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中央環境審議会大気環境部会
揮発性有機化合物排出抑制専門委員会第5回
会議録


  1. 日時   平成17年4月26日(火)9:30~11:30
     
  2. 場所   ホテルフロラシオン青山 3階 孔雀
     
  3. 出席者
    (委員長) 坂本 和彦    
    (委 員) 池澤  広  伊藤 洋之  岩崎 好陽
      浦野 紘平  大野 英弘  岡崎  誠
      後藤 彌彦  小林 悦夫  千本 雅士
      土井 潤一  内藤 喜幸  二瓶  啓
      早瀬 隆司  福山 丈二  藤田 清臣
    (環境省) 鷺坂総務課長
      関大気環境課長
      熊倉大気環境課長補佐
      野沢大気環境課長補佐
      長坂大気環境課長補佐
                    
  4. 議題
     (1) 揮発性有機化合物の排出抑制に係る自主的取組について
    (2) その他


  5. 配付資料
  6. 資料1 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員名簿
    資料2 中央環境審議会大気環境部会揮発性有機化合物排出抑制専門委員会(第4回)議事録(案)(委員限り)
    資料3 揮発性有機化合物の排出抑制に向けた事業者の自主的取組の促進方策について(論点整理)
    参考資料1 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制制度の実施に当たって必要な事項について(答申)(委員限り)
    参考資料2 平成14年度VOC排出インベントリ調査の概要
    参考資料3 VOC対策に係る平成17年度予算の概要

  7. 議事

    【長坂大気環境課長補佐】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回揮発性有機化合物排出抑制専門委員会を開催させていただきます。
     委員の皆様、お忙しい中お集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日は、中杉委員と寺田委員よりご欠席とのご連絡をいただいておりまして、ほぼ皆さんお集まりいただいているところでございます。
     まず、委員に異動がございましたのでご紹介をさせていただきます。昭和シェル石油の栗田委員の後任として、同社より池澤委員が就任されております。池澤委員、よろしくお願いします。
     それから、事務局にも4月1日付異動がございましたので、ご紹介させていただきます。大気環境課課長補佐の野沢でございます。
     それでは、お手元の配付資料、ご確認お願いいたします。議事次第に一覧を記載しておりますのでごらんください。委員のお手元には、委員限りとして資料の2、第4回議事録(案)がつけてございます。それから資料の3、論点整理のもの。それから参考資料1につきましては、こちらも委員の席上のみ配付させていただいておりますが、この前出たばかりの答申を冊子にしたものをつけさせていただいております。それから参考資料2と参考資料3、以上でございます。資料の不足がございましたらお申し付けください。
     それから資料2の議事録(案)、第4回の議事録(案)でございますが、修正点がある場合には、5月10日までに事務局までにご連絡を行っていただきたいと思います。その後、公開とさせていただきます。
     それでは、これ以降の議事進行は坂本委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

    【坂本委員長】 おはようございます。早い時間からお集まりくださいましてありがとうございました。それでは、まず本日の議題に入る前にご報告をさせていただきます。
     3月30日の前回の会議では、本専門委員会の報告書、揮発性有機化合物VOCの排出抑制制度についておまとめいただきました。4月8日に開催されました中環審大気環境部会におきましては、この本専門委員会報告書と、それから測定方法専門委員会報告書を合わせたものが答申案として審議されまして、両報告書の内容がそのまま中央環境審議会答申として取りまとめられましたことを皆様にご報告をさせていただきます。これが本日皆さんのお手元にございます参考資料1ということになります。
     それでは、本日の議題に入らせていただきたいと思います。前回の会議の終了前にご案内させていただきましたけれども、前回でVOC排出抑制のうち、規制の部分の議論が終了いたしましたので、本日は自主的取組の促進方策等についてご検討を開始したいと思います。
     本日はこの自主的取組の議論となります第1回目ということでございますので、基本的には委員の皆様方にフリーディスカッションをしていただきたいと考えてございます。これまでの議論で出てまいりました論点を、機械的ではございますけれども、整理したメモを事務局の方で作成していただいておりますので、まず簡単に事務局の方からこのメモについて説明をいただき、ここで論点が尽くされているかどうか、そういったことも含めて委員の皆様方から忌憚のないご意見をいただき、今回のベストミックスのもう1つの規制的な手法、それから自主的取組が両方が相まってVOCの排出抑制が進んでいくことを考えた場合に、自主的取組はどういうふうにあるべきか、そしてどんなことを考えるべきかということでご議論をいただければと思います。
     それでは事務局から説明をお願いいたします。

    【大気環境課長補佐】 それでは、資料の3をごらんください。揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に向けた事業者の自主的取組の促進方策について(論点整理)というものでございます。
     1枚目がまさに論点整理になっており、2枚目から別紙ということで、意見具申と答申の抜粋枠をつけさせていただいております。簡単にこれをご紹介させていただきますと、別紙の1の方でございますが、意見具申の抜粋になります。5.VOCの排出抑制制度(3)自主的取組による対策という項目がございまして、ここに意見具申での考え方を書いてございます。かいつまんでご紹介いたしますと、自主的取組のあり方については、今後、事業所、企業、業界団体等の最もふさわしい主体ごとに、適切な方法を検討し、確立することが期待される。この場合、いずれにしても情報の公開や検証の仕組みを内在させることが求められるが、その具体的方法や実施の時期は、それぞれの事業者等の実状に応じて適切に運用されることが望ましい。そして行政においては、事業者の自主的取組を推進する立場から、JIS等の規格やグリーン調達に低VOC製品を位置づけたり、環境ラベルを活用するなど推奨的な施策を実施すべきであるが、その効果的な方法については、事業者の意見を聴いた上で検討を深めていくことが必要である。こういう内容になっております。
     6.今後の課題という、自主的取組そのものを推進させるための方策の1つとして書いてある項目がございますので、そちらを読ませていただきますと、例えば広範かつ精度の高いシミュレーションの実施に向けた取組を推進するなど、科学的知見の更なる充実。あるいは、特に中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置の開発を推進する。低VOCの塗料、インキ、接着剤等の開発を促進することが必要であるということ。それから、低VOC塗料等を使用した製品に対する国民の理解を深めていくなどの普及啓発を行うことも重要である。こういったことが書かれてございます。
     次にまいりまして、別紙の2は、今般でき上がったばかりの答申の抜粋でございます。答申の日にちが間違ってございますが、4月8日です。失礼いたしました。
     今ご説明させていただいた意見具申の抜粋の内容とほぼ同じ考え方でが、もう少し詳しく答申の方では書かれてございます。今後の課題といたしまして、今後は自主的取組の促進に当たって必要な事項について引き続き検討するということが書いてございまして、まず(1)自主的取組の促進です。VOCの排出総量を平成22年度までに3割程度削減するという目標において、自主的取組に基づき削減すべき場合は、2割分程度と非常に大きなものとなっている。しかしながら、自主的取組による削減の進捗状況を勘案して、必要となれば最終的には法規制で3割削減を担保するということになりますので、事業者の裁量に委ねた柔軟な方式でも排出抑制は進展すると考えられると。こういうふうに書いてございます。
     自主的取組の進め方については、今後、事業所、企業、業界団体等の最もふさわしい主体ごとに、製品の低VOC化を促進したり、VOCの排出抑制のためのガイドライン・計画等を削減することにより、適切な方法を検討し、確立することが期待される。この場合、情報の公開や検証の仕組みを内在させることが求められるが、その具体的方法や実施の時期は、それぞれの事業所等の実状に応じて適切に運用されることが望ましい。意見具申の内容ほぼそのままですが、少し詳しい説明になっております。
     行政においては、事業者のこうした自主的取組を円滑に促進するための方策を総合的に検討し、取組の状況を把握・評価していくことが必要である。また、JIS等の規格やグリーン調達に低VOC製品を位置づけたり、環境ラベルを活用するなど推奨的な施策を実施することが適当である。これは(1)の内容でございます。
     そして(2)ユーザーに対する普及啓発におきましては、VOCの排出抑制対策としては、VOC処理装置の導入、またはインキ・塗料等の低VOC化が対策手法として考えられるということが書いてございます。したがいまして、これらの環境対策に取り組んでいる事業者が提供する製品に対するユーザー企業及び一般消費者の理解を深め、これらの製品を優先的に調達・購入する動き(グリーン購入)が拡大するよう、普及啓発を進めることが重要であるという内容でございます。
     続きまして(3)中小企業者等への支援ですが、これについては特に中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置、簡易測定法、それから低VOCインキ・塗料等についての開発を促進し、必要な情報提供を行うことが重要であるという内容です。
     (4)VOCについての情報提供でございますが、ここの内容的には行政に対するものかと思いますが、VOCのリストを作成して情報提供を行うことが適当であるという内容でございます。
     (5)が制度の効果の把握ということで、効果的なVOCの排出抑制対策を講じていくために、自主的取組の状況、法規制の効果などのVOC排出抑制制度の実施状況を把握する、広範かつ精度の高いシミュレーションの実施等の科学的知見の更なる充実を図っていくことが必要である。こういった内容が答申に書かれてございました。
     以上の項目につきまして資料3論点整理ということで、項目につきましては整理をさせていただきまして、基本的に内容のかわらない部分については今の内容そのまま持ってきておりますし、特に記述ではなくても、こういう考え方ではないかなという部分については、事務局の方で書かせていただいた部分もございます。
     順を追って説明させていただきますと、1番目、自主的取組の進め方という項目につきまして、(1)から(5)の内容です。まず(1)取組主体としては、事業所、企業、業界団体等の最もふさわしいものということで、こちらにつきましてはまさに最もふさわしいものを、恐らく事業者自身がどこでどういうやり方をすればいいかということを考えていけばいいのかなと思っています。意見具申答申等にも書いてございました。
     (2)の取組対象ですけれども、規制対象外のすべての排出源(屋内・屋外問わず)ということで、こちらについては特に記述があったわけではございませんが、当然、VOCの発生源となる事業者さんにつきましては規制対象部分以外は基本的にはすべて自主的取組で対応していただくという考え方と考えております。
     (3)の実施方法でございますが、VOCの排出抑制のためのガイドライン・計画等を策定する等ということで、いろいろなやり方がございますが、答申に書かれている内容はこういうことでございました。
     (4)目標でございますが、固定発生源からのVOCの排出総量を平成12年度から平成22年度までに3割程度削減をするという目標があること。またその中において、自主的取組によって削減すべきは2割分程度と見込まれるということに留意する必要があるということで、こちらも答申に書かれていた内容でございます。
     (5)取組内容でございますが、原材料または製品の低VOC化、VOC処理装置の導入、それから工程の改善・改良等ということで、最後の部分は特段記述がありませんでしたが、一般論としてこういったものがあるのだろうということで、記述を追加させていただいております。
     それから2番目、事業者による情報の公開・検証の仕組み/行政等による状況の把握・評価という項目をつくらせていただいております。この内容といたしましては、(1)自主的取組の信頼性・公平性を確保するため、インターネットや環境報告書等を通じて、取組内容を外部にわかりやすく伝えることが必要ではないか、ということで、答申に記述があったものではございませんが、一般的にはこういうやり方が考えられるのではないかということで書かせていただきました。
     (2)取組内容の妥当性や情報の正確性をより高めるため、検証の仕組みを内在化させることが必要ではないか。これは意見具申及び答申に書かれていたものでございます。
     (3)内部検証のみならず、外部の第三者(行政、審議会、NGO等)による客観的な状況の把握・評価も必要ではないか、ということで、行政の把握・評価につきましては答申に書かれておりましたが、行政のみならず外部の第三者という考え方もあるだろうということで、このような書き方をさせていただきました。
     (4)行政等による状況の把握・評価は、平成22年度の削減目標年次に向けて、定期的に(少なくとも年に1回程度)行うべきではないか、ということで書かせていただきました。この定期的、少なくとも年に1回程度というのは、これぐらいは必要ではないかということで、今回ここで書かせていただいたものでございます。
     次に、3番目にまいりまして、我が国全体からのVOC排出量(インベントリ)の把握という項目でございます。これにつきましては、答申の中に特に書いてあるという性格のものというよりは、このVOCの排出抑制の議論をする際にいつもご議論いただいて、この委員会の場でもいろいろご意見をいただいているところでございまして、いかに正確なインベントリをつくるかというのが、その効果を把握をするために必要だろうということで、1つの項目として書かせていただいております。
     (1)はVOCの排出削減状況をマクロレベルで把握するため、正確なインベントリの作成が必要ということで、これが自主的取組の達成状況を評価する上でも不可欠な取組ということ。
     そして(2)は、VOCインベントリの作成のためには、VOCの生産量等を示す全国統計情報のみならず、VOCの処理・破壊量を示す事業者の取組状況の積み上げが必要ということを書かせていただきました。この考え方、インベントリというのは基本的にはマクロの統計情報等から作成するということでございますが、実際にはその取組、事業者の取組によってどれだけ減ったというような情報がないと、なかなか正確なものができ上がっていかないのではないか、ということを書かせていただいております。
     これに関連しまして、参考資料の2を簡単にごらんいただきたいと思います。参考資料の2は、平成14年度のVOC排出インベントリ調査の概要ということで、今回の一連のVOC対策のもとになっております150万トンといっておりますけれども、裏を見ていただきますと、平成12年度のインベントリを調査したものでございます。
     円グラフの真ん中に150万トンとなってございまして、塗料以下、製油・油槽所まで各排出源につきましてインベントリということで見積もりを行ったと、こういったものでございます。1枚目に戻っていただきまして、簡単にどういうやり方をしているかということでございますが、排出量の推計方法ということで、VOCの大気中への排出量の推計は、製品の全国出荷量、製品中のVOC含有率、大気排出率を統計資料や実施調査等により求めることによって、この図のようなフローに従って推計を行ったものです。[1]が製品の全国出荷量、この製品というのはVOCそのものというよりはVOCを含んでいる製品でございますので、100%VOCではございませんので、その[2]の製品中のVOCの含有率というのを掛けまして、これがVOCの全国の出荷量という形になります。この出荷量がこのまま100%大気に排出されるかどうかというのは、やはりいろいろな形態によって変わってきますので、当然細分化して考えますが、それに対して大気の排出率、下に書いてございますが、使用されたVOCが大気に排出する割合、半分出れば50%、全部飛ばせば100%ということでございますが、こういった部分について非常にきめ細かくやっていかないと、正確なインベントリには近づいていかないだろうなということで、ここの部分については規制、あるいは自主的取組でどういったことがなされて、どういうふうにどれだけ削減されているかという情報がないと、なかなか正確なインベントリには近づいていかないのだろうなと考えるということでございます。
     もとの資料に戻っていただきまして、今の3番の(2)の部分については、そういった事業者の取組状況の積み上げというものを必要だということが考えられるということでございました。
     4番目、自主的取組に対する支援策ということで、こちらは主に行政の方に向けられている言葉と思われます。(1)VOC処理装置の導入またはインキ、塗料等の低VOC化等の環境対策に取り組んでいる事業者が提供する製品に対するユーザー企業及び一般消費者の理解を深め、これらの製品を優先的に調達・購入する動き(グリーン購入)が拡大するよう、普及啓発を進めるべきではないか。
     (2)JIS等の規格、環境ラベル、国のグリーン調達等に低VOC製品を位置づけるべきではないか。
     (3)中小企業者を含めた幅広い事業者がVOCの排出抑制対策に取り組むため、特に中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置や、VOCの簡易測定法、低VOCインキ・塗料等についての開発を促進し、また必要な情報提供を行うべきではないか。基本的にはみんな答申に書かれていることで行政向けと思われるような支援策の内容ということをここにまとめさせていただきました。
     以上のような形で項目を整理させていただきまして、これをもとにフリーディスカッションを委員の皆様にしていただければと考えております。以上でございます。

