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中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 第9回浄化槽専門委員会議事録

平成17年10月27日

午後 2時00分 開会

○松原浄化槽推進室長 定刻になりましたので、ただ今から第9回浄化槽専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料を御確認願います。
 資料一覧がございますが、申しわけございません。資料2については、資料番号が付されておりませんけれども、資料2は飯能市合併浄化槽組合の概要、環境講座台本及び広報ふかやから成っております。
 それから、資料3につきましては、PARTNERSHIPという「「泳げる霞ヶ浦」の実現を目指して」という見出しが入った記事と、社団法人霞ヶ浦市民協会概要、それから「泳げる霞ヶ浦2020市民計画行動イメージ」から成ってございます。
 もし、資料の不足がございましたら、お申しつ付けいただけたらと思います。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、加藤委員長にお願いしたいというふうに思います。

○加藤委員長 どうも皆さん、こんにちは。やっと秋らしくなってきました。
 今日は、前回に引き続きまして、浄化槽を今後進めていく上の非常に大きなテーマであります維持管理の在り方を検討するということでございます。その一環と致しまして、最初に今日は2団体から、維持管理の在り方とか私どもの課題である国民への普及・啓発、そういったものとの関連でお話を頂きたいというふうに思っております。
 最初にヒアリングを行いますのは、社団法人埼玉県浄化槽協会山田胤雄さんでいらっしゃいます。どうも、本日はお忙しい中わざわざおいでいただきまして、本当にありがとうございます。
 山田さんは、維持管理組織の立ち上げにも深くかかわり、それから浄化槽使用者への広報等を非常に丁寧になさっていらっしゃるというふうに伺っております。本日は、そのような観点からお話を承りたいというふうに存じます。
 山田さん御高承のとおり、私ども、これから先しばらくの間、浄化槽の維持管理にかかわる業務の在り方について集中的に議論していこうというふうに思っております。今日は、それに関連するお話を承りまして、私どもの審議に役立てさせていただきたいというふうに思っておりますので、御説明、よろしくお願いいたします。
 それでは、お願いいたします。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 埼玉県浄化槽協会の山田でございます。
 今日は、合併浄化槽組合の件と、私ども浄化槽協会で実施しております出前環境講座の2件について御報告をさせていただきたいと思います。
 始めに、飯能市合併浄化槽組合の概要であります。
 飯能市は、御承知のように水が財産でございまして、現在の世帯は約3万、人口は8万3,000でございます。埼玉の南の方に位置しておりまして、埼玉県で2番目に広い地域を覆っております。ここに、入間川が通っておりまして、ここのところをちょっと拡大してみますと、浄水場がございます。入間川の水をこの取水堰から引いているんですけれども、この水が飯能市の市民の上水になっております。
 ところが、入間川がだんだん汚れてきておりまして、何とかしなきゃならないということで、以前の市長、議会の方々も大変いろいろな検討をされました。浄水場がここにあります。住宅が建ってきておりましたので、原市場というところに特環下水道をつくりました。昭和63年に事業認可を受けてできたんですが、総事業費が7億7,800万円、1世帯当たり221万9,000円、ちょうど浄化槽の約倍でございます。維持管理費が年間に16万7,000円かかっておりますので、一般財源からの繰り入れは、毎年15万円以上繰り入れをしております。こういうことで、下水道を増やしていくのは財政的に大変に問題がありまして、浄化槽に力を入れるようになったわけでございます。
 まず、62年からの世帯数の伸びなんですが、こういう伸びを示しております。合併処理浄化槽に補助金を出して入間川をきれいにしようということで始めたのが非常に早かったんですが、浄化槽の伸びはこういう形で伸びております。
 だけれども、維持管理が正しく行われているかどうかというのは非常に疑問でございまして、しっかりした維持管理をやっていただくために、維持管理の補助制度をつくりました。平成6年3月に補助制度をつくって、4月1日から補助金が出るようになったんですが、それでも補助金をもらうよりも検査を受けないで、検査を受けると清掃をやりなさいと言われるよと。だから、検査も受けない、清掃も3年に1回にした方がまだまだ得だよという説明をする保守点検業者の方もおりまして、市民の方もそういう考えが非常に多くなってまいりました。
 そこで、きちんとした管理をできない業者の方、悪いことを教える業者の方には維持管理ができないようにということで、我が町の浄化槽はきちっとした管理をしていい水を流していただくんだということで組合ができました。この組合をつくるについては、非常にいろいろなところから心配をされて、反対が起きたりしたんですが、市の担当者の方が、何としても入間川をきれいにするんだということでこの組合ができました。当初は、市役所の中に組合があったんですが、もうそろそろ長くなってきているから独立するようにということで、平成14年7月に事務所を市内に移転して独立しました。浄化槽管理者が、そのときは2,554人でございました。16年7月に、それまではパートさんにお願いしていたんですが、パートの方を正職員として採用して、現在は正会員が3,233人、業者が64社で、あと、飯能市でございます。
 運営状況でございますが、維持管理の方法ですが、保守点検は年4回、清掃は年1回ですが、コンパクト浄化槽については年2回を原則としております。維持管理費用でございますが、1回当たり保守点検5,250円、清掃は3万1,500円ということで決めてあります。法定検査は5,000円でございます。
 維持管理費の負担割合なんですが、使っている方からは、年間2万6,500円です。市の補助金が3万円ありまして、5万7,500円できちっとした管理ができるようになっています。浄化槽管理者からは2万6,500円を、年2回に分けて口座から引き落とし、保守点検業者の方からは、仕事をやっている1基当たり350円を組合費として納めると。清掃業者は、1回当たり2,400円を納めるということで、これが原資になっております。施工業者は、1基浄化槽の工事をすると5,000円でございます。特別会員は、これはシステム協会でございますが、1万円でございます。年間の組合費はこのようになっております。
 入会金は、1回だけでございますが3万円で、管理者は1,000円でございます。
 市に維持管理費の補助金の申請をするのは、組合が浄化槽管理者に代わって申請をするという形をとっております。
 フローでございますが、組合費が2万6,500円、工事業者からは5,000円で、補助金の申請をして飯能市から3万円頂くと。その中から、業者の方には保守点検料2万1,000円、清掃料3万1,500円、法定検査5,000円と支払いをします。これは、組合費を差し引いて支払いをしておりますので、自動的に組合費はきちっと入るようになっております。
 その結果でございますが、検査率はもちろん100%でございます。イとハとロの割合でございますが、こういう割合になっています。
 ちなみに、埼玉県全体のイ、ロ、ハの割合でございますが、こういう形です。不適正が1.96%あるのが、飯能の組合は0.07%ということで、適正の率も非常にいい率を示しております。きちっとしたいい管理ができているということでございます。
 それを参考に致しまして、埼玉県北部浄化槽適正管理協議会を設立いたしました。これは、市町村は組合員になっていないんですが、側面から応援をするという形です。
 平成9年度に、ネットワーク事業を深谷市を中心にしてやりまして、深谷の委員さんが飯能市を視察いたしました。その結果、やはりうちの市も補助金を出そうということで、1年に2万5,000円の補助金を交付することになりました。埼玉県では幾つかあるんですが、深谷市は多い方であります。
 平成15年度に、飯能市を参考にして維持管理組合を設立いたしました。15年3月に設立総会をやって、市の応援の仕方なんですが、市報にPR記事を掲載していただくと。深谷市も、今月号にPR記事が掲載されておりましたので、今日、配付をさせていただきました。25ページに載っております。
 これは、組合のパンフレットでございますが、こうやって一括契約をしていただくと、きちっとした管理を協議会が責任を持ってやりますよということが書いてございます。
 そして、トータルの維持管理料金が、約5%安くなるように設定しております。そして、組合員につきましては、作業員全員が1年に最低2回講習会を開いておりまして、研修をすることになっております。研修に参加した方には、胸章を発行しておりまして、裏に管理証のコピーを入れて、こうやってしっかり勉強しておりますよということをお客さんにも御理解いただくように、これは管理証を縮小コピーしたものが裏にあります。これを提示するようになっております。
 これが、市報でPRをしていただいた中身でございます。こういう形で、維持管理組合のPRをしていただいているところでございます。
 それから、出前環境講座でございますが、私どもでは、浄化槽は生活排水という最も身近なことの処理技術を通じて、自然とは何か、地球環境とは何かということを住民の方と一緒に話をすることのできる最も有効な手段であるというふうに考えております。そこで、出前環境講座を行っております。5年前からやっておりますが、これは15年度の開催実績でありますが、住民団体とかいろいろなところでやっておりまして、1年間に約2,000人の方に聞いていただいております。
 内容をかいつまんで御紹介させていただきます。
 その実施するところの川の風景をこうやってやりながら、昔の写真を見ていただいています。壮年の方やお年寄りの方には昔を思い出していただくということと、若い方には50年前は自然と一緒に生きてきた時代だったよということを御理解いただくためでございます。私たちは、豊かだった昔の自然を知っている皆様方の心の中に、自然を守る砦があるというふうに考えております。
 昔は、紙芝居を見るのが楽しみで、こういうことを小さいときに、田んぼに水を汲みました。しろかきでございます。このころは、自然が非常に豊かでした。子供たちは、朝早く起きて苗をとるんですね。田植えでございます。
 それが終わると、たっころがしと言ったんですが、除草作業です。ほとんど手作業でした。お姉ちゃんが弟をおんぶして、河原で遊びました。そのときは、こういう小さな生き物たちの声を聞きながら、生き物たちとの触れ合いがありました。こういう触れ合いを通して、命の大事なことを体で覚えてきたのであります。
 あと、かまやぶりというのがよくありまして、夏になるとこういう声がどこでも聞こえたものです。その声が、今、だんだん少なくなってきて、聞こえなくなりました。聞こえなくなったということは、静かになってよかったということじゃ済まないのでありまして、人間以外の生き物がいなくなったというあかしなのであります。
 これは、智形様の沼なんですが、これが今どうなったかというと、こうなっちゃっています。全部コンクリートになっちゃっていますので、これも一つの環境破壊であります。
 昔の人は、これは蛇かごなんですね。護岸工事をこうやってありました。粗朶を引いたんですね。粗朶は、魚の産卵の場所だったんです。川を大事にしました。28年の写真なんですが、魚がいっぱい住んでいました。これは、新河岸川の28年で、水遊びができました。柳瀬川なんですが、家族団らんの場所でした。今は変わってしまいましたけれども、昭和10年、荒川で課外授業がありました。
 それから、井戸の移り変わりを御紹介いたします。
 釣瓶井戸と言ったんですが、昔はこうだったんですね。「井戸は車にて、綱の長さ十二尋」という樋口一葉の「おおつごもり」の書き出しなんですが、12回引かないと1杯の水が汲めないので、水を大切に使いました。それから、こうなりまして、こういう井戸も知らない方がいらっしゃるので説明しているんですが、ここから水が出ます。
 「サツキとメイの家」が残るんだそうですけれども、あそこに草壁家というのがありまして、こういう井戸が展示されております。あそこを訪ねると、50年前の新聞がもらえたんですね。これは、4月18日に頂いた新聞です。当時の国の予算が9,995億円と出ています。今年の予算はこれだけなんですね。82.2倍です。予算を多く使うということは、それだけ物を消費するということだと思います。
 50年前の新聞がどう変わってきたかというのを、ニュースの文字を数えてみました。そうしたら、1955年4月18日は6万2,899文字。ことしの5月はこれだけです。ニュースは124.5%増えていました。ページ数は、これだけ増えているんですね。同じようなニュースを伝えるのに、紙をいっぱい使っております。
 ラテ欄なんですけれども、テレビ番組が申しわけなさそうに載っております。当時は、お昼に番組が始まって、夜の9時15分のニュースで終わりなんですね。こういう時代でした。
 墨も、再利用したんですね。水は井戸から汲んできました。
 フクちゃんのホームページ、これは横山隆一記念館の許可を頂いて使わせていただいておりますけれども、ちょっとホームページを見たいと思います。
 ここに、ギャラリーのバックナンバーがありまして、これをクリックすると昔の様子が出ているんですね。チョウチョがいたり、セミがいたり、またチョウチョがいたり、虫がいっぱいいたり、フクちゃんは東京の子だという設定なんですけれども、カエルがいたりという、これはおもしろいんですが、1955年、このころ水道が東京に普及し出したんですね。昔の生活がよくわかります。水道が普及し出したのは、1956年でございます。ここを拡大すると、水道で縄跳びをやっているというところなんですが、このころから生活から出る汚れを水と一緒に流してしまうようになりました。
 これは、よその奥さんを使うわけにいきませんので、私のかみさんなんですが、今はこんなですけれども、若いときはもっと美人だったんです。
 水と一緒に流された汚れを処理するために、下水道をつくりました。上水道と下水道の普及率を見てみたいと思います。これを重ねてみますと、下水道は上水道に比べてこうなんですね。これは、何を言いたいかというと、この差額が全部、川に流されていたのでありまして、これでは川の生態系が壊れるのは当たり前であります。
 川の自浄作用と土壌圏の働きをちょっと見てみたいと思います。
 農業用水路の上流です。上流は非常にきれいなんですが、だんだん下流になるに従って、こんなになってきます。川には自浄作用があるはずなのに、なぜだろうという疑問が沸いてきます。
 では、自浄作用を見てみたいと思います。
 まず、汚れが大量の水に薄められて、散らばっていきます。その次に、ここで水より重たいものが沈殿するんですね。物理的な作用がここで行われます。そして、ここに堰があります。ここを拡大しますと、この草の葉の周りにぬるっとしたものがついております。これが、実は全部微生物でして、流れてくる水の中の汚れを一生懸命分解してくれているのであります。微生物ですから、酸素が必要です。酸素は、空気中の酸素が四六時中溶けているんですね。生物・化学作用であります。
 自浄作用を振り返ってみますと、希釈・拡散、沈殿・分離という物理的な作用と、一番大事な生物・化学作用がここにあります。そして、この微生物もこぼれることがありますが、堰の前できれいな水だけが流れる、これが自浄作用であります。ですから、川の石ころを見ると、こういうものが見えます。手にとると、ぬるっとしたものが見えまして、顕微鏡で見ると、全部名前がついておりますが、こういうものが見えてくるのであります。
 もう一つ、地球を支えている小さな生き物たちがいます。ここを拡大して、断層です。川の水は、横に浸透していきます。浸潤というんですが、拡大をすると、土の粒子と粒子の間に適当な空気を残しながら入っていくんですね。この土壌空間に、根っこが伸びていきますが、この根っこの周りに無数の土壌動物が生きていて、いろいろなものを分解して草の栄養にまた戻しているということなのであります。レニングラードの博物館の標本ですが、この黒いところが生き物の住み処でして、片足の下に10万匹以上の土壌動物が生きていると言われております。それにこういう微生物を加えると、何と億の単位の生き物が生きているのでありまして、この小さな生き物たちが、実は地球を支えているわけであります。
 これは、軽井沢で写してきた写真なんですが、キツネやウサギたちもやがて土に返っていきます。軽井沢は、何年たっても死骸だとか枯れ葉で埋まってしまわないのは、ここにいる小さな生き物たちが、毎年いろいろなものを分解して、また草の栄養、木の栄養にしてくれているからなのであります。この小さな生き物たちが、地球を支えているものであります。
 「もののけ姫」にこういうところがあります。人間に壊された自然。でも、水辺の周りにはわずかに緑が残っております。この壊された自然も、長い年月をかけて緑をよみがえらせてきたのであります。鳥も戻ってきます。虫も戻ってきます。この壊された自然を組成されている無数の生き物たちの働き、この働きのことを映画の中では「森の神」と呼んだというふうに言っております。命と命の織りなす妙なる法則であります。
 この仕組みは、地球に生命が誕生して以来35億年かけてつくり上げられてきた大自然の法則なのです。ですから、水を守るということは地球のリズムを守ることであり、無数の命を守ることなのであります。豊かな自然というのは、種の多様性の異名なんですね。いろいろなものが、ここには住んでおります。
 この川が、今、こうなりました。この川が、今の川はほとんどこうなんですね。生き物も住めなくなってしまいました。
 川の持っている大事な役割は、3つあります。こうなると、この2つは、もう水を流す役割だけになっちゃうんですね。自浄作用というのは生き物たちの働きですから、汚れが流れ込んで自浄作用の限界を超えると、汚染は急速に進むのであります。自然の自浄作用には……

