平成23年2月15日(火)14:00~16:00
中央合同庁舎5号館6階 共用第8会議室
(野生生物部会長代理) | 三浦 慎悟 | ||
(委員) | 加藤 順子 | ||
鷲谷 いづみ | |||
(臨時委員) | 石井 信夫 | 磯崎 博司 | 磯部 力 |
市田 則孝 | 小泉 透 | 小菅 正夫 | |
小長谷 有紀 | 是末 準 | 山極 壽一 | |
(環境省) | 渡邉自然環境局長 | ||
森本大臣官房審議官 | |||
亀澤野生生物課長 |
【事務局】 定刻より一、二分ほど早いんですが、皆様おそろいになられておりますので、始めさせていただきたいと存じます。
まず初めに、今朝、山岸部会長から、体調の不良により欠席をさせていただきたいという連絡がございまして、本日の議事進行につきましては、部会長と相談させていただきまして、結果として本日の部会長代理として、三浦委員を指名していただきましたので、三浦部会長代理に本日の議事進行をお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
それから、本日の出席者数でございますけれども、21名中12名の委員がご出席でございますので、定足数を満たしておりますので、本日の部会は成立をしております。
続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の裏側をめくっていただきますと、配付資料一覧というものがございまして、ただいまの資料1-1、それから1-2、1-3につきましては、事務局の方からただ今、お配りを申し上げたかと存じます。国内希少野生動植物種の追加等についての諮問、それから動植物種の追加等について、それから、その追加する種の概要といった資料でございます。
それから、参考資料の1といたしまして、緊急指定種タカネルリクワガタについて、参考資料2として、国指定鳥獣保護区の保護に関する指針について、参考資料3として、高病原性鳥インフルエンザへの対応状況について。
それから、ちょっと資料番号を打っていないんですけれども、中央環境審議会議事運営規則といったものをつけさせていただいておりますので、不足等がございましたら、事務局の方にお申しつけをいただければと思います。
なお、今回、野生生物部会は、中央環境審議会委員の改選後、初めての部会ですので、改めて委員の皆様を事務局の方からご紹介をさせていただきます。
まず、中央でございますが、今、部会長席におかけいただきました三浦部会長代理です。
それから、三浦部会長代理のお隣から、加藤委員でございます。
お隣、鷲谷委員でございます。
それから、石井委員でございます。
それから、少し離れておりますが、奥の方から小泉委員でございます。
磯崎委員、磯部委員、市田委員、小菅委員、小長谷委員、是末委員、三浦委員がこちらに参りましたので、山極委員でございます。
以上、ご出席の先生のほかに、石井実委員、神部としえ委員、桜井泰憲委員、汐見明男委員、土屋誠委員、中静透委員、福田珠子委員、矢原徹一意員が、本日はご欠席でございますが、委員となられております。
続きまして、野生生物部会の所掌事務についてでございますが、お配りした資料の一番後ろに、運営規則が添付されております。1枚めくっていただきますと、表が入ってございまして、その一番下から2番目に野生生物部会ということで、野生生物の保護及び狩猟に係る重要な事項に関すること、これが所掌事務でございます。
そして、次のページに、参考でございますが、今までの審議事項の例ということで、種の保存法関係、鳥獣保護法関係など、今まで審議をいただいてきている事柄について、ご紹介をさせていただいております。本日は、種の保存法ということで、国内の野生生物の指定ということが議題となっております。
あと、審議に入る前に、本年1月7日付で自然環境局長に渡邉綱男、それから自然環境局担当の審議官に森本英香が異動となっておりますので、ご紹介をさせていただきます。
それでは、三浦部会長代理、議事の方をよろしくお願いをいたします。
【三浦部会長代理】 皆さん、こんにちは。ピンチヒッターではありますけれども、早稲田大学の三浦といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、これから平成22年度第3回の野生生物部会を開催いたします。本日の審議に先立って、まず渡邉自然環境局長より、ごあいさつをお願いいたします。
【渡邉自然環境局長】 大変お忙しい中、野生生物部会にご参加いただきまして、ありがとうございました。前回の野生生物部会が昨年の10月の初めの開催でございました。その10月に愛知名古屋で生物多様性のCOP10が開かれました。新しい世界目標であります愛知目標、あるいはABSのルールとしての名古屋議定書を始めまして、たくさんの重要な決定を生み出すことができました。
この野生生物部会の委員の皆様にも、いろんな場面で、いろんな形でご支援・ご協力をいただきましたことに、改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
名古屋で合意されました新しい世界目標であります愛知目標、この達成というのが、大きな課題になるわけですけれども、その達成に向けて日本として、一つは新しい生物多様性国家戦略、愛知目標を受けた国家戦略の改定を今後、進めていきたいというふうに思っています。
この新しい国家戦略の改定の審議は、この野生生物部会と、もう一つあります自然環境部会、二つの部会の合同部会で今後、審議をお願いしていくということで、こちらの方もよろしくお願いしたいと思います。
そして、愛知目標の中にも具体的な20の個別の目標があり、種の保全、あるいは外来種の問題、そういったことが個別の目標の中にも掲げられています。希少種の保全や回復をどう進めていくか。野生鳥獣の保護管理をどう強化していくか。外来種の対策をどう進めていくか。こういった問題について、効果的に進めていくこと、これが非常に重要な課題になるというふうに思っています。
1月の初めに中央環境審議会の総会がありましたけれども、野生生物に関する重要な諮問事項について、この部会で審議を引き続きよろしくお願いしたいと思います。
種の保全・回復ということに対して、最近の新しい話題を一つご紹介したいと思うんですけれども、アホウドリの関係でございます。鳥島にアホウドリの繁殖地、営巣地があるわけですけれども、新しい営巣地を小笠原の聟島に回復しようと、そういう取り組み、新しい営巣地づくりを目指して3年前から聟島の方にアホウドリのひなを移送するというプロジェクトを山階鳥類研究所が中心となって、環境省やアメリカの魚類野生生物局、あるいは民間の基金の協力で事業が進められてきました。今年の2月にちょうど4回目のひなの移送をしたところなんですけれども、先週2月10日に、3年前に移送して、小笠原の聟島から巣立ったアホウドリが、3年ぶりに聟島に帰ってきた、3歳の雄が1羽、聟島に戻ったというニュースが入ってまいりました。繁殖に向けて、まだまだ課題もあろうと思いますけれども、新しい営巣地が形成される第一歩を踏み出したという動きが一つございました。
また、去年の秋から、この冬にかけまして、今年は家禽、あるいは野鳥に関して、各地で鳥インフルエンザの発生が続いています。ナベヅル、マナヅルの大規模な越冬地であります出水でも、ナベヅルで鳥インフルエンザが発生をしているということで、野鳥の面からも、この鳥インフルエンザにどう対応していくかというのが、非常に重要な課題になってございます。この鳥インフルエンザの状況については、後ほど報告事項の中でご紹介をできればというふうに考えているところです。
絶滅のおそれのある昆虫5種について、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定をするというのが、本日の諮問事項でございます。答申のためのご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【三浦部会長代理】 渡邉局長、ありがとうございました。それでは、本日の審議に入らせていただきます。
最初の審議事項であります。まず、資料の1-1になりますけれども、2月7日に環境大臣より中央環境審議会に対して、国内希少野生動植物種の追加等について諮問がなされました。これを受け、同日付で中央環境審議会会長より、本件をこの野生生物部会に付議されましたことを報告いたします。
審議事項として、国内希少野生動植物種の追加指定についてということで、まず事務局の方から説明をお願いいたします。
【事務局(浪花)】 野生生物課保護増殖係長の浪花と申します。私の方から、審議事項1の国内希少野生動植物種の追加等について、ご説明申し上げます。
まずは資料1-2をご覧ください。資料1-2が、今回の政令の三つの改正の部分になっております。まず最初が、種の保存法の国内希少野生動植物種に追加する種ということで、マルコガタノゲンゴロウ等5種を追加します。
(2)が、捕獲等の規制を適用しない卵として追加する種ということで、マルコガタノゲンゴロウを追加しております。この(1)、(2)につきましては、後ほどスライドの方で詳細をご説明いたします。
(3)につきましては、最新の学問的知見によって、ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの学名が変更になっておりますので、それを法律の方の学名を現在の知見に合わせて変更するものでございます。これにつきましては、学名が変更になりますが、従来どおりの取扱いになります。
それでは、1番目と2番目について、スライドで説明いたします。スライドにつきましては、お手元に配付資料としてスライドの資料もお配りしていますので、そちらもあわせてご覧ください。
それでは、マルコガタノゲンゴロウ等について説明いたしますが、まず最初に生息地の情報につきまして、今回指定する種は、大変捕獲圧が高い種でございますので、今回の資料の中で、生息地情報の扱いにつきましては、何々地方という地方レベルで記載させていただいておりますので、あらかじめご了承ください。
それでは、まず種の保存法に基づく国内希少野生動植物種とはということで、法律の第4条3項に、本邦に生息し、生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるものということになっております。現在、82種が定められておりまして、その政令の制定又は改廃に当たっては、本中央環境審議会に意見を聞かなければならないというふうになっております。
