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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第20回浄化槽専門委員会議事録

平成18年10月26日

午前10時00分 開会

○浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第20回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。
 この資料一覧に載っていない資料としまして、「英虞湾の現状と課題」、「浄化槽法定検査の徹底を求めることについて」という資料がございます。この資料は、本日お持ちいただきましたので、部数の関係上、メインテーブルにのみお配りしてございます。
 委員の皆様方で資料の不足がございましたら、お申し付けくださいませ。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いいたします。

○加藤委員長 皆さん、おはようございます。
 遠い先生方、あるいは今日は遠くから水環境を保全している各団体の代表の方にもおいでいただいております。大変ありがとうございます。厚く御礼申し上げたいと存じます。
 今、室長から御案内がありましたとおり、「英虞湾の現状と課題」という資料は今日お持ちいただいたということで、急遽メインテーブルの方にだけ配っておりますけれども、何か環境省のホームページに載せるということですので、御関心のある方は、後ほど環境省のホームページからダウンロードでもしていただければと存じます。
 本日の議題は、4団体から御意見や活動の現状等についてお話いただくことになってございます。この4団体は、浄化槽を直接やっている浄化槽団体ではございませんが、水環境保全一般について各地域で非常に御活躍をしていらっしゃる団体でございます。非常に時間が限られておりますので、各団体からの御発表は、プレゼンそのものは15分程度でお願いしたいと思います。質疑合わせて1団体30分という範囲でいきたいと存じます。
 今日は、予定の上では1時までとなっていますが、もちろん、そんなに時間をかけないでやりたいとは思っております。ただ、4団体ですので、30分ずつでも2時間はかかってしまうということで、できるだけ時間の配分に御協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、まず第1番目に、三重県からお越しの、英虞湾の水質を考える会の朴斗龍さんからヒアリングを行いたいと存じます。
 朴さんは英虞湾の水質保全活動をなさっており、本日は、そのような観点から浄化槽についてのお話があると伺っております。
 朴さん、今日はお忙しい中ありがとうございました。私ども、今、浄化槽のビジョンをつくろうということで検討いたしておりますが、その今後の検討に是非参考にさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○朴氏 おはようございます。
 私は、三重県の中央の最南端の、三重県志摩郡阿児町から参りました。実は昨日、新幹線の交通網が非常に荒れて、7時間かけて参りました。7時間かけて今日、委員会に臨んだんですが、15分という非常に短い時間で残念だと私は思っております。
 私たち英虞湾の水質を考える会というものに対して先ほど御紹介あったように、どうしてこういうようなボランティア団体を発足したかというと、御木本幸吉さんが日本のすばらしい真珠を発明されて、その後、だんだん海が悪くなりまして、今現在、本当に生活も危機状態だということで、ボランティアを立ち上げました。
 浄化槽に関して一つ申し上げますが、今日は行政の方も先生方もたくさんおられるので、是非ともお願いを申し上げます。
 浄化槽というものに対して、例えば、建築確認申請書をまず行政に出したときに、その受け取る側が「合併浄化槽って何だ」、「BODって何やろ」というような市町村の行政の方々が窓口におられるということで、私も過去に組合長を12年ばかりやって、今、志摩市の行政といろいろと審議をしながらいい方向に向かっております。
 その中で、例えば家を建てるときに、今現在、大工さんが設置しておる浄化槽がたくさんあると思います。まず保守点検、設置する免許があるのに、ただ家を建ててください、では浄化槽は大工さんがやっておるというような現象が、今現在、日本では非常に多いと思われております。
 それともう一つ、環境省及び先生方に申し上げますが、合併浄化槽の補助金をまず発令してやるときに、行政は金だけ払って、その設置者に対して責任が全くないのでございます。なぜかといったら、申請書を受けて補助金を出す、そうすると、結局、設置者に対して、浄化槽は国民の税金で補助を出しておりますので、必ず保守点検等をしっかりやって報告をしなさいということが今現在、全くなされておりません。何のための補助金か。だから浄化槽は、例えば保守点検、くみ取り等々においても、ほとんど国民がしっかりと認識をしていないというのが今の私たちの、志摩市の現状でございます。
 これを行政の方がしっかりと踏まえて、環境省、及び今日は三重県からも県の方がお見えになっていますが、今現在、そういうことでいろいろな協議を行政としております。
 二つ目に、浄化槽の料金でございますが、今現在、例えば第7条、第9条、第11条において浄化槽くみ取り、年間平均すると5人槽とすると5、6万円かかると思います。この5、6万円かかる中で、例えばくみ取り業者は今現在、地域割しておりますが、私は、このことに対して非常におもしろいなと。この民主主義の中で合特法というものを一つ付けて、あなたはこっちの地域、あなたはこっちの地域だと。そして料金も決めて、安いならいいですよ、5人槽の浄化槽に1年に5万も6万もかかったら、例えば母子家庭、補助をもらって生活している方々は、この浄化槽に対して、水環境に本当に認識ができるだろうか。
 この辺ももうちょっと、今、福祉とか介護に対しては非常に厚く手を差し伸べておりますが、浄化槽のくみ取り及び保守点検に対しては全く、料金だけがきっちりと発令されて、そして弱者に対しては何の手も差し伸べていないというのが今の日本の現状だと、私はかように思っております。
 それと、この浄化槽に対して前回もやった審議委員会で、私も資料をちょっと見せていただきましたが、今、浄化槽において、どうして学校教育に対して、水環境というのはなぜしっかりと中に入らないのか。例えば人権とか差別というものに対しては、これは非常に中に入っておりますが、水環境に対しては非常に入りにくいかどうか知りませんけれども、例えば学校に浄化槽の小さいものを持っていって、牛乳を入れたらこれだけの、例えば六千何百ppm出ますよ、天ぷら油を入れたらどれだけのppmが出ますよということを、まず子供たちにしっかりと認識していただいて、そして子供が親に教育できるような、そういうような水環境を私は考えておりますが、今後とも環境省及び審議委員の先生方、一つ是非ともこれに取り組んでいただきたいと思っています。
 それと、例えば浄化槽と下水道というものに関連して、私も少し勉強させていただきましたが、下水道は今現在、赤字の中で、国民1人が130万円の負担を背負っております。例えば、浄化槽と下水道に対しては、皆さんもしっかりと認識を、今現在、しておると思います。特に環境省の方。例えば管理に対しては、この設置するのに下水道が1キロ当たり1億7,000万円もかかるような、こういうような公共事業をやらせながら、浄化槽というものに対して国民が目を向けてもらえないということは、私は非常に残念だと思っております。
 それと、私が4年ぐらい前に環境省の課長に、名前は伏せておきます、実は自然環境、それから水環境ですけれども、例えば国土交通省が道路を造るんだ、例えば三重県が道路を造るんだといったときに、山の木を伐採して、そして燃やすか、捨てるか。そうではないでしょう、環境省の方々。今現在、日本には備長炭を造る業者がたくさんおると思います。例えば木を切るときに、三重県で言えば北西、中西、南西とございますが、この3地区に分かれたところに、例えば公共事業で山の木を切るときは、備長炭の業者に木を持っていってくださいと。いつごろから工事を始めるからと。これも環境省にお願いしてまいりましたが、全く届きません。公共事業に対して、備長炭を造る業者に木を持っていってくださいというようなことは、もうちょっと環境省もしっかり考えてもらいたい。備長炭を造る業者というのは、わざわざ山を買って、木を切って炭を造っております。一つこういうことも踏まえた上でお願いしたい。
 最後になりますが、私は、先ほど御紹介のとおりに国籍は韓国、生まれは鳥羽でございます。私は今後、この浄化槽及び自然環境において、今現在、大きな企業、例えば愛知万博等もありましたが、今、木をすぐに切って物を建てたり、これは将来の、日本の子々孫々の環境の前倒しを今現在、国はやっておる、こういうふうに思っております。
 そういうことで、私は韓国の、さっき御紹介あったように朴斗龍でございますが、今現在、英虞湾の水質を考える会においては企業は45団体、それから会員が今、331名ですか、そういうことで、今、活動しております。環境問題に対しては、自然環境、水環境に対しても、日本の次世代に残すような、私は死ぬまで命をかけて頑張っていきたいと思いますので、先ほど私が言ったようなことを参考にできるのか、では実行ができるのか、そういうことは全くまだまだわかりませんが、一つ日本国家の国民として要望とお願いを申し上げて、以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 朴さん、どうも御苦労様でした。長い時間かかったということで、実は私も昨日、滋賀県の方に行っておりまして、私も新幹線の影響を受けました。7時間は待たなくても済んだんですが。御苦労様でした。
 浄化槽行政についてさまざまに御意見を頂きまして、ありがとうございました。正に朴さんがおっしゃったようなことも、実はこの委員会、過去ずっと取り上げてきておりまして、例えば学校における教育の問題だとか、それから市町村の職員が必ずしも浄化槽のことを十分理解していないとか、先ほど「合併浄化槽とは何だ」とか「BODとは何だ」という話もあると伺いましたが、そういう問題も含めて大真面目に議論しております。そういったことを含めて、このビジョンの中に盛り込んでいきたいと思っております。
 ありがとうございました。
 何か朴さんに対する御質問がありましたら、どうぞ。

○須藤委員 貴重なお話をちょうだいいたしまして、どうもありがとうございました。
 6点ほどおっしゃっていただいて、前段の浄化槽行政に関するところはいろいろ御意見もあるところで、これは改めていかなくてはいけない問題だし、ここでも議論されているところなんです。後半で、学校教育の問題とか炭の問題、あるいは木の問題ですね、この辺は私は全く同感で、浄化槽ということだけではなくて、日本の循環社会をつくる中でその方向を目指そうというのは一番大切なところだと思うんですが、そちらの団体として、特に英虞湾を対象にされているので、そこと関連させた活動としてどんなことをやられているんでしょうか。

○朴氏 今現在、まず自然環境の中で、豊かな山があれば水環境はよくなるという一つの観点で、今現在、英虞湾が閉鎖的な海域になっておるのを見かねて、まず子供たちと、今現在やっているのは小学校6年生、中学校3年生、それと私たちの会員で、まず木を植えることからやっております。毎年3月の第1土曜日に、第2土曜日になると大体卒業生はいろいろな方がおるもので、毎年ヤマザクラを1,000本ずつ、この7年間ずっとやってきております。
 まだこれからも、私が死ぬまで永久に続くと思います。私が死んだらどうなるかわからんけれども、今現在、この英虞湾の水質を考える会においては、例えば志摩市の職員及び県の職員の方々も、官民一体となって森づくりを、今現在、はぐくんでおります。
 その中で、例えば先生が言われたように、例えば浄化槽というものに対して教育委員会及び県でも結構ですけれども、小さい浄化槽を持って、例えば油はどういうものだということを、今後、行政とともに議論しながら志摩市の学校等に説明をしていこうかなということで、英虞湾の水質を考える会の役員会で、今後ひとつ検討していきたいと思っております。

○須藤委員 私も大変すばらしい方向だと思うので、今、小学生が核になっているわけですね。例えば今の木を1,000本ですか、1年間に植えると。それがだんだん大人の社会というか、社会に広がっていると考えてよろしいですか。

○朴氏 そうですね。

○須藤委員 そうですか。毎年少しずつ広がっている。

○朴氏 年に大体5回ぐらいの活動をしておりますが、まず、3月の第1土曜日は小・中学生の皆さんと植栽をする。4月29日は、みどりの日でございます。これは川をきれいにしようということで川をきれいにして、そして10月の第2土曜日、これはまた同じように川を掃除をして、7年間、当時、私たちが掃除するまでは汚い川でございましたが、今は非常に川もきれいになって、三重県の方も予算をつくって川をどんどんよくしております。

○須藤委員 浄化槽の議論をする中で、さっきおっしゃったように水循環、山から循環するということのためには非常に浄化槽のようなものがいいという結論にここではなっているので、山があり海があり、海をきれいにするためにはなるべく身近な所に排水を流して、それを浄化させて循環するということには、もちろん御異議はないと思うんですが、そういう視点を持って活動を続けていただいていると判断してよろしいですね。

