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■議事録一覧■

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
 廃棄物処理制度専門委員会(第3回)
 議事録


午後1時01分 開会

○企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会廃棄物処理制度専門委員会第3回を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただき、大変ありがとうございます。
 まず本日のご出席の状況でございますが、現時点で10名の委員の皆様にご出席いただいておりまして、定足数であるところの過半数に達してございます。
 続きまして、今回初めてご出席されました委員につきまして、この場をおかりして簡単にご紹介させていただきます。
 社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の辰巳菊子委員でございます。

○辰巳委員 辰巳と申します。よろしくお願いいたします。

○企画課長 慶應義塾大学経済学部教授の細田衛士委員でございます。

○細田委員 細田でございます。よろしくお願いいたします。

○企画課長 また、本日ご欠席の関澤秀哲委員の代理として、新日本製鉄株式会社技術総括部長の近藤博俊説明員にご出席いただいております。
 次に、お手元の配布資料でございますが、資料一覧をお配りしておりますので、資料の不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけいただきますようお願いいたします。
 この専門委員会の資料でございますけれども、原則すべて公開とさせていただきたいと存じます。また、専門委員会終了後に発言者名を示しました議事録を作成いたしまして、委員の皆様方にご確認をいただきまして、ご了解をいただいた上で公開させていただきたいと存じます。
 それでは、以降の進行につきましては、田中委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○田中委員長 委員長の田中でございます。本日もどうぞよろしくお願いします。
 時間も限られておりますので、早速本日の議事に入りたいと思います。本日は、前回に引き続きまして、関係者から取り組み状況等についてヒアリングを行っていきたいと考えております。きょうは、宮城県、それから社団法人全国産業廃棄物連合会、社団法人日本経済団体連合会、これらの取り組み状況等につきましてヒアリングを行い、その後皆様方から自由にご質問、ご意見を賜りたいと思います。本日の終了は3時を予定しておりますので、よろしくご協力のほどお願いいたします。
 それでは、早速ですけれども、まず宮城県環境生活部廃棄物対策課技術主幹の庄子寛様からご説明を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○宮城県 宮城県の庄子といいます。失礼しまして、座って説明させていただきます。
 きょうは、宮城県の産業廃棄物行政ということで説明いたしますが、まず宮城県の組織体制としまして、廃棄物関係は、資源循環推進課と廃棄物対策課という2つの課があります。資源循環推進課というのは、3Rですが、リサイクルとか資源化あるいは発生抑制の業務を行っております。廃棄物対策課のほうは、施設とか業の許認可を行う施設班、それから業者への指導を行う指導班、不法投棄対策を行っております不法投棄対策班に分かれております。きょうは、宮城県の産業廃棄物行政における適正処理の推進、それから不法投棄防止のための業務について説明させていただきます。
 お手元の資料2をごらんになっていただきたいのですが、まず1番目としまして、産業廃棄物処理施設の適切な維持確保とありまして、(1)に産業廃棄物中間処理施設立ち入りというのがあります。宮城県内には廃掃法の許可対象となっている施設が約170施設ありますが、このうち年間60施設ぐらいを毎年重点的に立ち入りして指導を行っております。括弧にありますように、19年度は破砕施設を中心に見まして、20年度は汚泥の脱水施設を中心に見ております。21年度は焼却施設を中心に見る予定でおりまして、大体3年に1度ぐらい全施設を見る予定でおります。このほかの許可対象未満の施設については、保健所で随時立ち入りを実施しております。
 次に(2)の最終処分場への立ち入りです。最終処分場へ立ち入って、これは産業廃棄物、一般廃棄物両方なんですけれども、埋立状況を確認しておりまして、放流水を採取しまして分析を行っております。水の分析は年間約24施設ぐらいで行っておりまして、処分場については2年に1回ぐらいで全施設を見る予定にしております。それから、GPSを用いました簡易測量器具によりまして年間8施設程度の測量を行っております。
 (3)としまして、ダイオキシン類発生施設への立ち入りです。ダイオキシン特別措置法による届出がある焼却炉が約140カ所あるんですけれども、毎年20カ所ぐらいに立ち入りまして、排ガスの採取・分析を行っております。
 2番、不適正処理、不法投棄防止のための監視指導等ということで、まず(1)、産業廃棄物適正処理監視指導員、通称産廃Gメンと呼んでおりますけれども、これらの監視指導を専門に行う職員を各保健所に9名配置しまして、専用のパトロール車でパトロールや立ち入りなどを行っております。この職員には主に警察官のOBを採用しております。これによる立ち入り結果なのですが、平成19年度は不適正処理・不法投棄、野焼きも含むのですけれども、954件を確認しております。
 それから(2)市町村職員への産業廃棄物関係の立入検査権限付与ということで、通常、市町村職員は一般廃棄物の権限は有していますけれども、産業廃棄物の取り締まり権限などはありませんので、臨時の宮城県職員として併任することで現場対応を可能にしております。これによって夜間とか休日に迅速な対応が図られると思っております。現在、3市14町の51人を併任しております。これは、希望する市町村の職員を併任しております。
 (3)ヘリコプターによる上空からの監視ということで、スカイパトロールと呼んでおりますけれども、ヘリコプターで上空から、いろいろな不法投棄現場、道路から見えない場所の不法投棄を監視しております。これは、仙台市と宮城県警との共同でも行っております。
 それから(4)最終処分場航空撮影です。測量会社と契約しまして、最終処分場の航空撮影を年間約15~16カ所行うのですけれども、通常の立ち入りではなかなか見られないような場所を上空から撮影しております。
 それから(5)民間会社委託による監視としまして、いわゆる産廃ガードマンというのですけれども、休日とか夜間とか24時間監視が必要な案件とか、職員では時間的になかなか難しいようなものを継続監視しております。
 次のページへいきまして、(6)産業廃棄物不法投棄の情報提供に関する協定ということで、広域的に事業を展開している事業者、例えばタクシー協会とかJAとか、広域的に車を走らせる業者といったところと協定を結んで、不法投棄を発見したら情報提供を依頼しております。
 (7)としまして、市町村、県警、いろいろな事業所と不法投棄防止対策会議というものを設置しておりまして、不法投棄防止対策を協議しております。
 (8)としまして、近隣県との連携ということで、福島、山形、秋田と合同で県境のパトロールを行っております。そのほかに、各県で連携しまして、同日同時刻に複数箇所で廃棄物車両の一斉検問を実施しております。
 それから、次の3、適正処理推進のための普及啓発等ということになりますが、まず(1)産業廃棄物処理業者等講習会ということです。これは、処理業者への講習を通じて適正処理の啓発を行っております。これは、全処理業者対象にするものと、前年度に重点監視を行った施設を対象とするもの、それから前年度に不適正処理とか、ちょっと問題があって指導した業者を対象とするもの、その3種類を行っております。
 それから、(2)許可時における経理的基礎審査の充実ということで、廃棄物処理業許可においては、経理的基礎がない者には許可してはならないと定められておりますけれども、公認会計士の助言を得まして、経理的基礎の審査方法の基準を設けまして、ホームページで公開しております。あとは、個別に判断が難しい案件につきましては、直接公認会計士から助言を得ております。
 それから(3)産業廃棄物処理実績公表ということで、毎年県内の産業廃棄物処理業者から処理実績の報告をもらっているのですけれども、これにつきまして集計しまして、課のホームページで公開しております。
 (4)産業廃棄物処理業者との協定なんですけれども、環境活動に積極的な取り組みを行っている産業廃棄物処理業者と協定を締結しまして、その活動内容などをホームページに掲載しております。
 (5)メールマガジンによる産業廃棄物情報発信ということで、宮城県の「メルマガ・さんぱい」という名前で月に1回、産業廃棄物関係の情報とか用語の説明などを発信しております。現在30号まで発信しております。
 (6)出前講座ですが、排出事業者の求めに応じ、事業者のもとへ出向いて、いろいろな講習を行っておりまして、平成19年度は9回実施しております。これは毎年10回から15、16回実施しております。これは廃棄物に限らず、県のすべての業務についてこの制度がありまして、関係各課が対応しております。
 その他といたしまして、携帯型GPS端末と簡易地図ソフトを利用して、産業廃棄物の運搬経路と時間を排出者に電子メールで知らせるシステムを構築しまして、収集運搬業者への普及を進めております。ただ、これを実施している業者はまだ少なくて、数社にとどまっております。
 それから、今年度から産業廃棄物適正処理に関心の高い業者と懇談会を行っております。この目標としては、中小企業向けの適正処理のガイドラインみたいなものをつくろうかと考えております。
 次のページへいきまして、PCB廃棄物適正処理対策なんですが、PCB廃棄物適正処理推進員を配置しまして、PCBGメンと言っておりますけれども、PCB廃棄物の保管事業所へ立ち入って保管状況を確認したり、処理に関する助言・指導などを行っております。
 続きまして、宮城県の不法投棄等における課題です。(1)の大規模不法投棄事案がありまして、村田町の竹の内最終処分場というところで、全国的に有名になったんですけれども、平成2年に安定型産業廃棄物最終処分場ということで許可をしまして、最終的には許可容量は35万4,000立方メートルぐらいあるのですけれども、ここに102万7,800立方メートルが埋められまして、65万立方メートルぐらいが許可を超えた不法投棄になっております。ここでは高濃度の硫化水素が発生したり、悪臭が発生しまして、住民からの苦情が相次ぎまして、県では専門の竹の内処分場対策室というのを立ち上げまして、住民との話し合いとか、支障除去の対策を練っております。これについては、県の指導監督の不十分さとか、タイミングが悪かったとか、いろいろ指摘されまして、県ではいろいろ体制を充実しまして再発防止に取り組んでいるところであります。これにつきましての工事は今後長期にわたることが予想されますので、産廃特措法の期間延長などの充実をお願いしたいと思っております。
 次に(2)不法投棄等指導事案の長期化です。宮城県では、不法投棄防止のための監視指導とかいろいろやっておりますが、平成15年以降10トン以上の大規模な不法投棄などは減少傾向にありますけれども、実際には解決せずに長期化している事案が多数あります。これは、行為者が行方不明になったりとか、資力がないとか、あるいは刑事で罰せられまして、これ以上の指導がなかなか難しいということなどがあります。あと、いわゆる許可業者でない場合、措置命令しかできないので、例えば瓦れき類などの不法投棄では、生活環境の支障というのがなかなか証明しにくくて、改善が進まないなどの事案もあります。これについては、今後いろいろな法整備などについてご検討いただきたいと思っております。
 それから(3)産業廃棄物処理施設の技術管理者についてです。廃掃法で技術管理者設置が義務づけられているのですけれども、我々が施設に立ち入りますと、非常に適切な知識を有している技術管理者もいれば、全然何もわかっていない管理者もいるわけなんです。この技術管理者の要件に関して、実務経験とかがあれば認められるとなっておりますので、業者によっては単に実務経験があるだけで知識のない者もいると思われます。こういったことで、処理施設の適切な維持管理に向けて、今後要件の認定とか維持確保のあり方について検討が必要と思われます。
 以上、簡単ですが、宮城県の廃棄物行政について説明いたしました。

