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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第23回浄化槽専門委員会議事録


平成18年12月25日

午前10時03分 開会

○浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第23回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。本日は、「今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」(たたき台)」、「浄化槽ビジョンに関する基本的考え方について」、「浄化槽ビジョンのイメージについて」、「浄化槽の普及の推進」、「長期計画における普及率目標について」及び「参考資料」を配布しております。また、メインテーブルの方に対しては、「平成19年度浄化槽推進関係予算(案)の概要」も配布しております。資料の不足がございましたら、お申し付けください。
 それでは、これ以降の議事の進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 どうも皆さん、おはようございます。本当に暮れも押し詰まった25日と。キリスト教の世界では、クリスマス・デーというのだそうでありますけれども、その日にいよいよ浄化槽ビジョン、相当なところまで来て、私の個人的な希望としては、今日、大体大筋において皆様方の御意見を頂いて、次回1月15日を予定しているようでありますが、そこで最終的に確認をするというぐらいになればいいかなというふうに思っております。ただ、もちろんそれはあくまでも私の希望でありまして、委員の皆様方から非常に重要な問題がもし提起されれば、それは議論を引き続き続けていくということには何の異論もございませんが、大体そんなような感じで行けるかなという思いでおります。
 材料は、全部お手元にそろったと思います。早速、事務局の方から説明と、それから今お手元にあります浄化槽ビジョンなるものについての朗読をお願いしたいと思います。

○浄化槽推進室長 「今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」(たたき台)」については、後ほど朗読いたしますが、私からはその基本的な考え方等について御説明申し上げます。
 まず、「浄化槽ビジョンに関する基本的考え方について」でございます。前回の御議論を踏まえ、浄化槽整備区域の積極的設定を中心に据えるとともに、既存単独処理浄化槽の合併化も含めた面的整備と地域住民の環境意識の高揚とが相まって積極的設定に資していくとしております。また、これらに関する具体的な課題の例を左側に掲げてございます。さらに、これらを支えるものとして、研究開発等をその左側に掲げてございます。加えて、浄化槽の可能性を一層引き出していく方向として、持続的発展が可能な社会の構築を下側に掲げてございます。最後に、浄化槽を国内のみならず海外へ展開していく方向性を右側に掲げてございます。
 次に、「浄化槽ビジョンのイメージについて」でございます。これは、前回の専門委員会において、浄化槽を取り巻く状況の変化と浄化槽の特徴との関係がわかりにくいのではないかという御発言があったことを踏まえたものでございます。浄化槽を取り巻く状況の変化の例と浄化槽の特徴の例について、対応するものが上下に並びように掲げてございます。
 次に、「浄化槽の普及の推進」についてでございます。これは、先ほどの浄化槽ビジョンのイメージに掲げられた今後の課題のうち浄化槽の普及の推進について詳しく掲げたものでございます。既存単独処理浄化槽の合併化も含めた面的整備については、計画策定調査費を用いて個々の浄化槽の設置について省エネルギー等に関する事項も含め専門家に総合的助言を行っていただくことが考えられます。この専門家については、例えば指定検査機関の検査員等が考えられようかと思います。また、単独処理浄化槽の撤去に対する財政的支援の拡充も必要であるという御意見もございました。一方、地域住民の環境意識については、例えば浄化槽に関するフォーラムを創設することが考えられると思います。
 最後に、「長期計画における普及率目標について」は、遅くなり恐縮でございますが、前々回の専門委員会において口頭で御説明申し上げた廃棄物処理施設整備計画の抜すいでございます。
 それでは、「今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」(たたき台)」を朗読いたします。

