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中央環境審議会 野生生物部会
会議録


1.日時

平成19年10月3日(水)10:31~11:44

2.場所

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 山岸  哲
(委員) 加藤 順子
(臨時委員) 石井 信夫  石井  実  石坂 匡身
石原  收  磯部 雅彦  市田 則孝
岩熊 敏夫  岡島 成行  是末  準
齋藤  勝  桜井 泰憲  三浦 慎悟
山極 壽一 和里田義雄  
(環境省) 桜井自然環境局長
黒田審議官
星野野生生物課長
神田国立公園課長
猪島鳥獣保護業務室長
水谷外来生物対策室長

4.議事

【山岸部会長】 おはようございます。
 それでは、ただいまから平成19年度第4回の野生生物部会を開催いたします。
まず、9月21日に環境大臣より中央環境審議会に対し、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定についての諮問がなされたこと、これを受けて同日付で、中央環境審議会会長より本件を野生生物部会に付議されましたことをご報告いたします。
初めに、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定についての諮問内容について、事務局から説明願います。

【事務局(山崎)】 環境省野生生物課の山崎と申します。よろしくお願いします。
それでは、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について説明させていただきます。
資料2から9として指定計画書案、公聴会、公告縦覧及びパブリックコメントの結果資料をお配りしておりますが、説明はスライドを用いて行います。
また、お手元に参考資料としてこれから説明いたしますスライドのコピーを配付しておりますので、ご参照ください。
諮問案件は次の6件となっております。1件目は青森県、秋田県にあります十和田鳥獣保護区特別保護地区の再指定についてでございます。2件目は、秋田県にあります大潟草原鳥獣保護区の特別保護地区についてでございます。3件目は、鳥取県にあります大山鳥獣保護区特別保護地区再指定についてでございます。4件目は、愛媛県にあります石鎚山系鳥獣保護区の特別保護地区再指定についてでございます。5件目は、鹿児島県にあります出水・高尾鳥獣保護区の特別保護地区再指定についてでございます。6件目として、沖縄県にあります漫湖鳥獣保護区の特別保護地区再指定についてでございます。
次に、鳥獣保護区制度について説明いたします。今年5月の野生生物部会におきましても鳥獣保護区制度を説明しておりますので、今回は簡潔に説明させていただきます。鳥獣保護区は鳥獣保護法第28条に基づき指定するものでございます。区域内では狩猟が禁止されることになります。また、鳥獣保護法第29条に基づきまして、鳥獣保護区の中に鳥獣の生息地を保護する観点から必要な区域を特別保護地区に指定することができます。特別保護地区内では建築物、工作物の新築、改築または増築、それから水面の埋立または干拓、それから木竹の伐採のこの三つの行為について環境大臣の許可が必要になります。鳥獣保護区の更新につきましては、本審議会への諮問の対象にはなってございませんが、特別保護地区は更新できるという規定はございませんので、存続期間が終了した場合、本審議会の意見を聞いて改めて指定するということになっております。
それではここから諮問案件ごとの説明に入らせていただきます。
まずは十和田鳥獣保護区十和田特別保護地区の再指定について説明いたします。十和田鳥獣保護区は、青森県と秋田県の県境にある十和田湖を含んでおりまして、青森県の青森市、十和田市、それから平川市、秋田県の小坂町の4市町にまたがって位置しております。次に区域についてですが、外枠の赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区でございます。赤の斜線の区域が特別保護地区でございます。大きく分けまして2地区に分かれておりまして、上の方が八甲田山系域、それから下の方が十和田湖周辺域、大きく二つに分かれております。
八甲田山系の写真でございますが、山麓にはブナ林が広がっており、標高が高いところではアオモリトドマツ郡落が形成されております。山麓のブナ林の中には、こちらの写真のようにこれは蔦沼(つたぬま)と読むんですが、蔦沼などの池沼が点在しているところでございます。
十和田湖周辺域についてですが、こちらは十和田湖の写真でございます。ブナ林などの落葉広葉樹林が分布しており、こちらの写真のように奥入瀬渓流沿いでは河畔林としてジュウモンジシダ-サワグルミ群落の典型的な群落が見られるなど、周辺地域における代表的な自然環境を有する地域となっております。
当該地ではイヌワシ、クマタカなどの猛禽類、それから写真にあるようなツキノワグマ、ニホンカモシカなどの大型の哺乳類が生息しているところでございます。生息する鳥獣の分布はこのようになっております。イヌワシは八甲田山系の西部で確認されているところです。クマタカは十和田湖周辺で多く確認されているところです。また、八甲田山系域の東部にはクマゲラが分布しまして、またゴジュウカラやキビタキなどの森林性鳥類は特別保護地区の全域に分布しているところでございます。また、十和田湖ではカモ類を初めとした水鳥が越冬しております。ツキノワグマ、ニホンカモシカなどの大型哺乳類は、特別保護地区全域において広く分布しております。
このように、当該地は猛禽類や大型哺乳類を始めとする多種多様な鳥獣の生息地として重要であることから、引き続き特別保護地区に指定し、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
指定区分、面積、存続期間について説明いたします。指定区分は行動圏が広域による猛禽類や、大型哺乳類を始めとする多様な鳥獣を保護するための大規模生息地の保護区でございます。鳥獣保護区の面積は3万7,674ヘクタール、そのうち特別保護地区が1万9,366ヘクタールでございます。存続期間は今年11月1日から平成29年10月31日までの10年間でございます。
公聴会は今年の8月28日に青森県十和田市で開催されました。指定に関しましては、こちらにあります公述人全員から賛成の意思表示がありました。
次に、大潟草原鳥獣保護区大潟草原特別保護地区の再指定について説明いたします。大潟草原鳥獣保護区は秋田県大潟村にあります八郎潟干拓地の中央西部に位置しております。拡大した図で区域を見ますと、赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区でございます。赤の斜線の区域が特別保護地区でございますが、干拓地の周囲を囲む承水路に面しているところでございまして、標高0メートル以下の低地となっております。特別保護地区内はこのようにヨシ及びススキが優先する草原が大部分を占めております。大潟村も大部分が田んぼになっているところですが、ちょっと土地が悪いということでこちらは田んぼにならずにこのようにヨシ、ススキが占有する草原になっているということでございます。
