(部会長) | 池上 詢 | |
(委員) | 佐和 隆光 | 新美 春之 |
磯野 弥生 | ||
(臨時委員) | 浅野 直人 | 石川 義紀 |
伊藤 桂子 | 岩崎 好陽 | |
内山 巌雄 | 浦田 隆 | |
浦野 紘平 | 太田 勝敏 | |
香川 順 | 河野 通方 | |
小林 悦夫 | 櫻井 治彦 | |
佐藤 信彦 | 篠原 善之 | |
関澤 秀哲 | 中杉 修身 | |
中野 璋代 | 萩原 清子 | |
松尾 友矩 | 松波 正壽 | |
宮池 克人 | 山下 米三 | |
(五十音順) | ||
(環境省) | 水・大気環境局長 | 大臣官房審議官 |
総務課長 | 総務課課長補佐 | |
大気環境課長 | 自動車環境対策課長 | |
環境管理技術室長 | 大気生活環境室長 | |
ダイオキシン対策室長 |
配付資料
・中央環境審議会大気環境部会委員名簿
資料1 | 健康リスク総合専門委員会報告について |
資料2 | 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)(案) |
資料3 | 平成 17 年度における大気汚染の状況について |
資料4 | 自動車排ガス総合対策小委員会の検討状況 |
資料5 | 石綿の飛散防止対策の強化について |
資料6 | 揮発性有機化合物( VOC )の排出抑制に係る自主的取組のあり方について |
資料7 | 環境放射線等のモニタリングについて |
資料8-1 | 悪臭防止法の見直し規定に基づく検討結果について(概要) |
資料8-2 | 悪臭防止法の見直し規定に基づく検討結果について(報告) |
参考資料 | 中央環境審議会関係法令等 |
議事
【総務課長】定刻となりましたので、ただいまから、中央環境審議会第21回大気環境部会を開会させていただきます。
本日は、委員総数37名のうち、20名の方のご出席をいただいておりますので、定足数である過半数に達してございます。また、太田委員、中杉委員、萩原委員から、少し遅れるというご連絡を受けております。
それでは、初めに竹本水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。
【水・大気環境局長】ただいまご紹介いただきました、環境省水・大気環境局長の竹本でございます。
委員の先生方には、大変ご多用のところ、ご出席をいただきましてまことにありがとうございます。また、平素より、私ども環境行政の推進につきましてご指導をいただいておりまして、感謝申し上げたいと思います。
本日の議題にありますとおり、本日は「今後の有害大気汚染物質対策のあり方」につきましてご審議をいただくことになっております。これはご案内のとおり、平成8年度より、順次、大気環境部会の審議を経まして、答申を順次いただいてきておるところでございます。後ほど詳しくご審議を賜りたいと思います。
また、あわせまして、自動車排出ガス総合対策小委員会で現在検討をしております、その検討状況につきましてご報告をするとともに、あわせまして、その他、大気環境施策に関するいくつかの事項につきましてご報告をさせていただきたいと存じます。
今後とも、どうぞ先生方のご指導・ご鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、私の方からの冒頭のご挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
【総務課長】続きまして、事務局側の紹介をさせていただきます。前回の部会より、水・大気環境局の職員に人事異動がございましたので、ご報告を申し上げます。
初めに、本年8月1日付で自動車環境対策課長に就任いたしました金丸でございます。
次に、本年7月1日付で環境管理技術室長に就任いたしました矢作でございます。
次に、本年4月1日付で大気生活環境室長に就任いたしました内藤でございます。
次に、本年7月31日付でダイオキシン対策室長に就任いたしました田代でございます。
申しおくれましたが、私、本年7月19日付で総務課長に就任いたしました岡部でございます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、お手元にお配りしております配付資料のご確認をお願いしたいと思います。まず、議事次第の紙の次に、配付資料の一覧をお置きしてございます。委員名簿の次に、資料1、健康リスク総合専門委員会報告について、資料2、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)(案)、資料3、平成17年度における大気汚染の状況について、資料4、自動車排ガス総合対策小委員会の検討状況、資料5、石綿の飛散防止対策の強化について、資料6、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に係る自主的取組のあり方について、資料7、環境放射線等のモニタリングについて、資料8-1、悪臭防止法の見直し規定に基づく検討結果について(概要)、資料8-2、悪臭防止法の見直し規定に基づく検討結果について(報告)。あと、参考資料として、中央環境審議会の関係法令等を付してございます。万一、資料の不足がございましたら、事務局にお申しつけいただければ幸いでございます。
報道機関の皆様に申し上げます。冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
それでは、これ以降の会議の進行につきまして、池上部会長によろしくお願いを申し上げます。
【部会長】池上でございます。それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。
本日は、「今後の有害大気物質対策のあり方について(第八次答申)(案)」についてご議論いただいた後に、その他の報告事項につきまして、事務局からお願いしております。
それでは、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)(案)のご説明をお伺いしたいと思います。
内山健康リスク総合専門委員長、どうぞよろしくお願いします。
【内山委員】健康リスク総合専門委員長の内山でございます。「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)(案)」の概要につきましてご説明させていただきます。
有害大気汚染物質のうち優先取組物質につきましては、順次環境目標値を設定することといたしまして、作業を行っているところでございますが、今回4物質につきまして、科学的知見が集積されてきましたので、それぞれの物質ごとのリスク評価文書案を作成いたしまして、2回の健康リスク総合専門委員会を開催いたしまして、熱心にご議論をいただきました。
この結果、資料2の別添1「指針値算出の具体的手順の一部改定について」及び別添2「アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン及び1,3-ブタジエンに係る健康リスク評価について」の2つの専門委員会の報告を取りまとめたところでございます。
別添1の「指針値算出の具体的手順の一部改定について」は、今回の4物質に係る健康リスク評価及び指針値の検討を行う過程におきまして、これまでの決められておりました手順では必ずしも明確でないという部分が見受けられたことから、その部分につきまして手順の一部改定を行うというものであります。
また、別添2の「アセトアルデヒド、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン及び1,3-ブタジエンに係る健康リスク評価について」は、優先取組物質のうち、科学的知見が集積されてまいりましたアセトアルデヒド、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン及び1,3-ブタジエンの4物質について、健康リスク評価を行ったものでございます。
具体的には、いずれも年平均値でクロロホルムが18μg/m3以下、1,2-ジクロロエタンが1.6μg/m3以下、1,3-ブタジエンが2.5μg/m3という指針値を設定することとしております。なお、アセトアルデヒドにつきましては、WHOのエア・クオリティ・ガイドラインに定めております耐容濃度値との整合性等につきまして早急に確認をした上で、改めて検討を行うということにしてございます。
以上が主な内容でございますが、あとは事務局の方から補足の説明をお願いしたいと思います。以上でございます。
【総務課課長補佐】それでは、事務局の方から、今の内山委員長の報告に関して補足説明を資料に基づいて行いたいと思います。
資料につきましては、資料1と資料2がございまして、資料2が今回の今後の有害大気汚染物質対策のあり方についての第八次答申(案)で、ここの表紙の部分が指針値算出の具体的手順の一部改定と、それとクロロホルム等3物質についての指針値についての内容が書かれてあるところです。
具体的な内容につきましては、その後ろの別添1と別添2において書かれているところなのですけれども、今回、非常に資料が膨大ということもございますので、これまでの有害大気汚染物質対策の経緯も含めた形で、この資料としてのエッセンスをまとめた資料を資料1として作成をしておりますので、この資料1に基づきまして説明をしていきたいと思っております。
それでは、資料1の1ページ目を見ていただければと思います。まず、1ポツ目の有害大気汚染物質対策の経緯というところです。大気中から低濃度ではあるけれども有害な物質が検出され、長時間の曝露による健康影響が懸念される状況に至っていると。健康影響の未然防止の観点から対策を講じる必要があるため、平成7年9月に今後の有害大気汚染物質対策のあり方について中央環境審議会に諮問がなされたと。その後、平成8年1月の中央環境審議会答申である「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」中間答申を受けて、平成8年5月に有害大気汚染物質対策の推進等に関する各種の規定を盛り込んだ「大気汚染防止法の一部を改正する法律」というものが公布されております。
