(部会長) | 橘 秀樹 | ||
(委 員) | 礒野 弥生 佐藤友美子 | ||
(臨時委員) | 岩瀬 昭雄 | 鹿島 茂 | 金子 成彦 |
桑野 園子 | 小林 悦夫 | 佐藤 信彦 | |
塩田 正純 | 橘 武史 | 鳥越けい子 | |
中山 寛治 | 新美 育文 | 橋本 竹夫 | |
前田 義秀 | 三浦 由理 | 山田 伸志 | |
山本 貢平 | |||
(環境省) |
鷺坂水・大気環境局長 粕谷総務課長 大武総務課長補佐 西本環境管理技術室長 髙井環境管理技術室長補佐 出口自動車環境対策課長補佐 中西大気生活環境室長補佐 |
・中央環境審議会騒音振動部会委員名簿 | |
資料1 | 今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次報告)の概要について |
資料2 | 今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次報告)(自動車単体騒音専門委員会報告) |
資料3 | 今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次答申)(案) |
資料4 | 風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討結果の暫定的取りまとめについて |
資料5 | 騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)について |
参考資料1 | 中央環境審議会第7回騒音振動部会議事要旨 |
【西本環境管理技術室長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第8回騒音振動部会を開会いたします。
本日は、委員総数21名のうち、現在18名のご出席をいただいております。定足数である過半数には達しているということを、まずはご報告申し上げます。
初めに、新たに騒音振動部会にご所属いただく委員の先生方をご紹介させていただきます。
まずは、軽自動車検査協会理事長、中山寛治委員。
一般社団法人日本自動車工業会安全・環境技術委員会副委員長、前田義秀委員。
ナレッジトラスト代表、三浦由理委員。
続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。
まず、資料のほう、クリップを外していただきますと、座席配置図、それから議事次第、そして委員名簿をめくっていただきますと、まず資料1は、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次報告)の概要についてというのが一つございます。それから、資料の2として、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次報告)、そして、次の束は同じく参考資料でございます。これは資料の2の続きでございます。そして、資料3といたしまして、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について(第二次答申)(案)、そして次に、資料4といたしまして、風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討結果の暫定的取りまとめについて、そして、資料5として、騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)について、最後に、参考資料1といたしまして、中央環境審議会騒音振動部会第7回議事要旨となってございます。
なお、資料番号はついておりませんけれども、委員のみの配付といたしまして、冊子といたしまして3点、1点は平成23年度風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書、それから騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)、そして環境基本計画、この3点を参考配付させていただいております。資料、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、これ以降の会議の進行について、橘部会長にお願いをいたします。
【橘部会長】 橘でございます。おはようございます。この騒音振動部会も3年ぶりということで緊張しておりますけれども、今日は内容が非常に豊富なので、要領よくやりたいと思いますので、どうぞご協力のほどをお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
まず初めに、議題(1)今後の自動車単体騒音低減対策のあり方(第二次答申)についてでございます。これは、平成17年6月29日付の環境大臣からの諮問に対しまして、平成20年12月8日付の中間答申を取りまとめました。その中で、引き続き検討すべき課題とされていた内容について、今般、取りまとめが行われました。その内容についてでございます。
それでは、第二次報告について、自動車単体騒音専門委員会委員長であられる橋本委員からご報告をいただき、その後、事務局から詳細な説明をお願いしたいと思います。
それでは、橋本先生、よろしくどうぞ。
【橋本委員】 ただいまご紹介いただきました、自動車単体騒音専門委員会の委員長の橋本でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方の第二次報告につきまして、私からその概要を説明させていただきまして、ただいま委員長からご指摘のあったところでございますけれども、その後、事務局から詳細な説明をさせていただきたいという具合に存じます。
自動車単体騒音低減対策につきましては、自動車騒音に関する環境基準の達成状況は依然として改善すべき余地があること、自動車騒音に対する苦情も減少していないことから、平成17年6月に、環境大臣から中央環境審議会長に対して今後の自動車騒音低減対策のあり方についての諮問がなされました。騒音振動部会にその件が付議をされまして、それに従いまして自動車単体騒音専門委員会が設置され、審議を行っております。
平成20年12月の本委員会の中間報告では、マフラーの事前認証制度の導入を提言いたしました。それとともに試験法も含めた騒音規制手法の見直しの検討を今後の課題としてございます。試験法も含めた騒音規制法の見直しにつきましては、中間答申以降、本専門委員会において審議を重ねました結果、お手元の資料2の第二次報告を取りまとめました。
本第二次報告でございますが、我が国の騒音環境を考慮し、実態に即した自動車交通騒音低減を図りつつ、可能な限りの国際基準への調和及び我が国の自動車関連産業の競争力強化を考慮いたしまして、二輪自動車、原動機付自転車の加速走行騒音規制の見直し及びタイヤ騒音規制の導入等を取りまとめてあります。
二輪自動車、原動機付自転車の加速走行騒音規制の見直しにつきましては、交通流において恒常的に発生する騒音への対策のため、我が国の参画のもと、国際欧州経済委員会・自動車基準調和世界フォーラムにおいて策定されましたECE R41-04における加速走行騒音試験法を導入し、現行加速走行騒音試験法を廃止することが適当であります。また、許容限度目標値等につきましては、非型式指定車を含む二輪車の加速走行騒音低減対策を強化するため、国際基準であるECE R41-04の規制値等に調和することが適当であります。
そのほか、加速走行騒音試験法の試験条件とは異なる条件で不適当に騒音レベルを大きくする車両を排除すべく、新たに追加騒音規定を導入すること、また、新試験法の導入に伴い規制法を合理化すべく、二輪車の定常走行騒音規制を廃止することが適当であります。
また、タイヤ騒音規制の導入につきましては、これまで類似の自動車単体騒音規制強化に対し、主にパワーユニット系の騒音の大幅な低減により、自動車の低騒音化が進められてきました結果、総体的にタイヤ騒音の寄与が高くなっております。このため、タイヤ騒音の低減対策といたしまして、四輪車用タイヤを対象とするタイヤ騒音規制を導入することが適当であります。
タイヤ騒音試験法及び許容限度目標値につきましては、国際基準であるECE R117-02の試験法が自動車の走行時に発生するタイヤ騒音を適切に測定する試験法となっております。また、ECE R117-02の規制値を許容限度目標値とすることにより、自動車交通騒音低減効果が見込まれますことから、ECE R117-02に調和することが適当であります。今後はこの第二次報告を踏まえまして、四輪車走行騒音規制の見直しなどにつきまして、専門委員会で引き続き検討をしていくこととしております。
概要は以上でございますが、引き続きまして事務局から詳細な説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【西本環境管理技術室長】 それでは、事務局より、資料1を用いまして第二次報告の概要をご説明いたします。3ページからご説明いたします。
まず1点目は、二輪車の加速走行騒音低減対策でございます。背景からご説明いたしますと、二輪車の加速走行騒音規制は開始から40年が経過をしておりますけれども、その間、全開加速時の騒音を測定するという試験法自身は基本的には変わっておりませんが、最近の市街地走行では部分加速が多いということで、実態から離れているという現状がございます。また、エンジンの電子制御化が進んでおりまして、試験条件の場合のみ加速を抑え、騒音を下げて規制値を満足する。その他の条件では騒音値が上がると、そういったような制御をするものが海外などでも報告をされておりまして、これらの課題を解決するべく試験法を見直す必要が出てきているという現状でございます。
特に後者については、こちらの図をご覧いただきますと、下の左のほうですね、これは横軸が速度、縦軸が加速度になってございますが、このピンクのラインのように、ある速度、試験速度のところだけ加速を抑えて騒音を下げるといったような事例が報告されていたり、あるいはこちらの右のほうの図では、この三角の赤印を追っていただきますと、試験の回転速度、これは横軸が回転速度でございますが、回転速度を超えた途端に、この高いほうの騒音値に遷移すると、そういったような例が海外で報告をされております。
一方で、4ページをご覧いただきますと、二輪車の生産台数は、現在、世界全体で、平成22年ですが、5,900万台となっておりまして、このうち約半数を日本メーカーが占めておりますけれども、一方、国内市場は同年で42万台と縮小傾向にございまして、国内二輪車メーカーは国内専用車の開発が難しい状況になっている。したがって、国際的に調和された基準への見直しが強く要望されております。
この自動車基準の国際調和につきましては、これまでも安全基準とともに国連の自動車基準調和世界フォーラム、WP29の場で日本、EU、アメリカなどの参加のもとに、国際基準の作成、強化の作業が進められておりまして、二輪車の加速走行騒音規制についても、こちらにございますが、R41、これの最新規制であるR41-04というのが昨年6月に承認をされております。このため、今般はこのR41-04の試験法規制値を国内に導入することが国内の環境改善のために適当であるか否かという形で議論が進められてまいりました。
次に、5ページでございますが、そのR41-04の試験法がこちらでございます。先に述べた市街地での加速度との乖離を解決すべく、日本も議論に参加して、あるいは日本のデータを提出して、この国際の場で検討されたものでございまして、新試験法としては部分加速での騒音値による評価としてございます。ただし、部分加速そのものを再現することは難しいということもございまして、ここでは、この5ページ右下の図をご覧いただきますと、まずは全開加速での騒音値を測定いたしまして、次に定常での騒音値を測定する。そして、その騒音値は加速度に比例すると。これは仮定といいますか、データで確認をしておりますが、ということで、この部分加速の騒音値を内挿によって求めると、こういう手法になってございます。その際、全開加速の加速度につきましては、こちらは上の表の赤字のほうにございますけれども、参照加速度というのを、式、これはPMRというPower to Mass Ratio、すなわち馬力と重量の比でございますが、これは1台1台ごとに決まるものでございます。これを変数とした一定の値での加速が実現することを求めておりまして、これによって先ほどのような故意に回転数を抑えるような制御を排除しております。また、部分加速のほうにつきましては、こちらの青の字で目標加速度、こちらでございますが、こちらの式で求めてございます。この表のとおり、二輪車は三つのクラスに分けてございまして、これはPMRで分けておりますが、概ねClass1は50ccの原付一種に相当すると。これについては市街地でもいまだ全開加速が使われているということで、全開加速の評価としております。それから、125ccまでの原付二種に相当するClass2と、それ以上、すなわち軽二輪及び小型二輪に相当するClass3については、それぞれ使用実態に応じて先ほどの加速度を求める式を定義してございます。
