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■議事録一覧■

中央環境審議会第27回大気環境部会議事録



  1. 日時 平成21年7月2日(木) 15:00~17:19
  2. 場所 フロラシオン青山1F ふじの間
  3. 出席者
    (部会長) 坂本 和彦  
    (委員) 浅野 直人 磯野 弥生
      加藤 順子 佐藤  洋
      佐和 隆光  
    (臨時委員) 荒川 健治 石川 義紀
      稲垣 隆司 岩崎 好陽
      内山 巖雄 月岡 良三
      浦野 紘平 圓藤 陽子
      太田 勝敏 大前 和幸
      北野  大 河野 通方
      小林 悦夫 小柳 正治
      佐藤 信彦 進藤 孝生
      中杉 修身 新田 裕史
      萩原 清子 樋口 忠夫
      宮池 克人 若松 伸司
    (環境省) 水・大気環境局長 大気環境課長
      総務課長 総務課長補佐
      大気環境課長補佐  

  4. 議事
    (1)
    微小粒子状物質に係る環境基準について
    (2)
    その他
  5. 配付資料

    ・中央環境審議会大気環境部会委員名簿

    資料1 微小粒子状物質環境基準専門委員会及び微小粒子状物質測定法専門委員会における審議経過の概要について
    資料2 微小粒子状物質の環境基準の設定について
     資料2-1  微小粒子状物質環境基準専門委員会報告(案)
     資料2-2  微小粒子状物質測定法専門委員会報告(案)
    参考資料1 微小粒子状物質に関する取組みについて
    参考資料2 微小粒子状物質に係る環境基準設定について(諮問)
    参考資料3 大気汚染に係る環境目標値設定状況
     
  6. 議事

    【総務課長】皆様、お待たせいたしました。ただいまから中央環境審議会第27回大気環境部会を開催させていただきます。
     本日は、委員総数39名のうち、25名の先生方のご出席を既にいただいてございます。定足数であります過半数に達しておるということをご報告させていただきます。また、若松委員より、少々遅れるというご連絡をちょうだいしているところでございます。
     引き続き、会議の冒頭お配りしております配付資料のご確認をお願いしたいと思います。議事次第の紙の下の半分の方に配付資料として記載をしております。中央環境審議会大気環境部会委員名簿、以下、資料1としまして、微小粒子状物質環境基準専門委員会及び微小粒子状物質測定法専門委員会における審議経緯の概要について、資料2-1としまして、微小粒子状物質環境基準専門委員会報告(案)、資料2-2としまして、微小粒子状物質測定法専門委員会報告(案)、参考資料1、微小粒子状物質に関する取組みについて、参考資料2、微小粒子状物質に係る環境基準設定について、諮問文です。参考資料3、大気汚染に係る環境目標値設定状況。以上でございます。もし資料の不足等ございますれば、随時、事務局にお申しつけいただければ幸いでございます。
     報道関係の方々にお願い申し上げます。冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと存じます。
     それでは、これ以降の会議の進行につきまして、坂本部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

    【部会長】 皆さん、今日はお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。
     それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきたいと思います。
     昨年12月に微小粒子状物質に係る環境基準設定について、環境大臣より中央環境審議会に諮問がなされ、昨年の12月19日に開催いたしました大気環境部会において、微小粒子状物質環境基準専門委員会及び測定法専門委員会を設置いたしまして、両専門委員会について検討がなされてきたところでございます。
     両検討委員会における検討状況につきましては、前回の5月15日の第26回大気環境部会において、両委員会から中間報告がなされました。
     資料1に両専門委員会の審議経過について示してございますけれども、前回の大気環境部会以降、部会でのご意見を踏まえつつ、環境基準専門委員会では、さらに4回、測定法専門委員会では、さらに2回の審議をいただき報告案を提出いただいたところでございます。
     まず、きょうは最初に、両委員会から提出されております専門委員会報告案について説明をお聞きいただき、その後、審議に入らせていただきたいと思います。
     それでは、まず、微小粒子状物質環境基準専門委員会報告案についてでございますけれども、まずは専門委員会の委員長を務めていただいております内山委員から、主な審議のポイント、結論の概要について説明をいただき、その後、前回の大気環境部会における中間的な審議経過の報告の議論を踏まえて、報告案に反映した点も含めて、報告案につきまして事務局から説明をいただく予定でございます。
     それでは、まず内山委員から説明をよろしくお願いいたします。

    【内山委員】 微小粒子状物質環境基準専門委員会の委員長を務めさせていただきました内山でございます。
     微小粒子状物質環境基準専門委員会の審議の概要につきまして、ご説明させていただきます。
     今、ご紹介ありましたように、前回5月15日に中間的な審議経過の報告をさせていただきましたが、その後の検討状況と報告案について説明させていただきます。
     前回の報告の後、今ご紹介がありましたように、先週の6月26日まで、短期間ではございましたけれども、4回、専門委員会としては計9回にわたって熱心な調査・審議を行ってまいりました。
     前回の委員会で提出した長期曝露や短期曝露の定量評価に関します資料や、環境基準の設定に当たりましての指針値に関する検討の資料をもとにいたしまして、長期基準、これは年平均値、それから短期基準、日平均値の環境濃度やその環境濃度を導く考え方について議論してまいったところでございます。
     長期曝露影響や短期曝露影響の知見を踏まえまして、曝露濃度全般を低減する長期基準と、高濃度の出現頻度の濃度を低減する短期基準を設定する考え方を整理し、それぞれの基準につきまして、国内の科学的知見のみならず、国外の知見も含めて評価の対象といたしました。
     その結果、PM2.5に関する環境基準の設定に当たっての指針値としての環境濃度あるいは短期の環境基準についての環境濃度について、今日ご提案することでございます。
     まず、長期基準につきましては、死亡及び死亡以外の国内外の疫学知見の濃度反応関係や濃度範囲の情報から影響の確からしい濃度の見出し、健康影響や観察する濃度水準を整理するとともに、指針値を導出するために主要な観点について示させていただきました。これに関しましては、また後でご説明があると思いますが、資料2-1の冊子の中の5と書いてございます「環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討」というまとまったA4の5-9ページ以降、5.4の「長期基準及び短期基準の指針値」、5.4.1「主要な観点」を以下に詳細が記してございますが、ここでは簡略に、その考え方を説明させていただきます。
     まず、長期基準の設定に当たりまして、国内外の長期コホート研究から健康影響が観察される濃度水準といたしまして、国内の死亡をエンドポイントとした場合には、20μg/m3、国外の死亡をエンドポイントとした知見といたしましては、15~10μg/m3。それから、国内の死亡以外の知見といたしましては25μg/m3、国外の死亡以外の知見といたしましては15μg/m3ぐらいというのが、この健康影響が観察される濃度水準として整理したものでございます。
     これをもとにいたしまして、長期基準の考え方として、我が国における微小粒子状物質の健康リスク、この場合の長期の場合は、我が国の場合は、がん死亡、それから死亡以外でございますけれども、大体これが20μg/m3以下では見られていない。しかも、循環器疾患に対する影響は、一部のものを除いて影響ははっきりしない。しかし、我が国の知見は欧米の知見に比較してまだ十分ではありません。循環器疾患に対する健康リスクの状況は欧米と異なっていますけれども、これは主にリスクファクターの分布の違い。このリスクファクターといいますのは、コレステロールの値ですとか、肥満度ですとか、それから動脈硬化の修復の度合い等、このリスクファクターの分布の違いによるものと主に考える。しかし、人種差や微小粒子状物質の構成成分の差によって健康影響が異なることは明らかにはなっていない。また、微小粒子状物質の健康影響に関して想定されるメカニズムに関する多くの毒性学知見や疫学知見の質や量は年々増加しておりまして、その確実度は増しているということがございます。したがいまして、環境基準の設定に当たりましては、国内知見を重視するべきではありますけれども、知見が充実している国外知見の結果、これは先ほどお示ししましたように、15μg/m3ぐらいから影響が見られるということも考慮すべきであるというふうに考えました。
     一方で、微小粒子状物質の健康影響には、閾値の存在の有無を明らかにすることは困難である。これはどこまで下げれば十分であるかということがはっきりしないということにもつながります。
     以上のことから、国内の知見、20μg/m3を出発点といたしまして、国外知見の15μg/m3を考慮して、これらに固有な不確実性があること、それから、先ほどの9ページに書いてありますような主要な観点、論じられていることも総合的に評価いたしまして、長期基準として年平均値15μg/m3以下、この数値が最も妥当と判断した次第でございます。
     また、短期曝露におきましては、健康影響が見られた国内外の複数都市研究から導かれた98パーセンタイル値というものは、39μg/m3を超えるということが考えられております。また、日死亡、入院・受診、呼吸器症状や肺機能に関しまして、有意な関係を示す単一の都市研究における98パーセンタイル値の下限は30~35μg/m3の範囲と考えられました。
     また、健康影響が見られた疫学研究における98パーセンタイル値につきましては、年平均値15μg/m3といたしますと、それに対応する国内のPM2.5の測定値に基づきます98パーセンタイル値というものを計算いたしますと、これが大体、今申し上げました推定範囲に含まれているということでございました。
     以上のことから、長期基準の指針値である年平均値15μg/m3とあわせて、日平均値35μg/m3を短期基準の指針値とすれば、高濃度出現による短期影響の健康リスクも低減することが可能と考えられまして、この値を短期基準とすることが最も妥当であるというふうに判断したところでございまして、この数値を本日提案する次第でございます。この濃度は、現時点で、我が国の人口集団の健康保護のために維持されることが望ましい水準であるというふうに考えております。
     また、前回の大気環境部会で議論のありました微小粒子状物質の健康影響を踏まえた環境基準の性格について、専門委員会でも議論を行いました。微小粒子状物質の健康影響は、疫学知見や解析手法の充実により初めて検出可能となった現在の大気環境濃度での健康リスクの上昇を示すものでありまして、集団を構成する個人の個別的な因果関係を推測できるものではございませんが、公衆衛生の観点から、低減すべき健康リスクを示すものであると考えます。
     微小粒子状物質に係る環境基準を設定することによって、低濃度領域における健康リスクの低減が図られ、さらなる健康の保護が可能となるということで整理をさせていただきました。
     先ほど、5の方をお示しいたしましたが、報告書の構成といたしましては、1として、微小粒子状物質の特性及び人の生体内での挙動、2、環境大気中の濃度、3、健康影響に関する定性的評価、4、健康影響に関する定量的評価、5、環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討、6、環境基準達成状況の評価、7、まとめと今後の課題という形で整理させていただいております。
     最後にまとめと今後の課題について、少し紹介させていただきますと、まとめにおきまして、審議経過や指針値などの提案についてお示しするとともに、今後の課題について述べております。国内知見が国外知見よりも少ないことや、さまざまな不確実性をもとに評価を進めてきたことを踏まえ、今後行うべき調査研究について示させていただきました。また、本専門委員会においては、今回の検討において多くの科学的知見により評価を進めまいりましたが、環境基準の設定に当たっての指針値を設定するに十分に知見が蓄積されているというふうに考えた次第でございます。しかし、さらに国内知見を充実して、安定条件を反映するということを期待するということを今後の課題と示させていただいております。
     本日は前回の大気環境部会での審議も踏まえまして、その報告案の中でも、さらに専門委員会で検討を進めた点を中心にご報告いたしましたので、ご審議いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

    【部会長】 どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして、事務局から資料について説明をお願いいたします。

