(委員長) | 浅野 直人 | |
(委員) | 青島 等 | 浅見 琢也 |
稲垣 隆司 | 圓藤 陽子 | |
大迫 政浩 | 大塚 直 | |
神山 宣彦 | 小林 悦夫 | |
近藤 充輔 | 島田 啓三 | |
武林 亨 | 谷口 靖彦 | |
外山 尚紀 | 内藤 恵 | |
中橋 博治 | 山﨑 淳司 | |
(環境省) | 鷺坂水・大気環境局長 | |
山本大気環境課長 | ||
栗林大気環境課長補佐 | ||
村井大気環境課係長 | ||
磯崎大気環境課係員 |
配付資料
資料1 | 委員名簿 |
資料2 | 石綿の飛散防止対策の更なる強化について(諮問) |
資料3 | 石綿の飛散防止対策の更なる強化について(付議) |
資料4 | 中央環境審議会大気環境部会の専門委員会の設置について |
資料5 | 中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会のスケジュール(案) |
資料6 | アスベスト対策に関する各都道府県等からの要望等 |
資料7 | 自治体における石綿飛散防止に係る条例の制定状況 |
資料8 | 平成17年度建築物の解体等における石綿飛散防止検討会で提示された今後の課題 |
資料9 | 石綿飛散防止対策に係る主な論点(案) |
参考資料1 | 特定粉じん排出等作業に関する現行の大気汚染防止法の概要 |
参考資料2 | 石綿に関する法令等 |
参考資料3 | アスベスト大気濃度調査の概要(東日本大震災の被災地) |
参考資料4 | アスベスト大気濃度調査の概要(被災地以外の地域) |
参考資料5 | 平成23年度アスベストの飛散防止に関するモデル事業の結果について |
参考資料6 | 平成22年度の大気汚染防止法に係る施行状況について |
参考資料7 | 中央環境審議会大気環境部会(第33回)議事要旨 |
参考資料8 | 建築物の解体等における石綿飛散防止対策の強化について
(平成17年11月 建築物の解体等における石綿飛散防止検討会:委員限り) |
議事
【山本大気環境課長】 おはようございます。環境省の大気環境課の山本でございます。定刻よりも早いのでございますが、委員の皆様には全員、今ご参席いただきましたので、ただいまから中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会の第1回の会合を開催いたします。
委員の皆様には、大変お忙しい中、このたび当専門委員会の委員にご就任いただきますとともに、本日ご出席賜りましたことを改めて御礼申し上げます。
私は、本日、司会を務めさせていただきます環境省の山本でございます。
では、まず最初に、本専門委員会の開催に当たりまして、水・大気環境局長の鷺坂よりごあいさつ申し上げます。
【鷺坂水・大気環境局長】 環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は、委員の先生方におかれましては、大変ご多用のところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、常日ごろよりさまざまな大気環境行政の中でご指導、ご鞭撻、あるいは、ご協力賜っておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
さて、建築物等の解体工事における石綿の飛散防止対策ということでございますけれども、振り返ってみますと、阪神・淡路大震災による倒壊ビルの解体等に伴います石綿飛散問題の教訓を踏まえまして、それまでありました石綿の製造工場からの飛散防止規制に加えまして、平成7・8年に建築物の解体作業における飛散防止措置、こういったものが大気汚染防止法に規定されたところでございます。そして、さらにその後、平成17・18年にその規制規模の要件撤廃とか、あるいは、特定建築材料を追加するでありますとか、あるいは、建物以外に工作物も追加するでありますとか、そういった規制の強化が行われたと、こういう経緯がございます。そういったことで、これまで、状況に応じながら、大気汚染防止法の方で規制を整えてきたわけでございますけれども、一方、近年、集じん機でありますとか、排気装置でありますとか、そういった排気口からの石綿が飛散する事例が若干モニタリング等で出てきていたり、あるいは、石綿使用の事前調査が必ずしも十分ではないのではないかという、そういった事例が確認されているのも一方ではございます。
また、今般、東日本大震災の被災地において、被災した建築物の解体作業がまた本格化してくるわけでございますけれども、そのほか、国内におきまして、耐用年数がかなり過ぎた民間建築物の解体、こういった事例も出てくるのではないかと考えているところでございまして、さらなる石綿の飛散防止対策ということも一方では求められているところではないかと考えております。
こういった状況を踏まえまして、ことしの4月20日付で、環境大臣から中央環境審議会に対しまして、石綿の飛散防止対策のさらなる強化と、こういった諮問をさせていただいたところでございまして、中央環境審議会大気環境部会におきまして、先月の18日に本専門委員会を設置し、検討していただくこととなったところでございます。こういった建築物の解体現場等からの石綿の飛散防止のためには、その建築物等に石綿が使用されているか否かの状況、そういった正確な把握が必要でありますし、また、石綿の除去作業においての作業基準の遵守、こういったことが必要ではないかと考えておりまして、そういった中で、それらのためには、例えば、立入検査をどうするのかとか、あるいは事前調査をどうするのかとか、あるいは、作業基準遵守のためにも、例えば、濃度測定はどうするのかとか、そういったようなさまざまな課題があるのではないかと考えておりまして、また後ほど事務局の方から論点等で説明させていただきますので、そういった事柄につきましてもご議論いただければと、こう考えているところでございます。
いずれにいたしましても、限られた時間ではございますが、先生方のさまざまなご指導をお願い申し上げまして、今後の石綿飛散防止対策が前へ進みますようによろしくお願いいたしまして、私のごあいさつとかえさせていただきます。きょうはよろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 本日は第1回の専門委員会でございますので、委員の皆様方と事務局の紹介をさせていただきます。
まず、委員長には、中央環境審議会議事運営規則第9条第2項の規定に基づきまして、大気環境部会長より福岡大学法学部教授の浅野直人委員がご指名を受けていらっしゃいますので、ごあいさつをよろしくお願いいたします。
【浅野委員長】 福岡大学の浅野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
実は、私は、中央環境審議会の環境保健部会でアスベスト健康被害救済小委員会の委員長をしております。そちらの方もなかなか思うに任せず、まだ道半ばという状況でありますけども、やはり、何といっても、潜伏期間が大変長いアスベストの健康被害の問題でありますので、今の段階から、とにかく、これ以上の患者さんをふやさないよう、防止のための対策は万全を尽くさなければいけないだろう。とりわけ、家屋・建築物などでアスベストが使われているということが十分にまだ何とか把握できる段階で、しかるべく対策を立てておかなければいけないだろうということを、環境保健部会でも大分議論をしておりまして、そんなこともありまして今回、こちらの方の専門委員会にも所属せよ、ということになりました。できることなら法改正にまでということも事務局が考えておられるようでありますので、さまざまな観点からご議論をいただきたいと思います。特に、従来の大防法の枠組みから言いますと、少し広げなければいけないという部分がありますし、それから、他省庁の関連する法令との関連が深いということがありますので、法的にもかなりいろいろと工夫をしなければいけない問題も抱えております。また、今、局長からのごあいさつにもありましたように、技術面でもいろいろとお教えをいただかなければいけないところもございますので、どうぞ皆様の忌憚のないご意見をお出しいただいて、よりよい制度の検討ができますようにご協力をお願いいたします。
【山本大気環境課長】 ありがとうございました。
次に、本専門委員会にご所属いただく委員の皆様方につきましては、中央環境審議会令第3条第2項及び第6条第2号の規定に基づきまして、お手元の資料1にございますように、既にご就任いただいているところでございます。
それでは、本日ご出席の委員の方を、こちらの名簿に沿って五十音順でご紹介させていただきます。
まず、社団法人日本建設業連合会の青島委員でいらっしゃいます。
【青島委員】 青島です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、一般社団法人JATI協会の浅見委員でいらっしゃいます。
【浅見委員】 浅見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 前愛知県副知事の稲垣委員でいらっしゃいます。
【稲垣委員】 稲垣でございます。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 続きまして、独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院の圓藤委員でいらっしゃいます。
【圓藤委員】 圓藤陽子です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、独立行政法人国立環境研究所の大迫委員でいらっしゃいます。
【大迫委員】 大迫でございます。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 続きまして、早稲田大学の大塚委員でいらっしゃいます。
【大塚委員】 大塚です。本研究科の教授をしております。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、東洋大学の神山委員でいらっしゃいます。
【神山委員】 神山です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、財団法人ひょうご環境創造協会の小林委員でいらっしゃいます。
【小林委員】 小林です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、近藤労働衛生コンサルタント事務所長の近藤委員でいらっしゃいます。
【近藤委員】 近藤です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、建設廃棄物協同組合の島田委員でいらっしゃいます。
【島田委員】 島田でございます。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、慶應義塾大学の武林委員でいらっしゃいます。
【武林委員】 武林でございます。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 続きまして、大阪府庁の谷口委員でいらっしゃいます。
【谷口委員】 谷口です。よろしくどうぞお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、東京労働安全衛生センターの外山委員でいらっしゃいます。
【外山委員】 外山です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 続きまして、慶應義塾大学の内藤委員でいらっしゃいます。
【内藤委員】 内藤でございます。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 続きまして、全国解体工事業団体連合会の中橋委員でいらっしゃいます。
【中橋委員】 中橋でございます。
【山本大気環境課長】 続きまして、早稲田大学の山﨑委員でいらっしゃいます。
【山﨑委員】 山﨑です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 本日は、京都大学の内山委員、芝浦工業大学の本橋委員、環境再生保全機構の森永委員からはご欠席との連絡を受けております。ですので、本日の出席状況でありますが、委員20名中17名の委員の皆様方にご出席いただいておりまして、定足でございます過半数に達していることをご報告させていただきます。
続きまして、本専門委員会の事務を務めます環境省の、先ほどあいさつさせていただいた局長の鷺坂でございます。
続きまして、大気環境課の課長補佐の栗林でございます。
【栗林大気環境課長補佐】 栗林です。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 同じく、係長の村井でございます。
【村井大気環境課係長】 村井です。よろしくお願いいたします。
【山本大気環境課長】 同じく、係員の磯崎でございます。
【磯崎大気環境課係員】 磯崎です。よろしくお願いします。
