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■議事録一覧■

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第17回浄化槽専門委員会議事録

平成18年7月27日

午後 2時00分 開会

○松原浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第17回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 まず、事務局に異動がございましたので御報告いたします。19日付けで、企画課長について、森本が転出し、後任に紀村が着任いたしました。

○紀村企画課長 紀村でございます。よろしくお願いいたします。

○松原浄化槽推進室長 また、同じく廃棄物対策課長について、粕谷が転出し、後任に関が着任いたしました。

○関廃棄物対策課長 よろしくお願いいたします。

○松原浄化槽推進室長 次に、お手元の配付資料を御確認願います。資料一覧をお手元にお配りしておりますので、資料の不足がございましたらお申し付けください。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 皆さん、こんにちは。また暑い夏が戻ってきたような、戻ってこないような、突然大雨が降ったり、恐らく地球温暖化が背景にあると思いますけれども、非常に異常な気象を我々は経験しています。日本だけではなくて、世界各地で猛烈な暑さとか、猛烈な雨とか、様々なことを今、地球社会は見ているという状況だと思います。
 そういう中で、我々は浄化槽の議論を続けていきたいと存じます。それから、それに先立ちまして、先ほど御紹介いただきました新しい課長さん方、ひとつよろしくお願いいたします。
 さて、今日のテーマは、技術と浄化槽整備。維持管理はさんざん議論しましたので、今度は整備の在り方というのをテーマに致します。
 なぜこういうテーマになったかといえば、もう皆様十分に御想像がつきますように、私ども、今の作業としては、大体12月末ぐらいをめどに浄化槽ビジョン、浄化槽のあるべき姿といいますか、それを少し夢も交えて、浄化槽ビジョンというものを我々専門委員会としてまとめたいというふうに思っているわけです。
 これは、今ここにいらっしゃいます由田部長さんの強い御意向でもあります。もちろん環境省全体の御意向でもあろうと存じます。私どもとしても、この浄化槽専門委員会というのができた以上、浄化槽のあるべき姿、いろいろな維持管理はもとよりですけれども、技術やらさらには海外への展開といったようなことも、私どもなりに意見をまとめていきたいというふうに思っております。
 前回は、6月15日でしたが、水循環というのを一つのテーマにして、その中で浄化槽の役割というものを議論いたしました。それから、その更に前は5月12日でありましたけれども、浄化槽を取り巻く状況及び浄化槽の特徴ということで議論いたしました。今日は、先ほど言いましたように、技術と整備という2点に的を絞って議論をしていこうと。さらに、8月以降、次回以降ということになると思いますけれども、幾つかのテーマ、既に私どもが当初において議論したテーマをこなしていきながら、12月に最終的に取りまとめる予定でおります浄化槽ビジョンにつなげていきたいと、こういうことでございます。
 それで、今日の議事次第どおり、最初に技術につきまして、事務局の方でかなり一生懸命勉強されて、いい資料を取りまとめてくださったようでございますので、まずそれを見ていただきまして、後の浄化槽技術については専門委員会の先生方、一家言も二家言もお持ちの先生方がいらっしゃいますので、そういう方々を中心に、それから浄化槽技術の専門家でない、別の観点から見ていただく専門委員の先生方からも御意見を頂いてまいりたいと存じます。
 それでは、事務局の方、まず御説明願います。

○松原浄化槽推進室長 失礼いたします。資料1及び資料2について御説明申し上げます。
 資料1は、浄化槽に関する技術についての論点の例でございます。
 まず、浄化槽の技術に関する現状について、部長からも申し上げましたが、浄化槽が他の汚水処理施設と比べて遜色はないかということについて御確認いただければありがたく存じます。
 また、浄化槽の技術開発に関する方向性について、浄化槽の安定化、維持管理等にIT技術等をどのように活用していくか、処理能力の高度化をどのように進めるべきか、汚水処理性能を踏まえながら、3R、温暖化対策等新しい環境対策をどのように取り入れていくか、設置者の負担軽減といったものも考慮した開発の方向性はどのようなものか、小規模事業場等の対象拡大にどのように対応するかなどの論点が考えられます。
 さらに、技術開発の促進策についてどのようなものがあるかという論点も考えられます。
 資料2は、関係資料で、1ページからは、浄化槽技術の変遷と今後の動向についてでございます。
 まず、浄化槽技術の変遷で、構造基準等の変遷でございます。浄化槽技術の発展は、建設省告示の「屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽の構造方法を定める件」(構造基準)に反映されてきており、技術の進歩に伴いこの基準は改正されてきてございます。表は、構造基準等における浄化槽の取扱いでございまして、昭和55年度までは、活性汚泥法及び散水ろ床法が導入されていましたが、処理対象人員は101人以上でございました。同年度からは、回転板接触法及び接触ばっ気法が導入されましたが、それでも処理対象人員は51人以上でございました。昭和63年からは、分離接触ばっ気方式及び嫌気ろ床接触ばっ気方式が導入され、処理対象人員が50人以下である規模における構造が追加されました。平成7年度からは、脱窒ろ床接触ばっ気方式が導入され、処理対象人員が50人以下である規模で放流水1リットル当たりのTNが20ミリグラム以下である構造が追加されるなどの取扱いが行われております。平成12年度からは、構造基準の性能規定化が行われ、膜分離活性汚泥法等が使用されるようになりました。
 2ページから5ページまでは、構造基準等に導入された処理方式についてその特徴が示されておりますが、説明は省略いたします。
 6ページは、最近の処理技術を使用した浄化槽の例でございますが、これについても説明は省略いたします。
 7ページは、御説明申し上げた各種処理方式の設置基数で、平成17年3月末現在においては新構造の構造例示型のうち嫌気ろ床接触ばっ気方式が最も多くなっております。
 8ページは、浄化槽技術の開発動向に関する日本環境整備教育センターの資料を要約したもので、小型浄化槽について、現在の開発動向は、図に示すとおり、処理水質の高度化、多機能化、小容量化及び循環型社会の4方向に整理することができるとされています。
 まず、処理水質の高度化については、富栄養化対策用の窒素・燐除去、建物内又は敷地内における処理水の再利用等に関する研究開発が行われているとされています。
 また、多機能化の流れで、道路下設置等を目的とした自動制御、罹病者排泄物に由来する臭気に対する対策などがあるとされています。
 さらに、施工の容易性、既設単独処理浄化槽の合併浄化槽化を目的とする流れがあるとされています。
 加えて、循環型社会対応化の流れで、電力消費量を削減する、再生プラスチックを使用するなどの取組があるとされています。
 9ページからは、技術開発の動向について社団法人浄化槽システム協会会員に対するアンケートを行った結果を御報告申し上げます。
 10ページは全般について、11ページからは主な項目について、それぞれ、回答いただいた結果ですが、11ページからの方がわかりやすいと思いますので、こちらに沿って御報告いたします。
 まず11ページは、循環型社会の構築や温暖化対策を考慮した浄化槽の開発についてですが、再生材使用率の高い浄化槽、電力消費量を削減した浄化槽、汚泥の再利用等を視野に入れた浄化槽の開発などに取り組んでいるとの回答がございました。
 12ページは、廃棄されるときの処理容易性に関する取組で、本体の小型化・軽量化に取り組んでおられる、廃棄されるときに処理が容易である原材料を用いた浄化槽を開発されている、プレス成形により組立及び分解を容易にしているなどの回答がございました。
 13ページは、その他の3R等に関する取組で、既設単独浄化槽を雨水貯留槽へ活用すること、処理水を再利用すること等に取り組んでいるとの回答がございました。
 14ページは、高度処理を目的とした開発・研究についてで、脱窒型浄化槽の開発等の回答がございました。
 15ページは、小容量化を目的とした開発・研究についてで、既設単独浄化槽の入れ替えに用いる浄化槽の開発等の回答がございました。
 16ページは、浄化槽汚泥の減量化・減容化を目的とした開発・研究についてで、汚泥転化方法に取り組んでいるなどの回答がございました。
 17ページは、小規模事業上の排水処理を目的とした開発・研究についてで、油脂含有排水対策として、油分解菌を用いた処理法の拡充を図っているなどの回答がございました。
 18ページは、維持管理の向上を目的とした開発・研究についてで、通信を利用した中央監視システム等に取り組んでいるなどの回答がございました。
 19ページからは、循環型社会の構築や温暖化対策を考慮した設計・製造方法について工場生産品を対象に回答いただいたものです。
 19ページは、ブロワ・ポンプ類の定格消費電力について平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものです。大型の浄化槽は減少しているようですが、小型の浄化槽は様々なようです。
 20ページは、プラスチック類の原材料について同じく平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものですが、製造業者によって様々なようです。
 21ページは、製造ラインにおける消費電力量について同じく平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものですが、多くの製造業者が減少していると回答されています。
 22ページは、製造ラインにおける廃棄物量について同じく平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものですが、変化はあまりないようです。
 23ページは、製造ラインから出る余材等を再使用・再利用する量について同じく平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものですが、把握されていない製造業者が多いようです。
 24ページは、再生プラスチックの使用等再生品の利用について同じく平成17年度を100とした場合の値を回答いただいたものですが、これについても同様のようです。
 25ページからは、浄化槽整備促進のために浄化槽に関する機能の改善すべき点を市町村に対して照会したものです。
 水質については、更に浄化が図れるように強化をしてほしい、また、容量の大きな浄化槽の開発もお願いしたいなどの回答がございました。
 状態の表示については、浄化槽の水質が常時表示されるような計器類を住宅内に設置できるようにすれば、維持管理に興味をもってもらえるなどの点からも役立つのではないかなどの回答がございました。
 メンテナンスの容易化については、ブロワ等付属機器を含め統一的な維持管理ができないかなどの回答がございました。
 特殊排水の処理能力については、医薬品の服用時における排水、飲食店からの排水等に対する処理能力を改善すべきなどの回答がございました。
 防臭化については、住民の中には「浄化槽は臭う」というイメージを持つ人がいるので防臭機能の更なる改善が図られることが望ましいなどの回答がございました。
 構造の強化については、安心して駐車場にも使用できるよう支柱なしでも4トン程度の荷重に耐えられる製品があればよいと思う、汚泥排出時の急激な浄化槽内部の減圧によるひび割れの防止が図られればよいと思うなどの回答がございました。
 ブロワ対策については、振動音を小さくしてほしい、耐久性の向上を図ってほしいなどの回答がございました。
 いわゆるコンパクト型浄化槽の機能向上については、安定した放流水質が保持できるよう改善してほしいなどの回答がございました。
 小型化及び小容量化については、宅地の形状等から浄化槽が設置できないケースも見受けられるのでコンパクトな浄化槽を開発していただきたいなどの回答がございました。
 設置・維持管理コスト削減については、多くの方がコスト的な部分を意識されているかと思われるなどの回答がございました。
 災害対応の向上については、豪雨災害等により宅地が浸水した際に、浄化槽へ水が侵入しないようにしてほしいなどの回答がございました。
 管理者自身による管理については、専門の維持管理業者ではなく、自らが浄化槽の状態を把握して維持管理できるように機能を充実させてほしいなどの回答がございました。
 情報の周知については、浄化槽の機能等を含め対処方法のマニュアルなどが検索できないかなどの回答がございました。
 その他多くの回答がございましたが、説明は省略いたします。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 浄化槽の技術につきまして、これまでもいろいろな形で触れてはきましたけれども、こうやって改めて開発の歴史から今後の開発の動向なり、それから日本の代表的なメーカーがどういうことを今やっているのか、また市町村で浄化槽を担当している人たちがどういう思いでいるのか、非常によくわかる資料だったと思うのですが、ここから先は委員の先生方の御随意に御意見なり御質問なりいただきたいと思いますけれども。
 資料1の方では、一応論点というものが示されています。こういったもので他の汚水処理施設と比べて遜色がないかどうか。これは遜色がないということは繰り返し議論されてきたわけですが、その辺の確認。遜色がないといっても、単にいいのだいいのだという、それだけではもちろんなくて、当然ながら技術ですので課題も抱えてはいます。どの技術であれ課題は抱えていますけれども、そういったものを見ておく。それから、技術開発の方向性、さらに技術開発を促進するための様々な支援の在り方、そういったようなことについて、先生方から自由に御意見を頂ければと思います。
 技術のことですから、北尾先生あたりから口火を切っていただきますか。

