中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第4回自動車排出ガス総合対策小委員会

1.日  時   平成12年6月26日(月) 10:00〜12:00
 
2.場  所   通産省別館901会議室
 
3.出席者

    (委員長)  岡 田   清
    (委 員)  浅 野 直 人       伊 藤 桂 子
           香 川   順       越   正 毅
           猿 田 勝 美       大 聖 泰 弘
           永 田 勝 也       松 下 秀 鶴
           横 山 長 之
           (五十音順)
    (説明者)  東京都環境局長
           東京都環境局自動車公害対策部長
           東京都環境局自動車公害対策部事業推進課長
           愛知県環境部技監
           愛知県環境部大気環境課長
           大阪府環境農林水産部交通公害課長
           大阪府環境農林水産部自動車環境対策グループ主査
    (事務局)  大気保全局長        企画課長
           自動車環境対策第一課長   自動車環境対策第二課長他
4. 議 事

   (1)大気汚染の状況等について
   (2)地方公共団体(東京都、愛知県、大阪府)ヒアリング
   (3)その他

5.配 付 資 料

   資料1   自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
   資料2−1 平成10年度大気汚染の状況について
   資料2−2 特定地域広域図
   資料3   今後のディーゼル車排出ガス対策(東京都)
   資料4   愛知県における自動車排出ガス対策の取組状況について(愛知県)
   資料5   自動車排出ガス対策についての基本的な考え方(大阪府)
   資料6   自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)
   資料7   第1回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録(案)

                              (委員限り)



【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会、大気・交通公害合同部会、第4回の自動車排出ガス総合対策小委員会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、小委員会の委員数12名のうち、10名の委員の出席が予定されております。ただいまのところ7名の方がご出席いただいており、若干、おくれていらっしゃる方もいらっしゃるようですけれども、既に会議の開催要件は満たしておりますので、時間の関係もありまして、開催させていただきたいと思います。
 まず、議事に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、1枚ものに続きまして、資料一覧をご用意しております。資料1は、小委員会の委員の名簿でございます。資料2は、資料2−1といたしまして、「平成10年度の大気汚染状況について」というものと、資料2−2が特定地域の汚染の状況をあらわしてあります、「特定地域広域図」というカラーのものをご用意しております。資料3は、東京都からいただいております、「今後のディーゼル車排出ガス対策」という資料でございます。資料4は、愛知県からいただいております、「愛知県における自動車排出ガス対策の取組状況について」でございます。資料5は、大阪府からいただいております、「自動車排出ガス対策についての基本的な考え方」でございます。資料6は、1枚もので「自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)」でございます。資料7は、これは委員の皆様だけにお配りしておりますけれども、第1回小委員会の議事録の(案)でございまして、これはまだ先生のお目を通していただいておりませんので、7月3日ごろまでに内容をごらんいただきまして、修正点等ございましたら、事務局の方へお申し出願いたいと思います。各委員のご了解をいただきました後は、固有名詞を除いて公開という扱いにさせていただきたいと思います。
 資料、不備等ございましたら、事務局の方へお願いいたします。
 それでは議事は岡田委員長にお願いいたします。
【委員長】 それでは会議を始めさせていただきます。本日は大変お忙しいところをお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。特に都府県の関係者の皆様方には、わざわざご出席をいただきまして、本当にありがとうございます。
 早速でございますけれども、議事の1、大気汚染の状況等について、まず事務局の方から説明をお願いをいたします。
【自動車一課長】 それでは資料2−1からご説明申し上げます。今日は自治体からのヒアリングということで、その前段のご説明として、汚染の状況が全国的にどうかということのご説明でございます。
 資料2−1、ページ開いていただきまして、3ページですけれども、この資料の平成10年度の大気汚染状況の結果についてまとめた資料でございます。3ページにNO2 、二酸化窒素の環境基準の達成状況等のデータがございます。下に棒グラフがございますように、全国で見ますと、一般環境大気測定局1,466の測定局のうちで、適合が1,382ということで、94.3%。同様に右側は自動車排出ガス測定局ですが、達成率で68.1%ということでございます。
 4ページをごらんいただきますと、近年その年平均値の推移で見ますと、汚染の状況、横ばいであるということでございます。
 それから5ページの上、図1−3に日本地図がございますが、これはNO2  の環境基準の非達成局が全国的にどのように分布しているかということで、これをごらんいただきますと、いわゆる自動車NOx 法の特定地域6都府県以外にも、環境基準を達成していない測定局のある県があるということがおわかりいただけるかと思います。
 それから6ページはNOx 法の特定地域の状況がございます。
 それから8ページの方まで飛んでいただきますと、首都圏、近畿圏で汚染の状況の分布を示しておりますが、年平均値が0.03ppmを超えた測定局が、特に中心部に分布しているということが読み取れようかと思います。
 次に、SPMが9ページからございます。環境基準の達成状況の推移が、真ん中の棒グラフでございますけれども、一般環境大気測定局で67.4%、自動車排出ガス測定局で35.7%ということで、比率としてはNO2 よりも低い数値でございます。その下の折れ線グラフでごらんいただきますと、年平均値は近年横ばいという状況でございます。
 10ページの方をごらんいただきますと、日本地図で環境基準達成率が全国的にどのような状況かということで、達成率によって色分けしてございますが、いわゆる自動車NOx 法の6都府県以外にも、かなりいろいろな道府県で浮遊粒子状物質の環境基準が達成されていないということが示されております。
 11ページからは、自動車NOx 法の特定地域における状況でございまして、12ページをごらんいただきますと、年平均値の分布でございまして、先ほどのNO2 と比べてみますと、首都圏でこの●がついたところが埼玉から群馬あたりまで、かなり広域に広がっているということで読み取れようかと思います。
 この資料は、以上でございます。
 それから資料2−2でございますが、これは首都圏につきまして、環境基準が非達成の測定局を含む市区町村をこの青で色塗りをしたと、そういう形で汚染の広がりを示した図でございます。一番上はNO2 の一般局、平成10年度のデータでございますが、首都圏の中心部に環境基準非達成の地域が分布していると。めくっていただきますと、同様のやり方で、自動車排出ガス測定局について塗ったものでございまして、一般局よりはより広く非達成地域が分布しているという状況でございます。ちょっと説明おくれましたが、この赤で塗った線が、いわゆる自動車NOx 法の特定地域の範囲でございます。
 3ページ目をごらんいただきますと、SPMで同様に調べてみるとどうかということでございまして、一般局でかなり広い地域、いわゆる特定地域の外の群馬、栃木、茨城まで、この非達成地域が広がっているということが示されております。
 また、4ページ目は同様のデータで、自排局で見た場合でございます。一般局に比べるとやや青を塗った面積、少ないように見えますが、いわゆる測定局は必ずしもすべての市町村にあるわけではないと、そういう意味でやや白が多くなっておりますけれども、汚染の広がりという意味では、かなり遠いところまで非達成地域があるということでございます。
 以上でございます。
【委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見などございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
【委 員】 これは後で関係してくることだと思いますけれども、このいただいた資料の4ページのところに、自動車排出ガス測定局のところで、一酸化窒素は確実に、わずかでありますけれど、年々減少傾向にあるにもかかわらず、二酸化窒素濃度が変わらない、この理由に関しては、何かどこかの委員会で検討されて、何か結論とか意見が出ているのでしょうか。
【自動車一課長】 これにつきましては、自動車NOx 法削減方策検討会ということでご議論、ご検討いただいた際にも議論がありまして、明確にこうという記述ではございませんが、やはりNOからNO2 への変換、あるいはそこで光化学オキシダントの反応等々の事情があるのではないかということで、いろいろなコメントはいただいております。
【委 員】 NOで見る限りは、自動車の排気ガス規制が功を奏しているわけですよね、確実に減っていってますから。それでも、NO2 の方は変わらないということは、今後この総合対策を考えていく上で、この理由の解明というのは、私、何か大事なような気がするんですけれども。
【自動車一課長】 そういう意味で、NOとNO2 の比率なり、変換の状況ということが、ファクターになっているわけですが、環境基準はNO2 ということでございますので、そういうNOとNO2 の比率なり、変換の状況もある程度想定した上で、NO2 が環境基準に届くかということに見合うNOx 法での削減ということを検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。
【委員長】 今、ご指摘の点は、外国でも、アメリカでもヨーロッパでも、ほぼ同じですね。NO2 とPM関係が非常に、十分に対策は進んでないということのようでありまして、HC、その他については、割に順調に、これは先ほどの資料に出ておりますけれども。
 それでは、議題の議事の2の入らせていただきまして、これから地方公共団体のヒアリングに入りたいと思います。
 早速ですが、ご説明をいただく方のご紹介をさせていただきます。まず、東京都環境局長の齋藤哲哉様。自動車公害対策部長の松葉邦雄様でございます。それから自動車公害対策部事業推進課長の谷島明彦様でございます。続きまして、今度は愛知県の環境部技監、河隅孝之様でございます。大気環境課長の稲垣隆司様でございます。続きまして、大阪府の環境農林水産部交通公害課長の宮前茂様です。自動車環境対策グループ主査、高見勝重様。以上の方にご出席をいただいております。
 それでは、東京都の方からご説明をお願いをいたします。よろしくどうぞ。
【東京都自動車公害対策部長】 それでは座ったままで失礼いたします。
 まず、このような機会をいただきましたことについて、東京都としてもお礼を申し上げたいと存じます。今日は短い時間でございますけれども、東京都のこの問題に関するご説明をさせていただきたいというふうに思っておりますが、最初に私から概説的にお話をさせていただいて、後ほど、資料に基づきまして、より詳しく担当の松葉部長からご説明をさせていただきたいと思います。
 東京都はこの自動車排出ガスの健康への影響問題を、環境の危機という形で深刻にとらえて、その対策に取り組んでいるところでございます。ご案内のことだと思いますが、東京においてはNOx 、あるいはPMの環境基準がなかなか達成されない、長い間達成されないという状態が続いておりますけれども、その主な原因がディーゼル車対策、ディーゼル車の排ガス対策が効果的に行われていないということにあると考えております。しかも、最近では、いわゆるNOx だけでなく、浮遊粒子状物質、PMの健康への影響が大きく懸念されているということがございます。尼崎公害訴訟判決もその一つのあらわれだろうというふうに思っておりますけれども。もとより、自動車排ガス対策というのは、排出ガス規制などの発生源対策だけではなくて、交通流、あるいは物流などの交通量対策、さらには燃料対策など、総合的かつ効果的にさまざまな対策が行われるべきだとは思っております。しかし、ことディーゼル車対策につきましては、これまでのさまざまな規制という面で、これがなかったのではないかというふうに思っております。
