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産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会
使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループ、
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会
使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループ
第1回合同会議 議事録


平成22年7月1日(木)

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 定刻でございますので、これより産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループ及び中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループ第1回合同会議を開催いたします。
 まず、事務局側よりごあいさつを申し上げます。

○上田リサイクル推進室長 環境省リサイクル推進室長の上田でございます。
 本日はお忙しい中、本合同会議に御参加いただきまして、ありがとうございます。
 平成17年1月に自動車リサイクル法が施行され、その後、5年が経過することを受けて、平成20年7月以降、両審議会で御熱心にリサイクル制度の見直しについて御議論を頂き、その結果、本年1月に取りまとめることができたところでございます。
 その報告書では、自動車リサイクル制度全体については概ね順調であると評価を頂きまして、しかしながら、制度の改善点について幾つかの御提言を頂いて、その1つが、今般御議論いただくことになります中古車と使用済自動車の取り扱いの明確化でございます。
 その明確化につきましては、自動車リサイクル法の審議の中でも一連の流れを議論していく中で、自動車リサイクル本体は非常にスムーズに動いている、それは本当に本日御参加いただいている皆様の御尽力の賜物でございますが、その入口のところのルールをもう少し明確にすることが、全体の流れの円滑化に大きく資するのではないかと考え、今般、御議論いただくわけでございます。
 その入口のところの基準、考え方の明確化と一口に言っても、非常に難しい問題がたくさんあるかと思います。ガイドラインというものでどこまでできるのか、その性格、幅の広さ、そういったものはこの審議の中で皆様のアドバイスを頂きながら、多くの方の役に立ち、また喜ばれるようなものを成果として具体的にまとめたいと思いますので、御尽力のほどよろしくお願いいたします。

○田中自動車課長 経済産業省、自動車課長の田中でございます。
 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 先ほど上田室長からもお話がありましたように、自動車リサイクル法が施行されてはや6年ということで、昨年の産構審・中環審の合同会議においても、大変順調に法制定の目的を達成していただいているという評価を得られていると理解しております。
 こういう状況がきちっと生まれていることにつきましても、多数の関係者の皆様方、ディーラーの皆様方、中古車取扱業者の皆様方、それから解体業者の皆様方、破砕業者の皆様方、それを処理される業者の皆様方、リサイクルをされる皆様方、はたまた自動車メーカー、その他ここにお集まりの関係団体の皆様方が心を1つにして、この制度の発展に取り組んでいただいた賜物であると思います。これまでの御努力に改めて感謝申し上げたいと思うところでございます。
 昨年の審議にもございましたように、大変順調に進んでいるということではございますけれども、関係者の役割分担という関係から、法制定時には想定されていなかったさまざまな事態が発生してきておりまして、その問題を少しでも解消するために、今回、ガイドラインを制定するということで、皆様方のお知恵を拝借し、御審議をしていただく、こういうふうなことだと理解しております。
 この想定外の事態というもの、とりわけ経済情勢が大きくその背景にあろうかと思いますけれども、価値観の入るところは大変難しい問題があろうと思います。まずは客観的にどう評価できるかというところから整理していくことが大事かと思っております。そして、何はさて置きましても、どのような社会情勢、どのような経済情勢の変化がありましても、このリサイクル法の目的がきちっと達成されていく安定的な制度であること、これが一番大事なことであろうかと思います。
 そういう観点からどのような整理がされていくか、皆様方のお知恵をぜひお借りしまして、世の中の役に立つ、そういう基準ができることをともに目指したいと思っております。今回の検討を通じまして、使用済自動車の適正な流通の確保、それから不法投棄、不適正保管事案への対応の迅速化が図られるような、きちっとした枠組みができることをともに目指したいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわりませず御出席いただき、大変ありがとうございます。
 本会議でございますが、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループと、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会の自動車リサイクル専門委員会使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループ、長い名前でございますが、両ワーキンググループ合わせまして16名の委員の方々で構成されております。
 本日の御出席の状況でございますが、15名の委員の皆様方に御出席を頂いております。産業構造審議会環境部会使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループにつきましては13名の御出席がございまして、定足数であるところの過半数に達していることを御報告申し上げます。なお、中央環境審議会の使用済自動車判別ガイドラインワーキンググループでございますけれども、定足数の規定がございません。
 本日は第1回目ですので、まず、委員の皆様方と事務局の御紹介をいたしたいと思います。
 名簿順に御紹介申し上げます。
 まず、早稲田大学法学部教授の大塚直委員でございます。
 一般社団法人日本ELVリサイクル機構副代表理事の大橋岳彦委員でございます。
 財団法人日本自動車査定協会理事・事務局長の岡野直樹委員でございます。
 三重県環境森林部廃棄物対策室長の岡本弘毅委員でございます。
 NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長の鬼沢良子委員でございます。
 社団法人日本自動車連盟専務理事の久米正一委員でございます。
 群馬県板倉町役場環境水道課長の鈴木渡委員でございます。
 NPO法人関西消費者連合会消費者相談室長の砂田八壽子委員でございます。
 早稲田大学理工学術院教授の永田勝也委員でございます。
 社団法人全国産業廃棄物連合会専務理事の仁井正夫委員でございます。
 社団法人日本自動車販売協会連合会業務部長の林義高委員でございます。
 社団法人全国軽自動車協会連合会専務理事の宮嵜拓郎委員でございます。
 社団法人日本中古自動車販売協会連合会専務理事の武藤孝弘委員でございます。
 一般社団法人日本オートオークション協議会事務局長の森山龍幸委員でございます。
 川崎市環境局生活環境部長の横田覚委員でございます。
 なお、社団法人日本自動車整備振興会連合会専務理事の下平隆委員におかれましては、本日は御欠席となっております。
 また、本日はオブザーバーとして、社団法人日本損害保険協会自動車損調プロジェクトチームより、佐藤宣昭様、米村典泰様、渋谷淳一様に御出席いただいております。
 続きまして、事務局側の御紹介をいたします。
 先程ごあいさつ申し上げました、経済産業省製造産業局自動車課長の田中でございます。
 同じく、自動車課自動車リサイクル室長の荒井でございます。
 同じく、自動車課課長補佐の畑田でございます。
 先程ごあいさつ申し上げました、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室長の上田でございます。
 同じく、大臣官房付の森下でございます。
 同じく、リサイクル推進室室長補佐の豊住でございます。
 最後に私、同じく自動車リサイクル対策室室長代行、坂口と申します。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 本合同会議の座長についてでございますけれども、事務局といたしましては、これまで自動車リサイクル制度制定当初から審議会の委員長などしていただいており、かつ中立的な立場であられる永田委員にお願いしたいと存じますけれども、皆様、御賛同いただけますでしょうか。

(異議なし)

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 ありがとうございます。
 それでは、これ以降の議事進行は永田座長にお願いいたします。

○永田座長 皆さん、こんにちは。
 この合同会議の座長を務めさせていただきます永田でございます。
 先程からお話にございましたように、本年1月に自動車リサイクル制度の施行状況の評価検討に関する報告書を取りまとめましたが、その中で宿題となっておりました、使用済自動車か否かの判断の参考となる客観的な指標及びその判断の手順等につきまして、この合同会議で検討することとなっております。そのために、皆様方の活発な御議論と御協力を賜りたく、お願い申し上げます。
 それでは、会議を始める前に、事務局から配付資料の確認をしていただきます。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 配付資料の確認をいたします。
 お手元に議事次第、1枚物と、資料1から6まで、そのうち資料5については5-1、5-2、5-3と3部作になってございます。そして最後に1枚物として参考資料、これは1月に出ました報告書の抜粋でございます。
 もし過不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

○永田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の合同会議の公開につきまして事務局より説明してもらいます。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 議事の公開に関しまして、資料2をご覧ください。
 本合同会議の審議内容の公開についてでございます。
 議事の公開については、以下によるものといたしたいと思います。
 1、議事録については、原則として会議終了後1ヶ月以内に作成。これは記名で公開いたします。また、議事要旨については会議の後、速やかに作成、公開。
 そして、配付資料も原則として公開といたします。
 傍聴についても、会議の運営に支障を来さない範囲において、原則として認めるものといたします。
 また、会議の開催日程につきましては、事前に周知を図ります。
 また、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、また、特定の方に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には、座長の御判断によって、会議及び配付資料を一部非公開にすることができる、こういった扱いにしたいと考えております。

