瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第4回)会議録


 
 
1.日  時  平成12年3月21日(火)13:33〜16:12
 
2.場  所  通産省別館933会議室(9階)
 
3.出 席 者
(1)委  員
     安 部    彪       川 野 田實夫
     合 田 良 實       白 木 江都子
     谷 野    陽       中 西   弘
     西 村 美代子       藤 原 知 明
     藤 原 正 弘       村 岡 浩 爾
     森    仁 美       渡 邊   直
 
(2)意見発表者
   @厚生省(生活衛生局)   粕谷 広域計画室長
   A運輸省(港湾局)      瀧本 海域環境対策室長
   B建設省(河川局)      岸田 海洋室海洋専門官
   C水産庁(漁港部)      長野 計画課長
   D国土庁(計画・調整局)   丸山 総務課海洋室課長補佐
   E広島県(土木建築部)    藤井 港湾局港湾課課長補佐
   F兵庫県(生活文化部)    長谷川 環境影響評価室長
   G関西国際空港(株)     内山 調査部次長
 
(3)環 境 庁
    (水質保全局長)
     遠 藤 水質保全局長
     長 尾 企画課長
     浅 野 瀬戸内海環境保全室長
    (自然保護局) 
     小野寺 計画課長
     大橋山陽四国地区野生生物事務所長
4.議  事
(1)関係機関からの意見聴取(埋立て関係)
   @厚生省、A運輸省、B建設省、C農林水産省、D国土庁、E広島県
   F兵庫県、G関西国際空港(株)
(2)その他
 
5.配付資料

  • 瀬戸内海環境保全審議会計画部会(第4回)議事次第
  • 瀬戸内海環境保全審議会計画部会委員名簿
  • 資料1 埋立て関係資料(厚生省)
  • 資料2 同上(運輸省)
  • 資料3 同上(建設省)
  • 資料4 同上(農林水産省)
  • 資料5 同上(国土庁)
  • 資料6 同上(広島県)
  • 資料7 同上(兵庫県)
  • 資料8 同上(関西国際空港(株))
  • 資料9 瀬戸内海環境保全基本計画の変更に関する現地意見聴取及び意見募集について
  • 参考資料1 瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について−瀬戸内海環境保全審議会答申−
  • 参考資料2 関係法令等


  • 議  事
     
    事務局:それではお待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから瀬戸内海環境保全審議会第4回計画部会を開催させていただきます。
    (部会成立の報告及び配付資料の確認後議事に移る)
     議事の運営規則に従いまして、中西部会長に議事進行をお願いしたいと思います。中西部会長、よろしくお願いいたします。
     
    部会長:それでは、議事に移らせていただきます。本日はお忙しい中、資料の準備や本日のご対応をいただきます方々に厚く御礼申し上げます。
     それでは、まず初めに、事務局の方から本日意見発表をお願いした機関とその所管されている事業等について一括してご説明をお願いいたします。
     
    事務局:それでは座って説明させていただきますけれども、まず、事務局の方から本日は埋立てについての関係機関からの意見聴取ということでお願いしておりますけれども、本日ご出席いただいております関係機関の皆様方を事務局の方から初めに一括してご紹介申し上げたいと思います。
     まず、本日の議題でございますけれども、前回第3回の海砂利の採取に続きまして、本日は埋立てに関しまして関係機関の皆様から意見等をお伺いしたいということで、本日は部会長ともご相談した上で8つの機関等の方々に本日はおいでいただいているところでございます。まず国の機関といたしましては、埋立てに関します公有水面埋立法、これは運輸省さんと建設省さんの所管でございます。また海岸に関する法律といたしまして海岸法というのがございます。また一方、港湾法という沿岸域に関する法律もございます。また一方、港湾関係、漁港等これら埋立てに関係する事業を所管している観点もございまして、これらの観点から運輸省の港湾局、建設省の河川局、水産庁の漁港部、これらの関係機関の方々においでいただいたところでございます。また廃棄物の処理に関する埋立てという観点から、厚生省の水道環境部の方にもおいでいただいているところでございます。また埋立地を含めました沿岸域全体の管理という観点で所掌されております国土庁の計画調整局の方からも担当の方にご出席をいただいているところでございます。
     続きまして地方公共団体という観点で、本日は2県の方においでいただいたところでございます。まず公有水面埋立法の免許の免許庁の観点、さらに港湾工事を実施しているという事業者の観点から広島県の空港港湾局の方においでいただいております。また公有水面埋立法、あるいは環境アセスメントにおきますその運用という、まさに環境サイドの観点からということで兵庫県の環境局の担当の方においでいただいているところでございます。それから最後でございますけれども、環境アセスメントの具体的な内容とその後の環境監視についての代表的な事例の紹介ということで、厳密な意味では行政機関ではございませんけれども、その代表的な例で適当ではないかということで、以前合田先生の方からもサジェスチョンがあったところでございますけれども、本日は関西国際空港株式会社の方からご出席をいただいているところでございます。
     以上、本日はただいまご紹介申し上げました8つの機関に意見発表をお願いしたところでございます。
     また、これまでにこの計画部会で議論等がございました先生からのご質問等につきましては、あらかじめ関係機関の方へ、こういった内容のご質問等がありましたということでお伝えしておりまして、それぞれのご意見の発表の際に該当するものについてはお答えいただきたいということでお願いしているところでございます。 以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございます。では、議事の進め方については、10分程度ご説明をいただき、その後質問の時間を設けたいと思っております。なお、時間が限られておりますので、皆様のご協力よろしくお願いいたします。
     それでは国の機関から発表をお願いいたしますが、発表していただく方の時間の都合により、最初に厚生省の方からお願いいたします。
     
    厚生省:厚生省水道環境部広域計画室長をしております粕谷でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。ただいま事務局の方からご紹介ありましたように、厚生省では廃棄物の埋立てを担当しているところでございます。
     お手元の資料1の1ページをごらんください。我が国の廃棄物全体の現状を書いてございますけれども、主として家庭から出る一般廃棄物につきまして、平成8年度という古い年度しかデータがそろわなくて恐縮でございますけれども、1年間で5,300万トン廃棄物が排出されておりまして、そのうち再生利用されているのが排出量の10%の550万トン、最終処分されているのものが25%の1,300万トンという状況になってございます。5,300万トンのうち、発生して中間処理をされずに直接埋立てられる量が約520万トンございまして、残りの800万トン弱というのは焼却残差、あるいは中間処理で破砕された破砕物などでございます。一般廃棄物の最終処分場は、平成8年度全国で2,387カ所ございますけれども、このうちの30カ所が海面における処分場になってございます。
     産業廃棄物につきましては発生量はさらに多くて4億2,600万トンという数字でございますけれども、再生利用量が1億8,100万トン、最終処分量が6,000万トンということで、排出量に比べますと最終処分量は14%という状況になっているところでございます。
     次に、その下(2)のところでございますけれども、廃棄物処理施設の立地の状況でございますけれども、不適正処理などが頻発し、それが原因の1つとなりまして、廃棄物処理施設に対します住民の方の不安感、あるいは不信感といったようなことから、特に産業廃棄物処理施設の新規立地が大変困難な状況になっております。1ページの下の図にございますように、焼却施設あるいは最終処分場ともに10年度、11年度と新規の許可件数が激減しているという状況でございました。
     次のページ、2ページにまいりますけれども、これまでも最終処分場の立地というのがなかなか大変でございまして、この2ページの図のように、残存容量あるいは残余年数というのも横ばい、あるいはわずかにふえるという、非常に低レベルというか、低空飛行で推移していたわけでございますが、先ほど申しましたように、10年、11年と新たな施設が極端に誘致できにくくなっておりまして、全国平均で見ましても平成11年度の残りの年数、残余年数ですけれども、1.6年と、非常に厳しい状況になってございます。なお、後ほど少しパンフレットでお話し申し上げますフェニックス計画を実施しております近畿圏の状況というのがこの(3)の上の方で全国と対比して書いてございますけれども、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれ残余年数が書いてございますけれども、近畿におきましては、このフェニックス計画を入れて、ようやく全国をやや下回るという程度の処分場の確保状況になっているところでございます。
     こうした状況を踏まえまして、昨年の9月になります。ダイオキシン対策の関係閣僚会議におきまして、廃棄物の減量化の目標というのを閣僚会議の決定として決めているところでございます。この減量化目標の経緯は、ダイオキシンの削減という観点から、やはり廃棄物を減らすということが第一ではないか、不可欠ではないかということで決められたものでございますけれども、2番の内容のところにございますように、平成22年度を目標といたしまして、再生利用量の増加、あるいは最終処分量の削減ということを決めてございます。一般廃棄物につきましては、排出量を5%に削減しつつ、再生利用量を10%から24%に増加させ、その結果最終処分量を半分にしようということを目標にしてございます。産業廃棄物につきましては、排出量は残念ながら下水の普及率の増加ですとか、あるいは建物取壊し量の増加といったようなことがありますので、排出量をほっておく、そのまま推移したというレベルよりは相当抑え込んだとしても13%程度は増加するのではないかと見ておりますけれども、再生利用量の増加、あるいは中間処理の増加ということを図りまして、最終処分量につきましては、一般廃棄物と同様に約半分、3,100万トンにまで削減しようということを決定したところでございます。正直申しまして、この目標を達成するためには相当な努力が要るものと意識しております。容器包装リサイクル法ですとか、あるいは家電リサイクル法という既にある法律を確実に施行していく必要がありますし、建築廃棄物あるいは食品廃棄物の再資源化の仕組みというのを新たに設ける必要があろうかと考えてございます。廃棄物処理法につきましても本日改正案が閣議決定されたところでございまして、公共関与による安全適正な施設整備の推進のために、廃棄物処理センターの設立の要件緩和、あるいは不適正処理防止のための制度の強化などを行うこととしているところでございます。
     次に、個別のプロジェクトでございますけれども、大阪湾のフェニックス計画について簡単にご説明したいと思います。お手元にパンフレットをお配りさせていただいておりますが、パンフレットを開いていただきますと、真ん中のところに地図がございますけれども、この地図のところにあります2府4県の168の市町村を受け入れ対象区域といたしまして、大阪湾内の広域処理場で廃棄物を最終処分する計画であります。
     最終処分場の場所といたしましては、1番のところにございます埋立場所の位置及び規模というところに4つ処分場が並んでおりますが、このうちの泉大津沖、尼崎沖の処分場につきましては、もう既に埋立てを実施いたしておるところでございまして、平成12年度いっぱいぐらいで焼却灰などを埋立てる管理型の区画は満杯となる予定でございまして、現在、3番目の神戸沖の処分場の建設を行っているところでございます。平成7年に発生いたしました阪神・淡路大震災におきましては大量の瓦れき等の処分先となりまして、地域の復興にも役立ったところでございます。4番目にございます大阪沖の埋立処分場につきましては、現在、法律に基づく基本計画変更の手続を行っているところでございます。
     このフェニックス計画におきましては、貴重な海面を利用させていただくということで、できるだけ最終処分量を少なくするという観点から、実施主体であります大阪湾広域臨海環境整備センターにおいて処分量を推計するに当たりまして、関係府県あるいは関係港湾管理者と密接に連携をしながら推計を実施しているところでございますけれども、私どもの方からも先ほど申しました閣僚会議、減量化目標の決定を受けまして、センター及び関係府県に対しまして、こうした減量目標を踏まえてさらに廃棄物量の見直しを行うよう要請をいたしまして、その結果を受けましてフェニックス計画につきましても、当初予定していた埋立期間をさらに延長するという計画に変更していただいたところでございます。
     最後に、海面処分場における主な環境対策というところをご説明したいと思いますが、お手元の資料1の(3)海面処分場における主な環境配慮というところをごらんいただきたいと思います。
     まず、護岸の構造につきましても新たに計画しております大阪沖処分場につきましては、護岸の一部は傾斜護岸を採用して、人工海浜を整備したり、あるいは浅場を設けるとか、垂直護岸を採用するところにつきましても海水の鉛直混合が可能となるような構造を検討することとしております。
     次のページでございますけれども、工事中にはもちろん周辺海域に対する影響を防ぐための汚濁防止膜というのを張ることとしてございますほか、埋立処分場につきましても適切な処理に努めたいと思います。なお、直接海とは関係ございませんけれども、搬入車両につきましても受け入れ時間帯ですとか、搬入のルートを指定いたしまして交通公害の防止ということにも努めることにしているところでございます。
     受入廃棄物につきましては、事前の契約の段階で抜き取り検査などを行いまして受入基準に適合していることを確認するほか、適宜搬入されたときにも抜き取りの検査を行いまして、受入基準に合致していないものは持ち帰っていただくというようなことも行っているところでございます。
     それから5番の環境監視の実施でございますけれども、関係地方公共団体の環境部局で構成されます環境監視委員会というのをつくっていただいておりまして、その指導のもとでセンターにおきまして処分場からの放流水ですとか、周辺海域、あるいは搬入施設やその周辺、走行ルートの沿道といったようなところでのモニタリングを実施しているほか、今回の大阪沖の処分場に当たりましては、他の大規模な埋立てを行う事業者などとも連携をして環境監視を進めていくこととしているところでございます。
     (4)に減量化、資源化等の施策の推進というところでございますけれども、センターにおける受入基準をさらに見直すことによりまして、より減量化が図られるようにしているところでございます。本年の4月からし尿処理の汚泥、あるいは下水汚泥につきましては、焼却したものに限定するというようなことをすることとしておりますし、私どもの方からも関係府県には全国の会議等の場において、より一層の減量化を要請しているというところでございます。
     最後になりましたけれども、フェニックス計画におきましては、埋立て開始後もできる限り長持ちをさせるということで、減量化について努めていくこととしております。
     それからダイオキシン対策につきましても粉じんの飛散防止、あるいは処理水並びに周辺海水のモニタリングということにつきまして、関係法令で定められたレベル以上の厳しい対応に努めていくということとしているところでございます。
     どうもありがとうございました。
     
