瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第9回)会議録


1.日 時  平成12年11月22日(火)14:00~15:45

2.場 所  東海大学校友会館 富士の間(霞が関ビル33階)

3.出席者

(1)委 員
安部 彪川野田 實夫
須藤 隆一白木 江都子
中西 弘谷野 陽
藤原 正弘森 仁美
渡邊 直 
 
(2)環境庁
遠藤水質保全局長
長尾企画課長
浅野瀬戸内海環境保全室長
齊藤総量規制室長

4.議 事

(1)瀬戸内海環境保全基本計画の変更について
(2)その他

5.配付資料

瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第9回)議事次第
瀬戸内海環境保全審議会計画部会委員名簿
資料1瀬戸内海環境保全基本計画の変更について(報告)(案)
資料2瀬戸内海環境保全基本計画の変更に関する意見の募集結果について(案)
参考資料1瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について
-瀬戸内海環境保全審議会答申-
参考資料2関係法令等
参考資料3瀬戸内海環境保全基本計画の変更に関する意見
参考資料4瀬戸内海環境保全特別措置法における地方分権推進に伴う「指示」の扱いについて

議 事

浅野室長:それでは、お待たせいたしました。定刻を過ぎておりますが、ただいまから瀬戸内海環境保全審議会第9回の計画部会を開催させていただきたいと存じます。
 委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本日の出席委員でございますけれども、9名の委員の御出席をいただいております。一部当初の御出席予定から御欠席の委員がございましたけれども、過半数を満たしておりますので、議事の運営規則によりまして当会議が成立しておりますことを初めにご報告を申し上げたいと思います。
 また、本日の部会でございますけれども、これまでの部会と同様に公開で行われておりまして、一般の方々、またマスコミの方々にも傍聴をいただいているところでございます。
 それでは、議事に入ります前に配布資料のご確認をいただきたいと思いますが、本日の資料といたしましては、資料1といたしまして基本計画の変更について(報告)(案)、それから、資料2ということで、変更に関する意見の募集結果について(案)というものを用意してございます。また、参考資料でございますけれども、1から4まで参考資料がございます。また、従来同様でございますけれども、緑の表紙の資料集というのもお配りしてございますが、これは同様にお帰りの際にはお残しいただければと存じます。
 以上ですが、もし足りないもの等がございましたら、御連絡いただきたいと思います。
 なお、参考資料の4でございますけれども、前回の部会でご質問がありました、地方分権にかかります瀬戸内法の改正について、法律の改正等の趣旨につきまして地方分権等の絡みでご質問がございました関係から、事務的に整理したものをお配りしてございますので、これは後ほどご覧になっていただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
 運営規則に従いまして、中西部会長に議事進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

中西部会長:それでは、議事に移らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 当計画部会では、これまで瀬戸内海環境保全基本計画の変更につきまして審議をしてまいりました。大分、8回を数えるわけでございますが、本日の計画部会報告としてこれを取りまとめさせていただきたいと思います。それで、前回の計画部会でご了承いただきました部会報告案について、これは10月6日から4週間、パブリックコメントの手続に従い国民の意見を募集したところでございます。今回はその結果を踏まえて審議をしていきたいと存じます。
 それでは、まず事務局よりパブリックコメントの結果について、また、併せまして、それを踏まえた報告案の修正についてご説明をお願いいたします。

