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中央環境審議会
循環型社会計画部会(第2回)議事録


○平成13年5月31日(木)10:40~12:19
○於:環境省第3会議室

<議事次第>
  1. 各個別法の基本方針の概要説明
  2. 循環型社会形成推進基本計画に盛り込むべき事項について
  3. その他

午前10時40分開会

○企画課長 それでは、まず出欠状況についてご報告を申し上げます。
 本日、12名の委員からご出席の連絡をいただいております。したがいまして、定足数に達しております。
 なお、本日から循環型社会の形成を進める上で適正処理、不法投棄対策が大変に重要でございます。そうした観点から警察庁生活安全局生活経済対策室の渡辺補佐にオブザーバーとして参加いただいているのでご紹介いたします。

○警察庁生活安全局生活経済対策室渡辺補佐 生活経済対策室の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。

○企画課長 まず、お手元の配付資料をご確認いただきたいと思います。中央環境審議会循環型社会計画部会第2回議事次第に資料ナンバーが1から10まで書いてございます。時間の関係上、一々確認は省略しますが、全体でナンバー10までということで、ご確認いただければと思います。
 部会長、引き続きよろしくお願いいたします。

○中島部会長 それでは、これからいよいよ報告事項を始めさせていただいてよろしいですね。
 それでは、まず報告事項といたしまして、各個別法の基本方針の概要説明を事務局からお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○企画課長 それでは、お手元の資料のナンバー1をごらんいただきたいと思います。
 これは廃棄物処理法に基づきます基本方針でございます。本文は2ページ以下に現物をつけてございますが、1ページに概要版をつけてございますので、これで簡単にご説明したいと思います。
 これは昨年の廃棄物処理法の改正に基づきまして、去る5月に策定したものでございます。基本的な方向等は、これは法律の趣旨を踏まえたものということでございますが、特に2の廃棄物減量化目標ということで、平成22年の目標値を定めております。それぞれ一般廃棄物につきましては、排出量を5%削減し、再生利用量を11%から24%に増加。それから最終処分量を半減する。
 それから、産業廃棄物につきましては、排出量の増加を約12%に抑制し、再生利用量を約41%から47%に増加、最終処分量を半減するという目標を定めております。
 そのほかに3、4、5と書いてございますが、それぞれ国民、事業者、地方公共団体及び国の役割、それから処理体制の問題、一般廃棄物、産業廃棄物についてそれぞれでございます。それから不適正処理の防止、優良な業者の育成、それから4に書いてございますような全国的な施設整備目標ということで、例えば産業廃棄物の最終処分場につきましては、平成22年度に要最終処分量の5年程度を確保できるようにするといったようなこと。それから一般廃棄物処理施設の整備、産業廃棄物処理施設の整備、この中にPCBの処理施設の整備も入っておりますが、こういったようなことが基本方針ということで、先般定められたばかりでございます。

○リサイクル推進室長 引き続きまして、私の方からはリサイクル法の関連で制定されております5つの基本方針について説明させていただきます。
 最初が資料2でございますが、これは資源の有効な利用の促進に関する法律で、これはこの後ご説明する4つの法律と、少し法律の立て方が違っておりまして、事業者の自主的な取組を促す形で取組を進めようという点と、リサイクルにとどまらず、リデュース、リユースを含めたのいわゆる3Rの活動を事業者にお願いするということで、資料3以降でご説明する法律と基本方針の立て方が少し違っております。
 資料2の1枚目、概要の説明図でございますが、ごらんいただきますように、全体が大きく5つの構成に分かれておりまして、最初に原材料等の使用の合理化に関する目標について製品で6製品、副産物で4種類の定めがございます。それから再生資源の種類ごと、あるいは再生部品の種類ごとに、これらの利用に関する目標が22製品について定めてございます。また3つ目の柱といたしまして、製品の種類ごとに、長期間使用の促進に関する事項について定めがございます。4つ目の柱が環境保全に資するものとしての、このような取組の意義についての知識の普及に関する事項、5番目に、その他資源の有効利用促進に関する事項として、当事者ごとの目標ということで、事業者を初め国、地方公共団体といったそれぞれの主体ごとの取組目標が定めてございます。
 それから、資料3でございますが、以下が個別の品目に着目しましたリサイクル法の施行に伴います基本方針でございます。資料3は容器包装リサイクル法の関係でございますが、容器包装リサイクル法の関係は1枚目の図を見ていただきますように、全体で7つの柱が立ってございます。一番最初に分別収集、さらには分別収集したものを再商品化、リサイクルすることを促進していくための基本的な方向が定められておりまして、お手元の資料の次のページを開いていただきますと、基本方針の全文がついておりますが、そのページの下3分の1のあたり、1のところから、再商品化等の促進等に関します基本的方向ということが書いてございます。下から8行目、「製品の開発、製造から消費、廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、使用済製品の再使用、原材料として利用するリサイクルの促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システムを構築することが必要である」でございます。
 以下、ご説明しますと、法律でも似たような表現がございますが、基本的にここに循環型社会のシステムを構築していくことの必要性が、まずうたってございます。この指針につきましては、容器包装リサイクル法も、既に平成9年から施行され、丸4年を経過しましたこともございまして、平成12年からの完全施行に備えまして改正を行った平成11年7月とこの5月と、これまでに二度、この基本方針の改定を行っております。
 改定の内容といたしましては、平成11年7月の段階ではプラスチック製、紙製の容器等につきまして再商品化、リサイクルの手法について、より具体的に書き込みを行っております。1ヶ所だけご紹介させていただきますと、今の指針本文のページで4ページ、資料3の3ページ目の裏側ですが、ちょうど中ほどに・としてプラスチック製の容器包装についての書きぶりがございます。これは制定当初は、もう少し簡略な書き方でございましたが、先ほど申しました11年の改正で、2行目でございますが、プラスチック原料、プラスチック製品に加えまして、高炉で用いる還元剤、以下云々ということで、ケミカルリサイクルの手法についても明記されております。
 また、そのすぐ上の・でございますが、これにつきましてはついこの5月28日に改正いたしました。ペットボトルのリサイクルにつきまして、従来フレーク、ペレットという形で原料化し、リサイクルをしておりましたが、・の3行目、「又は」以下でございますか、「ペットボトル等の原料となるポリエステル原料云々が得られることとなるが、」という部分ですが、これはいわゆるボトル・トゥ・ボトルの技術と申しますが、ペットボトルをモノマーの段階まで戻しまして、ペットボトルそのものに再生、あるいは他の繊維製品等に再生する手法でございますが、そうしたものも位置づけるといった改定を行ってきております。
 それから、資料4でございますが、この4月から施行されました家電リサイクル法の基本方針でございます。これも基本的な構成は、ここにございますような形で、大きく5つの柱、最初に制度を総合的、計画的に進めていくための基本的方向がうたってありまして、2つ目の柱に排出抑制、3つ目の柱としてリサイクル等の促進のための方策、さらにはこうした取組をすることの意義に関する知識の普及、その他事項ということで、例えばLCA手法の研究開発等を進めるべきこと等が盛り込まれております。
 循環型社会に関しましては、その資料の次のページをお開きいただきますと、指針の1ページ、後段からでございますが、この基本方針は、前段に書いてありますような事実認識のもとに、「特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等を、総合的かつ計画的に推進するため、必要な事項を定める」ということで、そこからさらに2行飛ばしていただきまして、先ほどの容器包装リサイクル法と同じでございますが、「製品の開発、製造から消費、廃棄等に至る各段階において云々」ということで、次のページにかけて循環型経済社会システムを構築することが必要だということが明記されてございます。
 それから、先を急いで恐縮ですが、資料5、これは前回リサイクル個別法をご説明いたしましたときに、若干建設リサイクル法に関しては基本方針のご説明をいたしましたが、もう少し補足させていただきますと、立て方は全体が6つの構成になっております。リサイクルを促進していくための基本的方策、排出抑制のための方策、それから促進方策として、家電リサイクル法等では政令の段階で具体的なリサイクルの目標値が書き込まれておりますが、建設リサイクル法におきましては、この基本方針の中で、22年度までにコンクリート等について95%のリサイクルを実現していこう、直轄事業では17年度までに処分量ゼロを実現していくことが盛り込まれ、そうした目標を掲げることでリサイクルの促進を図ることがうたわれております。
 建設リサイクル法の特色としましては、さらに次の4つ目の柱として、再資源化された物の利用の促進についての記述がございます。この中では、国による率先利用等に関する規定もございます。
 ちなみに建設リサイクル法の基本方針本文でございますと、資料に全文を載せておりますが、前文の2ページのところに、先ほどから繰り返しご紹介しておりますのとほぼ同じような表現が記載されております。2ページの中ほど、基本理念(1)のところに循環型社会経済システムを構築することの必要性についてうたってございます。
 さらに、この建設リサイクル法と、この後ご説明します食品リサイクル法におきましては、循環型社会形成推進基本法の成立と相前後して法が制定されましたので、次の3ページでございますが、基本方針の中に基本法に関する言及がございまして、次のこの方針の全文の3ページをごらんいただきますと、1行目からでございますが、「循環型社会形成推進基本法における基本的考え方を原則とし、発生抑制以下、再使用、再生利用、熱回収、やむを得ない場合の最終処分」ということで、資源の取扱いの優先順位が再確認されております。
 それから、最後になりますが、資料6の食品リサイクル法の関係でございます。食品リサイクル法の1枚目の図を見ていただきますと、大きく四角が5つございます。柱が5本立てになっておりまして、リサイクル等の促進に関する基本的方向、それから、再生利用等を実施するための目標。食品リサイクル法では、促進策と目標が柱立てとしては分けて書いてございます。さらには、それに知識の普及及びその他事項ということでいくつかの留意事項が書いてございます。
 さらに、食品リサイクル法の場合には、若干容器包装以下のリサイクル法と違いまして、
本文の方をごらんいただきますと、本文の1ページの終わり5~6行でございますが、法の基本的理念ということで、「製造以下、各段階において食品循環資源の再生利用並びにその発生の抑制及び減量を推進し、循環を基調とする循環型社会を構築していく必要があるということをうたっているところは共通ですが、その次に一番最後の行でございますが、「また、食品循環資源を肥料又は飼料として利用することにより、農林漁業の自然循環機能を維持増進していくことが重要である」。との記述があり、農林漁業の自然循環機能の維持増進という観点が食品リサイクル法ではあわせて盛り込まれております。
 さらに本文を引き続きごらんいただきますと、2ページの上のところでございますが、この基本理念の中のロでございますが、再生利用等の手法に関する優先順位ということで、循環型社会形成推進基本法の第3条から7条の基本原則が引用してございまして、具体的には発生抑制、さらには再生利用の推進ということがうたってございます。食品リサイクルの場合、若干、他のリサイクル法と異なっておりますのは、ちょうどロの4つ目の段落の「第三に」というところでございますが、食品廃棄物につきましては非常に水分の含有量が多うございます。また腐敗しやすいという特色もございまして、脱水、乾燥等による減量ということをひとつ明確に位置づけを行っております。この点は若干、他のリサイクル法と違うかと思います。
 以下、基本的に関係者の役割、こうした取組の意義の普及、その他事項については基本的に他のリサイクル法と同様の構造で基本方針が策定されております。
 以上でございます。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 以上、廃棄物処理法の基本方針と、各個別法の基本方針についてご説明いただいたわけですが、ただいまの報告に関しましてご質問ございましたら、どうぞお願いしたいと思います。