 自動車の排出ガス規制というのは、なかなか難しいところもありますけれども、これはしかし、規制が行われることによって新しい技術開発を促す、あるいは市場も創造していくという点にも着目すべきではないかというふうに思っております。これはかつてガソリン車が排出ガス問題で大きくクローズアップされたときに、三元触媒という新しい技術が開発されて、日本車が非常に世界から注目されるようになったということを見ても明らかだと思っています。
 東京都はディーゼル車の規制を条例で行うことも検討しておりますけれども、この問題は本来、東京都だけで、一地域だけで解決すべき問題だとは思っておりません。やはり国としてきちんと対応していただくべき、全国的な問題であるというふうに考えております。これは、石原知事も強く求めているところでございます。東京都としても、この中央環境審議会がNOx 法の改正などによりまして、自動車排出ガス問題に積極的に取り組んでいただいて、効果的な対策を打ち出していただくということを、強く切望しているところでございます。
 ディーゼル車対策についての東京都の考え方の基本でございますけれども、一つは今も申し上げましたように、やはりNOx だけではなくて、PMに対する対策をきちっと打ち出していただきたい。また打ち出すべきであるというふうに思っています。東京都としてはそのために、ディーゼル車への排出ガス規制を強化しなければいけないと考えます。その中身は3つになると思いますが、一つは、ガソリン車やLPG、CNG車などの、より低公害に車に買いかえを進めるということが柱になろうかと思います。2つ目は、使用過程車にPMの除去装置、いろいろ開発されておりますけれども、これを装着させていくということだろうと思います。さらに3点目は、硫黄分などの少ない軽油を早期に供給すること、これがぜひ必要であるというふうに思います。
 これらを基本としたディーゼル車対策というものが、早期に打ち立てられる必要があると考えております。特に付け加えさせていただきますと、これまでの自動車対策というのはどちらかというと、新車対策ということに重点がおかれていましたけれども、やはり新車だけではなく、現に走っている、いわゆる使用過程車対策というものを早期に進め、これも重視していく必要があると強く考えているところでございます。
 概略、私の方から申し上げましたが、この後は資料に基づきまして、担当の松葉自動車公害部長からご説明申し上げたいと思います。
【東京都自動車公害対策部長】 では、お手元の資料3に沿いまして、説明させていただきます。
 表紙をめくっていただきまして、今、概略説明を申し上げましたので、2ページからごらんいただきたいと思います。2ページには、ディーゼル車問題に特化して、特にPM対策を中心にここで提案をさせていただきたいという考え方が書いてございます。大きく分けまして、より低公害な車の普及拡大と、それから硫黄分等の低い軽油を早期に供給ということでございますが、(1)の新車対策でございますが、これはPMについて新しい排ガス規制を17年からお願いしたいと。またPMについてはユーロ5並み程度に厳しくしてほしいと、こういうことをするべきだということでございます。また、あわせまして、試験走行モードについても見直しを行ってほしいと、こういう考え方でございます。また、新しい基準を満たした新車については、平成15年から供給ができるようなシステム、または体制を確立するべきであると。
 それから(2)としまして、使用過程車対策ですが、これは低公害車への転換、それから第2に、古い車については、新しい車への買いかえを促進、それから第3に、一定の条件下でPM除去装置の装着を義務化すると。このようなことによって使用過程車対策を推進していきたいという提案でございます。
 それから第2の硫黄分等のところでございますが、これは既に低硫黄化についてのスキームというんですか、そういうものが明らかになっておるわけですが、新車の供給にあわせて早期に、15年ぐらいから供給を確立すべきであると。あわせまして、今、市場に出回っている油についても、必ずしも燃料として適正な燃料が使われてないというようなこともあるわけでして、そういう検査取り締まり体制も、ある面では排ガス対策を講じる上で、重要な柱の一つであろうというふうに考えています。
 なお、これはなかなか課題があるわけですが、現に使われている使用過程車に対しては、PM対策として芳香族炭化水素を除去した軽油の供給というものも、一方では有効な対策であろうというふうに考えております。これによって使用過程車については、相当程度、PM削減効果が行われるということもわかっているわけですが、これについてはさまざまな設備等の課題があることは承知しております。
 それから次に3ページでございます。ここでは書いてあることを大まかに申し上げますと、今、申し上げました規制手法のような内容と、それからあわせて規制以外にPM削減のためのさまざまな仕組みづくり、そういうものが両方セットになってうまくいく仕組みが必要であると。特に、中ほどでございますが、使用過程車からの買い換えを促進させる規制策をどういうふうにつくるかと、こういう確立が必要であるということでございます。
 それから4ページをお開きいただきたいと思います。これは一つは使用過程車対策でPMが特に使用過程車からの排出量が多い実態を考慮して、そこの部分での対策強化を図る必要があるという観点から提案させていただいているものでございます。現行のNOx 法によるNOx を基準とした車種使用制限があるわけでございますが、こういう点を考慮して、PMの観点からもPMの基準の設定について考えたものでございます。PMはNOx と異なりまして、除去装置を付加することによって、除去することは可能でございます。したがいまして、現行のNOx 法に基づく使用過程車対策よりも、さらに早い時期に規制をかけたり、または対策をとることは可能であると。したがいまして、NOx はなかなか除去技術がございませんが、PMについては除去技術があると。そういう観点からいけば、今度NOx 法等の改正に当たって、PMより早い対策時期の可能性があるということでございます。特に使用過程車にはPMの基準を徹底しまして、PM対策の推進を図る必要があるというふうに考えております。
 PMの基準の設定でございますが、なかなかちょっと複雑なところですが、大まかに申し上げますと、例えば平成15年ぐらいの時点で、新車の基準については、新短期規制値というものがかかるわけですが、その新車の基準であれば、例えば0.18というようなものがございます。使用過程車の基準を設定するということを考えた場合に、それより1期、少し、一段階前の基準は考えられると。それは、この図でいけば、15年時点で新短期が現在の基準であれば、長期規制値が使用過程車の基準として考えてもいいんじゃないかと。例えば、その値ですと0.25としたらどうかというような考え方が考えられます。これは15年にPMの規制を開始したということについては、例えば、新車の車の投入時期、あるいは東京都が従来から15年から開始、PMの規制等を考慮してきた経緯も踏まえまして、例えば開始時期を15年として考えたものでございます。
 なお、その4ページの図の下側に書いてございますが、2番のところの公平性を確保する観点から、初度登録から7年間は規制の適用を猶予すると、これは7年間という考え方は、長期規制の規制の間が5年、それから短期規制の2年間ございます。これを合わせて7年間というようなことを一定の猶予期間として考えてございます。なお、この考え方に基づきますと、平成15年に規制を開始した場合は、3の(1)にございますように、元年規制車については15年以降については使用ができない。それからあわせて6年のケースについても、相当程度困難であると。それから長期規制のところでございますが、Bのケースについては、若干猶予期間をはみ出した部分があるので、その部分につきましては、選択としては7年たった時点で、例えばPM除去の装置を付加するか、あるいは新しい車に買いかえるかという選択が可能になっていることでございます。なお、例えば、(2)ですが、ことし12年に購入したケースについては、猶予期間の適用がありまして、19年には買いかえ、またはPM除去装置の装着が必要になると、こういうようなことで、端的に言えば、9年規制車についての何らかのPM除去についての規制を行ったらどうかという提案でございます。なお、下のブルーのところでございますが、非ディーゼル車、言ってみればCNG車等への買いかえを行えば、こういう規制は免除されるものというふうに考えています。
 続きまして、次のページ、5ページでございます。これは使用過程車対策として、特にPMについては、車検制度とのリンクも必要であるということと、それから車検時に検査を行う必要があるだろうという考え方を提案したものでございます。使用過程車につきましては、現在耐久性、特に新車時の走行テスト等に基づいて、走行距離による規制が行われているわけでございます。しかしながら一方、走行に伴うPMなどの劣化もあるということでございます。例えばエンジン性能、それからまたは調整等に基づくPMの排出が多くなる。それからまた、将来PM除去装置等を装着した場合、そういう装置の劣化も考えられます。今後、TTF等の装置の装着が進んでいく場合、PMの性能をきちんとチェックするシステムが必要であろうと。こういう観点から考えますと、現行の車検時に黒煙チェック方式では、排ガス対策がだんだん厳しくなった場合には、なかなかチェックシステムが対応できないのではないかというふうに考えております。したがいまして、何らかの別の方式によるチェック方式の確立が必要であると。それは例えば車検時に合わせて、使用過程車に関するチェック方式、それから先ほど提案いたしました基準を設けた場合の、その基準についてのチェックというようなことも必要かと思います。あわせまして、今後、実際に町中で走っている車についての走行に関する検査体制の強化も必要であろうというふうに考えています。
 それから6番でございますが、これはNOx 法の対象地域外から流入する車についても、何らかの規制手法というものが考えられないだろうかと。走行上の車両の規制、それから保有車両の規制などが考えられる。こういうことによって、従前NOx 法の対象地域外から流入してくる車についての規制がなかったわけですが、こういうことが考えられないだろうかということでございます。
 なお、NOx 法などの改正に当たっての要望でございますが、ことしの3月にNOx 法の検討会から報告書が出ています。この中で提案されています施策のオプションの実現を図っていただきたいということでございます。例えばその中で、事業者に対する自動使用合理化指導の権限の、知事への委譲、それから特定業者の範囲の拡大。例えばディーゼル乗用車を規制対象に加える、あるいはトラックについてガソリン車並みの基準の適用の拡大、それから排出基準の強化、それから低公害車の保有義務づけなどがあるわけでございますが、こういうものについて確立をお願いしたいということでございます。
 なお、近いうちに7都県市という、埼玉、千葉、神奈川、東京、それから横浜、川崎、千葉市からでも、NOx 法等の改正につきまして、現在、要望をまとめているところでございまして、後日、近々のうちに提案をさせていただきたいというふうに考えています。
 以上でございます。
【委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問などお出しいただければと思いますが、いかがですか。
【委 員】 ご説明はおおよそ理解したつもりでおります。まず、最後におっしゃった知事による流入車規制ですね。この問題が一つの従来から全く手がつけられなかったネックの部分でありまして、やるべきであるということは、それはもう全くそのとおりなんですが、では現行法体系の中で、あるいは全く別法でもいいんですが、どういう法的な手法を用いることができるかというところが、かなりやっぱりきついですね。つまり現行法は、道交法を前提にする規制と、それから道路運送車両の登録及びそれの基準違反のものは道路を走ってはいかんという規定があるからそれでやるというのと、2つしか道具立てがないわけで、それ以外に、ダイレクトに環境規制として、本来大防法とか騒音規制法というのがあるわけなんですけれども、それがどうして移動発生源に対して直接的な規制効果を持ち得ないかという、そこのところは全くわからないままにだめだということになっているわけです。だからここのご提案がそこのところまで踏み込んでのご提案であるのかどうか。つまり、直接的に環境規制法がそこに発動されるべきだということをお考えなのか、あるいは従来から言われている枠組みの中で何とかしてくれということなのか、その辺のご趣旨がちょっとわかりにくいなということです。
 それからもう一つは、使用過程車の規制をかけろというご主張も、これもまことにもっともだという気もするわけです。この種の議論をやるときには必ず経済的な影響がどうであるかなんて分析をやらされて、ああだこうだという議論に巻き込まれるわけですが、その辺は東京都としては何かお考えがあるかということと。
