【久保田室長補佐】 それでは委員の方もおそろいになられましたので、ただいまより中央環境審議会大気環境部会第31回自動車排出ガス専門委員会を開会いたします。
本日は、岩本委員、斎藤委員、塩路委員、御園生委員よりご欠席とのご連絡をいただいております。
なお、本日の会議は公開とさせていただきまして、今回の議事要旨及び議事録につきましては、委員の皆様のご了承を得た後、ホームページにて公開させていただきたいと思います。
なお、今から報道関係の方のカメラ撮りを1分ほど時間とりたいと思いますので、それではよろしくお願いいたします。
それでは会議に先立ちまして、当省福井大臣官房審議官よりごあいさつをさせていただきたいと思います。
【福井審議官】 大臣官房審議官の福井でございます。平素から環境行政にはご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。また本日は委員の皆様方には大変ご多忙な中、また朝早い時間からお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
この自動車排出ガス専門委員会では、これまで作業委員会を含め32回にわたって精力的にご審議をいただいてきました。本日専門委員会報告についてご議論いただきまして、この専門委員会の報告として最終的な取りまとめを行っていただくという予定になっております。本日は1時間余りのスケジュールとなっておりますが、どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
【久保田室長補佐】 それでは続きましてお手元の資料について確認させていただきたいと思います。まず一番上に座席表がございまして、その下に今回の31回の議事次第及び検討資料という紙、それから今回31回の出席予定者、事務局オブザーバー一覧、それから専門委員会名簿とついておりまして、その下に資料31-1、中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会第30回議事要旨(案)、それからその下に資料31-2といたしまして、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(第八次報告)(案)、それから資料31-3といたしまして、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第八次報告)参考資料(案)、それから一番最後に、資料31-4といたしまして、これまでの審議スケジュール等となっておりますが、過不足等ございませんでしょうか。
それでは河野委員長、よろしくお願いいたします。
【河野委員長】 本日はお忙しいところ、早朝よりご参加いただきましてありがとうございました。本日は自動車排出ガス専門委員会(第八次報告)(案)につきましてご審議いただきまして、最終的な取りまとめを行いたいと思っております。この報告をもとに、この後10時半から大気環境部会が答申案についてご審議いただくことになっております。それでパブリックコメントを経て、4月上旬を目途に答申の予定と聞いております。
本日の審議は、当委員会の検討成果を取りまとめ、答申の基礎となる非常に重要なものでございますので、精力的なご審議をお願いいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは議題に入る前に、前回の専門委員会の議事要旨について事務局の方から説明をお願いいたします。
【久保田室長補佐】 それでは資料31-1をご覧ください。中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会(第30回)議事要旨。日時は平成17年2月7日月曜日、10時から12時。場所は環境省第1会議室で、議題は専門委員会報告(案)について非公開で会議が行われました。
議題1につきまして、専門委員会報告(案)について資料30-2、30-3及び30-5を用いて事務局で説明を行い質疑応答が行われました。本件に関する問い合わせ先、資料配付等はご覧のとおりでございます。
以上につきまして、何かご意見等ございますでしょうか。
無いようですので、会議終了後公開させていただきたいと思います。また前回の議事録につきましては、大変恐縮でございますが、まだでき上がっておりませんので、後日送付させていただきましてご確認いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【河野委員長】 ありがとうございました。議事要旨につきましては公開ということで進めさせていただきます。
それでは本日の議題に入ります。議事の1は専門委員会の報告(案)でございますが、事務局の方から早速説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【久保田室長補佐】 それでは資料31-2、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(第八次報告)(案)に従いまして読み上げさせていただきたいと思います。説明の方はまず資料31-2について一通り読み上げさせていただきまして、資料31-3で関係する部分を後でかいつまんで説明させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは読み上げさせていただきます。
1.自動車の排出ガス低減対策の更なる強化の必要性 我が国においては、自動車排出ガス規制の強化等、種々の大気汚染防止対策が講じられてきたが、大都市地域を中心に、浮遊粒子物質(以下「SPM」という。)、二酸化窒素(NO2)等による大気汚染は依然として厳しい状況にある。特に、沿道における大気環境中のSPM、NO2については、軽油を燃料とする自動車(特殊自動車を除く。以下「ディーゼル自動車」という。)から排出される粒子状物質(以下「PM」という。)及び窒素酸化物(以下「NOx」という。)の寄与が高く、ディーゼル自動車からのPM及びNOxの排出抑制が重要な課題となっている。
これまで、昭和60年(1985年)並びに平成12年度(2000年度)をNO2の環境基準概ね達成の目標年としてそれぞれ位置づけ、種々の大気汚染対策が講じられてきた。しかし、自動車保有台数、自動車交通量の大幅な増大及び交通渋滞等により、これらの目標の達成は果たせないできた。
現時点では、ディーゼル自動車、ガソリン又は液化石油ガス(以下「LPG」という。)を燃料とする自動車(二輪自動車及び特殊自動車を除く。以下「ガソリン・LPG自動車」という。)、ガソリンを燃料とする二輪自動車及び原動機付き自転車(以下「二輪車」という。)、軽油を燃料とする特殊自動車(以下「ディーゼル特殊自動車」という。)及びガソリン又はLPGを燃料とする特殊自動車(以下「ガソリン・LPG特殊自動車」という。)について、それぞれ平成17年(2005年)から20年(2008年)頃までの大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づく告示「自動車排出ガスの量の許容限度」(昭和49年1月環境庁告示第1号。以下「排出ガス許容限度」という。)の目標値が示されている。
また、使用過程車対策としては、「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(平成4年法律第70号。以下「自動車NOx法」という。)に基づき、平成5年(1993年)12月から、一定の使用年数を超えた車両について、同法に基づく対策地域内での所有・使用を制限する車種規制が実施された。さらに、自動車NOx法を改正し、対象物質等を拡大した「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(以下「自動車NOx・PM法」という。)に基づき、平成14年(2002年)10月から新たな車種規制が施行されている。
現在は、新車に対する排出ガス規制と対策地域における使用過程車に対する規制に、低公害車の普及促進対策を加えた3つの施策を柱として、平成22年度(2010年度)までにNO2及びSPMの環境基準を概ね達成することを目指した施策が講じられている。
