(部会長) | 坂本 和彦 | |
(委員) | 磯野 弥生 | 松尾 友矩 |
(臨時委員) | 石川 義紀 | 稲垣 隆司 |
岩崎 好陽 | 浦野 紘平 | |
圓藤 陽子 | 大前 和幸 | |
後藤 卓雄 | 小林 悦夫 | |
小柳 正治 | 佐藤 信彦 | |
塩路 昌宏 | 進藤 孝生 | |
棚橋 信之 | 中杉 修身 | |
永田 勝也 | 中館 俊夫 | |
中野 璋代 | 樋口 忠夫 | |
宮池 克人 | 若松 伸司 | |
(環境省) | 鷺坂水・大気環境局長 | 石飛総務課長 |
山本大気環境課長 | 上田総務課長補佐 | |
苔口大気課長補佐 | 山本大気環境課未規制物質係長 |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告)(案) |
資料2 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について(健康リスク総合専門委員会報告) |
参考資料1 | 中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会委員名簿 |
参考資料2 | 有害大気汚染物質対策について(これまでの経緯) |
参考資料3 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問) |
参考資料4 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(中間答申) |
参考資料5 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申) 別添2有害大気汚染物質に係るリストについて |
参考資料6 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申) 別添1有害大気汚染物質に関するこれまでの取組の評価及び今後の対策のあり方について |
参考資料7 | 今後の有害大気汚染物質に係る健康リスク評価のあり方について(第七次答申及び第八次答申) |
参考資料8 | 自主管理計画に基づく有害大気汚染物質対策の評価等について(有害大気汚染物質排出抑制専門委員会報告) |
参考資料9 | 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定の見直しについて(答申) |
参考資料10 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しに係る参考資料 |
参考資料11 | 優先取組物質の見直しに係る参考資料 |
参考資料12 | 有害大気汚染物質モニタリング調査結果について |
議事
【総務課長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第31回大気環境部会を開会いたします。
本日は委員総数39名のうち、現在19名のご出席をいただいております。後ほど磯野委員がおいでになるというふうに承っておりますので、定足数である過半数に達しておることを、まずご報告申し上げたいと思います。
続きまして、委員の交代がございましたので、ご紹介申し上げます。前任の荒川健治委員から、棚橋信之委員にご就任いただきましたので、ご紹介いたします。
【棚橋委員】 棚橋と申します。石油連盟環境委員長でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
【総務課長】 どうぞよろしくお願いいたします。
では開会に当たりまして、鷺坂水・大気環境局長よりごあいさつを申し上げます。
【水・大気環境局長】 おはようございます。朝早くから、また、大変お暑い中、中央環境審議会の大気環境部会にお運びいただきまして、ありがとうございます。また、委員の皆様方には日ごろより環境行政にいろいろご協力賜っていますことを、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
今日は有害大気汚染物質対策ということでございますが、この有害大気汚染物質対策、平成8年の大気汚染防止法の改正によりまして、対策を取りましょうということで入ったわけでございます。有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質ということで、現在234物質をリスト化し、そしてそのうち優先取組物質として22の物質を選定しております。事業者によります自主的な取組、あるいは地方公共団体によります環境モニタリング、こういったものに加えまして、国といたしましては、特に優先取組物質につきまして環境基準、あるいは削減のための目標となるような指針値の設定、こういったことを行ってきたところでございます。
この度、本部会のもとに設置されております健康リスク総合専門委員会におきまして、これまで集積されてきました最新の知見に基づき、物質リストの見直し及びその優先取組物質にありますヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価、この二つの事柄につきまして集中的なご審議をいただいております。本日、専門委員会の方からご報告ということになるわけでございます。この場をお借りいたしまして、専門委員会の皆様方には厚くお礼を申し上げたいと思います。
本日、この部会におきまして、この専門委員会報告をもとにご審議をいただくと、こういう段取りになっておりますので、先生方におかれましてもよろしくご審議のほど、お願いを申し上げたいと思います。簡単ですが、冒頭の私からのごあいさつとさせていただきます。本日はどうかよろしくお願いしたいと思います。
【総務課長】 引き続きまして、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。一番上に議事次第がございます。その下の方に配付資料の一覧、裏のページにわたってございます。この議事次第の次に名簿がございます。その次に資料1、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告)(案)と、議事次第にございますが、これは後ほど資料2、資料3の専門委員会報告のご審議をいただいた後に配付をさせていただきます。今はお手元にはございませんので、ご了承ください。
それから資料2がリスト見直しに関する健康リスク総合専門委員会の報告でございます。それから資料3がヒ素に関する健康リスク総合専門委員会の報告でございます。それからその次に参考資料の1から12までございます。ちょっと時間の関係で読み上げは省かせていただきますが、1から12までございますでしょうか、ご確認をいただきたいと思います。それから、委員限りということで、第30回の大気環境部会の議事要旨、それから議事録の(案)が委員の皆様に限りまして配付させていただいておるところでございます。以上が資料でございます。
なお、委員の皆様方におかれましては、前回7月28日の第30回大気環境部会の議事要旨、議事録、今ご紹介申し上げたものでございますが、これにつきまして本日の会議終了後、内容をご確認いただきまして、もし、修正すべき点がございましたら、8月27日までに事務局にお申し出いただきたいと存じます。修正後速やかにホームページにて公表させていただく予定でございます。
それでは、これ以降の会議の進行は、坂本部会長にお願いいたしたいと存じます。
【部会長】 皆さん、おはようございます。本日は委員の皆様方におかれましては、お忙しい中にもかかわらず、朝早くからお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
本日の議題であります有害大気汚染物質対策につきましては、本部会のもとに設置されております健康リスク総合専門委員会におきまして、本年5月30日より3回にわたって集中的に審議をいただいたところでございます。今般、専門委員会報告がまとめられたということでございます。
本日、二つの専門委員会報告、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について」、それからもう一つが、「ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について」を審議しまして、当部会としてパブリックコメントにかける報告(案)をまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは早速でございますが、議事に入らさせていただきます。まず、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について」ということでございますが、こちらの方の説明をお願いいたします。
【大気環境課長補佐】 環境省大気環境課の苔口と申します。本日はよろしくお願いいたします。着席して報告させていただきます。
本来であれば、ここで内山専門委員長からご報告いただくところですが、ご都合によりご欠席とのご連絡をいただいておりますので、事務局よりご報告いたします。
まずリストの見直しに関しましては、内容について大きく三つございます。一つは有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストについて、化管法に基づくPRTR対象物質との整合性を考慮した見直しを行いまして、対象物質が従来の234物質から248物質となりました。二点目といたしまして、優先取組物質につきまして、従来の選定基準の考え方を踏まえつつ、最新の有害性、曝露性の情報に基づき見直しを行い、対象物質が22物質から23物質になりました。
そして三つ目に、これら二つの物質リストの見直しを踏まえまして、有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について、国、地方公共団体及び事業者の各主体の取組が明確となるよう対応方針を整理させていただきました。引き続き資料を用いまして内容をご説明したいと思います。
それでは、お手元の資料の2をご覧ください。ページをめくっていただきまして、目次の方ですけれども、資料の構成といたしましては、まず「はじめに」というところで、今回の見直しの経緯と取組内容を総括的に記載させていただいております。そして、先ほど説明した三つの視点につきまして、それぞれ2、3、4の形でまとめさせていただいております。