○北尾委員 急な御指名で、まともな意見が述べられるかどうかわかりませんが……。
 私、汚水処理原価についての資料が後ほど出てくるようですが、それを見ますと、資本費というのは例えば242円の中のたったの38円。維持管理費が204円というようなことが出ております。これは、資本費というのは例えば公的な補助があるからと。そういうのはどういう扱いになっているのか、そこまで内訳をよく理解して発言しているわけではないのですが、いずれにしても、汚水処理原価の占める維持管理費というのが非常に大きなウエートを占めているという現状を考えますと、この辺をどういうふうにしてもっと消費者に歓迎されるようなコストにしていくかということが非常に大事なことではないかと。
 その中にも、技術的に対応できるような要素はいろいろあると思うのです。例えば、このごろ水処理の世界では、水処理に伴って発生してくる汚泥を何分の1かに減らすというような技術が非常にはやりでして、あちこちでそういうものを検討しているし、それから小規模なものでもそういう技術というのは全く不可能ではないというふうに思うわけです。例えばそういうこともあるし、それから例えば維持管理のやり方、非常にシステマティックにというのですか、非常に合理的に進めるとか、いろいろなことをやるのも一つの技術だと思います。
 要するに、私が言いたいことを一言にまとめますと、どの辺に費用が掛かっているかということをよく考えて、その一番掛かっていそうなところに対策を立てるような技術が一番効果的であるわけですから、そういうものを優先していくべきではないかと思うのです。
 それから、処理能力の高度化ということが技術の面では度々問題として挙げられるわけですが、以前にも私この席で申し上げたと思うのですけれども、浄化槽の中だけでの処理を一つの完結した処理と考えるか、あるいはそれが更に例えば側溝だとか小さな小川だとか、そういうところへ流れていった後のことも含めて処理効果と考えるか。私は、後者も含めて考えたいのですが……。
 そうすると、もっとそれを延長していくと、処理水の土壌への浸透。諸外国では大体小さな施設の処理水というのは地中へ浸透させているという例が非常に多いのですが、そうすれば非常に極度まで浄化できるというか、ほとんど汚染される前の水に蘇えって、再びどこかへ集まってくると。それから、土の中にそういう水を貯留するというような能力もありまして、雨が降っているとき等はたまって、晴天が続いたときにはそれが流出してくるというような、非常に流量を平均化して、水の循環を非常に良好な状態にするというようなこともあります。
 日本の場合は、たまたま非常に処理性能がいいわけで、そのために表流水に放流するということが、ほとんどの場合そういうふうにされているわけですが、もっと土の浄化能力というようなものと連動させるような考え方があれば、そう一つ一つの浄化槽の性能に神経質にならなくてもいいのではないかというふうなことを考えております。
 それから、最後の技術開発の促進策について、私、非常に印象深いことがあるのです。実は昭和30年前後だったと思うのですが、まだ小型合併処理浄化槽というものが行政によって本格的に取り上げられる前なのですけれども、当時浄化槽というのは厚生省が確か所管しておられまして、厚生省の方で研究費を出されて、一つのグループは雑排水専用の浄化装置というものを研究されるグループで、もう一つの私どもは小型合併的にやるべきだというふうに申し上げて、それぞれグループをつくって研究費を少々頂いて研究したというような覚えがあります。
 結局、行政の方針として合併してやる方、雑廃水専用槽を別個につけるというのは、どう言えばいいのでしょうか、取り上げられなかったのです。そのグループの人は非常にがっかりしたというようなことを私よく覚えておりまして……。
 ですから、どういう技術を開発したらいいのかというのは、本来この自由競争の予算の中では、それぞれが考えて結局消費者に受けるような技術開発をしたらいいのですけれども、現実には先ほど申し上げたようなことが起こって、やはり行政の持っておられる力というのは非常に強い。それなりに信念を持っておやりになった方々も、せっかく自分たちがやったものが取り上げられないので、そのままポシャってしまったというようなことがありました。
 そういう意味で、今たまたまそういうことをやっていただいているのだと思うのですけれども、世の中でどういうものが必要となっているかということを、行政の側でよくアンテナを高くしていただいて、そしてそういうものの中でこうあるべきだというものがあればエンカレッジしていただくと。そういうことが私は一番の技術の発展の促進策になるのではないかというふうに思っております。
 ですから、例えばこういう席だけではなくて、逆に先ほどA、B、C……、O、P、Qぐらいまであったのですか、ああいう会社を集めてもう少しフリーディスカッションのような機会をつくっていただくとか、そういうことが企業にとっても、方向を見極めて自信を持って開発するという意味で非常にプラスになるのではないかと思うのです。下手をすると、企業というのは企業秘密ということで口を閉ざすということもありますから、うまくいくという自信は必ずしもありませんけれども、やってみる価値があるのではないかと思っております。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 言うまでもないと思うのですが、今の北尾先生の御発言の中で、コストの話に関連して汚水処理原価という話が出てきましたけれども、これはこの後、事務局から説明がある資料4の方でまた出てまいりますので、そのときにも併せ御議論いただければと思っています。
 ほかに、どうぞ技術系の先生でも、あるいは技術をバックにしない先生でもどうぞ御自由に技術についてお話しいただければと思います。
 木曽さん、どうぞ。

○木曽委員 先ほど来、浄化槽の技術に関して資料を非常にまとめていただいていたのですが、浄化槽の技術は先ほど北尾先生がおっしゃいましたように、維持管理も大きな技術でありまして、そういう意味では維持管理の技術そのものの技術革新といいますか、それを支援する技術も含めてだと思うのですが、それから、維持管理の場合保守点検もそうですし、清掃の技術もそうですけれども、そういう部分での技術についても少しこれまでの流れを取りまとめていただければありがたい部分があるとは思うのです。
 それは、結局、今日の資料の前半部分は装置本体の技術でありますので、それが維持管理の技術とどういうふうに絡むのかというような点では、むしろ行政サイドからのある程度の中身にそういうものが一部反映されているかと思いますので、その部分が車の両輪のような役割を果たしていると思いますので、その部分についてもまたできれば教えていただければと思っております。

○加藤委員長 はい、そうですね。維持管理ももちろん技術を伴っているわけですし。今日の資料1の方でいくと、浄化槽の安定化や維持管理等にIT技術等をどのように活用していくかと。IT技術に限らないと思うのです、もちろん両先生がお触れになったのは。そういうのが出ていて、行政の方でも常時表示といいますか、浄化槽が一体どういう状況にあるのか常時表示ができるといいですねと。
 普通の市民からすると、いろいろな意味で常時表示が当たり前になってきていますね。変な話ですがエアコンだと温度が何度というのはすぐわかるとか、様々な機器にそういう常時表示的な技術がもう使われていますので、やはりその延長線上で、浄化槽というのは一体どういう健康状態にあるのか、室内にいて常時表示がされるといいねと思うのは、ごく普通にわかりやすい話だとは思うのですけれどもね。
 多分、そういうことも含めて、もし事務局の方でそういう資料が可能であれば、また次回か次々回か、適当なときに出していただいて、この部分の議論の参考にしていただければと。ハードウエアだけではなくてソフトウエアの部分もということですね。
 新美さん。

