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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第21回浄化槽専門委員会議事録

平成18年11月27日

午前10時00分 開会

○浄化槽推進室長 ただ今から、第21回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。
 資料一覧をお手元にお配りしておりますので、資料の不足がございましたらお申し付けください。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 どうもおはようございます。
 ちょっと雨模様の中、先生方、万障繰り合わせて御出席くださいまして、誠にありがとうございました。
 もう言うまでもないことですが、私ども12月の末をめどに浄化槽ビジョンというものを取りまとめるべく作業をここ数回ずっとやっておりますけれども、今日はヒアリングとしては最後の締めといいますか、市町村で浄化槽の整備に主体的に取り組んでいらっしゃいます市町村での御経験といいますか、そういったものをお伺いしようということで、今日はわざわざ佐久市の三浦市長さんに朝早くからおいでいただきました。大変ありがとうございました。
 三浦市長さんについては、別にもうここにいらっしゃる皆様は御紹介の必要はないと思いますけれども、改めて申し上げますと佐久の市長さんであるとともに、全浄協、私も正式名称はなかなか言いにくいのですが、全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会、通常、全浄協と言っていると思いますけれども、全浄協の長いこと会長さんも務めていらっしゃいます。
 三浦大助さんは、皆さんこれも御記憶だと思うのですが、大変若いときから浄化槽し尿処理というものに中央、当時は厚生省でございましたが厚生省、それから地方公共団体、私の記憶では確か山形県だとか、そういうところで大変御尽力をされたというわけであります。
 私にとっても個人的に申し上げますと、私の師匠の一人でもあります。そういう三浦大助市長から短い時間で大変恐縮でございますけれども、15分程度で浄化槽の今後の普及促進について忌憚のない御意見を頂ければと存じます。それを頂きまして、私どもとしては間もなく取りまとめをしようとしておりますビジョンの中に適切に反映をさせていただきたいと思っています。ひとつよろしくお願いいたします。

○佐久市長 どうも田舎から出てきて何を申し上げていいのかよくわからないのですけれども、ともかくまだまだ浄化槽はこれから必要ですよということをちょっと今日、この場で言わせていただこうと思って今日出てきたんですけれども、実は私の町は合併して10万の都市になったんですが、おかげさまで汚水処理の整備率91%でありまして。

○加藤委員長 資料の1にございます。

○佐久市長 田舎にしてはまあまあだと思っておりますが、実際のつなぎ込みが下水の方は整備率に比べて少ないものですから、80%ちょっと超えたぐらいの水洗化率であります。当市では、下水と、農集排、それから浄化槽と、計画区域を最初からすみ分けで進めており、事業ごとの割合は下水が70%、それから農集排が10%、浄化槽が20%、こういうことで進めております。浄化槽は今まで5,800基が設置され、このうち国から補助金を頂きまして3、
700基を設置しております。ただ、単独浄化槽はまだ137基残っておるものですから、これらの合併浄化槽への切りかえが非常に今難しい状態であります。
 このような状況ではありますが、事業にも大体目鼻がついてきたなというところで、今度は、市町村合併になりまして農村部を抱えたわけであります。見ていますと、結論から申し上げますと、浄化槽の普及ということに対するまだ市町村の体制がなかなか進んでいないのですね。合併した町村を見ていますと、大体終わったみたいなことを言っていますが、やっぱり合併してもう1年半たちますが、ぽろぽろと希望が出てくるのですよ。最初から計画的なすみ分けで普及をしていないものですから、出てきたところで面倒を見ている。村は特にそうですよね。これからは、小さな町村に対しもっとPRを強化して浄化槽を普及しなければならないと私は見ております。
 私も市長を今18年目になるわけでありますが、見ていて本当に農村の生活を一変させたというのは、今まで日本の行政でも三つあるのですね。一つは、簡易水道がすっかり農村の生活を変えました。これは本当に厚生行政のヒットだと思うのですよね。
 次に、変えたのは、国土交通省の道路だと思うのですよ。道路がよくなったから、僻地とか無医地区という言葉がなくなってしまった。そういうところにまだ補助金が出て、無医地区診療所なんてやっているわけですよね。先生をお願いしているが患者が来ない。みんなもう道路がよくなったから町へ行っちゃいますから、何でこんな無駄なことをやっているのだと先生から言われる。一人でも患者がいたらやっぱり潰すわけにはいきませんから。そういうまだ無駄な行政というのはあるのですが、しかし道路が本当に農村を変えました。
 それで、三つ目に農村の生活革命を起こしたものがこの合併浄化槽、いわゆる浄化槽だと私は見ているのですよね。最近、私の町は蛍が復活しまして乱舞しております。
 それから、今までトイレが脳出血の発作場所でした。今はもう減りましたけれども、脳出血を起こしたときにどこで倒れたかと聞くと、今までは大体100%トイレですね。しゃがみ込んで、もう田舎のトイレというのは外から風がぴゅうぴゅう来まして寒い。しゃがみ込んで力むと、大体血圧が40%上がると言われていますから、どこで発作を起こしたかというと大体トイレだったのですが、最近、トイレで発作を起こしたという話は聞いたことがないですね。
 やっぱり最近の家庭を見ていますと、大体、洋式が9割、こんな田舎でも新しい個々の家庭は9割いっていますね。公共施設の学校はまだまだしゃがみ込みの便器でないとなかなかうまくいかないものですから。そういうことで、農村の生活を一変させたというのはこのトイレじゃないかと思うのですね。本当に私、最近、脳出血を起こした方に発作場所はと聞くと、「トイレ」と聞いたことがないです。昔はもう100%トイレでしたから。
 水洗化を進めるという意味で、浄化槽の普及というのはもっともっとやらなければいけないのですが、やっぱり水道と違って、町や村を見ているとPRの仕方が余りお上手でない。もう少しPRをやると、これからかなりまだ浄化槽の普及というのは期待できると思っております。
 ただ、ここへ来て心配なのは、市町村の財政が非常に厳しくなっていますので、市町村の中にはなかなか3分の1の補助というのが厳しくなり早くやらないとだんだん補助金が少なくなってくるのではないかなと。そういう意味で、ひとつ行政当局にもぜひPRをお願いしたいということが一つであります。
 もう一つ、今日ここで申し上げたいことは、浄化槽の排水ですが、汚泥はもう私どもは野菜地帯ですから農家で肥料として使っておりますが、排水の水が、これも水の豊富なところでは心配はないのですが、やっぱり浄化槽の水の再処理、再利用というんですかね、これをこれから是非考えなければいかん問題じゃないかなと思うのです。今もう地球規模で水不足ということが大分問題になっておりますし、国際水フォーラムなども開かれているわけでありますから、これからの宿題というのは放流水をもう一遍使えないか、再循環ですね。これは是非今日、研究者の皆さんがお集まりなので、これからひとつお考えいただきたいと。今日、この点を申し上げようと思ってここにやってまいりました。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 三浦大助市長さんの非常に長年、恐らく四、五十年に及ぶ浄化槽、それからし尿処理、それからもちろんお医者さんとしての知見とか、そういったものを非常に凝縮してお話いただきました。PRの強化、この点は実は専門委員会でも繰り返しいろいろな方から出ていまして、浄化槽に対する理解がいろいろな意味で非常に足りないと。行政の方でも地方の方の末端に行くとなかなか十分でないということもあるのですが、使用者自体が自分のところが単独なのか合併なのかも知らないとか、そういう使用者自体がそのこと自体を既に知らないとか、さまざまな話がありまして、やっぱり浄化槽に対する理解を深めてもらう努力が必要じゃないかという話は今までも実は出ていたのですが、今、三浦市長さんから改めてその重要性を指摘いただいたと思います。

○佐久市長 それで、まだ5万人以下の市町村、普及率60%ですからね、水洗化率が。まだまだこれからやらなきゃいかんと思うのです。見ていると、やっぱり町や村、当局の浄化槽というものに対するPRがまだうまくいっていないなということはもう切実に感じます。

○加藤委員長 わかりました。
 それから、2点目に強調されました処理水の再利用の件、これも私どもとしてもそれなりに議論をしてきたつもりでございますが、この点もまた今、市長さんから重要さを御指摘いただきましてありがとうございました。
 さて、委員の皆様どうぞ、三浦さんの長い御経歴、御経験に対する御質問をどうぞ。何でも何なりと。

○須藤委員 三浦市長、どうぞ御無沙汰いたしております。須藤でございます。何回かそちらに伺って、特に雑排水の対策をやっているころお伺いして、いろいろ御指導いただいたわけでございますけれども、あのときからも感じていたのですが、汚泥の方ですね。先ほど汚泥は田舎だからうまくいっているとおっしゃったのですが、汚泥の方は浄化槽の方の先ほどの5,800基とおっしゃったですかね、それをそれぞれがどこかそのまま堆肥として使われるのですか。それとも、何かまとめて、脱水装置なんかもあったように、ですよね。

○佐久市長 肥料工場がありますので。

○須藤委員 そこへ全部持っていくのですか。

○佐久市長 持ち込んでいます。

○須藤委員 ああそうですか。

○佐久市長 肥料は野菜地帯で売れていますから。

○須藤委員 じゃ、一度堆肥化をやるのですね、汚泥を集めてきて。

○佐久市長 堆肥化というか、粉にするわけですよね。乾燥させて、袋詰めにして売っていますから。

○須藤委員 なるほど、わかりました。

○佐久市長 要するに、コンポストです。

○須藤委員 そういうことをしているのですね。それと、先ほど放流水の循環というか、再利用とおっしゃられておられたので、これまた多分、なかなか全国的にはまだやられていない部分だと思うのですけれども、市長の展望というか、例えば佐久市ではどんな形でおやりになりたいとお考えなのですか。

○佐久市長 まず学校、多いですからね。

○須藤委員 学校ですか。

○佐久市長 熊本の方でどこかの高等学校がやっていますよね、水の再循環というのを。

○須藤委員 はい。

○佐久市長 やろうと思えばできるのではないでしょうか。ちょっとどこか1か所やってみようかなと思っています。

○須藤委員 なるほど、どうもありがとうございます。

○加藤委員長 ほかに委員の先生方、どうぞ御自由に。

○河村委員 最初の方で単独処理浄化槽が今現在137基ということだったのですけれども、もしわかりましたら最盛期といいますか、一番多いときにどのぐらいあって、それが何年間でこの数字まで来たかということと、それに対する市としての方針といいますか、方策といいますか、手段といいますか、そういうものをお教えいただければありがたいのですけれども。

○佐久市長 田舎ですから、最初から浄化槽は単独でもそんなになかった。約300基ぐらい。それが137基に減ったということなのです。やはり単独槽を減らすには放流水の規制を、本当は保健所あたりに強めていただければいいのですが、今、全くそういう指導を保健所がしていませんから。それで、この減ったのは、むしろ下水道の区域で接続が進み減ったのです。だから、単独を合併に切り替えたというケースは余りないです。

