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中央環境審議会大気環境部会
自動車排出ガス専門委員会(第39回)会議録


1.日時

平成21年7月31日(金)10:02~11:33

2.場所

虎ノ門パストラル ミモザ

3.出席者
(委員長) 河野 通方
(委員) 坂本 和彦 大聖 泰弘 塩路 昌宏
飯田 訓正 石川 博敏 後藤 新一
野田 明 堀 政彦 松下 秀鶴
御園生 誠
(環境省) 鷺坂水・大気環境局長
木村水・大気環境局総務課長
岩田水・大気環境局総務課環境管理技術室室長
多田水・大気環境局総務課環境管理技術室室長補佐
牧野水・大気環境局自動車環境対策課課長補佐
立川地球環境局地球温暖化対策課調整官
江連水・大気環境局総務課環境管理技術室排出ガス係
児玉水・大気環境局総務課環境管理技術室排出ガス係
4.議題
(1)ディーゼルトラック・バス等の挑戦目標値の検討状況について
(2)E10対応自動車の排出ガス基準等の検討開始について
(3)その他
5.配付資料
資料39-1 10次答申検討事項
資料39-2 ディーゼル重量車NOx挑戦目標値について
資料39-3 E10対応車の排出ガス基準等の検討開始について
参考資料
6.議事

【多田室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会大気環境部会第39回自動車排出ガス専門委員会を開会いたします。
 本日、岩本委員より欠席とのご連絡をいただいております。また、石川委員、後藤委員、堀委員については、遅れてご出席ということでございます。
 なお、本日の会議については公開とさせていただき、今回の議事要旨、議事録については、委員の皆様のご了承を得た後、ホームページにて公開させていただきたいと思います。
 まず、今回初めてこの専門委員会に出席させていただく環境省のメンバーをご紹介させていただきたいと思います。
 水・大気環境局長、鷺坂でございます。
 総務課長、木村でございます。
 自動車環境対策課課長補佐、牧野でございます。
 地球環境局地球温暖化対策課調整官、立川でございます。
 会議に先立ちまして、鷺坂局長よりごあいさつをさせていただきたいと思います。

【鷺坂水・大気環境局長】 おはようございます。7月14日付で環境省の水・大気環境局長になりました鷺坂でございます。
 私は、ちょうど4年前のポスト新長期規制をするときに、この局の総務課長としてかかわらせていただきましたけれども、また再び排ガス規制の関係にかかわることになりました。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この専門委員会にご出席賜りまして、また日ごろから大気環境行政にご指導賜っておりますこと、また改めて厚くお礼を申し上げたいと思います。
 本日の専門委員会でございますけれども、議題としてディーゼルトラック・バスの新たな排出ガス規制であります挑戦目標値の検討、それとE10対応自動車の排出ガス基準の検討開始ということと聞いております。
 挑戦目標値につきましては、既にご審議いただいているところでございますけれども、その名前のとおり、排出ガス低減技術の可能性について、最大限挑戦した場合の水準ということで、将来の排出ガス性能を定める値ということで、極めて重要な検討事項であると考えております。
 また、E10対応車排出ガス基準ということでございます。地球温暖化を防止するため、バイオ燃料の導入というのは、重要な一つの柱と考えております。エコ燃料利用推進会議のロードマップにも、2030年、全面E10化ということが一つの大きな目標とされているところでございますが、そのため、E10車の普及を図るためにも、早急にE10対応車の排ガス基準を定めることが必要であるということを考えておるところでございまして、その検討に着手いただければというふうに考えております。
 温暖化問題につきましては、いずれにいたしましても、2050年、CO2、60%から80%削減という、長期目標を持っているわけでございまして、その達成のためには、自動車からのCO2排出も大幅に削減していくことが大切でございまして、そういった意味でもバイオ燃料の活用というものは、大変重要なものであると認識しております。そういった観点からも、是非よろしくご審議のほどをお願いしたいと思います。
 河野委員長をはじめといたしまして、先生方には挑戦目標値、それからE10対応自動車の排出ガス基準、また再びなかなか難しい課題の検討をお願いすることになるわけでございますけれども、どうぞよろしくご検討のほどをお願いを申し上げますとともに、また引き続き、いろんな局面におきましてのご指導をお願いいたしまして、私からの就任とともにのあいさつにかえさせていただきたいと思います。
 本日は、どうかよろしくお願いします。

【多田室長補佐】 それでは、続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。
 まず、議事次第でございます。その次名簿でございます。その次資料39-1、39回の資料1ということで39-1という資料がございます。1枚紙でございます。次に、資料39-2というホチキスどめの資料がございます。39-3ということで1枚紙のE10対応車の資料がございます。参考資料としてホチキスどめの資料がございます。一般の傍聴者の方にはお配りしておりませんが、委員限りの資料といたしまして、JE05とWHTCの相関図等のデータをお付けさせていただいているところでございます。
 資料については、一般傍聴者の方も含め、不足がございましたら、事務局までお申しつけください。よろしゅうございますか。

(なし)

【多田室長補佐】 それでは、以降の進行を河野委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【河野委員長】 河野でございます。本日は、委員の皆様におかれましては、お忙しいところをご参加いただきまして、ありがとうございました。では、座らせていただきます。
 今回、本日の専門委員会では、ディーゼルトラック・バスの挑戦目標値につきまして、特に測定方法をどうするかということについてご審議をいただき、その後、E10対応自動車の排出ガス基準の検討開始について、事務局より説明、それから進め方等に指摘があればいただきたいと考えております。
 今までいろいろ審議したのですが、いよいよこの挑戦目標値について議論が本格化するとともに、将来に向けたE10対応車に関する検討と、重要な検討事項ですので、委員の皆さんによりご活発な審議のほどを、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、審議項目が非常に多いこともございまして、審議状況によっては予定している会議終了時間を若干超えてしまうこともあるかもしれませんが、
 12時をめどに審議を終わりたいというふうに思いますので、特に事務局の方には、簡単な説明をお願いしたいというふうに思います。
 ということで、きょうはいろんな審議をいただくのですが、最初に事務局の方からこの委員会の位置づけと、それからあと今後の方針についてご説明をいただきたいと思います。特にきょう決めなければいけないこと、それからまだこの項目についてはディスカッションの余地があるというようなことも含めて、ちょっと簡単にお願いできますか。

【多田室長補佐】 ありがとうございます。
 それでは、河野委員長のご説明にお答えするような形で、資料39-1の10次答申の検討事項についてご説明させていただきまして、今回の専門委員会の位置づけなどについてご説明させていただければと思います。
 冒頭のカメラ撮りはここまでさせていただきたいと思っておりますので、ご協力、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料に戻りまして、ご説明させていただきます。10次答申の検討事項ということでございます。20年1月に、9次答申といたしまして、ディーゼル特殊自動車の排出ガス規制の強化についてご答申いただいたところでございます。その9次答申の次ということで10次答申でございます。
 10次答申に記述したいというふうに考えているところについて、まずご説明させていただきます。
 まず、1.今後の排出ガス規制の考え方というものをしっかり整理した上で、2.ディーゼル重量車の新たな排出ガス規制についてというところで、メインの議題でございますNOx挑戦目標値について記述したいというふうに考えております。
 そのうち、挑戦目標値につきましては、測定方法、あと規制値だとか適用年度、あと試験条件以外の排出ガス対策でございますオフサイクル対策をどうしていくか、さらにOBDの対策をどうしていくか。実は、ガソリン重量車の排出ガス規制の考え方と書いてございますが、今、重量車の世界におきましては、NOxの規制値につきまして、ディーゼル、ガソリンと0.7グラムという全く同じ規制になってございます。今回挑戦目標値において0.7グラムより小さくなれば、ガソリンも必然的にどうしていくかという考え方を少し整理する必要があるのかなというふうに考えております。さらに、3.バイオ燃料に対する考え方ということで、E10対応車の排出ガス基準、E10燃料規格について検討をしていきたいと思っております。
 以下は、今後の課題として記述ということで、データだとか知見の状況によりまして、どこまで記述するかというのは温度差があるかと思いますが、現時点で考えられる課題について網羅的に記述しております。以下、書いてあるとおり、バイオだとか、あと4.粒子状物質の対策等々、9.まであるところでございます。
 今回の専門委員会の位置づけでございます。今回決めていただきたいというふうに考えているのは、下線を引いております。2.のNOx挑戦目標値につきまして、測定モードについてというところと、あとオフサイクル対策の導入、そして今回はE10対応車の排出ガス基準については検討を開始しますという、その3点でございます。
 今後の専門委員会のスケジュールといたしましては、11月、12月に重点的な検討事項ということで、挑戦目標値の規制値等々、あとE10燃料関係を重点的に審議いたしまして、2月に専門委員会の報告、3月に専門委員会方向となっていますが、申しわけございません、こちら報告に修正していただければと思います。3月に専門委員会のその報告をおまとめいただき、パブリックコメントという形を考えております。ただ、必要に応じて、関係者のヒアリングだとかも実施したいというふうに考えているところでございます。
 以上で、河野委員長のご説明に回答する形で資料1をご説明させていただきました。以上でございます。