なお、試験時の速度については、Class1と2については、マイク前で40キロ、Class3については50キロとしてございます。
次に、この試験法が国内の使用実態に合っているかどうかという検証でございます。これについては、実際に二輪車を市街地で走らせて、その際の速度やエンジン回転数を記録し、その分布を分析して検討しております。その結果、6ページにございますとおり、まず速度については、新試験法の条件は使用頻度の高い速度に一致をしていたと。それから、加速度については、Class2及び3についてですけれども、市街地で全開加速が使用されることはなかったとともに、新試験法での加速度というのは市街地で使用される加速度域のほぼ上限ということで、この手法は適切であるということ。そして、3点目に、マニュアル車のギアの選択ですが、新試験法では先ほどの全開加速を実現するギアを選択するというルールになってございますけれども、これは市街地で実際に使用されているギアの中では低めのものであったと。すなわち回転数が上がって騒音が大きくなるという意味では、試験法として安全側のものが選択されているということがわかりました。したがって、6ページ下の枠にございますとおり、交通流において恒常的に発生する騒音への対策のため、エンジン技術の発達に対応するとともに、市街地走行で使用頻度の高い走行状態をより反映する新加速試験法を導入するという結論に至ってございます。
次に、7ページでございます。許容限度目標値及び適用時期でございますが、R41-04ではClass1で73dB、Class2で74dB、Class3で77dBを上限としております。現状を把握するため、国内での生産販売されている二輪車を先ほどの試験法で測定した結果を集めてございますが、これは下のグラフのとおりでございまして、この黄色い矢印が今申し上げた許容限度目標値となりますと、一部にこの基準値を超過するものがございました。これらは主に非型式指定車、主に輸入車等の一部でございますけれども、これらについては、ヒアリングの結果では規制値内まで低減することは可能な見込みであるということを確認いたしました。一方で、これより厳しい基準といたしますと、技術開発に当然ながらコストが必要となってまいりますが、これは日本独自基準となるということで、国内専用車として開発するとなりますと、そのコストを回収することは、先ほどの現状では非常に困難であるということも同時に判断をされております。したがって、規制強化については、まずこの国際調和基準を採択した上で、国際基準調和の土俵の上でまた今後強化を検討することが現実的であるというふうに判断をされております。
なお、適用時期につきましては、R41-04では、欧州では適用時期が平成26年となっておりまして、二輪車メーカーからは同時期での導入が要望されております。
先ほどの基準超過車両の規制の対応については、ヒアリングをして技術的な対応も確認をしておりまして、この8ページにございますとおり、排気系ではサブマフラーの追加や内部構造の見直し、あるいは吸気系では内部構造の改良、エンジン系ではカバーの装着あるいは剛性強化といった技術で対応するとなってございます。ただ、1点、なお書きのところにございますけれども、一部、通常3速、4速で試験をすることになるんですが、一部の車では加速度が低いために、試験法上2速での試験となるものがございます。この場合、エンジン回転数が高くなって、騒音値が2から3dBくらい高くなります。したがって、平成28年末までの1dBの緩和が要望されております。これは既にR41-04の中には含まれた内容でございます。
その下に国際基準調和についてのメリットを書かせていただいておりますが、特に2点目、3点目――2点目の開発・生産コストの低減、あるいは3点目の産業活性化によるさらなる環境対策技術の開発が一般論としてございますが、そのほかに1点目に書いた非型式指定車の規制強化というメリットがございます。
これは、9ページのほうをご覧いただきますと、加速走行騒音規制は昭和46年の導入以来、逐次強化をしてまいりましたけれども、非型式指定車、主に輸入車でございますが、こちらは輸入時に即対応というのが困難という状況等もございまして、平成22年3月までは未規制の状態でございました。その後は規制がかかっておりますが、下の右の表にございますとおり、型式指定車よりは若干緩い基準が適用されてございます。これについて、今般、国際基準調和をすることによって、非型式指定車についても同等の基準を適用するということが可能となりました。これが一つのメリットとして考えられてございます。
以上のことから、10ページの枠にございますけれども、新加速試験法による許容限度及び適用時期について、ECE R41-04規制値を型式指定車等だけでなく非型式指定車等にも適用することで、特に二輪車混入率の高い道路での自動車交通騒音の改善が図られる。国内の二輪車市場が縮小している中、国内専用騒音低減技術の開発は困難な状況にあり、一方で一層の騒音低減対策を図るべく、非型式指定車等の騒音レベルを下げるため、ECE R41-04の規制値、Class1で73dB、Class2で74dB、Class3で77dBを導入する。適用時期についても、ECE R41-04と同時期の平成26年とし、また、2速で計測する車両については、平成28年末までプラス1dBの緩和とするという結論を得ております。
なお、なお書き以下の部分でございますが、交換用マフラー、これについては前回も答申をいただきまして、マフラー性能等確認制度が実施をされております。ここでも現行の加速走行試験法が適用されておりますので、こちらにございますが、交換マフラーについては、新試験法への変更や試験法変更による規制値見直しについて、今後検討し、次期以降の報告書に提言するということとしております。それからまた、新車の規制強化についても、国際基準の土俵に上がった上で強化をすることが適当ということで、この「また」以下ですが、新車の騒音レベルについても推移を確認し、必要に応じ規制値等を見直すとともに、ECE R41-04による国際基準の改正を提言するものとするとしております。
次に、11ページでございますが、今般、今ご説明を申し上げましたように、市街地での実態を反映するために部分加速での評価としたわけでありますが、全開加速での走行も、頻度は低いものの、そのような走行があった場合に、逆に他の騒音に対して突出をするということがございます。また、定常走行騒音の低い車は、逆に全開加速での騒音が高くても部分加速規制に適合するといったこともございまして、突出する騒音の規制という観点からは、先ほどのものだけでは不十分であると考えられます。このため、R41-04では、全開加速騒音について、部分加速騒音の規制値のプラス5dBの規制を設けてございます。これについても、あわせて国内へ導入することが適切であるということから、枠にございますけれども、交通流において恒常的に発生する騒音への対策としては、新加速試験法による規制により対応する一方、全開加速走行による突出した騒音への対策として、新加速試験法において実測する全開加速の騒音値により規制することとし、Class2及び3のLurban、すなわち部分加速規制値に5dBを上乗せした79dB及び82dBを、Lwot、これは全開加速時の騒音値ですが、これの上限値とするということといたしました。
次に、12ページでございます。背景のところでご説明いたしましたように、エンジンの電子制御化によりまして、試験条件のみ騒音レベルを下げて許容限度を満足し、他の条件では不適当に騒音レベルを大きくするようなものが現に報告をされております。また、市街地での評価のほか、郊外での走行騒音の評価を行う必要があるという意見もございます。この場合、条件は当然ながら市街地とは異なってまいります。このため、異なる回転数での加速時の騒音レベルが極端に高くなるような車両を排除するということで、R41-04では新たな規制が導入をされております。これは下のこの図で、これは横軸が速度、縦軸がエンジン回転数、この中のピンク色の部分、時速20キロから80キロの間で実際に使われ得るエンジン回転数領域、こちらを対象といたしまして、わかりやすいのは次のページの図でございますが、この13ページの右下の図のように、試験時の騒音値を基準点、こちらは横軸が回転数で、この部分が試験の回転数でありますが、このときの騒音値がこれになりまして、これを基準点といたしまして、ばらつきを考慮して3dB上げた点、こちらを起点といたしまして、回転数の低い領域には1,000rpm当たり1dB、高い領域には1,000rpm当たり5dB、これは通常こういった遷移をする車が多いということで、この傾きを求めておりますが、このラインを引きまして、このラインを超えるような騒音値が出るものは、やはり故意にこの基準の回転数以外のところで騒音を上げているということで、不適合とすると、こういう規制を導入してございます。
規制対象については、13ページの上のほうにありますとおり、試験時の回転数が最高回転数に対して余裕があるClass3を対象としておりまして、一方、Class1及び2については、逆に試験時に最高回転数近くを使用するということで、ここで出力を落とすということはあまり現実的ではないということで、対象外としております。また、CVT車については、一般に一定の回転数領域を使用することが多いということでございまして、したがって、20キロから80キロの全開加速時の回転数が大きく変わるものを除いて対象外としております。
これによりまして、14ページのほうですが、こちらの図をご覧いただきますと、青いプロットが通常の車両の点でございまして、こういったものはこの基準には合格をするんでありますが、一方で、この赤いプロットのように、若干試験以外のところでは騒音を上げていると、こういったものについては排除するという形となります。これについてもあわせて国内に導入することが適切であるということから、枠内にあるとおり、この規制を導入するということといたしました。
以上が二輪車の加速走行騒音低減対策の見直しについてでございます。
続きまして、もう一つの話題でございますタイヤ騒音低減対策のほうに移りたいと思います。
15ページでございますが、タイヤから発生する騒音は、こちらの図にございますとおり、タイヤ溝の中での共鳴、あるいはブロックの振動といったタイヤパターンに起因するもの、それから路面の凹凸による加振、あるいは路面摩擦によるものなどがございます。これらの騒音につきまして、タイヤの改善の面から騒音低減を図るということで、欧州では平成15年にタイヤ騒音規制が導入をされてございまして、これは、その後、R117-01ということで国際基準としても承認をされてございます。また、その基準は、平成21年には規制強化案が作成されておりまして、本年から順次適用開始となってございますし、こちらについても国際基準R117-02という形で承認をされております。
次のページ、16ページはその基準値でございまして、左側が当初の基準、右側が強化後でございます。クラスC1は乗用車、C2、C3は商用車でございまして、それぞれタイヤの幅あるいはタイヤの種類ごとに規制値を定めてございます。
これについて我が国ではどうかということですが、17ページをご覧いただきますと、我が国ではこれらに対しまして平成10年から、当初のほうの基準、R117-01の導入について検討いたしました。ただ、当時国内で販売されていたタイヤはほとんどがこの基準に適応している状態でございまして、騒音低減効果が望めないということで、一旦は導入を見送ってございます。しかしながら、今回強化された国際基準が策定をされているということ、それから、下の図にございます、これは一般論としてでありますが、年々タイヤの騒音の全体に対する寄与率が総体的に上がっているということもございまして、今般、新たにR117-02の導入の是非を検討したということでございます。