○加藤委員長 北尾先生。

○北尾委員 数年ぶりに三浦節を聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。
 それで、1点だけお伺いしたいのですが、浄化槽は非常に経済的にも有効な手法だということをよく言われるのですが、それでも高齢者の1人世帯なんかにとっては結構な負担だというふうに思うのですが、何か制度的にそういう方に対する助成とか優遇措置とか、そういうものをやっておられたら、ちょっとお教えいただきたいと思うのです。

○佐久市長 本当は補助率アップということを国の方にお願いすればいいのですが、それは大体無理な話でしょ。私、予算がわかっているから無理だなと思って。本当は補助率をアップしていただいてやればいいのですが、ただ高齢者世帯というのは浄化槽問題でなくていろいろな問題がありますから、ちょっと浄化槽だけの問題というわけにはいかないでしょう、実際、行政をやっていて。

○北尾委員 維持管理の面なんかではどうですか。

○佐久市長 維持管理は、今、私どもの方は管理組合がありまして、割合ほかと比べてうまく管理している方じゃないでしょうか。市役所に直接事務局を置いてやっていますから。

○北尾委員 どうもありがとうございました。

○加藤委員長 新見先生。

○新見委員 今、市長さんがPRの必要性、しかもタイミングは、時間はそんなに残されていないと、財政の問題を考えると時間はないのではないかというような趣旨で伺ったのですが、佐久市ではある意味で第三の成功を収めてきているのですけれども、どういうPRをなさったのかということをちょっと伺いたいのです。

○佐久市長 私どもの方はもう最初から市の図面を出して、この地域は下水道地域でいきましょう。区長会、区長もみんな呼んで、あなたのところは浄化槽でいきますよ。もう市が先頭に立ってそういうすみ分けをやったものですので。そういう話し合いの中で、浄化槽でなく下水道をやりたいという人がいるのですよ、中には。だけど、もうここは合併浄化槽という地域にしたからと言って、それで御理解いただいて進めているのですよ。かなり行政が主導ですね。

○新見委員 それもそうですけれども、浄化槽の場合はユーザーが自分でこれにしたいという動機づけがないとなかなか乗ってくれないわけですね。それをどういうふうに。

○佐久市長 大体、水洗化が2割いけば、あとはもう一瀉千里ですよね、気持ちいいでしょ。最初は、取っ付くまでが大変なんじゃないですか。私も18年前に地元の要請を受けて市長選に立候補したときに選挙の公約に全戸水洗化を挙げたのですよ。そうしたら、最初の議会でできもしないことを言うなという議員が居たのですね。田舎ってそんなもんじゃないですか。
 だから、そのときも大体2割行けば、あとは一瀉千里ですよと言ったらやっぱりそうなってきて、今、9割超えたという。やり方だと思うのですね。始めからきちっとすみ分けをして、この地域も浄化槽と決めたら、それであと区長と接触して進めていかないと。希望があったらじゃだめですよね。

○新見委員 そうすると、ちょっと確認ですけれども、ただ今おっしゃられたPRはむしろ自治体向けのPRという御趣旨なのでしょうか。

○佐久市長 そうではなくて市民向けのPRですね。

○新見委員 今ちょっと伺ったのは、計画策定があったのは十分大きな推進力になったことはわかるのですけれども、一般住民に対してどういうPRをしたら効果的かということをちょっと伺おうと思ったのですが、計画と同時並行の趣旨なのですか。

○佐久市長 ですから、それは区の中でいろいろな集まりがあるでしょ。そういうときに私はよく行って話すのですよ。家を新・改築するのなら、トイレは洋式にしなさいよ。便器を使うなら、今、格好のいいいろいろな便器がありますが、白を使いなさいよ、出血したらすぐわかるからと、そういう。
 それから、さっきの脳出血の話ですね。本当にこんなことは珍しいと思う。昔は100%トイレで倒れていたのが、今、全然ないですから。

○加藤委員長 市長さんがおっしゃった点で、いろいろなところへ出かけていって、別に浄化槽とか水の話じゃない、別の話のときにも浄化槽の話を。

○佐久市長 やるのですよ。

○加藤委員長 ちょっと入れるということですね。それが非常に住民にとって効果的だと。例えば、ごみの問題であれ、あるいは地域の介護の問題とか、そういうときに、なるほど。

○佐久市長 いろいろな会合でね。

○加藤委員長 もうあらゆる機会をとらえて、適切に入れ込んでいくということですね。
 ほかに、委員の先生方、御質問いかがでしょうか。
 じゃ、私の方から。資料1ということで、佐久市の多分事務局の方から恐らく市長さんの御意向を介して2ページの1枚紙をお出しいただいているわけなのですが、その中で単独から合併に転換を促進してくれということが書いてあります。先ほど河村委員の方からの御質問にももう既に一部お答えいただいているのですが、やはり佐久市ないしは全浄協としても、単独から合併にとにかく早く転換をするように国もしっかり助成の拡充等を行ってくれと、そういう趣旨だと思うのですが、この点はかなり重要な点だというふうに市長さんも考えていらっしゃいますか。実は、この専門委員会でもこの話は繰り返し出ていることなのですが、何か御意見があれば市長さんの方からお聞かせいただければと思います。

○佐久市長 工藤課長、何かある。あなた、実際に担当していて。言っていいよ、担当の課長さんがいますから。

○加藤委員長 市長さんのお許しですから、遠慮なくどうぞ。

○工藤課長 単独浄化槽を転換していくためには、どのように進めればということを考えた場合に、補助金を使う方法とかあろうかと思います。それから、やはりユーザーにとって余り負担をかけないで現在の単独浄化槽を、合併処理浄化槽と同等の機能を有する浄化槽に余り費用をかけないで改造できるかどうかとか、そういうようなことが考えられるかと思います。
 いずれにしても単独浄化槽は、一般の合併浄化槽に比べて比重がものすごく高いわけですが、これを減らせる、いい方法を考えていってほしいと思っております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 多分これについては、特になかんずく山本委員が非常に御関心の強い点でありまして、どうぞ。

○山本委員 今、単独の質問じゃなくて、よろしいですか。

○加藤委員長 単独じゃなくても結構です。どうぞ、ほかで。

○山本委員 市長さんがおっしゃっていた小学校でもいいですけれども、学校を中心にして水の再利用を考えていらっしゃるというのは、私もコミュニティをベースとした水の再利用を考える上で、小学校の機能は大切だと思っておりまして、環境学習・環境教育の面でも核となるはずだと。そのときに、今、市長さんがお考えになっている再利用ですが、学校の中でどの様な再利用を思い浮かべていられるのでしょうか。

○佐久市長 結局、浄化槽の水をもう一遍タンクに上げて、それで使えばいいんじゃないですか。タンクに上げて。

○山本委員 それはトイレの水洗用に使うと。

○佐久市長 水洗用に。

○山本委員 それ以外には何かお考え・・・。

○佐久市長 以外ではまだ今、そこまで考えていません。余りにもったいないから。水の使用量が多いですしね、まだまだ。屋上に上げて落とそうかと思って。

○加藤委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、どうも市長さん、朝早くから大変どうもありがとうございました。今の御意見も私どものビジョンの中に反映できますように努力いたしたいと思います。
 さて、それでは三浦市長さんからのお話を以上にしまして、次の議題、つまり浄化槽の今後の在り方についての方に入りたいと思います。つまり、私どもの当面のタスクである浄化槽ビジョンの作成にいよいよ具体的に取り組んでいこうと、こういうことでございます。それについて、事務局の方からまず御説明願います。

