瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第7回)会議録


1.日 時  平成12年8月9日(水)13:00〜15:01

2.場 所  霞山会館さくらの間(9階)

3.出席者

(1)委 員
   安 部   彪       大 西   淳
   川 野 田實夫     合 田 良 實
   白 木 江都子     須 藤 隆 一
   谷 野   陽      中 西   弘
   西 村 美代子     藤 原 知 明
   松 井 大 悟     村 岡 浩 爾
   森   仁 美      梁 瀬 度 子

(2)環境庁
   遠藤水質保全局長
   長尾企画課長
   浅野瀬戸内海環境保全室長
   齊藤総量規制室長

4.議 事

(1)瀬戸内海環境保全基本計画の変更についての審議
(2)その他

5.配付資料

 瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第7回)議事次第
 瀬戸内海環境保全審議会計画部会委員名簿
資料1埋立ての抑制
参考資料1瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について
−瀬戸内海環境保全審議会答申−
参考資料2関係法令等
 

議  事

事務局:それでは定刻になりましたので、ただいまから瀬戸内海環境保全審議会の第7回目の計画部会を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様には大変お忙しい中、また、お暑い中お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 本日は、部会委員16名中、ただいまのところ13名の先生のご出席をいただいておりまして、議事の運営規則によりまして、当会が成立していることをまずご報告申し上げます。
 須藤委員の方からは、多少おくれますが出席するということでご連絡をいただいているところでございます。
 また、本日の部会につきましては、従来どおり公開で行われておりまして、一般の方々、また、マスコミの方々にも傍聴をいただいているところでございます。
 それでは、議事に入ります前に本日配付の資料の確認でございますけれども、本日は資料1ということで、1部のみでございますので、配付されているかと思いますので、ごらんいただきたいと思います。また、従来同様に、赤い表紙の冊子と参考資料1、2ということをつけておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、早速でございますけれども、議事の方に移らせていただきたいと思います。議事の運営規則によりまして、中西部会長に議事の進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

部会長:それでは、議事に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日の議事次第にありますように、基本計画の変更についてでございますが、本日は埋立て部分の審議を行いたいと思います。
 では最初に、埋立て関係のこれまでの審議などにつきまして、まとめた資料1についての説明を事務局からお願いいたします。

