(部会長) | 池上 詢 | |
(委員) | 磯野 弥生 | 佐藤 洋 |
佐和 隆光 | ||
(臨時委員) | 浅野 直人 | 石川 義紀 |
伊藤 桂子 | 岩崎 好陽 | |
内山 巌雄 | 浦田 隆 | |
浦野 紘平 | 太田 勝敏 | |
香川 順 | 北野 大 | |
河野 通方 | 小澤 紀美子 | |
小林 悦夫 | 櫻井 治彦 | |
佐藤 信彦 | 関澤 秀哲 | |
大聖 泰弘 | 中杉 修身 | |
中野 璋代 | 樋口 忠夫 | |
松原 純子 | 山下 米三 | |
若松 伸司 | (五十音順) | |
(環境省) | 水・大気環境局長 | 水環境担当審議官 |
総務課長 | ダイオキシン対策室長 | |
大気環境課長 | 大気生活環境室長 | |
環境管理技術室長 | 自動車環境対策課長 | |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 中央環境審議会大気環境部会(第 21 回)議事要旨(案) |
資料2 | 中央環境審議会大気環境部会(第 21 回)議事録(案)<委員限り> |
資料3 | 中央環境審議会関係法令等 |
資料4 | 今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)概要 |
資料5 | 今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案) |
資料6 | 今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)参考資料集 |
資料7 | 平成 19 年度予算(案)の概要(概算決定) |
資料8 | 新たな特殊自動車の排出ガス規制の検討について |
資料9 | 平成 17 年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について |
資料10 | ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)について |
資料11 | 平成 17 年度ダイオキシン類対策特別措置法施行状況について |
資料12 | 「感覚環境の街作り」報告書について |
資料13 | 平成 17 年度悪臭防止法施行状況調査の報告 |
議事
【総務課長】長らくお待たせいたしました。ただいまから、中央環境審議会第22回大気環境部会を開会させていただきます。私は環境省水・大気環境局総務課の課長をしております岡部と申します。どうぞよろしくお願いします。
本日は、委員の方々総数36名いらっしゃいますけれども、現時点で28名の委員の方々のご出席をいただいてございます。定足数である過半数には達しているということをご報告いたします。
本日、本年1月の中央環境審議会委員の任期満了及び改選後第1回目の大気環境部会ということになるわけでございますので、委員の先生方、それから事務局幹部の紹介を初めにさせていただきたいと思っています。
まず、本部会の部会長でございますけれども、中央環境審議会令第6条第3項の規定に基づき、鈴木会長から、埼玉大学大学院理工学研究科教授の坂本和彦委員にご指名を受けておられます。ご紹介申し上げます。
それから、新任の委員の先生方につきまして紹介を申し上げます。樋口忠夫委員でいらっしゃいます。それから、若松伸司委員でいらっしゃいます。あと、本日ご欠席でいらっしゃいます塩路昌宏先生に委員として就任いただいてございます。
また、お手元に議事次第の次の紙に委員名簿をお配りしてございます。再任の先生方につきましては、まことに恐縮でございますが、この委員名簿をもちまして、ご紹介についてはご省略をさせていただきたいと思います。
それから、今、ごらんいただいております委員名簿を、ひっくり返していただきますと、裏に本日のこの会議の座席表が出ております。私どもの席の方にいわゆる事務局、水・大気環境局の幹部の名前が入っておりますが、こちらの方で紹介を省略させていただきたいと思います。
続きまして、今お手元にお配りしてございます資料につきまして、確認をお願いいたします。
配付資料でございますが、議事次第の紙にリストとして配付資料一覧が出ております。議事次第、委員名簿の紙のほかに資料ナンバー1から13まで番号を打っております。資料1が中央環境審議会大気環境部会第21回議事要旨(案)、資料2が同じく第21回の議事録、こちらは委員限りのもの。資料の3、中央環境審議会関係法令等、資料4、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)の概要、資料の5、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)、資料の6、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)参考資料集、資料の7、平成19年度予算(案)の概要(概算決定)、資料の8、新たな特殊自動車の排出ガス規制の検討について、資料の9、平成17年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について、資料の10、ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)について、資料の11、平成17年度ダイオキシン類対策特別措置法施行状況について、資料の12、「感覚環境の街作り」報告書について、資料の13、平成17年度悪臭防止法施行状況調査の報告、以上でございます。万一資料の不足等ございましたら、いつでも事務局にお申し付けいただければありがたいと思っております。
続きまして資料1としまして、第21回大気環境部会の議事要旨、資料2として、第21回大気環境部会の議事録を提出させていただいてございます。本日のこの会議の終了後に、内容をごらんいただきまして、何がしかお気付きの点、ご意見等ございましたら、1月26日までに私ども事務局まで、何なりとお申し出いただければと思っております。ご意見を踏まえさせていただいて、修正後、速やかにホームページにて公表させていただきたいと思っておる次第でございます。
それではすみません、議事に先立ちまして、竹本水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。
【水・大気環境局長】おはようございます。水・大気環境局長の竹本でございます。
委員の先生方におかれましては、大変ご多用のところご参画をいただきまして、誠にありがとうございます。また、今回は先ほど事務局から話がありましたとおり、この1月6日、中央環境審議会の委員の改選ということで、新たに着任をいただきました先生方、また再任をされました先生方、新部会長、坂本先生をはじめ先生方には平素より、私ども大気環境行政の推進にあたりましてご指導をいただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。
本日は後ほど詳しくご説明申し上げたいと思いますが、主に今後の自動車排出ガス総合対策のあり方ということでご審議をいただくこととしているところでございますが、本件につきましては、一昨年の10月より小委員会を設けさせていただきました。大聖先生を委員長といたしまして、合計15回にわたる精力的なご審議を賜ったところでございまして、昨年の12月に小委員会としての最終報告書をとりまとめていただいたところでございます。本日はこの報告書を踏まえて、詳しくまたご審議を賜りたいと思っております。
環境省といたしましては、この自動車排ガス対策、特に大都市の大気汚染問題を大変重要と考えておりまして、私ども、先生方のご審議を踏まえまして、積極的なより一層の対策を推進していくこととしておるところでございます。