【山本大気環境課長】 引き続き、配付資料でございますが、議事次第に配付資料一覧が記載してございます。もしも資料の不足等ございましたら、挙手をしていただくなど、何らかの形で事務局の方にお申しつけいただきますようお願いいたします。
カメラ撮りの方は、恐縮ですが、この会議の冒頭のみということにさせていただきますので、これ以降はカメラ撮りはちょっとご遠慮願いたいと思っております。
では、これ以降の議事進行は浅野委員長にお願いいたします。
【浅野委員長】 それでは、議事に入ります。
本日の議題は、お手元にありますように、専門委員会の設置についてご説明をいただくこと、それから、今後のこの専門委員会の会議の進め方についてご説明をいただき、ご意見を皆さんから承る。それから、今後の対策のあり方について、きょうは問題点を事務局の方で整理されましたので、これをもとに自由にご議論をいただくということでございまいて、きょう特に何かを決めるということは必要ないということでございます。
それでは、まず、議事の1、専門委員会の設置についてでございます。
先ほど、ごあいさつにもありましたが、環境大臣から中央環境審議会に対して、4月20日付の諮問がございまして、先月18日の大気環境部会で専門委員会の設置が決定されました。諮問理由と委員会の設置について、事務局から説明をお願いいたします。
【栗林大気環境課長補佐】 栗林でございます。では、私の方から、資料2から4に従いまして、ご説明させていただきます。では、失礼して座って説明させていただきます。
まず、資料の2をごらんいただきたいと思います。今ほどご説明いただきました諮問の文書でございます。4月20日付で環境大臣から中央環境審議会に諮問したものでございます。中段ほどにあります諮問理由を読み上げたいと思います。「地方公共団体から大気濃度基準の設定及び大気濃度調査の義務化に係る要望があること、また、近年、集じん・排気装置の排気口等から石綿が飛散する事例及び石綿使用の事前調査が不十分である事例が確認されていることから、特定粉じん排出等作業におけるさらなる石綿の飛散防止対策の推進が求められている。このような状況を踏まえ、石綿の飛散防止対策の更なる強化について、貴審議会の意見を求めるものである」ということでございます。
これにつきまして、裏面をごらんいただきますと、資料の3に付議ということで、中央環境審議会から大気環境部会に付議された文書でございます。
続きまして、資料の4をごらんいただきたいと思います。先月5月18日に大気環境部会を開催いたしまして、この中で石綿飛散防止専門委員会、こちらの設置と、それから、今回の議題にあるような内容について審議していただくということが了承されております。お手元の資料の1ポツ、中央環境審議会大気環境部会に、次の専門委員会を置くということで、五つ並べてありますが、一番下の石綿飛散防止専門委員会、こちらの方が設置されたということでございます。
裏面をごらんいただきますと、6ポツでございます。当該石綿飛散防止専門委員会においては、石綿の飛散防止に関する専門の事項を調査するということで、今年度につきましては、これから数回にわたりましてご審議の方をいただきたいと思っております。
以上でございます。
【浅野委員長】 それでは、ただいま専門委員会の設置について、経過のご説明がございました。ただいまのご説明につきまして、何かご質問やご意見ございますでしょうか。──よろしゅうございますか。特にご質問、ご意見はございませんか。
(なし)
【浅野委員長】 それでは、これについてはご理解をいただけたということにしたいと思います。専門委員会は決定権限は持っておりませんので、その点は比較的気楽で、部会に報告をして、最後に部会が責任を持ってくれますから、専門的なことをきちっと議論すればいいということでございます。
それでは、次に、議題の2でございますが、今年度の石綿飛散防止専門委員会の進め方ということでございまして、事務局から説明をいただきたいと思います。
【栗林大気環境課長補佐】 続きまして、お手元の資料5について説明させていただきます。
中央環境審議会大気環境部会石綿飛散防止専門委員会スケジュールの案でございます。本年度の石綿飛散防止専門委員会では、石綿飛散防止に係る主な論点(案)、これは後で資料9でご説明させていただきたいと思いますけれども、これを参考にしていただいて、ご検討いただきたいと思っております。本専門委員会では、今回は合わせて6回開催する予定としております。主要な検討項目について論点を取りまとめていただき、本年12月開催予定としております中央環境審議会大気環境部会に中間報告していただきたいと考えております。
1ポツの本年度の主な検討項目です。ここでは、(1)から(7)の七つの項目について項目出しをさせていただいております。詳細は資料9で説明させていただきたいと思います。(1)としまして、立入検査権限の強化、それから事前調査の義務づけについて。(2)としまして、敷地境界等における大気濃度測定の義務化及び測定結果の評価について。(3)としまして、大気濃度測定に係る試料採取及び分析について。(4)としまして、発注者による配慮について。(5)としまして、法令の徹底と透明性の確保について。(6)としまして、特定建築材料以外の石綿含有建材を除去するに当たっての石綿飛散防止対策について。最後に(7)ということで、その他でございます。この主な項目につきましては、5月18日の大気環境部会でも、この中の四つの項目につきまして、論点の素案ということでご説明させていただいたものでございますけれども、その後、きょうお集まりの専門委員の方の中からご意見等をちょうだいして、もうちょっと幅広くご議論いただきたいと思いまして、その他も含めて7項目になっているところでございます。
次に、2ポツのスケジュールでございます。本専門委員会につきましては、大体、月に1回程度、開催を予定しておりまして、きょう6月27日を皮切りに第6回目を11月ということで予定させていただいております。きょう6月27日につきましては、論点整理ということで、この後、時間を大部分費やしていただいて、皆様方から自由にフリーにご議論、ご意見等をいただければと思っております。それから、第2回、こちらは7月20日ということで日にちの方を決定させていただいております。並びに、第3回の8月、こちらも今、日程調整させていただいているところですけれども、この第2回、第3回につきましては、石綿に関する有識者の方においでいただいて、ヒアリングということでプレゼンをしていただいた後、それに対してご質問、ご意見等をしていただきたいということで、情報を我々も収集したいと思っております。それから、第4回、第5回につきましては、答申素案につきまして検討していただき、それから、第6回目で答申案に対する検討をしていただきまして、大気環境部会に報告をさせていただくというようなスケジュール感でおります。
表の下に注意書きがございますけれども、この中で、特に法改正が必要だという事項につきましては、これはできましたら来年の通常国会に法案を提出できたらなと思っておりますので、この法改正が必要な部分についてを中心にご議論いただければなと思っています。
また、その下にあります測定方法等、技術的な部分がかなり占める部分でございますけれども、政省令の改正事項等につきましては、技術的な検討にかなり時間が必要だと思っておりますので、これは次年以降、詳細な検討をしていただきたいと思っております。
以上でございます。
【浅野委員長】 それでは、ただいま、委員会の今年度のスケジュールについてご説明を伺いました。その他という項目もございますし、主な検討事項ということでございます。資料の9で後でご議論をいただくということもございますので、ここで完全に枠をはめてしまうというつもりがあってこれが出されたわけではなくて、大体のスケジュール感を皆さんにご理解いただくというつもりで書かれたと理解をしておりますが、ポイントといたしましては、12月に大気環境部会が開かれる予定であるので、そこには中間報告を出したい。そして、法令改正を伴うご提案ということであれば、これは通例、やはり12月ぐらいまでには準備をして、その後、立法作業ということになりますので、このあたりがタイムリミットかなということでございまして、細かい技術的なことについてはさらに次年度検討すると、こういう進め方だというご説明でございました。この進め方について、何かご意見なり、ご質問なりはございますでしょうか。どうぞ、谷口委員。
【谷口委員】 一番最後の米印のところで、測定方法の政省令改正事項については次の年ということですけれども、その測定、迅速にできるかどうかとか、そういうのが一つ課題だろうと思います。そういうことが果たして実現可能性が高いということであれば、それに応じたいろんな規制というのが議論されると思うのです。したがって、有識者のヒアリングのその1、その2において、測定に関するものもやっぱりちょっとはやっていただかないといけないのかなと、こういうふうに思ったりするのですけど。
【浅野委員長】 検討事項の中の(2)と(3)というのがございますから、当然それは前提として含まれると存じます。その上で、さらに政省令改正という具体的な立法作業につながるような議論は、細かくはさらにと、こういう理解をしていただければと思います。ご指摘のとおり、測定方法についての議論なしに、多分、改正の議論はできないだろうと思いますから、おっしゃるとおりだと思います。
【谷口委員】 よろしくお願いします。
【浅野委員長】 ほかにございますか。いかがでございますか。──よろしゅうございますか。
(なし)
【浅野委員長】 それでは、大筋このような進め方でいくということでご了承いただけたと思います。どなたにヒアリングをするかということについて、既に事務局からもご意見を承りたいということでお問い合わせもあったかもしれませんが、こんな方からこういうことについて意見を聞いてはどうかということがありましたら、今の谷口委員と同じような形でお出しをいただければと思います。
それでは、次の議題に入っていきたいと思います。石綿防止対策のさらなる強化についてということでございまして、資料の6以下でございますが、都道府県等からの要望や意見、あるいは条例の制定状況について整理がされております。また、平成17年度にも検討会が行われましたが、そこで提示された今後の課題についてということから、このたびの防止対策のさらなる強化・検討ということの背景を踏まえて、石綿飛散防止対策に係る主な論点(案)が整理されております。そこで、資料の6から9までを一括して事務局から説明をいただいて、その後、皆様方と意見の交換をしたいと思いますので、おおむね30分程度と伺っておりますが、事務局から資料の説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【栗林大気環境課長補佐】 それでは、まず、資料の6をごらんいただきたいと思います。資料6につきましては、昨年度、各都道府県等、自治体さん等から環境省に対して、アスベスト対策に関して要望があった事項を並べたものでございます。
上から三つ目でございます。自主検査についてでございますけれども、建築物の解体・改修に伴うアスベストの飛散防止対策を確実に推進するため、大気汚染防止法に濃度測定義務を規定することというご要望をいただいております。
また、その下、評価基準の設定ということで、濃度測定を行った場合、石綿濃度の評価基準を設定する必要があるというご要望でございます。
その下でございます。測定方法の確立でございます。解体工事等における大気中のアスベスト濃度を迅速に確認することができる測定方法を早期に確立することというご要望でございます。
最後でございます。特定建設材料以外の石綿含有建材の作業基準の設定ということで、大気汚染防止法に規定します「特定建築材料」以外の石綿含有建築材料の使用建築物の解体作業等におきまして、例えば湿潤化の設置あるいは手ばらしによる取り外しということでの作業基準を設定することという要望をいただいております。
次の資料でございますけれども、今回、専門委員会を開催するに当たりまして、大気汚染防止法の制度改正ということも視野に入れているわけなんですが、それに先行して各自治体さんの方で、条例で石綿の飛散防止対策について規定している状況にございます。それのアンケートをとるとともに、あわせて自治体さんから意見・要望というものを改めて聴取したものでございます。この1ポツから最後7ポツ、その他まで、それぞれに分けて整理させていただきました。この各見出しにつきましては、資料9で論点(案)として示させていただきました項目と横並びにさせていただいているものでございます。
まず、1ポツの立入検査権限の強化、それから事前調査の義務づけについてでございます。丸の二つ目までが立入検査権限の強化についてでございます。石綿使用のおそれを現場で速やかに判断可能な方法の検討ということで、これはいわゆるおそれをどういうふうに定義づけるかということだと考えております。それから、次の丸でございます。おそれ規定で立入検査を実施した場合、特定建築材料の使用の有無が判明するまでの間、工事の一時停止命令等を規定する必要があるのではないかというご意見でございます。
