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中央環境審議会野生生物部会
第4回遺伝子組換え生物小委員会 会議録


1.日時

平成14年4月10日(水)14:02~16:00

2.場所

経済産業省別館第1012会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 岩槻 邦男
(委員) 磯部 力 市田 則孝 岩熊 敏夫
大塚 直 鷲谷 いづみ
(専門委員) 加藤 順子 矢木 修身 山野井 昭雄
(環境省) 小林自然環境局長
松原審議官
黒田野生生物課長
水谷野生生物課長補佐
鈴木専門官

4.議事

【事務局】中央環境審議会野生生物部会の第4回遺伝子組換え小委員会を開催していただきたいと存じます。
本日の委員会でございますが、審議会の運営規則による定足数は満たしております。委員長よろしくお願い申し上げます。

【岩槻委員長】それでは、第4回目の委員会を開かせていただきます。前回は活発なご意見をいただいたところですけれども、今日もまたよろしくお願いしたいと思います。最初に資料の確認を水谷さんからお願いします。

【事務局】1枚目に議事次第、資料1として「生物多様性への影響について」があります。資料2は、第3回小委員会での主な論点。資料3は、「リスク管理の方法について」。それから資料4は、関係省の審議会等の検討状況。参考資料1として、「主要国の遺伝子改変生物の規制の仕組みについて」。参考資料2として、「EUでの環境放出利用に関する指令について」の資料でございます。それと、各先生のところに、「平成12年度バイオテクノロジーと環境保全に関する動向調査」という、やや分厚いものがあると思います。加藤先生のところでまとめていただいております資料でございます。今回、この中から抜粋してコピーしようということを考えておりましたが、余りにも抜粋する部分が多いので、本体をお手元に置かせていただきました。資料は以上でございます。

【岩槻委員長】特に資料は問題ございませんか。前回は、遺伝子改変生物が生物多様性に及ぼす影響というのをいろんな角度からご議論いただいたわけですけれども、きょうの資料の中ではその議論の整理も少しやっていただいているようなのですが、本日の議題は生物多様性への影響、それからその影響の評価と管理の考え方ということなのですけれども、最初に一括して資料に基づいて事務局の方からご説明いただいて、まとめて議論をさせていただくというふうに進めさせていただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。