事務局:それでは、資料1につきましてご説明申し上げたいと思います。座って失礼させていただきます。
 まず、本日埋立て関係につきましてご審議いただきますので、これまでの部会等でお出しした資料の再度の復習といいますか、重ねた説明になりますけれども、事務局の方でご議論いただく前段階といたしまして、資料を用意いたしましたのでご説明いたしたいと思います。
 まず1ページでございますが、ここではこの瀬戸内法上、基本計画と、また、埋立て関係につきまして、埋立ての基本方針というものがございますので、それにつきまして参考条文を掲げているところでございます。
 まず、この特別措置法でございますけれども、第3条に、政府は瀬戸内海の環境保全上有効な施策の実施を推進するため、瀬戸内海環境保全に関する基本となるべき計画、これが基本計画でございますけれども、これを策定しなければならない。このように定められておりますが、一方、埋立てに関係いたしましては、第13条に埋立て等についての特別な配慮ということがございまして、公有水面埋立法の免許の際、これは関係府県知事が免許されるわけですけれども、この際にはこの第3条第1項にあります瀬戸内海の特殊性につき、十分配慮しなければならない、こういう規定が基本計画とは別途あるということでございます。このような瀬戸内法上の枠組みになっていると、そういうことでございます。
 それから、2ページをお願いしたいと思いますが、2ページにつきましては、現在の基本計画での埋立て関係部分での記述でございます。現在の基本計画は昭和53年の5月に策定されたものでございますけれども、その際の記述といたしましては、目標達成のための基本的な施策のうち、5番目といたしまして、埋立てに当たっての環境保全に対する配慮という項目で、瀬戸内海における埋立てについては、ただいま申し上げましたこの第13条第1項に基づきます基本方針に沿って、引き続き環境保全に配慮するものとすると、このような記述になっているところでございます。この基本方針の方は、同じ瀬戸内法にあるわけでございますけれども、基本計画に先立ちまして、昭和49年に基本方針が審議会の方から答申されているということもございまして、53年のこの基本計画では、それに引用するような形になっているということでございます。
 続きまして3ページでございますが、これがただいま申し上げました第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針ということでございまして、49年に審議会から答申を受けているものでございます。答申のかがみとして前文がございますが、別紙ということで、この基本方針というのが定められておりまして、その前段に瀬戸内海の特殊性等が書いてあります。その最後に、瀬戸内海の環境の一層の悪化を防止するため、公有水面埋立法の免許、または承認に当たっては左記事項、ここは縦書きでございますので左記となっておりますけれども、十分配慮することということで、記ということで大きく1、2、3、4とございますけれども、例えば1でございましたら、次の各項目、具体的には水質等への影響の度合いが軽微であること。こういったものに十分配慮されたものであることを確認すること。こういったことに十分配慮しなさいということが、この基本方針で定められておるというところでございます。3ページ、4ページがこの基本方針でございます。ごらんになっていただきたいと思います。
 それから、5ページをお願いしたいと思います。これが4番目といたしまして、昨年の1月に当審議会から答申を受けました「瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について」のうち、埋立て関係部分を抜粋したものでございます。
 まず、第1課題と新たな流れということで、これはこれまでの施策または環境等についてレビューを行ったところの章でございますけれども、そのうちの3、瀬戸内海の環境の変遷と課題というところに埋立てという項目がございまして、現在の状況等につきまして、記述をしているところでございます。
 まず、前段では瀬戸内法の施行以降、埋立て免許の伸びは大きく減少し、抑制の効果は現れている。2パラ目でございますが、しかし、瀬戸法施行以降についても、埋立て面積が年平均400haを上回っている状況を説明しております。また、住民の立ち入ることのできない水際線がふえている、このようなことを記述しております。また一方で、近年の緩傾斜護岸、人工ラグーン等の環境対策の導入の例も見られているが、その効果については必ずしも十分に解明されていない状況にある。このようなことを述べております。
 続いて、第3でございますが、今後の環境施策の展開と、その中の保全型施策の充実という中に、(4)といたしまして、埋立ての抑制という項目がございまして、ここで具体的なこの施策につきまして記述をいたしております。これは何度も説明等もしておりますのでご承知かと思いますので、簡単に触れさせていただきますけれども、まず前段では、埋立てにつきましては、環境変化の原因になると、その認識を述べておりまして、瀬戸内法施行以降においても、累積する埋立て等により環境は劣化する方向であることから、埋立てを規制するための方策を幅広く検討することが必要であると述べております。次に物流基盤等の整備等が依然根強いから、これらの抑制を行うためには、6ページにまいりまして、土砂の搬出抑制、有効利用等の方策、また、廃棄物の処分を目的とした埋立ての要求も強いことから、廃棄物の発生抑制等も必要であると述べております。また、一方、やむを得ず埋立てを行う場合の留意事項ということで、早い段階からの環境への影響の回避、低減、また、適切な代償措置の検討、それから、特に浅海域が重要な場であることを考慮しなければならない。このような形で、昨年1月の答申についてはまとめられたところでございます。
 続きまして、7ページにまいりまして、前々回でございますが、第5回での主な意見ということで、その際にご議論いただいた点について、簡単に事務局の方で取りまとめたものでございます。ここに書いてあるとおりでございますけれども、まず、環境整備という名の埋立てが多いことから、それらについての整理することが必要。また、いろいろな意見がございましたけれども、全面禁止の方向に進むべきの意見がございました。また、港湾はリニューアルで対応したらどうか。また、未利用地がある実態の一方で、どうしても必要な埋立てもあるので、その場合にはアセス法が制定されたことにより、その是非を問うことになっているのではないかという意見がございました。また、下水処理場等の都市施設については、これは地域に必要なものであって、埋立てをせざるを得ないものもあることに留意が必要ではないかという意見もございました。また、廃棄物については、徹底的な減量化を行い、処分場による埋立ては極力抑制することが必要ではないか。埋立てを抑制していくためには、地域の生活者もある程度我慢しなければならないというトーンを入れるべきではないかなどもございました。また、埋立ての基本方針、これを実効のあるものとするという観点が必要ではないかというのもございました。また、浅海域の配慮を行う指針を示すために、この浅海域の重要度を評価する尺度の研究が具体的には必要なのではないかというご提言もございました。これ以外でございますけれども、瀬戸内海の埋立てについては、東京湾・伊勢湾等他の閉鎖性海域もございますので、それらのバランスにも留意することも必要なのではないかという意見もございました。
 続きまして、8ページでございます。これはただいま第5回でいただきました意見の一番上でございますけれども、各省庁の事業の中で、環境関連事業、環境保全に関する事業というのが近年積極的に取り組まれるようになってきているが、具体的にそういった事業はどんなものがあるのかというご質問をいただいておりましたので、事務局の方で取りまとめさせていただいたところでございます。埋立てを実際に行われている水産庁、運輸省等でそれぞれ行われております環境関連の事業というような形で、関係省庁からお聞き等いたしまして、こちらでまとめたものでございます。具体的には、水産庁の方は、漁港の環境整備事業、また、漁業集落環境整備事業というような中で環境関連の事業がございます。また、運輸省の方では、港湾・海洋環境整備事業という事業名の中で、このように掲げますとおり、[1]から[5]に挙げるようなさまざまな環境に関連いたします事業を実施されているということでございます。また、この海岸関係の農水省、水産庁等でございますが、一番下でございますが、海岸環境整備事業というような形で、各省庁それぞれの担当の海岸におきまして、事業が既に実施されているという状況でございます。
 続きまして、9ページにまいります。これも第2回、3回等の部会で行われました関係機関からの意見聴取、また、事務局からお出ししました資料等についての再掲でございますけれども、簡単に事務局の方で取りまとめまして、議論の前段ということでお示ししているところでございます。
 まず、7ページ1点目でございますけれども、埋立てを行おうとする場合には、公有水面埋立法の規定で、知事の免許等を受ける必要があるということで、具体的な公有水面埋立法に基づく審査等の手順につきましてご説明したところでございまして、知事は埋立て免許の基準というのがございまして、それに基づいて判断を行うというようなシステムになっているところでございます。その際には、先ほどもご説明申し上げましたとおり、瀬戸内法の第13条の規定によりまして、埋立ての基本方針に十分配慮して判断を行うということになっているところでございます。また、環境庁の関与といたしましては、公有水面埋立法に基づきまして、一定規模を超える場合に、環境保全上の意見照会があると。また、アセスメント等の規定が近年整備されまして、アセスメント等の実施が実際に現在は行われているということでございます。
 次に、実際の埋立てでございますけれども、年平均いたしますと400haを超える埋立てが現在でも行われているという状況でございまして、基本方針の中に、特定海域ということで、他の海域よりも、言うならば一段厳しい取り扱いをするという海域がございますけれども、そこでの埋立てにつきましても全体から見て、面積で半分程度の埋立てが行われていると。特に大規模な埋立てについては、大阪湾が多いという状況もご説明いたしました。
 また、この具体的な埋立ての土地利用別の面積を見た資料もお示ししておりますけれども、かつては港湾と商工業用地の埋立てが多かったところでございますが、近年はこの商工業用地の埋立てについては減少しているという傾向がございます。また、その他の土地の利用といたしましては、公園・緑地、漁港、道路・空港等が現在では多くなっているということでございます。
 次に埋立ての用材関係でございますけれども、現在は浚渫土砂・陸上残土・購入土砂、これがほぼ同じ割合でございまして、廃棄物は全体の1割程度の用材の使用ということになっております。近年は購入土砂の割合が減っているという状況でございます。
 また、埋立ての基本方針の、先ほども出ましたけれども、特定海域というのがございまして、この中で埋立てを認める場合には、公害防止・環境保全に資するものという条項がございまして、その例としてこれまでどんなものがあるかというようなことでご説明いたしましたけれども、具体的には、下水道終末処理場の建設、廃棄物・有機底泥等の受入、こういったものが例として認められているということでございます。
 また一方、この瀬戸内海の環境でございますが、53年からの13年間に、藻場・干潟等が減少し、そのうちのかなりの部分が埋立て等の人工改変が消失の原因であるという状況もご説明いたしました。
 また、この瀬戸法の施行当時は、工場排水が水質保全上の大きな問題でありましたが、現在では処理技術の向上等によりまして、問題となる例は少ないという状況も説明いたしました。
 続きまして、各省庁及び県から部会の方に来ていただきまして、意見聴取を行った内容も簡単にまとめております。
 まず、厚生省でございますけれども、廃棄物を所管する観点での厚生省のご意見を伺いましたが、まず廃棄物につきましては、減量等に努めてはいるものの、これをゼロにすることは困難でありまして、処分場の確保はどうしても必要なものだというお話がございました。
 10ページにまいります。また、この廃棄物最終処分場の残余年数は、現在新規の立地が難しいこともあって非常に厳しい状況であると。近畿圏の場合にも、全国平均を下回る程度であるということでございます。
 また、廃棄物の減量化目標につきましては、22年までに平成8年の半分に削減という目標を立てているというご説明がございました。
 また、大阪湾を埋立てて、廃棄物処分場とするフェニックス計画というのがございますが、こちらの処分場整備に当たりましても、最終処分量を少なくする等環境に対策等を講じていると、そんなようなお話がございました。
 続きまして、運輸省でございますが、運輸省につきましては、港湾関係につきましてご説明がございまして、港湾につきましては、重要な社会基盤であるというお話と、港湾整備による物流コストの削減が重要な課題であると、こういうお話がございました。
 また、特に瀬戸内海におきましては、非常に多くの離島を抱えているということで、港湾は生活物資の輸送や、日常生活の足を支える、これも上の段と同じようでございますけれども、社会基盤であるというご説明でございます。
 また、実際のこの埋立て、港湾施設の整備に当たりましては、港湾計画策定時の環境アセスの実施、埋立て免許時におきます環境保全図書の添付などによりまして、環境への配慮を行っていると。また、緩傾斜護岸等この海域環境の保全に十分配慮を行っていると、このようなご説明がございました。
 また、実際の施策といたしまして、エコポート政策と、こういう政策がございまして、例えば環境に配慮した港湾施設整備、野鳥園の整備、こういったものに取り組まれているということでございます。
 また、港湾法の改正が行われたところでございまして、法律の目的に環境保全に配慮することを明記する等、環境保全の姿勢を改めて明確にされているというようなご説明があったところでございます。
 続きまして水産庁でございますが、水産庁で行われております漁港・漁村の整備、こういったものにつきましては、我が国の瀬戸内の漁港・漁村等につきましては、非常に平地が少ない条件のために、これらの漁業生産ですとか、生活改善のためには土地の確保のためにどうしても埋立てが必要になっているというご説明がございました。
 11ページにまいりまして、その際にも、一方で水産業にとりまして沿岸域の環境保全というのは、非常に重要な問題でありまして、漁港整備に当たっても、埋立て面積を最小限に留める等環境保全に配慮しており、埋立ての箇所数は漁港の場合には多いということですが、大部分は小規模な埋立てであるということでございます。
 また、漁港整備長期計画というのがございますが、この中にも、整備方針の中に環境保全に配慮することを盛り込む等、可能な限り環境保全対策に努めておると、このようなご説明がございました。
 また、各関係府県を代表いたしまして、広島県の港湾部局の方からご説明をいただいておりますが、広島県の意見発表といたしましては、この港湾の整備につきましては、県の基幹産業の支えであります輸出関連産業を支える重要な基幹施設であり、また、離島を多く抱える中、生活物資の輸送や日常生活の足の確保のためにも、今後とも環境への配慮を的確に実施しつつ、港湾整備の促進を図ることが必要であると、このような県のお考えをご説明いただきました。また、近年廃棄物の海面処分場の整備も求められておる、このような状況にあるというふうな説明をいただいたところでございます。
 以上が資料1の内容でございまして、これまでの復習といいましょうか、資料等につきましてまとめたものをご説明させていただきました。

部会長:ありがとうございました。ただいまの資料1の説明をいただきましたが、これについて何かご質問があればお願いします。
 今までの経緯並びに法的な根拠ですね、もう一度整理してまとめていただいておるものでございます。

A委員:今、部会長から法的根拠というお話がございましたし、先ほど公有水面埋立法のお話が説明にも出ておりましたので、そのことについて一つだけお尋ねをしたいと思います。
 数日前の朝日新聞朝刊トップに「国の埋立て事業、環境庁点検機会失う」という大変大きな見出しの記事が出ておりました。新聞の記事でありますから、法律論あるいはその他の情報について、どこまで網羅的に書かれているのかということはよくわかりませんが、それによりますと、環境庁は国の事業であればなおさらチェックが必要なはずというような企画調整局のご発言が引用をされております。このことについては、埋立ての議論をする際に大変重要な問題だと思いますので、環境庁の方からこの際ご説明をいただきたいと思います。