○新美委員 先ほどの北尾先生の御意見を受けてですけれども、やはり技術で他の汚水処理と比べて遜色があるかないかと比べる場合には、エンドポイントをどこに押さえるのかによって、相当比較すべき項目が違ってくると思うのです。例えば、地中に流すということまで考えますと、そのシステムまで含めて技術の遜色があるかないかということをやる必要があると思います。
 それから、もう一つは、こんな比較のポイントをするときに、どういう項目を取り上げて比較をするのかということも少し議論しておく必要があります。技術というのはオールラウンドのものというのはまずあり得ないので、あるところに特質があればどこかで欠けるところがありますので、そういう点をきちんとマトリックスをつくっておく。そのためにも比較対照すべき項目というのを、余り限定すると問題があるかもしれませんが、やはりクリアーにしておかないと比較のしようがないと思うのです。その比較をした上で、この浄化槽についてその特色をいかす方向でいくのか、欠点を補う形でいくのか、あるいは先ほど北尾先生がおっしゃったように、マーケットに委ねるのだという議論をしていく必要があるのではないかと思います。
 確かに行政がリードしていくのは、私、必要だと思いますけれども、やはり行政というのはミニマム・リクアイアメントを取りあえず設定しておいた上で、その後どちらの方向に行くのかというのが、技術開発というのはやはり創意工夫が必要ですので、そちらに任せるということはあってもいいのではないかというふうに思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、河村先生。

○河村委員 今までのお話とちょっと違うかもしれませんけれども、ここで何回も実は申したように、浄化槽というのはかなり社会的にも認知がされつつあるというふうなことで、恐らく性能とか高度化とかということについては、かなりもう自立的というより自主的に開発できるようなレールというのができてきつつあるのではないかと思うのですけれども。
 そうした場合に、ここのアンケートなどでも少し触れておられますけれども、水処理ではない、それに派生する部分として、前々から出ておりますけれども、汚泥の問題をどうするかとか、あるいは最終的には本体そのものはいずれだめになるので、何かの形で処理処分をしないといけないということで、潜在的な廃棄物だと思うのですけれども、そういうものをやはり考えていく必要があると。
 この場合は、恐らく従来やってきたような水処理を中心としたメーカーさんたちの技術開発ではなくて、ほかの分野の方々との連携をしないと、多分なかなかできないだろうというふうなこともありますので、どんどん浄化槽というものが認知されればされるほど、そちらの方の問題も多分考えていかなければいけないのではないかというふうな感じがあります。一部には、こちらの中にもありますけれども、もうちょっとそういう意味での視点も要るのではないかという気がしました。
 それと、技術開発ということですけれども、世の中いろいろな形で助成制度とかというのがありますけれども、恐らく浄化槽についてある程度絞ったものというのは、多分ほとんどない、少なくとも大きな額がついたものはないのではないかと思います。そういうふうなものがある程度枠組みとしてできれば、しかもそのときに、一つは例えば汚泥の処理でもいいし、あるいはさっき言いました浄化槽を廃棄したときの問題でもいいのですけれども、そういうふうなものについてテーマを絞って競争するといいますか、そういう形の募集の仕方もあるのではないかと思います。
 それから、もう一つは、ある意味では行政主導でもいいと思うのですけれども、何らかの形の開発プロジェクトのようなものをつくっていくとか、そういう形で自主的な開発、水処理の方ではそれであったと思うのですけれども、それ以外の分野でもある程度先導するような形の開発というのも必要になっていくのではないかというふうに感じております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 今、河村先生がお触れになった部分、浄化槽技術に適応するのに、浄化槽とは違った分野で使われている技術がうまくいく場合もあるのではないかということ、そういうことに関連してお触れになったと思うのですが、先生は例えばどんなことを念頭に置いていらっしゃいますか。

○河村委員 例えば、汚泥処理でしたら、当然下水のサイドとかし尿サイドとか、そういう形でやっておられるし、どちらかというと浄化槽汚泥というのはし尿処理場に持っていってそこで一緒にやってもらうことにして、浄化槽汚泥だけを単独でということは余りないと思うのですけれども、そういうところとかと技術連携するとか、そういうところの技術を導入するとかというのもあるでしょうし、それから、FRPなどの再利用とかというのは、浄化槽をやっておられるメーカーさんの中では多分出てこないでしょうけれども、そういう廃棄物の問題を扱っておられるところだったら、かなりやっておられるかもしれませんので、そういうところのリンクとかということです。そういうことがあるのではないかということです。

○加藤委員長 はい、ありがとうございました。
 それから、今河村先生が後の部分でお触れになった、技術開発を促すための支援策のようなことが考えられないかという趣旨の御発言もあったと思うのですが、私の知る限りよく通産省ないしは経済産業省は、動脈関係の技術を開発しようと思うとそういう予算をつけて一生懸命誘導すると。例えば脱硫技術を誘導しようと思うと、脱硫技術に相当お金をかけて、国費を使って開発をさせるとか。最近の例で言えばソーラーパネルとか、ハイブリット車の開発とか、そういったものに結構お金をつけてやる。
 で、そういうことをやったことがいいかどうか、あるいは成功したかどうかという問題はまた別の問題がありますけれども、浄化槽でそういう可能性というのはあり得るのでしょうか。今、環境省の予算の在り方でそういうことというのは、部長さんがいらっしゃるからちょっとお伺いしたいのですが、そういうことはあり得るのでしょうか。

○由田廃棄物・リサイクル対策部長 廃棄物対策課長は替わったばかりですので、代わってお答えをさせていただきます。
 今のお話の研究などで環境省が研究費を云々という話だと思いますが、現在も環境省自身にも廃棄物処理の研究費、科研費と呼んでおりますが、これはございまして、浄化槽も中にも応募はございます。
 恐らく社会的にそのようなことが必要だということであれば、先生方の中には浄化槽の、あるいはこの分野の専門家の先生がいらっしゃいますが、そのほかの方も含めて当然そういうものがあれば、研究のしやすさというのはあるのかもしれませんが、当然応募がされておるのではないかと思いますが、もしなければ、是非とも手を挙げていただければと思います。
 審査は、またこれも公平の観点といいますか、それなりの知見を持った先生方が審査をされて採択がされるというふうになっております。研究、一定のレベルというものが必要だと思いますが、是非ともこれはやっていただけたらと思います。
 それで、かつては我が方で一定の予算を持って、これでいくということを我が方からどこかに委託してやるというようなことがたくさん行われていたのですが、現在、様々なものが入札に掛かるという動きもございますし、研究費はとにかく競争的資金でありますから、先生方が競争していただくという形になっています。
 それから、これは環境省の方のことでありますが、そのほかに関連しておれば、環境省の中でも地球温暖化の関連にしても、同じように競争的資金がありますし、あるいは環境問題全般としての研究費もございますので、是非ともこれも、全部競争的資金になっておりますので、競争にはなります。
 それから、そのほか、必ずしも環境省に限りませんで、文部科学省の方でも科研費がございます。似たようなものでも、経済産業省の方でもお持ちであります。いろいろな種類に応じて結構フレキシブルに応募はできる形になっておりますので、是非ともこれを活用していただけたらと思います。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。御説明ありがとうございました。
 お聞きのとおり、競争になるのは当たり前といえば当たり前な世の中になってきたわけですが、そういう状況下ではありますけれども、一応可能であるということです。ですから、河村先生がお触れになった、技術開発を促すために何らかの国費を使って、研究所なりメーカーなりにその開発を促すという、そういうアベイラブルである、そういう制度はあるということです。
 ただ、そのためには方向が正しくなければいけないものですから、この専門委員会でもこういう技術を開発してほしいと、例えは窒素・燐を安価に取る技術を開発してほしいとか、あるいは非常に極端な言い方をすれば、浄化槽の汚泥をゼロにする技術を開発してほしいとか。ゼロというのは無理だとしても、現状の4分の1とか5分の1とか、そういう技術を開発してほしいとか、そういう課題を出して、それにチャレンジしていただくということは可能なのかもしれませんね。
 どうぞ。

○河村委員 今、御説明いただいたシステムだったら私も了解しておるのですけれども、恐らくそういうところでやったときに、ほかの分野と浄化槽とが競争したときに、まだちょっと競争力が弱いのではないかというような気がしたので、もう少しそういうのを温かく見守られるようなものがあればというような意味合いで発言しました。システムがあるのは知っております。
 ただ、浄化槽絡みの関連の人たちに十分理解されているかどうかというところは知りませんけれども。
 以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○由田廃棄物・リサイクル対策部長 今のお話、ちょっと私自身が心配していますのは、私も2年間廃棄物対策課長をしておりまして、確かに一部浄化槽に関連する研究は出てきました。ただ、極めて少ないということが実感でして、ほとんど数えるほどといいますか、一、二と。つまり、研究しようとする意欲すらこの世界はないのかというふうに、よく私は自分が担当課長をやっていながら、浄化槽推進室の方に向かって、あなたのところの先生方はどうなっているのだといようなことを言ったのを覚えていまして、河村先生、是非とも取組のほどをよろしくお願いいたします。

○加藤委員長 何だかお鉢がブーメランのように戻ってきたような感じがしますけれども、しかし、由田部長から研究する意欲もないのかとチャレンジされましたから、先生方あるいはオブザーバー席にいらっしゃるメーカーの方々も、そんなことはないとチャレンジしていただきたいし、また国費を使ってやるのが本当にいいかどうかという問題があるのですね。民間企業からすると、国費を使うと何もかも全部オープンにしなければいけないとか、そういう問題がありますから。研究者にとっては、大学の先生とか国立研究所の先生方にとっては別に何の問題もないのですが、民間企業だと国費をもらったためにすべてをオープンにしなければならないという。そのくらいならいっそ自分のお金でやろうという、そういう研究もあり得ると思いますので。
 いろいろなタイプがあるとは思いますが、部長さんの御説明で制度的にはあるということです。ありがとうございました。
 ほかに技術に関して、もうしばらく時間を。松田さんはどうですか。今のところいいですか。
 国安さん。