○事務局 今後の浄化槽の在り方に関する「浄化槽ビジョン」(たたき台)
第1 はじめに
  浄化槽行政については、昭和58年に浄化槽の製造から施工、維持管理に至る各段階において規制を行う浄化槽法が制定された後においても、様々な進展を見た。
 まず、浄化槽の設置に対する補助については、昭和62年度に現在の浄化槽設置整備事業がモデル事業として創設されて以来、平成6年度には市町村自らが設置主体となって面的整備を進める現在の浄化槽市町村整備推進事業が創設されるなど、その拡充が図られ、当初55市町村を対象として1億円で始まった事業は、現在では1,485の市町村(全体の81.5%)を対象として260億円を超えるものとなっている。
 また、浄化槽法についても、小型の浄化槽を中心に整備が進められる中、水環境の改善の観点から水質汚濁の主要な原因の一つである生活排水への対策の強化が急務となり、浄化槽を活用しての生活排水対策の更なる進展が求められたことを背景に、平成12年に改正され、「浄化槽」とは合併処理浄化槽のことを指すこととされるとともに、単独処理浄化槽の新設が原則として禁止された。同法については、法律全体の体系を整備しておく必要があったこと、目的に公共用水域の水質の保全を明確にしておく必要があったこと、法定検査を中心に維持管理分野を強化しておく必要があったこと等から、平成17年においても改正が行われたところである。
 浄化槽行政以外の浄化槽を取り巻く状況についても、種々の変化が起きている。
 まず、環境行政全般について、持続的発展が可能な社会の構築等の基本的理念の下、様々な取組が行われている。例えば、平成12年に循環型社会形成推進基本法が制定されるなど、循環型社会の形成に向けた取組が推進されるとともに、これに先立ち平成10年に地球温暖化対策の推進に関する法律が制定されるなど、地球温暖化防止のための措置が講じられている。さらに、環境基本法に基づく環境基本計画については、平成18年に第3次の見直しが行われている。
 また、これらの取組とあいまって国民の環境意識が高まりを見せている一方、国及び地方公共団体の財政はいまだ逼迫するとともに、多くの地域において人口の減少及び高齢化が進みつつあることについても、見逃すことはできない。
 このように、浄化槽を取り巻く状況は大きく変化しつつあることから、今後の浄化槽行政は、これらを十分に踏まえて展開が図られることが求められる。
 浄化槽行政の在り方については、これまでも厚生省生活環境審議会廃棄物処理部会浄化槽専門委員会で平成5年2月の「今後の浄化槽行政のあり方について」等の報告が行われてきたところである。本報告は、これらの内容及びその実施状況をも勘案しながら、主としていわゆる小型浄化槽を検討の対象として、平成18年3月以来○回にわたって行った審議の結果を取りまとめたものである。
 なお、前述のとおり、浄化槽法においては「浄化槽」とは、合併処理浄化槽のことを指すが、本報告においては必要に応じ「合併処理浄化槽」の語を使用することとした。
 第2 浄化槽を取り巻く状況の変化
1 持続的発展が可能な社会の構築
  (1)循環型社会及び脱温暖化社会の形成
  平成12年の循環型社会形成推進基本法の制定に見るように、廃棄物の発生抑制、適正な循環的利用及び適正な処分により、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される循環型社会の形成は、持続可能な社会の構築のための大きな課題となっている。
 また、平成10年に制定された地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、脱温暖化社会を形成するための施策が進められている。
 (2)環境保全上健全な水循環の構築
  平成18年4月7日に閣議決定された第三次環境基本計画においては、それぞれの地点で水環境の質を判断し汚染・汚濁負荷の低減を図ろうとする「場の視点」からの取組だけでなく、水量の確保、水質の浄化、多様な生態系の維持、水辺地等を視野に入れた、流域全体での「流れの視点」として環境保全上健全な水循環の確保について取組を推進することが重要とされている。
 また、同計画においては、利用した後の排水については、可能な限り、下流での水利用にいかせる水質及び水量で河川に戻すことを基本とする旨が掲げられており、環境保全上健全な水循環の構築のため、その場で処理する排水が河川の自然な状態の流量を確保することの重要性が読み取れる。
 2 社会状況等の変化
(1)環境の保全に対する意識の向上
  ごみの分別やリサイクル等に対する国民意識の高まりや自然とのふれあいに対する価値観の増大など、国民の環境保全全般に対する意識は大きく向上している。
 (2)汚水処理施設の整備の進捗状況
  平成17年度末現在において、浄化槽に加え下水道等他の汚水処理施設も含めた汚水処理人口普及率は、全国では80.9%であるが、全市町村数の約7割を占める人口5万人未満の市町村では62.9%となっており、今後は、こうした地域を中心に生活排水対策を進める必要がある。
 (3)国及び地方公共団体の財政状況の逼迫
  我が国の財政状況は、国、地方ともに長期債務残高が増加するなど依然として逼迫している状況にあり、今後も厳しい財政状況が続いていくと考えられることから、汚水処理施設の整備についても、今後、より一層の効率化が求められる。
 (4)人口の減少及び高齢化の進展
  日本の出生率が1970年代半ばから人口を一定の規模で保持する水準を大きく割り込み、人口の減少が進む状況となっていること等により、現在は人口密度の高い地域であっても、将来は過疎化が進み人口密度が低い状況になり得る。
 また、平均寿命の延びや長期にわたる出生数の減少が高齢人口の増加等をもたらしている。
 第3 浄化槽の特徴
  1 浄化槽の機能
  浄化槽は、有機性排水処理技術としての生物膜法が浄化槽において確立されて以降、年々改良が加えられ、その処理機能は他の汚水処理施設と比べても遜色のない性能にまで技術的な進歩を遂げている。
 また、平成17年の浄化槽法改正において、目的に公共用水域等の水質の保全等の観点が明記され、放流水の水質基準を設けられるとともに、指導監督の強化が図られるなど、制度的な改善も行われており、他の汚水処理施設と比べても遜色のない処理性能を担保できる体制が整備されている。
 なお、浄化槽は、汚水を直接浄化するとともに、その排水が小水路を通り河川等の水域に流れ込む間に自然浄化作用を効率的に利用して浄化を行うという二重の浄化作用を持つことにも留意する必要がある。
 2 浄化槽を取り巻く状況を踏まえた浄化槽の特徴
(1)持続的発展が可能な社会の構築を踏まえた浄化槽の特徴
  ア 循環型社会及び脱温暖化社会の形成を踏まえた浄化槽の特徴
  浄化槽は、汚水をその場で処理することで、汚水を浄化した排水として放流するとともに、汚水中の有機汚濁物を生物処理によって、微生物を主とする浄化槽汚泥に変換することにより、搬出を必要とする汚濁物質の減量化ができ、いわゆるリデュース性が高いものと言える。
 また、適切に処理した排水については、散水、洗車、修景用水、便所洗浄水、災害時の緊急用水等として使用することが可能でいわゆるリユース性が高いものと言える。
 さらに、浄化槽汚泥は、主として生活排水を処理するため、重金属等の不純物が極めて含まれにくく再利用のしやすい汚泥でいわゆるリサイクル性が高いものと言える。
 このように、浄化槽は、3Rを基本とした循環型社会の形成に寄与する多くの可能性を有していると言える。
 イ 環境保全上健全な水循環の構築を踏まえた浄化槽の特徴
  浄化槽は、汚水をその場で処理することから、水路等において、土壌等の自然環境を介しつつ浄化が行われる自然の水循環に近い状況をつくり出せる。
 また、土壌は浄化だけでなく流量を平均化する貯留機能もあるため、排水により水の循環を良好な状態にする椎持する機能も期待できる。
 このように、浄化槽は、環境保全上健全な水循環の構築に大いに寄与することができると言える。
 (2)環境に対する住民の意識の向上を踏まえた浄化槽の特徴
  浄化槽は、日常生活の中で生活排水処理を行うことにより、その環境保全効果を身近に体験できる生活・環境実感型施設として環境意識の向上を高めることができる。
 このように、浄化槽は、環境に対する住民の意識の向上に寄与する多くの可能性を有していると言える。
 (3)汚水処理施設の整備の進捗状況を踏まえた浄化槽の特徴
  一般的に、浄化槽による汚水処理の処理量当たりの費用は市町村人口の差による影響を受けにくい一方、他の汚水処理施設による同様の費用は人口の少ない市町村ほど高くなるなど、浄化槽は、人口が少ない地域において、より効率的な汚水処理が行える施設であると言える。
 また、浄化槽は、一般家庭向けのものは自動車一台程度の広さがあれば設置できるなど、その設置について地形や地質による影響を受けにくい。
 このように、浄化槽は、今後の汚水処理施設の整備が中山間地域を始めとする地域が中心となる中において、効率的に整備することが可能な汚水処理施設であると言える。
 (4)人口の減少及び高齢化の進展等を踏まえた浄化槽の特徴
  浄化槽は、個々の家屋に設置する個別分散型施設であるため、家屋の減少や集落の喪失による処理対象人口の減少に対する変動に容易に対応できる。
 このように、浄化槽は、人口の減少及び高齢化の進展に対応しやすい施設であると言える。
 このほか、浄化槽については、地震等の災害があった場合においても、分散・独立しているため、1か所の被害が周辺に影響せず、また、被害を受けた施設の特定や修復が比較的容易であるとともに、破損した場合も重要なものから修復を開始することが可能であるという指摘もある。
 第4 浄化槽に関する課題
  1 浄化槽の普及の推進
  前述のとおり、合併処理浄化槽は、従来、位置づけられている生活排水対策の柱の一つとしての重要な役割に加え、循環型社会及び脱温暖化社会の形成、とりわけ、環境保全上健全な水循環の構築に大きく寄与するものと考えられ、また、今後の技術的な発展を考慮すれば更なる可能性を有しているとも言えるが、その普及は、中山間地域等他の汚水処理施設に比べ効率的に整備できる地域においても、期待されるほど進んでいるとは言い難い。この理由としては、主として既に水洗便所の利便性を享受している単独処理浄化槽が数多く存在するという問題と、地域住民等が浄化槽を用いて環境を守っていこうとする意識の高揚がいまひとつであるという問題があるのではないかと考えられる。
 (1)浄化槽整備区域の積極的設定
  市町村が浄化槽の整備区域の設定を行う際には、はじめから設定を行う場合と、他の汚水処理施設の整備区域をまず設定し、残りの区域について設定を行う場合がある。いずれの場合においても、下水道、農業集落排水施設等他の汚水処理システムと比べ、浄化槽については、住民による自発的な設置を待つという受動的な施策を進めることが多いのではないかと考えられる。浄化槽の整備には、市町村自らが設置する場合と個人が設置する場合があるが、浄化槽の特性の一つは正に個人が設置するという点にあり、いずれを選択する場合であっても、その特性を十分にいかしつつ、より積極的な設置の推進が図られることが重要である。
 このため、市町村は、前述の浄化槽を取り巻く状況や浄化槽の特徴を踏まえ、その整備区域等を、将来浄化槽が効率的になる区域も含めて、積極的に設定すべきであるが、これを進めていくためには、まずは既存の単独処理浄化槽に関する問題を解決していかなければならない。
 例えば、100世帯の集落があるとし、10世帯において既に単独処理浄化槽が設置されているとすると、この10世帯は既に水洗トイレの利便性を享受していることから、よほどの環境の保全に対する意欲等がない限り、合併処理浄化槽に転換する必要性を感じないのが通例で、特に設置後の期間が短い単独処理浄化槽においては、その傾向が強いと考えられる。
 したがって、当該100世帯の集落で合併処理浄化槽の整備を実施しようとした場合であっても、90世帯のみにしか合併処理浄化槽が設置できず、10世帯は単独処理浄化槽のままになってしまう可能性が高い。この場合、この100世帯の集落には、生活雑排水を処理する世帯と処理しない世帯とが併存することになり、市町村の担当者等の立場から見ると、集落内での不公平感が生じることになる。この見方は、合併処理浄化槽の設置に当たっては住民の意志決定が必要不可欠であるという点に由来するものであり、無理からぬ部分もある。
 このようなことから、他の汚水処理施設の場合は、管きょを住居の近傍まで整備すれば、市町村の事業は一応終了し、管きょへの接続は住民自身の問題となることもあり、整備に多額の費用がかかるとしても、地域住民の公平感を確保する観点からも、他の汚水処理施設を選択してしまうことがあることも考えられるが、この場合、当該市町村にとって大きな財政負担になる可能性を含んでいる。
 このことを解決するためには、既設単独処理浄化槽が合併処理浄化槽へ転換されやすくすることが極めて重要と考えられる。
 そのためには、まず、当然のことながら、地域の水環境を保全していこうという環境に対する地域住民の意識の高まりが必要である。
 次に、このような環境に対する地域住民の意識の高まりを背景に、個人の負担を軽減しつつ、いかにして、より効率的・効果的な合併処理浄化槽への転換を行うかということが最大の課題ということになる。
 このため、国は環境に対する地域住民の意識の高揚を背景に、より積極的な浄化槽整備区域の設定についての手引を作成するとともに、既設単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換が推進されるようその撤去に対する財政的支援の充実に努めるべきであり、とりわけ家屋の建て替え等に伴う転換の可能性が低い設置から20年以下のような単独処理浄化槽については、設置者の負担の軽減措置を図るべきである。
 また、住民に対しては、単独処理浄化槽の撤去と合併処理浄化槽の新設、単独処理浄化槽のいわゆる埋め殺しと合併処理浄化槽の新設、いわゆる変則合併処理浄化槽化等の改造を含め、どのような工法が適当なのか診断し、省エネルギー等の温暖化対策に関する助言としてブロワをどのようにするかの点等も含めつつ、専門家による適切な助言を行える体制を構築するべきである。この場合、例えば、市町村が必要に応じ指定検査機関の検査員を活用することができるような体制をつくることも方策の一つである。
 これらのことは、市町村に対しては、より積極的な浄化槽整備区域を設定するための計画策定調査に対する支援の一環として実施していくこともできるのではないかと考えられる。
 (2)水環境の保全を求める地域住民の意識の高揚
  今世紀は環境の世紀とも言われており、国においても環境政策の柱として循環型社会の形成や脱温暖化社会の構築についての施策が進められている。
 地域におけるごみの排出ひとつをとってみても、従来混合排出が当然で、缶、びん、ペットボトル、その他プラスチック等を分別して出すことなどは、かなり抵抗が強かったが、近年、環境に対する意識の向上から、これらを環境の保全のために実施することは当然であるというように国民意識が大きく育ってきている。
 浄化槽は、前述のとおり、個々の住民が、生活する中で便所、厨房、浴室等で排出する汚水を最も身近な場所で適切に処理し、直接環境浄化の役割を果たす生活・環境実感型施設として位置づけられ、これからの環境問題に取り組んでいく礎であるとも考えられる。
 一方、河川や湖沼等閉鎖性水域への汚濁対策、また、身近な水環境の保全の重要性は、前述の第3次環境基本計画に述べられている。各地でも水をきれいにしようという住民の取組が行われており、これらが、環境の世紀における水環境の保全という地域全体の高揚を基礎としながら、全国的な輪となり、更に国際的な連携に発展することも考えられる。また、世界水フォーラム等の国際的な取組に見られるように、国際的な連携で得たものが、国内での活動、また、地域での活動に対していかされるという相乗効果によって、水環境の保全に対する取組がより活発に行われることが考えられる。
 しかしながら、浄化槽の技術的、経済的に優れた点に関する知見等については、これまで関係者のみにとどまっており、一般の住民やNPO等に対しては、必ずしも十分に行きわたっていないとの指摘がある。
 このため、インターネット等情報媒体が多様化している今日、住民等にいかにして浄化槽に関し様々な情報を発信していくことが大きな課題とも考えられる。
 なお、このような情報の発信に当たっては、使用者等の視点に留意する必要があり、住民の環境意識の向上を踏まえ、単に浄化槽の整備や維持管理が必要であることのみではなく、環境保全上の必要性等その理由等も含め行うべきである。
 これらの情報の発信に加えて、地域での取組においては、浄化槽の整備による効果等を、「ホタルが帰ってくる」などの目に見える形で目標を立て達成度を示すモデルケースを打ち出すことも考えられる。
 さらに、地域での取組は、環境保全活動、環境教育等の活動を行っているNPOなどとの連携を強化することが重要である。
 加えて、これらのグループによる全国的な情報や意見交換の場が創出され、関係者のネットワークが形成されることにより、全国的な取組が活性化されることが大いに期待されるところである。
 2 持続的発展が可能な社会の構築のための浄化槽システムの構築
(1)循環型社会及び脱温暖化社会の形成のための浄化槽システムの構築
  前述のとおり、浄化槽は、循環型社会及び脱温暖化社会の形成に大いに寄与する可能性を有しているが、現状では、これらの可能性が十分に引き出されているとは言い難く、循環型社会及び脱温暖化社会の形成に十分貢献できる状況とは言えないことから、次のような課題に対応する必要がある。
 ア 処理水に係る課題
  前述のとおり、浄化槽で適切に処理した排水については、散水、洗車、修景用水、便所洗浄水、災害時の緊急用水等として使用することが可能であるが、まずは、公的な施設から処理水の再使用を検討していくことも考えられる。
 イ 汚泥に係る課題
(ア)リサイクルシステムの構築
前述のとおり、浄化槽汚泥は、至として生活排水を処理するため、重金属等の不純物が極めて含まれにくい再利用のしやすい汚泥であるにもかかわらず、これまでは、し尿処理施設での処理後、残渣について焼却処理後の埋立処分を行うことが中心で、リサイクルとしては、一部で堆肥化の取組を進めてきている程度である。
 このため、市町村は、浄化槽汚泥について単に焼却処分を行うのではなく、バイオマスのリサイクルシステムに組み入れるなどの汚泥の有効活用を考慮した処理体制を構築することが望ましい。
 その際には、堆肥化については、大量に供給される家畜排泄物由来の堆肥と競合する可能性があるため、当該地域の需給見込みにも留意しておく必要がある。
 また、リサイクル手法の検討の際には、浄化槽汚泥及びし尿のみならず、生ごみ等の有機性廃棄物を併せて処理することを考慮し、バイオガス化(メタン発酵)によるエネルギー源としての熱回収を行うこと、炭化処理を行い活性炭として利用すること等堆肥化以外の利用法を比較考慮することも大切である。
 (イ)浄化槽汚泥処理施設の整備
  浄化槽汚泥については、浄化槽の普及に伴う汚泥量の増加、他の汚水処理施設の整備の進捗を過大に見積もった施設整備等により、一部のし尿処理施設では、地域の汚泥発生量に見合った十分な処理能力がなく、浄化槽汚泥の受入れを制限しているという指摘がある。
 また、浄化槽汚泥の処理量がし尿の処理量よりも多い現状が今後も進むことが考えられる。
 このため、処理施設を整備する場合には、し尿と分離した浄化槽汚泥のみの別系統を設けることを考慮する必要がある。
 (ウ)効率的な汚泥処理システムの整備
  汚泥の処理については、本来、できる限り発生源近傍において効率的な運用を図ることが望ましいが、広域的な処理が必要である場合、多数の車両で長距離の輸送を行うことは、消費燃料の増加となり、コストの増加だけでなく地球温暖化の防止の点からも好ましくない場合もある。
 このため、濃縮車・脱水車、積替え施設等の導入などにより、効率的な処理システムの構築を検討すべきである。
 また、必要な施設の整備については、早期に行うことが望ましいが、その際PFI事業を利用するなど、民間の活力を使いつつ行うことも考えられる。
 (エ)汚泥発生量の抑制
  汚泥処理の改善も重要であるが、本来、循環型社会の形成という見地からは、廃棄物の発生抑制として汚泥の発生を抑制することも重要であることは言うまでもない。
 このため、回収が必要となる汚泥の量を抑制する技術の導入を図るとともに、清掃時における汚泥回収量の適正化等維持管理方法の向上による汚泥量の減量化が重要である。
 (2)環境保全上健全な水循環の構築のための浄化槽システムの構築
  前述のとおり、浄化槽は、環境保全上健全な水循環の構築について大いに寄与することができるが、更なる寄与を行うためには次のような課題に対応する必要がある。
 ア 小規模事業場への浄化槽技術の導入
  水質汚濁防止法の特定事業場のうち約8割がBOD等の生活環境項目が適用されない事業場であり、環境保全上健全な水循環の構築を推進するためには、汚濁源の一つである小規模事業場からの排水を浄化槽で対応することも必要と考えられる。
 これまで、平成12年に浄化槽でし尿と併せて処理を行っても差し支えない業種が都道府県等に通知されているが、この取扱いについては、関係者に十分認識されておらず、また、パン・菓子製造業等の一部の業種に限られているため、実際に活用している事業場は少ない。
 このため、浄化槽担当部局も、関連部局と連携協力して、該当する事業所に対して、浄化槽を使用すれば適切な排水による処理が可能である旨の情報の提供を図るべきである。
 また、処理技術の進歩等に応じて、浄化槽による処理が可能とされる業種の拡充を検討するとともに、適正な維持管理による良好な汚水処理が可能となるように、維持管理マニュアル等を作成すべきである。
 イ 窒素及び燐に関する対策
  閉鎖性水域における窒素・燐を原因とする富栄養化は、生態系や生活環境に広く影響を与えることから、対策として窒素や燐が水域内に流入することを抑制することが必要となっている。
 近年では、小型浄化槽についても窒素や燐の除去技術が開発、実用化され、その普及が進められているところであるが、安定して除去できるよう新たな技術や効率的な維持管理の手法等が課題となっている。
 このため、使用者等の維持管理の負担などを考慮しつつ、窒素・燐除去型の小型浄化槽の普及を推進するとともに、技術開発の状況等を把握し、効率的な維持管理の手法について検討を続けるべきである。
 ウ 浄化槽による効果の把握
  個々の浄化槽からの水質については、法定検査の結果から把握が可能であるが、浄化槽の整備に関する事業の改善効果については十分把握できていない。これらの効果を把握することは、今後の浄化槽に関する施策の知的基盤や住民の関心を集めるという点からも重要である。
 また、環境保全上健全な水循環の指標等については、第3次環境基本計画において、水循環の健全性を診断していく上で効果的な指標の確立を目指して検討を行う必要があるとされているところである。
 このため、市町村においては、浄化槽の整備に関する事業の評価を行えるよう水域の状況を継続的に把握するとともに、国においては、水環境全般に関する指標の検討動向を踏まえつつ、                  
浄化槽の特性を十分踏まえて研究を行うことが望まれる。
 また、浄化槽のような分散型施設においては、モニタリングの効率性の観点から、水域の生物指標によるモニタリング等の可能性を研究する必要がある。
 3 浄化槽の研究開発等
  浄化槽については、学識経験者を始めとする専門家等の努力によって、他の汚水処理施設と比べても遜色のない性能を有するに至っており、分散型の施設としては世界で他の追随を得ない水準となっているが、持続的発展が可能な社会の構築、使用者等の負担の軽減等技術的な解決が必要な課題が存在している。
 このため、製造、施工、維持管理、廃止の各段階で、循環型社会及び脱温暖化社会の構築を考慮した浄化槽の開発を行うべきである。その際には新エネルギーの利用等地球温暖化に対する取組の進捗も視野に入れる必要がある。
 また、排水の負荷をより少なく、より安定的に処理を行うため、汚水の流入状況に合わせてその処理機能をきめ細かに調整できるよう、IT技術を活用した自動制御と遠隔制御を組み込んだ小型浄化槽を実現させることは、研究開発の大きな課題である。その際には、維持管理業者だけでなく使用者等に理解しやすい処理状況の表示方法の開発を行うとともに、適切な維持管理が可能となるよう、常時制御に適した使用者等の負担が少ない維持管理体制を検討する必要がある。
 さらに、窒素や燐を安定して除去できるような水域や小規模事業場等の排出源の特性に柔軟に対応できる浄化槽の開発も今後の更なる努力が必要とされる分野である。
 加えて、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の促進を図る観点から、処理の安定性や推持管理の容易性を担保しつつ、合併処理浄化槽の小型化、単独処理浄化槽の改造の低廉化等を研究すべきである。
 なお、浄化槽の更なる発展のためには、理工学等自然科学はもちろんのこと社会科学等の分野における調査研究や各分野における人材の育成が行われることも重要である。
 4 浄化槽の海外展開
  世界の多くの地域で基本的な施設が整っていないため、人々が安全ではない水による疾病で命を落としたり、深刻な水質の汚濁が発生したりしている中、し尿処理システムの役割に加え、浄化槽の潜在的役割も大きい。
 浄化槽は、設置だけでは機能を発揮しないため、装置単体ではなく、生産、設置、管理、汚泥処理にまたがる総合的なシステムとして考えるべきであることから、他の国から技術移転が求められるような場合には、これらに関する各国の事情を考慮することが必要である。
 このため、浄化槽の普及については、発展途上国のみならず、東欧等一定の購買力のある国等についても考えることが望ましい。
 また、世界水フォーラム等の国際会議等あらゆる機会を通じ情報を発信することにより、諸外国での浄化槽への信頼性を向上させ、民間の海外展開につなげていくことも考えられる。
 さらに、浄化槽の海外展開に併せて、浄化槽に関する研究者間の国際的な連携による情報の広がりが期待される。