また、大気環境につきましては、排ガスの単体規制の課題、また特殊自動車の排ガスの基準の問題、さらにはVOCの問題等々、さまざまな課題があるところでございます。部会の先生方のご指導を今後とも賜りながら、私ども積極的に大気環境行政を推進していきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくご指導のほど、お願いをいたしまして、また本日よろしくご審議のほど賜りますようお願い申し上げまして、私の方からのご挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
【総務課長】それでは、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、これ以降の会議の進行につきまして、坂本部会長にお願いをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【部会長】先ほど事務局から紹介がありましたとおり、鈴木会長のご指名によりまして、本日から大気環境部会の部会長を務めさせていただくことになりました。皆様方にはご協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは早速でございますが、議事に入らせていただきます。
本日は、新しい委員になられた方もおいででございますので、まず本部会の運営方法等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【総務課長】それでは説明をさせていただきます。お手元の資料3、表題に「中央環境審議会関係法令等」という資料でございますが、こちらの方に基づきまして、簡単にご説明をさせていただきます。
まず、根拠法令としての環境基本法、それから、その政令、中央環境審議会令が最初にございます。それから、具体的な議事運営につきましては、4ページの3.中央環境審議会議事運営規則と、ここから実態の話に入らせていただきたいと思っております。
中央環境審議会に、この第4条にありますように、14の部会を置くということで、その部会の所掌事務を次のページ、6ページの別表にそれぞれ書いてございまして、本部会につきましては、所掌事務が3項目、1番、大気環境の保全に係る重要な事項に関すること、2番、交通環境対策に係る重要な事項に関すること、3番、悪臭防止に係る重要な事項に関すること、これを所掌事務としているわけでございます。
それから、議事運営規則、4ページに戻っていただきまして、第5条で、会長が環境大臣または関係大臣の諮問を適当な部会に付議することができる。それから部会の決議の意味として、第6条、部会の決議は会長の同意を得て審議会の決議とすることができる等の定めがございます。
それから、第7条に会議の招集、それから会長の議事整理の権限、それから専門委員会の方々の権能ということで、1条から3条のことについては、部会にも準用されるという定めが7条にございます。
8条は小委員会の設置について、それから9条は専門委員会の設置についての定めでございます。それから11条、会議録としまして、議事について会議の概要を記載した会議録を調製しなければならないという定めでございます。
あと、11条としまして、その他の運営に必要な事項について、11条1項に基づき会長が定める。それから2項としまして、部会の運営に必要な事項は部会長が定めると、こういうような規則がございます。
これを受けまして、7ページをお開きいただきますと、中央環境審議会の運営方針について、一部改正後で平成18年3月13日現在での総会決定等の事項として、今運営方針はこのように定められてございます。
まず1番、会議の公開、出席者について。会議の公開については、原則として公開するということが(1)の[1]、それから代理出席は認めないということは1の(2)、それから(3)として、事務局である省庁の職員が会議に出席することができるということ。
2番、8ページに入ります。会議録につきまして、会議録の内容について。会議録を、その発言内容を正確に記載する。調製にあたっては、各会出席委員のご了解を得る。構成委員にその配付を行う等々の扱いについて書かせていただいています。あと公開した会議の会議録は公開をするということを(3)に記載してございます。
それからすべての会議の議事要旨を公開する。それから会議録及び議事要旨は閲覧窓口に備え付ける等々の定めがございます。
あと、一般の意見の反映については3、それから総会と部会との関係については4、委員、それから専門委員の構成について5番、それから細かい話になりますが、会議運営自体の環境への配慮について6というような定めがございます。
10ページ、専門委員会の運営方針がございます。こちらの方をごらんいただければと思っております。最後11ページに大気環境部会の小委員会、専門委員会でございますが、11の1.にありますような小委員会、それから専門委員会が現在置かれているというところでございます。
少しはしょった説明になりましたが、本部会の運営方法につきましての説明は以上でございます。ありがとうございました。
【部会長】ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問等ございましたらお願いいたします。ただいま部会運営につきましてご説明をいただきましたけれども、ただいまの内容につきまして、ご質問等ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
特にご意見等ございませんようですので、次の議題に移りたいと思います。
続きまして、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について、最終報告案について、説明を伺いたいと思います。
大聖自動車排出ガス総合対策小委員会委員長、よろしくお願いいたします。
【大聖委員】早稲田大学の大聖でございます。ご指名によりまして、まず私の方からご説明させていただきます。
この自動車排出ガス総合対策小委員会の検討結果ということでございますが、資料の5をごらんいただきたいと思います。そちらに今後の自動車排出ガス対策のあり方についての最終報告案がございますが、この内容に沿ってご説明させていただきます。
検討の経緯でございますけれども、平成17年10月7日に大気環境部会に本小委員会を設置しまして、大気の汚染状況、それから現在の施策の進捗状況等の点検評価を行いました。また、今後の総合対策のあり方について検討を開始しております。小委員会としましては、対策地域のある8都府県、事業者団体、環境NGOからヒアリングを行いまして、NOx・PM法の制度及び施行状況と、総合削減計画に基づく個別対策について7回審議を行いまして、平成17年12月16日に大気環境部会に中間報告をさせていただいております。
その後中間報告については、パブリックコメントを行いまして、さらに重点的な課題である流入車対策、さらに局地汚染対策を中心に検討を進めてまいっております。計8回にわたりまして審議を行いまして、この最終報告案に至ったものでございます。
次に、報告書の構成でございますけれども、3つに大別されております。1つには、大気汚染の状況について、それから2つ目に自動車排出ガス対策の実施状況と評価について述べております。これらにつきましては中間報告でご報告させていただいた内容を最新のものとしております。
3番目が、前回の部会以降に議論を行ったものを中心に述べております。その中でも3つに分かれておりまして、1つとして、大気環境基準達成の見込み、それから次に2番目として、自動車NOx・PM法の制度の今後のあり方を記述しております。さらに3番目として、法制度以外の各種施策の今後のあり方として、局地汚染対策、対策地域への流入車も含めた基準適合車への転換の促進、エコドライブ等々の普及・啓発、そういったようなことを記述しております。
さらに、評価手法の今後のあり方、自動車排出ガス対策等に係る国際的な取組、普及・啓発等、広報についてまとめさせていただいたというのが今回の最終報告の概要でございます。