○国安委員 浄化槽の技術開発の方向性について、性能面、処理目標水質については、下水道など他の生活排水処理施設と比べても、何ら遜色ないレベルまできていると思います。ただし、浄化槽の場合、汚水の流入条件は、規模が大きいものに比べて非常に変動し易いという特徴があります。そのため、処理性能の安定性の確保が、これから、より重要になってくるため、先ほど、北尾先生や木曽先生からも御指摘があったように、ハードとソフトの適切な組合せが重要であると思っております。
 これまで議論されている中で欠けている部分としては、現在、メーカーさんが多様な特徴を有する浄化槽を販売されていますが、具体的に機種を選択するのは誰なのでしょうか、補助を実施している市町村が選ばれているのか、住民、あるいは施工業者なのでしょうか。
 例えば、通称コンパクト型と呼ばれている小容量型についても、2タイプありまして、国庫補助指針どおり有効水深が1,400mm以上のタイプのものと、施工し易いように水深をより浅くしているタイプとがあります。維持管理上の留意点としては、槽内に溜まった汚泥が、風呂の水を抜いたときとか、洗濯のゆすぎのときに、汚泥が溜まっている部分をかき回してしまって、せっかく溜まったものが流出してしまうと、性能の安定性を損なってしまうことがあり、浅いものほどその傾向が強くなります。また、最近は共稼ぎが多く、ピーク水量が多くなる傾向が認められています。
 つまり、現在、処理性能ごとに、各メーカーから色々な特徴のある製品が販売されていますが、製品を選ぶ場合、施工のし易さに重点を置くのか、維持管理作業性に重点を置くのか。例えば、循環装置などについても、エアリフトポンプのタイプもあれば、間欠定量ポンプのタイプもあり、移送水量の安定化を図るためには点検頻度も異なってきます。最終的に選択された製品にはどのような特徴があるのかをエンドユーザーが理解していれば、処理性能の安定化がより図れると思っています。
 浄化槽の適正な普及を図るためにも、エンドユーザーが誰で、何を求めているのかを明確にする必要があります。せっかくいい試みをされても、その製品が売れなければメーカーとして継続して生産ができないだろうし、そういう方向に向かっての技術開発もできません。現在、このようなことが不明確であることが問題点だと思っておりますので、早急に整理する必要があると思っております。
 それともう一点は、方向性として省エネ対策です。先ほど北尾先生から御指摘があった汚水処理原価の中に、浄化槽の場合、電気代が入っておりません。これまでは、処理性能の高度化や小容量化の方向の開発がメインとなっているため、電気代が従来のものに比べて上がる傾向があります。朝日新聞によると、冷蔵庫の場合も、熱効率が上がっているのだけれども、実際には多機能化、例えばたくさんの部屋を設けたり、おでんを温める機能を追加するためヒーターが設けられてることから、10年以上前のものよりむしろ消費電力量が増加しているという記事が掲載されていました。
 それと同じで、浄化槽もBOD除去だけを対象とした製品であれば、もっと電気代を安くする方法の検討が必要ではないでしょうか。当センターでも以前、調査費を頂いて実証試験を行いましたが、現在24時間動かしているブロワを、夜中や昼間など汚水が入ってこない時間帯に止めても、所定の処理性能が維持でき、消費電力も下げることができることを確認しております。このような技術を普及させるためには、最初から保守点検業者と連携で行わない限り、メーカーだけの対応だと処理性能がより不安定となるおそれがあります。このような技術開発について、浄化槽メーカーと保守点検業界と当センターが一緒になって、共通の目標を持って研究開発ができればと思っております。ソフトとハードの融合からも、必要だと思っています。以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 吉田先生。

○吉田委員 今のお話に関連してなのですけれども、私もユーザーという面と研究者という両方、使っていますとやはり電気代とブロワの音というのは問題になっています。最近音はそんなにしないのですけれども。
 それで、大学の学位論文の審査をやったことがあって、そのときに出た論点として、浄化槽の電気代消費をどう評価するかと。要するにライフサイクルアセスメントというのは、浄化槽についてもいろいろな視点やモデルがあると思うのですけれども、やれないかということが論点になったことがありました。
 それと関連して、先ほどの家電製品などだと、今、全部横並びで各社ごとの環境負荷のデータが出るのです。浄化槽の場合は設備がまだそんなにたくさんもないし、市場規模の問題があると思うのですけれども、先ほどの選ぶ人がだれかということで、メーカーなのか個人なのかいろいろあると思うのですけれども、私なども選ぶときにいろいろデータを探したのですけれども、昔はなかったですね。だけれども、最近はできるだけデータが出ていますので、そういう意味での情報開示ができるようになっていくというのは必要ではないかと。
 要するに、ライフサイクルアセスメントと性能についての情報開示の問題というのと、それから最後に気になるのは、やはり先ほどの開発の問題を言うと、市場規模がそんなに大きくないというか、その問題が大きいと思うのです。ですから、後から出てくる処理原価コストの問題と併せて、どのぐらいの市場規模を想定できるぐらいものを政策として出すかということが、一番やはり皆さんが熱心に開発に乗り出すというシグナルになると思うのです。研究費を出すよりも市場の予測値や、それから安定性ですね。それを出すということが一番みんな一生懸命やりだすということになるのではないかというのが、経済学者的言い方ですけれどもね。
 以上、3点です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 取りあえず、技術については一とおりの議論、よろしいでしょうか。あえて現時点ではまとめませんが、今まで技術に関連して先生方の御発言があったことを踏まえて、今度秋以降にビジョンの草案をまとめるときに、今日の議論を反映してまとめていきたいと思います。
 やはり、冒頭に北尾先生から出ました、コストとの絡みで維持管理のコストを少し下げる技術といいますか、そういったものが非常に重要だと。それに関連して、ライフサイクルアセスメント的な見方からいっても、またコストの面でいっても、電気代の問題とか、これは省エネだとか地球温暖化対策とか、そういったところにもつながっていくわけですが、そういうこと。
 それから、他の汚水処理技術と比べて遜色がないかどうかという点についても、どこをもってどういう視点で評価していくかと。項目をある程度そろえるといいますか、少なくともアイデンティファイした上で遜色があるとかないとか、そういう議論だと。
 その議論に関連して、ハードウエアから外へ出る部分だけで評価していいのか、あるいはもうちょっと環境に入ったところまで含めて考えるべきなのかという、基本的な問いかけもされました。
 そのほか、貴重な意見を様々頂きましたけれども、それは後で各項目についての議論を整理する段階で、改めてまた先生方に御議論いただきたいと存じます。
 それでは、一たん技術関係はこのくらいにしますが、私自身はメーカーへのアンケートとか市町村へのアンケート、事務局よく頑張ってまとめてくれたなというふうに思っておりまして、非常にわかりやすい便利な資料ができたと思って、事務局の皆様に敬意を表しておきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、次の、今度は整備について、資料3と4について御説明願います。