    部会長:どうもありがとうございました。ただいまの厚生省のご説明に対しご質問ございませんでしょうか。
     
    委 員:一般廃棄物も、それから産業廃棄物も排出量とそれから再生を除きまして最終処理というもので処理ということで見ますと、排出量の例えば5,300万トンのうちの、これも2つ合わせますと1,800万トンですね。そうすると、あと3,500万トン、それから産業廃棄物の場合もそういう計算をしますと1億8,000万トンというのが、ここでは廃棄物がどうなったかとかというのがわからないことになっているんですけれども、これは厚生省の所管ではないからということですか。
     
    厚生省:中間処理の段階で減量される量、例えば焼却すればその分減るわけでございますけれども、そういった量を中間処理による減量と呼んでいますけれども、その量をここに書いてないものですから、物質の収支がとれていない形に見えますが、事務局の方にきっちりした物質収支のデータをお出しして、先生方にまたお届けしたいと思いますが。
     
    部会長:よろしゅうございますか。また詳しい資料は出していただけるということでございます。
     ほかに。はい、どうぞ。
     
    委 員:産業廃棄物の中で汚泥というのがあるんですが、汚泥の中には陸上残土というのは入っているのでしょうか。フェニックスのところでは陸上残土という言葉が出てきているんですが。
     
    厚生省:この汚泥には残土は含まれておりません。
     
    委 員:そうしますと、陸上残土がどれぐらい出るかということの資料は、どこにあるんでしょうか。全国的なものは把握しているのは建設省さんの方ですか。
     
    厚生省:全国の量につきましては建設省の問題となっております。
     
    部会長:よろしゅうございますか。ほかに。
     
    委 員:このフェニックス計画のパンフレットを見ますと、埋立ての場所が4つあると。最初の2つは第1期計画の処分場だし、あとの第2期計画の処分場だと思うんですけれども、この面積及び埋立容量を見ると、第1期と第2期を比べると、第2期が随分小さくなっています。これは先ほど説明の中にあった減量化だとか、そういう目標を加味して、将来の廃棄物の発生量は小さくなるという、その前提のもとにこれも小さくなったのかどうかというところですけれども、わかる範囲でお願いします。
     
    厚生省:フェニックス計画におきましては廃棄物処理と港湾の適正な整備という2つの目的をあわせて行っているところでございまして、一つには港湾計画において適正な土地利用が見込まれる範囲ということがございまして、この規模に制約している要素がございます。ほか今、藤原先生がおっしゃったように、この規模を推計するに当たりまして、将来の廃棄物量を推計した上で規模を決定してございますので、減量化の効果というものも出ていると考えております。
     
    部会長:よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。
     では、一応これで厚生省のご説明は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
     では、続きまして運輸省、建設省、水産庁より続けてご説明お願いしたいと思います。3省のご説明が終わった後に質問の時間を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。では最初に、運輸省の方よりご説明お願いいたします。
     
    運輸省:運輸省港湾局環境整備課の海域環境対策室長をしております瀧本と申します。よろしくお願いいたします。本日はこういう機会を設けていただきましてどうもありがとうございます。
     運輸省といたしましては、港湾の整備、環境の保全、それから港湾法の一部改正案についてご説明を申し上げたいと思っております。資料の2の目次をこういうふうな形でご説明させていただきたいと思います。今お手元にパンフレットを委員の方々にお配りさせていただいておりますが、まさに港湾という言葉が英語でも使われていますように、港湾というのはインポート、エクスポートというような輸入、輸出をするところでございまして、貿易量の99.8%は港湾によって行われています。そういう意味で物流コストの削減、あるいは地球環境、CO2 の問題、それから産業の競争力強化という観点から必要なことといたしまして、港湾整備を推進しております。
     瀬戸内海におきましても、臨海工業地帯を中心としました生産活動が行われておりまして、現在約3割の製造品出荷額というものが全国に比べてございます。よってこの地域における物流コストの削減等が非常に重要な課題だと思っております。
     それから、先ほど厚生省からの説明と共通いたしまして、両省共同してやっております廃棄物処理の問題といったものについての海面処分場、あるいは阪神・淡路大震災のような大地震に対して、地震に強い港湾整備等が重要な課題であると考えております。
     それから、瀬戸内海の特色としまして、非常に多くの離島を抱えるものですから、日常生活の足の確保という観点からの港湾整備という部分もございます。
     以下、図によって説明をさせていただきますが、外貿コンテナは、日本全体でこのような形で伸びておりまして、特に輸入コンテナがふえてきております。それから、例えば徳山下松港におきましては、国際ターミナルというのを整備しているのですが、物流コストの削減に大いに役に立っているのではないかと思っているということでございます。
     それから、2ページでございますが、先ほどお話にありましたが、大阪湾フェニックスにつきましては、昭和56年の広域臨海環境整備センター法におきまして、大阪湾フェニックスセンターというのを設立いたしまして、2府4県168市町村の廃棄物処理に貢献してきたところでございまして、平成10年度までに3,000万余立米を受け入れてきたところでございます。
     大阪湾につきましては一般廃棄物の陸と海の処分量のシェアは4対6となっておりまして、海面が6ということでございます。ちなみに東京湾におきましては、海面が7割、陸上が3割という形になっております。
     それから3ページ目は廃棄物の海面処分場の整備港ということで、この廃棄物は広く一般・産業廃棄物、それから浚渫土なども含んでおりますが、瀬戸内海をめぐるこういった港におきましても現在整備中、あるいは受入完了あるいは計画といった段階で受け入れをしておるということでございます。
     それから神戸港におきましては緊急物資の輸送ということで、緊急物資・避難者・救援者の輸送に被災を免れた岸壁が役に立ってきたということでございます。
     それから4ページでございますが、フェリー・旅客船網といいますと、かなりこういった形で航路数が全国的にも多いという場所でございますし、左下にありますように、例えば今治−大島航路でございますが、離島の連絡ターミナルでございまして、通勤、通学など日常生活の足が確保されているということでございます。
     それから5ページでございますが、瀬戸内海における重要港湾というのがこういう形でございまして、瀬戸内海は、古くから交通の大動脈ということで、港湾の利用といたしまして貨物で46%、乗降客数で52%ということで、この地域だけで5割を占めてございます。港湾の数で見ますと、全国の3割ということでございますので、非常に港湾が高密度に利用されているという状況でございます。
     それから6ページでございますが、港湾計画、あるいは埋立におけます港湾環境への配慮ということでございます。後ほども説明いたしますが、運輸大臣が定める「港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針」は、港湾計画を策定するときの基本的な指針となるものでございますが、この基本方針に基づき、これまで計画策定時に環境アセスメントを実施しております。それから公有水面埋立でございますが、公有水面埋立法に基づきまして、事業者は免許願書に環境保全に関し講じる措置を記載した図書を添付することになっておりまして、出願された願書は告示・縦覧されるということでございます。
     それから港湾計画の策定に当たりましても、港湾の現状とか、背後地域からの課題、地元の要請、貨物需要等を十分に勘案いたしまして、所要の港湾施設を計画しております。それ以外にも緑地とか海浜、あるいは干潟等の位置づけをしましたり、下水の処理施設用地、廃棄物処理施設用地といった地域環境の改善に資する取り組みを行ってきております。
     瀬戸内海の港湾区域での埋立てでございますが、ご承知のように、ここの法律の13条1項ということで、その基本方針に配慮してやっておりますが、その際におきましても緩傾斜護岸の採用でありますとか、工事中の濁りを防止する工法の工夫といったことなど、海域環境の保全に十分配慮をしております。それからリサイクル推進の観点からもスラグ等の産業副産物も受け入れ等も進めております。
     埋立ての面積が下の方の図にございますが、高度成長期に多かった工業用地というのが減少いたしまして、埠頭用地ですとか、港湾関連用地などはほぼ同程度ということで推移しているという状況でございます。
     7ページ以下が瀬戸内海における環境保全に関する取り組みということで、7ページにありますのは、私どもが平成6年3月に出しました新たな港湾環境政策、環境と共生する港湾<エコポート>を目指してというものでございます。非常にこれは広範にわたる環境政策全体にわたるものでございますが、3つ柱がございまして、1番といたしまして将来世代への豊かな港湾環境の継承、2番目といたしまして自然環境との共生、3番目にアメニティーの創出と、こういうものを理念といたしまして行ってございます。
     実際に例えばこういうものに基づきまして、それ以前からもやっているものでございますが、ごみとか油の回収、それから緑地、海浜、干潟等の整備、それから廃棄物海面処分場の整備、それから汚泥への覆砂、あるいは汚泥の浚渫といった公害防止対策事業といったものが行われておりまして、瀬戸内海では全国の港湾環境関係の事業の4割が投資されているという状況にございます。
     それから海岸につきましても建設省から後からご説明があると思いますが、港湾海岸と言われてところにつきましては私どもの担当でございまして、生態系や自然環境等、環境と共生する海岸を整備する「エコ・コースト事業」というのも実施しているところでございます。
     8ページ以下がそういったものを絵にあらわしたものでございます。瀬戸内海のごみ回収量の推移ということで、港湾建設局の直轄事業で海洋環境整備船でもってごみとか油の回収を実施しております。
     それから大阪港におきましては、緑地事業の一環といたしまして埋立地の一部にこういった野鳥園というのを整備をいたしまして、随分他種類の鳥なり野鳥なりが確認されているということと市民の方が来訪していただいております。
     それから工法の工夫という観点では、三田尻中関港でございますけれども、透過式の防波堤による海水交換促進をいたしましたり、それから香川県北部でも浚渫土を利用しまして、一般海域で港湾建設局が覆砂事業を行っているということでございます。
     それから10ページでございますが、広島の宮島でございますが、ここにつきましてはかつては水質汚濁が進行いたしておりましたけれども、覆砂事業工事を実施いたしまして、水がきれいになるという状況が見受けられております。それから新北九州空港におきまして緩傾斜護岸による藻場の形成を図っております。
     それからエコ・コースト事業ということで、現在、モデル事業的にやっている中で広島県の竹原港海岸におきましては、こういったカブトガニの生息環境の確保、拡大といった養浜海岸の整備等を行っております。ここには書いてございませんが、ほかにも小島港でありますとか、それから環境に配慮した事業といたしまして徳山下松港あるいは下関港の厳流島、こういったところで行っているところでございます。
     それから12ページ以下が港湾法の一部を改正する法律ということでございまして、この法律案を現在通常国会に提出しておりまして、審議していただいております。衆議院の方では可決されまして、参議院が今残っているところでございますが、主な改正内容といたしましては、この5つございまして、この中で4番の港湾に関する環境政策の充実というのが関係しているところかと思います。港湾の整備を図るに当たりまして、環境の保全に配慮するということを第1条の法律の目的に明記いたしました。それから基本方針に港湾の開発等に際し、配慮すべき環境の保全に関する基本的事項といったものを追加いたしまして、港湾整備におきまして環境へ配慮してやっていくということを法律案に盛り込んだところでございます。
     以上、港湾整備、それから環境あるいは港湾法の一部改正案について述べさせていただきましたけれども、私ども港湾整備、あるいは管理運営に当たりましても、これまでもそうでございますが、環境の保全に十分配慮しながらやってきていると、これからもやっていきたいということでございます。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。では、次、続いて建設省よりお願いいたします。
     
