお願いいたします。

    【事務局】 よろしくお願いいたします。
     それでは、続きましてお手元にお配りをいたしました資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に資料の一覧がございますが、その後ろから一連の資料となっておりますので読み上げをさせていただきます。
     まず、小委員会の委員名簿がございます。その次に資料1といたしまして、特定外来生物被害防止基本方針(案)でございます。次に資料2で、外来生物対策小委員会における審議スケジュール及び審議事項(案)でございます。その次に参考資料として、1として第1回外来生物対策小委員会における意見の概要。参考資料2として、各法令による動植物の規制について。参考資料3といたしまして、衛生植物検疫措置の適用に関する協定について。参考資料4として、動物の愛護及び管理に関する法律(抜粋)。参考資料5といたしまして、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の参照条文等でございます。もし、資料に不備等がございましたら事務局の方にお申し出をお願いいたします。よろしいですか。
     それでは、岩槻委員長よろしくお願いをいたします。

    【岩槻委員長】 それでは、ただいまより2回目の外来生物対策小委員会を開催させていただきます。
     この委員会は、先に成立しました特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に伴いまして、それの基本方針を策定するために検討をいただくということなんですけれども、前回は多少法律の枠を超えた一般的な議論までやっていただいたわけですけれども、前回全体のスケジュールをご紹介、ご了承いただきましたように、今回はその基本方針をパブリック・コメントに出すために、基本方針の中間案というのを策定していいただく必要がありますので、その基本方針について集中的にご審議をいただけたらというふうに思っております。
     それでは、早速議事に入らせていただきますが、特定外来生物被害防止基本方針の案の作成についてということで、事務局の方から補佐にご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

