(部会長) | 坂本 和彦 | |
(委員) | 相澤 好治 | 浅野 直人 |
礒野 弥生 | 大塚 直 | |
加藤 順子 | 中杉 修身 | |
(臨時委員) | 石川 義紀 | 稲垣 隆司 |
岩崎 好陽 | 内山 巌雄 | |
浦野 紘平 | 圓藤 陽子 | |
北野 大 | 河野 通方 | |
小林 悦夫 | 佐藤 信彦 | |
塩路 昌宏 | 大聖 泰弘 | |
武林 亨 | 永井 克昌 | |
中館 俊夫 | 中山 寛治 | |
永芳 栄始 | 新田 裕史 | |
平松 サナエ | 三浦 由理 | |
山﨑 広美 | ||
(環境省) | 小林水・大気環境局長 | 加藤総務課長 |
小林大気環境課長補佐 | 倉谷ダイオキシン対策室長補佐 | |
西本環境管理技術室長 | 髙井環境管理技術室長補佐 | |
森下自動車環境対策課長 | 出口自動車環境対策課長補佐 |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会 「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)」概要 |
資料2 | 中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会 「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)」 |
資料3 | 中央環境審議会 「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次答申)(案)」 |
資料4 | 新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針について |
資料5 | 「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」の変更について(冊子は委員限り) |
参考資料 | 中央環境審議会大気環境部会(第33回)議事要旨 |
議事
【環境管理技術室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第34回大気環境部会を開催いたします。
本日は、委員総数38名のうち28名のご出席をいただいておりますので、定足数である過半数に達しておりますことを、まずはご報告させていただきます。
初めに、新たに大気環境部会にご所属いただく委員の先生方のご紹介をさせていただきます。
相澤好治委員でございます。それから、本日若干遅れておられますが、大塚直委員。それから、本日ご欠席のご連絡をいただいておりますが、岡田智典委員、梶原泰裕委員、西崎宏委員が、新たにご所属いただいております。
続きまして、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
配付資料はクリップをとっていただきますと、まず座席配置図、そして議事次第、それから委員名簿、これらが1枚ものでございまして、その次に、資料1といたしまして、自動車排出ガス専門委員会第十一次報告の概要について、それから資料2として「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次報告)」、そして、次の第十一次報告参考資料は、この資料2の続きでございます。そして、資料3といたしまして「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次答申)(案)」。そして、資料4といたしまして、新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針について。そして、資料5といたしまして「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」の変更についてのプレス資料、そして、その次にございます冊子は、この資料の続きとして「ダイオキシン類の量を削減するための計画の冊子」がございます。そして、最後に参考資料といたしまして、中央環境審議会大気環境部会(第33回)の議事要旨をつけてございます。
以上でございますが、万が一資料の不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけいただけたらと思います。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきまして、これ以降の会議の進行を坂本部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【部会長】 皆さん、おはようございます。暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
早速でございますけれども、本日の審議に入らせていただきたいと思います。
まず初めに、議題1でございますけれども、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次答申)について」でございます。
平成8年5月21日付の環境庁長官からの諮問に対して、これまで累次答申を行ってまいりました。平成22年7月28日には第十次答申を取りまとめましたけれども、その中で引き続き検討すべきとされた課題等を検討し、今般、第十一次報告として取りまとめてございます。
それでは、第十一次報告について、自動車排出ガス専門委員会委員長であります河野委員からご報告をいただき、その後、事務局から詳細な説明をお願いいたします。
それでは、河野委員、よろしくお願いいたします。
【河野委員】 自動車排出ガス専門委員会委員長の河野でございます。
それでは、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方についての第十一次報告について、まずは私から概要をご説明させていただきたいと存じます。
自動車の排出ガス低減対策については、大都市地域を中心とした大気汚染は依然として深刻な状況にあることなどから、平成8年5月に、環境庁長官から中央環境審議会長に対し、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について諮問がなされ、大気環境部会に付議、そして、自動車排出ガス専門委員会が設置され、審議を行ってきたところでございます。
平成22年7月の第十次報告では、ディーゼル重量車次期排出ガス規則及びバイオエタノール10体積パーセント混合ガソリン、いわゆるE10でございますが、E10対応ガソリン車の排出ガス低減対策について提言し、二輪車の排出ガス試験サイクルの見直しなどを、今後の検討課題といたしました。
本第十一次報告は、二輪車、ディーゼル重量車及びディーゼル特殊自動車について実態に即した自動車排出ガス低減と、可能な限りの国際基準調和を考慮しつつ、我が国の大気環境の改善を図るための排出ガス低減対策と今後の検討課題を取りまとめております。
二輪車の排出ガス低減対策については、自動車からの排出ガス総量の削減により大気汚染状況のさらなる改善を図るため、四輪車に対し車両当たりの移動量で比較した排出ガス、特にHCの寄与度が高い二輪車の排出ガス規制を強化いたします。排気管排出ガス許容限度目標値を現行規制より3ないし6割低減するとともに、排出ガス試験サイクルを世界統一試験サイクル、WMTCといっておりますが、これに変更いたします。燃料蒸発ガス対策の導入、車載式故障診断システムの装備の義務付も、あわせて次期対策とし、平成28年末までに適用を開始いたします。
なお、これらは通常のガソリン対応車に加え、E10対応二輪車にも適用いたしたいと存じております。
ディーゼル重量車の排出ガス低減対策として二つの課題がございます。
一つは、使用過程の尿素SCRシステム搭載、新長期規制適合車においてNOx排出量が大幅に増大する事例が確認されたもので、これまでの検討から定期的な触媒の昇温等によるHC被毒対策を提言するとともに、性能低下のさらなる原因究明及びその対策の検討を引き続き進めていくことにいたしました。
二つ目は、公定試験モード外、いわゆるオフサイクルにおける排出ガス低減対策でございます。エンジンの電子制御化により、公定試験モードにおいて排出ガスを許容限度目標以下としつつ、オフサイクルの走行において排出ガスを増大させる車両が出現する可能性があるため、排出ガス低減装置の無効化機能、いわゆるディフィートストラテジーの適用を禁止するとともに、認証において、その制御の有無を検証することにいたしました。
最後に、ディーゼル特殊自動車については、平成26年規制にあわせ、規制合理化の観点から認証時の黒煙試験を廃止するとともに、使用過程での黒煙測定方法を、従来の黒煙汚染度測定器からオパシメータによるものに変更することといたします。
また、ブローバイガスの大気開放を原則禁止するとともに、認証時の試験測定モードについてRMCをオプションとして追加することといたしました。
今後は、第十一次報告において、今後の検討課題としてあります乗用車の排出ガス低減対策などについて、専門委員会で引き続き検討していくこととしております。
概要は以上でございますが、引き続きまして、事務局のほうから詳細な説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【環境管理技術室長】 それでは、資料1に基づきまして、ただいまの自動車排出ガス専門委員会第十一次報告の概要について、ご説明させていただきます。
資料の2ページ目をご覧いただけますでしょうか。
第十一次報告では、ただいま河野委員からのご報告のとおり、大きく二輪車、ディーゼル重量車、ディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策について報告されております。
まず初めに、二輪車の排出ガス低減対策についてご説明いたします。3ページをご覧ください。
二輪車に対しては、最新規制として平成18年・19年規制が実施されておりますけれども、四輪車と比べるとHCやCOの単位走行量当たりの排出量が、下の表にありますとおり大きくなってございます。また、燃料蒸発ガスの排出ガス寄与率が相対的に高くなっていたり、あるいは使用過程での排出ガス低減装置等の機能不良を管理する必要性が高まっていると、こういった背景もございます。
一方、4ページにございますとおり、二輪車の全世界での販売台数は、2010年に約5,400万台ですが、その多くはアジアでの販売が占めておりまして、国内市場は42万台と非常に小さく、国内向け専用車の開発が大変厳しい状況となっております。
諸外国の排出ガス低減対策を見ますと、5ページになりますが、試験サイクルについては自動車にかかる国際基準を策定する国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム、WP29の場で、二輪車の世界統一サイクルWMTCが、我が国も参加して策定されておりまして、欧州ではこのWMTCを導入して、平成26年からEURO4、平成29年からEURO5によりまして、段階的に規制が強化される予定でございます。
一方で、先ほどもご覧いただきました大きな市場を持つアジアの新興国では、現在、欧州の古い規制を、段階を追って導入をしている状況でございまして、したがって、その過程でWMTCが導入される見込みとなっております。
したがって、我が国の排出ガス低減対策を検討するに当たりましては、我が国の実態に即したものとすることはもちろんでありますが、それだけでなく、国際基準や諸外国の規制との調和によって開発費用の低減、あるいは開発期間の短縮を図ることも重要となってきております。
このような背景の中、まずは排気管排出ガス低減対策についてご説明をいたします。6ページをご覧ください。
