瀬戸内海環境保全審議会総会(第28回)会議録


1.日  時  平成12年12月7日(木)15:30〜16:50

2.場  所  法曹会館 孔雀の間

3.出席委員

   安部 彪           寺島 泰
   大嶋 文男           中西 弘
   大西 淳             西山 知範
   越智 正             藤原 知明
   加治 隆             藤原 正弘
   白木 江都子         松井 大悟
   須藤 隆一           宮田 洋子
   武岡 英隆           村岡 浩爾
   谷野 陽             森  仁美
   千葉 喬三           梁瀬 度子
   渡邊 直

4.環境庁出席者

   遠藤水質保全局長
  長尾企画課長  
  小野寺自然保護局計画課長
  浅野瀬戸内海環境保全室長
  齊藤総量規制室長
  内山山陽四国地区自然保護事務所所長

5.場  所

(1)「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について」の答申について
(2)その他

6.配布資料

瀬戸内海環境保全審議会総会(第28回)議事次第
瀬戸内海環境保全審議会委員名簿
資料1 「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について」に係る計画部会報告
資料2化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定等に関する中央環境審議会答申について
資料3中央省庁改革に伴う新たな行政組織等の概要について
参考資料1瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について
−瀬戸内海環境保全審議会答申−
参考資料2関係法令等
参考資料3瀬戸内海環境保全基本計画の変更案(新旧対照)
参考資料4瀬戸内海環境保全基本計画の変更案に関する意見の募集結果について
参考資料5諮問書(写)

議  事

○浅野瀬戸内海環境保全室長:定刻となりましたので、ただいまから瀬戸内海環境保全審議会第28回総会を開催させていただきます。
 委員の皆様には、12月に入りまして大変お忙しい中お集まりいただきまして、有り難うございました。本日は、審議会委員、既に定足数に達しておりまして、本会の成立しておりますことを初めに報告させていただきます。
 また、本日の総会は従来どおり公開で行われておりまして、一般の方々、またマスコミ関係の方々にもお越しいただいているところでございます。
 なお、本日の出席者は、事前に座席表をお配りしておりますので、個々人のご紹介は省略させていただきたいと存じます。
 議事に入ります前に本日の配付資料を御確認いただきたいと思います。
 資料1から資料3まで、それから、参考資料1から5でございます。併せて、緑の表紙の資料集の冊子をお配りしておりますが、これはこれまでと同様、お帰りの際にはそのまま残しておいていただきたいと存じます。
 資料については以上ですが、不足等がございましたら、事務局までお申し出でいただきたいと思います。
 なお、当審議会の議事録は、これまでは委員の先生のお名前を伏して公開しておりましたが、今年10月から運用方針を一部変更いたしまして、お名前を公開して議事録を公開するという形にしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。運営規則に従いまして、中西会長に議事進行をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○中西会長:それでは、議事に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず議事(1)の瀬戸内海環境保全基本計画の変更について、昨年の9月、内閣総理大臣より諮問された「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について」計画部会における審議の結果がまとまりましたので、報告させていただきます。本日はこれについてご審議いただき、当審議会として答申を取りまとめたいと思っております。
 計画部会におきましては、各方面からのヒアリングやパブリックコメント等を行い、先月の 22日に開催された第9回計画部会において部会報告を取りまとめたところでございます。
 それでは、事務局から、部会報告についての説明をお願いいたします。