【事務局】まず、前回の小委員会での主な論点を整理させていただきましたので、資料2に基づきまして、前回の小委員会での論点についてご説明したいと思います。
こういう趣旨で発言したものではないとか、こちらの方で整理をする段階でやや間違いがある部分もあるかと思いますので、その点についてはご指摘いただければと思います。
前回の論点を踏まえまして、資料1の方は直させていただいていますので、それにつきましては後でご説明できればと思っております。
では、資料2ですけれども、前回の主な論点を、大きく四つに整理させていただいております。
まず1点目ですけれども、前回の資料1の記述の中で不十分な点といった具体的なご指摘をいただいたところが何点かございます。
生物多様性への影響の考え方の基本のところですけれども、利用される地域の野生動植物の地域個体群、それから微生物相が健全に維持されるかどうかという、それが影響を判断するときの考え方だというふうに提示しておりましたけれども、利用される地域だけではないだろうというご意見から資料を修正しております。
それから、遺伝子改変生物による影響は、その生物そのものによる影響というのは当然ありますけれども、それを利用する特有の技術による間接的な影響というのも不可避なものであるという点、さらに、野生動植物への影響だけではなく、栽培品種の多様性といったものにも考慮するべきであろうという点につきましても修正しております。
4点目ですけれども、生物多様性を減少させる要因ということで、外来生物による影響というのだけがクローズアップされておりますので、それ以外の影響というのも触れておくべきであろうというようなご意見をいただいて、これにつきましては資料1の方で適宜修正させていただいております。
論点2ですけれども、リスク評価についてということで、ここでは三つ程に論点を分けております。
1点目ですけれども、リスク評価の手続に関する公正性、透明性の確保が必要であろうという観点からの議論がございました。リスク評価自体は、ある特定の手法によって出されたデータの解釈で、その解釈というのが必ずしも共通するとは限らない。そのリスク評価自体についてもさまざまな意見を受けて説明するような仕組みを用意して、そういう手続を経ていくということが公正性、透明性の確保のためには必要であろうといったご意見がございました。
さらに、具体的には科学的な委員会というようなものをつくってリスク評価について判断を出してもらう。これも意見が必ずしも一つに収れんするとは限らないわけですけれども、そういった場合は意見が分かれたといったこと自体も一つの結論として出していただいて、場合によっては市民に対して意見を聞くというようなことも含めて、そういった手続を含めて公正性、透明性というのを確保していくということがやり方としてはあるのではないかというご意見をいただいたかと思います。
2点目ですけれども、評価方法についてはリスク評価自体はそのときの最も進んだ、最も信頼性のある手法で評価のデータを出すべきだと。ただ、その手法なりというものもかなり変化し得るような分野ですので、余り細かい評価の手法というのを決めてしまうとかえって自由度がなくなる。柔軟な仕組みというのを評価方法については取り入れていくべきである。
これにつきましては、多分、評価手法の見直しの方法というのもある程度考えて、科学的な目で評価手法を点検していくといったようなことも考えていくべきだろうというふうに考えられます。
3点目ですけれども、評価に基づく決定について、これは主にフロー図ですが、遺伝子改変生物の利用計画が出されてから影響を評価し、環境放出利用していくというようフロー図を前回お出ししましたけれども、そのフロー図に関して、影響の評価があり・なし、右へ行くか左へ行くかといった二つに分けられるというような単純なものではなかなかないでしょうと。それで、よくわからないといったようなものがかなり出てくる分野であろうと。
一つの考え方としては、よくわからない場合には利用することによるベネフィットと比較するような判断の仕方というのがあり得るのではないかというようなご意見。それから、ベネフィットという観点では基礎研究におけるベネフィットというのはある程度考慮しておく必要があるのではないだろうかといったようなご意見がありました。
さらに、仕組みに関しましては、1回許可したらなかなか取り消せないというような仕組みではこの分野には対応することができないだろうというご意見。一たんは許可したけれども、違った情報、新しい情報が出てきたら、もとに戻ってやり直すような、決定は完全でないといったようなことを前提にしたシステムを検討していくべきだと、こういったご意見があったかと思います。
さらに論点3ですけれども、これはリスク評価のやり方のさらにもう一つ前の段階になってしまうと思うのですけれども、リスク評価なりリスク管理の制度を考える前提として、遺伝子改変生物なり遺伝子改変というものをどうとらえるのかというようなご議論があったというふうに認識しております。
遺伝子組換えをする自由があるのかどうかといったような観点で前回ご意見が大分あったというふうに認識しておりますけれども、一つの考え方として、従来の育種からさらに技術が進歩してきて、細胞培養、細胞融合それから遺伝子組換えと、さまざま技術が進歩している中で、現在のところ遺伝子組換えというものについてのリスクが十分測り切れないので、それをチェックしながら進めていかなければならないというようなスタンスが一つあるのではないかと。そういう意味ではやっていけないことをやるんだということではないのではないかという一つの方向性はご意見として出てきたかと考えています。
現実には、遺伝子組換えに関しては、リスクがよくわからない時期には全部とめたということもあり、さらにその後ガイドラインで自主的に規制してきている。ただ、今、封じ込めでない利用について、環境中に放出するという利用がかなり多くなってきているという段階で、こういう段階になってきたら自主的な規制ではなくて国による関与というのが必要になってくるのではないかというような、これまでの経過を踏まえたご意見というのもありました。
最後、論点4ですけれども、これはリスク管理の上での問題点ということで整理させていただいていますけれども、遺伝子改変されたものが環境中に出ていった場合、外見上区別がつかないといったことがあるだろうというご意見。その場合に一体どうやって管理をするのかというところは問題にならないのかという問題提起と受け止めています。
野生で同種のものがあるとか近縁種があるといった場合に、なかなか外見で判断できないものを管理するのは管理のアプローチとしては難しく、一応、区別をすることは可能であるけれども、一見してわからないものを本当に管理できるのだろうかというような問題提起があったというふうに整理させていただいています。
前回の主な論点ということで、まとめとして不十分なところもあると思いますけれども、ちょっと違う、そういう趣旨で言ったものではないというようなご意見がありましたら、ご指摘いただければと思います。
この資料2での主な論点、私どもで整理させていただいたところをもとにして資料1を幾つか修正させていただいていますので、資料1の方をごらんいただければと思います。
資料1は、同じタイトルで何回も出てきていますので第4回小委員会版というふうに書いております。先ほどの論点の1、記述の上での整理がある程度できるものにつきましては整理させていただいております。
Iの一つ目の黒丸で、「種々の人間活動による影響とともに」というようなところを入れたり、二つ目の黒丸で四角の中の、「利用する地域における野生動植物の地域個体群」となっていたものの「利用する地域における」というのを削除したり、さらに二つ目の黒丸の一つ目のポツですけれども、「改変生物を利用することに伴い不可避に生じる間接的な影響についても考慮する」べきであろうということもここで加えさせていただいております。
ただ、Iの最初の考え方のところでは、言葉として、入れられるのですけれども、II以降の具体的な評価項目とかというところで必ずしも、Iで修正したようなところが反映されているかというと、十分に反映されていないところがあります。また今後、整理させていただければと思っております。
生物多様性への影響のフローにつきましては、大体、前回のご議論で余り大きな考え違いというのはないだろうということだったかと思います。
4ページ、生物多様性への影響の評価・管理の考え方。「影響」の後に「リスク」と書いてまだ未練が残っているのですけれども、ここの表現は今のところどちらでも取り得ると考
えおります。
ここでの大きなポイントが5ページ目の図3ですけれども、前回のご議論を踏まえまして、例えば便益に関する情報というのをどこで加味すればよいのかという点、及び新たな知見が得られたときにどうするのかといったようなことを加えております。さらに真ん中の、危惧される影響が生じる可能性、影響の緩和の可能性、この判定に際しては評価委員会などによる確認といったような手続が必要であろうということで、外側に囲みを設けさせていただいています。
影響があるかないかというので、デジタル的にあり・なしと言えないのではないかというご意見もありましたが、フローである以上、やはりどちらかに行かなければいけないので、二つに分かれる、あるいは三つに分かれるといったような整理はさせていただいております。
いろいろフローをいじくりましたのでこれについてご意見をいただければと思いますけれども、一つは利用による便益に関する情報というのをどこに入れるのかということで、このフロー図の中では例えばということで入れさせていただいていますけれども、評価委員会などによる確認ということで影響の緩和の可能性があるといった場合に、どこまで緩和措置というのを求めるのかといった中に、便益とのバランスを図るということを考え得るのかということで、仮に入れてみましたので、ご議論いただければと思います。
新たな知見が得られた場合、これは当然、事業者がやるモニタリングなりからの新たな知見、それ以外に行政の方で得た知見、さまざまなところから新たな知見というのを、横からフローに追加させていただいていますけれども、新たな知見が得られたときに再評価をできるような仕組みを、このフローの中に組み込ませていただいております。
まだ、このフローの中では誰が実際に情報収集をしたり評価をするのかというのははっきり書いていませんが、前提としましては、利用したいと思う人が利用計画を持って情報収集をして、一定のやり方に基づいて、危惧される影響が生じる可能性があるかどうか、影響の緩和はどこまでできるのかという評価をした上で、その評価内容を評価委員会などにかけて、その意見を受けて、実際には行政が利用計画を許容するかどうかという判断をするといった役割分担という前提で作っております。
モニタリング及びサーベイランスですけれども、基本的にここも事業者が計画するモニタリング計画があって、それに基づいてやっていただくということを前提に考えております。
この辺の役割分担につきましてもご意見をいただければと考えています。
さらに6、7ページ、ここら辺はほとんど変えておりません。
III、8ページから始まりますが、二つ目の黒丸の便益の考慮というところの書き方がかなり変わっております。先ほどフローのところでご説明したような、影響の緩和の可能性があるといった場合に、利用による便益の観点も含めて緩和措置というのをどこまでとってもらうのかということが、便益の考慮の手段としてはあり得るだろうということで、仮置きで書かせていただいています。
10ページですけれども、新たな情報が得られた場合の再評価ということで、これにつきましてはモニタリングによるデータ、他の地域での利用による影響のデータ、評価方法が変わって新しい技術ができたとか、そういった新しいデータなり評価方法により再検討を考慮する必要がある場合には再評価が必要という趣旨です。そのためには、不断に新たなデータ、評価手法に関する知見を収集する、それから事業者などからの報告を求めるといったことが必要になってくるだろうと考えられます。
最後の一文がちょっと迷いながら書いております。そういったデータが集まるのを待つということだけでよいのかという前提に立って、評価を定期的に見直すといったようなことも一つの対応としてはあり得るのかなと、後でまたご説明しますけれども、EUで流通させるようなGMOに関しては認可の期間を設けていくといった事例もありますので、一つのやり方としてはあり得るかなと考えています。
まだ、資料1は議論していただくための材料ということで、一つの整理の仕方というのを
お示ししたという状態です。
さらに、資料3以下、今日ご議論いただくための材料として幾つか用意しているものがありますので、あわせてご説明させていただければと思います。
資料3ですけれども、これまで余りリスク管理の部分については資料をお出ししていなか
ったのですが、具体的にリスク管理のどんな方法が考えられるのかということで、幾つかの方法を挙げています。これにつきましては、OECDのバイオテクノロジーの規制監督の調和に関するワーキンググループの方で、2000年にG8のサミットを前にして報告を出した時に、それまでの知見をある程度まとめた報告です。具体的にはこの分厚い調査報告書の165ページ以下に加藤先生の方で訳していただいた日本文がございますが、その中でリスク管理についてある程度まとめられておりましたので、そこを引用させていただいています。
リスクをどうやって管理する方法があるのかということについては、表中の上の二つが使える場所を限定していくというようなやり方であり、三つ目が主にモニタリングで、これにはリスク評価で予測された影響が出ているか出ていないかといった確認をするモニタリングと、リスク評価で予見もされていないような、影響が出ていないかどうかといった確認、この二つの性格のモニタリングがあります。
この報告書の中では、上の方の予測された影響の確認を特別なモニタリングといい、二つ目の予見されていない影響の確認というのを一般的なモニタリングというふうに、二つに分けられていますが、資料1のモニタリングとサーベイランスという表現と、基本的には同じものです。
さらに、モニタリング計画を策定するに際しての考慮事項というのが幾つかあります。ベースラインの確立、改変生物導入前に、例えば植物であれば周辺の植物群集がどうなっているのかという種に関する知識であるとか、交雑し得るかどうかといった知識、それから意味のあるサンプリングサイトの数、場所の選定、サンプリングのタイミング、加えて標本の採取なり取扱いに関する方法や試験条件というのもある程度標準化していかなければいけないなど、モニタリング計画を策定するに当たってはかなり課題が多いということが述べられています。
こういったモニタリングにより、予測された影響が出ているのかどうかということを確認してフォローしていくというリスク管理のあり方があると考えられます。
さらには、下の二つですけれども、実際に改変生物を使う使用者に対して、使用する際の手引きなり技術支援、助言を与えるといった方法もリスク管理の方法としてはあり得るだろう。
さらには、製造業者、販売業者による記録も含めて、どこでいつ使ったのかという記録の保管といったこともリスクの管理には有効であろう。
こんなことがリスク管理の方法としては現在のところ考え得る範囲だというふうに整理されております。
また、資料1をご議論をいただくに当たりまして幾つか参考となる資料としまして、参考資料1、2の二つを用意させていただいております。
参考資料1につきましては、第2回の委員会のときに資料1としてお出ししたものをやや縮めたものです。主要国における改変生物の規制の仕組みのうち主にリスク評価、管理に関する部分について抜き出したものです。リスク評価に際してどんな委員会が活用されているのか、そういった委員会の構成というのはどうなっているのか、さらに情報の公開、それから市民参加、モニタリング実施、新たな情報が得られた際の対処というのがどのような手法でなされているのかということがまとめられています。これは前にお出しした資料と基本的には同じものです。
さらに参考資料2ですけれども、第2回に参考資料としてお出ししましたEUで2001年に環境放出利用に関する指令というのが改正されておりますので、その主な改正点というのが1枚目でございます。予防原則というのを記述したことでありますとかリスク評価の原則の整理、EUの中での共通のリスク評価の方法を確立しようとして整理した点。それから、認可なりの手順を効率化するとともに、その透明性を確保しようという意味で改正する点が幾つかあるというふうに整理されております。
参考資料2の二つのフロー図に、具体的にEUの中でどのような手順で、組換え、改変生物の意図的放出ができるようになるのかという手順を整理させていただきました。
EUの中では、環境への意図的放出に関しまして二つのカテゴリーに分けて、それぞれ指
令の中で共通の手続を定めています。
一つが流通させるということを目的にしたもの、それと、それ以外の目的の環境中への意図的放出とに分けて手続を決めております。
流通させることを「上市」と表現しておりますけれども、上市をするということになりますと、EUの中で自由に改変生物が移動しますので、上市を目的としないものに比べて、欧州委員会とか加盟国との調整の手続が非常に慎重になっております。加盟国からの反対、それから欧州委員会の反対といった意見が出た場合の調整のルールなどがかなり細かく規定されています。
上市でない場合の環境中への意図的放出に関しましては、欧州委員会、加盟国へは届出の中身を送付して意見を聞いてコメントを受けるというぐらいで、その国の中で手続は済むため、手続上はかなり簡易なものになっています。
実際に、上市以外の目的の環境中への意図的放出の場合には、届出者がリスク評価を実施するために必要な情報を提供するということで、必要な情報というのはANNEXIII記載されています。これを逐一添付しようと思ったのですが余りにも分量が多いので、報告書本体を配布しています。
どのような情報を得て許可することになっているのかということにつきましては、前回、前々回の小委員会である程度の、資料は出させていただいておりますけれども、改変生物そのものに関する情報として、親となった生物の特性でありますとかベクターの性質でありますとか、改変された生物がどんな性質を持っているのか、どういう場所に放出するのか、どういう形で放出するのか、放出される場所はどんな環境になっているのか、さらにEUでは実際にそれを放出した後、どういうモニタリングが可能なのか。予期しないような動きをした場合にその改変生物をコントロールする方法があるのかどうか、緊急時にどんな対応ができるのかといった、そういう情報もこの最初の届出のときに出していただく、とされています。
そして、その情報をもとにして、まず届出して利用しようとする人が、まずANNEXIIDに要求されている結論、要は危惧される影響が起こる可能性があるのかといった結論も最初の届出の中にある程度書いておくなど、かなりのものを最初の届出の段階で届出者が情報として提供するという前提になっています。
それを受理した者が、届出を見てその中身が妥当であるかどうかという確認をした上で、よければ書面による回答をして、そのEUの指令に従っていて放出が可能になるのか、条件を満たさないのでだめなのかといったような回答をした上で、ある程度条件を与えられれば、条件に従った環境放出が始まることとされています。
その場合、放出をするに当たりまして、または放出をしてから、リスク評価の中身に影響を及ぼし得るような変更とか新たな情報が得られた場合には、届出者は直ちに報告するとともに、人の健康及び環境を保護するために必要な措置、これは当初の届出に予期し得ない変化が起こったらどうするのかといった措置の中身について書くことになっているのですけれども、そういう措置をとり、直ちに通知をする。その状況を見た行政の方は、届出者に新たな情報をもとにして、利用条件を変えるのか、それとも利用を中断するのか、やめるのかといったような判断を、再評価に当たる部分で行うこととされています。
そういった形で意図的放出を行っていこうというルールになっております。
二つ目のフローの、上市に当たっての手続も基本的には同じです。ただ、上市に当たりましては幾つかプラスアルファの要因が入っておりまして、認可の期間でありますとか、実際に製品として流通するわけなので製品にどんな表示をするのかといった話、それから梱包にどんな包装を用いるのかとか、そういった製品として使うということを前提にした細かい情報を最初に出さなければいけないというような中身になっております。流れとしましてはほとんど同じですが、手続としましては加盟国、欧州委員会とのやりとりなどの手続きが上市に当たってはかなり重い比重を占めているという違いがございます。最初の届出から判断、それから利用の開始、再評価といったプロセスは、二つともほぼ共通した手続きになっております。
以上、資料1、それからこれからご議論いただく中で参考になる資料のご説明です。