○朴氏 結構です。

○須藤委員 そうですね、山までつなげて活動している。

○朴氏 私、今、当然学生もたくさん来るから、みんな集まった中でまずあいさつするときは、豊かな海というのは山から始まるんだということで学生に言っております。私も、ちょうど娘が中学校に入ったときにこの会をつくって、今は大学の3年生になっております。当然地域一体となって、まず行政がこの団体に入らないと、民だけの活動では絶対だめです。行政が入っていただいて、そして行政が実際に木を植えて、川も掃除して、そうすると彼らも認識をして、今、せいぜい前向きにやっております。

○須藤委員 どうもありがとうございました。

○河村委員 先ほど下水道との関係の中で、国民が浄化槽に目を向けていないという御批判がございました。この専門委員会でもその辺が非常に重要な話題の一つになると思うんですけれども、その理由を、御自身は今のところどういうふうにお考えですか。国民が浄化槽に目を向けていない理由といいますか、どういうふうにお感じになっておられますか、ちょっと教えていただければと思います。

○朴氏 まず、下水道というものに対しては国民は、昔から下水道、下水道と言っているから、これはほとんど認識しているんです。実は、下水道というものに対して私は非常に不愉快な思いをしておりますが、私どものまちで、実際にそれに当てはまるかどうか知らないけれども、例えば市長、助役、議員さんと今現在、議論したときに、志摩市の行政は我々市民に対して詐欺を働いておる、私はこのように申し上げました。
 そうしたら「どうして詐欺だ」というお話でございましたが、例えば、私のところのまちで下水道のところの、農集、漁集とたくさんありますけれども、ある地域で下水をやりました。そうしたら、今現在、明許はずっと長いんですけれども、例えば、ある地域では立米当たりの処理費が190円です。安い所で。私のところの地域では、高い所が立米当たりの処理費が3,747円。これは、浄化槽を設置しておるところは自分のところで管理をしておるんですよ。私のところも浄化槽ですけれども。では、下水道の場合は、今、まだ赤字だから税金を投入するんです。だから私は、先ほど先生が言われたように、下水道というものに対しては、今後、これはしっかりと環境省も踏まえた上で、下水道をするとこれだけ国民の赤字になるんだということを、もうちょっと一般紙なども踏まえて報道すべきではないか、私はそういうふうに思っています。

○河村委員 そちらのお話はわかるんですけれども、浄化槽に国民が目を向けていないことについては、やはり認識が十分でないというふうなお考えですか。

○朴氏 あのね先生、国民が目を向けていないというのは、まず一番始めに言ったように、浄化槽と下水道をしたときにこれだけの格差がありますよ、これをまず言っていないんですね、国民に対して。それと、例えば建築確認申請を出したとき「合併浄化槽って何ぞや」、「BODって何ぞや」というような行政がおるわけですね。だから、下水道のことはわかるけれども、合併浄化槽に対しては国民がほとんどわかっていないと思うんです。
 例えば、今現在、私は東京におりますけれども、東京都民1,000万人の中で、合併浄化槽というものに対して認識されておる都民が何人おると思いますか。下水道はあっても。先生、そう思いませんか。だから、もうちょっと下水道というものに対してはしっかりと、やはり一般紙及びテレビなどメディアも、しっかりと根をおろすような形をやっていただきたいな、私はこういうふうに思っています。

○北尾委員 私がお聞きしたかったことの一つは今、河村先生が聞かれたので、一つだけに絞ってお聞きしたいと思いますが、先ほど、浄化槽というのは維持・管理に年間、1基当たり平均当たり5、6万円かかる、これは母子家庭等にとっては非常に重い負担であるとおっしゃいましたね。それは私も全く同感なんですが、では、具体的に是正策とかそういうことについて、もしお考えがあったらお教えいただきたいと思うんですが。

○朴氏 今日は三重県からも来ておりますが、今、私たちの三重県では、例えば浄化槽を設置するときに、まず建築確認申請のときお金を払うんです。この金はどこへ入っているのか、私、県民はほとんど知らないと思います。
 それと、これは三重県では水質保全協会というものをつくっているんですよ。そこには、保全協会は今、これは県の指定検査機関でございますが、わずかの間に3億円も金を貯めて、それでやっておる。だから、例えば各市町村で浄化槽を設置する、申請書を出す、そのときに何万円か取られる金を市町村が置いて、それで例えば母子家庭及び補助、生活をしている方々にそれを一部でも補填をするというような行政がなければならないと私は思います。すべて国、県、市町村が決めたものに対して国民が、県民が、市民が全くわからんような浄化槽の今の在り方では、先ほど河村先生が言われたように、浄化槽に対する認識は非常に後れていくと私は思っています。

○加藤委員長 もうそろそろ時間なんですが、ほかの先生方、よろしいでしょうか。
 それでは朴さん、どうもありがとうございました。
 貴重な御意見は、先ほど申しましたように私どもの審議に大いに参考にさせていただきたいと存じます。

○加藤委員長 それでは、今日の2番目、綾瀬川を愛する会でございます。
 言うまでもなく埼玉県の綾瀬川ですけれども、そこの保全活動を行っております幾島淑美さんからヒアリングを行いたいと存じます。
 幾島さん、あるいはお仲間の皆様、朝早くからありがとうございました。時間は限られていますので、大変恐縮ですが15分ぐらいのプレゼンと15分ぐらいの質疑、ひとつよろしくお願いします。

○幾島氏 埼玉県川口から参りました。一人の主婦として浄化槽に関して感じたことなどを話させていただきます。
 私はいつも、NPO法人の水フォーラムの二人の方たちに相談しながら活動を続けております。今日も一緒に来ていただきましたので、そちらからも意見を述べると思います。
 私は川口市で12年前にボランティアを始めようと思ったんですが、それはなぜかというと、綾瀬川が15年にわたって「日本一汚い川」と言われ続けていたから、この川をだれも何もしなかったら一体子供たちに親は何を教えたらいいんだろうと思って、たった一人でしたけれども立ち上がって、そしてたくさんの仲間を一人ずつ集めて、現在まで10年間、登録した会員さんは200名近くになりました。実際に動ける人は、今でもそんなではないんですけれども。
 一生懸命川をきれいにするために努力している中で、川口市の環境保全課から浄化槽の話も聞かせていただきました。だから、私がボランティアを始めたとき、下水よりも浄化槽がいいのではないかと思ったのを覚えています。なぜならば、下水になったら全部水は持っていかれてしまうから。下流の、海に近い─私は昨年、名称変更委員として、水循環センターというのに埼玉で変えたんですけれども、要するに下水処理場へ持っていかれてしまうんですよね。だから私は、そのときには性能のよさとかいうのを聞いていましたので、例えば10軒ぐらい新しい開発していく所があれば、最近は2、3名の世帯が多いので、開発する業者の人たちは、その10軒をまとめて浄化槽を付けたらいいのではないでしょうかと提案したことを覚えています。
 それは、下水処理場よりもきれいになった水を綾瀬川に返せるからなんです。今は、荒川からの導水事業により、毎秒3トンの水をもらったりということもありますけれども、そのころ私は、そのような意見を述べていました。今、少しずつそういった意見が取り上げられつつあるのをすごく嬉しく思います。
 私、浄化槽について、川をきれいにする運動の中で、皆さんのところにいっていると思いますので見ていただきたいんですが、「川を汚さないために!」というチェックシート。

○加藤委員長 資料1ですね。

○幾島氏 これを、一番川を汚すものの原因は、やはり家庭。工場などはある程度規制されていますので、家庭ではないかということに気が付いておりましたので、私たちはボランティアの中で、ほんのささやかな運動だと思いながら、様々修正しながら今現在ここに至ったんですけれども、チェックシートの運動を続けてきました。これは6年ぐらい前から始めています。
 その中で、8番目には「下水道につないでいる。または、浄化槽の点検や清掃を定期的に行っている」という項目を入れて、その他10項目をやってきたんです。この運動が大きくなって、後でどちらか話されると思うんですが、埼玉県の「綾瀬川ワースト1とことん脱却大作戦」という大きな運動になって今年6月17日にスタートしたとき、これを取り上げてほしかったんですけれども、予算を付けてもらえないで、NPO法人水フォーラムの方から予算をもらって、とことん脱却大作戦に使っています。
 私が心配するのは、浄化槽のことを主婦の人たちは、正しい使い方を知らない人が多い。なぜなら、どこかへ旅行するときはモーターの電気を抜いていくとか、そういった話を聞いたりするんです。それで、帰ってきたらもう大変だと。それから、御近所でもそういう方がいて、帰ってきたらもう既にすごい汚物が流れているというようなことを聞くと、もっと国は、行政の人たちは浄化槽について宣伝をして、使い方を教えなくてはいけないのではないかなと思っています。
 それから、川口市はずっと前から補助金を出していまして、私は、その補助金をもらって合併浄化槽に変えたんですけれども、そのとき単独浄化槽をきれいに洗って、雨水を貯めることに使っています。なぜなら、その補助金も川口市は持っていました。それで、雨水をそこに蓄えて植木にやったり、遅くゆっくり川へ流す、地元で雨を流す、そういうことに使っています。それが、3年前に下水道が来まして、付けたばかりの合併浄化槽を下水につないだんです。ですからもったいなくて、私はその合併浄化槽をまたきれいに洗いました。そして雨水を蓄えて、現在うちに4トンの雨水を抱えて、植木とかそういったものには一切上水道を使わないようにしています。できたらそれをトイレを流すのに改造したいなと思っています。
 あと、主婦としては、微生物が浄化槽をきれいにしているということをすごく感じるんですが、下水につないだからもう何でも流してもいいよと思う人がいるんです。それでトイレにブルーの色のついたものを平気で流していたり、強い薬品を流したりする。要らなくなった工場のそういうものを下水に流してしまったりする人がいっぱいいるのを見ると、そうではないんだよ、それをやったら微生物が死んでしまうんだよということをすごく宣伝してほしいなと思うんです。下水道にしても浄化槽にしても微生物が頑張って水をきれいにしているんだから。だから私は、主婦としては、微生物を殺さない洗剤を企業の方たちにつくってほしいと思います。
 私たちが一生懸命戦って使わない努力、石けんを使おうよと私たちはチェックシートで呼び掛けているんですが、根本は合併浄化槽とかそういうもの、下水より安いんだからそっちの方が私─例えば、ごめんなさい、話が飛びますけれども、川口の新郷地区などは、20年たっても下水は来ないことを知りました。そうしたら、もう下水道を待つのではなくて、方向転換してしまっていいと思うんです。地域の何世帯かずつを合併浄化槽にまとめてあげて、公園で浄化して、だって遊水池なんか、新郷の場合は2か所も立派なものを使って、土地はあるんです。だから、そういう所を利用して浄化して、その所の川へ入れていったらもっときれいになるのではないかなと思います。
 あと、どうしてもつなげない方たちに対してですけれども、私は、つなげなかったら、下水道として大きなお金を使うんだったら、ミニ公共事業として自治体がどんどん代わりに付けていって、払えない方には債権のようなものを持っていてもらって、そして、私などの場合だったら、例えば命が終わったら残った財産から処分してもらうとか、そういった形でもいいですから、とにかく綾瀬川をきれいにするためには、そういうミニ公共事業的なことを考えたらいいのではないかなとか夢を見ています。
 何か突飛なことを言うようですけれども、一応そのくらいかなと思います。
 「とことん脱却大作戦」についてとその他の意見、ちょっと両方から述べさせてください。

○大石氏 お手元に「綾瀬川ワースト1脱却」という資料が行っておりまして、この裏面に、国土交通省が発表した全国ワースト1の二十数年間の記録があります。真ん中のところ、15年間連続して綾瀬川がワースト1。そしてまた去年、名誉の返り咲きをしたというんですけれども、どうして綾瀬川が日本一汚いのかというのは、住民はだれも信用できないんです。「日本一汚いなんて絶対おかしい、国はうそを言っているんじゃないの」とみんな言うんです。それで、国土交通省や県にいろいろ詰め寄ったんですが、口を明かさないんです、なかなか。言うと「何でやらないの」ということになるから言わないんですよ。それで調べていったら、これは5年ぐらい前の数字だからちょっと違うかもしれませんが、全国に単独浄化槽が500万基あると言われている。そのぐらいですか。