    【総務課長補佐】 それでは、事務局の方から、資料2-1の微小粒子状物質環境基準専門委員会報告(案)についてご説明させていただきます。
     まず、表紙を1枚めくりまして、目次がございます。先ほど内山委員からもご説明がありましたが、最初に「はじめに」から、1ポツの「微小粒子状物質の特性及び人の生体内での挙動」から、2番目の環境大気中濃度、3番目の定性的評価と。1枚めくりまして、次のページに定量的評価、また指針値に関する検討、環境基準達成状況の評価、あとはまとめと今後の課題ということで紹介をさせていただいております。
     まず最初に、この目次の次に、「はじめに」がございます。それについて読まさせていただきますと、本専門委員会では、「微小粒子状物質健康影響評価検討会報告書」、「微小粒子状物質の定量的リスク評価手法について」に加え、現時点で利用可能な微小粒子状物質等に係る国内外の科学的知見を踏まえ、微小粒子状物質の特性及び人の体内中の挙動、環境大気中濃度、健康影響に関する定性的評価及び定量的評価、環境基準設定に当たっての指針値、環境基準達成状況の評価の手法等について審議を行ってきたが、このほど、その成果と取りまとめたので、ここに報告するということで、最初に示しております。
     その次のページに行きまして、1番として、微小粒子状物質の特性及び人の生体内での挙動ということでございますが、この資料自体は、この大気環境部会において、微小粒子状物質健康影響評価検討会の報告書を報告させていただいていますが、その中で、微小粒子状物質の特性として、粒径分布、生成機構、発生源について情報整理をしております。また、大気中の挙動だけではなくて、人の生体内での挙動についても、その報告書の内容を整理していただいているということでございます。
     まず、こちらの方で紹介するものについては、微小粒子状物質の粒径に関して、補足的にご説明させていただきます。
     1-1ページに、粒子状物質の粒径分布に関連して記述がございます。粒子状物質の粒径分布につきましては、1-2ページ目にあるとおり、図1.1.1にありますとおり、粒子状物質の分布としては、核形成領域と蓄積領域、粗大粒子領域という領域があると。この中で微小粒子というのは核形成領域と蓄積領域のものを言うということを1-1ページのところで、最初のところに書いております。また、PM2.5に関しまして、この一番最後、1-1ページの最後の文章のところに、2.5μmの粒子を50%の割合で分離することができる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される微小粒子で構成されるものをPM2.5ということで示しております。
     これらの微小粒子状物質の特性、人の生体内での挙動を踏まえまして、微小粒子状物質の粒径ということで、1-15ページを開いていただければと思いますが、微小粒子状物質の粒径という部分について、こちらの方で読み上げさせていただきます。
     微小粒子は、粗大粒子と比較して、大気中に長期間滞留し、一定地域内ではより均一に存在し、屋内にも侵入しやすく、生体内に吸入された粒子は肺胞領域にまで侵入しやすく、燃焼等に伴う人為発生源の寄与率が高い特徴を有し、粒径の大きさのみならず生成過程や組成が粗大粒子と異なる特徴を有する。
     粒子状物質の質量濃度分布では、微少粒子と粗大粒子の1~2μm付近に谷を有する二峰型分布を示すが、この粒径の付近において、微小粒子と粗大粒子が共に存在する粒径の範囲が存在する。その一方、大気環境中の微小粒子状物質を測定するには、微小粒子と粗大粒子をある粒径の大きさにおいて区分する必要がある。この際、微小粒子の特性や生体内の挙動の特徴を踏まえ、微小粒子の大半を包含することができる粒径の大きさで微小粒子と粗大粒子の粒径を区分することが適当である。
     次のページにいきまして、粒子状物質に関する微小粒子と粗大粒子を区分する粒径は次に示した理由から、2.5μmとして、PM2.5(粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて採取される微小粒子)を微小粒子状物質の指標とすることが適当である。
     ①高湿度等の条件において微小粒子が膨潤化した状況も含めて、PM2.5は微小粒子の大半を包含できること。
     ②PM2.5は米国等で多くの健康影響に関する研究論文や測定データが蓄積されていること。
     ③PM2.5の大気環境濃度測定結果はヒトへの曝露量とみることができる知見が蓄積されていること。
     これがまず第1章でございます。その次の第2章、環境大気中濃度ですが、この資料につきましては、我が国の大気環境中濃度の現状、それと日本の米国の大気環境濃度の相違について、前回、大気環境部会でもご提出した資料を編集しております。詳細については割愛をいたします。
     次に、3番目の微小粒子状物質の健康影響に関する定性的評価ということでございます。これについては、微小粒子状物質の健康影響評価検討会報告や、最近の疫学や毒性学の科学的知見も踏まえまして、3-1ページの3.1.毒性学知見に基づく影響メカニズム、また、3-7ページにいきまして、3.2.微小粒子状物質の健康影響に関する疫学知見の紹介、また、3-29ページ以降に、疫学知見に基づく因果関係の評価と。この中には、前回の大気環境部会でもお示しをした3-32ページに、循環器疾患への影響に関する国内外の相違に関する考察ということで、前回の部会において提出した資料を踏まえ、反映しているものもこの中に入っております。
     また、毒性学の影響メカニズムと疫学知見の整合性についての有害性の評価という部分については、3-35ページ以降に記述をしております。
     その結果、3-36ページの3.4まとめにおいて、微小粒子状物質への短期曝露、長期曝露と循環器・呼吸器疾患死亡、肺がん死亡との関連に関する疫学的証拠には一貫性がみられることから、これらの健康影響の原因の一つとなりうることが記述されております。また、その後にも、疫学知見の評価と生物学的妥当性や整合性の検討結果を総合的に評価すると、微小粒子状物質が総体として人々の健康に一定の影響を与えていることは、疫学知見並びに毒性学知見から支持されており、微小粒子状物質への曝露により死亡及びその他の人口集団への健康影響が生ずることには、十分な証拠が存在するということで、こちらの方に示されております。
     次に、第4章の健康影響に関する定量的評価にいきます。ここで、最初に、4.1に定量的評価の考え方につきまして、ここについては、従来からの環境基準のうち、二酸化硫黄や二酸化窒素などの環境基準の設定の考え方、あわせて、有害大気汚染物質の環境基準の考え方について記述をしております。これは従来からという部分のところから、環境基準の目安として用いられているというところまでのパラグラフでございます。その上で、前回の大気環境部会でもご議論がございました環境基準の考え方についても、一般論として記述しておりまして、このように環境基準は、人の健康を保護する上で維持されることは望ましい基準として設定されるものであり、大気環境濃度が基準値を超過した場合でも、直ちに人の健康に影響があらわれるものはないという点について記述をしております。
     その後、微小粒子状物質につきまして、先ほど内山委員からもお話がございましたが、閾値の存在の有無は明らかにすることはできなく、濃度が低い環境下においても幾らかのリスクがある可能性は否定はできないが、不確実性のために明確なリスクの定量的評価もできない濃度領域が存在するという点について記述をしております。
     その次に、前回の大気環境部会でもご議論がありましたリスク削減による評価という部分については、現時点では、微小粒子状物質の曝露人口分布を予測評価するための基礎的なデータが不足しているということを踏まえまして、閾値のない有害大気汚染物質の環境基準を検討する際に採用されているリスク削減の予測に関する手法を採用していないということについて示しております。
     その次の、4-2ページの「微小粒子状物質の健康影響の現れ方は」というパラグラフの部分でございますが、これについては、前回の大気部会でご議論があった微小粒子状物質の健康影響を踏まえた環境基準の性格について、専門委員会で審議して、こちらの文章にまとめられております。読み上げますが、微小粒子状物質の健康影響の現れ方は、現下の大気環境において、個人の健康への作用として日常的に臨床の場で観察されるものではなく、比較的小さな相対リスクが幅広い地域において疫学的に観察されるものである。日本の都市地域において、主として1960年代から70年代にかけて経済成長とともに発生した二酸化硫黄や浮遊粒子状物質などの大気汚染によって慢性呼吸器疾患患者が増加する一般集団への健康被害を示したような健康影響の現れ方と比較すれば、現時点で利用可能な知見にみられる微小粒子状物質の健康影響は、疫学知見や解析手法の充実により、初めて検出可能となった現在の大気環境濃度での健康リスクの上昇を示すものである。現時点で利用可能な微小粒子状物質に関する疫学知見において、集団として観察される健康リスクの上昇は、集団を構成する個人の個別的な因果関係を推測できるものではないが、公衆衛生の観点から低減すべき健康リスクを示すものである。微小粒子状物質に係る環境基準を設定することによって、低濃度領域における健康リスクの低減が図られ、さらなる健康の保護が可能となると。このような形でまとめられております。
     これらの考え方に基づいて、微小粒子状物質の定量的評価に関連して、疫学知見に基づく濃度反応関係から健康影響が生じることが確からしい濃度水準を見いだし、環境基準の設定に当たっての指針値の目安となる出発点にするということが記述されております。
     また、4-2の一番最後のパラグラフからは、感受性の高い方や脆弱性を有する方の健康影響にも慎重に配慮をするという点について書かれております。
     また、次の4-3ページにいきまして、さまざまなエンドポイントがこの疫学研究の中で見られるということですが、今回の検討に当たっては、さまざまな重篤度の影響の中から、考慮すべきエンドポイントを選択するべきであるといったことが書かれております。
     4-3ページの定量的評価に関する疫学知見の抽出の考え方は、前回の部会でもお示しした内容でございます。
     4-5ページにいきまして、定量的評価に資する長期曝露影響に関する疫学知見ということですが、これも前回の部会でお示しした内容ということでございますが、疫学知見の濃度反応関係の傾きと濃度範囲に関する情報を整理するとともに、濃度反応関係の計上を推測できる情報について整理をしているものでございます。
     なお、この節の4-34ページを開いていただきまして、カリフォルニアの子どものコホートの研究についてでございます。これについては、前回の大気部会において、例えば図4.3.2.5のグラフですが、この中で高濃度の地点のMLが突出していると。これを除けば、統計的な信頼性も可能ではないかというご指摘があったところですが、これにおいて、専門委員会においても審議をいただきましたが、原著論文で高濃度のMLを除いて計算してみても、全体の統計的特性の大きな変化はなかった旨、記載されていることを確認し、資料の修正というのは行っていないということでございます。
     次に、4-25ページにいきまして、4.4.定量的評価に資する短期曝露影響についての疫学知見です。
     前回の部会でお示しした内容に加えまして、4-29ページ、図4.4.1.6でございます。こちらのデータについては、日本の20都市研究という、死亡リスクの上昇を示す知見の中の一つということですが、後ほど説明します短期基準とも関連しますが、高濃度領域、パーセンタイル値でいうと95パーセンタイルから99パーセンタイルまでのデータを出していますが、パーセンタイル値が上がると、その死亡リスクの上昇率が上がるというグラフについてお示ししております。これがつけ加えられたものと、次に4-30ページにいきまして、米国等の短期曝露影響の知見に関するPM2.5濃度の情報をおつけしています。こちらの方で、後ほど紹介する短期基準の部分で、エビデンスの中で対象地域の平均濃度や98パーセンタイル値という部分について、こちらで対応するということでございます。
     また、4-37ページにいきまして、曝露量-影響関係を示す毒性学知見について、こちらの方で300μg/m3以下の濃度領域で曝露量-影響関係がみられる知見というものを示しております。
     これらの知見が疫学知見に基づく濃度-反応関係と整合した結果を示しているということをこちらの方で書いております。
     次に、第5章にいきまして、環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討ということでございますが、5-1ページ目に、長期基準及び短期基準の必要性ということについてお示ししています。基本的な考え方としては、前回の大気部会でお示ししているものと変わりはないということですが、微小粒子状物質に関しまして、長期曝露影響、短期曝露影響が存在をしていると。そういうことを踏まえまして、曝露濃度分布を全体を低減する長期基準と、それと高濃度出現頻度の濃度を低減する短期基準、これをそれぞれ設定することで、人の健康の保護は図られるという、こういう考え方をお示ししております。
     それで、5-2ページ目にいきまして、次に長期基準の考え方と知見の評価ということでございますが、前回お示しした長期基準の考え方に加えて、先ほど4章に定量的評価で記載されていた疫学知見の平均濃度や濃度範囲に関する情報、また濃度反応関係の形状に関する検討についても、この節の5-2の節のところでお示ししております。
     国内知見と国外知見で健康が見られる濃度水準というのをこちらの方で示しております。具体的には、5-4ページ目以降に、それぞれのエビデンスに関する濃度範囲というものを5-4から5-5ページにかけて、死亡リスクと、あとはそれ以外の死亡以外のエンドポイントに関する情報をお示ししているということでございます。
     それで、5-5ページの一番最後のパラグラフからですが、PM2.5への長期曝露との関連性を報告している死亡に関するコホート研究や死亡以外の呼吸器系への影響に関する横断研究における対象地域の濃度範囲のうち、PM2.5濃度が20μg/m3以上の範囲については、国内外の多くの疫学知見において対象地域の濃度範囲の平均を超える水準であり、濃度-反応関係に関する検討においても健康影響が観察される濃度水準であるということを示しております。
     次の5-6ページにいきまして、二つ目から四つ目のパラグラフについては、ウイメンズ・ヘルス・イニシアチブ研究、ACS拡張研究、カリフォルニア子供研究の影響が見られる濃度についての解釈が示されております。これらの解釈も踏まえまして、五つ目のパラグラフで、15μg/m3を下回る濃度領域において、現時点では健康影響が観察される濃度水準とみなすことはできない旨、示されております。
     三つ目のパラグラフでは、死亡以外のエンドポイントに関する知見の平均濃度は、おおむね15μg/m3を超えており、死亡をエンドポイントとする知見と同じ濃度領域で健康影響が観察されることを示しております。
     最後に、国内知見につきましては、限られた情報ですが、20μg/m3以下の濃度領域が現時点では影響がみられていないが、人種差や微小粒子状物質の成分の違いによって影響が異なることは明らかでないことから、平均濃度20μg/m3以下の濃度領域において健康影響を示している国外知見も含めて評価することは妥当であるということをこちらの方で示しております。
     5-7ページにいきまして、短期基準の考え方と知見の評価でございます。これについては、前回お示しした短期基準の考え方について、大気部会における審議も踏まえまして、短期曝露影響の疫学知見による評価も加える形で修正いただいています。
     短期基準のターゲットとなる高濃度出現頻度については、5.3の三つ目のパラグラフ、「日本の20都市研究において」以降のところでお示ししていますが、先ほど4章で紹介をしました20都市研究においても、高濃度領域におけるリスクの上昇、パーセンタイル値が上昇すればするほどリスクは上がるという関係と、また、年平均値と日平均値の関連性につきまして、98パーセンタイル値よりも下回るところで、決定係数が0.8以上になり安定をしてくるということを踏まえまして、こういう統計的な安定性とリスクの上昇というのを考慮して、98パーセンタイル値の高濃度領域の濃度を低減することを目的に、短期基準を設定しようということをこちらの方のパラグラフで書いているということでございます。
     5-8ページにいきまして、それではマスター指針値をどのように設定するかという部分です。検討するかということですが、まず、短期曝露影響に関する健康影響がみられる知見において、98パーセンタイル値を算出して、次に年平均値の指針値に対応する98パーセンタイル値を算出して、その98パーセンタイル値を下回る濃度領域で健康影響がみられるか検証することによって、日平均値の指針値を定めるということが、ここの考え方として示されております。
     次のパラグラフで、米国の基準の考え方を示しまして、さらにその次のパラグラフで、最近の知見も含めて、同様の評価を行うと、日死亡及びその他のエンドポイントとPM2.5への有意な関連を示した複数都市研究の98パーセンタイル値は39μg/m3を超えていた。日死亡について有意な関連を示す知見については、32~59μg/m3、死亡以外の98パーセンタイル値は国内知見の98パーセンタイル値も示しています。
     その次に、年平均値と98パーセンタイル値の回帰式の換算の考え方を示しております。
     5-9ページの方にもいきまして、日本国内の角地で実測された濃度データについて、これをすべて対象にして、統計学的な信頼区間や個々の測定値の誤差も考慮して、数値幅を示しております。この点については、前回の大気部会でもご議論がございましたが、測定箇所の少ない場合の変動についても考慮をして検討を進めてきたということでございます。
     次に5.4.長期基準及びお短期基準の指針値ですが、これについては、先ほど内山委員からも紹介がございましたが、読み上げます。
     5.4.1.主要な観点。次に長期基準及び短期基準の指針値を導出するに当たっての主要な観点を示した。
     PM2.5の健康影響については閾値の有無を明らかにすることができない状況であり、そのため多くの疫学研究の対象知地域における濃度範囲の下限付近やそれを下回る濃度領域における健康リスクの大きさは、一般人口集団及び感受性の高い者・脆弱性を有する者を含む集団においても明確ではない。
     我が国の人為起源由来粒子の影響が少ないと考えられる地域のPM2.5濃度測定結果は、年平均6~12μg/m3であり、この濃度領域においても閾値の有無は明らかではないことからいくらかの健康リスクが存在する可能性は否定できないが、その健康リスクの存在を明確にすることはできない。この点に関して、現時点までの疫学知見において存在することが示唆される健康リスクを低減する観点から指針値を導くことが適切である。
     疫学研究における濃度範囲全域をみた場合に、PM2.5への長期曝露による死亡及び死亡以外のエンドポイントに関するリスク上昇は、相対リスク(10μg/m3上昇当たり)としてほとんどが1.5以下であり、多くは1.1~1.4程度であった。
     また、PM2.5への短期曝露による死亡及び死亡以外のエンドポイントに関するリスク上昇は、超過リスク(10μg/m3上昇当たり)として、多くが数パーセントである。
     この相対リスクは他の曝露要因・リスク要因と比較して必ずしも大きくはなく、集団を構成する個人の個別的な因果関係を推測できるものではないが、公衆衛生の観点から低減すべき健康リスクを示すものである。大気汚染による曝露は、人の嗜好や生活パターンによらずすべての者に健康影響を及ぼしうるものであって、避けることが困難である。
     公衆衛生の観点からは、大気汚染物質の影響に対してより敏感であり、また、より大きな健康リスクを生じうると考えられる感受性の高い者や脆弱性を有する者の健康影響にも慎重に配慮することが必要である。
     指針値の検討において、その根拠となる疫学研究で示されている微小粒子状物質の健康影響に関しては、想定されるメカニズムに関連する毒性学研究やその他の多くの疫学知見によって支持されるものであり、近年それらの知見は更に充実している。定量的評価の対象となりうる疫学知見は必ずしも多くはないが、それを支持する多くの毒性学知見と疫学知見が存在する。
     循環器疾患への影響に関しては、国内知見では関連が必ずしも明確ではない等日米の疫学研究の結果が異なる可能性も示されている。この相違については、日本と米国のリスクファクターの分布や疾病構造の違いによって結果に差が生じているものと解釈できる。短期曝露と死亡に関する疫学知見では国外知見と同じように急性心筋梗塞死亡リスク上昇がみられること、将来の日本の疾病構造やリスクファクターの分布が米国に近づく可能性もあることから、現時点で発現している健康リスクの大きさは異なるものの、国内外の疫学知見や種々の毒性学知見を踏まえ、国内でも同様の影響が生じる可能性がある。
     大気汚染の人及び人口集団の健康への影響は各種の段階の健康影響として観察されうるが、大気汚染物質と健康影響は両者とも多様性があり、その関係は複雑である。微小粒子状物質と共存大気汚染物質の濃度は相関する場合があるために、疫学知見において両者の影響を明確に分離することが困難な場合が多い。一方で、微小粒子状物質と共存大気汚染物質の影響を区別できる知見が存在する。これらの点について、微小粒子状物質濃度を低減することによって微小粒子状物質の健康リスクが低減するだけではなく、微小粒子状物質の原因物質である共存大気汚染物質の濃度の低減も期待できることから、これらの大気汚染物質の健康リスクを低減させる効果をもたらすことが期待される。
     コホート研究における曝露評価においては、調査期間のうちのどの期間を曝露期間とするかによっても、濃度-反応関係に関わる検討結果は変わりうる。しかしながら、現時点では、どの期間の曝露が最も健康影響と関係するかについては明らかとなっていない。また、長期曝露に関する国内外の疫学調査に関する多くの対象地域において、微小粒子状物質を含めた大気汚染物質濃度が低下傾向にある。このことが、長期曝露による健康影響が観察される濃度の評価を更に不確かにする。
     微小粒子状物質の濃度には測定誤差や推計誤差が含まれる。また、疫学研究の対象集団の曝露量には大気環境中濃度の空間分布や種々の曝露量を規定する要因に関わる変動が加わる。
     なお、長期基準及び短期基準の指針値における微小粒子状物質とは、第1章における検討を踏まえてPM2.5のことをいう。
     5.4.2.長期基準の指針値。
     長期基準の知見の評価に基づき、国内外の長期曝露研究から一定の信頼性を持って健康リスクの上昇を検出することが可能となる濃度を、健康影響が観察される濃度水準として、次に示すように整理した。
     国内の死亡に関するコホート研究からは、PM2.5濃度推計誤差も考慮して、20μg/m3を健康影響が観察される濃度水準とみなせる。
     国外、特に米国における死亡に関するコホート研究からは、15~20μg/m3の濃度範囲を超える領域では健康影響が観察される。
     国内の死亡以外の疫学研究からは25μg/m3を健康影響が観察される濃度水準であると考えられる。
     国外の死亡以外の疫学研究からは15μg/m3を健康影響が観察される濃度水準であると考えられる。
     コホート研究においては、調査観察期間のうちのどの期間を曝露期間とするかによっても、濃度-反応関係に関わる検討結果が変わりうる。各コホート研究で示されている濃度の経年変化の傾向等から推測すると、観察期間中の最も濃度が高い期間と最も濃度が低い期間の平均濃度を比較すると、曝露期間選択の違いによってPM2.5濃度としておおむね2~3μg/m3の変動幅を考慮する必要がある。
     我が国における微小粒子状物質の健康影響は20μg/m3よりも低い濃度では観察されず、現時点で循環器疾患に対する健康リスクの状況は米国とは異なっているものの、人種差や微小粒子状物質の成分の差によって健康影響が異なることは明らかではない。また、微小粒子状物質の健康影響は、想定されるメカニズムに関連する多くの毒性学知見や疫学知見によって支持されるものであり、その知見の質や量から科学的信頼性は年々増している。したがって、国内知見を重視して考えると指針値を検討するための出発点となる濃度は20μg/m3であるが、知見が充実している国外知見から見いだされる健康影響が観察される濃度水準は15μg/m3であり、この濃度水準にも考慮すべきである。
     その上で、主要な観点として前述した内容と健康影響が観察される濃度水準に加えて疫学知見に特有な不確実性が存在することにも考慮して総合的に評価した結果、長期基準として年平均値15μg/m3が最も妥当であると判断した。
     5.4.3.短期基準の指針値。
     短期曝露による健康影響がみられた国内外の複数都市研究から導かれた98パーセンタイル値は39μg/m3を超えると考えられた。
     日死亡、入院・受診、呼吸器症状や肺機能などに関して、有意な関係を示す単一都市研究における98パーセンタイル値の下限は30~35μg/m3の範囲と考えられた。
     健康影響がみられた疫学研究における98パーセンタイル値は、年平均値15μg/m3に対応する国内のPM2.5測定値に基づく98パーセンタイル値の推定範囲に含まれていた。
     以上のことから、長期基準の指針値である年平均値15μg/m3と併せて、日平均値35μg/m3を短期基準の指針値とすることが最も妥当であると判断した。
     5.4.4.指針の提案。
     本専門委員会は、現時点で収集可能な国内外の科学的知見から総合的に判断し、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮して微小粒子状物質に係る環境基準設定に当たっての指針としての環境濃度を次のように提案する。
     長期基準の指針値、年平均値15μg/m3以下
     短期基準の指針値、日平均値35μg/m3以下
     長期基準及び短期基準の指針としての濃度は様々な重篤度の健康影響に関して、現時点では我が国における人口集団の健康の保護のために維持されることが望ましい水準である。
     以上が5章でございます。
     その次に、第6章として、環境基準の達成状況の評価ということで、この章については、大気環境測定濃度とその環境基準というものを比較して、測定濃度が環境基準を達成したか評価するための評価方法をお示ししております。
     6.2のところで、微小粒子状物質の環境基準達成状況の評価ということでお示ししていまして、この中の二つめのパラグラフにおいて、長期基準に関する平均化時間に対応した環境基準の評価方法としては、測定結果の年平均値と短期基準を比較することが妥当であること。また、短期基準については、98パーセンタイル値の測定結果と比較して評価をするということが妥当だということが書いております。
     6-2ページにいきまして、6.3において、黄砂時などの特異的現象ということで、その際の評価への考慮ということがお示ししております。基本的には、その黄砂期間の健康影響というのを曝露期間の中の健康影響から特定することは現時点では困難だということで、黄砂期間自体、その評価期間から除くというとは適切ではないと。評価の期間に黄砂期間も含めることが適当だということですが、実際に黄砂によって非達成というふうに考えられる場合については、黄砂の影響で非達成という注釈をつけて評価するということが考えられる旨、記述されております。これが第6章でございます。
     次に第7章にいきまして、まとめと今後の課題です。7.1のまとめに関して、これまでの経緯と審議経過について、7.1から7.2にお示しをしております。
     7-3ページ目におきまして、環境基準の設定に当たっての指針値に関する環境濃度の提案について示しておりまして、長期基準指針値、短期基準の指針値について示しております。あわせて、指標についてPM2.5にすることと評価方法、評価に関する内容も記述をしております。この提案に関連して、微小粒子状物質の健康影響に関しては、その閾値の有無を明らかにすることは困難であることから、今般提示した指針値などについても、研究の進歩による新しい知見をこれに反映させるべく、一定期間ごとに改めて評価、点検されるべきであることも示されております。
     また、なお書きのところですが、粒径から2.5μmから10μmまでの粗大粒子は、体内に吸入された後に気道で捕捉され沈着することが知られており、呼吸器系への影響を示唆する知見も少数ながら存在するが、現時点では定量的評価を行うための疫学知見が十分に得られていないと考えられると。これらの粗大粒子の曝露から人の健康を保護するため、当面、既存の浮遊粒子状物質に係る環境基準を維持しつつ、粗大粒子の曝露による健康影響に関する科学的知見の蓄積に努めることが適当である旨、記載されております。
     7.2に調査研究に関する今後の課題が示されております。数多くの信頼性の高い科学的知見を基に評価を進めてきたが、不確実性が存在することも前提に評価を進めてきたと。この不確実性を減ずるために調査研究の課題ということが示されております。
     我が国の研究におきまして、米国を中心とした国外の知見と比較して少ない状況にあり、様々なエンドポイントを対象とした国内知見の充実を図り、環境大気中濃度や健康影響の状況を把握する必要があるとされております。
     具体的に、三つの研究というのが示されておりまして、国外の疫学研究の濃度範囲と同程度の地域も加えた疫学研究、循環器疾患の疫学研究、成分組成に着目した研究が示されております。
     さらに、リスク削減予測に関する研究や、高感受性群を含めたCAPS曝露の実験的研究、また、粗大粒子、超微小粒子の研究についても取り組む必要があるということで示されております。
     最後に、先ほど内山委員からも紹介がございましたが、これらの調査研究の課題の存在に関わらず、環境基準の設定に当たっての指針値を検討するだけの信頼性の高い科学的知見が現在も十分に蓄積されていると委員会は考えると。この調査研究が充実され、微小粒子状物質の判定条件に反映されることを期待する旨、締めくくられております。
     以上でございます。あとは、ついているのは委員名簿や審議経過、あとは参考の1として、微小粒子状物質濃度変動に関する統計学的特性、黄砂による影響というものについて、あとは略語について一覧をつけているということでございます。以上でございます。