次に、18ページでございますが、その試験法でございます。これはタイヤ単体の規制ではありますが、試験では自動車にタイヤを装着いたしまして、エンジンを停止した状態で、乗用車であれば時速80キロで走行して両側のマイクで騒音値をとるというものでございまして、こちらについては、枠内にあるとおり、ECE R117-02によるタイヤ騒音試験法はタイヤ騒音を精密に測定することができる試験法であることから、我が国のタイヤ騒音試験法として採用するという結論を得てございます。
そして、その次に許容限度目標値でございますが、19ページをご覧いただきますと、今回、改めて国内で販売されているタイヤの現状を調査いたしました。この結果、今回は約半数のタイヤがこのR117-02の規制値を超過しているということがわかりました。特に、例えば乗用車用のスポーツタイプ、あるいはSUV用のオールテレーン、あるいはスタッドレスといったタイヤで1から3dB程度超過をしておりました。中には、マッドテレーンというものでは5dB超過しているものもあったということでございます。また、タイヤの寄与度については、改めて調査をした結果、時速50キロの定常で乗用車で82%以上、重量貨物車では45から81%ということで、導入をすれば効果があるのではないかという数値となってございます。
次に、20ページでございます。この規制を超過しているタイヤについては、タイヤメーカーにヒアリングを行っておりまして、現在、採用あるいは開発中の技術によって、1から2dBの低減が可能であるとされております。一方、さらに一層の大幅な騒音低減を図るということになりますと、これはタイヤ全体の設計の抜本的な見直しが必要となるということで、タイヤに対する要求性能が、こちらの図のように、騒音だけではなくて、背反するウェット性能、あるいは転がり抵抗というふうに多岐にわたっておりまして、これはバランスを考えて開発する必要があるということで、短期的に対応することはなかなか難しいということが同時に判断をされております。
一方、では、このECE R117-02を導入した場合の道路交通騒音の低減効果ということでございますが、21ページをご覧ください。ミクロ交通流モデルを用いた、これはコンピューターシミュレーションでございますが、規制効果を予測いたしました。これは実際の交通流を調査した結果を入力して、それから同時に、それぞれの車両からの騒音について、車種ごとあるいは車両の部位ごとの音源特性を入力いたしまして、それらを計算しまして、道路沿道の騒音を計算するというものでございます。
22ページが結果でございまして、こちら、横軸といいますか、横方向には時間帯及び道路特性ごとの結果を並べております。棒グラフのうち、青は現状、ピンクは規制値直後で、タイヤの騒音特性というのは、先ほどの図ですね、正規分布で分布しておりますけれども、このような形で概ね分布しておりますが、このうち規制を超過する部分がそっくりなくなったような分布でございます。そして、黄色のほうは、これは規制後しばらく時間がたってからという前提で、規制値の中の範囲で新しい正規分布が形成されたような状態を模擬をしております。これによりますと、こちらの下の図が変化量でございますが、最大で1.3dBの低減効果があると見込まれております。これは大きな効果と見るか否かというのは意見の分かれるところではあるかとは思いますが、騒音低減対策、特に道路沿道ということになりますと、さまざまな対策の積み重ねで行うべきという観点から考えれば、この対策で1.3というのは効果ありと判断されるのではないかと考えております。このため、この下の枠にございますが、タイヤ騒音低減への対応の見込み、それからECE R117-02の規制値を導入した場合の自動車交通騒音低減効果に加え、国際基準調和を図ることを考慮し、ECE R117-02による規制値をタイヤ騒音許容限度目標値とすると結論づけられております。
次に、23ページをご覧いただきますと、ここまでこれは四輪車のタイヤを対象として検討しておりますが、二輪車用タイヤへの適用というものの是非もあわせて検討はしております。その結果、二輪車用タイヤは接地面積が小さい。したがって、その騒音レベルが四輪車用に比べて小さいこと、それから、定常走行におけるタイヤ騒音の寄与度自身も低いということ、そして、保有台数の違いから全体に及ぼす影響も小さい。これらの理由から、二輪車用タイヤについては適用対象外としてございます。また、応急用タイヤ、これは一時的な使用用途であるということにかんがみて適用対象外としておりますが、最近普及し始めた重量貨物車用の更生タイヤ、溝が減りますと、貼りかえて再度使うというものでございますが、こちら、現時点ではまだ実態が十分に把握できていないということで適用対象外としてございますが、今後、普及状況等に応じまして、実態を把握して、規制対象とすることの是非を検討することといたしております。
24ページはタイヤ騒音規制についての今後の課題でございますが、3点ございまして、1点目はタイヤ騒音規制の適用時期でございます。ヒアリングによりまして、個々のタイヤについては、技術的には3年から5年後に市場投入されるタイヤからは対応が可能であるということを確認しておりますが、規制の適用時期となりますと、従来の規制のように車両の製造時期を起点とする適用とするか、あるいはタイヤの製造時期を起点とする適用とするか、さらに言えば、ある時期以降、すべての車両を対象として適用するという考え方もございますが、そういった規制手法をどうするかによりまして、タイヤメーカーのほうでの対応可能な時期が変わってまいります。このため、現在、規制に関わります関係省庁のほうでこの規制手法の検討を行っていただいております。適用時期については、この結果を受けて検討することとしております。
それから、2点目ですが、騒音低減技術の研究開発に関するものでございます。先ほどご説明をいたしましたとおり、タイヤの要求性能というのは多岐にわたる。騒音環境面だけではなく、安全面あるいは燃費の面等々、多岐にわたってございます。したがって、さらなる今後の研究開発促進のためには、産学官での情報共有の場を設けることが必要であるということでございまして、こちらに提言等をいたしております。
それから、3点目は、タイヤ騒音ラベリングに関するものでございまして、自動車ユーザーがより低騒音のタイヤを選択できるように、タイヤ騒音ラベリングを検討することが適当であるとしております。
以上がタイヤ騒音低減対策についてでございます。
次に、3点目、25ページをご覧いただきますと、二輪車の定常走行騒音規制の廃止についてでございます。これまでも二輪車については、加速走行騒音規制、それから定常走行騒音規制、そして近接排気騒音規制、この三つの規制を実施してきてございますが、先ほどの1点目のとおり、二輪車の加速走行騒音試験法において、部分加速での評価というのを導入するに当たりまして、定常走行騒音も同時に測定することとなっております。それから、同時に、二輪車については、加速走行騒音対策を行いますと、定常走行騒音自身もある程度低減するということが今回わかったということもございます。さらに言えば、二輪車用のタイヤ騒音は、定常走行においても道路沿道騒音への影響は小さいと。これらのことから、今般、規制の合理化の観点から、二輪車の定常走行騒音規制については廃止をするということで結論づけられてございます。
そして、最後に、26ページでございます。ここは今後の課題ということでございまして、3点ございます。
1点目は、四輪車の加速走行騒音規制についてでございます。二輪車と同様に、現在、国際基準の検討の場におきまして、試験法の見直しを日本も参加をして行ってきております。したがって、これが策定をされ次第、国内導入の検討をすることとしております。また、同時に、四輪車については、今般、定常走行騒音への寄与度が高いタイヤ騒音の規制を導入するということもございまして、今後、加速走行騒音試験の見直しの検討にあわせて、四輪車についても定常走行騒音規制の廃止の検討を行うこととしてございます。
それから2点目、交換用マフラーの性能等確認制度に関するものでございますが、同制度にも、先ほど申し上げましたように、現行の加速騒音試験法が適用されていることから、今般の新車の試験法の見直しを受けまして、こちらにつきましても、二輪車用のマフラーに関して試験法の見直しを検討することとしております。
それから、3点目でございますが、近接排気騒音規制、我が国では車種に応じた一定の規制値が定められておりますが、一方、欧州で採用されているものは、新車時の性能に基づいて車両型式ごとに上限値を設ける、いわゆる相対値規制というものを採用してございまして、こちらの導入の是非についても、あわせて検討すべしとなってございます。
以上が報告書の概要でございまして、次の24ページ以降は、本案をパブリックコメントに付した結果でございます。ご意見を業界団体あるいは企業の方、個人の方などから28通、38件いただいてございます。内容の変更までに至るものではないと判断をされました。それぞれ以下の表のとおり、お答えをしてございます。
以上が報告書の概要でございます。
【橘部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、これまでの説明につきまして、何かご質問ございましたら、どうぞ。
【小林委員】 一つだけお聞きしたいことがございます。資料でいきますと、24ページのところですが、いわゆる適用時期の問題ですが、ここのところには、技術的対応等を含めて、3年ないし5年後、市場に投入されるタイヤは可能というふうに書かれていますが、それに対しまして16ページのところ、タイヤの単体騒音規制の国際基準の規制値のところで、ECE R117-02については、欧州では平成24年度から順次適用というふうに書かれていますが、こことの整合性というか、欧州で24年から適用されるということに対して、日本側の技術開発はそれに追いついていなかったということなのか、それとも欧州のこの24年の適用という内容が違うのか、その辺をちょっと教えていただければと思います。
【西本環境管理技術室長】 今ご覧いただいたECE R117-02の規制値、これ自身は今回導入が提案されているものと同じでございます。対応のほうですが、したがって、こちらのほうに、特に輸出をするものと全く同じものであるとすれば、技術的には既にこの時点で対応されていると考えてもよろしいかと思いますが、ただ、必ずしも輸入をするものと国内での使用というのが全く同じということではない。国内向けには国内状況に合わせて対応しているものがあるもの等もございますので、全く同じ規制時期でよろしいのかどうかというのは、必ずしも言えないのかなということでございます。また、欧州ではタイヤの製造時期で規制をするということになっておりますので、これが、規制が開始されてから、順次新しく出るものから対応していくということでメーカーは対応されていると思いますが、国内のほうでは同じような規制手法をとるべきであるのか、あるいは別の手法をとるのか、これは現在検討していただいておりまして、それによって時期を検討していくこととしているという状況でございます。
【橘部会長】 小林委員、よろしいでしょうか。
【小林委員】 内容的にはよくわかりました。ただ、ここに書いてある資料を見ると、何か日本のほうが生ぬるいというふうに読み取れてしまうので、何か表現を工夫されたほうがいいのかなという気がいたしますが。
【橘部会長】 これは次の答申(案)にも関係しますね。今の表現については、この後、審議します答申(案)についてのところでも関係するかもしれませんので、ご注意を。
ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
【三浦委員】 ありがとうございます。タイヤ騒音の規制について、環境省単体ではなく、道路の整備性能の問題、例えば、高速道路における補修後の段差による騒音ですとかがありますので、他省(国交省等)と連携をして騒音の課題に取り組んでいくということも、今後重要かと思いますが、いかがでしょうか。
【西本環境管理技術室長】 ご指摘のとおりでございまして、道路沿道騒音、自動車単体だけではなくて、道路の対策、あるいはもう一つ言えば、家屋等の対策もあわせて推進していくべきでございまして、実はこれ、前回の平成21年の騒音振動部会の際に、今後の対応をどうすべきかということを、関係の省庁とあわせて方針をまとめて提出をさせていただいておりまして、今ご指摘をいただいたとおり、自動車については単体の規制を進めていきますし、道路については、例えば、先ほどご指摘いただいた低騒音舗装のような技術もございますし、あるいは段差等の解消もございますので、そういった対策を同時に進めていく。関係省庁であわせて対策を進めていくという方針を紙にまとめたものを前回出させていただいておりまして、今回はその中の車の対策については、ここまで進んでおりますというご報告というか、ご審議だと考えてございます。