    【坂本委員長】 説明どうもありがとうございました。ただいま意見具申、それから答申の中で自主的な取組に関係する部分がどういった内容であったかということを整理し、それを今度は自主的な取組の進め方、事業者による情報の公開・検証の仕組み/行政等による状況の把握・評価、それから我が国全体からのVOC排出量(インベントリ)の把握、自主的取組に対する支援策というような、4つの項目で整理をしていただいた資料が今皆さんのお手元にございます資料3でございます。
     これから皆さんからご自由にご意見等をいただいて、議論を進めていきたいわけでございますけれども、すべてを一遍にやりますと混乱いたしますので、今、この資料3の1、2、3、4のうち、まず1について行って、次に2というような手順で皆さんからのご意見をお伺いしたいと思います。
     それでは、まず自主的取組の進め方につきましてご意見等ございましたら、お願いしたいと思います。早瀬委員、お願いします。

    【早瀬委員】 1だけに関係することというわけではないのですけれども、1、2に関係するので申し上げてよろしいでしょうか。
     私自身、検証の方法ですとか、評価の仕組みですとか、そういったことについて2の部分で書かれていますけれども、そういった場合に2の(3)のところで、行政、審議会、NGO等と書いてありますが、ユーザーへの普及啓発ですとか、そういったことを考えますと、地域の役割というのが重要ではないかなと思っています。そうしますと、その地域ごとにこういうことを評価していこうといった場合に、1の目標の観点になるのですが、目標の3割ということになっています。これは一応社会的なものだと思うのですけれども、地域によっては3割、よく調べてみないとわかりませんが、3割達成しなくても環境基準については問題のないところもあれば、あるいは環境基準を達成できてないところもあるという違いもあるだろうと思います。けれども、そういったときに一々3割ということで進めていくのかどうかということについて、もう少し共通の理解を持っておかないと、この評価だとか、あるいはそれを踏まえての計画を訂正していくというような場合にも、不要な議論というのでしょうか、お互いに不幸な議論になっていくのではないのかなというふうに思いますので、そういった目的などについても、もう少し具体的に、それぞれの社が納得できるようなものが必要なのではないのかなという、もし地域でやっていくときに感情的なものを抜かしたところで、どうしてもこうなのだというような議論を進めていくというのはなかなか難しいのではないのかなというような気がしたものですから。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、主として自主的な取組の進め方の、いわば全体の対策を進めていって、どう効果が出てきたか、減ってきたかとか、そういったものを検証をする場合に、あるエリア内で3割のうちの例えば1割、それから2割が自主的な目的として減ったかどうか、非常に環境基準の達成率の低いところと、そうでないところで一律に扱うのかどうかという議論でございますけれども、これは最初の議論のときに発生源から出たものがその地域だけでは反応するのではなくて、かなり移流をしていく部分がありますよということを考慮しているというようなことを考えると、やはりある程度それぞれのエリアでもそういったものをやらざるを得ないのかなと、仕組みとしては。
     むしろその場合に、どちらかと言うと光化学スモッグなり、それからSPMの環境基準の達成率が低くて、今後シミュレーション等で、いわばレセプターサイトだとか、そういったものがわかってくるようなことがあった場合には、その風上に当たるようなところはこの法律の中で3割達成したらもうそれでよしとするのか、まさに自主的な取組でそういった最終的な目的はどこにあるかということを考えた場合に、光化学オキシダントの環境基準、それからSPMなり、その環境基準の達成を非常に良好なものにしようというような意図があることを考えると、もう少しそういったところで、より努力をしてほしいというようなのが中には入っているかなという感じを私自身としては少し持ってございます。
     これは全く私自身の考えでございますので、皆さん方からご意見をいただいて、全体の中で考えたものでやっていくということにはなろうかと思いますが、やはりこれを決めたところの最初の基本的なところは私としてはそこに申し上げるところにあるように思ってございますが、いかがでございましょうか。今、早瀬委員から目標、それからそういった結果について検証するというような話もございましたけれども。

    【早瀬委員】 今、委員長がおっしゃったことは全く理解しておりまして、そのとおりだというふうに思っております。
     それから、本来の目的というのは、やはり環境基準だろうと思うのですけれども、下手をすると本来の目的ではなくなってしまって、二次的な目的だけになってしまうというようなことが、そういう変な議論になってしまって、せっかくみんなで同じ方向を向いていこうというようなときに変な誤解が生じてしまったり、あるいは嵐になったりするのも何か不幸かなというような気がしまして、その辺はもう少し柔軟に考えるということはできないのかなという気がしているのです。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。小林委員お願いします。