【岩槻委員長】どうもありがとうございました。
いろんな方向に話が広がってはいますけれども、今のご説明をもとに自由にしばらくご議論をいただきたいと思います。どうぞ。

【大塚委員】ちょっと確認で恐縮ですが、基本的に開放系とか放出を前提とした議論になっていると思うのですけれども、カルタヘナ議定書もそちらの方に重点があることは事実なのですが、閉鎖系での利用についても、例えばEUなんかを見ると、参考資料1にありますように指令があって事前評価の仕組みがありますけれども、これについては今回の検討の対象からは外にあるというふうに考えておられるのでしょうか。その辺はどうなのか、ちょっとお伺いしたいのですけれども。

【事務局】議定書自体は閉鎖系の利用、それから食料、飼料、加工用に直接使われるもの、それと開放系の利用と、三つのカテゴリーに分けて、LMO、改変生物を議定書の範囲にしていますので、当然それを受けた仕組みをつくるということになりますので、全てターゲットに入ります。
ただ、生物多様性への影響というのをここで議論する中では、主な議論のターゲットは開放系利用であろうということで、それを中心に議論しております。ほかの省の審議会、懇談会などでは、閉鎖系利用についてどうすればよいのかといった議論をされているところもありますので、そちらでの議論の成果というのも一定程度考慮しながらとは考えています。ここで中心的に議論する話題には余りならないかと。

【大塚委員】質問の趣旨の追加ですが、結局、申し上げようと思ったのは、閉鎖系利用のつもりで漏出してしまうということもあるものですから、そうしますと環境への影響がもちろん出てくるということがあるということと、例えばニュージーランドの新生物に関する法律では閉鎖系利用の場合の許可と放出の場合の許可と別の許可の制度にしているので、今回のリスク評価のアルゴリズムを見ていると、当然、放出、つまり開放系利用のことだけを考えていて、一定の条件をつけて影響を緩和するという仕組みを考えているわけですが、それでもいいかなと私も思いますけれども、考え方としては閉鎖系利用の場合の許可と開放系利用の場合の許可と2段階にするというニュージーランドのような考え方もあり得るので、その辺をメンションしたかったということです。

【岩槻委員長】どうぞ。

【磯部委員】ちょっと戻りますが、最初にご説明があった資料2、前回までの主な論点ということで、この文章にこだわることにどれぐらい意味があるかはちょっとわからないのですが、私の発言の部分だろうと思われるところがちょっとわかりにくいので、今申し上げてよろしいですか。それとも、後で修文したのを申し上げた方がいいですか。

【事務局】どうぞ。

【磯部委員】そうですか。裏の一番上の二つの黒丸ですけれど、ここに書かれていることがちょっと入り繰りしているという感じなのです。一つは最初の黒丸の2行目の文章ですけれど、およそありとあらゆる技術に対応して完全に監視するというような仕組みは実効性は薄い、というよりも現実的ではない。実効性はあるのかもしれないけれども現実的ではないということを申し上げて、だからその次の行の、行政のみではなくて民間企業とか……、民間と企業は一緒ですね、それから学会とかNGO、NPO、そういった力を組み込んだシステムにした方が現実的だろうということが一つの命題です。
それから、「ありとあらゆる……」の上の最初の黒丸の日本の行政法の仕組みは云々と、二番目の黒丸の「一たんは許可したが」以降の2行とが一つの命題になりまして、どうも日本の行政というのは一般に一たん許可するとなかなか取り消しにくい。もちろん取り消せるのですけれども、なかなか取り消しにくいということに事実上なりがちだけれども、ここでは一たん許可しても、もし違った知見が出てきたらやり直すというような、そういう仕組みであるべきであろうということをもう一つ申し上げたのだろうと思いますので、その方が後に残った場合にわかりやすいかと思います。

【岩槻委員長】そのことに関連して、その次の丸なのですけれも、論点3の最初の黒丸は多分僕の言ったことだと思うのですけれども、遺伝子組換えそのものを自由にしてもいいと言うつもりはなかったので、これは研究上、そういうことは自由であると。
実際、今、遺伝子組換えをやらなかったら生物科学は成立しないというぐらいで、我々のやっている分子系統学だって遺伝子組換え関連の技術がどうしても必要になってくるわけですけれども、そういう意味では研究をするときにはこういうことが自由だというのか、どうしても必要であるという筋書きからそういうことを申し上げたつもりで、そのかわりそれは現状の安全管理のもとに行われているという、そういう責任があるということなのです。
それで、「遺伝子組換え」というこの言葉だけになってしまいますと、これはテクノロジーというふうに読み取られてしまいますから、テクノロジーとして遺伝子組換えをやることが自由だとは私も思っておりませんし、そういうことは本当に言っていいのかどうかは疑問だと思いますので、ちょっとそこの言い方を、この前の私の言い方が舌足らずだったのだとは思いますけれども、ご注意いただけたらというふうに思います。そのほか、何か。

【山野井委員】資料1のことでよろしいですか。

【岩槻委員長】どうぞ。

【山野井委員】3ページ目の、遺伝子改変微生物の環境放出というところの「微生物等による物質循環機能への影響」というのがありますね。これは危惧される影響という項目に入っているのですけれども、バイオレメディエーションなんかやった場合は、むしろこれが目的なんですよ。これを変えなければバイオレメディエーションにならないわけですよね。前の動植物の場合だったらこれはわかるのですが、微生物の場合にこれを同じところに入れますと、一体バイオレメディエーションというのはどういうことになるのか。ちょっと位置づけとしておかしいのではないかというふうに思います。
それから、1ページ目なのですけれども、遺伝子改変生物の生物多様性への影響の視点ということで幾つか書いてございますけれども、結局、この四角に囲んだ部分がポイントなのであって、ほかに書いてある部分、例えば「改変生物を利用することに伴い不可避に生ずる間接的な影響についても考慮する」と言うのですが、こういう問題は同列に扱う話ではなくて、その結果としてどういうふうに生態系が変わるのかという、いわば原因の一つとしてこれはとらえるべきであるし、それから、その下に産業への影響ということがございますけれども、これは生態系が変わることによって、例えば重要な作物などが影響を受けるということで結果として出てくる話であって、これを全部配慮するといいながら、原因と結果と、最後の、人に対する点だけは独立している問題だと思います。
従って、四角で囲んだところを中心において因果関係をはっきりさせないと、これはいろ
いろ考慮するといっても結果の場合と原因の場合があるので、ちょっと混乱するのではないかというふうに、今読ませていただいて思いました。以上2点です。

【岩槻委員長】どうぞ。

【磯部委員】資料1の5ページのチャートが大事だと思うのですが、これは余り図が複雑
にならないように書いたんだとおっしゃるかもしれませんが、後で参考資料のEUの図などを見ると、要するにこの場合、決定する主体とか手続とかという、前回までのこの委員会での重要な論点として議論されてきたことがほぼ欠落してしまっているように見えるのですけれども、それはまた別のチャートにしようというおつもりなのでしょうか。やはり、だれがいつ決定して、その情報を提供するとか反論の機会を与えるとか、そういう、まさに中身というよりも手続的な流れがそれとして独立の価値を持っていると思うんです。さらに、予期しなかった緊急事態が生じた場合は何か特別の手続に入るとか、あるいは、例えば不許可の決定があったときに不満を持つ業者とか研究者が何かアピールする仕組みがあるのかとか。
確かにそういったこと全部をこの1枚のチャートに入れ込むとごちゃごちゃしてわからなくなってしまうということはあり得るかもしれませんが、この参考資料のEUのはごちゃごちゃの直前ぐらいで踏みとどまっていますよね。これでいいかどうか、いろいろな工夫の余地はあると思うのですけれども、その辺、今回の小委員会の成果物としてやるのかやらないのかということを伺いたいと思います。

【事務局】フローのご説明をするときも、一体誰がやるのかといったあたりは抜けていますと言って説明しているのですけれども、なるべく基本的な要素はここに入れたいというふうに考えています。ただ、それをフローに示すだけの議論がなされていないような気もしますので、前回までの議論、それから今日の議論を踏まえて作成していきます。EUのフローも要素が多くてわかりずらいところがあり、一番真ん中にある所管当局のところも一体誰が何をするのかというのは、かなり曖昧な表現になっています。ただこのぐらいのレベルではフローを書きたいと思っております。