○浅野瀬戸内海環境保全室長:それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。ただいま会長からお話のありました計画部会の報告についてご説明申し上げたいと思います。
 1ページめくっていただきますと、先月22日の第9回計画部会で取りまとめていただきまして、本日付けで当審議会に報告された計画部会の報告でございます。もう1ページ開けていただきますと、当審議会の「計画部会報告」という紙が挟んでございまして、そのあとに文章がございます。さらに「瀬戸内海環境保全基本計画案」という形で、具体的な基本計画の変更案についておまとめいただいたところでございます。
 これを御説明する前に資料1の一番最後のページを御覧いただきたいと思います。審議の経過等について取りまとめておりますので、簡単に御説明申し上げたいと思います。それから、その前のページには計画部会の委員名簿をお付けしておりますので、併せて御覧いただきたいと思います。
 一番最後のページに本日に至るまでの審議の経過等について簡単にまとめてございますが、まず本諮問につきましては、昨年の9月6日、第26回の当審議会総会において諮問されたところでございます。その際、そこで計画部会を設置していただきまして、計画部会の中で具体的な審議を進めてまいったわけでございます。
 また、平成12年1月には、審議状況の報告ということで、第27回の総会を行っております。それから、第3回、4回につきましては、関係機関からの意見の聴取、ヒアリングを実施しております。その後、一般からの意見募集、さらに4月18日には、一般からの現地意見聴取ということで、岡山市において募集しました。一般の方々に出席していただきまして、直接基本計画の変更に対する意見を陳述していただきまして、委員の皆様に聴取していただいたということでございます。
 その後、夏前からこの計画の報告案の取りまとめに入りまして、5回から8回まで取りまとめにあたりまして、10月4日の第8回の計画部会で部会報告案を取りまとめました。その後、その案に対しまして国民の皆様から意見募集、いわゆるパブリックコメントを実施いたしまして、それを踏まえて第9回部会において、部会報告案の一部修正を行った上で、部会報告ということで取りまとめたところでございます。
 以上が、これまでの審議経過等でございます。
 続きまして、参考資料4に基づきまして、パブリックコメントについて御報告させていただきたいと思います。1ページに、パブリックコメントの概要をまとめておりますが、部会報告案について10月6日から約4週間パブリックコメントを実施いたしました。ここに書いてありますように、意見は全部で12通いただきました。具体的には、個人からが9通で、団体を代表される方々から3通いただいております。また、1通の意見で大変たくさんの意見を書いておられる方もございまして、事務局で意見の内容を整理させていただきました。埋立や海砂利関係をはじめ全般にわたっていただいたところですけれども、意見の延べ件数といたしましては67件ございました。
 第9回の計画部会では、それぞれの意見に対する部会としての考え方をまとめまして、部会で御了解いただき、これに基づきまして、一部、報告案の修正を行ったところでございます。具体的な御意見の中身と、それに対する計画部会の考え方については、2ページ以降に項目ごとに整理させていただいておりますが、これについて本日逐一説明する時間等もございませんし、委員の皆様方には事前にお目通しいただいていると思いますので、省略させていただきたいと思います。パブリックコメントについてはこのような対応をさせていただいたところでございますので、ご了解賜ればと思います。
 続きまして、資料1に戻っていただきたいと思います。ちょっと寄り道をいたしましたけれども、計画部会の報告について御説明申し上げたいと思います。
 表紙の後の文章のところでございますが、この部会報告については計画部会での経過や基本的な認識を示した部分と、計画の変更案の部分という形でまとめておりまして、初めの方に基本計画策定に至るまでの経過とか、変更の経緯、今回の審議状況等について簡単にまとめております。
 それから、10行目ほどのところに、「なお、当審議会として審議を進めるにあたっては、特に海砂利の採取及び埋立てに関して多くの議論を行い、以下のような認識に立って意見を取りまとめるに至ったものであるので、特に強調しておくものである。」ということで、海砂利の採取及び埋立てに関して審議会の認識等を書かせていただいております。
 特に海砂利の採取については、「海砂利に依存しないことを目指しつつ、砕砂の増産等による海砂利への依存の低減を図ることが必要である。」といった認識を書いてございます。
 また、埋立てについては、「瀬戸内海の自然環境が悪化する方向にあるので、こうした状況に歯止めをかけることが必要である。」と。一方、「埋立ての要請は依然として根強い状況にある。このため循環型社会の形成を推進し、もって厳に埋立ての抑制を図り、環境への影響の回避・低減に努めることが必要である。」また、「事業計画の早い段階からの環境影響の回避・低減に努めるとともに、小規模な埋立等に対する考慮、府県間の連携を図る観点」、こういった点について書いているところでございます。
 それから、環境保全基本計画案でございますが、別紙ということで次につけております。それ以降のページに、具体的な変更案について、今回は全面的な見直しでございますので、このような形で見直すということでおまとめいただきました。これが変更案の内容でございますが、現行の計画との変更点がわかりにくい点もございますので、参考資料3を使って説明させていただきたいと思います。
 参考資料3は、変更案の新旧対照ということで、現行計画が左側に、変更案を右側に、変更部分にアンダーラインをつけております。なお、これまでも計画部会の審議内容等については逐次、総会の委員の皆様には資料等を送付しており、委員の皆様は既に御承知かと思いますので、変更部分をかいつまんで説明させていただきます。
 1ページの第1、序説でございます。ここでは、計画策定の意義、計画の性格、範囲を掲げてございますが、1番の計画の意義のところにつきまして、これまでは瀬戸内海のすぐれた環境を確保、維持するということが計画策定の意義ということで掲げておりましたけれども、変更案ではさらに「開発等で失われた良好な環境を回復すること」という観点を付け加えさせていただきました。
 それから、計画の性格及び範囲につきましては変更ございません。
 第2の計画の目標にまいりまして、1の水質保全等に関する目標、(1)は水質関係でございますが、これは変更ございません。2ページにまいりまして、(2)は赤潮の関係でございます。 (3)は底質の関係でございますが、ここは変更ございません。
 (4)は藻場、干潟等に関する目標でございます。現行の計画では、重要な干潟について保全が図られていることという記述でございましたが、今回、重要な干潟のみならず浅海域自体が瀬戸内海の環境保全上、特に水質浄化とか生物多様性の確保といった点で重要な役割を果たしているという記述を加えるとともに、下の方でございますけれども、その他の藻場、干潟等についても減少することのないよう適正に保全されていること。さらに、これまで失われた藻場、干潟等については必要に応じ、その回復のための措置が講じられていることという観点で、特に藻場、干潟等の保全並びに回復を図っていくということを目的に加えたところでございます。
 (5)の海水浴場等の記述でございますが、現在の計画では海洋レクリェーションの場という形で位置づけられておりますが、近年はこれに加えて自然観察等の自然とのふれあいの場という形で、それに対する概念が広がっておりますので、記述を変更させていただきました。
 続きまして、2の自然景観の保全に関する目標でございます。(1)の自然景観の核心的な部分に関する記述は現行どおりでございます。(2)の緑や緑地等に関する記述も現行どおりでございます。
