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中央環境審議会第13回大気環境部会議事録


   
 
  1. 日時   平成16年2月3日(火) 10:01~11:27
     
     
  2. 場所   ホテルフロラシオン青山 ふじの間
     
     
  3. 出席者 
     
    (部会長) 池上 詢    
    (委員) 浅野 直人   鈴木 継美
    (臨時委員) 天野 明弘   石川 義紀
    伊藤 桂子   岩崎 好陽
    内山 巌雄   浦野 紘平
    加藤 勝敏   小林 悦夫
    坂本 和彦   鈴木 道雄
    大聖 泰弘   只木 可弘
    常俊 義三   中杉 修身
    中野 璋代   新美 春之
      松尾 友矩   松波 正壽
    松原 純子   満岡 三佶
    横山 長之    
    (説明員) 小 谷 勝 彦   西村 文宏
       (五十音順)    
    (環境省) 環境管理局長   大気環境課長
    審議官   総務課長
    大気環境課課長補佐   総務課課長補佐
    調査官 自動車環境対策課長
    環境管理技術室長 大気生活環境室長
    ダイオキシン対策室長  

  4. 議題
     
  5.  (1) 揮発性有機化合物の排出抑制について
    (2) その他


  6. 配付資料
     
    中央環境審議会大気環境部会委員名簿
    資料1   中央環境審議会第11回大気環境部会議事要旨
    資料2   中央環境審議会第11回大気環境部会議事録
    資料3   揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について
        (意見具申案)

     
  7. 議事

    【総務課長】おはようございます。定刻となりましたので、まだお見えになっていない委員の方もおられますけれども、ただいまから中央環境審議会第13回大気環境部会を開会したいと思います。
     本日、委員総数33名のうち現在24名のご出席をいただいております。定足数である過半数に達しております。
     なお、伊藤賛治委員につきましては、代理として西村説明委員に出席していただいております。それから、今回、関沢委員につきまして、代理として小谷説明委員に出席していただいておりますので、ご紹介申し上げたいと思います。
     それでは初めに、お手元の配付資料のご確認をお願いしたいと思います。資料1といたしまして、中央環境審議会大気環境部会(第11回)の議事要旨(案)というものでございますが、大変恐縮でございますけれども、少しミスがございますので若干訂正していただきたいんですが、この資料1の真ん中あたりに議事というところがございますけれども、その中の「○ 議題(1)として」の、そのかぎ括弧の中でございますけれども、「揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会」とありますが、ここのところを「主要なVOC排出施設及びその例等」ということで直していただきたいと思います。まことに申しわけございません。それから、次に資料2といたしまして、中央環境審議会(第11回)大気環境部会議事録。それから資料3といたしまして、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申案)と、お手元にお配りしているかと思いますが、万一資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
     それでは、これ以後の会議の進行につきましては、池上部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

    【部会長】おはようございます。それでは議事に入らせていただきます。
     その前に、資料1及び2といたしまして、前々回第11回大気環境部会の議事要旨及び議事録が提出されております。内容をご確認の上、何かご意見等がございましたら、2月10日までに事務局までご連絡ください。修正をいたしました後に、速やかにホームページで公開させていただきます。よろしくお願いします。
     続きまして、議事1でございます。揮発性有機化合物の排出抑制について。本日は前回の議論の取りまとめの際申し上げたとおり、これまでの議論の方向を踏まえまして、ベスト・ミックス案について事務局が用意した案をご議論いただき、当部会の意見を取りまとめ、環境大臣に意見具申をいたしたいと考えております。
     それでは事務局の方で意見具申の案を作成しましたので、ご説明をお願いします。