○加藤委員長 オーダーとしては大体そのぐらいあるでしょう。

○大石氏 ところが、そのうちの51万基が埼玉にあるんです。単独浄化槽というのは家を建て替えるまではなかなか直してくれませんから、30年くらいの時間を待たなければならないでしょう。ところが、この51万基はどこにあるのかと調べたら、圧倒的に綾瀬川の周辺に多いということがわかった。
 それで、彼女が言ったこのチェックシート、とことん脱却大作戦で、県でどうしても予算をとりたかったんだけれども、県がこれを認定してくれなかったんです。それで、お配りしました水フォーラムの方で30万枚のチェックシートの予算をとりました。ほぼ綾瀬川周辺の未水洗化地域の家庭が30から40万と推定しているんですが、そのうちの30万に市と町会を通じて全部これを届けて、一つでもいいからやってくれませんかというお願いをすることにしました。
 今、彼女が言いましたように、合併浄化槽は新しいうちは点検するんですけれども、4、5年たつとどうしても点検しなくなるんです。私の周りでもそのトラブルがかなりある。そうすると、個人の責任で、業者とのかかわり合いでやっていると、どうしてもそういう抜け穴をフォローできません。埼玉県では飯能方式という優れた方式があります。これは浄化槽を入れるときに組合をつくって、そこに月2,000円の組合費を払って、年間、責任を持って行政と組合が点検管理、保守するという方式です。
 これを真似たのが大滝村という源流です。源流は、私が初めて大滝村に行ったときは、村長さんが1メートルの四角い箱をつくって、炭と砂を入れて家庭に配って「下流の人たちが苦しんでいるんだから、これでやりなさい」という。それが15年前です。しかし、一昨年から個人負担6万円で、あとは全部公費で合併浄化槽を取り付けることにしました。6年間でやります。これも飯能方式ということで、全家庭が組合に入ることを義務づけて、2,000円で6か月点検、1年点検をきちっと組合でやることにしました。
 ですから、30年、40年前に合併浄化槽あるいは単独浄化槽をやったところは、これを今、行政がやるのは非常に難しいんだけれども、今、彼女が言ったように、20年たっても30年たっても下水道はできませんという所を放っておくわけにいかんでしょう。そうしたら、行政と業界が責任を持って、この管理組合をつくって、ちゃんと点検する。個人が手抜かりしてもちゃんとできるよと。それで、できない家庭もあるでしょうから、彼女が言ったような手当てを行政がするといったことを考えていただいて、この管理組合をどうしても行政と業界の主導でやってほしいというのが今日の私のお願いです。
 もう一つは、合併浄化槽へ転換をするときに、これは川島さんが専門ですから、後であると思いますが、助成の方式を考えてほしいというのが2つ目です。
 それから、単独浄化槽を少し改良すればよくなるということを研究している人がいっぱいいるんですね。私は戸田市ですが、曝気でパッパッとやっているのを、5分に1回、逆噴射でバッとすることによって目詰まりをきれいにするという装置を造ったんですよ。ところが、厚生省が認可しないんだそうですね。そうですか。物すごく基準がうるさいんだそうですね、あれを改良するというのは。ですから、改良して少しでもうまくいく方法というのは民間でかなり研究していますので、国の方でその辺の基準を少し緩めるとか─余り緩めると、また変なリフォームの業者が増えるかもしれませんが、その辺を改良して、この改良でうまくいく方法を国の方でちょっと後押ししてほしいということを提案いたします。

○川島氏 私は川島と申します。埼玉県内を中心に、どうしたら合併浄化槽をもっと市民が取り付けられるかと。特に、単独浄化槽から合併浄化槽に転換するには、私は自然循環型にする、合併浄化槽に限らずほかの、先ほど微生物という話がありましたけれども、要は、その場所で土に戻す、汚水を何らかの形で微生物による分解などをさせながら、その地域に水を戻してやるという考え方を持っているんです。そう言っても急にはできないので、やはり合併浄化槽を、先ほどお話がありましたけれども、行政で補助金を出して単独浄化槽を合併浄化槽に転換していますけれども、これも今の状態ではなかなか進んでいない。私もサポート活動をしているんですが、半年に1件あるかないか。
 この間、秩父市内の方が変えたので行ってみて「何で変えたの」と聞いたら、隣の家が変えて、勧められたから変えたと。やはり隣から隣へ、隣が付けるならうちも付けるというふうな雰囲気をつくっていかなくてはならない。やはり金がかかるんですよね。あと、秩父地域は補助金額が多い。7人槽だったんですけれども、70万円出る。単独の転換がそれにプラスされますので、76万円とか出るわけです。そうすると、うまくやればそこそこその金で転換ができる。だけれども、今、川口市だとかほかでは、そんなに助成金がないですから、難しいんですけれども。
 あと一言。浄化槽法を変えて、今、5人槽と7人槽の合併浄化槽、あるいは10人槽しかないんですけれども、1人暮らしとか2人暮らしとか、もっと小さい家がある。そうしたら、2人槽とか3人槽、あるいは町内向こう3軒両隣合わせて5人槽、7人槽の浄化槽も考えるような、そういう新しい発想を入れていかないと、なかなか進まないのかなと。
 いずれにしても、綾瀬川をきれいにするには30万台の単独浄化槽を合併浄化槽に早急に変えていかなくてはならない、こう思っているわけでございます。

○加藤委員長 皆様、大変わかりやすい御説明をありがとうございました。
 この委員会は、実は埼玉県ゆかりの方といいますか─が多いんですね。ちょっと所用があって須藤先生はお帰りになりましたが、須藤委員とか河村委員とか、それから、川口市というと松田美夜子さんと、こうなるわけですけれども、埼玉県にも非常に理解の深い方が多くて、それから、先ほどお話のあった飯能市の管理組合からも、実は1回来ていただいて詳しく聞いて、それは私どもにとって非常に参考になっております。環境省も飯能の方式をいろいろな自治体に紹介しているようであります。どうもありがとうございました。
 それでは、早速質問を。

○松田委員 本当に励まされるお話、ありがとうございました。
 川口からこういう活動が出ているということを、私、川口をしばらく離れていたもので知らなかったので、とっても嬉しかったです。本当にありがとうございます。
 この委員会に私も市民として入っているんですけれども、入って驚いたのは、ごみの問題では全国いろいろな行政応援団ができているのにNPOの川の問題とか浄化槽の応援団がないということなんですが、それがまた川口にあると聞いて、すごく嬉しくなったんですね。
 これはデータに基づいて、綾瀬川が何でこんなんだ、単独浄化槽なんだという物すごい目的を見つけて、ターゲットを絞って活動されていますから、私、この活動をもっと全国に広げていくように一緒に活動したいなと思ってしまいました。やり方がすごくうまい。
 川口市の場合と県の場合、行政はどの程度まで応援してくださっているんですか。

○幾島氏 今、総合学習というものを計画してくださっています。子供たちを通してお母さん方を変えようと。そういうときに、このチェックシートを行った学校の子供たち全員に配らせていただいて、そしてかかわった先生方の教室だけでも回収させてもらっています。
 このチェックシートの裏を見てもらいたいんですけれども、きっと喜んでもらえるのではないかと思うんですが、浄化槽のことをしっかり書いたつもりでおります。ここに単独浄化槽と合併浄化槽の違い、汚れの出方もこれだけ違うんだよということでつくりましたチェックシートですから、全国にと言われると、例えば下水が入っていても使えると思うんです。下水道だって微生物が頑張っていますから、だから、家からきれいな水を流すことはどの人にも、日本中の人たちにお願いして海を元気にしたいなというのが綾瀬川の願いなんです。
 だから「綾瀬川の魚は食べないよ、だけど江戸湾の魚は江戸前だ」とか言って食べる人たちに、そうじゃないよ、綾瀬川の水が流れ込んでいて、一生懸命そこをきれいにすれば江戸前の魚はもっとおいしくなるんだよといったこと、本当に、もしこれが全国に広まっていくとしたら、そういう力を皆さんに借りて、日本中の海をきれいにして子供たちにおいしいお魚を残してあげたいと思います。

○大石氏 今の行政の関係のこと、私、戸田市で10年ぐらい前に、単独浄化槽の周辺の苦情が絶えなかったことがあって、しかし、行政は、法の網がないから言えないと言うんですよ。大体そうなんでしょう。それで「おまえたち、やれ」と。要するに、市民団体がやればいいからね、かなり宣伝やりました。ちゃんと点検やってくれ、6か月点検やってくださいとやりました。だけれども、やはりお金がかかったりいろいろあるからPRだけで終わったし、それから、マンションなどでもやって、1度はいいけれども2度目は断られました。
 今、松田委員から質問があったこのチェックシート、30万枚どうやって配るのかということ。市民団体というのは100人とか200人じゃないですか、我々の力は。結局これ、どうしたって市役所と町会なんですよ。ここで今、せめぎ合いになっているんです。「やれる」というところと「町会でそんなことやっていられるか」というのと。どうしてもこれをやらないと綾瀬川は救われませんからということで必死に、もう何十回と膝詰め談判です。これは頭をこすりつけてもやってもらおうと思っています。
 ただ、これでどのくらい効果があるかははかり知れないんだけれども、例えば彼女が言った学校などは、2枚配って、一つは子供が○を付けて一つはお母さんが付けなさいとか、一つは回収して一つは冷蔵庫に張っておけとか、いろいろな工夫をして、今、広がり出しましたので、これで町会が嫌々ながらでも動いたとすれば、かなりこれは可能性としてはいけるなというんで、県が「とことん脱却大作戦」の300万円の予算の中にこれを見積もってくれなかったので、私かんかんに怒っているんです。だけれども、別の水フォーラムの方で取り上げましたので、こっちの予算でその45万円の印刷量を強引にもらえたんです。それで必死にこれを、彼女を中心に沿川に、100万の沿川住民に必死にこれをやろうというふうに決意をして、動き出しました。

○加藤委員長 大変ありがとうございます。すごい迫力ですね。

○北尾委員 今、話題に出ていたチェックシートのことでお聞きしたいんですが、8番ですね、下水道につないでいる、あるいは、浄化槽が単独だと困るんですが、浄化槽の点検等をきちっとやっているということであれば、ほかはやらなくてもいいというような考えもあると思うんですが、あえて○の多い人ほど高い評価をしておられる理由についてお聞きしたいわけです。
 それから、平成6、7年ごろからかなり綾瀬川の水質が改善されているようですが、これについて何か浄化槽とのかかわりがあるのかないのか、ともかくどういう理由でこういう水質の改善効果が見られたのかについてお教えいただきたいと思います。

○大石氏 質問の趣旨は、例えば「おれは公共下水道につないだから川を汚していないよ。何を流したっていいんだよ」と平然と言う人がいます。これは町会長とか議員のクラスでいる。この間の県の会議でもそれを言った人がいて、もう本当にびっくりしましたが、公共下水道でも汚いものが行けば、BODを20以下にやろうと思ってもいかない。10にしようと思ってもいかないということはわかりきっているのに、平然と言う。ここにつなげれば用がないのではなくて、公共下水道につないでいても、米粒一つ、油一滴を防いでくださいよというお願いは絶対必要なことなんです。それでなければ地球の環境を守れませんので「俺は関係ないよ」とは言わせない。特に浄化槽の人は、もう川の汚れの80%は家庭なんだからというふうにお願いする、そういう決意です。

○幾島氏 川の水の改善については、やはり浄化槽もどんどんつながれていますし、川口市の中央の方は、下水道が私たちの所にも入ってきましたが、まだつながれていない支流が入る所あたりから水が汚れていくんです。それで、調査をする地点がちょうどその汚れた、新郷地区とか毛長川や辰井川や、また古綾瀬川とかが入った地点が調査地点なんです。私たちがやっている所あたりでは、荒川の水を頂いたり利根川の水を頂いたり、またそういった運動も進んできていますから、今月の調査などでは、CODの調査ですけれども、3ぐらいですね。雨の降った日だったからかもしれませんが、透視度だって55とかいうような段階まで来ていて私たちはとても嬉しいんですけれども、やはりそこが調査地点だったら、もうとっくにこういう運動はなくなっていたと思うんですが、でも、私は感謝しています。ワースト1と言われるからこういう運動ができるんだなと思って、そのことで埼玉県全体、日本全体の水使いのレベルが上がっていけば、これは「災い転じて……」というような感じで、それをてこに頑張ろうという気持ちで及ぼしていきたいと思っています。

