(部会長) | 坂本 和彦 | |
(委 員) | 相澤 好治 | 浅野 直人 |
大塚 直 | 加藤 順子 | |
小澤 紀美子 | 佐和 隆光 | |
中杉 修身 | ||
(臨時委員) | 石川 義紀 | 稲垣 隆司 |
岩崎 好陽 | 内山 巌雄 | |
浦野 紘平 | 圓藤 陽子 | |
太田 勝敏 | 岡田 智典 | |
梶原 泰裕 | 北野 大 | |
草間 朋子 | 河野 通方 | |
小林 悦夫 | 佐藤 信彦 | |
塩路 昌宏 | 武林 亨 | |
永井 克昌 | 永田 勝也 | |
中館 俊夫 | 中山 寛治 | |
西崎 宏 | 新田 裕史 | |
萩原 清子 | 平松 サナエ | |
山﨑 広美 | 若松 伸司 | |
(環境省) | 小林水・大気環境局長 | 加藤総務課長 |
大森大気環境課長 | 西本環境管理技術室長 | |
倉谷大気環境課補佐 | 栗林大気環境課長補佐 | |
後藤大気環境課長補佐 |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 石綿飛散防止専門委員会の検討状況 |
資料2 | 揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の検討状況 |
資料3 | 揮発性有機化合物排出インベントリ(修正) |
参考資料1 | 大気汚染防止法の概要(石綿関係) |
参考資料2 | 平成24年度に確認された石綿の飛散事例 |
参考資料3 | 大気汚染防止法の概要(揮発性有機化合物関係) |
参考資料4 | 光化学オキシダント及び微小粒子状物質(PM2.5)等の総合的な対策の推進 |
参考資料5 | 大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について(通知) (平成17年6月17日付環管大発第050617001号) |
参考資料6 | 揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申) (平成16年2月3日中央環境審議会) |
議事
【倉谷大気環境課長補佐】それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第35回大気環境部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙中にも関わらずご出席いただき、大変ありがとうございます。
本日の出席状況でありますけれども、委員総数38名中、現時点で34名の先生からご出席のご連絡をいただいております。定足数でございます過半数に達していることをご報告させていただきます。なお、太田委員からは若干遅れるというご連絡と、また大塚委員、中杉委員、中館委員におかれましても、同様に遅れてのご到着ということかと考えております。
ここで、大気環境部会の開催に当たりまして、小林水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。
【水・大気環境局長】おはようございます。水・大気環境局長の小林でございます。8月から担当させていただいておりますので、どうか引き続きのご指導、よろしくお願いしたいと思います。
今日は、ちょっと会場の関係で、環境省事務方は後ろの席に座らせていただいておりますが、気持ち、姿勢は前向きに取り組んでおりますので、どうかご了承いただければと思います。
それでは、部会の開催に当たりまして一言ご挨拶を申し上げます。
本日もそうでございますが、日ごろから先生方のご指導、それからご鞭撻をいただいておりまして、引き続き、どうかよろしくお願いを申し上げます。本日でございますが、5月18日に開催をいたしました第33回の大気環境部会でもご説明を申し上げましたが、4月20日付で環境大臣から中央環境審議会に諮問しております大きな二つの事項につきまして、今、各専門委員会でご検討いただいておりまして、今日は、それに関連するご審議をいただければということでございます。
一つ目は石綿の飛散防止対策のさらなる強化についてということでございまして、先生方にはご高承のとおりでございますが、建築物の解体現場からは石綿の飛散事例がございます。自治体からのご要望もありまして、大変、世の中の関心が高い事象でございますし、重大な問題であるというように私どもも認識しているところでございます。これにつきまして、飛散防止対策の所要の制度改正が必要ということで、これまで専門委員会で4回のご審議をいただいておりまして、大きく七つの論点がございますが、立ち入り権限ですとか事前調査の話から測定、その他に至る大変幅広い課題でございますが、こういったことにつきまして委員からご意見をいただき、また、外部のいろいろな方からのヒアリングも執り行ってきたところでございます。ぜひ、本年中を目途に中間報告を取りまとめていただきたいということで取り組んでいるところでございますし、ご審議をお願いしたいというものでございます。
二つ目はVOCの排出抑制対策のあり方についてということでございまして、これも法規制と自主的な取組のベストミックスでやるという新方式で取り組んできていただいたものでございます。平成22年度の目標年度において目標を大幅に上回るような排出削減を達成できているというような状況でございますが、こういうことも踏まえまして専門委員会を2回開催いただいているところであります。現在のVOCの排出抑制制度は継続していくというような方向でのご審議というふうに承知をしております。
また、VOCの問題とあわせまして、これもなかなか大きな課題がございます光化学オキシダント、それから新しい重点課題でありますPM2.5の課題、こういったことについて総合的に検討する体制の必要についてもいろいろなご審議をいただいてきているところでありまして、これも骨子を整理しておりまして、本年中を目途に報告書を取りまとめていただければというようなことでございます。
いずれも大変大きな課題でございまして、本日は先生方に幅広い観点からご審議をいただきまして、年内の取りまとめに向けて一層の促進を図っていただければありがたいというふうに思っているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【倉谷大気環境課長補佐】引き続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
議事次第の下のほうに配付資料の一覧がございます。委員名簿がございますけれども、続きまして、資料1、石綿飛散防止専門委員会の検討状況、資料2、揮発性有機化合物排出抑制専門委員会の検討状況、資料3、揮発性有機化合物排出インベントリ(修正)とした資料でございます。以降、参考1の1枚紙から参考資料2、3、4、5、6まで、参考資料をつけさせていただいております。もし、ご不足の点がございましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。
それでは、以降の進行につきましては、坂本大気環境部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【部会長】皆様、ご多忙の中、お集まりいただき、ありがとうございます。今日は38名中、何人か、まだ遅れている方がございますけれども、34名という非常に多くの出席をいただきまして、皆さんのスペースを、実は先ほど環境省の事務局長のほうからお話がございましたけれども、ちょっとシートの位置が変わっているということでございますけれども、それにもかかわりませず活発なご議論をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題でございますが、まず議題1、石綿飛散防止対策のさらなる強化について、検討状況の経過報告ということでございます。まずは、石綿飛散防止専門委員会の委員長であります浅野委員から、概要の説明をお願いいたします。
【浅野委員】浅野でございます。
議題1の石綿飛散防止対策のさらなる強化についての検討状況、経過報告を申し上げたいと思います。
資料1をご覧いただきますと、検討状況、あるいは、その中で交わされた意見の内容について取りまとめております。これまで4回、専門委員会を開催いたしましたが、1回目は、この専門委員会がどういう役割を果たすかということについての確認を兼ね、当部会で既に了承をいただきました論点について意見交換を行いました。第2回以降3回にわたりまして、延べ14団体・個人の方々からご意見をお聞きすることができまして、有益な情報を当委員会としても入手することができたと考えております。ヒアリングの中で出されましたいろいろなご意見は、やはりアスベスト被害の状況を反映しておりまして、作業現場での労働者の保護という視点からのご意見、ご注文、あるいは周辺環境、一般大気環境の影響対策の視点からのご意見、コメント、これらが入り交じって意見が出されておりますので、やはり内容的には少し整理をしていかなければいけないと、こんなふうに考えております。
それにいたしましても、お聞きすればするほど、現場の状況というのは想像しておりました以上に問題が多いということがわかってまいりました。アスベストが含まれている建物の解体というものは、解体が終わってしまえば、ほとんど何も証拠が残らないということがありますから、そのことが手抜きをすれば利益につながるということになりそうな実態があることがわかってまいりました。また、「ご施主様は神様です」という言葉があるのだそうですが、施主の方の力がとても強い、意向には逆らえないという傾向があるようで、さらにコスト意識を厳しく問われるというようなことになりますと、そのことが、また手抜きを助長する危険性が大きいと、こういったようなことも指摘されております。これらの話を聞きますと、やはり注文者の責任あるいは所有者の責任といったようなことをもっと明確にしなくてはいけないだろうというようなことが、ヒアリングの中でも多く指摘され、また委員の中からも指摘されていたことでございました。
また、アスベストの有無の判定はなかなか難しいものもあるわけですが、解体工事を行われる方が自らアスベスト含有の調査を行うということになりますと、時には先ほどのような事情が加味されて、正確な情報が報告されないという危険性もないわけではない。調査の中立性をどう確保するか、あるいは調査の精度をどう管理するか、こういったようなことも今後、大きな課題ではないだろうかといったようなことが、これまで専門委員会で論じられてきております。
今後、委員会では、論点をさらに細かく整理いたしまして、ヒアリングを通じて出されましたご意見に基づいて次回以降、委員の間で意見交換をしていこうと考えております。詳細につきましては、この後、事務局から説明をさせますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【部会長】ありがとうございました。
それでは、事務局から、詳細について説明をお願いいたします。
【倉谷大気環境課長補佐】引き続きまして、事務局のほうから補足説明をさせていただきます。
石綿飛散防止専門委員会の検討状況につきましては、今ほどご紹介のありました資料1をご用意しております。この後、随時説明をさせていただきますけれども、関連する参考資料が2点ほどございますので、先立ちまして簡単にご紹介をしたいと思います。
資料3の次に参考資料1として特定粉じん排出等作業に関する現行の大気汚染防止法の概要をつけさせていただいております。前回の大気環境部会でもご提示をさせていただいた資料でございますけれども、ご欠席の先生も多くおられましたので、簡単にご紹介をいたします。
大気汚染防止法につきましては、平成7年の阪神淡路大震災による倒壊ビルの解体等に伴う石綿の飛散問題を踏まえまして大気汚染防止法の改正等が行われているところでございます。特定粉じん排出等作業に関する事前届け出、作業基準の遵守等の規定が設けられたということでございます。また、(2)として書いてございますが、平成17年の新聞報道、これによりまして、さらに規制の対象となります建築材料としまして断熱材、保温材、耐火被覆材といったものの追加ですとか規模の要件の撤廃、また現場での掲示の義務づけといったような形で、これは施行令、規則等の改正によりまして規制を強化してございます。また、平成18年には、建築物に加えまして工作物についても義務づけをするということで法改正を行っているところでございます。
現行の法体系につきましては、簡単なイメージ図を下のほうにつけさせていただいております。 こういった現行の法制度の状況等を踏まえまして、専門委員会でのご議論をいただいているところでございます。
続きまして、もう1点、参考資料2としまして最近の測定事例ということで資料をご用意しておりますので、ご紹介したいと思います。参考資料2、東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査におけるアスベスト飛散事例について、今年7月に公表させていただきました資料でございます。