    【事務局】 それでは、基本方針の案の作成についてご説明をさせていただきます。
     まず、参考資料1をごらんいただきます。参考資料1につきましては、前回の小委員会におきます各委員の意見の概要について記させていただきました。基本方針の記述のポイントについて前回ご議論いただいておりますけれども、大きく分けますと5つぐらいにくくられようかと思います。1つ目につきましては、国内由来の外来生物の問題とその重要性について基本方針の記述に盛り込むべきではないかというご意見がございました。これにつきましては、3番目の丸のところで、これは実は岩槻委員長からのご提案でございますけれども、何らかの形で記録に残す工夫を考えてはどうかとそういうご提案がございまして、現在事務局の方で検討をしているところでございます。
     それから、2つ目の選定の際の考慮事項についてでありますけれども、ご意見の方は、社会的・経済的役割を考慮というのは法律の定義、あるいは目的と一致しないのではないかというようなご意見でございました。このことにつきましては、ご意見を踏まえて修正をしておりますので、後ほど説明をさせていただきます。
     それから、3つ目の未判定外来生物でありますけれども、ご意見の方は予防原則に沿った考え方で対応すべきということでありました。基本方針全体にわたって予防的な考え方で対応するということを方針としておりまして、未判定外来生物については、基本的にまだ国内に入っていないもので、特定外来生物に該当するかどうかの知見がないものにつきまして予防的に対応するとそういう仕組みにしておりますので、こちらのご意見に対しては答えるような内容にはなっているかと思います。
     それから、4つ目と5つ目のご意見につきましては、これを踏まえた修正をしておりますので、後ほど説明をさせていただきたいと思います。
     それでは、基本方針の案につきまして、資料1に沿ってご説明をさせていただきます。
     資料1の構成ですけれども、基本的には前回お示しをしております記述のポイントに沿った形で文章化、肉づけをしておりまして、ご意見を踏まえて若干修正をしたりしておりますけれども、今回全体ちょっとやるとかなり時間がかかるものですから、このご意見を踏まえて修正をさせていただいた部分と、それから前回よりポイントよりもかなり詳しく内容を記述している部分がありますので、そこを中心にご説明をさせていただきたいと思います。
     1ページ、第1の基本構想でありますけれども、まず1の背景についてですが、内容的には大きな変更はございません。ただ1点だけ、3段落目の前半部分でありますが、前回選定の配慮事項の中でさまざまな用途に利用されてきた外来生物についていろいろ例を挙げて記述をしておりましたが、ここはもともと背景的な記述でありましたので、その部分、この背景の方に移動させております。それ以外は、特に1のところでは大きな変更はございません。
     次の下の2の課題認識につきましても、記述のポイントの部分から特に変更はしてございません。
     2ページの3の基本的な方針でありますけれども、これも内容的に大きな変更はありません。基本的にはポイントのとおりの記述にしております。
     次に3ページですが、第2のところで特定外来生物の選定に関する基本的な事項でございますが、1の選定の前提につきましては記述のポイントから変更はしておりません。その下の2の被害判定の考え方でありますが、(1)につきまして記述のポイントよりも少し補った内容にしています。例えばアの生態系に係る被害につきましては、生態系への影響の内容、これを[1]から[4]まで影響しておりまして、それらの影響によりまして種の存続または生態系に回復困難な被害を及ぼすようなそういった外来生物がある場合にそれを選定するとそういう内容の記述にしております。
    それから、イの人の生命、身体に係る被害につきましては、これも若干説明を加えておりますが、外来生物と違って危険の回避、あるいは対処の方法についての経験が乏しいというようなものが外から入ってきたときに危険性が大きくなると、そういうことが考えられる生物を選定するということにしております。
     それから次のページですが、ウの農林水産業に係る被害ということでありますけれども、単に我が国の農林水産物を食べるというだけじゃなくて、そのことによって農林水産業に重大な被害を及ぼすようなそういった外来生物を選定するということで若干記述を加えてございます。
    続いて(2)の被害の判定に活用する知見の考え方とありますけれど、記述のポイントと中身は同じであります。
    その次の3のところですが、ここは前回議論になったところでございまして、選定の際の考慮事項ということにしております。ここは前回のご意見を踏まえて修正をしておりますが、基本的に特定外来生物の選定に当たりましては生態系等に係る被害の防止を第一義にするということでありまして、その上で外来生物の生態的特性、あるいは被害に係る現在の知見の現状ですとか、あるいは適正な執行体制の確保、それから社会的に積極的な役割を果たしている外来生物についてそれを指定した場合にかわりになるものがあるのかどうかと。そういった指定に伴う社会的・経済的影響も考慮して、基本的には随時選定していくという記述に変えてございます。
     次に4の特定外来生物の選定に係る意見の聴取についてでありますけれども、(1)でどういう学識経験者からどういう方向で意見を聞いていくのかということを記述しておりまして、基本的には生態学、農学、林学、水産学といった生物の性質に関して専門性を有している学識経験者の意見を聞くということにしております。
     学識経験者の選定でありますけれども、かなり幅が広いということでありまして、哺乳類、鳥類、爬虫類といったそういう生物の分類群に対応するような形で留意をすると。
     さらにもっとも関係の深い分野の学識経験者については、あらかじめ登録しておいて必要に応じて意見を聞いていくと。そういう体制をあらかじめつくっておくということ。
     それから、意見の聞き方については、個別にヒアリングするということもあれば、委員会形式で学識経験者の意見交換をしていくというような形もあるということで、いろんな外来生物がいますので、その特性に柔軟に対応できる形式を検討するということにしております。
     それからもう一つ、学識経験者個人だけではなくて、関連する学会から知見の収集を行う。あるいは、外来生物を利用している人から意見の聴取をすると。そういうことも検討するということにしております。
     5ページの(2)と(3)、パブリック・コメント、あるいはWTO、これについてはその記述をちょっと細かくしたぐらいで中身の変更はございません。
     続いて第3の取扱いに関する基本的な事項でありますけれども、ここは前回記述のポイントにおきましては項目のみをお示ししておりましたので、今回その内容について記述を深くしてございます。
     1の飼養等の許可の考え方ですが、(1)許可が不要な場合というのを掲げております。ここでは法律の第4条1項2号で防除に係る捕獲等その他主務省令で定めるやむを得ない事由がある場合。これやむを得ないと事由してのその考え方ということで何があるかというのを記述しております。例えば本法に基づく防除に伴う行為など許可を受けなくても特定外来生物の遺棄あるいは逸出の防止が図られている場合、あるいは災害時において緊急に対処すべきような場合、それから違法に飼養されていた個体を警察が押収するというような公的機関がその職務を遂行するために必要な飼養等であって許可手続を得るような時間的余裕がないというような場合には、その取扱いが適正ということであれば、ここでいうやむを得ないという事由として許可が要らないという整理にしてあります。
    それから(2)の飼養等の目的でありますけれども、ここは法律の条文上、学術研究の目的、その他主務省令で定める目的ということになっておりまして、学術研究のみを例示していたわけでありますけれども、一応基本方針の中で学術研究のほか、展示や教育、それから許可規制を行うことで遺棄、逸出等に対して十分な抑止力が働く生業などの場合に限って、飼養等の許可の対象とするということにしております。逃がさないという共通のルールのもとで、生計を支える上で許可を取ってでも飼養を続けていくと。そういう目的に限って認めていくということでありますので、これまで安易に飼って捨てたり、逃げ出したりとしていた例が非常に多い愛玩飼養、ペット等の目的につきましては対象としないと。そういうような考え方をここで記述しております。
     それから(3)の施設基準でありますけれども、原則としてはその特定外来生物が逃げ出さない、これが第一になりますので、逃げ出さない構造及び強度とするということをアで記述しております。具体的にどういうものがどんなふうにというのは特定外来生物ごとに変わってきますので、その特定外来生物に指定される生物ごとに考えていくということになろうかと思います。
    6ページのところですが、(4)で許可条件というのを掲げております。特定外来生物の遺棄あるいは逸出等を起こさない適正な取扱いを確保するということでありまして、許可に際しては条件をつけるということにしております。その条件としては、許可の有効期間、それから飼うことできる外来生物の数量、その制限。それから譲渡しに伴って主務大臣に届出をさせるというようなことを許可条件とするということで考えております。
     (5)につきましては、飼養等の方法でありまして、義務づけるべき飼養等の方法としては、定期的な保守点検、あるいはマイクロチップ、タグ、写真などによります、その生物ごとにちょっと違うわけですけれども、生物に応じて技術的に可能な方法での識別措置。あるいはウにありますように、繁殖して非常に困るような生物につきましては、繁殖制限を課していくというようなその考え方について記述をしているところでございます。
     (6)のその他ですが、ここは先ほど愛玩目的については認められないというふうにお話をしましたが、仮に特定外来生物が指定された時点でその前から飼養等をしていた場合に、基本的に許可されないというわけですが、そのような場合に指定する前に捨ててしまうとか、逃がしてしまうというような行為が多発するということも考えられますので、そこは特定外来生物に指定される前から飼養がされていた個体に限って愛玩等の目的についても飼養等の許可の対象とするということで整理をしております。
     それから2の個体の処分についてでありますが、いろいろ取扱いをしていく中でやむを得ず殺処分をしなければならないという場合も出てくるかと思います。その場合には、できる限り動物に対して苦痛を与えないようなそういう適切な方法で行うということを記述してございます。
     それから3の輸入禁止、4の譲渡し等の禁止ですが、これらについては適正に国の関係する機関、例えば税関などと連携をしまして輸入禁止の徹底に努めると。ある意味では、その禁止につきましても飼養等の禁止と同じようにやっていくわけですが、例外的な措置も基本的には飼養等の禁止と同じような形でやっていくということであります。
     7ページに行きまして、5の放つこと、植えること又はまくことの禁止でありまして、外来生物の関係で最も重要なこととして、その遺棄、逸出を防ぐということがございますので、特定外来生物を取り扱っている方がその管理を放棄したり、野外に放つ行為というのはもう例外なく禁止ということであります。ただ、既に野外に存在しておりまして飼ってない、飼養等をしていないというような特定外来生物につきましては、仮にそれを捕獲あるいは採取してもその場所で放ってどこかに行くというのは、基本的にはこの法律上の違反とはならないんだと。ただし、その捕獲あるいは採取したものを持ち帰って人にあげてしまったり、あるいは運んで行って別の場所で放すというような行為については、この法律の規制が適用されるということを書いております。
     6につきましては、飼養等の許可者に対する立入りの徹底ということで書いております。
     それから第4の防除でありますけれども、外来生物法に基づく防除につきましては、国がまず防除の公示を行いまして、その上で適切に防除を実施していくということにしております。第4のところで防除の公示とそれから防除の実施という大きく2つに分けて記述をしておりますけれども、その中身というか項目全体としては記述のポイントのときと変わりはありませんが、若干記述を深めて詳しくしているところがありますので、そこを中心にご説明をいたします。特定外来生物による被害の発生を防止するために必要があるときは国が防除を行うということにしております。
     1の防除の公示に関する事項、(1)防除の主体と公示の方法。この中で、国は制度上その保全を図ることとされている地域など、全国的な観点から防除を進める優先度の高い地域から防除を進めるということにしております。一方、地域の生態系等に週ずる被害を防止する観点からその地域の事情に精通している地方公共団体、あるいは民間団体等が行う防除も重要であるということにしております。ただし、実際にはその国、地方公共団体、民間団体それぞれ分けてというよりは、防除を行うべき地域というのがあって、そこで相互にかかわり合いながら防除を実施するということが考えられますので、実際にはその各主体の役割に応じて適切な防除がなされるということによって、全体として効果的な防除が推進されるということが必要であるということで記しておるところでございます。
     8ページの(2)の区域及び期間ですけれども、基本的には被害が確認されている地域でそこを防除区域とするわけですけれども、これから被害が起きそうだというところも含めて防除区域には設定していくということでありまして、ただし、全国的に広く蔓延しているような場合がありまして、必ずしもその区域がどこかに特定できないような場合につきましては、防除の区域を全国というふうにすることもあり得るということをここで整理してございます。
     (3)の防除の内容につきましては、特段大きな変更はございませんが、ウのところで鳥獣保護の関係で特に在来鳥獣の錯誤捕獲を避けるという適正な防除を進めるためのその事項というのをここで明記しております。これ以降のところにも鳥獣保護の観点はかなり入れておりまして、ここは国会でもかなり議論になりまして、錯誤捕獲を避けようということで内容の記述を若干厚くしてございます。
     それから、2の防除の実施に関する事項でありますけれども、特定外来生物の防除については、その実行上被害の状況に応じて最適な防除の方法をとるということでありまして、大きく分けますと緊急的な防除、それから計画的な防除、この2つになろうかと思います。
     (1)がその緊急的な防除でありまして、これは人の生命・身体に被害が及ぶような場合、あるいは希少な野生生物が生息・生育しているような場所で捕食性が高い特定外来生物が発見されたと。そういった場合には、もう見つけ次第すぐに対応しないといけませんので、そこは国が関係機関と連絡調整をした上で速やかに防除の公示をして、防除を実施すると。すぐとるということにしております。
     9ページ、(2)のところですけれども、ここは計画的防除の実施ということでありまして、特定外来生物が既に広い範囲で蔓延して生態系等に被害を及ぼしているようなそういう場合に、国だけがというよりは地方公共団体、民間団体、あるいは土地所有者・管理者、そういった関係者が連携しましてその防除の目標ですとか、区域、期間、方法、そういった具体的な中身を話し合って防除実施計画を策定した上で防除を行っていくということをここで整理してございます。それで、防除実施計画を実際に地域でつくって実行するという場合には、手順を踏んでやりましょうということもここで書いております。それがアからオまでですが、可能な限り地域の状況の応じてその手順を踏んで実施計画をつくっていくということで整理してございます。
    アのところですが、まずは協議及び検討の場の設置ということで、関係者が協議できる場をこしらえて防除実施計画をつくる。それから実行の方法について検討する。防除した後の活動の評価をしていくとそういうような場をつくりましょうということでありまして、この場合いろんな専門家のアドバイスというのが必要になるかと思いますので、そこはその防除の実行状況の分析とか、あるいは評価をするための場を別途つくるということで対応していってはどうかということでございます。
     以下のところは、それぞれ関係行政機関と連携する、あるいは土地所有者にあらかじめきちんと調整すると。モニタリングした結果を計画に反映させていきましょうというようなことで記させていただいております。
     10ページですが、ここから以降少し細かいですが、(3)防除の実施に当たっての留意事項ということで並べてございます。先ほども言いましたけれども、鳥獣捕獲規制を除外すると、この防除の公示に沿った防除についてはこの鳥獣捕獲規制を除外するとそういった形になっているわけですが、そうすると錯誤捕獲といったような違法な捕獲が助長されるんではないかという懸念がございまして、そういったことがないようにここでも捕獲場所あるいは捕獲方法、そういったことが適切になるように留意しなければいけない事項を書いております。基本的には鳥獣保護法を踏まえた記述にしておりまして、ここでかなりたくさん並べておりますのは基本的にはそういった配慮すべきこととして、これをもとに防除の公示等をしていくということで考えてございます。
     それから、例えばエにありますような動物をやむを得ず殺処分するような場合、そういった方法についてもここで基本的な考え方を述べているところでございます。
     (4)で防除の確認・認定でありますが、防除の公示に沿って地方公共団体が行う場合には確認、民間団体が行う場合に認定をとってそれで防除を行うということであれば、この法律に沿った防除として、例えば鳥獣保護法の捕獲については許可はとらなくてもいいとか、あるいはこの法律に基づく飼養等の許可は要らないといったことになります。この(4)については、確認・認定に係る要件ということでありまして、防除を行う主体が持っているべき要件、それから防除の実施に当たって守られるべき要件。この2つを、アとそれからイという形で並べているところであります。
     11ページですが、その他として国意外の者が独自に行う防除についても重要であるということの記述をしておりまして、前回ご意見で国意外のものが行う防除の取り組みを促進するような、そういった国の後押し的なものも書くべきではないかということがありましたので、ここでその防除手法の紹介、あるいは技術開発に努めるというような記述を追加するところでございます。
    それから第5、最後のところですが、未判定外来生物につきまして。未判定外来生物につきましては、これから海外から来る可能性があるものを基本的に対象とするということで考えておりまして、(1)の選定の前提のアのところでそのことを明確にしております。原則として我が国に導入された記録のない生物、あるいは過去に導入されたものであったも野外で定着していなくて、現時点で輸入されていない。そういう外来生物については、基本的には科学的知見が少ないということでありますので、これらを未判定外来生物として選定の対象とするということで考えております。
     それからイと12ページの方のウにつきましては、記述のポイントと変わってはいません。
     (3)の選定対象となる外来生物のところですが、アのところで未判定外来生物についても専門家の意見を聞くということにしておりますが、これは特定外来生物の指定の際に学識経験者から意見を聞くことにしておりますので、それとあわせて意見を聞くという趣旨でございます。片仮名のイとウのところは特定外来生物の選定と同じ考え方でございます。
     (4)の判定に係る届出事項としまして、未判定外来生物を輸入したいという方が出て来たときに、その未判定外来生物の正式な学名、あるいはその原産国、生態的な特性、そういったものに関する情報を主務大臣宛にその届出のときに提出してもらうということにしております。
     それから(5)の留意事項については、記述のポイントのときと変わってございません。
     13ページですが、2の種類名証明書の添付が要らない生物でありますが、(1)は基本的に前と同じでありまして、ただ2段落目のところの特定外来生物、未判定外来生物、それとこの種類名の証明書の不要な生物については、その選定のときに同時に相互調整をしながら行っていくということについて記述をしているところです。
     それから(2)の種類名証明書の発行につきましては、さまざまな証明書がございますので、こういったものが対象になるということで記述をしているところございます。
     それから3の科学的知見の充実につきましては、前回ありましたご意見を踏まえまして、真ん中のところですが、地方公共団体が各地域で知見の集積、あるいは調査研究を進めることも重要であって、国はそういった取り組みを促進するよう努めるという記述を追加してございます。
     13ページ一番下から14ページにかけて、4の国民の理解の増進につきましても前回ご意見がありましたが、環境教育というのは学校教育だけではないだろうということで、社会教育その他多様な場で行われる環境教育において、外来生物に係る基本的な理解を高めるための学習機会の提供などを行っていこうということを記述しているところでございます。
     一番最後の5のその他でありますが、非意図的な導入、あるいは動物の取扱い、経過措置といった考え方を述べておりますが、非意図的な導入につきましては、本来的に輸入、飼養とかというそういう行為をしようという意思がなくて導入がされるということですので、この法律の直接的な規制の対象とはならないということを書いておりまして、ただし、生態系に被害が出ていると、あるいは出る恐れがあるということであれば防除をしっかりとやっていくということで書いております。非意図的な導入というのはどこから入ってくるか、どの辺で被害を及ぼすかなかなかわかりにくいところでありますが、そこは主務大臣として関係する機関、あるいは関係者と調整をした上で導入経路、存在状況の把握に努めるということでございます。
     バラスト水についても同様に、非意図的な導入ということでこの法律の対象にはならないわけでありますけれども、その船の中というよりはその海で仮に特定外来生物がいたというような場合には、それで被害があるというような状況であれば、きちんとこの防除の措置が考えられるということで書いておるところでございます。
     (2)の動物の取扱いについては、その動物の愛護及び管理に関する法律の考え方に沿いまして、適切な方法で個体を取り扱っていくということで書いております。
     それから(3)は、一般的な考え方でありますけれども、特定外来生物が指定されたときにその生物を既に飼っているというような場合には、その飼っている、飼養等の行為を継続するために、手続に関しては経過措置を設けるというようなことを一般的な考え方として述べているところでございます。
     以上で基本方針の作成に関する説明を終わります。よろしくお願いいたします。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。全体を通じての説明をしていただいたんですが、議論も順番に小節ごとに区切ったりしないで全体を通してお気づきになったところから進めていきたいと思いますので、どこからでも結構ですのでどうぞ。
     小林委員どうぞ。