以上でありますけれども、詳細については事務局の方からご説明をいただければと思っております。
【自動車環境対策課長】自動車環境対策課長の金丸でございます。それでは、今のご報告に関連いたしまして、補足説明を資料に基づいて行わせていただきます。
まず資料の4、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)概要と、それから資料の5、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)、この2つの資料でご説明申し上げます。
まず資料の4、ごらんいただきたいと思います。審議の経緯につきましては、今、大聖委員長からご説明があったとおりでございます。そこで最終報告の概要でございますが、まず1といたしまして、大気汚染の状況等でございます。これは二酸化窒素及び浮遊粒子状物質については平成12年度から平成17年度まで全体として改善傾向が見られるものの、大都市圏を中心に環境基準を達成しない測定局が依然として残っている状況。特に東京都の二酸化窒素に係る平成17年度の自動車排出ガス測定局(以下、「自排局」という)の達成率は約58%にとどまっているということでございます。これにつきましては、報告書本文の2ページをごらんください。
2-1の環境基準の達成状況等(1)二酸化窒素[1]、これはNOx・PMの対策地域における、環境基準の達成状況等でございます。平成12年度から平成17年度までの対策地域における環境基準の達成率は、一般環境大気測定局については平成12年度の97.3%から年々改善し、平成16年度には100%となり、平成17年度も99.8%で、近年ほとんど全ての測定局で環境基準を達成している。自排局については平成12年度の65.3%から年々改善し、平成17年度には85.1%になっている。都道府県別に平成17年度の自排局の達成率を見ますと、埼玉県で100%、愛知県で93.9%、千葉県で91.7%、大阪府で92.1%である一方、東京都で57.9%にとどまっているなど、非達成局の存在が地域的に局限されつつ、引き続き存在する傾向が見られる。また対策地域内において、過去10年間継続して測定を行っている583の測定局における二酸化窒素濃度の年平均値を見ますと、一般局については平成12年度0.024ppmが、平成17年度に0.021ppm、自排局については、平成12年度0.036ppmが、平成17年度0.032ppmとなっており、一般局でほぼ横ばいであり、自排局ではゆるやかな改善傾向が見られる。ただし窒素酸化物濃度の改善割合に比べて二酸化窒素濃度の改善割合が小さいことに留意する必要があるということでございまして、これがNOx・PM対策地域内における二酸化窒素の環境基準達成状況でございます。
続きまして3ページの浮遊粒子状物質の方でございます。(2)の[1]は、対策地域における環境基準達成状況でございます。平成12年度から平成17年度までの対策地域における環境基準達成率の経年変化を見ると、一般局では平成12年度が81.1%であったが、平成13年度には51.2%と前年度に比べて約30ポイント低下し、また平成14年度には50.7%であったが、平成15年度は83.0%、平成16年度は99.1%と大きな改善が見られ、平成17年度96.0%でやや低下しているなど、達成率は年度によって大きな変動が見られた。自排局でも、平成12年度が54.2%であったが、平成13年度には25.7%と、前年度に比べて約30ポイント低下し、平成14年度の24.7%が平成15年度は61.9%、平成16年度は96.1%に改善し、平成17年度は92.8%でやや低下するなど、一般局と同様、年度によって大きな変動が見られた。また都府県別に平成17年度の自排局の達成率を見ると、東京都で初めて100%に達するとともに、埼玉県で95.8%、千葉県で95.7%、神奈川県で96.7%、大阪府で97.1%に達している一方、三重県では50.0%であった。
また対策地域において、過去10年間継続して測定を行っている526の測定局における浮遊粒子状物質濃度の年平均値を見ると、一般局については平成12年度0.037mg/?、平成17年度0.031mg/?、自排局については平成12年度0.046mg/?、平成17年度0.034mg/?となっており、近年緩やかな改善傾向にあるということでございます。
この浮遊粒子状物質につきましては、いろいろな振れがあるわけでございますが、これにつきまして、次のページの4ページ、2-2の気象条件による影響、という記述がございます。浮遊粒子状物質については、高温・強い日射や静穏状態が継続する場合や、大陸からの黄砂が飛来する場合に高濃度が現れやすくなるなど、気象の影響を受けやすく、気象条件によって、濃度が変動することがあることが指摘されており、上述のような年度による変動の要因にもなっていると推察されるということでございまして、浮遊粒子状物質の濃度が気象条件による影響を受けるということがこのように記述してございます。
続きまして、概要の方に戻りまして、2の自動車排出ガス対策の実施状況と評価というところでございます。車種規制、低公害車の普及については着実に進展しているということでございます。車種規制につきましては地域内の基準適合車の割合は、平成16年度末で55.1%でございましたが、平成22年度は推計で99.5%になるということでございます。また低公害車につきましては、平成17年度末の時点で1,219万台普及しているということで、着実に進展しているということでございます。他方、対策地域外に使用の本拠を有する自動車に係る適合車への転換の促進については、車両の平均使用年数が伸びており、対策地域内に使用の本拠を有する自動車に比べて、代替が進んでいないという状況にあるということでございます。
続きまして、次の3でございますが、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方です。(1)の大気環境基準達成の見込みですが、対策地域全体では平成22年度におおむね達成しますが、交通量の極めて多い道路が交錯している等の一部の局地では二酸化窒素に係る環境基準が非達成と予測されております。特に東京都は自排局の約7割にとどまる見込みということでございます。
これにつきまして、資料5(本文)の12ページをごらんください。
4の今後の自動車排出ガス総合対策のあり方(1)平成22年度における大気環境の予測というところでございます。自動車NOx・PM法の目標を確実に達成することに向けまして、平成22年度における大気環境基準の見込みについて、走行量の伸び率、低公害車普及見込みに係る将来推計を一定の幅を考慮の上、中間年である平成17年度を基準年とする気象条件、発生源条件をデータ整理して汚染物質の移流・拡散状態を推計するシミュレーションモデルを用いた濃度予測計算による評価を行ったところでございます。
具体的には、交通量、低公害車の普及状況が現状傾向を維持するケース、これは中位ケースということでございます。それから交通量の増大、低公害車の普及の伸び悩みの条件を考慮したケース、これを高位ケースと設定しております。そして試算をした結果をまとめますと、[1]、対策地域全体では、いずれのケースにおいても、平成22年度におおむね環境基準を達成すると見込まれる。[2]、しかしながら、交通量の極めて多い道路が交差していたり重層構造になっていたりする地点、大型車の通行割合の高い沿道などにおいて、二酸化窒素の環境基準が非達成になると見込まれ、中位ケースで11箇所、高位ケースで15箇所が環境基準非達成となると見込まれている。特に東京都は約7割の達成率であるということでございます。
未達成の地点については、精緻な要因分析が必要であるが、地域全体のシミュレーションとしては環境基準をおおむね確保できる場合であっても、流入車の影響を受けやすい地点や、交通量の極めて多い道路が交差していたり重層構造になっていたりする地点、又は大型車の通行割合の高い沿道などについては、窒素酸化物等の濃度が局地的に高濃度になっている場所と考えられることから、自動車NOx・PM法の趣旨からすると、これらについては特別に個別の対応が不可欠であり、汚染・拡散のメカニズムを踏まえ、個別の実情に応じた効果的な対策を講ずるべきであるということでございます。