環境省では、平成23年6月から、東日本大震災の被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施しております。これまで、こういった除去工事におけるアスベストの飛散事例につきましては4件、公表してございます。今回7月には、さらに2件の飛散事例がございましたので、合計6件ということになりますけれども、こういったものについて公表したところでございます。なお書きとして書いてありますが、敷地外、周辺環境への影響はなかったということを、いずれの事例についても確認しているところでございます。
事例の一つ目は、1ページ目の中ほどから記載がございますけれども、6月に仙台市で行われました解体での事例でございます。調査結果につきましては2ページ目に、測定結果が表に、また、説明がその下に文章で書いてございますけれども、煙突の解体現場におきまして、煙突上部の前室で290本というアスベスト繊維を検出してございます。また、敷地境界につきましては、上の表にもございますけれども、通常の一般大気濃度とほぼ変わらなかったことを確認しております。また、原因につきましては、一時的に作業場内の負圧が保てなかったことが原因ではないかと考えているところでございます。
もう一つの事例につきましては、同じページの下から次のページにかけて、7月、気仙沼市での解体での事例でございます。これにつきましても同様に煙突の解体でございますけれども、3ページ目にございますが、煙突下部に設置された排気口で22本のアスベストを検出してございます。敷地境界での検出はございませんで、一般環境濃度とほぼ同様ということで、周辺環境への影響はいずれもなかったということでございます。これにつきましても、集じん・排気装置のフィルター設置などの不具合が原因ではないかと推定されたものでございます。
これらを踏まえました対応につきましては、最後の4ページ目に書いてございますけれども、これらの事例を踏まえまして、石綿を使用している煙突の解体工事等、石綿の飛散防止の徹底について、関係するところへの通知をさせていただいております。また、こういった事例を踏まえまして、東日本大震災アスベスト対策合同会議におきまして、9月4日に、被災地の現状把握のための現地視察を行いまして、現地の状況等を踏まえたアドバイス等をいただいているところでございます。
以上、参考資料1、2のご紹介でございました。
恐縮です。資料1に戻らせていただきまして、石綿飛散防止検討委員会の検討状況について、引き続きご説明をいたします。
検討の経緯につきましては、先ほど委員長のほうからご紹介がありましたとおりでございます。これまで2、3、4回と、3回にわたりまして有識者からのヒアリングを実施したところでございます。
順番が前後してしまって恐縮ですが、この資料の8ページ目に専門委員会でのヒアリングの対象者を記載させていただいております。建築物の解体現場ですとか測定関係、また自治体の方も含めまして、専門家の方からそれぞれの立場からの事例等のご紹介をいただいているところでございます。
その次の9ページ目に、このヒアリングの中でご紹介をいただいた飛散事例、指導事例等を簡単に抜粋をしてございます。
自治体によります指導事例としましては、ここにありますのは法規制の対象になっているものもございますけれども、それ以外のものも含めて条例で立ち入り、また届出等の手続が設けられているところもございますので、全てが法令の対象ということではございませんけれども、自治体での指導事例としましては、例えば、勧告等の対象となった事例としましては、未届けで作業が着手される、石綿の取り残しがあるにもかかわらず養生を解除する、また隔離の養生を実施する前に解体作業を実施する、こういったこととあわせまして、測定の結果、敷地境界基準を超過するといったような例をご紹介いただいているところでございます。敷地境界の基準の超過の原因としましては、重複いたしますけれども、養生不十分であるとか負圧の確保が不十分であるもの、またセキュリティの出入り口からの石綿の持ち出し、漏えいが指摘されているところでございます。
また、実際の現場での指導の事例としましては、養生シートの破損等を修復することですとか適正な負圧状態を維持することといった指摘・指導をいただいている事例が多いというご紹介がございました。また、デジタル粉じん計による集じん機排出口の調査で、約1割程度では適切に集じん機が機能していないと、こういった指導がされたという事例もご紹介がございました。また、条例に基づく規制対象でございますけれども、石綿含有成形板の調査につきまして、実際に現場で確認されたところ、届出に記載のないような石綿を含む成形板が見つかったという事例も多数あったというご紹介もございました。
また、中ほど、建築物の解体現場での事例でございます。事前調査ですとか分別解体が適切に行われずに解体し、近隣住民の苦情等で行政指導が行われ工事が中断したといった事例もご紹介をいただいております。当該現場につきましては、レベル1と思われる吹き付け材ですとかレベル3の成形板が存在していたということでございます。実際の測定の結果、幸い、石綿は含有していなかったという事例でございましたけれども、こういったものに含有しているということですと飛散の可能性が高く、除去の工法も難易度が高いというご指摘がございました。また、実際に解体現場の看板には石綿を含有していないという掲示がされていたものにつきまして、解体後の現場の吹き付け材等に石綿が含まれていたという事例もあるということでございますので、冒頭にありましたような不適切な事例において実際に石綿を含有しているということになりますと、影響が想定されるということかと思います。
また、アパートの居室の改修工事におきまして、天井の吹き付けヒル石、これはレベル1に相当するものでございますけれども、こういったものにつきまして、養生・セキュリティールームの設置を行わずに内装の撤去、天井の貼り付け、囲い込み工事を行った事例があるということでございます。飛散抑制剤で固めるというような措置が行われているようでありますが、天井にドリルで穴を開けるというような工事が行われるということで、これにつきましては法令違反のおそれがあるのではないかと、このような指摘をいただいたところでございます。
また、一方で、建物所有者、管理者による石綿に関する取組事例ということで、所有・管理されています物件の全数につきましてアスベスト調査を実施された事例、これは竣工書類ですとか設計・施工者への調査、また必要に応じて現地調査、サンプリング分析等を実施されたという事例の紹介もございました。こういった事例につきましては、入居者への情報開示、賃貸借契約におきまして重要事項説明にこういった情報を盛り込まれるというようなことですとか、また、実際の解体・改修工事では、これら石綿使用が判明している事例につきまして、適切な法令遵守をされました工事の実施、定期的な状況の点検、記録の実施といった取組をされていると、このような事例の紹介もあったところでございます。
以上のヒアリングですとか、また、その他の状況等を踏まえまして、専門委員会の中でも幾つかの論点につきましてご議論をいただいたところでございます。
資料1の2ページ目のほうにお戻りいただきまして、ここからが主要な論点についての事務局での整理でございます。
これまで専門委員会におきまして議論・提示されたさまざまな論点がございましたけれども、これにつきまして、部会でご紹介いたしました論点に従いまして整理をさせていただいております。また、委員長からもございましたけれども、大気汚染防止法をはじめ一般環境への飛散防止に関連するもの、それから、その他の法令にも関連するものを含めて、事務局において整理をいたしまして記載をさせていただいたところでございます。これまでのご議論全てを網羅できたものではございませんけれども、主要なところを整理させていただきました。
(1)としまして、立入権限の強化、事前調査の義務づけについての論点でございます。これは、先ほどの事例の中にもございましたけれども、届出が提出されていないような解体現場において石綿使用のおそれがあると、こういった事例があると。こういった場合に行政は確認ができないと、このような問題点の指摘もあったものでございます。
一般環境への飛散防止の論点ということで、下に点線で囲って幾つかご紹介をしております。立入対象の定義についてのご議論、それから大気汚染防止法における事前調査の義務づけの要否に関連いたしましては、米国での立入検査の実施の例ですとか、条例での立入検査・事前調査を全ての建築物に認めている自治体の例ですとか、また事前調査の義務づけにつきまして他法令との関係の整理が必要であるというご指摘をいただいているところでございます。建設リサイクル法でも80平米以上の建築物の解体についての届け出という制度がございますので、こういったものもご提示がされております。その他としまして、立入検査ですとか事前調査を効率的に行うための台帳等の整備により情報共有を図るということが課題であるというご指摘もいただいたところでございます。
続きまして、3ページ目に参りますが、(2)敷地境界等における大気濃度測定の義務化及び測定結果の評価に関する論点でございます。これは、冒頭の枠に記載してございますけれども、特定粉じん排出作業、解体等の作業につきましては、現在、敷地境界における大気濃度測定の義務がないということで、飛散防止の有無の確認が法令上できないということになってございます。また、評価方法等が不明確であるというご指摘もいただいてございます。これまでの委員会の中では、点線で囲っているところでございますが、一般環境への飛散防止に関連する論点としまして、大気濃度測定義務の規定場所。これにつきましては、ばい煙発生施設と特定粉じん発生施設の関係もあわせて整理すべきであるという指摘もございますし、大気濃度測定の義務化ということと現行の作業基準の遵守の徹底ということの関係についてもご指摘をいただいているところでございます。大気濃度測定未実施の場合の罰則規定の必要性、大気濃度測定の評価方法、これは作業管理基準としての設定になるのか健康リスクの観点からの設定か、こういった論点、また、これまでの中環審の答申等との整合についても検討が必要とのご指摘もいただいたところでございます。また、基準値超過の際の対応等についてもご議論をいただいたところでございます。
(3)としまして大気濃度測定に係る試料採取及び分析に関する主な論点ということで、これは現行、幾つかの法律に基づく制度がございます。それぞれの目的に応じた測定場所等が規定されているということがございますけれども、いずれにより評価すべきかと、こういった現場での混乱もあるとのご指摘もいただいているところでございます。専門委員会の中でも、大気濃度の測定方法につきましては、管理に当たっては総繊維ですとかリアルタイムモニター、といった迅速な分析が有効であるという指摘もいただいたところでございます。また、大気濃度の測定場所、大気濃度の測定対象物質についてのご議論もいただいております。特に、対象物質につきましては、罰則の適用に当たっては、石綿繊維を正確に分析するということがその根拠として必要というご指摘もいただいてございます。また、基準値、測定対象等については、海外での測定法も整理し検討すべきというようなご指摘もございました。
4ページ目でございます。
大気濃度測定に関連するものでございますが、特に、測定の信頼性の確保につきまして、先ほど委員長のほうからもご紹介があったところでございますけれども、信頼性の確保についてのご議論としましては、測定及び分析事業者の登録制度といったようなものが必要か、あるいはそうでないかということにつきまして、例えば、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関、またダイオキシン類等の精度管理の取組の例ですとか、民間、業界等における分析技術者の能力認定事業での実施例についても、ご紹介をいただいたところでございます。また、第三者による精度管理の要否ということで、これにつきましては、精度管理に関する国際的な評価基準等も参考に検討が必要であるというようなご指摘もいただきました。また、試料の保存ですとか大気濃度測定結果の報告等についても、ご議論をいただいてございます。また、その他の論点といたしましては、発注者が解体工事と大気濃度測定を分離発注することの要否ということで、これは米国の例ですとか公共工事等における試行等も検討すべきとのご指摘もいただいたところでございます。
(4)としまして発注者による配慮ということで、今ほどご紹介したところにも発注者のことが出てまいりましたが、発注者が低額で短期間の工事を請け負わせるようなことになりますと、実際の工事が徹底されないということから、ご議論をいただいたところでございます。