【橘部会長】 これは先ほども報告がありましたけど、いわゆる改造マフラーなんかも認証制度ができていますけれども、やはり実際にはいろいろ取り締まりとか、制度だけではいけないわけで、その辺も一つの問題だと思いますけれども。
ほかにいかがでしょうか。大変テクニカルな内容がたくさん含まれていますので、難しいですけれども。基本的には国際的な規格の作成に対して、日本もそれなりのコントリビューションをしながら、それを国際整合化という形で日本にもそれを使っていくと、そういうふうに理解してよろしいですね。
それでは、ご質問ございませんようですから、次へ進みたいと思います。
専門委員会報告について、これ以上ご質問がございませんようでしたら、部会の第二次答申(案)の審議に移りたいと思います。
それでは、事務局、よろしくお願いします。
【西本環境管理技術室長】 それでは、資料3に基づきまして、第二次答申(案)、こちらは読み上げをさせていただきます。資料3をご覧ください。
「今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について」(第二次答申)(案)
平成17年6月29日付け諮問第159号で諮問のあった「今後の自動車単体騒音低減対策のあり方について」について、中央環境審議会は、平成20年12月18日にマフラー事前認証制度の導入についての中間答申を行った。
中間答申においては、試験法も含めた騒音規制手法の見直しが今後の課題とされていることから、中間答申以降、自動車単体騒音専門委員会において、二輪自動車・原動機付自転車(以下「二輪車」という。)の加速走行騒音低減対策及び四輪車のタイヤ騒音規制の導入について検討を行った。検討に当たっては、我が国の騒音環境を考慮し実態に即した自動車交通騒音低減を図りつつ、国際基準への調和及び我が国の自動車関連産業の競争力強化を考慮した。
今般、同専門委員会により、別添の自動車単体騒音専門委員会第二次報告が取りまとめられた。騒音振動部会においては、同第二次報告を審議した結果、今後の自動車単体騒音低減対策を的確に推進するためには、同第二次報告を採用し、自動車から発生する騒音の低減を図ることが適当であるとされた。
よって、当審議会は、下記のとおり答申する。
記。1.二輪車の加速走行騒音低減対策。
1.1、次期加速走行騒音許容限度目標値等。加速走行騒音試験法については、交通流において恒常的に発生する騒音への対策のため、我が国も参画する国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29」という。)において策定されたECE Regulation No.41 Revision 4(以下「R41-04」という。)における加速走行騒音試験法(以下「ISO362-2」という。)を導入し、現行加速走行騒音試験法を廃止する。次期加速走行騒音許容限度目標値については、非型式指定車等を含む二輪車の加速走行騒音低減対策を強化するため、国際基準であるR41-04規制値と調和し、下表のとおりとする。
車両区分といたしまして、PMRが25以下のもの(以下「クラス1」という。)については、許容限度目標値として73dB、PMRが25を超え、50以下のもの(以下「クラス2」という。)については74dB、PMRが50を超えるもの(以下「クラス3」という。)は77dB、PMR、これはPower to Mass Ratioの算出方法は、PMR=最高出力(kW)/(車両重量(kg)+75kg)×1,000で、次期加速走行騒音許容限度目標値の適用時期については、平成26年(2014年)中とする。
次に、1.2、突出する騒音への対策。交通流において恒常的に発生する騒音に加え、全開加速により発生する突出する騒音も併せて低減することが重要である。このため、次期加速走行騒音規制において、全開加速走行時の騒音値の上限をクラス2で79dB、クラス3で82dBとする。
次に、1.3、追加騒音規定。エンジンの電子制御化により、加速走行騒音試験法に対し、その試験条件のみ騒音レベルを下げることにより許容限度目標値を満足し、試験条件を下回る又は上回るエンジン回転数において不適当に騒音レベルを大きくする制御が行われることは、技術的に可能である。このため、これらを排除することを目的とし、次期加速走行騒音規制において、クラス3に対し、R41-04における追加騒音規定(Additional Sound Emission Provision)を導入する。
2.四輪車のタイヤ騒音低減対策。
タイヤと路面の接触によって発生する騒音は、自動車の運転条件によっては、走行時の騒音の主要な発生源のひとつであり、走行速度が高くなるほどタイヤ騒音の寄与度は高くなる。自動車単体騒音は、これまで累次の規制強化が行われ、主にパワーユニット系騒音の大幅な低減により自動車の低騒音化が進められてきた結果、相対的にタイヤ騒音の寄与が高くなってきている。このため、定常走行時の寄与率が高いタイヤ騒音の低減対策として、四輪車用タイヤを対象とするタイヤ騒音規制を導入する。
タイヤ騒音試験法については、自動車の走行時に発生するタイヤ騒音を適切に測定する方法として、国際基準であるECE Regulation No.117 Revision 2(以下「R117-02」という。)の試験法を導入する。
タイヤ騒音許容限度目標値については、自動車交通騒音低減効果に加え、国際基準調和を図ることを考慮し、R117-02の規制値と調和し、別表のとおりとする。別表は1枚めくった5ページ目にございます。こちらは細部にわたりますので、省略をさせていただきます。
タイヤ騒音許容限度目標値の適用時期については、従来の車両に着目した規制に対し、タイヤに着目した新たな規制となるため、関係省庁において規制手法を検討し、その結果を踏まえ検討する。
また、将来的に普及が進むと考えられる更生タイヤに対する規制の導入等、タイヤ騒音規制の実効性を向上させるための見直しを検討する。
3.二輪車の定常走行騒音規制の廃止。
二輪車の定常走行騒音規制については、パワーユニット系騒音及び駆動系騒音に関する次期加速走行騒音低減対策により定常走行での騒音低減対策に効果があること、タイヤ騒音は低く自動車交通騒音への影響は小さいことを踏まえ、規制合理化の観点から廃止する。
4.今後の検討課題。
4.1、四輪車走行騒音規制の見直し。四輪車の現行加速走行騒音試験法については、二輪車と同様に現在の我が国の四輪車走行実態と異なると考えられる。一方、UN-ECE/WP29において、我が国も参画のもと、加速走行騒音規制の国際基準であるECE Regulation No.51 Revision 3(以下「R51-03」という。)の検討を進めている。今後、その進捗状況を踏まえ、現行加速走行騒音規制を見直し、R51-03を導入することについて検討する。
また、定常走行時の寄与度が高いタイヤへの騒音規制を導入するため、R51-03の導入の検討に併せて、規制合理化の観点から、定常走行騒音規制の廃止について検討する。
次に、4.2、マフラー性能等確認制度の見直し。マフラー性能等確認制度においては、現行の加速走行騒音試験法が適用されているため、二輪車用マフラーについては、ISO362-2に変更する必要がある。このため、二輪車用マフラーについて、騒音試験法の変更を考慮しつつ、必要に応じ騒音上限値等の見直しについて検討する。
4.3、近接排気騒音規制の見直し。近接排気騒音規制においては、車種区分ごとに一定の許容限度目標値(絶対値)を規定しているが、欧州においては、騒音を新車時より増加させないという観点から、車両型式ごとに新車時の騒音試験による測定値に基づき上限値を設定する相対値による規制を行っている。このため、今後、マフラー性能等確認制度の騒音上限値等の見直しと併せて、近接排気騒音規制のあり方についても検討する。
以上でございます。
【橘部会長】 ありがとうございました。
それでは、この第二次答申(案)につきまして、ご意見、いかがでしょうか。
【中山委員】 1ページ目ですけれども、1ページ目のタイトルの下の4行目以後ですが、中間答申において騒音規制手法の見直しが今後の課題とされたから、検討したと書いてあるのですが、騒音の規制手法というのは今回検討したもの以外にも多分あると思うんですが、この二輪自動車と原動機付自転車の加速走行騒音試験、それから四輪車のタイヤ騒音規制、この二つについて検討を行った理由をちょっと付記されたほうが、よりわかりやすいような気がいたしますけど。
【橘部会長】 今日ご提案があった内容に限定といいますか、それに触れた理由ということですね。
【中山委員】 そうですね。騒音規制手法はいっぱいあると思うんですけども、そこになぜ注目されたのかというのをちょっとだけ書くと、わかりやすいかというふうに思いますが。
【西本環境管理技術室長】 ご指摘のとおり、この2点を先んじて検討した点については、若干理由がございまして、先ほどのご説明の中にもございますとおり、国際基準の検討が、この点が先んじていたこともございまして、なるべくできるものからやっていこうということがあって、この2点を先に検討したということでございます。したがって、そういった趣旨をここに記入するということは可能かと思います。したがって、例えば、委員会において、特に国際基準での検討が進んでいる二輪自動車、あるいは原動機付自転車の加速走行騒音低減対策及び云々というか、そういった一部文言を加えさせていただきたいと思います。
【橘部会長】 ほかにいかがでしょうか。
小林委員、どうぞ。
【小林委員】 今、私がちょっと申し上げたところについては、答申の案文の中にあまりそういう具体的なことが書いていないので、別にとやかく言うことはないとは思うのですが、ただ、1点だけちょっと気になったのは、答申文書の中で、決めること、もう答申として今後事務的に進めていくことがずっと書いてあるのですが、今、私が申し上げたところは、いわゆるタイヤの騒音の提供時期等については、ここは資料の中では検討事項になっていたんですよね。それが、区別の仕方の問題ですけど、ここのところに決めることがずっと書いてある中で、ここのところだけが「検討する」になっているのですが、この検討について、これは改めてこの部会にかけて検討されるのか、それとも、もう事務的に処理していかれるのか、その辺がちょっと不明確なんですね。その辺がちょっと気になるのが1点。
それからもう一つは、今、資料の中でスライドの24のところにタイヤ騒音ラベリングの検討というのがあるのですが、これは答申書の中に書いていないですよね。これは表現自身が、検討する方が適当であるという表現なので、答申の中から抜かれたのか、それともこれは脱落しているのか、そこだけちょっと確認したいのですが。
【西本環境管理技術室長】 今のご質問に対してですが、こちらに、この答申の中に書かれている「検討する」という事項は、基本的にはまた専門委員会で検討し、また次の答申で扱うという意味合いで書いてございます。したがって、逆に、ラベリングの検討はまた別の場でという意識がございまして、ここでは表現していない。ただ、もちろん専門委員会報告では書かれているという、そういった区別をしてございます。
【橘部会長】 これは先ほどの委員会の報告のほうでありましたけれども、例えば四輪の加速走行騒音、これはまだ、現在、世界的にいろいろ検討されていると。そういうのが、日本ももちろん入ってやっているわけですけれども、そういうのが進んでくれば、また専門委員会で検討し、またこの騒音振動部会に上ってきて最終的な答申という形になるのだろうと私は思っておりますけれども、例えばの話ですけど。そういう意味で「検討する」という表現になっているのだと。
【西本環境管理技術室長】 はい。こちらに「検討する」というものは、また次なり、この答申の中で扱うという意味で書かせていただいているものでございます。
【橘部会長】 鳥越委員、どうぞ。