 それからもう一つは、公平性の観点から7年間は規制適用猶予というのも、これはわかるんですけれども、ちょっと私は勉強不足なのでよく知らないのですが、かねてから聞かされているところによると、法定の耐用年数、償却済になってからがうんと稼ぎになるので、そこで走らせると儲かっちゃうという話を聞くわけです。だったらそこで儲かる人には買いかえてもらうか、買いかえるのでなければ儲かった分を吐き出してもらうか。だから結局は買いかえる方が得だというふうになるような、経済的なインセンティブを与えるということがあり得るだろうと、前から思ってはいるんですけれど、例えばこういうところの規制適用猶予というときにも、7年という機械的な基準ではなくて、何かそういう耐用年数、償却年数とか、そんなようなシステムと連動させておいて、それを超えた部分については、これは自らの責任でPM除去装置を設けるか買いかえるかどっちかだぞという方が気がきいているような気もするんですが。その辺のご検討があったかどうかということであります。
 まだほかにもありますけれども、ほかの委員からもご質問があろうかと思いますので。大変興味深いご提案なんですが、私ども悩んでいる部分でありますので、いい知恵があればお教えいただきたいと思います。
【東京都自動車公害対策部長】 流入規制でございますが、私どもも検討する中で、例えば現行の道交法の中で、交通公害という法的な目的はあるわけでございます。しかしながら、具体的な取り締まり手段として、交通公害による規制、罰則等をかける手段がないわけです。したがいまして、道交法の改正を行えば、走行に関する取り締まり、それから罰則等の簡易な反則切符制度、こういうものは可能になるのだろうというふうに考えています。
 それから、現在、この中で端的に言えば、路上での、ここに書いてあります走行規制、それからあとは保有車両に対する規制ということがあるわけでございますが、この流入規制につきましては、なかなか他地域からのものですと、担保手段というのは困難であると。したがいまして、法改正等が行われるとすれば、この中で実際の取り締まりの可能性が出てくるのではないかというふうに考えております。
 それからあと、使用過程車の経済的な問題、特に公平性7年、これは実はNOx 法でも現在、8年とか9年、12年、こういう年限があるわけです。これはNOx の場合はなかなかそれを、使用過程車を継続していく形で、浄化装置の付加というものは現在ほとんどないと思います。PMについてはそういう装置があるわけですので、このある一定の年限を超えたものについては、使用過程車で基準が古くなってきている観点から、この装置を義務付けを行うということも可能でございます。そういうことによって、従前の車齢に近い形での対応が図れると。NOx 法の年限を超えたことにつきましては、現行法で決まっていますので、PMについてはそれより前から規制を行うべきであるというふうな考え方でございます。
 お答えになっているかどうかわかりませんが。
【委員長】 今の問題につきまして、私も一言ちょっとお伺いしたいんですが、局長の話にありましたように国として、やはりしっかりとした方針を出すべきであるというお話であったかと思いますけれども、これはアメリカではスタンダード、基準ですね。それからイギリスではガイダンスというのを出しているんです、こういうふうにしなさいというのを。日本の場合はこれは今、浅野先生のご指摘のように、ほかの法律との関係が大変難しい。これはアメリカではコンフォーミティー・ルールと呼んでいますけれども、私は俗っぽく組込理論でと言うんですが、つまりほかの道路管理、交通管理という警察の政策の中に、こういう政策をどういうふうにコンフォームするのかと、組み込んでいくのかと。そうして担保して初めていい結果が得られやすくなる。それがさらに、アメリカはまだ1990年法では、完全に今度はペナルティーとバーターをかけて、そこで組み込んでいっている。これがかなり大きな成功をおさめている。したがって1970年のクリーンアクト以来、何十年かかって、ようやっと1990年法でほかの法律の中にコンフォーミティー・ルールを適用して、コンフォーミティー・クローズを導入したためにうまくいくようになった。中でも道路建設と絡めて、もしうまい対策を実行しなければ、道路建設予算を認めないと、これが相当きいてるんです。
 ということでいきますと、今のお話のように、いろいろな対策をお考えになっているんですが、どうも、あとは大変失礼な言い方で恐縮ですけれども、これで果たしてうまくいくのかなと、こういう疑問が出るんです。これは今のように、いかにしてコンフォーミティー・ルールを確立するかというのが一つ。それからこれはアメリカの例ですが、反対運動が非常に大きい場合、その場合はどうしてもコストエフェクティブネスが、かなり悪いもの、つまりコストがかかる。反対運動とコストというのが、政策コストがこれをインプリメンテーション・フィージビリティーと言ってますけれども、実行可能性ですね。実行可能性が非常に高いのは何であったということを非常に重視して政策を出しているわけです。そこでお願いしたいのは、コストエフェクティブネスをどの程度ここで考慮して固有政策をお出しになったのか。コストが非常にかかってしまう、あるいは実行可能性が非常に弱いというのでも、一応並べてありますと、これはポリシーに対する信頼性が、クレディビリティーが非常に下がってしまうのですね。そこのところをぜひ教えていただきたいということをちょっと申し上げたい。
【東京都環境局長】 委員長から何点かお尋ねがございましたけれども、すべてお答えできるかどうかわからないんですが、まずこの制度の信頼性に影響を与えるのではないかという点で幾つかお話がございました。経済的にどういう配慮が出てくるかということについてでございますけれども、やはり当然、規制を科す以上、それなりの負担を求めるということは避けられないわけで、その負担がどの程度合理的であるかということの見きわめの話になるのではないかというふうに思います。これは後の方のご質問だと思いますが、そこから先にお答えしたいと思いますけれども。
 それはもちろん私どもとしては、結局規制を受ける側のユーザーといいますか、メーカーも含めるユーザーのその制度に対する信頼を基本的につなぎとめられる、それだけ合理的なといいますか、無理のないといいますか、そういう意味での規制策というのが何かということを追及してきたつもりでございます。先ほど部長の方から申し上げました使用過程車対策で、特に年次規制をうまく絡めながら、猶予期間を7年として、これを組み合わせながらやったという案も、実は、もちろん規制ですから、基本的に負担をしていただく、それから嫌々ながら買いかえなければいけないという基本構造はございますけれども、それを踏まえつつも、やはり車のそれぞれの特性、それから使用期間、使用の実態に応じて、ある程度買い換えの需要を促す、むしろその買い換えの需要を促す中でよりふさわしい、より低公害な車に誘導していく、こういう手法としては、決してバランスのとれてないものではないと、私どもはそう思っております。もちろん、細かい点についてさまざまな問題があろうかと思いますが、この基本的な利点というのは、このご提案申し上げた中で、かなり考え抜いたつもりでございます。
 それから、第1点の方でございますが、道路で規制するという法体系、警察行政の法体系と、それから環境行政の法体系が、なかなか日本の場合にはうまくリンクしてないというのも、我々も実感しておりまして、法律の中には確かに一部、環境規制として道路交通法などによって規制ができるというふうに書かれていないわけではないんですが、余り明確なメッセージになっていないために、実態としてはなかなか用いられていないのではないかというふうに思っております。むしろこの機会に、やはり交通の規制というのは、基本的に安全とか、快適さとかいうことに力点が置かれていると思いますけれども、そこにその環境という視点を、やはり交通規制にかかわる法体系なり、制度なりに、きちっと組み込んでいただきたい。これはまさに委員長のおっしゃったことだと思いますが、そういうことが日本の場合には足りないのではないかというふうに我々は思っておりまして、そういう観点からいって、最後にご提案申し上げた最後に出てくる使用過程車の流入規制、これは今の現行法ではなかなか難しいところが多々あると思っておりますが、例えば交通違反に用いられている反則金制度のようなものを、もっと拡大することによって、確実に実効を挙げることができるというようなこともあり得ますので、その辺をきちっと法律で担保していくことができれば、十分に可能な制度が組み立てられるのではないかというふうに思います。
【委員長】 まず、今のお話のほかの法体系の中に、環境法規といいますか、そういうものをいかにもぐり込ませるか、これをアメリカではコンフォーミティー・ルールという、これを法律の中へ条項として入れているわけです。そこのところが整理がぴしっとついておりませんと、次の政策は打てないんです。ですから、その点をぜひとも、これは浅野先生が一番お詳しいんですが、しっかりと組み込むことが、次のポリシーにつながっていく。それから環境というのはほかの法体系の中では、制約ではなくて環境をよくするという目的なんだと。だからその意味では、イギリスの場合ですけれど、プリンシプル・オブ・サステーナビリティと抽象的な概念ですが、持続可能性という原理をすぽんと法律の中へ放り込んでしまうと。それの縛りをかけることによって、具体的な政策に落としていくというポリシーをイギリスはとっているわけです。
 その意味で、私は先ほど伺って大変失礼なことですが、どうもそこら辺が見えてこない。これは今後、環境庁がやるべきことだとお考えになっているとすれば、それは条例でも何かお考えになりますよね。その条例でお考えになるときに、どこまでその辺のすり合わせができるのかという問題が、非常に大きな問題になっていくと思います。非常に前向きでお考えになっているので敬意を表するんですが、そう言いながら、もう一つ、我々から見るとピンとこないというところがありますので、ご検討いただければありがたいというふうに思っております。
【委 員】 非常にシリアスな問題だと思いますのは、固定発生源の公害時代の規制手法というものは、明らかに発生源と被害者という絵をかくことができるという、非常に明確な図の中での政策、枠組みですから、比較的簡単に議論ができるわけです。ところが、もうこれが一番ネックになっているのは、一台一台の排出が直ちにある被害と直結しないわけです。ですから、公共政策としてこの基準を守れということは言えるんだけれども、それが直ちに被害とつながらない、そこにどうしても環境規制法を直接適用しづらいという、非常にきついところがあるわけです。
 それで、基準を守りなさいよということは、社会秩序全体を維持するために基準を守ってくださいと言うにとどまるわけですから、そうすると、その車検とか何とかというのは、これはちゃんとそれで説明ついちゃうわけですけれども、流入規制というところは、ロジックが非常にきつくなるわけです。だからそこのところが、なかなか解が出てこないので今までさんざん苦労してきているわけなので、多分、岡田先生がおっしゃっているのも、そこら辺のところの解がない状況のままで、規制というとばかっと出てくるわけですから、そんなに簡単にいくものならとっくの昔にやっているよと言いたくなってしまうわけです。
 それで、あとはだからどうしろと言われると、我々が考えなければいけないことだろうと思ってはおりますけれども、やはり規制手法というものに、どこまで依拠できるか。今どっちかというとこの問題のトレンドは、規制ではなくてもっと別の方法で政策目的を実現する手法を何とか見つけ出せないだろうかと考えているわけですが、今回、東京都は、むしろここではかなり大胆に規制ということをもう一度、前面に出しておられるわけです。その辺の規制手法を前面に出してやっていこうと考えておられる背景とか、哲学のようなもの、このペーパーでいいますと、多分この3ページのところにあります2つのものを回してということなんだろうと思います。この規制というところが果たして本当に環境づくりというところで、さっき私が申し上げたように、直接的にその行為が、直接の危険につながりにくい、要するに負荷を増大させるという程度の既往度しかないものに対して、直接規制をかけると。反則金もいいんですけれども、反則金制度がうまく機能しているならば、だれも交通違反でつかまったときに、運が悪かったとは言わないわけです。そういう程度の担保力しかないものをここに持ち込んでみて、ますます不公平感が増大するということになってしまったのではまずいんじゃないかということもちょっと考えられるんですけれども、これはもうあくまでも我々の悩みを申し上げていることでありますので、ぜひご意見をお聞かせいただきたい。
【東京都環境局長】 十分なお答えになるかどうかわかりませんが、今の浅野先生のお尋ねの意味はわかるような気もいたしますが、ただそれは、何と言うんでしょうか。規制というダイレクトの強制力を働かせる前の、どういう場合に規制をするか。つまり、我々の言葉で言えば4ページに使用過程車のPM排出基準について、最新規制排出基準の一段階前の基準を使いますよと、この点の、やはり合理性の問題に帰着するのではないかというふうに私どもは思います。もしそれが許容されるならば、具体的にそれを超える車の使用を停止するために、走行規制をするとか、他の規制をやるとかということは、恐らく許されていくのではないか。思いつきのようで恐縮でございますが、そんなふうにもちょっと思っておりますが、ぜひご検討いただければ。我々も努力をしてみたいと思います。