○加藤委員長 はい。どうも御苦労様でした。説明及び朗読で少し時間を頂きましたけれども、今まで先生方に御議論いただいたことが過不足なくと言いたいところでありますけれど、過不足あるかどうかはこれから御議論いただくことに致しまして、一応できております。
 ビジョンの中身につきましては、いわば浄化槽とはどんなものかというもの、浄化槽の歴史を踏まえて、機能でありますとか、それから浄化槽を取り巻く社会的な状況の変化とか、いわばその部分は解説というようなものになっております。
 それから、8ページ以降の課題というところで、今後何をすべきかという一種の当委員会からの提言といいますか、そういう形になっております。文章的にいうと、典型的には、このため何々すべきであるとか、このため何々が必要であるとか言っている部分が、言ってみれば当専門委員会からの今後浄化槽を更に発展させるためのアドバイスといいますか、提言と、そういう中身になってございます。
 全体的にこの部分を四つに分けて、浄化槽の今後の普及の問題、それから二つ目としては、浄化槽システムを上手に温暖化防止でありますとか、循環型社会の形成といった社会の要請にこたえながら、浄化槽システムをつくっていくこと。さらに、技術、研究開発、そして海外への転換と、こういうことになっております。
 もちろん、この朗読文に先立って説明のあった、こういうイラストレーション、チャートといったものも非常に重要な、このビジョンを理解する上の不可欠なといいますか、そういう要素になっているかと存じます。
 それでは早速、どこからでも結構でございますので、先生方に御意見いただきたいと思います。須藤先生が少し早目にお帰りになるそうでございますので、まず須藤先生からどうぞ。