 3ページにまいりまして、(3)に自然海岸の記述がございますが、これは藻場、干潟と同様に、これまで失われた自然海岸の回復のための措置をつけ加えております。(4)の清浄の保持、(5)の文化財の保全につきましては、従前どおりでございます。
 それから、第3、目標達成のための基本的な施策につきましては、前段に書いてあるとおりでございますが、昨年1月にいただきました「瀬戸内海における新たな環境保全創造施策のあり方に関する答申」の中で、3本柱と呼んでおります、これまで行われている保全型施策の充実に加えて、良好な環境を回復させる施策の展開及び幅広い連携と参加の推進といったものを基本的な考え方として、基本計画を見直すべきであるという提言をいただいておりますので、そういった基本的な施策の推進にあたっての考え方を前段で書き加えさせていただいたところでございます。
 具体的な中身でございますが、1の水質汚濁の防止でございます。(1)の水質総量規制制度等の実施でございますが、これまでは水質総量規制制度等においては化学的酸素要求量(COD)について、総量規制を瀬戸内海では実施しておりまして、窒素、燐については削減の指導という形で対応しておりました。今回の第5次総量規制から、CODに加えて、新たに窒素、燐についても同様に総量規制の対象として、水質保全対策の一層の強化を図ることを予定しておりますので、それに伴って記述を強化しているところでございます。
 (ア)の生活排水については、4ページにまいりまして、窒素及び燐の除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入ということで、これまでは「必要に応じ」という記述でございましたけれども、「積極的な」ということで記述の強化を図っております。(イ)の産業排水については総量規制に合わせて記述の適正化を図っております。また、(ウ)は農林漁業関係の記述でございましたが、平成11年度に農林水産業関係でも環境保全を合わせて図っていくための法律が制定されておりますので、それに合わせて具体的な法律名を入れ込んだ変更を行っております。(エ)の河川の浄化等と(オ)については変更ございません。
 (2)でございますが、今回、有害化学物質等の規制及び把握等ということで、記述を追加しております。初めの部分は、一般的な水質環境基準の達成、維持でございますが、特に近年問題となっておりますダイオキシン類については、昨年、ダイオキシン類対策特別措置法が制定されておりますので、その記述を行っております。また、特定化学物質、いわゆる環境ホルモン等と呼ばれているものでございますが、PRTR法と一般に言われる法律が制定されておりまして、これに基づき排出量の把握、管理を行い、それに対する対応を図るということで、昨年以来環境庁として対応しているところですので、その記述を追加させていただいたところでございます。
 (3)の油等による汚染の防止でございますが、従前は不法な排出とか不法投棄といったものの対策について記述しておりましたけれども、近年このような例は少なくなってまいりました。一方、数年前の日本海におけるナホトカ号の事故等もございましたが、瀬戸内海でもそういった事故の発生が予測されておりまして、一旦発生すると大変な被害が予想されるということから、今回そういった点に対する技術をつけ加えたところでございます。
 5ページにまいりまして、油事故発生時の保全方策、さらには環境修復技術等の調査研究、観測データの蓄積といったものを付け加えております。
 (4)その他の措置ということで、今回、富栄養化の程度が他の湾灘に比べて相当高い大阪湾の湾奥部について留意が必要だという記述を追加しております。さらに、本日御欠席の松浦委員から総会でも御指摘のあった点でございますが、他の海域から入ってくる生物、移入種などと呼ばれているものでございますけれども、そういったものが環境に与える影響が大きいということから、それに対する留意について記述をつけ加えたところでございます。
 2の自然景観の保全でございます。(1)の自然公園等の保全については変更ございません。  (2)の緑地等の保全については、「松くい虫」という記述がございましたが、これを「森林病害虫等」というふうに記述を変更させていただきました。
 6ページにまいりまして、(3)の文化財関係の記述は変更ございません。(4)の散乱ごみ等については、これまでの記述に加えまして、住民の皆様方にも協力いただくことが重要だということで、広報活動とか美化意識の向上、さらには、海だけではなくて河川域からもごみが流れてくるということもございまして、河川流域における清掃についても記述させていただいております。また、近年問題となっておりますレジンペレット等の廃プラスチックに対する汚染の実態把握及び防止対策について、今回記述をつけ加えております。
 (5)のその他の措置でございます。これは景観関係で記述しておりますが、これまでの記述に加えまして、藻場、干潟と同様、景観についても、保全だけではなくて回復のための措置ということを加えております。さらに、自然景観と一体となっている人文的な景観も、瀬戸内海の景観の中では重要な要素であるということで、それに対する配慮についても記述をつけ加えたところてございます。
 3の浅海域の保全でございます。これは先ほどもございましたように、これまで藻場、干潟等の保全とありましたのを、「浅海域の保全等」としてその対象と記述を広げたところでございます。
 (1)の藻場及び干潟等の保全等でございますが、先ほどと同じように、重要な干潟以外にその他の藻場、干潟も重要な役割を果たしていることから、保全を図ると。
 7ページにまいりまして、保全に加えまして、「回復のための措置を講ずる」といった記述を加えております。(2)の自然海浜の保全等でございますが、これについては、「レクリェーション」から「ふれあいの場」というふうに記述を変更させていただきまして、自然公園等の具体策を追加しております。
 4の海砂利採取にあたっての環境保全に対する配慮でございます。4と5の埋立てについては計画部会でも大変熱心に御議論いただいたところでございますが、これまでの記述は項を起こしておりませんで、7ページの左側の一番上にありますように、これまでは藻場、干潟等の記述の中の一番最後に「また、海底の砂利採取にあたっては十分留意するものとする」という3行の記述がありましたけれども、海砂利採取に対する関心の高まり等もございまして、今回このような記述に変更させていただきました。
 海砂利採取の基本的な対応といたしまして、「採取による影響が相対的に小さい海域での最小限の採取にとどめるものとする」ということをまず書きまして、そのあと具体的な方策ということで、「海砂利採取について検討する場合には、あらかじめ資源量や環境への影響等を調査し、最小限の採取量並びに影響を及ぼすことの少ない位置、面積、方法等とするよう努める。また、モニタリングを実施するよう努める。さらに、影響の定量的な究明の推進とか、環境への影響のより小さい採取方法の開発、代替材の開発研究促進といったものを行うことが適当である」という形でまとめたところでございます。また、「なお」ということで、河口域の砂利採取についても記述を加えております。
 以上が、海砂利採取に関する報告でございます。
 続きまして、5の埋立てにあたっての環境保全に対する配慮でございます。これは8ページにまたがっております。まず、現行計画と同様に、はじめに「埋立ての免許にあたっては、瀬戸内法第13条の埋立ての基本方針に沿って引き続き環境保全に十分配慮する」と記述いたしまして、埋立ての基本方針の位置づけを明確にしております。その上で、環境アセスメントにあたっての基本的な考え方として、環境への影響の回避・低減、適切な代償措置の検討、地域住民の意見の反映、さらには藻場、干潟等が魚介類の生息、海水浄化等において重要な場であることに対する考慮、こういった点についての記述を今回追加し、その充実を図ったところでございます。
