(部会長) | 坂本 和彦 | |
(委員) | 浅野 直人 | 加藤 順子 |
松尾 友矩 | ||
(臨時委員) | 石川 義紀 | 岩崎 好陽 |
内山 巖雄 | 浦野 紘平 | |
圓藤 陽子 | 河野 通方 | |
小林 悦夫 | 小柳 正治 | |
佐藤 信彦 | 進藤 孝生 | |
棚橋 信之 | 月岡 良三 | |
中杉 修身 | 中野 璋代 | |
新田 裕史 | 萩原 清子 | |
樋口 忠夫 | 宮池 克人 | |
若松 伸司 | ||
(専門委員) | 圓藤 吟史 | |
(環境省) | 鷺坂水・大気環境局長 | 石飛総務課長 |
山本大気環境課長 | 苔口大気環境課長補佐 | |
永森総務課環境基準係長 | 山本大気環境課未規制物質係長 |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について |
資料2 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案) |
参考資料1 | 中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿 |
参考資料2 | 有害大気汚染物質対策について(これまでの経緯) |
参考資料3 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問) |
参考資料4 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(中間答申) |
参考資料5 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申) 別添2有害大気汚染物質に係るリストについて |
参考資料6 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申) 別添1有害大気汚染物質に関するこれまでの取組の評価及び今後の対策のあり方について |
参考資料7 | 今後の有害大気汚染物質に係る健康リスク評価のあり方について(第七次答申及び第八次答申) |
参考資料8 | 自主管理計画に基づく有害大気汚染物質対策の評価等について(有害大気汚染物質排出抑制専門委員会報告) |
参考資料9 | 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定の見直しについて(答申) |
参考資料10 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しに係る参考資料 |
参考資料11 | 優先取組物質の見直しに係る参考資料 |
議事
【総務課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第32回大気環境部会を開催いたします。
本日は、委員総数39名のうち、現在22名のご出席をいただいておりますので、定足数である過半数に達しておることをご報告申し上げます。
また、若松委員より少し遅れてご出席とのご連絡をいただいております。
また、本日は、部会報告案の別添2の「ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について」に関連いたしまして、坂本部会長とご相談の上、健康リスク総合専門委員会の委員といたしまして、リスク評価書の作成に中心となって携わっていただきました圓藤吟史専門委員にもご出席いただいておりますので、ご紹介いたします。
それでは、開催に当たりまして、鷺坂水・大気環境局長よりごあいさつを申し上げます。
【水・大気環境局長】 本日は、朝早くから委員の皆様、大変お忙しい中、ご出席賜りましてありがとうございます。また、皆様方には日ごろより大気環境行政につきまして、さまざまなご指導あるいはご協力をいただいておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。
本日の大気環境部会でございますけれども、前回の大気環境部会におきまして、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直し、それから、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価、その二つの両専門委員会の報告を含めました今後の有害大気汚染物質対策のあり方の第九次報告案を取りまとめいただいたもの、こういったものにつきまして、先月9月にパブリックコメントの手続を実施しております。今日の大気環境部会におきましては、こういったパブリックコメントに寄せられましたご意見等につきまして、皆様方の専門的な見地からのご議論をいただきまして、ご審議をいただき、大気環境部会の報告としてまとめていただければと、このように考えている次第でございますので、よろしくご審議のほどをお願い申し上げまして、私からの簡単ではございますけれども、最初のごあいさつにかえさせていただきます。本日はどうかよろしくお願いいしたいと思います。
【総務課長】 引き続きまして、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