次からは事前調査についてでございますが、事前調査の実施義務を規定していただきたいというご意見、それから、事前調査の実施を徹底するための何らかの対策が必要なのではないかというご意見でございます。また、事前調査を実施した、その結果の報告、これは自治体への報告、それから、解体現場における事前調査結果の掲示義務と。この事前調査の掲示義務につきましては、石綿障害予防規則で規定されておりますけれども、大気汚染防止法にも同じような規定があった方がいいのではないかというご意見でございます。それから、事前調査に関する現場での確認方法、記録についての規定。どのようなところからどのような試料をどういうふうにサンプリングして分析するのか。それから、その結果をどういうふうに記録していくのかといったような規定が必要なのではないかということでございます。
最後でございますけれども、石綿障害予防規則に事前調査についての規定がありますけれども、それを大気汚染防止法にあえて同様の規定を設ける必要があるのかどうかという、こういうご意見もいただいているところでございます。
続きまして、2ポツでございます。敷地境界等における大気濃度測定の義務化、それから、測定結果の評価についてでございます。一つ目は、大気濃度測定義務の制度化が必要ではないかというご意見でございます。二つ目につきましては、義務化するにしても、規模要件を明確にする必要があるのではないかと。本当にちょっと除去する、あるいは、レベル2のものを除去するというものまで、すべて自主検査が必要かどうかというご意見でございます。三つ目でございます。結果の評価方法の設定でございます。どのような基準を設けるのかというご意見でございます。続きまして、測定結果が出た場合に、その数値の有効範囲、それから有効数字の取り扱いを明確にしてほしいと。例えば、プラス・マイナス何%の誤差を含むものと考えると、あるいは、及び有効数字何けたで示すというようなことを明確にしてほしいというご意見でございます。続きまして、基準値を超過した場合に、行政処分を設定してもらいたいというご意見でございます。最後でございますが、敷地境界等における大気濃度測定を新たに義務化するよりも、もともと大気汚染防止法の規則にございます作業基準を遵守させる、それを徹底させるというのが本筋ではないかというご意見もいただいているところでございます。
続きまして、3ポツでございます。大気濃度測定に係る試料採取及び分析についてということで、五つご意見をいただいています。一つ目は、簡便で迅速な測定方法の選定、二つ目として、安価で精度の高い測定機材の選定、三つ目としまして、測定結果の報告義務ということで、自治体への報告義務を課した方がいいのではないかということでございます。それから、四つ目としまして、石綿の分析業者の認定制度。例としまして、ダイオキシン類受注資格審査というものに準じたものがあった方がいいのではないかと。これは、環境省が毎年、ダイオキシンの測定について請負業務を出すときに、環境省が認定した業者の中で請負を出すという形になっているものでございます。最後、簡易的な大気濃度測定の手法とその評価指針の設定が必要なのではないかというご意見でございます。
続きまして、4ポツの発注者による配慮について。裏面の5ポツの法令の徹底と透明性の確保については、特に今回のアンケートではご意見はありませんでした。
6ポツの特定建築材料以外の石綿含有建材を除去するに当たっての石綿飛散防止対策についてということで、自治体さんの方は、今、大気汚染防止法で、いわゆるレベル3というものについては規制の権限がないのですけれども、住民の方から、やはり、この建築現場、解体しているところについてちょっと心配だということで、関係部局の方によく相談があるということで、ただ、権限もない中、指導はできるのでしょうけれども、どんな権限で来ているのかといったときに、ちょっとそれ以上、一歩踏み出せないというような実情があると聞いております。
そういうことを踏まえまして、湿潤化の実施や手作業による取り外し等の作業基準の設定、それから、もう一歩踏み込みまして、届出義務、それから立入権限の付与というものが必要なのではないかというご意見があります。また、特定建築材料、いわゆるレベル1、レベル2と言われているものと、特定建築材料以外のレベル3と言われている建築材料の区分が一部不明確なところがあるということで、明確化していただきたいと。自治体によって、同じ建材でもレベル2と判断したり、あるいは、レベル3と判断したりというところがありまして、ここを明確化してほしいというご意見もいただいております。
その他としまして、かぎ括弧に書いてあります関係部局との連携が必要だと。特に、丸の二つ目、今回、関係部局との足並みをそろえた対策推進のため、他法令と十分に調整する必要があるだろうということ。それから、三つ目でございます。石綿関連法規を所管する機関というのは環境省以外にもございます。そういう機関が関連する法令に基づく情報を共有すると、効率的な行政指導を実施していただきたいということで、それぞれ届出というのが各機関にあるわけですけれども、その届出の情報を、例えば共有して情報に漏れがないようなことで立入検査あるいは指導に役立てていただきたいというようなものでございます。
それから、二つ目のかぎ括弧でございます。不適正事業者の排除ということで、技術、知見を有しない解体業者の排除対策が必要なのではないかということで、まさにここが一つのポイントなのかなと。技術も知見もない業者が解体作業、それから石綿の除去作業をすることによって、石綿飛散をさせてしまう例というのがあるのではないかということで、真っ当なというか、技術を有した事業者さんがそういう業務ができるような、そういうような制度が必要なのではないかということでございます。
その他としまして、作業完了報告の義務化、それから飛散のおそれの有無の判断根拠の提示もしてもらいたいと、こういうご意見もいただいております。
続きまして、資料が飛んで大変恐縮です。下の方にあります参考資料7をここでご紹介させていただきたいと思います。参考資料7は、5月18日に開催しました大気環境部会でご発言のありました議事要旨を取りまとめたものでございます。大きく三つでございます。一つ目が、立入権限の強化ということでございます。大気汚染防止法に基づく届出が出ていない現場で問題が起こっているということで、立入検査のあり方についてご検討いただきたいというご意見をちょうだいしております。
それから、次の大気濃度測定に係る試料採取及び分析についてということでございまして、測定の目的に応じということで、例えば、敷地境界で敷地外に出ているのか、出ていないのかというものを測定する場合、あるいは集じん・排気装置の外、近辺というのでしょうか、排気口のところで測定して、そういう機材からの漏れがないのかどうか、セキュリティールームの外側で測定する場合も同じだと思いますけれども、今後どういう場所で測定するのがいいのかということについてはご議論いただこうと思いますが、その測定の目的に応じてどういう測定方法で測定したらいいのかと、そういったものも含めてご検討いただきたいというご意見でございます。
それから、次の黒丸でございます。測定につきましては、今、二、三日ぐらいかかるとか、ちょっと結果が出るまで時間がかかる状況でございます。それを、例えば一日で結果が判明できるような、そういう分析方法にするとか、あるいは測定結果が判明するまで次の作業は進まないように作業を停止していただくといったような方法も考えられるというご意見もちょうだいしております。それから、分析事業者の登録制度の必要性について検討する必要があるというご意見もいただいております。
最後に、特定建築材料以外の石綿含有建材を除去するときの石綿飛散防止対策につきまして、把握が困難なこういったレベル3の建材についての対応が課題だというご意見をちょうだいしているところでございます。
資料を戻っていただきまして、資料7、A3横長の資料でございます。自治体におきまして、石綿飛散防止に係る条例を制定している自治体がございまして、それの制定状況及び関係する項目について、特に大気汚染防止法で規定している以外のものについて整理させていただきました。全部でA3で3枚になっております。縦に説明させていただきますので、申しわけございません、ちょっとページをめくっていただく手間をおかけしますが、ご了承いただきたいと思います。全部で20近い自治体で条例の制定がなされています。その中で、まず事前調査についての規定でございます。例えば、東京都さんをはじめ、レベル1、2、3につきまして、事前調査を実施する旨の規定がなされている自治体が、ごらんいただいているページですと、一番下の大阪府さんも同様でございますけれども、その他の自治体でも事前調査について規定をなされている自治体さんがございます。
それから、次の届出でございます。レベル1、レベル2につきましては、大気汚染防止法に基づく届出が必要になっておりますけれども、特に、レベル3につきまして、ごらんいただいている1枚目のページですと、一番下の大阪府さんで、床面積が1,000平方メートル以上の場合、レベル3についても届出の義務があると。
次のページでございます。一番上の兵庫県でございますけれども、かぎ括弧の二つ目、石綿含有建材を使っていないという解体工事でも、床面積1,000平方メートル以上のものにつきましては届出の義務を課しているということ。それから、その下にあります配管保温材を石綿のない部分で切断する、これは石綿の飛散がない場合ということでございますけれども、そういうような工事でも届出を義務づけているというものでございます。
1ページ目に戻っていただきまして、次に、濃度測定を義務づけている自治体の状況でございます。一番上の茨城県さんでは、レベル1につきまして、吹付け石綿の使用面積の合計が50平方メートル以上の場合、濃度測定の義務を課していると。東京都さんでは、レベル1、レベル2につきまして、濃度測定を義務化しているということです。
2枚目をごらんいただきまして、上から2段目の鳥取県では、レベル3につきましても作業期間が2日を超え、1,000平方メートル以上の成形板を使用している場合には、濃度測定を義務化しているというものでございます。
それから、3枚目、一番上の横浜市では、レベル1、レベル2、レベル3、いずれも大気汚染防止法あるいは条例に基づく届出の必要なものにつきましては、濃度測定を義務化しているという状況にございます。
それから、1枚目に戻っていただきまして、濃度測定でございます。対象とする繊維を石綿繊維にしているのか、それとも、総繊維にしているのかということでございます。ほとんどの自治体が石綿繊維を対象としておりますが、1枚目の一番下、大阪府さんは総繊維数を対象にしているという状況でございます。
次に、測定場所・頻度でございます。上から2段目の東京都さんの例ですと、測定場所としましては、敷地境界の4地点、測定頻度としましては、作業前・作業時・作業中、それから、作業後で、作業期間が6日を超える場合は、6日ごとに1回以上測定するという規定になっております。
2ページ目でございます。下から3段目、札幌市さんですと、集じん・排気装置の排出口、それから前室の入り口、除去作業現場の直近外周、除去作業室内、こういったところも測定ポイントとして規定しているというものでございます。
次に、濃度基準につきましては、1枚目の一番下、大阪府さんのように、数値として規定しているところにつきましては、1リットル当たり10本というところがございます。一方、濃度基準を特に設定していないという自治体もございます。
その次に、作業基準でございます。1ページ目の上から2段目、東京都の場合は、石綿を含む水を排水する場合、ろ過処理、その他、適切な処理を講ずるという旨の規定、それから、石綿成形板を除去する場合は、その成形板を破断しない方法で除去するといった作業基準を設定しています。
それから、一番下の大阪府さんでございます。レベル3につきまして、幕の設置、手作業による除去、その他について規定しています。
それから、3ページ目をごらんいただきたいと思います。一番上の横浜市でございます。レベル3について、現場の入り口に石綿を含有するセメント建材の解体作業中であるという旨の掲示をする、そういう義務づけもされております。
それから、立入検査でございます。1枚目の新潟県、それから石川県でございますけれども、こちらにつきましては、両方ともレベル1、レベル2についてでございますけれども、吹付け石綿、石綿が使われている疑いのあるもの、こういう現場にも立ち入りができるという規定になっております。石川県さんの方は、ポツの二つ目にありますように、石綿を飛散させている疑いのある建築物、こちらについても立ち入りができるという規定になっております。
それから、一番下の大阪府さんでございます。かぎ括弧、その他に書いてありますように、事前に調査の結果、石綿不使用の表示のある建物についても立ち入り権限が付与されているというものでございます。