    建設省:建設省河川局の防災・海岸課海岸室海洋開発官の岸田でございます。きょうはこういう機会を設けていただきありがとうございます。それでは座ってご説明をさせていただきたいと思います。
     建設省の方からは海岸法の改正ということにつきましてご説明を申し上げたいと思います。ご存じのように、海岸法自体が運輸省さんと農水省さんと建設省と3省の共管でございますが、建設省の方から概要につきましてご報告をさせていただきたいというふうに思っております。
     ちょっとページ数が書いていなくて恐縮でございますが、目次をお開きいただきますと、8つほどのポイントが書いてございます。今回の海岸法の改正で、実は右側にございます3つほどの大きな観点があるのではないかというふうに思っております。1つは環境・利用の観点からの改正、それからもう1つは地方分権の推進の観点からの改正、それからもう1つは事業の透明性の確保という問題からの観点からの改正という3点でございます。
     それで目次ですとわかりにくいと思いますので、資料をめくっていただきまして、1ページ、2ページからお開きをいただきたいと思います。ちょっとA3判で見にくくて大変申しわけございません。1ページ、2ページをお開きいただきたいと思います。まず第1点が目的の改正でございます。実は現在の海岸法というのは昭和31年にできた法律でございます。今から44年前の法律でございまして、当時は戦後の疲弊した国土を台風ですとか、あるいは津波といったものが来襲いたしまして、ある意味で非常に大きな災害が起きたわけでございます。それに呼応しまして海岸法という法律が昭和31年にできたわけでございますが、この目的は、津波、高潮、波浪等の海岸災害からの防護というものを主目的にした法律でございました。
     その後、例えば考えておりませんでしたような海岸浸食の進行ですとか、あるいは海岸環境への認識の高まり、あるいは海洋性レクリエーション需要の増大、こういった問題が進行いたしまして、また昨今では油の流出事故、あるいはウミガメの産卵地に車が乱入するいうような問題等もありまして、ある意味で言いますと、今までの事業、あるいは管理だけでは対応できないという観点、それからもう1つは昨今の地方分権化の推進という問題がございまして、昨年の5月28日に防護・環境・利用というのを目的に入れました新しい海岸法が公布されたところでございます。施行はことしの4月1日を予定しておりまして、今、現在、準備の作業をしているという段階でございます。
     続きまして3ページ、4ページをお開きいただきたいと思います。4ページの上の方にございます。今回、環境・利用を目的に入れた、あるいはいわゆる海岸法のエリアを少し見直したという話がございます。これは何かと申しますと、4ページの上の方にございます日本の海岸線が約3万5,000キロでございます。そのうち現在の海岸法で対象にしておりましたのは、海岸保全区域という約1万4,000キロを対象にしておりました。今回の改正でいわゆる例えば3ページの下の写真にございますような砂浜の海岸、あるいは岩礁の海岸、こういったものを一般公共海岸という名前で呼びまして、一般公共海岸区域というのを1万4,000キロ含めまして全体2万8,000キロが今回海岸法の対象になったということでございます。黄色のその他というのは、河川とか、道路ですとか、あるいは空港ですとか、鉄道ですとか、そういったものが含まれているというものでございます。ただ、これは一般公共海岸を入れてというのを拡大して、今後ますます事業をやっていくのではないかというような話でございますというのと違いまして、一般公共海岸区域というのは、いわゆる例えば砂を取ってはいけないというような現状維持的な防護以外に環境、利用というものを、調和のとれた海岸管理を推進していくというものでございまして、物をつくると、そういうものにつきましては海岸保全区域、例えば堤防ですとか、護岸とか、そういうものをつくるというのは海岸保全区域だけということでございまして、従前どおりで、1万4,000キロというのを一般公共海岸区域として入れましたのは、いわゆるこの環境、利用というものを主体的に管理をしていくというものでございます。ちょうど4ページの中段にございます、従来、この一般公共海岸区域につきましては海岸法ではなくて国有財産法というような法律で管理をされておりました。そういったものを今回海岸法に位置づけをしたという内容になっております。
     続きまして5ページ、6ページをお開きいただきたいと思いますが、具体的に環境利用、あるいは環境整備、保全というものが今回目的に入ったわけでございますが、具体的に事業面ではどのように変わっていくのか、あるいはどのようなことをしていくのかという話でございますが、まず、砂浜の保全、回復を主体とした整備に転換をしてまいりたいというふうに思っております。ちょうど5ページの上の方に写真が載っております。海岸堤防の前面にブロックが非常に並んでいる、非常に景観上問題があるということで、このブロックを沖側に転用をいたしまして、その海岸線は養浜等をしまして、美しい海岸線が戻るというような整備に転換をできるだけしてまいりたいというふうに思っておりますし、また右側に従来からも単に直立堤防、あるいは消波工というものをつくりますと、どんどん海岸浸食が進行してきて、それが壊れてしまうというものがございましたので、沖合で波を消波させる人工リーフですとか、そういうものをつくりまして養浜、それから緩傾斜堤防といった面的防護の方式の整備を推進してまいりたいというふうに思っておりますし、また6ページの下側にございますようなヘッドランドということで、どちらかというと、T型突堤に似たような形でございますが、砂浜を安定させていくというような工法をとってまいりたいというふうに思っております。
     その具体的なものは7ページに書いてございます。今回、海岸法の中にいろいろ施設の定義が載っております。堤防とかそういうものが載っておるんですが、今回、海岸保全施設としまして砂浜という明示をさせていただきまして、離岸堤というのも明示をさせていただいたんですが、これは人工リーフというものを設定しています。砂浜というものを養浜、あるいは保全をしていくような砂というような下側の写真に書いておりますような、このようなものを積極的に整備をしてまいりたい、あるいは保全をしてまいりたいというふうに思っております。
     続きまして9ページ、10ページにまいりますと、事業面ではなくて管理面の方から具体的にどのようなことをしていくのかという話でございますが、環境の保全という観点から申し上げ、利用の観点もあるわけでございますが、3つほど大きな点がございますが、1点目に、まず海岸保全施設を損傷したり、油事故等で汚損したり、そういうものを禁止をしていこうというようなものですとか、あるいはもう1つは指定された区域におきまして、ウミガメが登るような海岸、あるいは右の方にありますような、10ページにありますような、海浜植物の群生地に車ですとか、あるいは船舶が例えば放置をされたりというようなことがないようにしていこうという、みだりに行うような行為を禁止をしていこうという話ですとか、あるいは10ページの上の方にございます油の関係につきましても禁止をしていくというような処理をしていくことによって、それらにつきましては、それらの禁止行為を犯した者につきましては、罰則を適用していくというような改正をさせていただきました。
     また10ページの右下にございますような船舶とか、自動車というのは、なかなか所有者が特定をできないということがございますので、これは河川法でも、既に改正をしておりますが、簡易な手続でそういうようなものを売却、廃棄ができるといような措置ですとか、あるいは油の事故にダブりますが、油濁事故の関係としまして、原因者の関係の施行、負担というものを明確に位置づけをさせていただいたというような改正をさせていただきました。
     それから11ページ、12ページに、もう1つの大きな観点でございます計画制度の改正というものをさせていただいております。11ページの方に書いてありますのが従前の海岸法でありました計画の手続でございますが、従来は海岸保全施設の整備基本計画というものを都道府県がつくっていただいて、これに基づいて整備を推進していくということは、施設オンリーだったわけでございますが、12ページのように、今回改正をいたしまして、海岸保全基本方針という全国的な方針を主務大臣がつくりまして、この中で具体的に海岸をどうしていくのか、あるいは広域海岸の区分、下にあります海岸保全計画というのをつくっていただくという区分をつくるというような方針を示させていただいた、そのときに関係行政機関としまして環境庁を初め3省庁とご協議をさせていただきまして、海岸保全基本計画というのを都道府県知事につくっていただく。これは施設だけではなくて、環境、利用も含めたような項目にしていくというものでございまして、手続もこの下に書いてありますような住民の意見、あるいは学識経験者等の意見というものを反映させていただくような手続とさせていただきました。
     それから地方分権の観点から申しますと、13、14ページにございますような海岸が直轄の代行制度というのがございましたが、領土、領海に直接絡むような沖ノ鳥島というものがありますが、これを国が直接管理していくという制度をつくりまして、これは東京から1,800キロ弱離れているところでございますが、非常に孤島でございますが、この部分だけで40万平方キロというような排他的経済水域を持っているということで、この島を直轄管理をしていくという制度をつくらせていただきました。
     また一方、国の直轄管理をしていくということだけではなくて、逆に15ページ、16ページにございますが、今まで都道府県が中心になっておりました海岸管理という問題につきまして、今回は例えばお祭りですとか、イベントですとか、海の家ですとか、そういったものが市町村さんがやりたいと、管理をしていきたいというような発意を持たれた場合については、積極的に都道府県が協議に応じて市町村はそういう管理ができるというような管理のシステムを入れさせていただいたというような改正をあわせてやっておりまして、そういった意味で国の部分だけではなくて、市町村の参画できるようなシステムというものを積極的に入れさせていただいたわけでございます。
     先ほど申し上げましたように、昨年の5月28日から公布で、ことしの4月1日から施行の予定でございますが、実は先ほど申しました沖ノ鳥島の直轄管理だけにつきましては、昨年の6月23日に既に施行になっておりまして、既に直轄管理をしているという状況でございます。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。では、続きまして水産庁よりご説明をお願いいたします。
     
    水産庁:水産庁の漁港部計画課長の長野と申します。
     水産庁では全国で約3,000の漁港を所管しております。この漁港の整備事業に伴いまして埋立てという行為が生じます。ここにある資料4の資料には、漁港における埋立ての特徴、さらに埋立てにかかわる環境施策について記述しております。
     まず1ページをお願いいたします。漁港に係る埋立ての特徴ということで、漁港における埋立ての必要性について述べるとともに、漁港は単なる漁船の係留施設を確保するばかりでなく、ここにありますように、養殖漁業等漁業生産活動の基地であると、それから水産加工、流通加工の基地の機能を持つことを述べています。離島等における定期船・フェリーが発着する玄関の役割を果たす、山がちで平地が少ない漁村の生活の場である、潮干狩り、海水浴や海洋性レクリエーションの活動の拠点であるというような機能を有しております。 それにもかかわらず、上に述べておりますように、約7割の漁港、漁村が過疎、離島の条件不利地域に立地しておりまして、さらにその漁村の背後は山が迫っております。約8割が平坦地が少なく、山が迫るという地形条件になっております。
     そのような中で先ほどのような、ここの下に書いてあるような機能を果たすためには、漁業生産、就労環境及び漁村の生活環境の改善をするということで埋立てが生じるということになります。
     次に2ページ目お願いいたします。漁港における用地造成の埋立ての特徴でございます。最近の動向について記述するということになっておりますが、漁港における用地造成の特徴ということで述べております。漁港は水産業の基地であります。漁港の中で活魚の畜養業や養殖業、そういうものを保管していく機能もありますので、当然漁港整備の際、埋立ての際には沿岸域の環境保全に最大の配慮して工事を行っております。
     具体的にどういうことを配慮しているかというと、ここに3つ箇条書きしております。埋立面積を必要最小限にとどめる。それからいろいろ施設整備に当たりまして、水域の埋立てがいらない工法をとる。必然的に瀬戸内海は潮位差が大きいので、いわゆる係船等にはポンツーン形式のもので対応しております。それから用地造成の場所や大きさ等の検討に当たっては、周辺で行われている養殖漁業等漁業生産活動へ影響がないようにするということで、沿岸環境の保全に配慮し、自然との共生を図っております。
     そのため、漁港の用地造成については、漁港数が多いということと、こういう配慮をしていることで、その大部分が9割が1ヘクタールに満たない小規模な埋立てが多い状況となっております。
     現在、第9次漁港整備計画期間中ですけれども、瀬戸内面の用地造成を計画している港は125港ありまして、その8割が1ヘクタールに満たないと。計画している最大の埋立面積も5ヘクタールというふうになっております。
     次に3ページに、こういう埋立てに係る環境政策をどのようにしているかということで記述しております。
     1番目に、第9次漁港整備長期計画の基本目標ということで、この第9次漁港整備計画は平成6年から平成13年の8年間において行われておりますけれども、この基本目標に「美しい海辺環境の保全と創造」という目標を立て、その整備方針の中でも「環境の保全及び景観との調和に十分配慮する」ということを掲示しております。
     具体的には4ページにございますけれども、具体的にはこういう整備方針の中で、どういうことをやっているかということで、いろいろ配慮することについては先ほど述べたように@、A、Bということで行っておりますけれども、具体的な事業として種々の事業を創設しております。
     T番に自然調和型漁港づくり推進事業、平成6年に創設しております。環境保全に関する関心の高まりに対応して、周辺環境への影響緩和等自然環境との調和に配慮した漁港整備を推進するということで、後ろの方にどういうものかということを書いております。
     それから水域事業保全対策事業ということで、ヘドロの除去、覆砂及び藻場・干潟の整備を推進しております。
     次のページにマリン・エコトピア21ということで、水産庁の事業の中には漁港整備事業のほか、沿岸漁場整備開発事業等種々の事業がございますけれども、こういう水産庁の関係事業によって総合的に重点的に環境の保全、創造をやるために事業をするところで事業支援をしております。藻場・干潟、海浜の整備やヘドロの浚渫等を総合的・計画的に推進するという事業でございます。
     それからW番目に、流入負荷の削減による海域環境改善の推進、漁港事業の中に漁村整備事業というのがございまして、その中で集落から出てくる生活排水、それから漁港から出てくる加工排水等を排水処理をするという施設整備を行っております。
     以上が具体的な事業でございます。
     以下、それらの中身、今、説明したことの具体的な、あるいはどういうものかということを以下ずっと資料としてつけております。以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。ただいま運輸省、建設省、農水省からご説明いただきましたが、これについてご質問お願いいたします。
     
    委 員:これは建設省さんにお聞きするのがいいと思うんですが、海岸法の改正で環境・利用の面からの改正ということになっているわけですが、1つは兵庫県の高砂の人たちによって提起された入浜権という問題がありますよね。環境権としてはちゃんとは認められてないようですけれども、精神としては非常に妥当なものだと思うんですが、つまり一般の人が今まで自由に海岸線に行けていたものが、そこに私有地になって工場ができると、なかなか海岸線に行けなくなるとか、あるいは埋立てをする。今まで自由に行けたところが、その先を埋立てして何か施設ができる。自由に海岸線に出れなくなる。こういった問題については、海岸法の中で何か考えられているんでしょうか。
     