まず、1枚目は本日の大気部会の議事次第、配付資料の一覧でございます。その次に委員名簿をつけてございます。その次から右上に資料の番号を振ってございます。資料1といたしまして、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果についてでございます。資料2が、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案)でございます。
次からは別添の資料になりますが、別添1といたしまして、これはリスト見直しに関する健康リスク総合専門委員会の報告でございます。それから、別添2といたしまして、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について、同じく総合専門委員会の報告でございます。続きまして、同じく別添2の右上に「溶け込み版」と書いてあるものがございます。これは委員限りの配付資料でございますが、先ほどの別添2が見え消し版であったものに対して、これはすべて溶け込ませた最終的な姿の報告でございます。
それから、参考資料の1といたしまして、健康リスク総合専門委員会の委員名簿でございます。それから、参考資料の2が有害大気汚染物質対策について、これまでの経緯という資料でございます。それから、参考資料の3が今後の有害大気汚染物質のあり方についての諮問の文でございます。参考資料の4が今後の有害大気汚染物質のあり方についての中間答申でございます。参考資料の5、これは同じく第二次答申でございます。それから、参考資料の6が第六次答申でございます。参考資料の7が第七次及び第八次答申でございます。それから、参考資料の8が自主管理計画に基づく有害大気汚染物質対策の評価等についてでございます。それから、参考資料の9が平成20年7月に出された答申でございます。それから、参考資料の10が有害大気汚染物質対策に該当する可能性がある物質のリストの見直しに係る参考資料でございます。最後に優先取組物質の見直しに係る参考資料でございます。
以上、非常に数が多くなってございますけれども、もし不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
それでは、これ以降の会議の進行は坂本部会長にお願いいたします。
【部会長】 本日は、委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございました。前回8月19日に開催いたしました中央環境審議会大気環境部会におきまして、部会報告案をご了承いただき、パブリックコメントの手続に事務局が入ったところでございます。なお、前回の部会資料では、部会報告本文にヒ素及びその化合物として指針値案を示しておりましたが、前回の議論を踏まえ、パブリックコメントを開始する時点では、ヒ素及び無機ヒ素化合物に修正しているということでございますので、あらかじめ報告をさせていただきたいと思います。
それでは、本日の会議の進め方でございますけれども、まず最初に、パブリックコメントの実施結果についてご審議いただいた上で、引き続き、部会報告案についての審議をお願いしたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。
それでは早速ですが、事務局からパブリックコメントの実施結果について説明をお願いいたします。
【大気課長補佐】 それでは、事務局よりご説明いたします。大気環境課課長補佐をしております苔口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料の1をご覧ください。今回、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案)」に係るパブリックコメントを行いまして、それに係る結果をまとめたものがこの資料1でございます。まず、その概要でございますけれども、今回、資料2の第九次報告案、別添1及び別添2につきまして、パブリックコメントをさせていただきました。意見募集期間といたしましては、9月6日から9月21日の15日間、意見募集の周知方法といたしましては、電子政府の窓口や環境省のホームページを通じて行っているところでございます。意見の提出方法といたしましては、電子メール、郵送等で受け付けているところでございます。パブリックコメントの結果についてですが、意見提出者数といたしまして6名または団体からご意見等をいただき、全部で延べ意見等10件をいただいたところでございます。この10件につきましては、すべて別添1のリストの見直し及び今後の対策のあり方に係るものについての意見等であり、別添2のヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価については、意見ゼロであったことを最初にご報告申し上げます。
それでは、その10件の意見等につきまして、順次ご説明いたします。