○浄化槽推進室長 失礼いたします。資料2及び資料3を基に御説明申し上げます。資料2については、専門委員会における御議論等を参考に、「浄化槽ビジョン」に盛り込むことが考えられる事項について掲げてございます。
 また、資料3については、これらの事項に関連が深い御議論等をこれらの事項と同様に並び替えたものでございます。
 まず策定の趣旨について、浄化槽の制度面は大きく前進したが、浄化槽を取り巻く状況が変化していること等を考慮して策定を行ったということが考えられます。
 次に浄化槽に関する現状についてでございます。
 まず浄化槽の特徴等のうち処理性能については、改良が加えられ、他の汚水処理施設と比べて遜色がないこと、平成17年度の浄化槽法改正において、放流水の水質基準が設けられるとともに、指導監督の強化が図られたこと等が考えられます。
 また、他の汚水処理システムと比べた特徴について、人口密度の低い地域では効率的な整備が期待できること、設置について地形や地質による影響を受けにくいこと、分散型施設であるため整備計画の見直しに柔軟性があること、汚水を直接浄化するとともに、水路等の自然浄化作用を使用し浄化を行う2重の浄化作用を持つこと、土壌等による水の貯留機能を有する自然環境を介すること、排水についてその場で処理し汚濁物を浄化槽汚泥に変換することにより、減量化ができること等が考えられます。
 次に社会状況等の変化のうち汚水処理施設の現状については、今後の整備は、人口密度が低い地域、地理条件が悪い地域等を中心に行われることになることなどが考えられます。
 また、国及び地方公共団体の財政について、依然として厳しいこと等が考えられます。
 さらに、少子高齢化の進展について、現在は人口密度が高い地域であっても人口密度が低い状況になり得ること等が考えられます。
 加えて、環境に対する住民の意識について、廃棄物の分別等に見られるように一般的には向上している一方、汚水処理施設の整備に伴い処理自体について考える機会が減ってきているのではないかということ等も考えられます。
 次に環境保全全般の動向のうち環境保全上健全な水循環の構築については、第三次環境基本計画においては、水量の確保等を視野に入れた取組を推進すること及び環境保全上健全な水循環の指標を確立することが重要とされていることなどが考えられます。
 また、循環型社会の形成等について、循環型社会の形成及び地球温暖化の防止が大きな課題となっていること等が考えられます。
 次に社会状況等の変化に対応した浄化槽システムについて、まず浄化槽は様々な利点を有しているが、期待されるほど整備が進んでいるとは言い難いこと、浄化槽に関する知見について必ずしも十分に行きわたっていないこと等の指摘がございました。
 また、単独処理浄化槽の転換を始めとする面的整備の推進について、単独処理浄化槽は使用者等に対する転換メリットが少ない一方、地域住民全体の理浄化槽への転換に関する意欲に対して悪影響を与えること、住民に浄化槽と単独処理浄化槽の違い等を理解していただく努力が重要であること、他の汚水処理施設に係る区域を設定した上で、残った区域を消極的に浄化槽に係る区域とする計画をしている市町村も見受けられること、社会状況の変化により汚水処理施設整備計画が実情にそぐわなくなっていることなどが考えられます。
 さらに、浄化槽に関する住民参画の促進について、住民主導型の普及が望まれること、広報に関して単に整備や維持管理が必要であるなどの内容ではなく、その理由を明確にすべきであること、モデルケースを打ち出すことが考えられること、使用者等が浄化槽の設置等を適切に行った場合はメリットを、そうでない場合はデメリットを感じるような仕組みを研究すべきであること、環境保全団体等とのネットワークを形成することが重要であることなどが考えられます。
 加えて、使用者等の負担について、1基当たりの使用人数が少なくなれば1人当たりの維持管理費用は大きくなることから、維持管理費用の削減に努めるべきであること、保守点検、清掃及び法定検査の効率化を検討すべきであること、浄化槽関係者において社会的に支援を必要とする者の負担を軽減することがのぞましいこと等が考えられます。
 次に環境保全全般の動向のうち環境保全上健全な水循環の構築のための浄化槽システムについては、まず小規模事業場に対する浄化槽技術の導入について、浄化槽で処理可能な業種に関して周知を徹底するとともに、拡充を検討すべきであること、維持管理マニュアル等を作成すべきであることなどが考えられます。
 また、窒素及び燐について、窒素・燐除去型の浄化槽の普及を推進すべきであること、窒素・燐除去型の浄化槽の技術開発及び普及に関する状況を把握するとともに、効率的な維持管理の手法について検討を続けるべきであること、個別の水域に応じた対応を行うことも重要であること等が考えられます。
 さらに、浄化槽の効果に関する把握方法について、整備事業全体の評価を行うため代表水域の状況を継続的に把握することが望まれること、自然の浄化作用を活用するという浄化槽の特性を踏まえることが必要であること、生物指標によるモニタリングの可能性を研究する必要があること等が考えられます。
 次に循環型社会の形成のための浄化槽システムについて、浄化槽汚泥の受入れを制限しているという指摘があること、浄化槽汚泥の処理が焼却が中心であり循環型社会の形成に十分貢献している状況とは言えないこと、汚泥に関して、堆肥化だけでは家畜排泄物由来の堆肥と競合する可能性があり、生ごみ等の有機性廃棄物と併せて処理すること、熱回収を行うこと、炭化処理を行うこと等堆肥化以外の利用方法を考慮すべきであること、費用の増加のみならず地球温暖化の防止からも、濃縮車・脱水車、積み替え施設等の導入を検討すべきであること、汚泥処理施設等の整備については、必要に応じ、PFIを利用するなど民間活力を活用すべきであること、汚泥の発生の抑制が重要であり、技術導入、清掃時における汚泥回収量の適正化等が重要であることなどが考えられます。
 次に浄化槽の技術開発について、汚水の流入状況に合わせた処理機能の調整やできるようなIT技術を活用した自動・遠隔制御技術の開発及び常時維持管理が可能となるような維持管理手法の検討を行うべきであること、水域等の特性に対応できる浄化槽の開発を行うべきであること、使用者等に理解しやすい表示方法の開発を行うべきであること、単独処理浄化槽並みの大きさの浄化槽を開発すべきであることなどが考えられます。
 最後に浄化槽の海外展開について、浄化槽を総合的なシステムとして考えるべきであること、各国の事情を考慮すべきであること、国等においては情報の伝達等に関する協力関係の構築を行うべきであることなどが考えられます。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 これまで先生方に御議論いただきました浄化槽の現状をどう認識するか、何が問題か、課題を克服するためにはどうしたらいいかというようなことについてさまざまに議論をしてまいりましたし、今日もそうでありましたように、関係者からの非常に有益なお話も聴かせていただきました。事務局としては、先生方の御発言やヒアリングした内容を一応集約した形で出したということでございます。これから間もなくまとめようとしております浄化槽ビジョンの中にそれを適切に反映していこうということであります。
 今日は、本格的な議論のいわば事実上の第1回目として、約1時間まだ時間がありますけれども、全般的なそもそもこれがビジョンとして皆様方が念頭に置かれたものを適切に反映しているか。
 それから、今日は残念ながら松田委員、お休みですけれども、松田さんがよくおっしゃっている普通の人にわかるような文章で非常にパワフルな文章にしてくれと、そういうようなことに耐え得るものなのかどうかとか、まだもちろん文章になっているわけじゃありませんけれども、それから大事な議論した視点がここから欠落しているとか、そういうことについて、どうぞ忌憚のない御意見を今日はお聞かせいただいて、それを基に次回ぐらいにいわばビジョンの素案みたいなものにまとめて、そしてそれを1、2回議論して、できたら年内、場合によっては拙速は別に尊しとしませんので、場合によっては年を越えても、いずれにしても近々のうちにまとめたいというふうな気持ちでおります。
 どうぞ、以下、御自由に御発言ください。

○須藤委員 どうも御説明ありがとうございました。それぞれの個々の問題については、それぞれ簡潔によく要領よくまとまっているので、これはこれで恐らくどなたかが発言したことでしょうから、相矛盾するところも若干なくはないですけれども、これはこれでよろしいような気がいたします。
 ただし、これを個々に並べても余り意味がないですよね、ビジョンですから。何か論理をつくらないと多分いけないのかなと、こういう論理の展開というのですかね。ということで、そのことについて一、二申し上げたいかなと。

○加藤委員長 どうぞ。

○須藤委員 個々のことは全くよろしいですよ、これでいいのですが、私、今、温暖化のことでちょっとお伝いをしているんですが、すごく心配しているのがこの前の2005年の我が国のCO2の増加率が、本当は削減しなくちゃいけないんですけれども、8.1%、また上がっちゃったのですね。

○加藤委員長 また上がったですね。

○須藤委員 2008年から要するに議定書の第一約束期間に入るんですね。それにもかかわらず、2年前というか、8.1%増加しているのですね。環境省では当然これをこの1年で点検をして、2008年からマイナスで行くのだと、こういうふうに今でも宣言をされているわけですが、2012年までマイナス6%を確保するわけですね。
 そういう状況の中で、こういうビジョンを出すときに、一番、私、この問題が大事だと思うのですね。地球温暖化をどう防止していくか。それが一番大事だと思うので、前段というか、各章に脱温暖化のためにはこういうのがいいとか、CO2削減のためにはこういうのがいいとか、エネルギーはこう使いましょうと書いてあるのはいいのですが、何かその前提になる、要するに昔だったら私はこれでいいと思うのですよ。昔だったら、こういうことを考えないのだったら。でも、もうすぐに制約を受けなくちゃいけないのですね。持続可能な、これは委員長には釈迦に説法なのですが、持続可能な社会をつくりましょうと言っているのですよ。このことが持続可能な社会として妥当なのかどうかと評価をしないと私はいけないのだろうなと、こういうふうに思います。
 非常に難しいことだと思うのですね。廃棄物の問題やらいろいろなことが入ってくるので、持続可能な社会は何かということになるのだけれども、持続可能な社会にしなくちゃいけないということを前提にして、それでやらなくちゃいけないと。
 一方、もう一つは、温暖化、これ起こりますよね。幾ら6%下げたって起こるのですね、間違いなく起こると思いますね。例えばオーストラリアなんかだって干ばつで、もう自分の国で小麦が取れなくなって輸入するなんて時代になっちゃったですね。そういう時代を踏まえているから、日本だって食料問題は危ないのですよね。
 そういう中で、適応とよく言いますよね、この分野では。適応をさせるために、私は浄化槽というのは、例えば下水道に比べてすごく有利だと思っているのですよ。例えば災害に強いとか、ある部分水が貯留されているとか、かなりのそういう意味で適応、水という意味から適応に適している私は装置だと。そういうようなことも踏まえて、ぜひ災害の部分というか、どういう災害が起こるかわからないけれども、洪水だのいろいろあると思いますよね。
 そういう中で、浄化槽がそれに強いのだと。要するに温暖化しますよ、間違いなく。そうしたときに、浄化槽の方が強いのだと。これは学術的ではないので申しわけないけれども、多分そうだと思います。そういうことを是非示していただいた方がPRにもなるわけで、浄化槽を造った方が早い話が温暖化を踏まえたら生活しやすいというか、持続可能な社会なのだということを言っていただく方がいいなと思っているわけであります。
 それからもう一つは、やはり私はそのときの議論で言ったように、やっぱりエネルギーをこういうものから、さっきは水のことは三浦市長さんから伺ったんだけれども、エネルギーは確保できるのだということも必要だと思うし、それから場合によっては将来によっては燐も確保できるんだと。燐は枯渇しますよね、必ずね。それももう輸入がなかなか危なくなってきていますから、そうなったときにこの汚泥が燐資源にもなるというか、そういう意味でこれはちょっと脱温暖化と余り関係ないけれども。
 要するに、そういう循環型社会、脱温暖化ということを全面に出して、浄化槽というのはこんなにすごいのだということを両面から、技術の面も、それからこれからの推進の面、それともう一つはさっき言った適応の面から、そういうような部分をもう少し散りばめていただいて、前段で論理の展開をしていただけると今までの議論が生きてくるのかなと、こういうふうに思ったのですけれども、いかがでございましょうかというのが私の意見です。

○加藤委員長 なるほど。大変心強い意見ですね。ありがとうございました。
 今の先生のお話を別に要約するつもりは毛頭ありませんけれども、必要もないと思いますが、要は地球温暖化とか全体的な環境省が今掲げようとしている持続可能な社会づくりというものに浄化槽というものが非常に寄与するのだということを具体的に。

○須藤委員 水だけじゃなくて。

○加藤委員長 水の問題だけでなくて。つまり1パートではなくて、持続可能な社会をつくるという全体の中で非常に大きな役割を果たし得るんだということを強調してくれというのがあれですね。もちろん災害の問題とか食料生産とか、いろいろなことをお触れになられました。ありがとうございます。
 北尾先生。