【委員長】 発生源対策重視論が打ち出されておりますけれども、この理由づけはなにか、しっかりしたものがありますか。発生源対策をまずやるべきだと、非常に強調しておられますね。それから使用過程車の、要するに車対策ですよね。これの理由づけは明確に何かしておられておれば、教えていただきたい。
【東京都環境局長】 冒頭、私の方から申し上げましたように、決してその発生源対策がすべだと思っているわけではありませんが、さまざまな対策の総合的な対応が必要だと思っていますけれども、こと発生源対策というものもやはり欠かせないと思います。その発生源対策の中身をいろいろディーゼル車対策の関係で見ていきますと、やはり弱いのではないか。例えばガソリン車に比べると、規制が弱い。あるいはNOx に比べるとPM規制は弱いということは、明らかだと思っております。そういう認識に立って、この発生源対策として行うべきとすれば、こういう対策を必要とするのではないかと、こういうふうな対策がとられるならば、この問題は解決につながるんではないか、こういう認識で提案を申し上げているわけでございます。
【委員長】 政策のトレード・オフの関係ですから、これは。だから発生源対策の、ちょっと抽象的な表現で恐縮ですが、限界費用が非常に高くなってしまうと。そうしますとほかのポリシーが当然、それをつぶしに入れるわけです。そうなりますと、まず発生源対策重視論というのは、何かそこで、アメリカではもう完全にコスト・エフェクティブネスを前提にして、発生源対策が社会的に最も少ない費用で対策になり得るんだということをいっているわけです。そこのところをしっかりしておきませんと、次のポリシーとの関係が、非常にあいまいになってしまいますので、これもちょっと抽象的で申しわけないんですが、その辺もぜひ確認をしておいていただくとありがたいというふうに申し上げたいわけなんです。
 以上、私ばっかりちょっとしゃべりましたので、ほかに何か。
【委 員】 一つだけちょっと教えていただきたいのですが、4ページのところで、新車については2ページの方でいろいろ書いてございます。それから2ページに、もちろん使用過程車についても書いてありまして、第3のところで、一定の条件のもとにPM除去装置の装着を義務づけるということで、4ページのところで使用過程車については、一段階前の排出基準、平成15年にはその前の0.25でいいですよというような基準ですね。そこで、その上の囲いの中で、低公害車の買いかえの促進、またはPM除去装置の事実上の装着義務づけとあるわけですが、今、日、米、英ですか。いろいろ除去装置ございますよね。日本の場合には、そのメーカーにはつけられるけれど、ほかにつけにくいというような問題。それからある一定のスピードで、ある一定時間走行しないと、効果が出てこないという問題。あるいはS分が低下しないと機能しないというような問題がございますね。その辺について、装着技術で、いわゆるそういう除去装置の技術的な問題、その辺についてちょっと東京都としてどのようなご検討をなさっておられるのか。今後、それに対してどういうような指導方針を出していかれるのか、その辺ちょっとお伺いしたいんです。
【東京都環境局長】 この案の中でPM除去装置の装着を義務づけると書いてあるけれど、本当にできるのかという、そういうお話だろうと思います。今、この問題に関しては、さまざまな観点から検討というか、研究といいますか、技術評価が進んでいるということは承知しておりまして、それが7月ごろに正式に結論が出るだろうという動きがあることも承っております。ですから、その結果についてはもちろん尊重しなければいけないと思いますが、今の段階ではまだ実走行試験も一部しか行われていないということも聞いておりますので、今の段階では何ともこれについて我々がどう評価するかということについては申し上げられませんし、その結果を待ちたいというのが基本的なスタンスでございます。東京都も一部、環境科学研究所というところで研究を進めておりますので、その結果も踏まえてということになるかと思いますが、いずれにしてもそういう、現在可能な除去装置というものを前提にこの案を組み立てているというふうにご理解をいただければと思います。
 したがって、それはまたその可能性の問題は別の問題としてリンクしていくということでございます。
【委 員】 ちょっと教えてほしいんですけれど、東京都はSPMに関しては環境基準が余りクリアしてませんね。ほとんどだめですね。そこで、こういうふうにやっていったときに、どの程度まで落ちる計算されたかという点。第2点は、車検絡みでPMの検査方式もちょっと変えなければいけないだろうというふうに考えているとおっしゃいましたが、具体的にはどういうやり方を考えていらっしゃるのかちょっと教えてください。
【東京都自動車公害対策部長】 SPMがどのぐらい下がるかということですが、私どもは、この自動車から出るものについて、平成6年度から17年度につきまして、約6割ぐらい削減したいと、こういうことでございます。いろいろSPMの環境濃度につきましては、二次生成等がありますが、おおむね自動車の道路沿道で3割ないし4割程度濃度が下がるだろうというふうには考えているところでございます。
 それから車検制度につきましては、なかなかいい方法がPMについてないのかもわかりません。しかしながら、やはり時間があるわけですので、やるべきであろうと。例えば、現行の黒煙の検査方法、無負荷な状態での検査をやっているわけですが、こういう方法を、負荷をかけた段階でのテスト方式に変えるとか、あるいは検査方法そのものを、測定方法そのものを変えるとか、何か工夫の余地があるのではないかと。また、一定の町中に走っている車についての性能がどういうふうになっているのか検査するとか、いろいろなやり方で担保する方法があるのではないかというふうに考えております。
【委 員】 私は法律のことはよくわからないんですけれども、きょう東京都がお示しになったこの提案の中で、東京都が、要するに国の法律をいじらないでできるのは、どうやるんでしょうか。
 先ほどから出ていますように、東京都が独自に実行可能な、要するに法律を改正とか、そういうのをいじらないで、東京都が独自に実行可能なものは、ここに全部で6つほどですか。出ておりますけれども、どれができるんでしょうか。
【東京都自動車公害対策部長】 実効性の確保という観点から、必ずしもどれができるかということを、ちょっと抜きにしますと、制度的には使用過程車に対するPMの排出について、何らかの規制を行うことについては、現段階では可能だろうというふうに考えています。それからあと流入規制について行うと、こういうような方法については可能ではないかというふうに考えております。なお、車検場の問題等につきましては、これは国の法律の中でご検討いただく事項というふうに認識してございます。
 なお、やはりこれを担保するためには、車検制度とのリンクというものが一番効果的なふうに我々も考えています。したがいまして、車検制度とのリンクの中で、こういう規制手法というものが確実に担保されることが重要というふうに認識しております。
【委員長】 どうもありがとうございました。後ほど、3団体一括でまたご質問を承ることもできると思いますので、ここで一応、東京都のお話は終わりまして、大変恐縮ですけれど、そのままお残りをいただきたいと思っております。なお、環境局長は都合によりご退席をされますので、そのような計らいでよろしく。本当にありがとうございました。
 それでは続きまして、愛知県の方からご説明をお願いいたします。
【愛知県環境部技監】 愛知県環境部でございます。本日は愛知県の自動車対策にかかる取り組み状況などにつきまして、お聞き取りいただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 委員の先生方、ご存じのとおり、愛知県は首都圏、阪神圏の中間に位置をいたしておりまして、高速道路や国道などの高規格道路が整備をされ、交通の要所となっておりますので、自動車の交通量が多い状況にございます。国道1号や23号など、主要幹線道路周辺において、大気汚染や騒音などによる交通公害問題が顕在化しているところでございます。
 本日は、本県における大気環境の現状や自動車対策の取り組み、課題などにつきまして、お手元の資料4に基づき、順次ご説明をさせていただきたいと存じます。なお、本県はご案内のとおり、自動車NOx 法の対象になっている地域ではございません。そうしたことから、東京都が今ご説明された内容とは、若干スタイルが違いますので、ご理解を、お許しをいただきたいと存じます。
 それでは1ページをごらんいただきたいと存じます。1の環境の現況でございますが、(1)の二酸化窒素につきましては、現在、県内の87測定局で常時監視を実施をいたしておりますけれども、環境基準の達成状況については、図1のとおりで、全県では平成8年度で92%、9年度で94%、10年度で98%となっておりまして、主に幹線道路沿道の一部の測定局で環境基準を達成していない状況にございます。
 なお、図1の下段の枠で囲んであります愛知県(名古屋区域)などの区域区分につきましては、次の2ページにお示しをしてございます。1ページの最後のところの年平均値でございますけれども、図2のとおりでございまして、全県ではここ数年0.024PPMから0.025PPMと、横ばいで推移をいたしているところでございます。年平均値を区域別で見ますと、名古屋区域が高い状況にございまして、その他の区域につきましては、若干低い状況で推移をいたしているところでございます。
 3ページをごらんいただきたいと存じます。(2)のSPMについてでございますけれども、現在、県内の89の測定局で常時監視をいたしておりますが、環境基準の達成率は図3のとおりでございまして、おおむねどの地域でも低い状況で推移をいたしておりまして、年平均値も図4のとおり横ばいの傾向にございます。
 次に4ページをごらんいただきたいと存じます。2の自動車保有台数、交通量の現況でございます。まず(1)の自動車保有台数の推移についてでございますが、図5−1のとおり、平成11年度末で461万台となっております。全国的に見ても東京都に次いで多く、最近10年間では1.3倍の伸びを示しております。また、近年問題となっております貨物自動車等でございますが、これは乗合車、あるいは特殊車を含んだものでございますけれども、図5−2のとおり、貨物車等の台数は全保有台数の6分の1程度となっており、また保有台数はここ数年、横ばいで推移をしておりますけれども、図5−3をごらんいただくとおわかりのとおり、貨物自動車などのうち、小型貨物車は減少をいたしてきております。
 次に、5ページをごらんいただきたいと存じます。(2)の地域別の自動車保有台数密度でございますが、貨物自動車などの保有台数密度については、図6のとおり、愛知県全体では1平方キロ当たり140台となっておりまして、全国平均と比較しても高く、区域別に見ますと、名古屋区域、特に名古屋市内が高い状況にございます。次に、(3)の貨物車等の車齢構成についてでございますが、図7のとおり、東京都や大阪府と比較しますと、全体的に古い年次に登録した車が多く、特に昭和63年以前に登録している車が、本県は16%と、東京都の10%、大阪府の9%に比較して多い状況にございます。
 6ページをごらんいただきたいと存じます。(4)の自動車交通量の推移でございますが、全国道路交通情勢調査によりますと、平成9年の交通量は、昭和63年の交通量に対しまして26%の伸びとなっておりまして、車種別に見ますと、乗用車が46%、普通貨物車が32%と大きく伸びております。次に(5)の地域別貨物車等、交通量密度でございますけれども、図9のとおり、県全体では1平方キロ当たり、1日5,992台キロメールと、全国平均より高くなっており、地域別に見ますと名古屋区域、特に名古屋市内が高い状況にございます。
 7ページをごらんいただきたいと思います。3の本県における自動車対策に係る取組状況についてでございます。昭和56年6月に東京都、神奈川県及び大阪府の一部地域につきましては、固定発生源にかかる窒素酸化物の総量規制が導入されましたが、本県につきましては、これの地域と比較して、二酸化窒素にかかる環境濃度が低いことなどから、導入について留保されました。このため本県では、二酸化窒素の環境基準の達成維持を図るため、県独自の施策といたしまして、昭和58年4月に愛知県窒素酸化物総合対策推進要綱、私どもNOx 要綱と申しておりますけれども、これを策定いたしまして、固定発生源対策、あるいは移動発生源対策を関係機関と連携をして推進をしてまいりました。その後、平成7年4月には削減目標量の見直しや、自動車対策の充実を図る新たなNOx 要綱を策定いたしたところでございます。
 この要綱に基づきまして、8ページの図10をごらんいただきたいと思いますが、事業あるいは対策を中部運輸局だとか、あるいは中部地方建設局、あるいは名古屋市、愛知県トラック協会などと協力をいたしまして、毎年約260程度の対策事業を推進をしております。
