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中央環境審議会大気環境部会
揮発性有機化合物排出抑制専門委員会第10回
会議録


1.日時

平成19年3月19日(月)10:00~12:00

2.場所

三田共用会議所 3階大会議室

3.出席者
(委員長)

坂本 和彦

(委員)
池澤 広 伊藤 洋之 岩崎 好陽
浦野 紘平 樋口 正裕 岡崎  誠
後藤 彌彦 小林 悦夫 千本 雅士
土井 潤一 中杉 修身 二瓶  啓
早瀬 隆司
※正字(隆)
福山 丈二
※正字(丈)
藤田 清臣

松田 昭憲

(環境省)

竹本水・大気環境局長
松井大気環境課長
木田大気環境課長補佐
野沢大気環境課長補佐

4.議題
(1)
揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて
(2)
その他

5.配付資料
資料1 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会名簿
資料2 揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて・検討会報告(案)
資料3 揮発性有機化合物(VOC)シミュレーションに係る検討状況について
資料4 揮発性有機化合物排出施設の届出状況について
資料5

揮発性有機化合物(VOC)対策功労者表彰について

資料6

自主的取組の促進に係る事業の実施状況について

参考資料

揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方について

その他

中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会座席表

6.議事

【木田大気環境課長補佐】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の第10回を開催いたします。
  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。 本日は寺田委員がご欠席ということでご連絡を受けてございます。
  まず最初に、本日の委員会の開催に当たりまして、竹本水・大気環境局長からごあいさつを申し上げます。

【竹本水・大気環境局長】 おはようございます。水・大気環境局長の竹本でございます。委員の先生方におかれましては、年度末の大変ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  この委員会、回を重ねまして、今回、第10回目でございます。ご案内のとおり、VOCの排出抑制につきましては、昨年4月に規制がスタートして、ほぼ1年がたとうとしているところでございます。また、自主的な取組みをもう既に開始をしていただいております団体企業、事業所もございまして、22年度の目標達成に向けまして、進捗状況を、特に量的に把握することが重要な課題となっているところでございます。
  私どもといたしましてこのインベントリの作成に向けまして、昨年の10月より先生方、また地方公共団体、及び業界団体の皆さま方のご協力を得まして、その検討を行ってきたところでございますが、本日はその結果につきましてご報告をしたいと思っております。また、あわせまして私どもがこれまで取り組んでまいりましたVOCの排出抑制施策についてもご報告を申し上げたいと思います。
  いずれにしてもよりよい仕組みを構築しながら、VOCの排出抑制の推進に向けまして、円滑にこの施行がなされますよう、引き続き先生方のご指導をお願い申し上げまして、私の方からのごあいさつとさせていただきます。
  どうぞよろしくお願いいたします。

【木田大気環境課長補佐】 続きまして、委員の異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
  社団法人日本自動車工業会の大野委員の後任といたしまして、樋口委員がご就任されます。樋口委員、どうぞよろしくお願いいたします。
  続きまして、お手元の配付資料をご確認お願いいたします。お手元の議事次第に資料一覧を記載しております。まず資料1といたしまして、中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会名簿というものでございます。資料2でございますが、揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて・検討会報告(案)というものでございます。それから資料3、揮発性有機化合物(VOC)シミュレーションに係る検討状況について。それから資料4、揮発性有機化合物排出施設の届出状況について。続きまして資料5、揮発性有機化合物(VOC)対策功労者表彰について。資料6、自主的取組の促進に係る事業の実施状況について。それから参考資料といたしまして、揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方について。それから座席表がございます。それと1つパンフレットをつけてございます。「すぐにできるVOC対策」というものでございます。資料の不足等ございましたらお申しつけをお願いいたします。
    それでは、これ以降の議事進行は、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 皆さん、おはようございます。
  それでは早速でございますけれども、議題に入らせていただきます。揮発性有機化合物排出インベントリについては、検討会を設置して作業を進めていただくことをこの専門委員会としても了承しているところでございます。浦野委員を初め、業界関係の委員にも多数参画いただきまして、VOC排出インベントリ検討会を開催しているところでございますが、ここにおきましてはインベントリの把握を中心に検討が行われてきたところでございます。今回、今年度の報告書(案)が提出されましたので、これにつきまして、きょうは皆様方のお時間をいただきまして議論をさせていただきたいと思います。まず議論に先立ちまして、検討会の審議状況等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【木田大気環境課長補佐】 それでは、まず参考資料、後ろにつけてございましたものをごらんいただきたいと思います。
  これは昨年度末に本専門委員会でおまとめいただいたものでございますが、この中の10ページの中で、今後の取組みというのが9に示されておりますけれども、この1つとして、VOC排出抑制の対策の進捗状況を把握すべく、VOC排出インベントリの整備、更新を行うことが必要とされてございます。
  固定発生源からの排出インベントリの精度向上のために、平成14年度に把握がされなかった業種・業態の把握方法、あるいは排出量の算出方法の妥当性について、専門家の先生方並びに業界団体による検討が、昨年の10月からこれまで4回にわたって行われてございます。浦野委員を初め、日本造船工業会さん、それから日本自動車工業会さん、日本産業洗浄協議会さん、日本化学工業協会さん、日本印刷産業連合会さんなどにご協力をいただいたところでございます。
  それから資料2、これが前回の第9回におきまして、揮発性有機化合物排出量の推計についてご了解いただいたものの、その具体的な実施方法でございます。この把握方法によりまして、3割削減の基準年であります平成12年度の排出総量でありますとか、あるいは個別業種の排出量というものが把握されるというものでございまして、今後、VOC排出抑制対策の進捗状況の把握をする上で、非常に重要な位置を占めるということでございますことから、この排出抑制専門委員会においてご確認も含めてお諮りするということでございます。本専門委員会でのご意見につきましては、来年度のこのVOC排出インベントリ検討会において反映を図るというようなことでございます。
  それでは、資料2に基づきましてご説明をさせていただきます。
  まず、「はじめに」ということで概要を示してございます。平成16年5月、大気汚染防止法の一部を改正しまして、規制とそれから自主的取組を適切に組み合わせてVOCの排出量の削減が進められることとなってございます。昨年のこの専門委員会におきまして取りまとめをいただきました「揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方について」というものにおきまして、VOC排出インベントリの整備更新の必要性が指摘されてございます。これを受けまして、当省といたしましては、揮発性有機化合物排出インベントリ検討会というのを設置してございまして、VOC排出抑制対策の進捗状況を把握するために既存のインベントリを見直しを行い、改定インベントリを作成したということでございます。
  その次のところに検討会の委員名簿というのをつけてございますけれども、浦野先生に委員長をお願いしておるということでございます。
  それから、ページ番号は振ってございませんけれども、頭から3枚目の部分、これまでの経過が書いてございます。本検討会の開催概要、4回やりましたということと、平成14年度に既存インベントリとして発生源について12年度を対象といたしましてVOCの排出量の推計を行ったということでございますが、しかしながら既存インベントリでは以下の問題があったということで、発生源の抽出を系統的に十分行われなかった、あるいはその発生源の定義が明確でなかった、あるいはデータにOEMとかそれから重複部分が含まれていたというようなことがございまして、新しい改定インベントリというものにつきましては、その既存のインベントリを基本とした上でこういう問題点を改善するということ、それから排出の削減目標年次であります平成22年度まで継続的に推計可能な推計方法を検討したということでございます。
  それから1ページ、まず推計の枠組みということですけれども、推計対象期間というものとしましては、平成22年度まで継続的に作成を行うということで、今年度につきましては平成12年度、それから17年度の排出量の推計を行うということでございました。
  それから推計対象とする物質ということでございますが、主な推計対象物質として、表2に示してございます。1ページ、2ページがその主な対象物質ということでございます。
  次、3ページに移らせていただきます。
  推計対象地域ということですけれども、これは大気汚染防止法の規制というのが全国一律に設定されているということでございますので、全国におけるVOCの排出量についての推計を行うということです。
  それから4番目としまして、推計対象とする発生源の範囲ということでございますけれども、改正インベントリでは推計対象とする発生源は既存インベントリにおいて推計を行った発生源というもののほかに、諸外国における排出インベントリでありますとか、PRTRの届出外の排出量推計結果、それから業界の製品情報、業界における自主行動計画において相当の排出量が認められるものといったものを候補として抽出してございます。
  その一方で、昨年度末の本専門委員会において、自主的取組、法規制の効果というものを把握するために、排出インベントリの更新の必要性が指摘されているということでございます。この自主的取組、法規制の効果というものを把握するということを念頭に置いているということでございまして、VOC対策を講じることが可能な範囲を推計対象としたということでございます。
  一番下の段落に書いてございますけれども、このような発生源選定方法の詳細、参考1というものにお示ししてございます、17ページのところについておりますので、後ほど見ていただければと思います。それから、推計対象外とした発生源なんですけれども、その対象としない理由、それから、参考値としてVOCの排出量をお示ししたものを参考2ということで、これは21ページからつけてございます。
  続きまして、5ページ、排出量の推計方法というところでございます。まず、(1)推計方法の概要ということで、図1の排出量の基本的な推計フローに従って原則として推計を行っておるということでございます。
  それから(2)、推計に使用したデータということで、推計に使用したデータは表4ということで、これは6ページ、7ページにお示ししておりますけれども、こういうものを使っております。一般に入手が困難と考えられる情報の場合には、その本報告書の別冊と出典とあわせてデータを記載してございます。
  それから3.VOC排出量の推計結果ということでございますが、(1)発生源品目別のVOC排出量の推計結果ということで、これを表5、それから図1ということで、8ページ、9ページにしてございます。ただし、まだ未確定のデータもございますので、今後、そのデータの精査を行いまして、推計結果を確定するということで、年度末をめどにこういうことをやっていきたいということでございます。
  それから、この表5、図1にお示している中でも、例えばコークスとか、それから塗膜剥離剤など、既に自主的な取組みが一定なされているというようなものもございまして、十分な成果を上げているというようなものも入っておるということでございます。
  それから、8ページのところで、表5の中でトータルということでお示ししているものがございますが、平成12年度では161万トンというような推計、それから平成17年度につきましては130万トンというような推計がされておりまして、17年度は12年度に比べまして、おおむね2割ほどの削減が見られておるということでございます。
  それから、9ページ、物質別に見た場合のVOCの排出量の推計結果でございまして、それが表6、図2というようなところで示してございます。これ9ページから11ページにかけてでございます。トータル量は同じということで、見方を変えた形で推計をしておるということです。
  それから、11ページ、今度は業界別というような形で排出量推計をしてございまして、それが表7、図3(12、13ページ)でございます。
  それから、13ページ、既存インベントリにおける推計結果の比較ということで表8に示してございます。次のページになりますけれども、既存インベントリにおけるVOC排出量の推計結果の増減に影響したと考えられる推計方法の変更内容について、その次の表9というところに示してございます。
  表9について簡単にご説明させていただきますけれども、推計方法の変更内容というところで、主なところがどう変わったかということでございます。塗料につきましては先ほども簡単に触れましたけれども、生産委託とかVOCの使用量を含む原材料使用量というのを使っておったんですけれども、塗料の使用時に排出される溶剤の量を正確に反映したVOCとしての使用量ということで、塗料出荷量とVOC含有率を乗じた数値への変更を行っておるということでございます。
  それから大気排出率というものを、社団法人の日本塗料工業会さんの会員企業による調査結果に変更したということでございます。
  それから印刷インキですけれども、これも一律に設定した排出量を使っておったんですけれども、それを印刷方式ごとの排出量に変更したということでございます。
  接着剤につきましては、既存インベントリにおきましては接着剤と見なしていたものの一部の剤について、別の発生源に変更したというようなこと。
  それから工業用洗浄剤につきましては、大気排出率を一律に設定していたものを、洗浄剤種類ごとに、実態に合わせた大気排出率への変更というものを行っているなどということでございます。
  それから、その続きでございまして、15ページの方ですけれども、クリーニングにつきましても大気排出率を実態に合わせて変更したようなこと、それから、ドライクリーニング溶剤の使用量をより精度が高いものに変えたということがございます。
  それから、給油所でございますけれども、これもその一部地域における調査というものの全国への拡大推計をしておったんですけれども、それを販売量と、それから排出係数を乗じる方法に変更してございます。
  精油所、それから油槽所につきましては、石油連盟さんの自主行動計画の引用というものに変更してございます。
  それから、最後に今後の課題というところでございますけれども、まず(1)としまして、不明分の実態把握ということでございます。まだ不明の量というのがありますので、そこの部分の実態の把握という部分をやっていく必要があるということでございます。
  それから(2)溶剤調査との整合性ということで、用途別、それから物質別という形で販売量を調査してございますけれども、発生源品目別との乖離というのが見られてございまして、この辺のことにつきましては、その溶剤調査の実施の有無も含めまして、整合性を今後向上させるための検討を行う必要があるということでございます。
  それから(3)石油系混合溶剤に含まれる物質の把握ということでございまして、これにつきましては、発生源品目ごとに把握の仕方が異なっておるというようなことでございまして、メーカー様へのヒアリング等によりまして、個別物質の特定、あるいは系統的な整理方法の検討が必要であるということでございます。
  それから(4)一部の発生源品目につきましては、その推計対象年度における排出抑制対策の状況、あるいはその製品の使用状況を十分に反映しておらないと、データを使っていないというところもございますので、そのデータの差しかえ、あるいは適切な年次補正の方法を検討するといったことが必要になるというようなことで、この報告をおまとめいただいたということでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  ただいま事務局の方から全体の経緯、どういった形でまとめてあるかというような形でご報告をいただきましたが、VOCの排出インベントリ検討会の委員長をお務めでございます浦野委員の方から、何か追加、補足等ございましたらお願いいたします。

