戻 る

中央環境審議会第27回水質部会議事録


1.日 時   平成12年12月14日(金)10:00〜11:10

2.場 所   中央合同庁舎5号館別館 共用第11〜13会議室(7階)

3.出席者

村岡 浩爾部会長清水  誠委  員
岸    ユキ委  員木原  啓吉委  員
小早川光郎  〃櫻井  治彦  〃
佐竹  五六  〃須藤 隆一  〃
高岩 権治  〃高橋さち子  〃
中野 璋代  〃足立 則安  〃
池田  駿介特別委員恩田 怡彦特別委員
小林 康彦  〃猿田 勝美  〃
田代 直弘  〃谷山 重孝  〃
西山 紀彦  〃福井 経一  〃
松尾 友矩  〃  〃
遠藤 水質保全局長
吉田 水質規制課長
齊藤 地下水・地盤環境室長
長尾 企画課長
小沢 水質管理課長
浅野瀬戸内海環境保全室長

4.議 題

(1)水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について
(2)その他

5.配付資料

水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等に関する意見の募集結果について(案)
「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」(中央環境審議会答申案)

(参考資料)

「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」中央環境審議会答申案に対する意見の募集について
水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について(平成11年2月22日付け諮問及び付議)

6.議  事

【水質規制課長】 ただいまから、第27回の中央環境審議会水質部会を開催させていただきます。
委員総数27名中、21名の委員の御出席が予定されておりますが、ただいまのところ17名の方々の御出席をいただいておりますので、既に会議は成立しております。

【水質保全局長】 水質保全局長の遠藤でございます。
 本日でございますけれども、先にふっ素等の排出規制の項目追加につきまして、専門委員会報告を報告をさせていただき、その後暫定基準を事務局で策定した上で、暫定基準につきまして確認の了解をいただき、答申案とさせていただきました。その後、11月中旬から約1カ月間、パブリックコメントの手続をとってまいった次第でございます。その結果、さまざまな意見を頂戴いいたしました。本日は、それらの意見を踏まえ改めて答申案につきまして、ご審議いただきたいと思います。本日は以上の1件でございますので、よろしくお願いいたします。

【水質規制課長】 それでは、これから議事に入らせていただきますが、以後の進行は村岡部会長にお願いいたします。

【村岡部会長】 お忙しい時期に、このようにお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 それで、本日は排水規制にかかわるパブリックコメントの結果及び答申の審議が主な議題でございますけれども、現体制での水質部会が本日が最後になりますので、この審議が終わりました後に、各委員から水環境に対する御自由な意見をいただく時間を10分ぐらいとりたいと思っております。ということで、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議題の(1)でございますけれども、水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等についてでございますが、本件につきましては、10月19日の本部会におきまして、排水規制等専門委員会の報告をいただきました。その後、11月上旬に暫定基準を盛り込むという形で、これを答申案とするということを既に各委員の先生方からお認めいただいております。そこで、本日はこの答申案につきまして、約1カ月、パブリックコメントの手続に付しましたので、そこで得られました多くの国民の意見を今日おまとめいただいて、それに対する対応の考え方等も含めまして御審議いただきたいと思います。
 それでは、その説明をまず事務局からお願いしたいと思います。

【事務局】 資料1、資料2に基づき説明。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 62件の意見が寄せられたということでございますが、その意見の概要とそれに対する考え方、さらには、それに基づいて資料2で、前にお認めいただきました答申案の一部修正ということについての御説明がございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、委員の先生方から御意見がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【須藤委員】 対応の仕方としては、全体的にはこれでよろしいのでは。少し一つだけ気になるというか、質問をさせてください。
 12ページのところの、今のし尿処理施設の窒素の200mg/lのところでございますが、多分暫定基準として安全を見ればこれでよろしいのだろうとは思うんですけれども、もちろんこの処理施設というのは常に、他の処理施設もそうですけれども、いろいろな事故や障害で突然停止せざるを得なくなったりして、いろいろなことで運転が難しいというのは理解はできるのですが、そうすると、他のところもそんなこともあり得るのではないかなという気もしました。
 それと、窒素の場合は、TNが120mg/lで規制されています。それとこの値で整合性はとれるのでしょうかということが、どちらが制限になるのかわからないのですけれども、それは整合性はとれているのでしょうか。これは暫定がなかったのではないかと思うのですが、それはいかがでしょうか。