○浅野委員 個別法の方針が一応出そろってきて、こうやって並べてみると、いろいろなことがわかってくるわけですけれども、やはり個別法は、それぞれの法律の分野の固有の政策目的を持っていて、それを循環型社会形成という、何となくまくら言葉でつないではいるんですが、必ずしも全体として循環型社会形成という一つの哲学の中に、うまく自分の座席を置いているとは限らないわけですね。特に食品リサイクル法の場合には、最初から所管省庁がどこであるということがあるものですから、かなり他のものとは違った性格を持っている面がある。
 それからもう一つは、資料5ですが、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律ですけれども、これは事の性質上、一旦建物を解体したような場合には、それが廃棄物になってしまって、そこから今度は循環資源、再資源を取り出していくという構造にならざるを得ない。これはどうにもならないので、そういう構造にならざるを得ない。他のものの場合には、例えば工場で副製品が出てきた場合は、それを最初から循環資源として取り出すことができるわけです。ところが、建設の場合には、どうしても現場で解体ということがあるものですから、一旦廃棄物ルートに行くということになります。そうすると、そこでは一応廃掃法の縛りがかかった上で、そこからまた改めて循環の方に行くという構造になる。そんなふうに、それぞれの場面の違いとか、あるいは取り扱い上の構造上の違いとか、そういうことを各個別法は引きずっていることは確かなんです。
 だから、これを全部横に並べておいて、それに見出しをつければ循環基本計画になるというわけには、とてもとても参らぬというのが、私の一番言いたいことでありまして、事務局としては、さらに我々の思考を助けるために、きょうは資料を、一応全体を眺めるということでつくっていただいて大変勉強になるわけですが、さらに少しマトリックス風に循環基本法が考えている施策の項目のようなものがあれば、その項目が個別の基本計画の中ではどんなふうに位置づけられているか、どの部分は欠落しているかあるいはうまく入らないのかということを考えて、そういうマトリックスをつくっておくと、今後、我々の作業に資するのではないか。
 こういうのは、本来なら、研究室で学者が学生を使ってやる仕事なんだろうなとは思うんですが、我々社会科学は人がおりませんので、できれば工学部の先生方が助手でも使ってやっていただくとありがたいんですけれども、とりあえず事務局に、そういうことを、もしやっていただければ助かるなと思います。お願いしたいと思います。
 目標についても、一つ一つのものの中で目標が掲げられておりますから、できることならそこで掲げられている目標というものが、その分野でどのくらいの量を、将来的に取り扱うことになって、それが量的にはどのぐらいの削減ということを目指しているのかということが、各省庁といろいろ情報交換をしていただいてわかってくると、それぞれが目標を達成した場合は、全体でどのぐらいの削減効果が上がったのかということがわかると思うんです。もちろん廃掃法で言っている目標と個別法で循環利用しようと言っている目標とオーバーラップしますから、そこの調整は必要なんですが、しかし、みんな根拠なしに物を言っているはずはないわけで、個別法のところで各省庁は、決意とともにある程度の根拠を持って数字を挙げられているんでしょうから、それは当然、検討の基礎になると思うんです。それを基礎にして、我々として、さらに努力すべきことがどこにあるのかというようなことを考えていくということになるのではないか。
 いずれにせよ、個別法の出されている方針というのは非常に重要な検討の素材になると思いますので、よろしくお願いいたします。

○中島部会長 どうも大変包括的な大局的な見地からのご意見ありがとうございました。
 事務局の方からいかがですか。

○企画課長 ご指摘のマトリックスにつきましては、また時期を見て提出させていただきたいと思います。

○中島部会長 では、加藤委員、お願いします。

○加藤委員 今、浅野先生のおっしゃったこと、私も全く同感ですが、私のは単純な質問で、資料1の1枚目に、廃棄物減量化目標、平成9年から平成22年にかけて、これは例のダイオキシンの特別措置法をつくったときに掲げた目標と全く同じでしょうか。それとも、その後、変化が生じているんでしょうか。最終処分量半減という最後のところは、同じように思うんですが、途中にあるのがどうか。
 それから、もちろんダイオキシンの特別措置法以降に、今、浅野先生から出ました建設廃材のリサイクル法とか廃食品のリサイクルだとか、それからもちろんそれ以前の家電リサイクル法の実施だとか、恐らく廃棄物の排出量あるいは最終処分量に相当変化が生じているというように思われるわけなんですが、そこはとりあえずは、この基本方針には、その点は盛り込んでいない。別に総理大臣がゴミゼロ社会にすると言っているから、本当はゼロでなくてはいけないとか、それは、まあちょっと政治的なスタンスだということで置
いておいて、まじめなレベルでは── まじめといいますか、総理大臣がふまじめだという 
意味では全然ないですが、むしろ向こうの方がよっぽどまじめだと思うんですが、ちょっとどういうふうになっているのか、お聞きしたいと思うんです。

○中島部会長 いかがでしょうか。

○企画課長 まず、前提としまして、ダイオキシン対策関係閣僚会議は平成11年9月に決定しております。この基本方針は、先ほど申しましたことしの5月に決めたので、時間のずれがございます。したがいまして、ダイオキシン対策関係閣僚会議の際には、平成8年度の現状をベースにその目標を決めておりますが、今回は平成9年度に置きかえております。
 そういった意味で、ベースとなる数字が若干違っているという点と、それから、今、ご指摘がありましたように、この新しいものをつくる時点で、織り込みが可能な新しい動きというものを織り込んでおります。ただ、結果としましては、11年9月に決めたものと余り違わない結果になっているということでございます。
 そういった意味で、大筋を立てたら、例えば産廃について排出量の増加を、従来13%抑制だったのを12%にするとか、それから再生利用量を1%ぐらい、それぞれ修正するとか、その程度の結果にしか、実は、そういった見直しを行いましても変っておりませんが、ベースの見直し等を行ったということでございます。

○加藤委員 今のご説明は、それはそれでご説明としてはよくわかりました。
 ただ、私はこの部分をまさに後で議論したいなというふうに思っております。なぜかというと、産廃が13%から12%になったとしても、なおかつ増加を見ているという点が非常に疑問なんです。建設廃材と食品リサイクルで、あれだけリサイクルをすることになっておった。特に建設廃材なんかは、きょう配付された基本方針の中に、直轄事業はゼロにすると書いてあるんですね。それから直轄事業以外についても、たしか10年以内に95%ぐらい削減することを目指すというのは、たしか旧建設省、今の国土交通省の、多分方針だろうと思うんです。それから、従来廃棄物の非常に大きな原因となっていた食品関係の廃棄物だって、もし、あれほど本当にリサイクルをするのだと、相当減量化が出てくるわけですね。それは一般廃棄物も、例えば家電のリサイクルがもし進めば、とか出てきまして相当…。ただ、数字がまだ出ていないな、実績はどうやって合理的に見込んだらいいかというのが非常に難しいというのは、非常によくわかりますけれども、私たちが、この循環型社会形成推進基本計画というものをつくるというときの1つの大きなポイントではないかなということだけ、とりあえず申し上げておきます。