    【部会長】 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、微小粒子状物質測定法専門委員会報告に移らせていただきます。
     本専門委員会につきましては、私が専門委員長を務めさせていただいてございますので、私の方から審議のポイント、結果の概要について、簡略に説明し、その後、事務局から資料に沿って説明をいたす予定でございます。
     まず、資料2-2の微小粒子状物質測定法専門委員会報告(案)、これでございますが、表紙の裏側の目次をごらんいただければと思います。
     報告(案)では、「はじめに」でこの報告の位置づけを簡単に示し、その後に微小粒子状物質の測定法の基本的な考え方、標準測定法の等価法として用いる自動測定機が満たすべき基本的条件、標準測定法の等価法として用いる自動測定機の等価性評価のこの順で取りまとめまして、最後に取りまとめた結果をまとめと、それから今後の課題という形で整理をいたしまして、報告案のまとめとともに、今後の課題について幾つか記載をしてございます。
     まず、我が国におけるPM2.5の標準測定法としましては、米国の方法に準じたろ過捕集による質量濃度測定法を採用することが適当であるとした上で、分留装置、粒径を分ける装置でございますが、分粒装置の特性や吸引流量といった標準測定法が満たすべき基本的条件についてまとめました。委員会では、測定誤差に関するご意見が多く出されましたけれども、過去のデータの検証や確認試験によりまして、精度よく測定できることが確認できました。
     次に、実際の環境大気の常時監視においては、迅速に結果が得られる自動測定機が有用でございますので、標準測定法による測定値と等価の値が得られると認められる自動測定機を導入すべきといたしました。そして、その上で、相対湿度の変化への対応など、自動測定機が満たすべき基本的条件についてまとめてございます。
     次に、標準測定法と自動測定機との等価性の評価方法につきましては、並行測定を行った上で、その結果を評価するという考え方を整理いたしましたが、評価に当たっての判断基準でございますけれども、既存の米国の方法に対する疑問点が指摘されましたことから、二つの方法案を示した上で、具体的な方法につきましては、さらに詳細な検討の上で決めていくという形でまとめてございます。
     最後に、今後の課題といたしまして、精度管理の徹底、簡易測定法の開発、測定法や等価性の検証に加えまして、今後の対策の検討に資するための成分分析の重要性、こういった事項についてもまとめてございます。
     私の説明は以上でございますが、事務局より説明をお願いいたします。