種の保存法の国内希少野生動植物種に追加することによる効果ですが、まず[1]個体等の取扱の規制ということで、指定することによって、自動的に捕獲、また殺傷等の禁止、そしてまた、譲渡しということで、例えばネット上の売買であるとか、そういったものが禁止されることになります。
さらにオプション的になるんですが、[2]に生息地等保護区を指定ということで、その生息地等保護区内では、工作物の設置であるとか、土地の形状変更というのが許可行為になったり、立入制限地区等を設けることも可能になります。
三つ目が、保護増殖事業による保全ということで、先ほど局長の渡邉の方からご説明のありましたとおり、昨年秋に審議会を開催させていただきまして、オガサワラオオコウモリの保護増殖事業計画を策定させていただいたのですが、その種よって、保護増殖事業計画というのを環境省並びに、その他の省庁が共同で策定することによって、保護増殖事業を実施するということになります。この[1]、[2]、[3]が法律による指定による効果になります。ご参考までに現在、指定されている82種ということで、今回指定する昆虫は、今現在10種が指定されております。
国内希少野生動植物種を選定する要件になりますが、種の保存法が平成4年に制定されておりますが、それと同時に希少野生動植物種保存基本方針というものが閣議決定されております。その中に、国内希少野生動植物種の選定要件が記載されておりまして、要件としまして、人為による影響により存続に支障を来す事情が生じていると判断される種のうち以下の例に該当するものということで、アが個体数の観点、イが生息地の観点、ウが生息環境の悪化、エが採取圧また捕獲圧という、この四つの観点のうち、いずれかに該当すれば選定要件を満たすということになります。
指定までの手順ですが、まず最初に、環境省のレッドリストということで、レッドリストとはどの程度絶滅のおそれがあるかというものをランクづけしているものですが、その中でこの絶滅危惧と言われる絶滅危惧<1>類または<2>類という、ここのものが絶滅のおそれのある種と言うのですが、このところに該当している種から、特に法律による規制の必要性が認められる種について、環境省の方で生息状況調査を実施します。その調査結果をもとに、先ほどの基本方針による選定要件の合致、または指定して、法律の規制または保護増殖事業を行うことによって、保存の施策が有効であるかどうかについて、確認をいたしまして、国内希少野生動植物種の指定に向けた手続を行います。
今回の追加する種の選定につきましては、平成22年3月に生物多様性国家戦略2010というものを閣議決定しておりまして、その中にどういった種を選ぶかということを書いております。脊椎動物については、最も絶滅のおそれの高い<1>A類に指定されたものです。維管束植物、昆虫類につきましては、絶滅危惧<1>類のうち、捕獲・採取圧が主な減少要因になっている種となっておりまして、下の表、ちょっとわかりづらいんですが、今現在、レッドリストの中で絶滅危惧<1>A類になっている種のうち、どれだけ国内希少野生動植物種に指定されているかという割合を示しているのですが、昆虫と植物がまだ指定があまり進んでいないという状況もございます。
また、特に昆虫は、高額で取引されておりまして、その高額さゆえに捕獲圧というものが原因となって絶滅の危機があるということで、今回、捕獲圧の高い昆虫を選定させていただいております。
今回、国内希少野生動植物種に追加する種として、マルコガタノゲンゴロウ、フチトリゲンゴロウ、シャープゲンゴロウモドキ、ヨナグニマルバネクワガタ、ヒョウモンモドキという昆虫5種を指定したいというふうに考えております。
先ほどの卵の規制につきましては、法律に指定すると、自動的に卵の規制がかかるようになっているのですが、マルコガタノゲンゴロウの卵については、ほかの近縁種のゲンゴロウと同じところに住んでいまして、その現場で、現段階の知見では、マルコガタノゲンゴロウか、また別のゲンゴロウの卵かということが判別できない状況になっておりまして、指定の対象から除くこととしております。
これから以後は、個別の種についてご説明いたします。マルコガタノゲンゴロウにつきましては、環境省レッドリストランク絶滅危惧<1>類ということで、一番高いランクになっています。以前は、本州、九州の各地で幅広く生息しておりましたが、現在は東北、北陸、九州のごく一部に生息しております。
生態につきましては、平野部から丘陵部の植生の豊かなため池に生息しておりまして、このゲンゴロウは、卵を植物の茎の中に産みつけるので、こういった植生が必要だということと、あとは、さなぎになるために、陸上に上がって土の中でさなぎになるのですが、そういった環境が必要になります。
どういったものを食べているかというと、スジエビやイトトンボヤゴといった小動物や昆虫、あるいは両生類のオタマジャクシとか、そういったものを食べております。個体数は数千個体と推定されております。
マルコガタノゲンゴロウの生息を脅かす要因ですが、農薬等の水質汚染等による生息環境の変化、あるいはため池のコンクリート化等によって、生息地が減少していることが挙げられます。
また、アメリカザリガニとか、ブラックバスによって、個体そのものが食べられている状況ということもありますし、またアメリカザリガニについては、植物も食べてしまって、その卵を植えつけるための植物というものを食い荒らしてしまうということ。また、えさそのものも食べられてしまうということで、脅威となっております。
もう一つが捕獲圧ということで、愛好家や昆虫業者による過度の捕獲圧が見られている種であります。
以上の状況から、先ほどの基本方針の要件としまして、このイとウとエに該当するというふうに考えております。
続きまして、フチトリゲンゴロウになります。こちらもレッドリストランク絶滅危惧<1>類で、以前は琉球列島で広く分布しておりましたが、現在は南西諸島のごく限られた場所のみに生息しております。
生態は、水生植物の生えた深い池沼または放棄水田に生息しておりまして、生息数につきましては不明となっておりますが、本当にごく少数ということで、推定されております。
生息を脅かす要因ですが、先ほどと同じように、やはり植生、これはため池の管理の放棄とか、そういったことによって、植生の遷移による生息環境の変化及び土地改変等による生息地の減少ということと、同じような過度の捕獲圧ということで、今現在、個体数の少ないことも相まって、この個体数のアと生息地のイと捕獲圧のエということが、選定要件に合致すると考えております。
続きまして、シャープゲンゴロウモドキになります。シャープゲンゴロウモドキは、日本固有種になっておりまして、このシャープという名前は、イギリス人の昆虫学者のシャープ氏の名前からとったということになっております。
ゲンゴロウモドキというモドキとは日本には先に日本語でゲンゴロウという和名のゲンゴロウが先に知られておりまして、少しこのゲンゴロウモドキは生態が違うもので、ゲンゴロウに似ているということで、モドキという名前がついております。
こちらにつきましては、絶滅危惧<1>類ということで、以前は関東以西の本州に生息していましたが、現在は関東地方及び北陸地方のごく一部ということです。
生態なんですが、先ほどのゲンゴロウと違いまして、シャープゲンゴロウモドキは、北方系の要は寒い方に生息する属でして、夏の暑さをしのぐために、どうしても湧水というものが必要になるという状況が、先ほどと違うところになっています。
幼虫は、主にミズムシという1センチぐらいの小動物なんですけれども、また先ほどと同じように、両生類のオタマジャクシ等を捕食しております。
現在の生息個体数は、最大で2,000個体未満というふうに推定されております。
生息を脅かす要因ですが、先ほどと同じように、農薬等の水質の汚染及び土地の改変による生息地の減少ということと、同じように、アメリカザリガニ、ブラックバスの影響を受けております。
また、シャープゲンゴロウモドキは、特に人気のある種でして、これについても捕獲圧が見られており、高額で取引されております。
以上により、要件としてイとウとエということで該当するとなっております。
四つ目になります。ヨナグニマルバネクワガタですが、これは日本固有亜種になっておりまして、絶滅危惧<1>類になっております。生息は、与那国島内のごく限られたところに住んでおりまして、スダジイがうっそうとした森林の中に生息しております。
幼虫は、そのスダジイの大木に穴があいていまして、そこに葉っぱとか、枝が腐った腐植質というものの中で生きているのですが、そういったものを食べて生きております。
現在の生息個体数は、推定ですが500個体以下となっております。
生息を脅かす要因ですが、先ほど申した樹洞の中に幼虫が住んでいるんですが、そういった樹洞を持つ大木が伐採されているということによる生息地の減少と、その伐採によって、風が強く吹き抜けることによって、そういった腐植質が乾燥してしまって、幼虫が住める環境がなくなっているという状況でございます。
また、捕獲圧ということで、特にこのヨナグニマルバネクワガタは高額で取引されていまして、今回、環境省の調査の中で報告されていたものにつきましては、雄・雌の5ペア、45万円ということも報告されておりまして、特に高額取引されている種となっております。
今回の選定要件としましては、個体数が著しく少ないということでアということと、捕獲圧があるということでエということを選定しております。
最後に、ヒョウモンモドキになりますが、これが絶滅危惧<1>類で、福島以西の本州に幅広く生息しておりますが、現在、中国地方のごく一部となっておりまして、主に山地の湿性草原に生息しております。チョウは、ある一定の植物に卵を産むんですが、ヒョウモンモドキにつきましては、キセルアザミという湿性の植物のところに卵を産みます。現在の生息地数は30カ所程度となっております。
こちらにつきましては、土地の改変や田んぼとか湿地の乾燥によって、良好な湿性草原が消失していることと、やはり湿地の植物が必要ということで、そういった小規模な湿地が消失しているということが現状にあります。
また、捕獲圧によって生息が脅かされているという現状がございまして、選定要件としまして、イの生息地が減少しているということと、エの捕獲・採取圧ということで該当していると考えております。