    建設省:今、ご指摘の入浜権云々という問題につきましては、法律の云々という問題もあるようでございますが、今回の海岸法の中では、ここにつきましては、そういう入浜権云々ということにつきましては対処しておりません。
     
    委 員:いや、言葉として出ていないとしても、そういう問題が考えられて、こういう部分でこういうふうに対応できるんだというようなのはないですか。
     
    建設省:今、前段で申し上げました法律云々と申し上げましたのは、入浜権につきましては法律の観点での整理という意味で、その判例ですとか、いろいろな意味での整理がまだついていないということで申し上げた話でございまして、そういう前提のもとに今回の海岸法では議論になっていないということでございました。失礼しました。
     
    部会長:よろしゅうございますか。
     
    委 員:今のご質問とお答えと少し関連があるんですが、4ページの区域の分類がございますね。従来は海岸保全区域というもので、ある種の工事対象区域だったわけですね。工事をするための対象という観念が強かったと思うんです。それで工事の分担が各省庁で決まっていた。ところが一般公共海岸区域というのは、これは別に工事を必ずしもするわけではない。むしろ管理が1つの仕事だ。その他というのはまたよくわからないんですが、そのほかがその他ということですか。この点が一体何事が起きるのかが私にもよくわからないんです。今、入浜権というお話が出たんですが、入浜権というような言葉を使うかどうかは別として、国有財産法というのはなかなか難しい法律で、私有地以外が全部国有地だということで始まった地域があるわけですね。ですから、そこは所有権未確定的な歴史があるところが多い。私有地になっても入れろというのは、これは入浜権の議論からしてもなかなか難しいと思うんですけれども、そういう意味で国有地になっていたところを何か法律ができて、いわゆる国有財産、つまりさくをして入れなくするような国有財産になるんじゃないかという懸念があるんですね。なぜそういうことかというと、これは建設省なんですが、同じ建設省ですが、国設公園というのをやっていらっしゃる。私、この間、福岡の雁巣へ行ったんですけれども、柵して入れないわけですよ。あれ昔は松原でみんな入っていたんですね。それと同じようなことがこの海岸法で始まるとしたら、これはちょっと入浜権以前の問題として、つまり国有財産なり海岸なりというものの観念がこういう法律ができたことによって変わるというのは、これはちょっと容易ならざることだと思うんです。そういうことからいきますと、今、申し上げました一般公共海岸区域とか、その他というのは一体今後どういう法律的なポジションになって、建設本省なのか、あるいは地方公共団体にもなるわけですけれども、そういうところが何を始めようとしているのかというのがわかりませんので、その点についてちょっとご説明をいただきたいというふうに思います。
     
    建設省:ちょっと説明不足で申しわけございませんでした。3ページの図面はこれですべて全部言い足りているかといいますと、多分いろいろなケースがあると思いますので、決してこれがすべてこうだというわけではないと思うんですが、今、ご質問の趣旨からお察しするに、一般公共海岸区域を例えば海岸法に入れたから、何かさくをしてどうのこうのとか、そういうことは全然考えておりませんし、従来の管理とその部分については全く変わりないというふうなお話をしたというふうに思っているんです。
     それから、その他というのは、ちょっとここにその他というふうに書いてあるから誤解を持たれるかもしれませんが、先ほど河川とか道路とか鉄道とか、あるいは空港とか、そういうものを申し上げましたのは、それぞれ区域については、それぞれの法律体系といいますか、そういう管理者がいらっしゃって、しっかり管理をしているという意味でその他というふうに表現をさせていただいたわけでございまして、何かこれによってまた変わるということを言いたいわけではございませんで、申しわけございませんでした。
     
    部会長:よろしゅうございますか。ほかに。
     
    委 員:建設省さんにお聞きしたいんですけれども、土石の採取につきまして古い海岸法と改正海岸法で、どのように変わってきているんでしょうかという点ですね。
     それから運輸省さんの方に、要するに港湾域で浚渫というのが多分あると思うんですけれども、そういった浚渫土は受け入れにつきましては、フェニックスはそういう浚渫土も受けないというふうに、新しいやつでは、先ほどのご説明であったようですけれども、港湾域での浚渫土砂の持っていき場所とか、あるいはどれぐらい浚渫しなければならないかという見通し等について伺えたらと思います。
     
    建設省:建設省では前の部分のご質問かと思いますが、土石の採取という問題につきましては、一般公共海岸区域につきましては従来の国有財産の管理ということでやっておりましたので、そういった意味ではそういう土石の採取自体が全然見られていないといことではないのですが、今回、この一般公共海岸区域も海岸法の中に入ったということで、海岸保全区域については従来から土石の採取についても監視をしておりますので、そういった意味では一般公共海岸区域も海岸法の中に入ったということからしますと、反射的な考え方になるんですけれども、管理は変わりないんですが、そういった意味では新しい海岸法になって、環境・利用の調和のとれたような土石の採取についても厳格な管理をしていくようになると思っております。
     
    委 員:そうしますと、採取量から見ますと、今後は抑える方向にいこうということなのか、採取量の変化というのは、これまでどれぐらいの量があって、今後見通しとしてどういうふうに進んでいくのか、その点の話をちょっと聞かせていただきたいと思います。
     
    建設省:具体的な数字まではちょっとデータを持ってきてないんですが、感覚から申しますと、海岸保全地域については土石の採取は禁止といいますか、具体的に監視をしておます。禁止をしております。そういった意味では、一般公共海岸区域について公共財産として今まで管理をしていたということもありますので、そこの部分について具体的にどうなるかというところまでは、ちょっとはっきりは説明はできませんが、少なくとも同じ視野でといいますか、同じ観点で今後管理をしていくということにはなってくるのではないかという意味でございます。
     
    運輸省:港湾区域での浚渫土の話でございますけれども、基本的には港湾の中で発生したものは、その港湾の中で使うというふうな原則でございます。ただ、そこで量のギャップがあるような場合には、それは先ほど資料の3ページでご説明したように、他の港の方に持っていくというようなこともありうるということでございます。
     それから全体の量につきましては、今数字を持ち合わせているわけではございませんが、やはり港湾におきまして、先ほどの1ページにございますが、船舶の大型化に対応せざるを得ないような場合には、航路を深く掘る必要もある訳ですので、必然的に量もまた発生するということでございます。
     
    部会長:よろしゅうございますか。ほかにどうぞ。
     
    委 員:皆さんのご質問と少し角度が違うかと思いますが、海砂利採取のときもそうだったんですが、各省庁の方のご意見を伺っていたら、瀬戸内海の環境を守るというふうな立場で来ている私に対して、どの方も「こういうことですから、止める訳にはいきません」と言い、結局そのことをどの程度私たちが認めるかみたいなことなのかなと思うんです。例えば運輸省さんは物流コストの削減のために、まだまだ港が要るんだと、また水産庁さんは農漁村の人たちの生活のために要るんだと言われ、そんなふうにして今日まできてしまったんじゃないかなと思うのです。それをストップするのが瀬戸内海環境保全審議会や環境庁の人たちだけでなく、運輸省の人も水産庁の人もみんなが「今まではそうだったけど、ここで止まって、自然を壊してきたことをを考え直さないとダメではないか」というふうな立場に立ってもらえないものかと思うんですが。
     
    運輸省:行政の中でもやはり非常に環境との接点がふえてまいりまして、NGOの方も含めまして、環境庁ということが同じだと思いますが、そういうことで事業を整備する側においても、常にそういうことを念頭に置いてやっていくということに、今なっていると思います。ですから、運輸省の中の人間も本当にそういうことを考えながら常にやってきて、例えば私どもとしましては、そういう干潟などの復元といいますか、過去あったものについてできるだけもとの形になるような、しかも単につくるということではなくて、いろいろなモニタリングをしながらいいものをつくっていくということで、行政自体が少しずつ変わってきているということはご理解いただきたいと思っております。
     
    部会長:よろしゅうございますか。ほかに。
     
    委 員:自然との共生だとか、環境保全という言葉は必ず載っているのですが、それさえ言えば免罪符になるような気がしてなりません。できましたら、何かするけれども、そのことは考えているよというのはやめて、何かするということ自体を、立ちどまって考える時期じゃないかなと思うんです。例えばスイスにはもう建設省がないんだとかいうことを聞いたのですが、そこまで過激なことは申さなくても、本当に何かをつくるということをストップして、今まで壊してきたもの、河川の方が護岸をもう一度壊してもとに戻すみたいな、そういうことを各省庁の方がみんな考えてほしいと、もう一度すみません、申させていただきます。
     
    部会長:そのほかにございませんか。
     
    委 員:運輸省の方にお聞きしますけれども、これまでかなり港湾関係でも埋立てがなされてきたんですけれども、例えば工業用地であるとか、緑地であるとか、住宅用地であるとかということで、今なっているんですが、このうち遊休地というのはどの程度あるんですか。そういうデータはお持ちなんですか。あるいは港湾関係だけでなくてもいいんですが、要はこれまで埋立てなさるのも厚生省関係でもかなり廃棄物関係で埋立てもしておるんですけれども、要はその跡地利用が進んでないというデータがどこかお持ちかどうか、その辺をお聞きしたいんです。
     
    運輸省:今、手元には持ち合わせておりません。港湾計画で計画としてその土地利用は決まっているんですけれども、まさにまだ動いていないとか、稼働していないということは、あろうと思います。数字はちょっと持ち合わせてございません。
     
    委 員:それはないという、今持合せがない、あるいは全然ないという。
     
    運輸省:ないと思いますが、そこらを含めてちょっと調べてみないとわかりません。
     
    部会長:そういう実態もまたデータいただいて、勉強させてもらうといいと思います。よろしくお願いします。ほかにございませんでしょうか。
     1点お聞きしたいんですが、今までのご説明の中で、砂浜の養浜事業ですね。これは建設省で今、海岸の方の関係でお話になっていると。それから水産庁の方で藻場・干潟のお話があったですね。これはどうなんですか、私、よくわからないんですが、どことも、うちの所管が、養浜はこちらで、それから藻場・干潟はこちらとか、そういうすみ分けがあるわけではないんですか。それはどこがやってもいい。例えば港湾区域の藻場・干潟は、現在の制度で言えば運輸省でおやりになると、そういうふうに解釈してよろしいですか。はい、わかりました。
     ほかにございませんでしょうか。
     では、お三人の方のご説明どうもありがとうございました。
     では、続きまして国土庁よりのご説明をお願いいたします。
     