それでは資料4(概要)の方に戻っていただきまして、一番下の3の(2)でございます。自動車NOx・PM法の制度の今後のあり方でございます。これは環境基準をできるだけ早期に達成し、更に改善を図るべき、また、対象物質対策地域、車種規制の対象については現行制度を基本とすべきということでございます。これにつきましては、先ほどの本文13ページでございます。
自動車NOx・PM法の制度のあり方の今後の目標でございますが、ここで、3行目から、当面は、総量削減基本方針に示された「対策地域において、二酸化窒素については平成22年度までに二酸化窒素に係る大気環境基準をおおむね達成すること、浮遊粒子状物質については平成22年度までに自動車排出粒子状物質の総量が相当程度削減されることにより、浮遊粒子状物質に係る大気環境基準をおおむね達成すること」という目標に変更を加える必要はないが、できる限り早期に達成し、更に改善を図るべきであるということでございます。
また、対象物質については、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質に関しては、平成22年度の環境基準をおおむね達成に向け、更に対策努力を継続する必要が認められることから引き続き対象とすることが適当であるということでございます。
14ページでございますが、対策地域の範囲につきましては、自動車NOx・PM法では、自動車の交通が集中している地域であって、大気汚染防止法による措置のみによっては、二酸化窒素又は浮遊粒子状物質に係る大気環境基準の確保は困難であると認められ、かつ地域的に一体と考えられる範囲を対策地域に定めている。この規定に基づき、自動車交通に係る統計、大気汚染の将来予測を基礎とする条件を勘案して、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、三重、大阪、及び兵庫の8都府県内の276市町村が対策地域に指定されている。対策地域の隣接地域において、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る大気環境基準を超過している地点を見ると、地域的な広がりは見られず、当面は従来の対策地域の環境基準の達成に取り組むべきであることから、直ちに対策地域の範囲を変更する必要はないということでございます。
それでは資料4(概要)に戻ります。
2ページの(3)各種施策の今後のあり方、[1]の局地汚染対策でございます。局地においては、長期間にわたって環境基準未達成の状況が継続しており、自動車に係る対策に加え、都市構造、道路構造の改善のような抜本的な対策が重要。局地対策は各々の局地の状況に応じて、交通流の円滑化や道路構造対策の事業を選択し、対策を立案するとともに、関係機関が連携をとり対策効果を発現していくような法的枠組みを構築することが適当ということでございます。
これに関しまして、資料5(本文)の15ページでございます。ページの一番下(3)各種施策の今後のあり方、です。累次の排出ガス規制の強化、車種規制の着実な進展、地方公共団体の努力の結果等、各種施策、固定発生源対策の効果の発現により、広域的な大気環境は改善傾向にあり、こうした各種施策を固定発生源対策と併せて引き続き総合的・効果的に実施していくことが必要である。このような各種施策が推進されれば、この改善傾向は平成22年度まで維持される見込みであり、その結果平成22年度には対策地域全体で見ると、環境基準はおおむね達成されると見込まれる。
しかしながら、上記のとおり、各種施策を引き続き精力的に取り組んでいくことが大前提であること、平成22年度においても、依然として相当数の環境基準未達成の測定局が残るものと予測されるとともにシミュレーションにも不確実性が存在すること、本来環境基準は全面達成が望まれること、更に、未達成として残る地域は、大気汚染改善に向けた対策の推進が一層求められている等、社会的な関心が極めて高いことに鑑みると、各種施策の実施・強化が必要である。特に、環境基準を達成した測定局については、それを維持・継続していくことが重要であり、そのためにも各種施策の実施・強化が必要である。環境基準未達成の測定局は、主要幹線道路の沿道の交差点付近が多く、複数の道路が重層的に配置され、特に交通が集中する等のいわゆる「局地」である。したがって、今後の対策は、対策地域内全体の一律の対策強化に加え、各々の局地の特性に対応した個別の対策を行うことを推進するような枠組みを制度化することが基本となると考えられるということでございます。
そして、局地汚染対策についてです。
局地においては、長期間にわたって環境基準未達成の状況が継続しており、対策地域内全体の一律の自動車に係る対策強化だけでは、大気環境の改善が十分進展しないものと考えられる。このため、平成22年度において環境基準未達成となると見込まれる局地については、自動車に係る対策に加え、都市構造、道路構造の改善のような抜本的な対策が必要である。さらに長期的な視点から、自動車交通を抑制するような道路計画又は自動車に過度に依存しない都市構造を実現する都市計画についても検討することが考えられる。特に京都議定書目標達成計画において、エネルギーの面的利用やヒートアイランド対策等により、省CO2型の地域づくりを促進するとされているように、大都市中心部を含め、都市構造及び道路構造の改善は、大気汚染対策だけでなく、地球温暖化対策、ヒートアイランド対策等、都市の快適性及び安全性の向上又は渋滞対策の観点からも強く望まれるところであり、今後の我が国の社会資本整備の重点分野の一つとして推進されることが必要である。なお、都市構造及び道路構造対策については、都市構造の改善が実現するまでの間に発現する単体対策等の効果も留意する必要がある。
更に、現在、環境基準が未達成である現状に鑑みると、抜本的な都市構造の改善と並行して、当該局地周辺で対策を可能な限り速やかに実施することが必要である。このような局地汚染対策の具体的な内容としては、将来濃度予測等の調査研究、交通流の円滑化、交通量の抑制、道路構造対策、沿道対策、交差点対策などがある。特に交通流の円滑化、道路構造対策、沿道対策、交差点対策は、全国一律のものではなく、高濃度が見られる時間帯、地形、沿道利用状況等の個別の場所の状況に応じた固有の内容になるものと考えられる。このため、基本的には個別の場所に精通している地方公共団体を中心に、国、事業者等の間で、それぞれの局地に見合った施策目標、事業内容を選択し、創意と工夫を凝らした対策を立案するとともに、関係者が連携をとり、対策効果を発現していくような法的枠組みを構築することが適当である。そして、未達成となる根本的な原因を十分に解析し、公害防止計画のように、総合的な対策とすることが必要である。
また、都市構造対策については、街区や建築物の形状や交通量を発生させる施設が、大気環境の質に影響を与えることを認識し、新たな土地利用や施設整備については、大気汚染防止の観点から、適切な配慮を行う等、中長期的な視点に立って、都市構造対策を進めることが重要である。このような施策の新規立地については、都市計画及び地方環境影響評価条例において環境の保全上支障がないように配慮されているが、これらとの調和を図りつつ、特に局地近傍において、局地の大気汚染状況に直接影響を及ぼす可能性のある新たな施設整備を行おうとする際に、早い段階で大気環境を含めた影響の事前確認を行う等の一般的な配慮を制度化することについても、地域の実情に応じた対策として考慮する必要があるというものでございます。
