第4回地球温暖化防止対策検討小委員会会議録

1.日  時  平成12年11月6日(月)15:00~17:30

2.場  所  虎の門パストラル新館5階「菊の間」

3.出 席 者

   (委 員 長) 安 原 正

   (委   員) 浅 岡 美 恵      浅 野 直 人
           天 野 明 弘      佐 竹 五 六
           猿 田 勝 美      松 原 青 美
           村 上 忠 行      横 山 裕 道

   (事 務 局) 小島長官官房審議官
           浜中地球環境部長
           一方井地球環境部企画課長
           竹本地球環境部環境保全対策課長
           石飛地球温暖化対策推進室長
           後藤企画調整局調査官
           塚本地球環境部環境保全対策課補佐

4.議  題

  (1)部門別の推進メカニズムの考え方について
  (2)京都議定書の目標を達成するために必要となる情報システムについて
  (3)その他

5.配 付 資 料

 資料1 温室効果ガス排出削減対策の推進メカニズムの現状と課題(前回提出資料)
 資料2 京都議定書の目標を達成するために必要となる情報システムについて
 資料3 寺門委員提出資料
 資料4 宮本委員提出資料
 資料5 浅岡委員提出資料
 参考資料1-1 地球温暖化防止対策検討小委員会第1回会合議事録
 参考資料1-2 地球温暖化防止対策検討小委員会第2回会合議事録
 参考資料2 中央環境審議会企画政策部会地球温暖化対策検討チーム報告書からの政策提言の抜粋
 参考資料3-1 気候変動枠組条約・第6回締約国会議(COP6)について
 参考資料3-2 COP6に向けた国際交渉について

6.議  事

【安原委員長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会企画政策部会「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」第4回会合を開催いたしたいと思います。本日はお忙しいところをご出席いただきまして、ありがとうございました。まだ二、三の委員が見えると思いますが、始めさせていただきます。
 まず初めに、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料番号1は「温室効果ガス排出削減対策の推進メカニズムの現状と課題」でございます。こちらは前回配付させていただきましたが、今回もう一度改めて配付させていただいております。
 続きまして、資料の2番は「京都議定書の目標を達成するために必要となる情報システムについて」でございます。
 次の資料3から5からは各委員の先生方に提出いただいた資料でございまして、資料3が寺門委員から、資料4が宮本委員から、資料5が浅岡委員からそれぞれ提出いただいた資料となってございます。
 続きまして参考資料に入りまして、参考資料1-1が本小委員会の第1回目の議事録でございます。
 参考資料1-2が本小委員会の第2回会合の議事録でございます。
 参考資料2といたしまして、中央環境審議会企画政策部会地球温暖化対策検討チーム報告書から政策提言の部分を抜粋して資料とさせていただいております。
 参考資料3-1と3-2はCOP6に関する資料でございますが、3-1としてCOP6について、3-2としてCOP6に向けた国際交渉についてということで参考資料とさせていただいております。
 資料は以上でございます。

【安原委員長】 それでは、資料に不足がありましたら事務局に申し出ていただきたいと思います。
 それから、今ご紹介がありましたように3人の委員の方から意見が出されておりますが、資料3の寺門委員、資料4の宮本委員は今日ご欠席でございますので、資料の配付のみとさせていただきたいと思います。浅岡委員からの意見につきましては関連のある議題の議論の際に浅岡委員からご紹介いただきたいと思います。
 本日の議題につきましては議事次第にあるとおりでございます。
 まず、説明は事務局より前回いただきましたが、議論に至らなかった資料1につきましてご議論いただきたいと思います。その後、資料2として配っております情報システムにの資料について議論していただきたいと考えております。時間は約2時間ということで5時をめどに会議を進めたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、資料1につきまして部門別に議論を進めてまいりたいと思います。まず、資料1の産業部門の主要課題につきまして事務局からご紹介していただきたいと思います。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、資料1に基づいてご説明いたしたいと思います。部門別にごく簡単にご説明したいと思います。
 なお、参考資料2に先ほど紹介のありました温暖化対策検討チーム報告書からの政策提言の部分だけ抜粋したものがございますので、関連する部門のときにはこちらも少しご参照いただきながらお聞きいただければと存じます。
 それでは、まず産業部門の説明でありますが、資料1の3ページをご覧いただきたいと思います。前回も概要をご説明いたしましたが、時間の関係で本日はそれぞれの部門の主要な課題についてのみご紹介させていただきたいと思います。
 3ページの後半で、産業部門における主要な課題としまして4つほど挙げております。
 まず①、産業部門全体としては7%の削減が大綱上の目標にもなっておりますけれども、これをより確実に進めるためにはどういう推進メカニズムを講じることが適切か。その際、既存の仕組みをどのように活用していくかということで、既存の法律に基づく事業者の計画、省エネ法に基づく措置、そして業界で進められております自主行動計画をどのように活用していくかということも課題と考えております。
 それから②、対策を講じてもなお予定された削減が不足した場合にその分をどのように措置することが適当かということ。
 それから③、産業部門の中での排出主体間の公平性、それから他の部門との間の公平性をどのように考えるかということで、産業部門の中でも自主行動計画に入っている事業者と入っていない事業者の公平性をどう考えるか。また、産業部門以外の民生、運輸部門との間の公平性をどのように考えるかということも課題として挙げられます。
 さらに、我が国の経済、国民生活に与える影響ということで、産業部門では例えば産業構造の転換を求められることによる経済、国民生活に与える影響が想定されますので、そういったものをこの中でどういうふうに考えていくかということも課題として挙げられようと思います。
 以上が産業部門における課題でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、産業部門の課題につきましてご議論を賜りたいと思います。たくさんの材料がございますので、この部分につきましては約10分程度をめどに議論していただければと思います。順次、次の運輸部門等々も同じようなやり方で進めたいと思います。
 それでは、ご意見がございましたらどうぞお願いいたします。

【天野委員】 これからいろいろな部門別に議論が進むということですが、先ほどのお話にもありましたように公平性といいますといろいろな部門にまたがって起こってくる問題が大変重要だと思うんです。しかも、公平性という概念の中に公平性を考えるいろいろな視点があると思うんです。例えば国が何か直接的に規制するような場合には同じ率で削減させることが公平だと言われるんですが、同じ率で削減することが費用の負担から見て公平かというと決してそうではないですね。しかし、規制する場合には同じ率でするというやり方で公平性を確保するしか情報がないわけですからそういう視点が出てくるわけですが、直接規制ではなくて例えばそれ以外のやり方で全般的には削減を行おうという場合には費用の負担とか調整のためにどれだけの犠牲を払うかということが公平性の一つの基準になってくるのではないかと思うんです。
 そういう意味で公平性をどういう視点で見るかということが大変大事だと思いますが、それは同時にどういう手法を使うかということも関連していると思いますので、どこか一つの部門だけ切り出して特定の手法について公平性の議論ができるというのは無理ではないかと思うんです。ですから、公平性の話はいろいろな部門に対する対応がある程度そろって、その段階でどういう視点から見て公平性が欠けているという議論をした方がわかりやすいのではないかという気がしまして発言しました。

【安原委員長】 おっしゃるとおりでございますが、主要課題としてそれぞれ民生部門以下も同じような課題を挙げておりまして、確かに公平性の議論は全体を通ずる議論だろうと思います。また最後に議論を譲りたいと思います。
 先ほど事務局から話がありましたように参考資料2をご覧いただきたいと思うんですが、特にここでは生産構造が関係すると思うんです。省エネ対策、経団連の自主行動計画についての改善の問題、それからバイオマス発電等々につきまして報告書からの抜粋が載っておりますので、参考にしていただきたいと思います。

【村上委員】 前回は別の委員会に出ていましたが、非常に難しいけれどもこれから10年のタームで考えるとどうしても考えておかなければいけないこととして、産業構造の転換をどう考えるかという問題があるります。しかし、それは言うが易く、どう予測するかは全くわからないわけです。ただ、戦後何回かの産業構造の転換期がありましたが、その中で今回も構造転換の節目に入っているという感じがしているものですから、これをどうするかは議論しても答えがなかなか出ないけれども、ある程度考えておかないと全然違った姿になる。
 例えば新しい産業がどんどん出てきて、今までの既成の産業に一生懸命フタをしたけれども、別のところでフタが抜けていってしまう可能性もあるわけです。しかし、構造転換によって効果がより発揮される部分がある。この辺をどう見るかは大変難しいんですが、それを全く抜きでいいかということになると、10年後ということになるとそれでいいのかなという感じがしています。私も適当な答えは持っていないんですけれども、どうしたものかという悩みを持っているということを申し上げておきたいと思います。

【安原委員長】 その関連ではIT化の進展がどういう具合に……。

【村上委員】 ITだけではないですね。

【安原委員長】 ITだけではないんですが、一つの例として十分に検討しなければいけないというご指摘は前にあったところでございます。確かに重要な視点だと思います。

【佐竹委員】 やはり現実の数字を細かく分析してみることが大切だと思いますので、マイナス3.2%の内容について事務局はそれなりにいろいろご検討いただいていると思うんですけれども、やや雑駁な言い方ですが、常識的に考えられるのは経済活動の不活発化に伴う生産の落ち込みの反映なのか、それとも自主行動計画による努力によるものなのか、あるいは部分的には産業構造も既に始まっているだろうと思われますので、その辺についての事務局のご検討の結果をお聞かせいただきたいと思うんです。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、お答えいたします。これは後の議題にも非常に関係する、いわゆる増減の要因をどういうふうに分析して評価しているかということでございます。
 この産業部門の90年度比でのマイナス3.2%につきまして、私どももまだ定量的にどういうものがどれだけ効いているかということは計算していないのが現状でございます。その上でいろいろなデータを見ながら我々として評価しているということでご承知おきいただきたいと思いますけれども、90年度比で3.2%減っている。もう少し近くの年度と評価しますと、前年度と比べてもマイナスの数字になっているわけでありますけれども、ごく最近の状況から見ますと経済動向の影響を大きく受けているということが予想されます。
 例えば産業部門でも大口の排出者であります鉄鋼業やセメント業の生産量のデータを見ますと、前年度比でもかなり減っている。また、90年度以降のトレンドを見ましても減少傾向にあるということからしましても、そういう生産量の減少に伴って使用する燃料も減ってきている。したがいまして、CO2の排出量も減っているということが大きな要因の一つであると考えております。もちろん業界が自主行動計画に基づいてさまざまな対策を講じていることもマイナス3.2%の一部として含まれていることは事実であろうと考えていますけれども、さらに加えて産業構造の転換がどれだけ寄与しているかといった数量的な評価については現状ではまだなされていないということでございます。
 以上です。

【猿田委員】 今、公平性ということでございますけれども、3ページの③は産業部門内での排出主体間の公平性と他の部門の排出主体との公平性となっていますが、その下に自主行動計画に入っている事業者と入っていない事業者、これは同じ産業部門内であれば大企業は業界の組織の中でそれなりにやっている。むしろ群小煙源といいましょうか、規模的な小さなところがなかなか把握しにくい。そういうところに入っている入っていないによる業界内における一つの制約要件があると思うんです。
 その辺での不公平さがあるわけですが、むしろ他の部門との公平性といいますと公平性の在り方はそれぞれ手段が違うと思うんです。産業部門の場合、運輸部門あるいは民生部門でライフスタイル云々となると、公平性をどう保つかという対応の仕方もそれぞれ違ってくると思いますので、同じ尺度ではなかなか判断できないかと思いますけれども、今ここは産業部門のところで言えば自主行動計画の中でそれなりに皆さんが共同して努力していらっしゃるところと入っていないところの対応をどう把握していくか。むしろそれによってどういう指導が――規制と言うと問題があるのかもしれませんけれども、いろいろな制約要件あるいは指導ができるのかどうか、それによってどのようなバランスがとれていくのか、その辺を解析する必要があるのかと思います。

【安原委員長】 それに関連して検討チームの報告に出ております省エネ法の第二種工場につきましては勧告という手法にとどまっているわけですけれども、これでいいのかどうかという問題とオーバーラップしてくると思います。