    【小林委員】 まずはちょっと前回の意見の概要のところについてですけれども、私、選定の際の考慮事項についてと関連すると思うんですが、この生態系の被害という記述が非常にあいまいであるということを申し上げたとつもりです。そこを入れておきたいと思います。
     それからそれと関連するわけですけども、今回便益に関する表現が一切なくなっておりますが、私が申したかったのは、そういうように非常に幾らでもその生態系の被害ということを取りようがあるわけで、そういう形で便益を一切考えないということになりますとこれは一方的な生物学主義というか、一方的な立場が展開するという危険性が非常にあると思います。そういうことで考慮事項についてその辺を加えていただきたいと思います。
     それで基本方針ですけども、そのことに関連しまして、4に特定外来生物の選定に係る意見の聴取というのがございますが、ここにあるのは専ら生物学の専門家を入れる、あるいは関係する学会の意見を聞くということのみが述べられておりますけども、そのような観点から生物の便益にかかわる側もかかわるだろう。あるいは、社会的な評価、こういうことはどうしても私は必要だと思います。単純に生物学的アセスメントと申しましても、さっき言ったように非常に評価があいまいなものですから、そういう第三者から見たような社会・経済的なアセスメントですね。そういうふうなことを言える専門家、そういうふうな衛生物利用の専門家とそれから社会・経済的な立場のある専門家、こういうものも学識経験者の中に入れるべきであるというふうに考えます。

    【岩槻委員長】 事務局から。

    【事務局】 最初の方の便益の関係ですけれども、先ほど選定の際の考慮事項のところはご説明をしましたけれども、前回ご説明しておりますが、基本的な方針として2ページのところですが、2ページの3の被害防止の基本的な方針の下から2つ目の段落ですけれども、「外来生物の中には様々な用途で利用され、例えば国土保全等の役割を果たしてきたものもある。特定外来生物として規制を検討する際に、その役割について考慮する」ということでここで一つ基本的な方針を出しております。その上で選定の考慮事項として第一義的には被害の防止であると。ただ、そういういろんなその外来生物についてその代替物の入手可能性と社会的な影響、あるいは経済的影響を考慮するという形の記述にしております。
     それから4番の特定外来生物の選定に係る意見の聴取、4ページの下ですが、法律上、法律第2条3項ですけれども、特定外来生物の指定をするときに生物の性質に関し専門の学識経験者の意見を聞くということになっておりまして、基本的には生物の性質に関しての専門家ということでありますので、上の方の分類ごとというのはそういうような形で書いております。それでオのところにその他利用する側、あるいはいろんな学会等からの意見の聴取ということで幅広く、実際のところは幅広く意見を聴取していくということで考えておりまして、必ずしもその生物学のみということではなくて、実際のところ幅広い意見もお聞きしながら選定については考えていきたいということで考えております。

    【岩槻委員長】 小林委員どうぞ。

    【小林委員】 そういうことであれば、そういうふうな内容をやっぱり明記していただきたいと思います。そうでないと、少なくとも私が私の身の回りの者にこういうような法律ができるんだよと聞いた場合に、必ずしも皆さん十分に理解してはいただけません、普通の方は。国民の幅広い理解が得られないと、言葉は悪いですが、平成のお犬様の法律になる可能性もあると私は思います。その辺、十分考えていただきたいと。

    【岩槻委員長】 ほかに。阿部委員どうぞ。

    【阿部委員】 7ページの5番の放つことと、植えること又はまくことの禁止のところの2段落目のところです。これはその外来生物を捕獲直後にその場でリリースすることは違反とならないというふうになっているんですが、これはそうしますと魚なんかで行われているこれは認められるということになるんですが、ここのところは本来の多様性保護という観点からすればちょっと問題になるのではないかと私は思うんですが。いかがでしょうか。

    【生物多様性企画官】 放つことの解釈の問題でして、一応その法律上放つというのは、飼っているものについて、あるいは、所持して栽培したりというものに関して、こういう放つということですので、その場で捕らえて、そういう意思がなくて捕らえてしまってその場で放つということに関しては、これはその法律上放つ上ではまず該当しない。そういう定義ですので、一応ここで解説をしているという形です。ただ、実際には防除という観点からいろんなことが出てきまして、それはその防除の計画を立てるときにそれぞれの地域で必要な防除の方法がありますので、捕ったものは処分するというような防除もあると思うんです。ただ先ほどの放つ、植える、まくというのは、法律上の解釈としてそういうふうな形になっていくというところでございます。