○田中委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。ご意見、ご質問があれば、名札を立てて意思表示をしていただきたいと思います。
 それでは、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 3点質問させていただきたいと思います。
 1点は、今お話になったところの内容でございますけれども、最後のページの下から4分の1か3分の1ぐらいのところに、瓦れき類のように、生活環境保全上支障が生ずるおそれがない場合は行政処分での対応ができないということについて検討してほしいとおっしゃっていただきましたが、興味深い点だと思うんですけれども、瓦れき類の場合、具体的にどういう問題が生ずるかというのをちょっとお伺いしたいところがございます。基本的には環境保全の観点からいろいろなことをすべきだと考えているほうではあるんですけれども、他方で生活環境保全よりももっと広く対応しなくてはいけないということになると、どこまで広がっていくかわからないというところもあるものですから、具体的に瓦れき類の場合にはどういう問題が生ずるかということを教えていただきたいと思います。
 ほかに2点ございます。1つは、宮城県でも恐らく首都圏からの産業廃棄物が流入されているのだろうと思いますけれども、それについての搬入規制等に関しては現在どういう対応をされているかとか、何か問題が起きていないかということをお伺いしたいというのが1点でございます。
 それからもう1点は、廃棄物処分場の設置に関して、ここは余り具体的には出ておりませんけれども、ちょっと私が存じ上げていないものですから申しわけないんですが、現在、廃棄物処分場の設置に関して、県としては何か法律以上の義務を処分場の設置者に対して課するようなことをされているかどうかについてお伺いしたいと思います。
 以上でございます。

○田中委員長 では、わかる範囲でお願いします。

○宮城県 まず1点目の生活環境保全上ということで、瓦れき類ではどういった支障が生ずるかということなんですけれども、瓦れき類であれば、まず崩落といった崩れることによって周辺に危害を及ぼすというのが考えられますが、これが敷地内にありまして、仮に崩落しても周りに人がいないとか、そこに人が立ち入らないということであれば、単に瓦れきが積み重ねられているだけであって、業者を指導はできますが、支障があるという決め手のある言葉はなかなか出せないのが現状です。要するに、民家に崩落するとか、そういったことがあればですが、瓦れきですと、汚水が生ずるとか、そういったことは考えにくいので、実際にもなかなか苦労しているところがあります。
 それから、首都圏からの廃棄物流入に関して規制をかけているかということですが、基本的には規制はほとんどかけておりませんが、処分場の当初の搬入計画、維持管理に関する計画などでそういった縛りをかけているのであれば、事前に協議しなさいという程度です。ですから、他県でやっているように、事前協議制などは特に設けておりません。
 それから、最終処分場設置に関する法律以上の要件ということなんですが、宮城県では、住民への事前説明とか、許可申請前の計画書提出とか、そういったことを条例で定めております。ですから、申請に入る前に最終処分場であれば1年から数年かかるのが通例であります。許可申請の前に専門家の意見も聞くことにしておりますので、そういったことであれば、上乗せということになります。ただ、これは事前に、要するに法によるものではないということで、あくまで任意の協力によってやっていただくということも事業者に説明しております。

○大塚委員 そうすると、住民の同意が必要だとかということでは必ずしもないということでございますでしょうか。

○宮城県 説明会を求めておりますが、同意書を取ることは要求しておりません。

○田中委員長 宮城県には事前協議制というのはないと。実際は、運用上ではどうなんですか。

○宮城県 運用上では、先ほども言いましたように、当初の維持管理に関する搬入計画と異なった場合は協議してほしいというのがあるのですが、実際に宮城県内にある処分場では他県から受け入れない方針でして、事前協議の例はありません。仙台市はまた仙台市で別にやっているのですが、そこは他県からある程度受け入れているようです。

○田中委員長 では、新美委員。

○新美委員 ありがとうございました。2点ご質問させていただきます。
 3の(2)の経理的基礎審査の充実に関連してですが、公認会計士の指導のもとに審査の基準を設けていらっしゃるということなんですが、これは基礎がきちんとしているかどうかはどんな業務をするのかと相関的な関係にあると思いますが、そのような基準になっているのかどうかということです。例えば、最終処分場なのか、単なる収集運搬なのかによって経理的基盤の考え方は相当違うと思うんですが、分けているのかどうか。
 もう一つは、審査基準を設けて、行政の側は用意していたとしても、資料を提供する事業者の側の会計処理能力には随分差があると思うんですが、それに対して何らかの対応策を考えていらっしゃるのかどうか。この2点、よろしくお願いします。

○宮城県 まず、処分業と収集運搬業については、審査の基準を分けております。処分業は、廃棄物が置かれたまま倒産されたりするとかなり問題がありますので、厳し目にしております。内容としましては、過去3年間赤字であるか黒字であるか。あとは自己資本比率がどの程度であるか。そういったもので、過去3年も赤字だったり、自己消費比率もマイナスとか、債務超過に陥っていった場合、中小企業診断士などからの診断書の提出を求めております。それでもちょっとまずいような場合は、基礎があるとはみなされないという定義になっております。収集運搬業者の場合は、多少経理的基礎が悪くてもトラック車でやっている業者などもありますので、これに関してはかなり緩目にしておりますが、審査内容は同じように過去の赤字歴と自己資本比率などを求めておりまして、それでちょっと判断に迷うような場合は、中小企業診断士の助言などを得るようにしております。
 あと、会計処理能力ということなんですけれども、これは、どこまでやっているかではなくて、そこから出されます貸借対照表とか、過去3年分のものとか、必要に応じて立ち入りをやっていますので、そこの会計能力とか経理分析能力がどの程度かということまで突っ込んだものではありませんので、あくまで中小処理業者であっても出せる程度の資料を求めているということです。

○田中委員長 それでは、辰巳委員、お願いします。

○辰巳委員 2つ伺わせていただきたいと思います。
 1つは、広い地域ですので、監視とかチェックをいろいろなさっているのは伺いましたけれども、割合専門的な視点だけのような気がして、例えば市民を巻き込んだりはしていらっしゃらないのかとか、何か処理をするのではないけれども、通告をするような、何か見つけたら知らせてくれとか、そのようなシステムがあるのかどうかということです。
 もう1つは、取り締まり的な話がとても多いんですけれども、優良の事業者をうまく引き立てて紹介するとか、あるいは表彰するとか、わかりませんけれども、そういうことはやっておられないのか。この2つです。

○宮城県 まず、市民ということで、市民向けに冊子、小さいパンフレットを配りまして、不法投棄を見つけたら随時対応してほしいと、24時間態勢ということで、電話あるいはメールとか、そういったことで通報をお願いしております。これはホームページにも載せております。
 あと、取り締まりだけではなく、優良ということなんですけれども、これは大きな3番の(4)ですが、産業廃棄物処理業者との協定というのがありまして、これは東京都のエコトライ協定などを参考にしたのですけれども、優良な取り組みを行っている業者、例えば環境活動とか、いろいろな地域住民との融和とか、そういった業者を幅広く紹介することにしておりますが、去年から始まったもので、まだ20社ぐらいしか入っていないんですが、いろいろふえていくと思われます。それから、ことしから排出事業者との懇談会を始めまして、適正処理のためにどういった方法があるのかということで、いろいろな優良な事業者を訪問したり、あとはシンポジウムのようなことを計画しております。