○大石氏 この表の説明は、実は我々も正確にできないんです。平成13年、14年あたりからワースト1からちょっと外れるんですが、これは荒川の水を毎秒3トン導水したという事業があります。このときに国は、これでもうワースト1とかいう話はないよと説明したんですが、これは真っ赤な嘘でして、そのとき本当に住民と自治体ときちっとした連携をとらなかったということがあって、また去年、ワースト1に返り咲くんです。平成10年あたりから急速に下水道の普及が、中心部が完了して川沿いにずっと押し寄せてきたということがあります。多分そんなことだと思うんですが、正確な数字の分析は今のところできませんので、御説明の方は御容赦いただきたいと思います。

○吉田委員 一番重要なポイント、私が感じたのは、どうやって転換を進めたかというところで補助金の話が出たんですけれども、これは要するに、自治体によってすごく違うということなんですね。補助金が多ければみんな転換すると皆さん思われていますか。そこだけちょっと。

○川島氏 そうだと思います。川口市は下流の方なんですけれども、実際に綾瀬川を汚している所は桶川だとか鴻巣だとか北本だとか、上尾市もそうです。その辺は、先ほど秩父市が70万円出ると言いましたが、ほかの市は12万円とかそのくらいしか補助金が出ないんです。そうすると、100万円近く個人で負担しなければ単独浄化槽が合併浄化槽に転換できない。なかなか個人では背負い切れない、そういう実態だと思います。

○大石氏 さっき大滝村の話をしましたが、大滝村は国と県と村が九十何%補助をして、家庭の個人負担は6万円ということでやったんですね。それでも希望者がほとんどなかったんです。ですから、これはお金ではないなという一面もある。一面ですね。つまり、もう若い者はみんな東京へ出ていってしまって「おれたち爺婆がここで死ぬだけだから、そんな100万も200万もかけていいものを造って6万円お金を出すのはもったいないからもういい」と言うのです。村長さんがこの説得に物すごく困った。だから我々も協力して、家庭へ説得に行った。
 ですから、お金ということも、懐から出るわけですから現実にあると思いますが、まずこの環境問題は意識改革だとそこで思いましたね。これは相当頑張らないと、ただだからやってくれる。そう簡単にはいかない部分もあるなということは承知してかからないといかんと思います。

○加藤委員長 大変大事な御指摘ですね。

○幾島氏 大滝村のような最上流の人たちがそんなふうに浄化槽を付けていらっしゃるということを、うんと宣伝してほしいんです。山に住んでいるお母さんが街に働きに行った息子にきれいな水を飲ませたい、そういう思いでその村の人たちは、今、浄化槽への転換を進めていると思うんです。私もそう思うんですよね。上流の人たちが頑張っているんだから、もっともっと中流域や下流域の人たちも、息子や子供たちはみんな街へ行くけれども、その人たちにきれいな水を飲ませたいから頑張っているんだよというようなことを宣伝してもらえたらなと思います。

○木曽委員 先ほど川の水質のことで、先般も水質調査されたと伺いましたけれども、市民の方が御自身で調査をされるということは、どんなことをやっておられるんですか。

○幾島氏 私たちは水質モニターとかいうのを受けまして、行政の方から。それで、毎月必ず1回定点観察ですか、橋ごとですけれども、私たちだったら畷橋と佐藤橋と綾瀬新橋と、あとガッコウ橋とというふうに、毎月1回は必ずCODと透視度とDOと、あと臭いとか川の周りの環境、そういったものを調べて報告しています。

○加藤委員長 それは最初に訓練か何か受けるんですか。

○幾島氏 そうですね、10年もボランティアをやっていて、いろいろなところで教えてもらいながら覚えてきました。ただ、透視度計の見方とか基準がありますよね。「このくらいちゃんと見えるのが基準だよ」といったようなことは、講習を受けたりしました。

○大石氏 学校でも盛んに今、授業で、これは実は新曽小学校で水質調査の実験を6年生がやって、私が行ったんですが、その感想文です。昨日送ってきました。子供たちは、CODとか透視度とか、BODはできませんが、そういう検査ができたことを物すごく喜んでいますね。それで「風呂の水は何で汚いの? あんな汚い風呂に俺は毎日入っていたんだ」とか、そういう感想が来るんです。ですから我々は、行政の調査から比べると基準にならないようなレベルですけれども、実際に測ってみる、そして川を見つめる、調査をする。毎日毎日見つめていく、改善していく、そういう努力が大事なわけで、埼玉県の市民団体では、水質調査はすごく盛んです。これをやらないやつはNPOではないというくらい。

○幾島氏 それと、アクリルタワシとか安全な洗剤、竹の洗い水とか、本当に自分たちが使っていいものは勧めるようにしています。私たちボランティアは、もうそのことをしてもいいのではないかと思っています。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 綾瀬川を愛する会の皆さん、どうも御苦労さまでした。
 私ども、今、寄せられました貴重な御意見を審議の中に反映させたいと思っております。またよろしくお願いいたします。

○幾島氏 どうもありがとうございました。

○加藤委員長 3番目は、宮城県仙台市からいらした水魚方式研究会の西林久美子さん、一つよろしく御発表をお願いいたします。

○西林氏 発表させていただきます。
 今、お二方のお話を、随分仙台市は浄化槽の先進市であったなと実感しながら伺っておりました。
 書いてきましたので、読ませていただきます。
 「浄化槽の今後のあり方」についての意見書。水魚方式研究会、西林久美子。
 1、当会について。
 私ども水魚方式研究会は「かけがえのない地球の水を大切にしながら、地球と人が水魚の交わり(共生)ができるよう、身近な問題から、具体的に考え、行動しよう!」をスローガンに活動している団体です。
 私がこうした活動を始めたきっかけは、梅田川という都市小河川の源流部に住み始めたことによります。優雅なウォーターフロントの暮らしを期待しての転居のはずが、図らずも川が抱える問題に巻き込まれてしまったというわけです。
 2、作文にあらわれた浄化槽に対する考え方(2003年)。
 そうした経緯を書いた作文「そこに川があるから」は、第13回地球にやさしい作文・活動報告コンテスト」(読売新聞社主催)で経済産業大臣賞を受賞しました。その文中に以下のような記述があります。
 「しかし、拾えばなくなるゴミよりも、遥かに問題だったのは、雨が降り水量が増えるたびに、洗濯機の中のように泡立つ川、しばしば、どこからともなく大量に流れてくる汚水だった。とりあえず、市の環境局に問い合わせてみて、この川が「下水道局」の管轄と知ったときの驚き。幽谷と見まがうばかりの川でも、機能的には、住宅地の個別処理汚水や雨水を海まで運ぶ「水路」でしかなかったのだった。
 その後、個別浄化槽から本下水道への切り替えが行われ、川の水質は格段に向上した。」
当会の設立は1999年ですが、その前から仙台市が事務局の会にも参加し、この作文を書いたころには、私は一般の人よりも少しは水環境問題に詳しかったはずです。それでいて「個別浄化槽」「本下水道」というような一般的ではない用語を使用しています。一般的ではありませんが、その中に、かえって当時の感じ方がリアルにあらわれていると思います。
 当時の私は、浄化槽は下水道が整備されない、すなわち公的な恩恵に浴していない地域の住民がやむを得ず個々の家庭で使用するもので、一日も早い下水道の整備が望まれる。それこそが本来の生活排水処理法と考えていました。作文で下水道に「本」を、浄化槽に「個別」を付した背景には、そうした感じ方がありました。もちろん、浄化槽に単独、合併の違いがあることも知りませんでした。
 ちなみに、作文に書いたころの川の汚染原因には、次のようなものがあります。
 一つ、排水処理施設とつながっていない。例えば、体育館の外水道などで選手たちが洗濯をしたり、工事の人がペンキ缶などを洗っていて、その排水が水路から川へと流れていた。
 2、道路で洗剤を使って車を洗った排水が、側溝から川へと流れていた。
 3、下水道切り替え工事の後、雨水管と汚水管を誤接していた。
 浄化槽との関連では、4、単独浄化槽あるいは汲み取り式家屋で、他の生活排水はそのまま川に流していた。また、他河川では、事業所から未処理の排水が垂れ流されていた。
 5、大規模浄化槽の管理者が、大雨時に浄化槽の中のものを水路に放流していた。
 6、浄化槽を使っている家屋で、保守・点検等の管理を受けないで中のものを水路に放流したか、あるいは一気に流出した。
 何分側溝、水路はほとんどが暗渠のため、汚染源の特定は並大抵ではありませんでした。流域の中をうろうろ歩き回って汚染源を探しました。結果的に汚染源を特定はできませんでしたが、7、浄化槽を廃止し下水道へ切り替え工事をする際、汚泥等を適正処分しないでそのまま放流した、あるいは汲み取りした後で、それを川に不法投棄したというケースも相当あるのではと、当時、考えていました。あちこちで切り替え工事が行われるのと並行するように、単独処理浄化槽からと思われるような汚水が頻繁に流れていました。
 上記のような原因により、川に相当に汚れていました。それが下水道の整備につれ、1から3などの原因を除き改善されていったことから、私は何の迷いもなく、下水道を最も望ましい形態と考えていました。
 3、考え方の変化。
 梅田川からその他の河川全般、水環境全般へと関心が広がるにつれ、ダム、上水の浄水場、下水の浄化センター等への見学会を開催するようになりました。汚水処理が微生物によって行われていることを知り、微生物の学習会を開いたりもしました。その結果、汚水処理という観点から我々が気をつけねばならないことを、1、ごみはもとより野菜くずなどを流さない、2、油は絶対流さない、3、水を節約して処理水全体の量を減らすの3点にまとめて、機会があるたびに他の人たち、子供たちなどに伝えていました。
 こうしてダム等から取水した水が浄水場で浄化され、各箇所に運ばれ、使われた途端、下水になって海のそばの浄化センターまで運ばれる。いわばもう一つの川とも言うべき上水道から下水道への流れが見えるにつれ、考え方に変化が生まれてきました。
 1、我々が使うすべての水を、はるか海のそばまで運んで処理する必要はあるだろうか。余り離れない場所で処理できれば川の水量の減少も起こらない。
 2、はるか海まで送るために途中何度かポンプアップしているが、近くで処理できれば温暖化防止にもつながる。
 3、自分たちのそばから離せば離すほど生活排水に対する疎遠感、嫌悪感のようなものが強くなり、水や環境問題に対する無関心が増長されるのではないかというように考え始め、また、浄化槽の仕組みなどもわかってきて、浄化槽に肯定的な関心を持つようになりました。
 当会では、小学校、行政等の依頼で小学生たちを川へ案内し、「川の住民票づくり」という水生生物調査を行っています。そこで最も問題になるのが合流式下水道の吐き口から川に吐き出される汚水です。
 合流式下水道というのは、汚水と雨水が同じ一つの管で処理場まで運ばれるシステムで、大都市共通の課題であり、解決は不可能と考えられています。現在、当市では、何ミリというような降水量でも汚水と雨水のミックス水が吐き口から川に吐き出されます。その結果、晴れた日でも水辺のヨシの根本にトイレットペーパーが引っかかっていたり、ミリ単位の球形になったペーパーが川の水にいっぱい混じっていたりします。当市下水道部ではその対策として、雨水トンネルやポンプ場の建設、固形物を取り除くスクリーンの設置などを推進しています。
 しかし、その方法では、多かれ少なかれ未処理水が川に流れ出ることに変わりありません。すべての箇所での改善は無理にしても、子供たちが川遊びするスポットを何か所かに決め、整備し、その吐き口につながる所だけでも建物新築時に浄化槽の設置を義務づけられないか。浄化槽は単に人口がまばらな地域の浄化システムとしてだけでなく、都市中心部の合流改善にも活用できるのではと考えるようになりました。さらに、その関心から下水道部主催の学習会に参加したり、下水道部の話を聞く機会を設けたりしていたところでした。
 4、浄化槽の課題。
 浄化槽が汚水処理システムとして十全に機能するために最も大切なことは、放流水質だと思います。水質がよくなければ浄化槽の意義はないし、信頼も得られません。
 そこで、放流水質向上のために必要と思っていることを5点、また、浄化槽の普及に効果があると思われることを2点に分けて述べます。
 A、放流水質の向上。
 [1]浄化槽自体の性能向上。
 浄化槽は現在、構造例示型と性能評価型の2種があり、国土交通省で認定が行われています。認定されればどの機種も設置されます。しかし、特に評価型には性能差があると関係者は感じています。認定基準ぎりぎりのもの、すぐれたものを明らかにしていく中で、浄化槽の性能改善に向けての努力も生まれると思います。国土交通省は認定を行うのみでなく、全国の法定検査結果などを参考に、認定した機種が設置後も十分基準を満たしているか、また、どういう機種のどこがすぐれているかなどを追跡調査し、よりよい浄化槽が製造される環境づくりに努めるべきだと考えます。
 [2]付加槽の開発。
 浄化槽サイズは5人槽、7人槽など分かれていますが、実際には過人数で使用していることがあります。また、使用者が服薬する薬等により水質維持が難しくなることがあります。種々試みても水質が十分に保てないとき、現在は、そのまま放流しています。それ以外の方法がないからです。そうした場合に、付加曝気槽の設置が有効ではと考えます。この開発も、現在の浄化槽行政の中では国土交通省が積極的に行うべきではないかと考えます。
 [3]窒素・リン除去型の設置について。
 現在、私の住む宮城県仙台市では、水源地取水口の上流部はすべて窒素・リン除去型を設置しています。このうち取水口の上流域に対しては、国からの補助金が交付されない中での英断のため、市行政への信頼感が増します。しかし、全国的に見れば、補助金が交付されなければ高価格の除去型を設置しないという市町村も多いと思います。取水口上流域へも補助金の交付が望まれます。
 [4]保守点検等について。
 保守点検、清掃等の大切さは言うまでもありません。水質を第一に、回数等は柔軟に対応できる余地を残すべきだと考えます。
 問題は、そうして水質維持の努力をしても、水質が悪化した場合への対応が定まっていないことです。確かに、水質悪化の原因には浄化槽自体の問題(メーカー)、保守点検能力の不足(業者)、不適切な使用(使用者)などあり、なかなかに複雑だと思います。しかし、複雑なものも1カ所に集め比較検討を行ったり、種々関連組織の知見を持ち寄ったり、優秀な人材が保守点検に当たることで原因が特定され、解決法が見えてくるような気がします。責任を持って集中的に水質の回復に当たる組織があってしかるべきだと考えます。
 [5]浄化槽管理士の養成と女性等の活用。
 微生物に頼っての雨水処理の保守点検は、単なる機器の保守点検とは異なる能力を要求され、かかわる人により相当に質的な差があるような気がします。保守点検能力の育成、向上等がきちんと行われているかどうかが気になります。使用者の側に立っての改善点の提案など、保守点検作業は女性に向いている。女性の活用をもっと考えてもいいのではという気もします。
 また、浄化槽管理士は、退職者で環境に関心のある人々が学び、取得するのに適切な資格という印象を受けます。たくさんの人が水環境保全の一環として浄化槽管理士の資格を取得し、維持管理ができるようになれば、種々の浄化槽への評価も適切に行われ、構造的にも維持管理的にもよりよいものへと改善されていく機会がふえると思います。
 B、浄化槽の普及。
 [1]川や水環境を見直す機会の提供。
 ことし、私どもも20回近く子供たちを川へ案内しましたが、総合的な学習の時間や種々のイベントで子供たちの川学習の機会はふえています。今や川は子供たちのもう一つの教室なのだ、子供たちが安全に楽しく遊べるためには未処理水が流入しない河川にしなければならないということを、もっと伝えていく必要があるように思います。
 また、浄化槽普及が望まれる地区での親子を対象にした川学習、川遊びイベント等の開催は、身近な川や水環境を見直す好機となり、実効性を持つと思います。
 [2]費用、料金の明確化。
 もう一つの教室ということを理解しても、費用、料金体系などに不満があれば浄化槽への切り替えはなかなか行われません。下水道地域に住むか、通常あるいは除去型の浄化槽地域に住むかで汚水処理費用に差が生じないような配慮が必要です。当市の場合、下水道料金と整合性のある料金体系で、徴収も一括して市で行っています。こうした配慮はすべての市町村で行うべきと感じます。
 5、終わりに。
 私ども河川の環境保全活動を行っている者の間では、「見詰める瞳が多くなればなるほど川はきれいになる」ということを言います。浄化槽も同じだと思います。浄化槽がより高性能になり、保守点検もきちっと行われ、放流水質がよりよくなり、必要な箇所にあまねく普及していくよう、私どもも今後、浄化槽や浄化槽行政に関心を寄せる瞳の数をふやす努力をしていきたいと思っています。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 大変すばらしい貴重な意見、ありがとうございました。
 それでは早速、委員の先生方から何か御質問があったら。