内容につきましては5ページのほうに参りますが、発注者の配慮規定の拡充の要否ということで、これにつきましては、現行の大気汚染防止法にも不当な条件を付さないように配慮の規定がございますが、こういったものの拡充の要否につきましてご議論をいただいてございます。発注者に限定せず元請の配慮義務を強化すべきというご指摘ですとか、また、発注者が適正な費用を分担すべき責任についても検討が必要ではないかと。また、現行の発注者の配慮規定をしっかりと運用するということも含めて検討が必要であると。また、発注者につきましては、建物の規模ですとか発注者の能力といったことも含め、さまざまな場合があるということで、そういった配慮が必要であるとのご指摘もいただいております。また、発注者の責務規定の位置づけにつきましては、米国での例ですとか他法令での例、建設リサイクル法、土壌汚染対策法、廃棄物処理法等、こういった例についてもご意見をいただいてございます。また、事業者、発注者の両者に対して責任が分担されるべきといったご指摘もいただいたところでございます。その他、重複いたしますが、工事をできる適切な業者に適切な価格、納期で発注することが必要ではないかとのご指摘がございました。
(5)といたしまして、法令の徹底と透明性の確保についての論点でございます。これにつきましては、ご議論いただいた内容を点線のところに囲んでおりますが、これは大防法以外のものにも関連するところがあろうかと思いますけれども、アスベストの飛散防止の重要性について周知を図る必要があるのではないかということで、建設リサイクル法の届出の情報を建築部局ですとか環境部局で共有する取組の例ですとか、また、国民の方、発注者(施主)の方、建築物の所有者等、こういった関係者の方への制度の周知、啓発が重要ではないかといったご指摘もいただいてございます。また、粉じん排出作業等の掲示ですとか現場作業の公開といったことについてもご議論をいただいておりまして、条例での現場掲示等により周辺の住民の方への周知を広く実施されている例についてもご紹介をいただいたところでございます。
続きまして、(6)特定建築材料以外の石綿含有建材を除去するに当たっての石綿飛散防止対策についての主な論点でございます。まず、一般環境への飛散防止の観点につきましては、特定建築材料以外の石綿含有建材の除去作業に係る作業基準の設定、届け出等につきまして、ご議論いただいてございます。成形板、いわゆるレベル3の工事につきましては、現行、大気汚染防止法の対象になってございませんけれども、こういった工事についての届出、これを条例等で義務づけをして、また立入検査等を実施されている実際の事例のご紹介をいただいております。また、こういった石綿含有建材からの飛散状況を把握しまして、飛散する可能性のある除去作業、現在対象になっていないものについても作業基準を設定することが必要ではないかと、こういったご指摘もいただいたところでございます。
また、その他といたしましては、米国で成形板に係る工事等についても必要な隔離ですとか除塵機等の設置を求めている事例についてもご紹介がございました。こういった成型材につきましては、非常に工事件数も多いということで、また、物件も解体事業者も大小さまざまであることから、届出の負担、実行可能性についての検討が必要ではないかとのご指摘もいただいてございます。一方で、レベル3に関しても、作業基準ですとか事前調査を定めて実施することによりまして、こういったものが通常の廃棄物の中に交ってしまうということを防止できるのではないかとのご指摘もいただいてございます。また、規制対象外のものといたしましては、使用中の煙突ですとか、こういったものについても検討が必要ではないかとのご指摘もございました。
最後に(7)その他といたしまして、幾つか論点が出されてございます。今ほどまでのものと重複しているところもございますけれども、アスベスト除去後の完成検査の要否、これにつきましては、海外で室内濃度測定を行った上で養生を撤去するということで周辺への飛散等を防止している例もございました。事前調査、また事前調査に基づく工事の実施につきまして、第三者による管理を導入することについてもご議論をいただいてございます。米国におきましては、こういった工事の監視を第三者が行うということを徹底している例をご紹介いただいたところでございます。また、罰則の強化、違反者への対応等につきましても、海外での例を含め、事例のご紹介をいただいてございます。また、資格を持っておられる事業者ですとか違反者、こういった情報をデータベース管理されている例のご紹介もいただいたところでございます。
その他といたしまして、環境汚染防止に重点を置いた議論が必要であるということで、これは論点としましてはいろいろ関連する部分もございますけれども、特に大気汚染防止法を含め、環境への飛散防止を中心にご議論いただくということのご指摘かというふうに認識をしてございます。また、海外事例等もございますけれども、我が国で受け入れられる望ましい仕組みのあり方について、議論がさらに必要であるというご指摘もいただいたところでございます。また、先ほども類似のポイントがございましたけれども、石綿関連法規を所管する機関が関連する法規に基づく情報を共有することで効率的な行政指導を実施すべきとのご指摘もいただいております。これは現行の運用にも関わるもので、重要なご指摘かと考えているところでございます。
駆け足でございますけれども、資料1の説明は以上でございます。
【部会長】どうもありがとうございました。
ただいま石綿飛散防止対策のさらなる強化についてと検討状況の経過報告について説明をいたしました。今の説明は、その他を含めて七つの論点に対して説明をいただいたわけですが、これにつきましてご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。ご意見、ご質問等がございます方は、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。
【浅野委員】ここには専門委員会にも所属しておられる委員がいらっしゃいますので、追加的にご報告があればうかがってください。
【部会長】そうですね。今、ご意見、ご質問等は、お二方から出ていますが、委員の方でもございますが、今、浅野委員からお話がございましたように、何か追加事項で説明をしたほうがいいというような部分等がございましたら、専門委員会の皆さんも名札を立てていただければと思います。
それでは、まず中杉委員、お願いします。
【中杉委員】議論の中身を詳しく聞いていないものですから質問というような形になりますけれども、発注者に対する配慮という項目があります。これは、発注者と言ったときに、どこら辺まで想定をしているかということです。個人住宅でもリフォームみたいな形で解体する、あるいは建て替えというようなことがありますよね。いわゆる個人が発注者ということになります。そこに対して周知をさせることが、どのぐらいできるのかということの議論をしているのかどうか。場合によっては、その場合には、請負業者がそういう説明をするということを義務づけていくということも考え得るのではないだろうか、そこら辺の議論が。大きなところばかり考えていると、実際には、各個人の家でも周りが住宅街ですと問題が出てくる可能性がありますので、そこら辺はどういうふうな議論になったか、教えていただけえればと思います。
【部会長】ありがとうございました。それでは、事務局のほうから、発注者に対する配慮として、どの程度のところまで考えて議論したか、お願いいたします。
【倉谷大気環境課長補佐】今ほどご紹介いたしました資料1の中では、4ページ目から5ページ目に発注者の配慮のところがございます。この中でも、発注者の規模、能力にも配慮した検討が必要というご指摘を記載させていただいておりますが、今、ご指摘をいただきました、小規模の発注者についての配慮についてもご指摘をいただいてございます。
実際に、まだ、どこまでということの方向性までは定まったものはございませんけれども、これまでのご指摘の中では、飛散の可能性のあるものを広くカバーすることを考えますと、規制対象が小規模の施設ですとか小規模の発注者にも広がると。そうなった場合には、その能力等に限界があるというケースもあるので実効性がなかなか難しい部分があるのではないかとのご指摘もいただいたところでございます。このあたりにつきましては、今後の議論の中で十分に配慮をする必要があると考えてございます。貴重なご指摘ありがとうございました。
【浅野委員】まだ、中身にわたっての議論はやっていないのです。いかにも議論をしているように説明していますけれども、そういう声があったというだけのことです。言葉の使い方として、最終的に発注者という概念でいいのかどうかということも、これからきちんと議論をしなくてはいけないと思っています。といいますのは、発注者というときには、例えば、請け負った人がさらにアスベストの除去を発注するという場合も発注者になりますし、そもそも言われた「お施主様」という発注者もあるわけです。ですから、発注者という概念が多義的に使われてしまいますから、それでは混乱が起こるだろうと思っています。
どちらかというと、本来の土地や建物のオーナーさんの責任がまず第一義的にあるはずで、最終的には、その人がお金を払ってくれなくてはどうにもならないという現実があるわけですから、やはり、そこに着目をしなくてはいけない。そうすると、規模が大きかろうと小さかろうと自分のものなのですから、まず当然、責任を持つべきだと思われます。私は、土壌汚染対策法の発想法が頭から抜けませんので、基本はまずそうだろうというふうに思っておりますけれども、そうはいいましても、例えば、土地は誰か個人が持っていて、その上に大きなビルを不動産業者が建ててというようなケースもありますし、いろいろありますので、類型的にきちんと考えて議論しなくてはいけないことは、そのとおりだろうと思っております。
【部会長】ありがとうございました。今、お話がございましたけれども、資料1で2回、3回、4回とヒアリングをして、全体として論点を抽出、整理をして、この後、9月26日ですか、各論点についての検討と、そういう予定になっているということでございます。
大塚委員、お願いします。
【大塚委員】こちらの小委員会のほうに出させていただいていますので、簡単な意見をちょっと申し上げさせていただこうと思ったのですが。ここに必ずしも載っていないことですけれども、測定に関してデータを不正確に出されると、先ほど浅野先生がおっしゃったこととも関係しますけれども、そもそも、その後の対策がとられなくなってしまうという問題がございますので、データを捏造するとか不正確に扱うという場合についての何か罰則がかなり必要になってくるのではないかという問題があると思います。
それから、4ページの下から6行目ぐらいのところで利益相反の話がございますけれども、発注者が解体工事と大気濃度測定を分離発注することは、恐らく非常に重要な問題だと思われまして。どうしても解体工事を、ちょっと言葉は悪いですけれども、適当にやってしまうほうがコストが安くなるという問題があるものですから、どうしてもそちらに引きつけられる可能性はあるものですから、大気濃度測定は別の人がやったほうがいいということがあると思います。
それから、今もご議論がございましたけれども、発注者というのは、建設リサイクル法で考えている発想だと、さっき浅野先生がおっしゃった施主のほうになると思いますけれども、そちらの人が一番、そこで費用を負担していただかないと、そもそもお金が出てこないということになってしまいますので、発注者の責任というのはかなり重視していかないと、誰も解体工事に関してアスベストの除去の費用を負担できないということになってしまうという、この点が非常に重要な点ではないかと思っております。
以上でございます。
【部会長】ありがとうございました。それでは、事務局のほうから、これに関連してお願いいたします。要は、測定データが不正確に測定されて、実は、濃度が高いのに低く出てしまった……。
【浅野委員】今の点は、事務局が特にコメントする必要はないと思います。大塚委員のご意見であります。しかし、そういう意見はほかにも多くの方から出されておりますので、単に大塚委員個人のご意見ではないということだけは申し上げておきたいと思います。
【部会長】次は、西崎委員、お願いします。
【西崎委員】鉄鋼連盟の西崎でございます。
先ほど中杉委員からもご指摘がございましたけれども、発注者というのが非常に概念として幅広いということもございまして。今回、ご議論いただいている中身、随分、発注者の負担を増やす方向のご議論があって、仮に、この発注者というのが、先ほどお話に出ましたような小規模とか個人とかといったときに、その負担を本当に担い切れるのかなという危惧をしているわけでございます。
例えばの例で申し上げますと、(1)事前調査でございますけれども、まさに先ほど事務局からもご指摘がございましたように、他法令との関係の整理、これが必要かと考えてございます。具体的には、安全衛生法の石綿則で工事事業者に事前調査が義務づけられておりまして、発注者にも情報提供の努力義務が規定されております。今回、これに加えて、新たに大気汚染防止法で重ねて事前調査を発注者に義務化するようなことは、やはり随分、発注者の負担増につながることなのではないかと心配しております。これに関しては、既存の安衛法の遵守を促して、それから得られる情報を最大限に活用することがまずは第一かというふうに考えておりますので、ご一考いただきたいと思います。