○田中委員長 ありがとうございました。
 では私のほうから、村田町の竹の内最終処分場の大規模不法投棄事案があって、それを再発しないようにするために、許可容量を超えるとか、あるいは許可区域を超えた処分を防ぐためにいろいろ監視をやられているということで、GPSを利用して監視をやっているということですが、それで許可を受けた区域を超えた処分というのはわかるんですか。それから、量も、どの程度精度が上がって、どの程度までならわかると考えられますか。

○宮城県 これについては、まだそこまで詳しく検討はしていないんですが、去年から試験的に始めまして、毎年、処分場設置者が自分で測量した結果を報告してもらっているんですけれども、それとどれぐらい違うのか、それも含めまして、あと写真なども報告してもらっていますので、それと実際に違うのかをやりまして、去年は8カ所はかったのですが、一廃と産廃を含めまして、業者からの報告内容とさほど差がないという結果が出ております。これは産廃のみならず一廃もわかりますので、今後、業者の報告を補完する方向になるのか、あるいは区間外にあればそれを見つけられるのか、試しながらやっていくという段階になっております。行政が立ち入ってやったといった事実は重く受け止められますので、今後の指導等に役立てられると考えております。

○田中委員長 ということで、処分場の中に立ち入って、実際に中の境界のところに行ったり、高さのところへ行ってGPSで体積を推定したり、区域を測量と照らし合わせて違いがあるかどうか、そういうことを確認するということですか。

○宮城県 そうです、はい。

○田中委員長 それから、最後のところに技術管理者の問題で、経験を積み上げただけでは十分ではないから、技術管理者の資質を認定して、ふさわしい人にしか技術管理者としての資格を与えないようにしろといったご提案ですか、これは。

○宮城県 提案といいますか、そういった検討も将来に向けては必要ではないかと思われるということです。

○田中委員長 ほかに何かございますか。
 それでは、また後で質問があったらお願いするということにさせていただきたいと思います。
 きょうは、廃棄物を出す側、それを処理する側、それを監督あるいは監視指導する側、3者に来ていただいております。次は、社団法人全国産業廃棄物連合会専務理事の仁井正夫氏から説明をいただきたいと思います。