東京都のように大気汚染の著しい地域においては、新長期目標に基づく規制など政府による対策と各地方自治体の独自の取組とにより、NO2及びSPMに関し、平成22年度(2010年度)には、ほぼ全ての自動車排出ガス測定局で環境基準を達成することを目指して、自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質総量削減計画を各地方自治体が策定し、実施している。また、(社)日本自動車工業会でも、平成22年(2010年)には、東京23区内における一部を除けば、ほぼ全ての自動車排出ガス測定局で環境基準を達成するとの予測を独自に行っている。
こうした中、政府では、平成22年度(2010年度)までに環境基準を概ね達成することを確実なものとし、その後においても維持していくためには、さらに追加的な対策を実施する必要があるとの考えから、自動車に係る上述の対策に加え、SPMの原因ともなる揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)に関する工場からの排出を抑制する対策に着手することなどを決めるなど、現段階で可能と考えられるあらゆる対策を実施しつつある。また、ディーゼル自動車の排出ガス低減対策についても、3.に示すとおり、新長期目標に基づく規制以降の一層の対策が求められている。
このようなことから、中央環境審議会大気環境部会及び同部会に設置された自動車排出ガス専門委員会(以下「専門委員会」という。)では、第七次答申(平成15年7月29日中環審第142号)でも指摘されているように、ディーゼル自動車からの排出ガスの大幅な低減のためには排気後処理装置の開発の促進及びその早期導入を図る必要があるとの観点に立ち、平成19年(2007年)より軽油中の硫黄分を10ppm以下とすることを前提として、新長期目標以降における自動車の排出ガスのなお一層の低減対策について検討を進めることとした。
(本報告の検討経緯及び概要)
専門委員会は、第七次答申で示された検討方針に沿って、業界団体ヒアリング、現地調査及び専門委員会内に設置した作業委員会による審議を含め、32回にわたる審議を行ってきた。
以下、2.で排出ガス試験方法等、3.でディーゼル自動車の排出ガス低減対策、4.でガソリン・LPG自動車の排出ガス低減対策、5.で国際的な基準調和、6.1で今後の検討課題、6.2で関連の諸施策について、専門委員会の見解を示す。
2.排出ガス試験方法等
排出ガスの試験方法や燃料の品質等は、排出ガス許容限度目標値を設定する上での前提となる事項である。したがって、3.ディーゼル自動車の排出ガス低減対策、及び4.ガソリン・LPG自動車の排出ガス低減対策を検討するにあたっての排出ガス試験方法等に関する専門委員会の審議の結果を以下のとおり示す。
2.1 排出ガス試験方法
新長期目標に基づく規制に併せて導入予定のエンジンベースの排出ガス試験方法(エンジン単体を評価の対象とする試験方法。以下「JE05モード」という。)、及び平成20年(2008年)と平成23年(2011年)の2段階で導入予定のシャシベースの排出ガス試験方法(車両全体を評価の対象とする試験方法)は、近年の走行実態をより的確かつ詳細に反映するとともに、電子制御の高精度化、新しい排気後処理装置の採用等の排出ガス低減技術の発展及びそれに伴う排出ガス性能の変化を適切に評価するための試験方法として採用されるものである。
新長期目標以降においても、
・走行実態に大きな変化がないと想定されること
・排出ガス試験方法策定時に想定されていた排出ガス低減技術に追加的な内容はあるものの、これは、試験方法の変更が必要となるようなものではないことから、これらの排出ガス試験方法を継続することが適当である。
なお、各国の排出ガス試験方法は、それぞれの国の走行実態を反映したものであるため、国によって異なっているのが現状である。したがって、規制基準の数値のみを国際的に比較しても、規制の真の厳しさ(絶対的な水準)は比較できないことに留意する必要がある。例えば、我が国のJE05モードは、欧米に比べ平均車速が低い。その結果として、触媒の活性の低い低速走行での排出ガスをより大きく評価するものとなっている。この結果、同じ仕様の車両で試験を実施すると、排出ガス試験方法の違いにより、特にNOxの排出量に大きな差が生じる傾向を示すデータもある。一方、5.にあるとおり、基準の国際調和のための努力も続けられており、その成果についても留意していくことが重要である。
2.2 PMの測定方法等
2.2.1 PMの重量測定方法
新長期目標よりも大幅にPMを低減した場合、現行の重量測定方法の定量限界に近いレベルとなり、測定誤差が大きくなることが予想される。したがって、今回、PMの排出ガス許容限度目標値を設定することに併せて、測定誤差の低減を図る新たな測定方法を開発し、これを公定測定法とする必要がある。
なお、欧米においても測定方法の改良が検討されており、測定方法の開発を行う場合には、欧米での開発動向にも注意が必要である。
2.2.2 粒子の大きさや質に関する排出ガス許容限度目標値の設定
昨今、粒子の重量だけでなく、その大きさや質(粒子径が2.5μm以下の粒子(以下「微小粒子」という。)及び、粒子径がナノメートルサイズの粒子(以下「超微小粒子」という。)の数、粒子の組成等)が健康影響に関連が深いのではないかという懸念が国内外において高まっている。これを受けて、粒子の大きさや質を考慮した測定方法の確立に向けた研究が積極的に行われており、国際的にも国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29という。)を中心に、検討が進んでいる。
しかしながら、ディーゼル自動車から排出される粒子の大きさや質については、その測定方法が未だ確立されておらず、その排出実態についても十分には明らかにされていない。このほか、NOxを触媒に吸蔵又は吸着して還元する触媒システム(以下「吸蔵型NOx還元触媒」という。)を装着した希薄燃焼方式の筒内直接噴射ガソリンエンジン搭載車(以下「リーンバーン直噴射」という。)からも超微小粒子が排出されているという指摘もあるが、この排出実態も十分に明らかにされているとは言えない状況にある。また、粒子の大きさや質に応じた健康影響の違いなどについては、長期的な疫学調査が必要とされ、国内外において知見が十分ではない状況にある。
以上のことから、現段階で粒子の大きさや質に関し、排出ガス許容限度目標値を設定することは困難である。しかし、予防原則の観点からも、当面、最大限のPM削減に努めるとともに、微小粒子、超微小粒子など粒子の大きさや質を反映する健康影響と排出実態の把握や測定方法の確立に関する研究を官民挙げて推進し、その結果を踏まえ、排出ガス許容限度目標値の設定の必要性について検討する必要がある。
2.3 その他
2.3.1 車載診断システム
車載診断システム(以下「OBDシステム」という。)は、新短期目標に基づく規制から、ガソリン・LPG自動車及びディーゼル自動車に装備が義務づけられている。これは各種センサ類の断線等による排出ガス低減装置の機能不良を監視するものである。
さらに、ガソリン・LPG自動車については、触媒システム等の排出ガス低減装置の性能劣化を自動的に検出して運転者に知らせる機能を持たせた、いわゆる高度なOBDシステムが、平成20年(2008年)以降に製作される乗用車並びにトラック・バスのうち車両総重量が1,700kg以下のもの(以下「軽量車」という。)及び同じくトラック・バスのうち車両総重量が1,700kgを超え3,500kg以下のもの(以下「中量車」という。)にそれぞれ装備されることとなっている。
一方、ディーゼル自動車についても、PMを低減するためのディーゼル微粒子除去装置(以下「DPF」という。)やNOxを還元処理する触媒システム(以下「NOx還元触媒」という。)が今後普及することが見込まれる。これらの排出ガス低減装置の機能が低下した場合には排出ガス低減対策の効果が大幅に減少するおそれがある。このため、ガソリン・LPG自動車と同様に、ディーゼル自動車においても、PM及びNOxを低減するための触媒等の排出ガス低減装置の機能不良を監視し、それらを自動的に検出して運転者に知らせる高度なOBDシステムを導入することが適当である。