大潟草原に特別保護地区がございますのは、この写真にあるオオセッカの存在でございます。オオセッカは環境省レッドリストにおいてⅠB類でございますが、こちらでは昭和50年代には50羽を超えるオオセッカが飛来しており繁殖も確認されておりました。しかし、残念ながらその後、徐々に確認される個体数が減ってしまいまして、10年ほど前からは1、2羽が短期間観察されるのみとなっております。そして確認されない年も出てきたところでございます。このため平成13年度、14年度に環境省といたしまして、植生の刈り払いなどの生息環境整備を行ったところ、平成16年度よりオオセッカのさえずりとか飛翔が毎年確認されるようになってきたところでございます。また、当該地におきましてはチュウヒの繁殖地としても重要な区域となっております。
オオセッカは特別保護地区の北側のヨシ原を中心に確認されております。北側のヨシ原は生息環境整備を行った箇所でもございます。また、コジュリンもほぼ同じヨシ原で確認されているところでございます。チュウヒは特別保護地区全域で確認されております。また、草原の中に点在する水面は越冬するガン・カモ類に利用されているところでございます。
このように、当該地はオオセッカを始めとします希少鳥類の生息地として重要であることから、引き続き特別保護地区に指定し、希少鳥類及びその生息地を保護する必要があると考えております。
指定区分でございますが、オオセッカなどの希少鳥類を対象とした希少鳥獣生息地の保護区でございます。鳥獣保護区の面積は135ヘクタール、そのうち特別保護地区の面積が48ヘクタールです。存続期間は今年11月1日から平成29年の10月末までの10年間でございます。
公聴会は今年8月29日に秋田県大潟村で開催されまして、指定に関しまして、こちらの公述人全員から賛成の意思表示がございました。
次に、大山鳥獣保護区大山特別保護地区の指定について説明いたします。大山鳥獣保護区は鳥取県琴浦町、大山町、伯耆町、江府町の4町にまたがって位置しております。区域についてですが、赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区、赤の斜線の区域が特別保護地区でございます。中国地方最高峰の大山と、それに連なる山稜部分を中心とした区域となっております。当該地は大部分がブナ林を主体とする冷温帯落葉広葉樹林となっております。また山頂付近には特別天然記念物の大山のダイセンキャラボク純林もございます。
当該地ではイヌワシ、クマタカなどの大型猛禽類の良好な生息地となっているとともに、日本固有種であり、本州中部以北で繁殖するカヤクグリやイワヒバリなどの局所的な繁殖地となっております。イヌワシは鳥獣保護区の全域を行動圏としております。クマタカは図中の黄色の丸印の区域で確認されているところです。大山の山頂付近にはカヤクグリやイワヒバリの繁殖地があります。また哺乳類のヤマネの生息も確認されているところです。また図面には入れ込んでおりませんが、ゴジュウカラやオオルリなどの森林性鳥類は特別保護地区全域に分布しているところでございます。
このように、当該地は猛禽類を始めとする多種多様な鳥獣の生息地として重要であることから、引き続き特別保護地区に指定し、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えているところでございます。
指定区分は、行動圏が広域に及ぶ猛禽類を初めとする多様な鳥獣を保護するための大規模生息地の保護区です。鳥獣保護区の面積は5,156ヘクタール、そのうち特別保護地区の面積は2,266ヘクタールです。存続期間は今年11月1日から29年10月末までの10年間です。
公聴会は今年8月20日に鳥取県大山町で開催され、指定に関しましては、こちらにあります公述人全員から賛成の意思表示がございました。
次に、石鎚山系鳥獣保護区石鎚山系特別保護地区の再指定について説明いたします。石鎚山系鳥獣保護区は愛媛県と高知県にまたがって位置しておりますが、今回諮問の対象になります特別保護地区は愛媛県側の西条市と久万高原町に位置しております。区域についてですが、赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区、赤の斜線の区域が特別保護地区でございます。こちら3カ所に分かれているんですが、石鎚山の西側に位置します、山の北斜面であります堂ヶ森北区域、それから石鎚山の東側の瓶ヶ森山頂から稜線部にかけて位置する瓶ヶ森区域、それから石鎚山の南西側に位置します面河渓谷の区域の3地域となっています。堂ヶ森北区域は針広混交の天然林が発展する区域となっております。瓶ヶ森区域は稜線部のササ原に天然木が混在する亜高山帯の植生が見られる区域となっております。面河渓谷区域は、渓流沿いの断崖にモミやツガなどの大径木が林立する区域となっております。
当該地はクマタカなどの大型猛禽類の良好な生息地となっており、それから日本では四国を南限繁殖地としているビンズイなども生息しております。また哺乳類ではヤマネなども見られるところでございます。生息する鳥類の分布についてですが、特別保護地区の3区域ともクマタカの行動圏となっております。また堂ヶ森北区域ではカヤクグリ、ルリビタキなどが生息しております。瓶ヶ森区域ではビンズイ、ホシガラスなどが生息しており、面河渓谷区域ではコルリ、カッコウなどが生息しているところです。
このように、当該地は猛禽類を始めとする多種多様な鳥獣の生息地として重要でありますので、引き続き特別保護地区に指定し、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
指定区分は行動圏の広い猛禽類を始めとする多様な鳥獣を保護するための大規模生息地の保護区でございます。鳥獣保護区の面積は1万858ヘクタール、そのうち特別保護地区の面積は802ヘクタールでございます。存続期間は平成19年11月1日から平成29年10月末までの10年間でございます。
公聴会は今年8月28日に愛媛県松山町で開催され、指定に関しましては、こちらにあります公述人全員から賛成の意思表示がございました。要望事項といたしましては、農業の現場への悪影響がないよう、十分な対策をしてほしいとの意見がございました。これにつきましては、当該特別保護地区から農業の現場がかなり離れておりますので、直接かかわる意見ではございませんが、野生生物の保護管理施策におきまして、関係機関との連携を図るなどを行い、適切に対応してまいりたいと思っております。
次に、出水・高尾野鳥獣保護区出水・高尾野特別保護地区の再指定について説明いたします。出水・高尾野鳥獣保護区は鹿児島県の北西部にある出水市に位置しております。区域についてですが、赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区、赤の斜線の区域が特別保護地区でございます。この図面の上の方は八代海でございますが、八代海に面しました出水平野に位置しまして、こちらの江内川、野田川、それから高尾野川という3本の河川が流れ込む干拓地を中心とした田園地帯となっております。当該特別保護地区では、それまで干拓地の西部、こちら側に集中しがちであったツル類を鳥獣保護区内で分散しようということを目的といたしまして、平成8年度からねぐらの整備とか、給餌が行われているところでございます。写真は、冬場の特別保護地区にツル類が渡来した状況でございます。