○北尾委員 ここの項目については、大体これで尽きているという点では、私も須藤先生と同じ意見です。
 ただ、多分、事務局の方で勝手にストーリーをつくっちゃいかんということで、総花的に並べられただけなのだろうというふうに考えております。
 それで、浄化槽は他の生活排水処理システムにないいろいろないい面があるということをるる書いておられるわけですね。それは水の涵養効果とか、あるいは災害に強いとか、あるいはいろいろなすぐにでも考えられる効果と。ほかに、だんだん過疎化が進んでいく中で、下水道のような大きな投資を行うと、将来、財政的に大変なことになるというような効果とか、いろいろな意味で浄化槽の効果はるるこれまでも挙げられたわけですね。
 ところが、少なくとも現状では浄化槽とそのほかの処理方法とのすみ分けというのは、ただ単に経済性だけを唯一の物差しにして現行すみ分けが行われているわけですね。経済性では少々劣っても、こんな効果もあるのだから、もっと浄化槽の範囲を広げるべきだと。あるいは将来的な予想されることにまで踏み込んで、浄化槽の範囲を、もっと活用する範囲を広げるべきだというような提言とか、そういうようなものがあってもいいんじゃないかというふうに私は思います。その方が全体的な話としての整合性もとれると思う。
 それから、これは余り大したことじゃないかもしれませんが、以前にも申したことがあると思うのですが、以前の中間報告をまとめるようなときに浄化槽という言葉をどういうふうに使うかということですが、よく引き合いに出されるんですけれども、関西国際空港の浄化槽は7万人槽だと。こういうものも浄化槽法上の浄化槽ですし、それから農業集落排水施設も浄化槽法上の浄化槽ですね。
 しかし、ここでずっと言われていることは、ほとんど小規模浄化槽のことだと、あるいは従来的な言い方をすると小型合併処理浄化槽というやつですね。それのことなので、その辺の誤解を生じないように、どういうふうに話をもっていくかということも結構大事だと思うんです。
 なぜかといいますと、中規模以上のいわゆる浄化槽と言われているものでも窒素・燐とか高度処理というようなものは結構あるわけですよ。だから、浄化槽は窒素・燐の処理ができないとか、高度処理ができないということでは全体的に数が少なくても1基当たりの規模が大きいですから、かなり浄化槽でも窒素・燐とか高度処理というのは既に行われているし、また現実にそういうことが可能なわけですね。その辺のところのニュアンスが浄化槽という言葉の定義の仕方によってかなり変わってくるというふうな気がしますので、その辺の話の食い違いがないような表現をとるべきだというふうな感じがします。これは大したことじゃないかもしれません。

○加藤委員長 今、最後の点で北尾先生お気づきの、例えばここの表現をちょっとこういうふうに変えればというような、もし資料3に即して何か後で結構ですから、特に今お触れになった面でここをこういう表現にするともうちょっと明確になりますということを、また事務局の方にでも後ほどお教えいただけると大変ありがたく存じます。
 山本先生。

○山本委員 私も須藤先生、北尾先生のおっしゃったことに賛成でして、やはり浄化槽ビジョンですので、循環型社会の形成とか地球温暖化も含めて、そういうものにどう貢献していくのかを記述するのは必須だと思います。
 それで、その点に関連するのですが、当然、具体的に早急に取り組んで緊急に解決しなければいけないこと、単独処理の浄化槽の転換とか、そういうこともあるし、具体的に書き込まなきゃいけないこともあるんですが、将来のビジョンに関しましては、私、水道ビジョンが出て、下水道ビジョンが独立に出て、また浄化槽ビジョンが独立に出るということが気に食わないのです。水に関して、どう我々が取り組むのかというビジョンをつくっていくべきであって、それぞれで出すことが非常に無駄だと思うのですね。
 ですから、浄化槽ビジョンとうたってもいいのですけれども、その中に水のビジョンを出そうよという提言をしていただきたいのです。その中には、今、要するに下水道の隙間を埋める浄化槽のみならず、それは緊急にやらなきゃいけないのだけれども、都市のこれからの更新、日本の場合には巨大都市の更新という問題があるのです。それを下水道ビジョンだけで記述するのではなくて、今、北尾先生がおっしゃったように、大規模な浄化槽に関しても持続可能な都市をつくるために必要なシステムだということも含めて主張してもいいのだと思います。やはり百年の計に関する発言というのも必要だと思うので、だからその辺の部分も是非入れていただきたいと思います。
 それはそれとして、細かい項目に関して私もこれで大体いいのだと思うんですけれども、例えば浄化槽の海外展開につきまして、やはりここでは海外に出すということに関しましては、項目として一つ、浄化槽の性能評価の国際規格化のようなものも入れておいてもいいのではないかと思うんです。これから展開していくときに必ず必要になってくるし、現在の評価方法がいいのかという問題にも絡んでくると思うのですけれども、そういうようなものも項目として、守備範囲ではないと言わずに、入れてもいいのではないかと私は思います。
 それから、技術開発に関する8ページのところで、最初の項目でIT技術を駆使して自動制御、遠隔制御というのも、これもひとつあるのですが、やはり今度は小規模な方に焦点を合わせていくと、こういう形だけで事が済むとはとても思えないわけでして、ですのでこういうこととともに、やはりここは先ほど市長さんもおっしゃっているような小学校での浄化槽の再利用とか、やっぱり環境学習や環境教育を絡めて市民が参加できるような、せっかく浄化槽が水の価値を認める装置であるならば、使っている方が参加できるような、もちろん個別のことをやれとは言いませんよ。そういうような維持管理ないしモニタリングの方法とか、システムの開発とか、そういうのもやはり入れていくべきではないかなと、そのように私は思います。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 私も個人的には浄化槽の海外展開ということに関心を持って、何かしら多少のことをしているわけですが、今、山本先生のおっしゃった国際的な浄化槽の規格みたいな話になってくると、考えてみたら国際浄化槽協会みたいなのがあったって本当はいいのかもしれませんね。全浄協の国際版みたいなものが。自治体だって実は幾例か、幾つか環境関係の自治体の集まりがあるのですが、そういうところで浄化槽というものを取り上げるというのも一つはあり得るのかなというふうに思いますよね。
 そのためにはやっぱり浄化槽の規格、余り細かい規格では恐らく多分駄目だと思うんですが、日本的な細かいのではですね。大まかな非常に本質をとらえた規格みたいなものをつくっていくとか、そういう国際浄化槽協会のようなものが、あるいは学会のようなものが本当はできてもいいのかなという感じを今、山本先生のお話を聴きながら受けました。どうもありがとうございました。
 河村先生。

○河村委員 これまで発言された皆さんの御意見に対しましては、私の方もほとんど賛成なのですけれども、ただ今日お示しいただいたものは今からまとめるときに変わっていくんでしょうけれども、いろいろなトーンのものが並列的に書かれているというふうな感じで、そのトーンの強弱をつけるときに先ほどからお話があるようなストーリーといいますか論理ということにかかわってくるのかもしれませんけれども、この中ではある程度もう進行しているというふうなものと、全く今後考えなきゃいけないようなものがある。例えば、技術の面でN・Pの話が先ほど出ましたけれども、例えば単独規模の合併処理浄化槽を開発しようとかいうふうなことも書かれています。
 そういう意味で、ある程度もう進行しているものについては少し例示的なものを表現することによってイメージを高く、わかりやすくするというふうなことも必要かなと。これは全体の書きぶりの話で、併せてできれば簡単に、今まで出されてきたようなものの組み替えでいいかと思うのですけれども、資料的なものも付けていただくことによって、よりわかりやすくなる。ここで議論を聞いていた人はわかるかもしれませんけれども、そうじゃない方にとってみれば非常にわからない部分もあるかと思いますので、その辺ひとつお願いしたいと。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 新見先生。

○新見委員 私も今の皆さんの御意見に基本的には賛成なのですが、ビジョンというときに長期ビジョンと中期ビジョンというのがあるんですが、その辺の書き分けをきちんとした方がいいのじゃないかと思うのですね。長期的あるいは中期になるのかもしれませんが、最終的には正に水資源の3Rシステムだと思うのですね、地域的な。それを当面はターゲットにしていて、そのために中間点をどういうふうに考えるのかというようなことを少し具体的に示していった方が報告書としてはある意味で深みが出るというか、立体感が出るのではないかという気がします。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 今日は一とおり先生方の御意見を何なりと、今までどちらかというと、ここにまとめられているのは大体こんなものでよろしいというお話が多いんですが、いや欠けているぞとか、ここはちょっとおかしいんじゃないかとか、そういう辛口もどうぞ遠慮なくこの段階で言っておいていただかないと、また後になるとあれなもんですから、むしろそういうのも含めてお聴かせいただければと思います。
 まず、木曽先生。

○木曽委員 発言が後になるとだんだん中身がないのですが、基本的には。

○加藤委員長 繰り返しでも結構ですから。

○木曽委員 今回、御提案いただいているのは論点の整理ということで、あとこういうことについて中身を議論していくということになろうかと思うのですけれども、そういう点では今まで各先生方が御指摘されたことは、正にそのとおりだと思っております。
 その中でも、例えば今後検討、また中身を詰めていくときに、やはり規模によって、先ほど北尾先生がおっしゃいましたけれども、規模によって可能なもの、現在も可能なもの、それから将来の課題になるもの、そういうものをやはりある程度事例紹介的にも、紹介というふうに長くはできないとは思うのですが、そういうものをやっぱり区別しながら書いていくということが大事かなと思います。
 それがひいては今、新見先生がおっしゃいましたように、長期的な目標なのか、さらに中期、もっと喫緊に必要なものは何かというような、そういうふうな整理ができるのではないかと思っております。それは技術だけではなくて社会的な情勢も含めて、そういう区別を明確にしていくというふうなことがより長期的には見やすいビジョンになっていくのではないかなと思っております。

○加藤委員長 なるほど。ありがとうございました。
 国安さん。

○国安委員 私も皆さんの御意見と同じなのですが、気になる部分として、少子高齢化という用語が用いられているのですが、少しニュアンスが違うのかなぁと思います。やはり、人口減少社会、それと高齢化、二つを書き分ける必要があるような気がしています。
 先ほど須藤先生がおっしゃられたように脱地球温暖化、非常に大事なテーマだと思いますが、これまで専門委員会でお話ししたかったことは、人口増加の世の中から人口が著しく減少する社会へ、前年からですが。このような社会的背景の中で社会資本の在り方、先ほど山本先生からも御指摘があった下水道などの都市施設の更新ということが行政上、非常に大きな課題となってくると思うので、ちょうどタイミング的には人口減少社会に入った段階で、これからの生活排水処理に係わる社会資本、その中における浄化槽の位置付けを記述すれば、非常にタイムリーな内容になると思っています。
 それと、まだ残っている課題としては、先ほども三浦先生からの御発言の中にもあったと思うのですが、使用者に対し経済的負担がある限り、キーワードとして高齢者、あるいは年金生活者、社会的弱者、このような方々に対して、やはり行政上、何らかの対応を取っていただかなければ、どのシステムを導入してもこのような方々からはなかなか手が挙がらないため、汚水処理とはまた違った観点からの議論が必要だと思っています。それをしない限り、全体として施設整備が進む、特に行政として、個人負担が平等な整備体制とはならないような気がしています。
 あと一点だけ。佐久市のいいところというのは、浄化槽を個人設置で整備された上で、維持管理に関して最終的に市が責任を持って実施される、維持管理組織を作られていることだと思います。残念ながら、設置整備事業を実施されている市町村は多いのですが、維持管理組織の設立、行政が維持管理に口を出して言うと語弊があるかもしれませんが、設置に補助金を出しながら、維持管理体制をしっかりつくられる、そういった市町村がまだまだ数が少ないと思います。そういった意味で、市町村設置型以外の個人設置についても、維持管理に関する行政関与、そのあたりを促すような記述があってもいいのかなぁと思っています。
 以上です。