○ 松原浄化槽推進室長 資料3は、今後の浄化槽整備に関する論点の例でございます。
 まず、健全な水循環の構築を図るため、今後、どのような地域で浄化槽の整備が必要になるかということが考えられます。
 また、浄化槽の整備に際しまして留意すべき昨今の社会状況はどのようなものがあるかということが考えられます。
 さらに、浄化槽とその他の汚水処理施設はどのような特徴があるかということが考えられます。
 一方、浄化槽の整備が期待されているほど進んでいないという御議論がありますが、そうだとすると、どのような理由があるためかについても御議論いただけたらと思います。
 また、以上申し上げたようなことを踏まえ、浄化槽の整備を促進するためにどのようなことに取り組むべきかについても御議論いただけたらと思います。
 最後に、浄化槽の整備の手法、住民の関与等整備を進める際に留意すべきことについて御議論いただくことも考えられます。
 資料4は、今後の浄化槽整備に関する資料でございます。
 2ページは、汚水処理人口普及状況でございまして、平成16年度末における汚水処理人口普及率は、全国平均で79パーセント余りでございますが、市町村によりばらつきがございます。例えば人口が100万人以上である市町村においては約99パーセントでございますが、人口が5万人未満である市町村においては60パーセント弱でございます。なお、人口が小さな市町村ほど汚水処理を浄化槽で行っている人口の割合が多くなっており、例えば人口が100万人以上である市町村においては1パーセント未満でございますが、人口が5万人未満である市町村においては15パーセント余りでございます。
 3ページは、日本の将来推計人口で、国立社会保障・人口問題研究所が平成15年12月に推計したものです。2030年には、3分の1以上の市町村において人口が5000人未満になるとされています。ただ、中ほどのグラフにございますように、人口の増減については、市町村によりばらつきが大きく、例えば人口が2割以上増加すると推計される市町村がある一方、4割以上減少すると推計される市町村が16パーセント余りございます。
 4ページは、汚水処理施設の整備費でございます。近年、例えば下水道及び農業集落排水施設については減少している一方、浄化槽については横ばいでございます。下水道等の整備について重点化が図られるなか、これを踏まえた浄化槽の整備が求められると考えられます。
 5ページは、国と地方の長期債務残高でございますが、平成17年度末までに国及び地方の双方において増加しているところであり、汚水処理施設の整備においても一層の効率化が求められると考えられます。
 6ページからは、汚水処理原価等についてございます。
 7ページは、汚水処理原価の比較で、浄化槽市町村整備推進事業については約225円となっております。例えば公共下水道については、東京都等においては136円余りで浄化槽市町村整備推進事業より安価となっておりますが、処理区域内人口が3万人から5万人までである市町村においては約283円、同じく1万人未満である市町村においては501円余りとなっております。
 8ページにおいては、出典が異なっており値もやや異なっておりますが、汚水処理原価の内訳が掲げられています。上の表に見られるように、浄化槽については、維持管理費が約204円、資本費が約38円であるのに対し、例えば一番左の公共下水道については、維持管理費が66円余り、資本費が130円余りです。公共下水道等の資本費については固定費的側面が強いことから、下の表及び前ページの表に見られるように人口が少ない市町村ほど汚水処理原価が大きくなるのではないかと考えられます。
 もちろん、これらは単純に市町村の区域ごとに見ておりますので、人口が少ない市町村においても中心部については公共下水道等が安価となったり、人口が多い市町村においても周辺部については浄化槽が安価となったりすることも考えられます。
 9ページは、汚水処理施設の比較でございますが、説明は省略いたします。
 10ページからは、平成18年度浄化槽推進関係予算についてでございます。
 10ページにございますように、浄化槽の整備については、循環型社会形成推進交付金として264億円余りが、地域再生基盤強化交付金の内数として127億円余りが、それぞれ、計上されております。
 11ページは、本年度予算において行われた見直しでございます。
 まず、基準額の特例として、浄化槽の設置に伴う単独処理浄化槽の撤去に要する費用を助成対象としております。なお、対象地域は、湖沼水質保全特別措置法の規定による指定地域並びに水質汚濁防止法の規定による水質総量規制の指定地域及び生活排水対策重点地域とされております。また、対象となる単独処理浄化槽は、使用開始後10年以内のものとされております。
 また、基準額の適正化として、通常の浄化槽について実勢価格を参考に適正化を図っております。
 12ページは、浄化槽整備のための支援で、約5500万円が計上されております。経済性等に優れた浄化槽整備の効果などについての理解を一層進めるため、タウンミーティング等の普及啓発事業を実施しているところでございます。
 13ページからは、浄化槽整備に関する市町村に対するアンケートの結果についてでございます。
 14ページは、浄化槽の整備に対する助成を行っていない理由の例で、他の汚水処理施設で整備する、財政的に困難である、浄化槽の設置基数が小さいなどの回答がございました。
 15ページからは、浄化槽整備推進のために浄化槽に関する制度の改善すべき点の例でございます。
 浄化槽に関する知識の普及については、水環境の必要性を理解してもらうための講習会を実施すべきである、浄化槽に対するイメージアップがより必要と感じられる、まだまだ浄化槽から放流される処理水は汚いという声を聞くなどの回答がございました。
 事務の簡素化及び柔軟性の向上については、生活排水処理計画の見直しを行う場合、下水道計画に認可変更に多大な時間がかかっており、これをもっと短縮できないかなどの回答がございました。
 補助対象については、市町村整備推進事業でも2軒を同時につなぎ込むことに関して差し支えないこととしてほしいなどの回答がございました。
 補助基準額等については、増額等を行ってほしいなどの回答がございました。
 施工費の適正化については、1基当たりの整備事業費が下がっていかないという点は、改善できるならば改善すべきなのではないだろうか、価格に関する正確な情報がまだまだ明らかになっていないと思われるなどの回答がございました。
 放流先の確保については、許可が得難かったりする場合があり、これがため浄化槽を設置しがたいこともあるので、放流先の円滑な確保に資する制度を検討していただきたい、放流先がない場所において地下浸透等を念頭にした制度を確立することが重要であるなどの回答がございました。
 高度処理型浄化槽の設置については、補助基準額が低いという理由で通常型の浄化槽を設置する方が見られるので、高度処理型浄化槽の基準額を引き上げていただきたいなどの回答がございました。
 単独処理浄化槽については、転換の義務化、撤去のための補助要件の緩和等を図ることが重要であるなどの回答がございました。
 その他多くの回答がございましたが、説明は省略いたします。
 17ページは、浄化槽の補助基準額及び浄化槽設置時における費用負担割合でございます。
 浄化槽設置整備事業及び浄化槽市町村整備推進事業における補助基準額は、それぞれ、1及び2のとおりでございます。
 浄化槽設置整備事業においては設置費用と見込まれる額の4割が、浄化槽市町村整備推進事業においては同じく9割が、それぞれ、補助基準額とされています。
 18ページにございますように、浄化槽設置整備事業については浄化槽の設置又は改築に要する費用を対象としているのに対し、浄化槽市町村整備推進事業については浄化槽の設置に要する費用のみを対象とするとともに、事業年度内に20戸以上の住宅等に浄化槽を整備すること、戸別に浄化槽を整備すること等が条件とされています。
 19ページは、単独処理浄化槽の撤去費についてでございますが、説明は省略いたします。
 20ページからは、生活排水処理基本計画及び都道府県構想についてでございます。
 21ページは、生活排水処理基本計画及び都道府県構想の概要でございます。
 生活排水処理基本計画は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項の規定により、市町村が生活排水処理の基本方針として策定するものです。
 都道府県構想については、法令上の根拠はございませんが、都道府県において策定されているところであり、平成8年に厚生省、農林水産省及び建設省の連名で通知が発出されています。近年の社会情勢等により、策定済みの構想が実情のそぐわないこと等も考えられることから、平成12年に構想の見直しについて通知が発出されています。
 22ページは、生活排水処理基本計画策定状況についてで、1600の市町村において策定済みです。
 23ページは、生活排水処理基本計画の記載内容について、実際の計画を拝見して気付いた点を掲げたものでございます。
 将来人口の推計については、約半数の計画で根拠が明確に記載されておらず、根拠を示さず大幅な増加を予測している市町村もございます。
 整備計画についても、根拠の記載がなく、事業費を記載していない計画もございます。
 住民の意見については、考慮を行ったかどうか不明であるものがあるとともに、広報等を行うとされているものの具体的な記述がない計画も少なくございません。
 24ページからいくつかの都道府県における市町村の計画について掲げてございますが、申し上げた点が御確認いただけると思います。
 33ページは、都道府県構想策定状況についてでございます。すべての都道府県において策定済みであり、多くの都道府県において見直し済み又は見直し中となっております。
 以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 これまた私などから見ますと、大変便利なありがたい資料だなというふうに思いますが、特に最後の都道府県構想と生活排水処理計画と。これは一体何だというのが、慣れてないとわかりにくい面があろうかと思いますが、私が理解する限り、都道府県構想は要するに都道府県が、別に法令に基づいてつくっているわけではないけれども、例えば下水道を普及させる地域はこういうところにしようとか、こういうふうにしたいとか、浄化槽についてはこういう考え方でこういうふうにやっていこうとか、そういう一種の方向付けがされていると。大枠についてされているのが都道府県構想というふうに理解をします。
 そして、一方で生活排水処理計画というのは、これは廃棄物処理法という法律に基づいてごみについてはこういうふうにやりますよと、し尿なり生活雑排水についてはこうしますよと、そういうことが具体的に書いてあるべき計画なのだけれども、今、室長の方から御説明があったように、23ページにありますように、往々にして、将来人口推計というのが非常に過大になっていると。どんどん町や村の人口が増えていくという前提で、例えばし尿やそういった生活排水の計画がつくられようとしているとかつくられているとかです。
 それから、住民等の意見、これはますます最近重要になってきているわけですが、こういったものについて具体的な記述がないとか、そういう環境省の御担当から見ると少し首をかしげるようなものも散見されると、そういうことだと思うのです。
 それから、なぜ浄化槽の整備を進めないのですかという、そういう問についての市町村の御回答が14ページに出ていると。こういうような状況です。
 それから、先ほどから度々議論に出てきておりますが、汚水処理施設の整備費の推移。これは全体の予算ですね。例えば公共下水道でいくと、結局平成10年度が一番多かったということですか。1兆7800億円というぐらいになっていた。国費ベースですね。
 ただ、これはどんどん削減されてきまして、平成18年になると、7800億円ぐらいということですから、ピーク時から比べると公共下水道の方は1兆円ぐらい減ってきたということです。普及していったから当たり前といえば当たり前なのですが、そういう現状。
 浄化槽の方はほとんど変わらない。平成10年度で比べますとむしろ増えているという、途中減ったときもありますが、おおむね浄化槽は順調に伸びてきたということです。
 それから、度々先生方がお触れになった原価についても、原価内訳ですが、維持管理費と資本費の分、それは8ページに出てくるということです。
 それでは、これをめぐって、先生方の質問なりコメントなりを。私どもの課題としては、浄化槽の整備、浄化槽自体もかなり普及が進んできてはおりますけれども、更に健全なものにしていくための在り方について、我々なりに意見を最終的に取りまとめたいと思うのですが、これはどうでしょうか。
 松田さんから口火を切ってください。