浅野室長:それでは、事務局の方より、ただいま会長の方からご指示がございましたパブリックコメントの結果と、併せまして報告案の修正等につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 まず、パブリックコメントの関係でございますが、参考資料の3を御覧になっていただきたいと思います。
 具体的にいただきましたご意見につきまして、まとめて参考資料3の方に掲げてございます。お目通しいただきたいと思いますが、また、この参考資料の3の一番最後の方、最後から2枚目の紙がついておりますけれども、こちらの方にこのパブリックコメントの内容につきまして、その紙を掲げてございます。今も会長からお話がございましたとおりに、10月6日から11月2日までということで4週間にわたりまして、環境庁のホームページ、また、マスコミの方々にもご協力をいただくというような形でパブリックコメントを実施したところでございます。
 お寄せいただきました意見でございますけれども、全部で12通いただいております。そのコピーをこの参考資料3に掲げてございますが、この資料といたしましては、氏名、年齢等の個人情報に関する部分は伏せまして、本日お出ししているところでございます。
 それで、12通の意見の内訳でございますけれども、個人の方が9通、それから団体の方から3通というような形でいただいております。また、1通に意見が一つというのも多くございましたけれども、中にはお一人の方で非常にたくさんのご意見をいただいたものもございまして、一応、事務局の方でこれらのご意見を項目ごとに分けまして整理させていただきまして、全体で延べの意見の件数といたしましては67件と、このような形で分類といいましょうか、整理させていただいたところでございます。また、件数の多かった事項といたしましては、海砂関係が7件、埋立て関係が4件、廃棄物による埋立て関係が3件と、それらは、例えば海砂に関しましては禁止すべきといったようなご意見でございますけれども、そういったものが内容的には多かったということでございます。それが参考資料の3でございます。
 それでは、このパブリックコメントの結果と基本計画の変更部分について御説明を申し上げたいと思いますが、資料1と資料2で並行的にご説明させていただきたいと思います。
 特に、繰り返しになりますけれども、前回第8回の部会で御承認いただきましたこの部会報告案に対するパブリックコメントを実施し、そこでの御意見を踏まえまして、今回、会長とご相談の上、それらに対する対応について、事務局としてまとめたものでございます。それが資料2でございます。また、資料1の方の基本計画の変更の中身でございますけれども、それらも踏まえまして、また、前回もご説明申し上げましたが、この審議会の意見の聴取と並行いたしまして、関係府県知事の方からも意見を聴取することが法律に定められておりますけれども、審議会の答申と齟齬を来さないということが好ましいということでございますので、関係府県の御意見もあらかじめお聞きした上で、この部会報告案の一部修正を今回行いたいということで提案させていただくものでございます。
 それでは、資料1と資料2を併せて御覧になっていただきたいと思いますが、まず資料2の方でご説明させていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、まず1枚目の裏の方は、ただいま申し上げましたように、パブリックコメントの中身と意見の提出状況ということでございますが、全部で12通いただきましたものを事務局で整理いたしましたところ、意見の延べ数としては67件の意見があったということでございます。
 そこで、今回、この意見に対する回答でございますが、会長の御指示のもと1点ずつ事務局の方で整理いたしまして、それごとに意見に対する考え方ということでまとめております。67件ということで非常に数が多くて恐縮でございますけれども、一応、御説明を申し上げたいと思います。
 2ページの方でございますが、まず初めのこの基本計画の変更案以外の部分ということで審議会の認識等をまとめた部分でございます。資料1の方は1枚めくっていただきまして最初の「別添」と書いたところでございますが、ここについての意見が4件ほどございました。
 まず、海砂利の採取につきまして、「代替材の確保に限界がある点も踏まえ」という表現が中段のところにございますが、これを削除、または「代替材の確保及び開発状況をも踏まえ」とするということで、これは全体の文意が伝わりやすいというような理由が書いてございましたけれども、このような御意見がございました。この点につきましては、第6回の部会で渡邊委員より同様の御意見をいただいたところでございますが、これに対しましては、海砂利の代替材の確保が地域事情等により困難な状況があるとともに、代替材の研究開発等にもいろいろな問題があるという現状を踏まえた、より明確な文章とするために、「代替材の確保に限界がある点をも踏まえ」というところの「に限界がある点」というところを「及び開発状況をも踏まえ」というような形で修文させていただきたいと考えております。
 続きまして、2番目、3番目は同様な意見でございますけれども、「海砂利への依存の低減」、「埋立ての抑制」とあるが、余りに遅きに失する表現ではないか、もう少し厳しい制限を加えるべきではないかという意見。また、埋立ての要請が根強いというふうに位置づけるべきではない、今後埋立ては許されないということを明記すべきであると。また、埋立ては当面凍結し、総合的・科学的に調査し、その上で原則禁止するか、慎重に考慮すべきと。その際に住民、専門家の意見等を尊重すべきという意見でございます。この2件に関しましては、当審議会におきましては現地ヒアリング、関係機関ヒアリングなど、非常に多方面からの意見聴取等を行ったりした上で、そういったような多方面からの意見を踏まえまして総合的に審議を行った上で、海砂利に関しましては、ここに書いてありますとおりに、「海砂利への依存の低減を図ることが必要」、また埋立てにつきましては、「厳に埋立ての抑制を図り環境への影響の回避・低減に努めることが必要」というような基本認識をまとめたものでございます。当然、今回いただいたような御意見はこれまでにもいろいろいただいておりまして、そういった多方面からの意見も踏まえてまとめたものということでございます。また、埋立ての要請が依然として強い状況ということにつきましては、「自然環境は悪化する方向であることから、こうした状況に歯止めをかけることが必要である」という認識をあわせて書いておるところでございます。
 また、4番目でございますが、陸域の環境浄化があって初めて瀬戸内海の環境は浄化されるはずであるので、何らかの言及があってしかるべきというご意見をいただいておりますが、特にこの別添の部分につきましては、審議会で特に議論の多くありました、埋立てと海砂利についての審議会としての認識というものをまとめているところでございますので、このようにさせていただきたいと思います。
 なお、この陸域における浄化のための施策につきましては、「基本的な施策」の「水質汚濁の防止」ですとか「健全な水循環機能の維持・回復」そういったところにおいてその方向を記述しているところでございます。
 続きまして、3ページをお願いいたします。資料1の方は、めくっていただいて1ページの基本計画の方でございますが、まず初めの「第一序説」の部分でございます。
 意見としては三ついただいておりまして、1の「計画策定の意義」のところでは、瀬戸内海は貨物船等の過密な運行から必ずしも安全とは言いがたく、生活環境の安全性の確保が必要であると。また、2の「計画の性格」のところにも同様な意見をいただいております。これにつきましては、確かに船舶の運行に伴う安全確保については重要な事項ではございますけれども、本基本計画につきましては、水質の保全、自然景観等の保全等の計画ですので、対象としていないところでございます。また、3の計画の範囲ということで、「これと一体をなす陸域」の範囲をなるべく広く解釈してほしいと。これは要望かと思いますけれども、こういった意見がございました。これにつきましては、水質関係で広く解釈してほしいという御意見かと思いますが、ここでの「これと一体をなす陸域」といいますのは、自然景観の保全についての記述をしているところでございます。
 なお、水質の保全に関しましては、この瀬戸法で汚水を排出する工場等の特定施設に対する規制を定めるなど、陸域についても対象としているところでございます。
 続きまして、「第二計画の目標」のところでございますが、資料2の方は4ページでございます。それから、資料1の方は1ページの後段からになります。
 こちらはかなり多くの意見をいただいておりますが、まず1の「水質保全等に関する目標」でございます。全般といたしまして、この瀬戸内海は比類のない景勝地であること等から、現在の目標では不十分であり、昭和30年代の水質等、具体的で目標に見合う規制や改善策を考えるべきではないかということでございますが、これに対しましては、現在の基本計画でも定められております保全等の目標においては、現時点においても適切なものと考えておりまして、御指摘のような新たな目標を設定する必要はないものと考えております。
 続きまして、2番目のご意見は(1)の水質基準関係の記述でございますけれども、未達成の海域については達成の目標年次を明示すべきではないかということでございますが、この環境基準の達成期間につきましては、人の健康の保護に関する基準においては直ちに達成され、維持されるように努めることとされております。また、生活環境の保全に関する環境基準につきましては、各公共用水域ごとに定めることとされておりまして、具体的にはそれぞれの告示の中で定められておることから、ここでこの目標年次を記述する必要はないと考えております。
 続きまして、(2)のところでございますが、これは赤潮関係の記述がございまして、ここは赤潮に加えまして貧酸素水塊につきましての記述を追加したらどうかという御意見でございます。この貧酸素水塊につきましては、瀬戸内海におきましては、赤潮と比べましてその発生状況ですとか漁業被害等の知見が現状では不十分でございますので、ここの目標の箇所につきましては原案どおりとさせていただきたいと思いますが、御指摘のように、この知見の集積に努めること等につきましては重要なことかと考えますので、後段の「第三目標達成のための基本的な施策」の方で「調査研究及び技術開発等」という項目がございますので、そこにこの貧酸素水塊の形成及び防除の関係の記述につきまして加えさせていただきたいと思います。これは後ほどまたご説明申し上げます。
 次に、4ページの一番下でございますが、(3)の底質の関係の記述でございますけれども、これにつきましては、現在、「水銀、PCB等」という記述でございますが、そこにカドミウム等の重金属、さらにDDT、BHC等の有機化学製品をつけ加えたらどうかと。また、「生活環境」の前に「棲息魚類が斃死し、人の」という文章を追加したらどうかということでございます。これにつきましては、現在、底質の除去基準が実際に定められておりますのは水銀とPCBでございます。ただし、基本計画については、ご指摘の物質について必要に応じて基準が定められることも想定して「PCB等」と、「等」ということも加えて記述したものでございますので、それらが必要となれば、当然、それらも対象となるということでございます。また、5ページの方にまいりまして、この「棲息魚類の斃死」という観点につきましては、「生活環境への悪影響」という変更案の表現の中に含まれていると考えておるところでございます。