○加藤委員長 山田さん、大変名調子で非常に興味深く伺っているんですが、その御説明は大変ありがたいんですけれども、どういう人に向けてどういうことをやっているのかと。料金を取っているのかとか、年間2,000人お呼びだというのは、どうやって集めているのかとか、その辺をちょっと教えてくださいますか。名調子は名調子で、またゆっくり聞きたいと思うんですが。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 わかりました。
 こういうことで、浄化槽の話ということよりも、なぜ自然環境が大事なのかということを御理解いただきたいということに中心を置いております。そして、これは市町村に行って見本を見ていただいたり、あるいは市町村議会に行って議員さんに見ていただいて、これからこの市町村でこういう話をさせていただきたい。つきましては、浄化槽管理者、浄化槽をつけた方に呼びかけていただいて、管理者講習会をまずやっていただきたい。それから、広報等に宣伝していただいて、子供会、公民館、地域公民館、自治会等で御覧をいただきたいということでお願いをして、まず市町村に呼びかけをして見ていただくという形で進めさせていただいております。
 ですから、浄化槽については、ほんの少しやらせていただきまして、そして一度やっていただくと、自治会とか見ていただいた方がいろいろなところに呼びかけていただいて、回数がだんだん増えてきているということが実情でございます。もちろん、浄化槽管理者講習会については、一番力を入れてやらせていただいているというところでございます。
 以上でございます。

○加藤委員長 なるほど。どうもありがとうございました。
 2つの非常に大事な点をお話しいただいたと思います。1つが、管理組合。これ自体が非常におもしろいところですね。それからもう一つは、多分、山田さんがすごい精力と大変な能力とタレントを使って、すばらしいプレゼンをやってみんなにわかってもらうと。正に、山田さんがさっきおっしゃったように、あまり浄化槽の説明よりも、むしろいかに水が大事か、自然が大事か、命が大事か、そういったことをやりながら、浄化槽の重要性に触れていく、そういうことをしていらっしゃるというふうに思っております。
 それで、早速ですが、委員の先生方から、山田さんのすばらしいプレゼンに対して2つ、1つが、管理組合の話がありました。これ自体、私自身は寡聞にして初めてこういうものをきちっと聞きまして、なかなかすごいことをやっているんだなという大変驚きを持って聞きましたが、この補助は、これは市単独でやっているんですか、飯能の場合。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。最初に、組合ができる前に補助制度ができまして、市の単独で、埼玉県で一番早く、全国でも早いんだと思うんですが、補助制度ができました。

○加藤委員長 なるほど。これは、県とか、そういったところの補助制度は求めなかったし、仮に求めても無理だということですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ええ。全く市単の事業で始めました。

○加藤委員長 わかりました。
 先生方、いかがでしょうか。まず、組合の問題について、取りあえず最初はですね。その後、環境教育に関連するものを。

○須藤委員 私も、埼玉県で仕事をさせていただいていて、この組合があるということはもちろん知っておりました。今週の土曜日にも、山田さんには別途、県のシンポジウムでお話いただくので、大ざっぱなことは理解しておったんですが、これを設立するコアになる部分が、当然、どこでも必要だと思うんですよね。だれが言い出して、要するに、すごくいいことなんだけれども、みんな思っていてもなかなかできないんですよね。特に、これは飯能の場合は、山田さん自身の御努力もあるんでしょうけれども、行政がではないんですよね。浄化槽の維持管理業者がというのですか。要するに、そのコアになって、スタートできるきっかけはどこから出たのかというのをぜひ教えていただきたいと思います。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 合併処理浄化槽ができてから、浄化槽協会の飯能の市内の会員の方なんですけれども、市長さんのところへ浄化槽をぜひPRしたいということで、カットモデルを公民館とか市役所とかいろいろなところへ展示していただいて、まず現物を見ていただいたというのが、もちろん議員さんも職員の方にも見ていただいて、だんだん浄化槽のファンをつくろうということで、最初に始めたということであります。

○須藤委員 組合ができる前に……

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ええ、組合ができる前です。

○須藤委員 浄化槽の必要性、大切さ、それから維持管理の重要性、この辺が最初にずっと行きわたってきた、そういうことなんですね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい、全くそのとおりでございます。

○加藤委員長 それは、いつごろのことですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 合併処理浄化槽が開発されて、メーカーにカットモデルができたころですから、62年、63年ごろですね。まだ補助制度ができる前からでございます。

○須藤委員 それで、市民に、多分そういう御努力があって普及するだろうと思うんですが、その後、では組合をつくろうじゃないかとか、市から予算をもらおうじゃないかとかとなるわけですよね。その辺のきっかけなり、努力をされた団体なり、個人なりというのが当然おられるんですよね。その辺のところをもうちょっと教えていただけると、ありがたいです。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 何回も何回も市長のところにお願いに行って、市長も非常に水環境を……

○加藤委員長 それは、だれがお願いに行ったんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 今、組合長をやっている斉藤さんという方なんですが、維持管理業者でございます。メーカーの御協力を頂いて、一緒に行ったりしながら、首長に御理解いただいたということがきっかけです。

○須藤委員 ありがとうございます。

○加藤委員長 ただ、それは管理組合をつくろうということで行ったんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 いえ、そうでなく、まず維持管理に補助金を出してくださいと。その前は、まず浄化槽設置の高い補助金を出していただきたいというお願いから補助制度ができて、ふたをあけてみたらなかなかうまくいかないので、ぜひ維持管理にも補助金を出していただきたいということで、何回も何回もお願いに行って、そのころ清流対策課という課がありまして、その課の職員の方も非常に熱心に取り組んでいただいておりましたので、だんだんそんなことから盛り上がってきたといういきさつでございます。

○加藤委員長 なるほど。それは、補助金を下さいという話だったわけですね。だけれども、管理組合、この資料によると平成9年5月につくられたということになっていますが、その前段階があると思うんですけれども、それはどういう方が、須藤先生がお聞きになっているのは、つまりどういう人が……。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 やはり、地元の保守点検業者の方が中心になって、まず地元と飯能市で保守点検、維持管理をやっている方々に呼びかけて、組合をつくろうということで始まったことでございます。

○加藤委員長 なるほど。
 山田さん御自身は、その時点ではどういうお立場でいらしたのですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 私は外から、私どもの検査区域ではなかったものですから、逐一いろいろなことで少しお手伝いをさせていただいたという程度でございます。

○加藤委員長 飯能の外でお仕事をしていらした。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。議員をやっていましたので、そういうあれを通じてPRをさせていただいたりと、そういう側面からの応援をさせていただきました。

○加藤委員 なるほど。
 北尾先生。

○北尾委員 維持管理に対する補助金の制度ができたときに、検査を受けずに清掃時期を延ばした方が得だと考える人が多かったということですが、これは何かお話によると、業者がそういう知恵をつけたというふうに確かおっしゃったと思うんですけれども……

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ええ、そういう方もおられたという。

○北尾委員 業者の側としては、そういう知恵をつけると、業者の側にはどういう動機づけというんでしょうか、どういう理由があるんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 これはもう飯能だけではなくて、私どもの区域もそうなんですが、補助金を出している市もございます。2万5,000円の補助金をもらって、きちんと管理をやっている方もいますし、私に保守点検をやらせていただければ、清掃は長くなっても大丈夫だよという営業をやっている業者の方も、多くはないんですが、一部におります。というのは、小さな業者の方は、どうしても値段で仕事をとりますので、そういう形でやっている業者もいましたので、なかなかうまくいかなかったというのが実情のようでございます。

○北尾委員 もう1点お願いしたいんですが、清掃について、コンパクト型の浄化槽については必要に応じ年2回実施というような運営をやっておられますね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。

○北尾委員 例えば、建築センターでの性能評価にしても、あるいは全浄協の登録審査にしても、清掃は年1回でいいという前提で審査しているはずなので、私どもにとってはコンパクト型をなぜこういうふうに特別扱いするかということがちょっと腑に落ちないんですけれども、それは実態として、やはり2回しないとまずいというような認識があるんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 全部ではないんですけれども、使用率ですか、例えば5人槽を5人で使っていると、なかなか年1回の清掃で最後まできれいな水を出すのは非常に管理が難しいということもありまして、同じ値段で年2回やってしまった方がいい管理ができるという考え方から2回やっているという、2回でなければだめということではなくて、管理がしやすくて、なおかつきれいな水を出すために、2回を原則にしているということでございます。

