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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第14回浄化槽専門委員会議事録

平成18年3月30日

午後 2時00分 開会

〇松原浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第14回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。資料一覧をお手元にお配りしておりますので、資料の不足がございましたらお申しつけください。よろしゅうございますか。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいと思います。

○加藤委員長 どうも皆さん、正に年度末ぎりぎりの、この3月30日においでいただきまして誠にありがとうございます。
 今年の冬は非常に寒かったんですが、ここ数日、東京では桜が非常にきれいになりました。先ほど、私、日比谷公園の中を少し散歩してきましたけれども、ほとんど満開といいますか、非常に美しい春になりまして、松田先生の今日のお召し物の色みたいな、すばらしい春景色になってきました。浄化槽の世界も春景色になればいいなと思っております。
 今日は、もう皆様御存じのとおりですが、これまでの議論を整理しましたのを、前回、私と事務局との責任で、一応、素案のようなものを、こんなふうな整理でいいかということを皆さん方にお伺いいたしました。皆様から貴重な意見をたくさん頂きましたけれども、大筋においては大体こういうことでいいのではないかということで、それでさらに、その後、先生方の意見を頂いたものなどを基に、今日のメインの資料1として、これまでの議論の整理したもの――維持管理等に関するものですが――を出させていただきます。これを御検討いただいて、できたら、今日、方向としてはこういうことでよろしい、これまでの議論としては、この整理としてはこういうことでよかったというふうにしていただければ先に進めるなというのが、正直なところの気持ちであります。
 先ほど、事務局に伺ったんですが、この浄化槽専門委員会というのは、昨年の5月の末に開かれているんです。5月25日に開かれていまして、きょうが14回目ということで、1年足らずといいますか、10か月で14回ということですから、相当の頻度でやってきたということです。これももちろん委員の先生方、それから事務局の大変な努力、加えまして、今日もたくさんおいでいただいていますけれども、オブザーバーの皆様、それぞれの諸団体からの非常に厚い御支援があって、ここまでこの委員会をやってこれたなというふうに思いをしております。先ほど言いましたように、桜、桜が非常に美しく咲き誇るように、私どもの浄化槽の世界もそうなればいいなというふうに思っております。
 さて、それでは、今日は、一応4時までということで、議題は、今、言った議論の整理を最終的に確認をしていただくということと、それから、今後の浄化槽の更なる課題について、どういうふうな課題があるかというのを一とおり議論をしながら、また前に進みたいというふうに思っております。というわけで、ひとつ、今日もよろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、まず資料1を事務局の方から御説明ください。

○松原浄化槽推進室長 資料1の「前回の委員会までの議論の整理(案)」についてでございますけれども、前回の委員会にお出しいたしました議論の整理案からの変更点を中心に御説明申し上げます。
 まず、1ページ目でございますけれども、最初の2段落については、前文として付けさせていただいております。前回の委員会までに、こういった整理をした施策がどれぐらい進捗したかということも、後ほど、またじっくり審議することが必要ではないかというような御意見もございましたので、施策の進捗状況も含めて、引き続き審議を行うこととしたい、という旨の表現を加えてございます。
 1の(1)アについてでございますが、そのうちの2段落目でございます。これはここの部分だけではございませんけれども、従前「行政」という言葉を使っておりましたけれども、前回の委員会までに、できる限り「都道府県・市町村」などと書き分けることがいいのではないかというような御意見がございましたので、「都道府県・市町村」という用語を使っております。以下、同じように整理を行っております。
 また、同じ段落につきまして、ヒアリングをした中で有益な事例というものは参考として付すべきではないか、という御議論がございましたので、ここでは8ページに参考事例1として、宮崎県における浄化槽設置者講習会を付けさせていただいた上で、本文においても引用させていただいております。
 それから、次の段落でございますけれども、前回の専門委員会におきまして、例えば「清掃」という浄化槽法上の用語を使ったとしても、一般の使用者等から見ると、異なった受け止め方が行われる例があるということもございましたので、住民にわかりやすい用語を使用するということが重要である旨の記述を加えております。
 また、説明会を実施する際におきましては、指定検査機関の協力も大切だというような御指摘もございましたので、「指定検査機関」という用語を加えさせていただいております。
 次のページに参りまして、2ページ目のアの最後の部分、イの直前の段落の部分でございますけれども、製造業者等が有しております機種ごとの維持管理の作業性ですとか、あるいは費用といった各種の情報を提供することが大切ではないかというような御意見がございましたので、その旨、記述を追加してございます。
 それから、イの2段落目でございますが、表現がおかしい部分があるのではないかというような御指摘がございましたので、わかりやすくするために、「浄化槽の」というような用語をつけ加えております。
 続きまして、3ページ目の方に参りまして、エの「業務の連携」の2段落目についてでございます。前回の委員会までに保守点検や清掃の作業内容・結果を指定検査機関に集積するといったことも大切なのではないかという御指摘がございましたので、その旨の記載を増やしております。
 また、次の段落でございますけれども、保守点検、清掃、法定検査について更に連携を深めて、組織的な維持管理体制の整備を図ることも効果的であるという旨の御議論もございましたので、加えさせていただきますとともに、参考事例2を末尾のページにつけさせていただいております。飯能市さんの合併処理浄化槽組合について、ヒアリングを行わせていただいたところでございますけれども、その要点を記載させていただいております。
 それから、(2)の「経済効率性の向上」のうちアの保守点検についてでございます。省令の条項などについての言及がなくて、一般の人についてはわかりにくいのではないかという御指摘もございましたので、省令についての言及を行うなど、必要な補足を行うとともに、全体が長くなりましたことから、類似の記述をまとめまして、きめ細かく段落替えを行うというような修正を行ってございます。
 それから、ちょっと飛んでいただきまして、5ページの(3)のイの都道府県・市町村ということで、前回までの御議論の中で、市町村についての役割というのが明示的に書かれていないのではないかというような御指摘がございましたので、5ページの最後の段落を追加してございます。市町村の生活排水処理計画のほか、使用者等との関係については、現場に最も近く、浄化槽の補助事業も実施している市町村が一定の役割を果たすことが期待される、現在、幾つかの都道府県において、地方自治法に基づき条例を定め、浄化槽法に定める設置届の受理や助言、指導、勧告、改善命令等の事務を市町村に委譲しているが、市町村がきめ細かい指導監督を行うのに効果的な方策の1つであると考えられる、という旨の表現を追加してございます。
 それから、次のページに参りまして、2の普及啓発の推進についてでございます。ここにつきましては、ウの部分を追加させていただいております。前回までの御議論の中で、普及啓発についての情報の交換を行うことが大切ではないか、というような御指摘がございましたので、「浄化槽が設置される前に住民に対し講習会を実施するなど、浄化槽の普及啓発に関し独自の取組を行っている都道府県・市町村や、浄化槽関係者が存在する。このため、これらの者においては、普及啓発の手法について、浄化槽の行政担当による会議や技術研究集会等の場で情報の交換を行いつつ、これを充実させていくことが必要である」という記述を加えてはどうかというふうに思ってございます。
 次に7ページでございますけれども、3の単独浄化槽対策についてでございます。2段落目につきまして、単独浄化槽が望ましくないというような基本的な考え方が十分示されていないのではないかという御指摘がございましたので、ここでは「単独処理浄化槽対策の重要性を考えると、他の水環境施策との整合性を勘案しつつも、時限を切って単独処理浄化槽の全面廃止を行うことが望ましいことは言うまでもない」という基本的な考え方を一層明確にするように記述の変更を行ってございます。
 取りあえず、主な変更点について御説明申し上げました。

○加藤委員長 大変どうも御苦労様でした。
 いろいろな資料も末尾に付けていただいて、それから、この後の議論になると思うんですが、今回も非常に有用な浄化槽関係の資料も出ておりまして、ありがとうございます。
 これについて、前回、先ほど冒頭にも申し上げましたように、原案については少なくとも御議論いただいて、様々に御意見を頂いて、それを取り入れた形で出させていただいております。どうぞ、遠慮なく御意見をお聴かせいただければと存じます。確か、吉田先生は前回いらっしゃらなかったと思いますが。

○吉田委員 どうも恐縮です。

○加藤委員長 札幌の雪の中から、きょうは出ていらしたそうです。東京は桜でもあちらは雪だそうでありまして、ありがとうございました。いかがでしょうか。

○吉田委員 これまで何度か出られなくてすみませんでした。
 議論の整理を、私も送っていただいた資料も読ませていただいて、重要な点がほぼ網羅されていると思います。
 最後の単独浄化槽の問題で、私も浄化槽を使っていて、十数年前から、家を建てたときに、周辺の方も浄化槽、下水道の処理地域外でしたものでから、皆さん、付けたんですけれども、私のところ以外は、皆さん単独浄化槽でそのまま来ていて、それで下水道が近くに来たんですけれども、うちも含めて下水道接続はしないで、取りあえずそのままで使っているわけです。単独浄化槽の方は、ここにもあるように、単独浄化槽というのと合併浄化槽の区別について、まず御存じないわけです。ですから、こういう負荷がかかっているということについての普及啓発というのが非常に重要で、問題はどういうふうにやったらいいかということで、例えば検査は受けているわけですから、そちらの方から、情報が行くとかということはひとつあれですし、それから、どう見ても支払い資格はあるわけですね。つまり、ある程度補助があって、お金がない上に転換はしたくないということをおっしゃる人たちではないわけだけれども、よく知らないから、そのままになっているというのが圧倒的に多いと思うわけです。ひとつは国における補助の強化が図られるということが大事なんですが、同時に普及啓発が大事で、かつどういうことをきっかけにして普及啓発をやるかというところで、日常、点検を受けているところから言ってもらうということだってあるわけですね。その辺、実際に私の周辺を見ていて、ここに書かれているのはもっともなんだけれども、実際どうやったらいいかということで、一番そのことで接触しているのは、検査を受けているところからなんです。だから、例えばそこから情報を流してもらって、こういうことなんですよ、ということを言えば、そこで認識は深まるということはあるかと思います。それは具体的な点で……。