    【大気環境課長】それでは資料3につきまして、事務局よりご説明させていただきます。
     資料3は、これまでのご議論を踏まえまして、意見具申の案として事務局で整理したものでございます。まず、構成について簡単にご紹介させていただきまして、その後全文朗読させていただきます。
    6つの節からなっておりまして、1ページ目の1.に「はじめに」というところで検討の経緯について紹介させていただいております。その下の「2.背景」というところにつきましては、VOCに起因いたします粒子状物質及び光化学オキシダントの環境大気汚染の状況について記述したものでございます。2ページ目の大きな「3.VOCの排出抑制の必要性」につきましては、これまでの経緯等を踏まえまして、VOCのの排出抑制がなぜ必要なのか、どういう状況にあるのか等について整理したものでございます。
     以上の3点につきましては、前回の部会で取りまとめのたたき台ということで骨子を出させていただきましたけれども、それを踏まえて若干の追加をしたものでございます。
     それから、2ページ目の最後の下の行から、「4.VOCの排出抑制の目標と時期」。これは前回5.ということで書かせていただきましたけれども、排出抑制のどの程度、いつまでにということでありまして、基本的に前回のたたき台と同様のことを記述してございます。
     それから、3ページ目の「5.VOCの排出抑制制度」。これにつきましては、前回のたたき台におきましては全文空欄になってございましたけれども、前回のご議論を踏まえまして、法規制と自主的取組のベスト・ミックスということで整理をさせていただいているところでございます。
     それから6ページ、最後でございますけれども、今後の課題ということで幾つか、これまでの議論を踏まえて記述させていただいております。
     それでは、全文朗読させていただきます。
     揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申案)
    1.はじめに
      揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制については、当審議会は、従来より、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(第7次答申)などにおいて、自動車を含めた全ての移動発生源、工場・事業場等の固定発生源、各種自然発生源等から排出される炭化水素等が浮遊粒子状物質、光化学オキシダント等の二次生成に及ぼす寄与の把握の必要性等を指摘してきたところである。
     このような状況の中、平成15年9月17日に開催された第9回大気環境部会において、事務局を務める環境省に対し、固定発生源からのVOCの排出抑制について、有識者の意見を聞きつつ早急に検討を深めるよう指示がなされた。これを受けて、揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会(以下「VOC検討会」)において、専門的な観点から検討が行われ、その検討結果は、同年12月16日の第10回大気環境部会に報告された。
     この報告を踏まえ、大気環境部会は、固定発生源からのVOCの排出抑制の方法を中心として議論を重ね、今般以下のとおり結論を得たので、環境大臣に意見具申をするものである。
    2.背景
      近年の我が国の大気汚染状況については、浮遊粒子状物質に係る環境基準の達成率が低く、依然として厳しい状況が続いている。特に大都市圏における浮遊粒子状物質に係る環境基準の達成率は、全国平均と比べて更に低い状況となっている。
     光化学オキシダントについても、昼間の日最高1時間値の年平均値は近年漸増の傾向であり、改善が見られない状況である。大都市に限らず都市周辺部での光化学オキシダント濃度が0.12ppm以上となる日数も多くなっており、光化学大気汚染の特徴である広域的な汚染傾向が認められる。また、光化学オキシダント注意報が、ここ数年は、毎年二十数都府県で年間延べ200日ほど発令されており、これは昭和50年代初期と同様の高いレベルである。平成14年度には、千葉県で18年ぶりに光化学オキシダント警報も発令されている。
     このような状況を踏まえ、浮遊粒子状物質対策としては、自動車排出ガス単体規制の強化や低公害車の普及促進措置を実施してきたところである。さらに、平成13年の改正により粒子状物質対策が位置づけられた自動車NOx・PM法が成立し、車種規制等が実施されるとともに、大気環境部会の審議を経た上で、総量削減基本方針が閣議決定された。同基本方針においては、平成22年度までに粒子状物質対策地域において浮遊粒子状物質に係る環境基準をおおむね達成するという目標が設定されている。したがって、これを確実に実現することが、大気汚染防止行政に課せられた最重要の課題である。
     光化学オキシダントの対策としては、固定発生源からの窒素酸化物排出規制、移動発生源の窒素酸化物及び炭化水素の規制を実施してきたところである。しかし、光化学オキシダント注意報等がしばしば発令されており、これを一定程度改善することが当面の課題となっている。
    3.VOCの排出抑制の必要性
      浮遊粒子状物質や光化学オキシダントに係る大気汚染の状況はいまだ深刻であり、現在でも、浮遊粒子状物質による人の健康への影響が懸念され、光化学オキシダントによる健康被害が数多く届出されていることを考えれば、これに緊急に対処することが必要となっている。
     自動車排出ガスについては、炭化水素の排出規制を数次にわたって強化してきたところであり、最新の規制(17年規制)は、昭和49年度の許容限度値と比較して98%(ガソリン乗用車)厳しくなっている。このため、現在の我が国全体のVOCの排出量の発生源別の割合は、固定発生源9割、移動発生源1割となっている。なお、当審議会の「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(第5次答申)においては、「燃料蒸発ガスは浮遊粒子状物質や光化学オキシダント等の前駆物質」であることを指摘してきたところである。
     また、VOCが浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成に及ぼす影響やVOCの排出インベントリーなど、大気環境部会に示されたVOCに係る科学的知見については、最新の研究成果や統計等を用いた現時点では最善のものであり、現段階ではこれらを考慮して排出抑制対策を講ずるのが適当である。
     さらに、固定発生源からのVOCの排出については、欧米各国、韓国、台湾においてもオゾン対策の観点から対応をとっていることも考慮する必要がある。
     以上のことを踏まえると、我が国においても、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因となるVOCのうち固定発生源に起因するものについて、包括的に排出の抑制を図っていくことが必要であり、かつ、緊急の課題となっている。
    4.VOCの排出抑制の目標と時期
      VOCから浮遊粒子状物質や光化学オキシダントが生成される過程には、多くの化学反応や環境中の条件が関与するため、VOCとこれらの生成物との関係を定量的に把握する場合には、一定の不確実性が内在することは避けられないが、今回の検討においては、現時点で科学的に最善のシミュレーション・モデルを用いてVOCの排出量削減効果を算定した。
     これによると、浮遊粒子状物質の汚染の改善効果は、VOCの排出量を3割程度削減した場合、自動車NOx・PM法対策地域における浮遊粒子状物質の環境基準の達成率が約93%に改善すると見込まれている。
     また、同様に、光化学オキシダントの汚染の改善効果についても、VOCの排出量を3割程度削減すれば、光化学オキシダント注意報発令レベルを超えない測定局数の割合は約9割まで上昇すると見込まれる。
     このように、VOCの排出総量を3割程度削減すれば、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染が相当程度改善すると評価できることから、固定発生源から排出されるVOCの削減については、現状(平成12年度)の排出量から3割程度削減することが一つの目標と考えられる。
     上記の目標の達成期限については、自動車NOx・PM法基本方針に定める浮遊粒子状物質の環境基準のおおむね達成という目標を勘案して、平成22年度を目途とするのが適当である。
    5.VOCの排出抑制制度
    (1)法規制と自主的取組を組み合わせた対策手法の位置づけ
     大気環境部会においては、固定発生源から排出されるVOCを、4.で述べた目標年度までに目標量の削減を図るための政策手法として、法規制と自主的取組の双方に関し、それぞれの有効性や実績について議論が重ねられたところである。
     すなわち、法規制については、一定の制度の下で確実、かつ、公平に排出削減が行われることになり、現にばい煙や自動車排出ガスの対策として排出削減の効果を示している。他方、自主的取組は、事業者の創意工夫に基づき柔軟な対応が可能であり、費用対効果が高いと指摘されており、多様な物質及び排出源の対策が必要となる有害大気汚染物質の排出削減に実績をあげてきたところである。
     これらの経験や特性、固定発生源からのVOCの排出の態様を踏まえると、VOCの排出抑制に当たっては、法規制か自主的取組かの二者択一的な考え方ではなく、これらの手法のそれぞれの特性を活用し、より効果的な手法を構築することが適切であると考えられる。
     このような政策手法の選択の問題については、環境基本法第15条に基づき定められた環境基本計画において、「政策のベスト・ミックス(最適な組合せ)の観点からそれら(各種の政策手段)を適切に組み合わせて政策パッケージを形成し、相乗的な効果を発揮させる」と、各種の政策手法を組み合わせる方法が位置づけられている。この観点に立って、固定発生源からのVOCの排出抑制については、法規制と自主的取組の双方の政策手法を適切に組み合わせること(ベスト・ミックス)により、より効果的な排出抑制の取組を進めることが必要である。
    (2)法規制と自主的取組を組み合わせた対策手法の考え方
     これまでに事業者が行ってきた有害大気汚染物質の排出削減に係る自主的取組では、数多くの企業の参加のもと、事業所ごと、あるいは企業ごとに様々な対策を有機的に組み合わせることにより、事業活動と整合した費用対効果の高い対策が実施された結果、排出量の削減とそれに伴う環境濃度の低減が図られている。
     VOCは、これまでの有害大気汚染物質の自主的取組に比べると、物質数が格段に多く、発生源の業種、業態も一層多様であり、また、浮遊粒子状物質による健康被害の懸念や光化学オキシダントによる健康被害の訴えの状況など、有害大気汚染物質とは異なる事情にあるものの、VOCから浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成については4.で述べたように不確実性が避けられないことも考慮して、これまでの自主的取組のノウハウを活用し、事業の実態を踏まえた事業者の創意工夫と自発性が最大限発揮される自主的取組により効果的な排出抑制を図ることが重視されるべきである。
     従って、VOCの排出抑制に当たっては、これまでの自主的取組の結果を最大限に尊重して、自主的取組を評価し、促進することを第一とするという基本的な立場に立ち、法規制は基本的シビルミニマムとなるように抑制的に適用する、といった従来の公害対策にない新しい考え方に基づいて法規制と自主的取組を組み合せることが適当である。
     これにより、規制対象以外からのVOCの排出については、事業者の自主的取組による創意工夫を尊重して、それぞれの事業所ごとに最適と判断される方法でVOCの排出抑制に努めていただくことになり、費用対効果が高く、柔軟な方法で排出削減を行うことが可能となると考えられる。
     一方、一施設当たりのVOCの排出量が多く、大気環境への影響も大きい施設は、社会的責任も重いことから、法規制で排出抑制を進めるのが適当である。したがって、法規制の対象施設は、地域における排出量の削減が特に求められる施設、すなわち、シビルミニマムの観点から以下の6つの施設類型を念頭に置いて、VOC排出量の多い主要な施設のみに限定し、排出施設を網羅的に規制の対象とすることのないようにすべきである。
     [1]塗装施設及び塗装後の乾燥・焼付施設
     [2]化学製品製造における乾燥施設
     [3]工業用洗浄施設及び洗浄後の乾燥施設
     [4]印刷施設及び印刷後の乾燥・焼付施設
     [5]VOCの貯蔵施設
     [6]接着剤使用施設及び使用後の乾燥・焼付施設
     この手法は、法規制と自主的取組を適切に組み合わせることにより結果として最良の効果が得られるよう、事業者と行政の双方の努力が相まって効果を発揮することをねらったものである。
     このような法規制と自主的取組のベスト・ミックスのパッケージにより、4.で述べたように、目標年次である平成22年度までに、我が国全体の固定発生源から排出されるVOC排出量を平成12年度に比して3割程度削減することを目標とする。
     なお、将来、仮に、削減目標に照らしてVOCの排出削減が十分でない事態が生じた場合には、取組状況をレヴューし、法規制と自主的取組の組合せの仕方を見直すことで対応すべきである。
    (3)自主的取組による対策
     自主的取組の進め方については、有害大気汚染物質の排出削減に係る自主管理のような統一的な仕組みもあり得るが、(2)の考え方に基づいてVOCの排出抑制を図る場合は、自主的取組の進捗状況を勘案して最終的には法規制で担保されるということになるので、事業者がそれぞれの事情に応じて取り組むという柔軟な方式でも排出抑制は進展すると考えられる。なお、自主的取組のあり方については、今後、事業所、企業、業界団体等の最もふさわしい主体ごとに、適切な方法が検討され、確立することが期待される。この場合、いずれにしても情報の公開や検証の仕組みを内在させることが求められるが、その具体的方法や実施の時期は、それぞれの事業者等の実情に応じて適切に運用されることが望ましい。
     行政においては、事業者の自主的取組を推進する立場から、JIS等の規格やグリーン調達に低VOC製品を位置づけたり、環境ラベルを活用するなど推奨的な施策を実施すべきであるが、その効果的な方法については、自主的な取組を行う事業者の意見を聴いた上で検討を深めていくことが必要である。
    (4)法規制による対応
     (2)で述べたように、VOC排出量が多く、大気環境への影響も大きい施設に対して、排出口における排出濃度規制を適用するとともに、施設の設置を自治体に届け出る制度を設けるために、所要の法整備を図るべきである。この際、VOC検討会で深められた検討内容に留意し、制度を構築すべきである。
     また、ここでいう法規制は、自主的取組を最大限に尊重した上での限定的な法規制であることを踏まえ、規制対象施設を定めるに当たっては、法規制を中心にVOCの排出抑制を図っている欧米等の対象施設に比して相当程度大規模な施設を対象とすることが適当である。
    (5)実施に当たっての留意事項
     法規制と自主的取組のベスト・ミックスの制度においては、法規制と自主的取組との密接な連携により相乗的な効果を発揮させることが必要であるため、法規制の対象物質、排出濃度基準やその適用の時期等を定める際には、それぞれの事業の実態や自主的取組の内容を熟知する者の参画を得た上で、十分な検討を経ることが不可欠である。
     この場合、自主的取組を評価し、促進するとともに、シビルミニマムの法規制を行うという観点から、規制対象施設、排出濃度基準、規制の実施時期、新設・既設の別等の規制の具体的内容を定めるに当たっては、事業者の自主的取組の状況や事業の実態に十分に配慮して弾力的な対応が可能となるよう留意すべきである。
     また、具体的なVOC排出抑制対策を行う事業者において、どのような措置が最も自らの事業に適しているかを検討し、準備するための期間を十分に確保することが必要である。
     法規制の適用に当たっては、VOCの排出抑制対策を実施するために、施設の種類によっては施設等の大幅な改変が必要な場合など技術的な制約もあり得ることから、既設の施設に対しては、施設の種類等に応じ段階的な対応とすることも検討すべきである。
    6.今後の課題
      より効果的なVOCの排出抑制対策を講じていくためには、自主的取組の状況、法規制の効果などの今回提案した制度の実施状況を把握するとともに、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの生成に係るより精度の高いシミュレーションの実施に向けた取組を推進するなど科学的知見の更なる充実を図っていくことが必要である。
     中小起業者を含めた幅広い事業者にVOCの排出抑制のために自主的に取り組んでいただくためには、特に中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置の開発を推進するとともに、低VOCの塗料、インキ、接着剤等の開発を促進することが必要である。
     また、VOCの排出抑制対策としては、塗料等の低VOC化が重要な対策手法の一つとして考えられるが、低VOC塗料等への転換は、これを用いて製造される製品の品質にも関わることから、低VOC塗料等を使用した製品に対する国民の理解を深めていくなどの普及啓発を行うことも重要である。
    以上でございます。