事務局:ご説明いたしますけれども、まず、8月1日付だったと思いますが、朝日新聞の方に国の埋立て事業について、環境庁が点検する機会を失ったというような報道があったことでございますが、まず事実関係でございますけれども、先ほどもご説明いたしましたとおりに、公有水面埋立法によりまして、一般の方々が、国以外の方々が埋立てを行う場合には、知事さんが免許を与えるという制度になっておりますが、一方で国が埋立てを行う場合には、免許ということではなくて、知事さんが国に対して承認を与えると。免許と承認ということで、国とそれ以外に分かれておりますが、この際に、免許の場合には、大規模なものにつきましては、建設大臣または運輸大臣の認可が必要となることが、この公有水面埋立法に規定されているわけでございますが、一方、国の場合の承認に当たっては、これまではやはり知事がその承認に当たっては、国への認可が必要とされておったわけでございますが、今回、この4月から施行されました地方分権ということで地方自治法の改正等が行われましたけれども、この中でこの法律に基づかないこういった手続につきましては、これを改めて、基本的には法律に基づくものについてのみ行うことと整理されました。特にこの国の事業に関する承認についての知事から国への認可につきましては、以前に出されておりました通達で実施されていたと、このような状況でございましたので、これが結果として、通達によりますこういった知事さんの行為につきましては、今後これを行わず知事の判断にゆだねられることになったということで、結果といたしまして、環境庁の意見照会も行われない状況になったということでございます。ちょっとすみません、わかりにくい点があるかと思いますけれども。
 それで、お尋ねの、国としてのこれに対する環境庁の考え方ということでございますけれども、公有水面埋立につきましては、環境影響評価法の対象事業でありますので、具体的には知事が審査を行いまして、知事による公有水面埋立ての承認が行われることになるということでございますが、環境庁としても、この環境アセスメントの適正な運用が確保されているかどうかということで、例えば県からご相談等があれば、技術的なサポートを行うなど極力対応してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
 また一方、港湾計画、港湾の開発事業等につきまして、これは港湾法の規定がございますけれども、この際には港湾審議会の意見を聞くという条文がございまして、この中で環境庁は重要な港湾につきましては、環境保全上の観点から港湾計画の策定及び変更等につきまして、関与することができるということになっておりますので、こういったことを通じまして引き続きご意見を申し上げる機会はあるのではないかと、このように考えているところでございます。

A委員:これだけで長時間を費やしていいのかどうかということは気になりますけれども、環境庁の企画調整局がおっしゃっていることというふうに、この新聞記事に書いてあることと、今、おっしゃったこととは少し違うような気がします。環境庁の企画調整局は、大変ご不満のようなコメントが書いてある。だけど、今、あなたがおっしゃったのは、これで大丈夫ですというように聞こえる。どちらが正しいんですか、環境庁全体としては。

事務局:私からお答えします。今、申し上げたのが企画調整局の見解であり、環境庁の見解でございます。新聞ではなくて、今のご説明ということでございます。

B委員:知事が公有水面埋立法によって免許する場合の、その基準というのがありますけれども、これは各県ごとに違っているのか、それともある程度横並びができているのかということと、それから、瀬戸内法の特殊法で特殊性について十分配慮しなきゃならないという規定が、公有水面埋立法ですか、にありますけれども、この特殊性の基準といいますか、瀬戸内の特殊性を配慮した免許基準というのができているのか、その辺もちょっとご説明願いたいんですけれども。従来ですと、何か今言いましたように、国がある程度通達か何かで指導して、そして、基準ができたようですけれども、法律事項でない場合には、それぞれ自治体にお任せするということのようですけれども、そういう全般的な、要するに見方、考え方の基準があるのかどうかという点をちょっとご説明いただきたいんですが。

事務局:それでは、まず県の公有水面埋立法に基づく免許に際して、各県に基準が、横並びのような基準があるのかどうかというご質問だったかと思いますけれども、基準につきましては、各県がそれぞれ知事さんの判断によりまして、もともとの公有水面埋立法の中に基準というのがございまして、これは前にも説明申し上げたと思いますけれども、公有水面埋立法の中に免許基準というのがございまして、それに基づいて各県が判断されているというふうに考えております。
 また、瀬戸内海の特殊性につきましての免許基準があるのかどうかということでございますが、この特殊性に配慮するといいますのは、まさに瀬戸内法第13条の基本方針に基づくということでございまして、具体的には各それぞれの府県の知事の判断におきましては、瀬戸内法の基本方針に基づいて、各府県の方で具体的な判断をされているというふうに考えております。

部会長:よろしゅうございますか。はい、どうぞ。

A委員:それからもう1つこの関係で事実関係についてお尋ねをしたいんですけれども、賛成反対、納得か否かというような、そういう話の次元の話は別にいたしまして、事実関係として何らかの変更がこの制度といいましょうか、いわば地方分権というような制度の変更によってあったということは確かなようでありますが、今回の事実上の変更に該当する埋立て面積というのは、例えば過去10年間とか20年間で瀬戸内海地域ではどのくらいの比率になるのかという数字を教えていただきたいと思います。

事務局:少々お待ちください、申しわけございません。
 ただいまのご質問でございますけれども、特に瀬戸内海ではどうかという御質問でございますが、国が直接埋立てを行う事業というのは、数としては余り多くございませんで、通常は港湾整備等に当たりましても、知事さんが行うという例が多うございまして、そのほとんどはこの環境庁に協議が来るというものではないかと思いますが、これまでの10年ほどの大規模な事業というのを、ちょっと今、手元の資料を見ておりますけれども、その中で国が直接埋立て事業を執行したといいますのは、平成8年の岩国飛行場の移設事業というのが直接国が執行した事業でございまして、これが200ヘクタールほどでございますが、今、ざっと資料を当たったところでございますけれども、この10年以内で国が直接行ったのは1件だけではないかというふうに考えられます。
 以上でございます。

A委員:後ほど正確な数字を教えていただきたい。審議会に提出をしていただきたいと思います。その際にちょっと気をつけていただきたいのは、私もそうなっているかどうかというとわからないで申し上げているんですが、法律によってはいろいろな特殊法人あるいはそれに準ずる機関が行うときに、本件ではありませんけれども、みなし規定のようなものが入っていることがございますので、そういうことも精査をした上で数字を出していただきたいというふうに思います。部会長:では、よろしくお願いいたします。
 ほかにご質問ございませんでしょうか、資料1につきまして。はい、どうぞ。

B委員:環境整備事業で、環境の観点からの事業が水産庁、それから、運輸省、それから、建設省とか各省というのが挙げられているわけですけれども、これは環境整備事業でやっておられるのか、それとも例えば廃棄物の処理施設等なんかについては、その施設をつくること自体が環境整備というふうに見ているのか、その辺がどうかということと、それから、この環境整備事業をやる場合に、本来のそれぞれの港湾事業とか、それから、漁港事業とか、建設省の海岸事業とか、そういう事業を行う際に、この環境整備事業をやるのか、これだけがまた単独に判断されてやるのか、その辺はどうなんでしょうか。

事務局:まず1点目の廃棄物関係が環境整備事業に当たるかどうかということでございますけれども、これはここに掲げてございますように、これらの各省が廃棄物を受け入れるということが、場合によりましては例えば運輸省の中の[3]に廃棄物処理施設等という形で位置づけられておりますように、一部は環境整備事業の中でもそういったものが位置づけられているということが考えられるところでございます。
 また、2点目のこれだけが単独かどうかということでございますけれども、これは各種事業がございますけれども、事業の中によりましては、こういった事業が単独で実施されることはもちろんあるというふうに考えております。

B委員:環境事業と、それから、廃棄物処理事業という本来事業との区分というのがなかなか難しいところがあると思いますけれども、これは環境の保存ということのためにやる以外に、今度出てきているような環境回復ですね、回復をするための事業というようなものも位置づけられていると見てよろしいんですか。もう事業が終わって、終わった後に、やはりその環境整備事業として回復のためにやらなきゃいかんという事業もあるのかどうかという点なんですけれども。

事務局:ちょっと詳細までは私も承知はしておりませんけれども、例えば運輸省さんの[2]の海域環境創造事業ということで、海域空間の創造を図るため、ヘドロの浚渫ですとか、汚泥上の覆砂等による水質・底質の改善、海浜の整備、こういう意味で海域の環境の創造と、こういった事業も実施されているというふうに考えております。

部会長:ほかにございませんでしょうか。
 では、次に移りたいと思いますが、それでは、この前の埋立てにかわる基本計画変更の答申に向けての検討状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