【磯部委員】それで、ご提案なのですが、参考資料1の各国の比較表に入っている項目ぐらいは、かなり委員会などの存在、それから情報の公開、市民参加、モニタリングとか新たな情報を得られた際の対処などは入っているわけですから、せめてそれぐらい入れてとりあえずつくる。本当にもっと細かい手続は別途手続チャートとしてつくるというようなあたりがいいのかなと思いますが。これはつくる人は大変なので、意見として申し上げておきます。

【岩槻委員長】どうしても今までの議論は抽象的になっているきらいがあって、確かに誰がいつというのが出てきますとまた議論が違った敷衍で出てくるかもしれないのですけれども、委員の方々からも具体的にどうしたらいいかというようなことをむしろご発言いただいておけば、事務局でおまとめいただく時に非常に役に立つのではないかと思うのですけれども、そういう具体的なことももう少し発言が出始めてもいい頃ではないかと思うのです。
私自身も、今のこのチャートだけでは本当にどういうふうになるのかというのがよく見えてこないような感じがしないでもないのですけれども。そういうのはいかがでしょうか。どうぞ。

【山野井委員】今の5ページのチャートなんですが、これは前回の論議になったと思うのですけれども、前回の意見の中にも一定のリスク以下であればとか以上であればという言葉とか、今回の9ページ目ですか、モニタリングのところで「影響の評価で許容できる範囲内」であれば、という言葉が出てくるのですけれども、前回のように危惧される影響というのがプラスかマイナスかどちらとも言えないケースがありますね。むしろそういうケースが非常に多いのではないかと思うのです。これはあるかないかという非常に微妙なところ。このグレーな部分を、どのように取扱うかということを言っていたのです。専門家を集めて決めるか、あるいは国際的なレベルで決めておかないと、少なくともサイエンティフィックなプロセスで出てくるデータそのものがどの程度の影響を持っているのかという、それを政策的にどうするかというのは次の問題ですからこれはちょっと別として、そこが全然影響がないと言ってしまうのか、あると言ってしまうのかという、データそのものの解釈、あいまいだとそのときの議論が全然進まなくなってしまうの。まさにこれは灰色で書いてあるのですね。だから、灰色の部分をどういうふうに考えていくべきか明らかにする必要があるが、少なくともこの表現だとそのような検討が難しくなるのではないかなというふうに思います。いかがでございましょうか。

【岩槻委員長】何か、具体的に持っていらっしゃるイメージのようなものがあるんですか。

【事務局】7ページの後半部分の始まりなんですけれども、影響の判定のところ、この委
員会の中でも、今日はご欠席ですけれども鎌田先生は大分前からご意見としてはおっしゃっていますけれども、今のやり方をベースにすると、親生物の種であるとか、類似の性質とか、導入方法、利用方法、同じような性質を持っているものについての情報と比較しましょうというやり方がベースになっていると思うんですけれども、それが基本的にはそれ以外にどうするのかといった問題提起に対する答えというのはなかなか今のところは出ていないという状況なので、これがやり方として一つの有効な手段であるということまでしか言えないのかなと思っております。

【山野井委員】ただ、この前も冒頭にあったように、人のいろいろな活動によって、つまりLMOが入ったからどうこうというだけではなくて、そういう変化というのは当然今までもあるわけですね。道路を造ったらどうなったとか、そういうこととのコントロールの置き方が決まっていないと、ここの判断というのは物すごく難しくなってしまう。そのサイエンティフィックに出てくる部分がはっきりしないと次の議論に進まなくなってしまうという危惧を持つのですが、そこは難しい問題だとは思うのですけれども。
むしろ、このコントロールという意味では鎌田先生のおっしゃったのはよくわかりますけ
れども、まさに冒頭に書いてあるように、それ以外の、人のいろいろな活動というものが影響を与えている可能性が十分あるので、それとの区分けというのをまずできるようにしておかないと、この問題というのは結局余りサイエンティフィックでない形の結果しか出てこないのかなという気がします。その辺どうなっているのですかね、諸外国の考え方は。
たまたま1ページ目に人の活動に関する記述があって、そのとおりだと思うのですね。LMOを入れるかだけではなくて、当然、人間活動による生態系の変化って起こっているわけですから、影響はあるわけですけれども。

【岩槻委員長】それに関連してですか。どうぞ。

【加藤委員】山野井委員が明確にしておかないと困るのではないかと、あるいは非常に危ないのではないかとおっしゃる意味は非常によくわかるのですけれども、ただ、やはり現時点でのサイエンスのレベルというふうに考えると、それを明確にきれいにということは難しいのではないか。
諸外国の例を見ましても、例えば試験データならデータとしましてもバックをどうとるかという問題もあり得ます。もう一つは、出てきた影響といわれているものを、あるいは影響がないというものをどう判断するかというその判断の問題もあってやはりなかなか難しくて、そこはしようがないので具体的にどうやっているかというと、あるところでは専門家が専門的な議論で判断していく、ケース・バイ・ケースで見ているということですし、場所によってはアメリカのような国では省内の役人が判断をしているわけですけれども、一応難しいケースについては公開して外からの情報のインプットを求めるとか。
ですから、要するに筋をきれいに書くとかということはやはり今現在難しくて、むしろそれよりもそれに対していろいろな知恵を集めて行えるような仕組みというふうなことを考えた方が、現実には実効性があるのではないかなというふうに思います。

【山野井委員】現実には私もそういうふうに思います。ただ、のどにつかえた骨みたいな感じで、この問題は将来にわたって必ずどこかでまた出てくるのではないかという気がするものですから、もしできる範囲のことであればできれば明らかにしたいという気持ちで今申し上げたのですけれども。現実的には今、加藤委員のおっしゃるとおりだとは私も思いますけれども。

【岩槻委員長】どうぞ。

【矢木委員】今の評価法のことなのですけれども、そもそも生態系なるものが、これが健全なのかとかいけないのかというのは年によって変わりますし、温度によっても、それから日本では春夏秋冬でも変わってしまう。では、何が標準なのだということで、これが議論の非常に大きな問題。
そうなりますと、それ自体を評価するということで、やはり今、加藤委員がおっしゃったように、これまでの科学的知見ではこのぐらいの範囲が影響範囲であって、これが何年も続くとやはりおかしいとか、そう短期間に決められないケースがあるので、私は従来の知見を入れながら評価するしかないのではないかと思っているのです。それから、これは一つのケースではありません。いろいろなものが組換えで出てまいりますので、そうすると一つ一つ影響の対象がまた違ってくる。
先ほど鎌田委員の従来のものと比較すればいいという意見に言及されたのですが、組換えの場合でも従来なかったものがどんどんできてくるので、そうすると比較が多分できない。そうすると、やはり生態系って基本的には何だろうという、その辺の知識を現在のサイエンティフィックな点で集めておいて、そしてその中で希少種がだめだとか、あるいはまた多様性の問題がどのくらい変動するのかというような委員会の判断とか、それをいろいろな方の意見の中で集約していく、まさに灰色の中でどうやって決めていくということなのですが、その辺のところがコンセンサスをいかに得られるかというルールを何か考えておくというような気がするんですね。

【岩槻委員長】鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】生物多様性への影響の視点のところで、今の野生動植物の地域個体群とか微生物相というようなことがかなり強調されていて、自然科学的な評価のしやすさというような点であるとか、生物多様性という概念の中での重点ということから見ても妥当だとは思うのですけれども、やはり生物多様性への影響という場合には条約でいっているところの生物多様性、それ全体に対する影響の評価ということが必要ではないかという気がします。
生態系の階層に至るまでということと、それから生物多様性の持続的な利用というものを損なう可能性といいますか、そんなような評価がやはり必要なような気がするんですね。そうすると、人の営みというのが要素になってきますので、農業生態系とかそんなような視点というのが必要になるのではないかと思います。今までも少しずつ発言させていただいてはいたのですけれども。

【岩槻委員長】大体、ご発言は同じような流れだと思うのですけれども、科学的に「リスク」という言葉自体が数字であらわされるような形ではなくて、非常に不確定要素のある漠然とした形でリスクがあるかないかというような判定をしなければいけないということだと思いますので、むしろ非常にはっきり影響があらわれてくるのは、その生態系にあらわれてからということになって、事前に予知するというのは非常に難しいことなわけですね。その意味では、事前にどうチェックをするかという体制と同時に、ここでも出てきています、後で何かが起こった時にどうするかということへの対応が非常に重要になってくる。
最初に大塚委員が発言された、閉鎖系の問題というのも結局そういうことだと思うのですけれども、エスケープしたり、それから、十分コントロールしているつもりでも遺伝子自体が交雑なんかで生態系の中に流れ込んでくる。前にも鷲谷委員がご指摘されたと思うのですけれども、そういうことが知らぬ間に現実にあらわれてくるということが起こってくるかと思いますので、そういうものが発見されたときにどう対応するか。それまで含めて実は考えないと、この問題は対応ができないことだと思いますので、開放したとき、入り口でチェックをすることが非常に大切ではあるのですけれども、余りそのことだけに重点が置かれないようにしないといけないのではないのかと。ただ、法的にそういうのを規制するのはどういうふうにできるのかというのは私はよくわかりませんけれども、視点としてはそういうところまで広げないといけないのではないかと思います。どうぞ。