○北尾委員 同じ値段でなんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 同じ値段です。もちろん、きれいなところは1回に済ませているということでございます。

○加藤委員長 河村さん。

○河村委員 ちょっと費用の面で、管理者とか、それから市の補助というのは、ある意味でよくわかるんですけれども、工事業者とかいろいろな業者の方がお金を出されると。例えば、工事業者の方は、1基について5,000円出しますよね。これは、毎年ですよね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 工事をする度に5,000円。

○河村委員 工事の度に5,000円。そうしますと、必要な額はそこから出すような形にするわけですね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。

○河村委員 わかりました。ちょっと毎年かと勘違いしましたので、非常にすごいお金を出すなと思いまして。

○加藤委員長 木曽さん。

○木曽委員 先ほど北尾先生からもちょっと御質問があった件なんですけれども、検査や清掃の時期を延ばした方が得ですよというようなとんでもない維持管理業者がいたというですかね。結局、僕が心配するのは、悪貨が良貨を駆逐する傾向がしばしばあるので、そういう業者をどういうふうにして排除していくかというんですか、業者を排除するのではなくて、適正な維持管理をしてもらうように、そういう業者をどのようにして変えていくかという、そのあたりは変わっていったというふうに先ほど御説明があったんですけれども、どういうふうにしたら変わっていったのかというあたり、ちょっと御説明いただければと思うんです。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 まず、県の方にお願いしているのは、浄化槽の保守点検業の登録の期間がございます。登録と更新のときに講習会を開いて、必ず出ていただきたいということで、それに出ていただかなければ登録はしませんよということは言えないんですが、極力、講習会に出ていただいて、いい管理の勉強をしていただいております。
 それでも、単独のころ管理士をとった方が、そのままずっと営業をやっているという方がいまして、今申し上げましたような清掃を大してやらなくてもいいんだよというような業者の方は、ほんの一部でございますが、そういう方がいると、「あそこのうちはこうだから」という悪いうわさがだんだん広まっちゃいますので、最近は少なくなってまいりました。

○加藤委員長 ほかに。
 須藤さん。

○須藤委員 浄化槽への補助金の3万円というのは、大変、私は補助金としては高いと思うんですが、飯能市は確か下水道もあって、それから特環もありますよね。すると、そちらの方の一般会計から持ち出している費用がありますよね。そのバランスを見て、もちろん山田さんは市の職員じゃないから、とやかくは言えないんでしょうけれども、大体バランスがとれているとお考えなんですか。要するに、浄化槽の方も下水道の方も、市の財政から考えての割合は、とんとんぐらいと考えていいですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 今、特環下水道だけのことを、これは電話でいろいろな役所の方に聞いたんですが、特環下水道の一般会計からの持ち出しと比べると、浄化槽の方がはるかに安くなっています。

○須藤委員 普通の公共下水道も入っていますよね、飯能は。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ええ。公共下水道、全部ひっくるめると、まだ若干安いですね。

○須藤委員 それでもまだ浄化槽の補助の方が安い。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。

○須藤委員 そうですか。ありがとうございました。

○加藤委員長 ほかにいかがでしょうか。
 委員の先生も、実は私自身も大変フレッシュな情報であって、大変ありがとうございました。
 国安さんにお聞きしたいんですが、これは埼玉県特有なんですか、それとも全国いろいろなところでこういう飯能に似たような動きは起こっていますか。突然の質問で恐縮ですが、ちょっとあなたの御存じの範囲でごく簡単に。

○国安委員 前回もお話ししたように、維持管理組織を有する市町村数が多いのが長野県で、次いで、兵庫県、北海道なども多く、環境省の資料によると、平成16年12月末現在、全国31都道府県の199市町村で維持管理組織が設立されております。全国一律で増加している状況ではありませんが、年々、地域的には広がっていく傾向が認められます。
 以上です。

○加藤委員長 広がってきている。わかりました。
 それから、山田さんのもう一つのプレゼンテーションですね。これは、私、時間の関係がありまして、途中で遮ってしまって大変恐縮だったんですが、これまた物すごくおもしろくて、大変な環境教育家だなと思って非常に感心いたしましたが、これについて何かありますか。
 私自身は、年間2,000人のユーザーを集めるというのは大変なことだと思うんですが、どうやって集めているのかなという、これが要するに普通の家庭の主婦だとか、家庭のお父さんとか、あるいは旅館のこういう浄化槽の維持管理をしている人を集めてくるというわけですよね。何か変な話ですが、「来たらお土産をあげますよ」とか、そういうような話もあるんですかね。どうやってこれを集めるんですか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 最初、5年前は、1会場4人とか5人とかで、こちらのスタッフの方が多いということもありまして、だんだんやっているうちに、聞いた方がその隣の自治会の方に言ったりとか、口コミでだんだん多くなってきたということと、まず住民の方と一緒に市町村の方が見ていただくと、「ああ、これはおもしそうだから、来年はもう1会場余計にやろう」とかという感じで、役所の方が味方になってきて、その辺が原因でございます。

○加藤委員長 なるほど。すばらしいプレゼンテーション技術だと思いますね。ありがとうございました。
 委員の先生方から。須藤さん。

○須藤委員 たびたびすみません。
 埼玉県は、県としても環境教育に力を入れて、例えば当方の機関なども環境教育を随分やっているのは御承知のとおりなんですが、全く今の山田さんの方の環境教育の方が、水に限って言えばずっとすばらしいと思って感心したんですが、埼玉県は90ほどの市町村がありますよね。口コミでいくというのは、同じ市町村だけだったらうまくいくと思うんだけれども、そのPRというか、要するにこっちから勝手に出かけるのではなくて、呼ばれるんでしょう。呼ばれるまで待つんでしょう、出かけるんですか。その辺もちょっと聞きたかったんです。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 各市町村に浄化槽協会の理事長名で、こういうものをやりますので、ぜひやってくださいという……

○須藤委員 声をかけてくださいというふうに言うんですね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。通知を差し上げまして、それでも1回やってみないと、やっても人が集まらないだろう、市民の方は喜ばないだろうということで、なかなか広まってこなかったんですが、やっているとだんだん広まってきたということであります。

○須藤委員 それは、お声がかかるということになるわけですね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ええ。こちらから通知を差し上げて、呼んでいただければ無料で機材を持ってお邪魔しますよと。中には、ネットワーク事業のときにやったんですが、住民の浄化槽をつけた方に通知をする切手代がないという町もありまして、それは協会の方で切手を200枚買って持っていって、これで出してくださいということで通知を出してもらったと。出してもらったら、その次の年は御自分のところの予算で通知を出すようになってくれたということもございます。

○須藤委員 ありがとうございました。

○加藤委員長 大変どうも。
 ほかに、委員の先生。河村さん。

○河村委員 私自身も、よく浄化槽を知らない人がたくさんいるだろうから、浄化槽のことを知らせることが大事だというふうなことを言うことがあるんですけれども、今のお話ですと、浄化槽を理解していただくという形をとっておられるわけですけれども、結果として管理者の方が、例えば7条とか11条で来たとか、保守点検に来たときとか、そういうときに態度といいますか、対応といいますか、そういうものはかなり変わってくるものなんでしょうか。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 資料の最後に、アンケート調査の結果が出ているんですが、下から2枚目でしょうか。A市、B市、C市、D市とあるんですけれども、一番下に法定検査のことについて御理解いただけたかどうかという欄がありますが、「法定検査を受けることが必要であることが良く理解できた」という方が、A市は非常に少なかったんですね。B、C、Dは多かったんです。これは、どうしてかといいますと、このA市の場合は、去年やったときに、環境の話なんかはわかっているから、浄化槽の話が少ないじゃないかという苦情がありまして、役所の方から浄化槽のことをもっと専門的にやってくれということがあったので、浄化槽の話の割合をふやしたんですね。
 そうしましたら、聞きながら、ちょっと専門的になっちゃいましたので、だんだん居眠りが出たりしまして、結果、逆効果が出ちゃったということで、浄化槽のことは本当にわかりやすく簡単にやることの方が、効果があるのかなという思いがいたします。あとは、環境のことを御理解いただくと、浄化槽の維持管理のことにお金を使うことがもったいなくなくなるのではないかなという感じがします。

○河村委員 山田さんのところだって、法定検査をやっておられますよね。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 はい。

○河村委員 そうすると、同じ職場の方が実際行ったときに、管理者の対応なども……

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 それは、「講習に行ったよ、見たよ、いい話だったよ」とか、自分で言うのも申しわけないんですが、「あれよかったよ」とかというふうに言ってくれるそうです。
 ただ、通知を出しても、来てくれる人は、少し環境に関心のある人が来てくれるので、来てくれない人が問題なので、それをどうするかというのが今後の課題です。

○加藤委員長 どうもありがとうございました。
 まだほかに山田さんにお聞きになりたいことがたくさんあると思うんですが、実はもう予定をかなり超えて、次の勝田さんがお待ちでございますので、この辺で終えたいと思いますが、いずれに致しましても、繰り返しになりますが、山田さんの前者の管理の方の管理組合のお話、それから後者の方の環境教育的な浄化槽の話、いずれもすばらしい話で、私ども、大いに役に立てさせていただきたいというふうに思っています。
 どうも、今日はありがとうございました。

○社団法人埼玉県浄化槽協会・山田氏 ありがとうございました。(拍手)

○加藤委員長 それでは、早速ですが、勝田さん、お願いいたします。
 社団法人霞ヶ浦市民協会の勝田さんでいらっしゃいます。
 お聞き及びの方もいらっしゃるかもしれませんが、霞ヶ浦市民協会は、「泳げる霞ヶ浦」というのをキーワードに、霞ヶ浦の保全活動に非常に邁進していらっしゃるわけでございます。本日は、そのような観点からお話があるというふうに思っております。
 山田さん同様、ひとつよろしくお願いいたします。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 霞ヶ浦市民協会の勝田と申します。よろしくお願いいたします。
 本日、理事長の堀越が、本来であれば来て御説明をさせていただくところでありますが、実は明後日からアフリカのケニアで行われれます世界湖沼会議に出発する準備をしておりますので、代わりに私の方で御説明をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 私どもは、先ほど御案内いただきましたとおり、2020年、今からですと15年後ということでありますけれども、2000年に、20年後に霞ヶ浦を泳げる湖にしたい、そういう思いから、2020計画というのを立てました。法人自体ができましたのは、そのさかのぼること5年前の1996年でございます。
 霞ヶ浦というと、皆様御存じのとおり、琵琶湖に続きまして、その面積では日本第2番目の湖でありますが、現在は泳げる状況ではございません。数値的には泳げますが、よっぽど勇気のある方でない限りは進んで泳ごうとは思わないのが現状であるかというふうに考えております。
 これは、昭和40年代の初めに、麻生町というところで撮られた写真でございます。

