これを受け環境庁においては「水環境ビジョン懇談会」(平成6〜7年)及び「健全な水循環の確保に関する懇談会」(平成9年)を開催し、水環境、水循環に関して幅広く議論を開始した。これらの懇談会の報告においては、@水環境を水質のみならず、水量、水生生物、水辺地等を含め総合的にとらえるとともに、A流域などの水環境に着眼し、「場の視点」(水環境をそこに生きる人や生物との関わりを中心にとらえる見方)に加えて、「循環の視点」(水の流れ、循環の連続性に着目し、水環境を流域全体における水循環の健全さからとらえる見方)をもってとらえることの重要性などが指摘された。
このように、水に関わる様々な問題を総合的に解決するための着眼点として「水循環」が極めて重要であり、この視点に立ち環境保全上健全な水循環の確保に向けて施策を展開することが求められている状況にある。
このような背景の中、中央環境審議会では健全な水循環の確保に向けた施策の検討が必要であるとの認識のもと、まず地盤沈下部会で地下水を中心とした健全な水循環について、平成9年11月より6回にわたり審議を行った。ここでは、水循環に関わる現状及び取組状況を認識するとともに、審議検討をより具体的なものとするため、国分寺市及び熊本地域における地下水保全等への取組活動についての現地調査を行い、また、熊本県、東京都及びNGOの取組状況報告、水循環に関係する各省庁の取組状況報告、さらには、環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果(水環境の保全)についての報告を行った。
その後、地下水中心の議論から発展させ地表水や水質に係る問題なども併せてより幅広く議論するため、平成10年11月より4回にわたり水質部会及び地盤沈下部会の合同審議を行うこととした。ここでは、地下水と地表水、水量と水質など水に関する諸問題に関し幅広い様々な視点に立って健全な水循環についての審議を重ね、その間、両部会としての中間まとめやそれに対する国民の意見募集を実施し、この最終報告を取りまとめるに至った。
この報告は、このようなこれまでの審議の成果を取りまとめ、あるべき「環境保全上健全な水循環に関する基本認識及び施策」の方向を示したものである。
(検討経過)
【地盤沈下部会での検討経過】
【水質部会及び地盤沈下部会の合同審議での検討経過】
1.自然の水循環系とそれに果たす地下水の役割
2.水循環と水環境・地盤環境の関係
3.地下水を中心とする水循環の悪化と水環境・地盤環境への影響
(1)水循環の構成要素
(2)水循環悪化の背景
(3)水循環悪化による障害
4.環境保全上健全な水循環の考え方
【基本的な考え方】
【具体的イメージの例】
1.現状、課題、目標の共通認識の形成(参考編「1.一体的取組の方向(1)(3)」参照)
2.体系的な施策の追求(参考編「1.一体的取組の方向(2)」参照)
3.流域における施策の具体化(参考編「1.一体的取組の方向(1)(2)(3)」参照)
4.地域別にみて推進するべき施策の方向
1.一体的な取組の方向
(1)流域を単位とした環境保全上健全な水循環の診断・評価の実施
(2)環境保全上健全な水循環に資する連携と役割分担
(3)水循環に関する情報の蓄積、共有、伝達、活用
(4)水循環回復のための技術開発及び技術の国際活用
(5)人と水のふれあいの確保と多様な水の文化の振興
2. 地域別の取組の方向
(1)森林地域について
(2)農村地域について
(3)都市地域について
(4)沿岸域について
(5)河川、湖沼、地下水等について
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