【浅岡委員】 簡単な紙を出させていただいたのは、前回に説明しましたのが不十分でありまして、自主行動計画だけをフォローアップしましたものに表題が大き過ぎたためと思います。佐和先生からもっと産業全体を見なければいけないという指摘を受けましたので考えてみたものです。1ページの下にありますのは条約事務局に各国から提出されました部門別の排出量から見ましたものであります。
 日本はまだ98年分の提出ができていないのだと思いますが、そこにあがっておりませんので97年までしか書いておりません。産業構造転換は随分起こっているという御指摘が前回あったのですが、まだ日本の場合は製造部門からの排出が他の欧米諸国に比べると比率的に大変大きいのが実情です。素材型産業からの排出が排出全体に占めている割合が多くて、これは時代的には下がっていく傾向にあるものと思います。そういうことから考えますと、今後、産業部門は排出量がもう少し下がることを頭に置いて考えることは十分あり得るのではないか。それを制度的にどうサポートするか、削減の確実性を担保していくかということが課題と思ってつくりましたものです。
 その次の資料4は民生部門の議論のときにまたお話ししたいと思います。

【浅野委員】 産業部門の推進メカニズムをどうするかという課題で、その中に①から④が挙がっているわけです。考え方としてはこういう部門別に切って考えていかないとどうにも思考がまとまらないということはそのとおりですから、これでやむを得ないんですが、今の浅岡委員の資料でもわかるように結局はツケ回し構造みたいなものがあるわけだから、産業部門が減っているように見えても、例えば原単位が幾ら下がっても製品はどんどんつくられて市場に出回っていって、それが民生部門で利用されればそこでエネルギー需要が増えることになりますし、自動車の生産が増えて国内で台数も増えて走れば運輸部門が増えるわけです。あるいは、産業部門が自らの原材料の輸送などについて完全に自分の中で処理していて、それが産業部門の中にカウントされているのか、それとも外注の運輸業者に頼んでしまって、それが運輸部門にカウントされているのかというと、ここは全くブラックボックスに近いところです。ですから、運輸部門と言われている部分に産業部門が内在的に存在する可能性があるわけです。
 ですから、最後はどこかでもう一回インテグレートを図らなければいけないということを申し上げておきたいわけです。例えば原材料の調達から製品の運搬に至るまで全部を産業部門でカウントしたらどうなるのかという試行は一応してみて自分のところでコントロールできるものはコントロールするという発想を持っておかないと、運輸部門に全部ゲタを預ければ自分のところはいい子になるという構造では困ると思うわけです。
 ここではどういうメカニズムがいいのかということですけれども、これに関しても産業部門という言葉で全部を括れるのかという問題が非常に大きな問題ではないかと思われます。まとめに近い段階でこういうことを言うのは非常に破壊的でよろしくないので発言はむしろ慎むべきかなという気もするんですが、例えば自主的取り組みが有効に効く産業部門と、そうではない部門があるわけです。例えば組織率が非常に高いようなある産業部門であれば、業界単位でもコントロールが効く。ところが、組織率が全く低いところは業界団体がどんなに言ってみても、カバー率が低ければあとのところはみんな落ちてしまうわけです。そうすると、落ちてしまう部分はどうやって推進すればいいのかという問題が残るわけです。
 ここでもカバー率の問題と同時に、日本の現在の産業構造は下請けを抱え込む構造ですから、そこで一つのグループ的な扱いができるものはグループ的に扱っていってカバーしないといけないものもあるかもしれないです。そうすると、案外小さいところまで一つのグループとしてカウントできるかもしれないし、これはいろいろな組み合わせを考えていく以外にないので、産業部門でどうするという一言の言い方は無理。例えば産業部門は規制的手法は無理でありますなどという言い方も余り好ましくはないわけで、それをやらなければいけない部分もあるかもしれない。現に省エネ法というのは代執行上に関しては本当に規制的手法を裏に持った行政指導制度だと思うわけです。だから、これは伝統的な日本のやり方を体現していますね。要するに言うことを聞かなかったら最後は罰則まで出しますよと言いながら、事実上は行政指導で動かしている。ところが、第二種のところには同じようなメカニズムがうまく働かないかというと、そんな個別のものまで拾い上げていって罰則で言うことを聞かせるメカニズムが効かないからダメなのではないかということになりますから、一概に第二種も第一種と同じように規制を強化すればいいといってもコストばかりかかることになるかもしれないし、自治体でもっとコントロールする仕組みの方がよほどいいのかもしれないということになります。
 そうすると、結局は既存の仕組みだけで片づける、あるいは省エネ法だからその権限を強化すればいいということにはなるまいという気がします。①についての答えはもちろんどの部分でこれがうまく効くのかをよく分析して、効くところでは大いに活用する。効かない部分がどこかを明らかにしておく必要がある。手法としては多分そうだろうと思います。
 公平性については天野先生がおっしゃるとおりでありまして、仮に規制でなくて枠組みであったとしても、ある数量の目標を掲げて議論する場合には、従来から既に公害規制では例えば水の規制はどの程度のコストをかければできるかという能力を見ながら基準を決めてきた経過がありますから、その点は考えておかないと。一律というのはあるところにすごく楽で、あるところに非常に厳しいということになりますから、それではうまく動かないことになるので、ここでも公平性という一言でバサッと切って話ができるのかなという気がいたします。

【佐竹委員】 省エネ法についても内容に余り詳しくないので質問のピントが合わないかもしれませんけれども、例えば先ほど鉄鋼とセメントを挙げられましたが、主要産業部門別には現在の姿として工場別の原単位でばらつきがかなりあるものでしょうか。環境庁は通産省と違ってこの辺が弱いところかもしれないけれども、その辺の認識や政策の在り方にかなり影響してくるので、果たしてどうか。我々が考えますと、常識的にだんだん同じレベルになってくるのでは、少なくともコストはそう差がなくなってくるわけです。二次産業部門であれば立地上の条件の差はそう大きくないし、最新の技術をみんな入れてくるなでしょうから時間的にはだんだん並んでくる。しかし、原単位ということになった場合にCO2は果たして一体どうであろうか、今までほとんど問題にならなかったことですからバラツキが存在することも考えられないではない。ただ、考え方としてはオイルショック以来、皆さんも省エネには非常に努力されているので主要な排出源については、CO2の発生原単位が大体並んでしまってきているものなのかどうか。その辺は現状として、事実として一体どうであろうか。

【地球温暖化対策推進室長】 この分野についてはおっしゃるとおり非常に弱いところでございまして、省エネ法の体系の中でも個別の企業それぞれのデータが公表されていない関係で我々も答えとしては承知していないということでありますけれども、趨勢としては委員の今のご指摘のような傾向にはあるだろうと思います。そうはいいましても、現状ですべてがほぼ一列に並んだ原単位になっているかということは企業の規模とかさまざまな業態によって場合によってはばらつきがかなりあることも予想されると思います。いずれにしてもまた検討させていただきたいと思います。

【佐竹委員】 それは事実認識がきちんとしていないと議論が進まないので、なかなか大変だと思いますけれども、その辺は環境庁としても知見を深めるようにしていただきたいと思います。

【安原委員長】 それでは、宿題ということにさせていただきます。

【天野委員】 今も何人かの委員の方がお話しになったことですが、産業部門の中で従来型の規制的手法で扱える部分は限られていて、それ以外の部分で同じようなやり方をしようとすると情報が足りなくて、その情報を集めるためには行政コストが非常にかかるので無理だということだと思います。ですから、産業部門一律に何かの政策手法で扱うのでなければ、残っている部分はどういう手法を使うのかという議論も一緒にするべきではないかと思うんです。例えば炭素税とか排出権取引という手段がありますから、そういうものを入れるのか入れないのかという議論にそろそろ入って、入れるとすればどういう点が長所でどういう点が短所であってという議論をちゃんとする。従来型の大口の排出主体については例えば省エネ法がありますが、省エネ法はエネルギーが対象ですから必ずしも二酸化炭素を減らすというところに目が向いていないわけです。ですから、その辺もどういうふうに修正することが必要なのか、あるいは省エネ法は省エネ法のままで行って、それを補完するような措置を大口の排出主体についても考えなければいけないのか。
 先ほど産業部門は自主的取り組みでカバーされていない部分があるというお話も出ましたけれども、自主的というのは自主的にやっているわけですから、その間で公平・不公平という議論は要らないと思うんです。ただ、その結果として出てくるものが違いますので、政策としては違った対応をとらなければいけない。自主的な取り組みでどれぐらいの効果が期待できるのかということもはっきりして、それとほかの政策をどういうふうに組み合わせるかという議論をすべきだと思うんです。ですから、かなり細かい議論をこれからしなければいけませんので、事務局でも選択肢としてどういうものがあるのかということをできれば数量ベースの情報も入れてつくっていただいて、ここでみんなで議論する段階ではないかと思います。

【安原委員長】 天野委員がおっしゃるのは大変重要なご指摘だと思います。経済的措置につきまして前回までにかなり議論してまいりましたので、今回は積み残しとして部門別の経済的措置以外にも個別のいろいろな対策があるものですから、それを中心にご意見を伺っているところでございますが、全体としてはそういうものをポリシーミックスに仕上げていく努力が必要かと思います。今後その方向で作業を進めてまいりたいと思います。
 それでは、産業部門は関連してご議論がありましたらまた戻っていただきまして、次の民生部門に移りたいと思います。先に主要課題をお願いします。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、資料1の7ページをご覧いただきたいと思います。これは民生部門、いわゆる業務部門と家庭部門を合わせたものとして紹介しております。
 この中で7ページの下の方に主要課題がありますけれども、その上の表にあります現行の推進メカニズムの分析のように削減見積もりの比率の最も大きいものが住宅・建築物の省エネルギー性能の向上でございます。これをまず①に挙げておりまして、こういった省エネの性能向上をより確実に進めるためにはどのようなメカニズムが必要か。
 ②として、これは冷暖房の温度を一定程度に抑えるという啓発的な取り組みでありますけれども、こういう事業者、国民の行動に依存する不確実性の高い部分についてより確実に進めていくためにはどうしたらいいのか。
 ③、④、⑤については先ほどの産業部門と同じ課題でございます。予定された削減が不足した場合の措置、他の部門との公平性、我が国の経済、国民生活への影響をどのように考えるかといったことが課題として挙げられようかと思います。
 以上です。

【安原委員長】 それでは、民生部門につきましてご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【浅野委員】 ここにある民生部門のCO2削減対策と推進メカニズムの現状という表を見ていて、今のご説明では建築物は断熱構造化が一番効いてくる、あとはこんなものだねということで並んでいるわけです。ただ、この中で例えば28度冷房、20度暖房等というのを見るといつも非常に奇異に思うんですけれども、地域の差は全く考慮されていないんですね。ちょっと冗談みたいな言い方ですけれども、要するに28度の冷房だったら暖房にしなければいけないところもある。ですから、こういう話は地域の中でどうするかということを考えていく性格のものではないか。例えば冷房を主に考えて断熱構造を非常に重視するべきところと、暖房の方を考える――それは同じことかもしれませんけれども、どういうことをやるのかを全国一律で考えるという発想がそもそも問題ではないかという気がしています。この辺のところはこういう形で項目ごとに切っていく発想法と、それぞれの地域の中で自分たちのところはどこに重点を置いたらうまくいくのかということを考える手法の両方の組み合わせがないとうまくいかないのではないかという気がするんです。この28度・20度というのはいつも東京中心の発想だという気がしてしようがないんです。私は九州におりますから、これではおかしいなと思うことがいろいろあります。
 こういうところは仮に法律をつくって28度にすべしとか20度にすべしとやってみても、ほとんど効かない。やりたければやってもいいんですけれども、罰則までつけてということになってもしようがないわけでしょうから。そうすると、料金政策か何かでエネルギーをたくさん使っている人は民生部門をたくさん払ってくださいと。現に大量需要家は夏のピーク時の需要量に応じて年間の基本料金が決まりますから、これは効果が結構あって、夏のピークカットはみんな一生懸命になってやるわけです。それをもっと強化していったらピークカットがもっと進むことになりますし、逆に言えばうちは快適にするために金を払ってもいいという人はどんどん使ってお金を払うわけです。そうなると一種の排出権取引みたいなものですから、それはそれでもいいのかなという気がするんです。そのときに集まったお金が対策費に流れればいいわけですし、削減努力を一生懸命している人が報われるような形で使われるならいいわけですから、こういう民生部門という部分でも発想法をちょっと変えてみれば排出権取引と同じような考え方を実質的には取り入れたことになるような施策もあるのではないかという気がします。
 いずれにせよ、こんなものは規制でうまくいくはずがないということは大体常識に近いわけですけれども、そうであれば先ほど天野先生がおっしゃったような話は何も声高に炭素税を何だと言わなくても料金政策というところで調整できるものは調整すればいい部分があるわけです。あるいは乱暴な議論ですけれども、別建てで払うというやり方もありますね。電気料金は電気料金だけれども、この部分は別のところでチャージとして払う。そうすると、払うという実感がわきますね。料金の中に一緒にしてしまえばまさに排出権取引なる問題で、それだけ高くなったなで終わりですけれども、これだけ払っているということがわかると効いてくるとか、細かい議論はこれから随分いろいろやる余地があるという気がします。
 ですから、どのような推進メカニズムが必要かということに対しての答えになっていないような気もしますが、メカニズムを考えるときはそのくらい細かく考えていく方が手っとり早いという気がいたします。