【浦野委員】 今回、前回のインベントリでやや不明確な点があったのに対して、今回委員会を開いて4回やりまして、特に民間の関係の業界、あるいは個別の企業の方々のご協力を、大変たくさんのご苦労をいただきまして、その成果で以前より大分明確になってきたということで、皆さん、委員の方々、関係の方々にまず御礼申し上げたいと思います。
  今回のインベントリは、基本的には報告書の5ページに書いてございますように、製品、発生源品目という表現になっておりますが、4ページ、5ページ目あたりに品目が書いてございます。その品目に含まれるVOCの含有率と、それから製品の出荷量、排出係数というものをベースにして出してまいりまして、それを別に物質ごと、あるいは業種ごとに再度割り当ててみるという形で、出てきた結果は品目ごとと物質ごとと業種ごとと3つの形で見れるようになってございます。
  結果、全体をまとめたものは、表に物質ごととかいろいろ出ておるわけですけれども、結果、例えば8ページで見てもらいますと、これが発生源品目ごとで、12年度と17年度をまとめたものでございます。合計、従来約150万トンと言われていたもの、12年度150万トンと言われていた159万トン、まだ未確定のところがございますが、前回のインベントリより若干12年度分が増えたと。それで17年度分が129万トン前後で、約30万トンぐらいもう既に減っていると。20%弱既に減っているという状況が見えてきたということになります。
  それぞれを今度は、物質ごとで見たのが表6で、9ページから10ページにかけてですけれども、この中で見ていただきますと、多いのは、10万トン以上出ているのがトルエン、キシレン、それからその他の炭化水素系、これはさまざまなもので、もうちょっと詰める必要あります。それからあとは酢酸エチル、それから、これが若干問題点にも指摘がありますが、一番下の方の分類できない石油系混合溶剤というものがございます。これが約10万トンぐらいあるんですね。それからもう一つ、検討会で問題になったんですが、特定できない物質というのが約21万トン、10ページの表の一番下ですが、これがございます。これをどう扱うかというのは議論があったんですが、現時点ではこの形で置いておいて、さらにデータが追加されれば、これをそれぞれの物質ないしは業種、あるいは品目にさらに割り当てていくと。現在これを現状の割合に合わせて配分してしまうかという議論もあったんですが、不明なものはもう少し調査をしてはっきりさせた方がいいという判断で、この特定できない物質というのはそのまま残した形で表示されています。
  12年度から17年度にかけて大幅に減ったのは、炭化水素系、特にトルエン、キシレンといったようなものが非常に大きく減っている。それからもう一つはハロゲン系、特にジクロロメタン等が、12年度に比べて17年度は非常に大幅に減っているという状況が見えてございます。
  これを業種別に見たのが12ページでございますが、合計量はもう一致しているわけですけれども、12年度から17年度にかけて、全体的には減少しておりますが、一部増加しているところもございます。大幅に減っているのは化学工業、印刷関係、それから総合工事業というところがかなり減っているという状況がわかります。その他小売業とか、そういうところがちょっと増えているという状況にあります。
  それから14ページ目の表8をごらんいただくと、前回のインベントリとの関係を見たものでございますけども、表8の「(b)/(a)」という比率というところを見ていただくとわかりますように、塗料は前回のインベントリに比べて、これ12年度の比較ですけれども、65%とかなり減っている。それに対して印刷インキの方は190%と、あるいはクリーニングは212%ということで、前回のインベントリに比べてかなり大幅に変わっている。合計は150と159ぐらいですから、そう大きく変わっていないんですが、個別に見るとかなり大幅な変化がございます。その変化の理由が表9にまとめてございますが、塗料については二重カウントになるようなOEM生産とか塗料メーカーでのVOCの使用、これ塗料メーカーとして化学関連産業として出てくるわけですけれども、それが塗料と両方にカウントされているというような話。あとは印刷インキについて増えたのは、印刷方法ごとに大気排出率を詳しくつけてみているとこういう形になる。それからあとクリーニングが非常にふえておりますけども、クリーニング溶剤の使用量が不明確であったものが、今度クロロカーボン衛生協会等のより信頼度の高いデータを採用して計算したということで、大幅に変わっています。こんなことで、今回のインベントリは、業界の関連の方々からいろいろな詳しいデータ、あるいはヒアリング等をいただきまして、かなり前回に比べたら精度が上がったということがここで見てもおわかりかと思います。
  ただし今後の課題として、先ほどお話ししましたような不明分というのが20万トン近く残っており、この問題をもう少しつめなければいけないということ。それからもう一つ、これも非常に大きな問題点ですが、溶剤として販売した販売量側から、各メーカーから溶剤をどれだけ売ったかという、どんな用途に売ったかというのを調べて、今回のインベントリと比較したところ、かなりのずれが見られます。これは多少の補正ではもう理解できないという状況のデータがございまして、これは溶剤の販売の統計、あるいはそのアンケートというものが十分正確に行われていないのではないかという部分もございますので、さらにこういったものの調査、溶剤の販売の量と同時に品目とか使用目的等をもう少し詳しく調査できる体制をつくる必要があるというようなことでございます。
  もう一つは石油系の混合溶剤というものの中身、それから品目ごとの推計に使ったデータが、年度毎に必ずしもきちっとないというような問題点がございます。
  以上が全体でございますけれども、参考資料の方は、特に推計しなかったVOCの排出源とは、実は固定発生源以外に移動発生源とか自然発生源のようなものがございまして、これを短時間に全部を推計することが困難であるということと、この自主管理で削減状況を見ていくというものとはまたちょっと違うということで、一部、現在得られる大ざっぱな推計値だけを示すという形にしてございます。
  それぞれの、特に推計を詳しくしなかったものが21ページにございます。21ページの別表4に書いてございますが、これはその理由もそれぞれ書いてございます。この中で大ざっぱな推計ができたものが22ページに示してございます。この22ページの別表5は、ちょっと間違いが残っております。「注」というのが「2、3、4」というふうに表の中に書いてありますが、下は「1、2、3」で、「2、3、4」をそれぞれ「注1、2、3」にご訂正を、表の中の「注」を番号1つずつ減らしていただきたいということです。
  それからこの中でちょっと誤解がないようにしていただきたいのは、一番上ですけれども、防虫剤・消臭剤、これ1万7,000トンというふうになってございますが、これは下の文章をお読みになると、消臭剤の中の香料その他については推計できていないということで、p-ジクロロベンゼンのみについて推計して1万7,000トンぐらいということですので、これにさらに数千トン加わるということが文章上書いてございますが、表の中に数字が入っていると、これで防虫剤・消臭剤がもう1万7,000トンしかないかのように見えるので、これは括弧書きぐらいにお考えいただいた方がいいと思います。
  それから多少有効数字のとり方等で、後ろの方の説明と数字が、例えば香料は10万トンとなっていますが、23ページの表だと10万7,000トンという形になってございます。それから廃棄物の焼却処理のところも100トンと書いてございますが、後ろの表ですと一般廃棄物が90トンで、産業廃棄物が24トンということですので、89トンと24トンですから、正確に足すと113トンぐらいです、110トンぐらい、有効数字2桁でとると110トンぐらい。多少その辺の表記上の問題がちょっと残っておりますが、固定発生源で今回推計したもの以外に移動発生源が一番多いですけれども、これはこれで別途規制管理がされているということ。
  それからもう一つ、かなり多いと思われる森林からの放出、あるいは土壌や海洋からの排出、自然発生源というのがあるんですが、これについては情報が非常に限られているので今回出しておりませんが、文献上はかなり大量に自然発生源からも出ているということがわかっておりますので、大気の全体の管理という意味では、そういう点も配慮して議論をする必要があるというふうに思っております。ただし、今回のインベントリというのはもともと自主管理と規制の効果がどういうふうに出ているかというものをはっきりさせ、追跡してチェックアンドレビューができる形の元情報という趣旨ですので、固定発生源で主に溶剤等を中心として詳しい調査をしたということでございます。
  ちょっと長くなりましたが、多少の追加のご説明をさせていただきました。何かご質問があればお受けします。