今後、国は検出項目、検出値、評価方法等について検討を行った上で、高度なOBDシステムに必要な技術的な事項を定めることとし、その結果を踏まえ、自動車製作者等はできるだけ早急に高度なOBDシステムをディーゼル自動車に装備することが適当である。
2.3.2 バイオディーゼル燃料
近年、地球温暖化防止やリサイクルの観点から、軽油の代替又は軽油への添加を目的とする、菜種油や廃食用油等のバイオマスから生成した脂肪酸メチルエステル(以下「FAME」という。)、いわゆるバイオディーゼル燃料が注目を集めている。しかしながら、FAMEを使用した場合の排出ガス性能に与える影響についてはこれまで十分検証が行われていなかった。
第七次答申においては、限られたデータに基づいたものではあるものの、FAMEの軽油への添加によりNOxがわずかながら増加する傾向が見られること、また、条件によってはPM中の燃料や潤滑油の未燃焼分からなる有機化合物(以下「SOF」という。)が増加する場合があることを指摘した。さらに、同答申は、今後、FAMEを使用した場合の排出ガスに与える影響について詳細に検討し、FAMEに関する「自動車の燃料の性状に関する許容限度及び自動車の燃料に含まれる物質の量の許容限度」(平成7年10月環境庁告示第64号。以下「燃料許容限度」という。)に基づく目標値の設定等に関し、早急に結論を得ることが適当であるとした。
このような状況を踏まえ、今回、FAMEの使用による排出ガスへの影響について検討した結果、以下の結論を得た。
平成14年度(2002年度)に引き続き、環境省と国土交通省とが共同で行った「平成15年度新燃料使用時の排出ガス等実態調査」によると、FAMEの軽油への添加により、触媒を装着していない場合には、軽油のみを使用した場合に比べ、PM中のSOFが増加するほか、NOx、一酸化炭素(CO)がわずかながら増加する場合があり、未規制のアルデヒド類やベンゼン類も増加する傾向がみられた。しかしながら、酸化能力の高い触媒を装着することにより、増加していたこれらの排出ガス成分を低減できる可能性が示された。このことから、FAMEを軽油の代替として又は軽油に添加して使用する場合には、酸化能力の高い触媒を装着する必要があり、その旨を徹底することが適切であると判断された。ただし、これまでの調査結果のみでは、FAMEの添加割合に応じた排出ガスへの影響等が定量的に明確にはされていない。
また、FAMEは地方自治体等の限られた範囲で使用されている。このような範囲では、FAMEの使用による排出ガスへの影響を踏まえ、FAMEを使用する場合には酸化能力の高い触媒を装着することが必要であること等について注意喚起することにより、FAMEの適切な使用が期待される。
以上のことから、FAMEの適切な使用に関し十分な啓発を行う必要があると判断されるものの、現在までの調査結果では、FAMEの軽油への添加量の上限値等、すなわち、FAMEに係る燃料許容限度目標値を設定することは困難である。なお、今後のFAMEの普及状況、排出ガスへの影響に関する調査検討の進捗状況を踏まえ、必要に応じて改めて燃料許容限度目標値の設定について検討を行うこととする。
3.ディーゼル自動車の排出ガス低減対策
1.及び3.3にあるとおり、平成22年度(2010年度)までに大気環境基準を概ね達成することを確実なものとし、その後においても維持していくためには、自動車排出ガス低減対策が必要であり、特に、NOx及びPMの排出寄与率の高いディーゼル自動車の対策が重要である。したがって、新長期目標以降のPM及びNOxに関する排出ガス許容限度目標値を設定することを前提に、専門委員会では、排出ガス低減技術の将来見通し、平成22年度(2010年度)までに大気環境基準を概ね達成すること等の観点から検討を行い、以下の結論を得たので報告する。
なお、ディーゼル自動車の排出ガス低減対策は喫緊の課題であるため、排出ガス許容限度目標値を強化することとした。しかしながら、
・ディーゼル自動車はガソリン自動車に比べ燃費が優れており、地球温暖化防止の観点から、近年乗用車を中心に注目を集めていること
・大幅な排出ガスの低減は、燃費の悪化を招くという側面があること
を踏まえ、燃費悪化との関係についても現時点で可能な限り本報告中に指摘することとした。
3.1 排出ガス低減技術
現在、ディーゼル自動車に用いられている主な排出ガス低減技術には、エンジンから排出されるガス自体を低減する技術とエンジンから排出されたガスを排気管出口までの間において浄化するいわゆる排気後処理技術とがある。
このうち、前者には、PM対策として燃料噴射の一層の高圧化、燃焼室形状の最適化が、NOx対策として電子制御による燃料噴射率制御の一層の精緻化、排気ガス再循環(以下「EGR」という。)装置におけるEGRガスの冷却及び増量等が挙げられ、それぞれの技術改善が図られてきている。さらに、低負荷・低回転領域を中心に予混合圧縮着火燃焼の実用化についても研究・開発が進められているところである。
ディーゼル自動車から排出されるPM及びNOxの大幅な低減のためには、上述のエンジンから排出されるガスを低減する技術の改善のみでは限界があり、排気後処理装置の導入が必要不可欠である。排気後処理装置のうち、NOx還元触媒としては、吸蔵型NOx還元触媒や尿素を添加してNOxを還元する触媒システム(以下「尿素SCR」という。)の導入が段階的に進められている。
吸蔵型NOx還元触媒は、ガソリンを燃料とする自動車(二輪自動車及び特殊自動車を除く。以下「ガソリン自動車」という。)において実用化されている技術を利用したものであるが、硫黄に被毒されやすい性質を持ち、NOxの浄化性能の維持及び耐久性の向上や、硫黄被毒回復のための燃料噴射(以下「硫黄被毒回復制御」という。)及びNOxを還元処理するための燃料噴射(以下「リッチスパイク」という。)による燃費悪化の抑制などが課題となっている。このため、1.で述べた硫黄分10ppm以下の軽油の普及に伴い、触媒の硫黄被毒が軽減され、これにより、硫黄被毒回復制御の回数と触媒のNOx吸蔵能力の維持によるリッチスパイクの回数とをともに減らすことが可能となり、燃費悪化を抑制することが期待されている。
また、尿素SCRは、船舶等に用いられる大型の燃焼装置や定置式のディーゼルエンジン用に実用化されている技術を利用したものである。一般的には、尿素SCRでのNOxの浄化性能を高め、かつ、触媒で反応せずに排出されるアンモニアを除去する目的で尿素SCRの前後に酸化触媒を配置している。このため、酸化触媒での反応性を高めるとともに、サルフェート(硫黄塩)の発生を抑制するため、軽油中の硫黄分は低い方が望ましく、硫黄分10ppm以下の軽油の普及により、浄化性能や耐久性の向上が期待される。
一方、PM対策として用いられるDPFは、一部車種を除き、新長期目標に基づく規制に対応した車両において採用が予定されており、既に実用化されている技術である。今後、一層の技術の進展及び燃料・潤滑油の品質の改善等により、その浄化性能をさらに向上させることが可能と判断される。
3.2 排出ガス許容限度目標値
(目標値と達成時期)
1.で述べた自動車排出ガス低減対策の必要性を念頭に置きつつ、軽油中の硫黄分が平成19年(2007年)から全国的に10ppm以下となることを前提に、3.1で述べた排出ガス低減技術について、今後の技術発展の可能性を踏まえ、検討を行った。
その結果、原則として、平成21年(2009年)末までに、別表1(21頁参照)に示す排出ガス許容限度目標値(以下「ディーゼル09年目標値」という。)に沿ってPM等の低減を図ることが適当であると判断した。このディーゼル09年目標に基づく規制が実施されると、物質毎に多少の差異はあるものの、ディーゼル自動車の排出ガス許容限度は、ガソリン自動車のものと同水準となる。
ただし、中量車、及びトラック・バスのうち車両総重量が3,500kgを超えるもの(以下「重量車」という。)については、排気後処理装置に関し、これらの車両に想定される長距離を走行した後の耐久性能の確認等に十分な検証期間が必要であるにもかかわらず、現時点ではその検証が十分に行われているとは言えず、今後相当の準備期間が必要である。また、中量車については、排出ガス試験方法の変更への対応とディーゼル09年目標に基づく規制への対応とが時期的に重複することなどにより、一時期に工数が急激に増加することに伴う負担増が予想される。これらのため、排出寄与率の高いものに対する早期の設定を原則としつつ、車両総重量に応じてきめ細かく時期を区分して設定することが適切であると判断した。