○加藤委員長 昭和40年ですか。40年代の初め。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい、初めでございます。
 私は、39年生まれなんですが、もう記憶の中では泳いだ記憶は全くありませんので、40年代のやはり最初のころには、こういった風景がなくなってしまったのかなというふうに考えております。見ていただくと、海で泳いでいるがごとく、砂浜で皆さん遊んでいますよね。これが浜辺で、確かこれは相撲か何かをやっているのを見ている写真だというふうに聞いたんですけれども、これだけ多くの方が霞ヶ浦の砂浜に集まって、一夏を過ごされていたということだというふうに思います。これを見ると、ビキニですから、そんなに昔ではないというような感じが致しますけれども、これもやはり40年代の初めだということであります。ヨットが浮かびまして、本当に身近な水辺として親しまれていたのがよくおわかりになるかというふうに思います。
 これが、霞ヶ浦のワカサギ漁をするのに、帆曳き船といいまして、トロール船と同じような形なんですけれども、風の推進力で、帆で底曳き網のようなものを引っ張ってあるきながらワカサギをとっていた写真であります。
 ところが、これが大体私の記憶の初めのころの霞ヶ浦なんですが、これはアオコであります。昭和40年代後半から50年、そして最近ほとんどないんですけれども、2000年ごろまでは見られたそうであります。1985年ぐらいは、かなり最盛期というか、近くに行くともう臭くて歩けない。大体これは発生するのが夏なんですけれども、本当にもう近くへ行くと、ちょっと臭いどころの騒ぎではなくて、もう臭くて臭くて歩けないような、そんな湖になってしまいました。現在ではないんです。
 ただ、これは研究者によると、きれいになったからないのではないそうであります。人によっては、アオコも住めなくなってきたと言う方もいらっしゃいますけれども、正確な理由はわかっていないそうであります。私どもの研究室でも、今日、研究員に聞いてきたんですが、正確な理由はわからないが、アオコ発生の周期ではないようでありますということです。
 こういった現状に直面しまして、市民の側としましては、1971年に土浦の自然を守る会というのができました。そして、11年後に霞ヶ浦をよくする市民連絡会議、また、86年に霞ヶ浦情報センターというのができました。それぞれが、霞ヶ浦のために何かしようということで活動はしておりましたけれども、どちらかというと市民団体単体での活動であったというふうに聞いております。
 そして、1993年、1995年に筑波・土浦で開かれる湖沼会議の2年前なんですが、湖沼会議があるので、それを市民側としてサポートしようということで、湖沼会議市民の会というのが発足いたしました。そして、やはり大きなきっかけとなったのが、1995年10月、土浦・筑波において開かれました第6回世界湖沼会議であります。ちなみに、第1回は琵琶湖でありました。
 これがその時のパンフレットなんですけれども、さっき言った帆曳き船が操業しているところであります。このような形で、これは多分、県知事かと思いますが、後ろに宮様も来ていただきながら開催したというのが、それまで単体でやっていた市民活動が、このときだけで終わらせるのはもったいないということで、発展的に生まれたのが私どもの霞ヶ浦市民協会であります。95年の霞ヶ浦宣言というのが湖沼会議で発表されまして、この中でパートナーシップ、協働というのは今もう本当にすごく有名な言葉でありまして、行政と民間の協働とか、どこでも聞く話ではありますけれども、その中で、湖沼とその流域の管理と保全は、もはやおのおの各グループがそれぞれ個別に取り組むだけでは効果的に行うことはできない。私たちは、行政、産業界、学会、住民がパートナーシップを構築し、世界の湖沼の環境回復と、その望ましい管理に協働で取り組むことを求めるというパートナーシップの宣言があります。
 結びに、共通の理解に関する宣言としまして、「我々は湖の音に耳を傾け、なかんずく女性と子どもの声、また科学の英知に深い関心を払おうではないか。さらに、過去の教訓に学んで将来の過ちは回避し、未来へのビジョンを描き、恒久的な持続性を達成することを期待する。我々の子どもたちに、また、まだ生まれぬ子孫に対して恥ずかしくない遺産を残すために、このことを願うものである」と結んでおります。
 正に、1995年当時、2020というと25年後ですけれども、25年後に泳げる湖にしようということは、当時、例えば30歳でかかわっていた人はもう55歳だし、60歳でかかわっていた人は85歳になって、本当に自分の生涯をかけて、もともときれいだった霞ヶ浦を、何とかその先の世代にはきれいな状態で戻してあげようというような思いで活動している団体であります。これは、先ほど申し上げましたけれども、96年、市民情報センターというものと湖沼会議市民の会が発展解消しまして、市民協会が誕生いたしました。
 96年から2000までの前半5年間の事業と致しましては交流啓発、これは7月の海の日に、泳げる霞ヶ浦市民フェスティバルというのを開催しております。流域青年会議所、青年会議所は全国にあるので御存じの方も多いかと思いますが、青年の団体であります。これと一緒に連携して、ともかく一日でもいいから霞ヶ浦の河岸で遊んでくださいというような日を設けました。そして、当時は本当にもう泳ぐどころの話ではありませんでしたから、無理やり、例えば青年会議所の若い人とか担当者がバンジージャンプをしまして、ともかく死にはしないだろうから落ちてみようということで、必ず霞ヶ浦に落ちてその味をなめなきゃいけないというようなフェスティバルをつくってやっていまして、今は違う形になったんですけれども、私も落ちましたが、不思議にこれがなぜか甘い味がする水であります。
 ただ、本当に泳ごうとは思わないで、白いTシャツで入りますと、そのTシャツはもう終わりです。洗濯すると家で怒られます。というようなことをやっております。
 それから、浄化推進、これは流域河川の水質調査です。霞ヶ浦は、湖でありますけれども、実際には水門があって、開いてはおりますが、基本的にはその水は霞ヶ浦の中で長くとどまるような形態になっていますので、いくら例えば湖を浚渫できれいにしても、流域の河川からどんどんいろいろなものが流れてきますので、これを流域の住民の協力のもときれいにしていかないと―きれいにしても、だんだん流れてくれば、もちろん汚れてしまうのはわかることでありますので、そういったものの、まずどんなものが問題なのかというような調査を致しました。生活排水の負荷汚濁が約4割であろうという結論を得ております。
 それから環境教育、これは小学生に霞ヶ浦の現状を知ってもらって、自分たちができることを体験して学んでもらうジュニアレンジャーという養成講座をつくりまして、大体最初はメンバーの子供がやらされるわけでありますけれども、どんどんその輪を広げていって、当時始めた小学校低学年だった子供がもう中学生になりまして、今では新しく来ている子供を教えてあげているというような循環もできております。やはり、当時ですけれども、25年後を目指すわけですから、やはりそのとき10歳とか15歳とか、そういう子供たちが大人になったときの事業として、自分たちで考えてどんどん広げていってもらいたい。その輪が広がっていかないと、どこかでやはり途切れちゃうとまた同じことになってしまいますので、そういった願いでこれは続けております。
 それから、環境情報と研究調査というようなものを5年間、行ってまいりました。
 これが、現在の組織なのでありますが、ちょっと小さくてわかりづらくて申しわけないんですけれども、プロジェクトがございまして、このおのおののプロジェクトが、大局的には同じ「泳げる霞ヶ浦」を目指して、それぞれの視点からいろいろな事業を行うことによって成り立っている組織であります。
 これが、2020市民行動計画のイメージなんですが、2000年になりまして、「泳げる霞ヶ浦」を目指してはいるけれども、では本当になるんだろうかというような話が出てまいりました。5年間やって、なかなかこれは急にはきれいになるわけがありませんので、それでは本当に20年後に泳げるように、それぞれの段階を決めて目標を立ててやっていこうよというようなことがございまして、2000年当時―ちょっと見えないですかね。多分見えないので申しわけないですけれども、これは2000年当時「あまり行かない霞ヶ浦」、2005年には「水辺で遊ぼう霞ヶ浦」、2010年に「泳ぎたくなる霞ヶ浦」、2015年には「泳ごう霞ヶ浦」、そして2020年にはそんな無理をしなくても「泳げる霞ヶ浦」をつくっていこうということであります。それぞれのプロジェクトが有機的に連携し合いながら、それを目指しているわけであります。
 プロジェクトの簡単な説明をさせていただきたいんですが、5つあるプロジェクトのうち、暮らしのプロジェクトというものがございます。これは、環境教育事業と流域の暮らし探検事業、暮らしのエコチェック事業などを行っております。環境教育事業は、先ほど申し上げたジュニアレンジャーの適性講座というようなものがございます。国土交通省さんに全面的にバックアップをしていただきまして、これは続けております。
 続きまして、流域の暮らし探検事業。これは、流域の暮らし、今まで育んできた暮らし、あとは現在の暮らしですね、これは再評価してデータベースしようという計画でございます。それから、エコチェック事業なんですが、家庭の中で生活排水を流すときに、どのような点に注意してくださいという評価シートみたいなものをつくって、家事を担当される方にチェックしてもらって、実はその1軒1軒が、割と霞ヶ浦の環境に負荷を与えているんですよということを実感していただくとともに、逆にそれを実行することによって、自分でもこれだけ寄与したというものがわかるような形のシートをつくらせていただいております。やはり一般的には汚しているのは工場だとか、工場排水が汚しているんだろう、または茨城は養豚なんかが非常に盛んでありまして、その養豚のし尿とか、そんなものが汚しているんだろう、蓮田もあるんですけれども、蓮田の薬品が汚しているんだろうというイメージなんですけれども、実は生活排水が非常に大きなウエートを占めているということを、これで実感していただくというシステムであります。
 これがエコチェックシートですけれども―全然見えないですね、すみません。中身としては、例えば台所それから洗剤はどういうふうに使っていますか、ためすすぎしていますかとか、おふろはシャワーを使う際に水を出していないかとか、出しっぱなしにしていないかとか、シャンプーとかリンスは適量を使ってくださいとか、洗面所、トイレは何回も水を流すのはやめましょうとか、こういう細かい日常のものをチェックしていただくことによって、一つ一つの家庭から出る排水に関しての啓蒙をさせていただいております。
 ただし、やはりこれは一つの反省だと思うんですけれども、興味がある人はやるんですが、これが毎日のことだと、はっきり言って面倒くさいんですよね。だから、やっていただいている方はやっていただいているけれども、こういうのはどんどんやっていかないと尻切れになりやすいということはございました。
 それから、身近な川プロジェクトです。これは、先ほど申し上げた流入河川を、昔は川なんかでよく遊んでいたりしている写真、先ほどのプレゼンにもありましたけれども、川で遊んでいたと思うんですね。そういった川で今は遊ばないし近づきもしないというようなことなんです、土浦あたりも。それをモデル河川を使って、新川という川が土浦の町中を流れていまして桜の名所なんですけれども、今はもうよっぽど釣りが好きな人以外は行かないような川なんです。何しろ高低差がないものですから、ゆっくりなんですよね。ですから、どうしても汚れがたまりやすいということであります。そういったものをきれいにしようというような作戦です。
 それから、上から3番目、里山づくり事業というのがありまして、茨城県の緑の率というのでしょうか、山というか山林の率というのが、霞ヶ浦周辺は非常によくない方であります。大阪府に続いて全国2番目だというようなデータもあるそうなんですけれども、ともかく流れてくる河川の近くが緑が少ないと、やはりこれはよごれが除去しづらいそうなんです。ですから、里山のドングリの実をどんどん里子に分けていって、それでどんどん植林をしていただいて山をつくって、流れ来る水をきれいにしましょうというような作戦です。
 その中には、子供たちもどんどん入ってもらって、ドングリを使ってもらったり、夏にはカブトムシが来ますので、カブトムシとりをやりながら遊んでいただいたりというようなことをやっております。
 それから、生物の多様化研究というのは、霞ヶ浦にはタナゴ釣りという、多分ぱっと世代的に拝見するとやったことある人ばかりだと思うんですけれども、きれいな魚がいるかと思うんですが、今ほとんど霞ヶ浦には在来種はいないそうです。在来種は、二枚貝という大きな貝の中に卵を産んで育てるらしいんですけれども、二枚貝自体がないので育てるところがないから減ってきたというようなところがありますけれども、そういったタナゴの生態研究とかタナゴ釣りをやったりしております。
 これが、今のところの写真ですけれども、向かって左側がオオタナゴ釣り大会であります。それから、向かって右側が「里山どんぐりの里子作戦」ということで、これは子供を巻き込んでやっております。また、この林に関しては会員の中の方が、土浦からちょっと離れた山林部で調整区域なんですけれども、そこの土地を提供してもらって、そこでやっているというようなことであります。
 それから続きましては、水辺交流プロジェクトというのがあります。これは、水辺で遊びましょうというプロジェクトであります。「泳げる霞ヶ浦市民フェスティバル」を毎年海の日に行っております。また、探検フィールド事業としまして浜めぐり、霞ヶ浦の沿岸を回りまして、実際にどういった浜があるのかというような、またそして本当に浜を復活させることができるのかというような調査研究を行っております。
 これが、市民フェスティバルの映像なんですけれども、これは平成15年の映像であります。国民宿舎「水郷」という市の施設なんですが、その前の広場を借りまして、始めたころが2,000人で……

