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中央環境審議会水質部会ダイオキシン類排水規制専門委員会(第3回)議事録



     
日   時 :平成11年10月15日(金) 10:00〜12:00
 
会   場 :通商産業省別館 共用第902会議室
 
出席委員 :松尾 委 員 長 (東京大学大学院工学系研究科教授)
 小林 特別委員((財)日本環境衛生センター専務理事)
 猿田 特別委員(神奈川大学名誉教授)
 田中 専門委員(国立公衆衛生院廃棄物工学部部長)
 土屋 専門委員(東京都環境科学研究所所長)
 冨永 専門委員(工業技術院資源環境技術総合研究所統括研究調査官)
 森田 専門委員(国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官)
 
欠席委員 :上路 専門委員(農業環境技術研究所資材動態部農薬動態科長)
 
(事務局)水質保全局長、企画課長、地下水・地盤環境室長、
海洋環境・廃棄物対策室長、水質管理課長、水質規制課長、
水質規制課 西嶋補佐、池田補佐



議事.1「資料1 第2回専門委員会議事録の確認」

 委員の先生方が持ち帰り検討し、意見がある場合には1週間以内に事務局に連絡することとなった。


議事.2「排水等に係る調査結果について」

(事務局)(廃棄物焼却施設の調査結果について説明)

(A委員)排水処理によって、ダイオキシン類の濃度が低くなっているが、これは汚泥にいったということか。

(事務局)そのとおり。

(B委員)測定値として異常値が入っている場合に、それをどう排除するかが難しい。異常値にとらわれて全体の判断を誤ることがないようにする必要がある。排水として100pgを超える等これまでにあまり例のないデータについては、分析のミスによることも考えられるので測定結果を吟味して、排除することも検討すべきではないか。

(C委員)数値が一人歩きすることがあるので、注意する必要がある。除去率も重要だが、排水としての濃度の絶対値が重要である。もともと濃度が高いものは除去率も大きくなる。

(事務局)(産業系施設の調査結果について説明)

(C委員)今年度の調査結果が出ていない施設が多くあるが、今年度の調査結果の取りまとめが、全体の審議に影響することはないか。

(事務局)来週早々には調査結果が出揃う。次回の専門委員会で報告する。

(C委員)アルミ製造工場と他のもので異性体パターンが異なっているようだが。

(事務局)異性体の並べ方が異なるので一概には言えないが、確認する。

(D委員)図の対数表示のうち普通表示が適当なものはないのか。

(事務局)かなり範囲が広いので対数表示にしている。

(E委員)工業用水はその周辺の公共用水域から取水されたものか。

(事務局)概ねそのように考えてよいが、一部、ろ過しているものもある。

(B委員)ダイオキシン類のTEQとOCDD等の濃度の相関関係があるような書きぶりになっている。そうすると発生源によって、異性体パターンが変わらないということになる。これについては、慎重に検討する必要がある。

(C委員)異性体パターンを勘案して評価する必要がある。

(F委員)グラフの表題について、例えば「紙パルプ排水における〜」ではなく、「紙パルプ製造工場における〜」と書く必要がある。


議事.3「排水中に含まれるダイオキシン類の排出抑制対策について」

(事務局)(資料2について説明)

(C委員)焼却施設の数はどの程度か。規模は、この施設数と関連するのか。

(事務局)水濁法の特定施設は、廃掃法を引用しており、200kg/時間で裾切りをしている。この規模を若干下回るような施設数が多くなっている。

(C委員)50kg/時間に規模を引き下げると施設の数は増えるのか。

(事務局)50kg/時間のものは、排出抑制対策検討会の報告書によれば、約4,000施設とされている。

(B委員)コプラナーPCBについての定義であるが、「扁平構造」と書いてしまうとノンオルトだけになってしまい、モノオルト、ジオルトが除外されてしまうので注意が必要。

(C委員)JISに関係するのか。

(B委員)JISには関係しない。定義の問題である。立法の趣旨を踏まえコプラナーPCBを「扁平構造」のものとモノオルトと定義するしかない。

(G委員)紙パルプは、昔はリグニンが原因であったが、今は違うとも聞いているので「リグニン」を削除すべき。


議事.4「ダイオキシン類に係る排水規制の考え方について」

(事務局)(資料3について説明)

(D委員)ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設に指定されるものとして、3種類が考えられる。@水濁法の特定施設になっているもののなかでダイオキシン類を排出しているもの。Aダイオキシン類を排出しているもので、水濁法の特定施設にもするもの。B水濁法の視点から離れて、ダイオキシン類の排出の観点のみから特定施設に指定するもの。Bの観点によるものがあるのか大いに関心がある。また、新しい発生源についての記述が弱いのではないか。

