平成18年12月6日(水) 15:30~17:11
中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室
(部会長) | 岩槻邦男 |
(委員) | 鷲谷いづみ、石井信夫、石井実、石原收、磯崎博司、市田則孝、大井玄、大塚直、齋藤勝、佐々木洋平、立花直美、速水亨、三浦慎悟、山岸哲、和里田義雄 |
(環境省) | 自然環境局長、国立公園課長、野生生物課長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長 |
星野野生生物課長による諮問書(資料1)の読み上げ
事務局から資料(資料1-1及び資料3のパブコメ箇所)に基づき説明
質疑応答
○ 狩猟期間の延長の効果はどのくらいか。
(事務局)推定は困難であるが、参考として現在の猟区の捕獲実績は、獣類については800頭、鳥類については1,500羽くらいである。
○ 北海道の猟区の例はすばらしいが、全国の猟区でもこうした動きになるよう指導しているのか。
(事務局)狩猟者団体の方から指導いただけるよう要請しているところである。
○ 10月中頃は繁殖期に当たるのでオスジカは臭いが強いが、食べるといった目的に照らしてのインセンティブが期待できるのか。
(事務局)今回狩猟期間を前倒しした主な理由は、獲物を食することを目的としたものではなく、あくまでハンターの育成にある。また、シカだけでなくキジなども対象になる。
○ 初心者は特に猟についての不安があるが、指導者と共にハンティングすることにより安心して行うことができる。また、熟練者と行動することで、狩猟自体を楽しめる。この制度改正を踏まえ、関係者として事故のない信頼されるハンターの育成に努めてまいりたい。
○ 猟期を前倒しすると渡り鳥などが訪れる時期にかかることもあるが、そういったことも検討されているのか。
(事務局)場所によってはそういう影響も考えられるが、何を獲るかといったことについては、猟区の設定において、あるいは認可を受ける過程でも設定者及び認定者が判断することである。
○ 本改正はどのような要請に応えたものなのか。
(事務局)今回の法改正を含め、鳥獣保護管理につき一連の見直しを行った。現状として、鳥獣保護管理の担い手である狩猟者の減少・高齢化といった課題があり、この課題への対応の必要性が本年2月の中環審からの答申でも指摘されている。こうした背景から、狩猟者を育成していく必要もあった。
○ 狩猟には長い歴史があるが、急に必要性がでてきたのか。
(事務局)最近とくに狩猟者の減少・高齢化のスピードに拍車がかかっており、これにブレーキをかけたいという検討経緯があった。
○ 狩猟者の育成の機会が増えることは結構なことと思う。期間を延長する過程で、指導しながら狩猟が行われていくという実態・数字というのは、調べたり公表したりする手段はあるのか。これは猟期を延ばした結果を評価することに関係する。
○ 詳しい数字は把握していないが、新規狩猟者が2、3年でやめるケースが多いという現状がある。仕事関係をはじめとする諸事情等厳しい理由があって、先輩と狩猟をする機会についてもなかなかとれない。猟区における猟期の拡大、延長については、その意味においてはハンターに狩猟の楽しみを教えるいい機会と認識しているし、期待もしている。
(事務局)全国の例ではないが、西興部村においては初心者の割合は5割弱。狩猟に際しては、猟区を運営しているNPO法人西興部村猟区管理協会がガイドの案内をしている。
他に質疑等なく、原案どおり了承された。
野生生物課長による諮問書(資料2)の読み上げ
事務局から資料(2-1~4及び資料3のパブコメ箇所)に基づき説明
質疑応答
○ 有害捕獲についてはどういう方向で行くのか。