○松田委員 技術じゃないところだから発言できるのですけれども、全体的に今までの御報告を聞きながら、市町村の方たちの浄化槽の普及について、本気で考えているかなという気がしたのです。御担当者そのものが、生活排水が地域社会の中でいろいろな汚染物質を流しっ放しにしているということを気づいてないと、仕事を余り熱心にしないのではないかというふうに思い始めました。
 私は、浄化槽を普及しなければいけないと思っている立場でこの委員の中に入っているのですけれども、このレポートをまとめるときにも総論でまとめるのではなくて、具体的な提案をしてみたいと思います。私たちが選択的に浄化槽を付けさせないといけないところというのは、5万人以下の市町村ですね。全国的に見て5万人以下の市町村というのがどれくらいあるかというそのデータをきちんと押さえていって、ではそこで生活排水対策に関するタウンミーティングというのも、どこで何回やったのだろうかとか、市町村長のトップセミナーというのは、だれが出席して、どういう反響があったのだろうということを分析して、浄化槽を推進するための戦略的なプログラムというのを、答申の中で見せていくことが非常に必要ではないかと思いました。
 アンケートの中では、浄化槽は100万円掛かるから高いと書かれているのですけれども、実質的に国の方としてはかなり補助金を出してやっているし、市町村設置型などというと補助金も出ているし、消費者負担というのはそんなにかからないのではという気がしたのです。
 だから、そういうことを回答している市町村の人がもしいるとすれば、やはり市町村の方に情報不足があるのだろうし、政策メッセージを出すときに、出し方がまずかったのではないかなというふうに思いました。
 17ページ、これはすごく魅力的なのですけれども、素人の私がもし個人設置型をしようと思うと、ここの6、7人の高度処理型で90万掛かるわけですけれども、この90万というのが設置者負担になると、国から3分の1、自治体から3分の2頂けるということなのでしょうか。それとも、設置者負担のところが90万ということなのでしょうか。見方がよくわからないのです。
 下の方も、市町村設置型というところで6、7人の高度処理型というところで、137万と書いていますけれども、これも実際消費者が幾ら出すのかということをやはり明確に示してほしいと思いますし、この中に工事費が入っているのかどうか。これは設置するということであるから工事費が入っていると私たち受け止めるのですけれども、パイプの解体がどうだこうだと書いていますから、実際に工事費として消費者が負担すべきものというものも、やはりわかりやすく伝えることというのはとても大事だと思います。
 で、大都市で浄化槽の議論などしなくていいわけですから、そういうふうに思ったのです。

○加藤委員長 大変わかりやすい、非常に端的なコメントで非常にうれしく思います。
 大事な点がたくさんあるのですが、正に松田先生おっしゃるように、私どもが浄化槽ビジョンでこの暮れぐらいに出す中には、戦略的に進めるところ、先ほど松田さんが端的に、我々のターゲットはもう大都市ではなくて5万人以下ぐらいのところだと。5万人以下くらいのところをターゲットとしてやっていくということだとすると、例えば今までタウンミーティングとかトップセミナー的なことをやってきたけれども、それはどこでやってきたのだと。端的に言えばそういうことですね。
 それから、費用負担の17ページの表が書いてあるのだけれども、この表の見方といいますか、ユーザーの立場で、ごく普通の個人の立場で、私は浄化槽を付けたいと思うのだけれどもどうなるのかと。この中には工事費まで入っているのか入っていないのかとか、それから国なり市町村なりが3分の1とか3分の2補助してくれるというけれどもどうなのだと。そういう端的なわかりやすい情報をもっと出してくれと、こういうことですね。
 幾つか、例えば工事費は入っているのですかとか、そういうので、今現時点で室長さんなり御担当なりでわかるところで言ってくださいますか。

○松原浄化槽推進室長 工事については、通常行われるものは含まれますが、著しく長い放流官、放流ポンプ等に関するものは含まれません。表に掲げられた額は、公費全体を念頭に置いた額で、通常この3分の1が国庫負担、残りが地方公共団体の負担です。
 タウンミーティングについては19都道府県、トップセミナーについては9都道府県において行っています。都道府県庁所在地で行ったものが少なくありませんが、これは都道府県内各地からお集まりいただく方の便を考えてのことです。もちろん、淡路島、下北半島等相当数の方が浄化槽の対象者である地域で行ったものもございます。

○松田委員 提言のあれを出していかないと、議論だけやっていてもつまらないと思っているのですけれども、私がもし浄化槽を本気になって普及したいと思っている市町村の職員だとすると、特区というのがありますけれども、もううちのところは下水道などは引きたくない、つけてもらいたくない。環境保全型で町おこしをしていく。そのときに、浄化槽対策というのをきちんとやることによって、我が町のプライオリティをやりたいというところを公募で選んで、そこを特区という形にして、そこに対して浄化槽を普及するということをモデル的にやっていく中で、浄化槽のすごさというのを国民に対して地域社会の中で絵を見せていくのです。そうすると、そこの町のようになりたいなというふうに思っている近隣の市町村が、また入ってくるということで、10年計画ぐらいの中でモデル的なところをやって、そこでトップセミナーとかタウンミーティングだとかやりながら……。
 タウンミーティングというのも、普及させたい地域というのが、恐らく政策的に見えてくると思うのですけれども、そこの市民に向けてのタウンミーティングを行政と一緒やっていくとか、またはNPOの方たちの協力をもらいながら。やはり市民が理解しなければだれも設置しようと思わないわけですから、そういう取組というのをやってみるといいなと。5500万もお金があるタウンミーティングですよね。去年、予算が5500万でタウンミーティングをやっていると書いてありましたから。イベントとあれで、恐らく霞が関の優秀な政策担当官であれば、ここまで言うと何か考えてくれるのではないかなと思いながら。小さな島でもいいと思うのです。

○加藤委員長 なるほど。特区なども活用できるのではないかということですね。いずれにしても、先ほども申しましたように、松田さんのおっしゃる戦略的な普及策、しかもわかりやすい普及策ですね。確かに私も17ページの表だけでは、これだけでは一般市民が見ても何のことやら多分わからいないですね。ということですから、実際買ってみようかなという人の立場で、この前松田さんがユーザーの立場でもう一回まとめてくれと言ってこの前まとめたわけですが、それと同じように、ユーザーの立場で、維持管理ではなくて設置する場合にどうなるのかというのを、もう少しわかりやすくつくった方がいいかもしれません。どうもありがとうございました。
 新美さん。

○新美委員 今、具体的な提案ということで出ましたけれども、私、特区を使うということについては、実現可能性が低いのではないかというふうに思います。というのは、特区というのは規制を緩和することがメーンですから、補助金を出すというための手段ではありませんので。基本的には、下水道の汚水処理についてはそんな大きな規制があるわけではありませんから、特区制度になるかどうかは疑問です。
 それとの絡みで、私が驚いたのは、14ページの市町村の担当者が交付金を使用して浄化槽の整備を進めない理由として、下水道がまずありきとしている、政策決定の中にですね。これがどうもおかしいのではないかと思うのです。
 例えば一番上ですと普及率が80パーセントくらいですから、2ページの表で見ると5万から10万くらいの規模の市町村がこういうことを言っているのだろうと思いますが、そうすると、汚水処理原価で7ページを見てみますと、3万から5万ですから、浄化槽の汚水処理原価と同じか少し高いくらいの市町村になるかと思うのです。そうすると、わざわざ高い汚水処理原価の政策を選んでいると。これは政策決定としては極めて不健全だろうと思うのです。
 そう思うと、下水道というのは箱物行政の典型例といっていいしろものですから、そちらへのバイアスといいますかインセンティブがあってこういう政策決定をしているのか。そういううがった見方も出てきます。
 かつては、下水道を整備することが市町村のある意味で発展のステータスシンボルになっていたのですけれども、そうではないということをやはりはっきり言わないとまずいのではないかというふうに思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 今、新美先生の御発言に関連して思い出すのは、この後すぐに御発言いただく国安さんが、この前、人口がだんだん過疎化、高齢化していく中での下水道の維持の難しさというのをるる具体的なデータでお示しになりましたけれども、そういうことを考えると、現状においてもこうなのが、10年先、20年先の非常に人口が減っていって高齢化していって、それをああいう大きなシステムを維持していく費用というのをだれが負担するのかと。全部ユーザーに負担させようと思うと下水道料金がうんと上がっていってしまう。今でもそういう問題は起こりつつありますけれども、そういうことも考えなければいけないかもしれませんですね。
 国安さん。

○国安委員 あの後も今後の課題について色々調べてみると、新美先生から御指摘があった内容に関連した事項についても、確か日銀の肥後さんが書かれたレポートの中で、問題点が指摘されています。現在、補助裏として行われている地方交付税措置について、例えば、下水道の建設費用に関しては、国が補助金で半分を出し、残り地元負担分の半分を交付税で措置しますと。

○加藤委員長 で面倒見ますというのが今までだったですね。

○国安委員 はい。それで、地元負担が4分の1だと勘違いされています。具体的には、地方交付税の財源として定められている法定5税だけでは、このような公共事業に対する措置分に対応するだけの額は確保できないことから、その不足分については、一般会計からの繰り出し以外に、確か2001年まではその大半が交付税特別会計の借入金が充てられていました。そのため、交付税措置されるといっても、実際は、国が全額面倒を見ているわけではなく、地方自治体全体で借りている部分があるということです。ですから、地方公共団体が現在保有している地方債を含め、将来返さなければならない債務について、市町村自身がその額を正しく認識していないのではないか。
 そういう関係で、現在のような交付税措置を行う限り、債務負担者である市町村自身では、生活排水処理施設の整備に関し効率的な事業を選択しようとするインセンティブが全く働かない。むしろ、地方交付税が増加し、市町村財政規模を大きくするためには多額の経費を要する事業、あるいは業務が簡易な事業が、優先的に選択される傾向があるとの問題提起で、そういったあたりを見直す必要があるとの指摘です。肥後さんのレポートの中にも、裏付け的な事例として、高齢者率が高い自治体における歳出について、本来、将来の高齢者対策として必要な経費である民生費や衛生費では相関が認められないのに対し、全く関係のない道路や下水道などの土木費が占める割合は、高齢化率に伴い高くなる傾向が示されています。
 それと、先ほど松田先生からの御指摘があったことに関連したものとしては、最近の朝日新聞でその概要が掲載されていた経済産業省の報告書があります。その内容は、全国の都市を269の都市圏、中心となる市の周辺、通勤圏を含めた地域について、2000年に比べ2030年に地域内の人口や地域経済がどのように変化するかの予測が行われています。それによると、人口が増えるのは東京圏だけで残りすべての地域では減少すると。さらに、地域経済についても拡大するのは35都市圏だけで、残り260程度の都市圏では地域経済が縮小すると予測されています。
 したがいまして、先ほども御指摘があったように、これから生活排水処理が必要なエリアが、今後、人口減少や高齢化に伴いどのように変化していくのか、そういうことについてもわかりやすい資料を一緒に付けて説明していかない限り、当然、三位一体改革で地方交付税制度も相当見直されると思いますので、そういう将来像を含めて、市町村がこれからどのような点に留意して生活排水処理計画を立案する必要があるのか。市町村合併だけの問題ではなく、むしろ、これまで述べたような観点での見直しを早急にやらない限りは下水道事業は止まらない。市町村ではそういう認識がないのかもしれないので、警報を出す必要があると思っております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 交付税制度の問題点だとか、それから整備に当たって将来の人口の変化といったもの、それからもちろん単なる量的な変化だけではなくて質的な変化、高齢化率だとかそういった意味の質でありますけれども、そういう変化というものを踏まえて、浄化槽であれ何であれ、生活排水処理するのに、個人の負担を含めて正に維持できるようなシステムにしておかなければいけないということですね。だから、その将来の認識を誤ると、あるいは交付税に対する期待が余りに過大であると、将来の負担といったものが見落とされがちだという。それに対する警告といいますか警報を出すべきだと、こういうことですね。