まず1ページ目の「はじめに」でございますけれども、これにつきましては、平成8年の第二次答申におきまして、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質として234物質が、優先取組物質として22物質が列挙されているところでございます。今般、有害大気汚染物質対策と大きな関連性にある化管法において、最新のデータによる対象物質の見直しが平成20年度に行われたことを受けまして、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質についても見直すことといたしました。具体的には、化管法対象物質の選定の考え方、及び選定時に用いられた最新の有害性、曝露性の情報等を活用いたしました。また、有害大気汚染物質の分類に応じまして、国、地方公共団体及び事業者の各主体の取組が明確となるよう、対応方針を整理することといたしました。
まず、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの見直しにつきまして、ご説明させていただきます。2ページ目をお開きください。文書の構成といたしましては、まず基本的な考え方、その考え方に基づきました選定基準、そして最終的に選んだリストの一覧を載せさせていただいているところでございます。
まず、基本的な考え方でございますが、今般の見直しにおきましては、先ほど述べさせていただきましたとおり、化管法対象物質との整合を図るように見直したということがございます。また、考え方といたしましては、第二次答申時同様、未然防止の見地から、一定の割り切りを行って有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質を広く選定することといたしました。
さらに物の燃焼等により、非意図的に生成される物質につきましては、ダイオキシン類以外の物質につきまして、化管法対象物質に含まれていないことを受け、諸外国における規制等を参照して別個に選定することといたしました。これらの選定基準について2.2以降にまとめているところでございますが、これにつきましては、参考資料10の7ページを用いて説明したいと思いますまず化管法対象物質、562物質の中から選定する考え方としては二つございます。一つは七つの有害性クラスに該当する物質であって、まず過去10年間において大気中からの検出例がある物質、次に大気中からの検出例はございませんが、化管法に基づく大気中への排出量の届出がある物質ということで、全体で211物質選定させていただいているところでございます。この七つの有害性クラスというものは左下に書かせていただいているとおりでございまして、発がん性変異原性、生殖/発生毒性等ございます。化管法自体はご存知のとおり、九つの有害性クラスを対象にしているのですが、有害大気汚染物質対策につきましては、ヒトへの健康に重点を置いていることから、生態毒性及びオゾン破壊性については除外させていただいております。
続きまして旧234物質リストにあった物質のうち、化管法対象でない物質、これが99物質ございます。こちらにつきましても三つの考え方で選定しております。まずどれにも共通するのは七つの有害性に該当するということでございまして、そのうち過去10年間において大気中からの検出例があるものや、大気中からの検出例はないけれども、製造輸入量が年に100トン以上あるようなもの、もしくは物の燃焼により非意図的に生成されるものということで、合計24物質選定させていただいたところでございます。
続きまして、上の1、2、つまり化管法対象物質でも旧234物質リストにも入っていない物質でございますけれども、こちらにつきましても諸外国における規制等の対象となっている物質のうち、物の燃焼等により非意図的に生成される物質につきまして、かつ七つの有害性クラスに該当する物質につきまして、12物質を選定させていただいております。
そして最後に、これは毒性につきましては七つの有害性クラスには低くて該当しないけれども、製造輸入量や大気の届出排出量が非常に多いキシレンにつきましては、あまりにも量が多いということで、注視しなきゃいけないという専門家判断もいただきまして、追加させていただいております。そして最終的に合計248物質を、今回新たな物質リストとして選定させていただきました。このリストにつきまして、先ほどの資料2の6ページから13ページまで、物質名と該当する選定基準とあわせて記載させていただいているところでございます。
続きまして3番目、優先取組物質の見直しについてご説明いたします。14ページをごらんください。こちらの章の構成も、まず基本的な考え方、そして選定基準、そして最後にリストの一覧という構成となっております。まず基本的な考え方でございますが、これにつきましてもこれまでどおりの考え方、つまり我が国の大気環境目標値や諸外国及び機関の大気環境保全政策の中で利用されている目標値と比較して、一定程度を超える濃度で検出される物質、または発がん性との重篤な影響を有し、一定の曝露性のある物質を選定させていただきました。このような考え方に基づきまして、選定基準も大きく分けて二つ。まず大気環境保全上注意を有する物質群ということで、我が国の大気環境目標、つまり環境基準や指針値及び諸外国や機関における環境目標値等の10分の1を超える値で検出されたもの、または指定物質に該当するものにつきまして選定させていただいているところでございます。
そして15ページをご覧いただきたいのですが、二つ目の視点といたしまして、ヒトに対する発がん性等の重篤な有害性が確認されており、一定の曝露性を有するものということで、この重篤な有害性につきましては、化管法における特定第一種指定化学物質の有害性の選定基準に倣いまして、発がん性、変異原性、生殖原性の中で、最もクラスが高いものに分類する物質を対象とさせていただきまして、その中で過去10年間大気中からの検出例があるもの、または化管法に基づく大気中への届出があるもので、大気中で検出される可能性が低い物質というものは除かさせていただくということで選定させていただきました。その選定結果につきまして、こちらにつきましても参考資料の方に比較表という形で整理させていただいております。
参考資料11の11ページの方をご覧いただけますでしょうか。今回変更に該当する箇所につきましては、それぞれ網掛け等をさせていただいております。まずこれまでの優先取組物質から外れる物質といたしまして、クロロメチルエーテルとタルク(アスベスト用線維を含むもの)につきましては、製造データ等が確認されなかったことなどを踏まえまして、除外させていただいております。代わりに塩化メチル、クロム及び三価クロム化合物、トルエンにつきまして今回の選定基準の考え方に照らし合わせまして該当するだろうということで、加えさせていただきました。最終的に優先取組物質といたしましては23物質を、リストとして登録したいと考えているところでございます。
なお補足でございますけれども、先ほどの参考資料10と、この参考資料11、これらにつきましては、有害大気汚染物質に該当する可能性のあるリストの見直し及び優先取組物質の見直しにおける選定の考え方をより詳細に取りまとめたものでございます。今後最終的な答申につきましては冊子にする予定でございますけれども、これらの資料につきましても、内容について分かり易くなるという観点から、併せて参考資料として付けさせていただこうかと考えている次第でございます。
続きまして、資料2の17ページをご覧ください。こちらに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方をまとめさせていただいております。内容につきましては、有害大気汚染物質の分類、つまりA分類物質、B分類物質、C分類物質に応じまして、国、地方公共団体及び事業者の各主体の取組が明確となるような対応方針を整理させていただいているところでございます。
まず基本的な考え方でございますけれども、大きく分けて二つございます。一つはまずこれまで個別事業者のそれぞれの責任のもとで、自主的な排出抑制、または地方公共団体と事業者との連携による地域主体の自主的な取組を行ってきたところですが、これが非常に地方公共団体及び国における大気環境モニタリング調査結果を見ましても、大気中の平均濃度が概ね減少傾向を示していることで、その抑制効果が非常に効果的に図られてきたということがわかります。そのため、今後ともこれまでどおりの取組を進めていこうということが、まず一つの大きな柱となっております。
こちらにつきましては、参考資料12の方をご覧下さい。最初のページに、平成20年度のモニタリングの調査結果を掲載させていただいているところでございますけれども、環境基準や指針値が設定されている11物質につきましては、環境基準の超過地点が全国数百地点においてゼロないしあっても1という、非常に良好な結果になっております。
また、1枚めくっていただきまして、3ページ目以降に、これまでの経年変化のグラフを記載させていただいているところでございます。これを見ますと、右肩下がり、もしくは悪くても横ばいということで、これらをみるとこれまでの取組が非常に上手くいっているということがわかります。よって、これまでどおりの取組を事業者及び地方公共団体は続けていただきたいということをまず一つの柱とさせていただいているところでございます。
一方で、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質とされた物質のうち、優先取組物質以外の物質につきましては、非常にまだまだ数も多く、その有害性情報収集等につきましても、完全には追いついていない状態であることを踏まえ、もっと体系的な取組をしなければいけないのではないかというご指摘がございました。そこで、この点につきまして、国がそのリスクの程度に応じまして、より効果的・体系的な対策を実施することが適当であるということで、その対策内容につきまして記載させていただいたところでございます。
18ページをご覧ください。<2>にリスクの程度に応じた排出抑制対策のあり方を記載させていただいているところでございます。これにつきましては、A、B、C分類ごとに国、地方公共団体、事業者が行う取組を、対応方針、取組内容という形で記載させていただきました。
まずA分類物質でございます。対応方針につきましては、必ずしも十分な情報やデータが整っているわけではないので、基礎的な知見、情報の収集に努めることということを主に書かせていただいているところでございます。具体的に主体ごとの取組内容につきまして、国につきましては基礎的情報の収集、普及啓発など書かさせていただいておりますけれども、特に基礎的情報の収集につきましては、対象となる物質が非常に多いということで、物性ごとに注目して対象物質をもっと類型化して、類型単位で基礎的情報を5年を目処に全部集めようということを、書かさせていただいているところでございます。