この内容につきましては、参考資料の3ページ目、4ページ目に付けております。ここのところに、特に3ページ目に、まず大気汚染防止法の概要ということで、これが法律の規制の枠組みの概要なのですけれども、5番目のところに、有害大気汚染物質対策の推進というところで条項が1つ立っています。ここで読ませていただきますと、有害大気汚染物質、継続的の摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質について、事業者の責務、国の責務、地方公共団体の責務、こういったものを規定しているということでございます。
具体的な内容につきましては、次のページの4ページ目に、その対策の経緯・取組、あとは具体的な関連規定、こういったものが書かれているというところでございます。
それで、また1ページ目に戻りまして、その後にいきまして、平成8年10月の第二次答申を踏まえて、大気汚染防止法の施行通知に「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」、それと、さらにその中でも特に体系的に詳細な調査を行うほか、事業者に対して排出抑制技術の情報等の提供に努め、事業者の自主的な排出抑制努力を促進すべき「優先取組物質」が掲げられているところです。
施策の具体的な内容については、その後の随時の答申を受けて、所要の政省令の改正等を行って、有害大気汚染物質対策を推進しております。
環境基準につきましては、平成9年にベンゼンに係る環境基準を設定して以降、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、こういった環境基準を設定しています。この物質についての概要は、参考資料5ページ目に、有害大気汚染物質に係る優先取組物質ということで、資料として付けております。最初に優先取組物質についての説明ということで、有害大気汚染物質に該当するものは234物質あり、この中でも有害性の程度、大気環境の状況を考慮して、健康リスクがある程度高いというものが22物質、優先取組物質として選定されているというところでございます。
また、その優先取組物質について、人の健康に係る被害を未然に防止する観点から、健康リスクの低減を図るための指針となる数値を設定しています。
この指針値は、大気環境モニタリングの評価指標、事業者の排出抑制努力指標としての機能を果たすことが期待されるというものですけれども、そういったこれまでの取組の一連のものをまとめたものが以下のベン図でございまして、234物質、優先取組物質についての22物質、それと環境基準で定められているもの、既に指針値で定められているものと、今回指針値として対象とする3物質と。そのほか、まだ指針値が定められていないものということになっているというところです。
また、最初の1ページ目に戻りまして、2ポツ目の健康リスク総合専門委員会における指針値の検討ということです。
第七次答申において、環境基準が設定されていない優先取組物質について、環境目標値の一つとして、指針値を設定することとし、その評価方法に関する基本的な考え方をまとめた指針値算出の具体的手順というのが定められるとともに、その時アクリロニトリルなど4物質に関する指針値の設定がなされたというところです。その際に環境目標値が設定されていない優先取組物質、これについても環境目標値の設定が急務となっているので、これらの物質の健康影響に関する科学的知見の充実を図るということになっておりまして、具体的には環境省において、その後でも充実について図ってきているというところです。
今般、本部会に設置されている健康リスク総合専門委員会で、指針値算出の具体的手順の一部改定と、クロロホルムなど3物質の指針値について報告が取りまとめられています。その骨子については、2ページ目に示しています。
2枚目にいきまして、1ポツ目の指針値算出の具体的手順の一部改定というところですけれども、平成15年7月の第七次答申の中で定められた指針値算出の具体的手順の中に、有害性評価、曝露評価、総合評価、それぞれについての評価方法の基本的考え方が示されております。ただ今回、3物質の指針値の検討を行う過程で、現行の指針値算出の具体的手順の規定内容では必ずしも明確ではない、ないし十分ではない点がありましたので、一部改定をすることとしております。
具体的な内容につきましては、参考資料に、6ページ目です。ここに指針値算出の具体的手順の概要というものを示したものがあります。ここの下線が付いているところが、今回見直しを行うところということです。もともと様々な諸外国や国内における発がん性や発がん性以外の有害性に関する疫学研究、または動物実験に関する知見、こういったようなものから、それぞれの有害物質ごとに知見を集めて、さらにその中でも信頼性のある定量評価に資する文献というのを抽出整理していきます。こういった過程を経て、その評価値を算出していこうというのがもともとの考え方ということだったのですけれども、今回、3番目に、発がん性について閾値がないと判断される場合、従来、疫学研究データを用いている場合は、平均相対リスクモデルというものを使って算定するということが決まっていたのですが、今回動物実験データを初めて用いるというものがございまして、その時にベンチマークドースからの低濃度直線外挿法を例とした諸外国等で用いられている手法も参考として最適な方法を検討するということを今回位置付けたというところです。今回、1,2-ジクロロエタンにおいて、具体的にベンチマークドースからの低濃度直線外挿法というものを使う事例が具体的に出てきたということなのですが、アメリカのEPAのガイドラインでも位置付けられているということもございまして、専門委員会の中で評価をいただいて、こういう形に見直しをしているというところです。
あと4番目に、発がん性と発がん性以外に有害性に関する評価、それがともに算出可能な場合でも、算出に最も適当なデータが、例えば発がん性については疫学研究、発がん性以外の有害性については動物実験という場合、疫学研究データに基づく評価値のみを算出することができるというふうに書いています。これは疫学研究データの方が動物実験のデータよりも信頼性があるということで、このような表現を加えているということです。
ということで、今回、この下線部分につきまして、従来の具体的手順にあったものの見直しを行っているというところです。
また2ページ目に戻りまして、[2]のクロロホルム、1,2-ジクロロエタン及び1,3-ブタジエンに関する指針値というところです。この指針値算出の具体的手順を一部見直しするということなのですが、この見直しを行った手順に従って、3物質についての健康リスク評価を行って、指針値の算定を行っております。
なお、この指針値については、現時点で収集可能な知見をもとに総合的に判断した結果提案するもので、今後とも引き続き新しい知見の集積を行って、随時見直しをしていくということが必要であるということを記述しております。
このクロロホルムにつきましては、発がん性に関する評価値については、雄マウスの腎がんに関する動物実験から算出して、発がん性以外の有害性に関する評価値については、雄マウスの鼻腔の骨肥厚、萎縮等の呼吸上皮化生に関する動物実験から算出しています。これらの評価値は、ともに18μg/m3ということでございまして、指針値はこの18μg/m3以下というふうに提案をしております。
また、1,2-ジクロロエタンにつきましては、これは発がん性に関する評価値ということで、雌マウスの乳腺腫瘍に関する動物実験から算出して、発がん性以外の有害性に係る評価値について、ラットの諸臓器への影響に関する動物実験から算出しております。これらの評価値を比較して、低い方の数値を採用して、指針値は年平均値1.6μg/m3以下と提案をしています。
3番目にいきまして、1,3-ブタジエンということなのですが、これについても発がん性に関する評価値ということで、リンパ造血器系の悪性腫瘍に関するヒトの疫学研究から算出をしております。発がん性以外の有害性については、動物実験の知見があったのですが、重要性が低いので算出をしておりません。この結果、指針値というのは2.5μg/m3以下という提案をしているというところです。
その具体的な内容につきましては、参考資料の7ページ目にいきまして、ここに3物質についてのリスク評価について、エッセンスをまとめたものを示しております。3物質について、発がん性と慢性毒性等ということで、発がん性以外の毒性というのをそれぞれ評価しています。3物質ともに、ヒトへの発がん性というのは可能性があるという判断をしております。1,3-ブタジエンについては疫学の知見、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンについては動物実験ということですけれども、また、その3物質についての遺伝子障害性については、クロロホルムについては遺伝子障害性がない、またはあっても弱いと、そういうことで閾値が存在すると。1,2-ジクロロエタン、これについては遺伝子障害性を示す十分な証拠があると。また、1,3-ブタジエンも遺伝子障害性を示す結果が得られていると。そういうことで、この2物質については発がん性に係る閾値はないという判断をしているというところです。
あと、慢性毒性等については、それぞれの3物質についていろいろな現象が見られているというところです。この指針値については、それぞれ発がん性と発がん性以外のエンドポイントから数値を算定しておりまして、その低い数値を採用するというふうになっておりますが、いずれも発がん性に関連する数値というものを採用しているというところです。