規制の見直しを検討するに当たりまして、現状の排出ガス低減対策を見ますと、現状では、電子制御燃料噴射、三元触媒、O2センサーによる理論空燃比フィードバック制御というのを基本としておりまして、基本的には四輪車と同じ技術が入っているということになりますが、四輪車と比べると、二輪車の場合、サイズやレイアウト、あるいは振動に対する強度確保などにどうしても制約がございます。また、コスト面からもシステムの簡素化、あるいは共通化が図られているというのが、現状でございます。
なお、エタノール10体積パーセント混合、いわゆるE10ガソリンの対応車につきましては、この理論空燃比フィードバック制御によって排出ガス量は通常ガソリン車と同等レベルに抑えられるものと考えられております。
具体的な規制の見直し内容といたしましては、まず、排出ガス試験法でございます。先ほどご説明いたしましたとおり、フィードバック制御が採用されておりますので、基本的には過渡運転サイクルで評価することが適当と考えております。
その排出ガス試験法としては、7ページにございますとおり、先ほどご説明いたしました世界統一試験サイクル、WMTCが策定されております。
これは、この図にありますとおり、我が国を含む各国の実走行データをもとに、走行量等を勘案して策定してございまして、大きく三つのパート、Urban、Rural、Motorwayの三つのパートに分けまして、それぞれを、今度はその車両のほうはエンジン排気量及び最高速度によって分類されますクラス1から3まで、これはそれぞれ現状の日本国内の状況に当てはめますと、大体、原付、軽二輪、小型二輪に相当いたしますけれども、これらの走行実態に応じて、この三つのパートに重み付けを設定している、こういったモードになってございます。
これを国内の実走行データに基づいて策定したサイクルと比較した場合が8ページとなりますが、速度と加速度の頻度分布において、この青い図がございまして、左が国内、右がWMTCのものでございますけれども、全般に高い相関がございます。
それから、WMTCでの排出ガスが低減しますと、国内実走行サイクルでも低減するということが確認されていること。そして、各パートの重み付け及びコールドスタート比率、これについては、原付ではほぼ同等、軽二輪、小型二輪では若干コールドスタート重視、さらには、小型二輪では高速走行対策重視ということで、厳し目の方向での評価となるということがわかります。
このため、ここでは、結論といたしまして国際基準調和の重要性にもかんがみて、我が国の走行実態と全般に高い相関のある、この世界統一試験法であるWMTCを導入することとしております。
次に、次期排出ガス許容限度目標値でございますが、9ページをご覧いただけますでしょうか。
先ほど申し上げたように、欧州において平成26年にEURO4、平成29年にEURO5の規制が開始をされる予定でございます。二輪車メーカーによる排出ガス低減技術の開発期間を考慮いたしますと、EURO5と同時期の平成28年末までに適用開始するということが適当としてございます。
平成28年末までには、技術といたしましては燃料噴射制御の最適化、可変動弁機構の採用、それから、触媒の大型化、早期活性化、高効率化などの開発が見込まれておりまして、これらを考慮した次期排出ガス許容限度目標値としては、先ほどご説明いたしましたWMTCのクラス分類によるクラスごとに、この下の表のとおりとなってございます。これらよりまして、現行の規制値のWMTCによる等価規制値と比べますと、約3割から6割の低減が実現されるということになります。
これをEURO5と比較をいたしますと、10ページに書かれておりますとおり、輸出入の多いクラス3では、いずれのガス種についても一致しておりますが、クラス1及びクラス2については、THC、トータルハイドロカーボンについて厳し目の値となってございます。これは、今回HCを主眼としております規制強化で、現行規制からある程度の低減率が必要であると同時に、技術的にも可能であるということの判断によるものでございますが、これらのクラス、クラス1、クラス2については、輸出入がほとんどないということもございまして、技術開発コストへの影響は小さいと考えております。
今般の規制によって排出総量の削減効果を見てみますと、今般の規制を行わなかった場合、すなわち現行の、平成18年規制適合車への買いかえのみによる効果に比べますと、こちらの表のように、平成32年度におきまして、今回主眼となるHCの排出量で約2割の削減効果が見込まれてございます。
次に、燃料蒸発ガス対策に移ります。11ページをご覧ください。
燃料蒸発ガスは、長時間駐車時に外気温や走行直後の車体の熱を熱源として蒸発する燃料をいいまして、四輪車では、既に規制が実施されております。また二輪車でも、米国、あるいは中国などで既に実施、欧州ではEURO5から規制される予定になってございます。対策は、蒸発ガスを大気開放せずに、キャニスターに吸着させて走行時にエンジンに取り込むというものでございまして、既に確立しております。
試験法は、密閉した試験室内、SHEDといいますが、燃料タンクをヒーターで一定の温度まで加熱した際、あるいは一定のサイクルを走行させた後に一定時間試験室内に放置した場合のそれぞれの試験室内でのHC濃度の変化を測定する、カリフォルニア州のものが確立しております。
燃料蒸発ガスの総量は、12ページ下の表のとおり、排気管排出ガス総量に比べても多くなってございまして、この対策により約3割の削減が見込まれることから、次期排気管排出ガス規制の時期にあわせて、カリフォルニア州試験法よる規制を導入することとしまして、低減の目標値としては、乗用車、あるいは米国などの規制値と同じ2g/testとしてございます。
次に、OBDシステムの導入でございます。13ページをご覧ください。
四輪車では、排出ガス低減装置が正常に機能していることを監視するOBDシステムが搭載されています。二輪車においても、その第一段階である断線・ショートの判定及び運転者に通報する、こういったシステムは確立しておりますので、実車への装備の対応期間を考慮して、次期排気管排出ガス規制の時期にあわせて、これを義務付けるということが適当としております。
以上が、二輪車の排出ガス低減対策でございます。
次に、大きく2点目になりますディーゼル重量車の排出ガス低減対策に移ります。
2点ございまして、1点目は、14ページのNOx後処理装置の耐久性・信頼性確保のための措置でございます。
尿素水を還元剤といたしまして排出ガス中のNOxを窒素に還元する尿素SCRシステム、これが一般的になっておりまして、平成17年の新長期規制適合車の一部から採用されまして、現行の平成21年、ポスト新長期規制適合車ではほぼ主流となっております。
この尿素SCRシステムを搭載した使用過程の一つ前の新長期規制適合車、こちらについて、別の目的ではありますが、調査ものの中で、シャシダイナモで排出ガス試験を実施いたしましたところ、この15ページにあるように、NOx排出量の規制値を超過する結果が複数得られております。その原因としましては、未燃料由来のHC、あるいは硫黄、リン、その他金属による触媒の被毒、性能劣化、こういったものが起きているということが考えられておりまして、HC被毒の解消のために、同システムの温度を一度上げて、再び排出ガス試験を実施してみましたところ、NOx排出量は減少いたしましたけれども、依然として規制値を超えるレベルあった。
一方、アンモニア、NH3排出量が減ったり、あるいは亜酸化窒素、N2Oが増えるといった変化がございました。この変化は、このSCR触媒の前段にある酸化触媒、こちらにHC被毒以外の原因で、何らかの原因で性能低下が起きているということを示唆しております。
このため、これらへの対応といたしまして、16ページにございますようにHC被毒解消への対応として、使用過程において尿素SCRシステムを定期的に昇温するなどの対策が望ましい、そして、原因が特定できていない前段酸化触媒の性能低下については、引き続き調査を行った上で対策を検討するということとしております。
なお最新規制であるポスト新長期規制適合車、こちらについてもこの尿素SCRシステムはついてございますけれども、こちらについてはPM規制強化への対応もございまして、DPFが同時に導入されております。したがって、定期的に昇温が起きる、DPFの再生という行為によって定期的な昇温が起きるということで、HC被毒等は解消されていると思われますけれども、こういった同様の事例が起きていないかについては、引き続き実態把握に努めることとしております。
次に、排出ガス低減装置の使用過程における性能維持については17ページでございますが、新車認証時に、耐久走行後の排出ガス性能によって、こういったものは確認をしておりますけれども、これまでに耐久走行試験は、より厳しい条件で、あるいは、その試験期間短縮ということもありまして、高負荷高回転で行っております。しかしながら、実際の走行では低速低負荷での走行も行われておりまして、こういった今回問題となりました尿素SCRシステムのような後処理装置については、場合によっては低速低負荷が厳しい条件となる場合も考えられるということもございまして、したがって、こういった後処理にとって厳しい走行条件も考慮した耐久走行試験法になるよう見直すことが適当であるということも、あわせて結論づけられております。
次に、ディーゼル重量車の2点目の課題でございますが、オフサイクルにおける排出ガス低減対策というのを18ページ以降でご説明いたします。
ディーゼル重量車でも排出ガス対策などのために電子制御技術が、既に導入をされておりますけれども、これによりまして公定の試験サイクルでは排出ガスを抑えて基準に適合するのですが、公定サイクル外の走行、いわゆるオフサイクルにおいては、特に、実走行では排出ガスとトレードオフの関係にある燃費を重視した制御としまして、結果的には、排出ガスが悪化するといったような車両が出現する可能性がございます。
このオフサイクルでの排出ガスの抑制につきましては、次期排出ガス規制におきまして世界統一基準であるOCEという試験プログラムを導入することとしておりますけれども、こういった排出ガス低減装置を無効にするような制御、いわゆるディフィートストラテジーと呼んでおりますが、こういったものは早急に禁止する必要があるということで、このオフサイクル排出ガス低減対策を検討してまいりました。
その結果といたしまして、19ページにございますとおり、まず、このディフィートストラテジーは基本的に禁止する。ただし、エンジン保護、あるいは安全確保のため、あるいはまた、エンジン始動時、暖気時に必要なもの、こういったものは明確に規定をした上で除外するということにいたしました。
この場合に、除外したものについては、この条件から外れた場合には直ちに解除すること、それから、条件の範囲内であっても、可能であれば作動は最小限とするということとしております。
さらには、除外すべき条件については、実際の出現頻度、あるいは技術開発状況などを今後も見ていきまして、必要に応じて見直しを行うこととしてございます。
このディフィートストラテジーはさまざまな条件が考えられておりまして、その制御がないことの確認というのは容易ではないわけでありますが、こういったものは、先ほど申し上げましたように燃費を改善するということが一つの動機となり得るということでございまして、一つの手段として、排出ガス試験において燃料消費量が燃費公表に用いられる燃費と一致することの確認が考えられております。
20ページのほうをご覧いただけますでしょうか。
現在、排出ガス試験は、この20ページの左下の図にありますとおり、試験モードであるJE05モードを、標準車両緒元を用いて負荷とエンジン回転数に換算いたしまして、エンジンベース、エンジンでこの試験は実施してございます。