    【大気環境課長】 それでは、大気環境課の方から説明をさせていただきます。この報告書でございますが、前半に本文をまとめておりまして、真ん中あたりから以降は本文の理解を助けるためにということで、参考としてさまざまな資料をつけているという構成になっております。
     では、順次ご紹介をいたします。1ページの「はじめに」は、これは審議の背景、概要などでございますので、省略をさせていただきます。
     2ページでございますが、測定法の基本的考え方でございます。粒子状物質の測定法につきましては、ろ過捕集によります質量濃度測定法が各国で使われておりまして、PM2.5についても、米国の方法、FRMと呼んでおりますけれども、これが欧米を含む各諸国でこれに準じたフィルタ法が使われております。我が国の暫定マニュアルでも同じような形になっているということでございます。このFRMは、測定に当たって、水分、半揮発性物質の影響によるデータの差異を極力取り除けるように規格化されているということでございますので、我が国の微小粒子状物質の標準測定法としても、このFRMに準じたフィルタ法を採用することが適当であるとしております。測定の対象はPM2.5ということでございます。
     一方で、このフィルタ法は労力がかかるということ、それから、測定結果を得るまでに時間がかかる、あるいは日平均値しかえら得ないといったことがございますので、日常的な監視、効果的な対策の検討のために濃度の時間変動などを迅速に把握するためには、自動測定機による測定が有用であるということでございますけれども、この差異は、標準法であるフィルタ法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められるものというものを導入すべであるという考え方でございます。
     この等価と、等価性の評価につきましては、機種の違いによってかなり違ってくるということですので、機種ごとに並行測定試験を行って評価をするということが適当であるということで、評価方法なり試験方法を定める、また、その運用体制を整備することが必要であるということでございます。
     また、測定に当たって、当然誤差がありますけれども、これは環境基準値付近の濃度範囲を高い精度で測定できることが要求されるというのが基本ということでございます。
     なお、自動測定機では、1時間値というものが得られますけれども、フィルタ法が日平均値、1日の値ということでございますので、それとの等価性の確認が困難ということですので、1時間値は参考値として取り扱うという考え方でございます。
     次に、標準測定法の満たすべき条件とその手順が3ページ以降にまとめております。
     まず、標準測定法、フィルタ法の満たすべき基本的条件ですけれども、分粒装置の特性としては、2.5μmのところで50%カットオフという考え方でございます。その分粒装置の特性につきましては、JISで規定がなされております。
     また、外気の温度差につきましては、半揮発性物質の揮散とか吸着を防ぐということで、外気との許容温度差±5℃以内としております。
     また、フィルタの材質につきましても、撥水性が高くてガスの吸着、吸湿が少ないと十分な強度を有するポリテトラフルオロエチレンとしております。
     次に、吸引流量につきましては、人体に曝露される状況に近い条件で濃度を把握するという考え方で、実際の実流量で制御し、それを表示するということにするということでございます。
     4ページにいきまして、恒量条件、天秤の感度でございますが、やはり温度、湿度の影響を受けやすいということで、FRMの規定を踏まえまして、温度21.5±1.5℃、それから相対湿度35±5%という条件でコンディショニングをするという考え方でございます。これはSPMの秤量条件とは違いますけれども、水分の影響を受けやすいPM2.5の測定においては、影響の小さい35±5%という湿度の方が秤量値の再現性が高いということで、これを採用しております。
     また、秤量に用いる天秤の感度1μg感量のものということでございます。
     また、濃度の測定範囲につきましては、これまでの実績を踏まえまして、下限値は2、高濃度域は200と、この間を精度をよくはかれるようにという考え方でございます。
     それから、次に、標準測定法のサンプリング及び秤量の条件と手順というものを5ページ以降に示しております。まず、サンプリング手順につきましては、サンプラの条件として、試料大気導入口、試料大気導入管、分粒装置、それからフィルタ保持部、フィルタの材質、吸引ポンプ、それから温度計、大気圧計、表示部、記録部の条件が示しておりますけれども、これはおおむねJISに規定されておりますので、これに従うことが適当ということでございます。
     6ページから7ページ、6ページはサンプリングの手順でございますが、サンプラを設置して、まず漏れ試験をやった後にフィルタを設置する。またサンプリングの条件を設定しまして、サンプリングを開始して、その後改修、運搬と、どうやってやったらいいかという手順がここにまとめられております。
     また、7ページにつきましては、そのサンプリングをした後の秤量の条件と手順がまとめられております。詳細はちょっと細かくなりますので、ここの説明は省略をさせていただきます。
     8ページには、質量濃度の算定式と校正方法が書かれております。
     それから、委員会で多く議論が出ました誤差についてでございますが、標準測定法では、参考資料の8ページ、9ページあたりに、どういうところで誤差が出るかということがまとめておりますが、サンプラにおける誤差あるいは秤量における誤差が生じます。これらにつきまして、考え方としては、環境基準値付近で±10%以内を確保するように努めるということが適当ということでございます。実際に計算をしてみたり、あるいは環境省の方で実際に並行試験を行った結果でございますけれども、それを見ますと、この±10%以内という誤差が確保できるということで、この標準測定法で大丈夫ということを確認しております。そのあたりの計算結果なり試験結果につきましては、参考資料の10ページ~14ページまでに掲載しております。
     そのほか、9ページ、一般的事項として、サンプラの設置条件、設置場所をどこにするかということ、それから試料大気導入管の取付条件ということです。PM2.5の粒子につきましては、途中の損失を防ぐために、鉛直管で連結させるという考え方があります。少しSPMのときと違っているということでございます。
     10ページ以降でございます。次が標準測定法の等価法として用いる自動測定機が満たすべき基本的条件ということでございます。
     以降は自動測定機に関するものですけれども、その条件(1)にありますように、測定される物理量がその粒子の質量と一定の関係にあるというものが当然使われる、または測定される物理量と質量との補正関係が明確であるということが必要ということでございますけれども、その際に、標準測定法との並行測定試験において良好な直線的関係を有すること、それから、両者の測定値の差が一定の範囲であるということが必要だというのが非常に基本になるということでございます。
     なお、実際の測定法でございますけれども、これは前回もご説明しましたが、フィルタ振動法、TEOMと呼ばれる方法、β線吸収法、光散乱法、あるいはこれらを組み合わせたものがございますけれども、特にこの方法をというふうに決めるのではなくて、これらいずれでも、上にあるような条件を満たせばよいという考え方でございます。また、これら以外の原理を妨げるものではございません。なお、これらの原理につきましては、参考資料の1~2ページあたりにまとめております。
     次に、分粒装置の特性、これは標準測定法と同じ50%カットオフ径が2.5μmという考え方でございます。
     それから、平均化時間につきましえては24時間。先ほど申し上げましたように、1時間値は参考値ということでございます。
     測定濃度範囲も標準測定法と同じ2~200μg/m3ということでございます。
     メーカーでは、各機種で1時間値の下限値というのが3という設定が多いということでございますけれども、24時間分のデータの平均をいたしますと、下限値2、日平均値で2というところは測定可能と考えられるということでございます。
     それから、点検、校正方法につきましては、それが確率されているということが必要であると。
     それから、機差、同機種の自動測定機を複数台並行測定をして、一定の範囲内におさまるということが必要でございます。これは評価のときに条件を定めることになります。
     それから、吸引流量、先ほどと同じように、実流量制御、実流量表示でございます。
     また、相対湿度の変化への対応でございますが、これは前回の部会のときにもご説明いたしましたけれども、非常に湿度の影響を受けやすいということで、除湿装置の装着などで相対湿度の変化により質量濃度の変化を制御するための機能を有することが望ましいということでございます。
     方法につきましては、12ページ、それから参考資料の3~4ページに三つほど示しておりますが、検出部を加熱する方法、それから拡散、除湿管を用いる方法、それから乾燥空気を混合させる方法などがございます。一長一短がありますけれども、私どもで行った追加並行試験によりますと、これも前回のときにご紹介いたしましたが、この除湿装置を従来型の機器につけますと、標準測定法との等価性の向上が認められたということで、技術的な改良により対応可能と考えております。そのあたりの資料は、参考資料の17ページ以降、追加試験につきましては20ページ以降についております。
     それから、次に、その等価性をどう評価するかということでございますが、13ページからでございますけれども、これはあらかじめ定められた条件下におきまして、標準測定法と自動測定機との並行測定を行いまして、それらの結果が、評価方法に規定される許容範囲に入るかどうかという判断を機種ごとに行うという考え方でございます。実際のフィールドでの実環境で並行試験を行うということが有効ということでございます。
     なお、その並行試験の実施主体につきましては、費用などもかかります。また、中立性の確保も必要ということで、当初は環境省が中心になって行う試験評価に自動測定機の各製造メーカーが参画する体制で行うことが適当ということでございます。
     試験方法と評価方法につきましては、以下示しておりますけれども、これは一応念押しで書いておりますけれど、あくまで当初、その機種を選定するという評価方法でありまして、自動測定機を設置した後の精度管理方法というのは別途定めるということでございます。
     実際に並行測定試験を行う時期と場所ですけれども、低濃度域から高濃度域まで可能な限り広い範囲で行うと。それから、湿度や温度などの影響を受けやすいということで、成分なども変わりますので、これらの条件を幅広く把握できるという考え方でございまして、14ページにまいりますが、実施時期としては夏と冬、それから実施場所については、比較的濃度の低いところと比較的高いところという、こういう考え方で試験を行うとしております。
     また、機器の設置ですけれども、実際には2台で試験をすると。それから、機器を2台、同じような条件に設置をして行うということでございます。
     また、評価に用いるデータにつきましては、その機種の2台の機差が一定の範囲内にある有効データを80%以上確保できるというものを使うということでございまして、データ数につきまして、1例をそこにちょっと細かく示しておりますけれども、これは評価方法によって若干変わってまいりますので省略をいたしますが、一定の個数が必要ということでございます。
     具体的な評価方法は15ページ以降でございます。先ほど委員長からもご説明がありましたが、これは当然、標準測定法と自動測定法、それぞれの測定値の回帰式が一定の範囲内で原点を通る直線にならなければいけなということでございます。アメリカではFEMと呼ばれる方法が17ページに示しておりますけれども、これで評価を行っておりますけれども、その直線の回帰式が傾き、切片、相関係数、一定の範囲内におさまるべきという考え方でございますけれども、これをちょっと詳しく調べますと、例えばその標準測定法の誤差というのが十分考慮されていないので、自動測定機の法の誤差の許容範囲が非常に小さくなってしまう。そうすると、必要以上に判定が厳しくなってしまうのではないかと。また、その測定誤差の濃度依存性というものが考慮されているかどうかが、どうもはっきりしないということで、そのあたりが少し工夫をする必要があるのではないかということの指摘がなされました。
     また、この方法以外に、PM2.5測定値のばらつきがランダムであること。それから、濃度域によって大きさが変わる。それから測定手法によっても変わってくるということを踏まえて、品質管理の考え方をもとにしたような評価方法もあるのではないかということで、18ページに示しておりますけれど、ある幅の中に二つの値がおさまればオーケーという考え方でございます。これで管理限界を設定して判定するという考え方です。ただ、これは少しデータが多く要るのではないかということも言われました。
     いずれかの方法で利用可能ということですけれども、どちらを使うかということについて、また、その具体的な評価式、評価基準などにつきましては、さらに詳細な検討の上で決定することが適当ということがこの報告書で結論づけられております。
     なお、その際には、環境基準値、特に98パーセンタイル値付近の精度が確保されていることを的確に判定できる手法とすることが重要ということでございます。
     最後に、19ページ以降でまとめと今後の課題でございますが、まとめでございますけれども、PM2.5につきましては、水分や揮発性物質の影響を測定には受けやすいということですけれども、並行測定試験の結果などを見ると、今般取りまとめた方法によりまして、性格な濃度測定が可能と考えられるということで、速やかな自動測定機の等価性の評価と、それから地方公共団体における監視測定体制の整備が必要ということでございます。
     なお、この方法は、従来のPMの暫定マニュアルに示されている方法と測定条件が異なっていたり、あるいは等価性の評価が行われていないと、従来の方法はそういうものでございますので、従来の測定結果と新しいこの方法での測定結果の比較の際には留意が必要ということが書かれております。
     また、今後の測定法に関する検討課題としましては、一つは設置後の精度管理を適切に行うこと。また、そのためにリファレンスセンターのようなものの整備を検討すべきでないかということ。それから、同時に、他地点で測定をするための簡易測定法の開発を進めることが望ましいということ。3点目に、自動測定機の一層の技術開発による精度、感度の向上が期待されると。それから、そういった測定機の開発といった進展あるいはデータの蓄積を踏まえまして、我が国ではまだ実績が少ないということで、測定法や等価性の評価方法の検証、必要に応じて見直しが望ましいとされております。
     最後に20ページに、もう一つですが、PM2.5の今回は質量濃度を日常的に測定する方法をまとめましたけれども、対策の検討に資するためには、成分分析について継続的に実施する必要があること。また、シミュレーションの精度向上のためには、成分分析を1時間単位で行えるような機器の開発普及が望まれるということでございます。
     以上が測定法専門委員会の報告の概要でございます。