具体的には、乗用車、軽量車、中量車のうち車両総重量が2,500kgを超え3,500kg以下のもの及び重量車のうち車両総重量が12,000kgを超えるものについては、平成21年(2009年)末までに、また、中量車のうち車両総重量が1,700kgを超え、2,500kg以下のもの及び重量車のうち3,500kgを超え12,000kg以下のものについては、平成22年(2010年)末までに、ディーゼル09年目標値を達成することが適当である。
(排出ガス低減技術の将来見通し)
ディーゼル09年目標値の設定にあたって、PMについては、3.1で述べたように、DPFが新長期目標に基づく規制に対応するための技術として一部車種を除いて既に採用されているところであり、新長期目標に基づく規制以降の技術の進展やエンジンから排出されるガス自体の一層の低減の可能性とを併せて考えると、その大幅な低減が可能であると判断した。
また、NOxについては、吸蔵型NOx還元触媒や尿素SCRが実用化されることが期待される。このうち、尿素SCRについては、車両への搭載性、尿素の供給拠点の整備等の観点から主に重量車への適用を前提に開発が進められている技術であり、新長期目標に基づく規制に対応して一部車種に導入されている。今後、硫黄分10ppm以下の軽油の普及、NOx還元に係る制御の一層の精緻化等により、一層の浄化性能や耐久性の向上が期待されている。
吸蔵型NOx還元触媒についても、新長期目標に基づく規制に対応する一部車種に導入される予定である。3.1で述べたように、軽油中の硫黄分を10ppm以下とする規制が平成19年(2007年)より開始されることを受け、硫黄被毒回復制御及びリッチスパイクの回数の減少によって、燃費の悪化が抑制されるとともに、浄化性能の向上及び耐久性の向上が期待される。
これらのNOx還元触媒は、現在、研究及び開発が行われているNOxセンサや、尿素SCRにおいてNOx還元剤として用いられるアンモニアを検出するセンサ等の実用化により、エンジンから排出されるNOxや触媒で反応せずに排出されるアンモニアの量の把握等が可能となれば、さらに有効に機能するものと予想される。
以上のことから、ディーゼル09年目標値の設定にあたっては、NOx還元触媒の採用及びその浄化性能、耐久性の向上を前提として、NOxの大幅な低減が可能であると判断した。
(重量車に係る排出ガス低減技術の困難性と一層の発展の可能性)
ただし、NOx還元触媒については、技術的な課題が多く残されていることも事実である。例えば、NOx還元触媒は、エンジンから排出されるガスの温度とそれに伴う触媒の温度が一定以上に達しない場合に、NOxを十分に浄化できない。我が国では欧米に比べ平均車速が低く、触媒の温度が上昇しないため、同じ触媒を使った場合には、触媒の浄化性能が劣る傾向にある。この傾向は、エンジンの回転数が低く、触媒の要量が大きくなる重量車ほど顕著な問題となるため、今後、重量車を中心に低温でのNOxの浄化性能が優れた触媒の開発が望まれる。
さらに、吸蔵型NOx還元触媒については、硫黄分10ppm以下の軽油を用いた場合であっても、硫黄被毒に対する耐久性を向上させるとともに、硫黄被毒回復制御やリッチスパイクによる燃費悪化への一層の対応を図る必要がある。特に長距離走行を行うため耐久性が必要となる重量車での実用化には、更なる耐久性の向上が望まれる。また、尿素SCRは、尿素を供給するための拠点の整備が必要不可欠であり、燃料の給油拠点がほぼ特定される長距離輸送のトラック・バス以外の重量車全般への普及のためには、供給拠点の広範な整備が必要である。
これらに加え、主に低負荷・低回転領域での使用を想定して開発が進められている予混合圧縮着火燃焼と通常燃焼との切り替え時の安定した燃焼の確保、トラクタ等における排気後処理装置等の搭載性、さらには、大型エンジンを中心に用いられるEGRガスの大幅な増量による燃費悪化への対応、及び吸蔵型NOx還元触媒の昇温のための燃料の追加的供給よる燃費悪化への対応等、重量車のNOx低減に係る技術の実用化には解決すべき課題が多く残されている。
(重量車の挑戦目標値)
重量車のNOx低減については、平成21年(2009年)頃に実用化が可能と想定されている技術に基づいて排出ガス許容限度目標値を設けることとするが、上述のように、一層の削減を可能とするためには技術的課題が多数ある。このことから、この目標値にとどまらず、現段階では必ずしも実用化の見通しが立っていない技術を前提にした挑戦的な目標値も併せて掲げることにより、今後の技術開発を促進し、更なる排出ガスの低減を促すことが適当と判断した。
このため、重量車のNOxの目標値については、上述のとおり、平成21年(2009年)末又は平成22年(2010年)末までに達成が可能と判断した目標値を次期の目標という趣旨で「次期目標値」として設定するだけでなく、併せて、更なる技術の進展を期待して設定するより高い目標値を、将来の挑戦的な目標との趣旨で「挑戦目標値」(21頁の別表1に合わせて記載)として提示することとした。
このうち、「挑戦目標値」については、平成20年(2008年)頃に、その時点での技術の開発状況や目標の達成可能性について検証を行い、大都市地域を中心とした大気環境汚染改善状況、局地汚染対策などによる環境改善の可能性、二酸化炭素(CO2)低減対策との関係を考慮しつつ、燃料や潤滑油品質の改善状況等を見極めながら、必要に応じて目標値及び達成時期を定めることとする。この際に、NOxとトレードオフの関係にあるPMのうち、2.2.2で述べた微小粒子や超微小粒子など粒子の大きさや質に関する排出ガス許容限度の設定についてもその必要性を含め、併せて検討を行うこととする。
(その他)
このほか、非メタン炭化水素(NMHC)についてはディーゼル自動車からの排出量が他の排出源と比較して既に大幅に低減されていること、またCOについては現状の大気汚染が環境基準を大きく下回っていること等から、これらについては新長期目標レベルに据え置くこととした。
なお、米国では、硫黄分が15ppm以下の軽油の導入を前提に、平成19年(2007年)から22年(2010年)にかけて、ディーゼル重量車の規制値を現行の米国規制に比べて、NOx及びPMで約90%削減する規制強化が検討されており、その達成可能性について技術的な検証が行われている状況にある。また、欧州においても平成22年(2010年)頃からの乗用車の規制(EURO5)及び平成24年(2012年)頃から重量車の規制(EURO6)が検討されており、現在、具体的な規制値等について議論が進められている。
これらの欧米の規制は、現時点で、なお不確定要素が多く、特に米国では、実際の規制の運用段階において、メーカーの生産台数等に応じて、一台当たりの排出ガス値を平準化して規制するなどの柔軟な対応を執ることも想定される。このため、今後ともその動向の把握に努める必要がある。しかしながら、我が国とは走行環境や排出ガス試験方法が異なるため、単純な比較は困難であるものの、我が国の挑戦目標値を除くディーゼル09年目標値は、NOx及びPMの大幅な低減を図るものであって、欧米の規制案を念頭においても、自動車製作者等に対し、なお世界最高水準の技術開発を促すものであると言える。
3.3 排出ガス低減効果
環境省の試算によると、平成12年度(2000年度)の全国における自動車(二輪車並びに特殊自動車を除く。)からの大気汚染物質の排出量は、PMが約7.9万トン、NOxが約67万トンと推定される。また、自動車のうちディーゼル自動車の排出量とその割合は、PMが約7.9万トンで約100%、NOxが約56万トンで約83%である。(ガソリン自動車のPMについてはこれまで排出実態が十分に把握されていなかったことから、算入していない。)
一方、工場等の自動車以外の排出源(自然由来のものを除く)を含めた総排出量について見ると、平成12年度(2000年度)の関東地域(1都6県)におけるPMが約3.5万トン、NOxが約45万トンと推定される。