【坂本委員長】 どうもありがとうございました。
  今、お話ございましたように、VOC排出抑制対策で対策をとれば減り得る形になるもの、それについて排出インベントリをまとめたということでございます。その中で幾つか品目とか業種別とか物質、そういった形でまとめたわけですけれども、その中には分類できないものとか、それから特定できないものとかが約2割あるというようなお話であったかと思います。そのほか、溶剤のところでは販売量と、それがどう使われていたかというところがわからない。今回のインベントリは、冒頭に申し上げましたような形で、この法体系のもとに排出抑制をした場合に減るものについて考えたということでございますので、移動発生源と自然起源はこの中には組み込まれていない。ただしこれはこの法律のもとでどう減ったかというのと、それから最終的に環境を改善するためにVOC排出抑制対策が行われているということでございますので、どこか別のところでそういったものは考えるということになろうかと思いますが、きょうのところにつきましては特にこの法体系のもとで考えたインベントリということで、全体を整理していただいたということでございますが、質問、ご意見、ございましたら、お願いいたします。
  どうぞ、小林委員。

【小林委員】 何点かご質問したいことがあるんです。
  まずは1つ目が8ページの表5、それから10ページの表6、それから12ページの表7、この3つの表の何か関連図みたいなものがあったらもっとわかりやすいんじゃないかな。どれがどこにどういっているのかがよくわからないので、逆に言いますと、これでいいのですかと聞かれてもわかりづらいというのがあって、できたらこの関連図というのがあればいいなという気がします。それが1点。
  それから2点目が、14ページのところの推計方法の主な変更内容のところで、接着剤のところでラミネート用接着剤を外したと書いてあるんですけど、外してこれはどこへ行ったのかというのが書いてないんですよね。ですから、接着剤のところで減ったのはわかるんですが、ラミネート用接着剤はどの分類に入れられたのかが記述がないので、これはどこに行ったかを教えていただきたい。
  それから参考資料、21ページのところで、推計対象外とした発生源、ここの部分なんですが、1点は、一番大きな問題点で、この推計対象外としたのはいいんですが、推計対象外としたものの概算はどれぐらいで、逆に言いますと、VOC全体の排出量から、いわゆる規制と自主取組で対象とできるものと、それ以外のものとの比率というのはどれぐらいだったのか、という意味で、インベントリでこれを外しますというのが自主取組の対象じゃないから外しますというのがちょっとおかしいのではないかと。逆に言いますと、自主取組の対象になるのはこれだけありますよと。ただし対象というか、できないものがこれだけぐらい推計としてあります。これがものすごい比率があるとしたら、規制することの意味合いの問題にかかわってくるので、できたらそこの部分、こういうものを対象にしない理由というのはちょっと問題があるなという気がします。
  それから先ほどの資料の、12ページの表7の一番下に99に「家庭」というのがカウントされていますが、これとこの21ページの製品使用のところの不凍液、家庭用製品のところが情報不足で丸がついていますが、これ以外にここのカウントとしてあるのがあるのかないのか。それは先ほどの表のマトリックスの中でわかると思うんですが、どうなのかなというような気がしました。
  それからもう一点、廃棄物関連のところで、これはチェックミスであると思うんですが、廃棄物の3段目のところで、廃棄物(野焼き)というところが「イ」に入っているんですよね。「イ」というのは他法令の規制で十分管理がなされているためと書いてあるのですが、野焼きは管理がされていないと思うので、これはここに丸をつけるのはまずいなという気がしました。
  以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  ただいま5点ほど質問あったと思いますが、お願いいたします。