○加藤委員長 勝田さん、大変興味深い話なんですが、少し浄化槽との絡めで、ちょっと御批判でも何でも結構ですが。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 わかりました。すみません。浄化槽をちょっと後ろの方に入れたので、早目にやらせてもらいます。
 こういったことで毎年やっておりますということです。
 それと、浄化槽との絡みというのは―ちょっとごめんなさい、もうちょっとしたら言わせていただくんですけれども、結局、霞ヶ浦の特徴というのは、自分たちが取水している飲み水のすぐそばに、実は汚水の排出先があるんですね。土浦市のところに下水場があって、そこから流れてくる。そのすぐ近くで取水している。水道局の方は、もうこれは別に問題がない水だということで、技術がすばらしいので言ってはいるんですけれども、結局は自分たちが出した水が帰ってくるということがあります。100%下水になれば、またこれは若干問題も変わるのかと思いますけれども、現状では浄化槽が多いということなので、以前、浄化槽の会議をしたときに言われたのは、結局は新しい高度処理型浄化槽を入れていただいて、それを本当に維持点検、管理していただければかなり問題は減ると思うんですが、今、浄化槽を入れている人に、50万、100万かかるんですけれども、お宅の個別浄化槽はそろそろまずいのでかえてくださいと言っても、これは金銭的な負担がありまして、多分なかなか進まない話であろうというふうに考えております。
 土浦市さんの方に昨日行って聞いてきたんですけれども、高度浄化槽に対しての補助金は、年間15基考えているんですよということでおっしゃっていただいております。補助金は、表を見たんですけれども、茨城県の中では土浦は手厚い方なんですよとおっしゃっていたんですけれども、今ある浄化槽が全部それに変わっていくまでに、やはり気の遠くなるような年月がかかるし、実際やはり本当に経済的な負担で、知識が足りないというようなのもあると思うんですが、家を建てて新築する人は、お金がやはり、普通はきゅうきゅうでやるわけですね。下水道の管理地区の方であれば、例えば土浦市だと平米400円ぐらいの下水道の負担で下水道を入れられるんですけれども、下水道がないところに住んだが故に、浄化槽を入れるのに70万、80万を出してくださいというのは、出さざるを得ないんですけれども、非常にこれは経済的な負担があって、何とか出します。そうすると、もうそれで終わりというか、あとは浄化槽点検業者の方と保守点検契約をして、もちろんちゃんとやっていらっしゃる方も多いですが、だんだんお金を出すのがきつくなっていってやらなくなってしまう。やらなくなってしまって、その保守点検をしない浄化槽があるので、ひょっとしたら、これは汲み取りよりも、はっきり言って悪いような結末を迎えているんではないかということであります。
 行政の担当者の方にも聞いたんですが、ではどのぐらい保守していない浄化槽があるんですかと聞いたら、わからないということなんですね。これを強制的にやることも、いろいろ理由があって難しいんだということを聞きました。
 そういったこともありまして、では私ども市民団体が何ができるのかというと、見ていただいてわかるとおり、どちらかというと浄化槽の問題をやっている団体ではないので、違うことばかり多くて恐縮なんですが、ただ霞ヶ浦は自分たちの湖であって、自分が出した水は自分の口に戻ってくるというのを感じていただく。そして、霞ヶ浦は、今はちょっとこういう状態ですけれども、どんどん遊びに来てもらって、自分たちの浜辺とすることによって、もっと関心を持ってもらって、要は自分たちが出す排水を何とかしなきゃいけないというようなものを、どんどん気がついていただく―市民側としてはシステム。行政側にそれをお願いするのであれば、少しそこに経済的な補助をしていただけると、さらにいいのかなというような気はいたしますけれども、そういったシステムを構築していく。私どもは、市民団体としてこういったいろいろなものをやりながら、自分たちの湖というものを感じていただいて、自分が出したのは帰ってくるんだから、ではきれいにしようよというようなものを啓蒙していくのを何とか推進していきたい。
 勉強会なんかもやるんですが、つまらないと人が来なくなっちゃいますので、そこを何とか正しいことを言っても、でも聞く方は楽しくなければ来ないというのが、もう本当に現状なんですね。それを何とか来ていただくようにしていくのに、学術的なことばかりを全面に出すのではなくて、どちらかというと楽しい事業とか感じやすい事業なんかを織りまぜながらやっていきたいというふうなものが考えであります。
 ちょっといいですか、先に進めて―というような、これは本当に、では泳げる霞ヶ浦の砂浜ができるのかというようなツアーをやって……

○加藤委員長 勝田さん、まことに申しわけないんですが、予定の時間をかなりオーバーしてしまっていますので、あと一、二分でちょっと……。御質問のときで、補足的に御説明ください。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 最終的には、では……

○加藤委員長 すみませんね、せっかくいいお話なんですが。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい。
 これは今、言葉で申し上げたところで、排水と取水が同じというような中で、下水道普及率が上がっているし浄化槽の性能も高くなっていること、これはもう皆さんおわかりだと思うんですけれども、浄化槽建設経費の軽減と、あとはもう本当に大切な保守管理の徹底。そのために何ができるかというと、主としては補助を出していただけるとありがたい。私どもの団体ができるのは、霞ヶ浦は自分たちの湖であるというようなことを感じていただく住民意識の高揚、それは自分で浜に来て、どんどん水に入っていただければ感じていただくことなのかなというふうに考えております。
 というようなこともありまして、私どもの今年からの取組は、これは「里浜」という言葉があるんですが、これが今の浜なんですけれども、ちょっと水に入りづらいんですね。これは砂をつけて、どんどん人が来ていただくような団体にしていただきたいというようなことであります。市民団体といっても、いろいろ飛行船呼んだりしていますよということで、何といってもこのパートナーシップということで、真ん中に住民参加がないと町が動かないというようなことだと思いますので、どんどん市民側と連携して水質浄化の方に努めてまいりたいというふうに考えております。
 すみません、ちょっとまとまらない話で申しわけないんですけれども。

○加藤委員長 いいえ、とんでもございません。途中で急かせまして、大変失礼しました。中身自体は、大変私、個人は興味があるんですが、予定の時間をかなり超えてしまったので、この辺で一旦切らせていただきます。
 どうぞ、委員の先生方から。
 はい、まず北尾さん。

○北尾委員 泳げる霞ヶ浦というのを目標にしておられるということなんですが、それは具体的には、例えば水質的な定義があるのか、そうじゃなくて、その周辺の方々が自然に泳ぎ出したというようなイメージで考えておられるのか。その辺はいかがなんでしょう。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい。泳げるかどうかということは、これは水質の基準でとらえると思うんですよね、泳いでいいかどうかというのは。CODなんかを見ますと、都市部というか土浦寄りの方はちょっと難しいんですが、ちょっと離れたところは、もう実は遊泳してもいいですよという基準ではあるそうです。ただし、泳ぎたくなる水ではないというふうに考えておりますが、私たちは、でもそれでは困るんですよね。どんどん自分の身近な浜として、数値は数値としてより良くなればいいんですけれども、今の数値でも泳げないことはないんですが、泳ぎたくなるような浜づくり、自分たちがもう一つ、受け身じゃなくて、浜はだれが維持管理するんだというような、自分たちがやはりごみを拾っていったり、日常の点検をして、手入れをしたりして維持管理していく、そういうシステムをつくっていきたいというふうに考えております。泳ぎたくなる浜というのは、つまり自分たちのものとして、日常的に行ってみたくなるような浜というようなところであります。

○北尾委員 というのは、「泳ぐ」という言葉を使って水質を3段階にも分けておられますよね。だから、どういうふうに感じるかというのは、人によってもかなり違うんだから、こういう目標と立てると、達成されたのか達成されていないのかというのが、極めて僕はあいまいになるんではないかなという気がするんですけれどもね。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい……

○加藤委員長 あいまいだというのが北尾さんの御意見なんですね。これはもう、市民感覚でいくと、非常によくわかる……

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 ぜひ参考にさせていただいて、努力させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○加藤委員長 勝田さんとしては遠慮なく、どうぞおっしゃってくださっていいんですよ。学者の先生は、何か数字を見せられない、だけれども人は数字で泳ぐかなという感じはしますね。測ってから泳ごうかという、その辺はどうですか。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 多分、数字は大切だと思います、もちろんこれは裏付けですから。最初は見た目ではないかなという気がしますね。これは、きれいだから泳いで大丈夫ですよと言っても、やはり濁っていたら、ちょっと「いや、いいです」という話になっちゃいますので。数字も、もちろん何とかしたいというふうに考えておりますけれども、やはり行ってみようというその行動パターンを啓蒙してつくっていくことということが大切なのかなというふうに考えております。

○加藤委員長 そういう意味でいくと、今、勝田さんのおっしゃった水辺で遊ぼうというのが2005年ですよね。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい。

○加藤委員長 大体この辺までは来たというふうな評価ですか、ここまでは大体来ましたか。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい。これは、ただし日常的ではないんですよ、まだ。イベントのときなんですよ。イベントは、かなり来てくれるようになっています。これをやはり365日に近い数字にしていくのが目標で、ちょっと目標は遅いかもしれないですね。

○加藤委員長 まず山本さん、その後、須藤さん。
 山本さん、どうぞ。

○山本委員 この自主研究の中で、適正技術開発というのが上げられていますよね、このパンフレットの中で。その中には、湖や河川の自然浄化のようなものが、やはり主なものなんですか。それとも何か浄化槽のようなものも入ってきているんでしょうか。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 研究室の方でやっているんですが、私どもの研究室では、実はその浄化槽の技術的なものとか、そういうものの開発というのはちょっとやっていないんですね。これはビオトープとかそういったものを用いまして、具体的にはクレソンの畑を使って霞ヶ浦の水をくみ上げて、ある程度大きさはあるんですが、それを過ぎることによって、もうちょっときれいになって戻っていくというようなものを具体的につくって、それをみんなに見てもらうことによって啓蒙していくというところです。

○加藤委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、須藤さん。

○須藤委員 霞ヶ浦の市民協会が、流域含めて霞ヶ浦の浄化に大きく貢献しているのは、私も十分承知をしています。それで、昭和40年代当初まで泳げたというのは、私はついぞ知らなくて、先ほどの写真が昭和40年か41年とおっしゃったんですね。
 私が霞ヶ浦にかかわったのが49年からなんですが、そのときはアオコばかりですよね、そのときにあの辺の流域に行ったら何と書いてあったかというと、「よい子はここで遊ばない」と書いてあるんですよ、よい子はここで遊ばない。私は、まずその看板をとろうというようなことを皆さんに申し上げて―今はないですよね、多分「よい子はここで遊ばない」はね。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 ありません。

○須藤委員 ありませんよね。当時は、「よい子はここで遊ばない」とずっと書いてあった。ですから、水に近づけるためにはどうしたらいいかというのを市民協会の皆さんは大変努力されたということでいいんですが、まず「水辺で遊ぼう霞ヶ浦」でいいんですけれども、私もまだかかわっているんですが、イベントのときも確かに来ますね。何とかとやりますが、霞ヶ浦の夕べ、何とかの夕べとかやると、探検とかやると来るんですが、ほかの日には土日を含めて余り来ていませんよね、私もときどき行くんですが余り来ていないですよね。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 そうですね、来ている方は釣り人、バス釣りの人は一時来ていましたね。今ちょっと減りましたけれども、かなり来ています。
 もう一つは、今、水鳥を見に来ています……

○須藤委員 バードウオッチングね。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい。ただ、でもそのぐらいでしょうね。

○須藤委員 それで、何をお伺いしたいか。これが質問なんですが、よその湖、例えば琵琶湖でもいいんですが、流域に100万人近い人口がいますよね。霞ヶ浦市民協会のような大きな組織はどのぐらいまで大きくします、それは十分承知しているんですが、その活動の広めていって、今のこの「泳げる霞ヶ浦」に近づけるための一番の問題点というのは、勝田さんとしては、あるいは堀越さんもいろいろお話をするんですが、何だというふうにお考えなんですか。要するに、もうちょっと、緒にはついているんだけれども、どうもひとつ隔靴掻痒の部分があるんですよね、私どもも含めて。一生懸命やってはいるんだけれども、なかなか現実はいっていないという部分が。例えば水質保全計画でもそうですよね、CODでも何でも横ばいか上がっちゃっていますよね。これは現実はそうなんですよね。そういう問題の中で、市民協会として、これは克服するためには、何が不足しているとお考えでしょうかというところが私の質問です。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 はい、ありがとうございます。それは非常に多分難しいところがありまして、私どもも一番いいのは仲間を増やしていく、賛同してくれる人を増やすということで、参加してくれる人とか、あとは具体的に言うと協会の会員ですよね、これを何とか増やしていくというのを、毎回毎回理事会なんかでもやっているんですが、なかなか実は厳しいのが現状であります。
 では何なんだという話なんですけれども、これはひとつ霞ヶ浦の浄化活動というのが、目に見えづらい、要は達成感が―今は2020年と言っているんですけれども、本当に2020年にできるかどうかわかりませんけれども、2020年にしたって長いわけですよね。長くて、あとは先生おっしゃいましたように、では良くなっていないじゃないかというようなのがありまして、これはやはりやった以上は、目に見える成果が上がってきて、いい方向に回り出さないと、やはり本当にこんなことをやっていていいのかというようなところが出てきちゃいますと、これは普及していくのは厳しいんだろうというふうには考えております。