【河野委員長】 どうもありがとうございました。今、ご紹介のありましたように、39-1の下線部について、きょうご審議いただくということですが、11月と12月にも一応ディスカッションできるチャンスがあるというふうに考えてよろしいのですか。

【多田室長補佐】 そのように考えて結構でございます。ただ、測定方法については、今回ご審議いただき、決めていただきたいなというふうに考えております。

【河野委員長】 ということでご説明があったのですが、皆様方の方から特別なご質問等ございますでしょうか。

(なし)

【河野委員長】 議題もたくさんあるようでございますので、早速、では次にまいりたいと思います。
 では、これも事務局の方からご説明をお願いいたします。

【多田室長補佐】 それでは、資料39-2について、本日のメイン、大きな議題の一つでございますディーゼル重量車のNOx挑戦目標値についてご説明させていただきます。
 今回資料39-2におきまして、四角囲みで方向性ということで囲んでございます。1から5までございます。この事項についてご審議いただき、ご審議の後、可能であればご了解をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 では、まず方向性1と2につきましてご説明させていただき、ご審議いただければというふうに考えてございます。
 それでは、資料39-2をご説明させていただきます。
 1ページ目でございます。方向性1というところで、8次答申において記載されました「ポスト新長期NOx規制値0.7gの3分の1程度」という挑戦目標値につきましては、具体の規制値につきましては、今後、専門委員会の下に設けられております作業委員会において検討することといたしますが、ポスト新長期の次の規制として導入することとしたいというふうに考えてございます。すなわち、NOx0.7グラムよりも強化することとしたいというふうに考えてございます。
 なぜそのようなことを明確にするかということを申し上げますと、1.挑戦目標の位置づけというところでございます。挑戦目標値については、中環審の8次答申に記載されております。8次答申の策定時点で、まだ必ずしも実用化の見通しが立ってない技術を前提にした挑戦的な目標値というものでございます。これを8次答申の策定時点で掲げることにより、技術開発を促進するという目的で記載されております。この挑戦目標値につきましては、技術開発の状況や挑戦目標値の達成可能性について、技術的に検証を行いまして、さらに大気環境の改善状況、CO2低減対策との関係を考慮しつつ、必要に応じて目標値達成時期を定めるという、「必要に応じ」という言葉が入っております。ということで、「必要ですか」という問いかけに対して、「必要です」というふうに方向性1は回答するものでございます。
 その理由は、次のページからご説明させていただきます。2.でございます。御存じのとおり、図1にあるとおり、NO2、SPMとも大気環境の環境基準の達成状況は年々改善状況にあり、高い状況になってございます。
 さらに、二つ目の丸でございますが、平成19年度における普通貨物自動車の保有台数でございます。そのうち、新長期規制適合車につきましては、まだ7.2%で、ことしの10月から順次適用されます、ポスト新長期規制適合車については、0%という状況でございます。これらの最新規制適合車が増えてきますと、排出ガスの総量はより低減していくというふうに考えております。
 このように、年々規制強化しておりまして、さらに自動車メーカーもそれにこたえるべく開発努力というところによって、大気汚染状況は改善しつつあり、将来的にも一定の削減のポテンシャルというものは認められるのではないかというふうに考えております。
 一方で、東京都だとかのNO2環境基準達成率を見た場合、もちろんこれも年々改善傾向にはございますけれども、平成19年度で76.3%と、より狭い範囲で見た場合、将来に向けてさらなる改善の余地があるというふうに考えているところでございます。
 3.技術開発の状況・海外の動向というところでございます。現在、自動車メーカーにおきましては、2009年から順次適用されるポスト新長期規制、さらには世界で唯一でございますが2015年度のディーゼル重量車の燃費基準の対応に全力を傾けているところでございます。このような中、挑戦目標の可能性について、個々のメーカーにヒアリングを行いました。ポスト新長期規制のNOx規制値を3分の1にするという挑戦目標値の達成可能性についてでございますが、「できます」という回答をいただければ非常にありがたかったのですけれども、現時点ではそういう回答は、残念ながらございませんでした。
 ただ、一方で、ある数値が限界ではないかというそういうご回答をいただいたところでございます。それがその0.7g以下であったり、少なくともポスト新長期規制値よりも厳しくすることについて、技術的には対応が可能ではあるということは、示唆されたところでございます。
 一方で、今後の規制値の議論のところに関係してきますが、3ページ目でございます。アメリカで2010年からNOx0.27という排出ガス規制が本格実施されます。これにつきましては、後処理装置以外、そのエンジン技術だとかについては、ポスト新長期規制と同じ技術を使用しますと。では、なぜアメリカでこの0.27という規制が対応できるのかと言いますと、米国で展開する車両は非常にサイズが大きいと。それで大きいことに伴い後処理装置を大きいものにできるということで、それで対応するということがあったことをご紹介させていただきます。
 戻りますと、他の車種の状況をご説明させていただきます。平成20年1月、9次答申をまとめていただいたところでございますが、ディーゼル特殊自動車の2014年規制でございます。NOx0.4という規制が既に答申において決定されているところでございます。こちら、トランジェントモードでコールド比率10%というところでございます。さらに、欧米におきましても、次期規制値が決定済あるいは整備されつつある状況ということで、表にまとめております。日本は今ポスト新長期ということで、網かけしているNOx0.7gでございますけれども、欧州はEUROVIという規制が検討されております。これについては、2012年12月31日ということで、0.4。米国にいたりましては、2010年から0.27。もちろん測定モードだとかは異なりますし、車の大きさだとかそこら辺も異なりますので、単純に規制値のみで比較することは困難でございますが、欧米等も着々と将来に向けて次期規制を整備しているところでございます。
 燃費規制の状況をご紹介いたしますと、重量車の燃費規制がございますのは日本のみとことで、2015年という目標年度が定められているところでございます。
 以上、まとめまして、これまでご説明したような状況を考慮いたしますれば、我が国においても、NOxの規制強化を実施することが適当であるという結論に至りました。
 具体の規制値については、今後、ますます重要となるCO2低減対策や規制強化に伴うコスト増も踏まえつつ、作業委員会において検討を進めていくこととしたいというふうに考えております。
 それでは、次に、方向性2もご説明させていただきます。5ページでございます。
 挑戦目標値の適用年は、ポスト新長期規制対応後、排出ガスと燃費の両方の改善を促すことにより、2016年以降の可能な限り早い時期とすると。具体の適用年については、今後、規制値とセットでございますが、作業委員会において検討することとしたいと考えております。
 まず、現状認識ご説明させていただきます。ポスト新長期規制の対応状況でございます。重量車、トラック・バスのポスト新長期規制につきましては、ちょっと重さによって時期がずれておりますけれども、2009年10月1日より順次開始されます。現時点で、規制開始よりも早期に適合した早出しの自動車というのが存在していないという状況でございます。現在、こういうような状況でございますので、自動車メーカーにおきましては、もう間近に迫っている規制に間に合うようにその全力を傾けているところであるというふうに考えられます。
 私ども日本におきましては、世界最高レベルの厳しい排出ガス規制を実施してきたところでございますが、さらに技術開発を促進するために、低排出ガスの認定制度というものをつくって、技術開発を促進してきたところでございます。
 その変遷を見ますと、下に図がありますとおり、2003年から適用される新短期規制につきましては、PMについて、規制値に対して75%、あるいは85%減の低減ということで、ちなみに85%低減につきましては、新長期規制と同レベルということで、75、85という非常に低い、高い低減率になっております。それが2005年の新長期規制に至りましては、規制値に対して10%と下げ幅が小さくなっております。さらに、今年から適用されるポスト新長期規制につきましては、現時点ではそういう制度は創設されてございません。ということで、だんだん規制値自体が、実は低排出ガス認定のような位置づけにもうなりつつあるという状況ではないかというふうに考えております。
 6ページ目でございます。次は、排ガスから目を転じまして燃費でございます。8次答申、ポスト新長期の答申でございますけれども、17年4月、検討当時、2015年度を目標年度とするディーゼル重量車の燃費基準も検討されました。そして、ほぼ同時期に答申がなされております。燃費基準を決定する際、燃費の悪化要因というものも踏まえまして、燃費基準を決定されております。そして、排ガス対策の伴う燃費の悪化要因といたしましては、ポスト新長期規制を前提に策定されているところでございます。
 では、なぜ目標年度を2015年にしたかという理由でございます。こちらについては、メーカーについては、まず2009年、2010年のポスト新長期規制の対応をしっかりとやっていただいて、その後、燃費基準の対応に向けた開発をしていただくと。その意味で、ポスト新長期対応が終わった約5年、これは一般的なモデルチェンジのサイクルのタイミングを5年と置いて、ポスト新長期対応後5年、一回モデルチェンジの間を置くということで5年。ということで2009、あるいは2010+5で2015というふうにしているところでございます。
 このように、排出ガス燃費規制がある中で、自動車メーカーにおきましては、どういう技術開発のプランをまとめているかというところでございます。
 委員の皆様には、委員限りの資料のところの6ページから各メーカー様からいただきました開発スケジュールをお配りしているところでございます。これも見ながら説明を聞いていただければと思います。
 自動車メーカーにおきましては、今後のその技術開発につきましては、まずポスト新長期規制をしっかり対応すると。それが一段落いたしますと、排ガス性能を落とさずに次は2015年の燃費基準だという、そういうスケジュールは組まれているところでございます。挑戦目標値を実施することとした場合の技術開発というのは、2015年の燃費規制の対応が終了後というスケジュールが組まれているところでございます。一方で、まだまだちょっと挑戦目標値に向けた開発スケジュールを策定できるような状況じゃないというそういうメーカーもあったことは、ご紹介しておきます。
 ポスト新長期規制、2015年重量車燃費基準、そして挑戦目標値と、それぞれの規制に対応していくためには、新エンジンの開発など抜本的な技術開発が必要となります。逆に、挑戦目標値につきましては、そういうような抜本的な改良が必要な規制値を定めるべきだというふうに考えております。そういうような中で、やはり一定の技術開発の期間が必要になります。ちなみに、新長期規制開始からポスト新長期規制開始の期間というのは、大体四、五年置いているところでございます。
 そういうように、一定の技術開発の期間というのは必要になるというのは、重々わかるのですが、排ガス低減技術と燃費改善技術、例えばエンジンの制御技術だとかそういうものについては、必ずしも別物ではなく、共通して改善、開発できる部分もあるのではないかというふうに考えております。このため、ポスト新長期規制対応後、2015年度の燃費基準と並行して挑戦目標値の技術開発を行うことによって、開発期間を短縮することは可能であるというふうに考えております。
 図3で今後のスケジュールをご説明させていただきますと、メーカーのスケジュールによりますと、2009年に迫っていますポスト新長期規制の対応ということで、まず開発をいたします。それが一段落すると、次に燃費ということで、赤の点線の矢印でございますが、ポスト新長期適合にしつつ、さらに燃費基準適合という技術開発を行っていきます。それが一段落すると、挑戦目標値というところでございます。そういうメーカーのお話によりますと、恐らく、挑戦目標値に向けたエンジンの開発というのは、スタートが燃費の改善が一段落した後ということになりますが、それを私どもは、ポスト新長期規制の対応が終わったのと同時期にもうスタートしていただいて、可能な限り早期に挑戦目標値というものを適用したいと思います。
 具体的には、また文書に戻っていただきますと、7ページの二つ目の丸でございます。「挑戦目標値の適用開始年は、2015年度の重量車燃費基準の対応が終了する2016年以降可能な限り早い時期」といたします。「具体的な適用開始年は、先ほどの規制値とセットで、今後、作業委員会で検討する」というふうにしたいと思っております。
 一方で、挑戦目標値の適用年を2015年以前とした場合でございます。これについては、ポスト新長期規制対応終了後から、挑戦目標値と2015年度重量車燃費基準、同時に達成するための技術開発の期間を確保することは、困難かというふうに考えてございます。
 繰り返しになりますが、新長期規制開始からポスト新長期規制開始までも、大体四、五年置いているところでございます。ただ、一方で、このような挑戦目標値に適合する車の技術開発を促進すべく、技術開発の進捗状況も見据えつつ、挑戦目標値の早期達成を促進するための施策というものは、今後検討する必要があろうかというふうに考えているところでございます。
 方向性1、2の説明は以上でございます。