【村岡部会長】 これは事務局からお答えいただきたいと思います。
【地下水・地盤環境室長】 全窒素規制との整合性でございますけれども、閉鎖性水域にのみ、その全窒素規制がかかっておりますので、そこについては当然その規制値120mg/lが適用されるということでございます。現実的にこの200mg/lというのが想定されますので、それ以外の地域で、従来からある低希釈に窒素のとれる形ではない処理施設が少なからずある。処理方式による実態であるということで、特段その運転管理上の事故等、そういうものを想定したものではございません。

【村岡部会長】 ほかに何か御意見がございますか。
よろしいでしょうか。
他にございませんようでしたら、パブリックコメントで得られました意見に対する考え方について、委員の先生方の中で大きな異論がなかったものとさせていただきます。したがいまして、一部修正がありました答申案、この案をもって森嶌会長に報告したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
              (異議なし)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは、本案のとおり森嶌会長に報告させていただくことにいたします。
 どうも御審議をありがとうございました。
 それでは、初めに申しましたように、10分か15分ぐらい、委員の先生方からの自由な御意見をいただきたいと思います。考えてみますと、この1〜2年、特に有害化学物質の追加があって以降、ダイオキシンの問題や総量規制の問題とか、本日いただきました排水規制のこととか、非常に重要な課題につきまして集中的な御審議をいただいたように思います。少々肩苦しい意見も集中したかと思うのですけれども、それで本来広く水環境にかかわる課題につきまして意見をお述べいただく機会のなかったこともございますので、今日はそういった点を踏まえまして、単なる水質の問題だけではなく水環境の問題、あるいは健全な水循環といったこと、さらには、地球環境の中での水のあり方といった広い水にかかわる問題につきまして、日頃委員の先生方が専門的にお考えいただいているようなことを少しここで御意見をいただいてディスカッションしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、ひとつ何なりと御意見をお申し出いただきたいと思います。いかがでしょうか。

【須藤委員】 どうしても、最後だというので、この次の引き継ぎのためのお願いをしておきたかったことが一つございます。といいますのは、私も中央や都道府県の行政を若干お手伝いしている立場から、今のNPの規制の問題で、特に湖沼ではNP比が20以上になると窒素の規制ができない。それから、海でも指数が1以下だと要するに窒素、燐の規制ができないがために、中央でやる気があってもそれがネックになって苦慮している例が結構ございます。それは、ときどき私は水質管理課長にも、それから、水質規制課長にもお願いはしておるのですが、何とかこれを早目に、本来でしたら、今の継続の中で最終的にはそうなってほしかったのだけれども、可及的速やかに、特に窒素規制が閉鎖性域でできるように、制限が加えられないでできるようにお願いをしたい。それだけでございます。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 ほかに御意見がございますか。

【小林特別委員】 身近な水がもう少しきれいにならないかという気持ちを常に持っているのです。具体的に申し上げますと、京浜急行に乗って、品川から横浜まで行きますと小さい川を次々に横切りますが、そのほとんどが俗に言うどぶ川のままの状態なのですね。ごみも浮いていますし、非常に水もどろっとしている状態なんです。下水道が普及すればするほど、都市内のそういう小さい河川というのは水量もなくなりますし、汚れが目立つ状況になっていますので、地域的な運動も含めてそういう具体的な水、これが環境に対する私どもの意識なり、子供の環境への親しみなりに非常に影響しているのではないかという気を持っております。そういう取り組みについて、是非健全な水循環の中で積極的に取り組んでいただきたいというのが一つ。
 もう一つは、昭和45年に水質汚濁防止法ができましたときの運用のベースの基準、具体的にいいますと、規制をする排水量の水量ですとか、あるいは一般家庭から出る汚水を一つの判断基準にして基準を考えてきた。こういう前提をそろそろ見直して、今の時代、今の技術に沿って新しい規制のあり方というのを考える時期に来ているのではなかろうかと。以上、2点でございます。