    【小林委員】 今の件なのですけれども、やっぱり地域ごとに環境基準が特に大事というのが重要だろうと。ですから、全部これで一律3割削減したからいいという話にはならないと思うのですが、その中で、1つは3割削減でも環境基準を達成しないような地域について、特定地域という形で環境省側である一定のシミュレーションやって、そこだけの何か新しい提案をされるという方法は1つあるだろう。
     もう1点は、その辺についてはその地域の地方自治体にゆだねるという方法、ですからその地方自治体と業界のお話し合いをされて、ある程度そこにおける特別の削減方策を考えるという、2つの方法が選択されると思うのです。その辺についてはこれからご議論いただきたいというのがあるわけです。
     逆の問題として、環境基準をほとんど達成というか、もう低いレベルであるにもかかわらず、全体で3割削減だということだけのために、必要のない対策をとらなければならない工場が出てくるだろう。それについてはどう考えるのかという問題。これは業界全体のバランスの問題もあると思うのですが、この辺についてもひとつお考えいただかなければならないかなと思います。
     それから私もう2点あるのですが、気になるのは3割削減の中で規制が1割だから自主削減が2割だという、こういう単なる足し算ではいかないだろうというふうに思っております。私自身は以前の審議会の中で申し上げているのですが、全体で自主削減の中に規制の部分が内包されているのではないか。ですから、逆に言いますと自主削減をすることによって規制による規制効果が逆に滅殺されてしまう、なくなってしまう可能性が十分ある。例えば薬品の使用転換をすることによって、本来規制によって避けられる部分が、その薬品の種類を変えることによって下がってしまった場合、規制効果というのは出てこないということになるわけで、その辺もにらんだ上で、逆に自主削減2割ですよという割り切り方はちょっと問題があるかなと思っております。
     もう1点、先ほどの参考資料3のところで、環境省側の作業手順が書いてあるわけですが、これを踏まえながらこれから審議会が審議していくタイムスケジュールの中で、業界側が主導型で、いろいろな削減案、自主削減の案をつくっていかれて、その削減に基づいて審議会の方で議論をするという形をとるのか、それともいわゆる審議会主導型で、ある程度基本的な考え方をここでどんどんつくっていきながら、それに合わせた形で業界側の方で削減、自主削減の方策を検討いただくのか、この辺の作業手順を少し整理しておく必要あがるのではないかなと、こう思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。お話は3つあったかと思います。環境基準の達成率の高いところ、低いところによってどういった形で達成するような考えで取り組むか。それから3割削減、これは先ほどの早瀬委員のお出しいただいた意見と同様。それから全体的な、今後自主的な取組をどういった形で進めていくかにおいては、順番として審議会主導か、もしくは業界の自主的な取組の方の考え方、業界の方の主導的な部分でやっていくのかという、その3点があったかと思います。ここでご意見をいただき、最終的には実効のある形はどちらであろうという判断をしながら、そういう方向へ進めていくというのが望ましいかなと思いますが、どうぞご意見をいただければと思います。
     伊藤委員、お願いします。

    【伊藤委員】 2点なのですが、今、3割削減ということと、それから地域によって違うということ、これは私もちょっと感じておりまして、結局元をただせば最初の意見具申のボタンの掛け違えだと私は思っております。というのは、例えば九州や北海道は全く光化学オキシダントは発生しないのに、実質3割削減をしろと、さらに規制はかけられる。片や関東地区とか、関西地区、そういうところはそれなりに発生しているのに規制は同じだ。またこれは幾ら隣の地域に流れるといっても、やはり最初の考え方が少し問題ではなかったかなというふうに私は思います。ここで言っても仕方がないので、それはそういうことで私の意見です。
     それから、小林委員の方からお話があった自主取組についてですけれども、この審議会で枠を決めて、それから民間の方に落としていく、逆に民間の方で案をつくってやっていく。どちらでいくかということで、私は企業の立場からすると、後者の民間の方で案をつくっていきたいと思っています。
     というのは、こういう場で枠を決め、例えば3割削減、いや大きいところは4割にしましょうと言われても、やはり業界のいろいろなやり方、業界、業種によっていろいろと発生している物質の違いもありますし、発生する施設も違います。やはり民間のいろいろなやり方といいますか、そういうところをやっていかないと現実的には非常に難しくなるし、自主管理と言いながら、実際に自主管理でなくなってしまうと思いますので、これは民間の方の意見をベースに全体をお考えいただく。それに必要な修正をするということは当然だと思いますけれども、やはりスタートは民間のいろいろな意見を聞いていただくということがベースではないかと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、お話ございましたけれども、これまでこの排出抑制専門委員会の構成、もしくはワーキングの構成をごらんいただきますと、もともとVOCを排出する業界が非常に種類が多い、それから業態も多種多様であるということで、民間の企業のVOCの排出実態についてよく知る方にお入りいただいて今までやってきた経緯から考えれば、今まさに伊藤委員がおっしゃられたような形で、この後業界の考えがどうなっているかというようなことなどをお聞きしながら進めていくようなことを最後に合意できれば、という、私の方としてはちょっとそんなことは思ってございます。今の段階ではいろいろな考え方をまずお聞きして、そしてこの後の審議会の中で伊藤委員からご意見をいただいたようなことをどういうふうにするかということにつきまして、方向性を示しながら次のステップをどうするという議論に最後の方は絞りたいと思います。どうもありがとうございました。どうぞ、そのほか自主的な取組の進め方等でご意見ございますか。浦野委員お願いします。

    【浦野委員】 幾つか基本的なところで最初に確認したいのですが、よく今も民間という表現が出るのですが、ここにおられる方のほとんど業界団体の方でございまして、民間イコール業界団体ということでは決してないということに十分注意しないと、業界団体が何かをつくって、それで民間を代表しているということに必ずしもならないというところを十分配慮して、業界団体に入っていない、あるいは業界団体に入っているとしても個別の企業、あるいは事業所が独自にいろいろなことがやれるということが本来の自主的取組であったというふうに思いますので、その辺、十分配慮する必要があるという点が1点。
     一番最初の取組主体の問題ですが、そういう意味では業界団体は業界団体なりの役割を果たし、企業は企業なり個別企業なりにやると、事業所単位でやると、これが一律2割だ何とかという話になると、また変になるので、企業中心でやって、それをうまく業界団体と連携してやっていくというのが大体一番妥当な方法、企業はそれぞれの事業所の実態に合わせて内部のでこぼこがあってもそれは企業全体としての努力をしていくということなのだろうと思うのですね。
     それからもう1つ取組対象のところですが、すべての排出源と書いてあるのを、当然のことながら、当面は固定排出源ということを明確にしておく必要があるということ。それからここでインベントリとの関係もあるのですが、何となくインベントリに入っているものが対象というふうに思われがちなのですが、実はインベントリで抜けているものが結構出てくる可能性がある。あるいは特に一番、今回の資料の参考資料の2を見ますと、これは後で議論になると思うのですが、製品からスタートしていますので、製品の製造というのが最初から抜けてしまっているわけなのですよね。ですからこういった問題も含めて、すべての排出源というのはいいのですけれども、その中のイメージが人によって全然違っているというのが、このインベントリのときに特に注意しなければいけないのではないかと思います。
     それから次の実施方法ですが、これは実施方法というのは何を意味しているのかよく理解しにくいのですが、ガイドライン計画等を策定することが実施方法だというのは何を意味している、あるいはだれが策定するのか、ガイドラインというのは多分行政とか業界団体がつくるだろうと思うのですが、計画は個別企業か業界団体か、事業所かそれぞれがあるのかもしれません。目標をつくるという意味でそれは策定することは非常にいいことだとは思うのですが、。実際、それをどういうふうに実施するのか、公表するのも含めて。実施方法がこの文章だとちょっとどうかなという、策定した上でそれを公表し実施するという意味なのでしょうかということ、内容、実施方法というのはこれでいいのかという気がします。それらについて事務局からご意見を聞かせていただきたいのです。

    【坂本委員長】 今3点ございましたけれども、まず取組主体のところで、今ここに入ってらっしゃる委員の皆さんですと、多くの方が業界団体の代表者でありますけれども、それ以外に加わっていないところ、もしくは企業とそれぞれが自主的に行うものも組み込めるような形を考えるというお話。それからもう1つは、インベントリ、もしくは発生源の取組対象というところで今明確にここでやっているのは固定発生源であるから、それを明確にするということと、もう1つは、これまでのインベントリを計算する仕組みの中では入っていないものがあるかもしれないから、それについてどういう配慮をするか。それから、実施方法についてはこれは事務局の方から書いたときの感じをご説明いただき、意図しているところはもう少しこんなものがあるというふうにつけ加えてご説明いただければと思いますが、お願いします。

    【大気環境課長補佐】 では、事務局の方から実施方法の、執筆したもののお話をしたいと思いますけれども、どういう内容をやるかというのは(5)のお話でありまして、その具体的な取り組みをどういう段取りで進めていくかという、いわばマネージメントというか、マネージメントシステムのあり方について言及したかったということでございます。先生がおっしゃるように、目標を立てて、計画に従って実施をして、チェックをし、ないしは公表していくという一連のマネージメントシステムを構築していくべきではないかという趣旨の報告を書きたかったつもりでございます。策定主体としては、ここは事業者の自主的取組の進め方ということですので、業界団体、企業、事業所を主体として想定をしておりました。ご説明としては以上です。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、浦野委員からおっしゃられたインベントリですね。これについてはまさにそういう部分は含めて考えないと実効が上がらないというふうに思いますので、今後のところで検討させていただきたいというふうに思います。
     そのほか、自主的取組の進め方というところで。大野委員、お願いします。

    【大野委員】 取組対象のところでございますけれども、我々の考え方でいきますと、たくさん排出を出している施設についてしっかり自主取り組みをやって下げていくということになります。規制対象外とか、規制対象といったくくりの概念が余りなくて、対象外になるのはかなり小さいものですので、一生懸命そこをやってもなかなか効果が上がらないということになります。余り規制対象だとか対象外だとかという概念がなく自主的取組をやっていこうと考えておりますので、自主取組は規制対象外のものという限定がされるとどうかなと思っております。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。小林委員、お願いします。

    【小林委員】 もしかしたら、今大野委員が言われたことと同じことで、何かと何かを足すという発想ではない、ということで考えないと、今まで何度かそういう施策をやって、足し算すると相殺されて足し算どおり合計が出てこないということがよくあるので、その辺をご注意いただきたいと思います。
     それからもう1点は、先ほどお話があった、いわゆる業界団体と実際の企業とは違うという問題ですね。その中で、実際に業界団体に下げましたよといったときに、例えば今言った2割にもしこだわったとしても、その2割を業界団体で2割下げるのか、全体の比率の中の業界団体分だけするので、それ以外は知らないよというのか、この辺は少し整理をしておかないといけないかなというのがございます。
     それからもう1点、先ほど浦野委員が言われた、この製品、製造部分が抜けているというお話があったのですが、逆に私は工場なり、そこの事業者から出ていった後、一般消費者のところで放出されるものについてどう考えるのか。実際にどの程度あるかわからないのですが、そこの部分から実際の消費者が対策がとれないと思うのですよね。すると製品を出荷する側でそこのところの対策をとらなければいけないことになるだろう。その部分の対策を自主削減の中に加味していただかないと、少し本題が残ってくるかなと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。排出インベントリのところで、いわば製造の段階、それから製品、そして利用の段階もあって、特に利用の段階等については、むしろ製造するところで製品をVOCの低排出量のものに変えていくとか、そういった取り組みのところでやっていかないと効果が出ないという意味では、単純に利用のところをインベントリとして数えるのではなくて、製造のところも含めた形で見る必要があるだろうというお話でございました。ありがとうございました。
     どうぞ、そのほか。後藤委員お願いします。