それとあわせて、(4)の先ほど中杉委員からもご指摘がございました発注者に対する配慮、これに関しましても、既に18条の19に作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならないという規定がございまして、この拡充がまさに議論になっているところではございますけれども、これも、あまり細かい規定をすると発注者の大幅な負担増につながりかねないというふうに考えておりますので、ご一考をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【部会長】ありがとうございました。これも、今後の検討のところでということでよろしいですね。ありがとうございました。
どうぞ、そのほか、ございますでしょうか。山﨑委員、お願いします。
【山﨑委員】電気事業連合会の山崎でございます。
私どもも内部でちょっと議論させていただいたのですけれども、やはり、先ほどから出ております発注者の責務のところについて、ちょっとやっぱり議論になっておりましたので、そのことを紹介させていただきます。
発注者といいましても、先ほど中杉先生からもありましたように、いわゆるビルのオーナーといいますか個人といいますか、ほとんど一般の方が発注されるケースが非常に多いのだろうなと考えております。そういったときに、そういう個人の方のところに今ある以上のいろいろな責任を伴うような過度な責務規定みたいな形でかぶせていくというのは、本当に実効的なのだろうかと、実践できるのだろうかという、そういう疑問を持っております。それよりも、むしろ、本来、工事に関わって専門的な知識を有しているべき施工業者に対してしっかり行政指導を行っていただく、あるいは優良な施工業者をきちんと育てていっていただくような、そういう法制度措置といったもののほうが実際に石綿の飛散を防止する上で実行的なのではないだろうかと、そういった議論をしておりますので、意見として申し上げさせていただきます。
【部会長】ありがとうございました。
先ほど、そちらのほうで、永井委員でしょうか、お願いします。
【永井委員】自工会の永井でございます。
敷地境界等における測定の義務化という項目がございますけれども、例えば、騒音のように方向性があるものは原因の判断というか判別ができると思いますけれども、浮遊物質については原因の特定というのは非常に難しいのではないかと、方向性がないということで、考えます。そういったものに対して法的義務を課すのが適正であるのかどうかというのは、ちょっと疑問に感じております。これは、自工会の中でも、そういった意見が出ております。
以上です。
【部会長】ありがとうございました。
中杉委員は、先ほどの発言に関連して。どうぞ。
【中杉委員】何人かの委員から私の発言を引用した形で発言されたので、少し誤解を受けるといけないので、付け加えて説明しておきます。
私自身、発注者が責任をとるのが問題だと言っているわけではなくて、発注者の責任を問うときに、例えば、個人が自分がやらなかったから罰則を受けるという形になると、それをどういうふうに周知させるかということが問題だろうというふうに申し上げているつもりです。ですから、それをするときに、例えば、それを請け負った請負業者が、そういうことをちゃんと説明をさせるという義務化をすることによって発注者に認識させるというふうなことが必要ではないだろうかと。そういう趣旨で申し上げていますので、ちょっと誤解がないよう申し上げておきたいと思います。
【部会長】ありがとうございました。
加藤委員、お願いします。
【加藤委員】2点あるのですけれども。一つは、労働者保護と環境保護と大きく2本、あるいは建築リサイクル法をいれると、三つの法制度でカバーされているということで、それをうまく組み合わせてというか、うまく協同で働くような仕組みにしないと大変もったいないという気がしまして。例えば、労働者保護のほうでは測定をしているのだけれども、それが環境のほうには伝わらないとかということになると非常にもったいないので、そこのところを一体的に動かせるような仕組みがあるといい。例えば、労働者保護のほうでは規模によらず、事前調査をやっているわけですから、それを環境のほうにもうまく使えるようにするというのが一つ。そこら辺のところを上手にやっていただきたいなという気がします。建築リサイクル法のほうでは80平米以上のときには表示するということなので、例えば、それと一緒に石綿についても表示をするとかということも可能ではないかなという気がします。
それから、もう一つは発注者の責任についてなのですけれども、結局、誰かがきちんと対応してやるためには、やはり費用が発生する。そうすると、費用が発生したものは当然、発注者が負わなければいけないものになるので、どうしても発注者がそれを知っておく必要が出てくるかと思います。ですから先ほど中杉先生がおっしゃいましたように、事前調査をきちんとやって、その結果、アスベストが含まれている場合には、こういうことがあるということを、解体工事などをする施工業者が発注者に必ず説明をしなければいけないと、そういうような仕組みにすればいいのかなと。その場合に、今度は施工業者がアスベストが含まれていないのに含まれているようなことを言って高く吹っかけるというようなことが起こっては困りますので、そのあたりをきちんと担保できるようにする。
それから、もう一つは、リスクに応じた対応ができるようにすること。小さな建物で規模が小さいとかという場合、飛散のリスクが小さいような場合と大きなところとで対応をわける。事前調査はあるわけで、発注者は知っていなくてはいけないわけですけれども、それを担当するのをどこにするかとか、その辺のところをリスクに応じた形で適切に見合うような形でしていただければいいのかなというふうに思います。
以上です。
【部会長】ありがとうございました。大変重要なご意見、ご要望が出たと思います。
浅野委員、お願いします。
【浅野委員】いろいろなご意見をありがとうございました。十分に、さらに専門委員会では検討させていただきたいと思います。
他法との関係については、もう既に我々も関心を持っておりますし、別の部会ではありますけれども、国土交通省にも建リ法との関係で、フロンも同じ問題を抱えていますから、同じような問題がみんな解体工事に伴って出てきている、この現象をどう考えるのだということを質問いたしましたところ、前向きに一緒に考えますという答えも既にいただいておりますから、当然、この検討の過程では他省庁との調整は行わなくてはいけないと思っています。
それから、さっきちょっと説明を漏らしましたけれども、どうも現段階で既にアスベストが使われているかどうかということを設計段階の文書等によって確認することは不可能に近い状態になっているということが、かなり大手の業者さんの所有される建物でも起こっています。資料がどこかへ飛散してしまったとか、あるいは、本当に、そのとき、そのように資料どおりにやられたかどうかわからないということがあるようであります。ですから、既存のデータだけで、ここは使われているか使われていないかを事前に正確に判断することは不可能であるというのが、ほぼ、今の段階での、専門委員会の心証でありますので、やはり、解体前に調査をするということは不可避であろうということを大前提に考えなくてはいけない。そのとき、では、それは施工業者の責任なのですということなのかどうなのか、そこは、法律の専門家が何人も専門委員会に入っておりますので、知恵を絞って考えてみたいと思っています。
それから、発注者については、先ほど申しましたように概念を明確にしなくてはいけないと思っておりますけれども、例えば、石綿則というのは、それは労安法の世界でありますから、労安法の世界で言っている義務づけというのと、それから大気汚染に関する環境法制度の義務づけというのが一致しなくてはならないという理屈は全く考えられません。調整はしますけれども、こちらでやっているからこちらでやる必要がないというような議論には、どうも同調できないということだけは申し上げておきます。
【部会長】ありがとうございました。
ただいま、いろいろな方からいただきましたご意見、ご要望等は、今、浅野委員のお話にございましたように、この後、検討をしていただくということでお願いをしたいと思います。
それでは、続きまして、2番目の議題に移りたいと思いますが、揮発性有機化合物(VOC)排出抑制対策のあり方について、この検討状況について経過報告をいただきたいと思います。
まず、排出抑制専門委員会の委員長であります岩崎委員から、概要の説明をお願いいたします。
【岩崎委員】それでは、私のほうから、今後のVOC排出抑制対策のあり方について、簡単に報告させていただきます。
皆さん、ご承知のとおり、VOCの排出量は、事業者、行政などの多大なご尽力によりまして、基準年の平成12年に対して目標年の平成22年が当初目標の30%を大きく上回る44%という大きな削減を達成してきたわけでございます。これは、インベントリ、排出量だけではなくて、一般環境濃度におきましても同様の各成分の低減がございますので、このインベントリの低減、排出量の低減というのは十分信頼していい値だろうというふうに考えているところでございます。
その結果なのですけれども、SPMは目標どおりに低減をなしたわけでございますけれども、光化学オキシダントのほうにつきましては、都市部における高濃度汚染の出現率には低下傾向が見られるのですが、平均的なというか全国的なレベルで見ると必ずしも下がっていない、オキシダント濃度が多少増加傾向という傾向が見られているというところが一番の課題でございます。
ベストミックスで進められてきましたVOC抑制対策は、これらの状況でありますけれども、今後、23年度以降につきましても、そのまま継続するということで現在進められておりまして、これに関しましては、経済産業省の産構審のほうでも同様の目標で進められているということでございます。そういう意味から言いますと、抑制対策に関しては今後も進めるわけでございますけれども、検討会としてのフォローアップとして今後もVOCの排出量の把握、今は平成22年度までの排出量の低減量、削減量が出されていますけれども、その後も継続して排出量の把握に関してはフォローアップしていく必要があるだろうと。また、一般環境濃度に関しましても、今後も継続して濃度を把握して抑制対策の効果を確認していく必要があるだろうということでございます。
これは私個人の意見ですけれども、本年、非常に気温が高くて、通常ですとオキシダント注意報というのがいっぱい発令されるのではないかというのを心配していたわけですけれども、東京都で今まで10数回とか20回あったのが、本年、4回ですか、埼玉でもかなり低くなっていると。これは個人的な意見なのですけれども、大分削減されていて、3割ではなくて、あるレベルでクリティカルに下がるのかなということも期待しているところでございますけれども、それは今後の課題としてまだ残されているところでございますので、フォローアップとしては、こういうことを継続してやっていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。その際、事業者の各負担が非常に大きいということもございますので、測定の頻度など事業者の負担軽減に関しても検討していく必要があるだろうというのが委員会でも出されたところでございます。
さらに、現在、進めてまいりましたVOCの排出抑制専門委員会は、当初の目的を十分に達成しましたので、ある意味、発展的に解消するということも必要かなというふうに思っております。解消しまして、新たな課題に取り組む専門委員会を設置していく必要があるだろうという意見がございます。新たな課題というのは、ご承知のとおり、大陸からの越境移流の問題もございますし、それから植物起源のVOCの評価、これもまた新たな課題として出ております。また、近年、SPMだけではなくてPM2.5の健康影響が明らかになりまして、VOCとの関係など、まだまだ未解明の部分が非常に多いわけでございますので、それらに総合的に取り組む専門委員会の設置が必要だろうというふうに考えているところでございます。
以上が簡単な説明でございますけれども、今後、昨年度、23年度、光化学オキシダント調査検討会というのが組まれまして、課題に関して全部挙げられていますので、そういうものも含めて新たな検討をしていく必要があるだろうということでございます。
以上でございまして、事務局のほうから詳しい説明をよろしくお願いいたします。
以上です。
【部会長】ありがとうございました。
それでは、事務局からご説明をお願いします。
【栗林大気環境課長補佐】環境省大気環境課の栗林です。ちょっとマイクの入りが悪いようなので、声を大きくしてご説明したいと思います。お聞き苦しい点があるかもしれませんがご容赦いただければと思います。
お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。これまでの専門委員会の経過について整理したものです。