一方で、燃費のほうは、この図の下、右のほうになりますけれども、実際には同じエンジンがさまざまな車両に搭載されて、それらごとに燃費が異なるということがございますので、あらかじめ、エンジンの負荷と回転数ごとの燃料消費量をとった二次元のマップと呼ばれるものを準備しておきまして、このJE05から、それぞれ車両ごとの諸元で、このJE05走行した場合に発生する負荷回転数というのを求めて、その負荷回転数を、先ほどのマップ上でシミュレーション、これはコンピューターでシミュレートして、それぞれ燃費を求めると、こういった手法を使ってございます。
現在は、排出ガス試験と、それから今申し上げた燃費試験、これらでは車両諸元が異なるということで両車の燃費を比較することはしておりません。排出ガス試験が過渡運転であるのに対して、燃費試験は、今申し上げたように定常運転の試論の結果ということになりますので、場合によっては、それぞれで制御を変えるといったこともできてしまう現状にございます。
このため、次の21ページにございますとおり、燃費試験で用いた車両諸元と同じ車両諸元で排出ガス試験を実施いたしまして、その際に、同時に実測燃費値を測定しておきます。この実測燃費値が燃費試験のもの、つまり、コンピューターシミュレーションで求められたものから3%以上乖離していないという場合に限って、排出ガス試験がきちんと成立している、つまり、制御が同じであると、ディフィートストラテジーが働いていないとしまして、その際の排出ガスが基準値以下であることを確認するということといたしました。これによって、燃費試験での制御と排出ガス試験での制御を変えることは防げるということになります。
ただ、これだけでは実際、実走行でディフィートストラテジーがないということの確認までは取れないということになっておりますので、引き続き、今後実施するさまざまな調査などで排出ガス試験をいたしますが、その際にディフィートストラテジーの疑いがないかという確認も、同時に行っていく必要があるとされております。
次の22ページ、これはディフィートストラテジーそのものではございませんけれども、オフサイクルの観点からの課題ということで、1点課題を記しております。
後処理装置である尿素SCRシステムというのは触媒でございますので、温度によって活性が敏感に変化しまして、また、一定温度以下では働かないといったこともございますので、尿素水の添加をとめているという実態がございます。
一方で、このシステムは、車両への搭載位置というのは、小型自動車では他の部品のレイアウトによる制約を受ける、あるいは大型トラックですと前二軸車といったものがございますが、こういったものは前一軸車に比べると、どうしてもエンジンから遠くに配置されているのが実態でございます。
ところがこの位置によって、このシステムの温度条件が変わりまして、これが排出ガス量にも大きく影響しているということがわかりました。このためエンジンベンチでの認証試験の際、後処理装置の温度条件について使用実態の中でも最も厳しい条件となるように変更するということが望ましいとされてございます。
また、さまざまな要因で実走行での排出ガス量が変わるということがございますので、いずれは車載式排出ガス測定システム、いわゆるPEMS、これによって実走行時の排出ガス量を直接確認する手法というのが注目されておりますので、特に、欧州では、次期排出ガス規制、EUROⅥから導入される予定ということもございます。したがって、まだ測定誤差等の課題はありますけれども、今後、その導入についても検討することが望ましいというふうにされております。
最後に、ディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策のご説明に移ります。23ページをご覧ください。
まず1点目は、黒煙規制の見直しでございます。
黒煙規制といたしましては、これまで新車の認証時にC1モードと呼びます定常モード試験によりまして黒煙汚染度を規制しておりましたが、最新規制である平成23年規制適合車で、既にDPFが装着されて黒煙汚染度は事実上0%となっているという実態がございます。今後も、PM対策などを考えますと、黒煙汚染度は0%となることが見込まれておりますので、規制の合理化の観点から、C1モードによる黒煙試験は廃止することとしております。
なお、ディーゼル重量車では、既にポスト新長期規制、現行の規制からモード黒煙試験を、同様の理由で廃止しております。
次に、使用過程時の黒煙でございます。24ページでございますが、これまで光反射式黒煙測定器によって測定をしてきておりますけれども、先ほど申し上げましたように、DPF装着によって黒煙の排出水準は大幅に低減しています。ディーゼル自動車では、ポスト新長期規制車から光透過式のオパシメータと呼ばれるものを使用しております。ディーゼル特殊自動車でもDPFが、もう既に装着されているということで、第九次答申で出ました次期平成26年規制適合車、こちらからはオパシメータによって測定をすることとしまして、また、許容限度目標値としてはDPFが正常に作動していれば、ほぼゼロとなると考えられますが、ただ、水蒸気の影響などを考えて、ポスト新長期規制に倣った0.5m-1という数字とすることとしてございます。
次に、国際基準調和に向けた追加的排出ガス低減対策でございます。25ページをご覧いただけますでしょうか。
ディーゼル特殊自動車や、そのエンジンについて、現在の出荷状況のグラフが出てございますけれども、このディーゼル特殊自動車においても、約半数以上が輸出されております。したがって、この分野でも国際基準調和による開発費用の軽減、あるいは開発期間の短縮というのは重要な課題となってございます。
まず1点目でございますが、26ページのブローバイガス対策でございます。
ブローバイガスは、エンジンのピストンのすき間からクランクケースに吹き抜けるものでございまして、特殊自動車世界統一基準NRMMというのが、この特殊自動車にございまして、これが国際調和基準となってございますけれども、こちらのほうでは、このブローバイガスについては、原則として大気開放を禁止しております。
ただ、特殊自動車のうち、急傾斜で作業するような建設機械のようなもの、こういったものについては、場合によっては転倒する恐れがございまして、この場合、通常はこのブローバイガスを吸気に戻す部分、この部分にオイルが回ってしまってエンジンが暴走する危険がある。こういったことから、そのようなものについては大気開放を可とするかわりに、このブローバイガスを排気管排出ガスに合わせて規制することとしておりまして、この規制は、米国では既に適用、欧州でも今後適用の予定となってございます。
したがって、我が国においても、27ページにございますけれども、この国際基準にあわせまして、ブローバイガスは原則として大気開放禁止とする、ただし、先ほど申し上げたような大気開放の必要があるものについては、排気管排出ガスの試験時にブローバイガスを合わせて測定するということで対処したいと考えてございます。
この適用時期については、次期平成26年規制がございますので、こちらにあわせて、したがって、定格出力に応じて平成26年、27年、28年までに適用を開始するというふうにしてございます。
もう一点の国際基準への調和の件でございますが、こちらは認証における排出ガス試験モードでございまして、28ページのように、現在はC1モードと呼ばれる定常試験法を採用してございます。こちらは同ページの右上にございますけれども、定常点で、それぞれを運転した排ガスの重み付けをした排ガス量で規制しているものでございますが、先ほど申し上げたNRMM、国際基準においては日本のものでは、このC1モード、または国際モードであるRMC、これは図面の下側のほうにございますけれども、こちらのいずれかで評価するということになってございます。
ご覧いただきますと、両者測定点は基本的には同じでございまして、C1モードは、今申し上げたように各測定点での排ガス量を計測しまして、重み付け係数で排ガス量を算出するものでありますが、このRMCのほうでは、この測定点の移行を含めて、各測定点で規定された測定時間によって1回の試験のサンプリングで排出ガス量を計測するという形となっております。その重み付け係数は、このRMCはこの移行部分を含むために若干の差がありますけれども、その部分を除いては、基本的にこのC1モードと同等であるということもございまして、排出ガス試験結果からも同等であることが確認されております。
したがって、国際基準調和の観点から、結果としては、C1モード、またはRMCのいずれかを選択できるということといたしまして、同じく、次期平成26年規制の適用時期にあわせ、すなわち平成26年から28年までに適用を開始するということとなってございます。
最後に、今後の課題をご説明いたします。29ページをご覧いただけますでしょうか。
1点目は、乗用車等の排出ガス低減対策でございまして、現在WP29の場で、世界統一試験サイクルWLTCが、我が国も参加して策定されております。
統一試験モードについては、二輪車については、先ほどのWMTC、あるいは大型トラックについてはWHDCというのが、既に確立しておりますけれども、乗用車については現在、このWLTCというのが策定中でございます。したがって、これについて引き続き、積極的に我が国も貢献をしていく。そして、完成した暁には我が国も導入、そして、それに伴う新たな排出ガス許容限度目標値の検討を行うということとしております。
なお、今後の自動車排出ガス低減対策の検討に当たっては、このWLTCだけではなく、全体の話として国際基準調和活動に積極的に参加し、可能な限り基準への調和を図るということにしております。
2点目は30ページになりますが、微小粒子状物質・ブラックカーボン対策ということについて、自動車についてはこれまでも対策してきておりますけれども、引き続き対策を講じていくべきこと。それから、3点目としては、自動車から輩出される未規制大気汚染物質の排出量把握基盤の整備等の検討。それから、4点目については、バイオディーゼル燃料の排出ガスへの影響。こういったものを引き続き見ていくべきということがうたわれてございます。
以上が報告書の概要でございまして、次の31ページ以降は、本案について、これまで1カ月間、パブリックコメントを実施した結果を載せてございます。
結果としては、業界団体や個人の方から9通19件のご意見をいただいておりまして、本案の内容を大きく変更するものは、基本的にはありませんでしたので、一部若干の修正をもって対応させていただくということとしております。
それぞれのご意見、そして、それに対するお答えについては、以降の表のとおりでお答えするということにしてございます。
駆け足で恐縮でございますが、以上がご説明でございます。
【部会長】 ありがとうございました。
ただいま、資料2で第十一次報告があるわけですが、その概要を、資料1を使って説明したわけでございます。
これにつきまして、何かご質問等ございましたら、名札を立てていただければと思います。お願いいたします。どなたかご質問はございますでしょうか。
それでは、新田委員、お願いいたします。
【新田委員】 資料1の33ページ、パブリックコメントのNo.3の意見の内容にちょっと関係するのですけれども、このディフィートストラテジーをガソリン車に対して適用されているというような事例は認められているのでしょうか。質問です。
【部会長】 事務局からお願いします。
【環境管理技術室長】 乗用車について、現在、明らかにディフィートストラテジーが働いているという事例というのは、現在確認をしておりません。
ただ、今回はその発端がディーゼル重量車であったこともあって、まずは喫緊の課題としてこちらを検討させていただいたわけでございますけれども、乗用車等についても、必要に応じて今後検討していく必要があるとは考えております。
ただ、先ほど申し上げましたようなディーゼル重量車の場合は、排ガス試験と燃費の試験が異なっております。これは、同じエンジンがいろんな車種につくということからとられている措置でございますが、乗用車の場合は一つの排ガス試験で排ガスと燃費というものを計測してございますので、若干の歯止めというものはあるのかなというふうには考えておりますけれども。