【浦野委員】 では、私の方からお答えさせていただきます。
  ご指摘のあった表5というのは品目別ですけど、それと物質別の表6、それから業種別の表7、これの関係はかなり複雑ですけども、委員の中からもこれの関係がもう少しわかるような図があった方がいいというのがありましたので、ちょっと間に合わなかったのかもしれませんが、ある程度その主要なものだけでも流れがわかるようなものの追加を事務局にお願いしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
  それから、14ページ目のラミネート用接着剤等へ変更したと書いてありますが、実はもともとこれの推計は、先ほど来お話した発生源品目というのからスタートしてございまして、発生源品目というところにいろいろ細かく小分類というのがございまして、8ページですけれども、そこをかなり詳しく粘着剤、剥離剤とか、普通の接着剤と粘着剤、剥離剤とラミネート用接着剤とか、こういうふうに細かく分類して推計をしたということで、推計の段階で細かく分けて、より正確に出したと。それをまた最終的に接着剤としてまとめているということです。既存のインベントリでは、接着剤として一括していたものを、より詳しく品目を分けてやったという意味なので、ちょっと誤解しやすい表現かもしれませんので、表現上誤解のないようにここは修正させていただくということにしたいと思います。
  それから、もう一つ大きな問題では、参考の21ページを含めて対象外としたものが大きければ困るではないか、あるいはどのぐらいの量かわからなければいけないと、これは検討会の中でもそういう議論は当然ございまして、そのためにできるだけわかるものは別表5に数値として出したということです。ここで、別表4の中で別表5にないもの、要するに推計値が全然出ていないものというのは、不凍液、家庭用製品というもので、これは量的に多くないという判断をしています。ここで家庭用製品というのと、前の発生源の業種別の中の最後の家庭というのがどういう関係かというのもご質問ございましたが、業種別の方の家庭というのは塗料接着剤等を推計したもので、大部分がここに入っていると。そのほか若干ワックスとか芳香剤とか少量のもの、あるいは防虫剤・消臭剤、エアゾールとか、製品使用の段階のものがほとんど家庭ですけれども、これらについては家庭の中で出るものが一部推計されていないということですけども、量的には多くないというふうに思われますし、特に不凍液はあまり揮発性が高くない、それからワックス、芳香剤もそう多くないということはわかっておりますけど、詳しい数字で出すほどの情報がないということです。それから移動発生源については全部数字をお示ししてございます。あと、数字が出ていないのは自然発生源、動植物とか森林とか畜産関係、それから廃棄物の埋め立て、下水処理、この辺が数字的に出されておりません。それから野焼きとか火災、事故等のものですね、この火災や事故というのは、もうこれは無理だということと、そんなに多くないだろうと思われております。また、農業、建設業、山焼きなどの燃焼、焼き畑等もありますが、これは多分、燃料の燃焼よりは多くないだろうという考え方でございますし、そういう意味では一番推計上問題があるかもしれないというのは、自然発生源のところがかなり大きくなる可能性がある。ただし、これについてはデータがかなり少数しかなく、数字が大きく違っていることもあって、これは継続的にもう少し情報収集をする必要がありますが、そのほかについては大きいものはあまりないという判断で、できるだけのものは別表5にお示ししたということでございます。
  よろしいでしょうか。

【坂本委員長】 野焼きは「イ」ではなくて別のところではないかということは。

【浦野委員】 これは野焼きについては、野焼きは多分これは事務局側からするともうほとんどのところで、ダイオキシン絡みもあってかなり厳しく規制を受けているということで、少量やっているとしても、あまり自主的取組にそぐわない、禁止に近い状態になっているという意味でここに丸がついているという理解だと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  よろしいでしょうか。小林委員の最初の質問は、まず排出量として抑えて、そしてそれをこの後PMなり光化学オキシダントとして見る場合には、業種別よりは製品別に見ていかなければいけないといったこと。それからもう一つ、他の発生源、移動発生源もしくは自然起源もまさにそういったところに関連するところで、抑えられるところはできるだけ抑えておいてほしいと、そういうご要望かと思います。
  小林委員、よろしいでしょうか、今のところ。

【小林委員】 今のご説明をいただいて大体わかったのですが、この参考2の21ページですね、推計対象外としたという言葉があまりよくないなという気がするんです。何か逆に言いますと、できるものは全部把握をしたと、しかし、こういう情報で今回の推計の対象からは推計ができなかったものはこれだけありますよ。また、逆に言うと、量が少ないとかというような理由でこの推計からは外しましたという書き方であって、何か初めからここはしないでよという言い方はよくないなという気がするのですが。

【浦野委員】 これは実は検討会でも、第1回の検討会のとき、2回目ぐらいまでだいぶいろんな議論があったわけですけれども、基本的にこれは先ほどの大防法の規制と自主管理をする上での基本となるインベントリをもう一度12年度のものと見直して、継続的にチェックアンドレビューができるようなインベントリを作りなさいという枠で依頼を受けております。そういう委員会の責務の中で、しかも非常に短い期間で、3カ月ぐらいで正味やっておりますので、そういう期限とタスクフォースの中での制約がありますが、ただし、そうはいってもそのほかのところもどのぐらいあるかは非常に重要だと、今、小林委員のような意見が繰り返し出ておりまして、それはそれとして責任を持って詳しい調査を自分たちでやるということではなくて、既存の情報でほぼ信頼できそうなものを集めて、一応、ここに表示をしようという形で、参考という形で表示をしておるという形になっております。
  ですから、推計対象外という表現が悪いとすれば、今回のインベントリでは詳細な推計は行わなかったけども、情報調査だけをしたものという理解でいただければと思います。

【坂本委員長】 あと1つは短期間において、この法律で決めたもののインベントリを抑えて効果がどうあったかというのをやっていくための優先順位づけをして、この部分を優先的にやって、そしてもともとの法律の目標がなぜそういうことをやるかといえば、光化学オキシダントであったりPMだったりするわけですので、その後の段階としてそういう全体をより精緻なもの、もしくは新しいものに変えていくというのは、次年度以降のところで精力的におやりいただくとか、そういった方法もあります。とにかく3カ月ぐらいのところでできる部分に重点的に置いて、まさに法律背景を踏まえた上で、その平成12年度あたりのところで、場合によったら推計自体がやや疑問持たれる点も解消するとか、そういったところにウエートがあったのではないかというふうに思います。
  今、浦野委員がおっしゃられたようなところは、ここにおいでの委員の方々も恐らく同様のことで、例えばVOCの環境測定をしたものを発生源寄与率だとかそういった形で考えた場合には、今、ここで考えていないというか、優先的にやっていなかった、例えば自動車排ガスあたりもかなりのところ、もしくはガソリン系統のものでしょうか、そういうものもかなり出てくる可能性があるわけでございますので、この後のところでそういったものはご検討いただくとして、きょうの報告としてはそういう形で承るのがよろしいのかなというように思います。
  小林委員がおっしゃられたのは、ただ、単純に最初から推計対象外とするのではなくて、そういうものがある中で、この部分を優先的にやったとか、言葉を、何か変えればそれが十分理解できるので、そういうことを少し考えてはどうかということであろうと思います。
  どうぞそのほかご質問、ご意見。中杉委員、お願いします。

【中杉委員】 3点ほどございます。
  第1点は、先ほどの浦野先生からご説明があった特定できない物質ですか、これが5ページの図1の推計フローから考えると、どうして出てくるのかちょっと理解できないものですから、ご説明いただければというふうに思います。
  それから2つ目は、排出削減がされている物質を見ますと、PRTRの対象物質になっているものが、非常に削減が進んでいるのではないだろうかと。これはPRTRの対象物質とそれ以外の物質で見たときに、削減率がどうなっているかというのを少し教えていただければと。
  それからもう一点は、今回、あまりオゾン生成能とか、それから粒子の生成能についてはあまり議論せずに包括的に抑えるような形にしましたけれども、実際にはばらつきがあります。そういう目で見たときに、削減されている物質はどうなのだろうかというような情報がありましたら教えていただければと思います。

【坂本委員長】 お願いいたします。

【浦野委員】 まず最初に後ろの2つでございますけれども、PRTR対象とそうでないもの、あるいはオゾン生成能と削減している状況とはどうかというようなお話です。実はそれをまだ解析してございません。そういう解析ができるインベントリが今やっとできたというところでございます。これで物質ごとに出てきましたので、これを使えば、今、中杉委員がおっしゃったようなことができるようになってくるということでございますので、今の時点でどうだということは、ここの時点ではお話ししません。
  特定できないというのは、もともとが発生源の品目からスタートしてございまして、品目というのは塗料であるとか、接着剤であるとかと、そういうところからスタートしてございます。それはかなりそれなりの精度で出てくるわけですが、それが一体どの業種で使われているか、あるいは具体的にどんな物質が入っているかというものについては、どうしてもわからない部分が残ってくる。全部が全部、例えば塗料に使われている溶剤の全組成が必ずしもわからないということ、あるいはそれがこういう業種に使われているということが推計し切れない部分が残ってくるということでございますので、それをいろんな形から、先ほど小林委員からもございましたけれども、それぞれがどういうふうにつながっているかというのをもう少しご説明を詳しくしなければいけないかもしれませんが、今回のものは基本的に品目からスタートして、品目に含まれるVOCの含有率とそれの各品目の出荷量、要するに活動量と、それから排出係数という、排出率というもので出してくるわけですけれども、それを今度業種、物質に割るというところは、必ずしも100%中身が見えないというので、これはもう現時点ではやむを得ないかなというふうに思っています。

【中杉委員】 ある製品中のVOCの含有率といったときに、私の想像ではVOCの各名前が出てくるのではないだろうかなというのを思うものですから、そこで特定できない物質というのはどういう形で出てくるのかなと。製品の中のVOCというのは、あるものについてはトータルのVOCというような形で抑えられているものがあるというふうに解釈をしたらよろしいんでしょうか。