当該地には、主に2種類のツルが渡来します。左はナベヅルでございます。全長が約1メートルほどでございます。右側はマナヅルでございまして、ナベヅルよりも一回り大きいツルです。
当該地におけます鳥類の生息状況ですが、ツル類がこちら西側にもともと集中していたという状況でございます。そこで、鳥獣保護区でのツル類の分散化を目的といたしまして、こちらの東干拓地の方で生息地の保全整備を行い、これらの作業等もありまして、こちらの特別保護地区と、もともといた西側の地区でツルの分布密度が高くなっております。西干拓地の海側と東干拓地の中央部はやや分布が中ぐらいで、干拓地の内陸部は分布が少ないというところでございます。
当該地には、全世界の総個体数の約9割に当たる約8,000羽から1万羽のナベヅルが渡来しております。マナヅルにおきましては、全世界の総個体数の約4割に当たります約2,000羽から3,000羽が渡来しております。
このように、当該地はツルの渡来地として極めて重要であることから、引き続き特別保護地区に指定しまして、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
指定区分はツル類の集団渡来地の保護区でございます。面積は鳥獣保護区が842ヘクタール、特別保護地区が54ヘクタールでございます。存続期間は平成19年11月1日から平成29年の10月末までの10年間でございます。
公聴会は今年8月28日に鹿児島県出水市で開催されました。指定に関しましては、公述人全員から賛成の意思表示がございました。要望事項としては、野鳥による農作物の被害、それからカモ類によりますノリの被害があるため、対策を検討してほしいという意見がございました。こちらにつきましては、関係行政機関や地元懇談会等を通じて対策を検討していきたいと考えております。
最後の案件ですが、漫湖鳥獣保護区漫湖特別保護地区の再指定について説明いたします。漫湖鳥獣保護区は沖縄県の那覇市と豊見城市にまたがって位置しております。区域についでですが、赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区であり、赤の斜線の区域が特別保護地区でございます。特別保護地区は、こちらの国場川と饒波川の合流地点に形成された河口干潟などからなる区域でございます。こちらの左側の写真の橋より奥に見える部分、こちらが干潟部分でございます。橋より手前はマングローブ林となっております。干潟には、底生生物が豊富に生息しておりまして、特にシギ・チドリ類を始めとする水鳥の渡来地として重要な区域となっております。当該地では環境省レッドリストにおいてⅠA類のクロツラヘラサギ、それからⅡ類のセイタカシギやアカアシシギなどの希少種も確認されているところでございます。当該地では干潟のほぼ全域にわたってシギ・チドリ類が確認されているところでございます。
指定区分はシギ・チドリ類を始めとした水鳥類の集団渡来地の保護区でございます。鳥獣保護区の面積は174ヘクタールでございまして、そのうち特別保護地区の面積は58ヘクタールとなっております。存続期間は平成19年11月1日から平成39年10月末までの20年間となっております。
漫湖鳥獣保護区では、今年度より鳥獣の生息地の保護や整備を図る保全事業を開始することになっております。保全事業は昨年度の鳥獣法改正により、新たに創設された制度でございますので、その内容を簡単に説明いたします。
保全事業は鳥獣の生息環境が悪化した鳥獣保護区におきまして、生息環境の改善を行うものでございます。保全事業で行う事業といたしましては、鳥獣の繁殖施設の設置、鳥獣の採餌施設の設置、鳥獣の休息施設の設置、湖沼等の水質を改善するための施設の設置、鳥獣の生息地の保護に支障を及ぼすおそれのある動物の侵入を防ぐための施設の設置、鳥獣の生息地の保護及び整備に支障を及ぼすおそれのある動物の捕獲等が定められております。なお、法令上では施設の設置という言葉になっておりますが、沈砂枡(ちんさます)やばっき施設などの設置のみではなく、植生復元などの生息地を整備する作業も含まれているところでございます。
漫湖鳥獣保護区におきます保全事業の目標と内容でございます。当該地では指定当時に比べまして、渡り鳥の飛来数が大幅に減少してしまっている状況でございます。その原因といたしまして、上流からの土砂の流出及びマングローブ林が拡大したことによる干潟の陸地化が指摘されております。こういったことから目標といたしまして、干潟の適切な管理及び干潟の自然環境の改善を目指すというのを目標といたします。
保全事業の内容といたしましては、環境省といたしましては、渡り鳥が生息する上で適切な干潟、それから周辺地域の状況を調査により明らかにするということ、それから適切な干潟及び周辺地域の状態を回復・維持するための作業や作業上必要な施設の整備を行うというものでございます。
関係地方公共団体の沖縄県、那覇市、豊見城市は漫湖水鳥・湿地センターを拠点といたしまして、底生生物などの調査や地域住民への普及啓発を実施することとします。また沖縄県は河川管理の一環としての土砂の浚渫や支障木の除去を実施することとします。
漫湖鳥獣保護区特別保護地区の公聴会は、本年8月22日に沖縄県豊見城市で開催されました。指定に関しましては、こちらにあります公述人全員から賛成の意思表示がございました。以上で諮問案件ごとの説明を終わります。
次に公告縦覧の結果について説明いたします。今回諮問しております6つの鳥獣保護区特別保護地区の指定につきまして、公告縦覧を行いました。今年の8月13日から21日までの2週間行われまして、その結果、特段の意見はなかったところでございます。
パブリックコメントにつきましては、漫湖以外の5件につきましては8月10日から9月9日までの約1カ月間、漫湖につきましては8月20日から9月19日までの約1カ月間、環境省ホームページにて行いまして、特段の意見はなかったところでございます。
最後に今後の手続について説明いたします。本日諮問した6件につきましては、本審議会から答申をいただければ、10月下旬には官報告示を行う予定でございます。官報告示の後、6件とも本年11月1日に施行を予定しております。
以上で国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について説明を終わります。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
要するに以上6件、今月の末、10月31日にその存続期間が切れるので、それ以後継続したいというのが主な諮問されていることです。ただいまの説明で、何か意見がありましたら、名札を立てておいていただければ。和里田委員。

