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温室効果ガス排出抑制等指針検討委員会(第7回)
議事概要


日時:
平成27年7月15日(水) 10:00~12:00
場所:
全国町村会館(2F ホールB)
出席者:
安井座長、赤井委員、小泉委員、齋藤委員、髙橋委員、堤委員、森口委員
土居(環境省地球温暖化対策課長)、井戸井(環境省地球温暖化対策課課長補佐)、
嶋田(環境省地球温暖化対策課係長)、
木全(経済産業省産業施設課課長補佐)、関根(経済産業省環境政策課係長)、
石井(国土交通省下水道部下水道国際・技術調整官)、
小仲(厚生労働省水道課係長)
配布資料:
資料1
温室効果ガス排出抑制等指針検討委員会について
資料2
排出抑制等指針について
資料3
上水道・工業用水道、下水道部門における温室効果ガス排出等の状況
資料4-1
上水道・工業用水道部門における温室効果ガス排出削減の取組状況
資料4-2
上水道・工業用水道部門における排出抑制等指針の考え方及び構成イメージ
資料5-1
下水道部門における温室効果ガス排出削減の取組状況
資料5-2
下水道部門における排出抑制等指針の考え方及び構成イメージ
参考資料1
温室効果ガス排出抑制等指針
参考資料2
上水道部門における省エネ取組に関するアンケート調査結果
参考資料3
下水処理場における温室効果ガス排出抑制対策に関するアンケート調査結果概要
参考資料4
代表的な対策を講じることによる目安値の設定の考え方
議事:
(1)上水道・工業用水道部門及び下水道部門における温室効果ガス排出抑制等指針のあり方について
 【環境省より資料1及び資料2について、事務局より資料3について説明があった。】
資料3のp.7図1-10について上水道施設の給水量別の原単位をみると、スケールメリットが働いているようであるが、どの工程が要因と考えられるか。(森口委員)
当該グラフは、浄水場ごとではなく、水道局ごとのデータであり、浄水場の規模だけでなく、事業体の規模や、事業体の給水エリア、地形によって状況は異なると考えられる。(事務局)
単純に設備のスケールメリットではなく、地形等の状況も関係しているということと理解。(森口委員)
資料3のp.3図1-3の東京都の工程別電力使用量は上水道で一般的なものか。(赤井委員)
図1-3はあくまでも東京都水道局での構成比である。これらの構成比は地域によって異なる。東京都は平野部に位置し、かなり下流でポンプアップして上流へ送水しているケースもあるため、送配水のエネルギー消費量が多い。上流で取水し、標高の低い地域へ送配水する場合はそれほどエネルギーを消費しないことになる。(事務局)
資料3のp.17図2-10の下水道部門の温室効果ガスの排出量の削減はどのような取組によるものか。(赤井委員)
下水道部門の温室効果ガスの排出量削減については、特に汚泥焼却において高温焼却が進んだところが大きいと考えている。(事務局)
下水道部門において、汚泥焼却ではN2Oだけをカウントしているが、焼却施設はどの程度あるのか。また、汚泥焼却に伴うCO2はカウントしてなくていいのか。汚泥焼却では自燃しないため燃料を利用すると考えられるが、それはカウントされているのか。また、汚泥の産廃処理業等への委託処理分についてはカウントされているのか。(堤委員)
処理場が約2,200ある中で焼却施設は300か所程度。焼却に伴う温室効果ガスが大きいのはN2Oの地球温暖化係数(GWP=約300)が大きいためである。汚泥焼却時の燃料は、図2-10の「燃料」という区分の中でカウントしている。汚泥そのものはバイオマスであり、カーボンニュートラルであるため燃焼によるCO2排出はカウントしていない。産廃業者への処理委託のCO2排出量は、廃棄物部門でカウントされることになる。(国土交通省)
焼却施設数が300程度であるということは、国全体としては8倍程度の汚泥焼却によるN2Oが出ているのか。(堤委員)
汚泥の処理方法は、肥料化などもあり、全てが焼却されているわけではない。(国土交通省)
下水汚泥について産廃処理を委託した分についてもこの調査で実施しているのか。また、下水に関し凝集沈殿剤によるカーボンニュートラルでない有機物分はカウントしているのか。(森口委員)
下水汚泥の産廃処理委託に関しては、別途把握している。
凝集沈殿剤の有機物のカウントについては確認してご回答したい。(国土交通省)