    国土庁:国土庁計画調整局の丸山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、こういう機会にご説明をさせていただく機会をいただきまして、どうもありがとうございます。では、座らせていただきます。
     私どもの説明につきましては、お手元の資料5と書きました沿岸域圏の総合的な管理関係資料という書いているものにつきまして説明をさせていただきたいと思います。1枚めくっていただきますと、沿岸域圏総合管理計画策定のための指針ということで、12年2月国土庁と書いたものがございます。私どものご説明は、今まで厚生省さんに始まりまして水産庁さんまで個別のさまざまな施策目的を持った個別の法律に基づく施策を地域において全体的に束ねる形での計画をつくっていきたいということで、その計画をつくるため指針ということで昨今あらわせていただいたものにつきまして説明をさせていただきたいと思います。ですから、簡単に言いますと、今までのご説明が縦に深くよりきちんとしたものであるというのに対しまして、私どものものにつきましては横に広く、若干ゆるやかな、いわゆる地域におきます約束事としての計画を地域ごとにおつくりいただくという観点での計画策定を推進してまいりたいということでございます。
     お手元の資料非常に厚うございますけれども、この中で、すみません、60ページ、後ろの方なんですけれども、60ページをごらんいただきたいと思います。これは私どもの方で一昨年の3月に策定をいたしまして、最終的には閣議で決定をいただきました「21世紀の国土のグランドデザイン」の抜粋でございます。いわゆる第5次の全国総合開発計画でございまして、こういうネーミングになっておりますのは、全国総合開発計画という名前から想起されるものがいわゆる列島改造的な開発計画といったニュアンスであると思われますけれども、実は内容的には環境への配慮を含めまして、さまざまなすそ野の広いというか、手前みそになりますけれども、内容にさせていただいているということを少しでもタイトルとして体現させていただくために、こういったグランドデザインという名前にさせていただいております。
     この中で分野別施策の基本方向と上に書いてありますけれども、ということで海洋沿岸域に関します施策を挙げさせていただいておりますが、この中の2番に沿岸域圏の総合的な計画と管理の推進といったところがございます。その中で冒頭からありますように、沿岸域の安全の確保、多面的な利用、良好な環境の形成及び魅力ある自立的な地域の形成を図るため、ずっとありまして、地方公共団体が主体となり沿岸域圏の総合的な管理計画を策定し、各種事業、施策、利用等を総合的、計画的に推進する沿岸域圏管理に取り組むということがございます。
     すなわち沿岸域ということにつきましては、漠としたイメージとしましては、陸域と海域の接点のある一定の地域ということで言えようかと思いますけれども、ここを他の地域とはひとつ特別扱いをして、その沿岸域というものをとらえて計画をつくっていこうという取り組みにつきましては、実は昭和50年代からこういう考え方はございまして、第3次の全国総合開発計画の中でもそういうものをあらわさせていただいておりました。ところが第4次の全国総合開発計画がちょうど昭和63年なんですけれども、そのときにはウォーターフロントブームといいますか、いわゆるウォーターフロントをいろいろな形で楽しめる場所に整備をしていきましょうという、非常に開発圧力の強い時代であったというふうに理解をしておりますが、その中で総合的な管理をしていくというところが少しトーンダウンをしたのは否めないと思いますが、昨今の予想を上回るといったら、非常に認識不足だとおしかりを受けるかもしれませんが、いわゆる環境に対する非常に高い要請を受けまして、再度総合的管理計画なるものの策定というものをこのグランドデザインの中に示させていただいております。
     それで、先ほど読み上げました後に、そのため、ということで、国は計画策定指針を明らかにしというのがありますけれども、いわゆる計画をおつくりいただくのは地域の方々、地方公共団体を中心といたします地域の方々でありますけれども、やはり沿岸域というところに対する計画づくりをしていくためのガイドラインは国の方で示していこうという考え方がこの中に盛り込まれております。
     振り返りますれば、このグランドデザインという21世紀の国土のグランドデザインのそもそもの考え方が、参加と連携という考え方に立脚してございまして、いわゆる参加といいますのは、今までの行政主体だけではなくて、さまざまな民間主体でありますとか、あるいはNPOの方々でありますとか、いろいろな方々にご参加をいただいて地域づくりを進めていきましょうという考え方でございます。それから連携と申しますのは、いわゆるよくフルセット主義という言葉をお聞きになろうかと思いますけれども、1つの地域で、その地域の方々のためにすべての施設をそろえてあげるのではなくて、ちょっと見れば隣に同じような市町村があれば、そこが手をつなぎ合って、施設なり何なりを分け合ってやっていけば、より効率的な投資ができるのではないかという観点からの連携ということでございまして、この参加と連携という思想の中で地域が地方公共団体を中心といたします地域のいろいろな方々が計画を策定する際に、そのためのガイドラインというのを国の方で示させていただくというものでございます。
     そのために、この62ページ1枚はねていただきまして63ページに沿岸域圏分科会設置要綱というのがございます。これはいわゆる全総計画をつくった後に、つくり放しではなくて、それを適切に進めていくという観点から、この設置要綱の右下に「21世紀の国土のグランドデザイン」推進連絡会議というのが書いてあると思いますけれども、この全総計画に関係します関係22省庁で構成をしております全総推進のための連絡会議がございますが、その中に沿岸域圏分科会ということで設けまして、これは17省庁のご参加をいただいた形で、この2月まで議論を続けまして、この指針を決定していったという流れでございます。
     それで、すみません、前置きばかりが長くなってしまいましたけれども、初めの方に戻っていただきまして目次の後に1ページ目がございます。これがこの指針の全体構成を示しておるものでございますので、このページに従いまして説明をさせていただきます。この指針につきましては、繰り返しになりますが、各地域におきます、ゆるやかな約束事をつくるんだという観点での計画だというふうにご理解をいただければと思います。
     それで、まず、この指針の中には左側でございますけれども、左側の上の左から2つ目の四角の中にございますけれども、今なぜ沿岸域の総合的管理というのが必要なんだということをまず述べさせていただいております。それに基づく基本理念として3つ挙げてございまして、その下でございますが、1つは美しく安全で生き生きした姿の沿岸域を子孫に引き継ぐこと、2番目が良好な環境の形成、安全の確保及び多面的な利用の調和を図ること、それから3番目が多様な関係者の参画により、魅力ある自立的な地域を形成することというものを挙げさせていただいておりまして、こういった視点から計画づくりをしてくださいということをこの中に申し上げてございます。
     それで計画の策定についてですけれども、右側の方に移りますが、沿岸域圏総合管理協議会というものを地元の方でおつくりになって、それで皆さんでご議論をした上で計画をおつくりくださいというものを上げさせていただいておりますが、少し詳しく書いてありますのが、すみません、あちこち行って申しわけありませんけれども、30ページをお開きいただきたいのですけれども、計画の策定のやり方をこの1枚のイメージ図であらわさせていただいております。この計画の策定主体を協議会という形にさせていただきまして、これは何回も申し上げて申しわけありませんけれども、地域での約束事をつくっていくという観点からいけば、みんなで議論してみんなで計画をつくるという形をとらせていただいております。諸外国にはこういった例があると思いますけれども、それにあえてチャレンジをしていくということなのかもしれません。その協議会の中に地方公共団体のほか、各関係者にお入りいただくという形の協議会をつくらせていただきまして、もちろんその計画の推進をしていくための一番の主体でありますのは、やはり行政体でございますので、行政連絡調整会議なるものとやりとりをしていくということにさせていただいております。
     また、当然沿岸域という、極めて専門的だという理解をしておりますけれども、専門的な技術を要する場合が多々あるだろうということで、その下の左側でございますけれども、技術専門委員会なるものを必要に応じておつくりいただきたいと。それからさらに沿岸域圏委員会と書いてありますけれども、いわゆる関係者間の調整を少し、大きなテーブルの上ではなくて、若干小さめのテーブルの中で利害関係者間の議論をしてくださいというための沿岸域圏委員会というものをこの下部組織としてつけるという形にさせていただいておりまして、最終的にこの協議会が決定しました計画につきまして、この実行性をできるだけ担保をしていきたいということから、一番上に計画認定機関という仰々しい名前をつけておりますが、いわゆる当該都道府県の知事にここをお認めいただくというような、それで約束事として成立させていくという計画のシステムをこの中で出させていただいてございます。
     すみません、また1ページ目に戻っていただきたいんですけれども、1ページ目に、そういうことで計画の策定をしていくわけですけれども、あと、沿岸域圏の設定ということをその下の四角の中に書いておりますが、いわゆる沿岸域につきまして、どういう圏域を対象として計画をつくっていくのかということにつきまして、まず地域でお決めくださいということを言っておるんですが、ただ単に決めてくださいと言ってもなかなか難しい問題があろうと思いましたので、その後の5ページ目に一応海岸線方向の区分設定図ということで、これはあくまでもこういった、いわゆるこれは矢印から矢印の間の海岸線を対象としてやっていってはどうでしょうかということを提示させていただいているものですけれども、一応全体でたしか41だったと思いますけれども、48です、すみません、48の分類の出させていただいているということでございまして、この会に関係をいたします瀬戸内海につきましては、一応全体で6つに分けさせていただいているような形になってございます。
     それから1ページ目に戻っていただきまして、最終的にそういった圏域の設定をした上でマスタープランをおつくりいただくという形にさせていただいておりますけれども、マスタープランの内容につきましては、地域の方である特定の課題を設定をいただきまして、その課題についてどういう施策を講じていくべきなのかということを、そのための方針でありますとか、あるいは事業施策を上げるであるとか、あるいは最終的に事業というか、施策を推進していくための方策、それに定期的な評価をつけるような形の計画にしてくださいということを上げさせていただいておるわけでございます。
     非常に簡単な説明でございますけれども、一応こういった形で指針を提示させていただきました。それで、今、各地方公共団体の方にこういう形でお示しをさせていただいておりまして、これからはモデル的に、まず全国一律にこれをつくっていくといいましても、なかなか無理があると思いますので、まずは地方公共団体の方に声をかけさせていただいて、その中でモデル的なプランをつくっていくということを考えているところでございます。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。ただいまのご説明に対してご質問、どうぞ。
     
    委 員:これからの質問は決して嫌みとか、いじわるでなく、私自身の無知からくる質問なんですが、国土庁とか、国土利用計画というのは、私ども素人の考えは、国土を有効、安全に利用しようというふうな立場で総合的な方針等を決めるところというふうに思っておりました。
     ところが、私、九州の大分でございますが、漁村の活性化のための漁港整備事業等というのがあるとすれば、すぐ港ができまして、そして国土利用の図が入れかわると。そういうときに、国土庁とか、その辺をどういうような判断基準を示しているのか、私ども見えないんですね。どうも地図を書きかえるだけが国土利用計画の仕事かなというふうな、そういうふうな単純な私の誤解かもしれませんが、思っておりました。しかし、今後、きょうのお話の中で、そんなことじゃなくなるぞというふうなお話を今されたのかなというふうに思ったのですが、その辺、私の考えのどこが間違っているのかということを、ちょっとお教えいただきたいと思いまして。
     
    国土庁:大変厳しいといいますか、ちょっとお答えを間違うとえらいことになるなということなんですけれども、国土庁が個別の事業なり、個別の施策を国土という切り口で全体調整をしていく役割を担っているというところにつきまして、そう平板に言ってしまうと、全く認識については一緒なんだろうと思うんですけれども、ただ、個別の事業をやるときに、国土庁というのはどういう役割を果たしていくのかというたぐいのご質問だというふうに理解をしております。実は恥ずかしながら、そこら辺につきましては、国土庁は多分設置以来、随分その辺に悩んできたんだろうというふうに思います。
     というのは個別の事業を先ほどおっしゃいました漁港の事業であるとか、そういった事業をやるのかやらないのかという判断を国土庁自身がやっているということは正直言ってないと思います。ただ、どういうのですか、そこに漁港をつくることがいいのか悪いのかといったところをかなり長期的な観点から、例えば大分県の中でも、すみません、個別の地域名を余り言えなくて申しわけないんですけれども、北の方につくったらいいのか、南の方につくったらいいのかというのは、正直言って、それはその各地域地域の方でお考えいただくことなんだろうけれども、漁港というのをどういった観点で整備し、どういった観点で配置していってくださいということは、全国総合開発計画の中でも、あるいは国土利用計画の中でも申し上げてきたところです。ただ、それが高度成長期のような国民の皆さんが何となくみんな同じ方向を向いていて、ちょっと漁港でいうとあれなんでしょうけれども、例えば臨海工業地帯を整備していきたいということについて、みんな何となく同じ方向を向いていたときには、そういう長期的な計画の中で、こういうふうにやっていきましょうというアドバルーンを上げただけで、恐らくそれが大きく間違いなく実現をされてきたんだろうというふうに思いますけれども、今の時代、要は国民の方々全体が要するに一つの方向に向かって、一つのベクトルで進んでいきましょうという時代ではなくなったときに、そうした長期的かつ横断的な計画というのが、どういういった役割を持ち、またその役割を持つためにどういういった制度の担保が要るのかというところが実は非常に今問題になっているところでございまして、最終的には実はこの秋ぐらいに、今、国土計画体系の見直しということで、これも先ほど申し上げた全総計画の中の宿題になっているところなんですが、国土計画というのは、21世紀にどういう役割を果たし、どういう制度を持つべきなのかといったところを秋ぐらいまでに国土審議会の方で一つ結論をいただきまして、その後にそれに基づく制度の改正をしていくというような形の取り組みを現在行っているところでございます。
     ただ、私どもの方としては、こういった時代だからこそ、1つ1つを規制をしていくというやり方ではなくて、全体としてこういうやり方がいいのではないのでしょうかという言い方をさせていただいて、それを地域の方でお考えをいただいて、本当に個々に必要なのかどうかというのは、国が決めることではなくて、地域がある程度の発言力を持って決めていただくというやり方がこれからの計画のつくり方なんだろうというふうには思っております。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。どうぞ。
     
    委 員:幾つか教えてほしいと思いますけれども、基本的には48区分の沿岸域圏ごとにこういう沿岸域圏総合管理協議会というようなものができるわけですね。
     
    国土庁:はい。
     
    委 員:そこのところで立てた計画が、そこにかかわる地方公共団体の長の認定を受ける必要があると。そのプランというのはおおむね10年にわたって、ですからこれから10年にその沿岸域に起きそうなものはすべてそこに一度届けなければいけないと、ある言い方をしますと。ここにかかわりなしに、突然5年目ごとにどこかの省庁が何かするというわけにはいかなくなるというふうに理解できますか。難しいですか、そこまでは。
    国土庁:ご説明になっているかどうかわからないですが、先生のおっしゃったことの語尾を除くと、ほとんどそのままなんですが、何を申し上げようとしているかというと、これは計画は任意ですと、つくるかつくらないかも含めて地元でご判断くださいという計画になっておりますので、ただ約束事をつくるというやり方が、もしかしたらこれからのやり方なのではないんだろうかというところに立脚して、ですから、いろいろな関係者全部入ってもらうことにしています。その関係者が自分で決めたことなんだから、俺の都合でこうしたいと話は、それは途中でよっぽどのことがあれば別ですけれども、大きくその計画の向いている方向が変わってくるような、そういう御都合主義での話というのは、それはないですよねというための約束事をつくっていきましょうということなんです。
     
    委 員:これまでですと、同じ県の中でも、漁港をつくるところと、それから港湾をつくるところと、あるいは発電所を許可するところと部局が違っていて、その情報がへたをすると流れなかったと。すると、これからはここには必ず基本的には上がってくるということですね。そこの協議会がきちっと機能していれば。
     
    国土庁:はい。
     
    委 員:なるほど、大変な変化になりますね。逆に都道府県知事さんというのは大変な責任を追わされるという、ある意味で非常に大きな変革になるんじゃないでしょうか。
    国土庁:おっしゃるとおりというか、おっしゃられたことをいろいろな形でご意見をいただきました。簡単に言いますけれども、本当にこれでできるのかというようご意見が非常に多くありました。ありましたけれども、我々がこれを進めていこうとしているのは、幾つかの自治体からこれに対して既にいろいろなご意見をいただいていますので、応援があるからというところだと思います。このやり方が大きく間違いではないと信じております。
     