【和里田委員】 各地区の存続期間の中で最後のだけが20年で、他は10年だったのですが、その違いを教えていただきたいのですけれども。

【山岸部会長】 それでは、事務局お願いします。

【事務局(山崎)】 鳥獣保護法上は存続期間が最大20年となっております。そういう意味で我々としてはできるだけ長期にという趣旨でやっているところでございますが、土地所有者の方々から社会的な情勢も変わるので、10年を区切りとして鳥獣保護区の指定を行ってほしい、特別保護地区の指定を行ってほしいという意向が強いところがかなり多うございます。そういう意味で、今回の場合、最後の漫湖については20年でございますが、その他のところは10年を区切りとしてやっているというところでございます。

【山岸部会長】 よろしいでしょうか。それでは、石井委員。

【石井(信)委員】 最後の漫湖鳥獣保護区ですが、保全事業制度を使って保全事業をすることになっていますが、資料によると、ここの保護区にはジャワマングースがいますね。それで、多分ここに来る鳥を捕食しているのではないかと思いますが、事業の中では侵入を防ぐための施設の設置や、捕獲もできるようになっていますけれども、少なくとも調査ぐらいはされているのかということと、していなければ糞とか胃内容物を見たりすればある程度わかると思いますので、そういうことをされる予定はないかというのを伺いたいと思います。

【山岸部会長】 事務局どうぞ。

【事務局(山崎)】 漫湖鳥獣保護区の保全事業につきましては、今年度後半に予定しておりますが、事業と申しましても今年度につきましては、基本的にどのような事業をしていくかということを調査する状況でございます。その調査の中に、もちろんマングースがこの周辺まで来ておりますので、そのマングースがシギ・チドリ類を捕食しているのではないかという可能性も、調査対象の一つとして考えているところでございます。
また、こちらの保全事業には、動物の侵入を防ぐための施設の設置とありますので、マングースがかなり捕食しているということでしたら、例えば調査結果によりまして、将来的な事業としてマングースの侵入を防ぐための柵を設置していくことなどもあり得ると考えております。