【大塚委員】法律専門なのでわからないことも多いものですからお伺いしたいところがあるのですが、最初は閉鎖系で始めて徐々に広げていくというような形態をとった場合に、その間にいろいろなデータが多分集まると思うのですけれども、そういう意味では事前に評価をするということもある程度できるのではないかという気もするのですけれども、それはやはり難しいということなのでしょうかということが、一番お伺いしておきたいところです。
それから、意見として申し上げておきたいのは、これは前回申し上げたことの繰り返しで恐縮ですけれども、確かに科学的な委員会みたいなものを最初につくってリスクの評価をしていただく必要があると私も思っているわけですが、ただそこで意見が割れてまとまらないということも当然あってもしようがないんだろうというふうには思っていまして、大事なのはそこが中立的な委員で構成されているとか、情報の公表がしっかりしているとかということが手続的に非常に重要なところであって、実体として意見が割れたままでも、それはその後のリスク管理の方に移るとか、あるいは市民への情報提供とか、そういう次の手続に移っていくということであって、最初のリスク評価の段階で絶対に一つにまとめなければいけないというものではないというふうに思っております。以上でございます。

【矢木委員】閉鎖系のことが議論に出ておりますけれども、閉鎖系の場合ですと、現在、各省庁で閉鎖系の基準というのでしょうか、それができておりますので、そういう中で一応評価の実績がでていて、そしてそれを開放系に使おうというところがあるので、多分従来のものをほとんど使えばいけるのではないかなと私は思っているんです。
ただ、従来での中で評価できなかったようなことが落ちている場合、例えば多様性なんかの考え、要するに閉鎖系の中で多様性評価はできるのか。そうすると、多様性の影響を評価するための手法は確かに欠けていると思うのですね。だから、そういう意味で基本的なことはほとんど従来の手法で閉鎖系の評価は使える。ただ、新たな生態系全体を考えたときの評価は足さなければいけないと思うので、その辺はそんなに悩まないで、ただ従来の閉鎖系で評価できない植物に遺伝子を入れてしまって、必ず枯れて問題ないのだという発想とか、新たに微生物の酵母から、あるいはバクテリアと酵母と遺伝子が移る可能性もあるとか、そういうふうな点は余り考えていなかった点があるので、そういう新しい点は出てきていると思うのですが、ですから開放系でどうなるかを考えればよろしいのではないかという気がしております。

【大塚委員】私の質問についてはいかがですか。徐々に広げていけば自然の評価はある程度できるような気がするのですけれども、それはいかがなのでしょうか。

【矢木委員】徐々に広げていくということは、今までは閉鎖系でこうやっておりますよね。

【大塚委員】ええ、その段階でデータがあれば、開放した場合にどういうことが起こるかということもある程度予測できるような気がするのですけれども、そうでもないのですか。

【矢木委員】それは今までやってきて、予測をしてきて、それで一応許可になっている。
従来は組換えで使われるには許可になっているのですが、ただ新たに実験自体が非常に狭い系でやっておりますので、本当に開放系に出た場合に花粉がどこまで飛ぶかとか、そういう評価できない部分が今、大変問題になっている。

【大塚委員】それは極めて狭いところから急に広いところに広げようとするからであって、間に1段階置けば簡単という気もするのですが、そうでもないのですか。物すごく狭いところでやって、あと全部を広げるというふうにお考えだから、何のデータもないところでどうなるかという問題が起きるので、その間に1段階おけば何とかなるような気もするのですが、いかがなのでしょうか。

【山野井委員】私は大塚委員のおっしゃるとおりの形が、今考えられる一番いい形だと思うのです。やはり影響がはっきりしないけれど、あるかもしれない場合や、さっき言いましたようにグレーなのか白なのか黒なのかわからない中で、そのデータをとるという意味からいっても、ちょっと時間がかかるという問題がありますけれど、慎重にやっていく必要があるだろう。
それから別の件ですが、先ほど委員長がおっしゃった、実はさっき私が申し上げた理由は、後になって問題が起こったということはわかるのですけれども、例えばアメリカから作物が輸入されて栽培するかどうかという話になったときに、向こうのデータを持ってきても環境が違いますから、事前に日本のどこかでやってこれは大丈夫かどうかというチェックをするわけです。
ですから、事後どうなるかという問題よりもカルタヘナの場合の大きな問題は、最初にやらなければいけないものですからそのときにどういう判断をするかということが多分非常に微妙な結果がいっぱい出てくるのではないかと。はっきり白とか、はっきり黒だったらわかりますけれども、そういう意味でちょっと申し上げたわけでございます。

【岩槻委員長】そのことに関しては私も、この条約はまさにそのことを言っているので、ただそれは非常に重要なことだというのはわかるけれども、ただそれだけではなくて後も十分フォローする必要があるのではないかということを申し上げているのです。

【山野井委員】それはそうですね。それはよくわかります。

【岩槻委員長】鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】閉鎖系でのいろいろな経験を開放系に敷衍してどこまで考えられるかという点なのですけれども、閉鎖系というのは人為的にかなりコントロールされていて、どちらかといえば均一な系なのですけれども、野外というのはいろいろな条件の組み合わせが起こり得るという意味では、敷衍できる部分と、それが難しい部分がたくさんあります。また閉鎖系の中にある要素というのはそれほど多くないので全体を把握しやすいのですけれども、開放系になりますと影響の連鎖というものがどこまでつながるか、意外と生態系レベルでは風が吹けばおけ屋がもうかる的なことが起こることがあるのですが、そういうのがなかなか評価しきれないという面はあると思います。

【矢木委員】今のご質問で、では現在どうなっているかということなのですが、まず最初は温室の中で外と空気を絶ちましてやります。その次の半閉鎖系では網をかける。その次に、これが半閉鎖系というのでしょうか、例えば15メートルか20メートルぐらいの中で、植物の場合はチェックをします。
そうすると、今問題になっているのは、そこは例えば組換えの植物だけを植えて評価し、その中に林とか池とかない。ではそれが評価できるのかというところが今問題になっているので、その範囲をどこまで大きくするかというところは議論が残っているのです。その辺が今の仕組みの中で足りないところだと思います。

【岩槻委員長】加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】似たようなお話ですけれども、閉鎖系と施設の中と野外と、やはり線が引かれる部分があると思います。
今から15年ぐらい前、初めて野外の試験を始めようというときに、安全かどうかわからないのに外へ出すのかと。安全だと言わないと出せないではないかという話と、だけどそれでは中で安全を確かめて外で安全と言えるのかという二つの意見が出まして、非常に議論があったときに、ではどうするかという答えとして小さな規模で少しずつやりましょうというやり方で始まっているのですね。それがケース・バイ・ケース、ステップ・バイ・ステップという言葉で言われていますけれども、そんなようなやり方で始まってきている。
それで、現実に今までアメリカなどで農作物が野外で栽培されるに至った道筋というのは、やはりケース・バイ・ケース、ステップ・バイ・ステップで評価をしながら進んできた。野外試験も小さな規模でやってみて、その過程で例えばその作物におかしなことが起こってこないだろうかとか、あるいは来る虫がどういうふうに変化しているだろうかとか、そういうようなことを少しずつデータも集めながら進んできたというところはあります。
ただ、だけどそれで本当にいいんですかと言われれば、やはり心配すれば幾らでも心配の種はあるわけです。ですから、ある程度利用されて規模を大きくする段階で少しずつ生態系への影響という観点での情報を得る努力はもちろんすべきだと思いますけれども、では絶対大丈夫ですかと言われればやはり難しい部分はどうしても残ってしまうと思います。ただ、実際にはそういうやり方がとられているということです。
もう一つは、現実に例えば広い農場などで花粉が飛ばない作物の場合にはそんなに問題は
起こっていないのではないかなと私は思っています。以上です。

【岩槻委員長】ほかにいかがでしょうか。発言されていない委員の方、何か特にコメントはございませんか。では岩熊委員、どうぞ。

【岩熊委員】資料1の5になりますけれど、フローの中で「評価委員会などによる確認」になっています。この評価委員会をどういうように運営するかというのはかなり重要であろうと思われますし、常設なのか、どのような手順で審議を進めるか、この辺は実際に動かしてみるとかなり大変な作業が伴ってくると思います。この辺をしっかりつくらないといけないなというのは、例えば化学物質の審査などに関しての委員会と比較しても、今回の方がさらにみえてこない部分もあるということで大変だろうと考えております。

【岩槻委員長】どうぞ。

【市田委員】まず、何と申し上げていいかずっと悩んでいたのですが、現実の問題として、例えば加藤委員がおっしゃられたように少しずつやっていくというのは、そうなのかなとは思いますけれども、その場合にやはり動物と植物って違うのではないかと思うんです。委員長がおっしゃられた、事前に評価するのは確かに難しいのですけれど、起こってしまったものについて何とか対策を立てようとしても、動物の場合は特に立てられないと思うのです。
紙には書けてしまうと思うけれど、実際には野外に出てしまったものを、植物はまだあそこにあるのを引っこ抜いてくるということは多少できるかもしれませんけれども、動物の場合はほとんど難しい気がするのです。
なおかつ、植物は食糧問題などと関係して、必要性が高いということもあるかもしれませんけれど、動物は直接食べることもないような気もするのです。そうだとすると、やはりこの安全性の評価のときに、植物、動物では相当違うのではないかという気がしていて、ではどう違うのだと言われるとわからないのですけれど。
現実問題として、やってみたらというのはわかりますけれど、起こった問題に対する対抗措置というのは事実上ないのではないかと思うんです。

【岩槻委員長】おっしゃるとおり、菌類、植物と動物でそれぞれ様子は随分違っていると
は思うのですけれど、ただ植物の場合でも、先ほどからおっしゃっている半開放系、半閉鎖系が非常に難しいと思うのです。一度ガラス室から外へ出してしまいますと、花粉や種子は止めようがありませんし、例えば共棲菌などがどうなっているかという、まだよくわかっていないことが具体的にどう起こってくるかということが見えてこないですから、だから何が起こるかということを危惧し始めると、それはもう無限に広がって何もできないということになってしまうのですけれど。
それだからこそ、入り口が非常に大切なのですけれど、入り口をどんなに縛ってもやはり後に出てくることというのは常に覚悟しておく必要があるのではないか。だから、後の監視が緩んだら非常に生物多様性に対しては危険が生じてくるのではないかということを申し上げたいだけなのです。