2030年、2050年ということを考えた際、今後これらのインフラのあり方に関する議論はしているのか。(安井座長)
今後、環境省としても議論していく予定。地方公共団体でもどう整備していくかが悩みと聞いている。(環境省)
●上水道・工業用水道部門
 【事務局より資料4-1及び4-2について説明があった。】
水道関連5団体、水道協会含めて7名で検討した。400団体中260団体よりアンケート回答が得られた。ワーキングの検討事項として、上水・工水施設のリプレイス時期に入るので、再構築が重要と考えている。小水力発電、太陽光発電なども対策メニューとして検討した。対策メニューについては、費用対効果が重要との意見があり、今後、マニュアルで検討していく。目安についても検討したが、原水の取水位置、水質、浄水処理方法等が異なるため、今回は目安設定を見送ることになった。一点気になっていることとして、震災以降の電力のCO2排出係数が大きく変わった。これにより、震災以前と比較して排出量が大きく異なっている点が課題と考えている。(小泉委員)
2030年断面でのエネルギーミックスでの計算はできる。それぞれの業界の進捗を把握するということでは、電力消費量ベースでどの程度使用しているか、それをどのような係数でCO2換算するかの2段構えになる。(環境省)
施設の再構築について、具体的な内容は何を考えているのか。
今ある設備の更新ではなく、取水地点を上流にするとか、処理場内でも施設配置を見直すといったことがある。位置エネルギーを有効に活用するように、このようなシステム全体の再構築をイメージしている。(事務局)
人口減少等がある中で、施設の運転管理の効率化等を含めて計画していくことが重要と考えている。(環境省)
横浜市の上下水道では、大型のポンプを稼働していたのを、小型ポンプを複数組み合わせて稼働させることでピークカットして総量も削減した事例がある。直近10年間で原単位が変わっていないのは施設が変わっていないからで、中・長期的な視点での対策が必要である。下水では、沈砂池で沈砂時間を長期化することでピークカットができたという例もある。汚泥の焼却には、消化ガスを利用する方法もあり、燃料投入ばかりではなく、うまく省エネができる方法もある。地域の実情に応じた取組やソフト対策はもっと書けることがあるのではないか。(高橋委員)
設備の再構築は極めて重要と考えている。ロングリストをさらに広げて考えると、施設建設、建材製造、設備敷設の段階等のCO2も無視できるほど小さくはない。更新に当たっては、CO2を削減しない更新ということも考えていくべき。電力構成については、いろんな業でやっている活動、対策の状況の点検が重要。指針は作りっぱなしではなく、フォローアップの仕組みを考えていくことが重要である。(森口委員)
目標が定まれば、それに対する国の計画を作り、地方の計画を作るというのが今年度、来年度の動きとなる。自治体が主体となるものは事務事業編に入ってくる。この中で指針の取組の点検は入ってくる。(環境省)
●下水道部門
 【事務局より資料5-1及び5-2について説明があった。】
ソフト対策では、下水道部門が、水処理、汚泥処理等の各プロセスの中で複合的に関与するシステムであることを強調しており、複合的な取組をマニュアルで示していきたい。ハード対策については、対策技術はいろいろあったが公的機関で評価を受けたもののみとした。政令市からの意見を踏まえGHG削減の措置を加えた。目安については、2種類示した。現状の位置づけが理解できる参考値と代表的な施策を実施した目安値である。設備選択では、日進月歩で出てくる技術を施設の改築・構築に合わせて選択できるものとすることや少ない人員でいかに対応するかについてマニュアルに記載すべきとの議論もあった。(斎藤委員)
資料5-1の記載事例で微細気泡発生装置があるが、47%削減しているという事例は認証を受けているものか。公的機関の認証という話があったが、それを受けるにはなかなかハードルが高い。早めに技術を吸い上げる仕組みが必要ではないか。技術があるのはわかっているが、設備更新時期が来ていないので、自治体ではなかなかすぐには導入できないものである。(髙橋委員)
微細気泡発生装置の例は認証を受けている。認証制度の問題は難しい。錦の御旗になることから、認証する側では限定した条件でしか認証できない。普遍的な技術として確立されているかを認証することは難しい。しかし、認証を受けることは重要であると考えている。(斎藤委員)