説明は以上になります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
【三浦部会長代理】 それでは、審議を開始いたします。ただいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見等がありましたら、お願いいたします。いつものように名札を立てていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【市田委員】 質問なんですけれども、ヒョウモンモドキが今度、リストに入るということですけれども、ヒョウモンモドキは、ご説明のあったような理由で減ってきて、現地での保護活動が大分進んで、結構守られているというふうに聞いていたんですけれども、ここで今まで入ってこなかったのが入るようになったのは、さらにそれが急に減っちゃったためなのか、あるいは検討は昆虫のところまで進んできたから入ったのか、そのどちらなのかなということが一つと、これは指定されると、それ以前にとったチョウも売買ができなくなるということですか。
【事務局(浪花)】 それでは、私の方から回答いたします。ヒョウモンモドキにつきましては、確かに現地の保護会があって、活動が盛んであるということが報告されておりまして、実際に守る活動、域外保全等もやっていただいているのですが、やはり採取圧というところで、法的バックアップがないというところが、どうしても弱いところだということは聞いております。ですので、今、現地の活動をバックアップする形で、法的な規制をかけるということで、効果を期待したいというふうに考えております。
それと、今回指定することによって、先ほど最初に説明したとおり、捕獲規制と譲渡規制ということが、両方かかることになります。
【市田委員】 それは前にとったのでも全部入ってくるんですか。
【事務局(浪花)】 とったものに関しては、それは保有というものに関しては、何も規制はかからないんですが、それを例えば誰かに譲り渡すというところに関しまして、初めて規制がかかるということになります。
【市田委員】 ありがとうございました。
【三浦部会長代理】 よろしいですか。そのほか。
【小菅委員】 先ほど生息数のところで、フチトリゲンゴロウは生息数がほとんどわからないというお話でしたけれども、このわからないということは、相当少ないということが考えられるんですけどね。これは、このままただ指定するだけで、もちろん監視活動等はやっていく、その辺はちょっとわからないけど、どのようにしてきちんと監視をしていけるのかということと、それだけでいいのかということをちょっとお聞きしたいのですが。
【三浦部会長代理】 いかがですか。
【事務局(浪花)】 フチトリゲンゴロウにつきましては、ごく少数ということで、おっしゃるとおり、環境省の報告の中でも二桁ぐらいの報告を受けておりまして、捕獲圧がまずあるというところもありますので、まずはその捕獲圧をとめる努力をしていきたいというふうに考えております。
そのために今、現在、知っている市町村とか、そういったところについては、これから協力を仰ぐということになると思うのですが、例えば現場を知らないとか、そういったところにつきましては、現地事務所を通してご協力をお願いすることになるだろうというふうに考えております。
そういった状況の中で、昆虫ですので、環境が回復すれば一気に回復する可能性もありますので、そういった状況を見ながら、今後、生息数等が多くなるとか、保護増殖事業の計画を立てる必要があるのかどうかというのを検討してまいりたいというふうに考えております。
なお、域外保全につきましては、既に大学の方でしていただいているところもありますので、そういったところも連携しながら進めていきたいというふうに考えております。
【小菅委員】 ありがとうございました。
【三浦部会長代理】 よろしいですか。そのほか、ございませんでしょうか。
今のことに関連して、そのほかの今のフチトリゲンゴロウですけど、南西諸島には生息しているね。そのほかの詳しい分布なんかも、把握しているんですか、環境省の方としては。
【事務局(浪花)】 環境省の報告書の中では、ポイントレベルで、まさにこの池とか、この字の周辺とか、そういったレベルで把握をしております。ですので、実際に現場を保全するに当たっては、その地点の、周辺の市町村なり住民と協力する体制はできているというふうに考えております。
【三浦部会長代理】 そのほかございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ちょっと私、質問したいなと思って。これって、いわゆる<1>A類ですね。昆虫類に関して言うと、これはどれぐらいの、言葉はどう使うかな、捕捉率か、といったどれぐらいの率が国内希少種の指定になっていますか。
【事務局(浪花)】 こちらが先ほどの説明資料になっていまして、昆虫は<1>Aと<1>Bが分かれておらず、まとめて<1>類として評価しているのですが、現在110種、レッドリストに記載されています。今、まだ10種しか指定できていない状況ということで、これに5種追加されるという状況になります。
【三浦部会長代理】 それでも1割をちょっと超えるだけという状況ですね。14%、わかりました。
【事務局(浪花)】 もっと一度に指定をできればいいというところもあるんですが、やはりレッドリストは法的規制がかからない状況ということ、種の保存法は法律に規定されますので、やっぱりそういった現状調査というのをしっかりやる必要があるのかなというふうには考えていることが一つと、あとは指定するだけだと、やはり守れない、先ほど小菅委員の話にもありましたけれども、そういった指定することの後の効果というのも検証しながら、随時調査をして、指定を進めていきたいというふうに考えております。
【三浦部会長代理】 指定することによって、密猟が増えてしまったら、元も子もないわけですから、ぜひ指定をして、保全の方向に走るような仕組みを同時に回していただきたいなというふうに思っています。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしいですか。
(はい)
【三浦部会長代理】 そうしますと、この議題に対しては、マルコガタノゲンゴロウほか4種の国内希少野生動植物種の追加ということについて、事務局案が適当と認めるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【三浦部会長代理】 それでは、賛同ということで、本件は適当ということに決したいというふうに思います。
この事務局長案を当審議会の答申案として、中央環境審議会会長に報告することにいたします。ありがとうございました。
それでは、続きまして幾つかの報告事項があります。最初に報告事項の1番ですね。これを、報告事項が3件あるということで、最初は、緊急指定種タカネルリクワガタについて、事務局からご説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【事務局(浪花)】 それでは、参考資料1をご覧ください。「緊急指定種タカネルリクワガタについて」ということなんですが、まず緊急指定種とはということで、裏面にちょっと小さい文字なんですが、書いてありまして、こちらの方から少し説明させていただきたいと思います。
まず、緊急指定種とはということで、種の保存法の5条に基づいて、環境大臣が指定するものということになっております。どういったものを指定するかというと、例えば新種が発見された場合とか、あるいは絶滅したとされていた種が新たに発見されたという場合等について、緊急的に捕獲の規制や譲渡しの規制をかける必要があると認められるものについて、環境大臣が指定するものということです。
指定の期間は3年ということで、その間に生息状況調査を行って、その結果をもとに国内希少野生動植物種、先ほどのですね、に指定するかどうかを判断するということになっております。
表面に戻っていただいて、緊急指定種についてですが、今回、タカネルリクワガタについてですが、平成19年に新種として記載されまして、種の保存法の緊急指定種として平成20年3月26日から3年間という期間において指定されております。
指定された理由については、非常に限られた地点でしか分布をしていない。また、ごく限られた個体数である可能性が高い。一部のネットオークションで標本の売買が確認されているということがございまして、緊急指定種として指定しております。
タカネルリクワガタの概要ですが、ルリクワガタ属の昆虫の一種ということで、体長はおよそ1センチ程度、1円玉に乗るぐらいのレベルだと思っていただければと思うんですが、1センチ程度ということになっています。
5月から7月に出現しまして、産卵は先ほどのヨナグニマルバネと違いまして、朽ち果てた木のところに卵を産みつけるということで、樹種については、特に限定されているものはないということで報告を受けております。
分布につきましては、四国山地の高標高地に生息をしております。
緊急指定種後の調査結果ということで、日本鞘翅学会の方に調査をお願いして、生息実態調査を実施しました。今回3年目を迎えておりますが、その調査結果の内容としまして、同じルリクワガタ属のコルリクワガタというものも普通種としているのですが、比較しても生息密度が高かったこと。また、主たる生息地が急峻な斜面ということで、人口構造物を設置して、生息地が改変される。または、捕獲につきましても、やはりかなり急なところで危険を伴うところですので、物理的には難しいと。
また、生息地の一部が国定公園、あるいは国有林の森林生態系保護地域ということで保全されているということを報告を受けましたことを受けて、今回、タカネルリクワガタにつきましては、種の保存法の先ほどの指定要件に合致しないということを判断しまして、緊急指定種の期限切れ後の国内希少野生動植物種の指定を見送ることとしたいというふうに考えております。
なお、レッドリストの見直し等で、各種の情報が入ってきますので、そういった情報収集を得ながら、引き続き生息状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
【三浦部会長代理】 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、ご意見。