【村上委員】 電力のことで考えなければいけないのは、浅野委員が今言われたような料金制度もあります。夜間電力と昼間、また季節によっても違いますし、契約アンペア等も単価が全部異なります。それをどうするかという問題だろうと思うのですが、今後考えるときにアメリカはIT化によって待機用電力が非常に増えました。すべて24時間型になってきますと、いろいろな産業でも待機用電力が必要になって、アメリカでは待機用電力が全使用電力量の17%に上がっている。これはIT化の光と影の部分でありますし、世界が24時間型になることによっての光と影の部分でもあるのです。
 例えばウォシュレットなども随分はやっていまして、これは半年ぐらい前に私が申し上げたことですけれども、原子炉1基分を超えました。向こうはもう2基分ぐらいになっているだろうと思うのですが、これも相当の待機用電力です。だから、待機用電力をどう見るかというのは今後シャワーの1分間とか、そんなものより相当大きいと思っています。日本の家庭でも待機用電力はかなりのウエートでしょう? 調べたものが何かございますね。

【地球温暖化対策推進室長】 正確な数字は覚えていないんですけれども、現在それぞれの部門ごとに対策の現状と今後どういう対策が見積もれるかという検討を別途やっております。
 民生部門での検討の状況を若干ご紹介いたしますと、特に家電製品に限ったことで言いますと、待機用電力については日本でも数年前からマスコミ等でかなり取り上げられて家電メーカーがかなり努力した結果、一つの機器に着目しますと物によっては当時に比べて10分の1以下の待機用電力にすることができるようになっているというデータが今集まりつつあります。部分的にはそういう取り組みがなされてきておりますし、そういうものが例えばパソコン等のOA機器にも広がっていくということが現状では我々の収集した情報の中では得られております。

【天野委員】 自動車の場合も同じですが、消費者が商品を使っているときに自分の努力で幾らやっても減らせないような部分があるわけです。既に製品ができてしまいますと、その仕様に従って使わざるを得ない。先ほどの待機用電力がそのとおりですね。あれはなくそうと思ったらコンセントを1回1回抜いたり差したりしなければいけないという手間が起こるわけです。ですから、そういうことは消費者に頼るよりは生産者の方にそういう製品をつくってもらうようなインセンティブを与えることが必要だろうと思うんです。ですから、自動車の場合には重量で税率を変えるという案がこれから検討されると思いますけれども、似たようなことを家電製品とか住宅についても考えるべきだと思うんです。ですから、環境に負荷のかかるような住宅をつくってはいけないという規制はできませんので、使いたい人は高いお金を払って使ってくださいというやり方が必要になります。その部分は何かの形の税とかチャージを住宅とか家電製品に同じように考えていくことが必要でしょうから、そういう負荷を余りかけない人は安い製品が買えるという形にすべきだと思うんです。
 例えば冷房温度を28度に設定するというふうに個人の使命感に訴えて行動を変えさせるのは非常に長期にわたってそういうキャンペーンをすると効果はあろうかと思いますけれども、人々の行動を変えるというのは価値観をどう考えるかということにかかわってきますので、私は短期的な政策手段として強調しないというか、教育のような形を考えるようにすべきではないかと思います。ですから、むしろ一般の人の行動を自発的に変えさせるためにそういった経済的な誘因を使うことをもっと考えていく必要があるのではないかと思います。外国などでは非常に細かいことにまでそういった手法を使おうというのでいろいろな工夫をしているわけですが、日本の場合は炭素税での論議のように賛成か反対かという大きな議論になってしまって、細かいところまでこういう使い方をして資源を余り使わないとか環境負荷を下げようという工夫がそれほどされていませんので、その余地は十分あるのではないかと思うんです。日本は効率を上げるのに最善の努力をして最高の水準で来ていると企業の方がよくおっしゃいますけれども、同じようなことが一般の人々の行動を変えるうえで工夫の余地がもっともっとあって、そういったことはどんどんやるべきではないかと思います。

【浅岡委員】 先ほど示しました2枚ほどの紙の3ページですが、前回の議論で需要はそう伸びないだろうというお話がありました。将来どうなるか議論の余地がまだまだあると思いますけれども、この10年間を見ますと、家電製品でテレビは一家に2台あたりというところで、それでも少しずつ伸びている。エアコンはかなり伸びている。さらに大型化の傾向が顕著に出ている。
 そういうことを踏まえながら、削減策を私たち市民NGOなりに検討しました内容の概要版をみていただきますと、当面は、機器の効率を上げることで削減分を稼ぐのは技術的にも対応力が十分あると思います。先ほど言いました待機用電力でもちょっと努力されれば単位当たり電力消費が10分の1ぐらい大きく下がるということでした。ここで目標がはっきりすれば技術的対応は相当期待できるでしょう。また大型化についてですが、冷蔵庫などを見ますと実際に販売されている製品では大型冷蔵庫の方が効率がよい。小型冷蔵庫の方がエネルギー消費量は多いかもしれない。売れ筋の効率を高める傾向もありますが、大型の製品を製造する段階でエネルギー消費が多くなっているんだろうと思います。大型化に歯止めをかけながら、先ほど皆様からおっしゃられますように、より効率のいい機器を消費者が選べる仕組みを入れていかれることは、本当にこの部分で最も重要だろうと思います。 私たちも冷房温度を下げるというような対策は、確実な削減政策としてはカウントしないという方針で6%削減をどこで賄えるだろうかを試算してみたのですけれども、可能性は十分あるということです。また、エネルギー消費量が随分減るわけですから、電気代やガス代などの節約にもなって、家計的にも4年ぐらいの単位で見ればコストに十分見合って、商品を10年使えばお釣りが来る。ですから、既に冷蔵庫などの販売ではこうした効果を強調しています。だからこそ消費電力量の少ない大型冷蔵庫を開発しているだろうと思います。こうした取組を仕組みにしっかり入れていって、個人的努力を削減にカウントすることはやめるようにしようと。
 NGOは安易に多く削減できるとカウントする傾向があると思われるかもしれませんが、むしろ、建物の省エネで削減できると政府が勘定しているのには無理があると思っています。

【安原委員長】 ちょっと質問ですけれども、8ページの表で建築物の断熱構造化のところの規制に「※」がついていますね。これはどういう意味なのか説明していただけますか。

【地球温暖化対策推進室長】 これは省エネ法に基づきまして大規模な建築物、たしか床面積2,000平米以上のものにつきましてはここに書いておりますように断熱効果に係る品質の向上、品質の表示に関する基準を守らなければいけないという指導が課せられる。そして、その指導を守るように指示がなされて、守らない場合には公表ということで半強制的な色彩の規制がかかっているということで「※」を書かせていただきました。

【安原委員長】 現在は補助金とか啓発だけですけれども、大規模な建築物にだけはそういう規制的措置も講じ得る。しかし、実際にはやっていないんですか。

【地球温暖化対策推進室長】 今、実際にも省エネ法に基づいてそういうことが機能しております。

【横山委員】 今との関連ですが、浅岡委員の資料を見ると建築物の省エネ基準の建築基準法への組み込みということを提案されていますけれども、これは政府としてこれまで考えたことがあるんでしょうか。建設省はこういうことについて何か言っているんでしょうか。

【環境保全対策課長】 本件につきましては小委員会でのご検討ではなくて、基本計画の検討チームで議論していただきました。そして、基準そのものの適用は個人の所有物にまで規制が至る点についていかがなものかという議論もございましたが、こういう観点からの議論があったというのは検討しましたというくだりで検討チームでの報告書の中に記述していたように記憶しております。そういう意味ではそういう観点も含めて幅広く検討はしておりますが、それがフィージブルかどうかという点では個人個人の所有物まで至ってやるのはなかなか難しいというご指摘もあったというところでとどまっているところでございます。

【天野委員】 今の点でちょっとわからないんですけれども、建築基準というのは個々人の家を建てるときの基準でしょう? 既に制約がいっぱいかかって家が建てられて、それが個人に引き渡されるわけですね。ですから、建てる段階でこれが入ってくるのはどうしていけないんですか。ちょっとわからないんですけれど。

【環境保全対策課長】 これは考え方の問題で、それを別にすべての点においていけないと言っているわけではなくて、そこまで規制を広げて適用すべきだという意見と、個人の所有に係るものの権利の制限みたいな形でそこまで位置づけてしまうのはどうかという反対側のご意見もありました。

【浅野委員】 それは前のときのチームの議論をご紹介いただいたということですね。

【環境保全対策課長】 そうです。

【浅野委員】 それはそれでそういうご議論があったことはわかりました。ただ、建築基準法は本来その建築物を利用する人の健康や安全を守るという観点からの規制だったわけですね。だから、日照阻害になるような建物を建てても建築基準法ではどうにもなりませんと言ってきたものが近隣の日照保護のための北側斜線制限などの規制を加えることができるところで近隣の環境空間に対しての配慮を要求するようになったわけですから、それから一歩進めていけば地球規模の環境に対する配慮を要求してもいいはずなので。日照を保護するというのは近隣の権利関係ととらえればそうかもしれませんけれども、少なくとも住んでいる人の安全、健康ということから言えば隣の日照などは関係ないわけですから、そこまで踏み込んでいるということはあるわけですね。
 あとは政策としてどういう法律でやるかの問題にすぎないわけでしょうけれども、例えば断熱構造の方がエネルギーも安くて済みますよということを言うなら入れても構わないかもしれないし、あるいは先ほど言ったようにもともと地域性を考えるなら、こういうことはむしろ地域政策の中で弾力的に展開できるような国の法制度を用意しておけばいいわけで、全国一律にやろうと思うから議論が起こるので。条例でそういうことを定めたければ定めてもよろしいとか何とかやる方法も議論としては幾らでもやりようがあるので、そこで議論されたことが絶対であるとは思いません。天野先生もそれをおっしゃいたかったんだろうと思います。

【安原委員長】 この問題は地域性の問題もあるんですけれども、この前の検討チームの議論では一定以上の能力を持つような冷暖房機を入れるような建築物あるいは個人住宅も含めて、それはエネルギーを効率的に使うという見地から断熱構造を厚くすることは合理的な対応として考えられるのではないかということで、それを広げる努力をすることも一つの検討課題ではないかという議論だったと思います。