    【部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいま両専門委員会の報告をいただきましたので、委員の皆様方からご質問等をいただければというふうに思います。
     どうぞ、ご質問のございます方は、また名札を立てていただければありがたいと思います。
     それでは、浅野委員からお願いいたします。

    【浅野委員】 割合につまらない発言なのかもしれないのですが、最初の報告の6、環境基準達成状況の評価という、この資料の中で、1点だけ気になった点があります。黄砂の影響による非達成という、この部分に書いてあることはよく理解できるわけですが、それ以外の火山噴火や山火事等の特異現象の場合にも同様に考えなさいということが記されており、こういう場合に、「評価方法を援用して」と書いてあります。サイエンスな世界ではこういう表現を用いるのなら、別にかまわないのですけれども、制度的な議論をする場合には、我々の感覚では「準用」という言い方をしておりまして、これは「援用」でいいんでしょうかという質問です。こういう文章は、多分後でまたいろいろな通達や何かでひとり歩きをしていきますので、その段階まで来たときには、やはり「準用」の方が落ちつきがいいという気がするのですが、これが専門用語としてこういう言葉が定着しているのなら、別にこだわりません。

    【部会長】 ありがとうございました。この点については、むしろ事務局の方から法律的に、習慣的にどういうふうに使っているかを考えて、やっていただければいいと思いますが、いかがでしょうか。もし、特段、今すぐ答えなくても、今、浅野先生がおっしゃられたような意見の趣旨に従って、この後決めさせていただくということにさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
     それでは、河野委員、お願いいたします。

    【河野委員】 2点ばかりご質問させていただきます。まず、資料2-1で、7章にまとめと今後の課題というのが書いてあるんですが、疫学的なことが挙がっているのはいいんですが、私はやっぱり、こういうPM2.5というものがどうやって出てくるのかというようなことも、やっぱり課題としては非常に重要なのではないかなというふうに、これは前も申し上げたと思うんですが、そういうふうに思いました。
     それから、もう一つは、資料2-2で、測定法を検討されているということなんですが、資料2-2に基づいていろいろ検討されて、この方法で測定されたものというのは、資料2-1で外国のデータ等で実際の数値を挙げて測定されているんですが、これが補正をかけるとか、あるいは同じものであるということとか、そういう吟味をしておかないと、資料2-1と2-2の論理的なつながりがどうもうまくいかないのではないかというふうに思ったんですが、以上です。

    【部会長】 ありがとうございました。まず1点目のご質問は、PM2.5がどういった形で発生するか。そういったことについて調べたり、そういう情報をとるようなことも重要であろうということでございますが、それにつきましては、前回のこれまでの部会の方でお願いをしたものが、指針値をどういうふうに決めるかという形の専門委員会と、測定法をどういうふうに決めるかという形の依頼を出した形で専門委員会が設定されてございます。
    そういった意味で、今後、濃度を下げてリスクを低減するとか、そういったことについては、この後、答申案を考える場合に、そういったものを負荷するのがよろしいのではないかということで、今回の両専門委員会の報告書の中には書き込まれてないということでございます。これは内山委員、よろしいでしょうか。測定方法の方でも、そういう形を考えて、今の点については入れてございません。後の方でまたご提案をさせていただきたいと思います。
     それから、もう一つの測定方法について、基準値を決める際にそういったことをどういった形で配慮されたかということでございますけれども。

    【総務課長補佐】 測定方法の部分については、5章の指針値に関する検討というところに、その測定方法の誤差に関する部分についてのその基準値の設定に関する主要な観点の5.4.1のところ、5-11ページの中に、微小粒子状物質の濃度には測定誤差や推計誤差が含まれると。また、疫学研究の対象集団の曝露量には大気環境中濃度の空間分布や種々の曝露量を規定する要因に関わる変動が加わるということで、その環境基準の指針値を設定するに当たっての主要な観点の一つの事項として、総合評価をする際の一つの事項に入れさせていただいております。
     それを受けて、5-12ページのところで、主要な観点として示した内容と、観察される濃度水準、あとは個々の知見の不確実性も含めて、長期基準、年平均値15が最も妥当ということで、この中で測定誤差の部分も含めた形で、ほかのもろもろの観点も含めた形で数値を慎重に導き出したということでございます。

    【大気環境課長】 もう一つ補足いたします。それで、先ほど私もご説明いたしましたが、今回定めた方法は、米国のFRMという行程法をベースにつくっておりますので、この方法によって測定される、今後測定される結果につきましては、米国の恐らく疫学調査の多くのもとになったと思われる測定値とは同じ方法であるというふうに考えます。もちろん、ほかの値から換算したようなものとはちょっと変わりますけれども、基本的な測定値につきましては、米国の値と同じような結果が得られるというふうに考えております。

    【部会長】 少し、では私の方からも具体例を申し上げますと、今、5-11ページにPM2.5濃度として、これは曝露期間、選択の違いによってという形で書いてございますけれども、それ以外にも、例えば従来ですと、我が国のSPMの場合で相対湿度50%という形で測定をしてございます。今回、これを35%±5%という形で、再現性を上げるために規定をしたわけでございますけれども、それまでのデータと、それから35%という形の測定方法を比較しますと、やはり1~2μgぐらいは違います。そういう意味では、もうここで書いてある程度の範囲におさまる。それから、実際に今回にもいろんな比較試験をやってございますが、大部分はそういったところで測定精度が入ってくるということの確認をしてございます。

    【河野委員】 もし、そうでしたら、そのようにどこかに明確にしておかないと、やっぱり2-1と2-2が論理的につながらないのではないかなと思うんです。例えば、湿度とか何か違いますよね。多分、米国でやるのと、日本で今度新しくやるのと。だから、そういうこともあれば、何か同じものであるというふうに、今、部会長がおっしゃったように。