【是末委員】 今まで緊急指定というのが3種類、平成6年ぐらいにあったと思うんですけどね。これがワシミミズクとイリオモテボタルとクメジマボタル、その3種が緊急指定に上がっておるようでございますが、このうちイリオモテボタルとクメジマボタルは、平成9年ぐらいから、生息地が安定しているというのと、生息地が広い、環境がいいということで外されておるんですよね。今回の緊急指定で指定した場合、全く期間が、先ほど申されたように3年間であるというようなことの中で、また外れるとかいうようなことはあるのかないのか。また、そういうところをよく把握しておるんでしょうか。
【事務局(浪花)】 今回は、もう指定はされておりまして、それを今、外すかどうかというと……。
【是末委員】 いえ、もしそういう安定しておるとか、生息地がよいとか悪いとかいうようなことをよく把握していなくて、緊急指定種に指定したのはいいけど、また外す、指定されてないというようなことを、ちょっとお聞きしておるんですけれどもね。2種だけ。
【事務局(浪花)】 イリオモテボタルとクメジマボタルについて、現状をそのまま継続して把握しているのかというところということですか。
【是末委員】 はい、そうですね。
【事務局(浪花)】 はい、わかりました。確かに平成9年にワシミミズクだけ指定して、イリオモテボタル及びクメジマボタルについては、生息地が広いこと、あるいは採取圧等が見られないということで外しているのですが、その後、レッドリストの見直しの中で、いろいろ情報を得ております。例えば、今、イリオモテボタルは、まだランク外です。クメジマボタルについては、今<2>類だと思うのですが、そういったことに指定されていますので、今後また、今、平成24年度の見直しの中で、レッドリストのランクの情報を得ていますので、そういった状況を見ながら、緊急指定種の後、もし指定する必要があれば、指定していきたいというふうに考えております。
【是末委員】 ありがとうございました。
【三浦部会長代理】 よろしいですか。そのほかございませんでしょうか。よろしいですか。
(なし)
【三浦部会長代理】 それでは、この件の報告は終わりということで、続きまして、報告事項の2番目ですが、国指定鳥獣保護区の保護に関する指針についてということで、報告をお願いいたします。
【事務局(福嶋)】 鳥獣保護業務室の福嶋と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、参考資料の2の国指定鳥獣保護区の保護に関する指針についてご説明をいたします。鳥獣保護区の指定後に、環境等の変化により、鳥獣の生息環境が悪化した場合、鳥獣の生息状況に照らして必要があると認めるときは、生息地の保護及び整備を図るための保全事業を行うこととしております。平成22年度から国指定の谷津鳥獣保護区及び浜甲子園鳥獣保護区におきまして、保全事業に着手しております。
保全事業につきましては、鳥獣保護区の保護に関する指針に、保全事業に係る事項につきまして規定しており、先般、2月10日にその指針を告示しましたので、その内容についてご説明いたします。
まず、谷津鳥獣保護区ですけれども、この概要にありますとおり、千葉県習志野市西部の東京湾に位置し、東京湾に残された数少ない干潟から構成されているものであります。
また、シギ・チドリ類やカモ類の渡りの中継地及び越冬地となっており、昭和63年に国指定鳥獣保護区に指定されております。面積が41ヘクタールで、うち特別保護地区が40ヘクタールとなっています。
2枚めくっていただきますと、谷津鳥獣保護区の図面がありますので、こちらの方も参考にしていただければと思います。
この谷津鳥獣保護区は、下の現状にありますとおり、土砂供給の減少により、干潟が減少しているということと、海水が滞留しているということで、干潟がかなり減少している現状にあります。
また、アオサ類が繁茂しておりまして、その堆積・腐敗により、地域の住民の方に対しましても影響を与えているという状況にあります。
また、カキ類、貝殻類の堆積が増えているという状況にあります。
このような状況を改善するために客土等を行うこととしておりまして、具体的な内容につきましては、次のページに保護に関する指針があります。この中で、保全事業の内容といたしまして、シギ・チドリ類を始めとする多くの渡り鳥の採餌環境が悪化してきているということやアオサ類も繁茂しているということもありますので、採餌環境、あるいは採餌場所の面積の減少への対策を行うこととしております。
事業、実施に当たりましては、関係機関並びに関係団体と連携しながら、どういったことが必要なのかというのを調整しながらやっていくこととしております。
また、地元習志野市が自然観察センターを設置しておりますので、ここを拠点として、習志野市といたしましても、市民と連携し、モニタリング、あるいは環境保全活動を実施しながら普及啓発等を行うことで考えております。
続きまして、浜甲子園鳥獣保護についてご説明いたします。浜甲子園鳥獣保護区の図面につきましては、2枚めくっていただきますとついておりますので、参考にしていただければと思います。
浜甲子園鳥獣保護区は、兵庫県西宮市に位置しており、大阪湾に注ぐ鳴尾川の河口西側に形成された干潟を中心とする区域となっております。
ここもシギ・チドリ類やガンカモ類の渡りの中継地及び越冬地となっておりまして、昭和53年に国指定鳥獣保護区に指定されております。面積は30ヘクタールで、うち12ヘクタールが特別保護地区となっております。
浜甲子園につきましても、かなり干潟が減少しております。現状といたしましては、ここに入ります鳴尾川の河川改修によりまして、土砂の供給が減少してきているということと、阪神淡路大震災の影響による地盤が沈下により谷津干潟同様に、干潟の減少が進んでいるということで、シギ・チドリ類等の採餌環境が悪化しております。
保全事業の内容としまして、1枚めくっていただきますと、保護に関する指針がございます。保全事業の内容といたしまして、ここもシギ・チドリ類の中継地ですので、干潟の再生を図り、生息に適した環境の維持、改善が目的となります。
また、渡り鳥の飛来状況のモニタリングをやりながら、あわせて干潟の劣化、あるいは再生の取組状況と影響を把握しながら実施していくということを考えております。
ここにつきましても、西宮市が自然環境センターを設置しておりますので、地元、西宮市と協力しながら、事業を進めていきたいと考えております。
谷津干潟及び浜甲子園の2カ所とも、干潟の再生というのが一番の保全事業の内容になります。今年度につきましては、試験的に干潟をつくり、その影響等のモニタリングを行い、徐々に来年以降広げていきたいと考えております。実施に当たっては検討会等を設置して、状況把握も行い、ご意見を聞きながら次年度以降進めていきたいと考えております。
以上です。
【三浦部会長代理】 それでは、ただいまの報告なんですが、ご意見・ご質問等がありましたらお願いいたします。山極委員、どうぞ。
【山極委員】 二つの目的は、非常に明解なんですけれど、これを改善していくためには、河川の新たな管理というものが、あるいは開発というものが必要になってくると思うんです。それはこの保全事業の枠内なのか、何かほかの省庁と連携、あるいは県と協力してやっていける計画がおありなのかどうか。
【事務局(福嶋)】 河川については、国土交通省の所管だと思いますが、既に環境整備が行われているということもありまして、なかなか河川の方に手をつけるというのは難しいのかなと考えており、環境省といたしましては、ここの地域の干潟についてのみ、対策をやっていくかということで考えております。
【山極委員】 ただ、将来的には、どうしても必要不可欠な話だと思いますので、ぜひとも県等と協力して、そういった方面での対策を進めていただきたいと。
【事務局(福嶋)】 その辺は関係省庁と連絡を取りながらやっていきたいと思います。
【三浦部会長代理】 よろしいですか。市田委員、どうぞ。
【市田委員】 私も、この谷津干潟について、もうちょっとお尋ねしたいんですけれども。ここが10年くらい前は、あんなにたくさんのシギ・チドリが来て、みんなで頑張ってここが保護区になったわけですけれども、今ご説明があったように、現状は惨たんたるもので、鳥がいなくなってしまっていますね。
ここに書いてあることは、モニタリングとか問題を解決するために必要な対策を行うものとするということなんですけれども、あまりゆっくりし過ぎているなという気がして。最後、ご説明の中で、今年から何かおやりなるということをちらっとおっしゃったんですけれども、一体何をやることになるんですか。
【事務局(福嶋)】 具体的には、客土をして干潟を再生するのが、一番の目的かなと思っておりますので、まず今年度につきましては、客土を少しだけやってみて、底生生物の定着状況とか、土砂の流出状況とかを見ながら、少しずつ来年以降に広げていこうと考えております。
【市田委員】 それは検討委員会の結論としてやることになったんですか。
【事務局(福嶋)】 そうですね。これまで調査をやってきていまして、やっぱり干潟を何とか戻さなきゃいけないということもありますので、検討委員会の中でやっていこうというふうな感じでは進んでいます。また3月に検討委員会がありますので、その中でまた議論はあるかと思いますけれども、客土が一つの有効な方策かなと考えております。
【市田委員】 じゃあ、最後に一言だけ。難しいのはとてもよくわかるんですね。いろんな省庁が絡んでいるし、いろいろ難しいのはわかるんですけれども、やっぱり問題が起こってから、アクションが起こるまでの間が物すごく長いという気がするんですね。谷津干潟なんてもうだめだ、だめだと、こんな問題があると、みんな言っていて、やっぱり検討委員会、検討会でずっと続いてきて、ご苦労があるんだと思うんですけれども。でも、やっぱりもうちょっと思い切ったアクションというか、対策もお考えいただけたら、ありがたいと思います。
【事務局(福嶋)】 考えていきたいと思います。
【三浦部会長代理】 よろしくお願いいたします。
【鷲谷委員】 対策のご説明が、科学的な知見が背景にきちっとあるのかどうかということがわかりにくいご説明になっていたように思うんですけれども、客土をすることによって何が起こって、それによってどのようにシギ・チドリの生息の条件が改善されるかについて、科学的な説明とか予測がなされているかどうかということについて、お聞きしたいと思います。それなりに費用もかけるわけですから、ただ打つ手がわからないからやってみるというのでは、国民に対する説明になるのかどうかという不安もありますので、その点の……、やっぱりこういうことが科学的な情報などをベースにして進める必要があると思うんですが、そのあたりについてお伺いできれば、安心してこれでいいと言えると思いますので、ちょっとご説明をお願いできればと思います。