この3物質についての緒言というのは、参考資料の8ページ目に、それぞれクロロホルムと1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエンの用途、それと発生源、あとPRTR法に基づく排出量がどのようになっているのか。あとは現在のモニタリング調査結果でどのような結果になっているのかというのを、この8ページ目の中に記述しているというところです。
また、9ページ以降は、具体的にこの3物質のクロロホルム等のリスク評価の考え方ということで、発がん性、発がん性以外の有害性から、定性評価、定量評価がどのようになって指針値を算出しているのかということを示した図というのを示しております。
こういうことで、今回指針値算出の具体的手順の見直しということと、3物質の指針値の提案ということで、資料2として答申(案)ということなのですが、その構成だけ簡単に説明をします。
資料2にいきまして、最初の1枚目が答申(案)ということなのですが、最初の別添1が、指針値算出の具体的手順の一部改定ということで、1ページ目から設定経緯、また2ページ目に指針値算出の具体的手順の一部改定ということで、ここで(1)から(3)までの内容について具体的に今回見直しを行うという内容がここに書かれております。
その具体的に、今まで定められていた第七次答申の抜粋というのが、5ページ目に書かれているのですが、ここに健康リスク評価のあり方の資料がついていて、そこの資料の別紙に、12ページに指針値算出の具体的手順という、もともとの第七次答申の内容のものがあるのですが、今回ここの見直しを受けて、添付資料2に見え消し版ということで修正をしています。これは先ほどの概要のところにも書いてあった、どのような見直しをするのかということをこの中に反映させているということで、この見え消し版のような修正を行うというのが今回の提案ということになります。
その次に、具体的に指針値の提案ということで、別添2の方にいきます。これはアセトアルデヒドも含めた形での健康リスク評価ということになっておりますが、先ほど内山委員長からも話があったとおり、アセトアルデヒドについては、WHOのガイドライン、エア・クオリティ・ガイドラインの考え方というのも今後見ていく必要があるということで、引き続き審議をしていくということになっておりまして、この4物質についてのリスク評価ということですが、このうち3物質についての指針値の提案ということになります。
ここで最初のページを開きまして、1ページ目から検討の経緯が書いておりまして、それで2ページ目に健康リスク評価手法ということが書かれています。
その後、3ページ目以降に、3.1から3.4までに、それぞれの物質に関するリスク評価の概要というものを示しているという状況です。
このリスク評価の概要というのをこの別添2の一番初めの資料に付けておるのですが、それぞれの物質ごとのリスク評価書というのは、別添の2-1、2-2、2-3、2-4ということで、2-1がアセトアルデヒドについてのリスク評価書、2-2がクロロホルムに関するリスク評価書、2-3が1,2-ジクロロエタンに関するリスク評価書、2-4が1,3-ブタジエンに関するリスク評価書ということになっております。
このように別添2については、1セットでこの3物質の指針値に関する提案の裏付けになっている資料ということで、専門委員会として了承をいただいたものというところでございます。
とりあえず資料1と資料2で、今回の答申(案)に関する内容について詳細を説明いたしました。
【部会長】どうもありがとうございました。内山委員長を初め、大変ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等がありましたらお願いいたします。佐和委員。
【佐和委員】この簡略した方の資料1の7ページに、クロロホルムを初め、3つの物質についての発がん性等々についての実験の評価などが記されている訳ですね。それで、最終的には指針値というものがこういうふうに決まったということは分かるのですが、その発がん性の一番下の行のところに出てまいります閾値ですけれど、この閾値という意味と、それから、なぜクロロホルムの場合は存在するものと判断し、あとの2つについては閾値はないものと判断するという、そういう結論に至ったのか、その筋道を教えていただきたいと思います。
【内山委員】発がん性に関しては、この閾値というのは、このいわゆる閾という意味ですので、このある値以下であれば、ヒトの健康に影響がない、安全であると。それから、それを超えると影響が出るという、ある程度の段階があるという考えが、以前の発がん性以外の影響の考え方でございまして、ですから、そういう発がん性以外の影響に関しては、その閾値をまず求めて、それに不確実係数等を掛けて、それ以下で使用していれば安全だと。それ以上だと危険だという、安全と危険の2分法で今まで基準等を作っておりました。ところが、発がん物質ということになりますと、発がんの起こすメカニズムとして、遺伝子に直接作用をして発がんを起こす物質の場合には、そういう閾値がないというふうに考えた方が安全であるというのが一般的な考えでございます。アメリカはすべて発がん物質に関しては閾値がないというふうに今でも考えておりますけれども、WHO、EUあるいは日本は、発がん物質でも発がんのメカニズムによって、閾値のあるものとないものとに分けてもいいだろうということで、その発がん物質の評価を行う際に、日本では、この物質に関して発がん作用に閾値があるか、ないかということを最初に判定しようという道筋で行っております。それを一応の目安になるのが、その上に書いてございます遺伝子障害性ということです。生物の遺伝子に直接作用をして発がんを起こすか、そういう症候が文献的に、あるいは実験的に明らかでありますと、その遺伝子に直接作用して発がんを起こすとし、閾値はないと考えましょうと。それから、クロロホルムの場合には、ここに書いてありますように、陰性の結果ということですので、そういう遺伝子に障害があるかないかと、いろいろな検査の実験の方法がございますけれども、それがいずれもマイナスであったということで、余り遺伝子には作用しない何か別の発がん作用といいますか、ほかの発がん物質があって、そこにクロロホルムがいくと発がんする可能性。そういうような直接遺伝子に作用しないで発がんするという発がん性もありますので、そういう場合には閾値があると考えていいだろうと。そうしますと、その閾値がある、なしということで、判定の仕方が、その下に書いてありますように、今までと同じように無毒性量ですとか、最小毒性量というような、閾値を求めるような手法によって、それに不確実係数等を掛けていく場合と、それから曝露がゼロでなければ発がんの可能性はゼロとは言えないというような、ゼロに外挿していって、そこである程度の今は環境基準の考え方が生涯の発がん確率が10のマイナス5乗以下というふうに、10万人に1人以下、10万回に1回というような考えで、今、コンセンサスを作っておりますけれども、それの値を求めて、そこを一応評価基準のエンドポイントとするということにしておりますので、このクロロホルムの場合は、遺伝子障害性が余りない、あるいはあっても弱いと考えられる。それから1,2-ジクロロエタンの場合は、遺伝子障害性を示す十分な証拠がある。それから1,3-ブタジエンにつきましても、遺伝子障害性を認める報告があるということで、閾値がなしというふうに判断しております。これはいろいろ考え方がまだ国によっても違います。先ほど申しましたが、アメリカではもう発がん物質はすべて閾値がないというふうに考えた方がいいのではないかということなのですが、特に基準を作りますと、それを守る、守らないということになりますので、ある程度そこは、確かに閾値がないとすると、非常に厳しい値にもなりますので、実際にEUですとかWHO、日本は、閾値のある、なしをまず判定しようということに立場としてあります。
【部会長】よろしゅうございますか。ほかに。
【篠原委員】2点ばかり質問させていただきたいのですけれど、1つ、今のWHO等々のいろんなガイドラインといいますか、その数値と、今回のクロロホルムのこの3物質の年平均値の数値の位置付けというのでしょうか。要するに、世界的に見て、この数値はどういうふうな位置付けになっているのかというのを少し教えていただきたいのが1つと、それからもう1つは、ちょっとよく分からなかったのですけれど、年平均値ということは、ある意味では長期曝露をイメージしているというふうに考えてよろしいのでしょうか。この2つを質問させてください。
【内山委員】世界での基準値と評価値との違いは、ちょっと手元にありません。事務局からよろしいでしょうか。また後で説明させていただきます。
それから、2番目の質問ですが、発がんの評価に係りましては、ほとんどが慢性影響、低濃度慢性影響ということを考えておりますので、今は有害大気汚染物質は年平均値でエンドポイントを決めておりますので、発がん性でなくても非常に低濃度の場合は、急性の影響はまず考えにくいということで、そういう低濃度のものを生涯にわたって曝露されていた時に、こういう影響が起こる可能性があるということで、年平均値あるいは長期の影響を考えております。
【部会長】よろしゅうございますか。もう1つ、事務局の方から。
【総務課課長補佐】今回の3物質の指針値について、諸外国における位置付けということでご質問がございましたが、アメリカのEPAにおきましては、リスクの推定値ということで、それぞれの3物質について、発がん性という部分で数値が示されているというところでございます。その中で、10のマイナス5乗のリスクレベルとしては、クロロホルムについては0.4μg/m3という数値、1,2-ジクロロエタンは0.4μg/m3という数値、1,3-ブタジエンについては0.3μg/m3というような数値が示されています。一方、WHOでは、10のマイナス5乗の過剰発がんリスクレベルとしては、1,2-ジクロロエタンについては3.6μg/m3から20μg/m3というような数値が示されているというふうに聞いております。また、WHOの大気質ガイドラインにおいて、1,2-ジクロロエタンに係る発がん性以外の有害性について700μg/m3というような数値が示されているというような情報も得ております。