資料を1枚おめくりください。まず、1番目の意見でございます。これにつきましては、今回、資料2の別添1の中でまとめている物質のリスト見直しに係る6ページから13ページまでの新たな物質リストについてのご意見でございます。意見の内容は、248物質のリスト化について、このような不用意なリスト化はブラックリストと一般社会にとらえられ、不安と混乱を招くことから、可能性があるということで不用意にリストにすべきではない、確固たる信頼に値する科学的データに基づいて公平に判断していただきたいというご意見でございました。これに対する事務局の考え方として、まず、今般の見直しに当たりまして、平成8年の第二次答申における考え方を踏襲させていただきまして、未然防止の見地から、一定の割り切りを持ちまして、大気経由で健康影響の可能性がある物質を広く選定することとさせていただきました。また、今回の見直しに当たりましては、化管法の対象物質の選定の考え方及び選定時に用いられた最新の有害性、曝露性の情報などを活用させていただいたところでございます。ご指摘を踏まえまして、今後とも引き続き、このようなリストが独り歩きしないように、このリストの趣旨や選定の考え方につきましては、しっかりと周知を行うことが適切ではないかと考えているところでございます。
続きまして、2番目でございます。物質リストの188番、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルに係る質問でございます。当該物質、これは可塑剤として使われておりますが、まず、化管法対象事業所以外での検出例というのはどの程度あるものなのかというご質問、続きまして、有害性クラスにつきまして、発がん性から経口慢性毒性とありますが、どの項目にどのような根拠で該当すると判断されたのかというご質問でございます。これにつきましては、まず、今回のリストの見直しに当たりましては、化管法対象事業所からの排出であるか否かという観点ではなく、大気汚染の原因となる可能性がある物質を広く選定することとさせていただいておりましたので、ご質問に直接該当するような化管法対象事業所以外からの排出のみに限定した大気濃度測定データというものは当事務局で把握してございません。ただ、平成19年の有害大気汚染物質モニタリング調査におきまして、これは4地点ほど行っておりまして、このうち2地点から16~18µg/m3で検出されたという実績がございます。
続きまして、毒性につきましては、当該物質につきまして、発がん性クラス2、生殖毒性クラス2、経口慢性クラス2で、その根拠となる部分は括弧で記載させてあるとおりでございますけれども、この三つの有害性クラスに該当しているということを回答させていただく予定としております。
続きまして、同じく質問でございますけれども、3番、物質リストの189番、フタル酸ジブチルについての化管法対象事業所以外での検出例はどの程度かというご質問が参りました。これも同じく可塑剤として使われている化学物質でございます。これにつきましては、2の(1)と同様の方針の回答をさせていただくこととしているところでございまして、これにつきましても平成19年度の有害大気汚染物質モニタリング調査において、4地点中3地点におきまして、19~24µg/m3で検出されていることを回答させていただくこととしております。
続きまして、4番目でございます。この質問につきましては、優先取組物質の見直しについてということで、別添1の14ページ及び15ページの選定基準に係る部分について、ご意見を頂戴しているところでございます。14ページの方をご覧いただきたいのですが、今回、優先取組物質の選定の考え方といたしましては、3.1の基本的な考え方にある通り、「平成8年の考え方を踏襲いたしまして、国内外に人の健康への有害性についての参考となる基準値がある物質で、これらの値に照らし、大気環境保全上注意を要する物質群というものと、または物質の性状として人に対する発がん性が確認されている物質群」という考え方を踏まえ、3.2の選定基準(1)大気環境保全上注意を要する物質群と、15ページの、(2)人に対する発がん性等の重篤な有害性が確認されており、一定の曝露性を有するものという観点で選ばせていただいているところでございます。ご意見の趣旨といたしましては、この基本的な考え方及び取組物質のリストの物質名から短絡的に判断されて、発がん性のない物質、具体的にはトルエンについてですが、トルエンについても発がん性が確認される物質と誤解される危険性があるため、それを排除する目的として、大気環境保全上注意をする物質群と発がん性が確認されている物質群に明確に区分する等、誤解のない記載内容にすべきではないか、また、それも踏まえて、16ページのリストもうまく明確に分けられないかというご意見がございました。実は優先取組物質の中には、例えばベンゼンについてですが、3.2の選定基準の(1)のアの(ア)にまず該当するため、それを選定基準としておりますが、実際は重篤な有害性を有するような物質でもあります。つまり、物質によっては大気環境保全上注意を要する物質群及び重篤な有害性を有する物質の両方の選定基準に該当するものがございまして、単純に表現ぶりを変えても、なかなかご趣旨に沿った区分けができないと。また、物質リストの方で、じゃあ選定基準ごとに別々に分けて記載してもごちゃごちゃしてしまって、それはそれで複雑化してしまうという懸念もございます。そこで、この意見に対する対応案といたしましては、今回、答申本文に合わせて、参考資料もしっかりつけて、冊子にして自治体等に配布し、またホームページにおいてもしっかり合わせて公表していくことを考えております。参考資料11の方をご覧いただきたいのですけれども、当該資料は優先取組物質の見直しに係る参考資料ということで、今回の選定のプロセス等について、より詳細に書かれたものでございます。これを初めから読んでいただきますと、9ページをご覧いただきたいのですが、今回、大気環境保全上注意をする物質群、つまり、この表7に記載している基準値等に基づく選定結果により優先取組物質に該当すべきものなのか、または重篤な影響に基づく選定結果により該当するべきものなのかというところを、物質ごとに明確に分けた表を付けさせていただくことにより、、ご意見にあるような誤解が生じないように配慮していく方針、つまり本文の方は敢えていじらず、参考資料を付けることで補足していきたいという方針でございます。