【浅野委員】 わかりました。それは大いに議論されればいいと思います。

【猿田委員】 建築基準法上いろいろな制約要件とかありますけれども、ここで大規模な建築物には例えば床面積2,000平米という制約要件があるわけですね。一般の家庭ではとてもそんなものはないわけですから、自治体によって建築確認が提出された時点で断熱材の使用を指導している――規制という強制的なものはないわけですから指導しているというのはありますけれども、私がたまたま数年前に家を改築したときに会った大工さんが頼まれて建売用のものをつくっているんだそうですが、とても断熱材なんかは使えません、建売でこんなものを使ったのではとても高くなって困るんだということがあるわけです。ですから、個人的にやる場合には建築確認の段階で指導も受けますし、やっているわけですが、一般的にはイニシャルコストがかかるものに対して対応できないという現実があるわけです。しかし、今の建築基準確認などの届けの段階でそういう指導を積極的に行っていくことによる省エネということは十分可能であって、そういうことを自治体がどれだけ踏み込んでやるかどうかも指摘しておく必要があると思います。

【浅岡委員】 私は94年の長期エネルギー需給見通しの改定のときに通産省の担当の方が説明していて業界の方が聞いていらっしゃる議事録を見たことがあるんですけれども、そのときに建物を建てるときに家は建ててしまった後では中を直したりできないわけですし、建てるときはある意味で非常に大きな範囲でお金の話もしているわけで、何万円というのではなくて何百万円単位で話をしていたりする。そのときに入れるものは入れてもらうのが一番いいと業界の人が言っていらした会議録を見たことがあるわけです。
 入ってしまえば、それを前提にして建物を建てる。これからは建物の寿命を長くするというのもとても大事な日本の課題で、長くすればするほど基礎的な部分は先にやっておかないと、床とか壁面の断熱性なんていうのは本当にベースですから基礎的なものだと早く位置づけて早くつくらないと、これから何十年もそういう自分のものを抱えてしまう。これはぜひとも早く基準化を図る。そのときに例えば今は外断熱を入れますと言ったらば、とてもコストに合いませんということになるかもしれません。でも、コストに十分合う断熱性のものはあると思います。私も最近、自分の事務所をつくりかえましたときに随分そういう研究をしてみましたけれども、これはぜひとも早く議論を入れていく。
 北の方はもちろん重要性があるんですけれども、南の方でもといいますか、それはそれで冷房もそうですし、地域性がいろいろあるにいたしましても同じような発想で考える余地はある。この建物について私どもが試算したところでは、政府の現在の対策によって住宅部分で削減できると言っているのは過大見積もりであるとともに、我々が建築基準法に入れていくとしてもまだ過大見積もりだと思われる計算になっているというのが私たちの見解でしたので、なおさらのこと、これはしっかりした制度を入れる必要があると思います。

【横山委員】 今のことに関連するんですけれども、断熱材でまともにやっているのは北海道ぐらいで、それ以外は全然ダメですよということだと思います。猿田委員のお話で建売でそんな断熱材はダメだというのは多分そうだと思うんです。だけれども、それは一般の人には全然説明していないから。例えばこういう断熱材を入れれば何年ぐらいで元がとれるし、太陽光発電と同じように地球環境にとってはいいんですよという宣伝が効いてくれば建売業者の方も考え方を変えていくのではないかと思うんです。だから、その辺のところを私もぜひやっていただきたいと思います。

【猿田委員】 いろいろ環境教育というか、建主にもそういうことが必要になってきますね。

【松原委員】 皆さんがいろいろおっしゃっているんですけれども、結局は規制強化になるんですね。それをまずやる必要があるかどうかということはこちらの方で結論を出すべきだろうと思うんです。だから、建築確認というのは先ほど浅野委員がおっしゃったように安全と、もう一つは都市環境という面で周辺に及ぼす影響です。おまけに、あれは2週間以内にイエスかノーを言わなければいけないんです。だから、一定の基準がはっきりしていないととても審査ができないわけです。それから、コストをかけた割に本当に意味のあることなのかどうかも審査する側が審査できるような技術的基準がなければいけないわけです。ですから、今やっているやっていないの問題ではなくて、そこまでやる必要があるというコンセンサスができるなら建築確認を行う当局にも必要なら人間を増やしてでもやれとか、あるいは2週間で無理なら3週間に延ばしてもいいからやれという結論が出てくるだろうと思うんです。
 それは、今後のこれからの議論ではないでしょうか。【安原委員長】 ほかにございますか。
 それでは、またご意見があれば戻ることにいたしまして、次の運輸部門に移りたいと思います。

【地球温暖化対策推進室長】 続きまして、資料1の12ページをご覧いただきたいと思います。運輸部門の主要な課題でございます。
 ここは11ページにあります現行の推進メカニズムの分析、14ページに現在の対策と推進メカニズムの現状、非常に複雑でありますので、これを12ページの一番上にあるような図を利用しまして少し整理したもので課題も整理させていただいております。すなわちこういうさまざまな対策のうちユーザー自らの取り組みによるもの、インフラの整備によるもの、省エネ法の効率規制という分け方をした場合に、それぞれの寄与率を中ほどの表にありますようにユーザー自らの取り組みに関連・関与するものが80%、インフラ整備に関連するものが46%。もちろん重複はございますが、こういう数字が出てきておりますので、これに基づいて課題も挙げております。
 ①、ユーザー自らの取り組みに依存する不確実性の高い部分につきまして、より確実なものとするために事業者、国民それぞれに対してどのような推進メカニズムが必要か。
 それから、②として、運輸部門の場合には特に物流・交通対策等のインフラ整備が大きいわけでありますので、これをより確実に進めるためのメカニズム。
 ③として、省エネ法による燃費効率の達成。これは既にやられているわけでありますけれども、これをより確実にするためには例えばあわせて自動車税制を環境に配慮したものとするような政策手段が必要ではないか。
 ④、⑤、⑥は先ほど来の産業、民生部門と全く同じ3つの課題を挙げているところでございます。
 以上です。

【安原委員長】 どうもありがとうございました。

【村上委員】 自動車燃費の改善の問題は何年基準で考えているのですか。

【地球温暖化対策推進室長】 現在、対象となっておりますものは省エネ法に基づく2010年目標の基準に基づいてメーカーに規制が課せられていると承知しております。

【村上委員】 そうしますと、一昨年の新車から省エネ法に基づく燃費改善は既に達成しているのでしょうか。それはそれでいいのですか。

【安原委員長】 一部、新車が徐々に出ているんじゃないですか。

【村上委員】 出ている新車はみんな達成しています。一昨年の秋口からの新車は全部達成していまして、要は2010年までに全部買い換えされるかどうかということが主な問題ですね。トラックは違いますが、車というのは普通、乗用車は大体7~8年ですね。だから、それでよければ乗用車部分はほとんど。もっと新しいものはもっとよくなりますから、今年は従来の30%ダウンとか、もっといいものが出ていますね。だから、これは大体達成することになってしまうと思うのですが、それはそれでもう1段新しいタイプのものが出ているけれども、そこまでの水準は求めないということですか。

【地球温暖化対策推進室長】 2010年をさらに超える燃費基準が必要かどうかというところについてまだ具体的に課題として挙げているわけではございませんし、それは全く必要ないと断言しているわけではありません。現状では車種によりましてはご指摘のとおり既に基準を合格したものが新車として売り出されてきておりますし、これからそういうものがどんどん買い換えられていくことになると、燃費ということに関しましてはそのような形での対策が進んでいくと予測できるわけであります。
 ここで③に掲げておりますのは燃費に限って言うとさまざまな政策手段が必要ではないかということで、もちろん燃費の基準を合格した台数がどんどん増えていく、またユーザーサイドの利用の仕方という問題も出てくるわけであります。自動車としてはユーザー自らの取り組みということも含めて考えていかなければいけないわけでありますので、そこはもう少し総合的に考える必要があると思いますが、燃費に限っては先ほど申し上げましたように基準に合格したものがこれからどんどん増えていくと考えております。

【村上委員】 私が言いたいのは、この車の部分というのは行政が考えているより相当のアップテンポで技術開発やいろいろなことが進み出しました。だから、どの時点で見直すか。今直ちにやるかどうかはいろいろあるのでしょうけれども、現実に政策が遅れ遅れになってきている部分があります。自動車業界にも大いに頑張ってもらわないといけないと思いますが、既に今までのガソリン車でも2010年モデルを相当超えたものが今年になって大分出始めています。ハイブリッドもどんどん出てくるし、メタノールとか新燃料とか燃料電池ということを考えたら、2010年までには相当の変化が予測されるわけです。だから、そういう変化予測はいいことですから予測できる範囲で大いに考えたらいいと思う部分があります。皆さん方はつくったものはとにかく変えたくないというのかどうかわかりませんが、反対の意味で現実離れしたものが車の世界では出始めている、それをどうするのですかということを聞きたいわけです。

【地球温暖化対策推進室長】 これは既存の対策について書いたものでありますので、今後そういうものがどういうふうに進むかということはまた別途それぞれの技術評価のグループで検討を進めていきたいと思っております。例えば燃料電池車の実用化がどの時点でなるかといったことも今後の削減対策の中での非常に大きな位置づけになろうかと思いますので、その点は2010年、さらにそれを超える年次での予測をする上でそういったものにつきましてのご指摘を受けて十分検討してまいりたいと思います。

【安原委員長】 今の点は非常に重要なご指摘だと思うんです。
 だから、技術評価をきちんとやるだけではなくて、実用化段階になったものについて普及が急速に進むように持っていかないと対策効果が出てこないわけです。ですから、その場合に普及を進める上で社会的に重要ないろいろな仕組みとか制度を合わせて見直す必要がないかどうかをあわせて検討すべきだと思うんです。あとは自動車の技術だけではなくて、その燃料供給体制をどのようにキャッチアップできるようにしたらいいかということも重要だろうと思います。

【浅岡委員】 今の村上委員のご指摘のとおり、本日の議論も京都会議直前の97年の暮れか98年の初めに決まった政府内の数字の割り振りをすべて前提にして議論しているわけです。今、別途議論しています新環境基本計画も、それを前提に議論しているわけです。「COP6後に必要に応じて見直す」ことにしてありますが、COP6が終わりましてから閣議決定まで一月もないという状況で、又もやこれしか考えないという姿勢で進んでしまうこたになるのでは、のはとても時代に適応できないのではないか。ましてや、電気機器は2005年の数値目標を入れたものの、自動車は業界からも2010年にと強調された2010年目標を既にクリアしているではないかという実情にあれば、ここで、こうした数字そのものを見直すんですよということをこの中にちゃんと入れて議論するのでなければ虚しい気がします。
 私たちの市民案づくりでどこで減らせるのかを検討しましたときにも、運輸部門では減らせる可能性が十分あると思いました。特に技術の進歩が著しいのでそうなっています。ここでの議論もそもそも目標数値とか省エネ法の規制基準そのものを見直すということを第一弾に入れていっていただきたいと思います。
 もう一つ、前回の議論で自動車も小型化のトレンドが生まれていますということでしたけれども、実際はまだそうではないようです。小型車を好む傾向も一方であるものの、大型車も増えている。それならそれで環境負荷に合わせた税制度などを、はっきり仕組みに入れていくことをあわせて考える必要があると思います。