事務局:私の方からご説明申し上げます。
 配付申し上げました資料、この基本計画の答申に向けまして、どういうような取り扱いをやっていくかという点につきまして、2項目に分けて整理してございます。
 第1点目に、タイトルで埋立てに当たっての環境保全に対する配慮についてと書いている部分でございますが、これは答申に向けて考慮すべき内容の素材として提供申し上げました。それから、2のところ、これはこういった内容についてどういう取り扱いをすべきかという問いかけとして記述したものでございます。
 まず第1点につきましてでございますけれども、ポツが幾つかついておりますが、まず最初に基本認識ということで、瀬戸内海においては累積する埋立てなどによって、藻場・干潟の減少が見られるなど自然環境は悪化する方向にあることから、これに歯止めをかけることが必要であることについてと書いてございますけれども、こういうような基本認識ということでいかがかという問いかけでございます。
 2番目に、それでは、埋立てにつきまして、どういうニーズがあるかという点が2番目のポツでございまして、一方、物流基盤、公共下水道、終末処理場などの整備に加え、陸上残土、浚渫土砂、廃棄物等の処分場確保を目的とした埋立ての要請が依然として根強い状況であることについてということで書いてございますけれども、こういったような部分で埋立てのニーズが現状でもあると。昔は先ほど申し上げましたように、商工業の分野で結構あったわけですけれども、現状ではこういうところになってきているということでございます。
 3番目のポツでございますけれども、最初に基本認識で申し上げたようなことで、やはり埋立てますと自然環境は悪化する。しかし、一方で埋立てのニーズはある。では、これからどういうふうにすべきかというのが3番目以下でございますが、未利用地や既存施設の有効活用に加え、陸上残土や浚渫土砂などの搬出抑制・有効利用、廃棄物の発生抑制・再生利用などを通じた循環型社会の形成推進による、できる限りの埋立ての回避についてと書いてございますが、まずはやはり埋立てしなくて済むのであれば、済ませるようにということを第一に立っておるわけでございます。
 その次のポツでございますが、とは申しましても、やはり先ほど申し上げたような事情で埋立てが必要とされる場合もございます。そういう場合にありましては、環境影響評価法、それから、府県の環境影響評価条例に基づく環境影響評価による環境への影響の回避・低減の検討、必要に応じた代償措置の検討、こういったことをやっていく必要があるのではないかという問いかけが4番目でございます。
 それから、重要なことで、そのプロセスにおきまして、地域住民の意見を適切に反映するよう努めていくということが必要ではないか、ということでございます。
 その次のポツでございます。場所として藻場・干潟、これはご議論いろいろございましたけれども、一般に生物生産性が高く、底生生物や魚介類の生息、海水浄化などにおいて重要な場であると、こういうことを考慮していかなければいけないということでございます。
 最後に埋立ての問題につきましては、浅野室長がご説明申し上げましたように、公有水面埋立法に基づく埋立ての免許などの手続がございますけれども、それに関しましては、瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する、同条第2項の基本方針というものがございまして、これに沿って環境保全に配慮していかなければならない、こういうことで、これは瀬戸内法の位置づけを当然考慮しなければいけないということでございます。
 こういったような内容が、とりあえず私どもで素材として整理してみました。この内容につきましては、もちろん埋立て関係の事務を行っている政府部内の関係官庁ともご相談しましたけれども、現時点においてはまとまったものとしてご提示できる状況にはございません。それから、2番目の記述する事項についてというところがございますけれども、今の内容面の状況、それから、もう1件は瀬戸内法の考え方といたしまして、埋立ての関係は瀬戸内海の環境保全基本計画と、それから、埋立ての基本方針と2つのツールが用意されてございます。現状につきましては、先ほど浅野室長が申し上げましたように、基本的には埋立てにつきましては、免許承認の際の配慮事項を定めた基本方針、これの中に詳細な記述をすると、こういう法律上の考え方を踏まえた位置づけがなされてきているということでございますけれども、今後これをどういうふうに今回の基本答申に当たって考えていくかという点の問いかけを2の2番目のポツで申し上げているという状況でございます。まだきちんと調整をできて提示できる、これも1つの形として目指すべきところでございましたけれども、途中段階ではございますが、私どもが整理した問題意識、これを整理してご議論、本日いただければということで、提示申し上げたものでございます。
 以上でございます。

部会長:どうもありがとうございます。
 今、答申に向けての検討の状況についての経緯をご説明いただきましたが、先ほどお話がありましたように、まだ関係機関との調整が最終段階にないというところでございます。それで、今、この検討結果の経緯をもう一度見ていただきまして、いろいろご意見をいただきたいと思いますが。

C委員:なかなか苦労されておるよううかがい知れるんですが、この埋立てに当たっての環境保全に対する配慮について相矛盾するようなこともありますが、それをまとめるわけですから、なかなか難しいということなんでしょうけれども、私個人の意見としては、やはり瀬戸内のこの法律が昔できて、そして今回その考え方をリニューアルといいますか、新たにしようというわけですから、やはり何かの前進がなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。これは理念的にそういうふうに思います。そういうことは申し上げたいと思うんです。バックすることがあってはいけないということなんですが、そういうことと同時に、もう1点これは申し上げたいんですが、廃棄物の処理のための埋立てというのは、これはこの文章で大体いいんじゃないかと思うんですが、一点気になるのはできる限りの埋立ての回避という言葉があります。回避というのはオールオアナッシングのような言葉なんですが、廃棄物が発生するのをゼロにするというのは、ほぼ不可能なわけです。非常に努力をすることによって、廃棄物を減らすということは可能であっても、ゼロにできないのであれば、埋立てを抑制するとかそういう言葉が適切かなと思います。回避という言葉が埋立てはダメと言い切っているような感じがちょっとしますので、いろいろご苦労されて書いておられることとは思いますけど。

部会長:どうもありがとうございます。
 廃棄物のゼロエミッションといいますが、なかなか現実には難しいというところかと思いますが。
 ほかにございませんでしょうか。何かございませんか。
 では、ちょっと議事の進行についてご提案いたしますが、今、ここに1番の中にポツがありまして、それから、2番の記述がございますので、それを1つずつ上から見ていきたいと思います。最初1番の埋立てに当たっての環境保全に対する配慮についてでございますが、この1ポツは、累積する埋立て等によって藻場・干潟の減少が見られるなど自然環境は悪化する方向にあると、こういう認識でございます。
 したがって、これに対する歯止めをかける必要があるという点の認識ですが、このあたりはいかがでございましょうか。

D委員:累積する埋立てに歯止めをかけるということの必要性があるということについては、私はそのとおりだと思いますが、この面積について、例え小さくても埋立て面積が累積いたしますと、これはまた自然なんかに直接結びついていくものであるかと思います。また、その埋立て面積が例え小さくても、その1つ1つの、そこに問題があると思うんですけれども、これは前にこの委員会でもそういうことを主張された委員がおられると思いますが、例え小さくても大事な埋立て、自然を失うというふうな埋立てがあるのではないかということ、それから、そういった面積が小さいからこそ、その地域の住民の目に非常に触れやすいということもあるわけで、これをこの文章で、小さい埋立ても累積していくと悪いんだということを踏まえた内容になっているのかどうか、その辺がちょっとわかりにくいんですね。私としては一定規模で従来はやっておりましたけれども、その一定規模の考え方によると思いますけれども、そういう小さな面積の埋立てというのはどういうふうに考えていったらいいのかということも議論したい対象だと思っております。

部会長:ありがとうございます。
 累積の評価がどうか、面積の積分値か、あるいはその重みというんですか、単位面積あたりの重みといいます、よくいう原単位の評価になるかと思いますが、そういう重みと面積とのいわゆる積の積分値だというようなご提案かと思いますが、それは確かにそういう考えでいくのが当然いいんじゃないかというふうに私も思いますが。
 はい、どうぞ。

E委員:私も今のD委員のご意見に賛成でありまして、小さいところの保全をどう配慮するかという具体的なお話としましては、2行目に「これに歯止めをかける」という文章があります。「これに」というのが何を言っているのか、いろいろな解釈ができるのではないかと思いまして、例えばここを「藻場・干潟の減少に歯止めをかける」というふうに言いますと、1ヘクタールでもそこはだめなんだという趣旨が出てくるのではないかということなので、私は「これに」という言葉のかわりに「藻場・干潟の減少に」というふうに書いてはいかがかというふうに提案させていただきます。

部会長:ありがとうございます。「これに」というものが何であるかということを明記すべきだというご意見でございました。
 ほかにございませんでしょうか。

F委員:この基本方針の改正は、要は25年以上たつと思うんですが、先ほどC委員がおっしゃられた、せっかく25年ぶりに改正する以上はリニューアル、前進がなければならない、全くそのそのとおりだと思うわけです。前回、埋立ての基本方針なんですが、厳に抑制するという言葉がきっちり出されたんですけれども、要はそれ以上の前進がなければならないという、そこが非常に難しいわけです。おっしゃられるように、歯止めをかけるということの意味するところは非常に重いと思うんですけれども、要は瀬戸内海全体で非常に埋立てがこれまで進んできたと。これは2のポツにもつながるんですけれども、要は25年前までは大規模な開発型の埋立てが行われてきたと。もうそれは今やこれ以上そんなに埋立てる必要はないのではないか、もう埋立てについては、これ以上埋立てを瀬戸内海で進める必要は、具体的に要請はなくなってきたという意識も出てきたというふうに思うわけです。この一方の2番との関連で言えば、埋立ての要請が依然として根強い状況にあるということは、つまりこれは例外的な埋立ての要請であろうということのようにとらえてもいいんではないか。大きな埋立てという概念から言えば。とすれば、1のポツで環境が悪化する方向にあることから、これに歯止めをかけることが必要であるということの文面を、つまり歯止めをかけて原則禁止にするというところまで書いてもいいような気がするわけです。

部会長:ありがとうございます。そういうご意見もございますが。
 ほかにございませんでしょうか。

B委員:53年からずっと藻場が4割、それから、干潟が7割ほど浚渫等で埋立てが進んできているわけですけれども、この干潟・藻場以外に例えば埋立てすることになると、例えば関西空港とか六甲アイランドの先を埋めるとか、そういうのは藻場・干潟以外だと思いますけれども、通常のところの埋立てとなると、やはり陸地の方から埋立てるわけですから、藻場・干潟というのがどうしてもかかってくるんじゃないでしょうか。これどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。

事務局:どういうふうに……。

E委員:これは私、この部会では何回もお話ししたかと思いますけれども、個人的にはどうしても埋立てをやむを得ずする場合には島につくってやってほしいと。岸から離してほしいと。しかも、ある程度水深5メートルとか10メートルとか深いところへ埋めてくれれば、廃棄物の貯蔵能力もたっぷりあるし、だから生半可易しいからといって浅いところでは困るということを、私はずっと以前から思っております。