 なお、ここで出てまいりました埋立ての基本方針については、計画部会の審議においてもその見直しを検討する必要があるというご意見をいただいたところでございまして、環境庁といたしましては、今後、埋立てにかかる基礎的な情報の整理等を行った上で、新しく発足する審議会での調査、審議を検討してまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、6の廃棄物の処理施設の整備及び処分地の確保でございますが、これまでの記述の前段に、今年成立した「循環型社会形成推進基本法」、いわゆる循環法の考え方をつけ加えて、大量生産等の社会からの転換を図り、廃棄物の発生抑制をまず行うという考え方を追加したところでございます。
 7の健全な水循環機能の維持、回復でございますが、私どもが水質保全行政を推進する上での重要な観点である水循環についても記述することが適当であるということで、具体的には海域における藻場、干潟等の保全、陸域においては森林とか農地の適正な維持管理、地下水の涵養、また流域を単位とした関係者間の連携強化、これは他のパートでも出てまいりますけれども、こういった点について特に水循環機能という観点での記述をまとめて行っているところでございます。
 8も新たに追加した項目でございますが、失われた良好な環境の回復でございます。先ほど御説明申し上げた目標等に、今回、新たに回復という観点を入れさせていただいたことを受けまして、追加した記述でございます。「瀬戸内海にふさわしい多様な環境を確保していくために、これまでに失われた藻場、干潟、自然海浜等の良好な環境を回復させる政策の展開を図るものとする」というふうに記述しております。また、それに対する留意事項といたしまして、かつての良好な自然の消失した地域を対象とすることを基本とし、国及び地方公共団体が先導的役割を果たしつつ、住民等との連携した取組に努めるといったことで、住民等との連携といった観点も必要だということを書いております。
 9の島しょ部の環境の保全も、新規に追加した事項でございます。特に瀬戸内海の特徴である海域に多数の島々が点在する状況を踏まえ、島しょの環境容量が小さいということで、少しの開発でも全体の環境に影響を及ぼすという観点から、島しょ部においては環境保全の取組に努めるといった記述を今回追加したところでございます。
 10の下水道等の整備の促進でございますが、先ほどと同様に今回積極的な導入を図るということで、記述の強化を図っております。
 11の底質の除去等については現行どおりでございます。
 12の水質等の監視測定につきましては、昨年制定されたダイオキシン類対策特別措置法の中で、ダイオキシン類については都道府県知事の常時監視が法律で義務付けられたところでございまして、これを受けてその1項を追加しております。
 13は環境保全に関する調査研究及び技術の開発等でございます。9ページの下の「民間関係機関」というのは具体的には事業者、民間団体ということで、他の記述とも表現を合わせるということで変更させていただきました。さらに、今後の調査研究等の課題といたしまして、重要な研究は大変多うございますけれども、今回そのうち特に重要なものをピックアップいたしまして、その記述をつけ加えさせていただいたということでございます。
 まずはじめに、赤潮に加えて貧酸素水塊の発生が近年重要視されるようになってきておりますので、その記述を加えております。それから、「また」以下でございますが、生態系の構造や各種機能の評価、景観等の評価手法と指標の開発、効果的な環境モニタリング手法、さらには化学物質、環境ホルモン等でございますけれども、それに関する調査研究、並びに藻場、干潟の造成、廃棄物の再利用等に関する技術開発、こういったものが特に今後重要であるということで付け加えさせていただきました。さらに、データベースの整備といったことも調査研究等の推進に重要であるということで、この観点をつけ加えております。
 14以下の10ページ、11ページについては、今回新たに付け加えたところでございまして、今までの記述のほとんどが保全型施策といいましょうか、規制型の従来の施策に関する記述でございましたけれども、14以下はソフト型施策といいましょうか、単なる法律の規制だけによらず、一般の国民一人ひとりの協力も得た上で瀬戸内海の環境保全・保護を図っていくべきであるという点も踏まえて、ソフト施策について追加させていただいております。
 まず14の環境保全思想の普及及び住民参加の推進でございますが、表題に「住民参加の推進」ということを付け加えさせていただいております。生活排水については記述しておりましたが、今回廃棄物についても国民一人ひとりのご協力が大事だということで追加しております。さらに、これまでは「思想の普及及び意識の高揚」という記述でございましたけれども、住民参加の推進ということが最近重要になってきているということで、汚濁負荷量の削減、廃棄物の排出抑制、さらには行政の施策策定への参加等の観点から、住民参加の推進に努めるという記述を追加しております。また、民間団体による環境ボランティアの養成等の取組への支援に努める。それから、環境保全施策の策定にあたっての住民の意見の反映方策の検討に努める、こういった記述をつけ加えたところでございます。
 15は、環境教育、環境学習の推進でございますが、これについては先ほど申し上げたとおり、規制型の施策に加えて瀬戸内海に関わる一人ひとりの理解や協力が必要だということとか、感性とか大切に思う心を育んでいくためには、関係機関の連携の下、環境教育や環境学習を推進していくことが必要であるということを追加しております。そのためには、利用を促進するための施設の整備とかプログラムの整備、さらにはボランティア等の人材育成に対する支援といったものをつけ加えております。
 11ページにまいりまして、16、情報提供、広報の充実でございます。近年の情報公開といった流れを踏まえて、住民参加、環境教育、調査研究等をさらに推進するためには、情報に関するデータベースを整備するとともに、それを広く公開していくことが必要であるということで、情報を提供するシステムの構築並びに広報に努めることといった記述を追加しております。
 17、広域的な連携の強化等でございます。御承知のとおり瀬戸内海は13の府県が関係し、3,000万人の人々が流域にお暮らしになっているという大変広範な地域でございまして、海域も大変広うございますので、広域的な連携の一層の強化が必要であると。特に水循環機能の回復とか住民参加の推進等を図るためには、流域を単位とした連携の強化、さらに各地方公共団体の連携の強化といったものが、連携の強化の中でも特に必要であるという形での記述を追加しております。また、先ほども出てまいりましたけれども、環境保全のための施策の策定にあたっては、住民や事業者等の幅広い意見を調整し、施策に反映するための適切な仕組みの検討に努めるものとするということで、具体的な連携の方策について記述しているところでございます。
 18の海外の閉鎖性海域との連携でございますが、これも新規に追加したものでございます。御承知のとおり瀬戸内海は閉鎖性海域でございますが、アメリカのチェサピーク湾、あるいはヨーロッパの地中海、バルト海等、世界においても閉鎖性海域がございまして、瀬戸内海の保全を図っていく上で海外の閉鎖性海域と連携を図ることが重要だということで記述を付け加えさせていただいております。
 なお、本年4月に財団法人国際エメックスセンターが正式に設立しておりますが、これまでも国際閉鎖性海域環境保全会議、略称で国際エメックス会議が開催されておりまして、来年の11月には第5回のエメックス会議が兵庫県の神戸で開催されることになっております。余談でございますけれども、合わせて紹介させていただきます。
 最後に、19の国の援助措置でございますが、これについては変更ございません。
 説明が長くなりまして恐縮でございますけれども、以上が第9回の計画部会でおまとめいただき、本日付けで当審議会に報告された計画部会の報告でございます。

