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中央環境審議会野生生物部会
第9回移入種対策小委員会 議事概要



1.日時  平成15年10月2日(木)13:00~14:30

2.場所  環境省第1会議室

3. 出席者
 (小委員長)  岩槻 邦男
 (委員)  鷲谷いづみ    
 (臨時委員)  阿部  永  岡島 成行 大塚  直
   加藤 順子    
 (専門委員)   石井  実  太田 英利 大矢 秀臣
    小林 正勝  細谷 和海 
 (環境省)  小野寺自然環境局長  名執野生生物課長  
   上杉生物多様性企画官  山岸野生生物課長補佐


4. 議事概要
事務局より中間報告案について資料1により説明。

・生態学で「移入」はimmigrantであり、自主的に自分の能力によってどこかに入ってくるものというイメージがある。

・英語に翻訳するときに問題となる。「alien species」の「alien」を「移入」とは訳せない。

・「移入種」という言葉になった経緯は。

【事務局】外国から来たものというだけでなく、国内での移動も視野に入れた対策を考えたいということ。

・「外来」という言葉は、国境は関係なく、ある地域にとって外来という意味である。

・一般の国民が理解しやすい言葉を使うということが極めて大事。

・新聞紙上で使われている用語は「外来種」である。

・最初違和感を持っても、それを周知させる過程で本質的な問題を社会は理解するのではないか。

・この委員会の議論だけで、「移入種」か「外来種」かを決められるもので はない。国全体で考えるべきものである。

・在来種については、定義が難しいというよりも、判断するのが難しいとした方がいいのではないか。

・法律を作るときに、定義の仕方としては国レベルで在来種と外来種を区別せざるを得ないのではないか。在来種を国内レベルで考えるか、生態系レベルで考えるかが問題。

【委員長】用語についてさまざまな論議があったということを、この中間報告の中には加えておいて、最終的には法律用語にふさわしい用語を考慮し、選定してもらうということでまとめる。

・一般の意識と生物学者の認識との間にかなりギャップがある。戦略的に徐々に、最初は非常に危ないものからいろいろやりながら、徐々に落としていくようなやり方をする必要がある。

・普及啓発について、学校教育、動物の専門学校、ペットショップでのパンフレットの配布など、どういった方法で啓蒙していくのかということを明記しておいた方がいい。

・小学校における環境教育が重要。そのためには教諭の研修や知識を持った人が担当するシステムをつくるなどの工夫が必要。

・制度化及び対策の実施に当たって配慮すべき事項に、「効果的な制度の構築と、具体的な対策を進める基礎となる科学的な研究の進行を図る」というような文言を入れていただきたい。一般的に制度を有効に構築するに当たっても、基礎的な研究というのも必要。

・既存の他制度、WTOとの関係について、「整合性に留意する」というの を「譲る」と読むと骨抜きになる。「他制度との」というところは、例えば「他制度と生物多様性への甚大な影響を回避するという視点を重視しつつ」と一言入れ、「WTOとの関係について整合性にも」と、「も」を入れるとよい。

・定着する可能性がある場合には、生物多様性保護の観点からすれば問題が生ずるということを明確にする必要がある。

・野外で栽培するものもあり、実際社会の中でそれでやり切れるのか。何でもだめというふうに受け取られないよう、しかしながらどんどん持ち込むことは問題であるということが理解されるよう、標記には十分気をつけることが必要。

・外来種の問題は、管理下にあるかどうかに尽きる。管理下を離れて定着する可能性や、定着しないまでも短期間で生物多様性等へ影響を及ぼす可能性についてなどの注釈を入れればよいのではないか。

・悪影響の評価というのはニュージーランドのホワイトリスト方式を意識していると考えてよいか。

【事務局】新たに持ち込まれる外来種について判断を行うということであり、発想としては参考にしている。

【委員長】「移入種」という名称について、疑義があるという非常に強い意見が出たということを定義の部分で書く。2(2)[1]のところで、「定着する可能性」という言葉について、生物多様性等への影響に配慮した修文を考える。2(2)[6]の普及啓発の問題について具体的に書く。2(3)[2]と[4]の「整合性」という言葉について再検討する。2(3)の中に移入種に対する研究、科学的知見の増大に努めるという記載を書き加える。以上の方向でまとめる。

以上