    【後藤委員】 今までの話の継続なのですけれども、規制対象と規制対象外の排出源で、例えば規制対象の施設になりますと、普通は基準値を測ります。基準値を測ると、例えば私はその8割ぐらいを目標に対策を立てましょう、私は7割立てましょう。ここら辺までは規制そのものの効果かもしれないけれども、その中で、私は自主的に規制の半分とか3分の1を目標にしますといったときの、その差というのは、その削減量を規制の方の削減と見るのか、最後の整理の問題なのですけれども、それとも自主的取組という部分がその中に入っていると整理をするのかという部分が結局最終的に自主的取組がうまくいったかどうかというときに、結局はきいてくるわけですね、どちら側に分類するかというところが。というあたりがどうも余りはっきりしていないというところから、ここの自主的取組という言葉も何か二通りに頭の中で使われているのではないかという気がいたします。
     それと、先ほど小林委員のおっしゃった3割とか2割とかよくわからないという話です。私もそう思うのですが、総量としての3割という話と、この目標というのが、もし取組主体というのを例えば企業を中心にして考えて、業界団体がさらに共通的な物差しをつくるとか、それで行きましょうというような取り組みにしたときには、目標は3割ですよね、基本的には。2割というのはその全国の総量の中で自主的に下げなければいけない部分を出している排出量の全体としての下げる部分で、平均的には規制対象の規制対象外、例えば3割下げて初めて達成していくという意味で、ここのところの留意もちょっと誤解を招くというか、わかりにくくしているのではないかという気がします。
     あともう1つ、有害大気汚染物質対策のときには最初には全国的に、特に業界団体との取組みみたいなものでやって、それでさらに第2期目に地域的に不十分なところを特に上乗せしてやりましょうというやり方をしたと思うのですが、今回の場合には22年という目標もあるので、ある程度地域の話というのも先に入れて、こういうような地域は特に削減量を平均は3割だけれども、ここはもっと頑張らないといけないというところをはっきりしておかないと、やっぱり結果として最終的に困るのではないかという気がいたします。以上です。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、排出対象として規制外、もしくは規制の枠の中という話がありましたけれども、実際のねらうところは全体で少なくともVOCの3割が削減され、そしてその中で見込みとして、規制をこれまで皆さん方からご議論いただいたような数値にした場合、そこから1割ぐらいがあるだろうというようなことで、今の後藤委員のお話のように、ある企業が3割よりも例えば5割排出量削減をしたような場合とか、そういったものを考えると、まさに2つのものを足した結果がどうなるという、両方合わせた形で常に見ておかないと、個別に見たという話ではなくて実際的なところになるのかな、というようなご意見が今いただけたのではないかと思います。
     それからもう1つは、最終的に平成22年度で3割削減で、かつ良好な環境をその後も維持し続けるための方策として、こういうVOCの排出抑制が進められているというようなことを考えますと、いわば先ほど議論がございました、あるところまでは当然全体的にやるけれども、より環境条件の厳しいところはもっと場合によっては努力をしていただきたいというようなものをあらかじめ含めて考えておく必要もあるのではないかというような形でご提言をいただいたと思います。
     そのほか、自主的取組のところで。伊藤委員。

    【伊藤委員】 我々は排出多いところからやるわけでして、やはりそれを分けて、いやこれは規制だからこっちだよ、これは自主だからこっちだよと、自主が1割しかやってないから全体5割下がったけど、やってないんじゃないのというイメージが非常に私も困るので、やはり対象としては全体を捉えるという形でやっていただきたいなというのが1つです。
     それからもう1つは、これは取組主体ということで事業所、それから企業、業界団体というふうに書いてあります。いわゆる経済産業省の所管の団体が多いわけでございまして、私、日化協の代表にはなっておりますが、日化協はすべての化学会社を掌握しているわけではございません。したがって、この自主的な取り組みを進める中では、やはり経済産業省ときっちり話し合っていっていただかないと、抜けると先ほどおっしゃいましたけれども、そういうものが絶対生じると思うのですよね。だからやっぱり経済産業省さんとどういうふうに進めるかということについてやっていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。前半の方はもう大体自主、それから規制別々ではなくて、全体的なもので最終的には結果は見ていくということでご理解をいただけたと思います。
     それからもう1つ、今伊藤委員からのお話で、この取組主体のところについて、先ほど場合によっては抜けているもの等々もあるという場合に、経産省の方はより押さえている可能性もあれば、そういったものも含めて情報も得つつやっていただきたいというようなお話でございました。ありがとうございました。
     それでは、時間の関係もございますので、自主的取組の進め方についてのご意見をいただくのはこの程度にいたしまして、2番目のところの事業者による情報の公開・検証の仕組み、行政等による状況等の把握・評価、この部分について委員の先生方のご意見をちょうだいしたいと思います。
     伊藤委員、お願いします。

    【伊藤委員】 実際のインベントリの算出なのですが、先ほどの参考資料の2にあったようなやり方をとっておられると、今初めて知ったのですが、もう1つPRTRというものがありますよね。あれは確かにVOCの全部をとらえているわけではありませんけれども、VOCのかなりの部分を押さえていると私は思います。
     それからもう1つは、PRTRは大気の排出だとか、水質だとか、水への排出だとか、きちっと分けて管理されております。いまや1トン以上のものすべて出せという、くまなくやられておりますので、やはりVOCの1つの指標としてはこれを参考にすべきではないかと、幸いなことに2001年以降はこれ出た後と思いますので、これを見て、下がっているかどうかというようなことを評価することが一番ではないかと。それが一番正しいのではないかというふうに私は思いますが、どうお考えでしょうか。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。前のところでも議論があったように思うのですが、PRTRでそれぞれ届け出た形のエリア内の総量と、例えば環境濃度を測って研究的にまだ測っている段階かもしれませんが、そういったものとが比較的関係がありそうだというような情報も出てございますので、まさに伊藤委員がおっしゃられたように、PRTRの方で統計的な数字が出てくる。その一方では、環境濃度を測定したもののうち、PRTRで押さえられた物質が以前のPRTRで積算したデータに比べるとどれだけ減って環境濃度がどうとか、そういったことも研究的なものとしては出てございますので、まさにこれも1つには対策効果、それからそれぞれ規制、自主取組の両方の効果によって環境濃度がどう変化したかというふうに使える部分はあろうかと思います。ありがとうございました。
     岩崎委員、お願いします。

    【岩崎委員】 私もPRTRを使うということは賛成でございます。もう1つ、一般環境で今の委員長の方からもありましたように、環境をモニタリングしている中で、実際にそこから配分カーブも下がっているのかというのが1つの決め手になると思うのですけれども、ご承知のように、測定法の専門委員会でいろいろ検討した結果、いろいろな炭化水素の組成について、組成で感度が違ってくるという問題があって、近年はアルコール類が少しふえてきているのではないかと、そのために少し感度が悪いと下がっているかということもあって、この環境モニタリング、全国でやっているわけですけれども、できれば最新の機械にしていくとか、あるいはモニタリングの補正の仕方とか、一応大事な部分なので、トータルで見るという、年々減っているということでいろいろな業界からもいろいろな意見はあったわけですけれども、その辺のところでモニタリングの方法に関してもできるだけ早急に検討した方がいいかなという感じがいたします。
     ただ、今あわせて多分環境省の方では成分ごとのチェックを本格的にやり始めたと思いますので、そういうものでいけば、例えばトルエンがどのぐらい減ってきたとかということは全部わかりますので、そのチェックは今後続けていただきたいと思いますけれども、トータルに関しての大きな課題で、そんなに簡単にはいかない問題だと思いますけれども、できれば検討していただければという気がいたします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、岩崎委員からお話ございましたVOCの種別測定に関して今環境省の方でおやりいただいているものはどんなものがあるか、ちょっと簡単にお話いただけますか。

    【大気環境課長補佐】 参考資料3の方に平成17年度予算の概要を簡単に項目を書かせていただいておりますが、予算の方は一応2億円強ございまして、事業計画の1番目のVOC環境濃度把握ということで、大気中のVOC濃度にかかるモニタリング調査ということで、本年度より実施するということで、現時点で進めておるところでございます、岩崎委員からご指摘いただきましたとおり、VOCの中でメインのトルエンでありますとか、こういったものについては個別に環境省の方でモニタリングを行うということとあわせまして、環境中でのVOCのトータルの測定、これまでも進めてある中で測ってございますが、こちらについてもよりよい方法があるかどうかということも含めて、これから検討を進めていきたいということでございます。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。
     早瀬委員、お願いします。

    【早瀬委員】 検証ですとか評価ということなのですけれども、この資料3を拝見する限りは、環境レベル、ご意見ありましたように環境の段階での評価と、それと発生源の段階での評価、マクロとミクロというような見方もあるのでしょうけれども、その2段階の評価があるだろうと思うのですけれども、発生源の段階の評価をどうするのかということについては、やはりかなり広い範囲の人々との間で共通の理解をぽんと置かないと、もめてしまうのではないのかなと心配しています。
     事業者が目標を立てて、その目標を達成したかどうかということで評価するのか、あるいはさっきから意見もありました2割、3割というような数字で評価していくのか、そのあたりについての共通の理解というのはどうしても必要になってくるのではないのかなという気がしています。
     自主的取組だとか、観点を下げるという意味からすると、環境影響評価なんかの場合には、事業者が最大の努力をしているかどうかということで、評価するようになっているわけですよね。そうではなしに、もう全く自主的取組で削減の余地の多いところと、やはり少ないところというのが存在するということは、もう認めざるを得ないと思うのですけれども、そういったときにどういった形で発生源を評価していくのか、どういうことをもってよしとするのかということについて、やはり少し共通の理解を、私自身がわかってないだけかもわかりませんけれども、どういう理解を進めるのかということについて教えていただきたいなと思っています。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。
     まずこれに関連して、ご意見ございますでしょうか。発生源における検証、発生源でどう減っているかというようなものについて、どのように検証していくかということでございますけれども。内藤委員。