    【部会長】ありがとうございました。局長、ご発言をお願いします。

    【環境管理局長】環境管理局長でございますが、今の意見具申案につきましての気持ちの部分をちょっと補足させていただきたいと思います。
      今ご説明いたしました意見具申案につきましては、前回の部会のご議論を踏まえまして、ベスト・ミックスの考え方を敷衍して取りまとめたものでありますけれども、その基本は、まず事業者の自主的な取り組みを尊重し、それぞれの立場での自発的な対応を評価、促進することを第一とし、基本的シビルミニマムの点だけは法規制を導入することでありまして、私どもとしては、従来の考え方を思い切って踏み出したものと思っています。
      このベスト・ミックスの方式、今日企業の環境対策へのお取り組みの熱意、あるいはその内容というものは、総体としては本当に進んでいると思っておりますので、そういう企業の取り組み努力と、行政の対応の両者が相まって問題の解決を図るということでいえば、いわば、極めて今日的な考え方であろうと思います。関係者の努力によって、その精神が十分なものにくみ上げられていくならば、画期的なものになり得る可能性があるというふうに思っております。新しい方式であるだけに、これから具体化していかなければいけない点が多々あるわけでございますけれども、これまで産業界で自主取組に努力してこられたノウハウも十分にお聞きして、万般にわたり関係者と相談していくことでよいものになるよう、ベスト・ミックスの実現を図ることが大切と思っております。私としては、何とぞ本日本部会の意見の取りまとめをいただいて、その意見に従って法案の準備等行うとともに、今後ともこのVOCの排出抑制が実効ある合理的なものとなりますよう、随時、適時、この部会あるいは専門委員会等でもご議論をいただきまして、目指すところは、企業の取り組みと行政の対応とが協力し合って問題の解決になっていく、そういう成功例となるよう努力することが大切であると思っております。誠心誠意取り組ませていただきたいと思っておりますので、よろしくご審議を賜る次第でございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。

    【松波委員】よろしいですか。

    【部会長】どうぞ、松波委員。

    【松波委員】門外漢が最初に発言して恐縮とは思いますが、いずれにしましても、これまでご議論されて、大変な議論の中からこういう方向を目指されたことは、大変すばらしいことだと思っております。そこで、細かい点かもわかりませんが、聞かせていただきたいと思いますが、例えば2ページにおきまして、外国の規制を導入されている例で考慮というときに、「オゾン対策の観点から」と書いておりますが、基本的には浮遊粒子状物質、光化学オキシダントという流れの中にあって関係はすると思いますが、少しわかりにくい表現ではないのかなと、関係がですね。専門の方はわかるかと思いますが、もう少し何か修飾語があって、オゾン対策が、今我々が目指している光化学オキシダントとか浮遊粒子状物質対策に寄与すると、この視点が要るかと思います。
     その同じ2ページに、下から3行目に「包括的に排出の抑制を図っていくことが必要である」と、「緊急の課題」と指摘されておりますが、それが4ページには、施設を挙げられるときには「網羅的に規制」と。この包括という考えと網羅的にというのは、どういう整合性がとられているのかなと。
    あと、この排出施設を選ばれた何か根拠みたいなのがあるのかどうか。もしありましたら、お教えいただければありがたいなと思います。
    それから、最後に今後の課題でいろいろありますが、僕は規制を、あるいは自主取組のときに、これまでも問題になりました評価技術をもっと科学的なものにするとか、あるいは国際的な、今活動が活発ですから、やることに当たっての規制の国際的調和といいますか、そういう視点でもっと努力するとか、あるいは対策技術に、開発に、もっと専念するようなシステムづくりに努力するとか、あるいは科学的知見においてはシミュレーションを言っておられますが、もっと基本的な健康被害、健康影響についての科学的知見について蓄積するというような視点とか、こんなことも今後の課題ではないかなと思っております。そんな感想を申し上げて、質問と意見にさせていただきます。
     以上です。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは事務局の方から、今のご質問の部分についてお答えください。

    【大気環境課長】オゾン対策、我が国、光化学オキシダントと呼んでおりますけれども、ほとんどすべて9割、99%程度はオゾンになっておりまして、そういう意味では同等かと思っております。
     それと、諸外国におきましては、それぞれここの欧米各国、韓国、台湾において法律でVOCの規制をやっておりますけれども、その法の目的上はオゾンの対策ということで、現在検討中のカナダにおきましては、粒子状物質もあわせてVOCの規制をカナダの国会で検討されておりますけれども、現存のここに例示しましたところは、すべてオゾンのみというふうな整理になっております。
     それから包括的と網羅的でございますけれども、対策としては、自主的取組を含めまして包括的に幅広くやる必要があるということで、2ページはそういう前提でそもそもの対策、どういう政策手法を決めない段階では包括的ということでありますけれども、4ページの方におきまして、網羅的にしないというのは、その自主的な取組と法規制とのベスト・ミックスという観点から、規制的な手法については限定的な対応を行うことによって、自主的取組の余地をより大きくとろうという趣旨で書き分けたものでございます。
     それから、3点目の6種類の施設の選定理由でございますけれども、我が国はそのVOCの排出インベントリー等から、主要に発生される施設を6種類のカテゴリーに分類したものでございます。
     それから、科学的知見につきましては、シミュレーション以外のさまざまなことについても、当然私どもそういうことが必要だということで今後取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。