○加藤委員長 なるほど。ありがとうございました。
 ひとわたり先生方から今日初めてこの紙を多分、先生方も初めて御覧になって、ひとわたりの御意見を頂きました。
 私が理解する限りは、資料3に書かれた個々の問題については大体過不足なく、まあまあうまくまとまっていると。これは事務局の大変御苦労だったところだと思うんですが、そういうふうになっていると。
 しかし、一本筋の通ったストーリー性といいますか、そういったものが一つ欲しいねということで冒頭に須藤先生の方から環境省全体が、環境省というよりは日本全体が持続可能な社会に向かわなくちゃいけない。特に、温暖化等の対応なんかで非常に苦労している中で、この浄化槽も温暖化も含む持続可能な社会づくりにいかに貢献し得るかと。本来貢献し得るし、できていない部分もあるとは思うのですが、この文章の中にもまだできていない部分が、汚泥の問題とか幾つかありますけれども、そういうものがありますけれども、そういう持続可能な社会づくり、温暖化対応も含む持続可能な社会づくりにより貢献し得るということを一つ出したらどうかと。そういうストーリー性も出すべきじゃないかということ。
 それから、社会経済が非常に変化していますね。これは前から国安委員なんかが繰り返し言っていることですが、人口の減少、高齢化、少子化、それから一方で地方財政、国の財政も非常に厳しいのですが、地方財政が非常に厳しくなっていると。そういう中で、浄化槽の果たすべき役割といったようなもの。
 さらに、これは山本先生の方からも出てきましたけれども、もうちょっと長期的に考えると、都市全体、大都市といえども都市のインフラの更新とか、そういったものが起こり得ると。そういう中で、浄化槽を全く排除して、浄化槽というのは地方の問題ですよというのではなくて、そういう全体的な都市のインフラとか、ちょっとオーバーな表現になるかもしれませんが、日本の社会の構造的な変換に対応し得るインフラとしての位置づけというものもしっかり議論すべきじゃないかと。
 その絡みで山本先生、下水道ビジョンがあり水道ビジョンがあって、そこにまた浄化槽ビジョンがあると。水に関連してさまざまなビジョンが林立しているというのも変じゃないかと。ですから、将来的にはこの浄化槽専門委員会で全部をまとめるなんてことは、もちろんそういう権限は何もないと思いますけれども、そういうものをつくるべきだというぐらいのことは言ってもいいのではないかというのが山本先生のお話だったと思います。
 それから、更に新見先生からビジョンと言うけれども、いつごろを念頭に置いているのかという問題ですね。これは2010年とか20年とか30年とか、そういうことがあり得ると思うのですが、この点についてちょっと部長に、由田さんにちょっとお伺いしたいんですが、由田さんの方からビジョンをつくろうよという話が出てきたものですから、由田部長が考えるビジョンは大体いつごろを念頭に置いているのですか。いろいろな時間的な短期的にやらなくちゃいけない問題、中期的にやらなくちゃいけない問題、長期的にやらなくちゃいけない問題というのももちろんあると思うのですが、その辺について。
 それからあと、先生方がいろいろと非常に貴重なことをおっしゃってくださったのですが、それに関する何かコメントがもしあればそれも含めて、ちょっとこの段階でお聴かせいただけるとありがたいと思うんです。

○廃棄物・リサイクル対策部長 すみません、最初に言い出しっぺでありますので。実は、浄化槽に関する全体の物の考え方というのは、かつて十何年か前にここでも御披露させていただいたのですが、浄化槽専門委員会、国の審議会がございまして、そこでまとめたものが一度出されていまして、その後、実はいろいろな施策が展開はされてきてはいるのですが、考え方としてもう一度改めて少しまとめてみようということは、実はありませんでした、審議会としましては。
 それで、新しい物の考え方ということを十数年の経緯を経て、この間、予算が相当増えたということ、あるいは浄化槽法の改正が二度三度行われていると。その中で、浄化槽で言えば合併処理浄化槽のことを指すことを原則とするというような変化、あるいは浄化槽法の中で水質保全が制度の目的としてうたわれるとか、あるいはさまざまな現場のところでの実態がかなり変わってきているのではなかろうか。
 予算の中でも、浄化槽の補助金が循環型社会形成推進交付金の一部というふうに変わってきた。あるいは汚水処理三省交付金ということで下水道、集排、浄化槽がそれぞれお金を持ち寄って自由に今後の新しい、今後整備していくことを選択すると、こういう時代に入ったと。幾つか変化が生じてきております。
 そういう中で、改めてこれまでの浄化槽の経緯、まずは浄化槽の性能というものがしっかりしたものであるかどうかということを冒頭に先生方に御意見いただき、御確認いただいたわけでありますが、それなら浄化槽がもっと選択されてもいいはずではないかという、私、浄化槽汚水処理交付金の中で、正直言いまして浄化槽が一番持ち寄っているお金は少ないのでありますが、実は浄化槽が選択していただけないと。
 こういう中に、かつて私の実感ではあるのですが、この間もヒアリングで大変御尽力いただきまして、市民団体の皆さん方の御発表があったわけでありまして、改めて活動されているんだなということも思いましたが、私がいけないのかもしれませんが、全国各地でそのような市民活動の中で、浄化槽というものを取り上げている方々がどうもそれほど現場からの発信が、私がさぼっているせいかもしれませんが、余り伝わってこないというような問題、先生方はどう考えるのかというようなこともありました。
 あるいは、時代がいわゆるお上が何かを発信するとぴゃっと国民が聞くという時代ではなくなって、いわゆる市民の人たちがこれがいいのだというアイデアが一定の盛り上がりを持って一定の流れを形成していくという、こういう時代、これは日本だけではございませんで国際的にもそういう時代に変遷しようとしているわけです。
 こういう中で、実は十数年前に1度まとめたわけでありまして、冒頭この委員会でも紹介させていただいておると思いますが、これを踏まえまして新しい時代にどういうふうに考えるべきなのかということが実は浄化槽ビジョンの正体だろうと思っております。
 そういう意味では、余り100年先、200年先という温暖化に見られるような、人類は生き残るかというところの話、先ほどお話ございましたが、これはこれで環境政策の二大の大きな柱は、これは脱温暖化社会ということと循環型社会ということでありますから、環境省として取りまとめていただく審議会の中でこのようなことを踏まえていただくのは大いに結構だろうと思いますし、水フォーラムが一方では国際的にやられているわけですから、その辺も視野に入れていただくことも大いに結構だと思います。
 目の前の具体的に施設を整備し、管理をきちっとしていくという体系を時代的に行政計画として考える場合には、通常、目の前で10年から15年先を視野に入れながら具体的なことを考えるのが普通ではなかろうかと思います。
 ただ、行政計画、短期という場合には1年とか5年とかいうふうな、5年も長期と考える場合がございますが、大体ビジョンという以上は10から15年ぐらいの先を見据えて、これから何をすべきかということ。
 さらには、当面、10から15年先ということで冒頭申し上げたことがございますが、更に先のことを思い描くということは別段いけないことでもありませんし、大いにやっていただいたら結構だと思いますが、その程度を視野に入れて御意見を集約していただければと思っております。
 それから、今日も御意見をたくさん頂いておりますが、次回、浄化槽ビジョンに盛り込むことが考える事項についてということで、これまでの意見と事項ということでお示しをさせていただいておりますが、本日頂きました今日の佐久市長さんのいろいろな御見解あるいは御意見、あるいは今日の先生方の御意見を踏まえまして、この報告書の姿を少し事務局としてつくっていきたいと思っておりますが、是非とも今日、先生方の御意見を頂いておるものに関しましてできますれば、いや根拠はないのだという、何となくそうあるべきだというのもあればそういうことで結構でありますけれども、何か根拠がありますれば、是非とも何か論文とか、こういう論文、御自身の論文でなくていいのですが、誰かが書いているもので結構だと思います。どこかにこういうのがあるよというようなことも教えていただけたらいいと思いますし、あるいはどこかの報告書、あるいは今回の一連のこの専門委員会で事務局側が用意させていただいたここにあるよというやつでも結構でございます。
 ぜひとも物の考え方、なぜそうなのかということ。それから、その根拠、実はこうなのだと。データはここにあるよということをぜひとも後ほどで結構ですので、事務局の方に教えていただければと思っております。これはよろしくお願いします。
 引き続いて、また御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 今お聴きのとおり、部長さんとしては厚生省時代につくられたビジョン、それから当時はビジョンと多分言わなかったと思うのですが、事実上のビジョン。それと、十数年たって時代も大きく変化した中で新しい浄化槽の姿といいますか、そういったものを強くアピールしていくと、こういうことで、新見先生からのお問いかけの一体どのくらいのタイムスケールを考えるのかという点については、大体10年から15年ぐらいをめどとすると。
 もちろん短期的な問題ももちろんあるし、それから更にそれを超える問題もあるけれども、基軸としては大体そのくらいのところというお話がありました。恐らく、大体そういうところじゃないかなと思います。つまり、2020年とか、そういう世界を想定するということだと思います。
 それで、私個人もこの資料を見て確かによくまとまっているし、非常によく事務局も頑張って、先生方のこれまでの御発言やら、それからヒアリングの今日の三浦市長さんのヒアリングの結果はまだここには反映されていませんけれども、今までいろいろな聞いたことをうまくまとめてあるなと。
 ただし、これをまとめたのをホチキスしても、これはビジョンにはちょっとならない。これは諸先生方がおっしゃったことだと思うのですね。この中から強弱、それから強調すべきは強調する。それから、河村先生もおっしゃったように、せっかく貴重なものがたくさんあるわけですから、それはそれで資料のような形でビジョンの中のどこかに置いてあると。
 ただし、ビジョンの文章を見たら何十ページにも及ぶ長大なものを読まされるというんじゃ、これはちょっとビジョンにならないと思うのですね。やっぱりビジョン部分は余り長大な論文じゃなくて、パワフルなセンテンスで書かれていて、要するに普通の人が読んで浄化槽というのは何をやろうとしているのか、何に役立つのか、どういう問題を今抱えていて、それに対してどうしようとしているのか。今後、例えば浄化槽業界というのはこれを見てどういう面で更に頑張っていくのかとか、そういう指針にならなくちゃしようがないと思うのですね、浄化槽関係者がですね。そういうものにしていくという作業にこれから入っていくかなというふうに思います。
 ただ、個々の項目については先生方、大体これでよかろうということですので、事務局もそれを基にしてストーリー性のあるものをつくっていただきたいと思うのですが、そのストーリー性で先ほど冒頭部分で須藤先生からは温暖化などを含む持続可能な社会づくりに寄与する浄化槽という、そういうのが一つ出されましたが、それ以外に何か我々気をつけなくちゃいけないストーリーの柱みたいなのは何かありますかね。
 例えば、人口減少社会でのインフラの在り方だとか、それから更に言えば、もうちょっと長期的には都市全体のインフラ、大都市も含むインフラの更新時期における考え方だとか、あるいは温暖化の規制がうんと厳しくなっていけば、例えば今、汚泥を燃焼しているなんていうのはとんでもないよとか、そういうことになっていくわけですね。むしろ逆に、汚泥の燃焼じゃなくて、メタンをしてやっていかなくちゃいけないとか。
 それから、今日、三浦市長さんもPRということを非常に冒頭に強調されたわけですが、私たちも繰り返し浄化槽に対する周知がまだ徹底していないねということで、ただPRというのは予算を取るのがなかなかこれまた難しいのですね。多分、浄化槽をPRしたいので予算を増やしてくださいと財務省へ持っていったら、何言っているのだ、この馬鹿者と。お前ら何十年やっていて、まだPRなんて言っているのかと多分そういう話に、財務省的感覚だと、多分そうなっちゃうと思うのですね。
 ですから、恐らく松原室長なんかは非常に予算取りで苦労されると思うのですが、PRということよりも、むしろ市民を巻き込んでいく。市民団体とかNPOとかNGOとか水に関係するような、そういう人たちを巻き込んで何か役所が予算をたくさん取って、印刷物をたくさん使って配布するというたぐいのPRもさることながら、そういうこともあり得ると思うのですが、その辺、いかがなのでしょうかね。
 取りあえず、まず話のきっかけ、国安さんは前から維持管理の在り方についてかなり御関心を持っていらっしゃるようですが、何かその辺でビジョンづくりのストーリーで何かありますか。今すぐじゃなくても、後でもいいのですが。じゃ、木曽さんが手を挙げていらっしゃいますから、まず木曽さんの話からいきましょうか。