    【内藤委員】 自主的取組でどれだけ減らすかということですけれども、その中にやはり検証の仕方も当然入ってくると思っています。ですから、業界で3割減らすとなると、その辺の検証をどうするか。その辺も含めて業界で提案して、それを行政なりこういう委員会で評価すると、そういうステップになろうかと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、自主的な取組をやっていたものを、それぞれ業界、もしくは企業等々で公表される中で、具体的にはその検証の部分も含めた形でやっていくような形が今後提案されることを期待したいというふうに思います。
     土井委員、お願いします。

    【土井委員】 実はどのインベントリの部分にも関連するのですけれども、今議論されておられますような議論、チェックアンドレビューできるという部分のとき、チェックの議論、これが第一の項目の自主的取組の進め方という部分と大きく関係して、どういうものをチェックするのですかという中身ですね。大きくは2000年から2010年に向けて3割というマクロの数字という、これが大前提、固定発生源からの削減目標、3割減。それは環境基準にリンクするというシミュレーションに基づいているのですから、この環境基準の議論をここでというのではなくて、チェックアンドレビューという議論になると、あくまでも3割程度の削減というのを日本全国でという数字のクリックの仕方という議論の立て方だろうと思います。このときに、結果的にインベントリという形で、この平成14年のインベントリがベースになっていることは事実ですから、150万トンというのは事実ですから、その精度を上げるという言い方になるはずなのですね。その精度の上げ方については今内藤委員さんの議論もありましたけれども、民間でもう一度精度を上げるという意味の業界内で取り組んだものを上げるという表現になるのでしょうか、ここでの議論になるのか、行政がクリックされるのかという提案になっているのだと思うのです。
     もう1つ、インベントリになるのか、もしくはここに4項目にあります行政において少なくとも1回程度は把握すべき、定期的に把握という議論とオーバーラップしているものだと理解した上で申し上げると、このインベントリの項目、つまり参考資料の2に挙げるインベントリの後ろにある塗料、印刷と、こういう項目ですね、結果的にこの項目の取り方から規制対象の6類型という議論が生まれてきたのですが、今度は逆に今までのご指摘のように、この6類型がもちろんあるわけですね、製造の議論もありましたけれども、むしろ例えば業界団体グリップとしても落ちる部分があるはずなのですね。それが精度を上げる1つの取り組みでもある。つまり何をチェックするかという部分がインベントリとしての類型であっても、ベースがあるわけですから、累計を足すのですか、分けるのですかという議論を含めた精度を挙げるという意味が1つ。
     もう1つは、やっぱり基本的に今、ご指摘の制度そのもの、2000年の数字を正確にグリップして、それがいわば日本国としての報告の数字にもなっているということにもつながりますけれども、せっかく以前のご発言もあったように、それをもとに制度を2000年の数字を見直すという、見直してもそれが精度が上がったものであったらオーケーですという、この視点でもって結果的にはインベントリの総合的な精度を上げるという取り組みが、自主管理のチェックアンドレビューのチェックの部分で大きくきいてくるはずなのです。そこのところの議論を少しどういう形でやるかという、事務局側という表現で原案をというようにしか言えませんが、視点としては業界団体そのことは非常に強く皆さん、特に6類型の方々はこれ一貫した議論ですから、自分たちの足元の議論ですから、それなりの取り組みを皆さんなさっているはずですから、成果もあるはずですので、それ以外のところも含めて事務局というか、行政側、国の側としてのグリップのプランを出していただければという気がいたします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。お話は2つあったかと思いますけれども、まず6類型で分けているようなところで数え落とし、これは先ほどもお話ございましたけれども、そういったものがないかどうか、そしてそういったものも含めた上でそれぞれ業界等で自主的な取組をやっていった場合に、その取りまとめたものがいかに精度が高く、かつ従来の、極端なことを言えば数え落としが取り込まれた形で測られていて、そこで統計的にまとめられた数値としても実状を反映したものになっているかどうか。そういったもののチェックをどういった形でしていくかについて事務局の方でもご検討いただきたいという話でございました。
     この後またご提案させていただきたいと思いますけれども、そもそもこういったVOCの排出抑制の委員会が非常に人数が多い、それからかつワーキングも非常にたくさんの方でやったということは、実は業態が多種であり、かつ発生形態についてもいわば情報がすべてみんなの人が共有できる状況にないから、そういったそれぞれの分野における実際の現場の事情を知る方にご参画いただいて、情報を取りつつやっている状況にございます。
     そういう意味では、恐らくこの後業界の方々にいろいろな形での情報をお出しいただき、教えていただいた後、今、土井委員からあったような作業を事務局の方でやっていくようなことになる手順になるのかなという気がいたします。
     どうぞ、浦野委員お願いします。

    【浦野委員】 いずれにしてもインベントリ的なものをしっかりつくっていくということは重要になると思うのですが、その際に、先ほどPRTRとの関係という議論が出ましたけれども、PRTRは私もかなりいろいろかかわっているわけですが、まずPRTRは3つのカテゴリーになっておりまして、届け出事業所と、それから業種は対象だけれども対象外、要するに従業員が少ないとか、取扱量が少ないという、そういうところ。それからもともと非対象業種、届け出の対象外の業種、家庭も含めてそういうふうに分かれているわけですが、これはなかなか問題がありまして、届け出対象業種で届け出なければいけないのに、まだ届けていないと思われるところがかなりまだ残っている、特に今度1トン以上になったときに残っているのではないかという疑いがかなりある。
     それからもう1つは届け出対象外と非対象業種というのが、実はいろいろ推計、行政が推計しているわけですけれども、ここもかなり問題が多いということで、PRTRを利用することもいいのですけれども、逆にこちら側のはかなり業界の方のご協力も得られるわけですから、あるいは最終利用のところまで含めてものを考えていく必要があるわけですから、家庭等で。こちら側の情報と向こうの情報や考え方をぜひすり合わせをして、両方の精度を上げていただきたい。PRTRが信用できるという部分で受け取るということではなくて、PRTRのところもかなり、例えば届け出対象外なんて、2年前と今とではもう丸っきり違う計算とか数字がもうとんでもなく違っているわけで、そういう意味では、まだまだPRTRの方も精度が十分ではない。お互いのいいところを信頼度を上げるようなすり合わせをして、両方を修正してもらいたいというふうに思います。
     それともう1つ、1番のインターネットや環境報告書等を通じて公表と、いろいろなことを公表するのは大変いいことですし、そういうことが求められているわけですが、どうも信頼性、公平性を確保するためと書いてあるのですが、環境報告書で書けば公平性が保てるかというと、そうはつながってこないような気もするので、この辺の趣旨をどういうふうに取り扱うか、あるいは公表がまさに自主的にするわけで、しないところもある、するところもあるという形でいったときに、どういうふうに取り扱っていくのか、具体的なガイドをするとか、義務づけまではなかなかいかないかもしれませんが、こういう環境報告書やインターネットでの公表というのは現状で果たしてどれぐらいの割合の事業所が行っているのか。あるいはこれから先どのぐらい行われるように推奨していくのかということも、具体的に考えないと何となく一部の大企業が環境報告書等を出しているから、そこで出すと信頼性、公平性が保たれるというふうに安易には考えられないわけで、公表の仕組みというのはかなりしっかり議論をしていく必要があるなというふうに思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。2つあったかと思いますが、先ほど来議論のあったインベントリに関連して、PRTRも必ずしもそれが十分精度の高いものにはなっていない部分、届け出対象、それから対象外のものも含めて、そちらのPRTRの精度についてもより精度を高めるような形のアクションをしつつ、それをうまく利用していく必要があるだろうということでご提言いただきました。
     それからもう1点は、公表、信頼性、公平性、これを確保するために公表ということがここに書いてあるけれども、現状でのそういったものの公表の状況、それからもしこれがそういった形で意味があるのだとすれば、よりそれを公表を広い範囲でやってもらうような形での方策も考える必要があるというような形でご意見をいただいたと思います。
     どうぞそのほか、ご意見等ございましたら。小林委員お願いします。

    【小林委員】 1点は先ほどから議論していますPRTRなのですが、今の浦野委員が言われましたように、まだまだ精度が低い、届け出されていないところも結構多い。特にこれは全国全体でデータ処理をすると、それほど誤差は出てこないと思うのですが、こういうVOCのような地域汚染の問題に関して、その地域だけで集めてみますと、私ども兵庫県でやった場合でもそうなのですが、1社、2社の届け出無視のために全体ががらっと変わってしまうことが結構ある。
     特に最近よくあるのが見方違いというのが結構あるのですね。見方が違うためにこういうふうに出し合ってびっくりするような数字が出てくるというのが結構ありまして、それをどうチェックするかというのが大変な作業になっています。そういう意味で、PRTRを使うというふうになればPRTRを精度を上げる努力を、ここでは枠はないと思うのですが、もう少し議論をしなくてはいけないなというふうに思います。それが1点。
     それからもう1点、先ほど、これからの作業手順をどうするかという議論の中で、私の方から2つの方法があるというように、業界側である程度提案をしていただいて、それを審議会で議論をするかということと、それからもう1つは審議会の場で基本的なことを考えた上で、それを受けて各業界で検討するという、2種類があるよというお話を申し上げたのです。そんな中で、業界先導型の中でやりたいというお話があったのもあるのですが、あわせて先ほど土井委員の方からは、基本的な部分について事務局の方の考え方を示してほしいというご意見が出ていたわけです。そうなると、逆にいうとこの審議会の方で基本的なところをある程度ルールづけをした上で業界で議論をしていただく。例えば先ほどありましたように、業種についても今度業種以外、どの辺まで見るのかという、そうなってくると、それについてだれがフォローするのかというような問題も出てくるだろう。やっぱりこれからの作業手順をきちっと整理をした上で議論をしないと、議論がいったりきたりという恐れがあるのではないかなと思いますが。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、PRTRは先ほど申し上げたところでございますが、今この後どういった形で全体の作業を進めていくかについて、業界の方で対応できる部分と、そうでない部分があるだろうということで、事務局の方でもそれを考えて、どういう順番でやっていくかということでございますけれども、これはもう少しお話をしてから申し上げようとは思っていたのですが、例えば次回に業界の皆さん方から、それぞれどういった自主的取組の方法があるかとかのプレゼンなどをやっていただいて、まずそれを一度お聞きして、そしてその後、今小林委員がおっしゃられた後半の方について考えていくような手順が、なぜかと申しますと、ここにおいでの皆さんがそれぞれの業界、もしくは業種によってどういった形の自主的な取り組みが可能なのかについて網羅的に知っているという状況にはないのかなということ。その一方では、まさにご指摘のようにこの6類型に分けた中で、漏れたところについては場合によってはそこでは意見は出ないわけですけれども、場合によっては関係するところでこういったところがあるのではないかというようなご指摘をいただいて、それで考えていくというような手順から、いずれにしてもこそういった情報はある程度求めないことにはできないのかなと思います。これは先走って申し上げて申しわけないのですが、そんなことを考えているということでコメントさせていただきました。
     どうぞ、事業者による情報の公開・検証の仕組み、行政等による状況の把握・評価、ここについていかがでございましょうか。多少はある程度こういうまとめをする中にも事務局の考えが入っている部分があるというのもご理解をいただきたいというふうに思います。
     もしよろしければ、また最後に全体を通してご議論をさせていただきたいと思いますけれども、二瓶委員お願いします。