【浅野委員】 別のところでNOx法の検討をやっているわけです。そこで失敗した経験はここで十分に生かす必要があるわけで、要するに積み上げで計算していってこのぐらい減るだろうというのはNOx法で見事に失敗したわけです。例えば物流でこのぐらい減りますということをやっているわけですけれども、それは計算が荒っぽかったせいもあるし、効果はもっと複合的に表れるはずのものを余りにもシンプルにそれぞれのファクターに割り付け過ぎてしまっているからはっきりしないという面もあったわけです。同じことをまたここで繰り返してもしようがないという気もするんですが、とりあえず物流効率化とか、モーダルシフトとか、ライフスタイルの変革とか、クリーンエネルギー自動車の普及とか、燃費改善とか、向こうでもみんな同じことを議論しているわけです。要するに単体規制をやります、低公害車を普及させます、物流の効率化を図ります、人流の効率化を図ります、交通量もやります、みんな同じことを言っているわけです。別々の政策であるはずがないわけで同一の政策ですから、同じ負担を国民にかけるなら、一つの政策は両方の効果があるように組み立てるべきですね。
 そうすると、運輸部門に関する推進メカニズムの検討はぜひともそちらの方の検討とうまく合うようにしておかなければいけない。どこかバッティングする部分があるならバッティングする部分を明らかにして、ここはどちらをとるのかということをはっきりさせておかないといけないと思うんです。これは非常に重要な課題ではないかと思います。少なくとも幾つかの部分、例えば渋滞緩和とか物流効率化とかモーダルシフトというのはこことNOx法の議論が完璧にオーバーラップする部分だと思います。それは十分に意識しておく必要があると思います。
 例えば物流効率化でNOx法はどういうことをやっているかというと、大型貨物が小型化すると何%下がります、これがこのぐらい小型化するからこのぐらい減るはずだという計算をしているんです。そういう形の議論は数字を無理矢理に出さなければいけないから無理矢理やったということがあるわけだろうと思いますけれども、むしろもっと全体に物流そのものを減らすのではなくて、それを交通手段の中でどれだけ効率化するかということを考えなければいけないわけです。ここでうまく定量化して議論できると非常に役に立つと思うんですけれども、今のところはこれを見てもはっきりよくわからないです。非常に荒っぽい議論だなという気がするわけです。

【天野委員】 私は専門が経済学なので大変不思議に思うことがあるんですけれども、こういう話はどういう意思決定をするかという経済的な要因がかなり強く働く分野なんです。この前は交通公害部会の方で、交通経済学の専門家の意見がどれぐらい入っているのかという質問をしたこともあるんですけれども、そういう専門の方がいらっしゃるわけです。そういう方のご意見をほとんど聞かない、反映しない形で話が進行しているのは不思議でしようがないんですが、どうしてそういう情報がここに入ってこないのか。あるいは役所が違うからということでしょうか、それだと政策的に非常に歪んでしまうなという気がするんです。
 特にモーダルシフトにしても渋滞の緩和、ライフスタイルの変革、こういうものはすべて人々の行動や意志決定に関係しているであるわけです。交通経済学の方ではどういう交通の流れに持っていくのが効率的かということだけで議論していますから視点は違うと思うんですけれども、交通流の行動がどんな要因で変わっていくのかという分析はちゃんとしているわけですから、そういう情報を利用することができないのは不思議に思うんですが、いかがでしょうか。

【地球温暖化対策推進室長】 この部分のポリシーミックス、政策を考えたりメカニズムを考えるよりも、さらに前提となる運輸部門での個々の対策とか今ご指摘のような背景にあるような分析につきましては我々としても必要だと思っております。
 この委員会の中には入っておりませんけれども、先ほどもご紹介いたしました技術評価のグループの中には交通経済学の方にもご参画いただいておりまして、その面からのいろいろなご指導、ご指摘をいただいております。その部分につきましては我々もこちらの方に十分反映するような形の検討結果の活用をしていきたいと思っておりますし、場合によりましては今後の委員会の運営や審議会の運営の中でそういったものが十分反映されるような工夫をしてまいりたいと考えております。

【横山委員】 事務局にお尋ねしたいんですが、一番最初の浅野委員の発言にも関係するんですけれども、運輸部門にマイカー部分が含まれるとかよく言われますが、産業部門の原料の輸送とか製品の輸送も当然入ってくるわけですね。その辺の分析はないんでしょうか、それともそれはきちんとあるのか。それから、経団連の環境自主行動計画は自らの運輸部門のことについてもきちんとした指針は示してあるのか、その辺。基本的なことで申し訳ないんですが。

【地球温暖化対策推進室長】 この運輸部門には運輸業者という、それを専門にしている業者による運送と産業部門の中における輸送、例えば自らが車を持って移動しているといったものはすべてこちらの方に入っております。それは自家用と業務用ということで運輸業者の場合には業務用になりますし、事業者が自ら運転する場合には自家用ということで、その種別の輸送量といったデータ、もちろんそれに基づくCO2の排出量は出すことができますし、その範囲での分析は可能になっております。

【横山委員】 経団連の自主行動計画との絡みはどうですか。

【地球温暖化対策推進室長】 今すべてはわかりませんけれども、事業者が自ら運転するものにつきましては取り組みとして入っていると記憶しております。

【浅岡委員】 先ほどの浅野先生のお話で思い出したんですけれども、今の基本計画では運輸の単体対策以外の部分が単体対策もそうですけれども、温暖化の項目には全くないんですね。今回の基本計画の中には少し入っていますけれども、自治体で環境基本計画をつくっていきますときに、運輸に関する部分は大気汚染対策の部分にしか登場しないことは、取組みを進めにくくしています。。
 次の新基本計画では、大気汚染と温暖化の両方を兼ねてきちんと位置づけないと自治体の交通政策が位置づけられないんです。公共交通機関をどう拡充していくか、さらに公共交通機関と自転車や徒歩等とどうリンクさせていくか、又、まちの中から車をどう締め出していこうか。車が多いのは排気ガスの点からも、人が歩きにくく快適な暮らしという点からも邪魔になっているけれども、あわせて温暖化対策でもあるんですよということが基本計画の中にきちんと位置づけられることによって、自治体で地域の交通政策をかなり変えていけるでしょう。次の計画からはこの点をしっかり入れていただきたい。

【佐竹委員】 これは環境庁の立場上やむを得ないのかもしれないんですけれども、例えば主要な課題の②はこういう問題提起ではきめが粗過ぎるのではないか。我々の行政経験からいきまして、自動車交通、物流が非常に増えてきたというのは多品種少量生産、それから末端の小売業者、つまり大規模店が在庫をほとんど持たなくなったということが非常に大きく配送量に関係してきているはずなんです。もう一つ、マイカーについて言えば特に北関東などは一番典型的な例ですけれども、自家用車を一家に3台ぐらい持っている。つまり、車がないと生活できないまちが形成されつつあるわけです。
 これは環境庁が自らやられるのは難しいと思うんですけれども、各関係省庁がそれぞれあるわけですから、もう少しブレイクダウンして具体的な課題にしていかないと議論が進まないのではないか。ここでいきなり我々が思いつきでいろいろなことを言ってみましても、それは一つのヒントにして行政自身がそういう形で検討を進めてもらいたいと思うんです。つまり、ライフスタイルの変更とか大量生産・大量消費の社会の変革ということがキャッチフレーズしては使われているんですが、それが具体的に我々の日常、周辺で起きていることとどう結びついていると理解するのか。そういうブレイクダウンをしていただかないと議論が具体的にならないと思うんです。
 今も何人かの委員からご指摘がございましたように、都道府県段階では温暖化の担当部局が各関連部局の尻を引っぱたくというか、よほど牽引しないと非常に安易な取り組みと言うといけないんですが、実際に自分たちの課題としてつかまえてくれないことになるんだろうと思います。例えば環境庁の政策文書にも載っているコンパクトな都市づくりということは私よりも松原委員の方がご経験が深いわけですけれども、既に70年代、60年代の終わりに建設省が考えたわけです。それで新都市計画法の法案を出したわけです。ところが、地価問題その他いろいろあって必ずしもそういう状況ではなくなってきた。どうもコンパクトな都市づくりは残念ながら日本ではできなかったわけです。
 もちろん今は条件が変わってきていますから、今の時点で土地利用をどういうふうに変えていくかという問題をブレイクダウンしていかないと議論が具体化してこないのではないか。つまり、スローガンとしては皆さんももっともだと言うんですけれども、さて具体的にそれぞれ何をしたらいいか、何をすることがどれほど大変なことかということが具体的なイメージとして浮かんでこないことになっているのではないかという感じがいたします。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、予定よりも大分遅れておりますので次のエネルギー転換部門に移りたいと思います。その後、非エネルギー起源と3ガスも一括してお願いいたします。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、一括してご説明いたします。
 まず、エネルギー転換部門は15ページの下の方になります。ここは課題を2つ挙げております。
 まず、発電量当たりのCO2原単位の改善につながる対策ということで、ここにありますように原子力発電を中心とする電源のベストミックスから火力発電での改善、既存技術の組み合わせ、自然エネルギー、新エネ、再生可能エネルギーの促進を取り入れることによりまして単位発電量当たりのCO2原単位が下がるわけであります。これはエネルギー転換部門での主要な対策になるわけでありますので、こういうものをどうやって進めるかということが一つあります。
 2番目はどちらかというと原単位に掛け合わせる活動量、すなわち実際のユーザーが使う消費電力にかかわるものでありますけれども、民生部門や産業部門、運輸部門にもわたる最終消費部門でのエネルギー消費の削減をより確実に進めるためエネルギー転換部門としてどのようなことが可能かということ。通常は普及啓発、情報提供をやっているわけでありますし、先ほど来議論がありましたような料金制度の活用も一つとして挙げられるわけでありますけれども、こういうものをどういうメカニズムとして構築していくかということが課題として挙げられようかと思います。
 続きまして、17ページの非エネルギー起源のCO2及びメタン、一酸化二窒素の排出にかかわる部分でございます。
 これについては工業プロセス、廃棄物、農業部門さまざまな分野にまたがるわけでありますが、主要な課題としてはほかの部門とほぼ共通の書き方をさせていただいております。この分野の対策をより確実にするためのメカニズム。
 ②、③、④は先ほど来と同じ課題でございます。
 最後に19ページのHFC、PFC、六フッ化硫黄の3ガスの排出についてでございます。
 主要な課題でありますけれども、現在の温暖化対策推進大綱上では全体の中ではこの3種類の物質のみがプラス2%程度にとどめるという目標を掲げておりますけれども、そういう目標を踏まえて一層の削減を進めていくためにはどのようなメカニズムが必要か。
 ②としまして、これは化学品審議会の中間報告によればこれから最大限努力して、それが実現した場合には2010年の排出量は95年比で言えば若干増加する程度に抑えられるということで、ほとんどプライマイナス0%に近いような状態に抑えられるという試算結果となっております。そういう試算結果の根拠となっております自主行動計画等において現在の対策をより確実なものとするための推進メカニズムはどういうものか。
 ③は予定された削減が不足した場合、同じ課題でございます。
 ④も自主行動計画をやっている事業者とそうでない事業者の公平性、CO2やメタンなど他のガスの排出主体との公平性をどう考えるかといった課題。
 ⑤は先ほどと同じ経済、国民生活への影響という課題を挙げさせていただいております。
 以上です。

【安原委員長】 どうもありがとうございました。

【浅野委員】 2つ指摘しておきたいんですが、非エネルギー起源の場合はそれぞれのパーツからの排出量を議論するだけではなくて、両方が一緒になった場合の効果を考えた方がいいのではないか。例えば廃棄物として処理されるようなものがセメントの方に回るという事態があるわけですが、そういう場合にはセメントの方の負荷が一見増えるように見えるけれども、他のところでは減るということがあるならば、それをまっとうに評価するようにしておかないとツケ回しみたいなことばかりが起こってしまうことになりますから、それぞれのパーツを縦割りにしないで横で総合的に効果をどれぐらい上げたかという視点を持ち込む必要があるのではないか。これは多分エネルギー転換のところでも共通することかもしれないと思います。
 それから、HFC、PFC、SF6のうちSF6は用途がほとんど決まっていて、そこが努力しておられるからいいだろうと思うんですけれども、代替フロンの場合には恐らくフロンの場合と同じような経験から言うと回収をいかに的確に行うかというところが問題ではないか。そうすると、その部分は規制的手法が十分効くのではないか。その大前提としてはどのぐらいのものが使われていて、どのぐらい回収されているかをPR/TR的な手法を使ってでもきちんと把握しておく。そうすると、どのぐらいのものが出ているかはわかるわけですから、どれだけ努力したかという目標が把握できるわけですし、最終的に廃棄の段階で製品回収ということであれば、廃棄物処理システムの中での規制がある程度可能ではないかという気がするんですが、事実認識が間違っていたら済みません。ここではそういうことを感じました。