以下、ガソリン及びデイーゼル新長期目標までの各規制を実施した場合とそれに加えて、本報告で示したディーゼル09年目標に基づく規制を実施した場合との、それぞれについて排出ガス低減効果を種々の仮定の下に試算した結果を示す。
ここはちょっと数字だけ羅列してありますので、参考資料の113ページから119ページまでのところに、具体的なグラフ等を用いて絵が説明してあります。グラフが出ておりますので、こちらを参照しながらお聞きいただければと思います。資料の113、114に自動車の排出ガスの削減効果、それから資料の117、118が自動車以外の排出発生源を含めた索引効果が載っておりますので、これらを参考にしていただければと思います。続けて読み上げます。
(自動車からの排出量等の削減効果)
[1]-i 平成27年度(2015年度)までの自動車交通量の伸び、車種構成の変化並びにガソリン及びディーゼル新長期目標までの各規制への適合車の普及率を推計し、これらを見込んだ場合
平成22年度(2010年度)及び平成27年度(2015年度)の自動車からの排出量は、平成12年度(2000年度)と比較して
(平成22年度)
・PMで約77%(約7.9万トン→約1.8万トン)
・NOxで約41%(約67万トン→約39万トン)
(平成27年度)
・PMで約92%(約7.9万トン→約6.1千トン)
・NOxで約57%(約67万トン→約29万トン)
それぞれ、削減される。
また、関東地域(1都6県)に限定して、工場等の自動車以外の排出源(自然由来のものを除く)を含めた総排出量は、
(平成22年度)
・PMで約46%(約3.5万トン→約1.9万トン)
・NOxで約21%(約45万トン→約36万トン)
(平成27年度)
・PMで約52%(約3.5万トン→約1.7万トン)
・NOxで約26%(約45万トン→約34万トン)
それぞれ、削減される。
[1]-ii 自動車交通量の伸び、車種構成の変化並びにガソリン及びディーゼル新長期目標までの各規制に加えディーゼル09年目標(重量車のNOxについては次期目標)に基づく規制への適合車への普及率を推計し、これらを見込んだ場合
平成22年度(2010年度)及び平成27年度(2015年度)における自動車からの排出量は、[1]-iの場合と比較して、さらに
(平成22年度)
・PMで約1%(約1.83万トン→約1.81万トン)
・NOxで約4%(約39万トン→約38万トン)
(平成27年度)
・PMで約14%(約6.1千トン→約5.3千トン)
・NOxで約29%(約29万トン→約21万トン)
それぞれ削減される。
また、関東地域(1都6県)に限定して、工場等の自動車以外の排出源(自然由来のものを除く)も含めた総排出量は、
(平成22年度)
・PMで約0.2%(約1.877万トン→約1.873万トン)
・NOxで約1%(約36万トン→約35万トン)
(平成27年度)
・PMで約1%(約1.67万トン→約1.65万トン)
・NOxで約6%(約34万トン→約32万トン)
それぞれ、削減される。
[2]-i 自動車交通量等が平成12年度以降は変化しないと仮定し、対象となる自動車がすべてガソリン及びディーゼル新長期目標に基づく規制への適合車に代替した場合
自動車からの排出量は、平成12年度(2000年度)と比較し、
・PMで約95%(約7.9万トン→約3.7千トン)
・NOxで約63%(約67万トン→約25万トン)
削減される。
[2]-ii 自動車交通量等が平成12年度以降は変化しないと仮定し、対象となる自動車がすべてガソリン新長期目標及びディーゼル09年目標(重量車のNOxについては次期目標及び挑戦目標)に基づく規制への適合車に代替した場合、自動車からの排出量は、[2]-iの場合と比較して、さらに
・PMで約63%(約3.7千トン→約1.4千トン)
・NOxで次期目標の場合は約62%(約25万トン→約9.5万トン)
挑戦目標の場合は約84%(約25万トン→約4.1万トン)
削減される。
以上の推計に見るとおり、ディーゼル09年目標に基づく規制の効果は、その実施の1年後の平成22年度(2010年度)には、僅かではあるものの現れ、さらに平成27年(2015年度)頃には、明確となることが推測される。このことから、平成22年度(2010年度)の環境基準達成を確実なものとし、さらにそれを維持していくためには、ディーゼル09年目標に基づく規制の実施が有効であると判断される。
このほか、PMの大幅な規制強化により、ディーゼル自動車にDPFが装着されると、2.2.2で述べた、健康影響に関連が深いと推測される微小粒子、超微小粒子の排出低減にも効果があると期待される。
なお、自動車業界及び石油業界の共同研究であるJCAPII(Japan Clean Air ProgramII)においても自動車の排出ガス規制による環境濃度改善効果に関する試算を行っている。
その試算によると、自動車NOx・PM法に基づく対策地域のうち、関東圏における自動車からの大気汚染物質は、新長期目標に基づく規制の導入により大幅に低減され、平成12年(2000年)と比較して平成27年(2015年)には、自動車からの排出量ベースでNOxが48%、SPMが45%削減され、域内の平均濃度でNO2が約19%、SPMが約28%低減されると予測している。
このデータについては、資料の126ページから128のところに掲載してありますので、ご参考ください。続けて読み上げます。
さらに、ディーゼル09年目標に相当する大幅な排出ガス低減対策を行った場合には、NOxを中心に更なる低減が図られると予測している。これはJCAPが提言している使用過程にあるガソリン自動車で整備不良等により排出ガス値が規制値を大幅に超えているものを除去する対策を講じた場合に近い効果が発揮できるとの試算になっていると判断される。
特に、全排出源に占める自動車排出ガスの寄与率は、新長期目標に基づく規制の導入により、SPMについては、平成27年(2015年)には自動車の排出ガスの寄与率が大幅に低減し、NOxについては、新長期目標に基づく規制に加えてディーゼル09年目標値に相当する大幅な排出ガス低減対策を行うことにより、自動車排出ガスの寄与率の更なる低減が可能との予測も行っている。
いずれにしても、NOxを中心にディーゼル09年目標値に相当する大幅な排出ガス低減対策を行った場合には、平成27年(2015年)頃に総排出量及び大気中のSPM及びNO2の濃度低減に、その効果が現れるとの予測となっている。
4.ガソリン・LPG自動車の排出ガス低減対策
4.1 排出ガス低減技術
近年、ガソリン・LPG自動車、特に乗用車において、触媒の浄化性能及び耐久性の向上、電子制御技術の進展に伴う各種制御の高精度化等を中心に、排出ガス低減技術が国内外で大幅に向上している。
また、既に新長期目標値を満たす車種も数多く投入されているのみならず、排出ガスを規制値よりも大幅に低減した低排出ガス車認定を取得した車両が普及し、今後も拡大していくことが予想される。
さらに、第五次答申(平成14年4月16日中環審第20号)は、平成20年(2008年)以降製作される乗用車、軽貨物車、軽量車及び中量車において高度なOBDシステムを装備すべきことを指摘しているが、自動車製作者の自主対応により、平成18年(2006年)頃から一部の車種に装備され始めることが想定される。
このようにガソリン・LPG自動車については、国による排出ガス許容限度目標値の設定のみならず、自動車製作者による技術開発の進展等により、排出ガスの大幅な低減が進んでいる状況にある。
4.2 排出ガス許容限度目標値
4.1で述べたように、ガソリン新長期目標に基づく規制への対応状況、技術の進展及び低排出ガス車認定制度等の各種対策の効果に鑑み、NOx、NMHC及びCOについては、新長期目標値に据え置くことが適当である。
しかしながら、ガソリン・LPG自動車のうち、リーンバーン直噴車においては、その燃焼室内での燃料の気化が不十分である場合や、当該自動車に装着されている吸蔵型NOx還元触媒におけるリッチスパイクにより、末燃の燃料等がPMとして排出される場合がある。その結果、一部車種においては、DPFを装着したディーゼル自動車と同程度又はそれ以上にPMが排出される実態がある。