○中西会長:どうもありがとうございました。
 ただいまの報告について御質問等があればお願いいたします。
 何かございませんでしょうか。
 はい、どうぞ。

○越智委員:香川大学の越智でございます。この原案はあらかじめ見せていただいたんですけれども、見落としたような気がするんですが、7ページの4の海砂利の採取のところの最後の方で、「統一的な調査手法の確立に努めつつ、海砂利の採取が海域環境に及ぼす影響の定量的な究明を推進するとともに」とありまして、そのあとに「環境への影響のより小さい採取方法の開発を促進するものとする。」と。これは今後も海砂利採取がある程度続くだろうということの対処のような印象を受けるわけです。
 瀬戸内海では幾つかの県でも数年後には海砂利採取を全面禁止されるような運びになっていますが、そういうところでこういう新しい採取方法の開発というのは本当に必要なんだろうかと疑問に思います。海砂利採取そのものは、いかなる方法をとっても底生生物その他の生息の場を壊すことには違いないと思っていますので、ここのところが本当に必要なんだろうかと非常に疑問に思います。もっと早く気がつけばよかったんですけれども、ちょっと異議を申し上げたいと思います。

○中西会長:どうもありがとうございます。

○浅野瀬戸内海環境保全室長:それでは事務局からお答え申し上げたいと思います。
 海砂利採取については、計画部会でもいろいろな観点から御議論いただいたところでございます。特に今後の方向といたしましては、この報告の初めの方にも書いてあったとおり、海砂利に依存しないことを目指しつつ海砂利の低減を図ることが必要であると、このような考えでまとめていただいたところでございます。審議会としても採取がなくなるという方向で府県での対応をお願いしたいという気持ちを踏まえた上で、各府県の例えば陸域における砂の分布状況を考えますと、必ずしもすべての県がゼロにするというのもなかなかできない状況であると。
 こういったこともございますので、その際にはなるべく影響の少ない採取方法が適当であるということで記述させていただいたわけでございますけれども、審議会の考え方といたしましては、海砂利依存の低減を図ることが基本でございまして、初めのところにもその旨記述させていただいたところでございます。審議会の考えはそういった背景をもとにまとめたものということでご理解いただければと思っております。

○中西会長:よろしゅうございましょうか。


 今、事務局から説明がありましたように、基本的には最初の1枚紙のところに書いてあるように、依存しないことを目標ということですね。限りなく低減を図るということで、その過渡的な措置として環境への影響の少ない方法を採用して下さいということなんです。過渡的な措置というふうにお考えいただければと思います。
 ほかにございませんか。
 これは、9回にわたりまして計画部会で十分審議をしていただき、しかもパブリックコメントで一般の方からの御意見もいただいて、このような形で計画部会案がまとまったわけでございますが、審議会の方で何が御意見ございませんでしょうか。
 特にございませんか。
 では、この御説明について皆さんの御理解をいただいたところと存じます。部会報告の内容については、そういうことで御理解が得られたものと解釈させていただきます。
 そこで、本報告を当審議会の答申としたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○中西会長:ありがとうございます。
 それでは、これを瀬戸内海環境保全審議会として内閣総理大臣への答申とすることといたします。
 なお、総理大臣への答申は、ただいま計画部会から報告のとおりのものに、答申の鑑をつけて答申することとなります。
 事務局から、答申の鑑の案文がございましたら、配付をお願いいたします。

(資料配付)