【猿田委員】 今、浅野先生からHFC、PFC、SF6のお話がございましたが、まさにそのとおりで、フロン代替物質としてできたものですから、冷媒が多いわけです。SF6はまた別の面がありますが、用途はほとんど決まっているわけです。最近はHFCとかPFCも家電製品での回収に取り組もうという自治体なども出てきておりますから、その辺をはっきりさせれば従来のような大気圏への放出をかなり抑制することは可能だろうと思うわけです。
 むしろ非エネルギーのメタンとかN2O、亜酸化窒素などに関しては排出実態が明確でない、まさに不確実性の固まりみたいなものでして、その辺が明確になっていない。その辺を主要な課題でこのような分野の対策をより確実なものとするためどのような推進メカニズムと書いてありますけれども、いかにして実態を把握するかが重要だろうと思うわけです。畜産関係あるいは肥料等、いろいろなところから広く排出されていることが予測されているわけですけれども、その実態がなかなか……。エネルギーの場合ですと燃焼すればカーボン数によってどれだけ出るかというのはかなり明確ですけれども、メタンなどはゴミから出る可能性も出てまいりますし、いろいろなところで発生の可能性を持っているわけですから、その辺の実態をどのようにして数値化して把握できるかどうか。その辺に一つのポイントがあるのか、またそれがわかれば対策も講じやすくなるだろうと思うわけでして、それを意見として申し上げます。

【横山委員】 主要な課題の①の中に原子力発電を中心とする電源のベストミックスという表現が出てきますけれども、私は原子力を温暖化防止の中心に据えようというのは完全に時代遅れになっていると思うんです。通産省とか電力会社の報告書なり検討会でこういう表現が出てくるのはわかるんですが、中環審の小委員会でこういうものが平然と出てくるのは理解できないです。どうしても入れたいなら、もう少し議論した上でこの部分をやっていただきたいということを言っておきたいと思います。

【村上委員】 HFCなどの3ガスは既に随分減ってしまって実現しているようですが、これがなおどんどん増えていく嫌いは何か原因があるのか、減った原因を何ととらえているのか、これはこの辺で落ち着かないのかどうか。もしこの辺で落ち着くとすれば、また先ほどの自動車の燃費と同じように次の手をどうするのかということを出さないと絵空事みたいな絵だけでいいのかなという感じがするのですが。

【地球温暖化対策推進室長】 3ガスについては20ページに95年からの5カ年間のデータだけ示しております。確かにこれだけ見ますと既に減少傾向で、BAUにしても対策ケースにいたしましても非常に減ってきてしまうと映ると思われます。
 ただし、これは先ほども議論がありましたし、19ページの中ほどに書いておりますようにCFC、HCFCが段階的に生産禁止になっていくわけでありますので、当面これに代わり得る物質としてはHFCにかなり頼ってくることになります。使われておりますCFC、HCFCについては回収の義務づけをする法案の検討が現在なされているわけでありますけれども、そういうものでどんどん置き換わって回収が進められていくとなるとHFCがかなり増えていくことが予測されております。これが増えていくことを見越して20ページのBAUの直線が書かれてきているわけでありますし、それを回収等により、さらにまたさまざまな排出抑制をすることによって破線の対策ケースまで落としていくということでございます。主として代替フロンとしてのHFCの使用が今後大幅に増大することが予想されますので、かなり増加ということになっております。
 これについてはさまざまな要因があろうかとは思いますけれども、この数年だけを見ますと対策が進んできていることも事実ございます。特にSF6につきましては変電所等で使われるということになっておりますけれども、そういうものを重点回収する際に大気中への排出をかなり抑えていくような対策が実際に進んできたために減っている。それから、製造時の排出抑制も進んでいるということで減っていると承知しておりますが、今後HFCについては大幅に伸びることが予測されます。

【村上委員】 ただ、HFCは排出規制をかけていく考え方におられるんでしょう? それをやっても例えばSF6とかPFCに代わる分以上に排出されると予測するのですか。

【地球温暖化対策推進室長】 HFCについては確かに回収や破壊の義務づけをやろうと考えておりますけれども、現状では冷媒として使われるものに限ってそういう業務づけをやろうということで動いているわけであります。それ以外に発泡材や断熱材としての使用用途につきましてはすぐに回収・破壊してすべて大気中からの放出を抑制するだけの技術と仕組みができ上がるという段階ではありませんので、これについてはさらにさまざまな技術開発、検討を進めていくということでなるべく伸びを抑える対策をしていきたいと思っておりますが、当面は冷媒に限った対策によりましてなるべく少めていこうということでございます。

【村上委員】 わからないのは、せっかく減っているものが増えるんだろうという増える原因が置き換わりという――今は代替フロンでもオゾン層の破壊につながらないようにとか、研究もいろいろ進んでいますね。そういうものに置き換わることを前提にしないで、こういう絵を見せて今後増えますと言われても我々はついていけないと思いますので、わかるような資料を出してください。

【浅野委員】 SF6は今説明があったように排出削減努力がものすごくやられていて、これは原単位が23,500ぐらいで、ものすごく高いわけです。その対策は非常に見かけの効果があるわけです。HFCについてはフロンが規制されていくので、その代替で使われるという説明を事務局がしたわけですね。代替は禁止できればいいんですけれども、今使われている用途の中でフロンの用途はどうしてもSF6に置き換えざるを得ないということが前提となって、これは化学品審議会の地球温暖化部会の報告に基づいての議論なんです。ですから、環境庁が言っているわけではないということはとりあえず言っておく必要があるのかもしれないんですが、その上でどうするのかということについての議論は今までのところ私が承知している限りでは化学品審議会では規制的手法ではなくて自主的にやるということでずっと来ているものですから、それでいいのかというのがこの問題提起だと思います。

【環境保全対策課長】 事務局の説明をもう少し正確に申し上げたいと思います。
 この対策ケース、BAUケースの中には回収の義務化が実は入っていない時点での予測でございます。回収義務については現在、国会の方で各党におきまして議員立法の検討がされているところでございます。政府においてまだどうするかとか、法制化そのものも決まっている状態ではないんです。したがいまして、将来のシナリオについては例えばエネルギーの話は別途ありますし、今回も状況が変わりつつあります。実は今の時点ではそれ以外にケースがないものですから98年当時に書いたものを対策ケースなりBAUケースで書かざるを得ないんですけれども、このHFCの冷媒に係る回収についてはかなりいろいろな議論が出ておりまして、ダイナミックに変わりつつある部分もございます。将来はそういうことも加味して検討していかなければいけないと考えているところです。

【横山委員】 19ページの3ガスの表のところで2010年度の目標が我が国の温室効果ガス全体の2%程度にとどめるということを書いてあるんですが、この表を見ていてびっくりしたのは、ちょっと意地悪な質問で申し訳ないんですが、ここにはプラス50%という数字が来なければならないわけですね。それは前の非エネルギー起源とかエネルギー転換部門を見ていても全部そういう表現になっているのに、ここだけ2%と言って「何だ、そんな程度なのか」と思ったら全然違うわけですね。他意は多分ないと思うんですが、不明瞭な書き方ではないかと思うんです。

【地球温暖化対策推進室長】 ここはおっしゃるとおり説明不足でございますので、補足させていただきます。
 おっしゃるとおり、これは95年を基準にしまして20ページのグラフを見ますと50%増と書いてあります。これは3種類のガスについての量だけを見ると確かに約13という数字があったものに対して20で、これは約50%増ということになるわけでありますけれども、この50%増加した量をCO2の全体、6種類のガス総体を100とした場合には50%の増加がどのぐらいのパーセンテージになるかということを計算し直したものが左の表にあるプラス2%ということでございますので、説明不足のところを補わせていただきたいと思います。