○加藤委員長 どうも大変ありがとうございました。
 まさに吉田教授の場合には浄化槽を使っていらっしゃるという、吉田先生の場合には合併だそうでありますが、御近所の大部分は単独だということで、しかも、単独か合併かというのを知らない。浄化槽の関係者だと、知らないなんてことがあるんですかねと、こういうことになるんですが、だけど、それは専門家だから、そうなのであって、そうでない人は、何が何だかわからないというのが、恐らく実態だろうと思います。そのことがここにも書いてあるわけなんですが、ただ、具体的に言えば、7ページの、今、普及啓発のところに、特に最後の〇のところに、「単独処理浄化槽と合併浄化槽の区別がつかないということも考えられることから、区分方法の周知など対策をとるべき」だと、ここのところは吉田先生のお話のように、もっともなんだけれども、では「対策をとる」というのは、どうやってとったらいいのかというので、1つのサジェスチョンとしては、今、吉田先生がおっしゃったのは、検査機関が検査をするときに、チラシなり、しかるべき資料をしてやるというのを少し追加するというのは、それはひとつの強化ですね。

○吉田委員 特に書き入れるということではなくてもいいんですけれども。

○加藤委員長 区分の周知など、例えば検査の折にとか、そういうときに周知してやる。それはいいことだと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。ほかの点でも、大きな点でも、小さな点でも結構ですが。
 資料1は松田委員がきっかけとなって、いわゆる使用者、浄化槽の設置者といわれても、ちょっとわからないということで、使用者といいますか、そういう立場でまとめてほしいというところから議論をここ数回やってきて、こういう形で、大体、松田さんの御疑問に答えるような形でまとめてきているんですが、何か、松田さんから御覧になってどうですか。どうぞ。

○松田委員 おかげさまで、ポイントは大変よく整理されてきたと思います。わかりやすくなってまいりました。
 でも、私も自分自身の体験からして、単独処理浄化槽と、一般の普通のいい浄化槽との区別がつかないんです。それで、まだ私、こだわっているのは、単独浄化槽を使っている方たちが、自分が単独であることを知っているかどうかというところが、一番これからの啓発の場面だと思いますので、先生がおっしゃったように、検査をするときに、おたくの浄化槽は単独なのか、それとも理想的なタイプなのかということを、ちょっとメッセージとして紙切れ1枚入れてあげて、その次に、県ではこういうふうな指導をしていますから、講習会もありますので来てくださいとかいうふうに投げかけていくことによって、広がりができると思います。
 今つくっている方たちは、いい浄化槽だというふうに言われているんですけれども、いまひとつ本当かなという気持ちがないわけでもないので、是非、たくさんの方たちが知らずに使っている単独浄化槽というものについての性質を、きちっと伝えてあげることへ力を注いでいただきたいなと思います。

○加藤委員長 単独だと何が問題なのかとか、なぜ単独はだめになったのかとか、そういうことをわかりやすく、ごく普通の方が理解できるような言葉で説明してあげる。それは吉田教授がおっしゃられましたように、検査のときとか、そういうのを選んでやると、個別に伝わるかもしれませんね。市の広報だとか、そういうのに書いただけではなかなか伝わらないかもしれませんね。

○松田委員 1年に1度、「清掃」というクリーニングの時期があるわけですから、そのときに、きちっと丁寧にしていくと、案外、広がりができるのだろうというふうに思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ遠慮なく。木曽先生、何かありますか。当会場に最も早く現れた。

○木曽委員 前回、私、欠席いたしまして、資料をお送りいただいて、それを読ませていただいて、少し今回の方が充実しているといいますか、前回でもかなり従来の議論の中では、より具体的に一歩踏み込んだ取りまとめ案ということになっていたのではないか、というふうに思っております。
 そういう意味では、基本的には、私としては非常に満足のいく議論の取りまとめではないかと思っておりますけれども、これが今後の議論の方向づけをするという趣旨でございましたものですから、逆に、その先を考えますと、かなり具体的な問題では、かなり難しい問題をそれぞれに抱えているんだなということを、少し感じております。
 例えば、2ページの真ん中辺、イの2番目の項目でも、「各業者は、業務内容、自らが関与した浄化槽の法定検査の結果等自らの情報を提供する」という、こういうことができればいいというんですけれども、どういうふうな形でできるんだろうかということを考えていくのは、多分、もう一段難しい課題かなというふうに思いますし、それから、イの最後の部分でありますが、「加えて、料金が適正であるかどうか」という、「適正」というときに、維持管理、保守点検とか、そのほか法定検査とか、清掃とか含めまして、その技術的な質の評価まで使用者の方が踏み込んでいくだけの情報を、どのようにしたら、我々、手に入れることができるんだろうか、なんていうことを考えますと、これもまた非常に難しい。これはウの1番目にある項目と関連することだろうとは思うんですが、そういうことも感じます。
 それから、法定検査につきましても、5ページ目に取りまとめられておりますけれども、これも例えば、2番目で「公正・中立を保つための内部チェック」というふうな項目が挙げられておりますが、自己点検、自己評価ということは大事ではありますが、これをどのようにして担保をしていくのかというような具体的な課題とか、それから、全国的に整合的な判定、一応、今も判定のガイドラインがあるわけですけれども、これをどう実質化していくかというところでは、これも具体的な課題としては難しい問題を多々抱えているというふうには感じておりますけれども、そういうものを1つずつ、網羅的に解決していくということが大事であることは、十分に私も理解をしております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 今、木曽先生から御指摘のあった問題は、今、具体的な点で幾つかありましたけれども、いずれも全体にわたる話だと思うんです。前回委員会においても、北尾先生がいろいろないいことを書くんだけれども、それが実際に実施されるかどうかが非常に問題だ。実施されなければ、単に文章ができただけということで、もし実施されないとしたら空しいという趣旨のことをおっしゃったと思うんですが、もしかしたら、またきょうもおっしゃってくださるかもしれませんけれども、確かそういう趣旨のことをおっしゃられたと、私は記憶しているんですけれども、いずれにしても、この専門委員会が直接権力を持っているわけではありませんから、専門委員会としては専門家としての意見を、できるだけ、もちろんそうかといって宙にかいたような意見ではもちろんだめですが、実施可能なようなことで……。しかし、実際にどうするかというのは、例えば検査機関の内部チェックをきちっとするというのは、何も浄化槽に限らず、最近の建設基準法関係の違反事件だとか、それにもありますように、そういった公定な検査機関が本当にきちっとやっているのかどうかというのは、更に問題になるわけです。具体的にどうするかは、それぞれの検査機関が本来最終的にはやるべきことなんですね。
 ですから、私ども、ここで、ああせい、こうせいと箸の上げ下ろしみたいなことを書くことは適当でないし、また、それは私どもの権限を超えてしまうだろう。ただ、中立・公正にきちっと検討してくださいよ、ということをきちっと言っておくということで、それを受けとめてもらうということだと思うんです。
 同様に、各業者が自ら関与したいろいろな結果などを情報提供する、これも、ああせい、こうせいというよりは、恐らく浄化槽を各業界が、最近はインターネットとかそういったものを使って、ホームページとか何かで、いかに私どもの会社がきちっとやっているかということを、ちゃんとした業者だったら、多分やっていらっしゃるだろうと思うんですね。そういうところに掲載してもらうように、そういうムードができている。
 浄化槽の場合には、地域独占とは、あえて言いませんけれども、どちらかというと限られてしまう場合が多いです。Aでもいいし、Bでもいい、Cでもいい、Xでもいいし、Yでもいい、その中から1つ選んでくださいという、それほど自由度があるわけではない。そうかといって、地域独占というほどじゃないですが、そういうふうになっている。時代がそういうことを要求してくるんだろうと思うんです。そうすると、恐らく業界の方は、もう既にやっていらっしゃると思うんですが、ホームページやそういったところで、できるだけ自分たちのパフォーマンスをきちっと利用者にお伝えしている。多分、そういう流れになっていくのかなというふうに、私自身は思っております。またそういうことを促すように、行政機関の方で、これは後で松原室長に、この紙がまとまった段階ではどう使うのか、改めてもう一回、松原室長さんの見解を、行政としてどう使うのか伺いたいと思っていますけれども、そういうところできちっと反映してもらうようにするということだと思うんです。御指摘ありがとうございました。
 ほかに何か、いかがでしょうか。――北尾先生。

○北尾委員 私は、このところずうっと出席しておりますので、この議題については、確か、もう3回ほど繰り返していますね。ですから、かなりお役人の作文的な表現が具体性を帯びた、非常に踏み込んだような表現になっているということで、もう私は、この段階ではかなり完成度が高いものになったな、というふうに感じております。この内容そのものについては、特に私の意見としては付け加えることはございません。
 ただ、1ページ目の一番下の段落に、「住民にわかりやすい用語」云々という言葉を付け加えていただいたのは結構なんですけれども、法律用語である「清掃」という言葉、私ども、「清掃」という言葉から何を感じるかというと、単に中をきれいにするだけだ、機能に直接影響があるというふうなイメージがわいてこないということは、私は法律用語そのものを見直してもいいんじゃないかなとすら、この「清掃」に関しては感じます。それは、法律に関することですから、直ちにというわけには参りませんでしょうけれども、漠然と考えているところで、これはどういうふうにやっても「清掃」という言葉から出てくる誤解というものは、どうしても避けられないというような感じがしますので、また機会があれば御検討いただいたらと思います。
 それから、先ほど、何を決めても実行されなければならない、空しい、というふうにおっしゃっていただいたんですけれども、ちょっと私が言ったのは意味が違って、決めたことをちゃんと守っているかどうかということをチェックするシステム、そういうものをつくるべきだというような意味で申し上げたつもりなんです。
 例えば、ちょっと余計なことを言うようになりますが、中部地方のある県で……といっても、私、ずうっと愛知県にいましたから、愛知県と思われたら愛知県が迷惑するので、愛知県ではない中部地方のある県で、法定検査の実施率が全国でワースト2という、割合大きな県があるんです。そこの県の人といろいろ話し合ったら、法定検査が決まったときに、それを本当に実行せにゃいかんものだというふうに、我々は理解していなかった。だから、法定検査が必要だという働きかけも、浄化槽の利用者等にしていなかったというんです。今更必要だと言うにも言えないし、本当に困っているんです、というような相談を受けたことがあるんですけれども、行政の方でもそういうことが起こりがちなので、法定検査というのが、制度的にスタートしたら定期的にチェックして、いろいろそれに対する是正を求めていたら、そんなことは起こらなかったのではないかというふうに思うものですから、そういうことを含めて、チェックシステムというものの必要性を申し上げたわけです。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
「清掃」については、室長さん、この4ページの「イ 清掃」となっているところの書き出しのところが「浄化槽の清掃については」となっております。ここに「何々の機能を目的とする浄化槽の清掃については」という、浄化槽清掃の意義みたいなものをちょっと書き足せば、せめて、別にここの文章さえ変えればいいというものでは全然ないんですけれども、そうすると、たしか前回、河村先生も「清掃」という言葉について御疑念といいますか、一般の方がわかりにくいのではないか、ということをおっしゃったように記憶しているんですが、何人かの先生から非常に御心配いただいていますから、書き出しのところだけ、いわば形容詞的に若干の言葉を追加するというのはいかかでしょうか。