今回、こういった諸外国の知見というのをどのような根拠に基づいて作られているのかと。その機関がどのような知見に基づいて、どのような考え方で数値を算定したかというのも確認をした上で、かつ、様々な国内・国外の数ある知見の中から最も信頼性が高いという知見を選び出して、その知見からこの数値というのを算定しているということで、必ずしもこの諸外国の機関の数値というのをそのまま使うということではないのですけれども、今回、WHOやアメリカのリスク推定値などや、そのほかカナダの数値とか、そういったような数値も参考にはしているというところでございます。
【部会長】ありがとうございました。よろしゅうございますか。松波委員。
【松波委員】2点ほど質問させていただきたいのです。今、説明がありました諸外国の関係について、1,2-ジクロロエタンということで言えば、日本がこれから参考にする国との相関的な考えを見ますと、1.6μg/m3が0.4μg/m3に相応しているとしますと、何か甘いというのですか、クロロホルムでは0.4μg/m3が18μg/m3になったり、1,3-ブタジエンでは0.3μg/m3という値が2.5μg/m3になったり、それとの動きが少し整合性がとれていないのではないのかなというのは感じますが、いかがでしょうか。というのが1点。
それから2点目は、今回の指針値算出の具体的手順というところにつきまして、別添1の中にも、これが答申の一部になるというふうにご説明されておりますが、見てまいりますと、必ずしも明確でない点があるということが、これは技術、いろいろ知見が進歩すれば、そういうことがあろうと思いますが、その次の知見で十分ではない点が幾つか見受けられたと。「見受けられた」という言葉はどういうことなのかなと。若干科学的知見を積極的に集めて判断されるならば、もう少し積極的な表現があってもよろしいのではないかなと。こんな感想でございます。
【内山委員】いずれもこちらの方が緩いのではないかというご指摘だと思うのですけれども、クロロホルムに関しましては、先ほど申し上げましたように、アメリカのEPAはすべて発がん物質の閾値がないというふうに考えている立場で、一応値を出しており、今回の報告あるいはWHO等では閾値が存在するものとして判断いたしましたので、そこで少し値が変わってまいります。これはアメリカのEPAの方ともときどき議論するのですが、もうこれが閾値があると考えるのか、それともないと考えるのか、それからすべて発がん物質が閾値がないとして値を出すのかというのは、これはもう不毛の議論であるというふうに言われまして、スタンスの問題であると。ですから、それが実際にアメリカのEPAの場合は、こういう値としてレファレンス・コンセントレーションとか、参照値というような形で出しますと、特にそれに目安というようなこともありますので、我が国のように基準として出すとか、それから指針値としてそれをというのとは、少し意義が違ってまいりますので、こちらはやはり閾値がある、なしということではしっかり判断して、その上で基準を考えていこうということで、必ずしも甘くなっているという訳ではございません。
それから、1,2-ジクロロエタンに関しましては、今まではほとんど諸外国では、経口投与、口から投与したものから、経気道といいますか、空気、大気中のものを吸うという形で換算して算出しておりました。それにはやはり経口、口から入れたものと経気道では、いろいろなまた不確実性が出てまいります。今回、この1,2-ジクロロエタンに関しましては、我が国のデータですけれども、行われていたのはもう1991年なのですけれども、信頼できる経気道のデータがありましたので、それを使わせていただいたということで、多少今までの値とは違ってきております。
それから1,3-ブタジエンに関しましては、これは人からのデータなのですけれども、人からの疫学データの場合には、その工場なり、その疫学を行った時の曝露量というものの濃度が非常にあいまいな場合がございます。それで、はっきりしない時には、このぐらいの値だっただろう、あるいはその当時の許容濃度といいます、労働環境で許す、許容されている最高の濃度で計算しているということになりますと、過大評価になったり、あるいは過小評価になったりする。今回の場合は、その過小評価ということで、その曝露評価を以前出ていたのよりはこうだったではないかという論文が出てまいりまして、それで、今はそれはまだはっきりと評価としては定まっていないのですけれども、私どもはこれを採用しました。ですから、もう少し時間がたって、その評価がもし正しいということになり、その方がより正確だということになれば、これはまた指針値から基準値に上げてもいいかもしれないというような考えも出てくると思います。そういう面で、いろいろな立場で、同じデータを使いましても、多少値が違ってまいりますので、特に今回というか、このデータすべてが諸外国に比べて緩いのではないかということではないと考えております。事務局の方は何かよろしいですか。
【総務課課長補佐】それでは、2つ目の指針値算出の具体的手順の部分についてのご質問、ご意見ということですけれども、必ずしも明確ではないという点と、ないしは十分ではない点が見受けられたというところなのですが、具体的に言うと、資料の別添1の12ページにいきまして、これがもともとの第七次答申のものということなのですが、ここに有害性評価の途中の過程で、指針値の算出についての考え方というものが出ていて、例えば(2)のところに、発がん性、発がん性以外の有害性ともに指針値を算出するというようなことになっていたというところですが、これは、計算する途中過程の数値でした。指針値というのはあくまでも最終的に発がん性、発がん性以外の有害性というものから数値を出して、その上で最終的に最も厳しい数値というのを抽出して、それを最終的に指針値とするというような考え方ではあったのですが、もともと途中段階の部分から指針値ということに記述をしていたということがあって、この点については誤解を与えるかもしれないということで、今回用語の整理ということで、見直しを行っているというところです。
また、(4)のところで、ここで閾値がないと判断する時に、ベンゼンの例というのが平均相対リスクモデルということで、具体的事例が書いていたというところなのですけれども、動物実験については、最新の知見に基づいて行うということしか書いていませんでした。ただ、これではやはり明確ではないだろうということで、やはり疫学の知見と同様に、特に何らかの事例を付けて、今回、1,2-ジクロロエタンについては、ベンチマークドースからの低濃度直線外挿法という方法、これはアメリカのEPAガイドラインでも位置付けられているということもございまして、今回明確化をさせていく方がよりいいだろうという専門委員会の議論があって、改めて今回明確化をさせたというところで、あともう1つ、この発がん性と発がん性以外の有害性に関する評価値がともに算出可能な場合の評価方法という部分についても、新たに判断をしなければいけない事項が出てきたということもございまして、今まで十分ではなかったという部分と、不明確な部分があったということで、今回見直しを行ったということで、今回必ずしも明確ではない、ないしは十分ではない点が幾つか見受けられたというような書き方をして、今回、一部改定を行っているというところでございます。
【部会長】よろしいですか。
それでは、ほかのご質問等。河野委員。
【河野委員】 この資料の1の2ページ目に、いろいろな指針値等が出ておりますが、これはみんなμ/gm3という単位が何カ所かずっと出てきているのですが。
【総務課課長補佐】これはすみません、間違いです。申し訳ありません。μg/m3でございます。
【部会長】それで3カ所あるのですか。3カ所でいいのですか。
【総務課課長補佐】4カ所あります。すみません。
【部会長】ご指摘ありがとうございました。
それでは、ほかのご質問、ご意見。山下委員。
【山下委員】化学エネルギー産業労働組合の山下でございます。労働組合の立場から意見を申し上げたいと思うのですが、指針値が出まして、我々はやはり有害のところでは、企業内で環境と安全衛生ということで、いろんな労使協議がされると思うのですが、数値が今回、特に1,2-ジクロロエタンの例をおきますと、今までWHOの数値が、先ほども事務局から話がありましたように、3.6μg/m3から20μg/m3という数値で、今回1.6μg/m3という、かなり厳しいという数値になりまして、我々作業環境も含めまして、この数値がかなり厳しくなったということは、発がん性であるとか、発がん性以外の毒性についても、かなり試験方法によっては厳しくなったのかなという印象を持つ訳ですね。そういった意味では、各諸外国の数値と、今回指針値として出された1.6、これがどういう関係において厳しくなったのかというのが分かりづらい訳なのです。そういった意味では、先ほどいろんな各国の指針値等を参考にして指針値を決めていく、柔軟に考えていただけるということで、ちょっと説明があったかと思うのですが、我々にとりましては、こういった指針値を決める際には、排出事業者も含めまして、今回こういった手順が変わりますよということと、国際機関との数値の整合性をやはり説明をしていただきたいという立場ですので、ぜひその辺のところをまずお願いしたいということと、こういった日本で出された指針値の数値につきましても、国際的に海外にも、日本からのリスク評価ということでの発信をしていただいて、必要な場合には、この数値の見直しもぜひお願いをしたいなということで要望をしておきたいと思います。
【部会長】今の件、内山委員長はいかがでしょうか。
【総務課課長補佐】山下委員から、今承りましたが、今回1,2-ジクロロエタンにつきまして、諸外国の数値と違うのではないかというご指摘がございましたが、今回専門委員会の中で、諸外国や国内の数々の知見、1,2-ジクロロエタンについてのリスク評価に関する知見というのを集めてきたのですけれども、その際に、国内の研究において、吸入曝露実験の動物実験のデータがございました。これは長野先生のバイオマスセンターの研究機関のデータということだったのですが、そのデータを用いて数値を算定したということなのですが、これは世界の中でも吸入曝露実験を行って数値を算定しているという部分が今まではないという部分で、そういう意味で、WHOやアメリカの数値とは違うのだろうというふうに考えてはおります。