○木曽委員 今日の資料も最初には浄化槽に関する現状についてというふうに項目が立てられているのですけれども、この中の資料3を見ましても、正に現状の問題をまとめていただいているのですが、先ほど来の部長さんの御発言とかを踏まえますと、浄化槽を取り巻く情勢がやはりどう変わってきているのか。浄化槽の社会的な役割がどう変わってきているのかということをやはりどこかで踏まえていただいて、かつ現在において浄化槽の役割というものが最初の浄化槽法ができた時代とどう違うのかというような、そういう説き起こしがあって現状の問題というふうにつないでいただけると理解をしてもらいやすいのではないかと。
 地球環境も含めて、ちょっとそれは範囲が広すぎると言われても、その置かれている役割そのものが変わってきているというような、そういう歴史的な展開の仕方というか、そういうこともどこかで踏まえていただけると説明がしやすいといいますか、理解していただきやすいのではないかと思います。

○加藤委員長 社会的な変化という。

○木曽委員 それと、技術的な変化も含まれるのですよね。

○加藤委員長 技術的な変化を含めてですね。

○木曽委員 それが相まって対応してこられたわけですから。

○加藤委員長 市長さん、お聴きになって何か。

○佐久市長 この中で私が発言しちゃって。

○加藤委員長 いやいや、どうぞどうぞ。せっかく大経験者で。

○佐久市長 実は私、ちょっと俗っぽい話で恐縮ですが、今、お話を伺っていまして、結局、どんなビジョンをつくろうとも、まずはつくってもらわなければどうしようもないわけですよね。私、住民と接しておりまして何かやろうというときに、これをやるとどんな得になるのだろうかなという感じも大事だと思うんですよ。それで、私はいつもこれをつくることによって、例えば蛍を見てごらんなさい。あそこの部落、みんなで浄化槽を設置したから下の方で蛍がたくさん出てるから見てごらんなさいよと。そうすると、これをやると蛍が出るそうだと、こういうことになる。
 それから、PRに行って、皆さんにトイレの話をして、朝起きたら昨日食べたものが出てきますよ。排泄物の形を見たり、色が目の前に出てきたりするのだから、お医者さんへ行くよりもよほどはっきりしますよと。つまり、健康づくり。今、もう高齢社会へ来て健康づくりといったらものすごく皆さん関心持っていますから、これをつくることによって毎日健康管理ができるよと。
 つくったら何か得があるかなという感覚というのはとても大事だと思うのですよね。何かやってもらうのについて。そういう視点もぜひ何か加えられると。いいビジョンをつくっても、これをつくってもらわないことにはどうにもならんわけですから、これをつくることによってどんな得になる、こういう観点も大事じゃないかなと思って、ちょっと余計な発言で恐縮ですが。

○加藤委員長 いいえ、とんでもございません。大変ありがとうございます。
 やはりお医者さんの市長さんならではの視点もありましたけれども、正におっしゃったとおり、確かに浄化槽を普及していくと何がいいことがあるのかというのを市民レベルで、市民感覚でわかるようなふうにしていくということも非常に重要だということですね。ありがとうございました。
 北尾先生。

○北尾委員 これまで主に議論してきたこととちょっと違うことを言うようで恐縮なのですが、ビジョンというと、私、都道府県の計画なんかにかかわった場合の例なんかを挙げますと、大体その生活排水処理は何年ごろに何%ぐらいの水準に達しているべきだと。その中で、それぞれの方策がどのぐらいの割合を占めているべきかというような目標数値を出して、その目標数値を具体的に表した上で、それじゃそのためにどういう努力をせにゃいかんかというふうなことを盛り込むというようなスタイルが多いと思うのですよ。
 この委員会でそういう目標数値が設定できるのかできないかという問題があるし、それから山本委員が先ほどおっしゃった下水道なんかも全部総合したようなビジョンがあってもいいのじゃないかという意味で、そこまで書けないのなら、せめて先ほど挙げられた15年とか10年とか先には、大体、生活排水処理施設というのは概成はなっているというようなまず目標を挙げて、それでその浄化槽がどういう役割をすべきかというようなことがもし書けるのであれば、やはりそういうふうにした方が表現に具体性というのがより強くなるでしょうし、それから例えば中間時点での見直しとか、そういうこともやりやすくなると思いますので。
 ただ、これは今まで余り議論を深めてこなかった問題だけに、ちょっと急に言い出して恐縮なので、参考と思っていただいても結構ですけれども。

○加藤委員長 確かに北尾先生御自身もおっしゃったように、私の記憶でも余り、例えば2010年までに単独浄化槽を何基廃止するとか、あるいは何年までにはおよそこの単独浄化槽というものはなくすとか、例えばそういうような量的な数字というのは議論したことは多分なかったと思うのですね。逆に、合併浄化槽をどれだけ増やすとか、そういう話も余りなかったと思うのですが、政府としては松原室長、何かそういうたぐいの数量的目標というのは持っているのですか、政府は。

○浄化槽推進室長 廃棄物処理施設整備計画がございます。

○加藤委員長 どんなふうに書かれているんですか。
 では、ちょっとその数字が出てくるまでの間、国安さん。

○国安委員 その数値の設定なのですが、例えば汚水衛生処理率とか汚水処理人口普及率について、過去6年間ぐらいの伸び率から単純に推計すると、大体、これから10年先にほぼ100%となります。
 そのときに一番問題となるのは単独処理浄化槽、600万基、例えば10年間で全部切り替えるとすると、年間60万基ぐらいの単独を切り替えて行かなきゃいけない。これから先、整備率100%ということを目標とした場合には、トイレが水洗化済である単独の切替えが最も難しい問題となると思っています。その際、単独の切替えを集合処理施設、あるいは浄化槽でやられるのか、どのような考え方を市町村がなされるのか。今回のビジョンの中にその方向性が示されれば幸いだと思っています
 なお、先ほどの10年先に100%というのは、これまでの傾向からの単純な推計の結果であって、それにかかるお金は無視したものです、念のため。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 この当専門委員会でも何度も何度も出ている話ですし、今日も三浦市長さんの方からも話がちょっとありましたように、単独をどうしていくかというのはかなり大きな問題ですね。これは山本委員が当初から繰り返しおっしゃっていることの一つですけれども、その辺も含めて北尾先生がおっしゃったように、一種のビジョンの中に数量的な目標もちょっと書き込めるかどうかですね。
 ただ、数量的な目標を本当にやろうとすると、ちょっと時間が足りないのではないかなという印象をちょっと私は持っています。単なる数字だけぽこんと上げるだけなら誰でもできることですから、その裏付けなりそういったものをきちっと議論するというためにはまだ少し時間が要するかなとは思いますけれども、ですからそれは今後の課題にしても一向に構わないのですけどもね。
 室長、先ほどの問題、何か。

○浄化槽推進室長 平成19年度において汚水処理人口普及率86%、浄化槽処理人口普及率11%となっております。

○加藤委員長 北尾先生、今のような話ですけれども、それを踏まえた上でもいいのか、それとも何かもうちょっと別の専門委員会らしい何か新しい数字が必要なのか、その辺はどんな感じですか。

○北尾委員 もしできれば、やはりもっと踏み込んだ、これまで以上に、例えば浄化槽なら浄化槽を活性化するというのであれば、当然もっと高いところにターゲットを置いて、それに向かっていろいろな方策というのを考えていくという方がビジョンとしての素振りというのは描きやすくなるのではないかと思いました。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それから、ちょっと須藤先生にお聞きしたいんですが、須藤先生は水環境の方の中環審の責任者でもいらっしゃいますのでちょっとお伺いしますが、このまとめの中にも資料3の中にも出てきているし、もちろん我々の議論の中にも過去にありましたけれども、いわゆる未規制の小規模のものに対応していこうと。また、そうしないとなかなか浄化槽に及ぶという力が一方で働かない。
 また一方では、これもまた須藤先生を始め、何人かの先生方から浄化槽はやりやすいんだから浄化槽こそ切り込み隊長的にやっていくと、そこが未規制の小規模排水に対する規制の強化にもつながるということで、私自身はやっぱり浄化槽の世界を広げていくためには、し尿とか雑排水だけの浄化槽というのではなくて、業種によっては、業態によってはいかようにでも処理ができると。
 レストランでももちろん小さなホテルでも、それからそれ以外の食品加工業だとか、そういうところから出てくる汚水というものを浄化槽の技術を使って幾らでも処理できる。そうすると、浄化槽業界にしてみればマーケットの拡大にもなるし、技術の進歩を促すことにもなるしということで、一方で総量を下げていく、規制を強化する。それに対する抵抗はもちろんあると思うのですが、今、その辺はどういう議論になっているんでしょうか。