○中西会長:お手元に答申の鑑がわたったと思いますので、お目通しいただきたいと思います。
 まず1枚紙が、審議会会長から総理大臣あてでございます。「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について答申」に、答申文が2行ばかり書いてございます。
 その次が、別添資料として「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について答申」、これは審議会名でございます。そして、お手元にある資料1の3枚目、別添資料ですが、「計画部会」と書いてあるのを外します。そして、その次のページの、先ほど説明のありました「瀬戸内海環境保全計画は、昭和53年5月から云々」という文章以下が答申文になります。
 そういうことで答申させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、埋立ての基本方針につきましては、先ほど事務局から説明がありましたように、計画部会の審議においてもその見直しが必要であるという議論があったところでございます。来年1月の環境省発足以降は、瀬戸内海の環境問題については中央環境審議会で調査審議されることとなりますので、この新体制の御判断をいただく事柄ではありますが、今言ったような計画部会の経過があったことを新体制において踏まえていただければと考えております。このことを申し添えたいと思います。
 では、総理大臣への提出はどういうふうにいたしましょうか。

○浅野環境保全室長:事務局からお答えいたします。
 答申をおまとめいただきましてありがとうございました。この答申につきましては、本来ですと、中西会長から環境庁長官にお渡しいただきたいところでございますけれども、御承知のとおり一昨日内閣改造があった関係で、本日、川口大臣のスケジュールが詰まっているため、恐縮でございますが、川口大臣に代わりまして、遠藤水質保全局長へ中西会長から答申をお渡しいただきたいと思います。
 報道関係の方からも映像取材等のお申込がございますので、ただいま事務局でご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
 お立ちいただけますか。

○中西会長:(答申文朗読)

内閣総理大臣 森 喜朗 殿
瀬戸内海環境保全審議会会長 中西 弘

瀬戸内海環境保全基本計画の変更について(答申)

 平成11年9月6日付けで諮問第5号によって、当審議会に対してなされた「瀬戸内海環境保全基本計画の変更について」の諮問について、別添のとおり答申する。

○遠藤水質保全局長:どうも有り難うございました。
 私の方から総理大臣にお渡しいたします。

○中西会長:ただいま答申させていただきましたので、引き続き、次の議事を進めたいと思います。議事(2)の化学的酸素要求量、窒素及び燐に係る総量規制基準の改定・設定に関する中央環境審議会答申」に関する報告について、事務局、説明をお願いいたします。

○齊藤総量規制室長 それでは、資料2を使いまして、水質総量規制の検討状況等について簡単に御報告させていただきます。
 水質総量規制については、御承知のとおり昭和54年よりCODのみを対象として瀬戸内海、東京湾、伊勢湾の3海域で実施してまいりましたが、次期第5次の水質総量規制については、これに窒素、燐を新たに指定項目として追加するということでございます。その項目追加に至った背景等については、本年1月27日の前回の総会にて御報告させていただいたところでございます。
 その後、2月8日には基本的な考え方のあり方についての答申を中央環境審議会からいただきまして、実際の総量規制の実施に向けた必要な検討、あるいは、手続を現在進めているところでございます。
 本日は、現在作業の終わっております総量規制基準の設定、あるいは、測定方法についてごく簡単に御紹介したいと思います。資料2の1ページは、基準などについての記者発表資料でございます。10月19日付けの発表ですけれども、四角の中の文章にありますように、従来のCODについての基準の改定に加えまして、窒素、燐については新たに基準を設定する、また、汚濁負荷量の測定方法を新たに定めるという内容になっております。
 1枚めくっていただきまして、2ページには「答申の要点」という部分がございます。まず(1)として、CODの基準の範囲ということですが、水質総量規制制度においては、細かい業種区分ごとに環境庁で上限、下限という幅を設定いたしまして、その幅の中で各都府県が実情に応じて具体的な1個の数字を決めていくという仕組みになっているわけです。CODについては、従来より逐次見直しをしてまいりましたが、全232業種の区分のうち34の区分の基準について総量規制基準の強化をしております。
 また、(2)の窒素、燐については新たに定めたわけですが、業種区分についてはCODと同様としております。ただ、窒素、燐それぞれの特殊性に着目して業種区分をさらに細かく分類して、備考という形できめの細かい区分を設定しているということでございます。
 (3)は測定方法でございます。従来、CODについては日排出量400トン以上の比較的大きな事業所に対しては水質の自動計測器を用いることが規定されておりましたが、窒素、燐についてもそういう機器があるということを技術的に確認いたしまして、CODと同様の測定方法の体系としております。
 これらの具体的な中身については、答申そのものはかなり大部になりますので、本日は添付しておりませんが、これを具体的な政省令という形で手続を進めているところでございます。
 3番にパブリックコメント手続と書いてございますが、この基準案に関してパブリックコメントを実施いたしましたところ、計51件の意見をいただいております。特に窒素、燐の測定に関して、自動計測器を入れるとなるとお金もかかるという点がございまして、例えば窒素、燐の濃度は低くても水量的には多いという事業所に対して、そういう実態を踏まえた弾力的運用をしていただきたいといった旨の意見が多数ございました。ほかにも、個別業種の基準に関する考え方の確認とか一部見直しを求めるような御意見もございました。こういった御意見を踏まえながら今回答申をいただいたわけでございます。
 最後に、4番に今後の予定と書いてございますけれども、簡単に今後の予定について触れたいと思います。3ページの頭にかけてのところですが、総量規制を実施するために内閣総理大臣が総量削減基本方針をつくらなければなりません。これは目標年度である平成16年の時点で、現在のCOD、窒素、燐の汚濁負荷量をどの程度下げるかといった削減目標量を、生活系、産業系、その他系といった分類、あるいは県別に、内閣総理大臣が目標量を定めるという手続がございます。この発表資料では、(3)にありますように、これを踏まえた都府県の計画を平成12年度内、来年の3月ぐらいに出来るように現在作業を進めておりますが、若干遅れている状況でございまして、年内ぎりぎり、もしくは年明け早々には削減基本方針がオープンになると考えております。
 こういった手続を経ますと、おおむね平成13年度初頭、あるいは、多少時間がたってから総量規制が実施されるということで、各指定地域内事業所における一層の排水水質の向上、あるいは、各種下水道等の整備等の施策の推進が図られていくということになっております。
 以上、時間の関係で走りましたけれども、私からの説明とさせていただきます。