【村岡部会長】 どうもありがとうございます。
 何か関連して、御意見がございましたら。

【足立委員】 一つだけ環境庁の方へ要請しておきたいと思うのですが、環境庁も来年1月6日から省に格上げされるという時期でございますので、今も発言がありましたけれども、健全な水循環に向けての法整備ということが、これまでたくさん、環境庁だけではなく関連する省庁でやられてきたということがあるのですが、むしろもっと大きな視点で全体の健全な水循環を保証し、水の管理や、あるいは水質の保全ということの総合的な立法が必要なのではないかと。どういうふうに表現すればいいのかわかりませんが、環境基本法ということに例えて言えば、水基本法のようなものを検討していくということが大切なのではないかと思っています。最近、非常に問われておりますのは、水の安全性、水の質ということが大きな課題になっているわけですが、現在の水の実態を見ますと、もう処理技術の向上だけでは対応しきれないという、そういう側面もあるわけです。ですから健全な水循環を保証して、水環境を保全することによって安全な水を確保するといいますか、そういうための総合的な立法が流域単位で検討されていくということが非常に大切な時期を迎えているのではないかというふうに思っているのです。水問題で各省と話し合う際に、6つも7つも関連省庁と話をしなければいけないという、こういう実態がありまして、政府の方も6省庁の連絡会議をつくったようでありますが、環境庁が省に格上げされるということもございますので、これを機に、総合的な水の立法ということを是非中心になって検討していただきたい、こういうことをご要望として申し上げておきたいと思います。

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 非常に重要な意見かと思います。私もそれに関連しまして、ちょうど先ほど局長もおっしゃったように、新しい環境基本法の中に重点事項の一つとして、健全な水循環の考え方が結果的には記載されました。ああいったものを見ますと、これから、今、御意見をいただいたような総合的な水の立法化というのは大変重要なことかと思いますので、その点は21世紀に入りまして、また新たな体制のもとで是非そういったことを進めていただけるように考えていただける場をつくっていただきたいというふうに思っております。

【谷山特別委員】 日本の水環境を考えますと、国際的に見ると、それほど悪くない状況ではないかというふうに思います。中近東など非常に水の逼迫しているところでは、今、どういうふうに水が使われているかというと、下水道の水を直接かんがいに利用したり、それからまた、農地の塩分化でかんがい用水が劣化しているというところが非常に多いわけです。そういう点、日本は降雨が豊富ですから、そういう点では希釈されますので、そういう国と比べると日本の状況はそれほど悪くないというふうに私は考えています。ただ、問題があるのは、非かんがい期の水環境の問題ではないかと。非かんがい期には、今まで古来我が国の場合は、農業用水路にかなり水量があったために、農村の水環境というのは必ずしも農業だけではなく、それによって水質が保全されてきた、また、農業用水の水がいろいろな目的に使われていたという事実があるわけであります。30年前ぐらいからだと思いますが、農業水利権を、冬季水利権を非常に厳密に区分して規制したために、特に太平洋側の地域は、冬季に雨が降りませんから、そこで確かに水資源は非常に逼迫している地域ではあります。冬季の水利権を厳密に規制したために、先ほどの小林委員のお話のようにどぶ川のようになっている。また、下水の排水だけしか水路が流れていないという状況になっておりまして、そこで、農業水利権をそのように厳密に季別規制をやるのを、もう少し弾力的に運用できないものか。そういうことをすることによって、下流には都市があるわけでありますが、上流の農村地域においての水環境というのは極めて改善されるというふうに考えております。特に下水道で流域下水道が発達したために、ますますそういう農業用の排水路、本来ならそういう排水路に循環されたところの水が全くなくなってしまっている。消火栓の水が全く枯れた。そこに浄化槽の汚水、処理されないままの水が、水たまりからそういうところに流れてきて非常に環境が悪くなっているという状況ではないかというふうに思います。