○全国産業廃棄物連合会 全国産業廃棄物連合会で専務理事をいたしております仁井でございます。きょうは、このような形で私ども連合会の意見を述べる機会を与えていただき、ありがとうございます。
 パワーポイントのシートはありますけれども、基本的にはお配りしております資料3、文字でしかございませんので、この紙を見ながら私の話を聞いていただければと思います。
 それでは、1ページ目の下でございますが、私どもの基本的な考え方でございます。廃棄物の処理、これは負の財、バッズを取り扱うものですので、きちんとした規制というものは必要不可欠なものだと考えております。廃棄物を出す側、処理する側、監視する側、関係者は非常に多うございます。ですから、関係者だれもが十分理解できるような明快かつわかりやすいものというのが制度に求められる最低限の要件ではないかと思っております。こういった観点だけから現行法制を見ても、現行法制は非常に複雑かつわかりにくい。引用がやたら多かったりということで、ほとんど条文そのものでは読めないようなものになっているかと思います。こういったことも含めて、廃棄物法制について抜本的な見直しをぜひお願いしたいというのが基本的な考えでございます。さはさりながら、そう言っていると、どうしても時間がかかるということもございます。私ども連合会として考えております当面の課題と、これに対する要望を述べさせていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして2ページの上・下でございます。平成9年の大きな改正以来、産業廃棄物処理業の構造改革ということで、累次にわたり法の改正をしていただきましたし、国・地方公共団体においてもさまざまな施策を展開していただいたところです。私ども業界あるいは排出事業者の意識というものも随分変わってきました。そういうことによって、2ページ目の下でございますけれども、悪質業者の淘汰を進めるといった、全般的には高く評価される大きな効果をこの10年ほどで出してきたのではないかと評価しているところでございます。一方で、私ども産廃業者としてみれば、環境ビジネスの成長を阻害する要素といったものも目につくところでございますし、廃棄物処理法はできてからもう40年弱たっております。時代に合わなくなっているといったことも多々ございます。
 そういったことから、私どもが今考えている具体的な課題といたしまして、3ページの上のシートでございますが、1から7までの課題を今回のヒアリングでは出させていただいております。順次ご説明させていただきます。
 要望事項の1つとしては、業許可を、特に収集運搬業に係る業許可を広域化していただきたい。これは、平成9年以来の法改正というよりは、廃棄物処理法のスタート時点からのものが今の時代に適合していないということでございます。効率的な3Rを推進する、あるいは適正処理を推進するという場合には、どうしても広域処理が不可欠であるといったものがございます。ところが、現行の業の許可制というものは、それぞれの個別の都道府県・政令市ごとに業許可を取りなさいということでございます。近年、政令市がふえてきて、現在では60の政令市がございます。そういったことからしますと、オールジャパン、全国展開をするためには収集運搬だけで107件の許可が必要になります。なおさらに特別管理産業廃棄物も扱おうということになれば、これが倍になるわけです。新規の許可申請だけではなしに、5年ごとの更新、あるいは変更の許可、変更の届出、これらがすべて107倍になるか、214倍になるかということでございます。法定受託事務ですので、審査は基本的に共通のはずでございます。さらに後ほど説明させていただきますような独自の地方ルールあるいは独自の様式といったこともありまして、私どもの負担をさらに増しているところでございます。
 4ページの上のほうでございますけれども、これは私どもだけに負担がかかるということではなしに、当然、申請・届出を受ける都道府県・政令市においてもいわば二重三重の事務事業というものが発生しているということになるわけでございます。例えば、ある法人で役員が異動すると、変更届が必要になります。許可を持っているすべてのところに履歴を添えて変更届を出すといったことによって、それぞれ受けたところでは、この人間は欠格要件に該当するかどうかということをA県、B県、C県それぞれが審査する。審査する対象は1つでございますので、無駄なことと言わざるを得ないところでございます。
 結論的に申し述べれば、大臣許可にして一本化する、あるいは本社の所在地等での許可でもう収集運搬についてはできるといった形での業許可の広域化をお願いしたいということでございます。
 4ページの下で、この制度がどれほどの負担になっているかということを例示させていただいております。これはある業者でございますが、99件の収集運搬の許可、6件の処分の許可といったものを持っている社で、過去5年間で当然この許可件数に匹敵する105の更新の許可を行っております。これに2,000万円弱の経費を要しております。手数料としては800万円弱といったことになります。変更の許可もそこに書いてあるようなものでございますが、最後の●の[4]にございますように、変更届が必要となった事項はたかだか軽微な設備変更1件、車両変更11件、役員変更等3件といった15件の事案でございます。これに対して届出の件数としては816件が必要になり、200万円余の経費を要しているといったことでございます。ぜひ合理化をご検討いただければと思っております。
 次の要望事項です。5ページの上でございますが、欠格要件・義務的許可取り消しの見直しをぜひお願いしたいということでございます。私どもとしても、暴力団等の影響を排除することは、健全に業を運営していく上で極めて重要なことと考えております。ぜひ厳格に対処していただきたいものと思います。ところが、現行の欠格要件は、その事柄自身が業務にかかわりがあるのかないのかといったことにかかわらず機械的、一律に許可取り消しがなされる。許可取り消しがなされれば、その情状にかかわらず画一的に5年間は申請することができない。しかも、法人が許可取り消しとなれば、その原因にかかわらず一律に全役員あるいは大口の株主あるいは大口の債権者も玉突きで欠格要件該当者となり、この人間が他の法人を兼務していれば、他の法人にまで連鎖するといった大きな問題があると考えております。
 方向としては、義務的な取り消しということではなしに、事情を斟酌した裁量的取り消しを採用していただきたい。一律に5年間申請不可ということを原則撤廃していただきたい。連鎖取り消しを原則撤廃していただきたい。法人取り消しの際の役員等の取り扱いを合理的なものとしていただきたいということでございます。
 頭の体操として、5ページの下のほうに少し極端な例を示してございます。ある法人の役員をしていた人が、個人的な事情で保証人等になってそれが要因で破産状態に陥る。そうすると、その人間は欠格要件に該当するということになります。通常でいけば、そういった人間はその法人から排除するということで、その法人全体に及ぼすということは多分ないというのが一般的なセンスではないかと思いますが、そういったことは意味を持たずに、ある法人の役員が破産状態になったということで直ちに法人の許可取り消しになる。法人が許可取り消しを受けると、そのときに役員に名を連ねていた人間、それから一定額以上の株主、一定額以上の債権者、これらがすべて欠格要件該当者になり、それらの人間は5年間はこの業を行うことができなくなる。こういった連鎖というのは余りに酷ではないでしょうかということです。私どもも、これからのビジネスとして、資本の提携なり、他の社との提携といったものは積極的に進めていく必要があると思っておりますが、こういう足かせのもとでは健全なビジネスとして伸ばすことは難しいと考えております。
 それから、おめくりいただきまして、要望事項の3つ目、地方ルールの問題でございます。地方ルールで独自のルールを課しているといったことがございます。代表的な事例としては、業の許可申請あるいは施設の許可申請における事前協議手続、典型的には住民同意の取得と、先ほどもご質問があったような住民同意の問題、それから書類の問題、書類の様式が無意味にA県とB県で異なるといったところがございます。ぜひ地方ルールにおいて、合理性のないものについては整理の方向で施策を進めていただきたいと思います。
 幾つか事例を申し述べます。6ページの下のほうです。右下のところに丸い絵がございます。これは、10年前ですか、平成9年改正のときのキーコンセプトになった絵で、そのころから携わっている人にとっては懐かしい絵ではないかと思います。「産業廃棄物処理をめぐる悪循環」という、この現状認識のもとで平成9年改正ができたのだと思っております。その中で制度的には、生活環境影響調査でありますとか、あるいは不法投棄原状回復基金でありますとか、そういったものもつくられ、私どもも対応し、あるいは必要な貢献をしてきたというところでございますが、その悪循環の一つとして、住民同意等を求める行政指導といった部分がございます。いわば悪循環を断ち切る努力といったものが官側で欠落していると申し上げざるを得ないというところでございます。2つ目の「・」にありますように、お役所においても通知を発し、ご指導いただいてはいますけれども、実効が上がる状態には至っていないというのが現状でございます。
 7ページの上のほうにその要綱の例を出してございます。ここでは、1,000メートル以内の住民の8割の同意をとってこいというのが要綱として掲げられているところでございます。
 7ページの下以降、添付書類の様式のことについて、細かな話でございますが、若干申し述べたいと思います。
 8ページの上につきましては、事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法ということで、B県の様式とC市の様式は、似たようなものでございますが、違っております。それぞれの申請先の様式に合わせて書類をつくらなければいけないというものでございます。
 8ページの下は、車両についての写真の撮り方です。左側のD県では写真は斜めから撮れと、右のほうのE県では真正面と真横だと、これだけでも一つの車両を変更するというときに、D県向けにはこの写真を使う、E県向けにはこの写真を使うと、非常に手間をかけさせられているというのが実態でございます。
 それから、過剰とも思える書類の例でございます。9ページの上、これは業の許可申請に際し、契約書を求められた。更新の許可の場合でございますが、ここに書いてありますように、委託基準遵守の確認のためということであれば、更新許可事務ではなしに、日常の法施行の中でやっていただくべき性質のものでございます。
 9ページの下は、新規の者にも求めているものですが、発生フローシートを書けと。これはいわば許可を取った後にお客さんになる方についての発生源情報です。そもそも業者側にこういう情報が入手できるかどうかについては、制度的な担保も何一つありません。しかも、許可前にこういう情報を排出事業者自身が自署または記名押印して出すといったことを求めるというのは、過剰以外の何物でもないと思っております。
 10ページの上のほうは、役員だけではなくて、従業員の個々の氏名を書けといった添付書類もあるところでございます。
 一方で車両につきましては、10ページの下でございますが、一時的なレンタルについて非常に強い制約がございます。許可期間と同じ5年間の借り上げでない限りはレンタル車両は認めないとか、そもそもレンタル車両はいけないといったところがございます。
 これに関連してでございますが、11ページの上、要望事項の4ということで、機動的な経営を可能にするような枠組みをぜひお願いしたい。やはりビジネスでございますので、上手に弾力性を確保していかなければ業というものは展開できないわけでございます。一方で廃棄物というのはコンスタントに出るものではないところですけれども、車両をふやすといったところについても結構現実に大きな制約がございます。同種の車両の増減は届出が要らない、手続が要らないといった措置をぜひお願いしたいと思っております。
 それから11ページの下、要望事項の5、排出事業者責任の明確化でございますが、建設工事における排出事業者の定義についてでございます。通知によって、原則として元請事業者が排出事業者だということは書かれておりますが、別の通知においては、業務の分担いかんによっては、元請と下請が共同で排出事業者に該当する場合もあるし、あるいは下請がなる場合もあるといったことが示されています。いわばだれが本来の責任者になるかということについて、外から見てはっきりしていないというところがございます。自社処理だと称する下請業者による処理、自社処理ということになりますと、何ら事前手続は必要ないのが通常でございますので、それによって運搬や保管をする、これが不適正処理につながっている例が多々見られるところでございます。ぜひ建設工事に係る廃棄物について、排出者というのを法律において明定していただくようお願いしたいと思っております。
 今の話と関連してですが、おめくりいただきまして12ページの上でございます。産業廃棄物の処理には、私ども許可を受けた産廃処理業者が処理を行うということのほかに大きいルートとして、事業者みずからの処理といったことがございます。別にその事業者処理を否定する考え方もございませんが、事業者処理においては、特定の施設をつくるといった場合は別ですけれども、通常は何の事前手続も必要とされておりません。ですから、行政庁においても、どういう場所で保管するなどといったことについての情報は入っておりません。制度的には、各種の基準というものは事業者処理においても許可業者処理においても法律上は等しく適用されております。先ほど宮城県さんのプレゼンにも、その業者に対して持っている手段と事業者に対して持っている手段の幅が違うといったお話がございました。そういうことが原因かどうかはわかりませんけれども、実際上、法の適用というのは、私どもは、被害者意識かもしれませんが、事業者に対してはかなり法の執行が甘いと感じているところでございます。先ほど申し上げた建設工事の排出事業者の定義といったところもここにかかわるところ大でございまして、実際上、下請業者による自社処理と称しての不適正保管・放置といったものを数多く聞くところでございます。これ自体が産業廃棄物処理に対しての不信感の増大を招いているということは言うまでもありません。信頼性確立のためにも、ぜひ公平かつ厳正な法執行をお願いしたいと考えております。
 12ページ以降は、基本的に法律の話というよりは政省令事項の話かと思います。こんな問題があるということを意識していただければと思います。
 業や施設の許可において経理的基礎というのが審査の一つの軸になっております。13ページの上のほうでございますが、判断基準が明確でないということから、審査する側、申請する側いずれについてもかなり酷な要件になっているところでございます。要件そのものを、将来にわたり経理的基礎があることといった将来の予測を前提にするような話ではなくて、もう少し判断のしやすい要件に整理していただければと思っております。
 それから、安定型処分場の問題ということで、許可を受けた安定型処分場が司法の場で差止めに遭うとか、許可処分が取り消されるといったことがございます。判決を見ていますと、そういう汚染になる可能性は否定できないといったものが基本的なトーンになっているように感じております。確かに、平成9年法改正前の3,000平米以下のミニ処分場、不法投棄と見まがうようなミニ処分場の問題というのはすさまじいものがありました。ただ、そのイメージが今もなお固定化しているのではないかと思えてなりません。平成11年以降の強化された基準のもとで本当にどうなのかということをしっかり見て、今の安定型処分場について的確な評価をいただきたいと思っております。
 14ページでございますが、保管の基準、過剰保管ということで、一定の数量制限が特定のものについて平成9年改正に伴う政省令によって導入され、平成12年段階ではそれが全産業廃棄物に拡大されております。リサイクルする資源として活用していくということになりますと、一定量のストックというものが不可欠な状況になってきております。ぜひ弾力的な対応をお願いできればと考えております。
 14ページの下、全体のまとめでございますが、私どもとしては、きちんとした規制が廃棄物処理のあらゆるルートできちんと執行されることは健全なビジネスの上での基礎であるということは深く認識しているところでございます。ただ、ちゃんとした環境ビジネスとして自立していくということを考えますと、経営基盤の強化ができるような法枠組みということについてぜひご配慮をお願いしたいと思います。
 ちょっと時間を超過してしまいました。ご清聴ありがとうございました。また、16ページには、私どもの連合会がどんな活動をしているかということについて、簡単なメモをつけてございます。後ほどでも目を通していただければ幸いでございます。ありがとうございました。

○田中委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対して委員の皆様方からご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。細田委員、お願いします。

○細田委員 これについて、ちょっと技術的ですけれども、関連する2つの質問をさせてください。
 1つは積保――積みかえ保管の問題で、よく産廃の業者さんとお話しすると、もう少し積保をうまく利用できると、リサイクルも進むんじゃないかと言ってます。一方で今恐らく都道府県等はほとんど積保の許可を出さないんじゃないかと思うんですけれども、その点は個人的にでもどうお考えなのか。積保を出すとよくなるのか、悪くなるのか、その点を私はちょっと判断しかねているところがあるので教えていただきたいというのが第1点です。
 第2点目は、またそれと似たようなものですが、例えばリサイクルプラントでリサイクルを進めようとすると、普通は事前選別をするわけです。ところが、事前選別をしてしまうと、手選別という許可はありませんから、そのリサイクルプラントは排出者になれないわけです。そうするとどうなるかというと、もう一回排出者のところに行って、「あなたがこの排出者だから、違うところへ持っていってください」と言わなければいけない。こういうばかなことがあるわけですけれども、リサイクルプラントを一たん経過すれば、そのリサイクルプラントが当然排出者になれるわけですけれども、手選別をした場合は許可がないということで、厳密に解釈すると、その残渣はもう一回排出者のところへ行って、違うところに廃棄物を処理してくれということになると思うんですが、その辺について何かお考えがあるのか、困ったことがあるのか、お聞かせいただければと思います。
 以上です。