次に、地方公共団体の取組といたしまして、基礎的情報の収集や普及啓発を書かせていただいているところでございます。また、事業者における取組につきましては、自主的な排出抑制や周辺住民とのリスクコミュニケーションについて書かせていただいているところでございまして、自主的な排出抑制につきましても、もともと有害大気汚染物質になっているもののうち、化管法対象物質や大防法に基づくVOCにつきましては、それぞれの法律に基づいた対策をしていただくと、それがまさに有害大気汚染物質対策になるということをここに書かせていただいているところでございます。
次に、優先取組物質でございます。19ページの方をご覧ください。まず対応方針につきましては、行政においては物質の有害性、大気環境濃度及び発生源等について体系的に調査を行う、事業者におきましては自主的な排出抑制を行っていただく、また地方公共団体におかれましては、全国においてモニタリング調査を行っていただくといったことを、対応方針に記載させていただいているところでございます。具体の取組につきましては20ページ以後をごらんください。国につきましては、環境目標値の設定、環境基準値や指針値などを順次設定するということ、その他大気環境モニタリングの実施や排出実態の把握、排出抑制技術情報の収集などを書かせていただいているところでございます。
また、地方公共団体における取組につきましては、大気環境モニタリング調査の実施、普及啓発、事業者への指導・助言などについて書かせていただいているところでございます。また、事業者への取組につきましては、自主的な排出抑制や周辺住民とのリスクコミュニケーション、行政の取組への協力といったことを書かせていただいているところでございます。
続きまして指定物質でございます。22ページをご覧ください。こちらの対応方針につきましては、指定物質に該当するベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンにつきましては、化学物質の製造輸入及び使用の実態は常に変動することを踏まえまして、引き続き指定物質として環境基準の達成状況について監視していくことが適当であるという内容を記載させていただいているところでございます。主体ごとの取組といたしまして、国は排出抑制対策の評価、地方公共団体といたしましては大防法附則に基づく勧告、事業者の取組に係る評価について記載させていただきまして、事業者の取組といたしましては、指定物質抑制基準を踏まえた実質的な排出抑制について記載させていただいているところでございます。
そして最後に<3>ということで、23ページの方に、国が行う有害大気汚染物質対策についての見直しという項目を書かせていただいているところでございます。こちらにつきまして、大きく三つの観点で説明させていただきたいと思います。まず一つ目がA分類物質のうち、B分類物質以外のものに係る情報収集についてですが、こちらにつきましては比較的健康リスクの程度が高いと考える物質から、優先順位をつけまして、その優先順位の高いものから基礎的な情報の収集に努めると、さらなる対策の必要について検討することが適当ということを記載させていただいているところでございます。
そして二つ目の視点といたしましては、24ページの方を見ていただきたいのですが、上から8行目のところに書かさせていただいている内容でございまして、実は今回、この大気部会に上がる前に、今年度3回健康リスク総合専門委員会でご審議いただいたところでございますけれども、その中でも最後まで2-ブロモプロパンとベンゾトリクロライドの2物質について、優先取組物質に入れるべきか、入れないべきかという議論がございました。最終的には、今後の対策としてどちらが一番効果的で、社会経済的にも効果があるのかという観点からご審議いただいた結果、この2物質については優先取組物質から除外させていただくことといたしましたけれども、当然この2物質につきましては、毒性も高いということで、我々としても非常に注視していかなければいけないという観点から、今後国が大気濃度調査を行うなど、重点的な調査を行っていくことが必要ということを、ここに記載させていただいたところでございます。
そして最後に2.のところで、有害大気汚染物質対策全般について書いているのですが、この中で今後集積される科学的知見を踏まえ、他の化学物質関連施策との整合性を図りつつ、定期的に見直しが必要ということを書かせていただきました。これまでも平成12年の第六次答申の中で化管法に基づく整合性見直しを図るようにという答申が、10年前にされていたのですが、今回10年経ってやっと見直しがされたという我々の反省点も踏まえまして、もう少し定期的に見直すことが必要だということを、改めてここの場で掲載させていただいたというところでございます。
事務局から資料2の説明は以上でございます。
【部会長】 どうもありがとうございました。それではただいま資料2、それから参考資料の10、11、12をもちまして、説明をいただきましたけれども、これらにつきましてご質問、ご意見等ございましたら、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。進藤委員。
【進藤委員】 優先取組物質の参考資料の新旧の表で、クロム及び三価クロム化合物が追加されたわけでありますが、これについて一つお願いを述べさせていただければと思います。
従来から六価クロム化合物が入っていたわけですが、この分析については大気中では形態別の捕集分析が技術的に難しいということで、全クロム化合物を選定、測定対象としていると聞いております。今回の見直しでクロム及び三価クロム化合物が新たに加わることになり、重金属の形態別分析の必要性が一層高まるわけであります。重金属においては形態によって健康影響の程度が著しく異なると聞いておりますので、実用的な形態別分析方法、この方法の早期確立をぜひお願いしたいと思います。そのためには、予算措置等も必要になるかと思いますので、よろしくお願いします。
【部会長】 ありがとうございました。今、参考資料の11ページに、優先取組物質新旧対照表というのがございますが、その中で新たに今回クロム及び三価クロム化合物という形で追加をされたということでございます。こういったものは、それぞれの金属の酸化状態によって相当程度、いわば影響もしくは程度が異なるということで、こういったものについて、今回クロム及び三価クロム化合物、それから六価クロム化合物というような形でございますので、分析方法等を別途その検討をして、できるだけそういったものがやりやすいような状況にしていただきたいという要望でございます。もし事務局の方でございましたら。
【大気課長補佐】 ご意見ありがとうございます。こちらにつきましては、長年の課題であるということは承知しております。我々も今まさに予算要求の作業を行っているところでございまして、来年度要求の中で重金属の形態別分析手法の開発に係る予算を新たに要求しているところでございます。予算が付くか付かないかはこれから国会等のご審議も経て決まることでございますが、予定どおりいきましたら来年度から着手できるということでございますので、今後ともますますご意見、ご要望等をいただければ、我々も頑張っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【部会長】 よろしいでしょうか。それではあと後藤委員でしょうか、お願いいたします。マイクをお使いください。
【後藤委員】 日化協の後藤でございます。少しだけ、意見を述べさせてください。最初に今回有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質のリストを化管法の対象物質と整合するように見直されたことにつきましては、これは大きな成果だと思いますので、これまでの審議に携わられた関係者の方々にお礼を申し上げます。
今回の見直しにより、有害大気汚染物質リストは概ね化管法対象物質と重複しておりまして、物質選定の考え方も共通化されたものと認識しております。また、化管法、それからPRTR制度につきましては、事業者の自主的管理が進展し、仕組みについても定着してきたことから、環境中への排出が減少する効果も見られています。つきましては、有害大気汚染物質に対しましても、事業者によっては重複する議論でございますので、今後可能な限り化管法との一体的運用を図っていただきたいというふうに思います。
それからもう一ついいですか。次に排出抑制の役割についてでございますけれども、今回優先取組物質として提案されました23物質については、排出抑制対策において国、地方公共団体、事業者の役割分担が一律で、重みづけが示されていないというふうに思います。つまり1事業者の抑制対策では、対応は極めて困難な非意図的生成物質も含まれています。例えば工業的に製造されるものではなくても、ごみの焼却や火葬場などで発生するダイオキシン類、それからたばこや牛肉を焼いたときの煙などに含まれるベンゾピレンなどがその例でございます。これらについては、個々の優先取組物質に応じた必要な排出抑制対策を示していただき、場合によってはこれに対し技術も含めた国のご支援、あるいは援助をいただきたいというふうに思います。以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。ただいま二つあったと思いますが、前半の方につきましては化管法との関係で、今回整合性あるような形で整理されてきた。またその運用等についても今後整合性を持つような形でやっていただきたいという要望というふうにお聞きしてございます。もう一つの方は排出抑制に関して今後どういった形で考えていただきたいということでございましたので、事務局の方からございましたらお答えいただきたいと思います。お願いします。
【大気課長補佐】 ご意見ありがとうございます。一つ目につきましては、まさにこれからも化管法の対象物質とか結果につきまして、我々も毎年フォローをしておりますので、そういったものとの整合を図りつつ、皆様のご負担極力少なくなるようなことを念頭に頑張っていきたいと思います。
二つ目につきまして、我々も優先取組物質の対策の中で、20ページの方に排出実態の把握だったり排出抑制技術の情報収集等を行っているところでございます。今般優先取組物質がまた増えたということもあって、恐らくこういったところについてまず国がしっかりやると。それを皆様が自主的な対策がとれるように、どんどん情報提供しなければいけないということは、もともと我々の責務でございますので、より一層限られた予算を効率的に使って対応してまいりたいと思いますので、またその中でご意見等ありましたら、お寄せいただければ、いろいろと可能な範囲で対応していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【部会長】 2点目の非意図的生成物質の排出抑制に関しても?