【中野委員】 このように専門家の先生の中で国民の代表として、実際に水に携わっている私たちがいろいろな審議会に寄せていただいたということは本当にうれしく思っております。特に私は55年の琵琶湖の富栄養化防止条例にいろいろ努力をいたし、そして、その条例をつくったのでございます。そうしたことから、やはり水環境ということは大変大切なことであり、そしてまた、ここの15ページにも、その他のところに、意見の概要のところにも出ております。家庭排水についての、合成洗剤の成分を調べてほしいということが出ておりました。今、合成洗剤は環境にもいいというようなことで、いろいろとコマーシャルにも流れておりますけれども、それは長期的にいろいろなことを調べていただいて、そして結論を出していただきたいと思いますのと、私たちは石けんと合成洗剤の違いなどを、いろいろな発芽とか、いろいろな方面で調べたり、そして実際に行って、皆さんと一緒にそれを勉強しております。そうしたことから、やはりこの合成洗剤というものももう少し長期で体にどのような影響があるかということもしっかりと調べていただいて、そして、国民に示していただけたらうれしいなと思います。
 最後に、この場に私たち国民の代表として寄せていただいたこと。そして、いろいろな思いを述べさせていただいたということは、本当に私自身、うれしく思っております。ありがとうございました。

【高橋委員】 先ほど小さな水域、身近な小さな水域の、小河川などの環境についてご発言がありましたが、私もかねがね思っているのですけれども、身近な小さな河川や水路というのは、そこに住んでいる人、その前に住んでいる人やその地域の住民の手によってきれいにされていくという、そういうことがとても大切だと思うのです。私は農村の出身ですけれども、昔の農村というのは年に何回か村人が総出で川掃除をするとか、用水の管理のためのそういうことをずっとやってきておりましたけれども、最近みんなが勤めに出ていくようになりますと、そういうふうなこともなくなって、川の形も変わってしまいましたし、ただ市役所に電話して何をやっているんだ、きれいにしろみたいな、そういうお上に全部やってもらうべきだみたいな発想になりつつあるような気が個人的にはしているのですが、そうではなくて、地域の人々によって手に負えるような、そういう規模の水環境というのはやはりその地域の住民がそこに愛着を持って常に監視をするとか、できる範囲での管理といいますか、常にきれいにしていこうというふうなものがあるべきではないかと思っているのです。そのためには、やはり川の形というもの自体も、もうコンクリートになっていて、フェンスが張ってあるようではもう遠い世界になってしまいます。いろいろな面でそれは単に精神論ではなくて、いろいろな対応が必要だと思うのですけれども、お上が管理するものではなくて住民のものであるというふうになっていくべきではないかと思っているので、先ほどおっしゃったこととで少しそのことを思いついての発言です。

【木原委員】 先ほどの委員の方のお話で、リンを含んだ洗剤を使わないということで、ライフスタイルを変えようという滋賀県の主婦の方たちのイニシアチブで、それがきっかけになって琵琶湖の水質保全の法律ができ条例ができたわけですが、さらに進んで、19年前に世界湖沼環境会議を初めて滋賀でやられたと。研究者と行政と住民の代表が、三者対等の立場で意見を出し合って、環境をよくしようという会議が始まったわけです。また来年、日本では第3回目の会議が滋賀で開かれるそうですが、これに対して環境庁としてはどういう形で取り組まれるのかということを伺いたい。その第1回の世界湖沼環境会議がきっかけになりまして、日本各地の水環境と取り組んでいる住民運動の方たちが集まり、世界湖沼会議の琵琶湖宣言の宣に沿って水郷水稲全国会議というのをつくりました。それから19年ですが、毎年場所を変えて全国大会を開き水環境についての話し合いをしています。その結果、例えば水の循環の問題や木を植えて魚を増やすとか、あるいは森は海の恋人だとかという、住民のサイドからの環境の思想がかなり普遍的なものになり、それがきっかけになって河川法の改正等までになってきております。これについて、こういう住民の動きや運動に対して、環境庁としてはどう取り組まれるか、そういうことも伺いたいと思います。