    【部会長】 今、申し上げたのは、これまでの日本で50%としてやっていたものであると、そうなりますけれども、今回標準方法として決めたものは、35%±5%という形に決めてございます。これはなぜそういった形にしたかと申しますと、SPMの場合ですと、粗大粒子が入ってございます。大きい方の粒子は比較的含まれているものが土壌だとか、それからいろんな形で摩耗した金属とか、花粉とか、そういったものが多うございますので、水分影響を比較的受けないものがまだ入ってるわけでございます。ところが、PM2.5といたしますと、そこに入ってまいりますものは、二次生成でできた硫酸塩だとか、それから有機物で粒子化されたものでございますと、これは極性を持ってございますので、水溶性が上がってくるとか、そういった形で相対湿度のより影響を受けるということでございますので、より再現性よくはかる形にしようということで、相対数を35%±5、それから自動測定機についても、従来型の除湿器をつけない装置ですと安定性が悪うございましたので、除湿器をつけたもので調査をした結果、それになるとかなり精度が上がるということを確認して、今回の標準方法のような形に決めたということでございます。

    【河野委員】 ちょっと方向がずれているような気もするんですが、要は、資料の2-1と2-2は、濃度について矛盾はないというか、値に差はないんだということですよね。それをおっしゃったんですよね。

    【部会長】 今、私が申し上げたのは、50%と35%の範囲内で考えれば、ある程度の範囲におさまるということを申し上げたのであって、測定方法がそういった違う場合には、系統的な誤差で、どちらかにデビエーションがあるということはございます、当然。

    【中杉委員】 今、河野委員が言われた話にちょっと絡んでですけれども、要は、毒性の根拠にしているいろんな文献ではかっている、これは軸ですよね。横軸の数字はどういうふうに出してきたんですかというところが一番問題なので、そこもちゃんと説明される必要がある。横軸のデータがそれぞれ文献で違っていたら、同時に比較することもできないですし、それが同じ方法でやって、大体精度が合っているんだということが前提であって、その方法と2-2の測定法とが対比しているということをどこかにちゃんと書いていただければ、それでよろしいのではないかと。当然そういうことが検討されていると思いますけれど。そこら辺が、こういうものですと、ほかの単一物質だと単純にそれだけでいいのかもしれませんけれど、測定法によって少しグレーが出るときは、そういうところをちゃんと書いていただく必要がある。
     それでよろしいですか、ほかの質問をしたいのですけれども。
    ほかの2-2の方ですけれども、サンプリングのところとサンプルの秤量のところについては、いろいろ検討をされていますけれども、その間のサンプルの回収、運搬、保存ですね。そこら辺のところはどんな検討をされたのでしょうか。ちょっと低温で保存するというふうなことが書いてあるので、その間に湿気を吸い込まないかとか、そういうところは十分考慮をされているんでしょうか。容器の中に入っているから、多分大丈夫だろうと思うんですけれど。

    【部会長】 それでは、私の方から申し上げますけれども、サンプリングをした後、光を遮断できる形の密閉した容器の中に入れます。そういたしますと、非常にその容器の大きさが狭うございますので、その中でのある相対湿度になったままで保存されますので、その間における、オープンにしておきますと、非常にその質量の問題が起こりますけれども、そういったことはある程度の低温にすればないということでございます。
     それから、先ほどの点につきましては、報告書の2-2の方では、これまでやっていた測定方法がどうだったから、どういう形で留意しなければいけないということが書いてあるのに対して、報告書の2-1の方では、そういった点が記述していないで、今、中杉委員がおっしゃられたような形で、これはどこかにそういった点について書き加えるような形で検討をしていただくようにしたいと思います。そういうことでどうでしょうか。

    【総務課長】 すみません、少し大ざっぱな話で恐縮ですけれども、資料2-1の方の4章の中で、4-36というところに、その他の考慮すべき観点という記載をしております。この中で、曝露誤差に関する問題として、第2パラグラフのところに、曝露誤差に微小粒子状物質の測定方法、推計方法の問題もあるというようなことがあって、次のセンテンスで、国内外の知見を比較検討する場合において用いられている測定方法等の違いに留意する必要があるというようなことで、ここで測定方法、推計方法等々に係る、いわゆる誤差や偏りの問題ということについては、包括的にはちょっと触れているということだと思いますけれども、そこに詳細にその個別の話についてどう反映されているかということについては、その必要があれば、先生方の方から補足をいただいて、河野先生の方のご指摘に答えられるかどうかというようなこともあろうかと思っております。

    【大気環境課長】 すみません、あと1点ですが、サンプルの回収と運搬のところですけれども、一応、報告書6ページに、基本的なところだけ書いております。どういうふうに回収して、どう運搬するか。その後、どう保管するかということですけれども。なお、さらに細かい点につきまして必要な点があれば、実際のマニュアルの方に、自治体に示すマニュアルには、必要があるところがあれば記載したいと思っております。
     以上です。

    【部会長】 どうぞ、新田先生。お願いします。

    【新田委員】 先ほど、河野委員、中杉委員からご指摘いただいた点、今回の資料2-1の根拠となった主に疫学知見、特に米国の疫学知見で用いられている測定法に関しましては、2-2で示されているFRMと等価なものだという理解をしております。
    ただ、定量評価の章にも書き込んでおりますが、長期の10年、15年にわたる疫学調査の中で、測定法を一定のすべて連続測定で評価されているものばかりではございません。中には、推計が入っているものもございます。そういう意味で、先ほど事務局の方からご紹介いただきましたように、包括的な評価をして、その測定誤差も含めた最終的に判断をしたというふうにご理解をいただければと思います。
    疫学知見、個々には、方法として測定法、測定器は記述されておりますが、それぞれ個別にその誤差が定量的に明示されているということではございませんので、通常考えられる誤差の幅を考えて、最終的な判断を下したということで、専門委員会の中でも議論が行われたというふうにご理解いただければと思います。

    【部会長】 いかがでございましょうか。今のところについて、包括的なそういう記載でよろしいか、それとも、もう少し何か書き加えるということもございましょうか。

    【河野委員】 部会長のご見識にお任せいたしますので、よろしくお願いします。

    【部会長】 わかりました。では、それはまとめて、また最後のところで申し上げたいと思います。
     どうぞ、そのほかご質問、ご意見ございましたらお願いいたします。
     大前委員、お願いいたします。

    【大前委員】 資料の2-1-5の指針に関する検討のところの、5-9ページ、10ページのあたりなんですが、この5.4.1のところに、主要な観点というのがございます。この二つめのポツのところに、我が国の人為起源由来の云々というのがございまして、6~12μg/m3くらいのバックグラウンドというようなことが書いてございますが、その状態でも幾らかの健康リスクが存在する可能性は否定できないなというような形になっております。
    この書き方を少し読みますと、ゼロリスクを想定したような書き方ではないかという感じがするんですね。今まで環境基準も、大体過剰のリスクのところで考えていたと思うんですけれども、今回の場合は、この文章、それからその次のページ、例えば11ページの長期基準の指針値のところの国内の死亡云々とございますけれども、ここのところでは、例えば国内の死亡に関するコホート研究からは、2.5程度の推計誤差も考慮して、20μg/m3を健康影響が観察される濃度水準とありますけれども、これは健康影響じゃなくて、過剰な健康影響が観察される濃度水準ということなのではないですか。

    【部会長】 ただいまの点につきましては、事務局もしくは内山委員、新田委員の方からお願いいたします。

    【総務課長補佐】 今の大前委員のご指摘について、最初の二つめの過剰なリスクの上昇という部分のコメントでございますが、5.4.2の長期基準の指針値のところで、国内外に長期曝露研究から一定の信頼性を持って健康リスクの上昇を検出することが可能となる濃度というのを健康影響が観察される濃度水準というふうに整理をさせていただいたということでございます。ここの言い方が、ですから、そこの過剰リスクの見られるところというふうにも解釈できるとは思いますが、こういうことで、リスクの上昇を検出することが可能となる濃度ということを濃度水準としてみなしているということでございます。
     その一方、主要な観点の部分について、先ほど5-9ページに戻りますが、二つ目のポツのところになりますけれども、ここに関して申しますと、定量的な評価の考え方、4章の部分にも戻りますが、微小粒子状物質について、閾値の有無については明らかにすることはできないと。そういう意味では、健康リスクが存在する可能性は否定はできないということですが、そこの健康リスクの存在を明確にすることはできないし、また、定量化することもできないと。こういった意味で、現時点でゼロリスクということを求めるということではなく、まず現時点で、疫学知見で影響が確からしいとされる水準というのを個々の知見ごとに見出すという作業を行っていただきまして、そこの健康影響が確からしい水準を出発点に、この指針値に関する検討をしていただいたということでございます。その意味で、確かに閾値の存在、閾値の有無が明らかではないということで、低濃度でもリスクが存在する可能性は否定できないということですが、必ずしもゼロリスクを念頭に検討を進めてきたということではないということでございます。

    【部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
     それでは、佐和委員、お願いいたします。

    【佐和委員】 参考資料の参考1の4ページに、99パーセンタイル値、それから50パーセンタイル値までを年平均値で回帰させるというグラフが出ておりますね。これを見ると、確かに、まず50パーセンタイル値と平均値の関係について、定数項のない式の場合だと、係数値は0.923ということですから、平均値の方が中位数よりは右に寄っているということを意味するわけですね。どんな一山分布でも、モード、メディアン、ミーンの順になるか、ミーン、メディアン、モードの順になるわけです。ですから、いわゆるモードは少し左によっている、すなわち左に片寄った分布だということがわかります。その先の方に、立方根をとれば正規分布に極めて近くなるということが書かれていますね、これはそういうファクトファインディングをこの委員会でなさったのか、それとも先行研究的な事例があるのかどうかということをお伺いしたいのが第一点です。
     もう一つは、98パーセンタイル値というのは、これ、僕なんかの感覚からすれば、分布というのは、普通、山型の分布の両側1%ずつを切った場合の上側の点じゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。
    要するに、上側1%点という意味です。統計的な仮説検定をするとき、有意水準は1%か5%か10%なんですよね。ですから98パーセント点というと、下側の1%を切って、上側の1%を切った上の値という気がするんですね。言いかえれば、95%値の場合は、いわゆる両側2.5%ずつ切ったときの上側の値、有意水準でいえば5%というわけです。というのは、98%値を上側2%とするのなら、対応する有意水準は4%ということになり、いささかの違和感を感じるんですが。
    私の理解が正しいのか、それとも、これは例えば0.98の場合は、この図を見ても明らかなように、年平均値との相関係数が非常に高く、決定係数も比較的高く、ために98パーセンタイル値がアメリカで採用されているということなんでしょうか。経験上、この値がいろんな意味で好ましいというか、逆に言えば、99パーセント値とか最大値になると、当てはまりが悪くなるからなのでしょうか。

    【部会長】 2点でよろしいでしょうか。1点目の方につきましては、立方根を使ってどうしたかということでございますけれども、これは。

    【総務課長補佐】 これはまさに専門委員会の中で、環境基準専門委員会の中で、実際に今のPM2.5の測定局のデータを用いまして、統計学のご専門の椿委員に解析をしていただいたものと。ですから、この専門委員会の作業の中の過程で行われたものだということでございます。
     また、佐和委員の二つ目のコメントということでございますが、この98パーセンタイルの意味ということですが、これについては、PM2.5のみならず、大気汚染のデータというのは日々、例えば自動測定で行った場合は、毎日毎日の測定値というものが出るわけですけれども、この98パーセンタイル、99パーセンタイル、日最大というものについては、365日のデータというのを、一番最大のものは日最大値ということですが、そこから上位3日間の部分を99パーセンタイル値、それよりも上位7日間の部分を98パーセンタイル値というということでございまして、いわゆる高濃度出現頻度の代表的な数値ということで、こういう99パーセンタイル値、98パーセンタイル値ということで使わせていただいているということでございます。
    これまでも大気環境の基準におきましては、二酸化窒素でもこういう1年間の代表値ということで、98パーセンタイル値というのを用いているということもございます。また、欧米の状況におきましても、PM2.5の環境基準ということでございますと、米国が同じように日平均値の基準ということが設けられているわけですが、そちらの方でもやはり98パーセンタイル値というのが用いられていると。なぜ98パーセンタイル値を用いられているかという部分については、今回の環境基準の検討でもお示しはしているんですが、やはり高濃度領域においてリスクの上昇の高まりがまずあるという部分と、その一方で、年度ごとに、やはり日最大値や99パーセンタイル値ですと、統計的な安定性に問題があるという部分がございまして、施策の評価という意味で、98パーセンタイル値というのが適当ではないかということで、米国も98パーセンタイル値というのを目安に短期基準というのが設定されてきているということでございます。その意味で言うと、この大気汚染データの中の上位の部分のデータという意味で、こちらの方にお示ししているということでございます。