6月7日に第1回の専門委員会を開催しまして、今後のVOC排出抑制対策のあり方の諮問に対する検討を開始していただいたところです。また、VOC排出状況のフォローアップということで、排出インベントリの修正、それから一般大気中のVOCを構成する成分のモニタリングにつきましてもご議論いただいたということです。先月、8月29日の第2回の専門委員会におきましては、この後、資料3で説明させていただきますけれども、平成22年度の排出インベントリにつきまして、一部修正がありましたので、それをご報告させていただいたということと、その下にあります報告骨子について、事務局のほうで素案をまとめましたので、それについてご検討いただいたということです。今日、大気環境部会で検討状況についてご報告させていただいているということです。今後、来月10月11日に開催予定の第3回の専門委員会で報告書案につきましてご議論いただきまして、12月に開催を予定しています大気環境部会で報告をさせていただきたいというふうに考えています。
次の2ページをご覧いただきたいと思います。
今日、ご説明させていただきます報告骨子でございます。1.から9.まで分けています。1.検討の経緯、それから2.22年度の対策あり方検討業務報告書、これにつきましては報告書の前段に当たる部分でして、メーンは3.VOC排出抑制制度のあり方ということで、先ほど岩崎委員長からもお話しいただきましたとおり、今のベストミックスという制度につきましては継続という方向でご議論いただいているところです。そのほか、ご意見をいただいた事項としましては、4.他法令等による規制との整合性を初め、5.事業者の負担軽減等々ございまして、8.新たな専門委員会の立ち上げということで、VOCに関する事項だけではなくて、オキシダント、それからPM2.5も含めた総合的な検討を行う、そういう場が必要だろうというご意見をいただいているところです。
本文に入る前に、参考資料の3をご覧いただきたいと思います。参考資料3では、VOC排出抑制に関する大防法の概要をまとめたものです。2.現在の法体系ということでポンチ絵をつけさせていただきましたけれども、これをご覧いただきながら1.の説明をさせていただきたいと思います。
平成10年台半ば頃におきまして、SPM、それから光化学オキシダントに係る大気の汚染の状況が深刻だということで、健康への影響が懸念されていたということで緊急に対処することが必要であったということから、その原因の一つと考えられるVOCの排出抑制につきまして、平成17年に大気汚染防止法等を改正したということです。黒丸の一つ目にありますように、VOCの排出抑制につきましては、自主的取組と大防法の規制を適切に組み合わせて相乗的な効果を発揮させる、いわゆるベストミックス、こういう手法をとったということです。今、そういうような手法をとって、平成22年度の目標年度で平成12年度に比べて44%を超える排出削減がなされたという状況にあります。
そのほか、参考4、5、6につきましては、骨子の説明をさせていただきながら必要に応じてご説明させていただきたいと思っております。
続きまして、3ページ目をご覧いただきたいと思います。ここからが骨子について整理したものでございます。
骨子の整理をするに当たりまして、これまでの専門委員の委員の方等々からご意見をいろいろと頂戴しております。このご意見を踏まえまして、骨子案のほうを作成しているという状況です。
まず、1.検討の経緯につきましては、ご意見としましては、法規制と産業界の自主行動によりましてVOCの排出量が40%以上削減されたということで、VOCの削減対策の効果があるということを明確に記載してもらいたいというご意見をいただいております。骨子案をご覧いただきますと、まず、一つ目の黒丸のところですけれども、SPM、それから光化学オキシダントに係る課題がありまして、平成16年から17年にかけまして法規制等を行ったと。先ほども言いましたように、法に基づく排出規制、それから自主的取組の促進など施策を推進してきたということで、大幅に目標を上回る削減がなされたということです。
黒丸の三つ目以降が委員からのご意見、ご要望のありました事項でして、三つ目としましては、大気中の非メタン炭化水素、それからVOCの各成分濃度、こちらにつきまして、いわゆる前駆体の物質濃度ですけれども、こちらの減少が見られるという報告があるということと、それから、VOCの排出抑制制度による前駆物質の排出削減対策が進められたということで、高濃度域の光化学オキシダントが改善している可能性が示唆されるという見解があるという報告の取りまとめもございます。光化学オキシダントの注意報レベル以上の出現率につきましても、東海地方、近畿地方で近年減少傾向とされているという報告書の取りまとめもございます。
また、SPMにつきましても、これは自動車排出ガス規制の強化なども大きく寄与しておりますけれども、定量的にはどのくらいVOCの排出削減が寄与したのかというのは、なかなか示すのが困難ではありますけれども、こちらも前駆物質でありますVOC、こちらの排出量、それから濃度が減少しているということからも、定性的にSPMの濃度低減に寄与しているのではないかということも示唆されているところであります。したがいまして、ベストミックスによるVOC排出抑制対策が推進されたということで、排出光化学オキシダント濃度、それからSPMの濃度に対する一定の効果が示唆されているという状況にございます。これにつきましては関係業界の皆様、それから関係行政機関の尽力の賜物というふうに考えているということでございます。したがいまして、平成24年4月に諮問を行わせていただきまして、それで今現在専門委員会で審議をいただいているということです。
一番最後の黒丸につきましては、最終的な報告書に入れる文章ですけれども、このように報告書のとおり結論を得たという結びにしたいと考えております。
次の2.の平成22年度のVOC対策の在り方検討業務報告書について、こちらにつきましては、平成22年度のVOCの排出インベントリ、こちらが確定するのが、昨年末から今年度初めにかけてということですので、平成23年度当初からこれまでの間、VOCの排出抑制についてはどうしたらいいのかという方向性がちょっと不明確な部分もありましたので、それまでの間のVOC対策の在り方についてご議論いただいたというものです。
骨子案に記載のとおり、法規制と自主的取組を組み合わせたVOC排出抑制制度はそのまま継続、その際、事業者の負担軽減に留意すべきという報告内容になっております。その内容につきましては、①にありますように、新たな削減目標は設定せず、現在のVOC排出抑制制度は継続する。それから、VOCの排出状況について引き続きフォローアップするという内容です。この報告書を抜粋した形で報告書には掲載したいというふうに考えています。
続きまして、4ページをご覧いただきたいと思います。3.のVOC排出抑制制度の在り方につきましては、今、2.で話をしたあり方検討業務の報告書、この内容を基本的には踏襲したいというふうに考えているところです。委員の方からのご意見としましては、今後のVOC対策の在り方として新たな削減目標は設定せず、現在のVOC排出抑制制度を継続するという骨子の記載があるけれども、その理由を明確にしてもらいたいというご意見と、それから自主的取組の内容への理解が極めて曖昧だというご意見をいただいております。今後もこのベストミックスの制度を継続するのであれば、この報告書において、自主的取組の概念を明確に強調してもらいたいというご意見をいただいています。これも踏まえまして骨子案としましては、一つ目の黒丸、それから二つ目の黒丸につきましては、先ほどご説明させていただいたものを再掲したような形でございます。三つ目の黒丸につきまして、そのような状況の中、現状では、規制強化の必要背というのは見当たらないということ、一方、この排出抑制制度を廃止するとした場合に大気環境の悪化を招く恐れがあるということで、法規制と自主的取組を組み合わせたVOCの排出抑制制度はそのまま継続すべきという骨子案にさせていただいております。それから最後の黒ポツにつきましては、自主的取組の概念についてです。これにつきましては、参考資料の6の5ページをご覧いただきたいと思います。参考資料6につきましては、平成16年の2月中央環境審議会のほうで意見具申をしていただいたものでございます。この5ページ目のところで、(3)自主的取組による対策という記載がございます。この上から7行目、「いずれにしても情報の公開や検証の仕組みを内在させることが求められる」、そういった自主的取組であるということについて強調していただきたいという委員からのご要望がございます。報告書の作成に際しては、この、今ご覧いただいている(3)番の自主的取組による対策、ここに記載の内容を再掲するような形で取りまとめさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
続きまして、資料3に戻っていただいて、4.他法令等による規制との整合性でございます。いただいた意見としましては、VOCの対象物質が、例えばPRTR法など、他法令等の対象物質にも該当するものがあると。こういった場合、二重の負担にならないような仕組みを考えるべきではないかといったご意見。それから、光化学反応性等を踏まえて優先的に取り組むべき物質から対応を図る必要があるといったご意見を頂戴しております。
これを踏まえまして、骨子案としましては、一つ目としまして、いわゆるPRTR法に基づく物質管理、それから大気汚染防止法に基づく指定物質、これにつきましては有害大気汚染物質対策の中で優先的に取り組まなければいけないということでテトラクロロエチレン等3物質について基準を設けているものでございますけれども、この排出等の規制につきましては、VOCの排出規制と目的と内容が異なっているということで、他法令等に定める物質と重複するVOCの規制対象物質を除外することは適当でないというふうに考えているところです。
これにつきましては、参考資料に飛んで申し訳ございません。参考資料の5、10ページ。参考資料5につきましては、平成17年6月に出させていただきました大防法の一部を改正する法律の施行についての通知でございます。その10ページの、第23をご覧いただきたいと思います。このときも、ほかの法令等、ほかの基準等との関連性について整理した事項がございまして、指定物質のとの関係についてです。ここを読ませていただきますと、VOCに該当する物質の中には、有害大気汚染物質に該当するものも含まれると。例えばベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、これらにつきましてはVOCにも該当すると。しかしながらVOCと有害大気汚染物質は、それぞれ対策を講じる目的が異なるということで、両制度を併存させることとしたという通知文書でございます。この考え方を踏襲しまして、骨子案にも同様な見解を記載させていただいているというところです。
資料3に戻っていただきまして、4ページ目に戻っていただきまして、黒丸の3つ目でございます。しかしながら、事業者の負担軽減につきましては、その次に説明させていただきます5.事業者の負担軽減とあわせて引き続き検討する必要があるというふうに認識しております。
なお、今後、光化学オキシダント、それからSPMの生成能が高く、全体に占める排出量の割合が高い物質から選択的に排出削減を進めることが望ましいという骨子案とさせていただいております。
続きまして、5.事業者の負担軽減についてでございます。こちらにつきましては、委員からの意見としましては、排出口でのVOC濃度測定にかえて、計算による算定を積極的に導入してほしいというご意見。それから、排出削減量が確認できるのであれば、排出口での濃度測定にかえてもいいのではないかと、そういうご意見も頂戴しております。
骨子案としましては、大気汚染防止法の一部を改正する法律、この附則第2条で、法律の施行後5年程度で見直しをするという規定がございます。それも踏まえまして、これまでの事業者の取組状況を踏まえまして、より効率的な体系づくりを推進する必要があるだろうという認識でございます。
負担軽減のポイントとしましては、まず一つ目としまして、法定検査の回数の削減等というのがございまして、骨子案に記載してありますように、大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について、こちらは先ほど見ていただきました参考資料の5でございます。先ほど見ていただいた10ページ目の第24、制度の見直しというところで、下から3行目、規制以上の取組が継続的に行われている事業者が存在することが明らかになった場合には、測定頻度の軽減等の事業者の負担軽減について検討することとしているということを踏まえたものでございます。
黒丸の二つ目でございます。大気汚染防止法には、VOC排出施設ごとに排出基準の遵守義務が規定されているということですので、VOCの濃度測定というのは必須であろうと。しかしながら、最も濃度負荷のかかるとき年1回以上測定すれば足りるのではないかという考えでございます。この考え方につきましても、今、あわせてご覧いただいている参考資料5の5ページの一番下、参考資料5の5ページ目の一番下、第10、VOC濃度の測定という記述がございます。ページをめくっていただきまして6ページ目になります。4番、測定を行う時間及び時期の(2)測定を行う時期のところで2行目、「「一工程」としては、使用するVOC、施設の操業状況等を勘案して、排出濃度が最も高くなると考えられる工程を選定することとする」という記載があります。この記載を踏まえた骨子案の記述とさせていただいております。