○永田座長 よろしいでしょうか。
 もし御意見ないようでしたら、この形で審議を公開の原則にしたいと思います。よろしくお願いします。
 続きまして、議題に入らせていただきます。
 議題は大きく3つございますが、まず最初の議題、使用済自動車判別ガイドライン検討に当たっての視点の整理ということで、事務局から説明していただきます。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 まず、資料3「使用済自動車判別ガイドラインの目的と位置づけ」を御覧ください。
 このペーパーでは、この会議に開催に至りました経緯、それから、今回策定しようとしますガイドラインの目的や位置づけについて御説明したものでございます。
 まず1つ目、検討の経緯・背景でございます。
 平成14年7月に成立いたしました自動車リサイクル法が平成17年1月に施行されて5年となるということで、この産構審、中環審、両会議におきまして、一昨年7月から今年1月まで施行状況について評価・検討を行ってきたわけでございます。この結果、本年1月にこの法律の施行状況の評価・検討に関する報告書が取りまとめられたところでございます。
 この報告書におきましては、4つの個別課題、具体的対策が示されておりまして、その1つとして、中古車と使用済自動車の取り扱いの明確化が挙げられております。
 ここは重要な点でございますので読み上げますけれども、具体的には、「中古車であるか使用済自動車であるかの決定は、所有者の意思を踏まえつつ、所有者と引取業者の間で決まるものであるものの、実際の中古車流通や不適正保管の現場においては、明らかに自動車の機能を損ない、使用済自動車と考えられる車両も存在する。このような状況を避けるためには、適正かつ透明性の高い法運用の観点から、当該自動車の客観的な状況に基づく判断を利用することが必要となる。」こういった記載が報告書にあったわけでございます。
 一方で、この報告書にもありますとおり、こうした使用済自動車かどうかの判断は、個別の自動車の状況や条件、また、その判断の場面等によって異なるものでございまして、すべて一律というわけにもいかないということで、今回、下取りですとかオークションですとか輸出ですとか、不法投棄に対する自治体の皆様方の対応等、場面ごとの判断の際の拠り所となるガイドラインを提示することが適当と、報告書にも書かれたわけでございます。
 2番、このガイドライン策定の目的。
 大きく分けまして、2つ考えてございます。
 [1]としまして、使用済自動車の適正な流通の確保でございます。
 法律第8条におきまして、自動車の所有者は当該自動車が使用済みとなった場合には、これを引取業者に引き渡すことが義務づけられているわけでございます。ただ、実際のところ、自動車の所有者が、使用済みなのか中古車なのかといった区分を余り意識せずにディーラー等に引き渡すことが多いなど、使用済自動車の引渡手続に実際のユーザーの方々があまり関与しない例が多くなっているのではないかといった指摘がございます。
 また、法第4条第2項には、引取業者は「自動車の所有者による使用済自動車の引き渡しが円滑に行われるよう努めなければならない。」とありまして、引取業者は自動車の所有者に対して、これを使用済みとするのかどうか、その判断の際の情報提供を行うことが必要と考えられます。ただ、実際にユーザーの方が車を手放す際には、ディーラー等で中古車として引き取られて、そしてオートオークション会場等を経由して、中古車としてリユースされるケースが多い。これは特に問題ないわけでございます。
 また、従来は廃車扱いとなっていたと考えられるような車両が、ディーラー等によって中古車として引き取られる。そして、ディーラー等が最終ユーザーとの間で直接の引取行為を行わないといったケースが多く見られまして、これが「引取業者としての機能が十分に発揮されていないのではないか。」といった指摘につながっているわけでございます。
 また、オートオークション会場は中古車の市場であることから、使用済自動車又はそれに類するものは出品できないとされているわけでございますが、一部の会場においては、客観的に見て「どうも使用済みではないか。」というものが中古車として扱われているといった指摘もございます。
 このような指摘を踏まえまして、中古車、使用済み、この取り扱いが曖昧となっていることを整理する、これが1つの目的と考えてございます。
 2つ目の目的でございますが、不法投棄・不適正保管事案への対応の迅速化でございます。
 不法投棄の現場におきましては、こういった車両の所有者を確知することがなかなか難しい場合も多く、この場合、車両の状況ですとか置かれた周辺環境ですとか、こういった条件に基づいて、これを使用済みと見なすのかどうか判断することとなります。
 また、不適正保管や不適正解体、これはれっきとした相手がいるわけでございますけれども、こういうところに対して自治体の方々が指導を行う際に、当該車両の所有者がこれを「中古車だ。まだ整備中だ。」と主張する場合がございますが、こういった場合、自治体による指導の根拠といたしまして、車両の状況等、客観的条件から、これを使用済みであると判断する必要がございます。
 こうしたさまざまな判断は、従来から自治体の方々によって行われてきたわけでございますが、改めて判断の手続、基準を整理することで、こうした対応をより迅速化、容易化することができないか、これがもう1つの目的でございます。
 3ページになります。
 こうした2つの目的に照らしまして、このガイドラインを活用する対象者として想定されますのが、1つ目の目的である適正な流通の確保といった観点からは、引取業者、解体業者、オートオークション業界の方々が想定されると考えております。なお、当然ながら、使用済自動車の引渡義務を有しているのはユーザーとなりますけれども、ユーザーの方々は、このガイドラインを直接活用というよりは、引取行為の際に引取業者からガイドラインの内容について説明を受けることで自らの判断をしやすくする、こういったことを期待しているところでございます。
 2つ目の目的である不適正保管等々、こういった観点からは、とりもなおさず自治体の方々に使っていただくことを想定してございます。
 3番目として、ガイドラインの位置づけでございます。
 最初に書いてあることは、最初に御説明したとおりですけれども、場面によって判断が一律ではないということで、その辺りの考慮が必要になります。このガイドラインは法的拘束力を持つようなものではないと考えてございますが、こうした場面ごとの判断の手順や関係者の関与のあり方、また実際の判断基準を整理いたしまして、これらをもって場面ごとの判断の拠り所としたいと思っております。
 また、このガイドラインの策定によりまして、使用済自動車に関する関係者の方々の認識の共通化を進めて混乱を取り除く、こういったことが適当と考えておるところでございます。
 ここまでが資料3、これまでの経緯、このガイドラインの位置づけでございます。
 続けて、資料4について御説明申し上げます。
 資料4「ガイドラインの検討における視点の整理」でございますけれども、今後、どのような形で情報収集、検討を行っていくのか記載させていただいております。
 まず、今年1月の報告書の中で、このガイドラインにおいて整理が必要と考えられる指標をいくつか挙げてございます。例に挙げておりますとおり、主要部品の欠損状況、損壊状況等々、こういった項目が例として挙げられたわけでございます。これらについてまず情報を収集し、想定される判断の場面ごとに基準となり得るかどうかを検討していくことになると考えております。
 情報収集に当たっては、統計データ、関係者の皆様方の中古車取引、また不適正保管等々への対処の実態、こういったところを踏まえるため、皆様方の協力を得ながら情報を集めていくといったことが有効だと考えてございます。
 また、これらの指標が実際の判断にどのように影響を与えるか。ここは車の種類ですとか用途ですとか地域、こういったことによって異なるという点にも留意が必要と考えております。
 また、資料3でも申し上げたとおり、このガイドラインは単なる基準の集まりではなく、実際の判断を行うに当たっての関係者の役割分担ですとか手順ですとか、そういったことを示すことにも留意して検討が必要と考えております。
 2番は、場面に応じて少しこれをブレークダウンして考えてみたものでございます。
 大きく場面を3つに分けてございます。
 1つ目が、ユーザーと引取業者間の取引についてでございます。
 最初に申し上げたとおり、引取業者といいますのは、ディーラーに対して、使用済自動車であるかの判断が円滑にいくように情報提供することが求められているわけでございますが、このガイドラインでは、引取業者が引き取りを求められた際の関係情報提供のあり方、内容について整理することが適当と考えてございます。
 この内容でございますが、一般的には、中古車としての市場の評価ができるのかどうか、この辺が考えられるわけでございますが、評価に影響を与えると考えられる、例えば自動車の損壊状況、使用状態、車齢等々、こういったものも含めまして、どのような項目が適切でどの程度客観的な情報が提供できるのか、この辺りを実態に即して整理するということかと考えております。
 2つ目、オートオークションへの出品時、流札時でございます。
 これも最初に御紹介したとおり、オートオークションというのは商品車としての業者間の中古車市場でございます。また、平成17年に業界の中での決議として、「同一会場で2度流札した車両については使用済みとする」とされているわけでございます。このように、オートオークション会場に物が出品されるとき、流札されるとき、こうしたときの会場の関与のあり方について、また、こういった場面で使用済みと判断される車の判断基準について整理することが適当ではないかと考えてございます。
 具体的な判断基準につきましては、(1)と同様、車の市場評価に関連するところが中心になると考えてございますが、これも最初に申し上げたとおり、一部のオートオークション会場において、どうも使用済みではないかと思われるものが流通しているといった指摘があることにも留意しまして、主要部品の欠損状況も含めて判断基準を整理してはどうかと考えてございます。
 3つ目、不法投棄ですとか不適正保管への対処時。
 これの必要性については、先ほどるる申し上げたところでございます。迅速・容易化というところで、既に自治体の方々のところで行われてございます該否判断の手順ですとか判断の客観的指標、こういったことについて改めて整理しまして、多くの自治体の方々に使っていただける、より迅速化に資するものができないかということでございます。
 具体的な指標といたしましては、主要部品の欠損状況、自動車の損壊状況、こういった車そのものの状況に加えまして、路上放棄、不法投棄の場合には所有者の不存在、確知ができない、また周辺環境等、こういったところも主要な判断基準となるのではないかと考えてございます。
 3ページでございます。
 これまで挙げてまいりました各指標に対して、どういった情報収集、検討を進めていくのかといったことでございます。
 [1]ですけれども、自動車の損壊状況。これは本日お越しの査定の業界の方々、また保険の業界の方々にも深く関わることかと思いますが、査定においてどのように損壊状況が扱われているのか、指標になり得るのか、客観的情報がどの程度入手可能か、業界の方々の御意見をぜひ踏まえたいと考えております。
 [2]としまして、主要部品の欠損状況。
 主要部品と申しましても、何を主要部品というのか。自動車の体をなさない部品というのは一体何なのかというところから議論が必要かと考えてございます。
 また、こうした主要部品が欠損した車両が自動車として復活するケースもあるやに伺っておりますが、それはどの程度一般的なお話なのか、この辺りの実態を踏まえるべく、特に中古車販売関連業界の皆様方の御協力をいただきたいと考えてございます。
 また、こうした車が不適正保管、不法投棄される場合も重々考えられますので、この辺りが廃物認定の重要な要素となっているのかどうか、この辺りは自治体の委員の方々からぜひ情報を頂きたいと考えてございます。
 また、自動車の使用状態でございますが、まず、使用済みとなっている車、それから中古車として流通する車の車齢だったり走行距離だったり、こうした実態がどうなのかということでございます。廃車の平均車齢については統計データがございますので、後ほど御紹介できればと思います。走行距離データについては、入手が可能なのかどうか、また、こうした指標がどの程度判断の指標となり得るのか、また客観的なものが入手可能かどうか、この辺りの実態を踏まえるために、業界の方々からぜひ情報を頂きたいと考えております。
 また、市場評価でございますが、まずは査定が行われる手順、どのように行われているのか。また、市場評価と客観的なさまざまな指標にどういった関係があるのか、また事故車がどう扱われているのか、これも業界の方々からぜひ情報を頂きたいと考えております。
 4ページに参りまして、路上放棄、不法投棄への対処に当たって、車の置かれた周辺環境、場所であったり、そういったものが廃物認定にどの程度影響を与えているか、ぜひ自治体の方々から情報を頂きたいと考えております。
 [6]のその他でございますが、以上、挙げてきたようなもののほかに指標がないか、また、どういった情報源から入手可能なのか。そして、指標間、おそらく関連づけがあるものがあろうと考えてございます。それを総体としてどのようにとらえることができるのか、また、その関連づけが複雑にいろいろある中で、各判断の場面ごとにどういうものが重要と考えられるのか、この辺りについても考慮が必要と考えてございます。
 最後に、検討に当たっての留意事項を掲げてございます。
 以上の方針によって、各種指標について情報を収集していくわけでございますが、その上で判断基準の検討を行う際に、おそらく自動車の種類や用途、取引の地域、こういったことによってかなり状況が異なってくるだろうと考えてございます。
 こうしたいろいろな要素を一緒くたにして議論をしてしまいますと、議論の混乱があり得るだろうということで、例えば、ここに2つ挙げてございますが、車種、用途、販売、流通等々の7、8割を占める乗用車と、貨物、乗合、特殊用途、こういった車では流通経路、使用状況等々、大きく異なると考えられます。また、乗用車といいましても、タクシー等はまた大分状況が違ってくるだろうということを考え、これらを同列に議論するのではなく、その度に対象を区切って議論したほうがいいのではないかということでございます。
 また、これも難しい点でございますが、国内取引と輸出というのも必ずしも同列に扱えないだろう。価値判断という点で、特に輸出の場合には、相手国の状況等でも異なってきますので、ここについても、なるべく同列に扱う議論は避けるようにしたいと考えてございます。
 5ページの別紙につきましては、先ほどの7、8割が乗用車だといった点についてバックデータをお示ししたものでございます。これは参考にしていただければと思います。