【市田委員】それはわかるのですけれど、ただ、監視を緩めない方法って、どういうことが考えられるのでしょうか。

【岩槻委員長】緩める、緩めないといいますか、まだここのところは僕も十分理解していないかもしれませんけれども、カルタヘナ条約というのは要するに入るところの規制というのが当面の目的になるわけですよね。それを決めたらそれでいいというものではなくて、その後もこれに関連してどうしても必要なのだということを申し上げているのです。
どうぞ、山野井委員。

【山野井委員】ちょっと別件でよろしゅうございますか。

【岩槻委員長】どうぞ。

【山野井委員】薬剤耐性のマーカーの問題なのですが、あのときに鎌田委員は、カルジーンのトマトはカナマイシン耐性がついているが、その遺伝子が腸内細菌に伝播する危険性は数千万分の1とおっしゃいました。けれど、今度は開放系ということで、自然界で植物の遺伝子にある性質を入れるというときにも微生物を使う可能性がありますよね。そのときにマーカーの問題が出てくると思うのですが、薬剤耐性のように、水平伝播が起こった場合に、非常に大きなハザードを起こす危険性があるようなものは、例えばそれがついているものは押さえてしまうとか、例えばいい性質を持っていてもそういう危険性があるので、よほど慎重にやるか、あるいは万が一、何年かたって出てきた場合に大変なことになるなという、そんなことも事前として大事ではないかと思いますけれど、国際的に何かあるんでございますか。開放系の場合です。

【岩槻委員長】加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】国際的に何かあるということではないと思うのですけれど、結局そういうふうに考えてみますといろいろなことがケース・バイ・ケースで起こり得る。それから、一つ一つのケースによって心配すべきポイントも違ってくるということだと思うのです。
先ほど、植物は外へ出したら花粉も種も飛ぶとおっしゃっていらしたのですけれども、でも植物の種類によっては花粉はそんなに飛ばないものもありますし、種をつくらないものもあります。そういう場合にはそこには余り心配しなくていいということです。
結局、最初から組換えの評価ということで、それ一つ一つについてそれぞれの特徴に合わせた評価をする。全部が全部、同じように危ないわけではなく、あるいは全部が全部同じように花粉も飛ぶし、種も飛ぶというものでもないので、それぞれで評価する。
そうすると山野井委員がおっしゃったことも含めて、フローや評価項目などをたどっていくときに、そういう個別の問題で出てくるような問題点がどこかでひっかかってくるようなフローとか評価項目とか評価のポイントとかができていればよろしいかなと思うんです。
今の山野井委員のおっしゃってらしたことを微生物の場合の図2で見てみますと、例えば左から3行目の四角のところに遺伝子の水平伝達というのが出てきていますけれども、ここからそういうことが起こったときに、上に行ってヒト・動植物への非意図的暴露が起こるのかなと。もし起こったとしても、それに人の健康に影響が起こらないであろうというふうに判断できる、例えば抗生物質が人の医療に使われるようなものでは全くないということであれば、この危惧される影響のところの人の健康への影響というところで、ああ、でもこれは起こらないなというふうに判断できる。そういうふうにして、いろいろな心配がこのようなフロー、あるいは評価項目で拾えていけばいいのかと思います。

【山野井委員】それはもうおっしゃるとおりです。ケース・バイ・ケースで違いますので、それはそうです。

【岩槻委員長】この問題はまさに今ご指摘されたとおりで、ですから我々は原則論的なことしか言っていないわけですけれど、ですからこそ、どういう組織がどういうやり方で判断するか、一遍そういうのを何かモデル実験をやってみたらもう少しぴんとくるのかもしれません。そのシステムが非常に重要だということになってくるというのもそこにかかってくることだと思うのです。

【山野井委員】漏れがないようにして。ただし、この場合はこれがなくてもいいとか、そういうことでしょう。

【岩槻委員長】岩熊委員、先に。

【岩熊委員】生物がどのように使われるかということで、例えば不稔性であるとか、そういうことを前提として野外で使われた場合にも局所的であるということを前提とした使用の許可というふうに踏み切ったとしても、現実には多分出回る、あらゆるところに出回ってしまうということを、やはり想定しておかないといけないと思うのです。
だれかが持ち込むということは当然あるわけですし、野外というか自然界に出回ってしまったときに、後で対策がとれるということをやはり考えておかないといけない。そういうような観点に立って事前に評価し、出回ってしまうという可能性を考慮しておかないといけないのではないかと思います。そういうふうにしておけば、後で対策もとりやすいのではないかということです。これは観念的なのですけれど、現実的にはそういうふうに考えておかないといけないと思います。

【岩槻委員長】矢木委員、どうぞ。

【矢木委員】それに関連しまして、さっき抗生物質耐性のお話が出ましたので、この中で非常に心配になる問題点が幾つかあります。まいた菌が異常にふえるかとか、病原性があるかとか、その中の一つの抗生物質耐性というのが大きな問題であるわけですね。要するに日本中で組換えをやった場合に必ず抗生物質耐性をつけて、それがマーカーとして組換え植物、組換え微生物を一番簡単に見つけられるので、日本中でやっている技術なわけです。
では抗生物質耐性が病原菌に入ったらどうなるのか、今非常に問題になっているわけです。
そのときにいつも反論に出ますのは、私たちが抗生物質を飲んでいるではないか、人間が抗生物質を飲んでいて環境にまいているではないか、そうすると耐性菌がいっぱい出ているはずじゃないかと。こんなに抗生物質を飲んでいて、それでは例えば自然界に何匹耐性がいるかといいますと、大体1億匹いる中の1,000匹とか1万匹ぐらいはある抗生物質耐性を持っているわけです。みんなこんなに飲んでいてそれぐらいだから大丈夫だという意見が出るわけです。
ただ、今度の場合には微生物に入れて大量にまくということになりますので、またちょっ
と考え方が違ってきます。まいたときにどれぐらいの頻度でそれが移るのかというデータが実はないのです。そこで議論がどうなるかというのは一つの問題点でありまして、その辺のデータが出てきて、こんな頻度でこれぐらいだよという科学的な知見というふうなことになって、一つ一つそういう問題点が解決できるフローが書ければいいのではないかなという気がしております。

【岩槻委員長】どうぞ。

【市田委員】質問があるのですけれど、植物は大体作物の関係だというのがわかるのですけれど、動物というのは、結局微生物の関係が具体的には対象になっているのですか。それとも、それ以外の動物もやはり対象になってくるのですか。動物というとどんなのが想定されるのですか。

【加藤委員】動物ですと……、この報告書の中のどこかにありましたかね。動物ですと、お魚の研究とか家畜もあるんですが、家畜の場合には環境放出と定義されていません。柵の中に入っていて、檻の中に入っているというのは環境放出と定義されていません。もちろん、商業化されているものはありません。魚も商業化されているものはありません。
それから、生物農薬に使うというので、ダニとかの非常に初歩的な研究はありますけれど、それも非常に初歩的なものでマーカー遺伝子をつけてどういうふうに挙動するかというようなのを調べているというのがあります。みんな小さな規模の試験の段階です。
ですから、一番実用化に近いかなと思われるのは魚なんですけれど、魚の場合は野外試験
の許可がされておりまして試験まではいっています。そのときにどういう評価をしているかというと、養殖池からもし逃げ出したとして、もう一つため池をつくって、そのため池に来てしまったときには殺虫剤をまいて全部殺すことができるだろうかとか、そんな評価をやっていまして、結局いわゆる普通のところまでは逃げ出さないような確保策ができているかどうかで、野外試験と言われる養殖池での養殖が許可されているという段階です。その後についてはちょっと承知しておりませんが、実用化に至っているものはないはずです。

【市田委員】昆虫なんかはどうですか。

【加藤委員】昆虫は……。すみません、ちょっと……。

【矢木委員】ただ、動物の場合はたしかスーパーマウスとかスーパーピッグとか、成長ホ
ルモンの遺伝子を入れてしまうわけです。例えばマウスにラットの成長ホルモンを入れてしまうと2倍の大きなマウスができてしまう。スーパーマウス。それから、スーパーピッグということでと成長ホルモンを入れてしまえば、要するに2倍の豚ができてしまっている。
これはすばらしいところだったのですが、育ててみたらえさが2倍要るということで、それではしようがないということで。でも、豚の放牧をすれば、大きいのができるわけです。だからその成長ホルモンでみんな大きいのができてしまう。魚も遺伝子的にはできているという。だから、それを商売にしていいかどうかですね。
もう一つは、お米などアレルギーが起きるタンパク質があるのでそれをなくしましょうということや、肉も非常に高たんぱくな肉とかあるいはやわらかい肉とかという研究が進んでおりますので、ある遺伝子を入れてしまえば動物でもそういうふうに。そういう試験は進んでおるというのは聞いております。

【岩槻委員長】ペットの動物ではそういうことは起こっていないのですか、今の……。

【矢木委員】ペットですか。ですから、成長ホルモンを入れてしまえば動物はみんな大きくなるというような話を聞いていますので、今どこまでいっていますでしょうかね。

【加藤委員】ペットの動物ではないのですが、魚で発現したときに色が変わるというのを開発した人がいまして、それがなかなかきれいなんだそうです。それで、それを熱帯魚みたいな形で売れないかというふうに考えているという話をどこかで聞いたことがありますけれども、実用化にはなっていません。
それから、実験レベルでは、もちろんトランスジェニックマウスみたいなものは研究目的でいろいろつくられていますけれども、そういうものは開放系に出ませんで閉鎖施設の中で使われているということです。