○国安委員 はい。そういうことです。それと、具体的に該当するエリア、地域ごとに、例えば前回説明させていただきましたような資料、お宅の市町村は、将来の人口を考えた場合、現在の整備量でどの程度までの整備ができているのか。自分たちの問題として、具体的に現在の状況がわかるような資料を出してあげなければ、漠然と将来そうなるのかという甘い認識でしかない場合には、生活排水処理計画の見直しが行われないのではないかと思っております。

○加藤委員長 幾つかの自治体の方に来てもらって、どういう認識でいらっしゃるのか、一回お伺いするというのも一つあるかもしれませんですね。下水道もやっている、浄化槽もやっている、農村の集排もやっている人口5万ぐらいのところで、そういう典型的な自治体の御担当の方においでいただいて、将来の認識も含めてどういう整備を想定していらっしゃるか、あるいは実施しようとしているのか。そういったことを伺うのも必要なことかもしれませんですね。
 吉田さん。

○吉田委員 今のお話は、結局国の財政とか公共事業の在り方の問題につながっているわけですけれども、4ページの表をよく見ていただくと、今から8年前の平成10年が下水道が非常に大きく伸びて、この年だけで1.7兆円ですか。それで、これがピークなのですけれども、振り返ってみますと、1990年代に入って環境投資が下水道と焼却炉、つまり公共事業に完全に移っていくわけです。それで、70年代、80年代はいわゆるエンド・オブ・パイプの廃水と排煙対策で日本の公害防止というのは成り立っていたのですけれども、90年代になって完全に公共事業で下水道と焼却炉に重点が移って、これが日本の環境投資になるわけです。
 それで、その費用が事実上公共投資型になってきたということが日本の特徴で、私はいつも講義でやっているのですけれども。
 それで、これがもう一つ大事なことは、失われた10年と言われていますけれども、景気刺激策として最大に重視した投資先が下水道だったわけです。ですから、今度はもう一つ重要なファクターとして財政危機の問題が出てきて、それと人口減という中で、小泉さんの構造改革というのもこの問題に対処せざるを得なくなって、下水道の部分については1兆円ぐらいが削られてこういうことになって、浄化槽については16年レベルを維持されているということなのです。
 ですから、この現状があるので、先ほどから出ているような御提言が登場せざるを得なくなっているということは、やはり大事な点だと思うのです。
 で、一番大事なことは、やはり先ほどから御指摘のあるように、特に人口が5万前後のところから、費用効果を考えた上での排水・下水道対策と。その上で浄化槽は非常に意味があるのだということがこれでわかるし、それがわかるようにやはりいろいろ政策をとっていくということが大事だということだと思うのです。

○加藤委員長 なるほど。ありがとうございました。
 北尾さん。

○北尾委員 この資料4の最後のページに都道府県構想というのがありますが、実は私、この策定したときとか見直したときとかで、4県ぐらいのこの構想に実はかかわったのです。
 その中でどういうことがわかったかというと、例えばその計画を策定して10年ぐらいたって見直しをすると。そこで必ず出てくるのは、下水道は計画したほど進んでない。ちょっと下水道を減らして浄化槽を増やすというような見直しをするわけです。
 それもいろいろすったもんだしてようやくそこまでできるわけで、もうその見直した時点で次の10年間の下水道の計画というのは、多分もうできないだろうという計画なのです。でも、少しは数字が改正されたからみんな了承するということで、その辺が落としどころと言うのですかね。そういうことをやっているのです。
 ですから、結局、下水道がそこまで旗を揚げているから、その範囲内でしか浄化槽とかそういうものがやれないと。だから、常に普及の頭を抑えているのは、実はそういう下水道計画だと私は思うのです。
 それで、実はこの都道府県構想と名をつけているけれども、都道府県というのはほとんどリーダーシップをとってないのです。結局、都道府県の中の市町村がどういう計画を持っているかというのを集計しているだけにすぎないと、そういうとちょっと語弊があるかもしれません、多少の努力はしているかもしれませんけれども、ほとんど集計しているだけにすぎないのですね。ですから、結局は、言えば市町村が無理な下水道計画をしているから、それが結局浄化槽の普及の頭抑えになっているということなのです。
 では、なぜ市町村がそういう過大な計画を立てるかというのは、それは勝手に想像すれば、根拠がありませんから勝手にと申し上げますけれども、要するに市町村長が住民に人気取りしたいとかというようなことも一つの大きなあれだし、それからそのほかにも箱物行政とかいろいろ思惑もあると思いますけれども、どうも市民に対する一つの人気取りみたいな、やはり、住民は下水道でやってほしいと今でも思っている人が大部分なのです。だから、財政破綻とかそういうことがあっても、自分の任期中は下水道の旗を降ろしたくないと。こういうことで私は遅れ遅れになるのだというふうに思うのです。
 ですから、結局根本、どうしたらいいかという根本は、やはり一般の国民の方に、なぜ浄化槽が下水道より、少なくともある地域ではより好ましいものであるかということを、もっと理解させると同時に、それからある町では、小さな町ですけれども、下水道をやめて浄化槽一本でいくというふうに決めた町がありまして、そこの町長さんは、下水道を造らなくて浮いたお金でこんなものができた、こんなものができたということを積極的に住民にアピールしているわけなのです。例えば公園ができたとか、あるいは市民の憩いの場所ができたと。建物です。そういうようなものができたのも、下水道を造らなかったからだというふうなことを積極的にアピールしながら進めているわけです。
 だから、結局下水道の旗を降ろさないのが人気取りになっているというのは、どこか出発点が間違っているからに違いないので、そこのところをやはり直さないと、結局いろいろ理由が出ています、市民の希望がないとか、行政の方がもう一つわかってないとか、それもみんなその辺に私は根本があるような気がします。

○加藤委員長 はい、よくわかりますね。
 由田さん。

○由田廃棄物・リサイクル対策部長 今、委員の先生方のお話を承っておりまして、実は正しく今、新美先生、松田先生、国安先生、北尾先生がおっしゃられた、私もそうなっているというふうな認識はあるのですが、ではなぜそこはそのようになってしまったのかという、そこの知恵を実はお借りさせていただきたいというのが、最初に私が申し上げましたことなのです。
 なぜ申し上げたかというと、浄化槽は本当に、私もかつて随分、加藤座長もそうなのですが、浄化槽はいいのではないかとほれ込んだ人間の一人でもあります。かなりの確度での確信は当時持ってはおりました。浄化槽に対する自信というのは。ただ、本当に100パーセントであったかどうかというのは、もう一度確信を持っておきたいということでの、また技術的な観点からも本当に大丈夫ですねということをお伺いしたつもりです。その上でビジョンと、こう申し上げたのですが、先ほど、国安さんの方から浄化槽は他の汚水処理施設と遜色ないけれども、変動があって若干そこはという留保が付いたわけであります。大変私はそこのところに不安感を覚えておりまして、そこはどうなのだということを是非とも今日は、第一人者の学識者の方々にお集まりいただいてますから、技術でない方もいらっしゃいますから、そこだけははっきりしておかないと、どの程度のものかということに、まずデリケートであります。
 研究の話も出ましたが、これまた議事録が恐らくネットを通じて全国に発信されることになりますから、今日、委員として参加されている先生方以外の先生方も、是非とも浄化槽の研究、汚泥処理も含めて、競争的シーンになりますが、是非ともこれは取り組んでいただきたい。
 先ほど、国安先生がおっしゃられたような、国の財政が今後大変な議論ですが、どうなっていくであろうかというのは、政府が今後どうなっていくというのは、私ども一役人の立場で必ずしも確定できるものでも何でもありませんが、今後議論は続いていくだろうと思います。政治的な議論もあろうかと思いますが。先ほどの国安さんの見解は、一御見解として、言論は自由ですから、それはそれで個人的に発信は是非ともしていただければ、一つの見解として皆さんキャッチされるのだろうと思います。
 そういうことを前提にしながらも、実は先ほど松田委員が特区という話をされました。意味は少し新美先生によって訂正されたのですが、もう既に十五、六年前にも特区という名前ではありませんが、先ほどから出ているように、全部我が町は浄化槽でいくのだという町は幾つも実は出ております。私が十五、六年前知っているだけで、かなりの数がありましたから。それは正しくモデルであり、随分参考になる話だろうと思います。
 そういうところの検証もしながら、まずは確信を持っていくということの作業が一つはある。それからそこでの先生方の知見で議論が必要だということを前提にしまして、実は私が一番疑問に思っているのは、浄化槽は国の支援策がどうであろうと、下水道と比べて、今中山間地が問題となっているわけですから、明らかにどの見解に基づいても、下水道よりは3分の1だと言う人もいれば10分の1だという人もいらっしゃいまして、いや5分の1程度だと言う人もいらっしゃいますが、いずれにしても大変な差のはずであります。
 そうすると、普通の常識で考えて、浄化槽を選択ということが起こるはずでありますが、実は下水道は90年代からどんどん下がっているけれども、浄化槽は少し増えたりしているのだということをおっしゃって、褒めていただいたのですが、私にしてみると、もっと増えても、要請があってもおかしくないのではないかという気がしておるのですが、そこの手ごたえがまるでないというのが実は今、この問題のそもそも新しい時代の浄化槽のイメージをきちんと描いていただきたいということを申し上げた一番の理由は、そこの点にあります。
 皆さん方、今、それは市町村が選ばないのだと。ではなぜそれは選ばないのだろうかと。下水道計画というのは、変更しようと思えば変更できるわけであります。それでは浄化槽がだめなのだったら、なぜだめだと思うのだろうかということであります。そのことを、恐らく今の時代は随分時代が変わってきております。かつて、例えばごみ収集でも分別などということは面倒くさくてこんなことするものかという消費者さんの立場でしたが、今や分けることが当然というような時代になってきておりますし、一般の消費者といいますか、住民の皆さんといいますか、主体的にこの問題に参加する時代になってきている。
 是非とも、物の目線を、確かにお仕事をされている人、市町村の人、重要になりますから、自分が住民なら、自分が消費者ならどういう行動をしていくのだろうかと。住民というのは市町村を構成する一員ということでありますし、消費者というのは経済的な主体でありますが、そういうふうな人たちが主体的に参加する時代でもあります。
 こういうふうなところを前提にしながらも、是非とも、なぜ浄化槽が選択されないのだろうかということの理由を明らかにしていただけたらと思います。