(事務局)とらばさみについては使用実態を調査した。農水省も関係することであり独自に行ったアンケートの結果も頂いている。それらによると、例えば小規模な養鶏農家においては相当有効であるとのこと。購入費用が手軽であり、代替猟具が高価で負担であるという現状がある。許可捕獲については、設置場所を特定することができるし、ソフトキャッチといったゴム等を装着したもののみ使用可ということで対応しようとしている。くくりわなについては錯誤捕獲を防止することも考慮し、知事が判断する。
○ とらばさみについてはそれでいいと思う。販売者のほうの規制はどうなるか。
(事務局)とらばさみの販売については、ドゥ・イット・ユアセルフ協会に対し販売する際は免許や許可証を確認するよう要請した。今後ともお願いをしていくことで検討している。ポスターなどによる普及啓発も考えている。
○ 狩猟のほうでは禁止しながら、許可捕獲では買うことも含めて自由のままである。許可捕獲においては行政が許可していくわけだから、ソフトキャッチの点も含めて、行政が管理するような体制を検討すべき。販売・購入が自由というのは問題だし、まだまだ改善の余地がある。
(事務局)わなの構造規格については、技術的に検討する予算を要求しているところである。販売規制を行うには経産省との関係もあり、ただちに答えを出すことはできない。
○ 緩衝装置をつけたところで解決にならない。EUやカナダをはじめとする国際基準からみると依然疑問が残る。
○ 山村で見ていると、くくりわなは頻繁に使われているが、今回かなり規制が強化された。輪の直径が12センチ以下とかワイヤーの直径が4ミリ以上となると、ほとんど使えないものになる。
(事務局)ワイヤーの直径4ミリ以上はシカ・イノシシを対象としている。対象がウサギ等の場合は、よりもどしと締め付け防止金具の装着をしてもらうことになる。
○ わなの設置個数が30個ということになっている。一応見回れる個数という理由を掲げているが、これはいかがなものか。現実的には多すぎるように思えるし、根拠がないようにも感じる。再度検討いただきたい。
(部会長)要望もあったが、とりあえずこの形でとりまとめることとする。
他に質疑等なく、原案どおり了承された。
事務局から資料(3-1~3)に基づき説明
事務局から資料(4)に基づき説明
事務局から資料(5)に基づき説明
報告事項(1)~(3)につき質疑応答
○ 政令の改正について。(資料3-3の)45番、施設の整備とあるが、環境の改善というイメージが分からないとの意見に対し、原文どおりでよいと回答している。果たしてこれでよいのか。
(事務局)これは法令に関する用語であり、前例や類似の用例を参照し、記述している。施設の整備といった関係になると、自然公園法においても植生復元施設とか動物繁殖施設といったものがある。それらと同じような用語の使い方ということになっているわけだが、実際には施設といってもハードな施設をつくるというわけではなく、どちらかというと生息地の整備という意味合いがある。例えば、大雨が降り鳥獣の繁殖のための土壌が流出した場合において、植生の復元のための植栽といったことを想定している。こういったことについては、誤解のないよう都道府県や地方環境事務所へきちんと通知したい。地域の合意形成も必要になることだし、専門家や関係団体の意見を聴きながら行うということも施行通知中に盛り込むつもりである。また、モニタリングのほうもしっかり行っていきたい。というのもこれは一つの自然再生のような考えに基づいており、従来鳥獣保護区が、どちらかというと鳥獣の捕獲を禁止をするにとどまっていたのを、一歩踏み込んで鳥獣の生息環境を改善していこうという趣旨であるから、当然その趣旨に沿う形で運用していきたい。
○ 今の回答のイメージをこの記述から想像することは困難。『~の設置』という表記では、個別の目的による人工建造物の設置を想像してしまう。例えば植生帯の施設というのであれば、(資料3-1の項目8)1から4の全てに役立つ施設ということになる。であるから、取り戻すべき機能のほうを列記して、それらのうちの一つもしくは複数に寄与する施設というような記述をした上で、先程の自然再生の考え方をパブリックコメントの回答にも盛り込んだほうがよいのではないか。やはり単機能で応えていくというのでは無駄も多くなるので、自然のシステムに倣うのがよい。