○松田委員 浄化槽の管理について、行政と使用者との連携がとれていない地区が多いと思うんですが、仙台ではそれが非常にうまくいっているという印象を受けました。どういうふうにしてうまくいっているか、具体的に教えていただけますか。

○西林氏 やはり仙台市の行政が頑張っていたということだと思うんですね。平成16年4月からですけれども、ちゃんとそれなりの条例というんですか、そういうものをつくりまして、浄化槽は、土地は使用者が提供するけれども設置は仙台市が行う。だから除去型であろうが通常のであろうが、分担金12万円を負担すれば残りに関しては全部仙台市が行う。
 また、使用料も、水道が普及している所ですと、水道を何立方メートル使えばそれに対して下水道料金がいくらというふうに、水道料金との比例になるんですけれども、浄化槽地区の場合、水道を使っていらっしゃらないお家も多いものですから、「大体7人槽でこのぐらいで」という、ほとんどもう下水道料金と同じような体系で、一括してそのお金も集めて、そうしますと、今の所では浄化槽の方がどうしても、集めたお金だけではちょっと賄いきれないところがあるんですけれども、それは市が負担してというふうにして、浄化槽だから、下水道だからという不平等感は全然なく、保守も点検も、あとブロアの電気代も全部仙台市で一括して出すようになっています。
 でも、さっきどなたかおっしゃっていたけれども、実はそれだけしても、確かに合併浄化槽への転換とか、新たに付ける方たちがちょっと止まりかけている面はあるんですね。完全だからどんどん進んでいるかというと、ちょっと伸び悩んでいるので、もう少し、今度はやはりNPOかなみたいな感じは、確かに持っていらっしゃるような。

○河村委員 今のお話の確認なんですけれども、仙台市全体で下水道料金と、浄化槽の料金、その維持管理費の徴収というのは全体でやっておられるんですか。ある特定の地域とかではなくて、市全体で。

○西林氏 結局、平成16年以降、仙台市がそういうふうにしてお願いした所ですよね。また、そういうふうに仙台市で管理をという所だけであって、それが及ばない所はもちろんあると思います。少しずつ、どこかに数字を持ってきていたと思うんですけれども……。設置が本当に少ないんです。平成16年度で85基、平成17年度で73基、平成18年度がまだ結果が出ておりません。150基と予定はしていますけれども、これは多分、達成できないでしょうというところです。
 一応2,300世帯に新設したい、また新設の必要があるということで、こういう事業を進めているようなんですけれども。

○加藤委員長 そうすると、今、おっしゃったいろいろな補助金体系というのは、平成16年度以降に設置された浄化槽に適用している。

○西林氏 そういうことだと思います。

○加藤委員長 それ以前に設置した方に対しては、何か特別なことを考えていらっしゃるんでしょうか。もし御存じなければ、また後で調べて事務局の方に御連絡いただければ。

○西林氏 すみません、違います。既設のものは既設で、そのままここにくるめて考えていると思います。既設のものも。

○加藤委員長 既設のものであっても、維持管理の費用と下水道と整合性を持たせてあるんですか。

○西林氏 はい。

○国安委員 私の理解なのですが、仙台市で実施されているのは市町村設置型と個人設置型があり、先ほども説明がありましたように、水源地とか取水口の上流域、そういったエリアにある2、3千世帯を対象に市町村設置型の事業が平成16年度から実施されています。それ以外のエリアでは、従来の個人設置に対する補助事業が行われています。また、対象エリア内の既設の合併処理浄化槽についても住民が寄付すれば市で管理する、たしかそういうシステムになっていると思います。

○加藤委員長 地域をまず限って、その中で新しく設置される場合には、2,300基を仙台市は予定しているようですが、それに対しては先ほど……
○西林氏 そうです。そして、この浄化槽事業の概要の中に、対象想定世帯数は3,600世帯、そのうち既設が1,300、新設が2,300ということで、このすべてが対象家屋となっておりますので。

○加藤委員長 なるほど、その指定地域の中ではですね。わかりました。

○吉田委員 単独浄化槽からの転換については、既設というところに入るんですか。それは補助していないんですか。

○西林氏 それは補助していると思います。ちょっと私、どこで読んだかあれしたんですけれども、単独浄化槽というのは結局、先ほどのように水を貯めるとか、または埋め戻すとか廃棄処分にするとか、そういうことも含めて仙台市がしていますとお話を伺ったこともありますし、読んだこともありますので、それも含めていると思います。

○加藤委員長 水魚方式研究会というのは、どういう研究会なんですか。具体的に何人ぐらいで、どんなことをやっていらっしゃるんですか。

○西林氏 本当にささやかな、もともとは子供4人、大人3人で始めたのが、そんなに大きくならないで、今でも学校とかいろいろなところに呼ばれて行くとき、大体6名から10名ぐらいまでの人数で子供たちのお世話をするものですから、要請があったときにそれだけの人数が集まればいいというような団体なんです。だから、皆もいろいろな趣味を持ちながら環境をやってくださるときに、大体10名ぐらいの人数が集まるぐらいな感じですね。ある程度お子さんが大きくなるとお勤めに出られる方が多いものですから。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、一層御活躍のほどを祈っております。今日は貴重な御意見、本当にありがとうございました。
 それでは、今日最後のヒアリング、NPO法人富士市のごみを考える会から御発表をお願いいたしたいと思います。小野由美子さんの御発表と伺っております。
 小野さん、よろしくお願いいたします。