○藤井委員 浅野委員のご指摘で、個別法と循環基本法のマトリックスができると、非常に私どもはありがたいと思います。
 そして、ここの議論ですが、この個別法については、どれほど踏み込んで議論していいのかです。つまり、もう動き始めている個別法については、容リ法にしても、そして食品リサイクル法についても、現場では非常に問題が起きているわけで、個別法をきっちりとここで抑えつつ基本計画をやっていくのか、その辺の関係をどういうふうにここで議論するのかということを確認したいと思います。
 つまり、ひとつ食品リサイクル法についていいますと、ここに書いてありますような肥料、飼料という、主に現場では肥料を一生懸命つくっているわけですが、この過窒素状態が、既に土壌と水の中に出ているわけです。琵琶湖の富栄養化のことを考えても、土壌から水への硝酸性窒素が非常に出ているわけで、各地域を見てみますと、あそこもここも、みんなコンポストと全部土壌還元で、これが本当に環境に負荷を与えない中での本来の意味での循環を考えた施策とは、とても思えないんです。
 そういうことを含めて、個別法で既に問題が起きていることを、ここでどうするかということを確認したいと思います。

○江口委員 私は、2回目の会議ですので、細かい個別論、さっき浅野委員がおっしゃったように全体のマトリックス、浅野先生は法律家ですから、マトリックスのインターフェイスが気になるんでしょうけれども、私は循環型社会を形成していく、要するに主体者というのは一体だれなのかと。一つは企業であり、あるいは自治体である。国は、そういった意味では枠組みをつくるんですね。ちらちらと見ますと、私も時々使っちゃっているんですけれども「動脈産業・静脈産業」と。川上と川下を二分化しますと、循環型社会を形成するエネルギーにならないと思うんです。むしろ、さっきも出てきましたけれども建設業界、つくっているところからできるだけ廃棄物あるいは建設廃材が生じないような施工方法、製品の開発をしているわけです。ですから、全体の循環を形成していくエネルギーとか各企業体あるいは自治体の自己責任という、そこをしっかりと抑えて、それを進めるような、恐らく環境省のイニシアティブが極めて大事だと思うんです。各省庁、いろいろなインタレストがあると思うんです。ただ、循環型社会を形成していく主体者に対する一つのエネルギー。
 私はよく工場を見に行くんですけれども、結局、改善運動を延長しますというと、恐らく循環型社会の方向に進むんじゃないだろうか。ISOの14000 シリーズというのをよく挙げるんですけれども、あれは既製服をつくっているんですね。各主体はテーラーメイドのものをつくっているわけですよ。それを進めるような、主体を生かしていくような流れをつくることが、循環型社会形成推進基本法の基本的なコンダクターの役割だろうと思うんです。

○中島部会長 ご意見をお聞きした上で、事務局長の方から総括的にお願いしたいと思います。
 それでは、古市委員、お願いします。

○古市委員 今、浅野先生、江口さんの言われたのは、両方とも同感ですけれども、マトリックスの方は、基本的には基本法の理念というのは個別法の全部に生かされていないと、項目としては全部に対応しないといけないはずですね。その中で、どうプライオリティをつけていくかというお話だろうと思うんです。それを何かやれというのだったらやりますけれども、後でまた検討したいと思いますが。
 それと、だれが主体かというお話もありますけれども、循環型ということで、リサイクルする、回るというお話よりも、物を、廃棄物、資源、両方の含みがあるかわかりませんけれども、これがどう流れていくかという物流ですね、これをしっかり抑える必要があるんじゃないかな。物流の量と質と両方ですよね。両方抑えていかなければいけない。これをどう変換していくか。処理というプロセスもありますし、リサイクルというプロセスもありますし、そういうものの定量的な側面、主体、それから制約、いろいろなものを明確にしていくプロセスというものが重要じゃないかな。その中、要するに、大きな物流の中に循環があって、その循環なり物流の中に処理システム、例えば最終処分システムというものもありますし、そういう大循環を考える必要があるんじゃないかという気がいたしております。

○中島部会長 個々のご意見に関しましては、この後の議題で挙げておりますので、今の個別法等のご説明に対する質問にしたいと思います。

○浅野委員 まだ、何か基本方針について具体的な事実についての質問があれば、それを先に処理をした方がいいと思うんです。
 さっきの藤井委員のお話に関連して言いますと、私、ちょっと、さっきは実は藤井さんほど露骨に物を言わないで非常に穏やかに言った。ただ、現実には、個別法での方針というのは既に決定されて出ているわけです。そして、その出ている方針そのものは、関係する各省が全部協議してつくっているということがありますから、当面はこの方針そのものを直ちに、循環基本方針ができたから、こっちの計画に変えろということはなかなか難しいんですが、やはりこれは最初から危惧されていたとおりなんですね。僕は、その点は藤井さんのご意見に賛成なので、本来こんな循環基本法ができて計画ができるのならば、それを待って個別法の方針をつくってほしいという気持ちがむしろありましたね。残念ながら順序が逆になってしまっている。だから、次に個別法改正あるいは個別法の方針の改定の段階では、きちっと循環基本計画に沿ったものになってもらうということにせざるを得ませんから、ここでは、この基本方針は指標の前提で、これを大前提にして議論しなければいけないという縛りはないと私は考えておりますけれども、しかし、これを無視するということはできませんから、例えば数字を変えるときに、ここで考えている数字が一応のベースになるというようなことはあるだろう。
 そして、さっきのできたものを、どこにどう持っていくのかということに関しては、こっちの基本計画できちっと仕切りをつけておいてあげないと、個別法の世界というのは、つくったものの再生資源の持っていき場所について限定的にしかとらえていないという面があるんです。だから、それを横でちゃんと動かしていけるような仕組みをつくるところに循環基本法と基本計画の意義があるのだろうと思いますが、藤井委員のご発言は、私は大いに議論の中で参考にできることだと思います。もし間違っていたら、どうぞ事務局の方で訂正してください。

○中島部会長 ありがとうございました。
 先ほどのご報告の質問に関してはよろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方から……。

○企画課長 今、浅野先生がお話しいただいたとおりだと思います。循環基本法は文字どおり基本法でございまして、全体の目指すべき方向、全体の姿というものを示していく。これは目標についてもそういうことになるのだと思います。
 それに対して個別法は、ある意味では規制法的な側面がかなりございますから、そういった規制的な措置とあわせて具体的に措置する。これは両々相まって実効性を高めていく。したがいまして、基本法に基づく基本計画も、個別法を視野に置きながら、逆に個別法の基本方針も、一たんつくったらそれでおしまいということではございませんで、当然見直しもございますから、そういう機会には、当然基本法も視野に置いた中でというようなことで、両々相まって循環型社会に向けた計画づくりが進まれていくなというふうに考えております。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題がございますので。
 前回、大変活発なご議論、ご意見をいただきました各委員の方のご意見について、書面の形で提出いただきまして、それをそのままの形で、全体をまとめたものとして資料を用意させていただきました。これに関しまして、事務局の方からご説明ください。

○企画課長 資料7と8でございます。8が各先生方からちょうだいした意見の原本の写しでございます。
 資料7が、事務局の方で、とりあえず論点ごとにまとめさせていただいたものでございます。事前に先生方には資料7、8についてはお送りさせていただいていると思います。それから、資料7の整理として、若干細かいところを変えて、例えば資料7の4ページでございますが、市民とNGOを分けておりましたのを、市民・NGOの役割ということでまとめさせていただいたとか、それから5ページでございますが、教育及び学習の振興ということで、コンパクトなタイトルにしたということで整理をさせていただきます。この資料の説明は事前にお送りしておりますので省略いたしますが、むしろこれは、部会長ともご相談しましたが、この使い方でございます。私ども事務局としましては、後で、今後、次回以降のヒアリングの候補もお諮りをしたいと思っておりますが、その際に、先生方からちょうだいした意見をまとめました資料7をベースに、これをヒアリングの際に、各ヒアリングの団体等にお送りをしまして、先生方の問題意識をご理解いただく。その上で、実はこの資料7の柱に沿って、各団体から循環基本計画について盛り込むべき事項等にご意見をいただくという形で、この資料7というものを活用させていただいたらどうかというふうに思っております。
 そういった意味で、本日、まだご意見をちょうだいしていない委員の先生方、ないしはこういう形で資料7という形で整理をさせていただいた、特に整理の仕方、内容等についてご異議のおありの先生方等についてご意見をちょうだいできればというふうに思っております。

○中島部会長 ありがとうございました。
 ただいまご説明がありましたように、この貴重な資料は、部会の意見の結論ということではなく、集大成としてまとめさせていただいたものでございまして、次回から予定しておりますヒアリングの、ヒアリング先にあらかじめ参考資料として、我々の委員会の意見というのはこういうものであるということでお配りしておくことを考えております。そういうことを前提にしておりますけれども、このまとめ方等に関しまして、何か補足していただくこととか、ご意見がございましたら、お願いいたしたいと思いますが、武内先生、どうぞ。