    【部会長】 よろしいでしょうか。だから後半の方は、有意水準のものと、それから98パーセンタイルというものは違う形で、上端と下端の1%というのとは違う形でやっているということでございます。

    【佐和委員】 ついでに聞きたいのですが、98%値を取る理由として。観測誤差とか、1日間の振れ幅が大きいという点を加味して、いわゆる異常値を除去するために、2%は切るというふうな考え方に考えてもいいわけですか。つまり測定誤差、あるいは1日間の変動が余りにも激しく、その結果、測定値に異常な振れが生じて、飛び離れている数値が幾つかありますね。そういう異常値をいわばスクリーニングするというか、あるいは体操の採点で、上側と下側は切って平均値を求めるとか、そういう考え方があるわけですか。以上を要するに、測定誤差があることが一つの原因といいますか、根拠なんでしょうか。

    【部会長】 事務局の方か、もしくは。

    【新田委員】 専門委員会での議論を踏まえて、参加した者としてちょっとお答えさせていただきますが、まず、短期基準の設定に当たって、年間の98パーセンタイルを参照しているということに関しては、測定誤差を考慮して98というよりは、高濃度領域の基準の目安として、その高濃度領域のどの範囲が一番短期基準として適当かという考え方で、98パーセンタイルを導いているということでございます。その意味で、参考資料に関しましては、統計的な変動、もちろん測定誤差は含まれておりますが、異常値を排除するという趣旨で、98パーセンタイルを参照にして、短期基準を導いたということではございません。
    それから、評価での短期基準の6章でお示ししていることに関しましては、短期基準の導いた、ただいま申し上げました基準、98パーセンタイルを目安に導いたということに対応して評価基準も決めたということで、基本的には、測定の異常値というものを考慮して、98パーセンタイルを導いたというような議論は専門委員会では、そういう議論に基づいた、きょうの提案にはなっておりません。

    【部会長】 よろしいでしょうか。そのほか、ご質問等ございますでしょうか。
     どうぞ、進藤委員。

    【進藤委員】 質問というよりも、再確認ということなんですが、7番目の最後のまとめのところに今後の課題ということで、国内知見の充実ということを書いていただいていまして、これは我々もきちんと理解いたしました。日米における健康影響のあらわれ方の相違や、そういう知見が十分でないというようなことをいろいろ議論していたわけですけれども、そこのところを率直に書いていただいているということと、それから、そういう課題なり不確実なところがあっても、専門家によって、この基準値を導出することに支障を来すものではないという判断があったというふうに我々も理解したいと、こう思っています。
    これは重ねての依頼ですけれども、ここに書いてあります課題について、今後知見を充実させていただくことで、今回の指針値の精度を向上させていくということが必要だと思いますので、今後ともぜひお願いしたいと思います。

    【部会長】 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。
     大前委員、お願いいたします。

    【大前委員】 すみません、ちょっとしつこいのですが、さっきのところ、閾値のところというか、ゼロリスクのところなんですが、5-9ページの主要な観点の一番最初の黒ポツ、閾値の有無を明らかにすることができない状況であるというのは、この場合の閾値という言葉は、発生率がゼロの閾値ということをおっしゃっているのか、あるいは過剰リスクの閾値がわからないということをおっしゃっているのか。先ほどのお答えですと、ゼロリスクではなくて、過剰分だというようなお答えだと受け取ったんですが。そうしますと、ここの閾値というのは、あくまでも過剰リスクの閾値がわからないと、そういう解釈でよろしいのですか。通常、閾値といいますとゼロ、発生率ゼロのことを言いますよね。

    【部会長】 それでは、事務局の方、もしくは環境基準専門委員の方からお答えいただければと思いますが、お願いします。

    【新田委員】 環境基準専門委員会の方では、ただいまご指摘のような閾値の有無が判断できないということに関して、それが相対リスクか、過剰リスクかという具体的な議論はしておりませんが、基本的には、絶対的なリスクの大きさに関して、濃度等の反応関係、その反応に関しましては、リスクそのものを例えば死亡率そのものの大きさに関して、閾値の部分が明らかにできないという前提で議論がされたというふうに理解をしております。
     それから、バックグラウンドに対して、どの程度の上昇があるかというよりは、バックグラウンドも含めたもので、実際の疫学知見はそれぞれの対象地域における濃度で議論をされておりますので、その対象地域で一番低い濃度地域が人為的起源発生源の影響を受けていないかどうかというような意味で、バックグラウンドというよりは、その調査の中で相対的な位置関係で相対リスクが求められている。そういうのの積み重ねで、いずれも閾値が判断できないような状況であるというようなことが、疫学知見からは言えるというふうに考えております。
    ちょっとこの閾値の有無に関しましては、閾値があるという前提でも、ないという前提でも議論ができない。そういう意味で、閾値の有無が判断できないというようなところで、少し表現がわかりにくくなっている点があるのかなというふうに思います。

    【部会長】 いかがでございましょうか。

    【大前委員】 確かに個々の文献は、恐らく一番低濃度のところに対する比でやっていらっしゃる。それはそうだと思うんですけれども、そうすると、各文献は、その低濃度、最も低濃度のベース、ベースラインがどこかは別として、もっとも低濃度のところを主としてやっているわけですから、そうしますと、それに対するリスクの差を見ているわけですよね。
    そうすると、少なくともここで使っている閾値ということは、発生率がゼロの知見を言っているわけでないと、そういう考え方でよろしいわけですよね。多分、相対的なあるバックグラウンドらしき地域との比較ですから、そこでは当然、死亡率にしてもゼロということはあり得ないわけですから、そこからの増分というような解釈でよろしいわけですよね。

    【部会長】 どうでしょうか。よろしいですね。
     はい。ありがとうございました。そういたしましたら、圓藤委員、お願いいたします。

    【圓藤委員】 今の説明、結局、過剰リスクということで説明していただいたのでいいんですけれど、もう一つは、閾値がないとおっしゃっていた5-11の先ほどの長期基準の指針値のところにいきますと、「国内で20μg/m3を健康影響が観察される濃度水準とみなせる」と書いて、下の方で、「我が国における微小粒子状物質の健康影響は20μg/m3よりも低い濃度では観察されず」というと、この20μg/m3は閾値というふうに考えられて、これを読むとそう読めてしまうんですけれども、いかがでしょうか。

    【部会長】 いかがでしょうか、これは事務局の環境基準専門委員会の方の関係でございます。

    【総務課長補佐】 事務局として、先ほど大前委員のコメントに対する回答と同じことにもなるんですが、ここの20μg/m3という観察される濃度水準というのは、まず、この議論の前提としては、閾値の有無について明らかではないということが前提になっていると。その上で、現在の疫学の知見の中から一定の信頼性を持って健康リスクの上昇を検出することが可能となる濃度ということで、この数値を導き出しているということで、この報告の全体の中を通して見ると、この数値、20μg/m3というこの濃度というものが閾値であるということを言っているものではないということだと思います。

    【部会長】 いかがでしょうか。

    【圓藤委員】 ちょっと文章の書き方のような気もします。これをそのまま読むと、閾値のように読めてしまうという方も、私なんかはそう思ってしまうので、ゼロではないと思うので、もうちょっと他の書き方がないでしょうかと思います。

    【部会長】 ありがとうございました。それにつきましても検討させていただきたいと思います。

    【内山委員】 大分誤解のないように、今おっしゃったような誤解のないように、確かにこれは閾値ということではございませんので、少し考えさせていただきたいと思います。

    【部会長】 そのほかございませんでしょうか。もしよろしければ、大方ご意見をいただいたと思うんですが、本日いただいた意見のうち、浅野委員から一番最初に準用、援用、こういった用語の使い方について、より適切なものにしてほしいというお話がございました。
    それから2点目としては、河野委員から、2-1と2-2の関係で、2-1の方にいわば測定をした場合の濃度の精度の関係について、いろいろな判断をするときどうなっているか、そこについて少し表現を考えていただきたい。
    それからもう一点は、今、大前委員、それから圓藤委員、両方関係しているところかと思いますが、その閾値もしくは死亡リスクの過剰の部分、こういった部分について、よりわかりやすいような表現をしていただきたいという要望があったかと思います。
    今の点につきましては、環境基準専門委員会の内山委員と、それから相談をさせていただきまして、修文をさせていただくということで、本日の環境基準専門委員会の報告書、それから測定法専門委員会の報告書を、この修文の仕方につきましては私の方に、今申し上げた内山委員と当然相談してやることでございますが、一任させていただければ、この報告書をご承認いただいたということにさせていただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。
    (異議なし)

    【部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいま報告書を承認いただきましたので、今日、これから答申案についての審議に入らせていただきたいと思います。
     なお、本日これから皆様方にご審議いただきます答申案では、両専門委員会の報告案、今、ご了承をいただき、多少修文を今後させていただくものでございますけれども、その報告案を含めて、パブリックコメントの手続に付して、その結果を踏まえて、改めて本部会の皆様にご審議いただくということになろうかと思います。そのような位置づけであるということでございますが、答申案について、あらかじめ考えていたものがございますので、それを事務局から配付をさせていただきたいと思います。お願いします。
     資料は行き渡りましたでしょうか。ただいま配付いたしました答申案につきまして、先ほど申し上げました環境基準専門委員会と測定法専門委員会の両報告につきまして、ご承認をいただくとともに、前回の大気環境部会での議論を踏まえまして、事務局と相談をして、答申案の中に環境基準の設定に伴う課題を整理し、お示ししたものでございます。これにつきましては、冒頭でも申し上げましたけれども、大気環境部会でそれぞれ環境基準専門委員会、測定法専門委員会に付した以外のことも今後のところで必要になってくるというようなことを考えて、今こういった案をつくらせていただいたということでございます。事務局の方から答申案について読み上げていただきたいと思います。お願いいたします。

    【総務課長補佐】 それでは、微小粒子状物質に係る環境基準の設定について、答申を読み上げさせていただきたいと思います。
     平成20年12月9日付け諮問第251号により中央環境審議会に対してなされた「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について(諮問)」について、大気環境部会に微小粒子状物質環境基準専門委員会及び微小粒子状物質測定法専門委員会を設置し、検討を行った結果、下記のとおり結論を得たので答申する。
     微小粒子状物質に関する人の健康影響に係る判定条件と指針について、別添1の微小粒子状物質環境基準専門委員会報告及び別添2の微小粒子状物質測定法専門委員会報告を了承する。ここでいう別添1と別添2というのが、本日の資料2-1と2-2になります。
     これに基づき、微小粒子状物質に係る環境基準の設定に当たっての指針値は別表のとおりとする。この「別表のとおり」というのは、後ろの2枚目をめくっていただきまして、微小粒子状物質、環境上の条件、1年平均値は10μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。測定方法は濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法。備考として、この微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。
     1枚目に戻りまして、なお、本環境基準の設定に伴う課題は次のとおりである。
     1.微小粒子状物質による大気汚染の状況を的確に把握するため監視測定体制の整備を促進するとともに、微小粒子状物質が様々な成分で構成されていることを踏まえ、体系的に成分分析を行う必要がある。
     2.微小粒子状物質の削減対策については、固定発生源や移動発生源に対してこれまで実施してきた粒子状物質全体の削減対策を着実に進めることがまず重要である。
     3.微小粒子状物質は、発生源から直接排出される一時生成粒子のみならず、大気中の光化学反応、中和反応等によって生じる二次性生成粒子で構成される。また、我が国では、都市地域のみならず人為発生源由来粒子の影響が少ないと考えられる地域においても硫酸塩や土壌粒子等の粒子が相当程度含まれており、海外からの移流分も影響していると推察されるなど、微小粒子状物質の発生源は多岐にわたり、大気中の挙動も複雑である。
     このため、微小粒子状物質やその原因物質の排出状況の把握及び排出インベントリの作成、大気中の挙動や二次生成機構の解明等、科学的知見の集積について、地方公共団体、研究機関と連携を取りながら、関係事業者の協力を得つつ、実施する必要がある。その上で、大気汚染の状況を踏まえながら、より効果的な対策について検討する必要がある。
     4.国内の施策に加えて、近隣諸国等との間で、大気汚染メカニズム等に係る共通理解の形成を進めつつ、汚染物質削減に係る技術協力を推進する必要がある。
     以上です。