 次に主な取り組みについてでございますが、9ページをごらんいただきたいと存じます。まず自動車対策のうち発生源対策についてでございます。平成2年度から県公害防除施設整備資金融資制度に基づきまして、ディーゼル貨物車を最新排出ガス規制適合車に買いかえる場合、その資金の融資を利子補給を行うなど、最新排出ガス規制適合車への転換を図ってまいっております。また平成7年3月に策定をいたしました愛知県における低公害車普及方針に基づきまして、低公害車の普及促進を図っております。この普及方針に基づきまして、低公害車の普及目標は2005年で8万台といたしておりますが、平成11年度末における導入台数は、電気自動車あるいは天然ガス自動車、エタノール自動車、ハイブリッド自動車などの4車種で約5,900台、LPG貨物車も含めますと6,900台となっております。
 なお、10年度における低公害車の導入台数は、全国でもトップクラスではないかと思っております。
 次に、物流対策についてでございます。本県における窒素酸化物排出量は、その約半分が自動車から排出されるとされておりまして、そのほとんどが貨物自動車からのものでございます。したがいまして、この貨物自動車の走行量を削減することが大変重要でございますので、平成9年3月に改善に向けた物流対策推進指針を策定をいたしまして、運送業者、製造業者などに対し、物資輸送の効率化などの啓発指導を行っております。また、これらの取り組みの定着を図るために、中部運輸局等と連携をいたしまして、平成11年2月に事業所における貨物自動車排出ガス抑制自主管理指導要領などを策定をいたしまして、貨物自動車を50台以上使用する事業所に対しまして、平成9年度ベースとして窒素酸化物排出量を、平成12年度までに5%以上削減するよう、自動車環境対策計画書を各々提出を求めておりまして、自動車排出ガスの抑制に向けた取り組みを現在指導しているところでございます。
 ちなみに、事業者から提出されたこの計画では、窒素酸化物を8.9%、二酸化炭素を7.4%削減するといった内容になっておりまして、現在、これらの計画が着実に推進されるよう、指導をいたしているところでございます。
 次に、交通流対策についてでございますが、交通流対策としましては、渋滞を解消するため、関係の土木部局や鉄道会社、県警などと連携をいたしまして、鉄道、道路の立体交差化やバイパスの整備、信号制御の高度化などの推進を図っておるところでございます。
 また、沿道対策につきましては、歩道の緑化、街路樹の植栽などを推進するとともに、平成8年、9年度には、愛知県の岡崎市内の国道1号沿道において、光触媒を用いた大気浄化実験を実施をいたしておりまして、大気浄化効果が長期間持続することを確認をいたしましたので、これらの結果を踏まえ、道路管理者等に対し、光触媒の採用を働きかけた結果、現在、国道など、県内2カ所において実証試験が行われているところでございます。
 最後に、啓発活動でございますけれども、自動車対策につきましては、自動車を利用する県民事業者に対する意識の高揚が重要でございますので、本県におきましては、平成4年3月に環境にやさしい自動車利用指針を策定をいたしまして、県民・事業者に対し、あらゆる機会をとらえ、急発進、急加速の抑止などの指導を行っております。特にアイドリング・ストップにつきましては、平成7年に大気汚染防止法の一部改正がなされ、自動車排出ガス抑制にかかる国民の努力義務が設けられましたことから、一層、積極的に普及、啓発を行っておるところでございます。具体的には、その取り組みを県民に広く普及するため、平成10年度から県民や企業の協力を得まして、アンケート調査、モニター調査などを行っており、アイドリング・ストップの啓発手法、効果などを把握するモデル事業も実施をしているところでございます。その他、自動車対策は取り組み内容が多岐にわたり、県民、事業者、行政が一体となって推進していく必要がございますことから、平成12年2月に中部運輸局、名古屋市等と協力をしまして、環境フォーラムを開催し、自動車対策を関係機関が連携して行うことを盛り込んだ宣言文を採択するなど、国、市町村、運輸業界、県民等と連携を図りながら、効果的な対策を推進していくことといたしております。
 以上が本県の取り組みでございますが、次にこうした取り組みを進めるに当たっての課題についてでございますが、10ページをごらんいただきたいと存じます。
 まず一つ目の課題といたしましては、自動車保有台数及び交通量が年々増加をしていることでございます。2つ目の課題といたしましては、旅客輸送における自家用自動車の依存率は、本県におきましては約7割と、東京都の2割、大阪府の4割と比較いたしまして、自動車への依存が高い状況になってございます。3つ目の課題といたしましては、本県は首都圏、阪神圏の中間に位置し、交通の要所となっていますことから、国道の23号だとか、あるいは302号といった主要幹線道路においては、通過交通量が多い状況でございます。それから4つ目の課題といたしましては、SPMでございますが、SPMにつきましては、その発生源が多岐にわたるというようなことから、適切かつ効果的な削減対策を進めるためには、発生源別の排出量や環境への寄与濃度などを十分調査する必要があると考えております。5つ目の課題といたしましては、自動車対策を進めるに当たっては、大気環境の改善はもとより、道路交通騒音、あるいは地球温暖化防止への対応ということも視野に入れた総合的な検討が必要であるというように考えております。
 以上が交通公害対策をする上での主な課題でございますが、最後に委員の先生方に要望をさせていただきたいと存じます。
 11ページをごらんいただきたいと思いますが、一つ目は、ディーゼル車対策については、自動車1台当たりの単体対策が基本でありますので、平成10年12月に中央環境審議会の答申で示されました排出ガス規制の新長期目標を早期に実施していただきたいというように思います。2つ目は、使用過程車にありますディーゼル車からの排気微粒子について、効果的かつ安価な除去方法を確立していただきたいと存じます。3つ目は、発生源対策といたしまして、重要な位置を占めております低公害車について、価格が高価なことだとか、インフラ整備などのおくれにより、その普及が十分進んでいない状況にありますので、税制上の優遇措置の拡充を図るとともに、大量普及に向けた新たな制度づくりを進めていただきたいと存じます。4つ目は、本年4月から認定制度が導入されております低排出ガス車につきましても、大量普及につながる誘導方策を検討、推進していただきたいと存じます。5つ目は、今後の自動車対策の検討に当たっては、NOx 対策やSPM対策を詳細に私どもとしては検討する必要がございますので、NOx 及びSPMのシミュレーションなどの調査に対して、財政的支援をお願いいたしたいと存じます。最後に大気環境を改善するためには、県民生活だとか、あるいは事業活動を含めた自動車を利用する社会全体から、環境への負荷の少ない交通体系を構築していくことが重要でございますので、フレックスタイムの導入や、徒歩、自転車利用の促進などのTDM施策等の大気環境に負荷を与えない交通システムづくり、あるいは県民・事業者の過度の自動車依存を改める誘導方策の検討をお願いいたしたいと存じます。
 以上で愛知県の自動車排出ガス対策の取組状況についての説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【委員長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明につきましては、何かご質問などございますでしょうか。
【委 員】 9ページにこれまでやってこられた、あるいはこれからもやろうとしておられるいろいろな方策が書かれておられて、中には定量的にこのぐらいという数字が出ているものもありますし、そうでないものもあるんですが、この中で最も効果を上げそうだというふうに期待をしておられる対策、施策というのは、どんなものを考えていらっしゃいますでしょうか。
【愛知県大気環境課長】 今のところは、やはり発生源対策というのは大変重要だろうと思っておりますけれど、私ども先ほど技監が説明しましたように、非常に交通量、交通流が悪い状況でございます。したがいまして、現在、中部運輸局、あるいは中部地建等と一緒になってやっているのが、2つ目の物流対策でございます。これについては、ここで例えば環境対策計画書、50台以上出させておりますけれど、将来的にはさらに少ないところまで、何らかの形でやっていく、これが相当大きい効果を上げてくるんじゃないかなと。特にトラック協会等も積極的にこの辺の対応をしてくれておりますので、この辺を一生懸命やっていきたいと思っております。
【委 員】 ありがとうございました。それからもう一つ質問させていただきたい。11ページ、一番最後のページになりましょうか。11ページの一番最後のところにTDMということで、これは要望事項の中に入っておるのですけれども、先ほどの口頭でのご説明に関する限りは、県あるいは市単位でできそうなことが相当あって、もし国レベルで何かご要望があるとすると、一体それは何なんだろうというご質問であります。
【愛知県大気環境課長】 TDMを県レベルで、県レベルでやれることもあろうかと思います。先般、これについては建設省、あるいは運輸省の答申等でも明らかになっておりますけれど、例えばフレックスタイムとか、そういうものというのは、本当に県レベルでやれるのか。あるいは歩道だとか、舗装のそういう整備、そういうものについても、やはり国の財政的支援だとか、そういうことがないとなかなか難しいのかなというふうに思っております。
【委 員】 私も今、越先生がおっしゃったのと同じようなことで、自動車環境対策計画書、大変注目をしているのですが、どのぐらい実効性があるかなということでありました。期待をしておられるということでわかりました。
 3ページで見ますと、SPMが平成10年度には愛知県では下がっているんですが、これについてはどういう分析をしておられますか。気象要因のようなものが大きいのかとも思うんですが。
【愛知県大気環境課長】 9年度、10年度とこれだけ改善されているというのは、今、先生が言われたような気象条件等も影響しておるのではないかと思いますけれど、どちらにしてもSPMというのは、非常にこの図を見ていただいてもわかりますように、年度によって大幅な差がございます。したがいまして、そういうものも少し長期的に見ないと、なかなかこうだということは言えないのかなと思っております。
【委 員】 成分分析みたいなものはやっておられますか、SPMの。東京都の資料にもありましたけれど、土壌が何%とかというのは。
【愛知県大気環境課長】 まだ実は、これは11年6月でしたか、環境庁が報告されました首都圏と阪神圏の調査結果、ああいうものも私どもまだ中部圏、やっておりませんので、ぜひこういうものを今後やって、きちっとSPMの内容を見ないと、それが直ちに自動車なのか、あるいは工場なのか、あるいは自然界にあるものかというのがわかりませんので、この辺は早急にやっていきたいなというふうに思っております。
【委 員】 わかりました。大体、目下準備中という状況だろうと思ったんです。全体にお話の中では、今話題のPMについては余り触れられてないので、多分データがなくて、何もできないということなんだろうと思いますが、ぜひ基礎データをしっかりそろえていただくということと、特に環境への寄与濃度の解明というような、ここら辺のところ、これはやはり一番緊急課題ではないかと思いますし、特に2.5とか1.0とか、今問題になっていますから、そういうものもデータをとっていただいて、どうかという議論をやっていかなければいけない状況じゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
【委 員】 今、浅野先生からSPMのお話、9年度、10年度というお話ございましたけれども、この一般局と自排局、首都圏の場合、自排局に関してきわめてSPMが悪いわけです、関西に比べて悪いんですが。中間に名古屋圏の場合、中京圏の場合、自排局と分けると、これは両方一緒にしたデータですよね。かなり差があるんでしょうか。まず、ちょっとその辺。
【愛知県大気環境課長】 自排局が私ども県下で、実は15局しかございません。これを区域別にいきますと、非常に測定局数が少ないという、区域別に見ると、悪い状況。なかなか統計的処理がしにくい状況ですけれど、自動車周辺というか、道路周辺の局は一般の局と比べると相当高いレベルであるのは実態でございます。
【委 員】 濃度的に高いということですね。その辺の整理をしておいていただいて、またお教えいただければと思うんですが。というのは、先ほどご質問にもありましたけれども、成分分析等もできれば、その辺もあるとわかりやすいと思うんですが。
 それからもう一つ教えていただきたいのは、9ページの先ほどのお話の中で、事業者から計画が出されているというお話ですね、きょう対策計画書が提出された。ここで物資輸送の効率化に伴う走行量の削減とあるんですが、結果的にNOx が8.9、CO2 が7.4%削減とありますけれども、効率化に伴う走行量の削減というので、何かもし具体的な事例をお示しいただければ、これがいつも皆さん、計画をお立てになるんですが、なかなか明確なものが出てこないということです、わかりにくいんです。難しいんですけれども。