○武内委員 資料を出しておりませんが、おおよそここに書かれていることは大変もっともだというふうに思っております。とりわけ、私が前回申し上げた自然の生態系と、それから人工の物質系というものの調和というふうなところを高い目標に置きつつ、個別の事柄に対しても検討していくというふうなスタンスが、非常によく出ているのではないかと思います。
 私として、さらに幾つかの点で、こういうふうな考え方をしたらどうだろうかということを申し上げたいと思います。1つは、今、議論がありました個別法と基本計画が目指すものとの間のずれをどう解消するかということですけれども、一つは、今、事務局の方から説明がありましたような、いわば計画自身の性格の違いというふうなことで仕切るという形もあろうかと思いますが、私はもう一つのやり方があるのではないかと思っているんです。
 それは短期的な目標というものと、それから中期的、長期的な目標というものをある程度整理して、そして個別法に密接に関連する部分に関していえば、どちらかというと短期的な目標の中で処理していく。そして、長期的な目標の中では、例えば産業社会の構造の本質的な変革、あるいはもう少し高いところの人工、自然の調和というふうなことも話の中にあろうかと思いますが、例えば現時点で、先ほどお話にありました窒素の循環ということを考えますと、これは今の時点で理想論を言えば、飼料作物の輸入をやめるというふうなことを政策として提言せざるを得なくなるんですね。そういうことが単純に言えるわけもないし、また、それを今、この基本法の中で具体的な個別法との関係で言えるわけもないわけですが、しかし、そういうふうな問題意識は、やはり提案していくということは必要で、これは本質的な問題からいえば、経済のグローバル化というものと、地域社会の循環系の形成というものの、いわば折り合いのつけ方という非常に重要な問題だと。その
ことについては長期的な議論の中に含めておくというふうな考え方が必要なのではないか。
 それから、今、経済社会の話をしましたけれども、もう一つ、今のことに関連していえば、例えば窒素を堆肥という格好でやっていくということに関して、これはもう限界が見えているというのは、皆さんご承知のことなんですね。ただし、その有効な利用に関して、技術が十分対応しているかというと、対応していないんですね。今は、例えば、いわゆる生物的な残渣から、ある種の貴重な要素を取り出すという格好の、例えば乳酸をつくり出すというふうな技術が、今、開発の途上でありますし、それからダイオキシンの問題に関していいましても、ダイオキシンを分解する微生物、こういうものを活用するというふうなことは研究レベルで議論されております。
 しかし、これは、今、政策レベルでそんなことを言っても、社会の中で使えるようなものになっていないわけですけれども、こういうものも、例えば基本法の中で科学技術の振興というものが循環型社会の形成に対してどの程度の貢献をするのかということを踏まえて、例えばその部分についての科学技術振興をうたうというふうなことは、当然のことながら可能だと思います。現在の時点では確定していない先端技術の適用というような、そんなふうな形の議論がされていくのではないかというふうに考えるわけです。
 それから、もう一つ、この議論の中で私がやや気になっておりますのが、物の流れということが、やはり議論の中心になるということは別に否定はいたしませんけれども、物を流す場合のエネルギーがどれほどかかっているのかということについては、これは個別法の事柄にまで及んで、私どもとしては重大な関心を持たざるを得ないと思うんです。物が回るために大量のエネルギーが生じるということは、これは例えば地球温暖化の問題等を含め、大変重要な、むしろ循環型を目指すことによるマイナスの効果というふうにも考えられるわけであります。
 そういう点で、文章の中で、例えば個別法の中でライフサイクルアセスメントというようなことを言っておられますけれども、それだけでは私はやや不満でありまして、つまり物とエネルギーを一体として評価していくということの仕組みというのを、やはり基本法の中では大きな問題として、ぜひうたっていくべきではないかというふうに思うんです。そういうふうなことについて、この議論の中で少し加えていただければ大変ありがたいというふうに思います。
 以上でございます。

○中島部会長 今、基本法では、循環型社会の形成は技術的及び社会経済的な可能性を踏まえつつありますけれども、今のお話は、そのことにも関連しますかね。エネルギーに関しましては、具体的には名前が出ていませんけれども。

○浅野委員 必ずしもそうでもなくて、私、ペーパーに書いたけど、8条の規定があって、他の環境課題との関連性をという、その部分なんです。

○崎田委員 私は個別に意見を出させていただきまして、それを全部織り込んでいただきましたので、細かい項目に関しては、きちんと整理していただいたのでありがたいと思っています。どうもありがとうございます。
 それで、私は余り細かく書き過ぎましたので、総合的なことをほとんどきちんと記述していない面もありますので、一言申し上げさせていただきたいと思いますけれども、実は、今、ほかの先生方からのご意見を拝見して、1番の総論に関するところに本当にいろいろきちんと項目が出ておりますので、今後のヒアリングとかいろいろかけていく場合に、この総論に関するあたりをもう少し厚くして、この循環基本計画で私たちが目指そうとしている社会に対するイメージを、ここにもほかの先生のご意見が入っていますが、具体的なイメージ、例えば今から10年後、20年後、30年後、どういう社会をこういう流れの中で、どういうライフスタイル、どういう産業構造の社会をイメージしているのか、逆にそれは技術が革新していくとイメージはできないのだというのかもしれない、何かその辺のことをひとつわかりやすく最初に提示していただきながら、そういう社会を形成していくために、いろいろな分野でどういう努力が必要かという話をわかるような形で計画が記述されていくと、非常に説得力があるのではないかという感じがいたします。
 あと、やはり今回のこれは物の循環ということになっておりますけれども、それを目指すのは、自然と物と人とすべての命が共生する社会が、持続可能な社会ができていくための、今の循環というところですので、その辺を目指しているんだということをしっかり抑えていただくと、社会全体でこの基本法が持つ意味の大きさというのを、みんなに理解していただけるのではないかという感じがいたします。
 あと、先ほど循環型社会をつくる役割の主体はというお話があったんですが、やはり技術を持っている産業界と、そういう製品を使って生活をする多くの市民、国民が、いかに真剣に考えてライフスタイルを転換していくか、あるいは自分の生き方を考えていくかというところが大変重要だと思うんです。ですから、やはり今回のこれは、かなり日本のこれからの社会にとって大きな転機になる大変大きな問題提起なんだということを、国民全部に常に問題提起ができるような形で循環型社会のつくる主体は、産業界と私たち国民全員というか、市民1人1人、そして自治体が最後の処分のところとか、全体の交通整理、常に消費者、国民、生活者というあたりを抑えていただくと、現実に進むときに大変動きがなめらかになるのではないかと感じました。

○中島部会長 基本計画にも、ある程度盛り込まれているかもしれませんが、その足りないところなど整理していく形になっております。
 江口委員、お願いします。

○江口委員 私、先ほどもちょっと発言したんですけれども、まずごらんいただきたいのは、循環型社会の範囲というところの3行目に「静脈産業と動脈産業の連携」、これは物すごく大事で重たい表現なんですね。この連携をどうするかということが、循環型社会形成を進めていく基本でございます。これを動脈産業と静脈産業と、私は医学のことは知らないんですけれども、静脈の血管は細いわけですよ。ところが、静脈産業というと、何か弱いような気がするんですね。私は静脈産業と動脈産業を二分化する考え方に反対というか、注意する必要があるし、また動脈産業の定義あるいは静脈産業の定義があいまいのまま、感覚的に使うことに対する危惧を感じるんです。これは藤井委員のところで言っておられるようなんで、まさに循環型でありまして、ぐるっと回って全体がダイナミックに地域社会が活性化する。それからもう一つ、ですから、この定義をもう少し、委員間において共通な認識を持つ必要があるだろう。
 それから、7ページ目の国際連携でございます。非常に難しいですけれども、今回も
「環境白書」は非常にすばらしい白書になっているわけですけれども、まず国内を言いまして、それからぽつっと国際連携。実は、国際連携に全部かかってくる問題なんですね。しかも、「国際的な観点からは、海外市場における競争力の低下」と言っているんです。私は逆でして、環境を考えてつくられた製品の方が国際競争力があるのだと。競争力が低下するという、どうしてこういう表現がいきなり出てくるのか、全く私は納得ができないんです。
 それからもう一つ大事なことは、農業、農産物、WTOの関係、この接点をもう少しクリアにしませんと、環境省が中心になって省庁を引っ張っていくエネルギーがないと、せっかくの循環型社会形成推進基本計画が計画倒れになってしまうかもしれないという危惧を感じるんです。
 以上です。

○浅野委員 誤解をしておられるんじゃないかなと、ちょっと気になるのは、これは9人の委員が出した意見がそのまま並べられているだけで、ですから環境省が、事務局がこういうことを言っているのではないんです。その辺は、むしろここでディベートをやらなければいけないことですから、突然出てくると言われても、それは事務局もお困りだろうと思いますよ。ですから、むしろそこでちゃんと議論すればいいことだと思います。
 動脈産業、静脈産業という言葉は、安易に二分化するのはいけないというご意見はよくわかります。ただ、こういう言葉の使い方は、もう既に環境基本計画をつくるときにさんざん議論して、そういう言葉が出ていますので、言葉としては、もう既に使われているんですよ。だから、それを使うなというのはちょっとまずいな。むしろ、どういう意味でその言葉を使うのかとか、こういうふうにそれを積極的に使うのだということを議論していくことが必要ですから、次の循環基本計画の中では、もっと我々の観点から、その言葉を使うときはこういう意味であるとか、あるいは完全に切ってしまうのはいけないというのは全くおっしゃるとおりで、そんなことは産構審でもさんざん今まで言ってきていることです。そこが出発点になって循環があるのだということを言っているわけですから、それは他の審議会も全く同じ認識を持っていて、これは言葉として委員の意見としてお出しになった方も、そのことを踏まえてご意見をお出しになっているのだと思いますけれども、
この中に書かれた方がお二方いらっしゃいますので、何かご意見がございましたら……。