しかしながら、平成15年の時に、第七次答申でいただいたリスク評価のあり方の中にも、動物実験を用いる場合には吸入曝露実験の結果を、経口投与実験の結果よりも優先するという考え方、この基本原則というのがもともとできていまして、その流れの中で、今回いろいろな知見を集めたところ、そういう吸入曝露実験のデータがあったということで、この数値、この知見を使って、今回その数値を定めてきたと。そういう意味では、今回ルールが変わったということではなくて、今までのルールに従って、様々な知見を整理して検討した結果、このような数値になったというところであるというのがまず1つ目の回答というところです。
あと、日本がこういったリスク評価を行って、環境目標値ということで、今回数値の提案をしたというところなのですが、もちろん今後ともいろいろな場面で、EPA、WHOとかEUのように、日本においても、こういった目標値が定められた時には、ホームページなど様々な機会を使って、世界にアピールしていきたいというふうに思っているというところです。その点については、今後検討はしていきたいと思います。
【部会長】今のお話で、例えば国内の今の指針値の周知の方法、そういったものについては、何かありませんか。
【総務課課長補佐】国内の周知におきましては、もちろんこの指針値として設定をするというところですので、前回の第七次答申を受けて、指針値4物質について設定した時も、都道府県にこの指針値について、その指針値の性格も含めて周知を図っているところなのですけれども、今回のこの3物質の指針値につきましても、同様に地方公共団体に通知を通して周知をしていきたいというふうに思っております。もちろん今回の会議資料等もホームページに掲載をするということになりますので、そういう意味では、一般国民の皆様にも周知をしていくというふうに考えております。
【部会長】山下委員、今の回答でよろしゅうございますか。
【篠原委員】今の事務局のお話に関連するのですけれども、私も化学産業を代表しておりまして、まさにこの物質そのものが、内実とも業界の中の問題になるのですけれども、これはお願いなのですけれども、今のこの経緯も含めて、地方自治体の方に周知するというふうにおっしゃっていただいて、それは結構なのですけれども、周知に当たっての留意点をぜひお願いしたいのは、1つは、5ページにありますように、この指針値は、大気モニタリングの評価に当たっての指標や事業者による排出抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待されるという表現になっていますし、先ほど私が質問いたしましたように、これは年平均値ということで、あるいは長期曝露による人間に対する健康リスクという意味での指針値だというふうに理解しますと、この辺の趣旨を地方公共団体といいますか、地方自治体にぜひその旨を周知していただきたいというのは、その指針値が地方自治体の指導値になる可能性がありますので、例えば平均値をちょっとでも超えたら、もうすぐにこれは大問題だというような話になりかねないというのは懸念しておりまして、そういう意味では、ぜひこれは環境省の書類を私ちょっと見ていたのですけれども、以前の書類を見て、ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う留意事項ということで、環境省が通達を出しておられます。この中身の文章を読みますと、まさにこういう周知をしていただきたいという条項がありまして、ちょっと読ませていただきますと、耐容一日摂取量は、人が生涯にわたって摂取し続けた場合の健康影響を指標として定められたものであり、一時的に摂取量がこの値を多少超過することがあったとしても、長時間での平均摂取量がこの値以内ならば、健康を損なうものではないことに留意する必要があることと。これは環境省がこういうふうにかなりはっきり書いていただいています。私のお願いは、こういう指針値は結構なのですけれども、この値がやはりそういう位置付けであるということをぜひ国民の皆さんに徹底していただきたいというのが、私のお願いであります。以上です。
【部会長】ありがとうございました。
【総務課長】ご意見ありがとうございます。実は、この指針値の性格につきましては、中環審のこの平成15年7月に第七次答申をいただいている訳なのですが、その中で指針値の性格について、こんなことを述べております。指針値は基本的には長期的曝露による有害性を未然に防止する観点から設定されるものであることから、指針となる数値を短期的に上回る状況があっても、直ちに人の健康に悪影響が現れるようなものと解するべきではないと考えられると。今の委員のご指摘の趣旨と、大体パラレルのような性格付けが第七次答申に既に明確に規定されておりますので、こういった趣旨を地方公共団体に今一度ご想起いただくというような手順を検討してまいりたいと思っております。
【浅野委員】今の点は大事の点ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。有害大気汚染物質について、大防法を改正した時の趣旨もとかく忘れられてしまう訳ですけれども、自主的な取組でも十分に効果が上がるというようなものについては、それで進めることが合理的です。ただし、それで自主的取組といっただけでは、どこまで努力しても際限なく努力をしろと言われる可能性もある訳だから、このぐらいのところも目安ですということを示す方が、努力をする側も楽だろうという理由で、指針値を設けることとしたという、指針値設定当初の経過は、時間が経つと忘れられてしまうおそれがあります。ですから、今、委員がおっしゃったようなこと、確かにそのとおりだろうと思いますが、もう1回振り出しに戻り、大防法のこの規定に基づいてやっているのだということも併せて確認しておかないと、誤解が生ずるおそれもあると思います。
【部会長】こういうふうな指針値が独り歩きすると、篠原委員がおっしゃったように、規制と同じような形になりますから、そうでないというようなことをきちんと適切な方向で、この答申には書かなくてもいいですね。そのような方法でやっていただくということでいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。小林委員。
【小林委員】私の方から繰り返し同じことを申し上げるのもいかがかとは思うのですが、前回の専門委員会、その前の専門委員会でも同じような発言があって、またこの部会で同じ発言があることに対して、私自身、地方自治体出身者としては、大変憤りを感じています。現実にここ最近、10年以上前に、各地方自治体が先陣争いということで、相当厳しいことをやったことは確かです。ただ、それはそれなりに理由があり、その理由を一々説明する訳にはいきませんが、最近そのようなことは地方自治体で行われている事実がほとんどないと思います。先日の専門委員会でも確認しましたところ、そういう事実はございませんし、その後、今ご発言あった業界の方々からも、そういう抗議が出たということは聞いておりません。そういう中で、いつまでも同じようなことを繰り返し発言されるというのは、大変憤りを感じます。
現実に、そのような危惧をするということは、地方自治体を信頼していないということにもなると思うのです。このような環境対策というのは、お互いの信頼の中で進められるものであるという中で考えた時に、こういうご発言は今後少し謹んでいただきたい。通達に書かれるのは結構だと思うのですが、いつまでも同じことの繰り返しだけはやめていただきたいなと思います。
【浅野委員】自治体に通知というから角が立つのであって、広くマスコミも含めてということですね。とかく誤りはむしろそちらの方に起こりがちであり、ということがありますから、それはやっぱり自治体というふうに余り強調してしまうと、今の小林委員のようなご発言も出てくると思いますけれども、趣旨は繰り返し説明していく必要があると思いますし、それからもう1つ大事なことは、この指針値はもっと科学的な知見が積み重なっていけば、いずれ環境基準になるということは、初めから予定されている訳ですが、現段階においては、環境基準とするには至らない。ですから指針値だと言っているだけのことですね。ですから、いつまでもこの指針値のままであるかどうかは分からない。このことももちろん確認をしておかなければいけない。
【部会長】広くマスコミに対しても誤解がないようにしなければいけないことですから、小林委員のご指摘はごもっともですけれども、よく理解して、自治体と、それから国とがやはり協力し合ってリスクを下げていくと、こういうふうなことが大事なことを機会あるごとに言っていただいたらと思います。
もうこれで大体議論は済んだように……。どうぞ。
【岩崎委員】1点だけ、ちょっと質問させていただきますけれども、この有害大気汚染物質の指針値を決めるのに、先ほどご説明がありましたように、疫学調査あるいは発がん性の視点から基準値を決めていくということは当然でありまして、それ自身を否定する訳ではないのですけれども、実際に今後の展開、この行政施策の展開を考えていくと、現状の国内の濃度に比べて、このレベルがどのぐらいなのかと。いわゆる現在の大気汚染のこの物質のレベルに比べて、どの程度のレベルの指針値なのかというのがどうしても関心持っていかざるを得ないところがある訳ですね。基準値を決めることに対して、それに影響させろという意味ではないのですけれども、そういう意味で、現状のデータがどれぐらいで、それに対して、今度の指針値がどのぐらいのレベルなのかというのは、もし分かっていれば簡単にご説明いただきたい。