いずれにしても、今後必要に応じて検討する必要があると考えてございます。
【部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
どうぞ、そのほか質問はございますでしょうか。
(なし)
【部会長】 もし、質問等がございませんようでしたら、ただいまの説明によりましてご理解いただいたというふうに判断させていただきたいと思います。
第十一次答申案の審議に移りたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【環境管理技術室長】 それでは、資料3、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方につ.て(第十一次答申)(案)、こちらにつきまして読み上げさせていただきます。
今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十一次答申)(案)。
平成8年5月21日付け諮問第31号で諮問のあった「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」に関しては、当審議会は、これまでに中間答申(平成8年10月18日中環審第83号)から第十次答申(平成22年7月28日中環審第563号)まで累次答申を行ってきた。
このうち、第十次答申において、二輪自動車・原動機付自転車(以下「二輪車」という。)の排出ガス試験サイクル等の見直し、窒素酸化物(以下「NOx」という。)後処理装置導入に伴う課題等が今後の課題とされている。また、第十次答申後にも、ディーゼル重量車の公定試験モード外、いわゆるオフサイクルでの排出ガス低減対策やディーゼル特殊自動車の黒煙規制の見直し等の新たな課題が生じている。このため、二輪車、ディーゼル重量車、ディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策について、自動車排出ガス専門委員会において検討を行った。二輪車及びディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策の検討に当たっては、我が国の大気環境を考慮し実態に即した排出ガス低減を図りつつ、国際基準への調和及び我が国の自動車関連産業の競争力強化を考慮した。
今般、同専門委員会により、別添の自動車排出ガス専門委員会第十一次報告が取りまとめられた。大気環境部会において審議した結果、今後の自動車排出ガス低減対策を的確に推進するためには、同第十一次報告を採用し、自動車排出ガスの低減を図ることが適当であるとされた。
よって、当審議会は、次のとおり答申する。
1. 二輪車の排出ガス低減対策。
光化学オキシダントに係る環境基準達成状況は依然として極めて低い状況となっている。ガソリン・LPG自動車に対して車両当たりの移動量で比較した排出ガス、特に光化学オキシダント生成に寄与する炭化水素(以下「HC」という。)の排出量が高いことから、1.1から1.3による排出ガス低減対策を進める。また、これらの対策は、バイオエタノール10体積パーセント混合ガソリン(E10)対応二輪車にも適用する。
1.1 排気管排出ガス低減対策。
排出ガス試験サイクルについては、現行の排出ガス試験サイクル(二輪車モード)を、我が国も参画する国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(以下「UN-ECE/WP29」という。)において策定された世界統一試験方法WMTC(World wide harmonized Motorcycle Test Cycle)に変更する。
次期排出ガス許容限度目標値については、別表のとおりとし、平成28年(2016年)末までに適用を開始する。また、次期排出ガス許容限度目標値の適用開始までの間、現行の二輪車モードによる規制値に対し、WMTCによる等価規制値を別表のとおりとする。
1.2 燃料蒸発ガス対策。
二輪車に対し、燃料蒸発ガス対策を導入する。燃料蒸発ガス試験法は、カリフォルニア州試験法と同様のダイアーナル・ブリージング・ロス試験及びホット・ソーク・ロス試験とし、許容限度目標値については、ガソリン・LPG自動車と同等の2.0g/testとして、平成28年(2016年)末までに適用を開始する。
1.3 OBDシステムの導入。
二輪車に対し、電気系統の断線等による機能不良を監視するOBD(On-Board Diagnostics)システムの装備を義務付けることとし、平成28年(2016年)末までに適用を開始する。
1.4 今後の検討課題。
一層の排出ガス低減には技術的課題が残っており、将来的な技術開発により、更なる排出ガス低減対策の推進を図ることが適当である。その検討に当たっては、UN-ECE/WP29において、実態調査等で得られた知見を積極的に活用し、国際基準の策定及び見直しに貢献するとともに、UN-ECE/WP29で策定される国際基準への調和についても考慮する。
2. ディーゼル重量車の排出ガス低減対策。
2.1 NOx後処理装置の耐久性・信頼性確保のための措置。
使用過程の尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システム搭載新長期規制適台車において、NOx排出量が規制値を超過していることが確認された。尿素SCRシステムは前段酸化触媒、SCR触媒及び後段酸化触媒で構成されており、尿素SCRシステムの触媒における未燃燃料由来のHCや硫黄、リン、その他金属による被毒又は触媒の性能低下が原因として考えられる。
このうち、触媒のHC被毒を解消するには、使用過程車において尿素SCRシステムを定期的に昇温することなどによる対策の実施が検討されることが望ましい。
前段酸化触媒においては、HC被毒以外の原因によっても酸化能力が低下していると考えられるものの、その原因は特定できていない。このため、性能低下に起因する走行パターン等、前段酸化触媒の性能低下の原因について引き続き調査を行った上で、前段酸化触媒の性能低下への対策を検討する。
また、耐久走行距離を下回る車両走行距離で尿素SCRシステムの性能低下が確認されたため、走行実態の中でも尿素SCRシステムにとって厳しい走行条件を考慮した耐久走行試験法への見直しを行う。
2.2 オフサイクルにおける排出ガス低減対策。
運送用途に比較的長距離走行にも使用されるディーゼル重量車においては、低燃費のものが好まれる。エンジンの燃費とNOx排出量はトレードオフの関係にあるため、エンジンの電子制御化により公定試験モードにおいて排出ガスを許容限度以下としつつ、実走行を含む公定試験モード外において燃費を改善する反面、排出ガスを増大させる車両が出現する可能性もある。
このため、ディーゼル重量車の排出ガスを悪化させるエンジン制御をディフィートストラテジーとして定義し、その適用を禁止するとともに、エンジン等の保護及び車両の安全確保のために必要な制御、エンジン始動時及び暖機過程時にのみ必要な制御は、ディフィートストラテジーとみなさないことを明確に規定する。ディフィートストラテジーとみなさない制御について、その保護が許容される条件と、保護作動条件及び解除条件を明確にするとともに、これらの条件の範囲内であってもエンジンの保護等に必要な場合に限定する。
ディフィートストラテジーの有無の検証について、シミュレーション法による燃費に対する排出ガス試験での実測燃費値との乖離率が3%以内である場合に、排出ガス試験が成立しているものと判断し、その際の排出ガスが許容限度(平均値)以下でなければならないものとする。それ以外の場合についてはディフィートストラテジーが適用されているものと判断する。
また、同一エンジンでも後処理装置のレイアウト位置による温度条件の変化により排出ガス量が大きく異なることから、エンジンベンチ認証試験条件を後処理装置にとって使用実態の中でもより厳しい条件に変更することが望ましい。
3. ディーゼル特殊自動車の排出ガス低減対策。
3.1 黒煙規制の見直し。
平成23年規制に適合したディーゼル特殊自動車のC1モード黒煙試験結果では、DPF等の排出ガス低減対策により黒煙汚染度は0%となっており、平成26年目標値以降も黒煙汚染度は引き続き0%となると考えられる。このため、規制合理化の観点からC1モード黒煙試験を廃止する。
また、使用過程時の粒子状物質(以下「PM」という。)排出測定方法について、黒煙汚染度測定器からオパシメータによるものに変更し、使用過程時の許容限度目標値は光吸収係数0.5m-1とする。平成26年目標値の車両からオパシメータによる目標値を適用することとするが、平成26年目標値を平成23年規制値から継続する定格出力が19kW以上56kW未満の車両については、平成28年(2016年)末までに適用を開始する。
3.2 国際基準調和に向けた追加的排出ガス低減対策。
UN-ECE/WP29において平成21年(2009年)に策定された特殊自動車用世界統一試験規則NRMM(Non Road Mobile Machinery)においては、ブローバイガス対策及び定常試験に係る追加的対策が規定されている。
ブローバイガスは使用過程において増大する可能性がある一方、急傾斜の作業現場において使用されるディーゼル特殊自動車では、ブローバイガスの大気開放の禁止により、転倒時等に吸気側にエンジンオイルが混入しエンジンが暴走する危険性がある。このため、原則としてブローバイガス排出を禁止し、ブローバイガスを大気開放する必要がある車両については、排出ガス試験時に、排気管排出ガスに加え大気開放するブローバイガスも測定して、両方合わせたものに許容限度目標値を適用する。
NRMMでは、定常試験として定常サイクルのC1モード又はRMC(Ramped Modal Cycle)のいずれかの試験を行い評価することとしている。C1モード及びRMCによる排出ガス量は同等と見なすことができるため、定常試験としてRMCを導入し、排出ガスの認証試験時にC1モード又はRMCのいずれかの選択を可能とする。
ブローバイガス対策及び定常試験の追加について、平成26年目標値の車両から適用することとし、定格出力が19kW以上56kW未満の車両については、平成28年(2016年)末までに適用を開始する。
4. 今後の検討課題。
自動車排出ガス専門委員会第十一次報告に掲げられた今後の検討課題については、引き続き同専門委員会で検討を進めることとする。特に、以下に掲げる課題については、重点的に検討すべきである。また、検討を進めるに当たっては、我が国の大気環境を考慮し、実態に即した排出ガス低減を図りつつ、UN-ECE/WP29において進められている国際基準調和活動に参画し、UN-ECE/WP29の検討状況、スケジュールを踏まえ、可能な限り国際基準への調和を図ることが望ましい。さらに、国は、同報告に掲げられた総合的な自動車排出ガス対策等の関連の諸施策の推進に努めるべきである。
4.1 乗用車等の排出ガス低減対策。
重量車を除くガソリン・LPG自動車及びディーゼル自動車については、UN-ECE/WP 29において、世界統一試験サイクルWLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)を含む世界統一試験方法、WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)の検討が、我が国も参画して進められている。その活動に積極的に貢献するとともに、今後その進捗状況を踏まえ、現行試験サイクル(JC08モード)を見直し、WLTCを導入することについて検討する。
また、今後、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向等を踏まえ、低燃費技術と排出ガス低減技術との両立に配慮した上で、必要に応じ新たな排出ガス許容限度目標値の設定について検討する。