○米澤委員 それは後でお答えしますけれども、先ほど武内先生が大変いいことといいますか、私自身も頭の中にもやもやしているところを、極めてクリアにお話しいただいて大変啓発されたわけで、私も書いておりますけれども、短期の今やらなければいけない問題と、少し長い、崎田さんもおっしゃいましたけれども、あるべき姿というものを分けて整理するのが非常に重要じゃないかと思います。
 それで、お配りいただいた資料7をざっと、私も書いた意見を取り上げていただいているんですが、さっと見た限りでは、将来に対する科学技術というものの触れ方が非常に少ないですね。企業の製品開発の技術というようなところしかないというところは、先ほどの先生のお話で、なるほどそういう観点でこの問題をとらえて、どういう項目の中に入れるのかわかりませんけれども、科学技術の発展というものを引き出す、あるいはそういうものを有力なツールにして、循環型社会の形成というものを目指すという観点が絶対要るなと思います。
 それから、国際連携の問題でございますけれども、実は競争力云々と書いたのは私でございますが、これは中でも議論したんですけれども、ちょっと私自身もいまいちぴんと来ないまま、練れない形で出しております。国際連携の問題につきましては、委員の皆様方がどういう視点で循環型社会の形成という問題と国際連携というのをお考えになっておられるか、むしろお伺いしたい。やはり、どうしても循環型社会といった場合に、この基本計画の中で私どもが目指すのは、まず一義的には大量生産、大量消費ということで戦後発展した、この我が国の経済社会のあり方を変えるというところであろうかと思います。その中で国際連携というのは、国際的な枠組みを言っているのか、もちろん支援は入れているわけですけれども、そういうつながりはある。しかし、一方では、生産活動を見ますと、物すごい勢いで海外移転が、今、進んでいるわけです。こういったものをどういう形で整理するのか、実は、はっきり申し上げまして練れておりません。
 以上です。

○横山委員 私も循環型社会の範囲の一番上の、静脈産業と動脈産業の連携という言葉を少し安易に使ったという意味では、ざんげしなければならないんですけれども、実は、やはりいろいろなことを今回に絡んで調べた結果、全体としてとらえる必要があるということで、静脈産業と動脈産業の連携という言葉を使いまして、これはもう少し二分しないとか、そういうことは学んでいきたいと思いますけれども、ただし、私が言いたかったのは、私のところには書いてあるんですけれども、基本法の2条では、循環型社会をかなり限定的にとらえている。私の解釈が間違っているのかわかりませんけれども、「もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される社会をいう」と、かなり限定的に定義している。この基本法に基づく基本計画だということになると、その縛りを受けるんじゃないか、これでいいのだろうかというようなことで、実は、では全体としてとらえるには何が必要かというようなことで、例示の一つとして静脈産業と動脈産業の連携というのを出したんです。
 以上です。

○浅野委員 今の点について、多少前からのかかわりがあるわけなんですが、循環基本法をつくるときの一番最初の議論は、環境基本法があるのに、なぜ循環型基本法なのか、ここが議論の出発なんですね。煎じ詰めていえば、環境基本法をしっかり固めていけば、それですべてはくくれるばすなんです。にもかかわらず、なお循環基本法をつくらなければいけないということで国会で論じられたのは、循環という大きな循環があって、その中に社会経済活動にかかわる循環部分というのは、もう少し細かく見ていかなければいけないんじゃないか。そこで循環基本法ということになった。一応そういう理解です。これは国会の議論の中に出ているわけです。結果として循環基本法のテリトリーというのは、ある程度狭い。しかし、「もって」という形で、最後は環境基本法に全部つながるという構造になっているわけですし、それから、我々が今、つくろうとしている循環基本計画は、環境基本計画をもとにしてつくるということなんですね。
 環境基本計画の中では、自然の循環を含め、大きな意味での循環と考えているわけですけれども、しかし、崎田さんがおっしゃったことは、確かに私はそうだなと思いながら聞いているんですけれども、実際にこの計画を読む人は、必ず環境基本計画を読んでから循環基本計画を読んでくれるわけではない。それは前に、第1次の環境基本計画をつくったときに、余りにもダブりが多い、どこを見ても同じことが書いてあるじゃないかと言われたんですが、そのときに私が答えたのは、「人々は関心があるところを読む。読んだときに、そこに必要なことが全部書いてなければ意味がない」と言ったことを思い出したわけです。だから、循環基本計画は循環基本法という一つの枠の中でつくられるものですから、当然一つの仕切りがあって、その中でものを言うということになっています。
 だから、我々も環境基本計画をきっちり読んで、どういうことを言っているのかというのをわかった上で、それと丸っきり違うことを言われちゃ困るわけなんですが、しかし、大体ここで皆さんがおっしゃっていることは環境基本計画に書いてあるんです。ですから、それをよく読んだ上で、それをもう一度、循環基本的計画をつくるときには、国民にわかりやすく示しておいて、そしてその上で、さらにこの部分はこういうふうにやらなければいけないんだという書き方をしていく。その意味では、私は崎田さんが、これから20年後、30年後、どういうライフスタイルを目指すんだ、どういう産業構造がいいんだというイメージをわかるように書けと言われたのはもっともだと思います。
 ただし、おっしゃいますように、環境基本計画にもわかるように書いてありますので、ぜひ読んでいただいて、それをもっとわかりやすくするために、あれは文章だから、今度はイラストで示すぐらいの柔らかさで書いてみようとか、こういう議論を我々はしていけばいいのだろうと思います。
 それから、物の流れについていうと、これも環境基本法の中に明瞭にあるわけですけれども、我が国の物質フローというときには、海外から調達してきて、物質が我が国に入り込む。国内で調達されるものがある。海外の調達のときに隠れたフローということで3倍も負荷をかけている。それが全部前提になっているんですね。その流れを何とか抑えていくことは地球環境にも資する。つまり環境基本法でいう「……もって何とかに資する」と、こういうふうになるわけです。だから、その点、当然つながりがあるという話なんですけれども、しかし、それを全部繰り返していたのでは、環境基本計画と同じものになってしまいますから、それはまずいので、循環というところに少しスポットを当てたものをちゃんとつくっていくということになるということだと思います。

○中島部会長 ありがとうございました。
 それでは、篠木委員。

○篠木委員 全国都市清掃会議の篠木ですけれども、1つ、まず確認させていただきたいんですが、先ほど、この7の資料をこれから行うヒアリングの素材にされるというお話だったんですが、9名の委員より提出していただいた意見の概要ということになっておりますけれども、前回のこの委員会で出た意見、あるいはきょう出たような意見も織り込んで、こういった委員の方々からは意見が出てきたという形で資料をつくってくださるのかどうなのか。もし、ここに出されているとおりの9名の委員だけのご意見で……

○中島部会長 それは私もちょっとコメントしようと思っていましたが、大事なところのご指摘、ありがとうございました。

○篠木委員 それで、全体の項目としては、大体網羅されていると思いますので、基本的にいいのかなと思うんですが、言葉を切って文章化されておりませんので、初めて読む方にわかりやすくするという意味で、内容をもう少し整理していただいたらいいのかなという感じを受けたということです。
 それから、この中で、2番目にある数値目標に関する事項が入っていて、これは非常に重要だし、ヒアリングを行う場合にいろいろな政策を進めようとしていこうとするときに、その政策の具体化が、例えば具体的な数値で減量化にどのくらい貢献するかというのが非常に関心を持たれる部分だと思うんです。そういう意味で、この数値目標のことをできるだけ書いておいた方がいいなというふうに思っているんですが、資料1で紹介されました、国でつくっていただいている減量化目標量、この中で一般廃棄物の方でいいますけれども、排出量5%削減して、最終処分量を半減にする、これが22年の当面の一つの大きな目標だと思うんです。これを現状は11%ということだったんですが、これを平成22年度、あと9年ぐらいしかないわけですけれども、その間に24%まで持っていこうとするわけですね。
 実は、この減量化目標の最終処分量を半減するためには、この再生利用量を24%に持っていかなければ、恐らく実現しない枠になっていると思うんですが、これが非常に難しいと思いますので、これをどういう形で、この新しい意見をいろいろな方から求めるプロセスの中で、考え方でもいいですから、きちんと出していく必要があるのではないか。
 一例を申し上げますと、先ほど企画課長さんは、平成8年度ベースを9年度ベースに変えたと言われたんですが、平成8年度のときの再生利用量は10.3%だったんですね。それが11%になっただけなんです。資源化量、容器包装リサイクル法等のリサイクルを含めましても、1年間で0.7 %しか改善できなかったわけです。これだけ平成8年度、9年度ごろから法律ができて取り組んできても、そのくらいしかいかなかった非常に課題の多い部分、ここをどうやって実現していくかということが、いろいろな人に関心を持ってもらう最大のところではないかという気がしますので、ここの部分をどういうふうに24%を実現するかということの方法論というんでしょうか、その辺に少し踏み込めたらば、いろいろ
な人にわかりやすいというか、理解を持ちやすいのではないかなという印象を持ちました。