 続きまして、5ページの上の点でございますが、(3)につきまして、同じ底質でございますけれども、汚染された底質は除去すべきという目標を掲げるべきと。また、魚介類に汚染が濃縮し、人や遺伝子に影響があるのではないかとの懸念があることから、魚介類に対する汚染を防止することをつけ加えるべきではないかと。また、ダイオキシンの規制についても、魚介類に対する汚染を防止し、安全性を確保されたいということでございます。この汚染された底質の除去という点につきましては、この変更案にございます「汚染された底質が存在しない」という、これ目標でございますので、これに含まれていると考えているところでございます。また、水銀、PCBの環境基準につきましては、生物濃縮、こういったものも十分考慮した上で設定されているところでございます。また、ダイオキシン類につきましては、水質環境基準については既に設定されておりますが、底質の環境基準につきましては、底質から魚介類への移行・蓄積の機構等の知見が現在ではまだ不十分でございますために、現在、把握のための調査研究を実施しているところでございます。以上により原案どおりということでさせていただきたいと思います。
 次の(4)でございますが、これは藻場・干潟等の記述でございます。まず、都会にある藻場・干潟等については特に保全するよう明記すべきではないかと。また、これまでに失われた藻場・干潟などについては、必要に応じて回復ということではなくて、遊休地や低利用地においては環境復元に努める、こういったことを明記すべきではないかという意見でございます。これにつきましては、まず、都会を明記すべきということでございますが、瀬戸内海におきましては、都会に限らず各地で藻場・干潟が消失しているという現状でございますので、その保全については、都会に限らず全域での課題と考えておるところでございます。また、環境の回復につきましては、やはりこの地域の実情を踏まえまして具体的に検討すべきという課題と考えておりますので、原案どおりの「必要に応じて」といったような記述が適当と考えているところでございます。
 また、その次の藻場・干潟等の記述におきまして「砂質浅堆」と。水深の浅い砂地の海底で周辺よりも少し高くなっているということで、瀬戸内海におきましては、特にサンドウエーブ等の発生によりまして形成されるというふうに言われている部分についての御指摘かと思いますけれども、ここにつきましては古来より魚類の産卵場所になっておるということから、「藻場」の次に「砂質浅堆」という言葉を加えたらどうかということでございます。これにつきましては、ここは「藻場・干潟等」ということで、浅海域全体の記述を今回の変更で新たにつけ加えまして記述させていただいたところでございますけれども、この中で保全すべき浅海域としての例示といたしましては、現在、この社会におきまして特に関心を持たれております「藻場・干潟」という点を挙げることが適当ではないかということで、原案どおりが適当と考えているところでございます。
 また、下の自然海岸等の記述にあわせまして、この藻場・干潟等と自然海岸について、「それが現状よりもできるだけ減少することのないよう」という目標があるが、消極的な目標設定であるので具体的に回復させる目標を積極的に示すことが重要であるという御意見でございますけれども、これにつきましてはこの一つ上と同じでございますけれども、回復の目標につきましては、地域の実情を踏まえて検討することが適当と考えておりますので、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 また、(5)につきまして、都会の住民も田舎の者も海に親しむという切実な要求があるので、6ページにまいりまして、遊休地等に安全に配慮しつつ、立ち入るための施設を整備し、また、立ち入ることを尊重すべきというご意見でございます。この海との触れ合いの促進という観点につきましては重要な観点でございまして、「第三目標達成のための基本的な施策」の15番でございますけれども、こちらの「環境教育・環境学習の推進」という項目の方におきまして、「海とのふれあいを確保し、その健全な利用を促進する施設の整備に努める」というふうな記述で対応しているところでございます。
 また、(5)につきまして、自然海浜等につきまして「可能な限り回復に努める」という記述を追加したらどうかということでございますが、この自然海岸の回復につきましては、資料1の2ページのちょっと下でございますけれども、2の「自然景観の保全に関する目標」の(3)の方に、自然回復の観点から、その方向について記述しているところでございます。
 続きまして、2の「自然景観の保全に関する目標」でございますが、まず全般といたしまして、高層ビル等の工作物により景観が破壊されていることから、その規制についても触れるべきという御意見でございますが、これにつきましては、これも「第三目標達成のための基本的な施策」の「2自然景観の保全」、(5)というのがございまして、そちらの方におきまして、「施設を設置する場合においても、景観の保全についての十分配慮する」という方向を記述しているところでございます。
 続きまして、(2)の緑の保全に関する記述でございますが、海辺の緑につきましては、魚付林としても水産資源の保全上も重要な存在であるという御指摘でございますが、確かにこれは御指摘のように魚付林としても重要と考えられておりますが、これは自然景観の保全に関する目標の記述でございますので、このようにさせていただきたいと思います。
 (3)の自然海岸の保全・回復の点についてでございますが、目標とすべきは可能な限りの復元という形が適当というご意見でございますが、これは先ほどからも出ておりましたとおり、この回復の目標につきましては、地域の実情を踏まえてというのが適当と考えますので、「必要に応じ」との原案どおりとさせていただきたいと思います。
 (4)のごみ等の関係の記述でございますが、漂着したごみ類だけではなくて、海底に沈殿しているごみ類の除去も実施すべきということでございますが、ここの目標に関する記述といたしましては、自然景観の保全という観点での目標を記述しておりまして、そういう意味で「海面に浮遊し、あるいは海浜に漂着し」ということで記述しておりますので、御理解いただきたいと思っております。
 なお、この海底のごみに関しましては、これは「第三目標達成のための基本的な施策」の11番に「海底及び河床の汚泥の除去等」という項目がございまして、生活環境に影響を及ぼす海底等に堆積したものについての除去については、記述をして対応をしているところでございます。
 それから、7ページにまいりまして(5)でございますが、資料1の方は次の3ページの上になります。文化財の記述につきまして、リゾート等の建設により文化財の価値が失われないような規制措置が必要であるという御意見でございますけれども、これにつきましては、これも「第三目標達成のための基本的な施策」の方に「史跡、名勝、天然記念物の保全」といった項がございまして、そちらの方で記述をしておるところでございます。
 以上が計画の「序説」、また「目標」に関する御意見に対する対応でございます。
 ちょっと長くなりますけれども、続いてご説明を差し上げたいと思いますが、8ページにまいりまして、「第三目標達成のための基本的な施策」に関するところでございます。
 まず初めに、1の水質汚濁の防止、(1)水質総量規制制度等の実施に関するところでございます。この初めの文章につきまして、これは窒素、燐だけではなくて水銀等の重金属等につきましての記述をつけ加えるべきであるというご指摘でございますが、ここの総量規制制度につきましては、生活環境の保全に関しますCOD等に関する制度でございますので、水銀、カドミウム等につきましては対象外ということになっております。その対応につきましては、また後ほどご説明を差し上げたいと思います。
 次に、(イ)に産業排水に関する記述がございますが、ここでは高濃度の廃液を工場外に投棄する業者が後を絶たないので、査察の強化が必要ではないかというご指摘でございますが、この産業排水につきましては、水質汚濁防止法に基づきまして規制及び監視というのが法律にもきちんと位置付けられておりまして、必要に応じ立ち入り検査も行われることになってございます。
 また、資料1の3ページの(ウ)、これは変更部分にアンダーラインを引いてございますけれども、下の方の「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」というところでアンダーラインがございまして、これを変更させていただきたいと思いますが、法律の名称を間違えておりまして、「の適正化」というのが抜けておりましたので、これを加えさせていただきたいと思います。また、「家畜ふん尿」としておりましたけれども、その法律に合わせまして、「家畜排せつ物」というような形で表現の適正化を図りたいということで、変更をさせていただきたいと思います。
 次の(エ)につきましては水質浄化機能について記述しておりまして、資料1の方は4ページの方にまいりますが、これにつきましては、「自然環境が有する水質浄化機能」という記述に「藻場・干潟・砂浜等の自然環境」といった記述をつけ加えたらどうかということでございます。この記述につきましては、「自然環境」には海のほかに河川及び湖沼も含まれるという広い概念で記述しておりますので、このままにさせていただきたいということでございます。
 続きまして、(2)の「有害化学物質問題への対応」に関する記述でございますが、これは表題に「重金属」を加える、また、文章の末尾に「またPCB・BHC等の残存量の急速な削減並びに水銀・カドミウム等の重金属の削減にも努力する」という表現を加えたらどうかということでございます。まず表題につきましては、「有害化学物質問題」ということで、確かに重金属という点が抜けておりましたので、重金属も含むという観点で「有害化学物質等」ということで「等」を加えまして、「有害化学物質等の規制及び把握等」ということに変更させていただきたいと思います。また、「ものとする」というのをつけ加えておりますけれども、これは全体の記述として「ものとする」という形で統一させていただいておりまして、これが抜けておりましたので加えさせていただきたいと思っております。また、PCB、水銀、カドミウム等につきましては、水質汚濁法に基づく排水基準等により適正に規制されておりまして、また、BHC等を有効成分とする農薬につきましては、販売の禁止により対応されておりまして、現行どおりの記述が適当かと考えております。
 また、続く意見といたしまして、この項の文末に「排出量の低減に努める」というのを加えたらどうかという御意見でございますが、この有害性のある化学物質に関する記述につきましては、排出量の把握、管理を行って環境の保全上の支障を未然に防止するというPRTR法、9ページにまいりますが、この法律の趣旨に基づきましてそれを記述してございますので、原案どおりが適当かと考えます。
 (3)にまいりまして、「油等による汚染の防止」という項でございます。この項に関しましては、薬剤の使用について、除油効果だけではなくて水産生物に与える影響にも留意してほしいというご意見でございますが、これにつきましては、「環境への影響の少ない油防除技術」と記述しておりますので、この点は含まれていると考えております。また、潮間帯の生物にかかわるデータバンクを作るための緊急調査を実施してほしいというご意見でございますが、生物に関するデータの蓄積につきましては、「平常時の自然環境等の観測データの蓄積に努める」と記述をしておりますので、これで対応していると考えております。