○小野氏 こんにちは。
 NPO法人富士市のごみを考える会の理事長をしております小野と申します。
 私たちの会は、4年前に富士市のごみがどうも多いようだということで、主婦だけで立ち上げて、そして、どうしていいかわからなくて、どうしたらいいかしら、何をしたらいいのかしらと思いまして、まず松田先生の御本を読ませていただいて、先生に教えを請いに行ったところから始まった会です。今は70名ほどで活動しております。
 ずっとごみ問題をやっていたんですが、やっと富士市のごみの分別が増えてきたなと思ったときに、突然松田先生から浄化槽のお話がありまして、「え、浄化槽」と目が点になりまして、「うちは確か使っているはずだわ」とか、そこから始まりまして、このお話を頂いてから初めて水の勉強をさせていただきました。本当にお恥ずかしい話です。今、発表された皆様方がすばらしい活動をしていらっしゃるので、本当に私、ここに座るのが恥ずかしい限りです。
 そこで、どうしたらいいかしらと思いまして、そこの足立さんと松田先生とで富士常葉大学でタウンミーティングをしていただきました。そこで主婦10名が集まって、本当に言いたい放題を言わせていただきました。そこでまとめたものと、あと常葉大学の松田先生のゼミの学生が浄化槽のことを勉強したいということで、アンケート調査をするということでアンケートの紙面がありましたので、それをその場の主婦で行いました。
 富士市では、もともと上の方で浄化槽を使っている地域には川がないんですね。水が全部富士山の中に潜ってしまいますので、そして突然下の方で、もう下水道が完備されているような下の方で突然水がポッと出てきます。ですので、私たちのところでは、目に見える所にはほとんど川がありません。
 富士市では、川のことに関しましては、だれに聞いても「きれいになったね」と言います。というのは、以前、田子ノ浦のヘドロで有名だったように、富士市はほとんど製紙のものが流れていました。ですから今、製紙の方たちが非常に気をつけて、危ない薬品は使わないとか水をきちんとしてから流さなくてはいけない、それも川に流してはいけないというふうになりましたので、川は昔に比べて信じられないくらいにきれいになっています。そういうことから富士市では、皆さんが取り組まれていらっしゃるような川の水に対する問題というのは、どちらかというと、個人よりは企業というイメージが強かったんです。
 そこで、初めてこの主婦のアンケートを行ってみましたが、ここでもやはり皆さん、自分の家が単独浄化槽であるのか合併処理浄化槽であるのか、それすら知らなくて、タウンミーティングに呼ばれて初めて調べましたという方がほとんどでした。ここで見ていただければいろいろおもしろいと思うんですけれども、本当に何も知らない主婦の実態がよく出ています。くみ取りがどれくらい来ているかもよくわからなかったりしています。
 この学生のアンケートのところでは、まだ「法定検査」という言葉が入っていなかったんですけれども、環境省の方から法定検査というお話を伺いまして、法定検査についてもいろいろ調べさせてもらいました。そうしましたら、次の市民40名のアンケートのところでは、法定検査を知っているのは市民の中で市議会議員さんですとか連合会長さん、この方たちも本当は知っていたのかなと思うんですけれども、多分「知らない」とは言えなかったのではないかなと思うんですが、知っているのはこのお三方だけで、あとは皆さん知りませんでした。だれもが業者の保守点検をちゃんとやって、ちゃんと清掃をやっていれば完璧に、きちんと使っていると思っていました。
 私もそうですが、水に対しては、例えばアクリルタワシを使って洗剤を使わないようにしようとか、合成洗剤は使わないで石けん洗剤を使おうとか、そういう努力は個人的にはとてもよくしていたつもりです。でも、それではだめだったんだということが、このタウンミーティングで勉強させていただいて初めてよくわかりました。皆さんだれもが、主婦の方みんなが寝耳に水で、びっくりして「今まで私たちこんなに気をつけて環境問題に取り組んでいるつもりでいたのに、だめだったの」と驚いていました。
 それでは、単独浄化槽の方たちが合併浄化槽に転換していくかというと、そこにはやはりものすごく大きなハードルがあります。我が家も単独処理浄化槽です。では合併浄化槽を付けられるのかといったときに、我家の場合は補助金が出ません。下水道整備計画区域だからです。下水道がいつ来るかというと、いつ来るかわかりません。しかも富士の裾野のまちですので、北側に道路がある場合は北側に下水道が通っても、水は自然に低い方に流れますので、南にしか流れません。我が家から南の道までどれぐらい距離があるかというと、160メートルあります。私は、いつ来るかわからない下水道が完備したときには、160メートル自分で管をつながなくてはいけません。計算すると200万円以上になります。
 それで、合併浄化槽を補助金なしで1人で付けた方が安いのではないかと夫に相談しましたが、でも、下水道が来たときにはその200万円払ってでも絶対にやらなくてはいけないんだったら、とてもじゃないのではないかということになりました。それが今の市民の実態です。私は、環境をよくするには合併浄化槽でないと、個人の努力では限界があるということを今回の勉強で初めて知ったんですけれども、夫に水だけのために300万円以上の金額を出せというのも、なかなか言えるものではないのではないかという気がしています。
 今、富士市では非常にそういう方が多かったです。ほとんどの方たちの意見がそういうところでした。下水道を待っているんだよという意見が多いです。そして、合併浄化槽に付けるのは家を建て替えるとき、それが一番いいよ、それしかできないのではないかということを言われました。
 ここで、タウンミーティングで感じたことをちょっとまとめてみました。
 まず、合併浄化槽そのものに対する知識が、ほとんどの方がなかった。自分もそうです。そして慌てて市のホームページを見ましたが、補助金のことが書いてあるだけで、単独浄化槽と合併浄化槽の違いもそこからは何もわかりませんでした。
 いろいろ勉強させていただいても、やはり合併浄化槽にお金がかかるんだなということがわかります。だけれども、その中で主婦ができることというと、どうしても自主努力、石けんを使いましょうとかアクリルタワシを使いましょう、生ごみは絶対に流さないように自家処理しましょうとか、油は流さないようにとか、そういうことしか今のところはできないのではないか、何十万円もするものをつけてください、何百万円もかけてくださいとは、なかなか言えないのではないかという気がしました。
 それらの自主努力も、なかなか人に勧められないというのが皆さんの意見で多かったです。例えばテレビの「素敵な宇宙船地球号」などで取り上げられましたら、そのインパクトはものすごく大きく、皆さん御存じのことが多かったです。やはりそういったテレビなどでのPRなどはとても大切なのではないか、水に対する意識を高めるには、そういう広報などがとても大切なのではないかなと思いました。
 地方都市では、下水道敷設をとても高いところに掲げているんですけれども、やはり合併浄化槽のコミュニティプラントですとか、これも今回、勉強させていただきましたが、とてもこれは有効なのではないかという気がしました。また、合併浄化槽をつけたいという人には、それを選択できるような道もつくってもらいたいなと思います。
 また、浄化槽のことを相談しようと思っても、役所の中でどこに行っていいのか、ぐるぐる回って結果的に何もわからないで帰ってきたという人がとても多いです。ですので、是非一本化してもらいたいと思います。
 その次、資料の3で、今回、静岡県の浄化槽に関するデータをいろいろ頂きました。自分も法定検査ということを何も知りませんでした。というのは、うちは農家の家なものですから、私が嫁に来たときにはもう既に浄化槽は付いていました。私は東京から越したものですから浄化槽の使い方は何もわからなくて、最初、非常に悪い使い方をしてしまって、お姑さんが業者の方に呼ばれて、その後、私が呼ばれて「あなたはとても使い方が悪い」と懇々と怒られました。それぐらいの知識しかありませんでした。だけれども、法定検査というのは第三者の目が入るということで、とても重要なもののように思われました。
 一昨日、初めてこの「浄化槽を正しく使いましょう」という、初めて浄化槽を付けた方の県の勉強会に参加させていただきました。ここで初めてわかったんですけれども、この勉強会に出ている方たちは、ほとんど7条検査は受けられると思うんですが、7条検査の検査率の後ろのデータを見ますと、富士市は60%です。それでも実際に付けた方の60%しかいらっしゃらなかったんだなと思いました。
 説明会の中で、11条検査をその場で申し込もうとした方がいらっしゃいました。11条検査の紙に書いて申し込もうとしたら「あ、これは1年後に来るから今はいいです。こういうものがあるから見てくださいというだけです」と言われて返されていました。私も申し込もうと思って11条検査を申込みに行ったら「だってあなた、もう既に付いている人だったら何でここにいるんですか」と怒られまして、「勉強したいから来たんです。11条出していなかったのでこれを出したいんです」と言ったんですけれども、「単独浄化槽で、いいのかな……」とか言われ、不審に思われながら受け取っていただきました。それでも受け取ってもらえて、今度1回目の検査があるのを楽しみにしています。
 このデータのところを見ていただけると、おもしろいなと思うんですけれども、今回、富士市の方40名の意見をお伺いしたんですが、それとは別に熱海や御殿場の方の意見も聴きました。
 今朝、熱海の方からメールでお返事を頂いたんですが、熱海の方は、やはり法定検査のことを全然知らなかったし、維持管理体制に関しても悪い。何も説明がない。「転換を進めるために必要なことは何だと思いますか」と言ったら、何と「情報公開」と書いていますね。ですので、ほとんど何も知らされていないということから、ここの20%、30%というパーセントが出ているんだなと。
 それに対して御殿場の方は、全部御存じでした。法定検査も御存じだったし、市からいろいろな水の説明もあるということで、○が付いていました。その御殿場の方の法定検査のパーセントは非常に高いです。やはりこれは行政の取組方なんだなということをとても感じました。
 これからやらなくてはいけないいろいろな課題も、今回、勉強させていただいて初めて見えてきた次第です。いろいろ勉強させていただいて、どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 非常に正直なお話で、正に今回のヒアリングの冒頭で英虞湾の朴さんから、浄化槽について行政も市民も本当に関心がないんだと言われて、皆さんからそういう話が出てきて、今の小野さんの話を聞いても、浄化槽関係者というのは、私を含めて随分長いことそういうことを言ってきたつもりなんですけれども、ただ、結局我々の周りでしか響いていなかったんだなと改めて感じさせられました。大変貴重なお話、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方。

○北尾委員 ただいまのお話を聴かせていただいて、結局、浄化槽の健全な普及のためには情報等の透明性というんでしょうかね、そういうものをもっと高める、あるいは情報を一元化するようなことが非常に大事だということを一つおっしゃったのと、それから、主に設置費用のことをおっしゃったんですが、多分維持管理も含まれると思うんですが、もっとお金がかからないようにしてほしいというような御要望をにじませておられたように思うんですけれども、そのあたりについて、どんなことでも結構ですので、こうしたらどうかというような具体的な御示唆みたいなものがおありでしたら、お教えいただきたいと思います。

○小野氏 私たち、自分たちが出しているものですので、それに関して適正なお金がかかるのは当然だと思っています。ですが、下水道が何年後かに来る、その施設にも何百万円、そして浄化槽も何百万円で今、設置しろというのが適正かというと、やはりちょっと首をかしげたくなります。でしたら、やはりすぐ隣に人家がない田舎では、今回勉強させていただいた合併浄化槽のコミュニティプラントですとか、そういったものを併せて使っていくことはとても大切で有効なことのように思いました。
 先ほど仙台の方のお話を聞いて目が点になるくらい驚きまして、そこまでちゃんと民主的に考えていらっしゃるところがあるんだということで、今回、市にいろいろ言うことができるんだなとわかりました。
 この学生のアンケートの最後の意見のところにあるんですが、一人若いお母さんが、今、合併浄化槽を付けていて、だけど2世帯住宅にして新しい家を建てるので、また合併浄化槽を新しく造る。だけれども、そこには2年後に下水道が来るので補助金は出ない。だから完全に自分だけの費用で合併浄化槽を付けて、また2年後、下水道が通ったら、その施設費はまた自分で払わなくてはいけない。ちょっとこれ、合理的なのかしらという疑問があります。そういったところを市民が自分たちで選択できるようになると、もっと合理的になるのではないか。行政サイドから見れば市民が何回も出す方が合理的かもしれないけれども、市民サイドから見れば、それは全然合理的ではないです。

○吉田委員 私も浄化槽のユーザーなので、お話は非常によくわかるんですが、結局、今のお話から得られる話は、一つはユーザーから見たユーザーフレンドリーなシステムになっていないというところ。情報とかコスト、透明性の問題、それが一つ。
 それから2番目は、行政、特に自治体の取組によってすごく差がある。静岡県内でもそんなに差があるという話。
 3番目は、やはり下水道の整備計画との整合性というんですか、これが非常に問題で、私の所も浄化槽でみんなやっていたんだけれども、いつ来るかわからなくてみんなそれやっていて、下水道が来たんだけれども、みんな取りかえるためにまた投資しないということで、結局、現行法のシステムがよくわからないというか、今、おっしゃった二重投資になる問題とか、これはやはり何とかしてもらいたい。それが3番目の問題だと思って、非常にお話はよくわかりました。

○松田委員 小野さんの調査に立ち会って私もびっくりしたんですけれども、単独浄化槽を使っている方たちが、自分たちが単独浄化槽を使えば、合併浄化槽のように水がきれいになっていると思っている人がほとんどだったんですよね。だから「単独浄化槽を使っていいことをしていると思っていたら、そんなんじゃなかったんだ」と全員が言っていましたからね。何の説明も受けなかったと。設置のときにはあったような気がするけれども忘れてしまったし、「法定検査なんて、そんなの聞いたことがない」と。みんなお金を出せない方ではないんですよね。しかも環境問題の活動をしている方たちだから、意識の高い方です。これ、現実だなと思いました。

○加藤委員長 我々浄化槽に長いこと携わっている人間からすると、かなりショックなことではありますよね。だけれども、最初に朴さんがおっしゃったように、役所に行っても合併浄化槽もわからない、BODと聞いてもわからないという─多分、建築畑の担当者だとわからないということなんでしょうね。だけれども、そこが受付の窓口をやっている。役所の受付窓口ですらそうなんですから、一般の市民が自分が使っている浄化槽が合併なのか単独なのか、単独と合併ではどこがどう違うのか、法律的にはどういう仕組みになっているのかなんていうことは、多分知らないということでしょうね。

○小野氏 ええ、全然わからない。

○加藤委員長 それが現実なんだろうと思いますね。
 実はこの後、2番目のテーマの中で浄化槽の位置づけということ、これは今、由田部長も国会の方からいらっしゃいましたけれども、由田さんも、浄化槽はこんなにいいと思っているんだけれども、なぜそれがまだ日本の力にならないのか、世論の力とかそういうものにならないのかということなんですが、今、こういう現実を聴くと、しかも小野さんのようにごみ問題、環境問題を熱心にやっていて、いわゆる環境無関心派では全然なくて、むしろそうではなくて、浄化槽そのものではないけれども、環境問題をごみという問題で見ていた方ですらそうだということですから、これはなかなか容易なことではないなと思いますね、確かに。