○須藤委員 なかなかこれが難しいですね。総論で言ったら、当然、浄化槽の1トンまで規制というわけじゃないでしょうけれども、これだけモニタリングされているのに、小規模の方は50トン以下が未規制のままで、そのまま放置されているのはいかがなものかというのはいつも中環審だけじゃなくて、各県の審議会でもいつも言われていることですので、私は総論としては委員長のおっしゃるとおりでいいので、もちろん例えば茨城県だったら20トンに下げているとか、琵琶湖だったら30トンに下げているとかという、さらに10トンに下げる方向にある。
 だけども、20トン、30トンだって相当な水ですよね。それを5トンか10トンにするならともかくとして、ですからその必要性はあるのだけれども、何が問題かというと、結局、今の水質規制というのは特定施設として指定して、そこから出る水を要するに規制して、それを超えたら御承知のとおり改善命令なり何なりになって、最後は水質汚濁防止法違反にまでなるわけでしょ。そういうふうに結果としては直罰方式の厳しい規制なので、私はだからそんなに小さなところまで水濁方式のおいこら方式の規制というのは残っているのがどのぐらいと言ったかな、60万施設ぐらい残っているでしょうから、それをやったらまずは県内、そういうところの採水業務やモニタリングですか、それもできないですよね。
 それから、言われた方だってなかなか対応できませんよね。本当は別の枠組み、例えば水濁法じゃない枠組みで浄化槽みたいに小規模排水対策法とか、そんなようなものがないと、このままただ数値を下げればいいというわけには。
 ただ、50トンはいかにも多いから、30トンとか20トンにするのはいいと思うのですね。それ以下というのもまたすごく多いわけですよ。それはやはり今の浄化槽を使ってやるというので、これは指導というのか、指導だとだめなのですよね。指導というのは言うことを聞かないわけですからなかなかうまくいかないので、それはある意味では浄化槽と同じような枠組みのようなものでやっていく必要が多分あるのですが、水濁法自身というのはかなり厳しい法律だから、それで何十万事業所をこれから増やしていくというのは、余り現実的ではないかなと。そんなこともあるものだから、ついつい私はよくわかりませんけれども、後れているのではなかろうかなという気がします。
 ただ、浄化槽法に取り込んじゃうと、BODで20にしなくちゃいけないじゃないですか、今度。それも難しいのではないですかね。ですから、なかなかその辺の議論を私も浄化槽の中で入れていってやったらできるものはいいかなと思っているのだけれども、浄化槽にしちゃうと今度、BODで20じゃないですか。今までは何もしなくてよかったのがそういうわけでもないでしょうけれども、それが20に急になっちゃったらこれもまた大変かなという気がしないわけではないので、問題点をはらみつつ、結果としては前には進むと思うけれども、今どこでもみんな指導とか、それはやっていますし、それはやるのですが、それが現実に末端まできちっと本当の意味で指導されていないというのはあるのではないでしょうか。

○加藤委員長 なるほど。全体の水の循環といいますか、水環境の健全化という観点から見ると、その部分がちょっとウィークポイントではありますね。

○須藤委員 全体の汚濁量の大体2割から3割、窒素・燐利用でそれぞれによってちょっと違うけれども、大体大ざっぱに言うと2割から3割ぐらいですか、小規模と言われるのは。多いのですよね。ですから、恐らく事業所の排水も2割から3割ですよ。ですから、そういう意味でちょっと多いので、これをやっていかないと浄化槽をやっぱり実際にさっきの水環境でそうなったときに、何だよそこの部分だけ抜けているじゃないかと、こういうことになっちゃうんで、結局、工場排水を厳しく規制する法律からだんだん生活排水まで来ちゃったんで、その問題点をどう全体的に整理していくかという、水濁法の例えば見直しとか、そういうことまでやらないと現実にはいけないので、ビジョンですから山本先生おっしゃるように、水濁法のようなものをどういうふうに今後やっていくかという、そのビジョンじゃないのでしょうか。
 ですから、今のままでやっちゃうと、やっぱり相当の、例えばですよ、それぞれの業界から反対を受けるだろうし、なかなかやろうと思ってもまとまらないというような現実も起こるのではないでしょうか。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 その点について、どう表記するかという問題ですね。私ども、水濁法についてどうこうということは直接はできませんけれども、全体的な水環境の健全化という全体的なコンテキストの中で、やっぱりここにちょっとウィークポイントがあるということだけは何らかの形で指摘しておかなくちゃいけないし、またそれを是正する方向を促さなくちゃいけないかなとは思いますね。

○須藤委員 もう一つだけ私、申し上げたかったのは、今、ビジョンができて先ほどの10年から15年だったですかね、これを目指してというのは、それもそれで私もよろしいのですが、これを推進する体制というか、これがやはりある程度このビジョンを推進させるためにとか、最後の方にそういう項目を何か設けていただいて、言いっ放し、書きっ放しじゃなくて、具体的に先ほどの点検とか目標なんかもあって、どう点検するかも入れて、何が私もいろいろ普段考えているのですけれども、不足しているのかなと、こう思うのですが、例えば下水道には下水道推進機構という昔の事業団がありますよね。それから、農業集落排水には昔、集落排水協会といって、今は地域資源循環センターなんていうのがありますよね。それぞれ例えば市町村の職員等が実際にやるときに、特に技術面だとか、そういうのを相談に行っていますよね。あるいは仕事も委託していますよね。そういう形で推進体制がかなり具体化されているんですよね。でも、この場合は、浄化槽というのはもちろん環境省やら県が対応はしてくださっているとは思うけれども、それはどっちかというと行政制度とか予算制度ですよね。技術だとか、例えばどっちのシステムを選ぶとか、そういうふうなことについての御相談は余りしてくれないのだろうなと思っているのですね。
 考えてみたところ、隣の国安委員のところがやってくださっているのだろうとは思いつつも、その役割を全面的に私は受けていないのではないかなと思います。個別にはやるのだけれども、もともと目的は違いますよね。ですから、全市町村が国安部長のところに相談に行ったらパンクしちゃいますよね、多分ね。それは、そういう役割を演じるような機関がやっぱりないと、なかなか推進できないのではないですかね。特に、今度は市じゃなくて町村になるでしょ、これから。そういうところの何でもやっている技術者が、あるいは事務屋さんが相談でわかるようなことを教えてもらわなくちゃいけないでしょ。そのときに、そういう機関というのがやっぱり必要なんじゃないかなと日ごろ、私、思っていたのですね。
 それで、国安さんのところがそういうのを本来持っているのであれば、だったら僕は言いすぎちゃっているかもしれないけれども、多分、今のところではそういうふうに、個別には幾つかやっているのは知ってはおりますけれども、全市町村についてやっていないと思いますよね。ですから、そういう機関が必要です。例えば、私、いいなと思ったのは、今、地域資源循環センター、これは今いろいろバイオマスのことでエネルギーにしなくちゃいけないといって下水も汚泥もね。

○加藤委員長 やっています。

○須藤委員 あそこでこの間、見ていたら、市町村の職員をバイオマスタウンという構想がありますね。それをやるところの技術者はそこへ来て研修しろと1年間預かって研修なんかやっているのですよね。そういう結果としてはそういうところで推進ができやすく、市町村の職員だけではわからないじゃないですか、バイオマスと言われたって、どう造るといったって。ですから、そういうようなことが具体的にできるようになっているのですね。そういう推進機関が我が方にも、浄化槽の分野にも、別にバイオマスだけじゃなくていいのですよ。今の管理のことでもいいし、あるいは面整備でもいいのですけれども、そういうところにやはり機関が必要と思う。全浄協がその役割を演じているというなら別なんだけれども、余りそうでもないような気もしたので、間違ったらお許しください。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 北尾先生からお手が挙がりましたが、北尾先生、何度かこの専門委員会でも文章をつくったり書いたりするのは大変いいのだけれども、それが実行されないのは大変虚しいという趣旨のことを何回か御発言されていて、多分、今の須藤先生の御意見にも我が意を得たりという感じじゃないかなと思ったものですが、北尾先生、お手が挙がりましたので。その後ちょっと国安さん。

○北尾委員 そういうことじゃなくて、実は浄化槽との対比で小規模事業場というのが先ほど話題に上がったわけですが、私に言わせれば大規模事業場の方と対比しても不平等感というのが相当あると思うのです。というのは、例えばシビルミニマムと言われるBOD、日間平均120あるいは最高160ですか、あの値はもともと生活雑排水は垂れ流すという前提で三位一体と、みんなが同じような規制を受けようという意味でされたわけですね。
 ところが、生活雑排水ですらも垂れ流しが許されないという議論を今しているわけですから、ですからそういう意味でああいうBODの数値というのは、もう非常にバランスを欠いたものだと私は理解しているわけです。
 それどころか、N・Pに至ってはもっとひどいと思うのですよ。Nの60、Pの8というのは、実はこれは、生活排水は一切N・P対策をしなくてもいいという前提でつくられたものだろうと私は思うのです。実は、個人的にある時点で入手した情報では、一旦N・Pも雑排水並みの濃度にしようというような案が浮上しかけたことがあったらしいのですけれども、それだと大概の下水処理場がアウトになってしまうと、やめてくれというようなことで、生活排水は垂れ流してもN・Pについては悠々と通るというような数値をつくっているわけですね。だから、その辺との不公平感というのが払拭されない限り、やっぱりこの浄化槽でBODをどうしよう、N・Pをどうしようと言っても、私はやっぱり話が進まないのじゃないかという気がしてならないのです。

○加藤委員長 ありがとうございます。
 また未規制の方の話にちょっと戻りました。

○北尾委員 これは、ごまめの歯ぎしりと思っていただいて結構です。

○加藤委員長 いやいや。それについて須藤先生、何か。

○須藤委員 Nの60、平均、それから燐の8ですね。8については、ちょうどそのころ私もその問題に関与していたのですが、北尾先生おっしゃるとおり、当初はやはり雑排水垂れ流し、垂れ流しというか、そのときのでそんなに高い濃度では実際にはなかったんですが、マンホール投入があるのですよね。今でも少し残っていると思いますが、その当時は結構くみ取りし尿のマンホール投入のある下水処理場があったのです。それが入ってくる下水で処理水が出ていると、今のような最高値で窒素が60、多分そうでしょう、し尿が入るわけですから。それと燐がそれを超えちゃうので、それにしないとなかなか妥協できない。あのとき協議していましたからいろいろ水質の値については。それで、泣く泣く私も折れたと言えば折れたという部分があって、残念な値は残念な値なのですが、それが今、尾を引いてしまっていて、やはり1か所でもそれを超えると困る部局もあるわけですから、それを受け入れなくちゃいけないというのが従来の考え方だったんですが、これからは多分違うと思いますけれども、当時を解説してみますとそういうことだったということです。
 それと、北尾先生がおっしゃる不平等感はあるし、世間もそう言っているのだけれども、ですから法的枠組みの方をちょっといじらないと、今のままでただ5トンまでにしましょうとかというのはちょっと規制する方もされる方も、例えば今の体制ではやっていけないのではないかということだけ現実ですね。だから多分、私は進まないのではないかと見ています。

○加藤委員長 わかりました。それを進めることがまた重要だと思うんですよね。これはちょっと浄化槽専門委員会の権限を超える話かもしれませんけれども、環境省全体としては考えてもらわなくちゃいかん話かと。