【大気課長補佐】 含まれます。
【部会長】 含むですか。ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは続きまして浦野委員でしょうか、お願いいたします。
【浦野委員】 大気の話だけではないんですけれども、先ほどのお話のある金属類の規制の問題、海外でもいろいろ表現があって、いろんな機関ごとにさまざまな表現で示されているため、海外のものを参考にして日本語訳すると、すごく複雑になるんです。化管法もありますし、水濁法もある、あるいは土対法や廃棄物処理法でもそうですけれども、これらをどこかできちっと見直さないと変なことになる。
例えば土対法や廃棄物処理法ですと、水での溶出量基準とか、あるいは酸での含有量試験基準というのがあり、水か酸で溶けるものということになるわけですけれども、水濁法の方は水の中にあるものは溶けていなくても対象になり得ます。化管法でもいろいろな表現があります。ニッケルは優先取組物質リストの方ではニッケル化合物になっているんですが、可能性のある物質リストの方はニッケル及びその化合物と表記されています。要するにニッケル金属も入っている表現になっています。鉄なんかも塩化第二鉄だけが取り上げられていたり、金属ということではありませんが、シアン化合物ですとシアン酸塩は除くというふうに、除く部分が書いてあったりします。その辺がどうもすっきりしない。
毒性について形態別に全部調べると、化合物の形態が多種多様で難しいのですが、例えば水溶性のニッケル化合物とか、あるいはここまでの酸で溶ける化合物とかというのを決めることが望ましい。土対法の場合の含有量基準というのは、口に入って胃酸で溶けて吸収されることを想定して塩酸で溶解させる含有量基準が決まっていたりするわけです。
そういうことも踏まえて、金属の扱いを他の法律もあわせて少し整理をすることが望ましい。化管法がこうなっているからというような理由でなく、一度ぜひその辺を整理されて、分析法との対応も含めて、より合理的にしていただけたらいいなと思っております。
【部会長】 ありがとうございました。今これは先ほど化管法との関係でご意見ございましたけれども、それと同様に、それぞれの法律によって毒性から判断をして、金属もしくは金属のいろんな酸化状態のものが、有害性があるからそれを減らそうという形でやっているわけですけれども、その表現が違う部分、もしくはそれから法律によってまたそこで考えられている分析方法等も違う。それで、かつそれが大変難しいものなんかあったりするということで、今後そういったものを全体を見て測定方法、それから表現方法等についてもお考えいただきたいということでございますので、これは今後その先のこととして承っておきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
続きまして石川委員、お願いいたします。
【石川委員】 すみません。一つお尋ねいたします。旧234物質を今回いろんな点から見直して、新たに248物質を選定したということについては、大変結構なことだと思うんですが、旧234物質の中から外れたものが70か80か、かなりの数ございます。こういった物質については、これはもう問題ないから後は知らないよということになるのか、この外れた物質の扱いについてはどのようになるのか、行政としてはどうお考えなのか、そこの点をちょっとお答えいただけますでしょうか。
【部会長】 それでは事務局の方からお答えします。
【大気課長補佐】 ご意見ありがとうございます。今回の見直しで105物質が外れて118物質が入りまして、異性体との分類関係から一つ加えたということで、合計で248になっているのですが、その内訳を我々も見たところ、国内で製造・輸入の実績がないところが大半でございました。
もう一つが、平成8年当時やはりまだ毒性の情報とかも含めましていろいろなくて、例えば毒劇法とかいう、急性毒性的なものも拾っていたりとか、そういった部分がございまして、そういったところを一応再整理させていただいて、今回リストから除かせていただいたというのが、基本的な考え方としてございます。これにつきましてそのままでいいのかというご意見ですけれども、我々といたしましては、今後当然その定期的な見直しを行う際に、当然またすべて洗い直して、もう一回製造量等について時点修正をして、必要であれば入れていかなければいけないというような対応をとるべきではないかと考えているところでございます。
事務局からは以上でございます。
【部会長】 よろしいでしょうか。それでは松尾委員、お願いいたします。
【松尾委員】 私も今の石川委員と同じような論点なんですけれども、70幾つか80幾つかですが、該当しないという話になる。
特に七つの毒性に該当しない物質と言われちゃうと、じゃあなぜ最初のとき、前回のときに234の中に入ったのかということが、ちょっと疑問になってくると思うんです。そのときやっぱりある程度毒性があると思って入れたんじゃないかと思うし、今回も新たに加わったものの中に、またこういうようなものはないんでしょうかというか、また、毒性はないというようなことは、次の見直しのときに外れるような形になるのか、ならないのか、そういう意味で毒性がないからと言っちゃうことの妥当性というか、どういう根拠があるかということが一点です。
それと同時に見直しを今後なるべく頻繁にやっていこうという、適切に見ていこうということ、非常に結構だというふうに思うんですが、一方で製造とか、要するに日本の工業は使っていないから大丈夫だという、一つの言い方があると思うんですけれども、もしかしたらいろんな新しい産業が出てきて使い始めちゃうかもしれませんよね。そういう管理の仕方みたいのが、ちゃんとPRTRみたいに報告が上がってきたときに、かなり迅速に対応していけないと、外したけれどもまたもしかしたらという部分が、その見直しのルール化というか、何を基準にしてそれを見直すようにするのかという辺を聞かせていただければと思います。
【部会長】 ありがとうございます。どうぞ事務局の方からお願いします。
【大気課長補佐】 まず当時の考え方ですが、当時は諸外国の規制対象物質や市販実績、各試験条項に記載された有害性情報も参照していたのですが、今回の見直しは化管法対象物質の見直しに用いられた情報源、つまりかなり信頼性の高い情報を引用しておりまして、そういう点では当時に比べて非常に信頼性の高い情報をしっかりととっていたというところが、まず大きく違うのかなと。
あと毒性がないから落としたというより、繰り返しになりますがやっぱり一番は曝露データの基準に該当しなかった部分が大きかったのかなというところが、今回大きく入れかわった一番の原因だと思っております。そちらにつきましても、今はPRTRデータとかで、すぐ入手できますので、これらの物質についても当然我々も注視しながら、フォローのときには一緒にやっていくべきであるということを考えておりますので、なるべく問題が生じないような方向でやっていきたいと思っております。
【部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。その他ご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【部会長】 ただいま各委員の皆様方から幾つか異なる法律との整合性を考えながら、さらに今後のところとしてやっていただきたい要望、それから重金属、金属とそういったものの酸化状態が異なるものについて、各法律等で違うような部分、それからまたそれの分析方法、測定方法の開発、そういったところにも今後の問題として重点を置いていただきたいということ、それからもう一つ、今回外すことになった物質についても今後いろんな状況があって、そういったものについての考え方、それもきちんと整理してやっていただきたいというようなご要望をいただきましたけれども、いずれも今後のご要望ということでございます。
今日の報告につきましては、ただいまリスト見直しということの方のものにつきまして、ご審議をいただきましたけれども、この部会報告(案)はリストの見直しとヒ素の指針値の両方、これを盛り込むこととなってございますので、引き続きましてよろしければ「ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について」というところの審議に入らさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございます。それでは事務局、説明をお願いいたします。
【総務課長補佐】 総務課の上田でございます。座ってご説明させていただきます。ヒ素の評価につきましても、健康リスク総合専門委員会におきまして、報告書を取りまとめていただいております。本来であれば内山委員長がこちらにつきましてもご報告いただくところでございますが、ご欠席ということでございますので、事務局が代理でご報告させていただきます。