【山岸部会長】 よろしいでしょうか。それでは、三浦委員、引き続いて。

【三浦委員】 少し希望を言いたいと思うのですが、今回の幾つかの中で全体としては面積的にもそれなりのサイズがあるのですが、非常に目立つのが大潟草原特別保護地区でありまして、かつては50羽のオオセッカがいたということで、今はいないわけですけれども、50羽のオオセッカ集団を存続させていくという目標を立てる中で少なくとも最小限のサイズではないかなと思うのですが、これに見合うような生息地のサイズを目標として、地域の中で立てていくことが必要ではないかと思うんですね。それで、幾つかそういう地域があるのか、ないのかということが一つと。
それから今石井(信)委員が指摘しましたけれども、もう一つは確か鳥獣法の改定の中で、採餌施設、それから営巣施設等の整備というのはこれは認められているというか、私たちも了承しているんですが、第一義的にはこの審議会の中でもやっぱり生息地の整備を先行させるべきではないかということで、この事業についての中身、実際にどういうことをやるのかというのをもうちょっとお聞かせいただきたいという2点です。

【山岸部会長】 2点ですが、1点目は大潟についてなんですが、これは三浦委員がおっしゃるように面積が足らなくて減ってしまったのか、それとも質が変わって減ってしまったのか、そこまで含めてご説明いただきたいと思います。

【事務局(山崎)】 まず1点目についてですが、大潟草原の鳥獣保護区、面積としてはご指摘のようにやや狭うございます。環境省としては今回の更新に当たって、例えば今回の特別保護地区の北側にヨシ原があるものですから、そちらの方の拡大を更新の少し前の時期までは考えていたところで、地元の市町村が土地所有者でございますので、そちらにも実は話をしてきたところでございます。しかしながら、地元市町村といたしましては、将来的に開発する計画があるということで、ご了承をいただけず、今回での拡大はできなかったというところでございます。
 また、確かに大潟村全体は、承水路を中心にガン・カモ類もかなり多数来ておりますので、そちらの方の拡大も考えていたところですが、猟友会の方でかなりカモの猟場としてはいいところだということで、なかなか難しいという判断をしたところでございます。
 それから、オオセッカの生息についてでございますが、こちらは周りを除きますと、先ほど申しました特別保護地区の北側にはまだ少しヨシ原はあるんですが、それ以外は大部分が水田になっているところでございますので、オオセッカの生息環境を考えるとやはりこちらの特別保護地区と、その北側のところが中心になるのかなというふうに考えております。そこで現場でも検討会を設けまして、専門家のご意見も伺った中で、やはりヨシがかなり密に茂り過ぎているのではないかと、それが問題じゃないかということで、平成13年、14年に刈り払いを行い、場所によってはやや強度に根も切るということまでやって、その様子をここ数年で見てきているというところでございます。
ですので、私たちとしては生息地の保全ということでは今後も北側のヨシ原の方が可能であれば今後も拡大を働きかけていき、生息地の環境の整備といたしましては、専門家のご意見を伺いながら、生息環境をよりよいものにしていきたいというふうに考えているところでございます。
 もう1点の保全事業についてですが、確かに法律の条文を一見すると施設のハードものが中心のようなイメージではございますが、生息地の中の例えば植生の変化によって鳥獣の生息状況が変わってしまったという場合には、この保全事業の中でその植生をもとに戻していくこともできますので、先ほど申しましたばっき施設や、沈砂枡のようなハードもののみならず、植生の管理というものも積極的に保全事業の中でやっていきたいと考えているところでございます。

【山岸部会長】 両件とも鳥にかかわっているので、バードライフの市田さん。

【市田委員】 先ほどの大潟村の件ですけれども、ご存じのとおり、あそこはオオセッカの繁殖地として買い上げた最初の土地ですよね。特別保護地区にしたために立ち入り禁止にして触らないということがあったので、かえってそのアシが大きくなっちゃって、鳥がいなくなったという経緯があったと思うんですね。ですから、ここで平成13年、平成14年に刈り払いをやられたというのは多分効果があったと思うんですけれども、ほかの生息地を見ていても、やはり完全にアシを残しておくとあの鳥はいなくなっちゃうんですね。だから、もっと継続的にやっていただいて、せっかくつくった保護区ですから、ぜひ環境管理の強化をしていただければと思いますけれども。

【山岸部会長】 鳥獣保護区における保全事業制度というのがあるそうですので、それをぜひ適用していただきたいという希望を述べておきます。

【事務局(山崎)】 その点につきまして、今回の説明には入れておりませんが、大潟草原の鳥獣保護区につきましては、今までは鳥獣保護区、それから特別保護地区に加えまして、その特別保護地区と同じ区域につきまして、特別保護指定区域というのをやっていたところでございます。特別保護指定区域として事実上、立ち入り禁止に近いようなこと、法律的には植物の採取も一切だめ、動物の捕獲も一切だめ、それから撮影などについて観察するのも許可せよとか、犬の散歩もだめとか、かなり厳しい規制をかけていたところでございます。そういう中で、市田委員からのご指摘のように、ヨシが密になり過ぎてしまったということがございますので、今回の更新時期に伴いまして、特別保護指定区域につきましても期限が切れますので、今回説明に入れなかったのは特別保護指定区域、つまり、一番厳しい規制については今回、指定していないということでございます。それで、特別保護地区の実際の建物の許認可、立木伐採の許認可についてはそのまま引き続きやることにしているところでございます。