○松原浄化槽推進室長 御意見を参考に加えさせていただきます。

○加藤委員長 それから、北尾先生がもう一つお触れになったチェックシステムというのは、これまた重要な問題で、どうやって実際やっていくか、形式的には法定検査とかそういったものでチェックはできることになっていますが、ただ、法定検査の実施率自体が非常に低い段階で、どうしていくかという問題は、またちょっと考えなければいけない大きな問題ではあると思います。
 ほかにいかがでしょうか。――国安さん。

○国安委員 私からは、表現で気になるところ、これまでもでているんですが、再度読み返してみて、やはり気になる部分を2箇所ほど指摘させていただきたいと思います。
 まず、4ページ目の清掃のところで、下から2つ目の段落の2行目のところで、「場合などにおいて浄化槽の汚泥等がたまりにくい状況が法定検査等で」という部分で、「たまりにくい」という言葉が気になっています。できれば、「少ない状況」とか、少し専門的になるのですが、「汚泥等の蓄積する速度が遅い」とか、「たまりにくい」という場合、水質が良ければいいのですが、汚泥がたまらなくて外へ出ている、水質が悪いというイメージも出てくる可能性があると思いましたので、少し気になっています。

○加藤委員長 すみません、例えばどういう表現がいいですか。

○国安委員 「汚泥等が少ない状況」とか、あとは「浄化槽内汚泥等の蓄積速度が遅い」とか、こういう表現は他では使われていないので全体のトーンとは外れると思いますが。
 それと2箇所目のところは、次の5ページ目の3の環境保全を支えるための信頼性の向上、アの指定検査機関の3つ目の段落で、「全国的に整合的な判定ができるように」の「整合的な」という表現に違和感を持っていました。今日も会場に来る前に辞書で調べてみたのですが、「整合的」という言葉は出ていませんでした、ヤフーの辞書で調べたのですが。だから、できれば「全国的に整合性のある判定ができるように」と。

○加藤委員長 なるほど。そこは大変結構ですね。

○国安委員 少し気になっていたので、すみません。

○加藤委員長 「整合性のある判定が」ですね。

○国安委員 その2点です。

○加藤委員長 前はどうしますかね。何か委員の先生で、確かに「たまりにくい」というのはちょっと日常用語すぎちゃって、一般の方にわかるようにといいながら、かえってわからないかなと。「速度が遅い」とか何とかいうと、何かもっともらしいような気もするんですが、この辺は、研究者、学者に聞かないといかんですが、河村先生は、その辺はどうですか。

○河村委員 清掃を少し延してもいいとか、そういう意味でしょうから、先ほど国安委員が言われたように、「浄化槽の汚泥等の蓄積が少ない」とか、そんなのでしょうね。

○国安委員 蓄積速度が遅い。

○河村委員 「蓄積速度が遅い」というような、先ほど言われたように初めて出てくるような表現ですので、「浄化槽の汚泥等が蓄積しない状況」、あるいは「蓄積していない状況」とか、そういうことだと思うんですけれども。

○加藤委員長 全くないということもないかもしれませんから、少ないということですかね。「汚泥等の蓄積が少ない状況」というようなことでしょうか。どうでしょうか。

○新美委員 多い少ないというよりも、むしろ「浄化槽の機能に影響しない」というような表現の方がいいんじゃないでしょうか。「汚泥量等が浄化槽の機能には影響しないということが確認できたら」、あるいは……

○加藤委員長 「少ないために機能には影響しない」というふうに……。

○新美委員 そういうふうにしておいた方が、より明確かなと思いますね。

○加藤委員長 後で事務局にしっかりと検討してもらった方がいいと思います。私は例えばこんなのはどうかなと、先生方のおっしゃる御意見を私なりに勘案すると、「浄化槽の汚泥等の蓄積が少ないため機能に悪影響を与えない状況が法定検査で確認できるならば」と、そんな感じですかね。取りあえず、そういうのを私なりに事務局の方に投げかけておきますので、しかるべくしっかりと検討してみてください。
 ほかにいかがでしょうか。せっかくの機会ですから、皆様に一言ずつ、まだ御発言がない山本教授、いかがでしょうか。

○山本委員 いろいろ議論を重ねてきた結果での案ですので、私自身は特にありませんが、先ほどの単独処理に関しては、時限を切って全面廃止が望ましいと言い切っていただいたのは大変ありがたいと思いますので、是非それを実現するため、更に検討していただきたいと思います。以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。

ほかの委員の先生方、大体よろしいでしょうか。新美先生、よろしいでしょうか。

○新美委員 私も特にこれ以上のことはないと思いますが、もう一つ、付け加えるとすると、2ページのウで、委託後の維持管理業務に関する情報の提供ということですが、てん末の報告というのは、委託契約上の義務でもありますよ、ということをどこかに書いておいた方がいいんじゃないんと思います。これが必要であることは間違いないんですけれども、むしろこれは、使用者等との委託契約でも義務づけられるということを、表現の中に入れておいていただいた方がいいんじゃないかと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。――河村さん。

○河村委員 先ほどちょっと聞き逃したというか、さっと理解したんですけれども、2ページのイの直上の「さらに、製造業者等においては」というところなんですけれども、確か、私も意見を言ったと思うんですけれども、浄化槽そのものの特色といいますか、構造的なといいますか、そういうことも、多分、普通の皆さんにはなかなかわかりにくいだろうということで、ここでは維持管理ということの方に重点を置いておられますけれども、機種そのものの特徴とか、特色といいますか、そういうのを情報として提供する必要があるというのを少し付け加えていただければいいかと思っております。

○加藤委員長 「機種そのものの特色はもとより、維持管理の作業性云々」と、そういうふうになればいいですね。

○河村委員 はい。

○加藤委員長 わかりました。
 ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、先生方に、これまでの議論としては、現時点においては、私ども専門委員会の委員の間の共通の認識として、若干の修正をもちろん施した上でありますが、そういうことで、御理解といいますか、御確認いただいたということでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、せっかく実際、昨年の5月以来、維持管理問題等というのは常に議論してきたわけですので、過去、今日も入れて14回にわたって議論してきたものの整理、取りあえず維持管理等についての整理が一応できましたが、もちろんこの後も浄化槽の議論は続けていくわけですが、それに関連して、また浄化槽の根本的な問題、例えば全体的なチェック体制をどうするかとか、他の水処理の施設等をどうするかとか、そういういろいろなことに絡めて、もしかすると維持管理等の問題に、また戻る場合もあると思います。またそういう前提で、したがって別の言い方をすれば、維持管理等について、これが最終的な私どもの意見であるとかというわけではなくて、これまでの私どもの14回に及ぶ議論の中では、こういうような認識に立った。これを基に、中央省庁つまり環境省、それから地方公共団体、都道府県・市町村が、こういう私どもの専門家の意見を多いに参考にして行政をやっていただきたい、こういうことなんですが、室長、この紙が大体まとまりましたが、これはどう使ってもらえるんでしょうか。

○松原浄化槽推進室長 ありがとうございました。先ほど来の御議論にもございましたけれども、ほかの点と関係する点ですとか、さらに実務的な検討を要する点とか、いろいろあろうかと思いますけれども、私どもと致しましては、予算要求に反映させていくなど、できる限りこの実現に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞ皆様方、今後ともよろしくお願い申し上げます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 というわけで、予算要求はもとよりですけれども、維持管理行政等は中央と地方と一体となって実施していくことになるわけですが、それに大いに使っていただくということであります。本専門委員会の報告書といったものを、当然ながら公表していくということになりますか。

○松原浄化槽推進室長 今までも、資料については、すべて公開させていただいております。この議論の整理につきましても、いろいろなところにお知らせしていきたいと思っております。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 というわけで、この紙については、もちろん今日お寄せいただいた意見を基に、若干の修正はあるわけですが、基本的にはこの形で公表されていくし、大いに行政の方で御活用いただきたいということでございます。どうもありがとうございました。
 さて、それでは次に、私ども、維持管理というのは非常に重要な問題でありますが、浄化槽をめぐる問題は何も維持管理等のことだけでなくて、技術開発の問題やら、私個人的には海外に浄化槽システムというものを展開していくとか、様々にあるわけです。それは、昨年の夏に取りまとめた中間報告なるものにも既に幾つかの課題を列挙して、こういう問題があるということだけは、幾つか、約10項目に近かったと思うんですが、そういうものを出しました。その後、いろいろな議論を経て、また事務局は事務局なりに勉強してこられているようですので、その資料が出ておりますので、それを早速、説明していただきたいと思います。