    部会長:ほかにございますか。どうぞ。
     
    委 員:国土庁の方への質問というよりも、むしろ環境庁の方の方にこの問題について一言お尋ねしておきたいんですが、この一番後ろの方の63ページですか、各省庁の課長さんクラスの名前が63ページに出ておりますが、環境庁は環境計画課長がお出になるということで、水質保全局の方にお聞きしても、無理なのかなといういうふうに思いますので、きょうは質問の方だけにいたしておきます。この全体の方の資料を見ますと、33ページ以下にいろいろな事業のリストがずっと並んでいるわけですね。環境庁はこの問題について、こういう各省のいわば事業官庁の1つとして参加をされたのか、それとも近く環境省になるというようなお立場で、国土庁がこういうことをすることについて、そういう環境全体を見て取り仕切らなければならない官庁としてご発言になるスタンスで対応されるのかということを次回以降ご回答をいただければということですね。
     国土庁の方には、ちょっと質問がなかなか難しいので、私も3全総のときに国土庁におりましたけれども、3全総のときにいたから3全総がよかったというわけではないんですが、先ほど中身はとにかく表紙をかえたという、グランドデザインという名前にしたというお話があったのですが、なかなか国土庁流のやり方というのは、先ほどのご質問にもありましたけれども、環境庁的なセンスからいくと、理解が非常に難しいところがあるんですね。つまり打ち上げ行政であって、最後の処理については各省庁とか、地方公共団体とか、そういうところにお任せをするというのが国土庁の手法なんですね。それはそういう手法があってはいけないというわけではないんですが、そういう手法に対して先ほどのようなご質問が出ると、私なんか横で聞いていて、両方の役所にいた立場からしますと、この議論というのを詰めるのは、ほとんど不可能に近いというふうに私は思うわけです。したがって、それ以上は国土庁の方には伺わないで、この審議会は環境庁の審議会ですから、環境庁の企画調整局の方に次回以降お伺いをしたいと、こういうことであります。
     
    部会長:どうもありがとうございます。
     では、まだご質問あるかもしれませんが、ちょっと時間の方がオーバーしておりますので、一応これで国からの意見聴取を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
     続きまして地方公共団体からの意見発表でございますが、広島県空港港湾局と兵庫県の環境局の順序でお願いしたいと思います。2県より続けて説明いただいた後に質問をお受けしたいと思います。ではよろしくお願いいたします。
     では、広島県さんどうぞ。
     
    広島県:広島県空港港湾局港湾課の藤井と申します。よろしくお願いいたします。
     埋立てについての広島県の意見ということでございますが、資料番号6に基づきまして数項目述べさせていただきたいと思います。
     まず1ページをお開きください。まず公有水面埋立法の運用についてでございます。これにつきましては事業者の立場、あるいは免許庁の立場、この2つの立場がございます。広島県は、免許庁の立場であるとともに、港湾整備事業の実施主体の立場でもあります。
     港湾の整備は、広島県の最重要施策の柱でございまして、今後とも適切にその推進を図っていく必要があるというふうに考えております。
     近年、広島都市圏などから発生します廃棄物等を処理するために、廃棄物埋立護岸、これは海面処分場のことでございますが、これの整備が求められております。また、港湾は広島県の基幹産業であります輸出関連産業を支える重要な基盤施設でありまして、今後とも広島県の経済社会の発展のためには、埋立てなどに関する環境への配慮を的確に実施しつつ、その整備推進を図る必要があるというふうに考えております。
     次に、免許庁の立場でございます。土地利用上の必要性と環境保全との調和を図りながら、また公有水面埋立法に基づきます免許基準によるほか、瀬戸内海が特殊性を有するという認識のもとに、自然公園法によります特別保護地区等における埋立ての規制や特定海域における留意事項に適合するよう、環境への影響について十分配慮されていることを確認した上で、必要な埋立てについては適切に免許を行っております。
     次に、遊休地対策でございます。遊休地対策は、その発生が少なからず経済社会の変化上、不可避でありまして、特に港湾に限ったものではなく、現在では内陸部におきまして大きな問題となっております。この問題は、広島県議会2月定例会の本会議、これは現在本会議中でございますが、でも大きく取り上げられております。
     次に、港湾におきましては、埋立免許の時点と竣功認可を受けた後の土地利用を行う時点とでは、社会経済情勢の変化など、しばしば事情変更が生ずることがございまして、結果として当初どおりの事業ができなくなりまして、遊休地化することもございますが、港湾整備の計画・事業実施者として工夫を凝らし、現実的な対応に努めております。一例を挙げますと、特定重要港湾広島港の廿日市地区でございます。これは当初木材関連用地として竣功したところでございますが、昨年でございますが、港湾関連用地に用途変更をいたしております。これによりまして港を利用します倉庫、運送業などの港湾関連企業が立地できるようになりました。
     次に2ページをお開きください。広島県では、環境への配慮を先導的に実施しております。二、三事例を申し上げますと、広島県にはNKKという製鉄所がございますが、ここから排出されますスラグなどのリサイクル材を活用した港湾施設の整備を実施しております。これは海砂の代替材、産業廃棄物の処分等に非常に貢献しております。このスラグにつきましては、海砂の代替材といたしまして、特に港湾工事の地盤改良材として使用しております。広島県では平成10年に海砂の採取を全面禁止しておりまして、現在ではこのスラグ、あるいは加工砂を使って港湾工事に努めております。
     さらに最近では環境に優しい藻場ブロック、こういったようなものでございますが、これを開発して、現在、瀬戸田町の藻場造成地で実験中でございます。今まで確認されたところでは、藻の着生やサザエの付着が確認されております。この研究につきましては、1996年から初めまして、現在実験中でございまして、近く製法特許が出される予定というふうに聞いております。
     次に、生物・生態系に配慮しました施策を先導的に実施しております。1つは人工干潟の造成、アマモの移植、そして貴重動植物の保護・移植というふうなこともやっております。この貴重動植物の保護・移植につきましては、広島県のレッドデータブックに掲載されておりますカブトガニ、あるいはスナガニ、ハクセンシオマネキ等これらの保護・移植に努めております。
     そして今回の見直しに先立ちまして、昨年1月に瀬戸内海環境保全審議会で答申されました、「瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方」に関しまして、その答申の柱の1つでございます「失われた良好なる環境を回復させる施策の展開」、これにつきましては広島県では、今後、計画的に新たな干潟、藻場の造成など、生物・生息環境を創造する施策の展開を図ることとしております。現在2カ年計画で瀬戸内環境プランを策定中でございます。この内容は現在検討中でありまして、今のところ2つのゾーンに分けるようになっております。1つは自然環境を重点的に守る保全ゾーンでございます。もう1つは、失われた環境の回復に取り組む修復ゾーン、この2つのゾーン分けをいたしまして、このプランをつくるというふうになっております。
     次に、港湾の施策に関連いたしまして、環境の保全に配慮した港湾施設の整備、環境の保全に重要な役割を果たす干潟の保全、復元の推進、さらには生態系や自然環境等と共生する海岸を整備する「エコ・コースト事業の推進」など、これらの事業が推進されますよう、環境庁より関係機関に要請したり、あるいはその実施に必要な財源確保について財政当局にも要請を願いたいというふうに思っております。 次に、港湾に係る埋立ての必要性についてでございます。瀬戸内海に面し、大小130余の島々が散在する広島県は、全国第8位の44港を数えております。ご承知のように、瀬戸内海は古くから海上交通の要衝として栄えまして、沿岸部には都市・産業が集積しておりまして、中四国地方の中枢県であります広島県の港湾整備の推進は、広島県のみでなく、西日本の経済・社会の発展に大きく寄与するものであるというふうに考えております。
     また、多くの離島を抱えます瀬戸内海にありましては、生活物資を輸送し、日常生活の足の確保のためにも港湾整備に取り組む必要があるということはもちろんのことでございます。
     近年になりまして社会経済の国際化、情報化、あるいは成熟化が進む中、港湾には効果的な物流体系の整備、快適な旅客交通体系の形成に加えまして、人々が豊かさを実感できる豊かで潤いに満ちたウォーターフロント創出の要請、あるいは海洋性レジャーの増大に対応しますマリーナ整備の要請も高まっております。
     さらに都市及び産業の諸活動に伴います廃棄物問題に対応するため、廃棄物埋立護岸の整備によります港湾環境の改善なども要請されているところでございます。 そして製鉄所から先ほど申しましたように、排出されますスラグ等のリサイクル材を活用した環境に配慮した港湾施設の整備が強く求められているところでございます。
     次に、3ページをお開きください。これは「瀬戸内海環境保全基本計画」の見直しについての意見・要望ということでございます。
     まず、埋立ての抑制の幅広い検討ということでございます。基本計画ができたころは、工業用地のための埋立てがほとんどということでございまして、工場立地によります排水の垂れ流しによる海域汚染であったということは承知しております。いまだ、埋立てによります環境への影響につきましては、その因果関係などを実証するデータ・解析も十分とは言えないという状況でございます。
     しかしながら、広島県では、「瀬戸内海環境保全特別措置法」、この趣旨を踏まえまして、瀬戸内海が特殊性を有するとという認識のもとで、環境への影響について十分配慮されていることを確認した上で、適切に免許を行っております。
     今後とも、瀬戸内海地域の社会的要請に基づきます「必要な埋立」につきましては実施していかざるを得なく、瀬戸内海地域において必要以上に埋立ての抑制が行われることは、将来的な地域の発展にとって大きな問題であるというふうに思っております。
     そのため、環境への影響の因果関係を十分解明していただきまして、必要な埋立ての実施に支障がないよう、計画の見直しにおいてご配慮を願いたいと存じます。 次に、廃棄物の問題でございます。瀬戸内海では廃棄物の処分を目的とした埋立ての要請、高こうございます。また島しょ部におきましては廃棄物の不法投棄も一部見受けられますことから、基本計画の見直しにおきましては瀬戸内海の良好な環境を守るためにぜひとも廃棄物問題の対応について検討していただきたいというふうに思います。
     そして、環境影響の回避、低減、代償についてでございます。埋立てに当たりまして、環境影響の回避、低減、代償することは、これはとても重要なことでありまして、環境に配慮した緩傾斜護岸等の水性生物との協調効果は、これはあちこちから多くの事例報告がございます。今後、積極的にこれらの事項を推進すべきと考えておりますが、その確実な実施に向けましてはコストアップが当然伴うということでございますので、その財源の確保に留意する必要があるのではないかというふうに考えております。
     現在、港湾や海岸における環境の保全・創造への取り組みが鋭意行われておりますが、ぜひとも基本計画の見直しにおきましては「失われた環境を取り戻す施策」として、これらの施策が推進されますよう、記載されることを期待しまして、意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
     