○永田座長 資料3と4のご説明をいただきました。これに関連して、御質問、御意見等がおありになろうかと思いますので頂戴したいと思いますが、御意見のある方は名札を立てていただければ、こちらから指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○武藤委員 中古車の団体の武藤と申します。
 今までこのガイドラインについて大分議論はしてきましたが、大前提として、使用済自動車をいっぱいつくるために何か基準をつくるというのは発想がちょっと違うのではないかと思いますので、一応私の意見として申し述べたいと思います。
 法律の第5条に、ユーザーの責務として、自動車をできるだけ長く使うということが挙げられていることは、報告書にも書かれているわけです。その視点で、できるだけ関係者も法律の趣旨に従うべき、これが大原則であることをお忘れなくということを、1つ申し上げたい。
 次に、使用済自動車の適正処理、これは非常に重要なことで、法律でもそのことは定められていますし、関係者もそれに関わっていかなくてはいけないわけですが、使用済自動車になる前の中古車の流通の適正な取引、この法律とは直接は関係ないわけですが、現実に日本では、市場原理に従って非常にうまく機能している。御存じのように、中古車のオークションというのが世界の中でも最も発達して、極めて優れた流通が行われているということも、議論をする前に一応認識していただきたいということで、私の意見です。

○仁井委員 半分意見、半分質問なんですが、目的として、流通の局面の話と不適正保管の局面と大きく2つあるわけですね。これ自身は素直な整理だと思いますが、その中で、このガイドライン自体といいますか、ガイドラインの表現の仕方になるのかもしれませんけれども、やはりそれぞれの場面ごとに少し違うのかなという気がいたしております。
 端的に申し上げれば、不適正保管への対応というのは行政発動するトリガーでしょうから、かなり明確に、かつ客観性を持って「こうだから、こうだ。」という話でしょうし、流通の場面というのは、やはり甲乙の取引者の意思みたいな部分がかなりあるんだろうなと思います。
 一方で、ここでの表現では「本ガイドライン」という形で、1つのガイドラインみたいな話になっているんですが、これはエディトリアルな話もあるかもしれませんけれども、両方に共通して1本みたいな話になっていくと、お互いに、片方の行政措置のトリガーみたいなものでいけば結構シャープなものが求められる話かなと思いますし、私の個人的な意見とすれば、業者間取引ならほどほどブロードなものでもいいのかな、そういったところを無理やり一本化みたいな議論は、なるべく避けていただきたいと思っております。
 あえて言えば、相矛盾するものであってはいかんでしょうけれども、2本つくるというぐらいの感じで、結果としてそれなりの整理はされているというぐらいでいいのではないだろうか。
 あと、ちょっとこれは気になるところなんですが、「本ガイドラインは法的拘束力こそないものの」と、かなり明示的に書かれているんですが、行政発動のトリガーの部分というのは、ここまで言われてしまうと今度は地方公共団体が動きにくくなるのかなという感じがいたします。ガイドラインのすべてを法的拘束力で埋めるというのはあり得ないとは思うんですが、そこの部分のある考え方とかそういうものというのは、まさに法解釈の部分、そのものの部分というのが当然あるのではないだろうか。全部が法的拘束力ないよといってしまうと、これを参考にして行政措置発動ということ自身がロジックとしてできなくなる。ここはコメントです。

○砂田委員 消費者の代表としてユーザーの皆さまのお声をお伝えしたい。リサイクル法の中に「中古車であるか使用済自動車であるかの決定は、所有者の意思を踏まえつつ、所有者と引取業者の間で決まる。」と明記されておりますが、車の買い替えの時「業者のほうから「中古車にしますか。」とか「使用済みにしますか。」と聞かれたことがないと言う声が多いです。
 所有者も下取価格がいくらになるのかなというところが関心事でありまして、「これは下取価格は2万か3万ですね。」「あ、そうですか。」それからの話の進展はないですね。また「これはもう終わりですね、使用済みですね。」と言われて「ああ、そうですか。」というところで終っている。使用済か否かにするかの判断基準、いわゆるガイドラインや、指標などがありませんし、説明もありません。下取価格だけの話し合いで終わってしまって、使用済みで渡したけれども、それが中古車に行ったかどうかはわかりません。ユーザーとしても関心を持たねばと感じています。 
 ガイドラインをつくるに当たって、所有者への情報を提供だけというような緩やかな感じではなくて、やはり積極的に関与するためにも、運転免許を取得するときに学科の中に入れるとか、あるいは免許更新時に交通規則、交通事故などのビデオを見ることを義務付けられていますが、そういうところにも入れていくとか、ユーザーが積極的に関与できるようなガイドラインシステムづくりが必要と考えます。ただ情報だけを待っている、そういうことではいけないのではないかと思います。
 また、ガイドラインが法的に拘束力がないというのは、緩いのでは、大丈夫かなという感じがします。自治体の方が積極的に撤去できないとう事になりかねない、ユーザーの中には不適正保管などで明らかに使用済車と判断されるような車でも、「これは使用済車ではない」と言いがかりを付けかねない。そういう人は少数だと思いますが「罰則はないけれども義務はある」というような、ガイドラインに一定の拘束力が必要ではないかと考えます。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 お三方からいろいろ御意見いただきました。それぞれ関連のあるような御意見、御質問だったということもありまして、全体的にお答えしたいと思います。
 確かに最初の入口として、私ども、別に使用済自動車を今よりもっと増やしたい、例えば積極的に市場から古めの車に撤退していただきたいという意思をもってこの議論を始めているわけではございません。そこはスタートラインとして1つ共有しておきたいことであります。
 最終的にガイドラインをどのような形でつくり上げていくのか、おそらく最終的な表現ぶりだったり、仁井委員御指摘のようにエディトリアルなところなのかもしれないと思っておりますけれども、確かに、中古車若しくは使用済自動車、つまり流通のところでの関与のあり方と、どちらかというとやや強権的に、例えば不適正保管した車を「中古車だ。」と言い張るところに対して指導するための根拠として使うというところ、ここは確かに若干関与の仕方、ガイドラインの使われ方が違うだろうと思っております。
 同じガイドラインだからということで、そこの重みづけを同じにすると今から決めているわけでもございませんし、おそらく違ってしかるべきだろうというふうには、我々、考えてございます。
 ただ、一方で、ユーザーの方々にどうやって使用済自動車を認識していただくかというツールを考えていかなければならないと思っていまして、御指摘のとおり、前回の審議会の場でもいろいろ御指摘あったとおり、なかなか引取行為というところでこういった、使用済みなのか中古車なのか、ひょっとするとリサイクル料金の流れだったり使われ方だったり、そういうところの情報提供がされていないのではないか。ややもすると使用済自動車そのもの、それから自動車リサイクル制度そのものが、そこに対する考えといいますか、知識といいますか、認識というのが、例えばユーザーであったり引取業者の方々だったり、ややもすると別の業界の方々と少しずれがあるのではないか、そこで混乱が生まれているのではないかといった御指摘は確かにございます。我々もそういった認識を若干持っております。
  そこのいわゆる常識といいますか、こういうものは、これまで使用済みになってきているし、今後も通常、使用済みなのではないかといった社会的コンセンサスみたいなものが、このガイドラインを通じてできる、そういうことができないかなと。それを通じて市民の方々にもわかっていただくことが重要ではないかと思っております。
 ちなみに、例えば教習所の画面等に「自動車リサイクル法というのはこういうシステムで。」みたいなことは、実は自動車リサイクル促進センターのほうで一部そういった事業もやっております。そういったことも若干御紹介させていただきます。

○永田座長 よろしいでしょうか。
 所有者の責務、その内容とか役割とか、こういう問題に関しましては、今のお話のようにガイドラインだけではなくて、いろいろなことに関してもっと積極的に広報しろという意見をいただいておりますので、そちらのほうでも対応させていただければと思っております。
 他には、よろしいでしょうか。

○鬼沢委員 ガイドラインを検討していくと同時に、このガイドラインをどのように使っていくかということが当然明確になっていくと思うんですね。今はいろいろな場面を想定して、どことどこでどういうふうにとシミュレーションしていらっしゃるんだと思いますが、ガイドラインを検討していくに当たっては、もっとこういう場面で使えるのではないか、これを使うことで今、不透明なところがもっと明確になるのではないかということが明らかになっていくと思いますので、それがはっきり見えてくると非常に効果的なのではないかと思って、そちらに期待しております。

○永田座長 ここにも書いてありますように、判断の基準だけではなくて関係者の関与のあり方とか判断の手順とか、そういうことも一緒に議論していただければ、今のお話のようなところも見えてくるのかなと思います。よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。
 もしまた何かありましたら、ここへ戻っていただいても結構ですので、次の議題に進ませていただきます。
 議題の2つ目は、使用済自動車及び中古車の判断の現状についてでございます。
 本日御出席の財団法人日本自動車査定協会の岡野委員、オブザーバーの社団法人日本損害保険協会自動車損調PT委員の佐藤宣昭さん、米村典泰さん、渋谷淳一さんから資料5-1及び5-2に基づきまして、使用済自動車及び中古車の判断に関係が深いと考えられます中古車、事故車等の価値判断、現場でどのように扱われているのか等について、それぞれ20分程度で御説明をお願いしたいと考えております。
 初めに、財団法人日本自動車査定協会からお願いできればと思います。