したがって、リーンバーン直噴車に限り、PMについてディーゼル自動車と同水準の排出ガス許容限度を設定することが適切である。この考えに立ち、平成21年(2009年)末までに、PMについて、別表2(22頁参照)に示す排出ガス許容限度目標値(以下「ガソリン09年目標値」という。)に沿って低減を図ることが適当であるとの結論を得た。
なお、吸蔵型NOx還元触媒を装着していない筒内直接噴射ガソリンエンジン搭載車(以下「ストイキ直噴車」という。)については、現段階では排出ガスのうちPMの排出量が多いことを示すデータは見受けられないため、PMに関する排出ガス許容限度は設定しないことが適当である。
また、NOx等その他の排出ガス成分については、例えば低排出ガス車認定を取得した車両の普及が現状を大幅に下回り、低排出ガス車認定制度の効果が薄れるといった状況の変化が生じた場合には、必要に応じて、改めてそれらの排出ガス許容限度目標値の設定について検討を行うこととする。
5.国際的な基準調和
自動車による大気汚染の改善を確実に推進するためには、その走行実態、使用形態等を規制に的確に反映させることによって、我が国における自動車の排出ガス低減効果を適正に評価する必要がある。一方で、排出ガス低減対策技術にも国内外での共通部分が多いこと、さらには、自動車が国際的に流通する商品であることから、基準認証制度が国際貿易に不必要な障害をもたらさないようにすることを目的とした「貿易の技術的障害に関する協定」(平成7年(1995年)1月1日発効)の趣旨を踏まえ、我が国の環境保全上支障がない範囲内において、可能な限り基準等を国際調和を図ることも望まれている。
したがって、現在、UN-ECE/WP29において進められている大型車の排出ガス試験方法、OBDシステム、オフサイクル対策及び二輪車の排出ガス試験方法等の国際基準調和活動に積極的に貢献し、可能な範囲で国際的な基準調和を図るべきである。
このうち、大型車については、少なくとも3.2の重量車の挑戦目標値及びその達成時期の検討を行うにあたって、国際基準調和活動の進捗状況に配慮することが望ましい。
なお、国際基準調和により、
・自動車製作者においては、研究・開発の効率化による技術開発の促進、部品の共用化 による開発・生産コストの削減。
・自動車使用者においては購入価格の低減。
などのメリットが得られることとなる。
6.今後の排出ガス低減対策
平成22年(2010年)に環境基準を概ね達成するとの目標を確実なものとし、その後においても維持していくためには、3.2及び4.1で述べたディーゼル09年目標値及びガソリン09年目標値に基づく規制を確実に実施することが必要であることはもとより、これにとどまらず、3.2の重量車の挑戦目標値で述べた課題についての検討を行うこと、そして今回結論に至らなかった様々な技術的な課題について、以下の6.1のとおり、より一層の検討を進めることも併せて必要である。
さらに、特に大都市部における大気環境の改善を図り、良好な生活環境を享受できるようにするためには、自動車排出ガス規制の実施にとどまらず、各般の大気汚染防止対策その他関連施策が以下の6.2のとおり今後ますます推進されることが望まれる。
6.1 今後の検討課題
[1] ディーゼル自動車については、ディーゼル09年目標値に基づく規制への対応状況、技術の進展の可能性、平成22年度(2010年度)における大気環境基準達成に向けた大気環境の改善状況、ディーゼル09年目標値に基づく規制によるその後の改善見通し、自動車以外の排出源からの排出実態の把握及び自動車交通流対策等様々な対策の総合的な効果を見極めつつ、低燃費技術と排出ガス低減技術との両立に最大限配慮したうえで、必要に応じて新たな排出ガス許容限度目標の設定について検討する。その際、国、自動車製作者、燃料生産者等がそれぞれ協力して自動車技術の改善と燃料・潤滑油品質の改善の組合せによる排出ガス低減効果について研究を推進し、その結果を踏まえて、燃料・潤滑油品質対策のあり方についても検討する。
[2] ガソリン・LPG自動車については、ガソリン新長期目標及びガソリン09年目標に基づく規制への対応状況、これら規制よりも排出ガス値が大幅に下回る低公害車の普及状況、技術の進展の可能性、平成22年度(2010年度)における大気環境基準達成に向けた大気環境の改善状況、自動車以外の排出源における排出実態の把握及び自動車交通流対策等様々な対策の総合的な効果を見極めつつ、低燃費技術と排出ガス低減技術との両立に最大限配慮したうえで、必要に応じて新たな排出ガス許容限度目標の設定について検討する。
また、車両への給油時の燃料蒸発ガス対策については、HCの排出量全体に占める寄与度及び他の排出源に対するHC対策の進捗状況を踏まえ、必要に応じて規制の導入について検討する。
[3] ディーゼル特殊自動車のうち定格出力が19kW以上560kW未満のものについては、一般のディーゼル自動車において新長期目標に基づく規制を満たすために適用される排気後処理装置のディーゼル特殊自動車への適用可能性を見極め、平成22年(2010年)頃の達成を目処とした新たな排出ガス許容限度目標の設定について検討する。その際には、新たな排出ガス試験方法の導入についても検討する。
[4] ガソリン・LPG特殊自動車のうち定格出力が19kW以上560kW未満のものについては、第六次答申(平成15年6月30日中環審第126号)に基づく規制への対応状況、技術の進展の可能性及び各種対策の効果を見極め、必要に応じて新たな排出ガス許容限度目標の設定について検討する。また、ディーゼル特殊自動車と同様に、新たな排出ガス試験方法の導入についても検討する。
[5] 特殊自動車のうち、現在排出ガス許容限度が設定されていない定格出力が19kW未満のもの及び560kW以上のもの並びに特殊自動車以外の汎用エンジンについては、国土交通省の排出ガス対策型建設機械指定制度に基づき、定格出力が8kW以上19kW未満のエンジン及び特殊自動車以外の汎用エンジンの認定が実施されている。今後は、その効果や業界の自主規制として(社)日本陸用内燃機関協会が平成18年より実施する19kW未満の汎用ディーゼルエンジンに関する自主的な取組の実施状況、大気汚染状況、排出寄与率、排出ガス低減技術の開発状況等を見極めつつ、必要に応じて排出ガス規制の導入について検討する。
[6] 二輪車については、第六次答申に示した排出ガス許容限度目標に基づく規制への対応状況、技術の進展の可能性及び各種対策の効果を見極め、必要に応じて新たな排出ガス許容限度目標について検討する。その際には、新たな排出ガス試験方法の導入、燃料蒸発ガスに関する排出ガス許容限度目標の設定についても併せて検討する。
[7] 近年、地球温暖化防止の観点から利用が期待されているバイオマス燃料のうち、E10(ガソリンに10体積%程度までバイオエタノールを添加した燃料)の利用可能性については、これに対応した自動車技術開発状況(従来のガソリンエンジンを前提とした排出ガス規制を満足する技術的に高度な対策を含む)やE10の供給体制を考慮し、今後必要に応じて検討する。なお、バイオエタノール以外に、ガストゥリキッド(GTL)、ジメチルエーテル(DME)、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)等の燃料についても、市場での動向等を踏まえ、必要に応じて検討する。
6.2 関連の諸施策に係る今後の課題
本報告で示した対策を相補う施策として、以下に述べる関連諸施策が、今後ますます推進されることが望まれる。
(1)自動車NOx・PM法に基づく施策等総合的な自動車排出ガス対策の推進
[1] 環境基準を達成していない状況が局地的になるにしたがい、全国一律の新車に対する排出ガス規制は、対費用の面からもその効果は小さくなる。したがって、今回のディーゼル09年目標値及びガソリン09年目標値に基づく規制が実施されることを前提にすると、大気汚染の比較的激しい地域での特別の対策を実施することの意義がますます高くなるものと考えられる。そのため、今後は、自動車NOx・PM法に基づく車種規制を着実に実施するとともに、事業者に係る自動車排出ガス抑制対策の充実、低公害車等の普及促進等の総合的な施策を実施し、これらの効果を今後検証していく。