    部会長:どうもありがとうございました。では、続きまして兵庫県よりご説明をお願いいたします。
     
    兵庫県:兵庫県環境局環境影響評価を担当しております長谷川といいます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、こういうところで意見発表する場をいただきましてありがとうございます。座って失礼いたします。
     資料7をお願いいたしたいと思います。兵庫県では瀬戸内法の関連業務、すなわち規制とか、設置許可とか、総量規制等は環境局の中でも水質課というところが所掌しているんですけれども、埋立てに関します基本方針の運用は、アセスメントの担当、私のところの環境影響評価室が所掌しております関係上、きょう、私が来させていただきました。現在のアセスの担当に着任してから、そう長い経験を有しておりませんので、十分ではございませんが、とりあえず埋立てについての審査、どういうことでやっているのかというのを述べさせていただきたいと思います。
     瀬戸内海数ある府県の中で兵庫県は環境の方が来させてもらっているんですけれども、兵庫県は記の3の海域も結構あるんですけれども、その割りに埋立てもたくさんやっておりますので、なぜそういうふうになっているのかということを説明しろと、そういうご意思だと思って参りました。
     兵庫県の沿岸海域では、記の3の海域といたしましては、大阪湾の区域、それから播磨灘北部がございます。またそれ以外の海域といたしましては神戸市西部から明石市東部の沿岸及び淡路島の沿岸と、そういう地域がございます。瀬戸法が施行されてから、各事業部局でも海域の埋立てというのは容易ではないというふうには十分認識されてはおりますけれども、埋立ての事業計画はそれなりに進んできております。これまでにも記の3の海域では、後ほど説明いたしますが、都市再開発用地とか、廃棄物処分場、下水処理場の用地あるいは空港用地等の大規模埋立が行われてきました。また、その記の3の海域以外でも地方港湾の整備でありますとか、漁業の環境整備のための埋立て、あるいは建設省補助事業のコースタルコミュニティゾーンといいますか、そういう市民に親しまれるような新たな環境整備の埋立て、道路の拡幅など、そういう目的のために小規模から中規模の埋立てが行われてきました。
     これら埋立てに対する環境局の関与ですが、最初のページの1番に書いているところでございますけれども、大規模な埋立てにつきましては、これは公有水面埋立法の47条2項に環境庁と協議するような、そういう規模の埋立てがございますけれども、こういうものにつきましてはアセスメントの対象としてやってきた。兵庫県では昭和54年に環境アセスメントの要綱をつくっておりましたが、その要綱により対応してきたところでございます。また平成10年からは県の環境影響評価条例で対応してきております。現在では環境影響評価法と県の条例と二本立てで運用しているということでございます。
     それから、それより規模が小さいもので、1ヘクタール以上の埋立事業でございますけれども、これにつきましては制度上のアセスメントの手続というのがございませんが、埋立免許申請の際に環境保全に関する措置を記載した図書というのがありますけれども、そういう図書作成につきまして、現況調査の段階から環境局が関与していく。現況調査とか、予測シミュレーションもやっていただいて、最終的に埋立免許権者からの意見照会に環境局がそれに回答していくという形で処理しております。
     また1ヘクタール以下の埋立事業につきましては、基本的には環境局は当初から関与してございません。最終的に埋立権者から免許申請に当たりまして協議がまいりますが、事務的に処理をしているというものでございます。
     規模的に見ますと、そういうことになるわけですけれども、それでは瀬戸内海の埋立ての基本方針について、どういう配慮がなされているかというかということでございますけれども、基本方針の中には記の1から記の4まで埋立てについて配慮しなさいということが述べられております。記の1につきましては、別表1というのを2枚めくってもらったところにつけさせてもらっておりますけれども、別表1の左側に記の1の内容、海域環境保全上の見地とか、自然環境保全上の見地とか、そういうのがいろいろございますけれども、別表1の右欄に記載しているようなことが免許図書の中でなされておりますと、そういうふうに配慮されているものだと確認しております。この記の1の先ほど言いましたような面は、私のところだけではなしに、もちろん必要に応じまして自然環境を担当している部局とか、あるいは水産の担当部局の方とも協議しております。
     記の2の水域ですけれども、埋立基本方針の中では記の2の水域は極力避けるようにされております。ですから、そういうような趣旨で臨んでおりますが、一応個別法を所管している部局との協議によりまして、場合によりますと、それが解除されて進行されていく場合があります。例えば水産資源保護法による埋立水面の埋立てがありましても、代替漁礁を別のところに設置するということによりまして、その埋立てがよしということになっていく場合も事例としてございました。
     記の3の海域、これはまさしく厳に抑制すると言われている水域でございますが、これまでにも広域廃棄物処分場建設とか、背後地域の住工混在地域の解消、都市再開発用地の建設等の理由によりまして記の3に掲げる留意事項に適合するものとして埋立てが認められてきております。その1ページの表には、幾つか大規模な記の3で行われた埋立計画につきまして、どういうような理由でこの記の3の留意事項に配慮されているかというものを示しております。その中で4つ目のポートアイランドU期(西側)、その中で都市再活用地となっております。すみません、都市再開発用地のミスプリでございまして失礼いたしました。また、さらに具体的に神戸空港とか、尼崎沖のフェニックス処分場、それから姫路の沖にあります網干の埋立処分場、こういう大規模な埋立てに関しましては、参考資料といたしまして最後に、記の1から記の3につきまして、どういう配慮でなされたかということを免許図書から、あるいは環境影響評価の評価書の中から抜粋して表としてつくらさせていただきました。
     それから記の4の水域でございますが、これは1ヘクタール程度の規模につきましては若干考慮する余地があるというものでございますけれども、この記の4につきましては記の1、記の2の事項の配慮の確認に当たりましては、やや緩くしているといいますか、現況調査とか、予測を行う環境の範囲を余り広くはとっていない、やや事業地周辺の狭い範囲にしているとか、予測につきましても数値シミュレーションまでは要していないという、そういう対応をしてございます。
     以上が基本方針について、どういう立場で臨んできたのかという内容でございます。
     基本方針によりますと、厳に抑制すべきであるとされておりまして、やむを得ず認める場合においてもこの観点に立ってということが書かれているわけでございますけれども、こういう埋立計画をいろいろアセスメントの審査をする立場から言いますと、その埋立計画が計画論的にその埋立地の土地利用の必要性がやむを得ず認めるというのに十分なものかというところをいろいろ事業者と議論する場合がございます。あるいは埋立面積の算定根拠が妥当かどうか、あるいは埋立面積を抑制する努力が払われているかとか、こういうことにつきましてはアセスメントの担当の方と事業者とでいろいろ議論をいたしまして、検討資料の提出を求めたりするわけでございますけれども、県の環境部局からの指摘とか、指導でその計画に影響を与えるような修正がなされたということはございません。
     それは後で説明することとも関係しますが、基本的には県の上位計画といいますか、あるいは国の総合計画という中で、そういう計画が既に位置づけられておって、そういう環境影響評価とか、瀬戸内法の基本方針に配慮することによって、その規模を変えるというものは基本的にはできないのではないかなと、そういう事情があるんじゃないかと思っております。
     これまで環境庁との協議の中で規模の変更が生じたものとして幾つか例がございますが、例えば神戸空港における規模の縮小とか、ポートアイランドU期における規模の縮小と計画の分割とか、そういうことが例としてございましたが、国の段階ではこういうことができるんでしょうけれども、県の段階ではなかなかできにくいというのが現実でございます。
     埋立てを審査する環境部局からの意見といたしましては、こういう状況でございますので幾つか意見を次のページに書かさせてもらっております。1番から5番まで挙げさせてもらっておりますが、ちょっとウエートが順序ばらばらになってございますけれども、書いた順番に申しますと、兵庫県、大阪湾といいますのは、大阪府、大阪市、神戸市、兵庫県と4自治体が絡んでいるわけでございますけれども、こういう海域におきます関係府県の関与方法というのをうまく整理する必要があるんじゃないかと思います。例えば兵庫県の地先の埋立事業でありましても、アセスメントする際にデータのやりとりでありますとか、それから事後監視の問題でありますとかという大きい問題がございます。こういうところで行われる大規模な事業につきましては、例えば名前がちょっといいのかどうかわかりませんが、大阪湾オーソリテイというような、そういう機構ですね、大阪湾の環境保全に関する権限を持った機構というものの設置が必要なんじゃないかと考えております。こういうところで単なるアセスメントの調整だけではなしに、現在、瀬戸内の府県計画は府県ごとにつくるようになっておりますけれども、そういう府県計画の調整というのも、こういうオーソライズされた機構でできるんじゃないかと思っております。現在、行革の時代でございますので、常時常駐の組織でなくても、必要なプログラムのときに機能をするような組織でいいんじゃないかと思っております。
     それから基本方針にございます海面・自然海岸が持つ自浄作用の評価方法でございます。これは言葉ではこういうことが言えますけれども、なかなかどのような方法で評価して、どういうような効果を持っているのかというのがよくわかりません。こういうようなところの知見の確立が必要ではないかと思っております。
     それから最近ミティゲーションという言葉がよく使われてございますけれども、現在の埋立計画を見ておりますと、緩傾斜護岸でありますとか、人工藻場、そういうものがつくられておりますが、これは環境サイドの方から見れば、その埋立てが自然環境に与える一部の低減といいますか、代償にしか過ぎないんじゃないかと考えられます。そういう小規模なミティゲーションだけではなしに、その埋立事業がそれなりの海面を消滅するわけですし、それからその埋立事業だけではなしに、これまでの沿岸域での埋立てを含めた自然環境の影響を修復できるようなミティゲーションが必要ではないかと思っております。そういうことを考えますと、その埋立事業単独の事業主体でミティゲーションするのもかなり制限がございますので、一定の沿岸ゾーン内で他の事業も含めた形でミティゲーションのやり方というものを検討する必要があるんじゃないかと思っております。
     それから4番目でございますが、埋立てにつきましてはいろいろシミュレーションをやって、基本的には潮流の変化が少ないとか、水質に与える影響が軽微であるという形でアセスメントをパスしているわけでございますけれども、これまで兵庫県域の埋立事業を見ていますと、沖の方に、離岸堤といいますか、防波堤が先につくられまして、それからしばらくたってから、その防波堤の内側に埋立てがなされる場合がございます。それで離岸堤、防波堤を含めまして埋立地あるなしの影響の比較をいたしますと、影響がないということに当然なってしまうわけですね。ですから、こういう大規模な防波堤とか、離岸堤のケースにつきましても、何らかのアセスメントを実施できるような、そういうことが必要ではないかと考えております。
     それから5番目には、政策アセスの必要性でございますが、先ほども言いましたが、環境の方からいろいろアセスメントをしておっても、計画自体にはね返ることは余りないわけでございまして、既に上位計画でなされているからということでございますが、こういう上位計画を策定する際に、一種の政策アセスといいますか、計画アセスといいますか、そういうものを十分に行う必要があるんじゃないかと。この地域の政策目的のためにこの埋立てが必要なのかどうか、あるいは目的を達成するために他の手法があるんじゃないか、それをやればどういう影響があるのかとか、そういう政策アセスをやって、その後で必要があれば事業アセスに入っていくということになろうかと思いますが、そういう必要があろうかと考えます。現在の港湾計画のアセスといいますのは、一種の計画アセスでなっているんでしょうけれども、それもかなり固まった後でのアセスメントでございますので、もっと早い段階でのアセスメントが必要ではないかと思います。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。ここで予定では質問をお受けすることにしておりましたが、時間の関係で、まずもう一つ残っております関西空港のご説明を聞いてから、まとめて質問をいただきたいと思いますので、恐れ入りますが、ちょっと予定を変更しまして、関西空港の方からご説明をお願いいたします。
     