【事務局(福嶋)】 本年度から着手したということもありまして、確かに有効な方策が何なのかというのは、まだ明確ではないところもあります。客土につきましては、今年度試験的にやりますけれども、そこはちゃんとモニタリングしながら、データもとりながら、とにかく本当に有効なのかというのを確認しながらやっていきたいと考えておりますので、データは来年以降とりながら、逐次やっていきたいと考えております。
【三浦部会長代理】 ありがとうございました。地図で見る限りは、こういうことを言っていいのかどうかわかりませんが、何か干潟の安楽死を待つだけという状況でありまして、山極委員のご指摘のように、干潟の機能を回復させるという方向であれば、もうちょっとかなり大きなことを考えていかなかったら、このまま、ただ私たちは見守っていくというだけで、どんどん多分、飛来地としての価値はなくなっていくんだろうというふうに思うんですね。
せっかく国指定の鳥獣保護区ですから、今の鷲谷委員のおっしゃるように、どういうことをやれば、どういうことが予測されるのかという、そういう選択肢をかなり考えた上で、ぜひ干潟として機能回復をさせるように、せっかく指定したところだから、よろしくお願いしたいというふうに思うんですけれども。
一方の甲子園浜の方は、もうそれでもなお問題はありつつも、干潟であることは間違いないので、これは一定の努力で可能なんだろうなというふうに思いますけれども、谷津の方はどうしていけばいいのか、もう少し他省庁との連携なんかも考えながら、考えていただきたいなというふうに思います。どうぞ、局長。
【渡邉自然環境局長】 今回の二つの例は、かなり地図にも表れているように、人為的な影響が強いロケーションの中に残された、あるいは形成された生息場所ということで、その状況が悪化しているということは間違いないところなんですけれども、その生息地としての状況を改善していくために、試験的に対策を打って、その影響をデータをとりながら効果的な方法を考えていこうということを、ちょっと動き出そうということになるわけですけれども。
今、ご指摘をいただいたように、一つは、こういうかなり人工的な環境の中での生息地の回復ということで、関係する部局、関係省庁、そういったところの協力をどう得ていくかということと、少しアダプティブに試験的にやりながら、データをとって考えていくわけですけれども、その際に、科学的な面からの評価というところもしっかり重視しながら、目標としては、生息地が状況が改善されるように動いていければというふうに思います。
【三浦部会長代理】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【市田委員】 今、お答えがあって、あえてもう一言申し上げたいんですけれども、そういった自然再生の仕事というか、工事をやったときに、おっしゃるとおりにモニタリングしながら、どういう影響があるかということを調べながらやるのは、もちろん当然そうなんですけれども、100%絶対いい方法というのは、絶対ないんですよね。何かやろうとすると、どこか悪いのが絶対出てくるわけですよ。
この自然再生のいろんな議論を聞いていていつも思うのは、これを何かやろうとすると、いや、こういう問題があると。じゃあこっちをやろうかといったら、ああいう問題があると。問題が全部指摘されると、やれることって物すごい小さなことで、言ってみると、やってもやらなくてもいいようなところだけちょっとやるような結果になりがちですよね。現実にそうなってきていると思うんですけれども。
だから、こういう今、お話があったように、ある程度思い切ってやっぱり何かやらないと、谷津干潟なんて本当にもうどうしようもない状態に今なって、それをずっと何年もみんな嘆いているわけですから、そういうつもりで少し思い切ったトライアルをしていただければと思います。
【亀澤野生生物課長】 浜甲子園に関しては、私は昔、現地にいたんですけど、岡山の事務所にいて、ここを管轄していたんですけど、それが平成12年、13年、ですから、今から10年ぐらい前。その時点で何かしないといけないなという話はしていたんですが、それが今まで何もできずにいたという意味では反省をしております。
いずれにしても、市田先生からご指摘があったように、何かまずできることからやってみるということも大事だと思っています。その過程で専門家の方々から知見を得て、科学的に検証しながら進めることは大事だと思いますけれども、できることから少しでも早目、早目に手をつけていきたいと思います、時間がかかることですので。
【三浦部会長代理】 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、報告事項の3番目です。高病原性鳥インフルエンザへの対応状況についてということで、事務局の方から報告をお願いいたします。
【事務局(山本)】 鳥獣保護業務室の山本と申します。よろしくお願いいたします。
先ほどの局長からのあいさつの中でも触れられておりましたように、本年度、本当に各地で家禽、野鳥問わず鳥インフルエンザが発生しております。その状況と環境省の取組をご紹介させていただきたいと思います。
参考資料の3の方をお手元にお願いいたします。
環境省では、高病原性鳥インフルエンザの野鳥に関係することを担当しております。家禽については、もちろん農水省が担当をして、連携をとりながら対応しているという状況でございます。恒常的には、環境省としては野鳥のモニタリング、野鳥がどれくらい感染しているかということのモニタリングをしております。これは糞便を定期的に採取をするということと、死亡野鳥からウイルスが検出されないかどうかといったところをモニターをしていくといったようなことが一つ。
もう一つは、渡り鳥の飛来状況の把握ということで、全国39カ所で定点観測をしておりまして、それぞれの地域にどういった鳥が、どの時期に渡ってくるのかといったようなことを調べるといったことが、もう一つございます。
もう一つは、ウイルスが国境を越えて移動していくというふうに言われておりますので、衛星を活用した飛来ルートの解明といった事業を恒常的に実施をしております。
これに加えまして、発生地域、野鳥、家禽問わずですけれども、発生地周辺においては、警戒レベルを最高位の3に引き上げまして、周辺の野鳥の監視の強化、死亡野鳥がいないかどうか、弱ったものがいないかどうかなどの監視の強化をすることと、周辺の主にカモ類の糞便の採取をしまして、感染状況の把握といったことを実施しております。
本年度の状況でございますけれども、この表、下に一覧表でつけております。ここに入っていないのですが、10月26日に北海道の稚内大沼というところで、カモの糞からウイルスが検出をされております。高病原性鳥インフルエンザの強毒タイプのウイルスということで、日本では糞便、野鳥の糞からウイルスが確認された初めての例ということになります。10月の時点でカモの糞から、北海道、それも一番北で確認をされたということでございますので、その時点でレベルを通常の1から全国的に2に上げて、監視を強化してくださいということを都道府県、もしくは地方事務所にお願いをしました。
それ以降、やはり各地で確認をされております。まず最初が、島根県安来の家禽ですけれども、鶏の農場で発生をしたところから始まりまして、各地、今ずっと表にしておりますけれども、少し網かけにしてグレーにしているものが野鳥での発生でございます。例えば、大きな話題になったものとしましては、鹿児島県の出水市でナベヅルに発生が認められたということで、1万3,000羽も集まっているようなところですので、その後、どれだけ拡大するのかといったことを非常に心配をいたしました。地元の方々によって、環境省ももちろん一緒にやっていきましたけれども、監視を強化しまして、実際に何をやったかというと、衰弱した個体ですとか、死亡野鳥、もしそれが感染をしていた場合に、野外に長く置くということは、その感染源を長く野外に置いてしまうということになりますので、できる限り、早く除去をするということを中心に、地道な対策をとってきました。
ただ、12月24日に死亡した個体からウイルスが確認されて以降は、ツル類でこのエリアでの確認はされておりません。感染は小康状態ということだろうというふうに思います。死亡野鳥は、ぽつぽつと出ておりますけれども、検査結果は陰性という形で出ております。
その後、もう一つ大きな事例としましては、北海道の浜中町で1月22日に確認されたものですけれども、ここでオオハクチョウほかの野鳥が今までのところ8羽、感染をしていると確認されております。
次のページに行っていただくと、宮崎県は、ほぼ家禽がほとんどですけれども、11例の農場で確認をされています。各地でその後、さまざまな場所で発生をしておりまして、この表には、昨日の夜だったので間に合っていないんですけれども、愛知県の新城市というところの鶏農場での疑似患畜が確認をされているというのが加わっております。
もう1枚めくっていただきますと、野鳥における感染事例ということで、これまでに確認された例を並べております。これまでのところ、11種31羽の死体からの高病原性鳥インフルエンザのウイルスが検出されている状況です。
また、最後のページが、日本地図にそれらを示したものでございます。まだまだ野鳥については簡易検査が陽性になって、確定検査を実施中のものというのも幾つか事例がありまして、なかなかおさまる状況にはございませんけれども、環境省としましては、できる限りそういった状況の把握をきちんとして、今後に生かしていくということで対策を考えていきたいと思っております。
【三浦部会長代理】 ありがとうございました。今の報告について。どうぞ、小菅委員。
【小菅委員】 全国各地で本当に散発というか、もうとにかくいろんなところで出ていて、大変だと思うんですけれども、その発見された死体を高病原性であると認定するときに、個体の移動というのは、されているのでしょうか。それとも、現地でその死体はそのまましっかりと封印しておいてから、一部検体だけを完全に安全にして移動している、そういう方法をとっているのか、ちょっとそこを教えてください。