○加藤委員長 財政的にはどうですか、協会の。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 財政的には会費収入が主でありますが、会員数は横ばいなんです。もうちょっと増やしていきたいなというふうに考えております。事業の中で―ここは環境省ですけれども、国土交通省さんの方から、直接ではないですよ、一つあるんですけれどもそこを通して、具体的にはイベントの方には大分出していただいていまして、これは助かっていますね。では、これが無くなったらどうなるのかというと、今と同規模のイベントはちょっと打てないんじゃないかというふうに考えています。
 ですから、本来から言えば、やはり市民団体としては自分たちで自立していくのに近いように、どんどん会員を増やしていくのが目的なので、今はちょっと達成はしていないと思います。

○須藤委員 もう一つだけいいですか、簡単に終わります。
 浄化槽の方の絡みで、常々、私も霞ヶ浦部会でも、浄化槽はさっきおっしゃったように窒素・燐型でいこうと、大体そういう方針なんですが、なかなか住民がそのとおりに受け入れてくれない。それはもちろんお金の問題もあるというようなことがあるんですが、条例でもう規制をしなきゃだめじゃないかというところに今来ているんですよね。それは県がどういうふうにするか、それは私の関与するところじゃないんだけれども、もちろん予算はどの程度補助するかはともかくして、そうなったときには県が補助をするということの体制はつくるんだろうと思うんですが、ぜひ市民会議も、その辺のことの理解と御協力というのはやって。とにかく住民参加がない限り、あの湖だめですよね。幾ら行政が一生懸命やったって、全然だめですね。私はそう思っています。なので、期待をしているということだけ申し上げておきます。

○社団法人霞ヶ浦市民協会・勝田氏 ありがとうございます。

○加藤委員長 勝田さん、どうもありがとうございました。
 大変すばらしい発表なんですが、恐らく勝田さん自身は、もっともっとお話ししたいことがたくさんあったと思うんですが、時間の関係で、途中遮るような形になって、誠に失礼いたしました。悪しからず、お許しいただきたいと存じます。
 山田さん、勝田さん、本当にどうもありがとうございました。(拍手)
 それでは、予定時間を大幅に遅れていますけれども、しかし両方とも大変すばらしい発表で、かつ私どものこれからの審議にも、もちろんすごく役に立つことですので大変よかったと思います。
 この後、第2の議題、つまり維持管理の問題を少し戦略的に整理していく話に入りたいと思いますが、2分ほど、一、二分、私の都合でちょっと休憩をさせていただきます。一、二分ですぐ戻りますので、お許しください。

午後 3時25分 開会

午後 3時27分 開会

○加藤委員長 どうも失礼いたしました。
 それでは、残り時間があと30分少々なんですが、今日はちょっと10分か15分延ばしてもらっても、北尾先生、木曽先生大丈夫でしょうか。新幹線のお時間とか、よろしいでしょうか。それでは4時15分をめどに、それでも少し時間がまだ足りないんですが、いきたいというふうに存じます。
 前回は、私どものもう一つの非常に大きな、重たい課題ですけれども、維持管理の問題にどう取り組むか。維持管理の問題は、先ほどのプレゼンにも少しありましたけれども、いろいろな問題があります。それこそ保守点検の回数をどうしたらいいのかとか、清掃回数をどうしたらいいか、それから料金の透明性の問題あるいは今お話がありましたような、飯能市のような市の維持管理組合みたいなものをつくって、そこで一括して保守点検も清掃も検査も皆やったらどうだとか、いろいろな課題があります。恐らく項目だけ上げたら10から20ぐらいになると思います。それ以外にも、また調査研究の話とか海外展開の話とかいろいろありますが、それを今資料4にありますけれども、前回はお手元資料のうちの(1)と(2)を中心にやったらどうかという話をしたんですが、この(1)、(2)については、皆さん委員の先生方から、大体こういうことだということについて、御同意いただいたと思うんですが、やはり(3)も非常に大きな問題だと。先ほどの霞ヶ浦の話でも、やはり単独処理浄化槽の問題とか、そういったものがかなり水質の全体的な悪化に寄与している、そういう話もありました。
 こういう問題をやるということですが、この3つ大分けに分けて、この3つにしたところで、それぞれがまたサブテーマをいろいろと持っていまして、それでどうしたらいいかというのが、この前から始まった議論でございます。
 これに関連いたしまして、まず事務局の方から資料の4、それから前回維持管理について環境整備教育センターで、かつて数年前ですが、もちろんメンバーが若干異なりますけれども、やった例があるということで、北尾先生の方から口頭での御報告がありましたが、そのときに出ました話を、少し資料として出してほしいということを私が事務局の方に求めておりましたが、それが出ておりますので、その2つについて、まず事務局の方から簡単に御説明いただけますでしょうか。

○松原浄化槽推進室長 失礼いたします。資料4から資料6まで、まとめて御説明申し上げます。
 まず資料の4、浄化槽専門委員会の進め方についてでございます。
 先ほど委員長からも御紹介がございましたとおり、前回御議論いただきました点を踏まえまして改めたものでございます。「基本的な考え方」、それから「当面、審議を行う課題について」のうち(1)「浄化槽の維持管理に係る業務の在り方について」と(2)「国民への普及啓発の一層の促進について」は、従前と同じ考え方でございます。今般、(3)「単独処理浄化槽の対策について」を付け加えてございます。単独処理浄化槽に関する「既設の単独処理浄化槽の浄化槽への転換対策について」及び「違法単独処理浄化槽への対策について」の2つの課題については、平成18年度予算概算要求において単独処理浄化槽の撤去費の助成対象化を要求中であるということは前回申し上げましたけれども、こういった点にも留意して、むしろ国民の理解のしやすさという見地からの審議を中心に行っていただくことが考えられるということを付け加えてございます。
 また、「上記の課題に関する審議の進捗状況を見て、引き続き審議を行う課題について」ということで、浄化槽の整備による効果の調査研究の推進について、浄化槽汚泥の処理体制の確保について、浄化槽の海外展開について、技術開発の促進について、窒素及び燐の扱いについても、念のため掲げてございます。
 資料の5の「浄化槽の維持管理に係る業務の在り方」に関して整理を行うべき事項につきましては、前回提出した資料を再度提出させていただいておりますので、時間の関係上、説明は省略させていただきたいと存じます。
 それから資料の6でございます。浄化槽の維持管理向上のための対策についてでございます。先ほど委員長からも御紹介がありましたけれども、前回の御議論の中で、この報告が触れられましたので配付させていただいてございます。平成14年1月18日の報告ということでございまして、背景と致しましては、11条検査の受検率について地域差が著しく、全国平均では低い状態にあって、浄化槽の信頼性を確保する上で改善すべき課題になっているという認識。それから一方、公共事業の効率的実施が求められる中で、合併処理浄化槽への期待が高まっていて、浄化槽に対する信頼性を確保することが重要になっているというような事情を踏まえまして、学識経験者ですとか、あるいは業界関係者、行政関係者などの有識者が集まって委員会を組織いたしまして、日本環境整備教育センターさんを事務局として、維持管理の確保のために検討を行うこととしたということでございます。
 資料6の1枚目が、その概要ということでございまして、その維持管理向上のための対策ということで、個人管理の問題を解決していくことが必要と致しまして、対策Iと致しまして、行政の参画する住民維持管理組織の構築による個人管理の組織化、2番目と致しまして、一括契約の実施、それから3番目と致しまして、市町村が管理する形態による浄化槽の維持管理の推進、それから4番目と致しまして、法定検査の在り方の改善、5番目と致しまして、浄化槽管理者への働きかけの強化ということでございまして、「おわりに」と致しまして、国、都道府県、市町村、関係業界が連携して取り組んでいくべき課題であるということで、国においては都道府県の対応方針を把握して格差をなくすように努めること、それから都道府県、市町村では生活排水処理基本計画での見直しの際、維持管理面に配慮すべきであること、それから関係の団体も全国団体の支援のことに地域レベルで連携するということでございます。
 国の方と致しましては、こういった報告を踏まえまして、市町村設置型の事業といったものを伸ばしていくですとか、あるいは各種の広報等の事業を実施しているというようなことに取り組んでいるところでございます。
 簡単ではございますけれども、時間の関係上、以上でございます。

○加藤委員長 はい、どうもありがとうございました。
 それでは早速、委員の先生方の御意見を承りたいと思うんですが、御意見を承ると言っても非常に課題がたくさんありますので、あれもこれもというわけにはいかないと思うんですが、主としては資料の5あたりを念頭に、これはいわゆる維持管理の業務の在り方の問題について、前回私どもが、夏以前に整理した問題がここに、もちろん関係業界団体あるいは有識者の御意見も交えて整理したものでございますので、これを参照されながら、どういう順番でどういうふうに議論していったらいいかというようなことについて、何かお知恵がありましたら御意見をお聞かせいただきたいというふうに存じます。

○須藤委員 お知恵じゃないんですけれども、いいですか。

○加藤委員長 はい、どうぞ。

○須藤委員 お知恵となっちゃうと困るんですけれども……

○加藤委員長 いや、須藤先生は知恵の塊で……

○須藤委員 いや、何をおっしゃいますか。知恵と言うよりも、質問も含めてお伺いしたいことが―先ほどの山田さんのようなお話になれば、これは一つの、ある意味での理想的な姿かなという気はするんですが、なかなか現実問題としては、あれが一種の一番いい姿だからそうはいかないだろうと思うんですが、一つ下水道の分野あるいは下水道の普及の方から言うと、そういう意見をよく言われるのは、浄化槽は透明性が、特に管理の部分でなくて、はっきり言って、要するにきちっとした管理がされていないんじゃないかと、こういう意見をしばしば聞きますよね、だれがどう言ったというよりもね。要するに、浄化槽の一つのデメリットというのは公的関与がないじゃないかと、これは一つの大きな流れではないかなと。それをやはり、この管理の中で私は克服しなくちゃいけないんだろうと、今度の議論では克服しなくちゃいけないんだろうなと、こういうふうに実は思っています。
 私も法的なことを十分承知しているわけじゃないんですが、維持管理というか清掃にしても点検にしても、登録更新ありますよね。さっきも山田さんも言われていたんだけれども、それは自動的ではないんだけれども、そこは市町村が―県ですね、県が受けていますね。そのときはある程度、私の理解では自動的に近いんではないかなと、出せば通るんじゃないかなという気がしなくはないんだけれども、さっき山田さんは研修会やらなきゃだめだとかおっしゃっていましたよね。そういうようなことで、何かきちっとやっておられて透明性の高い、そういうお仕事をされている方には、ある意味では優先制度、表彰なんということじゃなくて優先制度なんというのは、ある意味で設けられるんじゃないかということで、要するに下水道がいろいろ言われている点について、そうではないんだよと、ちゃんと公がしっかりしているんだよというところをきちっと実証していく制度は作れないものなんでしょうかと。これは室長に伺ってもいいし課長に伺ってもいいんですけれども、そういうのが質問と意見と併せて、要するに公的関与という部分についての今の制度の中でできることがあるんじゃないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。

○加藤委員長 一つ一つにお答えを頂くよりも、何人かの先生から御意見いただいた後、室長なりあるいは課長なりですが、あるいは浄化槽大好きな部長もいますから、部長の御意見―部長といいますか、行政側の御意見を言っていただければと思います。何人かの先生から、まず一括して伺いましょう。
 北尾さん。

