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■議事録一覧■

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会
微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会(第1回)議事録


○産業廃棄物課長
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 本日のご出席状況でございますが、現時点で13名の委員の皆様のご出席をいただいておりまして、定足数である過半数に達しております。
 さて、この委員会でございますが、今回が第1回目でございます。議事に先立ちまして、委員の皆様、事務局、その他のご出席の方々をご紹介させていただきます。
 着席順にご紹介させていただきます。
 まず、石油連盟潤滑油専門委員会副委員長、内田委員でいらっしゃいます。
 京都大学大学院工学研究科教授、内山委員でいらっしゃいます。
 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、浦野委員でいらっしゃいます。
 電気事業連合会環境専門委員会委員長、影山委員でいらっしゃいます。
 NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長、鬼沢委員でいらっしゃいます。
 京都大学環境保全センター教授、酒井委員でいらっしゃいます。
 社団法人日本電機工業会PCB処理検討委員会委員長、塩田委員でいらっしゃいます。
 早稲田大学理工学部教授、永田委員でいらっしゃいます。
 社団法人日本経済団体連合会常務理事、永松委員でいらっしゃいます。
 元兵庫県大気課長、納見委員でいらっしゃいます。
 独立行政法人産業技術総合研究所環境管理技術研究部門計測技術研究グループ招聘研究員、宮崎委員でいらっしゃいます。
 東京都環境局廃棄物対策部長、森委員でいらっしゃいます。
 愛媛大学農学部教授、森田委員でいらっしゃいます。
 以上の委員のほか、本日はご都合によりご欠席されていますけれども、京都大学大学院経済学研究科教授、植田先生にも委員にご参画いただいてございます。
 続きまして、我々事務局側の紹介をさせていただきます。
 廃棄物・リサイクル対策部長の由田でございます。
 産業廃棄物課課長補佐の秦でございます。
 同じく課長補佐の横井でございます。
 同じく係長の高橋でございます。
 申し遅れましたが、私は産業廃棄物課長の木村でございます。よろしくお願いいたします。
 また、本日は、この専門委員会のオブザーバーといたしまして、経済産業省から山本環境指導室長にご出席いただいております。
 それから、財団法人産業廃棄物処理事業振興財団から飯島専務理事にご出席いただいております。
 次に、お手元の配布資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に資料一覧を記しておりますので、資料の不足がございましたらお申しつけいただければと考えております。資料は1から7、参考資料が1から4でございます。
 本委員会の資料につきましては、原則すべて公開とさせていただきたいと存じます。
 議事録につきましては、本専門委員会終了後に発言者名を記しました議事録を作成し、委員の皆様方のご確認をいただきました上で公開させていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、本委員会の委員長をご紹介させていただきます。
 この専門委員会の委員長につきましては、中央環境審議会運営規則に則りまして、廃棄物・リサイクル部会、田中部会長の方から永田委員が指名されております。
 それでは、これ以降の進行につきましては、永田委員長にお願いいたします。
 よろしくお願い申し上げます。

 〇永田委員長
 おはようございます。年度初めのお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 この委員会につきましては、後ほどまた詳しくお話があるかと思いますが、非常に重要な課題であると認識しております。皆さんのご協力を得ながら可及的速やかに対応策を打ち出してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、専門委員会の開催に当たりまして、廃棄物・リサイクル対策部長からご挨拶をいただきます。

 〇廃棄物・リサイクル対策部長
 おはようございます。環境省廃棄物・リサイクル対策部長の由田でございます。
 微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会の第1回の開催でございます。一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
 ご案内のように、PCBは絶縁性、不燃性などの特性により、トランス、コンデンサといった電気機器を初めとする幅広い用途に使用されておりましたが、昭和43年にはカネミ油症事件が発生するなど、その毒性が社会問題化したわけであります。我が国では、昭和47年以降その製造が中止されておることもご案内のとおりであります。
 その後、使用を終えましたPCBを処分するために、民間主導によるPCB処理施設の立地の動きが何度かございました。しかしながら、「39戦39敗」という言葉も残されておりますが、地元の理解がなかなか得られなかったことから実現に至りませず、30年以上の長きにわたりましてPCB廃棄物の保管が継続されてきたわけであります。
 この間に紛失したり行方不明になったトランスなどがあることも判明し、PCBによります環境汚染が大きく懸念されたわけでありますし、また一方、国際的にも、PCBなどのいわゆる有機汚染物質に関してPOPs条約採択の取り組みが進められまして、PCB廃棄物の処理体制を構築することは、我が国といたしましても長年の大きな課題となってきたところであります。
 このため、平成13年6月にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法を制定させていただきまして、日本環境安全事業株式会社を活用して平成28年までにすべてのPCB廃棄物を処理すべく、全国5カ所の拠点的な処理施設の整備を進めてまいりまして、現在、既に4カ所の施設で処理を開始しておりますし、残りの1カ所もこの秋には開始する、こういうところまで来ておるわけであります。
 この点に関しましては、いわゆるトランス、コンデンサを中心として、まずはこの処理をきちんと進めていく。それから「アザーズ」と呼んでおりますが、その他のPCB汚染物のようなもの、こういうふうなものを第2段で進めていく段取りで進めつつあるわけであります。
 これと並行いたしまして、特に本州6電力でお持ちの、いわゆる柱上トランスの処理体制も一方で進展しつつあるわけであります。
 しかしながら、近年、PCBを使用しなかったはずのトランス等の電気機器の中に、微量のPCBが混入していることが判明してまいりました。これらの微量なPCBに汚染された電気機器に関しましては、高圧のトランス、コンデンサに比べまして、そのPCB濃度は大変低いわけでありますが、多量に存在することも推定されております。これらにつきまして、安全、確実、かつ国民、ひいては当該処理施設が立地する地域の住民の方々の理解をいかに得ながらこれらの処理を円滑に進めていくかといったことが目下の大変重要な課題となっておりまして、これらの検討を進めていく必要があると考えております。
 環境省としましても、この間、何度かこれを前に進めるべく幾つかの実験もいたしてきておりますし、現在もなおそれに取り組んでいるところでありますが、こういう状況の中でどのようにしていくべきなのかご意見をいただくために、中央環境審議会にこの専門委員会を設置させていただきました。
 本日は第1回目の委員会であります。この微量PCB混入電気機器の現状についてご説明させていただきまして、今後の議論の方向性などについてご意見を賜れればと考えております。
 この問題、考え方を整理しても、いかに現実的に前に進めていくかが大変重要だと私ども認識いたしております。これを進めていくために、ぜひとも忌憚のないお知恵を出していただければと思っております。
 なお、さらに実験等も進めつつご審議いただくということもございまして、できますれば年末までに一定の考え方を取りまとめていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 簡単でございますが、私のご挨拶とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

 〇永田委員長
 我が国のPCB問題に関する取り組みの中で、この専門委員会の位置づけについてお話をいただけたかと思います。
 本日の議題は大きく1つでございまして、微量PCB混入廃電気機器についてというテーマになっておりますが、第1回目でございますので、この委員会のゴールといいますか、任務なり、あるいは位置づけなりを確認いたしまして、皆様と認識を共有してまいりたいと考えております。
この点につきまして、事務局から説明していただきます。