それから、一番最後、その他でございます。特記すべきものにつきましてご説明させていただきたいと思います。1枚目の下から3段目、福井県さんでございますけれども、特定粉じん排出作業を完了したときの届出を規定している例でございます。それから、その下の京都府さんはレベル1、レベル2についてでございますけれども、不適正業者の公表という規定もございます。大阪府さんでは事前調査結果の表示、その他について規定しております。
次の2ページ目でございますが、上から3段目、香川県でございます。こちらは、建物の用途ごとに一定規模のものにつきましては、吹付け石綿を使用している建築物ということで、解体する前、既存の建築物につきましても石綿を使用している建築物について、条例で届出をしていただくという規定がございます。
最後のページでございます。上から二つ目の川崎市さん、かぎ括弧の二つ目でございます、大気濃度測定計画の届出ということで、使用面積50平方メートル以上のレベル1、レベル2につきまして、大気濃度の測定計画の届出を義務化しているというものでございます。
以上が自治体における条例の制定状況でございます。
次に、資料の8をごらんいただきたいと思います。これは参考資料の8ということで、これは委員限りということで配付させていただきました。平成17年11月に、建築物の解体等における石綿飛散防止対策の強化についてということで、前回の制度改正のときに検討をしていただいたものについて、それを踏まえて制度改正を行ったのですけれども、その中で、平成17年・18年当時に今後の課題等ということで提示されていた項目がございます。それについての現状、対応状況についてまとめさせていただいたものでございます。
1ポツの調査検討についてでございますけれども、(1)、今回特定建築材料に含めることを提案しなかった、これは平成17年・18年のことでございますけれども、石綿含有成形板の解体等における石綿飛散の状況、それを踏まえた対応についてという課題をいただいております。対応状況としましては、平成20年度・21年度に、特定建築材料以外の石綿含有建材の撤去工事を目的に行いまして、破砕時の湿潤方法、飛散防止剤の使用の有無による飛散防止の効果について検討を行って、適切な飛散防止条件を検討するための基礎データを収集しているところでございます。
それから、(2)、(3)の解体作業時の石綿濃度測定につきまして、課題ということでいただいております。これにつきましては、環境大気中の石綿濃度を測定する技術指針としまして、アスベストモニタリングマニュアルを適宜、改訂しております。近年では、平成22年6月に第4.0版を策定しているという状況でございます。
(4)の建築物以外の工作物の取り扱いにつきまして、これは平成18年に法改正により工作物も追加して対応済みでございます。
(5)番の作業基準を遵守させるための措置でございます。こちらにつきましては、パンフレットを作成・配布し、ホームページへ掲載するなど、周知を図ってきております。
裏面をごらんいただきたいと思います。2ポツの今回の改正を円滑かつ的確に実施するための措置でございます。これにつきましても、先ほどと同様に、パンフレット、それからホームページの掲載等により周知を図ってきております。
(2)のア、イ、ウ、エにあります、この項目に関するマニュアル等の整備についてでございますけれども、平成18年3月に建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアルを策定しまして、周知を図っております。このマニュアルにつきましては、最新の知見等を踏まえまして、順次マニュアルの改訂を行っておりまして、昨年度末、2011版というものを策定したところでございます。3ポツの今回の改正を補完するための措置ということで、石綿含有成形板の解体等に関するマニュアルを整備する必要があるだろうということで、これは今説明させていただいたとおりでございます。
(2)、地方公共団体による先行的な取組、すぐれた取組に関する情報の共有化ということで、これにつきましては、毎年、環境省も参画しております全国大気汚染防止連絡協議会、これは各県持ち回りで開催しておりますけれども、この中におきまして、自治体から建築物等の石綿除去作業に係る石綿飛散防止対策についての事例発表がなされておりまして、19年度2例、20年度・22年度に各1例ずつ発表がなされておりまして、情報の共有化がなされているということでございます。また、今回、先ほど説明させていただきました条例の制定状況についてを取りまとめておりますので、これらの情報につきましても自治体にフィードバックしたいと考えているところでございます。
3ページ目でございます。担当部局との協力体制の構築を含む関係法令などによる規制と連携の強化ということでございます。これにつきましては、平成18年2月及び10月に、大防法の改正等につきまして自治体説明会を開催しておりまして、その中で、自治体に対しまして、建築部局、廃棄物部局、それから、労基署さんとの連携強化について依頼しておりまして、近年では東日本大震災の発生を踏まえて、都道府県、それから、大気汚染防止法の政令市の環境部局に対しまして、同様に、関係部局の協力を得まして、石綿の使用状況、被害状況の可能な範囲で把握するよう努めること、それから、労基署さんに情報提供することというものを通知しているところでございます。
4ポツのその他の措置でございます。解体等作業に起因するものを含めて、石綿の環境中濃度のモニタリング調査を実施すべきということで、これにつきましては、平成17年度以降、毎年、全国の大気中の石綿濃度の調査を実施しておりまして、結果を取りまとめて公表しているところでございます。
それから、石綿の健康影響に関する科学的知見の充実を図るということでございますけれども、平成22年度に健康影響に関するリスクアセスメント、それから、海外の規制等につきまして、基礎情報の調査・検討を行ったところでございます。
(3)番としまして、迅速かつ正確に石綿濃度を測定する手法または機器の開発ということで、アスベストモニタリングマニュアルの4.0版におきまして、解体現場等からアスベストが漏えいしているかどうかを確認する方法としては有効であると考えられる4種類の方法につきまして、紹介という形で取り上げさせていただいております。
最後のページでございます。(4)、石綿濃度測定及び石綿含有率測定に係る精度管理体制の強化でございます。こちらにつきましては、日本作業環境測定協会の方で分析技術、精度等に関する評価及び認定を行うことを目的としまして、平成18年度よりこのクロスチェック事業を実施しております。この事業につきましては、環境省もオブザーバーとして参画しているところでございます。また、自治体職員の技術の向上ということで、環境調査研究所で環境分析業務を担当している職員に対して、毎年度、アスベストの分析研修を開催しているところでございます。
最後、5番でございます。石綿の飛散防止効果、費用、施工時間等にすぐれる石綿の解体等技術の開発でございますけれども、こちらは日本建築センターさんにおきまして、アスベスト除去等工法の審査証明事業を行ってきておりまして、当省としても、民間におけるアスベスト除去工法の情報の収集に努めて適切に対応していきたいと考えているところでございます。
最後に、資料9でございます。これが今回の一番メーンのテーマとなります石綿飛散防止対策に係る主な論点、これの案でございます。先ほども言いましたように、1ポツから7ポツに区分しまして、論点の案を整理させていただきました。
まず、一つ目の立入権限の強化、それから事前調査の義務づけについてでございます。現状の大気汚染防止法では、届出書が提出されていない建築物の解体現場等に対しましては、石綿使用のおそれがあっても立入検査が実施できないと、行政機関が石綿使用の有無を確認できないという状況にございます。論点としましては、石綿使用のおそれの定義、例えば建築年数とか構造等で定義できないかどうかということでございます。二つ目としまして、大気汚染防止法に事前調査を義務づける必要があるのではないかと。それにつきまして、要否をご検討いただきたいということでございます。三つ目としまして、立入検査時に建築材料の収去権限を追加する必要があるのではないか。これにつきましては、現行の大気汚染防止法の規制の中でも読めるのかどうか、そこも検討していく必要があるとは思いますけれども、収去というのはかなり重要な事項かなと思っております。
2ポツ目としまして、敷地境界等における大気濃度測定の義務化、それから、測定結果の評価についてでございます。今、作業基準の規定はございますけれども、実際、作業基準を守っているようでも石綿が飛散しているのか、飛散していないのかという数値的な評価ができないという状況でございます。論点としましては、大気濃度測定義務の規定をする場合に、その法律に規定するのか、それとも作業基準として規則に置いた方がいいのかといった論点が一つ目でございます。2番目としまして、測定をしなかった場合、ばい煙発生施設の自主検査と同じように罰則規定を設けるべきかどうかということでございます。三つ目としまして、測定結果の評価方法としまして、通常、有害物質等ですと、健康リスク基準として設定することが多いわけなんですけども、なかなか石綿につきましては、この健康リスクの基準として設定することが困難な状況にございます。したがいまして、作業管理基準ということでの設定というのも考えられるのではないかということでございます。最後でございますけれども、基準を超過した場合の対応ということで、ここに書いてあります、行政処分でございます命令に従わなかった場合には、罰則というところまで規定する必要があるのかどうかというものでございます。
2ページ目でございます。3ポツの大気濃度測定に係る試料採取及び分析についてということで、複数の省庁でいろんな測定方法を取り入れているということで、現場では、どのような方法でやったらいいのか混乱が生じているという状況にあると聞いております。論点としましては、大気濃度の測定方法、それから大気濃度の測定場所、これは敷地境界、建屋境界、養生周辺等という例を掲げておりますけども、どの場所で測定した方がいいのか。それから、大気濃度の測定対象物質、総繊維がいいのか、石綿濃度がいいのかと。この3ポツをご検討いただくに当たりましては、やはり迅速に精度の高い結果が出るような、そういう測定方法が必要かと思います。実際、石綿繊維数濃度まで測定するとなると、総繊維数濃度の測定結果が得られる以上に時間がかかるということで、一つの考え方としては、大阪府さんの条例にも規定してありますけれども、総繊維数で規定するという考え方もあるのではないかということでございます。
次の四角でございますけれども、試料採取、それから分析につきまして、技術を有しない機関が実施した場合に、不適切な試料採取が行われる、また、不正確な計測が行われる可能性があるということで、論点としましては、測定、それから分析事業者の登録制度、あるいは発注者が解体工事と大気濃度測定を分離発注する。これにつきましては、解体工事業者さんが、自分が大気濃度測定業者さんを選定するということになると、正確な濃度測定ができていないのではないかという、そういう疑念もあるという考えでございます。それから、第三者による精度管理というものも必要なのではないかということでございます。
以上が精度管理に関することでございまして、次の四つ目でございますけれども、試料の保存義務、それから測定した試料提出を求める、最終的な白黒はっきりさせる場合に、どの試料を測定したのかということで、提出を求める権限というものも必要なのではないかという論点でございます。それから、最後でございますけれども、大気濃度測定の結果を自治体に報告する義務も論点として必要ではないかということでございます。
それから、4ポツでございます。発注者による配慮についてでございますけれども、これは大気汚染防止法の18条の19にも配慮ということで規定はございますが、請負業者、解体事業者さんのほかにも発注者に対しても一定の責任を持たせるべきという意見がございまして、論点としましては、発注者の配慮規定、これが大気汚染防止法の18条19に規定されている規定でございますけれども、これを拡充することが考えられるものと。それから、そのほかに発注者の責務規定につきまして新たに位置づける、こういうことについても要否についてご議論いただければなと思っております。
3ページ目でございます。5ポツの法令の徹底と透明性の確保についてということで、国民が石綿に対して危険性、それから、石綿含有建材につきましての知識が乏しいということで、漏えいや飛散が行われる工事を発見しても、除去業者等の説明をそのまま受け入れざるを得ない状況がある。国民の石綿危険性と石綿含有建材についての知識を得ることによって、違法な解体工事への監視の役割が期待されると、そういう意見もいただいておりまして、論点としましては、アスベストの飛散防止対策の重要性についての周知、これは周知徹底というのは今後も続けていかないといけないと思っております。それから、特定粉じん排出等作業である旨の掲示、特定粉じん排出等作業の公開の要否、リスクアセスメントというところにもつながるものかと思います。