 (4)の「その他の措置」の「大阪湾の保全に留意する」ということにつきましては、適切であるというご意見をいただいております。
 次に、2の「自然景観の保全」でございます。資料1は4ページの下の方から5ページにまいりまして、(2)の「緑地等の保全」について、これは先ほどもございました魚付林についての記述ということでございますが、同様でございます。また、(2)の中の「松くい虫」という記述につきましては、当時、松くい虫防除特別措置法というのがございました。御承知のとおり、瀬戸内地域は松くい虫の被害が大変多発しておりまして、それも踏まえて書かれた記述でございますが、その後、昭和54年をピークに松くい虫の被害も減少してきているということもございまして、これは時限立法でございましたので、平成9年3月に「松くい虫防除法」というのが失効いたしまして、現在では「森林病害虫等防除法」というのに変更されている、そちらの方に統合されたということでございますので、こちらの方がより適正な表現ということで、「松くい虫」というのを「森林病害虫等」という形で変更させていただいております。
 また、続く(4)の「散乱ごみ、油等の除去」のところでございますが、海底に投棄されるごみに対しての取締りを強化してほしいと。また、現在、海底ごみを漁業者が引き揚げた場合の対応についての規定がないので、法律等の整備を努めるとともに、その議論を進め、対策について考えるべきではないかという御意見でございます。まず、前段の海底に投棄されるという点でございますけれども、ここにつきましては、海面、海浜に対する投棄という形で記述おりまして、当然海底への投棄も海面に行われる訳ですので、海底という御指摘でございましたけれども、この表現で対応していると考えております。また、漁業者が引き揚げたごみの処理につきましては、廃棄物処理行政の中で個別の事例に即して適切な対応が図られるべき問題ではないかというふうに考えておりますので、この瀬戸内海環境保全基本計画での表現といたしましては、現状が適当かと考えているところでございます。
 続きまして、資料2の10ページの方にまいりまして、同じように海底に沈殿しているものの引き揚げも必要であるという御意見でございますけれども、これは先ほどの「第二計画の目標」の方でも同じようなご意見がございまして、そちらで御説明したとおりでございます。またさらに、瀬戸内海における発泡スチロール等の浮遊物の使用を禁止するとともに、ごみ発生を抑制するための支援方策、また、地域特性に応じた対策を講じるべきではないかといったようなご意見でございますが、これは特に広島県のカキいかだの浮きが壊れたりして浮遊物になっている状況があって、問題になっているといったような御意見でございました。これにつきましては、この御意見の趣旨の一部を踏まえまして、廃プラスチックに関する記述がこの段の後段にございますが、これは廃プラスチックだけの記述でございましたので、廃プラスチックの後に「等の浮遊、漂着ごみ」という形で、こういったご趣旨の点についても記述をつけ加えさせていただきたいと思います。また、これまでの記述は「汚染の実態把握等に努める」という形で、調査だけというような形になっておりましたので、これにつきましては、具体的に防止対策に努めるというような形で「及び防止対策」をつけ加えさせていただきたいと考えております。
 続きまして、(5)の「その他の措置」でございますが、残存する景観の保全はもちろんのことであるが、景観の回復を最重点課題にしていただきたいということでございまして、これにつきましては、これまでも説明申し上げましたとおり、回復については地域の実情を踏まえることが重要であるという点で、現在の記述が適当かと考えております。
 また、続きまして「人文的な景観についても適切に配慮する」という記述でございますが、市民の意見が実際の現場の上で十分反映されていない、また、瀬戸内海に関しては、環境庁がもっと強制力、実効力のある規制を持つべきであり、そのような仕組みをつくるべきであるというような御意見でございます。まず前段の住民の参加という観点につきましては私どもも重要な観点と考えておりまして、「第三目標達成のための基本的な施策」の14におきまして住民参加の推進といったようなところも今回の計画で加えておりまして、その中でその方向を記述しておるところでございます。また、瀬戸内海の環境保全につきましては、この瀬戸法に加えまして水質汚濁防止法、自然公園法、こういったものの適正な運用により対応していくこととされているというふうに考えるところでございます。
 続きまして、資料1の方は6ページにまいりまして、3の「浅海域の保全等」のところでございます。
 (1)に「藻場及び干潟等の保全等」というのがございます。これも先ほどと同様でございますけれども、「砂質浅堆」を加えたらどうかという御意見でございます。ここは魚類等の産卵の場であって、ここで海砂を採取するから問題であるというような御意見でございますが、ここは先ほどの「第二計画の目標」のところでご説明したのと同様に、原案どおりとさせていただきたいと考えているところでございます。また、この海砂採取につきましては、これも御承知のとおり、今回、4の方で海砂採取に関する項を新たに起こし、記述を相当程度加えているところでございまして、その中におきましても「環境等への影響が相対的に小さい海域での最小限の採取にとどめる」等、具体的な環境保全の対応につきまして方向を明確にしているところでございます。
 続きまして、11ページにまいりまして、4の「海砂利採取に当たっての環境保全に対する配慮」のところでございますが、これにつきましては大変多くの意見をいただいておるところでございます。
 まず初めに、「海砂利の採取によって底質の悪化がある場合は、専門家の意見を聴いて好適な状態への保全に努力する」というのを加えたらどうかというところでございますが、この海砂の採取により礫化してしまった底質を人の手によって改善するというのは実際には非常に困難と考えられていることから、この点につきましては、大変当部会ではいろいろな観点から御議論をいただいたところでございますけれども、今回の記述の中では未然防止というような形での考え方を記述させていただいたところでございます。
 また、この11ページから12ページにわたりまして、6点ほど同様な意見でございますけれども、原則禁止ですとか、3年に限りという形で時限を限って採取を認めて、その後、禁止したらどうかと。また、禁止しないと水産資源の繁殖が極めて困難となると。また、魚介類の水揚げが減少していることから、一刻も早く全面禁止とすべきである等々の意見をいただいたところでございます。これにつきましては、初めの基本的な認識にあったのと同じでございますけれども、もちろんこういった御意見についてはこれまで審議会にもいただいておりますし、多方面からの御意見を十分踏まえ、総合的に審議を行った上で今回の変更案をまとめたものということでございますので、御理解をいただきたいということでございます。
 12ページにまいりまして3番目でございますけれども、「代替材の確保」云々では意味が不明瞭ということにつきましては、具体的にお答えしているところでございます。
 また、4番目に、今後、砕砂への依存が多くなる中で、それを細骨材として全量用いるためには海砂と同様に処理するシステムが必要であると、こういった御意見もいただいておりまして、これにつきましては、代替材の開発という観点で記述しているところでございます。
 続きまして、資料1の方は7ページの方にまいりまして、5の「埋立てに当たっての環境保全に対する配慮」に関する記述でございます。
 これも同じような意見をいただいておりますが、まず、埋立てに関しましては全面抑制を要求すると。最低限「以前にも増して環境保全に十分配慮して埋立ての抑制に努める」というような記述を加えたらどうかと。
 また、13ページの方にまいりますが、環境庁が毅然たる姿勢を示すことを待望していると。また、厳に埋立てを抑制すべきというような意見もございます。これも基本的な認識のところでご説明したものと同じでございますけれども、当審議会ではこのような意見も十分承り、多方面からの意見も踏まえまして、総合的に審議を行った上で今回のような記述をまとめたところでございますので、御理解を賜りたいということでございます。また、これまでもご説明しておりますけれども、この埋立ての基本方針というものにつきましては、この審議会で御審議いただいた点も踏まえまして今後変更の検討を行ってまいりたいということで考えておるところでございます。
 二つ目でございますけれども、抑制というところは同じでございますが、「必要に応じ適切な代償措置」の「必要に応じ」を「埋立てがどうしてもやむを得ないとき」というふうに変更すべきという意見でございます。この代償措置につきましては、まず環境への影響の回避、低減を検討し、その上でなお残る影響がある場合にはこの代償措置を検討するというようなことでございますので、その趣旨に基づきまして「必要に応じ」ということで記述しておりますので、原案どおりが適当と考えておるところでございます。
 続きまして、6の「廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保」の点でございますが、ここは3点ほどの意見がございまして、ほぼ同じような意見で、域外からの廃棄物の搬入は禁止すべきではないかと。また、瀬戸内海においては、廃棄物による埋立て、特に産業廃棄物の埋立てというような意見もございましたけれども、これは好ましくないものであるので禁止するということを明記すべきではないかというような意見がございました。これにつきましても、埋立ての議論にあわせまして、部会の方でも大変多方面からのヒアリング等も実施し、議論いただきまして、廃棄物につきましては、その発生抑制、再使用、再生利用等の促進などが図られるなど循環型利用を構築いたしまして、これにより廃棄物そのものの発生抑制等を推進し、これによる廃棄物の埋立てを抑制することが適当であるという形で御意見をまとめていただき、それに基づきましての記述をしておりますので、原案どおりが適当ではないかということでございます。
 続きまして、7の「健全な水循環機能の維持・回復」という点でございますが、「自然浄化能力の回復に資する人工干潟等の適切な整備」については、開発の免罪符にならないよう留意することが必要であるという御意見でございますけれども、この人工干潟等の整備につきましては、健全な水循環機能の維持・回復の上で必要があるということから記述しておりますので、御指摘のような代償措置として記述したものではございません。また、代償措置につきましては、先ほどもございましたとおり、環境への影響の回避、低減をまず行うということを明記しておりまして、その上でなお残る影響がある場合に検討するということでございます。
 14ページにまいりまして、次の意見といたしまして、「自然浄化機能」という言葉を表題や本文の水循環機能というところに加えたらどうかと。また、「海域においては~陸域においては」というのはほかでも述べられているので、それを削除し、「海域と河川の連続性に留意して」という言葉を加えたらどうかということでございます。この「健全な水循環の機能」という用語につきましては、水循環による自然浄化というのを含めて機能しておりますので、御指摘ではございますけれども、原案どおりにさせていただきたいということでございます。ただし、海域と河川との連続性に留意するという御指摘につきましては、私どももこのような考え方で記述しているところでございますけれども、御指摘のとおり、確かに具体的に入っておりませんでしたので、資料1の7ページにありますとおりに付け加えさせていただきたいということで、修文を図りたいと考えております。