    【二瓶委員】 取組の補足といいますか、何をやっても100%は不可能なわけでして、そういった意味で私は伊藤委員のご意見に賛成なのですけれども、PRTRの精度を上げていくということは、当然やっていただく必要があるのですけれども、やはりあれに準拠して進めるというのが一番筋がいいのではないかと思っております。
     私ども製紙産業の方ではPRTR対象外の物質も含めて1トン以上、使用しているものについて調査を今行いつつある段階です。我々自身も全く中身を把握できておりません。とりあえず法規制の対象になっている設備については、ある程度概要をつかまえているのですが、その他の使われ方をしているVOC対象物質については全く闇の中でございますので、とりあえず業界の皆さんに対してどんなものをどの程度、どういう使い方をしているかというのを調査している最中でございますので、基本はPRTRがいいのではないかというふうに私は思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。
     では、事務局の方から。

    【大気環境課長】 以前、法制度を議論するときの中環審大気環境部会の場でご指摘に従ってPRTR物質と今議論しているVOCとの関係を整理して提出したことがございました。PRTRは健康影響が何らかの形で懸念される物質、三百数十物質でございますが、PRTRの特定事業所と特定でないような小さなところ、推計しているのを合わせて、その150万トンのうち50%弱ということになっておりました。大まかに言いまして、半分がPRTRで捕捉されていて、半分の量についてはPRTR物質外であるということでございました。以上です。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。そういう意味で、PRTRを使うことによって、また逆にそちらの方の精度も上げていったり問題点も見えてくるというようなこともあろうと思います。浦野委員、どうぞ。

    【浦野委員】 PRTRのデータを使うという話と、PRTRと類似のシステムをうまく活用するという話がちょっと混同しているかと思うのです。私もああいうシステムを非常に社会に定着して、それぞれ努力をされている、特にある程度以上の規模のところに。それをうまく活用して、このVOC削減の状況把握、あるいは公表等をやっていくのは非常にいいことだと思うのですが、数値そのものはまだまだ問題点のあるところがあるということで、先ほど申し上げたので、その辺区別してご議論いただければと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。伊藤委員お願いします。

    【伊藤委員】 とは言いながら、PRTR50%はカバーしているわけですから、これほど、半分をカバーしているということは、これほど確かなものはないというふうに私は思います。個別の企業で確かに報告間違いというのはあるのかもしれませんが、全体を通しては削減しているのか増えているのかということについては絶対押さえられると思うので、やっぱりPRTRは重要な指標ではないかというふうに思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。それでは、先ほど申し上げました3番のところ、我が国全体からのVOC排出量(インベントリ)の把握、ここについては既にかなりのご意見がもう出ていたかと思いますけれども、何かさらに追加していただくようなご意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
     もしよろしければ、既にご意見が出ていると思いますので、4の方へ入って、そしてその後戻って全体に関してということでお願いをしたいと思います。
     それでは自主的取組に対する支援策という形で、これはさまざまなものがあろうかと思いますけれども、非常に業界が直接排出抑制ができる部分と、場合によっては利用者の方がそういう要求があるためになかなかVOCの排出抑制ができない部分等ございますので、そういった部分も含めて何かお考え等ございましたらご意見をいただければと思います。よろしくお願いします。

    【岩崎委員】 自主的取組の中の支援の話ですけれども、1つは自主的取組の中でも2種類あるのではないかと考えていますけれども、今度の規制の対象が排出口から出るということに限っていますので、非常に大きなエミッションを持っているところでも、対象にならないような施設もありまして、極端なことを言えば屋外塗装であるとか、そういうものに対してと、あと自主的取組の中でも特に中小とか零細なところでの支援という2つの分類に分かれるかなと思いますけれども、特に中小、零細に関しては除去対策というか、除去だけではなくてエミッションを減らしていくような対策に関して、ぜひいろいろなサポートがほしいなと。
     1つは、今環境省の方が実施しています環境技術実証モデル事業と、こういうものでより安くて、よりいいものを環境省自身がPRしていこうという事業がありますけれども、そういうものを積極的に活用して対策の方で、より安くて中小企業が入れられるようなものをサポートする体制をどこかでつくってほしいなという気がいたします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、お話ございましたように、特に中小のところですと、価格が高いものが入れたら当然経済的にペイしない、それからもう1つは恐らくスペースの問題だとか、そういったものがあろうかと思いますが、よりそういったところが使いやすい、そして今、ある程度実用段階にあるけれども、必ずしも十分な情報が出ていないようなものについて、先ほど岩崎委員がおっしゃられたような環境省の事業の中でもやっているものがあって、そういうものをよりPRすると同時に、そういう方向へ向けた対策、技術、やりやすい価格的には低価格で、かつスペースも余り必要のないようなもの、開発へ向けた支援、それからPR等も必要ではないかということでご意見いただきました。ありがとうございます。
     そのほか、ご意見等ございますでしょうか。大野委員、お願いします。

    【大野委員】 この(2)のところでございますけれども、低VOC製品というようなものを位置づけるということになりますが、VOCの場合は生産する段階でVOCを発生しないようにというような形で取り組んでいくので、低VOC製品というふうに定義をされますと、実際にやっている話と違うのかなということを感じました。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。これは例えば塗料とか、何かそういう屋外でやるようなものの関係であれば、少しわかるかなという気もいたします。
     どうぞ、そのほかご意見ございましたら。お願いいたします。

    【早瀬委員】 今の話にも触発されるのですけれども、炭化水素の削減しているときに、その責任というのは生産者というか、事業者というのがもちろんあるのでしょうけれども、自主的取組という社会に入っていったときには、事業者だけではなしに、そのほかの人の関係する人が協力していくというのが基本ではないかというふうに思っています。
     そういう意味で、ユーザーですとか、一般消費者の方に対する普及啓発というのは1のところに書いてあるのですが、これをどういうふうに進めていくのかというのは、とても大切なことであると思っています。
     ですから、ユーザーとか一般消費者というのはやはり当事者なのだという形で参加していただけるような仕組みというものがあれば、こういった国民的な取組というのも進むのではないかなと思います。
     そういう意味で、最初に申し上げたのですけれども、評価だとか、あるいは検証だとか、そういったところにこういった人たち自身も入っていただいて、削減するということ自体がどれだけ難しいことなのか。そこでユーザーだとか消費者の責任がどうなのかということもわかっていただくという仕組みというものが必要なのではないのかなと思っています。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今のお話は温暖化対策で燃料転換なり技術の方でやっていく部分と、我々生活の関係する部分、それでかつ我々が多少の加害者に少なくともなっているのだというような意識を持つようなことがあれば、より低VOC製品を利用することによって、今後の環境がどうなるかというような話のところへもつながっていくことになろうかと思います。
     そういう意味では、これまでの多くの議論がどちらかというとそういった製品をつくるとかいうようなところに議論が多くの時間が割かれてございますけれども、市民というか、それを利用する、特に先ほどの塗料みたいなもの、そういったものを含めて考えた場合には、VOCの削減効果がどう上がっていったか、もしくはどういうことが必要かという議論をする中に、市民の考え方も入れていく必要があれば、そういった方々に入っていただく必要があるのではないかという形でご意見をちょうだいいたしました。ありがとうございました。
     伊藤委員、お願いします。

    【伊藤委員】 この中の(3)で、VOCの簡易測定法の開発なのですけれども、これについてはぜひ急いでいただきたいなというふうに思います。大企業も結構たくさん施設は持っておりますし、あのような特殊な手法の分析法で全部やりなさいと、しかも年2回やりなさいと、さらにプラス自主削減の部分もやらなくてはいけない。となりますと、やはり分析方法をもっと簡単に、精度は多少悪くても効率的、そういうものを早急に開始していただかないとなかなか長続きはしないし、さらに中小企業の方は非常に負担だというふうに思いますので、よろしくお願いします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。この辺につきましては、VOCの測定方法の委員会、それからまたこの委員会のところでもたしか浦野委員からいわゆる簡易測定、もしくは新たな測定法も含めて網の目を張っておいて、いろいろな形でより効率のよい、かつ測定できる技術があったら、それを提供したり、そういったものについても相変わらず目を向けていくようなことが必要だという形で、ご指摘のあった部分であろうかと思います。そしてこれは参考資料の3のところで、これは対策推進のための支援措置の(2)の一番最後のところにVOC簡易測定法にかかわる情報提供というような形で挙げられている部分の重要性をご指摘いただいたというふうに思うわけでございます。ありがとうございました。
     どなたか、ご意見ございますでしょうか。内藤委員、お願いします。

    【内藤委員】 今、伊藤委員がおっしゃったことですが、私も気になっています。やっぱり自主的取組絡をやるからにはその成果を段階段階でチェックする必要がありますし、そのときにはできるだけ簡易的な測定法、それを早く開発していただきたいと思います。
     それと、自主的取組に対する支援策ですが、これもいろいろPRする必要があると思いますけれども、企業なり業界がPRしても余り重みがないといいますか、こういうところこそ行政が入り込んでいく必要があると思います。それも一般的な消費者とか市民、ユーザーというのはかなり意見違っていますので、総論と各論で違ってきますので、それを近づけるためにもやっぱり行政の役割というのは大きいかというふうに思っています。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今、冒頭のところでもそれぞれどういった形で今後の議論を進めていくかというところで技術的、もしくは業界指導、それから審議会指導というか、行政の方である程度の枠組みをつくって考えていくという部分、やはりそれぞれ両方に種類によってあるのかなというような気がいたします。
     どうぞそのほか、ご意見ございますでしょうか。