事務局:この一番目のポツの「これに」というのは、まさにその前の文章全体を指すというような気持ちで書いたつもりでございます。「瀬戸内海においては累積する埋立て等によって」から始まって、「悪化する方向にある」までですね。したがって、これに歯止めをかける、こういうつもりでございました。

事務局:具体的に藻場・干潟というところでの対象ではなしに、悪化……。

事務局:もちろん藻場・干潟も特に重要な場所でございますから、特に力点を置いてございますが、だからといって藻場・干潟に限ったつもりで書いたつもりではございませんでした。

事務局:この累積する埋立ての影響評価というのは、実はできていないんですね。環境影響評価の場合が、ここについては軽微であるとか、少しであるとか、こういうのは何か、瀬戸内海全体で過去にどれだけ埋立てをしたのが、埋立てのない以前と比較して総括的な評価ができていないというのが現実だと思います。そういうことは当然必要ですが、今、ここで言ってもすぐそのデータが出てくるわけではないんですが、そういう視点から見なきゃならないと、そういうことをこれは定量的な評価がないが、当然累積による影響が大きいという認識は間違いないということかと思います。
 それから、これに「歯止めをかける」という、「歯止め」という言葉が、いろいろほかの言葉もあるかと思うんですが、このあたりいかがでございましょうか。この累積する「歯止め」とか「阻止」とか、阻止というとどちらになるのか。いろいろな、これはまた広辞苑か何か引いて、言葉の意味を調べながら考えなきゃいけないですが。ここでは「歯止め」という表現でさせていただいております。
 何かございませんでしょうか。
 そうしたら、ここに書いてある基本的な流れですね、累積した埋立てで環境は悪い方向にあるという認識はよろしゅうございましょうか。それから、それについて何かのいわゆる「歯止め」とか「阻止」とか、そういう受皿は必要であると。それで、「これ」というのは、先ほど具体的なものを指摘するというご発言もございましたが、悪化ということを全体を、受けているんだと、そういう認識でここは書いていただいたと、またここの細かい言葉については、もう少し最終段階でいろいろ検討をいただきたいと思いますが、流れとしてこの辺でよろしゅうございましょうか。

C委員:前の基本方針の中には、海域環境保全上の見地というのがあって、CODの汚濁負荷量の云々というのがありますけど、このポツの中には水質の汚染、CODとかそういうのはなくて、自然環境の悪化の方向を歯止めをかけるということだけ書いてありますね。むしろ私はこちらの方、自然環境の悪化の方向に歯止めをかけるという、この方が重要だと。実は、COD対策も重要かもしれませんけれども、CODはもうかなり解決されたように、以前よりですね。だから、これでいいのかと思うんですが、書いてないというのは何か意図があって書いてないのかなと、単なる質問ですけど。

部会長:その辺は事務局、何かご発言ございますか。
 私からちょっと感想で。埋立ての経緯から言うと、過去の昭和50年当時に、埋立地の上から、大体工業埋立ですね、とうとうとCOD物質を出していたと。そういうので埋立てイコール水質悪化というのが直結したような感じがしたんですが、その当時はこういう浅場を埋めて、生物生産性がどうとかあんまり議論していなかったんですね。その後いろいろ見ると、そういう影響以上に浅場の藻場とか干潟を破壊してきたという影響が認識されて、自然がちょっと強く出ているという認識なんですが、ちょっとそのあたり。

事務局:水質については、特にほかのところで書かれるという認識で、ここには書いてございません。
 それからもう1点は、昨年の答申の段階では、これは環境の劣化という言葉を使っておりました。環境の劣化とは何の環境かもうひとつよくわかりませんので、どちらかと言いますと、これは自然環境のことを想定しているという理解のもとに、自然環境の悪化というようにわかりやすく書いたということでございます。

D委員:今の点を踏まえて考えますと、自然環境の悪化と言っても、その自然環境のどういうところという指標がないわけですね。これは最初に事務局から前回の、第5回の部会の意見として説明がありましたように、浅海域の重要度を評価する尺度が必要だと、その研究が必要だと。これは浅海域ですけれども、同じように自然に影響を及ぼすといっても、どういう指標の中で、その指標がどういうふうに変わるから自然環境が悪化しているんだということを決めない限り、言葉だけで自然環境が悪化するのはいけないことだということだけで、これから論議できないんじゃないかなという気がするんです。だから、その辺をどういうふうに取り上げるかということをひとつ考えなきゃいけないというふうに思いますけれども。

部会長:ありがとうございます。どうぞ。

G委員:この場合、自然環境という言葉でもいいのかもしれませんけれども、やはり埋立てによって干潟・藻場、あるいは浅場が少なくなるということは、減少しているということは当然その水質にもあらわれている。ほかに水質のことは書いているのは承知しているんですけれども、やはり一番今のD委員がおっしゃっている指標なんかになりやすいのは、それはCODであったり、窒素、燐であったりするので、それが結局、法とのかかわりもあるので、自然環境というだけにこだわる、例えば生物の多様性とか景観とか、そういうことをすべて指すのかもしれませんけれども、やはりこの中にはそういう、水質という言葉がいいかどうかわからないんだけれども、そういう面の言葉を、正確に言えば入れておいていただきたいと、こういうふうに思います。

F委員:前回の、さきの答申では、そのあたりは、例えば水質の悪化であるとか、生物の生息・生育環境の生態系の変化であるとか、いろいろなことがいろいろるる例示されているんですが、要はそれを踏まえて、自然環境が悪化をする方向にあることからというのに言葉を置きかえたんだろうという気がするわけです。ただ、前回の答申で、私は実はいいなと思っておったんですけれども、埋立てられた海域は元の状態に戻らないことを認識する必要がある、そっちの方を強調した方が、ここでは意味が、今、おっしゃられるような自然とは一体何ぞやとか云々かんぬんという議論が出るならば、要は埋立てられたら、後は取り戻すことはできないと。すべて破壊につながるという認識をここで出した方がわかりやすいかなという気もします。

部会長:ありがとうございます。ほかに1について。
 1は非常に重要でございますので、ちょっと時間をかけておりますが、よろしゅうございましょうか。
 復元、回復、修復が不可能だというご意見もございますので。それから、自然環境のみならず、水質的な環境も当然考えるべきだと。大体、今1について皆さんのご意見をいただいておりますので、基本的なのはこの流れに沿ったことかと思いますが、それでまた、具体的に詰めさせていただきたいと思います。
 では、その次に2番ですね。物流基盤、下水道の終末処理場の整備等から埋立ての要請が強い状況にあると、こういう実態があるということでございます。何かご意見ございますか。

A委員:この2番目と3番目を私は一括して読まれるべきではないかというふうに考えるわけです。要請という言葉がどういうニュアンスであるかということはなかなか難しいんですが、そういうことを求めていらっしゃるグループがあるということは事実としてあるわけです。しかし、その3番目のところは、それについての評価が書いてあるというふうに読まれるのが適当であるというふうに思います。特にこの中で、3番目のところで未利用地や既存施設の有効活用という言葉が大変重要でありまして、この言葉が上の2番目の物流基盤、公共下水道終末処理場、陸上残土、浚渫土砂、廃棄物等の処分場というものの、どこに主としてかかるのであるかということを考えますと、私は物流基盤に一番強くかかるだろうと。つまり、公共下水道終末処理場が未利用ではないし、そこに公共下水道終末処理場を設置するということは多少は可能かもしれない。しかし、既存施設の有効利用には当たらないでありましょう。しかし、物流施設については、既存施設の有効利用というのは大変重要だと私は考えるからであります。例えば、関西空港の利用率というのは極めて問題があるということを新聞報道は常に言っております。撤退をする会社が相次いでいると。あれは既存施設の有効利用というのと、滑走路をもう1本つくるのとは、どういう関係にあるかということが問われているというふうに私は考えているからであります。したがって、この2つのポツは一体として読まれるべきものであって、かつ物流基盤というところについて、特にこの下の未利用地や既存施設の有効利用が強くかかっているというふうに理解をすることが必要であるというふうに考えます。

事務局:ありがとうございます。
 2番と3番はまとめてというご発言でございますが。ほかにございませんか。
 それから、先ほどC委員の方からご発言がありました埋立ての回避についてですね。この回避という言葉もオールオアナッシングというようなご発言がありましたが、何かご意見ございましたら。この場合はできる限りの回避ですから、ゼロではないということになるかと思いますが。一方では、こういう港湾を管理する担当のところとか、あるいは埋立てを担当する事業官庁といいますか、そのあたりは非常にこのあたりもそれぞれの事業の目玉といいますか、そういうことであるので、非常に関心が持たれているところでございますが、そういうところからのご意見もいろいろあるかと思います。

H委員:前回、私、下水の処理場のことで発言しましたのは、ちょっとニュアンスが違います。根強い要望があったというよりも、その道がなくなると非常に困る場合があるという表現ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 現に要望がたくさんあって、埋立てするということよりも、最終的な都市施設としての道が閉ざされるのは困るということです。いろいろな条件の中で、その選択肢の1つとして埋立があり、いろいろな環境面から配慮するという余地を残してもらいたいという発言でございますので、よろしくお願いいたします。