    【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。鷲谷委員どうですか。

    【鷲谷委員】 専門家の先ほどのところ、その他に関してなんですが、生態系への被害ということを考えますと入ってくる外来生物の性質だけではなくて生態系がどういうものかとか、それから生態的な現象としてその外来生物がその生態系とどう相互作用するかというようなことに関する専門的な知見が重要なんではないかと思いますので、例えばどういう文言がいいかわかりませんが、生態系という複雑なシステムを熟知している専門家なり、その地域の生態系をよく知っている人とか、そういうような分類群で外来種についてよく知っている側だけではなくて、侵入される側の知見をも持つ専門家というのも欠かせないんではないかと思います。
     それから、多少関連がありますが、第4の防除に関する基本的な事項で内容を見ていくと科学的にとか科学的知見に基づくということははっきり内容としては取り入れられているんですが、前文の中にも科学的に進めるということを書いておいた方がいいような気がしますので、例えば7ページ、第4というところの具体的なところが始まる前のところに、「各関係者と連携を図りつつ、国が防除の公示を行い、その上で科学的知見に基づき適切に防除を実施する」などというような文言句になってもいいのかなという気がします。
     それから、先ほど申し上げたこととの関連で、13ページの科学的知見の充実というところも先ほどと同じ趣旨かな。3、科学的知見の充実の1行目なんですけれども「的確かつ効果的に推進するためには何よりも生物の特性に」と書いてあるところを「特性及び進入を受ける生態系に関する」というふうにした方がこれから必要とされる科学的知見の内容をよくあらわす文言になるんではないかと思います。
     以上です。

    【岩槻委員長】 最初におっしゃったこと、4ページのところでは4の(1)のアの「生態学、農学、林学、水産学等生物の性質に関し専門性を有する学識経験者」では内容が不足だということですか。

    【鷲谷委員】 アはいいんですが、ウのところで選定はということで外来種の方の分類群によるものだけが強調させているような気がするので。

    【岩槻委員長】 これは筋書きとしては、アがあってそれに対応するように留意するという表現、これはむしろ事務局からお答えいただいた方がよろしいですが。

    【鷲谷委員】 それ留意する点については、もう1つ加える必要があるのかな。侵入される側の特性を評価できるという点をやはり生物学的侵入というのは両方の重なったところに起こる現象なので、外来生物の特性だけ十分理解されていても評価が難しいというそういう理由なんです。

    【事務局】 よろしいですか。アのところにかなり広く読めるというふうに考えておりまして、ここはどちらかというとその生物の特性もそうなんですが、例えば農学、林学、水産学というあたりは被害を受ける側の方の方々と言ってはあれですけれども、そういう被害を受ける方も入っておりまして、そこで言えば生態学のところにもそういう部分が入ってくる。イのところではさらにそれを細かく、分類学で見たときの漏れがないようにという趣旨ですので、そこのところをご理解いただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 細谷委員どうぞ。

    【細谷委員】 2点ほど全体を通しまして、先ほどの小林先生から便益性を当然重視しながらということでコメントがございましたけれども、実際にそのとおりでございますけれども、この会自体には基本的には生物多様性の保全ということを全面的に方向性を出している以上は、その辺はある程度のその優先の度合いというのは、私の立場からでも当然かなというふうに個人的には考えております。これがまず1点。
     それから、第2点でございますけれども、これは重複しますが、先ほど阿部委員の方から7ページの5番目、「放つこと、植えること又はまくことの禁止」というところでコメントがございましたけれども、繰り返しになりますが、第2パラグラフ「既に野外に存在することで飼養等又は譲渡し等に係らない特定生物について、捕獲又は採取した直後に放つ等の取扱いをしても本法第9条の違反とはならない」という文言は、これは後ほどの国の姿勢と若干整合しないのではないのかなというふうに考えております。もちろんもう既に汚染された地域で外来生物を捕ったらそのままにしておきなさいよともとれかねない部分がございますし、申請として例えば地方自治体の関与しない地域では一体どうされるのか、処分することが当然望ましい等のその辺の国の姿勢をどこかでこの中で盛り込むことも必要じゃないかなというふうに思われます。
     それで、11ページにも3のその他のそのパラグラフの中で下の後半部ですが、「国は、国以外の行う取組を促進するため、効果的な防除手法の紹介、防除技術の開発、防除体制の整備等に努めるものとする」と全体としてこういうことがあってはなりませんよ。だけどもあなた方がやりなさいというような国の具体的なその関与というところが少しトーンダウンしているんじゃないかなというふうに感じました。
     以上です。

    【岩槻委員長】 第1の点に関しましては、先ほどもご説明がありましたように4ページの3、選定の際の考慮事項で第一義的には生態系等に係る被害の防止ということで、それに対してさっき小林委員がおっしゃったようなことに関しては、社会的・経済的も考慮しというそういう条件がついているんだというそういうふうにご理解いただけたらと思うんですけれども。それで先ほど小林委員がおっしゃったそれにもかかわらず誤解を受けるんじゃないかということに関しては、むしろこういう法律ができたその法律を普及する場合の非常に重要なポイントの一つでじゃないかというふうに思うんですけれども、それは十分配慮しないといけないと思います。
     それから2つ目のことに関しましては、これはひょっとして国だけがやるんじゃなくて地方もそれから国民一般もというそういう姿勢が、今おっしゃったような国がその引かれているような印象になってしまったんじゃないかと思うんですけれど、事務局の方からこれは。

    【事務局】 7ページの5番の放つことの部分でございますが、参考資料の法律の条文をちょっと見ていただければと思います。第9条のところでございますけれども。冊子の方に参考資料というのがございますけれども、これの第9条でこの条で禁止をしているのは何かということをかなり明確に書いてございまして、飼養等輸入又は譲渡し等に係る特定外来生物はということで、その対象となる特定外来生物というのはこの法律上の扱いとして飼養等に係るものということがかなりはっきりしております。そういう意味では、基本方針案の7ページの5のところはむしろここの趣旨を確認をしているということでありまして、全体として国が防除をどう進めるかということとは違った観点であくまでも法律上の扱いとしてどうなるか、ということを整理をしております。
     もう1点、防除に際してどうするかという国の扱いと言いましょうか、そちらの方につきましては、むしろこの法律自体では防除の中心的な主体というのはあくまでも国になっておりまして、国だけではむしろ仕切れない部分もあるので、ぜひ地方自治体あるいはその他のものということで積極的な参加の期待をするという構造になっております。例えば7ページの第4のところにありますように、あくまでも第4の頭書きの部分の一番最後のパラグラフですけれども、防除が必要な場合には、いろんな人の意見を聞いたりあるいは関係者と連携を図って国が防除の公示を行って適切に防除を実施していくということで、全体的にはそういう国がかなり責任を持ってやっていこうということで書かれているという形になっております。ただ、その場合に国以外のものがどう関与していったらいいのかということを少しわかるような観点から地方公共団体等の扱い、あるいは確認認定等を受けてやっていくのかというふうなことについて記述をしているという関係になっております。

    【岩槻委員長】 どうぞ。

    【岡委員】 今のご説明についての質問ですが、法の第9条の飼養等輸入又は譲渡し等に係る特定外来生物でない特定外来生物とはどういうものですか。

    【事務局】 既に国内で蔓延してしまっているもの、だれも飼養していない状態で野外に存在するようなものがあるわけです。そういうものについては、だれも責任を持って飼っているという状況にありません。そういうものがここでいう飼養等に係るものでないと、外来生物の、ということになります。

    【岡委員】 それは生物の種類によってこの種は飼養等に係るものである、この種はそうでないというふうに分けられるものですか。

    【事務局】 種類ではなくて飼養等というのは、ある人間がこれを飼っている、あるいは輸入しようとしているというようなある個人なりその法律の適用を受けようとしている主体というのがあるわけでありまして、そうでないものについては飼っているとか何とかというのは全然ない状況になります。そういうものについては、ここでは対象にならないと。

    【岡委員】 現に蔓延している特定外来生物をとってきて飼い始めたときは飼養に係るかな。

    【事務局】 それは飼養するという行為に当たりますので、許可が必要となると。ここで言っておりますのは、飼養等する意思がなくて、たまたま例えば家の庭に入って来たアライグマを一たん捕獲したんだけれども、これはもう放してしまったというふうなケースについては、飼養を遂行する意思がない。そういう意味では、許可等の手続の対象にならないと、あるいは放したという行為にはならないと。そういうことを述べているわけでございます。

    【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ大矢委員。

    【大矢委員】 6ページのところの(6)のその他の「特定外来生物が指定された時点以前から、愛玩目的で飼養されたもの」、この部分とそれから前段の輸入許可条件、それと一番最後の14ページの経過措置のこの辺の絡みについてちょっとご説明いただきたいんですが。どんなものが特定外来生物に指定されるかまだわかりませんけれども、愛玩目的で飼養をしていたものが、果たして遺棄・逸走等を起こさないような個人が飼っているものがそれだけ強固な施設をつくれるのかどうか、そしてまた個人のところまで保守点検に入ることが可能なのかどうか、その辺のところも含めて。