○田中委員長 では、お願いします。

○全国産業廃棄物連合会 ちょっと私自身、組織的に議論したわけではございませんので、かなり個人的な感想にとどまりますけれども、積みかえ保管というのは、いわばロジスティックの中で単に積みかえて大型車に切りかえるというよりは、先ほど細田先生がおっしゃられたような積保の中で荒物について手選別をするとか、そういう手選別工程を組み込んだもの全体が一つの積みかえ保管の現実的な機能だと考えております。そういう点で、通常の今のリサイクルを考えれば、人間の手・目による選別というものが全体としては大きなウエートを占めているというのが実態でございます。機械でできるといっても、機械には入れてはいけないものを排除するとか、機械に入れて細かくしてどうのこうのするよりは単一のマッシブなものについて人の手を用いてパンとはねるといったところを上手に組み合わせていかないと、適正な選別といったものはできないと思っております。
 後段の手選別の場合ですと、また業者に戻ってしまうということについては、何をもって手選別とするのかとか、その辺の境界領域について、ある種お役所からのきちんとした見解を出していただかないとちょっと答えがたいというのが率直なところです。

○田中委員長 それでは、新美委員、お願いします。

○新美委員 2点の質問と1点のコメントです。
 最初に1ページ目ですけれども、廃棄物処理法制が非常に読みにくくてわからないというのは、私も同感ですけれども、これは内閣法制局の法案のつくり方というスタンスがありますので、環境省が逆立ちしても難しいかなという気がしますので、要望として承って、環境省が法制局と交渉する際に、こういう要望があったと言っていただくしかないんじゃないかと思います。繰り返しは許さないというのが法制局ですから、引用できるものはみんな引用しろということになっていますから、私も同じ意見ですけれども、果たして法制局が入れてくれるかどうかは別問題になります。これはコメントです。
 あと広域化の問題ですけれども、広域化が必要であるというのはわかります。業の許可も広域化してほしいというのはわかりますが、他方では地方分権をどうするのかということについてご意見があれば、地方分権というのは大事だと。それからもう一つは、環境問題というのは極めて地域性の高い問題であるというのが従来から言われてきておりまして、その地域の特性というものをどのように考慮に入れるのか。とりわけ、許可を大臣許可にした場合、具体的な監視とかコントロールをどこが担うのかという問題が出てきます。これを環境省が全部担うのかというと、行政の肥大化を招きますし、自治体との絡みでどのようにするのか、非常に悩ましい問題がありますので、広域化というのは事業の展開で望ましいということは私もわかりますけれども、現実のコントロールはどのようにしたらいいのか、ご意見があれば賜りたい。
 それからもう一つは、欠格要件の許可取り消しの問題ですが、先ほど非常に微妙で、破産状態になったら直ちにではなくて、破産宣告を受けたら直ちになんです。債務超過に陥って破産の申し立てがあって、それから宣告がおりるわけですので、法人にとって対応することが難しいとは私は個人的にはちょっと思えないので、その辺をどうお考えなのか。
 それから、刑罰の場合も、故意は余りないんですが、過失というときには、検察庁で裁量的に起訴するわけですので、そもそも裁量があるかないかというところでいうならば、起訴するかどうかで裁量が働いている。それから、起訴された後に判決がおりて確定してからが欠格要件ですから、2週間余裕があるわけです。ですから、起訴されてからいくと半年くらいは余裕があるわけですが、それでも足りないのかどうか。その間に役員を辞任してもらうといった措置はとれないのかどうか。その点についてご意見を伺えたらと思います。質問は2点です。

○田中委員長 お願いします。

○全国産業廃棄物連合会 業許可の広域化に関してでございますが、私どもがお願いしておりますのは、業の許可をする、更新の許可をする、あるいは変更の届出をするというところについて、収集運搬に関しては一本化していただきたいということでございまして、監督権限をそれぞれ活動している都道府県・政令市が持つということについては、ある意味で当然ではないだろうかと思っております。国が許可権限を持ったときに、国と地方庁との関係をどう整理するかというのが多分お役所の話ではあると思いますので、そのときにどちらもがし得るという構成は十分できるのではないかと思っております。
 それから、環境の問題は地域性が非常に強い。おっしゃるとおりだろうと思います。私どもがお願いしておりますのは、ある意味で地域に根差した施設をつくるといったところについて、その施設立地のところの都道府県・政令市が関与するというのは、これは当然だろうなと思っております。ですから、収集運搬という移動する車においてというところについて、1カ所での手続をしていただければと思っているところでございます。
 それから、欠格要件の話でございますが、業務に伴う事案であれば、その会社の中で把握するのも当然だと思うのですが、個人的な事情での話というものを会社が常に把握し切れないのが、おまえのところはガバナンスがないと言われれば、それ以上私は申し上げようがないということです。ただ、役員ですから何という言い方をしたらいいのかわかりませんけれども、通常の雇用関係において個人的な事柄についてそこまで社に開示・提供する義務はないと思いますし、まして大口の債権者・株主といった者が会社に対してそういう情報提供をするとか、破産だったら株を持ってはいないのでしょうけれども、あるイベントがあったら株を放棄しなければいけないといったこと自身は、やはり制度のゆがみではないかと私は思います。

○田中委員長 それでは、大塚委員、お願いします。

○大塚委員 新美委員がご発言になったこととかなり重なってしまうので、ごく簡単にしたいと思います。先ほどのページ数ではなくて、スライドの7ページとか8ページのあたりのことでございますが、今お答えいただいてある程度明確になってきたと思いますけれども、従来の考え方だと、許可をした自治体が監督もする、コントロールもすると考えてきたので、許可をする主体と監督をする主体がかわってもいいというお考えなんだろうと思いますけれども、それで実際にうまくコントロールできるかという問題がちょっとあるものですから、そこをどう考えるかという点が重要な点ではないかと思います。一つお伺いしたいのは、先ほどスライドの6あたりで、全国展開をする収集運搬業の話が出てまいりましたけれども、現在産業廃棄物の処理として、もちろんリサイクルも入ってくる場合もあると思いますが、全国展開しておられる事業者さんはどのぐらいいらっしゃるかというのをちょっとお伺いしたいと思います。
 あとスライド2のところに関しては、新美委員と同じ意見でございますが、現在の法律は、産業廃棄物のほうがむしろ本当は使われることが多いんだけれども、一般廃棄物が先になっているので、産業廃棄物で読みかえの規定を後ろで準用しているということになっているので、非常に読みにくいということがあって、これは本当は何とかしたほうがいいのかなということがございます。あと廃棄物処理法特有の問題として、これも仕方がないことだと思いますけれども、今まで改正に改正を重ねてきているので、抜本的に整理するほうが見やすいものにはなるのではないかという問題は一般的にはあると思います。
 以上でございます。

○田中委員長 お願いします。

○全国産業廃棄物連合会 ご質問の部分はどこでしたか。すみません、大塚先生。

○大塚委員 スライドの6あたりですけれども、収集運搬業を全国展開されている産廃業者さんは今どのぐらいいらっしゃるのでしょうか。

○全国産業廃棄物連合会 例えば、ここでのA株式会社の事例というのも、少なくともオールジャパンではありません。ある地域ブロックです。ただ、私がデータベースで見たものでいけば、とあるロジスティックの会社で二百幾つの許可を持っている会社はありました。

○田中委員長 近藤説明員、お願いします。

○近藤説明員(関澤委員代理) 要望の5の排出事業者責任の明確化ということが、要望の6、全ルートにわたっての法の公平かつ厳正な執行をというつながりになっていると思います。要望事項の6の事業者という言葉を製造事業者という意味で理解させていただくと、この場合についても同様に厳格な法執行をという言葉で要求されているのでしょうか?私ども製造事業者は、廃棄物の排出を抑制する、排出量をミニマムにする、ゼロエミッションにするということで、みずからの利用あるいはみずからの処理ということで進めてまいっておりまして、それについては相当効果が上がってきているのではないかと思っております。これについては、非常に専門的なプロセスあるいは技術が必要なものですから、言葉の定義だけで廃棄物であるかどうかは決められません。製造事業者の自ら処理・利用する場合も同様に扱われますと、極めて進捗が停滞するというか、利用が難しくなると思いますので、そのあたりについてはどのようにお考えになるのでしょうか。

○全国産業廃棄物連合会 要望事項自体は、まさに製造事業者であろうとも、建設絡みの事業者であろうとも、あるいは処理業者であろうとも、リサイクル業者であろうとも、法は公平かつ厳正に執行していただきたいということです。ただ、現実の問題として目についている話というのが、ここの「・」の4つにございます建設業に係る事業者定義があいまいなところをいわば悪用されて、解体廃棄物等が不適正な保管なのか、処分なのかわかりませんけれども、そういったものが散見されるということでございます。ですから、幾ら厳正に法執行をされても、きちんと守っている人間にとっては痛くもかゆくもないところでございますので、それ自体の問題ではないと思っております。

○近藤説明員(関澤委員代理) ちょっと細かくなるのですけれども、我々製造事業者が廃棄物として出すものは、自らがこれ以上利用できないということで排出しているということです。いわゆるプロセス途上というか、取り扱い途上でその定義に該当するということがないように考えていただきたい。業態毎、扱うもの毎によって廃棄物の定義や取り扱い方は変わるというところを十分理解した上で、製造事業者と建設事業者の特性に合わせたルール作りを要望したいと思います。