【河野委員長】 ありがとうございました。ご意見等ございましたら、お願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 まず、事務局の方からご説明のあった、燃費と排ガスについては、共通部分がかなりあるのではないかということで、私もそう思うのですが、そうなると、やはり、それをある意味ではきちっと裏づけるようなことをちょっと考えておいた方がいいのかなという感じありますが、いかがですか。

【多田室長補佐】 おっしゃるとおりかと思います。やはり、その共通部分があるので、同時期に並行して開発していただきたいという考えはございます。ただ、2016年以降可能な限り早期というふうにしております。この可能な限り早期がどこになるかというのを、先ほど先生がおっしゃられたとおり、どの部分が共通して、どの程度短縮できるのかというところにかかってくるかと思います。そこについては、今後、また自動車メーカーさんのご協力も得ながら、きちんと技術的に精査をいたしまして、作業委員会でもご審議いただいた後、専門委員会でさらにご審議いただければというふうに考えています。

【河野委員長】 よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 ないようですので、中継ぎのご質問をさせていただきますけれども、何か、世の中は百年に一度の不景気なのに、これは何ですかというような議論になってしまうということは、どうなのですか。

【多田室長補佐】 まず、不況というのは海外も同じような状況でございます。ただ、欧米におきましても、特段排出ガスの低減技術、排出ガス規制については淡々というか、着々と実施しているところでございます。さらに、別に配慮したというわけではないのですけれども、後ほどご説明いたしますが、そういう試験方法の国際調和だとか、そういうふうにしてある程度、やはり日本の自動車メーカーも国際競争力だとか、そういうのが確保できるような、配慮という言い方が適切ではないとは思いますが、技術的に検証した結果として、そういうふうになっているところでございますので、日本としても一定の配慮はしつつ、さらに環境を改善をしていくというそういう流れでございます。

【河野委員長】 わかりました。ほかには、いかがでしょうか。

【塩路委員】 ということは、外国と比較してみた場合に、導入方式も、もちろん先ほど言われた測定モード、大きさ等々違いますが、表面上は13年から16年、あるいはその可能な限りという時期までは、日本は0.7、欧州は0.4、アメリカは0.27というような形になるということですよね。そのかわり、もちろんこちらは燃費規制が課せられていると。だからちょっと国によって重きを置いているところが違うかのような、コンセプトの違いというか、それがあるということと解釈してもいいのですか。