【鳥越委員】 答申のまとめ方については、不案内なので、これからお話しすることがうまく関係するかどうかはわかりません。が、前文の最初の文章のパラグラフの2番目の最後のところ、今回の答申案、基準値をどうするかという変更についての背景とか意義的なところが、国際基準への調和及び我が国の自動車関連産業の競争力強化への考慮ということだけになっています。事実そういうことだったのでしょうが、結果としてそれが我が国の音環境全体の改善につながるわけです。が、先ほどのご説明の最初のほうで、二輪車の産業が、今、国内では非常に売り上げが減少している一方で、地域別ではアジアが94%と。そして、基準値としては欧州のものに合わせていく。そのことが日本の音環境改善にとっても非常にいいという話ですよね。でも、もっと言えば、今回の騒音低減対策はアジア諸国の音環境全体の改善に対しても、非常に寄与するわけですね。ですから、欧州を中心としたグローバリゼーションに合わせていくことが、我が国の競争力強化につながるという面だけを取り上げるより、今回やろうとしていることがもっとアジアを視座に入れた広域の音環境の改善にもつながるという、本当の意義をうまく盛り込めると非常にいいと思っているのですが。果たしてそれがどういうふうに盛り込まれるかどうかについては、テクニカルなことかもしれないので、具体案までは言えないんですけれど、その辺りのところもご検討いただいて、何らかの形で生かせていただけたらと考えました。
【西本環境管理技術室長】 ご意見ありがとうございます。ご指摘のとおり、この国際基準調和というのは、国内産業だけでなくて、おっしゃるとおり、現在、アジア各国もこの国際基準を採用していく動きがございますので、そういう意味では、国際基準の策定に関わるということは、その関わっている国の中だけではなくて、さらにはその外にも効果が広がっているというのは全くご指摘のとおりだと思います。そういう意味で、積極的に参画をしてきておりますし、今後もどんどん貢献をしていかなければならないのかなと思っております。一方で、この答申については、この中環審のこのあり方というのが、タスクとしては国内環境の改善というのが中心ということで、まずは国内を中心の表現として書かせていただいておりまして、表現としてはこの辺りなのかなというふうには考えておりますけれども、ただ、ご指摘のとおり、この活動自体は国内だけにとどまらない。
【鳥越委員】 とてももったいないですよね。この委員会としてはこうしか書けないのであればそれはわかりますが、実際にアジア地域の環境に影響を非常に与えていくわけですから、何かならないかなと思った次第です。
【橘部会長】 今のお話で「我が国の騒音環境」というところを、例えば「我が国の」ではなく「世界の」なんて書いても、ちょっとかえってむなしいような気もするんですけれども。
【西本環境管理技術室長】 ご指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、結果的にはアジアへの貢献というのは相当できているのではないかと思っておりますので、その趣旨は議事録に残させていただきたいと思うんですが、中環審のタスクという観点からしますと、この表現がよろしいのかなと考えます。すみません。よろしくお願いしたいと思います。
【橘部会長】 よろしいですか。
それでは、ほかにご意見、いかがでしょうか。
桑野委員、お願いします。
【桑野委員】 先ほどお聞きすべきだったのかもしれないのですけれども、今の1ページ目の一番下のところで、欧州経済委員会ということですが、アメリカとか、そのほかの国はどんな様子なのか、なぜヨーロッパの基準に従うのかという、その辺のところを教えていただきたいんですが。
【西本環境管理技術室長】 こちらは国連欧州経済委員会のもとに立てているということで、こういう表現になってございますが、実際の審議自体は、全世界各国から参加者を得て審議をしておりまして、特にヨーロッパの基準を導入するというものではなくて、むしろ日本、ヨーロッパ各国、それからアメリカも入って、そのすべての国々が参加をして新しい基準をつくり上げている、あるいは強化をしているというのが実態でございます。ただ、この欧州経済委員会にあるというのは、これは歴史的な経緯といいますか、この大もとの基準調和の動きというのは、発祥としてはヨーロッパ、特に陸続きで車が行き来する。したがって、その基準が国ごとに違うと、直接的に不都合があるということで、あちらの世界から始まっているということで、そういった歴史的背景がございますが、現状は、今申し上げたように各国が一緒になってつくり上げているというもので、どこかのものを輸入してきたというものではございません。
【橘部会長】 先ほど測定法でISO362なんていうのが出ていましたけれども、私も詳しくは知りませんけど、ISOのほうでも自動車のいろいろな騒音の測定方法を決めていますよね。それと連携しながらやっているわけでしょう。
【西本環境管理技術室長】 この国連のWP29の場でも、ISOの場と深く連携をしておりまして、試験法等は特に、この場合はまさにそうですが、そちらで作成されたものを採用していると、そういった動きをしてございます。
【橘部会長】 ほかにいかがでしょうか。
それでは、最終的には私もまた文章をもう1回見直しますけれども、あとはお任せいただけますでしょうか。
(了承)
【橘部会長】 それでは、ご了承いただいたということで、この件につきましては、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、議題(2)のその他の報告事項としまして、資料4、風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討結果の暫定的取りまとめについて、資料5、騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)について及び資料6、第四次環境基本計画について(概要)とありますけれども、これにつきまして事務局から報告願います。
その前に、私、大事なことを言うのを、このせりふの中に書かれているんですけど、忘れちゃいました。今の第二次答申の案をここでご審議いただきましたけれども、これを中央環境審議会、鈴木会長にご報告の上、第二次答申として環境省において公表いたしますということになっておりますので、よろしくお願いします。
それでは、後先になってしまいましたけれども、事務局、ご説明をよろしくお願いします。
【粕谷総務課長】 水・大気環境局総務課長を拝命しております粕谷でございます。環境省のほうで放射性物質の汚染対策ということに取り組んでいる関係で、非常に人繰りが苦しくなってございまして、騒音振動を担当してございます大気生活環境室長が、今、福島のほうに行っておりまして、私、事務取扱ということでそちらもやらせていただいてございます。私自身、つい先日まで福島にずっとおりまして、本来、今日、全部ご説明したかったんですが、少し勉強不足でございまして、担当補佐のほうから、資料4、5、6についてご説明をさせていただきたいと思います。
この中にもございますように、風力の問題のように新しい対策分野、それから、騒音ラベリング制度という新しい手法ということで、騒音振動の分野につきましても、いろいろまだまだ今後取り組むべき課題、あるいは取り組むべき手法、先生方のご指導をいただかなければいけない分野もございますので、報告させていただきまして、またいろいろご意見を賜ればありがたいと思ってございます。
それでは、担当補佐のほうから説明をいたします。
【中西大気生活環境室長補佐】 大気生活環境室の中西と申します。よろしくお願いします。
それでは、報告させていただきます。報告事項ということで、現在の状況につきまして、2点報告をさせていただきます。
初めに、資料4の風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討結果の暫定的取りまとめにつきまして、説明をさせていただきます。
まず、題名で「暫定的」としております理由につきまして、背景から説明いたします。
一つ、風力発電施設からの騒音・低周波音につきましては、近年設置数が増加しているんですけれども、これまでありますような騒音発生施設と違いまして、羽根の回転の風切り音とか、それからモーター音とか、それからまた、風向、風速によってレベル変動が大きくあります。それから、非常に高い位置に発生源があることや、日本特有だと思うんですけど、山間部とか非常に山の中に設置されておりまして、地形の影響を非常に受けるということで、音の発生とか伝播の状況がまだよくわかっていないという現状があります。そこで、環境省では平成20年度から情報収集を始めまして、その風車の構造とか設置場所の特性を踏まえたさまざまな検討をこれまで行ってきております。これは資料4の下のほうに図があるんですけども、オレンジの枠と灰色の枠のところがそういった検討を行ってきた部分になります。
それともう一つ、風力発電施設からの騒音とか低周波音が周辺の住民の方の健康に影響を及ぼしているのではないかという指摘があるのですが、これもまだ因果関係等が明らかになっておりません。ということで、環境省では平成22年度から24年度までの3年間の計画で、風力発電等による低周波音の人への影響評価に関する研究を実施しております。これは実際に風車の現地へ行きまして、実測の調査、それからその周辺の住民の方の社会反応調査、聞き取り・アンケート調査です。そういったことや、実験室での聴感実験、実際に実験室で音を出して、どういう反応があるかという聴感実験などを行っております。これが図でいいますと、一番下の青の枠のところになります。
こういったことで調査・研究がまだ進行中なわけですが、今回、環境影響評価法の改正がありまして、風力発電施設が対象事業として追加されました。今年10月から実際に施行されることになっています。電力事業者の行うアセスの手法、騒音・低周波音を含めました調査、予測、評価の手法は、法律上は経済産業省が主務省令、それから、アセスの手引書という形でその事業に当たって示すことになるんですが、これがこの図でいいますと点線で枠になっています緑の部分ですが、環境省でも、これまで風車の騒音・低周波音につきましては、いろいろな検討を行ってきていますので、現在の検討の状況を暫定的にでも取りまとめて、それを経済産業省に提供しようということで、今回の暫定の取りまとめということにしております。それがこの図の太枠の黄色のところですが、そこから青の矢印で点線の緑の経済産業省のほうに矢印が伸びております。今回、暫定的に取りまとめました調査、予測、評価の手法ですけれども、水色の枠の「人への影響評価に関する研究」が今年度いっぱいで終了予定です。その結果が今年度末ごろには取りまとまりますので、さらにその結果を反映させた形で検討を加えまして、平成25年度を目標に最終的な取りまとめを作成する予定にしております。それが一番右側の黄色の枠になります。
資料裏をめくっていただきまして、今回の暫定的な取りまとめの概要ですが、この取りまとめは環境省の請負事業ということで、公益社団法人日本騒音制御工学会に作業をお願いして行っていただきました。お手元に青の冊子が配付資料でありますけれども、これがその報告書です。書かれている内容が、そのまま暫定取りまとめの内容ということになります。
この取りまとめに当たりましては、今回の部会長であられます橘先生、それから塩田先生を初め、学識経験者の先生方が委員となって検討会が設置されまして、昨年度4回にわたって検討会が開催されました。今回は10月にアセス法の風車のアセスが施行になるということで、このアセスを行うための手法について取りまとめています。法律上は、先ほども申し上げましたけれども、経済産業省が主務省令を定めて、その解説書ということで経済産業省の手引書が作成されるということになるのですが、そういうことで、その際の参考資料という位置づけにはなるのですけれども、実質的にはこの報告書は十分尊重されるものと思っております。
内容ですが、ちょっと分厚いですので、目次のほうでご説明したいと思いますが、1ページ目のページ番号が入っているところのその一つ前のページが目次になります。その目次とあわせて見ていただけたらと思います。
まず、第1章のところで、風力発電施設の騒音・低周波音問題のこれまでの経過と、今後のアセスが行われる際の特に留意すべき事項ということで記載がされております。この特に留意すべき事項というところは、これまでの風車のアセス事例を調べる中で、例えば、環境基準が不適切に用いられている事例が見られることや、それから、「低周波音」という用語ですけども、この音の対象となる周波数の範囲に関しまして、環境省がこれまでに「低周波音」と用いてきた意味合いと国際的な定義がちょっと異なっているというのが、問題点とか今後の検討課題ということで指摘をされております。
それから、第2章ですが、海外の文献とか最新の研究結果ということで、最新の知見について収集をしまして、その内容を紹介しております。