    【土井委員】 特に中小の企業を含めた幅広い事業者ということ、3項目の議論ですね。これはご承知の中環審の具申ですね、2月の6日ですね、あれ以来同じ文書がずっと、つまり中小企業社向けの低価格で小型のVOCの処理装置やという、この文章もまるでそのままのコピーがずっときているわけですね。
     それから岩崎先生ご指摘のように、環境省さんの中でも取組モデル事業としての取り組みも進めてられますし、でもその中でもそういう意味では有害化合物リスク削減というプロジェクトの議論があったりして、皆さんが注目をされている話になろうと思います。
     ただ、現実に私ども洗浄の小委員会にご参加いただいたメッキ工業会さんなどは、全国で1,900社の加盟されている中で、70%が事業者として基準以下ですね、70%が。燕三条などでも30%ぐらい、基準以下。こういうところが現実に排出の議論を長年にわたって努力されているのですよね。有害大気については成果を出されているのです。出されているのですが、この議論とはちょっと合わないのですね。つまり500万、700万するものを入れられますか、100万だったら入れられるのですかという話になってしまう。
     その意味では、最後は手前味噌になるのですけれども、この資料3の中の自主的取組の中で初めて工程の改善とか、改良という文章を入れていただいたのですね。つまり現場の管理技術を排出抑制の管理、その部分のタスクを上げるというのですか。そういう作業管理ということも含めた、例えば手前味噌ですけれども、洗浄で申し上げると現場で作業管理、つまり有害大気を、有機溶剤中毒予防規則がありますので、局所排気で外へ出す。ところが、くさいとかというようなことも含めた作業者管理というのが長年の習慣としてあり、法律もあるわけですから。そうすると余計に実は引き込みすぎているとかいう。そういうものだと現場が思い込んでいる。くさくないからいいのだという話、もう何トンという特に塩素系を外に出しているという。こういう有害大気という領域の中での取組でも、なかなかチェックしきれなかった、各業界団体さん、例えばいいか悪いかは別ですけれども、チェックしきれなかった。つまり現場の作業管理、排出抑制に対する技術の精度を上げる、もしくは情報が入ってない部分に対して情報を入れる、こういうようなソフトの対策というようなものもそれなりの効果を具体的に上げるであろうということを手前味噌で申し上げたのですけれども、私どもはそこに注目していまして、そういう取り組みであれば、BATの技術、向こうでもありましたけれども、ベスト・アベイラブル・テクノロジーも実はエコノミカルにという、経済的に実効性のある部分をフィーチャーされた形で、それを提供していくツールの開発を、これは手前味噌なのですけれども、私どもはやろうとしているのですけれども、視点はやっぱり現場にあると思うのです。作業管理にあるというように、1つの見方として、今申し上げた大きなところからやるとよくわかるのです。それでは中小はいいかという話になってないわけですから、その部分での視点をこういう形で挙げていただくというのは、我々としてはありがたい。あえて発言させていただきました。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。浦野委員、どうぞ。

    【浦野委員】 私も今のご意見と全く一緒で、何となく現状を排出しているものはVOC装置をいかに小型か安くしていくか、限界があるのですね。ですから、むしろソフトの部分と同時に、利用設備そのものの部分的改良、この部分でかなりVOC排出削減ができる、あるいはその部分的にだけ重要なところだけを排ガス処理をするといった、製造施設というか利用施設というのですか、VOC利用施設の特性と一体化したものが非常に重要で、例えばドライクリーニングというのは昔はみんな出ていたのですけれども、クリーニング機械そのものにもう回収装置がついてしまっていますよね。やっぱり利用施設そのものの改良という部分ですね。この部分と、今お話のあった利用者のいろいろな情報なり知識なりというソフトの部分、この組み合わせがないと多分うまくいかない。特に中小はうまくいかないと思いますので、それともう1つは処理装置というと、最初から9割、しかも全量は排ガスを9割カットというふうな議論になると、とても安い装置なんかできませんので、やはりその辺の発想転換、処理というのを全部を対象にして、しかも9割カットぐらいなものをする装置ではない、あくまでも利用の設備、あるいは使用の実態に合わせて効果的な部分についていかにコストを安く対策をとるかという、そういう技術をつくっていくという視点でないと、早く安く小型に処理しましょうというだけではうまくいかないので、この辺の記述ももう少し違う記述を追加した方がいいかなという気もむしろしますし、そういうものにどうやって支援をするか、補助金制度というのはどうもつきそうもないのですけれども、やはり技術開発の面ではそういうところが一番重要なのではないかという気がいたします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。岩崎委員、お願いします。

    【岩崎委員】 削減対策イコール処理対策ということはつながらないというのは僕も事実だと思います。実際に、現場では苦情が何か有害ガスで苦情があっても、処理装置、除去装置をつけて対策をとったというのは恐らく二、三%ぐらいで、ほかの九十何%というのはほかの対策でとっているのだと思います。
     今、いろいろご意見があって、別にそういう処理施設を使わないでも対策とれるじゃないかと、そういうノウハウを各工業会の方でいろいろお持ちであるということだろうと思います。それをぜひ中小の方に普及してもらって、またもう1つ、支援ということでお願いしたいのは、組合に未加盟の業者さんも非常に今多いと聞いていますので、そういうところまで含めて、環境省でパンフレットをつくるとか、業界だけの仕事ではないかもわかりませんけれども、そういう形で実際に経費がかからないでも、あるいは作業環境をよくしていくことが直接つながっていくのだということもありますので、ノウハウを各業界ごとにぜひつくり上げてほしいという気がいたします。

    【坂本委員長】 どうもありがとうございました。今、いろいろあったお話は、ここで対策をとるのが固定発生源の排出口でガス状態で出たもの、そういう定義があるがゆえに、ややもするとそこで出たガスの処理をするというようなことになってしまいがちですけれども、実はそうではなく、先ほど土井委員が言い、それから今、岩崎委員からお話ございましたように、まさに生産、もしくは製造、そういったところでの工程そのもの、それからその管理の仕方、場合によっては労働安全衛生の条件も満たしつつVOCも排出しないような形での生産工程、もしくは管理、そういったものによって相当程度の排出抑制できる部分もあるということで、そういう意味ではこの自主的取組に対する支援策のところでは、ここの書きぶりだとややそういう装置的なものが書いてありますので、別の面からの対策も可能であり、そういう情報も集めて普及するようなことも考えて、文章にした方がよろしいのではないかということでございます。ありがとうございました。
     千本委員、お願いします。

    【千本委員】 今のご意見なのですが、必ずしも否定するものではないのですが、業界として言いますと、我々印刷業としましても、過去にいろいろこういった溶剤を含めた問題については取り組んでまいりました。その結果としてなかなか工程の改善だけでは進まないという結論に至って、できれば早く低価格のVOCの処理装置を開発していただきたいということを主張したわけでございますので、いろいろ工程改善でできる余地がないかというと、丸っきりないわけではありませんが、今まで何もやってこなかったかというとそうでもないということもぜひご理解いただいて、余り工程改善だけがひとり歩き、あるいは主張、主体として歩かないような書きぶりにぜひお願いしたいと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。今のお話は両方がその場所、それからこれまでやってきた努力、経緯等にも含めて関係して、処理装置が適切か、もしくはそういう管理によってできる部分があるかというようなことだと思いますので、今のご意見を参考にして今後取りまとめをする場合は考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
     それでは、大分お時間をいただきまして分けて議論をしてまいりましたので、この後は1の自主的取組の進め方から、今ご意見をちょうだいしました4の自主的取組に対する支援策、ここまでを含めて全体的なところ、もしくはこれまでのところでまだご意見として発言いただいてないような内容につきまして、ございましたらご発言をいただきたいというふうに思います。
     池澤委員、お願いします。

    【池澤委員】 2点、ご意見申し上げたいと思います。1つは、冒頭、VOCの地域一律30%でいいのか、あるいは格差をつけた方がいいのかという議論があったと思うのですけれども、この大気環境基準というか、原点に返った場合、このVOCがかかわるのはSPMと、光化学オキシダントということだと思うのですけれども、この光化学オキシダントの達成基準がずっとほとんどゼロといいますか、地べたをはっているような状況であるというのがまず事実としてあると思います。この測定結果というのは一般局での測定結果なのだと思うのですけれども、ある意味で全国区をカバーしているのではないかということで、地域格差で云々というよりも、やはりあるレベル以上のものを削減する、それが3割なのかもしれませんけれども、そういうふうな考え方もあるのではないかなというふうに思います。
     それが1点と、もう1つはVOCの中身の問題なのですけれども、PRTRを活用したらどうかというお話があったと思うのですが、もちろんそれではカバーされてない物質もあるということで、これもまた光化学オキシダントの発生レベルなのですけれども、代表的なものとしてオゾンがあると思うのですけれども、オゾンを形成するポテンシャルを持った炭化水素というのは中身によっていろいろ違うと思うのです。例えば、オレフィンだとか、あるいはいわゆる芳香族ですか、これは生成能が高いとか、ですからPRTRで必ずしもカバーされていないものがあります。オゾンは光化学オキシダントの代表的なものだと思うのですけれども、それをつくりやすいVOCがあるということで、PRTRから外れたものについても注視していく必要があるのではないかなというふうに思います。以上です。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。VOCの排出目標に関連して、全体の考え方、全国的な話、もしくは場合によってはより光化学オキシダント、もしくはSPMとか、達成率の悪いところについてどうするかというところについてのご意見と、それからもう1つは、PRTRのところでカバーする物質では必ずしもオゾン生成の高いものが入ってないものもあるので、そういった点も注意する必要があるという形でご意見をちょうだいいたしました。ありがとうございました。
     岡崎委員、お願いします。