【安原委員長】 先ほど横山委員のエネルギー転換部門における原子力の表現でございますが、温暖化対策としての原子力の位置づけにつきましては中環審の中でも意見がいろいろ分かれているところでございますが、政府の方針もまた一つあるわけでございます。そこで、これまで中環審の中で随分議論して一応コンセンサスを得ている表現がございますから、報告書をまとめるときにはその表現と合ったような表現に工夫するようにしたいと思います。
 ほかにございますか。それでは、時間が残り少なくなりましたので、まだ議論は不十分かと思いますが、一応この程度にとどめたいと思います。
 もう一つ、資料2を用意してもらっておりますので、この情報システムについて説明を受けまして、できれば時間を延長させていただきまして一通りの議論までいければと思います。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、なるべく手短にご説明したいと思います。
 資料2をご覧いただきたいと思います。これは議定書の目標を達成するために必要となる情報システムについてということでございます。
 1ページ、2ページは見開きでご覧いただきたいと思います。これは今年6月にまとめられました検討チームの報告書が出発点になっておりますけれども、これまでポリシーミックスについてご議論いただきましたし、部門別の議論をいただきましたけれども、それがどういう形になろうともそういった政策パッケージを円滑かつ確実に実施するためには幾つかの基本的な機能を付与していかなければいけないだろう、それが2ページにあるような基盤と呼ばれるイメージでございます。これにつきましては皆様もよくご承知のとおりだと思いますので個々の説明は省かせていただきますけれども、こういったさまざまなメカニズム、計画、その間を矢印で結んでおりますのが情報の流れになるわけでありまして、それぞれのメカニズムを有効に機能させるためにはこういった情報が不可欠であります。
 そこで、この資料はどういう情報をどういうふうに流すか、そのためにはどういうシステムが必要かということについて検討するために用意した資料でございます。
 次に、3ページ、4ページをご覧いただきたいと思います。最終目標は京都議定書の目標達成になるわけでありますけれども、そのために必要な情報の流れを検討していくものでございます。
 まず3ページの上のですが、先ほど申しましたような基盤メカニズムの間の連携を図って、これも第2回の小委員会で提示したものでありますけれども、PDCAのサイクルを円滑に実施するためにどのような情報システムが必要かということをこれから考えていくわけでございます。
 この目標達成に向けて必要となる情報の流れということで、ここに(1)から(3)まであるような流れ、情報がどういうふうに機能していくかということが挙げられております。(1)は6%の目標達成に向けて進捗状況を把握するための情報収集、(2)は我が国全体がPDCAのサイクルを円滑に実施するために必要となる情報、(3)は少しブレイクダウンしてそれぞれの取り組みを行う排出主体におけるPDCAのサイクルを円滑に実施するための情報があるだろうと思われます。
 4ページにはそれを概念として表したものを用意しております。個々の用語につきましては次ページ以降でご紹介したいと思っておりますけれども、大きく申し上げますと、資料1にもございましたように部門別にさまざまな排出主体がおりまして、そこでさまざまな対策が行われる。そして、京都議定書はもちろん国全体の目標でありますので、それをすべて束ねた上で情報を評価して、そして達成できたかどうか、また達成できない場合にはさらなる対策をどうすべきかということを国全体として右上の方にありますように大きなPDCAとして回す仕組みが想定されるわけであります。その間、さまざま矢印がありますような形で情報のやりとりをやっていく必要があるだろうということを示しております。
 この部門別の一番右にハッチを施した横断的対策というのがあります。これも後で詳しくご説明いたしますが、完全な部門の縦割りではなくて、場合によってはここに電力事業者や大量生産、機器製造者という例示を挙げておりますけれども、それぞれの部門としての対策をとっていただくものと、それぞれの事業者が行う行為、電力の供給とか生産の製造供給がほかの部門にも影響を及ぼす対策の効果が発現するようなものにつきましては横断的に考える必要があるだろうということで、今回は新たに横断的な対策を個別の独立した部門ではなくて横断的な概念としてここに挙げさせていただきました。詳しくは後で若干ご説明したいと思います。
 5ページ、6ページにつきましては現在行っております条約事務局への国別のインベントリ情報、どういうものを把握していて、それはどういう情報の流れかを示したものでございます。
 時間の関係で詳細は省かせていただきますが、6ページにありますように各省庁がこのインベントリをまとめる上で必要なさまざまな統計情報をまとめておられます。こういったものの中から必要なものを選び出して、そこから排出量を算定する上で必要な活動量を算定して、その活動量当たりの温室効果ガスの排出係数を掛けまして我が国全体の総排出量を計算するということで関係省庁が連携しながらインベントリを現在まとめていることを紹介しているものでございます。
 7ページから各論に入りますけれども、先ほど4ページでさまざまな新しい用語が出てまいりました。それについてご紹介したいと思います。
 まず、各論1としまして大規模排出・吸収者に期待される役割ということで、ここでは新たに各部門の中で大規模の排出者もしくは吸収者とそれ以外の群小発生源という分け方をしているわけでありますけれども、大規模な排出者とそれ以外の群小発生源と分けて考えてみたらどうかというのが各論の出発点であります。
 大規模な排出者につきましては、まず自らがPDCAのサイクルを回して自らが対策の実施者になる。あわせて目標達成のために必要な情報を提供するということで、自らが情報を把握した上で発信・提供することができると考えられないだろうか。それから、大規模排出・吸収者に求められる情報としてはそれぞれの排出主体の活動量と温室効果ガスの排出係数に相当する原単位、それから毎年の活動量、原単位の変動要因についても自らが情報を把握することができるだろうと考えられます。
 ここではまず大規模排出者・吸収者と申し上げましたが、本当に大規模と小規模を区分することができるかどうか、また区分とするとすれば、どういう区分とするのかということが当然課題として挙げられるわけでありますので、それは課題1に大小の切り分け、そして課題2としまして大規模なものについて例えば工場・事業所ごとという単位にするのか、一つの会社全体ということで事業者を括っていくのかということ。これも課題の出発点として挙げておりますけれども、そういうことについても検討する必要があるだろうと考えております。
 9ページには大小の「小」に当たります小規模排出吸収・吸収者、これは束ねて面源と申し上げております。こういうふうに分けた場合に面源に期待される役割として、まず小規模であっても自らの対策は自らで行うわけでありますが、情報についてすべての小規模排出・吸収者にそれぞれの排出量に関するさまざまな情報を把握し、提供することは大規模に比較して困難であろうということで、そこが大規模と違う点でございます。
 課題1といたしまして、小規模排出者につきましても、これを小規模の括り方として面源として取り扱うことができないかどうか、それが適当かどうかということがまず出発点としてあります。
 それから、もしこういう面源として取り扱うことにした場合には個々の排出者がすべての情報を把握するわけにはまいりませんので、それを束ねる役の人が要る。それを仮に情報の推計・提供の世話役と申し上げておりますけれども、面源として取り扱う場合にはそういった人が必要になってくるのではないかという課題でございます。
 それから、面源に求められる情報としては先ほどと同じような活動量、原単位、変動要因というものが挙げられるということです。
 各論3にまいりまして、今回新たに提示しました横断的施策の実施者に期待される役割であります。
 例えば先ほど例示で言いました家電製品を始めとして大量に生産される機器のメーカー、電力の供給事業者、それから社会資本整備ということでさまざまなインフラを整備する主体、これは公共事業の場合も多いわけでありますけれども、こういった人を考えた場合に自らの排出と合わせて、それを使うなり供給された電力を使う、インフラを活用してさまざまな対策を行うという複数の主体に対する間接的な影響を持ち得る主体を概念的に考えられないだろうかということでございます。そして横断的な対策の実施者に期待される役割ということで、これは省略いたしますが、①、②に関するような情報や対策の実施が考えられるものでございます。
 続きまして、11ページは情報をまとめる役割をする機関を想定しているわけであります。
 まず、個々の事業者の情報をすべてあるところに一括してまとめるやり方も概念的には考えられるわけでありますけれども、非常に膨大な情報が1点に集中して、それを迅速に評価して対策に結びつけることが場合によっては非常に難しい。むしろ時間がかかってしまうことも想定されますので、ここでは中間的なとりまとめ機関を想定してはどうかという提案でございます。こういう中間的なとりまとめ機関を仮に想定する場合には11ページの上半分に書いてあるようなことが期待できるのではないかと思われます。
 そして、課題でありますけれども、幾つかの課題の最初の課題としましては中間とりまとめの「中間」をどういう区分でまとめるかということが議論になってまいります。
 一つは地域的な区分で分けることにした場合、それから事業者を主として考えますと業者別に区分した方が同じ業態でわかりやすいのではないか。それぞれ特徴があるわけでありますけれども、それをどういうふうに考えるかは詳細に検討していかなければならないだろうと思います。
 12ページの全体とりまとめ機関、仮にこういう中間とりまとめ機関があったとして、そこからさらに情報を吸い上げて全体をまとめる機関を想定するわけであります。
 これにつきましては我が国全体の排出量のデータをすべてとりまとめることが必要でありますので、それを誰がやるかということは別にして、我が国でも一つ必ずそういう機関が必要になってくるわけであります。この機関には12ページの上の方に書いているような役割が期待されるのではないかということでございます。
 また、参考の進捗状況管理機関は4ページの一番右上のA(Action)とP(Plan)とD(Do)の一部を担うことを想定した機関であります。
 こういう機関とは何かということを紹介しておりますけれども、ここはPとAとDの一部ということに表れておりますように全体のとりまとめ機関が情報を集約し、その集約された情報をもとにして国全体の対策の進捗状況を評価する。さらに、その上で足りない部分について対策の強化を打って出ることが求められるわけであります。国全体としては目標達成の状況が芳しくない場合にどういうふうにしていくか、個別の排出主体に対しては排出量が非常に伸びているような場合にそれに対してどういうことをやるかを評価し分析して、アクションを求めていくことがこの管理機関に求められてくるものではないかということを参考で述べております。
 13ページは全体とりまとめ機関の課題として、1番は全体とりまとめ機関が発信する情報。これは誰にどのような情報を発信するのかということで、例えば相手と方法についてはこういうことが考えられるのではないか、情報の内容としてはこういうものがあるのではないか、また公表する情報の範囲をどこまでどうするのか、これもかなり具体的詳細に詰めていかなければいけない課題であろうと考えております。
 課題2としまして、評価を実施する頻度とタイミングの問題があります。これも今後の京都議定書の目標達成に向けての進行管理と密接に関係するわけでありますけれども、この機関は目標達成に向けた進捗状況を適切に管理するためにどのような頻度とタイミングで実績と目標を照らし合わせて評価することが適切かということが課題として挙げられるわけであります。例えば毎年とか2年ごとに情報を吸い上げて、そして評価して、その後のPDCAに反映させていくことが考えられますし、最終的には第1約束期間の最後(5年目)に一括してやることも考えられるわけであります。
 そのタイミングとしては、今集約されているさまざまな統計情報からして現在ではかなりのタイムラグがあるわけでありますけれども、それを補うような、またそれを改善するような措置を講ずることによって例えば速報値的な形で1カ月遅れとか半年遅れの情報が出せないだろうか。また、今は1年半以上かかっているものについて遅くとも1年遅れの情報という形で出せないだろうかということを今後の課題として挙げているわけでございます。
 15ページ以降は、先ほどの大規模の排出者と小規模の排出者(面源)をどういうふうに切るかというときに全く漠然とした議論になってしまっているわけでありますけれども、例えば既存の法令ではどのような切り方をして法の適用対象者もしくは対象施設を特定しているかを参考に挙げたものでございます。それぞれの目的に合わせた切り方でありますので、もちろんこれが即温暖化対策にそのまま適用できるかどうかということを意図したものではありませんけれども、こういう切り方も参考にしながら大小を分けて、その上で情報の流れを考えていくことが今後の検討課題として重要ではないかという問題意識を持って作成したものでございます。
 非常に雑駁なご説明でわかりにくかったかもしれませんけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今は予定の時刻を過ぎておりますが、少々延長させていただきまして議論を続けたいと思います。

【佐竹委員】 私は非常に高く評価したいと思うんです。私の30年の行政経験から言いますと、それぞれ既存の情報ルートがあるわけです。しかし、それははっきり言うとほとんど効かないんです。残念ながら現実の行政として中央のとった施策に対して、通常の行政ルートではフィードバックがほとんどないんです。今日は都道府県関係の環境部局の方も聞かれていて、「俺のところは違う」と言う方がいらっしゃったら、もちろんそういうことがないとは言いませんけれど。
 したがって、今伺いますと世話役とか中間管理機関とか進捗管理機関という新しい情報システムを構想されたのは非常に高い評価したいと思うんです。というのは、情報収集の手段として統計数字の把握は一番確実な方法で、これは決して軽視してはいけませんけれども、それ以外に断片的情報を積み上げていくのも情報収集の方法としては大事なので、むしろNGOの方なども対象としてお考えでしょうけれども、既存の情報ルートとは全く別個の情報ルートを環境庁がお持ちになることは大変意義のあることだと思います。もちろんバイアスもかかりますけれども、全国から集めれば自ずからそれは消えますし、既存の縦割りの情報と食い違ってくるなら、なぜ違うんだということでまたそこで議論が発展すると思います。
 一番大事なことは、霞ケ関で考えている政策メカニズムが実際に機能しているかどうかということをチェックしてもらいたい。現場で見ていればとてもそんなことにはなっていないというのは誰が見てもわかるような話が多いので、それをこういう形で収集されることは大変意義のあることだと思います。

【浅野委員】 幾つか申し上げたいんですが、ここで精緻なデータを求めることは最初から余り要求しない方がいいということです。つまり、今はインベントリという形で情報を集めているわけですけれども、それはそんなに精緻なものではないわけです。ここで一挙に精緻なものでなければならないと考えてしまうと、14ページにある1年遅れが2遅れ、3年遅れになってしまうわけです。それよりも1カ月遅れくらいでもアバウトでいいから傾向を把握することが政策の軌道修正にとっては非常に重要であるということを考えなければいけません。
 この絵の中で情報のとりまとめということと進捗状況を管理するということをはっきり分けているという点は非常に重要な提案で、とかく情報を持っている者が管理を行うという発想になりがちですから、そこで誰が情報を集めるかということをめぐって綱引きやら縄張り争いから議論が始まるんですけれども、そんなことはとりあえず置いておいて情報をきちんと集めていこうという仕組みをつくっておくことが非常に大事です。
 しかし、中間とりまとめ機関というところは4ページでは1本の線に書いてあるので一つみたいに見えるんですが、決してそうではなくて、ここは重層的に存在することを考えるべきだと思います。といいますのは、これが下にブレイクダウンされていくにつれてそれぞれのところである種の実施、つまりここで言うPDCAという流れに直結していくわけです。しかし、一番上のところがそれに直結するとか中間とりまとめ機関のある部分が直結すると考えると、そこが規制権限を握るかのような印象を持ちますから話がものすごく難しくなるわけです。
 ともかく情報がきちんと集まればいいと割り切ってしまいますと、例えば事業者の場合も8ページでは会社単位がいいのか工場・事業所単位がいいのかという問いかけがあるんですけれども、これは両方あっていいわけです。というのは、問題は化学物質などの場合は違ってエネルギー使用が中心であるならば細かく分けることもできるし、全体も把握することができる。ところが、残念ながら自動車の走らせ方みたいなものまで情報をとろうと思ったら、ひょっとしたら事業所単位では無理。全社一本でしか管理できていないところがあるかもしれないわけですから欲張ってはいけないわけで、情報がどういう切り分けで出てきたかがはっきりわかればいろいろな形で集まったものをダブルカウントしないように調整して利用していけばいいわけですから、ここは両方あっても構わない。ひょっとしたら会社単位の方が合理的なものもあるかもしれない。だから、事業者単位にこだわるというPR/TRでやったような議論がやり過ぎると、ここは行き詰まると思います。
 同じようなことは、中間とりまとめ機関についてもすべてを業種別でやればよろしいというのは先ほど言いましたようにどのぐらいのカバー率かということによって決まってきますから適当ではないし、全部を地理的な区分でやればいいかというとそれも適当ではないわけで、両方あっていいわけです。ですから、とりあえず情報を迅速に得るためには大まかでもブロック別に情報を得ておいて、それを全体のとりまとめのところに流していく方が効率性は高いと思いますから、地理的・地域的区分を極力活用する、あるいは地方公共団体の機能を活用することは考えるべきでしょうけれども、すべてそこでまとめてしまおうと余りにも思い込み過ぎるとうまくいかない。だから、ここも弾力的に重層的にいかに情報を上手に集めるか。それが間接的に全体のPDCAサイクルを回すようになるのかということは副次的なものだと考えた方がうまくいくと思います。
 だから、ここは規制権限を握るということではないという趣旨として今日はお聞きしまして、その限りにおいて佐竹先生と同じように私はいい提案だと思って聞きました。