【村岡部会長】 環境庁への御質問という形の意見ですが。

【水質保全局長】 いろいろな貴重な御意見をありがとうございました。
 水環境の法律等、非常に基本的な問題がありますけれども、今の直接的に御質問がありました件でございますが、私ども来年に世界湖沼会議があります。あともう一つ、閉鎖性内湾についての世界大会もございます。さらには、2003年には、世界水フォーラムという世界大会がございます。したがいまして、そういった国際的な会議が相次いで日本で開催されますので、それに照準を合わせまして、いろいろ、日本全国の方々の水問題の関心を高めていただく。そして、水問題に参加いただくというふうな気運情勢ができたらと考えております。ただ単に、日本だけでなく、アジアで開催されるということの意味も非常に重要であろうと思います。といいますのは、アジア地域は経済成長が非常に高く、人口密度が超密であり、そして、特に都市部におけるスラム化問題、そして、水質の劣化等が懸念されております。それは日本の昭和30年代や40年代前半の状況が再現される可能性がある。そういうことを我々の経験で未然に防止するような対応等も考えていかなければいけない。
 そして翻って、今度は日本国内において何をやるかということでございますけれども、まず、私どもは地域の方々の運動の活性化を図る前提といたしまして地域の方々がどんな活動をしているかという情報を集めまして、今、水質管理課長のところで情報を、一つの体系的にコンピューターに入れまして、それぞれの地域の方々、それぞれのほかの地域でどんな苦労に直面して、どんな解決策を模索しているのかということがアクセスできるような、そして、その結果、地域の方々の連携ができていく。そして、その中に相互に連携し合う形で解決策が全国的に盛り上がっていくと、そういうことができないかということを考えております。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
【松尾特別委員】 今、局長の言われた部分、私は非常に大事な部分だと思います。特にアジアに対してどうするというのは非常に重要なのですね。それで、私は水環境にかかわる技術をもう少し輸出産業にできないかと思うのです。一番大事なのは、今の学生さんは東京オリンピックのころに隅田川が汚れていたということを全然知らないんですね。そういう意味で、日本国内でもそういう技術の継承ができなくなってくると思うのですが、私は、この日本の50年間の経験をきちんとシステムモデルにして、最近ビジネスモデルが特許になるような話がある世界ですから、ある種の水管理行政のシステムを日本で体系化し、それをきちんと伝えるというのが、私は環境庁の重要な仕事ではないかと思っているのです。今、局長が言われたのは、是非少しシステマティックに日本からも発信をすべきだというふうに思います。
 もう一つは、貿易の問題に絡んでくると思うのですが、環境基準の国際化というのは、恐らくOECDでも議論が既に始まっているようですが、世界の環境基準に対して日本が日本の持っている今までの環境基準や排水基準の決め方、そういう考え方をきちっと体系化して見せて、日本の基準はこれなんだと。それに合わせるような、場合によっては、国際的な環境基準をリードするような仕事も環境庁にはやってほしいと思うのです。そのときに、前も言いましたが、CODの問題や日本国内で伝統的にこういうのをやってきているから、それでこれからも行くんだという姿勢は、とにかく早く変えて、いかに国際化に乗りおくれないで、国際的な環境基準づくりに日本が積極的に関与できるか、それを考えないと私は常に後手後手に行くのではないかということをまた改めて申し上げて、最後の機会に、是非国際化をもう少し進めるということを申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【岸委員】 もう今さら申し上げることでもないかと思います。環境庁もよくわかっていらっしゃることかなと思いますが、日本は平均するとおよそ70%が山林、森林という国で、やはりその森林が健康な状態でないと水はきれいにならない。その山が荒れ放題だという。今、県レベルでかなり、県産材で家を建てようといったような動きがかなり盛んになっております。私の知っている範囲でも、兵庫県や山梨県などもそうなんです。