【多田室長補佐】 我々、これまでも世界最高水準の規制というふうに申し上げてきたところでございます、排ガス規制については。それは、すなわち世界最高水準の排出ガス低減の技術開発を促すということ、というふうに考えております。挑戦目標値を2016年可能な限り早期に設定するということは、日本の自動車メーカーにとっては、燃費の対応と、さらに言えばその先の厳しい排出ガス規制、二つを見据えて同時に開発をしないといけないという状況になります。そういう意味では、2016年以降に設定することによっても、その前の間の間にも、世界最高水準で排出ガス低減技術の開発というのを促すものであるというふうに考えております。
 ただ、正直言って、その2016年以降可能な限り早期、あるいは今後決定する規制値というものの中身によっては、世界最高水準と言えなくなるという可能性もありますので、そこら辺はしっかりと、今後、世界最高水準の技術開発を促すと言えるように、適用年だとか、規制値については技術的に検討していきたいというふうに考えております。

【河野委員長】 そうしますと、日本だけ燃費改善が入っているので、その意味では技術的なメリットみたいなのがあるということなのだけれども、燃費の方については、この委員会の必ずしも対象ではないので、そこがどうなのかというのはありますけれども、燃費もひっくるめて世界最高の排出なんかを考えているというような、構成になってくるのですか。

【多田室長補佐】 おっしゃるとおりかと思います。言い方は悪いですけれども、燃費規制という「規制」という制約がある中で、最大限排出ガスの技術開発をしていただくという意味では世界最高水準という。ただ、繰り返しになりますけれども、2016年が余りに遅くなったら、それは世界最高水準と言えなくなるので、そこら辺をしっかりと事務局の方でも詰めていきたいと思っています。

【河野委員長】 あと、燃費改善したということによるメリットなんかも、こちらの方である程度、触れるわけでもないのでしょうけれども、何か理解は示しておかないと、こちらの排気の方の問題にちょっと関係してくるということなのでしょうか。

【多田室長補佐】 そうです。温暖化対策というのは、重要性はもうご理解いただいているところだと思うので、答申だとか報告書に書くときは、そこら辺の背景も書きつつ、やっていきたいというふうに考えています。

【松下委員】 データがあれば教えていただきたいのですけれども、この日・欧・米の重量車の排出NOxの量というのは、全NOxの中で似たような割合なのでしょうか。だから、私が言いたいのは、リスクを考えれば、日本はこのぐらいでもいいというような議論があるのか、あるいは成り立たないのかということなのですけれども。

【多田室長補佐】 先生がおっしゃられているのは、欧米の全体のNOx排出量に対する自動車の寄与率というところを。

【松下委員】 重量車の。

【多田室長補佐】 重量車のということですね。現時点、欧米については持ってないというのが、正直なところでございます。ただ、ちょっと同じような回答になって恐縮でございますけれども、欧米もやはりNOxの規制というのは強化しているということを考えれば、重要視をしているというふうに考えているところでございます。
 少なくとも、方向性1で、検討に向けて発進することについては、ご理解をいただきたいなというふうに考えているところでございます。

【大聖委員】 これまで燃費と排ガスというのは、トレードオフの関係にあるような状況があって、それで排ガス強化が難しいという側面があったわけですけれども、日本は特に重量車の燃費基準を設定しているということの難しさというのがあったのですけれども、結局、欧米の方でも日本の重量車の燃費基準を注目していまして、それで、やはりその検討も必要だということで、始まっているわけです。
 ですから、やはり世界的にはそういう共通な状況があるということと、もう一つは、最近の技術の進展で、必ずしもトレードオフじゃないのだと。排ガスもきれいになり、燃費も改善できるような技術というのも、生まれつつ、育ちつつあるという、そういう背景も少しニュアンスとして入れられるといいのではないかなというふうに思います。

【多田室長補佐】 先生のおっしゃるとおりだと思います。これまでトレードオフの関係と言われたのが、果たしてそれが今後も続くのかどうかというところ、そこはまさに今後の規制値のところで多分いろいろあるかと思いますので、またご審議いただければというふうに考えています。

【野田委員】 今、トレードオフという話が出ましたけれども、今後は必ずしもトレードオフと言えない面もあると。それも事実ですけれども、依然としてトレードオフの面もあると。特に燃焼制御の部分です。燃焼コントロールと後処理の組み合わせという中においてNOx低減をするということで、これは、やはり非常に苦労される面だという認識は、私は持っております。

【多田室長補佐】 規制値の議論におきましては、やはり自動車メーカーさんからヒアリングはお願いしたいなというふうに考えております。そこで、やはりそういうような話も出てくるかと思いますので、そこら辺の話も聞きながら検討をしていきたなというふうに考えています。

【河野委員長】 まだご意見あるかと思いますが、一応、何か予定した時間ですので、次に進めたいと思います。あと、時間がありましたら、さかのぼって質問をしていただくことも可能であるということを前提に進めさせていただきます。
 次、お願いいたします。