6ポツでございます。特定建築材料以外の、いわゆるレベル3を除去するに当たっての石綿飛散防止対策についてでございます。こちらにつきましては、作業基準の設定について自治体等から要望がございまして、論点としましては、作業基準の設定及び、さらに届出もどうするのかということについてご議論いただければなと思っています。
最後、その他でございます。いただいた意見の中で、事前調査及び事前調査に基づいた工事がなされるよう第三者が管理する、そういうようなシステムというのが必要なのではないかということです。これにつきましては建築物の建設現場では、こういう第三者として設計事務所が発注者、それから請負業者の間に入って管理していると、そういう例を伺ったことがございます。それから、アスベスト除去後の完成検査の要否、最後に罰則の強化、それから違反した者への対応、例えば公表等について、そういうような事項についてもご議論いただければなということでございます。
以上でございます。
【浅野委員長】 ありがとうございました。参考資料は特によろしいですね。
【栗林大気環境課長補佐】 参考資料は必要に応じましてご説明したいと思います。
【浅野委員長】 では、ただいま資料の6から9までについてのご説明をいただきました。きょうは、今後、事務局が論点整理をしていくための素材というか、材料仕込みのような性格の会合でございますので、整然と前から順番にやっていくというようなことをして皆様のご発言を封じる気は毛頭ございません。どこからでも構いません、ご自由にご発言をいただいて、あと、記録を見ながら、それを体系化して整理するのは事務局の仕事でございますので、あまり資料の順番ということにはこだわらずに、ご意見、あるいは、ご質問なりをお出しいただければと思います。
資料の9は、あくまでもドラフトということでありますから、表現ぶりが突き詰めて書かれているわけではありません。例えば、ちょっと気がついたことを言いますと、5ポツの中に「作業の公開」と書いてありますけども、まさか、誰でも解体の作業現場を見にきてくださいという意味ではなくて、これは情報を公開するというつもりで書かれたのだろうと思うのですが、そういうようなちょっとした表現の不備もあります。そのことは十分承知の上でということでございますので、どなたからでも結構でございますから、ご質問、ご発言をいただければと思います。
中央環境審議会にはルールがありまして、発言希望の方は、これをちょっと立てていただくと。すると、どなたがご発言ご希望かが進行役にわかりますので、ということでございます。ただ、順番に一言言ったら終わりというようなことはあまりやりたくないので、後からどんどんお立ていただいても一向に構いませんし、それから、ほかの委員の発言に啓発されて、ちょっとそれは違うのではないかというような相互の議論ができるほうがいいのではないかとも思っております。形式的にずらっと発言ということは望ましくないと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、どなたからでも結構でございますが、名札をお立ていただけると、幸いです。
小林委員がさっき名札をお立てになりました。ではどうぞ。
【小林委員】 ちょっとよろしいですか。1つは確認なんですが、資料7、各県の状況がずっと書かれているのですが、この資料の収集は、環境省が各県の資料を見てつくられたのか、それとも、各県にアンケートなり調査をされて、それを集約されたのか。それを1つは確認したいのです。それが1点です。
【浅野委員長】 ちょっと、まず、今のご質問は簡単なことですからお答えください。
【栗林大気環境課長補佐】 後者の方でございまして、こちらからアンケート票を送らせていただきまして、それを回収して整理したものでございます。
【小林委員】 わかりました。
ただ、ちょっと気になったのは、兵庫県のところの立入検査のところで、法規定以外のところでレベル1、2、3と書いてあるのですが、これはアスベストの担当者が書かれたのだろうなと思うのですが、兵庫県の条例は、立入検査というのは、すべて立ち入りができるという規定になっているのです。ですから、アスベストの使用のにかかわらず、どこの会社、どこの工場でも入れるという大変ひどい条例なんですが、そういう規定がございます。そういうことがちょっと。これは、アスベストの担当者がそこまで気がつかないで書かれたのだと思うのですが、それが1点です。
それから、もう1点。前から気になるのですが、自主測定を義務づけるという場合に、よく言われるのですが、自主測定を義務づけた場合、どういう項目をどういう頻度でやれというのを規定するわけです。規定した場合、例えば、1日1回調査しなさいという規定を設けたとします、すると、その1日1回必ずちゃんと調査して、その結果、基準を超えていない場合に立入検査をしたときに、その間で調査するわけですが、そのときに立入検査結果が基準を超えた場合に、これが処分できるかどうかというのが一番問題になるのです。いわゆる、義務づけた限り、義務づけたことをちゃんとやっていて、その間で基準を超えた場合は、それは免罪されるという意見もあるわけなんです。
逆に、いや、何時も基準というのは何でも超えてはならないという規定があるのだから、規定を決めても、その以外のところで超えても処分できるというご意見の方、2種類意見があるのですが、その辺は環境省はどういうふうにお考えなのかという点でございます。
【浅野委員長】 これは、ちょっと後にお答えをいただくことにしましょうか。あるいは、むしろ、議論をした方がいいかもしれません。
それでは、谷口委員、どうぞ。
【谷口委員】 すみません。資料の訂正というか、先ほどの小林委員の最初の話とよく似ているのですけど、資料7の大阪府の部分ですが、届出のところ、左から三つ目の箱ですけど、「床面積が」となっていますが、これは石綿含有……。
【浅野委員長】 傍聴の方に聞こえるように、マイクをお使いください。
【谷口委員】 すみません。「床面積が」となっておるところですけども、「石綿含有成形板の使用面積が」ということでございます。
それから、右から二つ目の立入検査ですけれども、これもレベル3だけとなっておるのですが、府の条例では、法の対象のものにあっても事前調査の義務を課しているということがあって、基本的にはすべての解体等工事に対しての立ち入りをしているということでございます。
【浅野委員長】 要するに、立入調査のところは、石綿使用表示のある建物と書いてあると、それ以外はなしというふうにとられるので困ると、こういう趣旨ですね。
【谷口委員】 はい、そうです。
【浅野委員長】 どうぞ、島田委員。
【島田委員】 事前調査なり届出に関連する話なんですけれど、建リ法に基づいて事前調査なり届出が義務づけられているわけです。建設リサイクル法の場合、解体工事で言えば、床面積80平米以上は届出対象になっているということで、かなり網羅できるわけです。建設リサイクル法の届出資料が大防法の部局でどのように活用されてきているのかという自治体でのヒアリングなり調査というものを押さえておいた方がいいのかなというふうに思っているのです。これについては、別途、そういう検討を環境省でされたという話も聞いていますので、できれば、ここの場にそういうデータというか、資料を出していただいた方がいいのではないかというふうに思っております。
いずれにしろ、各省、各それぞれの法律とどういうふうに連携をしながら情報を共有化していくのかという観点が極めて重要ではないかなというふうに思っています。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございます。確かに、届出を何枚も何枚も出すというのがいいとは思いませんので、できるだけ利用できるものは利用した方がいいのですが。
では、先ほどのご質問について、これはむしろこの場で議論をした方がいいような気もするのですが、事務局としての考えはというおたずねです、何か、今、答える用意がありますか。
【栗林大気環境課長補佐】 ちょっと頭の中を整理させていただきたいと思いますので、また後日コメントさせていただければと思います。
【浅野委員長】 少なくとも、自主調査の義務づけというのは、どうも何か論理的にもあいまいですね。たまたま自主調査という項目の中に、むしろそれをちゃんと義務づけをしろという意見が出たという見出しなのだろうと思っているので、どうも自主調査──どうでしょうかね。そこはどういう仕掛けにするかの中身の話をしていった方が早いかもしれません。
島田委員のご質問についてはいかがですか。
【栗林大気環境課長補佐】 全国的な調査でのデータというのは持ち合わせていないのですけれども、今回の東日本大震災の発生を踏まえまして、建リ法の届出情報というのは非常に重要だろうということで国交省さんとも相談させていただきまして、建リ法の情報につきまして環境部局と情報共有して、現地での建築物の被災状況、そこで石綿が使われているのか、使われていないのか、そういった情報を収集するために情報をいただくようにということで、それは国交省さんからも了解いただいているところです。
委員ご指摘のとおり、全国的にどういうふうに情報共有がなされているのかというのは、速やかに情報を収集したいと思いますけども、少なくとも、既に幾つかの自治体では、建リ法の届出があった場合に、例えば、そこで、たしか付着物の有無というチェックする欄がありますけれども、そこにチェックがあった場合には、環境部局の方にも情報をそのまま流す、あるいは、ある自治体では、建リ法が出てきた情報につきましては、すべて情報を共有する、あるいは、オンラインでも結んでいるというようなところもあると聞いております。
いずれにしても、全国的な状況につきまして早急に確認して、またご報告したいと思っています。
【浅野委員長】 それでは、外山委員どうぞ。
【外山委員】 先ほど委員長の方からありました5ポツの法令の徹底と透明性の確保についての論点の2番目で、公開の要否というのは、だれでも入っていけるということではないと思うのですけども、例えば、解体現場ですと、外側がスチールの壁で、バリケードで覆われていることがあるので、それを透明にしてみるとか、あるいは、最近はウェブカメラというようなものもありますので、そういったものを活用するという手法もあるのかなと思います。
私はきょう、高輪台から歩いてきたのですけど、ちょうどマンションの建築現場があって、そこは透明なカバーで、中が見えるような形でやられていたということもあるので、そういったことも可能なのかなというふうに思います。
もう一つ、いいですか。それから、1番目の事前調査に関連してなんですけれども、やはり、一番大きな問題は、アスベストがあるものをないとして解体工事されてしまって飛散事故が起きてしまうということだと思うのですが、逆の場合も実はあるということです。ないものをあるとしてしまって、不当に除去費用を詐取してしまうというような事例も数年前報道されたというふうなこともありますので、そういった事例も可能性もあり得るということですし、それと関連して、大防法でもって事前調査を決めていくということですけれども、事前調査のアスベストの含有の分析に関しては、今週ですか、報道されましたが、日本のJIS法と国際表示のISO法とが全く違う、アスベストの定義が違うというようなことが問題になってきていますので、ここをどうするのかというようなことも議論になってくるのかなというふうに思います。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
青島委員、どうぞ。
【青島委員】 1番の立入権限の強化と事前調査の義務についてですけど、島田委員の話と建設リサイクル法にちょっと関連することになると思います。
去年、立入権限の件ですと、二つあって、一つは、今現在、立入権限が作業の特定粉じんの排出届けの届出のある作業所に対しては立ち入りをしているのです。それ以外に届出のない物件について立ち入りをする場合については、何のデータもないので、建設リサイクル法の届出があるというのが一番、省庁間を利用していくのがいいかとは思いますけど、ただ、建設リサイクル法は80平米以上の解体工事ですので、物件数がすごく多いので、それだけのマンパワーがかけられるかという問題が出てくるかと思います。
それと、届出以外のものについて、では、部分的な改修とか位置部分の改修、駅の部分、コンコースの上を歩いていると、上の方が天井がはがれていて、上にアスベストがあるというのが見える、その直接の工事でなく、近接での工事をやられている部分については、何のそういう届出がありません。例えば、情報提供はどういう形なのか。そういう場合も届出が必要なのか。それから、あるいは、通報とか、住民からの情報を上げるという仕組みも必要なのかなと思います。立入権限に思います。立入権限に基づきどういった内容の検査をするのか、作業基準又は規定を違反している、していない、それから指導するということを明確にすることが必要と思います。立ち入りするにはどういった内容をチェックするのか。それに対して、では、それの基準はどうなのかというものをつくっておいて、そうしないと、立ち入る検査官も調査方法をどういった点検をするのか混乱すると思います。石綿使用のおそれについての定義が石綿飛散のおそれまでを含めての意味と思います。それから、建材の使用のおそれというと、非常な専門的な知識も必要だと思いますし、経験豊富も必要な方がそういった立ち会いをするということなので、詳細についてはまた細かく検討する必要があるかと思います。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