○北尾委員 どういう課題から順番に議論するかということよりも、ここの委員会でどういう結論を出したらいいのというようなことが、私もう一つよくわからないんですよ。つまり、私どもが、例えば保守点検の回数なら回数を例にとって、5回がいいのか10回がいいのか言われたって、私ども保守点検をやったこともないんですから、そんなことの議論なんてできっこがないわけですよね。だから、保守点検なら保守点検というのは、基本的にこういう仕組みにすべきだとか、そういう議論ならできると思うんですけれども、この中にもそういうことが出ていますよね、回数の問題なんかも出ていますけれども、私どもは、例えば現状の4月に1回以上というのがどうしてよくないのかということは、それはこれを見ればわかると言えばわかるけれども、実感としてはそれでは何回にしたらいいのかとか、そんなことはちょっと議論しろと言われても、皆さん方、自信を持った議論ができないはずだと思うんです。ですから、どういう議論をしていけばいいのかということをある程度入れておかないと、まずいんじゃないかと思うんですが。

○加藤委員長 なるほどね。今の北尾さんの御意見については、先ほど須藤さんから出たのが一つのヒントかもしれませんね。公的関与をもうちょっと高めていく。つまり、それは透明性とかそういったものを高めていくということだと思うんですね。そういうことかなというふうに思うんですが、取りあえず何人かの先生方から維持管理に絡めて、ちょっと今考えていらっしゃること、率直にお聞かせいただければ。
 では、木曽さん。

○木曽委員 私は前回欠席いたしましたので、議事録を読ませていただいて大変な議論が始まったなというふうに実感しておりますけれども、維持管理の中でも、一つは法定検査についてちょっと、受検率が極めて低いレベルでまだとどまっているという状況と、それから浄化槽法の改正、特に今般議論してきましたのは合併処理ですね。従来の言い方でいくと合併処理浄化槽に当たりますが、11条検査の大部分がまだ単独の浄化槽が残っている。単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の役割が違うという認識がひとつ明確になっているかと思うんですね。それが、今日の3番目の検討課題だというところに色濃く出ているわけですけれども、法定検査に関しましては、現在のところ区別がされていないと思うんですね。同じような役割の上に浄化槽があるかのような、そういう検査の体制になっている。検査そのものも、やはり役割が違う部分があるのではないかというようなことも少しは感じるんですが、そういうことも含めて、単独処理の既設の浄化槽の維持管理の在り方というんですか、これをもう少し検討すべき要因としてあるんではないかというふうに、ちょっと思っているんですけれども。

○加藤委員長 なるほど。木曽さんがおっしゃるのは、今日配られた資料を読んでいくと、(3)のところに単独処理浄化槽というのがありますが……

○木曽委員 これは転換という意味ですけれども……

○加藤委員長 ええ、転換だけではなくて維持管理との関係でですね。合併処理浄化槽と単独処理浄化槽とが、11条検査という点で同じになっているのは少しおかしいんじゃないかと、こういうことですね。その辺をもうちょっと。
 それから、この検査については、確かに受検率の低さというのは、実は私自身も、私個人も数年前になりますけれども、ある下水道裁判の証人に立ちまして、それは浄化槽側の証人として立ったときに、下水道側の弁護士さんから責められたのは、受検率の低さ、余りにも低いじゃないかと。こんないい加減な管理をしていて何が浄化槽がいいんだと、そういう趣旨で少し厳しく責められたんですね、向こう側といいますか、下水道側の弁護士さんからですね。その状況は、過去の3か月の議論の中でも出てきて、その中にも書かれているわけですが、そういうことも含めて、やはり大きな問題だと思うんですね。
 それは委員会の中で、たしか北尾先生だったと思うんですが、もうちょっと簡便な検査という方法もあり得るんじゃないかということをおっしゃいましたですね。例えば透視度が非常によければ、ほかのものは省略してもいいとか、余り単純なことを言っちゃいけませんかもしれませんが、もしかすると北尾先生を曲解しているのかもしれませんが、そういうことも含めて効率性を高めるといいますか、透明性、効率性というのがもう一つのキーワードになっていくかなという感じはちょっと受けているわけですけれども。
 山本さん。

○山本委員 私も、今の木曽先生の意見に全く賛成でして、この11条検査の中身について、それから考え方について、やはりもう少し整理をすべきだろうと思います。消えていかなければいけないものに対する検査の仕方と、これから下水道と同等の性能で水環境を守るべきものへの検査の仕方というのは、当然違ってしかるべきですので、その辺のところを明解にすれば、またそういうことにも答えていけると思うんですよね。
 そういう意味では、全体のコストを抑えながら効率的に物事を進めていく上でも、今のその仕分けは非常に重要だと私も思います。

○加藤委員長 なるほど。
 取りあえず委員の先生方から、現時点でちょっと、維持管理に関連して疑問なり、あるいは御意見なりあったら。
 北尾先生から出された、一体我々は何を答えたらいいんだと。点検回数5回がいいのか10回がいいのかと、答えろと言われても、それは場所によっても違うし状況によっても違うし、いろいろなことですよね。全国一律に5回がいいんだとか3回がいいんだとか2回がいいんだとか、毎月やるのがいいんだとか、そういうことはなかなか答えにくいと。では、そういうものを考える基盤は何なんだと、恐らくこういうことなんでしょうね。そういうものに対する適切なアプローチをするためのベースは何かということだと思うんですが、その辺は正に我々に課せられた課題だろうと思うんですね、そのベースは何かというのがですね。
 一つは、公的関与をもっと強化せよというのも一つだろうと思うんですね。公的関与を増やすということが、今、公から民へというのが大きな一つの流れの中で公的関与というのがどういうことになるのかとか、その公的関与といっても、別に役所が全部出向いていって何もかもやるという意味の公的関与ではなくて、民間と非常に、正にパートナーシップを組むと。飯能市の例のようにパートナーシップを組みながらやっていくという意味の公的関与と思うんですが、そういうものの姿の在り方とか、そういったものを明確にしていくということかなというふうには思うんですね。
 ほかにどうでしょうか。では、まず新美さん、その後、木曽さん。

○新美委員 私は法律家ですので、公的関与なんかを考えるときに、そのためにどういう道具が用意されているのかという観点から見てみました。維持点検について、違反した場合にどういうサンクションがかかってくるのでしょうか。制度として違反者に対してどう対応することになっているのか。そして、違反者に対する対応を確実に実施するための体制はどうなっているのでしょうか。こうしたことを踏まえた上でないと、公的関与をどうするかという議論にはなっていかないんじゃないかと思います。ずっと御報告を聞いてきて、実施率が低いですよという話は出ているんですけれども、実施しなかったら、その人にはどういうペナルティーなり何なりがかかるのか、あるいはかけるべきなのか。そういう議論が出てこないと、法の仕組みとしては、今のままでいくしかないのかなと考えてしまいます。あとは補助金で飴をちらつかせるしかないのかなという気もするんです。その辺はどういうスタンスでやっていくのでしょうか。

○加藤委員長 なるほどね。現行の法律ではどういうふうになっているのか、後で室長にでもお答えいただくとして、その前に木曽さん。

○木曽委員 公的関与というのも、多分いろいろな形があるんだろうと思うんですけれども、今回の法改正で、検査結果については都道府県知事に報告をするという事項が入っておりますので、例えばそういうことの内実をどのように情報公開していくかというのも一つの公的関与の方法ではないのかというふうに思っております。
 ですから、その地域全体で、掌握している地域の保守点検による整備の状況が、今どういうレベルにあるのか。それが他の地域と比べて、優れているのか劣っているのかというような比較も含めて、情報公開が市民のレベルにまで行けば、これまた認識が変わってくるのではないかというふうに思いますので、そういう公的関与もあるんではないか、情報公開という形での関与もあるんではないかとちょっと思っております。

○河村委員 ちょっとよろしいですか。

○加藤委員長 はいどうぞ、河村さん。

○河村委員 これもちょっと公的関与にかかわるかもしれませんけれども、先ほど須藤先生が言われたことにもかかわると思うんですけれども、今回の検討課題の中に、必ずしも事業者のことについて言っているようなことがないのかなと。保守点検とか清掃とか製造とか、そういう事業をする人たちのことについてのことがないのかなと……

○加藤委員長 スペシフィックにですか。

○河村委員 いや、その議題としてといいますか。須藤先生が先ほど言われたかと思うんですけれども、それは先ほどの山田先生の発表にも絡むんですが、やはり事業者はいろいろな方がおられるというふうなときに、できるだけいい方向に持っていくということが必要だということで、意欲あるいは自身を持って仕事をやっていけるような、何かクオリファイするようなこともあってもいいのではないかというのが、ちょっと先ほどの公的関与とか須藤先生の意見なんかの流れの中で感じたんですけれども。そういうところで、公的なところが関与していくこともあり得るのかなというふうな気がするんですけれども。

○加藤委員長 はい、ありがとうございました。
 では国安さん、手は挙がっていないんですが一とおり、国安さんはいろいろな思いを常に持っていらっしゃると思いますけれども、どうですか。あなたから見ると、浄化槽の世界に日々接している国安さんから見ると、いろいろな課題がこういう具合に出ているわけですけれども、どういう問題にプライオリティーを置いて、あるいはどういう原則でこの問題に対処していくかということなどについて、何か御意見ありますか。

○国安委員 まず、公的関与に関する個人的な考えは、下水道と無理に区別する必要はないのですが、浄化槽の基本は民民であると思っています。なのになぜ、今、公的関与が必要かというと、これまで浄化槽といえば、繋ぎの施設である単独処理浄化槽をメーンとしたシステムであった。そのため、これからは下水道と並ぶ恒久的な施設である合併処理浄化槽をいっても、関連業界や地方自治体も考え方の切替えができていない、ましてや住民もできるはずがない状況です。このような流れの中で、一旦、地方行政に公的関与をしていただいて、小さくても下水道と同じ生活排水処理施設であるという本来のあるべき姿に切替える必要があるためです。先程の山田さんのお話にあった飯能市の事例と同じように、最初に市町村が主体となり、システムが順調に動き始めると民間主導型でお願いしますというように。さらに、市町村設置型であっても、新たな動きとしてPFI手法を導入される市町村が増えてきています。

○加藤委員長 何ですか。

○国安委員 PFI。浄化槽市町村整備推進事業において、住民への啓発、届出、設置及び維持管理などを民間企業体に全面依託したシステムです。

○加藤委員長 PFIですね。

○国安委員 はい。平成16年度から福岡県香春町でスタートした事業形態で、次いで、北海道の壮瞥町でも導入されて、事業が行われています。さらに、今年度内に岩手県の紫波町や大阪府の富田林市でもPFI手法を導入した市町村設置型が開始される予定で、いずれも、内閣府の補助金をもらって導入検討業務が行われています。要するに、公的関与といっても市町村の関与度合いが異なる浄化槽システムが色々、出始めています。単独処理浄化槽の時代から浄化槽システムをあるべき姿に切り換えるためには、どういう手法でどうやっていけばいいのか、関連業界が自らできない場合、一律の手法でなく、いろいろなメニューを揃え、そのメニューの中から、これまでの経緯を踏まえ地方自治体が選択できるようなものを提示する必要があると思っています。
 さらに、先程、北尾先生が発言されたことについても、維持管理業として、保守点検、清掃のいずれを中心として実施していくのか、現在、下水道の維持管理の民間委託に際し提言されている仕様発注から性能発注への流れなどを踏まえた議論が必要なのではないでしょうか。他の分野における維持管理体制の動向を参考としながら、浄化槽の保守点検、清掃におけるあるべき姿について、基本的な考え方を整理できればと思っております。
 以上です。

○加藤委員長 なるほどね。
 北尾さん。

○北尾委員 こういう法律の大幅な改正というような、何か節目でなければ、大体維持管理に関することというのは、教育センターの中に維持管理基準等検討委員会というのがありまして、そこで私がまとめ役で個別的な問題について検討して報告を出し、それを行政に反映するというような仕組みになっていたんですけれども、私それを長いことやっていて非常に無力感を感じるのは、何を決めても、それがどの程度守られたのか守られていないのか、何もわからないんですよ。だから、どんな理想的なことを決めても、それが実行されているかどうかチェックするという仕組みが、まず要ると思うんです。
 それからもう一つは、ただもう忠実に基準を守るだけじゃなくて、個々の企業の企業努力というものがやはり要ると思うんです。ですから、いい管理をしたものは報われる、悪い管理をしたものは何がしかのペナルティーを受けると、そういうような仕組みを考えないと、あと何を考えても、それこそ悪貨が良貨をという話になるわけですね。だから、僕はこういうことを個別に、ここに挙げられているようなことを個別に議論するよりも、そういう仕組みを新たにどうやって構築していったらいいかということさえ、多分それが法定検査を活用するということになるんだろうと思うんですけれども、その仕組みさえしっかりできれば、自然に事はうまい方向へ運んでいくんじゃないかなというふうに思っております。