【多田室長補佐】 それでは、8ページの方向性3からご説明させていただきます。
 ちょっと細かい話になって恐縮でございますが、挑戦目標値におきましては、コールドスタート要件、つまりエンジンが冷えた状態での排ガス試験というものを導入したいというふうに考えてございます。そのコールドスタートの比率でございます。それは14%を基本としつつ、今後、国連における検討状況も踏まえ、規制値とセットで作業委員会において検討するということとしたいと思っています。
 まず、コールドスタートの要件の導入ということで、なぜ必要かというところでございます。自動車メーカー様より、ポスト新長期規制、今回はその規制はホットスタートのみ、エンジンがあったまっている状態での規制でございますけれども、そのポスト新長期規制向けに研究開発しているエンジンの排出データをいただいたところでございます。そのデータにおきましては、JE05モードのコールドスタートの排ガス量についてばらつき、要するに、いいものもあれば悪いものもあったというそういう状況でございます。
 委員限りの資料ということで、1ページ目、NOxの相関図というのがございます。そこの一番右上のグラフを見ていただければ、横軸がJE05ホット、縦軸がJE05コールドというふうになってございます。ホットについては、おおむねほぼ同レベルのような形ですが、コールドについては非常にばらつきがあるという、そういう状況でございます。
 資料に戻らせていただきますと、ポスト新長期規制におきましてはそういう状況でございます。挑戦目標値におきましては、さらにそのNOx規制値を強化いたします。そして、ますます後処理装置によるその依存度というものが、向上してくるというふうに考えております。さらに、排出ガス規制値のレベル自体が非常に低くなっている中で、ホットばかりの対策をやられて、その後処理装置があったまってない状態のコールドの対策がおろそかになると、コールドスタート時の排ガス値が、ホットの状態が非常に下がっている状況でございますので、総体的に大きくなるというふうに考えてございます。
 ということで、もうホットスタートのみの規制では、コールドスタートの排ガス量を有効に抑制できなくなって、せっかくの排ガス規制が意味のないものになってしまうという、そういう可能性もあります。このために、コールドスタート要件を導入することとしたいと考えております。
 そのコールドスタート比率でございます。コールドスタートの比率につきましては、既にもう乗用車で導入されております。ホットスタートが75%、コールドスタートが25%、これはすなわちホットスタートの排出ガス測定値に75%掛けたものと、コールドスタートの排出ガスの測定値に25%を掛けたもの、その和が排出ガスの測定値というものになります。乗用車につきましては、このようにコールド比率25%というふうに策定した実績がございます。これと同様の手法で、トラック・バスについてもコールド比率を算定したところ、JE05ベースであれば10%、後ほどご説明いたします国連モードであるWHTCモードベースであれば14%でございました。このため、後の議論によりまして、WHTC国連モードを導入することになった場合は、コールドスタート比率14%を基本としたいというふうに考えてございます。
 一方で、国連のWP29において、WHTCのコールドスタート比率10%、14%とで、今オプションという形になって、どちらでも選んでいいですよという状況になっています。これらを統一すべく検討を進められているところではあります。その状況だとか、あと海外が仮にオプションになった場合、どっちのオプションを選ぶのか、10か14、選ぶのかというところも踏まえまして、今後、規制値とセットで作業委員会で検討することとしたいというふうに考えてございます。
 9ページ目でございます。方向性4でございます。挑戦目標値の排出ガス測定モードにつきましては、現在、我が国においては、日本の走行実態を踏まえて策定されましたJE05というモードがございますが、そのJE05に変えまして、国連WP29において、日本も参画のもと策定されましたWHTCモードにしたいというふうに考えてございます。
 では、なぜその国連モードを、日本の走行実態を踏まえて作成されたJE05から国連モードに変えようかというその動機でございます。そこが1.に書いてございます。
 8次答申における記述で、挑戦目標値検討の際に、国際基準調和についても配慮する旨が記述されているところでございます。四角囲みで抜粋を入れておりますが、そこの真ん中部分に下線を引いているかと思います。そこが関連部分でございます。「大型車については、少なくとも重量車の挑戦目標値及びその達成時期の検討を行うにあたって、国際基準調和活動の進捗状況に配慮することが望ましい」という規定が書かれているところでございます。
 では、まずWHTCとはどういうものかについて、簡単ですがご説明させていただきます。2.でございます。
 自動車基準調和世界フォーラム、こちらの方をWP29と言っておりますが、こちらの方では自動車の世界統一基準(GTR、Global Technical Regulationでございます)で検討が行われているところでございます。重量車の排出ガス試験方法のGTRにつきましては、2006年にGTRの4番目にできたものといたしまして、GTRNo.4、通称WHDCとして成立しているところでございます。
 WHDCにつきましては、過渡モードと定常モードで構成されておりまして、そのうち、過渡モード、トランジェント、時間によって速度が細かく変わるモードでございます。過渡モードについては、過渡モードがWHTC、そして定常モードがWHSCと言われております。今回は、そのWHDCの中のWHTCを導入するという方針を、方向性4で記載しているところでございます。
 10ページ目でございます。WHTCの作成に当たりましては、やはり世界で検討しているということで、日本、米国、欧州、あとオーストラリアの走行データを収集いたしまして、まず、図6にありますように、時間と車速、赤が車速でございます。青が出力でございます。WHVC、vehicle cycleでございます。そのWHVCというモードをまず策定いたしました。これを試験によって、エンジンベースの試験でございますので、時間とトルク、時間と回転数の関係に変換したものが、図6のWHTCモードでございます。そして、実際試験を行う際においては、個々のエンジン諸元だとかを11ページに書いております式に入れて、実際の回転数、トルクに変換して実際の試験を行うところでございます。
 このようなJE05に変えまして、WHTCを導入することの可能性について検証いたしました。それが3.でございます。
 まず、(1)で、JE05とWHTCの作成方法を比較いたしました。JE05とWHTCの作成方法について、基本的な考え方は同じでございます。さらに、WP29における検討の際は、まず日本の走行データは入っております。さらにWP29におきまして検討の一環として、JE05の作成方法とWHTCの作成方法で、それぞれモードを作成いたしました。それがほぼ同じ特徴を有するというような確認がされております。
 先ほど、JE05とWHTCの作成方法について基本的な考え方は同じという説明をさせていただきましたが、それが図8でございます。やはり、時間と速度の関係で、トリップといって、発進から停止するまでトリップというのをたくさん集めます。リアルワールドで収集したものでございます。その収集したトリップだとか、交通統計をもとに、排出ガスに影響があるパラメータ、例えば平均車速だとか、アイドリング比率、あとはアイドリングの時間だとか、そういうものを算出いたします。その算出したものに、うまくマッチするように収集したトリップの集まりから、各トリップを集めていって、あうように組み合わせを試行錯誤してモードをつくるという、そういう考え方で時間と車速モードを策定しております。JE05、WHTCとも同様の考え方でございます。
 12ページでございます。その作成いたしました時間と車速モードから、個々のエンジンの性能を踏まえて、時間とトルク、時間と回転数の関係に変換して、実際のエンジンの排出ガス試験を実施という、そういう考え方、基本的考え方は同じという状況でございます。
 では、そのような中で(2)でございます。JE05とWHTCの運転領域を比較いたしました。図9がその比較でございます。横軸が回転数、縦軸がトルクという形で、丸の大きさが頻度分布になっております。上が排気量の大きいエンジン、下が排気量が比較的小さいエンジンでございます。赤がJE05で、青がWHTCの頻度分布になっています。モードが重なっている部分は透かしております。ちょっと透けてないではないかというご指摘を受けるかもしれませんが、一応、JE05で見られてて、WHTCで見られてない部分については、枠囲みで囲んでいて、わかるようにしております。
 こちら、比較していただきますと、WHTCにつきましては、青の部分でございますが、高回転、高負荷部分まで運転領域が広がっているところでございます。ただ、一方で、紫の四角囲みでございますが、高回転、中低負荷部分が一部見られていないところがございます。さらに、低回転、高負荷部分、緑の枠のところでございます。そちらも少し見られていない部分がございます。
 確かに見られていない部分はございますが、その近くの領域については、WHTCも見ているということで、JE05とWHTC、運転領域につきましては、そんなに大きくかけ離れたものではないというふうに考えているところでございます。
 では、その運転領域は大きくかけ離れたものではないという中で、実際のテールパイプ、機関から出る排出ガスはどうかというところを比較したものが、15ページからでございます。
 委員の先生方には、また委員限り資料ということで、1ページ目でJE05とWHTCの相関図ということで、1ページから4ページまで、NOx、PM、CO、HCと物質ごとにプロットしたデータがございます。そちらも見ながら説明を聞いていただければと思います。
 15ページの(3)でございます。JE05とWHTCの運転領域の比較におきましては、排出ガスの挙動、そんな大きくかけ離れた運転領域の違いはございませんので、排出ガスの挙動は大きく変わる可能性は少ないというふうに考えております。実際に相関を検証いたしました。それを16ページに図12ということで表をまとめているところでございます。相関係数だとかを出すに当たって、プロットしたデータにつきましては、自動車メーカーさんからいただきましたポスト新長期規制向けに開発中のデータをプロットいたしまして計算したところでございます。その関係で、開発中のデータということで、実際のプロットした図については、一般傍聴者にはお配りしていない状況でございます。
 では、図12の相関を見ますと、NOx、PM、HCにつきましては、決定係数については高い状況で相関はあるというふうに考えております。一方で、COにつきましては、黄色で塗った部分でございますけれども、コールドとあとコンバインと書いてあるのは、コールド比率14%で計算したものでございます。こちらについては相関が余りなかったという状況でございます。
 このような状況の中、まとめといたしまして、16ページの丸のところでございます。COを除きまして、JE05とWHTCの排出ガスデータの相関はあるというふうに言えると思います。さらに、今後、挑戦目標値、コールドスタート、コールド要件の導入という非常に厳しいレベルの排出ガス規制になってくれば、それに対応いたしまして、まず後処理装置の浄化率というものが向上してきます。さらに、コールドスタート対策が導入されると、運転条件、すなわち排気温度も大きく関係しますが、運転条件の違いが排出ガスの量に与える影響というのは、ポスト新長期規制エンジンよりも少なくなって、さらによい相関になっていくのではないかというふうに考えてございます。
 一方で、相関がよくないCOにつきましては、そもそも規制値が今2.22gでございます。それに対してホットスタートで一番大きかったエンジンにつきましては0.07g。コールドスタートで一番大きいものでも0.653と、一桁けたが違う状況でございます。現行ホットスタートでCOを規制しているところでございますが、それについては、相関があり、さらに環境基準を達成していること、そういうことを踏まえればCOについては相関がなくても環境に悪影響を与えることはないのではというふうに考えております。
 ということで、技術的にはJE05からWHTCに変更しても問題ないのではというふうに考えているところでございます。
 17ページでございます。国際調和することの意義というところで、まとめています。図13でございます。これは普通トラック・大型バスの各国の新車の登録台数の推移をまとめたものでございます。日本はちょっと見にくいですけれども、赤でございますけれども、新車の登録台数は下がっております。アメリカも同様です。一方で、黄緑色の中国だとか、オレンジ色、中国を除くBRICSでございますけれども、については新車の登録台数増加傾向でございます。
 では、一方でそのような国で日本メーカーの輸出台数でございますけれども、どういう状況かというのが図14でございます。黄緑が中国向けの輸出で、オレンジがBRICS向けの輸出でございますけれども、必ずしも大きく伸びているとは言えない状況であり、今後この国におけるシェアの拡大というものが、日本メーカーの国際競争力の観点から重要ではないかというふうに考えているところでございます。
 輸出のほかに現地生産もありますけれども、現地生産はちょっと統計上集計するのが難しいかったところでお出ししてはいませんが、同じように余り伸びてない状況であるということは言えるというふうに考えています。
 18ページでございます。これらの今後、日本の自動車メーカーが勝負していく市場におきましては、残念ながら、現在EUの一、二世代前の排ガス規制が導入されているところでございます。一方で、既にEUにおきましては、EUROVIによって、これまでの欧州独自の排出ガスモードから、先ほどご説明いたしましたWHDCモードに変更する旨、表明しているところでございます。このため、今、EU規制を導入しているBRICS、ASEANの各国におきましては、将来的にWHDCに移行することになるというふうに考えています。
 このような状況の中で、我が国においてもWHDC、国連モードを導入すれば、日本の自動車メーカーの国際競争力の観点から有効ではあるというふうに考えてございます。
 さらに、ここがポイントかと思いますが、世界各国で排ガスのモードが統一されれば、自動車の排出ガス性能につきまして、全世界でモードの違いで一概には比較はできないというようなことが言えなくなって、グローバルな競争というのがさらに促進されるというふうに考えています。
 さらに、各国の排出ガス規制ごとに対応していた開発コスト・工数を次世代自動車の開発だとかに振り分けることによって、その開発が促進されることが期待できます。このような効果は、結果として、日本の環境改善に促進するものだというふうに考えております。
 最後にまとめでございます。JE05に変えてWHTCを導入することというところで、JE05とWHTCにつきましては、その作成方法については、まず根本的な違いはないと。WP29においても、日本の考え方が尊重されまして、JE05とWHTCの作成方法の比較検討がなされていて、同等だということが検証されております。JE05とWHTCの運転領域に大きな差異はございません。相関もございます。さらに、国際調和によるメリットを考慮いたしますれば、我が国の走行実態を踏まえて作成されたJE05からWHTCに変更しても差し支えないものではないか、というふうに考えているところでございます。
 最後に、方向性でございます。挑戦目標値の導入とあわせましてオフサイクル対策。オフサイクル対策というのは、試験モード以外での走行条件時の排出ガス対策でございますが、オフサイクル対策についても導入することとしたいとというふうに考えております。適用開始年だとか、具体の内容については、同様に、作業委員会において検討することとしたいと思っております。
 オフサイクル対策の導入の意図でございますが、挑戦目標値におきましては、繰り返しになりますが、NOxの規制強化に加えましてコールドスタートの要件が導入されて、より一層大気環境の改善が期待できるというふうに考えております。
 これに対して、自動車メーカーにおきましては、エンジン制御の高度化だとか、後処理装置の性能向上など、緻密な技術というものを積み上げていって、規制に対応していくことになるというふうに考えております。ただ、緻密になればなるほど、意図しないところで、試験条件以外の条件で排出ガスが大きくなる可能性も考えられます。挑戦目標値については、具体の規制値は今後でございますが、極めて低い値になるかというふうに考えております。
 したがいまして、その試験条件以外のところでたくさん排ガスが出る頻度が低くても、大きく増加するところがあれば、せっかくの挑戦目標の効果が減じられるところでございます。という意味で、挑戦目標につきましては、規制値とともにこういうオフサイクル対策もしっかりやっていくという意味で、挑戦目標になるのではないかというふうに考えております。
 挑戦目標の導入時期につきましては、挑戦目標値の導入時期とあわせまして、オフサイクル対策を導入することとしたいと考えています。ただ、それを同時期にするかどうかだとかというのは、今後検討というところでございます。
 検討に当たりましては、実はWP29におきまして、WHDCとセットでWWH-OCEという、そういうオフサイクルの国際統一試験方法というのができております。ということで、これをまず出発点にいたしまして、今後、具体の検討を実施していくこととしたいと思います。
 ただ一方で、将来、WHTC対応車というものが出てきます。それについても、今後とも排出ガスの挙動をしっかりと調査いたしまして、オフサイクル対策については一度決めたら終わりというわけではなくて、そういう将来市場に展開されるWHTC対応車だとかの排ガス挙動を調査いたしまして、その結果を踏まえて、それに応じオフサイクル対策についてもメンテナンスを実施していくことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
 方向性3から5につきましては、以上でございます。