 続きまして、8の「失われた良好な環境の回復」でございますけれども、住民や民間団体との連携をうたっているのは賛成であるが、対等な立場で互いに尊重しながら事業を進めることを明記すべきではないかという御意見でございます。これにつきましては、この「失われた良好な環境の回復」という施策に限らず、住民等との連携は重要なことと考えておりまして、これにつきましては、資料1の10ページ、17の後段の「広域的な連携の強化等」というところで、「環境保全のための施策の策定に当たっては、住民や事業者等の幅広い意見を調整し、施策に反映するための適切な仕組みの検討に努めるものとする」ということでの方向を記述しておりますので、御理解いただきたいということでございます。
 続きまして、資料1は8ページの方にまいりまして、9の「島しょ部の環境の保全」というところでございます。ここにつきましては、他地域からの廃棄物の持込みを許さない。また、環境学習の場として再生を図るなどの点で補足が必要ではないかという御意見でございますけれども、廃棄物関係につきましては、先ほど申し上げましたように、循環型社会を構築して廃棄物の発生抑制を図ると。また、それに伴う埋立てを抑制するということで、先ほど6の廃棄物関係の記述を設けているところでございます。また、環境学習の場としての再生ということにつきましては、それに限らず良好な環境の回復ということでは重要でございまして、具体的には8の「失われた良好な環境の回復」という点等におきまして記述をしているところでございます。また、それらの観点につきましては、個々の島しょの特性や現状等を踏まえて検討されるべきものと考えておりますので、原案どおりとさせていただきたいということでございます。
 また、11の「海底及び河川の汚泥の除去等」についてでございますが、15ページにまいりまして、大阪湾中央部の海底に堆積しているごみの除去を希望すると。また、ヘドロの除去の調査も課題であるということにつきましては、これは生活環境に影響を及ぼす底質の除去等につきましては、「所要の調査研究を進めるとともに、必要に応じ、除去等の適切な措置を講ずるよう努める」というふうに記述しておりますので、それで対応することとしておるところでございます。
 また、12の「水質等の監視測定」の点でございます。これにつきましては、「水質の監視測定に携わる技術者の研修・教育等により、長期間にわたる制度の維持、向上を図る」というのを付け加えたらどうかということでございますが、御指摘のような視点につきましては重要な観点でございますが、これは本文の記述にございます「監視測定技術の向上等」という記述の中に含まれていると考えておりますので、その記述で対応させていただきたいと思っております。また、資料1の8ページの方で具体的な修文案を掲げてございますが、「水質総量規制制度の実施」の後に「及びダイオキシン類対策特別措置法の施行等に伴い、」という文言を加えることでお諮りしておりますけれども、これは御承知のとおり、昨年、ダイオキシン類対策特別措置法が制定されまして、その中で、このダイオキシン類につきましては、都道府県知事による汚染状況の常時監視が義務付けられました。それをきちんとこの基本計画でも記述しておいた方が適当ではないかということでございますので、今回つけ加えさせていただきたいと考えるところでございます。
 続きまして、13の「環境保全に関する調査研究及び技術の開発等」のところでございます。これにつきましては、「貧酸素水塊の形成の解明」、また「水質総量規制制度等の実施が瀬戸内海の水質改善に及ぼす効果を判定する手法の開発及び水質改善メカニズムの解明」、また「微量有害化学物質の影響評価」、これを付け加えたらどうかというような意見でございます。
 まず初めの貧酸素水塊についてですが、これにつきましては、先ほど「第二計画の目標」のところでも御説明いたしましたけれども、瀬戸内海では一部の海域で季節的にその形成が見られる状況でございまして、その形成のメカニズムの調査研究でございますとか防除技術の開発等につきましては、重要な事項と考えられておりますので、その旨の記述を追加させていただきたいと考えております。また、水質総量規制制度等の効果を判定する手法等につきましては、これはその制度の中で対応していくべき課題であると考えておりますので、これは現行どおりとさせていただきたいと思います。次の環境ホルモン等の化学物質等に対する調査研究の記述につきましては、この瀬戸内海の閉鎖性海域という点を考えますと確かに重要な観点でございますので、生態系への化学物質の影響という観点で記述を追加させていただきたいと思います。
 また、資料1の8ページから9ページにかけます13の記述でございますが、ただいま御説明申し上げました点に加えまして、これまでの記述では「等」という言葉が何度も繰り返し出てきたりとか、調査研究、技術開発に関する具体的な例示が並んでおりますが、大変わかりにくい表現でございましたので、併せまして「てにをは」に関する部分等につきましても修正させていただきまして、箇所としては多うございますけれども、8ページ、9ページのように修正させていただきたいというふうに考えております。
 また、15ページの下でございますが、地方公共団体によるアセスメントにつきましては、住民の間で不信感が定着しているということで、まず環境庁が科学的で公正な、模範的な調査を実施して見せる他はないというような御指摘でございます。この環境影響評価につきましては、環境影響評価法、また都道府県の条例等に基づきまして、対象事業を実施しようとする者が適切にこのアセスメントを実施するということで規定されておりますので、御理解いただきたいということでございます。
 また、16ページにまいりまして、資料1の方は15の「環境教育・環境学習の推進」の点でございますが、まず、計画や実行段階から住民団体の参加を期すべきであると。行政が主で住民団体が従であるという色彩が払拭できない記述であるので、新しい時代にふさわしいものにすべきではないかという点でございます。これにつきましては特に御指摘にございますように、環境教育等につきましては、国、地方公共団体、事業者、民間団体等、それぞれの間のパートナーシップと最近呼ばれているキーワードがございますけれども、それは重要な観点であると思われますので、ご指摘も踏まえまして、資料1の9ページにもございますとおりに、それらの「連携の下、」という形で具体的な記述を追加させていただきたいというふうに考えております。また、併せまして、資料1の9ページの下の方にもございますが、その次の段落にこれまで「国立公園と連携を図りつつ」という記述がございましたけれども、これは上の方で「連携」というのを加えましたのとあわせまして、少し具体的な意味合いがわかりにくいといったような御指摘もございましたので、「国立公園等を活用した自然観察会等地域の特性を生かした」というような形で修文させていただきたいと思います。
 また、次の御意見は、自然観察といった対象だけではなくて、生業の場としての瀬戸内海の視点が欠けていると。具体的なこのプログラムの中に多様な視点が必要であると。また、民間団体のプログラムを利用するなど、連携が必要という形でのご意見をいただいております。多様なプログラムが必要だというご意見につきましては、「地域の自然及びそれと一体となった歴史的、文化的要素を積極的に活用しつつ……、」というこの記述の中に含まれているというふうに考えております。また、連携が必要であるという御指摘につきましても、この修文において対応をさせていただきたいと考えております。
 続きまして、資料1の方は最後の10ページにまいりまして、17の「広域的な連携の強化等」でございますが、まず「各地域間の広域的な連携の一層の強化を図る」では具体的ではないと。13府県の担当者、民間団体等による恒常的な組織をつくるなど、施策を具体的に提示すべきであるという御意見をいただいております。これにつきましては、既に現在でも瀬戸内海環境保全知事・市長会議、また瀬戸内海研究会議等の連携組織が活動をしているところでございますが、このようなさらなる体制の具体的なあり方につきましては、個別の必要性等を踏まえつつ関係者間で検討をすることが適当であるということから、この記述におきましては原案どおりとさせていただきたいということでございます。
 また、「広範な地域」を「一つの海域」という形で修文したらどうかと。また、「流域を単位とした関係者間」の後に「及び流域を越えた関係者間」というのを加えたらどうかという御意見でございます。まず初めの点につきましては、瀬戸内海におきましては、皆さんご承知のとおり、閉鎖性の強い湾、灘が連続した海域ということで、「広域な」と記述するのが適当かと存じますけれども、「地域」というよりは「海域」という記述の方が適当かと思いますので、「地域」につきましては「海域」という形で修文させていただきたいと思います。また、流域を越えるという観点につきましては、特に健全な水循環等の維持・回復等におきましては、流域を単位とした広域的な連携の中での取り組みが特に効果的なものということで取り上げて書いているものでございますので、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 最後の18の「海外の閉鎖性海域との連携」でございますけれども、ここには、冒頭に「住民団体、市民とともに連携する」と明記すべきではないかという意見でございますが、この観点につきましては、「積極的な参加、人的交流、情報の発信及び交換」との記述の中にこのような御趣旨については含まれていると考えておりますので、御理解いただきたいということでございます。
 また、資料2の18ページでございますが、基本計画の全般にわたる意見というような形で3点ほどいただいておりまして、まず1点目は、私たちが21世紀の子供たちに残せる自然環境は何かよく考えてほしいと。環境保全を前面に出し、新しい補助金をつくるための基本計画の変更であれば、ストップしてほしいという意見でございます。これは「第一序説」にも掲げてありますとおり、この基本計画の策定自体、「後代の国民に継承すべきものであるとの認識に立って」計画を策定するものという形で明記しているということでございます。
 次の御意見は、瀬戸内海については、国立公園や気象緩和作用としてもその存在意義があるので、海砂利、埋立ての禁止等について、強く地域の人たちに呼びかけたいと。今回の改正案は賛同し得るものという御意見でございます。
 また、次の御意見は、厳しい基本認識が示されたことを評価したいと。また、要は、今後の運用に当たっていかに実効性を持つものになるのかが重要であるということで、今後の動向を厳しく見守っていきたいというような御意見もいただいているところでございます。
 以上でございます。
 大変多くの御意見をいただきまして、それを項目ごとに個々にこのような形で対応させていただいたところでございまして、大変長い説明になりまして恐縮でございましたけれども、パブリックコメントにつきましては、このような形で御意見にお答えさせていただき、また、それを踏まえて、資料1にございますとおり、前回御了解いただきました変更案につきましては、ただいま御説明いたしましたような形で一部変更させていただければということで、御提案させていただきます。
 なお、資料2の募集結果についてというこの資料につきましては、今後の総会においても提出させていただきますとともに、またインターネット等でも一般に公表する予定としているところでございます。
 以上でございます。よろしくお願いしたいと思います。