○須藤委員 どうもありがとうございます。それでは、最初にコメントを申し上げるのをお許しください。
 全体としては、大変よく取りまとめていただいているので、私どもがここで議論したことについては、先ほど委員長がおっしゃられた過不足ないだろうと思いますが。くどいようですが、ちょっと今まで申し上げたことではあるのですが、もう少し加筆していただいた方がいいかなと思うような点がありますので、二、三、申し上げてよろしいでしょうか。
 1点目は、浄化槽を取り巻く状況を踏まえた浄化槽の特徴ということで、5ページの部分なのですが、実は脱温暖化社会というような言葉なども入れていただいて、大変私もこういう時期に大変いいことだと思っているのですが。もう一歩踏み込んで、実は今ちょっと現状を申し上げますと、明日も地球環境部会が開かれて、12月に入って4回も部会が開かれるような状況で、それは前回申し上げましたように、2008年から京都議定書の第一拘束期間を迎えるということで、点検に入っているという状況であるわけですが、一言で申し上げると、いろんな業界のヒアリングなどをやっても、見通しが目標に比べていかないというようなところもありまして、特に大手など、特に電気関係、エネルギー関係など多いのですね、そういうところが。
 ということは、今の状況で行ってしまうと、8.1%増えているのに、更にマイナス6%ですから、マイナス6%のところまでほど遠くなってしまうような状況ですが、しかし、それでも今でもやるということを環境省は意思表示をしているわけですが、当然、強化とか追加対策というのをやらない限り、それは非常に無理であると。かなり厳しいそういう状況を迎えているので、浄化槽自身というのがCO、それからNO、メタンのインベントリーがはっきりしていないので、発生源としてどういうふうに、排出源としてどうなっているかというのが不十分なのです。情報として不十分なのですが、いずれにしても、いいことは先ほどの循環型社会、脱温暖化社会の形成を踏まえて、ほかの施設あるいは垂れ流しに比べればいいに決まっているのですが、それ自身はエネルギーも消費いたしますし、メタンも出しますし、NOも出すと。こういう状況にあるわけですね。
 ですから、どうしても省エネルギーとか、あるいは持続可能なエネルギーの使用とか、そういうことに留意しながら普及をさせるというか、そういうことをこの辺のところにどこか、いいことばかりではなくて、発生源でもあるから、その辺に留意するということを踏まえて。後ろの方にいいことが書いてありますね、ブロアが非常に省エネになったとか。そういうことがあるので、前のところでそういうことに触れて、エネルギーの消費が非常に少ないとか、そんなようなことを書いていただくと、ここの前段のところでちょっといいことずくめではなくて、少し浄化槽自身もそういう排出源なのだということも触れていただいた方がよろしくないでしょうかということが1点目です。
 それから2点目は、どうもいつも同じようなことを言って申しわけないのですが、窒素、燐
の部分なのですが、13ページですが、前回も申し上げましたように、湖沼法が第5次の湖沼計画を迎えて、来年早々に五つの湖沼について新たな計画ができるわけですが、すべての湖沼でそうなるとは思えませんけれども、前回も申し上げましたように、もう既に霞ヶ浦では条例を引いて窒素や燐の除去浄化槽を導入をすると。こういうことになっているわけなので、ほかの二、三もそういう動きもありますから、ここに維持管理の手法等が課題となっていると、維持管理の手法というよりも、新たな技術や維持管理の手法、それは課題なのでしょうけれども、さらに、そういう地点で、やはり前に放流水の基準を決めるときに問題になりましたよね、それは時期尚早であるとか。この辺のところ、目標値を更に、小型浄化槽の目標値も定めることが必要であるとか、そんなようなことを付け加えておかないと、何となく前段の、この前の浄化槽の改正のときにやった議論が、あのときは時期尚早だと見送られたので、その部分がわかるように、いつやるかはともかくとして、既に先行する県とか市町村がやりますから、そのときに目標値を定めてやらないと、やたらめったら低い数字を挙げてもいけないし、余り除去できない数値を挙げてもいけないので、この辺は国としてのやはり目安を。だから基準値というよりも、目標値を定めるというようなことがいかがでございましょうかというようなことの2点について、しつこいようですが、申し上げておきたいと思います。
 以上です。すみません。

○加藤委員長 いいえ。どうも大変貴重な意見、ありがとうございました。
 他の先生方、どうぞ。例えば今、須藤先生からいろいろと御意見いただきましたが、もちろんそういうものをまた次のバージョンに、できたらファイナルのバージョンに、それこそ適切に盛り込むようにしたいと思います。
 どうぞ各委員の皆様、お気づきの点。文章上の問題でもいいですし、あるいはもう少し大きな問題でもまだ結構ですので、どうぞ。

○松田委員 拝見して、いよいよ幕開けだというふうに思いました。本当に事務局の方が苦労されて、内容の濃いものをまとめていただいたので、私たちにしたら浄化槽というものに対しての考え方の整理ができて、大変ありがたいと思います。
 ちょっとわからないところがあるので、教えていただきたいページがございまして、それは私の知識不足からなのですけれども、12ページのところの真ん中辺で、ウの上なのですけれども、処理施設を整備する場合には、し尿と分離した浄化槽汚泥のみの別系統を設けると書かれているのですけれども、これどういうことなのかなということで。し尿処理施設と浄化槽で、施設というのは別々に組み立てることなのかな、施設を2か所造ることなのかなというふうに考えてしまいましたので、ここのところの説明をしてください。
 あと、この全体の中で、市民のサイドから書いておいていただきたいなと思うのは、私の仲間の方たちの、使用者のインタビューのところにもあったのですけれども、定期点検というのをきちんとすることさえ知らなかったということです。ですから使用者にとって、自らが検査して浄化槽の健康状態を管理できる仕組みも大事なのですけれども、放っておいても健康に使えていることが保証されている社会システムというのがあるのが必要だと思うのです。具体的に言いますと、プロパンガスというのがありますけれども、天然ガスのガス施設が入ってこないところを田舎ではプロパンガスというのがあって、プロパンガスは、昔は中身がなくなったらこちらから連絡をして持ってきてくださいと言わないといけない状況になっていたのですけれども、現代ではプロパンガスにメーターがついていて、運ぶ方たちが勝手にボンベをかえていきながら、天然ガスと同じような形で使っているので、いつそのガスがなくなるかということをびくびくしなくても、安心して使えていくのです。
 ということは、点検のシステムというものも、市町村の中に組み込まれていて、第三者機関の中に組み込まれていて、安心してこの浄化槽は点検されているから安全なのだということが使用者にわかるということが必要なので、市民のNPOのところはかなり書かれているのですけれども、社会システムとして補完していく制度というのも、是非整えていただきたいなと。その部分はどこら辺に書かれているのかなと思いましたけれど。
 以上です。

○加藤委員長 今、松田先生のおっしゃったのは、例えば10ページあたりの住民意識の高揚というところとはまた違うのかな。ちょっと待ってくださいね。住民意識が……。それでは、室長どうぞ。

○浄化槽推進室長 まず12ページの(イ)の第3段落は、これまでの専門委員会において、浄化槽汚泥については、通常し尿と併せて処理されているところでございますけれども、将来的には浄化槽汚泥だけを処理することも必要になってくるのではないかという趣旨の御発言があったことを踏まえたものでございます。この場合においても、完全に別途の施設にするか、一部のラインのみを別にするかについては、地域の状況によると考えられますことから、「施設」という語ではなく、「系統」という語を用いております。
 2点目につきましては、14ページの3の第3段落において、自動制御及び遠隔制御を組み込んだ浄化槽を実現させることは、大きな課題である旨の記述がございます。

○松田委員 研究開発というところに書かれてしまっているから、ちょっとわかりにくかったのだと思います。私たちは社会システムの中で、研究開発が現状のものでもそれをしてほしいというのがあって、遠隔操作だとかそういうのは技術開発をした後の話だと思うので、今の浄化槽もきちんと管理していくというところをちょっと書いていただいた方が制度としてはいいのかなと思います。

○加藤委員長 よくわかりました。今の室長の後段部分のことでは、確かにIT技術を使った自動制御とか遠隔制御を組み込んだ実現させるというのは、これは技術開発の将来の姿としてあっていいと。でも、松田先生がおっしゃるのは、技術開発を待たなくともシステムとして、さっきプロパンガスの例をおっしゃってくださいましたけれども、そういうことがわかるようにするということですね、もうちょっとわかりやすく。それはどこかで、しかるべきところできちんと触れることができると思います。
 それでは河村委員、それから国安委員と。

○河村委員 非常によくまとめていただいているのですけれども、例えば6ページの(4)のところにありますけれども、ほかのところでも何となくそういうところがあるのですけれども、浄化槽は個々の家屋に設置するというふうな決め方をしておられて、もう少し大きなもののことが記述されていない。内容的にはそういうところを書かれたところもあるのですけれども、もう少し表現で、浄化槽というのは小から大まであるという前提を踏まえた何か記述が欲しいかなというのがあります。
 それとあとは、ちょっと技術的なものがあるかもしれませんけれども、同じ6ページのところで、上の方の二つ目のパラグラフのところで土壌のことに言及しておられるのですけれども、普通の浄化槽の場合に、この土壌というのがどこまで関連するかなと。その上のパラグラフで、水路等において土壌等のというのがあるのですけれども、一般的に見て、土壌をどこまで評価するかというのがあるかなというのがあります。
 それから、12ページの二つ目のパラグラフの終わりの方で、炭化処理を行い活性炭として利用するということなんですけれども、これはちょっと誤解を招きやすい。活性炭などのレベルのものはなかなかできないと思いますので、炭化物というふうな言葉ぐらいでいいのかなと思います。
 それと最後の方で、15ページの海外展開で、浄化槽の普及について開発途上国のみならず東欧等というのがありますが、この中にどこまで含まれるかわかりませんけれども、もっと先進国の方のことも書いていいのかなということで、もうちょっと表現の方で工夫していただければと。取りあえずはそういうことを思います。

○加藤委員長 はい、ありがとうございました。土壌のことは河村先生がおっしゃりたいことは、ちょっとこれだけ期待するのはオーバーではないかと。こういうことですか、端的に言うと。

○河村委員 そういう場合もあるかもしれません。

○加藤委員長 あるかもしれないけれども、どちらかというと、そういうあれではないのではないかということですね。
 もしできましたら、後ででもいいですが、例えばこんなような文章にしたらどうかとか、そういったようなことの御示唆を後でいただければと思います。
 お手が挙がったのが、次が国安さんどうぞ。