 〇産業廃棄物課長
 それでは、資料2に基づいて説明させていただきます。この委員会の設置についてのペーパーでございます。このペーパーは、先日の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会でご了承いただいたものでございます。
 まず、この委員会の設置の趣旨でございますけれども、PCBを使用していないとするトランスなどの重電機器に、微量のPCBに汚染された絶縁油を含むものが存在することが平成14年7月に判明したが、その汚染機器の台数は約120万台に上るとの推計もある。これらの機器は、その絶縁油中のPCB濃度が数十ppmであり、もともとPCBを使用 するとして製作されたトランス等中の絶縁油のPCB濃度、これは60%、100%といった濃度であり、その数万分の1の濃度でございますが、このように極めて低濃度であることから、これらの機器が廃棄物になった場合における処理について、技術的に安全・確実で、かつ廃棄物の特性を踏まえた処理方策についての検討が求められているということでございます。
 このことを受けて、この専門委員会を設置して必要な検討を行うこととするということでございます。
 具体的な検討事項ですが、まず(1)として、技術的に安全・確実で微量PCB混入廃重電機器の特性を踏まえた処理方法に関すること、(2)として、微量PCBの簡易測定に関すること等とさせていただいております。
 検討スケジュールですが、おおむね月1回程度の開催とさせていただきまして、まずは課題の整理を行った上で検討を進め、先ほど部長の挨拶にもございましたが、本年内を目途に報告書を取りまとめていただければということでございます。
 運営方針ですが、専門委員会は学識経験者、関係業界及び地方公共団体から構成するということで、本日の委員の皆様にお集まりいただいております。
 オブザーバーとして、経済産業省の参加を得るということで、本日ご出席をいただいております。
 裏は、この専門委員会を設置するということを様式に則って文書化したものでございますので、説明は割愛させていただきます。

 〇永田委員長
 ただいまの説明に対しまして、何かご意見とかご質問はございますでしょうか。
 これに関する話は、また後の議論の中で関係すると思われたらご指摘いただいても結構でございますので、資料2はこれで終わりにさせていただきます。
 本題の、微量PCB混入廃電気機器についての審議に移らせていただきます。
 まず事務局より資料の説明をいただいた後、ディスカッションをしてまいりたいと思います。

 〇産業廃棄物横井補佐
資料3、4、5に基づきまして、ご説明させていただきます。
まず、資料3は「PCB廃棄物に係る規制の概要」でございます。
PCB廃棄物に関しましては、廃棄物処理法とPCB特別措置法の2つの法律により規制が行われております。こういった現状についてご説明させていただきます。
1番目、廃棄物処理法における規定でございますけれども、まず、特別管理廃棄物という形で指定されております。廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきましては、廃棄物のうち爆発性、毒性、感染性、その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものを「特別管理廃棄物」として政令で指定しております。これによりまして、通常の廃棄物とは異なる処理基準が定められております。
 PCBにつきましては、難分解性の性状を有し、また、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質でありますことから、PCBそのものが廃棄物となったものとPCBを含む廃油を総称して「廃PCB等」と呼んでおりますけれども、これとPCB汚染物─PCBが付着した金属、プラスチックとか紙とか木とか、そういったものでございます─それとPCB処理物─今、申し上げました廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでございます─の3つが特別管理産業廃棄物として指定されております。
 PCBを含む廃棄物の処理の方法でございますけれども、廃PCB等又はPCB汚染物の処理は、1,100度以上の高温で焼却する方法、または環境大臣が定める方法により行うこととされております。
 環境大臣が定める方法といたしましては、廃PCB等に含まれるPCBを化学的に分解する方法、こちらは高濃度のトランスですとかコンデンサを分解する方法でございまして、今現在、日本環境安全事業株式会社において採用されている方法でございます。具体的には、脱塩素化分解法でございますとか水熱酸化分解法ですとか、プラズマ分解法などが定められております。また、PCB汚染物に付着等しておりますPCBを洗浄又は分離により除去する方法が処理方法として定められております。
これらの焼却施設ですとか分解施設、洗浄施設、分離施設につきましては、廃棄物処理施設として構造基準、維持管理基準が定められておりまして、施設の設置に関しましては都道府県知事または政令で定める市長の許可が必要とされているところでございます。
 続きまして、PCB特別措置法における規定についてご説明させていただきます。
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法でございますけれども、こちらの法律は平成13年6月に制定されてございます。この法律の中では、PCB、PCBを含む廃油、PCBが塗布され、染み込み若しくは封入されたものが廃棄物となったものをPCB廃棄物として指定しております。
 裏面にいっていただきまして、このPCB特別措置法では、PCB廃棄物の保管事業者に廃棄物処理法よりさらに厳しい規制を課しておりまして、具体的には、毎年度、保管するPCB廃棄物の保管状況等の届け出義務がまず1点でございます。また、PCB廃棄物の保管事業者は、平成28年7月までの期限内にその保管するPCB廃棄物を自ら処分するか、または他者に委託して処分しなければならないという義務が課せられております。また、譲り渡し、譲り受けの制限が課せられておりまして、たとえ有償であっても、PCB廃棄物の場合は原則として譲り渡し、譲り受けをしてはならないという義務が課せられております。
 続きまして、PCB廃棄物を処理した後のものをどのように判定するかということをご説明させていただきます。
 1つ目の○は、PCB廃棄物を処理した後のものの基準でございます。
 PCB廃棄物を処理した後の処理物につきましては、例えば廃油につきましては、処理済み油中のPCB濃度が0.5ミリグラム/リットル以下であれば特別管理産業廃棄物、PCB廃棄物に該当しない。また、例えば紙くずなどにつきましては、処理後物からのPCB溶出量が検液1リットル当たり0.003ミリグラム/リットル以下でありましたら、特別管理産業廃棄物、PCB廃棄物に該当しないという基準が設定されております。
 なお、処理前の重電機器等に封入されました絶縁油中のPCB濃度が0.5ミリグラム/リットル以下でありますときは、当該重電機器は特別管理産業廃棄物、PCB廃棄物に該当しないものであるとして取り扱っております。
 以上、ご説明させていただいたことにつきましては、参考資料1に「PCBに係る規制の参照条文」をご用意させていただいております。
 また、処理前の重電機器に封入されたPCB濃度が0.5ミリグラム/リットル以下である場合の取り扱いについては、参考資料3に環境省からの通知がございますけれども、裏面をめくっていただきますと、「3.廃重電機器等について、機器毎に測定した当該廃重電機器に封入された絶縁油中のPCB濃度が処理の目標基準である0.5ミリグラム/キログラム以下であるときは、PCB廃棄物に該当しないものであること」ということで扱わせていただいております。
 続きまして、資料4についてご説明させていただきます。
 資料4は、文章で書かせていただいているものと、裏面には「PCB廃棄物の種類ごとの比較」という表、また、ちょっと見にくくて恐縮でございますが、委員の皆様にはカラーで「微量PCB混入電気機器の全体像」という図を用意しております。
 文章編とカラー刷りの図を並べていただいて、ご参照いただきながらお聞きいただければと思います。
 微量PCB混入電気機器につきまして、絶縁油、また電気機器の種類、製造時期別に微量PCB混入の可能性がある年代を整理したものがカラーの図でございます。
 微量PCB混入の電気機器につきましては、これまでにPCBが検出された機器全体の約97%が50ppm以下のものでございまして、トランス、コンデンサといった主要機種、また整流器、遮断器、また、電力会社で使用されております柱上トランスにおいてPCBが検出されております。
 この検出状況を機器に使用された絶縁油別に整理すると、以下のとおりとなっております。
 まず、鉱油の新油使用機器でございますけれども、こちらは再生油の製造が中止された1990年までの間、PCB汚染の可能性がございます。1990年以降につきましては、1990年の時点で新油の受け入れタンクが再生油で汚染されていた可能性がある場合は、その後、新油の受け入れによってタンク内が入れ替わるまでの間、汚染の可能性があります。
 色刷りの方でいきますと、左側の水色のところですけれども、新油の絶縁油の製造が過去から現在まで続いておりまして、PCBの混入の可能性といたしましては、1954年から1990年の間に可能性があるということでございます。
 続きまして、鉱油の再生油の使用機器でございますけれども、こちらも新油と同様でございまして、1990年までの間、PCBの汚染の可能性があります。
 色刷りの方でいきますと、グレーで示させていただいておりますけれども、製造自体は1990年で終了しておりまして、混入の可能性も90年までとなっております。
 続きまして、合成油の使用機器でございますけれども、こちらもほぼ同様でございまして、鉱油の再生油との設備共用が始まってから再生油の製造が中止された1990年までの間、汚染の可能性があるということでございます。
 色刷りの方でいきますと、黄色い部分でございます。合成油の製造は1955年から始まりまして、現在も続いておりますけれども、PCB混入の可能性としましては、1974年から90年までとなっております。
 ここで、鉱油と合成油はどう違うかと申しますと、鉱油といいますのは、原油を蒸留・精製したオイルのことでございます。合成油といいますのは、まず原油を分解しまして、そこからナフサというものが得られますけれども、そこから再び化学的に合成してつくった油のことを合成油と呼んでおります。
 続きまして、柱上トランスにつきましては、新油使用のもの、再生油使用のもの、両方とも1990年までの間、PCB汚染の可能性があります。
 こちらは真ん中の「微量PCB混入電気機器」のところで、グレーと水色で示させていただいたとおり、1954年から1990年までの間、汚染の可能性がございます。
 また、OFケーブルでございますけれども、OFケーブルといいますのは主に地中の送電線に使用されておりまして、被覆の内側に銅線が入っておりまして、その周りを絶縁油で満たされているといった構造のものでございます。こちらの絶縁油の中にも微量のPCBが混入しておりまして、状況といたしましては、1975年までに敷設されたラインに汚染の可能性がございます。また、その後、増設等の工事を行ったラインについても検出事例が見られております。
 その後、こういった問題が発覚したこともありまして、油中のPCB分析を開始しております。1973年からそういったことが始められまして、1991年には、すべての油の製造メーカーにおいて分析を行うようになっております。
 一方、電気機器のメーカーでも、1989年から絶縁油の受け入れ時にPCBの分析を開始しておりまして、1992年には約8割のメーカーが、また、2003年には社団法人日本電気工業会─JEMAと呼ばせていただいておりますけれども、そちらに加盟しておりますすべてのメーカーで分析を行うようになっております。
 こうしたことから、2003年以降は、PCB混入の可能性はほぼなくなったのではないかと考えられます。
 なお、高濃度のPCBを使用する電気機器は約34万台が存在すると考えておりまして、そのPCBのトータルの量は約2万トンと推定されております。一方、今回の専門委員会で対象と考えております微量PCB混入電気機器につきましては、トランスなど約120万台に約3トン、再生油使用の柱上トランス約291万台に約3.1トン、新油使用の柱上トランス約40万台に約0.1トン、またOFケーブル約1,400キロメートルに約20キロのPCBが含まれていると推計されております。
 今までご説明させていただいたことにつきましては、過去に財団法人産業廃棄物処理事業振興財団において設置されました低濃度PCB汚染物対策検討委員会でまとめられた報告書をもとにしております。
 また、参考資料2にございますように、過去に微量PCBの汚染に関する原因究明を実施しているところでございますけれども、その報告書の中では、どの者が汚染を引き起こしたということはなくて、絶縁油のライフサイクルにかかわる絶縁油メーカー、電気機器メーカー、電気機器ユーザー、おのおのがPCBの混入汚染拡大にかかわった可能性があると記述されております。
 今、ご説明させていただいたことを網羅的にまとめさせていただいたのが、資料4裏面の「PCB廃棄物の種類ごとの比較」という表でございます。
 左側のトランス・コンデンサ等、安定器・汚泥等のPCB汚染物等は、日本環境安全事業株式会社における処理を想定しておりまして、施設整備も進めているものでございます。繰り返しになりますけれども、PCB濃度が60万ppmですとか100万ppmといった、高濃度のものでございます。
 一方、右側の微量PCB混入電気機器は、PCB濃度が数十ppmというものでございまして、2つに分かれておりますけれども、再生油使用柱上トランスにつきましては、各電力会社さんにおきまして自社処理の動きが進んでおります。一方、それ以外の電気機器、また新油使用の柱上トランスですとかOFケーブルなどにつきましては、現時点では処理がなされておらないということで、一番下の処理方法、処理体制が空欄になってございます。
 続きまして、資料5のご説明をさせていただきます。
 こちらの図は、代表的な電気機器でございますトランス、コンデンサはどういったもので構成されていて、それらがどのように処理されるのかを示したものでございます。
 こちらは図でしか表示しておりませんが、今日お配りさせていただいたパンフレットに現物の絵ですとか写真が載っておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
 トランスですとかコンデンサは大きく2つに分かれまして、廃PCB等であるPCB又はPCBを含む廃油と、PCB汚染物である外側の金属容器と中側の本体、本体については鉄芯、磁器、コイル、紙、木でできております。本体の真ん中に鉄芯がありまして、その周りをコイルで巻いているような形になります。また、磁器としましては、碍子の部分がそれに相当いたします。さらに、コイルは銅線と紙と木で構成されております。
 下の※に書いておりますけれども、コンデンサの場合、本体は磁器と素子と紙と木、素子がアルミホイルと紙とフィルムから構成されております。
 こういったものをどのように処理しているかということでございますけれども、ここで書かせていただいているのは、日本環境安全事業株式会社で実施しているような化学処理の場合でございます。
 PCB汚染物につきましては、洗浄又は分離によりPCBを除去しております。そこで除去されたPCBは、液体の形で分解に回されます。こちらはビフェニル基についております塩素を切り離すといった脱塩素化分解が行われます。こういった処理をしますと、PCBは廃油と水などの分解物に分解されまして、一方、PCB汚染物はPCBを除去した形で、例えば金属ですとか紙とか木といった形で処理後物として出てきます。
 PCB廃棄物のうちトランスですとかコンデンサといいますのは、大体このような構成になっておりまして、今後、これら液体の廃油ですとか、固形状の金属とか紙とか木をいかに効率的に処理していくか、この専門委員会でご議論いただければと考えております。