○岡野委員 財団法人日本自動車査定協会の岡野と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料5-1をご覧ください。
 1ページでございますが、まず、査定協会というのはどういうところか、御存じない方もいらっしゃると思いますので、査定協会の主要業務について御説明したいと思います。
 私ども、昭和41年に自動車に割賦販売法が適用されるということで設立された団体でございますが、その後、時代が変わりまして、昭和54年、査定制度を変更いたしまして、現在、中古自動車査定制度を維持しているという団体でございます。
 この査定制度の中で何をやっているかということは、2ページでございます。8つほど掲げられております。査定士の技能検定試験ですとか査定士の登録、管理、あるいは査定士の技能向上研修といったようなことを実施しております。
 では、事業者がどのぐらいいるかというところでございますが、3ページをお願いいたします。
 平成21年度末現在で査定業務実施店、これが事業者の数でございますが、8,184社でございます。新車販売店、中古車の専業店の方、車が売れなくて非常に苦しいということで、販売店の統廃合等ございまして、最近は若干右肩下がりということでございます。
 その8,184の会社の内訳、ブレークダウンしたものが4ページにございます。重複加盟等がございまして、どちらかで手を挙げていただくという形になりますので、ちょっと偏りがあるかと思いますが、こんな形でございます。新車業界、自販連さんが1,700、全軽さんが27、輸入組合さんが81、中販連さん2,044、日整連さん1,389、経済連という農協の団体もございます。ここも自動車を、不特定多数ではないんですが、特定多数の方に売っているということで、団体として計上させていただいております。それが190。それから、その他というのがございますが、これは大体レンタカー、リース、クレジット、ファイナンス、そのような会社。これが2,755ということで、合計8,184、このような状況でございます。
 5ページをお願いします。
 その8,000社の中に登録査定士、査定士という職務を遂行されている方がどれぐらいいるかということでございますが、13万6,000名ということでございます。
 この内訳になりますと、6ページでございますが、先ほどの実施店とは逆に、査定士の数でございますので、社員の数が影響してまいりまして、新車業界の方のほうが12、3万という形になります。合計の左横、日査協とございます。これは私どもの査定をする職員ですが、これが243名ございます。
 この243名がどんな査定をしておるかということでございますが、7ページに書いてございます。
 平成21年4月から平成22年3月まで、合計のところでございますが、5万1,000台の査定を実施しております。その中で特に目立ちますのが、上から3番目に解約車とございますけれども、クレジットで、もう払えないよといったことになりますと解約せざるを得ないということで、そういった査定、あるいはリースアップですね。それから最近では、合計の上に書いてありますが、車両状態の確認証明というのがございます。通常、査定というと価格をつけるわけでございますけれども、これはユーザーの方が、自分がお買いになった車が「これはもしかして事故車ではないか」といった懸念を持たれて、査定協会のほうでちょっと見てくださいということで、価格の算出はしませんけれども、車両状態の確認をして、それが事故車であるとかないとかいったことの証明もしております。
 それから、合計の下は、どういったところから依頼があるかということでございます。販売店さん、専業店さんとなっていますが、今は3番目の一般ユーザーというところが多くなってございます。ただ、「一般ユーザー」というタイトルの上げ方がちょっとまずくて、実際にはこれはクレジットの会社、信販会社、リース会社、あるいは弁護士さんということで、古い統計のとり方をしていたのですから、一般ユーザーのほうがどんどん膨れてきたということでございまして、ちょっと不具合かなとは思っていますが、それが3万1,000台。解約車が2万5,000台の査定でございますので、そんなところになるのかなというところでございます。
 それから、私どもの業務は査定だけではなくて、出版業もしております。出版物として「シルバーブック」と「イエローブック」という本を出しております。これは毎月出しておりまして、シルバーブックが小売価格、イエローブックというのは卸売価格の本でございます。
 それからもう1つ、「査定ガイド」というのがございます。車は装備品によってグレードが違っておりますけれども、そのワイドバリエーション化によって、どれが標準の装備品かわからない。後ほど申し上げますけれども、査定の中では装備品がついているか、ついていないかで加減点をいたしますので、その参考資料として「査定ガイド」という本を出してございます。
 それから、情報提供事業です。査定価格、査定ガイドの両方を、会員制の有料サイトということで実施しております。
 以上が我々の主な事業でございます。
 9ページ。
 では、査定というのは実際どんなことなのか、経済産業省さん、環境省さんから説明してくれということでございます。
 まず、なぜ査定をするのかということでございますが、結局、新車ですと価格は一定でございますけれども、中古車は一物一価でございまして、車を1つずつ丁寧に見ないといけませんよということでございます。
 10ページの4番、査定の方法でございます。
 ここに6つほど書いてございます。外装・内装は無傷とか、エンジン・足回り良好とかですね。これを加減点します。
 実際にどうするかというと、11ページを御覧ください。
 ここに「査定基準価格」とございますが、ここから各査定業務実施店が、自分たちが査定するための基本価格を導き出すために、小売りの価格から標準整備費と標準諸掛を引きます。そして基本価格になるわけでございますが、10ページに戻っていただきますと、その基本価格が物差しになりますので、どういった車の価格かということでございます。
 今、申し上げましたように内外装無傷、エンジンや足回り、走行に支障なく、車検は3カ月以内、走行キロは標準、タイヤは1.6ミリ、事故その他の損傷がないということでございます。これに基づきまして、例えば、12ページに飛んでいただきますと、加減点なしと書いてあるところが標準状態でございますので、例えばタイヤのところを見ていただきますと、残り溝が多ければ加点になります。少なければ減点、こういう形でございます。これを計算していくと査定価格が出てくるということでございます。
 13ページ、14ページでございますが、いわゆる事故車、先ほどから話題になっておるようでございますが、事故車の判断基準でございます。
 私ども、本日おみえのNAKさんとか中販連さん、自販連さん等々と修復歴の判断基準というものをまとめて、一致した修復歴の判断基準にしようと、中古車の査定からオークションで取引されると、それから中古車として市場に出るとき、同じ判断基準で修復歴、事故車を判断しようということで、自動車公正取引協議会さんなども入っていますが、そこの表示基準にも定められております。
 これは「修復歴」と書いてありますが、現状車でも同じでございまして、上の赤い枠のところで、下記の骨格部位に損傷があるもの、または修復されているものは修復歴とするということで、8つの骨格部位、ラジエータコアサポート、クロスメンバー、サイドメンバー、インサイドパネルといったものが挙がっております。
 この骨格部位、どういうところか図で示したのが14ページでございます。ここで色をつけている、ルーフですとかダッシュパネルとか、こういったところでございます。
 したがいまして、バンパーが凹んで交換しましたとか、ドアを傷つけて交換しました、直っていますといったものについては、私どもでは修復歴としては扱っておりません。事故車の扱いにはしておりませんということでございます。
 これはあくまで参考でございますが、15ページ。
 我々査定協会の中にも協会用の査定基準がございまして、その中で、車両全損というのはどういうものかというのがございます。いろいろな説明をしろというようなことで、書かせてもらっています。
 1番は、査定基準価格、小売の価格よりも減点の価格が多い、あるいは80%以上が減点になってしまうものは全損ですよと。そして、これは最終評価額─というのは大体鉄の値段という形、スクラップ価格というようなことで考えていただければいいかなと思いますが、5,000円とか1万円とつけます。
 そういったものでなくても、最終評価額になるというものは、ここに1、2とありますけれども、自動車(運搬用具、機械として)の機能が著しく衰退したもの。例えば車両の程度が劣悪、車両各部が劣化している、極端に改造されたもの、こういったものは「機能が著しく低下している」と判断して、全損、最終価格の扱いにする。
 あるいは経済価値の消滅したものということで、一般の小売市場ではもう売り物になりませんとか、市場における人気が全くないとか、書類上の新規登録ができないといったことがございますので、そういったものは経済価値というか、その部分については自動車ではありませんけれども、経済価値の消滅したものという扱いにさせていただいています。
 ただ、そうはいっても、一律に線を引くのは私どもでもできかねるということで、3番、最終評価額の救済ということで、例えば小売価格で100万円がついていても、走行キロだけで相当いってしまう。程度は非常にいいですが、走行キロの減点が物すごく大きいですといった場合には、まだまだ市場で使えるではないかということになると、救済してくださいというようなことになるということでございます。
 16ページ以降は参考になりますが、加減点基準の一部を載せてございます。
 例えば、一番上に「ボンネット」とございまして、その3行上ぐらいに「カードサイズ未満」とありますけれども、ボンネットにクレジットカードサイズ未満の凹みがありますと、10点減点してくださいということになります。
 それから、「塗装のみ」というところに小と大があります。これはA4サイズ以内か、それを超えるかということで、20点と30点。擦り傷ですね。塗装だけですから、凹みがない。
 その隣に「板金」とあります。これは凹んでいますからトントン叩いて、それからペイントをするということで、小が30点、大が50点を引きなさいということです。
 これを金額で換算すると、一応1点1,000円で考えてくださいと言っていますが、これを決めてしまうといろいろ問題がございますので、「1点1,000円が目安」ということでお考えいただければありがたいと思います。
 一番下に「国産車」と書いて、クラス係数が書いてございます。ここに書いてあります30点とか50点といいますのは、<3>クラスの減点になります。いわゆるコロナとか、ブルーバードですね。
 車をクラス別にしておりまして、大きい車が<1>、普通の車が<3>、小さい車が<4>とお考えいただければよろしいかと思います。<1>クラスのところには1.4とございますけれども、<3>クラスは上の表のまま、30点なら30点。<1>クラスになると、30点を1.4倍してください。同じ凹みでも、クラウンクラスですと直し方がちょっと丁寧に、いわゆる内張りが違ったりしますので、丁寧に直してくださいというような形で、1.4倍します。
 それから、17ページから19ページは走行キロの加減点でございます。
 真ん中辺りに、右下に向かって白いラインがございます。ここが加減点ゼロになります。その上の部分がプラス、加点のほうですね。下がマイナス、減点のほうになります。
 例えば、上のほうが月数でございますので、5年乗りましたということになりますと、55から60というところを見てください。これが4万キロですと、白ですから、プラス・マイナスゼロです。6万キロになりますと90点ですから、約9万円の減点。これは<1>クラスですけれども、この場合は先ほどのクラス係数は掛けません。そのまま見ていただければいい。<4>クラスのほうですと、60カ月で6万キロだと40点の減点という形になってございます。
 20ページから22ページは、先ほど申し上げました私どものシルバーブックという価格の本、小売価格でございますが、これの抜粋でございます。
 「クラウンロイヤル」と書いてある左側に白抜き数字で「<1>」と書いてございます。これがクラス。先ほど申し上げました査定のクラスでございます。
 一番上を見ていただきますと、3リットルのロイヤルサルーン。NPというのは新車価格です。ちょっと読めませんけれども、537万円とかになると思います。その隣にいくと、22、21、20とございます。これは初度登録の年でございます。例えば21年のところで、前半と後半という形で2つ書くようになっておりまして、前半で420万円ですか。20年のほうは両方出てきますということで、400万と390万ですかね。19年のところに[2]と書いてありますけれども、この車は20年2月にモデルチェンジされて違う車になっていますということで、今度はその下の段にいきますと、新車価格五百十何万のところが20年のところで[2]というところに、ちょっと数字が入っていないのは市場価格がつかめていないという状況でございますが、ここから車が変わっていますということです。
 以下、21ページがフィット。これは<4>クラスです。この一番下で、13年のところで19万5,000円とか書いてございます。
 私ども、この価格ガイドブックをつくるに当たりまして、どこで足を切るかでございますけれども、先ほどの<1>クラスですと、30万を切ればここが実線の棒線になります。フィットですと、15万になると値段がなくなって棒線になります。隣に軽自動車、スズキのワゴンRがございますけれども、この辺りですと、18万と書いてありますけれども、10万のところでなくなるかなと。
 ただ、車は一物一価でございますので、平均すれば10万ですよということですけれども、中には程度がよくてというか、18万でも買いますよというお客様がいれば、それは生き車になります。15万で売ります、20万で売りますということは、10台のうち何台かはあるとご理解いただければと思います。
 23ページは、査定士といわれる方が車を見て書くチェックシートでございます。
 右上のほうが自動車の情報になってございまして、この車はニッサンのティアナですよと。その上に「17年12月」とありますけれども、17年12月登録です。下のほうが計算欄になっています。そして右端が価格計算欄になっていますので、基本価格、先ほどの6項目が満たされたものが60万ですよと。これは単位が1,000円でございますので、「600」というのは60万円のことでございます。加点が74、車検が4、自賠責が2、減点が331。
 左の真ん中辺を見ていただきますとA20とかA10とか書いていますが、これが内外装がちょっと悪いということですね。それから、丸で囲って斜線を引いてMというのがあります。これが事故がありましたよということですね。事故のところで125点を引いています。そんなことがあって331点減点しまして、査定価格が34万9,000円となっていますという参考資料でございます。
 以上、査定協会と査定について御説明申し上げました。