○全国産業廃棄物連合会 私どもがここで書いているものは、事業所の中で法律上どう扱われるかということについては、私どもとしては特に関心を持っているものではないわけで、いわゆる発生事業所から出てきたときの取り扱われ方の問題です。

○田中委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。最後に、社団法人日本経済団体連合会環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長の吉川廣和様よりご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○吉川委員 経団連の吉川でございます。廃棄物処理法に係る産業界の取り組みあるいは問題点、要望等について、これから我々の考え方をお話しさせていただきたいと思います。
 本日ご説明する内容の概略は、お手元の資料の1ページをあけていただきますと、このように整理しております。適宜ごらんいただきたいと思います。なお、原稿を書いてもらっていますので、それを読みながらご説明したいと思います。その内容ですが、先ほどの全国産業廃棄物連合会の内容とかなりダブっておりまして、一致するところもありますし、また不一致のところもございます。あわせて聞いていただければと思います。それでは、申し上げます。
 まず、廃棄物処理法をめぐる現状について我々がどう認識しているかということをご報告させていただきます。1990年代には深刻な社会問題となっていました産業廃棄物をめぐる状況は、数次にわたる廃棄物処理法の改正や産業界における自主行動計画の策定など、政府・自治体・産業界の努力により、97年の廃棄物処理法改正時に比べてこの10年間で大幅に改善していると考えています。
 具体的には、第1に、資料2ページにございますように、経団連では自主行動計画の策定と毎年度のフォローアップにより産業廃棄物最終処分量は90年度の2割に満たない水準にまで大幅に削減しております。事業者における産業廃棄物最終処分量の削減努力は限界に近づいてきており、今後の大幅削減は難しくなりつつあります。この棒グラフを見ていただきますと、ポイントだけ申し上げますが、1990年代には5,895万トンであったものが2006年には873万トン、これは実績の85.2%減ということで、大幅に削減しております。なお、我々が目標にしておりますのは86%で、この線でございますが、もう一息というところに来ております。そのような中で、本年3月に決定されました第2次循環型社会形成推進計画では、2015年度の産業廃棄物最終処分量を2000年度比で約6割削減するという努力目標が示されました。これは2006年度の実績では約52%のところまで来ております。産業界は引き続き削減に努めてまいりますが、技術開発や異業種間連携等を推進する政策的な支援をお願いする次第です。
 第2に、資料3ページにありますように、産業廃棄物最終処分量の大幅削減の効果もありまして、97年当時は3年ほどしかなかった最終処分場の残余容量は、7年を超える程度に伸びております。この表を見ていただきますと、1997年には3.2年、それが2005年には7.7年に伸びているということでございます。とはいいましても、いまだ十分な水準にあるとは言えません。引き続き残余年数の延長を図るべく、最終処分場を確保しやすい環境整備を推進することが重要であると考えております。
 他方、不法投棄は、次の4ページをごらんになってください。ピークだった1990年代に比べ件数、量ともに大幅に減少し、関係者の努力の効果があらわれております。これは、平成12年度を見ていただきますと、これは2000年ですが、棒グラフのほうが40万トンぐらいですが、平成18年度で12万トンぐらい、約3分の1に減っています。件数が折れ線グラフですが、1,000件ぐらいありましたのが、半減して554件ということになっております。今後とも犯罪行為である不法投棄を撲滅していく努力が必要です。
 ちなみに、産業界は、5ページにありますように、不法投棄原状回復基金に資金協力をしておりますが、このような基金が不要となる社会が早期に実現することを期待いたします。これを見ていただきますと、細かいのですが、一番下の赤っぽいところの真ん中に、廃棄物処理法に基づく財政支援、補助率が4分の3ということになっておりますが、我々業界としてはこの半分の4分の2を負担しており、あとは国が4分の1、地方自治体が4分の1ということで、そういう努力をしているということでございます。
 次に、循環型社会形成について申し上げたいと思います。1997年の廃棄物処理法の改正後、資料6ページにございますように、循環型社会形成推進基本法の策定やその後の相次ぐ個別リサイクル法の制定・改正等により、循環型社会の形成に向けた事業者や国民の意識の醸成や実践が進み、リサイクル率が向上するなど、循環型社会は着実に推進されております。皆さんがご存じの体系でございますが、この緑のところを見ていただきますと、循環型社会形成推進基本法があって、その下に廃棄物処理法と資源有効利用促進法、さらに個別のリサイクル法があるということで、効果を発揮しています。ここで強調したいことは、循環型社会の進展に伴い、廃棄物処理法の許可を取得する事業者は、埋めるあるいは焼くといった伝統的な中小の廃棄物処理業者、中には不良な業者も多いわけでございますが、それにとどまらず大規模製造事業者の動脈事業に拡大するなど、その担い手は多様化しております。
 具体的には、産業界は循環型社会の形成に向けて、産業廃棄物処分量の削減や3Rの取り組みの推進が社会的に求められている中で、例えば鉄鋼・非鉄金属・セメント産業のように、従来廃棄物として処理されていたものを原料として生産プロセスに投入し資源として再利用する大規模素材産業、あるいは拡大生産者責任のもとで使用済み製品のリサイクルを手がけている電子・電気産業などの大規模組立加工メーカー等が存在します。さらに排出事業者責任のもとで廃棄物の適正処理をより確実なものとするため、廃棄物処理施設の許可をみずから取得し廃棄物の自己処理を手がける排出事業者や、グループ子会社を使ってみずからの廃棄物処理を行う事業者がたくさん出てきております。資料7ページのところを言っておりますが、このように産業界は、かつては専ら排出事業者ととらえられていたと存じますが、現在では排出事業者の立場のみならず、資源の有効利用やゼロエミッションを志向する関係で廃棄物処理法の許可を取得する事業者が多数存在いたします。資料7ページに主要企業における廃棄物処理法の許可の取得状況を紹介しておりますので、ごらんください。これは今回の意見陳述のためににわかに調査したもので、経団連も全体を把握しているわけではございませんが、20ほどの処理業や処理施設の許可を取得している製造業者もございます。7ページを見ていただきますと、例えば一番上のA社ですと、産業廃棄物の許可は全部取っているし、処理施設も持っており、一般廃棄物の許可も2つほど取っている。E社は、素材産業ですが、産業廃棄物と一般廃棄物の許可を全部、グループ企業の中で取っているというところでございます。こういう実態をご報告しておきます。
 次に、資源循環の取り組みが阻害されている状況についてお話しいたします。今後とも環境と経済の両立を図りつつ着実に循環型社会の形成を推進していく必要がございますが、廃棄物処理法は、いわゆる悪質な廃棄物処理事業者の関与を想定して、廃棄物処理に極めて煩雑で厳しい規制を課してきた結果、廃棄物の適正処理の確保や不法投棄の防止に効果を上げている反面、大規模製造事業者等における資源循環の取り組みを阻害している面がございます。例えば、資源等の価格変動がある中で、有償か逆有償か、有償なら産廃、逆有償ならそうでないといった経済価値で廃棄物処理法の規制のもとに入るか入らないかが判断されがちなこともございます。それが産業界における資源循環の取り組みを進めにくくしている要因になっていることも事実です。循環型社会の形成に向けて、産業界における資源循環の取り組みを推進していくのであれば、両者を全く同じ規制のもとで縛るということが本当に合理的なのか、大変疑問のあるところでございます。これは後ほど事務局のほうからまた詳しく説明があります。
 次に、国際的な資源循環についてです。日本政府が世界に提唱した3Rイニシアティブに象徴されますように、自国内での資源循環を基本としつつも、国際的な資源循環を推進していくことが求められております。
 以上申し上げました廃棄物処理法をめぐる現状を踏まえまして、廃棄物処理法の規制や運用を見直すに当たって考慮すべき基本的な考え方について、経団連としての意見を申し上げたいと思います。これは8ページをごらんいただきたいと思います。
 第1に、より深化したといいますか、成熟した循環型社会の形成に向けて、将来的には廃棄物処理については廃棄物処理法、リサイクルについては資源有効利用促進法、個別リサイクル法等により、生活環境の安全等を担保しつつ促進することを検討すべきと考えます。しかし、それを実行するのはなかなか難しいという面もあるでしょうから、当面は資源循環に関するリサイクルについては、廃棄物処理法の厳格かつ煩雑な規制を一部緩和する方向で検討すべきと考えております。
 第2に、廃棄物処理やリサイクルに携わる多様な担い手を考慮した法規制のあり方を検討すべきと考えます。いわゆる悪質な処理業者を念頭に置いて、不法投棄を防止する現行の規制の中で、例えば大規模製造事業者が生産設備を活用して行うリサイクルについて、環境保全を担保するための規制としては、過剰な規制が含まれているのではないかと考えております。この内容についても後ほど事務局から申し上げます。そこで、リサイクルの場合は、特例制度等を活用し、あるいは拡充していって大幅に規制を緩和する、あるいは施設の許可に係る規制は一部緩和する、あるいは優良性評価制度を拡充して、優良許可業者には思い切った規制緩和を行うなど、多様な担い手に対応して規制のあり方を検討すべきではないかと思います。これは先ほどの連合会の意見とは少々違うところもございますが、こういうことでございます。
 第3に、広域的な処理を推進する法規制・運用のあり方を検討すべきです。本年3月に策定した第2次循環基本計画では、地域の特性や循環資源の性質に応じた最適な規模の循環を形成することも重要であるとして、地域循環圏の考え方が打ち出されました。また、環境と経済が両立する形で循環型社会を形成していくためには、ここが非常に大事なところですが、ビジネスとして成り立つよう、規模の経済を発揮させて一定規模のロットを確保しつつ資源循環ビジネスを実施していくことが必要不可欠です。日本政府がイニシアティブをとって、国際的な資源循環を推進しているところでもあります。国内においても、循環資源の性質に応じて、広域的な処理を推進する法規制や運用を実現していただきたいと存じます。
 第4点です。手続面での事務負担の軽減をお願いします。廃棄物の適正処理を確保する観点から、政府・自治体における許可権限を減じることが難しいということもあろうかと思いますが、せめて行政手続の簡素化・合理化・電子化等を推進していただきたい。これは大変な苦労をしております。
 第5に、循環型社会の形成に向けた事業者の努力を阻害することなく、廃棄物の適正処理を確保するための対策、例えば不法投棄防止対策等も重要です。引き続き未然防止・早期発見に向けた政府・自治体における運用面の強化や、最終処分場の確保をお願いいたします。
 その他、国際的な資源循環を踏まえた法規制・運用のあり方について、適宜ご配慮いただければ幸いでございます。
 以上、抽象的に申し上げましたけれども、具体的な改善要望事項について、経団連の事務局が来ておりますので、具体的な事例を紹介しながら補足してもらいます。