県レベルですごい予算を立てて製材所を持って、今までは自由に買えなかった県産材で家を建てようと。林業の方、製材所の方、工務店の方、設計者、これがチームワークを組んでとにかくやっていこうという動きが非常に高まっております。それは国の方針でもあるのかなと思いますが、是非そういうことを国がもっともっと後押ししてほしいなと。それから、森林ボランティアに対しても何か環境庁からもお褒めの言葉を少しいただければ本当にうれしいなというふうに思っております。そういう意味でも、農林水産省といろいろな横のつながりも大切になさって、よろしくお願いいたします。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 まだまだ興味あるご意見をいただけるかと思うのですけれども、時間も来ておりますので、今いただいた数々の意見は、言い放しということに終わらず、事務局の方でしっかりと議事録にとどめていただくようにお願いしたいと思います。
 さて、平成5年に環境基本法ができまして、それに基づいて中央環境審議会というのが設立されたわけで、そのもとで10部会がございまして、そのうちの一つとして我々の水質部会というのがございます。昨日の審議会の総会で、例の環境基本法の基本計画の見直しの答申もございましたけれども、そういった部会での、これまでどういったことをやってきたかという答申を中心とした報告もございました。我々、水質部会におきましては、この間、今日の答申も入れますと19件の答申をしておりまして、2番目に多い、大気部会が14件ということですから、数の上ではすごく多いわけです。数が多いということだけで、これは自慢にもなりませんけれども、考えてみますと、これぐらい水の問題というのは多角的な問題を抱えているということでございまして、このように有能な委員の先生方のおかげでこれらの答申をまとめることができたというふうに思っております。その下に専門部会等もございますので、その数を含めますというと、大変な委員会の数でございます。先生方にはかなり重要な意見をまとめていただいたように思います。その間、私は部会長としまして、委員の先生方の意見のまとめ役ということで務めさせていただきましたけれども、結果的に、すべての委員の先生方の意見をそういう答申に確実に反映できたかどうかという点になりますと、私も甚だ心もとないところがございますが、この19件の答申をまとめたということに免じてひとつ、不備なところをお許しいただきたいと思います。
 それから、これで19件が終わったからそれですべてということではなくて、昨日の報告にもあったのですけれども、それぞれの部会で今後どういうふうな課題を残しているか、次に引き継ぐかというようなことも説明がございました。これはもう既に皆様方、ここでご審議願ったことですけれども、一つは、ダイオキシン類の底質の環境基準の問題です。これはまだ底質の環境基準ということにつきましては、化学的知見が整っていないということで今後の課題でございます。
 それから、陸域の水質類型の指定の見直し。これも最初の段階からの課題でございますけれども一部見直したとはいえ、これは後日また続けていかないといけない課題でございます。
 それから、環境基準健康項目等の見直しについて、これも常日頃ずっと監視しておりまして、例の要監視項目から健康項目への格上げの問題等々、続けていかないといけない課題でございます。
 さらに、四つ目は、これが新しい課題かと思いますけれども、この席でも若干討議をした経緯がございますが、水生生物保全の観点から水質環境目標の検討を行うということでございます。これまで人間の健康やあるいは生活関係の項目ということで環境基準を決めてまいりましたけれども、それだけではなくて、生態系の中の生物が健全であるかどうかということも含めて、今後人間とそういう自然、生物との共生をしっかり図っていこうというもとでの何か基準化ができないかというふうな課題で、非常にこれは新しく、私も今後こういった問題をどんどん進めていってほしいと思います。
 以上のようなことでございまして、先生方には本当に長い間ご協力をいただきました。ここで改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本日の水質部会を終わりにしたいと思います。