【愛知県大気環境課長】 具体的には、主なものがトラック協会に加盟しているところでございますけれど、トラック協会等が空荷で帰って来ないとか、例えば首都圏の方へ行ったり、阪神圏の方へ行ったりした帰りを、余り空荷で帰って来ないとか、あるいは共同で持って行くとか、そういうような計画を現実に私ども出していただいているという状況でございますので、現在、本当にその計画どおりに進んでいるかどうか、12年度中でございますので、これを今年度の中ごろまでには中間報告をもらって、確認をして、できなければ12年度末までございますので、さらに指導していきたいというふうに思っております。
【委 員】 ありがとうございます。
【委員長】 できるだけ空荷で帰って来ないようにという話は、アメリカでいうマイカーのHOVというやつ、ハイ・オキュパイド・ビークルという、これはマイカーに対する政策はいく。これをトラックで実行ということになりますと、トラック協会系の営業車は、どちらかというと、かなりHOVの機能を持っている。ところが自家用トラックが圧倒的に多くて、これがHOVというのは、本来あり得ない性質のものなんです。自分の会社の荷物しかないんですから。これに営業行為をやらせるとなりますと、トラック事業の許可をとらなければいけない。こうなりますと、大変、道路運送法関係、道路交通法関係、若干問題が絡んでくるんです。そこのところをどうして今後、環境対策とリンクしてクリアしていくかということは、大変重要な問題なものですから、ちょっと私もご意見だけ申し上げました。
【愛知県大気環境課長】 実は、この50台以上の中で、中部運輸局に指導していただいているのが緑ナンバーでございます。私どもが今、先生言われたように白ナンバー、自家用のものを指導しておりまして、そこが、今、先生が言われたのが一番、実は私どもネックになっておりまして、県とか名古屋市が指導している自家用の部分の削減率が、実は少ないものですから、それをきちっとやるように。特に、今50台ですので、緑ナンバーが多いわけですけれど、これを30台、20台に下げていったときが、自家用が多くなるだろうと。その辺が課題だというふうに思っております。
【委員長】 どうもありがとうございました。
【委 員】 ちょっと教えてほしいんですが、3ページを見て私、驚いたんですけれども、そのSPMの環境基準の達成度というのがかなり悪いですね。特に、名古屋市内とか名古屋区域というのは、かなり悪いですね。それからもう一つは、貨物車の保有台数を見ると、図6、5ページですけれど、東京なんかよりかなり高い。それからその下の方の貨物の車齢が非常に長いというご説明がありました。それから、交通量密度の6ページの貨物車の交通量の走行密度も、東京に次いでかなり高いですね。そうすると、PMが先ほどの話まで、PM2.5とかPM1.0とか、そういうファイン・パーティクルの問題というのが、今後大きな問題になってくるとすると、この付近は今、愛知県としてどういう対策をとろうとしていらっしゃるのか、その付近、どういうふうな心づもりかというのをちょっとお教えいただけるとありがたいんですけれど。
【愛知県大気環境課長】 SPM対策は、先ほど来言っておりますように、まだ私ども、取りついたところでございまして、今までこういう9ページにあるような対策をとってきておりますけれど、本当にこれで効果があるかどうかということも、一方、先ほど浅野先生も言われましたように、SPMの組成とか、そういうものをきちっと把握しないと、なかなか難しい面があるのかなと思っておりまして、まず私どもは来年度以降、早急に取り組まなければいけないのは、SPMの中身といいますか、そういうのからやらないと、本当に事業者に対して、やりなさい、やりなさいと指導しても、なかなか根拠がないと難しい面もございますので、そこから手をつけようかなと思っております。まだ、これからの状況でございます。
【委 員】 だから、東京都が今のところはやっている、いろいろなデータがありますよね。それでは具体的にどうしていらっしゃるのかな。どういうふうにしようかなとか、何かお考えありますか。
【愛知県大気環境課長】 今のところはここの9ページにあるような対策を、これは私ども県だけではできませんので、中部地建、中部運輸局等、あるいは通産、それとトラック協会ですね。先ほどフォーラムの話をちょっとしましたけれど、実は全部の機関が出席して、この辺の課題を、実は確認して、一つでもまずやっていこうというようなところでございます。
【委 員】 はい、どうもありがとうございました。
【委員長】 どうもありがとうございました。時間の関係で、後ほどまたご質問出るかもしれませんので、ちょっとお残りをいただきたいと思います。
 それでは最後になりましたけれども、次は大阪府の方からご説明をお願いいたします。
【大阪府交通公害課長】 大阪府でございますけれども、早速でございますけれども、大阪府における自動車の排出ガス対策の基本的な考え方についてご説明申し上げたいと思います。お手元の資料の5でございますけれども、まず、全体の構成でございますけれども、現行の計画、今、進行管理いたしておりますけれども、そうした中で、明らかとなりました問題点、まずこれを記載をさせていただきまして、これらの問題点を踏まえながら、今後の自動車の排出ガス対策について検討をさせていただいております。
 現行の計画でございますけれども、これはご案内のとおり、本年度末までに府域の特定地域における自動車NOx の排出量を、平成2年度比でございますが9,960トン、約1万トンでございますけれども、これを削減いたしまして、二酸化窒素にかかる環境基準をおおむね90%以上達成するということにしておるわけでございます。しかしながら、平成9年度の削減量でございますけれども、削減量について見てみますと、3,710トン、約37%の削減ということでございまして、さらに後ほどご説明申し上げますが、府域のNOx 濃度の推移を見てみましても、目標達成は非常に困難な状況になるわけでございます。
 その考えられる原因等でございますけれども、昨年度、自動車NOx の総量削減方策検討会、この中でも議論をしてまいったところでございますけれども、計画の策定時には想定しなかった、想定し得なかったさまざまな問題点が考えられるところでございます。その一つが、お手元の資料にございますように、1−1でございますが、車両の大型化ということでございます。平成5年度に道路法の車両制限令がご承知のように改正されたわけでございます。道路を通行できる車両総重量、これまで20トンが最大でございましたが、これが引き上げられまして、25トンまで総重量が引き上げられたと。こういうことで車両の大型化が急速に進展をいたしております。図の1で示しておりますように、20トンを超える重量貨物車の登録台数は、平成6年度から大幅に増加をいたしておりまして、平成9年度には平成5年度に比べまして、約72%程度も増加しておるわけでございます。こうした車両の大型化が、総量削減計画が思うに進まなかった一つの原因であるというふうに考えておるわけでございまして、削減方策検討会の報告書でも示されておるとおりでございます。
 2点目が、こうした大型車の走行量、交通量の増加ということでございます。表−1にございますが、府域の自動車走行量でございますが、平成2年度から平成9年度にかけまして、全体としては8.7%増加をしておりますけれども、このうちNOx の排出量が多い貨物系自動車の走行量の内訳について見てみますと、小型車、軽貨物でありますとか、小型貨物でございますが、こうした小型車は18%減少をしておりますが、大型車、普通貨物、特殊自動車でございますが、これは16.9%増加をいたしておりまして、NOx の削減の阻害要因の一つになっておるというふうに考えております。また、自動車の登録台数を見てみましても、小型貨物自動車は減少し、普通貨物自動車や特殊自動車という大型車が増加しておるわけでございます。
 3点目、2ページめくっていただきたいと思います。3点目でございますが、ディーゼル車の規制効果の問題ということでございます。これは現行の計画でございますけれども、現行計画におきましては、規制効果の算出は、将来販売されます車のNOx の排出件数、これにつきまして単体規制による削減効果を見込んで排出計算をしておるわけでございます。図−2をごらんいただきたいと存じますが、ここでは例えば貨物系のディーゼル重量車の規制効果について見ておりますけれども、ここの白い棒グラフでございますが、これは58年規制車を基準といたしまして、将来の単体規制による排出量を予測した数値でございます。一方、その右の隣の黒の棒グラフでございますが、これが実測値ということでございまして、実際に市場に出回っております元年規制、あるいは6年規制の車につきまして、都市走行モードで測定した値を用いて排出量の計算をしたものでございます。ここにございますように、元年の規制値ではほぼ想定した予定どおりの値となっておりますけれども、6年規制の車につきましては、計画で想定いたしました値よりも実際が高くなっておりまして、これで計算をしますと、計画よりも排出量が多くなると、こういう問題が発生いたしておるわけでございます。9年規制車につきましては、今現在解析中ということでまとめておりますけれども、現段階ではまだ出ておりません。こうした原因の一つといたしまして、規制モードと実際の都市走行モード、この違いがあるのではないかと、そういうふうに考えておるわけでございます。
 4点目でございますけれども、1−4でございますが、低公害車の普及のおくれの問題ということでございます。計画では技術開発でありますとか、インフラ整備、あるいは車両価格の低廉化、こうしたものによりまして、本年度末までに6万台、そのうちの天燃ガスが3万台ということでございますが、6万台程度の普及を見込んでおりましたが、平成10年度末で見てみますと、大阪府域内では2,600台程度と、そのうちの天燃ガスが945台ということでございまして、非常に低い状況にとどまっておるわけでございます。また、インフラの整備でございますけれども、天燃ガス自動車の3万台に対応するためには、府域内で46カ所の充填スタンドの整備が必要であるというふうに見込んでおったわけでございますけれども、現段階ではこれもなかなか到達いたしませんで、11年度末で21カ所、そういう整備にとどまっておるわけでございます。車両価格でございますけれども、天燃ガス自動車を例にとれば、ここの表にございますように、8年度と比較いたしまして、かなり安くはなっておりますけれども、12年度の推計、私どもの推計でございますが、なお、ベース車両の77%もの改造費が必要でございまして、大量普及の目安とされておられます20%に比べまして、まだまだ高価な状況にあるというふうに分析をいたしております。
 3ページにまいりまして、5点目でございますけれども、事業者指導の強化の問題でございます。NOx 法の13条で事業所管大臣が所管事業者に対してNOx の排出抑制について必要な指導、助言をすることができるということでございまして、運輸省所管の運輸事業者以外は、なかなか指導が徹底されずに、実効が上がっておらないという問題点がございます。例えば府域の特定地域において貨物自動車等を50台保有いたします貨物自動車の運送事業者でございますが、緑ナンバーでございますが、これは288の事業者がおられまして、そこで4万台の車を保有されておられます。こうした緑ナンバーに対する指導は、ご案内のとおり、近畿の運輸局長が、これも要綱に基づいてやっておられるわけでございますけれども、これらの事業所から提出されますNOx の削減目標も含めました自動車の環境対策計画書、これの提出率は85%ということで、かなり高い水準ではなかろうかというふうに思っております。先ほど来、愛知県の方のお話もあったわけでございますけれども、大阪府、大阪市におきましては、こうした運送事業者以外の一般事業者、白ナンバーでございますが、これは200事業者ございまして、そこで1万台、車を持っておられるわけでございますけれども、運輸局と同じような形で要綱を制定いたしまして、必要な指導を行っておるところでございます。特に昨年来、大阪府の方で指導の強化を行うということで、チームを編成いたしまして、各事業所ごとに一軒一軒回りまして、個別訪問をいたしまして、要請行動を行ってまいっておるわけでございますけれども、やはり指導権限がないということもございまして、強制力のない行政指導、そういう枠組みの中で、なかなかご理解、ご協力はいただけないというのが現状でございます。そういう限界の中で、こうした計画書の提出の率でございますが、これも28%と、そういう低い状況にとどまっておるというのが現状でございます。
 したがいまして、今後、一定台数以上の自動車使用事業者、NOx の抑制のために自動車の抑制、あるいは低公害車の導入、そうした自動車管理計画、この作成も当然必要であるわけでございますけれども、やはり何といいましても、そういう対象の事業所を広めましても、なかなか実効のある指導が行えないということの中で、一定の限界があるというふうに考えております。