【総務課課長補佐】資料1の8ページ目に、有害大気汚染物質に係る物性・用途・排出等についてというものがございます。ここの中に、3物質についての物性等について書かれているのですが、それぞれの物質ごとに、最後の2行というところで、最新の有害大気汚染物質のモニタリング調査結果というのを付けております。そうしたところ、クロロホルムの数値は平均で0.32μg/m3と。1,2-ジクロロエタンについては、平均で0.13μg/m3と。1,3-ブタジエンについては、平均で0.22μg/m3というような数値というふうになっております。最大値で一部クロロホルム、1,2-ジクロロエタンについて、超えているデータが見受けられますが、概ねこの測定データを今回の案と比較をすると、かなり低いレベルにあるのかなというふうに考えているというところです。
【岩崎委員】分かりました。
【部会長】よろしゅうございますか。大体重要な点を出していただきまして、これでこの案をお認めしてよろしゅうございますか。
(異議なし)
【部会長】では、ありがとうございました。これで今の議題は了承されたということにさせていただきます。ありがとうございました。したがいまして、これを答申として、事務局の方から手続をとっていただくことになります。どうもありがとうございます。
それでは、その他の報告事項に移ります。
まず、資料3及び資料4について、事務局の方からご説明をお願いします。
【大気環境課長】それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。大気環境課長でございます。
平成17年度大気汚染状況についてでございますが、大気汚染防止法第22条に基づきまして、地方公共団体は、大気の汚染の状況を常時監視し、その結果を環境省に報告することが定められております。環境省におきましては、その結果をとりまとめ、毎年度公表しておりまして、平成17年度の大気汚染状況の概要については、去る10月13日に公表させていただいております。
その内容ですが、1といたしまして、二酸化窒素につきましては、一般局では近年ほとんどすべての測定局で環境基準を達成しております。また、自排局でも91.3%の達成率になっており、4年連続して改善の傾向にございます。
2としまして、浮遊粒子状物質(SPM)につきましては、平成16年度と比べ、環境基準達成率がやや低下したものの、一般局で96.4%、自排局で93.7%になっております。
しかしながら、NO2、SPMとも大都市圏を中心に、局地的には依然として達成率が不十分な地域がございます。また、光化学オキシダントにつきましては、環境基準達成率が依然として極めて低い状況になっております。しかし、注意報発令日数でいいますと、平成16年度よりわずかに減少いたしております。
こういった状況を受けまして、環境省としましては、大気汚染に係る環境基準の達成・維持に向け、工場・事業場の排出ガス対策、自動車排出ガス対策、低公害車の普及等を引き続き総合的に推進することとしておりますが、とりわけ、大都市圏におけるNOx・PM法に基づく対策の一層の充実を図るとともに、VOC対策を積極的に推進することとしております。
測定物質別の状況につきまして、簡単にご説明いたします。1枚お開きください。
この棒グラフ、グレーが一般局で、黒が自排局でございます。一般局につきましては、もうほぼ100%に近いところに張りついておりまして、平成15年度と平成17年度が一局非達成でございます。これは中央区の晴海の測定局でございます。それから、黒棒の自排局につきましては、4年連続で達成率が改善されております。
その下の図が、二酸化窒素濃度の年平均値の推移ということで、一般局につきましてはほぼ横ばいでございますが、自排局につきましては緩やかな改善傾向が見てとれます。
図の3が浮遊粒子状物質の環境基準達成率の推移ということで、17年度につきましては、先ほど申しましたように、16年度より若干低下しているところでございます。ただ、濃度の年平均値の推移を見てみますと、近年、緩やかな減少が見られる訳でございますが、16、17年を見ますと、一般局でわずかでございますが増加、それから自排局では横ばいと、そういう状況になっております。
1ページにお戻りいただきまして、測定物質別の状況の3の光化学オキシダントでございますが、一般局で0.3%、自排局でゼロと、達成状況は依然として極めて低い水準となっております。
ただし光化学オキシダント注意報は先ほど申しましたように、185日ということで、前年度より若干ではございますけれど、少なくなっております。
SO2につきましては、一般局で99.7、自排局で100%、近年ほとんどすべての測定局で環境基準を達成します。非達成のところは、基本的に桜島周辺の測定局でございまして、桜島の影響、火山性ガスの影響を受けております。
5の一酸化炭素につきましては、すべての測定局で環境基準を達成しております。
以上が17年度の大気汚染状況でございます。
次のページを開いていただきまして、IIの平成17年度有害大気汚染物質モニタリング調査の結果でございます。
大防法に基づきまして、地方公共団体におきましては有害大気汚染物質のモニタリングを実施しております。平成17年度の調査結果につきまして、環境省が大防法に基づく国の施策として調査を実施しておりますが、その結果とあわせて取りまとめたものでございまして、これも10月13日に公表いたしております。調査は19物質を対象としておりますが、大気中の濃度は、概ね横ばいまたは改善傾向にあります。
1としまして、環境基準が設定されている物質、これは4物質でございますが、ベンゼンのみ環境基準が超過しているところがございまして、ただ、その割合につきましては、3.9%ということで、前年度の5.5から改善が見られているところでございます。
2の先ほど指針値の新たな追加についてご審議いただいたところでございますが、既存の指針値につきましてモニタリングを行っております。このうち、ニッケル化合物のみが超過がございまして、ただ、その割合も0.9ということで、16年度の1.8よりは改善いたしております。
3としまして、環境基準等が設定されていないその他の有害大気汚染物質、11物質でございますが、全体的に低下傾向または横ばいでございます。
4で、今後の対応とここで記述させていただいておりますが、この内容につきましては、昨年の12月に開催されました大気環境部会において報告させていただいておりまして、ご了承いただいているものでございます。
1つ目の○の第2段落のところでございますが、今後ですが、これまでのように業界単位等での削減取組を実施するのではなく、自主管理計画を通じて確立された枠組み等を活用し、個別事業者のそれぞれの責任のもとで、自主的な排出抑制や地方公共団体と事業者との連携による地域主体の自主的な取組へ推移することが適当である。そのようにご報告させていただいております。
上記を踏まえ、環境省においては、今後とも、PRTRデータ及び有害大気汚染物質モニタリング結果等により、排出量や大気環境濃度等を継続的に検証・評価し、地方公共団体との連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進していくこととしております。
私からは以上です。
【部会長】次、続いてお願いします。
【自動車環境対策課長】自動車課長でございます。資料の4によりまして、現在行われております自動車排ガス総合対策小委員会の検討状況につきましてご報告いたします。
まず概要でございますが、昨年の12月16日に第20回大気環境部会におきましてご報告いたしました「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」につきまして、平成17年12月26日から平成18年1月25日までパブリックコメントを行いまして、30件のご意見をいただきました。
その後、平成18年3月から10月の間に、6回にわたりまして自動車排出ガス総合対策小委員会を開催いたしまして、関係地方公共団体からのヒアリングも含めまして、主に流入車対策及び局地汚染対策についてご議論いただきました。
今後でございますが、年内に小委員会におきまして最終報告案を取りまとめ、その後で、当大気環境部会においてご審議いただき、最終報告を取りまとめていただく予定でございます。小委員会の開催状況は、ここに書いてあるとおりでございます。
裏にまいりまして、それでは、これまでの主な意見につきまして、簡単に取りまとめたものでございます。
まず(1)の局地汚染対策についてでございます。これらにつきましては、全国一律の対応ではなくて、地域ごとに個別の事情に応じた対策を考えるべきであるというご意見がございました。
また、地方公共団体が地域の関係者と話し合って、それぞれの局地に見合った対策を講じることができるような制度的な枠組みを整備することが必要であるというご意見がございました。
それから、中長期的に必ず問題となる大気汚染という課題を、開発許可というような建築・土地利用の段階で考えるべきであるというご意見がございました。
それから、都市構造・道路構造を改善して、交通流を変えるといった抜本的な対策を講ずることが重要であると。そのため、根本的原因にさかのぼって、公害防止計画のように、都市計画や道路計画を絡めた総合的な対策を視野に入れる必要があると、こういうご意見がございました。
それから、現在の大気汚染の状況をさらに悪化させないためには、環境アセスといったものがある訳でございますが、局地におきましても、大規模施設を新設しようとする場合には届け出させるといった制度についても検討が必要であるというご意見がございました。
続きまして、(2)の流入車対策についてでございます。
これにつきましては、局地汚染対策が重要であるという認識のもとで、局地汚染対策として効果のある流入車対策を考えるべきであって、地方公共団体が対策地域内の荷主に指導等を行うために、対策地域内の荷主や物流施設管理者に対する計画策定を義務付ければいいのではないかというご意見がございました。