    【浅野委員】ちょっといいですか。松波委員のご発言はこういうことだろうと思うんですね。オゾン、確かに、事実関係は今の課長のご説明のとおりであるわけでしょうけれども、これを読んだ人が理解できるように配慮をしろということだと思うんです。ですから、諸外国でオゾンが対象だ、それは我が国が言っている光化学オキシダントにほぼ相当するということを注書きでもいいから入れろということだと思いますし、私はその方が親切だと思いますから、そのように注をつけるというような配慮をされればいいと思います。
     それから、包括的と網羅的についての課長のご説明は、私の理解では、もうちょっと丁寧に説明できるのではないかと思ったわけですが。つまり、前者の方の包括的というのは、前回も私は発言いたしましたが、従来は個々の化学物質を全部特定して規制をするという手法がとられていたけれども、VOCという1つの群としての取り扱いをする。それをここでは包括的と表現しているんだろう。それに対して、後の方の排出施設は、これはあくまでも施設ベースの話ですから、それは網羅的という言い方で表現をする。十分使い分けの意味があると私は思って理解をしておりましたので、多分、関課長もそのつもりで発言されたんだと思いますが、そのように理解すればいいかと思います。
     それから主要な施設については、これは議事録にとどめておけばよくわかることですから、これをそこまで余り細かく書くことはないと思いますから、これはご説明を承ったということでいいんじゃないかと思います。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは、そちらの方からお答えがありますか。

    【大気環境課長】注意書きにつきましては、わかりやすく注を入れさせていただきたいと思います。包括的の説明は、ありがとうございました。若干説明が下手だったものでありがとうございます。

    【部会長】よろしゅうございますか。それでは、ほかのご質問、ご意見をお願いいたします。どうぞ。

    【小林委員】今回のまとめにつきまして、大変よくできておるということで感謝しております。こういうふうなベスト・ミックスによるやり方というのは初めてでもありますし、これからの新しいトライということだと思いますので、これによる実施が成功するということを期待していきたいと思います。失敗したということで、また問題になることのないように、ぜひお願いしたいと思います。ただ、これにつきましては、ぜひ、この結果がうまくいったということを、評価、検証するということが必要ではないか。
     それからもう1点、その評価、検証に必要なことは、やはり説明責任、それから情報公開ではないかと思いますので、この辺につきまして、お互いということはいけないと思いますが、各事業体、また各主体が情報公開に積極的に行っていただければと思うわけでございます。
     それから、最後に個別的な問題ですが、今後の課題の一番最後に載っておりますが、いわゆる低VOC塗料への転換ということで屋外作業というのが結構ありまして、これによる問題というのは結構出ております。そういう意味で、屋外作業についてどういう対策をとっていくのか。その一つの方法としては、この低VOC塗料への転換があると思いますし、屋外のものをできるだけ屋内に転換するということも必要ではないかと思います。この辺については、個別問題として今後努力していただくということが期待したいところでございます。
     以上です。

    【部会長】ありがとうございました。何か事務局の方からありますか。よろしいですか。ご意見として伺って。

    【環境管理局長】それぞれよくわかりましてございます。特に、ぜひ成功例にしなきゃいけない。そして、そのことを国民にきちんと説明をしていかなきゃいけないということは非常に大事なことだと思っておりますので。それをやっていくためには、これからも、実は産業の方で詳しい方々のご協力も得ながら、私どもと一緒に共同作業をしていって、どうやったらその成果をきちんと評価して、また国民にわかってもらえるように説明ができるのかということについては、これはかなり時間をかけて、丁寧に議論をして、いい成功例に導きたいという気持ちを持っています。
     ちょっと抽象的で恐縮でございますが、以上でございます。

    【部会長】ありがとうございました。それでは、天野委員。

    【天野委員】前回にも申し上げたかと思うんですけれども、環境目標ですね、これを確実に達成するというのが一つの重要な政策目標になりますが、他方では、そういう目標を達成する際に費用対効果の高い手段を選んでいくということが、もう一つの非常に重要な政策上の視点かと思いますが、この二つを一緒にやるということは大変難しいわけでして、そのためにいろんな手法、経済的な手法であるとか、情報的な手法であるとか、枠組み的手法とか、あるいは今日出てまいりました自主協定のような両方まとめたような手法ですね、こういうものが開発されてきているわけですが、今回この意見具申案に出ておりますのは、私は日本型の自主協定の始まりではないかというふうに、大変高く評価をしたいと思います。
     その際に非常に重要な点は、政策当局と、それから規制対象になる事業者、あるいはその他のこういう環境問題に関連するさまざまな組織、こういうふうなたくさんの主体の間の協力関係というのは非常に重要なことだと思います。ですから、その辺を含めて、日本型のこういう新しい取り組みが発展して、定着していくようになればというふうに考えております。
     先ほどのご説明にもいろいろありましたように、これからいろんな、実際にこういう活動を行っている人たちの持っている情報あるいは意見、そういうものをよく吸収して、この政策をいいものにしたいというご説明ありましたけれども、まさにそういう点が、こういう手法が成功するかしないかの決め手になるんじゃないかというふうに思っています。
     私は「環境と経済の統合」という言い方をしておりますけれども、最近の言い方をすると「環境と経済の好循環」というんですか、そういうふうな方向へいく一つの手法になるのではないかというふうに思います。前回、たしか資料の7として、これは主に欧米の諸国ですけれども、ケミカル・マネジメントサービスというのが大変発達してきておりまして、これは、ケミカル・マネジメントサービス自体は政策とはほとんど関係がない、事業者の取り組みなんですけれども。特にこういうVOCのような非常に取り扱いの難しい化学物質について、環境と経済の好循環を起こすような手法が非常に急速に拡大している。そのあたりも、今回のこういう取り組みとあわせて日本で発展していけばというふうに思いまして、若干の参考資料をお配りいただいたわけです。そういうふうな取り組みのきっかけとしてここのこの委員会がお役に立てるということは、大変喜ばしいことではないかというふうに思っております。
     ただ、先ほど何人かの方がおっしゃいましたけれども、こういう手法を展開する際には、やはり途中の経過をきちっとモニタリングをしていくということが非常に重要でありまして、そのためにはさまざまな情報も要りますし、先ほど申しました行政と産業界と、それから一般の方々ですね、そういう人々の間の情報の、かなり濃密な交流ということが必要になってくるかというふうに思いますので、手法の発足だけではなくて、進行の状況をきちっと見て、それを適宜こういった審議会の場でご報告いただくということが大変重要かなというふうに思っております。
     以上です。

    【部会長】どうも貴重なご意見ありがとうございました。何か発言ありますか。

    【環境管理局長】仰せのとおりなので、勉強してまいります。

    【部会長】ほかにご意見。大聖委員。

    【大聖委員】先ほどの松波委員と、それから小林委員、それから天野委員のご発言とも関連して、それをサポートする意味で強調しておきたいと思いますけれども、このような取り組みの結果、それから今の大気の現状がどういうふうに今後変化していくかということに対しては、継続的なやはり監視体制といいますか、あるいは研究体制といいますか、そういったものもちゃんと常設して、それをやはり継続的にちゃんと科学的な知見も含めて研究し、ある一部ではいろんな不明な点もあるわけですから、そういったものの解明に努めるような体制が絶対に必要だというふうに思います。その一方で、例えば私ども車の分野のことをやっておりますが、JCAPという体制がありまして、そこでもそういったような対策の効果ですね、そういったものを常時研究している体制がございまして、この一部のメンバーの方々がこちらのVOCのメンバーともオーバーラップしておりますので、そういったところとの情報交換とか、そういったものをぜひ継続的にやっていただきたいというふうに思います。
     それからもう一つ、ちょっとこれは余談でありますけれども、私、先日カリフォルニアのエアリソースボードの方とちょっと意見交換したときに、日本はかなり自動車が頑張っているねと。その一方で、こういう油性のペイントを使っているということに物すごくショックを先方は受けたようでして、もうこういう、カリフォルニアではもう水性ペイントしか使わせないというような体制がとられていまして、そのためにいろんな研究もやって、そういったものができておりますということで、大変驚かれて、私、逆にショックを受けたということがございました。そういう技術的にもできるところは率先してやるというようなことが必要だというふうに思っております。
     それから、ちょっと長くなって恐縮でありますが、この文章の中で、4ページ目なんですけれども、下から8行か9行目ぐらいのところに「最適と判断される方法でVOCの排出抑制に努めていただくことになり」とあるんですけど、これはちょっと、「抑制への努力を促すことにより」とか、そういうちょっと、「いただく」というのがどこか何カ所かありましたけれども、そういうところをちょっと直していただければと思います。
     それから、5ページの真ん中からちょっと下のところに、「適切な方法が検討され、確立することが期待される」というのは、能動態と受け身がまた交互に入れかわってますので、ちょっと不自然だなと思いました。
     それから、6ページのところに「シビルミニマム」という言葉が出てくるんですけれども、これは必ずしも日本語としてこなれてないんではないかなと思いますが、我々一般にシビルミニマムといいますと、健康にして文化的な最低限のレベルのことをいうような面があるんではないかなと思いまして、その点をちょっと指摘しておきたいと思います。
     以上であります。