○永田座長 どうもありがとうございました。
 続けて日本損害保険協会のほうから説明していただいた後に、御質問、御意見等をちょうだいしたいと思います。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 財団法人日本損害保険協会の自動車損調PT委員の米村のほうから、資料5-2について御説明したいと思います。
 まず、損保協会についてですが、損害保険会社の業界団体になります。今回のテーマである損害調査業務の査定という部分については、保険会社の実務に関するところになりますので、関係PTの委員として御説明させていただきたいと思います。
 では、資料を1枚おめくりください。
 今回説明させていただくところについて、一番上の大項目1、損害調査業務査定の概要、そして大項目2、3として、いわゆる全損車の引取業務の詳細についてという形で、項目を分けて御説明させていただきます。
 まず、損害保険会社においてどういったときに査定の業務が発生するのかを、保険金の支払業務フローで少し整理して、そこから切り出して、今回のテーマに必要な部分を御説明させていただきます。
 まず、<1>保険金支払業務フローを見ていただきますと、これは左から右に、(1)事故報告受付、(2)損害調査(査定)、(3)損害額の決定、(4)保険金支払いという形で概要をまとめています。
 支払業務がどこから発生していくかというと、まず、事故が起きたときに、いわゆる保険契約者から我々保険会社が事故の受付をするというところから始まります。当事者はどういう方になるかというと、いわゆる保険の恩恵をこうむる被保険者、あるいは相手方等からいろいろな情報を収集するという部分から入ります。
 その中の1つに、入庫先の整備工場等聴取というのがございます。この入庫先をいわゆるユーザーさんが決められたときに、その入庫先情報を我々がお聞きして、そこから損害の調査業務、いわゆる査定が始まると御理解いただければいいと思います。
 右に行きまして、(2)損害調査。
 我々の業界では、一般に「査定」のことを「損害調査」と呼んでおります。損害調査についてはどういったことをするかといいますと、まず[1]、入庫先整備工場に職員が連絡をする。
 そして[2]、損害調査方法ということで、後ほど<2>で詳細を御説明しますが、どういった方法で損害調査をするかを整備工場と協議して決定する。[3]で、損傷車両の損害の確認を行う。[4]で、事故との整合性あるいは損傷状態を実際の車で調査します。
 次に、(3)損害額の決定ということで、(2)で調査した内容について、支払可能な保険金という観点で損害額を決定します。[1]で修理費を算出し、[2]で時価額そのものの価値を調査、確定する。[3]で分損か全損かの確定をする。そして[4]で所有者、ユーザーに説明し、修理着工するのか、あるいは修理しないのかを決定していただく。
 こういった形で損害額を決定した後、支払可能な保険金が決定して、(4)の保険金支払いへと進んでいくわけでございます。
 今回のテーマでいきますと、真ん中の(2)と(3)のところ、ここがいわゆる査定業務に関係が深いところになります。
 <2>に進んでいただきまして、それでは、損害調査(査定)というのはどういったことを指すのか、いろいろな形で分けて説明させていただきます。
 まず、(1)対象車両でございます。自動車の全損査定というのは自動車保険の中で発生することが多いわけですけれども、そういった交通事故で損傷した車両、あるいは水害だとか風災、台風とかですね。そういった広域災害で損傷した車両、あるいは盗難に遭った後、発見された車両だとか火災に遭った車両、こういった車両が対象になってきます。
 (2)では、対象者という形でみた場合はどうかということですが、我々損保からみる対象者というのは、あくまでも保険金を受領する者という形になります。通常は、自動車の場合は車両の所有者が、我々が対象とするお客様、ユーザーになります。
 (3)損害調査(査定)を実施する者は、損保の場合は誰になるのかということですけれども、損害保険会社の技術アジャスター、または社外の技術アジャスターが実施者、具体的な損害調査を実施する者になります。
 それはどういった方なのかというと、注1ということで、右下を御覧いただきますと、損保協会が実施する技能資格試験に合格して登録された者という定義で、資格が全部で4つありまして、見習、初級、3級、2級の各技能ランク、資格を保有している者が技術アジャスターと呼ばれている職種の人たちです。見ていただいたらわかるように、見習から始まって、2級が一番高い技術を保有しているという、その辺のガイドラインになっています。
 そういった実施者が損害調査を実施し、次に(4)損害調査の場所ですが、通常は、上の保険金支払業務フローで説明した、入庫先として当事者から聴取した整備工場、ここで査定を実施することが大多数です。その他いろいろなケースで、対象者の自宅に査定に行ったり、あるいは、大きな損傷の場合が多いですけれども、レッカーの業者、あるいは盗難車であれば警察署で見ることもありますし、レアですけれども、場合によっては事故現場に見に行くことも稀にあります。
 (5)は、損害調査方法です。先ほど修理工場とどういった方法で確認するのか申し上げましたが、ABCと3つの方法があります。Aは、立会調査と我々は呼んでいますけれども、入庫した整備工場へ技術アジャスターが実際に出向いていって、損傷車両をその目で確認するという方法です。Bは、画像伝送調査。ここ5年ぐらいの間に急速に普及したんですけれども、インターネット等を利用して整備工場から画像を送っていただく。それを見て、あとは電話とかメール等でやりとりをしながら損害調査を実施する。Cは、写真調査です。これは整備工場から写真と修理見積書を郵送してもらい、損傷車両の確認をする。写真でやる場合は、非常に小損害のケースが多いです。
 次に、<3>損害額の決定に進みます。
 いわゆる支払い、保険金の基となる金額を決定するわけですけれども、この損害額の定義につきましては、(1)に記載しているように、損傷車両を事故直前の状態に復元するために要する修理費と我々は定義しています。または保険価額─時価額ともいいますけれども、そのいずれか低いほうとなります。
 (2)損害額の決定方法です。
 自動車保険の場合は、大きく分けて車両保険と対物賠償保険の2つがございます。
 Aの車両保険については、保険価額については一般的には協定保険価額です。これは右下の注2を見ていただきたいと思いますけれども、保険契約時に取り決める保険価額ということで、車両保険の場合には保険契約を1年ごとに更新というのが多いんですけれども、1年ごとに保険価額を契約者と取り決めます。一般的には、自動車保険車両標準価格表というガイドラインがあるんですけれども、そういったものに基づき設定し、基本的には、その設定した保険価額は1年間減価しません。
 自動車の場合は毎月どんどん減価していく、価値が減っていきますけれども、我々のところでいう車両保険の場合、一旦更新当初に取り決めした保険価額は1年間減価しないので、通常は市場価格よりも若干高額になっていく。100万円で契約した車両保険について、その時点で100万円であっても、残り更新期間が1カ月ということで11カ月経過してしまうと、その車には、例えば80万しか価値がなかったとしても、我々の保険の中では100万円が価額という見方をします。
 そういった車両保険価額よりも修理費のほうが少ない場合、この場合は修理費をお支払いする、いわゆる「分損」という呼び方をしております。
 今回のテーマである全損というところですけれども、協定保険価額が修理費を上回ってしまった場合ですね。この場合については保険協定価額を支払保険金の基礎にするという形になり、この場合に保険会社では全損という呼び方をしております。
 Bの対物保険についても、基本的には同じような考え方をしますが、「協定保険価額」が「時価額」に置き換わります。時価額というのは、そのときの市場価格になります。そして同じように、時価額を修理費が上回った場合は全損と判断する。
 そういった全損になった自動車はどういう取り扱いになるのかといいますと、(3)代位取得ということで、保険金を全損で支払った場合、原則として、損害車両は保険会社がその権利を取得することになっています。そして引取業者において処分、及び残存価値がある場合については、適正価格で引取業者に売却することになります。
 代位取得については、後ほど大項目2と3のところでもう少し詳細に御説明させていただきます。
 参考までに、(4)として、協会では全損害保険会社の全損件数は詳細に把握しておりませんので、ある会社のデータを見てみると、車両支払事案が年間約80万件ある中で、5%から6%、約4万件から4万8,000件程度が全損認定となっているというデータがあります。
 車両保険の場合は、賠償保険ではなくて、<2>の(1)で申し上げた水害とか風災とか、そういった広域災害が発生する場合がありまして、ここについては、そういった広域災害が起こらなかった年とか少なかった年とか、あるいは大規模な災害が起こった年とか、それによって全損車両の発生確率は少し上下します。
 ここまでが損害調査(査定)業務の概要です。
 次のページに、車両保険に限っていう全損時の業務のフローチャートを整理しております。
 当事者というか関係者は、ユーザーと整備工場と我々損害保険会社、そして引取業者、この4者ですけれども、まず出発点となるのは、ユーザーの事故です。ユーザーから、まず[1]のとおり右上の整備工場に入庫する。それと同時、あるいは前後する場合もありますが、我々損害保険会社のほうに事故報告、それと入庫先を連絡していただく。
 そこから査定業務が始まり、[3]で我々損害保険会社が整備工場のほうに査定を実施する。実施した後、損害額が決定した時点で、[4]ですが、この場合は全損ということですから、全損であることをユーザーに知らせる。整備工場によっては、[5]査定結果を整備工場自らユーザーに連絡するということもやっています。その後、ユーザーの保険金請求に従って、これ以降、車両保険金をお支払いできるという形になります。
 その後、ユーザーに、ユーザーの自動車は保険会社が代位取得するんですよという説明をし、実際に預かっている整備工場と車両引き渡しの打ち合わせを行い、提携している引取業者に全損車両の引取依頼を行います。引取業者はそれを受けて、ユーザーにスケジュールとか、あるいは車内に残っているものを引き取ってもらったりとか、そういったもろもろの説明を行ったうえで、整備工場に全損車両を引き取りに行く。
 引き取ってきた後、諸税─自動車税とか重量税、リサイクル料金、あるいは自賠責保険料の還付の説明、それと、引取業者に抹消業務を代行でやっていただく場合が多いので、そういった書類の取り付けをしていただく。それが終わると、引取業者から損害保険会社に引取報告と買取可能額を連絡していただき、その後、金額が決まれば売買契約が成立し、その分は引取業者に売却していくというのが簡単な流れでございます。
 次に、代位取得について佐藤のほうから説明させていただきます。