○中島部会長 ありがとうございました。
 今の資料7は、決してこれで終わりということではございませんで、ぜひ、この会議の後でもお寄せいただきたいと思います。それから今の数値目標のこともありましたし、全体をわかりやすく整理するとありましたが、特に科学技術の発展に対する状況をどう盛り込むかということは、武内先生から、ぜひ書面でご意見をいただきたいと期待しております。

○浅野委員 書面ではなくても、きょうの発言は全部補足するための材料に使われますから。

○中島部会長 そうですね。どうぞ。

○企画課長 事務局からのご提案とご相談でございますけれども、1つは、これを使う際に、今、新しいご意見が出ておりますので、事務局がまとめてまたお送りするという方法もございますが、例えば、ヒアリングが6月末でして余り時間がない。つまり早目に相手に送ってあげなければいけないということがございますので、例えば1週間以内に修正意見を出していただいて、それを事務局が取りまとめるという方法があるのではないかというのと、基本的なスタンスなんですが、実はこれを読んでいただくとわかりますように、同じテーマについて必ずしも委員の先生方の意見は同一ではございません。A案とB案がございます。私ども事務局としましては、今後これは、まだヒアリングが始まったばかりでございまして、いろいろなヒアリングを踏まえまして、また案をつくって、パブリック・コメントをかけて、最終的に具体的指針をつくる。具体的指針を踏まえて、また今度は計画をつくると。こういうステップがあるわけでございます。
 そういった意味では、今の段階でA案、B案があれば、あるいはそれを並列で書いておいて、むしろ、それを踏まえて、いろいろな各団体の方が意見を言う際に、いろいろ意見を言っていただく。それを集約するという方が、よりベターなんじゃないかという感じが
しています。その辺の取りまとめのスタンスをご議論いただければと思うのでございます。

○中島部会長 今の具体的なご提案ですが、A案、B案に意見が分かれるときは、それを併記するのが、今の段階ではいいのではないかと、私も同感ですが、それは特に皆さんもご異論ありませんですね。

○浅野委員 今、企画課長が言われたようなことでいいんじゃないですか。ただ、もっと意見を出したい人は意見を出せばいいわけでしょうし、私もそんなにまじめにペーパーを出していないから偉そうに言えないんだけれども、宿題をやってこなかった人は、もうだめというようなことはないわけで、幾らでも出せると思うんです。
 むしろ、きょうはここの中の、個々の表現がどうだこうだということよりも、こういう柱立てで事務局が整理されたんだが、この大きな柱立ては、これではちょっと不備な点があるぞというところがあれば、そこを少し議論しておいて、それで柱立ての中身を埋めるものがあれば、またさらにペーパーを出すというふうにしたらどうでしょうか。

○中島部会長 今の柱立てに関しての議論に入りたいと思うんですが、加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 私は、まことに申しわけないですが、12時に出なければいけないものですから、ちょっと発言をいろいろとさせていただきたいと存じます。
 まず、今、資料のつくり方につきましては、役所でまとめる段階はまだ早過ぎると、それは皆さんがおっしゃったとおりで、こうやっていろいろな意見が、委員の先生が多様な意見を持っているわけですから、多様な意見が反映されている。それでまことに結構だというふうに思います。
 それから、ついでに言えば、役所が資料7と8とまとめてくださったことに対して大変感謝をいたしたいと思います。
 私自身は、非常に関心があるのは、循環型社会とは一体どういう社会かと。これは恐らく何十年議論してもなかなか答えは出ないだろうと思うんですが、現に、例えば持続可能な開発について、もう十数年たっているんですが、世界じゅうで議論されているのと同じように、循環型社会あるいは循環社会というのは一体どんな社会かというのは、これは結論が出るものではないとは思うんですけれども、しかし、それにもかかわらず、やはり深めていく必要があるという意味で、ここに「循環型社会の範囲」というふうにまとめられているのが、「範囲」という言葉が適切かどうか、ちょっと違和感があります。もし私が書くとすれば「循環型社会のイメージ」とか、定義というほどではない、定義は法律上定義されていることになっているから、具体的なイメージとかそういうようなことかなという感じがいたします。
 それから、先ほど武内先生が、目標といいますか、短期的な目標と長期的な目標を掲げるというのは、私もまことにそのとおりだろうというふうに思います。非常に重要なご意見だと思いますし、それから武内先生のお触れになった、物の流れだけでなくてエネルギーといいますか、いわゆるエネルギー問題一般ではなくて、物流にかかわるエネルギー、あるいは中間処理とか、いろいろなところにエネルギーがかかわるわけですが、物の流れにかかるエネルギーというものを、やはりきちっととらえておく必要があるというふうに思います。
 それから、数値目標については、先ほど言いましたように、それから篠木委員もおっしゃったことですが、私自身は、循環諸法令をそのとおり実施していただければ、特に産廃は恐らくかなり激減するというふうに思っているわけです。ですから、ここに「半減」というふうに書いてあるわけですが、多分半減以上に行ってしまう。むしろ産廃業者は今から荷がなくなるということを非常に心配しているわけで、一般廃棄物の方はなかなかそうはいかないかもしれませんが、それでもかなりのところにいくと思っているんですが、その辺のところを少しきちっと数字的に詰めてもらいたい、あるいはこの委員会で詰めるのだったら詰めるべきだというふうに思います。
 それから、もう一つ、特に強調したいのは、こういう基本方針をつくるときは、どうしても一種の上半身といいますか、上部構造についてどうしても書くわけです。まして基本法に基づく基本方針だというと、いろいろな上部構造について書くんですが、実際は、下部構造というと言葉が悪いんですけれども、要は、例えばリサイクル業界が一体どういう状況にあるのか、廃棄物処理業界が一体どういう状況にあるのか、それから、例えば環境省と他の省庁との間の役割分担なんて、きちっと法制上は整理されているはずなのに、実態は、実際にやっている人たちは、ばらばらだと言っているわけです。
 それから、国と地方との関係、地方も県と市町村との関係です。実際に廃棄物処理業をやっている人たち、あるいは、実際、何かそれこそ動脈産業にいて、資源を循環したいと思っている人たちは、例えば市町村に行くと県庁に行けと言われ、県庁に行くと市町村に行けと言われ、周辺住民のはんこを全部とってこいと言われ、要するに極めて不透明で、一体何をやったら私たちが循環社会をできるんですかと。あれをやるというと、今度ははんこをとってこいと。でははんこをとってこいというのはどこに書いてあるんですかというようないろいろな話になるわけです。
 ですから、この霞が関にいると、いかにも法制局的には全部整理されているはずの問題が、現実にはものすごくそれが制約になっているわけです。私はそこの下半身のところにかなり触れるべきではないかなと。
 要は何が言いたいかというと、実際上、循環社会が現実にできる、建前上できるのではなくて、法制局的に整理されているという意味ではなくて、現実の社会でどう機能しているかということを阻害している要因がたくさんあるわけですから、だから、そのすべてを拾い上げることはとてもできませんが、拾い上げていく。
 私が出した個人的な意見の中で、おそらく役所から見たらつまらない意見だなと思う、例えば統計を何とかしろとか、広報しろとか書いてある。私もかつて役所におりましたので気分はよくわかるんですが、「環境白書」に書くと、もう広報したような感じになっちゃうんですね。白書を読まない人間が悪いんだというぐらいのことになるわけですね。
 ところが、実際、私が役所を離れていろいろな人たちと接していると、この前も言ったかもしれませんが、そもそも循環型社会基本法すら知らない人がほとんどだと。この前申し上げたかどうかわかりませんが、ある某有名大学の環境専門大学院で大学院の学生に「循環型社会形成推進基本法というのができたけれども、知っているか」と言ったら1人も知らなかった。大学院の学生がです。実際はその程度のことなんですね。ましていわんや国民の責務だとか、EPRだとか、霞が関にいると毎日毎日、朝から晩までそういう議論をしているから、1億 2,000万が皆知っているというふうに錯覚しちゃうんですけれども、実際は知らない。だから、私が言っている「下半身」というのはそういうことを強調したいわけです。
 前回、統計の話も出ました。今、平成13年に議論しているのに、平成9年ぐらいの数字しかないのは何じゃと。したらば速報体制をつくるとか、経企庁のGNPの速報値だとか、ああいった努力もすべきだろうというふうに思うんです。
 そういう、各省にやってもらうところはやってもらって、この全体の計画部会としては、実際上ちゃんと回るような潤滑油といいますか、そういうものに目配せをする必要があるというふうに思っておりまして、その意味でヒアリング先候補を見ますと、私は、まだ上部構造みたいな経団連とか、そういう感じがするんです。もうちょっと、例えば本当に家電リサイクルの処理をやっている人たちだとか、産廃業者とかそういう人たちの、生の声といったって、何が生の声かという問題ももちろんあります、内包する問題がもちろんありますが、もう少し下部構造に配慮していただきたいなというふうに思います。