    【岡崎委員】 私も2点、感想めいた、個人的な意見ですけれども、自主的取組ということで、ずっとご議論されているわけですけれども、個人的にこういうとき一番重要なのは、やはり実際に自主的取組を実施される事業者の方々の姿勢といいましょうか、積極的態度、これがないとうまくいかないのではないかというふうに思います。事業者の方々の責任ある発言ということで、できないことをできると大風呂敷広げてやるわけにはいかないので、慎重な発言ぶりになってしまうのですが、それが余り慎重な余りに消極的な雰囲気が漂ってくるとまずいので、これはちょっと余計かもしれませんけれども、個人的にそういうふうに思いました。
     有害大気汚染物質対策でもかなりいい削減結果が出ている、削減効果が出ている、自主的取組でというふうにも聞いていますし、恐らく日本の事業者の方々、熱心に取り組めばそれなりの成果が出てくるだろうと思いますけれども、ここにオブザーバーで来られている方も産業界の方だけではない、一般の関心ある国民を代表される方もいらっしゃるのでしょうから、この自主的取組で日本の産業界、自主的にやらせれば、やはりすばらしい環境対策をやるのだというアウトプットが出るように取り組んでいただきたい。ちょっと精神論に走りましたけれども、そんな印象を受けました。
     そういう意味で、自主的に取り組んでこんなにいい成果が出たのだというのをやはりまとめてアピールするためには、前段に戻るのですけれども、自主的というので各産業界、企業、事業所がばらばらにやっていたのではやはりうまく集約、整理、アピールというのは難しいのではないだろうかと感じました。もちろん対策の選択とか、そういったあたりでは個々事情がありましょうから、事業者、企業、業界団体の判断というのが重要視されるのだろうと思うのですが、それらを検証したり評価するプロセスというのは、少し統一性を持ったやり方というのを用意しておいた方がいいのではなかろうか。これは事業者の方々もそういったものがあった方がやりやすいのではないだろうかというふうな気がしました。
     ですから、結論からいいますと、自主的取組ということですけれども、全くすべてを事業者の方々にゆだねてばらばらにというのではなくて、ポイントポイントのところは統一の枠組みのようなものを用意した方が、より効果的な取り組みができるのではないだろうか。その取り組みをPRというのでしょうか、プレイアップもできるのではないかと、そういうふうに思いました。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。前段の方につきましては、業界の方の発言がやや積極的でないという感じの感想としてあった、実は、私そうは余り思ってもございませんで、これまでのこういったVOCの排出抑制対策の基本的な枠組みがこういった形でできたということは、実はそれまでのPRTR法における成果もあって、ただし今岡崎委員もおっしゃられましたけれども、ここで言う数字以上のところをやって、少なくともその数字は確実に満たすようなことをやろうとすると、ややそういう発言が弱く聞こえるのかもしれませんけれども、当初の議論から自主的取組と、それから規制的手法を組み合わせてやるという形に至ったということは、業界の皆さんがそういった形を考え、かつこれまでもやっていた実績が反映されていたものというふうに理解しまして、岡崎委員からもっと一生懸命頑張ってくださいと、そういうエールであると理解をさせていただきたいと思います。
     それから2点目につきましては、まさにおっしゃられた部分で、それぞれ単独のところで言うよりは全体のところである程度の基準、もしくは考え方を整理したもので、こういった形で自主的な取り組みを含めた形で、成果が上がったよと、その中で自主的な取り組みが相当寄与しているよというようなものがまさに言える状況にして、それを行政的なものもさらにその先へ進めるためにもうまく利用していけるような評価、もしくはまとめ方というようなものができればというふうに思います。
     これにつきましても、また今後皆さん方とご議論いただくわけでございますけれども、きょうの今1から4までご議論をいただきましたけれども、そろそろまとめに。
     どうぞ、伊藤委員。

    【伊藤委員】 先ほど隣の岩崎さんからも話があって、もう1回確認といいますか、行政による年1回の評価をするというところで、入れていただきたいのは、光化学オキシダントと実際にVOCの環境濃度だとか、VOCの削減量だとか、きちっと示していただいて、実際にVOCは減ったのだけれどオキシダント発生量は相変わらずとか、いや下がりましたとか、そういう目に見えるような形で定量的な評価をしていただきたいと思っています。そうしないと、我々の努力がどこまで効果にあらわれたのか、ほかのところからの発生源なのか、そこら辺がきちっとやっていただかないと、2010年の見直しのときにやはりまた議論になってしまいそうな気がします。よろしくお願いします。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。千本委員、お願いします。

    【千本委員】 全体の話なのですが、今日は自主的取組ということでいろいろ議論させていただいたわけですが、先ほどのご発言のように、一定のいろいろな業界があっていろいろなVOCの使い方がある中で、一定のガイドというか見解というか、統一的な方法というのを議論するのは決してやぶさかではないのですが、余りこれを突き詰めてどこまでどういう範囲で何までというふうな、具体的に言いますと、私自身だけでしょうか、これ形を変えた規制ではないかなというふうに思うのですが、余り自主的取組からは外れていくのではないかなという気がちょっとします。
     というのは、我々ここに参加させていただいている業界団体の方たちはいずれにしろ法規制がかかるという団体で、今まで法律に対してどういうものをやっていくかという議論をさせていただきました。今回、これに加えてまた自主的取組と、それからこの6団体といいますか、6業類系からこぼれる部分を含めた自主基準というところを議論していることでございますので、余りここの部分をせねばならないとか、マストでくくっていきますと、やはり私自身は形を変えた法規制に近づいていっているなという感じがどうしても、私冒頭からきょう発言が少なかったのですが、そんな感じがいたしました。
     それから、別な視点でもう1点お話させていただきますと、先ほど伊藤委員の方からPRTR対象物質という話がいろいろ出ておりました。これについては基本的には私も賛成したいと思います。というのは、やはり自主的取組をしていくに当たって、何をどれだけ下げていくかというのは、今の決め方での獏としたVOCという範囲だとなかなか追いかけるにも追いかけられないという、非常に作業負荷だけが高まると。そういう意味では1つのスコープとしてPRTRという枠組みは十分信頼できるかな。それから、PRTRデータの信頼性の話も若干ありましたけれども、ちょっと弁解させていただきますと、多分報告している企業さんのデータがどんどん精度が上がっていると思います。それからこぼれているものというのは、今度は明らかになってきて精度の問題が出てきていると思うのですが、PRTR制度も3回繰り返していますので、各企業さんが報告されている精度というのは初回、それから次回という、年々精度が上がっていると思いますので、今出ている数字自体は届け出数量としての、こぼれているという問題はあるかもしれませんが、精度は上がっているというふうに私は理解しております。
     そのPRTRの物質を対象とすることなのですが、印刷業界でも特にPRTRの対象としていくということで、これを一義的な非常に大きな問題だということで長年取り組んでまいりました。その取り組みの中で、実はPRTRの対象外の物質へ逃げた、逃げたというような言葉は適切ではないかもしれませんが、置きかわっている部分があります。
     こんな観点を含めますと、必ずしもPRTRという枠組みがすべてではないと思いますが、ある程度物質を特定してやっていくと。先ほど二瓶委員ですか、製紙業界の方でもいろいろほかの物質も含めた取り組みが始まっているという発言もありましたし、我々もそういう意味だと、例えば酢酸エチルですとか、あるいはIPAというようなPRTRに入ってないような物質に置きかわってきているし、これも削減していかなければいけないというような考え方の取り組みも始まっているところもありますので、その部分は逆に言うと自主的取組という範囲で、各業界団体さんでどこをターゲットにするかというのは一定の枠組みを決めさせていただければなというふうに考えております。これも含めて今後議論していただければなと思います。ぜひお願いしたいと思います。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。二瓶委員、お願いします。

    【二瓶委員】 今回のVOCの削減については、私どもは自主取組が主であるというふうに認識しております。つまり、自主取組全体の中で30%カットを目指していって、その中の一部が法規制の対象にたまたまなっていると。排出量の多い設備が監視されると、そういう認識で取り組んでいかないとだめだと思っていますので、全体を30%何とか、それ以上目指して削減する。こういう姿勢でぜひほかの業界団体さんも行動していただきたいというふうに思っているのですが。

    【坂本委員長】 ありがとうございました。最後に非常に力強い発言をいただきまして、ありがとうございました。
     それでは、予定の時間にも大分近づきましたのでまとめさせていただきたいと思いますけれども、きょう1、2、3、4の項目についてご議論をいただきました。それで、今、きょうまず自主的な取組の促進方策、これについて大分議論をいただいたわけでございますけれども、冒頭の方でも申し上げましたが、今後の議論を進めるに当たって、少し提案をさせていただきたいと思います。
     まず、本日議論いただいた論点ごとに議論を深めて、必要なものについては専門委員会としても目安をつくる、先ほど委員会でやるのかと、そういう話もございましたけれども、それからもう1つは、最終的にこれをいつぐらいまでにまとめるかというところでございますけれども、来年度当初からVOC対策全体が施行されるということになってございますので、少なくとも今年度中にやっていかなければいけないということで、今年度中ということを目途に検討を進めさせていただきたいというふうに思います。
     まず申し上げたいことは、専門委員会として議論をしていく中で、目安、方向性について取りまとめを行い、そして来年度当初からVOC対策全体が施行されることを考えて、今年度中を目途に検討を行うということでございますが、こういうことでよろしいでしょうか。
     それで、これを行うに当たってでございますけれども、途中で少し申し上げておった部分がございますが、次回の委員会で、できましたら産業界の委員の皆様から自主的な取組、それぞれいろいろな形をお考えいただいたり、それから既にもう取り組まれているものもあろうと思いますので、産業界の委員の皆さんからプレゼンテーションをしていただいて、そして個別の論点について具体的に議論を深めていくというようなことで、産業界の委員の皆さんにプレゼンテーションをお願いできればと思いますが、いかがでございましょうか。お願いできますでしょうか。そしてその場合に、それぞれの業界の皆さんのところについてお話いただくことはもちろんのことでございますけれども、先ほど6類型以外のところについても、例えばこんなところを考える必要があるのではないかというところがございましたら、そこについてもコメント等をしていただければ、この後事務局の方で考えていくための情報もご提供いただけるということで参考になりますので、その辺も含めていただければありがたいと思います。
     それでは、産業界の委員の皆さん、次回、プレゼンテーションをお願いをするということで、その内容については今申し上げたようなことを含めていただくということでございますけれども、委員の方と事務局の間で調整をいただいて、そしてプレゼンテーションの内容を整理していただきたいというふうに思います。
     そういうことで、産業界の皆さんにはそれぞれの業界の皆さんの方の知識を共通にしていくためにそういった手順が必要ということで、よろしくお願いしたいと思います。
     それでは、事務局の方から何か連絡事項ございましたら、お願いします。

    【大気環境課補佐】 それでは、今坂本委員長から次回のやり方についてまとめていただききましたが、次回の専門委員会、6月中に一度開催したいと考えております。産業界の委員の方々とはプレゼンテーションの内容について、事務局から、個別にご相談をさせていただきたいと思いますので、それがある程度調整が進んだ時点で、各委員に日程調整をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
     なお、本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開するということで、よろしくお願いします。
     事務局からは以上でございます。

    【坂本委員長】 それでは、本日も熱心にご議論いただきましてありがとうございました。やや予定の時間を超過したようでございますけれども、VOCのこの委員会としては比較的予定の時間に近いところで終わったと思います。どうもご協力ありがとうございました。