また、自動車NOx・PM法に基づく諸施策を補完する観点から、交通流の円滑化、交通量の抑制、道路構造や都市構造の改善等の排出ガスを抑制するために効果的な施策についても積極的に検討し、実施していくことが望まれる。
[2] 使用過程車全般(使用過程にあるガソリン・LPG自動車及びディーゼル自動車等)について、今後とも、点検・整備の励行、道路運送車両法(法律第185号)に基づく自動車の検査(車検)及び街頭での指導・取り締まり(街頭検査)時における排出ガス低減装置の機能確認等により、使用過程において良好な排出ガス性能を維持させることが重要である。特に、ディーゼル自動車については、排出ガス規制の強化に伴い、DPFやNOx還元触媒等の排気後処理装置が普及するため、これらの排気後処理装置の性能を使用過程においても維持させる必要がある。このことから、使用過程車の排出ガス性能の維持対策が一層重要となる。
このため使用過程車に係る排出ガス水準の設定、抜取り検査(サーベイランス)の導入方策等の使用過程車に係る総合的な対策について、その必要性も含め早急に検討することが望まれる。
[3] 燃費対策に加え、自動車の排出ガス低減対策の観点からも、アイドリング・ストップは効果的であり、アイドリング・ストップ機能付き自動車の普及を促進するなど、アイドリング・ストップの普及施策を推進することが望まれる。
(2)状況把握、測定精度向上
自動車排出ガス規制や総合的な自動車排出ガス低減対策の進展に伴い、これらの対策の効果を的確に予測し、また、精度の良いモニタリングによって効果の測定を的確に行うことが、新たな施策を企画・実施していく上で、一層重要になる。その際には、自動車を含めた全ての移動発生源、工場・事業場等の固定発生源、各種自然発生源等から排出されるPM、NOx等の排出量目録(インベントリー)の整備やSPM、光化学オキシダント等の二次生成への寄与の把握も必要となる。そのため、排出源における各種対策や、沿道等での対策が大気汚染改善に対して及ぼす効果の把握体制の整備等に努めることが望まれる。
(3)未規制物質対策
[1] 自動車から排出される未規制の有害大気汚染物質について、測定方法の開発及び測定精度の向上を図り、自動車からの排出量把握のための基盤を整備するとともに、得られた情報を基に必要な施策を講じるよう努めることが望まれる。その際、エンジン燃焼技術、触媒等の排気後処理装置及び燃料・潤滑油品質等が自動車からの有害大気汚染物質の排出量に及ぼす影響についても併せて把握するよう努めることが望まれる。
[2] 自動車以外の未規制の排出源について、排出実態の調査及び対策の必要性の検討を引き続き行うとともに、対策実施のための制度のあり方について検討をすることが望まれる。
(4)金融・税制面での配慮
今回の報告に基づいて排出ガス低減対策を推進していく過程では、車両価格、燃費及び維持費等へ影響することが考えられる。自動車の利用に伴う環境費用を内部化するとの考え方の下に、これらの費用は、まずは自動車製作者、使用者等によって負担されることとなる。このため、最新規制適合車への代替や燃料の品質改善が円滑に進むように、金融・税制面における配慮なども必要であり、そのための対応を行うよう努めることが望まれる。
本文は以上でございまして、あと21ページ、22ページに本文中に出てまいりましたディーゼル自動車とガソリン・LPG自動車の許容限度の目標値が載っておりまして、最後24ページから27ページにかけて用語の解説をつけております。
あと、本文中に出てまいりました事柄で関係のあるところを、参考資料の中で順番に説明してまいりたいと思いますので、参考資料の方をご覧ください。
まず1ページと6ページ目のところにNO
2と、1ページ目がNO
2、6ページ目のところがSPMの環境基準の達成状況が出ております。これが今回の本文中に出てまいりましたところです。
それからあとモードの導入時期等についてですが、資料の55ページでございます。こちらの方にエンジンベースとシャシベースのモードが2005年・2008年・2011年と3つの段階に別れて導入予定というものが出てきております。その前後しますところに具体的なモード、試験方法が出ております。
それからあと具体的にディーゼル自動車の排出ガス低減技術について、67ページから76ページにかけて順番に説明させていただいております。まず67ページのところに一覧表の形で新短期目標、新長期目標、それから今回の09年目標で採用予定あるいは一部車種で採用されている技術について○×△で示しておりまして、これらの技術の具体的な内容について簡単な絵を用いて76ページまでで説明させていただいております。
あと77ページでNOx吸蔵還元触媒の硫黄被毒の状況、硫黄分が与える影響についてヒアリングで提出のありましたメーカーのデータをつけ加えさせていただいております。それから78ページで硫黄被毒回復制御に関する概念図を示させていただいております。
それから日・米・欧の排出ガスの規制の状況を79、80、81ページのところで示させていただいております。あと本文中に出てまいりました日・米・欧で排気温が違う、つまり、日本は低速走行で排気温が上がらないですとか、NOxの浄化率が上がらないといったものにつきまして、一部メーカーからのヒアリングの際に提出のありましたデータを82ページ、83ページ、それから燃費への影響について85ページ、84ページの方には触媒の搭載性に関します絵をつけさせていただいてございます。
それから86ページの方で尿素のインフラの整備状況、これは日産ディーゼルさんのホームページをもとに作成させていただきましたものを載せております。
続きましてガソリン車について説明させていただきます。資料の93ページから95ページに関しまして、リーンバーンの直噴ガソリンエンジンのPMの排出量に関する実態について日本自動車工業会が行った調査と、独立行政法人交通安全環境研究所が行いましたデータをつけさせていただいております。直噴ガソリンエンジンというのはDIガソリンと書いてあるもの。DIリーンと書いてあるものですね。93ページでいいますとDIリーンと書いてあるものが直噴ガソリンエンジンのリーンバーンです。それから94、95の方で見ますと、DIと書いてあるガソリンエンジンが直噴ガソリンエンジンでございまして、これらの排出実態について資料をつけさせていただいております。
それから、96ページに具体的な筒内直接噴射ガソリンエンジンの説明をつけさせていただいております。
それから、それ以降は低排出ガス認定制度について具体的な説明がずっと続いておりまして、111ページのところに具体的な最近までの低排出ガス認定車の出荷台数の推移と総出荷台数に対する割合を示させていただいております。
それから先ほども申し上げましたが、113ページから119ページまでに具体的な環境省で行いました総排出量の削減効果の試算結果を示させていただいております。
それから本文を説明する際に割愛させていただきましたが、120ページ、121ページで日本自動車工業会が行いました2010年の環境基準達成状況のシミュレーションのデータ、それとその前提となっておりますデータを122から125ページの間でつけさせていただいております。それからその後がJCAPIIのデータでございます。
それから続きまして130ページから142ページまでがバイオディーゼル燃料の排出ガス試験結果ということで、ABCという3種類の車両を用いまして、触媒を酸化触媒をつけた場合、酸化触媒をつけていない場合ということで試験を行いました結果をつけてあります。内容について詳細な説明は割愛させていただきますが、触媒を装着した場合、PMあるいはアルデヒド、ベンゼンが減少するというデータになっております。
それから、その後PMのナノ粒子の測定方法に関する国連等で提案されている測定法の解説、その他150ページ、151ページの方で国際的な基準調和活動の概要を説明させていただいております。
資料の説明の方は以上でございます。
【河野委員長】 ありがとうございました。長時間にわたって朗読いただきまして、ご苦労さまでした。
では皆さん方からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
この参考資料の案はまたどんどん改良していただいていいデータたくさんつけていただいているのですが、ここにあるのはこれ全部公開と考えてよろしいのですか。