4.2 微小粒子状物質・ブラックカーボン対策。
平成21年9月に、PM2.5に係る環境基準が設定されており、現在、全国的な濃度状況を把握するための測定体制の整備が進められているところである。一方、欧州では、自動車から排出されるPMの粒子数に着目した規制が、平成23年(2011年)から導入され、ディーゼル重量車に対しては平成24年(2012年)末から開始される予定であるが、現在のPM粒子数試験方法では、PM2.5にも寄与が大きいと考えられる揮発性の高い粒子は測定できないという課題がある。
また、化石燃料の燃焼によって発生するブラックカーボンは、大気汚染物質であることに加えて温暖化を促進する物質と見なされており、国際的にもその実質的な効果と削減の必要性が議論されている。自動車から排出されるPMのうち、ブラックカーボンの排出割合は大きいものの、最新の排出ガス規制に適合しているディーゼル車やディーゼル特殊自動車にはDPFが装着されており、DPFにより大半のブラックカーボンは捕集されると考えられる。
したがって、まずは、これまでの排出ガス規制等によるPM低減対策を着実に実施することとし、今後、PM2.5に対する総合的な対策及びブラックカーボンの温暖化の効果と削減対策を検討する中で、自動車に必要な対策についても検討する。
4.3 その他の未規制物質対策。
自動車からの揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)対策については、HCまたは非メタン炭化水素(NMHC)を規制対象としているが、炭化水素系の物質により大気汚染への影響は異なる。このため、自動車から排出される未規制の有害大気汚染物質について、測定方法の開発及び測定精度の向上を図り、自動車からの排出量把握のための基盤を整備するとともに、得られた情報を基に必要な施策を講じるよう努めることが望まれる。
また、今後、VOCについて、工場・事業場等を含めた総合的な低減対策を検討することとなった場合には、その一環として、改めて自動車の排出ガス低減対策及び燃料規格のあり方について、その効果と課題を踏まえて検討する。
4.4 バイオディーゼル燃料による排出ガスへの影響。
地球温暖化対策として有効であるバイオディーゼル燃料のうち、脂肪酸メチルエステル(FAME)は、近年いくつかの地域を中心に、その利用が広がりつつある。一方、ディーゼル車は軽油の使用を前提に製作されており、排出ガス規制強化に伴い、これまでより高度な排出ガス低減技術が導入されているため、バイオディーゼル燃料の使用により排出ガスに影響が生じるおそれがある。このため、ポスト新長期規制に適合したディーゼル車にバイオディーゼル燃料を使用した場合の排出ガスへの影響を調査し、その結果を踏まえ、必要な対策を検討する。
以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。
ただいま、資料3によりまして、第十一次答申案を説明いただきました。これにつきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。
まず、浅野委員、どうぞ。
【浅野委員】 答申としての内容には、別に何も文句はないのですが、専門委員会の報告を受けて答申をするわけですね。そこで、微妙に専門委員会の表現と、この答申の表現が違うところがあるので、それが、ちょっと気になります。
特に、今後の検討というくだりについて、4です。専門委員会の報告では、「なお一層の検討をする」と書いてありますが、ここでは「重点的に検討すべきである」というふうになっていて、それは、だから、専門委員会が言っていることをさらに部会が受けて、ここは大事だということを強調したということになるわけですから、その限りにおいてこの部会の答申での判断を加えたという責任があるわけです。この辺は、ちゃんと専門委員会の意向にあっているかどうかということが問題になりそうです。
専門委員会報告は、そのほかにもいろいろなことを書いておられるわけで、それを答申ではみんな切っています。この部分だけが出ている。これでいいのですかということも、ちょっと気になります。
それから、もう一つは、これが大気環境部会の伝統文化であるならしようがないと思うのですが、答申というのは、審議会が環境大臣に対して意見を述べるものですね。そうすると、「専門委員会で引き続いて検討する」というのは、みずからに言うことです。それに対して、大臣に対してこうしてくださいというのは、「大臣にこのようにしてください」ということになるはずでしょう。
それが、表現としては、みんな一緒くたになってしまっている。みずからが引き続き検討しますということと、大臣にこういうことをやってくださいというのは、ちゃんと表現としてわかるようにしないと、本当は答申の形を成していないという気がします。今まで、みんなこれでやってきたのだから、しようがないと言われれば別に文句は言いませんけれども、やはり気になります。
それから、特に「専門委員会で引き続き検討します」ということを言って、こういうことを検討する、検討するというのはいいのですが、その中に突如として「努めることが望まれる」ということが出てくる。一体、だれが何を努めるのですか。おかしいのではないでしょうか。
ですから、ここで一々修文案を読み上げることはしませんけれども、部会長にお任せしますので、もうちょっと答申らしく形を整えていただかないと、この際、仮にこれが伝統文化であったとしてもそろそろその文化を変えるべきであろうと思いますから、意見を述べます。
【部会長】 ありがとうございました。
ただいまお話しいただきましたのは、専門委員会報告、これはあくまでこの部会のもとにある専門委員会が審議して、報告をこの部会にまとめた。そして、それを私たちは、今日、皆さんに報告かつ読んでいただき、その後、答申案をまとめると、そういう手続のところへ、ある意味では一気に入っている。
事務局のほうでそれをつくってやっているわけでございますが、今、浅野委員がご指摘いただきましたような文章の部分、それからもう一つは、ここで私たちがつくった専門委員会での報告と、それからもう一つは、ここでまたさらに今度つくった形で環境大臣に答申する。もともと先ほど読み上げた文章は大分前のものでございましたので、「環境庁長官」という形でなっているものでございましたけれども、いわば環境大臣から諮問があって、そして、それに対して審議会で答申すると、そういう形の手続で、そうすると文章の書き方、形式も違ってくるだろうという形でご指摘いただいたわけでございます。
今、浅野委員から、答申そのもの、中身についてではなくて、そういった書き方、まとめ方、そういったところについてやってほしいというお話がございました。これにつきましては、今お話がございましたので、部会長のほうで引き取らして、やらせていただきたいと思いますけれども、それ以外のところにつきまして、ご質問、ご意見があればいただきたいと思います。
いかがでございましょうか。
あと、ここで少し皆さんにお詫びして、事務局のほうにやるように私が先ほど申し上げたのですが、実は、この資料が、昨日の何時ごろでしょうか。そのぐらいのメールで行っているのです。私は、そのメールを見て事務局へ返すと同時に、今日、今後は、もう少し皆さんがゆっくりご覧いただけるような時間に資料をお送りしてくださいということを申し上げました。また、9月に部会がございますが、そういったときには、次にはこのようなことがないようにしたいと思います。お詫びしたいと思います。
いかがでございましょう。そういうことを言いながら、時間が短かったから十分に読めなかった可能性もあるかもしれないのですけれども、そういったところを含めてご質問をいただければと思いますけれども。
非常に、自動車排ガス専門委員会の内容というのは非常に専門的な部分にわたるところでございますので、そのメカニズムや何かがどうとかいう形で、触媒の機能とか、いろいろなところが書いてございます。全体の考え方をご理解いただければというふうに思います。
いかがでございましょうか。礒野委員、お願いします。
【礒野委員】 これがあったほうがよいということでのお願いです。今後の検討課題なのですけれども、関連した諸施策というようなものが一つもないのです。つまり、こちらの報告では、恐らく専門技術的なものではないということで省かれていらっしゃるのだろうと思うのですが、使用過程車の問題というのが、残っているのだろうと思うのです。
適切な点検整備とか検査の問題について、入れていただけると幸いだと思ったのですけれども。
文章として、こちらが専門委員会の検討課題とは多少違うものなので、本文に入れるのか、あるいは、合わせてという形で何か前のほうにちょっと入れていただくか、何かそういうのがあると、というふうに思ったものですから。
【部会長】 ありがとうございます。
では、まず事務局からお願いいたします。
【環境管理技術室長】 ご指摘ありがとうございます。
おっしゃるとおり、特にディーゼルも含めて、この排ガス対策の使用過程での対策は非常に重要になっておりますし、特に、今回の議題の2点目というのは、まさに、既に世の中に出て走っている自動車で起きていることの、ある意味で後処理対策といいますか、これを検討しているというのが現状でございますので、そういった意味でご指摘いただいた、関連諸施策の中でも点検整備、検査といった部分の重要性というのは非常に高いというふうに認識してございます。
この答申文では、形としては報告書にあるという一言で書かせていただいておりましたけれども、そうしましたら、どういった形で書けるのかということを。
【礒野委員】 その点については、どうぞ、お任せいたします。
【環境管理技術室長】 部会長とご相談しながら検討させていただきたいと。
【浅野委員】 よろしいですか。
基本的に専門委員会報告を採用し、というのが全体にあるわけです。ですから、専門委員会報告を我々が了承しているということが前提になっているわけですが、今、礒野委員が言われたような、特にこの点については部会でも大変関心を持って、強調すべきだということがあるということですから、この答申というものの4.4の後に、何か、その他専門委員会報告に書かれているさまざまな勧告についても積極的に取り上げるべきである。とりわけというようなことにして入れておく。最後に。2行ぐらいでおさまると思います。
【部会長】 ありがとうございました。
今お話しいただいたのは、尿素SCRとか、具体的にはそれも使用過程車ではあるけれども、もっと一般的に広く使用過程車の問題、これまでもディーゼル自動車対策をさまざまやってきたわけですが、新車への代替率が落ちるとなかなか改善されない。それは、そもそもどうかというと、使用過程車のほうが、非常に排ガスの排出量が、1台当たりが多いということでございます。
そういう意味で、全般的に重要なところを、今、浅野委員のご指摘では、4.4の後に、少しそういった内容を書き加えてはどうだろうかというご意見がございました。
これは、今回の二輪のそもそものHCの規制も、乗用車に比べると走行距離当たり何十倍かも出ているわけですね。そういったところから出て、同じようなところで非常に重要なところだと思いますので、もし、委員の皆様にご了解いただければ、4.5というような形にして、使用過程車の全般的なことについて考え、検討するというような項目を入れさせていただければと思いますが、いかがでございましょうか。
今のご提案で、ご了解いただけますでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでございましょう。はい。どうぞ。
【石川委員】 坂本先生が先ほどおっしゃいましたように、私も、この会議の場になって初めてこれを拝見しましたので、中身について、ちょっとよくわからないところがあるということでお尋ねしたいと思います。