    関西空港:関空会社の調整部の内山でございます。座って説明させていただきます。
     1期事業におけますアセスメントと環境監視について説明させていただきます。資料の1ページをごらんいただきたいと思います。関西国際空港は、1994年に開港して以来5年半が経過しました。関西国際空港は、伊丹の大阪国際空港の騒音問題を抜本的に解決すること及び増大する航空需要に対応するために泉州沖5キロメートルの海上を埋立てて設けられたものでございます。
     関西国際空港の供用開始までには四半世紀の歴史がございますが、経緯を簡単に触れてみますと、運輸省の航空審議会は新しい空港の設置につきまして2年10カ月に及ぶ審議の後、昭和49年8月、新空港は泉州沖が最適であると答申いたしました。運輸省は、環境影響につきましては昭和51年から3年間環境調査を実施いたしておりますが、この間に70億円の調査費が費やされております。続きまして運輸省は、関西国際空港プロジェクトについての関西国際空港の計画案、関西国際空港の環境影響評価案及び関西国際空港の立地に伴う地域整備の考え方からなる、いわゆる3点セットを取りまとめました。この3点セットを昭和51年に大阪府、兵庫県及び和歌山県に提示いたしました。空港の設置につきましてこれまでになかった地元合意の手続がなされたわけでございます。
     昭和59年に関西国際空港株式会社が設立されまして、空港建設事業に着手いたしました。第1期及び第2期の内容を下の表に載せておりますが、第1期計画は510ヘクタールの空港用地と3,500メートルの滑走路1本、年間離発着回数16万回でございます。第1期事業のアセスメントでございますが、大阪府の環境影響評価要綱に基づきまして、さらに詳細な環境影響評価を実施いたしております。昭和60年10月に関西国際空港建設事業にかかる環境影響評価準備書を大阪府知事に提出しまして、評価書の提出を経て、昭和62年1月に公有水面埋立免許を取得、現地着工されております。
     2期事業におきましては、表の右の方に載せておりますが、545ヘクタール、1期事業の沖でございます。これを埋立てまして、4,000メートルの滑走路を1本設けます。1期と合わせまして23万回の離発着が可能な空港とするものでございます。工期は12年ということになっております。平成10年4月に空港の整備を行う関西国際空港株式会社と埋立てを行う関西国際空港用地造成株式会社は、2期事業に係る環境影響評価の準備書を運輸省、建設省、大阪府に提出いたしました。評価書の提出を経まして、平成11年7月に公有水面埋立免許を取得し、現在埋立工事が行われているところでございます。
     1期事業の環境監視でございますが、昭和61年に設立されました大阪府と泉州湾岸の9市4町の長により構成されております環境監視機構の指導、助言を得て、環境監視計画を策定、変更することになっております。関西国際空港株式会社は、環境監視結果を月報としまして環境監視機構に報告しているところでございます。 では2ページをごらんいただきたいと思います。1期事業の環境影響の予測の内容と環境監視結果について、海域水象、水質、水生生物について説明していきたいと思っております。予測対象地域の実施範囲につきましては、環境影響の規模、種類、内容、それから大阪湾及びその周辺地域の環境特性等を考慮した上で、影響が及ぶと想定される範囲を評価項目別に設定いたしております。また予測対象時期につきましては、空港の設置や利用時においてその影響が最大となる時点であります航空機の離発着回数が年間16万回と想定いたしております。環境保全目標につきましては、予測及び評価項目別に関係法令及び大阪府の環境影響評価要綱等に基づいて実施しております。水質等の予測及び評価項目別の予測対象地域、それから予測対象時期及び環境保全目標を表に載せております。
     では3ページの潮流につきましての環境影響の予測と環境監視結果の概要でございます。1期事業における潮流の予測及び評価の概要でございますが、下げ潮時には泉州地域の沿岸では紀淡海峡に向かう潮流が見られます。上げ潮時には反対ということでございます。参考資料を見てみたいと思います。1ページに下げ潮時の空港島がない場合の予測、2ページが予測と環境監視結果、同様に3ページが上げ潮時の空港島がない場合、4ページが予測と環境監視結果というふうになっております。予測結果は空港を設置した場合、潮流は下げ潮、上げ潮の最強時のいずれにおきましても空港の西側及び東側の海域でやや早くなり、逆に空港の北側及び南西側の海域でやや遅くなりますが、流速が秒速2センチ以上変化する区域は、空港から最大で5キロメートル以内と予測されております。また、流れは空港護岸に沿う方向に変化しますが、その区域は空港の周辺に限られております。したがいまして、空港の設置によって潮流が変化する海域は空港の周辺に限られ、大阪湾及びその周辺海域にわたる潮流の様相に著しい変化を及ぼすことはないものと考えられました。
     次に、環境監視結果の概要でございますが、環境監視の結果によりますと、空港島周辺海域の潮流は空港島護岸着手前及び護岸完成後ともに上げ潮時には北から北東流、下げ潮時には南から南西流と同様の流れの傾向を示しているものの、護岸完成後の流れは空港島護岸に沿うような形に変化しておりますが、流速の変化は小さく、予測結果は妥当であったと考えております。
     また、空港島の設置前後の潮流の流速、流向に著しい変化はなく、潮流の予測結果に照らしまして、おおむね妥当であったと考えております。
     次に、4ページの恒流でございます。大阪湾上層の恒流は、大阪湾から明石海峡に流れ込む流れと淡路島の東側で右に回る流れ、それから大阪湾の奥を通りまして南下して泉州沖で湾の中央に向きを変えて流れる流れがございます。泉州地域では流れはよく、海岸線に近いほど緩やかで、海岸線に沿って南西方向に流れております。
     恒流の予測に当たりましては、大阪湾及びその周辺海域につきまして空港を設置しない場合と空港を設置した場合の夏季及び冬季について計算を行っております。参考資料の5ページでございます。5ページが海面下10メートルまでの空港島のありなしの予測と環境監視結果、6ページが海面下10メートルより深い場所の予測と環境監視結果でございます。予測結果としましては、空港を設置した場合、恒流は空港の周辺海域で流速が小さくなる傾向を示しております。しかし秒速2センチ以上変化する地域は空港から最大で4キロメートルにとどまっており、流向が変化する範囲も空港の周辺に限られております。したがって、空港の設置によって恒流が変化する海域は空港の周辺に限られ、大阪湾及びその周辺海域にわたる恒流の様相に著しい変化を及ぼすことはないものと予測されております。
     環境監視結果でございますが、空港島周辺海域の恒流は、空港島護岸着手前及び空港島護岸着手後とも南から南西方向に流れ、流速の変化も一部地点を除いて予測より秒速2センチほど早くなっております。この結果につきましては、観測値は海象気象条件により変化すること、また予測値は2層レベルモデルで計算しているために密度構造や鉛直循環流の流動等を十分に再現することは困難であったと。さらに予測計算格子が500メートルと広いことから、空港島の地形が正確に再現されていないことも影響しているというふうに考えております。
     これらの結果を踏まえまして、2期のアセスメントの予測評価に当たりましては、4層モデルが採用され、予測計算格子間隔も200メートルで実施しているところでございます。
     次に、5ページでございます。海浜地形ということでございますが、海浜地形につきましては、空港島設置後10年間に生じる汀線変化が予測されております。予測結果は、空港を設置した場合におきまして局所的に堆積、または浸食を助長し、あるいは抑制する傾向を示す場所が出てきますが、その汀線の変化量は10年間で最大5メートル程度となっております。
     したがいまして、空港を設置した場合において局所的に堆積または浸食する場所があると予測されますが、その程度は現状の海浜の変動状況に比べて小さく、空港の設置が海浜地形に著しい影響を及ぼすことはないと予測されております。
     環境監視結果の概要でございますが、海浜地形の環境監視の調査の対象としまして、泉州海岸の背後に位置します男里川と樫井川の河口部における汀線変化の経年調査を実施しております。資料の7ページに男里川、8ページに樫井川の工事着工前と着手後の秋と春の水深を示しております。男里川と樫井川河口部における環境監視の結果から見ますと、男里川に若干の変動が見られますが、季節的な変動の範囲内におさまっております。したがいまして、空港の設置が海浜地形に著しい変化を及ぼすことはないとされております予測結果と大きな差はなかったと考えております。
     次に、6ページのCODでございますが、真ん中の方に図で示しておりますように、空港設置、運用をした場合、大阪湾におきましては海水の流れの変化等によりましてCODの濃度の等濃度線が南西方向に移行しておりますが、COD濃度が変化する範囲は空港島周辺に限られ、空港島の西側の海域ではCOD濃度は上層で1リットル当たり0.05ミリグラム程度とわずかに低くなり、空港島と泉南海岸の海域では逆に上層では0.05ミリグラム、下層では0.1ミリグラムとわずかに高くなる傾向を示しております。したがって、空港島の周辺海域におけるCOD濃度の年平均値の予測値は16万回相当時においても現状のCOD濃度と同程度と予測しております。
     現在の関西国際空港の運用は予測対象条件16万回でございますが、それにまだ達しておりませんので、現況の調査結果で比較しております。参考資料の9ページに空港の8地点における経年変化をグラフで載せております。環境監視地点及び空港島周辺の公共用水水域水質調査地点におけるCODの年平均値の経年変化から見ますと、地点別の濃度レベルにつきましては、調査地点の4、8、大阪湾の湾奥部の方でございます。それから調査地点2、6、湾口部側でございます。その両方でいきますと、全般的に湾奥部の方が高い濃度で推移をしております。調査地点1、5の陸側、それから3、7の湾の中央では全般的にごく若干ではございますが、陸側の方が高く推移しております。推移の傾向につきましては、空港島近傍の調査地点ではいずれの地点におきましても上層では漸減傾向を示し、中層、下層ではほぼ横ばいで推移しております。外側の調査地点のほとんどの地点でも各層とも横ばいで推移しており、著しいCOD濃度の上昇は見られておりません。
     なお、空港施設からの排水は、高度処理を行った後、外海に放流されております。また、排水処理後の再生水を中水として利用することによりまして省資源化及び放水量の削減を図り、海域への負荷量の抑制に努めているところでございます。放水水質につきましては、基準の15ppmをはるかに下回っているというところでございます。
     次に、8ページの海域生物でございます。海域生物の予測でございますが、空港の設置に伴う流れ、水質等の海域環境の変化は、空港島の周辺海域に限られ、変化の程度も比較的小さいとされております。したがいまして、空港の設置・運用が大阪湾の海域生物に著しい影響を及ぼすことはないと考えております。
     一方、空港の設置に伴いまして、海域が消滅するわけでございますが、その海域の消滅につきましても空港島護岸の約80%をゆるやかな石積みとしていることから、護岸周辺が新たな海域生物の育成場となり、その影響が軽減されると期待されているところでございます。
     したがいまして、空港の設置・運用が大阪湾の海域生物に著しい影響を及ぼすことはないと考えております。
     環境監視結果の概要でございますが、環境監視結果によりますと、空港島周辺で出現する種の状況は、空港島の設置・運用後におきましても比較的類似しており、特に異なった傾向は認められなかったことから、予測結果は妥当であったと考えているところでございます。
     また、一期空港島護岸周辺は全周11.2キロありますが、そのうち約80%に緩傾斜石積護岸を設けているわけでございます。先ほどからの発表でも、緩傾斜石積護岸を環境対策で利用しているという例がございましたが、本格的に緩傾斜石積護岸を使ったのは関空が最初だというふうに考えております。この緩傾斜石積護岸におきましては、海草類が繁茂し、護岸の基盤と海草で創出される複雑な空間には魚類のえさとなる小動物が生息し、多数の魚介類が蝟集して、魚介類の産卵場や幼稚仔魚の育成場として機能しているところでございます。平成10年の2月に調査した結果によりますと、軟体動物12種類、節足動物5種類、棘皮動物7種類、魚類が91種類など117種類の生物が観測されております。
     また護岸が完成した1988年から1990年にかけまして人工的な種苗移植による藻場を造成したところでございます。これまでに確認された藻場は58種類でございまして、護岸面積の90%以上が何らかの藻類に覆われており、この藻類は大阪湾全体の藻場の5%を創出したことになります。泥質の単調な生態系に変わりまして、岩礁性の多様な生態系が創出されたということでございます。
     なお、2期空港島の造成に当たりましても、内部水面になる部分を除いた埋立護岸11.6キロメートルのうち、約9割に当たる10.6キロメートルに緩傾斜石積護岸を採用しておりまして、近年減少しております大阪湾全体の藻場の新たな創造に寄与し、一層の海域生物の生息環境の創出、生物多様性の確保を図ることとしているところでございます。
     以上でございます。
     
    部会長:どうもありがとうございました。それでは広島県さんとそれから兵庫県さんと関西国際空港さんのご説明に対して何かご質問ございませんでしょうか。何かございませんですか、はい、どうぞ。
     
    委 員:広島県さんにお伺いしたいんですが、書かれている内容が釈然としません。例えば埋立地の話なんですが、経済社会の変化上、不可避であり、特に港湾に限ったものではなく、現在では内陸部においても大きな問題となっているというふうに書かれているのですが、港湾部、内陸部と同じように考えていいものかどうかと思うんですね。内陸部でというのは、もともとあった土地ということですよね。
     
    広島県:内陸部の場合、工業団地として造成しました土地でございます。
     
    委 員:それも埋立てている土地なんですか。遊休地の発生は、経済社会の変化上、不可避であると言われますが、一たん人間の手で埋立てたものが、そういうやって遊休地になっているのに、それは社会情勢上仕方がないというようなものではないと思うんです。遊休地にしてしまったことをもっと厳しく受けとめて、今後埋立てるときには、遊休地を作ってしまった責任みたいなものをもっともっと考えなければいけないと、私は思うんです。そういうことから考えて、ここに書いてあることが、「初めに埋立てありき」のように私には思えてしまいます。例えばスラグを利用して港湾施設の整備を書いてありますが、これはスラグを利用して、既に埋立ててあるところに例えば藻場をつくったりということなんでしょうか。それとも、スラグを利用してまた埋立てていくということなんでしょうか。
     
    広島県:これは港湾工事とか、海岸保全事業がございますね。これにつきましては必ず地盤改良というものをしないと施設がすべるんですよ。そのために今までは海砂を使いまして地盤改良を行っておりました。しかしながら、広島県では平成10年に海砂の全面不採取に踏み切りました。したがいまして、それにかわる代替材といたしまして、NKK福山の製鋼所から発生しますスラグ、これを活用しまして地盤改良材として使っております。
     
    委 員:地盤改良材として使うということは、前の方にまだまだこれから産業を支えるために埋立てることを認めてほしいというようなことが書いてありますが、そのためですか?
     
    広島県:必要な埋立ては認めてくださいと。
     
    委 員:例えば人工干潟を造成している、アマモを移植している、貴重動植物を保護、移植しているというようなことが書いてありますが、人工干潟よりも普通の干潟であった方がいいに決まっているし、アマモも移植しなくても、もともとあったらその方がいいに決まっているし、というふうに、私は思えるのです。例えば貴重動植物の保護、移植だとか書いてありますが、貴重動植物だけが大切なのではなく、普通の動植物も大切ですから、埋立てたらそういうものがみんないろいろな影響を受けますよね。今までに既に埋立てられてしまっているところにはそういうケアーをして、ちょっとでも復元していくというお話ならわかるんですが、どうもこれを読ませてもらっていたら、まだまだ必要だったときには、ケアーをするから埋めてもいいでしょうと言っているように聞こえるんです。まだ遊休地があったりするなら、もう埋めないぞというふうに、今あるもので工夫し、守っていく、改良していくだけならいいかなと思うんですが。
     
    広島県:遊休地の件につきましては、これはちょっと表現が悪かったのかもわかりませんが、これは遊休地化しておるわけではございません。これはまだでき上がったばかりの土地でございます。それで、これは昨年のことなんですが、木材関連用地としてつくりました。ところがこれは広島県の場合、木材関連の業者が非常に業界全般が悪くなりまして、昨年の秋に売り出したのですが、まだ1社も立地していないというような状況でございます。したがいまして、これは広島港という特定重要港湾でございますので、港を利用します倉庫、運送業、これらの企業に立地が広がるようにということで、港湾関連用地ということで先般用途変更したということで、遊休地があって困るというような話じゃないんです、これは。でき上がったばかりの土地でございます。だから港湾におきましては、遊休地があるというわけではございません。陸におきましては、要するに工業団地、これたくさんつくりまして、かなりこの経済状況でございますので、売れ残っております。そのため今回の広島県議会でございますが、これがかなり話題になりました。今後どうするのということで。港湾の場合は、内陸に比べまして、遊休地化しているというのはほとんどございません、はっきり言いまして。
     
    部会長:ほかの方、ご質問ございませんですか。なければきょうは8件のご意見をお聞きいたしまして、それを踏まえまして、またこれからいろいろ議論を進めたいと思いますが、きょうはご説明いただいたことについてのご質問というふうに限定させていただいております。
     それではお3方、どうもありがとうございました。
     それで一応埋立てに関する意見聴取をこれで終わりまして、最後にその他でございますが、何かございませんでしょうか。事務局の方から。
     
    事務局:(資料9により説明)
     
    部会長:どうもありがとうございます。よろしゅうございますか、今のことについて、ご質問ございませんか。ないようでございましたら、予定の時間10分ばかりオーバーいたしましたが、これで部会を終了したいと思います。本日は長時間にわたりご協力ありがとうございました。