○松原浄化槽推進室長 資料2、資料3及び参考に沿いまして御説明申し上げたいと思います。先日来の御議論にもございましたけれども、今後しばらくの間は、浄化槽に関する今後の方向性について御議論いただいたらどうかということでございまして、たたき台を出させていただいております。
 まず基本方針のところにございますけれども、環境保全上、健全な水循環の構築の状況あるいは少子高齢化等の社会情勢、汚水処理施設の整備の進捗状況等を踏まえ、数十年後の我が国を視野に、浄化槽について総合的な議論を行うべきではないかというような考え方でございます。論点として、取りあえず思いつくものを挙げさせていただいてございますけれども、健全な水循環の構築に求められる浄化槽の役割について、今後の浄化槽整備の在り方について、循環型社会で自立する浄化槽システムの構築について、国民の主体的な環境保全活動としての浄化槽の確立について、技術開発の促進について、浄化槽の海外展開について、その他にもいろいろ考えられるのではないかと思ってございます。
 最近の浄化槽を取り巻く環境につきまして、資料3がございます。大部なのですべては御説明できないと思いますけれども、かい摘まんで御説明申し上げます。まず、浄化槽の役割全般ということでございますが、1ページ目の方でございますが、前回来、須藤委員からの御示唆もございまして、環境基本計画の現在のところの案を載せさせていただいております。ちなみに、こちらの環境基本計画の案につきましては、本日中央環境審議会総合政策部会で、最終的な審議を終えられたということで、答申の手続に入っていらっしゃるというふうにお聞きしております。近いうちに閣議決定が行われるのではないかと考えてございます。
 その中におきましても、浄化槽を念頭に置いた記述が幾つか出てまいります。主立ったものに下線を引いてございますけれども、まず、1ページ目のところの重点分野政策プログラムの環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組の施策の基本的方向の中で、流域に共通する施策として「河川水を取水、利用した後の排水については、可能な限り、下流での水利用にいかせる水質及び水量で河川に戻すことを基本としつつ、その場において放流することの妥当性、水利用のエネルギー効率性や費用対効果等を勘案し、地域の特性に応じて見直しを含めた取排水系統の検討を行います」ということも書いてございます。
 また、農村や都市郊外部に関する記述におきましては、「生活排水処理を進めるに当たって、農村部においては、地域の実情に応じて、小規模分散型の下水道、農業集落排水施設・浄化槽を活用することなどにより、水資源の循環利用を促進します」という記述が見られるところでございます。
 2ページ以降につきましては、水循環に関します記述を抜粋させていただいてございますが、時間の関係上、一々読み上げることは省略させていただきたいと存じます。
 10ページでございますが、浄化槽の効果を地域の方でどのようにとらえられているかということでございます。清流の回復、あるいは水量確保といったようなことは、よく指摘されるところでございますが、私どもの方で幾つかの浄化槽の整備を進めていらっしゃる市町村さんに、お尋ねいたしましたところ、幾つかの事例が挙がっております。例えば事例1の島根県大東町さんにおかれましては、浄化槽の整備を行った後に、ホタルの数が格段に増加しているという御報告を頂いてございます。
 また事例2の長野県南木曽町さんにおかれましては、以前は下流の田や池が洗剤の泡でいっぱいだったが浄化槽の整備が進むにつれて、洗剤の泡が消え水路を流れる水がきれいになっている御報告がありました。
 それから、事例3の奈良県黒滝村さんにおかれましても、浄化槽整備を行うにつれて、年々ホタルが増殖しているのが確認されているとございます。
 これらは、数値をもって確認できる効果に加え、住民実感できるような効果が指摘されている例でございます。
 一方、浄化槽を含みます汚水処理人口の普及につきましてが、11ページからでございます。こちらの方は中間取りまとめの資料の方にも載せさせていただいておりますけれども、汚水処理人口普及率は平成16年度末で全国平均で79%余りということになっております。ただ、市町村の規模別に見ますと、大きな差がございまして、例えば人口規模が100万人以上の市におきましては、99%普及しているという状況にある一方、人口が5万人未満というところにつきましては、6割を切っているという状況でございます。内訳を見ますと、人口が少ない市町村におきましては、浄化槽が占める割合が高うなっており、特にこういったところで浄化槽が有効なのではないかということが言えるのではないか、と考えてございます。
 12ページでございますが、それを経年の変化で見ております。
 13ページでございますが、汚水の処理に要する費用、いわゆる汚水処理原価の比較が出ております。資本費及び維持管理費を勘案した上での単位量当たりの汚水処理の原価ということでございまして、下水道経営ハンドブックを参照させていただいてございます。一番右側の欄が浄化槽市町村整備事業でございまして、市町村が自ら浄化槽を設置する事業におきましては、1立法メートル当たり220円余りの費用を要しているところでございます。
 一方、例えば公共下水道におかれましは、東京都ですとか指定都市さんにおかれましては130円余りということで、この浄化槽市町村整備事業に比べると、小さな原価で処理を行っていらっしゃいますけれども、処理区域内の人口が3万人から5万人ぐらいの平均ということになりますと280円余り、あるいは1万人未満ということになりますと、500円を超える数値が出ておりまして、ごく単純に申し上げますと、市町村の人口の規模が小さいところにおいては、浄化槽が効率的である傾向がある。もちろん市町村の中におかれましても、人口が密な地域と疎な地域がございますので、一概には言えませんけれども、ごく粗く申せばそのようなことが言えるのではないかというふうに思ってございます。
 ただ、こういった状況にある中での浄化槽全体の出荷台数というのが14ページにございます。合計の部分でございますけれども、平成12年度までは、合併処理浄化槽以外の単独処理浄化槽が含まれておりますので、若干不整合がございますが、大まかに言いますと、平成14年度からは、出荷台数という点で見ますと、出荷が伸び悩んでいるような状況にあるということが言えようかと思っております。
 それから、15ページでございますけれども、日本の将来推計人口ということで、幾つか挙げさせていただいております。こちらの方は国立社会保障・人口問題研究所の、やや古いデータで恐縮ですが、平成15年12月時点での推計ということでございます。先ほど市町村別の人口というのを御紹介いたしましたけれども、2030年には3分の1以上の市町村が人口規模5,000人未満になるのではないか。それから、次はやや古くて、この当時では総人口が平成18年でピークを迎えるのではないかというような予想がされておりました。ただ、これは実績に近いデータですと、既にピークを超えたのではないかというような指摘もございます。
 それから、市町村ごとに見ると、大きな格差がございます。例えば真ん中のグラフでございますけれども、平成42年度の、いわゆる人口指数別ということでございまして、要するに、人口の増減度合いによって帯グラフになっておりますけれども、人口が2割以上増える市町村がある一方で、人口が4割以上減る市町村があるということでございまして、人口の増減に応じた汚水処理施設の整備も大切になってきているのではないかというふうに考えられます。
 16ページは、その資料の続きということになってございます。
 一方、浄化槽の汚水処理以外の側面についての資料が17ページ以降に出ております。17ページは浄化槽汚泥の資源化に着目したものでございまして、教育センターさんの「月刊浄化槽」から抜粋させていただいております。メタン回収でありますとか、堆肥化、乾燥、炭化といったそれぞれの過程を記述いただいております。
 それから、19ページからが、廃棄物処理のうちし尿処理全般についての統計ということで、「日本の廃棄物処理」から抜粋させていただいております。かなりグラフや表が多うございますが、例えば20ページで見ますと、広義のし尿処理ということで見ますと、全体としては、やや減少傾向にあるわけでございますけれども、その中のくみ取りし尿と浄化槽汚泥との内訳を見ますと、くみ取りし尿が一貫して減少している中で、浄化槽汚泥は、増加の傾向にあるということでございまして、例えば平成6年度におきましては、くみ取りし尿がし尿処理の中では大層を占めておったわけでございますけれども、15年度におきましては、逆転するというような形になってございます。こういったことも踏まえまして、既に中間取りまとめにおきましては、浄化槽汚泥の処理体制の確保といったものが課題として挙がっているところでございます。それから、浄化槽の廃止後のお話ということで、28ページに単独浄化槽の活用手法というのがございます。こちらは前回までの専門委員会の方におきましても、御議論いただいているところでございます。
 それから、29ページでございまして、住民に密着した浄化槽ということでございますけれども、浄化槽の特徴等の普及啓発については、いろいろ行ってきているとろでございますが、その事例を29ページに掲げさせていただいております。これも前回までの専門委員会において御紹介いたしました資料と、基本的には同様のものでございます。
 それから、技術開発という点につきまして、31ページに挙げさせていただいております。こちらの方は教育センターさんの資料に基づきまして、環境省の方で要約させていただいております。簡単に申し上げますと、合併処理浄化槽の開発動向というのが、大きく分けて処理水質の高度化、多機能化、小容量化というような3方向に整理されるのではないか、ということで図を挙げておられます。
 それから、最後のページでございますが、海外展開についてでございます。一番目に環境省による取組というのがございまして、幾つかの国においての事業というのをやっております。ただ、予算上の取扱いは、2004年度をもって終了するという形になってございます。
 一方、民間企業でございますけれども、個別のメーカーさんで中国や東南アジアに進出したところがございますが、必ずしもうまくいっていないというところがございます。ただ、一方におきましては、海外環境協力センターを事務局としたような取組が行われております。
 また、国際会議等の取組におきましては、例えば世界水フォーラムですとか、さまざまな場を通じて行われております。近い例で申しますと、例えば下から2つ目の教育センターさんが96年に行われたほか、2003年、2004年、それから本年2006年におきましても公益信託を利用して、浄化槽のシンポジウムというのが行われております。これは、加藤委員長が参画されております。
 それから、同じ2006年3月には、世界水フォーラムというのが行われておりまして、水エキスポに日本の浄化槽を展示、紹介するということで、副大臣も参りましてPRに努めてまいりまして、見学の方も多くて盛況であったやに聞いてございます。
 それから、最後に、参考についてでございますけれども、浄化槽行政全般についての在り方については、過去御議論いただいたことがございます。その直近のものと致しまして、平成5年2月19日の「今後の浄化槽行政のあり方について」というものがございます。こちらは、厚生省に設置されておりました生活環境審議会の廃棄物処理部会浄化槽専門委員会の報告でございます。一番最後のページに、その当時の委員の先生方の名簿がございます。ここにいらっしゃる方のうち、北尾委員と須藤委員は、この当時の浄化槽専門委員会の方にも御参画いただいていたというふうに伺っております。
 主な内容について、かい摘まんで申し上げますと、1の合併処理浄化槽の位置づけについては、合併処理浄化槽は、地域における有効なリサイクル型施設、住民による生活・環境実感型施設、投資効率が高い住民密着型の社会資本という特徴を持った恒久的な生活排水処理施設だということが議論されております。
 それから、2の合併処理浄化槽の計画的普及については、まず、集落等を単位とした面的整備ということで、合併処理浄化槽は集落等を単位として計画的かつ面的な整備を行うべきであるという御指摘を頂いております。
 それから、(2)の生活排水計画の充実については、合併処理浄化槽の整備区域を積極的に設定し、住民の啓発・指導等計画推進のための方策のほか、廃棄物の減量化、再生利用の方向等を踏まえた浄化槽汚泥の処理方法等を明らかにすべき、という御意見を頂いております。
 (3)以降は、既に御議論いただいております単独処理浄化槽の対策について、るる御審議いただいております。
 次のページの3は、あと、浄化槽の適正な維持管理の実施で、主に今まで御議論いただいた項目と同じような項目でございますが、(4)といたしまして、浄化槽汚泥の処理・再生利用について、市町村の処理体制を整備するとともに、民間における再生処理を奨励していく方策を検討すべきということがございます。
 また、4番目として当時の専門委員会でも技術革新等のお話がございまして、BOD除去性能の高度化、コンパクト化、窒素の除去、膜処理の導入、汚泥処理技術等についての研究、それから開発された技術が円滑に実用化されるような制度の運用、小規模な事業系排水への応用、更にそのほかといたしまして、5の(2)にございますけれども、開発途上国への技術移転や先進諸国との技術交流、あるいは(3)と致しまして、地域住民の諸活動や学校教育の場における浄化槽についてのPRと啓発、それから(4)と致しまして、浄化槽が国民に末長く愛されるよう、業種の枠を越えた協力といったものが挙げられてございます。大変駆け足でございましたけれども、以上でございます。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 今後の浄化槽というのは、これまで長い歴史を持って、主として民間の方々の努力によって浄化槽が普及してきた。そして、ここ20年ぐらいは行政の方も法律をつくって、逐次予算化もする、いろいろと諸制度をつくってきた。浄化槽の今日の非常に確固たる生活排水処理システムとして、国内でも国際的にも、少なくとも専門家の間では非常に効率的な、有効な生活排水の処理システムであるという評価までできているわけですが、ただ、それが十分に認識を共有されていないとか、それから立派なシステムとはいえ、別に完成されたシステムでは、もちろんないわけでありまして、様々にもちろん問題を抱えている。それは別に浄化槽に限らず、どの世界でも同じことが言えるわけですけれども、私ども浄化槽としては、更に発展するためには、課題はたくさんあるということで、これについて専門委員会として多大のリストはあるわけですけれども、どういう順番で、どういうふうに料理していくか、議論をしていくかというのが、非常に我々に問われているわけですね。
 これから後、小1時間、時間がありますので、まずはフリーディスカッションをということなんですが、その前に、待ちわびていました須藤先生が、やっと御登場いただきまして、須藤さんも非常に御関心があると思うことなんですが、実は先ほど、資料1、前回の委員会までの議論の整理ということについて議論をしまして、結論を最初に言っちゃうと、須藤先生以外の先生は、これでおおむねいいのではないかと。ただ、幾つかの表現の問題とか、幾つか御注意は頂きましたけれども、大体こういうことでいいのではないかということだったんですが、先生も大体よろしいですか。