【事務局(山本)】 まず簡易検査の段階、一番最初の検査については、県についてはほとんどが家畜保健衛生所にお願いしているところが多いので、そこまでは運ぶというのが基本になります。そこで簡易検査をした後に陽性であったり、陰性であっても同じですけれども、その後はスワブだけ、ぬぐい液のみを採取をしまして、感染を防止する容器に入れて、必要な検査機関の方に送るということをしています。
【小菅委員】 簡易検査までは、個体の移動をしているというお話でしたけどね。しかも、そこの行く場所が、家畜保健衛生所ということを考えたときに、それはやっぱりもう、要するに移動するというのは、どれだけリスクを負うかというのは、当然、皆さんわかっていると思うので、僕はその個体については、とにかくその場所から動かさないというふうにすべきじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
【事務局(山本)】 できるだけ移動する場合に、ビニール袋に入れて、その上で消毒液をかけて、二重、三重にくくった上で箱に入れて送ったり、移動したりするという形にしております。必要最低限の移動はせざるを得ないと考えています。その場所まで検査ができる人が行く、採材をするということが難しいものですから、その個体を移動せざるを得ない場合が多いですね。細心の注意は払っております。
【小菅委員】 わかりますけれども、北海道みたいな本当に獣医がたくさんいる状況の中で、協力というのは家畜保健所に依頼すれば、鳥を移動するのも、人を移動するのも同じなのでね。僕はこれから、去年から今年ということを考えたときに、今年から来年ということもさらに考えると、やはりそれはもう獣医師であれば、きちんと保護だとか、いろんな対応が可能だと思うので、人を移動させて、検体は移動しない方がいいんじゃないかというのが一つと、もう一つ、いわゆる普通種と希少種ということを考えたときには、もう普通種については、これは疑似であろうが何であろうが、しっかりと焼却処分をすぐにすべきだというふうにも思うんですけれども、その辺の対応を厳密にしっかりと考えていただきたいなというふうに僕は思うんですけれども、いかがでしょうか。
【森本審議官】今、家畜に関しては家伝法の方で厳密な方法をとっていますが、野鳥については、今、何の法的なものはないものですから、環境省の方で若干、試行錯誤とは申しませんが、一応、マニュアルに載ってはいますけどやっています。ただ、それでは不十分だと。もう状況が去年と今年、あるいは今年と来年、大分違うと思いますので、そういうものも含めて、考えていきたいと思います。まさにそういう状況に、今、入っておると思いますので、先生のご意見を踏まえて検討したいと思います。
【三浦部会長代理】 よろしくお願いします。ありがとうございました。どうぞ。
【是末委員】 今の移動の件なんですが、大分県の耶馬溪ダムのところのオシドリ、それからヒヨドリ、これが陽性で出ました。そういうときの一般市民が死骸をそのままほうっておくということじゃなくて、神経をとがらせておるものですから、すぐ持ち込むんですね。もうすぐ持って、これはひょっとしたらインフルエンザにかかっているんじゃなかろうかと。その持ち込んだものが、インフルエンザにかかっていると。
それから、今言った厳密にその処理をするということは、非常に難しいんですね。ですから、一般の市民の方が、ちょっと死骸を見つけると、インフルエンザにかかっているんじゃないかということで、役所、保健所、または地方振興局の方に持っていくものですから、その間は移動は消毒も何もしない状態で動くわけですね。だから、なかなか難しいんじゃなかろうかと。そういうところは、きちんとお上の力で押さえつけて、現地で発見したときには、係官を呼んで、いじらないようにとかいうような処置をとらないと、もうすぐ神経をとがらせているものじゃ、死んだものをすぐ持っていって、かかっているんじゃなかろうかと。持っていけば、次から次からではびこるわけですね。そういうのが現状と思います。
以上です。
【三浦部会長代行】 ご意見ありがとうございました。そのほか。
【山極委員】 インフルエンザに感染した鳥類というのが11種ということで、それにも偏りがあるし、それから鶏に感染した場所も、日本列島の中で偏りがあるわけですね。そういったことについて、何らかの原因、あるいは対策というのは、わかっている、打っているということはございますでしょうか。
【事務局(山本)】 種について偏りがあるということなんですけれども、もともと感染のリスクの高い種ということで、33種を決めておりまして、それらについては注意深く、1羽から検査をするとか、平常時であれば3羽からとか、そういったふうに決めて、33種は対応しておりました。
ただ、今年に関しては、それに入っていない種も何種か、オシドリですとか、ナベヅルあたりは入ってないですが、そういった種も感染をしていっておりますので、来年度以降、シーズン終わってからになるのか、シーズン途中からでもできること、を考えていきたいと思っておりますけれども、今までとは状況が変わってきているということで、今後の対応が必要になるかなというふうに考えております。
また、地理的な偏りについて、野鳥については、今から渡りが北に戻っていく途中で、どういうふうに動いていくかということは、また注意深く見ておかなければいけないのかなと思います。現時点では西の方に偏っておりますけれども、それは現在の気候の状況といったようなところもあるのかなと思います。
鶏については、農水省さんの方が疫学調査チームということで、各地、現地調査をしながら研究をされておりますので、そこと意見交換をしていきたいと思います。
【山極委員】 ちょっと聞いたところによると、農水省の方では、感染経路というのを非常に気にしていて、その疑いのあるような野鳥はもっととった方がいいんじゃないかみたいな話が、極端な話が出ていると聞きますけれども、そのあたりをきっちり押さえておかないと、野鳥をどう管理していくのかというところで、農水省の方から随分クレームがつくような気がしますけれども、その辺は環境省としてはどういう立場をとっておられるのでしょうか。
【事務局(山本)】 農水省さんとは、よく意見交換をしておりまして、あまり世の中で言われているほどに奇抜な話はされていないというふうに思いますので、そこは科学的なデータなどもちゃんと提供していきながら、意見交換をしていきたいと思います。
【森本審議官】 すみません。まさに現状、結構、頻繁にいろんなところで起きているということで、正直申し上げれば、今の現時点で言うと、それの対応に追われている、緊急の対応に追われているという状態でございます。
もちろん農水省と環境省は連携しておりますし、いわゆる内閣官房の危機管理官をヘッドにしたチームもありまして、そこで連携をとっているんですけれども、いわゆる原因解明とか、あるいはもうちょっと野鳥から家禽への到達ルートの遮断であるとか、その辺について、まだまだできることがあるのかどうかということは、まさに検討しなくちゃいけないというふうに思っています。
特に、今はまさにそういう緊急事態なので、そこまでとても手が回っていないのですが、このシーズンが終わったらといったら怒られちゃうんですけれども、少し落ちつきましたらば、例えば日本だけじゃなくて、韓国とか、あるいはロシア、中国も含めた、これはなかなかやり方も難しいんですが、原因国が向こうだというふうなことを言った途端に、物事は動かなくなりますから、そういう意味で連携をどういうふうにとるかということも含めて、それから国内的にも、家禽と野鳥の環境をどうやっていくかを考えていきたいと思います。
今、ちょうど農林水産省が家伝法の改正を考えていまして、それは役所ベースでも検討していますし、それから政治ベースでも、どうやってそこの野鳥とか、あるいは家禽との関係をどうするかとか、あるいは先ほども先生からお話があった家畜保健衛生所との関係とかというのは、検討が今、進められているところです。どうなるかはちょっとわからないんですけれども、いう状況でございますので、その辺は先生方のご意見を踏まえて、これからまた進めていきたいというふうに思います。
まさに今までの状況と、これからの状況は大分違うというのは、おっしゃるとおりだと思いますので。
【三浦部会長代行】 小菅委員、よろしいですか。そうしたら、鷲谷委員。
【鷲谷委員】 今までのご議論に多少関連があることなんですけれども、データの出し方がどこかで幾つ発見されたというような情報だけを出していらっしゃいますが、検体当たりどのぐらいを発見されたのかとか、生息数当たりどうなのかということで、病気というのは自然現象ですから、そういう範囲内で考えればいいことなのか、それともパンデミックに発展するおそれのあるような、何か兆しが見えているのかぐらいは情報として伝えないと、ただ、数が幾つあるというので、皆さんが恐がってしまうことにもなっているんじゃないかと思うんですね。
こういう感染症というのは、モデル的な研究もたくさん、世界じゅうで進められているので、空間的パターン、そういう密度あたりの発症などがわかると、どのレベルなのかということの判断が、そういう分野の専門家にご相談されれば、判断がつくのではないかと思いますので、そういうことも含めた、だから幾ら緊急でも、およその解釈のようなことも含めて情報を出すというやり方もあるのではないかと思います。もうあったら問題だということでいいのかどうかということですね、野生の病気が。
【森本審議官】 すみません。糞便調査と、それから主体の調査と二つあるんですけれども、糞便調査については、幸いなことにというと、ちょっと言い過ぎなんですけれども、最初の北海道の以外は、糞便では野鳥では出ていないので、したがって、いわゆるパンデミック、広がるような非常に広範性の高いものでは、まだないだろうと。
ただ、心配なのが出水で、野鳥で出たんですけれども、ただ野鳥の出方も、そんなに多くなくて、そういう意味で、伝え方としては、小康状態という言い方をずっと続けております。ほかの地域は、本当に単発で出ていますので、それほどの議論にはなっておらないんですけれども、出水だけは少し判断が必要だということで、少し専門の方のご意見も聞きながら、そういうふうな言い方をしているという状況です。
ただ、いずれにしろ、もうちょっとおっしゃるとおり、科学的に少し分析をしていくことは必要だというふうに思っております。