    【事務局】 ここは個人かどうかということよりもその目的で見ているわけですけれども、一応ここで指定される前から飼養登録をしていた場合であっても、きちんとしたやっぱり施設で飼えるかどうかというのを見ることになります。その目的としては、愛玩等は認め得ないわけですが、この一代限りで認めた場合にそれが逃げ出さないような施設あるいは方法で飼えるかどうか、そこはきちんと見ると。場合によって立ち入ってということも、検査しに行くということも当然ありますが、ここは十分飼える施設を持っているがどうか、そこは対象になります。

    【大矢委員】 かなり愛玩目的というのも、これは個人とみなしてもいいと思うんですけども、動物園等公共施設では愛玩目的というのはあり得ないわけですから。その場合に相当各地方自治体がきめ細かくチェックをしていかないと飼養状況というのはわからないと思うんですが、いかがでしょうか。

    【生物多様性企画官】 この法律に関する事務はその都道府県市町村ではなくて、基本的には国の事務ということで環境省がやっていくと、あるいは農林水産省と一緒にやっていくということになりますので、そこのところは実際具体的にはどういうふうにやっていくかというのは運用の話ではありますけれども、国として十分考えていきたいというふうに思っています。

    【大矢委員】 私がなぜそのことについて申し上げているかというと、やえもするとそんなに面倒くさいのなら放しちゃえというふうな個人で飼っていると、そういう傾向が非常に強いことを十分ご認識いただきたいと……。
     以上です。

    【岩槻委員長】 はい、どうもありがとうございました。そのほか鷲谷委員どうぞ。

    【鷲谷委員】 14ページのその他の非意図的に導入される特定外来生物への対応の考え方がちょっとこれでいいのかという疑問を持っているんですが、その最初にところの「意思なく導入がなされるため、対象とはならない」と書いてあるんですが、それは現状としては今、そういう侵略的外来種は意図を持って導入されているのではなくて非意図的に入ってきているわけですけれども、今後意図を持って導入するということを考える人がいるかもしれないということと、それから本法の規制の対象としないとなると植え、放ち、まいてはいけないという蔓延を防ぐ部分が生きてこなくなるのと、それから侵略的な外来種になっているような場合の対策をこの法律にのっとってすることが難しくなるということがあるんではないかと思います。だから、現状の導入形態が意図的か非意図的かで、現状で非意図的なものはこの法律の対象としないと言ってしまうのはかなりこの法律の可能性を狭めてしまう可能性があるんじゃないかと危惧するんですが、いかがでしょうか。

    【生物多様性企画官】 この法律上対象にしないということではないんですね。侵略的な特定外来生物になり得るものについては、特定外来生物の指定をして規制なり防除をしていくわけですけれども、その実際に規制をするといったときには飼っていたりあるいは輸入しようとする意思があってやっているものに対して規制をするということでありますので、何かにくっついて来ちゃうようなものに関しては、そういう規制ができないという形になります。ですから。

    【鷲谷委員】 導入に対しては規制ができないけれども、その後の過程では生きるんじゃないかと思うんですけれども。

    【生物多様性企画官】 そうですね。飼い始めた時点では。

    【鷲谷委員】 もう飼い始めじゃなくて、ある存在しているものをとって来てふやしてしまうとか、そういうようなことは幾らでもあります。

    【生物多様性企画官】 持って来てふやすのは飼養等に当たりますので、それは当然規制をするということで。

    【鷲谷委員】 そうですね。対策ものっとってできるとしたら、ちょっと誤解、この書き方がそういうことも否定しているんではないかというふうに読んでいってしまったんですが。

    【事務局】 導入に関しては、規制の対象にならないというふうに明確にした方がよろしいですよね。

    【鷲谷委員】 そうですね。導入の部分については対象にならないけれど、そのほかでは生きているんだということがわかるようにした方がいい……。

    【岩槻委員長】 そのほかのご意見いかがでしょうか。どうぞ。

    【太田委員】 これは文面の問題ではないかもしれないんですけれど、5ページ、特定外来生物の取扱いに関する基本的な事項のところの1で飼養等の許可の考え方の(2)で学術研究それから展示や教育、許可規制を行うことで遺棄や逸出云々というふうに挙がっているんですけど、実際今までのいろんな逸出の経過を見るとかなり侵略性の高いものが、実際には教育機関からかなり逃げ出してふえているんですよね。そこら辺、この後ろに飼育施設に関する条件とかいろいろとついてはいるんですけど、これは学術研究もそうなんですけど、何かもう少し厳しいここに文言を入れられないかなと思いまして。何かそこは割と簡単に飼養許可が出てしまうようなあれにしますと、例えば今、南琉球の方で各島にクジャクとそれから幾つかの島でウサギが走り回っているのがよくよく調べてみるとほとんど学校で飼っていて、子供たちのあれにいいからといって飼っていて、結局それが、しかも施設も万全だと言っていて、実際には台風が来て朝起きたら屋根が飛ばされて一匹もいなくなっていたとそういう状況なんですね。だからもう少しそのあたりをきちんと押さえるような文言をここに入れられないですかね。

    【岩槻委員長】 何かその文言の具体的な例を。ここのところも内容は太田委員も十分にご理解いただいていると思うんですけれども、規制することだけではやっぱりぐあいが悪いんで。全体としてはこの法律ができることによって、今までのように何でも入れてもいいというように何でも入れてもいいという、用心さえすれば入れてもいいというのとは違って規制の対象になってくる。それの特別な許可を受けているんだという意識は持っていただけるんで、ちょっと今までとは違うとは思うんですけれども、だけどもおっしゃられることは起こり得ますんで、何か適当な表現があればいいんですが。
     事務局は何か。

    【生物多様性企画官】 いずれにせよこの飼養の目的についてという整理の部分すべて書いてあることのつきましては、(3)以降の基準等もすべてかかってくることになります。そういう意味では、実際にはちゃんとした管理をしていただく前提で許可がなされていくということで、これは法律上そういう担保がとれているというふうにご理解をいただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。

    【北田委員】 ちょっと基本的なことで、前回参加しなかったもので申しわけないんですけれども、これは特定外来生物というのを定めるということで、もう1つは未判定の外来生物ですよね。ですから、未判定はこれから入って来る可能性のあるものということで、特定のものは現に被害を与えている黒ですかね。未判定はこれからなので、中間というんですかね、グレーゾーンに入るもの、多分そういうものがこれから出てくると思いますけれども。そういうものの取扱いはどのような感じでされるんでしょうか。

    【岩槻委員長】 事務局……。

    【生物多様性企画官】 4ページの上の方で(2)で、被害の判定に活用する知見の考え方というのがありまして、特定外来生物の選定のときには、そのアのところですが、「被害又はそのおそれに関する国内の科学的知見を活用する」、被害が現にあるというのは当然あるとして、さらにそのおそれについてもここで見るということであります。イのところでも、国内で指摘されていなくても国外で生態系等に係る被害が確認されていたり、そのおそれがあるという科学的性がある場合にはそれを活用して定めていくと。未判定についてはそういう知見がない場合で、ただし、特定外来生物でよく特性が似ているような場合にはあらかじめ予防的に未判定にしておいて、判断していこうとこういう趣旨であります。

    【岩槻委員長】 よろしいですか。どうぞ北田委員。

    【北田委員】 そうすると最初から全部というわけにはいかないと思うんですよね。さっきの便益の話もありますよね。やはり便益の観点は私は非常に重要だと思いますけれども、最初から全部これが生態系に被害があるということで全部を多分規定できないんだと思うんですね。そういった場合に徐々に種類をふやしていくことにしていくのか、そのときに何かそのグレーゾーンにあるようなものはもう一段階、何て言うんでしょうか、言葉はわからないんですけれど、そういうものを決めとかないでいいのかなという気はちょっとしたんですけれど。

    【岩槻委員長】 事務局からお願いいたします。

    【生物多様性企画官】 はい。ご指摘のとおり確かにすべてを一度に特定外来生物の指定ができるかどうかということについては、かなり大変な作業になるだろうということが想定されます。この選定の際の考慮事項のところでも少し書いておりますけれども、随時選定していくということでいろんな意味で知見が高まって、あるいは条件がいろいろクリアされたもの、それについてはそういう必要性があり、なおかつ知見も高まっているということがしっかりしてきたものを随時やっていくという考え方でおります。
     そもそも3ページの第2の選定に関する基本的な事項の一番最初のところにもそこそこ書いておりまして、「生態系等に係る適正かつ効果的に防止するため、一様に規制対象ではなくて、特に被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物を適切に選定していく」という発想でおるということでございます。
     かといって、既に国内に定着しているというのが2,000種くらいの外来種がいるのではないかということが言われておりまして、そのうち特定外来生物にならないようなものでそういうおそれもあるんじゃないというふうなものについて、どう扱っていったらいいのかということについては、すべて順次やっていくしかないということではありますけれども、そういうものをどういうふうに扱ったらいいのかについては事務局サイドでもう少し検討してみたいというふうに考えます。