○須藤委員 大変遅刻いたしまして、いつも申しわけございません。当然この問題については、事前に遅刻をすることもございましたので、事務局からお話を伺っていました。特に問題がなく、十分に整理されているというふうに思いますので、再度ここで一言、そういう意味では結構でございますと申し上げます。

○加藤委員長 大変ありがとうございました。私も須藤先生のいらっしゃらないところで、これでいいと言うと、非常に気になっていましたので、ちょうど間に合って、かつ今のお言葉を頂きまして、細かい点で何かありますれば、もちろん、須藤先生に限りませんけれども、他の委員も同じですが、改めてもう1回読んだら、ここの表現がちょっと気になったとか、そういうことがもしあれば、早目に事務局の方に御連絡いただければ大変結構だと思います
 というわけで、ちょっと議題を1つ前に戻しましたが、またもう一度、今の議題に戻って、さて、浄化槽、議論すべきことがたくさんありますね。技術開発のこともある。それから、かねてからの問題である窒素、リンの問題をどうやっていくかとか、そのほか、国民的なコンセンサスをもっともっと深めるにはどうしたらいいかとか、もちろんいろいろな問題があるわけですが、さて、資料3と、今となっては13年前になるわけですが、平成5年に、当時は厚生省で浄化槽行政を担当していましたので、厚生省に置かれた審議会の専門委員会で議論、多分、由田部長さんなんか、これに関与したのではないかなと思うんですが、関与しましたかな。したんじゃないかと思いますけれども、13年経って色あせてセピア色に見えるかと思ったら、そんなことはないんですね。結構きらきらと、まだ輝きがあるということで、そのことは逆に言うと、13年間余り行政が進まなかったなということにもなるんですが、そうは言っても新しい問題も出てきて解決した問題もありますので、今後、私どもとしては、何をどういう順番で議論をしていったらいいかということについて、何か御意見でもあったら……。

○吉田委員 ちょっと飛行機の関係で3時半に出なければいけないので、恐縮ですが、3つばかり気が付いたことを申し上げたいんですが、1つは、この資料2の論点というのに沿って申し上げますと、一番最初の健全な水循環の構築に求められる浄化槽の役割ということで、これが非常に重要だと思います。それで、資料の13ページに汚水の処理に関する費用の比較というのがありまして、私、経済なものですから、これを見ると、浄化槽の市町村整備事業でのコストが立方メーター当たり225円に対して、公共下水道でも比較すると、3万から5万ぐらいよりはパフォーマンスがいいということなわけですね。それで、結局、浄化槽のこういう水浄化、下水排水の処理における役割分担といいますか、それを検討する必要があるということで、そのためには、ここにも資料にありますけれども、今後の人口の変化とか、人口分布の変化、それの予測というようなものと関連して、浄化槽がその中でどういう役割を果たすべきか、これは中間取まとめでもありましたけれども、単なるつなぎではないということでの評価があったと思うわけですけれども、コストパフォーマンスから見ても、かなりの予算も持っているし、今後の人口の変化の中で、どういう部分で役割を期待できるかということについての検討を、経済社会、工学面から、ぜひやっておく必要があるのではないかというのが第1点です。
 それから、第2点は、3番目の循環型社会ということとの関係で、先ほどの資料にもあったんですけれど、汚泥の利用の問題です。これは先ほどの「清掃」ということで、私も年1回の汚泥の抜き取りの作業に立ち会ったことがあるんですが、物すごく臭いわけですけれども、例えば札幌市では厚別区というところに下水道処理場があって、それに附属して汚泥の堆肥化をする工場があるんです。つまり下水道の汚泥を脱水して、それをコンポストにするというので、これまたすごいにおいがするんですけれども、それで循環利用をするということをやっているんです
 結局、これをやろうとする場合に、そういった設備が適切にないと、ものすごく運搬コストがかかったりすることがあるわけですけれども、循環利用で可能ならば、最大の問題はコストの問題で、今は汚泥は焼いてしまった方が安いわけです。そういう意味で、循環利用における浄化槽から出る汚泥の利用の問題というのが、非常に重要だと。下水道の場合は重金属が入っているわけですけれども、汚水の汚泥の場合は、その可能性は非常に少ないということで、その意味での重要性はあるのではないかというのが2点目です。
 それから、3番目に私の申し上げたいのは、海外展開に関連して、むしろ私が知りたいのはヨーロッパとか北米で一体どうなっているかという情報が、今まで余りなかったので、先ほどの、今後の役割分担を考える上でも、それから海外展開を図る上でも、この面での情報収集をぜひやっていただけないか。
 以上、3点、申し上げました。

○加藤委員長 大変どうもありがとうございました。いずれも非常に重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。先生、御遠慮なく、3時半になったらどうぞ。
 ほかにどうぞ、取りあえず御意見をいろいろと出していただければというふうに思います。今後の課題として、では、山本先生。

○山本委員 今後の方向性、論点、それぞれが大切だと思いますので、こういう形で議論していければいいと思います。それに関連するかもしれませんが、今後の水循環システム構築に求められる浄化槽の役割ということに関連しますと、どういう水質のものをどこに出すかということが極めて重要になると思うんです。水利用の方法も地域によって違うし、流域によって違う。求められるものも異なる。それこそ窒素やリンを取らなければいけないところもあるし、そうじゃないところもあるかもしれない。だから、そういう役割に関しましては、将来的な観点からいうと、浄化槽を水循環装置だとすると、そこで求められる水質のレベルというのが異なってくる、多様だと思うんです。そうすると、今のような水質はBOD一本槍とか、そんなのでいいのか。BODでやっていいのかとか、そういう議論を、是非していただきたいと思うんです。ですから、それぞれの項目のところでかかわってくると思いますが、浄化槽法制度の継続的な見直しが必要です。先ほど北尾先生が言われた清掃という用語とか、いろいろあると思います。水質規制の在り方でもいいのですけれども、それは水濁法とも絡んでくるかもしれませんが、とにかく浄化槽法の中で考える浄化槽に求められる在り方に、それぞれ地域に応じた多様な水質を求めるような考え方があってもいいと、そういうように思います。
 まずそういうものも、これは今後の方向性ということですので、議論をしていっていただきたいと思いますし、それからもう一つは、いわゆる浄化槽で、例えば機能が悪くなって排水されても、すぐ人が死ぬわけではない。それから、何らかの形で回復することも十分見込めるような状況であるわけですから、環境に回復不能なダメージを与えるということでもない。ですので、規制の在り方そのもの、検査の在り方そのもの、検査を何でも100%全部やらなければいけないということなのか。そんなことに社会的なコストをかけるぐらいだったら、もっと考えることがあるのではないか。そういう検査の在り方そのものも考えるべきだと思うんですね。法定検査の在り方、あるいはそういうようなことをもっと社会的に、合理的な形で、水循環を構成している要素として考えて、望ましい健全な水循環をつくる装置として位置づけるのであれば、それなりのモニタリングの方法があるはずだ。そういうことも議論をしていくべきではないかと、私は思います。取りあえず以上です。

○加藤委員長 大変重要な御指摘ありがとうございました
 恐らく委員の先生方、それぞれいろんな思いをお持ちだと思いますので、ちょっと、今日はこの議題の最初のディスカッションということで、お1人お1人、どうぞ。