【河野委員長】 どうもありがとうございました。先ほども申し上げましたように、きょうは方向性の1から5につきまして、皆さん方の了解をいただいて、その後、具体的な数値等の提案をしていただくということになっておりますので、まず、きょうは5までの方向性を了解していただくということでございます。
 それからもう一つは、こういうふうな非常に重要な議論を、このたかが2時間ぐらいの委員会でそんな簡単に決めていいのか、というようなご意見をお持ちの委員もいらっしゃるかもしれませんが、そこら辺は、事務局の方に非常に頑張っていただいて、事前に資料をお配りしたり、あるいは皆様方のご意見をいただいて、そして本日の資料が完成しているということでございますので、決して簡単にやっているわけではないということを、ご確認いただければというふうに思います。
 そういうことで、1から5まで、質問ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 私としては、何というか、いろんなことが国際的に調和というか、統合されていくと、では、日本の技術はどういうところで示せるのかというようなことが、ちょっと心配にはなってくるような気もするのですが。基準は守っていればいいよというようなことでなくて、もっと何かそこら辺にインセンティブを与えるようなことも考えていかないと、まずいのではないかなと。今どきこんなことを言うのは頭が古いというか、世の中をわかってないと言われるかもしれないけれども、何となくそんな感じがあるのです。
 それから、特に燃費の面も、燃費のことについては国際的にはどういう動きがあるのかということと、それから燃費の改善というようなのが、技術的にはどういうふうな意味があるのかというようなことも、気にはかかってくるというような気がしますけれども、そこの辺、事務局ではどういうふうにお考えですか。

【多田室長補佐】 まず、日本の技術をどうアピールしていくかというのは、やはり、その数値、国際的にモードが調和されれば、もうモードが違うからどうこうということは言えなくなってきます。ということでは、そこのグローバルな中で、数値で、ぜひ日本メーカーの方々に頑張っていただきたいなと思っております。
 そういう意味でそれを後押しすること、例えば認定制度だとか、そういうのができるかどうかというところ、そのできるかどうかというのは、技術的に無理な認定制度を設定してもなかなかメーカーもやろうという思いになりませんから、そこら辺の技術の進捗状況も踏まえて、そういう技術開発が促進する、今直ちにどれがベストかというのはちょっとわからないですけれども、そういう技術開発が促進されるような政策というのは、非常に重要かというふうに考えております。
 欧米の燃費の状況でございますが、ご承知のとおり、乗用車につきましては、日米欧とも燃費基準をどんどん強化する動きがございます。日本が唯一、今、重量車の燃費基準というのが決まっているところでございます。ただ欧米については決まっていない状況でございますが、やはり欧米についても問題意識は持っておりまして、資料の3ページでも、ちょっと本当に簡単で恐縮でございます。これについてはしっかりまたまとめてご説明したいと思いますが、欧州におきましては、EUROVIの。

【河野委員長】 どこですか。

【多田室長補佐】 失礼しました。資料39-2の3ページの図2の表でございます。 すみません。もう1行でしか書いてないのですけれども。
 欧州におきましては、EUROVIのところで、そういう重量車につきましても適切な評価方法を検討して、CO2の排出量とかウォッチしていきましょうという規定がなされております。米国におきましても、エネルギー独立安全保障法について、そういう重量車の適切な評価方法を検討していきましょうという、そういう動きがあります。
 そういうような動きの中で、いち早く燃費規制を入れました日本というのは、それなりに国際的にも技術力は、そういう高めるという役割は燃費基準の方も果たしているのかなと思っています。
 ちょっと答えになっているかどうかあれですけれども、回答とさせていただきます。