【三浦部会長代行】 今のことと関連して、オシドリが結構多いですよね。そういうところ、オシドリというのは、個体数としても、それから、これはどうですか、渡りはシベリアといったような広がりじゃなくて、もうちょっと狂所ないしは、すごい狭い移動ですよね。これが感染しているというのは、何か注目点はありませんか。どうです。
【事務局(山本)】 そこは今後の議論も必要かなとは思いますけれども、渡ってきたものが持っているだけではなく、そこから日本国内で感染をしたということは読み取れるんだろうと思います。
【三浦部会長代行】 それからもう1点、去年に比べて11種、31個体ですか。去年の今ごろでどれぐらいでしたか。
【事務局(山本)】 昨シーズンも、その前のシーズンも出ておりません。鶏でも野鳥でも出ておりませんので、20年4月、5月以降ということになります。
【三浦部会長代行】 そうですか。そうすると、急速に増えている可能性もなきにしもあらずということですね。どうぞ。
【小菅委員】 多分、これまでは南の方でいろんな、要するに高病原性というものに感染を繰り返して、高病原性というものができて、それが北へ渡った時点で、多分そこで淘汰されていたと思うんですよ。ところが、今回、稚内で、南に向かっているところで糞便から出ているということは、越冬地でそれがまだ、要するに高病原性のウイルスが感染をして、鳥の中にいたということだと思うんですよね。これは今までは、向こうから来たときは割と、わかりませんけどね、多分、南の方でいろんな家禽の中で、繰り返し感染することによって獲得された高病原性というものが北に上がっていくときに、ぱたぱたと。北海道から出たというのもそうですものね。東北で出て、北海道で出たじゃないですか。ああいうふうにして発見されてきたんだと思うんです。それが、だから状況が変わったというのは、越冬地でもしかしたらまた感染を繰り返している可能性があるということじゃないですかね。
【三浦部会長代行】 そうですよね。そうすると、かなりレベルが相当危険だということも示唆されているというか、今回の状況の中で。
【小菅委員】 それともう1点、農水省と話をしていると、どうも僕、テレビを見ていても、原因は野鳥であるというようなことばかり表に出てくるわけですよ。例えば、金網がないのにどうして入ったんだろうとかね。金網がないということは野鳥、だからあるということは入っていないということになる。にもかかわらず、何か野鳥にばかり犯人の目が行っているんですけれど、実際には僕は人だと思うんですよね。人が運んできたんじゃないかと、僕は思うんですけど、あまりにも野鳥だ、野鳥だということに関して、環境省と打ち合わせをしたときに、野鳥が……、先ほど先生がおっしゃったように、野鳥がそんないろんな病気を持っていて当たり前なんだから、その中で守ろうと思ったら、あなたが守りなさいよというようなスタンスを、もっと強く出してほしいなと僕は思っていますけどね。
【森本審議官】 それにはコメントをちょっとさし控えさせていただきたいと思います。
【三浦部会長代行】 よろしいですか。
【是末委員】 その他になりますが、ツルは、元来シベリアから飛来するというふうに言われておるんですが、インフルエンザでずっと我々観察しておりましたら、ナベヅルの13羽の中の2羽ですか、それが内モンゴルの北京大学の教授が放した装着輪がついていると、大分県の宇佐市で発覚しました。今日、写真を持ってくるのを忘れたんですが、これにはっきり写っております。ちゃんと明記してあるんですけどね。ですから、シベリアの方からばかりツルが来て、インフルエンザをばらまくんじゃなかろうかというけど、実際、内モンゴルから出たツルが発見されております。ちょっとお話をつけ加えておきます。北京大学の教授が出しております。
【三浦部会長代行】 よろしいですか。
【森本審議官】 繰り返しになりますけど、いわゆるほかの国との情報交換をぜひとも必要だというふうに思っています。特に、科学的なというんですかね、いわゆる政治的とか、行政的でなくて、科学的な観点でのプレーンな情報交換というのをぜひとも進めていきたいというふうに思っております。
【三浦部会長代行】 ありがとうございました。これにて今日の報告は三つなんですけれども、そのほか、その他ということで、事務局の方から。
【事務局】 特にございません。
【三浦部会長代行】 そうですか。石井委員、どうぞ。
【石井(信)委員】 すみません。さっき発言すればよかったんですが、今日の審議事項に関連して、希少野生動植物種の指定に関して、もちろん今日の結論に関しては別に異存はないんですけれども、これが指定ということになると、普通にいるものについては特に問題にされない行為が、これから法律違反ということになりますので、こういうことを決めるときには、迅速さと一緒に慎重さも必要だと思います。
それで、私がよく知らないだけかもしれないんですが、この場に、この種を今度、指定したいと思いますと出てきて、今日初めて、こういう種が載るというのを知るのは、私にとっては少し唐突な感じがあります。もちろん説明を聞くと、なるほどこれは指定した方がいいなということにはなるんですけれども、例えば特定外来だと、いろいろなデータを見ながら、専門家が集まって検討会を開いて、これは指定しましょうとか、ちょっとやめておきましょうということになるんですが、この希少野生動植物については、調査がされて、報告書がつくられるというのは、私も関わったことがあるから知っているんですけれども、例えば<1>類に載っているのがこれだけあって、このうちのどれを急いで指定することが必要かというような吟味とか、あるいは、候補が上がってきたときに、最終的にはここで決めるわけですけれども、その前の段階である程度、専門家の検討だとか、あるいはヒアリングだというような、そういうプロセスが具体的にどういうふうになっているのかなというのがよくわからないので、とりあえず現在、行われている標準的なプロセス、それをちょっと教えていただきたいということと、場合によっては、改善が必要なのかなと少し思ったものですから、そのことをちょっとお聞きしたいと思いました。
【三浦部会長代行】 ありがとうございます。
【事務局(浪花)】 今、石井先生のあったプロセスについてなんですが、先ほど説明いたしましたように、まずはレッドリストの中から選ぶということにしております。その中から種を選ぶに当たって、レッドリストの検討の先生がいらっしゃいますが、そういったところからのヒアリングであるとか、あとは環境省の方で保護増殖事業を行っておりまして、そこの中に一個一個、分科会という形で会議を設けているのですが、そういった人たちの中から、こういった種を指定すべきじゃないかというヒアリングをさせていただいた中で、環境省の方針と合致したものについて指定をしていくという手続を進めております。
なかなか毎回、本日は山岸部会長がお休みですが、毎回言われているのが、やはり方針をつくれないのかと。要は指定のリストというか、そういったことを言われておりますが、今回のように違法捕獲というか過度の採取圧があるものについては、情報がオープンになることによって、とられる状況ということもありますので、公表するに当たっても、やはり慎重にする必要があるのかなというふうには考えております。
なお、その手続については、やはりあいまいだと言われるのは、いつも言われているところで、やはり検討の余地はあるのかなというふうには考えておりますので、今後、検討の必要なものではないかというふうに考えております。
【三浦部会長代行】 よろしいですか。
【石井(信)委員】 結局、こういうのに載ると、なかなか外れないということもありますよね。ルリカケスなんかは、ここから外れたんですけれども、今急いで載せなきゃいけないのが何かとか、それから生息状況が改善する場合もあるでしょうし、載せていてもあまり効果がない(、あるいは逆効果)というような場合は外すとか、そのあたりをもう少しシステマティックにやるようなやり方というのを検討していただければと思いました。
【亀澤野生生物課長】 ちょっと今のお話に関連してですけれども、どういう種を指定するかというのは、レッドリストに載せたものから、準備が整ったものを順次指定していくわけです。このシステム自体、種の保存法の施行、平成5年以降、このシステムでやってきておりますけれども、実際、その施行後、十数年たっておりまして、レッドリストにはたくさん載っているけれども指定がなかなか進まないというようなご指摘もありますし、種の保存法の施行状況全体を検証するということで、来年度予算も確保しております。その中で今までのシステムがいいのかどうか、課題もいろいろあると思いますので、そういうことについて今後の方向についても、ちょっと検討を進めていきたいというふうに思っております。
【三浦部会長代行】 この件については、皆さんもご意見があるかと思いますけれども、いかがですか。指定する前の話と、指定後の話も含めて、どうも評価というか、その流れがもう少し明確で、確実に指定したステップを踏んでいくような、これはランクをむしろ下げていくという目標が、やっぱりそれなりの期間がたったときに、そういう目標に到達しているかどうかという評価も、もちろん必要ですし、それからこういう種を指定してほしいという、指定前の段階でも、環境省が可能な範囲でというよりも、これはやっぱり日本のファイナリー、フローなりという構成をきちんと守っていく上で、ぜひともといったようなチャンネルが、きちんとした格好でないといけないのではないかなというふうに、私自身、思いますので。いかがですか。どうぞ、小菅委員。
【小菅委員】 指定するときに当たって、この種がこの状態になるまで、要するに、例えば生息数であれば何ぼになるまで。そういうゴールをしっかりと決めて、そして指定するということをすれば、とにかくゴールに達したといったら、その段階で外すということは可能だというふうに思うんですけれども。
今日の昆虫の話も、例えば生息数が今これだけ押さえていると。この生息数が、例えばゲンゴロウですからね。池で、この地域で、このぐらいの広がりを持って、しかも個体数がここまで達した今、例えば2,000という数字がさっき出ていましたけど、2,000が2万になるまで、保護増殖事業を含めてしっかりと増殖をやりますというような、目標をしっかり立てれば、それが達成したら、それを外せばいいですよね。それを今の段階では、とにかく指定しておいて、今後、しっかりと調査して、生息数の推移を見ていくということですから、それはやっぱりこの時点までは何としても保護増殖事業を含めて回復させるぞという、しっかりした明確な目標を定めるということが必要なんじゃないでしょうか。