【岩槻委員長】どうぞ。

【自然環境局長】ちょっといいですか。これからの議論で、磯部先生が一番最初におっしゃったように、要するに決定機構、だれが、いつ、どういうタイミングでやるか、そういう手続論的なところをもう少しやらないと最終的な判断というのはなかなか決着つかないのだろうと思うのです。それは、どうしてもやらなければいけない今後の課題の一つだと思うのですけれど。
ただ、もう一つは、それを判断するときに委員会なり科学委員会に任せてどうぞというのではなくて、環境省で改変生物の問題を扱うときに、最終的な判断をする科学委員会でも、ここまでぐらいはしようがないのかなとか、それを超えるようなやつはもう少し慎重にやりましょうというような最低の基準のようなものを考えておかないと進まないのかなという気もするのです。
例えば、植物と動物と微生物、それぞれに、市田委員から質問があったみたいな、具体的なところで何が問題になってくるか、例えば植物だったら、種子や花粉を飛ばさない状況ならまあいいかとか、例えば動物だったら不妊化させたやつならいいかとか、何かそういうレベルがないと、何でもかんでもだめというふうな議論に発展しかねないし、その委員会も困るんだろうと思うのです。その辺が今後の課題なのかなと思って。もう少しジェネラルに、動物、植物、微生、一遍で議論するのではなくて、1個1個やっていくようなことも必要があるのかなと、聞いていて感じました。

【岩槻委員長】鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】モニタリングに関してなのですけれど、特定の影響に関するモニタリングでしたら、そのプロトコアはどうやって評価していくかというのは考えやすくてきちっとした計画が立てられるとは思うのですけれど、いわゆる一般的なモニタリングとかサーベイランスということになりますと、かなり違う考え方をしないといけないのではないかという感じがするんです。それは生物多様性というのは、今いろいろな影響でダイナミックに変化しているところに、もしかしたらこういうようなことが新たな影響を加えるかもしれないということですので、この遺伝子組換えのモニタリングとしてだけのサーベイランスというのが本当に成り立つかなと思うんです。
それで、生物多様性のモニタリングというのはどうしても必要なことですし、いろいろな形でこれから計画されていくのではないかと思うのですが、その中に複合的な影響ですから要因を分析したりしていくことになると思うのですけれど、そのときに遺伝子組換え生物の影響も考慮するぐらいにしておいて、だから事業者がやるのではなくて、もっと大きな枠組みでサーベイランスが行われるのだけれども、こういうものを完全にリスクが低い状態ではなくて、もし野外で使うとしたらリスクを高めている可能性があるかもしれないということで、資金を一部提供するとか、そういうような形でサーベイランスや一般的モニタリングというようなもののシステムをつくるというのも一つの手かも……、特定の影響に関するモニタリングとも全く切り離してしまうというのも一つの手かもしれないと思いました。

【岩槻委員長】それは、生物多様性全体のモニタリングという全体像が非常にはっきり決まっていることが必要だと思うのですけれども、それが決まっていて、その中にただ遺伝子組換え生物に関してはカルタヘナ条約との関連で非常にはっきりと、あらゆること全部に目を光らせるというわけにはいかないでしょうから、少なくともこの項目はしっかり目を光らせるという、そういう形で取り込むということ。

【鷲谷委員】逆に、生物多様性のモニタリングシステムを早くきちっとつくっていただくということを環境省にお願いする。

【岩槻委員長】非常に難しい宿題のようですけれども。そのほか、特にご発言はございませんでしょうか。
(なし)

【岩槻委員長】では、きょうの議論を踏まえて、次回の委員会に向けて事務局の方でもう少し具体化した案をまとめていただくようにお願いして。何か今の段階で……。

【事務局】前回のご議論を踏まえて利用による便益というのをどこで考慮するのかということで、図3の中で点線で示していますが、そこの部分に入れることにかなり迷いがあるので、どこの場面でどう考慮するべきなのかということについて、具体的なご意見をいただければ、次のステップに進みやすいのですが、いかがでしょうか。

【大塚委員】簡単なことしか申しませんが、私の理解ではこの図の点線で囲ってある部分は、評価委員会か科学委員会か、そういうところがリスク評価をされるということで、その後、一定のことを条件として許容するかどうかは行政庁がお決めになることだと思いますので、そこはリスク管理をしながら、行政庁が許可をしていくということではないかと思うのですけれど。
ですから、行政庁が許可をするときに利用による便益に関する情報も入れて判断をされるということではないかと私は思っていますが、ほかの先生方はどういうふうにお思いでしょうか。

【岩槻委員長】ほかにどなたかご発言があれば。

【磯部委員】法律論としては一般論しか言えませんので。やはりこれまで行政の仕組みの中では経験したことのなかったような難しい判断を迫られ、もし何かあった場合に影響が深いことを考えますと、かなり厳重なモデルと、もう少し軽いモデル、社会通念上許容されるであろう常識的なある基準を設けておいて、それに合致したらパスさせるというような前提を置くか、本当にもう1件、先ほど来先生方のお話を聞くと、要するにケース・バイ・ケースで一つ一つわからないのだと言われたら、これは制度として考えると本当に個別に1件ずつ判断していかなければならないということになりますから、これもまた現実的ではない。
それから、どっちとも言えない場合にはどっちに判断するのか。これは法律では、疑わしきは罰せずとか、どちらかに決めてあるわけですよね。この場合、どっちに決めるのかです。
影響あるという議論とないという議論があったら、それはやらないということになるのか。
安全だという立証が十分できなかったのだからだめですねというルールにしてよろしいのかどうかとか、それもまた一律に決められないのだとしたら、では一定のカテゴリーに分けて、ある程度の一般基礎的な一般原則の基準を決めて、そこから個別の判断の立証責任を一体どっち側が負うのかとか。
それから、高度に専門的で中立性が要求される行政委員会、大臣とかいわゆる行政長とは
別に第三者性、中立性、専門性、そういうものを持った行政委員会的な仕組みでやるのがふさわしいような気もしますが、この行政改革の時代にそんなの新しくつくるのという話はもちろん出てくるかもしれない。諮問機関的なものになるのかもしれませんけれど、この科学委員会や評価委員会をやはりきちっとつくることが国民の理解を得る上で非常に必要でしょう。
例えば、随分話が違うかもしれませんけれど、原子力行政は、昔、原子力委員会が原子力
を推進する行政と、安全性をチェックするのと一手に引き受けるのはおかしいのではないかということで、後に原子力委員会と安全委員会に分けました。ああいったことも一つの経験かもしれない。
失礼があっては申しわけないのですけれど、やはり遺伝子の組換えの専門家というとやりたい人が多いのではないかというふうに考えますと、偉い先生がそれは大丈夫だと言うのはちょっと信用できないという人もいるかもしれない。だから、結局、正しい決定をしていただくことは大事なのですけれど、正しい決定をしているなと見えるということも大事です。これは別のことなので、ぜひそこにも配慮したような制度設計が必要なのかなという気もします。
ごちゃごちゃ申して恐縮ですけれども、かなり厳重なモデルとか、もう少し実際に動きそうなもの。結局、黒とも白ともわからない場合に、いずれにせよトランスペアレンシーが必要だろうし、一種の説明責任のようなものをどう果たすのかとか。それから、文句のあった場合に、先ほども申しましたように一々裁判所へ行って行政がした判断を訴訟でひっくり返すなんてことが普通は起こらないはずなのですけれど、最近の東京地裁の傾向からすると何が起こるかわかりませんし、そういうふうなことを考えるともうちょっと簡単な苦情処理というか不服審査のような仕組みもあった方がいいのかもしれないし。という具合でして、いっぱい考えることがあるのではないかと思います。

【岩槻委員長】議論の中でも何度か出てきたことですけれど、科学委員会がたとえできたとしても科学的に評価できることはごくわずかなんですよね。ここまでは確実に言えるということはもちろん幾つかあると思いますけれど、ほとんどのことは危惧で議論するということになると思います。だから、危惧があるということがストップのもとになるのか、危惧だけではストップにならないのかという、最終的な判断を決めるときに非常に重要な問題になると思うのです。
そこで、ここまでは科学的に言えるということを言った後の本当の評価というのは、科学者だけではなく、便益ということももちろん入ってくるでしょうし、そのほかのさまざまな好みが入ってこないとやはり意見としてはまとまらないと思いますから。完全に透明性のあるところで議論が行われることが成り立たないと、こういう危惧に基づいた話は進まない。我々から見ますと危惧のところが非常に強く見えてくるのですけれど、危惧だけで何も進めなくてもいいのかということになりますと、全然先に進まないことになるのではないかと思います。
遺伝子組換えは生物科学者では、常識的な研究課題になっていますけれど、皆さんが遺伝
子組換えを技術に転化することがいいと思っているわけではなく、研究上はこれがないと進まないのですけれど、それとテクノロジーで技術に転化するということとは全然別のことだというふうにご理解いただいておいた方がいいのではないかと思います。どうぞ。

【岩熊委員】便益に関する情報をどこに入れるかということですけれど、5ページの図3ですが、情報収集の段階で利用による便益に関する情報というのは十分検討されるべきだと思うのです。ただ、遺伝子改変生物の利用とか作出するというところでは、どのように使えるかというのはまだわからない段階でいろいろ検討していくわけですので、その段階では便益があるかないかという判断はできないと思うのです。
現在のフローだと、影響の可能性がなければ利用による便益というのをスキップして、放出利用というところに行くので、常識的には便益があるかないかを、その情報収集のところでも入れておくという方がよろしいのではないかと思います。