    【北田委員】 そうすると、そういうものについては調査をするわけですよね。科学的知見を集めてこれはいいのか悪いのかとそういうことをされるわけですよね。それについて国がバックアップしていくというそういう図式になっているんでしょうか。

    【生物多様性企画官】 はい。ご指摘のとおりだと思います。

    【北田委員】 なかなか大変ですけれども。もう一つ、これは質問ですけれど、微生物のことが書いてあったところなんですけれど。未判定ですかね。11ページの一番下のところのイのところに「菌類、細菌類、ウイルス等の微生物は等分の間対象としない」、まあそうだと思うんですが、ここで寄生虫なんかはどうなんでしょうね。例えば水産業の場合は、ヒラメが貧血症なんていうのは随分問題になっていまして、これはえらのところにネオヘテロボツリウムという寄生虫がくっついて死亡率が上がるわけですけれども、それで非常に大きな被害が出ているんです。そういう寄生虫なんかは、ここでは対象にはしないでよろしいんですか。

    【事務局】 ここで書いております目視によって種の同定が可能かどうかということでありまして、可能でないだろうというのが微生物ということで当面対象にしないということでありますが、大きな寄生虫というのはやはり見てわかるんであれば、それはいろんな要素を見ながらということになると思いますけれども。一応ここで書いている趣旨は、目視によって同定可能かどうかということであります。

    【岩槻委員長】 ここのところは前回もちょっと議論になったんですけれども、今すぐ見えない分については、ここで取り上げたとしても具体的に実行できないから当分の間は除外しておくというそういう思想なんで、これを初めから除いてしまうというのとは違うわけですよね。ですから、今おっしゃったような例は多分目視で識別できるものだというので十分対象になるものだというふうに理解していただいて結構だと思います。
     岡委員どうぞ。

    【鷲谷委員】 目視ということに対してですけれども。

    【岩槻委員長】 では、今の件で鷲谷委員どうぞ。

    【鷲谷委員】 補助的な機器を使っての目視というのは、例えば植物を同定するにしても細かい点をルーペとか実体顕微鏡などで見るのは、割合普通で日常的なことだと思います。ですから、そういう原虫のような寄生生物はどのくらいのサイズのものが普通なのかわかりませんけれども、そういうようなことで比較的、通常のやり方で確認できる場合は目視できて確認できるという範疇に入れてもいいんじゃないかと思うんですけれども。

    【岩槻委員長】 目視という言葉の定義の仕方が問題になっているので、裸眼で見てということじゃないですよね。

    【鷲谷委員】 裸眼では植物も同定できないこともあります。

    【事務局】 通常チェックしている範囲ということなんですけれども、もう一点、例えば線虫とかのたぐいは、前の方で特定外来生物の選定の項での考え方の中に、3ページから4ページにかけて、「感染症に係る被害は含まない」というのと「家畜伝染性疾病などに係る被害は含まない」ということで水産の方もそうかとも思うんですが、農林水産業関係で既にやっているものについては、かなり線虫あるいは病気のたぐいを含めてやっておりますので、そこでやっているものはそちらの方で対応していただいて、さらにこちらで何を見るかというのはその先にあるということであります。ですから、恐らく今心配されているようなことは、大体参考資料の2につけておりますが、法律のカバーしている範囲というのがありまして、それぞれ対象ごとに対応している生物というのはそれぞれおりまして、かなりそういう線虫のたぐいとかというのはほかの法律でカバーしている部分があります。それでも足りないような場合に何があるのかということは、これからの課題だと思いますので、一応そういうその方向性はこちらもちょっと十分考えておきたいと思いますけれども。

    【岩槻委員長】 今のその鷲谷委員の目視によるというのは、ちょっとまだ考えてみないとわかりませんけれども、例えば特別の機器を用いないでも種の同定が可能だというようなそういうような言い方にすればいいのかもしれませんね。確かに目視によるだと裸眼でなければということになってしまいそうですから。
     すみません、岡委員どうぞ。

    【岡委員】 私は経済的、社会的影響というのは、重要な考慮事項だと思っているわけです。ただし前回も言いましたが、専ら被害があるかどうかという観点から特定外来生物に指定をした上で経済上有用なものは許可を得て利用するというのが望ましい形だろうと思うんですね。その際に非常に経済的に有用かどうか、そういうことと被害が大きいか小さいかということを勘案しながら規制の厳しさを調整していくというのが望ましい姿だろうと思うんですが、この法律は、指定されると直ちに比較的厳しい規制がかかり、なかなか規制の厳しさについて調整が難しいという構造になっているために、選定の段階で経済的・社会的影響を考慮して選定しないことがあり得るということになっているように理解します。そうだとすると、この選定の際に被害の恐れがあるんだけれども、経済的影響を考えて選定しなかったというような種については、そういう理由がちゃんと残るような選定のプロセスと記録というのが必要なんじゃないかなと思います。それが私の意見ですけれど、質問は実際そのようになりそうな種というのはどれなんですか。どういうものなんですか。

    【岩槻委員長】 どなたか具体的にこういう種があるというのは。

    【岡委員】 つまり許可を受けて利用するんでは、とてもやっていけないと。したがって選定しないことにしてもらわないと経済社会上もたないような種というのは、どういう種なんですか。

    【岩槻委員長】 すぐには、どなたも。

    【岡委員】 つまり具体例がないと、どういう選定の手続及び原則が適切だということを非常に考えにくいんですね。

    【岩槻委員長】 おっしゃるとおりですね。鷲谷委員。

    【鷲谷委員】 前回も意見を申し上げたんですが、やっぱりやっていけないかどうかは規制が係ると新たな課題ができて、新しい手段の開発というのが進むということまで考えないとなんとも言えないのかな。

    【岡委員】 ですから、そういうことも考慮すると選定をした上で利用上許可を得て適切な利用をするというのが一番正しい筋だと思います。

    【鷲谷委員】 妥当だと思います。

    【岩槻委員長】 多分そういう具体例がすぐ出てきませんのは、先ほどのその専門家の入れ方というその選定をする専門家の入れ方の議論でも出てきていましたように、一人の人がすべての条件を理解しているわけではなくて、これは非常に危険だから入れるべきではないということがわかる人と、これは利用しないと経済上困るのだと思う人とが多分違うということで。ですから、選定の過程でこれは選定すべきであるというようなのがリストアップされてきたときに、これが選定されては困るというような話が多分出てくるんじゃないかと。それはあるんだと思いますよね。ですから、そういうところでその重要さの調整が必要になってくるということかと思うんですけれども。どうぞ小林委員。

    【小林委員】 それは経済的なという部分もあるんですけれども、どのように生態系を考えるかによっても、被害の意味は全然違うんです。だから岡委員考えられている被害の程度と私が考えているのとは違うかもしれません。

    【岩槻委員長】 そのほかどうでしょうか。随分議論が多岐に及んで、やりとりの中でご理解いただけた部分があると思いますし、それからそれでもやっぱりまだ疑問だというままの状態のものも残ってはいるかと思いますけれども。今もご発言なされたことですけれども、小林委員のその生態系に対する、その関する被害というのがはっきりしないということなんですけれども、言葉で定義たてるというのは非常に難しいことなんですけれども、この法律そのものがそういう言葉を使っているわけですけれども。それはやはり現在の生物学で生態系に被害があるというのはどういうことなのかというのが、これは設定性に関する議論は常にそういうなんですけれども、その個別の種によってあらわれ方が違いますからその対策についても個別の種に対してその対応の仕方というのは違った形になってこざるを得ないと思うんですけれども、その個別の種が生態系にどう対応するかというのは、扱う人によってもその見る面が少しずつ違ってはいますけれども、それにもかかわらず生態系に被害があるという共通の概念はあるんじゃないかというふうに思うんですけども。おっしゃっているのは一概に生態系にという、あらゆる種が一概に生態系に共通の被害を与えるということはあり得ないですけれども、個別の種が個別に与えるというそういうその生態系に対する被害のあり方というのは、やはり共通のやっぱり概念が今ではあるんじゃないかと思うんですけれども。どうぞ小林委員。

    【小林委員】 この指針の中では、外来生物の種の存続又は我が国固有の生態系に関し回復困難な被害を及ぼすというところが具体的な部分になると思います。ですから、在来生物の種の存続ということになりますと、基本的には絶滅に瀕している種の存続可能性分析の中でどういうふうにその課題している種が効果があるかというのも判定するということになりますが、多分それ自体もかなり難しいのではないかと思います。
     それからもう1つ。我が国固有の生態系という言葉ですけれども、これもいろいろとりようがあるように思うんです。多分本来の意味でのシステムとして我が国固有というものは余りないんじゃないかと。