 〇永田委員長
 ただいまの説明に対しまして、ご質問、ご意見等がありましたらお願いしたいと思います。
 先ほどご紹介があった原因究明の報告書は平成17年5月となっておりますが、この過程で調査された以降、汚染状況を調べられたものはありますか。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 その後は、特に汚染状況は調査してございません。

 〇永田委員長
 さっき2002年まで汚染の可能性がありますよというご説明がありましたし、グラフにもありましたが、この調査の中で最終的に汚染が見つかった事例では、何年になりますか。最終的な製造年からすると、1990年代の半ばか、あるいはその直前ぐらいまでだったかと記憶しておりますが。

 〇産業廃棄物課横井補佐
おっしゃるとおりでございます。

 〇永田委員長
 そういう意味では、その後、調査して、それ以降のものから出てきた例があるかどうか確認しておきたかったんですが、その後はやっていないということですね。
 塩田さんの方も情報をお持ちではないですか。

 〇塩田委員
 そうですね、これ以上は。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 ちょっと割愛させていただきましたが、色刷りのこちらの図の左から2番目、「電気機器の汚染可能性」というところをご覧いただきますと、上からオレンジ、濃いピンク、ピンク、オレンジ色になっておりまして、こちらで網羅的に汚染機器の状況がどうなっているのかご説明させていただいております。
 一番上が1953年以前に製造されたものでございまして、これらの封じ切りの機器、製造後に油の交換やメンテナンスが実施されていないことが明確な機器については、PCBの混入の可能性はございません。
 次の濃いピンクの部分ですけれども、1954年以降1989年までに製造された機器については、再生油使用のもの、新油使用のものについてPCB混入の可能性がある。
 また、今おっしゃいました1990年以降でございます。こちらにつきましては再生油の製造は中止されておりますので、1990年以降に製造された機器についてはすべて新油の絶縁油により製造されたものでございますけれども、やはりタンクなどに残っているものが否定できませんので、一部の機器にPCB混入の可能性がございます。
 最後のオレンジ色の部分ですが、2003年になりますと、社団法人日本電気工業会加盟の電気機器メーカーにおきまして、絶縁油受け入れの際に分析を行うようになってございますので、これ以降につきましては、PCB混入の可能性はないということでまとめさせていただいております。