一番最後の黒丸です。一定要件に該当する貯蔵タンク等につきましては、計算により算定することも可としていると。これは貯蔵タンクでは、高濃度のVOCとなる可能性もあって、測定による爆発という危険性もあると。そういう場合には計算でもいいということです。それで、こういうような計算による可という見解もありますので、確からしい計算が可能であれば、計算によりVOC濃度を算定することができるというふうにするのが妥当ではないかということでございます。
それから、(2)のVOCから除く物質の追加でございます。委員からのいただいた意見としては、除外できるものは除外してほしいということでございまして、こちらに関連しましても参考資料5の2ページ、中段ほどに第2の定義がございます。その下、(2)にVOCから除く物質というものがありまして、今現在その(2)の2段落目の一つ上の段落です。「メタン等8種類の物質」がVOCから除く物質として定められているものでございます。
次のページ、参考資料5の3ページをご覧いただきたいと思います。2段落目です。「除外物質の追加については、メタンと同等以下の光化学反応性を有する物質が新たに開発された場合」、それから、「若しくは生産量が増加した場合、または既に大量に生産され使用されている物質について、メタンと同等以下の光化学反応性を有するという科学的知見が得られた場合」、こういう場合には、いろいろな方からの情報提供を受け、適宜検討するということでございますので、今のところ除外する物質の追加については新たな知見はございませんけれども、新たな知見が得られた場合には、適宜検討する必要があるという骨子案とさせていただいております。
それから(3)の緊急時の措置についてです。こちらについても、委員から意見をいただいておりまして、大防法に規定するVOCの排出施設、こちらは排出濃度の規制がなされております。伺ったところによると、もう既に排出抑制対策はされていて、インプラント対策、工程管理、あるいはエンドオブパイプということで、処理施設の設置等をやられていると。伺った業界の方からのご意見ですと、もう光化学オキシダント注意報が発令されてからの対応というのでは間に合わないということで、事前に翌日等の注意報発令の予測等をして、前日から準備をしているんだというお話を伺っております。そういうことも踏まえまして、インプラント対策、エンドオブパイプ対策を行っている施設等については対象外とするなど検討を願いたいというご意見をいただいております。
骨子案につきましては、資料3の5ページ、(3)緊急時の措置のところをご覧いただきたいと思います。今現在でも関東地方を中心に注意報の発令事例が散見されているということと、昨年まとめていただきましたオキシダント検討会の報告書でVOCの排出抑制によりまして、高濃度域の光化学オキシダントが改善している可能性が示唆されるというまとめがあるということ。現時点では、定量的な光化学オキシダント濃度への効果が把握されていないという状況にございます。これらのことから、引き続き現状の措置を行っていただきたい。より的確な緊急時の措置のあり方を検証していくことが必要であろうという骨子案とさせていただいております。
次に6.VOC排出状況等のフォローアップについてです。意見としましては、排出状況のフォローアップにつきましては、これまでと同様に、毎年度実施するのが望ましいと。その際、事業者の負担軽減に配慮して、必要な項目、物質数に限定すると、調査内容を軽減することが望ましいというご意見、それから、オキシダント発生注意報を考えるとすれば、夏などの短時間のVOC濃度測定が必要だということで、目的に合わせて測定頻度、時間など、測定方法を精査する必要があるというご意見をいただいております。
骨子案でございます。今後も引き続きまして、VOCの排出量の把握、それから、一般環境におけるVOCを構成する各成分の濃度の測定というのは必要であると。それから、事業者の負担軽減にも配慮し、従前の調査より内容軽減した形で実施可能か検討することが望ましい。一般環境におけるVOC成分濃度の測定においては、光化学オキシダント濃度が高くなる時期、それから光化学オキシダント、SPMの寄与が大きい物質を優先すると、目的に応じた測定を実施すべきという骨子案とさせていただいております。
次に、資料3の6ページをご覧いただきたいと思います。7.対策効果のフォローアップでございます。これまで目に見えた形でVOCの対策効果を評価する形がとられてこなかったというご意見をいただいておりまして、骨子案としましては、今後も光化学オキシダント、それからSPMに対するVOCの排出抑制の効果について定期的にフォローアップしていく必要があるということで、これは次に説明します新たな専門委員会、こちらのほうで報告させていただいてご検討いただくという形をとるのが望ましいのかなというふうに思っております。
【後藤大気環境課長補佐】続きまして、8.新たな専門委員会の設置についてでございますが、委員会の意見で、オキシダントやPM2.5、VOCにつきましてはあわせて検討していかないと、最終的な対策効果につながらないということで、今のこの専門委員会を発展解消し、新たな専門委員会に改組することを提案したいというご意見をいただいております。
それを踏まえまして、骨子案ですけれども、最初の3つの黒丸が現状の認識でございます。まず一つ目の丸ですが、光化学オキシダントについては、先ほどもありましたけれども、VOCの排出抑制対策によりまして、高濃度域の光化学オキシダントが改善している可能性が示唆されているということが示されております。その一方で、環境基準の達成率が非常に悪いということや、大陸からの越境移流があることや、植物起源VOCの把握が十分でないことなどの新たな課題も明らかになっている、とオキシダントの現状を整理させていただいています。それからPM2.5につきましては、環境基準が設定されたものの、なかなか達成率がよくないと推測されていること、二次粒子の生成機構などの現象解明もまだ十分ではないということで課題が多い、ということで書かせていただいています。
三つ目はVOCですけれども、VOCにつきましては、排出状況や排出抑制効果等について、新たな情報・知見の収集を図るとともに、事業者の負担軽減についても引き続き検討を行っていくことが必要であるということで書かせていただいています。
こういうことを踏まえまして、本委員会を発展解消し、新たな専門委員会で総合的な議論を行うことが適当であるということで、考えております。この全体のイメージを、参考資料の4を使って説明させていただきたいと思います。参考資料4ですが、左側にありますように、発生源といたしましては、国内、国外、それから人為起源や自然起源などさまざまなものがございます。これらが、オキシダントで言えば、前駆物質を経てオキシダントになるわけですし、PM2.5につきましては、そのまま発生源から一次粒子としてなるものもあれば、前駆物質を経て二次生成としてPM2.5になるものもございます。いずれも状況がよくないということで、しかも前駆物質が同じようなもので共通することなどもあって、関連が多いということですから、トータルで対策をしていく必要があるというふうに認識しております。
右半分に行きますけれども、今現状のオキシダント・PM2.5の問題点と課題につきましては、まず一つ目に、環境基準達成状況が非常に悪いということと、オキシダントについては、平均値はまだ改善傾向が見られず漸増傾向にあるということが課題かなというふうに思っております。また、第四次環境基本計画におきまして、オキシダントにつきましては、環境改善効果を適切に示す指標がないということが言われておりまして、この二つが大きな課題だと思っております。また、昨年度のオキシダントの検討会で、オキシダントの調査研究のあり方が整理されておりますけれども、この中での課題としましては、発生機構や発生源寄与の解明がまだ不十分であるということ、それから、対策検討に必要な発生源のデータが不足しているということ、それからシミュレーションモデルの高度化が不可欠であるということ、この三つの課題が整理されております。こういうことでございますので、中段の、今後の必要な取組といたしましては、やはり今後必要な対策等の検討評価につなげていく必要があると思っておりますし、環境改善効果を適切に示す指標の検討も行う必要があると考えております。このためにも、右にありますように、モニタリングの充実や、データの多角的解析、それから排出インベントリ等の整備、例えばですけれども、植物起源のVOCの発生量、排出量の算定方法によりましては、オキシダントの濃度を制限している要因がVOCなのか、NOxなのかということが変わってくるということも研究では言われているようでございますので、排出インベントリ等の精緻化が必要であるというふうに考えていますし、あわせて対策検討評価に向けては、シミュレーションモデルの高度化も必要であるというふうに考えております。こういうことに取り組みながら、今後必要な対策等の検討評価や環境改善効果を適切に示す指標の検討を行いまして、施策への反映を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
資料の2に戻りますけれども、9.今後の課題ですが、まず(1)光化学オキシダント対策の更なる推進ということで、専門委員会では、昨年度取りまとめました光化学オキシダント調査検討会報告書の対策効果の評価を充実させる必要があるということでご指摘もいただいておりますので、このように骨子案は書かせていただいております。昨年度とりまとめました報告書に基づきまして、光化学オキシダントに関する現象解明を行い、十分に解明された上で対策の検討や環境改善効果を適切に示す指標の検討につなげていく必要があるということで書かせていただいております。
それから、(2)ですけれども、国際的な取組といたしましては、やはり当然、国際的な取組も必要であるということでご意見をいただいておりますので、今後、日中韓光化学オキシダント科学研究ワークショップの開催を始め、より一層積極的に国際的な取組を推進していくことが重要であるというふうに骨子案で記載させていただいております。
説明は以上です。
【部会長】どうもありがとうございました。
ただいま説明をいただきましたVOCの排出抑制対策のあり方、これについて経過報告をさせていただいたわけでございますが、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。なお、VOCにつきましては、この後、専門委員会が1回開催され、そこで報告書案が取りまとめられる予定となってございますので、今日さまざまなご意見、要望等ございましたらいただければありがたいと思います。
まず、浦野委員お願いします。
【浦野委員】私、専門委員会の委員でもあるので、その際に申し上げてもいいのですけれども、もうあと1回しかありませんので、この機会にちょっと気づいたことを申し上げさせていただきます。
資料2の、細かいことですが、4ページ目の一番上の黒ポツですけれども、これは「12年度比3割程度削減を達成」と書いてあるのですが、これは、前の文章を受けるとすると、あるいは今までの説明を受けるとすると、「3割程度かなり上回る削減を達成」というのが正しい表現で、これは業界の方が多分言いたいのだろうと思います。念のため、私が申し上げておきます。
それから、5ページ目の、下から2番目の黒ポツですが、「今後も引き続きVOC総排出量の把握」と、こう書いてありますが、引き続きやるというときの総排出量というのは、これは多分事業所からの排出量を意味している、いわゆる今インベントリをやっているものを意味しているのだろうと思うのですが、VOCの総排出量というと、植物起源とか自動車等のものも入りますので、それはそれとして、今後、新たな専門委員会でそういうものの充実も図りますが、ここで引き続き必要というのは、多分事業所からの自主取組も含めて、それをフォローアップする意味だと思うので、その辺を明確に区別した表現が必要かなというふうに思います。総排出量という言い方はちょっと妥当でない。