まず概要についてはざっとご説明させていただきます。現行22物質の優先取組物質につきましては、順次環境基準ないし指針値といった、環境目標値を設定するということといたしまして、評価作業を行ってきております。今般、ここに専門委員会報告書としておまとめいただきました「ヒ素及びその化合物」につきまして、科学的知見が集積されたということでございまして、専門委員会で審議の上報告を取りまとめていただいたということでございます。
ヒ素は昔からよく知られた発がん性物質でございますけれども、特に吸入曝露、つまり呼吸器系への曝露につきましては、肺がんとの明らかな関係があるということがわかってきております。特に動物実験だけではなくて、ヒト疫学のデータにつきましても、三つの銅製錬所における労働者のコホート研究で非常に信頼性の高い定量的なデータがあるということがわかりましたので、これらを用いて用量-反応アセスメントを行っております。
発がん性物質につきましては閾値の有無、つまりある一定以下のレベルであれば完全に安全であるというような閾値、境界値といったものがあるかないかというところがいつも問題になります。ヒ素につきましてはその閾値の有無につきましては、明確な判断が難しいということでございますけれども、ここでは「閾値はない」と仮定をしてアセスメントを行っております。したがって、LOAEL、NOAELといった考え方ではなくて、ユニットリスクという考え方を採用いたしまして、10万分の1の生涯過剰リスク、つまり一生涯で10万人に1人、発がんで亡くなる方が増えるというリスクレベルを想定いたしまして、それに相当する濃度レベルといたしまして、年平均値6ng-As/m3という指針値を提案していただいております。
これを国内における大気中濃度と比較いたしますと、ほとんどの地点はこの指針値の案を下回っておりますが、発生源周辺の数地点のみ超過をしているという状況でございます。なお、今回はこの吸入曝露とそれから肺がんの強い関係というものをエンドポイントとして定量評価を行ってございますけれども、ヒ素の一般の人口集団での曝露というものは、もちろん吸入だけじゃなくて、水や食品からの経口曝露というのが大部分を占めております。ですので、こういった総合的な曝露経路の考慮というのは、実は今食品の方で別途評価が進んでいるということもございますので、今後の課題であるというふうにまとめていただいているところでございます。
以上が概要でございます。資料3に基づきましてもう少しだけ詳細をご説明させていただきます。1ページをおめくりいただきますと、目次がございます。それで6ページ以降が、ここでは別紙となってございますけれども、評価書のいわば本体でございまして、ヒ素は昔から知られた毒物でございますので、相当文献数がございまして、80ページ以上にわたってございますので、6ページ以降は本日はちょっと割愛させていただきます。1ページから5ページまでがその概要ということで取りまとめてございますので、そちらに基づきましてざっとご説明をさせていただきます。
1ページ目は、もう検討経緯といったことで、これまでの繰り返しでございますので、ちょっと飛ばさせていただきまして、2ページ目をおめくりいただければと存じます。2ページ目の下の方に3.で環境中のヒ素及びその化合物による指針値の概要についてということでございまして、その二つ目のパラグラフ「なお」ということでございますけれども、ヒ素及びその化合物は、大気中では多くは無機態で存在をしてございますので、ここでは主には無機態の無機ヒ素化合物の曝露を、リスク評価の対象としてございます。
3ページ目にまいりまして発がん性でございます。先ほど概要の方でもご説明いたしましたけれども、ヒ素化合物は発がん性の明らかな証拠があるということでございまして、特に吸入曝露につきましては、肺がんの明らかな証拠があるということでございます。
次に[2]で閾値の有無についてということでございます。つまり、ある一定の値以下であれば安全であるというような濃度があるかどうかということでございますが、無機ヒ素化合物につきましては、閾値があるという知見と、ないという知見と両方出てきたということでございまして、ここでは閾値の有無について明確な結論を下すことは現段階では困難ということでございますが、そのパラグラフの一番下でございますけれども、ここでは発がん性には「閾値がない」と仮定をして算出するのが妥当であるという判断をいただいております。ですので、ユニットリスクという考え方を用いて算出する、アセスメントを行うということでございます。
次に[3]で発がん性に係る定量評価についてでございます。無機ヒ素化合物の発がん性につきましては、非鉄金属、ここでは銅製錬所でございますけれども、銅製錬所の労働者を対象とした多数の疫学研究で、がん死亡が報告されておりますけれども、中でも肺がんによる死亡につきましては、米国等の三つの銅製錬所コホート研究において、非常に明確な用量-反応関係を示すデータがあるということでございますので、これらを用いてアセスメントを行ったということでございます。
4ページにまいりまして、(2)発がん性以外の有害性でございます。ヒ素は昔から知られた毒物でございますので、いろんな有害性がございます。急性毒性でも例えば神経系、あるいは呼吸器系への毒性、それから慢性毒性でも主には呼吸器系への影響でございます。それから生殖発生毒性につきましても、数は少ないですが報告がございます。「しかしながら」という四つ目のパラグラフの下の方でございますけれども、「発がん性以外の有害性に係る適切な低濃度曝露領域における定量的データがなかった」ということでございます。つまり高い濃度ではいろんな毒性が検出されておりましたけれども、低い濃度でなかなか定量的なデータがないということでございますので、発がん性以外につきましては、アセスメントを行わないという判断になってございます。
それから(3)で定量的データの科学的信頼性についてということでございまして、これは科学的信頼性が高ければ環境基準相当、一定の制約があれば指針値相当、さらに科学的信頼性がなければ基準値の設定は難しいというところでございまして、どこに当たるかという判断でございます。結論は指針値ということでございますけれども、理由は一つ目のパラグラフの3行目辺りからでございますが、先ほど申しました三つの疫学コホートにおきまして、曝露量推定に用いているヒ素濃度が尿中濃度をはかっているものがあると。つまり大気中濃度を直接測っていないものがあるということでございまして、吸入曝露以外の経路からの影響が排除できないということ、あるいは労働者が着用している呼吸用保護具のマスク、そういったものの効果をかなり大胆に推定しているというようなものもございましたので、幾つかの不確実性が存在をするということでございます。
しかしながら、先ほど申しました三つのコホートにおきましては、用量-反応関係が非常に明らかでございまして、定量的データの科学的信頼性は相当の確度を有するということでございます。ただし、一定の制約がある、一定の不確実性が存在するということでございますので、まさにこれは指針値相当の信頼性であるという判断をいただいております。
次に(4)で指針値の提案についてということでございます。ここは先ほどから出ております経口曝露との関係をどう整理するかというところを議論してございます。一般人口集団におきますヒ素曝露は、大部分が食品や飲料水の摂取による経口曝露でございます。吸入曝露はある意味一部分でございます。ですが次のページにまいりまして、吸入曝露では肺がんが非常に明らかであると。経口曝露では多臓器にがんが発症いたしまして、肺がんはその一部にすぎないということでございまして、曝露経路によって発がんの様相が異なるということがございます。
ですので、ここでは吸入曝露と肺がんの発症の関係が疫学的に明らかであり、非常に強い関係があるということでございますので、それをエンドポイントとして指針値の検討をすることは妥当であるという判断をいただいております。ただし、それは別に経口曝露を無視してよいということではなく、専門委員会でもまさに議論になったところでございますけれども、その次の「なお」というパラグラフでございますが、飲料水につきましては既に評価が行われておりまして、水質基準が設定されてございますし、食品についても別途評価が行われているという状況でございます。ですので、ヒ素化合物の曝露形態に鑑みれば、今後こういった評価を踏まえました総合的な曝露経路の検討も考慮すべきであるという、今後の課題として受けとめていただいております。
次に[1]発がん性に関するリスク評価でございます。三つのコホートにおきます用量-反応関係が明らかですので、かつそれらのユニットリスク、それぞれの値がございますので、その三つのユニットリスクの幾何平均をとりまして統合ユニットリスクを求めてございます。その統合ユニットリスクに基づきまして10-5、生涯過剰発がんリスクに対応する大気中濃度として、6.0ng-As/m3という値を算出してございます。
それから[2]で発がん性以外でございます。発がん性以外は先ほどもご説明いたしましたが、評価値は算出しないと、アセスメントを行わないということでございます。