【河野委員長】 ちょっと気にかかりますので、そこの辺も考えておいていただければというふうに思います。よろしくお願いします。
 ほかにはございませんか。

【坂本委員】 全体の方向性については異論はございませんが、今後のワーキングでの作業を進めるときにご検討いただきたいと思いますのは、例えばこの重量車等々が全体の車でどのぐらいの割合かということだけではなくて、実は、日本の場合には面積当たりどれだけそういったものが走っているかというような点も、環境の面から考えた場合には重要でございますので、そういった点もデータとしては見ていく必要があるということ。
 それから、先ほどモードの相関係数が示されている、決定係数が示されてございましたけれども、これについては、常にNという優位水準を示していっていただかないと、今回のデータの場合などだと、どのぐらいこれは関係があると見ていいのかわかりませんので、作業部会の方ではぜひそういったことをおやりいただいて、お示しいただければありがたいというふうに思います。
 以上でございます。

【河野委員長】 何かありますか。特に2番目のご意見等については。1番目の面積当たりというのは、何かそういうものがあれば。

【多田室長補佐】 少し、ちょっと事務局で知恵を絞りたいと思っています。
 相関につきましては、グラフを見ていただく限りは相関はあるというふうにご理解いただけると思いますが、少しそういうデータの扱いだとか、出し方については、今後もしっかりとしていきたいというふうに考えております。

【坂本委員】 実を言うと、ちょっとこれは申し上げると、非常に値の大きいところが全体を決めてしまいますから、例えば値の大きいところに幾つか線の上に乗っていて、それから低い、小さいところにあるやつというのと全然違うのですね。ですから、散布図と両方があるといいんで。今回それがあるので、ある程度のところはわかるわけですけれども、その場合でも、やはり今申し上げたことは必要だということでございます。

【岩田室長】 今ご指摘いただいた点につきましては、私どもの方でも認識をしております。今回、委員の皆様にお配りしている散布図は各自動車メーカー様からいただいたデータに基づいているものですが、今後、先ほど多田から申し上げましたように、さらに自動車メーカー様からヒアリングなどでご協力をいただき、データの収集などもしていって、相関係数であるとか、特に傾き、規制値の検討に当たってはこの傾きが重要になりますので、その信頼性、これについてもきちんと検証して、規定値の議論に耐えられるような形にしてまいりたいと思いますので、そのようにさせていただきます。
 また、燃費との関連につきましても、可能な限り、日本の燃費基準が、燃費基準自体はここの専門委員会のメイン議題ではございませんが、自動車の技術、排ガス技術、エンジン技術という観点では密接に関係がありますので、これも、これまでに各メーカー様からも非公式なヒアリングはしておりますけれども、その燃費との関連性、その燃費に対応しつつ、この挑戦目標を考えることで、どれだけ日本のエンジン技術、排ガス低減技術、燃焼技術の世界に向けての優位性が確保され得るのか。この統一モードにしても確保され得るのかということについては、さらに理論的な補強をしてまいりたいというふうに思っております。

【河野委員長】 そこら辺につきましては、部会長、坂本委員も苦労されておると思いますが、こちらもそれ相応に苦労しておりますので。ただ、部会長が納得しないと、これは外に出せなくなりますので、ぜひお願いいたします。
 ほかに。

【大聖委員】 先ほど坂本委員が言われた面積当たりというよりは、例えば自動車NOxPM法などに特定地域での、非常に渋滞しているようなそういう汚染地帯での影響ということだというふうに理解していますけれども。

【河野委員長】 ほかにございますか。もっと長く時間がかかるかと思ったのですが意外に早く終わりそうなので、これは早く終わってもよろしいということ、先ほど室長が言いましたので、何かさかのぼってもご質問は受け付けるということを前提にして、以上、方向性1から5までは、一応了解いただけたということでございますので、次のステップとしては、規制値等につきまして、事務局の方から提案をいただいて、審議をしたいというふうに思っております。
 それでは、資料3のE10です。具体的な審議は今後でございますが、現時点でのご説明等をお受けしたいと思います。これにつきましては、大聖委員がよく言われるのですが、いい点と悪い点があるという。悪い点がどこなのかということのあたりを注目していただければ。
 では、事務局、お願いいたします。