(C委員)汚泥等固形物になったものについては、ダイオキシン類対策特別措置法では対象としているのか。

(事務局)ダイオキシン類特別措置法の制定により廃掃法として規制される。基準については、現在、検討中である。

(C委員)ダイオキシン類を含む汚泥を出す施設は特定施設にはならないのか。

(事務局)ダイオキシン類対策特別措置法の成立に伴い、水濁法との関係でパラレルで進められるかという点もある。一般的に排水としてダイオキシンを出すのであればチェックが必要である。水濁法の特定施設については、別途検討しているが、時間的にはギャップが生じるかもしれない。

(C委員)今回は、ダイオキシン類を明らかに排出するところに絞って指定する。水濁法については、別途検討することとし、ダイオキシン類を排出するか排出しないかという観点から特定施設の検討を行うことでよいであろう。

(G委員)用水や環境水と同程度の濃度まで下げて排出している施設についても、特定施設として指定することはいかがなものか。

(C委員)ダイオキシンを排出するおそれがあるものについては指定すべきと考える。立法の精神として、国民の不安を取り除く必要があり、おそれがあるところを全て指定しないとそれに答えられない。これまで、ダイオキシンの排出削減に努力してきたところには、それに答えられるような措置を考える必要はある。

(G委員)環境基準以下の濃度で排水しているようなものまで対象となるのか。非意図的に事業場から出ているものや、可能性があるもの全部を指定するのか。それともたまたま調査で見つかったところを対象とするのか。

(C委員)ダイオキシンの排出量全体のうち、排水由来は、0.02%ではあるが、水について環境基準が決められれば、それを達成することが重要。工程的にダイオキシンを排出する可能性があるならば規制対象とすることが必要。

(事務局)観念的には排出源はいくつか考えられるが、これまでの検討の経緯を踏まえ、規制をかけることの検討が必要。規制の対象とすることにより、きちんと発生が抑制される。土壌、廃棄物からの付け回しを防ぐためにもきちんとおさえていくことが必要。観念的には、どのような施設でも排出する可能性があるが、これまでの検討を踏まえて規制をかける。排水濃度が低いとしても原水濃度が高いことがポイントになる。

(E委員)委員長と事務局に賛成である。人の摂取経路として魚介類経由が多く、そのためにも水の汚染を低減させることが必要。まず、わかっているものからやっていくこと、今後、わかれば追加していくことになるのであろう。一般的な下水汚泥はどう考えるか。また、下水道は特定施設からの排水を受け入れているものに限るのか。

(事務局)一般的な下水汚泥の中にダイオキシンがないとは言えないだろうが、下水道法との役割分担になっている。当面は直接の発生源を受け入れているものに限ることが必要と考えている。

(F委員)@ダイオキシンの除去によって、出たものを処理する施設をどうするか。A排水基準を守って放流するような場合、負担が少なくなるような配慮が必要。また、特定施設が下水道へ放流できなくならないようにしてほしい。B紙パルプ製造工場では、これまでの対策により効果があがっている。そのような施設に対しても自主的な排水管理が必要だが、AOX濃度等、別の指標でチェックする等の配慮が必要ではないか。

(事務局)@については、廃棄物最終処分場は、別途、廃棄物部会において検討している。汚泥の処理を外部に委託しているような場合は、時期によってダイオキシンの排出の有無が変わってくることが課題。Aについては、下水道自体がダイオキシンを処理できないのあれば、下水道も水質排出基準と同等の受け入れ基準を作らざるを得ない。下水道としての対応については、引き続き、建設省との間で話を詰めていきたい。Bについて、AOX等を用いる簡便な管理指標については、規制とは切り離して考えるべき話であるが、自主測定の回数等については、いろいろな観点から考えていく必要がある。

(B委員)ダイオキシン問題がPCBの問題とつながってきているので早急な措置が必要。ダイオキシンの処理技術としては、現状のものでも有効であり、当面は充分と考えられるのでメーカー等とよく検討を行って欲しい。精度管理については丁寧に書くべきであり、きちんとした精度管理手法をもつべきである。分析値は不確かさの幅を持つということが、一般的な考え方となりつつある。

(C委員)@法律中の「技術水準を勘案して」の取り扱いが難しく、どう判断するか問題になる。業界の中の大半の事業場で達成可能なレベル程度までは抑制すべきであろう。仮に7〜8割程度の事業場がクリアしていれば現在の技術水準といえるのではないか。A自主的な努力にどう報いるかということについて、自主的な努力によりある程度の範囲に抑えていれば負担が軽減されるような仕組みが必要ではないか。B精度管理については、どこで管理するか仕掛けが必要である。このたび提起された課題について、各委員としても考えておいて欲しい。

(E委員)自主測定の回数については、事業者の負担が大きくなるということで軽減するというのはいかがなものか。

(事務局)自主測定の回数については、事業者の規模の問題もある。

(事務局)精度管理について、測定の手法、データの根拠等を含め事務局で調査する。


議事.5「その他」

(事務局)次回の専門委員会11月1日(月)14:00〜17:00 環境庁第一会議室を予定している。委員の先生方には正式な開催通知を追って郵送する。