○日本損害保険協会自動車損調PT(佐藤) 損害保険協会の佐藤と申します。
 引き続き、車両保険で車が全損になって保険会社がその車を代位取得した際の、取得した後の実際の手続、処分の仕方について御説明させていただきます。
 7ページを御覧ください。
 全損車両の引き取りの手続については、具体的なところは各保険会社で100%同じ手続をしているわけではないんですが、一般的な手続の仕方ということで御説明させていただきますので、御理解いただければと思います。
 通常は、引き取り、それから残存価値の評価といったところにつきましては、全損車両の引き取りの業者さんに業務委託をしているケースが一般的でございます。
 では、具体的にどういった業務を委託しているのかということでございますが、実際の全損車両の価値の見積もり、それから実際の引き取り、それから、名義変更ですとか抹消登録に関連する手続、それから、これらに付随しましてお客様との書類の説明とかやりとりですね、取り付けといったところと、リサイクル料金、重量税、自動車税、それから自賠責保険料の返金等に関わる業務を委託しているというのが一般的でございます。
 8ページをご覧ください。
 実際に引き取った後の手続、それから税金の還付等の流れをざっと整理しますと、ここに記載してありますように、およそ3つのパターンに分けられるかと思います。
 一番上のAの例は、全損になったお車を引取業者が保険会社から委託を受けて、市場価値があるということで、「新所有者」と表現していますけれども、そこに転売をするというケースでございます。この場合は、引取業者からお客様、これは保険会社のお客様という意味ですけれども、お客様のほうにリサイクル料金、自賠責の保険料、自動車税といったものの返金の処理をするという流れになります。
 続いてBは、例えば、すぐに転売先が見つからないといった理由で一時的に登録を抹消するというようなケースです。一時抹消した時点でリサイクル料ですとか税金、それから自賠責の保険料についての説明なり返金、それから書類の手続等の説明をお客様に行う。また、後日転売をしたり、若しくはやはり市場価値がないということで永久抹消に移るといったケースでございます。
 Cは、明らかにもう市場価値がつかない、若しくは環境対応車への補助金の制度がありますけれども、その制度の対象になるといったお車の場合です。これは引き取り後、即時解体を経まして、永久抹消の手続をする。その際に、自賠責保険料、自動車税、重量税、B券の発行といった手続、それから、お客様への説明をするといった手続がございます。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 最後になります。資料が前後して申し訳ありませんけれども、3ページ以降、私どもの査定業務で実際に発生した事例をいくつか掲載しております。
 3ページ、まず事例1です。
 これは車両対車両ということで、車同士の事故の事例ですが、道路端に駐車中の車両に右下の車がぶつかったという事例で、技術アジャスターが整備工場に実際に見に行って、確認してきている。損害額の算出としては、左下、抜粋になりますけれども、技術アジャスターが概算の見積もりを作成し、この車については協定保険価額160万円になるわけですけれども、それ以上になることを立証している。そして、結果としては、全損という形で支払いをしている。
 4ページの事例ですが、この場合は先ほどの車より協定保険価額が少し小さい車ということで、50万円。同じように車両同士の衝突で、追突事故ですけれども、左下の見積書のように、技術アジャスターが概算見積もりとして積算した62万5,000円が50万円を上回っているということで、全損という査定結果になった。
 5ページの事例は、車両火災になります。自宅に駐車中に原因不明の車両火災に遭ったということでございますが、これも技術アジャスターが整備工場へ立会調査を実施して、同じように、こういった車両火災でも概算見積もりをできる限り作成し、保険協定価額を超えることを立証するというのが技術アジャスターの業務であります。そして、全損。
 次の事例は車両水災でして、地下駐車場に駐車中に雨水が侵入して、車が完全に水没してしまった事例です。水災の場合、事故と違って、なかなか見積書という形で確定した部品の計上ができないものですから、この場合は技術アジャスターが推定見積もりということで、今回は見積もりそのものを入手できなかったんですけれども、いわゆる電装品あるいはエンジン関係の部品で本来、水に浸かってはいけないものが浸かっているということで、おそらく修理すればこの部品は全て取り替えになるだろうというところで推定見積もりを作成し、保険協定価額250万円を超過することが確実であるという報告書に基づき、全損を認定しているという事例でございます。

○永田座長 どうもありがとうございました。
 事務局のほうでまとめた資料がございますので、それも先に説明していただきたいと思います。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 資料5-3について簡単に御説明したいと思います。
 先ほど幾つか情報収集が必要と思われる指標について御説明しましたが、それらについて既存統計データの存在を確認しましたところ、使用済自動車の使用年数の実態がございましたので、簡単に概要を御説明いたします。
 まず1つ目ですけれども、自動車リサイクル法に基づきます、いわゆる電子マニフェスト、移動報告データの整理でございます。リサイクル促進センターがこういったデータを管理しておりまして、これは過去3年間において引き取られた車体の使用年数について、平均値をまず表1に示してございます。平成19年度から21年度まで、大体13年前後で推移しておりまして、ここ数年で若干延びる傾向にございます。
 また、主には2ページのグラフを見ていただきたいんですけれども、引き取られた年代別に分布を示したものでございます。
 この棒グラフは3年分ですね。これを見ていただきますと、使用年数0年のところから徐々に上がっていきまして、使用年数11年のところで引き取られる量が急激に延びてくる。そしてまた13年で概ねピークを迎え、その後、徐々に減っていくといった形になってございます。
 折れ線グラフは、全体を100%とした場合に、そのパーセンテージを累積で見てみたものでございます。これを見ていただきますと、50%という点が右のほうにございます。これを左のほうに延ばしていきますと、引き取られた車体のうち、13年以内に引き取られるものが大体全体の過半数を占める傾向にございます。また、90%のラインを見ていきますと、概ね十何年のところに該当するといった傾向がございます。
 ちなみに、19・20年度と21年度、若干傾向が違います。これはおそらくですけれども、21年度前半からスクラップ・インセンティブ制度が導入されておりまして、その影響が出ている可能性はあるのかなとみております。
 ちなみに、このデータでございますが、登録車に限られたものでありまして、また、乗用車、貨物車等々、用途による区別がなされていない点には考慮が必要かと思います。
 続きまして、3ページでございます。こちらも同じく年数に係るデータでございます。
 財団法人自動車検査登録協会さんのほうでつくられております自動車使用期間統計のまとめでございます。永久抹消登録車の平均使用年数を、車種別、運輸支局・事務所別に集計されたものであります。お示ししておりますのは平成20年度のデータでございまして、時間の関係もございますので簡単に申し上げますが、車種別に見てみますと、普通乗用車、小型乗用車、この表の真ん中辺りでございます。こちらのデータを見ていただきますと、概ね全国平均で十三・数年といったところが平均になっており、なおかつ地域的なばらつきは、さほど大きくないという傾向が見られます。一方で、貨物車ですとか乗合、特殊といったところはかなり地域間の変動が大きいということで、こうした車種による、また地域による傾向というのは、こういった指標を今後、検討していく際に考慮する必要があるのかなとみております。

○永田座長 ありがとうございました。
 それでは早速コメント、御質問等をお受けしますので、名札を立てていただけますでしょうか。

○大塚委員 もう一つ環境省の会議があって早く失礼しますので、最初に発言させていただきます。
 査定協会さんの資料の17ページに表があって、先ほど丁寧に御説明していただいたんですけれども、この各乗用車等々について、走行距離に関して白いラインが出ているんですけれども、これはそれぞれの車に関して、このくらいの年数だったらこのくらいの距離を走っているだろうということを標準として出しておられるんだと思いますが、これはどのようにお決めになったのか、説明しにくいかもしれませんが、そこが1つお伺いしたいところでございます。
 それから、今日はこの査定の話等々でしたので、使用済自動車にはどういうものがなるかということに関しては、いろいろなことを考えていく必要があると思うんですけれども、全損であれば使用済自動車と考えていいんですかね。あるいは、それでもある程度の価格は残っているので、全損であっても使用済自動車と考えにくい場合もあるんでしょうか。その辺について、何か御意見があれば教えていただければと思います。

○岡野委員 走行距離のデータでございますが、ちょっと古いデータで、私ども、査定業務実施店さんから査定したチェックシート、資料の最終ページにございますが、これを回収して調べておりました。ただ、個人情報の関係がございまして、最近ちょっと調べられておりませんが、その平均値などを参考にしてみてございます。大体最初のころは年1万キロ程度、そして徐々に減っていくというようなことでございました。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 全損というものについて、使用済自動車ということですけれども、ここの判断業務は各損保によって若干違うとは思いますけれども、基本的には、引取業者が判断しているのが実態でございます。技術アジャスターというのは事故車の査定というか、修理費を専門にしていますが、その後の、全損車の価値の判断を正確にできるだけの資料とかノウハウは、保険会社ともども持っておらないので、そこについては引取業者に判断していただいております。