それから、流入する車に車種規制に適合している旨のステッカーを貼付すること。それから、荷主に対する計画作成義務との組み合わせという考え方もあるのではないかと。ステッカーの貼付と荷主に対する計画作成業務の組み合わせという考え方もあるのではないかというご意見もございました。
それから、環境への責任という観点から見れば、対策地域内を走行している車の使用の本拠の場所は関係なく、公平性の観点から、対策地域内を走行する非適合車に対しては、何らかの対策が必要ではないかというご意見がございました。
それから、行政や事業者の負担、荷主の負担等、社会全体で考えてフレームワークを検討することが必要ではないかとうご意見もございました。
それから、費用負担が特定の者に偏らないようにすべきであり、また、規制を受ける側から見て、どう対応したらいいか分かりやすい制度設計が必要であるというご意見がございました。
このようなご意見がこれまでございましたが、さらにご意見、ご審議をいただきまして、また取りまとめていきたいと考えております。以上でございます。
【部会長】どうもありがとうございました。資料3及び資料4のご説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いします。
【伊藤委員】ただ今、事務局より自動車排出ガス対策の今後のあり方について説明をいただきましたが、例年ですと自動車NOx・PM法の指定地域における大気環境データをいただいていました。もし大体のことがわかりましたら教えていただきたいと思います。
【部会長】事務局の方、例えば首都圏とか大阪とか名古屋とか、そういったところの状況はわかりますか。
【大気環境課長】今回は資料として、私どもが発表したものをつけませんでしたので、この中には載っていない訳でございますが、例えばNOx・PM法の対象地域において、二酸化窒素濃度の達成率でございますが、これは自排局におきましては、やはりその他の地域に比べますと、状況としては達成率の状況は悪くなっているところでございます。
【総務課長】小委員会で配られている資料ですから、ほかの委員の方にも、また後日送付するのですか。
【自動車環境対策課長】そのようにいたします。ちなみに、対策地域内の状況でございますが、自排局、対策地域の自排局につきましては、二酸化窒素につきましては平成17年の達成率が85.1%でございます。一般局は99.8%という状況でございますので、対策地域におきましては、依然として改善してはいるものの、依然として達成されていない局があるということでございます。
【部会長】今のこの資料は、毎年委員に配っていらっしゃるのではないのですか。でもないのですか。ホームページに出ているのですか。
【総務課長】大変恐縮ですが、今回は割愛させていただきました。後ほど、各委員に配付させていただきたいと思います。
【部会長】そういうことでご理解いただきたいと思います。
ほかにございませんか。浅野委員。
【浅野委員】自動車課長からのご説明では、ちょっとわかりにくいかもしれないと思いますので、自動車排ガス対策小委員会の検討状況の資料4の説明について、少し補足をさせていただきますと、どうして突然、局地汚染対策ということがここで出てきているかということですが、前回の小委員会にシミュレーションの結果が報告されまして、それによりますと、目標年次には環境基準の概ね達成ということがほとんど可能と見込まれるということでした。ただし、わずかに局地的にひどいところが何カ所か残るというシミュレーション結果が出ておりまして、多分、粒子状物質についても同じような傾向であろうという想定ができますので、全国を全体になべて規制強化するというよりも、やはり局地対策に力を入れるということが合理的であろうという意見が出たということでありまして、これまでの意見を整理すれば、そういうようなことになっていたと言うわけです。
【部会長】どうもありがとうございました。
では、ほかにご質問、ご意見ございませんでしたら、次にまいります。
次は、そのほかの報告事項についてということで、よろしくお願いします。
【大気環境課長】それでは、資料5、石綿の飛散防止対策の強化についてをご覧いただきたいと思います。
まず、大気汚染防止法等の改正でございますが、前回の大気環境部会におきまして、その直後に大防法の施行令、施行規則を改正いたしまして、石綿を使用しております建築物の解体等規制の強化をすると。これは規模要件の撤廃でありますとか、吹付け石綿に加えまして、石綿を含有しております保温材等を対象とすると、そのような改正を行うということをご報告させていただきました。
その後でございますが、さらに規制の強化ということで、この1)の第2段落のところでございますが、「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律」、これが前通常国会の冒頭に可決・成立しまして、2月10日に公布されたところでございます。これによりまして、大防法が一部改正されまして、これまでの建築物のみならず、工作物全般についても解体等作業による石綿粉じんの飛散を防止するための対策を義務付けることになりました。この工作物と申しますのは、発電所でありますとか、化学プラントなどでございます。これにつきましては、本年の10月1日より施行されているところでございまして、大防法の一部改正を受けまして、施行令でありますとか、施行規則を改正しておりますが、基本的には作業基準等につきましては、建築物と同じものを定めております。
1枚お開きいただきまして、今、この図のところは、9月30日以前は建築物のみ、オフィスビルでありますとか集合住宅、そういったものが規制対象であった訳でございますが、10月1日からこれに加えて、工作物も規制対象になったというものでございます。
次に2といたしまして、規制の遵守、普及・啓発のための措置ということで、まず第1点は、マニュアルの作成です。これは先ほど申しました昨年12月の大防法施行令の改正を受けまして、「建築物の解体等に係る石綿飛散防止マニュアル」、これを私どもにおいて作成いたしまして、環境省ホームページに掲載してございます。ただ、今回工作物も追加になりましたので、現在マニュアルの改訂を行っているところでございます。
また、パンフレットということで、石綿使用建築物・工作物の解体等作業における飛散防止対策に関する普及・啓発を図るため、パンフレットを作成いたしました。これはお手元にこのパンフレットが配付されているかと思いますが、このようなものをつくりまして、都道府県でありますとか、環境省の地方事務所などを通じて配布しているところです。
次に、2)の平成17年度アスベスト緊急大気濃度調査の結果でございます。これは昨年6月末、7月以降の石綿の健康被害の大きな社会問題化したことを受けまして、緊急にモニタリングを実施したものでございます。
次のページになりますが、調査結果のところになりますけれども、第一に、地域分類別の石綿濃度ということで、この表の中に地域分類としまして、石綿製品製造事業場の旧所在地、これは象徴的なクボタといったようなところでございますが、それから現状でも飛散が懸念される地域といたしまして、石綿製品の製造事業場でありますとか、廃棄物処分場や、解体現場などでございます。そのほかに一般環境等についても測定を行っています。
これらの結果につきましては、ここに載っておりますが、最大値で見ますと、数本というような数も出ておりますが、幾何平均値で見ますと、0.2から0.6程度ということで、濃度的には幸い高い値は見られませんでした。特に高い濃度ではなく、飛散防止に係る管理がなされていると、そのように考えられるところでございます。
その次のページ、最後のページになりますが、もう一つ、私どもでは、平成7年度に全国規模の調査を行っておりまして、それとの比較を行いたいということで、同じ地域において実施いたしました。
その結果としまして、石綿製品製造事業場におきましては、既に石綿製品の製造がかなりやめられているようなことがございまして、濃度は低くなっております。その他の地域につきましては、特に一定の傾向は認められず、低い濃度レベルで推移しておりまして、平成7年度とほぼ同程度の状況と考えられております。
4としまして、今後の対応でございますが、平成17年度に引き続きまして、石綿による大気汚染の状況を把握するため、ここに掲げたような地点において、大気濃度調査を現在実施しているところでございます。
以上が石綿の飛散防止対策の強化についてでございます。
続いて、資料の6でございますが、VOCの排出抑制に係る自主的取組のあり方についてということでございます。
VOCの排出抑制につきましては、平成16年に大気汚染防止法を改正いたしまして、その後、政令等を改正してきた訳でございますが、その中身を定めるに当たりましては、当審議会におきまして、ご熱心なご審議をいただいたところでございます。ご案内のとおりVOCの排出抑制につきましては、規制と自主的取組の双方の政策手法を適切に組み合わせる、いわゆるベストミックスによるということでございます。これを受けまして、規制については本年の4月1日より実施されているところでございまして、その一方の自主的取組の実施方法につきましては、昨年度、揮発性有機化合物排出抑制専門委員会におきまして議論を重ね、3月末に専門委員会報告を、別添として付けてございますが、取りまとめていただきました。
その概要でございますが、1)のところ、自主的取組についての基本的考え方ということで、これは平成22年度までに固定発生源からのVOC排出量を3割程度削減すると、そういう目標がございます。このうち自主的取組による削減は2割程度と見込んでいるところでございます。
自主的取組の実施に当たりましては、民間が自発的に排出削減取組を行い、計画や指針の作成、進捗状況の自己把握・評価についても、民間がみずから行うことを基本とすべきと、そのような基本的考え方が取りまとめられております。
自主的取組の実施状況の把握・評価・公表の具体的方法ということで、これにつきましても自主的取組を行った主体が自己把握・評価の結果を含んだ報告を作成することを基本とすると。ただし、国、これは当該専門委員会でございますが、ここにおきましても自主的取組の状況の把握・評価を行うべきであるとしております。