    【部会長】どうもありがとうございました。何かご発言ありますか。

    【大気環境課長】4ページの「努めていただく」、ここだけ敬語調になっておりまして、確かに流れがやや不自然でありますので。
     あと、シビルミニマムにつきましては、なかなか適切な日本語……。

    【環境管理局長】今、大聖先生が言われたとおりなんですけれども、何か健康で文化的な最低限という言葉が入るところは、せっかく両者でいいものをしていこうとしているので、何かもうちょっといい言い方がないかなということは、引き続き検討をさせていただきます。すみませんが、まだこの時点で知恵が出ておりませんので、シビルミニマムと書かせていただきました。

    【部会長】ご意見ありがとうございました。それでは、只木委員。

    【只木委員】自動車工業会の代表として、非常に今回法規制と自主的取組のベスト・ミックスのパッケージということで、非常によく理解できます。これをいかに業界の方で進めていくかということは、非常に重要かと考えておりますけど、その中で、法規制による対策の中で、先ほど松波委員の方から、規制の国際的調和というお話が出たと思うんですが、ここでページ5の「法規制による対策」の中の下から2行目に、「排出口における排出濃度規制を適用する」と明言されておるんですが、ここについて、排出口の濃度規制にこだわることについては、自動車工業会の方としては修正をしていただきたい。あるいは今後環境省等とも話を進めて、ここは濃度規制じゃなくて、排出原単位方式でやっていただけないかと考えております。この原単位方式というのは、米国あるいはEU規制で使っております国際的な基準ということで、これを日本だけ濃度管理にいたしますと、非常にいろいろな面で投資とか、今後かなりかかる可能性がありますので、ここについては環境省さんと、法規制のところなんですが、相談させていただいて進めていけないかと思っておりますが。

    【部会長】ありがとうございました。それじゃ、お答えください。

    【環境管理局長】具体的な規制の内容については、これからもいろいろ議論をしていくことがあると思っておりまして、自動車工業会ともいろいろお話をさせていただいていると思っております。それは、これからいろいろ詰めていくということで、現時点では、この意見具申案についてはご理解いただけているものというふうに理解をしておりますが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

    【部会長】どうもありがとうございました。ほかに。浦野委員、お願いします。

    【浦野委員】私も、この形に意見が集約されて、関係者が大気環境の改善に協力し合える体制ができれば、大変好ましいことだというふうに思っておりますが。ここで規制という従来の比較的画一的な対策技術、あるいは測定技術、評価技術が画一的にいくものと、それから自主的な取組ということで、「実態を踏まえた事業者の創意工夫と自発性が最大限に発揮される」という言葉ですね、実はかなり具体的な対応のところでは違ってくる。先ほどのように濃度規制で、しかも測定法も一つに限定してというような規制的な考え方と創意工夫という形になりますと、対策技術についても、測定技術についても、その他についても、かなり自由度を持たせる柔軟なものが認められるようになってくると。ここの間で、規制の方は非常に画一的にいって、自主管理の方はバラエティーのあるものをやると。そこの微妙な途中というのは、実際事業者の中ではたくさん起こるわけですね。同じ事業所で、この施設は規制の対応、こちらの施設は自主管理というと、実際的な技術の方ではかなり混乱したり、かえってそこで不経済性が起こることもあり得るということで、やはり規制の方についても、対策技術、測定技術、その他の経済性の評価も、ある程度柔軟にしていくということが重要だというふうに私は思っておりまして、ただ、その効果の評価と公開ということもありますが、対策技術やその評価技術や、測定技術についてもかなりの情報の交流と公開、国民の議論、あるいは知恵を出し合うような体制が必要ではないかという感想を持っておりますので、よろしくご返答ください。

    【部会長】今の、ちょっと待ってください。同じことですか。

    【浅野委員】ええ、今の点に関してです。

    【部会長】それじゃ関連で、浅野委員、ご発言があるそうです。

    【浅野委員】今の浦野委員のご指摘は、規制を具体的にどういう形で柔軟に取り入れていくかという検討の問題だと思いますし、ここで「規制による対策」と書いてあるところの書き方も、よく読むと、検討内容に留意して制度を構築すべきであるという記述があるように、在来型のものではないものを目指すということが言われていると思うんですね。規制で一番問題なのは、それだけやれば、もういいということになってしまうというのがこの種の問題について一番困るわけですが、しかし、これまでの多くの公害規制の例を見ても、規制基準ぎりぎりのところで、それでもういいと言って済ましている事業者はかなり珍しい事業者で、大概規制よりもはるかにしっかりやっていて、規制がかかったって、そんなものに引っかかるようなことはしないというのが常識になっているわけですね。ですからそういう意味でこれが、シビルミニマムという表現がどうかというのは、ご指摘が大聖先生からありました。そのとおりなんですが、いわんとするところは、要するに本当にどうにもならない人は、やっぱりこれでちゃんとやってもらいましょうと。だけど、もっとちゃんとできるところは自主的に大いにやってくださいという趣旨ですから、さっき只木委員がおっしゃったように、合理的なやり方でマネジメントができていて、そのマネジメントの努力がきちっと把握できるような規制システムをつくっていけば、ありとあらゆる自主的な努力がそれで報われることになりますから、その辺は恐らく現段階で、検討会でもご議論になって、閉鎖的なというか、一つのクローズドのシステムの中で使われているものは、多分最終的にそのクローズドの建屋から出るところで見ると。そこでこのぐらいの濃度である。どうやってそれを下げるか、そんなものは全く中で自由にやればいいことだから、そこでやれば大体わかるんだろうというお話だったと思うんですが、それ以上に原単位のようなものでやった場合の考え方と、その出口のところでやった考え方とがうまく整合性があるかどうかをこれから少し検証していただいて、もしその整合性があるんであれば、その方法も取り入れることができるということは、この文章の中で我々も読み込んでいると考えてみたらどうでしょうか。先ほどの局長のお話も、必ずしもこれは現段階でこう書いているだけで、絶対これでやらなきゃいけないということでもないと。より合理的な方法があれば、それはそれで採用することにやぶさかではないというご趣旨だと思いますし、それがこの部会の総意であるということと私も理解しておりますので、よろしくお願いいたします。

    【部会長】ありがとうございました。それでは、ちょっとご意見……。

    【環境管理局長】同じことを幾つかの側面から言っていただいたんだと思いますが、私どもとしては、浦野先生の言われた最後の対策技術、やはりこの問題は対策技術についていろいろとフレキシビリティーを持って研究をし、ですからそのどの部分を法律の方に取り込むのか。それからまた、事業者の方もいろいろ努力をしていただくと。そういう中にもいろいろな技術の選択があります。さらに、これはいろいろな事業者にもそういう安くていい技術があれば、これが、法律は一つの契機になって、安くていい技術があれば、いろいろな事業者の方も、今の時代です、皆さんそれぞれの立場でできる努力はしていただけると、こういうことでございましょうから、そういう技術につきまして、意欲を深め、それも何かいろいろなものを議論をし、それからその費用効果みたいなものも議論し、そういう情報もオープンにし、みんなで議論をしていくことの大切さということを言っていただいたんだと思いますので、それは一生懸命やらせていただきたいと思っています。

    【部会長】ありがとうございました。両委員、よろしゅうございますか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは松尾委員、お願いします。