    【部会長】 ありがとうございました。ただいま答申案について読み上げていただきましたけれども、これの質疑をいただきたいと思いますが、その前に、本日欠席の後藤委員から、答申案について意見が提出されてございますので、事務局からそれを読み上げて、その後、各皆様方から質疑をいただきたいと思います。
     それでは、お願いいたします。

    【総務課長補佐】 それでは、後藤臨時委員より提出された意見について読み上げさせていただきます。
     1、今回の答申の前提となった微小粒子状物質環境基準専門委員会報告では、あくまで欧米の検討資料を中心に文献を引用しているが、日本としての疫学調査結果などから導かれた結果はほとんど活用されていない。今回の専門委員会報告に当たり、疫学、毒性学、曝露調査、測定法調査などの多岐にわたる検討が必要であり、時間的制約があったことは認めるが、健康影響に関する定量的評価において、肝心の日本として評価できる結果の資料が少なかったことは遺憾である。今後は、この分野での疫学的知見などの充実を図っていただきたい。
     2、今回の答申で、微小粒子状物質の環境基準値の設定がなされることになると思われるが、今回の基準値が従来の環境基準(一般体系に関する環境基準、有害大気汚染物質に対する環境基準)の設定のあり方とは相当異なった性格を有していると見受けられる。従来の基準値の場合は、曝露量影響関係に対して明確な事実、証拠などを用いて、そこから導き出されるLOAELまたはユニットリスクなどを利用した安全を見込んだ結果として決定された値であるのに対し、今回の結果は、曝露量影響関係を推定するのは困難としながら、それを信頼できる濃度水準として推定し、求めるという全く新しい手法を採用している。
    したがって、これらの手法を用いる上で、日本の疫学データ、体系モニタリングデータなどの知見が少ないのは問題であり、今後の知見の蓄積いかんでは、日本の場合は欧米の疫学知見とは異なる結果となる可能性も秘めていると思われる。よって、今回の環境基準の性格の違いを考慮しつつ、十分な知見の蓄積及び実態調査を行い、今後の本件に関する諸施策のあり方について慎重に検討するようお願いしたい。
     以上です。

    【部会長】 ありがとうございました。ただいま欠席の後藤委員から提出のあった意見について読み上げていただきましたけれども、微小粒子状物質環境基準専門委員会の報告の中で、従来の環境基準との設定の考え方、これが違いが、どういう違いがあるかということも示されてございます。また、今後の課題として、国内の大気汚染データや疫学等の科学的知見の充実を図ること、これも示されているところでございまして、本答申案といたしましては、後藤委員の意見も反映されているというふうに考えているところでございます。
     以上、まず、後藤委員の質疑がございましたので、それを文章で質疑がございましたが、それについて説明をさせていただきました。
     それでは、委員の皆様方からご質問等をいただけたらと思います。
     宮池委員、お願いいたします。

    【宮池委員】 今、配付していただきました答申書を拝見いたしまして、我々の方から電気事業者として、ちょっとご要望を申し上げたいと思います。
     今の答申の中で、課題ということで、既にご指摘されておりますのであれなんですけれども、国内での大気の環境中のPM2.5の実態把握、それから海外からの影響を踏まえた生成機構の解明、そういったものについてのより具体的な研究というのを今後とも力強くお願いしたいということを要望したいと思います。その結果につきましても、今後、ぜひこの部会でご報告をお願いできればなというふうに要望しておきます。今後、効果的な対策を進めるに当たって、ぜひ必要かと思いますので、その辺よろしくお願いしたいと思います。
     以上です。

    【部会長】 ありがとうございました。今のお話は、この中に書き込んであることで、さらにそういった形でおやりいただきたいというご要望ということでよろしゅうございましょうか。ありがとうございました。
     浅野委員、お願いいたします。

    【浅野委員】 環境基準の考え方については、既に前回の部会で、意見を述べましたので、今日は余り繰り返したくないのですが、それにしても、もう一回、環境基本法16条をよく読んでおかなければいけないということを、もう一度繰り返して申し上げたい。環境基本法16条第4項は、政府は、この章に定める施策であって、公害の防止に関係するものを総合的かつ有効・適切に講じることにより、第1項の基準が確保されるように努めなければならないという条文になっております。
    ところが、これまでは、環境基準の達成ということになりますと、総合的かつ有効・適切にということでなく、基本法の中に定められている国が講じる環境保全のための措置のうち、21条、すなわち規制的措置だけがひとり歩きをしていて、環境基準といえば21条で対応するのが当然と考えられておりました。在来型の公害に関しての環境基準は、確かに21条で主に対応することが望ましいというものであったのでしょうが、しかし、それだけで対応しきれないような新しい事象が生まれてきている以上、もう一回、この環境基本法16条に立ち返り、19条、20条、21条といろいろ記されている、それらの手法を総合的に使うということを考えなければならない。このことをもう一遍確認をしておきたいと思うわけです。下手をしますと、21条だけで対処しようと考えていると、第2の光化学オキシダントとなりかねない、いつまでたっても環境基準が達成できませんというのも困るわけです。ですから、この辺は特に留意しなければいけないということを私の意見として申し上げたいわけです。

    【部会長】 ありがとうございました。
     どうぞ、磯野委員。お願いいたします。

    【磯野委員】 こういう形で環境基準が新しいというか、従来のものを発展してといった方がいいかもしれませんが、つくられたことは、大変望ましいことで、私は確認的に、やはり2番目の従来のというか、今言われたように、総合的にその粒子状物質全体の削減対策をとるということをやはり強調しておきたいということでございます。
     それから、もう一点ですが、今後、どの関係でも、監視体制の整備を促進するとともにということについて、ぜひ、これは今の体制の中で、1番のところで、大気汚染の状況を的確に把握するために監視体制、測定体制の整備を促進するという点でございます。これは今全体的に監視体制がむしろ弱体化しているというか、そういう方向にある中で、さらに新しいものが出てきたときに、一体全体としての監視体制がどうなっていくのかということに若干の危惧を持つところでございまして、これも、つまり従来のものを弱体化させることなく、かつ、プラスアルファー、こういうものをきちんと整備していくということが、ここには書くことができないのかもしれませんけれども、何らかの形で表現されていたらありがたいなと。
     この二つの点です。これまで実施してきた対策を着実に進めるとともに、さらに総合的な施策を発展的に考えていってほしいというのが私の一番最初の要望でございます。この2点でございます。

    【部会長】 ありがとうございました。どうぞ、そのほか。
     進藤委員、お願いします。

    【進藤委員】 再確認したいと思うんですが、答申の「なお」以下に4点書いていただいている内容はまさに、先ほどもお話ししましたけれども、大変重要な課題と思っています。とりわけ、この3番目、今後の課題という意味では、どこから排出されるのかというような議論にこれからずっとなっていくわけで、この第2パラグラフの「このため」と書いていますけれども、微粒子状物質やその原因物質の排出状況、これを把握するということと、排出インベントリ、これをつくっていくということ。それから、二次生成機構があるのかどうか。あるとすれば、どういうふうになっているのかと。ここらあたりが大変重要だと思いますので、ここをぜひ精力を傾けてお願いしたいと、こう思います。

    【部会長】 ありがとうございました。
     荒川委員、お願いいたします。

    【荒川委員】 このいろんな議論を通じて、このPM2.5が健康影響に非常に悪影響だということは十分理解、納得したわけであります。この議論の中でいろいろありましたように、濃度と反応関係の定量的分析に幾つかの問題点があったような気がいたします。
     PM2.5の測定がSPMからの推計値を使った日本のデータというか、欧米のデータが中心ということ。いろんな報告書で、この辺の留意点については十分に盛り込まれていると、このように考えておりますが、この環境基準から排出規制等への今後の施策の実施に当たりましては、ぜひバックグラウンド濃度等の対象物質の強度などを明らかにしていただき、排出削減手法等の技術的な問題や費用対効果の点にも勘案して、実効あるものと、ぜひ、していただきたいと、このように考えています。
     以上です。

    【部会長】 ありがとうございました。どうぞ、そのほかございますか。
     小林委員、お願いします。

    【小林委員】 今回、指針値が決まったわけなんですが、これを実際に測定するに当たって、現実的には地方自治体がその測定を負担していくということになるわけですが、この地方自治体における重大な問題としては、費用負担でございまして、磯野委員からもご指摘ありましたように、実際に地方自治体がどのようにこの調査をやっていくのかというのが重要な課題になると思うんです。地方財政の困窮の中から、この測定をするだけではなくて、今まで測定されているNOX・SOX・PMの測定法についても影響が出てくるということが考えられます。この辺について、ぜひ、今回の議論ではないとは思いますが、国においてそれなりの対応をぜひお願いしたい。
     それからもう一点、この指針値を運用するに当たっての運用通達等を出されると思うんですが、それについても十分その辺のことのご配慮をお願いしたいと思います。

    【部会長】 ありがとうございました。そのほかご意見ございますでしょうか。
     皆様からいろいろご意見をいただきましたけれども、大体はこの今、案としてご提示いただきました中に書き込まれている要望をより着実に、かつ確実に、それから全体的に物事を考えてやってほしいというようなご要望であったかと思います。
    そういうことでございますので、もしこの答申案についてもご了承いただければ、今ここでいただきました意見は、今後こういったものが設定され、この環境基準をどういうふうにして達成していくかとか、そういったところに、まだそこの具体的なところにいく前に、相当多くのやらなければいけない問題があるということが、このいろんなこととして課題が書いてあるわけでございます。
    そういった意味で、今回のこの答申案、それから、先ほどご了解いただきました環境基準専門委員会、それから粒子状物質測定法専門委員会、この報告を含めて、パブリックコメントの手続に入らせていただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。先ほど申し上げました環境基準専門委員会の方の報告書につきましては、3点ほど少し修文をさせていただくということでございますが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
    (異議なし)

    【部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいま申し上げましたような形で修正をさせていただいたものを答申案として、パブリックコメントの手続に入らせていただきたいと思います。
     なお、パブリックコメントにより得られたご意見の内容により、次回の大気部会に先立って、専門委員会で論点整理をお願いすることが適当なこともあろうかと思います。そういった場合には、そういったことも開催して、その後、また部会ということになろうかと思いますが、その取り扱いにつきまして、私の方に一任いただければありがたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
    (異議なし)

    【部会長】 ありがとうございました。
     それでは、ただいまご提案いたしました形で、パブリックコメントにかける案についてご了解をいただいたということでございます。ありがとうございます。
     その他、連絡事項など、事務局から何かございましたら、お願いいたします。

    【総務課長】 事務局から申し上げます。皆様、本日は長時間にわたりましてご審議、まことにありがとうございました。
     本日の議事要旨、それから議事録についてでございますが、各委員の先生方にご確認をいただいた上で、後日公開ということとさせていただきたいと存じます。
     また、今後のスケジュールにつきましてご説明を申し上げます。ただいま坂本部会長からもお話をいただいたとおり、本日ご審議をいただきました答申案につきまして、両専門委員会の報告案を付した上で、早ければ来週にでもパブリックコメントの手続に入り、そしてこの手続、通常約1カ月程度の意見聴取期間を要することになろうかと思っております。そのパブリックコメントの結果をもちまして、再度、本部会でのご審議をいただきまして、最終的に微小粒子状物質に係る環境基準の設定についてということでの答申をいただければと考えておる次第でございます。具体的な日程につきましては、後日、事務局より皆様方にご連絡をさせていただきたいと思います。
     本日はまことにありがとうございました。

    【部会長】 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。ご協力、どうもありがとうございました。