【久保田室長補佐】 はい。メーカーヒアリング資料と書いてあるのは、各ヒアリングをさせていただいたメーカーの了解をとっております。
【河野委員長】 皆さん自由に使われても構わないということですね。
【久保田室長補佐】 はい、おっしゃるとおりです。
【大聖委員】 ちょっとよろしいですか。16ページなのですが、今気づいたのですけど、[7]のところで「近年、地球温暖化防止の観点から利用が期待されているバイオマス燃料」ということがあって、その後「なお、バイオエタノール以外に、ガストゥリキッド、ジメチルエーテル、エチルターシャリーブチルエーテル」となっているのですけど、ガストゥリキッドというのはバイオ燃料ではないのですよね。ちょっと素直に読んでいくとちょっとこの辺が誤解を受けないかなというおそれがあるのですけど、ジメチルエーテルも現状では天然ガスなどからつくられてますので、この[7]というのはバイオマス燃料を中心に書いているのだとすると、ちょっとその辺がミスリードする人もいるかもしれないなという懸念を受けました。後ろの方に解説が載ってますので、そこを見れば理解はいくのかなと思いますが。
【徳永室長】 ただいまご指摘いただいたこの[7]のところは、いわゆる新燃料、最近話題になっている新燃料についてまとめたつもりでございますが、特にE10につきましては総理がブラジルへ行った折にいろいろ話題になったりして、まさに今非常に話題になっているところなので、特に強調して書いている部分でございます。そういう意味でバイオマス燃料だけを書いたつもりではございませんが、何かそこら辺でちょっと誤解を生むようでしたら、何か言葉を足すなり何なり、例えば「バイオマス燃料などの新燃料について」とか何かそういう形で必要ならば修文したいと思いますが。
【河野委員長】 では、これはちょっと検討させていただくということで。
【大聖委員】 はい。
【河野委員長】 まだほかに出てきましたらまた話は違ってくるので、まだほかにご指摘いただければと思いますが。
ご指摘いただくと10時半までに改訂版を出さなければいけないというので皆さん方はびびっておられるようですが、それはそれとして感想等いただければそれはそれで結構でございますので。
【水野委員】 ちょっとよろしいですか。重量車の尿素SCRなのですが、これは今度の規制が始まれば多分つける形になるのでしょうけど、このインフラは先ほど、日産ディーゼルさんでしたか、あのところで全国1,000カ所ぐらいが供給起点とあったのですけれども、こういうインフラ整備に対しては何かインセンティブを与えるというようなことになるのでしょうか。それともそれは石油会社の方の自主的な取り組みという形にするのでしょうか。どういうようなやり方でこの尿素SCRを普及させるかというときに考えたらいいのかちょっと教えていただきたいのですけれども。
【徳永室長】 現在のところ日産ディーゼルさんが最初に売り出されたということで、日産ディーゼルが若干情報等の支援は特に経済産業省あたりから得ながらでございますが、基本的には企業の方で自主的にやっておられる状況にございます。支援体制については今のところどうするかというような議論は、関係政府内では行っていないというのが現状でございます。
【久保田室長補佐】 すみません、つけ足しですけれども、先ほど説明させていただきました参考資料の86ページにありますように、国でやっているのは今のところその国土交通省さんが尿素を使った場合に安全面の観点からのガイドラインづくり、その使用の観点のガイドラインづくりとか、ここに書いてありますJASOの規格づくりとか、こういう観点では国際的な基準になり得るAd-blueの基準をつくっていると、こういったことは行っておりますけど。
【水野委員】 すると今後の普及については、やはり自主的にやってくださいというような形になるのでしょうか。
【久保田室長補佐】 今のところ、多分そういう形になろうかと思います。一応参考までなのですけれども、この尿素SCRは欧州の方でも、ヨーロッパの方でもかなり注目されておりまして、ヨーロッパの方でどういう政府と企業の関係になっているのかということについてもいろいろと聞いてはいるのですが、今のところ向こうでもやはりインフラの整備という部分に関しては、その石油業界なり自動車メーカーという民の間での整備ということを基本にいろいろ考えているというふうには聞いております。
【河野委員長】 まだ時間があるかと思っておりましたら10時に終われということでございまして、まだおありになるかもしれませんが、一応この八次報告案につきましては審議は終了ということにさせていただきます。
先ほどの大聖委員のご指摘はほかに出てこなかったので。
【大聖委員】 先ほどの燃料のところに「新」をつければいいのではないかなと思いますけど。一番簡単な修正は、先ほどのエチルターシャリーブチルエーテル等の「新」燃料について、「新しい」という言葉を入れればどうでしょう。
【河野委員長】 ちょっと待ってください。それで資料としてどうします。。
【久保田室長補佐】 正誤表を部会の資料に入れますので、それで対応できます。
【河野委員長】 ああそうですか。ではかなり直しても大丈夫ということになる。ページ差しかえぐらいで済む。今の大聖委員のご指摘は「等の新燃料についても」ということで、行数は変わらない。
【久保田室長補佐】 正誤表を1枚つけますので、それは大丈夫です。
【河野委員長】 大丈夫ですか。すると[7]は新燃料ということなのですね。
ではちょっと考えさせてください。そういう方法にするか別の方法にするかは。
【大聖委員】 本質的なことではないと思います。
【河野委員長】 わかりやすい方がいいでしょう。
では、そういうことで終了ということにさせていただきます。それで、また何かほかにいろいろこの後お申し出等ございましたら、私と事務局の方で一任ということで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかに、事務局の方から何かございますか。
【久保田室長補佐】 それでは、今後のスケジュールについて簡単に説明させていただきたいと思います。資料31-4をご覧ください。
これまでの審議のスケジュール、先ほど本文中に32回と出てまいりましたが、それのことがずっと出ておりまして、裏側にいっていただくときょうのところに黒く塗りつぶしてあります。それで、この後10時半からこの報告案を一部修正の上ご了承いただいたものを部会の方に報告させていただきまして、それで部会の方でご了解をいただければという前提がつきますが、ご了解いただきましたらパブリックコメントを約1カ月行います。その後4月上旬ごろに最終的な大気環境部会への答申という形にさせていただければと考えております。
それでは最後に、当省大臣官房審議官より一言ごあいさつをさせていただければと思います。
【福井審議官】 本日は最終的な専門委員会報告をお取りまとめいただきまして、厚く御礼申し上げます。また一昨年10月から今日の委員会まで長期にわたってご審議をいただきましたことを改めて厚く御礼申し上げます。
今回取りまとめていただきました報告につきましては、粒子状物質について実質的にPMフリー化を目指し、またNOxについてもメーカーに世界最高水準の技術開発の取り組みをもとにディーゼル車の排出ガスをガソリン車と同水準にするという画期的な内容を取りまとめていただきました。
これまでの中央公害対策審議会時代を含めまして、この専門委員会において12回答申をいただいております。その答申は、審議会全体としての答申は専門委員会報告に則してまとまってきておりまして、今回いただきました報告を含めまして、この専門委員会報告は大変権威の高いものであるというふうに認識しております。
また当方といたしましても、ご審議いただいた内容を踏まえまして、平成22年におおむね大気環境基準の達成を何としても確実にするために取り組んでいきたいと考えております。
最後になりますが、今後も委員の皆様のご指導を重ねてお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
【久保田室長補佐】 本日の議題につきましてはこれで終了したいと思います。長時間ありがとうございました。