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産業構造審議会 環境部会 廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会
第7回合同会議 議事要旨


平成16年7月12日(月)13:00~15:00
場所:三田共用会議所 講堂


【事務局から資料3-1,資料3-2について説明】
・自動車リサイクル法の施行に向けて、自工会及び自動車輸入組合では自動車リサイクル の仕組み構築に努力してきた。特にASRの再資源化については、2つのチームを作る ことでコストダウンを図り、消費者の負担する費用を最小化するよう取り組んできてお り、来年の施行までには予定どおりに仕組みを構築できるものと見込んでいる。

・ASR再資源化の技術には5つの分類が示されているが、これらをうまく組み合わせる ことで、法律に規定されているリサイクル率は十分にクリアできるものと見込んでいる。

・資料3-1に別添としてASR再資源化施設の能力が地域別に示されているが、個々の 施設の詳細を公開してほしい。というのも、ASRの再資源化施設までの距離が125km までであれば破砕業者が運賃を負担することになるため、適正な施設配置となっている のかを確認したい。また、図中の破砕施設には鉄リサイクル工業会の会員企業がどの程 度参加を認められたのかについても確認したい。

・ASRはサーマルリサイクルが中心だと思うが、一部は埋め立て処分されるものも出て くると思われる。埋め立て処分量をどの程度と見込んでいるのか。

・フロン類は気体であり、運搬中の漏洩などが気にかかる。これらをどのようにチェック するのか。

・資料に破砕施設の立地状況は示されているが、ASRのリサイクル施設はどう立地して いるのか。

・ASRリサイクル施設におけるスラグの利用についてはどのように評価しているのか。
 また、ASRのリサイクル率は現状でどの程度と見ているのか。

→ASRリサイクルについては、現在、各チームがどの施設にどのくらいの量を出すのかの交渉を進めているところ。最終的に決まった時点で報告したい。

→現状では、ASRの発生量と再資源化能力は地域によって偏在しており、埋立もやむを得ないと考えられる。実施状況については、自動車メーカーの公表値から把握できるようになっている。
→施設の再資源化能力を積み上げるにあたり、スラグについては路盤材等としての利用を前提としている。

→2005年度のリサイクル率の目標である30%は十分達成できる状況であると見込んでいる。

→フロン類についてはボンベの取扱に関して高圧ガス保安法を遵守する必要があり、同法に従って取り扱えば漏れる心配はない。加えて、引取場所での重量チェックやマニフェストによる管理などを通じて適正な引取・破壊がなされるよう取り組んでいく。

・ASR再資源化施設については、量と価格を交渉中であり、秋口には全部再資源化も含めて公表できる予定である。

・ASRのリサイクル率については、現状では実測していないが、2005年度の目標に関しては必達ということで準備を進めている。

・ASR活用率については、適正な資源利用・環境保全の観点から、国民が共有すべき情 報であり、透明性、第三者検証も含めた検証可能性、トレーサビリティを確保する必要 がある。低コスト・効率性を追求するあまり、適正な資源利用・環境保全性能を犠牲に することのないよう配慮してほしい。

・自動車メーカーはASRのリサイクルを2つのチームに分かれて実施するとのこ とであるが、どこまで共同で実施 するのか。例えば、指定引取場所は各自動車メーカ ーが指定するのか。

→破砕業者毎にリサイクル施設が指定引取場所として指定されている。両チームから共通の指定引取場所として指定を受ける施設も出てくるが、全ての施設が重なることはないであろう。

・ASRリサイクル施設や破砕業者の分布には偏りがあり、バランスが取れていないがうまくいくのか。

・フロン類の破壊施設として自社回収破壊施設の分類があるが、これらの施設において適 正な処理がなされているのかのチェックはするのか。

・リサイクル率の目標が課せられていること、費用をユーザーに負担いただいていること から自動車メーカーに説明性・透明性が問われている点は認識しており、コストミニマ ムと同時にその点についても最大限の努力を払っていきたい。