○日本経済団体連合会事務局 ご指名でございますので、事務局のほうから、副会長からご説明いただきました基本的な考え方に基づきまして、現時点で具体的に改善していただきたいということをまとめましたので、ご説明させていただきます。
 第1に、特例制度の活用・拡充等でございます。廃棄物処理法の改正によりましてリサイクルに関して広域認定制度や再生利用認定制度が創設されたことは、評価しております。しかしながら、審査が厳格でなかなか認められない、手続が極めて煩雑、使い勝手が悪いといった意見も多く寄せられております。とりわけ消費者等が使用した使用済み製品を製造事業者がリサイクルする場合に、広域認定制度というものは非常に有効ですけれども、例えばある職場のパソコン等の情報機器をリプレースする場合に、リプレースするパソコンや印刷機等の情報機器は必ずしも新しい機器メーカーのものと同じとは限りませんで、さまざまなメーカー品が含まれております。とりわけパソコン等の情報機器の規格は企業ごとに大きな違いはなく、他社製品だからといって適正にリサイクルできないことはないということでございます。消費者等の使用済み製品のリサイクルを推進することが期待されているところであり、特例制度を活用しやすくする規制緩和というもののご検討をぜひお願いしたいと思っております。その一環として、広域認定制度における収集運搬の手段といたしまして、システムとしての宅配便というものを活用することもご検討いただければと考えております。
 第2に、欠格要件の行き過ぎた規制強化の見直しでございます。資料11ページをごらんください。現行の規制では、例えば全国各地に複数の生産工場を有している大規模製造メーカーにおきまして、廃棄物処理業や施設の許可を有していないA生産工場で何らかの事故で水質汚濁防止法の過失による直罰を受けてしまった場合に、自動的に他の生産工場やリサイクル工場、さらには役員を派遣している子会社等が有している廃棄物処理施設や処理業の許可が自動的に取り消されてしまいます。また、最近では、コーポレート・ガバナンスの観点から、例えばトヨタとソニーといったように、独立した会社において社外取締役や社外監査役を置くケースも見られます。そのようなケースで廃棄物処理法の許可を有している場合には、他の製造事業者が有する生産工場の処理施設や業の許可まで自動的に取り消されてしまいます。一部の悪質処理業者対策として欠格要件の強化が必要であるという主張は理解しないわけではございませんけれども、さまざまなケースを想定し、循環型社会へ向けた取り組みを阻害することがないよう、例えば施設の許可やその他環境法令の過失違反については、許可の取り消しを義務化するのではなく、自治体等の判断により取り消すことにすべきと考えております。
 第3に、収集運搬業の許可の広域化でございます。現在、都道府県のみならず、政令指定都市・中核市単位で収集運搬業の許可を取得しなければならないことから、先ほど全産廃連のほうからご説明もありましたが、全国の事業所をカバーしようとすると、最大で107の許可を取得する必要がございます。特別管理廃棄物の許可も合わせると、その倍の214の許可が必要です。その場合の事務負担を簡単に試算したのが資料12ページでありまして、5年ごとの許可更新に係る事務負担は年間約400万円、人件費も加えると年間700万円の費用がかかるといった試算もございます。点ではなく線で活動する収集運搬業に対して、許可を細分化して取得することが必要不可欠な規制なのかどうか。例えば、収集運搬業については、環境省の地方環境事務所を活用するなど、地方ブロック単位での許可制度に広域化できないか。少なくとも中核市ごと、政令指定都市ごとの許可は見直しして、都道府県単位に広域化していただきたいと考えております。
 第4に、許可手続・行政報告に係る添付書類等の簡素化/電子化・ワンストップサービス化です。もし廃棄物の適正処理のために現行の法規制を緩和できないというのであれば、せめて政府・自治体の許可権限を減じない範囲で民間事業者の廃棄物処理法に係る行政手続の負担を軽減していただきたいと考えます。廃棄物処理法に係る手続は非常に煩雑で、事務負担がかかります。具体的には、処理施設や収集運搬業の許可について、役員の異動や軽微な変更に係る変更手続に要する添付書類の削減、例えば役員の住民票や登記事項証明書等の削減をご検討いただきたいと考えます。大規模事業者になりますと、役員は20名以上いる場合も多く、毎年度、廃棄物処理とは全く関係のない役員も含めて全役員の住民票を入手しなければならない自治体もございまして、またそれは海外に居住する役員に対しても求められる場合もあると聞いております。ぜひ合理的な規制に見直していただきたいと考えております。また、将来的には、資料13ページのイメージ図にございますように、政府・自治体間の情報システムを共有化し、事業者が複数の自治体の許可を取得する場合には、インターネットを活用し、一度関係書類を送信すれば、複数の自治体に情報が送られ、各自治体の審査を受けられるように、民間事業者の手続の合理化に資する情報化・ワンストップサービス化を実現していただきたいと考えております。
 第5に、地方自治体の独自規制の見直しでございます。広域処理実現等の観点から、処理施設の設置や域外からの産業廃棄物の搬入等に係る見直し、処理施設設置に伴う都市計画審議会手続の簡素化、各種申請書類の統一化や法解釈の統一化などをぜひお願いいたします。少なくとも、単純な廃棄物処理ではなく、リサイクルといった資源循環に資する場合には、こういった自治体の規制を緩和することを強くお願いいたします。
 そのほか、廃棄物処理業者優良性評価制度につきましては、現状では処理業者・排出事業者双方にとってメリットが少ないといった課題がございます。そこで、多様な担い手に応じた規制の見直しの一環として、自治体や第三者機関の審査を導入し、優良許可業者に対する思い切った規制緩和などの優遇措置の導入や、排出事業者責任の軽減などについてご検討いただきたいと考えます。
 さらに、政府は電子マニフェスト普及に関する思い切った数値目標を掲げておりますが、電子マニフェストの普及に当たりましては、排出事業者、処理業者ともに一斉に加入しないと、紙マニフェストと電子マニフェストの二重管理となって、さまざまな間違いが起きる可能性が懸念され、加入をちゅうちょする排出事業者も多くございます。ぜひ電子マニフェストに加入するメリットを感じられるよう、手続や届出の簡素化といった規制緩和や、中小事業者に対する資金面の手当て等が必要であると考えております。
 その他規制緩和要望といたしまして、温暖化対策に資する、鉄道貨物や海上輸送を活用した収集運搬についての運用の緩和など、さまざまな要望が関係企業から寄せられております。
 現時点での主な要望は以上でございますが、循環型社会の構築に当たりましてはリサイクルの推進というものが不可欠であり、リサイクルについては、いわゆるごみと同じような規制を課していては進展いたしません。ぜひ、まずは悪質な処理業者の排除といった産業廃棄物をめぐる構造改革の推進と、循環型社会形成に向けた動脈企業との循環資源の取り組みとが両立する諸規制の運用のあり方というもののご検討をお願いし、当面は少なくともリサイクルについて、廃棄物処理法の一部を緩和していただきたいと考えております。しかしながら、将来的には、廃棄物処理については廃棄物処理法、リサイクルについては資源有効利用促進法や個別リサイクル法等の充実により、生活環境の保全を担保しつつ促進するといった法体系の整備をお願いしたいと考えております。
 最後に、もう一つお配りしている資料は、本年度の廃棄物・リサイクル分野に係る規制改革要望でございます。経団連では毎年度、会員企業・団体を対象に実施したアンケート調査をもとに、政府に対してさまざまな分野の規制改革要望を提出しております。それは、廃棄物・リサイクル分野に係る抜粋でございます。細かな要望につきましては、適宜こちらをご参照いただければと考えております。
 経団連からの説明は以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして委員の皆様からご意見、ご質問をいただきたいと思います。それでは、新美委員、お願いします。