【山岸部会長】 それでは続きまして石井委員、どうぞ。

【石井(実)委員】 出水・高尾野鳥獣保護区ですけど、私は、鳥は専門外ですが、ナベヅルが全世界の総個体数の約9割、マナヅルについては約4割ということですが、これは素晴らしいことというよりは、むしろ良くないことだろうと思うんですね。それで実際、書かれている保護管理方針の中でも保護区内での分散、病気の発生などを懸念してというふうになっておりますね。ですから、ここに集中しないようにする方向というのもあるんでしょうか。6つの再指定については全然異議はございません。

【事務局(山崎)】 こちらの出水のツルにつきましては、委員のご指摘にありますように、世界的にも極めて集中しているということで、病気が一たん発生したら、種の存続にもかなり悪い影響が出てしまうのではないかということを心配しているところでございます。説明の中では、鳥獣保護区内の西に集中してしまっているので、東に分散ということもお話ししましたけれども、そういうエリア内の話と、もう一つはそもそも出水以外のところにもツルを分散させて越冬をさせようという考えもございます。
それで、平成13年、14年に農林水産省とか文化庁とも共同でツルの越冬地の分散について調査しているところでございます。その3省庁合同の調査に基づきまして、環境省は、そういう越冬地の分散のいろいろなシンポジウムとかソフト的な面を担い、農林水産省は、ほかの候補地となるところでの自然環境保全型の農地整備を敷くとか、そういうことをやるというふうに進めているところでございます。

【山岸部会長】 他にございますか。それでは岩熊先生。

【岩熊委員】 指定書の中には種のリストがあるんですけれども、個体数の情報というのは余りないですね。一貫してこういう形式でつくっていらっしゃると思うんですけれども、こういう審議会で議論するときには何かそういう情報も出していただいた方が、今のツルの話もありましたし、それから逆に非常に個体数の少ない大潟の場合もありましたので、そういう資料も検討資料として添えていただけると助かります。

【山岸部会長】 難しいでしょうが、できれば次回からは。では、磯崎委員、続いてどうぞ。

【磯崎委員】 再指定ということで、それぞれの保護区域の変更点ですが、十和田が従来と面積が変わっているようですけれども、大きく私有地、民有林が大きく減っているようです。この変化の理由と、そのほかは今資料で見る限りは現行の場合と変更がないようですけれども、再指定に当たって増減する必要性がそれぞれの保護区域で恐らくあったのではないかと思うのですが、増減についての検討がされたのかどうか、そういう増減する必要というのはそもそもなかったのかどうか、それぞれについてお聞かせください。

【山岸部会長】 それでは事務局から。

【事務局(山崎)】 十和田につきましては、面積的には増減があるんですが、実際にどこかが外れたとかということではなくて、面積の精査の影響で少し変わってしまったというだけでございます。ですから、十和田につきましては特別保護地区、それからその周りの鳥獣保護区についても全く同じでございます。
面積の増減につきましては、特別保護地区につきまして、今回の諮問対象につきましては6カ所とも特別保護地区のエリアは一切変わっておりません。再指定でございます。その周りの鳥獣保護区につきましては、漫湖を除く5カ所につきましては鳥獣保護区の方も全く同じエリアでございます。ただ、漫湖につきましては、シギ・チドリ類のいるような干潟ではないのですが、その周辺の地域につきまして、民間の会社所有の土地を、会社の方がどうしても鳥獣保護区はもうご勘弁願いたいという強い意向がございまして、地方環境事務所の方としても、その会社の社長に直談判したのですが、了承を得られず、その部分については減という形で整理しているところでございます。
あと、それぞれを拡大するかどうかにつきましては、十和田では極めて大規模なエリアを今現在指定できているところでございますので、その点の拡大についての検討は必要ないだろうと考えているところでございました。
大潟草原につきましては、先ほどもありましたように特別保護地区の北側に引き続きヨシ原がありますので、その地域については検討段階におきまして市町村の方に出向いたところでございますが、かなわなかったというところでございます。
大山、石鎚の方も基本的にかなり山の稜線を中心にしたエリアの指定でありますので、今回について拡大は検討しないところでございます。
出水・高尾野についてですが、諮問対象にはなっていないのですが、文部科学省がやっている記念物行政の特別天然記念物のエリアで、もちろん、大部分は鳥獣保護区に入っているのですが、一部、鳥獣保護区外があるということで、そのはみ出ている部分についても鳥獣保護区にするか検討したのですが、実際、その部分をいろいろ調べてみるとツルの飛来が極めて減っているところであり、文部科学省からも将来的にはそこの減少もあり得るべしというような発言もありましたので、今回、拡大はしなかったというところでございます。
漫湖につきましても、特別保護地区はシギ・チドリ類がいる干潟の部分をすっぽりかぶせてありますので、特に拡大は考えていなかったというところでございます。