○山本委員 一言、付け加えさせていただきます。
 それから、もう一つは、技術開発に関しましては、それぞれで非常にいい浄化槽の技術開発はされていると思いますが、今後はディスポーザーだけとは言いませんけれども、生ごみの扱い方にも絡めて、それから地域のオンサイトのエネルギー回収、あるいはコ・ジェネシステム、そういうことに関して浄化槽がどこまで貢献できるか、というようなことも議論の話題になるんじゃないかと思います。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 それでは、座っている順番で恐縮ですが、松田さんから新美さんというふうに……。特段、今現在は、もしもなければ、多分そういうことはないと思いますけれども。いいですか。

○松田委員 はい。

○加藤委員長 それでは、新美委員。

○新美委員 私の意見としては、浄化槽の海外展開については、委員長も大変関心を持っていらっしゃいますけれども、受け入れ国の状況で、ソフト、ハードを含めて整備できるかどうかというのは非常に大きな問題だろうと思うんです。取り分け点検・整備・清掃というのが大きなキーとなっているところですので、浄化槽というハードだけでは、必ずしもうまくいかないんじゃないかという気が致します。途上国の多くを見聞してきますと、なかなかソフトを運用するだけの人材、あるいはインフラが整備されていないというのが実情ですので、それに対して、どこまで我々が対応していけるのかということも議論しておく必要があるだろう、という気が致します。
 それから、もう一つは、先ほど山本委員がおっしゃったように、法定検査のように、一律にという御意見はもっともなことだと思うんですが、その際、考えなければいけないのは、他のセクターにおける排水対策というのをどう見るのか、ということになろうかと思います。1つそういうロジックをつくりますと、他の分野でも同じような議論になっていってしまいますので、浄化槽固有のロジックと他の分野をにらんだときのロジックというのを、どこまで整合性を持たせるのかというのは考えていかなければいけないだろう、というふうに感じております。
 それから、もう一つは、絡んでいくことですけれども、技術開発の促進あるいは浄化槽のシステムを構築するというときに、我々がある意味でマネジメントをするわけですので、マネジメントをするだけの現状把握がどこまで徹底できるのか、ということを考えておく必要があります。一番いい例が、違法単独浄化槽、どこまで我々が把握できる体制になっているのかどうかです。そういうようなことを考えた場合に、よりよいシステムの開発と、あるいは構築というときには、システムの各それぞれのエレメントをきちんと把握できるような体制もとっておく必要があるんじゃないかと思います。今日、いろいろなところが出ましたが、例えば建築基準法だとすると国交省が把握している、それで環境省が把握している、それぞれその局面が違うわけですけれども、それがばらばらであったら、これはうまく働かないと思いますので、どこかで統一する必要はありませんが、整合的に情報が一元化できるということを考えておく必要があるんじゃないか、そういうふうに思います。
 以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 では、須藤先生。

○須藤委員 本来申し上げなくてはいけないことがたくさんあるんですが、余りたくさん申し上げるといけませんので、取りあえず幾つか絞って申し上げたいと思います。
 まず、今日頂いた在り方の、平成5年の報告書ですね、私も思い出してはいるんですが、大ざっぱに言えば、このとおりに、まあまあ進んできている部分と全く取り残されている部分とありますよね。そこは当然、前の報告書、それは厚生省とおっしゃるけれども、連続性のあることなので、そのときに何が取り残されているのか、それは整理をしていただいたらいかがでございましょうか。それがまず1点目です。
 それから、私はいつも窒素、リンのことを言って叱られるんですが、嫌われるんですがと言ったらいいですか、私自身がいろいろなところの水域の保全のところにかかわると、あれ以後も何で窒素とリンを浄化槽に入れないの、と責められているわけです。「それは、だって、私1人では何ともならないよ」というのが返事なんですが、場所によっては窒素、リンを、例えば湖沼でもそうですし、内海でも結構多いんですよね、有明もそうですし、瀬戸内海もそうですし、東京湾もそうですし、まあ、皆さんみんなそうおっしゃられるので、かかわっているところがそうだからそうなんだけれども、この辺は、どこでその辺をちゃんと議論するのか。これ全然キーワードにも入っていませんよね。ですので、水循環の中で言うのか、在り方で言うのか、システムの構築で言うのか、重要な1つの議題なので、これからどうすべきかではなくて、今後の方向性なので、その辺のところはクリアにしておいていただいた方がいいのかなと。さっき、山本先生のおっしゃっている汚泥とか、吉田先生のおっしゃっている汚泥の再利用とか、それもそうなんですが、そういうものとか、単独浄化槽の問題も、どこでそのことを議論をするのかというような、これですと、何となく一般論じゃないですか、在り方論は。なので、そこの中に括弧書でも何でも落としておいていただいた方がよろしいのではないでしょうか。というのが2番目の問題です。
 その1つに、小規模排水の問題があります。小規模排水が進まないから浄化槽も進まないという議論もあったんですけれども、私もいろんなところで排水対策に出会うと、浄化槽なんだけれども小規模排水、例えばコンビニの排水というのは浄化槽法になりますね。だけど、負荷が高すぎちゃって、もうすごいぐちゃぐちゃだというのが結構あるんです。そういうような問題で、また一方では、小規模排水自身を浄化槽に入れちゃっているというのも、本当はいけないんでしょうが、あるんです、現場に行ってみますと。そういうような問題があるので、浄化槽と小規模排水対策の部分のところを仕分けをするなり、一緒にするなりして、どう対応するのかというのは法的には決まっているんでしょうけれども、例えばコンビニだったら50人槽でやっちゃうとか、そういうような現状があって、しかし実際には100人分、200人分が入っているようなところもあるんです。そういう現場もあるので、小規模排水対策というか、要するに家庭排水以外の問題の排水を、この問題でどう対応するのかということは、現実の問題として、私はやっていただきたいなとこういうふうに思います。
 それから、3番目の問題は、結局放流水の水質基準の、さっきまたN、Pと言ったんだけども、一番大切なのは有機汚濁指標ですね、COD、BODですね。COD、BODの問題、例えば総量規制なんか、今、盛んにやっている最中なんですが、CODも総量規制、もたないですね。要するに「何を測っているかわかんねえ」とか言われちゃって、それで、放っておけばいいんだけれども強化するじゃないですか。強化するでしょう。強化するということは、理由を付けなければいけません。CODの環境基準が全然下がらないです。特に海は。そうすると、TOCに変えろという議論はあるんです。TOCに変えても下がりませんよ、これは。変えただけで何か問題が変わるわけじゃありません。ではBODにするかと。私はもともとCODをやめてBODに一元化しようと思ったんだけれども、測ってみると、ばらついちゃってなかなかうまくいかないです。
 そんなこともあって、排水基準、環境基準の有機汚濁指標については、水・大気環境局で、別途、本年度から調査を始めていて、それは何とか変えるんじゃなくて点検ですか、見直しすることになっているんですね。浄化槽の方も、有機汚濁指標が、あるいは排水指標が、こうあってほしいと、それは出していただいた方がいいんじゃないでしょうか。ただの基準値の話で、環境基準と排水基準でやるんですけれども、みんなよくないというのだけれども、では、どうしたらいいかという案がないんですよ、本当のことを言うと。TOCがいいと言ったって、ではTOCをどうしたらいいのというだけで、CODと大体似ている値だからCOD3だったら、TOC3でいいじゃないかと、そんないいかげんなことでは今はできませんよね。そういうふうになっているので、ちょっと有機汚濁指標の、特に先ほど山本先生もお話しされたんですが、その辺のところも、この浄化槽の立場でやっていただければなというふうに思います。もちろん、私も今のところ水環境部会長ですから、その辺、受けて立つつもりですので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 それが大きな問題で、さらにもう一つ大きな問題が、ここに「循環型社会で自立する」と書いてありますね。ここを「脱温暖化循環型社会」にしないとまずいと思うんです。将来をどこまで見るかという在り方ですから、2020年なのか、あるいは2050年なのか、まさか2100年とは言わないでしょうけれども、2050年ぐらいまで見通さないとだめですよね、これからの在り方論について。それと一番、今、何が問題かといったら、京都議定書の6%は何とかいくかいかないかわからんけれども、まあ、何とかなるとしても、2020年で我が国に問われているのは、COとして、1990年に対して15%から30%の削減です。2050年になったら、60から70%です。そんな値になったときに、今の電気を使った浄化槽ではいかないかもしれません。例えば風力発電が必要だとか、ソーラーが必要だとか、システムまで全部変えなくてはいけないとか、さまざまな問題があるので、この生活排水対策も脱温暖化循環型社会で実施するものに変えていくということが必要なので、その見通しをどう立てて、どういうふうにやっていくか。そうすると、その辺が浄化槽の技術開発にもつながるということで、恐らく、もう少したったら、一番大事なのはCOの削減だと思うんです。そのところをどういふうに、浄化槽の中で整合性をとらせるかというところは、一番難しい問題だけれども、私はそこは是非、空論になってもいいから議論しておくべきだと思います。
 以上、勝手なことを申し上げました。

○加藤委員長 いいえ、大変大事な問題で、いずれも非常に大きな問題、ありがとうございました。
 では、国安先生。

○国安委員 先生方がすべて言われたので、私はもう言うことがないくらいなのですが、早急に議論すべきものとして、先程、吉田先生が言われたような観点で、浄化槽の在り方、将来推計人口に対して汚水処理施設の整備がどうなのか。ちょうど昨年11月号の「月間浄化槽」で、うちの奥村理事が書かれた内容なのですが、2030年推計人口を分母に、平成16年度の集合処理型の汚水処理施設の整備率を分子にとったとき、その比率が北海道と大阪府は1を超えているんです。今、集合処理の整備率が高いエリアでは、都道府県全体で見ても、整備量が将来人口を超えてしまっていて、これからの起債償還をどのようにされていくのか。室長からの説明でもありましたが、これから人口が減ると予測されている町村地域でも集落排水とか、特環下水とかが整備されていますが、集合型処理施設の更新をどうしていくのか。総務省の資料をみても、汚水分の資本費に公費を繰り入れると、確か平成18年度予算説明資料に書かれていることなのですが、これから整備するものに対しては明らかに経済的でないのでは。今後人口減少が著しい地域における整備の在り方を具体的に議論していかなければいけないと思っています。確かに水環境も大事なのですが、経済的な観点、特に町村負担部分を明らかにした上で、どちらのシステムを選択されるのか、ということも重要な要素のような気がしています。
 それと同じくらい早急に、議論しなければならないと思っているのは、浄化槽汚泥の処理処分の問題です。水質の議論、須藤先生には申し訳ないのですが、水の議論をする前に、まず汚泥の処理処分が必要なのでは。先程、先生が言われたなかで、脱温暖化が最重要な課題であるならば、下水汚泥のように乾燥・焼却、そういったシステムは最もまずい方法だと思っています。個人的には、ガス化など有効利用をするような形、バイオマスの有効利用、そういうシステムの中で排水処理過程で生成される汚泥の処理が脱温暖化対策につながれば。し尿処理関係ではそういう技術が相当進んでいると思いますので、できれば浄化槽の更なる普及の前段階として、汚泥再生処理センターの整備上の問題点、技術的な課題、若しくは行政上の課題、そういうものを早急に議論できればと思っています。
 以上です。