 したがいまして、この点につきましては、事業所所管大臣のさらなる強力な指導、あるいは計画書の提出、策定、そのものを法によって事業者の方に義務づけを一定していただきたい、そういう必要性があるものと痛感をいたしておるわけでございます。だから、先ほど申し上げましたように、同じように運輸局と大阪府、大阪市、共同歩調を合わせながら指導をやっておりましても、全く同じような様式の中でも、提出率が85%と28%、そういう非常に大きな乖離があるわけでございます。
 次に4ページでございますけれども、今後の自動車排ガス対策についての大阪府の考え方をとりまとめたものでございます。まず対策の方向性でございますけれども、言わずもがなでございますし、先ほど来、議論ございますように、ディーゼル車に重点を置いた対策が必要でございます。特に大坂府域では、自動車から排出されますNOx の87%がディーゼル車によるものでございまして、環境基準の達成のためには、何よりもディーゼル車からの排出量の削減が不可欠であるというふうに考えております。
 2点目が、これも先ほど来、議論出ておりますけれども、PMを対象とした対策の必要性ということでございます。先の尼崎訴訟の中では、SPMと健康被害との因果関係や、あるいは一定濃度を超えます排出の差しとめ請求権が認められたところでもございますし、PM対策は緊急の課題というふうに考えておるわけでございます。
 3点目でございますけれども、排ガス処理技術の開発促進についてということでございます。これも先ほどご意見、いろいろございましたが、自動車、ガソリン車につきましては、三元触媒、これがございますし、非常に有効な排ガス処理技術が開発をされておるわけでございます。しかしながら、残念ながら、現在のところ、こうした技術はディーゼル車には応用することはできませんので、自動車排出ガス対策を効果的に進めるためには、自動車単体からの排出量の抑制が基本でございまして、特にディーゼル車においてNOx 、PMの抑制、処理の技術開発を促進する必要がございます。
 また、国における取り組みの強化の点でございますけれども、4でございますが、広域に移動する自動車の特性でありますとか、あるいは現在の法体系のもとでは、自治体におきます実効のある抜本的な施策の展開には、おのずから限界がございますので、国における取り組み、例えば法整備でありますとか、自治体への財政支援、メーカーへの技術開発、そうした支援なども強化する必要があるものと考えております。
 5ページにまいりまして、法改正なり、次期計画の策定に当たりまして、国において実施をお願いしたい施策について意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目が、単体規制の強化と新長期目標の早期実施をお願いいたしたいということでございまして、この点につきましては、先ほどから東京都なり愛知県の方でも同じようなご意見が出されておりますけれども、特にこの中では、先ほどご説明申し上げましたが、規制モードの見直しを行っていただきまして、規制効果を確保することが絶対的に必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 次に、使用過程車対策についてでございますけれども、最新規制車への代替には、おおむね10年間と、そういう長期間必要とするわけでございますので、使用過程車についての対策が必要であるということでございます。後付けの排ガス処理装置の問題につきましては、道路運走車両法など、法的な問題もございますし、自治体だけでは実効を担保することは困難であるというふうに考えております。使用過程にあるディーゼル車につきましても、国において技術開発を促進をしていただきまして、排ガスの低減措置を講ずる必要があるものというふうに考えております。
 3番目の車種規制の強化についてでございますが、現行NOx 法の車種規制の対象は、ご案内のとおり、トラック、バスに限定されているところでございます。しかしながら、最近ではディーゼルのRV車、そうした排出量も無視し得ないものとなっておりますので、乗用車を車種規制の対象とする必要があるものというふうに考えております。あわせまして、特定自動車の排出基準、いわゆる特排基準でございますが、これも強化をしていただきまして、規制項目にPMを追加をしていただきたいと。車検証等により、その実効性を確保する必要があるものというふうに考えております。また、特定地域外からの通過交通対策でございますが、これも車種規制の対象地域を近隣府県まで、できれば拡大する等の検討が必要であるというふうに思っております。
 4点目でございますけれども、低公害な車の大量普及ということでございます。低公害車でありますとか、あるいは低NOx 車の低公害な車の大量普及を図るためには、自動車保有台数に応じた事業者への一定割合での導入の義務づけなど、思い切った規制的な手法について、検討をお願いするとともに、あわせまして、助成制度など経済的な支援の拡充や技術開発を、一層推進することが必要であるというふうに思っております。また、インフラの整備でございますが、特に天燃ガスの充填スタンドにつきましても、さらなる経済的な支援等によりまして、その普及を図る必要があるものというふうに思っております。
 5点目でございますが、都市部の交通量を抑制するためには、例えば阪神高速道路の大阪湾岸線、今現在検討されておられますけれども、ああいうロードプライシングというような形の中で、総合的なTDM施策の推進が必要であるというふうに思っております。
 6点目の事業者指導につきましては、地区計画の主要な施策と考えられておりますが、先にも申し上げましたが、事業所管大臣によります事業者指導につきまして、実効性を確保するため、自動車管理に関する基準を国の方で定めていただきまして、その遵守を義務づける必要があるものというふうに考えております。
 次に、局地汚染対策ということでございますけれども、自動車交通が集中いたします汚染の著しい地域の沿道環境を改善するためには、例えば本府が環境庁の方と一体となって、あるいは公健協会のご協力をいただいて、開発を進めてまいりましたが、土壌による大気汚染の浄化システム、あるいは光触媒、こうした大気を直接浄化をするような新しい技術につきまして、拡大実施を図る必要があるものというふうに考えておるわけでございます。ただ、こういう局地汚染対策を私どもの方で実施いたしましても、例えば1トン当たり、これは処理をするのに5,000万円ぐらいかかるという問題もございますし、莫大な財源、そうしたものが必要となってまいりますので、国による十分な財政支援をお願いするものでございます。
 次に6ページにまいりまして、次期の次の計画に当たっての課題ということでございます。大阪府域における大気汚染の現状でございますけれども、図の5から8でお示ししておりますとおり、大気汚染の状況はNOx 、SPMともに、改善の傾向にはございますが、平成10年度で二酸化窒素にかかる環境基準の達成状況は71%、うち一般局84%でございますが、自排局では43%と、依然厳しい状況にあるわけでございます。またSPMでございますけれども、全測定局で57%の達成率ということになっておりますけれども、このうちの一般局が68%、自排局では27%という状況でございまして、二酸化窒素に比べまして、なお厳しい状況ということでございます。
 なお、現在11年度の測定結果につきまして、取りまとめて解析を行っておるところでございますけれども、平成10年度に比べまして、若干の改善傾向にはございます。ただ、濃度が改善したのは、やはり気象などの影響が強いのではなかろうかということも考えられますので、今申し上げましたように、現在も解析を行っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、大気環境は依然厳しい状況にあるものと認識をいたしておるわけでございます。
 次に7ページでございますけれども、大阪地域における削減目標ということでございます。窒素酸化物につきましては、現状の規制効果では交通量の伸びや車両の大型化、そうした影響によりまして、平成22年度におきましても、総量削減計画の目標といたしておりますが、おおむね達成は困難ということで予測をいたしております。さらなる対策の強化が必要ということでございます。そのための対策でございますけれども、例えば、低NOx 車、この低NOx 車の80%程度の大量普及を図っていくということになれば、おおむね平成20年ごろには達成が可能というふうにも試算いたしております。それでも全国が環境基準を達成する、いわゆる完全達成につきましては、困難というふうに予測をいたしておりまして、先ほど来申し上げておりますが、局地汚染対策等の総合的な対策が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 また、SPMでございますけれども、SPMにつきましては低NOx 車の大量普及に変わったといたしましても、自動車排出PMだけでは平成22年度までに沿道での環境基準の完全達成は困難であるというふうに予測をいたしておりまして、固定発生源を含めまして、総合的な対策を検討する必要があるものと考えております。
 次に計画の進行管理の問題でございますけれども、次期の計画におきましても、当然、進行管理、これも非常に重要でございますけれども、単体あるいは車種規制の効果、交通量や排出量、低公害な車の普及状況、さらに事業者指導等の施策、こうした効果を定量的に評価をいたしまして、中間年度においての必要に応じた新たな施策にフィードバックを反映させていく、そういう体制を構築していく必要があるものというふうに考えております。図−9の参考資料を見ていただきたいと思うわけでございますが、これはメーカーの資料をもとに私どもの方で作成をさせていただいた資料でございますが、例えばディーゼル車の6年規制車と10年規制車、これを比較いたしますと、PMは規制どおりに約60%削減がされておりますけれども、NOx につきましては余り削減がされておらないという状況でございます。これは6年規制車が既に10年規制をクリアする、そうした高いレベルまで低減されていたことも考えられるわけでございますが、規制値よりもさらに低減を図るよう、自動車メーカーは当然、努力すべきでございますし、国もそのように指導してはいかがなものかなというふうに思うわけでございます。
 その点ではガソリン車、これはまさに優等生ということでございます。この図の中にございますように、ガソリン車の低NOx 車でございますが、左下の●にプロットに達しておりますけれども、次期規制の新長期も既に大幅に下回っておると、そういう状況でございます。これはメーカーの自主的な技術開発によりまして、排ガス対策を進めてこられた結果でございまして、天燃ガス自動車のような低公害車とあわせまして、このような低公害な車を優遇し、その大量普及を図ることが、次の計画の柱の一つとすべきではないかというふうに思っております。
 8ページでございますが、4点目の課題といたしまして、低公害車等の大量普及ということを掲げております。低NOx 車のNOx の排出量でございますが、ここの図−11の乗用車、図−12の軽量貨物車でお示しを、すみません。11のディーゼルでございますが、乗用車と軽貨物車でお示しをしておりますけれども、次の規制値と比べまして、4分の1ないし、あるいは10分の1程度の排出量となっておりまして、また、ディーゼル車の大型車につきましても、これは図−13でございますけれども、25%以上の削減が見込まれておりまして、大量普及による大幅なNOx の削減が見込まれるところでございます。私ども、京阪神の6府県市で低NOx 車ということで指定いたしておりますけれども、こうした低NOx 車が現状のまま推移をすれば、40ないし50%の普及率が想定されるわけでございます。これが図−10のトレンドということでございますけれども、こうしたものを補助でありますとか、融資制度の充実の強化、そうしたもので低公害な車を使用する事業者へ優先発注をしていくと、私ども、グリーン配送運動という形で、まだ仮称でございますけれども、新たな施策の展開をしていきたいというふうに思っております。こうしたグリーン配送運動等を展開することによりまして、平成22年度までには80%程度まで、こうした低公害な車を普及させることが可能であるというふうに分析をいたしております。こうしたことによりまして、削減効果を概算いたしますと、平成22年度で約2,000トンの削減が可能というふうに想定をいたしております。
 次の9ページにまいりまして、(5)でございますが、交通量の抑制等についてでございますが、NOx の削減にとりまして、交通量の抑制による手法も、これも重要でございますので、環境改善の観点から、有効な交通量抑制方策についての検討、あるいは先ほど言いましたTDMにかかるさまざまな社会実験の効果、こうした把握を行いまして、そうした成果を踏まえ、関係機関に対して施策の具体化を働きかけていく必要があるものというふうに考えております。