例えば、何年以降のものはまず大丈夫だと、こういうものはあるのでしょうね。PCBの場合だと、家電で何年以降のものだったら絶対大丈夫ですみたいな仕切りができているのだけど、このアスベストの場合はどうなんでしょうか。
【浅見委員】 何年以降のものというのはいろいろと見方があると思いますけれども、今の法令で見るということで言うと、2006年9月1日以降のものですと、ないと言って大丈夫だと思います。
ただし、報道にございますように、輸入品から、これはシール材、あるいは、摩擦材ですけれども、石綿が検出されたということもありますので、そういうものがないという前提での話になります。
【浅野委員長】 ありがとうございました。大迫委員、どうぞ。
【大迫委員】 論点を出していただいたものに関しては、網羅的に整理されているというふうに理解しておりまして、そういう意味では重なるわけでありますけども、コメントになります。これまでお話のあった立入権限とか事前調査とか、そういったことを効率的に行うための台帳的な何か情報の事前の整備みたいなものを今後どうしていくかということが、一つ大きな課題かなという認識でおります。
それから、あと、先ほどお話のあった測定法に関してですが、国際的な整合性というのか、あるいは、関係性というのか、また、そこで出てくる最終的な基準の数値をどのように科学的な意味合いを持たせて、国際的な議論との関係性も見ながら規定していくのか。そのときに、海外のいろんなリスクアセスに基づく判断というものがどういう測定法に基づいて行われた上で決められているのか。そういったことをある程度の体系を立てて、科学的な部分を、この際、ぜひ一回整理をしていただきたいというふうに思います。
それから、私は廃棄物の方の専門でありますので、やはり、廃棄物の方でも、廃棄物の処理施設への混入とか、再生砕石への混入とか、そういったものに関しては、法律はかからないわけですけども、今回のレベル3に関して、いろんな作業基準でありますとか、事前調査、そういったものに関して、いろいろとレベル3に関しても範囲に入れていただくことによって、そういったものが事前にわかりますので、廃棄物処理側への移行、混入というものもある程度防止できるという面では、ぜひ、前向きに検討していただくということはよろしいかなというふうに考えております。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
神山委員、どうぞ。
【神山委員】 今の関連の意見というか、感想になりますけれども、資料9の論点の2ポツです。大気濃度測定で、従来は、製造現場の敷地境界で、リットル当たり10本という値が決められていましたが、解体工事の敷地境界付近でそういった測定がなされて、その値が高いか低いかを評価するときに、どういう基準を設けたらいいのかということについての意見なんですけれども、論点の3ポツにもありますように、本来であれば、半永久的にある製造現場の敷地境界で10本/リットルというのが決められたいきさつは、WHO等が、生涯そこに生まれて育った人が健康障害を及ぼさない範囲はどの程度かというふうな健康リスクアセスメントの結果を参考にしていたわけですが、解体工事の場合は比較的時期が短いということで、それを適用すると時間が短い分非常に高い濃度でもOKということになるでしょうし、非現実的なことになります。作業環境基準というのは、ちょうど厚生労働省で決めている管理濃度というものに非常に近い考え方だと思います。そういうことを決めていくことは、非常に現実的な対応ができ、また、現実的に用いられるようになるのではないかというふうな期待があります。ちょっと感想的な意見です。
【浅野委員長】 ありがとうございます。
では、大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 資料の9で網羅的に論点を示していただいていると思いますけども、先ほどご議論がありましたように、行政のほうのマンパワーの問題というのもかなり深刻になっていると思いますので、住民からの通報というのをある程度重視したりすることは考えた方がいいのかなということがございます。
それから、全体について、第三者が管理する視点という3ページのその他に書いてあるような視点というのをどこかで入れないと、石綿の飛散というものを完全に防止するということは難しいのかなというところもございます。
それから、そこの一番下の方に書いてありますけど、現在、罰則がやはり弱いというところがあって、諸外国と比べても罰則の強化というのはかなり重要な視点ではないかと思います。
また、2ページの真ん中辺に書いてあるように、発注者に関しては、大気濃度測定について、分離発注していただくことはかなり重要な論点ではないかと思っておりまして、どうしても、解体工事の業者さんからの測定を依頼されると、そういう関係のもとで濃度測定をすることになってしまうので、この辺の正確性を期するということはかなり重要でありまして、発注者の責務とも関係しますけども、分離発注というのは非常に重要ではないかと思います。
1点ちょっと質問ですけれども、3のところの論点のところにございます、先ほどご説明いただきました総繊維数と石綿繊維数で、迅速性を考慮するのであれば総繊維数でというお考えもお示しいただきまして、自治体さんの中にもそういうものがございましたが、総繊維数で測定した場合、どのぐらいの信憑性精度というものがあるのかというのは、ちょっとよくわかりませんので、教えていただけるとありがたいと思います。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
谷口委員、今の総繊維数の信頼性について、ご発言をどうぞ。
【谷口委員】 大阪府の条例をつくったときは、要はクボタショックがあって、大阪府に1日に何百という電話がかかってきていたときですので、その時代の考え方からすると、正確性を期して時間がかかって、結局、健康リスクの回避ができないというのはやっぱり大きな問題ということで、総繊維数の方が迅速な対応がとれるという考えが支配的だったのではないかなと思っています。
ですので、基準の方もリットル当たり10本と、こういっていますけども、これは、この測定方法を用いた場合ということでございますので、基準とセットで考えないといけないのではないかなということで、この辺をもうちょっと詳しく調べて、次回またご報告できればと思います。
それで、申し上げたかったのは事前調査の関係なんですけども、大阪府の場合、大阪府域のたしか八つの市が政令市ということで、ちょっとその部分は把握できていないのですけど、大阪府に上がってくる苦情といいますのが、苦情というか、相談も含めてですが、年間に最近では大体15件ぐらいアスベスト関係の苦情が上がってくると。これの中身は、ここで解体しているけど、大丈夫かという問い合わせでございます。したがって、それがどういう状況なのかということを我々が調べて、相談者に答えてあげるというのが一番手っ取り早い解決なわけです。そこで時間がかかっておるようでは、話が余計に複雑になっていくということでございます。
ということで、クボタショックのころに条例を考えましたので、基本的にはどこでも立入検査ができるということが重要だということで、すべてに対して事前の調査を義務づけたという考えをとったということでございます。
実際には立ち入りをして、事前調査の結果を見せていただいて、使っている、使っていないというのがはっきりして、使っておる場合はこんな対応をしているということを苦情者に説明して、大体ご理解をいただいているということでございます。
法律も、自治体からの要望というものがあるわけで、そういうことが基本的にはいろいろあって要望につながっていると思いますので、スピード感を持てる対応が重要ではないかなと、こう思っています。
【浅野委員長】 ありがとうございました。よく理解できました。
武林委員、どうぞ。
【武林委員】 先ほどの神山委員のご発言と重なる部分がございます。2番目の点でございますけれども、先ほどの論点のご説明の中で測定結果の評価方法という話がございましたが、基本的には完全に健康リスクを勘案しない評価ということはあり得ないだろうというふうには思うのです。やはり、この問題は発がんの問題がございますし、これだけ大きな社会的な影響のあった後ですので、一方で、恐らく、リスク評価を厳密にやれば、非常に厳しい、いわゆる一般環境の許容されるリスクというふうに考えると、かなり厳しい数字になるだろうということで、その中でどういう数字を出すのかということ、特に、測定義務がかかれば、それなりに目安をという話には当然なるでしょうから、そこの考え方の整理はもう少し広く議論する必要があるだろうと。
先ほど神山委員がおっしゃったような、あるマネジメントの視点で、少し割り切った数字を出すということも当然あり得るというふうに思いますが、一方で、先ほどのある数字を下回れば、それでいいのかという議論もありますし、やはり、発がん物質、特に、域値を前提としないようなものを考えるときに、今、放射線でもそうですけれども、いわゆるアラガー の法則と言われているような、数字はあったとしても、それはあくまでもマネジメントの目安であって、可能な限り低くするという考え方は、特にヨーロッパなどでは一般的だろうと思うのです。
ですから、今回、どういう枠組みをつくるかということはあろうかと思いますけども、たとえ数字がある割り切りを出したとしても、それでいいということの逆に免罪符にするのではなくて、それは一つの目安であって、それを含めてどういうふうに数字を理解するのかという点も一緒に書き込んでいかないと、どうしても数字を出せば割り切りになりますので、そこから先の一般社会への数字の理解といいますか、そこを促すような工夫も、特にこういう発がん物質の場合には必要なのではないかということで、今後の論点の整理、さらに、いろんな方からのプレゼンテーションの中で、リスクアセスメントの整理のこともぜひお話しいただきたいと思いますし、それを踏まえて、マネジメントの中で発がん物質をどういうふうに扱うのかということは、ぜひ整理をしていただきたいというふうに思います。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
では、神山委員どうぞ、お先に。
【神山委員】 先ほどの私の意見はもう少し具体的に申し上げないと、誤解されるのかと思いますので、少し具体的に申しますと、現在、石綿製造工場はなくなっており、10本/リットルという敷地境界の数値はほとんど使われていないと思いますけれども、解体現場周辺で仮に10本/リットルというふうな値を基準を超えたならば何らかのアクションが必要というふうな形をとるというと、WHO等が決めた10本/リットルということからすると、論理的には時間が短い分極めて厳しい基準になるわけです。敷地境界だったら、生涯60年か70年生きて10本/リットルでセーフというふうなものが、たった数カ月、あるいは、1週間の工事でそれを適用するのは、非常に厳し過ぎるという、もし、そういう反論があったならば、それは、先ほど言いましたように、労働衛生的な管理濃度と同じような行政的割り切りと同じようなセンスで10本/リットルで管理するのだという割り切りが一つ考えられるという意味ですので、もう一度繰り返させていただきました。
【浅野委員長】 論点になると思いますので、これから少し時間をかけて議論していきたいと思います。
近藤委員、どうぞ。
【近藤委員】 今の話に関連するのですけども、工事現場の周辺で測定するときに、敷地の境界、工事現場の敷地境界という形で、他の自治体さんなんかもやっておられますけども、そういうところであれば、シールドといいますか、覆いをきちんとやって、漏えいがないような状態にして、そしてちゃんと排気をすれば、その周辺にほとんど石綿が飛散することは少ないだろうと。ですから、今、議論になっている10本がいいのか、それは議論していただければいいと思いますけども、10本/リットルといった程度のものでもある程度クリアできるのではないかと思います。
問題は排気口のフィルターの方です。そこから漏えいするというのが結構大きいという話があります。ですから、排気口の出口でもって測定をして、そして、中の管理状態をきちんと評価できる、把握できるというような方法も一つあるのではないかと思います。
そのときには、排気口の出口の測定は、石綿ではなくて総繊維数でやって、そこで問題がなければ作業を継続させると。そして、敷地境界での測定の結果をまたあわせて見ると。ただ、そこで、排気口のところで非常に異常な漏えいがあるというようなことが疑われれば、作業を中止させて、そして、石綿の測定結果が出てから、また作業の継続をさせるかどうかを考えると、そういう方法もあるのではないかというふうに思います。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