○新美委員 今、リサイクルの対象となる廃棄物については、他の廃棄物と一緒にするのは困るというお話なんですが、自社排出分だったらこれは何も言っていないので、他社の排出した廃棄物をどうするかですが、それを廃棄物でないというロジックはどこから出てくるのですか。廃棄物ではあると思うんですけれども、その辺は何かロジックがあるんですか。

○吉川委員 これは一つの例で申し上げたほうがわかりやすいと思いますが、非鉄の場合ですと、そのものが原料なんです。ですから、廃棄物として処理するのではなくて、これは原料として処理できますので、例えばそういうことです。

○新美委員 私が問題にしているのは、原料になるか、ならないかは用途の問題ですから、では現実に外へ出ているもので原料にならない廃棄物と原料になる廃棄物が世の中にはあるわけです。その区分はどうやってできるとお考えですか。

○近藤説明員(関澤委員代理) 私が今度は鉄の立場でちょっと答えさせていただきますと、鉄鋼業の中での同業種での連携を進めることによってさらなるゼロエミッションを進めたいと考えております。同業他社から出てくる、あるいは自らが利用できたA会社と、スケールがある程度小さくて利用できなかったB同業他社のものも同時にリサイクル・減量化できるというものについてまで廃棄物であるという厳格な規制を受けてしまいますと、それを利用するために廃棄物処理業の許可をA社のほうが取らなければいけないということになります。こういった面については規制緩和の中で取り扱っていただいているといった状況もあります。

○新美委員 私は、そういう目的で使われるのを悪いと言っているわけじゃなくて、世の中にある同じ物が、特別扱いを受けるのと特別扱いを受けないというのとで、どうやって識別されるのか。それができないときには困るんじゃないですかということです。

○日本経済団体連合会事務局 廃棄物といってもいろいろなものがございますので、それをいかにこういった循環型社会の中で循環利用していくかということで各企業が知恵を絞っているわけです。判別は、そういった意味で厳格に切り分けるというのはなかなか難しい作業なのは理解しておりますので、今回の要望も、段階的に要望させていただいているということでございます。ただ、いわゆるごみとして、もう利用できずに最終処分場に回ってしまうものと、例えば今廃プラですとか、いろいろなものが生産設備に導入されて、その原料としてやっているわけです。そういったときに、例えばその生産設備までも廃棄物処理施設となってしまうと、その施設の増設のたびに廃棄物処理法上の許可の変更手続をとる必要が本当にあるのかどうか。なかなか一緒くたに議論するのは不合理ではないかということを問題提起させていただいているということでございます。

○田中委員長 ということで、特に生産設備に入っているものは、廃棄物の処理施設と同等の規制を受けるのは困る、緩和してほしいと。
 では、大塚委員。

○大塚委員 3点ほどありますが、第1点は、今、新美委員がお聞きになったことと関連しますけれども、既に廃棄物の定義との関係で環境省のほうからも通知が出ていて、製鉄業とかビール業とかに関しては原料になるものを廃棄物として扱わないようになっておりますので、それをどれだけ拡充できるかという話だと思うんです。抽象的・一般的に言えば、市場においてマイナスの価値だということになると、それはぞんざいに扱われる可能性があるので、不法投棄の温床になるということが考えられるので、基本的にはそういう発想で法律ができています。これを変える必要があるかということですけれども、私は、さっき新美委員がおっしゃったこととも関係しますけれども、ちょっと識別ができないということと、あと市場の状況によって変わってきますので、原料だからということで全然別に扱うというのは難しいと思いますので、今の状況を少し広域認定のほうとかを拡充するというのはあり得ると思いますけれども、不法投棄との関係を考えながら、おっかなびっくりで検討していくしかないのではないかと思っております。これはコメントでございます。
 それからあと2点、ちょっと申し上げておきます。1つは、欠格要件とか許可の取り消しに関しての問題でございます。11ページでお書きになっているのは、水質汚濁防止法の直罰の例なんですけれども、実際に直罰で処罰された例というのは実は少ないと思いますので、実際にこれがそんなに多く出てくるということではないと思いますが、これも起訴されることが、さっき新美委員がおっしゃったように、検察官のほうの裁量で決まりますので、実は本当にうっかりという例がここに入ってくるわけではないんです。非常に大げさに書いておられるのかなという気がちょっとしないでもないですけれども、ここで書いておられるように、連鎖していくところについては、私も若干問題があると思いますが、水質汚濁防止法自体は環境法令ですので、その違反というのは環境法としては残念ながら重大として見ざるを得ないところがあるのではないかと考えております。それから、許可取り消しについて、義務的なものを裁量に変えるという件については、法律をつくったときには、都道府県の担当者などに許可取り消しをすることに関して裁量を与えると、暴力団との関係とかで生命の危険とかもある場合があるということがあったので、それが現在解消されていればいいんですけれども、そこをどう考えるかということがございます。
 それからもう1点ですけれども、広域認定を広げていくという点に関しては、私も賛成なんですが、おっしゃったように、例えば環境省に関しては地方環境事務所を使うとかということもあり得ると思うんですけれども、これは恐らく今、環境省のほうでおやりになるときに、人員が絶対に足りないと思うんです。今は国家公務員をどんどん削減していく方向にあるので、その中で国の事務をどのように考えていくかということなので、経団連さんもそういうことも踏まえてぜひいろいろな働きかけをしていただくとよろしいかと思います。廃棄物に関しては、もし全部地方に行くのではなくて、国にかなり残しておいたほうがいいといったご発議があるのであれば、ぜひその点についてもご要望とかを出していただくとよろしいのではないかと思っております。
 あと、9ページに書いてある「許可手続・行政報告に係る添付書類等の簡素化/電子化・ワンストップサービス化」というのは、ぜひやっていただきたいと私も思っております。自治体によって余りにも違っていて、それが余り意味がないという場合も全くないわけではないので、この辺は余り不合理な違いを残すのはどうかなと考えております。ちょっとコメントが多くてすみません。

○田中委員長 何か。はい、どうぞ。

○吉川委員 コメントをありがとうございました。参考になる部分がたくさんありますので、我々も検討したいと思います。
 あと、欠格要件の行き過ぎの例ですが、実際にこういうことはございました。詳しくはちょっと申し上げられませんが、非常に大きな問題で、これは我々の業界でも大変な問題になって、1カ月以上、弁護士に入っていただいてどたばたした件がありますので、小さな問題ではございません。
 以上です。

○田中委員長 細田委員、お願いします。

○細田委員 1点だけ。長期では、リサイクルに関しては資源有効利用促進法、廃棄物に関しては廃掃法と、そううまく切れればいいんですけれども、それが切れないところに大きな問題があるんだと思うんです。それで1つ質問があるんですけれども、その大きな問題は、例えば廃基板類、これは微妙なもの、金とかパラジウムといったものが多いと有価になる。あるいは相場がいいと有価になる。悪いと、今度は逆有価になる。そういうものが、特に有害物を含んだものが、日本の非鉄製錬に入ればもちろんそれはいいんですけれども、そうでない流れに行ってしまう可能性があるので、やはり廃棄物としての側面を残していくということは必要だと思うんです。これは先般、再生利用認定で非鉄製錬に、廃基盤類等々を頭に置いて、それを再生利用認定と認めようとしたときにも担保があって、一方でこういう条件があれば認めるということになったわけです。やはり廃棄物のコントロールあるいは有害物質のコントロールという観点が必要だと思うんですけれども、その点については何かお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

○田中委員長 吉川委員、いかがでしょうか。

○吉川委員 今、考えはないですね。

○細田委員 後でお聞かせいただきます。

○田中委員長 ほかにはいいでしょうか。
 では、ありがとうございました。
 それでは、最後に全体を通してご意見あるいはご質問がございましたら、ちょうだいしたいと思います。細田委員。

○細田委員 宮城県の方にお伺いしたいんですが、定期的に、例えば不法投棄の取り締まりに関して、県警と定期的に廃棄物のセクションが議論しているとか、そういうことはあるんですか。

○宮城県 定期的にといいますか、県警も含めまして、県全体では年に1回以上、それから各保健所も年に1回以上、地域の県警なりと連携をとっております。

○細田委員 ありがとうございました。

○田中委員長 しかも警察のOBを何人も産廃の課に採用しているんですよね。

○宮城県 それともう1点ですが、県警から廃棄物対策課に1人出向職員が来ておりまして、県警とは常に連絡がとれる状況になっております。

○田中委員長 特にないようでしたら、時間も大分迫っておりますので、終わりにしたいと思います。
 きょうは、限られた時間ではございましたけれども、長い間熱心にご審議いただきまして、ありがとうございました。
 次回第4回以降につきましては、これまでの議論やヒアリングの結果を事務局にて整理していただき、それを踏まえて現行の廃棄物処理制度の論点整理をしていただきたいと思います。年内をめどに取りまとめていきたいと思いますので、引き続きご議論いただきたいと思います。
 次回の開催予定などについて、事務局のほうから何かあればご説明いただきたいと思います。

○企画課長 次回の専門委員会でございますが、日程調整させていただきました結果、12月1日月曜日13時から開催させていただく予定でございますので、ご出席のほどよろしくお願い申し上げます。

○田中委員長 それでは、本日の専門委員会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後2時55分 閉会