中西部会長:どうもありがとうございました。
 意見について分類して、その理由について採否の見解について、大分苦労してまとめていただいております。それを御説明いただきまして、今、御説明がありましたように、それに基づいて本文の方に一部修正がございます。これを踏まえまして皆様のご意見をお聞きしたいと思います。
 どこからでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。

渡邊委員:ちょっと質問なんですけれども。

中西部会長:どうぞ。

渡邊委員:資料1の方の3ページの一番下、第三の目標達成のための基本的な施策の1、
 水質汚濁の防止の(1)の(エ)ですね。これについて意見が出ていまして、自然環境には海のほか河川及び湖沼も含まれますので、原案どおりが適当ですというふうに考えられているわけですけれども、そうしますと、この(エ)の「河川等の直接浄化を推進する」というのは、「直接浄化」というのはあんまりぴんと来ないんですが、具体的にどういうことを指していることになるんでしょうか。

浅野室長:それでは、事務局でお答えいたしますけれども、御承知のとおり、生活排水の
 規制等によりまして、その排出等を規制するという手法がございますが、それに加えまして近年は建設省の事業でございますとか、一部環境庁の方でも事業を行っておりますけれども、例えば、河川の堤防の内側におきまして、具体的に自然の曝気機能を生かした、河川を一部そこに引き込んで、そこで水質を浄化するような施設をつくりましたり、また、都市の中の小規模な河川で汚染の著しいところにつきましては、やはり同じような形で水が曝気されるような、また、水を引き込んで具体的に浄化するような施設を整備するといった事業が近年実施されておりますので、そういった意味で「直接浄化」と呼んでおります。

渡邊委員:そうですか。そうすると、そういう事業というのは私も聞いたことがありますけれども、そういうものを「直接浄化」と呼ぶというのは一般的なんでしょうか。

中西部会長:須藤先生がお詳しいですから。

須藤委員:別に詳しくはないんだけれども、以前からその「直接浄化」ということをやっておりますので。今の先生のご疑問、言葉として「直接浄化」といったらすごくわかりにくいですね。ですけれども、私もこれはまずい用語だなと思ってはいたんですけれども、この言葉は実は定着しております。
 今、事務局から御説明がありましたように、例えば、河川のところのコンクリートを礫にするとか、植栽をするとか曝気をするとか、そういう直接にやる、要するにオン・サイトで。普通の浄化というのは水をどこかに持っていってやるんですね。
 それをオン・サイトでやる、そういう浄化方法。例えば、曝気をしてもいいですし、あるいは小さな処理をやってもいいんですけれども、とにかく河川をその場で処理をする方法を、最初、直接的に浄化をするからというので「直接浄化」と。その言葉が行政用語としてずっと定着しちゃったんですね。ところが、例えばこれを英訳をしたときにすごく困るんですよね。困るんだけれども、それはもう例えばリストレーションとか、そういうふうに置きかえていかないといけないんですが、とにかくそういう意味では、一般的にはわかりにくい言葉ですが、行政とか工学とか技術用語では「直接浄化」というのは普通に使っている言葉だと思います。ですから、わかりにくかったらちょっと説明が、もしかしたら必要かもしれませんね。「河川などの直接浄化」とか、そういう方がいいのかもしれません。

渡邊委員:わかりました。ありがとうございました。

中西部会長:ほかにございませんか。

安部委員:ちょっとよろしいですか。

中西部会長:どうぞ。

安部委員:第二の「計画の目標」の(3)ですね。水銀、PCBについてはもう基準があるから、それに従って適正に実施されているからここでは特に取り上げないとか、それから、ダイオキシンについては、底質の基準がないので調査研究中だと。ここでは基準がないので取り上げていないとか、それから、資料2の8ページの(2)の有害化学物質問題への対応で、PCB、水銀、カドミウムについては、水質汚濁防止法に基づき適正に規制されており、農薬については販売の段階で禁止されているからということなんですけれども、こういうようなものは、瀬戸内海の水質保全上重要だと考えられますが、ほかの法律で縛られていれば、特にこの瀬戸内海の特例というか、重ねてここの意見として上げる必要性はないのかどうか、ちょっとその辺をお答えいただきたいと思います。

浅野室長:ちょっと私の説明がまずかったかもしれないんですけれども、特に目標等に掲げてございますとおり、水銀、PCB等という形で具体的に記述され、カドミウムとか、ご指摘がありましたほかの物質名については具体的に記述はされておりませんけれども、「水銀、PCB等」といったような記述の中で、そういったものについての記述も十分含んだ上での記述であるということをまずご説明申し上げたというのが1点でございます。
 また、その上で、実質的には、例えば、PCB等については農薬の販売、また、カドミウム等については環境基準できちんとやられておるというところでございまして、「水銀、PCB等」という形でのこれまでの記述の中でも、そういった観点は十分踏まえた上で記述しているということで御理解いただければと思います。また、ダイオキシンにつきましては、先ほども説明いたしましたとおり、水質環境基準の方は現在設定されておりますが、昨年法律が制定されたということでまだ新しい問題でもございまして、現在、底質の環境基準については調査研究中であるということでございますので、現在の段階ではこのような記述とさせていただきたいという点でございます。決してそれを書かないということではございませんので、そういったものも十分踏まえた上で、現在の段階での記述としてはこのような記述が適当ではないかということで御理解いただければと思います。

安部委員:このダイオキシンなんですけれども、ダイオキシンについては、魚介類にいろいろ影響を与えて、それについての調査研究が不十分なため、今、研究をしていますというようなことを、ほかのところで研究しているんだと思うんですけれども、その表現がこの(3)の中で読めるんですか。2ページの(3)の「まだ」以下あたりにでもちょっと。基準があれば基準以上ということですけれど、その基準がないのでやれないというような表現に読めたんですけれども。

浅野室長:よろしいですか。ここでの読み方でございますけれども、「水銀、PCB等の物質を国が定めた除去基準以上に含む底質が存在しないこと」ということでございまして、仮に今後の研究が進みまして、このダイオキシン類に関する底質の除去基準等が明らかになりまして、その除去をすべき基準というのが定められれば、当然、環境庁の告示等でそれが定められるわけですけれども、そうなればこの「等」という形の中で読めるかと思いますので、そういった点についてはこの記述の中で十分配慮されているという形で考えているところでございます。

中西部会長:よろしゅうございますか。
 では、ほかに。

須藤委員:大変適切におまとめいただいて、私は原案で大体よろしいかと思うんですが、ただちょっと直していただくとかというよりも、ちょっと二、三気になったところだけ申し上げさせていただきます。
 資料2の方の5ページの一番上の、魚とかそういう生物の環境の問題は生活環境に含まれるというのは、私自身は十分生活環境だということは承知はしておるんだけれども、あんまり普通にはなかなか承知できないところかなという気もしますので、そこは魚の環境は我々の生活の環境の一部であるということは、特に生物とかそういうことをやっている方からすると、そうかいなと思われる点があるんじゃないかなという気がちょっといたしました。ですから、直さなくてもいいんだけれども、生物を含む生活環境だか、何かそんなようなことであれば、生活環境というだけだと何か生態、人間の環境だけというふうに取られがちかなと思いました。
 それから、資料の1の本文の方の、さっきの3ページの家畜排せつ物の管理の適正化という法律が、そういう適正化になったのも、これも承知しておりますので、この方がよろしいと思うんですが、後の方ですね。「基づき家畜排せつ物の適正処理」、家畜排泄物というのは、決して家畜排泄物だけではなくて、あそこには水も入るし、まぜものがいろいろ入るし、例えば、おがくずだとか敷きわらとか、いろいろなものがまざっているので、そんなもので排泄物と限定しないで、やはり終わりの方は「廃棄物」じゃないかなというような、「家畜廃棄物」、「畜産廃棄物」ですかね、そんな方が妥当かなという気もしたんですけれども、これは言葉のあやです。
 それからもう一つ、4ページの洗剤中の燐の削減ということは、もうこれは達成しているんですよね、我が国は。ここであえてまた削減というのは、ずっと昔の話ならこれでいいんだけれども、洗剤中の燐の削減って、これはもっと前に気がつくべきだったんだけれども、ちょっとここは気になりましたということで。以上、これは気になっただけでございますので、直してくださいということよりも、全面的に大体よくお直しいただいたのではないかというふうに感じますが、やはりただそれだけじゃいけませんので、ちょっと気になったことだけ申し上げさせていただき
 ました。