稲垣委員、どうぞ。
【稲垣委員】 感想を述べさせていただきますけれども、論点整理としてはこういうことだろうなというふうに思っております。
ただ、論点整理の中で、これから3回、4回やっていく中で、相当細かく議論していかないと、いろんな課題が現にあるのではないかなというふうに思っております。
例えば、資料の6ページのところに書いてあります、自治体からのアンケートの中の一番のところで、二つ目の丸のところに、おそれ規定で立入検査を実施した場合に、工事の一時停止命令の基準をつくるとか、そういうようなことを言われても、現実に実際に工事が入ろうとしたときに、こういうものというのは大変難しい状況があります。
ですから、こういうことをやる前に、やはり事前調査というものをきちっとやらなければいけないかなというふうに思っておりますが、先ほど来、話がありますように、建設リサイクル法で結構、年に1回とかというところで、いろんな調査がされているわけです。そういうものとの整合性というものをとっていかないと、すべて大防法の中で処理するというのはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。
それと、すべてやるといっても、建設リサイクル法の中でやっているだけでも、実は、建築部局にいろいろ聞いてみると、大変なマンパワーなんですね。ですから、そういうものも一度2回以降に整理しておいていただけるとありがたいなというふうに思います。
それと、今、もうほとんど製造はありませんけれど、資料9の2番目の論点のところで、ばい煙発生施設との比較論点をしようというふうになっておりますが、今はほとんどありませんけれども、特定粉じん発生施設、これとの整理ということもまだ大防法で残っていますので、きちっと整理しておかないといけないのではないのかなというふうに思いました。
それと、9ページの4番目にある発注者による配慮、これは大防法18条にありますけれども、やはり、ここは本当はきちっと当然やるべきことじゃないかなという、私なりの意見ですけれど、発注者が配慮し、また、発注者の責務というのは明確にする必要は絶対あると思いますので、この辺はきちっと整理していただけるとありがたいなというふうに思います。
それと、先ほど議論がありました総繊維というのは、迅速性という面では大変重要だと思いますけれど、やはり、罰則という面になると、総繊維で議論するというのはなかなか難しいものですから、そこはもう一度整理し直さなければいけないのではないかなというふうに思います。
感想ですけれども、そんなことです。
【浅野委員長】 ありがとうございました。大変ポイントをついたご指摘をありがとうございました。
神山委員、ご発言をご希望でいらっしゃいますか、名札を立てておられるのですが。──違いますか。
それでは、外山委員、中橋委員の順番でどうぞ。
【外山委員】 先ほど神山委員の方から、敷地境界10ファイバー/リットル、厳しいのではないのかというお話でしたけれども、最近、国際的には、例えば、オランダで1ファイバー/リットルを下回るような基準にせよというような報告書が出たりしております。そのあたりの国際的な動向ですとか、そういった最新の知見などを考慮しながら決めていただけたらというふうに思います。
それから、濃度測定の方法ですけれども、いろいろ細かな方法はあると思うのですが、私の理解では、基本的には、今、総繊維をはかるPCM法、位相差顕微鏡法というのが、この50年間ずっと測定がされてきて、国際標準というか、リスクとの関係では必ずその値を使うということで、プラス電顕でアスベスト繊維を同定していく、それでリスク評価をするというようなことが世界的には標準的にやられているのかなというふうに思います。
ですので、そのあたり、実際に解体の現場でそういったことをやられてきた方を私は知っていますので、ぜひ、実際のそういう建築現場での解体現場での測定をやられてきた方のヒアリングを、ご本人に了解をとった上でお願いしたいなというふうに思います。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
中橋委員、どうぞ。
【中橋委員】 施工工事業者として、ちょっと今までのお話を聞いていて、いろいろ感想とか、また、ちょっと間違いの発言もあるかもしれませんし、それからまた、先走った話になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
先ほどおっしゃいました発注者による配慮、これはもうぜひとも必要だというふうに思います。いろいろなことを解体現場でやることについて、やはり、発注者の方のご理解といいましょうか、単純に言いますと、工期とかお金の話になりますが、この辺のご配慮がなければ何もできないというのが我々専門工事業者の立場かなと思います。
それで、アンケートに不良業者の排除でしょうか、技術・知見を有しない解体現場を排除しようと。これは今後大きな問題になろうかと思います。いろいろな法律ができていても、それを実際に施工する、いわゆる解体業者といいましょうか、これにいかに周知徹底させるか、どう教育するか、どう啓蒙するか、これが大きな問題になろうかと思います。数字的なお話は別として。
ですから、残念ながら、我が全解工連、全国で各団体を束ねておりますけれども、せいぜい千四、五百でございます。電話帳をごらんになると、その10倍の数の解体業者がおります。やっぱり、ここが盲点だと思います。我々が業界団体としていろいろなことをアピールし、いろんな指導をしようとしても、ここが大きなネックになっております。
多分、場違いな発言になると思いますが、我が解体業界は国から認知されておりません。業種の認定がございません。この辺が一つネックかなというふうに思います。これは環境省に申し上げる話ではございませんけども、この辺がしっかりルール決め、業種の認定やら、いろいろな資格制度の確立というのでしょうか。こうしたものを我々は民間としてやっておりますけれども、この辺がしっかり国のご理解がないと、何をやるにしても、末端の数多い、1万5,000社もいると言われている日本全国の解体業者に周知徹底は不可能と、かように考えております。
それと、先ほど、外山委員から、パネルを透明にしろという話がありました。確かに、今、ゼネコンさんの足場を見ますと、透き通って中がよく見えるというのがよくございますけれども、残念ながら、解体工事については、あれは防音やら、あるいは防じんの意味で、防音パネルと称しまして、鉄板を張り詰めております。あれを透明化するという話はまだちょっと技術的には聞いておりませんので、解体現場を見えるようにというのはなかなかちょっと難しいのかなと、そんな感想でございます。
以上でございます。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
小林委員、どうぞ。
【小林委員】 すみません。今、発注者による配慮ということで、ずっと議論がきているのですが、私自身が冒頭からずっとお願いをしていた件なんですが、基本的に解体業者の責任ではなくて、発注者の責任だというぐらいのつもりでぜひお願いをしたい。つまり、そこで事故が起こった、問題が起こった、すべて発注者の責任だというぐらいの割り切りをしていただきたい。
今、お話がありましたが、解体業者の認定というものがないわけです。実際に、阪神大震災のときに工事した事業者の一番多かったものは何かというと、造園業者なんです。一番気になったのは、解体するときの危険防止がものすごく問題になりまして、つまり、建物を崩す経験のない造園業者が結構事業をやられたのです。そのために、兵庫県では、そのための解体マニュアルというものをつくったのです。こういうふうに解体してくださいと。そうしないと、ひどいところですと、4階・5階建てのビルの屋上に重機を乗せて、そこから崩すというようなひどいことをやられて、途中で重機自身が崩れ落ちるというようなことがあったわけです。
そういうこともありますので、解体業者の責任といっても、それはなかなか難しいので、発注者の責任というものをぜひもっと重視していただきたいと思います。
【浅野委員長】 大迫委員、どうぞ。
【大迫委員】 発注者の責任に関してなんですが、ちょっと今回の議論の外かもしれないのですけども、測定に関する分を分離発注するということはもちろんあるのですが、こういう作業管理基準に基づいてきちっとやっていくということ自身が、適正な価格の中でやれるという解体工事に関しても、ある意味発注者が分離発注するような、そういった配慮もないと、結果的にトータルとしては管理ができないのではないかなということも感じました。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございます。
発注者の責任は、ほかの制度の中でも割合にあいまいな部分があって、例えば、フロン法なんかも、どう考えてもユーザーが責任を持たなければいけないのに、全部業者さんだけに責任を負わせるという構図になっていて、おかしいと言っているわけですけれども、こちらの方は、ただいまの議論の中にもありましたように、特に、解体業者さんの専門性という点が、今のところ十分に確立していない面もあるということであるならば、なおさら重視すべきだというご意見が多かったことは大事な点だろうと思いました。
どうぞ。
【中橋委員】 すみません。今の小林委員のお話にちょっと感想でございますが、先ほど、解体業を始めるのに、解体の資格は要らないというお話を申し上げました。確かにそうでございまして、法的にはとび、土工を持っていさえすれば解体ができるという、まさしく業種の認定がないということで。何が起きるかといいますと、安易な参入が始まります。今回の大震災もそうでございますが、我が事務局にいろんな問い合わせがございまして、向こうへ行って解体をやってみたいのだけど、どうすればいいのだと、こういう話がございます。技術的なこと、今の議論のように、処理の問題、一切何もわからないで参入しようとする業者が現実にたくさんいると。そんなことがあるということで、繰り返しになりますが、いわゆる周知徹底の部分は大変難しい話だなというふうに思います。
それと、もう1点、実はこれもちょっと変な話ですけど、現場の話ですが、石綿障害予防規則ができた後、いわゆる成形版を1枚ずつ手ばらしいたします。それで、屋根材、工場の屋根とか成形版とかスレート、あれも1枚ずつやろうとして、急に墜落事故がふえました。労基の方へいろいろとお尋ねにいって、あそこに人が上がるのはとてもじゃないけど危な過ぎるということで、もうしようがない、じゃあ、水をまいて機械で壊せと、こういうことに落ちついた現場も多々ございます。
ですから、何が言いたいかと申しますと、やはり、環境省さん、また、厚労省さん、その辺のすり合わせというのでしょうか、その辺はしっかりやって、我々現場で仕事をしたいなと、かように考えております。よろしくお願いします。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】 まず、1点ですが、発注者の配慮については、よろしいと思います。但し、この場合の発注者が注文者も含むということの解釈でよろしいのかということですがあります。
特に吹き付け材の除去の例で申しますと、当協会の会員でそういう除去をやっている会社があるのですが、直接施主さんから注文をとらないです。途中でゼネコンさんなどから注文が入ってきます。直接お金をいただくのがゼネコンさんということで、全体的な流れの中で、途中途中でそれなりの配慮、費用、工期を含めて配慮いただかないと、きちんとした工事はできないのではないかなということがあります。発注者という言葉の範囲の確認が必要です。
あと、別の話なんですけど、今のスレート波板の工事ですが、やはり、なれとか、そういうものがあると思います。スレートなどの成形板にかかわる工業界がありますけれども、葺き替えの場合ですと、解体工事業さんの方ではなくて、そういうメーカー系の工事の関係でやることが多いのですが、この場合、墜落事故、転落事故がゼロとは申しませんけれども、かなり低いそうです。これは、踏み抜きといいますけど、屋根材が割れて下へ落ちるということがしにくいように、きちんと踏み抜きにくいところを歩く、あるいは、下に転落防止用のネットを張っておく、そういうことをやはり徹底しているためです。ただ、そういたしますと、ネットを張るにはそれだけの費用も工期もかかりますし、作業もやはり簡単に、俗に言うミンチ工解体の方がかかりませんので、どうしても工期と費用の問題がつきまとってしまうのではないかなと思います。
ちょっとコメント的な話ですけども、以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございます。
最初にご指摘の点については、さらにきちっと議論しなければいけないと思いますし、建設リサイクル法も、義務ではないけども、注文者との関係をいろいろ言っているわけですが、それとの関係も考えてみなければいけないのかもしれません。
ほかにご発言がございますでしょうか。圓藤委員、どうぞ。