次に資料4(概要)に戻っていただきまして、(3)の[2]の対策地域への流入車も含めた基準適合車への転換の促進でございます。これは対策地域内において貨物輸送する貨物運送業者や、貨物運送事業者に輸送をさせる者は、排出量の抑制のために必要な取組を行うべき。また車両が自動車NOx・PM法上の車種規制に適合した車か否かが容易に識別可能なステッカー制度等を構築すべきということでございます。
これにつきましては、資料5(本文)18ページの流入車も含めた適合車への転換の促進等でございます。この単体対策による窒素酸化物、粒子状物質の削減効果が最も高いことに鑑みると、自動車NOx・PM法に基づく車種規制の適正かつ確実な実施を図るとともに、自動車製作者は、新長期規制適合車について、継続生産期間に関わらず可能な限り速やかに全ての車種を市場に投入すべきである。更に自動車製作者は、新長期規制により一層排ガスレベルを低減させるとともに、09年目標達成車についてできる限り前倒しで市場に投入できるよう努めるべきである。国、地方公共団体は、事業者団体と協力しつつ、自動車製作者の開発努力を後押しするとともに、対策地域内への流入車対策の円滑な実施の観点からも排出基準適合車、新長期規制適合車、09年目標達成車、天然ガス自動車等への早期転換促進のため、税制、補助金及び政策金融等の所要の支援措置を講ずることが適当である。
対策地域内への流入車に関しては、税制、政策金融、事業者団体への働きかけ等により、適合車への転換を促進してきたところである。また、これまで首都圏の1都3県及び兵庫県においては、条例により粒子状物質、又は窒素酸化物及び粒子状物質の排出抑制を狙いとする走行規制を実施している。環境省が対策地域内を走行する自動車を実地調査した結果によれば、車種規制が行われている結果として、対策地域内に使用の本拠地がある自動車に占める適合車の交通量割合と、対策地域外に使用の本拠地がある自動車、いわゆる流入車に占める適合車の交通量割合に格差が生じている結果となっている。
流入車対策については対策地域外からの車両が無規制であるということは、制度全体の公平性の面から見ると問題であること、対策地域全体において、排出量抑制を図ることが必要であること、特に問題となる局地においては対策地域全体よりも流入車の割合が高いこと、また、通過交通については、例えば首都高速都心環状線の62%を占めているように、相当の規模があること等から、一定の対策を講じるべきである。
しかし、この場合、自家用または営業用を問わず、事業者、荷主、行政等、道路交通にかかわる幅広い主体の取組による枠組みを検討することが必要であり、負担が特定の者に偏らないようにするとともに、その実施体制を考慮する必要がある。また、環境基準未達成の地点が特定の局地に限定されつつあることを考慮すると、例えば対策地域外の自動車の所有者全てに広く対策地域内と同じ車種規制のような重い負担を強いるような手法を取り入れることは適切でない。
このような状況に鑑みると、対策地域外から対策地域内に輸送を行うような自動車輸送業者や、対策地域外から対策地域内に貨物自動車運送事業者に輸送を行わせる者については、排出量の抑制のために必要な取組を行うべきであるが、例えば自動車輸送事業者については、これまで様々な取組が行われてきたところであるが、流入車についても一定の役割が果たせるものと考えられる。
また、地域内において非適合車の使用の抑制のため、貨物自動車運送事業者と荷主や自動車が集中する施設の管理者等において、地球温暖化対策の観点で取り組まれているように、両者の連携を促すような枠組みが考えられる。特にコントラクトキャリアのように、特定の荷主と提携して契約輸送を行う形態もあり、このように荷主については、非適合車の使用の抑制への協力に一定の割合を果たせると考えられる。また、長い目で見ると、持続可能な環境の形成の観点からは、関係者による自主的な取組を積極的に推進していくとともに、そうした取組状況を行政としてもフォローしていく必要がある。
以上のような対策の実効性を担保するとともに、自動車輸送事業者による適合車の使用を促すため、容易に車両が自動車NOx・PM法上の車種規制に適合した車か否かが識別可能なステッカー制度を構築する必要がある。こうした担保策については、ITSやスマートプレート等の今後の技術の進展を踏まえ、検討を深める必要があるということでございます。
そして、ちょっと戻っていただきまして、資料4(概要)の方でございます。
(3)の[3]の使用過程車対策でございます。これは使用過程車と申しますのは、新車でなくて既に使用されている車両につきまして、最新規制適合車両でなくても一定の猶予期間のもとに使用を認められている車両でございます。これについては、リモートセンシングデバイス、これは赤外線や紫外線を用いて通過する自動車の排出ガスを測定する装置でございますが、このリモートセンシングデバイスに関連する調査・研究を支援すべき。また、排出ガスに係る自動車検査の高度化を進め、ハイエミッター車、これは高排出ガス車ということでございまして、排気ガスを多く出す車両でございますが、このハイエミッター車の排除等、使用過程車対策を積極的に推進していくべきということでございます。
それから[4]の低公害車の普及促進ということで、これは税制、補助・融資等の各種施策については、積極的に取り組んでいくべきということでございます。
それから[5]の交通量の抑制及び交通量の円滑化でございます。ESTモデル事業というのがございます。ESTとは環境にやさしい交通システム、Environmental Sustainable Transportでございます。このモデル事業は、国交省、警察庁、環境省などで実施しておりますが、この事業による公共交通機関の利用促進等とあわせまして、カーシェアリングや自転車利用の取組を進めていくべきということでございます。
それから物流対策に関しましては、自営転換、自家用から営業用トラックへの転換によります輸送効率の向上、それから交錯輸送の削減により、集約的な輸送を行い、物流を削減していくというものでございます。
それからロードプライシングにつきましては、地球温暖化対策、ヒートアイランド対策などの観点を踏まえ、中長期的に検討していく必要があります。また局地汚染対策が必要な地域に限定したロードプライシングの可能性について研究する必要があるということです。
それから、高速道路の効果的な利用による一般道路の交通量の削減、交差点周辺における違法駐車の取締り、バスベイ、トラックベイといった車道脇のバス、トラックの停車スペース等の整備を含めた対策の促進が必要であるということでございます。
それから[6]のエコドライブ等の普及・啓発ということで、これはアイドリングストップや、急発進をしないというような、環境にやさしいドライビングのことでございます。「エコドライブ普及・推進アクションプラン」、これは昨年8月に警察庁、国交省、経産省、環境省の4省庁で取りまとめたプランでございます。これに基づきまして、関係省庁、地方公共団体、関係業界等の連携による普及・啓発の積極的な取組が必要ということでございます。免許取得や更新時におけるエコドライブ教育の実施、エコドライブへの誘導を図る車載装置等の公用車への率先導入等といったことが考えられます。
概要につきましては以上でございます。
【部会長】それでは、今それぞれ説明をいただきましたけれども、ただいまの説明につきまして、ご意見、質問等がございましたらお願いいたします。
いかがでございましょうか。お願いいたします、小林委員。
【小林委員】今ご説明いただいた内容について、大変進んでいるということについては感謝申し上げたいと思うわけでございますが、この資料の中で、私、気になりますのが、今までほとんどが発生源対策的な部分で進めてこられているわけですね。そういう意味からいくと、いわゆるこれからは局地汚染を含めた、いわゆる都市構造とか都市計画の部分にある程度踏み込んでいく必要があるのではないか。局地汚染対策のところでは、都市構造、それも狭域的な都市構造対策が考えられているわけですが、もう少し広域的な都市構造、あわせて都市計画の踏み込んだような形でのまちづくりという部分に、もう少しご検討いただいたらいかがなのか。対策は進んできているわけなのですが、今後の予防的対策という面も含めて、交通量の抑制とか交通流円滑化、この辺も視野に入れた形でのまちづくりに対する、環境省側から国交省という言い方はいけないのかもしれませんが、そういう都市計画部局に対する何らかの示唆を与えるような、そういうご検討をぜひお願いしたいというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