この答申の2ページ目の2.ディーゼル重量車の排出ガス低減対策、その2.1のところの3番目のプログラムですが、処理装置の耐久性について述べているところでございます。「前段酸化触媒においては、HC被毒以外の原因によっても」とありますが、その中で、「このため、性能低下に起因する走行パターン等、前段酸化触媒の性能低下の原因について引き続き調査を」ということなのですが、この「性能低下に起因する走行パターン等」というのは、どういう意味なのか、ちょっとお教えいただけますでしょうか。
性能低下というのは、多分これは、前段酸化触媒の性能低下を言っているのではないかと思うのですが、それが原因となって走行パターン等が変わるということなのでしょうか。どういうことなのか、ここの部分がよくわかりませんのでご説明いただきたいと思います。
【部会長】 事務局から説明いたします。
【環境管理技術室長】 申し訳ございません。表現が不十分であったかもしれません。
この部分は、前段酸化触媒の性能低下の原因についてということでありますが、恐らく、性能低下については、何らかの触媒の劣化といったものが起きているであろうと考えられておりまして、まず、その原因を究明するわけでありますが、もう一つ、そういった劣化が起きるのは、どういったことに起因しているのか。
それを考えたときに、例えば、通常であれば、ある程度の高速から低速まで走行することが想定されてつくられているのに対して、実走行では低速・低負荷ばかりで走っている。そのために何らかのことが起きるといったこと、あるいはその逆、あるいは別のパターンかもしれませんが、そういった走行パターンによって、その触媒の劣化が起きているという可能性もございます。
したがって、若干、二段階のことを一つに納めて表現がわかりづらかったかもしれませんが、そういった触媒の劣化が起きる大もとの走行パターン、そういったものまで究明することによって、逆にそれを対策のほうに生かしていきたいと、そういう趣旨で書かせていただいております。
【部会長】 どうぞ、石川委員。
【石川委員】 ということは、性能低下が起因するのではなくて、走行パターンに起因する性能低下ということですよね。文章の読み方ですけれども。
走行パターンが原因となって性能低下が起こる、そのほかの性能低下の原因についても引き続き調査を行うと、こういうことですね。わかりました。ありがとうございます。
【環境管理技術室長】 ご指摘のとおりでございます。順序が逆でございました。
性能低下の原因となるといいますか、逆の意味でございました。失礼いたしました。
【部会長】 ここの部分も修文させていただきます。
【浅野委員】 もとの専門委員会報告は、この答申文のままの文章ではないのですか。
【部会長】 これは、専門委員会のほうの、例えば、どなたか、ここに関して、いかがでしょうか。
【浅野委員】 今の石川委員のような言い方をすると、専門委員会報告がひっくり返ってしまう。そんなに簡単にはいかないのではありませんか。
【部会長】 塩路先生、どうでしょうか。
【塩路委員】 だから、性能低下に影響する走行パターンという意味ですよね。
【部会長】 「起因する」ではなくて、「影響する」。
【塩路委員】 文章の問題だと思いますけれども。
【部会長】 そうすれば、文章が通りますね。
【浅野委員】 元の報告書から直すのですね。
【部会長】 元の報告書のところと少し照らし合わせてみた上で、考える必要があるかと思いますが、資料2の15ページ。
【浅野委員】 (2)の真ん中あたりですね。このとおりの文章になっている。
【部会長】 それでは今、専門委員会報告の15ページ(2)に同じ表現のところがございますので、今、こちらの答申案とあわせてやらせていただきたいと思います。
そういったことで、先ほどの専門委員会報告に一部修正があった後、この部会で了承いただいたということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか、この点。
内山委員、お願いします。
【内山委員】 質問と確認なのですけれども、答申案の最後のページの、4.2の微小粒子状物質・ブラックカーボン対策のディーゼル重量車に対しての後ろで、PM粒子数試験方法が開始されるということで欧州では規制されるということが書いてありますが、そこで、しかし「寄与が大きいと考えられる揮発性の高い粒子は測定できないという課題がある。」ということで、ぽつんと終わってしまっています。先ほどのご説明では何もなかったのですが、ここは、課題があるので現段階では日本のディーゼル重量車に対しては、こういうPM粒子数というものは、まだ全然考えないという意味なのか、この「課題である」というところで終わってしまっているので。
また、実際にこの測定法で測れば、日本の現在ポスト規制で、この粒子数はどのくらいの程度にあるのか、十分クリアしているのか、あるいはどうなのかというところの検討が、この専門委員会のほうでなされたのかどうか、お聞きしたいと思います。
【部会長】 どうぞ、浅野委員。
【浅野委員】 ここは、今の部分で、段落の切り方が、本当にこの文章は気に入らないのだけれども、素直に読んでいくと「課題がある」、「考えられる」、「したがって」となっていて、次のページの頭のところに、この4.2の全体についての説明があるのですね。
なまじ改行などはしないほうがいいのかもしれないけれども。要は、課題があるから、「したがって」、まずは粛々とやりますと書いてあるわけです。
だから、「課題がある」ので、「したがって」というふうに、文章ができてはいるようです。
【部会長】 内山委員の質問は、それとあともう一つは、そういったことについて検討したかどうかということをお聞きになっているということもありますので、どうぞ、事務局のほうから。
【環境管理技術室長】 まずは、その文章の構図は、大変、ありがとうございます。ご指摘のとおり、結論は、最後の「したがって」というところにつながっておりますので、明確に書いてはございませんけれども、そういったことも含めて、今後必要に応じて対策を検討していくということになります。
ただ、まだ、いろいろな課題があって、このPM2.5粒子数規制については、まだまだいろいろ考えていく部分があるということで、明示しての記述は避けておりますけれども、何もやらないということではなく、この最後の文章で、対策は検討していかなければならないという認識は持っているつもりでございます。
【部会長】 よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょう。
もし、よろしければ、今、幾つか修文させていただくという形で申し上げましたが、その修文の仕方につきましては部会長一任ということでご了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。
それでは、今ご了解いただきましたので、修文した後、これを中央環境審議会の鈴木会長に報告を申し上げ、第十一次答申として環境大臣に答申し、その後、環境省において公表されるということになろうかと思います。
どうもありがとうございました。
続きまして、その他の報告事項に移らせていただきたいと思います。
議題2のその他の報告事項として、資料4、新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針の策定についてということでございます。事務局から報告をお願いします。
【大気環境課長補佐】 資料番号4、新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針につきまして、ご報告申し上げます。
資料は1.から3.までございますが、まず1.概要でございまして、これは平成22年1月29日に中環審より出されました答申「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」におきまして、事業者と地方自治体との間で行われてきたこれまでの公害防止・体制に加えて、地域における情報共有を進め、事業者・地域住民・地方自治体の相互信頼に基づく取組を行うことが、公害防止の新たな手法として期待されておりまして、環境省では有識者による検討会を設けまして、地域のパートナーシップによる公害防止の取組ついての検討を行ってまいりました。
今般、その検討会による提言を受けまして、地域社会の連携の望ましい在り方について示した「新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針」を策定いたしまして、水・大気環境局長名をもちまして各都道府県知事及び政令指定都市市長あて通知をいたしました。これは今年6月でございます。
また、併せて、石油連盟、電気事業連合会、日本製紙連合会、日本化学工業協会、日本鉄鋼連盟、自動車工業会、それからセメント協会あてにも周知しております。
続きまして、2.この指針が目指すものでございますが、事業者が法令を順守し、自治体が規制・指導・監視を行うという従来の体制に加えまして、地域において事業者・地域住民・地方自治体の三者が、情報共有・相互信頼に基づき「公害のない、よりよい環境を目指した地域づくり」を進めるという新しい流れを期待するものでございます。
これらは強制的に行われるものではなく、自主的に進められることが、状況や相互信頼ということからも期待されるところでございます。
また、この三者による枠組みは公害問題以外の環境問題についても応用が可能であると考えております。また、この指針では、さらに、事業者・地域住民・地方自治体それぞれについて、公害防止の新しい地域パートナーシップのあり方を示しているものでございます。その内容につきましては、別添として「新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針」を添付させていただきましたので、ご参照いただきたいと存じます。
最後に、3.今後の対応でございます。ある意味、これが一番重要と考えておりますが、本指針を実効性のあるものとするために、今後、各種の機会、例えば自治体の担当職員が集まるような会議等を指しておりますが、こういうものを通じて、本指針を積極的に紹介していくとともに、各自治体の中で先進的な事例がございますので、そういうものの情報提供依頼をして、これを集めてまたフィードバックしていくとか、あるいは大臣表彰のような表彰制度を設ける等、様々な働きかけを進めていく所存でございます。
以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。
ただいまの報告につきまして、ご質問等はございますでしょうか。
どうぞ、大聖委員、お願いします。
【大聖委員】 この公害防止の中に自動車の利用にかかわる取組というのは含まれるのでしょうか。自動車NOxPM法などがありまして、先ほどの報告にもありましたけれども、総合的な自動車環境対策というものの必要性というのが言われているわけで、それが、こういう取り組みの中に包括されるのかどうか、ぜひお伺いしたいと思います。
といいますのは、物流にかかわる面で、やはり企業活動が、自動車の利用ということを通じて大気汚染を助長しているという面があるものですから。特にこれは大都市で問題となっていると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【部会長】 それでは、ただいまの質問につきましてお願いいたします。
【大気環境課長補佐】 先ほど、2.この指針が目指すものの中でも申し上げましたが、今後、この事業者・地域住民・地方自治体の三者の情報共有・相互信頼を高めていくという、その三者共存の場を提案している指針でもございますので、公害問題以外のさまざまな問題に、この枠組みを積極的に使っていっていただきたいというのが当方の考え方でございますので、今おっしゃられたようなものにも活用されることは、非常に有意義なことかなと考えております。