    【岩槻委員長】 多分そういう表現ではないと思うんですけれども、これはアメリカの生態系ではなくて日本の生態系なんだというそういう日本の生態系という、それを日本固有の生態系という言い方で。ほかになくて日本だけにある生態系、そういう意味での固有ではないというふうに。

    【小林委員】 それでその生態系のメンバーが、だからその構成している種が、我が国固有のものであるという場合は相当にあると思うんですね。

    【岩槻委員長】 それはだから日本にだけある生態系というのは、結局そういうことですよね。

    【小林委員】 そうするとかなりの生態系が、都市生態系、農林生態系を除けば、かなりの生態系がここに含まれてくると思うんですね。それに対してその影響があると、あるいはそれが恐れがあるという言い方をすれば、これはかなりの外来生物のかなりのものが引っかかってくる可能性がある。

    【岩槻委員長】 この法律の精神はそういうことだというふうに理解しますけども。

    【小林委員】 ですから、法律はそれでいいんですかと私はいっているんです。そうして便益は全く考えないという立場では、これは非常に問題がある。

    【岡委員】 便益は現に考えると……。

    【小林委員】 いや、だから若干そこが軽視されているなと。

    【岡委員】 もちろん……。

    【小林委員】 皆さん方はそれでいいかもしれませんけれども、あまり関心のない市民の方にもきちんと説明できるか。しかもこれ、懲役まで科すわけですね、この法律は。逮捕できるわけですよ。ある生き物を持っているとかそういうことで。

    【岩槻委員長】 ある意味では、その生態系を保全するためにはそういうことが必要だということが法律として認められたということなんですよね。ですから、小林委員がおっしゃっているような誤った解釈をされると非常にそれは危険なことがありますから、その法自体が不信感をもたれるということは困ったことですから、先ほどちょっと僕が申し上げましたように、普及というのは非常に慎重にというのか、次でもできるというのか考えていただかないといけないということだと思うんですけども、しかしきょうの冒頭に申し上げましたように、ここの委員会はこの法律にのっとってどうその基本方針をつくるかということなわけですから、この法の精神というのは第一義的には生態系を守るということだと思うんですよね。ただ、その基本方針の中には何度も先ほどから説明がありますように、経済的・社会的な意味というのを無視して生態系さえ保存できたらそれでいいんだとは決して言わないというそういう姿勢ははっきり出ているというふうには理解したいと思うんですけれど。小林委員どうぞ。

    【小林委員】 これ、ちょっと適切な文言かどうかわかりませんけれども、例えば我が国の貴重な生態系とかそういう言い方にならないかというようなこと。要するにそうなれば、例えばあるゾーニングができますよね。そのゾーニングの場所に対してどうかという量的な判定ができていきます。何らかのそういうものがないと、生態系という言葉が法律に出てくるのは多分これ初めてでしょうかね。

    【岩槻委員長】 何かそのようですね。

    【小林委員】 そうすると、やはりこれはかなり皆さんが理解できるように使っていくということが非常に大事だと思うんですね。

    【岩槻委員長】 だけどこの法律は貴重な生態系だけを、例えば国立公園だとかところだけを守りましょうという法律ではないんですよね。法律自体はそうではないんですよね。ですから、それを基本方針でそういうふうに限定するというわけには逆に行かないんじゃないかと思うんですけれども。

    【小林委員】 だとすると、やはりバランスをとにかく配慮していただきたいということですね。

    【岩槻委員長】 そこのところがきょうの一番のクリティカルな議論になっているところかと思うんですけども。そのほかの点に関しては、幾つかその文言の修正のご提案があったりして、それはもう少し検討すべき必要があると思うんですけれども。そのほかもう少し基本的なことに関してここで、どうぞ青木委員。

    【青木委員】 これは前回の発言の確認ということで、ご説明いただきたいんですが、9ページに(2)に計画的な防除の実施ということで防除実施計画を策定し云々かんぬんとあるんですが、この中では当然私が前回申し上げました実行体制の問題、もっとありていに言えば、そういう計画を進めるに当たっての資金的な面も含めた防除実施計画を策定していくことも盛り込めるというふうに理解してよろしいでしょうか。

    【岩槻委員長】 事務局からお答えいただけますか。

    【事務局】 ご指摘を踏まえて11ページの3のその他の方に国以外のものが行う取り組みを促進するため云々という整備等に努めるという形で書いております。おっしゃっていることは一応ここに含んで考えてはおりますが、予算要求等はやはり別途のお話も要素もありますので、十分そこは努力したいというふうに考えております。

    【岩槻委員長】 先ほど細谷委員がご指摘された13ページの3の科学的知見の充実のところも効果的に推進するためには、何よりも科学的知見の充実が重要だとは書いてあるんですけれども、そのための予算措置を講じるとは書いてないんですが、それはまあ重要であるというご認識をいただいているという、そういうふうに理解したいと思いますけれど。
     ほかにいかがでしょうか。太田委員どうぞ。

    【太田委員】 すみません。本質的なことというよりも文言に関するちょっとそんなことかもしれないですけれど、4ページ目、さっきから問題になっている特定外来生物の選定に係る意見の聴取ですね。これ、多分現実問題さあスタート、あれが申請された、これが入って来たというので多分総動員されるのは分類学者じゃないかと思うんですよね。それで、ここのアでは「等」になっていますけど、ここに分類学というのも入れておくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。多分個々の入ってくるものを種とか分類群として考えた場合、一番それをきっちり押さえてその属性を予測して、必要な文献を提供してあらゆる知見を出すというのは、多分生態学と同等化それ以上に多分その現場では分類学者の協力が必要になってくると思うんですけど、いかがでしょうか。

    【岩槻委員長】 これは何か、特に入れなかったのは何か意味があったんですか、ここに。

    【生物多様性企画官】 アのところで学で生態学、農学等幾つか挙げてございますが、この例示についてはもう少し精査をしたいと思います。分類学というのは、多分例えば動物、植物とかというそれこそその分類群に応じてそれぞれあるということも考えられますので、そのイの部分がそういう視点が十分に留意するべきであるということをそういう意味で我々としは強調したつもりでありまして、いずれにせよアとイをあわせて少しどういう書き方がいいのかについては再度検討させていただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 私もイでこういうふうにパラレルな形で出てきているので十分重視されているという、自分も分類学をやっている一人としてそういうふうに認識していたんですけれども、おっしゃるとおりアのところが総論的に挙げるんだったら、確かにここにもう一回入れておくというのも1つの案かもしれませんし、それはもう少し検討していただくということで。
     大体想定していた時間になってきたんですが、文言の修正も含めて基本方針は基本的にはこういうことでよろしいでしょうか。幾つかご提案のあった文言の修正等については、事務局の方と相談させていただいてもう少し詰めさせていただきますが、この形でパブリック・コメントに出す中間案としてまとめさせていただくということで、小林委員の生態系にということに関してはまだご不満かもしれませんけども、法律の基本方針の策定としてはそうならざるを得ないという気がするんですけれども。特に第一義的には生態系の保全だけども、その便益も考えるというそういう流れになっているというところは、むしろその普及活動で今後は十分理解をしていただけるようにというそういう前提でこういうまとめ方をさせていただきたいと思います。

    【鷲谷委員】 文言についてはまた今後。今言っておいた方がよろしいですか。

    【岩槻委員長】 はい。どうぞ。

    【鷲谷委員】 マイナーなことなんですけれども、被害の判定というところなんですが。

    【岩槻委員長】 何ページですか。

    【鷲谷委員】 3ページです。アの1、2、3の3番目なんですけれども、植生破壊という言葉だけが例示にされているところなんですが、植生の破壊や変質を解した生態系機関の損壊とかそんなような感じの方がいろいろなケースを広く含むんではないかと思います。破壊という言葉はよく使われる言葉ですが、結構学術的には難しい、むしろ変わってしまうということの方が科学的には認識しやすい。何をもって破壊されたかというかというのはなかなか難しいと思います。

    【岩槻委員長】 そのほかも、もし表現で文言でこれでは具合が悪いというのがありましたら。もちろん最終的には、次回の委員会でパブリック・コメントを受けた上でもう1回そういうところまで検討していただきますのでそのときでいいんですけれども、これではパブリック・コメントに出すのに恥ずかしいというようなことがあったら、今ご指摘をいただいていた方がよろしいんですが。
     先ほどの5ページの飼養等の目的のところ、太田委員がおっしゃったのは事務局からのご返答で3以後も含まれているという前提でというそういうことでよろしいですか。