○国安委員 8ページのところで気になる箇所があるので、発言させていただきます。
 8ページの浄化槽の関する課題、浄化槽の普及と推進の文章の最初の部分に、理由として主として単独処理浄化槽が数多く存在する問題と住民の意識の問題が挙がっているのですけれども、確かこれまでの委員会の中でも議論があったはずですが、市町村自身がそういう意識を持っていないことが問題であるとの議論があったと思います。それを受けた形になっていると思うのですが、(1)の浄化槽整備区域の積極的設定、二つめの段落のところで、このため市町村は設定すべきであるとなっていて、まずは既存の単独処理浄化槽に関する問題を解決、確かに技術的には既存の単独を効率的に改善していく技術の更なる開発が必要なのですが、もっと重要なこととして既存の整備計画を見直すことが必要なのでは。現在の内容では、これまで本委員会で議論されたことが十分に反映されていないのではないでしょうか。全体の流れとして、技術的なことと住民に関する記述はあるのですが、市町村の役割に関する具体的な記述、例えば、今後浄化槽が普及するエリアは、人口が減少したり、財政が逼迫している市町村が多いことから、既存の整備計画を見直し、浄化槽整備を積極的に行う区域を設定する必要があるとの記述が欠けているのではないでしょうか。
 それともう一点、先ほど松田先生から御指摘があった部分で、維持管理に関しても、確かに個人、関連業者の方々で信頼性のある維持管理システムを構築する必要があろうかと思いますが、その中に、設置以上により積極的に維持管理に対する関与、そういったものも市町村の役割として追加していただければと思っています。
 あと一点、IT技術を活用した記述の中で、制御という言葉が多用されていますが、監視という言葉がありません。浄化槽の課題として、集合処理施設設のように常駐管理ではなく巡回管理で、その頻度は、特に小さな規模では年3回、そういった回数で、点検日以外における処理性能の安定性が確保されているのか、と指摘されることがあります。したがって、自動監視、あるいは遠隔監視体制の整備、そういう体制が整備できれば、処理機能に問題が出るような前兆が見えたときに、事前に点検・調整に行くというシステム作りが必要なのではないでしょうか、制御だけではなく、監視という言葉を本文中に追加していただければと思います。
 以上です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。非常にこれまでの重要な御指摘ありがとうございました。
 確かに、国安さんが御指摘になった幾つかの問題のうちの、なぜ期待されるほど浄化槽の整備が他の汚水処理施設、つまり下水道などの他の施設と比べて進んでいるとは言いがたいのはなぜかという、これは部長さんが前から繰り返しなぜなのでしょうかということを問いかけているわけですが、その理由として幾つか挙がっている中で、市町村のやっぱり役割が非常に大きいというのは非常に大事だと思いますね。もっとも、市町村といっても、むしろ首長さんとか、あるいは市議会議員だとか、そういう人たちの認識だと思うのですよね。
 やっぱり汚水を処理するのは下水道だと、頭の中からもう下水道しか選択肢がないなんて言う首長さんや、市議会議員さんも結構いるわけですから、浄化槽なんてものはだめだよと、そういうふうに頭からもう思い込んじゃっている人もいるわけですから、そういう人たちの認識を改めてもらうと。要するに、それを集約していけば、市町村の役割をということなのかもしれませんけれども、確かにこの理由としてというのは、もうちょっと加えた方が国安さんおっしゃるようにいいのかなと、私も思います。制御、監視、そこももちろん重要だと思います。
 まず木曽先生、それから新美先生。

○木曽委員 全体的につきましては、ほかの委員の先生方と同じように、非常に今までの議論がよく取りまとめられていると思っております。
 ただ1点、14ページに浄化槽の研究開発等ということが挙げられておりますが、この研究開発はどうしてもハードウエアとしての浄化槽に偏りがちな気がしております。やはり浄化槽、最初の方にも書かれてありますように、やはり維持管理というのが重要な技術であろうかと思っております。そういう意味では、例えばIT技術の利用につきましても、例えば保守点検をした内容がその場で設置者にわかるような、そういうITの利用の仕方もあるでしょうし、法定検査の結果についても、そういうふうなIT技術の利用の仕方があるかと思います。
 そういう意味では、ここにはやはり維持管理技術という、大きくくくれば維持管理技術そのもの、技術開発といいますか、かなりソフト的な技術があろうかと思いますが、それと新しい浄化槽がどんどんできてくる可能性があります。そういうときに、維持管理の技術が同時に進んでいかないと、やはり適正な浄化槽の機能を発揮できないという懸念がありますので、やはりここでは維持管理、保守点検だとか検査だとか清掃だとか、この三つの技術開発というのも同時に書き込んでいただければなと思います。

○加藤委員長 大変重要な御指摘ありがとうございました。

○新美委員 私の意見は、国安委員とか松田委員の意見と共通するところがありますが、一つはやはり汚水処理というのが自治体の果たすべき本来の任務であって、浄化槽というのはそのための施策の一つとして十分耐え得るのだということをもう少し前面に出して、その後、自治体はどういうことをすべきかということを書いた方がいいのではないかと思います。ちょっとその点が、特に個人と個人の問題に帰着するようなトーンになっているのが気になったということです。
 あとそのほかは、先ほどの松田委員の質問と絡むのですが、12ページのイの第3段落ですが、ここでは別系統と書いてあるんですが、その2段、3段前、イの直前ですと、併せて処理するという書き方になっているものですから、この辺少し説明をした方が、併せて処理すると言いながら、別系統でというふうになっているものですから、これどういうことなのかなというのがちょっとピンと頭に入ってこないので、ちょっと説明をしていただきたいと。
 あと、文章上のところで幾つかありますけれども、気持ちわかるのですけれども、ちょっと舌足らずというのがありまして、例えば15ページの4のところですけれども、最初の段落ですが、これ浄化槽の潜在的役割も多いと書いてあるのですが、何についての役割なのかというのがはっきり伝わってこないので、少し言葉を加えるということをすれば、もう少し訴える力は出てくるのではないのかというふうに思います。
 同様に、これは後で修文されることだろうと思いますけれども、少し舌足らずのところが何か所かありますので、我々議論しているときにはわかるのですけれども、一般の人が読んだときに何だろうかなということがあると思います。例えばあと一、二挙げますと、9ページの第1段落とか第2段落というのは、もう少し説明をしないと意味がわかっていただけないのではないかというところがあります。例えばこの見方はというのは、何のことを言うのかですね。3行目ですけれども、第1段落の。この見方はというのはよく……。

○加藤委員長 この100世帯の説明が。

○新美委員 その辺がちょっとよく、その中の理解がしづらいということですね。
 それから同じような意味で、その第2段落も我々は文章何となくわかるのですけれども、これだけ読んだらちょっと一般の方に理解していただくのは難しいのかなと思います。これは修文していただければ済むことですので、中身の問題ではございません。

○加藤委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 確かに、何せ事務局の方々は非常に優秀ではありますけれども、朝から晩まで浄化槽のことを考えているものですから。かつ、浄化槽のことをよくわかっている人が周辺にいるから、いわずもがなみたいにやっぱり思っちゃうのですね。私なんかも文章書くとき当たり前だということになって、そういうふうに思い込んじゃうのですが。新美先生から御指摘のように、浄化槽のことを知らない、あるいは浄化槽にむしろ一種の敵意を持っているような人も読んでも説得されるという文章というのを、ビジョンですから書いた方がいいかな。特に前半部分はいわば解説部分ですので、政策提言部分よりは浄化槽というのはこういうものなのですよという解説部分ですから、なおさら普通の人でもわかるようにというのを心がけたらいいかなと思います。
 そういう意味で、今、新美先生から幾つか御指摘いただきましたが、また後で気がついたらちょっと事務局の方にごく簡単に、ファックスでも何でもいいですから、お教えいただけると非常にありがたいと思います。
 それでは山本先生、お持たせいたしました。