これは、また、その相互信頼あるいは情報共有の形が、しっかりできていないというところもあることに対しての提言の指針でございますので、その後、今おっしゃられたような問題にも、どんどん活用していっていただきたいというようなことを考えているところです。
これは、岩崎先生もうなずいておられますが、そういう形で考えております。
【部会長】 よろしいでしょうか。ちょっと待ってください。向こうの中杉委員でしょうか。
【中杉委員】 こういうものをつくることは非常に重要だろうと思うのですが、実際に、東京都と一緒に化学物質という観点でこういうことをやった経験がございます。
多分、一番根元は環境問題だけではないですね。要するに、地域の社会づくりという話から考えていかないといけないので、環境問題に限定する、これは、ほかの環境問題の波及ということもありますけれども、それ以上のことを考えていかないと、これはうまくいかないと思います。
より幅広い、環境部局だけではなくて、いろいろな部局が絡んだ形で、地域社会をどうやってつくっていくかという中に、当然環境問題というのは非常に重要な視点であるという、そういうふうな見方をしていかないと結果的には失敗してしまうのではないかと。
東京都の失敗例というのを、私も参加して、失敗例というと怒られるかもしれないですけれども、具体的には住民の方が、環境問題というのを、そんなに身近に感じておられない方が、本当に地域の住民というのは、そういう方が多いわけです。そうすると、そういう問題が、参加しましょうということではなくて、「何か問題があるのですか」と、逆の反応になるのです。
むしろ、地域と事業者の間のコミュニケーションといいますか、これは単に環境問題だけではなくて、全体をやっていく必要があるのだろうと。これは、大きな企業は、もうほとんど既にやられているのです。工場の周りの住民とのコミュニケーションというのは独自にやられている。そういうものがない中小の事業者の方をどう助けていくかということが、非常にもう一つ重要な話だろうと思うのですけれども。
そういう意味でいうと、なかなか環境問題だけを取り上げても、乗ってこないという言い方は言葉が悪いですけれども、難しい面があるかと思います。もう少し幅広く考えていただければというふうに思いますけれども。
【部会長】 ありがとうございました。
今お三方から上がっていますが、順番はどちらか、全部、私は一気には見ておりませんので、こちらのほうからいきたいと思います。
まず、礒野委員でしょうか。続いて小林委員、それから、もうお一方、平松委員でしょうか、三浦委員でしょうか。
まず、礒野委員、お願いします。
【礒野委員】 公害防止取組ということで、今、確かに中杉先生が言われたような形のものに、結局はなるのかとも思いますが、ここでは公害防止指針ということだったものですから。
この中で一つだけ、言葉についてなのですが、「予防的な公害防止対策の実施」と書いてあって、コミュニケーションみたいなものが入ってきているのだろうと思うのですけれども、ここで言うところの「予防的な」という意味は、かなり意欲的な形で使われているのでしょうか。予防的措置とか、そういうものを含めたものが入っているのか。つまり、従来型の単なる未然防止以上の形のものを考えられているのだろうかどうなのだろうか。
いや、むしろ、恐らく今後の自動車対策、いろいろなものを考えたときには、そちらのほうがより必要になってくるだろうと思うので、公害対策の中にも、ぜひ、そういう観点を入れていただければありがたいなということを含めながら、どうお考えなのでしょうかということを伺いたい。
【部会長】 事務局のほうから。
【大気環境課長補佐】 今の、予防的な公害防止対策への取組というのは、これは、特に事業者に対して求めている部分ではございますが、法令の遵守というのは既に行われているという中で、積極的な情報の公開をお願いしたい。そうすることによって信頼を醸成していくということを、どんどんしていっていただきたいという中で、自主的に公害の予防的な措置を行っているというような形に持っていっていただきたいということを、事業者さんに対して期待している。そういうような観点で書いているものでございます。
【礒野委員】 そうすると、大気汚染防止法の有害物質等々、有害化学物質について、より積極的に公表しながらというようなことを含めてと考えてよろしいわけですね。
【大気環境課長補佐】 あくまでも、まず第一に必要と考えているのは情報共有と相互信頼というところでございますので、今おっしゃられたような観点でよろしいかと考えております。
【部会長】 それでは、続きまして、小林委員、お願いします。
【小林委員】 恐れ入ります。この指針をつくったときにかかわらせていただいたという経緯からいきまして、最近、一番問題になっていますのは、従来型の公害関係の問題が地球温暖化対策に気が行き過ぎて、だんだん関心が薄れている。そこをもう一度皆さんで考え直そうと。
特に地域住民の方々が企業に対して、特に企業は最近大変よくなってきたということもあって、地域住民の方が公害に対する関心が薄れてきたということがあるわけです。そういうことを、もう一度見直そうと。
それについて地方自治体、特に地方分権が進んでいって、財政的に厳しくなってきた地方自治体も、この辺について、手を抜いているという言い方は悪いのですが、少し手が薄れているということで、改めてこの地域パートナーシップについて考え直そうというのが、今回のこの指針をつくられた趣旨というふうにお考えいただいたらいかがかというふうに思っております。
それから、もう一点、先ほどちょっとご指摘がありました自動車公害問題について、実は地方自治体というのは、今までほとんどかかわっておりません。特にNOxPM法で地域計画をつくれというのは書いてあるのですが、これにより地方自治体で地域計画をつくるのですが、地方自治体にその権限とか指導権限がほとんどございません、。そのために、どうしても薄れてしまっている。道路管理については地方自治体に一部ありますので、対策はとれるのですが、そこを走っている車については、ほとんど指導権限がないというような状況でございます。
このことが、地域では問題になっておりまして、今のところやっているのは、道路管理という視点から自動車に対する指導をするという立場にあるのですが、地方自治体が物流業者に対してとか、自動車所有者に対して指導することが今のところできておりません。
私がおりました兵庫県では、条例の中で、その自動車運行管理者に対して指導するというのが条文に入っているのですが、いざやるとなると、情報が入りませんのでなかなかできない。これは、この指針と含めて、今後、自動車運行に関する地方自治体の指導のあり方について再度検討していく必要性があるというふうに思っております。
以上です。
【部会長】 ありがとうございました。
三浦委員でしょうか。お願いします。
【三浦委員】 三浦でございます。ありがとうございます。
公害中身についてではなくて、その担い手として地域住民と地方自治体、事業者とあるのですが、私は当初、NPOはどこに入っているのかなと探しましたら、地域住民のグループとしての活動に少し埋もれてしまっている。
私は、NPOというのは、地域やその土地に依拠しないような活動をしている団体があるのではないか。今後の活動の中で、NPOだとかNGOが、こういった利害に、ある意味、対峙するところの中心になってプラットホームを形成していくと考えます。今後こういった組織は不可欠なのではないかというふうに思いましたので、ここのタイトル「地域住民」というのは残しても、NPO、NGOといったような任意の団体というのは、違う項目で入れていただきたい。
またその役割の中に、地方自治体は、事業者、地域住民のコーディネートの役とありますけれど、地方自治体というのは、ある年月がたてば担当者も変わってくる。なかなか継続的にこういった活動にかかわるということが難しい組織の中では、コーディネーター的な役割を果たすのは難しいだろうと考え合わせますと、この役割こそがNPOとかNGOという第三者機関の新たな公というところに担わせるべきではないのか考えます。このパートナーシップの取組実施の中には、そういったことを章立てしても入れていただきたい。
以上です。
【部会長】 ありがとうございました。この点につきましては、先ほど小林委員が申し上げましたけれども、私自身もこれにかかわってございまして、そういったものも含まれてございますが、少し書き方が明確に出ていないということかと思いますので、今後のこの運用をしていく段階で、こういった趣旨がより生かされるような形でやっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、この報告の件はよろしいでしょうか、どなたか。大塚委員でしょうか。
【大塚委員】 どうも恐れ入ります。大塚でございます。
この平成22年の答申にちょっとかかわらせていただいたこともございますが、二つほど申し上げておきたいと思います。
一つは、今回この取組指針をお出しいただいて、先ほども議論がございましたけれども、だれが原動力になってこれを進めていっていただけるのかというのは、これだけだと必ずしもよくわからないものですから、それはケース・バイ・ケースだということかもしれませんけれども、自治体がコーディネートするというご趣旨なのかなと思ってはいるのですけれども、お伺いしたいということが一つございます。
それからもう一つですけれども、パートナーシップの結果、例えば協定を結ぶというようなことが考えられると思うのですけれども、そういうことが余り書いていないので、割とふんわりしたソフトな話で終わっているようなところがあって、それはそれで重要だと思ってはいるのですけれども、今回は恐らくそういう趣旨でおつくりになったということなのでしょうか。
いろいろ確認のようなことで申しわけないのですけれども、お伺いしておきたいと思います。
ちなみに、2ページの一番上に書いてあって、先ほどお答えいただいた情報公開に関しては、公害立法は1970年代に定められたものが、もともと多いので、情報公開に関しては、当時は余り重視されていなかったところがあって、本当は立法で対処することが必要な点もあるのだろうと思いますけれども、こういうパートナーシップで最初に取り組んでいただくことは非常に重要だと思っております。
以上です。
【部会長】 2点ほど質問がございましたけれども、事務局のほうからお願いいたします。
【大気環境課長補佐】 原動力ということでございましたが、私どもも、このペーパーだけで何か劇的な変化が起こるというふうに期待しているものではございませんで、私どもが開く、自治体の担当者を集めるような会合ですとか、そういうときに積極的に語りかけていくということと同時に、どのような取り組みをしていただいているのかということを、どんどん、こちらとして情報収集したい。
積極的な取組をしていないところに対しては、こういう先進的な取り組みをしているところがありますよということで、事例をどんどんフィードバックしていきたい。
これを数年以上続けていることによって、温度差があるのであれば、それを是正するように働きかける。そういうような働きかけをこれからどんどん進めていくということで、有効性をつくっていきたいと考えておりますので。今、考えている原動力というのは、やはり自治体になるのかなというふうに考えております。
【浅野委員】 環境基本計画が改定されたことを機会に、結構多くの自治体で地域の環境管理計画というか、環境計画の見直しをしている時期なのですね。そういうタイミングですから、そこにきちんとこれをインプットできるように、積極的に情報を流していかないといけない。
私も初めて見て、こんなものがあるなら、これは環境計画の改定の際には大いに言って、入れさせなければいけないと思ったぐらいなのですが、恐らくほとんど知られていないのではないでしょうか。