【浦野委員】 一応、基本的には溶剤が何%とか、そういう表現、あるいは石油系とか、炭化水素系とか、そういう漠然としたもので、個別の化合物名までには至らないという情報がどうしても残ります。

【中杉委員】 そうすると、ひょっとすると特定できない物質の中には、ここで言うVOCに該当しないものが含まれている可能性は考えられるんですね。

【浦野委員】 その可能性は非常に低く、溶剤とか、VOCであろうということは多分間違いないというふうに思っておりますが、ただ、その個別の化合物名の細かいものまで情報が得られないものが一部ある、あるいは一部捕捉率みたいなものが若干ここに表にないもので推計しているものもございますので、その辺のやや不確定なところも残るわけですけれども、もし私の説明以上に事務局の方、あるいはこれを計算したコンサルタントさんの方で補足の説明があれば。

【坂本委員長】 多分、今のお話は、業界によってはもう溶剤とか石油系溶剤とか、そういう形の名前で統計をとってしまっているところが、その購入先まで今後さかのぼれば今のような情報がより物質別の形でわかってくるのかもしれないのですが、現時点ではそういう情報の整理だったものを使ったのではないかなというふうに推察するところですが。

【浦野委員】 問題点として一応指摘はしてございますけれども、1割2割、15%ぐらいはどうしても把握し切れなかったということでございます。

【坂本委員長】 この後、今後そういった点につきましてもご検討いただければというふうに思います。
  先ほど、こちらの方から挙手が。お願いいたします。

【福山委員】 1点だけ教えていただきたいんですが、14ページの表8、表9に関連しているんですが、印刷インキにおいては、今回推計方法を変更したことによって、約2倍にインベントリが改定されていますが、これは印刷方法ごとに排出率を変えたということですけれども、2倍にもなったということですから、この排出率があるものについては倍、3倍となったのかなと思うんですが、具体的に、例えばグラビアであったらどのぐらいで、オフセットであったらどのぐらいなのかとか、その辺の数値を教えていただけたらと思ったんですが、いかがでしょうか。

【坂本委員長】 ございましたらお願いいたします。

【浦野委員】 これは私の方では現在手元に情報がないのでわかりません。もし事務局の方で資料があれば、あるいは後ほどこれの詳しい元情報をどこまで公開するのかということも含めて。

【事務局】 すみません。その前に印刷インキ、190%というふうになっているのですけれども、表の5の印刷インキと比較していただきたいんですけれども、こちら直前に数字を入れかえまして、13万トンの方が正しい数字になっております。なので比率は160%に現在なっております。その上で大気排出率ですけれども、既存インベントリでは一律約5割の数字を使っておりました。今回、特に印刷産業連合会さんの方の数値で、すみません、ちょっと手元に資料を持ってきていなんですけれども、大体、七、八割か何かの数字を使ったと思います。ちょっと正確ではないのですけれども。

【坂本委員長】 そのほか関係するところ、情報あれば。とにかく排出率が変わったということのようでございます。それについては別途お願いします。今の件ですか、どうぞ、千本委員。

【千本委員】 印刷業のご質問なのでお答えしたいと思います。ちょっと直接の委員ではないのでどういう数字があったかというのは明らかではないんですが、私の記憶ではオフセットとグラビアと大きく印刷方式がございまして、その中でそれぞれの処理装置の導入率を業界で持っている数字がありまして、オフセットの場合ほぼ100%に近い状態で除去処理装置がついていると。一方、グラビアの場合は、中小の企業を中心として、まだまだ除去処理装置がついていないという実態がございまして、一律の何割という計算ではちょっと乖離が大きいだろうということで、それぞれの業界でお示しした数字を使って計算をし直していただいたというふうに思います。具体的な数字は、ちょっと精度がないので勘弁していただきたいと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  今の件につきましては、それを算定するときにどういったものを使ったかというのは、後ほど事務局の方から情報を出していただくということにいたします。
  それでは岩崎委員、お願いします。

【岩崎委員】 2点ほど質問したいのですけども、推計方法がまだはっきり具体的に見えないのですけれども、5ページで書かれているように、ある製品の出荷量から出していくときに、問題は今までの課題であったアウトサイダーに対して、今回の推定がどれぐらい埋められてきているのかなと。要するに上の方からはかっていけばアウトサイダーが切れる可能性があるのですけども、アウトサイダーに関して、今回の推計がかなり手が入っているものなのかどうか、その辺もし見解がありましたら教えていただきたいというのが1つ。
  それからもう一つは、先ほど小林委員からも出たんですけども、21ページのいわゆる今回の対象外にしているところで、家庭用で例えば防虫剤、消臭剤、あるいは噴霧剤、こういうものが一家庭当たり、例えば月に100グラム使って、年間1キロぐらい使うと、全体的な年間の量とするとかなりの量になるわけです。その部分がなかなか統計がとりづらいということでの理解はわかるんですけども、場合によっては芳香消臭剤協議会とか、ある程度そういう加盟団体の組合もございますので、そういうところからある程度の情報を得てほしいなと、これは今後の課題で結構でございます。短い時間でかなり精力的にここまでやっていただいたわけですけども、将来としてはその辺が、要するにげたの部分になるわけです。最終的に3割減らして、注意報の発令回数がどれぐらい減るとか、そういう試算がありますけど、そういうものに対してげたの部分になってしまうわけですけど、これがどれぐらいあるのかの推定はしておく必要があるだろうという感じでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございます。
  ただいまの質問は、家庭用についてはまた次回以降ということで、次年度以降。それから出荷量から見た形で、そのアウトサイダーというようなものがここに取り込まれているようなデータとして見ていいのか、その辺でございます。

【浦野委員】 以前は業界ごとにそれぞれVOCをどれぐらい出していますかとか、そういう形でいくとどうしてもそのアウトサイダー、中小のところから情報が上がってこないという形になりますが、今回は発生源品目ということで、製品の出荷量というのをベースにしてございます。それぞれの推計に使用したデータの捕捉率、その他は、表の4に詳しく書いてございまして、100%ぐらいのもありますし、少ないものですと67.5とかございますが、それは一応捕捉率を補正してございます。基本的にはそういう意味で、製品の出荷量ベースできていますので、かなり出荷している会社というのは、大元はかなりはっきりしています。業界団体でございますので。そういう意味で、以前に比べたらアウトサイダーというか、中小の例えば印刷業であるとか、中小の塗料を使って、家庭で塗料を使っているのも含めて、そういうものはかなりカバーされているというふうに理解しております。
  先ほど、対象外のものについては後ほどということですが、今、ご指摘のあったエアゾール製品とか、香料とか、それぞれここに別表5にかなりの推計をしていただいた情報からで、芳香消臭脱臭剤協会というのにヒアリングをしてございまして、ただし数千トンぐらいだろうということですから、数千トンと書くのもちょっと数字が書きにくいのでございますが、一応、通常得られる情報はかなり調査をして書いてございますので、これ以上の個別の詳しい、例えばどんな化合物がというようなところは、今後検討していただきたい。ただ、量的にはかなり、大ざっぱですけど、把握ができていると。ただし私が多少気にしているのは、やはり自然発生源というのは、ピネンとかリモネンとかそういうものがかなりの量、木材等、あるいは森林からも出ています。それから土壌からも出ておりますし、海からも出るんですけども、そういう自然発生源というのはかなりございますが、ただこれも大気の測定値で見ますと、少なくとも光化学スモッグが大きな問題になるような都市部ではあまり大きな割合を占めていないのです。ですから、山の中で測定したデータというのがあまりないものですから、寄与率がどうなるかというのはわかりませんが、その辺も含めて今後大気環境の管理、光化学オキシダントであるとかSPMの原因にどのぐらいなるかというようなものは、自然由来というのは無視できない、もちろん外国から来るというのも当然含めて考えなければいけませんし、そういったものも含めて、トータルとしては大気環境の管理全体として、別のところでもう一度よく議論いただく。今回はわかる範囲での数字がここにお示ししてあるということでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  大分、活発なご議論をいただきましてありがとうございます。まとめさせていただきたいと思いますけれども、今回幾つか……。ではどうぞ、短くお願いいたします、すみません。

【伊藤委員】 環境省さんの方に聞きたいんですが、17年度で、既に20%削減されていますよね。これに対して、いわゆるオキシダントの警報の発生率だとか、そういうものは何か変化があったのでしょうか。要するに効果があったかどうかというのを知りたいんですが。

【松井大気環境課長】 実際の光化学オキシダントによる被害の発生状況等でございましょうか。18年度の数値をつい最近発表いたしておりますが、17、18で比べますと若干減っているような状況だったかなと思いますが、それほどまだ大きく変わっていない。それと被害というようなことになりますと、年による変動が非常に大きいということがございます。ただ、光化学オキシダントの数値そのものは、年平均でいいますと、若干ではありますが微増のような、そういう状況になってございます。