○加藤委員長 由田部長の悩みを承りましたけれども、由田さんだけの悩みではなくて、私たち自身も明確にそういったものに答を出していきたいと思います。
 松田さん、明快な松田さん、どうぞ。

○松田委員 由田さんがおっしゃったように、分別が当たり前の時代になったわけです。そういう土地にも制定しているわけですが、情報が入ってこないのです、ごみほど。だから、私は「元気なごみ仲間の会」というのをやっていて、NPO「持続可能元気ネット」の顧問として、分別よりも発生抑制だという市民運動を展開しているのですが、そこに浄化槽の普及活動を入れていきたいと思っています。
 ただ、ごみの問題もそうですけれども、浄化槽も新しい時代の未来都市の在り方みたいな、かっこいいビジョンがないと動きにくいのです。だから、農水省にバイオマスタウン構想というのがありますが、浄化槽のタウン構想を打ち出していくという戦略ですよね。それをやってみたいです。地域の市民の方たちとともに、環境保全のためにはごみと同じように浄化槽は両輪の輪なのだということを、行政の方と一緒にやってみたいですね。
 ターゲットは5万人以下の町、モデルケースはどんどん褒めていくというような仕掛けをやってみたいと思います。

○加藤委員長 大変頼もしい御発言で、この年末にまとめようとしているビジョンのイメージが少しずつ出てきたような気がしますね。松田さん、そのビジョンづくりの中で、斬新なアイデアを是非入れていただきたいと思います。
 私は、さっきの由田部長のお悩みといいますか、そういったものを聞いていると、やはり情報が足りないといいますか、その情報というのは浄化槽そのものに対する情報も足りないけれども、コスト負担についての情報が足りない。それから、コストが将来どうなっていくのか。今、自治体のあちこちで下水道、下水道料金は通常水道料金と一緒になっているわけですが、使用料がどんどん上がってくるわけです。特に流域下水道みたいなことをやっているとすごく上がっていくと。そうすると、住民が嫌でも気が付くわけです。これは何だと。何でこんなに上がっていくのだと。
 という話になっていくとコストの議論が入ってくる。そうすると、浄化槽が本来やっとここで競争条件が整うといいますか、そういうことになってくるのではないかと。今までように、大部分が税金で賄われていると、余り関心がなかったということだと思うのですが、やっとそういうメッセージが出せると。
 しかも、これは繰り返し国安さんがおっしゃっているわけですが、やはり人口構造が変わってくるのだよと。負担構造も急激に変わっていくということに対する情報をきちんと提供することによって、浄化槽に対する理解が一層深まるというふうには思います。
 いずれにしても、松田さんおっしゃるように、ただ平板に言っていたのではなかなか普通の方には理解されない。普通の方というか、ごく普通の市民には理解できないですから、何か訴えかけ、ビジョンをつくるときに我々がつくるビジョンの中で、わかりやすいビジョン、ユーザーなりそういった人の立場から見てわかりやすいビジョンをつくって伝えるとかですね。
 さて、そろそろ予定の時間が来ていますけれども、この設置について、御意見、御質問、何かございますか。
 それでは、順番で木曽さん、それから河村さんという順番でお願いします。

○木曽委員 今、コストの話が多少出ましたので、私、コストに関してちょっとよくわかってない部分がありまして、先ほど、国安委員の方から浄化槽のコストの中には、各戸で使われている電気代が入ってないというようなこともございますし、そういう点では公共下水道だとか農集排とか、そういう個々の維持管理費と言われる中身が、多分統計上のいろいろな性格があって、それぞれ入っているものが違うのではないかという部分があろうかというふうに思います。
 で、例えば、公共下水道でも維持管理を外注している場合と直営でやっている場合で、人件費の数え方も多分違うのだろうと思うのですけれども、少なくとも、最低限何が入る、どういうものが維持管理でカウントされていて、何がカウントされてないかの区別をちょっと教えていただければと思っております。お宅の方の例えば電気代が入っていませんよというような、そういうことも、私もその辺は不明なものですから、またよろしくお願いします。

○加藤委員長 河村さん。

○河村委員 本論にかかわることではないのですけれども、今日出された資料の中で、不勉強だったものでお聞きしたいのですけれども、単独処理浄化槽の撤去に対して補助があるというお話なのですけれども。

○加藤委員長 12ページですね。

○河村委員 はい。11ページにもほかのところにもありますけれども。
 対象の浄化槽が、使用開始後10年以内の単独処理浄化槽にされている、その理由を教えていただければということが質問なのです。

○松原浄化槽推進室長 使用開始後相当経過した単独処理浄化槽については、管理者自らの費用において撤去すべきであるという考え方に基づく財政当局の査定によるものでございます。

○河村委員 あくまで財政とのかかわりの中での議論でと。

○加藤委員長 減価償却がし終わったものは自分でやれと。それは財務省なら言いそうなロジックではありますね。
 はい、国安さん、どうぞ。

○国安委員 先ほど言い忘れたのですけれど、浄化槽の整備促進のところ、松田先生から御指摘があった17ページの部分で、気になっている部分があります。これから、特に、高度処理型を普及していかなければならないエリアがあると思いますが、例えば市町村整備推進事業の場合、通常型と言われているBOD20の工事費、本体と設置費用を含めた額が5人槽で86万1000円、それが、窒素除去又は燐除去とか、窒素及び燐除去と性能が高度になるに従い、金額が上昇しています。
 住民が負担すべきものとして分担金、工事費の10分の1に相当する額も、当然、高度処理な処理をしようと思うほど、個人負担分も上がります。そうなると、行政側で高度処理が必要だと判断しても、住民からなかなか手が上がらず、事業が進捗しない事例があります。
 できれば、どのような性能の浄化槽を選択しても、住民の負担分は同額となるように、御検討願えればと思っております。以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 このセクションも、あえて現時点では集約いたしませんけれども、先生方から出された御意見を踏まえて、取りまとめるときに先生方の御意見を反映しながら、特に松田さんのおっしゃったわかりやすい、パワフルなメッセージを出すというのがビジョンの意味合いですから、そのビジョンの中で、由田部長の腑に落ちない幾つかの点、例えば本当に遜色ないと言えるのですかと。すべてが遜色ないというわけではない、100点満点でなくてもいいと思うのですが、どういう特徴があって、どういうところは強くて、どういうところは課題が残っているとか、そういうことももちろん踏まえた上でのですが、きちんとしたものを出していきたいと思いますので、ありがとうございました。
 それから、先ほど木曽さんから出ました、維持管理費用の中に他の施設との比較をする場合、どこが入っていてどこが入ってないというのは、ある程度明確にできるものなら……、これはどうですか、次回でも次々回でもいいのですが、何か。

○松原浄化槽推進室長 委託されていようが自前でやっておられようが、維持管理費としては計上されているのではないかと思いますが。

○加藤委員長 細かいことを言えば、電気代が入っているかどうか、そういう話ももちろんありますし、薬品代がどうなるのかとか、そういうのもあります。それは例えば下水道と比較する場合に、下水道の方は各戸で薬品を入れるなどということはもちろんありませんけれども、それから通常ブロワをやるなどということはないわけですが、維持管理の概念とか、そういったものを明確にしておくというのは、それは必要だと思います。
 それでは、この二つ、技術の問題と整備の問題につきまして、大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 次回以降につきまして、室長、予定をお願いします。

○松原浄化槽推進室長 次回、8月23日の14時、午後2時から開催する予定でございます。

○加藤委員長 8月23日の午後だったのですね。

○松原浄化槽推進室長 はい。

○加藤委員長 というわけで、次回は8月23日の2時から、場所とテーマは後ほど先生方に御連絡するそうでありますけれども、恐らくは暑い盛りだとは思いますけれども、浄化槽のために一つよろしくお力を出していただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。では、8月23日にお目に掛かります。

午後 4時09分 閉会