○山本委員 今、委員長がおっしゃったところにちょっと関連するかもしれませんが、浄化槽に思い入れのある方だけではない人が読むということを前提に申し上げます。
 まず5ページの、持続的発展が可能な社会の構築を踏まえた浄化槽の特徴という文があります。ここで言及しているリデュース、リユース、リサイクルが少し手前みそのような感じを受けなくもないのですね。これは浄化槽だけではなく、汚水処理施設と言い換えても多分合うのですよ。この程度の文であれば。それで、浄化槽の特徴とはなっていないというような言い方も一面ではできる。
 それからもう一つは、水のリデュースということを考えたときに、普通の人が考えればリデュースというのは水をリデュースする、要するに使用を合理化して水使用を削減すると思いますよね。ところが、そういう形で使われていません。汚濁物質のリユースですから。やはりこれはちょっと少し考えた方がいいのではないかなと、そういうふうに思います。そういう見方をする人がいるだろうなということを想定して、それで申し上げたのですが、余り浄化槽のことばかりをとらえてということでもないような気がします。やはり浄化槽の機能というのは、地産地消じゃないですけれども、地域の中でいろいろなものを循環させる機能というのが一番大きい。水にしてもですね。そちらの方はだれでも納得すると思うのですけれども、大規模な下水道でも言えるようなことをわざわざ浄化槽で言うのも何だなと、そういうふうに思います。それが1点ですね。
 それからもう一つ、8ページの方に参りまして、浄化槽整備区域の積極的設定というのは非常にいいことでありますし、こういうことでいいと思うんですけれども、やはり論旨が下水道とのすみ分け後の残りの部分での単独処理の転換とか、浄化槽の合理的な積極的な整備というふうに主としてとらえられます。ですがそれだけではなく、今後下水道区域内においての浄化槽と下水道の共生ですね。あるいは、既存の合併処理浄化槽の有効利用とか、そこまで踏み込んで書けるかどうかは別にして、浄化槽と下水道の融合とか、あるいはそういう全体の社会的費用を合理化するための方策を打ち立てていくべきだということぐらいまでは踏み込んで書いてもいいのではないかなと、そういうふうに私は思います。何となくその外側のことを一所懸命言っているようなふうにしか、読めませんので。多分そうではないのだとは思うのですけれども。
 それからもう一つは、松田委員のおっしゃったこと非常によくわかるのですが、ここでうたっている生活環境に密接な施設であるという特徴は、やはり使っている人たちがそこを理解して環境を守るという意識を持っている装置であることも確かなので、下水道のように流せば処理してくれるだろうという施設ではないということも、よくそういうことを踏まえてのことだと思うのですね。ですから、先ほど木曽先生のおっしゃったことと関連するのですが、14ページのところの研究開発のところでも、維持管理というソフトの技術だけではなくて、環境学習とか環境教育の方法にどう浄化槽を中核として位置づけていくかというような手法の研究もあってもいいのではないかと思います。そういうもっとソフト化した研究もあってもいいかなと。要するに身近に環境を守るということを学ぶ装置であるということの使い方ですね。その辺のところの手法というのも、中に入れておいてもいいのではないかなと思います。
 最後に15ページの海外展開ですが、この前も申し上げたように、これは河村委員のおっしゃっていることと関係すると思うのですが、浄化槽というのは発展途上国だけのものではないわけで、加藤委員長もそういうふうに思っていらっしゃると思いますが、これから先進国でも実際に分散型の処理装置としての位置づけというのは非常に高まると思うのですよ。その中での展開ということも考えて、そうするとやはりこの前も申し上げたように標準化のような、そういう技法、国際標準のような技法、そういうものをつくっていくという宣言をしても、私はいいのではないかなと思うのですよね。途上国の技術だけというふうに思わない方が、私はいいと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。いずれも非常に重要な御意見、ありがとうございました。やはり終末の段階になってくると、先生方もいろいろとこれだけは言い置かなくてはというのがどんどん出てきまして、大変ありがとうございます。
 山本先生もお触れになりましたように、浄化槽、また専門委員会でも何回かそういう話も出たと思うのですが、単なるひいきの引き倒しになっちゃいけないと。浄化槽のひいきの引き倒しになる、これはもう前の専門委員会でも、あるいは他のヒアリングの専門家からもそういう話が出まして、確かに浄化槽はいいのだぞ、いいのだぞと自画自賛ばかり言っていてもしようがない。やっぱり十分に耐えるものであると。
 同時に、山本先生も今お触れになりましたように、単なる補完施設でも何でもないわけですね。これはむしろ非常に地産地消型というか、分散型の技術で非常に、ローテクじゃなくてハイテクそのものなのですね、システムまで含めると。ですから、確かに文章では発展途上国のみならず、東欧等というふうに書いてあって、何かいかにも貧しいところで使う技術のようになっていますけれども、そうではなくて、もちろん貧しいとか豊かとかという金銭だけの問題だけじゃ、もちろん全くありませんけれども、ユニバーサルに使える技術であると。しかも非常にアドバンスな技術であって、ローテクじゃ全然ないと。むしろハイテクそのものであるというぐらいのところが海外展開に確かに出てもいいかなと。
 それから、先生もおっしゃったように、それは日本がどんどんやってきたわけですから、日本型の国際標準を提案していくとか、そのぐらいまでいっても確かにいいのかなと思いますね。分散型の汚水処理としてはこういうスペックを持つべき、スペックというかどうかは別として、そういう国際標準のようなものを提案していくと。このパラグラフの最後のところに、浄化槽に関する研究者間の国際的な連携及び情報の広がりが期待されると書いてありますけれども、むしろこれを更に一歩越えたものがあった方がいいのかもしれませんね。ありがとうございました。

○北尾委員 マイナーレベルなのですけれども、ここはちょっとおかしいんじゃないかというようなところを何か所か申したいと思います。
 まず1ページのちょうど真ん中辺ですが、単独処理浄化槽の新設が原則として禁止されたという記述、これは法律の文言上からは下水道の処理予定区域については単独を設けることは禁じられてないので、これで正しいわけですけど、浄化槽の構造方法から、単独処理浄化槽というものが削除されて、それで性能評価を受けなければ浄化槽の製品にならないようになっているわけですね。しかも、その性能評価を受けた浄化槽というのは皆無であるということですから、ここは原則としてというのはちょっと記述として弱いと思うのですよ。何かまだ例外的に単独浄化槽が設けられるような仕組みになっているのかなという印象を与えるので、ここは新設が事実上禁止された状態となっているとか、そういうような記述がいかがかと思いますが。
 それから、5ページのところですね。3Rに無理に結び付けるのはどうかという御意見も出ていたので、そうなるとこういうマイナーレベルの意見というのはもう関係しなくなるかもしれませんが、一応申し上げますと、重金属等の不純物が極めて含まれにくくと書いてあるのですが、この表現はやはりひいきの引き倒しというか、浄化槽汚泥の中にも結構亜鉛なんかとか、それから食料品の中に少量含まれているものが結構濃縮された形で汚泥に集まってきますので。まあ重金属含有量等の面から、再利用のしやすい汚泥ぐらいに、ほかよりは総体的にましだというぐらいにしておかないと、ちょっと針小棒大というような感じを受けますね。
 それから7ページに、最初の行に地震等の災害ということですが、地震以外にも洪水、例えばある市で分流式なんだけど、雨水が大量に流れ込んで汚泥が全部流出して、それが農地へ行ったものだから、農地がトイレットペーパーだらけになったというような事例がありまして。それから先だっても、あるところへ行ったら94ミリもの豪雨が、下水道は途中で切れてしまったので、もう一帯が使えなくなったのだけど、浄化槽は土砂の流れ込んだところ以外は十分使えたというようなことも言っておりましたので、地震等というのがありますが、わかっているものはもう少し具体的に書き加えたらどうかと。

○加藤委員長 なるほど、洪水も含めて。

○北尾委員 それから9ページの下の方ですが、いわゆる変則合併処理浄化槽等の改造を含めると。等への改造ですか、これは。ですけれども、実は変則合併というのはもう有効な方法ではないということがはっきりしているわけです。ですから、これはちょっと不適当なんじゃないかと思います。変則合併というのは、新たに合併処理浄化槽をつけるのとほぼ同じぐらいの大きさのものを付けないと変則合併化できないので、それだともう単独を残す意味がないものですから、変則合併という手法で合併処理化しているというメニューはもう多分今はどこもやっていないと思います。
 そのぐらいです。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。

○吉田委員 遅れまして、すみません。
 前回のものと比べると、一枚物のを見ていただければわかりますが、浄化槽整備区域の積極的設定というところで、その中で既存単独処理浄化槽ということでの合併化を含めたということで、この点が前より強調されているということがあるわけです。それで、先ほどの御指摘であったのですけれども、浄化槽のことを詳しく知らない人に対してもわかってもらうということで、なぜそれが必要かというのを、やはり8ページのところにでも生活排水からの環境負荷を下げる上でこれが非常に重要だということをどこかで触れたらどうかということと。
 それからもう一つは、先ほど松田さんの御指摘があったのですけれども、参画というので前の言葉はあったのですが、要するに住民だけじゃなくて、市町村の役割がやっぱり大きいという御指摘があって、その点についてはやはり、例えばこの8ページの最初のところで触れた方がいいということを感じました。それから、結局一番大きな問題は、山本先生から御指摘があった浄化槽の役割分担というか、下水道らとの共生と役割分担というか、その問題についてどういうふうに書くかということがやっぱり非常に難しいのですけれども、それがあるのではないかと。特に浄化槽の場合は、キーワードで言いますと適正技術といいますか、適正規模である、適正技術であるということと分散型ということで、水の小循環と分散型処理に適した適正技術であるということで、その辺の技術的な特徴についても今回余り十分議論、ディテールはかなり議論したわけですから、キーワードとしてそういう問題も入れられるなら入れた方がいいのではないかというあたりをちょっと感じました。

○加藤委員長 先生、今の部分はやっぱり非常に重要な、前回も先生それをおっしゃって、私も非常に大事なキーワードの一つだなと思ったのですが。書くとしたら、どういうところに書いたらいいでしょうかね。5ページの機能のところですかね。

○吉田委員 そうですね。先ほどの3Rでほかの共通点が多いというところあたりに、むしろこのシステムの特徴という、それを入れた方がいいのではないかなと。
 それからもう一つは、先ほどの維持管理の問題に関連して、やはり社会的なインフラとして、そういうものとしては意義があるということで、インフラだからハードだけではなくてソフトが必要で、かつ維持管理が大事だというふうになっていくと思うのですね。その辺の話をここにむしろ入れたらどうだろうかと。

○加藤委員長 5ページのところですね。

○吉田委員 以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。新美先生、どうぞ。

○新美委員 今の吉田委員の発言にも絡むのですけれども、全体のトーンとしてキャッチコピーとして何を考えるかということなのですが、今ある程度分散処理型であるということをキャッチコピーにするのか、あるいは循環型社会における水処理という形でキャッチコピーを考えるかということですが、先ほど山本委員もおっしゃったように、それは下水道でも言えるだろうと、循環型のことだったら。むしろ分散処理型の汚水処理施設をどう整備するかという形でのトーンを、もう少し前面に出した方がいいのかなというふうに思います。それは吉田委員と同じような感じです。

○加藤委員長 なるほど。ある意味で、別にこの言葉を使いたいと思っているわけじゃないですが、いわば地産地消の水処理ですね。水処理の地産地消型ということですね。
 それと私、前からちょっと気になっているのですが、非常にすてきなイラストレーションといいますか、この図表があるわけですね。これをこのビジョンの中にどう位置づけたらいいかということなのですね。私も役所を離れて14年になりますので、余り長い文章で、もちろん役所の専門委員会としての文章ですから、長い文章も必要だし、その文章自体はきちっと正確なもので正に過不足のないものをきちっと書くというのは、これはもう全く重要だと思うのですが。同時に、やっぱり多くの人に知ってもらおうという場合には、こういうのは非常に役立つと思うのですね。恐らく、例えば松田先生が婦人会とかそういうところで浄化槽のことをお話しになろうと思うと、この文章、ビジョンを読み上げたのでは、なかなか婦人会で浄化槽のことをわかっていただけないと。
 だから、こういうものが非常に重要だと思うのですが、これをどう位置づけたらいいかと。私としては、先生方の御意見を聴きたいのですが、間もなく取りまとめようとしているこの浄化槽のビジョンと一体となった不可欠な文章として、しかるべく位置づけたいなというふうに思うのですが、皆さんどんなものでしょうかね。単なる補足説明資料じゃなくて、この文章のための、それはそういう扱いでよろしいのでしょうか。松田さん、いかがでしょう。