それから、第3章ですが、これまでに国内で行われた風車のアセス事例を紹介しまして、実際に行われた調査、予測、評価の手法、実態を整理して、課題を抽出、その対応方法について検討を行っています。
それから、第4章では、海外で行われた風車のアセスの事例につきまして、参考となる事項をまとめております。
今回の暫定取りまとめの中心になる部分は、その次の第5章の部分になりますが、第4章までの部分の検討を踏まえまして、風力発電施設からの騒音・低周波音の調査、予測、評価を行うための各手法について、現時点のこれが最適だろうという考えられる手法とか、そういった手法はまだはっきりないというものは複数の手法を挙げまして、それぞれ長所、短所、コメントを記載をしております。
まず、調査の手法につきまして、調査すべき内容ということで、一つは、風力発電設備の音響パワーレベル、風車からどれだけの音が出るのかという音源特性、それから、二つ目が計画地周辺の地形とか風向、風速の状況、こういった伝播の特性、それから、三つ目が、民家周辺の地域の実際の騒音の状況といった受音点の情報について調査をしてくださいと書いております。その調査の仕方はどういった方法がいいのか、測定の機器はどういった機器がいいのかということでまとめております。
それから、予測の手法ですが、これまでのアセスの事例では、特に海外の事例で使われているんですが、ISOによって規格されている手法とか、それから、国内の事例で見られるようなNEDOで作成された手法などがありますが、いずれの手法でも、現時点では人の聴覚の反応などについて知見が十分でありませんので、予測結果は非常に不確実な部分が多くなります。そこで、施設が稼働を始めてからの事後調査が非常に重要になってきますので、必要に応じて事後調査を実施して、その結果でもって適切な対策を検討する必要があるということで書かれております。
それから、三つ目が評価の手法ですが、環境影響評価法の評価の考え方は、環境影響の回避・低減と、基準または目標との整合と、二つありまして、現時点で風力発電施設につきましては、基準とか目標値が設定されておりませんので、影響の回避・低減の措置が事業者によって十分行われることが求められます。十分に影響を下げてお願いしますということで書いております。具体的には、風車の事業の実施区域、風車の位置、レイアウトの変更といった立地とか配置に係る検討、それから、機種とか基数とかいった規模とか構造に関する検討、それから、三つ目がメンテナンス、周辺の緑化とかいった施設の整備とか植栽に係る検討、それから、実際に施設ができた後のモニタリングとか、管理・運営に係る検討を行ってくださいということで書いています。
それから、第6章では、現在は設定されていないんですけども、今後、環境省で引き続き検討を行っていきます風車の騒音等についての評価手法の考え方について、例えば、その手法としてはこういう要件が必要とか、設定方法としてはこういう方法とか、幾つかの方法があるんですけれども、今後の環境省の検討に参考になるような事項がまとめられています。
それから、最後の第7章では、そのほかの検討に必要な課題ということで幅広く記載がされております。
概要紙の三つ目の今後の検討課題でも書いておりますけれども、今回、暫定的に取りまとめました調査、予測、評価の手法につきましては、今後もさらに検討を進めてまいります。そこで最終的には風力発電のアセスの環境影響評価に適用できる手法の確立を目指していきたいと考えております。
今回のこの報告書本体は環境省のホームページ、騒音のコーナーで本日から掲載をしております。この本が今回の暫定の取りまとめ書でありますという旨の注釈もこの中に入れて、わかりやすいようにしておきたいと思っております。
以上、資料4の風力発電施設の騒音・低周波音の検討結果の暫定の取りまとめにつきまして、説明をいたしました。
続きまして、資料5の騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)につきまして、ご説明をいたします。
この騒音ラベリング制度ですが、資料5の概要の紙の表側のところに図がありますが、まずこれは業界団体等が主体となって行ってほしいという、自主的な取組という位置づけでありますが、工場とか事業場等で使用されているような機器から発生する騒音の情報をその機器にラベルを貼りつけたりとか、その情報をカタログに記載したりして、いろいろな形でユーザーの方に開示をするということを通して低騒音化された機械の普及を誘導して、この図のようなサイクルの中で低騒音化社会の実現を目指していくという仕組み、制度であります。
この制度ですが、概要の1番の経緯のところにあるんですけども、中央環境審議会に諮問をしておりました騒音規制法の規制対象施設のあり方について、その第二次答申を受けて検討を行ってきたものであります。その第二次答申は2ページ目以降に添付しておりますが、こういった内容で答申を受けて検討を開始しております。
その答申では、「今後の工場・事業場の騒音対策の推進に当たっては、従前からの規制的手法とともに、情報的手法としての「騒音ラベリング制度」、自主的取組手法である「各種ガイドライン」等の規制以外の手法について検討することが適当である」との答申を受けて、これまで検討を行ってきております。平成21年度から23年度にかけまして環境省の中で検討を行ってまいりました。本日も部会の委員であられる岩瀬先生、新美先生、山本先生、ほかご専門の先生方が委員となる検討会が設置されまして、機器設置・管理のガイドラインの併用、こういったものを含む効果的な騒音ラベリングの制度につきまして検討が行われてきました。今回作成しましたこのマニュアル(案)ですが、今後、いろいろな業界団体にこういったマニュアル(案)ができましたということで周知をしていくわけですが、それで制度導入を働きかけていきたいということなんですけども、自主的な取組とはいいながら、環境省としてはこういう考え方でこういう制度をつくってほしいという希望の形がありますので、マニュアル(案)はそういった、環境省としてはこういう形でつくっていただきたいという内容としております。
それから、マニュアル(案)と「(案)」をつけているんですが、これは、環境省としては、これからボイラー等の業界団体のほうに制度の導入に向けて具体的な制度設計、検討を求めていくんですけれども、そうした実際の検討の過程とか取組を通して、マニュアルにはこういうことを盛り込んでおいたほうがいいんじゃないかとか、ここはこういうふうにしたほうがわかりやすいんじゃないかとかいうご意見も恐らく出てくると思いますので、そういったご意見も取り入れながらこの内容をさらに深めていきまして、その後にこの「(案)」を取りまして、正式なマニュアルとしたほうがよいのではないかということで「(案)」をつけております。
裏をめくっていただきましたらもう一つ図があるんですけども、これも平成21年の第二次答申の中で書かれておるんですが、騒音対策全体の中でこのラベリング制度がどのような位置づけにあるかということで、今後、そのラベリング制度が普及していけば、将来的にはそのラベリングの効果を踏まえて、今の規制的な手法と、ラベリング制度との比較を行いまして、施設ごとにその対応のあり方を検討する必要があるということで答申の中に書かれております。ということで、現在、例えば、未規制の施設で騒音ラベリング制度を導入して、しかし、それでもあまり効果が見られない場合は、その後、規制的な手法ということで特定施設に追加することも検討する。また逆に、特定施設であって、このラベリング制度を導入した結果、十分な効果が確認できたという場合は、特定施設から除外するということも検討するということになります。
ということで、今回作成しましたマニュアル(案)の内容ですが、答申にありましたボイラーとか冷凍機の機器に限定せずに、騒音発生源となる機械に関するそれぞれの業界団体に対して、制度の導入とか実施の取組を促進するための普遍的な内容ということでしております。主な内容としましては、一つが、そういったような制度の目的とか導入の意義、2番目に騒音ラベルの作成手順です。そのラベリングを行うには、まず機器の騒音測定が必要ですので、その方法を決めて実際に測定をするという手順です。続いて、提供する騒音情報の内容の決定、これは騒音の測定値とか、管理・メンテナンスに必要な情報というのが基本になるんですけども、そのほかにも測定の方法とか、測定の条件とか、そういったことになります。それから、情報を提供する媒体、シールとかカタログとか、表示様式の決定という手順になります。いずれにしましても、同じ業界の中でメーカーによって提供される情報とか表示される方法が違っていますと、非常にユーザーのほうも情報を使いにくくなりますので、業界内で方法を統一してくださいということで書いております。それから、三つ目が機械の使用管理・メンテナンスのガイドラインの考え方ということで、騒音ラベルというのは主に機械を販売するときの情報提供になるわけですけど、それだけではなくて、機械がきちんと設置され、使用されて、管理・メンテナンスされていなかったら、調子が悪くなって騒音が発生するという可能性がありますので、きちんと使用、管理をしてくださいということで、業界とかメーカーにはガイドラインという形でそういった情報も提供してくださいということを書いております。
最後に、今後の取組ですが、今回、環境省が業界に導入していただきたい制度の形ということでマニュアル(案)をつくりましたので、今年度はまずボイラーとか、この答申で機器や名前が出ていました業界の団体に具体的な検討を求めていきたいと思っております。それから、そのほかの業界団体に対しましても、マニュアルを周知していきたいと思っております。
それから、このラベリング制度は、業界団体から提供された情報がユーザーのほうでもしっかり活用されないと、この制度自体きちんと機能していきませんので、業界に働きかけをする一方で、ユーザー側でもきちんと情報が活用されるような、そして、そのユーザー側の情報がさらにメーカーのほうにフィードバックされる流れがうまくできるような取組についても、今後、検討をしていきたいと考えております。このマニュアル(案)ですが、こちらも環境省のホームページの騒音のコーナーに掲載をすることにしておりまして、これは現在手続中で、今月24日に掲載される予定になっております。
以上、資料5の騒音ラベリング制度導入マニュアル(案)につきまして、ご説明をさせていただきました。
【大武総務課長補佐】 総務課課長補佐の大武でございます。私のほうからは、お手元に配布されております「環境基本計画」について、ご説明させていただきます。
現行の第三次環境基本計画、平成18年4月に閣議決定されましたが、その策定から5年が経過していること等から、第四次環境基本計画の策定に向けて、昨年3月から中央環境審議会総合政策部会において検討が行われてきたところです。昨年8月には、総合政策部会におきまして、「第四次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた中間取りまとめ)」が取りまとめ、公表されましたが、その中で、第四次計画においては9つの重点分野を設定し、それぞれの重点分野ごとに、関連する他の部会等の協力を得て検討を行うこととされました。この9つの重点分野の1つとしまして、「大気環境保全に関する取組」が位置づけられ、この中で騒音振動対策についても取り上げることとされたところでございます。
この重点分野「大気環境保全に関する取組」の検討に当たりましては、第三次計画の策定の際の例に倣いまして、検討チームを設置することとしたところでございます。検討チームにおきましては、総合政策部会の小澤委員を座長としまして、騒音振動部会の橘部会長、大気環境部会の坂本部会長、大気環境部会自動車排出ガス総合対策小委員会の大聖委員長などにもご参画いただきまして、昨年10月6日から12月6日までの3回にわたりましてご審議いただきまして、報告書を取りまとめ、昨年12月14日の総合政策部会においてご報告いただいたところでございます。その報告の後、重点分野を含めました環境基本計画全体につきまして、総合政策部会での数回のご審議や各省協議、パブリックコメントなどを経た上で、昨日の総合政策部会におきまして「環境基本計画について(答申)」が了承されまして、同日、環境大臣に答申されたところでございます。この後、来週にも最終的に閣議決定される予定ということになっております。