○中島部会長 今のヒアリング先に関しましては、この後、議論をさせていただきますが、先生はもうお帰りということで、今つけ加えていただいたんだと思います。上部構造・下部構造論がありましたが、どうぞ。

○横山委員 3番目の基本的な考え方や政策手法に関する事項で意見と質問をしたいと思います。
 今週初めに、たまたま北九州市のエコタウンを見てきて、自動車リサイクル工場の社長さんにお話を伺ったら、やっぱり「処理費用をだれが出すかということが我々にとって非常に重大なんですけれども、なかなかそれがだめなんです。それが一番ネックです」と言われたことが非常に印象に残っているんですが、処理業者の方が有意義なものを買っていくのだから、お前たちの方が出すんだというような状況にもなっているというようなことでした。
 それで、そこで拡大生産者責任ということが出てきて、これは生産者がきちんとその後の面倒を見るんだ、処理費用まで見るんだというようなことをきちんとうたう必要があると思うし、それで私のペーパーにもそれは書いたんですけれども。
 それで、ちょっと質問なんですが、基本法に拡大生産者責任という概念というか、そういうことでやっているというようなことは、よくわかるんですけれども、言葉を入れなかった理由というのは、法律というのはそういうものは入れないものか、それとも入れると、やっぱりかなりの義務を負わされるということで入れなかったのか、それが1点と、基本法にそれが入っていない場合に、基本計画の中で拡大生産者責任というものを入れてやることは可能なのかどうか、その2点をちょっと質問として伺いたいと思います。

○浅野委員 EPRの考え方は基本法の中に入れてあります。決して入っていないわけではありません。ただ、EPRという言葉の使い方が人によっていろいろありまして、横山委員がおっしゃるように、生産者のところに費用負担をさせるのがEPRだという、そういう考え方がないとは言いませんけれども、むしろ、もともとEPRという言葉が使われている最初のところの話を言うと、要するに廃棄物となったときに、そこはもう公共の負担であるという形で、生産者のところに何の義務も負担もないということはおかしい。むしろ生産者の段階から、例えば設計段階でも考慮しろ、リサイクルしやすい製品をつくれ、それから回収しやすいシステムをつくれと、応分の責任を持てというのがEPRです。ですから、PL(Product liability)というのは、事故が起こったときに損害賠償を払え、これはまさに費用負担そのもの。ところが、EPRはレスポンシビリティなんですよ。法的な支払い義務ではないんです。もともとはレスポンスシビリティという言葉から始まっています。ただし、どこで、だれに、一時的に費用を払わせるのがいいかというのは物によりけりで、ともかく生産者に一時的に費用を払わせておいて、価格に転嫁するのが適当であるような場合にはそれをすべきであるし、それから、家電リサイクル法はいろいろご議論があるわけですが、私も産構審のメンバーでしたから責任の一端を担いますけれども、これは実際、市場に出てから随分時間がたっているので、先取り方式ではなかなかうまくいきません。それで排出者に費用負担していただくというふうにしましょうというふうにしたわけですが、しかし、これだって、将来的には先に取っておいて、デポジットにしておくという方法がもちろんあるわけです。どこで、だれが費用を払うべきかということについては、最終的に全部価格の中に入ればうまく回るわけですから、それを前提にした上で、要は今までのようにつくって売ったら後はもう知らない、専ら排出者が全部責任を持て、あるいは一般廃棄物だったら税金負担でやれということはおかしいぞというのがEPRです。少なくとも、その考え方に関しては、既に環境基本法の中にも、事業者の責務というところに、我が国ではいち早くそういう書き方をしていますし、循環基本法もその書き方をしてはいるわけです。
 ただ、今、委員のおっしゃるように、費用を全部生産者の方で持てという直截な言い方はしておりませんけれども、循環基本法をよくお読みいただくと、最初のメーカーのところで費用を負担させる、あるいはメーカーに全部回収させることが適当である場合には、それをするということが書いてあります。あとは具体的にどういう場合、どういう場面で、どういう施策をとるべきかということは、少なくとも基本法の性質上、そう明確には書かれていないということだと思います。
 産構審でも議論していまして、自動車などについてどうなるのか、ちょっと私は不勉強でよくわからないので、経産省からいらしていますからコメントしていただいて、差し支えない範囲で。でも、確かに最初のところの生産者がきちっと費用を負担しなければいけないというものがあることは認めておいて、その方向でシステムづくりが行われている分野があることは、私も聞いているわけです。ですから、決して循環基本法の中にはそれがないというわけではないと思います。
 ただ、計画は計画ですから、計画でもっとそれをわかりやすく書くとか、強調するということは当然あると思いますので、そこは、今後ともこの部会の中で横山さんと一緒に考えていきたいと思います。

○横山委員 私は、言葉がそういう考え方を入れてあるというのはよくわかるし、政府の説明文を見てもそういうことが出ているのはわかるんですけれども、「拡大生産者責任」という言葉が入るか入らないかによっても、かなり違ってくると思うんです。それが入らなかったという理由と、今後の基本計画にそれを入れることは、論議によって言葉は要らないということになるかわかりませんけれども、それは可能なのかどうかということをちょっと伺いたいんです。

○浅野委員 およそ役所で出している循環基本法の説明文の中には、拡大生産者責任の考え方を入れた、これが循環基本法の重要なポイントであるというふうに書いていますので、私は入っているという理解なんですが、何なら事務局の方からコメントしてもらいましょうか。

○企画課長 前回、環境基本計画をご説明しましたけれども、その中の重点的取組事項の中で、拡大生産者責任の考え方という用語として、環境基本計画の中に「拡大生産者責任」という言葉は使っております。そういった意味では、これを受けました循環基本計画でございますから、こういう言葉は使えるということになると思います。

○中島部会長 武内先生、どうぞ。ぜひ全体項目とか、そういうことでよろしくお願いします。

○武内委員 こういうときに宿題も終えて帰りたいなと思って、ちょっと申し上げたいと思うんですが、浅野先生の方で、今の法律、基本法と、それから循環型社会の定義との関係について、より上位には環境基本計画というのがあるということは、一見すると、それでわかったようなふうにもなるんですけれども、私は、しかし、基本法でいう循環型社会というのは、やっぱり狭いと思んです。つまり循環型社会という、本来我々がイメージしているあるいは目指すべき社会というものと、それから法律で定義している、いわば静脈系に相当焦点を当てた定義との間の乖離を、今のような非常に卓越した法律解釈論的見地ですべて仕切っていくというのは無理じゃないかなと思っておりまして、これは話の順序が逆だったということが大きな原因だと思うんですけれども、これは例えば法律だって変えられないわけじゃないわけですから。あるいは、私、前に国土審議会のときに、全国総合開発計画の中で国総法を見直すというふうなことを書いたということに加担した覚えがあるんですけれども、計画の中で、この法律は不十分だというふうなことだって、議論の結果としてはあり得るというふうな、やはりそういう考え方もちょっとしてみたらどうかなと。無理なら無理で、何かやりようはあるのかもしれないですけれども、今のところ、法律とこれから策定する計画の内容を余りきちっと仕切ってやっていくというのは、ちょっと問題があるのじゃないかなというふうに思っている、それが1つです。つまり、ここは幅広に循環型社会というものを計画の前提としてとらえ直してみる。そのことを、ぜひやるべきではないかということが1つです。
 それから、もう一つ、静脈産業と動脈産業の連携という言葉が不十分だというのは、私はそのとおりだと思っています。これは長期的な視野に立ってということがあくまでも前提になりますけれども、大量生産、大量消費、大量廃棄という形の産業の形態に、今なっちゃっているわけですよね。つまり具体的に言いますと、一つの産業形態が巨大化するということが、より生産効率を高めていくという形の産業というのが、ずっとこれまで、それが持続されてきている。今、議論しているのは、そういう産業を前提にして、その産業を部分的にどう改善していくかということと、その結果、大量に廃棄されるものをどうリサイクル、リユースしていくか。
 だけれども、本質的なことから言うと、循環型社会を前提にした産業の設計というものは、そういうものと違うという可能性が大いにあるわけです。つまり、一つのものを巨大化させないで、ある産業の出口が次の産業の入り口になるという、そういう設計をするわけですから、当然のことながら、そこには産業間の連携のみならず産業そのものの適正規模というものの見直しというのが入ってくると思うんです。
 したがって、そういうふうな観点で物を考えるということも、循環型社会の形成の中には非常に重要な点だということで、これは環境省の仕事かどうかということについてはやや疑問がありますけれども、やはりそういう観点も必要で、そのことに関して、動脈産業と静脈産業の連携というふうなところにとどまらない議論をしてみたらどうかなというふうに思うんです。
 ちなみに、私、デンマークに行ったことがありまして、そういう考え方でもって産業の入り口と出口を十幾つかつなげているというふうな、そういう例を見たことがあるんですが、たまたま彼らはそれを「産業共生(インダストリアル・シンバイオシス)」というふうに言っているんです。これは環境省では「共生」という言葉を大変お好きで、「人間と自然の共生」とかというふうなことを言っておりますけれども、そういうふうな観点からしますと、「産業間の共生」というふうなことが新たな産業社会の目指すべき姿じゃないかと思っておって、これもやはり産業論そのものにさかのぼって少し議論していただくということが必要なんじゃないかなというふうに思っています。
 以上、2点申し上げました。