○加藤委員長 木曽先生。

○木曽委員 かなりの部分を前の先生方がおっしゃっていますので、だんだん言いづらくなってくる部分があるんですけれども、まず最初に、山本先生、須藤先生がおっしゃいましたような、健全な水循環というところでの、特に有機汚濁指標の問題だとか、適切な水質目標というふうなことをおっしゃっておられましたけれども、それに加えて、もう一言考えておりますのは、単にBODとかCODだけではなくて、微量な有機汚染物質、最近、様々な環境に、生態系に影響を及ぼす可能性が指摘されるような微量有機汚濁、汚染物質といいますか、そういうふうなものの影響がほかの施設に比べて大きいのか小さいのか、そういうことも総合的な評価の指標に入れて検討する課題の1つではないか、こういうふうなことを1つ思っております。
 それから、もう一つは、今、国安委員がおっしゃいました浄化槽汚泥の処理処分のことに関連いたしましては、現状は、し尿処理施設の搬入が大部分でありますけれども、くみ取りし尿が減ってまいりまして、浄化槽汚泥の割合が非常に高い。その中でし尿が減ってくる分だけ、老朽化した施設の更新が、なかなか難しくなっているというふうな現状があるように伺っておりので、逆に従来のし尿処理施設の位置づけを、徐々に変わりつつあるんですけれども、浄化槽と一体化したような、そういう施設、浄化槽汚泥の処理というものを専門に、若しくは、それを再資源化するような専門の施設というような位置づけも含めて、そちらの方の浄化槽汚泥の最終的な処理処分、また再資源化ということを含めて、その姿の在りようというようなことを、し尿処理施設が少なくなっている現状を考えますと、そういうことがあるかというふうに思っておりますけれども。

○加藤委員長 ありがとうございました。北尾先生。

○北尾委員 今日、最終的に資料1としてまとめていただいた議論を始める前にも、私、言ったんですけれども、何を議論するかということよりも、どういうレベルの、というか、どういう性格の議論をするかということが、今後の議論の論点についても言えると思うんです。
 例えば一例を申しますと、一番最初に挙げていただいている健全な水循環云々というようなこと、これは具体的な、例えば定量的な議論までやるということになると、この場でやるというのは到底無理だと思うんです。当然、ワーキンググループみたいな、そういう作業、いろいろ計算だとか、資料集めだとか、いろいろなことをやってくれるような作業部会的なものがなければできないでしょうから、結局、総論的な議論をするのかなと、そういうふうに思うわけです。それは、1番目のテーマについて申しましたが、ほかのテーマでも大なり小なり、そういうことはあるというふうに思います。
 それから、2番目の、今後の浄化槽整備の在り方についてですが、単独を合併に変えていくというのも、1つの整備の在り方と思いますが、そういう視点での切り口というのもあると思いますけれども、私は面的整備、つまり、いつまでも、どの地域でも単独や合併が混在しているという状況よりは、ある地域は全部片づいたというような状況を、次々早くつくっていくというようなことも必要だという意味で、面的整備と、そういうようないろいろな浄化槽普及上の諸施策と絡ませていくということが大事じゃないかと思います。
 それから、3番の方はちょっと置いておいて、4番目、このごろ地域によって、でこぼこがあるのかもしれないけれども、シルバーパワーというのか、ボランティアを志望している人が非常に多いんです。京都市の例でいうと、交通費もお茶も出ない、それでも志望者が多くて抽選でボランティアさせてもらえるというような状況なんです。ですから、そういうあたりのシルバーパワーというのをどういうふうに浄化槽にいかすか、ということも大事じゃないかと思います。
 それから、技術開発の促進についてということですが、これは技術開発だけではなくて、全般について言えることなんですけれども、失礼ながら、浄化槽行政の全般を環境省がカバーしていられるわけではない。構造については国土交通省が所管していられるし、浄化槽の1つの形である農業集落排水施設については農水省の方でやっていられる。そういうようなことがあるわけです。ですから、ここで議論することというのは、そういう環境省の審議会の中に設置された委員会として、その限界の中で議論するのか、そういう立場は度外視して、とにかく浄化槽については、こういうことが必要なんだというような議論をすべきなのか、その辺についてもう少し何か整理していただきたいというふうに思います。
 それで、もし、環境省的なことを主に議論するのであれば、技術開発というのはある程度民間に任せておいても、これは本来民間がやるべきことですから、民間がそれなりに活発に実際にやっていますし、それを審査して浄化槽として認めるのは国土交通省の範疇にあるわけですから、そのあたり、どういうふうに考えていいのかということをお聞かせいただいたら、議論しやすくなると思います。
 それから、浄化槽の海外展開については、私は余りここで議論しても……というような気がしているんです。理由を言うと長くなるのでやめておきますけれども、先ほど配付していただいた資料の一番最後に、OECCの例というのがありますけれども、あのOECCの研究会の会長していたのは、実は私で、2年間ほどやったけれども、これから先、どう進めるべきかわからなくて、やめると言ったわけでもないのに、自然消滅して1年たっているんです。そんなことで、結構、浄化槽の海外展開というのは、言うほど簡単ではないということを痛切に感じておりますので、それで余り積極的ではないと、こういうふうに申し上げたわけです。
 この挙げていただいたテーマは非常によく練れているような気が致しまして、私は須藤先生がおっしゃった窒素、リンの問題なんかも、どこかのテーマに包含されるとしたら、その他としては、ほとんど残されていないのではないか、というふうな気が致しております。
 以上です。

○加藤委員長 では、河村先生。

○河村委員 それこそ「落ち穂拾い」みたいになってなかなかあれなんですけれども、幾つか言わせていただきますと、まず、技術開発の面では、先ほどから出ています汚泥の問題というところで、水の水質については、今、浄化槽関係のメーカーさんはかなり積極的にやっておられると思うんですけれども、汚泥の処理をだれがするか、市町村でするのかとか、そういう問題にもかかわると思うんですけれども、なかなか汚泥の処理、あるいは利用についての技術開発を促進するといいますか、誘因するといいますか、そういう状況がない中で、進んでいないのではないか、オリジナルなものがなかなか出てこないんじゃないかというふうな気がしておりますので、その辺の技術開発を促進させるような仕組も含めた議論が要るのかなというふうな気がします。
 それと、もう1点、これは前回か前々回かに出たと思うんですけれども、現在のようないろいろなインターネット活用できるような状況の中で、もう少しITといいますか、そういうものを使うような意味での、ソフトの部分の技術開発というか、そういうのが必要かなと。そうすることによって、ある種、情報の共有化が図りやすくなったり、あるいは活用がしやすくなるような部分があって、維持管理の方にも反映できる。これは前々回にもお話があったかと思うんですけれども、そういう状況があるかと思います。これにつきましては、実はそう言っている私自身も、余り状況を知らないので、できましたらヒアリングをこの場でできるようなことも、いずれはですけれども、考えていただければなというふうな気がします。
 それから、先ほど須藤先生も言っておられたことの小規模排水との関係なんかのところで、ちょっと切り口は違うんですけれども、ここまでかなり高度な水質を担保できるような技術が開発されてきているわけですので、これをもっと積極的に使うという立場で、小規模排水といいますか、そういうところへ勧めていくということも、片方で浄化槽の方から投げかけるということも必要かなという気がします。
 それともう1点、最後ですけれども、先ほどのシルバー人材との絡みもあるんですけれども、だんだん高齢化してくる、あるいは核家族化してくるというところで、もうこの年になっているんだから、いまさら単独から合併にする必要もないだろうとか、あるいはくみ取りから浄化槽に、というふうな御意見もあるかと思いますので、そういう人口動態といいますか、そういうものも、先ほどの経済効果とかいうことも関係しますけれども、整備の在り方みたいなところで、何か変わってくるような気がしますので、そういう大きな世の中のうねりといいますか、確実なうねりというものを反映したような検討が必要ではないかというふうな気がしております。
 以上です。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 全員の先生方からひととおり……。松田さんが残りましたね。最後に松田さん。

○松田委員 専門の先生方のお話を伺いながら、なるほど、なるほど、というふうに思っていました。生活者の視点でものを考えていく場合には、単独浄化槽がいかに生活に対してよくないかということを、もっともっと力を入れていかなければいけないので、遠慮しないで啓発していくということだと思います。だれに対して遠慮しないかというと、まだ公共下水道がいいという神話を持っていらっしゃる地方の小さな人口のまちの市長さんたちは、今でも出かけていきますと、坂道の山の上か何かでも公共下水道が通る、とかいって喜んでいる市民がいたりしますので、経済的なお金の使い方ということから見ても、私は浄化槽ほどいいものはないというふうに思っています。
 国民一人一人は、今、環境マインドということで、かなり環境に対して沿った暮らしをしたいと思っております。ごみの問題にしても、ここまで理解が進んできて、自分たちの出したごみは自分の中で分別したり、出さないようにしたり、管理したりするというのが当たり前なのに汚水処理については流しっ放しでいいというふうには思わなくなってきているのではないかという感触を持っています。ですから、単独浄化槽も、高齢者の場合は例外的な措置であって、まだまだ経済力のある方たちでさえ、単独なのか合併なのか知らずに使っているという状況を、戦略的にきちっとどこかの市町村と連携してモデルでもつくって、実績を持って次に進めていくということをやってみたいなと思っています。
 そのためのビジョンや予算のつくり方なども、やってみれば、私は赤星さんがおっしゃっていた自分のふるさとの話、お姉さんが浄化槽を売って歩いて、というあのストーリーをたくさんつくっていけばいいなというふうに思っているんです。