    【松尾委員】松尾と申します。なかなか機会がなくて、この委員会欠席しておりまして、最後のようになってから発言するのも恐縮なんでありますが、この、いわゆる法規制と自主的取組、ベスト・ミックス、私なんかも教科書なんかにも、今後の規制の方向はこうあるべきだということを書いてきた者の一人として、新しくやられる、非常に敬意を表するところであります。
     しかし一方で、自主的取組というのが主観的にはやっているけれども、結果として本当にそうなっているかというと、なかなかチェックが場合によっちゃできない部分がありますね。先ほどの情報公開という話もすべてそこへつながると思うんでありますが、やっぱり何かある種の、ISOの14001じゃありませんけれども、毎年見直しながら継続的によくなっていくという、何かそういう仕掛けとあわせて、自主的努力が目に見えて成果が上がっていることを示していただくことも必要じゃないかというふうに思います。
     それからもう一つですが、6ページの最後のところのいろんなことを「検討するために、準備するための期間を十分に確保する」ということも、もちろんもっともだと思うんですけれども、結局、やっぱりこういうのは速度も非常に問題であって、やっぱり早く達成する方向へ動いていけないと意味がありませんよね。規制の枠組みができたというだけではやっぱり国民というか、人々から見れば不十分であって。非常に変な例ですけれども、どこかの知事さんがやるんだとこう言うと、一気にディーゼルが進んじゃったような状況というのが、やっぱりまた出てくる可能性がありますね。枠組みはあってみんなやっているんだけれども、結果が遅いというのは、やっぱり成果としては不十分だと思うんですね。ですから、十分に期間を置くのは結構なんですけれども、やっぱりある程度速度も必要だということを、関係者がここにおられるのであれば、やっぱりあわせて合意して、やっぱり規制も順調に進めるし、場合によっては自主的な取り組みも早目早目にやっていただくということがやっぱり問題であって、速度が遅ければ、幾らこのベスト・ミックスのいい手法ができたとしても、やっぱり評価は低くなっちゃう。その辺は今後の運用のところだと思うんですけれども、やはり産業界も、あるいは規制する側もいろんな工夫を早目早目にして、やっぱり何か、後から何だと言われないようなことは、ぜひお考えいただくことが重要ではないかというふうに思います。感想であります。

    【部会長】貴重なご意見をありがとうございました。今の細かい文言については、ちょっと後回しに。何か今の全体的なお話に、例えばチェックだとかISO。

    【大気環境課長】ご指摘を肝に銘じて、事務局として取り組んでまいります。

    【部会長】鈴木委員、お願いします。

    【鈴木(継)委員】これは、今後の課題というところに実は入る話かもしれませんが、今後じゃなしに、VOC対策をやるんだとすれば、同時に進まなきゃいけない部分として、私は、モニタリングとサーベイランスのもうちょっと充実を考えないといけないんじゃないかと。さっき天野委員がおっしゃったモニタリングは、実際の対策手段がどう進んでいったかについてのモニタリングという意味だと思いますが、私の申し上げているモニタリングは化学物質それ自体でございまして、いろんな化学物質がどんな形でどのぐらい大気にあるか、あるいは労働環境内にどうあるか、あるいは排出口のところでどうあるか、あるいは屋内大気としてどうあるかというふうな、総体としての評価ができるような状況で物をはかってなければならない。VOCもそこに乗っかってなければいけない。それで、それがどのくらいの時間でどんなふうに変化していったかを追っかけられるような、そういうシステムづくりが十分できているとは、とても私には思えない。今のところばらばらにやられているわけですね。ねらいは、これは光化学スモッグの問題とかいう形で、健康側から話が入っていったわけですから、健康状態のサーベイランスというだけではなくて、それといろいろな環境、空気の環境中の化学物質の測定、モニタリングをきちんと進める。それができないと、実はいいシミュレーションモデルにならないんですね。これまでやられているシミュレーションモデルの土台になっているデータが十分だとは、とても思えないというふうな問題が起こってくるわけですから、そこは今後の課題というときに、もう既に現実の課題という意味で、くらいのところで考えないといけないことだろうと、そう思っています。

    【部会長】ありがとうございました。今のは、今後の課題のところじゃなくて、もう既に動いているところに書いた方がいいというご意見ですか。これもご意見としてお伺い……。

    【環境管理局長】随分、私どもの行政でもっと全体像を考えて、よいモニタリングのあり方、それからそれをサーベイランスしていくシステムというものをつくっていかなきゃいけないのは、ご指摘のとおりだとは思います。ただ、申しわけありませんが、ちょっと非常に大きなものでございますので、すみませんが、この意見具申のどこかに少し書けば何かなるという、あるいはどう書いたらいいのだろうかというようなことにつきまして、ちょっと私もすぐに知恵が出かねますので、これは非常に大きな問題でございますので、すみませんが、この意見具申の話とはちょっと別途、また総体としてのご議論を当部会でもしていただけた方がいいんじゃないかと。どういうか、部分だけちょっと何かつまみ食いにとってできるような事柄ではないような、大きなしっかりしたお話をご指摘いただいたのではないかと、私はちょっと感じました。

    【鈴木(継)委員】これに直に入らなくても、それ、一向に構わないわけですけれども、この部会としては、そこまで実は目を配って物を考えているんだよというのは、はっきりしていないといけないだろうと。狭い、とりあえず緊急の問題だけ考えて、やらなきゃならないことを見落としたというのでは困るぞという意味です。ですから、ここに入らなくても一向に構いませんけど。

    【部会長】今のご指摘は貴重なものだと思いますので、それは承っておいていただいたらどうかと思います。

    【浅野委員】十分承ります。

    【部会長】それでは、先ほど新美委員が一番に挙げられました。

    【新美委員】新美でございます。初めに、私何度かこの部会に出させていただきました印象と、あとは、今度は石油業界、多くの者の代表としての意見を述べさせていただきたいと思うんですが。まず印象から申しますと、先生方と同様、幾つかのこの種の審議会、部会等に出させていただいておりますが、率直な印象は、今日までの議論がかなりはっきりしたそれぞれの意見が交換されて、一時は、あたかも産業界代表と学識経験者の間の意見の衝突のようなこともあったように印象を受けましたけれども、そんなことを経た結果、先ほど環境管理局長のご発言が冒頭でありましたように、新しいアプローチというものがより徹底を、理解が徹底してきたように思います。例えば石油業界の中でこのお話をしましたときも、初めの段階から今日に至るまでの段階で、実際この意見具申案に盛られた内容が何を目指すかということについての理解は大きく深まっておるわけでございます。その意味からいいまして、いろいろ具体的な細かい点はこれからの検討事項かもしれませんが、その理解の深まりということは、非常に貴重だったんではないかなというふうに考えております。したがって、この画期的なアプローチが成果を出す一端をきちっと担うのが、例えば石油業界は産業界の中における一つの業界としての責務であろうし、その内容を情報公開、あるいは説明責任を果たすことによって理解をしていただくようにすることは、私どもの努めるべきことだと思いまして、それが文言で規制されるべきことでもなかろうというふうに考えます。
     ただ、今後はこの関係だけでなくて、例えば石油の場合なんかですと、消防法を初めとする関連法規がございまして、これはかなりの制限も加わっておりますし、それから自主的な改修工事もございます。したがって、それらとより効果的にそれを進めて、先ほどから出ておりますご意見の線に沿うということのためには、十分な意見交換というものが必要であろうと思いますので、ぜひ具体的内容の決定に当たりましては、本日の先生方のご趣旨の点を踏まえながらも、十分な意見交換のチャンスを与えていただきたいというふうに思います。いずれにしましても、私は、今回のこの内容は非常に画期的な取り組みであろうと思いまして、敬意を表する次第であります。
     以上でございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。

    【環境管理局長】前段につきまして、理解が深まったということでご評価いただけること、大変ありがたく思っております。後段につきましては、これ、具体のものを詰めていきますときに効果的な形になるためには、これは本当にそれぞれの産業界のそれぞれの知識のある方からいろいろな情報をもらったり、議論をしなければできませんので、これはもう十分にそういう形で意見交換をしていきたいと思います。また、当部会等でも適時そういうところにつきましてご議論をいただけるなら、で、ご指導がいただけるなら、大変幸いだというふうに思っております。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは中杉委員。