 最後に、事業者指導の徹底の問題でございますけれども、これも先ほどご説明いたしましたが、50台以上の貨物自動車を保有する事業所、こうしたところに対して自動車の環境対策計画書の策定、提出の指導を行っております。これも30台以上保有する事業者、ここまで拡大をさせていきたいというふうに考えております。あわせて、改善計画の中では、NOx に加えまして、ディーゼル微粒子につきましての削減目標、削減項目を追加いたしまして、さらに義務づけをしていく必要があるものというふうに考えておるわけでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【委員長】 どうもありがとうございました。各都府県の方からご説明をいただきました。これ、全体的なご質問をいただくと、東京都、愛知県、大阪府、一括してご質問いただくということにさせていただいてよろしゅうございますか。
【委 員】 単純な質問なんですが、東京都も実走行モードでということを言っておられ、大阪も同じことを言っておられるわけですけれども、これ、ちょっと気になりますのは、実走行モードというのは大体、ざっとこう平均値で同じようなものでいけるのか、相当違うのか、大阪は車速22.7でシミュレーションをやられたようですが、東京都でもしこれと同じような発想でやる場合、東京都内の実走行モードというのはどのぐらいになって、大阪と大分違ってくるのか、大体同じところでレートがそろうのか、ちょっとその辺、規制にかかわりますから、計画づくりの場合とはちょっと違って、それぞれに違うというのはなかなか難しいんですが、どうなるか教えていただきたい。
【大阪府交通公害課主査】 都市走行モードについてご説明させていただきますと、大阪の場合は、大阪府下の都市部のある地点から地点までに、実際に車を走らせまして、例えば渋滞モード、平均徐行速度が5キロ、10キロ、20キロ、40キロというような、いろいろなモードを設定しております。これは負荷の特性を配慮したモードなんですが、これではかった値で原単位を決めているという状況がございます。ですから、その実際にはかった値から、次回、規制が予定されている車の規制の削減割合を想定して計画を策定していったということでございます。
 東京都もほぼ同じようなあれではないかと思うんですが。
【東京都環境局長】 東京都では、シャシダイナモ上で幾つかのパターンに分けて測定を行っております。例えば一番渋滞の低いのは8キロ前後。それからあと、区部の平均車速が18キロぐらいですので、そのモード。それからいくらか高速になった5モードぐらいを用意して、それでそれぞれに合わせた形で再現をいたしまして、測定を行っております。したがいまして、先ほど規制値の問題と、それから渋滞時の都市内の走行モード、こういうものについては今、大阪府から説明のありました内容というふうに、同じでございます。
【委員】 これは質問と言いますか、お答えいただくと時間がないと思いますので、一方的にちょっとお話しさせていただきますと、一つは、いろいろご説明ありましたけれども、地方自治体独自に何がやれるかということがあると思うんです。その中で、やはり民間と地方自治体で組んでやれることは何か。それから国と組んでやれることは何か。それからもう一つは、実効性を上げるためには、条例でやるやり方、それから最近パートナーシップですとか、ボランタリィー的にやるやり方、それから国の法律にやはり依存しなければいけないものは何か。その辺のめり張りをきっちりつけていただくということが世の中に対してもわかりやすいんじゃないかというふうに、希望も含めて申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、世の中の動きでありますけれども、2003年ぐらいに例の50PPM程度の低硫黄軽油が一部市場に出てまいります。それからもう一つ、自動車メーカーの方は、多分2005年から新長期規制が始まるのに対して、さらに前出しでPMだけを新長期規制なみにしたものが2003年頃に出てくるわけです。ですからそれがどこに出てくるかというのは非常に重要で、それがやはりこういった特定地域の市場に出てくることが非常に有効だと思いますので、それの導入を図るための取り組みというのを準備されているかどうか、その辺を確認したいということであります。
 それからもう一つは、低公害車の普及がやはりうまくいってないという状況がございますが、これはいわゆる4兄弟の低公害車のほかに、最近は低公害車の技術指針を改めまして、燃料に限らず低公害なものであれば全部それを指定しようということになってきております。これは自治体の方でもやっておられるわけですけれども、そこでよく聞かれますのは、やはり従来車とディーゼル車で低公害にしたものとは、やはり価格差がありまして、それはそんなに大きな格差じゃないんですけれど、やはりユーザーが安い方をとってしまうということがあります。その間を埋める取り組みというのは、それは自治体の工夫で何とかできないかなというふうに思われます。それも実は有効なやり方であり、それがどこまでできるかということを定量的に政策の上で進めていただきたいと、あるいは検討していただきたいというふうに思っております。
 以上です。
【委 員】 先ほど走行モードについて浅野先生からご質問ございましたけれども、実際に各自治体でそれぞれ予測シミュレーションなさるとき、その地域の実走行モードをお使いになって予測しておられますよね。しかしただ、車のある規制にかかわるモードとすると、なかなか、じゃあこれはどこにこの車はいくんだろうというわけで、それをやるわけにはいかんわけですが、現在の13モードとかそういう中で、どの辺に問題があるのかというようなことを何か整理して平均的なものが出せるのか出せないのか。地域の予測シミュレーションならそれは地域の走行モードを使ってやりましょうということは、今までも行われてきているわけです、乗用車についても、貨物車の場合はこうです、先ほど東京都で18キロとかいろいろお話ございましたけれど。その辺、規制となると全国的な問題としての車そのものの一つの規制値が出てくるわけですから、その辺で、どの辺が問題なのかということが、何かご指摘いただけるようなものがあるのかどうか。あるようであればまた7都県市、それから6府県市ございますね。そういうところで十分またご検討いただいてご指摘いただければと思います。
【委 員】 環境基本計画法というのが平成6年に出されて、その中にいろいろな単体規制とか、低公害車とか物流対策とか、いろいろやりなさいと決められていて、その中に、前から問題になっているんですけれど、この目標の達成状況がどうなっているのか。それから目標と施策との関係とを具体的に示す総合的な指標を開発しなさいということが、この環境基本計画の中に平成6年に述べられて、もう7年もたっているんですけれども、これに対しては何か検討されているんでしょうか。といいますのは、そういうものがきちんと開発されてきていれば、それぞれのここに書いてあるものが一体どの程度効果を上げているのかということが、当然評価できるようになっていると思うんですけれども、その進捗状況。あるいはもう既にやられているのか、お教え願いたいと思います。
【東京都自動車公害対策部長】 今、幾つかいただきました、例えば国と地方の役割のお話とか、それから先ほど聞かれましたなぜ単体規制が始めたとかという話、そして今の総合的に取り組む手法なり優先順位の話でございますけれど、もともと車というのは、もちろん全国走るわけでございまして、一部の地域だけの規制で全体がカバーできることはあり得ない。私どもも、もちろん東京都としてできることは最大限やっていきたいし、条例でできることは条例で定めたいと思っていますが、今回の提案させていただいたのも、条例だけで当然できることはかなり限られている、そういう認識の上に立ってお話をさせていただいているつもりでございます。
 ですから、例えばNOx 法においても、総合的指針を国の方でつくると。そのつくるに当たっては当然、その手法なり経過予測なりを国がすべきなんです。しかし方針出しただけですよ。何もしてない。ですから、それを地方にどれだけ求めていらっしゃるのかちょっとわかりませんけれど、今、大気汚染に対する、もっと言えば車の公害に対する全体の枠組みがしっかりできてない中で、地方が何をやるんだというご質問をされても、これは大変厳しいんです。その辺はぜひわかっていただきたい。
 それから規制につきましても、いろいろな方策ございます。ですから、例えば私どもの方でも低公害車を普及させるために、メーカーだけではなくて、運送業者も呼んで、もっと言えば、セブンイレブンとかそういうコンビニも呼んでやっています。しかしなかなかできない。それはなぜならば、まず初めに規制というバックボーンがあって、それをどうやって支えるいろいろなシステムをつくっていくかということだと思うんです。ただシステムだけつくったって、それはなかなかできません。なぜかといったら皆さん経済行動をやっているからです。ですから、その辺のところも十分ご認識をいただきたいなと思います。
 先ほど単体規制からなぜ始めるか。実は、まず交通量対策、これは大変時間がかかります。道路をつくるのだってそんな5年やそこらでできません。それから東京都ではずっと30台以上の事業所について、毎年のように指導をやってまいりました。その結果、経年変化では1台当たりの事業所、もっと言うと運送業者のトラックの走行量は減っています。つまり、そういう努力を重ねていてもできない。排ガス対策は健康被害でもあるんです。ですから緊急対策でやらなきゃいけないからということで、こういうことを申し上げているんです。ですから、総合的に取り組まなければいけないのはわかっています。わかっていますが、今すぐできることは何だ、そこからぜひご検討をいただきたいなというふうに思っているところでございます。
 それから話は飛びますが、担保する方法として、例えば流入車規制、大変難しいのはわかっています。ただ、現在、今道交法なり、道路運送車両法は何を規定しているかというと、安全走行なんです。決して排ガス対策のための法律ではありません。今、私どもが求めているのは排ガス対策なんです。ですからもっと言えば、そのための法律がないんです。ですから私どもは、そういう流入車規制をやるためには、実は条例ではできないので、安全でも運転の安全だけではなくて、健康のための安全を、やはり考えていただきたい。まさに新たな法体系を視野に入れて検討していただきたい、そういうお話を申し上げているのであって、今のシステムの中でできるかどうかなんていうことは、私どもは思うつもりはないんです。その辺もぜひご理解いただきたいなというふうに思います。
 それから加えて、皆さんご存じだと思いますが、例えばなぜ流入車規制をやらなければいけない。例えばコンビニの配送車、都内に車庫がほとんどないんです。つまりあの配送車はみんな流入車なんです。それはもちろん、東京の地価が高いという特殊な事情もありますが、そういうところも私どもは現実を踏まえてお話をさせていただいているところなんです。ぜひその辺のところもご理解をいただきたいなというふうに思います。
【委員長】 大変、貴重なご指摘をいただきまして、環境庁サイドの対策のおくれという点も、あるいは多々あろうかと思います。しかしながら、東京都の方から非常にイニシアチブをとってお出しになったという意味では、大変問題提起が大きい。しかしながら、先ほど来話がありますように、非常に難しいんです。ですからこれは各省との連絡問題、今までの縦割り行政で物事が済むことではないんです。非常に横割り的な正確の強い行政ですから、マイナスの公共財と我々は簡単に言いますけれども、そんな生やさしい問題ではなくて、非常に大きなテーマで、21世紀に課された日本の中央政府がこれをどう取り組んでいくかという、大変大きな政治問題でもある。アメリカでも現に1990年代、70年代からずっとあれですが、政府の信頼性の問題であるとか、あるいはできることできないことを、政治的な反対運動、そういうはざまの中で何十年と苦労してきたんです。
 そういうことで、大変東京都もご苦労も多いかと思いますけれども、ぜひともいろいろな意味でまた今後ともお教えをいただいて、我々のできるところは、やはり積極的に進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくひとつお願いを申し上げたいと思います。
 時間が大分たちましたので、最後にこれだけは聞いておきたいとか何かございますでしょうか。
 ご発言がなければ、資料3のその他に移らさせていただきます。
【自動車一課長】 今後の日程等につきまして、資料6をごらんいただきながらご説明申し上げます。次回の小委員会は7月7日、10時から12時でございます。ヒアリングの第5回目ということで、NGOでございます。ここに団体名書いてございますように、あおぞら財団、環境行政改革フォーラム、全国公害患者の会連合会、大気汚染測定運動東京連絡会、日本弁護士連合会、以上の団体からのヒアリングを予定しております。その後、第6回目として7月14日、これは午後2時から4時を予定しております。
 以上でございます。
【委員長】 どうもありがとうございました。それでは本日の予定しておりました議題はすべて終了いたしました。改めて東京都、愛知県、大阪府に御礼を申し上げたいと思います。今後とも、いろいろな意味でまたご指導などをいただければと思います。よろしくどうぞ。どうもありがとうございました。