【部会長】お願いいたします。関連することでございましたら。
【自動車環境対策課長】局地汚染対策を推進、環境基準を達成する観点からも、都市構造全体にかかわる広域的な対策について、これから対応してならなくてはいけないと考えておりますので、ご指摘のような点を踏まえまして、私ども取り組んでまいりたいと考えております。
【水・大気環境局長】同じ関係でございますが、今ご指摘のあった点、私どもの大気の環境の観点、またさらにはこの報告書の中でも触れられているとおり、温暖化対策との関係からも、やはり広域的なまちづくりのあり方、都市づくりのあり方、こういった点についても、私ども省内で幅広く地球環境局などとも連携をとりながら、また私どもとすればヒートアイランド対策とかございまして、大気環境、ヒートアイランド問題、温暖化対策問題、幅広く都市のあり方について勉強を深めていくこととしております。ご指摘のありましたとおり、関係する省庁ともいろいろ連携をとっていきたいと思っております。
【部会長】よろしいでしょうか。ありがとうございました。
どうぞ、そのほかご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
中杉委員、お願いします。
【中杉委員】報告書の中身云々ということではないのですけれども、多分今後の流れとして、低公害車というふうな形で考えていくと、燃料転換という話が1つ入ってくると思うのですね。燃料転換といいますか、そういうものが変わってきたときに、どうなっていくかという話を少し頭の中に入れておいていただいた方がいいと思うのです。これは低公害というだけではなくて、一方ではだんだん化石燃料の資源がなくなってくると、入ってくるもの自体が、そこも変わってくる。そうするとどうなるのかという話で、これは有害大気汚染物質の排出抑制対策専門委員会と絡む話なのですけれども、そこら辺のところに少し目配りをしていただいて、当然自動車の方でも重要な発生源になる可能性がありますので、目配りをしていただく必要があるのだろうと。今回はあまり触れられていませんけれども、今後の問題としては、そういうことがあるということだけ指摘させていただこうと思います。
【部会長】ありがとうございました。どうぞ事務局の方から関連して何かございましたら。
【環境管理技術室長】当然自動車の単体から出てくる場合には、燃料によって大分成分が変わるおそれがございますので、私ども、技術室の方では、自動車からいろいろな燃料を使ったときの、特に最近のバイオ燃料とかが話題になっておりますが、そういったものを入れたときに、予想しないようなものが出てこないかというようなものを常に把握しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
【部会長】佐和委員、お願いします。
【佐和委員】これはむしろ大聖先生にお伺いしたいことなのですが、私は自動車のことは、余り運転もしないしということで、素人なのですが、まず乗用車のディーゼル、ヨーロッパなんかでは地球温暖化対策ということでディーゼルの普及というのを図っている。そして、日本でも何か聞くところによると、ホンダがディーゼル車にかなり力を入れていると。そのディーゼル車がまず普通のガソリンエンジンに比べてCO2の排出量が、要するに燃費効率の問題ですけれども、どの程度の差があるのかということが1点。それからもう1つは、それがこの規制を満たすようなディーゼル車を出すというのは、これは当然費用がかかるというか、要するに自動車の値段が上がるわけですね。その辺がどの程度のコストがかかるのかということと、今後日本でディーゼル乗用車の普及というのはどのように展望されているのか、大体そのあたりについて教えていただきたいのですけれども。
【大聖委員】それではよろしいでしょうか。
まず、やはりディーゼル車、まだNOxレベルがガソリン車に比べて高いわけです。それで、2009年から始まります、いわゆるポスト新長期規制でかなり低いレベルまでまいりますので、それ以降に開発されるものが出てくれば、我々期待したいなと思っております。
【佐和委員】それは技術的には。
【大聖委員】技術的には可能だと思いますけれども、やはりコストアップの要因が非常に大きくて、ディーゼル車は燃費がいいですから、走るとランニングコストは下がりますけれども、その購入の車両価格の増加分を吸収できないという面がございます。特にヨーロッパやアメリカなどではたくさん乗りますのでそれは回収できるのですけれども、日本の場合にはそれほど年間走行距離が長くないですから、なかなかうまく取り戻せないというようなことで、逆に自動車メーカーはそういう、たくさん乗るところに対して、すなわちアメリカとかヨーロッパをターゲットにしております。
ただ、ポスト新長期に対応して、といいますか、アメリカなどでは2009年ぐらいから、「Tier2 BIN5」という、非常に規制の厳しいレベルが執行されますので、それに適合しなければいけないのですが、それは日本のポスト新長期と同じレベルなのですね。ヨーロッパでEURO-6というのも検討されていまして、それも多分日米と同じぐらいのレベルになるだろうと思いますので、そうなりますと、かなりディーゼルはクリーンになるということであります。
それから我々シミュレーションをやっておりますけれども、大都市にそういったディーゼルが出てきても、大気へのNOxとかPMへの影響は非常にわずかだというふうに考えておりますので、2010年を境にして、やはりCO2問題、これをやはりより重点を置いて、進める上で非常に効果があると思っております。
燃費としては、2割から3割ぐらい良好ですから、そういった効果が期待されるわけであります。
【部会長】よろしいでしょうか。かなり長い時間、長距離で走ると燃費の部分でかなりイニシャルコストも回収されるかもしれないけれども、それがどの程度使用期間があるかによって変わってくるということかと思います。ありがとうございました。2009年のポスト新長期以降NOxが減った場合には、かなりディーゼルのCO2削減が意味を持つと。ありがとうございました。
どうぞそのほか、ご質問ご意見ございましたらお願いいたします。
どうぞ、磯野委員。
【磯野委員】 幾つか伺いたかったのですが、まず、大変にここのところはいいのですけれども、もう少し強調できないのでしょうかというのがあったのですが、17ページの都市構造のところの第4段落目、「早い段階で大気環境を含めた影響の事前確認を行う等の一般的な配慮を制度化することについても、地域の実情に応じた対策として考慮する必要がある」と書いてあるのですが、考慮する必要があるぐらいなのか。やはりもっと、積極的に強調された方がよさそうな気がしたので、その点を1つです。
事前確認なのかということがちょっと気になったところで、やはり事前の評価ぐらいに言ってもよろしいのかというふうな感じがしました。その点が1点です。
それから、交通量をいろいろ、円滑化をしていきましょうということが挙げられているのですけれども、このあたりについて、もう少し、これはこの形でもちろんいいと思うのですけれども、やはり総量規制というような形で、交通量の総量規制みたいなものを地域的に少し入れていただけないか、今後考えていただきたいなという感じがしました。