橘部会長にもご参画いただいて検討いたしました重点分野「大気環境保全に関する取組」は、お手元の資料の第2部第1章第8節、具体的には、附せんを貼っておりますが、105ページから112ページまでに記載されております。騒音振動対策を含めまして、取組状況と課題、中長期的な目標、施策の基本的方向等について記載されておりますので、後ほどご覧いただければ幸いに存じます。
また、これとは別に、環境保全施策を体系的に整理し、全体像を示すという位置づけの第2部第4章「環境保全施策の体系」の中においても、騒音振動対策を含めました大気環境保全に関する取組につきまして、重点分野では書き切れなかった部分も含めまして、網羅的かつ体系的に記載されております。こちらについてもあわせてご紹介させていただきます。具体的には、こちらも附せんがありますが、資料の138ページから141ページにありますので、こちらも後ほどご覧いただければ幸いに存じます。
簡単ではございますが、以上にて説明を終わらせていただきます。
【橘部会長】 ありがとうございました。
大きく分けて三つの内容のご報告がありましたけれども、どれからでも結構ですが、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。
どうぞ。
【三浦委員】 ありがとうございます。風力発電施設の騒音について、2点申し上げさせていただきたいと思います。
まず一つは、各地方公共団体がそれぞれにガイドラインを現在設けて、運用しているという状況の中で、環境省がこれを調査・研究して出たその結果というものは、最低規制というもので、各自治体は上乗せをして条例化を図っていただこうとしているのか、あるいは全国一律に規制をかけていくのかが1点でございます。
もう一つは、この報告書の体裁ですが、多くの海外の研究論文、あるいは知見を網羅的にまとめてくださっているので、最後にはきちんとその参考資料としてのリファレンス一覧をつけておくべきではないかと思いましたので、この報告書の追加として作業を進めていただければと思います。
以上、2点でございます。
【橘部会長】 第1点は生活室のほうから。
【中西大気生活環境室長補佐】 各自治体のほうでガイドライン等を作成しているところがあるんですけども、今回、取りまとめましたこの報告書は、今まで環境省で検討してきた結果の現時点での取りまとめということですので、例えば、今のこの最新の知見をもとにガイドラインを見直すという考え方もあるかもわからないですし、風力のアセス法が追加になったということで、条例を見直すというところもあるかもわかりませんけれども、今回のこれは、今まで検討してきた情報をまとめましたということで、そういった報告書の位置づけになります。
【三浦委員】 ただ、今後、これをどのように使えばいいのかということをきちんと自治体のほうに知らせていく必要があるということと、環境省が、今後、風力発電の騒音について研究を重ねていく、検討を継続していく中では、何を目標にしていらっしゃるのかを伺いたいと思ったので、発言させていただきました。
【鷺坂水・大気環境局長】 風力発電につきましては、過去、環境影響ということの考慮があまりされなかったのではないかというようなことで、数年前、いろいろなところでいろいろな苦情が発生したという経緯がございます。ただ、一方、これから再生可能エネルギーということで、風力発電につきましても進めていかなきゃいけないということで、2年前の、法改正に直ではございませんけれども、政令改正で環境影響評価を、今年の10月から一応施行になるわけでございますけれども、環境影響評価をきちっとやって、そういった風力発電による環境影響ができるだけ低減する、あるいはないようにするような形で推進していくことが大切であるというふうに考えております。
それで、私どもといたしましては、基本的にまだ風力発電からの騒音と、例えば、いろいろな苦情はあるんですけれども、実際に健康影響とかは本当にどうなのだろうかというようなところがまだ明らかになっていない部分がございますので、今、現時点ではこういった研究を進めているということでございます。さはさりながら、一方では、今年の10月から環境影響評価の対象になりますので、その評価手法の一つの指針になればいいということで今回報告書を出させていただいておりまして、これはまだ中間報告でございますので、まだ途中段階でございますけれども、さらに調査を深めまして、よりよい環境影響評価とか、そういったような手法の提供ができればと考えているところでございます。
【三浦委員】 ありがとうございました。新エネルギーについて検討されている自治体が以前に増して増えてきていますので、環境省が今後研究、検討される内容の取扱い方、あるいは風力発電騒音に関する政策について、きちんと地方自治体に通達していかないと、戸惑われるところが出てくると思ったので、発言させていただいております。
【鷺坂水・大気環境局長】 ご指摘のとおりでございますので、その点につきましては、我々の調査内容等をきっちり自治体のほうにも伝えていきたいと考えております。
【橘部会長】 報告書の表現の、確かにご指摘のとおりだと私も思います。この議論については、まだこれは確定していませんけれども、まだこれは、内容を読んでいただければおわかりになるように、まだまだこれは非常に難しいものをたくさん含んでいまして、結論めいたものはまだはっきり言えないという段階で、恐らくですけども、今年もこれを継続してもっとさらにまとめていかなきゃいけない作業が出ると思いますので、その段階で今のご指摘を学会のほうにも伝えたいと思います。
どうぞ。
【礒野委員】 2点で、今の点と、それから、騒音ラベリングのことについて伺いたい。一つは、この風力発電の低周波音の問題はなかなかうまく結論が出ないので、こういうときこそ事後評価の重要性というのを相当強調されておくべきだと私は思っているので、その点、よろしくお願いいたします。さらっと流すのではなくて、相当ここに重点を置くということをお願いしたいということです。
それからもう一つは、騒音ラベリングなのですが、冷凍機とか、私はちょっとよく存じ上げないので、わからないのですが、ボイラーですとか、輸入製品等が結構多いのではないだろうかと勝手に想像しています。そうでなければいいのですけど、もしそうであるとすると、輸入製品との関係はどうなっているのでしょうかということを伺わせていただきたい。将来ともこういういろいろなものに輸入製品が増えてくるのではないかと思われますので、その業界との関連をどのようにつけられているのかということを伺いたかったという、2番目のほうは質問ということです。
【中西大気生活環境室長補佐】 輸入製品、これはもちろん統一して情報が提供されれば一番いいんですけど、そういうことは難しいかもわかりません。ただ、これは業界としての取組として、そういう問題もあるかもわからないですけど、業界の中でできる範囲でまずは取組を始めていただきたいということで、これが定着してくれば、その辺の課題もいずれは解決できるのかなということでは思っていますけど、まずはできる範囲で行っていただきたいということでお願いしていきたいと思っています。
【橘部会長】 ご存じだと思いますけど、EUなんかではEU独自のラベリングが非常に進んでいまして、かつ、それで輸入品に対してもそれを押しつけ――押しつけるというのはおかしいけど、それを満たしていなければ輸入しないということで、ある意味では貿易摩擦にもなりかねないことにもなっていますけど、日本はそこまでまだラベリングをこれから始めようという、だけど、これも非常に大事なポイントだと思うので、私自身も環境省にぜひ力を入れて進めていただきたいと思っているところです。
鹿島委員、どうぞ。
【鹿島委員】 私も2点付加させていただきたいと思います。
第1点目は、風力発電に関して、ここでやっぱり先ほどほかの委員の方からもご指摘がありましたように、ぜひ文献はきちんとしてくださいということを申し上げたいと思います。どういうのをレビューされたかというのは非常に貴重じゃないかと。それはどうしてかといったらば、私の観点からいうと、やっぱり騒音のアノイアンスか健康被害かというのは結構世界中で議論になっている。一部の方たちはもう健康被害まで認めている。このレベルでどうかということは別ですけども、いろいろな議論があるので、公平に、中立的な立場でやるという意味で、ぜひ文献を入れていただけたらということを申し上げたいと思います。
2点目が、ちょっとよく理解をしていなくて申し上げて申し訳ないんですけども、最初のご報告にも、今日、答申を出されたほうで、中身についてのことではありませんが、規制と、それから自主的なものというのは、これをどうも比較されたというのがラベリングのような――私はどうも二つは補完関係にあるんじゃないかという気もしないでもないんですが、何かさっきのお話ですと、これのどちらか有効なほうを入れるんだなというようなふうに聞いたもので、もしそういう比較をなさるんだったら、比較の仕方というのは結構難しいかなというふうに思います。特に規制分析については、一定の世界的な理解がありますので、どういう主体にどういうふうな影響があるのかというようなことをきちんと書かないといけないというふうなことになっております。そういうものと自主的なものとをどうやって比較するのかというのは、ちょっと私には今想像がつかないんですが、そういうものをきちんとやるとなると、お考えいただかなければいけないかなというふうに思いますということでございます。
それから、これは、最後はちょっと付加的にお願いなんですが、最初の答申の中の最後の課題のところに、今後――すみません、ちゃんと申し上げると、資料2の24ページにある「タイヤ騒音低減技術の研究・開発」というところで、これもちょっとご説明とここに書かれていることが少しギャップがあって、どういうことかといいますと、産学官で情報を共有する場をおつくりになるというふうに室長さんのほうからご説明いただいたんですが、ぜひそれを具体的に積極的に進めていただきたいという。意外と、私自身は交通関係の者ですけども、タイヤと自動車屋さんは議論をするんですけども、交通制御ですとか、あるいは道路のほうとはあまり疎遠なもので、ぜひそういう場をつくっていただいて、具体的につくっていただいて、議論ができるようにしていただければというふうに思います。
以上でございます。
【橘部会長】 どれからお答えすればいいかな。文献については、先ほどと同じようなことで努力させていただきます。ただ、私も多少関係していましたので、印象というのはおかしいんですけど、風力発電のいわゆる風車の騒音というのは非常に難しくて、国際会議もできて、毎年やっていますけれども、なかなかまだ議論が集約されていない。それから、いわゆる行政的な施策としても、各国いろいろやっていますけれども、まだ世界標準のようなものがない。そういう背景で日本もアセスメントを始めていかなきゃいけないということで、もちろん「百年河清をまつ」のようなことをやっていちゃいけないんですけれども、それにしても今は非常に悩み多い時期ということで、難しい。だけど、何とか制度化していかなきゃいけない。
【中西大気生活環境室長補佐】 文献なんですけど、ちょっとこれで十分かどうかは分かりませんが、報告書の後ろじゃなくて前のほうのページを幾つかめくっていただきますと、参考資料ということで一覧をつけておりますので、一応、この検討に当たって参考にした資料はこれこれですということでつけております。
【鹿島委員】 可能でしたらば、レビューされたものをすべて、ここで引用されたり何かしたものではなくて、見たんだけども載せていないというのも含めて、要するに、チェックされたやつを全部リストされないと、どれだけ中立的にやられたのかというのが、なかなか第三者的には判断ができないというふうなことになると思うんです。
【中西大気生活環境室長補佐】 わかりました。
【橘部会長】 新美委員、どうぞ。
【新美委員】 風力発電の点について、2点ほどコメントしたいと思います。
先ほど岩瀬先生からありましたように、アノイアンスか健康被害かという議論は確かに世界中にありますが、何をもって健康被害というのかという定義自体が医学の中で了解されていないというところもあります。特にエモーショナル・ディストレスとかナーバス・ショックの点については、さまざまなレベルでの議論がありますので、環境影響評価をする場合には、こういう対象をどう把握するのかということをきちんと決めておかないと、議論に行き違いが生ずる懸念がありますので、どういう定義を用いて、どうそれを把握・評価するのかということをまず明確にする作業も必要だろうというふうに思います。