○須藤委員 もちろん私はそれでなきゃだめですよというのではないですよ。一生懸命やっています。ですけど、なぜ進まないのかと考えてみると、そういうところが残っていますので、ですから別の例えば水濁法も、それから環境基準の例えばいろいろなことも全部項目まで見直そうというようなことで今進めつつあるので、さっきの5年、10年というより早く終わるのではないですか、そっちの方が。ですから、数年で結構、だからどこをどう変えるかは全然まだわかりませんが、一生懸命点検を、点検というか中身の方の議論は委員会をつくってやっていますので。

○加藤委員長 じゃ、その関連で。

○山本委員 今のお話を伺っていますと、この浄化槽のビジョンの中でも例えば浄化槽法を改正して小規模事業場対策もカバーするような法体系にすると、もっと合理的な対策ができるなんていうような考え方があってもいいわけですよね。

○須藤委員 当然、それはいいと思います。
 ただ、生活排水というか、その辺の法律の問題がありますよね。小規模事業場だけを処理する水というのは浄化槽と言わないのでしょ。言わないですよね、今は言わないですよね、法的に。言うというふうにしたらいいわけでしょ、それは。先生のおっしゃることはそういうことでしょ。だから、今の法律に全部我々は縛られちゃうと、結局、私がさっき説明したように何もできなくなっちゃう。
 ですから、ここはこう多少改めたって、だって国会通せばいいわけでしょ、一言で言えば。皆さん困るのだけれども、そういうことだと思うんで、やっぱり改められるべきは改めていかないと。

○加藤委員長 そうです。

○須藤委員 いつまでたっても解消しないと思います。

○加藤委員長 ただ、例えば小規模の排水も浄化槽に入れるべきであるというのをいきなり余り議論もしないまま書くのも、この12月にまとめるのはちょっとトゥーアーリーですから、どう考えたってちょっと見識を疑われちゃうということになっちゃいます。したがって、少し議論をすると。そういう議論を促す。その結果、また更に1年間かけて検討した結果、それが誠に合理的であるということになれば、本格的なあれにすると。
 ただ、この段階ではそういうこともチョイスとしてオープンにしておくといいますか、そういうことも含めて今後検討すべきであるというようなことと私は受け止めたいと思うのですけれども、それで先ほど須藤先生からもまた重要な御指摘がありました。要は、幾らビジョンを書いても実施体制といいますか、実施をどうモニターしていくか、促進していくかということで具体的な下水道の場合はこう、農集排の場合はこうという、それに対して浄化槽の場合には環境整備教育センターがそれらしいことはしてくださっているのだろうけれども、そもそも存立の目的が多分それは入っていない。先生がおっしゃったようなものは入っていないから、実際上は御相談を受ければいろいろとコンサル的なことをやっていらっしゃるとは思うのですが、御相談を受ければやるということであって、積極的にその辺はどうなのかということですが、それはどうですかね、国安さん。教育センターのことも含めて、それ以外のことも含めてどうぞ。
 実施をモニターするといいますか、促進していく、あるいは実際上、市町村の職員、特に小規模の自治体の職員がそれこそ狂犬病対策から何から全部やっている中で、ごみも全部やっている中で浄化槽の専門家だけということはちょっと難しいですよね。そういう方々が、そういう市町村の自治体の現場にいらっしゃる方々が相談できるような、あるいは研修をしてもらうような機能というのはどうかということです。

○国安委員 現在、全浄協では市町村職員、特に新たに浄化槽担当になられた方々を対象とした研修会を自主的に実施されていると聞いております。あと、それ以外だと。

○加藤委員長 どのくらいの期間やるのですか。

○国安委員 毎年、要請がある地方に全浄協の職員の方が行かれて、確か、一日あるいは半日の時間をかけて研修されていると。研修会では、全浄協の職員とか浄化槽メーカー、そういう方々を講師として、以前は我々も講師をしていましたが、浄化槽の基本的なことを研修なされていると聞いております。あとは、環境省の研修所で地方自治体職員を対象に生活排水対策に関する研修会を年1回程度、実施されているのが実態だと思います。
 それと教育センターでは、例えばタウンミーティング行政編などで、教育センターがどのようなことをやっているかといったPR効果か、市町村から生活排水処理計画の見直しや、そこまでいかないにしても、例えばし尿処理施設の精密機能検査を含めた全体の見直しの相談については、年に4、5例ですか、実際に契約行為に至るのは2、3例程度、多いときには相談だけだと年に10数例あります。ただ、物理的な業務量の関係で、市町村からの委託事業として年に4~5例を実施するのが精一杯というのが、今の教育センターの実態です。
 ですから、このような業務以外に先ほど須藤先生がおっしゃられたような形の研修制度、そういったものを別途つくるべきだと思っていますが、教育センターだけではできない状態です。

○加藤委員長 教育センター以外では、今言った全浄協が頑張ってやっていらっしゃるということ以外は余りはないのですかね。例えば全浄連とかシステム協会とか、浄化槽の関係の諸団体がありますよね。

○国安委員 市町村の職員。

○加藤委員長 市町村の職員を対象ということ。

○国安委員 定期的にはやられていないと思います。定期的だと、環境省で年一回ぐらいの頻度で、研修所で実施されているぐらいだと思いますが。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 おおむね予定の時間になってきたのですが、先生方から貴重な御意見を頂きました。それから、冒頭部分では三浦市長さんから佐久市の状況について非常に実感のこもったお話も頂きました。先ほど由田部長さんの方から委員の先生方にお願いもありましたように、どうぞちょっと今日配付しました資料2と3に基づいて、細かい何か事実の認識の間違いないしは希薄なところ、あるいは大事な点が欠けているとか、おおむねこれでいいということが大体すべての先生方からお話は聴いたのですが、何かあえて欠けている点ないしは不適切な表現、評価すればこういうふうにもっとよくなるというものをお教えいただきたいと思います。
 そして、それとは別に全体の取りまとめの方向について何かストーリー、先ほど各先生方も平板にまとめればいいというわけじゃないということだけは皆、大体一致していらっしゃると思うのですね。
 ただ、平板でないまとめ方というのもなかなか実は難しくて、例えば博報堂とか、そういうところだとぱっぱっぱとうまくまとめるのかもしれませんけれども、ただしそれでは別にCMの資料をつくるのが目的じゃないものですから、やっぱり長期的にいろいろな方々に見てもらうというためにもきちっとした内実を踏まえた上で、かつ読みやすいものにするという意味でストーリー性についても既に諸先生方から御意見もいただいていますけれども、さらにお教えいただければ事務局も今後の作業に大変役に立つんじゃないかな、助けになるのではないかというふうに思っております。
 そこで、次回について室長、次回は何をするかと。

○浄化槽推進室長 次回は、12月14日午前に開催する予定でございます。場所については、別途御連絡いたします。本日の御議論等を踏まえてまとめ直しましたものについて、御議論いただけたらと思っております。

○加藤委員長 それから、既に事務局の方からも御連絡がいっていると思いますし、先生方の御日程をいただいていると思うのですが、12月、一応2回予定しておりますので、ひとつよろしくお願いします。

○浄化槽推進室長 次々回は、25日でございます。

○加藤委員長 14日、25日と集中的に少し御議論いただいて、それでめでたく取りまとまればそれでいいのですが、何が何でも年内に決めなくちゃいけないということも必ずしもないものですから、場合によってはもう1回ぐらい、私は心づもりをしております。必要ならばもう1回、それは1月になりますけれども、それでビジョンを取りまとめて、それでやっぱりこれをみんなに知ってもらわなくちゃいけませんし、知ってもらう努力をしなくちゃいけませんし、ビジョンはできましたと。のし付けて神棚に飾っておきましたというんじゃ、これは意味をなさないわけですので、ビジョンを今度いろいろな方々に知ってもらうと。
 浄化槽のことを余り御存じない方、あるいは浄化槽をむしろ無視ないしは敵視している人も含めて見ていただいて、浄化槽関係者だけ喜んでいたってしようがないですから、浄化槽を知らない人、浄化槽は何だか怪しげないい加減な施設じゃないのといまだに思っている人も結構いるわけですから、そういう人を含めて見ていただいて、御批判をいただいて、そういう努力も一方でしていかなくてはいけないかなと思います。
 それから、先生方おっしゃったようないろいろなアフターケアといいますか、ビジョンがどう実行されていくのかのモニターとか、そういったこともどうしていったらいいか。また、来年に入って議論させていただきたいと思います。

○須藤委員 今後の進め方で一つだけ。これ、まとめますね。これ、パブリックコメントを当然かけるのですね。かける義務は多分ないと思うのだけれども、この仕事の内容からいって。それだけ今、いろいろなことを知ってほしいという意味だと、これ、まとまったところでパブリックコメント、要するに国民に求めるのでしょうか。求めるのでしょうかというより、求めた方がよろしいのではないでしょうかというのが私の意見です。

○加藤委員長 これは事務方、どうですか。

○浄化槽推進室長 この取りまとめをもって直ちに基準等を見直すものではないこと、これまでも機会をとらえて意見を募集してきたことなどから、特段予定していないのですが。

○須藤委員 広くあまねくいろいろ、論理の構成も大切ですよね。1個1個は求めているかもしれんけれども、もしやれればやった方がいいなかと思ったのです。確かに、私もそれを知っているのです、こういうのが必要ないというのは。

○廃棄物・リサイクル対策部長 次回のできによりけりかもしれませんが、次回取りまとめの素案のようなものが多分うまくできておれば御披露させていただいて、御意見いただいて、それと併せてパブコメにかけることも検討させていただきます。

○須藤委員 わかりました。

○加藤委員長 実質的には、今、室長が言ったように、いろいろな意見は先生方御存じのとおり、各界の人から様々な意見を聴いてきてあれをしているということ。それから、作文については余り意見を聴いてもしようがないと思うんです。実際上、内容についてそれを知ってもらう努力ですね。むしろつくった後あちこち出かけていって、何か万古不滅の何か名文をつくるという意味じゃないものですので、むしろつくった後出かけていってやるという方が実質的かなという感じもちょっとしています。基準をつくったり、国民の権利義務を制約したりするようなことだとそういう手続が必要かもしれませんけれども、私はそんな感じでいるのですが、もちろん委員の先生方の御意向によって、正に部長がおっしゃったように次回のものを見ていただいて、また御判断いただければと存じます。
 それを最初から前提にしているというわけじゃございません。専門委員会としてまとめたビジョンということで世の中に打って出て、そしてそれを知ってもらって、それからいろいろな批判もいただいて、それをまた変えていけばいいわけですね、また適当なときに。というふうな思いもまた致しております。
 じゃ、今日はこれで終わります。12月14日にお目にかかります。

午後0時07分 閉会