それでは、続きまして、5番目でございます。これにつきまして、優先取組物質として今回追加されたトルエンにつきまして、これを追加してほしくないというご意見でございます。理由といたしまして、3点述べられておりまして、1点目が、トルエンにつきましては、既に大防法におけるVOC規制の対象となっていると、新たな規制を導入することは不公平だという理由。二つ目は、VOCに関する従来の対策の枠組みに加えて唐突な法規制がなされるのは、既にVOC対策に取り組んでいる各業界のモチベーションの低下につながりかねないという理由。三つ目は、これまで用いられていることとされていたオランダ目標値が、今回、選定基準の中で削除されているなど、優先取組物質の選定基準の設定経緯というのが不明確で突然出てきて唐突である、もっと慎重な議論が必要だという理由から、トルエンに反対されているところでございます。これに対する事務局の考え方でございますが、まず、[1]につきましては、VOC対策はVOC自体そのものの有害性に着目して対策を実施しているものではございません。あくまで光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因物質となるという観点から対策を講じているところでございます。一方、有害大気汚染物質対策におきましては、個別の物質による健康リスクに応じた対策というものを実施しておりますので、趣旨と目的が違うという観点から、VOCも当然、対象物質として含めさせていただいております。
続きまして、[2]につきまして、今回、事業者における優先取組物質の排出抑制という点にういては、これは別添1の4の題目、17ページ以降に有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方というものをお示しさせていただいておりまして、その中に優先取組物質のVOCの対象物質につきましては、大防法に基づくVOCの排出または飛散防止措置を実施していただければ、それがそのまま有害大気汚染物質対策につながるんだということで、我々としては、追加的な措置ではなく、これまでの取り組みを引き続き進めていただければいいのではないかということをここで記載させて頂いております。
また、三つ目についてですが、今回の見直しに当たりまして、昨年度、中杉先生に座長をお願いいたしまして、検討会を6回開催させていただきました。また、今年度に入りまして、健康リスク総合専門委員会を3回開催させていただき、ご審議いただいているところでございます。その結果、優先取組物質の選定基準といたしまして、諸外国の基準等につきましては、大気環境保全政策の中で利用されている目標値を用いることとさせていただいております。トルエンは、オーストラリアの基準の10分の1を超えた濃度が出ているということから、今回、選定されているところとなっております。なお、前回、平成8年時において選定基準として用いたオランダの目標値については、全般的に我が国の大気環境基準やオランダ以外の国々の基準等よりも1桁、2桁低い、要は厳しい値ということで、これについては今回の見直しにおいては採用しないということにさせていただいたところでございます。以上をもちまして、報告案といたしましては、現状どおりにさせていただきたいと考えております。
続きまして、6番目でございます。これにつきましては、クロム及び三価クロムの優先取組物質の追加に反対するご意見でございます。理由といたしましては、これらの物質につきまして、特段の健康被害をもたらす物質ではないと。また、追加の根拠となる基準に対しても、前述、意見5のとおり疑問であるので反対だということでございます。これに対する回答といたしましては、追加の根拠となる基準値につきましては、5の考え方を踏襲しているところでございます。クロム及び三価クロム化合物につきましては、ニュージーランドの基準値の10分の1を超える濃度ということで選定させていただいているということでございます。なお、毒性につきまして、クロム及び三価クロム化合物は、変異原性クラスで1、経口慢性クラス3、感作性クラス1の三つの有害性のクラスに該当しております。また、三価クロムについては、今年3月に公表された「化学物質の環境リスク初期評価」におきまして、一番厳しい評価である「詳細な評価を行う候補」とされたところでございます。以上をもちまして、報告案といたしましては現状どおりとさせていただきたいと考えております。