【圓藤委員】 ちょっと教えていただきたいのですけれども、私ども作業環境の場合は、一応、定常状態ということで、いろんな管理濃度を決めるのですが、今回の場合は、定常状態の作業というのは基本的にないのですよね。解体作業というのは一時期の作業で、それについて、地域住民がどのような暴露を受けるかというシミュレーションみたいなものはできているのでしょうか。
【栗林大気環境課長補佐】 具体的なシミュレーションというものは持ってはいません。除去作業をするときにがりがりととって、そうすると、発散するわけですけれども、除去作業をしているときが、当然のことながら、事故が起きれば飛散する可能性が一番あるということになると思いますので、そこの工事をやっているときにどういうふうに飛散防止対策をするのかということがポイントになるのかなと思っています。
【圓藤委員】 そうすると、神山先生や武林先生のご意見と一緒になるのですけど、永続的な数値にするのか、その場面だけの数値、だから、作業があったときにどのような広がりとかがあって、総量規制、例えば、この工事の濃度がどのぐらいで、1カ月間で総量でどのぐらいにしなさいというのか、それとも、それを健康基準から割り出すというのか、そういう考え方みたいなのはあるのでしょうか。
【浅野委員長】 どうぞ、神山委員。
【神山委員】 今のご質問で、定常状態で大体決められている許容濃度であるとか管理濃度とか、そういうものに対して非定常的な短期間のものの濃度とか、あるいは、そのシミュレーションがあるのかというお話ですけども、現実には、東日本大震災のモニタリングなんかもそうですけれども、作業としては非常に短時間なんですが、それでも、許容濃度の方の、いわゆる短期間の暴露、ショートタームエクスポージャーの考え方があることを横に置いて、短時間の測定で濃度があるレベルを超したら、これはやはりまずいというような経験的なものでの管理を今行っているというのが現実です。実際には例えば、10本を超えたら気持ちが悪いとか、そういうところが、どうも正直な気持ちとしてあるのではないかというのが現実のざっくばらんな話ですね。
【圓藤委員】 作業者だったら、解体作業時にどのぐらいにしておかないとというのは、放射線の累積線量みたいな考え方であると思うのですけど、住民でもそういうことを考えるのかなと、ちょっと思いました。
【浅野委員長】 ちょっと、私が申し上げようと思ったのですが、今回の我々の議論は大防法の世界の話で、労働安全ではないのです。ですから、大防法というのは、あくまでも一般の国民の健康を守ることにある。そうすると、作業環境内のことについては別途ちゃんとやってくださいというこにある。外について大防法でどこまで踏み込めるかという話になるわけです。ですから、そこはどういう基準を設定したらいいかは、さらに今後、皆さんのご議論を深めていただきたいと思いますし、それから、事前調査にしてみても、大防法の世界でどこまで踏み込めるのかという問題は、実はかなり難しい問題です。ですが、やろうと思えばできないことはないなという気もするのですけども、ちょっと法制局との議論をやるときに、かなりうるさく言われそうだなという予想は今からできるものですから、ちゃんと考えておかなければいけない、かなり厄介なポイントだなと思っています。
ほかにございますか。青島委員、どうぞ。
【青島委員】 大気濃度の測定についてですけど、測定についての報告を義務化を検討するということになっておりますが、この報告は、作業が終了して、その結果が出るのが、工事が終わって完了している時点の報告になるかと思うのです。今、自治体で報告義務がある物件については、先ほどの基準にも関連するのですけれども、やはり、超える場合もあるかと思うのです。そのときに、基準を超えた原因の対策をして、飛散防止し、工事完了したということになればいいのですけど、基準を超えた測定結果報告書を提出し、数値が超えた工事の開示請求があるとすると、それから後々のいろいろな問題になるということがあって、報告義務化は問題が多いかと思うのです。ですので、運用方法を考慮して配慮していただければと思います。
それから、地方条例により、測定の回数、方法についても、大変測定回数、件数が多くて、例えば、1週間に1回、工事に伴って工区ごと測定すると、大規模な解体工事ですと、二、三カ月かかると、それだけでも費用の負担が大きい。敷地境界測定で、敷地の大変大きな工場の測定もございますし、その辺を一律ではなく、いろいろな規模、用途によって基準を細かく規定を検討することが必要かと思います。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
島田委員、どうぞ。
【島田委員】 細かなことの2点でまことに恐縮なんですけれど、発注者の配慮というときに、言葉を明確に定義をいただきたいということです。発注者というのは一番もとの注文者ですよね。先ほど浅見委員がおっしゃった注文者というのは、例えば、発注者から元請がいて下請除去業者がいると、元請も注文者ですよということなんです。
なぜこれを言うかというと、発注者の測定等の分離発注という話がありましたけれど、通常、発注者に測定を分離発注しても、それを評価もできなければ、どの会社に発注をすればいいのかということすらわからないわけです。それなりの測定をする場合は、技術的な素養がないと、分離発注ができないというところもあるのです。
そうすると、何らかの先ほどの建築設計者みたいなお話がありましたけど、そういう技術的にサポートするような体制まで考えるのかどうかということもありますし、あるいは、発注者がいて、元請がゼネコンで、除去業者が下請に入っているときに、現状はその除去業者が空気測定を発注しているという、そういう形になっているのですが、元請のところで除去業者と測定会社とを分離発注するという、それは十分技術的には可能な話かと思うのです。
そういう幾つかの実際の状況を考えながら言葉を明確に使っていかないと、話が混同することになるのかなと。あるいは、検討すべき課題が混乱しちゃうかなというふうに思います。
それと、もう1点なんですけど、これは非常に細かなことで恐縮なんですが、測定をするといったときに、今一番問題になっているのは、解体工事の集じん排気装置の排気口での測定が問題になっているのですけれど、排気口の風速というのは相当強いのです。サンプリングをするときのサンプリングの仕方によって、測定結果というのは大きく変わってくるのだろうと思うのです。そこが、ほとんどの場合、かなりいいかげんな形でやられているというのが、私の実感としてあります。
ですから、測定といったときに、サンプリングのとり方自身、とる場所も含めて、かなり具体的なマニュアル化を図らないと、幾ら義務を課したとしても、その結果というのはどれだけ信頼性があるのかということにつながってくるかなというふうに思います。
以上です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 先ほど委員長が言われた建設リサイクル法の発注者の義務との関係というのは大事だと思っているのですけれども、最初に、発注者が工事着手前に分別解体等の計画等について届け出る義務がありますので、それと連関性というものを考えた方がいいと思いますが、今の分離発注というのは、どうもここは特別な話ですので、建設リサイクル法とは別に考えた方がいいかなと思います。今のご意見のように、発注者は確かに大気濃度測定の結果が出てきてもわからないと思いますが、そちらの話とは別に、だれが費用を払ってやってもらうかというのは結構重要なポイントで、あまり表に出したくない方が費用を払うことすると、もちろん、通常はちゃんとやっていただけると思いますけども、おかしなことが出てくる可能性がないわけではないものですから、だれが費用を払うかということは結構大事で、そこは発注者に払ってもらうような方法をとることが適切ではないかという問題があるということを申し上げておきます。
【浅野委員長】 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。まだ、きょう、ご発言のない委員の方で何かありましたらどうぞ。──よろしゅうございますか。
きょうは12時30分までということになっておりますが、発言が尽きれば、もうここで終わることは一向に構いません。
もし、さらに、きょうの他の委員のご発言をお聞きになって、お気づきの点がありましたら、事務局の方にメールなり何なりの方法でお出しいただければと思います。
きょうは特に議論の整理をするという必要もないと思いますので、意見が複数出たという項目もありました。これらについては、今後、事務局の方で整理をされる上で、十分に問題点を整理していただきたいと思います。
それから、ヒアリングについても委員からご要望がございましたので、この点についてもぜひ反映させてくださるように事務局にお願いいたします。
どうぞ、稲垣委員。
【稲垣委員】 ヒアリングはどういう人かということを事前にちょっと教えていただけるとありがたいです。
【浅野委員長】 そうですね。その他の議題ということでございますので、次回以降についての現段階でわかっていることについて、事務局からお話をいただけますか。
【栗林大気環境課長補佐】 ヒアリングにつきましては、2回目、3回目ということで、今、幾つかの方、団体にはお願いしているところです。詳細につきましては、各委員のほうにはきょう中にでもメールを出させていただきたいとは思いますけれども、まず、諸外国、アメリカの石綿の規制なりに詳しい方、それから、現場、被災地も含めて全国の解体現場の方を回っていらっしゃって、実際の解体現場について情報を多くお持ちの方、その方からは解体現場の現状と、それから課題についてお話ししていただきたいと思っております。あとは、測定の関係ですけれども、分析機関を取りまとめている協会さんの方からも分析方法の実際と課題についてお話ししていただくと。あとは、解体工事の協会さんの方からは、解体工事の現場における現状と課題についてということで、大きく区分するとそのような形ですけども、詳細にこういうような方からお話をいただきたいというものについては、名簿を今つくっておりますので、現段階での名簿を、きょう、委員の方にメールでお渡ししたいと思っています。よろしくお願いします。
【浅野委員長】 よろしいですか。
ほかに何か。小林委員、どうぞ。
【小林委員】 これはお願いなんですが、資料7の各県の条例の制定状況という表があるのですが、申しわけございません。この上に、大気汚染防止法と石綿則と、それから、建設リサイクル法で、この項目ごとにどういう規定が入っているかということを上にちょっとつけていただくと、比較するのに大変便利だと思うので、お願いできたらと思います。
【浅野委員長】 大変いい提案だと思いますので、事務局、お願いいたします。
【栗山大気環境課長補佐】 わかりました。
【神山委員】 追加で申しわけないですが、その中で、立入検査という右から二つ目のカラムに法規定以外とあります。法規定にどういうものがあって、それ以外で立入検査はどうなっているのか、この現状ですけれども、立入検査が一般にどの程度きちっと行われているかということですが、実際にだれが、例えば、大気汚染防止法でしたら都道府県、あるいは、市とか区、そういうところでどういう立ち入りが行われているのか、現状をある程度教えていただけたら参考になるなと思うのですけども、これは県別にできるでしょうか。
【浅野委員長】 わかりました。具体的にというのはなかなか難しいでしょうけれども、わかる限り今のご要望の情報を提供できれば。
【栗林大気環境課長補佐】 大気汚染防止法の施行状況調査というのをやっておりますので、大気汚染防止法に基づく立入実数につきましては都道府県ごとの……
【神山委員】 そういうデータが出ているのですか。
【栗林大気環境課長補佐】 あります。ただ、条例に基づく立入件数につきましては、申しわけございません、今、把握しておりませんので、もし必要であれば、また自治体さんの方に照会させていただきたいと思っています。
【浅野委員長】 よろしゅうございますか。
それでは、議題の3まではこれで終わらせていただきまして、その他について、ありましたら、どうぞ。
【山本大気環境課長】 本日は、長時間にわたりまして活発なご意見、ご提案、まことにありがとうございました。きょうは、言葉とかの定義がまだまだ非常にあいまいでございましたけど、きょうご指摘を受けましたので、定義した上での整理をまたいろいろとしていきたいと思っております。
また、次回以降、2回、有識者からのヒアリングがありますが、それらの流れを含みながら、9月以降に十分整理したものをまたお出しして、ご議論いただければと思っております。
本日の議事録につきましては、また各委員にご確認いただいた上で公開するという方法をとっておりますので、いろいろなご確認のほうをよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
【浅野委員長】 それでは、特に何かご発言はございますでしょうか。──よろしゅうございますか。
(なし)
【浅野委員長】 それでは、本日の専門委員会はこれで閉会させていただきます。ありがとうございました。