【天野委員】 情報システムということで、私は2つの面を区別した方がいいかと思うんです。
 1つは、条約事務局に対して我が国がどういう情報を提供するかに関連して、そのために必要となる情報システムはどういうものか。これも2つありまして、1つは全締約国に適用されるリクワイアメント(要請)、これは途上国も含めてです。それから、数量的な削減枠のかかっている国に対する要請の2つがあると思うんですが、我が国は後者だと思います。その中でさらにもう1つありまして、いろいろな京都メカニズムがありますけれども、その京都メカニズムに参加するためにはこういう条件を満たしていなければいけない。ですから、我が国が参加しなければそこまで要求されませんけれども、参加するのであれば、それに応じたシステムを国内で構築する必要がある。そういう一群のものがあるわけですが、今日のお話ではその辺がよく見えてきていない。専ら国の政策運営のために必要な情報システムとしてどういうものを考えるかということのようですので、その辺とのつながりをもう少しはっきりしていただきたいということです。
 それから、情報システムといいますのは情報を集めるだけとか集めて公開して説明するというだけでありませんで、ここにも進捗状況を管理する表現がありますが、管理というのはマネジメントですから、ある種の政策的な要素が入るわけです。もっとはっきり言えば、ここは政策機関だという位置づけをすることも可能ではないかと思います。つまり、情報を集めていくと本当に情報機関という形でつくってしまうと、今度は政策とどういうふうにつなげるかという問題が出てきますので、また中間みたいなものが必要になってくるわけです。ですから、進捗情報管理機関は“Plan”とか“Do”が入っていますから明らかに政策を考えて、それを下へ伝えると理解できるわけです。そうしますと、単なる情報収集機関ではなくて、集まった情報に基づいて政策の変更とか調整とか新しい政策の導入必要性を検討する部分かなとも思えるんですが、その辺がもう一つはっきりしません。ですから、私は政策の責任を負うような部署とこういった情報収集だけに責任を持つ部署との違いあるいは同一性といいますか、どちらなのかということをはっきりしなければいけないと思うんです。
 先ほど責任と言いましたけれども、例えば不遵守が起こったときに国が責任をとらなければいけませんから、そういうことまでここがやるのか。しかし、途中の政策管理をしているわけですから、政策に対する責任は当然ここにあるわけで、その辺はどこまで責任を持つのかというのがわかりません。
 それから、例えばいろいろなところにデータを発表したり、あるいは国民にデータを示したりするわけですが、そのデータの根拠が説明できるという責任もあるわけです。それをこの管理機関が持つのかどうか。そうなりますと分析をかなりきちんとやって、例えば最近はGDPのデータで経済企画庁がとっちめられておりますけれども、きちんと説明できるはずだったんです。そういう仕組みになっていたんですけれども、大変難しい問題が起こる可能性がありますので、それもここの責任なのか、その辺をはっきりする。そうなりますと、かなりの分析力が要求されるわけです。ただデータを集めっ放しというのではなくて、先ほどいろいろなご説明にありましたように例えば原単位とか活動量がどういう要因で変動したのかということ含めて説明する。この説明ですと、それは情報を下から上げてくる、例えば産業部門とか民生部門で分析もした上で、それも含めて情報を出すようにというお話だったんですが、それだと上がってきたものをそのまま信用してしまうことになるのか、どこかでチェックをかけるのかどうかがよくわからない。ですから、情報の分析とか解析を管理機関の方でも何らかの形でアカウンタビリティを高めるように担保することを考えておられるのかどうか。私はそれが非常に大事な仕事になるかと思うんですが、そういうことがあります。
 それから、大規模の機関とその他残りの面源という変わった言葉が――英語でどういう言い方をするのかわかりませんが、初めて出てきたので困っているんですが、要するに小規模で多数の排出主体のトータルの量ですね。これはここで見ていますと、そういうものをずっと積み上げていって誰かが中間的なところでとりまとめをするという考え方のようですが、例えばもっとトップダウンで全体の消費量と輸入量を足したものから輸出量を引くという形にするとすぐ出てくるわけです。
 それと、例えば積み上げを比較して何かおかしければ調整するということであれば簡単にできるわけです。これはいろいろな施策のやり方にも関係あるんですけれども、例えば排出取引などを国内でやろうとすれば、一番上流のところでデータを把握して、そこに責任を持たせるようにすると、そのデータ管理がきちんと行き届いて、ちょうど大規模排出源と同じようなやり方でできるわけです。ですから、そういうことを考えてデータ収集のシステムをつくることも、別に排出取引をしなくても可能ではないかと思います。
 以上です。

【猿田委員】 ただいまご説明いただいたのはいわゆる新しい情報システムをどう構築していくかということだろうと思うわけです。今は推進大綱の中でも一つ一つ削減量が示されておりますけれども、毎年これを定量的に把握していくのは非常に困難だろうと思いますし、それを評価していくのは現実にはなかなか困難だろうと思います。京都議定書では6%の削減というのが明確になっているわけですけれども、予測削減量を見積もることは今でもいろいろな大気汚染あるいは水質面でも予測によって将来予測を行ってきているわけですが、それを書き写すだけでは実際には実態把握がなかなか難しいわけでして、いかにして実態を把握していくかが重要な課題だろうと思うわけです。そうでないと、絵に描いた餅に終わってしまう可能性があるわけです。
 今日お話を伺った中で大規模発生源、いわゆる小規模といいましょうか、4ページでいきますと大規模排出者、群小発生源というのがあるわけでして、大規模な排出主体は自らが定量的な排出目標あるいは削減量の目標を設定することが可能ですし、ここに群小吸収源とありますような小規模の場合にはいわゆるエリアソース、面源としてそういうものの排出目標あるいは削減目標を設定することが可能ではないか。これは大気汚染対策の中ではポイントソース(点源)あるいは群小発生源が集まっているエリアソース(面源)としていろいろな対策をやってきたわけですけれども、そういう経験もあるわけですから、そういう方策がこの中に応用できないだろうか。
 当然、自主的取り組みによって今までいろいろ積極的に実施している事業者の団体もあることは十分承知しているわけですけれども、こうした取り組みの進捗状況をモニタリングして評価するためには、ここに書いてあります国別インベントリという方策で果たして明確に把握できるのかどうか。そういう意味からも新しい情報システムということで4ページのようなものが示されてきたと解釈するわけですけれども、いずれにしましても第1約束期間内に目標を達成しなければいけない。これは京都メカニズムで示されておりますようないろいろな方策で全体として達成することもあり得るわけですけれども、目標としては削減によってそれを持っていく方向でないと実態としてはなかなか難しいのではないか。
 そのためにどういうことを行っていくかということになるわけですけれども、今は地方分権の時代でもあります。地方自治体がそれなりに自立していろいろと政策を強化していくときでもあるわけですけれども、今まで環境汚染物質等については地方自治体が環境基準との関連等もあってモニタリングをいろいろやってきているわけです。大気、水質あるいは最近はいろいろな化学物質についてのモニタリングを行ってきているわけですから、そういうデータの収集に関しては実績があるわけです。それぞれ持っておられるわけで、現在は34の都道府県で地球温暖化対策の対応を環境管理計画あるいは地域環境管理計画の中で現に行っております。政令指定都市12のうちでも11の政令指定都市で既にそういう計画を立てておやりになっておられるということがあるわけで、地域全体としての温暖化対策についての経験あるいは積極的な対応が地方公共団体でも図られているわけです。都道府県を中心とした情報収集の中間とりまとめ機関に地方公共団体が関与して、そういうものの収集をやったらどうか。
 先ほど浅野先生から重層的にもっとというお話がございました。確かに業界等によっては業界で集めたものをまとめて提出することもあり得るわけで、その場合は業界がまとめるのは中2階的なものになるのかということもあるわけですけれども、中間の最終的な都道府県単位であれば都道府県単位でのまとめ役を中間とりまとめ機関と考えれば、そういうところに集約して、最終的にそれをまた情報の全体とりまとめ機関に上げていくようなことが必要ではないか。いわゆる中間とりまとめ機関としての地方公共団体の役割を明確にする必要もあるのではなかろうかという意見でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今いろいろご意見をいただきましたので、とりあえずのコメントを事務局からお願いいたします。

【地球温暖化対策推進室長】 いろいろご指摘をありがとうございました。幾つかお答えしたいと思います。
 まず、佐竹委員から今後非常に重要な考え方であり打ち出し方で、それをぜひ考えよということで我々もその方向で進めていきたいと思っております。
 浅野委員から精緻なデータを要求するよりも迅速なというご指摘は、我々もまさしくそういう問題意識でこのシステムを考えていきたいと思っているわけでございます。
 また全体、そして中間とりまとめと進捗状況管理機関を分けるというのは天野委員からもご指摘いただきました。さらに検討は必要だと思いますけれども、情報を的確に収集して解析・分析するところと、それを受け取って政策に反映していくところを分けて、そしてそこに透明性を持たせると同時にデータの説明責任も明確に打ち出すことは我々としてもそういう発想で進めていきたいと思います。また、面源のデータ収集につきましては先ほどご指摘いただいたことも含めて具体的なやり方について考えていきたいと思います。
 それから、猿田委員からご指摘をいろいろいただきました。まず、実態把握をしっかりとやることが重要というのは我々も全く同じ考えでおりますし、これまでの公害対策での経験、自治体での実績をこの中にどういうふうに反映させていくかということもこの情報システム全体を非常に有効かつ効率的に構築していく上では重要な視点の一つになるのではないかと考えておりますので、今日いろいろいただいたご意見をさらに具体化していく中でなるべく反映していくようにしていきたいと思っております。
 とりあえずのコメントとさせていただきます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 時間の制約から非常に駆け足の議論になりましたが、情報システムにつきましてはとりあえず今日はこのぐらいでとどめたいと思います。
 あとはCOP6あるいは国際交渉に関連しまして何か資料を用意していただいておりますので、簡潔にお願いします。

【環境保全対策課長】 お手元の参考資料3-1、3-2でございますが、COP6が11月13日から2週間、オランダのハーグにおいて開催されます。京都メカニズムのルールとか遵守制度、吸収源などさまざまな重要案件の決定を行いまして、各国にとりまして議定書を批准可能なものとするよう、また途上国に関連した途上国支援の関連についても決定を行うということで来週から始まるわけでございます。
 主要な論点も幾つか整理しておりますが、時間の関係で詳しいご説明は省きますが、参考資料3-1、3-2に要点をまとめておりますので、また各委員におかれましてはご参考にしていただければと思っております。
 以上でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、以上で予定しました議題は終わりましたので、次回の会合は第5回を12月6日午前10時から12時半まで、そして第6回目につきましては間隔が余りございませんが、12月11日(月)午前10時から12時半を予定しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次回の会合の議論でございますが、COP6の結果について報告していただくのが一つ。それから、これまでに各委員にご審議いただきました内容を踏まえまして中環審から複数の政策パッケージをまとめることが要請されておりますので、私の方から事務局にお願いしまして、そのたたき台を用意していただき、それを議論していただくことを考えております。したがいまして、各委員の皆様におかれましては今までの議論に加えて新たなポリシーミックスのご提案あるいはそれに関するご意見等がございましたら事務局に文書でお届けいただければ幸いでございます。
 連絡事項は以上ですが、事務局から何かほかにありますか。

【地球温暖化対策推進室長】 特にございません。

【安原委員長】 大変長時間、熱心なご討議をいただきまして、ありがとうございました。これをもちまして今回の議論を終えたいと思います。どうもありがとうございました。