    【中杉委員】もう既に多くの委員から意見が出ました。私自身も、この案は解釈しますと、できることを皆さんにやっていただく、そのための規制である。それから、それ以上の努力を自主管理でやっていただくということで、これはVOC検討会で議論させていただいた趣旨を反映させていただいているものだという意味でも、評価をさせていただきます。ただ、この中でちょっと、5ページのところの最後の(2)の最後のところに、進行状況といいますか、それを管理して、それで適切に見直しをしていく。この管理をどこがやっていくかということは、もう当たり前のことなので書いていないのかもしれませんけれども、これは環境省の仕事であろう。そこの中ではVOCの排出削減量だけではなくて、鈴木先生が言われるように、そのものが全部含まれてくるんだろうなというふうに解釈をしています。
     ただ、もう一つだけお願いをしておきたいんですが、VOCは有害大気汚染物質と違って、非常に幅広いものを対象としておりますので、そういう意味では自主管理をしていただく業界の方、あるいは全体量を把握していただく環境省の方も、その点を十分考慮した形で適切な方法を考えていただきたいということだけお願いをしておきます。

    【部会長】ありがとうございました。

    【大気環境課長】今後の進め方の中で、十分考えさせていただきたいと思います。

    【部会長】それでは次は、坂本委員。

    【坂本委員】もう既に意見も出尽くしているかと思いますけれども、VOCの検討会でやはりモニタリングが重要であるということは既に指摘をしてございまして、そういったことも考えの中にはある程度入っているというふうにご理解いただけたらというふうに思います。
     それからもう1点、きょう、最終的にほぼ合意の方向が見えてきたというふうに思うわけでございますけれども、健康影響という観点から今回のこれが答申をされる。ただし、もっと先を我々は見ていかなければいけない部分があって、それはさらに生態影響とか、それから先ほど出ました国際的な枠組み、こういったものに取り組んでいくためにこそ、やはりこれを早く実施に移して、そしてこういった方法で効果が上がるよということを、我々は見せる形をとるべき必要があろうかと思います。非常に今後の健康影響の以外のところの点についても、それから国際的な枠組みを日本が少しリードして推進していくためにも、我々は非常に武器を得たと。そして、その武器を使えるようにするためには、これを早く実施して成果の上がる形にすると。そういう意味で自主的な取組のところがどういうふうな形で、実効が上がったという形で評価でき得る方法で測定なり監視なりモニターなりをしていくというところが、非常に重要だというふうに思います。
     きょうはいろいろな皆さんのご意見をお聞きしまして、VOC検討会でもやはり一律の規制と、それから自主取組と両方がかなり議論があった結果、ああいったものをまとめた経緯を今改めて思い出しておりまして、非常に最終的にはいいところになったというふうに思います。感想でございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。そのほか、ご意見、ご質問、浦野委員。

    【浦野委員】皆さんのご意見のとおりでございますけれども、もう1点、ちょっと気づいたことですけれども、VOCの排出削減の努力の成果である、努力の状況等をレヴューし評価しているときに、やはりVOC全体の日本の中でのマスフローですよね。どこでどれだけどう使われて、どこへ流れていって、何になってという、そういうものの情報が全体的に、生産量であるとか、輸入量であるとか、その他さまざま、そういったものの把握というのが、やはり基本にあると思うんですね。そういったところについても、やはり情報の収集と情報の公開というのが求められる。これはPRTRとか、その他でもみんなそうなんですけれども、あるいはVOCに限らず、ほかの化学物質についても同様ですけれども、これらについての情報の公開と集積、収集、解析その他が非常に重要だと思うんですね。この点やはり非常に多様な化学物質であるVOCを追っかけるときに、基本となる情報の収集、解析、公開というのは、ぜひお考えいただきたいというふうに、追加で意見を申し上げておきます。

    【部会長】どうもありがとうございました。何かありますか。

    【大気環境課長】今後のインベントリーの改定と、一連の検討の中で検討させていただきたいと思っております。

    【部会長】どうもありがとうございました。じゃあ、伊藤委員、お願いします。

    【伊藤(桂)委員】このベスト・ミックスという新しい手法に対して、大変期待をいたしております。それだけにその手法及び成果について、どうか国民にわかりやすいような形で広報をしていただきたいというように思います。
     それから6ページの(5)のところに留意事項があるわけですが、これを読ませていただければ、かなり自由度があるというふうに思われます。しかし、自動車NOx・PM方の中でも地域特性が随分あるように考えられますし、これが全国シェアということになりますと、かなりの地域特性が私はあるように考えられます。したがって、この「地域特性に配慮」というような部分をどこかに加えていただきたいなと、そういうふうに思います。
     また、(5)の中で、先ほどもちょっと議論があったと思いますが、下から5行目ですか、「準備するための期間を十分に」、この十分にというのが非常に最初から私気になっていまして、多分これは「事業に適しているかを十分検討し、準備する期間を確保する」ということの方が、私はわかりやすくて取り組みやすいんじゃないかなというふうに考えられます。
     以上でございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。それは、何かありますか。よろしいですか。じゃあ、ほかのご意見。どうぞ、岩崎委員。

    【岩崎委員】私、この案で賛成しておりまして、実にいい案だと思っております。一つ、特に大都市におきましては、各条例でこのVOCの一部を規制しているところもありまして、対策はかなり大企業に関しては行き届いているところもあるわけですけれども、やはり一番大きなのは、中小の事業者の対策というのは非常に課題が残されているわけでございます。今回トータル的に3割を22年度まで減らしていこうということで、私はそれでいいと思っているんですけれども、やはり大きいところをかなり減らして、3割減らすということは効果的にも一番大きくていいんですけれども、やはり目標をもう少し大きく置いて、中小においてもやはりできるだけ努力してもらうと。特に対策技術が、今の対策技術というのは大企業向けのがほとんどでございまして、価格も多分恐らく1,000万を切って売り出しているのは少ないと思いますので、中小ではほとんど手が出ないわけですね。ここの今後の課題の6番目のところに、その辺がよく書いてくださっているわけなんですけれども、これを法でどうこうというんじゃなくて、環境省においてはいろんな事業もいろいろ、モデル実証事業だとかいろんなものを持っていますので、できるだけ中小のそういう対策が行き届くような努力を、ほかの面でも結構ですから進めていただきたいというふうに思っています。それをすれば、3割じゃなくて、もう少し下がる可能性も持ってくるんじゃないかというふうに思っているわけです。

    【部会長】ありがとうございました。貴重なご意見ありがとうございました。何か……。

    【大気環境課長】さまざまな技術開発のツールが最近環境省ございますので、そういう中で精力的に取り組んでいきたいと考えております。

    【部会長】それでは、石川委員でしたか。

    【石川委員】皆様いろいろおっしゃいましたので、私の申し上げることもなくなってしまったんですが、規制の業務を担う者の側から見ますと、やはり法的規制による規制というものを弾力的にできるような余地を大きくとった方がいいんじゃないかという気がいたします。ここでは濃度規制という形で書かれておりますし、先ほどの浅野先生のご意見なんかでも、弾力的にやるということは読み取れるということではあるかと思うんですが、やはり規制を担う側から見ますと、必ずしも画一的なやり方が適用できないケースが出てくると。特に今、岩崎委員おっしゃったように中小のことを考えますと、非常にこういうのがやりにくいというケースも多々出てくるかと思われます。そういうことから、できれば弾力的な対応、ベスト・ミックスというやり方を効果的にやっていく上でも弾力的な対応ができるような法規制の体系というのを、今後ご検討いただきたいというふうに思います。
     以上です。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは、満岡委員。