○加藤委員長 ありがとうございました。
 委員全員から大変貴重な御意見を頂きました。いずれも、今、松田さんがおっしゃったように、私も先生方のお一言お一言、誠にもっともということで聞いておりました。
 そのうち、2つほど、ちょっとこの段階で申し上げておきたいのは、北尾さんから出された、もうちょっと定量的な議論をしようと思うと、この委員会ではなかなか定量的な数字をつくるのは難しいんじゃないか。ワーキンググループとかそういったものをつくって、少ししっかりと数字を出してもらったものを基に議論をしなければ、ちょっと無理ではないかと。どのレベルの議論をするんですか、という何か抽象的な話、総論だけで終わるんですか、それとも定量的なことまで踏み込んだことになるんですか、ということになると、これは私としては、是非、必要なら幾つかの専門グループ的な、それをワーキンググループと呼ぶか、専門委員会の中の小委員会と呼ぶかは別として、このメンバー・プラス・アルファの、一つ一つの専門家、例えば財政問題だったら財政に詳しい人も入れて、やっていっていいんじゃないかんと思うんですが、室長、そういうことは可能なんでしょうか。

○松原浄化槽推進室長 そのような御意見であれば検討していきたいと思っています。

○加藤委員長 というわけで、そういったことも検討していきたいということですから、できるんだろうというふうに思います。また、そうしたいというふうに、私自身は思っております。

 それから、今度は委員長としてではなくて、海外展開のことについて、一言だけ、委員長としてではなくて、この問題に関心を持つ一委員として申し上げておきますと、海外へ、今の浄化槽システム、やり方をそのままヨーロッパや、アメリカや、アジア、中国、そういったところに持っていけと言っているわけではないんです。いずれにしても、日本でできたものが盛んに海外で使われている幾つかの例があります。例えばカラオケなんかがそうですし、おすしだとか、回転ずしだとか、世界のためにつくったのではなくて、日本の中でつくったら、いいじゃないかといって、よその人が使い始めたということです。同様に、例えばアメリカで、回転ずし屋に入られた、あるいはおすしを食べられた方がいらっしゃると思うんですが、とても日本人の味には合わないとか、そういうものも結構あるわけです。だけれども、その地域地域に受け入れられているものがあるわけです。
 例えば、柔道なんかもそうです。日本人だと、白い柔道着に黒とか白の帯でないと柔道着のような気がしなかったけれども、何もいいじゃないか、カラフルなものでいいじゃないかということで世界的に普及している。
 同様に浄化槽も、何も日本でこうやっていますから、このとおり中国でもやってください、このとおりアメリカでもやってくださいということは全く無理で、そういう意味の海外展開ではなくて、個別で処理するというシステムを、その地域地域に合わせたものにしていくということになんですが、この2年ぐらい、実は河村先生も御一緒なんですが、中国でやっているんですが、1つだけ、一、二分時間を頂いて、中国だと、「何でウンコ、オシッコに金をかけるんだ。日本じゃ幾ら金をかけているんだ」、「日本では1個当たり大体100万円です」、「えっ」といって、「100万円もかけてウンコ、オシッコを処理する必要、ないじゃないか。そんなもの、中国では受け入れられませんよ」と言うんだけれども、水がきれいだということになると、「何だ、浄水機ではなくて、造水機ではないか。浄化槽というのは水をつくる機械じゃないか。あ、それなら金をかけていいですよ」ということになるわけです。
 だから、汚水をきれいにして、それにお金をかけて、環境に戻す装置ですよというと、「あ、それはうちは結構です」ということになるんですが、「あなた方、皆さん方が困っている水を、水をきれいにしながら、つくる機械、システムですよ」、「あ、それなら」と、何も中国だけじゃなくて、水の不足しているところは世界にたくさんあります。例えば地中海沿岸で、なぜあれだけ浄化槽に関心があるかといったら、むしろ造水機能に関心を持っているわけです。中水ですけれども、最近の膜処理を使えば、水道原水よりもよっぽどきれいな水ができるということになれば、「あ、それなら金をかけて、つくる価値がありますね」ということですから、例えばそういうように、それは地域地域によって、水が余っているところは別ですが、水が不足しているところは、そういう使い方ができるなというふうなことを、この2年ぐらい、中国の人たちと付き合ってみて、なるほど、浄化槽というのはそういう役割もあるのかというふうに思い立っているわけです。
 ただ、いずれにしても、そういう道をつくるのは私どもの行政の仕事だけれども、カラオケもそうのように、別にカラオケを文部科学省が一生懸命海外に出したわけでも何でもないんですね。すしだって、別に厚生労働省が一生懸命アメリカやいろいろなところへ行って、回転ずしを宣伝して回ったわけではないんですね。民間で、日本でこんなにいいものを、我々も使いたいといって行ったわけですから、それと同じように浄化槽も、別に役所が太鼓たたいて、補助金をつけたりして送り出すものではないと思うんです。
 だけれども、浄化槽というものに対するコンセプトとか、そういった道をつけるというのは、行政だとか、あるいは私どもの専門家の役割じゃないか。実際それをどう使っていくかは、民間の力でやっていくというふうに思っていまして、そういうような議論をしたいなと。これは委員長としての議論ではなくて、私の個人的なといいますか、この問題に関心を持っている者の意見として、取りあえずお聞きいただければと存じます。
 さて、そこで、各先生方から、私も一生懸命メモしたし、事務局も一生懸命メモしていると思うんですが、先生方から言われたのは少なく勘定しても十数項目になるんですね。これをどういう順番で議論していくかということで、何を、まずどういう順番でというのを、ここで決めるのはちょっと早すぎますので、私も事務局と一緒に、少しどういうふうに整理して、どういうふうにしたらいいかな。例えば、浄化槽の処理なり再利用というものが、かなり緊急の課題だとすれば、そういうところから、まず始めていくとか、それから、汚水の指標として、BOD、CODというものは、やや限界になってきたということで、もしあれば、それに変わる指標は何か、これはかなり時間を要しますね。そう簡単にBODはやめました、CODはやめました、これにしました、そんなことが簡単に出るわけがない。それから、山本先生から御指摘のあった、何も100%検査率ではなくて行けばいいじゃないかと
 山本さんの話を聞きながら、私がぱっと思い浮かんだのは、BSEの全頭検査というやつです。アメリカは全頭検査なんてしなくてもいい、科学的にやればいいんだと。日本は全頭検査しないと気が済まない、こうやっているわけですが、ただ、浄化槽の場合には、山本先生もお触れになったように、牛肉を食べたか食べないかというのは健康に直、害があるけれども、浄化槽の場合には生活環境の問題ではあるけれども、すぐ命にどうのというわけではないわけです。そうすると、もしかしたら、アトランダムに検査をしていく。アトランダムというのはいいかげんにという意味ではなくて、例えば浄化槽に番号を振っておいて、コンピュータか何かの番号で、3分の1であれしていけばいいとか、今の法体系ではもちろんだめですけれども、法制自体もそういうふうに変えていくとか、そういうことも、あるいは、いいかもしれない。いつまでも11条検査の検査率が十数%ですといって、なかなか上がらない、上がらないといっているよりは、もしかしたら、そういうやり方も、あるいはあるかもしれない。これは別にそうすべきだと言っているわけではなくて、そういう問題を山本先生が提起されたわけですが、そういう問題も含めて、では、それが本当にいいのかとか、生活環境上、いいのかとか、それから新美先生もお触れになったように、他の行政手法と、浄化槽だけ特別なことをやって、他の、例えば水濁法だとか、大気汚染防止法では、一種の全頭検査的なことを前提にしてやっているのに、浄化槽だけアトランダムでいいのかとか、もちろんそういう問題もあります。そういうものを、例えば少し専門的に調べてもらう必要があるということになれば、専門的な検討の場をちょっとつくって、ここにいらっしゃる委員の先生方プラス・アルファで、その問題ごとに適切な人にお願いをして、少し調べてもらうとか、そういうこともあり得るかなというふうに思っております。
 私自身も先生方から頂いた御意見を、どういう順番でどういう方法でやったらいいかというのを考えていますが、先生方も、ひとつ寝ながら、風呂に入りながら、さて、どう料理したらいいかなということを考えて、また次回にその問題をしたいと思います。そういうことを考えるのは委員長の仕事だから、委員長、考えろ、おまえ、考えろ、おれはどんな案が委員長から出てくるか見てよう、というのではなくて、ちょっと知恵をお貸しいただきたい。私も悩んで考えますけれども、皆様方からも御示唆いただいて、次回には、少しどういう項目を、どういう順番で、どういう手法で処理検討していくか、検討の大まかなスケジュールも含めて、次回には少し今後の方向性について、私どもの答を出す、次のステップに進んでみたいなというふうに思っております。
 そういうことで、ぜひ、これまでもお寄せいただきましたような知恵を、また惜しみなく、この専門委員会に出していただくことを重ねてお願いを申し上げます。
 というわけで、きょうの予定時間がちょうど来たわけですが、次回については、室長、どういうことになっていますか。

○松原浄化槽推進室長 次回の日程につきましては、また改めて御連絡させていただきたいと思います。

○加藤委員長 4月かゴールデン明けか、大体どんな感じですか。

○松原浄化槽推進室長 皆さんの御予定を聞いている途中でございますが、あるいは連休明けになるかもしれません。

○加藤委員長 私も含めて、例の日程の案に〇×をつけて出していらっしゃると思うんですが、今の事務局のあれでいきますと、ゴールデンウィークを明けるかなということで、そのくらいでいいのかなという具合に私も思います。今までがちょっとハイテンポで、10か月に14回というテンポでやってきましたので、これからもうちょっとじっくりといきたいと思っております。
 というわけで、まだ日時は最終的に決まっておりませんけれども、また次回もぜひ万障お繰り合わせて御出席を賜りますよう、お願いを申し上げまして、きょうの委員会を終えたいと存じます。
 どうもありがとうございました。

午後 4時00分閉会