【伊藤委員】 ということは30%削減してもやはりまだ削減しろという話になってくるんでしょうかね。我々企業としてはそこが気になるのでお話ししているんですが。

【松井大気環境課長】 その辺はいろいろと検討して解析する必要があるんだろうと思います。

【坂本委員長】 今の点は、NOXとVOCの関係と、それからリニアリティがなくなってくるところ、それからもう一つは、今少しベースが増加する傾向とか、それぞれ幾つかの要因がありまして、じゃあVOCの排出抑制をしなかった場合にはもっと上がることは確かなんではないのかなというようなことも考えつつ、いわば外交的な形でやるような部分、それから発生源対策をやる部分、それからもう一つはNOXとVOCの関係を見ていく部分、そういったものを並行してやることによって、いずれにしろ平成22年度でしょうか、そういったところへ持っていけるようなものを一つ一つやっていくというのが今のやり方で、その一方で伊藤委員がおっしゃられるように、幾ら固定発生源を減らしても、ほかの方でほとんど決まってしまっているのだったらそれは効果がないという話になります。そういう意味で、先ほどらい、出ていた質問は、この後、VOCの中の移動発生源、自然起源、それを含めて、対策効果がいかに上がったかどうだったかというのを評価できるようにするためにインベントリを求めているということでございますので、そういった点をご理解いただき、業界としては今の方向でおやりいただければ、私としてはありがたいなというふうに思います。
  では短くお願いいたします。

【土井委員】 年度内に最終的な数字、今の修正のものも含めてということですので、数字のことなのでひとり歩きすることが多いものですから、プレスの関係も含めて、最終はこれですよというのを明示してご提示をいただきたいというのが1点。
  もう一点は、15ページの今後の課題というところですね。これ課題は、実は石油系を中心にしたところで、いろいろな角度で数点挙げたやつ、かなり難しい作業だと思うんですけども、ただ、実際ここはやっぱりひとつ突っ込んで、特に溶剤の概念の部分なんかは非常にわかりにくいところですけども、突っ込んでやってもらいたんですが、これが推計方法としてはフィックスされるという話で、今回ベースがありましたよね。数字の議論ではなくて。これはここのところの例えば今後の課題が出てきたときには、また、もちろん数字は戻るんですけども、推計方法を一部いじることも含めた精査という理解でよろしいんですね。わかりました。

【坂本委員長】 今のは、この後の要望ということでよろしいですね。それからもう一つは、最終的なものかどうかということを明示してほしいと、ありがとうございました。
  ただいまさまざまなご質問、ご意見をいただきましたけれども、最初の方でございましたように、この推計はVOC排出抑制対策の中で、いわば対策をとった場合に効果が出るようなところについて優先的にやって、それで必ずしも移動発生源だとか、自然起源だとか、そういったものを無視してやっているんではないというのが見えるような形で、少し冒頭のところでつけ加えていただいて、全体のトーンにつきましては、先ほどらい、ご議論いただきましたように、今回、3カ月ぐらいの間でとにかくやっていったということもございますので、今、幾つか出たご意見、それから精査するべきところは、次年度以降に反映をさせていただくというふうに検討会の方にはお願いして、ここでの取りまとめができればと思いますが、そういう方向でよろしゅうございましょうか。
(異議なし)

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  そういたしましたら、今申し上げたようなところの修正をした後、浦野委員及び事務局でそういった修正をいただいた後、報告書案の修正をお願いをしたいと思います。そして今もう一つの点につきましては、来年度以降の審議に反映をしていただくということにさせていただきたいと思います。
  なお、修正した検討会報告が環境省のホームページに掲載されるということになると思いますが、その場合には、念のため各委員にそれも送り届けていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、続きまして次に議題2のその他について、報告事項となりますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

【野沢大気環境課長補佐】 それでは資料3、揮発性有機化合物(VOC)シミュレーションに係る検討状況についてご説明申し上げます。
  資料3におきまして、目的といたしましては排出抑制専門委員会報告、「揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方」におきまして、浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントの生成に係るシミュレーションの改良等、科学的知見のさらなる充実を図っていく必要があるとされたところでございます。これを受けまして、SPM及び光化学オキシダントの環境改善効果を検討するためシミュレーションモデルを導入し、施策評価のツールとして活用することを目的に検討を行っております。
  専門家を交えました平成18年度の検討内容といたしましては、シミュレーションフレームそのものの検討ということで、基準年、対象年についてですとか、対象地域等、そういったものについて検討を行っているところでございます。
  採用するモデルの選定としまして、気象モデルであるMM5やCMAQ、こういったものをモデルとして選定しております。
  発生源インベントリの概要を整理しまして、このインベントリ仕様について現在まとめたところでございます。
  裏面に行きまして、(4)になりますが、海外から移流する汚染物質の影響について、現在文献収集を行っているところでございます。
  そして(5)過去のフィールド調査事例の整理ということで、VOC及びSPM関連のフィールドにおける実測調査の概要を整理しております。先ほど伊藤委員からお話のあったように、そのVOCの対策効果がモニタリングの内容とどのような関係になっているか、こういったものについて、現在モデルの検証用として活用可能な調査のリストアップを行っているところでございます。
  また、先ほど中杉委員からVOCの物質ごとについて、光化学オキシダントへの効果ですとかSPMの生成、そういったものがどうのようになっているか、これについてそのようなモデルを今探しているところでございまして、なかなか実際問題、それに合うようなモデルがないわけなのですが、現在、そういったものも検討しているところでございます。
  (6)といたしまして、テストシミュレーションを実施しております。その結果、精度検証の結果、光化学オキシダントについては全般的に良好な再現性が得られたものの、一方でSPMについて計算値が観測値と比較して過小になっておりまして、今後、再現性向上が必要であることが示されておりますので、これが現在の課題になっている状況でございます。
  なお、今後のスケジュールということで、表の方にまとめてございます。
  続きまして、資料4についてご説明いたします。
  資料4が揮発性有機化合物の排出施設の届出状況について、これは平成18年5月1日現在のものでございます。その結果ですけれども、表1の方に、1ページでございますが、揮発性有機化合物排出施設数は3,175施設、工場・事業所数にしますと1,034工場になります。
  一番多いものは、粘着テープまたは包装材料等の製造に係る接着用の乾燥施設が最も多いわけなのですが、次いで塗装施設、塗装施設と塗装用の乾燥施設合わせますと、結果的にはこちらが多くなってございます。
  次の方は資料編で、詳しい内容がそこに書いてあるという状況になっております。各県別とか、施設別のデータがございます。
  続きまして、資料5についてご説明申し上げます。
  資料5につきましては、揮発性有機化合物対策功労者表彰についてということでございまして、専門委員会報告、「揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組のあり方」におきましては、国及び地方公共団体は積極的に自主的取組を促進し、効果を上げている個別企業や業界団体についてはその名称を公表して、優良事業者として表彰するなど、事業者に自主的取組のインセンティブを与えるよう努める必要があるとされたところでございます。
  このため、今年度、環境省では、学識経験者、自治体関係者及び業界団体よりなる検討会を設けて検討を行ってきました。検討の結果、自主的取組、規制に関連する取組み、第三者への周知、技術開発、新たな仕組みづくりなど、VOC対策の推進に資する取組みを行った個人または機関の公募を行いまして、VOC対策功労者選定委員会により選定を行った上で、大気汚染防止推進月間に表彰を行うものとする案を取りまとめているところでございます。
  環境省におきましてはこの案を参考にしまして、来年度以降の顕彰の仕組みを具体化させることとしております。
  なお、18年度につきましては、既存の功労者表彰の枠組みの中で顕彰を行っておりまして、以下の1名、2社が表彰を受けたところでございます。
  続きまして、資料6についてご説明申し上げます。
  自主的取組の促進に係る事業の実施状況についてですけれども、専門委員会報告の「自主的取組のあり方について」では、自主的取組を支援するための措置として、国及び地方自治体においてはVOCの排出削減等に係るセミナーの開催ですとか、ウェブサイトでの広報、啓発用パンフレットの作成等により普及啓発を進めるとともに、競争的資金による技術開発支援等の実施を行うことなどが必要であるとされたところでございます。
  環境省におきまして、平成17年度、18年度に実施した自主的取組の促進に係る事業の実施状況は以下のとおりでございます。
  1、セミナーの開催でございます。排出抑制推進セミナーを平成17年度に全国7会場で行っております。また、塗装作業における自主的取組推進セミナーを、今年度全国4会場で行っているところでございます。
  また、2としまして、自主的取組推進マニュアル等の作成をしております。これは印刷産業分野、それから塗装分野、そして産業洗浄分野におきましてマニュアルを作成したところでございます。
  3としまして、啓発用パンフレットの作成でございます。一般用啓発パンフレット、それから業務別啓発用パンフレットを作成しております
  それから、4、普及啓発に係る検討でございますが、低VOC製品の普及啓発問題勉強会を開催しておりまして、今後、VOC対応製品を普及させる上で課題となる点の抽出等を行っているところでございます。
  また、揮発性有機化合物に係る環境配慮製品等の普及啓発に係る調査を行っておりまして、環境ラベルなど、そういったものの検討を行っているところでございます。
  2ページ目へ行きまして、5、技術等の情報提供でございますが、VOC処理装置等の開発ニーズ、どのようなニーズがあるのか、そういったものですとか、それに対応する処理装置等の開発状況等の調査を行いまして、開発状況等の把握、問題点の抽出等を行っております。
  また簡易測定法における情報収集ということで、測定器の選定を行う際の参考となるもの、そういったものを一覧表にしまして、環境省ホームページの方に掲載したところでございます。
  6ですが、環境技術の実証モデル事業を実施しているところでございます。平成17年度におきましては、ジクロロメタン等有機塩素系脱脂剤の処理技術、こういったものを前年度から継続して行ったところでございます。また、18年度におきましては、中小事業所向けのVOC処理技術、その汎用的なものについてモデル事業を行っているところでございます。
  7、VOCの脱臭処理技術評価ガイドの作成ということで、中小企業者向けのVOC脱臭処理装置を一般公募し、性能試験を実施し、その結果を取りまとめて公表したところでございます。
  3ページ以降に、その環境技術実証モデル事業の内容、それから処理技術評価ガイドについて掲載したところでございます。
  先ほど塗装分野でのマニュアル、手引きになりますが、そちらがこちらの方になります。
  以上、報告でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  ただいま4点ほど報告事項について説明させていただきました。これにつきましてご質問でございますが、やや内容が性格的に異なるかなと思いますので、最初の資料3の揮発性有機化合物(VOC)シミュレーションに係る検討状況について、ここだけ切り離して先に質問をお受けし、その後、3つはまとめて質問をお受けするという形にしたいと思います。どうぞ質問、ご意見ございましたらお願いいたします。
  このVOCのシミュレーションに係るところというのは、先ほどお話がございました移動発生源、自然発生源それから海外からの影響の問題だとか、そういったところにかかわってまいりますので、少し分けてご意見をいただければというふうに思います。
  いかがでございましょうか。
  シミュレーションをやる場合には、モデルそのものと、それからそれに入れる発生源インベントリの精度が同時に高くないと、結果的にはなかなかいい結果が出てこない、この場合、この中にも書いてございましたけれども、光化学オキシダントについては比較的合うんだが、PMについてはなかなかまだ合わないというようなお話がございました。その反応した後、また粒子になっていくとか、そういったところの部分がPMの方はかなり違っているというような形で、ステップが幾つかあるというのがこういう状況になっているのかと。それからあともう一つは、先ほどのVOCのお話もございましたけれども、場合によっては自然発生源の寄与の仕方が光化学オキシダント、例えばPMで違うのかどうか、そういった問題もあるのかもしれません。今、PMについては、ディーゼル排ガス規制のところについてはかなり効果があるというのが明確にわかってきたわけですが、その一方では、濃度がそれほど減っていないというようなことは、今のこの二次生成のところにかかわる部分がかなりあるのかなというようなところを推定させる部分があるような状況でございます。
  どうぞ、伊藤委員、お願いいたします。