→フロン類の自社回収破壊施設においても、どのような形態でフロン類が持ち込まれたのかについては把握できる。また、破壊に際してはマニフェストによる管理・記録をしっかり行うとともに年数回の監査を実施し、すべての施設についてその結果を公開することとしている。

・破砕業者については、鉄資源回収の歴史的背景から、発生量の多い関東・近畿地方に集中している。一方、ASRの再資源化施設は30事業者程度(ここ10年以内でできた施設がほとんど)であり、これらをうまく活用していきたい。破砕業者からの輸送距離が125kmを超えると自動車メーカー負担となるため、なるべく遠距離輸送にならないようにしていきたい。

・情報の開示・共有は非常に重要である。処理・リサイクルの確実な運営、ユーザーが費 用を負担していること、回収・リサイクル事業者の利便性等の観点からチェックしてい く体制を整備していく必要がある。現在は施設選定等の過程であるが、今後どのような 情報を公開すればよいか適宜意見を求めていきたい。

【事務局より資料4、資料5について説明】
・輸入車については現在リサイクル料金の算定作業中であり、海外本社の決定を経て、お 盆休み明けを目途に公表する予定である。輸入車の料金について、3品目のリサイクル に直接必要となる費用は国産車と変わらない水準となるが、ELVの発生量が国産車に 比べて少ないため、管理費や人件費等の間接コストの部分で国産車よりも割高となるこ とが予想される。

・当初予想していた価格よりも安い水準となっているが、業界としてどのような努力がな されたのか。

・ASRの発生量については55~75万tという数値があるが、多く発生した場合その分の リサイクルコストは割高となるが大丈夫か。

・ASRのリサイクルについては高いコスト水準から交渉スタートした。3品目のリサイクル料金の合計額として当初1台あたり2万円前後と予想していたが、それよりは低い水準となっている。どのような努力を払ったかについて一概には言えないが、自動車メーカーが共同で再資源化等を実施することによる効率化などもそのひとつである。例えば、フロン類の8割の処理を全国3ヶ所の施設に集約したところ、現状のフロン回収破壊法のスキームよりも安く処理できるようになった。(委員の発言では?)

・ASRの発生量については、輸出、中古車市場の動向などに影響されることから、よくわからない。このため、現状の推計の最大値である75万tを想定した差配を進めているところである。シュレッダー業者に聞いた範囲でもその程度ではないかとのことであった。
・剰余金については離島対策、不法投棄対策等に出えんするとのことであったが、ユーザーに対するリサイクル料金の引き下げについてはどのように行われるのか。

・リサイクル料金の“水準”という表現はユーザーに予断を与える恐れがある。あくまで イメージということであれば、「一例」「例示」という表現の方が適切ではないか。

・どのような項目がリサイクル料金に含まれているのかが明確にならないとユーザーの理 解を得にくいのではないか。

・普通乗用車でも1万円~1万8千円と幅のある数値となっているが、このような差が生 じる主たる要因は何か。

→剰余金が発生すれば離島対策、不法投棄対策に使っていき、資金管理・情報管理業務の状況を見てこれらの業務に要する費用への充当も検討してくこととなると考えている。ユーザーへの還元(リサイクル料金の引下げ)については、さらに一定規模の剰余金が発生した場合に検討していくこととなる。いずれにしても、剰余金の発生状況を見ながら対応していきたい。

→リサイクル料金の水準という表現についてであるが、ご指摘のとおり今回提示した料金はまさに例示である。

→リサイクル料金に含まれる費用の項目については、自動車メーカーや輸入事業者との対話を通じて明らかにしてきている。ユーザーが負担するのにふさわしくない項目が入っていれば是正していく。

→リサイクル料金に差が出ている要因についてであるが、例えば同じ普通乗用車でも重 量などには車種間でかなりの差があり、さらにASRの発生量も異なることなり、そういったものが影響している。

・廃車の発生台数はほぼ一定で推移しており、ASRの発生量が75万tを超えることはな いと思われる。55~75万tという値は適正であると考えられる。

・リサイクル料金については、現在国内自動車メーカー各社で検討中であり、極力今月中には各社から公表される予定である。

・今後、国内自動車メーカー、輸入事業者各社から公表があると思われるが、リサイクル料金の内容についても念頭に置きながらメーカーサイドではよく考えて料金の公表をお願いしたい。資金管理料金・情報管理料金については、今後認可の手続きが進んでいくことになる。