それともう1つは、都市計画に対するものと同様に、かなり都市計画的なところは強調されているのですが、やはり、どうしても中心に集まってくるというのは、周辺地域におけるモーダルシフトというか、鉄道網等のいろいろな公共輸送機関が不足しているという問題がかなりあるのだろうと思うのですね。それがいきなり入ってくるという部分もありますので、そのあたりの周辺地域の鉄道輸送とか、そういうものを少し考えるような対策があるといいなというふうに思いました。
その3点でございます。
【部会長】ありがとうございました。浅野委員、どうぞ。
【浅野委員】小委員でありましたので、今の磯野委員のご質問というより、むしろコメントだと思うのですが、少しそれについてご説明をしたいと思います。まず、最後の点は、先ほど他の委員からも広域的な都市構造を考える必要というご発言がありましたが、そのようなことも考えて文章を書いたつもりではいるわけです。ですから、ただ単に局地対策だけやればいいとは書いてないわけで、やはり都市計画全体、あるいは都市構造全体をということを考えています。これは実は温暖化の方の目標達成計画の最初の部分でもかなり強調していることもありますから、それと連動させる形でここでは指摘をしているというように読んでいただければと思います。
ただ、ここではそこまでは踏み込めませんけれども、現行都市計画制度が、広域的な都市構造対策にはうまく適合的な制度になっていないということは私も磯野委員と同様に考えていますから、そこまでここで踏み込んで言うのはいかがなものかと思いますけれども、確かに考えなければいけないことだという認識は持っております。
それから最初にご指摘があった点についてですが、あえてここでこういう書き方をしておりますのは、別途戦略アセスの議論もやっておりますし、その戦略アセスについては、3月末までには環境省としては基本的なガイドラインをつくるということで、大臣も既に明言しておられますから、その作業も進められております。ただし、そちらの検討でも直ちに環境基本計画に書いているような理想的な戦略アセスメントのシステム全部をつくり上げるということは無理ですから、段階を追ってやっていかなければいけない。そうするとどうしても現在の事業種、アセス事業種のようなものからまずは手をつけるというようなステップを踏んでいかなくてはいけませんので、そのような検討の経過との整合性を考えていきますと、どうもここでいきなりそれらしいことを書いてしまってもガイドラインと合わなくなってしまうという事情があるものですから、ここはガイドラインがどうなろうと、ともかくこの観点からはこういうようなことをちゃんとやってもらわなきゃいけない。だからSEAに完全に乗っけることをやるかどうかは別としても考えてほしいという思いを込めて報告書のような書き方をしています。もし将来的にSEAの検討の結果として、こういう都市構造全体の問題に響くような形で効いてくるというものが出来上がって参りましたなら、多分次の自動車対策の報告のバージョンとか、さらに先のバージョンではこの部分について委員ご指摘のような表現がはっきり書けるようになるのではないかと思いますし、SEA検討は委員のご指摘のような点を十分に認識しながら進めていかなければならないと考えています。
それから最後の総量規制も考えなくてはいけないと言われている点も全くそのとおりだと、前からみんなが共通して考えているわけですけれども、現実に、では、どういう手法が用いられるのかということについては、なかなか悩みが多い。今回のこの報告の中では、とりあえずロードプライシングについては総量規制的な効果も十分あるのではないかという意識を持って、従来よりは踏み込んで強調してある。特に局地対策でも使えるということがあるなら、それは積極的に考えたらどうか、地域では具体的採用も積極的にお考えいただいてもいいのではないか。そのことをもし国の制度が邪魔するようなことがあるなら、国の制度を変えなきゃいけないという気持ちもありますけれども、そう露骨には書けませんから、この程度と表現をしているということになります。
それから、先ほどの佐和委員のご発言に関連しては、私が仄聞するところによりますと、ヨーロッパ諸国では既に自動車会社ごとにCO2の総量を各社がこの範囲内でおさめるというような義務づけの方向に来つつあるということも聞いているわけです。そうすると、どういう車をどう製造するかということについても、各メーカーが自分のところで考えなければいけない時代が来つつあるようですから、こういう国際的な動きというのは、やがて日本にも大きく反映してくるのではないか。その点から見ても、少々コストが高くてもディーゼル乗用車がきちんと新しい基準で、ガソリン車並みの排出量で抑えられるということになりますと、もっと普及することになるだろうということは感じております。
【部会長】ありがとうございました。今、磯野委員、それからその前の佐和委員のところにつきましても説明をいただきました。もし事務局の方から何か追加することがございますれば。すべて今、浅野先生からご説明をいただいたかなと思うわけでございますが、よろしいでしょうか。
どうぞ、そのほかご質問、ご意見ございましたらお願いいたします。いかがでございましょう。
そのほか、何か質問等はございませんでしょうか、いかがでございましょうか。
今、浅野先生からお話ありましたように、総量規制はどうか。まさにロードプライシングとかそういったものの効果を今後いろいろなことで考えていってから、さらに考えていこうというような形で議論をしていたということでございます。あと、それから、いわばNOxというようなそういう大気汚染物質と、それからCO2のかつてはトレードオフになっていたものが、今後NOxそのものの濃度が下がってくれば、トレードオフではなくて、CO2の削減の方に有効に効く。今後はむしろそちらの方が徐々に重要性が増していくというようなことを考えながら、その小委員会で議論をしたということで、浅野先生には詳しく説明をいただきました。
もし、そのほかご意見等ございませんようでしたら、今日いただきましたいろいろご意見ございましたけれども、事務局と私の方に、文章の少しの修文につきましてはご一任いただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
よろしいでしょうか。
(異議なし)
【部会長】ありがとうございます。
それでは、続きまして、今ご了解をいただいたわけでございますけれども、事務局から今後パブリックコメント募集、こういった手続を進めて、そして最終的に先ほど申し上げましたような形で、ご一任いただいて、こちらでまとめさせていただくというふうに対応させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは次の議題に入らせていただきたいと思います。
その他報告事項でございますが、続きまして報告事項としまして資料7及び資料8につきまして事務局から報告をお願いいたします。なお、資料9以降は資料配付のみとしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【自動車環境対策課長】資料7に従いましてご説明申し上げます。
資料7の3ページ、自動車NOx・PM対策という項がございます。19年度予算要求におきまして自動車NOx・PM対策として概算閣議決定いたしました予算措置でございます。この中身でございますが、自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質総量削減対策費、これが1億9,000万円余でございます。そのうち局地汚染対策支援事業、この新規事業といたしまして2,000万円計上。それから局地汚染対策としてのロードプライシングの効果及び実現可能性調査につきまして800万円計上ということでございます。
中身につきましては、局地汚染対策支援事業につきましては、大気汚染が著しく集中的に施策を講じることが必要な地域を重点対策地域として指定し、当該地域における地元協議会、例えば地方自治体、道路管理者、県警といった方々が行う環境改善計画の策定にかかる費用を補助するというのが、その上の局地汚染対策支援事業の中身でございます。