部会長:ありがとうございます。
 ほかに、2番、3番についてご意見ございませんか。

E委員:物流基盤のことがA委員からお話があったわけですが、今、世界の物流の世界で一番の問題は、コンテナがどんどん大きくなっていることなんですね。今、一番大きいコンテナが、一度にコンテナを6,000個積む、これはデンマークの社とかアメリカの社とかいろいろありますけれども、それがさらに8,000個、この数年のうちに12,000個のコンテナを積むものが出てきます。そうしますと、今まで岸壁の深さが15メートル、14メートルであった港ではコンテナ船の底がつかえてしまって入港できない。そのため岸壁の深さが16メートル以上のある港、例えばシンガポールにヨーロッパから貨物を一斉にまとめて持ってきて、そこからアジアの各国に回す。そうすると、日本もそういう中心、つまり一般にいうところのハブ港ではなくて、それをサポートするフィーダー港の位置になってしまう。ですから、世界の貨物輸送のことからいいますと、どうしても日本の何カ所かにおいて世界の流れに対応していかなきゃいけない港をつくらざるを得ないという状況があります。それをとめてしまうと、結局、港湾荷役にかかわる産業が衰退するというようなことが出てくるわけです。そうした場合に、今までの未利用地がどうかというと、これは多くの場合に、昔の古い小さな船を対象にしたところなどで、そこは大型船をどうやっても持っていけないというところが出てまいります。そういった意味で長期的に言いますと、少しずつやはり沖へ沖へと動かざるを得ないという一般情勢があるのではないかと思います。一応私の知っている範囲での状況説明をさせていただきました。

部会長:ありがとうございます。
 港湾施設で深いところでいうと、先ほどおっしゃった島のような形がいいんでございましょうかね。
 ほかにございませんでしょうか。
 2番は大体こういう、依然として根強い状況にあるとか、いろいろ表現がございますが、そういう要望のあることは事実であるということで、これは実態ですね。それで、2番、3番を一緒にしたらどうかというご意見もございましたので。その辺も踏まえまして、大体今のご意見も入れて、また検討をさせていただくということでよろしゅうございますか。
 それから、できる限りの回避という方向がここに出ておりますが、そのあたりもよろしゅうございますか。率直に申しますと、一番難しいのがこの1番の項目ですね、先ほどのご意見。それから、今の3番というところが一番シビアな議論を重ねなければならないところかなと思います。
 では、その次に4番ですね。やむを得ず埋立てをする場合にあっての云々というところがございますが、それについてはどうでございましょうか。

G委員:ここもできる限りというか、もう例外的にという意味なんだろうと思いますが、そういう意味として理解した場合に、今の環境影響評価法とか県の環境影響評価条例では弱過ぎるのではないかなという気がします。というのは、1つ1つの個別の事業について、それぞれこれは評価をすると私は理解しているんですが、先ほどD委員もおっしゃっていたわけですが、私もかねがね主張しているのは、小さいやつが積もればいっぱいになるわけだし、それから、要するに計画というか、発想ぐらいの段階からこれは評価をしなくちゃいけないので、よく使われるのはSEAというんですか、戦略的環境影響評価法とか、あるいは総合的環境影響評価とか、私、不勉強ですが、多分地方自治体でも1、2県もう導入しているんじゃないかと思うんですが、その間、社会的とか経済的な評価まで加えてやる、評価をやる主催者が事業者なのかどうかというのは、私、不勉強でよく知りませんが、そういうようなことを取り入れていかないと、やりたい方は当然やりたいということを言うに決まっているので、やっぱりこの辺のところは客観的にきちんとそういうことを踏まえた計画というんですか、最初の段階から評価が出されるべきだと思います。そうなりますと、先ほどH委員がおっしゃったようなことも、そういう中で評価がされるべき問題ではないかなという気がします。

部会長:ありがとうございます。
 ほかにございませんか、この件について。

I委員:内容のことじゃなくて文言のことなんですが、環境影響評価による環境への影響の回避とか、低減の検討というと、何か評価がその手段を表しているような感じがしないでもないんですが、どうでしょうか。評価結果を踏まえたとか、評価結果によるとか、にした方が良いのではないでしょうか。

部会長:おっしゃる点あるかと思いますので、ちょっと表現はまた検討していただきます。
 それから、先ほどからもいろいろご発言ありますように、こういう積分値の評価ですね。これが今のアセス制度の中ではなかなか出てこないですね。これは環境庁の担当課のあたりで、総合評価というのはぜひやっていただきたいという、そういう感じもしておりますし、私も環境影響評価課でそういう要望はしておるんですけども、これからの仕事だと思います。必ずそれを照らして、やっぱり個々の埋立てとか事業計画を照らして、この地区で全体でどうかと。それがなかったら、ここは軽微かプラス幾らかで、これできてしまいますのでどうしようもない。
 ということも踏まえて……。

F委員:このポツとその次の「その際」という、住民意見が適切に反映されると、つまりこれはやはりセットなのでしょうから、その他、地域住民の意見が適切に反映されるよう努めることについてという、この「適切」という言葉もうひとつよくわからないんですが、要は地域住民の意見が、事業計画の早い段階から反映されるということが必要だろうと思います。

部会長:住民意見、これも非常に難しいので、発言の非常に強い方の意見が全体みたいな表現になるというのがあるし、昔は岸総理が声なき声というようなことを言ったことが記憶にありますから、言わない人、いわゆる選挙に投票しない人、その人の意思がどこにあるかと、そういうようなことも考えなきゃならないんじゃないかと思いますが。なかなか難しい問題ですね。いずれにしても、「適切」という、「適切」の中に早い段階があるわけですね。そういうことで、民意を反映できるように努めることというところでございますか。

E委員:部会長のおっしゃった、その幾つかの軽微なものが重なり合って、だんだん影響が大きくなるという話ですね。これは私もそういうことができるかどうかわからないんですけれども、それは環境影響評価法そのものの問題なのかもしれないと考えます。評価するときに、その案件だけじゃなくて周りの近々に計画されておるもの全部あわせて見るというようなことはどこかでできないのですかね。だから、そういった趣旨のことを何かこういうところへ書き込めないですかね。法律的にとか、行政で非常に難しいと思うんですけど、何かそういったことが工夫していただけると、F委員がおっしゃった一歩でも前へ前進ということになるのかなと思います。

部会長:どうぞ。

F委員:一番最初にA委員がおっしゃられた地方分権時代にこれから入るわけですが、要は埋立ては知事がいわゆる事業主体者であり、それから許認可権を持っているという、そういうことが非常に問題になってくると思うんです。それからもう1つ、地域住民の意見というのはつまり、実は地域というのは、要は埋立てに対する期待というのが非常に強いところがあるわけです。例えば漁港の改善であるとか、生活環境の改善であるとかいうのは、地域からすれば非常にやってほしい状況が実はあるわけです。そのどういう声かというのは、つまり反対派もいらっしゃるでしょうけれども、案外にその地域は賛成派も非常に多いということがあると。それともう1つは、そういう状況の中で、県だけに全部許認可権を任せてしまうという状況がこれから進んでいけば、逆に埋立ては歯止めがかからなくなってくるという可能性も私は考えられると思うんです。E委員今おっしゃられた、要は瀬戸内海は1つという意識は、ここでどうしても何かで考えてほしいなという気がするわけです。瀬戸内海全体でその埋立て問題をどう考えていくかという考え方を何らかの方法でひとつ入れていただければ、要は例えば1つの県がどんどんやりたいと、1つの県は我慢するということでバランスがとれなくなるような可能性もあるわけですが。そういうトータルの面の考え方、抑制策、そういうこともひとつどこかで入れてほしいなという気がします。

部会長:ありがとうございます。
 非常に重要なことでたくさん発言いただいておりますが、特に今のところで、そういう総合評価というか、積分評価といいますか、それが必要であると。ただ、残念なことに、今の段階でそれにまとまった資料がないというのも実態なので、これからの方向としてそういうことをぜひ審議会としてもお願いしたいということを関係の局長さんとか課長さんにお願いしたいと思いますが、積分値として埋立ての総合評価、あるいは、これは埋立てに限らないです。例えば温排水の問題なんかも格好の材料になると思いますが、このあたりの総合評価、そういう総合評価を見て、各県から上がってくるものをどう判断するか。恐らく地方分権で各県から上がってるものは、ますます大きくはなりますが、目先のことしかという評価で上がってくると思いますので、総合性の重要性がますます増すかと思います。ぜひそのあたりでご配慮をお願いしたいと思います。
 では、その次に移りますが、その次は藻場・干潟の生産性ですね。特に浅場の重要性といいますか、そういうことについて考慮をしなさいということでございますが、このあたりご意見ございますか。

E委員:前回のときには浅海域という形でかなり一般的に書いたのを、今度藻場・干潟って具体化に言葉を出されたのは、何か特に意味があるのでしょうか。

事務局:特に藻場・干潟が重要だと考えた次第です。

E委員:そうじゃなくて、この前の、昨年の答申の中でも浅海域と出ているのを、ここで藻場・干潟と変えると、何か抜けるものが出てくるのではないかなとちょっと心配で、そのあたり後でまた事務局の方でコメントをいただければと思います。藻場・干潟の重要なことに反対しているわけではなくて、ひょっとして何か落ちるんじゃないかなと、そういうことです。