○中西会長:どうもありがとうございました。
 ただいまの総量規制の説明につきまして御質問があればお願いいたします。
 この総量規制の中に新しく窒素と燐の総量規制が入っておりますけれども、御質問ございませんでしょうか。
 では、この件は終えたいと思います。
 引き続きまして、議事(3)、「中央省庁等改革に伴う新たな行政組織の概要について」(報告)について、事務局より説明をお願いいたします。

○浅野瀬戸内海環境保全室長:それでは、資料3をお願いいたします。
 既にこれまでの審議会の総会においても報告させていただいておりますけれども、御承知のとおり来年の1月6日をもちまして中央省庁が再編されるということで、それに伴いまして国の組織、また審議会の組織にも変更がございます。それについて再度ご説明申し上げたいということで報告させていただきたいと思います。
 1ページは、皆様既にご承知かと思いますけれども、来年1月6日に新しくなります中央省庁等の機構図でございます。ここに掲げてあるとおりでございますけれども、環境庁は一番右端にございます。環境庁から環境省に昇格という形で再編が行われるということでございます。
その下に表がございまして、左側が現在の体制で、右側が新しい体制でございます。現在は
1府22省庁ございますが、これが再編によって1府12省庁になります。環境庁は順番としては一番最後でございますが、このように他の省と並んで省に格上げになるということでございます。
 2ページにまいりまして、環境省の組織がどうなるかということでございます。所管事項まで入っておりますので、資料が細かくて恐縮でございますけれども、新たな環境省の組織を掲げております。組織といたしましては1官房4局3部27課ということになります。1官房4局は同じでございますけれども、部が1つ増えます。特に廃棄物・リサイクル関係が厚生省から所管が移管されて業務が拡張されますので、廃棄物・リサイクル対策部が新たに設けられることになっております。それを踏まえまして、課の数も、他の一般の省庁においては1局、さらには1局当たり1課削減という大変厳しいスリム化ということで再編を行っております。その中にありまして、環境省においては1部3課の増という形で21世紀に対応するという体制をとる予定になっております。
 また、私ども水質保全局につきましては、3ページの組織図を御覧いただいた方がわかりやすいと思います。1官房4局ございまして、真ん中の右あたりに環境管理局というのがございます。この中に水環境部というのがございまして、企画課、水環境管理課、土壌環境課、このような新たな体制で臨むということでございます。従前の大気保全局と水質保全局が一緒になりまして、新たに環境管理局ができました。その中で私どもの水質保全局は水環境部という名前に変わりまして、このような3課体制で臨むことになります。
 また、瀬戸内海環境保全室は、瀬戸内海のみならず今後は東京湾とか伊勢湾、あるいはそれ以外の全国の閉鎖性海域を合わせて業務の対象にするということで、瀬戸内海でいろいろ御指導いただきました知識を踏まえて、業務を全体的に拡充するという形で体制の強化を図ってまいると。このようなことで新体制が予定されているところでございますので、御理解いただければと思います。
 それから、全体の定員につきましては、右上にございますように、新たな定員は1,131名でございますけれども、現在の定員は1,020人でございまして、来年の1月からは110人増という形で強化を図ることになります。これが1月6日以降の新体制でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 4ページにまいりまして、これも既に当審議会でご報告させていただいているところでございますけれども、省庁の再編に合わせて、審議会についても国全体として再編等が行われるということで、国全体で121の審議会が統合整理されるということでございます。環境庁関係も原則は1つの審議会にまとめるべきであるという大前提を受けまして、これまでの中央環境審議会、自然環境保全審議会、それから、これは総理府にございました動物保護審議会、さらにこの瀬戸内海環境保全審議会の機能については、来年の1月以降、新たに再編されます中央審議会に統合されるという形になっております。
 1月6日以降の新しい瀬戸内法等の法律は下に書いてあるとおりでございます。右側が現行でございますが、瀬戸内法の3条で、これまでは基本計画の策定にあたっては「内閣総理大臣が瀬戸内海環境保全審議会に意見を聞かなければならない」となっておりましたが、今後は「環境大臣は中央環境審議会に意見を聞かなければならない」という形で、法律の変更がされております。
 それから、13条の基本計画についても「中央環境審議会に意見を聞く」ということでございまして、23条にこれまで瀬戸内海環境保全審議会の規定がございましたけれども、今回削除されたということでございます。
 5ページにまいりまして、それを受けて環境基本法を変更しております。環境基本法の41条で、「環境庁」が「環境省」に変更され、また、中央審議会の所掌事務が変更になります。これまでは「内閣総理大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する基本事項を調査審議する」と。また、「環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じて、重要事項を調査審議する」という規定でございますが、これが改正されまして、「環境大臣」という変更と、三として新たに統合される審議会の機能として、「鳥獣保護法」等法律の名称が加わっております。真ん中にございますように、「瀬戸内海環境保全特別措置法に関する法律により、その権限に属させられた事項を処理すること」と。このように法律も既に改正されておりまして、来年の1月6日から施行されるということで、来年の1月6日以降は中央環境審議会の方で瀬戸内海の環境保全にかかる事項を審議していただくことになるということでございます。
 以上でございます。

○中西会長:ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして御質問等ありましたら、お願いいたします。
 環境省になって、瀬戸内室が閉鎖性海域対策室ということで発展的に改組されるということでございます。
 よろしいですか。
 では、次に移らせていただきます。最後にその他とありますが、委員の皆様から何か御発言ございませんでしょうか。
 それでは、事務局、何かございますか。