中西部会長:ありがとうございます。
 ほかにございませんか。どうぞ。

谷野委員:1点だけ。私の知識が大変不十分な部分なので、これは御専門の方の御説明を伺いたいということなんですけれども、砂地の問題であります。「砂質浅堆」というのもありますし、それからもう一つ、「砂浜」という言葉があるんです。この対照表でいうと、5ページと、それから8ページと10ページの3カ所に出てまいります。私は今まで、何となく「藻場・干潟」という言葉に説得をされていまして、藻があれば魚がいる、生物相が豊かであると。干潟というのは、水の中に入ったり空気にさらされたりして、これも大変生物相が豊かで大事なところだというのでありますが、では砂浜はどうなんだということは余り考えていなかったわけですね。議論にもあんまりなっていなかった。だけど、こう言われてみると、確かに川でいっても、サケ科の魚はしっぽで砂や砂利を掘ってそこに卵を産むということがありますし、これはもう少し飛び離れて言えば、ウミガメは砂浜へ上がってきて卵を産むということがあるわけでして、砂浜や海の中の砂地というのが、藻場・干潟と隔絶して環境にとって意味がないものであるとも思えない。定量的にはなかなか難しいと。定量的には難しいけれども、どうも大変大事な場所であるような気がするわけですね。そういう御指摘があったのに対して、例示としては「特に関心を持たれている藻場・干潟を挙げることが適当であり」というのは、ちょっとその答え方としてよくないんじゃないかと。5ページですね、特に。「等」がついていますから「等」の中に含まれていますと言うのはいいけれども、「例示するのは適当でない」というのは適当ではないと私は思うんですが、いや、定量的にいっても、うーんと隔絶しているので、一緒にしてやれないぐらいつまらんものであるというふうに部会長がおっしゃれば、私はそれに従うと、こういうことであります。

浅野室長:よろしいですか、ちょっと事務局の方で。
 このような形で資料2の方はまとめさせていただきましたけれども、確かにこのパブリックコメントで「砂質浅堆」ということでご意見をいただきまして、これは事務局としても貴重な御意見と思われましたので、多少、これまでの経過ですとか、この「砂質浅堆」という言葉についても調べた上でこのようにまとめたところでございまして、もう少し詳しく御説明を申し上げたいと思います。
 まず、これまでの経過をちょっと私どもの方でも調べてみましたところ、昨年1月の答申の「施策のあり方」の方の審議の際にも、かなり一般の方々から意見聴取等を行いまして、藻場・干潟の保全につきましては大変多くの意見をいただいたところでございます。このような「砂質浅堆」等に関する意見につきましても、これは海砂採取に関してのところでしたが、瀬戸内海の海底の砂地は、重要な漁業資源であるイカナゴやその他の魚種にとっての生活の場であるため、海砂利採取は全面禁止すべきと。採取が行われる小規模なバンク(浅瀬)とありましたが、その生物学的、水産学的な意義は大きいことから、評価を正当に行うべきと。また、浅場を守るため海砂利採取は禁止すべきと。このような浅場ですとか「浅瀬」、「砂質浅堆」というような用語自体は今回初めて登場したところでありますけれども、そのような御意見もいただいて、以前の企画部会でも御紹介させていただいているところでありますので、一応、それらの意見も踏まえた上で前回の答申がまとめられたものではないかというふうに考えております。
 また、今回の審議の中でそういったところについてはどうかということで調べてみましたところ、この埋立てに関してではありますが、本日御欠席ですけれども、合田委員の方から藻場・干潟以外の浅海域の保全も重要ではないかといったような御発言がありまして、埋立てにつきましては、浅海域の藻場・干潟等の重要性を考慮するということで、その藻場・干潟を代表例として、「浅海域」というような形を入れて記述したところでございます。
 その浅海域について、今回どのように変更案で対応をしたかというところですが、現行の計画では「水産資源保護上必要な藻場及び干潟」と。それから、「鳥類の渡来地として重要な干潟」というものの保全のみが記述されておったところですが、今回の部会報告案の取りまとめに当たりましては、その保全の対象を拡大いたしまして「浅海域」というキーワードで、その浅海域は重要な役割を果たしており、それらが減少傾向にあるということですとか、重要な藻場・干潟以外の浅海域についても、「藻場・干潟等」という記述ではございますけれども、「適正な保全や回復のための措置」というのを追加しておりますので、この御意見にありましたような「砂質浅堆」というような箇所でございますとか「自然海浜」、こういったところの保全及び回復についても、それらの記述に含まれているのではないかというふうに考えているところでございます。
 なお、この海砂利の採取という中では、先ほど申し上げましたとおり、浅場ですとかそういった用語が記述されてはおりませんけれども、具体的な採取に当たっての環境影響の配慮ということで、その保全に配慮するということで記述しておるところでございます。
 また一方では、この砂質浅堆がイカナゴの産卵場所であるということは私どもも承知しておりますが、魚類の産卵場所として重要な海域を保全する制度として、どのような場所があるかというのも調べてみたところ、これは緑の資料集の14ページをちょっとごらんになっていただきたいと思いますが、そういった制度といたしましては、水産資源法に基づきます保護水面の指定というような制度がございまして、例えば、その産卵場所、また稚魚の生息場所、そういったものを指定いたしまして、保全を図るというような制度がございますけれども、14ページの下の方に保護水面の設定状況というのがございまして、ここにありますとおり、瀬戸内海でも27カ所が指定されております。そのうち24カ所は藻場ということで、そのほとんどが藻場ということになっております。また、残りの3カ所についても貝類の生息地ということで、これが多分その一部砂質の海底という意味ではないかと思いますけれども、そういう意味で、瀬戸内海におきましては、保護水面についてはほとんどが藻場が指定されているというふうな状況がございます。そういったことから考えまして、このいただいた御意見につきましては、「藻場・干潟等」の「等」として海砂利採取に関する記述のところにその意図は含まれておりますとともに、あわせて浅海域の例示といたしましては、藻場・干潟が適当と考えられまして、「藻場・干潟等」の「等」という中でも十分読めるのではないかということで、原案どおりが適当ではないかということで判断したところでございますので、ちょっと長くなりましたけれども御理解いただければということでございます。

中西部会長:どうぞ。

谷野委員:ちょっと理解できないんですね。2点、理解できない。
 第1点は、過去の指定がそうだとか、過去にどういう話があったかということは一つの整理にはなりますけれども、それで物事を決めるようなものじゃないんですね。我々はこれから新しいことをやろうとしている。その際に、現在の法律の指定の箇所数が何カ所だとか、そう言うのなら何も新しいことを考える必要はないんですね。そういう答えの仕方はおかしいと私は思います。
 今の話でも、イカナゴの産卵地がどうかというのは詳しくはまたやらなきゃいけないんですけれども、イカナゴの産卵地は議論にならなかったから指定をしなかっただけなんですね。恐らくその砂利をとらないから、指定をしなくても何とかなっていたから指定をしなかったと。つまり、指定をするというのは、何らかのリスクが生じたときに発生するわけですね。リスクが生じたことが目の前にあるのに、過去の事実をもって説明しようとするのは、それはおかしい。これが第1点。
 第2点は、「等」で読めるというのもそれは一つの解決だと思うんですが、それならこの理由はおかしい。「等」で読めますと言えばいい。それを「等」で読めますと言わないで、おまえはおかしいというような説明をつくってホームページで流すのはやめてもらいたい。これは審議会の立場としてもそうじゃないかと私は思うんですね。会長がどう思われるか知りませんが、少なくとも説明は悪いと思います。

中西部会長:ありがとうございます。
 私が何か言わなきゃならないのかもしれませんが。そういうふうに、今御指摘をいただいたことを踏まえて、少しこの資料2についての言われる見解について、ちょっと検討をさせていただきたいと思います。
 ほかにございませんか。

渡邊委員:パブリックコメント以外のところでもよろしいですか。

中西部会長:その他になりますね。時間がございますので、どうぞ。

渡邊委員:そうですか、すみません。前回、前々回、7回、8回ですか、ちょっと都合が
 悪くて出席できなかったので、7回の議事録は読ませていただいたんですが、この別添の下から4行目ぐらいのところにある環境影響評価の問題ですけれども、「個々の事業による環境影響が累積することを考慮することが重要である」と。この辺はたしか7回の議事録では随分議論されていたように思うんですが、まだ8回の議事録は見ていないので、その辺が基本計画になぜ盛り込まれなくて別添になったのかということを、これは会長さんにお聞きしたいんですが、どういう議論の末にそうなったのかということを一つお聞きしたい。