部会長:ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか、この藻場・干潟、あるいは、今ご発言の浅海域の重要性。

C委員:景観は要らないのでしょうか。

部会長:景観というご発言ございましたが、ここの文章の中には景観という言葉が入っていないですね。埋立て景観ですか。この場合は……。

C委員:埋立てをすることによって景観が悪くなるということをどう回避するかということです。

事務局:景観について別の部分で書いたのがございますが、埋立てには書かれておりません。どういう取り扱いがいいのか、ちょっと考えてみたいと思います。

部会長:当然そういう自然を変えるわけでございますから、景観が。これはアセスの中に当然入っているんですけどね、検討していただくことにいたしましょう。
 それから、その次に行きましょうか。公有水面埋立法に基づく埋立ての免許に当たっては、瀬戸内海特別措置法第13条第1項ですね。埋立ての運用に関する第2項基本方針に沿って、引き続き、環境保全に十分配慮することについてということでございますが、これについては。この瀬戸内海法の線に沿って十分やってくださいということでございますが。

A委員:冒頭このペーパーに入る前に朝日新聞の記事を引用してお話をしたんですけれども、公有水面埋立法の手続の中でどういうことが行われるか。これは地方分権とかそのほかのいろいろな要素が入ってくるわけですから、この審議会でどうすべきであるということを言って、できるところとできないところがあるわけです。したがって、そういういろいろな変化を前提にして、先ほどB委員がおっしゃったように、そういう客観条件の中でここに書かれてあるようなことが実効性があるようにするような措置をとるというのが一番現実的な対応だろうというふうに思います。国が意見が直接言えないようなことに分権法の関係でなったときに、各地方公共団体において、適切に処理されているものと考えますという答弁ではちょっと不十分である。適切に処理されるようにするにはどうしたらいいかということをするということがここに書かれていることを実効性あるものにするということになるんだろうと思います。そういう意味でどうも先ほどのご答弁は、私はまだ十分納得をしていないということでありまして、B委員からのお話を踏まえて、含めて具体的にご検討をいただきたいというふうに思います。

部会長:ありがとうございます。
 ほかにございませんでしょうか。
 では、これは当然法律の問題でございますし、特に瀬戸内についてはこれに、基本方針に沿って配慮をしていただくというところがどの事業についても適用できるということでございます。よろしゅうございましょうか。
 では、次に2番目の項目ですね。記述する事項についてということで、この瀬戸内法の制度上、いわゆる環境保全基本計画ですね、ここに記述する。それと、公有水面埋立ての承認に当たっての瀬戸内海の特殊性につき十分配慮するための埋立ての基本方針、こういう2つが位置づけられておりますが、ここで諮問を受けたのは1番の環境保全基本計画でございますが、この基本計画に当たって配慮する事項のうち、どのような項目を折り込むのが、適当かという提案でございますが、これにつきまして何かご意見ございましょうか。

部会長代理:ちょっとこれ事務局にもう一度ご説明をいただいた方がいいと思うんですが、設問の仕組みがちょっとよくわかりにくいので、今現在書かれていますのは、基本計画の中に、埋立てについては基本方針に沿って引き続き環境保全に十分配慮すると、これだけが書いてあるわけですね、今現在の法は。そして、今問題提起されておりますのは、それに加えて何かを、この上に書いてあるようなことを書き込む方がいいのか、それともこれまでどおりのものでいいのかと、大きく分けるとそういうことだと理解してよろしいですか。

事務局:では、ご説明申し上げます。
 先ほどの資料1の2ページをごらんいただきますと、瀬戸内海環境保全基本計画が出てまいります。その中で埋立てに関しましては、非常に簡単でございますけれども、基本方針に沿って配慮していくんだということが書かれておりますけれども、この基本方針自体は1ページに戻りますと、1ページの13条をごらんいただきますと、13条で公有水面埋立法の免許、承認に際して配慮すると。その配慮の際の方針として示されるという位置づけが書いてございます。現行の基本計画は、こういう法律の考え方に沿って、埋立ての基本方針に具体的なことを譲って、基本計画自体には具体的な内容は書かれておりません。3ページに埋立ての基本方針がございまして、3ページと4ページでございますけれども、詳細な内容が書かれると、こういう構造になっております。これは法律の考え方も基本的にはそういうようなことを想定しているということだろうと思いますが、基本計画は、1ページにさかのぼっていただきますと、第3条にどういうことを書くのかということが書いてございまして、第3条の第1項の3行目をごらんいただきますと、瀬戸内海の環境保全上有効な施策の実施を推進するため、瀬戸内海の水質の保全、自然景観の保全等に関し、瀬戸内海の環境保全に関する基本となるべき計画を策定するということになっております。その基本となるべき計画の中でも、埋立ての基本方針にゆだねるということをきちんと書いているということで、こういうやり方を踏襲するというのは従来どおりのやり方でございますし、また、この基本計画の中で記述を、先ほどご議論がございましたような1の記述を何がしか位置づけていくというのは、従来とは異なる新たなやり方ということになろうかと思います。

I委員:今、資料1の引用がありましたけれども、ちょっと読んでいて気がついたのでお尋ねしたいんですけれども、13条の第1項の終わりの方に、第3条第1項の瀬戸内海の特殊性につき十分配慮しなければならないという文言が出てまいります。埋立てについての特別な配慮という13条の第1項です。この13条第1項に引用されております第3条第1項というのは、その上のところに書かれておりまして、よく読んでみましたけれども、どうも瀬戸内海の特殊性というのが文言で引用しにくいような文章になっています。第3条第1項をずっと読んでみますと、特殊性らしきことがずっと書いてありまして、「かんがみ」というところで文章が一たん切れ、それから、「施策の実施を推進するため」というところで切れて、その後は基本計画を策定しなければならないと書いてあるんですね。特殊性というのは、基本計画のことなのか、かんがみることなのか、推進するためのことなのかちょっとわからない。これは内閣法制局ではなくて、議員立法でおつくりになった法律ですから、恐らくそうかと思うんですが、それはしかし法律はできてしまいますと、解釈は環境庁の担当でありますので、その解釈をちょっと伺っておきたいと思います。

事務局:第3条第1項の3行目までに書いてございました「かんがみ」までですね、ここで瀬戸内海というのが世界に比べても比類のない美しさを持っていると、それから、国民にとっても貴重な漁業資源の宝庫であると、これが瀬戸内海の地域的な特殊性というか、そういうことだということを受けて、その計画を継承していかなければならないということでございますので、まさにその部分を指して特殊性というふうに位置づけているということだと考えます。

A委員:そういう見方もあるとは思うんですけれども、基本計画にそれでは則さなくていいのか、あるいは基本計画を無視していいのかという質問が出てくる可能性があると思うんです。そういう解釈をすると、基本計画とこの基本方針というのは全然別のものである。基本計画ができていても、基本方針はそれを無視してとまでは言いませんけれども、ちょっと横に置いておいてつくっていいんだという解釈になりかねないということを私は恐れます。そこのところはなかなか詰め方は難しいんですが、審議会の気持ちとしては、基本計画をつくって、それから基本方針をやろうとしているわけですから、当然この特殊性というのは「かんがみ」よりも前の事情を十分考えた上で、基本計画をつくっているということを指している。したがって、基本方針は基本計画を十分踏まえたものであるべきであると考えた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。

事務局:もう1点補足してお答えします。3ページの埋立ての基本方針の中にも特殊性という文句が出てまいります。別紙のところの上から3行目までのところでございまして、ここで特殊性の解説が出ておりまして、まさに先ほど私が申し上げたことを引いて特殊性だというふうに認識していると、当時の審議会もそういうふうにお考えいただいたということだろうと思います。それから、基本計画と埋立ての基本方針、やはり同じ法体系の下であるものでございますから、それは一体的に機能していくということが適当であろうかと考えますが、現在の書き方はそういう疑問が全く生じないように基本方針に譲っているということでございます。

E委員:このディスカッションペーパーのところでどれだけを折り込んだらいいかというご質問ですね。例えばこの黒ポチのやつを全部入れていった場合に、昭和49年に決めた埋立ての基本方針の3ページ以降、これはこのまま残るわけですね、今のままですと。そうすると、その1つ上の、これらの検討に際してというところまでのものは、何となく精神論的な、こういったものを考えていただきたい、考えるべきであると。しかし、実際の埋立てに当たっては、昭和49年の基本方針の別紙のやつに従っていくということになるわけでしょうか。

事務局:従来この審議会でもご説明しておりますけれども、埋立ての基本方針もいずれ見直しのご検討をお願いしたいというふうに考えておりますので、したがって、もちろん審議会のお考えでございますけれども、従来のままということではないということがまず一点ございます。
 それから、そういたしますと、仮にこれを全体を基本計画の中に盛り込めば、そうすると、若干基本計画の部分と現在の基本方針の部分とは矛盾ということではないかとも思いますけれども、若干でこぼこ的なものはあるのかもしれません。