○浅野瀬戸内海環境保全室長:この基本計画に関する今後の予定でございますけれども、瀬戸法に定められております関係府県知事への意見照会がございまして、審議会の御意見とともに関係府県知事さんの意見も聴取するという規定がございますが、現在、意見聴取の手続を進めております。その上で、年内の閣議決定を目指して作業を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○中西会長:ということで、この答申につきましては、さらに関係府県知事への意見照会の手続があり、その上で年内に閣議決定したいということでございます。
 以上で、予定された審議は終わりました。
 最後になりましたが、先ほどのごとく本審議会は本日が最後でございますので、私の方から一言御挨拶させていただきます。
 まず最初に、本日答申いたしました瀬戸内海の環境保全基本計画の変更につきましては、このように答申を取りまとめることが出来ましたことは、委員の皆様の瀬戸内海環境保全に関する御熱意の賜物であり、ご協力を改めて御礼申し上げます。昨年9月の諮問以来、計画部会の開催は1〜2カ月に1回というようなペースで、延べ9回の御報告を伺いました。計画部会以外の委員の方にも御出席いただき、岡山では、一般からの意見聴取ということで、2回にわたる国民からの意見聴取などを行いまして、大変ご熱心かつ多角な御議論をいただいたと思います。
 このような経過を至りまして、海砂利の採取や埋立てなど、この答申にあたりましては大変難しい問題がありましたが、私といたしましては満足のいく取りまとめができたことと考えております。先ほど事務局から説明がありましたように、本計画は年内に閣議決定の予定であり、今後この計画が瀬戸内海関係府県の計画などに適切に反映され、21世紀における諸施策の実施にあたっての指針になることを心より期待しております。
 さて、瀬戸内海環境保全の臨時措置法から特別措置法に移りましてかれこれ30年弱になりますが、瀬戸内海環境保全審議会の歴史もこれと同様でございます。ここにその終わりを迎えるということは感無量でございますが、当初はCODを当時の総量の半分に削減するという思い切った提案がなされ、それが達成されたわけでございます。さらには埋立ての基本的な考え方についても喧々諤々の議論があったやに聞いております。そういったことで、死の海と言われた瀬戸内海も沈静化に向かい、それ以後右下がりに改善が行われまして、現在に至っているわけでございます。
 この間、水銀汚染で水俣の湾よりも行方不明水銀がはるかに多い徳山湾という問題を抱えましたが、これもいろんな関係の努力により現在解消されております。また、PCBの問題とか播磨灘の赤潮問題とか多種多様な問題がございました。さらに、思い出しますと、燐の削減指導に加えて、窒素の削減指導をしたいというようなことでいろいろ議論があったようでございますが、なかなか難航したようでございます。私はこれを大阪湾戦争というふうに感じておりますが、須藤先生もそのとき御苦労されたことと思います。それが一方から窒素、燐の海域の環境基準の設定、それから、本日御報告がありましたように、総量規制という、レベルまで窒素、燐の規制が踏み込んだことは感無量でございます。
 この審議会は新しく中央環境審議会に引き継いでいただけるということでございますが、保全、修復、連携というキーワードを、瀬戸内海を発信基地としまして、日本の閉鎖性海域、さらに世界の閉鎖性海域に向かって前進していくことを願っているわけでございます。また、先ほど御報告いたしましたように、基本方針の見直しという作業が新たに中央環境審議会で行われることを期待しているところでございます。
 私の会長としての役目もこれで最後になりますが、これまで2期4年間の職務を全うすることができましたのも、ひとえに各委員の御協力の賜物と重ねて御礼申し上げる次第でございます。
 簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(拍手)

○浅野瀬戸内海環境保全室長:中西会長、どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、遠藤水質保全局長から御挨拶申し上げたいと思います。

○遠藤水質保全局長:水質保全局長の遠藤でございます。本日は長時間にわたり御審議賜りまして大変ありがとうございました。
 この瀬戸内海環境基本計画の審議につきましては、昨年9月以来非常に長期かつ多角的に御議論を賜りました。私ども事務局といたしましても非常に勉強させていただきました。今、中西会長から御指摘がありましたように、死の海と言われていた瀬戸内海に対しまして、昭和48年に瀬戸内法が制定されて以来、各種の試行錯誤、努力をしてまいったわけでございます。その羅針盤の役割を果たしましたのは、この瀬戸内海環境保全基本計画であったということでございます。これにつきまして、22年ぶりに全面的に改定をいたしまして、21世紀に橋渡しを致すということにつきましては、私ども責任の重さをひしひしと感じている次第でございます。
 この御議論の過程におきまして、瀬戸内海を取り巻いております関係地域の方々の横の連携、そして、瀬戸内海に流れます河川を通じて、沿海部分から山に至るまでの縦の連携、それに瀬戸内海の海域に関連するさまざまな世代の方々の世代の連携が非常に重要だとい御議論がございました。私はこの連携こそが今後非常に重要な保全の推進役になると考えております。私どもも20世紀から21世紀のつなぎ役といたしまして、今後全力を尽くして対応してまいりたいと思います。先ほど御報告申し上げましたように、来年1月6日からは環境省になります。その際に、もう一度兜を引き締めまして対応してまいりたいと思っております。
 今まで諸先生方に御審議いただきました各種知見、御示唆、御指導、御鞭撻、大変有り難うございました。本日でこの審議会は最後となりますけれども、中央環境審議会におきまして引き続き本問題について論議が続けられるということでございます。その際にも今までいただきました知見、御指導、御鞭撻を承れればと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
 本当にありがとうございました。

○浅野瀬戸内海環境保全室長:それでは、委員の皆様には御熱心な御審議をありがとうございました。これで審議会を終了させていただきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。