それからもう一つは、この夏、諸外国の風力発電をざっと見てきて、特にカナダ、イギリス、アメリカを見てきた限りの所感です。これらの国々ではゾーニングがでしっかりしていて、風力発電所が多く立地されているところは、ほとんど居住地域にはなっていない。居住地域に立っている風力発電所というのは、ほとんど単発で、しかも、今はあまり動いていないという実態を見てきました。発生源の問題だけではなくて、伝播経路とか受音側というのはどうなっているのか、そのためにゾーニングをどうしていくのかということがかなり真剣に議論されています。環境政策としてこれをどう進めていくべきか、その前提としてのアセスメントをどうするかというときも、少し発生源の問題と同時に、どういう環境あるいは状況の中で立地するのかということも少し比較分析をしていく必要があると思います。2点、コメントさせていただきました。
【橘部会長】 今のお話で、私もそういう調査を日本の全国各地でしているところです。風力発電施設の周辺をうろうろ真夜中歩いたり、測定したりしてまいりましたけれども、やはりご存じのように、風車があるところは本来きわめて静かな場所なんですね。それで、夜中なんかはすーっと本当に信じられないぐらい静かになってしまうところでしゅわしゅわと、これが一晩中鳴っているわけです。レベルは決して耳をつんざくような音ではなくて、車が来たら聞こえなってしまう程度です。夏場の測定では、セミが鳴き始めると全くわからない、そのぐらいのレベルなんですね。だけども、本来静かになるべきときに静かにならない。こうなると、アノイアンスという言葉で一言で片づけていいのかどうかわかりませんが、それが昂ずれば健康影響にもなりえると思います。今、学会なんかでも議論がされていて、先ほど引用が足りないと言われましたけれども、いろいろな外国、アメリカでパネルの委員会ができて評価していますけれども、やはりエビデンスとしての健康影響というのが明らかにはなっていない。ただ、そういう今言ったような意味で、長期的には健康影響になるのではないかと思います。これはもう風力に限りませんけども、近隣騒音なんかでもそうだと思いますけれども、そういう非常に心理的、あるいは社会心理学的なといってもいいかもしれませんけども、その辺を議論しなきゃいけないと思います。ただ、行政はあまりそんなことを言っていられなくて、あるところでは木で鼻をくくったような決断をしなきゃいけないかもしれない。
それから、今、環境省からも、またよくニュースに出ていますけれども、このエネルギー危機という今度はアドバースな条件があるわけですけれども、洋上発電が話題になっています。今、ゾーニングというお話が出ましたけれども、洋上にしても、日本ではかなり遠浅の海岸というのは少ないので、やっぱり住区域に接近してしまう。だから、海の上へ持って行っちゃえばいいという問題でもなさそうだと思います。
この議論、相当時間を食うんじゃないかと心配していましたが、特段ご意見がなければ、この辺にしたいと思います。
小林委員、どうぞ。
【小林委員】 今あった風力発電のこの情報をホームページ等にアップするということで、今日掲載予定というふうに書いてあるんですが、この資料の扱い方ですね、ホームページの中で、よほどご注意をいただきたいと思います。この報告書、このままで騒音制御工学会からの報告資料として載せられるだけなのか、それとも環境省のホームページとして環境省のマニュアルというか、手引として載せられるのかによって、大分意味合いが違ってくるんですよね。その辺をちょっとよくご配慮いただきたいんです。これでいきますと、5章、6章の部分、いわゆるマニュアルに近い書き方がなされているんですが、これと各地方自治体が今までやってこられているアセスなり対応と整合性がとれていないとしたら、逆に、これで被害を受けているという方々からの申し出が出てくると思うんです。これに基づいて再調査しろというようなことが出てくる可能性が十分あると思うんですね。そういうことについて、どう扱っていくのか。それは地方自治体で判断してくださいでは、ちょっと無責任過ぎると思うので、そこのところだけ十分ご配慮いただきたいと思います。できたら、これは委託に基づいた委託報告書としてホームページに載せますだったら、まだましなんですが、環境省のホームページの中でマニュアルですというふうな書き方がされてしまうと、今度はこれに基づいてやれという話が出てまいりますので、ぜひその辺、ご配慮いただきたいと思うんです。
【中西大気生活環境室長補佐】 今回は学会からの報告書ということで掲載をすることにしていまして、アセスの手法というのは、正式には経済産業省のほうできちんと決めるということになっていますので。
【小林委員】 できたら、そういうことをちょっと上にでも断りがついていると、助かるんですね。
【中西大気生活環境室長補佐】 わかりました。
【橘部会長】 私も学会側のメンバーでしたけれども、お役所からの委託業務でやった報告書は、いつでもオープンにしなければならないと思っています。しかし、それが、即、行政的に力を持ったものになるとは我々も考えておりません。
鳥越委員、どうぞ。
【鳥越委員】 2点言おうと思ったんですが、今まさにおっしゃったことも私は気になっていて、そのことがさっきから三浦委員がおっしゃっていた公表のしかたへの注意にも関連する。ですから、時間が無いので1点目は省きます。風力発電についてのことも大変気になって、今後どういう調査になるのかということが、もう少しこのご報告の中で分かるといい。ここでまとめられているのはむしろ、評価方法の調査であって、今はまさに人への影響評価に対する研究が進行中ということなのですね。その内容についても興味があったんですが、一番言いたかったのは、新美委員もおっしゃいましたけど、結局、ここで示されているようなアノイアンスか健康被害かという辺りのところだけでは限界がある。確かに、そういう面からの調査も必要なんでしょうけれど、国土の利用の仕方とか、もっと大きな景観全体の中での音の要素としての評価みたいなトータルな視点が必要なわけです。ですから、今後の課題としてそういう方向があるというような形で調査・研究に関する一つの方向性を示すことが必要なんじゃないかと思いました。後で、国内での聞き取り調査なども多分おやりになるんでしょうが、日本の状況として、まさに部会長がおっしゃったように、日本の特殊性、つまり風力発電をまだ大規模に新エネルギーとして使っているわけではないという情況があるから、どうしてもそういうふうになるのは分かります。が、今後、風力発電を導入していくときには、諸外国でのその辺りの状況がどうなっているのかという部分の調査とうまく絡めながら、今後の持っていき方というところを、方向性を示したりというふうなまとめ方が期待されるかなというふうに思いました。意見です。
【橘部会長】 ただ、エネルギー政策をどうするかというようなところまで、我々の問題として扱うのは難しい、もちろん頭の隅には置かなきゃいけないんですけれども……。
【鳥越委員】 すみません。じゃあ、言い方が悪かったと思うんですが、エネルギー政策がどうこうではなくて、国土のもっとトータルな環境に対する影響要素としての風力発電、それが諸外国のもう既にやっている調査のいろいろな違ったパターンにおいてどうなのかということを知りたい。もし日本に導入したときに、予測されるものというような調査・研究のフレームワークがあるといいというふうに思ったということです。
【橘部会長】 やっぱりバックグラウンドがもうかなり違うと思います。ヨーロッパなんかではまさにウインド・ファームというような感じですが、日本の場合には、極端なことを言えば、風車のすぐ足元だけの地べただけが自分の土地で、あとはもう全部、被害者側、被影響側のエリアになっており、そういうのが全然違う。それから、地形はもちろん違う。ヨーロッパなんかへ行くと、地べたは平らですし、日本のような山岳地帯のところに、峰にずっと立っているというのはあまりないですよね。さっき言いました洋上もそうです。
それから、これは私もあまり詳しくないんですけれども、ヨーロッパなどではエネルギーのやりとりをネットワークでやっているような状況で、風況が悪くてもどこかが発電しているというようなことで、やっぱり利用率みたいなものが随分違う。それを日本でどうやっていくのか。それから、現地を回ってみますと、音を出しているものとその影響を受けているものが、風車というのははっきりしているわけですね。受けている側がそれによって自分たちにメリットがあるかというと、ほとんどないわけですね。こういうような社会的な意味も考えていかないと、本当はいけないんじゃないか。ヨーロッパの例で、何らかの意味でベネフィットを受けている人たちから一切苦情が出ていないという報告もある。そうだと思いますね。今日もちゃんと回っているというような感じで受け取れる状況というのもあるようで、その辺のまさに社会心理学だと思いますけれども、その辺も本当は考えなくちゃいけないと思います。
それから、健康影響なんですけれども、これを本当にちゃんと調べようと思ったら、大規模な疫学研究が必要です。それから、我々の研究グループにお医者さんが入っているのかとよく言われるんですけれども、医学系の方はもちろん入っていますけれども、お医者さんに現地へ行って診断してもらっても、全く何も出てこないと思います。そういう難しさがございます。それと並行して、その中間的なものとしては、先ほどもご紹介がありましたけれども、実験室でかなり大がかりな装置をつくって、これはあくまで耳で聞いた範囲での実験ですけれども、本当に低周波がどのくらい聞こえるかというようなことも、今、並行して進めております。これはそういう科学的な研究ですから、成果が出次第、発表していくということにしております。
【鳥越委員】 ですからその結果は、さっき申し上げたように、やっぱり注目が高いだけに影響が多いと思います。どう発表するか、どういう問題があるのかというところの公表の仕方とか、その辺りのところを重々気をつけながら、使っていただきたいというのが環境省に対する意見です。
【橘部会長】 私がしゃべり過ぎましたけれども、ほかにご意見ございませんか。
(なし)
【橘部会長】 それでは、ないようでしたら、今日の第8回の中央環境審議会の騒音振動部会、以上までとさせていただきます。どうもありがとうございました。
あとは事務局へマイクをお返しします。
【西本環境管理技術室長】 橘部会長、ありがとうございました。
それでは、最後に、鷺坂水・大気環境局長より、ごあいさつ申し上げます。
【鷺坂水・大気環境局長】 本日は、皆様、大変お忙しい中、ご出席を賜り、厚くお礼を申し上げます。あわせて、また、先生方には、本当に日ごろよりこの騒音振動関係、環境行政に対してご指導、ご鞭撻を賜っておりますことを、この場をおかりして感謝申し上げたいと思います。
今回、この第8回の騒音振動部会におきまして、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方につきまして、第二次答申を取りまとめていただきました。このことにつきまして、深く感謝申し上げたいと思います。
二輪車の次期加速走行騒音規制、それから、新たに導入されますタイヤ騒音規制につきましては、交通において恒常的に発生する騒音の低減対策として有効なものであると考えておりまして、我々、今後、自動車騒音に係る環境の向上、さらには環境基準の達成状況がより一層改善されることを期待しているところでございます。また、日本の騒音環境を考慮して実態に即した自動車交通騒音低減を実施し、国際的な産業である自動車やタイヤにつきまして、今般、試験法とか規制値について国際基準調和を図ると、こういった結果を取りまとめていただいたことについても、非常に大きな成果があったと、このように考えております。
また、最後にいろいろご意見がございましたけれども、風力発電から発生する騒音・低周波音、こういったことにつきましても、今年の10月から環境影響評価が適用されるということがございます。我々の調査はまだ途中段階ではございますけれども、今日、先生方にいただきましたご意見を踏まえまして、さらに調査・研究を深めていきたいと、このように考えておりますので、またさらなるご指導、ご鞭撻を賜れればと思っております。
環境省といたしましては、今後とも騒音振動に関します課題解決のために積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、引き続きご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
【西本環境管理技術室長】 本日はこれで終了いたします。長時間にわたりましてご審議をいただき、ありがとうございました。