【多田室長補佐】 それでは、資料39-3に基づきまして、E10対応車の排出ガス基準等の検討開始についてご説明させていただきます。
 まず、目的でございます。資料に沿って説明させていただきます。現在、E10対応車につきましては、当初、経済産業省、国土交通省が連携いたしまして、実証事業におきまして、公道走行試験を実施しているところでございます。これらのE10対応車につきましては、普通のガソリン車のように一般には、市場では販売されておりません。国土交通省が試験自動車として個別に認定を行って公道走行をしているところでございます。さらに、E10燃料の使用については、経済産業省が個別に認定を行っているところでございます。このように3省庁連携してそういう実証事業を行っているところでございます。
 今後、E10燃料の普及を図っていくために、もちろんいろいろ課題もございます。例えばバイオエタノールの供給の安定性とか、経済性の確保という課題に、もちろんここは3省庁連携して取り組んでいく必要はあろうかと思いますが、まず、私どもといたしましては、E10対応車が市場に導入される環境、要するにE10対応車というものを出したいという人が出せるような環境を整えることを目的といたしまして、E10対応車の排出ガス基準、及び排出ガス基準と密接に関係するE10燃料規格について検討を、これから開始したいというふうに考えているところでございます。
 私どもは排出ガスを大気汚染防止の観点から検討をするところでございますけれども、国土交通省さんとか経済産業省さんによる安全性、耐久性、あるいは誤給油対策だとかによる検討の結果、それらが合わさってE10対応車の技術基準、E10燃料の規格というものが策定されますれば、ガソリン車と同様に、大量普及の前提となる型式指定を取得することが可能となります。そうなりますれば、E10対応車の市場導入、普及というものが期待できるのではないかというふうに考えております。
 では、私ども専門委員会でどういうことを検討していただきたいかといいますと、もちろん今後排ガスの状況調査だとか、ヒアリングだとかを実施いたしまして、ここに書いてあるような検討事項を今後やっていきたいと思います。
 まず、E10対応車の排出ガス基準といたしまして、走行時の排出ガス基準、E10対応車というカテゴリーの車の排出ガスの規制値をどう設定するのか、というのが一つでございます。もう一つが、エタノールを入れるとアセトアルデヒドだとか未規制の物質というのが、ガソリン車よりも増えるというのは事実でございます。これらの取り扱いをどう考えるのか。さらには、エバポ、燃料蒸発ガスの基準というのをどうしていくのかでございます。ガソリンにエタノールを混ぜると、蒸気圧が上がって蒸発しやすくなって、燃料蒸発ガスが出やすくなります。ということで、E10燃料規格といたしまして、先ほどのエバポの基準と密接に関連する蒸気圧をどうしていくのかというところを、関係社のヒアリングだとかを実施いたしまして、検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 スケジュールでございます。先ほど挑戦目標のところでもご説明いたしましたとおり、21年度中にパブリックコメントをしたいというふうに考えております。それで、22年度の早期にいろんな手続を経て答申という形になりますが、先ほどの環境省、経済産業省、国交省、3省が連携している公道走行試験の期間は23年度末まで実施しているところになっております。ということで、今回答申を出したのでそれで終わりではなくて、そういうデータも踏まえながら、最終的に23年度中の公道走行視線のデータだとかを見ながら、最終的に大気汚染防止法に基づく許容限度を改正、すなわち基準化というスケジュールを考えているところでございます。
 少し時間に余裕がございますので、参考資料の29ページ。これまで私どもが、E10関係で排出ガスの影響だとかを調査しておりますので、その内容を、今回はあくまでご紹介でございますので、今後こういうデータだとか、あと追加したデータ、さらにヒアリングだとかで最終的にはご審議いただきたいと思いますが、現状をご紹介をさせていただければというふうに考えているところでございます。
 まず、29ページのどういう試験をやったかというところでございます。安全上、E10対応を実施されているガソリン車、E10対応車ではなくてガソリン車にE10燃料を使用した場合の排出ガスだとか燃料蒸発ガスが、ガソリン使用時と比較してどのように変化するというのを調査いたしました。試験内容につきましては、表でまとめてあるとおり、A車からF車ということで6台ございます。どういう試験をしたかというと、JC08と書いています、こちらが法律で決まっている正式な排出ガスの試験法でございますが、それらについて規制物資、規制物質というのはCO、HC、NOxでございますが、規制物質だとか、あとアルデヒド類、VOCの排ガスだとかを調査いたしました。コールドアイドルと書いてありますが、これはコールドスタートでエンジンをスタートいたしまして、アイドルで放置した場合どうなるかというのを調査いたしました。さらに、燃料蒸発ガスの試験ということをやってございます。それぞれの試験結果を30ページからご説明させていただきます。
 まず、(1)でJC08の走行時の排出ガス量調査ということで、[1]規制物質ということで、NOx、CO、HCでございます。A車からD車ございます。グラフにつきましては、NOx、CO、HCと三つの規制物質でございます。左側がベースガソリンで、右側がE10燃料を入れた差異というところでございます。こちらを見ていただければ、ベースガソリンE0を入れても、E10を入れても、排出ガス量はそんなに大きな差はないというところが見られるというふうに思います。
 次に、31ページでございます。アルデヒド類の排出でございます。E10燃料使用時において、図にありますとおり、赤の方でございますが、アセトアルデヒドの排出量が増加しています。この原因といたしましては、後処理装置が十分にあったまっていない状況において多く排出されたものというふうに推測されます。
 その根拠が、下の時系列のものでございます。横軸が時間で、縦軸がアセトアルデヒドの濃度というふうになっております。オレンジの線がE0、普通のガソリンを入れた場合の排気管からの排出ガス濃度。緑がE10を入れた場合の排気管からの濃度でございます。E10を入れた場合、0秒から20秒ぐらいまで高い濃度。これは後処理装置がまだ冷えた状態で動いていない、機能していない状況でございます。ただ、それが機能し始めますと、ガソリンを入れたときと同レベルの濃度になるというふうな状況でございます。
 確かに、ちょっと繰り返しになりますが、アセトアルデヒドの排出濃度につきましては、10秒前後で最大35ppm程度というふうになります。こちらにつきましては、ACGIHに示されている許容限度、瞬間値的にも超えてはならない濃度の25ppmを超えている状況でございます。一方で、日本産業衛生学会の許容限度、これも上限でございますけれども、許容限度につきましては50ppmであり、この値は超えてございません。
 そういうような状況の中で、この35ppmというのは、排気管直後の濃度。だから、排気管からもう出た直後の濃度でございます。ということで、走行中は直ちに拡散することだとか、排出される時間が短く、排出ガス試験全体を通しての平均濃度は0.2ppmということを考慮すれば、ちょっと結論めいたことを書いてしまっておりますが、問題になるレベルではないと考えられるというふうに、締めくくらせていただいております。
 32ページが、アルデヒド類を除くVOCの排出状況でございます。青がベース燃料、緑がE10燃料を入れたところで、これはもう1台だけなので、これで傾向がどうこうということは言えないかもしれませんが、ガソリンを入れてもE10を入れてもそんなに変わらないということで、燃料の違いによって排出ガス中のVOCの影響は、余り確認はされてなかったと言えるのではないかというふうに考えております。
 33ページでございます。コールドスタートのアイドリング放置、要するに、例えば駐車場だとかでエンジンをかけて、そのままアイドリングでずっと放置した。すなわちその触媒がなかなか温まらないという、そういう状況での結果でございます。アンドリング時におきましても、先ほどの走行時と同様の傾向です。上がE0、下がE10のアセトアルデヒドの濃度でございます。やはり触媒が温まるまでの間はアセトアルデヒドは出ますが、温まってきて機能し始めれば、EOもE10もほぼ同レベルの濃度ということになります。
 同じく、こちらもACGIHの濃度は超えて、日本産業衛生学会の許容限度は超えていないという状況でございます。これも濃度につきましては、排気管直後の濃度でございまして、走行中は直ちに拡散します。それで排出されることが短いことを考慮すれば、問題となるレベルではないのではというふうに考えているところでございます。
 34ページでございます。燃料蒸発ガスの調査というところで、横軸がエタノールの濃度、縦軸が排出量でございます。D車、E車、F車ということで書いてございます。例えば黄緑色三角のD車であれば、エタノール濃度が上がれば燃料蒸発ガスの排出量も上がっていると。一方で、紫のE車だとか、あと青のF車については、そのような傾向は見られない場合もあるということで、これもまだ3車種のデータでございますので、さらに追加の試験だとか、ヒアリングだとかを通じて、燃料蒸発ガスの基準だとか、蒸気圧の検討というものを実施していっていただきたいというふうに考えております。
 これは、あくまで今回は結論めいたことも若干書いていますが、あくまでデータのご紹介ということで、参考までにこれについてはご説明させていただきました。
 以上でございます。

【河野委員長】  どうもありがとうございました。今後、これについては審議を行うということでございますが、きょう何か格別なご質問、ご意見等ございますでしょうか。
 特に、39-3の資料で、具体的な検討事項を、この程度でよろしいかとか、そういうあれですか。

【多田室長補佐】 そうです。あとは、こういう調査をすべきだとか、そういう何かご指摘があれば。

【松下委員】 バイオエタノールを使った場合、今も説明がありましたように、アセトアルデヒドが非常に大きな問題になってまいります。外国では、ブラジル、アメリカなんかはエスバーエタノールを使った例がいっぱいあるわけですから、そういうデータも一緒に集めて検討していただければ、ありがたいというふうに思っております。

【多田室長補佐】 わかりました。

【坂本委員】 今の補足になりますけれども、例えば今光化学スモッグにどのぐらいアルデヒドが寄与しているかというのを見ますと、非常に濃度は少ないのですけれども、現実でも30%ぐらい。濃度では10%以下ぐらいしか全体としてはありませんけれども、そういう寄与がございます。そういう意味では、やはりアルデヒドの濃度というのは、きちんと測定をし、他国でエタノールをたくさん入れているところがあれば、そういった情報を集めて、ぜひおやりいただくようにお願いをしたいというふうに思います。

【河野委員長】 これは、アセトアルデヒドの測定というのは割と確立しているのですか。一応、未規制ですよね。

【多田室長補佐】 すみません。そこの確実なことは、恐らく確立されているとしか申し上げられません。ちょっとそこら辺はしっかりとまた調べてご説明させていただければと思います。申しわけございません。

【河野委員長】 ほかに何かございますか。

【松下委員】 もう室内汚染とかいろいろなところでアルデヒドをはかっておりますから、多分大丈夫だろうと思いますけれども。

【河野委員長】 そうですか。

【坂本委員】 ちょっと車の場合には、相当湿度が多いんで、かなり工夫をしないと排ガスからの測定というのはそう簡単ではない。ただし、いろいろな形で研究をされているものがあります。それで、多くの場合は測って今出ている数値であろうというふうには思います。

【御園生委員】 非常に細かい質問で悪いのですけれども、参考資料33ページの図の下の方で、アセトアルデヒドが触媒前より触媒後の方が当初大きくなっています。これはどういうわけなのでしょうか。

【河野委員長】 できたのでしょう。

【御園生委員】 できている。触媒でアセトアルデヒドに変わったということですか。

【河野委員長】 これはこの場でいいかげんな話をしても仕方がないので、ぜひどういう原因なのかということを調べていただいて。実は、前の試験のときのあれが残ってましたなんていう話では、もう話にならないので、調べていただくということで。
 ほかにございますでしょうか。

(なし)

【河野委員長】 我々が用意しているのは以上なのですが、全体的に何かご質問、ご意見等ございましたらお受けしたいと思いますし、なければ事務局にお返ししたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(異議なし)

【河野委員長】 それでは、長時間どうもありがとうございました。
 事務局、お願いいたします。

【多田室長補佐】 ありがとうございました。
 では、次回の専門委員会につきましては、審議の進捗により、改めて日程調整させていただきます。ご協力よろしくお願いします。
本日は、長時間のご審議、まことにありがとうございました。これで終了とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。