    【太田委員】 はい。表現として盛り込むのはなかなか難しいなというのは自分でも、思ったんで言わずもがなと思ったんですが、余りにそういうケースにここのところ立て続けに会うので。

    【岩槻委員長】 4ページの3のところで、岡委員が先ほど考え方としては否定をした上で、管理された条件下で扱うようにするというようなのが正しいんだというふうにおっしゃいましたけれども、これも文言としては今の段階ではこういう格好のままでよろしいでしょうか。

    【岡委員】 しかし現状の法律から考えて選定の段階でも社会的・経済的影響を考慮せざるを得ないためと理解していますので、これで結構です。

    【岩槻委員長】 どうぞ加藤委員。

    【加藤委員】質問なんですけども、この基本方針の分の文案としてはこういうものというふうに理解しているんですけども、それを出すときに何か解説みたいな、一般の方向けの解説と言ったら変ですけれども、そういったものを出されるのかどうか。きょうも例えば生態系への影響というようなものについてわかんないんじゃないかという議論があったりとか、それからその太田委員のおっしゃったような学術研究からの場面からも問題が起こることがあるんでそれには規制がかぶっていますよとか、この文章自体としてはその修正は、私はしなくていいと思うんですけども、わかりやすくするための解説みたいなことを同時にそのパブリック・コメントのときに出されるのかどうか、その点をちょっと……。

    【岩槻委員長】 事務局からお答えいただいたらいいんですけれども、パブリック・コメントというのはこの基本構想、基本方針というのを中央環境審議会からの答申として出させていただくそれに対するパブリック・コメントなんで、この基本方針を出してコメントをいただくというそういう扱いになるんですよね。ですから、これに対する解説をつけるということはしない。

    【生物多様性企画官】 はい。あくまでもパブリック・コメントに出すのは、この基本方針の案について意見を募集するということになると思います。ただ、今のご指摘は前回の意見の国内由来の外来生物問題のところでも何らか問題の意識みたいなものを記録に残す工夫という話がありましたが、それ以外に重要なポイントが例えば審議会としてこうだというようなご指摘があればそこと合わせて扱わせていただくことは考えられるんじゃないかと思います。

    【岩槻委員長】 それとこの議論は、また議事録はそのまま公開されますから、だからここで議論していることを一生懸命に関心を持っていただく方には理解していただけると思うんですけれど。
     それでは、今までの議論を。
     阿部委員どうぞ。

    【阿部委員】 ちょっと蒸し返すようで申しわけないんですが、さっきの7ページなんでが、これは確かに法律はそうなのかもしれませんが、これは例えばブラックバスなんかのキャッチ・アンド・リリースを奨励するような意味合いが非常に強いんですね。ですから、もうちょっと何か文言を考えていただきたいと思うんですが。このままですと何か先ほど細谷委員からもご指摘があったと同じ危惧を非常に持つんですね。ですから、それはもうそういう本来その外来動物で問題があるものということは前提としてあるわけなんで、それをキャッチ・アンド・リリースを奨励するようにどうもとられかねないんで、そこのところは何とか文言上、あるいは、とにかくもうちょっと工夫をして書いた方がいいんではないかと私は思うんですが。以上です。

    【岩槻委員長】 ここは第9条の説明というか、この方針でもそういうことになってはいるんですけども、その説明としても誤解を招くというそういうことです。

    【阿部委員】 そうです。法律ではそうかもしれませんけれども、もうちょっと何か考えた方が。

    【岩槻委員長】 何かうまい表現がありますでしょうか。
     事務局、何かもう先ほどのご説明の繰り返しになりますか。
     そういう意味で誤解を招く可能性があるということというのは先ほどからご指摘されているほかのところでもあるんですけども、これも第9条というものの説明ということでここではこうならざるを得ない、何かほかにうまい表現というのがないような気がしますが。ちょっと今のご指摘に従って検討はしてみますけど、このままになってしまうかもしれないということはご了承いただきたいと思います。
     ということで、基本的にはこの形で。だから一部文言の修正、これは委員長にお任せいただきたいと思うんですけれども、その修正をした上でパブリック・コメントに回すということでご了承いただけますでしょうか。
     それでは、この後の取扱いの段取りについて事務局の方からご説明いただきます。

    【事務局】 本日のこのご指摘については、委員長と決めさせていただきまして早急に直しました上で、早急にパブリック・コメントの募集の案をつくりましてパブリック・コメントの募集にかけたいと思っています。
     資料2に審議スケジュールと審議事項をご提出させていただいておりますが、本日第2回小委員会で基本方針の案に係る検討をいただいたと。案について1カ月間のパブリック・コメントを募集するということにしております。実はその法律全体が1年以内の施行ということになりますので、基本方針の閣議決定自体は9月下旬までにやらないと後々非常に厳しいということがありまして、このパブリック・コメントの募集についてもできる限り速やかにやりたいと思っています。本日の指摘を踏まえて早急に案を直しまして、できれば今週中、できましたら8日ぐらいから1カ月間パブリック・コメントの募集を行いたいと思っておりまして、後ろの方は8月7日ぐらい、それが確か土曜日だったと思いますが8月7日ぐらいまでには終えて、それをまとめ直して第3回の小委員会を8月下旬か9月頭ぐらいに開くと。そこで中身を決定していただければというふうに考えております。
     パブリック・コメントの募集につきましては、資料2にもありますが、意見交換会の場所を設定したいと思っておりまして、この基本方針の案に関する説明も先ほど加藤委員からご指摘がありましたが、わかりにくいところについてはその説明会で十分ご説明した上でパブリック・コメントの案について見ていただきご意見をいただければと思っております。説明会、意見交換会につきましては、東京と大阪2カ所で今のところ来週末ぐらいを予定しております。これは詳しいことは後日発表したいと思っておりますが、2つの会場で自治体あるいは一般の方々お集まりいただきまして行いたいと考えております。
     以上でございます。

    【岩槻委員長】 パブリック・コメントをやっていただいて8月の上旬に締め切っていただいて、9月に次の委員会が最終になるわけですけれども、そこでの修正を取り込んだ最終にご議論いただく案というのは、できたら事前に委員にお手元に届いておるといいと思うんですけれども、時間的にそれは可能でしょうか。

    【事務局】 可能であるように調整いただくんですが、できる限り頑張りたいと思います。

    【岩槻委員長】 大変でしょうけれども、できるだけそういうふうにしていただけると皆さんご意見を出しやすいと思いますんでよろしくお願いいたします。
     それでは、どうもありがとうございました。第1の議題はそれで終わりにさせていただきたいと思います。
     2番目、その他となっていますけれども、この際ご発言いただくことというのはありますでしょうか。小林委員どうぞ。

    【小林委員】 前回の国内移入種の問題ともちょっと関連するわけですけれども、地域個体群の扱いについてですが、それも今回の法律の中では対象になっておりません。私は緑化関係の人間ですが、外来種に規制がかかった場合どうしても在来種がふえてきますけども、実質的にはその在来種と言われるものはほとんど海外から入って来ます。実際には分類学的にも若干不明確な部分が平気で海外から入って来るようになります。多分それを促進することになると思います。この法律が施行されると。ですから、この辺の部分についてはこの法律の事項では全くないと思いますが、環境省はもちろんですけれども関係省庁はよく考えて、少なくても公共事業等の中ではきちんとそのゾーニングの中で対応していただけるようなことを同時にやっぱりこれを考えていただきたいと思っています。それをちょっと言いたかったんで、よろしくお願いいたします。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。絶滅危惧種のときでもそうなんですけれども、種が同じであるというのは同じということにはなりませんので、おっしゃるとおりの問題というのは当然緑化なんかでは出てくるんじゃないかと心配しますけども、そういうこともしっかりと記録に残しておくようにということで承っておきます。
     ほか、どなたか発言ございますでしょうか。
     事務局の方からご連絡……。

    【事務局】 それでは、次回の第3回の小委員会でございますけれども、あらかじめ各委員の先生方にご照会をさせていただいておりましたですけれども、9月1日午後がもっとも出席者が多く見込まれると、ご都合がよろしいということのようでございまして、この日に開催するということでいかがでしょうかと思っておりますが、どうでしょうか。

    【岩槻委員長】 時間帯はきょうと同じような14時から16時ぐらいになるんですか。

    【事務局】 まだ場所も決まっておりませんが、おおよそ今回と同じぐらいの時間帯でやりたいと思っております。

    【岩槻委員長】 そういうことで、ご都合の悪い方もいらっしゃるかも知れませんけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
     一応そうしたら、そういうことでご準備いただきたいと思います。

    【事務局】 では、時間と場所につきましては、後日お知らせ申し上げますのでよろしくお願いしたいと思います。

    【岩槻委員長】 それではほかにございませんでしたら、これできょうの小委員会を終わりにさせていただきます。
     どうも暑いところを長時間ありがとうございました。