それからもう一つ、8番目、9番目なのですが、8番目は、新たな専門委員会の設置ですが、これはこれで設置が必要だということは出ているわけですが、この中の黒ポツに幾つか課題が多いとか、課題であるとか、こういうことが必要であるということが書いてあるわけですが、その下に今後の課題というのがまた別に出ておって、何か指標の検討だけが挙がっているわけですけれども、あと国際取組が。課題がいろいろあるので、それを新たな専門委員会で議論いただくという趣旨だとすれば、9番の今後の課題は、8番の中に入れるべきもののように思いますし、もし改めて今後の課題、行政的な課題を挙げるのであれば、参考資料4の一番下に、施策への反映という4項目が挙がっているのです。絵の中に。もしそれをまた改めて書くのであれば、そこに国際取組とか書いてあるので、それはそれでまとめがいいというふうに思いますので、その辺の構成をちょっと考えていただきたいということ、それからもう一つちょっと気になるのは、6ページの一番下の黒ポツですが、光化学オキシダントに関する現象解明を行い、十分に解明された上で指標の検討につなげていくと、こう書いてあるのですが、私は、オキシダントの現象解明は、非常に複雑で影響因子が非常に多い。気象だとか海外のものとかさまざまなものが複雑に絡んでいるので、十分に解明ということはできないというふうな認識なのです。ただ、どこまで解明した上で、そのステップ、ステップでいろいろな施策を検討したり仕様を検討していくということなので、私の修文としては、光化学オキシダントに関する現象解明を進めた上で対策の検討でこれこれをやるというふうにしないと、これは不十分だ、不十分だと言っていると、何も、いつまでも決められないという状況になるのではないかというのが私の意見です。
以上、よろしくお願いします。
【部会長】ありがとうございました。4点ほどあったかと思いますが、今の意見を含めて今後のところで骨子案を事務局でつくり、委員会で検討いたします。
続きまして、浅野委員でしょうか、最初にお願いします。
【浅野委員】私は、ご報告の中で自主的取組について、再度もう一度明らかにするというご意見が出た、それが報告書に盛り込まれるということに関してのコメントでございます。
この法改正のときに、途中経過ではさまざまな議論がありまして、そもそも有害化学物質対策と同じように、全部枠組み規制というふうに一般的に言っているのですが、特に罰則を設けるようなことをしないで、法律で一定の義務を課すという枠組みだけを決めておいて、あとは自主的にやらせるという方法で全部統一すべきではないかという意見が産業界からも強く出てきたわけです。しかしながら、やはり有害大気汚染物質の枠組み規制がうまくいったのは、発生源がかなり限定されていて、そこで対策を立てていただければ何とかなるというような場合なので、それはそれでよかったけれども、今度のVOCは必ずしもそうでもない。千差万別いろいろなところから出てくるから、これは枠組み規制方式だけではうまくいかないだろうということになったわけです。結果的には、やはり在来型の規制も残しながら、しかしながら不特定多数に近いようなものを一々従来型の規制の枠組みで処理をすることはとても不可能に近いので、そこは自主的にという話であったのですが、この当時、自主的にという言葉を使うときに、自由に何をやってもいいんですよというような意味での自主的にという言葉を使っていたわけではないのですけれども、少し書き方が十分ではなくて、自主的という言葉だけが残ってしまったのです。しかしこのときに、既に意識しておりましたのは、一種の社会システム化された自主的取組ということであります。この考え方はその後温暖化対策などで経団連の自主行動計画が始まり、さらにそれが我が国の京都議定書目標達成計画の中にもとりいれられることになりました。自主行動計画とはいうものの、これはきちっと審議会でもフォローアップをします。内部的にもチェックをします。情報は全部公開しますと、そういうものを一切合財含めた社会システムとしての自主的取組だという概念がはっきり定着してまいりました。今日、施策、政策の実現手法として自主的取組というときには、勝手にやりたいことをやればいいんだよという意味ではないのです。ちゃんと社会的なシステムになっていて、情報公開と、それからチェックが働くということは当然だということになりました。ですから、今としてみれば、この自主的取組という言葉を裸でここに書いたことにはちょっと反省すべき点があって、むしろ社会システム化された自主的取組という言葉をきちっとつかっていかなければいけなかったと思うようになったのですけれども、そのことを改めて確認されたということは大変結構なことだと思いますし、このとおりの方法できちっと情報公開が行われ、不特定多数と言われる部分についてもどういう取組が行われてきたかということがはっきりすれば、効果が上がったということに関しても、社会一般の信頼を増すことができると思います。これはコメントということでございます。
【部会長】ありがとうございました。
どの順番かはわかりませんが、まず河野委員からお願いいたします。
【河野委員】河野でございますが、資料2の検討の経緯辺りからちょっと拝見させていただいたのですが、何かここの1.検討の経緯では、言い切られているところもあるのですが、示唆されるというのがそこら中に出ていまして、これはそうであるということを言い切れなかったのだろうなというふうに私自身は推測しているのですが、結局それがどういうことから起きてきたかというと、そこの最後の資料2の6ページ辺りにありますように、十分な機構解明等は行われていないとか、そういうようなところがたくさんあって、あるいは不十分だったということでそういう表現になっているのではないかと思います。
それから、さらに国際的な取組で、日中韓のオキシダントの科学研究ワークショップ等も開催するようなことも考えられておるのですが、いずれにしてもやはり、現象の把握といいますか、そういうことが非常に重要だろうと思うのですが、そのためには、こちらとしては、どういうふうな体制で今後進めていかれるのか、そこら辺をちょっとお伺いしたいなというふうに思います。私としては、ぜひやっていただきたいと思うのですが、体制のほうをお伺いしたいと思います。
【部会長】事務局のほうからお願いします。
【後藤大気環境課長補佐】光化学オキシダントの対策の検討に向けた現象の解明のところですけれども、参考資料4をもう一度すみません、ご覧いただければと思いますけれども、今後必要な取組というのが右側の真ん中にありますが、今までの施策の効果とかがまだ不明確だという話もありましたので、今ある例えば、常時監視の結果や他に付随するいろいろなデータ等も使いながら、対策の検討や、これまでの施策の効果を適切に示す指標の検討につながるような多角的なデータの解析を、ここに書いてあるのは例ですけれども、こういうものをまず行っていきたいと思っていますし、あわせて、最近言われているのは、やはり植物起源のVOC、植物起源そのものは減らすことはできないのですけれども、植物起源のVOCの排出量を把握しないと、いろいろな対策の検討の評価につなげられないという話もありますので、植物起源のVOCの排出量の実態も、少しずつ、まずは把握をしていきたいというふうに考えているところです。
【河野委員】すみません、確認したいのですが、これは環境省の経費でおやりになるということを今おっしゃったのでしょうか。
【後藤大気環境課長補佐】データの多角的解析につきましては、環境省の経費で行いますし、植物起源のVOCの調査も若干ですけれども、環境省でも少しやってみたいというふうに考えています。当然、環境省だけではできないところもたくさんありますので、それは研究者の皆様方ともいろいろ情報交換しながら、よりよいやり方を考えていきたいというふうに考えています。
【水・大気環境局長】ご指摘ありがとうございます。今日伺っておりましても、大変幅広い課題だということがはっきりしてまいりましたので、今日も大気環境課が中心に対応しておりますが、局内全体、自動車とか全体を含めての対応もあると思いますし、環境省はもちろん力を入れてまいりますが、自治体との連携ですとか、あるいはもう少し学会ベースでやるというようなことも多分視野を広げる必要があるかなと思いますので、今日の審議を受けまして、また検討させていただきたいと思います。
【部会長】ありがとうございました。
今、河野委員の質問があった部分は、私は非常に専門に近いところでございますけれども、まさにPM、オキシダント、夏季の光化学オキシダントとPMの二次生成というのは同じ時期に起こるわけです。そういったものが十分な機構解明がされていない。その場合、特に重要なのが、植物起源のVOCが抑えられていない状況にある。それから、オキシダントの場合には、生成したものがほぼオゾンという形で考えていいわけですけれども、二次生成の有機粒子になってまいりますと、非常にたくさんの物質種がある。そういったものの精細な分析がまだされていない。そういったものを今後そういう分析手法の確立、そしてさらにそれに見合った調査をやることによって、その次のステップへ進んでいく、そういう考え方が今環境省のほうの今後の議論としてされているところでございます。
それでは続きまして、梶原委員お願いいたします。
【梶原委員】日本化学工業協会の梶原です。
まず、VOC排出抑制専門委員会の委員の皆さん、長い間ご検討いただいたことに対して感謝を申し上げます。
それでは、2件ほど意見を述べさせていただきます。1番目は、これからもですが、専門委員会への産業界の参画をさせていただきたいという点ですが、平成22年度、今日お話がございましたけれども、末におけるVOCの排出量が、目標の約3割、これを上回る4割以上の削減が達成されたことに対して、関係業界に対する尽力の賜物という、努力をお認めいただいたことに関して感謝を申し上げます。産業界からの専門委員会の委員として参画させていただいて、貢献させていただいたことに対して感謝を申し上げるものでございます。
しかし、主たる目的であった光化学オキシダントの注意報、警報、この発令日数、これは冒頭岩崎委員のほうからもお話があったと認識しておりますけれども、全国的に見て、ほとんど変わっていないのではないかという認識をしております。そこで、今般、VOC排出抑制を旨とする専門委員会は目標を達したということも踏まえて発展的に解消され、今後新たな委員会を立ち上げられるということに関して賛同いたします。
そこで、今回も、専門委員会の委員として産業界からも参加させていただいて、光化学オキシダントによる大気汚染の改善に貢献させていただきたいというお願いを申し上げます。
2番目です。これらを推進する中で、適切な指標の検討についてでございますが、気象条件の変化等の影響を大きく受けやすいこの環境基準値をもとにした注意報、警報とは別に、環境改善効果を適切に示す指標の検討を行って結論を得ると第四次環境基本計画にございました。本検討に関しましても、新しい委員会で行われることを期待しております。そして、大気汚染の改善対策とその効果を事前事後に評価をされながら推進されていくことを望みます。
以上でございます。
【部会長】ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
【太田委員】私は、交通計画という立場からちょっと見させていただいたのですが、特に緊急時の措置ですが、今までのいろいろなお話で、どうもVOCの排出抑制については定量的なメカニズムがまだはっきりわかっていないと。そうすると、予報というものの位置づけですよね。いろいろと精度に問題があるとしても、そういうことが起こりうるということについて、やはり状況があった場合、事前にどこまで予報を出すかとか、そういう点についてもう一度、全体的に見直しておいていただきたいということと、交通関係で対応するとすれば、地震対策に対する減災的なことで、事前にできることというのは非常に限られているわけですが、少なくとも、私の知っている範囲では、パリであるとか、イタリアのいろいろな都市では、事前のそういうものに基づいて、ナンバー制で交通量を抑制すると。逆に公共交通を無料にするとか、かなり広範囲な対応が整えられていますよね。そういった海外でのいろいろな事例等もぜひ検討されて、やはり不確実性のもとでもその対応をどうするかという原則を地震対策その他と合わせて同じような考え方でいけるように思いますので、検討していただければと思います。
以上です。
【部会長】ありがとうございました。
今の点は、これまで説明した中に入っていないところでございますが、ぜひ、この点も含めて、この後の排出抑制対策等の小委員会で検討いただければというふうに思います。ありがとうございました。
どうぞ、そのほかございますでしょうか。
(なし)
【部会長】もしよろしければ、次の議題に移らせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
続きまして、議題の3でございますが、その他の報告事項として、VOC排出インベントリの修正について事務局から説明をいたします。お願いいたします。
【栗林大気環境課長補佐】資料3をご覧いただきたいと思います。大変申し訳ないのですけれども、平成22年度、目標年度におけますVOC排出インベントリにつきまして、5月18日のこの2回前の大気環境部会でも44%を超える排出削減ということで一部紹介させていただきました。その後、VOCの専門委員会でもこのご報告をさせていただきました。6月7日の第15回の専門委員会においてご報告をさせていただいた際に、専門委員会の委員の方からご指摘を受けました。その概要が四角に囲まれている部分でして、大きく二つございます。いずれも経年変化を見ると、例えば平成22年度、あるいは平成21、22と、前年度に比べて激減しているように見えると。その理由についてご紹介を受けたものです。