【山岸部会長】 よろしゅうございますか。それでは、市田さん、最後に。

【市田委員】 先ほど石井(実)委員からツルの分散の話がありました。これはおっしゃるとおり相当大きな問題で、この20年ぐらいずっと議論しているんですけど、なかなか議論から出てこないと。たまたま今まではそういった病気の流行みたいなのがなかったからいいんですけれども、やっぱりここのところ、いろいろな問題が出てくることも考えると、国として相当しっかり取り組む意味のあることではないかと思うんですね。シンポジウムをやるのはもちろん重要だと思うんだけれども、シンポジウムからさらに出て、例えば国としてはっきりとそういう分散地をつくるんだと。事務局の方でこれから話があるんでしょうけど、アホウドリの分散も図るというようなこともやられていますが、あれと同じレベルで、やっぱりツルも、もし、日本の国内だけでだめなら韓国と協力したっていいわけだし、いろんなやり方があるわけで、日本野鳥の会が多少今取り組みを始めていますけれども、民間に任せておくということよりも相当これは重要な場所なので、国としてお考えいただく必要があるんじゃないかと私は思うんです。

【山岸部会長】 ありがとうございました。それでは星野課長から。

【星野野生生物課長】 ツルの分散については市田委員おっしゃるように、非常に重要な問題だと認識しています。先ほど担当からも説明いたしましたように、平成13年、14年には3省庁で合同の分散の検討をいたしましたし、その後もシンポジウム等、地域の人たちの理解を得る、そういう取り組みを進めているところでございます。
この問題で一番重要なのは、ツルの分散を地域がどう考えてくれているかということだと思っています。ここ数年、各地でツルが飛来しているということの情報が相当集まってくるようになりました。各地域でそれぞれ自治体も含めて、農民の方々も含めて、昔いた場所にツルが戻ってきて、自分たちと一緒にツルがいることをよしとするという考え方を地域の多くの方々に持っていただくことが大事だと思っておりまして、それに向けて積極的な自治体はワークショップを開いたり、シンポジウムを開いたり、そういう取り組みをしているというところでございます。今後、どんな形でさらにこの取り組みを進めるかというのは、いろいろ勉強をしていきたいというふうに思っております。

【山岸部会長】 ありがとうございました。それでは議論も一応出尽くしているようですので、この議題についてお諮りいたします。
 国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定については、事務局案が適当と認めてよろしいでしょうか。
(異議なし)

【山岸部会長】 ありがとうございました。
ご異議なしという声をいただきましたので、本件は適当と認めることとし、この事務局案を当審議会の答申案として中央環境審議会会長に報告させていただきます。
それでは引き続きまして、報告事項としまして、最近のアホウドリ保護の動きについて事務局から報告願います。