○中島部会長 ありがとうございました。
 産業論、あるいは産業計画に関しましては、学術会議とか通産系でもいろいろと議論されているところでありまして、基本計画に反するとか抵触することではないと私も理解しておりますが、ぜひお願いします。
 では、崎田委員、帰られるそうなので、簡単にひとつお願いします。

○崎田委員 お時間いただきましてありがとうございます。
 私、その前に加藤委員がお話をしっかりされたのが、かなり同感のところがございますので、大変ありがたいと思ったんですが、実は循環型社会をつくっていこう、何か非常に物の循環、あるいはそれがすべていろいろないい意味で環境的にいいチャレンジをしようという国民というか、いろいろな地域の動きというのは、ここのところ随分広がってきているんです。実はそういう広がっている動きが、今までの法律などで、なかなかそれができないとか、現場の中で、すごくいろいろ細かいことがかなり起こってきています。そういう気持ちを込めて、実は早く整理していただきたいというようなことを項目としてかなり書かせていただきましたので、それは私の出させていただいたペーパーをお読みいただければありがたいのですが、できるだけそういうことを踏まえて、今、この循環型社会をつくっていくための潤滑油としての、こういう法整備が進んでいるのだということを広く情報を出しながらこの基本計画づくりが進んでいくということが、結果的に日本の中を本当に循環型社会にしていくということに、すぐつながっていくんじゃないかという感じが大変しております。そういうふうに考えながらおりますので、またよろしくお願いいたします。

○中島部会長 貴重なご意見、ありがとうございました。
 それでは、ご意見、そろそろよろしいでしょうか。貴重なご意見をいただきましたが
……。

○横山委員 僕はちょっと庄子さんから頼まれたことがあるので、ほんの一言で……。
 庄子さんが、座長のいらっしゃる直前に、自分の意見としてまとめてあるが、これは決して個人の意見ではなくて、産業界からいろいろな意見を聞いた上でまとめたものなので、それを紹介していただければと言われていますので、それだけを……。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、まず事務局の方に戻しましょう。

○企画課長 今、先生方からご意見をちょうだいしましたが、この資料7の取り扱いにつきましては、とりあえず、今日のご議論を事務局なりに整理させていただきます。ただ、それで十分か不十分がございますので、私どもで整理したものを各委員に送らせていただいて、修正があれば、1週間ぐらいの期限をとらせていただきたいと思うんですが、修正をしていただくと。基本的には、先ほど申しましたように、ここでどちらの意見がいいということはしませんので、そこは部会長とご相談させていただいて追加等、まとめさせていただく。それを次回のヒアリング等に用いる、こういう段取りにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

○中島部会長 ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。
 それでは、次にヒアリングについての議題に移りたいと思いますけれども、計画をご説明いただけますか。

○企画課長 それでは、お手元の資料9をごらんいただきたいと思います。9と10でございますが、まず、ヒアリング先候補についてでございます。これは前回も、なるべく、いろいろと頑張っておられる現場の方々の意見も聞かれたらどうかということも踏まえまして、1つは経済団体連合会。これは、各産業を包括的に代表できるという形で選んでおります。
 それから、流通関係団体でございますが、これは実は日本フランチャイズチェーン協会と日本チェーンストア協会と並べておりまして、前者はいわゆるコンビニの関係の団体でございます。これはむしろ流通ということで、循環型社会、流通関係の団体からも起用したらどうかと。経団連さんは、こういう席にはなれておられると思うんですが、こちらの方は、まだ当たってみなければ、正式にお受けいただけるかどうかわからないという留保つきでございます。
 それから、グリーン購入ネットワーク。これは市民サイドから需要をつくり上げようという活動をしている団体でございます。
 それから、日本生活協同組合連合会。これはご存じのように生協でございますが、流通を担うと同時に、さまざまなそういった循環型に向けた取組というものをやっている団体でもあるので、候補に挙げております。
 それから、中部リサイクル運動市民の会。これは名古屋にございまして、ご承知のとおり、名古屋は藤前問題を契機にしまして、容リ法の完全施行といいますか、十数種類の分別収集をしまして、昨年度、一般廃棄物の減量2割の削減に成功したという地域でございます。これは都市部で初めてという意味でも大変に意味がありまして、そこの、いわば市民サイドの運動体ということで、市民の目から見たそういう取組等のお話をお聞きするのもいいのかなということで、5つ候補を挙げております。
 ただ、ご注意いただきたいのは、一応2時間、せいぜい2時間半を予定しておりまして、仮に2時間にしますと、5団体で1団体20分プラス・アルファぐらいの時間でございます。そうしますと、多分10分ぐらい話をしていただいて、10分質疑ぐらいで、きつきつになってしまう。
 そういった意味で資料10でございますが、各団体いろいろと活躍されていますけれども、自分の活動の紹介をお願いしますと、それだけで10分を終わってしまうという可能性もありますので、それは参考にちょうだいするとしまして、例えば資料10に書いてございますように、こういう大きな論点について、各団体のお立場からご意見をちょうだいする。その際に、先ほど申し上げましたような資料7としてまとめたものを、同時に配付して、それを参考に見ていただきながら、それぞれのお立場で、こういう論点についてご意見をちょうだいするというのが、この資料9と10でございます。
 その際に、実は資料10の1と2ですが、総論に関する事項、数値目標に関する事項と、かなり専門特化しておりますから、専門的な議論もございます。むしろ、一般の方々に関心がありそうな3、4、5あたりについて「○」をして、委員の先生方の論点を列記しておりますが、必ずしもここにこだわる必要はないんですが、こういう形で関心事項があるので、このあたりを中心にお話をいただきたいというような依頼文でお出ししたらどうかなというふうに思っております。
 それから、先ほど加藤先生から、もうちょっと業界の話等を、例えば産廃業界等の話がございましたが、前回、今後の日程を配っております。その際に、夏に全国3ヵ所程度での地方ヒアリングというものも予定しておりまして、先ほど言いましたように時間に一応の限りがございますので、できればそういう地方ヒアリングの際に、産廃業界ですとか、一廃の業界ですとか、そういったようなヒアリングをするということも考えたらいかがかというふうに思っております。
 とりあえず事務局からは以上でございます。

○中島部会長 どうもありがとうございました。
 ただいまのご計画についてご意見。
 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 ヒアリングの対象について少し意見を申し上げたいと思います。
 先ほど、資料7で、循環型社会のイメージの議論がなされて、循環型社会とはどんな社会かについての具体的なイメージを議論しようという話がありましたが、ここの中に中部リサイクルが入っていると言えば入っているんですが、地域というところをきっちりと見据えた対象がないのは非常に気になります。
 これは、経済産業省絡みですが、今、全国の 200以上の地域で、地域エネルギーのビジョンの策定をしているところがありまして、そこはまさに自分たちの地域をどう循環型に持っていくかということで動いていて、これはエネルギーということをベースに、そこの地域の中にある資源をどう使い回すか。これはゼロエミッションを含めて、言ってみれば産業構造でやっているものの地域版です。それをやる中で、人々がどうライフスタイルを転換する、どう暮らし方が変っていくということをまさにやっていることがありまして、前回の委員会で申し上げましたが、環境省の中に循環型モデルの地域づくりの検証事業がゼロ査定になってしまった。ゼロ査定になりましたが、まさにそういうところが手を挙げているところです。
 それはむしろ、会場ヒアリングではなくて、地方ヒアリングに入ってくるのかとも思いますが、地域というところ、そこに循環型社会のイメージの縮図があると思います。そこを必ず入れてほしいと思います。

○中島部会長 地域でのヒアリングですね。

○藤井委員 そうですね。ここの中でもできると思いますが。

○企画課長 先ほど申しましたように、地域ヒアリングを設けますので、その際にそういった団体も取り上げると思います。
 まず地域ヒアリングのイメージですが、今、東京でやっておりますが、3カ所あります。そうしますと、常識的には関西と、あと北ですね。北海道か東北と、それから南という
、おおざっぱに言えば、この3ヵ所ぐらいが、多分地方のヒアリングになると思います。
 私どもは、そういった意味で、地方ヒアリングの候補を検討したいと思いますが、もし先生の方から、そういう地域のイメージを前提に、こういうところもという候補があれば、むしろご推薦いただければありがたいと思っております。
 ただ、いずれにせよ、1ヵ所2時間程度になろうと思いますので、せいぜい2~3時間、そういう時間的な制約もご考慮いただければというふうに思っています。

○中島部会長 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。ヒアリング先候補、それからヒアリング関心事項の提示の仕方等について具体的な提案があったわけですが、よろしいでしょうか。
 それでは、きょういただきましたご意見を踏まえて進めさせていただきたいと思います。
 それでは、次回の予定です。次回の日程に関しましては事務方の方からお願いしましょうか。

○企画課長 次回の日程につきましては、あらかじめ予定をお伺いしておりますが、6月29日の15時からということで、その時間が一番ご都合のよい方が多いという時間帯でございますが、そういうことにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

○中島部会長 そのような案で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして閉会いたします。
 大変活発なご議論、ご協力ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

○企画課長 どうもありがとうございました。

午後0時19分閉会