【三浦部会長代行】 ありがとうございました。
【亀澤野生生物課長】 おっしゃられたように、増やすための目処、域外保全も含めて、あるいは生息関係の改善も含めて、増やすための目処が立っているものについては、そういう目標を立てるというのは、大変重要なご指摘だと思います。そういうことも含めて考えていきたいと思います。
あと、今回指定する件に関しまして、一つちょっと補足させていただきますと、今回の指定については、マニアによる取引というのが非常に問題になっていたということもありまして、そういうこともあって、事前にこういう種を指定するという情報は、極力抑えたという経緯がございます。実際、関係する自治体とか、関係する省庁には、直前ではありますけれども、情報を協議という形で流したんですけれども、それがどこかからか漏れて、メールでこういう種が指定されるらしいというようなことが回ったというようなことも実際にありましたので、そういうことも含めて、こういうマニアによる捕獲圧があるものについては、特に慎重にというふうに考えたことがございます。
今回の種に関しては、今日以降、パブリックコメントをかけるんですけれども、パブコメをしたり、それから政令に載せるための法制局との調整とか、いろんな手続もありまして、しばらくかかりますので、その間は、法的な規制がかかりませんから、その間にまた捕獲が進むというようなこともありますので、パブコメの期間は極力、ほかの種よりは短い形で設定をしたりというようなことも考えております。今後のいろんな種指定に当たっては、いろんな種を取り巻く状況も違いますので、そういうことも考えながら、法の施行全体について考えていきたいと思います。
【三浦部会長代行】 どうぞよろしくお願いいたします。
【市田委員】 今のことなんですけれども、こっそりそうやって準備するから、だからなおさら僕らから見ていると、何でそうなったのかよくわからないから、今みたいな話になってくると思うんですよね。それは最初から大ざっぱでいいから、基準があればそこの数になったら、もう環境省はアクションを起こすんだというふうにしておけば、ここになったから、それはもうやるんだというふうになりますよね。
そうすればいいんだけど、そこのところがもやっとしてわからないから、いつも議論があるんだろうと思うんですよね。だから、鳥とか昆虫それぞれについて、環境省さんの方では、既にモニタリングもやり始めていて、ようやくこれは10年近くなったから、データも少しずつ出てきているじゃないですか。だから、あれらをもとにして、鳥なら鳥で、このぐらいになったら検討を始めようとか、何しようかというのを決めておけば、そうしたら、そういう基準でこういうふうに動くんだなと見やすくなるんだろうと思うんですよ。それが山岸さんがよくおっしゃっているプライオリティの話で、誰かが大きな声で言うと、どうしても引きずられることもあるんでしょうけれども、それはそれでしようがないんですけれどもね。だけれども、やっぱりそこはないと、どっち向いて動くのかが、やっぱり外から見ていてわかりにくい。
それと、何か動きがあると、それ今のうちにとっちゃえみたいな話になるから、じゃあ、ごく内々で準備しようという、逆の方向に動いちゃうような気がしますけど。
【亀澤野生生物課長】 そういう意味でも、データの集積は少しずつ進んできておりますので、そういうデータをもとに、今後、考えていきたいと思います。
【三浦部会長代行】 どうぞ。
【磯部委員】 私、法律が専門なので、内容的なことはわかりませんが、お話を伺っていると、ごく難しい専門的な裁量判断をしなければならない。しかし、その基準がなるべく客観化していて、誰が見てもわかるような、数値というのは一番わかりやすいんですけれども、その客観的な判断基準がオープンになっていて、それに当たったら、みんなそこに行くことはわかるんだ。そういうのが一番はっきりしていて、クリアじゃないかというご注文はわかるんですけれど、なかなかそうはいかないというのが、今回の種の判断なんだろうと思いますね。
だから、逆に、数値基準だけがひとり歩きして、実はあれはあまりよくなかったんじゃないかなんていっても、なかなか直しにくいとか、弊害もあり得るわけなので、どうしても専門的裁量判断が残る話なんだろうと思います。要は、考慮すべき要素として何があるか。あるいは、これは考慮すべきじゃない要素もあるかもしれません。そういったことを含めての合理的な総合判断をしなきゃならんというときに、結局これは人間の知恵として、普通は一人の人がジャッジを、わかりやすく言うと検察官と弁護士と裁判官は、一人三役でやるのはとても難しい話なわけですよね。だから、概ねああいう難しい判断を迫られる場合は、これは指定すべきだという意見を言う人と、そうじゃないと言う人との議論を尽くさせて、なるべく、神じゃないんだから、絶対に正しい判断がどうかの保証はないけれど、ましな判断をする仕組みが、営々とつくられてきているわけですよね。そこまで一般論に戻るつもりもありませんけれども、しかし、そこはちょっと考える余地はあるわけであって、そういう、だからどうしたらいろんな見方がある中で、一番正しい判断に結びつけられるかという手続、プロセスの話と、それから早目に出すと、わっとみんなが来ちゃって困ることになるんだって話とは、ちょっと性質が違う話だろうと思いますので、そういう秘密を要する話なら、秘密の手続というのもあろうし、さっきの緊急指定種なんていうのは、一つのテクニックですよね。まず仮指定しておくと。よく調べたら、指定する必要はなかったから外すとなるかもしれないけど、とにかく危ないんだったら、もう本指定がある前に、それを触ったら罰せられるというような仕組みを導入するとか、こういう採取圧ですか、そういうケースというのは、まさにそういう疑わしきは罰せずでいくのか、ちょっと疑わしきはまず指定の方向で、規制の方向でいくというのが、この制度の仕組みには一番合っているのかなという気がいたしますけど。
つまり考慮する要素がちょっと複雑にかみ合っていて、それを全部一緒くたにしちゃって、だから比較的秘匿型で、やっと結論を出しますというふうにはなっているような気はするので、ちょっといろんなところからご不満があるのかなというふうに思った次第でして、これは考慮するし、工夫の余地はまだいろいろあるのではないのかなと思いました。
【三浦部会長代行】 ありがとうございます。鷲谷委員、どうぞ。
【鷲谷委員】 絶滅危惧種の現状などを現場で見ている研究者の立場から、やっぱりちょっと指定に、どういう表現が適切かわからないんですけど、そういうサイエンスの目から見ると、不透明さを感じるということが少なくない。恐らく使われているデータが、きっと行政のモニタリングデータ等に偏っていて、研究者がとって、ちゃんとピアレビューを経て、論文として公表されたもの、そういう情報というのは客観性が高い情報なんです、科学的でもあるし。そういうものをほとんど使っていらっしゃらないということもあるのかなという気がいたします。
なので、情報がかなり内部的というか、あるところでとられたもの、でもレッドリストをつくっていらっしゃるような専門家が関わっていらっしゃるということだろうとは思いますけれども、科学というからには、やっぱりピアレビューを受けた論文の情報というのは、それなりに重視していただいた方が、個体数とかもよくわかっていて、それから遺伝的なデータもあり、あと要因についても、こういう盗掘とか採取が容易になっているというようなことまで含めて、明らかにしているものもありますので、そういうことも、ちょっと情報を幅広く集めていただくということも重要なのかではないかと思います。
【三浦部会長代行】 そうですね。これについては、研究者の方もかなり複数の人が、そういうことに関わっているにもかかわらず、環境省の方としては常設のサイエンティストと、行政の方との常設のパネルがないから、評価が十分できていないと。時々断続的にやるというような、その過程で吸い上げていくということで、もう少し学会ないし、学会と行政とのネットワーキング化みたいなのが期待されていいんじゃないかなというのが、一つですね。
それから、もう1点は、やっぱりこの法律については、特に数量目標みたいなのが、世界的にもそうなっているわけで、数量と、あと生息地ですね、分布の。この二つで、それはだから生息地の状況がどうなのかといった総合判断で、やっぱりターゲットをちゃんとしてもらうということで、それで指定したら、目標としては個体数、あるいは分布域の回復というところで、もうそういうところへ戻ったときには、もう一度ランクを下げていくといったような、ダイナミックな運用が、特に種の保存法に関してはあってもいいような気がいたしますね。希望としてはそんなあたりを述べたいというふうに思います。
【亀澤野生生物課長】 今、いろいろご指摘をいただきましたように、種の保存法に関しましては、いろんな多くの課題がこれまでに出てきていると思いますので、その辺、総合的に検証をして、今後の仕組みについていろんな方面からの意見も聞きつつ、考えていきたいというふうに思います。
【三浦部会長代行】 ありがとうございました。そのほかの件について、そのほかありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、最後になりますけれども、森本審議官からごあいさつをお願いするということになっていますので、よろしくお願いいたします。
【森本審議官】 本日は、ありがとうございました。ご審議、いわゆる審議事項以上に、そのメカニズムであるとか、あるいは、例えば鳥インフルエンザにおける危機管理の対応の話とかといった、非常に貴重なご意見をいただきました。まさにそういうのをやるべき時期、種の保存法もまさにそういうことをやるべき時期でありますし、鳥インフルエンザに関しても、まさにそういう危機的状況であるというふうな認識でおりますので、引き続き先生方のご意見をいただきながら進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【三浦部会長代行】 それでは、以上をもちまして、本日の野生生物部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。