だから、特に公害規制のセクションだけに送ってもだめで、むしろ環境政策の部局のほうに届くように、ちゃんと情報を流しておけば結構それなりに効果が上がると思います。取り扱いについては、ただホームページに並べるぐらいのことだけでなく、もっと積極的に考えられたらいいと思います。
【部会長】 具体的なご提案をいただき、ありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いいたします。
【大気環境課長補佐】 あともう一点、協定までのことを考えているのかというようなご質問がございましたが、現時点、この指針では、三者協働の場での相互理解、あるいは情報を積極的に公開していくという、その場を、まずつくっていただきたいというような観点でございまして、強制的に、こうしなさい、ああしなさいという書きぶりにしてございませんので、その先にそういうものが期待できるかどうかというのは、やはり自治体の方々との話し合いの中で、そういう実績が出てきたのであれば、それも生かして、ほかのところにも情報を公開していくような形にしていきたいというようなことは期待しております。
【部会長】 よろしいでしょうか。
この公害防止取組指針というのは、かなり規制や法律だけではなくて、いわば地域住民、自治体、事業者、そういったことが一体になってやっていこうというような考え方、ややもすると理想的なところを考えている部分があるわけですが、先ほど大塚委員が、情報公開の話においても、場合によっては法律やルールで規制で何かやらないといけない部分が出てくるでしょうということがございましたけれども、先ごろ、埼玉県、群馬県等であったヘキサメチレンテトラミンなんかの場合も、ああいった有害物質がきちんと入っているということを事業者が伝えて処理業者に回せば、ああいったことは起こらなかった可能性があるのですね。ところが、そういったことがなされていなかったために業者は一部承知しないでやってしまった部分もあったように思います。
そういったことから、ヘキサメチレンテトラミンの場合は、今般、ああいった形で規制されるという形になってきたわけですが、これはこういう形でやっていって、やはりその中でも、今のような事例に相当するようなもの、特に直接そのものが汚染物質ではなくて、二次的に汚染物質に変わるようなものについては、特に事業者なり、それから行政なりが、そういった情報を整理してやっていかないといけない部分が、やはりあるだろうということは、もう一つ別の認識として私たちは持っていく必要があるかなというふうに、私自身も大塚委員の意見を伺って思ったところでございます。
この報告につきまして、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 よろしければ、次の報告に移らせていただきたいと思います。
「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」の変更についてということで、資料5につきまして説明をお願いいたします。
【ダイオキシン対策課長補佐】 それでは、資料5によりご説明いたします。
ダイオキシン類対策特別措置法に基づきまして、国内削減計画を設けておりますけれども、この計画につきまして、8月3日付で変更してございます。その概要についてご報告いたします。
資料は、報道発表資料でございまして、これが概要になっておりますので、ご紹介したいと思います。
1ページ目、下のところに背景ということで経緯等を記載してございます。
ダイオキシン類対策特別措置法の規定に基づきまして、過去2回にわたりまして、この国内削減計画を作成してきております。第1次計画が平成12年9月、第2次計画は平成17年6月に作成してございます。現行計画の目標年であります平成22年のダイオキシン類の排出量は、実績でございますけれども、推計で158~160g-TEQ/年ということで、平成15年比で約15%削減という目標が設定されておりましたが、実際には約59%の削減ということで、目標が達成されたという評価でございます。
当初の平成9年からの排出量では約98%の削減ということでございます。これに伴いまして、環境汚染状況につきましても、大気環境基準につきましては近年5年連続で100%ということで、ほかの分野も含めまして大きく改善してございます。これは各分野、廃棄物ですとか産業分野を含めましての削減努力が反映したものであろうかと考えてございます。
このような状況を踏まえまして、有識者の方のご意見、また、関係省庁での検討も踏まえまして、計画の変更案を環境省で取りまとめております。
今年6月にパブリックコメントも実施いたしまして、その後、公害対策会議で計画の変更が了承されまして、先ほど申し上げましたとおり、8月3日付で告示の変更ということで対応してございます。
変更の内容につきましては、裏面2ポツのところにございます。
先ほどご紹介しましたような近年の排出削減の状況、それから環境の改善状況等も踏まえまして、削減目標につきましては、今後も削減努力を継続することを前提にいたしまして、現状を悪化させない、「現状非悪化」ということを原則として、直近の排出量の平均を基本に設定してございます。
また、目標につきましては、目標年度は具体的に定めておりませんけれども、当面の目標ということで設定してございます。今後、5年ごとに達成状況について評価いたしまして、今後また必要があれば計画の変更をしていくこととしたいと考えております。
(2)としまして、近年の排出実態等にあわせまして目標設定しております事業分野の見直し、また、毎年、排出量目録(インベントリー)を作成してございますけれども、この作成等について合理化を行うこととしてございます。
また、今日までの排出削減につきましては、廃棄物分野の削減というのが大きいところがございます。廃棄物焼却炉の更新等の効果というものがございますので、これにつきましては、引き続き、適切に実施していくというようなことでございます。
参考としまして、今次計画における削減目標量ということで、下に簡単に書いてございます。廃棄物処理分野、産業分野、その他ということで、それぞれの目標値を定めてございます。
具体的な計画につきましては冊子としてお配りしてございますので、また後ほどご覧いただければと考えてございます。
今後、この計画に基づきまして、引き続き削減の取り組みを進めていくこととしてございます。
報告は以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。
ただいまの報告につきまして、ご質問等はございますでしょうか。もし、ございましたら名札を立てていただければと思います。よろしいでしょうか。
どうぞ。稲垣委員。
【稲垣委員】 ダイオキシンの初期の削減計画にも携わらせていただいて、今日のご報告を見て、大変削減が進んだなというふうに思いました。
特に、これだけ進んできて、ご承知のとおり平成9年~10年ころのダイオキシン問題と比べると、社会そのものがダイオキシンについての関心も非常に薄れてきてしまっているというのが実態でありますけれども、この2.(3)に書いてありますように、ダイオキシンというのは燃焼管理をきちんとやらないと、またいつ起きるかわかりません。ですから、きちんと、この管理を徹底するように、地方公共団体あるいは産業界にも、環境省さんからも厳しく言っていただけるとありがたいと思います。
ここに書いてあるように、廃棄物焼却炉の更新等の補助金、助成というものについても、引き続き、ぜひ、これは大変、財政的に厳しい状況ではございますけれども、引き続いてよろしくお願いしたいと思います。
【部会長】 ありがとうございました。
それでは、もし、そのほかご意見、ご質問がございませんようでしたら、今日の議題は以上でございますが何か皆さんのほうから、それ以外でございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【部会長】 ありがとうございました。
それでは、第34回大気環境部会は、これで閉会させていただきたいと思います。本日は、大変ありがとうございました。
進行は事務局にお返ししたいと思います。どうぞ。
【環境管理技術室長】 坂本部会長、ありがとうございました。
それでは、ここで最後に、小林水・大気環境局長より、ごあいさつを申し上げます。
【水・大気環境局長】 今日は、ご熱心な議論、ご参加をありがとうございました。
実は、本日付で、鷺坂局長にかわりまして、後を受けまして水・大気環境局長を拝命いたしました小林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
大気環境行政といえば、環境行政、また環境庁、環境省の行政の原点といってもいい行政だと思います。しっかり堅持していくところは堅持しながら、また、世の中の大きな変化に対応して、いろいろな課題に対応していくということで、大気部会の先生方のご指導を得て、ますますしっかりやってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日は、お盆直前の大変お忙しい時期にお集まりいただきまして、熱心なご議論を賜りました。
まずは、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について、第十一次の答申を取りまとめていただきまして、まことにありがとうございました。二輪車及びディーゼル特殊自動車につきましては、国際基準等の調和も考慮しながら大気環境の保全を図るというような結果をまとめていただいたものということで、大きな成果につながっていくものというように考えているところでございます。
また、特に二輪車の次期排出ガス低減対策は、我が国の大気環境改善に寄与することを大いに期待しているものでもございます。
それから、昨年、確認されましたディーゼル重量車の後処理装置の性能低下の問題、また、ディフィートストラテジーへの対応、こういったことにつきましては、今後の対応方針を早期に定めることができましたことは大きな成果というふうに心得ておりまして、これは緊急を要する課題ということで、しっかりと取り組んでまいるつもりでございます。
また、ちょっと前半は辞令等の関係で失礼してしまいましたが、後半の報告事項のところでは、新しい地域パートナーシップによる公害防止取組指針という点につきまして、大変幅広い観点からご指摘いただきました。従来の公害行政をしっかり堅持、見直していくということも一つの契機だとのご指摘もございましたし、また、社会が大きく変わっていく中での社会のあり方と、どのように絡めてやっていくのか、課題も含めて大きな可能性がある、ポテンシャルのある取り組みだというようなことを承ったと思っております。
今回のような指針というのはスタートラインだと思いますので、これがしっかり大きな発展をとげていかれるように、頑張ってまいりたいと思っております。
また、ダイオキシンの削減につきましても、着実に改善されているということは大変好ましい状況でございますが、さらに現状非悪化ということで、ますます対応をとっていくということでございます。
また、先ほどご報告したとおりでありますが、特に目標年度は定めませんが、今後も削減努力を継続して、定期的に評価していく。よどみなくやっていくべきだというご指摘も、先ほどいただきましたので、そういうことをしっかり受けとめてやってまいりたいと思っております。
今日は、こういった課題につきましてご審議いただきましたが、まだまだ幅広い課題、取り組むべき点があろうかと思っております。こういったことにつきまして、私どもも全力を挙げて、また、関係の省庁、地方公共団体、さまざまな関係者と連携してやってまいりたいと思っておりますので、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますように、よろしくお願いいたします。
本日は、まことにありがとうございました。
【環境管理技術室長】 それでは、本日はこれにて終了いたします。
長時間にわたりましてご審議をいただき、ありがとうございました。