それからその次の局地汚染対策としてのロードプライシングの効果及び実現可能性調査につきましては、重点対策地域等の環境改善をねらいとするロードプライシングに関しまして、環境面、経済面への影響評価や関係者の合意形成を行う上で必要となるシミュレーションモデルの構築などの調査指標の標準化を進めるということでございまして、ロードプライシングの推進をここで行っていきたいということでございます。
それから、その下の自動車使用合理化推進事業でございます。これは19年度予算、新規事業1億3,000万円計上してございます。これにつきましては、トラック、バスの燃費を改善する最も効果的な方策として、事業者等のCO2の排出削減に関する自主的な取組を促進するため、運送事業者等が燃費基準達成し、かつ排出ガスの最新規制適合車を導入する際の費用負担に関して補助を実施することとするということで、燃費基準達成車、かつ排出ガスの規制適合車の普及を促進していくための予算措置を計上してございます。
以上が19年度予算で計上いたしました自動車NOx・PM対策の新規事業でございます。
【環境管理技術室長】続きまして資料8を用いまして、単体規制の概要につきましてお話し申し上げたいと思います。
環境管理技術室長の矢作と申します。主に単体規制を担当しております。
自動車の単体規制につきましては、平成17年4月に中環審の方から8次答申をいただきまして、いわゆるトラック、バス、乗用車につきまして、世界で最も厳しいレベルの目標値、これはいわゆるポスト新長期という目標なのですけれども、これをいただきまして、それをなるべく早期に達成するよう、自動車メーカーに対して、技術開発の促進を行っているところでございます。
今日お話申し上げますのは、特殊自動車でございまして、いわゆるブルドーザーとかフォークリフト、こういった特殊自動車の排ガス規制につきましては、平成15年10月から規制が導入されまして、昨年の18年10月から逐次規制強化が行われているところでございます。さらにこの特殊自動車につきましては、中環審の答申の中で、6次答申というのがございまして、2010年ごろの達成を目標として新たな目標値を検討することとされてございます。その検討の際には、新たな排出ガス試験法の導入についても検討すると規定されてございます。
また、特殊自動車排ガスの規制等に関する法律、いわゆるオフロード法というのがあるわけでございまして、この附帯決議の中では特殊自動車の排ガス規制の検討に当たっては国際的な基準調和の推進等に取り組むということが決議されているわけでございます。こういった背景を踏まえまして、今般新しい特殊自動車の排ガス規制について、中央環境審議会に対して検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
特殊自動車の排ガス規制の経緯について簡単にご説明いたしたいと思いますけれども、先ほども簡単にお触れいたしましたけれども、1.の最初の○にございますように、平成9年の2次答申及び実施時期を前倒しにした4次答申の中で修正された規制というのが、平成15年からスタートされました。その後改正が検討されまして、ちょうど上から3つ目の○に書いてございますように、平成15年に6次答申というのが出されまして、この6次答申の中では、規制対象にガソリン・LPG車、LPGを燃料とするものを追加する。あわせて、いわゆるオフロード車という公道を走行しない特殊自動車にも規制を導入しなさいと。さらに、これが今回の検討になるわけですけれども、ディーゼル車の特殊自動車の規制強化については、2010年を目途として規制を行うべき。その検討を行いなさいと。こういった答申が平成15年の6次答申で出されているわけでございます。
その後、一番下の○にございますように、先ほどのとおりオフロード法が成立いたしまして、その中で若干検討の方向について示唆されてございまして、検討に当たっては国際的な基準調和の推進に取り組むよう決議されている次第でございます。
2ページ目の一番上の○にございますようにオフロード、いわゆるナンバーをつけない特殊自動車についての規制がちょうど昨年10月から始まってございます。
2.には欧米における規制の状況でございますが、若干専門的になるのですけれども、欧米においては2011年から開始する予定の次期規制が公表されてございまして、この際の試験法としては、NRTCという試験法、あと8モードという試験法、この2つの試験法が提案されてございまして、現在我が国ではその8モード法というのが提案されている状況でございます。
こういった観点を踏まえまして、今後中央環境審議会における検討を次のように進めてまいりたいと思っております。
背景につきましては、先ほどからご説明しておりますように、特殊自動車の排ガス規制強化の検討を行う。検討に当たっては、附帯決議に基づいて国際基準の調和を考慮して行う。これをもとに具体的な検討を進めてまいりたいと思います。
[2]に具体的な検討方針といたしまして、既に設置してございます自動車排出ガス専門委員会において検討していただく予定でございます。まず、その進め方としては、規制値を検討するわけですけれども、その前に試験法の検討を行います。試験法は排ガスの規制を行うときに非常に重要な項目でございまして、現在日本では定常サイクルで規制を行っているわけでございますが、新しい排出ガスの試験法の検討を行いたいと思います。
検討に際しましては、欧米で採用予定でございますNRTC、これが日本の試験法として適当かどうかというものを検討していきたい。その採用が可能かどうかを検討してまいりたいと思っています。
現在その検討に当たりましては、この大気部会の委員でございます塩路先生を座長とする特殊自動車排ガス試験法導入調査検討会というのがございまして、そこで今年度内にそういった調査結果をいただきまして、これをもとに取りまとめていく予定でございます。その後規制値の検討ということで、新しい排出ガス試験法を用いました新規制値の検討を行いたいというふうに考えております。
中間的な報告でございますが、以上のように考えてございます。
【部会長】ありがとうございました。
ただ今、資料の7と8を使いまして、資料7ではNOx・PM法に関連する予算のお話、それから資料8につきましては、特殊自動車の排出ガス規制の検討、これについて報告をいただきました。
委員の先生方、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それで、先ほど申し上げましたけれども、資料7と8について説明をさせていただき、資料9からは資料配付のみということで申し上げました。そういったことで、ご了解をいただきたいと思います。そして先ほど最後に私、重要なことを言い忘れておりまして、補足をさせていただきますと、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)については、最終的なまとめをこちらの方でやって、パブリックコメントをした後、部会長の私から中環審の会長の鈴木先生のところへ報告して、そしてその後中環審の審議会長でございます鈴木先生から、環境大臣に意見具申をさせていただく、そういう形の手続になってございますので、そういったパブリックコメントの後、そういうふうに進めさせていただきたいということにつきましても、ご了解をいただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
その他の報告事項、何か事務局の方からございましたら、お願いいたします。
【総務課課長補佐】特にございません。
【部会長】ありがとうございました。
それでは、今日用意いたしました議題は以上でございます。今日の審議につきましては、皆様方にご意見をたくさんちょうだいするように、説明のところをやや早口で説明をさせていただいたきらいはございますが、特に他意があるわけではございません。むしろその後の質問の時間を長く取るという形にさせていただいたということでございます。
今日はご協力、どうもありがとうございました。