【星野野生生物課長】 それでは、私からお手元にお配りいたしました資料に基づいてご説明させていただきたいと思います。
資料10をおあけいただきたいと思います。9月にアホウドリ保護増殖分科会がございまして、その結果を報告した資料をお手元にお配りいたしました。写真が入っているページをおあけいただけますでしょうか。アホウドリについて簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
これは繁殖地が日本の鳥島と尖閣諸島だけでございます。1949年の調査で一度絶滅宣言が出されましたけれども、51年に約10羽が鳥島で再発見されたということでございます。繁殖期は10月から翌年の5月まで、7歳ころから繁殖に参加するという鳥でございます。種の保存法に基づきます国内希少野生動植物種に平成5年になっておりまして、国の特別天然記念物になっているというところでございます。再発見以降、山階鳥類研究所、それから東邦大学の長谷川教授らによる保護の取り組みがなされてきたものでございます。
環境省といたしまして、81年にこの鳥島の燕崎という繁殖地がございます。これは傾斜が急で、土砂で繁殖地が埋まるという場所でございますので、そこで砂防工事等の保全の取り組みを開始いたしました。93年にはより安定した繁殖地を初寝崎という場所、これは後ろをあけていただきますと、鳥島の地図がございます。もともとの燕崎から初寝崎と、より安定したところに新繁殖地を形成する取り組みを開始したところでございます。そうした取り組みの成果が出まして、2005年に新繁殖地初寝崎でコロニーの定着がほぼ確実だろうという状況になりまして、2006年からは鳥島における渡り鳥についてはモニタリングをしていこうと。
さらに、鳥島は火山島でございます。大きな噴火があると、この二つの繁殖地が非常に危険な状態になります。そのために火山島でない島、昔アホウドリがいた島にということで小笠原群島の聟島、無人島でございますけれども、ここに第三の繁殖地を形成するという取り組みに昨年からかかっているということでございます。このため、国が種の保存法に基づいて作成する保護増殖事業計画を新たに文部科学省、農水省と共同で作成いたしまして、昨年からその取り組みを始めているところでございます。
これは山階鳥類研究所、米国政府と共同事業という形で山階鳥類研究所を中心に進めていただいている、そういう案件でございます。9月に開きましたアホウドリの保護増殖分科会では平成18年度の結果報告がございました。もともとの繁殖地である燕崎では209羽、そして新しい繁殖地の初寝崎では16羽、合計227羽のヒナが確認されました。ヒナが200羽を超えたというのは平成5年の事業開始以来初めてだということでございます。また、長谷川教授による個体数の推定でいきますと、1,945羽までふえただろうということでございます。
次の2ページ目を開けていただきますと、ヒナのカウント数の経年変化ということで初めて200羽を超えたということでございます。日米共同で親鳥に発信機をつける事業をやってきたところでございます。今年の2月には日本側で3台、アメリカ側で5台発信機をつけまして動きを追いました。その結果、下に書いてございます、鳥島で繁殖期に採餌活動を銚子の沖なり三陸沖、そして道東地域まで採餌のために飛んでいるという状況が明らかになってきてございます。
次のページを開けていただきますと3番目ということで、小笠原群島の聟島への新たな繁殖地形成事業でございます。今年の3月に山階鳥類研究所で聟島において近縁種のクロアシアホウドリのヒナの人工飼育の実験に取りかかりました。10羽のヒナを聟島の近くにある媒島から移送いたしまして、ヒナが育つまで約3カ月間人工飼育を現地で行ったということです。10羽のうち9羽が無事に巣立ちを迎えたということでございます。この報告がございまして、今年度2月の中旬になりますけれども、40日齢程度のアホウドリのヒナをヘリコプターで鳥島から聟島へ移送して、10羽程度を聟島で人工繁殖によって育てると、そういう事業に今年度取りかかるということがこの分科会でも了承されたということでございます。
以上アホウドリの最近の動きのご報告とさせていただきます。
それから、お手元に資料は配付してございませんけれども、トキについて簡単に最近の動きをご説明させていただきます。
トキにつきましては、4月中国の温家宝総理が来日された際に、安倍総理との間の会談でトキの2羽を中国側から提供していただけるという話になりました。あわせて、大臣レベルの覚書を結びまして、検疫等の手順を合意いたしました。それに基づいて、9月の末に隔離検疫を開始したところでございます。まだトキがいつ中国から日本に来るか、また中国に帰すべきトキをいつ輸送するかという日程については現在、中国側と調整中でございますけれども、10月の後半には移送ができるのではないかなということで準備をしているというところでございます。
さらに、今年3月、佐渡で完成いたしました野生復帰のための施設、これを使った訓練を開始しているところでございます。7月10日に大型の順化ケージに5羽のトキを放鳥いたしまして、自然の状態で食べる力、そして広い空間を飛ぶ力を養っているというところでございます。生餌ドジョウなどを給餌しております。また、周辺の土で昆虫を探したりして食べているというところでございます。今後はさらに多様な環境下での採餌の訓練、さらには天敵を回避する訓練の中で強制的に飛翔させるということ、天敵回避の訓練といたしましては猛禽やカラスの鳴き声、模型などを使ったもの。さらには実際野外に放された場合には人がいる環境でございますので、人なれの訓練、そういったことをこれから進めていくという状況でございます。さらにはトキを野外に復帰させた後、放鳥した後のモニタリング体制の整備について検討しているという状況でございます。
以上で報告とさせていただきます。

【山岸部会長】 ただいまの説明につきまして、何かお聞きになりたいことがあったらどんなことでも結構ですが、ご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
(なし)

【山岸部会長】 それでは、本日の審議の終わりに当たって、桜井自然環境局長よりごあいさつをお願いいたします。

【桜井自然環境局長】 委員の皆様方には日ごろから自然環境行政、特に野生生物の行政につきまして大変お世話になりましてありがとうございます。本日も国指定鳥獣保護区の指定に関する案件につきまして、いろいろご審議を賜りありがとうございました。
野生生物の保護施策に関しましては、きょうご報告をさせていただいたようなことが最近のトピックでもございますけれども、全体的には生物多様性の国家戦略の見直しを自然環境・野生生物合同部会、あるいは生物多様性の国家戦略小委員会でご議論を進めていただいておるところでございます。年内にも、この見直しを完了したいと考えておるところでございまして、今までご議論いただきました内容、あるいはパブリックコメントの内容を含めて、さらに審議会を開催させていただきながら、最終的な政府レベルでの決定に、年内にもっていきたいと思っておるところでございます。
あわせて、生物多様性に関しましては、ご承知のように、生物多様性の締約国会合の第10回を日本で開催すべく立候補しておるところでございますが、この件につきましても、国際的な動きを見ながらといいますか、国際的にも日本の立場をいろいろな機会に表明していくということが必要になってくると思います。来年は、G8のサミットが洞爺湖で開かれますけれども、G8の環境大臣会合というのも神戸で開かれることになっております。従来、地球温暖化の問題、あるいは廃棄物の循環施策の問題などが主なテーマとして取り上げてきておりますけれども、来年は生物多様性についてもテーマとして取り上げる方向で今、準備を進めつつあるところでございまして、国際的にも生物多様性、全体の動き、特に、我が国としてもその中でどんなことをやっていくかということの主張を明らかにしていく必要がある時期になっているのかなと思います。そういう意味でも、生物多様性国家戦略の見直しというのは重要な位置づけになっていると考えております。
本日、いただきました野生生物部会におけます国指定鳥獣保護区の指定につきまして、いただきましたご意見などを参考に、施策を展開してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。

【山岸部会長】 以上をもちまして本日の野生生物部会を閉会させていただきます。
ご協力ありがとうございました。