○大塚委員 だからおわかりにならないということですか。判断のしようがないとか、そういうお話ですか。お答えしにくいということですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) いわゆる線引きができていないというほうが正しいと思いますが、例えば、ある程度の価格のついているものについて、まだ再販できるのではないかというレベルの判断はできるんですけれども、50万円以下ぐらいの保険協定価額のものについては、正直言いまして、それが使用済自動車になるのか、あるいは商品車となるのかは判断できないということで、引取業者に任せているということであります。

○永田座長 8ページに全損車両の引き取り後の話が出ているんですけれども、このABC、今までのお話を聞いている限りにおいてはCが一番割合が多いのかなという気がしているんですけれども、ABCそれぞれの分布状況について何か資料はないんでしょうか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 資料として正確には把握できていないのですが、いくつかの損保の話を聞いていると、大体50%以上は使用済みになると聞いております。

○永田座長 Cが50%以上。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) Cの業務フローどおりかはわかりませんが、使用済自動車となる割合ですね。

○永田座長 ただ、上の状況は自動車として使用されるということですよね。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そうですね。もう一度中古自動車として使用するという形。

○永田座長 ですから、使用済みになるということは、Cということですよね。Bを経由して永久抹消に行くというのもあるかもしれないけれども……

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そうですね、いずれかになります。

○上田リサイクル推進室長 今ので1点だけ確認させてもらいたいと思うんですが、全損と判定されても、所有者が全損であっても修理をして自分のほうで引き取って使用したいと思われている、要するに引取業者のほうに行かないケースが何割ぐらいあるかは把握されていますでしょうか。それとも、そういうのはほとんどありませんか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) ないことはありませんが、正確な数値的なもの把握できておりません。

○上田リサイクル推進室長 感覚的には、何割ぐらい。全損といったら、もうほとんど引き取りですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そうですね。原則としてという形で書いているとおり、ほとんどそのケースになります。

○永田座長 引取業者に行くか行かないかという話ですね、今のところ。この中身の話は。

○鬼沢委員 今の質問の続きになるんですが、その後、その車がどうなったかは一切確認されないんですか。確認するような書類も、もう見る機会はないということですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) その後というのは、引取業者に行った後ですか。

○鬼沢委員 はい。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 使用済自動車となったか、ならなかったかは把握しております。ユーザーへの説明をするところは、基本的には我々の代行という形でやっていただいていますので、引取業者のほうからは、その報告を頂いているというのが多いと思います。

○鬼沢委員 それに引き続き、もう1つなんですが、1ページの<3>の(3)代位取得のところにあるんですが、処分か売却された後の確認というのは、今、お返事いただいたのと同じ状況ですか。その後どうなったか書類を確認したりするシステムはないんでしょうか。委託引取業者が引き取った後にどうなったか。処分のつもりで渡したけれども、実際は、部品をまた、何か適正価格で売却されたかもしれないというところの確認はできないということですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 使用済自動車となったかどうかということですよね。そこについては、引取業者から報告を頂いているケースが多いと思います。

○鬼沢委員 損害保険会社のほうでもそれは確認できているんですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 確認はできているということです。ユーザーからの照会等がありますので、その際に保険会社の職員が知らないということでは、ちょっとまずいと思いますので、お客様の車がどのように処分されたかは、引取業者から報告をもらっています。

○鬼沢委員 今までの議論の中でときどき出てきたのが、見た感じ明らかに事故車であるのにネットオークションに出ていたりするものがある。では、その辺はどのように考えられていますか。どうしてそういうことがあり得るとお考えか、ここは質問というよりも、感想をお聞きしたいと思います。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そこの部分については、引取業者が再販できるということで、我々のほうには「これは使用済自動車ではない引取方法になります」という報告をいただいているだけなので、その後、どのように二次販売されていったかというところまでは把握できていないのが実態です。

○久米委員 損保さんの資料の2ページ、このフローの中の[12]と[13]のやりとりなんですけれども、ここのところが基本的には市場価格になるのかなと思うんですが、ここのところは、査定協会さんみたいにガイドライン的なものだとか─何かやりとりでもって、結局、引取業者さんのほうに買取可能な額があって、それで[13]で売買成立する。ここのところがもうちょっと詳しくやりとりでもってわかると、大体その相場観といいますか、それが出てくると思うんですけれども、これは査定協会みたいにシステマチックなものはあるんですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) いろいろなやり方を聞いていますけれども、一番多いやり方は、地区の引取業者─この引取業者というのは、例えば各拠点、拠点で1業者ではなくて複数の業者と取引している場合が多いんですね。流れでいくと、そういう業者、例えば5社あれば5社に「こういった全損車が発生したけれども」ということで最終の引取金額を、簡単に言うと入札みたいなことをしていただいて、一番高額をつけてもらったところに売却するという、いわゆる合い見積もりみたいな形をとっている場合もあれば、最近多くなってきているのは、インターネット等を使って、自社で会員業者を募って、いわゆるリサイクルサイトみたいなところで引取業者なり、あるいは販売業者のオークションのシステムを使って、損保の事故車を専門に入札制度で売却しているとか、そういう会社もありますし、いろいろなケースはお聞きしていますが、多いのは、複数の業者に査定を依頼し、一番最高額でということなので、おそらく損保会社独自でガイドラインというか、価格の基準を持っているということではないと理解しております。

○永田座長 その際は、基本的には使用済みという前提で出されるんですか。オークションとか入札も含めて。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) オークションの場合に聞いているのは、そこのオークションの引取業者のほうで一次仕分けといいますか、使用済自動車にするか再販とするかという2つのオークション……。

○永田座長 ただ、そちらでは全損で、時価よりも修理費が高かったり、いろいろな条件がついていますよね。かなり接近しているものもあるかもしれませんけれども、かなりの部分は、そちらがもう既にこの車は中古車として修理してやるのはコスト的に見合いませんよという判断はされているわけですよね。全損という言い方の中でね。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 資料でいう「全損」という判断、1ページの<3>の損害額の決定という部分になると思いますけれども、ここで、いわゆる我々の査定した修理費のほうが上回るという部分について、なぜ全損となったものを再販できる可能性があるのかというと、引取業者のほうで、二次販売していく業者で、いわゆる修理して、それをユーザーに渡して利益を得るよりも、車として再生する、要は原価で修理をして、その車を形にしてまた売ったときに原価修理の分、ある程度幅ができますから、それで利益が取れるんだろうと理解しているんですが、そこの実際の、いわゆる経営的な、この辺が採算ラインとか、そういったものを我々のほうでは把握できていないという形になります。ですから、引取業者にある程度判断していただかざるを得ないというのが、今の全損車の売却の実態だと思っています。

○永田座長 そこで、確かにそういう状況の車もあるでしょうし、一方で、そちらで見てももう完全に使用済みだねと言われるようなものもあると判断していいですか。これで見ると、何か全部引取業者に任せてしまうというような印象が非常に強いところがあって、そちらでは使用済みかどうかという判断はほとんどされていないという解釈でいいんですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そうですね。保険会社のほうで使用済みとするという判断は、一般的にはしていないと理解しています。一部、ユーザーの希望がある場合には別ですけれども。あるいは……。

○永田座長 ちょっとね、専門用語で私の認識がちょっとはっきりしていないんですけれども、この「代位取得」という言葉は、そちらが所有しているという言い方でしたよね。基本的に。全損でお金を払った分は。そうすると、その車の所有者の役割を担っている。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) はい。いわゆる所有権を移転するという形になると思います。

○永田座長 そういう意味では、かなり専門的な所有者という意識で見ていくと、そこである程度の判断がされる可能性は出てこないのかなと。先程もちょっと議論を聞いていただいたと思いますけれども、資料の最初のほうで、3とか4とかいうところでも、それぞれ最終的には所有者の意思を尊重しながらということになるわけですけれども、その所有者ということになるわけですね。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) はい。

○砂田委員 損保協会の方の技能資格試験ですが、見習から3級、2級と書いてありますが、1級はないのですか。
 それと、保険会社の方それぞれ競争の原理に基づきまして、やはり査定が違うのではないか。この会社ではいいように査定してくれて、この会社ではちょっと厳しいとか、そういう競争の原理は免れないのではないかなと。一律は難しいと思いますけれども、かなり差があるのではないかという疑問を持っています。
 それと、査定協会の方、また損保協会の方、要するに査定士なんですけれども、その査定士は、1回取ると生涯資格を有するのか。その更新の試験等はないのでしょうか。
 また、全国的に13万6,000人という査定士がいらっしゃるようですがこの人数で妥当なのか。例えば大阪を見ますと、7,900人ですか、8,000名ぐらいでいけるのかなという疑問を持っています。
 今、お聞きしていまして、査定協会の場合は中古車の価格を決めるのが重要な仕事であるし、保険会社は保険金額を決めるのが重要な仕事であるということから考えれば、使用済車か中古車かというガイドラインをつくるときに、両社の査定基準、マニュアル等をどのように反映してガイドラインを作成すればいいのかポイントが絞れるのかしいなと感じています。

○岡野委員 まず、査定士の資格の件でございますが、これは登録制度をとっていまして、査定業務登録店に所属していないと登録できません。また、査定士証の有効期間が3年となっています。その3年の間に1度、査定士証切り替えの講習を受けていただくことが義務になっています。テストはありません。ただ、復活することも可能ですので、資格的には生涯、ただ、登録は必要という形で受け止めていただければありがたいと思います。
 それから、数が妥当かどうかということでございますが、査定業務実施店が8,000店と書いてございまして、これは推論でございますけれども、全国に中古車を扱う事業者は2万から3万と聞いております。そうすると、組織力といいますか、率といいますか、それが半分程度ということになろうかと思いますので、まだまだ足りないのかなということは考えます。ただ、2万から3万というのはあくまで推論ですので、どれほどあるか確定した数字はまだ聞いておりません。
 査定士の数でございますが、大阪に8,000人が妥当かどうか、それもちょっとわかりませんが、新車販売店、自販連さんのセールスマンの数と比較しますと、これは100%を超える。当然他の業者もございますし、セールスマン以外の営業所長さん等もございますから、そういったものと比較すると、100%を超える形になっています。私どもとしては、もう少し必要かなとは思っております。
 お答えになっていますでしょうか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 技能ランクのことですけれども、正確に申し上げますと、1級のランクも一応規定の中にはありますが、過去に1級の試験を一度も実施したことがない。要は、2級まではどういったレベルのものというのが明確になっていますが、過去、整備士の資格もそうであったように、まだ1級の必要性というか、定義づけがはっきりされていないので、試験が実施されていないと理解しております。
 もう1つ、査定の競争というか、各社間の差ということですけれども、いわゆる修理費とかそういったものの決め方ということですか。それとも、全損と判断するかしないか。