【自然環境局長】それだと、最初からバイアスがかかって判断されないですか。

【岩熊委員】利用するということを前提とした場合には何らかのメリットがないと……。

【自然環境局長】そもそも、最初から利用計画の中に、何か利用するからそういう遺伝子
改変生物をつくるという、研究の中も入るかもしれないですけれどももともとあるわけだから、最初はそこに入らない方がいいのかなと思っていたのですけれどもね。

【事務局】このフローはまだまだ改善すべきところがあると思っています。最初の利用計画は開発者がこれを提出する。それは、当然、何かメリットがある。セールスポイントがあって、使いませんかということだと。きっと利用計画の中にこういうベネフィットがありますよというのを書くことになると思います。

【岩熊委員】ただ、便益は立場が違いますね。

【事務局】そうですね。

【岩熊委員】ですから、公に便益があるかどうかということと……。

【事務局】危惧される影響が生ずる可能性や影響緩和の可能性でイエス・ノーを出していくときに、便益というものを頭の中に強く置いて判断をすべきか、そうではなくて、リスク、影響に関して判断をしてイエス・ノーを出した後で、その下の影響の緩和を条件として許容するかどうかといったときに改めて便益について情報を整理して、改めてインプットして、影響をどの程度緩和すべきなのかという判断を行うときに便益に関する情報を使うか。

【磯部委員】この便益はいわゆる公益ですか。

【事務局】公益というニュアンス。

【岩槻委員長】それは非常においしいものが安く手に入るということも便益になるわけで
すよね。

【磯部委員】そうですね。だから、公益性にもいろいろランキングがあると考えれば、生
命・健康などに直接的に利するとか。

【自然環境局長】ある程度影響が弱いとか、そこまではっきり影響があると言えない状況、
もう影響があるとなれば許容できない方へ行くわけでしょう。

【事務局】単純に公益的に見てメリットがあるから少し我慢して下さいという議論で最初
はスタートしているのですが、ただ、そう単純ではないだろう。そうすると、影響に関してずーとチェックをして、使うか排除するかを決め、使えそうだとなったときに改めて公益的なメリットは何かを考えて、どのぐらい制限すべきなんだと。

【磯部委員】熱帯魚みたいな、きれいな魚ができるという程度だったら……。

【事務局】それは別に組換えということでは、人間の生存ということではないから厳しく見るべきだと。

【岩槻委員長】大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】私は事務局のご意見に賛成です。科学的に決められるものは決めていただいて、あるいは意見が食い違ってくるものは食い違ってくるというのを出していただくのが、一つの過程としては重要なところです。便益との比較はその後で、これはむしろ科学だけではなく社会的に決めていくことですから、科学者だけに決めていただくことではない。科学者も入っていただくことはもちろん可能ですけれど社会的に決めていくことなので、これは判断の主体が違うという整理がいいのではないかと思います。
それで、これはある程度環境アセスメントとかに似ているところもあるし、ただアセスメ
ントは事業者が最初の評価をされますのでそこはちょっと違うと思いますが、あるいは化学物質の最初の製造のところの評価とか、製造段階での化審法評価とかともかなり似ているところもあるので、そういうのも参考にしながら考えていくべきではないかと思います。
あと、さっき局長がおっしゃった一定の場合には、この評価をする必要がない場合が類型
的にあるということは私も賛成です。

【岩槻委員長】どうぞ、市田委員。

【市田委員】私は、簡単にできないものなのに一生懸命つくって出してくるからには、何らかのメリットがなかったら出してこないと思うんです。ですから、それに対して本当に科学的にいいか悪いかを判断すべきだと思います。
それにプラスして、公益性というお言葉がありましたけれど、これだって何が公益ですかと言い出したら、今議論しているよりももっと難しい問題に発展するわけですね。それが恐らく科学的な判断そのものをもやもやさせてしまう。つまりもう一個のファクターが加わってくるわけですから。
ですから、当然、何かのメリットがあるから来るんだという前提の中で、科学的に判断した方がいいような気がします。

【山野井委員】よろしゅうございますか。お金、お金という話が出たのでちょっと気になって仕方ない、企業の立場から申し上げます。
私はこの位置が正しいと思うのです。と申しますのは、実は括弧で囲んだところは何が一番大事かというと、AさんがやったらAという結果が出ました、これは判断ではなくてデータです。BさんがやったらBという結果が出ました、これが一番困るのです。これはサイエンスではないわけです。人によって随分結果が違うというのはサイエンスではないので、最新の科学技術の知識をもって、だれがやっても同じデータが出ます、と。ここをどうやって確保するかというのがこの括弧の中だと思うのです。
あとは、それをどう判断するかという部分は、そこにやはり便益というものも加味して考える必要があるだろう。影響の大きさが明らかに許容できないというのは、これは真っ黒なので論外ですが、多分そういうのは余り出て来なくて、ぎりぎりだと思うのですけれど、ここは当然便益の考え方を入れるべきだろうと思うのです。しかし、最初の括弧よりも前の段階にそれを入れるのは、サイエンスであえて影響するところが小さいよという委員長のお話は確かにそうかもしれませんけれど、その中でもきちっと、だれがやっても同じデータが出るということにしたいなというふうに思います。

【市田委員】だからこそ、その部分は科学のデータが少ないにしても、なるべく科学的に判断すべきであって……。

【山野井委員】括弧の中ですね。

【市田委員】いや、括弧の中というか、これ全体です。それで、それを行政的にあるいは政治的には、もういいんだとやることもあるかもしれませんけれど、この判断の中にそういった非常に不確定なものを一つ入れてしまうと、結局やってもやらなくても同じことになる可能性があります。真っ黒なら別だとおっしゃいましたけれども、真っ黒っぽいのを白っぽくいうやり方だっていろいろあるから問題が出てくるのであって、やはり、なるべく科学的なところで判断してもらいたいと思います。その上で政策的にこれはやるとかやらないとかというのがあるのはいいと思います。だけど、その判断過程の中に非常に不確定なものを入れることはいかがなものか。

【岩槻委員長】非常にはっきりしていますのは、このグレーゾーンで科学的にはっきりだめということが決まったものは、あと便益性はそんな余裕は全然ないと思うんです。ただ、そこであいまいになった、科学的には判断できなくなったという場合には便益性も踏まえて、ですからこれが入るとここでの結論全部にこれが影響するような印象を与えてしまうと具合悪いですけれど、そうでなければやはりどこかで必要になるわけですよね。

【市田委員】そうかもしれないのですけれど、これがここにあると思えば、科学的にデータが全部そろっている状態ならいいけれど、そうでないデータで議論をしようとして……。

【岩槻委員長】責任問われるならぐあいが悪い。

【市田委員】議論をしている中で、多分あそこで救済措置がとれると仮に思った場合ですけれど、議論をしていて大体グレーに持っていけば、あとは勝ちというふうになってしまうかもしれないと思うんです。

【岩槻委員長】ですから、これはチャートですから読み方ですけれども、その読み方でそれがあってはいけないと思うのですけれど。

【事務局】すごくまとめて言うと、このフローの中に「便益」という言葉をどこかに入れるべきなのか、いろいろ議論をして、入れるのだったらここだろうと。まさか放出利用の後に便益というのはあり得ない話ですから、その前で何か条件づけをするときに考えるんだろうというのでここに入るわけです。あるいは、ここでも入れてはいけないということなのか。ということで、やはりどこかでそれは考えて具体的な対応はするべきだし、そうなると非常にシンプルなフローの中ではこの辺かなと。ただ、書き方は少し不十分かなということと、もう一つはこれは単に情報があって条件をつけて許容と言うわけですが、ここもきっとイエス・ノーの判断があって、ぐるっと回る検討のステージというのがこのあたりにも必要になるのだろう。単純に便益を入れて、ではオーケーですというふうにはならないということです。そういうふうにするのはおかしい。だから、場合によっては戻ることもあり得るシステムにすべきなのかと思いましたので、その辺は再度勉強してみたいと思っています。

【岩槻委員長】よろしいでしょうか。大体、そんなに違っていないと思うのですけれど、要するに科学的結論をどう尊重するかというような判断だと思います。ただ、誤解が起こるかもしれませんので、ここへ入れることに関しても、入れるときには注釈が必要かもしれません。そういうことで進めていただきたいと思います。
大体、時間が近づいてきたのですけれど、他省庁の進行状況も把握していただいていると
いうことなので、ご紹介いただけますか。

【事務局】資料4の表裏1枚紙です。前回お出ししました資料にさらに新しい情報を追加
したものです。先週4月5日に経済産業省の産構審の化学・バイオ部会小委員会で、鉱工業分野における遺伝子組換え生物の管理のあり方についてという中間報告がまとめられております。そのさわりをご紹介できればと思っておったのですけれど、まだこちらの方でまとめきれていません。次回までに資料を取りまとめてお送りしたいと思います。
それ以外、農水省さんそれから文部科学省さんにつきましてはまだ議論をしているところ
であります。こんな状況でございます。

【岩槻委員長】どうもありがとうございました。
資料4の環境省のところに第5回は5月下旬というふうに予定が書かれていますけれど、最初に話が出ていましたように5月下旬、6月下旬に小委員会を開いて報告案をまとめさせていただくのですけれど、この次もまたよろしくお願いいたします。
そのほか、何か事務局の方から特にご発言はございますか。

【事務局】次回の予定につきましては、また調整させていただきたいと思います。今、日程を確認させていただいていますけれど、細かいところはまたご連絡差し上げたいと思いますので、よろしくお願いします。

【岩槻委員長】それでは、きょうもまたいろいろ活発なご意見をいただいて、それをもとに報告案の原案を次回までに事務局の方で準備をしていただいて検討させていただきたいと思います。きょうは長時間、どうもありがとうございました。終わりにさせていただきます。