中西部会長:そうですね。どこでしたか。

渡邊委員:別添の。資料1の基本計画の前段の別添がありますよね。ここのところで、埋
 立てに関して、小さな埋立てであっても、累積として見なければいけないという議論が7回のときに随分されていたように思うんですが、それが基本計画の中にはそういう文言は全然ないですよね。基本計画そのものの中には。それは何か議論があった末にそうなったのでしょうかということですけれども。

中西部会長:ここではそういう議論があって、原案で出したときには、従来からの埋立ての基本方針があって、それに基づいてこれからやっていくということで。基本的な考え方ですね。そこでそういうことが議論されるというふうな解釈を私はしておったんですけれどもね。

渡邊委員:必ずしも中へ盛り込むということではなくて。

中西部会長:だから、その次の段階でそういう議論が出てくるというですね。

渡邊委員:方針の中でですか。

中西部会長:ちょっと事務局の方から。

長尾企画課長:お答え申し上げます。
 前回御報告したところでございますけれども、この別添の部分と、それから別紙の基本計画の部分の関係でございますが、別添の部分は最初に経緯が書いてございますが、特に海砂利と埋立てに関しましては、審議会で非常にたくさん御意見、御審議が行われたということを踏まえまして、特に審議会の基本的な認識の部分につきまして記述をして、メッセージを残しておるものでございます。特に埋立てにつきましては、今お話がございましたように、埋立ての基本方針というものがございまして、これが非常に重要な役割を占めるという、そういう位置付けが法律上も与えられているものでございます。これは前々から御説明申し上げておりますように、この基本計画の審議、答申を終了した後またご審議をいただくことになるだろうというふうに考えておりまして、そういう意味でもきちんとメッセージを残した方がよいのではないかということで、ここに書かせていただいたということでございます。

渡邊委員:そうですか。その辺の経緯はわかりました。
 ついでにちょっと申し上げておくと、これに関して、環境影響が累積する、小さい埋立てであっても、それの累積的な影響というのを考えなければいけないということも重要なことなんですけれども、それと同時に、小さい埋立てでも、例えば、環境アセスメント法の二種事業でいって40ヘクタールですか、それ以下の小さい埋立てであっても、場所によっては非常に大きな影響を与えるということもあると思うんですよね。だから、必ずしも累積を考えなくても、小さい埋立てでもいかん場合があるし、しっかり影響評価をやらなくてはいけない場合もあるわけで、今からこれを変えるということはできないんですかね。累積、プラスそういうこともあるぞと。小さい埋立てであっても、場合によっては非常に重要な影響を与えることもあるのでそういうことを考慮する必要があるというような文言を……。「累積」を入れたら、一緒に入れておいてもしかるべきじゃないかなと。

中西部会長:小さなものでも、ですね。

渡邊委員:はい。

中西部会長:それは今までの議論の中に、小さなものでも非常に重要だということは言っておりますので、特に改めてここには書いていませんが、今の議論の中に相当浸透しているというのか、認識をいただいているというふうに解釈しておったんですけれどもね。

渡邊委員:そうですか。文言としてはどこにも出ていないんですよね。

中西部会長:その点をちょっと検討させていただきます。

長尾企画課長:別添のほうに。

中西部会長:ありましたね。別添の方は、これは累積ということで書いてあるんですね。
 個々のものが特に大きいということはここで改めては表現しておりませんが、先ほどの「等」じゃないけれども、そういう意味も入っておるというような解釈で……。

渡邊委員:いや、私が言っているのは、小規模のやつでも累積としての影響が問題なんじゃなくて、1個の場合であっても問題な場合があり得るということです。

中西部会長:それはありますね。

谷野委員:ちょっとよろしいですか。

中西部会長:どうぞ。

谷野委員:ちょっと今のお話の内容を私が十分理解できていないのかもしれないんですけれども、私の理解を申し上げますと、そもそもこの埋立ての問題というのは、この前にも1回発言をしたんですけれども、法律の埋立ての基本方針と、それから今回の基本計画というものの関係が、必ずしも十分よく整理されていないという問題があるわけです。したがって、その部分については、この間も申し上げたんですけれども、この審議会において何らかの形で審議会としての見解を最後の答申段階のときに明らかにしておくことが必要であろうと。つまり、「埋立ての基本方針に沿って」と書いてあるのは、これはそもそも今の基本方針なのか、それを直す気があるのかどうかということが当然出てくるわけです。ですから、それは全体としての流れからすれば、この基本方針の改定も検討するという方向だというふうに私は理解しておりますから、そのことを明らかにしないと、いろいろな意味での疑問が出てくるのではないかということを申し上げたので、それについては何か御検討をいただいているんじゃないかと思っております。
 それから第2点は、今のお話は、いろいろ埋立ての基本方針のときに検討すべき事項と、それから基本計画のときに検討すべき事項と、そこは仕分けが非常に難しいと思うんですね。ですから、そこを今回のものにどう書くかということについては、大変重要なところでありながら短く書いてある部分でありますから、いろいろ御意見が出てくるのは当然だと思うんですが。現在の7ページの「5埋立てに当たっての環境保全に対する配慮」の一番下のところが、最後の2行ちょっとですけれども、こういうことが今渡邊委員がおっしゃっていることなのかどうかというのはわかりませんけれども、もし狭くても大変大事なところがあるではないかということがこういうことと関連があるのであれば、それに触れられているし、それを踏まえて基本計画の方で議論をするという整理になるんじゃないかというのが私の理解でございますが、いかがでございましょうか。

中西部会長:ありがとうございます。
 確かにこれは基本計画と基本方針と、二つがあって初めて成り立つものでございますので、今のところ、基本計画という形で進めさせていただいておりますが、あと基本方針について、これは検討しなきゃならないということは重々私も感じておりますので、この総会の最後か何かにそういうことを要望したいとは考えております。
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

(なし)

中西部会長:では、いろいろ意見をいただきまして、基本的にはこの案で御了承いただいたかと思いますが、二、三検討しなきゃならないところがございます。一つはパブリックコメントに対する回答ですね。これは資料2でございますが、ここで先ほどちょっと「砂質浅堆」を「等」で置きかえるか、あるいはその説明がここに書いてあるとおりであるか、その辺はちょっと検討しなきゃならないので、そういうところを少し見直しさせていただきたいと思います。この点につきましては、また事務局と私の方で相談いたしまして、しかるべき形にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか、そういう形で。
 それから、本文については一応ご了解いただいたということで、少し文言についても検討をしてはどうかと須藤委員からもお話がございましたが、これについて、御本人が最後に席をお立ちになるときに、原文で結構ですよと、そういうコメントを残していただきましたので、一応、御了承をいただいたという形にさせていただきたいと思います。
 それを踏まえまして、これを計画部会の報告としまして総会に報告させていただくということでよろしゅうございましょうか。それで、資料2については少し、皆さんにインターネットでご返答するものですから、ちょっと文言について検討をさせていただくところがあるということです。
 そういう形でよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

中西部会長:ありがとうございます。
 それでは、資料1の部会報告案につきましては、このとおり御承認いただいたということにさせていただきます。
 これで本日の審議が終わりましたが、最後にその他という予定をしておりますので、これは事務局から何かございますか。

浅野室長:それでは、長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。
 今後の予定につきましてでございますが、本日取りまとめていただきました計画部会報告につきましては、12月7日に総会の開催を予定しておりますが、こちらの方に部会から報告していただきまして、総会において最終的な答申として取りまとめていただきたいと、このように考えておりますので、また12月7日につきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 まだ具体的な時間等をご案内しておりませんでしたが、現在のところは午後の遅い方の時間ということで、午後3時半ぐらいから総会を開始したいということで今検討をしております。正式に決定次第、また御連絡差し上げたいと思います
 ので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、今後の基本計画の閣議決定等の予定でございますけれども、この審議会の審議とあわせまして関係府県知事への意見照会の手続がございますので、こういったものも併せて進めまして、年内の閣議決定を目指して、今後、作業を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御了解のほどをお願いしたいと思います。
 以上でございます。

中西部会長:どうもありがとうございます。
 では、一応、これでこの本部会を終了したいと思います。
 9回の部会を重ねましたが、本日でもって部会報告をまとめさせていただくことができました。皆様のご協力について深く感謝しております。どうもありがとうございました。
 では、本日、長時間にわたりご協力をいただいたことを、また重ねて御礼申し上げます。
 では、これで終わります。

浅野室長:どうもありがとうございました。