 〇永田委員長
 よろしいでしょうか。
 今後の話も含めて、後ほどまた皆さんからご意見をちょうだいしたいと思いますので、説明の内容について質問等がなければ先へ行かせていただきますが、よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、今、環境省が実施しています焼却実験について、事務局から説明をお願いします。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 資料6に基づきまして、ご説明させていただきます。
 環境省におきましては、平成18年3月から低濃度PCB汚染物の焼却実証試験を実施してございます。ここで「低濃度PCB汚染物」と言っているのは、今回、専門委員会でご議論いただきます「微量のPCBが混入した廃電気機器」と同じ言葉でございますので、ご理解いただければと思います。
 この焼却実証試験の趣旨でございますけれども、PCB廃棄物にかかわらず、廃棄物は事業者が処理責任を果たすことが基本でございますけれども、PCBの焼却につきましてはほとんど実例がないことから、既存の廃棄物処理施設を活用した処理の可能性の検証を行うことによりまして、民間による処理の実現に向けた支援をしていきたいと考えまして、こういった焼却実証試験を実施しております。
 まず、第1回目の平成18年3月におきましては、北九州市にあります光和精鉱株式会社、広島県福山市にございます株式会社カムテックス、また、愛媛県新居浜市にございます財団法人愛媛県廃棄物処理センターの3カ所におきまして、数十ppm程度のPCBを含む絶縁油を試験試料として用いまして焼却実証試験を実施いたしました。
 2.実証試験結果の概要でございますけれども、各施設とも大体3日間を試験として実施いたしました。まず1日目が、PCBを使用しないで通常に産業廃棄物を焼却していただく通常運転の場合。残りの2日で、PCBを添加して焼却する本試験という形で実施させていただいております。
 めくっていただきまして、実施内容でございますけれども、現在、稼働中の産業廃棄物の焼却施設または溶融施設に数十ppm程度のPCBを含む油を投入し、排ガスですとか排水中のPCB濃度、ダイオキシン類などを分析することにより、適正に処理されているかどうか確認するものでございます。
 試験条件といたしまして、廃棄物処理法に規定されております処理基準、燃焼ガスの温度1,100度以上、2秒以上滞留を満たして実験を実施しております。
 別紙の表1をごらんいただきますと、それぞれの施設の概要を書かせていただいております。光和精鉱はロータリーキルン式の焼却炉、カムテックスは酸素バーナー式溶融炉、愛媛県のセンターはロータリーキルン式溶融炉ということで、それぞれ1,100度以上、2秒以上出るといったところで試験をさせていただきました。
 この実証試験の結果につきましては、表2と3にまとめさせていただいております。
 試料の濃度につきましては、PCB濃度が10ppm、24ppm、52ppmといった形でございます。また、量としましては、4.8キロリットル、2.5キロリットル、1.8キロリットルといった形になっております。
 通常運転しているとき、またPCBを添加して運転しているとき、いずれの時点におきましても排ガス中の濃度と排水中のPCB・ダイオキシン濃度を測定しておりまして、いろいろ基準がございますけれども、すべて満たすような形で試験は終了してございます。
 表3につきましては、敷地の境界でございますとか施設の周辺におきましてもPCB、ダイオキシン類の測定をしてございまして、こちらにつきましても、基準値を下回るような状況で試験ができたことをご報告させていただきます。いずれにつきましても、確実かつ周辺環境に影響を及ぼすことなく安全に分解できることを確認しております。
 また、第2回目の実証試験を実施いたしておりまして、そちらにつきましては参考資料4、一番最後の資料になります。
 平成19年2月に第2回目の焼却実証試験を実施いたしました。
 第2回目の焼却実証試験におきましては、先ほどご説明させていただきました3カ所に、秋田県大館市にございますエコシステム秋田株式会社と、福島県いわき市にあります株式会社クレハ環境の2施設を新たに追加して実施しております。第1回目と違いますのは、先ほどご説明した3カ所におきましては、絶縁油ではなくてPCBが染み込んだ紙と木を試験試料として用意して実施したことでございます。また、新たに加わりましたエコシステム秋田とクレハ環境につきましては、初めての試験ということで、こちらにつきましては第1回目と同じような形で、PCBを含む絶縁油を試験試料として実施いたしました。
 内容といたしましては、こちらも第1回と同様でございまして、試験は3日間で行いました。1日目に通常の運転をした場合の状況を確認しまして、2日目、3日目にPCBを含む試験試料を投入して実験しております。現在、こちらの実証試験の排ガスですとか排水中、大気中の濃度などにつきましては分析中でございまして、結果がまとまりましたらこの専門委員会に報告させていただきたいと考えております。

 〇永田委員長
 いかがでしょうか。ご質問等ありましたらお願いします。酒井先生、何かコメントございますか。

 〇酒井委員
 いえ、特に。

 〇宮崎委員
 平成18年度の実験は非常によい結果が出ていると思いますが、今回の実験では余り測定していないのかもしれませんが、燃焼中の酸素濃度みたいなデータはありますでしょうか。
 もう一つは、今回は実験ですから余りそのあたりは深く検討されていないかもしれませんけれども、もしこれを実地に行ったとした場合、コストはどのくらいのものになるか、大雑把にでも試算をしておられたら教えていただければと思います。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 まず、試験時には、先ほどはダイオキシンとPCBということでご説明させていただきましたけれども、そのほか炉内の温度、圧力、また排ガス中の酸素濃度、一酸化炭素濃度、SOx、NOx、塩化水素、ばいじん濃度も測定してございます。また、PCBを燃焼させているときは、すべて1,100度以上で燃焼していることを確認しております。
 コストの関係でございますけれども、実証試験の上では、コストまで調査はいたしておりません。

 〇永松委員
 北九州市初め、この実証実験を行った地域におきまして、特段の広報とか説明会とか、そういうことはおやりになっておられるのか、あるいはそういった要請が地元からあるのかどうか、その辺いかがでございますか。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 お答えいたします。
 環境省から直接、地元の住民ですとか周辺の関係者の方々に説明するといったことはしておりません。こちらからは、地元の自治体と施設の設置者さんにご説明させていただきまして、施設の設置者さんなり地元の自治体が、周辺住民などにも説明しておいた方がいいと判断された場合は、個別に設置者さんなり自治体の方々に説明いただいております。

 〇鬼沢委員
 実験がそれぞれ3日間なんですけれども、なぜ3日間だったのかをお聞きしたいと思います。例えば、もう少し長くする必要があるのではないかと思うんですけれども。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 長くできれば長くできたにこしたことはございませんで、1週間程度、試験を実施したかったというのが実情でございますけれども、こんな言い方をいたしまして大変恐縮でございますけれども、予算の関 係等ございまして、3日間が限度でありましたので、こういった形で実施させていただきました。

 〇永田委員長
 この詳細レポートは存在するんですよね。さっきのご質問の内容も含めて、それぞれの箇所でやられた実験をまとめたレポートがあるんでしたら、次回に向けて準備しておいてください。

 〇産業廃棄物課横井補佐
 この実証試験につきましては、環境省からの請負事業という形で実施しておりまして、その請負先の中に焼却実証試験の検討委員会を設置してございます。その中に、詳細な実験結果の報告書がございますので、そちらにつきましては必要に応じて、この場ででもご説明させていただければと思います。
 本日は、ちょっと用意してございません。