○小野氏 でも、法定検査に関しましては本当に、行政の方も勧めていないような気がします。何かとても申し込むような状態にはなっていない。

○加藤委員長 11条検査やりたいと言ったら、それやる必要があるのかと。

○小野氏 いや、そういうふうには言われませんでしたけれども、「だってあなた……」
○加藤委員長 単独だからですね。

○小野氏 ええ。それとか、申し込んだ方に「1年後に来るからそのときで、今は要らないです」と言われますよね。説明会の中で出た実際にあったお話のようですが、法定検査を申し込んで保守点検もやっている方が、法定検査で引っかかってしまって不適切になった。なぜかというと、つけてから4年間、一度も清掃していなかった。なぜ清掃していなかったかというと、保守点検の申込みと法定検査の申込みはして、清掃の申込みを一つ落としてしまっていた。それで、保守点検の人も「汚い」、法定検査の人も「汚い」とは出していても、「掃除しなさい」とは言われなかった。だからしなかったと言うんですね。だから、何でそれらが一つのパックにならないのかなと思います。全部一つのパックになれば、だれだって申し込むと思います。

○加藤委員長 どうですか、国安さん。国安さんも長いこと浄化槽で飯を食ってきた人間の一人ですが、今のような話はどうですか。

○国安委員 非常に・・・・。普段思っていることなのですが、業界サイドでも、正しく今、おっしゃられたパック制、一括して実施できればと考えていると思います。業界自身の努力により、既に実施されている地域では、11条検査も70%を超えるぐらいまで行われています。しかし、静岡県も非常に浄化槽の設置基数が多い、先ほどの埼玉県も浄化槽の数が多い、でもその大部分が単独処理浄化槽です。このような地域では、業界もそうだし行政もパック制のような浄化槽の維持管理に関する新たなシステム作り、そういったことに積極的に関与していないのが実態だと思います。
 そういったことに関し、以前、部長がおっしゃられたような形を含め、今日、4人の方々のお話を聴いていて、もっと我々自身がNPO、そういう活動をされている方々に対して情報提供をしながら連携していくような形を取らない限り、業界や行政を待っていても非常に難しいのかなあと感じました。私自身どうすれば、皆さんのような方々に集まっていただけて、我々が持っている情報を提供しながら話し合いができるのか、さらに市町村や都道府県に対してどういう活動をしていけばいいのか、お教えいただきたいと思っています。

○加藤委員長 小野さんに対する御質問、ほかによろしいでしょうか。
 それでは小野さん、どうも御苦労様でした。
 英虞湾の朴さんから始まって今の小野さんまで、4人の方々、お忙しい中、本当にありがとうございました。
 お聴きのとおり、私ども、もちろん専門家だと自認しているものでありますが、しかし、今日の話を聞いても大変ショックを受けることが多いものですから、改めてふんどしを絞め直して浄化槽行政に取り組まなければいかんなと感じました。
 貴重な御意見、ありがとうございました。
 それでは、途中でお帰りになる先生もいらっしゃるようですから、あと二、三十分の中でということにしたいと思いますが、議題の2に移ります。
 皆様方、傍聴されても全く構いませんが、もし御都合があるようでしたら御退席いただいても結構ですので、そこは自由にしていただきたいと思います。
 議題の2、浄化槽の位置づけに入ります。
 これは前から繰り返して言っておりますように、直接のきっかけは、由田部長さんから浄化槽というのは非常に優れた生活排水処理システムだと我々は信じているし、そういうつもりで仕事もしているんだけれども、どうして国民の間で十分な盛り上がりがないのかと。その答えの一つは、先ほどの四つのヒアリングの中にもあったと思います。もちろん、それだけではないと思うんですが、その辺について議論をしたいと思います。
 事務局の方で何か用意したものがありましたか。この点については特段ないですね。─というわけで、皮切りに由田部長からもう一度、今、途中からいらっしゃいましたけれども、多分2団体ぐらいお聴きになったと思いますので、そういったものに対する感想も含めてもう一回、2回前の委員会で由田さん自身が出された問題意識を簡単にお願いします。

○廃棄物・リサイクル対策部長 大変御苦労様でございます。
 今日いろいろと御意見をお聴かせ願いました方々、本当にありがとうございました。私、国会がございまして後半だけしかお聴きできませんでしたが、また後ほど担当の者から聴かせていただきたいと思っております。
 今、座長から、2回ほど前ですか、私の方から委員の先生方にどういうことなんだろうかということで、私から質問をするのは変なのかもしれませんが、させていただきました。
 その一つは、私自身は、合併処理浄化槽は従来かなり優れた性能になっているし、今もきっとそうなんだろうと思ってきた人間の一人であります。随分さまざまな政策上のツールもできてきておりまして、今は下水道、農集排と浄化槽の予算を一緒にして、どれか選択していくというような仕組みもできております。これで十分かどうかということはありますが、少なくとも大きく前進しております。
 ところがその中で、私の予想が、期待感が大きすぎたのかもしれませんが、どうも浄化槽が余り選択されないということであります。特に、生活排水処理システムの整備率も随分向上してきてはおりますが、現在、主として力を注がれようとしておりますのは中山間地が中心になるわけで、どちらかといいますと浄化槽が得意とするような地域ではないかと思っておるんですが、なぜか浄化槽が選択されない。
 従来の物の考え方でありますれば、市町村が整備の中心になるわけですから、市町村という行政がどう考えるかという問題ではないかということになるわけですが、松田先生もいらっしゃいますけれども、この環境問題、あるいはごみの問題にしましても、正に現在は、インターネットを通じて情報がどんどん出ている時代であります。いわゆるいいものであればいいものとマーケットあるいは市民の方々が感じ取って、そのような主張を多くの方がしてくるはずではなかろうかと思うのでありますが、なぜか浄化槽に関してはそこまでの盛り上がりが、どうも手応えが感じられないということであります。
 一体これはどういうことなんだろうか、そうすると、そもそも浄化槽そのものの性能あるいは通常の管理の中での使い勝手がよろしくないので選択されないのだろうかと思ってみたら、いや、そうではなくて、そこはきちっとした施設なんだけれども、では、なぜ盛り上がらないのであろうか、そういうところに私自身が疑問を持ちまして、この議論を通じて年末までに浄化槽に関する新しい物の考え方、ビジョンを取りまとめていただきたいとお願いしていながら、どうもそこのところが一つ引っかかっておりましたもので、今日、市民の方々からいろいろお聴かせ願ったわけですけれども、ここのところを、発表された意見も参考にしつつ、どういうことなのであろうかと未だ私も教えていただきたいという状況でありますので、ぜひとも忌憚のない御意見を頂ければと思います。

○加藤委員長 わかりました。
 改めて由田部長の問題意識といいますか、端的に言えば、本来ならば一つの丼の中に入った─何でしたっけ、汚水処理施設整備交付金ですね。つまり、浄化槽でも下水道でも集排でも、どちらでも自治体によって選んでいいですよ、そういう仕組みができたから、しかも対象地域には中山間地が多いから、由田部長の期待としては、当然ながらもっともっと浄化槽の需要があるだろうと思ったら、意外とそうでなかった。この制度自体がまだ始まって間もないということもありますし、一方で、いろいろな地方の疲弊とか、何とか公共事業をやらないとか、やらなくては地方が持たないとか、そういう地方の経済の問題、活性化とかそういった問題ももちろんありますので、単純に浄化槽が性能、機能の面で他の施設との競争に破れたとか何とかいうわけではありませんけれども、その辺について改めて皆さんの御意見などを伺いながら、それをビジョンの中に反映していきたいということだと思いますが、どんなものでしょう。

○松田委員 4名の方の発表をお聴きしながら私なりに考えたんですが、一つは、法律の中で制度をもう少しきちっとフォローアップしていく必要がある。ですから、これは業者さんたちに委ねるのではなくて、行政のシステムの中にきちっと検査を盛り込んでいく。やるのは業者さんとしても、制度として法定検査が1年に1度と決まっているのに実施されていないのは、ある意味で行政の手抜きだと思いますので、ここをもう一度明確につくっていく制度のシステムづくりの見直しというのがあると思います。
 あと大事なことは、今「市民の底力」という言葉がはやっていますけれども、市民の底力というのは、今、おかげさまでごみのリサイクルではすごく育ってきています。最初はリサイクルの方でスタートしたのが、今、発生抑制へと市民も育ってまいりましたので、この浄化槽の普及推進員を重点的な地域に絞ってでもつくり上げていく。そして全国にこれをつくり上げて、ごみ減量推進委員の大会みたいなものが環境省でございますけれども、浄化槽のためのそういうフォーラムをつくっていくということで、国民運動にしていく必要があると思います。
 この水フォーラムというのは水のことをやっていて、私は、浄化槽はその一部に過ぎないのではないかと思っていまして、やはり政策をきちっとしていくために、下水道という考え方は、これは大量焼却と同じような考え方。機械で処理をしようという形ですから。今度は人々の心を使って水のことを考えていくために、浄化槽というツールを使いこなす知恵みたいなものをつけていくためには、資格制度を持った認定制度みたいなものも必要かもしれませんが、市民側の応援団と制度のシステムとをきちっとつなぎ合わせて、そこに関連業界の方たちがどううまく連携していくかというのをつくってみたいなと思うようになりました。

○加藤委員長 ごみ問題で非常に長いこと頑張ってこられた松田委員ならではの大変貴重な意見だと思います。ありがとうございます。

○北尾委員 どうして澎湃として浄化槽をもっと活用しようという声が上がらないかということですけれども、つい先だって私の自宅へ、ある県の浄化槽の担当の方が来られまして、やはり浄化槽というものに強い自信を持てない理由として、下水道が来たら結局二重投資になるのではないか、そういうものを県として奨励できるのかというようなことに、非常に強い懸念を持っておられるとお聴きしまして、私は、静岡県の製紙工場の裁判の例もあるし、それから神奈川県の葉山町とかその他のところで、結局、下水道と浄化槽とどちらを選択するかという裁判で、結果的には浄化槽の方が敗訴したというようなことがあったわけですけれども、そのあたりに、つまりもう浄化槽としてきちっとやっていれば、下水道が来ても切り替えなくていいんだという自信を持てるような、何というんでしょうか、法律なのか、あるいはそういう判例を積み重ねていくということが大事なのか、その辺、私、法的なことはよくわかりませんけれども、そのあたりが一つの大きなあれだと思うんですね。
 また、逆の面から言うと、人口が減っていく中で下水道をどんどんやっていけば赤字が雪だるま式に増えていくことがわかっていながら、なぜ相変わらず下水道、下水道と言うのかといえば、一つには、やはり「赤信号みんなで渡れば怖くない」と。他の市だってやっているんだから、そのうち多分、国か県か何かがもっと親方日の丸的に解決してくれるのではないかという甘えと、それから、行政の長とか担当の人たちも、とにかく自分がそのポストにいる間はこれでやっていこう、将来ツケが来たってというような、何というんでしょうか、ある意味では非常に無責任な考え方みたいなものがあって、なかなか切り替えができない。そこら辺をどう解決していくかを考えないと、浄化槽のよさばかりいくら説いても全然問題の解決にならないような気がするんですよ。
 もう一つ、浄化槽の問題というのは、先ほど来いろいろお聴かせいただいたんですけれども、それもやはり都道府県によってかなり温度差がある。余りこういう席で言うべきではないことかもしれませんが、それをあえて言いますと、数年前に浄化槽の維持管理についての委員会を持って、いろいろ地方の方からヒアリングをしたときに、一方では「11条検査なんて役に立たない」と。あんなもの本気で普及する気はないというような意見が何か所かの地方の代表の方から出てきました。一方では、自分たちは11条検査の検査率を高めるためにこんな工夫をして、こんな成果を得たというふうなことを言っておられるところもある。
 それから、都道府県でもそうですから、市町村となるともっとひどい温度差がある。ダイナミックレンジが非常に広い。そのあたりを、何も中央集権的に、一元的に統一することがベストだとは思いませんけれども、少なくとももう少しレベル差を埋めるような地道な努力をしないと、結局、こういうところでは非常に高いレベルの議論をしているわけですけれども、地方へ行くと全然、レベルがばらばらなんですよね。ですから、そのあたりにどう改善の矛先を向けるかが大事ではないかという気がします。