続きまして、7番目でございます。優先取組物質制度、これは化審法と他の法律と総合的な規制の方向を考えるべきで、もう役目を終えている、必要ないのではないかと。そのため廃止を含めて見直すべきであり、それに伴い追加というのは当面凍結すべきだというご意見でございます。我々環境省といたしましては、化学物質による人への健康リスクを減らすという共通の目的のもとに、化審法や化管法などと連携を図りながら総合的な対策を取り組んでいるというふうに認識しているところでございまして、特に優先取組物質に係る対策というものは、まず、環境基準や指針値といった削減の目安となるようなものを、健康リスク等を詳細に評価して設定させていただいたところでありまして、さらにそれを、実際、一般環境濃度でどうなっているかということを地方自治体と協力しながら全国的なモニタリング調査をして、把握していると。それによって、例えば高いところでは、事業者による排出抑制対策を自発的に促進させていると、そういう効果があるというふうに我々は考えております。よって、我々としては化審法等と連携しているという認識のもと、報告案を現状のとおりとさせていただきたいと考えているところでございます。また、物質リストにつきまして、今回、化管法の考え方を踏襲しており、さらに、前述した対策のあり方にも書かせていただいたとおり、今後、リストの見直しにおきましては、当然、化学物質関連施策との整合を図りながらやっていくということを明記させていただいているところでございます。7については以上でございます。
続きまして、8番目でございます。これにつきましては、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト」につきまして「ニッケル及びその化合物」という括りになっております。一方、「優先取組物質」につきましては「ニッケル化合物」だけとなっていると。これでは表現の整合性がとれていないので、整合性をとるべきだというご意見でございます。これにつきまして、なぜ分けているかという趣旨を伺っているという認識の元回答しているところでございますが、平成8年の第二次答申当時におきまして、もともと有害大気汚染物質に該当する可能性があるリストといたしまして「ニッケル及びその化合物」、優先取組物質として「ニッケル化合物」という区分けで始まってきたところでございまして、それにつきましてもIARCの発がん性評価を見ますと、ニッケル化合物というものは、グループ1、ヒトに対する発がん性があり、金属ニッケルにつきましてはグループ2B、ヒトに対する発がん性の可能性がありということで、ともに発がん性が疑われるんですが、可能性が大きく異なるということを踏まえまして、この区分けの仕方はこれまでどおりでいいのではないかということで、これまで通りの分け方とさせていただいたところでございます。以上をもちまして、報告案といたしましては現状のとおりとさせていただきたいと考えているところでございます。
続きまして、9番目でございます。クロム化合物について、早急に化学形態ごとの分析方法を確立すべきである。また、当該分析方法は事業者においても活用可能となるような実用的なものとすべきであると。ご指摘の金属の形態別測定方法については、一般的な検査機関や事業所においても測定が可能となるような測定手法の確立が早期に行われることが適切であるということが事務局としての対応でございます。一方、環境省といたしましては、これにつきまして来年度予算の要求をさせていただいたところでございまして、このような考え方も踏まえて取り組んでいきたいと考えているところを申し添えておきます。
最後に、10番目でございます。化学形態ごとに毒性が異なるとの知見があるにもかかわらず、化学形態別の分析手法が確立されていない物質に関しては、国が事業者に求める取り組みについて、事業者への過度の負担とならないよう慎重に検討すべきであるという趣旨でございます。これにつきまして、事務局の回答といたしましては、事業者における取組について、「リスクの程度に応じた排出抑制対策のあり方」、先ほど申し上げました別添1の17ページ以降の中に、従来同様、あくまで自主的取組を中心とした対策を実施することとしていて、事業者への過度の負担を求めるものではないという考え方を示させていただいているところでございます。
以上、簡単ではございましたけれども、今回のパブリックコメントに関する意見等及びその回答(案)についてご説明を終了させていただきます。
【部会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいま資料1、別添1、それから参考資料11を主として使って、パブリックコメントに対する事務局としての案を説明させていただきました。これにつきまして、ご質問・ご意見等ございます方は名札を立てていただければと思います。いかがでございましょうか。
小林委員、お願いします。
【小林委員】 2カ所ありまして、1カ所目は1の部分なんですが、これは言葉だけの問題なんですが、上から3行目、「一定の割り切りを行って」という言葉が入っているんです。この言葉の意味、なぜこういう言葉を入れたのか。入れなくても十分意味は通じると思うんですが、なぜ、こんな言葉を入れたのか。できたら、これは削除した方がいいのではないかというのが1点です。
それから、もう一つの質問は、説明はずっと書いていただいているんですが、この内容について、過去の審議会または専門委員会で議論されなかった内容が書かれていないでしょうねということで、つまり逆に言いますと、今まで議論されないことがここの事務局答弁の中に入っているのはまずいと思うので、議論されない内容または議論されなかった数値というのがないかどうか、それだけぜひチェックをお願いしたいと思うんですが。