最後に[3]で指針値の提案についてということでございますが、発がん性と発がん性以外、それぞれで求めた評価値の低い方を取るというのがルールになってございます。ここでは結局発がん性の方のみ評価を行ってございますので、その値がそのまま引かれておりまして、年平均6ng-As/m3という値を提案していただいております。なお、ここで発がん性のリスク評価算出結果は「6.0」と2桁でございまして、指針値のご提案は1桁、「6」ということでございますけれども、ここも実は専門委員会で議論ございましたが、元としておりますユニットリスクの値が少し幅のある値でございますので、やはりこれは2桁の有効数字は保証できないであろうということで、指針値の提案としては1桁ということでございます。
それを、現在の大気中モニタリングの結果と比較いたしますと、[3]の2パラ目からでございますが、10年来のこれまでのモニタリング結果では、ヒ素の大気中濃度は概ね約10年間横ばいでございまして、全国平均大体2ng-As/m3ぐらいの値で、でこぼこしているということでございます。2008年の最新のデータで比較いたしますと、発生源周辺の測定局で指針値を超過している地点が幾つかございます。それから一般環境及び沿道の測定局でも1地点ずつですけれども、指針値を超過する地点があるということでございます。
簡単でございますが、以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。ただいま資料3によりまして、ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について、そしてさらにそれらに基づきまして指針値の提案について説明をいただきました。ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見ございます方は、また名札を立てていただければありがたいと思います。
まず浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】 確認ですけれども、先ほどと同じ金属ですけれども、ヒ素は。指針値の提案のところが無機ヒ素化合物の指針値というふうに書いてあるわけですけれども、ということは、単体のヒ素と有機ヒ素は除かれるという理解でよろしいんですか。これ単体金属として大量に輸入されていて、いろいろあるわけですから、表現がこれでいいのか、今後どういう表現をするのか確認したいんですが。
【部会長】 事務局お願いいたします。
【総務課長補佐】 ご質問ありがとうございます。実はここは事務局も内部でいろいろ議論をしているところでございますが、最初にもちょっとご説明いたしましたけれども、大気中では主に無機化合物の状態であるということで、主にはここではリスク評価は無機ヒ素として評価をしていただいております。しかしながら、ヒ素及びその化合物につきましては、IARC、国際がん研究機関でございますけれども、の発がん性のグループ分けによりますと、「ヒ素及びその化合物」、つまり単体ヒ素を含めてグループ1、つまり発がん性ありという分類をされてございます。それはニッケルの場合とは明確に違いがございまして、ニッケルの方は単体ニッケルは入ってございません。ニッケル化合物のみでグループ1というふうになってございまして、そこが大きな違いがあるのかなと考えてございます。ですので、ここでの評価は主に無機ヒ素でリスク評価をしていただきましたけれども、指針値としては結局はヒ素及びその化合物として設定してよいのではないかというふうに事務局としては考えているところでございます。
【部会長】 どうぞ。
【浦野委員】 そうすると、5ページのところの下の指針値の提案というところの、やはりきちっと「ヒ素及びその化合物」と書くのか、「ヒ素及びその無機化合物」と書くのか。
有機化合物については、このリスク評価の基本的なところでほとんど除かれているわけですから、これは除くのがよいと思う。外国のいろんな機関がどう表現するかというのは、きちっと詰めていないケースも結構多いので、いろんな機関で違う表現がとられているんです。だから外国がどういう表現ということではなくて、ここの部会でリスク評価をいろいろされたわけだから、それをベースにして正しい表現をとるという方がいいと思います。少なくともこの資料の5で指針値の提案、無機ヒ素化合物の指針値を年平均幾つと、こう書いてあるわけですから、単体は化合物でないですから、そういう意味ではきちっとした表現にすべきです。繰り返しになりますが、外国探すといろんな表現があるんです。有機ヒ素はまた別にしてあるケースもあります。ここでどういう表現をするかきちっと決めておく必要があると思います。
【部会長】 ありがとうございます。今、浦野委員のご指摘は、例えば3ページからずっとそれぞれ発がん性についての[1]のところの冒頭に、無機ヒ素化合物の何々、それから閾値の有無について無機ヒ素化合物の何々というような形で書いてあることと、それから今の話だと少し整合性がとれないんではないかというようなお話で、もしここで無機ヒ素化合物であれば、それをそのような形できちんといわば単体のものは含まないのか、有機化合物は含まないのかが明確になっていた方がいいということでございましょうか。
【浦野委員】 少なくともこの表現だと入らなくなります。測定法をどうするかというのはまた別の話なので、測定法はやむを得ず合計で測られているとか、安全側で測られているとか、あるいは大部分が無機化合物であろうというのは、測定法の問題なので、やっぱり基準値、指針値として何を指針値とするのかはきちっと表現しなきゃいけないと思います。
【部会長】 事務局の方、いかがでしょうか。
【総務課長補佐】 ちょっとすみません。本日、内山専門委員長がご欠席ということでございますので、また内山先生とご相談させていただきたいと思いますが、一つ事務局が後ほど確認させていただきたいと思っておりますのは、元文献でどちらで測っているか、つまり単体ヒ素も含めた全ヒ素として測っているのか、それとも無機化合物のみを測っているのか、多分そんなことはないと思いますが、その部分をちょっと確認させていただいた上で、またそこは内山専門委員長ともご相談の上、適切な表現に改めさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【浦野委員】 後ろの方に詳しいいろいろな毒性情報の検討があるんで、大前先生辺りからもしご意見があれば伺って、少し幅広に規制というか指針値を決めておくことは悪いことじゃないんですけど、ただ有機ヒ素は全然毒性が違うので、その辺はどうするか。ここはあまりもめる気はないんですけども、表現だけはきちっとしたいというふうに思っています。
【部会長】 今、お話しございましたけれども、専門委員会の方でご議論に加わった先生がおいででございますので、今、大前先生がお詳しいようでございますので、ご発言いただければと思います。
【大前委員】 次の6ページをご覧ください。6ページの方がその提案理由みたいな形になっておりますけれども、これはヒ素及びその化合物に係るという、こういう提案理由になっております。議論の中では特に金属質を分けて議論していなかったと思いますけれども、ヒ素という単体を入れてもいいんじゃないかと僕は思います。
【浦野委員】 有機ヒ素についてはどうですか。
【大前委員】 有機ヒ素は別です。
【浦野委員】 別と考えていいですね。
【大前委員】 ええ。
【浦野委員】 ですからやっぱり「ヒ素及びその無機化合物」というのが正しい表現だと、当面私は思っているんですけれども。
【大前委員】 多分、内山先生もそれを賛成されるんじゃないかと思います。内山先生とちょっとご相談をさせてください。
【部会長】 その他委員の先生で、専門委員会の関係者でご発言ございますでしょうか。今のお話で、いろいろこれまでの検討をしてきた段階では、無機それから無機のヒ素化合物、その両方を含めた形でやってこられたということのようでございます。もしそういうことであれば、先ほど浦野委員からご指摘いただきました無機ヒ素化合物の指針値というところは、ヒ素及び無機ヒ素化合物の合計としての指針値という考え方でやるのがいいんではないかというお話でございます。この点内山委員長にも確認させていただき、今のお話がそうであろうと思いますけれども、そういった形で最終的なものは対応させていただくということでよろしいでしょうか、いかがでしょうか。もしそうさせていただければありがたいと思いますが。中杉委員、どうぞ。
【中杉委員】 実際にそこら辺で難しい話なんですが、先ほどの測定方法との関連で考えた場合に、大気中では大体ほとんどが無機態で存在するだろうということを考えると、測定法とあわせて考えてその事実を考えていくと、ヒ素及びその化合物というふうにしておいた方が問題がないのかなというふうに思います。有機態がかなりの割合を占めてしまうと、これはまた先ほどの形態ごとの分析云々の話になってしまいますけれども、実際測られているのはヒ素と無機態のヒ素で、ほとんど無機態のヒ素であるということであると、測り方との絡みでいうと、表現としてはヒ素及びその化合物というふうにしておいてよろしいのではないかと私は思いますが。