【伊藤委員】 このシミュレーションで、最終的にデータが我々の手元に来るのは平成22年ですか。いつごろになったらこういうデータで出てくるのかよくわからないので質問しているんですが。

【坂本委員長】 事務局の方、お願いいたします。

【野沢大気環境課長補佐】 最終的に取りまとめになるものは、平成22年度に結果を出していくという形になっておりまして、平成23年度ごろにはまとまったものになるかと思っています。ただ、その途中途中に出せるものは出してまいりたいというふうに考えております。

【坂本委員長】 今、今後のスケジュールのところを見させていただきますと、基準年が、平成12年、中間年が17年、そして将来が平成22年という形で、これでいくとあるところまでで今までまとめてきたエミッション・インベントリの、それからさらに今後追加されるであろうものを使って、平成22年を予測する時期がいつごろになるのかなという気がするんですが。そういうことですよね。だから多分、最終的にその結果と、それからこれまでまとめてきたものとが22年になって測定値と合いましたということだけではなくて、それ以前の段階でどういうふうな将来予測をする形があるのかどうか、そしてもしそれをやるとしたらそれがどの辺になるんでしょうか、そういうことだと思うんです。

【伊藤委員】 恐らく22年には見直しをするという話も出てくると思いますので、それより前にデータが必要じゃないかと思ったので、そういうご質問をさせていただきました。

【野沢大気環境課長補佐】 おっしゃるとおりです。この中で、この表の今後のスケジュールの中の平成21年度に感度解析というのがございます。この感度解析の方でその施策の効果みたいなものを見てまいりたいと思っておりまして、この結果が、21年度に行うわけですので、取りまとめが出てくるのは22年度になっていくだろうという形です。平成22年度にこれまでの施策評価取りまとめというものを行っていく形でございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。今、この表を見ると20年、21年ぐらいでそういったオキシダント濃度の超えるところが何日あるかと、将来年度の予測というのが20年の最後の方にございます。そして今度それがVOC削減に伴うSPMオキシダントの低減効果の検証、それから感度解析が21年というような形になってございます。
  どうぞ、小林委員、お願いします。

【小林委員】 1点だけなんですけど、この18年度の検討内容の中で、(2)以下に説明のないものが、実は対象地域というものが全然説明が書いていないんですが、どこかをモデルというか、対象地域を決めてやられるのか、何カ所ぐらいでやられるのかという点ですが、それで対象地域を決めた場合、そこでの発生源データとどういうふうにとられるのかなというのをちょっとお聞きしたく思います。

【坂本委員長】 その点につきまして、見通し、もしくはこういう形でやろうとしているというような情報がございましたらお願いいたします。

【野沢大気環境課長補佐】 対象地域ですけれども、対象地域の方は全国対象にしていきたいというふうに考えておりますが、その中心になるところにつきましては関東地域及び関西地域、ここのところで行っていきたいというような形で現在検討しているところでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございます。
  全体としてはそのVOCの枠組みが全国になっているので、全国でどのぐらい超える日があるかという話と、それからもう一つは、精緻な形で考えていくのは、そのエミッション・インベントリ、それから環境中の濃度等の測定が、比較的情報のあるところということになると、首都圏とそれから関西地域とか、そういったところに多分絞られていくのではないかなというふうな気がいたします。
  そのほか何かございますでしょうか。
  もしよろしければ、残りの揮発性有機化合物排出施設の届け出状況、揮発性有機化合物(VOC)対策功労者表彰について、それから自主的取組の促進に係る事業の実施状況について、そのほかパンフレット等一部配付させてございますが、それにつきまして、ご質問、ご意見ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでございましょう。
  早瀬委員、お願いします。

【早瀬委員】 資料6のセミナーの関係で、先日、九州でも塗装作業におけるVOC自主的取組推進セミナー、私も関与させていただいたんですが、その場で塗装関係の非常に小規模な、自主的取組の対象になるような方が集まっておられて、きめの細かい技術的なことだとか、心得に関することだとか、必要性だとか、そういうことについて議論したんですけれども、最後に塗装の関係の方からの質問がありまして、その内容は、こういったことについて責任を自分たち塗装業者にだけ負わせるのではなく、施主だとか、あるいはユーザーも含めてとる必要があるんじゃないのかというような質問が出ました。
  きょうこの資料6を見せていただいたらわかりますように、そのあたりも十分に考慮した上で、環境省さんとしてもこういう自主的取組を進めていっているというふうに理解しているんですけれども、それでも現場の個々の下請けの塗装業者さんにしてみると、自分のところにしわ寄せが最終的には来ているという思いがやっぱり抜けないんじゃないのかなと思いました。
  それで、私自身とすると、やはり施主とそういった個別の下請けの方との間についての目の見えた関係づくりだとか、あるいはそれを公共がある程度関与した上でそういうような関係づくりをするとか、そういう努力もやっぱりこれから必要なんじゃないのかなというような気がします。
  そういったときにもう一つの要望なんですけれども、この中で技術情報の提供というのがあるんですが、今後その自主的な取組みを進めていく際には、VOCだけ削減するということで環境問題は片づかないだろうと思いますので、こういった対策技術が他の物質も含めたライフサイクル的な視点で、その環境への負荷という意味でこういった新しい技術というものの情報を整備していくと、そういった情報を提供していただいて、それをもとに市民も含めた議論ができるというような情報提供を進めていただけたらというふうに思いましたので、要望としてお話ししておきたいと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  ただいま重要なご指摘であったと思います。どうぞ。