【部会長】 ありがとうございました。それでは、事務局の方から2点ございましたけれども、まず1の「一定の割り切りを行って」、それから、あとは全体として、これまでの検討会、審議会等で議論されていないようなものが入っていないということを確認したいということでございます。
【大気課長補佐】 ご意見、ありがとうございます。1点目でございますが、「一定の割り切りを持って」ということは、参考資料の5をご確認いただきたいんですけれども、5ページ目の健康リスク総合専門委員会報告、まさに第二次答申の資料を付けさせていただいておりまして、この中で「一定の割り切りを持って」という表現を、5行目の中でさせていただいているというところでございます。これにつきまして、今回、その考え方を踏襲させていただいているということで、この文言を入れさせていただいたというのが実は趣旨でございます。
2点目につきましては、我々もそのような勝手に、今回新たに事務局が独自に出したということはないという前提で考えておりまして、ご質問の趣旨に沿ったの対応あると認識させていただいているところではございます。ですので、もしいろいろお気づきの点があれば、また、いろいろご意見いただければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
【部会長】 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
どうぞ。
【浅野委員】 今の点については、どうしてそのように「一定の割り切りを持って」ということを言ったかというと、もともと248全部が問題であろうという前提に立っているわけです。それで全部が問題だと言っておきながら、またさらに絞るのは一体なぜかと言われたときの弁解として「一定の割り切り」という言い方をしているので、これだけが特に危ないんじゃない、248全部危ないのだということを前提にしていたという経緯があります。
【部会長】 ありがとうございました。今、補足説明をいただきました。どうぞその他、ご質問・ご意見ございますでしょうか。
どうぞ、松尾委員。
【松尾委員】 基準のとり方の技術的な問題ですが、片一方は、一つはオーストラリアの基準の10の1で、一つはニュージーランドの基準の10分の1というふうに物質によって分けているんですが、字面だけの感じで言うと、なぜ両方オーストラリアでなかったのかとか、両方ニュージーランドでなかったのかとか、何か非常に恣意的に使い分けているんじゃないかという印象を受けたんですが、その辺はちょっと説明があるといいかなと思います。
【大気課長補佐】 別添1の14ページをご覧ください。この3.2の選定基準の(1)のアの(イ)の中で、外国の基準を使うものについて、実は[1]から[5]で列挙させていただいているところでございます。これのどれかに該当する場合は対象にしましょうということで決めさせて頂いております。
【部会長】 ありがとうございました。その他、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。もし、ただいま説明をさせていただき、また、今、皆さんからご質問をいただきましたけれども、最終的にはここで用意させていただきましたものでご了承いただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。それでは、これで次のステップに進めさせていただくことになります。
続きまして、今日、次の議事でございますけれども、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告案)」についての審議に入らせていただきます。
まず、部会報告の別添であります、二つの専門委員会報告案についてでございますけれども、別添1のリスト見直しについては、前回からの修正点はありませんので説明を省略させていただきます。部会報告案の別添2のヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について、これに関しましては前回、委員から内容についてご意見がございましたので、その対応について事務局から説明をさせますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局の方、お願いします。
【総務課係長】 それでは、総務課、永森から説明させていただきます。
部会報告案の別添2について説明させていただきます。前回、報告書案の最終的な結論としては、「ヒ素及びその化合物」としての指針値を示した一方で、別添2の評価書では「無機ヒ素化合物」としての指針値の提案を示していたため、そのあたりの考え方を整理するよう意見があったところです。これを受け、パブリックコメント実施前までに坂本部会長及び内山専門委員長と相談の上、修正しておりますので、その内容についてご報告いたします。
説明は見え消し版に沿って説明させていただきます。なお、この見え消し版は前回、大気部会資料からの修正を示したものでありまして、一部、引用文献の訂正がパブリックコメント後に見つかりましたが、パブリックコメントには、これらの修正をすべて反映させた形で実施しておりますことを申し添えいたします。
