平成21年2月17日(火)10:00~12:00
中央合同庁舎第7号館(西館) 9F 共用会議室-2
(委員長) | 加藤順子 | ||
(委員・臨時委員) | 磯崎博司 | 磯部 力 | 鷲谷いづみ |
鷲谷 いづみ | 岩熊 敏夫 | ||
(専門委員) | 鎌田 博 | 近藤矩朗 | 中村和憲 |
野本明男 | 吉倉 廣 | ||
(環境省) | 黒田自然環境局長 | ||
柏木大臣官房審議官 | |||
水谷外来生物対策室長 |
<議事 (1) カルタヘナ法施行状況の検討について>
◇事務局から[資料1]について説明
<議事 (2) カルタヘナ法の概要及び施行状況について>
◇事務局から[資料2-1]~[資料3-4-2]について説明
◇委員意見
■法の施行状況
○第二種使用に関する確認に関しては、実績を積み重ね、評価も軌道に乗ってきた。
○法律の枠組みの根本的な修正が必要ということはなく、情報提供の徹底や、運用方法の改善が必要とされている。
○不適切な使用事例については、どのようにして発覚するのか。またどのような対応を行っているか。法制度としてうまく機能しているか。
(事務局)観賞魚など、見た目で判断できるもの以外は、使用者自身もしくは第三者からの通報により発覚する事例がほとんど。これまでに報告聴取、立入検査、厳重注意などを実施しており、措置命令をかけた事例はない。特に制度的に困っていることはない。
■情報提供、意見募集
○「必要に応じパブリックコメントを実施」とあるが、どのような場合に行うのか、法令で定められているのか。
(事務局)法第35条には、法に基づく施策への国民意見の反映について一般的な記述あり。法第3条に基づく基本的事項(告示)において、第一種使用規程の承認にあたって、使用等の内容及び方法に応じ、意見募集を行うこととされている。特定の病院内で行われる遺伝子治療臨床研究などでは意見募集を実施していないが、一般的な環境中での使用については実施。
○パブリックコメントでは、どのような意見が提出されているか。
(事務局)個別の評価書の内容に対する意見だけでなく、遺伝子組換え生物の使用は慎重にすべき等の一般的な意見も提出されている。
○日本版バイオセーフティクリアリングハウスのホームページに英語版はあるか、また更新はされているか。
(事務局)英語ページにおいても、新たに第一種使用承認されたものについては、随時資料を掲載している。
■食料・飼料・加工目的の使用
○農作物について、議定書では食料・飼料・加工用(FFP)と栽培は別のカテゴリーとされるが、日本の第一種使用承認はこれらを分けていないことに問題はないのか。
(事務局)議定書では、FFPの取扱いはそれぞれの国で判断することとされており、カルタヘナ法での扱いは、議定書と矛盾するものではない。
■研究開発分野における第一種使用承認
○研究開発分野の第一種使用の件数が少ない。
○産業利用を前提とした申請と同じ評価内容・データが求められ、研究者の負担になっているのでは。今後、地球環境問題などへの対応として、組換え技術をどううまく使うかということが大切になってくると考えられ、今後の日本の科学産業の支障とならないようスムーズに審査していく必要がある。管理された研究用の圃場では、その点を考慮して評価するなど、産業利用の評価とは切り離すべき。
○農林水産分野に研究者から隔離圃場試験の申請が出てくるが、将来的には産業利用を目的とした試験と認識。
■生物多様性影響評価
○閉鎖的な環境で得られたデータで評価を行い、より開放性の高い利用を検討していくというスケールアップの考え方が重要。
○日本の法にはスケールアップの考え方が入っていない。
○スケールアップの考え方に基づき、評価書をどのように書くかという問題。
○植物工場のような場合の取り扱いをどうするか。
○生物の種類、管理方法に応じたケースバイケースの評価の考え方は重要。
○「生物多様性」への影響評価であるという視点が、申請者によく理解されていない。
■科学的知見の集積
○遺伝子動態の予測に資するモデルなど、理論的な部分が不足している印象。法第34条にある、生物多様性影響評価に資する知見の充実と、そのような知見に基づき評価を行うことが重要。この点、どのような状況になっているか。
○農作物に関しては、農水省、環境省関係の研究で得られた知見を評価検討会の場で報告してもらい、随時評価に反映してきている。
■微生物の評価
○微生物は自然状態でも盛んに遺伝子のやりとりを行っていることが明らかになってきている。微生物の評価については、知らないことまで知っていないとできないという状況では。
○バイオレメディエーションなど微生物の第一種使用が出てきた場合、微生物の生物多様性影響評価は非常に困難。ただし、そのようなものが今現在すぐに出てくるかどうかは疑問。
○微生物の第一種使用の評価項目は漠然としており、その項目に対してどのくらいの内容を示せばよいのかは決まっていない。全てが明らかでなくとも、評価が可能となる落としどころは存在するのではないか。
■規制の対象
○食品安全審査とカルタヘナ法の審査では、セルフクローニング、ナチュラルオカレンスについて扱いが異なる。カルタヘナ法のもとで申請の対象になるか否かのグレーゾーンのものが出てきている。食品安全委員会では委員会において対象とするかどうか判断するが、カルタヘナ法では申請者が判断しなくてはならない。この扱いの違いについて申請者側が混乱してしまうのではないか。
○組換え生物を利用して生成された試薬は、組換え体が不純物として微量混入している可能性を考慮し、組換え生物を含むと表示して販売されている。このような試薬を使用する場合も、拡散防止措置を取る必要が生じてしまう。一定のテストを行い、陰性であれば「含まれない」とするような規定が必要では。
○コストをかけて試験するより、含まれる旨を情報提供し、使用者が拡散防止措置をとる方が、製薬会社としては楽。本件については、研究開発の委員会で別途検討すべき。
○カルタヘナ議定書では、医薬品は対象外だが、国内法では対象とされている。WHOが配布するワクチンの種株の使用に際し、悠長に審査をしていては伝染病などに対応できないという問題はないか。
■生物の定義
○ウイルスは、生物学的には生物ではないとされるが、法律では生物として扱っている。ウイルスの分野では盛んに組換え実験が行われており、研究者の間では、ウイルスが法律の適用範囲に含まれることにより、研究の阻害になっているとの意見がある。
○生物の定義は、カルタヘナ議定書から引いてきているもの。ウイルスについても、遺伝子組換えによって生物多様性に影響を与える可能性はある。法律として運用する都合上、定義が科学的定義と異なる場合はよくあり、実際の運用上問題がないような仕組みとすればよいのでは。
■安全面の評価
○指針から法律になり、生物多様性への影響に注目するようになったため、安全性についての視点が不足しているのでは。
■第一種使用と第二種使用
○第二種使用を意図していて、一般環境中に漏出した場合、第二種使用の事故・違反と考えるか、未承認の第一種使用と考えるか。前者の場合、第二種使用の確認時の影響評価に、第一種使用の観点まで含めなければならないのでは。
(事務局)第二種使用で一般環境中への漏出があった場合は、当該第二種使用を所管する省庁だけでなく、第一種使用を所管する環境省も加わって対応を検討している。
*追加意見があれば3月6日までに事務局に連絡。次回は平成21年3月25日の午前に開催予定。