○松田委員 私はもう大変これ感動していまして、わかりやすい。だから、この三つが勝負よねという感じなのですね。この三つの画面を見たときに、私は浄化槽の政策がこれでどんどん進んでいくなという、わくわく感を持っています。ですから、どこに入れるかはお任せするのですけれども、とにかくこの三つがなければ、この文章全体がもう死んじゃうよということなので、お願いしたいと思います。
 それからあと関連で、山本先生だとか吉田先生だとか新美先生だとか、すべての先生方が浄化槽の御専門の御立派な方たちばかりなのですけれども、市民の私の考えをサポートしていただいて、浄化槽というものに対して本当に大きな視点でまとめていただいてありがたいなと思っています。特に私は8ページのところの、事務局の方も御苦労なさったと思うのですけれども、100世帯の集落があるとしてというこの事例なのですが、これ一番気に入っているのです。ですから、ここは絶対カットしないでほしいということなのですね。この100世帯の中のこれだけのことをやろうとしたときに、これを実現するためにどうしたらいいかということになったときに、やはり新美先生がおっしゃった、水をきれいにするのは法律的に市町村なのだよという話が明確に出てきて、だから浄化槽の推進についても市町村や県は、やはり今まではちょっとさぼっていたというか、市民が相談に行ってもたらい回しにされるような状態だったものですから、そうしてはいけないよということをはっきりとここで書いていただきたいなと思っています。以上です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。100世帯の集落をカットしないでほしいという、カットいたしません。ただ、ちょっとわかりにくいなというところが、先生方から御指摘ありましたよね。この見方というのは何なのですかとか、文章の問題で中身の問題じゃなくて、読みやすくわかりやすくロジックがすっと通るようにしてくださいと、そういうことはしたいなと思います。

○新美委員 この表の扱い方については、是非私は正式な報告書の中のパートとして入れていただきたいということですが。あともう一つは、報告書、日本では余りやらないのですが、ビジョンをやる場合に諸外国だと例えばサマリーだとか、あるいはリコメンデーションとか、そういうものがまとまって出ていますよね。そういう形でちょっと冒頭なり、最後のところにきちんとまとめると、よりわかりやすいのかなというふうに思います。要するに、言いたいことはこれだけですよということをどこかにまとめておくというのも、考えていいのではないかと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。サマリーをつくるか、あるいはこの表で行くかですね。そうすると、浄化槽ビジョンのイメージについてと書いてあるのを、イメージについてじゃなくて、浄化槽ビジョンのイメージとかですね、浄化槽ビジョンそのものととられてもちょっとまずいかもしれませんから、一つの絵で示せばこうですよとかですね、そういう感じになるのかなと思います。諸先生方が、せっかく事務局が苦労しながら、先生方の御意見を聴きながら何回も改訂版、改訂版をつくってきた、これをこのビジョンの不可欠な要素として取り入れていくと。これは何か単なる説明資料としてつくった漫画ですよとか、そういう意味ではなくて、不可欠なものだというふうに、どういうふうに置くかは、置き方の問題あるかと思います。最後に置くか、一番前に置くかとかですね。あるいは、真ん中に置くとかいろいろなテクニカルな問題、多少あるかもしれませんが。
 それと、あと先ほどちょっと私、諸先生方の御意見を一応聴いておきたいなと思ったのは、先ほど北尾先生がいわゆる変則合併処理浄化槽なるものは、これはもう事実上否定されたはずだということについては、特段の御異論は他の専門委員の先生方からよろしいのでしょうか。変則合併処理浄化槽という言葉は、私も昔聞いたことがあるような気がするのですが、これはもう今は事実上破綻したというふうに考えていいのでしょうか。

○国安委員 北尾先生がおっしゃられたのは、当時の建設省で放流水BOD20mg/L以下の性能を有する変則合併処理浄化槽の基準のことで、この基準どおりの構造の浄化槽については設置費補助の対象にするとなっていました。その内容は、既存単独処理の処理水と雑排水を併せて処理する新たな処理装置の構造・容量が定められており、既存単独と新設の処理装置を合わせて変則合併処理浄化槽と呼んでいます。ただし、新たに付加する処理装置と新設の合併処理浄化槽と構造、容量がほとんど変わらないため、新設に切り替えるよりもむしろ設置費や維持管理費が高くなる場合が多く、変則合併処理浄化槽に対する補助実績がほとんどないと聞いております。
 だから、従来の基準どおりの変則合併だけを指すのであれば北尾先生の御指摘どおり削除してよいと思いますが、変則合併処理浄化槽の定義がまだ明確ではない部分があるので、やり方によっては全て新設に切り替えるよりも効率的な方法になり得るかもしれません。

○山本委員 変則合併という言葉は使わなくてもいいと思うのですが、いわゆるバイオトイレ系のものと雑排水の処理系というものがありますのでね。だから、合併処理浄化槽だけであるというような言い方もどうかなと私は思います。

○加藤委員長 なるほど、変則合併処理浄化槽という言葉は少なくとも、これはもはや要らないということですかね。ただし、今、山本先生がおっしゃったのは、いわゆる雑排水を処理する方式が何かほかにあってもいいのかもしれないという意味ですか。もし適切な言葉があったら、また。

○廃棄物・リサイクル対策部長 変則合併処理浄化槽というのは、実は予算の制度の中に載っている用語でありまして、恐らくこれが破綻しているというのは、今の変則合併浄化槽というものがどういうものかということの定義でもって破綻しているのだということであって、この中身を直してしまえば、一つの変則合併浄化槽という概念は、単独処理浄化槽を活用して、併せて何かの付加装置をつけて進展させようというものを変則合併処理浄化槽と実は呼んでいます。実は、それはどういうものかというのを次に決めている。その次に決めているところが、多分御批判のところだろうと思っておりますので、これを落としてしまいますと、単独浄化槽を活用して行うツールをやめろということになりますから、制度上は。そういう御指摘ではないという理解でよろしゅうございますか。ということだけ確認しておきたいのですが。消してしまうと、その制度はなくなります。

○加藤委員長 北尾先生、いかがでしょうか。

○北尾委員 実はですね、単独処理浄化槽を活用しながら、合併化しているというのも少数ながらあるのですよ。合併に改造しているというのもね。だから、その方を書いた方が、むしろ適切じゃないかと思うのです。というのは、膜処理という方法に改造しているのがあるのです。ですから、変則をとった方が実際にあるメニューとしては実態にふさわしいと思います。

○廃棄物・リサイクル対策部長 名称のことなので、しつこいようでありますが、いったん廃止しますと次に創設するというのは多分、恐らくまた何年か予算制度上、財政当局に要求して5年間ぐらいかけてまた次にできるのかということになりますので。今、北尾先生のおっしゃっているようなものに変則合併処理浄化槽というものをしてしまえばいいわけですから、定義は、正に単独処理浄化槽を活用しながら、付加装置を付けて雑排水を処理すると、これが変則合併処理浄化槽の定義です。
 ただ、現在の変則合併処理浄化槽というのは、国安委員がおっしゃられたような経緯があって、実際にはほぼ活用されないものになっていると。そこで、変則合併処理浄化槽とだけ言っちゃうと若干語弊があるので、そこに「等」をつけておるというのがこの文章の部分であります。ちょっと私がここまで申し上げるというのは、やや失礼な話ではあるのですが。

○加藤委員長 今、部長さんがおっしゃったのを、その文章をそのまま書いたらどうですか。単独処理浄化槽を活用しながら、いわば水質を確保するための方式とか、それじゃ……。これはまあ、役所の補助要綱の文章じゃないから、そういう考え方でいいのかなとは思います。ただ、もうちょっと先生方の御意見と、事務局が予算を執行するのに困らないように、そのことも配慮が必要かもしれません。ただ、お気持ちはよくわかりました。
 要するに、単独処理浄化槽というのが現実にまだたくさん存在していて、そこから雑排水はきちっと処理できないと。そのときに、何かうまく技術を使ってやっている努力をしている人もいる。そういうものを何らかの形で認めてあげる。その努力は認めてあげるということだけれども、変則合併処理浄化槽等の改造を含めるというのも、これも何かなということだと思うので、その辺の表現はちょっと工夫したいと思いますが。

○北尾委員 くどいようですけれどね、浄化槽関係者の間では、変則合併処理浄化槽といえば、まずいったん単独を経由してということになるわけですが。だから、付加装置を付けて合併化するという際には、単独槽を合併槽の一部として活用するという場合だったら、これはもう変則という言葉は当てはまらないと。少なくとも、その関係者の間で一般に通用している変則というのはそういうことなのですよ。ですから、私は今委員長がおっしゃっているような、何らかの付加装置をつけて合併化するというような言い方が一番適切じゃないかと思います。

○加藤委員長 はい、ありがとうございました。そのほかによろしいでしょうか。どうぞ、この際ですね、大体、前回もそうだったのですが、今回特に先生方から多くの、この大きな流れそのものは大体御承認といいますか、御支持いただいて、御賛同いただいて、あと文章上の整理だとか誤解を招きやすいところを修正していくとか。あるいは、今出ましたような幾つかの問題点、特に浄化槽の機能というものを、もうちょっときちっと位置づけるべきじゃないかと。何か下水道整備区域の余ったところにくっつけるようなものではなくて、むしろ地産地消型の水循環を確保する一つの立派な方式であるということを明確にしていくとか。
 それから、したがって、国際的にも十分にユニバーサルに使えるものであって、単に情報交換というよりは、むしろ一種の標準を求めていくみたいな努力もすべきじゃないかとか、そういう積極的なこの今のたたき台を強化する意見もいろいろと頂きまして、そういったものを、まだもう1回事務局に、年末年始忙しいかもしれませんが、もう一度頑張ってもらって、次回1月15日と設定していますが、その日までに先生方の今日の御意見を最大限取り入れたものをつくって、皆さんに見ていただいて、できたら最終的に御確認いただくというふうにしたいなと思っておりますが。