まず、11ページをご覧ください。国際がん研究機関(IARC)の情報を改めて確認いたしましたところ、発がん性分類が2010年5月にリバイスされておりまして、それまで「ヒ素及びその化合物」としてグループ1に分類されておりましたが、5月のリバイス版では、「ヒ素及び無機ヒ素化合物」としての分類にグループ1で修正されておりまして、他の有機ヒ素化合物はそれよりもグループ分けとしては発がん性が低いとされる2Bなどに分類されているということがわかりました。そのため、11ページの下にありますとおり、「なお、IARCが2010年5月に公表した最新の発がん性分類リストでは、「ヒ素及び無機ヒ素化合物」が「グループ1」とされる一方、いくつかの有機ヒ素化合物が「グループ2B」以下の発がん性クラスに分類された」という記述を追記しております。
続きまして、13ページをご覧ください。13ページ下の記述ですが、こちら「なお、非鉄金属製錬工程から排出される粉じん中のヒ素は、その大部分が三酸化二ヒ素であることの報告がある。その一方で、スウェーデン北部の銅等の製錬所では、製錬工程で生じる三酸化二ヒ素を回収・精製し、さらにそれを還元して単体ヒ素を製造しており、この過程において単体ヒ素に曝露する可能性があるとの報告がある」と、続きまして、「Rönnskärの銅製錬所においても、単体ヒ素を製造する工程が併設されることから、Rönnskär銅製錬所の労働者も同様に、単体ヒ素への曝露の可能性が否定できない」という文言を追記しておりまして、指針値を算出した疫学調査の一つであるRönnskär銅製錬所においても単体ヒ素と無機ヒ素が排出される可能性を追記いたしました。
なお、13ページの下から少しのところの文献で、下から4行目の網かけの訂正がかかっておりますのが、文献元が正確にはPacyna、1987年であることがわかりましたので、パブリックコメント後ではありましたが、訂正させていただきたいと思います。
13ページの上は同様の趣旨で、単体ヒ素の曝露の可能性について追記しております。
続きまして、23ページをご覧ください。こちらも同様の趣旨ではございますが、疫学調査の概要を示したものとなっております。こちらは同様に、単体ヒ素としても生産する工程が併設されておりますので、定量評価に用いた疫学調査対象の労働者についても単体ヒ素の曝露の可能性があるということを追記しております。
続きまして、60ページをご覧ください。(7)の曝露評価についてですが、大気環境中のヒ素はすべて無機態ヒ素(単体ヒ素及び無機ヒ素化合物)であると考えたと。メチル化されたヒ素化合物などの有機ヒ素化合物が大気中に存在するとの報告があるが、有機ヒ素系農薬の失効している我が国では人為起源の排出は想定されず、大気中には存在してもごく微量であることが考えられるということで、有機ヒ素が大気中に含まれる可能性が極めて低い旨を追記しております。
続きまして、63ページをご覧ください。これまで説明させていただいたことから(3)指針値の提案のところについてですけれども、「ヒ素及び無機ヒ素化合物」の指針値として提案する表現に修正しております。また、「ただし」というところから見え消しのところの修正がございます。読み上げますと、「ただし、有機ヒ素化合物は大気中の存在が殆ど想定されないことから、測定分析の効率性を考慮し、本指針値案との比較評価に当たっては、当面、全ヒ素の大気中濃度測定値をもって代用することで差し支えない」ということで、ここでは指針値との比較に際しての測定においては、全ヒ素を測定することで差し支えないという旨を追記しております。
以上がリスク評価書の詳細版にわたる主な修正箇所でございまして、1ページから6ページの概要版については、これらを踏まえて、あわせて修正した形となっております。
前回部会資料からの修正箇所の説明は以上となります。
【部会長】 ありがとうございました。ただいま、別添2を用いまして、前回からの修正箇所について説明をいたしました。なお、1カ所だけパブリックコメント後の修正がございますけれども、それは文献にかかわるところで、パブリックコメント後に修正をしても、そのパブリックコメントの内容には関係ないところであろうということで、今回、今の説明をもって最終的な報告書としたいということで、皆様方に提示させていただきまして、ご質問・ご意見をいただこうということでございます。どうぞご質問・ご意見ございます方は。
浅野委員、お願いします。
【浅野委員】 単純なことですが、今の追加された60ページにある「有機ヒ素系農薬の失効している我が国では」というのは、これは不正確な表現ですね。有機ヒ素系農薬の何が失効しているのか。要するに、農取法で承認か何かの手続があるのではありませんか。それが失効したということでしょう。
【総務課係長】 農薬取締法上の登録制度の中で失効したということです。
【浅野委員】 であれば、そう書かないと農薬の失効というのは全然言葉としては意味をなさないと思います。
【部会長】 ただいまのご質問は60ページの曝露評価についてのところで、この「有機ヒ素農薬の失効している」というのが、何がこのままでは失効しているかわからないから、それに関連する単語を補足した方がいいだろうということでございます。これはおっしゃられるとおりでございますので、補足をさせていただくということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか、これは。ありがとうございます。どうぞその他ご質問・ご意見ございましたらお願いいたします。