○木曽委員 先ほどの部長の御質問ということになるんですけれども、これを市民サイドから見てみるとどういうことになるんだろうかと考えてみますと、市民にとって、浄化槽を選択するか下水道を選択するかという選択肢はないのではないか。要するに、下水道に関しては下水道整備計画の下で行政が区割りをしますし、それ以外の所では、浄化槽にするかくみ取りにするかの選択しかないのではないか。そうすると、結局は市民に選択肢が残されていない。要するに行政の、選挙だとかそういうことを通じて、下水道を普及するのか、そういうことを地方自治体の選挙のときに争点にするのかどうかぐらいしか選択の余地がないのではないかと思うんですね。
 ですから結局は、なぜ選択されないかといったら、例えば今、北尾先生がおっしゃったように、行政の方の温度差といいますか、行政が浄化槽に対してどういうふうに考えているか、下水道に対してどういうふうに将来計画を考えているかというところが実は大きくて、市民に選択肢がないことが逆に問題というか、そういう状況に我々は置かれている。
 ですから逆に、いくら市民活動の支えをしようとしても、行政をそれでもって動かすことにならなければ、やはり市民活動に終わってしまうような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

○加藤委員長 大変貴重な意見ですね。もちろん環境省の方も今、お話のことはお気づきになって、例えば市長さんを呼び集めるトップセミナーというようなものをやったり、少なくとも20年ぐらい前にはそういうことを全くやる余裕すらなかったわけですが、今は首長さんあるいは議員さんですね、県議会議員とか市議会議員とかそういう方々を呼んで、浄化槽ってこんなにいいんですよということを一生懸命やり始めてはいらっしゃるんですけれども、なかなかそこがまだ十分でないということなのかもしれません。仮にどんなにやっても、別の理由で選択されてしまうということはあるかもしれませんね。

○国安委員 2点ほどお話ししたいと思っています。なぜ浄化槽が選ばれないか、それは逆に市町村の立場に立ったとき、公共事業のしやすさというんですか、予算の消化のしやすさ。公共下水なり農集なりというのは、住民の方が最終的に接続する、しないは別にして、あくまでも市町村が公設ますまでの管渠に関する整備を計画どおり進捗することができる。それに対し、先ほど仙台の方もおっしゃられていましたが、例えば市町村設置型は個人負担が少ないといっても、最初は手をあげる方が大勢いるのですが、4年、5年としてくると、例えば150基予定している、だけど150基まで手が挙がってこない。それは住民に対する啓発というんですか、そういったことをしっかりやっていかない限り、なかなか計画どおり事業ができない。事業のしやすさだけで判断すると、下水の方がマイペースで実施できるところが市町村としては非常にありがたい。

○加藤委員長 担当者の感じから言うと、そうなるかもしれませんね。

○国安委員 最終的にそれが接続率の低さになって、経費の回収率がどんどん下がって、先ほどおっしゃられたような形の一般会計からの繰り出しがどんどん増えているのが今の実態だと思っています。
 2点目が、本来ならば事業費ですか、そういったものを比較検討して、例えば下水道と浄化槽を比べた場合に2倍、3倍という開きがあるのではないかということがあったとしても、では、具体的に市町村の経費負担がどうなのかと。個人ではなくて。そうなった場合には、例えば補助率の違いがまず一つある。2つ目が、公共事業をどんどん促進する意味で、前回もお話ししたと思うんですけれども、地方債に対する交付税措置が入っている。交付税措置が入ることによって市町村の財政需要額ですか、そういったものの中に公債費がカウントされてくる。だから借金はあるんですけれども、結局、市町村としては借金をすればするほど予算も膨らんでくる。分母が膨らみますから比率も相対的に小さくなる。だから、借金はあるのですが、将来にわたる歳入に占める公債費の割合が不明確となりやすく、今の地方財政上、市町村自身が公共事業をやるときに、特に生活排水処理の施設選択をするときに、できるだけ安くやろうというインセンティブが働くような補助体制にはなっていない。
 さらに事業がしやすいとなれば、市町村としては、本当に財政上、苦しいという状態にならない限り、例えば、今、市町村設置型を実施している市町村でも、おおよそ半数の市町村では、集合処理を実施した結果、公債費が多額となり、例えば実質公債費比率が18%を超えるような状態で、市町村設置型浄化槽に切り替えています。集合処理施設の整備事業を既に実施している市町村では、このような財政状態にまでならない限り、浄化槽を選択されることはほとんどないのが実態だと思っています。
 以上、2点、事業のしやすさの問題と、あとお金の問題。

○加藤委員長 財政の仕組みですね、取りあえずの。本当は借金はどんどん積み重なってってはいるんだけれども、当面は楽だということですね。

○国安委員 そうです。この2点に適切に対応していかない限り、今、部長がおっしゃられたような形で浄化槽が選択されない、特に市町村の立場では。そう思っています。

○吉田委員 国安委員がおっしゃったのは誠にそのとおりで、要するに、日本の特に環境関連の公共事業の在り方の問題なんですね。あと補助金システムの問題で、ですからそこを、大もとの問題では改善していかないと、実際には赤字がたまって維持管理ができなくなるんだけれども、誘導としてはそっちを選択するようなシステムになっている。それを変えないとだめなんですよね。そこが一番大きいんですけれども、それを言っていてもすぐには変わらないので……
○加藤委員長 ただ、少しずつ変わりつつありますよね。

○吉田委員 先ほどおっしゃった三つのシステムの中から選択できるようにということで、そういう中で、やはり選択されるようなインセンティブをどうやってつくっていくかを検討しなければいけないということ。
 それから、やはりユーザーから見ると、ユーザーフレンドリーではないんですよね。それで、よくシステムがわからないとか検査も違いがよくわからないとか、それから一体このコストは本当に─結局、維持管理とあれの抜き取りなんかも一緒になっているわけですけれども、先ほどユーザーに余り選択肢はないとおっしゃったけれども、実際に使っている立場から言うと、非常にフレンドリーではない面があって、普及の上では非常にそこが障害になっているということは自覚する必要があると思うんですね。
 それから、私がさっき申し上げた2番目の点で、自治体レベルで非常に取組に差があるということで、これは自治体レベル、さっきおっしゃったように下水道をつくるという誘因が働く、いわゆる公共事業からの圧力がかかっている場合もあったり、ただ、ポリシーがはっきりしている場合は、仙台とかいくつかのところでは非常に明確な方針を立てて、水環境、水循環を非常に意識した取組をしているところもあるわけですから、そこにどうやってうまくフィットした政策を採っていくかが問題ではないか。
 それから、水の汚染の負荷を減らすという点では、依然として単独浄化槽が多いので、それをどうやって転換させるかというところは何とか、補助金のことも含めて、今のスキームをうまく使ってでもやっていくことを考えないと、そこはやはり一番大きいというか、当面、そこをどうするかを一番考えなければいけないのではないかというのが私の感想です。

○松田委員 戦略みたいなものとか将来の方向性をきちっとつくってみて、できないところは、もうきちんと理解した上でできないことはわかっている、けれども方向としてはこういう方向に行くんだということをつくっていって、一歩ずつだと思うんですね。ごみもリサイクルからスタートしたんだけれども、リサイクルではなくて出ない方なんだよというふうに10年の間に政策誘導されてきたわけで、今、私たちがしなければいけないことは、単独を使っていいことをしていると思っている方たちに、それは違うんだということをまず教えていく、その具体的な市民活動を華やかにやるということ。

○加藤委員長 華やかにね。

○松田委員 はい。格好よく華やかにやるということ。ごみのリサイクル運動と同じように。

○加藤委員長 「ごみの松田」が「浄化槽の松田」に変わらないとだめですね。

○松田委員 先ほど埼玉の方がいらっしゃいましたが、彼女たちを表舞台に立ててやればいいなと思っているんですけれども、その中で環境学習をきちっとやっていけば、恐らく世論の方向が変わってくると思うんです。法律の最後の根っこのところに返るためにも、市民がきちっと行動を起こしていくことが早道だと思っていますので、是非そのあたりに予算をつけていただきたい。戦略的に浄化槽を21世紀型の社会システムとして普及していくために、今年度、来年度という形の市民育て、NPO育てみたいなところに力を入れていく。
 それと、あとは市町村教育。市町村担当者教育、議員教育、そして首長さんレベルの教育という3段構えの研修会や講習会を環境省がきちっと組み立てていくと、5年後には私、かなり大きな動きが出てくると思います。

○加藤委員長 何だか嬉しくなってきましたね、松田さんの話を聞いていると。私もやってみたいと思いますね。大変ありがとうございました。
 部長さんの問いかけに対して、先生方から非常に的確なお話をいただいたと思います。しっかりと議事録にまとめて、ビジョンの中にそういったものを必ず、先生方の言葉そのままではないかもしれませんけれども、少なくとも本質はきちっと入れていきたい。そして松田委員がおっしゃるように、そういう地道な努力を続けていくことによって、地道といっても、たまには派手にもやらないといかんですね、いかにも地味ばかりでは。派手にもやって、少し国民的に盛り上がりをしていく。そうすると5年後、10年後には部長、部長の悩みが解消される、こういうことのようですよ。私もそう思います。
 今、時代は激しく変わっていますから、いろいろな意味で行政のシステムももちろん変わっていますし、政治家の意識も随分変わってきていますし、市民の意識も随分変わってきていますから、別に百年河清を待つようなことではないと思います。案外時間はかからない。そこまで底力で、今までずっと浄化槽を、それこそ地味にやってきたのがいよいよ浮かび上がってくるというふうには思っております。
 それから、浄化槽の技術の進歩も非常に大きなものがありますよね。遠隔でいろいろな管理をするとか、さまざまに技術の進歩もあり、浄化槽の性能も上げようと思えば上がって、そうするとコンパクトなものができるとか、汚泥の発生が非常に少なくなるとか、そうすると、これは北尾先生が前から繰り返し繰り返し発言されていらっしゃるわけですが、本当に1年に1回やらなくてはいかんのですかと。場合によっては2年に1回でもいいし3年に1回でもいいし、要は水質がきちっと維持される、それがちゃんとできるということですね。
 では、水質がきちっと確保されているかどうかはどうやってはかるんだと。余り検査ばかり行っていると、また費用もかかる。そうすると、例えばIT技術を使って、遠隔的にいろいろなものを知った上で適切に対応できるとか、そういう可能性だって技術の方でもあります。もちろん技術にばかり頼ってはいけませんけれども、市民のレベル、それから行政のレベル、松田委員がおっしゃったようにいろいろなレベルで頑張っていけば、浄化槽にもまたもう一つ飛躍があるのではないかなという思いがあります。
 そんなわけで、次回以降、そろそろビジョンの原案づくりみたいなものをやりたいなと思っておりますが、室長、今後のスケジュールはどんな感じになっていますか。

○浄化槽推進室長 次回でございますけれども、11月27日の午前10時から12時までの予定でございます。

○加藤委員長 前から浄化槽のビジョンを年内ぐらいにまとめたいと。それから、松田委員からも予算も取ってくれと。今、予算をとるのはなかなか難しい問題でもあるんですが、しかし、普及啓発の予算というのは金額的にはそう大きくはない。しかし、取りにくい予算ではあるだろうと思うんですが、そういうことも含めて、できたら私も年内にはビジョンを、お約束どおり何とかまとめてみたいと思っておりまして、そうすると、11月27日あたりに原案みたいなもの、素案を出して皆さんに見ていただいて、あれが足りない、これが足りない、あるいはこれはちょっとおかしいんじゃないのとか、もうフランクな議論をさせてもらって、12月にできたら2回ぐらい考えていまして、何とか12月の中で取りまとめてみたいなと思います。
 どうしても必要なら1月にずれ込んでも一向に構わないんですが、できたらそのくらいのタイミングにビジョン、それも単に作文で何のパワーもないビジョンではなくて、パワーのあるビジョン、5年後に効果が出るビジョンですね、松田委員のおっしゃる。そういうものにしないと、ここにいる人間が一体何をやっていたんだということになりますので、そういうビジョンにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 何か、よろしいでしょうか。部長さん、室長さん、よろしいですか。
 それでは、予定より少し早いですが、先生方もいろいろと御予定があるようですので、今日はこれで終えたいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後0時29分 閉会