一つ目としましては、業種別のVOC排出量ということで、なめし革・同製品・毛皮製造業、この平成22年度の排出量が21年度に比べて減少しているということで、括弧書きにありますように、平成21年度の1,273トンから、22年度は270トンと推計されたということ。それから、②としまして、これは一つの例ですけれども、長崎県の平成22年度の排出量が平成20年度に比べて大きく減少しているというご指摘をいただいております。これは、その下の括弧を見ますと、実は平成22年度から21年度にかけて半減しているということでございます。この原因について、改めて推計過程を精査しまして、集計に誤りがあったということで集計作業を行わせてもらいました。この修正につきましては、前回8月29日のVOCの専門委員会のほうでご報告させていただきまして、ご了承いただいたところでございます。その結果、平成22年度におけますVOC排出量の推計値は、修正前に比べて若干排出量は増えまして、平成12年度に比べまして、44.1%の削減、修正前につきましては44.2%の削減とご報告させていただきましたので、0.1%削減率が低くなったということでございます。
ご指摘いただいたほかにも、ドライクリーニングの溶剤の推計方法につきまして、平成22年度分から変更しておりますけれども、本来推計方法を変えた場合には、必要な年度まで遡って推計すべきものでありましたけれども、同様の状況であります前年度、平成21年度につきましては、遡らなかったということでございましたので、そちらもあわせて修正させていただいております。
簡単にその原因をご説明させていただきますと、1.の(1)、こちらに「なめし革・同製品・毛皮製造業」についてでございますけれども、表1にまず接着剤の物質グループ別需要分野別出荷量の構成比というものを入力する、計算上入力する必要がありまして、この表1にありますように、例えば、トルエンですと8%等という数字があります。これが正しい数値なんですけれども、こちらを単純に、単純にというとちょっと語弊があるんですけれども、数字の入力をミスしてしまったと、別の数字を入れてしまったということでございます。したがいまして、次の2ページ目にあります表の2の接着剤の需要分野別・物質別VOC使用料の推計結果とあります、それの中段にあります靴・履物、こちらで正誤ということで、上下段に記載してありますけれども、正しくは、例えばトルエンですと523トンで、あるべきところを20トンというアウトプットになってしまったと。いずれの物質につきましても、約26分の1ぐらいの少ない数値となってアウトプットしてしまったということでございます。そういうことから、表の4にありますように、平成22年度ですと270トンという推計結果になっていましたけれども、正しくは1,471トンということでございます。
それから3ページ目、都道府県別のVOC排出量につきまして、こちらにつきましては、総排出量から、例えばPRTRの届出排出量、これの都道府県割合、比率を用いて分配するというような形をとっております。表の4にありますように、輸送用機械器具製造業、それからその下の精密機械器具製造業につきましては、PRTRの届出業種の分類としまして、本来上段の輸送用機械器具製造業であれば、鉄道車両・同部品製造業、それから船舶製造等の分野についてもあわせて計上する必要があったのですが、下の二つについて計上漏れがあったと。同様に精密機械器具製造業につきましても、医療用機械器具、医療用品製造業のPRTRの届出の数値を計上漏れしてしまったということで、長崎県等におきましては、低く見積もられてしまったと。逆に、これらの計上漏れされた分野の部分が高いものについては、相対的に低くなるというようなことになりまして、表6にありますように、複数の県で、特に大きな修正が必要となってきております。
次のページ、4ページ目。上段につきましては、精密用機械器具製造業の都道府県配分で主なものについて数百トンのプラスマイナスが発生したということでございます。その下のなめし皮等につきましては、先ほど説明させていただいた通りでして、自治体によっては、330トンから150トンぐらいの増加となったということです。
これから説明させていただきますその下の洗濯業の都道府県配分につきましては、平成21年度分につきましてですけれども、全都道府県で37から1,134トンということで増加するということでございます。今申し上げました洗濯業の部分でございますけれども、5ページ目をご覧いただきたいと思います。2.発生源品目別VOC排出量「ドライクリーニング溶剤」について、平成21年度に遡って改めて計算し直したということでございます。このドライクリーニング溶剤につきましては、実際は、表8のクリーニングソルベント使用推計量、それから、表9のテトロクロロエチレン使用推計量、これを単純に合計したものから廃棄されたもの、それを差し引いて算出しております。
ただ、表の8にありますように、クリーニングソルベントの使用推計量につきましては、平成20年度から21年度にかけて半減しているということです。これにつきましては、表の9の下にコメントを書かせていただきましたけれども、石油化学メーカーの合併がございまして、クリーニングソルベントの出荷量を把握し切れなかったということが原因と考えておりますので、平成21年度からは、本来推計方法を変えて、より確からしい数字を求める必要があったということでございます。その計算方法としましては、6ページ目にあります表の11、先ほど表の8をご覧いただきましたクリーニングソルベント、これは石油化学メーカーの出荷量調査からいただいたもの、これをXとしまして、それから一方、日本クリーニング用洗剤同業会からいただいたデータ、これをYとしますと、このXとYには非常に高い相関があります。Yのクリーニング用洗剤同業会からのいただいたデータにつきましては、平成17年度以降もよいトレンドを示しているということですので、この相関をもとにXを推計するという形をとっております。その結果、表13にありますように、平成21年度につきましても、1万7,447という数値から推計としましては、3万3,000弱という推計になります。したがいまして、7ページ目の14にありますように、平成21年度につきましても、2万4,842トンという推計になりまして、トレンド的には、平成17年以降、着実に減少しているというような状況になっております。
最後に8ページ目、8ページをご覧いただきたいと思います。これが修正を反映したものでございまして、こちらには発生源品目別のVOC排出量の推計結果を閉めさせていただいております。平成22年度の一番右下でございますけれども、削減率が44.1%ということで修正させていただきました。今回の推計ミス、計算ミスの事例を踏まえまして、また今年度も排出インベントリの推計というものにもう既に着手はしております。このような間違いがないように請負業者と我々事務局のほうもいろいろな改善策について整理させていただきました。また、排出インベントリの座長を務めていただいています浦野先生からもご意見も頂戴しまして、このようなことがないようにまた努めていきたいと思いますので、ご理解いただければと思います。
以上でございます。
【部会長】ありがとうございました。
ただいま説明がございましたVOC排出インベントリの修正についてご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。
【浦野委員】一言だけ。私がこのインベントリのまとめ役をさせていただいて、こういう修正が、完璧にすることはなかなか難しいのですが、こういう比較的、ある意味ではわかりやすい間違いをした部分がございまして、こういう修正をすることになったことを、まずここでお詫びをしたいと思います。理由を言うと切りがないし、具体的なことは書かれたのですが、今後もこういう推計をしていくわけですが、具体的な作業をする業者さんが去年から変わっておりますというような事情もございまして、なかなか今後もそういうことが起こるわけなので、事務局とも相談、環境省とも相談をして、できるだけ、業者が変わっても、細かいところの引き継ぎもきちっとできるような制度設計をしないといけないということで今検討をしておりますので、今後こういうことがないように私と事務局も含めてしっかりやっていきたいと思いますので、お詫びと同時に決意を述べさせていただきます。
【部会長】どうもありがとうございました。
そのほかいかがでございましょうか。どうぞ、浅野委員。
【浅野委員】結果的には委員会、審議会が機能したということで、よかったのではないかと思います。それがなければ誰も気がつかないまま終わったので、今後とも、審議会としても目を光らせるということが大事だということをお互いに確認ができたと思います。
【部会長】ありがとうございました。
今の排出インベントリのデータの9ページをご覧いただきますと、トルエンだとかキシレン、エチルベンゼン、これが半分とか3分の1ぐらいになっていると。これは実はすごいことなのです。光化学オキシダント、それからPM2.5についても、今後こういったものの成果が成分分析なりをきちんとやることによって見えてくるであろうというような推計を持ってございます。ただし、今までごみ焼却処理施設とか自動車排ガス規制とかそういったものが結構いろいろな形でやられていまして、例えば粒子状物質の減少はそういうものの中にかなり有機の炭素成分があるわけで、その中が実はごみ焼却からどれだけ減ったのか、それから自動車排ガス対策からどれだけ減ったのか、それから光化学生成の部分がどれだけ減ったのかとか、そういった情報がわからない状況に今あるわけでございます。そういったものを先ほど河野委員から質問がございましたけれども、そういったものを今後調べていくことによって検証をしながら、いわば対策がどういう効果があったかというようなものが、仕組みができるようにしていこうというのが現在の環境省でやろうとしている方向でございます。
少し、VOCの排出抑制に当初関わったもの、それから現在光化学オキシダントが非常に達成率が低いということですが、あれについても、例えば注意予報という形で見た場合はどのくらいの濃度での分布なのか、その注意予報の数値を超えれば、もうそれはどれだけ注意予報が出たという形になります。それに対して平均濃度とか、それから注意予報が出たところのランク別がどうなったとか、そういったものを見ていくことによって、より対策効果なりがどうであったということが案外の情報に整理されていくであろうという形で、光化学オキシダントの委員会のほうではそういったこともデータを今整理をしてきたというような状況でございます。こういったことで、今日VOCと、それからアスベストの二つの中間報告をさせていただきましたけれども、アスベストのほうは、この後、数回委員会があった後、12月に中間、そしてさらにまた検討が続きます。VOCにつきましては、この後まとめ案がつくられて、それにつきまして、委員会が1回行われて、その後のものが12月のこの大気環境部会に提出されるということになろうかと思います。そういったことで、今日いただきましたご意見は、それぞれの委員会のほうで反映していただき、より環境負荷の少ない状況をつくるためにご尽力いただければというふうに思います。
どうぞ、何か質問はございますでしょうか。どうぞ。
【草間委員】今、修正のご説明をいただいたわけですけれども、こういった修正に関しまして、どういう形で公開するかというのをちょっとご説明いただきたいと思うのですけれども。
【部会長】事務局のほうからお願いいたします。
【栗林大気環境課長補佐】排出インベントリにつきましては、毎年度環境省のホームページにも公表させていただいておりまして、この修正の部分につきましても、同様に環境省のホームページのほうに公表させていただくとともに、各自治体の配分ということもありますので、自治体のほうにも、その旨ご連絡させていただいているところです。
【部会長】よろしいでしょうか。
【草間委員】はい。
【部会長】ありがとうございました。
どうぞ、そのほかいかがでございましょうか。
この排出インベントリの修正についてよろしいでしょうか。
(はい)
【部会長】ありがとうございました。
それでは、そのほか、今日、議題3件これで終わりでございますので、事務局のほうから連絡事項等ございましたらお願いいたします。
【倉谷大気環境課長補佐】議題としましては、特にこれ以外にご用意しているものはございません。
本日は、長時間にわたってのご議論ありがとうございました。なお、本日の議事要旨、議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、後日公開させていただくこととさせていただきたいと思います。
【部会長】ありがとうございました。
本日の部会は、12時半まで予定をさせていただきましたけれども、皆様方から活発なご意見をいただき、かつ意見をまとめてやっていただきましたので、予定の時間が少しまだございますところで終わりにさせていただきたいと思います。ご協力どうもありがとうございました。