 〇産業廃棄物課長
 先ほどの鬼沢委員のご質問に関してですが、この焼却試験を行うに当たりましては、ここの委員の先生方の何人かにもご参画いただき、焼却試験のための別の検討委員会を設けまして、専門の先生方に計画の段階からよく内容もご確認いただいております。
 試験の期間につきましても、もちろん予算上のこともございますが、基本的には、定常の状態で処理ができて、その影響を見られるようにきちっと確保してやっておりまして、出ました結果も、またその委員会にかけて評価をいただいております。

 〇永田委員長
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、焼却実験の結果につきましては、これは概要版ということなので、先ほどの話のように、詳細はまた次回にでも報告書とともに出していただくことにしまして、終わりにさせていただきます。
 1つ目の議題に関する資料の説明はこれで終わりでございますが、続いてその他ということで、本専門委員会の検討事項及びそのスケジュールについて、事務局の方から説明していただきます。

 〇産業廃棄物課長
 資料7でございます。
 今日は1回目ですが、2回目以降、この委員会でどのような内容をご審議いただくかといったことをまとめさせていただいております。
 先ほど資料2、専門委員会設置の資料で申し上げましたように、ほぼ月1回のペースで開かせていただきたいということが、まず1点目でございます。
 それから、まずは課題等の整理をしていただいてはどうかということでございます。したがいまして、次回、5月を予定させていただいておりますけれども、その時に、今後、ご審議いただく課題・問題点を整理していただく、そういうご審議をいただければと思っております。
 それ以降でございますけれども、大きく分けますと、PCBを含有する絶縁油、あるいは、容器・部材は洗浄することも考えられますので、そういった洗浄液がPCBに汚染されております。それを、先ほど説明させていただきました焼却処理をすることが考えられますので、その焼却処理についてご議論いただく。それから、トランス等の容器、その中に入っております部材、金属のものもありますし紙とか木もございますが、こういうものを洗浄していくのが一般的なやり方かなと思っておりますので、その洗浄処理についてご議論いただく。
 それから、もう一つ非常に重要なことでございますけれども、一体こういったPCBに汚染されたトランス、コンデンサなどがどのくらいあるのか、実際に処理に回すべき機器はどれか、最後は一つ一つ特定していく必要がございます。その特定のためには何らかの形で測定していくことになろうかと思いますので、そういう測定についての検討も重要であろうと思っております。
 さらに加えて、これらの処理が終わって安全な状態、つまりPCBが除去され、特別管理廃棄物としての扱いから外していいと判断していく場合にも、測定が絡んでまいります。重要なポイントでございますので、そのことについてもご議論いただく必要があると思っております。
 これらはそれぞれ独立した課題ではなくて、相互に関連してございますので、ご審議いただく際には1つずつ片づけていくということではなくて、今申し上げました3つのことを並行してご議論いただいてはいかがかと考えております。
 一応このスケジュール案では、そのご審議を3回していただくという形にさせていただいております。7月、8月が抜けておりますが、実は先ほど説明させていただいた焼却試験の3回目をぜひこの夏に行いたいと思っておりまして、そのためには、具体的な施設の選定に当たって非常な困難があるということ、それから、その前後にきちっと計画と結果を承認いただくために、先ほど私が言いました専門の先生方の委員会を開催したりといったこともございますので、一応この期間を空けさせていただいております。さらに9月、10月ということで、6月、9月、10月で3回のご検討をいただきたいというスケジュール案にさせていただいております。
 そして11月の6回目で報告書案をご検討いただきまして、12月に報告書を取りまとめていただければ、一応年内にお取りまとめいただけると考えて、この案をつくりました。
 ただ、ご検討の過程でさらに検討回数をふやす必要があるといったことがありますれば、そこは適宜調整させていただければと思っております。

 〇永田委員長
 いかがでしょうか。

 〇塩田委員
 課長のご説明の中で洗浄処理が一般的というお話がありました。まさにそのように思いますが、資料5にありますように、高濃度のものについては洗浄又は分離が考えられておりますので、ここは特に洗浄に特定して話をするわけではなくて、洗浄又は分離という意味での洗浄処理と理解してよろしいですね。

 〇産業廃棄物課長
 そういうふうにご理解いただいて、ご審議いただければと思います。特にここで容器と部材の処理の仕方を限定してしまおうという趣旨では全くございません。

 〇影山委員
 我々、電気事業者ですけれども、電気事業者はたくさんPCBの汚染機器を持っておりまして、その使い切りました汚染機器の保管に大変苦慮しております。保管場所の確保も大変ですし、それから、毎日点検しなければいけませんので、これも大変な労力をかけてやっております。我々がこんな状況ですから、中小の企業さんとかそういうところでは、多分相当な苦労をしていると思います。
 そういうことで、できるだけ早く処理が進むことが一番でございますし、中小のことも考えまして、できるだけコストを下げてやることが─これは当然、安全性を確保した上での話でございますが─必要だと思いますので、先ほど木村課長がおっしゃいました焼却処理もそうですし、それからPCBの測定も、今、大変コストが高くかかっておりますので、こういったことも含めて、合理的なやり方をぜひこの場でご審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 〇永田委員長
 全体的な問題あるいは課題についてのご質問も入っていたかなと思いますが、この検討スケジュールについては、こういう格好で進めさせていただいくということでよろしいでしょうか。
 先ほど第3回の実験をという話でしたけれども、この具体的な内容については、詳細はまた別置の検討会でやっていただきますが、次回あたりにはご紹介いただけますか。今、どんな内容を予定されているのかという話について。

 〇産業廃棄物課長
 焼却試験につきましては既存の施設を使いますので、具体的にその施設でどういう試験ができるか、施設側の制約がございます。それから、もっと難しいのは、その施設を設置している場所の地元自治体に試験についてご了解いただく必要もございまして、今まで2回の試験の準備の経験からいきますと、このプロセスが非常に難しゅうございます。かなり早い段階で「ここで」ということは、なかなか申し上げられない可能性が高いと思いますので、その点はご了解いただきたいと思います。

 〇永田委員長
 わかりました。ただ、例えば、第2回で油だけではなくて可燃物についての焼却試験もやられている。この範囲内が今、考えられている範疇だと見ていいですか。

 〇産業廃棄物課長
 実は、次回じっくりご議論いただければと思っていますが、機器にはいろいろなものがございます。非常に大きいものからコンデンサのように小さいものまでございます。それから、油を抜いて油だけ燃やしてあとは洗浄といっても、油が非常に抜きにくいものもございます。そういう意味で焼却処理というのは、今のところ油と可燃物の紙とか木で実施していますけれども、可能性としては、小さなものであれば機器を丸ごと焼却することもあり得るのかなと思っておりまして、我々、今までやった範囲にスコープを限っているわけではございませんが、先ほど申しましたように施設側の制約もございますし、いろいろ難しい問題もございますので、その辺も検討しながら3回目の試験計画を立てていきたいと思います。

 〇永田委員長
 ただ、具体的にどう対応していくかという話の中では「こういう情報が欲しいんだ」というご要望も出てくるのではないかと思いますので、今、言われた状況は私も十分理解していますが、概要としてどういうことをやろうとしているのか、あるいはどういうことをやっていった方がいいのかというご意見は、この専門委員会の中でも出していただいた方がいいのかなと思っていますので、そういう格好の資料づくりでも結構ですから、ご紹介だけでもしていただければと思います。

 〇産業廃棄物課長
 わかりました。
 例えば今、既存の施設にどういったタイプのものがあって、どんなことができるのか、余り施設とか場所を特定せずに、可能性としてお示しすることはできますし、逆にその処理をするスキーム、やり方の方から、こういうことができると非常に安全・確実でもあり効率的にできるということであれば、それをまた試験に反映させていくということも可能な範囲で努力したいと思います。