○砂田委員 各会社のサービスの提供によって、査定が甘くなったり、この会社はなかなか査定がきついよとか、そういうことはあるのでしょうか。あるのではないかと感じます。保険会社によって率が良いとか、悪いとか、そういうことはあるのでしょうか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 査定の基準は、業界として何か統一の基準があるわけではありません。各社のガイドラインというか、決めの中で、そういった査定のときに、例えば事故の修理費を見積もる場合には、地域の相場とか、あるいはいろいろな地域の環境等を見ながら、修理工場と協議をしながら決めているのが実態です。
 ここのところについて、査定の競争というのは技術アジャスターの世界では発生しにくいと考えています。というのは、もともと査定士というか、技術アジャスターという性格上、鑑定と言うほうが正しいんですかね、現場で客観的に見てお客様、保険契約者なり相手方、あるいは整備工場に理解されるような査定をすることが求められていますから、他社よりも多くとか他社よりも少なくという観点で査定していることはないと思います。

○永田座長 定刻を回りましたけれども、ちょっと時間を延長させていただいて、質問、コメントを頂きたいと思います。

○仁井委員 今のに関連して、もう整備工場に入庫したものについて技術アジャスターが出向いていって、修理額を算定するということになりますと、結局、普遍的な金額というよりは、そこの整備工場の価格水準なりに影響される部分もあるわけでしょうか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そういうことになります。整備工場ごとに。地域で査定をしている技術アジャスターなので、そこの地域の価格水準を把握している。それに合わせて妥当かどうかを判断しているというのが実態だと思います。

○永田座長 技術アジャスターは今、何名ぐらいいらっしゃるんですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 正確な数は把握できていませんが、8,000名程度だと思います。

○永田座長 見習から合わせて、ということですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 全部合わせてになります。

○永田座長 その資料自体は、後日出していただけますか。2級から始まってそれぞれ等級もあるようですので、それがわかったらお願いできますか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) ちょっと確認をして、出せるものは出したいと思います。

○永田座長 今の質問の関係でも、1ページでABCと、立会調査、画像伝送調査、写真調査と分かれていますけれども、例で示していただいたのは立会調査の分だけでしたよね。割合的にはどういう状況ですか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 全損車は、基本的には立会調査。要は、損害が大きい、あるいは全損かどうかの判別をするのは、基本的には損害保険会社のガイドラインで見積もっていって、それを超えるかどうかを見る場合が多いので、ですから……。

○永田座長 ほとんど立会調査ということになりますか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 立会調査になるものが多いと聞いております。

○宮嵜委員 損保協会に1つ、査定協に2つお聞きしたいんですけれども、損保協会のほうで修理費を算定する際に、使用する部品については再生品を前提としているのか、それとも新品の部品なのか、この辺は統一的な考え方があるのでしょうか。
 査定協については、資料5-1の15ページに車両全損の基準が示されております。査定協の査定士は、皆さん引取業者の中にいるという意味で、引取業者がどういう判断をするかということとリンクしていると思っておりまして、この体系的な全損の基準は非常に重要なのかなと思っているんですが、その中で、2)の1については、ある意味でかなり客観性のある基準なんですね。しかし、まだこれは漠然としていますから、何かもう少し具体性のある基準をお持ちなのではないかと思うんです。そういうものについては示していただけるでしょうか。
 2点目は、2)の2に、経済価値の消滅したものとして売り物にならないとか、人気が全くないとか、新規登録ができないとか、いわゆる市場に聞かなければわからないような話があるんですが、これは査定士がどのような判断をすることになるんでしょうか。査定協がこういう市場のトレンドを示して、それによって判断することになっているんでしょうか。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) 基本的には、新品部品で修理費を算出する。リサイクル部品の考え方は、あくまでも保険会社として環境等のアピールをしながら、ユーザーに理解が得られた場合のみそれで算出することになりますから、ここでいう全損になるかどうかという判断の部分は、新品部品で算出します。

○岡野委員 まず、15ページの1番で、もう少し詳細なものがあるかという問いかけでございますが、申し訳ございません、これ以上のものはございません。

○宮嵜委員 マニュアルとか、そういうものがあるのではないですか。例えば査定士に対するマニュアルとか、そういうものが具体的にはあるのではないんでしょうか。

○岡野委員 全損にするかどうかにつきましては、ここに書いてあることで、マニュアルも、これ以上細部のものはございません。申し訳ございません。
 もう1つ、2番についてはまさしく市場に聞けという話でございまして、やはり車も市場というものが生きておりまして、人気があるかないか、あるいは「この車はまだ売れますか」ということになってまいりますので、ここのところは具体的にどう書き込むか、あるいはどう処理をしていくかということになってくると、これ以上のことはこちらも書けないということだと思います。

○武藤委員 査定協会さんに質問なんですけれども、私の理解では、査定価格というのは査定士が「こんなもんかな」という方程式を使った答えだと思うんですけれども、日本の市場主義の国の法律では独禁法がありますので、よもや価格カルテルをこの制度が認められているということはないと思うんですが、一応確認のために、それが1つの質問です。
 それと、それに関連しますけれども、査定制度は、基本的には新車なり中古車を売るときに入ってくる下取車の価格を査定するという仕組みだと思います。査定士が査定する価格というのは、ある意味、基準に基づいて机上で答えを出した金額だと思いますが、実際の取引では、オークションでどのくらいで取引されているか。いろいろなデータを踏まえて下取価格が決まっていると思うので、その辺の査定価格と下取価格のずれについてお答えいただければと思います。

○岡野委員 まず、独禁法上の問題になろうかと思います。これは資料5-1の11ページを御覧いただきますと、査定基準価格というものは、先ほど申し上げましたように、小売価格でございますので、市場の平均値を調べまして査定協会がお示しいたします。ただ、そこから引いて基本価格をつくる際には、標準整備費、標準諸掛というものを、ここに書いてありますように、各社で設定するという形になってございまして、ここで基本価格のところでずれが出てまいりますということが1つ。
 それから、基本価格から加減点するという部分で、先程私ももごもごと言いましたけれども、1点を1,000円にするというところは、「1,000円を目安に」というようなことで御説明させていただきました。ここのところを「1点は1,000円」と固定しますと、やはり独禁法上、問題になるかなという御指摘を受けておりますので、そこはフリーハンドで、900円にする会社、1,100円にする会社があってもおかしくないというところでございます。
 それから、査定価格と市場の下取価格の差という御質問だと思いますけれども、御承知のように、査定というのは新車の販売店の方が新車を売りたいとか、中古車の販売店の方が中古車を売りたい、そのときに下取りをしますということでございまして、ここはもう、例えば査定価格が1万円とか5万円とかつきましたという場合に、そこからいくら積んで下取りをします、あるいは新車とか中古車、お売りするほうのものをいくら値引きしますといったことと非常にリンクしていまして、そこのところは市場の中で若干不明確になっているかなということでございます。
 ですから、査定価格でとらないと問題ですよといったことはありませんし、この査定制度自体も国の制度ではございませんから、任意の制度でございますので、この査定価格でとらなければいけないといった法的な縛りはございません。
 お答えになっていますでしょうか。

○森山委員 損保協会の方に確認なんですが、先ほど来の論議の中で「全損」という言葉が出ているんですが、全損処理をするということは、使用済自動車と定義づけるということでは全くない、必ずしもイコールではない。あくまでも全損というのは、協定価格なり時価額なりを修理額が上回った場合、全損処理をして所有権を移転するという理解でよろしいですね。

○日本損害保険協会自動車損調PT(米村) そのとおりでございます。

○永田座長 あと、よろしいでしょうか。
 今日は2つの団体に御説明していただきまして、貴重な資料もいろいろお出しいただきました。また追加でも資料を、できましたらお願いしたいということも御要望しておきます。
 以上で本日の主題になるところは終わりでございますが、もう1つ、今後のスケジュールについて事務局より説明をお願いします。
 御説明いただいた方、お礼を申し上げないで申し訳ない。ありがとうございました。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 資料6に基づきまして、今後の検討スケジュール案をお示ししたいと思います。
 本日は第1回でございましたけれども、次回、第2回、おそらく8月末から9月の頭ぐらいになるかなと今のところ想定してございますけれども、次回は、こういった中古車、使用済自動車の流通に直接関係していらっしゃる各団体に対するヒアリングを行いたいと考えてございます。具体的には、オークション協議会の方、中販連の方、自販連の方、そして全軽自協の方、ELV機構の方、この5団体を対象として考えてございます。
 お聞きする内容の例でございますが、例えば本日、合同会議でお示ししました基本的な考え方に対する御意見ですとか、オークションに出されることがある場合にはその出品条件等々、具体的にお聞きしたい事項については、また事前に事務局から御連絡をしたいと考えてございます。
 また、事務局でなかなか具体的なデータを集めきれない場合もございますので、指標に関するデータ等もございましたらとお願いすることになるかと思います。
 また、第3回でございますが、今度は不法投棄ですとか路上放棄、不適正保管、こういったところにターゲットを当てた議論をしたいと考えてございまして、自治体の方々に対するヒアリングですとか、こういった車両の処理の現状について整理したいと考えてございます。
 また、第2回までのヒアリングの結果をまとめまして、一旦ここで論点整理も行いたいと考えてございます。
 これを踏まえまして、第4回でこのガイドラインの骨子案をお示しし、議論がまとまるようでございますれば第5回でガイドラインの案をお示しする。年内にまとめることができればなという若干希望的な観測を事務局では持ってございます。

○永田座長 何か御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、一応このスケジュールで進めさせていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、今日の審議はこれで終わりにさせていただきます。
 御多忙のところ、長時間にわたり御熱心に御討議いただきまして、ありがとうございました。
 本日のところは方向性の確認、それから使用済自動車か中古車かという判断の仕方等について2つの団体から現状が報告され、その情報は共有されたのではないかと思っています。
 あと事務局から事務的な連絡を頂いた後、散会とさせていただければと思います。

○坂口自動車リサイクル対策室長代行 本日は皆様どうもありがとうございました。
 本日の議事録でございますが、発言者を明記したものを後日、各委員に配付させていただきまして、事前に皆様方の御了承をいただいた上で公開いたしたいと思いますので、御了承いただければと思います。
 次回の審議会の日程につきましては、座長とも御相談の上、改めて御連絡をいたします。

○永田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、これで終わりにいたします。
 いろいろどうもありがとうございました。

午後3時18分 閉会