○加藤委員長 なるほど。
 諸先生方から大変知恵に満ちたお話、ありがとうございました。私自身も何がしか考えることがありますので、今日のまとめといいますか、ちょっと御披露したいと思うんですが、その前に幾つか事務局で、現時点でお答えいただけるような問題が幾つかあったと思いますので、それについて室長の方からお答えください。

○松原浄化槽推進室長 事務的な御説明を申し上げます。
 まず事業者に対する監督ということでございましたけれども、法令上は皆様御案内のとおり基準が定められておりますので、基準に適合しないものについては許可等を行わない、取り消すなどという仕組みになっているところでございます。ただ、それを超えた情報の提供の仕組みというのは、公的に統一された制度とは、ございません。産業廃棄物の処理については、そういったような取組が今進められているというやに聞いておりますし、ほかの分野でも事業者に関する情報の公開というのが進んでいる分野もあるというやに聞いておりますけれども、浄化槽について、特に組織立って公的に行われている状況にはないというふうに思っております。
 それから管理者に対しても、やはり検査に従わないといったような場合につきましては、助言を行ったりですとか、あるいは措置命令を行ったり、あるいは罰則を付したりというような仕組みは、法的にはできているところでございます。

○加藤委員長 その管理者に対する、例えば受検しなかった人に対して、今度の法改正で求められるようになったんでしたかね。今度の法改正で、やらない人について。

○松原浄化槽推進室長 新しい仕組みと致しまして、受検しなかった者に対してその指導等を行う、助言ですとか指導ですとか、あるいは勧告を行う。さらに、それにも従わない場合には改善命令を行う。従わない場合には過料を課すというような仕組みが整えられているところでございます。

○加藤委員長 というわけで、一応そういう仕組みは少しずつできつつあるということですね。ただし、これはまだできたばかり、最後に説明のあった点は、今回の改正に伴ってできたことだというふうに私は思っております。
 この維持管理の問題は言うまでもなく、非常に難しい問題をたくさん含んでいます。それは、業界の皆様にとっても、例えば保守点検業界、清掃業界それから各業界団体にとっても、かなり切実な問題であることは、もう既に皆様御高承のとおりです。現に、ここにお願いをして来ていただいて、いろいろと御意見を頂いた中でも、幾つかの団体によっては異なる考え方が表明されているというのは、もうこのレポートにも書いてあるとおりですし、また浄化槽の世界に少しでも詳しい人だったら、よくわかるとおりであります。
 やはりこういうものについてお答えを出すというわけですが、何か裁判官みたいにAがよくてBが悪いとか、BがよくてAが悪いとかという、そういうものをそう単純に出せるものではなくて、もう少し考えながら出していかなくちゃいけない。ただ問題は、どういう視点でそういうことに対する専門委員会としての意見を形成していくかということだと思うんですね。それは、いわば個々の課題が出てきたときに判断する基準といいますか、そういったものだと私は思っております。それを作っていくということだと思うんですが、まだそれができているわけじゃもちろんありませんけれども、これから形成していこうと思うんですが、そのヒントになることは、もう既に先生方の御発言の中にいろいろとあるように思うんですね。
 一つは、これは浄化槽の世界だけじゃなくて、あらゆる分野で今言われていることですが、透明性であると。説明責任といいますか、透明である。具体的に言えば、例えば浄化槽ユーザーからしてみて、どうしてこの清掃の費用がこんなに1万円もするのとか、それからこの前清掃をやったと思ったら今度は保守点検をして、またお金とられた、どうしてなのというものに対して、やはりこれまでも、もちろん当然ながら説明はされてきていると思うんですが、きちっとした説明がなければならない。また、なぜそういう料金になるのか、そういったものについても、もちろん地域地域によって違うし、状況によって違うし、いろいろなことではあるんですが、それにしても一種の説明責任といいますか、透明性というのが求められるというのが一つあると思うんですね。
 もう一つの原則みたいなものは、皆様方からの御発言の中から私がピックアップすると、やはり一種の経済効率性といいますか、高ければいいというものじゃなくて、やはり安く―単に安ければいいというわけじゃないですが、経済効率性だと思うんですね。これは例えば山田さんの御発表の中にもありましたように、特環下水道でも維持管理費がかかっていると。それから、普通の公共下水道でも当然維持管理費がかかっている。これはユーザーにもかかる分もあるし、税金でもって賄う部分があると。下水道と浄化槽の比較の場合には、飯能市が3万円の補助金を出しても、なおかつ特環下水道とか浄化槽下水道よりも経済的に効率性が高いと、そういう御説明がありましたけれども、例えばそういうものというのは非常に重要なものだと思うんですね。そういうことで、経済効率性ということもまた一つ重要だと。
 それから、では透明性と経済効率性さえあればいいのかというとそんなことはなくて、やはり環境を守るというのは、やはり我々にとって非常に基本ですので、環境保全性という言葉があるかどうかは別ですが、やはりそういうことをやったことによって環境がどのくらい守られているのかということも、また重要だと。
 もちろん、それ以外にも原則が幾つかあると思うんですが、そういう原則に照らして個々のいろいろな事案について、我々の意見を形成していくということが求められるのかなというふうに思っていまして、そういうアプローチの仕方自体は皆様どうでしょうか。ある程度の原則みたいに―原則は原則であって、常に全くリジットなものだとは私も思っていませんけれども、一つの共通の、我々がよって足すべき基盤みたいなものをある程度きちっとしておくというのは、まずその辺から個々の問題についてアプローチしていくというやり方はどんなものなんでしょうか。違和感ございますでしょうか。
 須藤先生いかがですか、うんとうなずかれると、私も大変心強いですね。

○須藤委員 先ほど北尾先生も言われていたんだけれども、いろいろ御意見を頂いた一つ一つに答えていくというのは、これは不適切ですよね。我々だって、そんなこと知らないんですもの。
 それから、これは原則じゃないんですよね。一つ一つは、それは行政なり、あるいはそういう場で決めればいいことであって、我々は原則論を議論して、そういうもの、具体論が評価できるような物差しなり考え方をきちっとしておくべきなんだろうなと、こう思いますので、委員長がまとめられた、透明性というのはどうやったら確保できるか、それから経済効率、コストの問題ですかね、これをやはりできるだけ高くじゃなくてできるだけ安く、それからエネルギーも安く。これは当然ですね、今の時代ですからそれは必要ですよね。それから、それだけじゃ具合悪くて、やはり本当に水がきれいになっているのか。
 それからもう一つ大事なことは、私、一方では、後で解説していただきたいんですが、環境基本計画を今、改定しているんですね。水の中で一番重要になっているのは、健全な水循環をどう確保するか。環境保全、水質じゃなくて、健全な水循環をどうして確保していくか。すごく難しいことです、その指標をどう創り上げるとか。それで、その辺も含めて、浄化槽というのは維持管理のことが、健全な水循環の確保を確保していくのはどう重要なのかというようなものも、私は併せて議論していただいて、間に合えば11月だか12月の末だったかな、とにかく出さなくちゃいけないですよ、環境基本計画の原案を、その水循環を。それに間に合うようなぐらいのコメントを私は欲しいなと、実はそう思っています。

○加藤委員長 なるほどね。ありがとうございました。
 新美さん。

○新美委員 今のような視点は、私は非常に大事だと思うんですが、ここに出ているのは維持管理をするために、どういう制度をつくったらいいかということが一番中心ですので、そのためにどういうシステムを用意するのかということを、やはり明確に意識する必要があるんじゃないかと思います。
 先ほど経済効率性とか環境自主性とか、いろいろなファクターが出てきましたし、それから民民の問題だというような御発言もあったんですが、考えなきゃいけないのは事業者と管理者の間は民民とか経済効率性で十分ですけれども、環境の問題というのは、管理者が環境に排出する汚水をどうやったら少なくできるのかということですから、ここではむしろ環境性の方が大事になってくる。ですから、どこのチャンネルを議論するのか、そのためにはどういう制度を用意したらいいのかということを、もう少しきちんと押さえていく必要があるんじゃないかと思います。
 先ほど来、管理者に対しては指導、勧告、改善命令だと言うんですけれども、それはどういう事態になったらなるのかということですね。例えば実質的に環境を汚したら指導するのか、あるいは点検を怠ったら指導、勧告するのかというような、基本的な仕組み自体によっても動かし方は違ってくるんですね。例えば、後者のやり方だったら、車検制度と同じような制度を浄化槽に設けるのかどうかという制度論に発展していくわけですね。ですから、その辺どういう観点で管理者に対して、その義務を履行させるのか。あと事業者に管理者については、先ほどの登録制度とか、あるいはより質のいい維持管理のサービスの提供をするためにはどうしたらいいのか、そういう議論にしていくことが大事だろうと、そういうふうに考えます。

○加藤委員長 維持管理のシステムというものを想定せよということですね。大変ありがとうございました。
 ほかに何か。大体よろしいでしょうか。そうすると、時間もちょうどいい時間になりました。
 いずれにしても、私どもは維持管理の在り方について答えを出すと。ただ、それが余り抽象的でもまた、現実に実際上、業をやっている方々がいらっしゃって、その方々にとっては切実な、現実的な問題があるわけですから、そういったものにお答えができるベースをきちっとつくらなくちゃいけない。先ほどの新美先生がおっしゃったような、どういう事態になったら例えば勧告を出すのか、どういう事態になったら指導するのかとか、どういう事態になったら罰則といいますかペナルティーをかけるのかとか、そういうところももちろん単に、これも余り一般論、抽象論じゃなかなかいかないと思いますけれども、そういうことも含めながら、現実的な対応も十分考えながら、なおかつそうかといって、私ども専門委員会として、そう個々の北海道から沖縄まで、ある浄化槽のすべての状態について別に把握しているわけでももちろんないわけですし、それぞれについて個々のいろいろな状況、地域の状況にもよるでしょうし、その地域が長年培ってきた慣行もあるでしょうし、地方公共団体の考え方もあるでしょうし、業界団体としての一種のポリシーもあるでしょう、フィロソフィーもあるでしょう。だから、そういうものも視野の中に入れながら、何とかいい答えを出していきたいなというふうに思っておりまして、次回あたりには私は事務局に、今日先生方から出たような視点も含めて、ちょっとこの維持管理の問題にアプローチする上での視点といいますか、そういうあたりを少し提示していただけるといいのかなというふうに思っています。私自身も事務局と一緒になって少し考えてみますので、また素案みたいなものを皆さん方に出したいと思いますので、それをもとに議論を進めていくと。
 そして、最終的には少し遠回りになるかもしれませんが、資料5に出ておりますような、現実的な課題にもお答えをしていくと、答えられるようなものにしていきたいなというふうに思っております。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 先生方も、お風呂にでも入るときに、さあどう料理したらいいのかなというのを、ぜひ時々考えてみてください。木曽さんや北尾さんは、新幹線の中で富士山でも眺めながら、維持管理の問題たくさんあるけれども、どう料理したら一番いいのかな、どういう順番で踏み込んでいったらいいのかなというのを、ちょっと考えてみておいていただきたいというふうに思います。
 それでは、次回についてちょっと事務局から。

○松原浄化槽推進室長 次回は、11月21日、月曜日の10時から12時までで予定をしておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

○加藤委員長 11月21日の10時から。

○松原浄化槽推進室長 10時からでございます。

○加藤委員長 というわけで少し間があきますけれども、11月21日午前10時、場所はどこになりますか。同じ場所、場所はここだそうであります。経済産業省というか中央省庁の別館というところであります。
 それでは、それまでの間、諸先生方もぜひ、この資料5をいつも眺めながら、さあどうやって料理をするかということを、是非いろいろな形でお考えいただきたいと存じます。
 それでは、11月21日にお目にかかります。
 どうも御苦労さまでした。

午後 4時12分 閉会