 〇永田委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方で準備いただいた資料はこれで終わりでございまして、あと残った時間、少しディスカッションをお願いしたいと考えています。
 皆さんが日ごろお考えの、この問題に関する課題、問題点をご指摘いただけるとありがたいと思います。
 ご自由な発言ということですのに申しわけありませんが、こちらから指名させていただきながら、順にお願いいたします。

 〇内田委員
 PCBの問題は大変深刻な問題でもありますし、また、さっき産業界の方からありましたように、処理を推進していかなければいけないという事情もよくわかります。
 日本では、今、この低濃度のところに手がついていないので、何とかしなければいけないということで検討を始めたんだと思いますけれども、他の国々も当然同じような状況だと思います。各国ではどのような処理を進めているのかといったところも参考にしていかないといけないのかなと思っております。

 〇永田委員長
 その辺も2回目、3回目あたりでいろいろご紹介していただけると思います。

 〇内山委員
 私も、これは大きなシステムをつくってやっていけば、恐らくそれほど問題なく推進できるのではないかと考えておりますが、1つ、トランスではなく電気機器の方は、輸入品も随分日本に入ってきておりますよね。これらがどういう実情なのか、どこかでお調べになっているものがあれば教えていただきたいし、そういうことは余り心配ないのであれば─というのは、アスベストの場合も、結構輸入品に入っているということがありましたので、そこら辺が気にかかっているところでございます。

 〇塩田委員
 日本電気工業会では、残念ながら輸入品までつかんではおりません。輸入品はお客様の手元に存在する状態でございますので、現状がどうなのかということは、まずお客様の手元に輸入品がどれだけあって、どういう状態なのかというところが取っかかりになるのではないかと思います。
 残念ながら、JEMAの方では輸入品まで手が回っていないというか、もともと我々の製品に関連するというところまででございます。申しわけございません。

 〇内山委員
 例えば日本のメーカーでも、今は随分外地生産がありますよね。そういう時にはオイルなどは現地調達ですか、それとも日本で分析したものを現地に持っていって対応していると考えてよろしいんですか。

 〇塩田委員
 それは、油という意味でございますか。

 〇内山委員
 はい。

 〇塩田委員
 ケース・バイ・ケースあると思いますけれども、日本国内に入ってきているものの場合、油が入ったまま輸入される─ちょっと私、その辺はよくわからないところがございますので一般論で申し上げますけれども、我々国産の機器の場合、非常に大きなものは油を入れたものでは運搬できませんので、油を抜いた状態で運搬し、据えつけし、それから油を注入いたします。当然それは据えつける現地で、それぞれのスペックのものがやってくることになります。そういう意味で、もし仮に海外から大型のそういうものが来た場合には、やはり国内で油があてがわれることになるのかなと。これは想像でございます。

 〇永田委員長
 今、ご指摘の件に関しましては、事務局で少し調査をお願いします。

 〇浦野委員
 私ども、前からフロンの分解等もやっておりまして、これは難分解のハロゲン化合物ということですけれども、高濃度の場合はPCBが主ですので特別な注意が必要ですが、油等の可燃物の液体が共存した場合には、通常の850度とか800度2秒ぐらいで確実にPCBが分解できるということがラボでもできていますし、かなりいろいろな条件で確認してございます。現在、あるいは過去を考えれば、廃油としてむしろ積極的に燃焼に使われてきているわけです。低濃度のPCBが入っていることを知らずに。そういうこともありますし、量が多くて経済的にということも先ほどご要望がございましたので、その辺も含んで、それを理解してもらうようリスクコミュニケーションを含めて、場合によっては三十数年前にできた厚生省令の1,100度というものを見直すことも含めて、議論をいただければ一番いいなと思っています。
 仮にそれがすぐには無理だとしても、できるだけ実質的に、もちろん今のような野放し状態で、どうなっているかわからない状態で焼却されるのは非常に具合が悪いですし、かえって危険ですから、きちっとしたガイドをつくったり、あるいはあるレベル以上のところを指定するその他のことが必要だとは思いますけれども、経済的に、なおかつ安全・確実にできる手法を、この委員会を通して何とか実現できればと思っております。

 〇永田委員長
 影山委員は。

 〇影山委員
 さっきお話ししましたので。

 〇鬼沢委員
 例えばPCBの焼却実験をすることがわかれば、確かに地域の住民は非常に危険を感じて怖がるのではないかと思うんですね。それはちゃんとした情報が伝わっていないから、そういうことになるのではないかと思います。でも、PCBをどうやって安全に処理していかなければいけないかということが伝われば、ですから、最新の技術を使ってちゃんと処理をすれば安全だということをどうやって皆さんにわかっていただくかがとても大切だと思っています。
 危険だということだけ、何かわからないところでやっているという情報だけが流れないように、ちゃんと情報を公開していけたらいいなと思っています。

 〇酒井委員
 今、浦野委員から安全・確実と経済性をというご発言があったんですけれども、そこまでいければ非常に望ましいことだと私も思います。
 ただ、基本的には、やはり確実な分解が第1であろうということには間違いないかと思いますので、そういう意味で、その間をつなぐ考え方として、いわゆる二次的に、エネルギー回収なり、そのエネルギー回収に伴ういわゆる温室効果ガスの削減という効果も少し視野に入れた試算程度はやっておいたらいかがというのが提案でございます。
 ここ一、二年の実験等で、分解の方はかなりうまく進めそうだという見通しは立っておりますので、それぞれのエネルギー回収施設の概要と、その回収実績といったあたりも把握しながら、PCB量としてはわずかでありますけれども、油としては結構な量になりますから、相当量の温室効果ガス削減も併せて見ていけるのではないかと期待しております。
 そういうことも関係して、関連の機器が台数として120万台とか291万台とか出ておりますけれども、油の量の見通しを明確に立てていくことも重要かと思いますので、次回等々、そういう試算が可能であれば、ぜひデータを集めていただければ幸いでございます。

 〇塩田委員
 この専門委員会の目的のところで、技術的に安全・確実ということがございました。まさにそのとおりでございます。
 それは、とりもなおさず設置、処理をする場所の周辺の皆さんに対する不安を解消せないかん、そのために必要なことになるんだろうと思います。それにはやはり、このPCBの問題が起きた当初に喧伝された怖さと、それ以後、いろいろな知見が蓄積されてきて実態はどうだったのかが見えてきて、それが必ずしも広く認識されていない状態なのかなと。知っている人は知っているけれども、広く常識にはなっていないところもあるのではないか。そうすると、やはり何か昔のお化け─と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、そういうものに怯えているところもあるかもしれない。
 そういった、いろいろなこれまでの知見全体を踏まえた上でのご説明といいますか、コミュニケーションというか、それが重要になってくると思いますし、処理をするに当たって必要な情報の提供、どんな情報を提供すればいいのかということを、ここでしっかり考えなければいけないのかなと思っております。
 微力ながら努力したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 〇永松委員
 微量PCB混入機器の処理問題は長年の懸案でございまして、それを保管する企業におきましても、あるいは行政においても塩漬け状態が続いていたと言わざるを得ないわけでございますが、今般、専門委員会を設置して年内に結論を得るという方針を決められた環境省を高く評価いたしたいと思います。大変な英断だったと思います。
 今後、速やかな検討を重ねまして、技術的にも十分な裏づけあり、かつ合理的な対策、方法が確立されることを期待いたしております。