    【満岡委員】今回のこの一連のVOCにかかわる大気環境部会での討議ですけれども、本当これ、先ほど委員の方どなたかおっしゃいましたけど、短期間の間にかなり濃密な論議になったんだろうというふうに思います。私自身も、前回から今回にかけて一体どうなるのかなというふうに、随分産業界の一人としては心配もいたしました。  しかしながら、今回のこの答申案、まだ案ではございますが、この答申の内容4ページの中ごろに書かれておりますように、事業者の自主的な取組を最大限に尊重して、要するに自主的取組を第一とするんだという基本的な立場に立って、それで法制度は基本的にはシビルミニマムとなるような抑制的に適用するんだと。これ、やはり私も、これは全くといいますか、新しい考え方が提案されたという意味で評価したいというふうに思います。この委員会でもご意見として申し上げたことあるんですが、今まさにそのような時代であるというふうにも我々は認識しています。確かにVOCは種類も多く、いろんな排出形態を持っておりますし、であるがゆえに、我々はみずから工夫をして、削減に向けた自主的な活動ということを行う必要があるし、ここにも書かれておりますように、社会的責任であるとか、その成果が問われるというような責務が重大であると、そういうことがまたここに書かれているというふうな理解に今立っております。
     したがいまして、今後どういうふうにするかということをさらに検討を進める部分があるわけでございまして、これは6ページの(5)のように、法制度の整備等の対策を具体化していくという作業が、これから開始されるというふうに思います。その際には、我々の自主的な排出抑制の内容というものを同時に示しながら、そして、その内容がこの法制度の細部、次のステップで反映されるような、そういうようなことも考えていただきながら、すなわち、法制度の内容と自主的取組、自主的排出抑制、そういうものが相互に補完し合うような形で、最終的にはいい結果が生み出せるようなふうに取り進めていければなというふうに思っております。
     以上でございます。

    【環境管理局長】大体、私どもそのような考えでございますが、そのようなお考えの中を今度具体化するときには、やっぱりそれぞれいろいろな相違点も出てまいります。そういうことをしっかりしっかりこれから意見交換していくことが一番いいことだと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

    【部会長】ほかには。中野委員、お願いします。

    【中野委員】大変うまくこれをまとめていただいて、ありがたく思います。そしてまた、この議論は回を重ねるにつきまして、A案、B案、そしてそれからベスト・ミックスというようなことで、お互いに歩み寄り、そしてよい案になったと喜んでおります。そうした中で、今後は国民に身近なことを感じられるような情報公開にしていっていただきたいと。それと同時に、いろいろな情報公開する中で、数値の見直しということをこれからも努めていっていただきたいなと、そのように思います。よろしくお願いいたしたいと思います。

    【部会長】ありがとうございました。それでは、加藤委員、お願いします。

    【加藤委員】最後にちょっと感想を申し上げたいと思います。
     私の立場は非常に微妙な立場でありまして、この対象設備のところにはほとんど組合員がおりますので、そこの環境が改善されるということは非常に好ましいことですが、一方で産業界の一員でもありまして、非常に物が言いにくい立場ですけれども、これまでいろんな産業界の意見があったところを最大限この文章の中に織り込まれたというふうに理解しています。ぜひ留意事項のところが、書かれたようなことが確実に実行できるように、ぜひお願いをしておきたいと思います。
     以上です。

    【部会長】ありがとうございました。内山委員。

    【内山委員】私も、前回申しましたように、もうこれはぜひ早くやっていただきたいということで、十分な期間と書いてありますけど、必要な十分な期間ということで、ぜひ、もう自主的取組はすぐにでもやっていただきたいというふうに思っております。
     それからもう一つつけ加えさせていただきたいのは、以前櫻井委員からの、きょうはご欠席だったと思いますが、櫻井委員からもご指摘ありましたように、ほかの有害大気汚染物質と違いまして、VOCは特に開放系で作業現場で使われていることが多いので、今までは逆に、労働者の健康を守るためには外に出してしまおうと、室内の労働作業環境を守るためには外に出してしまえというものがVOCの、いわゆる開放系で使っている職場での基本的なものでございました。ですからこれは、それを今度は外に出すなということをいうわけですので、産業界の方はもう当然ご承知のこととは思いますけれども、その規制のあり方として、ひとつそれを、逆に法規制になりますと、それを守るために今度は少し作業現場の方の濃度が上がってしまうというようなことがないような、うまい取り組みですとか、工夫をしていただく。多分、櫻井委員の前回のご指摘はそのようなことで。ワーキング・グループのときでも、多少その点は議論した記憶がございますけれども、実行のときにはひとつその点もご留意いただきたいというふうに、これはちょっと蛇足ですが、意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。それじゃ、常俊委員。

    【常俊委員】今、内山先生が言われましたように、産業界の方々が当面する問題は、オキシダントが引っかかってくるか、粉塵が引っかかってくるか、そのものだけではなくて、VOCの問題というのは、従業員にとって避けて通れない問題。残念ながら、有機溶剤という形で労働省は、厚生労働省は有機溶剤の特殊健診という形でやっていますけれども、残念ながら所見率はどんどんどんどんふえております。ただし、これは身体影響を見るというのではなくて、生物学的にも代謝産物で物を見ているという形でありますけれども、どんどんどんどんふえてきて、同時にもう一つは、業務用の疾患として診ているケースが、残念ながらこれもふえております。そうすると、VOCそのものが、人体影響というものがあり得るということを念頭の中に置いて、廃止するだけではなくて、内部も同時に規制するという対策をぜひともやってもらわないと、犠牲になるのは労働者であっては困りますから。そうすると、企業の方々は自分たちの扱っているVOC、なるべく外へ出せというのは制限せざるを得ない。そうすると、中に込めてしまうという対策はおとりにならないように、ぜひともしていただきたいと。産業の場で働いている人たちの中毒現象というのを避けなきゃいけないということだけは、ぜひともお守りいただきたい。これは少しは労働者の健康にかかわっている仕事をしておりますので、ぜひともお願いしたい点であります。VOCそのものがオキシダントにかわる、あるいは粉塵の原因になるというだけではなくて、そのものが、人体影響を無視しないでいただきたいということだけをお願いしておきたいと思います。

    【部会長】ほかにご意見ございませんか。はい。

    【横山委員】大変よく取りまとめられて、ありがたいと思いますけれども、一つだけ、今後の課題の中で、より精度の高いシミュレーションを研究開発していくというようなことを書いてありますけど、「より精度の高い」でもよろしいんですけれども、より広範な排出源データというか、インベントリーのデータに基づくシミュレーションを開発していくというようなことをちょっと、より広範な範囲というのは、例えば諸外国のデータも含めてなんですけれども、そういう言葉で入れておいていただければありがたいかなと思うんです。それだけです。

    【部会長】どうもありがとうございました。今、三方続けてご意見、ご要望を伺いましたけど、何か事務局の方からありますか。

    【大気環境課長】ご趣旨を踏まえて後ほど、書きぶりについては部会長とご相談させていただきたいと思います。

    【部会長】それじゃ、ほかにご意見ございませんか。
    (なし)

    【部会長】なければ、ここら辺で取りまとめをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。いろいろのご意見を、ご議論いただきましたけど、大筋では、この意見具申案に沿って取りまとめることが適切だというふうに思います。先ほどのいろいろな、これをやっていくときに当たって大事なご指摘は、これは十分認識することにさせていただきまして、この文章そのものの文言につきましては、ご指摘のようなものの中で私にご一任させていただきまして、修文をやらせていただきたいと思います。お認めいただけるでしょうか。
    (異議なし)

    【部会長】どうもありがとうございました。
     委員の皆様におかれましては、これまで5回の回数を重ねまして、精力的なご議論をいただきまして、部会長の私といたしましては、このVOC抑制について一定の方向が打ち出されたということが言えるかと思いまして、感謝申し上げます。
     ここでひとまず、VOCの排出抑制に関する議論の区切りをつけたいと思いますが、最後、全体のまとめとして何かコメントございましょうか。
    (なし)

    【部会長】それでは、ございませんようですので、これで終わらせていただきます。
     それでは、議事の2のその他というのがありますが、事務局から何かご連絡等ございましたらお願いします。

    【環境管理局長】議事の2としては、特別なことは用意させていただいておりません。
     本日は大変ご熱心な討議をいただきまして、意見具申案をお取りまとめいただきました。この間の大変充実したご議論をいただきましたことにつきましても、心から感謝を申し上げます。もう繰り返しになりますので多言は申し上げませんが、今般の意見取りまとめは、これは産業界、企業の努力、積極的な取り組みというものと、私ども行政の対応というものの双方が協力し合って、よいものをつくり上げていくというところに一番のポイントがあるのだというふうに思います。そこのことを拳々服膺して、これから施策を進めてまいりたいと思いますし、引き続き当部会でもそれがうまくいくように、適時適切なタイミングでご指導をいただけるならありがたいと思っております。これからのご指導につきましても、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

    【部会長】どうもありがとうございました。それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。