複合システムとみなすことはよい。化学プラントでもプロセスを構成するユニットを組み合わせて構築している。プロセス見直しする場合の考え方として、高効率の機器を入れる、操作を変える、組み合わせるの3つがある。資料5-2のリストにあるのはいずれも個別機器対策のものである。下水処理全体の最適化は化学プラントと考え方は同じであり参考になる。どういった組み合わせが最適例なのかを示す必要がある。(堤委員)
汚泥処理の例でも、ガス化、炭化、水素化等、多様な選択肢があり、省エネの観点のみでなく、地域固有の状況も踏まえ、最適解を出すことが必要である。いまは、メニューを揃えている段階だと思う。個別技術だけの最適解ではない。また、工程ごとの技術も進んできていおり、汚泥脱水から発電までが一つのシステムとなりつつある。(斎藤委員)
その一方で、固有の状況を踏まえた進め方であるとすると、量産効果(低コスト化)が働かない。対策メニューのリスト化のみならず、他と比較した場合の省エネ効果等の特徴を示さないと、自治体に選択させるのは無理ではないか。(堤委員)
排出抑制等指針の対策メニューが多いというのが第一印象である。自治体側でどうしたらよいかわからないという、逆効果にならないようにすることが重要である。自治体の規模や設備の規模にもよると思うが、マニュアルについては、ユーザーフレンドリーの観点で、初級編的なもの、フルスペックなものを策定するといった工夫も重要ではないか。CH4対策については、効果的な対策がないため対象としていないのは止むを得ない。排出実態という観点では、インベントリでも計算されていないが、下水流入以前に発生しているCH4については把握する必要があるかもしれない。インベントリではこれから検討を始めるところである。(森口委員)
1点目について、現場で使えるようなマニュアル作成を行う予定である。その際は濃淡を付けて記載するなどに配慮したい。(環境省)
本質的な問題が含まれている議論である。認証も重要であるが、認証となると厳しいから、ベリフィケーションの手法もある。自治体に向けては何か仕組みを作らないとだめかもしれない。ナノバブルについては認証スキームを検討したこともある。環境省の環境技術実証事業(ETV)のスキームも活用できるかもしれない。(安井座長)
新しい省エネ技術を導入した後、しっかりとデータを把握していくことが必要である。いろんな技術が総花的にあり、使ってみなければその効果は分からないこともある。また、個別最適化と全体最適化の面もある。今後、フォローアップしていくなかで、国としてどれを推奨するかを示していくことが必要ではないか。水道の指針案でも小水力発電という技術を入れているが、そもそも残存圧力がないような送水方法にすべきという考え方もある。導入・使用した結果をしっかり把握し、その結果を未来に反映させていくことが重要である。(小泉委員)
フォローアップ、点検を制度化していくことが必要ではないか。(安井座長)
機器単位で高効率化するのはよいが、部分最適、全体最適の観点で、システムとしてみた場合の評価も必要な気がする。リストにある技術はLCAのバウンダリを広げてしまう。これらの部門のGHG排出量は少ないものの、他部門にも波及するため、評価方法、バウンダリの設定方法について検討しておくと後々役立つと思われる。(赤井委員)
フォローアップは重要である。しっかり実施してほしい。新しい技術を専門的な観点から評価する仕組みが必要である。システムバウンダリについて、産業界の低炭素社会実行計画では事業所内での取組に限界があるため、拡げていくという方向である。LCA的な視点は他の部門と同様に重要である。(森口委員)
再エネ導入について、バイオマスのポテンシャルが40億kWhあると記載されているが、下水汚泥含水量が80%ある場合、乾燥時にエネルギーを多く使うことになる。消化しても半分しかガスにならない。バイオマス利用してもネットでみると、むしろGHGを排出することになる例もある。これらをクリアしたうえで国民に伝える必要がある。(堤委員)
入ってくる水質が重要。上水であれば水源林の涵養が重要。下水であれば水を上手に使うことで下水処理場での負荷が少なくなる。指針のフォローアップで成功事例を普及させ、さらに海外にも展開できたらよい。水処理という観点では、最終処分場の確保が難しい中で、ここの負荷をいかに減らすかについて、ネットで考えていくべきである。(髙橋委員)
今後事務局で議事概要作成し、委員に確認いただく。(事務局)
今後指針策定を進める。パブコメを経て秋ごろ目途に指針の告示改正を行う予定。(環境省)

以上