また、3)ですが、未対応業界・事業者に対する取組ということで、自主的取組をしない業界団体、企業等について、排出量インベントリーの作成・精査の過程で実態の把握に努めるとともに、政府広報などを通じた普及・啓発等により、これらの事業者に対しても自主的取組の参画を促す必要があると。
あと、4)でございますが、自主的取組を支援するための措置としまして、セミナーの開催でありますとか、パンフレット作成、これらによる普及・啓発を進めることが重要であるとされております。また、行政機関によるグリーン調達等の取組をさらに広範なものとするといったようなこと。これを受けまして、私どもとしましては、現在自主的取組を推進するための措置を講じているところでございます。
最後のページになりますが、大気環境モニタリングにつきましても、VOCのモニタリングを行うと。それから、測定技術や精度管理の手法の確立、普及に努めるというようなことが記載されておるところでございます。
さらに、今後の取組といたしまして、排出インベントリーの整備更新を行うとともに、シミュレーションの改良等の科学的知見の充実を図る必要があると。そのようにこの専門委員会報告でまとめていただいたところでございます。
その内容につきましては、別添を付けてございますが、これにつきましては省略させていただきます。
続いて、資料の7になりますが、環境放射線等のモニタリングについてということでございます。
これは平成13年に環境省が設置された訳でございますが、その時の新たな環境省設置法に基づきまして、放射性物質に係る環境の状況の把握のための監視及び測定、これが所掌事務となってございます。これを受けまして、私どもでは13年1月から、主として自然起因の放射線の測定等を行っている訳でございますが、ここに図に掲げた12の測定局、これは全国に31の酸性雨の測定局がございますが、その中から12地点を選んで、このような測定局とさせていただいたところでございます。
次のページになりますが、モニタリング情報の公開ということで、10月17日より、取得したデータを環境省のホームページで公開しているというところでございます。ホームページそのものは、別途立てている訳でございますが、環境省ホームページからそこに行き着くことができるようになってございます。
そして、3のところでございますが、北朝鮮による地下核実験実施発表に伴う対応ということで、内閣官房に放射能対策連絡会議代表幹事会が設置されました。環境省も代表幹事の一員として参画しております。そこで当面の対応措置が申し合わされました。これを受けまして、環境省におきましては、10月9日から24日まで、先ほどの全国12カ所におけるガンマ線などの測定間隔を、通常よりも短い緊急時モードに切りかえて測定を行ったところでございます。
これらの測定結果につきましては、文部科学省が他省庁の測定結果とともに取りまとめ、内閣官房が公表してまいりました。すべての測定内容に関して、異常値の検出はなく、人体等への影響はないものと判断して差し支えないと考えられると、そのような結論が得られているところでございます。
私からは以上でございます。
【大気生活環境室長】引き続きまして、資料8-1、8-2に基づきましてご説明いたします。
資料8-1でございますが、悪臭防止法の見直し規定に基づく検討ということでございまして、平成12年に法律が改正されまして、13年4月から施行されたところでございますが、施行後5年たって、見直し規定に基づいて検討を加えたと、こういうものでございます。
改正の趣旨でございますが、1ページ目の2の1に書いてございますが、事故時の措置、10条について、応急措置等を義務規定としたと。それから、通報を義務化した。それから、市町村長による応急措置命令の条項を追加したと。こういうものでございます。
それから、測定の委託について、測定に関する事務が市町村長の自治事務になったことに伴いまして、しかしながら市町村自身に測定能力が必ずしも備わっていない。こういうことを受けまして、当時、委託を可能とする規定を設けたものでございます。
それと連動いたしまして、悪臭防止法上のその測定には、嗅覚測定というものがございますが、これの厳正性、公正性、信頼性を担保するために、嗅覚測定に関する臭気測定業務従事者等の規定をここで設けて担保したと。これに連動して、2の3でございますが、試験に関する規定を設けたというものでございます。
見直しの結果でございますが、裏側の2ページ目に書いてございます。法の規定に基づきまして、こういった条文の存続について必要があるかどうかと。こういう観点で検討したところでございますが、4の1でございますが、事故時の措置、これにつきましては、資料8-2の方の5ページを見ていただきますと、事故時の措置の年度ごとの事故件数の推移が出ております。平成13年の施行以降、残存傾向ということが言えるかと思います。
以上な状況を踏まえまして、事故時の措置・通報は引き続き維持する、この規定は維持する必要があると考えている次第でございます。
ちなみに、措置命令に関しましては、7ページ、やはり資料8-2の7ページを見ていただきますと、法10条3項によりまして、まず事業者が自主的に措置をすると、こういうことになっておりますが、さらに10条、行政側の措置命令を行うと、こういうケースがございます。これを見ていただくとわかりますように、行政側の措置命令を追加して、万全の普及体制がとられたケースが15%ぐらいあると。それから、そもそも事業者が応急措置を講じなくて、行政命令で初めて動いたと、こういうケースが14%あるということで、この条文に関しても引き続き有効に機能しているということで、存続の必要があると、こういうふうに考えている次第でございます。
それから、また資料8-1の2ページ目に戻りますが、測定の委託でございますが、測定委託に依存する自治体の割合は非常に多く、特に臭気指数に係る測定に関しては年々ふえている状況でございます。資料8-2の10ページの図6を見ていただきますとわかりますが、臭気指数に係る委託測定を行っている自治体、市区町村数が年々ふえていると、こういう状況でございます。
以上の状況を踏まえると、本条文についても引き続き維持する必要があると、こういうふうに考えている次第でございます。
それから、13条の試験規定につきましては、12条と同様に、引き続き厳正性の確保、継続する必要があるということで、維持する必要があると考えております。
ちなみに13条では、指定試験機関ということが定められております。この辺の状況につきましても、法制提示、国の事務量軽減等の観点から、本来国の直轄で行うべき試験を指定期間におろしている訳でございますが、この状況についても変わっていないということで、引き続きこういった対策を維持したいというふうに考えている次第でございます。
以上でございます。
【部会長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。河野委員。
【河野委員】資料6のVOCの件でございますが、これにつきましては、業界の方は自主規制でぜひやりたいというふうにおっしゃったような記憶があるのですが、それだけではちょっと野放しになるということで、ベスト・ミックスということで、自主規制と法規制ということで進めていただいておるというふうに承知しておりますが、VOCにつきましては、これは先ほど出てきました光化学オキシダントとか、そういうものが自動車の排ガスと関連して影響があるのではないかというようなことも言われております。それで、VOCの低減というのは、ぜひこれは促進していただきたいというふうに考えておりますが、その場合、この施行がスタートしたということで、先ほど申し上げたような問題点がどういうふうに影響しているのか、順調にいっているのか。それからあと、効果はどのようなものであるのかということをちょっとご説明いただければと思います。
【大気環境課長】先ほど申しましたように、規制につきましては、本年4月1日からでございますが、既設の施設に対してはまだ適用になってございません。また、自主的取組につきましては、これは経済産業省さんの方でも別途指導といいますか、業界と一緒にやっておられるということで私ども承知しております。この実績につきましても、現在動きつつあるところと考えております。私どもにつきましては、排出量のインベトリーを毎年把握しまして、それを見て、状況がどうなるかということを正確につかまえていきたいと考えておりまして、現状ではまだスタートしたばかりで、どうなっているかについては、まだデータが手元にないという状況でございます。
【河野委員】そうしますと、そこら辺のデータにつきましては、またこの部会に出していただけると考えてよろしいのですか。
【大気環境課長】はい、部会と申しますか、年度末、2月か3月でございますけれども、専門委員会でまずご議論いただきまして、その後、また部会の方にご報告をさせていただきたいと考えております。
【部会長】よろしゅうございますか。ほかにございませんか。
(なし)
【部会長】それでは、どうもありがとうございました。次に進ませていただきます。
事務局の方からご連絡事項等がほかにございませんでしょうか。
【総務課長】それでは、次回の大気環境部会の予定につきまして申し上げます。
次回の会合につきましては、明年1月を予定してございます。改めて具体的な日程の調整をさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のこととは思いますが、大変恐縮でございますけれど、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【部会長】それでは、これで会議を終了しますが、終わりに、内山委員長を初め、リスク委員会の委員の皆さん、それから事務局の方、どうもご審議ありがとうございました。それから、出席の委員の各位、どうも大変ありがとうございました。
それでは、今日はこれで終わりとさせていただきます。