【部会長】 ありがとうございました。今のご発言は、無機ヒ素化合物という形では書くんではなくて、ヒ素及びその化合物、実際の測定上の問題、それから現実に問題となっているものは、ほとんど測定をした場合に無機ヒ素化合物が大部分であるということ、この点からそうしてはどうかということでございます。大前委員、お願いします。
【大前委員】 有機はまた別に考えなくちゃいけない話なので、やはりヒ素及びその化合物ではまずいと思います。やはり「無機ヒ素」という文字を入れていただきたいなと思います。
【部会長】 圓藤委員、お願いします。
【圓藤委員】 食品中の場合は特に有機態のヒ素が多いんで、その場合は考え方を変えないといけないんで、そういうものとの整合性をあわせると、大気中の場合は無機態がほとんどなんで、無機態というふうに明白にしておいた方がよろしいかと思います。
【部会長】 ありがとうございました。今幾つかご意見をいただきましたけれども、先ほど私が申し上げましたような、今日の経緯を内山委員長にお話しして、そして最終的な今無機ヒ素化合物となっているところの表現は、ヒ素及び無機ヒ素化合物と書くか、別の書き方をするかにつきましては、内山委員長が全体を最終的に取りまとめてございますので、内山委員長にご相談をして、最終的な表現を決めさせていただくということでご了解をいただければと思いますが、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございます。そのように対応させていただきたいと思います。
その他質問、ご意見等ございますでしょうか。
(なし)
【部会長】 もし質問、ご意見等ございませんでしたら、これらの専門委員会報告を踏まえまして、当部会としてのパブリックコメントに付す報告(案)をまとめていきたいと思います。なお、部会報告(案)につきましては、私の方であらかじめ案文を用意させていただきましたので、事務局から配付させていただき、それを説明させていただきたいと思います。それでは事務局、配付をお願いいたします。
(案文配付)
【部会長】 それでは、事務局から報告(案)について、読み上げていただきたいと思います。お願いいたします。
【総務課長補佐】 それでは、総務課の上田よりご説明させていただきます。
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告)といたしまして、平成7年9月20日付、諮問第24号により、中央環境審議会に対してなされた今後の有害大気汚染物質対策のあり方について諮問のうち、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について、及びヒ素及びその化合物に係る指針値について、について大気環境部会で検討を行った結果、下記のとおり結論を得たので報告する。
1.有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト、及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について
有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト、及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について、別添1の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。
2.ヒ素及びその化合物に係る指針値について
ヒ素及びその化合物に係る指針値の提案について、別添2の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。これに基づき、ヒ素及びその化合物について別表のとおり指針値を設定することとする。
裏面にまいりまして、別表。環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる措置(指針値)ヒ素及びその化合物、年平均値6ng-As/m3以下。
以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。ただいま今日の審議をいただく前に、この案を作成してございますので、この中で先ほど報告(案)をご了承いただくということで、これが作られるわけですけれども、ヒ素の表現のところにつきましては、先ほど申し上げましたような形で、内山委員長と相談をして決めさせていただいたものに変わったものとして、ここではお考えいただきたいというふうに思います。
それではこれにつきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。松尾委員、お願いします。
【松尾委員】 若干の手続論ですけど、パブリックコメントはこれから受けるという、さっきの話でしたね。そうするとこれ審議会の会長に部会の結論ですって報告しちゃうと、それからパブリックコメントが来て、またそれについてこの部会で、それも含めた審議をすることになるわけですか。
【部会長】 はい、そういうことでございます。
【松尾委員】 ああそうですか。そうすると専門委員会のレベルでパブリックコメントをもらって、それとこの審議会の委員の意見をまとめて、それで結論を会長に上げるというんじゃなくて、会長がパブリックコメントにかけるわけですか。なんかちょっと手順がどうなのか疑問に思うけども。
【部会長】 事務局から説明させます。お願いします。
【総務課長補佐】 まずパブコメのかけ方といたしまして、専門委員会報告(案)としてかける場合と、それから部会の報告(案)としてかける場合と二通りございます。今回は二つの専門委員会報告まとめてでございましたので、部会の報告(案)としてかけるという方法を取らせていただきました。
それで、答申案としてかけてしまいますと、パブリックコメント終わった瞬間に、その場で終わりということでございますが、パブリックコメントをいただいたご意見をどこかで審議する場が必要でございますので、ですので、大気部会の報告(案)としてパブリックコメントかけさせていただいて、パブリックコメントが終わった後に、そのパブリックコメントでいただいた意見を1回審議する場を、この場でもう1回設けさせていただければというふうに考えてございます。そういう手続をいたしたいと思います。
【松尾委員】 その後会長にまた答申するんであって、この会長あての文章というのは、今日の時点での役割というのはどういう役割なんですか。パブリックコメントにかけますということをここに書いてあるなら、まだその手順としてわかるけども、結論を得たので報告しますというような。
【総務課長補佐】 ですから、もちろんこれはこの(案)というのをつけたままパブリックコメントさせていただきますので、部会としての報告(案)をパブリックコメントかけさせていただいて、パブリックコメント終わって(案)を取るのは次回の部会と、こういうことになるかと思っております。
【松尾委員】 いや、これでいいけど、(案)の段階で会長に答申して……。
【部会長】 いえ、これはまだ会長への答申はこの後、パブリックコメントをして、そしてそれをこの部会で審議をいただいた後、答申をするということになります。ですから今回この(案)がついたままでこれはいくということでございます。これを表にいたしまして、ほかの報告書と一緒にということになると思います。そういうことで事務局よろしいですね。
【松尾委員】 (案)を公開したと。こういう(案)がありますと、そのことを会長に報告しておくということですか。
【部会長】 いえ、会長にはまだ。パブリックコメントが済んで、そしてこの大気環境部会でご審議をいただいた後報告するということになりますので、これはまだ会長のもとへはいかないということでございます。そういう手順でございます。
【松尾委員】 じゃあ今日、ここの会長あての文章を議論するということの意味はどういうことなんですか。
【部会長】 事務局の方からお願いします。
【総務課長補佐】 恐らく松尾先生がひっかかっていらっしゃるのは、今日(案)を取るんじゃないかというところじゃないかというふうに考えたんですが、今日はそういう意味ではなくて、パブリックコメントにかける(案)はこういうことですということで、ご意見をいただくと。ただそれは今日で(案)を取るということではなくて、パブリックコメントには(案)のままもちろんかけさせていただいて、次回の部会で(案)を取っていただくという予定でございますが。それでご説明になっているでしょうか。すみません。
【松尾委員】 皆さんがそれでよければ。
【部会長】 いかがでしょうか。私も少しこういう形でないやり方もあるのかもしれませんが、今回こういった形でパブリックコメントにかけて、そしてその後皆様方にご審議いただき、かつ答申案もまた再確認をいただいて、会長に答申をさせていただくということでやらさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ。