(事務局)十分認識している。単一的な機能にこだわるといろいろ弊害もあるだろうから、生態系の回復といった観点から取り組み、運用していきたい。
○ 『取り戻すべき機能のほうを列記して、それらのうちの一つもしくは複数に寄与する施設』といった表現は、法律との関係で適切ではないのか。
(事務局)法律本文には、鳥獣の生息地の保護及び整備のために行う事業ということで、生息地の保護ないし整備という趣旨は明確に記述している。保全事業の内容として(資料3-1の項目8に)列挙した事項をばらばらに行うわけではなく、あくまで生態系の回復という観点から運用していきたい。
○ 1~4まで列挙した施設というのはそれぞれまったく異なるものか。それとも同じなのか。
(事務局)結果として同じになることもある。例えば繁殖の施設であれば鳥の営巣地の土壌が流出した場合にそれを食い止めることが考えられるが、休息などにも役立つ。
○ 4つ目(湖沼等の水質を改善するための施設の設置)は浄化場をつくるということではないのか。
(事務局)水質を改善するということで、ハードな施設だけでなくソフトな施設や、植栽によっても対処する場合がある。コンクリートで固めたものばかりを想定しているわけではない。
○ 5項目までは施設の設置というふうになっているところ、事業全体として施設だけにこだわる必要がないとは思うが、6項目にある『捕獲等』のあとには何が続くのか。
(事務局)『捕獲等』の『等』は法律にも定義されているが、殺傷を指している。
○ 事業としては「施設の設置」としか記述のしようがないというわけか。他の法律との関係で施設の設置とせざるをえないのか。
(事務局)自然公園法ではこれらは保護のための施設として位置づけられる。同法においては政令上、植生復元施設だとか自然再生施設だとか、動物繁殖施設といったものとして位置づけているわけだが、それに倣って規定したものである。
○ クマのマニュアルに関してもぜひしっかりやっていただきたい。
○ 資料4の4頁、『クマ類の捕獲ははこわなに限る』とあるところ、とらばさみについて有害捕獲の場合に過渡的に残すという話と矛盾するのでは。
(事務局)有害捕獲許可の申請がなされた場合の話である。狩猟に関することではない。
○ 資料5の5頁、『捕獲オリの常設化を避ける』とある。もともとこれはだめなことでは。ワナの設置の基準を検討すべき。捕れる限りは置いておくというのが現状である。(クマについていえば)捕獲数が5,000頭というのは相当なインパクトを与えている。
○ 最初に議論した猟区の捕獲期間延長に関連して、狩猟者の育成・技術の向上に関して、講習を義務づけていくという考え方はないか。
(事務局)更新のときには講習を必ず都道府県知事が開催する。この際猟具の扱いや法令の知識のほか、鳥獣保護管理の知識も講習内容に加えることとした。狩猟者団体が講習会などを開催しているが、鳥獣保護管理に関する説明もするよう要請しているところであり、期待したい。
○ 例えばクマは年間5,000頭弱捕獲してしまったとのことだが、地域個体群といった観点からこの数値をどう評価するか。どこかで科学的な検討が行われているのか。あるいは行う予定があるのか。
(事務局)5,000頭という数は確かにかなり多い。捕獲数は年によって変化が多いのも確かだが、この数については環境省としてもしっかり受け止めたうえで、どのように具体的に分析していくかということはまだはっきりしないが、さまざまな資料を集積することに努める。その上で国としてどういうことができるか検討したい。
研究面においては、予算は環境省に一括計上予算があり実施省庁は農水省。実施主体は森林総合研究所の研究員である。または専門の民間団体と共同で実施する。本年度から五カ年計画でクマの出没等に関する分析を行う。およそ5,000頭捕獲したとみられるので、これが来年度以降どのような影響を与えるかということが重要なテーマとなる。
部会長より閉会の挨拶