その他、ご質問・ご意見等ございませんようでしたら、この部会報告で、先ほど申し上げました浅野委員からの質問のところにつきましては、その単語を加えるという形で最終的な報告というふうにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。
それでは続きまして、部会報告案の本文についてでございますが、事務局から説明をお願いいたします。
【総務課長】 それでは、資料の2をご覧いただきたいと思います。1枚紙でございます。資料2の部会報告の本体についてでございますけれども、これはパブリックコメント上は、この紙の「記」というところがございますけれども、その「記」の下の部分についてパブリックコメントに付して、上の部分は削った形で出したものでございます。パブリックコメントの結果、先ほどもご報告いたしましたとおり、本文についても特に意見はございませんでした。改めまして、この内容で部会としての報告内容とすることについてご了承いただければと思っております。
以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。前回、パブリックコメントをかけるとき、いろいろ文章のところでご意見をいただきましたけれども、今回、こういう形でやらせていただいたということでございます。いかがでございましょうか。
どうぞ、浅野委員。
【浅野委員】 これで異存はありませんが、プレスリリースをするときに、このパブコメを見ても、こういう仕組みの意味がわかっておられない方が随分多いことがわかりましたので、何でこの優先取組物質というのを決めているのかとか、そのことについては丁寧に記者発表のときに資料の中に書くことをお願いしたいと思います。
【部会長】 ありがとうございました。今の意見はまさにおっしゃられるとおりということでございますので、事務局の方から記者発表するときには、そういったものをつけ加えてやらせていただくということにお願いしたいと思います。
その他、いかがでございましょう。もしよろしければ、部会報告についても、これも含めてご了承をいただいたということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。
それでは、今日の議題は非常に、前回は大分時間をいただいて議論をいただきましたけれども、前回の議論を取り込みまして最終的なものを今回作らせていただきましたので、比較的順調に進んだということかと思います。今日用意いたしました主な議題はこれでございまして、これで了承をいただいたということで、この部会報告を鈴木中央環境審議会会長へ報告をさせていただくということになります。本日出席の委員の皆様並びに短期間のうちに専門委員会報告をおまとめいただいた健康リスク総合専門委員会及びワーキンググループの方々に厚くお礼を申し上げます。なお、この部会報告につきましては、今後、鈴木中央環境審議会長のご決裁を受けて、鈴木会長から環境大臣に答申すると、そういう運びになりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
その他でございますけれども、事務局の方から連絡事項等ございますでしょうか。何かございましたら、お願いいたします。
【総務課長】 本日はご審議、誠にありがとうございました。本日の議事要旨及び議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきたいと思います。また、今後のスケジュールにつきましては、先ほど坂本部会長からもお話があったとおりでございますが、本日ご了承いただきました部会報告につきましては、今後、鈴木中央環境審議会会長のご決裁をいただきまして、鈴木会長から環境大臣に答申するという運びになります。誠にありがとうございました。
それでは最後に、鷺坂水・大気環境局長よりごあいさつを申し上げたいと思います。
【水・大気環境局長】 本日は、本当に今後の有害大気汚染物質対策のあり方(第九次報告)をおまとめいただきまして、誠にありがとうございました。本部会報告が取りまとめられたということでありまして、これは今後、中央環境審議会の答申になるということでございます。答申をいただきましたら私ども環境省といたしましても、この有害大気汚染物質対策、地方公共団体あるいは業界の方々、そういった方々と協力しながら、あるいはまた、いろいろご示唆いただきながら進めてまいりたい、一層対策を進めてまいりたい、このように考えている次第でございますので、また、きょうお集まりの皆様方におかれましても、引き続き有害汚染物質対策の一層の推進につきまして、ご協力あるいはご指導をお願いしたいと思います。平成8年に有害汚染物質対策が制度化されて、各企業の方々が本当に自主的に取り組みをしていただいております。かなり成果も出てきているところでございますので引き続き進めてまいりたい、このように考えております。そういったことで引き続きよろしくお願いするということで、私からのお礼のごあいさつにかえさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
【部会長】 それでは、予定より大分早いわけでございますけれども、本日の会議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。