 〇納見委員
 もう随分昔になりますが、ご承知かもわかりませんけれども、兵庫県の高砂という所に随分たくさんの廃PCBが集められて、この処理に当たったことがあります。もちろん技術的には十分だという学者の先生方の評価を得て実施したんですけれども、それを実施する段階で、住民の方は全然そういうことに対する知識がない。しかもその時は、もう時代がたっているからご承知でない方もたくさんあると思いますが、例えば鐘淵化学の排水口を付近の漁民が全部ふさいでしまうとか、周辺の魚が一切売れないので鐘淵化学がそれを購入して処分するとか、いろいろな問題がありました。ですから、その処理に当たっても全国集会みたいなものを持たれて、私も随分テレビに映されるといった場面にも遭遇したわけです。
 そんな意味で、今は時代が経過して、そういうことは不必要になっているのかもしれませんけれども、住民の理解を得ることが非常に難しい。絶対これは大丈夫だというのは科学者の方は承知なんですが、だれがネコに鈴をつけるかということが非常に大きな問題になるのではないか。ただ、5カ所のうち4カ所でもう既にPCBの処理が進んでいるという実態もございますので、そういうことを考えあわせると、そうでもないのかなと。これは時代の変化で私にはよくわかりませんが、私の経験では、反対住民とか付近の漁業者に対する説得がものすごく難しかった。ある意味では原子力の廃棄物よりも難しいのではないか。
 というのは、原子力の廃棄物というのは、いろいろな意味での補助がございます。これについては付近住民について、あるとすれば迷惑だけであって、決して付近住民にとってプラスになる内容はないと思われますので、そんな点も、決して足を引っぱるわけではなくて、一緒に進めたいと思ってはおりますけれども、そういう問題も理解していただきたいと思っております。

 〇宮崎委員
 先ほど浦野先生からお話がありましたけれども、私たちのところでも、これは焼却ではないんですが、熱分解で、やはり炭化水素類とPCBとを共存させてやるとPCB単独で熱分解するよりかなり低い温度で熱分解できるという成果を得ておりまして、論文にもしております。そんなこともありまして、私どもの経験では、必ずしも1,100℃までは要らないかもしれないという感じを持っております。ですが、法律的にはもう決まっていることですから、それはまた議論していただければと思いますけれども、コストをできるだけ安くということと、できるだけいろいろな施設でできる条件を探すということであるとすれば、そのあたりも検討課題かなと思います。
 もう一つは、今、お話がありましたけれども、私が一番懸念しているのは、やはり実際、処理を行うことになったときに、周りの住民の方々の理解をどれだけ得られるかが非常に大切なことだろうと思っております。私も昔、ちょっとPCBのことに携わりましたけれども、やはりなかなか理解が得られなくて、結局なかなか焼却が進まなかったという経緯があるわけですから、そこのところを本当に丁寧に、いろいろな手段で住民の方にわかっていただく。
 でも、住民のところは、ある意味では不利益だけということになってしまうかもしれないので、そうだとすると、先ほど酒井先生からお話がありましたけれども、例えば熱エネルギーの回収などを行って、そこで温水などを提供するといったことがもし可能であれば、そのようなことを考えることも必要かなと感じております。

 〇森委員
 PCB廃棄物の問題については、環境への負荷ということを考えますと、一刻も早く処理すべきものだと今も強く認識しているところです。
 入り口の部分では、例えば東京都の例をとりますと、今、微量の部分が10万台あるだろうと推測しているんですが、把握しているのは数千台のオーダーでございますので、いずれにしても、きちっと把握することが1つ問題だろう。
 それから、今回のこの専門委員会の検討事項は処理の方法あるいは測定の方法ということですが、要は、どうやって現実的に処理を進めていくかが非常に重要だと私は思っております。そのためには、先ほど何人かの先生からも出ましたけれども、確実な処理の方法を確立しつつ地元への理解をどう進め、どういう手順を踏んでいくことが重要であるかといったことも含めまして、検討項目そのものは処理の方法であり、測定でありますけれども、そこを見据えたことが必要かなと思います。

 〇森田委員
 私自身、PCBの問題は、カネミ油症の後、最初の職場でこの問題を取り扱って以来、随分と長くかかわってきたんですけれども、PCBは、それまでは非常に安全な物質だと考えられていたものが、あるとき反転して極めて有害な物質だとなっていったという経過があり、そしてまた、それまでの取り扱いの方法と、その後、有害な汚染物質と言われてからの取り扱いの姿が様変わりすると同時に、時がたてばたつほど、より厳しいことが要求されるということを繰り返してきた歴史が多分あると思います。
 PCBの処理技術につきましては、冒頭、由田部長からご紹介がありましたように、「こうすればよい」という方法はある。そして、それである程度できるということはあっても、周辺の住民のコンセンサスがとれないために実際は非常に苦しい思いをして、うまくできなかったということもありますし、例えば数年前に起ったベルギーにおける鶏肉のPCB汚染問題は、わずか数十キログラムのPCBが動物用の餌の中に混入した、ただそれだけのために数百万羽のニワトリが焼き殺され、数万頭の牛も処分される。と同時にベルギー政府全体で数千億円のロスを出すといったこともありまして、ハンドリングに非常に気を遣わないと難しい事業だということも認識しておく必要があるだろうと思います。
 そういう意味では、まず安全に最大の留意をしながら、失敗のないように、そしてうまく周りにお住まいの方の理解を得ながら進めるということに最初のポイントがあるかなという気がしますし、もちろん技術そのものは、ある程度安全にできることはわかっているわけですから、そこのコミュニケーションも相当重要かなという感じがいたします。
 それから、先ほど内山先生がご指摘になったところは、実はもう一つ、この専門委員会のメンバー構成から言っても若干外側にあるような要素があるんですが、何が起こっているかといいますと、例えばバーゼル条約で規定されている油のPCB汚染許容のレベルと国内の基準、国内ではそこをより厳しい水準にセットしていますので、そこにずれが発生しています。そういう意味では、国際的に流通している規格と日本国内を流通する規格、この辺のギャップみたいなものが輸入されてくるものに対してどれぐらい理解されているか、ちょっとわからないところがあります。
 もちろん、例えばヨーロッパにRoHSなどのシステムができ上がる過程で、徐々にそのことは浸透し始めていますけれども─PCBとは直接関係ありませんが─いずれにしましても、そういう形の新たなソースがこれから出てくる可能性は若干あるかなという心配はありますし、そういう意味で、いろいろな形で、しかも特に食品を汚染しないように非常に気を遣いながらやることが大事かなという感じがします。
 低濃度PCB自身につきましては、リスクそのものは、全PCB上から言っても高濃度PCBの1,000分の1とか2,000分の1ぐらいしかありませんので、少なくとも今、カウントできる量は、PCBは少ないということがあります。そういう意味では、非常に効率よく、かつ低コストの方法をできるだけ選択することが重要かと思います。
 また、先ほどの議論とも若干関係するんですが、環境問題というのは実は国民一人一人の問題で、製造サイドと若干切り離されている・・・・・・、しばしば静脈産業だとかいろいろなことが言われますけれども、人が触れるという局面で物事を全部考えなければいけないという点で、製造されるサイドが思わぬことがいろいろな局面で出てくる。そういう意味では、ここには流通の専門家が入っていらっしゃらないので、例えば流通業界から「こんな部分がまだあるよ」とか、そんな話もひょっとしたらあるかもしれませんので、それも若干、いろいろな局面で視野に入れておいた方がいいかなという感じがします。
 いずれにしましても、技術的な部分はこれから詰めて、かつリスクコミュニケーションをうまくやりながら、とにかく丁寧に、気を遣いながら展開するのかなというのが印象でございます。

 〇永田委員長
 いろいろご指摘賜りました。特に、資料2で検討課題として(1)、(2)大きく括られたものが出てきていますが、この周辺といいますか、技術の問題だけではなくて、実態として対応を進めるための住民対応の問題等を含めてご指摘いただいて、こういう視点での物の見方、対応の仕方、それは今後の検討の中でもぜひいろいろな形で議論していただきたいと考えています。
 事務局の方から、今のお話を受けた形で何かコメントがあったらお願いします。一つ一つ答えていただく必要はありませんが、全体的な話として。