○国安委員 すみません、一点だけ確認されていただきたいのですが。浄化槽ビジョンに関する基本的な考え方についての絵、この絵では、インプットとして研究開発等となっていますが、社会情勢の変化ではないでしょうか。先ほど、新美先生から御指摘があったように、公共用水域の水質に責任を持っていくのは市町村であり、浄化槽も公共用水域の水質保全の観点で整備していくように法改正も行われました。このような流れと、生活排水処理施設の整備率が約8割となり、ナショナルミニマム的な位置付けになってきていること。残り2割について、市町村が責任を持って整備していこうとしたならば、当然、地方の財政状況や、これまで整備したものの効率性を踏まえた上で、これからの予想されている人口減少、高齢化の進展、そういった観点を加味すると、浄化槽の整備区域の積極的な設定が必要なのではないでしょうか。その結果、持続的発展可能な社会の構築が可能だし、さらにはその技術が海外へ展開するのではないではないか、私はビジョンの流れをそのように考えたのですが、できればそういう考え方も御配慮いただければと思います。

○浄化槽推進室長 御指摘があった資料については、社会状況等が浄化槽に関する課題に与える影響があることを否定しているものではなく、前回の専門委員会において課題相互の関係についてお尋ねがあったことを踏まえたものでございます。

○松田委員 それで、私は国安先生の御意見に力強さを感じているのですけれども、この浄化槽に関する基本的考え方の中で、こちらに三つ書いていますね。これが課題として一番重点施策になっていくと思うのですよ。この三つの課題が文章の中でもきちっと明白に、優先順位をつけて書き込まれていくと、私たちは何をすればいいのかがわかるので、その辺の整合性がちょっと弱いかなというふうに思っていましたから、国安先生のお考えを支持したいと思います。

○加藤委員長 はい、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。繰り返し委員の先生方にお願いをしておりますが、この資料編の部分でも、あるいはこの本文の方でも、本文の不可欠な一部となるこの図表ですね。取りあえずイラストレーションと申しておきますが、イラストレーションについてでも、本文についてでも、今日いろいろと貴重な御意見を多々頂いておりますけれども、もう一度読み直されて、ちょっとここをこう整理した方がいいとかいうのがお気づきになったら、事務局の方まで是非御連絡いただければと思います。小さなことも大きなことも含めて御意見を頂けますと、事務局の方で非常に整理しやすくなるかと存じます。
 あとは大体、今日はよろしいでしょうか。特段御意見がないようでございますので、これ以上は。大変ありがとうございました。私としても、諸先生方のすべての御意見、誠に貴重な重要な御指摘だと思っております。事務局の方で正に適切に先生方の御意見を、これまでもそうだったと思いますけれども、取り入れて最終的な仕上げ、フィニッシュの段階にしたいというふうに思います。
 繰り返し申しますように、次回は1月15日の午前10時から。場所はKKRだそうであります。1月15日は10時、KKR東京。旧竹橋会館といわれた、何回も使ったあの場所でやるということで、そこで大筋といいますか、基本的な合意に至りたいというのが私の希望でございますので、なにとぞ御協力のほどお願いを申し上げたいと存じます。

○廃棄物・リサイクル対策部長 いろいろありがとうございました。いろんな御意見を頂いておりますが、後で委員長の方からお話があったように、今日の御意見も含めまして、修文があれば御連絡をお願いしたいと思います。今日発言されたことを含めて、よろしくお願いいたし
それから、3点ほど少し申し上げておきたいのでありますが、一つは市町村の役回り、大変強調される委員の皆さん方がいまして、これはもう所与のこととして、前提で実はこれはでき上がっておりますので。例えば中に、市町村が区域の設定に当たってはというふうなことで、もう所与のものとして実はこれは構成しておりますが、重要性を書けということであれば、そこは追加をさせていただきたいと思います。
 ただ、市町村がきちっと全部関与せよという御意見もございましたが、いわゆる市町村設置型というものは関与を非常に強くしている、市町村体制大変厳しゅうございますから、関与させてあらゆる人を競争させてというふうに持っていく方がいいのか、あるいは、個人設置型のようなものをベースにしながら、浄化槽の特徴を出していった方がいいのかということで、実はここの書き方は後者の方を少し強調しておるのが今のこの姿になっております。いっとき個人設置型というものをベースにして合併浄化槽設置整備事業の世界ができ上がっているのですが、途中で市町村設置型という下水道に近い形のものを実は導入いたしております。
 2ページのところに、実は最初に合併浄化槽にはいろいろあるのだけれどもということを付け加えますが、主としていわゆる小型合併を対象にということで、小型、分散型のものをベースにしてこれは書き込むと、こういう立場をとっております。そういうところも少し強調はさせていただきたいと思います。あくまで浄化槽というのは、当然市町村設置型はあるわけでありますが、個人設置型というふうなものも念頭に置きながら進めていくということであります。
 1点申し上げておきたいのは、今年も予算、政府原案、閣議決定昨日致しました。下水道、集排等の予算かなり減っております、公共事業の中で。その中で、浄化槽の予算は減らずに今年度並みということで確保がされております。その中の特徴は、半分が実は循環型社会交付金というジャンル。それからもう半分が実は汚水処理交付金という、下水道と集落排水事業と浄化槽が一緒の予算になっておりまして、更に今後中山間地の中でこの浄化槽がこれらとの競争にさらされていくということになります。したがいまして、このビジョンの案は、実はそのときに区域の積極的設定ということで、障害になっているものを除いていこうと、こういう立て方をさせていただいております。したがいまして、この絵のところはきちんと中に位置づけさせていただきたいと思いますが、この最初のたくさん絵が書いてあるものですね。これは皆さん方から御意見があったものが基本的にはすべて入っておりますが、すべて入れるということは、実は何をしているのかが若干わかりにくいことになります。この中から、今後の課題で中核的な部分を取り出したものが次のこの絵であります。意見の中では、研究開発等で全部くくるとはけしからんと、けしからんという部分は「等」のことをいろんな方がいろんな思いをしているので、全部また書くと何かこっちの図に戻ってこようかと思いますので、このような書き方をさせてもらっております。
 それから、最後のこの紙は、今度は進め方になるわけです。今度のこの紙は、具体的に進め方をわかるようにこれ何とか工夫をさせていただいたものでありまして、市町村が合併処理区域を積極的に設定していく道筋のこと。これはどちらかといいますと、市町村を中心にした、あるいはその指定検査機関の検査員を例に挙げたりしておりますが、いわゆる単独処理浄化槽を合併化していく道ということも含めて、面的な整備を進められるのだという浄化槽の積極的な活用と。こういうふうな立場と、それを支えます、やはりその地域の盛り上がりといいますのは、世界水フォーラムのように国際的な盛り上がりも出てきておりますので、こういうふうなものが片方で盛り上がっていただきますと、これは浄化槽の面的整備、結構それなりに進んでいくのではないかということで、現在この汚水処理交付金といいますのは、国の縦割りを廃しまして、例えば下水道が拠出している予算を浄化槽も使うことができるというものでありまして、逆に浄化槽施策の方が、浄化槽が選ばれないと、ここに書いてありますようによく出てくる話が、やはり単独処理浄化槽があってなかなか難しいということがありますれば、浄化槽は選ばれなくなるわけであります。
 そうしますと、浄化槽から出している予算は、下水道なり農集排で使っていくと、こういうことになるわけであります。そういう意味で、新しい事態、今後の整備の求められている地域というのは、中山間地にはなりますが、この中で浄化槽はこれまで施設整備のコストはこれぐらい安いのだと、こういうことを言われてきたのでありますが、なかなか今年度の施策に、昨年度、今年度、この汚水処理整備金は、浄化槽は拠出しているよりもかなり少なくしか使われてないという実態が実はございまして、この今回の浄化槽ビジョン、ものの考え方をもちまして、これを展開していくことによって浄化槽が本来いいのではないかと評価してくれるような地域があって、本来浄化槽が積極的に普及していくような、そういうイメージで考えさせてもらっております。
 是非とも次のときに委員長の方からも、このビジョンの取りまとめということでございますので、しつこいようですが、私が申し上げたようなことに対しまして、こうすればいいじゃないかということがありましたら、紙でもって御意見を頂ければと思っております。よろしくお願いします。

○加藤委員長 はい、どうもありがとうございました。おおむね時間がまいりました。次回は最終的なこの修文に対する御意見と、基本的な御了解を頂ければうれしいなというのが、それとともに、つくられる浄化槽ビジョン、いいものができました、そして、単なる棚に上がっていたのでは、これ全く意味ないですから。浄化槽ビジョンをどうやって活用していくか、活用型についてもまた次回ぐらいには、余り具体的でなくてもいいのですが、基本的な活用の仕方について先生方から御意見も頂きたいなというふうに思います。
 それから、あと2、3分時間がありますので、室長、今、部長さんが予算の大きな、今回の政府原案が決まったこの予算についてお触れになりましたけれども、幾つか細かい項目が書かれておりますが、簡単にどんな予算がついたのかといいますか、政府原案として確定したのか、1、2分で結構ですから、何か特徴があったらちょっと触れていただけますか。

○浄化槽推進室長 平成19年度関係予算(案)の概要についてでございます。1については、先ほど部長から申し上げたとおり、浄化槽の整備促進について本年度と同額の260億円余りが計上されております。2は、助成要件についてでございます。単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に対する助成については、対象地域に「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律で指定する地域」を追加するとともに、対象単独処理浄化槽に関して現行は使用開始後10年以内のものとなっておりますものを使用開始後20年以内のものに改めることとしてございます。また、いわゆる市町村設置型に加え、個人設置型についても、計画策定及び調査に要する費用を助成の対象とすることとしております。さらに、市町村設置型においては、複数戸ごとに設置された浄化槽については、助成の対象となっていないところでございますが、これを改めることとしております。4は、浄化槽整備に関する環境整備についてでございます。経済性・効率性に優れた浄化槽整備の効果等についての理解を一層得るため、特に環境の保全に関する民間団体等と連携しつつ普及事業等を実施するとともに、IT技術の利用等について調査を行うこととしております。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。今お聴きのとおり、政府全体も予算の枠が非常に厳しい中で、特に水関係も、先ほどの部長さんのお話ですと、下水道関係も結構削減されている中で、浄化槽関係は対象を広げるとかそういった、あるいは新しいものを追加するとか、強化されたようでありまして、大変結構なことだと思います。
 ですから、松田先生なんかが大いに頑張って民間団体を盛り上げてください、浄化槽についても。よろしいでしょうか、何かこれについて御質問ございますか。
 それでは、今日ちょうどぴったり予定時間となりまして、今日はこれにて閉会ということですが、1月15日午前10時にお目にかかります。どうも、よいお年をお迎えください。

午後0時01分 閉会