【小林委員】 今のご指摘の件で、私もいろんなところで議論をさせていただいていて気になるのは、いわゆる実際にVOCを使っている業者からそれを発注する、製品を発注する発注者ですね、施主というか発注者、この発注者に問題があるのか、ここでできた商品を買う消費者の方に問題があるのか、この辺をもう少し詰めていかないと、ターゲットの当て方にずれが生じてくるのではないかと。
  例えば食品関係の包装材の問題のときもそうだったんですが、包装材というか、食品の物を買う消費者の方にそのできた包装材の仕上がりで物を買っているということから消費者にターゲット当てようとしたのです。実際には袋の仕上がりで本当に消費者は物を買っているのかどうかという点がちょっとずれがあるのではないかと。逆にラミネート業者の方々のお話とか、包装材を印刷する印刷業者の方々に言わせると、発注者の商品メーカー側に神経質になっている部分があるのではないかという議論も出てきたので、その辺をちょっと詰めていかないと、今、早瀬委員指摘された部分、当て方によっては空回りになるおそれがあるのではないかなという気がいたしました。それが1点。
  それから、質問ですが、この届出が出てきた数字なんですが、これ環境省として予想された数字とどれぐらいずれがあったのかというのがちょっと聞きたい点。
  それからもう一点は、昨年度セミナーをやって大変多くの方がお越しいただいたんですが、このセミナーに出席された方がこの届け出された方との整合が、ほぼ出席されたのか、出席率はどれぐらいだったのかなというのが、実はよく知りたいなという気がしたのですが。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  これは事務局の方、もしその情報をお持ちであればお願いしたいと思います。

【野沢大気環境課長補佐】 揮発性有機化合物の排出施設の届出状況につきましては、当初、2,000施設から3,000施設じゃないかということで排出抑制対策についてご議論いただいたところでございまして、その当初に想定としていた数とほぼ類似しているというふうに考えております。
  また、セミナーの参加者と届け出対象者という形では、どちらかというとセミナーに参加された方は自主的取組の方が多いというふうに考えておるところでございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
  そのほか、ございますでしょうか。中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 今、資料6の自主的取組の実施状況のところの技術情報等の話なんですけども、ここで書かれていることは環境省がやっていることだけしか書かれていない。実際には私もちょっとお手伝いしているんですが、経済産業省がNEDOなどを使っていろんなことをやっているわけですね。そういうものの情報を経産省は経産省で、環境省は環境省だというやり方というのは非常にまずいんだろうと思うんですね。実際にアスベスト処理技術についても環境省廃リ部に行くと、NEDOの方でお互い情報交換しようというような動きに出てきていますので、少なくともリンクを張るとか、そういうふうなことを努力していただければと。今、経産省の方のNEDOでは、中小の事業者が技術を選ぶときのシステムというのもまだまだ不完全なので、我々もコメントを大分出しているのですけれども、そういうものも作っていますので、そういうものをしっかり勉強して、情報として流していただくようなことをしていただければと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  どうぞそのほかご意見、ご要望等でも結構でございますが。よろしゅうございましょうか。
  今、幾つかあった中で、最後のところで、塗装に関連してその施主と下請けの関係で、まさにこれはほかの家庭用の製品も買う側とつくる側、それから印刷でもやはり、以前にもいろいろお話あったと思いますけれども、そのでき上がりを使う方の側が考えるところと、それからそれを製造するところの側とか、そういったものについて、いわば先ほど早瀬委員がおっしゃっていましたけれども、こちらの方が環境負荷の低い作業工程でできていますよというようなものを消費者が選んでいただくような形、施主とかそういった方向へ持っていくような努力が大きく必要だろうというようなご指摘であったかと思います。
  それから、もう一つはいろんなVOC排出抑制に関連して、情報を提供する場合でも関係するところとリンクを張るか、もしくはこの環境省以外のところの情報もその中へ取り込む、リンクを張る、それからもっと包括的に、VOC以外にも環境負荷がこういった関係でやれば下がるとか、そういった情報もあわせて載せるような方向で今後やってほしいというような要望がございました。そういったことで環境省の方では今後取り組んでいただければというふうに思います。
  引き続きまして、次のところへ入らせていただきたいと思いますが、今日いろいろ用意いたしました議題はこの2つでございましたけれども、その他という形で今、報告事項を説明させていただきました。今後の揮発性有機化合物排出抑制専門委員会、これについて事務局の方としてどのように考えているか、ございましたら説明をいただければと思います。お願いいたします。

【木田大気環境課長補佐】 それではご説明させていただきます。
  最初にご議論いただきましたこの排出インベントリ、平成12年度の再集計とそれから17年度、今回、やったということですけれども、18年度の排出状況、これを取りまとめた段階で、この専門委員会を開催させていただきたいというふうに考えてございます。時期といたしましては今年と同じぐらいの、また多分3月とかぐらいになろうかと考えてございます。
  以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
  今、お話ございましたように、18年度の排出状況を、今日いただいた意見を入れた形で頭書きぐらいを小修正するような形で取りまとめ、そして今日、委員の皆様方から出ましたご意見、要望を踏まえた形で、次年度の排出インベントリ検討会を進めていただいて、また、このぐらいの時期に取りまとめたものの案を報告いただくというようなことでございます。そういったことでよろしゅうございましょうか。また、こういった点につきましては、もし何か途中のところで貴重な情報を持って、これも役に立つようなものがあったら、多分事務局の方へそれをお寄せいただいて、排出インベントリ検討会の方へそういったものの情報を流して反映させていただくことも可能と思いますので、今の最終的な3月のまとめのときだけが先生方からご意見をいただく場ではなくて、別途事務局へそういうものをお寄せいただければ、そこから事務局から検討会の方にその情報を出すということも可能と思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  それでは進め方につきましては今のようなことで進めさせていただきたいと思います。そういうことでよろしゅうございましょうか。
(異議なし)

【坂本委員長】 それでは、実は私、中央環境審議会の総会で大気環境部会長に指名されたところでございます。今回まで専門委員会の委員長を務めさせていただいたわけでございますが、今回をもちまして私は退任をさせていただきたいというふうに思います。
  なお、中央環境審議会議事運営規則によりますと、専門委員会の委員長は部会長の指名によりこれを定めると、そういうルールになってございます。そういうことでございますので、4月付で当専門委員会の委員長に、揮発性有機化合物測定方法専門委員会の委員長を現在お務めでございます岩崎委員を指名したいと思います。これにつきましては、非常にVOCに関連して発生源情報、それから東京都で具体的な対策をやってこられたというような点で非常に詳しい情報もお持ちでございます。そういったことから岩崎委員を指名をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。岩崎委員はお忙しいとは思いますけれども、事情をご賢察の上、よろしくお願いをしたいと思います。どうぞ、何かごあいさついただければと思いますが。

【岩崎委員】 坂本先生の後ということで、非常に私には荷が重いんでございますけれども、VOCの抑制対策というのは非常に重要な意味を私自身も感じていますし、うまく進めていければと思います。また、各委員の先生方のご協力をいただきまして、どうにか務めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 それでは岩崎委員長のもとに、今後も是非よろしく皆様方にご協力をお願いをしたいと思います。
  それでは最後に松井課長からごあいさつをいただきたいと思います。

【松井大気環境課長】 このVOC対策につきましては、平成14年、15年当たりから環境省におきまして検討が進みまして、平成16年には大気汚染防止法の改正によりまして制度化されたわけでございます。ただ、その具体的な内容につきましては中環審、基本的なその規制のあり方等につきましては当専門委員会によりまして精力的にご議論いただくとともに、昨年におきましては自主的取組についてもおまとめをいただいたということでございます。これまで10回ということで、委員の皆様方には大変精力的にご尽力いただいたわけでございます。とりわけ坂本委員長には毎回的確に取りまとめをいただいておりまして、本日これが最後ということでございます。ただ、坂本先生につきましては、今度は中環審の大気環境部会長ということで、この専門委員会がまとめたものをご吟味いただくという、そういう形で、これまでの関係がなくなるわけではございませんので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
  また、来年につきましては、来年の今ごろになるかと思いますが、新委員長のもとにこの専門委員会を開催することとさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

【坂本委員長】 それでは、これにて閉会としたいと思います。次回は今、お話ございましたように、来年度になりますけれども、排出インベントリの検討会での取りまとめ状況につきまして、岩崎新委員長のもとに開催をしていただきたいと思います。
  先ほど申し上げましたように、私、今日をもちましてやっとこの任をおりることができ、かつ、今日は幸い時間も早目に終わることができたということで、これも一重に皆様方のご協力のおかげというふうに思います。今後、岩崎委員長のもとにますます有益な議論をしていただきたいというふうに思います。長い間ご協力ありがとうございました。