【中杉委員】 坂本部会長、よろしいですか。多分確認ですけども、この答申(案)というもの自体も、パブリックコメントにかける。だからここで今審議をしてもらっている。そういう解釈ですよね。だから資料1、2、3がパブリックコメントに全部かけられると。だから資料1だけ別ではないと。だからここで一度審議をしてからでないとだめだと、そういう解釈ですよね。
【部会長】 そういうことでございます。先ほどの報告書と、それから今回の今皆さんにごらんいただいています(案)は、内山委員長とご相談した上で一部かえさせていただくというような形でお話し申し上げましたけれども、連動しているものでございます。いかがでございましょうか。
【松尾委員】 いやちょっと待って。あまり時間取るつもりはないんだけれども、今の中杉先生のような言い方だと、一々この部会がどういうことをするかということを、一々パブリックコメントにかけなきゃいけないような話になりますよね。会長に、部会長が報告する中身まで、パブリックコメントにかけるんですか。そうじゃないでしょう。ちょっとわからない。
【部会長】 事務局の方から、ちょっと説明をしていただきます。
【総務課長補佐】 確かに最近の例ですと、専門委員会報告の(案)の段階でパブコメにかけるケースがかなりの大部分を占めてございますけれども、実際これは前例のあることでございまして、ちょっと今平成何年か忘れましたが、ダイオキシンの環境基準と、それから対策をおまとめいただいたときは、これは専門委員会報告二つございましたけれども、その二つをまとめてこういった形で部会の報告(案)という形でパブコメにかけさせていただいた例がございます。今回それを踏襲しているということでございます。ですから、毎回部会の報告をパブコメにかけるということではなくて、パブコメはどこかの段階でかけるというときに、専門委員会報告(案)でかけるのか、それとも部会の報告(案)としてかけるのかという時点の問題ではございますけれども。
【部会長】 どうぞ、磯野委員でしょうか、お願いします。
【磯野委員】 多分、最もかけたいのはこの別表のところじゃないのかなというふうに思ったのです。つまり別表をこれとしてこういう形、別表というか1の問題よりも2の方が表に出てこないのかなという感じがしたんです。これこの(案)という形ではなくて、むしろもしあえてやりたいのであれば、ここのところ取ってしまって、会長、つまりこの諮問、こういう文章ではなく、我々はこういう形で了承したという形で、この二つのことを了解したんだということだけでとられればいいのではないかと。つまり気にされているのは、「次のとおり結論を得たので報告する」というところまで書いた形でパブコメを取るというのは、何となくいかにもという形なので、ということなんだろうと思うんですが、この中身の「記」の方だけを出して取られたらいかがですかということです。いかがでしょうか。
【部会長】 今、資料1のこの表の部分だけ見ていると、なかなか重要なところが見えてこなくて、むしろ裏にこれは表書きですと「別表のとおり」という形で書いてあるんですけれども、そこがなかなか読み取りいただけないという可能性もあるということかと思います。
そういたしますと、今上の方の文章の中の、「得たので報告する」というところまでを削除して、その報告書に基づいて、この大気環境部会でもヒ素及びその化合物の指針値を超えた値を含めて了承をしたという形のものを、パブリックコメントにかけるということに変更させていただきたいというふうに思います。
今、磯野委員からお話がございましたのは、この資料1の、「下記のとおり結論を得たので報告する。」という形で書いてある、その上書きの部分を削除してしまって、これはこの次のパブリックコメントを得て、大気環境部会で鈴木会長に答申をするときに、こういったものをまたそこでつけ加えればいいということでございますので、そこの下の文章のところをパブリックコメントにかける。そういうことによってこれまでの専門委員会で議論されたものの報告書の中身、そしてそれを受けて指針値がこういう形で提案をされるということが、多くの皆さんによくおわかりいただけるんではないかというふうに思います。
そういう提案がございましたので、今その方がいいかなと。それから松尾先生からもかなりこの前の方のところについて手続的にどうか、ただ前例があったということで事務局とはこういう形で用意をさせていただきましたけれども、やはりこの前書きがない方がわかりやすいんではないかということで、そういう対応にさせていただければと思います。なお、その場合の文章の環境基準値もしくは指針値ですね、このところの名称、ヒ素及びその化合物といったところにつきましても、場合によっては内山委員長とご相談をした上で、その表現のところにつきましては、報告書とあわせた形で対応させていただきたいというふうに思います。いかがでございましょうか。
【松尾委員】 それで結構だと思うんですが、要するに坂本部会長がパブリックコメントを求めるという文書にすべきであるというのが私の趣旨であって、会長あての文書をパブリックコメントにかけるのはおかしかろうと。
【部会長】 大気環境部会で審議したものを……。
【松尾委員】 ですからまさに部会長の責任で、パブリックコメントを求める。その中身はこういうことだというのなら結構だというふうに思います。
【部会長】 ありがとうございます。どうぞ事務局。
【総務課長】 ご指摘ありがとうございました。私どもどうしても役所ですので、ちょっと文書の形式にこだわり過ぎて、今非常に重要なご指摘をいただいたと思います。実際ホームページ等でこのパブリックコメントを求めるわけでございますので、そのときにはもう少し丁寧に、専門委員会の報告がなされて、本日の大気部会で審議をして、一応この(案)でいいんではないかという部会としての(案)ができましたので、それを部会長としてパブリックコメントにかけますという趣旨をちゃんと書いて、そしてパブリックコメントを求めたいと思います。ご指摘ありがとうございました。
【部会長】 そのほかいかがでございましょうか。最終的なことを申し上げますと、今、事務局の方からお話がございましたように、この大気環境部会で専門委員会の報告書を了承して、そしてそれをパブリックコメントにかけるということでございますので、そういう趣旨の前書きがちょっとあって、そしてこの後、今資料1の下の半分のところを含めた形で、パブリックコメントでご意見をお伺いするということでございます。そういったことでよろしゅうございましょうか。
(異議なし)
【部会長】 ありがとうございました。そういたしましたら、今お話を申し上げましたような形で、パブリックコメントに付すことにさせていただきたいと思います。今日内山委員長はご都合でおいでになってございませんけれども、非常に短期間のうちに専門委員会報告をおまとめいただき、それから内山委員長を初め健康リスク総合専門委員会及びワーキンググループの方々にお礼を申し上げたいと思います。今申し上げました少し変えた形でパブリックコメントにかけるということでございますけれども、このパブリックコメントの趣旨は、幅広く国民の皆様からのご意見を聞いた後、それに対する回答とともに、次回開催の第32回大気環境部会において審議をさせていただき、最終的に部会報告として取りまとめた上で、今日の資料1という形であるような形で、鈴木中央環境審議会長にこれを提出いたしまして、その後鈴木会長から環境大臣に答申をしていただくという手順になるということでございます。
その他、事務局から何かございますでしょうか。
【総務課長】 本日はご審議、誠にありがとうございました。本日の議事要旨及び議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、公開することとさせていただきたいと思います。
また、今後のスケジュールについてご説明申し上げます。ただいま坂本部会長からもお話がありましたとおり、本日ご審議いただきました報告(案)について、早ければ来週にもパブリックコメントの手続に入りまして、その結果をもちまして再度この大気部会を開催して、ご審議いただいて、最終的に第九次の報告という形でおまとめいただければと考えております。なお、次回の部会につきましては、このパブリックコメントの手続を終えまして、事務局での作業も終えて、10月ごろを目処にと考えてございますが、具体的日程につきましては、また調整をさせていただいた上で、後日事務局よりご連絡を申し上げたいと思います。
事務局からは以上でございます。
【部会長】 ありがとうございました。ただいまお話がございましたような形で、この後パブリックコメントが進むということでございます。そしてそれを受けて、また大気環境部会で皆様方にご審議をいただくということになろうかと思います。
今日は、私の少し進め方に不手際がございまして、申し訳ございませんでした。それでは、今日の会議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。