 〇産業廃棄物課長
 今、委員の先生方からご意見いただきましたように、この問題は、まず絶対外してはいけないのは、安全・確実に処理していくことだと思います。さらに、高濃度のPCBと違って非常に薄い濃度が幅広く分散したような形で存在しているという特質を踏まえて、合理的な解決、処理を考えていかなければいけない。そしてその過程において、多くの委員の先生方からご指摘いただいたようなリスクコミュニケーションの問題もきちっと踏まえていかなければいけないと思います。
 非常に貴重なご意見をいただきましたので、次回以降のご審議の土台になります事務局側の資料づくりにも反映させていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

 〇廃棄物・リサイクル対策部長
 今、委員の皆さん方のいろいろなお立場からの、あるいはご経験からのご発言を聞いておりまして、私もある意味での経験者の1人であります。現在、動いている4カ所、あるいは間もなく5カ所動きますが、決して立地は単純ではございませんで、恐らく兵庫県の高砂で経験されたものと、どちらがどうとは申し上げませんが、それなりの大変な立地であります。
 これも、実は先ほどから出ております何がPCBで汚染されたものかという物の考え方、日本は割合厳しい立場をとっておりますが、この問題と立地の問題がある意味でセットのような感じで、地域の住民の方々との間のさまざまなやりとりの中で絡み合っている。実はそれがまた、このコンタミの問題をどうしていこうかということにつながってきているわけであります。
 このコンタミPCBの処理を進めていくに当たりまして、難しかったにせよ、現に5カ所で生のPCBといいますか、こういうものの処理を引き受けていただいているという事実があるわけでありますから、そことの比較で、何とかコンタミ物の処理を引き受けていただきたいといった趣旨のお願いを1年半ほど前に全国の自治体にしてきたわけであります。
 一般的に、そのようなことをやりましても、なかなか実証試験すらできないわけでありますが、ここに第1回目の3カ所、あるいはさらに2カ所追加しております。先ほど木村産廃課長から夏にもさらに追加してやりたいとお話し申し上げましたが、実は1カ所1カ所大変な、それぞれ意味は随分違いますが、ご理解を得ながらこの実証試験、ある意味では「実験ですら」と、こう言うと大変難しそうかもしれませんが、私ども、かなり丁寧な地元の関係者とのやりとりをしてきております。
 したがいまして、何とか1カ所でも多く実証試験をしておくことが、この取りまとめ、年末までにはお願いしたいと私、申し上げたわけですが、それまでに1カ所でも多くやれればと思っております。やり方そのものの議論もあるかもしれませんが、まずは「実証試験はきちっとやったぞ」、こういうことをどれだけ示せるかということも大きな要素ではないかと思っております。
 私どもも、今後とも実証試験がさらに多くできますように最大限の努力をしていこうと考えておりますが、委員の先生方におかれましても、どこか「ここは理解が得られそうだ」というものがありましたら、ぜひともご提案なりご紹介なりしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 〇浦野委員
 皆さんのお考えのほか、ちょっと私、今までのお話を伺っていて、まず住民の方の理解はもちろん一番大事なわけですけれども、それを恐れるというか、心配しすぎているよりも、まず自治体の方に理解していただくことが非常に重要です。自治体の方に、こういう微量のPCBについて理解していただくような資料、もちろん一般の方にも同じようなものを出していいわけですけれども、まずそこへのきちっとした情報提供に取り組むべきだというのが1点。
 もう一つは、「リスクコミュニケーション」という言葉がよく出るんですけれども、情報提供だけでは決してうまくいかないんですね。ですから、それと同時に信頼されることが非常に重要で、そのためには情報の公開ということもありますけれども、「万一予想外のことが起こった時にどう対処できますか」という、予想していなかったことに対する心配というのが当然一番大きいわけです。そういう意味で、リスクマネジメント、実証試験の方もそうですし、特に私が気にしているのは、今、考えているものより数万倍も高濃度の処理を4カ所、5カ所でやっているというお話がありました。そこでトラブルが起こってリスクマネジメントがちゃんといっていない、それが新聞その他にどんどん出ると、もう微量PCB処理の方も全部信頼を失って動かなくなる危険があります。
 ですから、高濃度の処理プラントのリスクマネジメント、立地までは非常に丁寧に説明もされたり、いろいろな危険を予測してやったんですが、実際は若干トラブルがある。私たち専門家から見れば、技術者のレベルとかリスクマネジメントの発想というか、システムが必ずしも十分できていないと思えるんです。その辺も含めてしっかりやっておかないと、そちらの方で何か大きなトラブルが出て「だめですよ」となると、低濃度だって危ないのではないかという話に必ずなりますので、全体として、ぜひリスクコミュニケーションを上手にするのと同時に、リスクマネジメントのシステムを形式的ではなくて、実質、日常にきちっとできるようなものを考えていくことが必要だと思います。今度のガイドなり、この委員会の資料でも、「こういう条件ならできますよ」というだけではなくて、万一それがどこかおかしくなったときにどうしますかといったところまで含めて、きちっと決めておくことが必要だと思います。

 〇永田委員長
 重要なご指摘だと思います。
 高濃度の方は、私を含めて何人かの方が絡んでいるわけですが、そこでも安全・確実な処理、それから、さっき経済性の話が出ましたけれども、経済性というよりも効率的な対応だと思うんですよね。安全に対しても、できるだけ効率的な対応をしてその担保を確実にしていくことが非常に重要だろうと思っています。そうした視点で我々の意見も申し上げているし、そういう体制づくりに協力はしてきているわけで、おっしゃるように、ここはきちっとやっていかなければいけない話だと考えています。
 関連するところでは、またいろいろな形で高濃度の方もご指摘いただければと思いますが、とりあえずは切り離した形で進めさせていただければと思います。
 よろしいでしょうか。何か最後にまとめて言っておきたいということがありましたら。
 もしないようでしたら、今日はこれで審議を終わりにさせていただきます。
 事務局から確認事項がございますので、ご発言願います。

 〇産業廃棄物課長
次回の委員会ですが、先ほど申しましたように、本日ご議論いただきました課題等を踏まえまして、課題・問題点の整理を行うことを主なテーマとして開催させていただきたいと思います。
 日程でございますが、先生方、非常にお忙しいものですから、もし可能であれば、この場で次回の日程を詰めさせていただきたいと思います。
 次回は5月に開催したいと思っておりますが、あらかじめ委員長のご都合をお伺いしたところ、5月15日火曜日か、5月18日金曜日、できれば午後の方が遠い方もご出席されやすいのではないかとも思いますが、場合によっては午前でもということでございます。いかがでしょうか。

 〇永田委員長
 それでは、聞いてしまいましょうか。
 15日火曜日の午後、ご都合の悪い方、お1人。
 18日金曜日の午後はいかがでしょうか。ご都合の悪い方、お1人。
 両方均衡しちゃったな。18日の午前中はいかがでしょうか。大丈夫ですか。
 そうしたら、18日の午前中にさせてもらいましょうか。午前中だと若干時間が短くなる可能性がありますけれども、10時から12時予定ですかね。2回目あたりで少し突っ込んだ議論もしたいと思いますが。

 〇産業廃棄物課長
 9時半から始めることもできますけれども。

 〇永田委員長
 あるいは12時半までに延ばしてもらうというのは。

 〇産業廃棄物課長
 では、一応10時から12時で、場合によっては30分ぐらい延長の可能性があるということで。
 それでは18日、植田先生にもご連絡して、できるだけご出席いただくようにお願いしておきます。

 〇永田委員長
 場所は、追って事務局の方からお知らせいたします。
 あとは、よろしいですか。

 〇産業廃棄物課長
 以上です。ありがとうございました。

 〇永田委員長
 それでは、今日は長時間にわたり貴重なご意見、どうもありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。