【事務局より資料6について説明】
・当初はリサイクル料金公表のタイミングに合わせて普及活動を開始すると聞いていた  が、テレビCMなどの本格的な普及活動が10月以降開始と遅くなったのはなぜか。
 既販車については車検までにリサイクル料金の預託がないと車検が受けられないように なることから、ユーザーへの周知を遺漏無きようお願いしたい。(意見はひとつでは?)

・3品目のリサイクル費用に加えて、その他の適正処理の費用が必要なことをユーザーに 周知徹底してほしい。

→リサイクル料金発表から徐々にPRを行っていき、10月以降に集中的な広告を実施することで一気に認知度を高めるという計画であり、当初の予定時期から大幅に遅れたというものではない。

→テレビCMの時期を限定しているのは、ユーザーの負担費用を抑えるとともに、もっとも効果的にPRを実施するという意図によるものである。

・ユーザーへの車検の通知は半年前に行っているところもあることから、法施行当初にユ ーザーの混乱がないか心配である。

→チラシや新聞広告などによって7月からPRを実施することは事実であり、テレビCMについては集中させるために後倒しにしている点はご理解いただきたい。

→リサイクル料金とは別に費用が必要な場合もあるという点についてはお手元に配布したチラシにも記載しているが、今後も周知徹底していきたい。

・PRについては関係事業者の協力をお願いしたい。加えて、国民の法律に対する理解も重要であり、その点については国としても効果的な施策をお願いしたい。

・消費者団体としても、広報活動には積極的に関わっていきたい。相談窓口が重要であり、
 トラブルが起こった際の相談窓口の設置を是非お願いしたい。また、ユーザーの窓口だけでなく、関係事業者向けの窓口も設置してほしい。

・日本自動車連盟としても会報誌やホームページ等を通じてPRに協力していきたい。

→相談窓口としては自動車リサイクルに関するコールセンターを既に開設しているので、積極的に活用してほしい。

→国としても政府広報等を通じてPRに努めていきたい。自動車リサイクルに関する予算だけでなく、政府共通の普及啓発予算も活用していきたい。併せて自治体へも協力をお願いしていきたい。
・普及啓発については各関係者の協力が必要であり、自動車リサイクル促進センターを中 心に情報共有できる体制を整備してほしい。

【事務局より資料7について説明】
・不法投棄対策について、自治体においては「生活環境の保全を確保するために明確な目 標や計画を立案していること」とあるが、現状の廃棄物処理計画以外にも新たな計画を 策定する必要があるのか。

・使用済自動車は実態として一般廃棄物が多いと思われるが、市町村/都道府県はそれぞれどのような場合に対応するようなイメージなのか。

→新たな計画の必要性ということであるが、センターに撤去台数をあげて頂く際に計画を提出していただくことになる。ただし、対策の可能性がある場合には、逐次、自治体と事前に打ち合わせの場を持たせていただくことを考えている。

→都道府県と市町村の対応範囲であるが、代執行を行うのがどちらかということであり、どちらかに決めるものではない。

→出えんの要件については今後自動車リサイクル促進センターの方で要綱を準備して頂くこととなる。出えんの際には、自治体の取組内容を踏まえておく必要があるが、特別な取組を求める趣旨ではなく自治体として本来行うべき取組がなされていることを確認していくことになると想定している。

→現状の不法投棄については、施行前に改善されるよう自治体で鋭意処理して頂くことになるが、その状況については今秋に調査する予定である。様々なケースを見ながら市町村と都道府県の役割分担を含めて対応を考えたい。

・大規模な不法投棄については自動車以外の廃棄物も混在した形で投棄されるケースがあ り、ASRの特定などが難しくなることが予想される。また代執行した場合には費用が とれないことが予想されるが、どこまで資金を見込めばよいかも難しい問題である。