E委員:もうちょと踏み込んで伺いますと、いずれ基本計画についての答申が終わった段階で、今度は基本方針の見直しについての諮問があり得るというふうに解釈してよろしいですか。

事務局:そのように従来からもご説明申し上げておりました。

B委員:基本計画と基本方針ですけれども、この基本方針の中にうたっておけば、関係府県の知事が承認する際の裁量規定になるんですけども、基本計画にうたった場合には、ちょっと読みますと4条で府県のまた計画がありますね。この中に盛り込まれちゃうんですか、どういう形になるのでしょうか。3条はないんだけど、4条に府県知事がどちらの方がどの程度重視するというか、考え方を適用してもらえるかということは、その辺はどうなのでしょうか。この基本計画を府県知事が定めようとするときには、環境庁でチェックできるんですね、これで見ますと。報告を受けて指示ができるわけですね、基本計画の場合には。これはその辺の関係はいかがでしょうか。

事務局:基本計画と府県計画は整合性があるものであると、あるべきだというのが第4条の2項、3項の規定の趣旨だろうと思います。府県知事から府県計画を定めるときには報告をいただいて、必要な場合には指示をすると。ただ、その基本計画の中に書いてある事項の中で、国自身が行うこと、それから、府県に期待すること、いろいろあるかと思います。したがって、基本計画のものがすべて府県計画に取り込まれるべきであるということかどうかは別の問題だと思います。

B委員:そうすると、基本方針の方にうたっておけば、これは承認について十分配慮しなければいかんということになるんですね。基本計画の中に入れておくと、県としては取り入れるか取り入れないかわからないということだとすると、基本方針の方が上位になるというんですか、おかしいですね、何か。

事務局:基本方針の方は13条で明確に埋立てに際しての配慮という形で、明確に規定がございまして、これはもう埋立てのときにはそういうことで配慮してくださいということであります。一方、基本計画、府県計画の方はこれは非常にベーシックな考えをまとめるものだと思いますけれども、埋立ての免許とか承認と直、いかほどかかわりがあるかというのは、法律では明確ではございません。

部会長:基本方針と基本計画の位置づけについて、いろいろご説明いただきまして、大体ご理解いただいたかと思いますが、これを踏まえて、今の基本計画の中に従来型の形で基本方針にゆだねるか、埋立てについてですね、というのと、基本計画の中に埋立ての項をはっきり書くべきだということの判断でございますが、このあたりのご意見をいただきたいと思います。

E委員:先ほどの事務局のご説明を伺いまして、いずれ基本方針についての審議が行われるということであれば、そのある程度方向づけをするという意味で、ここに挙げている黒ポチのものを、いろいろまだご意見もあろうかと思いますけれども、方向づけとしてやはり今、入れるべきだろうと私も思います。
 以上です。

部会長:ありがとうございます。
 ほかにご意見ございましょうか。
 前回の昭和50年代のこれは、基本計画の中に埋立てについての考えがまとまらなかったということで、別途というふうな感じが。基本方針のときにやって、そのときにはっきりしていなかった。失礼いたしました。ちょっと私の思い違いでございました。先にあったということでございますが。これは論理的にはどうなんですか、やはり基本計画の中に入れるのが正論なんですか。この前がそういう特殊な事情があって、そちらにゆだねたということになるのですが。

事務局:どちらが正論というのはないかと思うんですが、従来のやり方は非常に、何と言うか、単純簡明なやり方、一方、基本計画の中に書くということは、それはそれなりの意味合いがあると思いますけれども、先ほど矛盾の話も出ましたけれども、いろいろ別途の問題が生じますので、もう少し事務局でも検討をさせていただくとありがたいかとは思いますけれども、その辺はまたご審議いただいてと思います。

部会長:それはこうですね、今の場合は基本方針の、これは当然見直しが必要だと思いますが、まだないわけですよね、目安のものが。だから基本計画の中に、基本方針にゆだねるということはどうですかね。非常に不確かなものにゆだねるということになるわけですね。

事務局:そうですね。ですから、そういう場合に審議会として何らかのメッセージを残すといったことも考えられるかと思います。

部会長:はい。

A委員:法技術的な話になるのですけれども、通常の法律ですと、こういう二段型になっているときには、基本計画を定め、それに則していろいろな具体的な計画とか規制計画とか、そのある部分についての方針とか、そういうものを定めるように法律を書く例が多いわけです。この法律はどういう経緯があったのか、その辺ははっきりいたしませんが、ちょっと通常の政府提案の法律と形が違っております。ただ、政府提案の通常の法律、つまり基本計画、つまり上位計画があって、その下に具体的な計画がある場合でも、当然、修正、改正の際には、ある瞬間にはその2つの計画の間にある種のすき間が出てくるということは、時間的には発生をしております。したがって、これは別にそうは大きく問題にしなくていいのではないかと私は思っております。また、上位計画がないままに具体的な計画をつくった例も過去においてはありまして、例えば土地利用基本計画というのは、国土利用計画に則してつくれと書いてあるのですが、大変急いでおりましたので、土地利用基本計画の方を先につくって、国土利用計画を後でつくったという例もありまして、その辺は余り細かく議論しなくても、他の例に比べて格別おかしなことであるということにはならないと私は考えます。

部会長:ありがとうございます。
 ほかにご意見ございませんでしょうか。はい、どうぞ。
 J委員:すごく当たり前のことを聞くかもしれないんですけれど、1つ確認させてください。1番の2つ目のポツのところが、さっきからずっと気になっています。3つ目のとセットでという考えがあったと思うんですが、当然のことながら、「根強い状況であるが」とか、「しかし」とかというふうに後ろへ続くんですよね。「ので」とかではないですよね。

部会長:ありがとうございます。
 そういうご意見も考慮いたさせていただきます。
 ほかにございませんでしょうか。

部会長代理:すみません、もう1つちょっと確認、事務局の方で、これは法律上の規定では閣議決定をするわけでしょう、基本計画の変更は。

事務局:基本計画は閣議決定ということになります。したがって、政府間の調整は必要不可欠でございます。

部会長代理:とすると、審議会の、皆さんいろいろなご意見がありますね、それと閣議決定の間のギャップというのはあり得るということですよね。

事務局:余り答弁したくございませんが、過去の基本計画を見ると、若干の文言のギャップはあるようであります。やはり審議会でご議論いただく内容が、政府の閣議決定する計画としていかがかというような判断があったのかもしれません。ただ、詳細なことはわかりませんけれども。若干のずれは過去にはあったようでございます。ただ、大幅なものというのは必ずしもいいことではないというふうに考えております。

部会長代理:ということは、答申案をまとめていくときは、閣議決定になるものをほぼ頭に置きながら、あんまり大きなギャップができないものをつくっていくと、そういうことでよろしいですか。

事務局:そういうふうに考えるのが正当だと思います。

部会長:わかりました。そのあたりが審議会のところで集約した意見が、そのまますんなりイコールでいくというわけではないということ。大体尊重していただく予定ですが、そういうことですね、今のお話。

A委員:だんだん法律論的な話になってきているので、また気になりましたので、もう1つ申し上げますと、今の3条は内閣総理大臣が決定をする。あらかじめ審議会及び関係府県知事の意見を聞かなければならないというふうに書いてあります。一方、埋立ての13条は瀬戸内海環境保全審議会において調査・審議するものとすると書いてあります。これもなかなか微妙な表現でありまして、この辺は環境庁としてどういうふうに整理をしていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。

事務局:基本計画は政府がつくると。つくるにあたりましては、審議会のご意見、それから、知事のご意見を伺うということであります。それから、13条の方の埋立ての基本方針の方は、極めてこの法律おもしろいんですが、主語がございませんで、だれがつくるかというのを書いてございません。審議会において調査・審議するとしか書いてございません。一応やはり審議会は政府の中にある審議会でございますから、審議会に事務局もいろいろ素材を提供させていただいて作成するものでございます。その過程におきましては、いろいろ関係者のご意見も拝聴してまとめていくということにはなろうかと思います。

部会長:そうすると、スタイルとしてある程度方向づけをここでお決めいただきたいんですが、基本計画の中にやはり埋立ての項目を当然入れるべきだというご意見でよろしゅうございましょうか。
 そういうことで今までは相当苦労して、埋立てのことを検討してきましたので、一応そういう線に沿って調査していただいて、この1枚紙のこれまでの経過の中にまとめてある内容、いろいろ各項目についてご意見をいただいておりますので、それの意見も踏まえて、これを早急にまとめさせていただきたいと思いますが、それについて一応私の方にお任せいただいてよろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、そのように取り計らわさせていただきます。
 以上で本日の基本計画の変更案についての審議は終わりましたが、次回の計画部会では答申案の取りまとめをお願いしたいと思います。
 では、事務局、何かご発言ございますか。

事務局:次回の計画部会につきましては、また先生の方の日程を調整させていただきますが、一応9月ということで考えさせていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

部会長:では、ほかにございませんようでしたら、これでちょうど時間となりましたので、部会を終了したいと思います。
 本日は活発なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。