・使用済自動車の一般廃棄物と産業廃棄物の区分けについても整理してほしい。

→産業廃棄物の原状回復基金もあるので、これも踏まえて実務上の取り回しを検討していきたい。

→現状の不法投棄については法施行前に処置することを原則としている。自動車リサイクル法では使用済自動車を有価/無価を問わず全て廃棄物と定義していることから、現状有価物として野積みされているものも法施行後は廃掃法違反となるため、自治体の指導により鋭意改善と考えている。法施行後にどのような対象が出てくるかは実情を見ながら対応を進めていきたい。
・関係者の意見も聴きながらマニュアルを整備してほしい。

【事務局より資料8について説明】
・二輪車の自主取組について、輸出される二輪車の扱いはどのようになるのか。

・家電リサイクル施設を活用するとのことであるが、家電と二輪車では処理・リサイクル 特性に違いがあると思われる。それに対応するためどのような準備を進めているのか。

→輸出を含め有価として流通することを阻害するものではない。廃棄台数については、実際にシステムを回してみないと分からない。

→家電リサイクルのシステムについては、共有できる部分(物流およびシュレッディング設備)を活用していくというイメージである。

・輸出された二輪車のリサイクル料金はユーザーには戻ってこないということか。

→新車のリサイクル料金についてはある程度輸出されるものが出てくることを加味して内部化しており、輸出された場合でも料金は返還されない。

・四輪車や家電製品と二輪車では扱いに濃淡がかなりあるように見受けられる。例えば、リサイクル率の目標達成に関する各種データについて言えば、四輪車では透明性に配慮して公表がなされるのに対し、二輪車ではその部分がよく見えてこない。また、二輪車では輸出される車両のリサイクル料金は返還されない。こういった製品間の濃淡を回避する方向での議論、仕組み構築をお願いしたい。

・二輪車の場合はEPRに基づきリサイクル費用が内部化される制度となっているため、 車両とリサイクル料金が1対1対応でない点については支持したい。

・既販車については、輸出されると見込まれる場合には費用徴収されないという扱いとな ると思われるので、そういった点を説明した方がよいのではないか。

→二輪車の場合はリサイクル費用を内部化しており、内部化とはリサイクル費用を企業努力で吸収するということ。内訳がいくらかということは公表できないが、企業努力の範囲で責任を持って引取・処理を行うという仕組みである。また、海外に有価で輸出されることを阻害するものではない。

・自主取組は素晴らしいが、一方で二輪車のユーザーには大学生などが多いと思われるが、 彼らが4千円もの金額を負担するのかは疑問である。さらなるPRをお願いしたい。消 費者団体としても応援したいのでコミュニケーションの場が欲しい。

・リサイクル料金について四輪車との整合性は図られているのか。

→メーカー責任のもと、ユーザー負担を減らすべく努力して、こういうリサイクル料金となった。仕組み構築は自動車メーカーが負担して行い、リサイクルに要する実費についてはユーザーに負担いただく。実費としては、指定引取窓口での手続き費用、指定引取窓口から処理施設までの運搬費用、処理費用がある。

・メーカー責任はわかるが、説明を求める。

・リサイクル率を担保する方法や料金の公表の仕方、チェック・報告の体制整備などに関 して、ユーザー向けの普及啓発も含め、実際のシステムを動かしながら、また委員の意 見を聴きながら考えて頂きたい。料金の公表もこれで終わりでなく追加資料も必要では ないか。少なくともシステム全体で要した費用については、適正なコストであることな どユーザーに示していく必要があると思われる。

・四輪車の話を最後に一点。自動車リサイクルのシステム構築に要したイニシャルコスト (約100億円)の全額、普及啓発費用(約15億円)の半分は自動車メーカー等が負担し ている。これはリサイクル料金に転嫁しておらず、自動車メーカー負担。また、リサイ クル事業で利益を上げることは毛頭考えていないし、2005年に徴収したリサイクル費用 は2015年に消費することになることから、その間のリスクも非常に大きい。このように 自動車メーカー等では循環型社会づくりに向けて努力している点をご理解いただきた  い。 

以上